1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十日(木曜日)
午前十時二十一分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君
理事 永田 亮一君 理事 藤田 義光君
理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君
理事 安井 吉典君
大石 八治君 大西 正男君
亀岡 高夫君 久保田円次君
登坂重次郎君 村山 達雄君
森下 元晴君 山崎 巖君
和爾俊二郎君 秋山 徳雄君
佐野 憲治君 重盛 寿治君
華山 親義君 細谷 治嘉君
栗山 礼行君 門司 亮君
出席政府委員
自治政務次官 金子 岩三君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
消防庁長官 松村 清之君
委員外の出席者
自治事務官
(財政局交付税
課長) 山本 悟君
専 門 員 越村安太郎君
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二月二十日
委員亀山孝一君辞任につき、その補欠として奥
野誠亮君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
昭和三十八年度分として交付すべき地方交付税
の総額の特例に関する法律案(内閣提出第四七
号)
消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共
済基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一二号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/0
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001・森田重次郎
○森田委員長 これれより会議を開きます。
去る十四日、参議院から送付されました消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。金子自治政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/1
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002・金子岩三
○金子政府委員 ただいま議題となりました消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
すでに御承知のように、非常勤の消防団員は、古くから地域住民の生命、財産を守るため、常に防災活動の第一線に立って活躍することを使命といたしております。そのために消防団員は、一たん事ある際にはみずからの生業を一時放てきし、かつまた一身の危険をおかし、その任務を遂行するというのがその実態であります。
この消防団員は、全国でおよそ百五十万人を数えておりますが、これらの人々の、かかる労苦に報いるための措置は、遺憾ながら十分とは申せないのが実情であります。
このような事情を勘案し、消防団員の処遇を改善する方策の一環といたしまして、消防団員として永年勤続して退職されました人々の功労に対し、市町村から退職報償金を支給する制度を創設するとともに、この制度の的確な実施をはかることが、この法律案の趣旨とするところであります。
以下この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
まず第一は、消防組織法の改正についてであります。
これは、さきに述べましたように、消防団員が一定年限以上その職にありまして退職いたしました際に、市町村がその者またはその者の遺族に対しまして、一定額の退職報償金を支給すべき責任を法律上の制度として確立しようとするための改正であります。
第二は、消防団員等公務災害補償責任共済基金法の改正についてであります。
従来から消防団員の公務災害補償につきましては、消防団員等公務災害補償責任共済基金が設置されております。
そこで、今回の消防団員に対する市町村の退職報償金の支給責任につきましても、対象となりますものが、公務災害補償と同じく消防団員でありますことから、従来の基金の業務に付加してこれを行なわせることが至当であると考え、ここにこの法律の改正を行なうこととした次第であります。したがいまして、この法律案におきましては、基金の名称の変更を行なうとともに、退職報償金に関する業務を付加したことによる関係規定の整備を行なうことといたしております。
以上が消防団員に対しまして退職報償金を支給する制度を創設するための法律案を提出いたしました理由と、その内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/2
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003・森田重次郎
○森田委員長 以上で本案についての提案理由の説明を終わりました。
なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/3
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004・森田重次郎
○森田委員長 次に、昭和三十八年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/4
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005・細谷治嘉
○細谷委員 地方交付税の総額の特例に関する法律案につきまして、若干御質問をいたしたいと思います。
この提案理由の中に、「特別交付税の総額も昨年度に比べかなり増額されている」ということがあげられております。もう一つ、「災害等新たに緊急の財政需要を生じない限り、」こういう理由もあげられておるわけでございますけれども、特別交付税の総額というのは、昨年と比べますと一割強、厳密にいいますと五十億円足らずの増額でございますが、これで十分だとお考えになっておるのか、あるいは災害等新たな緊急の事態ということでありますが、あとで質問があるかと思いますけれども、部分的でありますが豪雪等が起こっております。あるいはあとで私の質問の主題になりますが、炭鉱所在市町村の現況は、一種の災害に以たようなものであります。一種の災害であります。こういう点についてどうお考えになりますか、御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/5
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006・柴田護
○柴田政府委員 特別交付税の総額は、昨年は三百十五億でございます。本年度は、第三次の補正予算に伴いますものを除きまして、現在のところでは三百六十三億でございます。したがって、御指摘のとおり五十億足らずの増額になるわけであります。昨年の交付事由の中には、豪雪災害が相当大きな部分を占めておりました。普通の水害のほうは、去年とことしを比べまして、ことしのほうが若干多うございますけれども、それほどびっくりぎょうてんするほどの数字の増加になっていない、しかし一方雪のほうにつきましては、去年相当の被害が出た、ことし、いま起こっております状態では、お話しのように岩手県、青森県に雪害がございましたけれども、いま私どもが得ておる情報では、去年に比べますれば問題にならない額にとどまりそうでございます。したがって、さような状況を考えますと、お話しのように炭鉱市町村の問題もございますけれども、まずまずいくのではないか、かように考えておるわけでございます。炭鉱問題につきましては、お話しのように私どもも非常に心を痛めておる問題でございますが、普通交付税、地方債等におきまして、極力実態に応じた処置をしてまいるつもりでやってまいりましたし、それらの点を勘案いたしますれば、大体ここに書いておりますように、今後去年のようなものすごい雪害が起るといったようなことがない限りは、地方交付税法の趣旨にのっとった特別交付税の配分はまずまずこの額で足りるのではないか、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/6
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007・細谷治嘉
○細谷委員 昨年は確かに豪雪ということで、相当被害がございました。ことしも部分的にあるけれども、そういうものを丹精する、そういう結論から言って、三百六十三億程度の特別交付税の総額で足りるんではないかというおことばでございますけれども、私は現在の炭鉱市町村の財政実情、こういうものからいって、その程度の金では不十分ではないか、こういうふうに考えておりますので、以下具体的にそういう問題について質問を続けたいと思うのであります。
普通交付税で炭鉱市町村についてよく見た、こういうことでございますけれども、普通交付税で見るものは基準財政収入額と需要額ということでありまして、市町村にとって、あるいは自治体にとって一番重要な問題は、何といっても三割という自主財源、そういうものが見られておらぬ、こういうことでございます。よく自治省では財政向上が硬直直しておる、——硬直しておる現状は交付税で見たということだけでは片づかない。こういうところにあるかと思います。試みに三十八年度の炭鉱所在市町村の二、三の例をあげてみますと、ある市では基準財政収入額が三百六十三万八千円減って、逆に基準財政需要額というのは六千八百七十万円程度ふえております。端的に言いますと、税収は極端に減って、そして支出は膨大な増加を見ておる。こういう現状でございます。またある市を見ますと、基準財政収入額でも一千万円以上減っておる。逆に基準財政需要額は何千万もふえておる。これは一つの町の財政状態でございます。こういう現況からいって、しかも財政指数等を見ますと、二〇%、二二、三%こういうような財政力指数の現況でございます。こういうことでございますから、生活保護とかあるいは失業者というものはたくさんおる。最近聞いた話ですけれども、百円で貞操を売っておる、こういううわさすら聞きます。こういうような炭鉱市町村が、収入が激減して、支出は激増しておるという実情を御存じかどうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/7
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008・柴田護
○柴田政府委員 私も現在のポストにかわりましてからあまり時間がたちません。したがって、このポストにかわりましてから、産炭地の実情をこの目で見たことは、正直申し上げましてございませんけれども、前のポスト、その前のポスト時代に、産炭地の実態は拝見をし、知っておるつもりでございます。ただ、いろいろな資料から見てまいりますのに、お話のように、最近の状況は産炭地振興が思うように進みませんで、むしろ状態は深刻化しておるところが多いというように聞いておりますし、私どもが入手する資料からは、そういう傾向が見られるのじゃないかというように思うのでございます。お話のように、基準財政需要がふえるのはあたりまえであります。基準財政収入が減るものもあたりまえでございます。したがって、それだけのものが交付税交付金額になってあらわれてくる。したがって交付税の額としては普通交付税で増額される。しかし、お話のように、これまた三割の自主財減は減っていくんだから、そこでまかなわれるべき自主的な財政というものの幅が減っていくんじゃないかということと思いますが、これもごもっともかと思うのであります。ただ実際の炭鉱市町村の実態は、いわば見方によりましては、義務費的ともいわれるべき財政需要に追い回されている。自主財源をフルに使って地方自治団体の創意に基づく行政を行なっていく幅というものがふえていくかというと、そこまでではなしに、むしろ義務的なものに追われていっているのではないか、こういう感じがいたすわけであります。普通交付税の見方の中にもいろいろと問題があり、それらの点につきましては逐年合理化をしてまいっておるつもりでございます。ございますが、しかしなおおっしゃったように、このワクにはみ出すものが出てまいります。そういったようなものにつきましては、昨年も、その前もそうでございまするが、昨年度におきましても相当その気になって手厚く地方交付税を配分いたします場合に計算過程の中に加えておるわけであります。起債等につきましても、一般の例の特例を認めまして、特別交付税につきましてはほぼ満額に近い額を認めていくという措置をとっておるわけであります。本年度におきましても特別交付税の配付につきましては、同じような措置をとってまいりたい、かように思っておる次第でございます。私どもといたしましては、一般的には炭鉱市町村の現状を以上申し上げましたように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/8
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009・細谷治嘉
○細谷委員 産炭地の今日の実情を、二つの目で直接財政局長という立場でごらんになったことはまだないかと思いますけれども、その惨状には目をおおう状態にあるということは、聞いて御承知ではないか、こう思っております。
ところで、二、三の例をあげたわけですけれども、全国の鉱業市町村というのは百二十程度ございます。その百二十程度の市町村が、三十八年度において、ほんとうに義務的なものでございますけれども、交付税で見られたもの、自分が出したもの——交付税で見てもらったけれども、もうどうしても、そのプラスアルファ、いわゆる財政の欠陥額といいますか、そういうものを調べてみますと、莫大な数字にのぼっております。これについてどの程度の数字になっておるのか、御存じであればお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/9
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010・柴田護
○柴田政府委員 三十八年度のお話の点につきましては、目下事態が進行しております。私どもの手元にいろいろその実情を訴えてきておるものがございますけれども、全部集計したことは実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/10
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011・細谷治嘉
○細谷委員 いま申し上げました、おそらく自治省にもいっていると思うのですけれども、全国鉱業市町村連合会というのがございます。そこで各市町村ごとに精査いたしまして集計した数字によりますと、この炭鉱所在市町村の、いま申し上げました交付税で見られておらない財政欠陥額あるいは自治省の通達等による鉱産税等の減収、固定資産税の減収、それからほとんど義務的な性質のものであるけれども、交付税の網にかからないもの、こういうものを集計いたしますと、全国で四十九億五千五百万円あると、こういうふうに集計さてております。これは御存じでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/11
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012・柴田護
○柴田政府委員 お話の全国鉱業市町村連合会から提出されました資料につきましては、私も目を通したことはあります。計数ははっきり覚えておりませんが、目を通したことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/12
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013・細谷治嘉
○細谷委員 目を通したことがあるというおことばでございますので、少し実態を申し上げてみたいと思いますけれども、買い上げとか、廃休山による鉱産税の減収というのが前年度に比べますと二億六百万円程度ございます。さらに山元消費の石炭というのが百五十六万トン程度ございます。これも驚くなかれトン当り一円五十銭ということで鉱産税がかけられておる。鉱産税というのは原則によりますと売炭価格、こういうもので、やっておりますから、三千円か四千円程度の単価になっておると思うのですけれども、一円五十銭の、これによる税額に相当いたしますと、これは交付税で算定されなければならぬ数字というのは三十三百万円程度であるはずですけれども、これはほとんど算入されておらぬ。こういうような実情にあることを御承知でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/13
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014・柴田護
○柴田政府委員 お話の三千三百万円が正しいかどうかということには、問題が残っておるかと思いますけれども、交付税の基準財政収入の計算上、勢い技術的には統一した方法でやります関係上、実態とそこに食い違いがあるということは従来からもそうでございますし、炭鉱市町村につきまして、こういうような状態がひどくなってまいりますれば、そこにいろいろそういったような問題が出てくるということは承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/14
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015・細谷治嘉
○細谷委員 これは特に北海道等に、山元消費というのが顕著にあらわれておるわけですけれども、わずか一円五十銭で鉱産税が算出されておるということはきわめて不合理である。こういう点につきましては、やはり交付税等で、普通交付税の段階において補てんしてやる、こういうことが私は必要であろうと思います。と同時に私が御質問いたしたい点は、そういう石炭の不況ということからいって、税収自体が少ないところにもってきて、調定しても入らない。滞納はいいほうで、もういわゆる徴収不能額というものが莫大な数字に上がっております。こういう実情を御存じでしょうか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/15
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016・柴田護
○柴田政府委員 山によってはそういうところがある。私が承知しておるひどい例で言いますと、最近多少よくなったようでありますが、九州の中間市が一時それで非常に困っておられたということも知っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/16
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017・細谷治嘉
○細谷委員 中間市の例が出ましたけれども、中間市ばかりではなく、滞納額が一億九千万程度あるようです。そのうち一億八千万程度がもう徴収不可能額。調定はしておるけれども、全然納入の見込みがない、こういう現況のようでございます。しかもこれはやはり基準財政収入額に算入されておる。こういう点について、現実抜きさしならぬ炭鉱市町村の実情から不合理だとお考えにならないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/17
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018・柴田護
○柴田政府委員 税収入を長い目で見ますならば、滞納になっておるものをそこで処分された形において、基準財政収入を計算しますことは、かえって逆に不公平を招くことになります。したがって、どこまで滞納されたものが、ほんとうに取り立て不能になるかという判断の問題にかかるかと思うのでございますけれども、一がいにそのことだけで、滞納額が多いということだけで、それが即歳入欠損だという見方をすることはどうかということで、従来からそういう形をとっておりません。ただ、おっしゃるように入らないことが明らかになった。たとえば会社更生法の適用を受けて、そのために関係者の団体、その炭鉱に対する債権者の一斉取り立てが開始されたというようなかっこうになって、不能額が明らかになった場合に、そのときに始末をする。こういう態度をとってきておるわけであります。税の理屈からいいますれば、私はそういう見方を当然すべきであろうと思います。ただ逆に今度は、炭鉱市町村の財政需要という面から見てまいりますならば、いかにも残酷な話ではないかというおことば、これもごもっともでありまして、そういう問題につきましては、本来は、やはり短期的には一時融資その他でめんどうを見ると申しますか、一時融資その他についてのいろいろのあっせんについて協力をするという態度でこれに対処してまいるというやり方が、本来の財政の姿であります。しかしそれが非常に膨大な額になってまいりますれば、勢い炭鉱市町村にいろいろの財政的の影響を及ぼしていくわけであります。その辺は総合的に勘案して、配慮していかなければならぬだろうというふうに思っておりますけれども、そのこと自身、徴収不能額ということにつきましては、問題があるのではないか。現に一般の水害のような場合にも、相当長期にわたって徴収猶予の措置がとられますけれども、その徴収猶予の額につきましても、特に歳入欠陥の措置はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/18
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019・細谷治嘉
○細谷委員 徴収努力をしないで滞納額がふえておる、徴収不能額がふえた、こういうことは許されませんが、最大限の徴収努力はする。そういう意味において局長おっしゃった原則的な考え方については、私も同感でございますけれども、問題は、炭鉱市町村についてはもう納めようとしても納められない、何べん取りにいっても納められない、ただ調定を紙の上でしておる、こういう実情にある。常識で考えられない実情にある。こういう点から私は申し上げておるわけであります。
そういう点について、一般論としてこれを処するところに大きな問題があり、今日の炭鉱市町村がただ寝ておる、何も行政をしないでただ重病人として寝ておるという行政の実態に落ち込んだ原因があろうと思う。この点について、そういう重病人の看護に対しては、やはり常識でない注射というものが必要じゃないか、重ねてこの点をひとつお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/19
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020・柴田護
○柴田政府委員 お話のように、普通交付税の算定につきましては、そういう原則に立って処理いたすべきものですから、きめのこまかい配慮ができない。またそういうことがあればこそ特別交付税という制度があるのでありまして、その制度によって、ある程度きめのこまかい指導ができる、あるいは措置ができる、こういうことであろうかと思うのであります。私どもも、またそういう制度の本来の趣旨に従って措置をしてまいっておるのであります。しかしその措置のしかたが不十分でないかというおしかりを受けるかもしれませんが、極力現状把握につとめまして、たびたび大臣も予算委員会等で御答弁になっておりますように、行き届いた措置ができるようにつとめたい、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/20
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021・細谷治嘉
○細谷委員 続いて御質問いたしますが、炭鉱市町村の保護率というものはきわめて高いわけであります。炭鉱市町村の全国平均が千分率で十八前後と考えられますけれども、福岡県の全体の保護率というものは、千分の七十くらいだと思います。筑豊のほうに参りますと、ある村では千分の二百二、三十という現況でございます。端的に申し上げますと、福岡県のある市の生活保護費の予算というのは、予算総額の半分を占める、こういう現況になっております。
そこでお尋ねいたしたい点は、生活保護については八割が国庫負担、二割については交付税で見る、足らない分については特交で見るというたてまえでございますけれども、一体この生活保護について特交でどういうような見方をされるのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/21
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022・柴田護
○柴田政府委員 生活保護費につきましては、一つは全国的な問題としまして、乱給防止という問題がございます。そういう意味合いから、生活保護費の基準財政需要額に算定いたします場合には、全体的なつまり国庫負担金を予算に計上いたしておりますが、これに伴う地方負担額というものをやや下目に押えておる。やや下目に押えて基準財政需要額に算入をして計算をいたしております。と申しますのは、算定方法にも問題があるわけでございますけれども、あまり満度に普通交付税を見てまいりますと、行き過ぎるところが出てまいります。また片一方、大きく行き足らないところが出てまいります。そこで基準財政需要額の算定は、そういう全体の額をやや下目に押えて基準財政需要額に算入をして、そして特別交付税を配ります場合に、いわば精算的なことをやる。つまりその年度の生活保護費の地方負担額というものは、国庫負担金の額を通じて自動的に出てまいる、その出てまいる額から基準財政需要額に算入した算術的な額を差し引きまして、残りを特別交付税で配付する、こういうやり方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/22
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023・細谷治嘉
○細谷委員 おことばを要約しますと、乱給が起こる心配があるから、基準財政需要額では少し下目に見ているんだ、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/23
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024・柴田護
○柴田政府委員 その問題もございますし、測定単位の測定のしかた、いわば技術上の問題で、画一的な算定をとりますために、非常に行き過ぎるところが出てまいったり、行き足らないところが出てまいったり、でこぼこが非常に激しくなる。激しくなると、そこに乱給問題というものも起こってくるおそれがある。したがってやや下目に押えておいて、いわば実績精算主義といいますか、それを特別交付税の操作を通じてやっていく、こういう形でございます。したがいまして、普通交付税と特別交付税を入れますと、大体国庫負担金に見合う地方負担の額というものが満度に見られる、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/24
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025・細谷治嘉
○細谷委員 地方負担額については、普通交付税でやや下目に見て、特交で満度に見るというおことばのようでございます。
ところで具体的にお尋ねいたしますが、三十八年度の炭鉱所在市町村の生活保護費関係が大体において百二十三億円程度と見込まれております。これを三十五年と比べますと、二六〇くらいの指数になっております。ところでこれに対する所在市町村、市なり県でございますけれども、負担は二十二億円ということになります。二十二億円のほかに、これは事業費でありますから、そのほかに事務費及び人件費というのが相当ございまして、それが約六億五千八百万程度でございます。ところで、基準財政需要額として見られた数字を差し引きますと、約九億円程度というのは普通交付税で見られない地元の負担額でございます。いまおことばにございましたが、特別交付税でこの九億円は全部満度に見る、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/25
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026・柴田護
○柴田政府委員 お話のケースにつきましては、資料をちょっと持ち合わせておりませんので、精査いたしませんとわかりませんけれども、私が先ほど来申し上げておりますことは、生活保護費中の扶助費の問題を申し上げておるのであります。したがって事務費の問題につきましては、要するに人件費等でございますので、これは満度に見ているわけではない。これは要するに、一定の交付税の算定基準に従って普通交付税で見ていく、こういう形になっております。実際に地方が困っておりますのは、扶助費の問題でございます。扶助費の問題につきましては、先ほど来申し上げましたような算定方法をとって、いわば義務費的な扱いをしておる。したがってその点につきましては市町村が困らないように措置していく、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/26
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027・細谷治嘉
○細谷委員 扶助費のことなんだ、事務費等は除くんだということでございますけれども、こういう多発地帯は、厚生省のほうからは八十ケースに一人必ずケースワーカーを置きなさい、こういう基準が設けられております。基準どおり置きませんと保護行政ができませんし、厚生省のおっしゃるまでもなく、市町村は的確なケースワーカーの数を確保して的確な行政をやろう、こういうことでつとめておりますけれども、ところがその事務費は、三十八年度においては大体において市の負担額は六億六千万程度あるにかかわらず、基準財政需要額に算入された分は四億九千万、差引一億七千万円というものは見ておらないのです。そうなってまいりますと、端的にいいますと、これは普通交付税の算定の問題、あるいは特別交付税の算定の問題になりますけれども、いまのところ三分の二という密度補正がかかってきている。多ければ多いほど職員を雇わなければならぬ。その穴というものはどんどん広がってくる、こういう実情でございまして、生活保護をやる以上は、扶助費だけではいけません。事務職員をやらなければいけません。適正にやるには、厚生省が示した八十ケースに一人。今日は炭鉱は非常にむずかしいのですから、もっとそれ以上のケースワーカーを置かなければできないという現状にございます。
そこで一つ具体的にお尋ねいたしますが、ある筑豊の市のことでありますけれども、わずか五億円ぐらいの予算の中で、二億二千五百万円というのが生活扶助の事務費を除いた決算見込み額でございます。ところで、そこの市の負担額は五千二百三十三万円でございます。ところで、交付税で見てもらったのは三千二百十五万円。結局、市の負担額の六一・五%程度でございます。残りは、二千二十万円ぐらいというのが市の負担になる。これは全部特交で補てんしていただけましょうか。事務費が入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/27
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028・山本悟
○山本説明員 ただいま某市の例をお引きいただきまして御指摘になったわけでございますが、先生先ほどおっしゃいましたように、補正をいたします際に、普通交付税といたしましては、生活保護者の数、その他被扶助者の数というものが、すべてどうしても前年の数字がほぼ基礎になってまいるわけでございます。こういうような都市におきましては、その後におきましてもどんどんこういう対象者がふえてくるというような事情がございまして、どうしても年間の普通交付税としてはずれが出てくるというような結果にもなっておると思います。先ほど局長が御答弁申し上げましたように、炭鉱地帯におきましてかような数字が出ました際には、特別交付税におきまして、その数字自体の基礎はいささか——私も現在持っておりませんが、考え方といたしましては、国庫負担の対象になりました事業費から負担金を引きました残る基準財政需要額の差額は、満度特交によりまして確保する、こういうような考え方をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/28
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029・細谷治嘉
○細谷委員 いま筑豊のある市の実例を申し上げましたが、基準額の範囲内においては満度見るということでありますから、残りの全額というものは特別交付税で補てんされる、こういうふうに、私は理解してこの問題を終わりますが、ただもっと突っ込んでいいますと、これは特交で見たからいいということではなくて、これはもう毎月毎月きちんと現金で払わなければいかぬ。たいへんなことなんです。あとで見てもらっても、市町村はやりくりできない、こういう現況にございます。したがってこれは、いま提案されております交付税の法律に関連した予算について議論しなければなりませんけれども、むしろこういうものは、人口による単位費用ではなくて、実際の保護人員を基礎にした単位費用をきめて、的確に一〇〇%にする、こういうことが炭鉱市町村を救う一つの手がかりではないか、こういうふうに思いますので、こういう点はその節またお願いいたしますが、特に御配慮を願いたい、こう思っております。
次に、お尋ねいたしたいことは、炭鉱には失業者がたくさんおります。私の住んでおる福岡県を例にとりますと、昭和三十年には十四万五千人の炭鉱労働者がおったのでありますけれども、現在は四万人しかおりません。とにかく七年か八年のうちに十万人減っておる、こういう現況でございます。そうなりますと、必然的に失業対策事業なり、あるいは緊就事業、こういうものがふえてまいります。この失業対策事業についてお尋ねしたい点は、生活保護と同様に基準額だけ満度に見るという考えなのか。もっと実態として、それに伴ういろいろな事業費でも、やむを得ない——夏期手当とかなんとかいうことについては、あるいは御意見があろうかと思います。そういう問題とは別に、事業推進上必要な事務費あるいは職員の人件費、こういうものを計算いたしますと、普通交付税で見られない莫大な金額でございます。先ほど申し上げました五十億の財政欠陥のうち、約十億円程度というのはやはり交付税で見ておらない金額でございます。こういう点についてどうお考えなのか。
次に、緊就事業という石炭の合理化政策に関連して出た問題がございます。これは普通交付税の段階においては算入されません。そして特交で見るというような形でありますけれども、これには起債もありまして、元利償還等がございます。これは法律が時限立法ということでありますけれども、交付税の単位費用にも織り込んでおらぬということは、きわめて不十分な交付税制度の一端をあらわしているんじゃないかと思います。
この二点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/29
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030・柴田護
○柴田政府委員 失業対策事業費につきましては、今日におきますその事業の持ちます性格上、先ほど申し上げましたような生活保護と同じ扱いをとっている、同じ扱いで普通交付税をつけまして計算をしておる。
それから炭鉱離職者対策法に基づく緊急就労のものにつきましては、地元負担の六〇%を地方債で、あとの四〇%を特別交付税で見ておる、こういうやり方をしておるわけであります。緊就対策事業費の地方負担について六割は地方債で見る、四割は特別交付税で見る、こういうやり方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/30
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031・細谷治嘉
○細谷委員 六割を地方債で見て、四割は特別交付税で見るということでありますが、その六割の地方債の元利償還についてはどういう御方針をおとりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/31
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032・柴田護
○柴田政府委員 これは一つの事業でありまして、ものが残るわけであります。したがって事業の結果が残るわけでありますが、一種の災害対策事業という考え方に立っておるわけであります。したがって、単独災害につきまして地方交付税の算定で、元利償還金の二八・五%というものを見ておるわけであります。これと同じ扱いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/32
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033・細谷治嘉
○細谷委員 いまのおことばの中で、産炭地の立場から見ますと、重要なことばが入っておるわけです。事業が残る、だから負担しろという思想ですね。一体ああいう産炭地の合理化、これは市町村の意思ではありません。国の経済政策から出ているものなのです。そういうものから所在市町村はあおりを食っておるわけです。そのあおりを食って市町村はこういう事業をやりたいということでなくて、やむにやまれず緊就事業というのを消化している。それは確かに残るでしょう。残りましょうけれども、炭鉱市町村に行って、緊就事業がきたから——むろん仕事は残るでしょう。しかし道路がよくなったということは聞きません。そういうことからいって、炭鉱市町村については事業が残るじゃないかという思想、これは大蔵省的な考えであって、自治省がそうおっしゃるのは、やはり炭鉱市町村に対する御理解、認識が十分ではないと思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/33
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034・柴田護
○柴田政府委員 一般の単独災害復旧事業も同じ考え方であります。炭鉱市町村につきましては、先生のおっしゃるような気持ちを十分くんで、したがって全部を起債で見て、それを元利償還金の二八・五%を交付税で見ていくというやり方は変えて、地元負担の四割だけは特別交付税でそのものずばりで見ていく、こういうことを考えておりまして、私どもといたしましては、事業の性格に炭鉱の地元市町村財政の状況も勘案しまして、その辺のところは十分炭鉱市町村の実態に即した処置をやっているこういうつもりでございます。言いかえますならば、一般の単独災害とは違う扱いをして、もっと手厚いやり方をしている、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/34
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035・細谷治嘉
○細谷委員 炭鉱については、一般と違った取り扱いをしておるというおことばでございますが ぜひ実情を十分御理解いただいて、普通交付税で十分見る、見られないものについてはやはり特別交付税で見るというようにする方針をぜひひとつ貫いていただきたい、こう思っております。
そこでお尋ねいたしたい点は、炭鉱の閉廃山というものに伴って上水道の問題、住宅の問題、あるいは保育所の問題、いろいろな問題が出ておりますが、こういう問題について普通交付税なり特別交付税ではどういうふうに取り扱いをしようとなさっておるのか、お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/35
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036・柴田護
○柴田政府委員 炭鉱市町村のいわゆる閉廃山に伴います水道問題につきましては、これはその水道に関連します地方負担は全額地方債で充てる、こういう考え方をとってまいっております。これは簡易水道でございますが、そのほか住宅問題、固定資産税問題いろいろあるわけでございますが、鉱山労務者住宅の固定資産税、これにつきましては固定資産税の減免通達が出ております。この減免に相当する基準税額相当額は特別交付税で見ていく、そういうやり方をいたしております。なお、その他もろもろの、炭鉱につきましては、いろいろそういうもののつかめない、つまりこまごました査定を一々加えていくという形をとり得ないような財政事情もあるわけであります。また具体的には、こういう算定方法でつかみ得ない財政事情もある、さようなことを考えまして、石炭の鉱産税の基準税額の一定割合あるいは炭鉱離職者数に一定金額をかけたものといったものを、石炭関係の鉱業市町村であることによる財政需要の増高あるいは財政収入の減少ということで、一般的に、包括的に見てそういう姿をとってまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/36
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037・細谷治嘉
○細谷委員 いまおっしゃったように特別交付税の網にひっかからないものが炭鉱閉廃山等に伴う特別財政需要額、あるいは上水道の問題あるいはその買い上げ、維持修理、こういうような問題、あるいは電灯の問題、住宅の問題あるいは厚生年金の転貸債の償還不能の肩がわり、あるいは汚水が流入したとか無権者のボタ山がくずれた、こういうものだけで三十八年度に四億円の交付税にかからない支出が炭鉱市町村に起こっております。それから内職あっせんとかもろもろのあっせんとか、あるいは巡回相談その他法外の負担、就職赴任の見舞金、そういうもので文字どおり交付税にひっかからないものについて、三十八年度において総額約十億円ございます。これについてせんだっての川村委員の御質問に対して局長のお答えでは、特別な財政需要はつかみにくいので、基準財政需要額等に一定のファクターというものを考慮して、効果的に配分をしているんだ、こういうことでございますが、今年度のことについては言えないというのですから、過去にどういうことをなさったのか、具体的にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/37
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038・柴田護
○柴田政府委員 過去におきましては、先ほど申しましたように、石炭の鉱産税の基準税額の一割あるいは炭鉱離職者数に四、五千円の基準額をかけて包括的に総額を計算する、これを包括的に配っておる、こういう状況であります。
なお基準財政需要額に漏れたものが十億あるというお話でございますが、これは計数は少し念査をする必要があろうかと思いますけれども、炭鉱市町村の実態の中でもう少しうまいやり方があったのじやないか、もう少しうまいやり方をすれば、そんなに苦しまなくて済んだのにというようなことも、私のところにお見えになってお話をしているうちに、どうしてそういうことになったのか、少し相談をしてくれればやる方法があったのにというようなこともあるわけであります。その辺のところはあるいは財政運営の指導といいますか、援助のしかたといいますか、いわゆる技術的な援助のしかたがまだ足りぬところがあるなという感じを実は私個人も持ったことがございます。したがって出さなくてもいい財政需要が出てきているという面も全然なきにしもあらず、つまり現実の財政需要額はこうでございますけれども、やりようによってはもう少しうまい手があったというものを、むざむざと——むざむざというと語弊がありますけれども、出してしまうというような羽目に追い込まれていくということがある。その辺のところは将来問題として、もう少しその辺のやり方等についてきめのこまかい指導をしなければいけないんじゃないかというふうに感じているわけでございまますが、いままでのやり方は、そういうものを突っ込みにしまして、いま申し上げましたような方法で包括的にこまごましたつかめない財政需要に対して対処をする方法をとってきた、このいうことでございます。現実問題といたしましては、やはり大きなものだけいわばルール的な計算をしてまいりましても、どうしてもそういうものが残ってまいります。こういうものに対しましては、やはりそういうようなやり方をする以外には交付税の算定としてはしようがないじやないか、こういう感じを持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/38
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039・細谷治嘉
○細谷委員 どうしても交付税の中に算入されないような数字、私がいま申し上げた十億円というのは、厳密に申し上げますと九億八千五百万円というのが、炭鉱市町村が精査した数字でございます。これに対して、もっとやり方がよければこんなに金が要らなかったのじやないか、こうおつしゃいますけれども、炭鉱市町村は金がないわけですから、局長さんがお考えになっている以上にさいふのひもはかたいのです、ないのですから。ですからやむにやまれずやったということでございまして、決してむだづかいなどするような、そういう余裕のあるところではございません。こういう点もよくお考えいただきたい。
そこでそういう算定しにくいもの、あるいは生活保護や失対の基準領の交付税で見残りの額、満度額というたてまえで見ていった総額が、炭鉱市町村という形で、離職者一人当たり四千円とかなんとかかけて出た数字が、三十六年度に十億円程度、三十七年度には十五億円程度、当時見たというお話を承っておりますが、そのとおり理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/39
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040・柴田護
○柴田政府委員 そうではございませんで、そういう意味合いで出す金は、三十六年度は一億ちょっとです。それから三十七年度は二億三千万程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/40
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041・細谷治嘉
○細谷委員 二億三千万程度というのは、私が申し上げた九億八千五百万円というものから比べますと、焼け石に水ということばは適切ではありませんけれども、炭鉱市町村にとってはどうにもならない特別交付税の特別見ていただいた額、こういうように理解せざるを得ませんが、今年度はどういうふうになさるお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/41
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042・柴田護
○柴田政府委員 それは焼け石に水であるかどうかという問題は、もう少し厳密に考えていかなければいかぬのじゃないかと実は思います。それは普通交付税の中にもやはり包括的な経費の見方をしているところがあるわけでございます。その中にどれだけ入っているか、差引計算をしなければいかぬ。こまかいことを申し上げますれば、そういう普通交付税の中にも、ちりぢりばらばらにかみ砕いて、これがああだ、これがこうだということになってしまっていくわけでございますので、抜き出しました額が普通交付税と無縁でないのでございます。そういう意味で、おっしゃいました十億そのものがのるかのらぬかということになってまいりますと、いろいろ議論があろうかと思います。しかし二億程度の包括的な見方というものが不十分じゃないかと言われれば、私どもは十分とは考えておりません。しかしそのほかにも、たとえばいまのボタ山に伴う災害とか、ボタ山がくずれたというような問題、あるいは比較的まとまってつかみやすい金というものにつきましては、それはそういう包括算入とは別の考え、たとえば炭鉱について特別災害があったという場合、それは全然別のもので、そのものずばりで見ていく。そのものずばりで見られないようなものを込みにしまして、いま申し上げましたような方法で包括的にやっていくわけでございます。したがって項目的に見ますならば、炭鉱市町村に対しましていろいろ必要な財政需要について計算いたしました特別交付税の中身の中に、いま申し上げました包括的な見方のほかに、その他というものがあるわけであります。その他というものは何かと言いますと、そういったそのものずばりつかめるものがやはり三十七年度で二億程度あるわけでございます。したがって、あのワク内におきましては、私どもといたしましては、財政需要は無限でございますから、幾ら見ても切りがないわけでございますので、決して十分だとは言いませんけれども、三十七年度につきましては、まあまあ力の出し得る範囲のものを見てきたのじゃなかろうか。しかし、もちろん十分でございませんから、この前の委員会でございましたか申し上げましたように、三十八年度につきましてもやはり大きな項目として、重点的に見ていかなければならぬということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/42
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043・細谷治嘉
○細谷委員 私が先ほど来申し上げております普通交付税で現実に見ていない数字というものは、百二十の炭鉱市町村に約五十億円ということを申し上げております。これは洗いざらいこの中に書いてあるわけですから、私はそれを信用して申し上げておるわけですから、そういう中で特別交付税のルールで計算できるもの、ルールにのらないものがあるので、それを見なければいかぬということであります。これはもう災害以上の深刻な問題が、住民にとって、市町村財政にとって起こっておる。それで残念ながら今日の振興対策では、かりそめにも、ことばは適切ではありませんけれども、焼けぶとりとか、水害ぶとりというような要件なんか一つもない。先行きまっ暗、こういうような現況でございますから、普通交付税で見ていらっしゃらないものについては、全部についてやはり満度に近く、満度とは申しません。満度に近くやはり見ていかなければ、炭鉱市町村というものが救われないのじゃないか。現実にそれを指導する自治省としても、まことに困った事態ではないか、こう私は思います。そういうことからいって、十分な措置ができるから、百三十七億円は翌年度に繰り越すのだ、こういうことでございますけれども、私は、あとで豪雪対策というような問題もございますけれども、やはり百三十七億というものをまるまる翌年度に送らないで、今日、あすのない炭鉱市町村の行財政の確立へ、前向きの方向で解決してやる必要があるのではないかと思いますが、これについてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/43
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044・柴田護
○柴田政府委員 百三十億の繰り越しにつきましては、地方財政の計画的運営という立場から考えまして、いろいろ今年度の財政、来年度の財政というものを彼此検討いたしました結果、この際は繰り越すことが適当だという判断に立ったわけでございます。そのうちの要因の一つに、本年度の地方財政につきましての計画的運営という立場からの必要財源というものが、一応満たされるであろうという判断をしておるわけでございます。もちろん財政需要は、これは数限りなくありますし、今日のように公共投資の充実が叫ばれております現状におきましては、幾ら金があっても足りない、こういう現状だと私は思うのであります。しかしそれを今日普通交付税のルールでもってのせていくということになってまいりますと、普通交付税の算定方式との関連におきましていろいろ問題が出てまいる。計画的な運営を保障するという点からいろいろと問題が出てまいりますのと、また技術的にも時間的にもなかなかむずかしい。こういうような判断から今回はこういう措置をとろうとしたのでありまして、その辺のところは十分御了承いただきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/44
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045・細谷治嘉
○細谷委員 財政需要というのは、行政水準引き上げのためには無限だ、そうでしょう。しかしそういう考えを炭鉱市町村に適用するところに根本的な誤りがあるのではないか。
先ほど来申し上げましたように、入ってくる税収と国からの地方交付税と、こういう一般財源だけを生活保護と失業対策事業と緊就事業につぎ込んだら何もないのです。それが炭鉱市町村の実態です。行政水準の向上なんということは、文字どおり夢のようなことなんです。ですから問題は、需要は無限にあるというような一般論ではなくて、今日の置かれておる炭鉱市町村の実情からいって、あすの問題の前にやはり本年度の問題を考えてやるのが自治省の立場であり、また温情ある——温情あるということばは適切ではありませんが、地方自治を育成する前向きの姿勢ではないか、こう私は思いますが、重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/45
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046・柴田護
○柴田政府委員 交付税の問題といたしましては、炭鉱市町村ももちろん大事でありますが、炭鉱市町村だけではなく市町村、府県合わせまして全部で三千幾らの交付税でございます。したがいまして、全体を考えてみましての判断に立ってどうするかということを考えるべきだ、そういう意味から先ほど来申し上げましたような結論に立ったわけであります。
炭鉱市町村につきましては、もちろんその状況は気の毒なものである、財政需要の前に、あるいは財政収入の減少の前に非常に苦しんでおるという事態は、私どもは私どもなりに十分承知しておるつもりであります、その処理は、やはり全体としての大きなワクの中では、私どもはできるだけ措置をしてまいりますけれども、しかしながら地方交付税全体のワクをどう持っていくかという問題は、やはり全地方団体の立場に立って、全地方団体の財政運営という観点に立って考えるべきである。そうして考えた、いろい顧慮いたしました結果、今日の段階におきましては、百三十七億円は来年度に繰り越して、来年度の基準財政需要額の中に含めて計画的に配分していくというほうがベターではないか、こういう結論に達しまして法案を提案いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/46
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047・細谷治嘉
○細谷委員 いまのお答えによりますと、炭鉱市町村の悲惨な実態はわかるけれども、全市町村を対象とした交付税制度の中において、いままでも十分見てきたけれどもこれを完全に生かすことは、やはり全体的な視野に立って計画的に問題を進める以上はできない。したがって別の措置で炭鉱市町村を救う以外に、ない、こういうお考えと思います。
そこでお尋ねいたしたいわけでありますが、せんだって川村委員の、産炭地の今日の実情からいって、地方交付税とは別に産炭地の特別な交付金というものを、たとえば時限的にでもけっこうでございますが、そういうものをやったらどうかという御質問に対しまして、金子政務次官から、御趣旨は賛成だ、こういうお答えがございました。柴田局長からも、地方交付税という制度ではなくて産炭地交付金、これは仮称です。そういう制度の中において今日の産炭地を救わなければいけないというお考えと一致をしたようでありますが、地方交付税で救うことができない、全体的な視野に立った場合にはできないということであるならば、そういう制度をつくるべきであると思います。これについて次官なりあるいは局長からお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/47
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048・柴田護
○柴田政府委員 全体的な視野に立つから、炭鉱市町村の必要財政需要を見切れないという意味ではございませんで、全体の判断をしてまいります場合にどうするか、繰り越すべきか配るべきかという問題につきましては、炭鉱市町村の問題もさることながら、全体としての立場から考えなければいかぬのだ、考えざるを得ないということで申し上げたわけであります。今日の持っております特別交付税のワク内では、もちろん炭鉱市町村の実態はよくわかりますので、そういう意味で極力お話の線に浴って措置をしたいということを申し上げておるわけでございます。お話の、別に特別の交付金のようなものをつくるかという問題とは一応別かと私どもは考えておるわけでございまして、ただお話の特別交付税、普通交付税、そういった市町村財政の問題を離れて産炭地の問題につきまして、特別の何か交付金みたいなものをつくる必要があるかどうかという問題につきましては、私も政務次官から詳しく承っておりませんけれども、事務的にはその内容によっていろいろ考え方があろうと思っておるわけでございます。いろいろ議論が出てまいりましょうけれども、たとえば振興事業をおこすという場合に、何か包括的女援助的な金を出すとかいったような考え方はあるかもしれません。ただ市町村の一般財源というものをいろいろ措置していきます場合に、交付税の問題と別に交付金みたいなものを考えるということにつきましては、いささか問題がありはしないか、さように思うのであります。つまり産炭地の特殊の財政事情に対して対処するために、つまり
一般の地方財政のレベルと違ったものに対して国がこれを援助する、あるいはこれに対して国も積極的に関心を示すという意味合いにおける特別の交付金ということは考えられないことはないだろう、しかし地方財政の全体のレベルの中で考えられるべき問題については、やはり地方財政全体の問題の中で考えられるべきであるというふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/48
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049・細谷治嘉
○細谷委員 いまの地方交付税というのは、できるだけのことは産炭地に配付したけれども、やはり全体的な地方団体という原則というのはくずせない。したがって先ほど来私が質問したように、産炭地の現実の実情というものを、満配に近く、現在の地方交付税制度でそれを全部カバーするということはできない。したがって、そういう制度についても、内容については問題があろうけれども、検討の余地があるのではないかというおことばだと思います。
政務次官に御質問いたしますが、せんだって川村委員に対して趣旨同感と言いましたが、いま財政局長もそういうことでありますが、重ねてひとつ次官の御所信を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/49
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050・金子岩三
○金子政府委員 ただいま局長から、政務次官から話を聞いていないからというお話をしておりましたが、ただ普通交付税、特別交付税でなくして、特別に産炭地だけに財源のてこ入れする特別な方法を講じたらどうかということは、川村先生の御意見であったのでございまして、私は趣旨に大いに賛成でございますということを申し上げたので、局長も少しその点勘違いしておったようでございます。先般も川村先生に申し上げましたとおり、産炭地が非常に悲惨な状態にあるということは私もよく承知いたしておりますので、起債あるいは普通交付税あるいは特別交付税、そういった方面で、あらゆる措置を産炭地市町村には現在とっておるわけでございます。それでも非常に気の毒な市村町があるので、ひとつこの上ともわれわれは大いに政治的な配慮をめぐらして、御趣旨に沿うように努力いたしたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/50
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051・細谷治嘉
○細谷委員 産炭地の悲惨な状態というものは県の段階にも起こっておりますが、文字どおり区域が狭くて、産業構造から言っても石炭のみにたよっておる区域は全くの弾力性がない、こういう現状でございます。したがって従来もあるいは今日の段階においても、普通交付税でない特別交付税で十分見ていった。しかしお言葉にありますように、次官も、全体的な視野に立つ交付税の中では救い得ない要件というものがある、こういうことは御確認いただいたようでありますが、これをほっておくわけにはいきませんので、ぜひその産炭地に対する、時限的な方法でもけっこうでありますが、そういう制度をひとつ確立していただくように、格別の努力を心からお願いをいたしたいと思います。と同時に、目前に迫っております特別交付税の決定ということも産炭地市町村にとっては、これは起死回生の妙薬ほどではないのです。もう末期の水などということでは困るけれども、とにかくこれは一体どうなるのかという深刻な問題にきております。それをもらったからといって、重病人が回復に向かうというものではありません。しかし回復の希望というものは、この特別交付税から生まれたのだというくらいなことはぜひひとつやっていただかなければならぬ当面の措置ではないかと私は思います。そういう点で、この特例法についても、何もかにも全部やるということではなくて、今回の問題としてはそういう点を配慮した制度の問題があとに残りますから、そういう問題を特に配慮して、この百三十七億円の問題についても具体的にお考えいただくことが、今日の産炭地市町村を救うゆえんではないか、こういうふうに私は思いますので、そういう点を特に私は申し上げまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/51
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052・川村継義
○川村委員 いまの細谷委員の質問応答に関連して、ほんの一言お聞きしておきます。
いまの質疑応答の中で明らかになりましたような考え方で、昭和三十七年度の場合、産炭地市町村についての特別交付税の処置をなさったようであります。その項目は、たとえばいま論議の中にも出てまいりましたように、生活保護費の問題、一失業対策賢の問題、炭鉱離職者の問題、それから準要保護児童生徒の問題、鉱害対策の問題等に処置してもらったようでありますが、それらの処置のほかに、いま一つ措置なさったものの中に鉱害市町村の諸対策費というものを、特別交付税で手当てしてもらったようであります。その鉱害市町村の諸対策費というものの特別交付税配付についての基準と言いましょうか、どういう考え方でなさったのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/52
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053・柴田護
○柴田政府委員 先ほど組谷委員の御質問の中で、実はお答えしたつもりでございましたが、要するに大きく抜き出して、ある程度計算方式を統一していける、また基数もつかみ得るといったようなものにつきましては、いま川村委員の御質問がありましたような特記して計算をしておるわけでありますが、そのほかに細谷委員の御質問にございましたように、なかなかつかめない、いろいろなものがある。そういうもろもろの問題を、いわゆる鉱業市町村の必要財政需要額ということで包括的に見ておる、こういう見方をしておるわけであります。その方法は、先ほど申し上げましたように、三十七年度の場合は鉱産税の基準税額の一割、それから炭鉱離職者数に対しての一定の金額をかけて配分する、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/53
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054・川村継義
○川村委員 いま一つお聞かせいただきたいと思いますが、産炭地振興特別措置法のいわゆる六条指定の市町村が仕事をやる場合に、国庫が半分見る、残った地方負担分については起債と特交で見てやる、こういうようなことを聞いた記憶がありますが、そのとおりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/54
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055・柴田護
○柴田政府委員 産炭地振興法に基づく減税について、一定の方法で税の減免額というのを必要財政需要として、つまり基準財政収入額の減ということでもって補てんしているということでやっておりますが、特に産炭地の事業について必要なものにつきましては起債を見ていくわけでございますが、特に交付税の配分にあたりまして起債との関連をつけて見ていくということはちょっと私承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/55
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056・川村継義
○川村委員 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/56
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057・森田重次郎
○森田委員長 佐野憲治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/57
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058・佐野憲治
○佐野委員 先般被害を見ております岩手県の北部海岸並びに青森県、それらの雪害対策についてお伺いいたしたいのです。一つ確かめておきたいのでまずお聞きいたしたい点は、三十八年度の普通交付税の総額が五千四百四十九億円、そのうちに寒冷積雪補正、特に積雪度による補正額が県並びに市町村幾らぐらいになっておるかを知らせていただきたいと思います。と同時に特別交付税三百六十三億、これは十二月の末をもって一応締め切られて、二月の末時に配分される、こういうことになっておりますので、この作業は一体どういう状況になっておるか、この点をまずお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/58
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059・柴田護
○柴田政府委員 前段の御質問につきましては、交付税課長から後刻お答え申し上げます。
後段の交付税の作業でございますが、一応十二月ごろの資料でもってその年度の大体の財政状況をつかむということで、算定の資料はそのころの資料を使っておりますが、年を越しましてからも交付税の最終決定をいたす前に災害等がございました場合におきましては、災害復旧事業費につきましては年計算でございますので翌年度の事業になる、つまり三十九年起りました災害につきましては、三十八年度でございましてもそのほとんどが三十九年度の災害復旧事業費として始末がされる。しかし災害に伴います応急のもろもろの処置費等があるわけで、そういうものにつきましては最終の作業に間に合います限り含めていくという措置をとっております。昨年も豪雪災害につきましては、そういう意味合いで豪雪に伴います災害復旧事業費については、三十八年度、つまり本年度に持ち越されましたものも相当ございますが、雪害の対策費といたしましては三十八年の特別交付税の配分の際にそのほとんどを措置いたしたわけでございます。なお現在まだ作業中でございまして、最終段階にまでまいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/59
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060・山本悟
○山本説明員 普通交付税の積算上寒冷補正によりまして増額している経費でございますが、そのうち積雪度について申し上げますと県分約十一億、市町村分で約十億この補正によりまして基準財政需要額の増加をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/60
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061・佐野憲治
○佐野委員 そうしますと三十七年度は県分が七億二千二百万円、市町村分が十七億二千二百万円、二十四億円であったわけですね。三十八年度は、いまおっしゃられるのは三十億円ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/61
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062・山本悟
○山本説明員 積雪度によります県分だけ手元にいま正確な資料を持っておりますので、積雪度による増加額は十一億でございます。市町村分は手元にいま資料がございませんので、私の記憶で申し上げたわけでありますが、約十五、六億基準財政需要額を増加さしていたと思います。ちょっといま手元に市町村分の正確な資料を持っておりませんので、恐縮でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/62
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063・佐野憲治
○佐野委員 どうも話がおかしい。昨年は市町村分が十七億二千万円、ことしは十五、六億円だと逆に少なくなってくる。まあそれはいいとして、次に昨年度の豪雪の結果制定された「豪雪に際して地方公共団体が行なう公共の施設の除雪事業に要する費用の補助に関する特別措置法」これは相当政令にゆだねられておるわけです。その豪雪は政令で指定する、こういうことになっておるわけですが、政令は一体どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/63
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064・山本悟
○山本説明員 御指摘の法律はたしか企画庁の主管であったと思いますので、正確に記憶をいたしておりませんが、地域指定につきまして、県指定あるいは町村の指定ということでいろいろ議論した記憶がございますので、指定になっているのではないかと存じます。ちょっと正確には、主管でございませんので記憶しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/64
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065・佐野憲治
○佐野委員 学校その他公共施設で、政令で定める除雪事業、この政令が出ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/65
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066・柴田護
○柴田政府委員 正確な意味合いにおきまして私どもの所管でございませんのではっきり承知しておりませんが、おそらくは出ておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/66
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067・佐野憲治
○佐野委員 どうもおかしいですね。そこで提案理由の中にも、地方公共団体の財政事情を勘案し、特に必要とすると認めたときに、当該除雪事業に要する費用は、政令の定めるところにより、二分の一の補助をする、こういうことになっておるのですが、その大事な地方公共団体の財政事情を勘案し特に必要のある場合、こういう規定があるわけですが、皆さんは所管外で知らないとおっしゃられるのはおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/67
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068・柴田護
○柴田政府委員 私どもの所管でございませんので、あまりはっきりしたことは承知いたしておりません。なお調べまして、後刻申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/68
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069・佐野憲治
○佐野委員 岩手県の問題を後ほど聞くための前提として聞きたいと思ってお尋ねしたのですが、そういうように現実の地方財政に重大な影響を及ぼしておる。またそのためにこの法律ができたと思うのです。その中で、特に地方公共団体の財政事情というのは、やはり特別立法をした趣旨にもなるのに、経済企画庁の担当と言われるのはおかしいと思うのです。それはそれとして、次の雪寒道路法、積雪寒冷地帯に関する特別立法、道路交通確保に関する法律、この雪寒法、昨年の豪雪の際もいろいろ討議された中で、指定路線を拡大する、並びに雪害による路面損傷、災害復旧程度までいかない路面損傷というのも非常に財政を圧迫してきているが、これに適用する法律がない。これに対して一体どうするのかという質問に対して、建設省、自治省が十分検討を加えて措置をとる、こういうことを言明しておられるのですが、これは一体どういうぐあいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/69
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070・柴田護
○柴田政府委員 お話しの点は建設省が所管のことでございますが、これも建設省からお話しがあると思いますが、現在のところまだ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/70
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071・佐野憲治
○佐野委員 しかし、明年度の地方財政計画ができておる。交付税の単位費用にも一部訂正が加えられておるというときに、雪寒道路法による路線指定を、現在三万一千キロある全路線に対して、七千キロしか指定していない。こういう問題がいろいろ討議されたと思うのです。だから、これを拡大をする、市町村等にもこれを適用したい、そのための準備を自治省と行なうのだという約束が一つと、もう一つは、いま申し上げました路面損傷に対していかなる措置をとるか。そのことを具体的に、三十八年度より進めるのだ、三十九年度から新しい措置をとりたい、こういうのに対して何ら連絡がないというのはどういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/71
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072・柴田護
○柴田政府委員 その問題は、全道路費の問題というよりか、やはり特殊の道路、積寒地帯の道路の問題だろうと思うのです。私どもが単位費用を組みます場合に、公共事業費等につきましては国庫負担金の額が出ております。それに対して負担率を乗じますれば、地方負担額が出てまいるわけであります。したがって、それを基準財政需要額の中に単位費用に置き直して入れてまいるわけであります。したがいまして、お話しの問題につきましては、むしろ補正係数の場合にどう考えるか、積雪寒冷の補正を手直しいたします場合に、どう考えるかといったような問題かと思うのでありまして、いずれそのうちに、建設省もおそらく話を持ってくると思います。そうしますと、その積寒補正をどうするかという問題につきまして、それを織り込んでいくことになろうかと思います。私ども法案が幸いにして成立いたしますれば、補正係数の作業に入るわけでございます。その節十分検討してまいりたいと思っておりますし、あまり話がなければ私どものほうから積極的に連絡をとります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/72
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073・佐野憲治
○佐野委員 法律によるのではなくして、政令によって大臣が討議をして決定すればよいわけなんです。ですから、そういう路面の拡張を行ないたい、あるいは通学のため、あるいはまた学校関係、あるいは公共施設の除雪その他にも影響してくるでしょうけれども、それらのものは、先ほども申し上げました法と関連して豪雪対策として論議された問題ですが、委員会だけの論議になって、その後両省の中でちっとも進んでいないのは遺憾だと思うのです。
冒頭に戻りまして、岩手県の北部海岸並びに青森県を襲った豪雪、これに対して一体どういうぐあいに把握しておられるか、あるいはまた、どんな報告がなされているか、これに対して自治省としてはどういう措置をとってこられたか、この点について経過を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/73
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074・柴田護
○柴田政府委員 現在実は実態把握につとめておりまして、関係県につきまして早く実態を教えてくれという連絡をいたしておりますし、また、警察あるいは建設省等関係省庁に対しましても具体的なデータを求めておるわけでございます。私どもが今日まで承知しておりますところでは、青森県の速報によりますと、青森県におきましては、公共土木施設災害、この応急対策事業費の見込み額を二億四、五千万円と見ておりまして、本年度分として一般財源所要額が二千万円程度という報告がございました。除雪経費につきましては、市町村分のことはよくわかりませんが、県分の除雪経費が約八百万円程度。また岩手県からの連絡では、応急対策費が、県分、市町村分を合わせまして大体六千万円程度、県分の除雪費が四、五千万円。市町村の除雪費につきましては、現在わかっておりません。その程度の情報が入っておりまして、私どもは課税の決定を急いでおります関係上、早く基礎データを集めようといたしまして、目下関係各省あるいは関係県を通じましてその資料の収集につとめております段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/74
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075・佐野憲治
○佐野委員 岩手県のほうからは相当詳しく出ておるじゃないかと思うのです。きょうの午後から開かれる災害対策特別委員会にいろいろ陳情を行なうということもお聞きしておるので、いろいろな問題は災害対策特別委員会で検討されるでしょうけれども、自治省関係として、そういう事態に対してまだ真相を把握されていないというのでは……。と同時に、交付税等の繰り上げ支給その他の措置をとられておるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/75
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076・柴田護
○柴田政府委員 交付税の繰り上げ支給の問題は、第二次補正予算に伴います決定を行ないましたので、大体きょう追加分の金額が行くと思いますから特に繰り上げ措置をとる必要はないと考えております。
それから、実情把握でございますが、私どもは、災害の規模その他の問題よりか、幾ら金がかかのだ、幾ら災害復旧費が要るのだということが中心でございますので、それを中心にして資料の収集に当たっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/76
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077・佐野憲治
○佐野委員 災害救助法適用の市町村は幾つくらいにわたっているか。現在なお孤立状態にある市町村、この数がわかっておったら知らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/77
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078・柴田護
○柴田政府委員 まだ私どもの手元には明確な資料が出てまいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/78
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079・佐野憲治
○佐野委員 当然いつの災害でもとられる措置なんですけれども、税の減免あるいはこれに対する申告の猶予、これらの特例措置ですね、あるいはまた、税源の補てんに対する対策、こういうことに対しては、現在のところどういう考え方を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/79
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080・柴田護
○柴田政府委員 税の減免等につきましては、すでに御承知のように災害に際しての税の減免の取り扱い通達が出ております。それに従いまして、例年地方公共団体は必要な措置をとっておるわけでございます。特にこのためにどうこうということはいたしません。いままでもさようでございますし、今回もその必要はないと思います。
なお、災害復旧なり、応急なりの対策事業に対する経費につきましては、地方団体の状況を考えますと、必要額は、応急対策費等につきましては現在作業いたしております特別交付税でみていきたい。それから、その災害復旧事業費等につきましては、先ほどお話し申し上げましたように査定その他の事務的手続等の関係もありまして、大体新年度の事業費になるかと思うのであります。したがいまして、それにつきましては事業がきまり次第必要な措置をとっていく。つまり災害復旧費でございますので、大体起債でございますが、起債を認めるという措置をとっていきたい。つまり言いかえますならば、復旧事業費以外のものにつきましては、できるだけ今回の特別交付税で措置をいたしたい。そういうつもりで資料を現在収集しておる、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/80
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081・佐野憲治
○佐野委員 昨年の豪雪のときもいろいろ問題が現地に起こっておったわけなんです。行政管理庁の出先機関が、一せいに行政監査をやった結果として指摘されているのは、それらの地帯における県の防災計画なり、町村防災計画がほとんど実情に即していない。あるいはまだ立てられていない、いろいろな点を指摘されておったのです。これに対する行政機関の指導も全くばらばらだと思うのです。それから税の減免その他の措置につきましても、そんなことはわかっておるじゃないか。昭和二十八年十二月三十一日に事務次官通達でやっておるじゃないか。それを参考にすればいいんだというようなことではあまりにも不親切じゃないか。現地においては交通は途絶しておる、小学校は休校しておる。生活物資を送るにも部落は孤立してしまっておる。その中に二メートル、三メートルの雪が降り続いておるという中における現地の混乱というものはたいへんだろうと思うのです。そういう中で皆さんのほうとしては、県が出した災害基本法による防災計画が一体どうだったんだろうか。現地の発生しておる事態をどういうふうに処置されておるか、こういう点を検討、あるいは防災に対するところの把握された面がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/81
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082・柴田護
○柴田政府委員 直接私の所管ではございませんので、詳細にお答え申し上げかねるかと思いますけれども、いろいろ防災対策その他災害の応旧措置等につきまして、昨年の豪雪の場合に遺憾な点があったということは、私も聞いておりますし、またその実情の一端も承知いたしております。いずれそういった問題につきまして、今度の雪害につきましても同じ問題を検討すべき必要があると思いますけれども、現在のところでは、まだ県もその対策に忙殺されておりまして、そこまで検討して、どうこうという段階まで至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/82
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083・佐野憲治
○佐野委員 前年の教訓が少しも生かされていない。そうしてまた、局部的にしろ、豪雪のために大きな混乱、並びに地方行政と財政の面からも非常に大きな負担、それに対するところのいろいろな問題点が出てきておるということは、非常に遺憾だと思うのです。
そこでお尋ねいたしますのは、一体これらの豪雪地帯のみならず、一般の積雪地帯に対して、今年度の交付税による補正総額が、現在の皆さんのほうでは把握しておられないのですか。その補正額が現実の財政需要と合致しておるかどうか、この点に対してどうお考えになっておるか。
もう一つは、岩手県に現に起こっている財政需要に対してどういう措置をおとりになろうとしておるのか、現に除雪のために膨大な金が使われておるわけなんです。そういう点に対して特別交付税で措置をとろうとしておられるのか、現に配付済みの普通交付税の中における積雪補正分をもって十分やっていけるじゃないか、こういう解釈をとっておられるのかどうか、この点に対してお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/83
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084・柴田護
○柴田政府委員 積雪地帯におきましては、除雪経費その他の経費につきまして、普通の非積雪地帯に比べますと、相当財政需要があることは承知いたしております。そのために交付税の算定にあたりましても、積雪寒冷補正というものを設けておるわけであります。その見方が正しいかどうかということにつきましては年来問題がございまして、逐年合理化をはかってまいりましたけれども、なお十分であるとは考えておりません。三十九年度におきましてもその補正係数につきましてはさらに検討を加え、是正をするつもりでございますけれども、ただ一般に通常の段階において見られるべき財政需要というものをどうつかむかということが普通交付税の段階では基本になるのでありまして、その見地から考えていかなければならぬだろう、こう思っております。それ以外にそのレベルを越えまして非常に雪が降った。そのためにいろいろなところに混乱が起こったというようなことになってまいりますならば、それはやはり普通交付税の問題でなくして、特別交付税の問題ではないか、いわば一種の災害ではないか、こういう考え方で従来から対処してまいっておりますし、本年につきましても、したがいまして同じ感覚で処理をいたしてまいりたい、そのためにまた早くその雪害の状況をつかみたい、こういうことでいろいろ現在作業をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/84
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085・佐野憲治
○佐野委員 私のお聞きしたいのは、一つは特別交付税として措置をするには、現に二月末をもって配分しなければならない、非常に時間的にも切迫しておるわけで、しかも岩手県の北部海岸並びに青森県その他に見られる豪雪、積雪に対する措置を、特別交付税としてとる場合に、現に特別交付税の配分計画が市町村段階が終わっているのだというお話も聞いているわけですが、そういうときにこういう特別の財政需要が出てまいっておる。これに対していまだなお一体どういう現状であるかよく把握してない。相当大きな数字になるのではないかと思われるわけですが、これに対して一体どういう措置をおとりになろうとする考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/85
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086・柴田護
○柴田政府委員 雪害に対します措置といたしましては、通常まず考えられますことは除雪の経費でございます。それからまたし尿処理等の環境衛生関係の経費等でございます。私どもは先ほど申し上げましたように、早く基数をつかんで算定をいたしたいと思っておるわけでございますが、本年度早くつかんで、本年度中に措置をいたしたい、そのためには通常の段階では交付税の算定は二月末でこれをきめて処理することになっておりますが、場合によりましてはあるいは延ばすことも法律上は不可能ではございませんので、少なくともその実態をつかんだ上でできるだけ年度内に処置するようにいたしたい、こういうことでやっておるわけでございます。経費はいま申し上げたとおりでございまして、復旧事業費といたしましては、これはいわゆる一般の災害復旧と同じように、その財源は国庫補助金、起債でございます。これは従来の例によりますならば、いまごろ起こりました災害につきましては、復旧事業費については翌年度早々になってやるということになるのが例でございます。したがいまして、今回の雪害につきましても同じような措置がとられるだろうと思うのであります。当面私どもは雪害に伴います応急処理費というものを中心に考えて、これに対して特別交付税でもって措置をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/86
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087・佐野憲治
○佐野委員 三十五年、六年の局地的な豪雪に対しまして、やはり時間が切迫しておったので概算払いとして特別交付税の中から出したと思うのです。三十八年の昨年の豪雪に対しまして、当時第三次補正予算で百二十二億円を繰り越す予定であったのが、いわゆる財政需要が増額しておるということで百二十二億円のうち二十二億円だけを使って百億円は繰り越す、こういう特例措置を皆さんが御提案になったと思います。ああいう中においても非常に作業も困難で、また矛盾した算定方法もとられておりましたけれども、一応県分としては十八億七千万円、市町村分としては十八億三千万円、これだけの、三十七億円の措置を特交としてとられたのですが、ことしも十二月末日をもって特別交付税の一応のワクが検討されて、その結果配分計画もできておるだろうと思うのです。先ほど細谷委員が指摘になりましたような産炭地に対する傾斜的配分、これは前年度もこの点が非常に問題となったと思いますが、そういう点から考えてまいりましても、はたして今日の三百六十三億円の特別交付税のワク内において措置できるのかどうか、相当の財政需要があるのじゃないか。もちろんこの法令その他による補助その他の問題に関する復旧事業は翌年度の問題なんですけれども、当然財政需要として除雪その他、前回の場合は除雪が非常に大きなウエートを占めておったわけですけれども、二メートル、三メートル、急速にしかも一時的にこれだけの降雪を見ますと、道路が途絶する。どうしても通学用あるいは通勤用、物資輸送用の道路をあけなくちゃならない。そのために先ほどお伺いしましたところの雪寒道路法による路線を拡大することによってそういう事態を避けたい、そういう措置を即刻やりたい、こういうわけであったけれども、実はそれもやられておらない。前回のままにとどまっておるということになってまいりますと、非常にこれはたいへんだろうと思うのですが、それに対するところの財政需要は一体幾らなのか。相当大きいじゃないかということを考えた場合に、百三十七億円を繰り越すのではなくて、そのうちの一部をそれらの特別需要に対する、あるいはまた三百六十三億円の中で産炭地の場合その他特別の事象に対しましても、やはりある程度の抑止をしなくちゃならない、そういう需要をまかなうことができ得ないのだということもあったのじゃないか。したがいまして百三十七億円を繰り越すわけですから、そのうちの一部を特別交付税のワクとして前年度とれたと同じような措置をとって、これに対するところの財源とするのが当然じゃないか、かようにも考えるわけなのですが、一体現在の特別交付税のワク内で、いま現に起こっておるこれらの豪雪その他に対する除雪費を中心に、あるいは保健衛生、いろいろな問題がありますけれども、それらに対するところの需要をまかなうことができるかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/87
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088・柴田護
○柴田政府委員 非常に災害が大きくなってまいりました場合においては、あるいはお話しのような措置をとる必要が出てまいるかもしれません。しかし現状におきましては、昨年の雪害の規模に比べますれば、その規模は小さいのであります。大体現在の段階では、本年度のワク内で十分処理できるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/88
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089・佐野憲治
○佐野委員 特に現在実態を把握しておられないからそういうことを言われるのでしょうけれども、相当の財政需要になっておるということは、現地からのいろいろな陳情その他にも出てまいっておるわけですが、もっとそういう点を具体的にやはり把握されることが必要ではないか。
もう一つは、一般交付税の中における積雪度の補正についてなんですが、これもいつも申し上げておるところなんですが、昭和二十四年から二十八年、この五カ年間、農林省の総合研究所の山形県の出先機関で得た資料を中心として級地区分を行なっておられる。この級地区分にいたしましても、現実と相当大きな矛盾が出てまいっておるわけです。特に昭和二十四年——二十八年は、あまり雪の降らない時期に遭遇いたしておるわけです。しかも農林省が調査いたすというのは、やはり農作物の将来に対する展望として積雪がどういう影響をもたらすか、こういう農作物に対する配慮からとられておる資料だと思うのであります。しかも昭和二十四年から二十八年、いろいろな意味において、日本の敗戦後のそれらに対するところの研究あるいは資料もそろっていないという時期に立てられた級地区分を、いまなおそれを基礎としておられる。なるほど昭和三十六年は十四億円、三十七年度は二十四億円、積雪補正額はふえてまいっております。しかしこれは単位費用がふえてまいったから自動的にふえてまいったということであって、この一般交付税の中で積雪補正に対する算定の内容の矛盾、現実と一致しない、こういう点に対する検討というものは加えられているのかどうか。今年度はそれらに対するところのメスを入れられる考えに立っておられるのかどうか、この点も一応お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/89
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090・柴田護
○柴田政府委員 最初に御質問のございました災害の中身でございますが、もちろん適当にやるわけじゃございませんで、関係省庁の資料、現地からの報告、すべてを念査した上で決定するわけであります。昨年度も概算ではございませんで、そういう資料に基づきまして配分したのでありますが、結果的には若干の地帯に問題があったことも承知をいたしております。本年度も、したがいましてそれらの点につきましては、いろいろの配慮を加えていかなければならぬと思っておりますし、雪害の規模の算定にあたりましては、十分資料を整えまして的確な算定をしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
なお普通交付税の問題につきましては、お話しのように積雪地帯の級地区分に対しましてはかねてから問題がございます。一度改めたのでございますけれども、この結果も必ずしも望ましい結果が得られていない。それで実はただいま観点を変えまして、気象庁に依頼をいたしまして、すでに級地区分の改正の作業に着手をいたしております。三十九年度からそういう新しい資料に基づきまして、級地区分の改正等を行ないたいと思って作業をいたしておるわけでございます。
なお、補正係数の問題でございますが、それらの級地区分の改定ともにらみ合わせまして検討し、改定をしていかなければならぬわけでございますけれども、単位費用が上がったので反射的に上がっていったのだというおことばがございましたけれども、補正でもって見るべきものが幾らだということで考えていけばいいのであって、それは単位費用の反射的な結果として生まれてまいりましても、あるいは特別に補正係数を再検討した結果生まれてまいりましたものでも、補正によって生ずる基準財政需要額というものが実態に即しておれば——大体実態に即しておるかおらぬかということが問題じゃないかと思うのでございます。そういう意味から級地区分の改定補正係数の再検討、三十九年度におきましては十分再検討を加えまして措置いたしたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/90
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091・佐野憲治
○佐野委員 一体積雪度で何を求めようとされるのですか、卒直にいって積雪度で財政需要の何を一体把握しようとせられるのか、一番大きなねらいはどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/91
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092・山本悟
○山本説明員 寒冷補正のうちの積雪度におきまして測定をいたそうといたしておりますのは、道路等につきましては除雪費が中心であります。小中学校あるいは高等学校等の建物あるいは役場といったような庁舎、こういうものにつきましては除雪あるいは雪囲いの経費、それから通常の事務関係の経費といたしましては光熱水費、こういうようなものを中心に、それぞれ建物の坪数に応じて経費がどれだけ割り増しになるかというような計算をいたしまして計数をはじいております。雪が降るたびに増加する経費としてはそういうものを考えているわけであります。
なお先ほど御質問がございました分で、私数字を取り違えてお答えいたしまして恐縮でございました。ただいま調査したところによりますと、三十八年度分の基準財政需要額中、寒冷補症の中の積雪度について、県分は十一億と先ほど申し上げましたとおりでありますが、市町村分は二十四億、合計いたしまして三十五億基準財政需要額を増加いたしております。訂正させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/92
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093・佐野憲治
○佐野委員 そうなってまいりますと、やはり除雪、雪おろしが一番大きな比率を占めると思います。光熱費あるいは建物の償却費その他も入っておりますけれども、いま申し上げたように雪おろし、除雪費が非常に大きい。だからこそ四十三国会において、先ほど申し上げましたような公共施設に対する除雪費あるいはまた雪おろしあるいは雪の運搬その他の経費が、地方財政を圧迫しておる、こういう場合を考慮いたしましてこの法律ができたわけであります。だから経済企画庁がこの担当なんだというのじゃなくて、やはり自治省自身がこの問題に対して取り組むことが必要なのじゃないか。政令がどうなっていくかもわからない。豪雪の政令あるいはあの法律の中に先ほど申し上げました三つの政令がやられておる、学校その他、これも政令だ、そうしてまた除雪事業に要する費用、これも政令で定める、こういうことになっておるわけであります。ですからそういう点に対してもっともっと政府部内において討議する必要があるのじゃないか。
もう一つは、いま申し上げましたこの雪寒道路法による指定路線を拡大すること、そのことが除雪に対する三分の二の補助もありますし、あるいはまた市町村においても機械購入などのことができる。これは法律事項じゃなくて、政令に定めてある基準を変更することによって路線を市町村まで拡大することができる、あるいはまた市町村がブルドーザーその他の機械を購入する、これらのこともできるわけであります。そういうことを建設省もやろうではないか、五カ年計画の策定にあたってその点をも含めてまいりたい、このように四十三国会において主張しておるわけだし、そういう意味から自治省と建設省とがもっと——いわゆる一般交付税における積雪度の把握算定、これは非常に困難であるということであればなおさらそういう点に対して協力していく必要があるのではないか、こういうことを痛感いたすわけですが、特に一般交付税の中における積雪度の中におきましても、先ほど触れましたが、路面損傷を一体どういうぐあいに取り扱っておられるか、その点もお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/93
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094・山本悟
○山本説明員 企画庁所管の法律の地域指定の政令は一月三十日に地域指定がなされているようでございます。そのほか企画庁関係では、いま当該法律に基づきまして、各県の基本計画をまとめている段階だそうでございます。まだその後の政令等が出ていないというような状況になっているようでございます。また雪寒道路につきましては、先ほど局長も申し上げましたように、建設省のほうにおきまして作業をしているのであろうと存じますが、まだ私どものほうには話が来ていない、これがまいりますれば、普通交付税の道路関係の積雪補正の区分というようなものも、基礎が違ってまいります。連絡のあり次第私どもとしては修正をいたしたいと存じているわけでございます。それぞれ所管があってやっていると思うのでございまして、どうもその点積極的に出ていないのは申しわけないと存じますが、そういうような状況でございます。
なお交付税の計算上、積雪関係では、先ほど申し上げましたように、道路であれば道路の除雪というものを中心にして、人夫賃あるいはブルドーザーの経費というものを補正計算をいたしておるわけでございます。路面損傷というようなものを直接つかまえて計算するというのは、技術的にもなかなかむずかしいのではなかろうかというぐあいに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/94
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095・佐野憲治
○佐野委員 私は数日前ですが、国の県庁の地方課長と三十七年度の決算を見ながらいろいろお話をしたのですが、その中で感じましたことは、その県では市町村の住民税が二十一億円だ、これは基準財政収入額から見ると十億円の超過に匹敵するわけです。しかも固定資産税におきましてはやはり三億円が超過している。合わせますと十三億円だ。一般の建設事業を見てまいりますと、県の市町村は全国平均が二八・四%なのにその県では三二・一%だ、非常にふえているわけであります。その中における単独事業は幾らかと見てまいりますとわずか十六億円だ。普通建設事業の中に占める単独事業は十六億円だ。十六億円のうち住民税における超過負担の十億円、固定資産における超過負担三億円、十三億円引きますと三億円しか単独事業で組まれていないのではないかということなんかも数字の上において教えられたわけですが、そういう点から考えてまいりますと、雪の国における皆さんが把握していない財政需要というものは、相当大きな額になるのではないかということが感じられるわけです。
そこで戻りますけれども、皆さんのほうは気象庁を中心として今後進めていきたいと言われる。しかしながらこの点につきましても気象庁には予算面から見てまいりましても、人材その他の配置を見てまいりましても、残念ながらそれにこたえるだけの能力は持っていないわけであります。農林省の出先機関、山形県の新庄ですかにありまして、これも廃止になってしまっている。その中でとられている二十四年から二十八年のデータを中心として今日まで続けてまいった。いま気象庁にそれを求めるといったっておそらく気象庁は皆さんお調べになればおわかりになるでしょう、気象庁の雪に対する予算が一体幾らあるのか、ない気象台がほとんどでしょう。単なる積雪量その他は把握することができますけれども、雪の質なり密度なり、こういうものに対するところの把握がほとんどできないのじゃないか。防災科学センターが去年から発足した。所長以下二十一人、そこに四つの部屋が設けられて、特に雪に対するところの部屋は第四室ですか、たった二人しかいない。これではもう手のつけようがないじゃないですか。しかもまた資料そのものが現実と即応していない。いろんな問題が出てまいっておるわけであります。だから、私が最初に指摘いたしましたように、そういう中では、ほんとうの財政需要というものを把握することができ得ぬのじゃないか、そのために雪の国におけるところの決算を見てまいりましても、ほとんどオーバーしてやっておる。事業費に食われておる。だから人件費を見てまいりましても、その県における市町村は、人件費の占める割合はわずか二一・七%全国平均が二四%幾らですか、市町村の場合二五%だ。そういたしますと、いかに住民に対するサービス、職員を犠牲にすることによって雪によるところのいろいろな損傷、そのために要する財政需要、これをまかなうために皆さんが積雪補正をやった分だけでは、とても復旧ができない。このことを年々の決算は明らかにいたしておると思うのです。毎年の決算は、全国平均として説明されておりますけれども、やはり積雪度の強い地帯におけるところの財政、あるいは決算はどういうことを一体示しておるか、そういうことをやはり比較の中で、問題点を明らかにしていく必要があるのではないか、こういう点を感ずるわけであります。ですから、一般交付税の中におけるところのいまの三十五億円ですか、これ自体は現実の財政需要を充足するのに足らないということになってくる。そこにこのような豪雪がやってまいって、急激な財政需要が出てまいるわけです。そういう二つの面を勘案してみると、たとえば昨年の豪雪によってとられたのを見てまいりましても、いわゆる積み上げ方式、そういう形式はとっておりますけれども、やはり県、市町村ともに二五%程度は把握しがたい財政需要として一応押えておられる現在、その上になお二三%の調整費を加えておられるという形でこの算定方法をとっておられる。だから、現実の地帯に行きますと、実際に要した除雪費その他あるいは財政需要というものが見られない、こういう不平を聞くわけですが、これはまあ他のところでまた論議を深めていきたいと思いますけれども、私の申し上げますのは、そういうことを考えてまいりましても、やはり特別交付税というものは、今度の豪雪によって相当大きくなってくるんじゃないか、大きな要求が出てくるのではないか、そういう点、まあ三十六年度のときには、やむを得ず、雪の実態も把握されないから概算払いでやってお出しになった。去年の場合は相当大規模であったけれども、それもやはり実際を把握するのは困難だというので一応の積み上げ方式をとっておられますけれども、いま申し上げましたような算定の基礎を見てまいりましても、ある程度のつかみ金という形をもってがまんをしてくれろという行き方をとっておられるわけです。ですから、今度それらの経験を生かして、いま岩手県なり青森県が現に被害を受けており、除雪のために財政施策をやっている、これらに対する民生安定なりいろいろなために要する財政需要、こういうものを実態に即して把握していくとするならば、今日交付税の大体の配分ができてしまい、基準もできたというときに、こういう事態が起こったわけですから、そういう新たなる事態に対して、皆さんのところでは、一応配分計画に載っているその頭を削って、ここにお金を持ってくるという考え方なんでしょうけれども、そういうすでにはや皆さんが県分とか市町村分とか、一応の配分基準を立てられたそのものが、現地に参りますと、それぞれの財政需要と一致していない、がまんをしてもらいたい、こういうことになってくる。こういうことを考えますと、やはりいまの三百六十三億円の特別交付税のワク内においては操作は非常に困難ではないか。もっと現実に即した救済措置をとり財政需要を充足する、こういう考え方に立って、前回大きな豪雪でありましたので二十二億円をとめ置かれたわけですけれども、今度の場合も、やはりある程度の金額を、百三十七億円を繰り越すのではなくて、とめ置くことによって、それらの点に対する財政需要をまかなう、こういう考え方に立つ考えがないかどうか。次官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/95
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096・金子岩三
○金子政府委員 現在のところでは、いま特別に取り上げて処置をしなければならないというような見方はいたしておりません。これから格別な豪雪があったり、いろいろな被害が生じますと、これは大いに検討すべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/96
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097・佐野憲治
○佐野委員 現に豪雪がいまやってきているわけです。その他の、北陸地帯におきましても交付税で見ている。積雪補正等を乗り越える財政需要も出てきているのではないか、あるいは岩手県その他は孤立町村がなおあるのに、皆さんのほうでは災害救助法の適用市町村すら把握されておられない。しかも鉄道はとまっている、バスはとまっている、医療、し尿関係においても非常に混乱をいたしているときに、次官、あなたのほうの、昨年の豪雪の結果生まれた二つの法律は、そういう特別交付税その他ではなかなかまかないきれない面も出てくるのではないかという配慮のもとに、何でも特別交付税で持つというと、今日の地方財政の現況から考えて、将来の計画運営にあたって交付税を続発する、こういうことがあってはいけないというので、特別にこの雪寒道路に対する路線の拡大、市町村へまでも拡大をする、現在三万一千キロで七千キロしか御指定になっていないわけですから、同時にその中における路面損傷をも対象とする、あるいは機械その他の購入に対しましても三分の二の補助を与えることができる、あの規定を市町村段階にも拡大する、こういうことが必要だということでできてまいったわけであります。あるいは豪雪地帯に対する学校その他の除雪費、雪おろしをしたといたしましても、その雪がたまってしまっていることに対して、やはり交通を阻害している、だからこれを一定の場所まで雪捨てに運ばなければならない、その運ぶ費用はいままで見られておらないわけですから、これに対してはやはり見ようじゃないかという、こういう考え方のもとにできてまいったわけであります。そういう法律がある。だからその法律の中で、今日の豪雪に対してどの程度まで救済できるのか。でき得ないとするなら、地方行財政の面から考えてまいりますとどうしても特別交付税で措置をしなければならない。そういう金というものは一体幾らなんだろうか。こういうことをも、すでに特別交付税の配分の期間が迫ってきておるのに、まだ具体的な実情すら把握していない、あるいはまたそれらの市町村に対して財政負担を軽くするために、関係行政庁との間における連絡なり、それに対するところの強い意思表示もやっておられない。その上に一体幾らかかるのかまだわからぬけれども、これぐらいの金で何とか特別交付税のワクでやっていける、こういう考え方自身がおかしいんじゃないですか。特別交付税の中に見込まれておるのが現在の財政需要と合わない。これは細谷委員も産炭地の現状を、具体的な数字の中から、その陥っている財政的困窮をお訴えになっているわけです。だから特別交付税のワクという一つの計画的な財政運営の中においては、とうていこれは困難な面もあるのだということを率直にお述べになっておる。そこで豪雪問題が起こってきておるとするならば、当然ここである程度のものを、百三十七億円を繰り越すわけですから、その繰り越す中で一部をとめておくことが妥当じゃないか。前年度は二十二億円をとめおいた。ことしはそれほど膨大な金額でなくても、皆さんが特例法を提案されたころには、この事態が発生していなかったわけですから、しかもこういう事態が起こってまいっておる。その機会に一般の交付税の中に見られておるこの積雪度補正も、現実の路面補修その他を考えてまいると、これは災害復旧にもならない、あるいは建設省の道路五カ年計画のワクの中にも入らない、雪寒道路法の中にも入らない。しかも皆さんの積雪補正の対象ともならない、こういう財政需要に対しましても、やはりこの機会に措置をとるというような考え方をもう少し具体的に資料を検討されるならば、ある程度の余裕財源をもってそれに対する措置を行なわれるのが私は当然じゃないか。前回の二十二億円とまでは申しません。少なくとも幾らかの財源的な余裕ある措置をとられることが——提案されたときと提案後においてやはり変わってまいっておるわけですから、それについて政府として、岩手県その他の特に激しい豪雪地帯に対して、一体幾らの財政需要を必要としているのか、特別交付税でまかなわれる確信を持っておられるが、具体的な数字に基づいて合理的な妥当な行政水準を維持するために必要なものは一体幾らなんだ、そのために特に起こったところの財政需要は一体どうなんだ、このことをまだ把握されていないわけです。把握できたらそれは非常に大きくなるかもわからない。あなたたちがいま頭の中で、三十六年度もつかみ金で、概算払いでがまんしてもらったから、今度もそれで何とかやってもらえばいいじゃないかというイージーな考え方ではなくて、具体的な財政需要を考えられる場合に、これから皆さんが調査しようとなされるわけでしょう。報告もそう聞いていない現地は報告することもできないほど孤立町村を持っておる、交通が途絶しておる、医療関係、生活扶助関係あるいは失業あるいはし尿関係にからまる保険衛生の問題等重大な問題が次から次に惹起して、しかも災害基本法による防災計画も立てられていなかったといっておこっておる混乱に対して、皆さんのほうはもう少し現地の実情というものを把握して、しかもいまこれを通さなくてもいいわけですから、もう少し内部において検討されて、この百三十七億円のうち一部をそれらの財政需要に回す、こういう考え方を持つ考えがあるかないか、重ねてひとつお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/97
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098・柴田護
○柴田政府委員 昨年繰り越しを予定しておりました額を途中から変更いたしましてワクを使いましたものは、雪害が非常に大きかった。したがって、既存の災害に予定いたしておりました額からいいますならば、非常にオーバーをしたものですから、足りなくなって、そういうものに繰り越し予定額を減らして使ったのであります。本年度の雪害につきましては、私どもは、おことばではございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在までわかっております県からの報告状態から、報告の計数を見ておりますと、いまのところは昨年に比べますれば、金額としてはそうたいした問題になりそうにはない。かたがた昨年豪雪災害として配りましたワクは、本年度はほとんどそのままの形で浮いておるわけです。それを昨年のワクとしまして、なおかつ本年度においては五十億近い金が増加になる、そのような状態から考えますならば、今年度の、現在青森、岩手を中心として起こっております雪害に対しては、対処できるだろうという気持ちを持っておるわけでございます。ただ非常にそれが大きくなって、今後あちこちに起こってまいるということになってまいりますれば、お話のように繰り越し額の一部を食っていくということが起こり得るかもしれません。したがってまた、提案申し上げております法律におきましては、百三十七億円を限度としてと申しておりますので、百三十七億そのままをどんなことが起こっても繰り越すとは書いてないのでございまして、費用自体のことを考えまして、百三十七億を限度としてという考え方を実はいたしておるわけでございます。
なお先般来いろいろお話のございました積雪寒冷に関します経費等につきましては、関係省庁の間の連絡が悪いというおしかりがございましたが、これはごもっともでございまして、私どもといたしましても今後なお積極的に連絡をとってまいりたいと思いますけれども、普通交付税の積寒関係の経費につきましては、なお合理的な算定を加えるように今後とも努力してまいるつもりでございます。
気象庁につきまして非常に能力がないというお話でございましたが、すでに現在気象庁と話し合いまして、気象庁はその気になって検討してくれるという約束ができておりまして、予算措置もできております。したがって、すでに作業にとりかかりつつあるというような状況でございまして、その結果出てまいりました計数が非常に妙だ、実態に合わないということでありますれば、またあとの方法を考えなければなりませんけれども、私どもは、現在一番信頼し得る役所でございますので、気象庁に一応お願いをして、何とか合理的な改定ができないかということを考えまして作業を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/98
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099・森田重次郎
○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01119640220/99
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