1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十九日(木曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君
理事 中島 茂喜君 理事 藤田 義光君
理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君
理事 安井 吉典君
大石 八治君 奧野 誠亮君
亀岡 高夫君 武市 恭信君
登坂重次郎君 森下 元晴君
山崎 巖君 和爾俊二郎君
秋山 徳雄君 加藤 清二君
阪上安太郎君 重盛 寿治君
千葉 七郎君 華山 親義君
細谷 治嘉君 栗山 礼行君
門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 早川 崇君
出席政府委員
内閣法制局
参事官
(第一部長) 山内 一夫君
警察庁長官 江口 俊男君
警 視 監
(警察庁保安局
長) 大津 英男君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
委員外の出席者
専 門 員 越村安太郎君
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三月十九日
委員重盛寿治君辞任につき、その補欠として加
藤清二君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員加藤清二君辞任につき、その補欠として重
盛寿治君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三二号)(参議院送付)
地方自治に関する件(地方公共団体の条例に関
する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/0
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001・森田重次郎
○森田委員長 これより会議を開きます。
去る十三日、参議院から送付されました風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。早川国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/1
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002・早川崇
○早川国務大臣 ただいま議題となりました風俗営業等取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。
この法律案は、善良の風俗を維持するため、設備を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における営業に関し、営業の場所、営業時間等について必要な制限を定めることができるものとすること、風俗営業及び設備を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における営業について年少者に関する禁止行為を定めること、風俗営業等取締法等に違反した飲食店営業者に対して、公安委員会が飲食店営業の停止を命ずることができるものとすること、罰則規定を整備すること等をそのおもな内容といたしております。
まず、設備を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における営業の規制の範囲を明確にすることについて御説明いたします。
最近におけるいわゆる深夜喫茶等の実情を見ますと、特殊の照明や設備を施すなどいたしまして、外形的には風俗営業と区別できないような形態で営んでいるものが増加の傾向にありますが、このような営業は、一般的に風俗事犯の温床になっているほか、特に少年の非行を誘発し、非行少年のたまり場になっているのが実情であります。この種営業に対する風俗的観点からの規制については、風俗営業等取締法第四条の二第一項において、「都道府県は、条例により、客席を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における業態について、必要な制限を定めることができる」旨を定めているのでありますが、ここにいう業態の意義について明確を欠いておりますため、現実には、営業の手段、方法として行なわれる行為及びこれに付随して行なわれる行為について規制されているにすぎないのが実情であります。そこで弊害の著しいこの種の営業に対しましては、営業の場所、営業時間、営業を営む者の行為及び営業所の構造設備について必要な制限を定めることができることといたしております。この改正によりまして、たとえば、都道府県が条例によって、深夜において喫茶店を営んではならない場所を定めますと、そこにおきましてはいわゆる深夜喫茶はなくなることになるわけでございます。
次に、年少者に関する禁止行為を定めることについて御説明いたします。最近、風俗営業や深夜飲食店等が、著しく年少者の福祉を害するような方法で営業を営んでいるという実情にかんがみまして、風俗営業者に対しましては、営業所で十八歳未満の者に客の接待をさせ、または客の相手となってダンスをさせること、十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること、及び営業所で二十歳未満の客に酒類を提供することを、また、設備を設けて客に飲食をさせる営業を営む者に対しましては、都道府県が条例で定めた場合を除き、深夜の営業において、十八歳未満の者を客に接する業務に従事させもしくは営業所に客として立ち入らせること、及び営業所で二十歳未満の客に酒類を提供することをそれぞれ禁止することといたしております。
次に、飲食店営業者に対し、営業の停止を命ずることができることとするための規定について御説明いたします。客に飲食をさせる風俗営業と単なる飲食店営業との差異はきわめて微妙でありまして、外見上区別しがたいものが少なくないという実情にありますため、飲食店営業の名において許可を受けないで風俗営業を営んでいる者や風俗営業の許可を取り消された者で、なお、依然として飲食店営業の名のもとに、風俗営業と同じ形態の営業を継続している者が増加しつつあるますので、この際、風俗営業に対する規制の目的を達成いたしますために、風俗営業の許可を取り消し、もしくは営業停止の処分をしたとき、または飲食店営業者が無許可で風俗営業を営みましたときは、公安委員会は、当該違反をした者が、当該施設を用いて営む飲食店営業につきましても、風俗営業者に対して常業停止を命じたときはその期間、その他の場合は六カ月をこえない範囲内で、営業の停止を命ずることができることといたしております。
また、設備を設けて客に飲食をさせる営業を営む者が、深夜における当該営業に関し、深夜において、法令に違反した場合におきましては、この種違反は、深夜以外におきましても善良の風俗を害するおそれがありますので、六カ月をこえない範囲内で、当該営業者が、当該施設を用いて営む飲食店常業について営業の停止を命ずることができることといたしております。
なお、公安委員会が、飲食店営業について営業の停止を命じたときは、当該飲食店営業の許可について権限を有する機関にその旨を通知しなければならないことといたしております。
次に、罰則を整備するための規定について御説明いたします。設備を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における順守事項違反に対しましては、罰則規定を欠いておりますため、これに対し有効な取り締まりを加えることが困難な実情にありますので、新たに設けられた年少者に関する禁止行為違反とともにこれを罰則規定にかからしめることといたしております。
なお、年少者に関する禁止行為違反のうち、風俗営業者が十八歳未満の者に客の接待をさせもしくは客の相手となってダンスをさせたとき、または設備を設けて客に飲食をさせる営業を営む者が、深夜において、十八歳未満の者を客に接する業務に従事させたときは、これらの違反行為の特質にかんがみ、過失による行為をも処罰の対象にすることといたしております。
なお、この機会に、カウンター越しに害の接待をして客に飲食をさせている営業も風俗営業に該当するものであること並びに風俗営業については、営業を営もうとする者の資格及び営業を営む者の行為についても条例により制限を定めることができることを法文上明確にするとともに、遊技場営業の許可の更新期間を、パチンコ屋及び都道府県が条例で指定する営業については三カ月、その他の営業については六カ月ごとと改める等関係規定の整備をいたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びおもな内容であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/2
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003・森田重次郎
○森田委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
なお、この際補足説明を聴取いたします。江口警察庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/3
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004・江口俊男
○江口政府委員 風俗営業等取締法の一部を改正する法律案の内容につきまして、逐条御説明を申し上げます。
第一は、風俗営業の範囲を明確にするための改正でございます。
第一条におきましては、風俗営業の定義を定めているのでありまするが、同条第一号及び第二号におきましては、「客席で客の接待をして客に飲食をさせる」ことを風俗営業の要件といたしておりますため、たとえば、カウンター越しに客の接待をして客に飲食をさせているバーなどにつきましては、地域によって、その取り扱いがまちまちになっておりまするので、この際カウンター越しに客の接待をして客に飲食をさせている営業も風俗営業に該当するものであることを明確にし、その取り扱いの斉一を期するため、第一号においては「客席で」を削り、第二号においては、客に飲食をさせる風俗営業についての用語を統一するため、「客席で」を「設備を設けて」に改めることといたしたのであります。
第二は、遊技場営業の許可の更新期間を延長することについての改正でございます。
第二条第三項におきましては、パチンコ屋その他これに類する営業で都道府県が条例で指定するものについては一カ月ごとに、その他の営業については三カ月ごとに許可の更新を受けなければその効力を失う旨を定めているのであります。この更新は、同条第四項において、公安委員会は、更新を求めた者に滞納にかかる娯楽施設利用税があるときは、原則として、その許可を更新しないものとしていることでもわかりまするように、もっぱら徴税の確保を目的としたものでございますが、遊技場常業の変動が特に激しかったころであれば格別、最近では、これらの営業も比較的安定してまいりまして、徴税上も支障がないということでございますので、営業者の利便と許可事務の合理化をはかるため、パチンコ屋その他これに類する営業で都道府県が条例で指定するものについては三カ月、その他の営業については六カ月にそれぞれ許可の更新期間を延長することといたしたのであります。
第三は、都道府県が、条例により風俗営業に対し制限を定めることができる範四を明確にするための改正でございます。
第三条におきましては、都道府県は条例により風俗営業における営業の場所、営業時間及び営業所の構造設備等について、必要な制限を定めることができる旨を定めているのでありますが、本条におきましては「営業を営もうとする者の資格」及び「営業を営む者の行為」について制限を定めることができるかどうかについて法文上明らかにされておりませんので、この際、本条に「営業を営もうとする者の資格」及び「営業を営む者の行為」を明記することといたした次第でございます。
第四は、風俗営業者に対する営業停止の処分の長期を定めることについての改正でございます。第四条におきましては、公安委員会は、風俗営業者に対し、風俗営業の許可の取り消し、営業停止等の処分をすることができる旨を定めているのでありまするが、営業を停止できる期間については定めがございませんので、今回、営業を停止できる期間を六カ月をこえない範囲に限ることといたしたのであります。
第五は、風俗営業者に対して風俗営業の許可の取り消し、もしくは営業の停止を命じたとき、または飲食店営業者が、無許可で風俗営業を営んだときは、公安委員会は当該違反行為にかかる飲食店営業につきましても営業の停止を命ずることができるものとすることについての改正であります。客に飲食をさせる風俗営業と食品衛生法にいう飲食店営業との差異はきわめて微妙であり、外見上はほとんど区別しがたいものが少なくないという実情にありまするため、飲食店営業の名において許可を受けないで風俗営業を営んでいる者や風俗営業の許可を取り消された者等で、なお、依然として飲食店営業の名のもとに風俗営業と同じ形態の営業を継続している者が増加しつつあるのが最近の実情であります。もし、このような状態を放置いたしまするならば、本法が風俗営業を許可にかからしめておりますことも、風俗営業に対して営業の許可の取り消し、または営業の停止の処分をすることができるとしておりますることも、事実上その効果の大半が失われることになるのであります。したがいまして、本法の風俗営業等に対する規制の目的を達成いたしまするために、第四条に第二項および第三項を設けまして、風俗営業に対し、営業の許可の取り消しもしくは営業の停止の処分をしたとき、または飲食店営業者が無許可で風俗営業を営みましたときは、公安委員会は、当該違反をした者が当該施設を用いて営む飲食店営業につきましても、風俗営業に対して営業停止を命じたときはその期間、その他の場合は六カ月をこえない範囲内で飲食店営業の停止を命ずることができることといたしたのであります。
第六は、設備を設けて客に飲食をさえる営業に対する規制の範囲を明確にするための改正でございます。現在、深夜喫茶等に対する規制の根拠となっている第四条の二第一項におきましては、都道府県は条例により、客席を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における「業態」について必要な制限を定めることができる旨を定めておりますが、ここにいたり「業態」の意義について明確を欠いておりまするため、現実には、営業の手段、方法として行なわれる行為及びこれに付随して行なわれる行為について規制されているにすぎないのが実情でございます。そこで、この種営業に対しましては、「営業の場所、営業時間、営業を営む者の行為及び営業所の構造設備」について必要な制限を定めることができることといたしたのであります。
この改正は、深夜喫茶等が風俗事犯の温床になっており、特に少年の非行を誘発し、非行少年のたまり場になっている実情にかんがみまして、これらの営業に対して必要な規制を行なうことができることとするためのものでございます。この改正によりまして、たとえば、都道府県が条例によって、深夜において喫茶店を営んではならない場所を定めますと、そこにおきましては、いわゆる深夜喫茶はなくなることとなるわけでございます。
第七は、設備を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における法令違反に対する行政処分についての改正でございます。第四条第二項におきましては、いわゆる喫茶店等を営む者が深夜における当該営業に関し、深夜において、法令または第四条の二第一項に基づく都道府県の条例に違反する行為をしたときは、当該営業を営む者が、当該施設を用いて営む深夜における喫茶店等の営業の停止を命ずることができるとしているのでありまするが、この種の営業の深夜における法令違反等の行為は、業の一体性にかんがみ、深夜以外の部分におきましても善良の風俗を害するおそれがありまするので、このような場合におきましては六カ月をこえない範囲内で、当該施設を用いて営む飲食店営業を停止することができることといたしております。
第八は、年少者に関する禁止行為を定めることについての改正でございます。最近、風俗営業やいわゆる深夜喫茶等が、少年の非行を誘発し、非行少年のたまり場となっているような事例が増加の傾向にありまするので、新たに第四条の三を設け、風俗営業者に対しましては、営業所で、十八歳未満の者に客の接待をさせ、または客の相手となってダンスをさせること、十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らしめること、営業所で二十歳未満の客に酒類を提供することを、また、設備を設けて客に飲食をさせる営業を営む者に対しましては、都道府県が条例で定めた場合を除き、深夜の営業において、十八歳未満の者を客に接する業務に従事させ、もしくは十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること、または営業所で二十歳未満の客に酒類を提供することをそれぞれ禁止することといたしたのであります。
第九は、罰則規定を整備することについての改正でございます。設備を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における順守事項違反に対しましては、罰則規定を欠いておりまするため、これに対し有効な取り締まりを加えることが困難な実情にありまするので、新たに設けられた年少者に関する禁止行為違反とともにこれを罰則規定にかからしめることといたしております。
なお、年少者に関する禁止行為違反のうち、風俗営業者が十八歳未満の者に客の接待をさせ、もしくは客の相手となってダンスをさせたとき、または設備を設けて客に飲食をさせる営業を営む者が、深夜において、十八歳未満の者を客に接する業務に従事させたときは、これらの違反行為の特質にかんがみ、過失による行為をも処罰の対象にすることといたしております。
以上、今回の改正案につきまして、その内容を逐条ご説明申し上げた次第であります。
何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/4
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005・森田重次郎
○森田委員長 以上で補足説明は終わりました。
なお、本案についての質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/5
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006・森田重次郎
○森田委員長 次に、地方自治に関する件について調査を進めます。
この際、県条例に関する問題について質疑の通告がありますのでこれを許します。加藤清二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/6
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007・加藤清二
○加藤(清)委員 私はこの際、委員長のお許しを得まして、内閣提出にかかる地方自治法の一部改正、地方自治及び地方財政に関して質問をいたしたいと思うものでございます。
ところで、私の質問に対する答弁に対して、自治大臣を要求すること一週間前でございます。きのうまた政府委員室へ参りまして、その内容を詳細に報告して大臣の出席を要請しておきました。にもかかわりませず、私の顔を見て逃げて行っちゃった。これでは質問ができません。至急大国の出席を要請いたします。委員長において善処されんことを要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/7
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008・森田重次郎
○森田委員長 大臣見えました。加藤溝二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/8
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009・加藤清二
○加藤(清)委員 早川大臣御存じのとおり、目下各都道府県におきまして予算が審議されている最中でございます。地方自治法の改正に伴いまして、各府県ともに条例の改正を行なっているようでございます。同時にまた、各都道府県こぞって議員の歳費の値上げをお手盛りしていらっしゃるようでございます。ともにこれは都道府県民の血税によってまかなわれるものでございまして、県民の注目はこれ以上はなはだしきものはございません。その件について、大臣の所見の一端を承りたいと思うわけでございます。
まず第一番目に、地方自治法第九十六条には、議会の権限を規定しているようでございます。その九十六条第一項第七号に基づきまして、施行令第百二十一条の二の二項、それに基づく別表の第二、これには都道府県の事件議決の対象に置いて規定しているようでございます。すなわち、各都道府県の県知事は土地を取得し、または処分するにあたりまして、金額の最高は七千万円、面積は二万平米、それ以上にわたるものは一々事件議決を要する、かように地方自治法によって規定されておると存じまするが、大臣の御所見はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/9
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010・早川崇
○早川国務大臣 御指摘のように、地方自治法施行令第百二十一条の二によりまして、御指摘のとおりなっていると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/10
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011・加藤清二
○加藤(清)委員 各都道府県におきまして条例が制定されております。その条例は、地方自治法に基づいて行なわれるべきであると存じまするが、この点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/11
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012・早川崇
○早川国務大臣 そのとおりと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/12
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013・加藤清二
○加藤(清)委員 もし逸脱した行為、逸脱した議決が行なわれるとしたならば、また行なわれんとしたならば、大臣は一体いかなる処置をおとりになるつもりでございまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/13
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014・早川崇
○早川国務大臣 明らかに違法の場合にば、それを撤回し、あるいはまた修正するように指導いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/14
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015・加藤清二
○加藤(清)委員 撤回し、修正されればもちろんけっこうでございまするが、もしそれにがえんじなかった場合には、憲法の定めるところによって、これは無効と存じまするが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/15
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016・早川崇
○早川国務大臣 法律に明らかに違反しておれば、無効になることは当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/16
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017・加藤清二
○加藤(清)委員 憲法九十八条によって明示されているところでございまして、もはや論議の余地ではございません。そこで私は、具体的実例を申し上げてみたいと存じます。
先刻申し上げましたように、これはある県の実例でございまするけれども、目下地方自治法に基づきまして、各県が各様に条例を制定している最中でございまして、及ぼす影響が甚大でございまするがゆえにお尋ねするわけでございます。すなわち、はっきり申し上げますると、それは三十九年二月、愛知県の定例議会に提出されておりまする議案でございますが、第四十九号議案、これは議会の議決に付すべき契約及び財産の取得または処分に関する条例、こう相なっておるのでございまして、ここで先ほど私が述べました地方自治法九十六条第一項第七号、これに基づく規定をそのまま受け取って規定しているようでございます。したがいまして、第四十九号だけを見ますると、何ら問題はないわけでございます。ところが同じ議会に六十一号議案として提出されておりまするものに、内陸用地造成事業における契約方法の特例に関する条例、これがあります。これもまた第一条から第三条にわたりまして、法律に基づいてその範囲を規定しておりまするから、これも問題はございません。ところがどういうものの間違いか、この六十一号議案、すなわち内陸用土地造成に関する条例におきましてこの附則に、当分の間、議会の議決に付すべき契約及び財産の取得または処分に関する条例、すなわち四十九号議案の三条、これは適用しない、六十一号議案において四十九号議案の一番肝心かなめの三条を否定しているわけでございます。すなわちこのことは、さきに申し上げました九十六条から発しておりますところの県知事の権限、すなわち七千万円以上、二万平米以上、これは事件議決を要しなければならぬということを否定しているわけでございます。しかも、当分の間というのでございまして、期限が無期限でございます。金額の予定もございますからあとで申し上げますが、条例において、甲の条例は法律に従い、乙の条例も法律に従っている。しかしその乙の条例の附則において甲の条例の一番大事なところを否定する、こういうことが行なわれているわけでございます。しかもそれは、法に定める範囲の権限の逸脱でございます。こういうことが行なわれてよいものでございましょうか、大臣の見解を承りたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/17
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018・早川崇
○早川国務大臣 具体的な事例をつまびらかにいたしませんので、行政局長からかわって答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/18
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019・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘になりました条例につきましては、県の係の織員が、法律の解釈につきまして相談にまいりましたので、私どもも、これは法の趣旨から見て非常に問題があるから、ひとつ善処したほうがいいということを助言をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/19
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020・加藤清二
○加藤(清)委員 そのとおりでございます。実は本件につきましては、私も、国会図書館、法制局それから法務局、その他を調べてみました。意見は完全に一致しております。ただ最終決定を延ばしているだけのことでございまして、違反の疑いは濃厚である、こうでございます。それを県会で某議員が、その見地に立って質問をしたわけでございます。その結果、提案者はあわてふためいて自治省へくしの歯を引くようにお参りにきた、こういうことでございます。その方々はまた自治省のみならず、法制局へもお手やわらかにということを陳情しておるようでございます。それは筒抜けに私のところにわかっておるわけでございます。こういう案件でございます。局長の答弁について、大臣の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/20
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021・早川崇
○早川国務大臣 行政局長の答えましたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/21
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022・加藤清二
○加藤(清)委員 すでに県知事の権限、事件議決を経ずに単独で行ない得る行為は金額にして七千万円、面積にして二万平米と決定されておる。その決定を見るあの法律の制定のときにも、これは多過ぎるではないかという論議が相当戦わされたものでございます。にもかかわらず、それを逸脱する行為が行なわれんとしておるわけでございます。なお実例は一歩竿頭を進めまして、四十九号議案第三条の七千万円というところを三億円と読みかえるという修正を提出いたしまして、これを強引に可決いたしておるわけであります。三億円と申します土地の取得、一筆単価三億円、そういう実例が過去にあるかないかを検討いたしてみました。しますと、これは大きな県といえども三億をこえる金額に達する物件というものはほとんど少ないのでございます。それ以下でございます。しますれば、県知事はやがて土地を取得し、これを処分するにあたって、ほとんど議決を経ずに独裁でこれを処理するということが可能になってくるわけでございます。はたしてこのようなことを許して地方自治の完全な発展が期せられるかどうか、大臣の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/22
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023・佐久間彊
○佐久間政府委員 この九十六条の改正が行なわれました点は、先生の御指摘のとおりでございます。従来条例に全く委任をいたしておりましたが、府県によりまして、条例の定め方が非常にまちまちでございました。そこで、その条例の規定の基準を、政令で定めることにいたしたわけでございます。その政令の基準は御指摘のようでございますが、この基準の上でどの程度までのことを具体的にその当該地方公共団体の条例で定めますかは、これは条例にゆだねておるわけでございます。ただこの九十六条の改正になりました趣旨が、何でもかんでもこまかいことまで一々議会の議決に付せしめるということは適当でない。しかし非常に重要なものについては、やはり議会の議決によることがよろしい、こういう立法の趣旨で基準をきめられたわけであります。その趣旨を考え、そして当該地方公共団体においてどの程度が合理的な線かということを判断して、あとは自主的にきめられるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/23
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024・加藤清二
○加藤(清)委員 この際本件に関する法制局の見解を承りたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/24
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025・山内一夫
○山内政府委員 実はたいへんむずかしい問題だとは思いますが、正直に法律家の良心から申しまして、いまの先生の御指摘になった条例というのを完全に法律的な意味で違法だというのは、ちょっとやはり躊躇をするわけであります。いまの条例の立て力からいいますれば、要するに理事者が専決処分をすることができるというのは、ここで申しますところの七千万円なり、この別表に書いてあるこれ以下のものは専決できるのでありますが、それ以上のものは条例で定むるところにより、こういうふうに地方自治法の九十六条に書いてあるのであります。だからその条例で定めるものの限界がどこにあるかという問題だと思います。この別表どおりの条例を定めるということならば、条例で定めるという、そういう一つの九十六条が委任しておるところの趣旨というのはなくなるわけですから、条例で何らかの裁量の規制はできる、そういうふうに九十六条の一項七号というのは解釈せざるを得ないと私は思います。その裁量の幅をどこまで持ってくるか、一体条例で全部専権があるから七号の事件議決になっているところの対象を全部はずす、こういうことになりますれば、これはもう先生のおっしゃるとおり、地方自治法の九十六条が、こういう種類の重要財産の取得、処分について事件議決を定めておる趣旨に反しまするから、それは私は違法だと思うのです。しかしいまおっしゃった四十九号でございますか、土地を造成してそれを売る、そういう場合の特性に応じまして、条例でもって事件議決をはずすという場合が絶対に不可能かどうかといいますると、私はそこに若干の問題があろうと思います。そこで私もここですぐ徹底的に合法かといわれるとちゅうちょされるのですが、その幅は、いまの県の条例をもう少し、実際よく調べてみて違法かどうか、合法かということを言いたいと思いまして、いまここでこの条例を違法だというふうにきめつけるのは私はちゅうちょいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/25
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026・加藤清二
○加藤(清)委員 答弁のいかんによっては、三百代言というあだなを提供しなければならぬようになるかと存じまするが、そのいまのあなたの御意見、すでに地方自治法に基づいて指示されたところの価格、面積等々でさえも、なおこれは多きに失するということが、この法律制定のときに論議されている。したがって、法律制定の精神は、それ以上逸脱してもよろしいというわけではないんです。これはもう値段でいえば公定価格が示されたものと見てしかるべきで、それ以上のものは当然事件議決を経なければならない、またそうあるべきが地方自治を円満に運営させるものであり、自治団体の長の独裁を防ぐものである、私はかように解釈する。そこであなたにお尋ねしたいが、ただいまあなたの御答弁になった件について、私はすでに先ほども申し上げましたように、政府関係の関係各省を尋ねて回っておるのです。ほとんど意見は一致しておる。そこでお尋ねする。あなたの意見は政府の、あるいは法制局のまとまった意見でございまするか、それともあなたの個人の見解でございまするか。もしこれが違法でないとするならば、逸脱しても、道路からはみ出ても交通違反でないということと同じでございまするから、あなたは逸脱せざるという、違反でないとおっしゃるならば、その限度をここでお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/26
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027・山内一夫
○山内政府委員 この違反の限度がどこにあるか、これは私その数字でお示しするというわけにはまいらぬ、こう思うのです。ともかく地方自治法の九十六条の七号というのは、条例で定むる範囲というのは私はある。そこについてはやはり裁量があるわけです。それでまあ先生のお尋ねは、その裁量の幅が一体どこにあるか、こういうことだろうと思うのです。これを網羅的にお示しすることは、私なかなかできませんけれども、いま先生の御指摘の、この造成された土地の売却に関する条例というものは、公有水面の埋め立てからくるところの土地であろうと思います。そういったものを事業としてつくって、それを迅速に売却していく。造成するところの費用を県が計上いたしまして、そしてそういうものをずっと事業としてやっていく。その面からいきますると、包括的な事業の承認ということで、初めから議会はのんでかかっている、こういう考え方もあり得るわけです。ですからこのケースについても、直ちに私、違法と言えるかどうかということを疑問に思うわけです。一般的な限界を示せという本来のお尋ねですが、ここでいまどこに限界があるかというのは、私はもう少し考えないと、その限界というのをお示しするわけにいかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/27
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028・加藤清二
○加藤(清)委員 大臣の時間がないそうですから、ずばっと簡潔にお答え願いたいと存じます。さきの質問の要点の一つである、それは統一見解でございますか、あなたの個人見解でございますか、こういうことについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/28
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029・山内一夫
○山内政府委員 実はこの問題は、いま私自身が伺ったわけですから、この見解を上司と相談してきめた見解ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/29
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030・加藤清二
○加藤(清)委員 わかりました。
次に、あなたのような見解でございますと、先ほど修正案に、金額を三億円と読みかえる、こういう修正が無理やりに通っておる、そこで県民は騒然となってきたということでございまするが、その三億円は、過去にそういう実例がどれほどあるかと調べてみますと、一筆一件について三億円以上という土地の取得ということはほとんどない、去年度の愛知県だけを見ましても、十三件中三件足らずです。ほかは全部三億円以下の金額なんです。さすれば、もはや土地の取得については事件議決は必要でないということに、結果として相なるわけです。さすれば、何も地方自治法において土地取得について規定したり、指示する必要はなくなってくるわけです。独裁でやれるのですから。そうでしょう。これについていかようにお考えですか、三億円というものについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/30
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031・山内一夫
○山内政府委員 一般的に土地の価格が三億円であるのを、知事の専決にするということは、これはやはり九十六条の精神を踏み破っているものだというふうに私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/31
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032・加藤清二
○加藤(清)委員 引き続いて、もう二点だけあなたに質問します。そしてあと自治大臣にお尋ねしますが、同一性質の同一案件を一つの法律ないしは条例で背走しておる、他の法律ないしは条例で否定する、そういう例があり得るか。しかもそれは同時刻でございます。同一議会でございます。時間がたっておれば別でございます。そういうことがあり得るかどうか、それが第一。
また、その否定を、甲を否定するにあたって乙の本法でいうならばいざ知らず、乙の本法でまた肯定しておいて、乙の附則において否定するというような、そういう立法のあり方というもの、それを法制局は肯定することができるかできないか、これについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/32
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033・山内一夫
○山内政府委員 これは条例相互の場合にも法律相互の場合にも考えられますけれども、これは一般法と特別法の関係に立って、一般的にはこうであるけれども、ある事項についてはこうである、こういう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/33
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034・加藤清二
○加藤(清)委員 私は、同一案件とちゃんと前提を置いておる。一般論を聞いておるのじゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/34
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035・山内一夫
○山内政府委員 一般論の場合は、一般法と特別法の関係になりますけれども、同一案件についてやるということは一種の矛盾になると思いますから、そういうことはあり得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/35
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036・加藤清二
○加藤(清)委員 それも前例を調べてみました。あり得ない。法で定めた財産の取得処分、これを他の法で否定しているのは、憲法で定めた条章を皇室財産法で否定しているという実例がございますけれども、それはもとの憲法が基づくとなっておる。そこで変わった解釈が出てきたのだけれども、いかに皇室財産といえども、三億円をこえるものについてかってに処分してよろしいということにはなっていない。そんなことはあり得ない。
そこで、大臣にお尋ねいたしますが、同一議会に同一案件に対して、甲は肯定し乙は否定する、甲が通った、引き続いて乙を通す、これは一事不再議の基本にもとると思われまするか、大臣の見解を伺いたい。これはちゃんときまっているが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/36
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037・早川崇
○早川国務大臣 法律的な問題でございますので事務当局より……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/37
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038・加藤清二
○加藤(清)委員 よろしいとおっしゃるなら、私はここで別な案を提出してやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/38
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039・佐久間彊
○佐久間政府委員 同一の案件につきましては一事不再議になりますけれども、片方が一般法であり、片方が特例法という関係でありますれば差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/39
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040・加藤清二
○加藤(清)委員 ところが本件は土地取得ということなのです。同一案件なのです。四十九号議案、六十一号議案——六十一号議案は同じ」地取得だけれども、内陸用工業土地というだけなのです。内陸用工業土地とは何かといったら、内陸用土地というものは沿岸地帯だけなのです。内陸川土地とは学校とか病院とかに適用することばではない。御存じのとおりこれは工場設置に伴うところのことばなのです。したがって内陸用土地とは何か、波打ちぎわから中は全部内陸川土地なのです。工場関係では。これは通産省も経企庁も一致した見解なのです。そうでしょう。さすれば内陸用土地取得というのも、同じ物件について、同じ案件について取得し、処分するということになってくる。ことばをかえればいいと言うのですか。したがって、あなたのおっしゃったように特殊な関係ならば別なのです。主と従である。ところがそうじゃない。これは並んでいるのです。並んでいればこそ、何号議案と、同じ並べ方なのです。こういうことについてもう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/40
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041・森田重次郎
○森田委員長 ちょっと加藤さん、大臣は予算委員会に呼ばれておりますので、なるべく大臣には早く開いてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/41
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042・加藤清二
○加藤(清)委員 なるべく大臣に集中しましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/42
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043・佐久間彊
○佐久間政府委員 この議案を拝見いたしますと、六十一号議案のほうは内陸用地全部ではございませんで、内陸用地造成事業という一つの特定の事業で行なう土地の買い入れ、こういうことになっておりまするし、そういう事業で特定しない土地全部が四十九号議案になっておりますので、やはりこれは一般法と特例法という関係になるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/43
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044・加藤清二
○加藤(清)委員 そうお答えになってお逃げあそばされるだろうと思いました。大臣に集中せよとおっしゃるから、これは本日だけで終わらずに引き続いて私は質問しなければならぬと思います。なぜかなれば、確たる答弁ができないからです。あまりにもはっきりしている事実であるけれども、相手が相手だから、はっきりした答弁をすると差しつかえが生じてくるから、そこで答弁ができない、こういうことなのです。
さて、そこで大臣にお尋ねいたしまするが、すべての国民は法の上においては平等だと私は存じております。ところで、甲に対しては手きびしく、乙に対してはやわらかく、地方自治法の適用は甲、乙がつけられまするか。それともつけられませんか。なぜこんなことを聞かなければならぬかと申しますと、本件にそのにおいがすると同時に、すでにこういうことをあなたたちの幹部は選挙のときに約束していらっしゃるからでございます。すなわち、地方自治体の選挙の折りに、中央政権につながらぬ候補者では予算上損をするぞとおっしゃる。逆に候補者の側では、中央に顔がなければ行政的に損だぞ、こういううたい文句で選挙を進めてみえるわけです。このときのことばかこのような場合に適用されるものかされないものか、早川大臣、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/44
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045・早川崇
○早川国務大臣 合理的な理由がない場合に、自治法の適用を不平等にし、差別扱いするということは、御指摘のとおり許されないことと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/45
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046・加藤清二
○加藤(清)委員 自治法九十六条の一項七号に、議会の権限をきめておりますが、つまり県知事の権限が拡大されていく、事件議決を経ずにかってに処分ができるということは、やがて今度は県会の権限を侵害する結果となってくる。審議権の剥奪、決議権の剥奪、こういうことに相なると存じます。これについて酷吏は常に法を曲げ、奸民はしばしば法網をくぐると穂積先生はすでに警告を発しておられるわけです。こういうことに相なると存じますが、これについて大いかにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/46
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047・早川崇
○早川国務大臣 ただいまも申し上げましたように、合理的な理由がある場合には、差別的な不平等の扱いということは許されることでありまして、今回の場合のようなものは、そのケースによって判断すべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/47
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048・加藤清二
○加藤(清)委員 ケースによってと言われるが、私は具体的な実例を出しておるのだ。にもかかわらず、あなたの答弁がない。ケース・バイ・ケースによるとお逃げあそばされても、私は具体的実例をここに出しておる。それについて大臣は一体どのような見解でございましょう。こういうことが各都道府県至るところで、三億円以上のものまでがかってに処分されてよろしい、あるいは七千万以上とあなたが指示しているにもかかわらずそれが守れぬでよろしい、二万平米と国家は法によって指示しているにもかかわらず、それ以上のものがかってに事件議決を経ずに処分されてよろしい、かようにお考えでございますか。各県がいまそれを行なっているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/48
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049・早川崇
○早川国務大臣 この別表の七千万以上というのは最低の基準でございますので、包括的な……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/49
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050・加藤清二
○加藤(清)委員 最低の基準はゼロですよ、そんな解釈のしかたをしたらあなただめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/50
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051・早川崇
○早川国務大臣 最低の基準であることは間違いございません、そういうように書いているのですから。それ以上包括的に知事に可決処分を認めるというのは、最初の議案は明らかに自治法に違反すると考えますが、修正案としてそれを改めまして三億ということにきめたのでありまして、これにつきましてはこれを違法であると直ちに判定できないということは、法制局の見解が正しいのではないかと思います。
なおその合理的な理由というものは、それぞれの県議会においてどう判断するかという問題ともからみますので、ケースによりまして合理的理由であるかどうかということは判断すべきものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/51
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052・加藤清二
○加藤(清)委員 私の質問に答えてもらわなければ困ります。これでおしまいです。あと質問いたしません。
法で大体指示している、それ以上逸脱していく、そのことはやがて議会の権限の剥奪行為になる、当然のことなんですね、そういうことが次々と行なわれていいか悪いか。私はこれから具体的実例を出します。土地取得について汚職が行なわれた。国有地が五万坪も蒸発してしまった。しかしそれが国有地のときには蒸発しなかったが、県有地に移管されたら蒸発してしまった。そういう実例を次から次へと出します。そういう基礎の上に立って、そういう前提のもとに私は述べておる。決して空理空論ではない。形式論でもない。そういうことがかってに行なわれていっていいものか、そのことをあなたにお尋ねしておる。本件はただ愛知県のことだけではない。いま各都道府県において条例が制定されておる。これについてどう思うかというのです。これでよろしければそのようにやったらいいでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/52
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053・早川崇
○早川国務大臣 これはなかなか法律の解釈上専門的な見解の問題になりまするが、私は今回の場合、先ほど事務当局並びに法制局がお答えされたとおりでありまして、これが直ちに県議会の議決権の剥奪とかあるいはまた自治法の侵害になるということは、少し言い過ぎではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/53
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054・加藤清二
○加藤(清)委員 大臣への質問は留保しておきます。大臣が時間の都合上欠席されることをまことに遺憾に存じまするけれども、以下本件に関してそれでは事務当局にお尋ねを続けまするが、県に汚職が行なわれる、県有地が五万坪も六万坪も蒸発してなくなってしまう。そういうことが過去にたくさんあった。だからこそ専決で決定する権限を、面積においても金額においても目標を指示しているわけだ。それを逸脱して三億円という莫大な金額までかってにしてよろしいということにしたら、もはや事件議決をするものはほとんどなくなってしまう。大臣の権限でもそうでございまするが、拡大させればさせるほどそこから間違った行為が発生するということは、過去の実例であなた、よう御存じのはずなんだ。こういうことについて、あなたは行政指導をどのように行なっていらっしゃいますか。ほんとうはこれは大臣に聞かなければならぬことなんですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/54
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055・佐久間彊
○佐久間政府委員 先ほども申し上げましたが、今回の地方自治法の九十六条の改正の趣旨につきましては、改正法が成立いたしました直後、関係者地方公共団体に対しまして、その趣旨の説明をいたしております。その趣旨は、地方財務会計制度調査会の答申におきましては、財産の取得処分は議会の議決を経た予算の執行に属するものであるから、原則としては執行機関の責任にゆだねるべきだ、こういう答申があったのでございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、非常に重大な案件があるわけでございますから、そういうものは地方議会の議決にかからしめまして、その適正な執行を期するということが必要であると考えまして、政府が提案いたしましたものは従来より基準はあげますけれども、その条例で定めます基準を政令で定めておこう、こういう趣旨で提案をいたし、国会の御議決を得たわけでございます。そういう趣旨はよく関係地方公共団体に指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/55
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056・加藤清二
○加藤(清)委員 本件に関する見解は、あなたも大臣も最初におっしゃったとおり、本日ここで最終結論は出すことはできない。それから法制局のほうも統一見解でない、また確定的な答えを出すことば時期尚早でできない、こういうことでございます。そう相なりましたやさきに、はっきりした答えが出ないままに条例が通ろうとしているわけでございます。その統一見解はあなたのほうではいつできますか。自治省としていっこういう件に対して確定的な答弁が出るとおっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/56
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057・佐久間彊
○佐久間政府委員 この提案されました原案につきましては、先刻申し上げましたとおりに私どもは非常に違法の疑いが濃い、こういうことで、県に善処方を助言をいたしたわけでございます。その結果、ただいまおっしゃったような修正案が出たように、これも仄聞をいたしたわけでございます。その修正案の内容につきましては私どもまだ十分検討をいたしておりませんが、形式的に申しますと、先ほど大臣も申されましたように、法律では七千万を下ってはならない、こういうことでございますから、それ以上どの程度までこの場合の特例として定めるかは、これは県議会で判断すべきことだ、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/57
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058・加藤清二
○加藤(清)委員 私の質問している件について、いつの日に統一見解が出ますかお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/58
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059・佐久間彊
○佐久間政府委員 修正案の案文は、まだいただいておりませんので、それを取り寄せました上でなるべく早く検討することにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/59
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060・加藤清二
○加藤(清)委員 修正案を取り寄せて、それを検討した後に最終決定をする、こうおっしゃったですね。法制局はいかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/60
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061・山内一夫
○山内政府委員 至急検討いたしてお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/61
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062・加藤清二
○加藤(清)委員 至急とは一体時期はいつごろでございますか。県条例で定めるように、当分の間でございますか。それとも至急とは、大体めどにしてどのくらいでございましょう。というのは、次に質問することと関連があるからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/62
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063・山内一夫
○山内政府委員 何日の何時というふうに、そうタイム・リミットを限って申し上げるわけにはいかないと思いまするが、事柄もすでに進行しておるわけでございます。ですから、私責任を持ってできるだけすみやかにやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/63
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064・加藤清二
○加藤(清)委員 責任を持ってできるだけすみやかに結論を出す、こうおっしゃっている。行政監督の立場にある当局は、いまおっしゃったとおりで、これも可及的すみやかでしょうが、修正案を取り寄せてから、とこうおっしゃった。もし県当局において、その答えが出ないうちに採決に持ち込まれたら、これは一体どういうことになりますか。さすれば、あなたたちの仕事は、指示、監督、指導ということが行き届かなかった、こういうことになっちゃう。そこで、県当局に対して、本件に関する指導をどのようになさるおつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/64
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065・佐久間彊
○佐久間政府委員 先ほども申し上げましたように、当初の原案につきましては、法令の趣旨に違反する疑いが濃いことが明確でございましたので、はっきりと助言をいたしましたが、ただいまのお尋ねの点につきましては、いろいろ実態についての判断を要する点が多かろうと予想いたすわけでございます。したがいまして、これにつきましては、県議会で自主的に議決がなされますならば、それをこちらから阻止するというようなことはいかがかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/65
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066・加藤清二
○加藤(清)委員 それではあなたの趣旨は徹底しないことになるのですね。事件が済んでしまってから、どんな注意をしたって及ばぬということになりますね。判定というものが決定しないうちにことが運ぶなんということが、法律上許されますか。たとえば個人の問題についてもそうでしょう。判決が決定しないうちに無罪釈放するという刑法が、どこにございますか。日本の法律はそのようにできているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/66
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067・佐久間彊
○佐久間政府委員 自治省と地方議会との関係におきまして、明らかに法律違反の疑いが濃いというものにつきましては、私どもも積極的に助言をいたすべきものと考えておりますが、その程度に至らない、適当かどうかという判断に属すべきものと考えられますものにつきまして、議会の審議が進みますものを私どものほうで干渉するということは、これは避けるべきではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/67
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068・加藤清二
○加藤(清)委員 もとより私も、中央集権を望むものではございません。しかし明らかに、あなた自身も疑いがあると言っている。法制局のほうも疑いがあって、結論はきょうここで出ないと言っておる。私がいままでこういう公の席上でなくして調べた結果はどうかといえば、明らかに違反であると答えている。そういう案件を、結論が確定しない先に運ばせるということは、犯罪の疑いのある者を無罪釈放すると同じことでしょう。そういうことが許されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/68
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069・佐久間彊
○佐久間政府委員 先生の提起なさいました問題は、二つあると思います。前段の、原案につきましては、私どもも明らかに法律に違反する疑いが濃い、かような判断をいたしましたから、積極的に善処するように助言をいたしたわけであります。しかし後段の七千万を三億に上げるという修正案につきましては、形式的には直ちに法律違反ということはいえないものでございまして、それがはたして合理的な額かどうかという判断の問題になりますので、そういう問題につきましては、自治省が地方議会に対しまして助言勧告をするというようなことは、法律上から申しましても、そこまで自治省が立ち入っていいものかどうか非常に疑問の点があると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/69
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070・川村継義
○川村委員 関連して一言お尋ねいたします。
これは非常に重要な問題でありますから、できたら当局の態度を明確にしてもらいませんと、いまお聞きしているような状態で推移すると、混乱をするだけじゃないか。そこで条例制定の手続あるいはその内容については、おっしゃるように非常に違反の疑い濃厚なものがある。ところが、あとの第二点であるところの、いわゆる特例で持っていこうとしておる三億の金額については、いろいろお説のように必ずしもこれが違法だというふうにはならない。こういう見解のようですが、なるほどそういう見解もあるいは成り立つかもしれません。それでは法制局のほうの見解を聞いても、行政局のほうの見解を聞いても、この場合三億というものが許される、また先ほどの見解を聞いておると三億でも四億でも五億でもいいじゃないか、こういうような見解にもなってしまうわけです。聞いておるとそれも成り立つわけです。ところが大体基準というものが七千万、土地については二万平方メートル、こういうような一つの基準があれば、そこにはやはり一つの限度というものがある。その限度は、地方議会の、あるいは提案をする知事なら知事の、いわゆる政治的良心というか良識というか、それがこれに伴ってこなければならぬと私は思うのです。
そこで行政局長にも法制局のほうにもお伺いいたしますが、皆さん方は、三億と設定するのは違反ではないようだけれども許されるものとお考えなのか、どうもこれは不当だ、少し行き過ぎだとお考えになっておるのか、そこのところを明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/70
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071・佐久間彊
○佐久間政府委員 法律的には違反ということはいえないのじゃなかろうか、ただ、しかしそこの基準が適当な基準かどうかということにつきましては、私どもも検討すべき問題があるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/71
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072・川村継義
○川村委員 法制局どうですか。簡単でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/72
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073・山内一夫
○山内政府委員 簡単に言いますが、施行令の別表は、知事の専決処分にしなければいけないリミットをきめているわけです。ですから議会の議決事項とするのは、このリミット以外のどこにするかというのは条例できまるわけです。それが三億円とか四億円とか、まるで議会の審議権をみずから放棄するようなことが許されるかどうか、問題はそういうことになろうかと私は思います。ですからその審議権を放棄する段階がどこになるかというと、これは成文の明文であるわけではございませんから、そこのところをどう考えるかという問題であります。私のいまの感じから言いますと、三億の一県の議決というのは膨大な額になると思う。ですから、そこをそれまでいいということが、議会の権限放棄のことになるのではないか、私、先ほどはそういうふうに申し上げたわけです。ただその前の内陸の造成事業の場合につきましては、また特殊の事業の性格がもしありといたしますならば、その観点から長のほうの専決処分にするということも合理性があれば許されるかもしれぬということを言う意味におきまして、すぐここで違法だというふうに断定することはちゅうちょされると言ったわけです。私は何しろ法律家でございますから、法律的に絶対にいかぬというふうに考えられない限り、違法ときめつけるべき勇気を持たないわけであります。個人的な感想からいいますれば、多額のものを議会の権限を放棄するということは好ましくないというふうには私は考えております。ですからいまの三億円がいいか四億円がいいかということを、どこがアッパー・リミットかといわれてもなかなかすぐここで申し上げにくいということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/73
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074・川村継義
○川村委員 行政局長のお考えを解釈するならば三億などという金額、あるいは愛知県が今度六十一号で制定しようとしておるこの条例は、内陸用土地の造成取得についての特例である、それはそれなりのあるいは一つの理由というものが存在するかもしれませんけれども、しかし三億という金額はやはり何としても許されない、こう考えざるを得ないと思う。そうするとお説のように、あるいは違法ではないかもしれないけれども、これはやはり不当なやり方だということは言えると思うのです。そうするとこの際行政局としては勇気を持ってそれは少し大きい。そういうような権限乱用はいけないというような見解をもって、たとえば七千万円という一つの基準が安過ぎるならば、一億なら一億の程度に特例をすべきではないかというようなことをこの際率直に指導すべきじゃないか、私はそれが必要じゃないかと思うわけです。基準がはっきりしないとか、よく検討してみなければならぬといっておりますと、もう近いうちにみな各県通ってしまう。そうすると三億も五億も、よそのことはよく知りませんけれども、そういう特例が存在すると、あとに実に大きな問題が残って、地方自治というものが根底からゆらぐ結果になりはせぬか、そういうことを心配するわけであります。そこで私が申し上げているのは、法的には違法でないという解釈も成り立つかもしれぬけれども、三億というのはいかぬ。一億程度なら一億程度必要があれば、この際特例でもって押えるべきじゃないかという指導をすべきであると私は思うのですが、これはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/74
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075・佐久間彊
○佐久間政府委員 私も三億という金額につきましては、相当検討をすべき問題があると考えております。しかし自治省が地方議会の審議に対しまして、どこまで助言をすべきかという点になりますと、先刻も申し上げましたように、明らかに法令の趣旨に違反するという疑いの濃厚なものにつきましては、積極的に助言をいたすべきだと思いますが、そうじゃないものにつきましては、なるべく自治省としては慎重な態度をとらなければならない。行き過ぎたことのないようにしなければならぬのじゃないか。それは地方議会が自主的に審議をし、御判断をなさるものにゆだねるべきじゃないか。この場合において、自治省が言うことはいいといたしましても、そのようなことが今後いろいろな事柄につきまして行なわれることになりますと、私はその弊害のほうが大きいんじゃないかと思いまして、みずからを戒めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/75
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076・川村継義
○川村委員 自治省の立場のお気持ちはよくわかる。ところが、これまで自治省の行政指導の面では、ぼくたちの見るところでは、行き過ぎじゃないかと思われるような行政指導がたくさんある。一々あげてみる必要はないと思う、あるのです。こういう重大なときに、金額を明示するかしないかは別にして、強力に指導するということは、私は必要だと思うのです。われわれもお気持ちはわかるけれども、あまりにも慎重というのか、どっかの県に対して遠慮なさっておると、たいへんな事態が出てくる、こう私は言わざるを得ないと思う。これはひとつ勇気を持って指導すべきである、勧告すべきである、こう思うのです。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/76
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077・佐久間彊
○佐久間政府委員 私どもが指導をいたします場合に、地方公共団体の執行機関に対します場合と、議決機関に対します場合と、やはりそこに一つの違いがあると思います。執行機関が執行いたします場合につきまして、いろいろ指導いたします場合には、事柄によりましては、相当立ち入った指導をすることも必要のある場合もあろうかと思いますが、議決機関につきましては、執行機関と違って相当自主性、独立性を尊重しながら指導していかなければいけない、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/77
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078・安井吉典
○安井委員 この九十六条の第一項第七号ですね。この規定は、つまり七千万円という一つの線を引くという規定だと思います。だからこの七千万円の線から下は、専決処分でいい。七千万円から上は議会の議決を経なければいけない、そういう一つの線をこれできめているわけです。ですからそういうところからいって、おきめになったお気持ちは、当時私はここの委員でなかったものですから特に伺いたいのですが、この七千万円というところをこれよりあまり下げてもいけないし、上げてもいけないし、大体この辺がいいだろうというところで、七千万円という線をお引きになったんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/78
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079・佐久間彊
○佐久間政府委員 この七千万という数字は、全国の地方議会におきまして、当時三分の二議決にいたしておりましたものを、大体平均をいたしましたところを一つのめどにして定めております。実際問題といたしますと、県の大小によりまして、従来とも基準にかなりでこぼこがございましたが、この七千万は、もちろん一つのめどでございますが、このめどはこれが最低のリミットということであって、県の規模その他の事情を考えまして、上のところで条例に定めるものは、これは条例にゆだねよう、こういう考え方であったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/79
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080・安井吉典
○安井委員 いまの御答弁から考えますと、七千万というのは、従来は三分の二議決であったものを、それを過半数議決まで下げたのです。だからこれは相当な限度額の引き上げだと私は思うのです。それを三億円というようなことを議会かきめるのは、これから上は議会の権限ですから、条例によって議会が権限放棄をさせるというふうなことを、自治省が黙っているほうがおかしいと思う。七千万という線をはっきりおきめになって、これは自治省が御提案になった以上、立法趣旨というものは、これから上は住民の代表としての議会は、しっかり理事者のほうのやつを見守っておれ、こういうことで七千万をお引きになったのだと思います。しかも議会がきめるんだから、自治省は自主性を尊重して指導しない、あまり口ばしを入れないんだというおっしゃり方をなさるのですが、私がこれを見ますと、愛知県知事桑原幹根提案なんですね。理事者が提案しているのです。議会の発議で、これは七千万というところが限度だけれども、愛知の議会は、知事がしっかりしているから三億円から上でもおれはいいんだ、議会の発議でやるならまた筋が通るかも一しれない。しかし知事が、議会にほんとうは七千万だけれども、ぜひ議会の皆さん、三億円までは知事に、おれにまかせてくれということで、知事自身が出しておるのですから、これは先ほどの行政局長の御答弁からいうと、行政機関のほうの指導は強くできるし、議会のほうは弱いとおっしゃるが、それのいいか悪いか別として、そういうお考え方からいえば、知事のこういう提案に対して、もう少し考え直したらどうなんだ、こういうふうな御態度が私は必要じゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/80
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081・佐久間彊
○佐久間政府委員 私ども伺っておりますものは、もとの原案は、もちろん知事から提案をいたしたものでございますので、これにつきましては先ほどお答え申し上げておりますように、こちらといたしまして積極的に助言をいたしたわけでございますが、あとの修正案は、議会の中で議員修正として提案されておるように伺っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/81
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082・森田重次郎
○森田委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/82
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083・門司亮
○門司委員 大臣おいでにならないが、法制局がお見えになっておるから、そのほうにお尋ねいたします。先ほどから議論を聞いておりますと、どうもふに落ちない点が少しあるのです。これは自治法の趣旨に非常に大きく反すると思う。御承知のように、自治法にこういう規定が設けられておる。財産の処分につきましては、第一段階としては住民の投票によるということが一つ書かれておる。住民の貴重な財産についての処分については、いわゆる住民投票によってきめると書いてある。この条項は憲法の九十四条を受けた条文でありまして、憲法の九十四条に、「地方公共團體は、その財産を管理し、事務を處理し、及び行政を執行する權能を有し、法律の範囲内で條例を制定することができる。」と既定されておって、しかも憲法の九十三条には、「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」こう書いてある。この関連から現在の自治法を考えてみますと、財産の処分の第一段階、最も大きなものについては、住民の投票によってこれをきめよと書いてある。その次の問題として、議会において議決することが書かれておる。知事の専決処分というもの、あるいは理事者の専決処分というものは、これらの規定はそうなっておるが、それは煩雑であるから、それを避けることのために、一つの便法としての規定にすぎないという解釈をすることが私は正しいと思う。そう考えてまいりますと、結局おのずからそこには限度というものが生まれてくる。その限度でいろいろ論争が行なわれておるように私は聞いておるのであります。したがって財産処分については、そういう憲法あるいは現行自治法の解釈、あるいは法相の概念といいますかを考えてまいりますと、少なくともそこには住民の納得し得る、社会通念の上からいって適当な線が引かれるべきなんですね。それをいまの、何ぼ物価が高いからといって、社会通念の中から考えれば、少なくとも知事が三億までは自由にできるのだということになりますと、これはどういうことになりますか。鉄筋コンクリートの小学校が三つできますよ。かなり大きな仕事ができるはずです。それを知事がかってにやれるということになると、もはや議会の議決なんというものは川をなさなくなってくる。県予算の中をひとつ見てごらんなさい。一つの予算項目で三億をこえる金額というのはそうたくさんないと私は思う。そうなってまいりますと、実際の実行予算の上から勘案してまいりますと、ほとんど実行予算というものは知事の専決処分でできる、どんなにでもなるということになると、議会で議決したことが結局空文にすぎないような形になってくる。議会はただ総ワクだけを通せばそれでよろしい、あとは知事さんがかってにやれるのだということにならざるを得ない。同時に住民は、自分たちにほんとうは与えられている権利なんですね、住民にほんとうに与えられている貯炭処分の権利なんです。それを議会に委任し、さらに知事に委任しておる。その一番末端の知事さんが、議会の意向も十分しんしゃくしない。ましていわんや、住民はつんぼさじきに置いておいてかってにされるという自治行政のあり方というものはないはずである。これでは全く自治行政がなくなるんですよ。自治とは蓄えないでしょう。今日の自治法は、そこまでばかばかしい、何が何だかわからぬ夢みたいなものではないと私は思う。知事にまかしているのは、あくまでも住民の権限、いわゆる憲法に基づく地方自治の精神に従って定めておる。しかも、御承知のように財産を処分する権能を憲法が地方の自治体に与えておりますことは、そういう意味だと解釈することが正しいことだと私は思う。そういうばかばかしいものに対して法律上どうだこうだと言われては、そのほうが常識を疑われる。なるほど法律には線を引くことは非常に困難でしょう。しかし、少なくとも自治法を一応常識的にお考えになって、そうして七千万円なら七千万円ときめられておるとするならば、その線は守るべきだ。かりに一歩譲って、税法の中にもありますように、いわゆる標準税率に対する制限税率というようなものがある。あるいはよけいなことを言いますが、選挙法などをきめる場合、定員と人口との関係を勘案して一つのものがきまって、上下を五割ずつぐらい上下してもどうだろうというようなことがある。それを勘案いたしましても、せいぜい一億しかならない。七千万円の半分を加えてみたところで、大体一億ぐらいにしかなりない。そういうのが限度じゃないか。これば少なくとも常識を越えたものについては、自治省はやはり、何ぼ法律が干渉してはならないという法律になっておるからといって、助言をする立場がある以上は強く助言をしてもらいたい。そうして、こういう悪例だけはぜひやめてもらいたい。こういうことができてごらんなさい。市町村では、飛び上がった理事者がないとは限りません。愛知県の実行予算をごらんなさい、一つの案件で三億以上のものがどれだけあるか。ほとんど全部の審議権の放棄ですよ。この点をひとつよく行政局長は考えて、はっきりした答弁をこの際出しておいてもらわぬと困りますよ。一たんここで出た以上は、これに対してはやはり明確な答弁を与えておいてもらわぬと、議会で問題になったが、これはあやふやになったんだからいいんだということになると、とんでもないことになる。ひとつはっきりしてください。私は、いまの自治省の答弁はどう考えても納得するわけにはいかない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/83
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084・佐久間彊
○佐久間政府委員 先生のお話のとおりに、運用にあたりましては、そういう考え方でやっていくべきものだと私も考えております。したがいまして、この問題になっております条例が、一般条例のほうがこれをそんな高い額にきめるというようなことがありますれば、これは法の趣旨を逸脱していると言い切っていいかと思います。しかし特例の関係におきましては、いろいろな事情があろうかと思いますので、その辺につきましては、私も先ほどから申し上げておりますように、これが適当かどうかということについては問題があるということは私も考えておるわけでございますが、これがはたして適当がどうかということについては、これは議会で十分御審議をいただいて判断していただくべきことではないか。私どもの見解はどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、原文を取りよせました上で検討をしてみたい、かように申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/84
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085・門司亮
○門司委員 ちょっともう一つだけ……。おそらく私はそういう答弁がなされるし、そういうことが議論されておると思いましたが、特例だからと言っておりますけれども、地方の条例というものはそういうわけにはいかぬのですよ。特例というのは広げればどこまでも広がるものなんです。だから一般の条例等ではむろん悪いんだが、特例ならよろしいんだという考え方自身が私は非常に大きな誤りがあると思う。少なくとも地方自治体が行ないまする仕事というもののワクには、おのずから常識かあって——愛知県の予算がどのくらいの予算か私はよく知りませんが、予算執行に対する知事の権限というものは大体おのずからきまっているわけだ。特例であれば三億であろうと十億であろうとよろしいんだという理屈は成り立たない。行政であることには間違いはない。ただ事件自体について、そういう便宜をはかることがよろしいんじゃないかという行政的な問題については、私はある程度一般法と異なった特例法ができても差しつかえないと思いますか、少なくとも、金高においてはそれは非常に無理なんです。財産なんですから。特に憲法に書いてありますように、財産を管理する権限を持っておるということは、財産の処分について、あらゆる財産の取得については、重要なものは住民投票に訴えろということが書いてある意味は、一体どこにあるか、財産だけについては法律は特別に気をつけている。だからその辺はもう少し自治省は勇気を持つべきだと私は思う。そうして指導されませんと、これはできたらえらいことになるのです。今後例の新産業都市建設やいろいろな問題が出てまいります。そういう場合に、こういうことがうやむやにされると、これは特別法なんだから五億までいいんだ、十億までいいんだということになりますと、全く議会の権能というものはなくなってしまう。この際特にその点は気をつけてもらいたい。一方において新産都市建設という問題ができ上がってきているこうこういう時代ですから、決議機関といいますか、住民の意示決定機関というものの重要性というものが、先ほどから言われておる法律の概念あるいは法律の考え方というようなことから言えば一つ言えると思うのです。それらをひとつ、もう一度ここではっきりした答弁はできませんか。どこまでも条例を見なければわからぬというようなことで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/85
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086・佐久間彊
○佐久間政府委員 先生がお述べになりましたような点につきましては、私ども趣旨としてはまことに同感でございます。先刻も申しましたように、この修正案につきましてはまだ私どもよく検討をいたしておりませんので、法制局ともよく打ち合わせまして、いずれあらためてお答え申し上げるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/86
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087・阪上安太郎
○阪上委員 関連して、途中で入ったのでちょっと様子がわかりませんが、私はこの問題については非常に疑問を持っております。この地方自治法の九十六条一項の五号に「その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。」こういう議会の権限がある。そこで法制局、あなたのほうに伺いますが、この「政令で定める基準に従い」の「従い」という意味は、どの程度のものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/87
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088・山内一夫
○山内政府委員 政令の立て力にもよりますけれども、政令に拘束されるという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/88
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089・阪上安太郎
○阪上委員 私はそのとおりだと思う。そうすると、特例で逃げようとしたって、法律はそこまで委任はしていないと私は思う。委任していないのをかってにあなたのほうで特例さえ設ければそれでいいんだという、そんな委任をしていないものに対するこういう条例の制定のしかたは、特例の持っていき方は、これは明らかに自治法の違反ですよ。こんなものはたとえできたとしたって効力はないと私は思う。そういったものがいまやられようとしているのですから、この二十一日ですか、そんなものをいずれ法制局と相談いたしましてなんて言っておったって、重大なあやまちを犯すのが目の前に控えておって、これに対して、自治省が適当な指導ができないというようなことでは、自治省の存在価値が何もなくなってくる。こんな問題は緊急に統一して、この場でもって明快な判断を下しなさい。きょう答弁してくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/89
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090・佐久間彊
○佐久間政府委員 先生のおっしゃるとおりの御趣旨だと思いますが、この制令の定め方がこの基準にあけてございます。金額を下らないこととするということにいたしておりまして、その上で上回るものを条例できめることは禁止をいたしていないわけでございます。そこでどの程度上回るところまで定めることが一体法の趣旨から容認されるかということの程度問題かと思うのでございます。この法の趣旨からいたしますと、それを長に委任をするにいたしましても、重要なものは議会にかからしめなければいかぬという趣旨でありますから、この具体の問題が、その趣旨を没却する限度になるのかならないのかというようなことが判断の基準となるのじゃなかろうか、かような考え方をいたしておるわけでございますが、それにつきましては、この修正案の案そのものも私どもまだ拝見をいたしておりませんので、よく検討をさせていただきたい、かように申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/90
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091・阪上安太郎
○阪上委員 そういうことでは自治省が何のために存在しているかわからないのですよ。法律には往々にしてこういう論議が行なわれてくるのです。その場合には、実態に即してものを考えていかなければいけない。愛知県の場合においては、三十八年度の実績からいっても、これはお話があったかもしれませんけれども、十三回の財産取得処分中三億円をこえるものはわずかに二回しかなかった、こういうことがあれになっておる。こんな実態を考えてみなさい。いま言ったようなことが言えるかどうかという問題です。それから法理論的に言ったって、あなたの解釈は私はおかしいと思う。それならば、七千万円を最低限度として考えているんだ、こういうことであって、それ以上ならば幾らでもいいんだという、そんな基準はないですよ。そういうことはおかしいですよ。大体その政令の問題等について、そういうような解釈で指導しておるから、こういう問題が出てくるのです。これは明らかにおかしいですよ。だからひとつ法制局と相談して、自治省ではっきりした統一見解を出しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/91
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092・佐久間彊
○佐久間政府委員 法制局と相談をいたしまして、適当な機会に統一見解を申し上げることにさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/92
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093・加藤清二
○加藤(清)委員 各委員がるるお述べになりましたとおり、すでに皆さん御理解いただいたことと存じますが、これは地方自治法違反の疑いが濃厚であると同時に、もしこれが実行に移されたとなりますると、その及ぼす影響ははかり知られざるものがございます。そこで同時に議会の事件議決というところの権限は侵害される結果になりまして、事予算上の問題のみならず、議会権能の問題にまで及ぶ問題でございます。
なお、この際私は具体的実例の背景となるものが非常にたくさんございますけれども、その一例だけを申し上げますならば、先ほど門司先輩からもお話がありましたように、この実行予算は九十億用意されている。九十億ということは、県でいえば小さい県の総予算に匹敵するのです。いかに三兆何千億というこの国の予算でも、なお九十億になんなんとするということに相なれば、これは慎重審議を要する問題でございます。決してそれは各省のかって、各大臣のかってに動かせるような、機密費と同等のものではない。九十億になんなんとする——それが去年、おととしの実例から見ましても三億円をこえるところの内陸用土地の取得というものは、東海製鉄をはじめとしたあの沿岸漁業地帯、あれ以外にない。さすれば、これは全部がほとんどここの中に包含されるということになれば、もはや事件議決は一つもあらわれてこない。特に内陸用土地ということになれば、そんな膨大な土地はほとんどございません。さすれば議会の権能剥奪であるから、そこに話が及んだときに、これは与野党という問題じゃない。与党、提案者側の議員まであじゃあということになってしまった。そうして騒然としてしまったわけです。それに何ぞや、いかに副知事から依頼があった、あるいは部長、課長がくしの歯を引くように自治省に陳情したからといっても、その一方的意見であなた自体までも指導性を喪失したなれば、もはや自治省はあってなきがごときものと言わなければならない。したがってこの際はっきりと、いま阪上委員からも出ましたように統一見解を出していただきたい。それまではこの問題は当然ストップされるべき問題だ。その前にかってに審議してしまったということならば、犯罪の疑いのある者を無罪釈放したということになってあなたの責任になる。御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/93
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094・佐久間彊
○佐久間政府委員 統一見解は、先ほど申し上げましたように、できるだけ早く定めるようにいたしたいと思います。
なお、県議会に対しましては先ほど申し上げましたような態度で私どもは臨みたいと思いますので、執行部に対しまして、本日この委員会でいろいろと御討議のありましたことは連絡をいたすようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/94
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095・加藤清二
○加藤(清)委員 それでは、ただいま自治省のほうで急遽統一見解をまとめて本委員会に後刻発表するという御答弁でございます。各委員の皆様もそれについては異議はないようでございますから、私は本件に関しては質問をそれまで留保いたしまして、その統一見解のいかんによっては、また質問を試みたいと存じます。もちろんすでにこの背景となるべき問題が、決算委員会で出ていることは皆さんよく御存じのとおりでございます。決して本日でこれで根が絶えたという問題ではございません。その統一見解のいかんによっては、事がますます拡大、発展、波及することを念頭に置いて統一見解をまとめていただきたい、かように思うわけでございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/95
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096・森田重次郎
○森田委員長 次に、地方公共団体の議員の報酬に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。阪上安太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/96
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097・阪上安太郎
○阪上委員 ただいま議題に取り上げられましたけれども、ぜひ大臣の答弁を得たいと思っておりますので、いずれできるだけ早い機会にそういった機会を与えていただくようにお願いを申し上げまして、本日は取りやめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/97
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098・森田重次郎
○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02419640319/98
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