1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年三月二十四日(火曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君
理事 藤田 義光君 理事 佐野 憲治君
理事 安井 吉典君
大石 八治君 奥野 誠亮君
久保田円次君 武市 恭信君
登坂重次郎君 村山 達雄君
山崎 巖君 和爾俊二郎君
秋山 徳雄君 阪上安太郎君
重盛 寿治君 千葉 七郎君
華山 親義君 細谷 治嘉君
栗山 礼行君 門司 亮君
出席政府委員
内閣法制局参事
官
(第一部長) 山内 一夫君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
消防庁長官 松村 清之君
消防庁次長 川合 武君
委員外の出席者
専 門 員 越村安太郎君
—————————————
三月十九日
委員登坂重次郎君辞任につき、その補欠として
藤枝泉介君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員藤枝泉介君辞任につき、その補欠として登
坂重次郎君が議長の指名で委員に選任された。
三月十九日
道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一三八号)(予)
同月二十四日
地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律
案(内閣提出第一四二号)(予)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共
済基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三一号)(参議院送付)
地方自治に関する件(地方公共団体の条例に関
する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/0
-
001・森田重次郎
○森田委員長 これより会議を開きます。
消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。登坂重次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/1
-
002・登坂重次郎
○登坂委員 現下の消防の重要性につきましては、国民ひとしく関心事でありまして、その強化及び諸制度の充実につきましては、重大なる関心を持っておると思うのでありますが、消防庁におきましては、その具体的充実強化対策につきましていかなる御方針を持ち、どういう年次計画をお持ちでありましょうか。まず冒頭に伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/2
-
003・松村清之
○松村政府委員 消防の充実強化につきましては、まず第一には消防施設の機械化、近代化の問題がございます。これにつきましては、昭和三十六年に消防審議会の議を経ました消防力の基準というものができております。この消防力の基準に照らしまして、各市町村ごとにあるべき消防施設の目標を立てまして、それを十年計画でやっていくということで、国からもその施設の充実強化につきましては三分の一の補助金を出しまして、現在やっておる最中でございます。また、消防の充実強化には、施設の強化とともに、消防に携わる人の近代化といいますか、高度の技術知識を必要とする今日の消防にふさわしい人をつくる必要がございます。これにつきましては各都道府県の消防学校、国の消防大学校におきまして、それぞれ必要な教育訓練を行なっております。
大体以上のようなことを中心にいたしまして、消防の充実強化をはかってまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/3
-
004・登坂重次郎
○登坂委員 強化対策については、それぞれ消防庁においても特段の留意を払っておると思うのでありまするが、消防の組織の内容について、仄聞するところによりますと、大都市及び地方町村において、その消火能力及び施設が著しく違うことは万人認めるところでございますが、それにつきまして、まずその消火力の設備の弱い地方の小都市並びに農村におきまして、近ごろ消防団員がだんだん減少しておる、こういう状況にありますので、これらについてはいかようにお考えでありましょうか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/4
-
005・松村清之
○松村政府委員 お話のように、消防団員は年々減少してまいっております。十年前には二百万の団員を数えておりましたのが、今日では百五十万を切っております。年々五万程度減少してまいっております。これにつきましてはいろいろな原因が考えられると思いますが、たとえば戦後の思想、社会経済生活の事情によりまして、自分の生業を犠牲にして、消防に一身をささげるという気風が薄れつつあるということも一番大きな問題だろうと思いますが、その他若い人が地方にはだんだんいなくなる。そういうことも原因として数え上げられます。これらにつきましては、まず今日の状況から考えまして、団員を確保いたしますには、まず第一に公務災害を受けた場合に十分な補償をするということが大事だと思います。これにつきましては、十分とは申さないまでも、幸い公務災害に対しまして相当の補償をする制度ができて、これの実施が的確に行なわれております。
またその次には、出動の場合の手当を適正にするということも大事なことだろうと思います。これにつきましては、地方交付税の計算の上では、一回の出動について二百円の額が認められておるのでございますが、この二百円自体は、今日の事情に照らして僅少であろうと思います。これにつきましては、年々増額するように配慮いたしておりますが、しかし現実には、この二百円までも支給しない市町村が相当多いのでございます。全国平均いたしますれば、百二十七円の額になっております。これらにつきましては、地方交付税のことにいろいろ指図するわけにはまいりませんが、交付税の中でこれだけの額が計上してある、したがって、せめてそれくらいの額は確保してもらうことを、市町村の当局に機会あるごとに要望いたしておるのでございます。
それから団員につきましては、今回御審議願っておりますが、退職の際に、長い間勤務した方々に対しては、その御苦労に報いますために、従来は十五年以上勤務して退職いたしました団員に対しまして、国から賞状と銀杯を差し上げておりますが、それに加えまして、今度法案にございますように、わずかでございますけれども、退職報償金を支給するということで、団員の労苦に報い、それが結局団員の確保にも役立つ、こういうふうに考えております。またこういった物質的な処遇に加えまして、精神的な処遇、勲章、報償、表彰状等につきましても、従来も特に配慮を加えておりますが、今後もこういう問題につきましても十分考慮を加えまして、団員が進んで消防のために活躍できる素地をつくっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/5
-
006・登坂重次郎
○登坂委員 よくわかりました。そもそも消防庁としての行政指導に対する予算は、年間どのくらいあるのか。しかも、こういう地方自治体にまかしておく消防でありますから、中央の監督ということはあまりよろしくないとは思うのでありますが、せっかく消防庁が設置されておる以上、あなた方が地方消防の育成強化という意味におきまして側面なり、あるいは直接なり同じ消防団員と何か血の通った指導をしたほうがいいと思うのでありますが、そういった場合にどういうことが一番大事であるか、またどういうお考えを持って第一線の消防団員に、皆さんがつくられた消防のいろいろの法典なり、あるいは日常の心がまえなり、あるいはそれらに対する報償とか、あるいはそういう基金等の問題もありましょうけれども、日常やはり消防団員であるという自党を強く持って、信念的に動いているこれらのいわゆる義務制を帯びた、一たん事あれば危急に身を挺するこういう団員に対する監督官庁としてのいわゆる血の通った指導行政を、いかが考えておられるか、ちょっと承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/6
-
007・松村清之
○松村政府委員 消防は市町村の責任になっておりますので、消防に要する経費も、市町村でまかなうというたてまえになっております。したがって、消防庁の国の予算といたしましては、年間十億円程度の予算でございますが、市町村の財源、これは地方交付税の上の基準財政需要額に見込まれて財源を計算いたしておるわけでございますが、現実に市町村が、消防の経費に充てておりますものは、最近の統計によりますと、大体四百億円近い金が充当されております。したがって国の予算から地方へ流れてまいりますのは、十億円のうちの七億円程度でございますが、市町村自体の経費で消防をやっていくというたてまえになっておる以上は、国の予算がわずかであるということは、これは当然のことだろうと思います。したがいまして、市町村の責任ということになっておりますので、消防につきましては、市町村に指揮命令をいたすことはできませんけれども、法律でも指導、助言、勧告、こういった市町村消防に関与する方式が認められておりますので、こういった形を用いて、市町村の指導に当たっておるのでございます。
最後に、お話の消防団員に対する問題でございますが、消防団員につきましては、結局物質的な問題でこれを解決するということは困難でありますし、またそれがいいかどうかということも一つの問題があろうと思います。そこで現在におきましては、消防というものが市町村住民の生命、「身体、財産を守る崇尚な、偉大な仕事であるという自覚に基づいて、自分たちの地域の住民は自分たちの手で守る、自分たちの郷土を守る、こういう郷土愛護の精神、自治の意識というものを、十分に市町村住民の間に浸透していくことによって、それを基盤とする消防団員あるいは消防団というものの発展が約束されてくるのではないかと考えておりまして、機会あるごとに、そういった意識の浸透、涵養というものに意を届いておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/7
-
008・登坂重次郎
○登坂委員 先ほど来、消防の強化対策に対しましては十カ年計画をお立てになっておるということを承りましたが、現在の御説明の予算十億、うち直接地方に配付する七億という、そういう整備費並びに助成金で、一体十カ年計画でどのくらい満たされる御予定でありまするか、その点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/8
-
009・松村清之
○松村政府委員 十年計画では、一応消防力基準に見合う市町村の消防施設が一〇〇%できるような計画でございますけれども、遺徳ながら、毎年の予算というものが、それを基礎として計算しただけのものがないわけでございます。したがって一〇〇%に満たすには、十年以上の歳月が現在のところかかるように考えております。しかし、この計画自体としては、消防力基準に一〇〇%見合う、そういう計画にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/9
-
010・登坂重次郎
○登坂委員 御承知のとおり、現存は農村といえども文化水準が非常に向上されまして、燃料等も石油とか天然ガスとか、そういうふうな化学燃料を多く使っておるので、これがある意味においては非常に危険性を帯び、防火に対しまして非常に危険きわまりないという燃料状態になっておる。特に農村は木造で、しかもわら屋根づくりが多い。また、出村の行なっております仕事の関係上、非常に危険物がまわりに多い。こういうようなときに、二、三日前、私のほうでもあったのでありまするが、一部落全滅した。非常に火の回りが早い、そういうときにあたって、消防の重要性と火急性というものが認められるのでありますが、ふだんはどうも、やはりこういう火事とか災害は、心理的にもそういういまいましいことを予想するということは、われわれの生活上芳しくないので、だれしもそういう危急の場合を想像することはあまり好まないのでありますが、いざそういう大火あるいは類焼に及んだときに、消防さえあればいいなということは当然のことでございまして、先ほど来地方自治体にまかせておくから助言なり云々ということでありますが、もう少し高度の立場から、か弱い経済力の自治体に対しまして、消防庁として基本的な予算をもちまして、これを強力に指導するほうがよいのではないか、こういうふうに考えられるのであります。いまのお役所の立場として、そういう地方自治体の独立性という意味からして、なかなか困難だと思うのでありまするが、これを今度予算措置をどうしたらいいか、あなたのほうの消防の行政指導力をいかにしていったらいいのかということを、あなた方みずからもその用務には当たっておられると思うのであります。先ほど来、十億の予算中七億、しかもその七億も、承るところによりますれば、大蔵省の補助金等合理化審議会によりますと、この補助金はけしからぬから切れというような話があって、来年度の予算にはこれが措置ができないのではないか、こういううわさがあるのであります。その点ちょっと承らしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/10
-
011・松村清之
○松村政府委員 消防は、市町村の任務でございますから、消防に要する金も市町村でまかなうべきであるというのは一つの理屈だろうと思います。しかし現実問題といたしましては、やはり市町村まかせでおりましては、消防施設の整備というものはなかなか行なわれがたいのでございます。そこで、国といたしまして財政的に援助の手を差し伸べることによりまして、市町村が消防施設を目標に向かって整備していくようにつとむべきことは、当然なことだろうと思うのでございます。そういう意味で、昨年消防につきまして補助金合理化の答申の一対象になりましたことは、非常に遺憾に思っておるのでございまするが、消防の補助金は、ただ漫然と補助を出しておるのではございませんで、先ほど申し上げましたように、十年計画、それもある一つのめどを持った計画というものに基づいて、そして補助の対象もきちんと法令できまっておりますし、補助の基準額も法令できまっておる、そういうふうにきわめて限定された制限つきの補助金でございまして、こういう補助金までも廃止するとか削減するということは、私は当を得ないと考えておるのでございます。したがいまして、昨年補助金に関する答申がございましたけれども、私どもは、ある一定期間の間はこの補助金の必要性を関係方面に強調いたしまして、今後とも財政援助の手を差し伸べることによって市町村の消防の充実発展をはかってまいりたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/11
-
012・登坂重次郎
○登坂委員 ぜひそうしていただきたいと思うのであります。実を申せば、先ほど来、十カ年計画まだ半ばにして、補助金というようないかに財政法上問題がある項目にいたしましても、消防それ自体の目的がまだ半ばにしましてそういういままでの指導方針が変わるということになりますと、あなた方のほうの十年計画なるものも途中でとんざすると思うのでありまするが、その辺はもし来年云々ということになりますれば、一体どういうふうな蹉跌が来たすのでありますか、その点承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/12
-
013・松村清之
○松村政府委員 この問題は来年度の予算折衝にかかるわけで、いまこの際これを予測することはできませんけれども、私どもあるいは全国の消防関係者は、ただいま申し述べましたように、補助金の確保あるいはむしろこれの増額につきまして、全力を傾けていく覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/13
-
014・登坂重次郎
○登坂委員 その財源措置といたしまして、現在交付税によって名市町村に対しまして消防の費用を一人当たり二百円、これもまた非常に低いと思うのでありまするが、団員の要望は、聞くところによりますと、日当四百円はしてもらいたい、こういうことだそうであります。一体この二百円という基準は、消防団員をどういうふうに計算いたしまして、二百円という予算をお取りになったのか。また各市町村に対する団員の定員の義務制は法律できめてあるのかどうか、その辺承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/14
-
015・松村清之
○松村政府委員 団員数につきましては、市町村の条例できめることになっております。もっとも先ほど申し述べました昭和三十六年にできました消防力のに基準によりますれば、消防施設の問題、消防署の問題、それからいまの消防団員の問題等につきまして、一応の基準ができておりまするが、それをどうきめるかは市町村自体の問題になっておるのでございます。
それから二百円問題は、これは別に根拠があったわけではございませんが、数年前まではきわめて小額であったのでございます。それをだんだんに毎年五十円ずつぐらい引き上げてきまして、いま二百円になって、おるのでございますが、先ほど申しましたように、この二百円は、一身の犠牲を顧みないで自分の生業を投げ打って消防に尽くす団員に対する手当としては、まことにお恥ずかしい額であると私は考えております。したがいまして、これを一挙に上げることはなかなか困難でありますけれども、当面全国の消防団員は四百円を希望いたしております。したがいまして、この四百円を近い機会にできるだけ早い機会に実現いたしますように、今後とも努力を続けてまいるつもりにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/15
-
016・登坂重次郎
○登坂委員 地方自治のたてまえ上、交付税をもって消防の強化、施設費を按分配付するなりあるいはワク外起債で各消防の助成金の一部をまかなっておる現在であると思うのでありまするが、この交付税につきまして、各市町村に指示する場合、はっきりと各市町村分として科目なり費目なりを分けて使うようにしているのかどうか、その点ちょっと承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/16
-
017・松村清之
○松村政府委員 交付税は現在人口一人当たり幾らという計算で、地方交付税の全額の中へ消防の経費を含めて各市町村に交付いたしております。そして交付税の性格上、一応消防経費というふうには計算されておりますけれども、これをどこへ使おうがこれはその市町村の任意になっておりますので、これにつきましてどうこうという指図はできません。しかし、先ほど申しましたように、消防経費はこれだけあるということを各市町村の当局者に認識理解させることによって、少なくとも交付税で認められた額までは現実の予算に計上し、実行の上においてもこれを実現するように指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/17
-
018・登坂重次郎
○登坂委員 承るところによりますれば、大体器具機械のほうは重点主義で施策を遂行いたしておるので、ややその計画の年次に沿った実績をあげつつあると承っておるのでありまするが、その他、また水槽とかいわゆる貯水池の設置、これは農村といえどもなかなかゆるがせにできないところでありまして、この施設はばく大な費用を要すると思うのであります。この町村の消防力強化につきまして、中小都市においてはだんだん常設消防を置くというような傾向になって、あなた方のほうでも、そういう御指導をなさっておられるということでありまするが、もちろんこれも必要であります。そしてそれが中心になりまして、従来の消防団員があるいはその手本となり、あるいはその指導者となって働いてもらうことは必要であります。そういう施設もあわせて——また常設消防だけを各町村に一カ所置きますれば、あとは従来の消防団員は要らないのではないか、そういうようなお考えの向きもあるやに聞いておりますが、そういうことに対する当局の方針はいかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/18
-
019・松村清之
○松村政府委員 消防の充実強化のためには常設消防、すなわち消防本部、消防署を設ける、このことが重要であることは申し上げるまでもありません。そこで、昨年消防組織法が改正されまして、従来は消防本部、消防署を設けることが市町村の任意でありましたが、政令で定める市町村は常設消防を持たなければならないということになってきたのでございます。そこで、消防庁といたしましては、現在市街地人口一万以上を持つような市町村についてはそういう常設消防の必要であることを考えまして、そういう市町村に対して常設消防の設置を推進することにいたして、先般はそのうちのある部分につきまして政令で指定したのでございます。しかし遠い将来には、市街地人口一万以上の市町村は常設消防を持つようにしたいと考えております。しかし、それ以外の市町村、市街地人口一万に満たないような市町村につきましては、いろいろな面から考えて、必ずしも常設消防を必要とするとは思いませんので、そこではやはり従来と同様に消防団、消防団員というものの必要、重要性は残るのでございます。また常設消防を置きました市町村でも、それだけでは十分な体制とは申せませんから、やはり常設消防と並行して、従来と同様に消防団、消防団員というものの必要、重要性が考えられるのでございます。したがって、常設消防を一方でいかに推進してまいりましても、やはり従来の消防団というものは、決してその重要性を失うものではない、私はそういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/19
-
020・登坂重次郎
○登坂委員 そういうお考えでありましたら、この常設消防団員並びに従来の消防団員に対する指導、訓練というような対策はいかがお考えでありましょうか、とにかくやはり消防についてわれわれ仄聞し、また普通の考えで地方の消防団員の内容を見てまいりますときに、義務として晴れやかな気持ちで火急に処するというような、いわゆるとうとい犠牲的精神によっていわゆる消防精神というものが流れ伝わっておるので、喜々として火急の場合に出動いたしておるのでありますが、これらの消防団員が常設消防団員を中心とし、あるいは従来の消防団員のそういう幹部なりあるいはこういう人に、基礎訓練なりあるいは消防に対する関心をより高くするために訓練、指導というものを消防庁としてはいかがにお考えでありましょうか。この実績はまたどういうようになっておりますか。ちょっと承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/20
-
021・松村清之
○松村政府委員 今日の消防は、高度の知識、技術を必要といたしますので、消防団員につきましても、その持っておりますりっぱな消防精神に加えて、近代的な知識、技術を身につけることが大事だと思います。これにつきましては府県の消防学校、また国の消防大学校におきまして、消防団の幹部につきまして、それぞれ課程を設けて指導教育に当たっております。しかしながら、何しろ百五十万に及ぶ団員のことでございまするから、消防大学校はおろか、府県の消防学校にすら入学することがきわめて困難でございますので、府県によりましては、消防学校の教官等が現地の市町村に出張教授に参りまして、短時日の期間に講習を行なうようにいたしております。また市町村自体につきましても、大きな市等におきましては、市自体でそういうことをやっております。そうすることによって、だんだんに消防団員につきましても、高度の知識技術を身につけたりっぱな消防人が形成されるような現段階におるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/21
-
022・登坂重次郎
○登坂委員 先ほど来申し上げましたとおり、現在青壮年が非常に少なくなっております。他の産業に転出して、経済情勢も変わり世情も変わってまいりましたので、団員が漸減していくのは当然のことでありまして、そういう立場から考えますと、量より質という時代になってくると思うのであります。ですから、現在携わっている消防団員が、できるだけ能率的に活動できますように、特段とその指導強化をはかってもらいたいと思うのであります。先ほど来申し上げたのでありまするが、この団員の手当が、二百円というのは、これをできるだけふやすということでありまするが、この待遇問題、あるいは服装問題も、なるほど統一はしてあるそうでありまするが、実際に地方の消防団に参りますると、なかなかその服装も一定してない。これは地方の自治体の財政状態にもよるのでありましょうが、そういうことも含めてわれわれは消防団の資金、経費の内容等についてもっと増額して、これらの恵まれない団員の日常の崇高なつとめに対してお報いしなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えておるのでありまするが、消防庁といたしましても予算措置については補助金制度が一本だ、あるいはワク外起債が云々だ、これではどうもたよりないのでありまするが、この対策強化については、われわれもできるだけひとつ御援助申し上げたいと思うのであります。消防庁といたしまして、もう一ぺん重ねてその心がまえというものあるいは御方針について承らしていただいて、私の質問を終わらしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/22
-
023・松村清之
○松村政府委員 消防団員の待遇をできるだけ向上して、その労苦に報いてまいらなければならぬと思いますことは、何人も異存ないところであろうと思います。したがいまして消防庁といたしましても、先ほどからお話が出ております手当等の問題につきましても、できるだけ努力、改善をしていくことにいたしておりますが、なお、服制につきましては、これも地方交付税で三年に一着という計算で計上されておるのでございます。また服制の様式も、実は国のほうで基準だけは示してあるのでございますが、末端の市町村へいきますと、その辺がいろいろまちまちになっておりますのはまことに遺憾でございますけれども、いまお話のございましたように、今後ともこの団員の待遇の問題につきましては、全力を傾注して、その向上、改善をはかってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/23
-
024・森田重次郎
○森田委員長 華山親義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/24
-
025・華山親義
○華山委員 お聞きいたしましてもお困りの問題と思いますけれども、実は出かせぎ者の問題なんです。大体単作寒冷地帯におきまして、毎年のことでございますけれども、冬の出かせぎ者が非常に多いわけでございます。私の山形県におきましては、大体四万人が出かせぎ者といわれております。人によりましては六万人とも言いますけれども。そういたしますと山形県におきましては、喪家人口が十二万戸でございますから、平均いたしまして三軒に一人、あるいは半分が農家から出かせぎに出ている状態であります。これがまた地方的に分布が違っておりまして、山村に参りますれば非常に多い。それで山村地帯におきましては、冬の間の五カ月なり六カ月というものは消防活動がほとんど麻痺している。地力紙等によりますと、一つの部落におきまして六人の消防団員が一人もおらない、こういうことも出ている状態でございまして、可搬ポンプにつきまして、婦女子に頼みましてはこれは運べるものでもございません。また機械の操作もできません。そういうふうな状態でございまして、出かせぎ者の問題もいろいろな社会問題に相なっております。いろいろな点に問題がございますけれども、消防関係といたしましては、いかなる限りにおきましても問題なのでございますが、いかんともなしがたい状態でございます。お聞き及びのことかと存じますし、御質問申し上げてもお困りかと存じますけれども、これにつきましての何か対策等、お考えがありますれば伺っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/25
-
026・松村清之
○松村政府委員 基本的には消防に従事する人の出かせぎの問題につきましては、これはやはり市町村が共同して消防事務組合を設けて、常設消防を設けるとか、あるいは周辺に常設消防を持っております都市がございますれば、その都市に消防の事務を委託するとか、こういうような共同処理方式で消防の仕事をやっていくということを考えていかなければならない事柄ではないかと思います。しかしそういうことができない場合におきましては、その市町村に残っております人たちによって、自分たちの町、村を守る体制をつくらざるを得ません。これはいま日本の、地方には間々あるのでありますが、老人あるいは婦人等によって消防団というものを結成する、あるいは役場の職員によって消防団というものを結成する、こういうことも最後の場合には考えていかなければならない事柄ではなかろうかと思うのでございます。
なお、ちょっといまの質問の御趣旨がその辺にあったのか、あるいは今度の退職報償金の勤務年数の問題に関連して御質問なさったかとも思われるのでございますが、実は山形県でそういうような問題があって、勤務年数が一年に満たない者は勤務年数の中に合算しないたてまえにいたしておるのでございますが、その辺のことを御質問になったのでございますれば、これをどう処理していくか、現在私どもも検討中であるのでございますが、いまのところは一年未満の者は勤務年数に合算しない。しかしこれも、そういう実情が相当広範囲にある問題でありますれば、何か深く考えを改める必要もあるのではなかろうか、こういうように考えておりまして、現在その辺については、今後の問題として検討をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/26
-
027・華山親義
○華山委員 ただいまお話くださいましたような、出かせぎ者によりまして全く麻痺しているようなところにつきましての方策につきましては、ただいまお答えになりましたようなことを各市町村がやっているようでございます。それにいたしましても、OBを動員するといいましても、なかなかこのごろの新しい機械を操縦するというようなことはできません。また山村僻地になりますれば、非常に雪道で遠いところでございまして、非常に不安な状態にあるようでございます。しかし、このことを何とかしろということを申し上げましても、非常に無即じゃないかと私は思うのでございますけれども、実態を御調査になりまして、そしてしかるべきところの方法をおとりくださいますようお願いしたいと思います。ほんとうに山間に参りますと、現在は冬は男がおりません。そういう状態でございます。半年の間そういう状態が続く、そういうことを深く御認識になりまして、これらの地域も安全であるように御処置を願いたい、こういうふうに考えるわけでございます。
なお、この婦女子等が消防等に従事いたしました場合、何らかの負傷等がありましたときには、これは消防団員としての処遇が受けられるのでございますか、あるいは任命されていない場合には、そういうことがありましてもいろいろな救済のことがないものでございますか、お聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/27
-
028・松村清之
○松村政府委員 消防団員ということにはっきりいたしておる場合は、もちろんのことでございますが、消防の仕事に現場で従事して公務災害を受けた、こういう場合におきましては、公務災補償の法令によりまして、これにつきまして補償をすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/28
-
029・華山親義
○華山委員 それから一つ伺いますが、このごろ新聞等で見ますと、公営企業と関係のある問題でございますが、水道の断水中であったために火事が広がったというふうなことがときどき出ますけれども、そういうようなことが実際いろいろなときにあるものでございましょうか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/29
-
030・松村清之
○松村政府委員 これにつきましては、特に大都市、東京あたりの非常に水に困って時間給水等をやっております地帯におきましては、消防自動車がかけつけて消火せんを開きました場合に、これは実はあらかじめ水道当局のほうへ水の制限を解除してもらうように連絡はするのでございますけれども、しかし現実にはやはり水圧が低くて水が十分出ない、そのために防ぐことのできる火災も防ぎ得ないという事情が出ておりますことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/30
-
031・華山親義
○華山委員 最近非常に建物の高さの制限が緩和されまして、高層の建築ができるということに相なりましたし、それにつれましてホテル等も高層建築ができるということでございますが、東京の現在の公営企業としての水道の力によりまして、こういうふうな火災の際に安全なものでございますかどうか、お見込みを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/31
-
032・松村清之
○松村政府委員 現在の東京の事情を前提にいたしましても、先ほどからお活のございましたように、水の事情というものは満足すべき状態にあるとは脅えないと思います。したがいまして、今後、建築の制限が緩和されまして、高層建築ができますと、その辺も一つの大きな問題になろうかと思いますが、これにつきましては、都の水道に依存するということだけでなくて、その建物自体におきまして、地下水によって水の整備をはかり、そして各階に屋内消火せんを設けまして、消防のホースをその消火せんへつなぎまして、その地下水等によって火災の消火に当たる、こういうことを考えていくことにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/32
-
033・華山親義
○華山委員 私、何か政策がまとまっていないような気がするのでございます。片方におきまして公営企業の水道が入口の集中に伴わない状態ですが、一面において地下水をくみ上げるということは非常に制限する方針でいるわけでございます。そしてなおかつ高層建築だけを許可する、制限を緩和する。その三つのことが、もう一つのまとまった方策として出ておらないのじゃないか。ただいま地下水をくみ上げるとおっしゃいますけれども、それは消防庁のお考えなのであって、岡層建築のために地下水をくみ上げるというようなこと、ことに下町等におきまして地盤沈下の問題もございますし、そういうことは、はたして各関係省庁において十分御連絡の上研究なさった問題でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/33
-
034・松村清之
○松村政府委員 私は先ほど地下水とのみ申しましたけれども、それも一部ございますが、その建物自体に貯水槽あるいは各階に水のタンク等を設けまして、平素水道等によって水を貯えておく、あるいは天然の水を貯えておく、こういうことでございまして、先ほど地下水とだけ申しましたのは適当でありませんので、ひとつそのようにお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/34
-
035・華山親義
○華山委員 私は何か政策がばらばらで、非常に不安な感じがするわけでございます。消防庁におきましても、消防の見地からそういうふうな都市建設等につきまして十分に御注意願っていただきたい、こういうふうに考える次第でございます。質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/35
-
036・森田重次郎
○森田委員長 栗山礼行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/36
-
037・栗山礼行
○栗山委員 今度の消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案の問題の本旨だけに限ってお尋ねを申し上げたいと思います。基本的な問題でございますが、消防機具の問題については、市町村では漸次的に改善、改良を加えられてきておる、こういうとらえ方ができると思いますが、農村の構造的な変化等に伴いまして問題もあるのでありますけれども、痛切に感じますことは、いまの市町村の消防団員の人的構成、この問題は何か老化現象の特徴があらわれておるのではないか。いわゆる青壮年の構成の比率は非常に少なくて、俗に言いますロートル化した、マンネリ化したという把握を私はいたしておるのであります。こういうことについて、消防団の構成自体にやはり近代化の方向を持たしていくということでなければ、腰の曲がりそうな人たちが無理に腰を立てて、それが消防団の構成の中核になっておる、こういうふうな実態であるが、消防庁は構造改革をどのようにはかっていくか、こういうことについての基本的な考え方をどのように持っていらっしゃるかということを長官にお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/37
-
038・松村清之
○松村政府委員 消防団員のことにつきましても、市町村が責任者でございますから、市町村におきましても、それぞれ年齢等を考えまして、団員の更新をはかっております。けれども、今日の地方の事情では、若い人そのものがほとんど少なくなっておるのでございます。したがって若い人をもって団員を構成するにも人の不足を来たす。そこで従来の年をとった人にやはり依存していかなければならないというのが現実ではないかと私は思います。したがいまして、消防庁としましても、若い年代によって消防団員を構成することが望まれるのでございますけれども、それには先ほどから申し述べておりますようないろいろな措置を講ずることによって、若い人が進んで団員になる、そういう素地をつくることも大切だと思うのでございますが、しかし現実に若い者が少ないということになりますと、これはいかんともしがたいのでございまして、そういう傾向のことを考えますると、やはり市町村が共同して常設の消防力を保持する、こういう方向へ向かって進むべきではないかというふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/38
-
039・栗山礼行
○栗山委員 農村の構成、構造変化自体に大きな原因があるということも否めない事実であろうかと思います。私は、先ほどの松村長官の御答弁をお伺いいたしておりまして、やはり消防団の特質から見て、消防団の高いモラルをつくり上げていくということが最も中心的な課題にならなければ、古い世代と非近代的な条件のみを持つ中には、確かに青少年がそういうおっさんのところに入らない、あるいは壮年がどういう役割りをになっていくかということの条件が生まれてこない、こういう問題が起きてくると思うのです。あなたの説明のように、農村の構造改革から、そういう青壮年の構造変化の中で、これはやむを得ないのではないか、こういうことでは指導にもなりませんし、適切な消防団の構成というものができない。それにはおのずから、どういうモラルと内容を持って、困難の中に、いい一つの消防団の構成をはかっていくかという明確な指導と内容と指針を示していくということが中心でなかろうかと思うのです。どうも現象面をとらえて、やむを得ないのだというようなことでは、市町村におけるそういう一つの盲点に直面しておる消防団の方向づけができないと私は思うのですが、その点についてひとつ指針的な御意見をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/39
-
040・松村清之
○松村政府委員 ことばが足りなかったと思いますが、私がやむを得ないと申しましたのは、地方によっては若い人の絶対数がない、こういう場合のことでございまして、若い人がいるのに団員になり手がないという場合におきましては、いまお話のございましたように、いろいろな処遇の改善を加えることが大事ではございますけれども、基本はやはり自分たちの市町村のことは自分たちの手で守っていこう、こういう郷土愛護の精神というものがその市町村に強く浸透していくこと、そのことが若い人たちを団員に進んで参加させる道であるというふうに考えておりまして、私も機会あるごとにそういう精神、意識の浸透に努力いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/40
-
041・栗山礼行
○栗山委員 若干その問題と関連いたしますが、従来、長年勤続された方に銀杯その他適宜に報償的な意味で記念品をお贈りになっておる、こういう説明がございました。また今度共済補償制度と申しますか退職報償金制度、こういうとらえ方をして、少しでも労苦に報いて消防団自体の強化の方向を示していきたい、こういう御提案がこの内容であろうかと思いますが、どうもあまり制度的にも内容的にも、しかも金額的に見ても大した内容を持たないこういうものを御提案されるというところに何かロジックが合わないわけでありますが、元来はそういう非常勤の人たちが、自治的に行なっていくという制度的条件が望ましいということで、それに誇りを持ってやっておった、こういう感じがするのです。退職金ということになりますと、おのずから観点が違ってくると思う。しかも長年の見合う一つの条件をどうつけるかということと、いわゆる退職金を制度化するということとは根本的に違うのではないか。どういうとらえ方でこういう退職金制度化の方向をお出しになったかということについての基本的な考え方をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/41
-
042・松村清之
○松村政府委員 これは退職金というものでございませんで、退職の際に、長年つとめた御労苦に報いるほんの志、こういうふうにとらえておるのでございます。したがって退職報償金制度、こう呼んでおるのでございます。お話のように十五年以上もつとめました団員に対しまして、いま考えておりますのは三万ないし七万、これはいまの世の中から申せばきわめてわずかな金額でございます。しかしわずかな金額でも、これは市町村が団員に支給するのでございますが、市町村の住民が、長い間消防のために尽くしてくださった方々に、ほんの住民の志をあらわす、そういうことによって長い間の苦労に報いていく、こういう考えでありまして、この三万ないし七万という金額は、今日使いますれば何ほどのものに使えるか問題でありましょうけれども、そういう特別の制度で団員を遇し、団員に報いるのだ、そういう気持ちをあらわす制度であります。これは、いま発足はこういうところでございますけれども、行く行くは、今後事情が許しますならば、この三万ないし七万という金額もだんだんに引き上げていくことができるだろうと思います。そういうような趣旨で今回この提案をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/42
-
043・栗山礼行
○栗山委員 この三万から七万というその分類ですね、あるいは役務規程ということが、十五年以上の年限的条件によって三かとか七万とか、こういう点が明確な御説明がないのですが、三万から七万、そういうワク内の取り扱いをどのような基準と内容のものでこれを示していこうとするのか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/43
-
044・松村清之
○松村政府委員 これは法律が制定されましたならば、政令その他によって基準をつくってまいりたいと考えておるのでございますが、これはその勤務年数と階級によって違ってくるのでございます。十五年以上つとめた一般の団員につきましては最低三万、一番多いのは二十五年以上つとめておやめになった団長、これが七万。その間におきまして十五年、二十年、二十五年、それから団長、副団長、分団長、団員、こういうような組み合わせで段階を設けたい、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/44
-
045・栗山礼行
○栗山委員 どうなんでしょう。そういたしますと、ほんとうのねらいは、長年勤続された論功行賞的性格を重点に置いてこういう制度がされようということが中心なのか、あるいはそういう要素も含みつつ将来の消防組織の強化をはかっていきたいということを中心としてこの制度化の御提案をなすったのか、この点も、本質的な問題でありますからもう少し明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/45
-
046・松村清之
○松村政府委員 これは、消防団員がいろいろな事情で年々減少してくる、そのためには団員の確保ということをはかる必要がある。それにはいろいろなことを考えていかなければならぬ。その一環として、こういう考え方が浮かんだことも事実でございます。しかし、それにはあまりにもこの金額は少額でございまして、私は先ほどから申しておりますように、これはむしろ長い間つとめた人に住民が感謝の意をあらわすんだ、国のほうでは銀杯、表彰状を出しておるけれども、われわれ住民のほうでも、ほんのわずかな金額であるけれども、その労に報いる志をあらわすんだ、こういうことで、それによってひいては市町村住民の中から消防団員に参加する、そういう気風というものがつちかわれていくのではないか、こういう考え方に立ってこの制度を考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/46
-
047・栗山礼行
○栗山委員 ちょっとおかしいですね。お説を伺っておりますと、全く論功行賞という性格からとらえてこれをした、こういうことのように私は受け取れるわけです。しかもあなたのお説によりますと、そういう退職報償金制度の中から将来のこの組織への好影響をもたらして、消防団の方向づけの一助ということも含まれておる。説明は非常に美しいのでありますけれども、実態は、十五年以上ということは容易な年限ではございません。それに論功行賞ということなら、それにふさわしい一つの条件的内容を整備すべきである。それから、あなたの後段に言われる内容を持つなれば、やはりそういうことによってますます市町村における消防団の方向づけというか、いい指針としての条件、こういうことでなければ、若い青壮年の人が十五年やればひとつ地方自治体が感謝の意を示すのだ、ないよりましだ、退職報償金制度というものがあって、三万から、役職、年限によって七万くらいくれるのだというようなことについては、これはないよりましだ、こういう議論をすれば暴論で、議論の展開の余地はないのですけれども、何の影響もないのですね。だから、二つの面を持っているのなら、二つの面としての条件を整備される、こういうことがやはり基本にならなければ、ちょっとなまぬるいというよりも、湯にもなりませんぞ。どう考えていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/47
-
048・松村清之
○松村政府委員 論功行賞ということばの意味が十分理解されないのでありますが、長年つとめた人に対する市町村の気持ちをあらわす、これと論功行賞ということと私違うと思いますが、私は、むしろ論功行賞という意味よりも、市町村が感謝の意をあらわす、こういうことに重点を置いておるのでございます。そしてそういうふうに市町村が団員に対しまして、長年つとめて御苦労であったということで感謝の意をあらわすことによって、市町村の住民の間に、消防団員としてつとめる人に対する感謝の気持ちというものがだんだんに浸透していく、それによって先ほど申しましたように、団員の確保といいますかそういうものにも役立っていく、そういう観点からこの制度を考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/48
-
049・栗山礼行
○栗山委員 論功行賞という一つのとらえ方は、私はきわめて通俗的に申し上げたのであります。ということは、やはり役付条件、年限、こういうことで二つの条件に見合った者に何らかのそういう一つの意思をあらわしてその労をたたえたい、こういうところにありますから、私はそういう意味で通俗的に論功行賞、こういう定義じゃなくて、表現をいたしたのであります。どうも形式的な、そしてその内容の結ばざる要素を多分に持っておると思うのです。私は長官にお尋ねいたしますが、退職報償金制度というような、中身と制度とが全くそれに伴わないような一つの制度というものは好ましくない。私は、もし市町村の消防団の実態からいうならば、退職報償金制度ということよりも、これを従来銀杯その他において表彰しておったような、表彰的制度の内容としてとらえるべきだ。字句の問題ではなくて、考えの基本をそこに置いてやるべきだ。これは長い間みずから勇んで、そして誇りを持ってやってきておる人たちについてあまり喜ばしく——ものを計算するものは、ないよりはもらったほうが得だということになりますが、そういうことよりも、私は任務に対する誇りを傷つける一つの官僚的な表現なり一つの内容でないか。むしろ素朴に端的に高く表彰する、こういう一つの制度的内容としてこれをやっていくのが本来の筋ではないか、こういうふうに考えるのですが、私の見解はあなたと異にいたしますけれども、私の見解についてどういう御意見をお持ちになるか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/49
-
050・松村清之
○松村政府委員 名前は別といたしまして、気持ちの点においてはそういうふうな気持ちを持っておるわけであります。ただ、さきにお話が出ました銀杯等も、実はこれも退職報償制度というふうに呼んでおるのでございます。そして銀杯のほうが十五年という線で区切ってあるから、こちらも十五年で区切った。それから実は三万から七万というようなごくわずかな金でございますれば、一律にという考えもないわけではございませんけれども、公務災害補償の問題をはじめ、いろいろこういう問題を処理するにあたっては、こういった階級、勤続年数で区別しておりますので、やはりそれに沿ったほうがよいのではないかということで、こういう階級、年数の区別をしたわけで、この点いささか論功行賞的なにおいが出ますけれども、気持ちはいまおっしゃったような気持ちと全く同じ気持ちでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/50
-
051・栗山礼行
○栗山委員 どうなんでしょう。私、ずばり申し上げまして、それは制度と表現とはぴったりこない。それからもう一つ本質的なとらえ方があまりにマンネリ化しておる。やはりもう少し制度の問題を考える場合には肉づけをして、そうして一つの新しい方向の指針を示していくというような表現と内容を持たなければ、以前からやっておったから制度化されたものに一つアルファ的要素を入れたのだというようなことでは、やはり政治の課題としては論蔵になりません。そういうことで、私は率直に、この問題は、退職金報償制度というようなとらえ方を、あなたも精神的なものは一緒だと言われるなら、これをひとつあらためて表彰的報償制度といいますか、何か実態に即した表彰的内容の制度として修正される、こういう御意思があるかどうかひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/51
-
052・松村清之
○松村政府委員 これはさらにつけ加えておきたいと思いますのは、実は退職報償というのは、退職金とまではいきませんけれども、そういう意味も若干ないわけではないのでございます。そしてほんとうは、できるならばそういったわずかな金額で表彰をするというような精神的な問題からもう少し進んで、一般の人にれっきとした退職金を出しておるように、消防団員についてもできるならば将来そういった方向へも進んでいきたい、そういう意味合いもこれには若干含まれておる。しかし現段階においては、先ほどから申しましたような精神でありますので、この名前につきましては、いまお話のような御批判があるかと思いますけれども、まあそういうような意味を含めて、この名前をそのままひとつ残しておきたい、こういうように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/52
-
053・栗山礼行
○栗山委員 どうも基調が違うものですから、そういう御答弁をなすったのであります。やはりもう少しマンネリから脱皮して、前進的にものをとらえて制度化し、法律改正を行なっていくという基調から、肉づけがないようなものでも将来はよくしていく一里塚としてこれを芽ばえさしたいのだ、こういうことでありますが、そこにはやはり問題があると思う。非常勤における消防組織の実態をそういう退職金制度、こういう内容に持っていこうということについては、これは議論があります。本質的な問題なんです。そういうことでなくて、そういう要素を含めて従来やってまいられたような表彰的内容も加味するのだ、こういうところにこの提案されておる御趣旨があるとすれば、あなたのほうは、いま飛躍であって、もっとやはり退職金という明確な一つの形でこれを一里塚であろうともお出しになるということが適切な処置だ、こういうふうに思うのです。これは非常に議論になりますけれども、やはり僕は、委員会の名前は申しませんけれども、いろいろ論議されて、よりいい表現なり内容なら、これを修正されることは望ましいという委員会の——現にこの四十六通常国会の開会中の委員会で、私は公報を読みまして、まことに政治的な英知がある、こういうふうに感じたわけなんですが、ひとつ消防岸のほうも、これは画期的な内容でも何でもないのだから、マンネリから若干においをつけておこうというような度合いのものでありますから、それならやはり本旨をくずさない一つの内容として、退職金報償制度なんていうようなけちくさい誤ったような表現をせぬと、表彰的な一つの条件をつけたものとしてのふさわしい名称をおつけになってこれをおやりになることが望ましいのではないか。これは意見になりますから、あなたの、ひとつ栗山委員の意見に従いましてという勇断があれば非常にけっこうだと思う。
もう一点。やはり従来の慣例から十五年を基礎にいたしておりますけれども、もう昔の十年のテンポと今の十五年のテンポとテンポが違うわけです。そういう一つの時代に即するためにも、私はもっと近代的に、せめて、こういう非常勤で無報酬でやっておるということが当然の義務づけとしてやられておるものなら、やはり年限を短縮する。ずばり言うなら、五年なら五年あるいは七年、十年、十二年というような段階的な制度としてこういうものを何らか新しいいわゆる私的な論功行賞でなくて、消防団自体に新しい要素を持たせるという一つの条件から——いまの若い人は、十五年先に百万円もらうといっても得心しませんぞ。そういうことから、もう少し前向きな考え方でこの問題に取り組んでもらうことが望ましいと思うのでありますが、もう一ぺんひとつ長官のお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/53
-
054・松村清之
○松村政府委員 もちろん消防団員は非常勤でございますから、常勤職員と同じようなベースに立った退職金というものを考えていくには非常に問題があろうと思います。できるできないは別にして問題はあろうと思いますが、しかし長い間、一身を犠牲にして、危険を顧みないで市町村の守りについた人たちでございますから、退職に際してまとまったお金を差し上げてその労苦に報いたい、こういう考えというものはあるのでございます。それならば、これまさしく退職報償というふうに呼んで恥しくないとは思いますが、しかしそこへいきますには、なかなかこれ距離があると思います。したがって現段階では、そういう意味も含まれつつ、また多分に先ほどからお話の出ております長年の間の労苦に報いるという感謝の気持ちをあらわす、報償と呼んでいいかどうか、問題があるかもしれませんが、そういう意味合いを多分に含めておりますので、いま退職報償金という名前を変えるということにつきましては、私自身としても納得がいきかねるのでございます。
なお、年限の問題につきましては、これは、実はこの問題が扱われました消防審議会におきましては、五年というようなことを言っております。五年がいいか十年がいいか、いろいろ問題があろうと思いますが、現実には金をともかく伴うものでございますので、いま考えておりますような十五年以上でも地方交付税で措置する分でも十二億円をこすという額でございまして、これを十年、五年に縮めますれば、ばく大な経費がかかるわけでございまして、したがって現段階ではひとつこの程度から出発をいたしまして、財政事情が許す段階がきますならば、金額、年限等についても検討を加えてまいりたい、そういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/54
-
055・栗山礼行
○栗山委員 最後に、私の時間がまいりましたから、意見だけ申し上げますが、距離のあるということについては、いかに今日の政治力というものがあとからついていき、そうして政治の内容を充実しておらないか、こういう一つの内容になると思うのです。ですから、やはり一歩前進するということについては、現実の事態と将来の一つの前進的な方策という二つをもって取り組んでいかなくちゃならぬ。これを通しますと、何の新鮮味もございません。これからの消防については老化現象だけがますます強化される、こういうことでありますので、コレステロールを取るというような錠剤の内容ではなおらない。結論を申し上げますと、ただただ一つの市町村における構造変化の中にロートル化され、それを助長するということでいいのかどうか、こういう点の反省と御検討をお願い申し上げまして私の質問を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/55
-
056・森田重次郎
○森田委員長 次に、地方自治に関する件について調査を進めます。
地方公共団体の条例に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。阪上安太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/56
-
057・阪上安太郎
○阪上委員 ただいま議題となりました府県条例に関する問題につきまして質問いたします。
私が本日質問申し上げたいのは、山梨県の恩賜県有財産管理条例の一部を改正する条例案、これがいま山梨県会で提出されましてたいへん物議をかもしておるのであります。これは恩賜の山林を山梨県がもらい受けまして、それに対する管理等について条例を設けておるものでありますが、最近地方自治法の改正に伴いまして財産区分が変わってまいりましたので、それに対処しておそらく条例改正に出たのであると思うのであります。ところが、この条例改正の内容が問題になってくるわけなのであります。在来普通財産的な扱い方をしておる、あるいは基本財産であったかもしれないのでありますが、それを今回の法改正に伴って普通財産と行政財産に分けることになっておりますので、この財産を行政財産として処理しよう、こういう形に出てきたわけなんであります。ところが、この財産につきましては、在来から関係市町村の住民が入り会い権を持っている、こういうことになっております。もしこれが行政財産として制定されますならば、当然法に基づいて私権の対象にはならないわけでありますから、入り会い権は抹殺されるということになるわけなんです。そこでいま住民がその問題を非常に危惧いたしておる、こういう段階でございます。しかもすでにこの条例改正案というのは当該県の議会にかかって、目下審議中であります。多くの市町村民、関係住民が押しかけてかなり不穏な状態まで出ておる、こういうことでありますので、緊急質問をいたしたわけであります。
まず最初に、このことにつきまして行政局長あたりで全貌をつかんでおられるかどうか、つかんでおられたらあなたはどういうふうにつかんでおられるか、これをひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/57
-
058・佐久間彊
○佐久間政府委員 お尋ねの山梨県恩賜県有財産管理条例改正の件につきましては、県の係官が私のほうの行政課のほうに条例案について法令上の相談に見えたのでございます。そこで、県がどういう条例案を考えておるかということにつきまして、概略私も報告を受けました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/58
-
059・阪上安太郎
○阪上委員 前回の委員会で愛知県条例が問題になりまして、いろいろ議論が行なわれたのであります。その結果省議をまとめて報告するということになっておりますが、これがまだ出ないのであります。今回のこの場合におきまして、やはりあのときと同じような問題があるのじゃないか、かように考えるわけであります。すなわち、県から言ってきたいろいろの事情を説明して自治省の見解を求めた、そこで自治省は愛知県の場合には違法ではないけれども、たいして適当とは思えないという程度の指導をしておられる。そこで今回のこの場合においては内容等も若干御存じのようでありますが、どういうふうな指導をなさったんでしょうか。
〔委員長退席、田川委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/59
-
060・佐久間彊
○佐久間政府委員 この条例案につきましては、素案でございまして、なおいろいろ検討を要する点があるのではないかということで、若干法令上の問題につきまして私どもの係官が意見を申したようでございます。ただこの条例の中で、実際の運用にあたりましては、県自体の運用にかかっている部分が相当ありますので、その点については県自体の考え方をもう少し検討をされる必要があるのじゃないかということを申したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/60
-
061・阪上安太郎
○阪上委員 時間がありませんので、あまり持って回った質問はいたしません。要はこれが行政財産になりますと、住民が一番心配しておるのは私権が抹殺されてしまう、こういう点だと思うのです。この点は行政財産となれば私権の対象にはならぬ、こういうことは法律でもう明白ですね。その点の見解はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/61
-
062・佐久間彊
○佐久間政府委員 行政財産になりますと、お話のとおりに私権の対象にはなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/62
-
063・阪上安太郎
○阪上委員 そこでこの法律第二百三十八条の四と同じく二百三十八条の六、これとの関係における優先順位は一体どういうふうに法的に解釈できるのですか。すなわち「行政財産の管理及び処分」これが二百三十八条の四でございますが、それに対して二百三十八条の六で「旧来の慣行により市町村の住民中特に公有財産を使用する権利を有する者があるときは、その旧慣による。」と明白に規定されております。これは改正前の法律も同じことだと思いますが、これはこの条文から言うと一体どっちが優先権を持っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/63
-
064・佐久間彊
○佐久間政府委員 この二百三十八条の六のほうは、これは市町村の住民にだけ認められました権利でございますので、山梨県の場合は県有財産でございますので、これに該当するものじゃないのじゃないかと思っております。
それから前のほうのお尋ねでございますが、行政財産は公有または公共用に供するものでございますから、これに私権を設定することは許されませんし、また私権を設定しなければならぬようなものでございますれば、そういうものを行政財産として設定することは間違いである、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/64
-
065・阪上安太郎
○阪上委員 そうすると、二百三十八条の四の例外規定として二百三十八条の六があるとは考えない、こういうことなんですね。そしてその理由としては二百三十八条の六はこれは市町村の住民に与えられたところの権利である、こういう解釈ですね。しかしそうなると県有財産については、市町村民がすでに既得権として持っておった旧慣によるところの権利というものは、全然それに対して何らの権利も保有することができない、こう解釈するのですか。そこのところはちょっとおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/65
-
066・佐久間彊
○佐久間政府委員 法律二百三十八条の六に書いてございますのは、条文の上から明らかに市町村の住民の権利でございますので、ここに書いてあります旧慣による使用権というものは、県有財産の場合には、法律上はあり得ないと思っております。もしこの具有財産につきまして、従来からの慣行で事実上それに類似した権利を持っておる者があるといたしますれば、それがどのような権利になるかにつきましては、実態につきましてよく検討をしてみなければならないと思っております。
いずれにいたしましても、行政財産にいたします場合におきましては、公用または公共用に供するものでなければございませんし、それが目的を妨げない限度において使用を許されますのは、二百三十八条の四の三項の場合でなければなりませんので、お尋ねのように従来からそこに、内容はよくわかりませんけれども、はっきりとした私権というものがあるといたしますれば、行政財産に指定いたします場合に、その権利については周到に検討した上で行政財産にするかどうかを決定する必要があるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/66
-
067・阪上安太郎
○阪上委員 二百三十八条の四の「行政財産」ということばは、これは県の財産に対してのみ言っていることなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/67
-
068・佐久間彊
○佐久間政府委員 二百三十八条の四は、これは県も市町村も、およそ地方公共団体の行政財産についての規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/68
-
069・阪上安太郎
○阪上委員 そうすると県有財産については、在来から住民が入り会い権を持っておった。これははっきりしておるのです。これは山梨県の恩賜県有財産管理条例の中で、こういった入り会い権は認められておるわけです。組合という形において認められておる、こういうことだと思うのであります。法は別に住民というものを自然人だけに規定しているわけじゃないと私は思います。したがって法人だってみなこれは入るわけであります。そういうことになると、県有財産の中におけるところの私権を認めておった。それがこの法の二百三十八条の六は該当しないけれども、それだからといってその私権を抹殺して直ちに行政財産にするという、そういう処置のしかたというものは正しいと思いますか。私は法の違反じゃないかと思うのですが、どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/69
-
070・佐久間彊
○佐久間政府委員 今回の法の改正は、従来からあります私権の存在を変更する意図は毛頭持っておらないわけでございます。ただ財産管理の合理化をはかります上から、行政財産、普通財産の分類をきめて、それに相当いたします管理の規定を整備いたしたわけでございますから、これを改正法によりまして行政財産に決定をいたします場合には、従来からありました私権につきましては、十分な配慮を払うのが当然だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/70
-
071・阪上安太郎
○阪上委員 私の言うのは、その場合旧法によるところの、あれは何といいましたか、基本財産ですか、あるいは特別の基本財産ですか、何かそういったような区分にしてあったのを、今回区分を変えたんだ。そして公有財産というものにしぼって、公有財産を分けて普通財産と行政財産に区分したのだ。ここまではわかるわけなんです。そこで、その場合にその財産に対して私権があったということなんです。入り会い権なんというものは、これは昔からずっとあるわけなんでありまして、そういったものがついておる場合に、それを行政財産にすることによって当然そういう私権が排除されてしまうという、そういう改正が正しいかどうかということを私は聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/71
-
072・佐久間彊
○佐久間政府委員 一般的に申しまして、行政財産にすることによって従来からありました私権を排除するということは正しくないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/72
-
073・阪上安太郎
○阪上委員 そうしますと、このいまやらんとしている条例改正は法律違反ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/73
-
074・佐久間彊
○佐久間政府委員 この山梨県の条例案によりますと、「国土保全又は恩賜県有財産経営のため必要あるものは、行政財産とする。」という規定でございまして、おそらくこの規定の趣旨は、従来からございます県有財産を一切行政財産にするということではなくして、その中で公用または公共用に供するに必要のあるものだけを行政財産にする、こういう趣旨であろうというふうに読めますので、そういうふうに解釈いたしますならば、この条例は別に法令に違反するものではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/74
-
075・阪上安太郎
○阪上委員 二百三十八条の三項に、「行政財産とは、普通地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供することと決定した財産をいい、」云云、こうなっておるのですね。ところがそういう行政財産を管理または処分する場合に、二百三十八条の四がこれを受けまして、「行政財産は、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、若しくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができない。」こう規定しておるわけですね。そうしますと、行政財産の扱いをすることによって、私権を設定することはできないのですから、私権はそこでなくなってしまうということになるわけなんですね。それを条例で、公共の用または公用に供する部分だけを行政財産として——その部分の中に在来の旧慣によるところの入り会い権というものがあるわけなんです。それをその一部分、あるいは大部分であるかも一しれないが、そういうような扱いをすること自体が、法の二百三十八条の四に違反するのではないかという質問をしておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/75
-
076・佐久間彊
○佐久間政府委員 実はこの山梨県の財産管理条例案、必ずしも表現が明確でない点もございますし、私どもの係官が説明を聞きました実態につきましても、先生のおっしゃっております権利の内容が、一体民法上の入り会い権なのか、あるいは先ほど御指摘のありました旧慣による使用権なのか、あるいはそのほかの何か別な権利なのか、その辺どうも実態がはっきりいたさないのでございます。いずれにいたしましても、一般的に申しまして、私どもはこの行政財産に決定をいたします場合には、それによって従来ありました私権というものは、今回の条例改正によって変更を来たすのだということは、法の意図しておるところではございませんので、それらの権利の実態もよく調べた上で、そういうものの侵害にならないように措置がなされることが望ましいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/76
-
077・阪上安太郎
○阪上委員 これは一方的であるかもしれませんが、われわれのほうにそういうことをいろいろ相談にきた人たちの意見を聞くと、山梨県知事は、この十六万町歩になんなんとする恩賜財産を、行政財産にすることによって、とかくいままでうるさいところの入り会い権その他の問題を、この際されいさっぱりこの法に基づいて解消してしまう。その後、再びこれを普通財産なり何なりの扱いに変えて処分していこうという意図がありありと見えておるということで、非常な物議をかもしている、こういうことなんです。それで、いろいろと事情を聞いてみますと、そういう考え方というものは、推測することができないものではない。要するに、私権があった。それで行政財産にすればもう私権は設定することはできない。法律はそうなっている。きれいさっぱりとばっさりやってしまう、こういうことです。中には、それはうるさいから公共の用その他に用いることもできないような場合も出てくるので、知事としても困るというような場面もあるかもしれない。その辺の真相については、私も十分承知しておりません。が、法文上の解釈からするならば、明らかに法を改正した意図と離れた方向の形における条例改正が出てきておる。あなたも先ほどそうおっしゃったと思いますが、そういうことだと思うのです。ところが、あなたは、この前と同じように、これは違法ではないのだ、こういうふうな解釈をされる。そこで、法制局どうでしょう。突然の問題だから、十分内容を御検討されていないでしょうけれでも、法文上から見て、そういう私権があるにかかわらず、それを排除してしまうというような形になってきたところのこの条例改正、これは確かに違法のおそれが十分にあるというふうに私は考えるのですが、一つ御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/77
-
078・山内一夫
○山内政府委員 いまお話を伺って考えましたところによりますと、行政財産にするということが条例の一方的な規定でできるかどうかというのは、私は非常な疑問に思っているわけです。この改正地方自治法二百三十八条の三項によりますと、「行政財産とは、普通地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供することと決定した財産をいい、」となっておりまするから、その行政財産の範囲というのは、この地方自治法で大体きまっているのではないかと思うのです。それと別のものを行政財産にするということで、かりに条例をそういうふうに規定いたしますと、それを行政財産と無理に呼ぶという意味で言うならともかくも、それは地方自治法でいう行政財産ではないと私は思いますから、二百三十八条の四の第一項の私権を設定することはできないという規定が働いてこないのではないかというふうに私は考えるわけです。それで、この行政財産というか、公用または公共の用に供するということは、実際に知事さんなり、その他の機関の公用に供し、または公共の用に供する、そういうふうにされた現実の姿の財産が行政財産というふうに自治法で取り扱われるということに相なるのだと思いますが、やはり公用なりあるいは公共の用に供するというのは、いままでの行政法の考え方からいきますと、その前に、たとえばその土地の地上権なり借地権を持っていたり、あるいは入り会い権もそうなるだろうと思いますけれども、それがないようになっていないと、公用または公共の用に直接供するということができないのじゃないかというふうに大体説かれているのではないかと思うわけです。ですから、いま行政財産にすれば過去の権利が消滅してしまうかというと、むしろ行政財産にかりに無理にしたところで、前の権利はやはり残っているというふうに考えるのが正しいのではないか、かように考えるわけです。御質問に対して的確なお答えになっているかどうかよくわかりませんけれども、そういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/78
-
079・阪上安太郎
○阪上委員 そうしますと、公共の用に供し、あるいは公用に供し、これははっきりしていますね。現にそういうふうにしたのだから。それからまた、そういうことをするように決定した、そういったものについて初めてそこに行政財産というものが明確になってくるのだ。したがって、条例等によって——ここのところが、ちょっといまのあなたの言うのは、私にはわからなくなってしまったの、だが……。したがって、いまのような場合には、行政財産とすべきでない、こういう解釈ですね。それでいいわけですか。ちょっと一ぺん確認してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/79
-
080・山内一夫
○山内政府委員 結局そういうことになると思うのですが、県の当局が公共用に供すると決定した場合に、自治法上行政財産という観念になるだけのことでありまして、そうしない財産が地方自治法では普通財産として取り扱われることになるだけの話というふうに私は考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/80
-
081・阪上安太郎
○阪上委員 この法の解釈が非常にむずかしくなってくる。しからば公用財産あるいは公共用財産、そういうことばがあるかどうか知りませんが、要するに公用とか公共用とかいうことについて、自治法にはどこにも明確な規定がないわけですね。そうすると、そういったものを、これが公用であり公共用であるということを決定する機関は、当該都道府県ないしは市町村、こういうことになると思うのです。そうすると、条例を設けてこれをきめたということそれ自体は、別に違法にはならぬ、こういう解釈も出てくると思うのです。それとも、そういうことをやったとしてもそれはやはり認めない、こういうことになるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/81
-
082・山内一夫
○山内政府委員 そういうように無理にやりましても、それは地方自治法による行政財産ではないというふうに私は考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/82
-
083・阪上安太郎
○阪上委員 あまり長く時間を費すのはどうかと思いますが、こういった問題はかなりはっきりした問題ではないかと思いますので、これは自治省でよく検討していただきたい。やはりいまのような疑問が出てきております。知事が意図しているのかどうかという問題につきましては、これは単なる推測にすぎませんが、そういったこともよく御判断いただく。しかし、地元の住民は、長い間の習慣により、入り会い権を持っているのだということでありまして、これも厳然たる事実だと私は思うのであります。したがって、こういう条例をつくるということ、自治法に言う行政財産でないという解釈が成り立つということになれば、きわめて重大な問題である、こういうように考えます。しかもいま来会でやっている。条例が通りますれば、やはり行政手続等を経て面接行政請求であるとかなんとかいう問題は持ち込んでこなければならぬということにもなりかねない。そういうことでありますので、この間の愛知川の条例と同じように、速急に見解を出してもらいたい。これは間違っておるならば指導すべき点は指導して、できるだけ事前にそういったものは処理してもらうことが必要ではないかと思いますので、このことを要求いたしまして、私の質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/83
-
084・佐久間彊
○佐久間政府委員 御趣旨に沿いますように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/84
-
085・田川誠一
○田川委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X02519640324/85
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。