1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十日(火曜日)
午前十時二十一分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 田川 誠一君 理事 中島 茂喜君
理事 永田 亮一君 理事 藤田 義光君
理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君
理事 安井 吉典君
伊東 隆治君 大石 八治君
大西 正男君 奧野 誠亮君
久保田円次君 武市 恭信君
登坂重次郎君 村山 達雄君
森下 元晴君 山崎 巖君
和爾俊二郎君 秋山 徳雄君
石田 宥全君 重盛 寿治君
千葉 七郎君 華山 親義君
細谷 治嘉君 松井 誠君
栗山 礼行君 門司 亮君
出席政府委員
自治政務次官 金子 岩三君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
農林事務官
(農地局管理部
長) 小林 誠一君
自治事務官
(行政局振興課
長) 森 清君
参 考 人
(鹿児島県大島
支庁長) 中島 信夫君
専 門 員 越村安太郎君
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三月十日
委員秋山徳雄君及び阪上安太郎君辞任につき、
その補欠として石田宥全君及び松井誠君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員石田宥全君及び松井誠君辞任につき、その
補欠として秋山徳雄君及び阪上安太郎君が議長
の指名で委員に選任された。
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三月七日
大衆飲食に対する料理飲食等消費税軽減に関す
る請願(宇都宮徳馬君紹介)(第九〇〇号)
同(足鹿覺君紹介)(第九九八号)
同(賀屋興宣君紹介)(第九九九号)
同(笹山茂太郎君紹介)(第一〇〇〇
号)
同(島村一郎君紹介)(第一〇〇一号)
同(本島百合子君紹介)(第一〇〇二
号)
バー業種の法的独立規制並びに営業時間延長に
関する請願(神田博君紹介)(第九〇一号)
同(伊能繁次郎君紹介)(第一〇二三号)
同(始関伊平君紹介)(第一〇二四号)
公給領収証使用義務制廃止に関する請願(臼井
莊一君紹介)(第九三四号)
同(小川半次君紹介)(第九三五号)
同(亀岡高夫君紹介)(第九三六号)
同(小島徹三君紹介)(第九三七号)
同(小山省二君紹介)(第九三八号)
同(進藤一馬君紹介)(第九三九号)
同(砂田重民君紹介)(第九四〇号)
同(園田直君紹介)(第九四一号)
同(田中伊三次君紹介)(第九四二号)
同(田中榮一君紹介)(第九四三号)
同(徳安實藏君紹介)(第九四四号)
同(内藤隆君紹介)(第九四五号)
同(中島茂喜君紹介)(第九四六号)
同(南條徳男君紹介)(第九四七号)
同(橋本登美三郎君紹介)(第九四八号)
同(古井喜實君紹介)(第九四九号)
同(堀川恭平君紹介)(第九五〇号)
同(松浦周太郎君紹介)(第九五一号)
同(三池信君紹介)(第九五二号)
同(渡邊良夫君紹介)(第九五三号)
同(増田甲子七君紹介)(第九七七号)
同(小笠公韶君紹介)(第一一〇二号)
同(正力松太郎君紹介)(第一二〇二号)
固定資産税及び住民税に関する請願(増田甲子
七君紹介)(第九七八号)
町村連合推進による行政の格差是正に関する請
願(池田清志君紹介)(第九九二号)
町村税財源の拡充強化による財政の格差是正に
関する請願(池田清志君紹介)(第九九三号)
固定資産評価替え反対等に関する請願(石田宥
全君紹介)(第一〇六三号)
同(栗原俊夫君紹介)(第一〇六四号)
同(稻村隆一君紹介)(第一〇九九号)
同(華山親義君紹介)(第一一〇〇号)
同(栗林三郎君紹介)(第一二〇〇号)
同(小林進君紹介)(第一二〇一号)
固定資産評価替え反対及び農地の固定資産税免
除等に関する請願外一件(吉村吉雄君紹介)(
第一〇六五号)
同外三件(川村継義君紹介)(第一一一八号)
同(東海林稔君紹介)(第一一一九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第四八号)
地方財政に関する件(地方公共団体の起債許可
基準等に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/0
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001・森田重次郎
○森田委員長 これより会議を開きます。
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本日は、参考人として鹿児島県大島支庁長中島信夫君が出席されております。
この際一言ごあいさつ申し上げます。参考人におかれましては、御多忙中のところ、当委員会のために御出席をいただきまして、ありがとうございました。厚くお礼申し上げます。奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案についての御意見を承り、あわぜて奄美群島復興計画の実施状況等について御説明願いたいと存じます。
それでは、中島参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/1
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002・中島信夫
○中島参考人 鹿児島県の大島支庁長中島でございます。御指示によりまして、奄美群島復興十ヵ年計画に基づきます復興事業の成果と、あわせて今回提案されております法案につきましての意見を多少申し述べざせていただきたいと存じます。
奄美群島の復興十ヵ年計画につきましては、すでに諸先生方御存じのように、総事業費が二百十四億余円のうち、国費が百二十一億余円に対しまして、大体予算の消化状況は昭和三十八年度におきまして一〇〇%の消化になっております。復興事業の総括的な成果といたしましては、基礎的な公共施設は一応整備を見せつつあります。たとえば名瀬港のごときは、本土復帰当時は、はしけで上陸しておりました港でございますが、現在では三千トンの大型船の接岸が可能となりまして、その他の港も着々整備を急いでおる状況でございます。道路につきましても、基幹路線の新設改良、市町村道の改良と着々実施されまして、復帰当時の交通不能区間も大幅に解消されまして、産業振興の動脈としてその機能を果たしつつありまして、本島の南でございます大和村、宇検村、瀬戸内村を結ぶ一部の路線の交通不能が多少残されておるというような状況でございます。
そういったわけで、大体十ヵ年計画は、荒廃した施設を早急に復旧するというのが主たる目的でございまして、公共施設はだいぶ整備されてまいりましたが、産業経済力につきましての施策が後半にまいりました関係上、まだ十分経済力は備わっていないという関係で、十ヵ年計画を終わるに当たりまして、さらに五ヵ年間復興事業の補完としての公共施設の整備強化をはかりますと同時に、基幹産業の振興をはかって経済力をつけたい。あわせて教育、民生安定、そういった施策を講じていただきたい。この三つの柱を中心にいたしまして、振興五ヵ年計画というものをお願いするわけでございます。
復興事業のあげました成果につきまして、概略かいつまんで申し上げます。
先ほど申し上げましたように、交通網の整備という点についてでございますが、まず道路は、復帰当時県道が五百六十八キロございまして、そのうち交通不能の区間が二百五十キロ、大体四四%は自動車が通れなかったという状況でございました。それが現在では九十五キロに減って、一七%に解消されてきたという状況でございます。振興五ヵ年計画では、このうち四十六キロを新設して、交通不能区間をできるだけ解消していきたいという計画を持っているわけでございます。
港湾でございますが、重要港湾が一つ、地方港湾が三十二ございますが、そのうち、先ほど申し上げましたように、船が接岸できずはしけで往来しておったというような港が、現在八港整備されておるというような状況でございます。
次は、公共事業関係で、空港でございますが、これは昭和三十四年度に喜界島に場外飛行場が施設され、また本年度大島本島に第三種空港が考えられまして、三月末日をもって完成の予定に相なっております。なお、東亜航空が徳之島本島に飛行場を建設しておりまして、大体離島としての後進性から脱却するというような意味の交通網の整備というものは、これで空港は一応整備されてきた、こう考えているわけでございます。
それから、防災関係の国土保全でございますが、これは台風常襲地帯であるし、季節風の影響も非常に大きい、それに雨が非常に多いというような自然的条件から、従来とも復興事業のうちでは、防災という関係に特に強力な施策が進められまして、地域住民の経済発展、民生安定をはかるための河川、砂防、海岸、治山、そういった国土保全事業というものは一応整備されまして、成果をあげておるというふうに考えております。
これが復興事業の補完としての公共施設の整備でございます。
今回の振興五ヵ年計画の中心をなしております産業開発、経済振興の問題でございますが、そのうちの中心をなすものは、あの亜熱帯地域の条件を生かした糖業でございます。これは昭和三十五年で大体二十七万三千トン生産いたしております。これを五ヵ年計画で、昭和四十年度には七十万トンに引き上げようというような計画を立てているわけでございます。これは後ほど申し上げます。畜産との関係もございまして、一応農業生産額の大体三〇%を占めておるサトウキビでございますが、これは非常に地力を消耗いたしますので、有機質肥料としての堆肥を投与するという関係で畜産と結びつきますと同時に、またその飼料としての効用性を考えまして、豚と牛をからみ合わせる。それからサトウキビとの輪作体系の関係でサツマイモでございますが、これと飼料として養豚、そういったものをからみ合わせた複合的な経営をやって、農家の所得を引き上げていこうというような計画をいたしておるわけでございます。
それから水産業でございますが、これは従来本島の特殊性からカツオ漁と瀬魚の一本釣りというものが従来から行なわれておったわけでございますが、一トン未満の板付船が非常に多うございましたので、これをできるだけ大型化しますと同町に、動力化、電化をはかりまして、復帰当時わずか動力船が百七十三隻あったのが現在では六百六十二隻というような上昇を示しておる状況でございます。たとえばカツオ漁でございますが、昭和二十九年は六百七十五トンであったものが大体三十四年度以降一千トン、かつおぶしも九十八トンであったものが百五十トンというふうに加工業もだいぶ発展を見せてまいっている状況でございます。
それから畜産でございますが、先ほど申し上げましたように、サトウキビとの防災営農体系としての畜産というもので、本島では従来から重要視されておった事業でございまして、特に牛におきましては五〇%程度の品種改良を行なう。豚は大体一〇〇%の改良を行なうというような状況で、特に豚は二十九年度と比較してみますと、三十八年度末においては飼養頭数が一・五倍、生産頭数が二・六倍、輸出が四十八倍、六百十九頭から三万頭に大体ふえる見込みに相なっておるわけであります。
次に大島つむぎでございますが、これは本島の特殊な産業でございまして、復帰当時大体三万八千反でございましたが、現在では大体十万一千反生産されております。これは現在の服飾界の動向等の関係から、こういった高級織物の需要は非常に伸びておりますので、これまた非常に大きな所得向上の柱として技術員の養成、施設の整備ということに力を注いでまいったわけでございます。
次に電力事情でありますが、復帰当時は最大出力が八百九十四キロワット、点灯率が四〇%でありましたが、現在では六千八百六十一キロでありまして点灯率が大体八三%。未点灯部落の解消事業も進めまして、復興事業は大体九千五百八十七戸の未点灯解消をやりまして、振興計画で新たに八百三十三戸を解消し、それに自然増三千六十一戸を見込みました場合に、昭和四十三年度においては大体点灯率が九三%程度になるであろうというふうに予想しておるわけでございます。
それから文教施設でございますが、戦災によります非常な被害と、それから行政分離の八ヵ年間の空白状態で、小中学校の校舎というものは非常に荒廃しておったわけでありますけれども、復興事業の中で急速な整備をはかりまして、昭和三十八年においては文部省の暫定最低基準の大体八〇%を整備しております。これを五ヵ年計画では一〇〇%に持っていきたいというふうに考えております。
それから保健施設としての水道でございますが、これは復帰当時給水人口は大体二・五%であったものが、現在では大体四八%と相なっております。振興計画では四十八ヵ所に簡易水道を設置し、二ヵ所に上水道を設置する。そして大体現在の給水人口四八%の比率を、振興計画の中でさらに施策をいたしまして、七二%程度まで持っていきたいというふうに考えております。
それから社会福祉施設関係でございますが、これは養老院、保育所といった施設をいたしました。ただ本島の場合、生活保護法の適用者が非常に多うございまして、それはやはり傷病者、老齢者、母子世帯が非常に多い、あるいは零細農家が多い、日雇い労働者の稼働日数が少ない、子供の多い世帯が多いといったような理由で、大体全国平均の四・六倍くらいの高率を示しております。そういった母子世帯の対策等を含めまして老人の福祉対策としての老人ホームあるいは母子世帯の児童対策としての保育所、それから多子世帯に対する指導あるいは無介助分べんが非常に多いという関係で母子健康センターを設置したい、そういった対策を考えておるわけでございます。
以上申し上げましたような状況でありまして、復興十ヵ年計画によりましてある程度目的は達成したということでございますけれども、遺憾ながらやはり日本経済の伸びが非常に激しい、高かったという関係で、計画それ自体は目的を達成しておりますけれども、やはり全国の平均所得と比べますと四三%程度、県民所得に比較いたしますと郡民所得の場合は七八%程度、格差はやはり依然として開いたままで縮小されていないというのが実情でございます。したがいまして、十ヵ年計画が公共施設を中心にした施策でありましたのに対しまして、今後はその力をつける、経済自立を急ぐという意味で、振興計画をお願いしておるわけでございます。その計画の目標は、大体昭和四十三年度におきまして県民所得が十二万程度という策定をされておりますが、私どももできるだけ住民の自主的に立ち上がるという意欲を燃え上がらせて、大体県の十二万平均に近づくように持っていきたいというわけでこの計画を立てておるわけでございます。それにつきましても大体百七十七億という事業費でございますが、これのうちにはやはり相当の、四十七億程度の融資というものを見込んでおるわけでございますが、いろいろ現地におきまして農協その他組織がまだ非常に弱うございますので、提供資金の流れも円滑にいかない、また全国的な大きな金融ベースに乗らないというわけで、私どもとしては、信用基金に非常に期待しておるわけでございますが、いろいろ問題もございましょうけれども、できますれば信用基金のほうの資金量をふやしていただく、返済期限を長くしていただく、据え置き期間を延ばしていただく、あるいは利子をもう少し軽減をしていただくということをお願い申し上げたい、こう考えておるわけでございます。この融資の道がスムーズに開けてまいりませんと、この振興計画自体にそごを来たしますので、できるだけそういった措置をお願いしたいものだと考えておるわけでございます。この開発方式等につきましては、復興事業と同様に、一括総合施行方式をとっていただきまして、私どもも非常に感謝いたしておるわけでございます。いずれにいたしましても国会議員の先生方あるいは政府御当局の御理解と御尽力によりまして、ようやく奄美の復興も基礎に乗ったというわけでございます。この成果をさらに維持し、効果をあげていくために、さらに新しく経済振興をはじめといたしましたこの五ヵ年計画で、何とかして県民の生活水準まで近づけていくという悲願を立てておるわけでございますから、諸先生方の御指導、御鞭撻のほどをどうかよろしくお願い申し上げたい、かように存ずる次第でございます。
急ぎまして要領を得ないことを申し上げましたが、ひとつよろしくお含み願いたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/2
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003・森田重次郎
○森田委員長 以上をもちまして参考人からの御意見の開陳は終わりました。
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004・森田重次郎
○森田委員長 次に質疑の通告がありますので、順次これを許します。川村継義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/4
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005・川村継義
○川村委員 中島参考人にはたいへんありがとうございました。いまいろいろと御意見を承りまして、今回の新しい振興計画が、必要であるということを痛感をいたしたわけでございます。しかし、私たちがこの振興計画、奄美群島復興措置法の一部改正を審議してまいりますについて、いろいろとわれわれとして疑問を持つわけでございますから、以下数点お尋ねをしておきたいと思います。
まず第一にお尋ね申し上げたいと存じますことは、現在奄美の住民の方々の所得水準というのが、どのくらいのところにあるのかということでございますが、この奄美復興措置法が動き出しました当時、昭和三十一、二年ごろの、十年ばかり前の資料によりましても、奄美の皆さん方の一人当たりの名目所得の比較を見てもたいへん差がございます。鹿児島県本土に比べても、もちろん全国に比べても四十何%、そういう低いところにあったようでございます。ただいまも参考人のおことばの中にそういう比率が出てまいりましたが、できましたら第一に、そちらのほうでおわかりでございましたら、なるたけ新しい年度の一人当たりの名目所得の金額、所得額と、それから鹿児島及び全国の比較をお示しいただきたいと存じます。
それから第二は、同じような問題でございますが、奄美群島の住民の生産所得はどれくらいあるだろう。それを第一次産業、第二次産業、第三次産業に分けて、おわかりでございましたらお示しいただいたらと存じます。さらにはそれらの第一次産業、第二次産業、第三次産業の構成比もおわかりでございましたらお聞かせいただきたい。それがまず初めにお尋ねをしたい点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/5
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006・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。所得水準でございますが、十ヵ年計画がうたっておりますように、昭和九−十一年の水準に近づけるという立場からはじかれた数字でございますが、それによりますと昭和九−十一年の一人当たりの名目所得が奄美の場合八十九円でございます。これが当時の県民一人当たりの所得に対しまして八〇・二%、一人当たりの国民所得に対しまして四二・四と相なっております。これが三十六年度におきましては、一人当たりの郡民所得が六万一千二百八十三円、一人当たりの県民所得に対しまして七八・三%、一人当たりの国民所得に対しまして四二・一%、こういうふうな数字に相なっております。昭和三十七年度は奄美の場合ただいま数字を集計中でございまして、確定した数字ではごさいませんが、大体の予想では、昭和三十七年度では七万三千円程度になるのではなかろうかというふうにいま予想いたしております。これに対しまして、県が大体九万四千円くらいはじき出してくるのではないかと思いますが、それをそうだといたしますと、その比率が七七・六%ということに相なろうかと存じます。
それから出産所得の数字でありますが、これは昭和三十六年度でございますが、総額で百十八億九千七百万円でございます。総額は第一次産業が四十三億四千三百万円、構成比が三六・五%でございます。それから第二次産業が十八億三千六百万円、構成比が一五・四%、第三次産業が五十六億八千六百万円、構成比が四七・八%ということに相なっております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/6
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007・川村継義
○川村委員 行政局長のほうにお尋ねいたしますが、いまお示しいただいたように、復興計画を始めたころの所得の水準、名目所得で見ても、大体全国平均の四二・三%、今日も大体そういうところにある。鹿児島県民の所得と比べると、前の復興計画当時の割合より、むしろいまのほうが落ちておる。こういう数字があらわれてまいります。
それからいま一つ生産所得で見ても、もちろんずいふん伸びてはおりますけれども、特に第一次産業のごときは、おおよそ七、八年、十年ばかり前の構成比に比べると、非常に第一次産業の構成比が落ちておる。これは全国的な傾向ではありましょうけれども、これは奄美にとっては特に考えなければならぬ問題があるのではないか。つまり第一次産業の労働力の移動が非常に大きいのではないかということも推察をするわけであります。そういう点から考えてまいると、この前の委員会のときに私がお尋ねをしたときに、五年したならば鹿児島本土並みの水準に持っていくのだ、こういう御答弁がございましたが、はたして、今日のような地産所得あるいは名目所得から見て考えていくと、五年間で鹿児島県の水準まで持っていくにはこういう計画でよろしいか。五年間たってもとても追いつけないのではないだろうか。鹿児島も伸びている。そうすると鹿児島本土の伸びよりも大きな伸び方をさせるような方法をとらなければ、鹿児島の本土の水準に追いつけないというような状態が出てくるのではないかと思います。そういう点について、当局はこの計画を進めていくについて、どういう成算があるのか、少しお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/7
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008・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘になりましたように、復興計画を立案いたしました当時から十ヵ年の成果を見まして、そこにいろいろ今後の五ヵ年計画を立てます上に問題があることは、私どもも先先のお示しのとおりに存じております。
先ほどのお話のございました点で、数字の上でちょっとあるいは私どもの申し上げ方が足らなかったかと思いますが、昭和二十八年復帰当時におきましては、奄美群島の住人一人当たりの名目所得が、鹿児島県本土に対しましては五一・五%、全国平均に対しましては三〇%、こういうふうになっております。それが三十六年におきましては、先ほど参考人も申されておりましたように、鹿児島県本土に対しましては七八・三%、全国平均に対しましては四二・一%、ということで十ヵ年の間に鹿児島県本土並びに全国平均に対しまして相当の向上を見ておるものと存じてております。ただ現在におきましても、本土に対して七八・三%、全国平均に対しまして四二・一%ということで、総体的に非常に低いわけでございますので、先生のおっしゃいますように、本土にいたしましてもどんどん伸びてまいっている状況でございますから、新しい五ヵ年計画を遂行してまいります上におきまして、これまで以上の格段の努力が必要であるということは、私どももそのように考えているわけでございます。今後の五年間の目標といたしましては、鹿児島本土に近づけるという目標を立てているわけでございます。鹿児島本土並みには私どもも同じようにむずかしかろう、しかし、できるだけこれに近づけるという目標でいるわけでございまして、御審議をいただいております法律が成立いたしまして、それに基づいた振興五ヵ年計画が立案されますならば、私どもは相当な努力は要すると思いますけれども、その努力の結果、いまの目標に近づけ得るというように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/8
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009・川村継義
○川村委員 それでは続いて振興計画案と申しましょうか、それについて数点お尋ねしていきたいと思います。
まず交通整備の問題でございますが、自治省からお示しいただいております振興計画の概要を見てみると、産業基盤の整備について続いて大きな努力をなさろうとしておりまして、私はけっこうなことだと思います。交通関係の整備を見てみても、復興計画では大体二六%余りの構成比を持っておりましたが、今度産業基盤整備として二一・三%の数字を大体考えておられるようでございますし、その中に道路整備としては二八%余りの努力をなされようとしております。これは前回の復興計画に比べると、かえって構成比は高い組み方をしておられます。けっこうなことだと思いますけれども、また参考人からのお話にもございましたように、主要道路におきましての整備改良はずいぶん行なわれたようでございますけれども、私たちがいろいろとお聞きするところによりますと、市町村道の整備がたいへんおくれているのではないかということを耳にするのでございます。
そこで、まず参考人にお伺いいたしますけれども、市町村道の整備状況はどうなっているのか、今後どれくらいの改修改良の必要があるのか、それがおわかりでございましたら、お示しいただきたいと思います。
それから、当局にお尋ねいたしますけれども、今度の振興計画による道路整備というものは、どこに重点を置いて考えられているのか、その点お尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/9
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010・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。市町村道は路線が一千百八十七、総延長が一千五百七十一キロ五百五ございます。そのうち復興事業その他で改良済みに相なっておりますものは、十キロ九百六十九、比率で〇・七%でございます。したがいまして、未改良が一千五百六十キロ五百三十四、九九・三%ちょっと、数字は非常に高うございますが、そういった状況でございます。
それに対しまして振興計画におきまして、緊急度合いを勘案いたしまして、そのうち大体七十五キロ改良しようというわけでございます。市町村道が非常に長うございますが、これは町村のとり方でございますが、そのうちには常識的には部落道に類するようなものも多分に入っておるんじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、それにしましても市町村道のほうは、まだ手が十分に行き届いていないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/10
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011・佐久間彊
○佐久間政府委員 振興計画におきましては、道路整備に引き続き相当の力を入れてまいりたいと考えておりますが、復興計画におきまして、各島におきます幹線道路は、一通り整備をいたしたわけでございますが、その中で一、二まだ工事が未完了のものもございますので、それは引き続き完了するようにいたしますとともに、幹線からちょっとそれました市町村道につきましては、なお整備がおくれておりますので、それらのものについて引き続き整備をしてまいりたい、かような考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/11
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012・川村継義
○川村委員 奄美の産業の状態を考えてみる場合、奄美の地形、地勢等を考えてみる場合、今後の振興を考えていくならば、これはいずれの場所においても必要でございますけれども、特に奄美ではやはり市町村道の改修というのは必要ではないか、これはまあ別の問題とはなりましょうけれども、特に土地改良等のあとの問題として考えねばなりませんが、農道の整備ということも——この道路整備計画の中に農道というものが別の形で入ってくると思いますけれども、農道の整備、市町村道の整備改修、こういうものが奄美の産業の復興を考えるときには非常に大事じゃないか、こう思われるものでございます。どうぞいま当局のほうでお話のように、この後、たくさん残されておりますが、そのうち七十五キロを、何とかして振興計画でやりたいと、こういうお話もございましたので、そういうように市町村道にひとつ重点を置いて進めていただくように、私もお願いをしたいのでございます。
その次にお尋ねをいたしたいと思いますことは、今度の振興計画を見てまいりますと、実は前の復興計画には明らかに項目に、空港の整備、それから船舶等の整備項目が取り上げられておりましたけれども、今度の振興計画の中には、実は私たちがいただいているこの概要の中には、それが入っておりません。
そこで、まず中島さんにお尋ねをいたしますけれども、もう奄美の空港整備は現在で完了だ、あれでよろしい、こういうことになりましょうか。いやいや、もっともっと、やはりああいう遠隔の離島のことであるから、空港はもっと大事にして、りっぱに整備をしなければならぬということが残っておりましょうか。その点をお尋ねいたしたい。
それから局長のほうには、空港については、当局はどういうように振興計画の中で考えておられるのか、お話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/12
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013・中島信夫
○中島参考人 交通網あるいは交通体系の整備ということから申しますと、道路も十分に改良してほしい、港湾も十分に整備してほしい、空港もほしいということでございますけれども、一応限りのある予算の中で考えました場合、私も、ただいま道路の整備と、離島の港湾あるいは漁港等の整備をまず十分にやっていきたいということで事業を進めておるわけでございますが、私ども現地側の希望としては、できるならば空港もほしいものだと考えておるわけでございます。
先ほど申し上げましたように、大島本島の笠利町の節田に、第三種空港として飛行場が本年度をもちましてでき上がります。それから喜界島にも、一応場外飛行場でございますが、空港がございます。それから徳之島本島にも場外飛行場というのがございます。できるならば永良部、輿論、その方面に対して一ヵ所空港がほしいという感じを持っておりますが、ただ航空局のほうにおきます長期空港整備計画によりますと、四十三年度以降という計画に相なっておりますので、それともにらみ合わせながらひとつ考えていきたいというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/13
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014・佐久間彊
○佐久間政府委員 ただいま参考人から申し上げましたように、現在検討中の振興計画の案におきましては、本年度大島本島の笠利空港が完了いたしますだけで、その後のことにつきましては、ただいまのところ計画を乗せておりません。しかし将来の問題といたしましては、他の島におきましてもできれば空港があることが望ましいというふうに考えておりまするので、運輸省の計画ともにらみ合わせまして、将来の問題として検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/14
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015・川村継義
○川村委員 私、現地の飛行場の状態をよく存じません。そこで、全く申し上げておることが、架空的な意見となってしまうかもしれませんが、もちろん奄美のいろいろの問題を考える場合、船舶、海上交通というものがその中心をなしておるだろうということは考えられます。ただ、やはり時勢の進展に伴って、奄美のさらに発展を考えるときには、航空路というものは軽視できない問題があると思うのです。そうなると、現在整備されました大島の航空路あるいは飛行場というものが、一体どれくらいの能力があるのか、やはり気になります。できたら大きな安全な飛行機が発着できるような設備が、私はほしいのではないかと思う。よく近ごろ事故ばかり起こしておりますけれども、乗ったら命の縮まるような思いをして飛んでいかなければならぬような、そういう飛行機でない飛行機が発着できるように考えておくことは、やはりこの振興計画を立てる場合に必要ではないか、そういう気がしておるのであります。この点もひとつぜひ御検討おきいただきたいと思います。
それから、いろいろ問題が多うございますけれども、その次にお尋ねをいたしたいと思いますことは、防災及び国土保全の問題でございますが、この前もちょっと当局にお聞きいたしましたけれども、復興計画では国土の保全として大体九億二千万円にのぼるところの事業計画でございまして、それは構成比の四・三%を占めておりました。今度の防災及び国土保全の計画によりますと、ぐっと金額が落ちて五億七千万円余り、そしてこれは三・三%の構成比であります。ということは、復興計画に比べて振興計画のほうは防災及び国土保全に力を尽くすとはいいながらも、この事業計画の上では少し軽く見てあるのではないか、こう思われてなりません。ところが奄美のことを考えると何といっても一番に頭にくるのは台風であります。奄美の道路あるいは港湾、それらの整備問題を考えても、主要産業の振興を考えても、そのほか民生安定あるいは文教施設等の整備を考えても、奄美においては特にこの防災問題というものを抜きにしたならばたいへんな問題が起こる、何といっても奄美は防災、国土の保全ということを、よその土地よりももっともっと大きく考えてやらねばならぬ土地柄ではないか、こういうように私は思います。河川の改修等にいたしましても、まだまだずいぶんと改修の必要なものが残されておるようであります。砂防工事にいたしましても、まだいろいろの川の水系の砂防が十分でない地点が非常にあるということを聞いております。海岸の堤防保全等においても、もっともっと重点を注いでやらなければならぬ地区があるということでありまして、これなんかも、保全事業をやりたい地区、復興事業においてもまだまだ十分手が届いていない、そういうところがあるといわれております。治山事業におきましても、特に防風林の問題等については、ずいぶん手抜かりがあるやに承っておりますが、そういう点から考えると、この防災問題というものは、もっともっと強く考えてやらねばならぬと思うのでありますが、振興計画の金額等で一体十分なのかどうなのか、私は非常に危惧を持っておりますが、これは当局のほうからひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/15
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016・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘のように、構成比といたしますと国土保全関係が若干落ちておるわけでございますが、内容をごらんいただきますと、河川につきましては復興計画で五億余でございましたものが、振興計画で二億余、これが一番大きく変わっておるわけでございます。これは奄美の河川につきましては、一通り、重要なものにつきましては改修整備が復興計画で終わっておるために、振興計画におきましてはその額を減じておるわけでございます。そのほかの砂防、海岸、治山につきましては、金額につきましてはそう大差ない。砂防につきましてはさらにふやしておるわけでございます。しかも復興計画は十ヵ年でございますが、振興計画は五ヵ年でございますので、もちろん物価の点はございますけれども、私どもといたしましては、河川を除きましたほかのものにつきましては、復興計画以上に力を注いだ計画に考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/16
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017・佐野憲治
○佐野委員 ちょっと関連して。ただいまの川村委員の質疑に関連いたしますけれども、鹿児島県の県勢資料によりますと、たとえば河川の改修を要する護岸の延長が十八万三千六百三十九メートルで、復興事業では一八・五%の改修率にとどまっておる、このように指摘されておるわけですが、いまお話を聞きますと、復興計画においては大体所期の成果をあげておるのだ、だから振興計画におきましてはある程度構成比率も低くなってきているのだという説明ですが、食い違っているのじゃないかという感じがしますのと、ここは台風の常襲地帯であり、季節的な多雨地帯として非常な災害を受けておるのじゃないかと思うのですが、奄美大島の最近における災害総額は一体幾らくらいになっておるかということと、これに対する災害復旧事業の進捗率はどのような現状になっておるか、この点をひとつ御説明願いたいと思います。これは当局からでも参考人からでもけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/17
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018・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。準用河川が八十一キロございます。そのうち災害復旧をいたしましたのが十五キロ五百四十四でございます。普通河川が三百四十四キロございますが、それに対しまして災害復旧でやりましたものが四十二キロ六百四十五という状況に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/18
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019・佐久間彊
○佐久間政府委員 先ほどお答えいたしましたことばが少し足りなかったかと思いますが、復興計画におきまして、主要な河川につきまして一応の整備ができておるということでございまして、振興計画におきましても、ごらんのように額は減少いたしておりますが、国土保全関係では一番多額の経費を河川改修に予定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/19
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020・川村継義
○川村委員 いま佐野委員から質疑のあった点でございますが、私はこまかい数字をよく存じませんけれども、何といっても、まだ防災及び国土保全の取り上げ方が私は——もちろん当局は復興計画の実績に基づいて振興計画の策定=なさっておるとは思いますけれども、鹿児島県勢資料等によると、いま佐野委員から申し上げましたように、どうもまだ十分でない、こういうふうに思われてならないのであります。たとえば海岸にいたしましても、鹿児島の資料によりますと、これは間違っておったらあとで参考人のほうからお聞きいたしたいと思いますが、海岸保全地区が三十地区だけ指定をされておる。その総延長が十二万三千四百八十九メートルある、実際保全区域についてなされた実績は二九・七%だ、こういうようなことが報告をされております。そうなりますと、局長の言われるように、復興計画で指定した地域のほとんど半分にも満たない仕事しかできていない、そういう点を考えてまいりますと、復興計画でやり残したところをあとで追いかけてやるという意味にはならぬのではないか。もっともっと新しい角度から海岸保全等を考えなければならぬという仕事が残っておると私は思うのです。一例でございますけれども、そういう意見でもっと国土保全の事業計画というものを高めて考えねばならぬのではないか、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/20
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021・佐久間彊
○佐久間政府委員 私どもといたしましては、この全体の計画の中で、お手元に御提出申し上げておりますような資料の数字で大体よろしいのじゃないか、こういうことで案を考えておったわけでございます。しかしこれは予算要求をいたしますときの資料としてつくりました案でございますので、なお御審議の過程におきまして、いろいろ御意見のございましたところは、法律が成立いたしましたならば、振興審議会にかけて御審議をいただいた上で決定されることになるわけでございますので、その間におきまして、よく検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/21
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022・佐野憲治
○佐野委員 関連。私などが質問いたしておるのは、奄美群島に二百河川がある。そのうち復興計画に組み入れられたのは準用河川が二十一、普通河川が八、総延長三万五千六百七十四メートルに対し三万四千八十五メートルの改修を見た。これに対する進捗率は一応の成果を上げているかもしれませんけれども、しかしながら、全河川中から見てまいりますと、十八万三千六百三十九メートル、これだけのものが改修を要する護岸だが、こういうぐあいに指摘されておるわけですが、これの進捗率は復興事業においては一八・五%しか改修されていない。他の河川は、やはり二百あるいは三百ミリ程度の雨量によってはんらんする危険性を含んでおるのだ、こういうぐあいに指摘されておるわけです。そういたしますと、現在一体奄美大島においてどういう災害が発生しておるのか、災害の発生とこれに伴う被害の総額、河川のはんらんその他で公共施設あるいは一般の民有財産にもいろいろな被害を及ぼしておるだろうと思うのですが、これが近年どういう状況になってまいっておるか、こういう点をひとつ最後に御説明願いたいという趣旨なんですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/22
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023・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。まことに申しわけないのでございますけれども、数字の持ち合わせがございませんが、本局の河川は非常に短くて急勾配だ、それから土砂が非常に粘結度が弱いために流出して河床を持ち上げるというような関係、また雨も一時的に急激に降る。したがって河川のはんらんする度合は非常に高いわけでございます。そういった点から、私どもは緊急措置を要する個所をピックアップいたしまして、復興事業でやってまいりました。一応一八・五%という非常に低い改修率でございますけれども、これで何とか一応押え得るのではなかろうか。それについて、少し不足したもの大体十七河川程度を振興計画の中に織り込みまして、一応河川のいわゆる災害予防という意味の対策を構じておるわけでございます。決して十分というわけでございませんけれども、一応被害の大きな河川についてはある程度改修護岸は施行されておる、そういったふうに私どもは考えておるわけであります。なおどうしても補完をする必要があるという十七河川については、また別途振興計画のほうでお願い申し上げておるわけであります。それが大体十四キロ程度に予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/23
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024・佐野憲治
○佐野委員 それはわかるのですけれども、そういう現状の中にあって、台風常襲地帯であり、季節的な多雨地帯としての特殊性を持っている中で、最近における災害の発生状況は一体どうなっているのか、とどまっているのか。この復興計画による改修の結果、災害件数が少なくなってきているのか。河川のはんらん状態はどうなっているのか。この点の資料があれば御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/24
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025・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。先ほど申し上げましたように、数字の持ち合わせがございませんが、一応復興事業の中で、河川災害からこれを防止し得たという、事業効果と申しますか数字がございますので申し上げます。一八・五%の改修率によりまして、河川のはんらんから生ずる被害を防止した効果といたしまして、世帯数は三千三百、人口一万三千五百十五、宅地で百十五ヘクタール、田んぼで四百七十ヘクタール、畑で四百五ヘクタール、道路が十五キロ、小中学校が六校、こういったものが大体救済されると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/25
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026・川村継義
○川村委員 いろいろお尋ねしたいことは多いのでございますが、またほかの方の御質疑もあろうかと思いますので、大急ぎで残りの問題二、三点をお聞きしておきたいと思います。
その次に主要産業の振興策についてお尋ねしたいと思います。奄美の主要産業といえば、私たちの頭に出てくるのは砂糖、水産業、こういうのが頭に浮かんでくるわけでありますが、全部についてお聞きする時間もありませんから、まず砂糖についてお聞きしたいと思います。
これは参考人からでもよろしゅうございますし、当局からでもよろしゅうございますが、奄美の黒糖生産振興の具体的方針は一体どういうものをお持ちか、これをひとつお聞きしておきたいと思う。
それからその次にお聞きしたいのは、いま分みつ糖工場ができているのでありますが、いま大型の工場が幾つあるか、小型の工場が幾つあるか、こういう点を初めにお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/26
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027・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。大型工場が十二工場でございます。小型工場が、これは実体がなかなかつかみにくいのでございますが、大体現在の時点で稼働していると思われるものが二百八十八工場ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/27
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028・佐久間彊
○佐久間政府委員 振興計画でどういうものを考えておるかということでございますが、これは復興計画から引き続き考えておるわけでございますが、優良品種の改良でございますとか、栽培技術の改善ということ並びに大型工場の充実をはかって分みつ糖化による安定と拡大出産の体制を確立をしてまいりたい、あるいはまた地力対策といたしまして堆肥舎の設置や土地改良事業を推進をするというような各般の施策を多角的に実行してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/28
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029・川村継義
○川村委員 黒糖生産の問題については、あるいは品種の改良の問題、作付面積の問題、生産費を低減をしていく問題、あるいは干ばつに対する対策、いろいろなものがやはり総合的に考えられねばならぬと思っております。ただ、いまのお話のように、大型の分みつ糖工場をつくることだけが決して黒糖生産の振興にはならない、私は実はこういう見方をしておるわけです。と申し上げますのは、御存じのとおりに昭和三十五年現在で大型の工場は六ヵ所できておったはずであります。横浜精糖等の資本が進出をしてつくった大型の工場であります。この大型の工場が、いま参考人のお話によると十二ヵ所あるということでありますならば、三十五年からわずか数年の間に倍の大型工場ができたことになる。ところが、三十五年当時六ヵ所であったところのこの大型の工場が一体どういう影響を与えたかというと、それはある点の化産安定の力にはなったかもしれませんけれども、この復興事業が始まったときには総工費一億七千万円を使って、ほとんど農業協同組合を単位として小型工場が六十四ヵ所つくられたはずであります。ところがこの十年ばかり前にできたそういう農業協同組合を中心とする小型工場は、三十四年から始まったところの大型工場出進のためにどれもこれも大打撃を受けて、いわゆる操業不能に陥るという工場が出てきた。そこで、農業協同組合のその小型工場は補助金をもらってつくっておりますけれども、融資及び自己資金を投入した——特に融資の返還に追いまくられてとてもやっていけないという苦境に陥ったのであります。これが大型工場の進出によって与えられたところの実は一つの影響でありまして、こういう点が、ただ大型工場が進出をしてくれば出産安定に役立つと、それだけを考えても生産農民の立場からいうと、いろいろな問題があると思う。そういう点を考えて対策を進めねばならぬのではないか。
そこでいま一つの問題は、いわゆる砂糖キビからとったところの黒糖の価格であります。毎年毎年価格については、大型工場と農民との間にトラブルが起っておるようでありますけれども、現在の——これは参考人にお聞きいたしますけれども、この大型工場が買い入れておるところの砂糖の価格というものは、幾らに契約をなされておるか、御存じでございましたらお知らせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/29
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030・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。ただいま奄美におきましては、生産農家と会社側との間に、毎年製糖開始前に価格の協定を行なっておるわけでございますが、三十八、九年度におきましては、大体こういうようなとりきめをいたしました。ブリックスが十八度標準糖価百四十円の場合に、一トン当たり五千九百円、それにつきまして上白糖の相場が一円上下するごとに五十円増減する。ブリックス一度上下するごとに三百三十円を増減するのがとりきめでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/30
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031・川村継義
○川村委員 黒糖生産の問題は、いろいろと重要な課題を実はになっておると思いますが、いまお示しいただいたように、地産農家に対するところの価格というものが適正でないと、非常に大きな問題が起こると思います。いまお示しのように、ブリックス十八度、これが五千円程度であるということでありますが、こういうものについては、もちろん農民と会社との契約によるのでありますけれども、やはり大島の支庁とかそういう関係者の皆さんが、生産農民の所得についてできるだけ適正な価格のあっせんをしてやるというような努力をすべきではないか、一方の大型工場は何といいましても、大きな資本にものをいわせる、そうしていずれの農産物においても見られるように、生産農民の生産物を買いたたいていく。これが一つの態度でございますから、こういうものを十分なる価格において契約をさせる、こういうことが忘れられてはならない。特に奄美の製糖、奄美の農民の立場を考えると、それが大ではないか、こういうことを思うわけであります。こういう点はひとつ当局も十分御配慮をいただきたい。
そのほか、当初申し上げましたように、今日黒糖の生産は反当たりの出産力は高まっておりますけれども、耕作面積は必ずしも広くなっていない。そういうのが実情のようであります。そういう作付面積の拡大の問題、あるいは干ばつの対策、あるいは品種の改良、いろいろあると思います。これらの仕事を進めていく上においては、先ほどもちょっと触れましたように、農道の改修であるとか、あるいは土地改良であるとか、幾つかの手だてが総合的に考えられていく必要があると思いますので、実際の事業振興にあたっては、私が申し上げるまでもなく、ひとつ現地の皆さん方の努力や、あるいはこういう振興計画を立てられる自治省の努力をお願いをしておくわけであります。
それから水産業の問題、つむぎの問題等いろいろございますけれども、抜きにいたしまして、大急ぎでお聞きをいたしますが、大島の電力料金が非常に高い。これは一体どこにその原因があるのでございましょう。参考人のほうで御存じでございましたら、お知らせいただきたい。電力料金が高いということは、これはいろいろの面において影響があることは、私が申し上げるまでもないと思います。九州電力がいまでは日本で一番高い電力料金だと言われている。その九州電力よりも大島電力のごときは非常に高い料金をとっておるわけであります。これでは、奄美の産業の復興あるいはいろいろの経済の進展を考えるときに、電力料金の高いということは、非常に大きい影響を与える点ではないか、こういうところを考えていかなければ、振興計画の上においても非常にそごを来たす内容を含んでおると思います。こういう点について十分対策があるものならば立てさせなければならない、電力会社の生産コストが高いなら、どこにその原因があるのか、それに対して、あるいはもっと融資の道を講じてやるというような方法も考えられてこねばならぬと思うことであります。そこで、そういう点を考えておりますので、電力料金の高いその原因、それが及ぼしておる影響、そういうものについて参考人から御意見を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/31
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032・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。現地におきましても、巷間、大島電力の料金に非常に高いという声は非常に強いのでございます。一応私どものほうで調べました数字を申し上げますと、大体電気料金におきまして二十ワットで一・七二倍、従量灯の場合一キロワットアワーで一・九倍、電力料金のほうで、一キロワットアワーで一・九倍、事業用の電力料金では、低圧で一キロワットアワー一・四九倍、高圧では一・七五倍、大体二倍近い高い料金と相なっておるわけでございます。一部には、電気料金の場合大体二倍なんだ、電力料金が大体四倍だという声もございますが、これは数字のとり方いかんによると存じますけれども、電気料金の場合は、九電と大島電力と比較し、売電量全部を収入料金で割るという形をとればそういうことになるかもわかりませんが、私どものほうでは、一応正規の計算をしますと、こういう数字がまあ妥当なものではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
なお、電気料金の場合でございますが、現地におきましては、二十ワット一灯とっておる家庭が、全体の契約灯序数の大体八二%を占めております。したがいましてその八二%を占めておる二十ワット一灯の短気料金はどのくらいの差があるかと申しますと、大体一・三八倍、一般の利用者の最大多数を占める二十ワット一灯のうちでは、九電に比べたら三割程度高い料金を払っておるというのが実情ではなかろうかと考えております。
電力料金がなぜ高いかということと同時に、大島電力自体の経営の問題でございますが、ただいまでは、会社が公表しております決算書類によりますと、大体九百万円程度の黒字を出しておりますけれども、これは減価償却を十分見ておりませんので、これを一〇〇%見た場合には逆に五百万余りの赤字になるのじゃなかろうかというふうに見られておるわけでございます。それにしましても大島電力が、五つの島に分かれておって、一つの発電所から電力供給を融通し合うということはなかなかできませんし、また送電施設がまだ非常に整備されていないということで、電源開発も会社自体として、復興事業の中では十分応援してまいったわけでございますけれども、まだまだ不十分だ、なお四十三年度を見通した場合には、現在の六千八百キロワット、全体を合わせてまだ大体四千二百キロワットくらいの発電所を増設する必要があるのじゃなかろうかというふうに考えられるわけでございます。かたがた大島電力では、未点灯解消事業その他公共的な性質を帯びた事業も強力に進めていかなければならないというような関係もございまして、会社が一本立ちになって昼間送電を十分にやっていく、電圧も高低平均化されて、電力の質も向上させるという面ではまだなかなか手が及ばない状況に相なっておるわけでございます。したがいまして、現地におきましては一日も早く——戦前九配の営業区分に入っておったわけでございますので、行政分離という八ヵ年の空白期間があったとはいえ、やはり戦前どおり九電に吸収されるべきであるということで、現地ではそういった九電への速急合併を非常に強く望んでおるわけでございます。私どもといたしましても、とにかく現在の状況下においては大島電力を十分に整備して、いずれ九電に移すにしても、九電が吸収しやすいような形で、大島電力の経営をしっかりさせていく必要がある、そういう意味におきましては、やはり国からの強力な御援助がなければ、大島電力自体の力ではどうにもならないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
なお、御参考までに申し上げますと、電気料金収入が大体一億八千万ぐらいであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/32
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033・川村継義
○川村委員 いまお話しの中にございましたように、大局の住民の方々の生活の程度というものも、この電灯使用の状態から察知をされるわけであります。とにかくこのように高い料金を取っておるということは、大島の住民の生活にも相当の影響があるわけであります。と同時に、これから進めていかなければならないと考えられておる各種産業の発展にも、やはりこれは大きな影響を持つものだと思います。大島の電力料金の高い原因はいまお話しの中から受け取れるわけでございますけれども、振興計画を進めていかれる自治省としては、あるいは経済企画庁、通産省、関係各省と十分連絡協議をされて、この電力料金をできるだけ低減していく方策を見つけて、それを発電会社に与える、そういうような施策をとってやることは、私はぜひ考えていただかなければならぬ重要な問題だと思います。そこで、この問題についていまここでいろいろとお答えをいただくことはむずかしいと思いますけれども、私がいま申し上げました方向で、ぜひひとつ真剣に取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
あと急ぎますけれども、今度の振興計画には、私がいただいておる概要を見るとハブ対策というものが抜けておる。もちろんお考えにはなっていると思いますけれども、復興計画の中にはちゃんとハブ対策というものがこの項の中に掲げてある。今度の振興計画には落ちております。ハブ対策をお進めになるおつもりかどうか。私がなぜこういうことをお聞きするかというと、奄美大島というところは、ハブ対策はまだないがしろにできない問題があると思います。これによって人命が相当損傷されておることはいつも聞くことでありますから、ハブ対策をなぜ振興計画の項目から落としておられるか、あるいはまた私が見落としておるのか、そういう点について当局のお考えをちょっとお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/33
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034・佐久間彊
○佐久間政府委員 ハブ対策につきましては、振興計画におきましても引き続き対策を講じてまいりたいと考えております。ただ復興計画におきまして相当な成果をあげまして、一応軌道に乗ってまいっておりますので、金額的に申しますと、振興計画におきましては相当少な目に見積もっております。したがいまして、お手元に差し上げました資料の大きな項目にはあげなかったわけでございますが、引き続き対策を講じてまいりたい。対策の中身といたしましては、ハブの買い上げ並びにその撲滅のための生態研究をやってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/34
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035・川村継義
○川村委員 時間がございませんから、たいへん恐縮なんですが、急ぎます。水道施設の問題、社会福祉施設の問題等についてはもう抜きたいと思いますが、最後に私は次官に二つばかりお聞きしておきたいと思います。
その一つは、先ほど私が局長に御質問申し上げておきました内容でございますけれども、繰り返してたいへん恐縮ですが、奄美の住民の生産所得あるいは名目所得、そういうものを見ても本土の全国平均のまだ四十何%で、低い。鹿児島の本土に比べても七〇%余りでたいへん低い。今度五ヵ年計画で振興させて、鹿児島県並みにしようという希望と願いを持って努力されることになっております。しかし、たいへん困難なむずかしいことではないかと、これまでの復興計画の事業進行の経過から見てもそういうように憂慮しておるものであります。そこでお聞きしたいことは、五ヵ年の振興計画をやってみて——あまり先のことを聞くのは恐縮でございますけれども、やってみて、どうしてもうまくいかぬというときには、やはり当局はさらに年限を延長してでも振興計画を進めていく御決意かどうか、これをひとつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/35
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036・金子岩三
○金子政府委員 お説のとおり奄美の開発は、立地条件等もございましてたいへん困難な問題でございまして、五ヵ年で本土並みあるいは鹿児島本土並みに住民所得が引き上げられなかった場合、あと五ヵ年また再延長して、復興計画、振興計画を立てるのかという御質問でございますが、五年先きのことでございますので、そのときになりましてからひとつ十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/36
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037・川村継義
○川村委員 いいです。まあ、いまお聞きするのは無理かもしれませんから……。
第二にお聞きしたいのは、この前の委員会で私は信用基金の問題についていろいろお尋ねをいたしました。ところがこの内容で幾つかの問題がある中で、実は融資業務の利率等々が高い、高いというよりも、これは前回の十ヵ年復興計画が改定されたときにも問題にして、奄美の実情を考えると、むしろ内地よりも少しでも優遇することが必要ではないか、そのとおりでございますと、たびたび答えておったけれども、一向この点については触れられておらない。第一次産業については七分五厘、その他の第二次、第三次産業について融資する場合には九分五厘、これはもうほかの政府系統の関係金融機関等の貸し出しに比べてたいへん高いですね。これでは奄美の人たちのあの経済力あるいは所得力からしても大きな負担になると思うのです。そこで融資業務に対して一体こういう利率を引き下げてやる努力をする決意があるのか、また、どうするのか。それが一点。
それから第二の問題は、今度は保証業務について保証の手数料等がこれまた非常に高い。しかも十年一日のごとく考えて、全然手をつけていない。こういう保証業務のあれを考えると、これは借りる者は一割何分という高い負担に実はなるわけです。そういう点について、保証の手数料等をやはり引き下げてやる努力がされねばならぬと思います。でなければ、やはりこの仕事をしていく上に何といっても一番金でございますから、地元の中小企業あるいはその他の個人、こういう諸君が、そういう点で荷が軽くなるように考えてやるのはもう当然だと思う。私はこの点について、前回の委員会でいろいろと御意見を承っておりましたが、この際次官からひとつその点についての決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/37
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038・金子岩三
○金子政府委員 川村委員の御意見、ごもっともでございます。三十九年度から貸し付け利率の引き下げと償還期限の延長をする方向で検討いたしております。これは保証料の引き下げ等も加えて御要望にこたえるべく検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/38
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039・川村継義
○川村委員 たいへんありがとうございました。ぜひひとつ実現をしていただきたい。
実はほかにいろいろございますけれども、私一人で時間をとってしまいまして恐縮ですから、参考人及び当局に対する私の、参考人の御意見開陳に基づく質疑を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/39
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040・重盛壽治
○重盛委員 関連して一言、二言お聞きいたします。関連ですからごく簡単にいたします。
私は奄美大島の実態を実は存じておりません。したがって内容についていろいろいままでほかの委員のお聞きしたことだけでは非常に心配だということが考えられます。さらに政府のこの五ヵ年計画では、大体一〇〇%になるんだというようなことをいわれております。これは先ほど川村君のいわれましたように、鹿児島県本土に対する比率が一〇〇%であろうと思いますが、その点を明確にしてもらいたいし、もう一つは、五ヵ年計画でできない、その場合に、先の五ヵ年のことまでお約束できない、これはまあ当然のことであろうと思いますが、それならばこの五ヵ年計画の組み立て方式がどういう角度で組み立てられておるか、たとえば今日の物価指数によって、今日の経済状態によって、過去何年かの実績等を考慮の中に入れてたとえば百七十七億を出す。さらに自己負担を加えていくならば一〇〇%までいくんだという指数を、どういうふうに計算をしてこの五ヵ年計画を樹立したのか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/40
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041・佐久間彊
○佐久間政府委員 五ヵ年計画の目標といたしまして、鹿児島県本土の住民所得の水準に近づける、こういう目標を掲げております。全国でなくて鹿児島県本土に対してでございます。
それからこの五ヵ年計画の立案にあたりましては、計画の目標を、ただいま申しましたところに置きまして各種の事業を検討をいたしております。計画の重点といたしましては、従来の復興十ヵ年計画が、荒廃して復帰をしてまいりました当時の状況に対応いたしまして、速急にやらなければならない道路、港湾、公共施設等の整備に力を注いでまいりました。十ヵ年やりました結果、おおむね十ヵ年計画の目標は達する見込みになっておるわけでございますが、現在のこの状況というものも分析をいたしてみますと、多額の国費をこの大島に投入をいたしまして、それにささえられての所得水準の向上というような点が相当多いと思うわけでございます。そこで将来の目標といたしましては、群島住民が経済的にも自立していけるというところに目標を置かなければなりませんので、今回の振興計画は、引き続き従来の復興事業の残りましたものを進めますと同時に、住民の経済的な自立を促進いたしますために、根幹となります各種産業基盤の整備ということに特に重点を置いておるわけでございます。それとともに、一応の公共施設が整備されておりますけれども、これは最小限度の民生安定のためのものでございますので、さらに生活水準の向上のために各般の公共施設の整備を進めてまいりたい、かような考え方をいたしまして、この計画を立案いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/41
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042・重盛壽治
○重盛委員 私の言いましたのは、この計画を出してこれをおやりになる、このことはいいのです。いいが、そういう過程の中において、従来政府の五ヵ年計画というものは、たとえば国鉄五ヵ年計画、新道路五ヵ年計画、ありとあらゆるものがみんな五ヵ年計画で打ち出されておる。しかしそれが完遂をしたのは、私の知っておる限りでは、ない。たいがい二年か早いものは一年のうちにも経済状態の変化、そういうものとの関連から変えざるを得ないところに追い込まれておる。そういう関連性を、たとえば過去さかのぼって三ヵ年間なら三ヵ年間の経済状態の変動等を見込んでつくってあるのかないのかということを、まずお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/42
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043・佐久間彊
○佐久間政府委員 お話のような点も検討いたしまして作成をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/43
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044・重盛壽治
○重盛委員 そうだとすればたいへん画期的な計画で、私は心から賛意を表します。
そこで、先ほど中島さんのお話の中に、私の聞き違いかどうか知りませんが、若干、率直に申し上げてお声が小さかったように感じるが、せっかくけっこうな計画を立てていただいたんだが、まだこれでは不足であるように聞こえたが、一段の御支援をお願いしたいというようなことばが中に入ったように考えまするが、こういう計画で、いま政府の言われるような、佐久間さんの言われるような形で五ヵ年計画が推し進められる場合、先ほどから言うような島民の所得現状等を考えるとかなり苦しいのでありますが、自己負担がはたしてできるのかできないのか。と同時に、いま出ておるもので、ここにあらわしただけの仕事の内容が五ヵ年間に消化できる自信があるのかないのか。さらに率直に申しますならば、参考人としておいでを願って、その中でどうしてもきょうは訴えていかなければならぬという何かがあるのかないのか、こういうところを非常にざっくばらんで恐縮ですがお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/44
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045・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。率直に述べろとおっしゃっていただいたわけでございますが、一応私どもといたしましては示されております補助率、これは実のところもう少しめんどうを見ていただきたかったという感じがいたします。それと、従来補助事業であったものが、融資事業にある程度切りかえてございます。これは何が何でもすべて国におんぶしてもらうんだという考え方は、また群島住民としても芳しくない、考え方としてよろしくない、自分でしょえる荷物はできるだけ自分でしょっていこうじゃないかという考え方で、この辺で奨励事業としての目標を達成したと思われる事業は、ある程度融資事業のほうに切りかえたものがございます。それにしましても、市町村の財政力は非常に弱うございまして、たとえば歳入のうちに自主財源の占める比率はわずか一七・九、大体一八%ぐらいでございます。地方税税収は八%ぐらい、非常に財政力は弱いという事情にあります。そういう観点から、できるだけ補助率は高いにこしたことはございませんけれども、国のほうにいたしましても、予算にも限度がありますことですから、この辺で、この程度のところで何とかやっていけるのじゃなかろうかというふうなめどを一応立てまして、ただいま振興五ヵ年計画の年次割り振り、それから将来の起債の償還財源の問題、いろいろ目下現地におきまして検討中でございます。できるだけのことは自力でやっていくというたてまえでやっていくつもりでございますけれども、どうしても起債の償還に困るということがございますれば、またあらためて政府のほうにお願いしたいと存じますけれども、とりあえずのところは、一応このままでやらしていただくことにいたしますけれども、ただ考えていただきたいことは、起債の充当率を相当高く見ていただきたいということを一応考えておるわけでございます。大体以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/45
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046・重盛壽治
○重盛委員 関連ですから簡単にしますが、いままで私は運輸とか建設で五ヵ年計画というものを何回も見てきたが、その五ヵ年計画を立てる場合に、おおむねその年度内における経済状態においてつくられる。したがって、五ヵ年計画は言うべくしてできなかったというのが現状であります。いま佐久間さんのお話を聞くと、そういう物価の値上がりやその他も考慮して五ヵ年計画をつくったという、これはまことに大躍進であろうと私は考えます。ただ感じとして、非常に補助率が少ないのではないか。したがって名目補助にならないように、いま言われたような、実態が必ずや完遂できるということを——私は五ヵ年先の返答をしろとは言わぬが、来年になって、すでにあの計画ではいけないという実態が生まれてくるやに感ずるのです。少なくとも一年、二年先の責任はお持ちになっていただかなければならぬことが一点です。同時に、いま島民の現状をお聞きすると、たいへん遠慮をなさっておりますが、かなり困難な面があるようでございますから、先ほど川村委員の言われましたように、別途の処置を、補助率の引き上げも私どもは当然望むところでありますし、そうしていただけるようにお願いしたいと考えておりますが、そのほかにたとえば減税であるとか、公共料金の引き下げであるとか、自治省が中心になってやり得ることは、やはりこの仕事の一環として徹底的な方針を打ち出していくということでなければ、いわゆる総合施策においてこれをやっていくということでなければこの問題の解決は困難ではなかろうかというように考える。したがって、そういう仕事に対する中心的な役割を自治省が演じていただきたい。それからくれぐれも申しますように、行き詰まりを来たすというような事態が必ず——私の言うことがあってはならぬことでありますが、私の感じでは、冒頭言うように、大島を見ておりません。知っておりません。地図で知り、いまの資料等で知っております程度でありますから、見当がはずれるかもしれませんが、従来のあらゆる体験あるいは経験等から見ますと、どうもこれではいかぬという感じがひしひしとするのです。ですから、たとえば災害の問題は別個扱いますというようなことを、きょう言えるなら明確にそういうこともしておく。それから一年たって、いま私の言うような状態にきたならば、この処置は五年先を待たずしてやっていくということでなければ、それは五ヵ年計画を立てて、五ヵ年済んで、またやり返すということになれば、またもとからやることになる。申し上げるまでもなく、それがいわゆる私の言う名目補助になっていく。ほんとうに国の仕事を一ヵ所だけでも片づけていこうとするならば、その進行状態とにらみ合わした処置を一年ごとに五年計画は立て、さらにそれが一年に、半年にどうなったかということをやって、それに適応した処置を講ずるという考え方がなければ五ヵ年計画というものは遂行しないというのが私の考え方であります。
若干意見が入ったようでありますが、そういう意味合いで、現次官の決意をお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/46
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047・金子岩三
○金子政府委員 まことに適切な御意見でございまして、昨年九月に佐久間行政局長が現地におもむきまして、現地もよく視察いたしまして、慎重な策定のもとに五ヵ年計画はなったものと考えられますけれども、御意見はまことにごもっともな御意見でございますから、ひとつ御趣旨に沿うべく努力いたし、もし大きな変革があれば来年度は考えてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/47
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048・伊東隆治
○伊東(隆)委員 私は前会におきまして、私の立場におきまする質問は終えておりまするので、今度は関連質問を二、三いたしたいと思います。
参考人にお尊ねしたいことは、今度の補助率の低さによって県及び市町村、それから団体がどの程度に肩が重くなったかという数字をそこにお持ちでございましたら御披露願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/48
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049・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします、昭和三十八年度の復興実施計画に基づきます国庫補助事業に伴う地元負担を比較してまいりますと、大体県分で一億七千九百五十六万三千円、市町村分で二億七千九百四十一万三千円、それから団体で四千百十五万円、合計五億十二万六千円、これだけ増に相なる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/49
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050・伊東隆治
○伊東(隆)委員 その数字は前回の行政局長の申された数字と多少違いますけれども、大体において大同小異でございます。これだけの重い数字が県及び市町村、団体の肩にかかってくるわけでございますので、ただいま重盛委員が非常に御心配になりました御質問は、私におきましても非常に心配いたしておる点でございます。ちょうど財政局長がいま見えておりますが、この前の私に対しまする回答があまりはっきりいたしていないので、この機会にひとつこれに対する自治省の気持ちをはっきりと述べておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/50
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051・柴田護
○柴田政府委員 補助率をどうするかという問題につきましては、奄美群島が復帰してから相当年月がたつわけでありますので、逐次自立的意欲を盛るという方向で、全額とまではいきませんが、多少一般並みに近づけるということをやっております。しかしながら奄美群島の市町村の財政状態は本土と比べますならば非常に悪い、こういう状況でもございますので、私どもは結局その裏負担というのは現在の奄美群島の市町村にとっては非常に苦しいものになるだろうと考えているわけでございます。したがって、振興事業に対します市町村負担分につきましては、復興事業時代と同じような財源措置、つまり振興事業ということになって多少とも事業の色彩は変わってきているのでございますけれども、財源措置といたしましては復興に専念した時代と同じ態度で臨みたい、したがって、地方債をつけるというわけでございますが、先ほど地方債の充当率を上げろというお話もございましたけれども、地方債の充当率を上げましても、結局借金にはね返ってくるわけです。当面は地方債をつけて、そして事業の進捗をはかるわけですが、その元利償還については特別交付税、普通交付税を加えまして、両面から措置をしていく。私どもはそういう意味合いで地方債をつけて事業の進捗をはかり、元利償還金につきましては交付税の配分を通じて財源措置をとりたいと思っております。したがって財源的な問題につきましては不安はないというようにお考えになってけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/51
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052・伊東隆治
○伊東(隆)委員 この機会に中島参考人にお伺いいたしたいのですが、過去十年間の復興時代の起債のつけ方は、大体七割くらいだったろうと記憶しておりますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/52
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053・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。事業によって差異はありますが、大体七割から八割、わりに高くつけていただいたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/53
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054・伊東隆治
○伊東(隆)委員 この前の財政局長のお話では、そういう融資関係の事業は大体六割程度でまかなうような御趣旨のように承ったのですが、どんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/54
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055・柴田護
○柴田政府委員 六割は県分だと思います。市町村分につきましては平均七割程度で、これは変わることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/55
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056・伊東隆治
○伊東(隆)委員 ただいま申し上げましたように、市町村や団体の肩が非常に重くなったという補助率でございますので、融資のつけ方も、いままで七割ならばむしろ七割五分とか八割とかいうふうに少し上げていただくのでなければ、この計画が円満に遂行されるだろうかという皆さんの心配が一そう深まると思いますので、たとえば辺地債にも限度がございましょうが、辺地債とか特交とかいうものの考慮も、この機会に自治省としては考えていただくということでなければ、この計画は円満に遂行できないと思いますが、これに対する自治省のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/56
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057・柴田護
○柴田政府委員 この間お話し申し上げましたように、奄美群島の振興事業につきましては、辺地債などで片づけ得る問題ではないと私どもは考えておるわけでございます。したがって、復興事業と振興事業とは、性格的に言えば多少変わってくるわけでありますけれども、私どもの気持ちといたしましては、財源措置的には復興時代と同じような手厚い保護を考えていきたい、こういうことでございますけれども、なお事業の具体的な問題につきましてもお話しのような点は十分考慮していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/57
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058・伊東隆治
○伊東(隆)委員 先ほどの質問応答の中にございましたように、五ヵ年計画でございますからこの五ヵ年間にいろいろの経済上の変動がある。一年、二年たったときのぐあいでは、あるいはこの補助率ではとうていやっていけないようなことが起きてくるかもしれない。そういう場合には、どうしても補助率の改定を必要とすることが出てくると思うのであります。そういう場合におきます自治省の心がまえはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/58
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059・佐久間彊
○佐久間政府委員 この補助率は、五ヵ年計画全体を見通した上で、大蔵省と相談をいたしまして定めたものでございますので、私といたしましてはこの補助率によって五ヵ年計画が円満に遂行できるように最善の努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。もちろん将来のことにつきましては、またいろいろな変動もあることはこれは当然かと思いますが、この五ヵ年計画が円満に遂行できるようにという見地から、何か予想いたしません事態が起こりました場合には検討を加えてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/59
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060・伊東隆治
○伊東(隆)委員 単価の是正とかあるいはまた離島振興法におきまする補助率の改定とかあった場合には、もとよりこの振興法の補助率も考慮するということは、先般の私の質問に対しまして大蔵当局は考慮するということでございましたが、私がいま尋ねておることは、補助率そのものを、将来とも情勢によっては改定の心がまえをやはり自治省においてもやっておいていただきたいということを希望するわけでございますから、そのお含みでおっていただきたいと思うのであります。
補助率の点はこれだけにいたしまして、次に信用基金のことでございますが、これも先ほど来川村委員、重盛委員から非常に適切なる御質問がございまして、私の先般の質問におきましても大いに触れた点でございますが、群民といたしましては、この信用基金の制度はひとつ恒久化して、永久にこういう庶民金庫は奄美の特殊事情から設置しておいてもらいたいというほどにこれを非常にありがたがっておる機関でございます。御承知のとおり、国民金融公庫とか農林中金とかあるいは農林漁業金融公庫とか中小企業金融公庫等の庶民金庫は、それぞれその支所が鹿児島にあったりしまして、非常に不便を感じておるので——直接民生に関係のあるのはこの信用基金でございます。この保証料が高いとか利子の軽減がないことについては、先ほど来指摘がございましたが、聞いてみますというと、この点につきましても多少の軽減はあるように伺っておりますが、中島参考人、ひとつこれに関して御所見がありましたらお伺いいたしたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/60
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061・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。先ほども申し上げましたように、振興計画に基づきます事業を推進していく上におきまして、一般の金融ベースに乗らない事業、非常に規模が零細でございますので多いわけでございます。したがいまして、こういった信用基金に対する融資の期待というものは、かなり大きくなっております。現地側といたしましては、こういった信用基金というようなものは、できるものならば永久的な機関として、その地位というものを確定していただきたいものだというふうな感じを強く持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/61
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062・伊東隆治
○伊東(隆)委員 そういうわけで、この信用基金の活用ということは、奄美の振興法審議にあたりましてきわめて重要なポイントでございますので、これからの主要産業の振興という項目がこの振興法の支点でございますが、何をするにも先立つものは資金でございます。その振興を円滑ならしめる資金が実は乏しい。今年度ようやくまた五千万円の増加があったくらいでございます。この法律によりますと、今度は自動的に毎年増加できるような条文を挿入いたしたのでございますから、ひとつこの次からは、この信用基金の増額について特段の御配慮をいただきたいことをこの機会に特にお願いいたす次第でございます。
次に、最後にもう一点だけこの機会に御注意を喚起しておきたいことは、電力問題でございます。これも先ほどの御質問の中に特に取り出してございましたので、私から重ねて申し上げるのは恐縮でございますが、いま奄美におきましては、非常に全郡的な運動がまき起こっておりまして、先ほど中島参考人からも詳しい説明がありましたとおり、非常に料金が商いのでございます。日本におきます電力は、ポツダム宣言によりまして九分割されておりますものが、近く電力事業法によりまして、すなわち九つの電力会社が正式に認められるような段階になりつつあるこの際でございます。しかるに、奄美大島の約七千キロに近いこの大きな電力が、九州電力の中に入れられていないで、一種の奇形児として大島に残っておる。そのために、電灯料もいろいろの点において不便であり、また高率になっておりますので、郡民は、この機会に政府の助力によって、大島電力自体体質改善をすると同時に、ひとつ九電と合併できるようにしてもらいたいという希望に燃えておるのでございますから、大島振興法の実施に伴い、その原動力になる電力問題の解決ということに重大なる関心を持っていただきたいと思うのであります。中島参考人の電力問題の解決に対しまする御決意をこの機会に述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/62
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063・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。戦前九州電力の管轄下にございましたので、それからいきますと、当然に大島地域というものは九電の営業区域として吸収されねばならない。したがって、大島電力は九州電力の中に吸収されるべきであるというふうに考えるわけでございます。私どもといたしましても、一日も早く九州電力の中に入って、おくれておる電力事情の改善に努力をしていただきたいものだ、こう考えるわけでございます。まあ相手があることでございまして、直ちに吸収するということが困難であるとするならば、それにふさわしい、また別途な立場から新しい施策が必要ではなかろうか、と申しますのは、九州電力が大島電力を吸収しやすいようにあらゆる条件を整備していく、大島電力に対して強力な援助の手を差し伸べていくということが必要ではなかろうかというふうに私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/63
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064・伊東隆治
○伊東(隆)委員 かくのごとく電力問題は、この奄美の今後の振興上きわめて重要な役割を演ずるわけでございますので、ひとつ自治省においてもこの問題の推移を注視していただいて、円満なる解決ができますように御努力をお願いいたしたいと存ずるのでございます。
以上、時間もございませんから、簡単に私の関連質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/64
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065・森田重次郎
○森田委員長 門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/65
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066・門司亮
○門司委員 ごく簡単に二、三の問題だけを聞きたいと思います。
それは前段の中島さんの意見を聞いておりませんのと、それから同僚のいろいろな質問もあまり十分に聞いておりませんので、多少重複の点もあろうかと思いますが、できるだけ簡単に申し上げますから、したがって率直にひとつ御答弁を願いたいと思います。
中島さんに最初に聞いておきたいと思いますことは、昭和二十八年に奄美が日本に返ってまいりまして、その当時沖繩に奄美の諸君がかなりおったはずであります。これらの諸君が、まだ沖繩にかなり在住しておるはずだ。こうなってまいりますと、御承知のように沖繩はお金を海外に出すことを非常に制限しておりまして、したがって、せっかく本人は沖繩で一生懸命働いているが、奄美のほうに送金ができないという事実があるわけでありますが、これらに対してどういうお考えでございますか。これは島民の生活にはかなり大きな影響を持っていると私は思うのだが、いまどういう処置をとられておるか、その点を先に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/66
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067・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。非常に残念でございますけれども、送金に非常に支障があるというお話は、私はうっかりしておりまして承っていないのでございますが、ただ、毎月沖繩に渡航する方々、往来する方は非常に多いのでございますけれども、その方々から、そういう点に非常に不便を感じておるというお話を実は私はまだ承っていないのでございますけれども、もしそういったことがございますならば、私はまたいろいろ関係方面と協議を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/67
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068・門司亮
○門司委員 これはひとつ、よくお調べを願っておきたいと思います。私も奄美は両三度参っておりますし、沖繩にも戦後二度参りまして、両方の相互関係を見てまいりましたときに、たまたまこういう話があったのでありまして、その後どうなっているかをお聞きをいたしましたのですが、この機会にこの点は気をつけていただきたいと思います。
それから、率直に聞いておきますが、いま電力問題が一つの問題点になっておりますが、自治省の当局は、どうだね、こういう内地の二倍あるいは四倍の高い電力料金を払っているところに同じような税金をかけるということは、民生安定の上からいけばいかがかと思うのだが、その辺は特に考慮する必要はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/68
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069・佐久間彊
○佐久間政府委員 電力料金が高いということは、民生の安定の上から、何とか早急に解決しなければならぬ問題だというように私どもも痛感をいたしております。これの解決の方法につきましては、先ほど来中島参考人あるいは各委員のお話の中にもあったわけでございますが、いろいろな措置が考えられるわけでございまして、私どもといたしましても通産特等、関係省庁ともよく連絡をいたしまして、この解決に努力してまいりたいと思います。
電力料金が高いから減税をすべきではないかという御説でございますが、減税の問題とは別個にいたしまして、とにかく電力料金の問題の解決に努力してみたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/69
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070・門司亮
○門司委員 いまの政府の答弁は、はなはだ不親切であります。これを解決しようといったって、これはなかなか困難ですよ。いま中島さんがお話しのように、九州電力に合併するといたしましても、あるいは電力料金をどうするかということは、自治省の手に負えない仕事であります。同時に、なかなか困難であります。私はこの際、自治省の手に負える仕事としては、やはり税金をはずすということです。そうして幾ぶんでもばかばかしい料金を払っておるところの住民に安い料金を払わせるという、こういうことがとれないかということであります。これは自治省限りでやれるはずであります。一方において振興政策をとっておいて、そうして一方においては苦しめておるというようなことはやめたほうがよろしいと私は思う。たいした税額にはならぬと思う。ことに小さな、二十ワットの諸君が八二%もあるというようなことでは、そんなに大きな税金ではないと私は思います。したがって、これをはずすほうがよろしいと私は思う。私はこの際はっきり、これは次官もおいでになりますから聞いておいていただきたいと思いますことは、この種の問題は往々にして名目倒れであって、実際には当該住民のためにあまり利益にならないことが多いのであります。私はそれを憂えるのであります。したがって、大島あって住民あるを知らざるような振興策であってはならない、少なくとも振興策ある限りにおいては、住民の生活を守ることを第一義的に考えた、直接そこに触れる振興策でなければ役に立たないので、したがって私は行政の面からそういう点をお伺いするのでありますが、大体、奄美全体の電気税の総額というのは幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/70
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071・佐久間彊
○佐久間政府委員 電気ガス税は千百万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/71
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072・門司亮
○門司委員 私は全島で千百万ぐらいの減税は、そう困難ではないと思うのですがね。そしてこういうことが大島島民に心理的に与える影響はかなり大きいと思う。したがってこの際、こういう不均衡な経済情勢の中で苦しめられております住民に対する一つの国の思いやりとしては、そういうことは振興政策と同時にはずしてもらうということがこの際よろしいかと考えるが、この点で次官どうお考えになりますか。私は、いまちょうど税法も審議いたしておりますから、税法を審議いたしておるついでに——ついでというと悪いのでありますが、これを取り入れてもらえばよろしいのではないかと考えるのでありますが、次官からひとつ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/72
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073・金子岩三
○金子政府委員 奄美の電灯、電力料が非常に高いということは、全国で、離島でよく組合組織で自家発電をやっておりますが、こういった離島はほとんど九州電力の二倍、三倍の電灯料を払ってたいへん苦しんでおる。そういう離島が長崎県等にもあるのであります。こういった問題は、常に私ども一日も早く九電に買収させて解消したい、かように考えておる次第でございます。いま奄美の電灯、電力料の高い問題につきまして、大体自治省ではいままで未点灯部落の解消に努力して、電力料を安くするような方向に向かってあまり努力をしていなかったということのようでございます。未点灯部落が解消いたしましたので、これからは通産省ともよく連絡をとって、早く九電に吸収ができるように努力をいたしたいと思います。それに、通産省では係官も現地に派遣して調査を進めておるということでございますから、努力を続ける、近い将来に買収が行なわれることもあり得るのではないか、さような方向でひとつ努力をしていきたいと存じます。
電気ガス税の電気税の減免につきましては、御意見ごもっともでございます。検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/73
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074・門司亮
○門司委員 それから、もう一つ、二つ聞いておきたいと思いますが、これも先ほど私が申し上げましたような考え方の上に立っての質問でありますが、たとえば川村委員からお話のあったハブの問題をどうするかということであります。私は、ハブの問題などは、いままで十年やってきたが、これは絶えないのであります。減っていないのであります。したがって、この際思い切ってやる必要がある、これをやらない限りは島民の、ことに農民の生活にはかなり大きな影響を持っているということと、人命にかなり大きな災いを持っておる、どこの国にこういうヘビやその他の災いで人命を落としたり、それから十分に野らで仕事ができないというような、非文明的なものがございますか。私はおそらくはかの国にはこういう——ごく未開の地に行けば別でありますが、少なくとも十年たってまだこれの解消が行なわれておらない。その原因はどこにあるかといえば、私は買い上げ価格が非常に安いからだと思う。これはつかまえて殺す以外にこれをなくする方法はほとんどいま見つからないでしょう。マングースを持っていったところで、むしろマングースが野らを荒らすほうが大きいぐらいになってしまって効果がない。そうかといっていまのように、一匹二百円だと思っておりますが、安い価格で買い上げるということは、おそらく出合いがしらにつかまえたぐらいの程度のものであって、ほんとうにハブをなくするという意思に島民はなかなかなれないと私は思う。したがってもう少し政府は本腰を入れて、住民化活をどう安定させるかということに密着した政策をとってもらいたい。これをかりに五百円に上げてみて一年でいなくなれば、一体どれだけ全体的の利益があるかということ、私は思い切った施策をどうして政府がとらないかということと、ただおざなりに並べてあるからやるのだということでは、私がさっき申し上げたように、大島あって島民を知らざるようなこういう振興法を幾らこしらえたからといって、いつまでたったって大島はよくならない。その辺はどうですか、思い切ってやる意思がありますか。思い切ってやる意思があればこの問題はかなり片づくと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/74
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075・佐久間彊
○佐久間政府委員 先生の御指摘になりました点、まことにごもっともでございますが、被害の点は土地によってたいへん異同がございますが、だいぶ減ってきているようでございます。特に死亡者の数はぐっと減っております。しかしお話のように、まだ施策の上で検討すべき点がいろいろあろうかと思いますので、よく研究をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/75
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076・門司亮
○門司委員 それから大島の一つの重要産業としての森林対策ですが、これは中島さんにお聞きするんだが、いまどうなっているか。どの程度まで植林が進んでおって、そうして開発が進んでおりますか。ごく簡単な数字でよろしゅうございますから一応お話しを願いたいと思います。
それからもう一つ、ついでに聞いておきたいと思いますことは、大局の林業対策が一つの大きな施策であることには間違いはございませんが、大畠には、民有林と公有林との比率が、私の知っておる限りにおいては内地とやや違った形で、かなり大きな民有林があるように見受けられます。そうすると、森林対策というものに非常に力を入れると、やはりその山持ちがかなり大きな利益を受けるであろうが、住民にはあまり大きな利益はないのではないかということが考えられる。だからといって森林対策をやらなくてもいいという議論も成り立たぬと思う。その辺の状態はどうなっておりますか。一応お聞かせを願いたい。
ついでにもし統計等がございますなら、その林業に従事いたしております住民の年間所得は一体どのくらいになっておるか、あわせてひとつお聞かせ願いたいと思います。——いますぐおわかりにならなければ、あとで、書類でもけっこうです。一応参考までに教えていただければよろしいと思います。
さらに、時間もございませんので、次のことをお尋ねしたいと思いますが、私がなぜそういう質問をするかといいますと、あそこには、御承知のように奄美本島のまん中は、ほとんど岩崎山という例の個人の所有の大きな森林地帯がありまして、したがって開放あるいはこの森林を守っていくというようなことが、ごく少数の人の利益にのみ大きな役立ちをして、そうしてそれを対象として働いておる住民の所得が一向上がらないようなことであっては、私は振興対策自身がやはり島あるを知って住民あるを知らざるという形になりはしないかということを憂えまして、いまお聞きをしたわけでございます。
それからもう一つ、全体の政策としてお聞きをしておきたいと思いますことは、先ほど砂糖の問題が出ておりましたが、貿易の自由化に対しまするこの生産の何といいますか、非常にそういう仕事の低い能率を持っておる、あるいは粗糖だけをこしらえておって、分みつ糖というものはいままであまりやっておらぬ。こういう問題が貿易の自由化とからんで大島に及ぼす影響はかなり大きなものがあろうかと思いまするが、それに対する何か特別の対策等がございますなら、この際ひとつお聞かせを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/76
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077・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。
現在の奄美の森林面積でございますが、国有林が一万一千ヘクタール、民有林が七万五千ヘクタール、合わせまして八万六千ヘクタールでございます。生産額でございますが、三十八年度の見込みで十二億八千万と大体推定いたしております。開発進度でございますが、昭和三十八年度の大体の見通しでございますが、林道密度が、民有林でヘクタール当たり二・六メートル、開発進度が四三%、これは県の平均の林道密度が四・二、開発進度が六七%と比べると幾分劣っておるようでございます。大体以上でございます。
砂糖の、いわゆる貿易自由化を見まして奄美の糖業は一体どうなるんだということは、現地でも大きな問題に相なったわけでございます。それに対する対策としましては、国のいわゆる甘味資源自給力強化対策要綱あるいは甘味資源特別措置法、そういった法の保護のもとに奄美の糖業というものはやはり生きていかなければいけないんだいうことで、まず第一にやるべきことは、コストの引き下げではないかということでございます。それに対しましては、新品種NCOの普及、あるいは深耕、病害虫の防除、有機質堆廐肥の施肥というあらゆるものをかみ合わせてコストの引き下げをはかっていきたいということで、いま強力に糖業振興対策を講じておるわけでございますが、この中で問題になりますものは、先ほどお話もございましたように、小型工場対策でございます。一応黒糖は、嗜好品としてある程度、年間やはり三万五千トンから四万トンくらいの需要は固定しておるのではなかろうかというのが民間業界一般の見方でございます。したがいまして、小型工場は大体三百近くの工場が動いておる。これに対する甘味資源特別措置法のほうは一体どうなっているんだろうかということを、私どもは心配するわけでございます。かたがた一方には砂糖の嗜好の変化に伴いまして、分みつ糖化の方向に進んでいくわけでございます。それに対しましては、やはり私どものほうも、会社側あるいは生産農家共存共栄、両方生きていけるように、また奄美の農業の中にあっては、やはりキビ作というものが一つの大きな柱でございますので、この柱をがっちり据えて、両方、奄美の糖業というものを育成していく必要があるということでございます。
キビ作対策でございますけれども、それは反収を上げるということももちろん——現在十アール当たり大体六トン二百くらいでございますが、これをいろいろな施策のかみ合わせによりまして四十三年度においては反収十トンに引き上げていきたい、キビ作面積も、開畑あるいは天水田、湿田、そういったたんぼの転換等によりまして付作面積を七千ヘクタールにもっていきたい、そういった態勢ができ上がったならば、やはり貿易自由化というものにある程度対処していく力が出てくるんじゃないかという考え方でいま対策を講じておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/77
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078・門司亮
○門司委員 いまの御答弁によりまして直感するのは、非常に困難な事業で、同時にまたなかなか問題をはらんでおりまして、いま貿易の自由化をしようとするようなことに直接間に合うかどうかということも多少疑問があろうかと思いますが、繰り返して問題になりますのは、今度のこの振興法がさらに決定されまして、それに及ぼす影響というのは大体どのくらいの見込みですか。私は振興法をこういう形できめるには、やはりそういう問題をあらかじめ知っておく必要があろうかと思いますが、自治省のほうはどうなんです。この振興策で、いま中島さんのお話のようなことがどの程度まで解決ができるというようにお考えになるのか、あるいはそれはそれで、それはさっきのお話のように、砂糖は砂糖でひとつ通産省のほうで何とか考えてくれ、あるいは耕作の問題は農林省のほうで考えればいいんだ、この振興法とはたいして関係がないんだというようなお考えなのかどうなのか、その辺をひとつお聞かせを願えればけっこうだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/78
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079・佐久間彊
○佐久間政府委員 砂糖の自由化の問題につきましては、振興計画を立案するにあたりましていろいろと考慮には入れておるわけでございます。ただ、これに対する対策といたしましては、ただいま参考人が申されましたように、品種の改良等、その他コストの引き下げのためにいろいろな施策を講じていくということでございまして、それの施策は振興計画の中に織り込んでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/79
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080・門司亮
○門司委員 振興対策の中に織り込んでいるというお話ですけれども、いまのお話を聞いてみますと、なかなか振興対策だけでは私は困難かと思います。織り込んでいないとはいえないでしょうが……。大体そういう答弁になろうかと私は思います。
最後に、ちょうど時間が一時になりますので、これ以上延ばすこともどうかと思いますので、お聞きをしておきたいと思いますことは、この振興計画で、これもむずかしいお話になるかもしれませんが、過去十年間に住民の所得がどのくらいまで伸びたかということであります。二十八年の十二月二十五日に日本に帰ってきて、その後今日までの間に住民所得がどのくらい伸びているのか、それが内地の国民所得の伸びとどういう比率になっておるのか、もしおわかりならひとつお話をしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/80
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081・佐久間彊
○佐久間政府委員 復帰当時の昭和二十八年は、住民一人当たりの名目生産所得は大体一万九千五百七十八円でございます。鹿児島県平均三万八千三十八円に対しまして五一・五%、全国平均六万五千百七十六円に対しまして三〇%でございました。最近の数字といたしておりますのは昭和三十六年でございますが、昭和三十六年には奄美群島が六万一千二百八十三円でございまして、これは鹿児島県平均の七万八千三百六円に対しまして七八・三%、全国平均の十四万五千六百四十五円に対しまして四二・一%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/81
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082・門司亮
○門司委員 そうすると、こういうことになりますか。まあ、だんだんあれから悪くなっちゃたいへんだと思うのですが、だんだんよくなってはいるが、まだ全国平均から見ればかなり低い、鹿児島から見てもかなり低い、これに大体追っつけることのために、この振興策で五ヵ年のうちに大体これに接近するであろうという見通しがつきますか。これは支庁長さんのほうからも、両方からひとつお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/82
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083・佐久間彊
○佐久間政府委員 振興五ヵ年計画を立案いたしますにあたりましては、その目標といたしまして五ヵ年後には鹿児島県平均に近づけたいという目標を立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/83
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084・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。鹿児島県で立てております経済振興計画によりますと、昭和四十二年に県民一人当たり生産所得を十二万円にするというのでございます。本計画では四十三年度に十二万円に近づけようということで、県本土とは一年のずれがございます。一応ただいまのところでは県のほうの伸びが、異常に高く、異常に経済が伸びた場合は別といたしまして、現有の情勢を維持する限り、やはり十二万円というものはそう無理な目標じゃないのじゃなかろうかというふうな感じがいたします。十二万円にならないまでも、できるだけそれに近づける方法をとって、振興計画の目的どおり、格差の縮小につとめたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/84
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085・門司亮
○門司委員 それから、これは最後に聞いておきたいと思います。産業計画と離れた、日本の内地で一番南であって、宣伝のしかたによってはかなり観光関係が大きなウエートを占めるんじゃないかということが考えられますが、一番南の国である地理的条件を利用して、それからさらに島に入れば、いろいろな風景その他のそう悪くないところがたくさんあるはずでございます。したがって、観光事業というものがある程度奄美大島開発に役立つものではないかということが考えられるのでありますが、その点に対する島のほうからの考え方はどうなのですか。何かやってもらいたいことがこの際あるということがあれば、聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/85
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086・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。実は私ども現地側におきましても、また奄美復興審議会におきましても、観光事業対策というものをもう少し真剣に考えるべきじゃなかろうかと、いろいろ私ども反省いたしますし、外部からも御注意いただくわけでございますけれども、何分ああいった特殊の地帯でございまして、一応観念的には南国情緒を満喫する唯一の地帯として、観光が産業として相当発達すべき筋合いのものであろうかと存じますけれども、地元のほうでなかなか受け入れ態勢の整備に困惑を来たしておるというのが実情でございます。たとえば本年三月末日、まあ空港が一応開設されるわけでございますけれども、それに合わせて受け入れ態勢というものを考えていかなくちゃいけないのじゃなかろうかということで、あるいは国民宿舎あるいは観光ホテル、いろいろそういった計画はございますし、また熱帯植物園、こういう構想は出ておりますけれども、これを具体的にどういうふうにやっていくかということは、なかなか私どもは結論が出ませんで、目下研究中ということでございますが、各方面、観光業界におきましても、やはり奄美としては自主的に何かを考えていかなければいけないのじゃなかろうかということで、最近観光連盟も結成されまして、これからひとつ積極的に観光開発をやっていこうというようないま段階で、ちょっと入り口に差しかかったというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/86
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087・門司亮
○門司委員 その計画はどうなんでしょうか。鹿児島県で立てられておるのですか。それともあなた方のほうの島だけの考え方でやられておるのですか。
と同時に、あわせて開いておきますが、この計画をとります最初の一つの大きな問題になりましたのは、こういう振興計画は直接奄美の支庁長を通じてやったほうがよろしいのじゃないかというのと、鹿児島県を通じてやったほうがよろしいのじゃないかという御意見がございましたが、ちょうど切りかえの時期になっておりますので、これも変なことをお聞きするようですが、支庁長としての考え方はどうなのですか。直接こういう問題は、奄美大島に影響するような方法にしたほうがよろしいのか、いまのように鹿児島県を通じたほうがよろしいのか、こういうことでありますが、その辺はどうなのですか。ちょうどこれは切りかえだから私もこういうことを聞いておくのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/87
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088・中島信夫
○中島参考人 お答えいたします。まあ観光問題につきましては、一応県のほうで観光計画を策定いたしますと同時に、また県のほうの事業として観光診断等も行ないますし、また地元は地元としていろいろ県と連絡をとりながら現地即応の対策を講じていくというような体制をとっておるわけでございます。
それから次に、この振興計画あるいはその計画に基づく事業の推進にあたって、一体大島支庁長というものは県を通すのがいいのか、あるいは自治省と直結して計画をいたし事業を執行していくのがいいのか、どちらかというような御質問かと存じますが、一応法のたてまえ上は、立案の責任者は鹿児島県知事、こう相なっておるわけでございます。一応内部関係で、支庁長のほうには奄美振興事業というものは全面的に権限の委任を受けてやっておるわけでございますが、それにしましても、それぞれの事業というものは、その県政の中の一つの仕事でございますので、県庁の各部課と協議しながら、その助言を受けて、一応支庁長のもとで案を取りまとめて知事の了承を得て自治省のほうに提出し、事業の緊急の度合いを勘案しながら、総合的に遂行していくという従来の体制で、私は支障はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/88
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089・森田重次郎
○森田委員長 参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/89
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090・森田重次郎
○森田委員長 次に、地方財政に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。松井誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/90
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091・松井誠
○松井(誠)委員 端的にお尋ねをいたしたいと思いますが、いま新潟県で信濃川の河口を分水するという計画が進められております。これについて、おそらくもう農林省や自治省も御存じだと思いますけれども、新しく川底に沈む人たちができる。その人たちをいまの市内にある競馬場に移転してもらわなければならぬ。そのためにはその競馬場をどこかへ移転をさせることが必要だということで、ここ二、三年来競馬場の移転先を探して、やっと新潟市と豊栄町の境目に適当な場所を見つけて競馬場の移転がいまはかられつつある。この問題をめぐっていま県の議会ではずいぶん荒れておるわけです。なぜ荒れておるかはあとで申し上げますけれども、この問題は地方行財政の観点から、あるいはまた農地行政という観点からも、いろいろ重大な問題を含んでおると思いますので、この際農林省や自治省の御見解をお伺いいたしたいと思うわけです。
最初に農林省にお伺いをいたしますけれども、いま申し上げました新潟市と豊栄町にまたがる地域の約十万坪にわたる農地が、競馬場をつくるためにつぶされつつあるということを農林省では御存じでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/91
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092・小林誠一
○小林説明員 お答え申し上げます。農地の転用につきましては、御案内のとおり、都道府県知事あるいは五千坪以上は農林大臣の許可事項になっておるのが一般でございます。この件につきましては、いまのお話は県がこれを転用するということでございまして、県なりあるいは国が農地を転用いたします場合許可を要しないということに農地法ではなっておるのでございます。したがいまして、その詳細につきましては具体的に存じないのでございますけれども、承るところによりますと、先ほどお話がございましたように、信濃川の関屋分水事業の敷地にあたります約六百戸の地元の方々の移転先としまして、先ほどお話がありました豊栄町のほうに移すという話もあったようでございますが、地元の住民の方々の御希望等によりまして、中央競馬会が所有しております競馬場をその立ちのきしなければならぬ方々の住宅用地に充てて、かわりとしまして豊栄町の土地を中央競馬会のほうが取得するというようなお話が進んでおるということは承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/92
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093・松井誠
○松井(誠)委員 いま御答弁になったように、元来ならば五千坪以上の農地を転用する場合には農林大臣の許可が要ることになっておりますけれども、その許可申請がなかったのは、県がこの土地をみずから使用するというたてまえだから許可は要らないということで、許可の申請をしなかった。しかし事実上は、中央競馬会がこの土地を競馬場として使用するために、農地が転用されておる。このこと自体も間違いない。これは確認をしておきますけれども、そういう事態は間違いがない。しかしいま言ったような形式的な手続からいえば、県は許可申請をする必要がないということで、許可の申請はなかった、したがって農林省は関知をしていないという結果になった、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/93
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094・小林誠一
○小林説明員 先ほども申し上げましたとおり、五千坪以上の土地ですと農林省に上がってくるわけでございますけれども、この場合は県が買い上げをするという事案でございますので、上がらないということでございますが、私が、そういうことで最近そういうお話が出てまいりましたので承るところでは、その六百戸の住民の方々が、どこかへ移転されなければならぬということで、県はその豊栄町のほうに移されることで考えておられたところが、住民の方々が競馬場をほしい、その場所に移りたいということで、そういう意味から、県としては現在もうすでに取得済みの土地について交渉して、競馬会との間でその土地を交換と申しますか、いたしたいということになったと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/94
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095・松井誠
○松井(誠)委員 そういう御答弁だろうと思ったのです。つまりあなたの言うのはこういう意味だと思うのです。県は、現存進めつつある競馬場は、初めから競馬場にするつもりではなかったのだ、元来宅地を造成するつもりであった、そういう意味で仕事を始めたところがその後になって地元の住民がいまの市内の競馬場に行きたいという、だからその後計画が変わって、宅地をつくろうと思ったところ競馬場を移すというふうに変更になったのだというふうにお聞きになっておる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/95
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096・小林誠一
○小林説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/96
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097・松井誠
○松井(誠)委員 これは農林省が直接にタッチをしてないかもしれませんけれども、中央競馬会との交渉は去年の三月ごろから始められておって、そうして、この競馬場が新潟市の郊外に移転をするということについておおよその話し合いがもうきまっておった。このことは何も隠密の間に行なわれたのではなくて、地元の新聞や何かは公然と——つまり、競馬場の移転先をどこにするかということについて、これは県政の大きな問題であるだけに、競馬場の移転先がどこかということでしょっちゅう新聞やラジオをにぎわわせておった。だから、初めは宅地をつくるつもりであったけれども、その後競馬場に目的が変わったということは、県民に聞けばこれはうそだということはすぐわかる。
それでは農林省にお尋ねをしますけれども、このような経過から考えるとはっきりすることは、元来競馬場の造成ということで許可を得るべき仕事であったのに、事実上その許可を得ることを回避して県が宅地をつくるんだということで農地をつぶしたということになると思いますけれども、元来許可を得るべきものを、こういう形で許可手続を回避したということについて、農林省ではどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/97
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098・小林誠一
○小林説明員 この件につきまして私の存じておりますのは、先ほどから御説明申し上げておるところでございまして、回避したという話を聞いていないのでございますが、回避といいますかどう申しますか、中央競馬会がもし直接に転用をするならば許可を要する事案であることは当然でございます。しかしいきさつにつきましては、私はそのように聞いておるものでございますので、回避したかどうかということはわかりませんけれども、中央競馬会が転用をいたします場合には当然許可を、要する事案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/98
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099・松井誠
○松井(誠)委員 これは河野さんが大臣としてか、いわば競馬会の実力者としてか知りませんけれども、とにかく現地へ何度も行って視察までしている。これが競馬場になるということは、これはまさに公知の事実であったわけです。
そこでお伺いしますけれども、一体都道府県がみずから使用するときには大臣の許可が要らないというのは、どういうたてまえで許可が不要だということになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/99
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100・小林誠一
○小林説明員 農地法上都道府県知事が農地を転用いたします場合に、許可を要しないとしております理由でございますが、これは先ほども御説明申し上げましたように、都道府県知事は農地の転用行政を担当しておる者でございます。したがいましてその転用行政をやっております都道府県知事の場合には、農地法で考えております転用の目的なりあるいは基準というものがいろいろございます。当然そういうものを守った上で転用が行なわれていくという期待のもとに、法律上ははずしてあるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/100
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101・松井誠
○松井(誠)委員 確かに都道府県に対しては許可が要らないというのは、都道府県は農地法の精神を守るであろう、そういう信頼のもとに許可をはずしておる、これは御答弁のとおりだと思う。ところで、この許可基準の中に競馬場その他については許可をしないという方針が、昭和二十四年にできた農地法のこの許可基準以来とられておると思いますけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/101
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102・小林誠一
○小林説明員 その当時の許可の方針としましては、競馬場でございますとかあるいは映画館とか、そういうあまり経済の復興、発展に直接影響のないものにつきましては、後順位のものとして考えているわけでございます。まだ競馬場として許可をした事案がないわけでございますけれども、いろいろの問題としまして社会情勢上許可をしなければならぬ場合も考えられます。そういう場合については、全面的にいま申しましたような施設について農地転用の許可をはずしておる。また許可はしないという方針を必ずしも打ち出しておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/102
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103・松井誠
○松井(誠)委員 絶対的に禁止をしておるとは言いませんけれども、しかし競馬場その他のそういうギャンブルのためには農地の転用というものは原則としてやらないという行政指導あるいはその許可基準というものはあるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/103
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104・小林誠一
○小林説明員 許可基準としまして、最初の農地法ができました当時におきましてはまだ経済の復興もそれほど行なわれていません時代でございましたので、非常に厳格でございましたけれども、現在のところは必ずしもそのようなものについて絶対的に許可しないという態度はとっていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/104
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105・松井誠
○松井(誠)委員 昭和二十四年にできた許可基準というのは、その成文化されたものはその後変更になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/105
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106・小林誠一
○小林説明員 実は転用の問題につきましては、農地法ができましたあとで、昭和二十六年以降にその取り扱いを変えまして、なるべく集団的な農地あるいは優良な農地というものは転用しない、そういうことで、そういう農地を保全するということ、及び周囲の農地に非常に悪影響を及ぼすような工場その他の被害のはなはだしいいろいろの問題につきまして、転用の許可の基準を新しく三十四年にきめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/106
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107・松井誠
○松井(誠)委員 その許可基準で、競馬場その他の施設についてはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/107
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108・小林誠一
○小林説明員 許可方針につきまして概略御説明さしていただいてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/108
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109・松井誠
○松井(誠)委員 競馬場とか、ゴルフ場とか、そういう娯楽施設の点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/109
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110・小林誠一
○小林説明員 ゴルフ場につきましては、取り扱いの考え方といたしましては、なるべく優良農地がつぶれないように、主としてゴルフ場を山の中に求めて、その中に若干農地が含まれます場合につきましては認めますけれども、やはりゴルフ場として農地がつぶれるのはどうも好ましくない点もございますので、代地をつくるという条件で許可をしている事案があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/110
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111・松井誠
○松井(誠)委員 競馬場の施設や何かについてはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/111
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112・小林誠一
○小林説明員 競馬場につきましては、まだ転用いたしました事例がございません。申請もまだなくて、転用の許可をおろした事例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/112
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113・松井誠
○松井(誠)委員 具体的な事例でなしに、その許可基準の中にないかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/113
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114・小林誠一
○小林説明員 三十四年の許可基準のところでは、ゴルフ場だとか競馬場、競輪場のような、国民生活上必要の乏しいようなものの建設だとか、風俗営業のための施設、環境的に不相当と認められる施設の建設、近傍の同種の施設で代替し得るかまたは住民に利用される見込みのないものの建設につきましては、一般に転用をすることは適当でないというたてまえであります。一般的にそういうたてまえではおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/114
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115・松井誠
○松井(誠)委員 ですから、競馬場は原則的には代替地その他でという条件がなければ適当でない、少なくともそういう許可基準があるわけです。その許可基準に基づいて県は行動するであろうという信頼があるから、県が使う場合には許可が要らないということになっておる。ところがその県は、これは初めから競馬場に使うつもりで、許可手続を回避するために宅地造成という名前で農地をつぶしておる。
その農地をつぶしておる最中に、いま競馬場に転用しようということをわざわざ議会に提案をしている。こうなりますとやはり初めから競馬場をつくるつもりだったということは、これはあなたに申し上げてもしようもありませんけれども、そのこと自体は公知の事実なんです。そして明らかに許可手続を回避して、いわば農地法の信頼を裏切ったということになる。
ではお伺いしますけれども、もしあなたの言われたように、中央競馬会からこれを競馬場にするんだということで農林省に申請があった場合には、一体どうなる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/115
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116・小林誠一
○小林説明員 まだ実例がございませんので、いまどうするという問題につきまして、決定的なことは申し上げかねるのでございますけれども、まあその場合に、先ほどの、どう申しますか、信濃川の分水事業の立ちのき先として競馬場がつぶれる、その場合に競馬場を新たにつくるという場合ですと、やはりそういう点を勘案して決定すべき事案ではないかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/116
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117・松井誠
○松井(誠)委員 私はその前の問題として、いま言ったように、事が筋書きどおり運べば、その新しいところは競馬場をつくるということで中央競馬会が農地転用の申請をするということになるのが、すなおな手順なわけです。そういう手順を回避して、許可を得るかどうかわかりませんけれども、元来許可を申請すべきものを許可申請をしないという回り道をしたということ自体について、農林省はどう考えるかということを私は聞きたい。厳密にいえば一種の脱法行為です。脱法行為でなくて、ストレートに許可を求めて、あるいは許可になったかもしれない。許可基準からいえばいろいろ問題があるにしても、許可になったかもしれません。しかし許可がめんどうだということで初めから回り道をしたというやり方について、農林省は是認をするのかどうかということについて聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/117
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118・小林誠一
○小林説明員 脱法的な行ないであれば好ましくない、非常に遺憾であると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/118
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119・松井誠
○松井(誠)委員 地元の新聞やその他をちょっとごらんになれば、これが初めから予定の行動であることはおわかりのはずなんです。これからでもおそくはありませんから、農林省はひとつ調査をしていただいて、しかるべき御処置をお願いいたしたいと思う。
それから自治省にお伺いをいたしますけれども、御承知のようにこの事実上競馬場であるその土地をつくるために、宅地造成ということで六億何がしかの起債の許可申請をして許可を得たということなんですけれども、いま申し上げたような事情で初めからこれは市内にある約九万坪の競馬場と新しく十九万坪足らずの競馬場を郊外につくって、その上に施設を建てて、合計双方とも十六億という評価で等価交換をするというのが初めからの計画なんです。そういう計画を御存じの上で、六億何がしかの宅地造成の起債を認められたのかどうか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/119
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120・柴田護
○柴田政府委員 東新潟地区の宅地造成事業につきましては、昨年の四月ごろに関屋分水に関連をして、分水の路線内の住民の代替地を五十嵐地区に求める。そこに宅地造成をしたいという話があって、六月ごろに都合によって事業地点を東新潟地区に変えるのだ、こういう話があったわけです。その東新潟地区は、結局関屋分水の路線内の住民の住宅の移転、代替地の造成、こういうことで検討をいたしまして、その結果よろしいということで、起債許可予定額として通知をしておる。正式の通知はいまだ出しておりませんが、起債許可予定額として通知をしております。いま詳しくお話を伺っておりますと、いろいろ事情があるようでございますが、実はそういう問題があるというのは、地方的問題でもございますので私どもあまり存じませんで、打ち明け話でございますけれども、先生や何かから聞かれて、そういうことがあるのかという次第です。私どもといたしましては、現在は東新潟地区に関屋分水の路線内の住宅地の代替地をつくるのだ、こういうことで一応予定をして今日まできておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/120
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121・石田宥全
○石田(宥)委員 関連して。小林管理部長にちょっと伺いますが、いまはっきりしたようではっきりしないような点があるんですね。中央競馬会が十数万坪の農地を取得し、または転用する場合は、許可、認可を必要とすると考えるのですが、その点何かけじめはついていないようですから、はっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/121
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122・小林誠一
○小林説明員 許可を要します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/122
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123・松井誠
○松井(誠)委員 いま柴田さんがお話になった五十嵐地区に立ちのき先を求めたというのですけれども、実は五十嵐地区も競馬場を求めたわけです。ところが地元では競馬場なんかきては困るというので断わられて、競馬場をあっちこっち持って歩いたわけです。そういうことを自治省は御存じないと言われればしようがありませんけれども、この宅地造成だということで県の議会に出たのは昨年の六月、そのときに地元の新聞は、つまり県議会が始まるまでは知事も記者会見で大っぴらに競馬場の移転ということを口にしている。新聞も競馬場はどこへいくかということを盛んに書いておった。ところが、出てきた議案を見ますと、競馬場とは全然書いてなくて、宅地造成ということになっている。そのとき以来知事は競馬場ということについては、もう片言隻句も語らなくなった。これはまさに宅地造成でございますという一本やりです。その間のいきさつについて、新聞の報ずるところでは、競馬場ということでは地方債の許可にならない。そこで自治省が親心で、いわば見て見ぬふりをした、こういう態度をとったという新聞報道が——これは何も一社だけではございません。毎日新聞も、読売新聞も大きな新聞がこれを掲げておる。こういう事実はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/123
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124・柴田護
○柴田政府委員 昨年のことでございますし、私は現職にはついておりません。しかし主管課長を呼んでいろいろ聞きましたところでは、そういうことは主管課長も承知していないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/124
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125・松井誠
○松井(誠)委員 そうしますと、きわめて不可解な事実があると思うのです。それならばこのようにお聞きしたいのですが、それではもし競馬場だ。しかしその競馬場は新設ではなくて、競馬場の移転だ。そのために起債というものを申請したら自治省では許可をされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/125
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126・柴田護
○柴田政府委員 私どもは自分の所有にもならない競馬場を県がつくるというような事案でございますれば、これは初めから問題にならぬ事案でございます。ところがこの場合は、その辺の内部事情をもう少し調べなければいけませんけれども、関屋分水という大事業をやる。それに関連をして住民の移転先をどこに求めるかという問題だと思うのでありますが、それが競馬場が一番いいんだということになって、今度は競馬場のいくところがないから、競馬場に対して補償工事を考える。その補償工事的なものと考えれば、その事業を達成するために必要な補償工事の一種だということがはっきりいたしますれば、やむを得ないんじゃないかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/126
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127・松井誠
○松井(誠)委員 つまりいまの競馬場を移転させるためには、補償をしなきゃならぬ。その補償の工事ということであれば、起債もやむを得ないという御答弁でありますけれども、補償のためであれば——元来競馬場とかそういう娯楽施設に対する起債というのは、起債の許可の方針としては許してないわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/127
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128・柴田護
○柴田政府委員 県が競馬場を県有のものとしてつくるということにつきましては、現在は一般に起債を認めないという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/128
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129・松井誠
○松井(誠)委員 そういうことであれば、許可が得られない。そこで宅地造成という形で許可の申請をする。そのときに補償工事であるならば、かりに競馬場の新設ということでも、補償工事であるならば許可をする。元来ならば許されないものだけれども、補償工事でならば許されるというように自治省の方針はあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/129
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130・柴田護
○柴田政府委員 競馬場自身だけの問題ではございませんで、この関屋分水という大事業の一連の工事でございますので、一連の工事としての現住民の移転というものに関連する補償行為という意味合いでは、新しく競馬場をつくるわけじゃないのであって、現在の競馬場をぶっつぶして、それをよそに移転する工事でありますから、やむを得ないんじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/130
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131・松井誠
○松井(誠)委員 そのやむを得ないという理由が私よくわからないのです。つまり、補償工事だから、新しく競馬場をつくるんじゃなくて、事実上の競馬場の移転にすぎないんだから起債を許すというのか、あるいはさらにプラスアルファ、その背後に大きな事業があるという、そういう問題も含めて言うのか。たとえば補償工事ならば何でもいいということになりますと、大きな料理屋なら料理屋がなかなか動かない。それを県がちゃんと料理屋をつくってやって、そしてさあ移転をしてくださいという、まさか県がそのために起債ということはありませんでしょうけれども、小さい市町村ならばあるかもしれない。そういうことまで、元来ならばやれない仕事であっても、補償工事ならば起債が許されるというのが自治省の方針であるかどうかということを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/131
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132・柴田護
○柴田政府委員 それは事と次第によろうと思います。一がいにすべてよろしいと言えぬのでしょうけれども、一つの公共事業を遂行するための障害排除といいますか、その一環としての補償という工事であれば、私はやむを得ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/132
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133・松井誠
○松井(誠)委員 補償工事ならば許されるという自治省の方針があったならば、どうして県は一体こういうような苦肉な、妙な方法をとったのかということになる。それならば堂々と競馬場の移転でありますということで、なぜやらなかったのか。やっても許可されるということならば、当然その道をとるべきであったと思う。ところが去年の六月の県議会で幾ら追及しても、絶対に競馬場というものについては触れなかった。あくまでも宅地造成でありますという一本やりだった。しかしもうそれが予定の行動であって、決してほんとうではないということは万人が知っておる。そういうきわめてナンセンスなこっけいな問答が県会で繰り返された。そういうような無理をしてまで、一体どうしてこういう形式をとらなきゃならなかったのか、ますますふに落ちない。自治省がもしそういう方針であったならば、補償工事ならば起債を許しますという方針であったならば、こういう県民をばかにするような、議会をないがしろにするような形をとる必要はなかったんじゃないですか。当時からそういう方針だったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/133
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134・柴田護
○柴田政府委員 競馬場、競輪場というようなものを地方公共団体がつくりますことを、起債の許可のたてまえから認めないという方針をとっておりますのは、いっときと違いまして、だんだん世の中が落ちついてきたから、そういうものを地方公共団体が建築をして、そういう事業を盛んにするということは望ましくない、こういう立場から押えておるわけでございます。したがって、県がそういうものを一切やってはいかぬというのではないのであって、現在法律的には、必要な手続をとれば競輪もできれば競馬もできるわけでございます。ただ、これ以上そういうものを盛んにすることはいかがかということで抑えておるわけでございますので、初めからそういう方針は地方団体でもわかっておると思うのでございます。お話を伺っておりますれば、私もなぜそういうような複雑な問題がいろいろと起こっておるのかよくわかりませんけれども、私どもはこのお話を聞いたときには、それじゃ、また住民の間でいろいろ希望条件が変わって、方針を県が変えたのかなというように実は思っておったのでございますけれども、いまお話を伺いますと、いろいろ問題があるようでございます。これは一にかかって県内問題でありまして、私どもそこまで詳しくは存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/134
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135・松井誠
○松井(誠)委員 いまあなたの言われるように、最初の方針は宅地造成であったけれども、途中で変わったならば、これはそれほど大きな問題にならないと思う。しかし、そうでないということは、繰り返しますけれども、はっきりしている。それであるのにこういう回り道をしたということになると、これはもうあなたに対しては仮定の問題としてしかお尋ねをできませんけれども、初めから予定の行動でこういう方法をとったとすると、かりに正直にやっても起債が許可になったのに、しかしどういう意味かわからぬにしても、そういう道をとらなくて、わざわざ宅地造成という形で起債の許可の申請をしたということ自体については、いまになってどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/135
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136・柴田護
○柴田政府委員 私はお話を伺っておれば、まことに妙だなと思うのでございますけれども、しかし私はいまお話を伺うまでは、おそらくは県の中のいろいろの事情があって、住民の希望等もあって、そんな遠い東新潟などに行かずに、もっと手近なところにかわれ、こういう話があって、県がなかなかその話を納得せしめられずに、しようがない、方針を変えたというんじゃないかというぐらいに思っておったのでございます。そういうことは大きな事業をやります場合には往々にあることでございます。初めから立てた計画どおりのものごとが進む場合もあれば、途中で何べんも変更するということはありがちなことでございますので、そう思っておったのでございますけれども、いまお話を聞けば、その裏にはいろいろ複雑な事情があるのかもしれません。しかし、私どもは初めからそういうことで中央をだましてどうこうということがあれば、それははなはだ不愉快な話でありますけれども、しかし県にどういう意図があったのかよくわかりませんし、あるいはまた県自体の複雑な事情があるのかもしれません。そこまでわれわれは根掘り葉掘りせんさくしようとも実は思わない。工事自身の問題が、関屋分水の大きな事業が円満にできればいいのでありまして、そのあとの問題は、起債事務の遂行上はあまり問題にすべきものじゃないだろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/136
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137・松井誠
○松井(誠)委員 去年の七月七日の毎日新聞に、たとえば自治省との関係でこういうことが書いてある。「自治省もこのようなカラクリは承知しながらも移ったあとの競馬場が宅地に当てられる、いわば間接的宅地造成、ほかに資金調達策がなければやむをえないと宅地造成の名目で申請があれば、認可の方針といわれる。」これは毎日新聞で、同じ日の読売新聞には「競馬場をつくるため宅地造成名目で起債すると言明しては、違法性のある起債だと知りながら関屋分水という大義名分のもとに地方財政法を拡大解釈して認可しようとする自治省の親心に対し顔向けできないからだろう。」。こういうことで自治省といわばなれ合いでやったのだというのは地元の新聞の一致した観測なんです。あなたはちょうどそのときに当事者ではなかったのでわからないかもしれませんけれども、私にはどうしてもふに落ちないのは、もしあなたの言われるように補償事業ならば許可をする方針であったとするならば、そして自治体は当然そういう方針は知っておるべきだというあなたのお考えがそのとおりであるとすれば、こういう回り道をするはずはなかった。回り道をしたこと自体、結果的にはどうかということは別にして、私はきわめて不適当だと思います。あなたも、もしだましたということなら非常に不愉快だとおっしゃいましたけれども、ひとつお調べになっていただきたいと思うのです。私たともうそも方便ということがありますから、昔、末広さんが「嘘の効用」という本を書いて、お役人というのはうそを言うのがうまい、日付を上げたり下げたりするのは朝めし前だ、うそというのは社会的な効用があるということを書いておりました。私もうそというものを全部否定するつもりはありません。市町村がほんとうに財政が窮迫して、こういうからくりをやるということは一がいに非難すべきことではないと思う。しかしこの問題は、関屋分水というのは県政の重大問題である。競馬場をどこに移すかということは非常に県民が注目しておった。六月県会が始まるまでは、県会の中の議論として競馬場の移転先はどうなる、ここにきまりましたという答弁があった。ところが六月二十九日にこの提案がされた以後はぴたりと口を閉ざしてしまう。こういうように県民や県の議会というものをまるで子供扱いにするような形で公然とこういうことが行なわれるということになると、起債と補助とは違いますから何ですけれども、たとえば補助をもらうために、わざわざ橋をこわして災害復旧の補助金をもらうという考え方につながっていくんじゃないか。そういうような政治の姿勢、政治道義の問題としても私は考えるべきではないかと思うのです。
そこで行政局長もおられますから、お二人にお尋ねしたいと思うのでありますが、これも確かに起債のワクについて窮屈だ、そういうこともこういうことをせざるを得ないという一つの原因かもしれません。しかし問題は、やはりうそにしろ方便にしろ限度があると思う。こういうようなまさに天下周知の事実を、白を黒と言い含めて通るということになると一体どういうことになるか。この点は、ひとつ地方行政のあり方あるいは地方財政のあり方として、お二人から御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/137
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138・柴田護
○柴田政府委員 うそを言ったのか、それが途中で事情の変更があったのか、そこはどうも私ども節穴だと言われるかもしれませんけれども、よくわからないことであります。何か事情があっただろうとしか思えない。そういうことはこういう大きな問題をやりますときには、大体、前にこういうことであるから資金のめどはつくだろうかと、相談にくるのが普通のあり方でありますので、おそらくこの場合でも関屋分水というのは非常に大問題でありますので、事前に相談があったんだと思いますが、しかし私が当時の係官の話を聞き、係官に確かめましたところでは、こういういまお話しのような事実は彼らも知らないのであります。松井さんの質問があるということで、何だろうということで調べてみたら、どうもそういうことらしい。私も新聞等も実はこの話を聞いてからちらっと二枚見ましたけれども、なるほど地元では非常に複雑な事情があるようだがという感じは持ったわけであります。またそれがうそも方便でやったことであれば、まことに水くさい話じゃないか。自治省、われわれと府県市町村というのは、兄弟づき合いをしているわけで、それにうそまで言ってまことに水くさい話だという感じさえするのであります。そういうやり方が県政のあり方としていいか悪いかということ、これは県政の運営上いろいろな問題もあることだろうと思いますから、ここで一がいにはどうこうということは差し控えたいと思いますけれども、私どもの仕事を進めていきます上におきましては、そういうようなことがかりに事実とすれば、まことに気持ちのいい話じゃないという感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/138
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139・佐久間彊
○佐久間政府委員 私も実はこの席で先生のお話を伺いまして、初めてそういう問題があることを承知いたしたわけでございます。いろいろお話のございましたように、地方公共団体が中央に起債の許可、その他各省の関係でもございますような、許可をもらいますような場合におきまして、その許可がもらいやすいように多少かっこうをつくろってくるというようなことは、往々にしてあることだと思いますが、それも事によりけりでありまして、ただいまお話を伺っておりますようなことがもし事実だといたしますれば、これははなはだ当を失したやり方ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。私も事実につきましては存じませんので、ただそうした感想を持ったので申し上げるわけでございまして、中央と地方との関係につきまして、もっと双方すっきりした姿勢でいかなければならないというような仰せにつきましては、私どもも十分反省をしてまいらなければならない点もいろいろあろうかと思います。本件につきましてはいま申し上げましたような感想を、お話を伺いながら持った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/139
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140・松井誠
○松井(誠)委員 最後に一つ、もう一ぺん柴田局長にお尋ねしたいのですが、自治省では地方債の許可方針あるいは査定基準というようなものについて、きわめて微細にわたる方針というものをつくっておられる。ところが宅地造成で許可をした。ところが許可をしたあといつの間にか競馬場になっておる。つまり競馬場のために起債の許可をしたということになる。それが補償事業というようなことで許されるということになると、一体この許可基準という起債の許可のワクをきめたり、あるいは査定基準をきめたというのはどういう意味を持つのか、しり抜けになってしまいやしないかと思う。現にこの競馬場は約十九万坪、もともとの競馬場は約九万坪、宅地造成であるならば一体何百戸がどういう形で入るのかという計画ももちろん一緒にあるはずです。つまり競馬場であれば競馬場であるように——ここは非常に細長い競馬場の形のようでありますけれども、そういう形で競馬場であるか宅地であるかということについては、現実にその事業の執行の上からいっても、あるいは自治省の起債を許可するいろいろな方針からいっても、そう簡単に流用のできるものではないんじゃないかと思う。ところが聞きますと、その後いつの間にか流用されても、自治省としてはそれをとやかく言うべき権限がないかのように言っておりますけれども、それは補助金と起債は違いますから、あるいはそういう点があるかもしれませんが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/140
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141・柴田護
○柴田政府委員 最初に申しましたように、私どもは東新潟地区に代替宅地をつくるということで起債許可を予定しておることでございまして、したがって、それを競馬場の移転先にかえて、現在の競馬場を代替宅地にするならば、あらためて話があってしかるべきだと思います。正式な許可をいたしますまでにはそういう話があるだろうと思うのであります。私が一般的に補償工事としてやむを得ないと申しましたのは、一般的にはそういう事例が起こった場合に、補償工事でありますればやむを得ないことではなかろうかということでございまして、一般論と新潟のこの事案とは違うわけであります。新潟の事案につきましてはあくまで代替宅地として許可予定しておるわけであります。その内容が変わりますればまた話があってしかるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/141
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142・松井誠
○松井(誠)委員 それでよくわかりました。実は競馬場の問題につきましては、地元の新聞もしょっちゅう言っているのでございますけれども、この際むしろ市内の競馬場というものを廃止をする、移転じゃなくて廃止をするということで、そういう形で問題の処理をすべきではないか、競馬場は廃止をしろという声がある。われわれもそういう運動を起こそうとする。ところが全然競馬場と関係がありません宅地をつくりますということになると、競馬場は移転をするよりも廃止をするという県民の運動に頭から水をぶっかけることになる、こういう機会に競馬場をなくそうというせっかくの県民の世論をこういう形でつぶすということにもなる、そういうこともひとつ考慮していただいて、県から正式に何がしかの話があると思いますけれども、そのときにまた地方財政、地方行政の姿勢を正すという立場からひとつ御検討を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/142
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143・石田宥全
○石田(宥)委員 先ほど実は中座して失礼しましたが、まだ起債は許可になっていないというお話だったようですが、確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/143
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144・柴田護
○柴田政府委員 御承知かと思いますが、起債の許可というのはいまの運用の実態では、資金ワクの配分ということになるわけでございますが、そこで資金ワクの配分という意味合いから、なるべく早く許可予定額というものをきめて、それを知らしてやる。それで地方自治体は早く仕事をしなければいかぬものですから、許可予定額の通知があればそれで仕事にかかるわけです。そして仕事をして、年度末近く、三月のいまごろになるわけですが、いまごろから正式の許可を出す、こういう法律上の手続はこれからなんでございます。いままでは、事実上の問題として許可予定額を通知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/144
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145・石田宥全
○石田(宥)委員 そういたしますと、先ほど来松井委員が御質問になっておりますように、手続の途中で本質的なものがすりかえられたわけです。ですからこの段階では、これに対して自治省としては当然再検討をされるべき性質のものであろうと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/145
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146・柴田護
○柴田政府委員 宅地造成には違いないのでありますけれども、それが住民の移ります代替地というものを途中に一つ置いて、競馬場に住民が移って競馬場が移転してくる、こういう形になって、宅地には違いないが使用目的が違ったということになろうかと思います。
〔委員長退席、藤田(義)委員長代理着席〕
したがって私どもは、それはいま県の中でその変更についていろいろ議論があるそうでありますけれども、県会でも済めば当然話が上がってくるだろう、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/146
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147・石田宥全
○石田(宥)委員 いま松井委員が指摘されたように、競馬というようなものに対しては、県民の世論としては許しがたいという意見も多数あるわけでありますし、今日の段階では、新たに取得したところは宅地とするならば宅地として存置して、競馬場とすべきでない。そしてさらに競馬場は、いま住宅難、宅地難の時代でありますから、これは宅地として開放すべきだという強い意見もあるわけでありますから、そういうような実態の上に立って再検討されるのが妥当な取り扱いではないかと考えるわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/147
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148・柴田護
○柴田政府委員 新潟市の競馬場をどうするかという問題、これは新潟県としてはなるほど大問題でございますが、しかし競馬場を新たにふやすという問題と違って、いまの競馬場をどうするかという問題でございます。これは新潟県政の問題としてむしろ議論されることがしかるべきであろう。私どもといたしましては、この問題が起こりましたのは関屋分水工事にからむ問題でございますので、関屋分水という大工事を現状において完成さすためにはどういう方法をとるのが一番いいかということで判断をすれば、この件に関しましては足りるのではないか。お話の問題は、県政としては一貫した問題でありましょうけれども、地方債といたしましては別問題であろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/148
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149・藤田義光
○藤田(義)委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X01919640310/149
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