1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月六日(金曜日)
午前十時二十二分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君
理事 永田 亮一君 理事 藤田 義光君
理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君
理事 安井 吉典君
伊東 隆治君 大石 八治君
大西 正男君 奧野 誠亮君
亀岡 高夫君 久保田円次君
武市 恭信君 登坂重次郎君
村山 達雄君 森下 元晴君
山崎 巖君 和爾俊二郎君
秋山 徳雄君 重盛 寿治君
千葉 七郎君 華山 親義君
細谷 治嘉君 栗山 礼行君
門司 亮君
出席政府委員
自治事務官
(大臣官房
長) 松島 吾郎君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 松川 道哉君
自治事務官
(行政局振興課
長) 森 清君
専 門 員 越村安太郎君
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三月六日
委員三池信君辞任につき、その補欠として伊東
隆治君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第四八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/0
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001・森田重次郎
○森田委員長 これより会議を開きます。
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、これを許します。伊東隆治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/1
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002・伊東隆治
○伊東(隆)委員 このたび奄美群島復興特別措置法の一部を改正することになりまして、この法律の期限を向こう五年間延長いたし、この産業振興を目的として法律案が提出されることに相なりましたことは、群島民一同が非常に感謝いたしているところでございます。このたびこの法案について質問をいたします前に、奄美の現実について二、三申したいと思うのでございます。
復興十年間の努力によりまして、奄美の現状は、その所得において約八年間に三倍に上がりまして、六万一千円に上がることには上がりましたけれども、全国平均の十四万五千円の半分にもまだ至っていない現状でございますし、なお沖縄の八万六千円に比べましても、その七割程度にしかすぎない現状であるのでございます。それに奄美は、御承知のとおり、台風銀座といわれる台風地帯の先端にございまして、台風が来ますると、主要作物でございまするところのサトウキビは大きな被害をこうむるというようなことでございますし、また、その台風が来ないような昨年のごときは大干ばつで、本土のごときは麦が全滅するほどの長雨であったにかかわらず、七十年来の大干ばつでサツマイモも稲も全滅に近く、島民はほとんど飢餓に瀕したような状態であったのでございます。そういうような地理的に非常に不利な条件のもとにもあります関係からして、要保護者、被保護者の数は全国一の高率を示しているような状態で、名瀬市のごときは十人に二人の割合で保護を受けておるというような、窮乏しておる者の多いところでございます。十年間の復興事業のおかげをもちまして、所得もかくのごとく上昇はいたしましたものの、なお島民の生活水準は、依然として、さっき申しましたように、全国の平均水準の半分にも至っていない現状でございますので、今後国は、あたたかい気持ちをもってこれを庇護育成していただかなければなお世間並みに至らない。ここ五年間の振興計画の熱心な遂行によりまして、本土の鹿児島県並みの水準には上げたいという努力を今度はするわけでありますが、ただいま申しますような悪条件のもとでございますので、島民は一生懸命になって、とにかくこの法律の目的を達成するために努力する気持ちでおるわけでございます。そういうような現実でございます。
このたびのこの法律の補助率でございますが、十年間ほとんど国がまるがかえ的の補助をしていただいたのに、今度はだんだんひとり歩きをしてもらいたい、そのけいこをしてもらいたいという国の気持ちで、補助率が非常にきつくなってまいっております。そのために現地におきましては、今後市町村または公共団体等の負担が重くなっていくのについて非常に懸念をしておるようなわけでございますので、まず第一の質問といたしまして私がお伺いいたしたいことは、補助率の引き下げによって県、市町村及び公共団体の負担分はどんなふうな数字に自治省は見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/2
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003・佐久間彊
○佐久間政府委員 三十九年度の実施計画によりますと、国庫補助事業に伴います地元負担額は七億六千七百七十万でございます。そのうち県の分が二億一千五百八十七万、市町村分が四億六千八百三十八万、団体分が八千三百四十四万でございます。これを三十八年度の復興実施計画に基づく国庫補助事業に伴う地元負担額と比較いたしますと、五億円余の増となっております。そのうち県分が一億七千九百五十六万余、市町村分が二億七千九百四十一万余、団体分が四千百十五万余の増となっております。これらの中で補助率の減に伴います地元負担額の増は一億八千三百九十二万余でございます。うち県分が七千五百七十九万余、市町村分が九千四百四十一万余、団体分が千三百七十万余でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/3
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004・伊東隆治
○伊東(隆)委員 いまの数字は、県で調査したのと多少違うようでもございますが、いずれにしましても、とにかく県、市町村及び団体は、今度は非常に大きな負担を背負うことになるわけでございます。これらの負担を直ちにこれらの県、市町村、団体が背負っていくことは非常に困難な状態でございますので、これに対して、自治省はその肩を軽くするために何らか適当な方法を考えていらっしゃるかどうか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/4
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005・柴田護
○柴田政府委員 奄美群島の復興事業費に対します財源措置といたしましては、従来から地方債、交付税の配分等を通じまして措置いたしてまいったのでございます。今回復興事業が振興事業と名を変え、実態が変わってまいったわけでございますけれども、奄美群島の財政的な実態は格別な変化がないと思うのであります。したがいまして、今回増加いたします負担につきましても、地方債、交付税の配分を通じまして十全の措置を講じてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/5
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006・伊東隆治
○伊東(隆)委員 いまのお答えは、適当な方法で肩を軽くするというような抽象的なお答えでございますが、近く離島補正と申しますか、遠隔地補正というようなものが設けられて、奄美大島のような地方に対する特別の財政的な考慮をするというようなことを自治省においては考えられておるし、また、こういうような場合には、特に辺地債のごとき特典のある補助の方法もあるように思いますが、この点に関してどういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/6
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007・柴田護
○柴田政府委員 隔遠地補正の問題は、現在御提案申し上げております地方交付税の一部改正法案の中にもあるわけでございますが、隔遠地におきます市町村の財政需要をより的確に見ますために行なわんとするものであります。これは、奄美群島の関係市町村等は当然に適用になる、一番多く見られることになるだろうと思うのでございます。しかし奄美群島の振興事業費というものを考えてまいりますと、そういった隔遠補正等によってふやされる財政需要ごときでは追っつかない。したがって、それはそれといたしまして、復興事業費につきましては一部は隔遠地補正で見られるかもしれませんけれども、やはり主として振興事業の公債と申しますか、これの元利償還金というものが将来大きな負担になっていくだろう。これについては、いま直ちにということではないかもしれませんが、将来普通交付税なり特別交付税の配分を通じまして完全を期していくことが必要であろうというふうに考えておりまして、そういう方向でやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/7
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008・伊東隆治
○伊東(隆)委員 特別交付税の方法等で考慮されると言われるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/8
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009・柴田護
○柴田政府委員 事業でございますから、当面は地方債というものも相当使わなければならぬだろう、しかし、その元利償還金につきましては、普通、特別両交付税の機能を使って措置していく、こういうことになるだろうということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/9
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010・伊東隆治
○伊東(隆)委員 復興時代、すなわち過去十年間におきましては、御承知のように復興債といいますか、一つのワクがあったわけでございますが、今度いわゆる振興期間、向こう五年間の振興法の適用期間においては、そういうような起債のワクを設けてあるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/10
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011・柴田護
○柴田政府委員 特別のワクは設けておりません。しかしながら、事が事でございますので、与えられた全般的なワクの中で極力考慮していきたいと思っているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/11
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012・伊東隆治
○伊東(隆)委員 大体、これらのさっき申された市町村や団体の負担増の何割程度が見られるようなことになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/12
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013・柴田護
○柴田政府委員 復興事業費の率と同じでございますが、県分につきましては地方負担額の四割、市町村分につきましてはおおむね六割というのが一般の基準でございます。実際は運用上多少弾力を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/13
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014・伊東隆治
○伊東(隆)委員 七割程度は見られるのじゃないか、七割程度でも非常に苦しいというのが現地の声でございますが、運用中にその率を増加する気持ちはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/14
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015・柴田護
○柴田政府委員 現在のところは、復興事業時代と同じ態度でまいりたいと一応考えております。いろいろ苦しいこともありましょうけれども、しかし、復興が一応終わって振興時代になったわけでございますから、多少地方団体も自力的な自主的な感覚を逐次持っていってもらいたい、そういう考え方を持っておるわけでございます。しかし、実態は実態でございますので、お話のような点は、運用の過程において考慮する必要がある部分につきましては考慮してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/15
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016・伊東隆治
○伊東(隆)委員 群島民が非常に心配しておる点は、いままでは復興時代でございましたので、国の手厚い保護を受けてきたわけですが、急にと申してはなんですが、これからは補助率の非常にきつい時代に入るので、さしずめは少なくともいまの辺地債とか、特交、あるいは離島補正などの方法によって肩を少し軽くしていただかぬと歩きにくいのじゃないかということを非常に心配しております。そこで、自治省におきましては大蔵当局ともよく御相談をしていただいて、この点に配慮をしていただきたい、特に私からお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/16
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017・柴田護
○柴田政府委員 私どもも奄美群島関係の市町村の財政事情をよく存じておりますので、財政の実態に即して、振興事業の進行にそごを来たさないように十分の措置をしてまいるつもりでございます。ただ、先ほどお話がございました辺地債の問題でありますが、振興事業につきましては、辺地債ごとき小さな額では片づかない問題でございまして、辺地債の効果というようなものに期待するよりか、むしろ振興事業そのものをずばりととらえて措置する、こういう態度でやってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/17
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018・伊東隆治
○伊東(隆)委員 次に、これは特に大蔵省にお願いいたしたいのでございますが、ちょうど松川主計官が見えておられますから、特にお尋ねしてお願いしておきたいと思います。
今日の物価の上昇は、諸般の情勢からやはり続くものと見られるのでございます。わが奄美の予算の中の単価につきましても、事業単価が是正される場合には、その分だけ総額に加えていっていただくというような御配慮をぜひひとつ願いたいと思うのですが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/18
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019・松川道哉
○松川説明員 ただいま御審議をいただいております振興計画をつくりますにつきまして、政府部内における検討の過程で、一年ことに事業を実施したらどうかというような考え方もございましたが、あえて若干長目の期間、すなわち五ヵ年間をとらえて安定的な見通しのもとに事業が進められるようということで、現在お手元にありますような計画の形をとっておるわけでございます。そこで、ただいま御心配のように、五ヵ年間ということになれば、物価がどうなるであろうかという御心配、まことにこもっともでございますが、ただいま計画に関する法案を御審議いただいております段階でどうするということを申し上げることはかえって誤解を招く心配もあろうかと思いますので、非常に原則的な説明にとどめたいと思います。
伊東委員もよく御承知のように、過去にもいろいろな場合に五ヵ年計画とか十ヵ年計画とか計画が立てられております。その計画を立てた趣旨がそこなわれるような事態が起こりました場合には、その計画は改定して必要な調整は加えてまいっております。ただいま御指摘の単価につきましても、現在の段階でどうなるかということを予測することは非常に困難でございますので、そのときにどうするかということは、ただいまの段階でははっきり申し上げないほうがかえって誤解を招かないのではないかと思います。と申しますのは、御承知のように、奄美の振興計画には数十にわたるたくさんの種類の事業が含まれております。その中には、あるいは工法の変化であるとかその他の事情によりまして、単価の下がる可能性も含まれておるような事業が入っております。片一方人件費が上がるとかその他で単価が上がることも考えられるものもございますが、こういったものは、計画全体の中で必要な調整を加えながらやっていき、計画を立ててせっかく振興に努力しておるにもかかわらず、その面から計画の遂行が困難になるような事態が万一起りますれば、所要の調整は加えていかなければならないだろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/19
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020・伊東隆治
○伊東(隆)委員 ただいまのお話のように、奄美の振興計画を単年度別にしていきたいと初め大蔵省が考えておられたけれども、今度は五ヵ年計画で企画的にやったほうが能率的であるということになりましたことは、私どもも非常に喜んでおる次第でございまして、向こう五年間のことを今日から心配していろいろすることも、確かにどうかと思いますけれども、これはごく近いうちに起こり得ることではないかと思いますので、もしそういう場合には、おっしゃるとおりにこの計画にそごを来たさないように御配慮願いたいと思うわけであります。
次に、これまた大蔵当局に主としてお願いする点でございますが、離島振興法の補助率等の改定が将来ありました場合には、この奄美の振興計画の補助率につきましても、ひとつそれに関連して考慮願うということをこの機会にぜひお願いしておきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/20
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021・松川道哉
○松川説明委員 ただいま御審議いただいております振興計画の補助率は、先ほど伊東委員が御指摘のように、復興計画の時代と比べますと若干きつ目になっておることは事実であります。復興計画を策定いたしましたときは、奄美の行政権が日本に帰ってきたという非常に特殊な事情をもとにいたしまして、また奄美における民度と申しますか、経済力が内地または国内における辺地と比べても著しく低いという事実が前提になって立てられておりましたので、十ヵ年の復興計画の成果をもとにいたしまして、今回調整をはかったわけでございます。しかし、ここに御提案いたしております振興計画における補助率は、たとえば離島であるとか北海道であるとか、そういったところと比較いたしましてもなおかつ高い。復興計画と比べると低いけれども、ほかのケースと比べれば商いものが相当入っております。たとえば学校の校舎の整備とか道路の新設とか、そういった面におきまして、奄美の特殊事情につきましての配慮は十分いたしておるつもりでございます。そこで、ただいま御指摘のように、ほかのところの補助率が変わってきたらどうかということでございますが、私が先ほど申し上げましたのと同じように、この計画をつくりまして、奄美の振興のためにせっかく発足いたすところでございますから、その計画をつくりました意味がそこなわれるようなことがあってはならないと考えております。ということは、補助率の面におきましても、内地のほかの地域とのバランスは常に考えていかなければならないであろう、このように思っております。ただいまの段階で、他の部分における補助率がどうなるかという予測も非常に困難でございますので、伊東委員の御質問に具体的にお答えするわけにはまいりませんが、バランスは十分に考慮してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/21
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022・伊東隆治
○伊東(隆)委員 ぜひそういうふうにお願いいたします。
次に、信用基金のことについてお尋ねいたしたいのでございますが、信用基金が設置されましてから今日まで、非常に信用基金は利用されてまいっておるのでございますが、ことしもわずかと言ってはなんですが、五千万円程度の増額で、いまでは鹿児島県の三千万円を加えて、三十四年度新設以来の総額が四億五千万円程度にすぎませんので、いま奄美全体の金融は六十数億と私記憶いたしておりますが、その一割程度にもなっていない状況でございます。しかるに民間における庶民の利用度は信用基金に集まっているのでありまして、これの増額こそはこの奄美振興の上に大きな働きをするのでございますが、将来この信用基金に対して、自治省及び大蔵当局はどういう考えを持っておりますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/22
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023・佐久間彊
○佐久間政府委員 信用基金がこれまで奄美の特殊事情に応じまして相当な効果をあげて、実績をおさめてまいりましたことは御指摘のとおりでございます。特に信用基金が通常の金融機関ではおおいがたい小口の事業に対する融資事業として活用されてきております点につきましては、私どももその点を相当高く評価いたしておるわけでございます。今後振興計画の進行に伴いまして、基幹産業がこの振興をはかってまいります上にさらに信用基金の資金を増強しなければならぬという必要も起こってまいるであろうというふうに予想いたしております。それらの事情をよく検討いたしまして、この振興計画がそごなく実施がせられますように配慮をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/23
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024・松川道哉
○松川説明員 大蔵省といたしましても、基本的な考えはただいま自治省のほうからお述べになりましたとおりでございまして、そのときそのときの実情を十分に検討をいたし、自治省とよく連絡をとりながら、現地において支障を生ずることがないように十分配慮してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/24
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025・伊東隆治
○伊東(隆)委員 奄美大島には現存国民金融公庫とか、商工中金とか、農林漁業金融公庫等のいわゆるこういう金庫がまだ十分進出しておりませんので、その利用度も非常に少ないのでございます。これから大島の産業を振興してまいると申しますれば、やはり二大基幹産業であるところの製糖業、すなわちサトウキビと大島つむぎ、これを振興していくことが大島の振興をはかるゆえんになるのでありますが、大島つむぎのごときは、利用する資金がないので非常に困っておる。かつては大島つむぎは年産三十万反の生産がありましたのが、今日ようやく十二、三万反にすぎない状態でございます。それというのも、この資金の融通がきかないからでございます。それで今後は、信用基金の拡大はもとよりですが、なお商工中金等の進出も自治省はひとつ中小企業庁と協力してはかってくださって、大島つむぎの振興をこの際はかってくださることは、年間約三十数億のお金を島にもたらす基幹産業の一つでございますから、考慮していただきたいと思うのでございます。
それともう一つの基幹産業でございます砂糖、製糖業でございますが、これがまたいま分蜜化が促進されておる。大型工場が進出して、開発銀行から金を借りておりますが、その利子が八分七厘で、償還期限が十年以内とはいうものの五年間に仕切られておりますので、短期間に八分七厘という利子を払っていかなければなりませんので、それらの高利短期のお金を借りておるのがすべて農民のサトウキビにしわ寄せされておるということでございます。これも、ひとつこの機会に利子をもう少し安く、電気並みに六分五厘とかいうふうにするとか、十年以内という規則ならば十年間に最大に延ばしてもらうとかいうふうに、この二大基幹産業であるサトウキビと大島つむぎの振興をはからなければ、せっかくこのりっぱな法律ができましても島の生活は決して豊かにならないと思うのでございます。やはり先だつものはお金、資金でございます。その資金源をひとつ開いていただくことが何よりの急務だと私は思いますので、今後の運用においてはこの資金繰りを円滑にしていただくように、自治省及び大蔵省においては特別の御配慮をしていただきたいと切に思うわけでございます。これらに関して両省の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/25
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026・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘になりました点につきましては、御趣旨の点をよくくみまして、今後検討させていただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/26
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027・松川道哉
○松川説明員 ただいま奄美群島におきまして、いろいろな金融機関から出ております事業別の資金貸し付けの残高を見ますと、その中には、中小企業金融公庫からであるとか、その他ただいま御指摘のような金融機関からの残高も若干見られております。そういうところにどのように便宜供与の機関を設置するかという問題は、信用基金、中小企業金融公庫、国民公庫、こういったものが奄美の産業に対して金融的にどれだけシェアを持ち、どういう分担をしていくかということにかかるのであろうかと存じます。そこで、ただいま御指摘のような廃業がこれからこの計画によって振興することになりますれば、おのずとそういった他の機関に対するウエートも大きくなりまして、ウエートが大きくなればそれに所要の措置も講ぜられるようになるかと存じますが、私、直接金融は担当いたしておりませんので、ただいま伊東委員の御説明の趣旨を所管の部局に伝えまして、十分検討するようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/27
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028・伊東隆治
○伊東(隆)委員 このたびは、復興特別措置法を振興特別措置法と、復興を振興と特別に名を改めたほどのことでございますので、この五年間に奄美の生活水準が引き上げられ、その名のごとく奄美が振興されるように私はこの法律が運用されることを切に希望するものでございます。それには、いま一括責任をとっておってくださる自治省の特別の御配慮、また大蔵当局の特別の御配慮をひとつこの機会に切にお願いいたして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/28
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029・森田重次郎
○森田委員長 川村継義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/29
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030・川村継義
○川村委員 二、三お伺いいたします。
昨日の理事会の申し合わせで、次の機会には現地の方をお招きいたしていろいろ現地の状況をお聞きして審議を進めていただくことになっておりますようでございますから、実際の事業計画等については、そういう現地の参考人の御意見を聞きながらまたお尋ねをしたいと思います。
私は、きょうはこの法案に基づいて二、三お伺いいたしますが、その前にお尋ねいたしますけれども、行政局長、行政課長、財政局長は奄美に行かれたのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/30
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031・佐久間彊
○佐久間政府委員 私、それから行政局の主管課長——振興課長でございますが、いずれも奄美に参りました。財政局長はまだ参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/31
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032・川村継義
○川村委員 いつおいでになりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/32
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033・佐久間彊
○佐久間政府委員 私と振興課長は、いずれも今回の法律案を立案いたします前に、昨年の秋に参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/33
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034・川村継義
○川村委員 私は、まず初めに改正されました法案の概括についてお尋ねをしたいと思います。
第一条の改正がなされておりますが、この法律で「大島郡の区域で北緯二十九度以南にある地域の復帰に伴い、」云々と書きまして、「及び主要産業の育成等の措置を講ずることにより」こういう修正が行なわれておりますが、「復帰に伴い、」というこれは、一体この法案を考えられるときには御検討なさいませんでしたか。もう十年以上もたっておる。しかも復興の法律を振興の法律に変えようという時期に、相変わらず復帰というこういう字句を使われたということについて、私はちょっと何か奇異な感じを受けるのですが、これは全然御検討なさいませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/34
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035・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘の点は、立案の過程におきまして私どもも検討をいたしました。ただ、今回の法律の体裁が復興特別措置法の一部改正という形をとっておりまするし、今後の振興事業の内容にも従来の復興計画に基づく事業の補完をするという趣旨も相当入っておりまするので、奄美群島の振興特別措置法といたしましても、奄美群島が他の離島と違う特殊性といたしまして、復帰に伴う特殊事情ということを法文の上に残しておくことがよかろうということでこのようにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/35
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036・川村継義
○川村委員 いまお話しのような趣旨を生かしながら、やはり法文については検討されるべきでないかと私は考えております。いまに至るまで復帰というような言葉でやっていこうとするところに、私はいろいろの問題が出てくるのじゃないかと思うのです。
またあとで融れますが、次に主要産業の育成。へんなお尋ねですけれども、主要産業とは何々を考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/36
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037・佐久間彊
○佐久間政府委員 これは、次の第二条の改正に掲げてございますが、「糖業、林業、畜産等の主要産業」ということで、そのようなものを念頭に置いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/37
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038・川村継義
○川村委員 そこで、第二条に、これまで列記されておりました八項目が何か整理されておるような表現になっておりますね、いまお話しの「糖業、林業、畜産等の主要産業」と表現してありますから。おそらくつむぎとか、あるいは水産とか、そういう仕事もその中に含まっているものだと私は思います。昨日いただいた資料の中にもそのことは明らかになっておるから、これは間違いはないと思いますか、しかし、皆さん方が考えられた主要産業は、いわゆる糖業、林業、畜産を非常に重く考えて、つむぎ生産あるいは奄美の水産業等は、それよりも低くとらえておられるのではないかという気がしてなりません。この点は、第二条関係でどのように振興事業計画の上において考えておられるのですか。なるべく率直に簡単にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/38
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039・佐久間彊
○佐久間政府委員 つむぎ、水産業も、私どもは主要な産業の一つであると考えます。ただ全体の生産額、あるいは今後の振興事業の予算の関係から見てみますと、糖業、林業、畜産のほうがややウエートが大きいというような考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/39
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040・川村継義
○川村委員 奄美のつむぎや水産業は、いまお話しのように、やはり畜産等よりも、復興措置法における時代よりも今度の場合は少し下げてお考えになっておられるのじゃないかと考えたのですけれども、いまお話しの中にそれが出ておりますが、また事業計画については後ほどお伺いをいたしたいと思います。
その次に、一当たり通ってまいりますが、第三条の第五項を削除されたのはどういう意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/40
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041・佐久間彊
○佐久間政府委員 この点につきましては、昭和三十一年に地方教育行政の組織及び運営に関する法律が制定されまして、一般の制度のたてまえが改正になりましたので、それにはずを合わせまして今回整理をいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/41
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042・川村継義
○川村委員 何かお考えがおかしくありませんか。知事が復興計画あるいは振興計画を進めていく場合に、公立の文教施設の整備をするときに、教育委員会からいろいろと提案を聞き、その意見を求める、あるいは委員会から提出されるところの事業に関する経費についていろいろ協議をする、そういうことはぜひ必要でありませんか。教育委員会の考え方というものを全く抹消して、それを取り上げないでいくというようなことはどうかと思うのですがね。その条項は残しておいても、いまの別の法律のそういう関係でなくても、必要なことではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/42
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043・佐久間彊
○佐久間政府委員 御説明が足らなかったかと存じますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律におきましては、「長は、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分その他特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならない。」そういう規定が入りましたので、その規定をそのまま奄美群島の場合におきましても適用して差しつかえないじゃないかということで、条文の整理をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/43
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044・川村継義
○川村委員 わかりました。そうしたら、これはなくても当然やらなければならぬという考え方に立った、これがあっては重複するのだ、そういう意味で取られたということですね。
それではその次、一当たり通ってまいりますが、第五条を削除されたのは一体どうしたお考えでしょう。これもちょっと聞かせておいていただきたい。というのは、私がちょっとこの法文を見た場合、いままで鹿児島県知事が大体事業の実施をやっておったのが、これから先は市町村がやるのか、そういう主体が不明確になってきておるのじゃないかということを考えたからお聞きするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/44
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045・佐久間彊
○佐久間政府委員 第五条は、国費支弁の事業についての規定でございます。今回は、従来国費支弁事業としてやっておりましたものも、地方公共団体が主体になって国がそれを補助するというたてまえに改めましたので、この規定が不要になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/45
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046・川村継義
○川村委員 それから第十条でありますが、いままで奄美関係の地方事務官は、国家公務員の身分を取得しておったと思いますけれども、附則の五条を見ると、別に辞令が発令されないときは全部県庁職員になる、こういうことになっておるようでありますけれども、全部で何名おりましたかね。あれは政令であったと思うのですが、八十名ですか、百名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/46
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047・佐久間彊
○佐久間政府委員 百六十名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/47
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048・川村継義
○川村委員 百六十名がいまのところ全部鹿児島県庁の職員になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/48
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049・佐久間彊
○佐久間政府委員 さようでございます。
なぜこうしたかと申しますと、先ほど御指摘のありました第五条と関連するわけでございますが、国費支弁事業を補助事業ということにたてまえを改めましたので、その事業をやります者は、国家公務員の身分を持たないで地方公務員の身分に切りかえるということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/49
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050・川村継義
○川村委員 それからその次、第十条の二ですが、第五項に「二千五百万円と同条第二項の規定により国から出資される三億七千万円」とある。ところが今度は五千万円だけ追加出資になりますね。そこで私は、三億七千万円に五千万円プラスをした四億二千万円というのをやはりここに書く必要があるのではないかと思う。ところが皆さん方は、ほかの法律とやはり軌を一にされたと思うのですけれども、十条の三の三項、四項、五項を新設して、自動的に出資増額を認めていこうという措置をとっておるわけです。自動的に出資増額を認めていくという措置をとれば、今回のこの法案の改正には三億七千万円でよろしいということになるのか。四億二千万円と書く必要はないのか。自動的に出資を認めるということになれば、この次からはあるいは許されるかもしれぬけれども、今度は四億二千万円と書くのが正しくはないか。それが一つであります。
それから、これは大きな問題ですけれども、こういうように奄美の振興事業を進めていく場合のこの基金の出資等をする場合に、自動的に出資をするということが一体是なりやいなや。これは公営企業金融公庫の出資とはまた意味が違うと私は思うのです。皆さん方は同一と考えておるようですけれども、その辺の見解をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/50
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051・佐久間彊
○佐久間政府委員 この点につきましては、先生のおっしゃいますようなお考え方もあろうかと存じますが、御指摘になりましたように、今回法律案につきまして同様の考え方で条文の改正をいたしましたので、それにならったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/51
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052・川村継義
○川村委員 その点はまたあとでお聞きいたしますけれども、私はいま皆さん方が何かしらんわりあいあっさり考えておられるような考え方に賛成できません。
そこで私は、いま触れましたこの基金の問題から、次に第二の問題としてお聞きをしてまいりたいと思いますが、基金は、皆さん方の資料に載っているとおり保証業務資金として五億四千一百二十七万余り、それから融資業務資金としてことしは四億五千万ということになる。そこで第一にお聞きしたいのは保証業務資金でありますけれども、保証業務資金は、アメリカからわが国に移されたところの債権に基づくもの、これが五億一千六百万円あまりあります。しかし、これは以前にも私が指摘したのでありますけれども、相当焦げついておる。その焦げついておる回収状況はどうでありますか。それをまず第一に示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/52
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053・佐久間彊
○佐久間政府委員 ただいまちょっと資料を取り調べまして後刻お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/53
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054・川村継義
○川村委員 五億一千六百万円余りは、これはもう申し上げるまでもなく、アメリカから移転されたところの債権額でありますけれども、私のほうで明らかになっておるのは、昭和三十六年の十二月末で一億五千六百万円だけ回収できておる。五億一千六百万円の中の一億五千六百万円だけ回収できておる。これは三十六年の十二月末ですから、その後回収ができておらねばならぬと思う。その後の昭和三十七年、三十八年の回収額はわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/54
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055・森清
○森説明員 お答えいたします。三十七年度において二千五百七十二万一千円回収いたしております。三十八年度はまだ年度が終わっておりませんので、報告をとりましてまたお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/55
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056・川村継義
○川村委員 何年か前の委員会で、奄美大島における保証業務の非常に重要なことを私は指摘いたしました。奄美の産業復興あるいは奄美の事業の振興を考えると、これはやはり内地における保証業務よりも、特に奄美は中小、零細な資金を欲しておる方々が多いと思われますから、この保証業務というものの責務は非常に大きいのではないか。こういうことを考えると、できるだけこの保証資金を確保することが大事であるはずであります。ところがいまのように、二千五百万円の国の出資と五億一千六百万円なければならぬのが、いまわかっておるだけでも一億八千万円程度の回収しかできていない。この回収がこんなに悪いのは、これはもちろんいろいろ戦前の関係がありましてたいへんでありましょうけれども、なぜそんなに回収が悪いのか。しかも、当時のこの債務を返済しないでおる者に次から次に融資業務のほうで融資をしておるという事実があるようであります。あるいは知事または金融機関というようなものの債務を取り立てるところの手続にまずさがあるのではないか。いろいろと問題があると思いますけれども、その辺のところをどうつかんでおられるか、少し明らかにしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/56
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057・森清
○森説明員 御指摘のとおり、この回収金の額が少ないわけでありますが、いま川村委員の御指摘のとおり、この基金の最初の出たしといいますか、それが相当問題のあったところでございます。またその回収につきましても努力をいたしておるところでございますが、そういう事情、それからまた群島全体の生活水準の低さというようなこともございます。しかし、御指摘のとおり、この承継債権をできるだけすみやかに回収いたしまして、それを保証業務に回すということが全体の運用のために非常に必要なことでございます。したがいまして、いま御指摘のいろいろの運用の面についても改善を加える努力をいたしまして、いまのような御指摘の点をなくするように努力したい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/57
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058・川村継義
○川村委員 これは、私は非常に大きな問題があると思うのです。そこで、私は会計検査院のほうにも奄美の融資保証のこういうところの検査を少し厳密にやるべきであると要求したことがありましたが、これは、私たちにもその返済の非常にむずかしいという事情はわかります。わかりますけれども、こういうものをそのままほうっておくということは許されません。特に当時の債務者は、いろいろ問題を持っておる債務者ですよ。それを見のがすということになりますと、せっかく毎年々々基金に、融資業務のほうではありますけれども、政府から金を出してやる。しかし、保証業務の非常に大事だということを考えてみると、保証業務に必要な資金をやはり十分確保してやる。そういう点からすると、これはもっと検討されまして、早く回収ができるようにやってもらわなければならぬ。それがやはり一つの大きなつとめではないかと思う。こういうことは、自治省としては十分お考えいただきませんと、大蔵省に対していろいろ仕事を折衝なさる場合に、むしろ大蔵省のほうから文句をつけられたらまたやりにくいことになりはせぬか、こう思うのです。
そこで、その次にいま一つまたお尋ねをいたしますけれども、いま皆さん方の資料によりますと、保証実績があらわれておりますけれども、三十七年度は十四億余りを保証をしておるようであります。三十七年度の実績で見てみると、十四億三千二十八万円、これが保証の実績であるようでありますけれども、奄美の人たちが申し込んだ件数からすると、おそらく全部の要求は満たされていないと思うのです。それが一つ。それで、どうしてもやはり保証の資金を充実することが大事ではないか。十四億の保証をするということになりますと、一体保証の資金量は幾らで三十七年度は運用してきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/58
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059・森清
○森説明員 保証は自分の持っております金額の八倍までできるということでございます。三十七年度は二千五百万、合計一億八千万ばかりの金を持っておりますが、その八倍までを保証できるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/59
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060・川村継義
○川村委員 八倍でしたか、十倍でありませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/60
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061・森清
○森説明員 運用の実際上、八倍程度で運用いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/61
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062・川村継義
○川村委員 奄美群島復興信用基金の業務方法書には、十倍までよろしいと書いてあるけれども、しかし、実際はやはり八倍程度で運用しておる、こういうことでしょう、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/62
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063・森清
○森説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/63
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064・川村継義
○川村委員 それではその次に、いまの保証業務の問題について一、二お伺いいたしますけれども、保証料は被保証債務の額に対して年三分くらい取っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/64
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065・森清
○森説明員 年三分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/65
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066・川村継義
○川村委員 調査料は保証申し込みに対して千分の二、それだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/66
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067・森清
○森説明員 そのようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/67
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068・川村継義
○川村委員 利率は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/68
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069・森清
○森説明員 保証でございますので、この基金自体の利率というのはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/69
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070・川村継義
○川村委員 保証料と調査料、それからもう一つ日歩幾らというのは利率でなくて、怠けたときとか、そういう場合の罰みたいな徴収でございましたね。
局長にお尋ねいたしますけれども、いまの保証料の年三分というもの、調査料の千分の二というのは以前から同じですね。数年前にこの復興事業の問題が出たときに、この点を少し検討して、もう少し安くしなさい、それは基金の運用上いろいろ問題があろうけれども、これを安くせぬと奄美の人たちには重過ぎはしないか。そのときにはできるだけ引き下げるように努力しますという約束があった。ところが改善をされていない。一体、こういう年三分などという保証料を取らなければ全然やっていけないような実態にあるのか。その辺のところはどのように分析しておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/70
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071・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘のように、数年前からもっと引き下げるべきではないかという御意見もございまして、私どもも関係省とも相談をいたしたこともあるわけでございますが、現在まだその結論を得ずにおるわけでございます。
なお現状におきましては、大体これで申し込みに対しまして、実績が九五、六%程度まいっておりまするし、かつまた基金の経営の状況からいたしましても、この程度はやむを得ないのではないか。しかし、奄美群島民の便益を考えますと、さらに引き下げるように努力はしてまいらなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/71
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072・川村継義
○川村委員 奄美全体の島民の生活の向上、あるいは産業の振興ということを真剣に考えるならば、当然そういう問題にあたたかく手をつけてやるということを配慮しなければならぬのじゃないか。
そこで、第二の問題としてお聞きしますのは、融資業務の問題でありますけれども、今度県の出資も合わせますと、全部で四億五千万円程度になるわけでありますけれども、これで個人に対する貸し付けは二十万が限度でございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/72
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073・森清
○森説明員 原則といたしまして二十万でございます。ただし、特に必要があると認めるときは五十万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/73
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074・川村継義
○川村委員 件数はどれくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/74
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075・森清
○森説明員 ただいま資料を持ち合わしておりませんので、また調べてお答えします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/75
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076・川村継義
○川村委員 これも十年一日のごとくといいまししょうか、変わらない。こう仕事が進んでまいるということになりますと、十年前ですと二十万借りるとたいていの仕事ができた。ところが今日二十万借りても何がやれるかということを考えると、まず第一に、融資ワクを広げるということを考えなければならぬと思う。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/76
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077・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘の点は、私どもも検討いたさなければならない点だと考えておりますので、今後さらに研究をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/77
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078・川村継義
○川村委員 貸し付けの利率は年一割以内となっておる。どれくらいで貸しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/78
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079・森清
○森説明員 一次産業については七分五厘、二次、三次産業に対しましては九分で貸しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/79
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080・川村継義
○川村委員 これはほかのいろいろの融資、貸し付け等の金利に比べて、皆さん方どう考えておられますか。私は高いと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/80
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081・佐久間彊
○佐久間政府委員 私も率直に申しまして、もう少し下げられぬものかという感じは持っておりますが、なおよく検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/81
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082・川村継義
○川村委員 数年前から、国民金融公庫とかあるいは農林漁業金融公庫とか、そういう公庫の融資の利率はだんだん引き下げられる傾向にある。ことしなんか農林漁業金融公庫のごときは四段階で、非常に下がった利率です。そういうときに、奄美のやつだけが七分五厘とか九分とか、そういう高い利子でやるということは、真から奄美の復興を考えておるかどうか疑われてもしようがないじゃないかと思う。これは大蔵省の主計官のお考えもぜひ問いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/82
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083・松川道哉
○松川説明員 ただいま御指摘の点は面接私の所管ではございませんので、説明が間接になりますか、ただいま申し上げましたように、一次産業に七分五厘、二次、三次に九分という金利は、それがきまりましたときにいろいろないきさつがあったのではないかと考えております。したがいまして、いまここで軽々に私の意見を申し上げますことはかえって誤解を招くので避けたいと思いますが、ただいま先生の御指摘につけ加えて申し上げたいことは、奄美が本来であれば内地と同じような段階にまで経済が発達いたしまして、農林漁業金融公庫なり中小公庫なり、そういったところの金融がスムースにつくようになる、これが理想であろうと思います。ただいま御審議いただいております基金につきましては、それが直ちに奄美の実態にうまく結びつかない、そのためにこういう制度がとられておるものと了解いたしておりますが、これをどのような形に持っていき、そして将来のあるべき姿にどのようにつないでいくか、十分検討しなければならないことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/83
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084・川村継義
○川村委員 いまの発電は、あなたの直接の担当じゃないそうだから聞かないつもりだったけれども、ちょっとおかしい。内地は利率を下げてもやっていけるような状態にある、奄美はそうじゃない、だから高くとられる、そういう意見ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/84
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085・松川道哉
○松川説明員 私の所管でないのではしょって申し上げましたために、誤解を招いてまことに恐縮でございます。この利率がきまりましたときも、先生御指摘のような事情は若干あったのではないかと考えます。それが現在まで引き続き持ってこられておりますために、現在では御指摘のようなひずみができておる。私そのひずみが好ましいという意味で申し上げたのではございませんで、それの初めに起こった事情、それから将来のあるべき姿にどうやってつないでいくか、これは十分検討しなければならないだろう、このように申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/85
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086・川村継義
○川村委員 局長、奄美の人たちはやはり内地よりも力が弱い。しかし、奄美をして何とか鹿児島県並みに、あるいは内地並みに産業、経済を伸ばしていきたい、みずからの所得を高めていきたい、これは努力をしておるでしょうし、皆さん方もそういう目的でこういう特別の法律をつくってその振興をはかっておられる。そうすると、何といってもやはり金だと思います。そのときに、そういう高い利率で金を貸して仕事をさせるということは、仕事をする者、あるいは個人にとっては大きな負担であります。それだけ振興が阻害されることになる。そこで、いろいろの客観的な条件はあろうけれども、内地よりもむしろ安くして援助してやる、こういう配慮こそ実はほんとうではないか、こう私は思います。いま大蔵省の方が言っておることはそのまま受け取るわけにはまいりませんが、局長は、このことについて一体大蔵省当局とこの法案改正の場合にどのような折衝をなさったのか、これはぜひひとつあなたの考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/86
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087・佐久間彊
○佐久間政府委員 この法案の改正を立案いたします過程におきまして、新しい振興五ヵ年計画をいろいろと検討をいたしたわけでございますが、新しい振興計画の一環といたしまして、信用基金のあり方につきましても省内におきましても論議がございましたし、奄美群島復興審議会におきましても御意見を拝聴いたしたわけでございます。その際、この法律が通りまして五ヵ年計画を立てる場合におきましては、信用基金のことも関連してさらによく研究する必要がある。その一つの問題といたしまして、先生の御指摘になりましたような利率の問題もあるわけでございまして、これは直接法律の問題ではございませんけれども、今後振興審議会の御意見も伺い、また関係省とも折衝いたしまして努力をしてみたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/87
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088・川村継義
○川村委員 これはぜひ考えていただかなければ、十年前に復興基金ができてからそのままです。国内のいろいろの政府関係金融機関の融資の利率が下がっていくのに、奄美だけこんな高い利率で押えておるということは理屈に合わぬ。これはぜひやってもらわなければ、どんなに奄美の振興、振興と言っても、そういう面から大きく阻害されるということを私は痛切に感ずるものです。
そこで、その次の問題としてお尋ねいたしますけれども、今度の振興事業によりますと、五ヵ年計画で百七十七億というのが想定されておるようであります。これは、前の十ヵ年計画に比べると相当商い事業量と考えていいと私は思います。前の復興計画は、大体事業計画が二百十三億ですか、十年間でそれだけの計画を持ってきた。今度は五年間に百七十七億持っていこうというわけだから、前の復興計画に比べると事業量は相当高くなっておる、こう考えてもよろしいと思う。自治省のほうとしてはこの百七十七億の事業を遂行していくところの自信ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/88
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089・佐久間彊
○佐久間政府委員 この数字は、御指摘のように、前の十ヵ年計画から比べますと少し高目のようにお思いになられるかもしれませんが、私どもといたしましては、大体この数字で十分実行可能であるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/89
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090・川村継義
○川村委員 現在はそう思っていただかなければしようがないと思うのであります。ただ問題は、局長のほうでそれだけの自信があるということは、今度の計画には国費の出費が前に比べると少ない、そういうところでまあ大蔵省も言うことを聞くだろう、やっていけるのじゃないか、こういうような考え方を持っておられるのじゃないかと私は推測するのですけれども、それならば、やはり一つの問題が残ると思うのです。本年度の計画案にいたしましても、事業費総額は三十億余り、そのうちで国費が十四億五千万程度、約半分、残りは起債と融資と一般自己資金で手当てせられておるようであります。そうなると、起債をやる場合に一体これはまるまる政府債でやるのか、償還期限はどう考えておるのか、利率の問題等も出てまいりましょう。融資の場合の利率は、先ほどの振興基金だけでやるのか、あるいは開発銀行等の融資も考えておるのか、その場合の償還期限や利率はどうなっていくのか、いろいろの問題はあろうかと思いますけれども、それらのこまかなことはまた追ってお聞きすることにいたしまして、要するに、一言に言うならば半分は自分で出さなければならぬ。これは奄美の島民にとっては相当大きな負担ではありませんか。そうなると、事業遂行に大きな支障を来たしやしないか、こう思いますが、非常に心配なんだが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/90
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091・佐久間彊
○佐久間政府委員 御心配になられます点は私どももごもっともと存ずるわけでございます。事業量がふえますわりあいに地方の負担分もふえるわけでございますが、その点につきましては、先ほど伊東委員の御質問に対しまして財政局長が御答弁申し上げましたように、地方財政の面につきましては支障のないように配慮をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/91
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092・川村継義
○川村委員 いや、それだけのおことばではちょっと納得いきませんがね。今度は、いままでは補助対象になっておった事業も融資に切りかえられた事業が相当出てくる。いままでは三分の二という補助を考えておったのが今度は五分の二というような、ほとんど大部分の補助率が下がっておる。つまり国からの金が少なくなっているということなんです。それが、言うならば出資や起債や自分の自己財源で仕事を進めていかなければならぬというかっこうになる。そこで、先ほど財政局長が伊東委員にお答えしておりました、十分なめんどうは見る、こう言っておられますけれども、一体これくらいのめんどうをどういう形で見ていかれるかわかりませんが、事業計画の上からいって、復興計画時代よりも大幅に地元負担が、地元の資金負担が大きくなっておる。こういう事業計画は、なるほど地元でそれだけの資金をしょい込め、そうすると、百七十七億の仕事ができていくんだぞ、こういうことになるかもしれぬけれども、力の弱い奄美が、経済力のまだ鹿児島県にも追っつかぬというような奄美がはたしてそれを持ちこなすことができるかどうか、これは大きな問題でありませんか。そこで、たとえば起債の面においてはこうする、融資の面においてはこれだけの優遇をとる、それが明確でないと、この事業計画というものはただ紙の上のプランになってしまうんじゃありませんか。これは、ひとつ局長、もう少し真剣に考え方を披瀝してもらわぬとちょっと困るんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/92
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093・佐久間彊
○佐久間政府委員 三十九年度の計画につきましては、起債につきましても融資につきましても、それぞれ検討をいたした数字でございます。後年度のものにつきましては、さらにこの法律が成立いたしました後に振興審議会を開きまして、よくそこで検討をいたしました上で確定をいたしたい、かように考えておるわけでございます。御指摘のような点も十分くみまして検討をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/93
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094・川村継義
○川村委員 具体的にあらわれてまいりませんから困るのですけれども、それではその次に——もうお尋ねしたいことはたくさんありますけれども、当初申し上げましたように、大体事業計画の内容については、また参考人等の皆さん方にお尋ねしたあとで、当局のお考えを聞きたいと思いますが、ひとつ振興計画の概要についてお聞きしておきたいと思いますけれども、奄美は、これはもうだれでもが知っているとおりに非常に災害の大きい地域であります。ところが、今度立てられた振興計画は前の復興計画に比べると防災及び国土の保全ということについては、その事業の構成比率がたいへん落ちておる。これは、私はちょっと問題ではないかと思うのですけれども、たとえば国土保全事業について、前の復興計画で見る場合には四・三%を占めておる。今度の振興計画では三・三%で、大きく落ちておる。奄美の経済の発展、産業の発展等を考える場合には、防災というものを抜きにしては私は考えられぬという気がしてなりません。なぜこのように今度の振興計画では防災の事業がその構成比率においてウェートが落ちたのか、これはどうでございましょうか、これが第一点。
それから第二の問題として、第一条にうたわれたように、主要産業の振興をはかるということで、主要産業の振興計画の構成が復興計画よりも非常にウェートが向く置かれておるということ、これは私は賛成であります。ただ、いまひとつの問題は、この主要産業の振興をはかる場合に、正しく国費が、あるいは地方の経費が使われたかどうか、使われるかどうかというところに問題があると思う。そこで、きょうおわかりにならなければこの次でよろしゅうございますから、ひとつ調べておいていただきたい。これは私が曲にも問題にしたことがある。というのは、水産業の振興の項で漁船建造が行なわれたはずである。その漁船建造については、復興計画ではいわゆる小さいところの船でなくて、三十七隻という実は計画が出ておったはずであります。これが昭和三十三年か三十四年ころまでにおおよそ三十隻ばかりの漁船が建造されておる。ところがその漁船のうちのほとんどが奄美に船籍がない。みな焼津や鹿児島やら大阪に船籍がある、こういう事実が一つある。そうして、それらの船がとった魚はほとんど奄美に水揚げをしない、こういったことが当時大きな問題となっておりました。そこで、一体復興計画でそれらの漁船が何隻建造されたか、そうしてその船籍はどこにあるか、いまおわかりでございましたらお答えいただくし、おわかりでなかったら、この次までに調べておいていただきたい。私がいま一つの例を、前に問題になったことを申し上げたことは、主要産業の振興ということはよろしい。しかし、ややともすると、とかくいかがわしい金の使い方というものが行なわれてくる。これは大問題である、こういうことを指摘したいためにいまの例でお願いをしておるわけなんです。
それから、いまひとつの問題は、復興計画の実績を見ると、保健衛生関係で非常に奇異に感ずるのは、火葬場の施設が一ヵ所というのが出ておる。奄美は火葬は好かぬのですかね。みな土葬しておるのですかね。これは非常に極端な例だと思いますけれども、この保健衛生、あるいはそういうような施設に対して、今度の振興計画は一体配慮されておるかどうか。これも一つの問題ではないか、このように思うわけです。それについてひとつ答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/94
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095・佐久間彊
○佐久間政府委員 先ほどのお尋ねの第一の、災害の構成比が減っておるじゃないかという御指摘でございますが、これにつきましては河川、砂防、海岸、治山等につきましての事業が、復興計画の段階におきましてかなり進捗いたしておりますので、振興計画におきましては若干事業量も減っておる、こういうことでございます。それから水産業につきまして、漁船建造につきましていろいろ御指摘がございましたが、この点はさっそく取り調べましてお答えをいたしたいと思います。
火葬場の点につきましては、振興計画の中におきましても考えておりますが、その内容につきましては次会に申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/95
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096・川村継義
○川村委員 いまの振興事業計画の内容につきましては、先ほど申し上げましたように、参考人の方々に実情もお聞きしたあとで、当局にまたお尋ねをいたしたいと思います。ただ問題となるのは、あらためて指摘せねばなりませんのは、基金の増資をする場合に、法律の改正を要しないで、自動的にこの奄美の基金の増資をはかっていこうとする考え方、これは問題ではないか。皆さん方は、公営企業金融公庫等の法案となべたお考えを持たれておるようでありますけれども、私は同一に考えるわけにいかぬものがある。それが一つの問題であると思います。それから、さらには保証業務あるいは融資業務、貸し付け要件等々に大きな問題がやはり存在をしておる。このままでは真に奄美の復興、あるいは産業の伸展に寄与するところの道ではないということが考えられるということであります。それから、いま一つは、国の補助率等が非常に下がっておる。そうして百七十七億の五ヵ年計画事業を設定しておるけれども、これは消化がたいへんなことではないか。十ヵ年計画で二百三十億程度の事業を遂行してきた。しかも、それは国費の負担が相当大きかった。五ヵ年計画で百七十七億をやっていこうというのは相当大きな事業量に違いない。それを、今度は地元の負担ということで大きく遂行しようとしておる。これはたいへんな問題が一つ存在しておる。こういう点をもう少し考えていただかなければ必ずこれは乗り上げる。いやこれは五ヵ年では済まない。そこで、また次に延ばさなければならぬという事態が必ずくる、こう考えられるのであります。
そこで、最後に局長にお尋ねいたしますけれども、この五ヵ年計画は一応やはり五ヵ年では済まない。先まで進めていかなければ真の奄美の振興はできない、こう考えておられるのかどうか、これをひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/96
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097・佐久間彊
○佐久間政府委員 今度の五ヵ年計画の細部は、法律が成立いたしましてから、振興審議会の御審議をいただいてきめることになるわけでございますが、おおよその基本的な私どもの考え方といたしましては、この五ヵ年をやりますことによっておおむね鹿児島県本土の生活水準まで近づけてまいりたい、かような目標を持っておるわけでございます。現在の検討いたしております案では、五ヵ年でもってそれが可能である、かような考え方を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/97
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098・川村継義
○川村委員 鹿児島県の本土並みということは、鹿児島県の現在の程度における本土並みということか。五ヵ年後に鹿児島県と奄美というものが同じ程度にそろうということか。鹿児島県のほうもぐんぐん進むということを考えなければならぬ。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/98
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099・佐久間彊
○佐久間政府委員 五ヵ年たちましたならば、その当時の、そのときにおきます鹿児島県本土に近づけてまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/99
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100・川村継義
○川村委員 終わります。
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101・森田重次郎
○森田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
来たる十日、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、参考人として鹿児島県大島支庁長中島信夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/101
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102・森田重次郎
○森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01819640306/102
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