1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年一月三十一日(金曜日)
午前十時二十六分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君
理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君
理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君
理事 阪上安太郎君 理事 安井 吉典君
大石 八治君 大西 正男君
亀岡 高夫君 亀山 孝一君
久保田円次君 武市 恭信君
村山 達雄君 森下 元晴君
山崎 巖君 和爾俊二郎君
秋山 徳雄君 佐野 憲治君
重盛 寿治君 千葉 七郎君
華山 親義君 細谷 治嘉君
栗山 礼行君 門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 早川 崇君
出席政府委員
警察庁長官 江口 俊男君
警 視 長
(警察庁長官官
房長) 浜中 英二君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
自治事務官
(選挙局長) 長野 士郎君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
自治事務官
(税務局長) 細郷 道一君
消防庁長官 松村 清之君
消防庁次長 川合 武君
委員外の出席者
専 門 員 越村安太郎君
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一月三十日
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二三号)
地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第三三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第二七号)
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二三号)
地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第三三号)
地方自治に関する件
地方財政に関する件
警察に関する件
消防に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/0
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001・森田重次郎
○森田委員長 これより会議を開きます。
去る二十九日付託になりました内閣提出にかかる公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び昨三十日付託になりました内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案及び地方自治法等の一部を改正する法律案の三案を順次議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。早川自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/1
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002・早川崇
○早川国務大臣 公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
本法の第一は、政府は、予算で定める金額の範囲内において、公営企業金融公庫に追加して出資することができることとし、この場合において、同公庫は、その出資額により資本金を増加するものとしようとするものであります。
御承知のように、公営企業金融公庫は、昭和三十二年六月に設立されて以来、地方公共団体の経営する水道事業、交通事業、電気事業等の各種公営企業にかかる地方債につき、低利かつ安定した資金を融通し、その貸し付け累計額は、昭和三十八年末において千億円を突破しております。今後、さらに、地方公営企業の順調な発展を期するためには、公営企業金融公庫の業務運営の基礎を一そう充実する必要がありますので、予算で定める金額の範囲内で、追加出資をすることができることといたしたいのであります。
なお、別に御審議をいただいております昭和三十九年度予算におきましては、公営企業金融公庫に、産業投資特別会計から一億円を追加出資することとしております。
第二は、公営企業金融公庫の監事の権限を明確にしようとするものであります。政府といたしましては、公営企業金融公庫設立の目的が十分達成されるよう、常に努力しているところでありますが、さらに公庫の業務が適正かつ能率的に運用されるよう、監事の権限を明確にしようとするものであります。
以上、この法律案の提案の理由並びにその内容の概要について御説明いたしたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
次に、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
固定資産税及び都市計画税につきましては、昭和三十九年度分から新固定資産評価基準による固定資産の評価に基づいて課税が行なわれることとなりますので、これに伴い固定資産税負担の調整を講ずる必要があります。このため固定資産税負担の調整措置については別途御審議をいただきたいと考えていますが、さしあたり課税の円滑化をはかるためには、固定資産課税台帳の縦覧期間等を延期する措置を講ずることが適当であると考えられるのであります。これが、この法律案を提出した理由であります。
次に、その要旨について御説明申し上げます。
現行の規定によりますと、固定資産課税台帳の縦覧期間は、三月一日から同月二十日までと定められているのでありますが、課税の円滑化をはかるためこれを昭和三十九年度に限り、一カ月延期することに改めたのであります。また固定資産課税台帳の縦覧期間を延期することとしたのに伴い、固定資産税及び都市計画税の第一期の納期、固定資産評価審査委員会の開会の期間等も一月ずつ延期することとしたのであります。
以上が地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及び要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、地方自治法等の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
東京府市を合体して東京都制が制定されて以来、都は、府県の事務のほか、特別区の存する区域においては、原則として、市の事務をもあわせ行なうものとされておりますので、東京への人口及び産業の過度集中が進むにつれて、都行政は質量ともにいよいよ複雑かつ膨大となり、一つの経営体との円滑かつ能率的な運営が期せられなくなり、首都としてまた大都市としてその機能を十分に果たすことができない状態になっているのであります。この法律案は、このような都行政の現状を改善するため、一昨年十月地方制度調査会から提出されました首都制度当面の改革に関する答申の趣旨にのっとり、都と特別区との間において、その事務及び税源の合理的な配分をはかるとともに、当該専務の処理について都と特別区及び特別区相互間の連絡調整を促進し、あわせて特別区の議会の議員の定数の定限に関する規定の整備を行なおうとするものであります。以下、改正法律案の内容の主要な事項につきまして、御説明申し上げます。
第一に、都と特別区の間における事務の配分について、都が、その負担を軽くして、総合的な計画の作成、大規模な建設事業、特別区及び市町村の連絡調整等重要な事務に専念できるようにするため、都が処理している事務のうち一般の市に属する事務は、できるだけこれを特別区へ移譲することにより、その合理化をはかるとともに、特別区の権限を拡充することにいたしたのであります。
この法律案によって新たに特別区へ移譲されることとなる事務のおもなものは、一、福祉事務所の設置、生活保護、老人福祉、行旅病人及び行旅死亡人の取り扱い等社会福祉に関する事務、二、保健所及び優生保護相談所の施設の管理並びに伝染病予防、結核予防、トラホーム予防、寄生虫病予防等保健衛生に関する事務、三、清掃に関する事務、四、土地区画整理事業及び防災建築街区造成事業、五、建築基準行政に関する事務等であります。もっとも、これらの事務のうちでも、特別区の存する区域を通じ一元的に処理することが必要なもの、大規模な建設事業にかかるもの等については、政令で除外することができることといたしております。
第二に、特別区の議会の議員の定数の定限を、六十人と定めることといたしたのであります。
第三に、都から特別区への事務の移譲に伴い、特別区の存する区域において、都と特別区及び特別区相互間における事務処理の連絡調整をはかるため、都区協議会を設けることとし、事務委任条例、特別区調整条例、都区財政調整条例の制定にあたっては、都知事は、あらかじめ都区協議会の意見を聞かなければならないことといたしたのであります。
第四に、都と特別区との間における財源の配分については、現行の都区間の財政調整制度を維持しながら、都から特別区への事務移譲により新たに特別区が処理することとなる事務に要する経費の財源を特別区に与えるとともに、特別区の財政面における自主性を一そう強化するために、市町村民税個人分、電気ガス税、たばこ消費税等、固定資産税及び市町村民税法人分を除く市町村税を特別区税として新たに法定することといたしたのであります。
以上が、この法律案を提案する理由及び法律案の内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/2
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003・森田重次郎
○森田委員長 以上をもちまして三案についての提案理由の説明は終わりました。
なお、三案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/3
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004・森田重次郎
○森田委員長 地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。特に、前国会における早川国務大臣の所信表明に対し質疑の通告がありますので、順次これを許します。藤田義光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/4
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005・藤田義光
○藤田(義)委員 日本の地方自治が一応現実的に、また法制上軌道に乗りましてから相当の年月を経過いたしております。しかしながら最近の地方自治の実体はまことに複雑であり、しかも前途憂慮すべき事態も多々出ております。ただいま委員長から御指摘のありましたとおり、私は主として前特別国会における早川自治大臣並びに公安委員長の所見に対する質疑を中心に展開をいたしたいと思いますが、その所信表明の中で申されておりましたとおり、私も今日の地方自治のむずかしさというものが非常に深刻化しているということに対しましては、大臣と全く同感であります。
私は、まず第一に、執行機関としての首長の問題が深刻になっておると思います。最近地方自治体の政党化というような問題、あるいは首長の四選、五選をどうするかというような問題すら論議されております。
また第二の問題としましては、議決機関としての地方議会のあり方、あるいは議員の任期、定員の問題等も論議され始めております。
第三の問題としては、三割自治という表題で昨春の地方選挙が戦われましたとおり、地方財政の問題もございます。特に現在の交付税制度を廃止して、その分だけ地方税に繰り入れたらどうかという問題も出てきております。国の委任事務が、地方自治体の事務の七、八割を占めているという現実からして、まことに今日の地方財政はちぐはぐの感じを持っておるのであります。あるいはまた地方債の配分に関しましても、この際公営企業金融公庫に集中すべきではないか、こういう傾聴すべき論議も出ておるのであります。あるいはまた譲与税という表現は、まことに地方自治を無視するものであるという論議もございます。こういう問題は、初めから自治体の固有財源にしたらどうか、こういう意見も出ておるのであります。
第四の問題といたしましては、自治体間の地域格差の問題であります。人及び産業による地域格差あるいは所得による格差、これが内政面における当面の一つの大きな政治問題になっておりますが、自治体間における地域格差、これは最も解決を急ぐ焦眉の問題でございます。
第五の問題といたしましては、経済の伸長に伴う行政の広域化でございます。この点に関しまして私は私見として近畿圏整備の構想等もございます。あるいは首都圏、東海三県の統合などの問題がございますので、後刻御所見を伺いたいと思います。
第六の問題といたしましては、都道府県と市町村の間に介在します地方事務所の存廃も、この際真剣に考える段階にきていると思うのであります。町村合併促進法が昭和二十八年から実施されておりまして、すでに昨日大会を終えられました全国町村数はわずかに二千九百足らずでありまして、まことに今昔の感をあの大会で抱いたのであります。また市の数が五百六十になんなんといたしておる。こういう現実からして、はたして太平洋戦争の初期にできました地方事務所というものを今日継続存在させる理由があるかどうか、こういうことも解決を要する問題であると考えるのであります。
最後に、問題といたしましては、政府の地方自治に関する行政機関の一元化という問題があると思うのであります。最近首都圏整備委員会、あるいは北海道開発庁、その他近畿圏整備本部等の群小の地方自治に直接間接関連する役所が簇生いたしておりますが、これらの役所はいずれも自治省に吸収統合いたしまして、地方自治体の相談機関であるところの自治省というものが、もう少しく整然たる地方自治を統合的に処理するという、政府の行政整備も考える段階にきておると思うのであります。こういう問題に関しまして、かつて私はある機関に発表いたしましたので、私が本日質問を展開するにあたり、当面の問題をきわめて簡略に重点的に取り上げてみたのでありますが、地方自治、消防並びに治安問題、非常に広範でありまして、突っ込んで具体的に大臣の所見を伺う時間もございませんので、きわめて重点的に御意見を伺いたい。
第一点は、最近国の行政施策は地方自治の育成に逆行する傾向があるのではないか。特に国の出先機関、たとえば地力農政局あるいは地方建設局その他の地方庁案等のごときは、地方自治の従来の姿からいって、全く逆行しておるのではないかと思うのであります。また昨年論議されました河川法の改正、道路法の改正、各秘補助金による中央統制、こういう問題に関しましては、よほど腹を据えてわれわれ地方自治に関心を持つ者が処理すべき段階にきておると思うのでありますが、こういう各般の政府の施策に関しまして、地方自治の姿がそこなわれやしないかどうか、大臣の所見をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/5
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006・早川崇
○早川国務大臣 ただいま御質問のありました国の出先機関の強化、農政局、地方建設局の権限強化、私はこれは国の、政府機関の内部におきまして、何でも東京の中央官庁というのをブロック別に権限を委譲していくという、政府機関の権限の再配分であると思います。したがって地方自治体の権限をこれによって侵食するという、具体的な法的な基盤もありませんし、そういう意味では、地方自治体に非常に大きい逆行的なものではないのではないかと思っております。それから河川法の改正、道路法の改正等、国が管理する権限が大きくなりつつあるということは、これは率直にいって自治に対する国の権限の拡大だと思うのであります。しかしそのためには、経済が高度発展をいしておりますので、自治体がこれを受け入れる態勢が私は必要ではなかろうか。高度経済発展によって、水があふれ出てきておるけれども、旧来の府県の区域、あるいは市町村の区域というものがその要請にこたえられない姿では、国の権限が出てくるということでございますので、われわれといたしましては、そういった広域的な時代の要請にこたえるため、府県連合、市町村連合という方法も提案しようといたしております。従来の連絡協議会法案も、それに応じた姿で出てきておるわけでございます。
それから補助金の問題でありますが、補助金が非常に多くなることによって、国のコントロールが自治体に行なわれる。これはもう、旧来からも非常に多くの補助金があるわけであります。できるだけこれが整理簡素化されまして、それだけの財源が地方自治体の自主財源になるように、何らかいいくふうはないか。補助金合理化審議会におきましても御検討いただいておるわけでありまして、なかなかこれはむずかしい問題で、一朝一夕にはいきませんけれども、お説のとおりの方向が今後検討さるべき方向だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/6
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007・藤田義光
○藤田(義)委員 次にお伺いいたしたいのは、経済の高度の伸長並びに交通の非常に便利になったこと、その他いろいろな条件が集積いたしまして、今日行政、特に地方行政というものが国の経済の実態に沿わない。広域行政に対する住民の希望は相当熾烈になっておるのでございます。政府は首都圏整備委員会あるいは近畿圏整備本部等のごとく、一つ一つ問題を解決するという措置を講じておるのでありますが、そういうことではとうてい日本の今日の経済の実情、地方自治の実態に沿わない。いずれは非常に大きな破綻を来たすということを憂慮する一人でございますが、この際広域行政に関しましては、早川自治大臣は就任早々、ヨーロッパのEEC的な、経済を主体とした府県連合という構想を打ち出されております。一応の見識として、私たちも心からその構想に敬意を表したのでございますが、この際府県合併の動向、特に東海三県その他に府県合併の動きが出ておるのでありますが、これに対する政府の方針はいかがであるか。
また第二の問題としましては、いま申し上げました地方公共団体連合の広域行政との関係はどういうふうになるのか。あるいはまた、現在の広域行政処理機構をどうするのか。こういう問題を中心に、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/7
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008・早川崇
○早川国務大臣 私は、広域行政、府県連合を考える場合に、二つ基本的な政治理念がございます。
一つは中央集権的な国家は栄えない。やはり連邦的な、多元的な、自治体あたりがたくさんある多元的な国家、多元的な社会——アメリカしかり、イギリスしかり、中共のようなものは中央集権的な国家と言えましょうが、ソ連においても多元化の方向ができておりますので、そういう意味で、それが一つの政治理念でなければならない。同時に、したがって国がそういう経済の発展に伴って広域的に処理しなければならぬ問題を、国の機関で中央集権的に処理していくということは好ましくないということが根本であります。
次の命題は、しかしながら経済の高度発展に伴いまして、住民の福祉、社会経済の面において、明治以来の八十年来の府県の区域、あるいは市町村の限られた行政区域では非常な不便が出てくる。また経済の潜在的な発展を制約するという事態が出てきつつあるわけであります。すでにこういった水があふれ出ようとしておるものに対して、水路をつけなければならない。これを自治体の自主的なあれで水路をつけていくというために、われわれは府県連合、市町村連合という方式の法案をつくってやって、その水路を利用するかせぬかは関係府県、関係自治体の御自由にやりなさい、こういうのが広域行政に対する、あるいは府県連合、府県合併に対する考え方でございます。それから現実的に府県合併という機運のあるところもございます。しかしなかなかこれは一挙に解決できる問題ではございません。したがってわれわれといたしましては、合併を前提するとかしないとかいうことではなくて、現実的に、各府県、各自治体の政治的独立を存置しながら、経済の面あるいは社会、住宅その他の面におきまして、広域的に処理するものを処理できるような機構をつくっていく。これが府県連合法案あるいは市町村連合法案でありまして、ちょうど欧州のEECに似ているから府県EECなんて言われるものの構想でもございます。そういうことをしなければ、時代の要請は強くなっておりますから、国の権力、国の機関がそれを取り上げていくということになることを私はおそれる。これは自治の後退になるわけでありますから、自治省といたしましては、今国会にそういう法案を提案すべき時期が来た、おくれてはならない、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/8
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009・藤田義光
○藤田(義)委員 具体的な一例を申し上げますが、愛知県、岐阜県、三重県この三県におきまして、府県統合の機運が非常に強くなっております。現にこの当該地区における有力経済団体等は、すでにはっきり決議をいたしまして、政府の措置を要望いたしている現状でございますが、こういうような事態が今後各地に発生するということも予想されるのであります。連合の構想は、この国会に法律案として出される統合合併の法案は御用意がありますかどうですか、この機会にお伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/9
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010・早川崇
○早川国務大臣 現在の法律でも、住民その他が望めば合併はできるわけであります。藤田先生の御質問は、それをさらに促進する何か法案の用意はないかという御質問だと思うのですが、われわれとしてはいま考えておりません。いわゆる政治的独立はそのままにしながら、府県連合あるいは市町村連合という方式で広域的に処理するということを考えておるわけであります。といって合併を反対するのでもありません。そういう機運が起こったところは、むろん自主的に合併されることは決して悪いことではないし、いいことでもございますから。しかし国会に対しましては、現実的な、漸進的な府県連合、市町村連合法案を出すことにいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/10
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011・藤田義光
○藤田(義)委員 次の問題は、昨日の町村大会においても決議されておりますが、地域格差の問題でございます。自治体間の地域格差、行政水準の格差というものが非常に深刻になる傾向にあることは御存じのとおりでありますが、私は問題をしぼりまして、昨年七月、政府が指定をいたしました新産業都市の建設に対する自治省の指導方針、あるいはまたこれに対する財政援助の具体的方策はどのように考えておられるか、この点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/11
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012・早川崇
○早川国務大臣 地域格差が町村大会でずいぶん強く要望されましたけれども、むしろこれは豊富の中の格差の拡大だと私思います。私が九年前に自治省の政務次官をやっておったときに、公債費の処理、それがもう地方財政として手一ぱいであった。八、九年の間にこのような地方財政が豊かといいますか、赤字団体がほとんどなくなるという事態、来年度は自主財源で二千数百億円、交付税で八百十数億円というものが見込まれる、三兆円を突破するという状態ということは、全く夢想だにできなかった財政力の強化であります。そういう意味におきましては、ある程度豊かになった中の、さらに豊かなところとそれに追いつけぬところとの格差の問題が現在の大きな課題だと思います。これに対しては、まず産業の面で東京や大阪や名古屋という都市集中ではなくて、全国十三の経済単位に分散していくというのが新産都市の構想であります。それから格差是正に対しては後進地域の特例もたくさんございます。ですからその一環として新産都市を私たちは考えたわけでありまして、われわれはこの産業分布というものを通じて、それに伴う自治体の発展を念願すると同町に、これに要する先行投資のためには、起債の面、あるいは交付税の面、あるいは補助率の引き上げ等の面につきまして格段の努力をいたしたいと思って、特に地元負担の軽減につきましては目下大蔵省や企画庁と検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/12
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013・藤田義光
○藤田(義)委員 第四の質問は、地方団体の自主財源が非常に少ない、これはもう長年のきまり口上でございますが、しかも地方団体間の不均衡が非常に激しい。これの根本対策に関しまして逐一御所見を伺う時間がございませんが、この問題を論議する際においては、どうしても国と地方公共団体の税源再配分ということが非常に大きい問題であります。今回の国会にも地方税法の改正案を出されておるのでございますが、その際何と申しましても、今日の地方税法というものは、占領中のシャウプ博士の勧告を中心にした税体系であるという印象がまだ残っておる。すでに十数年を経過した今日におきまして、ほんとうに地方自治体と国の行政の事務の量の実態に即した財源を確保するためには、まず私はこの税源を根本的に国と地方自治体間に再配分することが絶対必要であると思うが、このことに関しまして大臣の御意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/13
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014・早川崇
○早川国務大臣 よく三割自治といわれるのでありますが、地方の自主税収入は四割に達しておりますから、四割自治というのが正確かもしれませんが、私は、四割自治というのもおかしい、これに加うるに交付税という、自治体としては別にこれこれと指定する財源ではありませんから、これもやはり自治体の財源と見るならば、現在の地方自治は三割自治ではなくて、少なくとも六割自治であり、七割自治であるという実態は御理解いただきたいと思うのであります。しかしながら公共投資の非常な増大その他に伴いまして、投資需要が非常にふえてまいりました。したがって、それに伴って財政が窮屈だということも私は正しい気持ちだと思うわけでありまして、できましたらほんとうに伸縮性のある自主材源を、四割といわないで、一〇〇%自治体が持てるような仕組みにしたいのであります。しかし、これは国の経費その他との税源調整ということになりまして、所得税とか法人税とか、有力ないろいろな間接税を一挙に再配分するということは、これはなかなか困難な問題でございますので、現在税制調査会並びに地方制度調査会におきまして、根本的に地方自治体の財源をふやす何かいい財源はないかということで、いま検討し、また探しつつあるわけであります。それとひとつお考えいただきたいのは、何といいましても地域的に所得の格差がございますから、所得の格差に伴って税源の格差が出てくるわけですね。したがって、どうしてもやはり交付税制度といいますか、あまり年産のない市町村に対しては、どんなに税制改正をしましても、やはり私は格差是正ということは残ると思うのです。したがって交付税というものの内容の合理化あるいはまた傾斜配分方式の検討ということは必要でございましょうが、交付税を廃したらどうなるかということにつきましては、私は名案はないと信じておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/14
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015・藤田義光
○藤田(義)委員 地方財政を混乱させている一つの大きい禍根といたしまして、国庫補助金の乱発ということがあることは御存じのとおりであります。一例を申し上げますと、昭和三十九年度予算の中には、たとえば農林省が農道という一本の柱をつくりました。従来土地改良費の費目で出しておった補助金が今度は農道という別の一本の柱で出された、この百億の補助金を予算化した際において、この農道という新しい費目に対する地元負担ということを農林省は考えていない。結局農道は必要であるが、地元負担で地方自治体が行き詰まってしまう。こういうような矛盾が毎年むしろ激増しつつある。これは自治大臣が中心になって思い切って国庫補助金を整理していただきまして、一般地方財源に繰り入れる、そしていま申されたような交付税の傾斜配分というような姿をますます強くしていく、こういうことによりまして、税外負担の解消にも役立つであろうし、地方財政秩序の確立ということが少しずつ軌道に乗ってくると私は思うのであります。三割自治は四割であって、しかも交付税の額を加えれば大体六割は自主財源である。形式はとにかく、実質的にはさようになっておりますが、私はやはりそうであれば初めから六割というものを地方自治体のさいふの中におさめさせておいて、そして四割についてむしろ政府が調整的な傾斜配分をやるというくふうに飛躍するほうが、地方自治の姿からいっては適当ではないかと考えているのでありますが、国庫補助金を整理して地方の一般財源に繰り入れてしまう、あるいは税外負担を解消する、こういう問題に対しまして、何かひとつこの際くふうをこらしていただきたいと考えておりますが、御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/15
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016・早川崇
○早川国務大臣 一般的な御質問でございますから、私も一般的なお答えしかできませんが、私はこう考えます。アメリカとかイギリスのように地方自治体のほうから発展していった民主主義の歴史を持つ国においては、国のほうが、ステートなんかの権限、お金を取り上げる時代になりつつあると思います。アメリカなんかそうです。日本の場合には中央集権の官僚国家から誕生したわけです。したがって、日本の官僚機構というものは、一つの指導者、エリート意識というもので日本を発展させてまいったわけであります。したがって自治体があとからくっついてきたわけですから、どうしても中央集権的な長い伝統と意欲があるわけでありまして、私は日本の官吏が、補助金制一度によって自治体をコントロールするという意欲で動いておるとは思いません。しかし潜在意識的にはそういう歴史のおい立ちの関係上、ややともすれば補助金によってコントロールしたい、中央官庁の権限をさらにふやしたいというのが偽らざる、無意識のうちにある大勢でございます。したがって逆に言えば、自治体に補助金もつけない——補助金の総額が幾らになるか数千億円になるでしょう、これを自治体におまかせして、りっぱにやってくれという、いわゆる自治体なり住民に対する信頼というものが薄いことも私は事実だと思う。そこに基本的な問題がある。したがって、この補助金制度というものは、いつも言われるのですが、これだけの金があれば自治体に全部まかして、自主財源にしたらどうかという議論が、なかなか実現できない歴史的な日本の国家の発展過程というものが背後にある。いいとか悪いとか私は言うのではありません。そこまで掘り下げなければ片づかない。幸い、先般合理化、審議会というものをつくりまして学識経験者の答申をしていただきまして、その答申の趣旨は、いま藤田先生の言われますようになるべくそういう零細補助金を整理して、そういうものは一括して自主財源に持っていくという方向に答申が出ております。したがってその答申をどう具体化していくか。これは一自治大臣の力ではいけませんが、政府全体として考え、また努力していくのが正しい方向であると考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/16
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017・藤田義光
○藤田(義)委員 時間の関係もありますが、もう少し質問したいと思います。
次は、先般の衆議院総選挙におきまして与野党の争点の一つの大きな問題でありました住民税あるいは固定資産税の問題に関してお伺いしたいと思います。これらの問題に関しましては、自治省においては今国会で相当思い切った改正案を用意されておるようであります。また電気ガス税に対しましても相当の改正を予定されておるようであります。住民税、固定資産税は町村税源の中核をなすものであります。また電気ガス税は年々歳々相当の増収を見越される有力な税源でございます。ところがこの電気ガス税は年々減税の方向にいっておる。地方自治体としては非常に惜しい税源を失うのではないかという不安が出てきておるのであります。私がお伺いしたいのは、この総選挙の争点の一つでありました住民税、これを相当思い切って減税されるようであります。特に従来自治体間に相当論議がありましたただし書き方式をやめまして、本文方式一本に移行するという英断に出られたことは全く御同感でございますが、私は、この減収分の補てんというものに対して、自治体が非常な不安を持っている。これはどういうふうにするか。大体大方針だけをお伺いしておきたい。それから固定資産税というもの、これは将来どういうふうに持っていこうとするのか。また電気ガス税は、将来税の中から姿を消すのではないか。だんだん減税していく、こういう方向にありますので、将来の明確な方針があればお示しを願いたい。
以上、三点をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/17
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018・早川崇
○早川国務大臣 御指摘のとおり、住民税のただし書き方式を本文方式に及び準拠税率を標準税率に統一するという改革は、画期的なものでありまして、私は池田内閣の最大の善政の一つだと思っております。問題は、これによって二カ年間で三百億円のただし書き方式の市町村の穴があくわけであります。約二百九十万人の所得税を納めない低所得者が、今度住民税の面で免税になる。この住民の喜びと、市町村の財政の穴があくという二つの課題をかかえておるわけであります。幸い政府におきまして、これによって生ずる約三百億円の財源の補てんにつきましては、本年度から二カ年にわたってやりたい。そこで本年は百五十億円、その百五十億円の穴の三分の二は、国で元利を補給する臨時減税補てん債を設けまして、全額元利とも国で補てんしていく。これがどのくらいの期限かということは、目下四年か五年かまだきまっておりませんが、大蔵当局で検討していただいておるわけであります。あとの三分の一の五十億円は地方債、長期債を認めまして、これによって生ずる減税補給の項目を基準財政需要額の中に算入しまして、交付税全体として、しかも長期にこれを処理していく、こういう考えであります。ただし、これはあくまで臨時的なものでありまして、初年度さっき言ったように一〇〇%の補てんをいたしますが、次年度からは二〇%ずつこの補てん率を減らしまして、五カ年間では補てんの措置をなくするわけであります。と申しますのは、その期間に財政上自然増収も出てまいりましょうし、われわれがいま考えておりまする交付税の傾斜配分の一助といたしまして、基準税収入額七〇%を七五%にするとか、いろいろな措置によりまして、そういった後進市町村に対する財源措置がふえてくるわけであります。それに見合って五カ年という期限で補てんを打ち切っていく、こういう考えでございまして、そういう意味では、住民の福祉とそのただし書き町村の行政水準を下げないという二つの目的を達成することができると信じております。それから電気ガス税は将来なくなってしまうのではないか、こういう御質問でございますが、現在そういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/18
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019・藤田義光
○藤田(義)委員 地方公営企業、なかんずく電車、バス、あるいは水道、自治体病院に至るまで、地方公営企業は一様に経営が悪化してまいっております。戦後、自治省当局が企図いたしました地方公営企業というものに対する財政上の希望は全くなくなってしまいまして、最近の情勢は地方公営企業の存続にも相当問題があるのではないかという論議さえ出るに至っておりますが、私はただ一つの問題だけを取り上げて、この際御所見を伺っておきます。それは五大都市のバス料金の問題でございます。これはすでに現在の料金は十数年前のままの姿でありまして、二年近く前に政府に料金の引き上げの書類を提出いたしておるのでございますが、最近の消費者物価抑制対策の一環としてこれがついに押えられてしまった。ところがすでに相当の赤字が累積しておりまして、五大都市におきましては財政上の一つの大きな問題になってまいっておるし、現状で放任すれば昭和三十九年度末におきましては数百億の赤字が出る。現在においてすら東京都だけでも百億の赤字を持っておる、こういう状態でありますので、何とか早急にこれは政府の責任において手を打つべきではないか。自治大臣の御所見を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/19
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020・早川崇
○早川国務大臣 全く藤田委員の申されましたように、地方公営企業はもうこのままに放置できない段階にきておることは、私も十分認めておるわけであります。特に交通、バス関係は七割、病院事業は五割、水道事業は三割の事業が赤字になっております。したがって、これは当然経済原則に伴いまして、上げるべきものがあれば上げざるを得ない面も、私は率直に言ってあると思います。しかしながら政府全体の物価対策といたしまして、一年間とにかく公営料金その他公共料金につきましてはストップするということにきまったわけであります。したがって、一年の経過を見まして、根本的に考えてまりいたいと思っておるわけであります。しかし同時に、公営企業全体のあり方がどうかという面にいろいろの問題がございますので、地方公営企業制度調査会の設置を本国会にお願いをいたしておるわけでございまして、それには民間人、学識経験者あるいは公営企業担当者に委員に入っていただきまして、公営企業の根本問題についてひとつメスを入れたい。特に私の望みたいのは、最近の近代的な経営学、近代的な管理方式につきまして、公営企業の経営者というものが必ずしも熟知しておらないうらみもあるわけであります。私は公営企業を民営に移せということを言うのではありません。しかし民営の能率的な、発達した管理のやり方というものもやはり相当検討しなければならぬ面もあると思いますし、そういった問題も含めて、根本的に公営企業のあり方を御審議願う制度を早急につくりたいと思って、本国会にこの法律案を提案いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/20
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021・藤田義光
○藤田(義)委員 消防の問題に対して一点お伺いいたしたいと思います。最近の火災被害は累年激増いたしております。また交通事故等に伴う消防活動は、非常に重大化してきておるのであります。したがいまして、私は消防施設の近代的な整備拡充が緊要とされておると思うのであます。特に衛星都市、あるいは新産業都市の構想が具体化するにつれまして、またこれらの新しい都市づくりに即応する新しい消防体制を考えていく段階にきておると思うのであります。したがいまして、この際消防機能を高度化して、救急体制を整備強化する。その反面におきましては、消防団員を思い切って処遇をよくする。特に農村地帯に参りますといわゆる三ちゃん農業、ばあちゃん、じいちゃん、かあちゃんという、年寄りと奥さんだけの農業になりつつある現状におきまして、地方農村における消防団員の確保ということはきわめて困難な現状であります。したがいまして、この際消防団員の処遇に関しましては、政府としても思い切った措置を講じていただきたい。これらの点に関しまして大臣の御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/21
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022・早川崇
○早川国務大臣 火災のみならず、最近は水防あるいは治安あらゆる面におきまして、報いを求めない奉仕をしている義勇消防団員約二百万の人たちの存在は、単に消防という問題だけでなく、私は日本の社会をささえる道徳的なモラルの、源泉であると思っておるわけであります。したがってわれわれとしては、この人たちは報酬を求めるためにやっておらないというこの崇高な消防精神、これは私は日本をささえる力だと思っておるわけでございます。したがって、この処遇という場合には、それに対する反対給付でお金をやるんだという気持ちであってはいけない。あくまでもそれは国なり社会全体が感謝するという気持ちでこの問題を考えなければ、せっかくの消防精神というものをスポイルするわけであります。
そこでわれわれとしてはいろいろ苦心をいたしまして、従来十五年以上の方には銀杯を差し上げておりましたが、せめて十五年勤務された方にはお伊勢参りもしてもらおう、東京へ見物にも来てもらおう、そういうささやかではありますが、十五年以上勤続の方々に対しまして、国、地方団体のほんとうの感謝の気持ちとして、三万ないし七万に及ぶ退職時における報償金と申しますか、そういうものを銀杯に添えまして差し上げるということになりまして、これに伴いましてこの法律も提案し、またこれを地方財政計画にもその費用を織り込んでおるわけでございます。もちろん対価というか、契約的な報酬という意味では非常に少ないものですけれども、私はあくまで消防精神というものに対する国、地方団体としての感謝の何といいますか微衷という意味で、この制度をぜひともひとつ今国会で御審議いただきまして成立させていただきたい、かように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/22
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023・藤田義光
○藤田(義)委員 最後に、治安の問題に関しまして二、三お尋ねしたいと思います。
私は、国民が平和で健康な生活を営むといういわゆる福祉国家を実現するためには、どうしても、何よりも治安の確保が根幹である、こういう感覚でおる一人でございますが、そのためには真に国民の信頼と期待にこたえ得る民主的な警察というものが絶対必要である。この点に関しまして治安を預かっておられる国家公安委員長たる早川大臣の御所見はどうであるか。
また、せんだって一万人の交通警察官の増員を実施されましたが、来年度予算におきましては五千名の刑事警察官の増員が決定しておるようであります。これだけの増員によって、はたして国内の治安は自信が持てるのかどうか。先進国の人口一人当たりの警察官の負担率はどうなっておるのか。先般、昨年の十一月二十二日のアメリカの大統領ケネディ氏の暗殺事件は、治安を預かる日本の警察にとりましても、他山の石となったと思うのであります。昭和三十五年十月社会党の浅沼書記長が暗殺されまして、日本はまた何十年か前の暗黒時代に逆行したというような憂慮すべき雰囲気も国内にあった。ところが民主政治の先進国といわれるアメリカにおいてすらあのような不祥事件が起きて、世界の平和に暗い影を宿すという憂慮すべき事態が発生しておるのであります。したがいまして、この治安に対する大臣の御所見あるいは今後の警察官、数だけではもちろん治安は完ぺきではございませんが、昭和三十九年度予算に増員された警察官、これによってどの程度われわれは国内治安というものに対して信頼を持てるか、この点に対して御所見を伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/23
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024・早川崇
○早川国務大臣 警察官は言いわけせずという原則は、検察官とともにございます。したがって私は制服の警察官としての立場でなくして、政治家として国家公安委員長としてお答えを申し上げたいと思うのです。
そういう点から見ますと、私は率直に言って、現在の警察官はかなりよくやっていると思います。といいますのは、手かせ足かせされながら検挙に当たっている。いうまでもなく戦前非常に有効な手段でありました戸口調査というものもできません。したがって、交番が自分の所管の住民がどういう人たちかということは、事実上つかみにくい状態であります。それから警職法その他におきまして、世界で最も民主的な警職法になりまして、アメリカのようにかってにすぐ撃ち殺したり、トランクの中をすぐひっくり返して調べたり、そういうことはもちろんできません。そういう意味におきましていろいろな制約下において、とにかく世界一、二の検挙率を凶悪犯罪その他であげているという姿は、捜査に当たっておる警察官の諸君は言いわけは許されませんが、担当の大臣といたしましては、——もちろん吉展ちゃん事件、あるいはにせ札事件、そういった重要な犯罪でつかまらぬ者もありますけれども、全体でみればよくやっていると、私は大臣就任早々約半年間の経過を通じまして思っております。しかしさればといって、われわれは未検挙犯罪に対して言いわけをしておるのでは断じてない。これはあくまで政治家としての私の発言としてお受け取りいただきたい。
それからもう一つは、交通警察官一万人、刑事警察官五千人、昨年は一万人、今度は刑事警察官五千人ふやしていただくことになりまして、これでも先進諸国の警官一人出たりの人口比率からみますと、非常に低いのであります。いま試みに申しますと、警官一人当たりの人口は西ドイツで四百六十五人に一人、フランスは三百十人に一人、イタリアは三百十九人に一人、イギリスは五百七人に一人、アメリカは五百六十五人に一人であります。これに比べまして、現状は六百九十一人に一人の日本の警察官、さらにこれに五千人加えましても、六百人以上に一人という大きい負担がかけられておるわけでありまして、少なくとも私は諸外国並みの人口当たりにいくまでには、さらに四、五万人の数が足りないと思います。しかしそれは直ちに実現もできませんので、われわれは来年度五千人の刑事警察官を増員することに財政的見地からとどめざるを得なかったわけであります。
それと同時に、もう一つお考えいただきたいのは、アメリカ、イギリス、フランス、西、ドイツその他この背後に、何といいますか軍隊があるということです。日本は軍隊はございません。憲兵もございません。あるのは自衛隊で、諸外国に比べると、非常に数の少ない自衛隊よりおりません。そういう関係から見ますと、客観的に見れば、数の面から見れば、この一億国民の治安を守るには不十分であるということが予想されるのではないか、しかしながら別に数が多い少ないによって治安力がどうこうされるという考えは私は持っておりませんし、この与えられた警察官をフルに、しかも責任感を持って活動していただき、同時に処遇の面も考えて日本の治安を万全なものにしていきたい、こういう努力をいたしておりますので、そういう意味ではしかるところはしかり、ほめるところはひとつほめてやっていただいて、犯罪なきりっぱな社会実現のために御激励賜わりたいということを切にお願いを申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/24
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025・藤田義光
○藤田(義)委員 ただいま日本は警察官一人当たりの負担人口が六百九十一人ということでございましたが、私の郷里の熊本県のごときは千人に一人ぐらいでございまして、警察官の数にも非常な地域格差がございます。十分ひとつこういう点も考慮して、今度の警察官の配分に対しましてはひとつ善処していただきたいと思います。
次に、お伺いいたしたいのは、第一線の警察官は肉体的にも精神的にも非常に苦労が多いことは御存じのとおりであります。特に警察官はその職務の性質から居住制限を受けております。住宅の確保がきわめて困難でありますが、その反面、公務上の死者の比率も各国に比べて非常に商いという気の毒な現状であります。こういう点に関しまして、警察官の待遇改善、なかんずく住居の確保ということを真剣に考える段階にきておると思うのでありますが、この点に対して大臣の御計画をお伺いいたすとともに、私は最近の犯罪の内容を見るにつけまして、一番憂慮すべき点は少年犯罪であります。十歳から二十歳までの少年千名に対して十・八人の犯罪者があり、また成人を加えた全犯罪者のうち、三五・二%がいわゆる少年犯である、きわめて憂慮すべき事態であります。しかもこれは政治、教育、社会万般の施策が、総合して少年犯の防止に役立つことはもちろんでありますが、直接この問題と取り組んでおられます警察当局としましては、この少年犯のすさまじい激増に対ましては、何かここで一くふうあってしかるべきではないか、かように考えるのであります。警察官の待遇改善、なかんずく住居対策をお尋ねするとともに、少年犯の防止に対して何か直接一くふうないかどうか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/25
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026・早川崇
○早川国務大臣 警察官の処遇の問題で一番心をいためるのは、住宅の問題でございます。大体平均二号敷きくらいの居住に甘んじている人が、昭和三十七年六月一日現在で一八・二%でございます。そのために私たちのよく聞くのは、せっかく婚約ができておっても、犬小屋みたいなところへ来たために、親がこれはどうにもならぬというので、結婚ができないという残酷物語もよく耳にするのであります。私は昨年末警視庁管下の警官諸君の住宅事情を視察いたしました。総理大臣の護衛に当たっているあの裏の独身寮を見ましたけれども、四畳半に四、五人ごろ寝をしておるという姿を見まして、私は非常に心を打たれました。また一般の警察官が焼けビルのあとの、ちょうど戦争直後のバラック建てのようなところに四人、五人の家族の人たちが入っておる。しかも私が心を打たれたのは、警官の誇りを持っておるので非常に清掃がよく行き届いておる。私はふしぎに思ったのですが、奥さんもみんな美人です。美人というのは、いわゆるきれいなんですな。そうして夫が六十二時間の勤務で帰ってくる、何とか心づくしをしてやりたいという奥さんの心づもりで、六畳くらいのところに五人家族ですけれども、必ず金魚ばちと鳥かごをつってある姿を見まして、私は非常に目がしらが熱くなりました。こういうことをほっておいて、治安の確保はできない。そこで何としてもひとつ住宅だけは早急に整備したいと考えまして、来年度予算におきまして従来の待機宿舎に対しまして三倍の予算をつけることにいたしました。待機精舎の三倍増強。そして私は二年間で住宅不足を解消したいと思っておりましたけれども、まあ三年で最小限度の住宅不足を解消するという措置をとって目下予算に計上しておるわけであります。これと同時に待機宿舎に入らない一般の警察官に対しましては、共済組合の資金、起債を通じまして、一般警官も大体待機宿舎とほぼ同じ程度の宿舎をつくりたいと思っておりますので、三カ年間には二割の警官がいまどうにも困っておる最低の住宅難は、解消できるものと確信をいたしております。
もう一つの問題は、少年犯罪の問題ですけれども、御指摘のように刑法犯の三割をこえる、特に凶悪犯罪の四割が二十歳以下の青少年によって犯されておるという事態は、ほんとうに憂慮すべき段階であります。しかしこれは警察だけでは片づかない問題、政治全般の問題でございまして、まず学校教育の面あるいは社会環境の浄化の面、マスコミの御協力、それにも増して人生の価値は何ぞやという人生観の問題、すべてがからむ問題でございまするが、警察当局としては自分の持ち場でできるベストを尽くしたい、かく考えまして、不良環境である、不良化の温床である深夜喫茶なんかも廃止することにきめました。また少年担当の警察官もふやしまして、少年係は警察官であるとともに、非行少年に対しては町の教育者として接してもらいたいと訓示いたしております。われわれの主張によりまして、青少年の非行化を未然に防止するための補導センターを、学校の先生と警察官、民間人、全部が相談して補導していく補導センターを全国で九十二カ所来年度につくりまして、それからこれまた私の提案でありましたが、学校に非行少年を補導することを専門に考えていく専門の補導教官、これはコンサルタントとか、カウンセラーというものですが、これを新たに国の定員として来年度やることになりまして、すでに各府県で自主的にやっている県がたくさんあります。そうして非行化を未然に防止するために家庭にも行く。いまは英語とか国語とか、専門の教員ですから、子供の不良化なんかに対してはあまり情熱を持たない方が多い。そうではなくて、一生を台なしにする青少年の非行化という問題について補導を専門にするカウンセラーを中学校、高等学校に置くことになりまして、これを全国的に全部というわけにはいきませんが、暴力的な非行化の多い学校、東京でもずいぶん成績を上げておるようであります。まあそういったことをやりながら、青少年犯罪を未然に防止していくということに対しまして全力をあげていこう、それから各府県で青少年保護条例というものをつくりつつあるところもございます。神奈川県しかり、警察としてやり得る力がこの問題については限られておりますので、それによって非行青少年が減るとは思いませんが、学校当局、家庭、社会環境、マスコミ、あらゆる政治の総力をあげまして、幸い総理府に青少年局というものができますので現在の日本政治の大きい悩みであり課題である非行青少年問題に真剣に取り組んでまいりたい、かような念願でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/26
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027・藤田義光
○藤田(義)委員 最後にお伺いいたしたいのは、暴力排除の問題でございます。昨今、暴力団の組織が非常に伸びてきておるとともに、その活動範囲が広くなってまいっておるのであります。私は、個々の表面にあらわれた暴力の追及、だけでなくして、そのうしろに介在する暴力の実態をよく把握することが暴力団対策の一番重要なかなめであると思うのであります。特に最近、職業右翼と組んだ暴力団というような、実に憂慮すべき動きもあるやに聞いておりますが、この問題に関しまして所見を伺うとともに、交通戦争の問題でございます。一昨年の交通事故による死者は一万一千人でございましたが、昨年はさらに千人ふえて一万二千人をこすという状態であります。特に先般東京で開かれました交通安全協会の総会の席上に出されました東京都内のある母親の手紙は、全く全国民のはらわたをえぐるような悲痛なものがあったのであります。誕生日前日に、バックしてきたトラックにいたいけな自分の娘をひき殺された。もう一回あの娘を返してくれという悲痛な母親の叫びを新聞紙上で拝見いたしました。何とかこういう深刻な問題に対しまして打つ手はないものか。思い切ってひとつ、交通戦争という近代文明が生んだ一つの悲劇に対しまして、政治家が何とかここで徹底した方策を考えることがもう一刻を争うのじゃないか、こういうことを私はしみじみと感じたのでございます。これらの交通地獄対策に関しましてもこの際御所見を伺っておきます。
以上をもちまして私の総括的な質問を終わりますが、地方自治、消防、治安問題等、きわめて広範にわたりましたので、核心をつく質問ができなかったことを非常に残念に思いますが、自治大臣であり、また国家公安委員長をされておる早川大臣は、この池田内閣においては一番若手であり、その若さと行動力に委員会としまして非常な期待をいたしております。
以上私が質問しましたことで、逐一御答弁がございましたが、ぜひとも何か一つ大臣の在職中に、自治あるいは消防、治安の問題に対しまして、思い切った措置を残していただきたいということを最後にお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/27
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028・早川崇
○早川国務大臣 暴力団の増加、五千団体、十六万人といわれるわけでありますが、現代の法律では、御承知のようにこういう団体を解散さす憲法的な規定がございません。西ドイツにおきましては、構成員が多数犯罪を犯した場合には、その団体を憲法上解散する権限を与えております。そういう関係で、西ドイツには暴力団の存在はほとんどありません。イギリスにおきましても暴力団といわれるものは非常に少ない、皆無に近いのであります。それに比べまして日本では、いわゆる暴力団、暴力組織というものがかなり目立ち、また暴力犯罪の三割近くは暴力団員の手によって犯されているということも数字上出ておるわけであります。
そこでこれをどうするかという問題でございますが、私は二つ考えなければならないと思うのです。一つは暴力というものは引き合わないんだということを徹底さすことであります。それに対しては日本の現在の刑法あるいは裁判の判決というのが、強盗殺人とか、そういう財産にからんだあれははっきり法律で無期または死刑となっている。一般の殺人、傷害、暴行その他は、戦後いわゆる人権思想といいますか、教育刑思想というので、非常に軽い。人を殺しても仮釈放、恩赦その他を含めますと、統計上三年という数字が出ている。単なる暴力殺人の判決は七年平均ですけれども、実際牢屋に入っている期間は三年という統計数字も出ておる。傷害につきましては御承知のようにこれまた体刑率が非常に低い。暴行に至りますと、〇・六%程度より自由刑にならないというわけでありまして、いわば暴力というものは引き合う——引き合うということばが語弊がありましたならば、殺されたり被害を受けたり恐喝された人の人権は永遠に返らない、しかしそういった無法なる者に対する人権保護というものは世界で一番完全だ、これでは暴力犯罪もなくならない。したがって私は行き過ぎた人権思想が、結局無法なる者の人権を尊重するあまり、善良なる市氏の人権は無視され過ぎているのが現在の世相ではないか、だから、こういう点を改めなければならないというので法務省から提案しておるのが、いわゆる凶器を持った傷害、犯罪、常習暴力に対して刑罰を強化する暴力行為等処罰に関する法律の一部修正案であります。そのほかいろいろあるでしょう。暴力犯罪に対してはピストルとか銃砲刀剣所持禁止法という法律がある、これもピストルや日本刀をしょっちゅう持っておりましても罰金三千円、五千円という判決が非常に多い、最高は三年あるのですけれども……。これもその程度では抑制的効果を持たない。この銃砲刀剣類所持禁止法の処罰をどうするかという問題、これは非常に有力な法律であります。そのほか裁判が非常に長引きますので、ポリス・コートといいますか、一部の学者においては諸外国でやっているように。ポリス・コートという制度を設けてこの迅速化をはかっていくということが、暴力排除に大きい役割りをするのではないか、これは法務省当局でも検討を願っておる問題でございます。こういった立法的な裏づけをやりながら、暴力は引き合わないという態勢をつくっていく、これが一つであります。もう一つは、国民の間に、憲法におきましては、対外関係においては暴力を使わない、武力すなわち暴力です。ところがこの憲法の精神が、国内の紛争処理においては暴力を使うという矛盾した風潮がある。私は、新憲法は国内問題にも紛争処理をするには暴力手段を使わないということが国民に徹底することが大事だと思うのです。幸い国民に小暴力の追放、暴力排除という機運が、憲法の精神のとおり非常に上がってきておるわけでありまして、そこで警察当局としてはこの要望にこたえるために、いままで末梢的に、ちょっとハエを追うように、事件が起こったときにつかまえる、ところが刑罰が軽いから、じき権利保釈で出てくる、これでは片づかないと思う。そこでその組織の核心にメスを入れる、常時その動向を内偵調査する、そして未然にそういうことを防いでいく、また麻薬その他の資金源というものも断ち切っていく、最近は刑事だけではいけないので、刑事、保安、警備という三局が一つの暴力対策本部を設けまして、いま警視庁はじめ全国二十府県に、いままでは刑事だけだったのですが、少なくとも刑事に警備、保安を加えまして、暴力組織の犯罪を防止する対策本部を設けるという指示を、すでに管区局長会議でやったわけでありまして、そうすることによって、これは簡単にはまいりませんが、本年度の大きい警察庁の目標として取り組んでいこう。
それからもう一つは交通事故でございます。一万二千人の死者、三十数万人の負傷者、これによる家族の悲嘆、私は非常に大きい問題だと思う。そこでこれを本年度半減さす方法はどうか、それにはどうするかということで、交通担当者で目下具体案を検討いたしておるわけであります。この面も暴力犯罪よりはもっと単純な問題でありますから、もっと科学的に、ここの踏切には死者が多い、歩道のところをどうする、あるいは取り締まりの警官をどう配置するとか、いま緻密に対策を立てておるわけでありまして、何とか、半減できなくても、その目標を立てることによって一割でも二割でも減れば、これほど幸福なことはないわけでありますから、暴力と交通事故半減ということを本年度の最大の課題にして取り組んでおる次第でございまして、なお警察庁長官から、暴力根絶に対する要綱につきまして補足説明をしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/28
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029・江口俊男
○江口政府委員 ただいま国家公安委員長から詳しい御説明がございましたので、私から暴力取り締まり対策要綱について御披露申し上げろというお話でございますけれども、ほとんどただいまおっしゃったような内容につきまして、昨日も公安委員会で最終的にお取りきめを願い、それに従いまして私たち一生懸命努力するということに相なったわけでございます。
時間の関係もございますから、項目だけ申し上げますと、二つに分けて考えておりますが、一つは取り締まりの強化対策というものを立て、それからもう一つは、ただいまるるお話しになりました法的な措置について今国会でお願いする分もありましょうし、また将来に向かってそういう法律をつくるということで努力するという面がございます。
まず取り締まり強化対策といたまして私たちが考えておりますものは、中身はいろいろ書いてございますが項目だけ申し上げますと、一つは暴力組織の実態の解明がいままでのところ十分できていないので、これはただいまお話しのように単に刑事の面だけじゃなしに、思想を担当いたしております面、あるいは防犯をやっております面等、みんな一緒になって暴力組織の実態を解明しようというのが一つでございます。
それから第二には、そのような特別取り締まりの体制を確立しようというのが第二でございます。
第三は、暴力組織に対する視察、内偵の体制を強化する。同じようなことでございますが、これを継続的に、事件の前からやっていき、さらに事件のあとにおきましても、常時これをにらんでおるという考え方でございます。
第四には、暴力犯罪に関しまする初動捜査体制、すぐ手をつけるという体制を強化するということでございます。
第五には、暴力組織の存立の基礎に対する取り締まり、ただいまお話しになりましたような資金源その他についても十分な取り締まりをやるということでございます。
第六は、暴力犯罪の温床に対する取り締まり、これも五と関連した問題でございます。
それから第七には、暴力団同士の争いが最近きわめて例が多いのでございまして、これに対する取り締まりを徹底するということでございます。
第八には、拳銃その他の銃砲刀剣類の取り締まりをさらに徹底するということでございます。
第九は、暴力犯罪の被害者の届け出の促進をはかりますとともに、被害者、参考人等について、従来にも増した保護措置をとるということでございます。
第十は、暴力取り締まりについての民間協力関係の強化につとめるということで、これは九と関連する問題でございます。
十一には、暴力犯罪を犯した者に対する保釈等の適正化をはかるために、裁判や検察機関との連絡を一そう緊密にするという考えでございます。
十二には、暴力組織の構成員については、単にこれを検挙して刑罰を科するということに終わることなく、さらに正業への転換まで、これはわれわれのできることじゃございませんが、関係機関とはかりまして、そういう努力をも要請するということでございます。
それから十三には、暴力団ではございませんけれども、暴力犯罪を犯すおそれのあります精神障害者というのが非常に多いのでございますが、これについての発見とその保護取り締まりの措置を強化するというようなことを取り締まり対策の要点といたしまして、さらにその裏打ちのために、先ほど大臣からお話のございました暴力行為処罰に関する法律の改正、これは今国会で法務省からお願いをいたしておる点でございますが、これについて私たちも全く同じ気持ちを持っているということと、第二には、暴力の犯罪に使用されておる銃砲または刀剣類の所持、譲渡、携帯等に対する規制を強化する方向で罰則を強化したい、これは今国会でお願いすることができるかどうか、現在検討中の法案でございます。さらに、これは今国会ではおそらくできないと思いますが、簡易な手続による早い裁判ができるような機構というものを考えていきたい、こういうことを内容といたしました対策要綱を、実は昨日の国家公安委員会で最終的に決定をし、閣議にも大臣から御披露になった次第でございます。
一応私から御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/29
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030・森田重次郎
○森田委員長 阪上安太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/30
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031・阪上安太郎
○阪上委員 藤田さんから相田微に入り細にわたる質問がありましたので、私はできるだけ重複しないように質問申し上げます。
そこで、大臣の所信の第一として、広域行政の推進についてということが申されております。広域行政に関する考え方としては、一つは広域行政事務、こういうものが考えられなければならない。いま一つは、それに対処する広域行政の制度の問題がある。この間の所信によりますと、広域的処理を必要とする行政事務、こういうふうにいっておられますが、私は、必要とするという考え方よりも、一歩前進して、広域的処理をすべき行政事務とは何であるか、やはりこういうものの考え方を明確にしておかなければならぬ。こういう抽象的なことだけではわかりませんし、また所信表明の場合に、そうこまかいこともいえないと私は思っておりますので、この際まず第一番に、広域的処理をすべき行政事務とは何であるか、どう考えているかということをひとつお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/31
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032・早川崇
○早川国務大臣 阪上委員の御質問にお答えいたしますが、目下府県連合、市町村連合の地方自治法一部改正を検討いたしております。最終的な案はまだきまっておりませんが、大筋を申しますと、たとえば府県の場合には、府県全体にまたがる総合開発計画の樹立、それに伴いまして水、道路をどう調整したら一番能率的に潜在経済力を開放できるかという問題も当然起こるわけであります。その次には水道の問題、それから住宅の問題、さらには煙の多い産業地域とレクリエーション地域をどう配置するか、いわゆる観光の問題、それから産業をどういうように分散していったら一番能率的だろうかという問題、これは有無相通じていく問題でございます。そういった広域的に処理できる問題は、そのほか多々あると思います。ただし、われわれ自治省といたしましては、そういったものの御決定は、府県迎合なり市町村連合という水路をつくりますが、その中身につきましては、それをやろうという自治体の自主的な御相談の規約によってきめていく、こういう仕組みにいたしたいと思うわけでありまして、全部法律でこまかくきめようという意思はないわけでございます。私の考えておる構想はそういう内容のものになるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/32
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033・阪上安太郎
○阪上委員 そういうふうに承りますると、大体広域的な処理をすべき行政事務というものは、大きく分けると、一つはやはり地域開発的な事務ということがある。しかし、それだけではなく、さらに地域における住民の生活基盤というようなものについての整備で広域的な処理をしなければならぬものがあるだろう、こういうふうにいま承ったわけであります。私はそのとおりだと思います。したがって、ただ単に二つの行政区域以上にまたがる事務だから広域行政事務だ、こういうふうに簡単に考えてしまうことは適当じゃない。そういうふうに私は理解するわけであります。
そこで、それらの点についてはあとでまた伺うことにしまして、それに伴う広域行政制度として考えられる——それが大臣の考え方では連合方式だ、こういうことになっております。これは先ほどから説明がありましたのでもう伺いませんが、そこで、ただ私非常に気にかかるのは、その連合方式というものが統合を前提とする考え方に立っておるということであります。これはこの前もあなたがここで明らかに説明されましたように、府県連合の機運のあります地域につきましては、その地ならしともなる連合方式だ、こういうように言っておられる。地方制度調査会の答申を見ましても、この種の考え方が出ておる。一体連合方式というものは、統合を前提として考えるべきものであるかどうか、こういう問題があると私は思うのであります。
諸外国の例を見ましても、あまり例は多くはありませんけれども、市町村連合として出発いたしました例のカナダのトロント方式あるいはウイニベック方式、これら一連のメトロポリタン方式というものは、そのおい立ちを歴史的に考えていきますると、むしろわれわれが日本で学者諸君の報告によって承知いたしておりましたものと逆の方向を持っておったということであります。すなわち戦前においてトロントなりウイニベックという市が周辺の——ちょうどわが国で行なわれたような町村合併をどんどんやっていった。そうしてそれから取り残された周辺の地区というものが、戦後非常に大きく発展している。そこで当時の合併から取り残されたそれらの都市は、広域行政に対処するために、このままでいくならば、むしろこれは合併の方向へ推し進められてくるであろう、したがって、この合併を何とか阻止しなければ地方自治の本旨が見失われてしまうという立場に立って、統合、合併を否定する前提として連合方式が考えられた、こういうことでありまして、私はそのほうがいいと思います。統合を前提とする連合方式であれば、むしろ統合に踏み切るべきだ、私は統合に賛成ではありませんけれども。連合方式というものは、むしろ統合を阻止して、地方自治の本旨を守っていく、しかも一方において広域行政に対処していく、こういう立場から考えられてしかるべきだと私は考える。ところが自治大臣の考え方としては、むしろ地ならし的な傾向というものを考えておられる。そうして連合方式によって地ならしができたならば、統合に踏み切っていくのだ、こういうように解釈できないものでもない。この点は非常に重大な問題であると私は思いますので、ひとつ大臣の明確なる所信を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/33
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034・早川崇
○早川国務大臣 統合を前提としては考えておりません。連合する場合の、ある県は、統合したならば大県に吸収されるのではないかというおそれを持っておる県もあります。それから大きい経済のあふれているところは、むしろ合併をして能率的に労力も水も使いたいという意欲を持っております。それはそれぞれの立場があるわけでありまして、そういう合併を望む人にとっては、府県連合方式は結婚前の婚約時ととりましょう。それは御自由にとりなさい。合併をきらう、むしろ小さい、吸収されるのではないかという心配をされる県にとりましては、これは府県の政治的独立性を残しますから、最後は、府県連合でいろいろな案が出ましても、その県議会で拒否権を使えばいいわけであります。計画に対して批准を拒めばいいわけであります。ですから、それはそれぞれの県の事情によって御自由にお考えになってけっこうです。しかし、必要なことは、合併するか、合併せぬかということでなくして、現在の時代の要請であるから、その問題を府県連合をつくって共同処理する場をつくりなさい、こういう考え方がこの府県連合の構想でございまして、合併を前提とするとか合併することを拒否するとかいう議論は、この法律の中には入っておりませんし、府県連合なり市町村連合のこの方式で、広域処理できるものがどんどんうまく進んでいけば、これは合併する意味もありません、そのままでどんどん進んでいけばいいわけでありまして、私は、そういうように考えて、これ自身の価値というもの——法律には前提とかあるいはしてはいかぬという予想を全然持っておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/34
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035・阪上安太郎
○阪上委員 その点非常にはっきりしてきたわけであります。したがって、連合方式と統合とは別個の問題だ、地方自治法等に基づくところの合併が将来あってしかるべき場合もあるだろうし、ない場合もあるだろう。連合方式は統合に持っていく前提として考えられたものではない、こういうふうにわれわれ解釈しているわけです。それで、その点はっきりいたしましたが、しからば、そういう考え方による連合方式につきまして、その連合体の行政組織は一体どういうふうに持っていくつもりでおられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/35
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036・早川崇
○早川国務大臣 法案が出ましたら詳しく御説明いたしたいと思いますが、目下自治省で成案を得つつあるのは、特別地方自治団体といたしたいと思っております。そうして大きい骨組みは、府県の場合をとりますと、府県の政治的独立は保持する。すなわち、最終的には県議会があるわけであります。しかし理事者のほうは、府県連合理事会を構成いたします。具体的に言えば、府県連合の場合は知事でございます。理事会で決定したことに対しましては、その理事者はそれを執行する義務を負うわけであります。ちょうど条約におきまして、外務大臣なり総理大臣がきめたものは持ち帰ってその議会で批准を受けるという義務を負うと同じような意味であります。しかし従来苦心いたしましたのは、宇都宮その他の都市連合、諸外国のトロント方式とかなんとかの欠点は、そういう連合体自身にも議会を設けておるわけであります。これは府県会と二重で、屋上屋を重ねることになりまして、いたずらに紛糾を来たしますので、府県の理事会には事務局と審議会を設けるにとどめました。その審議会はあくまで諮問機関でございまして、学識経験者あるいは経済人あるいは各府県からの古顔の県会議員何名というものが審議会を構成いたしまして、計画の立案に参加し、また諮問するという仕組みにいたすわけでありまして、そうすることによって、各理事者がその自分の関係する府県連合——いまは、たとえば和歌山県の例をとりますと、和歌山県の知事さんなり県会議員は、東京とつながっておるだけであります。非常に東京のことをよく知っておる。ところがお隣の奈良県、大阪府のことはとんとお知りにならない。これではいかに合併といいましても、それは区域が大きくなるだけでありますから、その理事者が三人、たとえば和歌山、大阪、奈良という例を頭に描くとしますならば、三人の知事さんが、理事者として大阪も見、奈良も見、和歌山も見る。またその審議会の構成メンバーをなす学識経験者あるいは県会議員の古顔の方々が、その府県連合の地域を、常時総合計画を立てて、見ることによって、生きた広域行政というものの道が開けてくるわけでありまして、政治的にはあくまで府県の独立は保持しますが、理事者だけは連合体の理事会を構成する、こういう仕組みにいたしたいと考えまして、法制局と相談中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/36
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037・阪上安太郎
○阪上委員 確かにお説のように、都市連合等におきまして、諸外国の例でも、独自の議会、議決機関を持つということについて相当やはり問題がある。また運営の状態から見ても問題があることは事実でありますが、しかしはたしてその程度で、この連合方式が実際の役割を果たすことができるかどうか。所期しておるところの業績を上げていくことができるかどうか。なるほど屋上屋を架すということばもありますけれども、逆にデモクラシーはやはり屋上屋を架すような形である面においては非常に迂遠な道をたどっていかなければならない場合もあり得る。この場合、理事会、その程度では私はどうかと思います。これはまたいずれあとで議論することにいたしましょう。その場合、議会でもよくないけれども、かといって単なる諮問機関でもよくないという、その中間をとったような審議会制度というようなものを一応考える必要があるんじゃないかと私は思うのだけれども、そういう構想はお持ちじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/37
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038・早川崇
○早川国務大臣 いま阪上委員が言われたような審議会を設けようと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/38
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039・阪上安太郎
○阪上委員 それでは次にその連合方式における財政の仕組みは一体どうなっておるか。これについてのお考えをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/39
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040・早川崇
○早川国務大臣 これもいずれ御審議願うときに詳しく申し上げますが、まず基金というものと分担金というものが主たる財源になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/40
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041・阪上安太郎
○阪上委員 一問一答でえらいおそれ入りますが、独立財源を与えていこうという考え方はありませんか。たとえば固定資産税を与えていこうという考え方はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/41
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042・早川崇
○早川国務大臣 これは政治的独立を府県に認めておりますので、なかなかむずかしい問題でありまして、財源の面においては、たとえば広域行政を処理するために、起債あるいは交付税あたりを、いい計画についてはつけようと思っておりますが、それはあくまで府県のチャンネルを通って持ち込むという形にしなければならぬという問題がございます。ただ条例については、共同条例を制定する能力を付与いたしたいと思っております。
なお、財源の問題については、専門的なことになりますから、行政局長からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/42
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043・佐久間彊
○佐久間政府委員 独立財源はここに原則として与えないという考え方でございます。それで、所要の経費につきましては、関係の地方公共団体から分担金の形で支出をする。その分担金につきましては、関係議会の議決を経るわけでございます。
なお、大臣は基金とおっしゃいましたが、特別の使途をきめません基金を置くことができることにいたしまして、この基金につきましては、一定の率で関係団体が拠出をいたしまして、財政調整的に連合が使うというようなことを考えております。
それから、起債能力は、事業を実施いたします場合には連合に認めていいじゃなかろうかということで検討をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/43
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044・阪上安太郎
○阪上委員 大体内容はわかってまいりましたが、トロントだとかウイニベックの方式の中で、やはり問題になるのは、分担金の問題なんです。これがなかうまくいかない。そのために、非常に連合体の経営の困難さが出てきている。こういうことが明らかになっております。この点については一そう御研究願いたいと私は思うのであります。
次に、それならば連合方式と、今度再提出されるところの地方行政連絡会議との関係は、一体どうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/44
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045・早川崇
○早川国務大臣 地方行政連絡会議法案は、御承知のように、各中央官庁の出先機関の人たちと、近畿あるいは中京地区の関係知事さんの懇談会になっておりまして、国との話し合いの場というものが主体になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/45
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046・阪上安太郎
○阪上委員 したがって、それもやはり地方自治のワク内でやられることだと私は思うのであります。要するに、国の出先機関との連絡という立場をとっておるから、連合方式とは別のものである、こういうことで、両方とも必要だという観点に立っておられる、こういうことだと思います。そういうふうに私は承っておきます。
次に、地方公共団体の住宅対策についてでございますが、結局大臣が考えられておるのは、公営住宅建設に尽きるのではないかと思うのであります。しかし現在の公営住宅のやり方というものは、私はあまり感心しない。ことに諸外国の例を引き出すわけではありませんけれども、最近はそういった方向というものは、逐次諸外国においても大きく取り上げていない。むしろ個人住宅、民間住宅の建設にもっと便宜を考えてやっていくという方向のほうが強く出ているように思うのであります。
そこで、問題は、金融の問題なのでありますけれども、そういった民間金融が確保されていないところに、わが国に問題があるのではないか。公営住宅をどんどん建てればいいという考えが一部にありますけれども、それは結局、個人の労働意欲なり何なりを、むしろ逆に阻害していく方向にある。もっと思い切って民間住宅を建てていく方向を考えるべきだ。そこで、わが国で一番問題になりますのは、結局のところ、宅地の取得だろうと思うのであります。住宅政策ではありますけれども、むしろその根底になるところの土地の取得ということについて、もっと思い切った施策を自治大臣は打ち出すべきじゃなかろうかと思います。ただ単に公営住宅主義でもって、公営住宅さえ建てればいいんだという考え方では、私はうまくいかないのじゃないかと思うのですが、そういう点で何かお考えになっていることはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/46
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047・早川崇
○早川国務大臣 自治体は住宅対策に力を入れよということが、私の大臣の一つの大きな政策の柱になっておりまして、三つ考えられるわけであります。一つは公営住宅の拡充でありまして、来年度は起債充当率を四〇から四五%に引き上げることにいたしまして、それに伴って起債ワクが非常にふえております。二番目は税制上の優遇でございまして、目下検討中でございますが、たとえば新築住宅に対する固定資産税を軽減する、それから不動産取引税を軽減するという措置を考えております。それから第三番目には、自治体独自でやる単独事業の住宅に対しましては、かなりのワクを設定をいたしました。そして国の補助のない住宅を思い切りお建てなさいということも考えておるわけであります。
それからいま御指摘の土地が問題でございますから、土地造成というものに対しましては、積極的に今後自治体を指導してまいりたい。それによって経費が要る場合には、土地造成については交付税の算定基準にも入れたらどうか、かような考え方で目下検討いたしておるわけでありまして、御指摘の阪上委員のお考えは非常に参考になりますので、思い切って宅地造成に対しては起債のワクあるいはそれに要する費用の若干を交付税て見るとか、——まだ策定の最中でございますので、よく御参考にいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/47
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048・阪上安太郎
○阪上委員 建物を建てていくという方向もいいのでありますが、これはほっておいても建てることができるような仕組みをもっとつくっていく必要があると思います。その場合一番問題になるのは、宅地の確保だと思います。こんなことにこそ地方公共団体が非常な力をそこへ集中していく、それに対する財政の裏づけというものを考えていただく、そういうような御回答をいただいておりますので、私は了承いたしますが、この際ひとつ伺っておきたいのは、公営住宅の規模の適正化です。何か四十五年まで持っていきますと、四・五くらいの家族構成になるそうでありまして、いまの二種住宅にしても一種住宅にしても、非常に問題が多いと思うのであります。この場合、そういったものに対処するために間仕切り等を考慮するということも必要でありましょうけれども、何がために長い間この住宅を払い下げないで放置してあるか。こんなものは思い切ってできるだけ早くどんどん払い下げていけばいいんじゃないか。そして回収した資金を再びそういう建設事業に回していけばいいじゃないか。いつまでたってもああいうような状態で、増築さすことも模様がえさすこともできないで知らぬ顔をしている。中へ入っている者は家族がふえてほんとうに困っている、こういう問題があるわけですから、それを長い間、五年間でありますか十年間でありますか、ちっとも払い下げしないでこれを拒否しているというこの状態について、これを改善する必要が私はあると思う。払い下げについてどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/48
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049・早川崇
○早川国務大臣 お説のとおりでありまして、特に市町村が強く払い下げを要望しておりまして、管理費にも困っておる、自分の家じゃないために、よごすということで、建設当局にこの問題を要望いたし、建設当局も大体その線で近く結論が出ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/49
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050・阪上安太郎
○阪上委員 それでは第三番目に、地域格差の是正についてでございますけれども、これは要約いたしますと、結局地域開発の問題だと私は思いますが、幸い地域開発関係法律というものが数多く出ております。その中で特に最近クローズアップされてまいりましたのは、例の新産都市の建設だと思うのであります。ここで一番大きく問題になるのは、やはり新産都市建設の公共投資の、それの負担の問題だと私は思っておるのであります。現在の計画によりますと、大体一地区一千五百億程度でありますから、それに対して国の直轄事業ではわずかに一二、三%、そして残余のものについては当該関係の都道府県、市町村並びに電電公社とかあるいは国鉄とかいったような企業体がこれを持っていく、こういうことになっております。そこで問題になりますのは、この都道府県市町村の負担がきわめて大きいということなんでありまして、この点について、自治省のほうでは特別の財政措置をする考え方を持っておられるというふうにここに書いてありますけれども、どんな措置をおとりになるつもりでおられますか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/50
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051・早川崇
○早川国務大臣 具体的に問題になるのは、三十九年度でなくて四十年度からだと思います。幸いオリンピックというものが、大体五千億円近い公共投資を東京都にやっておりまして、これが終わるわけでございまして、そういった余力も国の公共投資に出てまいります。そういうことから見まして、われわれといたしましては、新産都市というものを誘致した府県というものは、将来税制面で非常によくなるわけでありますけれども、したがって先行投資というものを中心に何もかも負担率を上げるという考えは持っておりませんが、それでも一地区千五百億になりますか、一千億になりますか、非常に大きい事業量になりますので、地方自治体としてはその負担に耐えられないという面も出てこようかと思います。したがって、新産都市の公共事業の国庫補助の特例に関する法律というものを目下検討いたしております。しかし、その内容につきましてはまだ固まっておりませんので、目下検討中ということよりお答えできないのを非常に残念に思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/51
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052・阪上安太郎
○阪上委員 検討中では困るのでありまして、見通しはどうなんでしょう、そこまで言えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/52
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053・早川崇
○早川国務大臣 予算折衝の最中におきましては、こういう趣旨の法律を立法化するという点におきましては、大蔵当局とも思想統一はできておるわけであります。ただその中身につきましてはどの程度になるか、何らかの形の特例を設けなければならぬという見通しはもちろんはっきり言えるわけでありまして、それをどの程度にするかということにつきましては、まだ検討中であるというようにお答えせざるを得ないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/53
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054・阪上安太郎
○阪上委員 その法律は、この国会中に出されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/54
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055・早川崇
○早川国務大臣 目下出すように検討中でありまして、必ず出し得るところまで固まるかということは、ちょっといま申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/55
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056・阪上安太郎
○阪上委員 またいずれ別の機会に御質問いたします。
それから地方税制でありますけれども、先ほどから税の再配分等につきましての御質問がありましたので、これは省略いたします。
そこで、これと関連いたしまして補助金の問題なんでありますけれども、この補助金の合理化につきまして、すでに答申案が出ておるように伺っておりますが、補助金に対してこれをどういうふうに取り上げて、どういうふうに持っていくつもりでおられますか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/56
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057・早川崇
○早川国務大臣 これは自治大臣のみのよくするところではございませんので、この問題につきましては関係省とも相談をいたしまして、特に地方の自治体に関係ある面に必要な補助金の簡素、整理に限りまして折衝をしてまいることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/57
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058・阪上安太郎
○阪上委員 次に、市町村民税の課税方式の統一、それから税率の調整の問題がありますけれども、これについて課税方式の統一に要するところの財源、形をかえていうならば、財政補てんの問題がありまするが、これはたしか二百四十億ばかり財源が所要であった、こういうように思います。これが百五十億に押えられて例の特別債のような方式で措置されていく、こういうことになっておりますが、この百五十億というようなものはどこから出てきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/58
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059・早川崇
○早川国務大臣 全体では二百四十億ではなくて、本文方式だけのあれで、準拠税率を標準税率に変える面がありますから、約三百億ございます。そこで二カ年で問題を一挙に解決しようというので足して二で割ったわけでありまして、これは別にそれ以外の意味はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/59
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060・阪上安太郎
○阪上委員 税率の調整に五十九億ほど必要である、合計三百億程度の補てん財源が必要だ、こういうことになっておって、それを二カ年計画で足して二で割る。自治省の考え方では、最初はやはり二年計画であるけれども、税の調整は二年度に回し、第一年度においては統一のため課税方式の統一をやろう、こういう考え方を持っている、私はそのほうが正しいと思うのであります。しかるに足して二で割ってしまったために何か怪しげなる法律を出してきて、非常に不明朗な措置までしていかなければならぬ、こういうことになってきておるのでありますが、ああいった方式でもって財源補てんするならばそう大騒ぎするほどのことはなかったんじゃないか。なぜ二百四十億を第一年度にぶつけて統一方式だけを第一年度でやっていくという方式をとられなかったか、そこのところの機微をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/60
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061・早川崇
○早川国務大臣 最初は二百四十億をやる、あと六十億やるというのは阪上委員の言うように税制改正としてはすっきりとしてやりやすい、お説のとおり………。それは裏にしてもいいわけです。しかし予算の大臣折衝というものは、それ以外に財源をどこからひねり出してくるかという問題が中心になるわけなんで、三時間半ほど田中君とやり合いましたけれども、財源がないならば元利補給債で、ことしの国民が負担する必要ないじゃないか。こういう大改革は五年、十年の国民が補てんするといういわゆる元利補てん債という構想を僕が打ち出したわけです。したがってそれに乗っかって百五十億ということで妥結したわけですが、一にも二にも最初の出発点が財源問題をどうするか、それには二百四十億というのは大き過ぎると言っておる、こういう考え方で妥結したものですから、経過的にそうなりましたので、お説のようにすっきりと二百四十億ということで片づけたほうがよかったことはそのとおりであります。ただ事務当局からお答えいたしますが、さればといって百五十億というものでは変なもので、税制改革にはならないので、その点事務当局には非常に頭のいい人がそろっておりまして、じょうずな税制改正案をつくられましたので、ひとつ御披露さしたいと思います。税務局長からひとつお答えしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/61
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062・細郷道一
○細郷政府委員 完全補てんを得たいというようなことで、いま大臣のお話で来年百五十億ということになったわけでございますが、百五十億をどういうふうに負担の軽減に、どういう階層に振り向けていくかということを考えてまいりますと、やはり市町村民税、本文、ただし書きを通じて低所得者の多いただし書き方式の市町村の市町村民税の負担を軽減することが先決ではないだろうか、本文方式であれば課税されていないような納税者に対してまず軽減をしていくべきではないだろうかというふうにまず考えたわけであります。第二には、そうした場合に普遍的に幅広く納税者の負担軽減をはかるにはどういう控除の仕方がよいであろうかということを考えてまいりますと、やはり扶養控除に手をつけるのがまず先ではなかろうか、こういったようなことから百五十億を頭に置きつつ、現在税額控除になっております扶養控除を所得控除に切りかえてまいりたい、あわせて扶養控除と関連の深い専従者控除については、現在法定されておりませんものを特定の額で法定してまいりたい、こういったようなことで百五十億の補てんを得つつ、明年度の軽減をはかってまいるようにいたしたい、こういう方向で措置を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/62
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063・阪上安太郎
○阪上委員 その点はそれでいいですよ。しようがないから百五十億。私が言っているのは、その百五十億と二百四十億の問題を言っているのであって、いま言われたような頭のいい措置はそれとは関係ないことであります。二百四十億のほうがもっと早くやれることであります。その点はあまり僕は感心しない。それはしかしいずれ地方税等の法律案と関連しての質問にいたしましょう。
次に、消防団のことでございます。小さな問題でありますけれども、これは大臣どうでしょうか。十五年というのはちょっと長過ぎはせぬかな。十五年三万、ないし等級によって七万というのは、これはあんなところに十五年も勤続しているのは数が少ない。少ないのを目当てに十五年ときめたのか。もう少しこれは十年くらいにしぼってやる必要があるのではないでしょうか。実際われわれは運営してみてそういうふうに感じるのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/63
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064・早川崇
○早川国務大臣 お説のとおり十年というのを望むのですけれども、現在目一ぱい差し上げてあるのが十五年になつております。そういう関係と、三万ないし七万といっても十五年以上の人に差し上げるとしても非常に多いわけです。大体十二億以上お金が要るわけです。まあお説のような線にまで将来伸ばしていくことを望んでおりますけれども、とりあえず最初の出発はこういうことにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/64
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065・阪上安太郎
○阪上委員 まあできるだけ早目に期限の短縮をひとつはかってもらう。これを非常に期待しております。消防団の諸君の声を聞きますと、多くの声は十五年は長い、これはもう十年くらいでないと……、こういうことを言っておりますので、これは十分お考えおきを願いたいと思います。
それから公、安関係でありますけれども、公安委員の補充はもう行なわれたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/65
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066・早川崇
○早川国務大臣 まだ行なっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/66
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067・阪上安太郎
○阪上委員 非常に公安に力を入れておられますし、国家公安委員長ですから苦慮しておられるのだと思いますが、先般何か公安委員長から発表されたように私は聞いておるのです。どこか広島大学の学長かだれかをという声を私は聞いておりますが、なぜこんなに手間どっておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/67
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068・早川崇
○早川国務大臣 御存じのようにこれは内閣人事でありまして、私のほうの人事ではないのであります。森戸辰男先生というお話は聞いております。候補者の一人であることは間違いありませんが、私から発表もいたしませんし、お聞きもいたしておらない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/68
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069・阪上安太郎
○阪上委員 見通しはいつごろきまりますか。これはやはりこういう体制は、そういう空白を置かないでぴしっとやらなければおかしいと思うんですよ。どういうところでこんなものが手間取っているのか私非常に疑問に思っているのです。見通しとしていつごろきまるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/69
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070・早川崇
○早川国務大臣 一刻も早く補充いたしたいのは私の念願でもありますし、官房長官にはすみやかにひとつ決定してもらいたいということを要望いたしておりますが、議運の問題でありますので、少なくとも通常国会の会期中には補充できるのではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/70
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071・阪上安太郎
○阪上委員 次に警察行政でありますけれども、これも多くの質問がすでになされております。増員計画の具体的な内容もほぼ承っておりますので、これは省略いたしますが、この交通警察官、この前から一万五千人の増員になるわけなのですが、これでもって前から私がやかましく申し上げておる例の緑のおばさん、それから黄色いママさんというような制度、これは一体なくなるのかどうか。ということは、私は日ごろあれを見ておりまして、ああいうことは非常に危険なんです。警察権限を与えられていない。またあの人たちに警察権限を与えることは許されないでしょう。権限のない人が旗を振っている。そして聞いてみれば、本委員会でも参考人として招致して御意見を聞いてみると、運転手さん、いま子供が通行するのでどうぞひとつ車をとめてくださいとお願いして旗を振っているのだ、こう言うのです。おれはそんなものは聞かないのだといって突破されてもどうにもならぬ問題です。横断歩道を渡っておれば、最近の道交法の改正に基づいて、一たん停車しなければならぬことは事実であります。それからまた、このほかに無人踏み切りとかその他のところで旗を振っている道路工事等をやっている人夫がおられる。これなんか非常に危険だと思うのです。そうかと思うと、一方通行をやらなければならぬところで、工事の関係で工事の関係者が旗を振っている。ああいう状態を放置しておいて交通安全なんというものが保たれるものじゃないと私は思うのです。諸外国の例を見ると、ああいう場合にははっきりとやはり法律に基づくところの臨時的なゴー・ストップの機械を据えつけておる。これならば、それに違反するものは違反であるし、明確に取り締まりができると思う。交通警察官でもない者が旗を振って交通整理をやるというような状態を一体いつまであなた方は続けられるつもりでおられるか。まして、そのために交通警察官の増員をしろとわれわれはやかましく言ってきた。どんどん増員されてくるにかかわらず、依然としてああいう制度が残っているということは私は許されないと思う。あの人たちの好意というものは私たちは十二分に承知します。けれどもいつまでも甘えておって、ああいう制度を残しておくということは私は許されないと思います。この点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/71
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072・早川崇
○早川国務大臣 お説のように一万人の交通警官の増員が本年度中に完備いたしますので、可能な限りそういう緑のおばさんというよう自発的なあれをなくしていきたいと思っております。しかしながら、この小中学校の子供たちの横断歩道は全国的に非常に数が多いものですから、一挙にこういうものをなくしていくということもなかなか子供の安全から考えましていかないので、いましばらくそういう制度は存置していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/72
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073・阪上安太郎
○阪上委員 この前から、交通警察官の増員の場合にこれが問題になっておったのであります。緑のおばさんとか黄色いママさんというのは、どのくらいの数がいま実際に動いておるのだろうか、約八千と答弁があったわけです。それに対して一万人の交通警察官を増員することによって——これでも十分だとは言いません。最近の交通状況から見ましても、まだまだ増員しなければならぬと思っておりますが、少なくともああいった制度というものはなくなっていくものだと大きな期待を持っておったわけです。いま大臣の御答弁を伺うと、まだしばらくやっていかなければならぬ、こうおっしゃっておられます。私はそれはちょっと納得しかねるのです。ああいったものを認めるとか廃止するとかいう権限は、公安委員会にはあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/73
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074・早川崇
○早川国務大臣 権限はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/74
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075・阪上安太郎
○阪上委員 そうしますと、これは知事の権限でやっておるのでしょうか。あるいはかってにああいうものをやっておるのを黙って見ておる、こういうことになっておるのですか。一体どういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/75
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076・早川崇
○早川国務大臣 自治体がやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/76
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077・阪上安太郎
○阪上委員 これは公安委員長が答えておるのだからあれだけれども、警察庁はどういうように考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/77
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078・江口俊男
○江口政府委員 もちろん職権を持った交通警察官を、必要な数だけ立てるということが理想であることは間違いございませんが、それが足らないということで、初めは自発的におやりになったところもございますし、また都なり市なりで費用を出してやっておられるところもいろいろございます。しかしそれは職権がないことは先ほど大臣からお答えになったとおりでございまして、ほんとうは職権のある本物でやっていく方向にだんだん持っていかなければならぬという考えは警察庁としてもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/78
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079・阪上安太郎
○阪上委員 ですから、この際少しこまかくなりますけれども、もう一万人くらいふやして、なくしたらよろしいのではないですか。相当地方財政負担も大きくなっていきましょうし、問題もあるでしょうけれども、やはりふやさなければならぬ。ああいうものに依存しておるということは間違いだと思う。これはもう少し考えてください。
ついでに、そうなってくると機動隊ですね、機動隊はいま何をやっておるのですか。こういう事件の起こらないときには。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/79
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080・江口俊男
○江口政府委員 お答えいたします。機動隊は有事の際の訓練というものが主になって行なわるべき性質のものでございますが、事実上は時に応じて防犯活動に出向いたりあるいは交通整理に出向いたりいろいろ県によって違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/80
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081・阪上安太郎
○阪上委員 そこでこの前のときからも私申し上げておるのですが、あれをもう少し——機動隊というものがなければならぬ理由は、ある程度私もうなずけるのですが、しかし少しもったいないような気がするのです。ああいうような状態で置いておくということは、非常出動の場合に対処するためには、あまり分散してしまうこともどうかと思いますけれども、しかしもう少しこれらのものを、いま言ったように交通警察も足りないときなんですから、何かそういった方向に使うような方途というものは考えられないのですか。警察庁長官からひとつ………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/81
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082・江口俊男
○江口政府委員 全般的に交通警察の足らないときには、常に機動隊を使えというところまではちょっと言いかねると思いますが、事実上交通警察に使っておる面も相当ございますし、特に捜査の面でも大きな捜査をやるという場合には、機動隊で周囲のほうを警戒して、そうして核心をついていくというようなやり方をやり、一日も遊んでおるという状態ではありません。ただ機動隊も全国で五千くらいだと思いまするが、小さな県ではそうたくさんおりませんので、画一的にこれで交通をやっていくという状態にはいかぬと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/82
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083・阪上安太郎
○阪上委員 機動隊の存在価値というものについてもいろいろありますけれども、ひとつこれは何かそういう役に立つ方向への指導をしてもらう必要があるのではないかと思います。役に立たぬとは私は言いませんが、何かそこにむだがあるように思いますので、いま言ったように犯罪捜査に協力するとか交通取り締まりに協力するとかいうことについて、はたしてそれだけの訓練が行なわれておるかどうかについても私はかなり疑問がある。そういう点でもう少し一般警察官と同じような機能を持つような訓練も行なっておく必要があるのではないかと思うのであります。ことに交通取り締まり等について、交通戦争に対処するために機動隊の使い方というものについて、もう少し的確な方向というものを示されることが必要じゃないか、こういうふうに私は思います。これもひとつ研究して下さい。
それから警官住宅の問題ですが、これは私は憂えている問題なのでありまして、どうも本年度の警察庁の予算を見ると、わずかな補助金しか出ていないですね。これはもっと補助金をとって早急に警察官住宅というものを改善してやる必要があります。私は大阪でありますが、あの辺を回ってみましても、スラム街にひとしい姿を持っているところがたくさんあります。身命を賭して危険な仕事に従事しておるのでありますから、せめて住居くらいは安楽な住居を与えてやるという考え方を持っても決して不自然ではないのです。それにしてもあまりにも予算が少ない。八億やそこらの補助金をばらまいて一体何ができるのですか。七億ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/83
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084・早川崇
○早川国務大臣 八億です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/84
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085・阪上安太郎
○阪上委員 大したことはない、八億と七億は一億しか違わぬ、まだ少ないくらいです。何とかもっと思い切った手を打ちなさい。私はそういうことについてもっと力を入れてもらいたいと思います。これももう答弁を得る必要はないと思いますが、先ほどから藤田さんも言っておられます。大臣も答えております。ぜひそういう方向に持っていってもらいたいと思います。
それから次に非行青少年対策でありますけれども、所信の表明にも大臣が「総合的な施策を実施いたしたいと考えております。」とあるが、これは正しいのです。警察だけでもって非行青少年の取り締まりをやるなんというたってなかなかできるものじゃない。そこで、しかしそれじゃ総合的な対策というのは一体何だろうかということなのであります。大臣が考えておられる総合的な対策というのは、青少年対策というものは一体何であるか。日本には現在中央青少年問題協議会等がございまして、いわゆる問題青少年に対する対策は持っておりますけれども、一般の青少年対策というものが強く打ち出ていない。そしてその対策は何かというとほとんどが取り締まり行政。先ほど大臣が言われたような、青少年に人生観とか世界観というものを植えつけるような運動というものは展開されていないのです。そこで、これは警察だけの問題というより、むしろもっと総合的な配慮をする必要があるのでありますが、何か内閣でそういった総合的な対策というものを考えておられるかどうか、持ち合わせがあるかどうかということをひとつこの際伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/85
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086・早川崇
○早川国務大臣 そういうふうに、本年度から青少年局というものを設置することになりまして、そこで従来の青少年問題協議会という協議会形式から、一歩これを主管する青少年局ができたわけであります。ここが中心となりまして、各省に関係する青少年対策を総合的に取り上げていこうというわけであります。その中には海外への平和部隊の構想もあり、あるいはユースホステルということもあり、取り締まり面でのいろいろな問題があるわけでありますが、総合的な青少年対策というものは局が設置されてから出てくるのではなかろうかと思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/86
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087・阪上安太郎
○阪上委員 それから次に交通問題でありますけれども、私は先ほど実は大臣に伺ったときに広域行政事務というもの、あるべき広域行政事務は何であるかということを質問したのでありますが、あのときにほしかったのはいわゆる交通対策なのであります。連合体を主張されるごとく、この場合頭にぴんときていただきたいのは、私は交通問題、交通対策ではなかろうかと思うのであります。これこそメトロの機構の中で処理されていかなければならぬ、広域行政としてほんとうに処理されなければならぬ問題は、私は交通対・策ではないかと思います。諸外国の例を見ましても、ああいった連合方式をとっているところでも第一番にとられているのは交通対策といいますか、交通政策だと思います。
そこでこれは中央行政関係だけで処理するわけにいきますまいけれども、大量輸送計画というものが立てられなければならない。やたらに交通制限ばかりやるのが私は能ではないと思います。抜本的な解決をするためには、大量輸送計画というものがほんとうに重視されなければならないと思うのであります。その場合に、東京都には省線も走っておれば私鉄も乗り入れている。都電もあれば地下鉄もある。それらがばらばらの形で運行されている、こういうことなんでありまして、こうした問題こそ連合体としてあるいは広域行政として処理していかなければならぬ問題だと思います。こういった大量輸送計画というものが充実されていないところにわが国の交通問題の一つの大きな原因がある。したがって、こういった大量輸送計画というものを、一体どこで樹立して、どうやっていくかということになると、運輸省だ、やれ何だということになりまして、押せ押せになってしまうおそれがあります。しかしそのことのために、今日わが国の大量輸送計画というものがおくれているのではないか。自治体がほんとうにこの問題と取り組んでいく、大都市における非常に注意しなければならない重要な問題点ではないかと思うのですが、こういった大量輸送計画というものに対して、地方行政のワク内で何か考えられる方式はなかろうか。交通機関の整理統合という問題これを断行する考え方というものはなかろうか。地方自治体としてこれをやっていく、そういうことを真剣に取り上げていくことが必要だと思いますが、何か大臣、こういったものについてほんとうに地方自治体が先頭に立って大量輸送計画を立てて、それに対する対策を樹立していくのだ、そういう方向の地方行政をお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/87
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088・早川崇
○早川国務大臣 非常に傾聴すべき御意見でございまして、たとえば大阪市におきましては、地下鉄とバスと路面電車というものが市で運営されているわけであります。大阪の例をとりますと、大量輸送計画としては、一にも二にも地下鉄を早急に完備するという、自治省といたしましては本年度二百億をこえる起債をつけまして強力に早期完成を推進しておるわけであります。その場合に、地下鉄に依存するところにさらにバスが走るということは意味がありませんので、そういうときには総合的に、地下鉄のあるところには上にバスが走らないとか、電車が走らないとか、総合的な交通対策が必要になってくるのではなかろうか。また府県広域行政におきましても同様のことが言えるのでありまして、単に運輸省あるいは国鉄というだけに依存するのではなくて、自治体全体としての大量輸送計画というものを広域行政の一つの問題として取り上げていくということは、全く一つの御提案でありまして、非常に傾聴いたす次第であります。今後検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/88
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089・阪上安太郎
○阪上委員 もう時間も一時になりましたので、いま一つだけ質問いたしておきますが、最近タクシーの乗車拒否が非常に多くなってきておりまして、至るところ、随所にわれわれがそれにぶつかるわけであります。その乗車拒否問題について、何とかこれを解決していくという考え方、これはただ単に取り締まり行政だけではいかない面があると思います。しかし新道交法の精神からいたしましても、管理者に対しても相当手きびしい対策を望むことができるのではないかと私は思うのでありますが、乗車拒否をやる者の中にもかなり悪質なものもあるらしい。しかしそうでないいろんなやはり労務管理上の問題も出てきているのではないかと思います。これに対してどう対処していくか、緊急の問題であると私は思いますので、ひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/89
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090・江口俊男
○江口政府委員 私からお答えいたしたいと思います。
ただいまおっしゃいましたように、タクシーがふえ、かつ運賃も上がりましたにもかかわらず、おっしゃるとおり乗車拒否があとを断たないというのは事実でございまして、まことに遺憾でございます。ただ、この問題の主務官庁は御承知のように運輸省でございまして、運輸省としてもいろんなことを考えておるようでございまするが、私たち警察といたしましても、協力をいたしまして、厳重に取り締まりを行なっておる次第でございます。まあ、軽いものにつきましては、注意というような程度でもございまするが、実際上検挙いたしました件数も、昨年だけで東京でも七百件をこえているというような状況でございます。しかし、こういう問題の解決は、いまおっしゃるように、取り締まりだけじゃもちろん解決できませんので、良質な運転手を供給するということ、あるいはタクシー会社の経営の体質改善をはかるというようなことや、あるいは東京、大阪等でやっておりますように、タクシー・べーをこしらえて、そこに行けば乗車拒否はないというようなところを多くするとか、あるいは深夜バスの運行をもっと多くするというような、いろんな方策があろうかと考えます。これに違反しましたものにつきましては道路運送法の十五条でこれを違反として検挙することもできまするし、さらにその場合におきましては、その運転手のみならず、会社の車でございますれば、法人についても両罰規定があるというようなことになっておりまするから、法律的には十分なことがやれる、こういうふうに思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/90
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091・阪上安太郎
○阪上委員 長官、この問題について運輸省と話し合いをしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/91
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092・江口俊男
○江口政府委員 何べんもやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/92
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093・阪上安太郎
○阪上委員 やっておるのですか。その結果どういう結論が出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/93
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094・江口俊男
○江口政府委員 どういう結果というようなものは、先ほど申し上げたように、運輸省としても、良質な運転手というものを供給ができないから、悪い乗車拒否の運転手でも雇わなければならぬという現状を考えまして、各会社に指示をして、できるだけりっぱな運転手を雇うようにというようなことは、まあ向こうさんのほうでやっておりまするし、たまたま乗車拒否という事実に直面しました場合は、運輸省自身ではできないものですから、われわれのほうでできるだけこれを検挙するというようなことで、昨年でも東京で七百数十件検挙しております。というようなことで、両々相まってやっていくというようなことになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/94
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095・阪上安太郎
○阪上委員 今度は、これでほんとうにやめますが、最近府県で暴力取り締まり条例というものがかなりでき上がってきております。その内容を見ると、府県によって非常にまちまちな罰則その他の条例がきめられておるのでありますけれども、この条例について、何か模範条例というようなものを地方に流された例があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/95
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096・江口俊男
○江口政府委員 ただいまの御指摘の条例は、東京におきましてはいわゆるぐれん隊防止条例という名称で呼ばれておりまするし、大阪におきましては迷惑防止条例という観点からつくられておるようでございます。これは私のほうでひな形をつくってこういうものをつくれという指示をしたのじゃなしに、初め東京でぐれん隊防止条例というものができまして、それにまねてつくるところもあり、また大阪の考え方のほうが自然だというようなところはその迷惑防止という観点から条例をつくっておるというようなことで、各地方において自分のところに適したものという形をとっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/96
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097・阪上安太郎
○阪上委員 早川大臣が、暴力取り締まりに非常に力を入れておられる、それがいま国会でなかなか問題になっておる、こういうことでございます。そういった段階で、地方ではそれのなしくずしのかっこうでああいう条例ができておるということは適当であるとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/97
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098・早川崇
○早川国務大臣 あれは主として小暴力、ぐれん隊、そういうものを中心にやっております。国会で、中央で取り上げる問題は中暴力以上といいますか、暴力処罰法なんか非常に………。したがって、相補って暴力事犯というものをなくするという効果におきまして、自治体がみずからの条例でああいうものをつくられるということは、私はいいことじゃないかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/98
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099・森田重次郎
○森田委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/99
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100・門司亮
○門司委員 私は、非常におそくなっておりますから、大臣の所信表明は、いずれ法律案になって出てくる問題が多いようでありますから、大体そのときに譲りたいと思いますが、基本的な問題だけを一つ二つだけ申し上げます。
大臣の所信表明は少し見当違いのようなところがあるような気が、読んでするのであります。これを聞いておきたい。
第一に聞いておきたいのは、府県連合体をEEC方式の考え方でということでありますが、EECということばは行政関係からきた問題ではございません。御承知のように西欧におけるいわゆる経済協力体制の連合体という考え方から出てきた問題であります。これは行政とは全然別の問題です。私は行政と経済を混同したものの考え方は誤りを犯すと思う。この考えがこの中に最後までずっと出てきている。大臣はどういう考え方ですか。行政と経済は不分立のものだ、だから経済をよくすれば行政もよくなるというお考えですか、それとも行政のほうは行政のほうで行なうべきだというお考えですか。どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/100
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101・早川崇
○早川国務大臣 厳密な法律的な意味でこういうことを言ったわけではありません。日本的EECというのは、欧州協同体におきまして、各国の独立を保持しながら、いろいろな関税の問題その他を審議いたしまして、それを帰ってきてあれする、こういう意味においては、そういう方式ということばの一つのあやにすぎませんので、厳密に法律的にそういうようなものをやる、こういう意味ではございません。そういう趣旨でありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/101
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102・門司亮
○門司委員 この大臣の所信表明の趣旨からいえば、むしろアメリカのミシシッピー方式だとお考えになったほうがこの際適切だと思います。アメリカが、御承知めように各既存の州の権限は侵さないという厳密な憲法を持ちながら、あのミシシッピーのテネシー・バレーの洪水をどうするかという問題について、この権限を乗り越えたいろいろな措置がとられている、それと同じだ、私はこういうことがこの場合に言えるかと思います。そのことのために連合体が必要だということなら、これは私はわかる。けれども、地方行政というのを全般の経済、行政と同じようなものの考え方でやられるのは誤りではないかと思う。
その次に新産業都市のことが書いてあります。格差の是正ということが書いてあります。これはもちろん地方住民にとって大事なことでありますけれども、しかし、国民の所得の格差を是正するという経済行為であります。これは自治体の行為ではない。行政の範囲をやや越えていはしないかということを考える。こうした一連の、行政、経済全般のいわゆる池田流のものの考え方に立った自治省の態度について、私は疑問がある。
そこで私ははっきり聞いておきたいのは、地方行政の中で、今日最も重大な要素と考えられているのは都市改造であります。土地の非常に狭いところに、地代の非常に高いところに、——非能率な非衛生な東京のまん中を見てごらんなさい、坪百万円も百五十万円もする地価のところにバラックが建って、しかも一階建て二階建てがほとんど全部である、こういう不経済なことが行なわれている。そうしてこの住宅難が郊外に伸びていって、非常に交通機関を麻痺させている。したがって今日、日本の自治行政の中で最も大事な問題は、都市改造だと思いますが、都市改造について大臣はどういうお考えをお持ちになっておるか、そのことだけをお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/102
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103・早川崇
○早川国務大臣 これは建設省の所管でもありますし、都市計画の問題であります。住宅につきましては今度の税制改革で、高層で耐震住宅を奨励しよう、いま考えておりますのは四階以下は固定資産税を二分の一、五年間軽減いたしますが、都市改造という観点を含めまして、五階以上の高層建築につきましては十年間固定資産税を二分の一にしようというもの——これだけではいきません。金融の面、住宅金融公庫のあれというもの、その他を含めて考えなけれでなりませんが、これもやはり都市改造の一つという考え方から出ておるわけであります。それからし尿処理とか、清掃とか、そういうものも起債の面その他で非常に重視いたしまして力を入れております。それから道路その他は建設省の都市局でやっておる線に沿いまして力を入れてまいるわけでありまして、自治行政といたしましても、都市改造という面については、あらゆる面で総合的にでき得ることから始めていきたい、かように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/103
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104・門司亮
○門司委員 自治大臣が、それは建設省の仕事だといえば、それはいずれも建設省の仕事かもしれない。しかし少なくとも日本の都市行政あるいは行政を受け持つ大臣の構想がなければならぬと私は思う。それならし尿の処理は厚生省にまかせておけばいい、自治省がとやこう言わなくてもいい、道路は建設省にまかせておけばよろしい、学校は文部省にまかせておけばよろしい、自治省は一体何をするのですか。私はやはり自治大臣の構想としては少なくとも——今日世界のとこに行ってもそうですよ。外国の例からいえば二十年も三十年もおくれておる。どこの国に行ってもやはり都市改造が都市の中心の事業であるということは間違いないと言ってさしつかえないと思う。まして日本のようなこういう状態になったところには、自治行政の一つの大きな問題としては、ぜひこういう都市改造の問題を考えていただきたいと思う。これ以上私は質問を避けます。
さらにもう一つの考え方として、基本的にお考えを伺っておきたいと思いますことは、今度出てくる法案の中にも何か都市の連合組織ですか、というものが出てくることになっておりますが、このものの考え方と、特別地方公共団体という定義の問題を大臣は一体どう解釈されておるかということです。私がこういうことを聞いておりますのは、この前の国会で事業団というものが一つできておるのです。これも特別地方公共団体。その次にもう一つ既存のものとしてあるのは、御承知のように一部事務組合あるいは財産区あるいは東京都の二十三区。しかしその性格はおのおの異なっております。ことに二十三区は特別地方公共団体という範疇には入っておりまするが、実際の仕事というものは一般の自治体とそう変わらない仕事をしておる。ことにこの法律で定める以外のものについては市で行なっておるものを取り入れるということは法律ではっきり書いてある。したがって、市に準ずるという行政組織と行政能力を持っている。ただ行政の個々の問題について多少制限を受けておるだけであります。他は同じであります。同じような地方公共団体というものをこしらえさえすれば、何でもかんでもそこに突っ込めるのだということになってまいりますと、これは地方行政を乱す最大の原因をこしらえるものじゃないかと私は思う。思いつき思いつきでかってなものをこしらえて、それがみんな特別地方公共団体ということで法人格を持たせる。地方行政の問題に対するいわゆる憲法の解釈上の問題を一体どうお考えになっているか、今日の憲法がこういうところまではっきりするように考えておるかどうかということである。自治の本旨に従って、法律でこれを定める。こう書いてありますが、しかしそれならば法律さえこしらえれば何でもいいんだという理屈は、私は成り立たぬと思う。あの憲法制定当時における憲法の志向するものが何であったかということを、私は憲法解釈上として考えなければならぬと思う。したがって、この特別区という概念について、ひとつこの機会に大臣からお聞かせ願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/104
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105・早川崇
○早川国務大臣 お説のように、一般の自治体がありますし、同時に、自治体の中で特定の仕事をやる場合に一部事務組合がいい例でありますけれども、これに名前をつけるというと、ほんとうは、特別自治体ということにしまして起債能力を持たすという必要から、特別自治体というものが設定されたのだと思います。だから府県連合というものも、その府県連合が起債能力を持ち、ある程度の共同条例もつくり得るということになりますと、市町村あるいは府県というものとちょっと違った制限された権限よりありませんので、そういう意味で特別地方自治体と称しておる以外には他意はないのじゃなかろうか、もちろん憲法との関係なんていうようなものは問題にはなってこないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/105
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106・門司亮
○門司委員 憲法との問題は問題にならぬとおっしゃっておりますが、憲法には御承知のように、自治体の長は公選にせよと書いてあります。特別地方公共団体だから公選でなくてよろしいのだ、こういうものの考え方について私はかなりの疑問があろうと思います。いわゆる東京都の今日の区の区長がりっぱに行なっておる行政事務は、さっき申し上げましたように、市町村と変わらない行政事務を事実上行なっておる。徴税権も持っておる。これは負担金を徴収するのとは違う。事業を行なうことのために必要な経費を捻出するための借金とは違います。いわゆる国民の基本的義務でありまする徴税の権限を持っておる。そういう団体とこういう団体とが、同じように特別地方公共団体と並列されておるところに、私はかなり大きな憲法上の解決からきた問題がありはしないか、そのことを聞いておるのであります。無意味だからこういうのをこしらえたのだというならば、先ほど申し上げたように幾つもこういうものをこしらえて、どっちが知事だか、どっちが村長だかわからぬようなものができてしまう。この事業に関する限りは、知事の権限よりも連合体の知事さんのほうが権限があるのだということになると、これはまたどっちの知事だかわからぬことになってくる。市町村のものでも同じことであります。したがって私は、こういう特別地方公共団体というものをむやみにふやすべきではない。でき得るだけ、やはり憲法の趣旨に沿って、地方自治は住民が十分監督権限の行き届くところにこれを置いておきたい。この連合体についてリコールができますか。直接請求権がございますか。私どもはこういう考え方をやはり持つべきではないか。一部事務組合の場合、当該都道府県の首長あるいは市町村の市町村長、あるいはそれの理事者というものは、当面の一応の責任者になります。また事業主体についても、いろいろな事業の権限を行使することはできると考えられる。さらに特別の財産区にいたしましても、理事その他はやはり公選によって選ぶことになっている。管理者が区長であるか、あるいは市町村長であるかということは別にいたしまして、私はこういう公共団体自身もう少し真剣に考えないと、とんでもないものをしまいにこしらえるのではないかと思います。もう現在できているのじゃないかと思う。自治の本旨に従ってということは、あくまでも住民の自治を志向しておるもの、あるいは住民自治を規定しておるものであると申し上げても言い過ぎではないと思う。そうだとしますならば都道府県の行政というものについては、やはり住民の監督の行き届く場所にこれを置くべきではないか、そのことが私は正しいと思う。この点についてどういう解釈をお持ちになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/106
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107・早川崇
○早川国務大臣 先ほどからたびたび申し上げましたように、府県連合の場合には、各府県の県議会というものが政治的な権限を最終的に持つわけでありまして、それ以上の権限を府県連合が持ち、府県がそれを承認しないでもできるという筋合いものじゃございませんでしょうから、そういう御心配はないものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/107
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108・門司亮
○門司委員 私は心配があると言っているのじゃないですよ。住民の権限が及ぶかどうかということが、自治行政で最も重要だということです。憲法は明らかに、さっきから私が申し上げておりますように、住民自治を志向しているということになれば、地方自治体の行政というものはやはり住民の監視、住民の十分な監督が行き届くところに置いておく。やはり住民全体で行政を行なうというたてまえをとっていきたい。そうしないと、こういうものがだんだんできてきて、悪くいえば、この団体の長なんというものになる人は、官僚の古手というと私は語弊があるかと思いますが、往々にしてそういう人が学識経験者と同じになるかもしれない。地方住民とはほとんど何も関係がない。私は、こういう概念のことについてもう少し政府はこの際真剣に考えて、そうして特別地方公共団体というものについての検討がほしいと思う。いまの大臣の答弁だけでは納得するわけにはまいりません。まあしかし、これはこれでいいと思います。この議論を発展させると、時間が非常におそくなりますし、私は、二十分ぐらいでやめようということでやっておりますから、そのあとはもう申し上げません。
その次に、もう少し基本的な問題として聞いておきたいのは、今日の地方自治体を財政的に一体どう処置していくか、運営をどう円滑にしていくかということの最大の問題の一つとして考えなければならないことは、会計年度の問題だと私は思います。この問題に触れないで、いまの政府のあり方、いまの財政のあり方でどんなに地方財政をとやこういいましても、どんなに地方行政をぐずぐずいっても、私は、行政のスムースな、ほんとうに円滑な運営は困難であると思う。先ほど大臣は、七割ぐらい自主財源と言われておりましたが、そういうことはないはずであります。自主財源なら自主財源でよろしい。その自主財源を把握することがいつできますか。大臣は、交付税を自主財源だとお考えになっておるようでありますが、ある意味ではそうなるかもしれない。税とい名前がついておりますから、交付金で税という名前ですから、ある意味においては、自主財源かもしれません。しかしこの自主財源がきまるのはいつですか。そうしてまた配分がきまるのはいつですか。地方自治体がかってにきめられますか。これは今度の三月の予算で、いかなる地方自治体といえども、この交付税の金額をはっきりどれだけ来るという数字がわかって、そうして予算に見積もれるところがございますか。ないでしょう。だから、大臣のように、これまで入れれば七割の行政だということはとんでもない。大体そこに大きな間違いがあると思う。そういうお考えで今日の地方行政並びに財政を見られておるということになると、地方自治体ほ非常に迷惑です。全く二割か三割しか予算ができやしないです。もし私の言うことがおかしいとお考えになるなら、いまからでもおそくないから、各都道府や市町村の三十九年度の予算の処理を見てごらんなさい。どういうことが書いてあるか。交付税がきちっときまったか。書くはずはありません。書けないから書いてあるはずはございません。補助金もわからない。これが今日の地方自治体が非常に不能率に運営されている原因であって、同時に、私のほうから考えてまいりますると、実際当該地方自治体において重要な事項あるいは急がなければならない仕事というようなものが、ほとんどそのとおりに行なっておらない。これは国からの補助金と交付金の関係があるからであります。いわゆる財政の規模がはっきりしないからであります。大臣が言うように、七割も自主財政があるなら、こういう事態は起こらない。私は、こういう大臣の概念というものを変えてもらいたいと思う。したがって、いまの大臣のようなお考えで、七割が完全に地方の主財源という大臣のお考えなら、会計年度をお変えになる以外に方法はないはずです。そうして国の財源がどれだけ地方に行くか、補助金がどれだけ地方に行くかということがはっきりきまって、それから地方の自治体がこれを財源として予算が組めるという事態に持っていけば、あるいは大臣の言われることが曲がりなりにも当てはまるかもしれない。したがって、先ほど私が非常に心外に考えたのは、七割が自主財源だということは非常に心外でございます。行政運営の面から私はそうではないと思う。一割か二割、まごまごすると、一割を割っているかもしれない。このお考えを正されるお考えがありますか。大臣はあくまでも七割いっているというお考えなら、ぜひひとつ会計年度を変えてもらいたいと思います。この点あわせてお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/108
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109・早川崇
○早川国務大臣 練達な門司委員のかねてからの御主張でありますけれども、現在会計年度が、国では四月一日、地方も同じということで不合理ではないか。確かに交付税制度その他、いろいろなおくれというのは、本来なら七月がいいという御主張も私はわかると思います。しかしながら、国のいろいろな経済全般が、この国の会計年度に沿ってやられておりますから、これを地方だけおくらすということによって、いろいろ技術的な問題も出てくるので、御主張としては十分傾聴する点はあるのですけれども、いまだにそれが実現しておらない、これが実情でございます。
それから、七割自治とか、三割自治とか、四割自治とかいう御議論がありますけれども、要するに、交付税とかそういったものは一応はっきり交付税法によりまして、収入として入る見込みは立つわけです。ですから、完全な自主財源とは言えませんが、そういったものも含めて七割と言ったわけでありまして、厳格な意味で三割とか四割とか七割とかいうことにつきましては、確かに御議論のあるところでありましょう。私は、そういう意味で言っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/109
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110・門司亮
○門司委員 もう一つの問題は、いまの財政の問題ですが、この大臣の所信表明の中にも先ほどから申されておりますように、ただ池田構想にずっと符節を合わせただけのものにすぎないというのがもう一つあります。それは住宅政策の中にちょっとあらわれております。今日国の方針でやっておりまする住宅政策にいたしましても学校建築にいたしましても、すべて補助財源の基礎的単価というものが非常に安いのであります。これにはちっとも触れられておらない。そうしてただ、国が住宅を建てるのだからこれに御協力願いたい、こういっておりますが、私の手元にあります三十九年度の政府の考えておられますいわゆる予算単価、基準単価を調べてみますると、こう書いてあります。第一種の住宅が、木造で、十一坪で、主体工事が四十万一千円、付帯工事が四万四千円、合計四十四万五千円です。これに敷地が五十坪で、この単価が十二万円、したがって五十六万五千円で家ができる、こうお書きになっております。一体これで家ができるかできないか、大体想像すればわかる。中層耐火、これは二階は除いておりますから私は三階になろうと思います。その場合にも、十三坪の家を建てるのに、大体主体で八十二万八千円付帯で七万三千円、合計九十万一千円と、こう書いてある。これは敷地は、庭その他がございませんから十七坪にする、こう書いてあります。そうして合計で、これが百五万七千円でできるように書いてある。一体こういうことで地方の住宅ができますか。三十六年度の地方の自治体の実態調査として出てまいりました、住宅の敷地に充てまする一坪当たりの単価の平均は、三千六百円になっておるわけであります。これは三十六年の私は調査だと考えております。これはできる道理がない。昨年三十八年の七月に全国議長会でありましたか、市長会でありましたか、名前ははっきりしておりませんが、ここから出してまいりました超過負担率の調べをとってまいりますと、一体この中にどういうことが書いてあるかということがでございますが、これらの種々の問題はいずれも抜き取りの調査でありまして、入っておりますのは、鹿児島、豊橋、秋田、福井、山梨の八代、諫早、さらに燕等が入っております。これだけの抜き取り検査で、平均で三二%は大体自治体の負担超過という数字が出ております。中には、はなはだしく六〇%も七〇%も持ち出しがあったというようなことが書いてあるのもありますが、平均で大体三一%と書いてある。こういう国が公営あるいは国の法律その他、いわゆる国からいう法令に基づくいろいろな仕事、ことに、保健行政などに至っては、保健所のお医者さんが、ことし少しふやしたからといって、家族手当も何も一切含めて三万三千円でしょう。去年までは三万一千円くらいだったと思いますが、ことし少し引き上げて三万三千円くらいになった。今日りっぱなお医者さんが、三万三千円て雇われようとはだれも考えておりませんね。こういうものが大体国の基礎単価になっておる。そうしてそれに基づく補助金が出されておる。したがって地方自治体の負担というものは、いま申し上げましたように、私がくどくどと申し上げるまでもないわけであって、実際の当事者から報告されておりまするものを見ますと、三一%以上の持ち出しをしておる。こういう状態のなかで、手放しで、大臣が住宅政策についてひとつ協力するのだというようなことについては、これは協力されることは私は必要だと思いますが、財源その他の問題を一体どうされるつもりか、この点をひとつ、国の補助単価に対する基礎単価が非常に安いということについての大田の是正の方策をこの際ひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/110
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111・早川崇
○早川国務大臣 門司委員の御指摘のとおり学校建築、公庫住宅、公営住宅それから国保の事務職員その他に対する単価の安いことはかねがね御指摘のとおりであります。私の積算では二、三年前に全国の自治体全体を合わすとやはり三百億円ぐらい単価が安くて地方負担になっておるという計算も出ております。したがって、それに対して逐年この単価の是正の努力をしてまいりました。三十八年度に対しまして三十九年度におきましては、学校建築においてもかなりの単価是正がなされることになりました。また、ただいま御指摘の住宅につきましては、公営住宅では一五・六%用地費で単価値上がりなっております。建築費が五・三%から六・七%、公庫住宅では用地費一五・六%建築費七・七%から二〇%、公団住宅では用地費一五・六%、建築費四・九%というようにかなりの単価是正をやる空気になってまいりまして、これでもまだ単価は低いかもしれませんが、そういう努力をしておることだけは事実でありまして、特に学校建築、住宅につきましては、いま言ったような単価是正の施策が来年度からはとられていくということだけは御報告できるのではないかと考えます。十分ではございませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/111
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112・門司亮
○門司委員 私はこの際ここでの大臣の答弁としては、これはやはりはっきり見合うような額にするという答弁がほしいのです。いま言われております額は、御承知のように小中学校にしても鉄筋コンクリートでわずかに六・九%でしょう。鉄骨の場合は六%、木造の場合は七・九%くらいしか増していない。数字的に申し上げても金高で申し上げてもけっこうですが、こういう状態でいつこれが見合うのかというのです。こういう問題は、自治大臣としてはこういう機会に——ここに建設省の役人がおるわけでも、文部省の役人がおるわけでもありませんから、自治省の所信をはっきりおっしゃてほしい。そういうことであれば、われわれ同僚各位もお互いの政党で、やはりそういうものについての是正策を講じられると思う。大臣は内閣におって、内閣の意見と違うことを言うとおこられるかもしれないというお考えで、遠慮されて答弁されるということははなはだ不満です。ここにおられる限りはもっと端的に早く是正するということでお考えを願わぬと、こういうものの持ち出しが、いま三百億くらいだと言われておりますけれども、先ほど申し上げました私どもの、自治体からあがってきました七つか八つのごくわずかな抜き取り検査の積算にしても、約八百億近い数字が出てくるのであります。そうするとこれは国の知らざる地方のやみ負担になる。地方の自治体はやみ負担はしないで済むものではありません。やらなければならないものである。こうしたところに地方行政と地方財政の非常な貧困さと混乱があるのでありますから、大臣の所信についてももう少しはっきりした御答弁を聞きたいのでありますが、ここで大臣がそういうことを言われるのは困難だというふうに感じますので、最後に委員長にお願いしておきますが、これから出てまいります法案の審議にあたりましては、特に地方財政計画等が出てまいりますならば、各省のそうした問題に対する担当の方、あるいは大臣もぜひひとつ本委員会に出ていただきまして、私どもも本委員会におきまして、われわれの立場から各省に要求すべきものを、大臣にかわってとは私は申し上げません。大臣の意向も大体そういうことであろうかと思いますが、大臣の言いにくいことは、われわれの立場から是正していくということが地方自治体に対する最も建設的なことだと存じます。でありますから、委員長にお含みおき願いたいことは、総理大臣はじめ大蔵大臣その他の出席をぜひひとつ案件ごとに私ども御要求を申し上げますので、委員長もひとつよく心がけておいていただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わとます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/112
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113・森田重次郎
○森田委員長 御期待に沿うようにいたしたいと思います。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00319640131/113
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