1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月十二日(金曜日)
午前十時二十四分開議
出席委員
委員長 森田重次郎君
理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君
理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君
理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君
理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君
大石 八治君 大西 正男君
奧野 誠亮君 亀岡 高夫君
亀山 孝一君 久保田円次君
武市 恭信君 登坂重次郎君
村山 達雄君 森下 元晴君
山崎 巖君 秋山 徳雄君
神近 市子君 千葉 七郎君
華山 親義君 細谷 治嘉君
栗山 礼行君 門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 赤澤 正道君
出席政府委員
内閣法制局参事
官
(第四部長) 関 道雄君
警 視 監
(警察庁交通局
長) 高橋 幹夫君
自治政務次官 金子 岩三君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
委員外の出席者
内閣法制局参事
官 角田礼次郎君
大蔵事務官
(銀行局保険第
二課長) 安川 七郎君
農林事務官
(農地局建設部
調査官) 大場 敏彦君
運輸事務官
(自動車局業務
部旅客課長) 山上 孝史君
自治事務官
(行政局振興課
長) 森 清君
専 門 員 越村安太郎君
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六月十二日
委員阪上安太郎君辞任につき、その補欠として
神近市子君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員神近市子君辞任につき、その補欠として阪
上安太郎君が議長の指名で委員に選任された。
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六月十二日
地方行政連絡会議法案(内閣提出第一六一号)
(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れに関する件
大規模な公有水面の埋立てに伴う村
の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律
案(内閣提出第一三五号)(参議院送付)
警察に関する件(交通安全協会に関する問題
等)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/0
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001・森田重次郎
○森田委員長 これより会議を開きます。
この際、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。
建設委員会において審査中の道路法の一部を改正する法律案について、連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/1
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002・森田重次郎
○森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお、開会の日時等につきましては、建設委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたします。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/2
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003・森田重次郎
○森田委員長 次に、警察に関する件について調査を進めます。
交通安全協会に関する問題等について質疑の通告がありますので、これを許します。神近市子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/3
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004・神近市子
○神近委員 いま世間では交通地獄とか交通戦争とかということばが一般的なものになっております。日本は平和な太平な世の中というのに、地獄とか戦争とかいうようなことばが平然と使われているというこの事態は私は容易ならないものと思うのでございます。実際にいま総理府でこの数日前に小学校、中学校の子供たちに歩け歩けという運動を起こすというような御決定があるようですけれども、この子供たちの通行がいま非常にあぶなくなっておりまして、大体年間の死傷の三割は幼児、それから小学校の子供たちを含めると約半数近くがこの事故にあっているというときに、歩け歩けということが運動に非常に効果があるということはよく知られておりますけれども、それを奨励するということも非常に私は矛盾じゃないかと思うのです。大体ことしは五月の二十七日かに五千十五人の死者を出しております。昨年の死者は一万五千人、その三分の一が歩行者で、一万二千三百九十九人が二十四時間以内に死んでおります。三十五万という人が負傷をしております。どうしてこういうことになったのか、この点私はかねて何とかやらなくてはならないということを考えていましたときに、一通の珍しい投書があったのでございます。それにはタクシー業者が、もし人をひいたならば、人が見ていなかったらバックして殺してしまえ、そのほうが補償金が安く上がるというような指示をしている。これはあとで例を出しますけれど、全部のタクシー業者ではないと思うのですけれど、悪質な業者はそういうような指令を出している。傷を負わせたならば殺してしまったほうが補償金は安く上がる、療養に金がかかるのでそれを負担しなければならないというような指令を出している。
これは一例でありますけれど、愛知県の地裁の半田支部では、幼児を殺したときに裁判にかけたところが、子供は無価値だ、親は子供を育てるのには金もかかる、時間もかかる、ところが死んでしまえば金がかからないから子供は無価値だというので、子供の仮払いが五万円出ていたのを取り消した。私はこういうようなことが今日の時世にあり得ることか、人命の尊重ということがこの辺まで忘れられているのかというようなことで驚いたわけです。ぜひこの深いろいろ立法の面でなりあるいはそのほかの処理の問題なんかを考えていただきたい、こういう趣旨できょうの御質問を申し上げるのでございます。いま申し上げましたように、子供をひいたという場合は、親たちに最初仮払いとして五万円の補償がいっておって、そのあとでほかに葬式料が二万数千円いっている。この程度のことですけど、まだもっとひどい例がたくさんあります。
こういう問題をからめて御質問するのですが、一番最初に伺いたいのは、大蔵省の銀行局から、個人タクシーが共済組合的な積み立て金をやっておる、そこに何か通牒があったということ、それは多分法人でないということでそれに対する御注意じゃないかと思うのですけれども、どういう通牒が出たかということを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/4
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005・安川七郎
○安川説明員 お答え申し上げます。ただいまの御質問でございますが、まず現在自動車が事故を起こしまして人を死亡させたり、あるいはけがをさせましたときには、保険制度として、一つは特別な法律に基づきましてすべての自動車について強制的な保険をかけさしております。したがいまして、ただいまの幼児等の場合でございますけれども、本年二月一日からの新しい制度によりますと、幼児あるいは成年男子を問わず、死亡の場合には全部百万円の保険金を支払うというように制度を改正いたしております。そういうような制度がございますほか、現在のただいま申し上げた制度は、死亡事故につきましては最高百万円という制度になっております。しかしながら、世間の賠償請求観念がだんだん上がってまいりましたために、百万円では間に合わない場合も多いわけでございます。そういたしますと、現在では国の制度のほかに民間の保険会社の保険制度がございまして、自動車の所有者の方が保険制度に入りますと、その上に五十万円、百万円あるいは二百万円、任意の金額の保険をかけまして、事故がありました場合、被害者と加害者のほうの賠償請求の話し合いがまとまりますと、それに応じて根っこのほうの百万円はいわゆる私ども自賠責法と言っておりますが、そのような保険金を払いまして、その上に民間保険に加入しておればさらに五十万円あるいは百万円、こういうような制度になっております。
ところで、本年の当初から東京都の個人タクシーの方が組合を組成いたしまして、組合の本来の、たとえば資材の共同購入でございますとか、組合の利益の増進という仕事のほかに、何か組合員から掛け金を徴収いたしまして資金を積み立てまして、それによって、もし組合員の自動車が傷害あるいは死亡事故を起こしまして、被害者と当該車との間の示談その他が百万円をこしました場合には、そのこす部分について何らか共済金の支払いをするような制度をつくったらどうだろうか、まあこういうような動きがあったようでございます。それにつきましては、当該個人タクシーの組合の監督は運輸省のほうがやっていらっしゃいますから、これは私のほうに全然問題はございません。ただ、さような共済制度をつくるかどうかにつきましては、これは現在やっております国の自動車保険制度、あるいは民間保険会社がやっておりますところの保険制度、この関連がございまして、非常に技術的にむずかしい問題がございます。したがいまして、目下大蔵省と運輸省との間におきまして、この個人タクシーの共済制度をいかようにしたらいいか、中身をできるだけ健全にして持っていったほうがいいのではないかということで目下協議中でございまして、特別にこれを大蔵省のほうに組合をつくることについてどうとかいうような問題は、私どものほうには持っていない現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/5
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006・神近市子
○神近委員 私は個人タクシーのほうが――さっき申し上げたような業者の指示なんというものは、これは例外であります。あとに出しますけれども、これはおそらく悪質な業者の指示であって、傷を受けさせるよりも殺したほうが安上がりだというような指示をやっているのが、全部のタクシー会社ではないということはよくわかります。だけれど、何といったってタクシー会社同士が利益をあげるために非常に運転手を酷使するということが一つの今日の交通事故の原因になっているのです。それで私は個人タクシーのほうをふやすほうがいい、これは運輸省の御管轄ですけれども、そのために陸運局に私は何度も足を運んだことがあります。個人タクシーですと、すべてが自分の責任において、自分の義務になってきますから、車も大事にするだろうし、事故を起こさないような注意もよくする。それで、その個人タクシーの人たちが共済組合的なものをつくって、事故を起こしたり車を損傷したりしたときにお互いにこれを助け合う、これは私は育成されていいと思うのですけれども、いまはっきりと運輸省と相談中だとおっしゃったのですけれども、最近に通牒をお出しになったというものの内容を私は伺っているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/6
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007・安川七郎
○安川説明員 御説明申し上げます。ただいま個人タクシーの事故についてお話がございました。それで私どももまことに御指摘のとおりであると考えております。私ども扱っております保険制度の上から見ますと、自動車につきましては、事故を起こすものとしからざるものと非常に差がございます。個人タクシーの現状を見ますと、ただいま御指摘のように、本人が車を持っておる、また自分で全部の責任を負担しておるというような事情もからまりまして、現在までのところは、個人タクシーは非常に事故を起こさないということになっております。これは私どものほうの保険制度の上から見ましてもまことに好ましいことでございまして、個人タクシー業者をふやすかどうかは私ども大蔵省の所管ではございませんけれども、個人タクシーの保険に関します限りは、私どもは個人タクシーというものが非常に保険的に見て好ましい姿になっておるということははっきり申し上げられるわけです。したがいまして、一例を申し上げますと、先ほどの個人タクシーについております賠償責任保険あるいは車体保険の料率は一般のタクシーより非常に安くできております。概括的に申し上げますと、一般のタクシーの料率を一〇〇といたしますと、個人タクシーの料率は三割、七割引きにしております。たいへん安い料率を便っておる。つまり、言いかえますと非常に事故率が少ない。これは保険制度の上から見てもたいへんけっこうなことであると考えております。
それから第三点でございますが、ただいま運輸省との間に協議をいたしておりますそれは、四月二十日に私のほうの、大蔵省の銀行局長から運輸省の自動車局長あてに「個人タクシー協同組合の共済事業について」という題名で通知を差し上げてございます。その内容でございますけれども、もし必要でございましたら、この内容を読ましていただいてよろしゅうございますか。――それじゃ、その通知の内容を朗読させていただきます。「個人タクシー協同組合の共済事業について、個人タクシー協同組合が保険類似の共済事業を行うことについては、大蔵省として下記のように考えるので、貴局が昭和三十九年一月二十二日付自旅第十三号をもって陸運局長に通知した通ちょうの今後における適用方針ならびに個人タクシー協同組合の行うこの種事業に対する監督指導方針については、下記の線に沿って慎重かつ厳重な監督をされたい。」「記」でございますが、「一、個人タクシー協同組合が共済事業を行う場合の法令上の根拠は、中小企業等協同組合法第九条の二第一項3の「組合員の福利厚生に関する施設」である。従って、同条第二項の規定と関連して、当該共済事業の内容が社会通念上の福利厚生施設の範囲を逸脱し、同法に規定する火災共済事業又は保険業法に規定する保険事業と同様の実質を有する場合には、当該共済事業は同法の規定及び保険業法の規定に違反することになる。二、自動車事故による対人及び対物賠償に関する共済事業を保険事業と同等の監督及び規制の存しない上記の福利厚生事業として行うことについては、(1)、この種賠償共済がその本質上保険事業と同質のものにならざるを得ないこと。(2)賠償共済(保険)は、高度に技術的専門的な知識を要求されるものであること。(3)賠償請求権者たる被害者のこの種制度に対する一般的期待からみて、社会的影響が極めて大きく、保険事業と同質の内容をもたなければ公共的な利益に反するおそれがあること。等の理由から適当でない。」あとは一般的な共済の問題でございますから、割愛させていただきます。
以上のとおり、こういうような通知を差し上げまして、したがいまして、これにつきまして現在個人タクシー協同組合のこれから行なおうとする共済事業につきましては、運輸省と御相談の上、この事業が社会的な公益性に反しないような方向でしかるべく指導したい。そういうような内容がどのようなものであろうかということとを目下相談中の現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/7
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008・神近市子
○神近委員 いま御通読いただいたことは、私それを見ていなかったものですから、速記を拝見してまた意見を申し上げることにいたします。
今度は、さっき事故で殺した人に対しては百万円だ百万円だというようなことを繰り返しおっしゃったのですけれども、いままで百万円なんか絶対出やしませんよ。いままで五十万円だってほとんど例がないでしょう。これはあとで安全協会の査定の問題にからんできますけれども、百万円だ百万円だと香って、みんなが百万円もらうような印象をお与えになったけれども、それはもう絶対にそういうことはありません。そのことはあとで触れますけれども、さっき申し上げたように、事故を少なくするには、何と考えても運転手の待遇がからまってきます。ところが、この旅客自動車というのはみんなタクシー業者のことをさすようですけれども、タクシー業者の旅客自動車指導委員会本部というのがあります。そしてこれは、各自動車の会社が五十万円ずつ出資しまして、そしてこれをつくって、積み立てているのです。この協会というのは変なところで、いろいろ規約を持っていて、運転手の自由を許さないのです。たとえばこのタクシー会社で給与が悪いからやめるといって、次の別のタクシー会社へ行くことができないようにしてある。ちゃんとお互いに名簿を交換してあって、こっちの協会に入っているタクシー会社から来た者は雇わないということになっている。これは運輸省の所管じゃないかと思うのですけれども、憲法に規定してあるところの職業あるいは就職の自由、これの憲法違反じゃないか、こういうようなことを許しておいていいかということ。これは大蔵省だって旅客自動車の協会というものは御存じでしょう。おそらくこれは財団法人か何かになっていて、各会社が五十万円ずつ積み立てておる。それにこのままそういう規約を持たせておいていいかどうか、そのお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/8
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009・山上孝史
○山上説明員 先生御指摘の団体は、東京都旅客指導委員会だと思いますが、社団法人でございます。これにつきまして先生御指摘のように、ある会員の特定の会社から運転者が違う会員の会社に行くことについて、その団体が制限をしているということは私聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/9
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010・神近市子
○神近委員 それを頭に入れておいて調査をしていただきたい。あの走り回っている運転手の給料が、いま乗車拒否を何とかしなくちゃならぬというような人たち、あの人たちの一番最高の給与が四万五千円です。そして平均は三万円なんです。勤務時間というものは、大体朝八時から夜中の二時、これが規定の勤務時間で、翌日は休養ということになるのですけれども、一日に一万円かせがなければ四万五千円には上がらないのです。それで朝七時から起きてきて夜中の三時、四時まで勤務する。それでやっと四万五千円。規定どおりに働いていれば、さっき申し上げたように三が平均、そういうことになっている。それで自動車会社の中には、もう少し運転手に親切をしようという人もなくもないのです。そういう場合に、協会がこれで縛ってあるということですね。これはひとつ何とか考えていただいて、運転手の待遇がもう少しよくなって、そうして乗車拒否をしたり、無理な暴走をしないというようにしなければ、今日の交通事故は何ともならないということを私は考えるのであります。これを運輸省あたりでは一体どういうふうに考えておるのでありますか。いままでこういう事実を御存じなかったのかどうか。これは労働省関係だろうと思うのですけれども、もし御監督が運輸省だということになれば、これをどう考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/10
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011・山上孝史
○山上説明員 ただいまの先生御指摘のようなことは私どもは聞いておりませんし、そういうことは万々ないと思っておりますけれども、なおもう一回東京陸運局を通じまして調査してみたいと思います。
現在一般的に申しますと、運転者の確保につきまして各事業所が非常に困難をきわめております。ただいまのように労働需給の逼迫の状態でありまして、特に専門の技術を要しますので、むしろ運転者側の売り手市場という現状でございます。そこで、そういうことは方々ないと思いますが、なおもう一回調査をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/11
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012・神近市子
○神近委員 その事実はあるのですから、調査をぜひしてみていただきたいと思うのです。
それから今度は全日本交通安全協会のことを伺いたいのですけれども、この創立はいつでございますか。高橋局長がお見えになっていると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/12
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013・高橋幹夫
○高橋(幹)政府委員 全日本交通安全協会の設立につきましては、私のところに寄付行為のあれがございますが、私の記憶では昭和三十六年にできたように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/13
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014・神近市子
○神近委員 これは警視庁の五階にございまして、警視庁の付属のようになっている。そして警察庁から三十八年度には一千万、それから三十九年度には一千五百万の委託費というものが出ておるということは事実ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/14
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015・高橋幹夫
○高橋(幹)政府委員 ただいま神近先生のおことばの中にちょっと東京交通安全協会と全日本交通安全協会を混同されているような御発言がありましたので、私のほうから御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/15
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016・神近市子
○神近委員 これは混同させておりません。いま全日本交通安全協会と申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/16
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017・高橋幹夫
○高橋(幹)政府委員 私の申し上げたのは全日本交通安全協会でございまして、この全日本交通安全協会は警視庁の庁舎の中にはございません。警視庁の庁舎の中にありますのは東京交通安全協会でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/17
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018・神近市子
○神近委員 この東京交通安全協会には東京都から委託費というか、あるいは奨励金というか、そういうふうなものが出ているはずですが、どのくらい出ているか御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/18
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019・高橋幹夫
○高橋(幹)政府委員 先ほど御指摘になりました全日本交通安全協会には、昭和三十八年度で一千万の国庫事業委託金、昭和三十九年度で千五百万円の国庫事業委託金が出ております。東京交通安全協会につきましては、昭和三十八年度は東京都から三百万円の補助金が出ております。昭和三十九年度におきましては九百万円の補助金が出ております。それらの国庫委託金なり補助金の使用につきましては、また後刻御質問に応じてお答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/19
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020・神近市子
○神近委員 このところでどういうことを委託していらっしゃるか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/20
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021・高橋幹夫
○高橋(幹)政府委員 全日本交通安全協会に国庫委託金として一千万円の委託金がございますが、これは全日本交通安全協会といたしまして、国庫委託金特別会計というものをつくりまして、厳格な経理をいたし、警察庁の私どもがこれの監督に当たっておるわけでございます。昭和三十八年度におきます一千万円の国庫委託金の特別会計の支出を申し上げますと、これは事業費といたしまして啓発宣伝費に使うということになっております。その啓発宣言費の内容を申し上げますと、学童の交通安全教育用の印刷物の発行費、それから電波利用によるところのPR費、それからリーフレットの頒布費ということでそれぞれの予算額が計上され、それぞれ決算をいたしておるという次第でございます。さらに昭和三十九年度の一千五百万円につきましては、以上申し上げたような啓発宣伝費のほかに、五百万円の予算の増額を見ました内容につきましては、最近いろいろ多発いたしますところの交通事故の内容を分析いたしたい、いわゆる交通診断をいたしたいという経費に五百万円を充てる。さらにはいまの一千万円のものにつきましては、先ほど昭和三十八年度の啓発宣伝費で御説明申し上げました以外に、今年度はオリンピックの関係がございますので、オリンピックに関しますところの交通道徳の高揚という問題につきまして、格段の啓発宣伝をいたしたいという趣旨で一千万円の予算があわせてついている次第でございます。
東京都におきます三百万円の予算につきましては、それぞれ東京交通安全協会がやりますところの事業、交通能率の増進に関する調査研究とか、あるいは交通事故の防止及び救済の問題とか、あるいは交通安全運動の推進の問題とか、いろいろな問題がございますが、昭和三十九年度におきまして昭和三十八年度の三百万円を九百万円にいたしました六百万円の内容につきましては、交通相談所を設けまして、交通事故の被害者の救済、こういうような問題について交通相談の事務の専従職員を設けて、積極的にこれに当たるための経費として六百万円の増額を見たという次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/21
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022・神近市子
○神近委員 啓蒙のための印刷物あるいは電波――テレビですか、電波は見たことありませんが、高い交通道徳でオリンピックを飾りましょうというのが方々に張ってあります。あれをお役人もあるいは議員さん方もごらんになっていると思うのですけれども、今日宣伝過剰の時代に、きょうなんか私のところには色刷りのたいへん大きな宣伝紙がきたんですけれど、ああいうものが効果があるというふうにお考えになっているのですか。交通安全週間というのも四月にありましたが、あのときに安全週間というようなことを書いて方々に張ってあって、そして日比谷の公会堂かどこかでそういう会合が一日か二日あった。そういうもので今日の交通事情を緩和することができるというふうにお考になっているか。私は、そこのところのお役人の頭というものかちょっとわからないような気がするのです。二、三日前ですか、二十四時間の警備ということをなさいましたが、あのとき一日だけほとんど無事故であったということが新聞に報道されていたのですけれど、あの無事故を生んだ日は、特別に一日終日警備をなさったらお金はどのくらいかかるのてすか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/22
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023・高橋幹夫
○高橋(幹)政府委員 交通事故の防止につきましては、交通事故の起こるゆえんは人と車と道路の、複雑した原因の結果起こるものでございます。したがって、私どもといたしましては、交通事故の防止につきましていろいろな対策を持っておりますが、その一つの項目といたしましていわゆる安全教育、交通に対する正しいルールを国民の間に浸透することに大きな効果があるというふうに考えておりますが、ただいま御指摘されたように、必ずしもこれで十分だというふうには考えておりません。私ども、まことにつたない役人の頭でございますが、現在の交通事故をいかにして防ぐかということは、警察庁全体の問題としてたいへん大きな課題として取り組んでいるのでございます。国家公安委員会並びに警察官全員が、一人でも多くの死傷者を出さないようにということで私どもは努力をいたしておる次第であります。そのためにはあらゆる手段を打って、あらゆる方法をとって交通事故の防止に当たらなければならないというふうに考えておりまして、ただいまのパンフレットにいたしましても、あるいはテレビにいたしましても、それぞれの効果については御指摘のようにいろいろ問題があるかと思いますが、これはやはり従来の経緯から見て、いろいろな角度からPRをすべきである、こういう結論を持っております。
さらには、私どもとしては、全国一斉取り締まりというものをやっておりますが、二十四時間の取り締まりをやる場合においては、確かに交通事故が減る傾向にあります。交通事故ゼロの日もあるわけでございます。しかし、この場合においては、特別の金をかけてやるというよりは、警察官の勤務をいろいろと勘案いたしまして、一人でも多くのパトロールカーを街頭に出しまして、交通の取り締まりなり指導に当たるということで、特別の経費と申し上げれば、全国の警察官のいわゆる超過勤務手当が、しいて申し上げれば経費でございます。さらには、これらの問題について新聞なりあるいはラジオなりテレビが、こういう一斉取り締まりを行なうことを報道することについては、一つのPR効果をもたらすというふうに私ども考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/23
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024・神近市子
○神近委員 その宣伝効果ということ、パンフレットやポスターは私は効果がないと思います。この間、あんまりたくさんダイレクトメールが来るから、ちょっとひまがあったのでためしに数えてみたら、私のうちには二十一本きておりました。そういうものが毎日毎日、整理に必ず三十分ぐらいかかるほどこのごろは来るんです。ですから私はさっき申し上げたように、ポスターとかパンフレットとかいうものの効果は、もう半減あるいは三分の二減ぐらいになっている。効果はないでしょうということを申し上げる。世の中はもっと違った角度で展開していくようになっている。文書というようなものを取り上げて、これはほかの者が沈んだってしょうがないのだから、その衝に当たる人たちが読まなくちゃならない。それは方向をお変えになるべきだと思う。それが、安全協会の使命だ、ほかに方法かないとおっしゃればしかたがない。だけれど、せっかくそれだけの補助金とか奨励金とかをお出しになるならば、もっと効果的にお使いになることをお考えになったほうがいいということを申し上げる。
同時に、私はこの安全協会が警視庁の中にあるということにいろんな疑問があるんです。どこかの市会議員が――新聞を切り取っておいたのを見失いましたけれども、安全協会にたくさん支部ができているでしょう。あれが警察をかさに着て、あとで事例を出しますけれど、いろいろの悪いことをしています。一番はっきりしたのは、この間の、市会議員が一年以上無免許で自動車を乗り回して、わしは安全協会の理事だからこれでいいんだといって、人に注意されても事故を起こすまで乗り回していた。ああいうようなことがたくさんあるのです。それは一例にすぎない。もっとたくさんある。私はその点で、安全協会を戦後の混乱時に一応の対策としてお考えになってお設けになったことは私は非難しませんよ。だけれど、昨今の状態は、あれが下部にいったときに、どういうことをしているか。多過ぎるんですよ。一体東京交通安全協会の下に幾つ支部がありますか。一つの警察署の下に五ヵ所あるところがある。こまかいことは要りませんけれど、東京都下で一体どのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/24
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025・高橋幹夫
○高橋(幹)政府委員 ただいま御指摘になりました交通安全協会のあり方につきましては、私どもも常々安全協会の果たしております使命あるいは安全協会の活動というものについては、いろいろな評価を持ち、またいろいろこれを推進しなければならないと思っておりますが、ただいま御指摘のように、安全協会につきましては、役職員の問題とか、安全協会の財政の問題とか、そういう点についていろいろと問題があります。したがいまして、せっかくの民間組織である安全協会に今後いかに交通安全の上において有効な働きをしていただくかという点について、警察としても、従来いろいろとこれらに対する警察官あるいはこの衝に当たる警察の職員に対して指導をいたしておったのであります。
そこで今後これらの点について特に問題になりますのは、ただいま御指摘にありましたように、各署の下部にある支部の問題でございます。これらの支部の問題につきましては、私ども警察庁交通局として必ずしも全体についての把握は十分でございません。したがいまして、これらの点についてはそれぞれの都道府県警察の本部長なり交通関係の職員をして監督せしめ、あるいはいま申し上げたような点については細心の注意を払っておると思います。
ただいま御指摘になりました東京都の各地区の安全協会は、八十七の地区に安全協会があるように記憶いたしております。なお、これらの正確な資料につきましては、後刻資料として差し上げてもよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/25
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026・神近市子
○神近委員 それで各支部が相当の金を取っている。三年に一回の書きかえのときに、いままでは公安委員会の代理として制服を着た警察官が二百円なり三百円なりを取り上げたということはあなたもよく御承知でございましたね。それで日本全国の自動車が千三百万台、もしそれの三分の一が書きかえるとすれば、二百円ずつとっても八億六千六百万円になる。三百円取れば十二億あるいは十三億近くなる。こういう金が全国の安全協会の収益。そのほかに、私は驚いたんですけれど、一台に百円ずつ安全協会が取り立てる。これはあなた方の御責任ではない、おそらく支部の責任だろうと思うのです。会社がかわって、大体八十台あれば、月に百円ずつ安全協会の支部というところに納めている。これは警察官でなく、安全協会の支部から集金がくる。月に百円ですけれど、一人が千二百円、それが百人なり百五十人なりの運転手がいるということになると、幾らの金になるか、私どこかで勘定してみたことがあるのですが、全国で百五十六億ぐらいになるのです。全部の支部がそうやっているかどうか、それは知りませんよ、ともかく東京都ではそれに近いものがある。そしてその金が何の役をしているかというと、そういう憶測は民間人の悪いところかもしれませんが、大体警察に対するサービス、交通に対する、道路に対するサービス、たとえば表示を出す、ここは右折禁止だとか、そういうものは大体警視庁で見ていらっしゃるでしょう。そのほかに何かそういうものは出すかもわからないけれど、結局、警察に対するサービスに相当使われているというのが民間人の感覚なんです。これは私、自分でやったことではないけれども、いろいろの情報を伺えば、それだけの金がともかく動いている。しかも、そのお金を出すのが、警察というものが背景にあるということで容易に行なわれている。業者はそれをともかく出している。私はそういうことから考えると、東京安全協会あるいは参議院の津島さんが理事長で、久留島さんが副理事長をなさっている全日本安全協会、そういうものに対する非難はないと思うのですけれど、この末端を一応整理するために、あなたのところの東京安全協会を一応おやめになって、これは交通安全のためだったら、運輸省の所轄にするというような勇断を一度なさらなければ、この下部の、いま八十七地区とおっしゃって、その一つの地区が五ヵ所なり六ヶ所なりを持っていて、区から村から市から県から補助金をもらって、そしてあまり望ましくないことをしているというふうなことを考えると、これは頭にあるところの安全協会、東京安全協会なり全日本安全協会なりを、一応使命を終わったというようなことで手直しするということが必要じゃないか、私はこう思うのですけれど、それはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/26
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027・高橋幹夫
○高橋(幹)政府委員 ただいま御指摘になりました地区のいわゆる安全協会の支部の財政収入の問題でございますが、私どもの聞いておりますところでは、運転者の免許証の更新をそれぞれの署でする際に、講習等を行なっておりますが、その際に安全協会の職員が、今後の安全運動のための資料あるいは各運転者に対するいろいろな連絡あるいは講習会のあっせん等のために、三年分として百円から三百円もらっているということで、決して毎月百円、三百円をいただいているわけではございません。もちろん、それぞれの地区によります特性によっていろいろなやり方があるかと思いますが、私どもの聞いております大体のやり方というものは、その更新の際三年分として百円もしくは三百円ということでございます。
なお、これらの運転者の加入につきましては、これに警察官が立ち会うとかあるいは強制にわたるということのないように、なるべく任意加入であるようにということで、必ずしも御指摘になりましたように全部の運転者が入っておるというわけではございません。私どもの調べております。パーセンテージでは、大体三六・四%くらいの運転者が入っておるということでございます。ただしかし、これらのものについては、確かに御指摘のように零細なる金を集めるということについてはいろいろ問題もあります。したがいまして、私どもは、これらの運転者から集める金については、できるだけ将来にわたっては取らないという方針をとったほうがいいのではないか、あるいは更新の際のそういう手数料的な印象を与えるということは警察にとってもいろいろ問題があるので、こういうような零細な運転者の個々別々のいわゆる会費というものについては、なるべくこれを一取らないようにしていく。
それから、先ほど御指摘になりましたような自動車の台数割りというものは、それぞれ自家用車の持ち主であるとか、あるいは事業用の自動車を持っております事業者というものから会費として取っておるわけでございます。しかし、御指摘のように、これらの点につきましては確かに金の伴う問題であり、しかも警察官がこれに介入しているという、いろいろな誤解の目をもって見られてもいけないというふうに考えておりますので、私どもといたしましても、この全国の交通安全協会の支部なりあるいは本部のあり方というものについては、最近におきますところの交通安全運動の推進のあり方というものを考えまして、できるだけ善処をしていきたいというふうに考えて、現在全国の実態調査をしております。ただしかし、御承知のようにそれぞれ法人格を持っておるものでございますので、しかもこれが警察の自由がきくという問題でもございません。それぞれの財団法人なりあるいは社団法人としてのあり方の問題でございますので、これらについてはいましばらく時間をかしていただきまして、そういう前向きの方向で私どもといたしましては検討をしていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/27
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028・神近市子
○神近委員 その一例ですけれど、足立区の関屋町というところにある司自動車の社長、この人が、さっき申し上げたような、傷を負わせたら、人が見ていなければバックして殺してしまえというようなたちの人ではないか、どこからその例が出たかということは私、いままだ調査中ですけれど、そのような人じゃないかと思うのです。この人は樽沢正という人で、全日本交通安全協会の理事であります。そして東京交通寮全協会の副会長、それから千住の安全協会の会長、この人が自分の運転手たちの組合に対しても非常な弾圧をしているのです。そうして、きのうここで暴力団の問題が盛んに論議されていたのですけれど、暴力団を雇ってきて、組合員の一人一人に、組合をやめればおまえにはこういうことをしてやるとかいうことを言って、そしてなぐり合いあるいは取っ組み合いということでけが人が出るのです。会社側で雇ったのは暴力団ですよ。それを警察がちっとも手を入れない。警察はそれを見ているというようなことから、この安全協会というものが警察をかさに着て労働者を弾圧しているという一つの例があるのです。私は、高いところにいる人たちに悪意がないということは認めます。あなたが一生懸命これを健康なものに仕上げよう、そうして交通事故をなしくしようという努力をなさっているということは認めますけれど、ともかくその機構の末端で、こういうことが行なわれているということについて、安全協会というもののあり方について御反省が必要じゃないかということを私はお尋ねしているわけなんです。
それからもう一つ、査定事務所というのは運輸省の関係ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/28
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029・安川七郎
○安川説明員 大蔵省であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/29
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030・神近市子
○神近委員 それは会社側と学識経験者それから被害者、この三者で査定をし協議するということになっているのは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/30
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031・高橋幹夫
○高橋(幹)政府委員 ただいま御指摘の司自動車の問題につきましては、いろいろな点につきまして私どもの見解をこの機会に申し上げておきます。
樽沢氏は確かに全日本交通安全協会の理事であり、東京都交通安全協会の副会長であります。ただしかし、樽沢個人については、御承知のように昭和自動車の社長でありまして、司自動車の問題が起きてからいわゆる司自動車の社長として労働問題の争議の解決に当たるということになったわけであります。私ども、樽沢氏個人の問題につきましては、いま御指摘のような安全協会の役職員として不適格であるというふうには思っておりません。ただしかし、司自動車の事件につきましては、いろいろと労使双方に問題のあることは間違いございません。これらの点につきましては、交通局長としてよりはむしろ警備局長の所管でありますので、私がこういうことを申し上げないほうがいいと思いますが、ただ私どもの監督下にあると申しますか、交通局の関係するいわゆるタクシーの自動車会社の問題でございますので、一言私どもの知っている限りのことを申し上げますと、確かに樽沢社長のほうがいわゆる暴力団というものを使うというような傾向がありまして、これらにつきましては、警察として労使双方に対して、そういう不法行為にわたるようなことがあってはならないということで、数次にわたって警察からも樽沢氏の経営している司自動車の経営者に対していろいろ警告をし、またいろいろな注意をいたしております。
そこで、特に御指摘のあったように樽沢氏個人がそういう安全協会の役職員であるということも十分指摘いたしまして、世間に誤解の生じないように正しく労働争議の解決に当たるようにということは、私どもからも十分警告をいたしております。しかも、これらの問題については、労働者側といわず資本家側といわず、不法行為にわたる場合においては、警察のたてまえといたしまして、これらの者の検挙をいたしておりまして、警察といたしましても司自動車事件についてはいろいろと心を砕いて、厳正公平な立場から不法行為の起こらないように、また、不法行為が起きた場合においてはこれに対して善処するということでやっておりますが、御指摘のような点がありますれば、私どもとして必ずしも反省をしないというわけではございませんので、今後にわたって、先ほど御指摘の昭島の市会議員の問題とか安全協会の役職員がボス化するというような問題については、私どもとして厳正公平な立場で指導していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/31
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032・神近市子
○神近委員 あなた方が安全協会の理事であるとか会長であるとかいうところに介入するということは、私は不可能だと思うのです。いわば全日本安全協会であれ東京安全協会であれ、あなた方は遠慮する立場にあると思うのです。この司自動車の事件で、暴力団のために十数人が負傷しています。それを警察は悪が行なわれていても手が出せないというところに私どもは問題があると思うので、あなた方が部下の警察官に厳正公平に処理しろということを命令なさったところで、それは私はできないと思う。あなた方の知らないところでいろいろなでられておるということは、あなたはさっき三年に一度の書きかえのときだけ百円から三百円の金を取り上げておるということをおっしゃるけれども、そのほかに月々に会費というようなものを、あなた方の御存じのないところで納入しておるという事実があれば、これは私はあなた方の命令が届かないということはよく想像できると思うのです。ですから、安全協会というものを一応解散してしまって、もっと新しい構想で時代に適応したような形でおつくりになるほうがよいのじゃないかということを申し上げておるわけであります。ともかくもいまは、そう言ってはいけないけれども、お役人は資本家に対してはとても弱いということが全体の傾向であります。ですから、この場合だって、たくさんの金をもうけておるところのタクシー会社というものには、非常に遠慮しながらものを言わなければならないということであろうと思うのであります。それでこの安全協会というもののあり方について、せっかくりっぱな方々がいい意図を持っておつくりになっても、この東京交通安全協会というものが警視庁にあるということから、各警察に全部安全協会が関係して、そうして警察力を使い、またこれを利用しておるというところに私は今日のこの問題があると思うのであります。そういうことでありますけれども、いまの査定所の機構についてちょっと御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/32
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033・安川七郎
○安川説明員 ただいまの査定所の機構ということでございます。これは自動車損害賠償保障法という法律がございまして、先ほど申しました強制保険に関係する事務の問題でございます。そこでこの法律に基づきまして強制保険をかけておりますが、自動車が人をひいたという場合には、当核被害者のほうの財産的損害あるいは慰謝料の額というものをつかまないと保険として成り立たないわけでございます。したがいまして、そういうような財産的な額を把握する、あるいは調査するということを査定所というところでやっておるわけでございます。現在全国に六十三ヵ所ございまして、従事しております人員は地方の分だけで三百六十名見当と記憶しております。
そこで、この自動車損害賠償保障に関します査定という問題でございますが、まずこの法律におきましても、自動車が通行人をひくというような場合に、まず第一次的には被害者とその自動車の運転者あるいは所有者との間で賠償請求の問題が生ずるわけであります。これはただいま申し上げた保険とは、まずその段階では全然関係がございません。したがいまして、当事者同士で話がまとまれば、あるいは二十万円、五十万円、百万円あるいは五百万円というような金額が定まる。もしそれが当事者同士の示談できまりません場合には、これは裁判で定めるというようなことになってまいるわけでございます。そこでこの保険は、当事者同士の示談がきまり、あるいは当事者同士が裁判で争いまして、裁判所で賠償請求金額が確定いたしました場合に、その金額をこの保険で支払う、こういう仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、その裁判で確定いたしました場合には特別に問題ございませんが、当事者同士の示談できまりました場合に、その示談額がはたして適当かどうかという問題が、実は生ずるわけであります。しかも、この自動車損害賠償保険には、政令できまっておりますワクがございまして、その限度をこえては法的に払えない、実はこういう制度になっております。したかいまして、そのワク内で――当事者同士の示談がワクをこえております場合には、当然そのワク内にとどめざるを得ない。またワク内におきますある程度のバランスがございますので、そこで若干その査定という話が出てまいります。しかしこの査定は、したがいまして当事者同士の内部に立ち入るものではございません。いわんや、被害者と直接この保険が接触するわけでございませんで、あくまでも加害者たる自動車を持っておる方の保険の請求金額を云々する、こういう性質のものに相なっております。
そこで、この査定所は、ただいま申し上げましたような機構でやっておりますけれども、それではどういうような調査をするのだろうか、こういう問題になってまいりますと、本年二月一日の前と現状と、制度をたいへん変えております。二月一日以前の状況で申し上げますと、従来の制度は、政令できまっております保険の限度金額が、死亡の場合が最高五十万円、それから重傷が十万円、それから軽傷が三万円、この限度が政令できまっておるわけでございます。でございますから、当時は重傷の場合でも十万円をこえて払えない、こういうワクがあったわけであります。そこで、それぞれの限度の範囲内におきまして、たとえば死亡の場合でございますと、子供が死亡した場合、あるいは成年男子が死亡した場合、これを五十万円のワク内でいかように払うかという問題がございまして、当時は運輸省におきまして、この査定の基準というものを作成いたしまして、これを査定所に示しまして、査定所はそれをもとにいたしまして事実問題の調査をして、保険金を払っておった、こういうのが実情でございます。それで、二月一日以降は、この制度を全面的にやめまして、政令のほうは、死亡の場合は全部一律に百万円、傷害の場合には限度を三十万円に上げます。さらに後遺症が残りました場合には、傷害の程度におきまして、最高百万円から最低五万円まで、いろいろランクをつけまして、政令にきめてしまったわけでございます。そういたしますと、二月一日以降の制度といたしましては、査定所でいわゆる懇意が入る余地がないようにはっきりいたしてしまいまして、したがいまして、査定所は、当該の被害者が現実の問題として何日病院に入っておったか、あるいはその病院で受けました治療の程度がどういうものであったか、こういう事実の把握ということに相なってまいりまして、二月一日前、後において制度が非常に変わっております。そういうような事務をやっておりますのがこの査定所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/33
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034・神近市子
○神近委員 この査定所では、さっき申し上げたように、業者と、それから学識経験者と、それから被害者というようなものですね、そのときの談合で、死亡の場合は、二月一日前なら五十万円、それ以後なら百万円というものは、査定の以前にもうきまっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/34
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035・安川七郎
○安川説明員 査定の以前にきまっております。これは国の政令でもってぴたりきまっておりますので、それ以上はどうにもならないというかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/35
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036・神近市子
○神近委員 それがいままでは東京に大体五ヵ所ある。それが学識経験者というのはどういうような――学識経験者といって、大学の先生とかあるいはそういう方々といままでは常識的には考えられる。そういう人が入っているのですか。というのは、大体この査定所というものは業者の代弁で、百万円とか五十万円とか政令できまっているというようなことは、ほとんど問題になっていませんね。それで大体幾らにするか、低い額にするというような努力が――それは業者は低くするのがあたりまえですけれども、その中間にいる人もそれに同調しているということが一般の通念なんですけれど、その点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/36
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037・安川七郎
○安川説明員 査定所の事務におきまして、学識経験者に意見を徴するとか、あるいは被件者とじかに面接いたしましていろいろの事情を聞くとか、こういう実際上の専務はございます。しかしながら、この査定所あるいは査定員自身が学識経験者というようなことにはなっておりません。むしろ先ほど申し上げましたように、査定所員は事務上の調査をいたし、それ以上のことはしない。しかも実際の査定につきましては、ただいま申し上げました二月一日以前におきましては、運輸省のほうから査定基準を示し、それから二月一日以降におきましては、政令でかなりこまかくワクを、国の意思として査定所に示しておりまして、したがいまして、査定所はその範囲内においてはある程度の金額のプラスマイナスは現実の問題としてあり得ると思いますけれども、大幅な自由裁量あるいは不当に保険金の支払いを渋るというようなことは、これは人間でございますから非常にたくさんのケースの中にはないとは申し上げられませんが、全般的な状況としましては、さような事実はあまり多くはない。と申しますのは、二月一日以前におきまして保険金の支払いの統計を検討いたしてみますと、当時は死亡の場合が最高五十万、重傷が十万、軽傷が三万という政令の限度があったわけです。この平均の保険金の支払いを見てまいりますと、被害者一人に当たりまして平均の支払い保険金額は、正確に記憶しておりませんが、三十五万ないし三十八万見当になってまいります。と申しますのは、重軽傷が十万、三万でございますから、死亡の場合にはかなりのものが、五十万円というような金額が支払われておった、こういうふうに推定されるわけでございます。
それから最初に神近先生が御指摘になりました名古屋の幼児の場合、これは事実でございました。そこでこれは名古屋で三歳の幼児が死亡いたしましたことがございます。これは結局裁判になったわけでございますが、裁判所は、これを本人あるいは養育者であります父母の慰謝料も含めまして、たしか八十四万円の賠償請求金額が正当である、こういうような第一審の判決があったように記憶しております。その場合裁判所は、八十四万円が加害者、被害者同士の請求金額として妥当と認める、こういうことになりまして、当時の制度は政令で死亡の場合五十万円ときまっておりますから、保険金額五十万円を支払うのが正当だ、こういうふうな関係になってまいります。そういうような事実はございましたけれども、ですから当時は五十万円の範囲内で、あるいは十万円とか二十万円とかいう非常にみじめな金額の支払い基準というものが出た時代があります。私たちは、それは非常に不適当だと考えまして、自動車損害賠償保障法の中に、自動車損害賠償責任保険審議会というのが大蔵省にございます。学識経験者の方、監督官庁の方を含めまして、こういうような子供であるから五万でいいとかいう問題ではない。したがいまして、死という事実に対して、現在の社会的な通念からいいまして百万円を払ってしまうという制度がよろしいということになりまして、本年の二月一日から制度を切りかえたわけでございます。ただ過去の保険契約が残っておりますので、それにつきましては直ちに百万円になりませんけれども、過去の政令の限度であります五十万円、重傷十万円、軽傷三万円では、できるだけ一ぱいに払いまして、それをいわば削減するということは全然いたさないというように制度を切りかえたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/37
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038・神近市子
○神近委員 もう私の時間の制限がまいりましたから、もう少しお尋ねしたいところもあるのですけれども・・。いまおっしゃったのは一文も子供には出ていないんですよ。この判決が出たのは今年の三月だったと思います。ともかくも子供に五万円というのは取り消されたというのが事実であります。何かあなたのお聞きになったことと行き違いがあるようでありますけれども、いろいろまだ、たとえば保障法についても私は伺いたいことがあるのですけれども、時間がもう制約がありますから、また再度検討をいたしましてお尋ねすることがあるかもしれないと思うのですけれども、一つの例としまして、いまアメリカ兵にひかれた私の友達があります。これは半年か七カ月くらいの重傷なんですけれども、病院に入っています。それでアメリカの会社から、まだ最終的な請求をしていないので、病院の費用として月々十万円、その人は女の医学博士で開業医でありますから、家族があるから家族の手当として三万円、そして補償金というものは病気がなおって退院してからでなければ、三ヵ月かかるか、五ヵ月かかるか、あるいは七ヶ月かかるかわからないから、そ補償金はまだ請求しておりません。ともかくもそういうような状態、そしてアメリカは二百七十万ドルですか、それを日本のお金にすれば約一千万円になるのです。そういうような人命に対する手厚い考慮が払われている。いま五十万が百万になったということは自慢にならないのです。そして私どもが今日のような状態の中に追い込まれていて、そしてせっかくよい意図を持ちながら安全協会というものが乱用されて、そしてこれがいろいろの災害をもたらしているということで、私はきょうは実は高橋局長にひとつぜひこれを考え直していただきたい。警察で東京安全協会というようなものをかかえていらっしゃるということが末端にいろいろの非難事項をかかえているのですから、一応これは出直して、そしておやめになって、上のほうの理事長とか、あるいは参議院の方だとか善意はわかるけれども、効果が反対であるなら、この事情をお話しすれば私はおわかりになると思うのです。いままで骨を折って維持なさったけれども、効果がこういう逆効果になっているということをお考えになれば、これはひとつぜひ解散なさって、そして運輸省におまかせになって、交通に関することは運輸省の管轄というふうになされば、警察が乱用されるということがなくなると私は考えます。それが私の今日の御質問申し上げたほんとうの意図でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/38
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039・高橋幹夫
○高橋(幹)政府委員 いろいろと安全協会の運営、あり方等について御指摘があったわけでございます。いろいろと御意見の中に私どもが今後参考にすべきものも多々ございます。ただしかし、最後に御指摘になったように、警察庁の所管から運輸省に移すというようなことについては、残念ながら私どもとしては承服しかねる点でございます。しかし、ここで一々私が議論を申し上げる意図は毛頭ございません。ただ、それぞれのあり方等について、末端等については確かにいろいろな問題がございます。したがいまして、今後交通女全協会が真に正しく国民の間から評価され、正しく価値を持たれるようにしていくということが私ども交通警察を担当いたしておりますところの一つの責めでもございますし、さらには女全協会の運営に従来とも当たっておりますところの役職員の方々の間においてもそういう意見を持っておられますので、今後、いま御指摘のような点につきましては、いろいろと総合的に勘案をいたしまして、安全協会が真に国民の安全教育のためであり、事故防止のためであり、交通警察全体のためであり、交通の安全のためであるというふうなあり方になるように、私どももせっかく努力をいたしたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/39
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040・安川七郎
○安川説明員 ただいま自動車の保険制度につきまして、私どもから見ますと非常に痛い点を御指摘になりました。日本の現在の自動車損害賠償保障法に基づきます制度が、最近五十万から百万に相なりました。このために自動車から徴収いたします保険料は三倍くらい急にはね上がったわけでございます。しかしながら、外国の制度と比べまして、私ども百万円になったということで決して大いばりはできない。交通事故の現状を見まして、これは将来ともできるだけ引き上げなければいけない、かように考えておるわけでございます。その点、まことに御指摘のとおりでございまして、私ども決してこれで大いばりしているわけでございませんで、ますます保険制度を合理化いたしまして、いいものをつくってまいりたい、かように考えております。
ただ、外国と日本と比べまして、自動車保険につきまして基礎条件が非常に違う点がございます。と申しますのは、日本は自動車事故が、最近の自動車交通の現状にかんがみますと非常にべたに起こります。つまり、事故率が非常に大きいというわけでございます。したがいまして、保険料をできるだけ安い保険料でたくさん集めましても、事故が起こりますと、集まった保険料はほとんど全部保険金として返すわけでございます。事故がべたに起こりますために、一件当たりの死亡金額を百万程度しか上げられない、こういうふうになってまいります。それから外国におきましては、事故防止というものが自動車数に対しまして非常に徹底しておると思いますので、事故の件数が少ない。ですから、広く大衆から集めました非常にこまかい保険料によりまして、少ない事故につきまして一件について千万円とかあるいは三千万円とか、非常に社会的に見て大体その国の妥当な金額が払われておる、 こうなってまいります。そうなってまいりますと、事故を起こした車はますます高い保険料を払わなければならぬ、したがって事故を注意する、こういうように非常にいい循環になりまして、もし社会的な不可抗力で事故を起こしました場合には、社会的に非常に高い保険金が支払われるというように非常にいい循環になっております。ところが日本におきましては、事故がべたに起こります。したがいまして、うっかりしますと悪循環になりまして、保険料が非常に高くなる、あるいは一人当たりの支払い保険金も低くせざるを得ない、こういうことになっております。そういう現状はございますけれども、われわれといたしましては、この保険制度をできるだけいいものにしまして、保険の面からも交通事故の防止に役立つように改善していきたい。しかも現在の社会通念からいたしまして、百万円あるいはこれに民間保険を載せまして五百万円あるいは千万円といったような多額な保険料が払える方向にできるだけ持っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/40
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041・神近市子
○神近委員 日本の保険制度、再保険の問題、あるいは脱税のためにマイカー族というものがほとんど自分の会社の名義にしてあるというような点、それからトラックやなんかの運転手の年齢をもっと上げなくてはならないという点、私はいろいろ問題を持っておりますけれども、時間をたいへん取り過ぎましたので、きょうはこの程度にして、また機会がありましたらぜひ再質問をやらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/41
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042・森田重次郎
○森田委員長 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。
午前十一時五十一分休憩
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午後一時二十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/42
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043・森田重次郎
○森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/43
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044・門司亮
○門司委員 私は、ごく率直に二、三点だけ聞いておきたいと思いますことは、この法律を立案される過程における自治省の一応の見解をこの機会に――一応の提案の説明は聞いておりますが、はっきりしておいていただきたいと思います。そのことは、ほんとうに新しい自治法の、というよりも、むしろ自治行政に対する画期的ということはどうかと思いますが、法律のたて支えからいけば、従来予測されなかった法律の問題でございますので、もう少しはっきりした補足説明ができるなら、ひとつやっておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/44
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045・佐久間彊
○佐久間政府委員 この法律を立案いたしますに至りました私どもの考え方を申し上げたいと存じます。
御承知のように、秋田県の八郎潟の干拓が、国営干拓事業として進められておったわけでございますが、その事業が完成に近づいてまいりまして、昨年の十一月から排水が開始をされたのでございます。今年じゅうには六千ヘクタールが干陸をする予定になっておりますし、四十年には干陸を完了する予定になっておるのでございます。そこで、それに伴いまして関連の工事が本年度から開始になるわけでございまして、一通りの工事が済みますると、四十二年から入植が開始をされる、こういうような状況に立ち至ったわけでございます。
この八郎潟の干陸を終えましたところにつきまして、ここの自治制度をどういうふうにするか、具体的に申しますと、周辺の関係市町村に分属をさせるのか、あるいはこの八郎潟の区域だけをもちまして一つの新しい村をつくったらよいのか、今後の営農の形態とも関連をいたしまして、非公式な研究会もつくりましていろいろ検討をいたしておったのでございます。
この研究会の結論といたしましては、これは周辺の市町村に分属させることなく、この区域をもって新村をつくることがよろしい、こういうような御意見も出ましたし、私どもが現地の秋田県当局とも連絡をいたしまして、いろいろ検討いたしました結果におきましても、やはり新村をつくることがよろしいという結論に相なったわけでございます。
そういたしますと、現在の地方自治法の手続からいたしますると、一たん周辺市町村にそれぞれの地先水面を分割して従属せしめました上で、関係市町村の合併の手続、分離の手続によりまして新しい村をつくる、そういうような手続になるわけでございまするが、そのような手続を踏みますことは、いろいろと支障がございまするし、現地の実情からいたしますと適当でないというふうに判断をいたしました。
そこで地方自治法の手続によらないで、このようなケースにおきましては、新しい村を当初から設置することができるような手続を法律的に整備をいたしたい。なおまた、この村ができましても、入植者が入りますまでの間におきましては、地方自治法の規定によりますると、村長を選挙する、あるいは村議会を構成するということもできませんので、それらの点につきましても、地方自治法に対する特例を経過的に設ける必要がある。かようなことからいたしまして、地方自治法の特例といたしましてこの法律案を立案するに至ったわけでございます。
なお、当面解決を迫られました問題は八郎潟の干拓に伴う問題でございまするが、今後他の地域におきましても同様な大規模な干拓が行なわれることも予想されないでもございませんので、この際、そのような場合が今後起こりました場合にも適用し得るように一般法の形で御提案、御審議をお願いするということにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/45
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046・門司亮
○門司委員 ただいまの説明の中にもあったわけでございますが、私どもが考えてまいりますと、この法律の憲法との関係はどうなるかということは一応あとにいたしまして、私は、現在の地方自治法との関連性でもう一つ聞いておきたいと思いますのは、自治法の五条には「地方公共団体の区域は、従来の区域による。」、そうして「都道府県は、市町村を包括する。」、こういう文章になっております。この文章は明らかに私は憲法を受けた文章であると考える。憲法自身の持っております意義というのは、憲法の設立当時における日本の現実の上に立った憲法と解釈することが、私は憲法を制定するときにおける概念としては正しいと思います。したがって、新しい町村をこしらえる場合における憲法上の解釈というのは非常にむずかしい問題になってきやしないかということが一つ考えられるわけであります。そこで現行法で私どもとしてはやれるということが、いまの説明にもありましたように一応言えるのである。いわゆる干拓地に対しましておのおの出先と言いますか、関係町村があるわけであります。いわゆる水利権あるいは地先権を持っておったおのおのの関係市町村があるわけであります。したがって、それに一応分属させるという形をとって、その上でさらに分村あるいは統合というような形が現行法でも私は十分にやれると考えておる。また、現行法でやったほうが正しいと考えておる。自治省の見解としては、そういうことにすると、どこまでが地先権であるかどうであるかというようないろいろな疑問があろうかと思います。思いますが、しかしながら、従来の行政判例を見てまいりましても、たとえば現在川の中心を自治体の境界線としておる、しかしその川の流域がだんだん変わってきて、その位置が川自身から見れば変更されたような形になっておっても、旧来の行政区域の線というものは変わらないのだということが大正三年の行政判決にはっきりしておる。この行政判決から見てまいりますと、結局、地先地というようなものをそう私は軽視するわけにはいかないのじゃないか。したがって、現行法で一体どうしてやれなかったかということについては非常に私は大きな疑問を持っております。ただ手続がうるさいからどうだというようなことだけではこの問題は済まされないと考えております。しかし、きょうは私時間問がございませんので、そういうことをくどくど質問する時間もございませんから、そういう基本的の観念の上に立ってさらに質問を続けてまいりたいと思います。
行政上の処置として、当然法律に君かれておりますように、新しくできた町にはあるいは村には、村になるか町になるかわかりませんが、とにかく村と書いてあるから村と考えてよかろうと思いますが、上級官庁というか包括官庁というのか、おそらく秋田県の地方課あたりから出てきてこの村の処置をするようになろうかと思います。その場合に、完全な村に到達するまで、自治法の九十四条を適用されるお考え、があるかどうかということであります。あるいは九十五条を適用するお考えがあるかどうかということのこの二点をまず先に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/46
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047・佐久間彊
○佐久間政府委員 完全な村になりますまでの過税におきまして九十四条、九十五条を適用するかどうか、こういうお尋ねでございますが、私どもといたしましては九十四条、九十五条を適用いたす考えは持っておりません。むしろ、こういう九十四条、九七五条が適用し得るような状態になりまするならば、なるべく早く議会を設けるようにいたしたい、かような考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/47
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048・門司亮
○門司委員 その点はかなり大きな疑問があると私は思います。もし自治省がそういう解釈をされるなら、この九十四条を廃止しても差しつかえないと思います、これは廃止すべきであります。またこの九十四条を設定いたしました当時、東京都の宇津木村であるとか、あるいは神奈川県の芦之湯村であるとか、宇津木村は人口が五十八人、有権者の人が二十九人、芦之湯村は総人口百二十五人であった、こういう村がありました。従来この村には村会議員はおったが、しかし、そういうことは必要なかろうということで九十四条ないし九十五条が書かれているのである。その後、村が町村合併によって規模が非常に大きくなって、もはやこういうものは法律制定当心の考え方からかけ離れて必要がなくなってきている。もし当局がいまのような御意見なら、この九十四条なり九十五条は廃止するほうがよろしい。私がなぜ九十四条を適用するかということを聞いたかというと、自治省が考えておりますように、一ぺんにたくさんの人が来るとは考えられない。同時に、もし自治省の提案理由の説明のようなことを総合いたしてまいりますと、結局入植者というものの形が何段階かに分かれる。現在この地域に住んでおります諸君は、おそらく私は住所の関係はないと思いますが、居住している人がここにいると思います。いまは村がはっきりきまっておりませんから、結局どこかの村に住所を持ってここに住んでいる人があろうと考える。したがって、居住している人は確かにここにいようかと考える。しかし、これらの諸君が新しく村をつくれば当然そこの村民になることは間違いないと考えられます。そうすれば、その間の行政運用というものは当然九十四条を適用することが法律上の手続として正しいのではないか、こういう実質過程を飛び越えて、そしてこの九十四条は適用しないのだという答弁はおかしいと思うのです。事実そういう過程は必ずあると思う。新しい村をこしらえるということをきょうここできめてごらんなさい、この村には現在人間は一人もいないことになる。一人もいない村をこしらえていいか悪いかということが一つの議論になる。かりに村ができたとすれば、当然そこには県の管掌事務があるといたしましても、現在そこに住んでいる人たちの居住権というものはおそらくそこに移される。そうすると、いまの居所ではなくなってくる。住居と居所という関係もございましょうが、いまは居所ということでよろしいと思う。しかし村ができた以上は、そこに住んでいる人たちが居所が住所ではないという理屈は成り立たぬと思います。それではいやがおうでも九十四条を適用する以外に方法はないじゃありませんか。そこに村会議員を置かなくてもいいという理屈は成り立たぬと思う。そこに九十四条を適用しなければ、村会議員を置かなくてもいいという理屈は成り立たぬと思う。だから私は聞いているのです。村ができてもそこに住んでいる人は居所でよろしいのだという解釈はどこから生まれますか。別の法律で住民登録法という法律がありますが、住民登録法によればそんなことができるかどうか、村に住んでいながら村に住んでいないのだという理屈が成り立つかどうか、現実に村ができて村に住んでいる、それがみんなよその人だということが言えるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/48
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049・赤澤正道
○赤澤国務大臣 できた村に九十四条、九十五条の住民総会を置くのか置かぬのか、認めるのか認めないのかというのでございますが、別に何か魂胆があってこれを適用しないと言っているわけではないと考えます。ただ、実際こういった場合があっちこっち始終起こるわけではありませんので、入植者が一体どういう形でこの地域に住みついてくるかということを考えました場合に、最初の入植者が入るのが一応昭和四十二年ということになっております。それまでの間、付近の町村からばらばらとここに入って一応土地の事情を調べたり、いろいろ入ってくると思いますが、やはりそれはまだ住民としてそこへ住むといったような状態にならないのではないか。また、人が複数になった、だからといってすぐに総会を開かなければならないものでもありますまいし、少なくとも九十四条、九十五条が適用されるような状態になりましたならば、それよりいち早く私はここに議会を設けるべきものだと考えますので、早い機会に選挙は行なわなければならない、かように判断しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/49
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050・門司亮
○門司委員 どうもその判断がおかしいと思うのです。村がかりにできますと、二百人、三百人というものが同じ日に同じように出てきてくれればけっこうです。しかし、なかなかこれはそうはいかぬでしょう。私は必ずそういう過程を踏んだほうがむしろよろしいと思う。そのほうがより民主的だということであります。同時に、法律がせっかくあるのであるから、この法律を考えていないという当局の態度はおかしいと思います。そういう過税を踏むことが当然だと思う。村ができたって人間がいなければどうしようもないじゃないですか。三人でも五人でも来れば、やはり自治法に基づく村政をしくべきではないですか。せっかくそういう規定があるのですから、自治行政をやりなさいという住民自活の憲法の精神からきた条文がここにあるのですから、その憲法の精神を踏みにじるような行政措置をとることがいいか悪いかということです。こういうことは許されないことだと思う。法律がなければ別ですよ。住民自治の精神に基づいて住民の意見を聞いて村政をやれ、ただ村会議員を置かないということは行政上の手続の問題だけであって、基本の問題ではないのです。いわゆる直接民主制があった時代のなごりだと言えば言えるかもしれませんが、しかし日本に現実にこういう法律が生きている以上は、やはりこの法律を適用することが正しいのだという解釈で聞いておるのであります。さっき申し上げましたように時間がございませんので、これは後ほど明らかにすることにいたします。
次に法制局の諸君に聞いておきたいと思いますのは、この法律は御承知のように特別法ではなく一般法という形で出てきております。そこで問題になりますのは九十五条との関係、いわゆる一つの地方公共団体に特別の新しい法律を適用する場合には住民の意思を聞けということになっておる。ところが、これはまだ村ができておらないから、一つの公共団体に新しい法律を適用するのではないという理屈があるいは立つかもしれない。しかし、これは瞬間的な理屈であって、憲法の趣旨から言えば、明らかに付近の地先権を持っておる村に一応その土地が分割されて、そして新しい村をこしらえるという現行法の手続を踏むことによってこの九十五条との関連性はなくなるのだ、それのほうがよほどいいし、それなら現行法でやれる。しかし、新しい法律でこういう形でやられるとすると、九十五条との関係はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/50
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051・関道雄
○関政府委員 先ほど先生から仰せられましたように、この法律は特定の地方公共団体に適用するというたてまえではなくて、およそ大規模な公有水面の埋め立てが行なわれて、それによって生ずる区域に村を設置する場合には一般的に適用があるという一般法でございます。したがって、そのこと自体について九十五条による特別法として住民投票に付せられる必要はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/51
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052・門司亮
○門司委員 これはそのとおりであります。一般法にした以上はそういうことであります。これが一般法にできるかどうかということであります。現在出されておるもの自身を見れば、一般法だからそれでよろしいという解釈はつくと思う。しかし、実態から言えば、さっきも申し上げましたように、当然おのおのの地先がおのおのの村の地域だと考えておることに間違いがないと私は思う。また、日本の従来の考え方はそうであり、形はみんなそういうことにしておるのであります。これを否定するわけにはいかぬでしょう。そうすると、どこが頂点になってどう分けるかわからぬが、とにかく村はそういう一つの権限を持っておると考える。またそういうことを主張し得ると考える。そうなりますと、法律は当然特別法でなければならないのじゃないか。特別法が必要ないというなら、さっき申し上げましたように現行法でおのおのの町村に分属して、そしてそれがさらに境界変更をするという手続を踏めばそれでよろしいのであって、何もこういう法律をこしらえる必要はないのじゃないかということであります。
それからさっき申し上げましたように、人のいない村が一体設置できるかどうか、憲法がそういうことを予測しているかどうかということです。私は、この問題は非常に重大な問題だと思います。自治省の諸君が、ここには人がいないのだから、人が住んでくれば九十五条を適用するというなら、私は話は半分くらいわかるのです。しかし、これを適用しないというなら、全然人がいない村をこしらえるということが、現行憲法と自治法の五条との関係において予測しておるかどうかということです。これは憲法の基本概念として一応聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/52
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053・関道雄
○関政府委員 この法律が、当面問題になっております八郎潟のようなもので、その八郎潟だけしかそういう大規模の公有水面の埋め立ては行なわれない、まさにそのものだけを対象とするものでありますならば、これは特別法として制定されるのが当然だと思いますが、そういう大規模な公有水面の埋め立てということは、ほかにも行なわれ得る可能性があるという判断のもとに、そういう現象全般についての一般的な法律として制定されるもの、その意味においては一般法であるというふうに考えております。
それから一体住民のない村をつくるということは憲法の予測したことであるかどうかというお尋ねでありますが、憲法の地方自治に関する規定は、もう申すまでもないことでございますが、土地があり住民がある、そういう本来の地方公共団体を当面の対象として制定されておることは申すまでもないことでありますが、この法律で規定しております一つの現象というものは、そういう地方公共団体が生まれ出ようとする、その生まれ出るための手続とでも言うべきものでございまして、結果においては地方自治の憲法の規定の精神のもとにありますが、それでここに出てくる村が、すなわち全然住民がなくてただ土地だけがある、それを村と名づけたものを憲法に言っておる地方公共団体かと仰せになるならば、あるいはそれはそうでないかもしれませんが、しかし、それがやがて憲法の予定しておる地方公共団体に育っていくというように考えて加えていくという意味においては、憲法の地方公共団体の中に入るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/53
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054・門司亮
○門司委員 いまの答弁を聞いておりましても、私の言っておるいわゆる人のいないところに村をこしらえるということは、憲法は支持していないと思います。また予測しておらなかったと思います。したがって、この憲法を受けた五条が、そういう形で現在の区域をもって地方の公共団体の区域とするということを明確に書いている。同時に、憲法が予測しておらなかったとすれば、私は現行法によってこれは実現すべきものだと思います。現行法でどうしても実現ができないのだということになっておれば、これは憲法制定当時の概念というものがあるいはそこに及ばなかったという解釈ができるかもしれない。しかし、現行法でやれるのであります。自治省の委託した調査会の意見にもちゃんと書いてある。三つの要件が書いてあり、こういう方法もあるのだということが書いてある。したがって、何を好んで憲法の趣旨にまで疑義を持たせるのか、あるいはこの運営にまで疑義を持たせ、法律の通用にも多少疑問の点があるというようなことを一体自治省は考えたかということです。回りくどい問題であるかもしれない、ややこしい問題が将来起こるかもしれない。しかしながら、現行憲法があって、その現行憲法のもとにできた現行地方自治法でやれるならば、それでおやりになったほうが法律を尊重するたてまえにおいてはよろしいのだと私は思う。
それから、将来こういうものがあるかもしれないというお話でありますが、あればあったときに特別法をこしらえれば、法律はこしらえられるのであります。御承知のようにこの九十五条を適用いたしております法律が幾つかあるでしょう。たとえば国際港都法とか国際観光都市法がある。これらはそのときどきに特別法をこしらえてちゃんと住民投票に付しておるんですよ。一般法ではないんですよ。特に国際観光都市なんかは日本に十ばかりありますよ。しかも奈良があり京都があり、十分事例ができておるのです。これをこういう一般法にされたところに問題があるのです。特別法なら特別法でまた考え方がある。しかし、特別法を適用すれば、出先のいわゆる地先権を狩っておる地方の自流体の投票が必要になってくるという解釈は当然生まれてくる。それも実にややこしい手続だ。いわゆる法律に定め、憲法に規定しておりまする一切の行事を行なうことが非常に繁雑で困難だから、新しい法律をつくってこれでやろうという考え方は、私は自治を尊重した考え方じゃないと思うのです。そういう意味において、憲法との解釈がいまの答弁だけでは逆な結果になりやしないかと思う。むしろ、憲法の精神にのっとるなら特別でやる、かりにやるといたしましても特別法でやるべきではないかと思う。そうすれば憲法との間に何もいさかいは起こってこない。憲法を無視して、そうして地方自治法の条文を無視して新しい一つの何かをこしらえようというのは、私をして平たく言わせてもらえば、全く役人の悪い趣味だと思うのです。きわめて安易なものの考え方で、権力があれば何でもやれるというものの考え方、少なくとも今日の自治体がずっと後退しておる今日では、私はやはり自治法を尊重してもらいたい。憲法の趣旨はそのまま守ってもらいたい。だから、百歩譲っても、これは特別法にして、そうして周囲の住民の理解と納得を得るということが私は正しいのだと思う。おのおの十幾つかあろうと思うのですが、おのおのこの諸君は、埋め立てられた地先は自分の地域に入るべきものだという解釈はどこでも持つと思う。そういう住民感情からいっても、一応住民の意思に問うて新しい村をこしらえるのだ、いわゆる周辺の当然の権利を持つであろうと考えられる地方住民の意思をそんたくして新しい村をこしらえられることが、従来の地方における行政運営のためにも必要ではないか、いわゆる自治の精神はそこにあるのではないか。「地方自治の本旨に基いて、」と九十二条に書いてあるのはここにあるのではないか、こう解釈しております。だから、もう少しこの点を、そうじやないのだという解明ができるならしてもらいたいと思う。それならどうしてこれが特別法にできないか、特別法でもいいでしょう。幾つか実例があるじゃないですか。横浜でも国際港都法をこしらえてちゃんと住民役票をやっておるはずです。京都、奈良でもやっておるはずです。おのおの法律は国際観光都市ということですよ。特別法ができるから、そのために住民投票をやれば、住民が理解をし、納得をしておのずから自治運営がうまくできるようにちゃんと法律ができておるじゃないか。それを適用しないで、法律できめさえすれば何でもやれるのだというものの考え方は、実はあまり感心したものではない。いままでの御答弁だけでは私は納得するわけにはいかない。われわれとしては、かりに百歩譲るとしても、少なくともこれを特別法に直すことが必要ではないか、こう解釈するのですが、そういう必要はないのだということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/54
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055・佐久間彊
○佐久間政府委員 先生の御指摘になりましたような問題、まことにごもっともな点と思います。私ども立案の過程において、それらの点につきましてもいろいろと検討をいたしたわけでございます。ただ、なぜ特別法にしないで一般法にしたかということでございまするが、このほかにも現在話を聞いておりますところで、たとえば有明海の大規模な干拓とか、あるいは中海の大規模な干拓とかというようなものが今後出てまいることが予想されまするし、そのような大規模な干拓が行なわれました場合におきまして、この法律で予想いたしておりますようなその干拓地だけで、周辺の市町村と関係なく新村を設立する必要が起こる場合もあり得ると考えられまするので、そういうことでございますれば、それらの場合にも通用し得るように一般法の形で制定をしておくほうがよかろう、かような判断をいたしたわけでございます。
なお、先ほど御質問になりました、周辺の市町村に分属をさせて、その上で分離の手続をとったらどうかということでございますが、その方法につきましては、検討もいたしましたけれども、周辺の市町村と申しましても、十一市町村ございまして、それぞれの地先――地先水面と申しましても、どこからどこまでが当該市町村の地先水面になりますか、実際問題といたしますと判定が困難でございまして、関係市町村の間でかえって紛争を引き起こすということが予想されるわけでございます。しかもこの地先水面も、その周辺の市町村と将来とも密接に関連性を持ちました埋め立て地域、いわゆる普通の埋め立て地でございますれば、当然接続いたしました市町村に帰属いたしますことが、今後の行政をやってまいります上にもよいわけでございますが、これは御承知のように、八郎潟の干拓地だけでもって今後特別な営農方式もとられるわけでございますから、そこだけで公共施設の建設等も具体的に必要になってまいるわけでございますし、そこへ入植いたします住民も、必ずしも周辺の市町村の住民が行くというわけでもございませんので、今後のそこに定着いたすことになる住民の方々の福祉の増進という点からしましても、この地域だけで一つの村をつくるということが適切であろうと思いますし、そういうことがよいということになりますならば、先ほど申しましたようないろいろなトラブルが起こりますことを避けまして、あらかじめ新村を設置し得るということにいたしましたほうが、かえって将来そこに落ちつくことになる住民の方々のためにもいいのではなかろうかという判断をいたしたわけでございます。
なお、先ほど先生が御指摘になりました、この研究会で三つの案が考えられるというふうにはなっておりますけれども、その中でやはり最初から一つの村をつくるということのほうがいいという御意見も学識経験者の方々から出されておりますので、それらの点もわれわれといたしましては十分考慮いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/55
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056・門司亮
○門司委員 これだけで、私は時間がございませんから・・・。
これは非常に大きな問題でありまして、形から言いますと、その地方住民は何にも相談を受けないで、法律で一つの村が天下りで上から出てくるのてすね。ちょうど天照大神様がこしらえたような村ができるということになるのでしょう。おかしなものでしょう。いまの時代で、法律で上から村をこしらえて、そうしてその村の行政を地方と関係のない、縁故関係のない村に仕上げていくということは私はどうかと思うのですよ。少なくとも、現行法で所属させることがむずかしいとおっしゃるけれども、これは何も人がいないのですから、地図の上で線を引けばいいのですよ。境がついて困難になるのではないのです。地図の上で十三なら十三に分けたらいいのです。地先はきまっているのですから大してむずかしいことはない。人間が住んでいて、そうして利害関係があるというのなら別な話ですよ。同時に、これは所有権が国にあるのですから、地先の入り会い権がどうだとか、他村の村を耕作しているのだというようなややこしい問題はないのですよ。地図の上ですべてが処理できる問題です。だとすれば、これはほんとうに形式的なことで実質的には何にも関係ないことです。だから、万全の策をとり、現行憲法と現行法律のたてまえからいけば、当然分村の手続をとるべきだということを主張するわけです。これがかりに繁雑だからやっかいだということを考えても、地方住民の意思決定をやってこしらえるということが手続上は正しいのです。憲法が予測せざる天下った村をこしらえてもいいのだ、住民と何ら関係のない村をこしらえてもいいのだというのはおかしいと思う。これは法律どおりに考え、そういうものができたときには県の所属になることはきまっている。これは差しつかえない。しかし、新たな村をこしらえるということになれば、結局県の裁量だけでいかないとするならば、法律に基づいてその二つの方法のどちらかをとるべきではなかったか。第三の安易な方法はとるべきではなかったのではないか。先ほどの答弁から考えてみましても、悪法との関係がどうもはっきりしない。憲法はそういうことを決して予測しているわけではない。したがって、時間があればこの点についてもう少し掘り下げて検討していきたい。しかし、将来こういうものができることを予測して、そうして一般法にしたということも私は行き過ぎだと思います。それなら、さっき申し上げましたような幾つかの特別法があるわけでありまして、しかもそれは幾つかの公共団体もそれを実施してきているわけです。こんなものは予測ができるはずです。国際港都とか国際観光都市なんというものは幾らも予測できる。ところが、次々にそれを特別法でこしらえて、住民投票にゆだねたということは、これは自治を尊重するたてまえからできているのであって、自治省が自治を尊重しないということなら、自治省の性格はどうなりますか。今日の自治を守るものは自治省以外にないはずだ。その自治省自身が、どうも住民の意思を聞くことがめんどうだからやめておくとか、あるいは境界がはっきりしなくてこれもめんどうだからやめておくというような、いわゆる国家権力――と私は申し上げても差しつかえないと思う、国家権力によって、住民の意思を聞かなくて、地方の自治体を造成していくという行き方は、私はどうかと思う。これがたとえば海洋の中に大きな島がぽこっと一つできたということなら、これはまた別です。新しい局でもできたということなら、これはまた考え方が別かもしれない。しかし、明らかにそうではないでしょう。それから、この問題を解決する手続の中にも、ちょっと関係した町村の地先権に対する埋め立ての許可は出ているはずであります。地先権というものはちゃんと附めている。だから、そういうものを一切がっさい無視してやるということなら、これは別の話でありますが、一方において埋め立てをするときには地先権を広めておる。今度村をこしらえるときには、そんなものはめんどうくさいからやめておこうという行き方は、私はどうかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/56
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057・赤澤正道
○赤澤国務大臣 門司委員のおっしゃることも理屈があるのでして、先ほど申しますように、どれでなければいかぬというわけではないのです。ただ便宜上ということばを使えばまた御意見があるかもしれませんけれども、ここはもともと海だったわけですから、どこの村の領海ということはなかったわけなんでして、海を埋めたのだから、さてどうしようか。沿岸には十一の村があるが、では公平に面積を分けて一応その村にこれを帰属させるか。それとも、だれもいないのだ、いま埋め立てたところですから、工事関係人やいろいろな者がおりはするでしょう。これは人には違いないけれども、本来の住民ではないではないか。それが四十二年から最初の入植者が、日時は違っても、ずっとほとんど一緒に入るであろう。ある程度ここへ住む人が、いわゆる住民ができたら、早い機会に選挙をやって、そうして地方自流というものは住民自治ですから、住民のないところに自治はないわけですから、住民ができたという形で選挙して、ひとつ村会もつくろうというふうに平たく考えておるわけでございまして、これは絶対にいかぬということを言っておるのではないのでございます。それは門司先生の言われることも私は一理だと思う。どっちかということを考えますと、ここでわれわれの考えておりますことも憲法違反とまでは考えておりませんし、地方自治というものは、結局住民自治というものを没却するということでもありませんし、そのほうがよろしい、妥当だ。結局人口もおそらく一万数十になる大きな村でございまするから、そういう形にしだほうがいいのではないかということでやったわけでございまするので、その点はひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/57
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058・門司亮
○門司委員 誤解があるとなにですから、これは大臣に言いたい。大臣のいまのお話では、地先権云々と言われるが、埋立法には地先ということが書いてある。だからおのおの市町村の地先権というものがあるはずです。埋立法に書いてあります。この地先権というものを埋立法で認めている限りにおいては、それがないとは言えないと思う。だから、おのおのの地先の権利があるならば、おのおのがみな地先権というものを見ていると思うのですよ。また、あるという解釈が片方の法律解釈上正しいと思うのです。私はそういうことから申し上げておるのであって、そういう法律が――ほかに何もないところにぼそっとできたのだから、そういうやかましいことを言われなくてもいいじゃないかという議論なのですけれども、一方に地先権を認めた法律があって、その上に立ってできるなら、その地先権を一応認めてやる、十一の町村の自治体の権利を認めてやって、それで一応村をこしらえさせて、あとで村ができたから分けるのだという手続をすれば、どこにも差しつかえのないきれいなものになっていくのじゃないかということを私は申し上げておる。そこに法律も何もなければそんなことを言いはしませんよ。ちゃんと埋立法に地先権が書いてある。おそらく地先権の承諾が得られないと思うのです。そうすると、一体その権利はいつ消滅したか。そんな権利はないのだということになると、これは法律のたてまえからいうとおかしいと思うのです。だから、そういうことで私は聞いているのであって、これ以上答弁は求めませんが、ひとつこの法律はほんとうに慎重に審議してもらって、あとの問題がないようにしておいてもらいたい、これだけ申し述べておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/58
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059・森田重次郎
○森田委員長 華山親義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/59
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060・華山親義
○華山委員 この問題は、憲法上から問題でございまして、将来この問題につきまして裁判の問題にならないとも限らない。その際に、審議に当たる者としても、この地方行政委員会としても、私は超党派的な責任があると思うのでございます。その意味におきまして、政治の問題とかそういう問題を離れまして、あとに残る記録といたしましても、私は慎重に御答弁を願いたいと思いますが、その意味で私はお尋ねいたしたい、こう思う次第でございます。
この法文からお尋ねいたしますが、埋め立てた地域をもって新しい村にするというふうな趣旨が書いてありますが、将来どういう大きい地域ができるかもしれない。地域にかかるということになりますと、それが一団地としての村になるということはもうきまってしまう。二つ、三つの村に分けたほうがいいという場合もあるかもしれない。そういうことを予想されましてこの条文をおつくりになったのでしょうか、お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/60
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061・佐久間彊
○佐久間政府委員 「埋立てによりあらたに生ずる土地に係る区域をもって」とこう書いてございますが、埋め立てによりまして生じました土地につきまして、全体の区域で一つの村をつくるということではございません。非常に大きい場合にはそこの土地を二つ、三つの村に分けることもございましょうし、あるいは一つの村にすることもございましょうし、そこは御指摘のようなかたい狭い意味で限定する趣旨で規定を設けたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/61
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062・華山親義
○華山委員 私もそれはそうだと思います。そういうふうにこの条文が読めますかということをお聞きしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/62
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063・佐久間彊
○佐久間政府委員 私どもは、これでそういうふうに読めると考えまして立案をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/63
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064・華山親義
○華山委員 「当該埋立てによりあらたに生ずる土地に係る区域をもって」と、こう書いてありますね。これは全区域で、区域を分けるというふうには解釈できないと思いますが、いかがなものでございましょう。新たにできた土地の区域で新しい村をつくる、こう書いてあると思うのでございますが、この条文で分けることができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/64
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065・佐久間彊
○佐久間政府委員 もし先生のおっしゃいますように読めるように書くといたしますると、区域をもって一つの村を設置する、あるいはその区域の全部をもって一の村を設置するというふうに書きますれば明確になるわけでございまするが、そのようにいたしませんでしたのは、先ほど申しましたような趣旨で書いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/65
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066・華山親義
○華山委員 それでは次に伺いますが、関係市町村の意見を聞いて新しい村をつくるということになっておりますが、これは市町村合併の議決、境界変更の議決、そういうものにかわるものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/66
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067・佐久間彊
○佐久間政府委員 これは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/67
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068・華山親義
○華山委員 かりにある関係市町村が議決をいたさない場合はどうなるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/68
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069・佐久間彊
○佐久間政府委員 法律的に申しますと、「意見をきいて、」ということでございまするから、一つの村におきまして反対だということでございましても、内閣といたしましては処分をすることができるわけでございます。ただ、実際の運用といたしましては、できるだけ関係地方公共団体全体の賛成を得た上で設置をするというふうに心得るべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/69
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070・華山親義
○華山委員 そうしますと、本来の市町村の権能から見ますと、非常にここでは境界変更については、市町村の自治の範囲というものが狭まっておるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/70
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071・佐久間彊
○佐久間政府委員 その点につきましては、見方でございますが、普通の町村合併の場合におきましては、関係地方公共団体の議決を経て、みなが同意をいたしませんければ設置できないわけでございますから、法律上は通常の場合よりも関係地方公共団体の発言権が制約を受けるということは言い得ると考えております。ただ、もともとこの法律で予想をいたしております場合が、地先水面と申しましても、観念的にはそれぞれの接続いたしております村に分属になるわけでございますけれども、実想はむしろ新しい村ができるというふうに社会通念上は考えていいようた場合だと思うのでございます。そうだといたしますれば、関係地方公共団体の意見を聞くという程度で、あとは内閣が大所高所から判断をして決定をいたすということが合理的であろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/71
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072・華山親義
○華山委員 そうしますと、原理的なことをお聞きすることはいかがかと思いますが、極端な場合には、関係全市町村がおれは反対だと言ってもやれるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/72
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073・佐久間彊
○佐久間政府委員 法律的なぎりぎりな議論をいたしますれば、意見を聞いてでございますから、その意見に必ずしも拘束されなくてもいいことになると思いますので、御指摘のようなことも法律上はあり得ると思いますけれども、実際の運用といたしまして、関係地方公共団体が全部反対なのを押し切ってやるということは、これは政府といたしましても、そのようなことは毛頭考えておらないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/73
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074・華山親義
○華山委員 ここでひとつ法律上の理論だけ聞きますけれども、そうしますと、ここで地方自流団体の、いろいろな関係市町村団体の権能が、ある意味におきましては狭められておるということになりますが、自治省あるいは法制局におきまして、市とか町村とかいう団体は地域団体でございますね、どういうふうにお考えになっておりますか。地域における共同社会、そういうふうなものの考え方を私は非常にばく然でありますが思うのでございますが、どんなふうにお考えになっているものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/74
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075・佐久間彊
○佐久間政府委員 むずかしいお尋ねでございますが、ごく私どもの常識的に考えまして、市町村ができます場合には、そこに関係の住民が一つの社会的、経済的にもまとまりを持った共同体的な実体と申しますか、そういうものがございまして、そこでその上に市町村という構成をかぶせるということが考え方の筋道であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/75
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076・華山親義
○華山委員 それで憲法のことにも触れていろいろお聞きしますが、幾ら政府の力といえども、あるいは議会の力といえども、そういうふうな実体のないものに、そういう法律をつくって市町村をつくるということは無理だと私は思いますけれども、いかがなものでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/76
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077・佐久間彊
○佐久間政府委員 この法律で予想をいたしておりまするのは、やがてそのような社会的、経済的に見まして具体的な生活を営む住民の集団、集落が形成されるであろうというところにつきまして、あらかじめ新村を設置しておこう、こういうことでございます。経過的に住民がない、あるいはその住民の社会的、経済的に見て一つのまとまりのある共同生活体というものができていないということでございますが、もうやがてそういうものができることが確実なわけでございますから、そのような共同生活体が営みやすいように地方制度の上におきましても一つの準備をいたしておこう、こういう趣旨でございますから、私は憲法の精神に一つも反することはないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/77
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078・華山親義
○華山委員 その御趣旨は私もよくわかります。それでいいと思うのでございますけれども、そういうふうな法律で考えられるところの実体のないものに、いかに法律といえどもそういう村をつくるということは、これは何か法律を越えた一つの原理としておかしいように思うのです。生まれ出る前にとおっしゃいますけれども、夫婦が結婚して、子供が生まれるかもしれないといって、いろいろなことをやっておるのはおかしいのであって、やはり生まれたときに初めてその子供に対するいろいろなことが出てくるのではないか。これは準備なら準備というものは別なことで考えなければいけないのではないか。それは市町村の規定を持ってくるのが一番便宜だと思いますけれども、便宜だからといって持ってくる、私は少し何と言いますか、議会といたしましても、政府といたしましても、少し強行過ぎるのではないか、法律をもてあそび過ぎるのではないか、こういう気持ちがいたしますが、いかがなものでございましょう。お考えになりませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/78
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079・佐久間彊
○佐久間政府委員 法律をもてあそび過ぎるじゃないかというお砧でございまするが、このような措置をいたしておきますことが、結局やがて形成されるであろう共同生活体のために、またそこの住民の福祉のためによい方法であろうと思いますので、こういうふうにいたしますことのほうが、かえって実態に即した措置であろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/79
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080・華山親義
○華山委員 広い意味の法理論といたしまして、そういうことも言えるかもしれません。しかし、他に方法がないならば別ですけれども、先ほど門司委員がお尋ねになったような方法もあるし、あるいはほんとうの共同生活体というものができるまでは別個の法律をつくって、それに対しまして必要な市町村の条例、市町村の規定を適用する、あるいは準用する。また、その住民に対しましても、市町村住民としての権能があるわけでありますから、そういうものに対しても準用する、そういうような方法だってあるのじゃないか。そういうふうな方法を避けて、こういうふうな、私から言えば無理なことをなさるということは、私にはよくわからないのでございますけれども、これでは少し法をもてあそび過ぎるのではないか、こういうふうに私は考えます。御答弁は同じかと思いますが、念のために伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/80
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081・佐久間彊
○佐久間政府委員 実情から申しますると、なるほど観念的には十一市町村の地先水面がそれぞれの市町村の区域に分属することになりますので、分属させて、その上で分離をしたらいいじゃないかということがおっしゃられるわけでございますが、しかし、この八郎潟の区域につきましては、周辺の市町村と関係なく、ここで道路もつくり、公共施設もいたしますし、あるいはかん排水路もつくりますしいたしてまいりますので、さてこの区域の中でどこからどこまでがどの村の地先水町であるのかということを村に十一に分けますことのほうが、かえって理屈をもてあそぶことになるのじゃないか。地先水面はその当該市町村の区域だと申しますのも通常の埋め立ての場合を考えておるわけでございまして、ある市町村のそのすぐ接続したところに埋め立てを、やる、そしてその市町村でそれを使うというような場合には、まさに地先水面に生じた埋め立て地は一族市町村の区域になるということがぴったりするわけでございますが、今回のような場合につきましては、法律の観念論といたしましてはそうでありましょうけれども、社会通念から申しますと、周辺の市町村とは関係のない新しい区域、まだどこにも所属のはっきりしていない新しい区域ができたのだ、こういうふうに考えるのがより自然ではないのだろうかというふうにも思います。そうして入植が始まりまして、ここに本来的な住民ができましたあとの住民の生活の福祉ということを考えてまいりますと、あらかじめ十一の市町村に分属をしておいて――そこで耕作機械等もすぐ入るわけであります。また飯場なんかもできましょうけれども、その耕作機械の固定資産税がどこの市町村になるとか、この飯場はどこの市町村の区域になるとか、よけいな議論を一々して、その上でもつて一つの村をつくるというようなことをすることのほうがかえって観念にとらわれたやり方、しかも実態に即さないやり方ではなかろうか。むしろ、どこにも所属していない新しい土地ができたのだ、それをどこかの市町村に属させなければいかぬ、そうした場合にどういうふうにしたら一番いいだろうかというようなすらっとした考え方でこの際扱うのが一番いいのじゃなかろうか、かような考え方に立ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/81
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082・華山親義
○華山委員 私は先ほど門司委員のお考えになったような方法をとるべきだということをいまここで主張しているわけではございません。そういう方法もあるではないかということを申し上げたのでございますけれども、いま局長は、自然の実態に即したもの、こういうふうにおっしゃったのでございます。自然の実態に即したものであるならば、そこにはまだ市町村のほんとうの本質ができていないものですから、できないところにできたような法律を当てはめることは私は自然に反しているのじゃないかと思う。できてないならできてないだけの単独の法律をつくって、住民としての権利あるいは義務を与える、そういう方法こそかえって自然に即したものじゃないかと思いますが、どういうものでございますか。お聞きいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/82
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083・佐久間彊
○佐久間政府委員 同じことを繰り返し申し上げることになりますが、なるほど入植が始まりますまでの間は本来的な住民はいないわけでございますから、そのときにかりに村をつくるならっくったらどうだ、こういう御趣旨かと思いますが、すでにその入植によります新村の準備工事は干陸と同時に始まっておるわけでございます。それらの公共施設なりあるいは営農の基盤の整備というものに伴いまして、行政上も、たとえばそこの工事関係者が飯場をつくっておるという場合に、一体配給はどこでどうするのか、あるいはそこで何か事故が起ったら、それはどこの役場でその世話をしたらいいのか、あるいはそこに課税物件ができた、それをどこで税金を取ったらいいのかというような、市町村の役場でもってお世話をしなければならない行政上の問題というものがやはり起こってくるわけでございますので、そういうことならば、むしろ初めから一つの村をつくりまして、そこでそれらの世話を一元的にいたしましたほうが、そこにおります少数の工事関係者等の人たちのためにもいいのではなかろうか、またやがてできます村のためにもそういうふうにしておいたほうがよりいいのではないか。いろいろ御意見はございましても、これは一つの経過的な臨時的な措置でございますので、経過的な臨時的な措置につきましては、でき上がった、整った制度にはちょっと当てはまりにくいところが出ますのはやむを得ないのではなかろうか、かような考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/83
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084・華山親義
○華山委員 私は、立法理由につては前々からお聞きしておりますからそれでいいのです。また、いまのこのやり方について私は反対だというわけじゃありません。しかし、そのやり方につきまして法律のかまえ方が、自治という観念を持ってくることがひど過ぎるのではないか。自治という実体がないのに、考えてみるならば、縁故のないところのものを持ってきて当てはめようとすることが法律的にも無理なんじゃないかということを私はお聞きしているわけでございます。
それで、これはもう御承知のとおりで申し上げるまでもありませんが、憲法に規定するところは、ほんとうの自流の本体といたしましては、自治の長というものは選挙によって選ばれることになっている。これは最も中心的な自治の観念だろうと思うのであります。それが今度は行なわれない。特例法等をもってこの憲法の規定を排除することができるものでございますか。その点、法制局の御意見なり何なりお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/84
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085・佐久間彊
○佐久間政府委員 立案の過程におきまして法制局ともよく検討をいたしたわけでございますが、経過的な、臨事的な措置といたしましてかような制度をつくりますことは、憲法も当然容認するところであると解釈して差しつかえない、こういう法制局の見解でございました。他に私どもの関係いたしておりますところの立法例を申しますと、たとえば奄美群島が昭和二十八年に復帰をいたしましたときに、復帰はいたしましたけれども、日本本土に施行になっております法律をそのまま即日奄美群島に施行することができにくいという実情がございましたので、ある期間経過的にだんだんにこちらの法律を適用していくという特別の法律をつくったことがございます。そういうふうにごく経過的な、臨時的な措置といたしまして特例を設けますことは、それが合理的な理由があります限りは、憲法の規定に抵触することはないというのが私どもの解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/85
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086・華山親義
○華山委員 法制局の御意見をひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/86
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087・森田重次郎
○森田委員長 いまお帰りになったそうです。もう一度呼びますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/87
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088・華山親義
○華山委員 この問題は憲法にも関係する大きな問題でございます。いま局長は法制局の御意見をただおっしゃっただけです。それでは私は納得できない。法制局のそういう解釈をなさった方から直接お話を聞いて私は了解したいと思います。私は了解しないとかなんとか言うのじゃありません。了解をしたい。やはりこれは議員の職責だと思う、憲法の問題でございますから。それでひとつ法制局の方においで願って、そこでお話を聞いて了解したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/88
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089・大石八治
○大石(八)委員 関連して、第五条で、あいている時間を少し…。新しい常勤の職員に採用する場合は、知事の補助機関である職員、つまり県庁の職員以外は任命することができないという形になっておると思います。市町村の職員を全く排除してある。その点が疑問であります。その次の条項に職務執行者は職務によって代行させることができる、こういうことだけのために、県庁吏員というふうにしてあるとは私は実は思えないわけでありますが、適任者を選ぶという場合に、県庁職員でなければ適任者がないとは思いません。市町村の職員でも新しい村をつくろうとする意欲のある職員もあり得ると思う。もう一つはある状態の町村にまで成長した場合に、いわゆる職務執行者が任命した職員というのがおそらく全部帰られては困ると思うのです。そういうふうにその地域の仕事になれた職員がもとに戻ってしまうということは、あまり想定をしたくないわけです。そういう場合に、県庁職員だけしかそれが採用できないということは、そういう点では非常に不便だと思います。市町村の職員の中にも有能な者があると思うのです。排除しなければならないという理由が私には非常にわかりません。また近隣の関係のある市町村から出していくことも私は非常にいいことだと思います。排除してしまって、だれも入れられないということは非常にふしぎであります。またある意味では不満でありますが、どうしてそうしなければならないかをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/89
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090・佐久間彊
○佐久間政府委員 この職務執行者の補助機関たる職員が置かれますのは、職務執行者がある間でございます。職務執行者は新村におきまして村長の選挙が行なわれまして、村長ができますると、当然失職するわけでございますから、それまでの暫定措置としてこのような措置を考えたわけであります。そこで職務執行者は県の職員から知事が任命をすることになっておりまするので、それの補助者である常勤の職員もやはり県庁職員から任命をしたほうが万事仕事がやりやすいであろう、便宜であろう、かような考え方から県庁の職員を命ずるたてまえにいたしたわけでございます。もちろん先生のおっしゃいますように、それでは村長ができました際に従来おる者が一斉にみんな県へ引き揚げてしまうということになったら困るじゃないかという御指摘かと思いますが、その点はごもっともなことと私も考えるわけでございます。そこでそういうことの経過が円滑にまいりまするように、実際の運用におきましては、この県庁職員から派遣をいたしました者を、なおしばらく新村の職員構成ができますまで、これを置いておくというような措置は講ずるつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/90
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091・大石八治
○大石(八)委員 その新しい職務執行者が、新しいほんとうの村長ができるまでという間は、まだそんなに期間的にはっきりきめてあるわけじゃないし、そんなに短期間のものでもないと思うのです。先ほど門司さんからの質問もそうだと思うのです。したがって、私はそのほうが何かと便利であるというような程度のことではおかしい、全く排除して、させないという法律なんですからね。させないということはどうもおかしいのであって、それはできるようにしておいてどうしていけないのか。将来もそこに骨を埋めていこうとする熱意のある吏員がいていいのである。排除して入れないという法律のたてまえでは非常に不満があるわけであります。法律上のたてまえからいっても、職務を代行させることが職務執行者でできるから、それは県庁から来た人間だから、県庁の職員でなければならぬということは何もない。信用していける人間であれば代行はさせられるものである。その職員が県庁職員であるということだけによってそれが代行できるのではないと思う。したがって、どうしても便宜主義のように思いますし、もう一つは、暫定的であろうけれども、何か役所の組織のようなものだけに考えられるようでありますが、いまこの場合、その他の者を排除しないということはできないかどうか、もう二度お伺いしたい。いまの御説明だけでは、なるほど私が感違いをしておるなというふうには思われない、全く排除してしまうという点については非常に解せないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/91
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092・佐久間彊
○佐久間政府委員 職務執行者が職務を行ないます期間は、八郎潟の場合におきましては四十二年に最初の入植者が入りますと、間もなく村長の選挙をやるわけでございますから、それまでの二年余りの期間になるわけでございます。その間は新村におきましては固有の村の職員を置くということにいたしましても、ほとんど収入らしい収入もありませんのに村の職員の給料を持つということも、これも実情に合わぬことでございまするし、その門は役場の仕事を県庁から職員を派遣をしてそれで見てやる、こういう趣旨になるわけでございます。したがいまして、ここの職務執行者につきましても、あるいはその補助機関たる職員につきましても、みな給料は児で持つということでございまするし、二年余りの短かい暫定期間内でございますから、隣接の市町村の職員から村の職員を命ずるということよりも、県庁の職員をそこに派遣をして、そこで役場の事務をとらせるということのほうが実情に即するより適切な方法であろう、かように考えておるわけでございます。もちろん立法論といたしまして、それは市町村の職員にやらせるということも考えられぬわけではございませんけれども、いま申しましたような事情を考えますと、これはやはり県庁の職員を派遣して代行させるということのほうが適切である、かような判断をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/92
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093・大石八治
○大石(八)委員 適切であるとはそう簡単には考えられぬ。いまのようなお話であると、全く出先のようにして、みてやるんですというような態度のように思うのです。金は県庁が負担するから県庁の人間でなければならないというふうなことは、法律上どういう意味かわかりませんが、金はその間見てやるのだという親心であるなら、採用される人間が何も県庁の人間でなくても、そこで採用したのだということになればいいのだ。
それからいまのお所では、二年を過ぎれば引き揚げるようになるので、その聞しばらくまたほかの人が入ってくるまで、なれさせるために置くことができるようにしてあるということは、もう帰るということを初めから考えているわけだが、そうではなくして、そこで新しい村をつくるとすれば、ひとつおれが行ってやろうという人間があって、引き続いて新しい村長ができていっても、おそらくいままでの経過を知っている人間が居ついてそこの市町村の吏員になるほうが頼もしいので、それこそ自治体的なものになっていくと思う。それを排除してしまう考え方が解せないというのであって、どうしてそれでは困りますか。困らないなら排除しなくてもいいのじゃないか、こう思うのです。どこが県庁の職員でなければ困るのでしょうか。困らないなら、ベターな方法があれば、採用の範囲というものは市町村の吏員でもいいのじゃないか、こう思うのです。それはだめなんだ、ぐあいが悪いという理由がわからない。その点を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/93
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094・佐久間彊
○佐久間政府委員 市町村職員の中でこの新村のために一生懸命働いてやろうという希望の方があれば、これはたいへんけっこうなことでございます。その場合には、都道府県の職員の身分を与えまして、そしてこの村で勤務をしてもらう、こういうやり方をとろうと思うわけでございます。と申しますのは、この村の財政上の理由からいたし永して、最初から固有な職員を持って、そこでその職員の給料も負担する、こういうような状況にございませんので、そこの職員の給料は県費で負担をしてやろう、そういうことになりますれば、やはりこれは県庁の職員たる身分を持ってやらせるということになるわけでございますから、もちろん先生のおっしゃいますように、市町村の職員の中で適任者があれば、県庁の職員の身分を与えてそこで勤務をさせる。そして村長ができまして新村が普通の運営のできる状態になりますれば、その者が村の職員に身分を切りかえて引き続き村のために働いてもらう、こういう、運用をしてまいりたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/94
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095・大石八治
○大石(八)委員 金を出す点は、県庁の吏員だから出せるのであって、県庁の吏員でない者には出さないという形だから、形式上県庁吏員ということでありますか。そういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/95
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096・佐久間彊
○佐久間政府委員 固有の村の職員というものを置きますると、村の職員の人件費は当然村で持つというたてまえになるわけでございます。しかしまだ本来的な住民もいない状況のもとで、村の職員を持って村から給料を出すということは実情に合わないことでございまするから、そこで県庁の職員に役場へ行って役場の仕事を執行させよう、こういうたてまえにいたしたわけでございます。そこで先生のおっしゃいますように、突き詰めて市町村職員を使うという場合を考えてみますると、いまのような人件費の負担の関係になるという、ふうにおっしゃられれば、そのとおりと申してよいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/96
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097・大石八治
○大石(八)委員 いまのお話で、市町村の職員を適任者があれば県庁で採用して、県庁の職員という身分に一応して、その上で出すことができるという運用を考えているということでございますから、一応その点は納得をしたい。同時にそういう意味で、腰かけでないということで出さしていく、引き続きそこに勤務させるという人を考えていくことを、ぜひ指導をしてやっていくようにお願いを申し上げまして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/97
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098・華山親義
○華山委員 法制局の方がお見えになったそうですからお聞きいたしますが、先ほど私はこういう趣旨の御質問をいたしました。憲法にも書いてありますとおり、市町村の長が面接に住民によって選挙されるということが自治の根本的な一つの問題であります。そういうふうなことの行なわれないところのものに、村であるとか、あるいは町であるとか、そういう資格を与えることがおかしいのじゃないか。そういうことはもう生命のないところのしかばねに生きているような名前をつけるようなものだ。極端なことを申しますと、そういうふうなことさえ言える、そういうふうに質問を申し上げましたところ、法制局のほうにこの問題についていろいろ御相談をしたところが、過渡的、暫定的なものであるならばいいのではないか、そういうふうなお答えがあって、奄美大島についてもそういう前例があるというお答えがございました。先ほど申しましたとおり、将来裁判等になりますれば、ここの速記録は重要な問題でもございますし、法制局でもこう言われましたということでもいかがかと思いましたので、おいでを願ったわけであります。ひとつお考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/98
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099・関道雄
○関政府委員 ただいま先生の仰せになりましたように、地方公共団体においてその長を住民の直接選挙によって選ぶということは根本的な問題でございまして、およそ完全な普通地方公共団体におきまして、何らかの理由で長の選挙について直接選挙によらないような制度を立てるということは、地方自治の本旨にもとるわけでございますけれども、本件のように、これからそういう完全なる普通地方公共団体に発達する過程において、暫定的に、そういう長の選挙が直接選挙によらないで、ほかの者が任命されて長の職務を行なうという制度をとりますことは、決して憲法違反にならないと考えております。ことにこの法律は、そういう暫定的な期間において、長の職務を執行する者を選挙によらずに置きますけれども、りっぱな地方公共団体の実を備えるようになりますれば、直ちに地方自流法の普通の制度に乗り移るようになっております。その意味において決して地方自治に関する憲法の規定に反するものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/99
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100・華山親義
○華山委員 先ほど法制局の部長さんでございましたか、生まれ出る前だということをおっしゃいましたが、そうしますと、この新しい市は市、長あるいは議会があれば生まれるのであって、まだ胎児なんであって、集まれていないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/100
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101・関道雄
○関政府委員 ただいまのあれは一つのもののたとえとして申し上げたのですが、この法律によって設置されました村というのは、この法律及び地方自治法の関係規定の適用になります限りにおいてそういう存在であって、生まれ出る前であるとかなんとかということの意味のいかんによりますけれども、私が先ほど申しましたのは、もののたとえとしてそう申しましたけれども、そういう新しい村における自治法の適用なり何なりは、いずれもその法律の定めるとおりに適用になるべきものは適用になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/101
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102・華山親義
○華山委員 そうしますと、これはりっぱな村なんでございまして、先ほど門司委員の御質問に答えられたような、生まれ出る前の村だというようなことではなくて、りっぱな村だ、こういうふうにわれわれは理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/102
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103・関道雄
○関政府委員 先ほどの生まれ出る前とかいうようなことを申しましたのは、結局完全な意味において、つまり長も直接選挙をされ、地方自治法の諸規定も完全なる形において適用になる、そういう存在になる前の生成の過程にあるという意味において申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/103
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104・華山親義
○華山委員 私はそういう答えをいただきたかった。ああいうふうなことを言っておると、将来私はつかまるだろうと思う。
それで伺いますが、国の自治体というものは憲法上明確に規定されているところのものであります。それでおっしゃったような暫定的、過渡的ならばやむを得ないだろうということでありましても、たとえば奄美大局のように何ともならぬ、そのほかには何ともならぬという場合には私は許されると思うのです。この場合には何ともならないのじゃない。憲法の規定というものを守ろうと思えば守れる。その際にいまのような御解釈でもよろしいものでございましようか。いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/104
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105・関道雄
○関政府委員 この大規模な公有水面の埋め立てに伴いまして新しい村をつくるというこの法律の定めております手続は、先ほど来いろいろ御説明申し上げておりますように、非常に大きな土地が公有水面の埋め立てに伴って造成されて、そこにまた新たな住民が移り住んできて、そこに新しい生活共同体ができていくという過程に対処するための法律でございますので、それはいずれにしても地方自治の方針に従って新しい完全なる地方公共団体に育っていくべきものである。その過程におきましては住民がほとんどおらない。いろいろな特殊な事情によって特別の措置を定めなければならない。それがこの法律の目的であって、決してこれ自身が憲法違反であるけれどもやむを得ないとか何とかいうことではなくて、それ自体憲法の趣旨にのっとっているものと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/105
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106・華山親義
○華山委員 そうしますと、これ自体が憲法にのっとってとおっしゃいますと、ほかにも私はいろいろな方法があると思います。立法の趣旨は私はよくわかります。この方法がベストであるということは私はわかる。しかし、これよりも劣った方法があっても、あるいは行政官として困難な方法があっても、憲法に違反しない道があるならば、そのほうを先にとるべきではないか、こういうふうに思いますが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/106
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107・関道雄
○関政府委員 すでに存在するある方法が憲法に適合しており、この法律が憲法に違反する――憲法違反の法律というものは絶対に制定すべきものではなく、またその制定を試みるべきものではないのでありますが、私はこの法律が憲法に違反しておるとは考えていないわけでございます。先生のおっしゃいます趣旨は、あるいはすでにいまある地方自治法なり何なりの既存の法律で、ある手続が定められておって、それによればよれなくはないのに、他の方法によるというのは適当かどうかというお話かと思いますが、それにつきましては私ども自身は、いまの地方自治法の定めてあります公有水面の埋め立てによって新たに土地を生じたときのその土地の帰偶に関する規定というのは、既存の地方公共団体がその生活を営んでおります過税において、その生活の範囲を逐次海面にまで張り出していく、膨張していくという自然の過程に対処するにはまさにふさわしい規定でありますけれども、この法律で意図しておりますような、地先の市町村の生活の延長として逐次できていくというのではなくて、全く大規模な土地が他のたとえば国その他の事業によって突如として――突如としてというのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、あらわれて、そうしてそこに全く新たな地域共同体ができていくという新しい現象に対処するためには必ずしも適当ではないのであります。それにはこの法律案に規定してありますような方法がいいのじゃないかということでできたわけでありまして、いまの地方自治法の規定で十分間に合うのに、何かめんどうだからほかの方法でやるとか、何か変わったことをやるためにこの法律案をつくるというのでは許されませんが、いま私が申し上げましたようなこの法律独自の使命があるというふうに私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/107
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108・華山親義
○華山委員 ただいまあなたがおっしゃった方法もあるが、それが一番いいというわけでもございません。私はこういうふうに考える。とにかくまだ市町村というものの実体をなしておらない。共同生活というものができておらない。そこにそういうふうな法律を適用するということがおかしいのではないか。そこに至る経過におきましては、自治法とは関係のない別個の法律をつくって、そうして住民なら住民に対しまして自治法に与えられたような権能を与えていく、あるいは義務を与えていく、期間についてもここに書いてあるような方法でいく、そういうふうな自治法とは別個の、特別法というものではない別個の法律でいくべきではないか。そういうふうに考えて、そうしてもはやここでは社会共同体ができたという段になって、自治法に移る、こういうのがむしろ憲法にも違反しないし、堂々たる方法ではないのか、こういうふうに私は考えますが、いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/108
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109・関道雄
○関政府委員 先生の仰せになりますこともわかるような気もするのでありますが、これはなるほど当初は新しく水面に土地ができた。
〔委員長退席、渡海委員代理着席〕
別にそこに住民も住んでおらないという状態がまずできて、そこにとにかく形だけの村ができるのです。おっしゃるとおりそれは住民もおりませんから、完全な意味では村ではないとおっしゃられればまさにそのとおりでございますが、それをそのまま放置するというのではなくて、まさにそれを地方自治法の――ということは、結局憲法の地方自治の本旨に即したそういう団体にそれが育っていく過程にあって、育てていくためのいわば法律でございますので、それはできる限りは地方自治法に規定されております地方自治の本旨に即したいろいろな制度をあとう限りなぞらえてという精神でこの法律は書いてあるというふうに考えております。しかしそれもまた一つの行き方であって、私たちとしては地方自治の精神をなるべく生かすというところに意味があるのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/109
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110・華山親義
○華山委員 別個の法律をつくったって、そういうふうな自治の精神を生かす法律は幾らでもつくれる。安易に、ややもすれば憲法違反ではないのかというような疑いを起こしやすいような、何か本質をなくしたところの自治法を適用するというのは危険なのではないか。めんどうでありましょうけれども、そういうふうな法律を別に独立の体系としてつくったほうがいいのじゃないか、こういうふうにも考えるわけでございます。その点につきましてはお考えになりましたでしょうか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/110
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111・関道雄
○関政府委員 もちろん、私どもこの法律の審査をいたします場合には、まず現行の地方自治法のままでいけないか、それからこういうふうな特別の法律をつくるについての十分な理由があるか、他にもっといい方法はないかということは十分に考えた結果、こういうふうに落ちついたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/111
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112・華山親義
○華山委員 私は特別法というのは、このごろの特別法を見ますと、非常におかしい場合が多いと思う。特別法というものが、ある一つの方法なり、それから末梢的なことなりそういうことについて特別法をつくるということは私はわかります。しかしほんとうに根本的な問題について、特別法をつくるということを乱用されるということは問題だと思う。そういう意味で、この点につきまして将来の問題といたしまして非常に気をつけていただきたい事柄ではないか。そうしませんと、法の体系が乱れます。本質が乱れてくる。それでくどいようでございますけれども、法のある部分、ある末端等について特別法をつくられるということはいいけれども、基本的な、根本的な、しかも憲法にきめられたようなことまで特別法的な性質に直していくということは、極力避けるべきであって、めんどうでも他の方法なり、他の独立法をつくるべきじゃないか、私はこういうふうに考えます。先ほど申し上げましたとおり、この問題につきましては政党とか何とかの問題ではございません。憲法を守っていくということは議会と政府のやるべきことなんです。私もよくお話をお聞きいたしましたから、十分考えたいと思います。
もう一つ伺いますが、この暫定的の間というものは、この規定によりますとほとんど住民の意見というものを聞くということが書いてありませんけれども、何か住民の意見を聞くような機構になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/112
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113・佐久間彊
○佐久間政府委員 法律案の上におきましては、その期間におきまして特別に住民の意見を聞く規定は設けておりません。ただ私どもこの法律の運用上の心がまえといたしましては、その期間におきましては、できるだけ住民の意思を村政の上に反映できますように配慮していくべきだと考えております。どういう方法によったらいいかということは、これは実情によりまして、それぞれ適宜な方法で考えていくべきだろうと思っております。おそらく最初の段階におきましては工事関係者がだんだんに入ってきておる。それから入植の始まります直前には入植者のうちのある数の者について、訓練所で訓練をするというようなこともあろうかと思います。それぞれの段階、段階に応じまして、そのときにおける住民の人たちの民意が村政運営の上に反映できますように配慮すべきだと思いますし、そのように私どもといたしましても、指導を行ないたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/113
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114・華山親義
○華山委員 何か公聴会の制度でもこの法律の中にきちんとお書きになるほうがよろしいのではございませんか。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/114
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115・佐久間彊
○佐久間政府委員 公聴会がいいかどうか、これはやはり実情にもよりまするので、公聴会というふうにはっきりと法律の条文の上に規定をしてしまうことにつきましては、あまり画一的にすぎやせぬか。実情に即して適宜な方法を考えてみるということが一番いいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/115
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116・華山親義
○華山委員 完全な自治体としていまは妊娠中なんですか知りませんが、生まれ出る前ということばもございましたけれども、いつ生まれるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/116
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117・佐久間彊
○佐久間政府委員 計画によりますると、昭和四十二年に最初の入植者が入ることになっております。最初の入植者が入りましたならば、なるべく早い機会に村長の選挙、村議会の選挙をやらせるということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/117
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118・華山親義
○華山委員 何人入る予定で、一番初めに何人入るのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/118
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119・佐久間彊
○佐久間政府委員 第一回の入植者は三百戸いくらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/119
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120・華山親義
○華山委員 全部では幾らになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/120
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121・佐久間彊
○佐久間政府委員 これは一戸あたり五、ヘクタールにするか、十ヘクタールにするか、まだ農林省で検討中でございますが、五ヘクタールということにいたしますと、約二万人くらい、それから十ヘクタールでございますと、一万人以上というくらいになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/121
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122・華山親義
○華山委員 そうしますと、町に変わる場合もあるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/122
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123・佐久間彊
○佐久間政府委員 あり得ると思いますけれども、当面考えておりますあそこの営農の村の建設の構想からいたしますと、おそらく町の形態をなすことは当分あり得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/123
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124・華山親義
○華山委員 私の聞いておる八郎潟の開拓地の構想とはちょっと違うので、あそこでは連檐地区ができるように聞いておりますけれども、これは別の問題でありますからやめます。
そういたしますと、できるだけ早く、発足当時の状態は変則なんでございますから、できるだけ早く民意が聞けるような、そして自治体の本則であるところの民意に基づいた首長と議会のできるようにお願いいたしたいと思います。かように考えます。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/124
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125・佐久間彊
○佐久間政府委員 そのようにいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/125
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126・渡海元三郎
○渡海委員長代理 千葉七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/126
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127・千葉七郎
○千葉(七)委員 だいぶ門司、華山町委員によって疑問の点が解明をされてまいりましたけれども、私なお二、三の点につきましてお伺いをいたしておきたいと存じます。
第一にお伺いをいたしたいことは、八郎潟はこの法案の説明によりますと公有水面である、私有ではない、こういうことでありますが、公有水面であっても、もちろん所有者があるわけであります。従来この八郎潟の所有公共団体はどこでありましたか、第一にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/127
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128・佐久間彊
○佐久間政府委員 これは行政区画がどこまでがどこの市町村の地先水面だということが観念的にはあるわけではございません。実際問題として明確ではございませんでしたので、はっきりはいたしておりませんが、御念的に申しますと、この配られておりますように、関係市町村がそれぞれの地先水面を持っておったということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/128
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129・千葉七郎
○千葉(七)委員 そういたしますと、この八郎潟を取り巻く市町村の所有であった、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/129
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130・佐久間彊
○佐久間政府委員 お尋ねをちょっとうっかりしておりましたが、所有権は国有でございます。ただ区域が、それぞれの関係市町村の地先水面は、関係市町村の区域になっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/130
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131・千葉七郎
○千葉(七)委員 所有は国有であった。そこで区域は周辺の町村であったというわけですが、従ってそこには当然漁業権であるとか、そういうものが従来あったと思うのですが、そういうことはどういう関係になっておったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/131
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132・森清
○森説明員 関係漁業協同組合等にそれぞれ漁業権がございましたが、この八郎潟の干拓を始める前に、国等において漁業権の消滅の手続をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/132
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133・千葉七郎
○千葉(七)委員 そこで私疑問に思いますのは、村の概念ですね。国の概念は当然国土があることと、国民があること、そして憲法があり、行政の機能がある。これが国なわけです。したがって、この村も当然その区域があって、住民があって、そうしてそこには行政能力がある、こういうことで村というものは成立すると思うわけですが、この新しく八郎潟が干拓によって陸地がそこに造成をされる、陸地が造成されて、そうして住民もいない、もちろん住民のいないところに行政的な機関、能力等があるはすがないわけでありますから、そういうところへ新たに村をつくるということはちょっと普通では考えられないことではないか、このように思うわけなんです。したがって、これは門司さんや兼山さん等から質問がありまして、このような手続をとるに至った経過はわかりますけれども、そういう経過から見ましても、そういう実態から見ましても、これはやはりどこかの既存の完全な自治体に一応所属をさせて、そしてそこに入植者が入り住民が固定をし、そして行政の能力がそこに発生をして、その後にそこの区域の住民の意思によって新しく村をつくるというのが、これは華山さんのおっしゃるように憲法にも適合した方法であり、また憲法を受けて制定されておる自治法にも適合したやり方ではないか、このように考えるわけなんですが、これは重複するような質問でありますけれども、私の考えはまた二人の委員の方の考え方とも根拠としては違うわけですから、その点に対する見解をお知らせしておいていただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/133
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134・佐久間彊
○佐久間政府委員 村を構成いたします場合に構成の要素といたしまして区域があり、住民があり、そこにまた自治権があるということは御指摘のとおりでございます。この場合におきまして住民がその中で当初はおらぬじゃないかという、こういう御指摘でございまするが、これも本年度から干陸いたします部分につきましては工事関係者、が相当数入り込んでまいっておるのでございますし、本来的な意味では住民にはならないと思いまするけれども、現実にそこに人がおりまして、いろいろな活動をしてまいるわけでございまするから、それの行政上の義務も生じてまいるわけでございます。さらにまたその工作物、固定資産等につきましての課税権の問題等も生じまするので、いろいろ先ほど来他の委員に対してお答え申し上げておりますような理由も考えました上で、ここに当初から新村を設置していくのが適当であるという判断をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/134
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135・千葉七郎
○千葉(七)委員 この問題はいつまで論じておっても明確な意見の一致ということは期待をされないわけでありますので、この問題につきましてはこれで打ち切りますが、そこで配付を受けました法律案の説明書によりますと、造成される土地は約二万五千ヘクタール、そしてそのうち農耕地が一万三千七百ヘクタールでありますが、その説明の書類によりますと、人口が二万一千二百人、一世帯当たり五人ということになっておりまして、そして世帯数がく土部で四千二百四十世帯、そのうち農業が二千四百世帯、このように説明されております。ところが、ただいま華山さんの質問に対するお答えは、農家一世帯あたりの耕作規模を五ヘクタールにするか十ヘクタールにするかまだきまってない、こういう御答弁のようでしたが、そういたしますと、ここに配付を受けましたこの説明書なり資料なりは全部うそだということになるわけですね。うそのものを書いてわれわれに渡した。これはこの点がはっきりしなければこの法律の審議が進められないのじゃないかというふうな感じを私は持つのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/135
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136・佐久間彊
○佐久間政府委員 私どものほうから御配付を申し上げました資料は、入植計画はまだ確定を見ていないが一戸五ヘクタールとすれば云々というふうに申しております。また十ヘクタールとすれば云々と申しておりますので、先生が御指摘になっておりまするのは、当委員会の調査室のほうでお調べになったものではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/136
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137・千葉七郎
○千葉(七)委員 衆議院地方行政、委員会調査室で配ったものですね。それにはこのように書いてある。四千二百四十世帯のうち農業が二千四百世帯、商工業が八百四十世帯、給与生活一千世帯、こういうふうに書いてあります。そこで十ヘクタールなり五ヘクタールなりの農家経営の規模に、どちらに決定をするかによって、この商工業の世帯数も違ってくるでありましょうし、それから給与生活者の世帯数も違ってくる、こういうことになってくるわけです。私はなぜその点をお伺いするのかと申しますと、この営農の規模によって、はたして将来ここに入植した農家が、この配られた説明書に書いてあるように農業所得が可能であるかどうかという点を心配するからです。一体この計画によりますと、総工費が三百三十何億円ですから、したがってその三百三十何億円で完成するかどうかは、これは工事が、残っている点もありましょうから、はたして予算どおり予定どおりの工事費で完成するかどうかということもはっきりしないでありましょうけれども、現在の予定によりますと三百三十数億円で一万五千へクタタールほどの耕地ができる、こういう計算になっておりますから、したがって大体一ヘクタール当たりの工事費が二百万円ほどになる計算になりますね。二百万をちょっとこえる、二百二十万くらいの工事費になるようであります。一反歩当たりにしまして二十二万円くらいの工事費になるのでありますが、この一反歩当たりの耕地の値段が二十二万円ばかりになるそれを、一体政府の考えでは入植者に対して幾らで払い下げをするか、こういう点をお伺いいたしたいと思うわけであります。一反歩当たり幾らで払い下げをする予定であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/137
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138・大場敏彦
○大場説明員 ただいまお尋ねになりました干拓事業の結果造成されました土地につきましての代金の額でございます。現在大規模な干拓事業は国の特別会計で実施しております。現在のきまりといたしましては、八郎潟だけではございませんで、いろいろの干拓事業がございます。一般にはかかりました事業費の二五%を地元が負担する、こういう仕組になっております。八郎の場合は若干事情が違いまして、三十二年度から着工しておりますから、年度によってその負担区分が違っております。たとえば三十二年から三十五年まででしたら二〇%、三十六年度以降でしたら事業費の二五%を地元が負担するということになっております。そういうルールが一応きまっておりますが、片や反当たりの上限、下限というものがございまして、その二五%なら二五%という形で計算されました額が下限よりも下のところは下限まで、上限よりも突き出ているときは上限にとどめる、こういう制度がございまして、現在のところ下限の額は三十九年度におきましては反当たり八万五千円。それから上限の額は九万円ということになる予定であります。したがいまして、八郎潟の場合におきましては、反当たり九万円が最高限度に相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/138
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139・千葉七郎
○千葉(七)委員 反当り九万円といたしますと、この案内書によりますと、これは秋田県で出したのです。われわれのほうで出したのじゃないから責任がないといわれちゃ困りますが、それによりますと、一戸当たり五ヘクタールとして一戸当たりの農業所得百万円が可能となる計画だ。それから二戸当たり十ヘクタールにすると、二月当たりの農業所得が二百万円程度が可能だ、こういうように書いてあります。かりに一戸当たり五ヘクタールにしますと、一反歩九万円ということになりますと、一ヘクタールが九十万円、五ヘクタールで四百五十万円、そのほかに住宅建設費あるいは農業経営に必要なそれぞれの作業場等を考えてみますと、おそらくこれも二百万円以上の資金が必要ではないかと思う。合計いたしまして、六、七百万の資金が必要となってくるのだろうと思うのですが、そこで入植者の資格条件というのが下に書いてあります。その資格条件の第二項には、入植者としての生活と農業を営むに差しつかえないような必要な資金や現物を携行できる者だけを入れるのだ、こう書いてある。つまり七百万ないし八百万金がなければ入植できないということになるのですが、その資金の供給の計画というものは農林省あるいは自治省等では考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/139
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140・大場敏彦
○大場説明員 ただいま先生が御指摘になりました土地代金あるいはその他の農業川施設につき産しては、たとえば土地代金につきましては、これは現在特別会計が事業を実施しております。事業が完了いたしまして、農民が土地の配分を受けて原始取得する。それから一ぺんに返すのではございませんで、現在の制度では三年据え置きの二十二年、こういう制度で逐次毎年返すということに相なります。ですから、一ぺんにそれだけの資金を携行するという必要はないと思います。
それから、これはなお検討を要する問題でございますが、農業用施設、ここに導入いたします経営といたしましては、たとえば六十ヘクタールを単位といたしました十二戸、戸当たりにいたしますれば、五ヘクタール、そういった大型機械化というものを考えたいと思っておるわけであります。したがいまして、それに対して資本装備も相当に要ろうかと思います。そういう資本装備に対しましては、農民自身がすぐ大型機械、たとえばトラクターあるいはコンバイン、そういったものを自分自身の手持ち資金で買うということは非常に困難だと思います。したがいまして、私どもが考えておりますやり方といたしましては、たとえば事業団みたいなものをつくりまして、そういう事業団みたいな機関が大型機械を財政投融資あるいは政府からの補助金を受けて購入いたしまして、それを農民にしばらくの間貸与する。一定期間たちましたならば農民に譲渡する。その譲渡した場合の代金はやはりロングランにわたって返してもらう、経営の圧迫にならないような形で返してもらうというふうに考えております。したがいまして、一ぺんに多額の携行資金がなければ入れないという形はできるだけ避けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/140
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141・千葉七郎
○千葉(七)委員 土地代金あるいは住宅等の建設資金の支払いの期間は三年据え置きの二十二年ですか。――そういうことでありましても、そうしますと、二十五年の期間で支払いをするということになりますと、七百万ないし八百万の資金が必要だということになれば、これまた元金、だけでも二十万ないし三十万の資金を支払わなければならぬ、こういうことになるわけですが、それ、だけの必要な資金に対しては無利子で貸し付けをするという考えですか、あるいは相当の利子を取るという考えですか、その点もあわせてお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/141
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142・大場敏彦
○大場説明員 土地代金の支払い条件といたしましては、ただいま三年据え置き二十二年の均等償還ということを申し上げましたけれども、この場合の利率は年利たしか六分であったかと記憶しております。それからあとのいろいろな共同利用施設、たとえば大型機械、そういうものにつきましていかなる条件で農民の償還条件を決定するかということは今後きめるべき問題でありまして、まだ現在のところ決定しておりません。ただし、入植の初期におきましては、すぐ収穫があがるわけではございませんので、次年度にあがるわけでございますから、若干携行資金は必要かと思います。それにつきましては、その資金手当をしなければならない、その検討をするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/142
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143・千葉七郎
○千葉(七)委員 六分の利息を付して土地代金、それから住宅資金等の支払いを受ける、こういうことでありますが、少なくとも土地代金だけでも四百五十万ないし五百万、十ヘクタールにしますと九百万以上の資金になるわけでありますが、五ヘクタールの経営規模ということにいたしましても、住宅資金まで計算をしますと少なくとも六百万程度の資金が必要なわけです。そこで、この六百万の資金に対する六分の利子は三十六万、こういうことになるわけです。しかるにこの計画書によりますと、一万五千ヘクタールから一年間に米が六万三千トン、約四十二万石収穫があるような計画になっておるのです。一万四千七百八十五ヘクタールから四十二万石の収穫ということになりますと、一反歩三石弱、二石九斗ばかりの収穫を見込んでおるようですが、あまりにこの収穫の見込み高が過大ではないかというような感じがするのですが、どうでしょう。少なくとも一反歩三石程度の収穫、平均それだけの収穫を見るということになりますと、最も土壌のいいところで四石から、五石くらいとれなければ、平均三石の収穫にはならないのではないか、こういうようにも考えられるわけであります。しかし御承知のようにこの八郎潟は海面とつながっているところでありまして、したがって海水も相当に潮の関係では入ってまいっておるであろうということももちろん考えられまするし、そういうことでありますれば、干拓された土地は相当塩分を含んでいるのではないか。そういったような土地の条件のところから干拓、入植して、直ちに一反歩三石の収穫を見込むということは非常に過大な見積もりをしておるのではないか、計画をしておるのではないか、このように考えられるのですが、一体そういう計画はどこで立てたんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/143
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144・大場敏彦
○大場説明員 ただいま御指摘になりましたこれは秋田県のパンフレットでございまして、生産量なんかが出ておりますが、これはおそらく大体三石水準くらい、大体秋田県の推定実収は三石水準ということをもとにいたしまして推定されたものだろうと思います。御指摘のように八郎潟の塩分あるいは土壌の性質が当初におきましては熟しておりません。ですから直ちにこの三石水準というところまでいくという保証はございません。おそらくこの三石水準という問題につきましては、数年たって土壌がある程度安定した姿というものを想定して生産量をはじいてあるのではなかろうかと思います。反当たりの生産水準でございまするが、現在秋田県の農業試験場でいろいろな試験をやっております。八郎潟の湖底の土壌を持ってきまして、それによりまして試験をやっております。その成績によりますと、やはり反当たり二年くらいは二石半くらい、その程度から逐次だんだん上昇カーブを描きまして、大体四年くらいたちますと三石水準を突破するという結果が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/144
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145・千葉七郎
○千葉(七)委員 いま秋田県の計画だというのですけれども、これはどこで配ったのですか。これでもそう書いてありますね、自治省で配ったのにもそう書いてあります。四十二石と書いてあるのです。最初から三石の収穫を見込んでおる。いまの説明によりますと最初は二石だ、こういうのですからそれは二石でもよろしいのです。
さて、そこで二石収穫があるものといたしますと、いま米の値段は一石一万三千二百余円ですか、そうすると一反歩当たりの収入は粗収入で二万六千四百円、五ヘクタールで百三十万ばかりですね。そのうち土地の代金と住宅の建設費の支払いが利子と元金を加えますと大体六十万円になりますね。五ヘクタールを耕作して土地の代金と利子支払いで六十万円の支払いをしますと、百三十万の粗収入からその土地代金と利子だけを引いただけでも七十万円しか残らないという勘定になる。それから五ヘクタール分の農業質材なり肥料なりを差し引きますと、私の計算ではおそらく三十万か三十五万しか所得が残ってこないのではないか、このように考えられる。五ヘクタールを耕作するには、いろいろ機械農業でやるそうでありますから、労力も相当に省かれるとは思いまするけれども、それでもなおかつ労働力は五ヘクタールに対しては少なくとも五百くらいは要るのではないか。一反歩十人としましても五百人。五百人で三十万ないし三十五万の所得ということになると、一日当たりの労賃がわずかに六百円くらいにしかならないのではないかというふうに考えられる。しかもこれは一反歩十人の労働力で耕作するものと見てそうです。もしこれが十五人ないし二十人を必要とするということになれば、一日当たりの労賃が三百円くらいになってしまうおそれがあるのじゃないか、こういう計算が出てくるわけです。反当収重二石として五ヘクタールの規模でもって農林省の計算ではどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/145
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146・大場敏彦
○大場説明員 八郎潟に算入すべき営農タイプといたしましては、いま御指摘になりました大型機械作業タイプ、基軸作物としては稲作ということになろうかと考えているわけでございますが、現在まだこれはそういう大型大圃場を単位といたしました大型機械化作業体系というのは、日本では初めてといっていいくらいの試みであります。現在作業体系試験を干拓地におきまして国の費用一をもって実施いたしております。それをさらに経営試験というところまで精度を高めまして、それで経営の形をはっきり固めまして入植していきたい、こういうふうに考えているわけでございますが、私どもの試みの計算といいますか、そういうもので考えますと、かりに初年ないしは二年、これは反当たり二石半くらいの水準ではないだろうかということになりますと、農業の所得といたしましては六十ヘクタールを一つの単位として考えておりますので、トータルといたしましては、現在の三十八年産米価が約一万三千二百五円でございましたかになっております。そういうことから考えますと、農業粗収入あるいは農業経営費、そういった事情を勘案いたしますと、ほぼ千三百万程度にはなるのではなかろうか、一戸当たり百万円ぐらいと見ております。初めのうちはそういう程度で、反収が低いからそういうことになると思います。それからあと土地代金あるいは住宅そういったものが費用価格と思いますが、これが大体千三百万のうち半分くらいであろう、そうしますと、可処分所得といたしましては六十ヘクタール大体六百数十万ぐらいは残るのではなかろうかというような試算はしたことがございます。なお、この粘度は先ほど申し上げましたように、現在試験を実施いたしておりますので、その試験の結果を見ながら、さらに精度を高めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/146
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147・千葉七郎
○千葉(七)委員 私、心配しているようなことができないことを祈っているわけですが、戦後引き揚げ者等が入植して開墾をやっておって、そうして最近に至っては経営がとても続けることができなくなって、離農する開拓農家がたくさん出てきておる。この八郎潟の入植も政府のほうではうまいことを宣伝をして、そうして入植をさしてやってみたら、既存の農業経営のほうがよかった、そういうことになるおそれがあるのではないか、こういうことが心配されるので、いろいろその点をお伺いをいたしておるわけなんでありますが、自治省のほうで新村建設の法律をつくって、そしてそれぞれ新村の行政の機関をそろえて発足をしたが、さて入植者も少ない、あるいは入植をしてもとうてい営農を続けていくことができないといったようなことで、あとでいろいろな問題が起こる心配はないか。これはもちろん農林省のほうでは、それぞれ専門の学識経験者等、あるいは農林省のそれぞれの担当の関係の方々が計画をしておられると思いますから、したがって私の心配をしているようなことは万が一にも起きないだろうと思うし、起こってはもちろん困るのですが、しかしそういう心配が絶無であるとはいえない。そういう状態のとき、自治省が何を急いでこの新村建設の法律をつくる必要があるかということを私は疑問に思うのです。でき上がった土地は一時は周辺の関係市町村に分属をさせたという形にしておいて、そして営農の状態が安定をし、入植者も定住する見通しがはっきりついたとき新しい村をつくることにしても、一向におそくないのではないか。ここに入植をさせて、農林省のほうでは特別会計で資金を多額に注ぎ込んで、そして新しい営農形態によって、日本の農業の最も理想的な経営の形態をつくり上げようという農林省の考えはわかります。そうなってくれれはいいということを私も祈っているのですけれども、しかしこれはやってみなければわからない。農林省で計画をしておるように、はたして六十ヘクタールの共同経営の一区域から千三百万の粗収入があり、六百万の農家の所得があるかどうかということは、少なくとも五年なり七年なりたってみなければ、そういう実態があらわれるかあらわれないかということがはっきりしてこない。そういう不安定なところに急いで新しい村をつくって、そして何ら直接生産には関係のない住民をそこへ入れて、しかもその入った住民からも、おそらく収入が少なくても税金は取るのでしょう、税金を取って、そしてこの村の形をやっていかなければならぬかということは、私全く了解に苦しむ、そういうことでお伺いをしているのです。しかもこの法案によりますと、新村設置の指定の日から四年の間は、住民の声を聞くという――さっきも華山さんから御指摘があったのですけれども、そういう機関の設置ということは、この法案には全然盛られていないようであります。指定日から起算して四年を経過した月の前日までにおいて、自治体の長であるとかあるいは議員であるとか、その他の委員会の委員等が選任をされる、こういうふうになっておるようでありますが、この四年の間は、これはもちろんその前日までの間に行なわれものですから、二年で行なわれるかあるいは三年で行なわれるかこれはわかりませんけれども、とにかく最大限四年の間は長も選挙されない、議員も選挙されない、その他の委員会の委員等も選挙をされない、こういうことでありますから、四年間は住民の意思が全然村政に反映をしない、こういうことでありますが、これはなぜ四年間もそういう機関を設けないか。四年もそういう機関を設ける必要がないというふうに考えているわけですか、その点をひとつ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/147
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148・佐久間彊
○佐久間政府委員 先生のお尋ねになっておられます条文は、あるいはお読み違いになっておられやせぬかと思うのでございます。第九条で四年を経過した日の前日までの間において選挙され選任される新村の議会の議員、長云々、そういう者は任期は二年とする、これは任期を二年とするということの規定でございます。それで、長の選挙や議員の選挙は、第三条で書いてございますように自治大臣の指定する日に行なうわけでございますが、自治大臣の指定する日は、先ほども申し上げましたように、第一回の入植者が四十二年に入りまして、落ちつきましたらできるだけ早い機会に行ないたい、四十二年度中に行ないたいというふうに考えております。そこでこの第九条で申しておりますのは、そのときに選挙されました議員や長の任期は四年ではなくて二年にしよう、その理由といたしましては、翌年さらにまた第二回目の入植者が入ってくる、その次にまた第三回目の入植者が入ってくるということで、年々新しい住民がふえてくるわけでございますから、そのときに選挙いたしました者が四年間も議員なり長なりをやっておったのでは、新しい民意が反映しにくくなる。そこで最初の四年間だけは任期を二年にいたしまして、二年目にもう一ぺん、そのときの住民の民意がよりよく反映いたしますように選挙をやらせよう、こういう趣旨でそのようにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/148
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149・千葉七郎
○千葉(七)委員 わかりました。私の読み違いであったと思いますが、そこでこの規定によりますと、新村の長あるいは議員等は二年の後に選挙をされるといたしまして、選挙管理委員会、監査委員、教育委員会、公平委員会等は二年間は置かない、こういうことになっておりまして、これらの委員会は都道府県の選挙管理委員会、監査委員会教育委員会及び人事委員会が代行するということになっておるわけですが、ここではずされておるのは同定資産評価審査委員会については何ら代行の規定がないのでありますが、この同定資産評価審益委員会はだれがその仕事を執行する責任者になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/149
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150・森清
○森説明員 固定資産評価審査委員会という制度は、村が完全な形ででき上がるまでは置かないという形にいたしておるわけであります。評価そのものをどうとかということでなくて、評価に対して異議を申し立てるのに対する評価審査委員会でございます。
なぜこの制度を置かなかったかということでございますが、実態を考えますと、この固定資産評価審査委員会の仕事というものは、固定資産を評価いたします。その評価について問題ももちろんありましょうが、その評価がきまりましてそれに税率をかけて税額が算定される。そして税金の通知がくるわけであります。そこで普通ならば税金が課税されたときに異議の申し立てという行為が行なわれていくわけでありますが、固定資産税のように一度額をきめたらそう変動のないものについては、評価のときにそのことについての争いが終結しておる。そうしておくことが事務能率的であるということで設けられた制度であります。したがいましてこの評価審査委員会がないときには、具体的に税金を課税されたときに評価そのものについてもあるいは税額そのものについても異議のあるものはそれについて異議の申し立て、すなわち通常の訴訟制度によって道が開かれておるわけでございます。この新村におきまして、そういう意味での大量的に処理しなければならぬ事務もありませんし、まだ村として確定していない間に評価審査委員会の委員として適任者が必ずしもいるとは思われないし、またそういうものを置かなくても十分納税者の保護にはなる、こういう観点から評価審査委員会は置かない、そういうことにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/150
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151・千葉七郎
○千葉(七)委員 もう二、三点お伺いをしたいと思いますが、この財政の問題なのでありますが、執行者、これは県のほうからそれぞれの規定によって派遣をされるわけですが、執行者、職員の給料はどこが支払うわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/151
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152・佐久間彊
○佐久間政府委員 県が支払います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/152
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153・千葉七郎
○千葉(七)委員 それからこの計画書を読みますと、それぞれ入植者がふえてくるに従ってそれぞれの公共営造物等が建築されてまいるわけでありますが、この説明書によりますと、学校、病院その他の公共営造物が施設されるわけですが、その資金等については当然村が負担をしなければならないと思うのですけれども、その資金の調達はどういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/153
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154・佐久間彊
○佐久間政府委員 学校、病院等の施設につきましては、これは現在農林省とお打ち合わせ中でございまするが、明年度におきまして事業団をつくりまして、その事業団によって建設事業をやってもらうという考え方をいたしております。事業団には主として国費あるいは県から一部負担をすると思いますが、そういうことでやりまして、本来新村が負担すべきでございますが、事業団に立てかえて事業の執行をしてもらう、事後の措置はその上で講ずるというふうな考え方で当分はまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/154
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155・千葉七郎
○千葉(七)委員 事業団が執行してこれらの建造物を整理する、こういうことになるわけでありますが、その設備費の最終的な負担はどこでやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/155
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156・佐久間彊
○佐久間政府委員 それが本来村で設置すべきものでございますれば、最終的には村が負担することになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/156
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157・千葉七郎
○千葉(七)委員 最終的には村が負担をするということですが、発足当時の新村でありますから、したがって税収入も十分ではないと思う。しかし経費の支出のほうは非常に膨大な支出になってくると思うのです。したがってこの歳入と歳出のバランスは、おそらく五年や十年ではとてもとれないと思うのです。そういうアンバランスに対する、それを補てんする国の方策は、おそらくは地方交付税交付金等によってその不足分を補てんするというようなことになるだろうとは思うのですけれども、しかし交付税交付金等が通常の率ではとうてい追いつかないのではないかということが考えられるわけです。そういう場合には国のほうではどういう施策を講ずる考えですか、その点もお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/157
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158・佐久間彊
○佐久間政府委員 公共施設を事業団にやってもらいます場合は、いわば立てかえて執行してもらう形になりまして、しかもそれを村で負担すると申しましても、御指摘のように当初はその負担の能力もございませんので、長期間にわたりまして村の財政力もにらみ合わせまして逐次償還をしていくという方法をとりたいと思います。なお、そのほかの財政運営についても、御指摘のように当初の間におきましては負担能力がないわけでございますので、交付税、起債等の運用によりまして、場合によりましては特別な措置も考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/158
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159・千葉七郎
○千葉(七)委員 いろいろお伺いをいたしましたが、いずれにいたしましても営農計画等についてもいまだ決定的な計画はできていないようであります。たとえば一戸当たりの営農規模を、これはもちろん六十ヘクタールを一区画としての共同経営体にしようということでありますから、一戸当たりの土地の所有の面積を五ヘクタールにするか十ヘクタールにするかということもまだきまっていない、したがってそのどちらにするかということによってこの村の規模が大きく違ってくるわけです。五ヘクタールにすればもちろん四千何百戸という村ができるのでありましょうが、十ヘクタールにすれば三千戸程度の村になる。こういうことでありまして、したがって五ヘクタールと十ヘクタールの場合とで公共施設等も非常に違ってくるわけであります。そういうことで、村はできても村の計画というものはこれからどうしようかということなのでありますが、十ヘクタールの農家にしましても五ヘクタールの農家にしましても、私の考えでは、ここしばらく十年や十五年というものは、おそらく入植した農家は営農の状態も安定しないであろうし、農業収入等についてもそう計画どおりに収穫が上がるかどうかということも非常に心配されるわけであります。そこで、こういう方法によって新村をつくることが一番容易な方法でありましょうから、これはこれとして認めるといたしましても、これからの村の経営ということには大きな不安と心配が残るわけでありますから、そういう点、自治省といたしましては地方の村なり自治体なりを発展させるという立場にあるわけでありますから、関係機関とも十分に連絡協議をされまして、いささかでも入植者に対して不安が起こらないような十分な注意をお願い申し上げたいと存じます。
以上で私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/159
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160・細谷治嘉
○細谷委員 関連して。時間がありませんから簡単にお尋ねしますが、ひとつ簡単明瞭にお答えいただきたいと存じます。
まずお尋ねしたいことは、農林省は甲案でいくのか乙案でいくのか、それをお尋ねします。これはおわかりにならないかと思いますけれども、八郎潟干拓事業企画研究会報告書類集というのが三十八年九月に農林省農地局から出ており、甲案というのは五ヘクタール、乙案というのは十ヘクタールですね。このどちらでいくのか、これをまずお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/160
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161・大場敏彦
○大場説明員 率直に申し上げますれば、現在の段階ではまだ甲乙いずれにするという決定的なことを申し上げるまでには至っておりません。ただし議論として出ておりますのは、ただいま御指摘になりましたように六十ヘクタールを単位といたしまして、そこへ大型機機化作業体系、大圃場単位という経営を導入したい。その場合に協業戸数といたしましては、五ヘクタールをとれば十二戸になりますし、十ヘクタールをとれば六ないし七戸になるわけでありますが、いずれをとるかにつきましての最終的な答えは、私からお答えできる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/161
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162・細谷治嘉
○細谷委員 この問題は出発点でありますが、甲案でいくのか乙案でいくのかまだ決定しておらぬようであります。これはひとつ保留しておきます。
もう一つお尋ねしますが、これは秋田県でつくった資料でございますけれども、非常なイメージといいますかビジョンが得かれてあるわけです。「数万の人口を擁する一大農村が建設され農業経営と生活に必要な諸設備も備わった理想的な新天地が拓けることになり、この地域一帯の経済発展に好影響を与える」、いま千葉委員が質問したように、非常に甘い夢一が描かれておるのですが、その次に気になることがあるのです。というのは、この干拓は水面下三メートルか四メートルくらいあるわけです。私も水害にあった経験があるのですが「石油、ガス等の地下資源の開発をも容易ならしめるなど、その効果は計り知れない」と書いてあるのであります。この地下資源があるのか、どうか、あるとすればこの地下資源も開発するつもりなのかどうか、これは干拓の堤防等を守るために非常に重要な問題でありますからお尋ねしておきます。
〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/162
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163・大場敏彦
○大場説明員 農林省といたしましてで、ここに約一万数千ヘクタールの土地ができるわけでありますが、甘い夢と申しますか、そういう幻想は厳に避くべきでございますけれども、せっかく新しい土地が造成されるわけでございますので、やはりわが国の農業のモデルになるような新しい姿の農村環境をつくっていきたいという構想を持っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/163
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164・細谷治嘉
○細谷委員 私は甘い夢のことを聞いておるのではないのです。地下資源があるのかないのか、あるとすればそれを開発する考えがあるのかないのか、これは干拓の堰堤等を守るために非常に必要だから特に聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/164
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165・大場敏彦
○大場説明員 新農村を造成したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/165
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166・細谷治嘉
○細谷委員 そうすると石油なりガス等が埋蔵されておってもそれはやらないという農林省の方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/166
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167・大場敏彦
○大場説明員 石油資源等の問題につきましては、まだ調査が行き届いておらない点が多かろうと思います。鉱業権との調整につきましては、新農村を建設する過程におきまして、あるいはその前段階としての計画をつくる段階におきまして調整したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/167
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168・細谷治嘉
○細谷委員 その前に、一体石油資源とか天然ガス等の資源があるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/168
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169・大場敏彦
○大場説明員 石油、ガス等の地下資源がはたしてあるかどうか、この点については確言はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/169
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170・細谷治嘉
○細谷委員 私はこれを見まして、非常に多目的の干拓ということで出発しておらなかったと思いますが、この開発が一つの目的であるかのごとくに書かれてありますので、しかも天然ガスもある地域だし石油もある地域でありますだけに、非常に心配しております。しかも干拓の堤防というのが、新潟、秋田の天然ガスというものは多量の水とともに出てくるだけに、この干拓自体の今後の営農計画の基本になりますから非常に心配しておるので、その点をお尋ねしておるわけであります。これはその程度にしておきます。
そこでお尋ねしたいのですが、甲案と乙案というものが農林省ではきまっておりません。先ほど来の質問で、自治法等の一部改正というものは憲法上問題になるのじゃないか、まだ無の段階においてなぜこういう法律をこの機会に出さなければならなかったのかという質問がありましたが、これは質問がありましたから、私は次の質問をいたします。
甲案と乙案がきまっておりませんと、今後の財政計画というものは根本的に違ってまいります。そういう段階において、ただ村だけつくるのだ、しかもいまは二、三十人しか準備をする人がおらない、村の形態はゼロだ、そういう段階において、基本になる営農計画すらきまっておらぬ。したがって財政計画がきまっておらぬ、それはあとで公団でやりますということでありますが、四十六年までにはこれだけの人口が入ってくるわけです。二千四百戸ほど入ってまいります。そうなってまいりますと、きわめて片手落ちでありますが、私が端的に言って、四十二年までの時期、四十二年から入植者が入っていって四十六年に完成する時期、それから後という段階があると思うのですが、一体その間の財政計画はどういうことになるのか。農林省の計画によりますと、甲案の場合は新村が七億三千八百万円の負担になる、乙案ですと三億九千二百万円の負担になるというのです。県は、甲案の場合二億三千四百万、乙案の場合一億二千三百万、合計いたしますと甲案で九億七千二百万、乙案の場合には五億一千五百万と、負担が四億くらい違うのです。しかもそれをずっと洗ってまいりますと、いまの負担金、補助金制度の中においては、毎年毎年一千万円くらいの赤字が新村に生まれるわけですけれども、そういう財政計画は全然明らかになっておりません。その基本が明らかになっておらぬですから、明らかになっておらぬわけです。そういう一番大切な点が忘れられて、ただ新村さえ、ゼロなんだけれどもつくればいいのではないかという形で出したことは、私はきわめて不用意だと思う。そこで、この法律は法律として、新村をつくるのはここまで来たのだからやむを得ないとして、そういう問題がはっきり納得できる。こういうふうに四十二年まで進んでいきます、四十六年まではこうなります、でき上がったときにはこうなります、この場合にはこういう補助金をやっていきます。――地方交付税の特例なんというのはいけません。やはり補助金以外にありません。地方交付税というのは普遍的なもので、特別な交付の方法ができません。そういうことでありますから、やはり補助の特例をやる。いまの補助ですと、私が言ったように、毎年毎年新しい村で一千万円の赤字、しかもこの干拓は、収穫の面も、人口の入植の状況も、計画よりおくれがちになることははっきりしている。要るほうはどんどん要ります。借金の利子はどんどんふえてくる。入ってくるほうは計画よりおくれがちという事情を考えますと、たいへんな問題になってくる。私はこの点、時間がありませんので質問しないつもりだったが、参議院のほうでもこの辺が明らかになっておりません。ぜひこれは、この新村を計画していくその事業計画とそれを裏づけする財政計画を、不即不離の問題として、直ちにというわけにはいかないかもしれないが、早急に作成して出していただけるものかどうか、これをひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/170
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171・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘になりました点は、私どもも、そのとおり、できるだけ早く事業計画もつくりまして、またそれに見合う資金計画、財政計画もつくっていかなければいかぬ、かように考えております。農林省とも寄り寄り御相談をいたしておるわけでございまして、明年度におきましては、先ほどお話の出ましたように、公共施設を中心といたしましたあるいは営農基盤の造成を中心といたしました事業団の設置の構想を、現在相談いたしておるわけでございます。それが発足をいたしますまでには、ただいま御指摘の計画も、甲案によるか、乙案によるか、それも固めなければならない。四十二年度には第一回の入植をやる予定にいたしておりますので、四十年度中ぐらいにはそれらの計画も十分検討をいたしまして、はっきりいたしたものにいたしたい。私ども、地方財政の面から、御指摘のありましたように、いろいろ特別に配慮せねばならぬような問題も起こってこようと思いますが、これと関連をさせまして検討をしてまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/171
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172・細谷治嘉
○細谷委員 四十二年ごろまでにやる。まず一番大切なのは甲案でいくのか、乙案でいくのかという営農計画の問題、それに基づいて、入ってくる人口はどうなってくるのか、新村計画はどうなっていくのか、したがって財政負担がどうなってくるのか、その新村の収入がどうなってくるのかという問題があります。したがって農林省は早く、甲案でいくのか乙案でいくのか、このイメージをどう描くのか、こういう問題をきちんとやってもらって、そして来年度から事業団をつくるのでありますが、事業団にしても、公団にいたしましても、新村計画をやるにいたしましても、先ほど来質問があります幾多の問題点がございます。そういう問題も一つも明らかになっていないのです。ぜひこれは明らかにしていただきたい。事業団がやるにしても、普通の国の融資なりあるいは補助でやっていけない、特例でもなければこれはやれないと思うのですが、そういう点をぜひ次の通常国会に、事業団が発足するならば、これは明らかにしてほしい、そう思うのですが、大臣にこれを御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/172
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173・赤澤正道
○赤澤国務大臣 将来のことでございますが、御趣旨の点は案ぜられるわけでございますので、それにつきましては十分検討いたしまして、御趣旨に沿うような措置を考えなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/173
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174・細谷治嘉
○細谷委員 その事業計画、それに伴う財政計画というものをできるだけ早くつくって示すということでありますが、先ほど来るる質問がありましたように、この法案にはずいぶん問題点が多いし、端的に言ってめくらで可決するような観があります。
そこで私は委員長にお願いしたいのですが、めくらでは衆議院としてやはり通過できない、させられないのじゃないかと思うのですが、その計画についてはひとつ自治省でつくっていただくとして、この実態は、地方自治の問題にとっても、あるいは財政上にとっても重要な問題でありますから、適当な時期に、この委員会として、責任ある対処をしていくという意味において、実地を視察するというようなことをお考えいただくことがいいのではないかと思いますが、委員長の善処を要望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/174
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175・森田重次郎
○森田委員長 私、もっともな御意見だと思います。私も全く同感でございますから、適当な時期にひとつやってみたいと思っております。
他に質疑はありませんか。――なければ、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/175
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176・森田重次郎
○森田委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/176
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177・森田重次郎
○森田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/177
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178・森田重次郎
○森田委員長 この際、田川誠一君、安井吉典君及び栗山礼行君から本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。田川誠一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/178
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179・田川誠一
○田川委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自流法等の特例に関する法律案に対する附帯決議案の趣旨説明を行ないたいと存じます。
まず、附帯決議案の案文を朗読いたします。
大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行にあたり、地方自治の本旨に基づき、新村の設置選挙を出来る限り速やかに行なうものとし、新村の議会が成立するまでの間においても、条例の制定その他議会の議決事項の決定にあたっては、公聴会の開催又は住民組織の代表者の意見を聴取するなど住民の意思が十分反映されるよう配慮すべきである。
右決議する。
以上が案文であります。
次に、提案の趣旨を御説明申し上げます。
御承知のように、本法律案におきましては、新村の設置による最初の長の選挙及び議会の議員の一般選挙は、新村における共同社会の形成に伴い自治大臣が指定する日以後五十日以内に行なうこととしております。しかしながら、あらためて述べるまでもなく、住民の意思に基づく自治の運営は、地方自治の本旨とするところでありますので、政府は、本法の施行にあたり、十分この点に配意し、設置選挙の日をできるだけ早め、公選による村長及び議会の議員を選出することによって、正常な自治体を建設し、住民による自治を確保することが重要であると考えるのであります。
また他方、設置選挙が行なわれるまでの間におきましても、条例の制定その他、本来議会が議決すべきものとされている事項につきましては、十二分に住民の意思を村政に反映させるため、公聴会の開催または住民組織の代表者の意見を聴取するなどの方法により、新村の適正な運営を期すべきであると思うのであります。
以上が本決議案を提出した理由であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/179
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180・森田重次郎
○森田委員長 本動議について採決いたします。
本動議のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/180
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181・森田重次郎
○森田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は田川誠一君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、赤澤自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。赤澤自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/181
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182・赤澤正道
○赤澤国務大臣 ただいまの御決議の趣旨は十分尊重いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/182
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183・森田重次郎
○森田委員長 おはかりいたします。
ただいま議決されました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/183
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184・森田重次郎
○森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/184
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185・森田重次郎
○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604720X05619640612/185
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