1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十八日(金曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君
理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君
理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君
理事 阪上安太郎君 理事 安井 吉典君
大石 八治君 大西 正男君
奧野 誠亮君 久保田円次君
武市 恭信君 登坂重次郎君
山崎 巖君 和爾俊二郎君
秋山 徳雄君 佐野 憲治君
重盛 寿治君 千葉 七郎君
華山 親義君 門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 早川 崇君
出席政府委員
警察庁長官 江口 俊男君
警 視 長
(警察庁長官官
房長) 浜中 英二君
警 視 監
(警察庁刑事局
長) 日原 正雄君
警 視 監
(警察庁交通局
長) 高橋 幹夫君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(財務局長) 柴田 護君
自治事務官
(税務局長) 細郷 道一君
委員外の出席者
専 門 員 越村安太郎君
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本日の会議に付した案件
警察法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
八号)
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一〇九号)
市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の
特別措置に関する法律案(内閣提出第一一〇
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/0
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001・森田重次郎
○森田委員長 これより会議を開きます。
昨二十七日付託になりました内閣提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案及び去る二十四日付託になりました内閣提出にかかる市町村民税の減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案を一括議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。早川自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/1
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002・早川崇
○早川国務大臣 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由とその内容の大要を御説明申し上げます。
地方税につきましては、累次にわたる改正により、住民負担の軽減合理化をはかってまいったのでありますが、今後とも引き続きでき得る限り、住民負担の軽減合理化に努める必要があると存じます。ただ、地方財政の現状は逐次好転しておりますものの、地方行政の水準はなお低く、すみやかにその向上をはかることが必要であり、これに伴う所要経費の増大を勘案するときは、地方財政はなお予断を許さない状況にあります。したがいまして、明年度の地方税制の改正にあたりましては、このような地方財政の実情を考慮して、国において所要の財源措置を講ずることとして、市町村民税所得割の負担の不均衡是正、電気ガス税の税率引き下げ等一般的に住民負担の軽減合理化をはかりますほか、中小企業者の負担の軽減合理化を行ない、住宅建設の促進に資するための措置を講じ、あわせて道路整備計画の推進に伴う道路目的財源の充実をはかるため、所要の改正を行なうこととしたのであります。
なお、市町村民税所得割の不均衡是正に伴う減収額を補てんするため、地方債の発行を認めることとし、地方財政法について所要の改正を行なうことといたしております。
以下順を追って、地方税制の改正の概要について御説明申し上げます。
第一は、市町村民税についてであります。市町村民税につきましては、低所得者の負担を軽減するとともに、市町村間の負担の不均衡を是正するため昭和三十九年度及び四十年度の両年度にわたって所得の改正を行なうこととしたのであります。すなわち、昭和三十九年度におきましては、市町村民税所得割の課税方式として、従来の本文方式のほかに、現行のただし書き方式を本文方式に近づけるため、経過的に、所得控除として基礎控除のほか扶養控除を行ない、かつ、事業専従者について青色申告者千六百円以上、白色申告者千円以上の税額控除をする課税方式をとることとし、昭和四十年度におきましては、課税方式につきまして従来のただし書き方式を廃止して、本文方式に統一し、税率につきまして準拠税率制度を標準税率制度に改めるとともに、市町村は、標準税率の一・五倍をこえて市町村民税の所得割を課することができないことに改正することといたしております。
このほか、道府県民税及び市町村民税につきまして、障害者、未成年者、老年者または寡婦についての非課税の範囲を年所得二十万円までに拡大いたしました。
第二は、事業税についてであります。事業税におきましては、中小企業者の負担の軽減をはかるため、個人事業税の事業主控除額を二十二万円に引き上げるとともに、法人事業税の軽減税率の適用範囲を拡大し、普通法人については所得年百五十万円以下六%、所得年百五十万円超三百万円以下九%に、特別法人については所得年百五十万円以下六%にそれぞれ改めました。
なお、事業税の課税にあたりましては、国税における輸出特別措置の改正に関連し、海外市場開拓準備金にかかる損金算入制度等については、従来の方針どおり国税の例によらないことにいたしております。
第三は、不動産取得税についてであります。不動産取得につきましては、住宅建設の促進に資するため、新築住宅にかかる基礎控除額を百五十万円に、新築住宅用土地にかかる税額控除の基礎額を百五十万円か、または一戸当たり二百平方メートルを限度として新築住宅の床面積の二倍の面積の土地の価額かのいずれか高い額にそれぞれ引き上げました。
なお、このほか、免税点を土地、家屋についてそれぞれ引き上げるほか、公益法人が設置する看護婦等の養成所、農業生産法人が組合員等から現物出資を受けた土地などについて、現行規定との均衡等を考慮して、非課税といたしました。
第四は固定資産税についてであります。固定資産税につきましては、新評価制度の実施に伴い、次の評価改訂の時期までの暫定措置として税負担の調整を行なうことといたしました。すなわち、新評価制度の実施によりまして一般に土地の評価額は増加いたしますが、その税負担については、農地は昭和三十八年度の税負担をこえないようにし、農地以外の土地は昭和三十八年度の税負担に比し二割をこえて増加しないよう税負担の調整措置を講ずることといたしております。
また、住宅建設の促進に資するため、今後五年間に新築される住宅で一定の条件に該当するものについて、新築後三年度間に限り、税額を二分の一の額に軽減することとし、また一定の条件に該当する新築中高層耐火建築住宅については、この軽減措置の適用期間を、四階建て以下のものにあっては五年度間、五階建て以上のものにあっては十年度間といたしております。
さらに、中小企業者が新設した農林漁業及び中小企業経営の合理化のための機械設備等のうち租税特別措置法の規定の適用により特別償却を認められるもの及び地方鉄道業者または軌道経営者が事業の用に供する新造車両で一定の条件に該当するものにつき、取得後三年度間に限り、課税標準を二分の一の額とする特例を設け、負担の軽減を行なうとともに、公益法人が設置する看護婦等の養成所などについて固定資産税を課さないことなどの改正をいたしております。
このほか、国際収支の改善措置として行なわれる特別とん税の引き上げとも関連し、日本海運の現況よりみて今後五年度間に限り、外航船舶に対する固定資産税を免除することといたしました。
第五は、電気ガス税及び市町村たばこ消費税についてであります。
電気ガス税につきましては、住民負担の軽減をはかる趣旨から、その税率を一%引き下げて七%とすることとし、これに伴う減収を補てんするため、国からたばこ専売納付金の一部の移譲を受けて、市町村たばこ消費税の税率を一・六%引き上げ、一五%にいたしました。
電気ガス税については、このほか、新たにポリプロピレン等四品目の製造に使用する電気を非課税とし、また輸出振興に資するため、今後五年間に限り、綿糸等の製造に使用する電気にかかる税率を二%に軽減することといたしました。
第六は、軽油引取税についてであります。道路整備計画の改定に伴い、国、地方を通じて大幅な財源措置を講ずる必要がありますが、これを一般財源のみでまかなうことは、地方財政の現状にかんがみて、至難の状況にありますので、揮発油課税における税率の引き上げが予定されていることでもあり、軽油引取税の税率を一キロリットルにつき、一万五千円といたしました。
第七は、料理飲食等消費税についてであります。東洋ではじめてのオリンピックが今秋東京で開催され、これに伴って、オリンピック関係者のほか、外人客が多数来訪することが予想されるのであります。なお、オリンピックを機縁に、今後ますます観光を目的として、あるいは商用その他の目的で来訪する者が増加することが予想されます。これらの者の税負担を少しでも軽くして、わが国における潜在の印象をよくし、また、外人客を一そう多く誘致いたしますため、当分の間、外人客の飲食と旅館における宿泊に対しては、料理飲食等消費税を課税しないことといたしました。
以上のほか、税制の合理化その他規定の整備を行なうことといたしております。
以上地方税制の改正につきまして概要を御説明申し上げましたが、これに伴う地方税の減税額は、初年度であります昭和三十九年度におきましては、住民税で、負担の不均衡是正百五十三億円を含みまして百九十八億円、事業税百三十億円、不動産取得税三十億円、固定資産税五十一億円、電気ガス税七十二億円、料理飲食等消費税十四億円で合計四百九十五億円となるのであります。反面、国からの税源移譲による市町村たばこ消費税の税率の引き上げによる増収六十六億円、軽油引取税の税率の引き上げによる増収八十七億円があります。また、平年度におきましては、住民税、事業税、不動産取得税、固定資産税、電気ガス税等で減税額は八百八十億円になりますが、別に市町村たばこ消費税及び軽油引取税の増収百七十億円があるのであります。
最後に、市町村民税所得割りの減収補てんに関する地方財政法の改正について御説明申し上げます。
市町村民税の負担の不均衡是正にあたっては、市町村の行政水準が急激に低下することのないよう経過的に財源措置を講ずることが不可欠の要件であると考えたのであります。したがいまして、課税方式の統一及び標準税率制度の設定に伴う減収額については、市町村に地方債を起こすことを認め、昭和三十九年、四十年の両年度から五年度問にわたり、初年度においては減税額の全額、以下これを基準として漸次二割を逓減した額の地方債を起こす方式をとるものといたしました。
なお、別途これら地方債の元利償還に要する経費のうち、三分の二に相当する額については国が元利補給金を交付し、三分の一に相当する額については地方交付税の基準財政需要額に算入するものとする法律措置を講ずることとしております。
以上が、地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその大要であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
政府は、別途提案いたしております地方税法等の一部を改正する法律案によりまして、市町村民税について、低所得者の負担を軽減するとともに、市町村間における負担の均衡を確保する目的をもって、昭和三十九年度及び昭和四十年度の二年度にわたり、市町村民税所得割りの課税方式の統一と極端な超過課税の解消を行なうこととしたのでありますが、今回のこの減税は、その意義においても、その規模においても、画期的なものであり、関係市町村の財政に与える影響もまたきわめて大でありますので、この減税を円滑かつ確実に実施するためには、当面減税に伴う減収を補てんすることが必要であると考えられるのであります。これがため、減収額について、五年間を限り漸減的に減税補てん債の発行を認め、その元利償還に要する経費の三分の二の額については国が元利補給金を交付し、三分の一の額については地方交付税の算定上これを基準財政需要額に算入することによって、毎年度の元利償還に要する経費の全額について財源付与を行なうという財政上の特別措置を講ずることといたしたのであります。
これがこの法律案を提出する理由であります。
次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。
その一は、元利補給金の交付であります。
別途提案いたしております地方税法等の一部を改正する法律による改正後の地方財政法附則第三十三条の規定により関係市町村が起こした市町村民税減税補てん債については、国は、毎年度、当該市町村が支払った当該年度分の元利償還金の三分の二に相当する額の元利補給金を交付するものとしております。
その二は、地方交付税の算定に用いる基準財政需要額への算入であります。
当分の間、関係市町村に交付すべき地方交付税の額の算定にあたっては、当該市町村が起こした市町村民税減税補てん債に係る当該年度分の元利償還金の額の三分の一の額を、全額、基準財政需要額に算入することとしておるのであります。
以上が、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/2
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003・森田重次郎
○森田委員長 以上で両案についての提案理由の説明は終わりました。
なお、この際、地方税法等の一部を改正する法律案について補足説明を聴取いたします。細郷税務局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/3
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004・細郷道一
○細郷政府委員 地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、補足的な御説明を申し上げたいと思います。
地方税法等の一部を改正する法律は、お手元に差し上げてございますように、四条からなっております。第一条は、地方税法の一部改正で、昭和三十九年度から施行のものであります。第二条は、同じく地方税法の一部を改正する法律でございますが、昭和四十年度住民税の本文方式の統一部分、四十年度から施行するものであります。第三条は、補てん債の関係の地方財政法の改正、そして第四条は、技術的なことでございますが、地方税法の附則の改正、こういうようなことに大体なっております。以下順次おもな事項について御説明を申し上げたいと思います。お手元に法律がございませんでしたら、新旧対照表がございますので、どちらかごらんいただければいいと思います。
最初の第二十四条の五、第一項第三号中は、道府県民税、個人の場合の障害者、未成年者、老年者及び寡婦の前年中の所得の額の引き上げに関する改正でございます。
それから七十二条の十四第一項及び次の十七第一項は、それぞれ輸出関係の特別措置を事業税においてはね返す規定でございます。
七十二条の十八第一項及び第三項中、二十万円を二十二万円に直しておりますのは、個人事業税の事業主控除の額の引き上げであります。
それから七十二条の二十二は、事業税の標準税率でございますが、中小法人の所得の刻みをそれぞれ改めるものでございます。
それから次の四十八も同様でございます。
七十三条の四というのがございますが、これは不動産取得税のさきに御説明申し上げました非課税規定の改正部分でございます。
それから七十三条の七も同様でございます。非課税規定の部分でございます。
それから七十三条の十四、不動産取得税の課税標準の特例の部分でありますが、新築住宅の基礎控除百万円を百五十万円に上げるという部分の改正がおもなものでございます。
それから七十三条の十五の二、これは不動産取得税の免税点の改正でございます。
それから七十三条の二十四、これは同じく不動産取得税の新築住宅用の土地の税額基礎控除の規定の改正によるものでございます。
それから、あと少し技術的なものも入っておりますが、少し飛びまして二百九十五条第一項第三号中、十八万円を二十万円に改めます部分は、先ほどの府県民税の場合と同様のものでございます。
それから三百十四条の二、第一項ただし書き中の改正がございますが、第一項ただし書き中に第六号、これは基礎控除の従来の規定でありますが、それを第五号及び第六号に改めることによって扶養控除をここに加えるようにいたしたものでございます。なお、これに関連をいたしますものがその条文の中で規定を改正いたしております。
三百十四条の七第二項を削っておりますのはただし書きにおきます扶養税額控除をやめますので、先ほどの扶養控除にかわりますので、それを削る規定であります。
なおそれに関連しての整理規定が入っておりますことと、専従者につきまして、青色は税額控除も千六百円以上、白色については千円以上というのを新たに法定をする部分が第三項に入っております。
三百四十八条でございますが、これは固定資産税の非課税範囲でございます。先ほど提案理由の説明にありました非課税の規定の改正がここに入っております。
三百四十九条の三、ここでは十五項、十六項がそれぞれ改正になっておりますが、十五項は中小企業者または農林関係の事業者がそれぞれ一定の機械設備を設けました場合に、固定資産税を三年間半分にするという規定でございます。従来もこの種の規定がございましたが非常に範囲が狭くあったわけでありますが、今回これを広げるようにいたしました。原則的には租税特別措置法の扱いとほぼ同じになったわけでございます。
十六項では鉄軌道事業者が新造車両を設けました場合に三年間二分の一にするという規定でございます。
四百六十五条は、市町村たばこ消費税の税率の改正でございます。
四百八十九条は電気ガス税の新規品目、三年間でございますが、非課税の追加でございます。
四百九十条は電気ガス税の税率でございます。
それから七百条の七は軽油取引税の税率についての改正であります。
それから附則の第九項及び第十一項は、それぞれ従来非課税であったものの期限が三月末でまいりますので、さらに三年間延長するものでございます。
それから附則に入りまして、三十四項というのから以下項が並んでおりまして、これが固定資産税及び都市計画税の負担調整の規定でございます。
三十四項は農地については前年の額、農地以外のものについては前年の一・二倍の額というのを基礎として課税をする規定であります。
三十五項、三十六項はそれぞれそれの定義が書いてございまして、三十七項では土地についての免税点が二万円から二万四千円に引き上げられる規定でございます。
三十八項では今度の課税の基礎になります額を土地課税台帳に登録するという規定でございます。四十項は都市計画税でございまして、固定資産税とあわせて徴収する場合の規定。四十一項は都市計画税だけを徴収する場合の規定。いずれも内容は先ほど固定資産税で申し上げた内容と同じでございます。
四十二項は外航船舶に対しての非課税、五年間の免税の規定であります。
四十三項は、新築住宅に対して課する固定資産税三年間二分の一という規定でございます。
四十四項は、同じく新築の中高層の耐火建築住宅に対する固定資産税減額の規定でございます。
四十五項は、電気ガス税のうち綿紡その他につきまして五年間二%の税率にするという規定でございます。
四十六項は、外客に対する料理飲食等消費税の特例、当分の間外客の飲食及び旅館における宿泊に対しての免税規定でございます。
以上が第一条でございます。
第二条は、最初の三百十三条第三項、これでいわゆるただし書き方式をここで削るための改正規定をいたしております。
それから三百十四条の二も、そのいわゆるただし書きと言われておりますただし書きの項を削る、それに伴いまして扶養控除の額は本文方式の額に直すような改正をいたすものであります。
三百十四条の三、これは所得割りの税率でございます。従来の準拠税率制度と内容は同じでございますが、標準税率制度に改めるものでございます。なお三百十四条の三第三項で制限税率として一・五倍の率を設けております。
それからずっとあと、市町村民税については、いま申し上げた改正規定に伴う規定の整理でございます。
七百三条の三、国民健康保険税でございますが、ただし書き方式が一応住民税のところでなくなりますので、国民健康保険税においてはただし書き方式による課税もできるような規定を整備をいたしております。
以上が第二条の関係でございます。
第三条は、地方財政法の関係でございますが、その地方財政法の附則におきまして、住民税の減収補てんのための起債を起こすことになるという根拠を、第三十三条以下で置いております。方式による分あるいは税率による分、そういったものがそれぞれ書いてございます。そのほか三十三条の、たとえば二項では、三十九年度を十割といたしたものが、翌年から八割、六割、四割、二割、こういうように五年間出せるという規定もそこに書いてあります。
以上が地方財政法の関係でございます。
第四条は、地方税法の一部を改正する法律、三十六年の法律の附則でございます。これは農協等の再建団体についての軽課規定を国税に合わせまして字句を整理したものでございます。
以上が大体法律案の内容でございます。御説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/4
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005・森田重次郎
○森田委員長 以上で地方税法等の一部を改正する法律案についての補足説明を終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/5
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006・森田重次郎
○森田委員長 次に、警察法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/6
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007・安井吉典
○安井委員 警察法の一部を改正する法律案につきまして、改正内容は二ヵ条しかないので、私どもわりあい簡単に考えていたのですが、しかしいろいろ疑問も出てまいりましたので、この際その内容にわたりまして若干お尋ねをいたしたいと思います。
改正法案の初めの部分は定員増加でございますが、警察庁の定員十名増加の内訳について、いただいております資料にも載っているようでありますが、もう少し御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/7
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008・浜中英二
○浜中政府委員 増員の内訳でございますが、刑事警察関係が二名、この二名と申しますのは、課長補佐にあたります警視二名でございます。それから交通関係の五名、これは課長補佐にあたります警視一名と係長級の警部一名、それから一般職員といたしまして、主任クラス一名と係員が二名、警備警察関係では三名になっておりますが、これは係長級の警部二名と警部補一名でございます。
増員の理由につきましては、刑事局関係では、殺人、放火とかあるいは誘拐、通貨偽造等の重要事件の捜査の万全を期すために、重要事件についての専門的な知識を有する指導官を置きたい。運転免許関係におきましては、現在運転免許の効力は全国に及ぶものでございますが、運転免許試験とか行政処分等が各府県の公安委員会にまかされておりまして、そのために府県間に相当な不均衡が生じておるのでございます。そういうような点につきまして、全国的な斉一を期する必要があるわけでございます。こういう問題に対処いたしまして、指導体制の充実強化をはかってまいりたい。警備警察関係の三名でございますが、これは最近の右翼の動向に照らしまして、警備警察がその責任を全うして国民の信頼にこたえるために、右翼担当の充実強化をはかりたい、そのための増員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/8
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009・安井吉典
○安井委員 そのほか、ことしの場合は警察官の増員の計画はないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/9
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010・浜中英二
○浜中政府委員 警察庁関係の増員はこれだけでございますが、ただ地方の職員といたしまして、刑事警察官の増員、麻薬関係を含めまして約五千名の増員計画をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/10
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011・安井吉典
○安井委員 定員の問題はまたあとにいたしまして、もう一つの改正規定は、六十条の二の規定を新設するわけでありますが、現在警察法の中で第五十九条以下に、都道府県警察相互間の関係に関する規定があるわけです。これでは間に合わないのですか。どうしてもこの今回の規定を置かなければならないような事情にあるわけですか。現行の規定ではどういうふうなことで間に合わないか、その点をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/11
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012・浜中英二
○浜中政府委員 御指摘のように、現行法におきましては、警察官が管轄区域外において職権を行なう場合の例外が規定されておるわけでございます。
第一は、六十条におきまして、それぞれ公安委員会の援助要求によりまして派遣された警察官が、援助の要求をした都道府県警察の管轄区域内において職権を行なう。第二番目には六十一条でございますが、都道府県警察が、その管轄内における公安の維持に関連して、必要がある限度においてその管轄区域外に権限を及ぼすというふうに規定されております。それから六十五条では、現行犯人の逮捕の場合であります。それから六十六条では、移動警察等におきまして管轄区域外に職権を行なう。それから七十三条に、緊急事態の布告が発せられた場合、こういうふうに管轄区域外に権限を及ぼす場合が五ヵ条法定されておるわけでございます。ところで、御承知のように都道府県の警察は、あくまでもその区域内において権限を行なうというたてまえをとっておりますし、お互いの県の間には何ら上下の関係、指揮命令の関係がないわけでございます。
それで、今回お願いいたしておりますのは境界付近の事案についてでございます。その点につきまして少し具体的な事例をもって申し上げますと、一つの施設が二以上の都道府県の区域にわたって設置されておる、そういう場合の施設内の事案の処理の問題でございます。たとえば建設中の東京都、神奈川県の両方にまたがる中央児童厚生施設としてのこどもの国とか、あるいは大阪と兵庫の間にあります伊丹の大阪国際空港の事例、第二点の事例といたしましては、警察署から非常に離れた県境付近におきまして、水力発電所の建設等の工事が二以上の府県の区域にわたって行なわれている場合、そういう場合に、その地域内の事案の処理の問題でございます。さらに第三点といたしまして、警察の山岳のパトロール隊が職務に従事中に、管轄区域外における遭難者を発見した場合または現場に到着して区域外の遭難事故であるということが判明した場合、こういう場合の事案の処理の問題。さらに、府県の境界付近に、駐在所とか派出所がございます。そこに勤務する警察官が、隣接する他の府県の管轄区域において発生した事案の届け出を受ける等の方法によりましてその事案を認知した場合に、地形その他の理由によりましてその事案が発生した場所を管轄する都道府県警察の警察官の適応な活動が期待されない、こういうような場合の事案の処理の問題でございます。こういうような場合には、県境に必然的に伴います特殊な性格から、現在はお互い関係府県間におきまして協定とか申し合わせによりまして事実上の処理を行なっておるわけでございます。しかし、こういうような事実上の処理というのでは法的な根拠がございませんために、事案処理がどうしても徹底を欠き、住民感情にそぐわない、そういうような立場から、法的な根拠を明確にすることによりまして相互協力の体制を一そう推進したい、それがまた住民の期待にこたえるゆえんでもある、そういうことによって能率的な警察活動を実施して公安維持の万全を期したいということでございます。さっきの御指摘のような六十条の場合におきましては、これはやはりその府県の能力をもってしてはどうしても処理し得ないような、そういう事態の起こりました場合に援助要求をする、そして要求した公安委員会の管理のもとに職権を行なわせるという規定でございますので、どうしてもこの六十条にはなじみにくい、それから六十一条のような場合は、これを自分の管轄区域内に起こった事案について他の府県に権限を及ぼしていく、こういう場合でございますので、いま申し上げましたような区域外の事案ということでは六十一条の規定を活用することもできない、現在は五十九条によりまする協力規定、お互いに協力する義務は負うというような形で申し合わせ等でやっておりますが、これはあくまでも事実上の応急処理である、そういうような状況でございますので、現行の規定ではどうしても不徹底になりがちだ、こういうような見地から六十条の二を新設いたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/12
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013・安井吉典
○安井委員 第五十九条の「都道府県警察は、相互に協力する義務を負う。」という規定ですが、これは一体どの程度の要求をもって書かれているのかわかりませんが、現実には話し合いで進んでいるという御説明があったのもこの規定に根拠があるのではないかと思うのですが、そこでまあ具体的に大阪の伊丹空港なら伊丹空港でいいんですが、それについて両県警察はどういうふうな現実処理をされているわけですか。協定の内容等につきまして、これもまあ一例として——ほかのあれでもいいですけれども、ひとつこの問題に限って見ればどういうふうな処理をされているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/13
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014・浜中英二
○浜中政府委員 五十九条は一般的に協力の義務を負うということを規定いたしました抽象的な規定でございまして、それに基づいて実際の権限を付与いたしておりません。そういうような規定でございますが、そういう精神をさらに一歩具体化いたしまして、六十条なり六十一条の規定が置かれておるわけでございます。
ところで伊丹空港の場合のお話がございましたが、伊丹空港につきましては兵庫県警と大阪府警が申し合わせをいたしまして、お互いに情報の交換その他緊密な連絡をとっておるわけでございますが、空港には警備派出所というものがございます。警備派出所に
つきまして、大阪の空港におきます通常の警察活動は、大体兵庫県の区域内に集中することが多いわけでございますので、兵庫県警察において該当区域を担当してパトロールする、それから大阪府の管轄区域にかかわるような事案につきましては、大阪の職員が随時兵庫県の警備派出所のほうにも立ち寄ることができる、こういうような形で申し合わせをしておるわけでございますが、お互いに応急的な事案の処置につきましては、行政区界を問わずお互いに協力して、届け出の受理とか応急措置とか、所轄署への連絡に当たっておるわけでございます。実際にそういうような応急処置をいたしましたあとでそれぞれ管轄の警察署に引き継いでいく、こういうような形でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/14
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015・安井吉典
○安井委員 中央児童厚生施設は、これは両県にまたがっているわけですか、その施設そのものが。その場合はどういうふうにされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/15
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016・浜中英二
○浜中政府委員 これは現在建設中でございますが、まだ開園されておりませんので、それがもしこのままでありましたならば、お互いに、どの地域をどこの県がパトロールするとかあるいは共同してパトロールする形式を相談するとかいうような申し合わせが、これからされることだと思っております。現在は建設中でございます。しかしまあ生駒山にもそういうような公園がありますし、そういうようなところではお互いの警察官が臨時の詰め所に勤務いたしまして、相互に協定をいたしまして警戒に当たっておる、こういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/16
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017・安井吉典
○安井委員 それではもう一つ、例でおあげになりました水力発電所、これは奥地の水力発電所のことをいわれるのだと思うのですが、その場合はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/17
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018・浜中英二
○浜中政府委員 横川の水力発電所とかあるいは黒部川の第四水力発電所とか奥只見の発電所とか、いろいろな状況があるわけでありますが、その地域によりましていろいろと態様が違っておりますので、やり方が一律になっておりません。ただいずれも応急の処置はどこどこの警察署で受け付けるとか、こういうような協定をいたしまして事実上の処理、受け付けを行ないまして、所轄の警察署に引き継ぐ、 こういうようなやり方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/18
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019・安井吉典
○安井委員 そこで今度新しい六十条の二の規定を置くことによって、いまおあげになりましたような事例に対して、どうされるおつもりなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/19
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020・浜中英二
○浜中政府委員 今回の規定で一定の距離を定めることになります。これは政令で規定するということになっておりますので、大体二キロという考え方でございますが、その二キロという距離を第一次的にきめまして、そのあとほんとうに必要な地域につきましてお互いの県で協議いたします。どの区域についてそういうようなことをし得るかということを定めまして、しかも協議いたしまして、協議の内容におきましてどういうような方法でやるかとか、あるいはどういうふうな事案についてやるかというようなことをお互いに相談いたしまして、相談いたしましたところによってこの新設の規定が働いていく、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/20
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021・安井吉典
○安井委員 そういたしますと、その一定の定められた区域の中において、両県の警察権がダブって行使されるのですか。それとも一方が一方を排除するのですか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/21
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022・浜中英二
○浜中政府委員 法律的には両県の警察権がダブって行使される、それで、決して本来の管轄権を持っておりまする警察権が排除されるものではございません。ただ実際、地形上から観念的にはダブっておるというような形をとりましても、お互いの協定によりまして、この地域はこの県、この地域は隣りの県がやるというような協定のやり方もございますので、それはお互いがダブって行なうということに法律上のたてまえはなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/22
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023・安井吉典
○安井委員 その場合に、指揮だとか指令の権限は両県警察の——どうなるわけですか。ダブって両方が行使されるわけでしょう。その場合においての指揮命令の系統はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/23
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024・浜中英二
○浜中政府委員 その警察官の所属する県公安委員会の指揮を受けるという形になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/24
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025・安井吉典
○安井委員 そうなりますと、同じところにこちらのほうの警察権も行使される、こちらの公安委員会の命令もそこへいく、そういうことで、その地域に対する過剰な警察権行使が行なわれたり、あるいはまたこれはもう両方ダブっているのですから、こちらのほうがやらなくても向こうでやってくれるだろうと思ってこちらで手抜きしてしまう、つまり過剰になってみたり逆に手薄になってみたり、そういう事態が起きませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/25
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026・浜中英二
○浜中政府委員 この規定はお互いに協力していくという考え方の前提に立って、それを一歩お互いの協力態勢を推進していこうということで定めた規定でございます。したがいましてどういうふうなやり方をするかということは、かかって両県の自主的な協議によって定めることになるわけでございます。したがってお互いの協議によりまして、分担なり権限の行使の範囲というものが、事案の種別が定まってまいりますので、そういうことでこれがむだに重複したりお互いに争いが起こるというようなことは考えられないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/26
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027・安井吉典
○安井委員 そういうことになりますと、どうもいま現にやっておることとそう変わらないような気がするわけですね。いまでもおやりになっているのだし、そういうような事態とそう大きな変化が起きてこないのではないか。いまやっていることでもやれるのではないかという印象を受けるわけです。ここの地域は県境であって、こちらの自分の県の警察はなかなか手が届きにくいから隣のほうでやってもらうというように、地域をかっきり区切ってしまうというのならすっきりしますけれども、今度はそうじゃなしに、県と県との間に一定の一つの筋が引かれて、その中においてどちらもが共同処理区域ができるというような印象を受けるわけです。やはりこちらの県境に、こちらの警察ではないのですよ、向こうの区域になりますが、そこで何か事件が生じた場合にこの責任的処理はどうなんですか。こちらなんですか、向こうなんですか。やはり両方なんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/27
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028・浜中英二
○浜中政府委員 現在やっておることと変わりがないのではないかというお話でございますが、現在のやり方はあくまでも応急的な処理でございますので、実際の権限が与えられておるわけでございません。どうしてもその点において警察活動が制約される、徹底を欠くといううらみが残るわけでございます。
ところでいま御指摘のような点でございますが、たとえば山岳地帯とか非常に交通不便なところの工事現場などにおきましては、協議によって、実際はこの地域はどの県にやってもらうというふうに定めることになります。そういうことについてはお互いに警察活動がダブるということはないわけであります。ただ伊丹の空港とかそういうような場合においては、共同処理の態勢をとっていくことになるわけでございます。
それで責任の問題でございますが、責任はあくまでもその事案を所轄いたします都道府県警察がすべて管内の治安維持については負うことになります。住民に対しても責任を負うわけになりますが、関係の府県に権限を及ぼしました管轄権を持たないところの警察官の責任というものは、あくまでも協議事項の履行という意味におきまして、本来管轄権を持っております警察に対して責任を負う、こういうような考え方になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/28
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029・安井吉典
○安井委員 もちろんその協議というものに権限の根拠が置かれるのだろうと思います。それはわかりますけれども、一たん協議ができてしまえば、こちらのほうの警察の権限事項なんでしょう。向こうの警察の権限事項でもあるし、両方の権限事項じゃないですか。六十条の二というこの規定の条文を読む限り、権限に甲乙はないように思うわけですがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/29
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030・浜中英二
○浜中政府委員 権限といたしましては、先ほど申し上げましたように、その事案の区域を所轄いたします警察が権限を持っております。ただ実際の活動といたしまして、本来管轄権を有しております警察官がその地域には非常にすみやかに出かけていって事案を処理しにくいというような場合がございますので、隣の県の警察官が出かけていって権限を行使するということになるわけでございます。ですから観念的にはダブるようなことになりますが、もちろん協定でその点は十分に解決できるものだと思っております。ちょっと先生のおっしゃる御趣旨の点がよくわかりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/30
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031・安井吉典
○安井委員 権限の規定が、この規定の条文を読む限り、隣接にかかる境界の付近の区域における事案を処理するため、その管轄区域に権限を及ぼすことができると書いてあるわけです。話し合いができれば、この権限を及ぼすことができるのではなくて、これははっきり権限事項になるわけでしょう。しかしこういう例外規定でない本来の規定の中では、当然もとの警察の管轄区域でしょう、権限区域でしょう。しかしここではこちらも権限区域にされているわけです。やはり権限がはっきりダブっているでしょう。その場合にどちらを優位に置くかという規定はこの中に見当たらないし、それからもう一つは、第六十一条の場合は、これも管轄外における権限が延びていくわけです。この場合は第二項の規定が置かれて両県警察の緊密な連絡を保たなければならないという義務規定も置いてあるわけです。ところがいまの六十条の二の改正規定では、連絡の緊密化に関する義務規定も置いてない。ただ単に権限をダブらせたままの規定にしてあるという印象を受けるのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/31
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032・浜中英二
○浜中政府委員 六十一条の場合は、管轄区域外ということを規定しておりまして、この管轄区域というものは隣接の警察だけに限っておらないわけでございます。犯罪の鎮圧や捜査のために、必要なればさらにもっと遠い、隣接していないところにまで権限を及ぼすことができるという規定でございますが、六十条の二の場合は五十九条の延長といたしまして、隣接した県に権限を及ぼすことを規定しておるわけでございます。したがって共同処理をする以外には、本来の管轄を持っております県の警察活動というものは、実際上は休止しておるというような状況になるわけでございます。特にお互いに連絡をしなければならないというような規定を設けておりません。これは本来府県の自発的な意思によって、お互いの県が十分に相談してきめるということを前提といたしておりますので、ことさらに緊密な連絡を保持しなければならぬという規定を置くまでもないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/32
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033・安井吉典
○安井委員 これはやはり両方の権限がくるのです。そこでいまの協議によって定められたその区域における住民は、こちらの警察署長にもごきげんをうかがわなければならないし、こちらの警察署長にも関係があるし、両方の共管になって住民が迷惑する場合も出て来るのではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/33
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034・浜中英二
○浜中政府委員 地形で具体的に御説明すれば非常にわかりやすいのでございますが、住民のもよりの警察というものがすぐ手前にある、しかしそれが隣の県の駐在所である、自分のほうの本来の警察署はたいへんに離れたところにある、二時間も三時間も離れたところにある、あるいは雪の降ったときには交通が途絶するというような場合を考えて、こういう規定を創設いたしたいと考えておりますので、住民にとりましては、やはりどこの警察に管轄権があるということでなしに、一番もよりの警察に申し出て、それぞれ適切な要求をするというのが最も自然な形であろうと思うわけでございます。そういう点で、これはあくまでも住民の利便のために、住民の感情に沿うようにというような観点から、そういうような場合を想定してこういう規定を設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/34
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035・安井吉典
○安井委員 しかしいずれにしても、具体的にはこっちの何々警察署、こっちの県の何々警察署の両方の管轄を受けることだけは間違いないわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/35
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036・浜中英二
○浜中政府委員 一般的には、その住民は本来の警察の管轄を受けるわけであります。しかしいま御指摘のような点につきましては、両県の警察が協議して、協議した一つの事案だけに限ってその住民は隣の県の管轄、というとおかしいのですが、隣の県の警察に事案の処理を申し出ることができる、こういうような考え方になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/36
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037・安井吉典
○安井委員 そうするといま警察庁でお考えになっております協議の内容ですが、どういうところまでを予想されているわけですか。どんな場合を予想されているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/37
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038・浜中英二
○浜中政府委員 協議の内容は、隣接にかかわる境界付近の区域のうち、一体必要な区域をどこまでにするかという区域の範囲の決定の問題、それからそのうちどういうような事案にするか、必要な事案の種別の問題、それから事案をどういうように処理していくかという事案処理の方法でございます。その中には時期の問題とかあるいは方法というようなことがいろいろと考えられると思うのでございますが、そういうようなことを協議の内容といたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/38
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039・安井吉典
○安井委員 ここに出ております事案ということばですね。事案というのはどの程度入るわけですか。結局警察事務全般という意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/39
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040・浜中英二
○浜中政府委員 必要な事案ということですが、その事案の中には一応すべての事案を含んでおります。しかしたとえば山岳地帯におきましては、山岳遭難の事案についてはこういう協定をしようじゃないか、あるいは特に雑踏整理の事案についてはお互いに共同していこうというふうに、その地域にとって一番必要な事柄をお互いに協議いたしまして、事案をきめるというたてまえになっておりますので、別にそれについては限定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/40
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041・安井吉典
○安井委員 一応限定はないわけですけれども、指導される場合には協議における事案の確定の方法は、無制限に広げれば幾らでも広がるわけです。警察事務全般にもですね。それからこまかく、たとえば先ほどの中央児童厚生施設だけとかそういうきめ方もあるだろうし、いろいろな方法があると思う。そういう問題について、警察庁はどういう御方針で臨もうとされておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/41
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042・浜中英二
○浜中政府委員 本来、都道府県は、それぞれの区域内に権限を及ぼすということをたてまえにいたしておりますので、こういうふうな場合は、必要最小限度に限定するという考え方をとっておるわけでございます。したがいまして、境界付近というふうに仮定いたしております。その上で、二キロ以内という距離を定める。その中でしかも必要な地域、必要な事案というふうに限定してまいるわけでありますが、ただいま御指摘のような事例たとえば伊丹の空港であれば伊丹空港だけの共同処理の方式を相談する、こどもの国についてはこどもの国だけについての共同処理方式を相談する、あるいは山岳地帯におきましては具体的に協議いたしましたその一つの区域内、あるいは発電工事が行なわれておりますそういう地域だけに限定する、こういう考え方で指導いたす方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/42
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043・安井吉典
○安井委員 また蒸し返すようですが、そういう具体的な個々の問題に限定した行き方をするならば、いまの法律でもやれないわけはないと思う。ただこういう形で新しい規定が設けられることによって、その処理事案の内容がぐっと広がるおそれがある。両県の警察が話し合いをすればどうでもなるわけですから、そういうふうな心配があるような気がするわけです。個々の具体的な一つの施設、それをどうやって処理するかということは、いまでもそれくらいの話はできるはずだと思うのです。ちゃんとそういう方向でやりなさいという五十九条の規定もあるくらいですから、これはできると思う。ただこういう新しい規定を設けることによって処理内容を、共同処理といいますか、そういう内容を拡大するおそれが出てくるのではないか、そんな気がするわけです。
ところでこの政令の中に、どこまでおきめになるつもりですか。政令でいろいろな規制をされるだろうと思いますが、その内容についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/43
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044・浜中英二
○浜中政府委員 政令では距離だけを定める予定でございます。具体的な距離の中におきます特定の区域というものは、両県の協議にかかわる、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/44
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045・安井吉典
○安井委員 さっき二キロと言われましたね。そうなると、県によっては細長い県があってしっぽが三県にまたがるような場合は出てきませんか。そういう例はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/45
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046・浜中英二
○浜中政府委員 そういう場合もあるいはあり得るかもわかりませんが、大体距離といたしましては、必要最小限度の範囲を考えておるわけでございます。必要な区域ということになりますと、山岳とか湖水その他の地形で相当な差がございます。これを一々区分して法律で定めるということは非常に複雑なことになります。また必要な区域というものをすべて含まれるようにしようというふうに考えますと、どうしても全般的に見て必要以上の距離となるわけでございます。そこで、境界付近の地域というふうに法律上定められておりますので、政令で定める上におきましてもおのずから限界があるわけでございます。区域そのものを規定せずに、距離だけを定めて、県の自主的な判断にまかせることが妥当と考えておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、二キロあれば大体境界付近のある程度の事案がすべて救済される。しかし北アルプスとか、そういうような山岳地帯とか、十和田湖のような湖面につきましては、それよりも若干距離を延ばす必要があろうかと考えております。ただ、その境界が帯状で三県にまたがるようなところも一あるかと思いますが、そういうようなところで、ほんとうに協議する必要性があるようなところにおきましては、それぞれの県が別々に協議をしていく。三県一緒に協議をして定めるというような考え方はとってございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/46
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047・安井吉典
○安井委員 六十六条に、移動警察等に関する職権行使の規定がありますね。ここにも関係県の協議という規定があるわけですが、これの実情はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/47
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048・浜中英二
○浜中政府委員 六十六条の移動警察につきましては、これは今回の規定と違います点は、あくまでも移動警察、それから交通の円滑と危険防止ということを目的として規定いたしておるのでございます。今回の六十条の二のほうは、協議内容のほうはそういう目的をはっきりと法律上限定しないで、またがる府県の協議にまかせるというたてまえをとっておるわけでございます。現在六十六条の協議の問題につきましては、特別な問題もなく、円滑に進められております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/48
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049・安井吉典
○安井委員 境界の付近に大きな炭鉱がある、そこで大きな規模のストライキが起きた、そして問題が大きくなって警察が出動するというふうな場合に、この処理はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/49
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050・浜中英二
○浜中政府委員 そのような処理をやりますためには、六十条の応援要請の規定で処理いたすことになるわけでございます。その事案が非常に大規模である、あるいは当該府県がそれを処理する能力がないというときに、そのつど隣接の府県なり他の府県に応援を要請して、それでその事案の処理に当たるというような場合は、応援の要請を受けました警察官は、その炭鉱を管轄いたしております公安委員会の管理のもとでそれぞれ警備に当たるというのがたてまえでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/50
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051・安井吉典
○安井委員 しかし両県警察が協定によって、そういうような警備事件についても共同で処理するという協議事項が成立していれば、両県が一緒に共同処理できますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/51
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052・浜中英二
○浜中政府委員 その具体的にあります炭鉱の地形によりますが、その地形においてどうしても隣の県の警察のほうが非常に近い、本来の警察のほうで管轄するということが地形の上からも、距離の上からも非常に困難であるというような場合に、炭鉱付近の住民の保護のために、最初の届け出をどうするか、あるいは日常のパトロールはどうするかというような形で協議することは、この規定で可能と思います。しかし、こういうような隣の県の炭鉱の争議とか、非常に大規模な騒乱があるというような場合を想定しての新設の規定ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/52
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053・安井吉典
○安井委員 立法趣旨はよくわかるんですが、ただ協議の内容について何らの制限がないように思うわけです。そういう協議をしてもいいし、しなくともいい。すべてをまかせてあるように思うわけです。ですから、これは警察庁としての指導方針にもよると思うのですが、一応この規定の表面を見る限りにおいては、事案の処理というごく簡単な表現しかないし、しかも相互協議で何でもできる、こういうことになっておるようであります。
この相互協議というのは、両県の県議会の議決が要るとか、議決事項という言い方はおかしいかもしれませんけれども、何かオフィシャルな形で取りきめが行なわれるわけなんですか。それとも事件が起きたときはちょっと協議をすれば、それでもできるのか、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/53
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054・浜中英二
○浜中政府委員 今回の改正は、県境のごく限られた地区内における事案の処理を一そう効果的に行なうというものでございます。したがって、管轄区域を変更するというものでもございません。もっぱら事務処理の効率上の見地から、事務処理等の方法について行なう協議でございますので、執行機関としての都道府県警察の責任において行なうというのが妥当と考えております。したがって、都道府県の議会の議決を経るというような考え方はとってございません。こういう規定は、ほかの道路法とかそういうようなものにも出てございますが、ことに経費が伴うということになりますれば、議決を経るというようなこともあろうかと思いますが、現在のところはそういうようなことは考えておりません。執行機関の責任において、すべて協議をかわしていくという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/54
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055・安井吉典
○安井委員 そうなりますと、私は二つの問題が起きてくると思うのです。先ほど来私がずっと申し上げてきたところからおわかりいただけると思うのですが、その地域で問題が起きた場合に、それは応援規定を活用する形で、他県からの応援を求めて処理することもできるし、この規定を活用して、何も特別な取りきめといっても文書の協定とかそういうようなものも要らないようで、ただ単にお互いの話で、よし、そんなら一緒にやろう、こういうふうなことならばすぐできるわけです。応援規定なら、まさに都道府県警察という、これは二番目の問題になりますけれども、いまの警察法の改正は、自治警察を国家警察に変えようという、その方向の中間的な形であらわれておるわけです。都道府県警察といっても、その幹部クラスはすべて警察庁の命令一下どうにでもなるというかまえになってしまっておって、下の警察官は、地方公務員ですけれども、しかしこれまた上の幹部の命令一下脈絡一貫仕事が進むという体制にあるわけですね。ですから、都道府県警察というほんとうの姿らしいものは、ただ境界線が明らかにされていて、管轄の権限がぴっちりと区分されているということだけが、いまの警察法の都道府県警察という本来の姿を残しているただ一つのものだとさえ言っても過言ではないのではないかと思うのです。そういうような点からいえば、何かいままでの原則がこの規定によって破られるのではないか、そんなような感じを受けるわけです。いままでだと、お互いの話し合いで処理できたものが、こういうふうに明らかに二キロなら二キロという線を引かれることによって、本来の考え方というものがゆがめられやしないか、こういう心配を感ずるわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/55
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056・浜中英二
○浜中政府委員 これはあくまでも府県間相互の横の関係を規定いたしたわけでございます。先ほど申し上げました協議というものは、単に話し合いでこうしようじゃないかというような簡単なものでなくして、お互いの公安委員会が文書をかわして明確に協議をすることになるわけでございます。そういう点では現場現場の、その場限りの話し合いでやるというような性格のものではございません。これは本来お互いの府県は、はっきりとそれぞれ自治体警察的な性格を持っております。管轄区域を持っておるわけでございます。ただし、警察の対象が非常に広域にわたっておる、犯罪が非常に広域にわたっておりますので、そういう点をカバーするために五十九条の協力の義務があるわけでございます。五十九条の協力の義務だけでは、いま申し上げました事例ではどうしても徹底を欠く、それがまた住民の感情にもそぐわないというような点がございますので、そういう点を一歩前進させまして、必要な事案につきましてはその権限を隣の区域にも及ぼすということが、警察活動の能率の上からも、治安維持の上からも適切であるという考え方で規定してあるわけでございまして、特にこの規定におきましては、中央と府県との関係というものにつきまして、特別な改定が何もないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/56
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057・安井吉典
○安井委員 応援に関する規定でいけば、必要な経費はすべて応援を受けたほうが負担するという、そういうたてまえであまり問題はないのではないと思うわけです。今度のこういうような措置が行なわれるとすれば、隣の県の事案を処理するためにこちらの県が一応協定しているわけですね。当然の権限というふうな形で入っていくわけです。隣の県の事案を処理するために、こちらの住民が負担をしなければならない、こういうふうな場面も出てくると思うのです。経費の問題についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/57
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058・浜中英二
○浜中政府委員 応援の場合におきましても、その規模によりまして国費で負担するような事案につきましては国費で処理されることになりますので、必ずしも応援を要請した側で持つというたてまえにはなっておらないわけでございます。ところで、今回の場合におきましては、普通は人件費等の通常の経費は、その警察官が所属する都道府県警察が負担するたてまえでございますが、経費の面で負担が増加することも考えられるわけでございます。なお特別な経費が必要とされるというような場合には、その負担の区分は協議によって定められることといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/58
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059・安井吉典
○安井委員 そうなりますと、都道府県議会の議決が要りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/59
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060・浜中英二
○浜中政府委員 特別な大きな事件が起こって、当該府県の経費が非常にかさむというような場合におきましては、その経費の支出そのものにつきましては、都道府県議会の議決が要るということになろうかと思いますが、ただこういう一つの法律で定めました区域内におきまする日常の権限行使というような問題につきましては、都道府県議会の議決は要らない。ただ単に事務処理を能率的にやるところのそういう方法を新設したというふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/60
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061・安井吉典
○安井委員 これは国家警察なら私は問題がないと思うのです、どこの県へ行こうと。外国へ行ったら別ですけれども、日本の国ならどこでもいいはずですが、都道府県警察というたてまえからすれば、経費の問題が出てくる以上は、私はこの相互の協議というふうなこと、しかもその相互の協議というのは、突発的な協議ではなしに何かコンスタントなものを一つ頭に置いて協議が行なわれるというようなお話も先ほどあったわけです。そうだとすれば、なおさら両県の県議会の議決というような、そういう仕組みがないとおかしいと思うのです。つまりその協定ができることによって、こちらの県の管轄区域が隣の県の協定区域まで延びたということになるし、向こうの県にしてみても、こちらの県の協定のところまで延びたということになるわけです。そういうことで協定があるのは、やはりそこに何か事件が起きたり、そういうおそれがあるというような予想に立って行なわれているはずなんだから、ある種の経費というものは、私は初めから予測されるものだと思うのです。突発的なものならあとで処理するということができますけれども、これなどは、そういうような事件の発生が予想されるからこういうような規定をお置きになるのでしょう。議決がない、出費がきまってからあとでというのでは、おかしいと思うのです。そういう費用の支出というものが予想されるような協定を結ぶ場合には、これはやはり議決事項でなければいけないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/61
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062・浜中英二
○浜中政府委員 関係の府県が協議いたしましてたとえば共同の施設を設けるというような場合、そういう派出所を設けるというような場合には、議会の議決を要することは言うまでもないことでございますが、こういうような問題につきましては、本来いままでの規定によりましても、六十一条で管轄区域外にそれぞれ捜査に出かけていく、あるいは六十六条で移動警察をしていくというような場合におきましては、これはそれぞれその警察官の所属する警察におきまして経費を負担するということになっておるわけでございます。そういうような現行法のたてまえからも考えてみまして、こういうような規定を新設いたします場合には、そういうようなことを当然想定いたしまして、それに必要な予算として、すでに当初の活動経費に組まれておるという仕組みになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/62
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063・安井吉典
○安井委員 私ちょっと質問がまだあるわけですけれども、あとしばらく保留をいたしまして、あとでまたさらにお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/63
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064・森田重次郎
○森田委員長 川村継義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/64
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065・川村継義
○川村委員 最初にいまの点についてちょっとお聞きしておきます。
だんだんお話を聞いていると、この規定を設けられた趣旨はよくわかります。ところが、いわゆる政令によって一つの区域を協定し、その基準をつくる、そうしてそこで両県の警察が取り扱うべき事案についての協議を定めておる、こういうことですね。そうするとあなたのお話しからしてずっと考えてみても、いままでは、完全にA県のいわゆる管轄区域であったものが、二キロか三キロか知らないけれども、その政令の基準によって定められた区域内において協議がととのった事案については、今度はお隣のB県がこれを管轄するということになる、そうですね。もっとことばをかえて私流に解するならば、A県の場合には管轄の潜在権限というか、それはあるけれども、がととのうた分については、もうすでにB県の警察に移ってくる、こういうことになるのでございましょう、パトロールそのほかいろいろなものが。そういうようにやるのがこの法律の規定の趣旨でしょう。これができた以上は、このA県の管轄区域であったけれども、これからはB県の警察か、あるいは警察官によって行動される、権限行使をされる区域となる、そういうことでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/65
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066・浜中英二
○浜中政府委員 今回の改正は、管轄区域を変更するものではございませんで、管轄権を持っております警察の責任は解除されないのでございます。ただその区域につきましては法律的には二つの警察が権限を行使する可能性が生じてくるわけでございますけれども、管轄権を変えるということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/66
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067・川村継義
○川村委員 私のほうもことばが過ぎたかもしれませんが、私もそう解釈しています。いわゆるA県の警察の管轄区域ではあるんですね。しかしいわゆる何キロか知りませんけれども、その規定の範囲内においてあるいはパトロールそのほかいろいろなものがB県の警察のほうに実際問題として移される、こういうことになるんですね。警察の管轄区域はそれは変わっておりませんけれども、実際上はいわゆる管轄の範囲というものがB県の警察に移る、こう解釈せざるを得ないのでございましょう。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/67
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068・浜中英二
○浜中政府委員 協議で定めました特定の事案につきましては、B県のほうが職権行使を行なうことができるということでございまして、B県の管轄になるという意味ではございませんが、職権行使の点につきましては、B県の者がその区域内において行なうということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/68
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069・川村継義
○川村委員 率直にお認めになっていいと思うのです。いわゆる話し合いができたその地域については、もちろんA県の警察の管轄区域ではある。しかしもう協議ができた以上は、B県の警察によって職権が行使される。そういうことになるから、実際はこの権限の行使される範囲というものは、B県に移っている、その内容というものは、B県に移っている。もっと具体的に私がいまお話を聞きながら感じておることを申し上げると、いままではA県の警察官がパトロールをしたり、いろいろなことをやっておった。しかしその話し合いの事案については、もうこれからはひとつB県のほうでやってくれということになったら、B県の警察官がパトロール等を行なう、こういうことになるのでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/69
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070・浜中英二
○浜中政府委員 そういう意味ではそういうことになります。ただ住民に対する責任というものは、あくまでA県の責任は解除されない。その地域内の治安が悪いということは、あくまで本来管轄を持っております警察の責任であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/70
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071・川村継義
○川村委員 それはちょっとまた別の問題になると思いますがね。そのような行政的な責任はA県にあるかもしれませんけれども、起こってくる事案についてのよしあしあるいは適不適、そういうような実際の職権行使についている責任追及は、これはB県の警察官を通してB県のほうに責任がいかざるを得なくなるのです。B県の警察官が実際の職権行使をやっておって、そのあとの出てきたところの責任問題を、それをA県のほうで受け合うというわけにはまいらない。どうです。あなたのお話はちょっと先のほうがおかしいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/71
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072・浜中英二
○浜中政府委員 責任の問題でございますが、B県の者がA県に行って違法な警察活動をした、あるいはその区域の住民に損害を与えた、こういうような場合には、民法やあるいは国家賠償法上の損害賠償の責任はあくまでもB県が負うことになります。ただ普通の警察活動の上でうまくいかなったとかいうような問題についてのB県の責任というものは、協議事項というものの履行という形において権限を行使するものでありますので、B県に対してその責任を負うという形になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/72
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073・川村継義
○川村委員 その点について私がいま聞いておりますのは、一警察官、駐在所なら駐在所の警察官の立場でひとつお話をして、いただけませんか。いままではA県の警察官の人が実際職権を行使しておった。ところが今回はこの規定によりまして協議ができたということになりますと、これからはB県の駐在所の人があるいは警察官が行動をする。そこに一つのどろぼうとか何とかいうような、何かの窃盗事件が起こった、ところがそのどろぼうは、えらい卑近な例を申し上げて恐縮ですけれども、B県の警察官がこれを逮捕することができなかったという場合に、その責任は、A県の警察あるいはA県の警官察の責任として皆さん方は見られるだろうがB県のその行動、職権行使をした警察官も、一つの責任だとしてこれをおとりになるだろうと思うのです。その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/73
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074・浜中英二
○浜中政府委員 その点につきましては御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/74
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075・川村継義
○川村委員 言うならば、B県の警察権を行使すべき範囲というものはそれだけ広くなっておる。それだけ広められることになりますね。広められるということになると、これは経費というものも、あなたは先ほど小さいとか大きいとか言っておられますけれども、当然警察は必要な捜査あるいはそのほか警ら活動等に必要な経費というものは、それだけやはり広く見なければならぬ。見るのが当然ですよ。また国からいわゆる補助対象として流す場合の半額補助というような規定もありますけれどもね。その場合では協議をしてととのった地域がそれだけ広まっておれば、補助対象にする場合にもやはりそれだけ広く見なければならぬということになる。これは範囲が広いとか大きいとかいうようなことでなくて、これは理論の上からそうならざるを得ない。そうなるとそれだけB県の警察活動の範囲というものは、いわゆる職権行使をしておる範囲というものは広まってくる。広まってくればこれはやはり予算に関係がある。なければできないはずです。またそう考えていかねばならぬと思う。そういたしますと、やはり協議されてこれだけの行動範囲が広まっておるから、職権行使の範囲が広まっておるから、それだけの予算というものが、これはB県ならB県の予算として計上されてくるという結果になるわけですね。とすると、議決というものがやはり含まれてくるじゃありませんか。議決が必要だというその範囲に入ってくることになるでしょう。そこら辺のところはあまりぞんざいにお考えくださると困るのですが、お考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/75
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076・浜中英二
○浜中政府委員 ことばが足りませんで失礼いたしましたが、予算という問題につきまして、ただいま先生のおっしゃいましたように権限を及ぼす範囲が広がってまいりますと、その限りにおいて活動の経費がふえてまいるということは当然のことでございます。そういうような立場から、そういうものを含めて県議会で全般の予算を定めていただくということになろうかと思うのでございます。ただ私が申し上げましたのは、実際問題といたしまして事実上協定とかいうような形で、不完全ではありますが、特殊な処理をしておった、そういうものに対して明確な一つの法的根拠を与えていこうということでございますので、協議をすることによって直ちに予算上のたいへんな差異が、変化が生じてくるというようなことでございませんので、協議そのものを県の議会の議決を得るという必要性がございませんので、そういう意味でお返事申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/76
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077・川村継義
○川村委員 これは皆さん方のほうは、警察活動の能率が上がるようにとか、先ほど官房長のことばを聞きますと、たびたび住民の意思に沿えるようなということばが出てまいります。それはもちろん大事なことでありますけれども、都道府県警察はやはり自治体警察というたてまえに立っておるわけでありますから、都道府県の自治権というものは十分考えてやっていただかなければたいへんな事態に立ち至っていくということをおそれておるのです。
私は、先ほど安井委員のほうからいろいろ聞いておりましたので、まず、それに関係するようなことを一、二お聞きをいたしますけれども、この規定を六十条の二として新設されたお考えと、なぜ六十一条の規定として新設するという考えがなかったのか、その辺の考え方をもう一ぺんひとつ聞かせていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/77
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078・浜中英二
○浜中政府委員 六十一条の規定は管轄区域内の事案について、その事案を処理するために必要の限度で他の警察まで及ぼすという規定でございます。したがってこれは六十一条とはちょっと性格が変わっておるわけでございます。山岳遭難の場合にも、パトロール隊が到着した場合に、それが隣の県の事故であったというような場合でございまして、自分の県の一つの遭難の事故に対して処理する規定でございません。どうしても六十一条ではなじまない。したがって境界を越えて権限を行使する場合でございますので、そういう趣旨からは六十条の規定になるわけでございます。六十条の規定は応援要請の規定でございますが、六十条の二というのは同じ区域外に出るにいたしましても県境付近に限定して職権を行使するという一つの規定でございますので、ともに五十九条の協力関係というものをもう一歩前進させたという意味で六十条の二を新設いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/78
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079・川村継義
○川村委員 そうすると、新しい規定の考え方というものは、援助規定の延長だ、こういう考え方に立っておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/79
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080・浜中英二
○浜中政府委員 援助規定の延長という考え方ではございませんですが、どういうふうに申し上げますか、必ずしも援助規定の延長だという意味ではなくして、援助規定と親類関係にある規定だという、こういうようなつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/80
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081・川村継義
○川村委員 ところが、実際は権限を管轄区域外に及ぼそうというわけですね。もちろん第六十一条はみずからの所属する管轄区域内に起こった問題について、管轄区域外に及ぼさなければならぬ場合の規定だと思います。しかし新しい規定も、今度みずからの所属する警察をしてもう少し隣の県まで手を伸ばさせていこうというわけですから、権限を広めていこうというわけですから、私はそういう意味では皆さん方の考え方からすると、新設されるならば六十一条の何項、こういうような規定になさるほうが法のたてまえからは当然じゃないか、こういう考えがこびりついているのですがね。もう一ぺんその辺のところを聞かせてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/81
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082・浜中英二
○浜中政府委員 御指摘の立場から考えますと六十一条の二という考え方も成り立つかと思います。しかし、六十一条は先ほども申し上げましたように、自分の管轄するそういう一つの区域内での犯罪の鎮圧、捜査、被疑者の逮捕のための一つの規定でございます。今度の規定は自分の管轄区域内での事件の捜査のためでなくして、隣接する事案を処理するためにあるので、本来その管轄していない事案を処理するために、隣接の県に権限を及ぼすということでございますので、若干その点が違いがあるように思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/82
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083・川村継義
○川村委員 これはそれでいいでしょう。
そこで先ほどいろいろお話がございましたが、山岳遭難の場合に、たまたまパトロールをしておる警察官が遭難者を発見をした、その発見をした地点が残念ながら自分の県とは違った向こうさまの県の区域であった、こういうのが非常にやりにくいとかいうお話ですが、現在は一体そういう場合にはどういう処置をとっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/83
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084・浜中英二
○浜中政府委員 現在は、そういう場合には、事実上の警察活動を行なっております。他の地域であるというわけでこれを放置することはできませんので、当然警察官といたしまして、事実上の救助活動を行なっております。しかしこのような場合にも、法律上の職権行使を行なうというようなたてまえをとっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/84
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085・川村継義
○川村委員 そうしますと、この規定ができるということになると、そういう点は先ほどのお話のように非常に能率的というか便利にはなるかもしれぬけれども、現在のたてまえからしても、また現在の法の運用からしてもやれないことはない、それはそう考えていいんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/85
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086・浜中英二
○浜中政府委員 お説のとおり必ずしもやれないという問題ではございませんが、現在の規定ではどうしても警察活動に徹底を欠いておる、確実な積極的な処理ができないといううらみが残るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/86
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087・川村継義
○川村委員 次に、もう一つお聞きいたしますが、この新しい規定ができて、政令で区域を定めて、二キロとかいうお話でありましたが、そういう定められた地点について、地域について両県の警察が協議をして取り締まりの内容をきめていく、その場合にどのような協議の形をとるのであるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
一つはここに県境がある。AとBの県がある。で、話をして、A県のほうに入ったところをB県からひとつやってくれ、こういうような形になることもある。いま一つは、A県に入って、B県からもやってくれ、しかしおれのほうからもやる、こういう場合もあると思います。今度は、県境があって、両方から区域を設定して、この区域内はお互いに両方からやろうではないか、こういう場合も出てくるんじゃないか。皆さん方のほうは、私がいまあげたような、推測しておるような、いずれの場合も想定しておられますか、いや、そうじゃないんだ、それは一番初めにいったほうの、A県のほうでは、どうしても手が回らぬから、しかしB県のほうが都合がいいから、これでやってくれ、こういう場合を想定しておられるのか、その辺のところをここで聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/87
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088・浜中英二
○浜中政府委員 大体現在考えております事例では、お互いに分担をきめまして、A県のものにB県の県境のある施設のパトロールを頼むとか、あるいはB県のものにA県の特定の地域の処理を頼むとかいうような形が大体の姿でございます。しかし理論的にはいまおっしゃいましたようないろいろな場合があると思います。たとえば読売ランドが神奈川と東京の間にある。しかし交通が非常に便利で、お互いに両県からたくさんの客がきておるというような場合には、お互いが共同してパトロールするというような場合も若干考えられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/88
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089・川村継義
○川村委員 そうなりますと、その場合のいわゆる事案処理に当たった警察官——私は、警察官の立場が非常に頭にこびりついておるのですが、警察官のいわゆる責任の問題、あるいは警察署そのものの責任の問題、こういうものは一体どうなるのか。一方的にただBならBに頼まれた場合には、そういう責任の所在というものは、先ほどお話のとおり、おのずから明らかな点が出てくると私は思います。しかしこう入りまじって、いろいろふくそうしておる場合に、一体どういう結果になるか、非常に心配になってまいります。皆さん方はそれをどうお考えになるか。たとえば空港なら空港で考えてみた場合に、両方の警察官が入り組んでいるという場合に、いろいろな事案については、これはいろいろまずいこともあるかもしれない、成功する場合もあるかもしれない。そういう場合の責任というのは一体どうなっていますか。そのときは、先ほどのおことばを返すようですけれども、その警察官の所属、個人になっていくのか、あるいは、もともとそこはAの警察の所轄であったものが、Aは全く責任をのがれて、B県の管轄警察署なら管轄警察署がその責任を負わなければならぬということになるのか、非常にむずかしい問題があるように思います。これをひとつ明確にもっと詳細に話していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/89
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090・浜中英二
○浜中政府委員 そういうふうにお互いが入り組んで共同で処理をするという場合には、その事案についての責任は二種類あると思うのでありますが、対住民に対する責任と、それぞれの県警察自身の責任と個人の責任という問題に分かれると思うのでございます。しかしさっきも申し上げましたように、管轄権を持っておるという意味におきまして、そういうところで事案が起こりましたための対住民に対する責任というものは、あくまでも管轄警察官が持つんだ。それから、お互いに共同してやって、そうしてその共同したやり方が悪くて、いろいろな事案が起こったということになりますと、その協議の定め方なり、協議の具体的な内容がまずかったというような意味では、それぞれの県がともに責任を持たなきゃならぬと思います。しかし個人の警察官がその個人の失態によってまずいことをしたという場合は、これはあくまでもその警察官個人の責任ということになろうかと思います。指揮命令が適切でなかったということになりますれば、それぞれの所属長の責任、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/90
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091・川村継義
○川村委員 何かしらん、ただ不便だから、あるいは能率的でないからということで、突如として少し安易にこういう規定を設けられておるのじゃないかという危惧の念がありますがね。私は、むしろ、現行法で十分処置する態勢、運用ということを考えてしかるべきではないか。こういう規定をやはり持ってこられますと、われわれのような立場におる者はすぐつまらないところまで憶測をするわけです。移動警察をつくったときにもこういう論議が非常にあった。警察法の改正のときにもこういう論議が非常にあったわけですね。いわゆる自治体警察というものの権限が全く次から次になくなっていって、そうして、この規定そのものはあなたがおっしゃるようにそういうねらいがあるとは思われませんが、お互いの両警察の横の連絡を密にするというお話があっておりましたけれども、しかしやはり考えると、これが両県だけの話で完全にいかない問題が必ず出てくる。そうなりますと、これは警察庁のほうか、あるいは管区警察のほうからこれに強い指示、指導というものが加わっていかなければ運用できない、そういうような形になってまいりますと、一体警察行政というものはどこへ行くのか、こういう危惧が持たれるわけです。それで私は、何かしらん現行法のたてまえからしても、また解釈からしても、運用からしても、やれるようなものを十分お考えにならないで、こういう規定を置かれるということは、はたして一体その皆さん方が考えておられる趣旨に合うような実績があがるかどうか。何かはんとうはこういう規定を置いたからといって、従前よりもその目的を達し得るものにはならぬのじゃないか。それよりももっというならば、へんぴな山岳の問題がよく出てまいりましたが、こういう必要な地域と思われるところにやはりいろいろ通信施設であるとか、あるいは交通施設であるとか、そういうものを充実されてやられるほうが私はいいのじゃないか。いまでもいなかの、あるいは山地の非常にむずかしいところに、駐在所の巡査さんが、一世紀前あたりの自転車で派出されている。そういうことではこれは行動できません。そういういなかのへんぴなところに勤務しておるところの警察官の諸君に、今日ああいうオートバイみたような機動力のあるところの車でも提供してやる。そうすると、こういうような一つの問題は、その面から解決がはかられるのではないか。私は実はそういうほうに考えていただくことが大事じゃないかという気がしてなりません。そういう意味でどうもこの規定はいろいろほかにも問題がありましょうけれども、ただ単に住民の立場から不便があるとかいろいろなことでありますけれども、たとえば管轄の区域が違って、駐在所に対してその府県の住民が何かものを申す、訴える、これは当然のことでありまして、そういう場合の措置はこれは現行でもできるはずだと思います。それができないとあまりにも大上段にお考えなさることがどうかと私は思われてなりません。そういう意味で今度の新設には、何か緊急な必然性がどうしても私には出てこないような感じがいたします。実は具体的な生きた事例を先ほど二、三お話しになりましたけれども、それだってどうもぴんとこない事例だけでしかないようでありまして、ほかにもいろいろとこういう実際の警察行動、職権行使の問題等から考えていくと、幾つかの問題が出てくると思いますけれども、私は時間がありませんから、第一点についてはそれだけ安井君の質疑に関連してお伺いをしておきます。
もう一つこの際お伺いいたしますけれども、定員を増加しておられますが、この定員の内部部局の一千九十四名というこの定員の中には、いわゆる都道府県こおられます国家公務員の警視正以上の人たちは含まれておりませんね、おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/91
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092・浜中英二
○浜中政府委員 含まれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/92
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093・川村継義
○川村委員 含まれておりませんね。そうすると、いわゆる警察の本庁の職員と、警察大学、科学警察研究所、皇宮警察、それから管区警察、通信部こういうものの総計が七千七百九十五となっておる。そうしますと、もう一つお伺いしておかねばなりませんが、あなたのほうでお出しになっております警察の予算書においても、一般職の定員を七千七十七人を予定しておられますね。これは一体どこからこういう数字の誤差が生まれてきておるのでございますか。むしろ誤差というよりも、そのトータルのあわせ方にこれは問題があると思いますが、その辺のところをひとつ予算に出てきておる七千七十七人というこの数とそれからいまの数との違い、その内容を少し説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/93
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094・浜中英二
○浜中政府委員 ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんので、後ほど調べまして御返事申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/94
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095・川村継義
○川村委員 しかし官房長、いまの点はあなたが一番お詳しいはずですがね。警察庁の項の職員俸給、一般職が七千七十七、うち九ヵ月十人と書いてある。ここに一つ七千七十七というのが出てまいる。ところが別の項に、科学警察研究所のところには百四人と、いまの資料と同じ数が計上されております。皇宮警察のところにも、一般職として九百十四人というのが予算書に出てまいっております。予算書に出てきているのは、警察庁の一般職七千七十七人と、科学警察研究所の百四人、皇宮警察の九百十四人、こういうものが出てきておるわけです。そこでこの七千七十七人というものは、内部部局と警察大学と、それから管区警察、東京本庁の警察通信部、こういうものを含めた数字であるかと思って見ると、その数字にも合わない。その辺の内輪の説明をお聞きしたいと思う。——それではあとで、いまの予算書に出てまいります員数と、それからこのあなたのほうからいただいております法案説明の法の三十五条関係の定員の数とのその違い等を資料でひとつお示しをいただきたいと思います。
そこでいま一つお尋ねいたしますけれども、施行令の第六条関係、いわゆる地方警察官、これはいま何人になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/95
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096・浜中英二
○浜中政府委員 三百名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/96
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097・川村継義
○川村委員 そうするとその三百人というのは俸給等は国から出ておる。その国から出ておる三百人の俸給の予算計上はどこになされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/97
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098・浜中英二
○浜中政府委員 ちょっと予算書を持ってまいりませんでしたので、後ほどすぐ御返事いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/98
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099・川村継義
○川村委員 委員長、私は質問を保留さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/99
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100・森田重次郎
○森田委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/100
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101・門司亮
○門司委員 私はごく簡単に率直に聞きますから、率直に答弁してもらいたい。
いままで聞いておりますと、この法案の当局側の考えておられるところはわからぬわけではございません。一応わかるのであります。ただ法律になって出てまいりますと、その法律を出した根拠を理論的にはっきりさせる必要がありますので、一応聞いておきたいと思いますが、こういう法案を出さなければならなくなった一つの根拠としては大臣の説明その他にございますが、さらに私が聞いておきたいと思うことは、この法律の考え方として、一つの警察権を他の府県に委任するという権限の委任行為なのか、あるいは案件ごとにこれを処理していこうとするものの考え方の上に立ってこういう法律をお書きになったのか、その辺はどっちなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/101
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102・浜中英二
○浜中政府委員 権限を委任するという考え方ではございませんで、案件ごとにお互いに協議して処理をしていこうという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/102
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103・門司亮
○門司委員 それなら現行法でよろしいのじゃないですか。たとえば山に遭難があった。こちらの警察から行けば十里かかる、隣の警察から行けば一里で済む。しかし管轄が違っておる。こういう山で遭難があったから、おまえのほうでこれを頼むぞと電話一つで頼まれた。これは法律的には公安委員会が承認するということになるかもしれないが、しかし現実にはそんな公安委員会に話をするわけにはまいりますまいから、そういう場合に、よろしい、おれのほうで引き受けた、費用はこちらのほうから支弁するからというようなことだけでこういう問題はスムーズにいくのじゃないですか。それがそういかないというのは、警察行政の中にどこかひっかかりがあるのでしょう。しゃくし定木の問題があってうまくいかないというようなことで、警察行政の運営の中に問題があるのじゃないですか。だからこういう法律が必要になってくるということになると、議論は少しこんがらがってきますよ。これはどういうわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/103
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104・浜中英二
○浜中政府委員 現在それによって、非常に両県の間でいろいろと問題があって困るというような積極的な支障というものは、生じてございません。ただやはり人情の自然といたしまして、どうしても本来の管轄区域というものにつきましては非常に積極的でございますが、境界というものがありますので、どうしてもその辺につきまして場合によっては非常に消極的になる、あるいは妙なセクト的な感情が出るというようなことも考えられないわけではございません。そういうような点をなくして、本来の協力義務というものをさらに一そう推進させていこう、そして心理的にも自信を持ってそういう事案を処理していくということを考えておるわけでございます。また、挙動不審者等の取り調べにおいて突然格闘になったというような場合でも、あるいはこれが公務執行妨害罪が成り立つかどうか、あるいは公務災害の問題につきまして、公傷、殉職の扱いをするというようなことができるかどうかというような点につきましても、正当の職権行使でないということになりますと、そういう点につきましてもやはり若干問題が残るわけでございます。とにかくこういうような事案につきましては、自信を持って積極的にその事案の処理をしていくということが、私どもに与えられた一つの任務だ、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/104
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105・門司亮
○門司委員 いまの答弁を聞いておりますと、ますます奇怪なことになるのです。大臣の説明書の中にはこう書いてありますよ。「境界付近における遭難等の事故について、あるいは、二つ以上の都道府県の区域にわたる施設内の事案について、必ずしも能率的」こういうふうに書いてある。だから私は、さっきから申し上げておりますように、事実としてはこういうものがあり得る。私もないとは言わない。しかしその場合に、警察権の行使についてのものの考え方について、私はいまの答弁だけを聞いておりますと、今度は触れないわけにはいかなくなってくる。御承知のように、現行警察法は、表面はどうであろうと、その実態にあるものは、あくまでも自治警察を主眼にいたしております。したがって、当該行政区域内における警察費は、当該住民がこれを支払うというたてまえになっております。そうだといたしますと、隣の県の事犯というものは頼まれなくても責任があるのだ、だからやるのだということになると、費用の問題がそこに当然出てまいります。その場合における費用は、一体どっちが出すのかということになると、その点がはっきりしておらない。県会で議決を要することは当然であります。警察法よりも自治法が優先することは、あなた方も御存じだろうと思う。自治法に警察法が優先するなんということは考えられない。そうなってまいりますと、当該自治体の予算の編成その他が、その県の住民の公選による知事のもとで編成されるという場合に、事件ごとにこういうものがあり得るというなら、その事件に対処することのための一つの方法としてやり得る、しかし、こういう形で法律になって出てまいりまして、そしてこれが義務づけられてくるということになってまいりますと、結局その行為自身、私は法のたてまえからいってもAの県の事犯をBの県にあらかじめ委任するということに解釈することが正しいのではないか。そうすると、ある程度の権限の委任行為になってきやしないか。警察権の行使の範囲というものが、一応の行政区画できめられております限りにおいては、それ以外の区域における権限行使というものが、一応筋としてはその権限行使を委任するという姿が法律に定める場合においては当然出てくる。したがってさっきから委任行為であるのか、事件処理であるのかということを聞いておる。事件処理の場合は、そこまでやかましく言わなくてもよろしいと思う。こっちの事件のものが隣に逃げていったとか、あるいは両方にまたがるところにあるから、ひとついろいろの問題が起こった場合に、そっちの応援を頼むというようなことは、一つの事件の処理としては、警察権の一体的の治安維持のたてまえからいけば当然行なわれることである。しかし理論的に言ってまいりますと、いま申し上げましたように、結局住民の負担をどっちがするかということになると議論が出てくる。権限の委任行為であるから、当然隣の県の仕事であるが、Bの県で行なうほうがし安易であって適切であるから、そっちがここをやってくれぬかというなら、それは明らかに事件の委任でなくて、実際は権限の委任行為と考えたほうがよろしいのじゃないか。これはお互いの考え方の相違でございますから、いろいろ問題はございましょうが、いまのお話のようなことになってまいりますと、どう考えてもこれの経費の問題については非常にむずかしい問題が出てくる。そして一つの県で予算を——いまちょうど予算編成をしておりましょうが、こういう委任事務の話し合いの中からこういう仕事が出てきた、したがってこれだけの警察費が必要だというようなことで予算の中に計上されなければならないと私は思う。同時に、警察官であるから何でもよろしいのだというもしお考えであるとするならば、これは明らかに国家警察の観念から出てきた一つの概念だ。治安を維持するためにある警察官であることに間違いはない。しかし、負担区分の関係からいけば、地方の自治体がこれを負担しておる。こういう国民の権利義務と警察行政とのからみ合わせというものを議論すれば、非常にむずかしいのであります。だから、これを簡明にしていこうとするならば、いま私が申しましたように、これを委任事務と考えておる、だから費用をそっちで負担してもらいたい、あらかじめ話し合いの中でこの地域におけるこれこれこういう事件はお互いに処理していこう、じゃないか、権限争いをしないでやっていこうじゃないかということになれば、明らかな権限の委任行為と見るべきではないか。そういうことなら私はそれでよろしいと思うのです。しかし、それでないとおっしゃるなら、その当該費用は一体だれが負担するのか、国が出すなら別ですが、国はおそらく出しやしません。それから事件が起こったときだけ費用が要るのだ、その費用だけは負担するのだというなら、これは案件処理の問題だけであって、そのときかかった費用だけ払えばよろしい、しかし常時その辺における警察権の行使をしていこうとするには、おまわりさんに払っておる月給の何分の一かは、隣の県のほうの仕事をしておるということになるならば、そっちの県からもらわなければぐあいが悪くなりはしませんか、この辺はどうですか。もう少しけじめをはっきりすべきじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/105
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106・浜中英二
○浜中政府委員 費用の負担区分は、管轄権を持つ県が負担するのが原則でございますが、先ほど申し上げましたように、こういう場合は、人件費とかそういうような問題につきましては、その警察官が所属する県で負担するたてまえをとっておるわけでございます。しかしそれにいたしましても、予算はもともと当該県の議会の議決を必要とするわけでございますので、いずれにいたしましても予算そのものは議会の議決を経て行なうことになっております。ただ先ほど申し上げましたのは、協定そのものについて議会の議決は要らないということを申し上げたわけでございます。
ところで委任事務と見るかどうかということでございますが、これは法律的な権限の委任というようなものではないと思います。ただ実際上、お互いの県が協議いたしまして、そして活動の分担を隣の県にまかせるというような、通俗的な意味におきましては、そういう事案の処理をまかせるというようなことがいえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/106
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107・門司亮
○門司委員 その辺ですが、いま最後にお話のあったように、一つの案件の処理をその県にまかせるんだ、警察権の行使の委任ではないんだというお考えなら、現行法でやれると私は思うのです。特別にこういう法律をこしらえなくても、現行法でけっこうやれるはずなんです。応援のことはちゃんと書いてありますし、距離いかんによらないで応援はできるとちゃんと書いてある。だから話し合いというのは何も県議会の必要はありはせぬ。しかし費用の面になってくると、そういう面がどうしても出てくる。だから、いまちょうど都道府県ではおそらく予算編成時期に入っておると思いますが、府県でそういう隣の県のようなものまで委託されても迷惑である、こんなものは要らないんだといえば要らないかもしれません。しかし一方、警察のほうで応援を受けた場合はそれに応じなければいけない。しかしその場合には、一方の警察がこれをたてかえることに現在なっておりますが、支弁することになっておるからこれがスムーズにいっておるのであります。ところがこの法律で、遭難事件ということになりますと——遭難事件でなくても、常時その地域における警察権の行使というようなものが片一方の警察官によって行なわれるということになると、どう考えても私はやはり権限の行使のようなことにならざるを得ないのじゃないか、それのほうがまた徹底するのじゃないかというようなことが考えられる。もう一歩譲歩して、あなた方の意見をかりに入れるといたしましても、この法律の中にその当時の費用はどういうふうに支弁するというようなことが書かれていないと、ただ権限だけの行使、権限だけの話し合いができて、費用の面は知らないんだということ、だから私はあなた方の言うことを聞くといたしましても、費用の面はやはりここに書いておくべきではないか。現行警察法には書いてあるのです。現行法の場合は、委託を受けた場合、応援を受けた場合のその費用は、応援を依頼したほうで支払うんだということになっておる。私はそういうものがこの際やはり必要じゃないかと思う。いままでのような、常識上考えて、五百メートルかそこら辺の近い範囲において行なわれた場合は、どっちの警察であろうとこれはやることがあたりまえだと考えられる。しかし遭難その他ということになってまいりますと、かなり距離的にあるのですね。そうすると完全によその県の仕事をしていることになりはしませんか。だから費用の分担をさらにこの法律の中に入れておくことのほうか、法律としては親切だ。それのほうがいいのじゃないか。そうなってくると先ほどの話に戻って、権限行使の委任行為だということにならざるを得ない。委任があるからこういう費用が必要になるということで、あるいはこういう話し合いをして、こういう費用があらかじめ要るかもしれない、したがってこれだけの費用を一応計上しておくべきである、こういうことになると私は思う。したがって、この法律で欠けておるのはその費用の点だと思うのですが、費用の点は一体どちらが負担するのですか。この法律からいきますと、応援依頼の行為も何も要らないで、片一方がやらなければいけない。その場合に結局遭難のあった県の警察費で全部支払うということに、この法律をそのまま読めばなりますよ。片一方の応援依頼の行為じゃありません。その費用はどっちが払うのですか。私はどうもこの法律だけ読んだのでは、その場合には、隣の県の仕事をこっちでやってやって費用をこっちで払わなければならないということになりはしないかと思うのです。ただおまわりさんが行って仕事をやるなら、月給のうちの何分の一かということになりましょうけれども、遭難の場合なんか、それ費用をどっちの県が払うのだということになると、始末をした県のほうが払うということになると、やっかいなことになってきはしませんか。その辺の経費の負担区分はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/107
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108・浜中英二
○浜中政府委員 ただいま御指摘のようないろいろの場合があるわけでございます。従来協定でやっておりましたような形に対して、法律的な根拠を与えようというわけでありますが、問題によっては特別な費用が出るわけであります。そういう場合にはお互いが協議いたしまして、こういう場合にはどちらが負担する、こういう場合にはどうするということを協議の内容で定めるという考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/108
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109・門司亮
○門司委員 問題は、そういうところにあるのです。あくまでも自治法の予算の編成が優先するということを考えますと、警察行政だけで話し合ったから、こうなっているから県に金を出せということはいえますか。公安委員会でそんなことは県知事にいえますか。私はやはり警察法より自治法のほうが大事だと思う。そうなれば、自治法のほうでさっとそういうものが組めるような組織にしておかなければ不都合が出てきはしないか。同時に大臣説明によると、権限を付与するということが書いてある。その一番しまいに、「その協議の範囲内で隣接都道府県警察の管轄区域内においても職権を行なうことができることとすること」こう書いてありますね。これはいままでのやり方とたいして違わない。やはり職権を行使することには間違いない。だから、さっきから言っておりますように、職権を行使する権限を委任するなら委任するでよろしい、委任を受けたほうで、こういう事案があるから経費はこれだけだということを、経費をあらかじめ計上するということもできる。私は、この問題はどこまでもそういう経費の問題がくっついて回って、これが処理できないで、ただ権限だけでやれるような大それたことをお考えになっているような警察のものの考え方がおかしいと思うのです。もう少し親切に法律を書いたらどうですか。警察が一体性のものでなければならないということは、総論としてはわかるのですよ。しかし、たてまえはそうなっておらぬ。費用区分の問題はそうなっておらないで、それに合わせてこういうふうに直すなら、応援体制のところで書いてありますように、費用の区分はこうするんだということを明確に書いておいてあげないと、幾ら法律ができたからといって、金を出さないというのに応援ができますかということになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/109
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110・江口俊男
○江口(俊)政府委員 先ほど来官房長との間に御質問なり御意見の開陳がいろいろあっているのでございますが、私たちがこの条文を審議して、しかも提出しましたほんとうの気持ち、そのことばが法律の用語として足らないとかどうとかいうことがあるいはあるかもしれませんけれども、どうも話を聞いておりますと、Aの警察官がB県の地域内において職権を行使するという一方的な場合をお互いに例にあげていろいろ御議論になっているのでございますが、私たちが原案をつくりました気持ちは、お互いさまじゃないかというような問題だけに限ったわけで、端的に実例を申し上げますと、一つの山岳遭難の場合、これはA県だと思ってA県ばかり探しておったらB県だったという場合もありましょう、B県だと思ってB県ばかりを探しておったら、これはA県だったというようなことがあって、両方からやっていくんだが、それは隣の県にまで自分の仕事としてやれるという根拠を与えていこうというのが一つと、もう一つは伊丹空港の例があがりましたが、これは共同処理をするほうが能率的であり、かつトラブルが起こらないというような問題を想定しておるのでございまして、先ほど例にあげました、B県にある炭鉱があって、これがB県の署よりも隣のA県の署のほうが非常に近い、あるいは駐在所が近いというようなところで、常時そのほうの警察事務の処理をA県に頼むというような場合は、二キロ以内でありましても、私はこの規定による職権の行使というのでいくんじゃなしに、やはりそれは応援ということで当然その予算の上でも応援を受けた側で配慮して組むべきものである。私が先ほどあげましたような二つの例でありますれば、これは現実においては片方の側にたくさんの応援、委任というかそういう形ができ、一方には何もなかったというような結果が出るかもわかりませんけれども、初め想定するときには、どちらが損、どちらが得というようなことのないような場合のことを今度の規定で考えているのが私たちの精神なんですけれども、それがこの法文じゃそういうふうに読めないというようなことでございますれば、また適当にお答えをするということで、先ほどからどうもAの方がBのほうに応援するというようなことの一方的なことばかり中心にしてあるようなことでございましたが、それはこの法文の趣旨じゃないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/110
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111・門司亮
○門司委員 よく警察の意図はわかりますが、わかればわかるほど、さっき安井君もちょっと話をしましたように、いわゆる警察行政の一体化、これは国であります以上は考えられるわけです。したがって国家地方警察というものがあり、ある程度の国家警察というものを許容しておったわけです。警察権の行使というものは、全体的のものであるということは間違いないのである。その観念からもしこれが出ておるとすれば、これはわれわれも考えなければならぬことになってくる。そういう境界線のところで、警察の一体性ということから、お互いさまだから経費のことは考えなくてもよろしいというような、警察の国家統制にひとしいようなものの考え方であるとするならば、われわれはこれは考えなければならない。私どもは、そういう考え方をなくし、そういう考え方を少くすることのためには、やはり経費の負担は、当該自治体に住んでいる住民の負担に区分しておくことのほうが、警察自身のためにもそのほうがよろしいのじゃないか。同時に、今日の警察法の精神から少し逸脱していきはしないか。警察権は一体性のものだから、これは相互関係で、どっちの区域がどうあろうとも、どっちの県でも払えばそれでよろしいんだというものの考え方は、現行の警察法のたてまえから、現行の地方自治法のたてまえからいえば、少し警察が思い上がっておるわけでは私はなかろうかと思うのですが、少し思い違いではなかろうか、少し行き過ぎではないか。したがってここにはどうしてもある程度の費用の負担区分というものが明確にされておかないと、これはえらい問題になりやしないか。いまお話のように、常時近いところといっても、私は常時近いところにこういうものが適用されるとは考えておらない。それは非常体制の場合における応援の形でやれるわけです。この法律のねらいとされておりますのは、大臣の説明の中にもありますように、そしてその他常識的にものを考えて、こっちの警察権の行使よりも、あっちの地域の警察権の行使に入れておいたほうが住民のために必要だ、またそれのほうが適切だというような場合にどうするかということだと私は考えている。そう理解していれば、この法律は何のへんてつもない法律であります。それでよろしいということである。ただ欠けているものは、その場合の費用の負担区分というものが一体どうなるかということがここに何にも書いてない。そうすると、それが書いてないがために、具体的なことではそれは警察の一体性ということになると、国家統制の警察のものの考え方が少し芽ばえてきやしないかという考え方が出てくる。これがだんだん広がってごらんなさい。日本じゅうそれでよろしいということになる。全部国家警察でなければだめだということになる。自治警察はだめだということになる。私はやはり今日の警察法を守ろうとすれば、自治警察のほんとうのたてまえからいえばそういう自主性を持たせることが必要だと思う。自治警察の中における特例として、住民のために警察行政をやりいいようにする一つの特例にすぎないと私は考えておる。そう解釈すべきであると私は考えておる。それから、この特例がやがて一般法にかわるような警察側のものの考え方があるとするなら、そういう悪い芽はいまのうちにつんでおいたほうが私はいいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/111
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112・江口俊男
○江口(俊)政府委員 門司委員のおっしゃるとおりでございまして、私たち思い上がってやったのでもなければ、一体性という考え方からやっているわでもございません。一体性でないということを前提として、やはりそういうことをやる場合には、現実にはやっておるけれども、法律ではっきりしておいたほうがよろしいというのが、各自治体、各県の警察の自主性というものを前提にした考え方に出ているわけであります。
それから費用の点は私はどっちもどっちだと申し上げたのは、Aのほうが非常に負担になるとか、Bのほうが非常に負担になるとかいう場合には、これが働くのじゃなしに応援の関係になるのであって、お互いさま、どっちがどっちにやっかいになるかわからないような状態のとき、及び共同して応援をやったほうが能率的であるという場合のことを想定しておりますから、これはどちらが費用を払うかということは協議の内容で、あるいは一年中の結果をとって、よけい世話になった県がその分だけ払うというふうにきめますか、あるいはほぼ同じで、応援であるから費用の点は普通の場合は払わないけれども、ごく特殊な大きな場合は最後的に払うときめますか、それは今後の協議に待ちたいというのが第二点であります。
それから二キロ以内と政令で書きますけれども、これは県境をずっとあらゆるところを二キロという考えはもちろん持っておりません。しかし県境で境界線になっているところは、おのずから相当長い距離になると思いますけれども、施設等の場合はほんとうに施設に限って、神奈川県のほうから東京都のほうに二キロ以内突き出ている、あるいは東京都側から神奈川のほうに一キロ半突き出ているというような、今度のこどもの国といった場合のことを考えて、必ず東京の境はあらゆるところを二キロでいくのだというような考え方はもちろん持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/112
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113・門司亮
○門司委員 もう少しすなおに、率直に、この法案はできないものですか。私は意図はわかるのです。そういう不便があるということは知っている。しかし、それはあくまでもこういうしかつめらしい法律でなくて、いまの長官のお話のようだと、お互いの警察はこういう処置をとりなさいということで指示でいけるのじゃないか。たとえば区域が違っておってもやれるのじゃないか。もしそれが県内として、こういう法律が必要だとすれば、さっきから言っておるように、費用の負担区分はある程度明確にしておかないと、法律のていさいからいってもまずいし、仕事の上からいってもまずいのじゃないかということなんです、この辺はどうもいままでの答弁では私は納得するわけにいきません。もう少しすっきりならぬかね。結局権限行使の委任になるのか、権限行使の委任ではあるが、それは事件ごとに委任することになっておるのか、どっちかということが、もう少し明確になりませんか。と同時に、それに対する負担区分はどうするのかということが明確になりませんか。これがはっきりしない限りにおいては、いままでの法律で私はやれると思います。いままでの法律でもあらかじめ頼んでおけばいいのですから、どこでどういう遭難があったからと公安委員会にお願いしておけば、事件が起こった場合に当該地域に近い警察官が出ていって処置をする。その費用は当然法律に基づいて要求されるでしょうし、何でもないことなんです。その距離を二キロ以内にきめたとすれば、要するにこれは何のへんてつもない法律であって、政令をお直しになればいい。これが法律となって出てくるから問題になっているのです。あなたのほうでは、法律でなければ縛ることができないということになるかもしれないけれども、しかしそれではうまくないのじゃないか。警察権というような権力行政があまりに法律で、ようじで重箱のすみを突っつくようなことになればなるほどむずかしいものが出てきて、うまくいかないのじゃないか。むしろ話し合いの中から、警察行政自体というものは、こうあるべきだということで運営をやっていったほうがよろしいのではないか。このほうが私は自主的だと思うんですよ。そういうことになってくると、この次は必ず二キロが十キロになったり二十キロになったりして、日本じゅうの警察を一本にしたほうが便利だということになるのじゃないか。これは取り締まるほうからいえば便利かもしれない。あるいはそれのほうがやりいいかもしれない。しかし、それじゃ従来の民主的な警察ではなくて、官僚警察になりがちである。ことに、大臣がそこにおいでになるのにこういうことを言うのはいかがかと思いますが、公安委員会の委員長は国務大臣である。国務大臣は内閣に対して責任を持つ。公安委員長の意見と内閣の意見が食い違う場合には、少なくとも委員長が内閣に列しておる場合にはやめなければならぬ。そこに今日の日本の警察の弱さがありはしないか。やはりそういう今日の警察行政を見ていった場合に、警察が強くなろうとするときには、こういう小さな法律でつつき回すようなことではなくてもう少しおおらかな気持ちで警察行政の運営が行なわれるべきはずのものだと考えるわけですね。府県が違おうと何が違おうと、目の前にいま死のうとしている者があるのに、隣の警察官がこれを救ってやるということが悪いということはどこにもない。警察官だけではない。一般の人も現行犯を取り締まることができるとちゃんと法律に書いてあるじゃないか。私は、今日の警察法のたてまえからいけば、この法律はあまりにも考え過ぎた法律のように考える。考え過ぎた根底に何があるかというと、先ほども安井君が言ったように、もしこれを国家警察に統一するという野心があるならば、とんでもないことです。その辺をもう少しはっきりできないか。費用のほうは一体どうするのか力ただ相互関係だからこれでよろしいということになると、府県が承知しないと困りますよ。公安委員会には予算の編成の権限はむろんございませんし……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/113
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114・江口俊男
○江口(俊)政府委員 この条文についての考え方は、率直に先ほどから申し上げているので、それ以外の答え方はないわけでございます。国家警察とか全国一体だとかいうような考えのもとに出ているものでは絶対ございません。便宜主義だと言われれば、便宜主義でございます。いまの法律でできるじゃないかとおっしゃられますが、そのとおりでございまして、現にやっているわけでありまするが、多少あとから応援を受けたような形にするとかなんとかフィクションがある。それをこういう法律できっちりと根拠を持たせて書いておいたほうがよろしかろうというだけの意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/114
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115・門司亮
○門司委員 それはよくわかるんですよ。それはよくわかるのだけれども、費用の負担区分というものが明権になっておらない。したがって、これを法律できめようとすれば、いわゆる権限の委任行為か、事案ごとにやっていくのかということが出てくる。法律できめようとすれば、そこまで出てくる。これはやはり一種の権限行為の委任だということは間違いない。何が何といっても、権限行為の委任であることは間違いない。そうしますと、その委任行為について支弁すべき費用はどちらが払うかということを書いておかないと、お互いさまだと言われますが、お互いさまだという考え方は、警察行政の一体化というものの考え方であって、今日の自治警察の考え方とは運営の上で少し違いはしないか。これは国家警察の場合ならばいいかもしれませんが、どっちかで出すなら済むかもしれないけれども、しかしそうなっておらないところに問題がありはしないかということであります。
これ以上私が聞いても大体同じようなことになろうかと思いますが、これはこの問題とはちょっと違ってよけいなことを、水をさすようでありますけれども、大臣に伺っておきたいと思いますが、このほかに警察関係の法律をお出しになるつもりはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/115
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116・早川崇
○早川国務大臣 道交法の改正、警察関係でいま参議院で御審議願っております深夜喫茶の規制の法律だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/116
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117・門司亮
○門司委員 警察法の改正に関する限りは大体これだけだ、あとはそういう深夜営業だとか道交法だとか、警察関係の法律はそれだけだ、こう解釈してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/117
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118・早川崇
○早川国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/118
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119・華山親義
○華山委員 関連して……。ちょっとお聞きいたしますが、私、警察のことはよく知りませんけれども、事案と事件というのは違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/119
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120・浜中英二
○浜中政府委員 法律家でございませんので、正確にはあるいは間違っておるかもしれませんが、私どもが使い分けておることばの気持ちといたしましては、事件というものは実際起こった事件でございます。事案というのはそれより広い意味であって、たとえばパトロールをするような場合には何か事件が起こらないかということで事前にパトロールをするような必要のある場合、こういうような場合もその一つの事案という範囲に含めてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/120
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121・華山親義
○華山委員 ことばじりをとらえるわけではありませんが、事案の起きた場合という御答弁をなさっていらっしゃいますが、それは事件が起きた場合ということでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/121
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122・浜中英二
○浜中政府委員 そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/122
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123・華山親義
○華山委員 そうしますとこの法律は事件が起きたということでなしに、あらかじめきわめて広い抽象的なことにつきましても協定ができることに相なりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/123
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124・浜中英二
○浜中政府委員 あらかじめ広い抽象的なことといって、無制限に広げるわけではございませんで、あくまでも定められた区域内の特定のケースについて定めるわけでございます。したがっていま申しましたような防犯上のパトロールというような問題につきましては、公園の中をお互いにパトロールするというような場合を考えておるわけでございまして、おのずから限界があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/124
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125・華山親義
○華山委員 おのずからと言われますけれども、しかしこれはおのずから案文のどこからも出てまいりませんね。
私一つ例を引いて申し上げますが、県境と申しますと、非常に大きな川があるとか何とかというところばかりではございません。一つの町であって、そうしてただ境界がみぞのようなところで分かれておる。みぞのようなところでどこまでが、ひょっとすると手前のほう、町の道をはさんでこちらが何県で、こちらが何県というところさえもある。そこに大きな川でもあれば別でありますが、そういうまことに不自然なところがある。駅の構内でも半分が何県で半分が何県ということさえある。そういうところにおきまして、これは行政的に申しますれば一括してやったほうがいいのだ。ところが、私は自治体の合併の件で苦労いたしましたが、とてもできない、従来の感情であります。しかし警察のほうといたしましてはそれは便利だということで、ひとつここのパトロールあるいは何かほかのことでもありましょうけれども、そういうようなのはひとつこの県でやったほうがいいじゃないか、こういうことだって事前協議がこの法律ではできそうでございますが、そういうことはできるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/125
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126・浜中英二
○浜中政府委員 御指摘の駅の構内というような場合に、必要があれば協議して分担をきめるということは考えられます。ただ、普通市街地がみぞ等で両県に分かれておるというような場合は、こういうような協議になじまないものだ。私どもが考えておりますのは、あくまでも非常に交通の不便なところ、非常に僻遠の地というようなところで、隣の県の事案を処理したほうが適当だというような一つのケースについて考えておるわけでございます。また限られた施設内のことについて考えておりますので、そういうような市街地のようなところは、本来それぞれの管轄によってやっていって、別に現在のところ不都合がないという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/126
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127・華山親義
○華山委員 そうしますと、そういうふうなお考えというものは法律には出てまいりませんね。どういうふうにして——警察というものあるいは公安委員会というものに、こういうものであると御趣旨でも御説明なさる程度にとどめられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/127
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128・浜中英二
○浜中政府委員 本来この規定を新設するという改正の案を出しておりますゆえんのものは、府県側からの一つの希望によって出てきたものでございます。特に、先ほど来申し上げましたような具体的な事案について、現在実際に協定を結んでやっておる。しかし、そういう問題について、非常に不徹底なうらみがあるので、こういう点について特に法律的に明確な根拠を与えてもらいたいというような自発的な希望というものを尊重いたしまして、具体的にいろいろと検討をして、この改正を考えたわけでございます。したがって、およそ境界というところは、すべてお互いが協議をしてやるのだというような気持ちではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/128
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129・華山親義
○華山委員 私は、法律というものは、時代とともにいくものだ、たとえば憲法だってそうでございますけれども、時代とともに変わってくるというふうによくいわれる。こういうふうな抽象的なことで解釈というものは変わってくる、そういうことを私はおそれる。それはいまお答えになった方々、長官もそういう気持ちでないということは私もわかりますけれども、こういう抽象的な規制というものは、こういう弾力性のあるような規制というものは、将来私は非常に危険だと思う。この点につきまして、かりに一歩この法律がよろしいといたしましても、こういうことの協定については、国家公安委員会の認可を要するとか、あるいはそれによっていろいろ間接的な議会の干渉を受けるわけでございますけれども、そういうふうな国家公安委員会の認可を受けなければいけないというふうなお気持ちはございませんか。江口(俊)政府委員 そういう気持ちはございません。むしろ認可ということになると、制限する意味ももちろんことば自身にはございますけれども、逆に、国家公安委員会にそれにかかわらしめるということになりますと、お前のところのこれをこうしたらどうかというふうに、ますます先ほどの門司委員の御発言のような方向というか心配というようなものをお持ちになりはしないか、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/129
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130・華山親義
○華山委員 私は、一応そういうものは、国家公安委員会にはないだろう、こういう気持ちでお聞きしているのである。ところが、国家公安委員会がそういうふうになるものだとお考えになるのなら、私はたいへんな失言じゃないかと思う。それで、私はとにかくいまここで問答します。速記録をつくります。憲法の問題だったら速記録というものはまずだめになってしまう。私は、ここでいかに速記録というものを繰って、そうしてそのときこうだということを言ったって、法律というものは変転する。厳重な法律の中にあなた方の気持ちをくんだ、なるべく法律というものを狭くするような、あなたの気持ちを率直に出すような具体的な制限を加えた法律があってほしいと思うのでございます。こういう抽象的で、そして権力のある問題、こういう問題は、私はどうしても将来がおそろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/130
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131・江口俊男
○江口(俊)政府委員 私のお答えがことばが足らなかったためにあるいは誤解を受けたと思いますが、国家公安委員会に認可、承認にかかわらしめれば国家統制になる、こう申し上げたのじゃございません。いまの公安委員会にしても、将来の公安委員会にしても、そういうふうにはならないとかたく信じますけれども、そういうふうになりはしないかという御心配の種になるということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/131
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132・華山親義
○華山委員 この法律はもう少しきちっとかたく、事案なんということばなんか使わないで、事件としたらいい。
それからもっとあなた方のお気持ちがよく出るような案文に、かりにこれがいいといたしましても、お直しになる気持ちはございませんかということを申し上げている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/132
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133・江口俊男
○江口(俊)政府委員 先ほど来事案と事件の話がございましたが、パトロールその他ということになりますと、事件を処理するということばには該当しませんのでどうしても事案ということばになるわけでございます。
それからこの法律をきちっと、その気持ちをあらわすための制限を何かの形で設けたほうがいいのではないかというお話でございますが、それはいわゆる警察庁の権限でございます。こういうことに関する連絡調整の事務として十分この法律の趣旨を徹底せしめて指導連絡に当たりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/133
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134・華山親義
○華山委員 私は、はなはだ失礼ですが、どうしてそう頑迷なのか、そういうお気持ちであれば、法律をつくることは、皆様方あるいは法制局の職能とされることであって、あなた方のお気持ちが十分にそこにあらわれるような条文にお直しになることはできると思う。このままでは私は将来がこわい、そういうふうに思います。あなた方のお気持ちは私はわかる。しからばそのお気持ちが、この案文にあらわれるようにお直しになって、何もそれが政府の権威に関するわけでもないでしょう。警察のためにこの法律を通したいということであれば、私はこの法文をそういうふうに一応お直しになるのが議会政治であり、お互いに話し合うあれだと思う。一ぺん出した法律は、何としても直さないのだ、こういう態度は改めていただいて、あなた方のお考えになっているところをお直しになって、再提出なさることはできませんか。しかしこれは私はかりにということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/134
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135・浜中英二
○浜中政府委員 実は境界外の職権行使の問題につきまして、昭和二十三年に自治体警察と国家警察とに分離した制度ができたわけでございます。その当時は区域外、境界外というものは協議とかいうことに関係なしに、全境界が両方五百メートルずつ相互に職権行使ができるというような規定が設けられておったわけでございます。それが二十九年の改正によって府県警察が一本になりましたために、その規定もそれに伴ってなくなったわけでございます。しかし今日そのような規定が必要であるということは、いろいろと客観情勢の推移について起こってきているわけでございますが、実際問題では五百メートルで不十分な事例がだんだんとできてまいったわけでございます。たとえば大阪の国際空港では境界から境界までが約一・二キロに及んでいる、こういうような状態になっているわけでございます。しかし政令で一律に二キロというようなことにしましても、実際必要のないところのケースもたくさんあるわけでございます。私どもといたしましては、こういうような協定を結ぶ必要のある個所というものはせいぜい二、三十ぐらいしか考えておらないわけでございます。しかもそういう法律規則上、こういう地形とか、刻々変化してまいりますそういう境界の状態を法律でうまくやるということは、どうしても技術的にむずかしい、そういうような点で、距離の点を政令に譲ったわけでございますが、それでも不必要なところもあろうかと考えられますので、そこのところを一つの協議ということで、さらにしぼってまいった次第でございます。ただいま先生からの御指摘のような気持ちは十分に体しまして、府県が実際に協議をする場合におきまして、そのような点を十分に検討に入れまして、積極的に指導いたしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/135
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136・華山親義
○華山委員 私は金のことばかり言っているのじゃないのです。かりに警察の御当局のいままでのお話をわれわれはわかったといたしましても、そのことをこの法律の上にきらんとあらわすようなお気持ち、この法律にもう一度手を入れられるお気持ちがないのか、ないとすれば一体どういうわけでないのか、そういうことをお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/136
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137・浜中英二
○浜中政府委員 現在の法律をさらに修正して提案し直すというような考え方は現在のところ持っておりませんです。その理由といたしましては、法律技術上千差万別の態様のものをここにいろいろと明確に規定していくということが非常に複雑であって、同時にまた、必要以上に広がってくることも思量されますので、法律の限度では、協議したところで一定の地域内で、しかも境界の付近の事柄について職権を行使するのだというだけにとどめておきまして、そのほかは政令等に譲っていきたいと考えておるわけでございます。従来の六十一条なり六十四条なり、そういうような一つの同じ考え方として、職権行使の例外規定だというような意味で規定いたしますと、このような表現にならざるを得なかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/137
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138・華山親義
○華山委員 これ以上私お尋ねはいたしませんけれども、私はしかしできると思いますね。いま十分や二十分お考えになってはできないかもしれませんけれども、そういうことをお考えになった上で、やむを得ずこういうふうにつくられたということであれば別ですけども、私が質問したから五分か十分お考えになって、どうもむずかしいというのは不親切じゃございませんか。もう少し考えてみたけれども、できなかった、そういうことであれば別でございますが、私はあなた方の真意というものはくめるんだ。その真意というものを出して、将来の禍根をいまから除いておく、こういうことが私は大切だと思うのです。ことに権限を伴うところのこの警察の問題につきましては、特に私は細心な注意が要るんじゃないかと思う。これが別だといたしますと、ほんとうにひどくなってまいりますよ。たとえば隅田川の沿岸には工場がたくさんある。それで何か恒常的な争議でも起きたときには、お互いに協議してやろうじゃないかといったってそんなことはできかねる。そうなったって、法律上の違反でも何でもない。私はいまのあなた方の真意は信じますけれども、いまここでそういうふうな禍根を断っておかないと、将来に対しこの法律は禍根を残す、どうしても、私はそういうふうな気がいたします。決してあなた方の真意を疑うわけでも何でもございません。この法律ができれば何十年と続く法律です。その間にいろいろな変遷が私はあろうと思う。その点は十分にひとつ御反省を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/138
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139・浜中英二
○浜中政府委員 川村先生の御質問にお答えいたしたいと思います。
予算の各目明細書の二十ページにあります。千七十七人と資料にあります。千七百九十五人との違いでございますが、この七千七十七人というのは警察庁の内部部局の定員のうちに皇宮警察の九百十四人と科学警察研究所の百四人が除かれておるわけでございます。したがって皇宮警察と科学警察研究所の数を加えますと八千九十五人となります。これが警察における国家公務員の総定員であります。したがって給与費もこの八千九十五人分が計上されておるわけでございます。ところでここに七千七百九十五人というふうに書きましたのは、法律上地方警務官が国家行政法の組織法上の定員になっておりませんので、その意味でそこから三百人を引きました。そういうわけで以上のような数になったわけでございます。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/139
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140・川村継義
○川村委員 予算にあらわれてきておる定員は八千九十五人ですね。八千九十五人というのは一般行政関係の七千七十七人に科学警察の百四、皇宮警察の九百十四、つまり科学警察と皇宮警察と合わせると千十八、これを合わせたのが八千九十五になる、こういうことですね。ところが法三十五条の定員は今度改正になって七千七百九十五人になるから、実際あらわれてくるのは、一般職の場合には六千七百七十七人でなければならぬ。しかしその中には地方の警務官が三百人入っている。そこで三百人を足して七千七十七人になる、こういう御説明ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/140
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141・浜中英二
○浜中政府委員 予算書にあらわれておりますのは、三百人を含めた八千九十五人分が全部入っておるわけでございます。それで八千九十五人から三百人を引いた七千七百九十五人がいわゆる警察法上の定員である、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/141
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142・川村継義
○川村委員 そうしますと、もう一つ聞いておきますが、警察庁のいわゆる一般行政に必要な経費のうちの職員俸給は、いまの点で地方警務官の三百人が含まってきておる、こう考えて、そこで明らかになりました職員俸給の七千七十七人というものの中には、この前の説明によりますと、交通警察、麻薬取り締まりの刑事関係、そういうものの増員が含まっておると説明があったようでありますが、これはどうなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/142
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143・浜中英二
○浜中政府委員 府県の警察官であります交通警察一万人の増員とか、麻薬の増員の分はこの中には含まってございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/143
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144・川村継義
○川村委員 含まれないということが、これはほんとうは正しいでしょうね。この前説明があったときには、いわゆる職員俸給の中に本庁の十名分、交通警察の三千名、麻薬関係の千五百人分の増員が見込まれております。こういう説明があっておりますが、それではそれはこの中の七千七十七人の中に含まれているのではないのですね。それはいわゆる地方の条例できめた定員の中に入っているわけでしょう。この場合の職員俸給の中にはその増員分を見てあるというのは、これは間違いであったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/144
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145・浜中英二
○浜中政府委員 警察庁の職員の費目の中にはその項目が含まれておりません。どのように御説明申し上げましたかわかりませんが、補助金の項目等をあわせまして、人件費全体といたしまして麻薬、交通の増員関係を申し上げたのではないかと考えておりますが、御指摘のとおりこの中には含まれてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/145
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146・川村継義
○川村委員 そこで本庁関係はほんのわずか、十名増加になっているわけですね。いまの交通あるいは麻薬関係の増員分はこの中には入っていない、これはそうなければならぬと考えるわけであります。
そこで、もう一つお伺いしておきますけれども、地方の警察官の俸給等は半額国庫負担でしたかね。地方の警察官の俸給等のあれは国庫からの負担はあったんですか、ございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/146
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147・浜中英二
○浜中政府委員 全額府県費の負担でございまして、国庫からの補助はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/147
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148・川村継義
○川村委員 それではこの定員の関係と予算に計上された定員の関係は、大体明らかになりましたので、一応この点は了承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/148
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149・森田重次郎
○森田委員長 安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/149
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150・安井吉典
○安井委員 この法案につきましては、私ども現在の法令の中で十分に処理できるという考え方を持っております。したがって第六十条の二の規定を置く必要はないというふうにこの問題の結論を得るわけでございますが、ただそれにいたしましてもこの法律がそのまま通る場合をも想定いたしまして、その場合に問題になる点が幾つかあると思うのです。そういう点について二点だけ国家公安委員長からお答えを願いたいと思います。
そのうち第一点は、今回の改正によりまして都道府県警察が、相互に協議によって境界付近の事案処理ができるという定めでございますが、先ほど来の論議の中でも明らかなように、単に事案という書き方であり、その相互協議の内容も全く限定がないわけです。その点において非常に不安もございますので、先ほど来の審議の中でも、政府側の答弁で大体明らかになっているようではございますが、現実にこういう場合に適応するのだという政府としてのお考えを、まず明らかにしていただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/150
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151・早川崇
○早川国務大臣 本条で処理する事案は、たとえば山岳遭難の場合の応急救護、空港、遊園地等の特定の施設が、県境にある場合における警戒救援等の場合に限りたいと考えております。特別の大きな事案が県境に起きた場合等については、従来どおり相互の応援要求による派遣によって処理することといたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/151
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152・安井吉典
○安井委員 次に、この相互協議による両都道府県警察の管轄区域についての権限が、交差する形になるわけですが、その場合における経費負担の問題の処理について、先ほど来の御答弁の中では十分に理解できませんので、その点について国家公安委員長はいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/152
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153・早川崇
○早川国務大臣 本条は職権行使の面の規定であって、費用負担の問題に触れていないが、費用負担については本法三十七条に都道府県警察の費用は当該都道府県が負担すると定めてあるので、この規定により事案の処理に要した費用は、本来の管轄権を有する都道府県負担によって処理することとなります。なお、その費用について、当該都道府県議会の議決を要することは当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/153
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154・森田重次郎
○森田委員長 他に質疑はありませんか。——なければ本案についての質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/154
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155・森田重次郎
○森田委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので直ちに採決いたします。
警察法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/155
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156・森田重次郎
○森田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
おはかりいたします。
ただいま議決されました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/156
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157・森田重次郎
○森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/157
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158・森田重次郎
○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01519640228/158
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