1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月三日(火曜日)
午前十時二十五分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君
理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君
理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君
理事 安井 吉典君
大西 正男君 奧野 誠亮君
久保田円次君 武市 恭信君
村山 達雄君 森下 元晴君
山崎 巖君 秋山 徳雄君
佐野 憲治君 重盛 寿治君
千葉 七郎君 華山 親義君
細谷 治嘉君 栗山 礼行君
門司 亮君
出席政府委員
自治政務次官 金子 岩三君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(税務局長) 細郷 道一君
委員外の出席者
自治事務官
(財政局財政課
長) 岡田 純夫君
自治事務官
(税務局府県税
課長) 佐々木喜久治君
自治事務官
(税務局市町村
税課長) 森岡 敬君
自治事務官
(税務局固定資
産税課長) 石川 一郎君
専 門 員 越村安太郎君
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本日の会議に付した案件
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一〇九号)
市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の
特別措置に関する法律案(内閣提出第一一〇
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/0
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001・森田重次郎
○森田委員長 これより会議を開きます。
地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案を一括議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山達雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/1
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002・村山達雄
○村山(達)委員 私は、本日、地方税法の改正につきまして、ごく概括的な事項につきまして重点的にお聞きしてみたいと思います。
その第一は、今次の改正は、その規模におきまして、内容におきまして、地方税の改正の歴史中画期的な地位を占めておると私は考えるのでございますが、政府当局において、今度の減税の重点的事項及びそのねらいについて、まず御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/2
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003・細郷道一
○細郷政府委員 今回御提案申し上げております地方税制の改正におきましては、平年度八百八十億、初年度四百九十五億という減税の規模でございます。その限りにおきましてはかなりな規模でございまして、ここ数年の自然増収額との比率をとってまいりましても、自然増収額の平年度計算でおおむね二割をこえる、二割二分程度の減税ということで、まさに御指摘のとおり画期的なものだと思うのでございます。
その内容といたしますものは、主として住民の負担軽減並びにその合理化という点に重点が置かれておるのでございます。たとえて申しますれば、住民税におきます負担の不均衡是正、これなども、考えようによりますれば、むしろいままで放置されておったこと自体に問題があるような内容のものでございます。そういった負担の不均衡化是正に重点を置きまして、また電気ガス税の軽減、こういったような点も今回の一つの重点事項になっておるわけであります。なお、そのほか中小企業の負担を軽減する意味におきまして、事業税において個人並びに法人ともに税負担の軽減をはかりました。また、固定資産税におきましても、中小企業の合理化あるいは近代化のための新規設備の取得後三年間の負担軽減緩和といったようなことも、そういった観点で行なったものでございます。さらに、住宅建設という面におきまして、国税におきましても所得の計算上種々考慮が払われておりますが、地方税の面におきましても不動産取得税において新築住宅の基礎控除あるいは土地の税額控除基礎額の引き上げ、また固定資産税におきましても、それぞれ新築後の一定期間の軽減といったような措置をとってまいったのであります。
こういうように、今回の地方税制の改正におきましては、規模の点においてはかなりの大きいものでござましたので、これをすべて地方の自力のみによって行なうことなく、その一部におきましては補てんの措置を講じてまいったのであります。それから半面におきましてそれでもかなりの自力によります減税が行なわれておりますゆえんのものは、国民経済社会の進展に応じまして、地方税制の面におきましても負担の均衡化、合理化といったようなことを、自力で果たしていくべきではなかろうかといった観点がございまして、その両面からそれぞれその減税財源を生み出す方式をとってまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/3
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004・村山達雄
○村山(達)委員 二十五年のシャウプ税制以来、地方税の減税が三十八年度までで幾らになっておるか、それから今度の分を合わせて幾らになっておるかということはおわかりでございますか。私の記憶によりますと、二十五年、六年がちょっとわからなくて、たしか単年度の累計で二千億近くじゃないかと思っております。今度の分を合わせておそらく二千八百億くらいではなかろうか。もしわかりましたら、あとで正確な数字をお知らせ願いたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/4
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005・細郷道一
○細郷政府委員 ちょっと手元に二十五年以来のものを用意しておりませんが、昭和三十年以降、ちょうど今回まで十年間でございますが、十年間のそのときそのときにおきます平年度計算の単純な合計でまいりますと、ざっと千五百億くらいになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/5
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006・村山達雄
○村山(達)委員 実はこれは毎年毎年の単年度の計算の単なる合計なんでございます。したがいまして、たとえば三十九年度の経済規模に引き直した場合、その減税総額は三十九年度の予算では幾ら減税したことになるかという点が重要でございます。租税特別措置による減収額が、伝えるところによりますと、今年度二千九十何億といわれておるのは、実はこれは毎年毎年の租税特別措置の累計額の三十九年度経済規模における範囲をそのまま言っているわけでございます。したがいまして、それと見合って減税規模をいう場合には、単純合計ではいかぬわけでございまして、これを直す必要があるだろうと思うのでございます。実はその数字もわかれば教えてもらいたかったわけでございますが、私の記憶によりますと、昨年までの国税、地方税を通ずる単純合計が一兆二千億、それを三十八年度規模に直しますと、大体七兆くらいになっておるわけでございます。ですから約七倍くらいと考えれば大体間違いないんじゃなかろうか、税目によって違いますけれども。そこは減税規模をお話しになるときに国民に理解していただく意味で十分説明をお願いしたいのであります。
それからお尋ねしたいのは、減税の規模が大きいかどうか。つまりほかの年度に比べて減税の規模が大きいかどうかというのは、単純に減税総額だけできめるやり方ももちろんありましょう、それはそれ自体としてどれだけの大きな税額を減税しておるかという問題がありますが、同時に先ほど申しましたように、自然増収に対してどれだけの割合を減税したかという問題と、それからその年度の租税収入総見込み額に対して何%をやっているか、これが実は最後に一番響いてくる問題でございまして、毎年毎年経済規模が拡大しますとこの割合で響いてくるわけでございます。もしここでお答え願えることができれば、ことしの減税規模の八百何十億というものは、シャウプ税制以来一体何番目くらいのことになっておるのか。それからいま自然増収中二割とおっしゃいましたが、過去においてどれくらいの規模のものがあったのか、それから今年度の収入見込み額に対することしの減税費は幾らであって、過去の減税はその観点では一体どれくらいになっているのであろうかということを、いまでなくてもけっこうでございますから、私も勉強の意味でございますので、いつか資料をつくってちょうだいいたしたいと思っております。この辺につきまして、もし何かお考えありましたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/6
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007・細郷道一
○細郷政府委員 本年度の減税は、先ほど申し上げたような計算になるわけでございますが、ただ本年度の場合におきましては、特に住民税の減税分が、従来地方財政計画上見込んでありました税収の外の部分を含んでおるわけでございまして、その意味におきまして若干従来の場合と比べて同じベースでの計算がいたしかねるのでございます。住民税は、明年度百五十億の減税でございますが、財政計画上あらわれてまいりますのは約その半分ということでございますので、そういった面を引き去りませんと、先ほど御指摘のございましたような明年度の見込みの自然増収に対する割合あるいは税収総額に対する割合というものが的確につかみにくいという点がございます。
いま一つは御承知のように、それと似たようなことでございますが、地方税でございますので超過課税をやっておる。したがって収入見込み額と実績額との違いをどう扱っていくかといったような点もございますので、それらの点も条件つきで精査をいたしまして、いずれ資料をつくってみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/7
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008・村山達雄
○村山(達)委員 次に明らかにしたいのは、減税額と減収額の差をはっきりさしていただきたいと思います。減税額は言うまでもなく国民負担の問題でございますし、減収額は、言うまでもなく地方財政の収入の問題でございます。全く違う次元の問題でございまして、ともいたしますとこの二つが混同されて世の中で発表されているわけでございます。たばこ消費税の一・六%の税率アップ、これはもちろん増税ではないわけでございますが、おそらく地方では増収になるだろうと思うわけであります。それから住民税の百五十億、これは減税には違いないでしょうけれども、ことしは減収にはならないわけだろうと思います。軽油引取税の税率は、これはまた一般増税とは違いますが、やはり負担の増加には違いないわけであります。そういった点を合わせまして今年度の減税は幾らになるのか。軽油引取税の増税を入れないところで減税が幾らになり、増税を入れれば幾らになるか。それから減収が幾らになるか。次にその減収額を市町村と都道府県に区分いたしまして、その減収割合は、それぞれことしの財政計画上の都道府県、市町村の収入見込み額に対しまして何%くらいの収入減になっておるかということを明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/8
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009・細郷道一
○細郷政府委員 明年度の税制改正によりますと、減税額は初年度四百九十五億、平年度八百八十億でございます。これに反しまして、先ほど御指摘のございましたような軽油引取税あるいはたばこ消費税の移譲、こういったものが別途にございますので、その分が初年度では百五十三億、平年度で百七十億でございますので、それぞれ地方団体の減収の総額ということを見てまいりますと、この差し引きにあたります初年度三百四十二億、平年度七百十億ということに一応税制の面でなるわけでございます。ただ御承知のように住民税につきましては五年間の経過的な一種の補てん措置をいたしておりますので、明三十九年度についてその百五十億の補てんというものを、一応減収の要素と見ないということになってまいりますと、さらに三百四十二億からその分を引きました百九十二億が直接的に地方団体の財政に与える減収額になる、こういうことになるわけでございます。ただその点につきましては、平年度の計算はちょっとむずかしい問題が残ってまいります。それからその結果の数字の減収につきまして、府県と市町村とを分けて見ますと、明年度の住民税を除きました三百四十二億の減収のうち府県税が百五億、市町村税が二百二十七億、それから同じくそのベースによります平年度の七百十億を分けて見ますと、府県税二百三十五億、市町村で四百七十五億、こういう数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/9
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010・村山達雄
○村山(達)委員 次に、論点を少し変えまして財政計画の面から見たいわば地方自治の伸長状況というものをどういうふうに測定するのかという点について御意見を承りたいと思います。
自治ということは、本来は行政の内容あるいはその自治の範囲いかんによってきまることかもしれませんが、これは財政面の断面から見てみますと、一つは国、地方の財政が国民所得の中に占める比率、これがだんだん経済の成長とともに上がっていくのが普通だと思うわけでございまして、その点に関連して三十九年度の国、地方を通ずる純計が幾らであって、国民所得に対して何%くらいに当たっているかということがおわかりになっておったらお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/10
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011・岡田純夫
○岡田説明員 三十九年度の純計と申しますか、計画のほうは御報告申し上げておりますけれども、決算のほうはまだこれからでございますので、三十七年度の純計がまとまっておりますからその額を申し上げます。
歳入としては二兆九千八百二十九億でございます。それから歳出では二兆八千八百七十四億となっておりまして、財政計画との開きでは約一千億となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/11
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012・村山達雄
○村山(達)委員 そこで、その国民所得に対する財政のウエートが、逐次上がってまいると思いますが、それにしても、その財政の中に占める地方財政のウエートはだんだん高まりつつあるように思うわけでございます。皆さんからちょうだいいたしました資料によりますと、三十一年から三十三年、これは決算ベースでございますが、平年度では国、地方を通じてを一〇〇とした場合には六五程度である。それから三十六年度決算では六八に上がっておる。なお戦前水準を見ますと、約五割である、一番ダウンしたところで昭和十五年の税政改正後の昭和十六年に上がっておりますが、これは僅々三六%くらいである、こういった点を考えてみますと、財政の国民経済に持つウエートがだんだん高まりつつある中におきましても、純計から見まして、地方財政のウエートはだんだん高まりつつある。これはやはりその質的な問題は別にいたしまして、量的に考えますと、自治財政がだんだん拡充しているというふうに考えていいと思うのでございますが、この点はいかがなものでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/12
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013・岡田純夫
○岡田説明員 抽象的な答弁でございますけれども、御指摘のように地方財政もシャウプ税制後の時代ないし昭和二十八、九年度ごろの財政状況が硬直状態にあった時代に比べますと、確かに向上は示してきておりまして、財政計画の上におきましても、単独事業費等につきましても対前年度比三十数%前後の上昇を見られるというふうな手当てをすることができるところまでにはまいりました。しかしながら、財政計画と実際の決算とを対比いたしますと、まだ地方団体にとっては、いわゆる補助事業等の関連から、今後単価等の問題を通じまして改善しなければならない問題が残っておりますので、実質的に地方団体がほんとうの意味におきまして、みずからできるという分野が向上したとは、ただ数字の上だけでもっては言い切れない。まだ改善すべき余地は相当に残されているものと見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/13
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014・村山達雄
○村山(達)委員 改善すべき余地はもちろんほとんど数限りなくあるだろうと思うのですが、いまの数字の示す限り、漸次よくなっているというふうに私は理解せざるを得ないと思うわけです。
その次に、今度は歳入構造のほうから見まして自治がどういうふうに伸長しているかというときに、地方税の占めるウエートがだんだん高まるということは、いわゆる独立財源としてはだんだん高まることになりますから、それはやはり歳入の質的にも自治財政が進んでおるということは言っていいと思いますが、どうも見てみますと、地方税のウエートが、遠い昔は別にいたしまして、最近ではほとんど四〇%前後にスティックしておる。ことしは四一%くらいに上がっておりますが、大体その辺である。地方税の伸長率というのは、ちょうど地方財政収入全体の伸長率とやや匹敵しておるところにそのウエートが固定しているところがあるだろうと思いますが、それを少し広げて考えてみますと、いわゆる交付税をプラスいたしました、あるいは地方譲与税をプラスしました一般財源で見ますと、これは決算ベースで見ていきますと、最近上がっておるように思うのでございますが、これもまた歳入の構造から見た地方財政の伸長と理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/14
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015・岡田純夫
○岡田説明員 確かに三十一年度の税、交付税の合計と申しますか、総体を見ますと五三%前後でございます。それが来年度の計画では六三%にのぼっております。なかんづく税の成長度が上がっておりますので、その点に関します限り、御指摘のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/15
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016・村山達雄
○村山(達)委員 これの国際比較の問題でありますが、これは自治制度が国によってみな違いますので、単純に比較しても意味のないことだと思いますが、もし地方制度において日本と類似する国がありました場合に——どこかわかりませんが、おそらくアメリカとかドイツとかスイスとか、そういう連邦制度をとっている国では、ちょっと比較の対象にならぬかもしれませんが、皆さんのほうで、比較的自治制度が日本と近い国、そういうものについて、いまのような数字がわかりましたら教えていただきたいと思います。——これはほんとうに勉強したくて申し上げたので、もし将来また資料がありましたらちょうだいいたしたいと存じます。
次に歳出の問題を通じまして、これはもちろん自治の伸長には数限りないいろいろな問題が伏在していると思いますが、過去との比較においては、一体何を基準にしてどういう数字で自治は伸長したと考えてよろしいのでしょうか。われわれすぐ見ますのは、単独事業をずっと見てまいりますと、なるほど少ないけれども漸次上がっておりまして、三十六年度決算では、私の手元の資料では七%ぐらい決算になっておるわけです。ことしの三十九年度の財政計画では飛躍的に増加しておる。これは決算面でどうなっていくかわかりませんが、そういったことから考えてみますと、やはり徐々ではありますが、単独事業の割合がどんどん上がっているのじゃないか。一方いわば地方の単独事業に相当する国の経費というのは、一体何で見たらいいのか、ちょっと問題がありましょうが、かりに自然増収中その年度において新規政策に使える財源、これが言ってみれば地方の単独事業に相当するもの、こういうふうに考えてみました場合には、おそらく三十八年度では千八百億程度のものだと思いますし、ことしの数字は知りませんが、おそらく二千億程度のものだろう。そうすると、三兆二千五百五十四億の総予算中に占める割合は、もし二千億といたしますれば、やはり七%を切るわけです。したがって、そういう意味では自由に使える金というものは非常に少ない。むしろ問題は、いまの日本の財政というものが、ちょうど経済の繁栄でありまして、国といわず地方といわず、立ちおくれている部面があまりにもはっきりしておりますから、すべては、たとえば公共投資であるとか、社会保障であるとか、あるいは文教であるとか、あるいは租税負担が重ければ減税であるとか、こういった面にほとんど長期計画でもって充てられてしまう。したがいまして、全く内容とは別にいたしまして、形式的にその財政の主体が任意に新しい構想のもとにその年度使い得るというものが非常に少なくなるのはあたりまえであって、むしろその割合なりその金額からだけ自治の問題を云々すべきかどうかという点には、根本的に検討しなければならない多くの問題を含んでいると思うわけでございますが、かりに、もしほかによりどころがないからそれによるとした場合には、いま言ったような傾向が見られまして、その面からも過去に比べると漸次自治の範囲は拡大しているということを言わざるを得ないと思うのですけれども、この点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/16
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017・岡田純夫
○岡田説明員 ただいまおっしやいましたように、何が最も自治的なものかというのは、地方団体にとりましても、判断の自主性というものをやはり持たなければなりませんし、また残されておるはずでありますので、必ずしも補助事業だから自主性がないとは申せないと思いますけれども、全く自治的な意味において使い得る経費につきましては、いわゆる単独事業、または一般行政の中の補助金を伴わないところの行政費といった分野であり、それの構成比率と申しますか、占める割合というものが伸びていくということが、支出の面から言いましたところの自主性の伸長になるというふうなことも指標としては十分に考えられる、そのように判断いたしておりますし、私どもそのような面から地方団体の財政構造の良否なり、全体としての地方財政の伸長状況を判断いたしますところの考え方の基礎にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/17
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018・村山達雄
○村山(達)委員 ただいま私が申し上げたのは、全体として自治の問題は数限りない問題点を含んでおりますが、それにしてもわれわれが計数で確かめ得る限り、歳入歳出、その規模等を通じまして、徐々に自治は向上していると言わざるを得ないと思います。
そこで第二の問題は、これは私の資料要求になるかもしれませんが、この点をいつか地域別にひとつ明らかにしていただきたいと思うわけであります。と申しますのは、こういう自治の進展状況が、地域別に見た地方財政に、一体どういうふうにあらわれているだろうか。いまの所得倍増計画の第一ラウンドにおきまして、いろいろな格差是正がある程度進行しておるところもございましょう。規模別による賃金格差の縮小の問題とか、あるいは階級別の所得階層から見た全体の所得格差というものは、これは所得格差の考え方にもよりましょうが、常識的に考えますと縮小しておるように思われるわけでありますが、しかし地域格差は所得倍増の第一ラウンドではまだ縮小してないのではないか。むしろいままでのところでは若干拡大の傾向が見られるのではなかろうか。と申しますのは、これを県民所得の推移にずっと照らしてみた場合に、明らかにそのことが看取できるのではなかろうか。こういう点を是正していくのが第二ラウンドの問題ではないかと私は実は考えておるわけであります。こういう事実の上に立って地域的に見た財政構造は、一体いかなる変化を示しておるであろうか。たとえば府県でいいまして地方税の税収入総額を一〇〇とした場合のその構成比は、過去の年次と最近の年次、たとえば三十七年決算でもけっこうでありますが、そのウエートは一体どういうふうに変わってきておるだろうか。地域別と申しますのは府県別が一番あれですが、それを財政指数によるグループ別に集めまして、その構成比の推移を明らかにしてはいかがなものであろうか。同時にそれを補完するものとして、一体地方交付税が相関関係に立ってどういうふうになっておるであろうか、あるいは譲与税、国庫支出金、そして最後に収入総額の百分比が一体どういうふうに移っておるであろうか。この辺を見ますと、先ほど全体として徐々ではありますが地方財政の自主性が高まりつつあると言っているわけですが、その中にあって各地域別に、どんな構造が示されておるかということがわかると思いますが、おそらく私想像するに、いまの県民所得の格差は、いまのところついておるところから見れば、地方税の収入のウエートでは、いわば財政力指数の低いところが、少しずつではありますがだんだん構成比が少なくなり、逆に交付税のウエートが高まっておるのではなかろうか。全体として財政規模は一体どういうふうな構成比率になって動きつつあるのか。この辺はなかなか——市町村と申しましてもいろいろな市町村がございますので、単に府県対市町村という比率になりますとわかりませんが、あるいはことによると府県のほうが若干ふえておるのではないかなという感触を持っておりますが、もし皆さん日ごろ当たっておられて、何かその辺についての御感触でもありましたら伺いたい。そして将来そういう資料を、非常にごめんどうではございますが、いつの機会にか用意していただきたいと存ずるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/18
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019・細郷道一
○細郷政府委員 最近におきます地方税の伸長は、御承知のように概括的に申しますれば府県税の伸びが市町村税の伸びをこえておるということが一つの特徴でございます。いま一つは、その中におきまする各団体間の伸びの度合い、それがいわば御指摘の格差の問題になろうかと思いますが、それはどちらかといえば府県にわりに著しくあらわれる、市町村はそれほど激しい姿であらわれていないと思います。御承知のようにそれぞれを構成しております税目の性質によるものと思いますが、どうしても所得を税源といたします税目のウエートの高い府県税において、そうした傾向のあらわれるのは、むしろ自然の姿ではなかろうかと思っております。そういった点で独立税の格差を補う意味におきまして、御承知のような譲与税あるいは交付税というもので補っておるわけでございます。譲与税並びに交付税自体も、特に交付税の主要な部分を占めております法人税、所得税が、やはり所得に源泉を置いております税目でございますので、総体において見てまいりますと、地方交付税の伸びもある程度地方税の伸びに比例をするような姿を呈しておるわけです。もちろんその間、若干の一歩、半歩の違いというものはあろうと思いますが、そういった意味において、かなり交付税の制度の運用によってその間の補いが相当行なわれ、かつ交付税におきます財政需要の算定において意欲的に地域格差の是正につとめておりますので、それらを総合いたしますと、いわゆる税並びに交付税としての一般財源の各団体別の所在は、経済の伸びに比すればゆるい格差になってきているのではないだろうか、こう考えるわけでございます。逆に申しますれば、ほうっておけばもっともっと開いたものを、交付税の運用面において相当の意欲的考慮を払うことによって、自然の開きをある程度縮めておるという状況になろうかと思っております。しかしながら、それらについては、一般的傾向においてなお十分でないものがございます。これらの点が今後のわれわれの課題であろうと考えております。
なお、いろいろ御指摘のございました資料等につきましては、よく精査の上、また御連絡申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/19
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020・村山達雄
○村山(達)委員 いまの問題に関連しまして、将来の地方の財政収入の構造をいろいろ想定してみますと、一つのことが言えばしないか。もう一つの問題は税の伸長性とその偏在性の問題でございます。もう御承知のように税の伸長性、いま地方税で一番おも立ったもので申しますれば、言うまでもなく法人事業税、法人住民税、この伸長度が一番高いだろうと思いますし、過去の五年ないし六年くらいの平均の幾何年率を取ってみましても、一二〇%ぐらいの伸び率だろうと思います。しかし、地方税全体といたしましては、たとえば固定資産税の同じ年率が一一〇%ぐらいにとどまっておる。交付税の基礎をなしております所得税は、同じ年率にしまして一三〇%くらいの伸長率を示しておる。法人税が、やはり法人住民税と同じくらいの一二〇%くらい。酒が一一〇%くらい。したがいまして、交付税の年率は当然地方税全体より相当高いものとならざるを得ない。一方、偏在性の問題を見てまいりますと、これはそれぞれの地方団体の基準財政需要のウエート、その当該税目の収入ウエートを見ますれば、それは明らかに出てくると思うのでありますが、この伸長性のあるものほど基準財政需要から見られた比率から大きく乖離しておるというのが一般的に言えると思うのであります。事業税、法人住民税のような伸びのあるものが、非常に基準財政需要との乖離がはなはだしい。むしろその点からいえば、同定資産税のような伸びの少ないものが、かなりそれに近いという現象が、一般的に産業構造で見られるわけです。そうであるとすれば、今後増大する地方財政をまかなうというときに、適当な税目があれば別ですが、そうではない。既存の税目のうちで、それぞれ入り組みをしてみたり、あるいは税源配分をしてみても限度があるのではないか。もし地方財政の自主性というものが、収入面から見た場合に、単に地方税だけでなく、一般財源から見るという考えが許されるならば、やはり全体的にいえば、その交付税の交付率のアップで将来はやはり当分はまかなうということが少なくとも基本になるのではなかろうか。もちろんそれは税源配分その他適当なものがありますれば、その補完的な意味においてそれを補うことができるといたしますれば、全般的に見ましたならば、偏在性の問題からいっても、どうしてもそうならざるを得ない。これはかなり大胆な、また直感的な話でございますが、そういう感覚に対しましては、政府当局はどのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/20
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021・細郷道一
○細郷政府委員 地方に財源を与えるのに自主財源で与えていくか、あるいは共同の財源で与えていくか、いろいろ議論の分かれる点だと思います。単純に現在の租税が国と地方でどういうふうに徴収され、それがどういうふうに終局的に使われていくかという姿を見てまいりますと、御承知のように、現存大体租税総額の三割が地方税として徴収をされておるのに反しまして、最終的にそれを民間に放出する段階でこれをとらえてみますと、逆に地方団体のほうが六割あまりを使用しておるかっこうになっておる。こういう総体だけの計算から見てまいりますと、なお国と地方の税源の配分については、むしろ地方に税源を与えるべきであるという議論が出てまいるわけであります。しかし反面、地方税の総量だけの問題でなく、個別の団体の財源をどうそれぞれ用意をしていくかということになってまいりますと、やはり税の種類によって違ってまいるわけでありますが、大体の傾向としましては、やはり国民所得の伸び方、それの地域的な所在といったような点から、ある限度が現われてまいる、こう思うのであります。住民の面から申しますれば、やはり住民負担の効率的な使用を期待いたす面もあるわけでございますので、そういった面で地方のいわゆる地方税のみでこれを全部カバーするということは、現行の国地方の全体の行政事務のあり方、あるいは国と地方団体の制度的なあり方を現状のままに置く限りにおきましては、やはり一つの限界があるものと考えるのであります。もとより国と自治体との関係を、もっと自治体本位の体制にするといったようなことになってまいりますれば、いま申し上げたような点も、全くいまとは違った姿のものを考えなければならないと思います。一応現状におきますものを前提として考えますれば、やはり交付税等の財源によって、これを大きくカバーをしていくという考え方にならざるを得ないと思うのでございます。ただ、いま一点、現状の国と地方のいろいろな行政の制度上の問題を前提とするにいたしましても、なお個々の行政事務につきましては、国と地方との間にこれをどう配分していくかという問題は、十分検討に値する問題であろうと考えております。地方制度調査公等におきましても、屬次にわたり、あるいは最近では臨時行政調査会等におきましても、いろいろ意見が出ておるところでありますが、個々の事務につきまして、それを国と地方とにどう分けていくかということともにらみ合わせて、いまの問題は現実問題としても処理する必要があろう、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/21
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022・村山達雄
○村山(達)委員 次に、少し論点を変えまして、今度は各税についてお伺いしたいと思います。
その第一は、住民税でございますが、住民税でことしと来年、この二年度にわたって税制改正あるいは減税を行なわんとしておるようでございますが、今年度やる事項、それから来年度やる事項、それぞれそれによる減税見込み額をお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/22
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023・細郷道一
○細郷政府委員 三十九年度におきましては、従来住民税にございました方式、すなわち本文方式とただし書き方式のうち、本文方式はそのままに存置をいたしまして、ただし書き方式につきまして本文方式に近づけるための経過的な方式を考えておるのでございます。
内容といたしましては、従来ただし書き方式におきましては、御承知のとおり、総所得金額から基礎控除額のみを引いておったのでございますが、それを基礎控除と扶養控除を引くように改める点が一点でございます。ただその扶養控除の額につきましては、なお本文方式との間に若干の差がございます。具体的に申しますれば、第一人目の扶養控除額は本文方式では七万円でございますが、いま申し上げました三十九年度の経過的な方式では四万円、第二人目以下は三万円で同じでございます。
それからもう一点は専従者に対する措置でございますが、事業専従者につきましては、現在ただし書きにおきましては税額控除をいたしておるのでありますが、その税額等につきましては、いわば地方の自由になっておるのでございます。これを今回三十九年度の経過的方式におきましては法定をいたしまして、しかも現状との間に円滑に処理ができますように、最低限の額を法定いたしまして、具体的に申しますれば、青色申告の事業専従者につきましては税額で千六百円以上、それから白色につきましては千円以上、こういうふうな法定のしかたをすることによって専従者控除の税額控除の最低の保障を得られるようにしようという点が第二点でございます。あとの諸控除につきましては、従来どおり、ただし書きにおきましては、諸控除としてはこれを扱わないでいくという方式をとっておるのでございます。これによって減税額が百五十三億円を見込んでおります。
なお、四十年度におきましては、ただいま申し上げたような経過的方式を廃止いたしまして、すべて本文方式に合致いたします。したがいまして、扶養控除につきましても、本文の七万、三万、専従者控除につきましても八万、五万、それからそのほかの保険料控除、その他諾控除につきましてもすべて本文どおりになる、こういうことでございまして、その四十年の直った後の姿を現在と比較いたしますと、減税額として二百九十六億円、こういうふうに見込んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/23
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024・村山達雄
○村山(達)委員 ただいまのお答えのうち、ちょっと数字の点を確かめたいと思いますが、いわば暫定課税方式から本文方式にすることによって、来年度やはり約百四十数億あるわけですが、そのうちどれくらい減収になるか。それからいまの超過課税を本文準拠税率の一・五倍にすることによって幾ら減収になるか、それが一つお聞きしたいのと、それから、ことしは暫定方式で第一人目四万円、第二人目以下三万円、こうする。主としてそれによりまして百五十億くらいの減税になるわけでございましょうが、現在税額控除をしておる金額は平均幾らであって、それは所得控除に直すと幾らくらいになるのか、すなわち所得控除が幾らのものを三万円ないし四万円に直されるのかという点。それから住民税所得割りの納税義務者の平均扶養親族の数がおわかりになったら教えていただきたい。それからもう一つ、専従者控除が白色千円以上、青色千六百円以上——かりに以上という点を切りまして千円、千六百円とした場合、現行は条例でまかされているようでございますが、平均どれくらいになっておるのか、この点の減収額はほとんど問題にならぬと思いますが、念のために伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/24
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025・細郷道一
○細郷政府委員 先ほど御説明でちょっと重要なことを一つ漏らしました。四十年度からは、税率につきまして現存の準拠税率制度を標準税率制度に改めることが一点あります。それによりまして従来の所得段階を自由にできないということになるわけでございます。
そこで、いまのお尋ねの点でございますが、扶養控除額を実は第一人目四万円、第二人目以下三万円といたしましたのは、現在ただし書き方式におきましては、六百円の税額控除を標準とするということで指導をいたしております。多くの団体は大体その前後におさまっておるのであります。もちろん団体によりまして一人目は幾ら、二人目以下は幾らというように、税額控除に区分をつけている点もございます。そういった点を突っ込みで単純に平均をしてまいりますと、五百二十六円の税額控除というのが全国平均になっております。一応六百円で指導いたしておりますので、今回扶養控除額にこれを引き直すにあたりましては、現在示されております準拠税率の最低の段階の税率は、現在十五万円以下は二%ということで税率を定めております。その二%の適用を受ける人の場合に、六百円の税額控除は所得に直したら幾らになるかということで、三万円という控除額を算出いたしたわけであります。逆に申しますれば、三万円の控除をすることによって、最低の税率を受けた人でも六百円の税額の負担の軽減になる、こういう意味で三万円といたしたわけであります。ただその場合に、第一人目につきましては、財源の関係もございましたが、できるだけ二人目以下との間に差をつけて、いわば優遇をしたいという意味で、財源とにらみ合わせまして、これを四万円、こういたしたのであります。したがいまして、実際には各団体が準拠税率制度によります税率を定めておりますので、このいわば最低の現状の保障をする意味での扶養控除額の設定、これによります減税の効果はかなり大きなものが出てまいると考えております。百五十三億円の三十九年度におきます減収見込み額のうち大部分、百四十四億円までが扶養控除によります減収額というふうに一応見込んでおります。
それから専従者のほうにつきましては、現在各団体の——これも平均をいたしてみますと、青色については千四百六十二円の平均税額控除、それから白色につきましては七百五十一円の税額控除、こういうことになっております。この点につきましても、いろいろ各市町村におきます実際にとっております税額控除の額をいろいろ段階刑に調べたのでございますが、単純な平均がいま申し上げたようなことでございます。したがいまして、今回これを千六百円と千円に税額控除として法定をいたしましたのは、ちょうど扶養親族におきます場合と考え方が似ておるわけでありますが、本文でありますれば青色は八万円、白色は五万円の控除がございます。最低の税率二%の場合に八万、五万が幾らの税額になるであろうかというところから、千六百円または千円というような税額控除の額を定めたわけでございます。税額控除につきましては、かなりいま定めました千円、千六百円の税額控除を上回って定めておる市町村もございますので、その部分を今回の措置によって特に引き下げるということは、全体の今回の住民負担軽減の方向からいかがであろうか、こう考えまして、千円以上あるいは千六百円以上というような法律の定め方をいたしたものでございます。なお、これによります三十九年度の減収見込み額は約九億円、こう見込んでおります。
それから四十年度におきましては、先ほど申し上げましたような課税方式の残る部分の改正、これによりまして、八十七億円の減税になる。それから税率を引き下げる部分、それぞれ標準税率にすることによって、それの一・五倍までの額ということを一応予定しておりますが、そこまでの額ということで、税率引き下げ分が五十六億円、四十年度で百四十三億円、今回三十九年度の百工十三億円を合計いたしまして、全体で二百九十六億円、こういう見込みをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/25
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026・村山達雄
○村山(達)委員 今度の住民税の改正は、ただし書きにとりましては従来と非常に違った方式で、今年度百五十億、来年度も百五十億くらいの減税になるということは、一般的にはわかるのですが、個々の納税者にとりましては、自分のところは一体どうなるのかということは、計算してみないとわからないのであります。したがいまして、どっちかベースをひとつ合わさないと、一体減税は本年度どうやるかわからないわけであります。したがいまして、先ほど現行の扶養親族の控除額は所得に直せば幾らにしておったかと、こういう問いを発しておったわけでございますが、逆でもよろしいのでございます。たとえば百五十億の減税額、これはほとんど扶養親族を三万円から四万円にするわけでございますから、ただし書きの所得割りを納税者の持っておる扶養親族数で割れば、一人当たりの扶養親族の減税額が出るわけです。先ほど伺いますと、現在は五百二十六円だというわけでございますから、納税者は平均いたしまして、いってみますと扶養親族一人当たり幾らが幾らになった、こういう感覚でもっと具体的にわかるだろうと思うのであります。ですから、その扶養親族数がどれくらいか、納税者に実感をもってわかるようにしておいたほうがいいんじゃないか、こういう意味で申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/26
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027・細郷道一
○細郷政府委員 なかなか個々の納税者にぴたりという数字は出かねるのでございますが、かりに、現在のただし書きにおきます平均的な実効税率が約三・五%になっております。それで扶養親族一人当たりの控除によります税額を見てみますと、第一人目については千二百二十四円、第二人目以下については千八十円ということになります。そこで、現在の扶養控除の税額控除の平均は、先ほど申し上げましたように、これは一人目、二人目突っ込みでありますが、五百二十六円の税額控除でございますので、それぞれいま申し上げました額から引いた分だけが一人について税額控除になる。具体的に申しますれば、第一人目の千二百二十円から五百二十六円を引いた約七百円、それから第二人目以下については千八十円から五百二十六円を引きました約五百円余りが一人の税額控除の平均的な減税額になる、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/27
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028・村山達雄
○村山(達)委員 それからやはり同じような問題でございますが、ただし書きの納税者数は現行一体何人くらいおりまして、ことしの改正によりまして納税者がどれくらい減るか、それから来年度においてどれくらい減るかという点が一つ。
それから標準世帯を考えてみまして、給与所得者で夫婦子三人くらいのところで、ただし書き団体、いろいろございましょうが、平均的なところをどこでもけっこうでございます。まず、いまのただし書きをとっておる平均的なところでどれくらいの減税割合になるのであろうか、それからただし書きでもって非常に超過課税のきついところですね、そういったところでは、一体どれくらいの減税割合になるのであろうかということをまず第一にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/28
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029・細郷道一
○細郷政府委員 昭和三十八年度の課税実績を最近取りまとめたわけでございますが、それによりますと、ただし書き方式市町村の納税義務者は七百七十万、そのうちただいま申し上げましたような改正を行なうことによりまして、三十九年度では百二十万人が納税義務者でなくなる、税金を納めなくて済むようになる。四十年度の実際の姿はちょっと違ってまいるかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/29
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030・村山達雄
○村山(達)委員 今年度のベースでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/30
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031・細郷道一
○細郷政府委員 七百七十万人のうち約二百五十万人くらいの納税義務者がなくなってくる、こういうふうに一応見ております。
それから今回の措置によりまして、団体別に見ました場合にどういう変化があるかということでございますが、一番激しい倍率の市町村は、われわれの把握しております限りでは滋賀県の安曇川という町でございます。そこにおきまして夫婦に子三人、そして給与者で年所得五十万、一応いわゆる標準世帯というものをとってみますと、そこの町におきましては現在税額が一万八千百二十円ということになっております。これが本文方式に直り、かつ御承知の標準税率の一・五倍というところまでいくものといたしますと、それによりましてその世帯の人につきましては三千七百三十円の税額になるわけでございます。したがいまして、現在の一万八千百二十円から三千七百三十円を差し引きました一万四千三百九十円、その軽減の割合は七九・四%、こういうのが一番極端な例でございます。
なおそのほか、個々の市町村ごとにはいろいろあろうと思いますが、かりに現在の標準の姿の二倍の課税をしておる町村をとってみますと、同じく標準世帯で九千五百六十円という現行の税額が、先ほどと同じように三千七百三十円になってまいります。これによります軽減割合は六一%、こういった姿になるわけでございます。この町村におきましては、大体現在の標準的姿の二倍の超過課税をしておると見られる町村について、いま申し上げたような数字になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/31
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032・村山達雄
○村山(達)委員 納税者はたいへんな負担軽減になるわけでございますが、そのことは、同時にまた一方当該市町村の財政収入の問題にすぐ移るわけでございます。なるほど五年間は経過措置によりまして、国がある程度減税補てん債でもってまかなっていきますが、平年度化した場合には、原則としてはそこの市町村の自力でやらざるを得ない。もちろんそれまでの間には交付税のいろんな改正もありましょうし、単位費用の改定もあると思いますが、現在の財政収入の中でこれによる減収割合というものは、一番ひどいところで一体何割くらいになるか。たとえば滋賀県の安曇川でけっこうですが、どのくらいの割合になり、それからいまの平均的な六一%の軽減割合になるところでは、財政収入はどのくらいの減になるのか。同じ町でなくてもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/32
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033・細郷道一
○細郷政府委員 ちょっと同じ町の資料をいま手元に持ってまいりませんでしたが、減収の面で非常に高い減収率を示す町村を見てまいりますと、これは秋田県のある町の例でございますが、現行の所得割が千四百六十七万三千円でございますが、その八三・九%に当たります千二百三十一万四千円、これが減収になるわけであります。所得割の中で占めておる割合でございますが、八四%ということになるわけでございます。
それから、やや平均的な減収率を示している市町村についてみますと、たとえば山形県の鶴岡市では、現行の所得割が一億八千五百十九万二千円でございますが、それが九千八百九十五万二千円、五三%という減収率、また北海道の栗山町で見てまいりますと、四千五百二十八万六千円の現在の所得割額のうち、二千百五十五万八千円、約四八%が減収になる、大体所得割額の四割から五割程度のところが平均的な減収率になる、こう見ておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/33
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034・村山達雄
○村山(達)委員 それもけっこうでございますが、それが全体の財政収入の中にどのくらい響くのであろうか。たとえばいまの秋田県のその町の八三・九%、それは全体の財政収入の中にどのくらい響くのであろうか、こう聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/34
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035・細郷道一
○細郷政府委員 これも個々の市町村の税目構成、歳入構成で若干違ってまいると思いますが、一般的に見まして、市町村民税の税収入が大体四割前後ということになりますが、超過課税をいたしておりますので、その辺のウエートは若干個々に違ってまいると思います。一般的に見てまいりますと、税収の一割から一割五分くらいのところが比較的減収率の多いと申しますか、平均的な減収額を示している団体、こういうふうに一応見られるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/35
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036・村山達雄
○村山(達)委員 私の心配しているのは、ここでは平均はほとんど問題ではないのでなかろうか。超過課税をやっている。納税者の負担は非常に重い。したがって、そこでは住民税のウエートが高いのではなかろうか。それが従来の本文方式に比べまして七倍とか八倍とか非常に高いところもある。それが二年間でそこまで持っていく。それによる減収割合というものは、平均ではちょっとはかれないものを含んでおりはしないか。徐々に、五年間の経過期間がありますが、これはいずれ普通の交付税、いわば自力でまかなうというたてまえになるわけでありますが、そこでそれらの市町村には一体具体的にどのくらい響くのかということをひとつぜひ御検討いただいて、それで将来に備えていただきたい。この減税がなかなか画期的であるだけに、市町村にとりましては、また画期的な減収になるのではないかということを憂えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/36
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037・細郷道一
○細郷政府委員 個々の市町村の表を持ってまいりませんでしたので何でございますが、いずれよく調べまして、御連絡申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/37
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038・村山達雄
○村山(達)委員 先ほどただし書き方式をとっているものについて伺いましたが、それは団体数でどのくらいあって、そのうち不交付団体でただし書きをとっているものはどのくらいあるか、それからその中で一・五倍をこえているものの数字はおわかりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/38
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039・細郷道一
○細郷政府委員 三十八年の実績でございますが、不均一課税を行なっております団体を除きまして、全体で三千四百二十三市町村のうち、本文方式を採用いたしております市町村が六百五十九、それからただし書きを採用しております市町村が二千七百六十四、こういう全体の姿になっております。全体のうち、すなわち三千四百二十三市町村のうち、不交付団体は百七十九、それからそれをそれぞれ本文とただし書きに分けてみますと、本文方式をとっております六百五十九のうち、不交付団体は百三十四、それからただし書き方式をとっております二千七百六十四のうち、不交付団体は四十五、こういうことになっております。そのうち、本文方式の中で一・五倍をこえております団体が五十七、それからただし書き方式では一・五倍をこえておりますものが千百七十五、合わせて千二百三十二、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/39
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040・村山達雄
○村山(達)委員 わかりました。
それから減税補てん債の問題でございますが、これの償還期限あるいは利率等につきまして、いま検討されている段階でもけっこうでございますが、どのような案があるんのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/40
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041・細郷道一
○細郷政府委員 まだ最終決定をいたしておりませんが、ただいまのところは償還年限七年、うち一年以内の据え置き期間、それで元利均等半年賦償還、六分五厘という線が有力でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/41
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042・村山達雄
○村山(達)委員 その場合三分の二は国から元利補給するわけでございますが、三分の一は基準財政需要の中に織り込んで普通交付税で処理することになっておりますが、ピーク年次におけるその元利償還金は、いまのこれでいきますとどれくらいになるのでございましょうか。また、そのピーク年次もあわせてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/42
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043・細郷道一
○細郷政府委員 いまの償還の年次並びに利率を前提といたしまして計算をいたしますと、ピーク時は昭和四十六年度でございまして、その額は百七十二億円ということになります。百七十二億円の元利償還額のうち、御指摘のとおり三分の二については国からの補給金、残りの三分の一につきましては地方交付税の基準財政需要額に算入することによって財政措置をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/43
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044・村山達雄
○村山(達)委員 いまの百七十二億というのは総額でございますか、この三分の一でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/44
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045・細郷道一
○細郷政府委員 百七十二億と申しますのは、ことしと来年にそれぞれ百五十億ずつの起債を発行し、かつその後五年間に八割、六割、四割、二割という低減方式で発行した場合におきます元利償還額の総額が百七十二億。したがいまして交付税に算入いたしますものはその三分の一であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/45
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046・村山達雄
○村山(達)委員 この市町村負担分の三分の一につきまして、かつて特別交付税でやったらどうかというようなお話もあったんですが、最終的には普通交付税になっているわけですが、なぜ普通交付税でまかなうことにしたか。私はまあ直観的にいって非常にけっこうなことだと思うのでございますが、念のためにそうした理由について明らかにいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/46
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047・細郷道一
○細郷政府委員 この元利償還額につきましては、三分の一の措置について、確かに特別交付税でやってはどうかという議論もその過程においてあったのでございますが、何ぶんにも全市町村の先ほど申し上げましたように約八割の団体が、ただし書き方式をとっておるというような状況のもとにおきます今回の措置でございますので、この元利償還額を普通交付税の基準財政需要額に算入することによって法律上の補償をしていきたい、半面にはそういった法律上の補償が得られることによって、その団体につきましても、個々の団体が将来自分でなしくずしで処理をいたさなければならない部分がございますので、それについても計画的な財政の運営をすることが可能になるという点が一つの点でございます。
なお技術的なことでございますが、交付税におきましては一般的に予見されます財政需要額というものは、これをできるだけ普通交付税に算入をしてまいりたい。今回のこの元利償還額は、毎年の額が、条件がきまりさえすれば十分予測できるものでございます。しかも、その関係の団体数が非常に多いという意味でも一般化したものでございます。特別交付税でございますと年度の末まで額が不安定といったような点もございまして、普通交付税の財政需要額に算入するようにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/47
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048・村山達雄
○村山(達)委員 時間の関係がございますので、次の税目に移りたいと思います。
次は固定資産税の関係でございますが、今度固定資産税の評価がえに伴いまして調整が行なわれたわけでございますが、今度の調整によりまして増税が行なわれてないということを国民の前に明らかにする必要があると思うのでありますが、いかなる措置によってそれが押えられるのでございますか、具体的に明らかにしていただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/48
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049・細郷道一
○細郷政府委員 今回の新評価を行なうということによりまして、土地、家屋、償却資産のうち、特に土地につきましては評価額が従来よりもかなり高くなるわけでございます。これを一般的傾向として申しますれば、宅地については六倍あるいは七倍、山林につきましては三倍ないし四倍、田畑、いわゆる農地につきましては一・二ないし一・四倍、こういう傾向を示しておるのでございます。この新評価自体をどういうふうに固定資産の税負担に移していくかということにつきましては、昨年来税制調査会でもいろいろ御審議をいただき、われわれもいろいろ検討してまいったわけでございますが、中には固定資産税の本質的と申しますか、かなり基本に触れる議論も出てまいりましたし、また土地の評価額というものがそのまま税負担の能力をあらわすかどうか、たとえば事業の用途に使っておる収益性の強い資産もあれば、それのわりに低い資産もあるのじゃないかといったような議論もございましたので、慎重を期する意味におきまして、それらの恒久的な措置については後日に譲りまして、今回はとりあえずの暫定措置として、農地につきましては昨年の税額にとどめ、またその他の宅地、山林等の土地につきましては昨年の一・二倍の税額にとどめるということで、ここにその算定の方式その他を御提案申し上げておるのでございます。今回のこの措置の結果、固定資産税全体といたしましては、昨年度に比べましてほぼ一割の増収になるのでございます。もとより家屋、償却資産等につきましては、いろいろ出入りもございます。土地につきましても宅地並みになったものもあるわけでございます。そういったようなことで、全体として約一割の増収、こういうことになっておるのでございますが、この点につきましては、過去の固定資産の評価がえの年度であります基準年度の際の税収の動きを見てまいりますと、おおむねやはり一割程度の自然増収ということが従来も行なわれてきておるのでございまして、その意味合いにおきましては今回、新評価はいたしましたが、基準年度という点から見ますれば、従来の基準年度程度の自然増収は、むしろ本税の性質上当然のものではなかろうかというふうに考えまして、その程度の極にとどめるようにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/49
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050・村山達雄
○村山(達)委員 いまのお話でわかりましたが、そういたしますと、逆に言いますと、農地については、個々の農地によりましょうが、場合によっては実質的な減税になるものさえあるということが言えるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/50
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051・細郷道一
○細郷政府委員 農地につきましては、新評価額に税率をかけた場合、前年よりも下回っておる農地につきましてはそのまま低い税額が出てまいるわけであります。越えるものについてだけ同額に押えるわけであります。全般的な傾向といたしましては、先ほど申し上げましたように一・二ないし一・四倍の評価の増を示しておりますので、大部分のものにつきましては前年同額ということになるわけでございます。もとよりそういうことでございますので、全体のうちでは何がしかのものにつきましては、前年の税額を下回るものが出てまいります。これは全国をまだ悉皆調査はいたしておりませんが、私のほうで各府県に一つずつの指定市町村につきまして調べをいたしてみますと、面積にいたしまして、田については一・三%のものが従来の評価額を下回っている、畑については四・六%という面積比のものが従来の評価額を下回って出てまいっておりますので、その部分につきましては、完全に従前の負担額が下がるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/51
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052・村山達雄
○村山(達)委員 今度の固定資産税の調整措置は、この次の固定資産税全般にわたる、再検討の時期までのいわば経過的な調整措置と理解しているわけでございますが、今後に残される問題が非常に多いものですから、巷間いろいろ取りざたされるわけでございます。この点につきまして、政府部内の税制調査会における論議でも何でもけっこうでございますが、いろいろな調整案らしいものが言われていると思います。そのうち、おも立ったものについて、御披露して差しつかえないものがあったら御披露していただきたいと思います。
それと同時に、固定資産税の税額をめぐりまして、従来から非常に議論の多いところでございまして、あるいはその財源関係、支払い関係から収益税といい、課税標準からは財産税といい、あるいは課税の理由から応益課税といい、いろいろ観点が違っているわけでございます。その点でどうしても明らかにしておきたいと思いますのは、現在の固定資産のうち、収益資産と無収益資産と申しますか、それがどれくらい違いがあるか、どんなことになっているか。償却資産はおそらく全部収益資産と考えていいでしょうが、家屋で自己持ちのものと他人に貸しているもの、それから土地で、特に宅地でございましょうが、宅地のうち自己持ちのものと他人に貸しているもの、この辺の問題がこの固定資産税の調整の問題をめぐって——どうせ固定資産税の基本的な性質の問題になると思いますが、さかのぼってみますと、収益資産と無収益資産、したがってそれが原価構成要素として転嫁されているものとそうでないものとの関係、これが税の本質をきめる上に相当決定的な問題になると思うわけでございます。本日ありませんでしたら後日でもけっこうでございますが、この辺、資料としてちょうだいいたしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/52
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053・細郷道一
○細郷政府委員 固定資産税はどんな税かといったようなことも、実は税調では勉強の意味でも議論が出たわけでございます。いま御指摘になりました資産の収益性を反映した割合というものは、私どももいま実は手元に持っておりませんが、実際にこれを調査するにあたりましても、非常にむずかしい点があろうと思います。個人の自家用の住宅でございますれば、比較的はっきりもいたしましょうけれども、そういう場合におきましても、自分の家を半ば事務所のように使っておる職業の方もおられますし、また店舖をかまえております場合におきましても、御承知のように、住宅とそうでない事業部分との併用といったようなこともございますので、調べるといたしましても、なかなかむずかしいのではなかろうかと思いますが、なおよく努力をしてみたいと思います。
税調におきまして、将来の姿でいろいろ議論のございました点は、まだ全部の議論が出尽くしたかどうかはわかりませんが、一つはこの新評価額に対応して税負担をどの程度に持っていくか、この点につきましては、固定資産評価制度調査会は、御承知のように全体としては大体税収を変えないでいってはどうかというような御意見であったわけであります。税制調査会は、税負担の面からこれをどうとらえていくかという点が一点でございます。この点につきましては、かりに新評価によります総評価額を、現在の税額を変えない範囲で税率だけで単純に操作するといたしますと、〇・七あるいは〇・八%くらいの税率、いわばいまの税率の半分くらいになるということでございますが、これは総額の問題でございまして、個々の納税者の担税力の問題と必ずしもそれが一致するかどうか、あるいはその場合におきまして、土地と家屋と償却資産の間のいわば担税力をどう見ていくかといったような問題にもからんで、税率について将来検討は必ずするが、しかしどの程度にするかは、他との関連で考えなければならないという点が税率問題についての一つの問題点でございます。
いま一つは、各資産の間の担税力を、どういう姿で見出していくかということになってまいりますと、その具体方法としては、たとえばある資産については課税標準の特例的なものをやっていくというような考えも出てまいるわけでございますが、これもやはり先ほど来御指摘のあったような、担税の税源をどこに見出していくかということを議論してまいらないと、ちょっと結論が出にくいのではなかろうかというふうに考えるわけでありまして、いずれにいたしましても、新評価による均衡のとれた姿は、税負担の面で担税力を考慮しながらこれを実現してまいりたい。その実現の過程においては、やはり多分に経過的な措置というものも考えてまいらなければならないといったようなことが、いま出ております代表的な意見でございます。なお今後も検討を要する点が多々あると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/53
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054・村山達雄
○村山(達)委員 固定資産税は、大きな問題は全部将来に残されておるものですから、おそらく今度の措置に関する限りいろいろな意見がございましても、大勢としてそれほど大きな異論があるとは思えないわけでございます。これを本格的に軌道に乗せることが一番むずかしい問題だと思われます。そのために私は基礎データをぜひ固めてもらいたい。またわれわれもそのデータを見せていただいて、いろいろ今後気がついたところを申し上げたいと存じておるわけでございます。
時間の関係がございますので、その次に、軽油引取税の関係をちょっとお聞きしたいと思います。
まず軽油引取税が創設以来どういうふうにこの税額が変わってきておるか、小売り価格の中に占める比率というものは今度——あれは創設は三十一年でしたか、三十二年、三十四年、三十六年、そして三十九年、こうなっておると思うのでございますが、その比率はどういうふうに変わってきておるであろうか。それから国際的に見まして小売り価格の中に占める比率が一体各国との比較で、今度の体制によってどういうことになるのか。それから小売り価格の中に占める比率として、ガソリン税と軽油引取税がずいぶん違っていると思いますが、その違いを明らかにしてもらいたい。
その前にもう一つ、おそらく国際価格として見てみますと、各国のガソリンの小売り価格とそれから軽油の小売り価格と、これも各国によって相当差があると思うわけでございます。ところによりましては全く同じであるというところもあるし、日本のように非常に違う、その違うことがほとんど税差からきておるだろうと思うのでありますが、その辺のところを明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/54
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055・細郷道一
○細郷政府委員 軽油引取税は、御承知のように昭和三十一年度に創設されまして、当初は一キロリットルについての税率は六千円でございました。その後昭和三十二年度から八千円になり、昭和三十四年度から一万四百円になり、昭和三十六年度に現行の一万二千五百円、こういう税率の変遷を示しております。
それから小売り価格に占めます負担割合は、三十八年の東京地区の調べでございますが、軽油は一キロリットルにつき小売価格が二万九千四百円、それに軽油税と関税の間接的なはね返りがございますのでそれも込めますと一万三千百五十三円、その負担割合は四四・七%、なおこの時期におきます揮発油課税の小売り価格に占めております比率は六〇・五%、こういうことになっております。
それで諸外国との比較でございますが、いろいろ比較のしかたもあろうかと思いますが、たとえばイギリスを例にとってみますと、イギリスにおきましては、軽油の小売り価格は五万百二十一円、そのうち軽油の税額が三万四百八十九円、小売り価格中に占めます負担の割合は六〇・八%、同じくイギリスにおきます揮発油課税の小売り価格に占めております割合を見ますと六三・五%、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/55
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056・村山達雄
○村山(達)委員 そうすると、全般的に見ますと、こういう小売り価格に占める軽油の税負担の割合は、今度の増税分を含めても各国に比べて低いということ、それから特に同じ日本のガソリン税の小売り価格に占める比率に比べて低い、それから各国では、ところによって違いましょうが、大部分はガソリン税と軽油引取税の税額が一致しているところのほうがむしろ多いだろうと思うのでございますが、日本ではまだ軽油引取税のほうが今度の増税分を含めても低い、こういうことが一般的に言えるかどうか、その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/56
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057・細郷道一
○細郷政府委員 軽油の小売り価格に占めております比率は、先ほど申し上げましたように、四四・七%でございまして、今回のアップ額がどういうふうに小売り価格に影響を与えるか、この点がいろいろあろうと思いますが、大体そのまま当たるといたしましても、四六、七%のところにおさまるのではなかろうか、こう考えております。したがいまして、現在軽油の四四・七に対して、日本の場合ガソリンが六〇・五でございますので、ガソリン課税の税額に対する軽油の税額の比率は軽油が約半分でございます。今回ガソリン税は、ガソリン税並びに地方道路税を合わせましてキロリットル二千五百円の上がり、それに軽油が二千五百円の上がり、こういうほぼ同額でございますので、この傾向に大きく影響は与えないものと考えております。
それから外国の例で、先ほどイギリスの例を申し上げましたが、イギリスの場合は、軽油も揮発油も税額としては同じでございます。したがいまして日本の半分に対して向こうはそのまま一〇〇%であるということが言えると思います。それからほかに、先ほど例を申し上げませんでしたが、アメリカにおきましても揮発油、軽油ともに税額は同じ、揮発油に対して軽油の税額の比較的低いところでフランスがございますが、それでも六割を占めております。そういったような点から見まして、軽油引取税は、その創設の時期がおくれたことも反映し、また軽油使用のディーゼル自動車の特殊性といったような、いろいろな意味での考慮も反映いたしまして、なおいま申し上げたような比較的他の税に比べては、あるいは外国に比べて低い度合いにあるということが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/57
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058・村山達雄
○村山(達)委員 次に、今度の軽油引取税の二割、二千五百円の増徴の経済に及ぼす影響がどうなるかという点について、少し検討を重ねてみたいと思うわけでございますが、これによりまして軽油の小売り価格に響くと考えるかどうかという点が一つポイントだろうと思います。それで最近における小売り価格の推移のようなものがおわかりでございましょうか、できれば創設当時からずっと改正のポイント、ポイントのところの小売り価格の推移がわかっていれば非常にけっこうだと思うのでございます。この問題を検討する場合には、当然原油価格の動きを見なければいかぬと思うわけでございます。たぶん過去の増税の際には原油価格、特にフレートの下落によりまして、CIFの原油価格が下がりぎみになりましたために、ほとんどそれで吸収されて、価格の値上がりが行なわれなかったか、行なわれた年におきましても、ごく一部にすぎぬというふうに私は記憶しておるのでありますが、最近における原油価格の動きは、むしろあるいは逆ではなかろうかと、フレートが上がっておりますので心配しておるわけでございます。したがって、その点をもにらみ合わせまして、もし原油価格が騰勢をたどっておれば、おそらく軽油引取税の二千五百円のアップは、当然小売り価格にはね上がると考えたほうが、むしろいいだろうと思うのでありますが、そこには料金抑制というような措置は働かないのではなかろうかというふうに考えるのですが、その辺の見通しをお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/58
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059・細郷道一
○細郷政府委員 昭和三十一年に軽油引取税が創設されましたときの引取税の税率は六千円でございます。当時の小売り価格は二万四千六百円ということになっております。それで、その後三十二年に八千円になったときは二万八千四百円、この間、軽油引取税の税率の上がる分以上に小売り価格が上がっておりますのは、原油の価格自体が上がっておるということが影響しておるようであります。それから、三十四年に、軽油の税率が八千円から一万四百円に上がりました。小売り価格は三万一千円になっております。それから、その後三十六年に一万五百円になって、小売価格は三万二千四百円、その後、現在まで軽油の税率は変わっていないわけでありますが、小売り価格は若干下がって、昭和十八年の四月では三万二千三百円、少し下がっておりますが、この部分はやはり原油価格の値下がりが反映しておるものと考えております。
それで、今後の見通しでございますが、非常にむずかしい点がございます。原油価格自体は三十七年、八年の間では、わずかではございますが、微騰いたしております。したがいまして、もしこの傾向がそのまま続くといたしますれば、小売り価格へは税額のみならず原油の価格としてのはね返りも若干はあろうかと思います。その辺の推移はなお最近の動きを十分精査いたしてみないとむずかしい点があろうかと思っておりますが、ただ、いずれにいたしましても、御指摘のように、税率のアップ分が全部従来のように原油価格で吸収できるかということになりますと、やはり若干は小売り価格のほうへのはね返りもあるのではなかろうかというふうに見通されるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/59
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060・村山達雄
○村山(達)委員 いま小売り価格の時期別の動きはわかりましたが、原油価格はおわかりでございましょうか。そのうちのフレートの部分がおわかりかどうか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/60
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061・細郷道一
○細郷政府委員 保険料込み運賃で見ますと、三十一年の四月には、原油価格は六千九百六十三円、それが三十八年の四月では四千八百四十二円、こういうことになっております。税率の上げたときのものだけでも申し上げますと、三十二年の四月が八千八百六円、三十四年の四月が六千四百九十五円、三十六年の四月が五千八十七円、三十八年の四月が四千八百四十二円、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/61
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062・村山達雄
○村山(達)委員 いまのものを見ますと、原油価格はやはりずっと下がっておるようでございます。これはCIF価格ということになりますね。しかし、いまのお話のデーターに間違いなければ、小売り価格はずっとこの改正の時期、時期に上がっておるというふうな結果が出ておると考えます。ですから、今度の二千五百円が——最近における原油価格の動き、あるいは国内生産の状況によっても違うかもしれませんが、まず従来の例でいいますと、全部または一部くらいは上がるかもしれぬという予想が持たれると思うのでございます。もしそうなった場合に、これが軽油でございますから、主としてバス、トラックの料金にどう響いてくるかという問題でございます。ここには料金抑制の措置が、原則としても働かせると言っておるのですから働く場合と、あるいは働かない場合と、問題としては二つあると思います。しかし、かりにキロリットル当たり二千五百円上がるといたしますと、小売り価格はこれだけ上がったと出る。ところが、トラック、バスのほうの運賃は上がらない、こういうことになりますと、はたしてトラック会社なりあるいはバス会社が従来の利益の中で吸収できるかどうか、この問題があると思うのでございますが、最近におけるバス、トラック会社の売り上げに対する純益率がどのくらいになっておるのか。今度の二千五百円という増税分は、運賃の売り上げに対してどれくらいの率に当たるのか。したがって、交通量の増大を考慮しなくとも、従来の純益率に対して一体どれくらいになるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/62
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063・細郷道一
○細郷政府委員 税率アップの小売り価格へのはね返りにつきましては、いろいろな要素があろうと思います。いま御説明申し上げました三十一年との比較だけを見てまいりましても、三十一年の六千円の税率が現在一万二千五百円、約六千五百円の値上がりを税率上いたしておるわけでございます。その間小売り価格といたしましては約八千円の値上がりでございます。しかも、原油の価格はその間かれこれ二千円近く下がっておるといったような状況もございますので、いきなり税率のアップがそのまま小売り価格にはね返ってくるかどうかということにつきましては、そういった面からも十分検討を要する点があろうと思っております。
それから、今回のアップによりまして運賃に及ぼす影響、大体二千五百円のアップが全部運賃にはね返ったといたしまして、乗り合いバスの場合で〇・九二%の影響があるという計算になるわけでございます。もとよりそのはね返りのしかたについては、いろいろ会社の経営のしかたもあろうかと考えております。
それから、なおお尋ねの利益率との関係でございますが、バスの場合、三十七年度の実績で申しますと、売り上げ利益率は二・三%でございまして、今度の軽油引取税及び揮発油税の税率の引き上げによって、若干そのまま経費に食い込むといたしますと、九・二%ほどふえますので、売り上げ利益率が逆にそれ相当分だけ引き下がる。こういう単純な計算になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/63
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064・村山達雄
○村山(達)委員 トラックはわからないですね。いまバスは全部はね上がると、それでその利益の中で吸収しなくちゃならぬとすると三分の一強——まあ二分の一と三分の一の間くらいになるわけでございますが、これは相当交通量の増大その他があるとしても、相当のものになると思われますが、トラックのほうはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/64
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065・細郷道一
○細郷政府委員 トラックのほうは三十七年の実績で見てまいりますと、売り上げ利益率は五・二二%で、この軽油引取税及び揮発油税の税率の引き上げが、そのまま単純に食い込んでまいるということになりますと、経費として一・〇一%の増、反対に利益において一・〇一%の減、こういう単純な計算になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/65
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066・村山達雄
○村山(達)委員 その場合この分が小売り価格にはね上がるといたしますと、しかも料金抑制が完全にきいたといたしますと、まあいえることは、トラックよりもバスのほうが影響度が高そうだということが、いまの指数から出てくるかもしれません。しかしいま見られるように、相当大きな影響度がございますから、今後経済が好転して、だんだん料金の抑制ということもそんなにやかましくいわれなくてもいいような事態になりまして、かりに料金にはね返らすとすれば、今度は消費者物価の問題にいくわけでございますが、いまの消費者物価の中に占める主として通勤用のバスの問題、こういつたもののウエート、それから今度の増税分によって、それが一体幾ら響いてくるであろうか。こういう点がほとんどノミナルのものと思いますが、どれくらいのウエートになっているかということを、わかりましたらお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/66
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067・細郷道一
○細郷政府委員 家計の中に軽油引き取り税がどんなふうに影響するかということは、非常にむずかしい問題でございます。お尋ねの点にそのまま直のお答えにならないと思いますが、総理府統計局の家計調査の中から、バス料金の家計の中に占めておりますウェートはどれくらいあるかというのを見ますと、その調査によりますと、〇・一四%ということでございます。その影響度合いというのは非常にわずかなものであるということが推定できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/67
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068・村山達雄
○村山(達)委員 わかりました。ですから、かりに言っても、消費者物価あるいは生計費にはほとんどノミナルなものであるということだけは、どうもはっきりしたもののように思います。それから現在、この軽油の用途別消費量が年回どれくらいあって、それから用途別にどのくらいになっておるかということはおわかりでございましょうか。いまのバス、トラックとか、こういう運送用に使われているものと、その他のもの、大体おわかりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/68
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069・細郷道一
○細郷政府委員 軽油の明年度の総引き取り見込み量のうち、免税されておるのがあるわけでございますが、御承知のように船とか、農業用、それが約二割でございます。したがって八割くらいが、いわゆる自動車を中心とした用途に向けられておる。そこで自動車の中でどんなふうにこれが使われているかというのが、非常にむずかしいのでございますが、かりに自動車の台数でこれをごらんをいただきますと、三十八年の九月現在で貨物用、乗り合い用、乗用、特殊用途車、自家用、営業用全部入れまして、三百二万三千台という自動車の中で、ディーゼル車が占めております比率が、三十四万五千六百五十一台、全体として一一%ほどになっております。ただ、これは総数で見たものでございますが、このうち貨物用、俗にいうトラックに当たると思いますが、貨物用について見ますと、三十四万五千六百台のうち、貨物用が二十三万一千八百台、それから乗り合い用が六万八千台、これがバスに当たるものと考えております。
そこでそれぞれの用途別の車の台数の中で、このディーゼル車の占めております比率は、乗り合い用の六万八千余台、これが乗り合い用総自動車の八五・八%というので、約八、九割方のものがバスについてはディーゼル車になっておる。こういったようなことで御推定をいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/69
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070・村山達雄
○村山(達)委員 ありがとうございました。時間がありませんので、ほかの税目につきましてはまた後日に譲ることにいたしますが、大体いまお話をずっと聞いたところで、今度の減税はその規模におきまして、またその内容におきまして、特に住民税関係ですが、全く画期的な税制改正だと思うわけでございます。非常にけっこうなことだと思うわけでございます。
そこで最後に一つお伺いしたいのは、市町村税の制限税率が、固定資産税にいたしましても、それから住民税にいたしましても、今度は一・五倍ということになっております。ものによっては一・二倍というようなものもあるようでございます。それから府県税を見てみますと、制限税率は別に法律上定めがなくて、事実上はほとんど許可になっていないのか、あるいは申し出てこないのか、あまりないようでございます。本来自治のたてまえから言いますと、この超過税率というものがうまく運用される場合には非常にけっこうと申しますか、それはそれとして理由があるということで、それこそまさに行政の自治である、その裏づけ財源としての税制もある程度の弾力性を持たなければやれないという、こういう意味では思想的にはよくわかるわけであります。しかしわれわれが心配いたしますのはそれではなくて、実際の問題として、もしその超過課税というものが非常に貧弱な団体だけに行なわれるという事実があれば、つまりはっきり言えば、財政力指数の低い団体だけがその超過課税を取っているという事実があれば、これは非常に運用を間違っておるということを言わざるを得ないだろうと思うのであります。私が心配いたしますのは、かつてのただし書きを二年間で今度の本文方式に直す。かつて昭和二十五年のときに、やはり同じ思想から出発いたしました住民税課税には五つの方式があったのは御承知のとおりであります。それが漸次実際問題として行き過ぎたというので二つになり、今回の二年間で一つになるわけでございます。しかし一・五倍というのは残っております。なかなかこの問題は急にはいかぬと思いますが、いまの固定資産税でもそうでございますが、住民税におきましても、もし財政力の低いところだけがやはりこの自治の名において許される超過課税、そういうところだけがやっておるというような事実があれば、よほどこの点は将来考えねばならぬ問題じゃないかというふうに思うわけであります。この辺、制限税率に対する政府当局のお考え方、それから現況並びに将来の運用の考え方についてお考えがあったら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/70
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071・細郷道一
○細郷政府委員 制限税率につきましてはいろいろ議論のあるところでございますが、純粋に自治体の自主的な税制というたてまえからすれば、制限税率はないのが本筋ではなかろうか、こう考えております。ただ現実の問題といたしましては、住民の租税負担の均衡化的な動き、そういった面と、それから反面では市町村あるいは府県におきます財政運営の問題、あるいは財政運営の姿勢と申すことができるかもしれませんが、そういったものとの調和点をやはりどこかに置かなければならないというような観点から制限税率の制度がしかれておるわけでありますが、本来の姿としましては、やはり私は制限税率はなくて、自治体当局にこの判断をまかせ、その住民の批判を仰ぐ仕組みのものでいくべきではなかろうか、こう考えておるのであります。そういったような点から、現在の府県の税制におきましては、御指摘のとおりほとんどの税目につきまして制限税率を設けず、市町村の税についてだけ設けておるというような現況にあるわけであります。ただこの際、やはり制限税率の運用のしかたというものについては、だんだん時代の変遷によって変わってきておるのではなかろうか、また変わっていくべきではなかろうか、こう考えるのでありまして、市町村といいましても、あるいは府県といいましても、どこの府県におきましても、あるいはどこの市町村におきましても共通的な施設、住民の必要といたします、あるいは要望いたします共通的な普遍的な施設というものにつきましては、できるだけこれに必要な地方財源を何らかの形で与えることによって、そういうものの需要のための制限税率の運用というものは、できるだけこれを避けるようにしていくべきではなかろうか。反面その自治体限りの固有の問題の処理につきましては、その団体におきます弾力的な運用がなされるようにしていくべきではなかろうか、そういった意味におきまして、一がいに制限税率制度がいい悪いということではなくて、やはり地方の持っております財源の総額、それからその事務量の総額というものとの関係においてもこれを考えて、また今後の指導もしていかなければならないというふうに考えるわけであります。
今回住民税につきまして一・五倍ということにいたしましたのは、今回の措置の特殊性にかんがみまして、国からの財政援助も一・五倍までのところになされておるということ並びにそれと現在市町村の超過課税の状態が、先ほど来御説明申し上げましたように、非常に異常な高い倍率を示したものであって、それだけその市町村の住民にかなりきつい負担をかけておる、それを是正するというような意味合いにおきまして、今回一・五という制限税率を設けたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/71
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072・村山達雄
○村山(達)委員 私の本日の質問は、これで終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/72
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073・森田重次郎
○森田委員長 暫時休憩いたします。
午後零時三十五分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01619640303/73
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