1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十六日(月曜日)
午後四時三十八分開議
出席小委員
小委員長 永田 亮一君
大石 八治君 久保田円次君
田川 誠一君 村山 達雄君
千葉 七郎君 安井 吉典君
出席政府委員
自治事務官
(大臣官房参事
官) 宮澤 弘君
自治事務官
(税務局長) 細郷 道一君
小委員外の出席者
地方行政委員 渡海元三郎君
地方行政委員 門司 亮君
自治事務官
(税務局府県
税課長) 佐々木喜久治君
自治事務官
(税務局市町村
税課長) 森岡 敞君
自治事務官
(税務局固定資
産税課長) 石川 一郎君
専 門 員 越村安太郎君
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本日の会議に付した案件
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一〇九号)
市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の
特別措置に関する法律案(内閣提出第一一〇
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604754X00619640316/0
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001・永田亮一
○永田小委員長 これより地方行政委員会地方税法等の一部を改正する法律案等審査小委員会を開会いたします。
地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案について審査を進めます。
前会と同様懇談の形式で行なうことといたしますので、さよう御了承を願います。
それでは懇談に入ります。
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〔午後四時三十九分懇談会に入る〕
〔午後五時九分懇談会を終わる〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604754X00619640316/1
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002・永田亮一
○永田小委員長 以上で懇談を終わりまして、本日をもって小委員会の審査を終了いたしたいと存じます。
つきましては、委員会に報告をいたします本小委員会における審査の結果及びおもなる論点等について申し上げます。
小委員長報告案
ただいま報告を求められました地方税法等の一部を改正する法律案等審査小委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
本小委員会は、地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案につきまして、その住民負担及び地方財政に及ぼす影響の重大なることにかんがみ、去る三月五日設置せられ、小委員十名が選任せられたのでありますが、三月七日第一回の小委員会を開き、その後十六日まで六回にわたって開会し、委員各位の御精進により、熱心に審査を進めて参ったのであります。
審査は主として懇談的に進めましたが、まず、政府当局より改正案について説明を聴取した後、税目別に政府当局に質疑を行なうとともに、地方税制運営の現状、住民負担の実態、税制調査会の論議の要旨、改正案の経緯及びこの改正案を施行した場合における影響など、広範多岐にわたる論議を行なったのであります。
審査における主な論点を申し上げます。
第一に、住民税について申し上げます。
まず、市町村民税所得割の制度改正については、改正による減収見込み額、減税補てん債の額、地方交付税等の自然増収と住民税減税補てんとの関係及び納税義務者の減少状況等について、資料にもとずき、説明を聴取するとともに、おもに次のような論議が行なわれたのであります。
その一は、市町村民税の所得割の改正についてであります。従来、政府当局は、本文方式への統一や標準税率の設定については、市町村民税の負担分任性や税収入の弾力性の喪失などから、きわめて困難な面を有し、重大問題を惹起するので消極的であるという考え方のようであったが、今回の改正にはどのような考え方にもとずくものであるのか。著しい超過課税の団体について、標準税率の一・五倍をこえて課税することができないこととした理由は何であるか。制限税率の設定に伴い、従来、税源が乏しいため、行政水準の向上という見地から著しい超過課税をとらざるを得ない市町村については如何なる財政措置を講ずるのか。標準税率の設定に伴い、低所得者に対して課税所得の段階区分を細分することができないことになるが、法定される課税所得の段階区分及び税率については、現行の準拠税率そのままとしないで再検討すべきではないかとの意見がありました。
その二は、減収補てんについてであります。減収補てんについては毎年度二〇%ずつ逓減する方式をとるが、この補てん債の逓減に応じ補てんされない額については地方交付税の基準財政需要額にいかに反映させる方針であるか。減収補てんのための財源措置を三十八年度の不交付団体に適用しないのは、いかなる理由にもとずくのか。今回の地方交付税法の基準税率の改正に伴い、交付、不交付団体に移動を生ずることとなるが、三十九年度に不交付団体となるものに対する救済策をどうするか。減税に伴う減収を生ずる市町村において均等割を引き上げるおそれはないか。今回の減税は、本文方式採用の市町村についてはその恩恵はないではないか。
また障害者等に対する非課税範囲の拡大に関連して、本文方式における税額控除額等についても引き上げるべきではないかという意見がありました。
その三は、今回の改正に関連する問題についてであります。道府県民税の税率は旧に復して累進税率を採用した方がよいのではないか。法人税割について改正を行なわなかった理由は何か。法人の規模によって均等割に差を設ける必要はないか。給与所得者の負担が過重である現状にかんがみ、給与所得者の優遇措置について検討すべきではないか。所得割の課税標準は、前年の所得について算定しているが、現年所得について算定できないかという意見がありました。
さらに、市町村民税所得割の課税方式に関連して、国民健康保険税の所得割については、ただし書き方式を原則とし、本文方式によることも認めるという現行方式を存続する改正が行なわれているが、国民健康保険税ではただし書き方式をとり、市町村民税では本文方式をとることとなる市町村では、課税台帳を二本建てとすることとなり、事務が繁雑になるのではないか。国民健康保険税については、その税負担及び国保財政の現状にかんがみ、早急に改善合理化をはかるべきではないかという意見がありました。
第二に、事業税について申し上げます。
個人事業税の事業主控除について、性格をどのように考えるべきであるのか。引き上げに伴う人員の減少はどのくらいか。二万円引き上げた理由及びその根拠は何であるか。市町村民税所得割の課税最低限度引き上げを根拠の一つにするのは税程論上おかしいのではないかという意見があり、いずれにしても、この程度の事業主控除の引き上げあるいは軽減税率の適用範囲の拡大は、中小企業者に対する税負担の軽減をはかるという趣旨に沿わないのではないかという意見がありました。
第三に、不動産取得税について申し上げます。
本税の価格は、固定資産の新評価基準によって算定されることになるが、何らかの負担調整の措置を講ずる必要があるのではないかという意見があり、また、新評価にもとずく不動産取得税は、投機的意図をもつ土地に対する索制、ひいては地価騰貴の抑制の一策とも考えられるが政府はどのように考えるかという質疑も一ありました。
第四に、料理飲食等消費税について申し上げます。
今回の外人客に対する非課税措置について、改正の動機の一つに、わが国のホテル代が割り高であるということがあるのか。立案の過程から推察すれば、国際親善的行事であるオリンピック開催に際し、特に一時的な特例を設けようというものであり、期間を限定すべきではないか。キャバレー、料亭等における遊興を伴う飲食の場合、事実上遊興分と飲食分とを分別することが難かしく、徴税技術上その捕捉が困難であるとともに、遊興行為についても非課税とするに等しい結果となるおそれが生ずるのではないか。また、飲食行為以外の行為についてきびしく課税するとなると、かえって外人客に対し、その分別に疑惑の念を与えるのみならず、外人客を優遇し、好印象を与えるという法改正の趣旨に相反する結果となるのではないか。いずれにしても、オリンピックの機会に来日する外人客について特典を認めるとすれば、その期間、対象となる行為、及び場所を明確にすべきであるという強い意見がありました。
このほか料理飲食等消費税の税率は、現行の金額区分と場所区分に改正すべきではないかという意見もありました。
第五に、軽油引取税について申し上げます。
税率の引き上げが小売価格に転嫁された場合において、公共料金の抑制と道路整備による受益とがどのような相関関係にあるか。税率の引き上げは、必然的に自動車運賃にはね返り、ひいては物価値上りの一因をなすものではないか。また、政府の物価値上げ抑制のための措置、特に公営企業の料金抑制措置に対して逆行することとならないかという意見がありました。
第六に、固定資産税について申し上げます。
まずその一は、新固定資産評価基準についてでありますが、固定資産評価の目標となる適正な時価と瀞何か。法律事項でない評価基準の改正により課税標準が一挙に数倍となることは、租税法定主義のたてまえから不適当ではないか。農地については、農業経営の実態にかんがみ、収益還元方式による評価を基礎とすべきではないか。市町村間、府県間の境界地域について評価の均衡がとれているか。農地にかかる限界収益補正率につき、純収益額の算定にあたり自家労賃、農家利潤、地域間及び一毛作二毛作の差をどのように考えているか。限界収益補正率を五五%とすると、全国大多数の一町歩以内の農家に不利な結果とならないか。また、農家における未利用の畜舎及び耕作放棄農地等の遊休施設について、減価措置を講じているか等をただしたのであります。
その二は、次の基準年度までの暫定措置についてであります。農地については、昭和三十八年度税額を据え置き、農地以外の土地については、昭和三十八年度税額の二割増を限度とした理由は何か。採草地については農業構造改善事業を推進する見地から、農地と同一に取り扱うべきではないか。宅地等については結果として増税となり、評価改定に伴い増税を行わないとする趣旨に反しないか。またこれらの土地については、その評価増の状況が区々であり、これを一律に二割増を限度とすると、評価増の倍率が大きいものと少ないものとの間で均衡を失し、税負担の公平の見地から不適当ではないか。評価改定に伴い、相続税等の税率の引き下げを行なうべきではないかとの意見がありました。
その三は、次の基準年度における税負担の問題であります。次の基準年度においてはいかなる課税方法をとるのか。今回と同じように暫定措置を講ずるのか。税率の引き下げないし課税標準の特例等の恒久的調整措置を講ずるのか。この場合、固定資産税の性格について、財産課税と見るのか、収益課税と見るのか。評価の統一と資産間、地域間、用途別における担税力の差をどう考えるか。特に農地については特例を設けるべきではないか。いずれにせよ、今回の評価改定に伴い新評価額が四月一日から縦覧に供せられることになるが、この三年間の暫定措置の期間は一応よいとしても、その後は現行地方税法上、新評価額をもって直ちに課税できることになっており、国民は非常に不安の念を抱いているので、政府はこれら国民の不安を一掃するため、早急に固定資産税課税の明確な方針を示すべきだとする意見が圧倒的でありました。
その四は、課税標準の特例についてであります。住宅建設促進のための固定資産税の軽減については、一般新築住宅と中高層耐火新築住宅の間に、その適用に一年の差がある根拠は何か。また中高層耐火新築住宅について、三、四階建てと五階建て以上の間に軽減措置適用期間に差を設けた理由は何か。このような軽減措置により、現在でも大量の中高層建築、例えば公団住宅等が新設されたとき、その所在市町村は収入を上回って増加する財政需要に苦慮しているが、その対策を講ずべきであるとの意見がありました。
このほか大規模償却資産についての道府県課税は廃止すべきではないか。かりに廃止しないとしても、市町村行政との関連から大規模償却資産の種類により区別すべきではないかとの意見がありました。
なお、固定資産税と関連し、都市計画税においては、現在、土地、家屋のみを課税対象としているが、受益の状況を考え、この際償却資産もその対象に含めるべきであるとする意見もありました。
第七に、電気ガス税について申し上げます。
電気ガス税は、伸長性及び普遍性を備える税として市町村の有力な独立税源であるにかかわらず、三十七年度より毎年度税率は一%ずつ引き下げられており、市町村に不安の感を与えているが、本税の地方税収に占める地位の重要性や地方財政の現状にかんがみ、税率の引き下げは、もはや限界に達しているのではないか。政府は、本税のあるべき姿をどのように考えているのか。最近の生活水準の向上等、電気ガス使用の実態からみて免税点をさらに引き上げるべきではないか。また本税は、電気またはガスの消費を通じて使用者に担税力を見出し、これに着目して課する消費税であるとされているが、その根拠はどこにあるのか。家計支出のうち、電気、ガス代の増加割合と、所得の増加に伴う消費支出の増加割合とはどのような関係にあるのかという意見があり、また、産業用電気、ガスに対する課税について、産業用及び家庭用の電気使用量の割合、非課税措置による減収額等についてただした後、重要基幹産業あるいは新規重要産業について恒久的または期限つきの非課税措置を講じているが、産業間に税負担の不均衡が生じているのではないか。非課税品目について極力整理合理化すべきではないか。産業用及び家庭用に対する非課税額を対比してみた場合、あまりにも大企業を優遇し過ぎているのではないかという意見がありました。このほか、都市ガスとの均衡上、プロパンガスについての課税をいかように考えているか。揮発油税、軽油引取税との均衡から、自動車で使用するプロパンガスについては課税すべきではないかという意見もありました。
以上のほかにも各税目にわたって有意義な論議がかわされたのでありますが、時間の関係もありますので以上にとどめます。
これらの論議に対して、政府当局は、政府原案の趣旨とするところを、税制調査会の答申等をも援用して説明し、今日の場合、住民負担の均衡と地方財政の現状に照らし、もとより十分とはいえないけれども、この程度の改正にとどめざるを得ない実情等につき詳細なる説明を行なったのであります。
本小委員会としましては、両案につきまして結論づけることは適当でないということに意見の一致を見ましたが、
(一) 市町村民税の減収補てん債の逓減に応じ補てんされない額については、地方交付税の基準財政需要額にいかに反映させるか、
(二) 三年後における固定資産税の税負担の調整はどのような方針で行なうのか、
(三) 電気ガス税について基本的にどのような方針をもって望むのか、
の問題その他小委員会審議における重要な問題につきましては、なお、本委員会において、政府の所信をただすこととして、小委員会の審査を終了したのであります。
以上御報告申し上げます。
ただいま申し上げました趣旨の報告を委員会にいたしまして、その審議に移したいと、かように存ずる次第であります。
他に何か発言はありませんか。——なければ、これにて小委員会の審査は全部終了いたしました。
本日は、これにて散会いたします。
午後五時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604754X00619640316/2
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