1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月十三日(木曜日)
午前十時十九分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君
理事 永田 亮一君 理事 川村 継義君
理事 阪上安太郎君 理事 安井 吉典君
大石 八治君 大西 正男君
亀岡 高夫君 亀山 孝一君
久保田円次君 篠田 弘作君
武市 恭信君 登坂重次郎君
村山 達雄君 森下 元晴君
山崎 巖君 和爾俊二郎君
秋山 徳雄君 佐野 憲治君
重盛 寿治君 千葉 七郎君
華山 親義君 細谷 治嘉君
栗山 礼行君 門司 亮君
出席政府委員
自治政務次官 金子 岩三君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
自治事務官
(税務局長) 細郷 道一君
委員外の出席者
自治事務官
(税務局固定資
産税課長) 石川 一郎君
専 門 員 越村安太郎君
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二月十三日
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第九二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出題
二三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/0
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001・森田重次郎
○森田委員長 これより会議を聞きます。
地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/1
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002・細谷治嘉
○細谷委員 同定資産税の評価の問題について、若干さかのぼる点もあるかと思いますけれども、御質問申し上げたいと思います。
第一にお聞きいたしたい点は、固定資産の評価が土地と家屋、償却資産との間に著しい不均衡であるということが第一の理由になっておるわけでありますけれども、二十五年にこの税が創設されて、どうして不均衡が生じたのか。当時は不均衡でなかったのでありますが、どうして不均衡になったのか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/2
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003・細郷道一
○細郷政府委員 二十五年にできました当時は、おおむね均衡がとれておりましたし、また時価に対しましても、ほぼ相当の割合になっておったわけであります。その後従来の指示価額によります評価の過程を経るにつれまして、実際の売買価額あるいは取引価額の実態についていけなかったといったような事情があるわけでございます。
半面には、特に土地、中でも宅地におきましては、御承知のように一般の物価におくれた騰貴の状況といったようなこともございまして、それらのものについては急激な上昇がございましたために、現実の問題としてそれについていけないような事態が発生したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/3
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004・細谷治嘉
○細谷委員 当初バランスのとれておったものが、自治省が評価の基準あるいは平均の価額というものを示すわけですけれども、どうして土地、特に宅地においてついていけなかったのか、この点をもう少し突っ込んでお教えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/4
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005・細郷道一
○細郷政府委員 指示価額を示すにあたりまして、本来でありますれば、それについていくべきであったと思うのでございますが、現実の値上がりが非常に急激なものがございました。そのために、その急激なる異常な状態に常に追随することが、税負担の求める関係とはたしてうまくいくかどうかといったような全般的な考慮もございまして、指示価額につきましては、年々あるいはその基準年度に少しずつ追いつくべく努力をいたしてまいりましたが、現実のものが遺憾ながら非常に急激な値上がりでございましたために、だんだんとその値開きが起こったという実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/5
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006・細谷治嘉
○細谷委員 そこで問題があるわけですけれども、二、三年前に笠信太郎という人が「“花見酒”の経済」という本を書いたことがある。その中に、日本の経済の不安定な根幹をなしておるのは、土地等の急激な暴騰だ。何も上がっていないのに、土地だけ上がっておる、こういうことが指摘されておるわけですけれども、それはいわゆる高度経済成長政策による大企業の設備投資、こういう問題に関連して異常なふくれ上がりをしたと思うのです。ですから、ついていけないのがあたりまえであって、それについていくようになりますと、からのものから税をとるということになるわけですけれども、こういう点からいって、今度の評価というものを売買実例価額によるということについては、そういう事情から問題があるのじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/6
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007・細郷道一
○細郷政府委員 当時の土地の値上がり、なかんずく宅地の値上がりにつきましては、いま御指摘のあったような異常な状況のもとにおけるものがございましたので、はたしてそういう価額によって長い間安定をしていくかどうかといったような問題も実はあったわけでございます。そういうようなこともございましたのと、いま一つは、税負担の求め方といったような問題もございまして、指示価額と現実の価額の間に開きが起ったわけでございます。その場合において、今回こういうことをいたしましたことは、すでに御承知のような各資産間あるいは各市町村間の評価の不均衡をこれ以上放置することは、課税の面から見ましても、また評価の面から見ましても、問題があるということで、今回のこういった評価に踏み切ったわけでございますが、この新評価によりますと、特に土地の価額が、売買実例価額を基礎にとっておるわけであります。それを直ちにどういう形で税負担に求めていくかという点につきましては、土地の売買価額の状況等を十分検討する必要があるということで、政府の税制調査会におきましても、いま御指摘のあったような問題も含めまして、恒久制度の検討を後に譲って、暫定的な今回の措置をとるような答申が出た次第でございます。ただいま御指摘のございましたような点については、そういうことも含めまして、今後税制調査会においても十分検討していただきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/7
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008・細谷治嘉
○細谷委員 ただいまのおことばの中に、市町村間の不均衡ということがありました。これも評価制度を変える一つの原因になってれるわけですけれども、どの程度の不均衡が当時認められたのか、固定資産評価制度調査会の三十六年三月に出ました答申によりますと、指示平均価額と実際の平均評価額とを見てみますと、これが評価制度を抜本的に変えなければならぬというような原因とは考えられないのでありますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/8
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009・細郷道一
○細郷政府委員 評価の状況につきましては、年々の推移はございますけれども、最近におきますところでは、たとえば土地特に宅地等においては、特価に対しまして二割程度の額にとどまっておるところが多かったのでございます。家屋等はほぼそれに近いものではございましたけれども、そういう意味合いにおいても、資産の間のアンバランスが評価上生じておったのでございます。また市町村間におきましても、従来の評価基準にそのとおりよっております市町村と、それによらないで便宜な方法をとっておった市町村もございまして、市町村間のバランスも必ずしも十分でなかったといったような状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/9
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010・細谷治嘉
○細谷委員 この評価制度認否会の答申の内容を見てみますと、指示平均価額と実際評価額との分布状況、各市町村の分布状態、こういうものを見てみますと、九〇%から一〇〇%、それから一〇〇%から一一〇%の間にほとんどの市町村が分布しておる。換言いたしますと、指示平均価額の九〇から一一〇%の間にほとんどの市町村がある。端的にいいますと、八割五分から九割近い市町村が分布しておる。むろん具体的に詳細な点については、各市町村間の若干のアンバランスがあっただろうと思いますけれども、これをもって見ますと、市町村間に非常に大きな不均衡が出て、制度を抜本的に変えなければならぬ根拠にはならぬと思うのです。重ねてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/10
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011・石川一郎
○石川説明員 御指摘のように、指示平均価額と実際評価額との間では、そう著しい相違はございません。ただ指示平均価額そのものは一応のめどでございまして、市町村によりましては、その実際評価額が指示平均価額をかなり下回るところもありますし、またかなり上回るところもあるわけでございます。従前の法律によりますと、固定資産評価基準に準拠して評価をやればよろしいということでございまして、一応のめどではございますが、その間に市町村ではものによりましてはかなりの上下の幅があって評価が行なわれておる、こういう点が一つございます。
それから今回のやり方では、指示平均価額がまずきまってそして評価をやるということではございませんで、市町村が同一のやり方で積み重ねた総評価額をそれぞれ一定の面積なり何なりで割りまして、平均価額がきまる。いままでのものは上からおりていったものでございます。したがいまして、指示平均価額そのものについては、われわれとしても十分の努力はいたしてきておりますが、必ずしも市町村の個々の実態にマッチしない面があったわけでございます。今回は下からの積み上げでございまして、その結果市町村の実態に合い、また同じやり方でできるだけ同一の目でならしていくということによりまして、市町村間の均衡がとれる。指示平均価額の面だけから実際評価額との比較で、それが完全に合っているからいいじゃないかと言われれば、それはそれでそういうことも言えるかもしれませんけれども、実際の市町村間の評価というものをながめます場合においては、従来の指示平均価額のやり方では十全な均衡がとれない。これが一つの原因になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/11
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012・細谷治嘉
○細谷委員 私は県境に住んでおりましたので、県境で感ずることは、若干のそういう食い違いがあると思いますけれども、それは個々の問題であって、私がお尋ねいたしたいことは、制度を抜本的に変えなければならない大きな理由の一つとして、市町村間の不均衡というのがあげられておりますけれども、制度調査会の答申によりますと、ほとんど大部分の市町村、八割五分ないし九割というのが、自治省の示す指示平均価額を一〇〇といたしますと、その前後に、プラスマイナス一〇%の範囲内に分布しているのですから、これは理由にはならないのじゃないか。そういうふうにちゃんと答申の中にきちんと表が出ているのですから、そういうのを私はお尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/12
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013・石川一郎
○石川説明員 指示平均価額と実際の評価額との格差の問題は、御指摘のとおりでございます。ただ指示平均価額が示されたワクの中で市町村はその市町村内の均衡をとっていくわけでございますが、先ほど申し上げましたように、指示平均価額は一定のものさしでいろいろ判定をしてきめていくわけでございます。市町村の評価を積み重ねてやっていくわけではございません。その結果市町村では、たとえば宅地について申し上げますと、ほぼ同じ価格がつけられるべき宅地の値段が、倍くらい違っているというような事例も現にあるわけでございます。御指摘のように、指示平均価額が市町村の実態にぴたりと合えばこれは格差がない。実際の評価額の格差がないのだから、したがって評価がえをやる理由にならぬじゃないか、こういうことは言えるかと思いますが、私どもとしてもある程度全体の見通しの上に立ってやっておるわけでございますが、その評価の方法が必ずしも統一されておらないわけでございます。市町村が市町村内の均衡を考えながらいままでやっておった面がございますので、そのために市町村間にアンバランスが出てくる原因になっておるわけでございます。たとえば農地につきましても、新しいやり方で格差をつけておるところもございますし、賃貸価額に倍数を一律にかけて格差をとっておるところもございます。その結果賃貸価額が現実に適合しない面、それはどうしても市町村間のアンバランスの原因になっておるわけでございます。
ただしその際におきましても、われわれとしてはできるだけ努力をして、市町村間のアンバランスが生じないようにということで、指示平均価額の算定におきましてもできるだけ市町村の実態を聞くようにはいたしておりますが、遺憾ながらそうしたような事情で格差が出てきておるという結果になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/13
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014・細谷治嘉
○細谷委員 いまの御説明で評価制度を抜本的に変えなければならぬという第二の理由といいますか、そういうものについて私は納得できないのでありますけれども、次に進みます。
今度の評価のしかたというのを大まかに見ますと、土地については売買実例価額、家屋については再建築価額、償却資産については取得価額だ、こういうたてまえでいっておるわけでありますが、先ほどもお尋ねいたしましたように、自治省がいままでもずっと、二十五年創設以来大きな誤差が起こらないように、たとえば指示平均価額というものから一〇%以上もズレが起こらないようにということを指導してきた、そういうことでありますけれども、たとえば売買実例価額というのは先ほどのおことばにありますように、正常な条件のもとにおける取引価額、こういうことになると思います。一体正常とは、この基準の中を見ましても、具体的なことについては私もあまりよくわからないのですけれども、この正常な条件のもとというのは、一体どういうふうにやるのか。また、この制度の根底がくずれる懸念は十分にございますが、こういう点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/14
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015・石川一郎
○石川説明員 売買実例価額を基準として評価をいたしますが、その際に、売買実例価額そのものによって直ちに評価をするということは、これは現実の売買が非常に複雑なものでございますので、そういうやり方をすれば当然問題が起きてくる。そこで考えられますのが、その売買の中から不正常な要素を取り除いた売買価額、そういうものを求めていこう、こういう考え方に立っておるわけでございます。売買実例そのものを出発点といたしまして、具体的な不正常要因を取り除いて評価を行なっていくべきだ、それが正常な条件のもとにおける一般的な取引価額である、こういうように考えておるわけでございます。その際に、売買には正常と認められるものもございますし、具体的にはかなり不正常と認められるものもございます。できるだけ多数の売買実例を見て、その中で正常的なものを取り出して評価をしていこう、こういう考え方の上に立っているわけでございます。この前にも申し上げましたように、たとえば隣接地を買い足すというような場合におきましては、買い手方の需要が強うございます。当然これは割引をしなければならない。ただし、その割引のしかたは、他の正常な取引価格等を求めながら、その中で総合的に判定をしていくようにいたしたいと考えておるわけでございます。同じ取引の中にも、たとえば補償料等が含まれておるものもございますし、含まれておらないものもございます。一般には補償料のようなものは不正常なものとして考える、こういうような考え方で、幾つかの実例——具体的に不正常の要因と考えられるものをおのおのの実例の中で検討をしながら、正常な取引価額を求めていこう、こういう考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/15
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016・細谷治嘉
○細谷委員 正常ということばが問題ですけれども、冒頭私が御質問したように、二十五年創設以来ずっと三十二、三年ぐらいまではその間にアンバランスがなかった。ところが土地について追いついていくことができないような状態になったのが、そもそも私は正常じゃないと考えるのです。いまおっしゃったようなことが、それは所要の調整ということばで表現されている事務的な問題かと思いますけれども、土地等が異常に上がったということは、これは先ほど花見酒の経済学と言ったのですが、そういうことであると私は思うのです。したがって、正常な条件のもとにおける取引価額、こういうことになりますと、二十五年創設以来三十一、二年ごろまでは正常な状態にあったということでありますから、土地は六倍も七倍も狂いが生じたということ、これがそもそも不正常なんだ。その正常ということばの定義を明らかにしませんと、この基準を見ますと、所要の調整を加えるということだけで、一体正常ということがどういうことになるのかはっきりしておりません。ですから、そういうことが混乱しますから、こういう評価基準を今度義務的に市町村に押しつけても、不正常な状態で土地が上がっていく、そうするとまた混乱が生じてくる、こういうことを私は言っておるのです。そういうような正常性はこれは問題があろうと思うのですが、重ねてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/16
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017・石川一郎
○石川説明員 土地の上がり方が異常であったということは、これは一般にいわれておりますので、上がり方自体が他の物価その他のものと比較して異常な上がり方を示している、これは、御指摘のように、一般にいわれていることでございます。ただ、われわれがいま目ざそうといたしておりますのは、現在の時点において考えられる正常な取引価額——正常と申しますのは、取引の中にはいろいろな要因によりまして不正常な要素が入ってくる、こういうことから、その不正常要因を取り除こう。土地のいまの水準の上がり方は、確かに異常であったと思うのでございますが、しかし現時点に立って正常な、普通の状態において取引される価額というものをわれわれは目ざして評価をしていこう、こういうように考えておるわけでございます。したがいまして、ここで不正常と申しますのは、たとえば先ほど申しましたような隣接地の買い足しでありますとか、特殊な関係に立っております当事者間の売買でありますとか、そうしたものを除いていこう、こういう考え方でございます。いまの値段がきわめて不正常だからそういうものはやめにしたらいい、こういうお考えのようにも聞こえたわけでございますが、われわれとしては、そういう現時点に立って、それぞれ取引価額が正常な条件のもとに行なわれたものであるならば、それを一つのめどにして評定をしていくべきでなかろうか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/17
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018・細谷治嘉
○細谷委員 重ねてでありますけれども、自治省の三十三年の調査によりますと、償却資産についてはほぼ同程度だ、家屋については八〇%程度だ、土地については、農地の場合に二五%程度だ、宅地については一七%程度だ、山林については三五%程度になっている、こういうふうに発表されておりますが、もともとこれは三つともほぼバランスしておったものが、こういうふうに宅地が一七%程度になっちゃったということは、異常な状態なのです。取引というものが異常なのです。もともとバランスしておったものが、それは行政指導等の誤りあるいは不十分ということではなくて、異常な上がり方であった、こういわなければならぬわけであって、こういうふうに不均衡を来たしたものは異常なのですから、正常条件のもとにおける取引価額といった場合には、二十五年から、バランスしてきておったときのそういうものを基準として考えてもよろしいのじゃないか。自治省のお話を聞きますと、今度の評価が之によりまして宅地については六倍にもなるという。六倍にも七倍にもなるということは、これにも書いてありますように宅地一七・二%、その六倍というのは、ちょうど一〇〇になるのです。それをそのまま認めた。それを正常な取引価額、こういうふうに理解しているように思うのです。少し混乱しているのじゃないかと思うのですが、重ねてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/18
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019・細郷道一
○細郷政府委員 土地の値上がりがおくれまして、ほかの物価におくれて上がっていった、その状態自体がその意味で異常であったということはわれわれもみな認めておる点であります。ただ、そのことが正常なる価格によらないということとは別個の問題ではないかと思うのでございます。本来固定資産の評価自体が時価によっていくべきだということで従来の評価方式をとってまいったわけでございますが、従来の評価方式は、この十年ほどの経験によりまして時価を追っかけていくことができない、時価に追随した評価をすることができないというので、今回評価の方法を改めることによって、正常な価格に近づけるような評価ができるようにする、先ほど来御質疑の中にありましたように積み上げの方式によって現地的にこれを評価していくということによって、時価に近づける評価ができる、こういうことになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/19
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020・細谷治嘉
○細谷委員 その辺、正常な取引売買実例価額、こういうものの調整ということについて、一体どういうふうにお考えになっておるか、今後どうなるだろうかという不安を私はどうしても禁じ得ません。しかしこの程度にしておきます。
次にお尋ねいたしたいことは、答申によりますと、また事実私が当時自治省の固定資産税課長にお尋ねいたした際にも、そういうことを言っておったのでありますが、第一に、新しい評価を採用していく場合には当然税率を引き下げていく、たとえば、いまもおことばがございましたように、土地等は売買実例価額によるわけですが、上がってまいります。固定資産税は上げないというのでありますから、税率が下がってくる、こういうことを想定しておったように私は理解しております。現実にいま答申の中でもそういうことをいっております。その次に、そういうことだけではやはり調整できないので、税率を下げただけでも調整できないので、税負担の変動状況を見た上で、はなはだしく激動するような資産、たとえば各市町村では償却資産と土地と家屋との比率等が構成ぐあいが違っております。一律に下げていきますと激変が起こります。そういうために、そういう点を排除して、過渡的な調整措置——税率を下げた上に、一定のファクター、こういうものを調整措置を講ずる。第三には、納税者個々についても非常な激変が起こるだろうから、そういうものについてもある程度の激変緩和の措置をする、こういうような一種の三段がまえの形で答申がなされておると思うのでありますが、現況はそういう形で進んでおらぬようでありますが、この点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/20
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021・細郷道一
○細郷政府委員 固定資産税の新評価をやるにあたって、固定資産評価制度調査会から答申をいただいた中に、新評価額によって、これを直ちに増税するのではない、その間に新評価の実施と税率あるいはこれを実施するにあたっての激変の緩和といったような措置をとるべきだというような答申をいただいておるわけでございます。私どももその答申の御趣旨は、ごもっともといまでも考えておるのでございます。ただこれを実際の税負担に移すにあたっては、税制調査会においてもいろいろ御議論をいただいたわけでございますが、その過程におきまして、先ほどもお話の出ておりましたような、たとえば宅地の値上がり状況といったようなものは正常な価額を反映はいたしておりますものの、それを直ちに税負担に移すことがいいかどうかについては、いま少しく検討をしてまいりたい。こういったようなことから、今回はとりあえずの暫定措置といたしまして、先ほど御指摘のあったような方法によらずに、さしあたって税負担の調整のみを実施してまいりたい、こういうふうになったのでございまして、その間恒久的な制度といたしましては、やはり先ほどお話のありましたようなことを頭に置きつつ今後検討していかなければならない、かよように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/21
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022・細谷治嘉
○細谷委員 三十七年に、新しい評価基準で三十九年度から実施することが、決定されて今日まで参ったわけですが、新しい評価基準については、先ほど御質問したように幾つかの問題点があるのです。さらにいま申し上げたような答申の方向、こういうものについては趣旨はわかるけれども、暫定的な問題として今回こういう形でいくんだ——どういう形で、いくか詳細については存じませんけれども、いまのところは評価基準だけ強行しよう、こういうことになっておるわけであります。私は率直に申し上げますと、新しい評価基準でやっていきますと、いまのような形になりますと償却資産と土地と家屋について一つの税率を通用する限りにおいては、この答申を現実に公平に貫くことは事実上不可能だと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/22
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023・細郷道一
○細郷政府委員 これは今後税制調査会で検討していただく問題と思います。もとよりいま御指摘のような御議論も出ると思います。また反対に負担の求め方をどの程度にすることがいいか、その方法をいまお話のような税率のみによらずに他の方法、たとえば課税標準の特例といったような方法によることも十分あわせて議論されることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/23
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024・細谷治嘉
○細谷委員 重ねてお尋ねいたしまするから実施できないのだろうと指摘したのですけれども、自治省としては固定資産税については一定の税率を今後も堅持するおつもりかどうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/24
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025・細郷道一
○細郷政府委員 形式的に一定の税率を維持していくのか、実質的に税負担の均衡をやっていくのかという問題は、いま申し上げたように税率のみならず、課税標準のきめ方といったようなことによっても可能でございますので、それらの点については、なお税制調査会で御検討いただくつもりでおります。ただ私どもといたしましては、この三つの資産を通じますこの固定資産税は、一つの税として存続をしてまいりたいという念願はいまでも持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/25
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026・細谷治嘉
○細谷委員 非常にこの辺は具体的にむずかしい問題であって、この問題の処置いかんによっては義務づけられた新しい評価方式、評価基準というものも、また再び混乱を起こす懸念が多分にあると私は考えておるわけでございます。
次にお尋ねいたしたい点は、三十七年に立法措置がとられて、そしてその後に数回にわたって自治省の試案という形で、市町村が試案に基づいて評価事務を進めてまいったと思うのです。そして昨年の十二月二十五日ですか、官報で新しい評価基準というものが発表されたわけであります。非常に重要な評価基準を、試案で義務づけて、そして本来の基準というものを、一月一日があと数日に迫るときにやられたというのは、事務的に非常におくれているのじゃないか、 こう思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/26
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027・細郷道一
○細郷政府委員 先日も御指摘を受けた点でございます。何ぶんにも評価基準自体は形式的に、全体まとめてこれを告示しなければならないといったような事情もございましたので、その告示自体は十二月になったのでございます。その間、この作業自体が全市町村の全固定資産に及びます大作業でございますので、一挙に告示をして、固まった姿でこれを実施するよりは、やはり現地におきます事情、市町村の意見等も反映させる必要もございましたので、ことに今回の評価方式が、先ほど来出ておりますような現地よりの積み上げ方式ということに主眼を置いております点もございますので、試案の形でこれを示すことによって、漸次準備に入り、かつ市町村の意見等も聞きながら最終的な基準という形に定めたような次節でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/27
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028・細谷治嘉
○細谷委員 試案という形で出てきたものが、三十八年の五月ごろまでには試案が出尽しているのではないかと私は思っております。そうしますと十二月というのですから、市町村等の意見も聞きたいということは当然なことであります。あまりにも正式な試案じゃなくて、評価基準の示し方がおくれているじゃないか、こういうふうに考えるわけです。
そこでお尋ねしたい点はそういう試案を三十七年から三十八年の五月までに示したわけですけれども、それによって市町村の愚見というものを組み入れていった、そして最終的に十二月二十五日の新評価基準ということになったわけですが、その間に内容的にどういう点が変わってきたのか、この点についてお、尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/28
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029・石川一郎
○石川説明員 試案そのものとしては市町村の御意見を十分拝聴しながら、内答について審議会でもいろいろ御検討を加えていただいたわけでございます。市町村から若干の意見が出てまいったことは事実でございますが、試案の基本そのものは、その間においては変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/29
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030・細谷治嘉
○細谷委員 試案そのものは今度の内容と変わらないということで了解いたします。
次に、自治省としては、今度は義務的に市町村に押しつけるわけでありますから、これについての財政措置も講じてまいった、きょういただいた資料によりますと、三十七年から七千人程度の人件費を見た、そういたしますと、一団体当たり二人程度だろうと思う。ところが、これだけの新しい基準を一市町村平均二人なんて、これはやれるものではありません。少なくとも、和音熟練した優秀な職員が九人とか十人あるいは十、五人程度でかからなければ、この評価基準を消化できるものではございません。そういう点で、財政措置を講じた、しかも今度は義務的にその基準によらせるわけですから、三十七年、三十八年の財政措置の内容と、それで十分な財政指貫を講じたとお考えになっておるのかどうか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/30
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031・石川一郎
○石川説明員 ただいま御指摘のあった七千人の人員、これは市町村民税も若干含めての数字でございますが、われわれといたしましては、大都市、都市、町村と比べますと、市町村の事務能力に若干の相違がございますが、評価の方法といたしましては、特に土地に主力を置いて人質を考えたわけであります。すでに市町村に評価のための人員がございますので、その評価の人員を全国的に基礎にいたしまして、ただいま申しましたような算定をいたしたわけでございます。評価には、市町村によりまして能力の相違がございますので、この能力の相違によって、それが十分でないところもあるいはあり得るかもしれないと思いますが、全般的に見れば、おおむねいま申しましたようなことでやっていけるのではなかろうかと思うのでございます。
なお、評価自体は、一応今度はレールが敷かれますので、われわれといたしましては、常設の人員としては一応その程度のことを考えていっておるわけでありまして、市町村によっては、若干臨時の職員を配置いたしまして、それぞれれ評価作業を進めてきております。これは一時的な問題でございまして、一応レールが敷かれますれば、将来は、評価自体が基準方式でございますので、相当簡易化されていくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/31
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032・細谷治嘉
○細谷委員 レールが敷かれれば、それほどの事務量はないということは当然なことであります。いまのおことばの中で七千人、具体的にいいますと、吏員四千二百五十人、臨時職員千七百人、これだけが固定資産税に三十七年度でふえた数字だと考えるのです。三十八年度はこれより減っております。これは膨大な評価事務なんです。これで十分とお考えになるあなたの気持がわかりません。地方団体の行財政を守るというのが自治省のつとめでしょう。私どもは自治省のそういう形に感謝してきている。しかし、これで十分に評価事務がやれる態勢なんだというふうにお考えになりますと、これはたいへんなことだと思います。重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/32
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033・石川一郎
○石川説明員 評価の最も手間のかかりますものは土地の問題でございます。土地の問題につきましては、いま申しましたように評価のおくれておる町村においては、おっしゃるように相当問題があるいはあり得るかもしれないというふうに考えておりますが、都市部では路線価、その他の付設はかなり前から進んでおります。それから、評価のやり方としては、すでに現在、今度やろうとするやり方に近いやり方でやっておるところがございます。これらの市町村におきましては、売買実例の収集その他においては問題がございますが、相当円滑に仕事ができるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。ただ仕事がそれほど進んでいないところにおきましては、一律の計算でございますので、若干の問題はあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/33
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034・細谷治嘉
○細谷委員 これは義務になったのですから、市町村としてはやらなければならぬということで、全力を傾けてやっております。いまのおことばの中に路線価方式というのをすでにやられておる、確かに二十九年に路線価による評価というのが行なわれました。これでも膨大な市町村が——市町村によって違いますけれども、やっておるところは二十人とか三十人とか、そういう特別な吏員を増員して路線価をやった。そういうやった市町村でも、この評価については正規職員を動員して、それで足らなくて臨時職員を相当数雇ってやっております。
私が重ねてお尋ねしたいのは、全国平均二人ということで、財政措置を講じた、こういうふうに主張されるあなたの気持ちがわからない。それで十分財政措置を講じた、それで円滑にやれるはずだ、こういうふうにお考えになっておるとすると、市町村はたいへんだと思う。もっと具体的にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/34
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035・石川一郎
○石川説明員 ただいま申し上げましたように、市町村によって能力の相違がございますので、その能力の問題が一つあると思います。同時に、私どもの算定といたしましては、土地につきましては、どの程度の筆数があるか、それを基礎にして一筆におおむねどの程度の時間を要するのであろうか、こういうようなものを現在交付税の中で算定いたしております。交付税の全体の徴税率との関連において算定をいたしたわけでございます。ただ市町村の具体的な配置が、交付税で考えているとおりになっておらないところもございましょうし、それ以上のところもあると思います。市町村によって相違はあると思いますが、まあいまおっしゃったように、現実には臨時の職員等で、この評価期間が終わる前後にはかなりの人員を注ぎ込んだということは私は事実だろうと思いますが、これはまあ一時的なことでございまして、将来の態勢としてはそう私どもは多大の人員を、いま申しました七千人なり何なり、それをさらにもっと大きくふやしていかなければならぬというようにはなっていないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/35
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036・細谷治嘉
○細谷委員 これは一つ私は特に要望いたしたいのですけれども、この種の膨大な事務をやる場合に、相当の練達の吏員を動員して、さらにそれの助手としての臨時職員を雇っておる。したがってこういう問題についてはもっと親切な、十分自治省の指示に基づいて完璧な事務態勢がとれるだけの財政措置というものを講じていただきたい。一市町村二人で十分だという、そういうようなお考えに立たないで、自治省は市町村の行財政を守る、指導する、こういう立場にあるわけでありますから、他省はともかくとして、自治省がおやりになることについては、地方団体に迷惑がかからないように、しかもこういうことによって、やはり電気計算機も買わなければいかぬ、会計機も買わなければいかぬ、こういうような実態にあることをよく考えていただいて、十分にそういう点の財政措置はお願いいたしたい、こういうふうに思っております。
次に償却資産の問題について若干お尋ねしたいと思うのです。今度の減税の中に、企業減税という形におきまして、法人税に関連して耐用年数を平均一五%短縮する、償却限度を五%引き下げる、こういうことになりまして、平年度十九億円程度の固定資産税のはね返りがある、こういうことだそうでありますが、十九億円という数字は少し小さ過ぎるのではないかと思いますけれども、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/36
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037・細郷道一
○細郷政府委員 来年度以降これが実施される見込みでございます。ただいま耐用年数の改定自体が作業中でございます。私どもとしては一応二十一億ということで見込んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/37
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038・細谷治嘉
○細谷委員 それは平年度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/38
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039・細郷道一
○細郷政府委員 本年度はまだ固定資産税については実施にならないわけでございまして、四十年度の固定資産税分からこれが適用されるかっこうになるわけであります。したがいまして、本年度分を基準にして申しますれば平年度というような姿になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/39
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040・細谷治嘉
○細谷委員 償却資産の取得価額という問題についてお尋ねしたいのですが、他から購入したものにあっては、購入の代価に付帯費というものを加えて取得価額とする。自己建設あるいは製作、製造等の場合には、原材料費とか労務費とかその他の経費、こういうものに付帯費の価額を含める、こういうことになっておるわけでございますが、私どもしばしば聞くところでは、他から購入した償却資産と自己製造あるいは製作、建設の償却資産との間にアンバランスがあるということであります。これが第一。もう一つは償却資産の評価というものが、土地なりあるいは家屋に対する評価ほど厳密ではないのではないか。たとえば家屋ですと押し入れをあけて評価いたします。それほど厳密に正確にやっておりますけれども、償却資産についてはそれほどの厳密さがとられておらぬ、あるいはとろうとしてもできない、結果としてその評価が甘くなっておる、こういうことを聞きます。この二点について自治省としてはどう把握しているのかお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/40
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041・細郷道一
○細郷政府委員 償却資産については原則的には帳簿価額をもとにしてやるわけでございます。したがいまして帳簿に載っておる額を下ることはできないという規定もあるわけでございますが、その帳簿価額によっておりますということは、逆に別個たとえば法人税等におきます償却を認められる幅との関連もございまして、そこに自動的なチェック・バランスの作用が働くもの、こう考えておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、家屋等の場合と違いまして、償却資産自体については、その持ち主自身の経理上の問題、そしてそれが国税の所得計算上の基礎になる価額というようなことで評価が実際には採用されていく、こういうかっこうになっておるわけであります。ただ家屋の場合でございますと、あるいは標準の家屋、あるいは基準の家屋等につきましては、いま御指摘のあったような点数の付設の関係もございまして、個々にかなり詳細にこれを当たっていくという場合もあろうかと思っております。その意味におきまして、両資産の評価の問題でそういった相違も出てくるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/41
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042・細谷治嘉
○細谷委員 第一点の他から購入するという場合は、そのメーカーならメーカーというのがある程度利潤というものを当然なこととして織り込んでこれを売り、買うでしょう。そういうことになりますけれども、自己建設なり製作の場合は、そういうものを帳簿価額によるということは、これは原則ですからよろしいのですけれども、その前段の帳簿価額というものはどうとられるかというところにやはり問題が起こります。自家製作の場合、自家建設の場合は、そういう利益というものが自己の原価計算といいますか、自分の社の原価計算、こういうことによるわけですから、往々にしてそういう適正な利潤というものが織り込まれないで、帳簿に載せられるということがあり得ることだろうと思うのです。したがって巷間伝えられるように、自家製作と他から購入した同じ機械の評価が違っておる、こういうことはあり得るだろうと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/42
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043・石川一郎
○石川説明員 償却資産につきましては、ただいま局長から申し上げましたように、必ず帳簿価額を下らない範囲で評価をする、こういうたてまえになっておりまして、従来から償却資産の評価にあたりましては、この帳簿価額とのかね合いということを考えてきているわけであります。同時に、いまお話のございました自家製作のものと、他から購入したものにつきましては、あるものについては利潤が織り込まれる場合ももちろんあるわけでございます。それから利潤が織り込まれないで取得価額が成立する場合もあり得ると思うのでございます。一般的には利潤が織り込まれるというのが常識的であろうと思いますが、取得価額そのもの自体においても、利潤が織り込まれる場合もございましょうし、織り込まれない場合もあると思います。自家製作の場合におきましても、その原材料費なりその他の取得のしかたによりまして、場合によっては高く、場合によっては少ない、こういう場合が起ってくると思うのであります。今回の償却資産の評価にあたりましては、調査会の答申に基づきまして、できるだけ国の税務会計における、取り扱いと符節を合わせていこう。ただし、適正な時価というものから大きくかけ離れるようなものはとらないけれども、納税者との関係から、あるいは評価自体の大筋からいっては、できるだけ国の税務会計の取り扱いに合わせよう、こういう考え方の上に成り立っておりまして、その考え方を受けて、ただいま申しましたような取得価額につきましても、国税の取り扱いに合わせていこう、こういう考え方の上に立っておるわけでございます。ただし償却資産としては、そのために著しく不均衡を生ずる、こういうことは避けなければいけないと思うのでございます。したがいまして、ここにございますように、原則としてそういうやり方をとるのでございまして、取得価額が、他から購入した場合においても著しく不均衡である、こういう場合には是正をしなければならないと思います。それから自家製作のものにつきましても、それが内容として時価という水準から見て著しく不均衡である、こういう場合には是正の道を講ずるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/43
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044・細谷治嘉
○細谷委員 次に移りますが、償却資産について私の経験によりますと、自治省から配分するもの、県が配分するもの、そういうもの等がございます。そういうのを見てみますと、大体において市町村というのはそういう問題についての評価能力がないんだ、あるいは政治的にどうも適正な評価ができないんだ、こういうような考えから、県なりあるいは自治省配分、これはその区域上の関係からくると思いますけれども、そういうことになっておるのです。現実に私の経験したところによりますと、その市町村が、この程度の評価をするだろうと見積った価格と、自治省なりの配分の価格とについて、常に自治省等の課税標準額というものが低い、こういうふうに経験をしております。このことは中央におる自治省で、おそらく帳簿だけ見て、現状を知らないで価格を積算して決定しておる、こういうことであろうかと思いますけれども、やはり市町村が自治省の評価というものを信頼していく態勢というものが必要だろうと思うのです。そういう点で、そういう場合にもきちんとして、市町村がなるほどこれなら正しい、甘くない、こういうような評価額を市町村に示していただくように特にお願いをいたしておきたいと思います。
これに関連してお尋ねいたしたいことは、大法人の償却資産について、二億ないし六億五千万等の段階がございますけれども、一定の限度で頭打ちをいたしております。もう一つは基準財政収入額と基準財政需要額との関係で百三十、こういうことで区切られております。たとえば二億とか六億五千万とか、そういう頭打ち、あるいは五分の一とか百三十とかという問題は、市町村の大規模資産に対する評価能力がないということから一部減税等に移されておるのでありますけれども、これは三十年から実施されておるとお聞きしております。今日の段階においては、現実的な問題からいっても、あるいはすでに相当の年数がたっておるという点からいっても、この点については改める時期にきておるんじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/44
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045・細郷道一
○細郷政府委員 大規模の償却資産の特例につきましては、御指摘のようにかなりの年数据え置かれております。ただ、この方式によります場合には、御承知のように前年の財政需要額の百三十ということが頭打ちの限度になっておりますので、財政需要額は年々伸びておりますので、そういう意味合いにおきましては、ある程度そこの市町村の財政規模にスライドをしているということが習えると思うのであります。それでこの額につきまして、いろいろ検討をすべき時期ではないか。私どももこれは検討に値する問題であろうと考えております。今回は固定資産税の負担の関係につきましては、別途御審議をいただくわけでありますが、先ほど来申し上げておりますような暫定的、経過的措置をとることにいたしておりますので、今回はこれについての改定については見送りをさせていただいたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/45
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046・細谷治嘉
○細谷委員 現在市によりますと、二十一くらいと思いますが、きわめてわずかの部分がいま申し上げたような線で区切られておる、こういうのが現況だと思います。相当の年数が、もうすでに八年、九年になるわけでございまして、たとえば百三十というのが現実的ではないのだ、あるいは二億とか六億五千万というのが現実的ではないのだ、こういう声もかなりございます。この点については、ひとつ十分御研究いただいて、現実に合うように是正方をお願いいたしたいと考えております。
次に、お尋ねいたしたいことは、都市計画上の必要から目的税というものが設けられております。ところが、これは固定資産税全部に対して目的税が百分の〇・二かけられておるわけではございませんで、償却資産だけは除かれております。しかし今日の都市計画というのは、いろんな意味において、やはり産業立地あるいは産業基盤の整備、こういう形で都市計画が行なわれておりますし、道路の損傷というのは自転車とか、あるいは歩いてはこれは損傷されません。多くやはり道路の損傷が起こるのは、償却資産から起こっておるわけです。そういう点からいって、固定資産税のうちの償却資産だけを目的税の対象にしないというのは、私はいささか不合理ではないか、現実的でないのではないか、こう考えておりますが、この点についての見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/46
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047・細郷道一
○細郷政府委員 都市計画税を目的税といたしまして、都市計画上の需要に充てるという場合に、どの程度にその目的的な受益関係をとらえるかということは、非常にむずかしい問題があるわけでございます。しかしながらこの税につきましては、従来の沿革から見ましても、土地、家屋というものが基準にとられておりまして、また、この受益の関係を見てまいります場合に、やはり直接的に利益の出てまいりますのは土地、家屋ではなかろうかといったような考え方から、この都市計画税の課税対象としては土地、家屋にこれを限定いたしておるわけであります。なお、道路をこわすといったような償却資産、具体には自動車のようなものも考えられるわけでありますが、それらにつきましては、別途自動車税等におきまして、そのものによりましては道路損傷の度合いも加味した税率を定めておるといったようなことによって、バランスがとられておるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/47
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048・細谷治嘉
○細谷委員 いまのおことばでは納得できないのですが、まあ、これはその程度にいたしまして、次に本論に戻りまして、今度の評価基準というものについて、二ヵ年間これを暫定措置として行なうのだ、こういうことで、自治大臣のおことばをかりますと、税務局長以下主管課長、きわめて名案をつくったということばがこの間の委員会であったわけでありますけれども、暫定措置が二ヵ年後、まあ、おそらく答申等を待ってきまると思いますが、これは非常に重要な住民に関する税の負担の問題でありますし、地方財政上の問題でありますから、将来はどういうふうにこういう問題を自治省としてはお持ちなんですか。答申が出てからということではなくて、局長としてのお考えをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/48
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049・細郷道一
○細郷政府委員 今回評価の改定をいたしまして、資産間のバランスをとるようにいたしましたということは、これはやはり不均衡ということが租税原則上の最も最初に是正さるべき問題であるという意味合いにおいて必要なことであったと考えておるのであります。将来、この評価につきまして、これをどう税負担の面に移していくかということにつきましては、先ほど来御質疑の中にもございましたように、各資産の間の担税力をどう把握していったらよいのか、あるいは同じ資産の中におきましても、用途による区別をどう考えていったらいいか、こういったような問題も実はございますので、そういった点も議論の中に含めながら、将来税制調査会において恒久的な制度を立案していただき、その答申を受けて政府としてこれを考慮してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/49
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050・細谷治嘉
○細谷委員 暫定措置というものを講ずる御方針のようでありますが、原則的に申し上げますと、固定資産というのは現在の評価と帳簿価額とは変わらない。したがって、これに対する固定資産税というのは従来と全く同額、さらにはこの一五%の短縮、こういうものによって二十一億円程度が四十年から償却資産については減税される。償却資産については全く同様あるいは四十年からははね返りがある。はね返りによって固定資産税が償却資産に関しては減税になる。家屋については八〇%程度でありますけれども、償却速度を進めるので、あまり変わらないのだというおことばでございますが、土地、山林等については前年の二割増の限度で押える、こういうことでございますから、結果としては土地や山林については増税であり、家屋については従来と変わらない、償却資産については四十年から減税になる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/50
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051・細郷道一
○細郷政府委員 償却資産については、耐用年数の改定ということは、経済の伸展に応じたいわば自然の姿としてこれを税制上取り入れていって差しつかえないものではないだろうか。逆に申しますれば、いわば積極的な減税といえるのかどうかという問題にもからんでおるわけでございます。家屋等につきましては、従来から再建築価格を使っておりましたので、その線によって将来とも進んでまいりたい。土地につきましては、御承知のような評価によります変動があるわけでございますが、それを税負担の上に求める行き方についてはなお検討するといたしまして、当面の問題につきましては二割程度の負担増にこれをとどめて、暫定措置としてこれを実施してまいりたい、こういうようなことでこの次の基準年度までの間におきましては、三資産を通じまして従来と大きな変動を生じない税負担のまま推移をする、こういう考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/51
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052・細谷治嘉
○細谷委員 基準年度によって通常起こるだろう税の増加というのは、一割以内というのが相場でありますが、少なくともこの暫定措置においてすらも、土地と家屋については二割の増税です。従来の基準年度から予測される一割の線というのをかなり越しておる。一方においてはプラスマイナス・ゼロ、しかも償却等のスピードアップは経済の要請からくるのだということでありますけれども、固定資産そのものについては二十一億の減税というのが昭和四十年度から起こる、こういうことでありますから、私が先ほどからお尋ねしたことは確認でき、そしてこの評価制度が進み、二ヵ年の暫定期間というのを過ぎたならば、土地と家屋については増税が必然的に起こってくると理解するのがあたりまえだと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/52
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053・細郷道一
○細郷政府委員 今回は先ほど来申し上げますような暫定的な措置でございますので、従来もありましたような基準年度における変動程度のものは、このまま新評価によらない場合でも起こってくる性質のものでございます。この程度のものを一つの目途にいたして期間の調整をはかっておるのでございます。その場合におきまして、農地につきましては、農地の特殊性にかんがみまして、負担を横ばいにいたし、あるいは下がるものは下がるわけでありますが、こえるものについては前年度程度にとどめる、こういうふうに考えておるのでございます。ただ、その場合におきまして、農地の値上がりの倍率というものと、宅地の値上がりの倍率というものを考慮してまいりますと、一方は二倍にならない、一・二倍ないし一・五、六倍といったようなものであり、片方は、全国的に見ますと、六倍前後といったようなことにもなっておりますので、その間のバランスも若干考えまして、これを二割程度の増にとどめるようにいたしたい。
なお、家屋につきましては、従前の評価がほぼ横ばいになっておりますので、今回税率をいじっておりませんので、その意味において特に負担の増ということは特殊のケースのものを除いてはない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/53
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054・細谷治嘉
○細谷委員 私がお尋ねしている点は、今回家屋あるいは農地、こういうものについては前年に対して横ばい、下がるものはけっこうでありますが、現実には六倍ないし七倍、あるいは山林では三倍ないし四倍になるわけでありますが、軒並みに二割増という増税になることは明らかです。そういたしますと、今度の暫定措置は単なる暫定措置なのか、あるいは税の激変なり不均衡、こういうことからぜひとも必要なこととして今後もやる暫定措置なのか。単なる二ヵ年間の暫定措置でなく、この範囲内でやることは、もう租税徴収上あるいは税のあり方から問題がある、こういうふうにお考えになっての暫定措置を講じようとしているのか、この点をお尋ねしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/54
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055・細郷道一
○細郷政府委員 これは先ほど来申し上げておりますように、あくまでも暫定の措置でございます。恒久的な措置につきましては別途調査会等の意見を参酌して実施してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/55
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056・細谷治嘉
○細谷委員 非常に重要な点については、すぐ調査会の答申ということで逃げられるので、大へん私は困るのでありますけれども、この点についてはこの程度にいたします。
次にお尋ねいたしたい点は、土地については二万円、家屋については三万円、償却資産については十五万円という免税点制度が現在ございます。これを今度土地については二万円を二万四千円程度に免税点を引き上げるということのようでございますが、これはもっと大幅に免税点を引き上げて、零細な税負担をする人たちに対して措置を講ずべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/56
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057・細郷道一
○細郷政府委員 恒久的に新評価をどういうふうに税負担に移していくかということにつきましては、今後の研究課題として税制調査会でお願いするわけでございますが、その暁におきましては免税点の問題についても十分検討を加えてまいりたいと思います。今回土地についてだけ二万四千円程度のものまでかからないような措置を講じようといたしますことは、御承知のように、宅地等につきまして二割程度の増にとどめるというようなことから、従来程度の免税点の維持をはかってまいりたいという暫定的な考え方によるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/57
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058・細谷治嘉
○細谷委員 土地等が二割上がるので、免税点の二万円を二割増の二万四千円、こういうふうにするという理屈なら、むしろこれは税に対して免除しなければ理屈は合わぬのであって、いささか少な過ぎるのではないか、もっと大幅な免税点を設くべきじゃないか、こう思いますが、重ねてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/58
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059・細郷道一
○細郷政府委員 いずれ法律で御審議をいただきたいと思いますが、税負担でちょうど二割増になるような資産についての免税点の措置をとるような法律を御審議いただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/59
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060・細谷治嘉
○細谷委員 税負担で二割減になるという方針ということになると、税はふえないということになりますね。そうじゃないですか。私の理解が違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/60
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061・細郷道一
○細郷政府委員 いずれ法律で御審議をいただくつもりでおりますが、前年に比しまして二割をこえるような課税標準のものについては、二割のところまでの課税標準で税額を計算するというような立法技術を使ってまいりたいと思っておるわけであります。その考え方にのっとって免税点の制度も定めてまいりたい、かように考えております。なお、免税点でございますので、免税点以上のものについては御承知のように課税されるようなたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/61
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062・細谷治嘉
○細谷委員 先ほどのおことばと今度は少しぼけてきたようでございますけれども、いずれにいたしましても、土地等については機械的に二割増の課税標準額というのですから税も当然二割ふえる、そういう関連において免税点をおきめになる、こういうお話のようでありますから、ぜひそういう形において免税点を検討していただきたい、こう思います。
最後にお尋ねいたしたい点は、国土調査法という法律がございます。現在山林等の台帳面とそれから実面積というのは、非常に大きな狂いがございます。こういう点で、やはり国土調査法に基づく調査を十分にするということが課税の適正を期するゆえんではないかと思いますが、自治省としてこういう点についてはどうお考えになるか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/62
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063・細郷道一
○細郷政府委員 おっしゃるように、そういう線で処理されることが望ましいことでありますが、現実には、国土調査法の、実際にこれをやっております範囲がまだ限定されておるような状況でございます。なお今後の努力に待たなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/63
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064・細谷治嘉
○細谷委員 山林等につきましては、帳簿面とそれから国土調査法によった実面積とは、かなり違ってくると思います。何倍という形になるのではないかと思います。この基準の中にも、国土調査をやった場合、それと現実の帳簿との大きな隔たりについては調整するというような意味もあるようでございますけれども、やはりきちんとしたものを国土調査法に基づいて把握するということが課税の適正を期するゆえんではないかと思います。自治省として国土を的確に把握する、税を的確に把握する、こういう点から具体的にこの問題については御検討をいただきたい、こういうふうに思います。
もう一つ、最後が二度になりましてたいへん恐縮でありますけれども、せんだっての安井委員の質問で、今後不動産取得とかその他の国税等の関係については、この評価基準を基礎にしていくのだということで始められておるようでありますが、話し合いがついておらぬというお答えのようでありますが、自治省としてはこの問題については既定方針を貫くつもりなのか、どういうお考えなのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/64
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065・細郷道一
○細郷政府委員 相続税、登録税等との関連では、この評価によって全面的に統一することが私どもも望ましいことだと考えて努力をいたしておるわけでございます。何ぶんにも、基準地等の評価の基礎になります路線価等については、国税の相続税の価額とほぼ一致をしておるのでございます。個々具体の資産につきましては、必ずしも全面的に一致をしていないというようなこともあります。ものによってはこちらの固定資産の評価額より高いものもあり、ものによっては低いものもあるといったようなこともございますので、いま直ちに全面的にこれを一致させるということは若干困難があろうと思っております。なお今後の努力の課題というふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/65
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066・細谷治嘉
○細谷委員 いろいろお尋ねしたのですけれども、原則的な点あるいは自治省の方針について、なお不明なり納得できない点がございますが、きょうはこの辺で一応打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/66
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067・森田重次郎
○森田委員長 華山親義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/67
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068・華山親義
○華山委員 根本的なことについてお伺いいたします。
法律には厳然として期間というものが、いつからしなければいけないということがあるわけであります。一ヵ月前に告示すればこの法律は提出しなくてもよかった。そういうことがおわかりになっておって、どうして一ヵ月おくれたのでございますか。法律というものはどうでもいいのだ、自分の都合によって変更できるのだ、こういうものの考え方が私はできると思う。どういうわけで、法律にこうきちんときまっておって、長い間やっておられた事務についてこういうふうにおくれたのか、私は事務当局が怠慢だなどとは申し上げませんが、ひとつ政務次官にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/68
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069・細郷道一
○細郷政府委員 技術的なことでございますので、私からお答え申し上げます。
現在法律で台帳の縦覧期間は、三月一日から二十日ということが原則になっております。御承知のようにその市町村の都合で、これを延期あるいは変えることもできるようになっておるわけでございます。そのままこれを進行させるのも一つの考えでございますが、何ぶん今回は、こういった基準年度にあたって評価がえといったようなことも行なわれております。納税者の立場を考えましても、負担の調整が来年度どういう姿になるかということも頭に置いた上で台帳を見るほうが親切なことではなかろうか、また実際に市町村で徴収の事務に携わっております職員の立場から見ましても、この際はそういった負担調整の姿がある程度わかってきた段階において台帳の縦覧をさせたほうが、事務の上からいっても混乱が起こらないのじゃないだろうか、こういったような考え方から、今回統一的に全市町村、時期を一ヵ月ずらすように措置をすることが、課税事務の円滑の上に必要ではなかろうか、こう考えてお願いしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/69
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070・華山親義
○華山委員 そういうふうなことは初めからわかっておるじゃありませんか。どうして一ヵ月前に告示ができなかったのかということをお聞きしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/70
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071・細郷道一
○細郷政府委員 今回の措置につきましては、この新評価によります負担調整を、どういう形で行なうかということがずっと長いこと議論をされておったところでございますが、それについての考え方が、昨年の暮れごろに税制調査会から答申が出たような次第でございます。そうなってまいりますと、やはり負担調整の姿というものがある程度納税者にわかった状態で台帳を縦覧するほうが、無用の摩擦を避け、また親切さといったようなことからこの措置が適当ではなかろうか、こう考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/71
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072・華山親義
○華山委員 私は了解いたしかねますが、税制調査会というても政府の機関でございましょう。そしていつごろまでにはしなければいけないということも法律でわかっているわけです。何か天災地変が起きたとかいうようなことであれば別ですけれども、そういうふうなことで、法律にきまっていることを、どういうわけでわずか一月ばかりのことを早くできなかったかということをお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/72
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073・細郷道一
○細郷政府委員 台帳の縦覧自体は、現行法で御承知のように三月の一日からということになっておるのでございます。いまこの段階になりまして、先ほど来繰り返し申し上げますように、課税事務の円滑と納税者に対する便宜といったようなことから、台帳の縦覧を一月おくらすほうがいいのじゃなかろうか、こう考えてお願いをいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/73
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074・華山親義
○華山委員 それは私はわかります。それはわかりますけれども、そういうふうなことは前々から考えておくべきことであり、考えられたことであって、それならば十一月二十五日に出すべきじゃないか、なぜそれを出されなかったかということをお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/74
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075・細郷道一
○細郷政府委員 たいへん御質問を取り違えておったようでございます。評価基準の告示自体につきましては、先ほど来お答えいたしておりましたように一年半ほど前から、試案の形ではございますけれども、それによって準備を進めていただいておりまして、それを統一的に告示をするということのために、告示の時期は十二月になったのでございます。現実の事務にはできるだけ御迷惑をかけないようにということで、事前に試案その他によってこれを市町村に示して、お願いをいたしておった次第でございます。したがいまして、告示の時期だけによって今回のこの台帳の縦覧時期の問題を一月延期するというふうにお願いをしておるのではございませんで、むしろ負担の調整といったような面でお願いをいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/75
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076・華山親義
○華山委員 そうしますと、事務的にはこの法律が延びても差しつかえないということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/76
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077・細郷道一
○細郷政府委員 台帳縦覧が三月一日でございますので、これは市町村におきましては、このお願いいたしております法律がおくれますと、ばらばらな措置をとらざるを得なくなる、そしてあとから四月一日だということになってまいりますと、また四月一日には法律に基づくものをやらなければいけなくなるといったような問題も発生いたしてまいりますので、ぜひともひとつお願いを申し上げたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/77
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078・華山親義
○華山委員 私はどうしも了解をいたしかねるのでございますけれども、それならばそれで事務当局としては、こういう時期にこうなるのであるというふうなスケジュールをお組みになってやるべきじゃないか。私にはどうしても了解をいたしかねますけれども、私は、法律というものは、もう言うまでもなく根本的な問題だと思うのです。行政事務の都合等によって、これがいろいろ変わっていくというふうなことは、よく気をつけていただきたい、私はそういうふうに思う次第でございます。
次に伺いますが、局長さんは、先ほど細谷議員の御質問に答えられまして、時価主義が適当だということをおっしゃいましたが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/78
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079・細郷道一
○細郷政府委員 どういうものから正しい固定資産の評価額を求めていくかということにつきましては、従来からいろいろ考えもありましたし、また固定資産評価審議会におきましも御審議をいただいたわけでございます。その答申によりますれば、土地については売買実例価額を基準として適正な時価を把握するようにするがよろしい、家屋については再建築価額、償却資産については取得価額、こういうふうに種々御議論の末御答申をいただいたような次第でございます。それによりまして私どももその線でお願いをいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/79
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080・華山親義
○華山委員 権威のある審議会でございますから、それによりましてというふうにおっしゃいますが、自治省といたしましては時価主義ということが一番適当だとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/80
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081・細郷道一
○細郷政府委員 固定資産の評価自体につきましては、従来から、固定資産税のできました当時から、適正な時価ということで一応きまっておるわけでございますが、問題は、その時価をどういうふうにして求めていくかという方法につきまして、いろいろなお考えがあるものと考えるわけであります。この方法につきましては、先ほど申し上げましたような売買実例価額あるいは再建築価額といったようなものを基準として求めていく方法がよろしいものと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/81
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082・華山親義
○華山委員 税は公平でなければいけない、固定資産税につきましても、いろいろな点に一貫したところの方針がなければいけないと思うのでございますが、それにつきまして、先ほどから細谷議員の御質疑に答えられたところでは、時価主義が適当であるというふうに御答弁になっているようでございます。それで、時価主義ということで全部をお貫きになる方針でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/82
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083・細郷道一
○細郷政府委員 固定資産税の課税標準といたしましては、適正な時価によるという時価主義がとられておるのでございます。その時価を求める方法につきましては、先ほど来お答えしておったような方法によるのが適当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/83
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084・華山親義
○華山委員 償却資産につきましては、時価主義をとっていられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/84
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085・細郷道一
○細郷政府委員 同じく三資産とも時価主義ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/85
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086・華山親義
○華山委員 償却資産は、時価主義じゃございませんでしょう。=価でございましょう。そうじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/86
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087・細郷道一
○細郷政府委員 適正な特価を課税標準といたしておるわけでございますが、その時価を求めるにあたりましては取得価額をもとにいたしておるわけでありまして、その求め方によりますことが時価に最も近い価格を出す方法であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/87
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088・華山親義
○華山委員 私は議論をいたしたくありませんけれども、局長のお考えは私は間違いだと思います。償却資産について時価であるということならば、この償却資産というものを現在建てたならば幾らである、それから過去におけるところの耐用年数も償却をする、その残ったものが時価である、これが一番時価に近いものであって、現在のようなやり方は時価じゃございませんでしょう。帳簿価額でございましょう。これが時価でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/88
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089・細郷道一
○細郷政府委員 取得の際の取得価額を基礎にいたして、毎年、年数に応じた償却をいたすことによって時価を把握するようにいたしておるのでございます。
なお昔の古い資産につきましては、再評価をするといったような方法によって時価を求めるようにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/89
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090・華山親義
○華山委員 商法では、帳簿価額は時価以下と書いてある。時価以上にいたしますというと、これはタコ配当もできるおそれがある。したがって、商法ではの償却資産といいますか、そういうふうな設備等につきましては、時価以下の原則をとっております。時価じゃございません。そこの点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/90
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091・石川一郎
○石川説明員 償却資産につきましては、取得価額を基準として、一般に定められておる年数の経過に応ずる減価をいたしまして、その上で適正な時価を求める、こういう基本に立っておるわけでございます。ただし、非常に古い資産につきましては、価額が動いてまいります場合がございますので、これについては物価の変動に応ずる補正をいたしまして、適正な水準に引き上げる、こういう作業をいたしておるわけでございます。帳簿価額との関係におきましては、帳簿価額を下ることができないというように法律の規定がございますので、帳簿価願を下回ることはないという意味でございまして、帳簿価額によって評価をする、こういうことではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/91
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092・華山親義
○華山委員 そうしますと、帳簿価額よりもうんと上がることもあるんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/92
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093・石川一郎
○石川説明員 従来の評価において、帳簿価額を相当上回っておるものも多うございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/93
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094・華山親義
○華山委員 いかなる場合でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/94
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095・石川一郎
○石川説明員 一般の物価変動その他によって補正をいたしておるような場合ももちろんそれに入りますし、帳簿価額自体は、評価をいたします際の一つのチェックになるだけでございます。大多数の場合が帳簿価額を上回っておる、こういうようにお考えになってよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/95
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096・華山親義
○華山委員 しかし帳簿価額が原則でございましょう。例外的な場合にそういうふうなことも行なわれるということであって、現在の時価ということでは評価されておらないでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/96
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097・石川一郎
○石川説明員 償却資産の評価の方法は、帳簿価額とは関連がないのでございます。法律上四百十四条の規定がございまして、帳簿価額を下回ることはできない、こういう規定がございますので、かりに評価をいたしまして求めた価額が帳簿価額を下回るようなことがあっても、帳簿価額までは必ず上げる、こういう趣旨でございまして、償却費産の評価の方法は、従来基準で定められております。取得価額を基準として所要の経年減価を行ないまして求めた価額による、こういうことになりますので、帳簿価額を上回るのが原則でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/97
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098・華山親義
○華山委員 私は、取得価額を基礎にして、それに耐用年数による償却をやるという原則が時価ではない、これは時価のものではない、こういうふうに申し上げておる。これも時価でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/98
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099・石川一郎
○石川説明員 取得価額につきましては、先ほど申し上げましたように、取得価額自体は、一般には国税の例にならいまして、現実の取得価額を基礎にいたしますが、それが時価という水準から見て著しく不適当であるという場合には、補正の道が開かれているわけでございます。
なお、年数に応ずる減価でございますが、これは一応国税の耐用年数を使っておりまして、一定の経験の中から生み出されていく減価でございます。各時点においてぴしゃりとそれが合うかどうか、これは若干理論的にも実際的にも問題があるかもしれませんが、長い目を通して見た場合において、われわれは一応減価をしていく現在のやり方が、適正な時価を求める適当なやり方だ、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/99
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100・華山親義
○華山委員 私はわかりません。時価というものをほんとうに正確に求められるならば、私はこの工場設備というものを、現在つくるならば幾らかかるのか、それから耐用年数によって引く、それが時価なのであって、取得価額自体を基礎にして、そこから耐用年数を引くということであれば、これは私は時価ではないと思う。ひとつ、これは見解の相違でございますから別でございますが、それはどの本にだってそう書いてあるじゃありませんか。あなた方の国税庁のお役人の出された本にもそういうふうに書いてある。少し強弁ではないかと思うのです。
それではひとつ伺いますが、私の考え方を前提として考えますけれども、償却資産につきましては、原価主義をとっている。それから土地については売買実例ということでございますから、いろいろな補正はございましょうけれども、これは時価主義をとっている。私は首尾一貫しておらないと思います。
それで伺いますが、生産に使われる場合の償却資産、これは、商法その他の規定によってできたところのものが、いろいろ補正はあるとしましても基礎でございます。これは産業に関係するところの経済的な価値、そういうものが基礎になって評価されている。農業におきましてはそうではない。農業におきまして償却資産と同じような原則をとるならば農業においても、土地というものが一体どれだけこの産業に関連があるか。言いかえるならば、収穫がどれだけあるかということによって土地に対する評価がなされなければ、私は首尾が一貫しないと思う。大企業等につきましては、生産を基礎にしている。生産におけるところの償却資産の価値、そういうものを判断の基にしている。農業についてはそうではない。財産的の観念をもとにしている。私は首尾は一貫していないと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/100
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101・細郷道一
○細郷政府委員 農業におきましては、確かにその企業経営が、農地というものにかなり基本を置いておるということは事実であろうと考えております。ただ一般に、売買価額、売り買いをされます場合には、やはりそこにおきます立地あるいは経済的諸条件あるいは社会的諸条件、いろいろなものが反映されて売買というものが実際に行なわれるのではないかと私ども考えるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、やはり売買価額というものの中には、そういった生産性あるいは経済性といったようなものも十分加味されて表現されておるものというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/101
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102・華山親義
○華山委員 加味されておりますけれども、そこだけ抜き出したらいかがでございますか。償却資産につきましては、これはその生産におけるところのその財産の価値というものを基礎にしておる。これが帳簿価額でございます。それであったならば、農業におきましても同様に、この生産におけるところのその土地というものの価値、生産性、そういうものを基礎にしてやることが一貫したやり方である。大企業等も含むのでございますけれども、製造工業においては特に経営生産性、そういうものに重きを置いて、農業におきましては加味されているというふうなことでやるということは、私は一貫しておらないと思うのでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/102
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103・細郷道一
○細郷政府委員 償却資産につきましては、その価額自体は常に生産性を示しておるものとも考えないのでございまして、やはりその機械を生産の過程においてどういうふうな位置づけにおいてこれを使っていくか、あるいはそれを補う人の配置でございますとか、あるいは技術の問題でありますとかいろいろなものが反映して生産が行なわれているのではないかと考えるのであります。したがいまして償却資産の時価というものが、これすべて生産性のみを反映しておるということは言い切れないのではないだろうかと考えるのであります。ひるがえって、農地につきましては、先ほど申し上げましたように、農地が農業の基本的な要素を占めておるということは、おっしゃるとおりだと思うのであります。ただその場合においても、農地につきましては、やはり土地自体がいわゆる一般経済界の観念といたしまして償却という考えがなく、それは逆に申しますれば、肥料を投入する、あるいは人力を投入するというようなことによってその生産性が維持されていくというような事情にございますし、また農地の売買等におきましても、先ほど申し上げましたような農業の生産性が反映された売買価額が行なわれるというような意味におきまして、両者の間にそうアンバランスの問題は起きないのではないだろうか、こう考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/103
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104・華山親義
○華山委員 一つの例を引いてお尋ねいたしますが、ここに農業会社が——あまり日本にはありませんけれども、あったといたします。そうして、そこには機械等もありましょうけれども、帳簿の上に農地という土地の値段が書いてあるわけですね。その場合には、大企業につきましては、バランスの上にのったところのそういうふうな機械器具、そういうものにつきましては先ほどの調整がございましょうけれども、大体それが固定資産税の基準になるわけですね。農業の場合にはいかがになりますか。その農業の土地の部分は更正されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/104
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105・細郷道一
○細郷政府委員 ちょっと御質疑の趣旨を取り違えてお答えすることになるかもしれませんが、あとで直させていただきます。
償却資産の場合には、先ほど来申し上げておりますように、やはりその適正な時価を求めていく方法として取得価額を基礎にいたしておるのでございます。そういう意味合いにおいて帳簿価額そのものというものではございません。しかし、先ほど来お話のあったように、帳簿価額を下回ってはいけないというようなことでございますので、そういう取得価額を基礎にした耐用年数による減価等の方法によって適正な時価を求めるという方式を採用いたしておるわけでございます。農地につきましては、その農地の価額をどう評価していくかということにつきましては、他の一般の土地との関連もございまして、売買価額を基準にしてその時価を求めていく。もとより、その際田畑についての基準価額の求め方につきましては十分そこの立地条件、具体的に申しますれば日当たりの度合いでありますとか、あるいは土地の土性でありますとかいったようなことを十分考えて、これに評価をしていくわけでございますので、その間そう大きなアンバランスの事態がないのではなかろうか、こう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/105
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106・華山親義
○華山委員 自治省御当局は、償却資産についても、どんどん帳簿価額とは別な違った意味でやるのだ、そういうふうにお答えになっているようでございますけれども、そういう実態ではないでしょう。帳簿価額というものを一応か二応の基準にしてやっておられるんでしょう。しょっちゅう評価がえをして、時価に合うように直すのだというようなことは、私は主義として信じられません。いま私が例をとって申し上げまして御答弁によって明らかなように、片方の設備、そういうものについては帳簿価額による、片方の農業のような会社におきましては、帳簿価額の土地というものは動かせません。償却もございません。時価によってたくさん計上するわけにもまいりません。取得価額そのものでございます。評価については、売買価額によってうんと上げるのだ、大企業その他の企業については税がかからない、ほとんど動かないもので税がかからない、農業会社につきましてはその土地が上がるから固定資産税が上がる、こういう実態になりますが、矛盾をお感じになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/106
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107・細郷道一
○細郷政府委員 各資産を通じまして時価によって課税をしていくことによってバランスを保っていこうとしておるわけであります。その時価の求め方について先ほど来御議論のあるように、土地、家屋、償却資産について、それぞれその時価の求め方について基準とする価額が、売買価額でありますとか、取持価額でありますとかいうふうに違うわけでありますが、それを基準にして適正な時価を求めていくということによって、その間バランスがとれていくものではないか、私どもはこう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/107
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108・華山親義
○華山委員 私はそういうことではバランスはとれないと思います。私も事業をやっている。私の帳簿価額そのものによっていままで固定資産税がかかっておったのであって、帳簿価額をいろいろ動かすということは一ぺんだってやっておりません。実際を知っておられないからそう言われるのではないか、それで私は申すのでございますが、土地については大企業といえども、また農業といえども同じような方式でやられると思いますが、大企業における土地と農業における土地、これは全然比重が違う。農業における土地というものは、最近の農業は機械等も入っておりますけれども、ほとんど唯一の資産といってよい。ところが大企業におけるところのものは、土地というものがなければできないでしょうけれども、土地よりもむしろ設備、そういうもののほうが重要だ。ところがいろいろなことを言われますからなんですが、片方においてはそういうふうな時価主義によらないところの評価によって課税する。片方は物価騰貴の情勢において時価主義によるところの評価のもとに課税する。これは私は不公平だと思う。農業と製造工業、大企業も含めまして、私は不公平だと思う。それにつきまして、私の意見にもなりますけれども、御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/108
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109・細郷道一
○細郷政府委員 農地につきましては、売買実例価額によって評価をいたすわけであります。売買実例価額によって時価を求めるのが最も適当な方法であろう、こう考えておるのであります。したがいまして、売買実例価額が下がってまいりますれば、それに応じて農地の評価額も下がってまいると思うのでございます。償却資産のほうでございますれば、これも一般的には取得価額を基準にいたしまして、年々の耐用年数に応ずる減価をいたします。その行き方によって適正な時価を求める。いずれの場合におきましても、その時価に近づく方法に違いはございますけれども、適正な時価を求めるということによって税負担の均衡をはかっていくようにいたしたい、こういうふうな考えに立っておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/109
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110・華山親義
○華山委員 どうも私のお尋ねするところとは合いませんけれども、私は農民には重く、大企業を含める企業には軽い、こういうふうに考えざるを得ません。
ひとつ伺いますが、時価・主義、時価主義とおっしゃいますけれども、しからばなぜ大企業について最もいい方法であるところの、現在これだけの設備をすればどれだけかかるか、それについてその償却年数によるところの耐用年数を引く、こういう方法をおとりにならないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/110
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111・石川一郎
○石川説明員 私どもの御説明のしかたがあるいは悪いかとも思いますが、取得価額と申しますのは、その取得のために通常支出すべき金額でございます。新しく資産を取得されれば、その価額でございます。したがいまして、先ほどからお話のあるように、いま取得したら幾らになるかというものと一致すべき性格のものでございます。ただ資産によりましては古いものもございまして、その取得価額そのものをそのまま基礎にしては不適当な場合がございますので、その場合には物価変動に対応する補正等の道も講じておるわけでございまして、取得価額そのものは、いまそれを取得したら幾らになるかという値段に一般的には一致すべきものである、こういう考え方の上に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/111
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112・華山親義
○華山委員 そういう方法を今度おとりになるのですか。一々工場に行かれまして、そうしてそれを見まして、この機械はいま買ったならば幾らであるか、この建物はいまつくったなら幾らであるか、そういうことを全部計算をして、そうしていままでの償却を引く、こういうような方法をとられるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/112
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113・石川一郎
○石川説明員 具体的には、企業が取得されるその取得価額を基礎にいたしまして、年数に応ずる減価を行ないます。しかし一般の取引は、通常取得価額が著しく低いとか著しく高いとかいうことは考えられないので、一般の場合は、取得価額から耐用年数に応ずる減価をいたして求めました価額が、いまおっしゃるようなこの資産が現時点で一体幾らになるかという価額と一致するであろう、こういう考え方の上に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/113
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114・華山親義
○華山委員 それは一致いたしません。最近の池田さんの政策によりまして、非常に上がっております。機械類も上がっております。昔施設したもののほうがずっと安い。これは一致いたしません。それで土地については、現在物価が下がるときには下がるのだからとおっしゃいますが、池田さんの政策いかんにかかわらず、日本の経済だって、世界の経済だって、物価は少しずつ上がっていくという傾向です。物価が下がればそうなるのだからいいじゃないかというような議論は成り立たない。物価は徐々に、できるだけ順順に上がるべきであるけれども、上がるという前提に立って話を進めなければ私は話にならないと思うのであります。その場合に、農地については上がるという要素が多分に入ってくる、償却資産については、上がるという要素が入ってこない。私はそこにも不公平が介在すると思います。ここは学会でも審議会でもありませんから、あまり言うことは控えますが、私はほんとうに考えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/114
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115・金子岩三
○金子政府委員 ただいま華山先生の申されておることは、かいつまんで申し上げますと農業法人の場合をとらえて先ほどから申されておるのでございますが、いわゆる土地について評価を二〇%視度上げることになっておりますので、農地も当然上がることになっておるのだ、こういうことを申されておるようでございますが、大体農地は上げないという一つの基本線を打ち立てておりますので、農地と称するものは今度の改正では上げないことになっておるのでございます。ただ申されておる趣旨は、大企業のいわゆる償却資産税は上げることにならぬで、土地を上げることは、農地のごときそういう零細の、いわゆる格差がついていっているそういう細民クラスに課税される固定資産税が上がって、いわゆる大企業、大資本の企業のものは上がらぬようになっておるじゃないか、こういうことを申されておりますが、それはお説ごもっともと思います。大体今度の改正の趣旨が、償却資産税もやはりもう少し上げるような方法をとるべきだという主意見が自民党の中にも相当強くあったのでございますけれども、ただ開放経済に移行するためにやはり産業基盤を、安定させよう、強化しよう、こういう考え方に立って、このたびは一応土地がべらぼうに上がっておるから、二十倍にも三十倍にも銀座などではなっており、したがって土地のほうを少しばかり手直しをしておいて、その他償却資産等は、もうしばらく日本の経済が安定するまでは上げまいというような考え方に立ってこの改正に臨んでおるのでございます。したがって華山先生の申されておることは、まことに適切な意見でございまして、社会党の立場から申すならばそのとおりだと思います。しかし自民党は、政策上こういう税法の改正をやるということをひとつ御了承いただきたいと思います。ごもっともです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/115
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116・華山親義
○華山委員 私は根本のことを言っておるのであって、暫定措置のことを言っておるのではございません。ただし、いまの政務次官の御答弁によって、大企業、製造工業、こういうものの育成の意味を含めてこのたびの評価をやっておるということが明らかになったわけです。
私の質問はこれで終わりますけれども、はなはだ私は不満足でございます。なお、ただいまの政務次官のお話もございましたので、このことにつきましては、私は大臣の出席を求めて御答弁をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/116
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117・金子岩三
○金子政府委員 大体これは、それぞれ与党と野党の立場によって、いろいろ法案を出すときにも、百八十度の見解の相違もありましょうし、九十度の相違もありましょうし、あるいは意見の一致することもありますが、華山先生の言わんとするところ、つこうとしておるところは、ただいま私が申し上げたことを政府側が考えてやっておるのだということを、野党の立場から御指摘なさっておりますので、それは私は率直に申し上げましてただこういう考え方に立ってこの法律改正をやっておるので、ひとつ御協力、御了承をいただいて、この法律に御賛成をいただきたい、こういう考え方で率直に申し上げておりますので、どうかひとつ御協力をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/117
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118・華山親義
○華山委員 先ほど申し上げましたとおり、たいへん重要なことをおっしゃいましたので、私は大臣にも御質問をいたしたいと思います。今日はこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/118
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119・森田重次郎
○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X00819640213/119
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