1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年二月二十七日(木曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長代理 理事 伊能繁次郎君
理事 辻 寛一君 理事 内藤 隆君
理事 永山 忠則君 理事 石橋 政嗣君
理事 田口 誠治君 理事 山内 広君
小笠 公韶君 佐々木義武君
高瀬 傳君 坪川 信三君
徳安 實藏君 野呂 恭一君
藤尾 正行君 保科善四郎君
前田 正男君 湊 徹郎君
茜ケ久保重光君 大出 俊君
三木 喜夫君 村山 喜一君
受田 新吉君 山下 榮二君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
文部事務官
(大臣官房長) 蒲生 芳郎君
文部事務官
(大臣官房会計
課長) 安嶋 彌君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
文部事務官
(大学学術局
長) 小林 行雄君
文部事務官
(調査局長) 天城 勲君
文部事務官
(管理局長) 杉江 清君
文部事務官
(文化財保護委
員会事務局長) 宮地 茂君
委員外の出席者
参議院議員 草葉 隆圓君
文部事務官
(大臣官房人事
課長) 安達 健二君
専 門 員 加藤 重喜君
―――――――――――――
二月二十二日
委員塚田徹君辞任につき、その補欠として小坂
善太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員小坂善太郎君辞任につき、その補欠として
塚田徹君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
委員村山喜一君及び山下榮二君辞任につき、そ
の補欠として實川清之君及び本島百合子君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員實川清之君及び本島百合子君辞任につき、
その補欠として村山喜一君及び山下榮二君が議
長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員山田長司君及び西村栄一君辞任につき、そ
の補欠として三木喜夫君及び受田新吉君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員三木喜夫君辞任につき、その補欠として山
田長司君が議長の指名で委員に選任された。
―――――――――――――
二月二十四日
元満州電信電話株式会社役職員の恩給等に関す
る請願(石橋政嗣君紹介)(第五三九号)
終戦前に退職した低額恩給受給者の処遇改善に
関する請願(井原岸高君紹介)(第五四〇号)
旧軍人等の恩給に関する請願(小島徹三君紹
介)(第五四一号)
同外一件(山崎巖君紹介)(第五七三号)
同(池田清志君紹介)(第六〇八号)
同外八件(馬場元治君紹介)(第六二一号)
同(池田清志君紹介)(第六九四号)
同外三十九件(谷垣專一君紹介)(第七五三
号)
同(谷垣專一君紹介)(第七八一号)
靖国神社の国家護持に関する請願(上林山榮吉
君紹介)(第五四二号)
同(江崎真澄君紹介)(第五五一号)
同(池田清志君紹介)(第五九九号)
同(上林山榮吉君紹介)(第六〇〇号)
同外六件(二階堂進君紹介)(第六四一号)
同(池田清志君紹介)(第六九五号)
同外一件(仮谷忠男君紹介)(第六九六号)
同外一件(篠田弘作君紹介)(第六九八号)
同(本名武君紹介)(第七〇三号)
同外一件(松田鐵藏君紹介)(第七〇四号)
同(渡邊良夫君紹介)(第八〇三号)
同(池田清志君紹介)(第八六九号)
元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の
恩給等通算に関する請願(中井徳次郎君紹介)
(第五四三号)
同外六件(田中龍夫君紹介)(第六二〇号)
公務員の賃金引き上げ等に関する請願(八木昇
君紹介)(第五四四号)
建国記念日制定等に関する請願(濱田幸雄君紹
介)(第五四六号)
同(大西正男君紹介)(第五五五号)
同(仮谷忠男君紹介)(第五五六号)
同外一件(大西正男君紹介)(第六〇七号)
同(仮谷忠男君紹介)(第六四三号)
同(田村良平君紹介)(第六四四号)
同(田村良平君紹介)(第七九九号)
靖国神社の国家護持に関する請願(相川勝六君
紹介)(第五五〇号)
同(浦野幸男君紹介)(第五五二号)
同(福井勇君紹介)(第五五三号)
同外四件(渡邊良夫君紹介)(第五五四号)
同(上村千一郎君紹介)(第五六八号)
同(江崎真澄君紹介)(第五六九号)
同外一件(野見山清造君紹介)(第五七〇号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第五七一号)
同外三十四件(上村千一郎君紹介)(第五九二
号)
同(小山長規君紹介)(第五九三号)
同(上村千一郎君紹介)(第六〇一号)
同外一件(小山長規君紹介)(第六〇二号)
同(高橋清一郎君紹介)(第六〇三号)
同外三件(田中角榮君外二名紹介)(第六〇四
号)
同外二件(村山達雄君外二名紹介)(第六〇五
号)
同外三件(亘四郎君外二名紹介)(第六〇六
号)
同(福井勇君紹介)(第六二二号)
同(山崎厳君紹介)(第六二三号)
同(渡邊良夫君紹介)(第六二四号)
同(相川勝六君紹介)(第六三四号)
同(上村千一郎君紹介)(第六三五号)
同(小沢辰男君紹介)(第六三六号)
同外一件(大西正男君紹介)(第六三七号)
同外一件(佐々木秀世君紹介)(第六三八号)
同(椎熊三郎君紹介)(第六三九号)
同外一件(濱田幸雄君紹介)(第六四〇号)
同(久野忠治君紹介)(第六九七号)
同(田口長治郎君紹介)(第六九九号)
同(田中正巳君紹介)(第七〇〇号)
同外二件(高橋清一郎君紹介)(第七〇一号)
同(中川一郎君紹介)(第七〇二号)
同(稻葉修君紹介)(第七四八号)
同外四件(白浜仁吉君紹介)(第七四九号)
同外二件(地崎宇三郎君紹介第七五〇号)
同(中川一郎君紹介)(第七五一号)
同(相川勝六君紹介)(第七七九号)
同(小山長規君紹介)(第七八〇号)
同外一件(田村良平君紹介)(第八〇〇号)
同外一件(江崎真澄君紹介)(第八〇一号)
同(久野忠治君紹介)(第八〇二号)
同(小山長規君紹介)(第八三四号)
同(福井勇君紹介)(第八三五号)
同(亘四郎君紹介)(第八三六号)
同外一件(大竹太郎君外二名紹介)
(第八三七号)
同外二件(田中彰治君外二名紹介)
(第八三八号)
同外一件(塚田徹君外二名紹介)(第
八三九号)
同外一件(小山長規君紹介)(第八七
〇号)
引揚者在外私有財産の国家補償に関
する請願外一件(小川平二君紹介)
(第五七二号)
恩給、年金等受給者の処遇改善に関
する請願(登坂重次郎君紹介)(第五
七四号)
埼玉県内農林省農事試験場等の存置
に関する請願外五件(只松祐治君紹
介)(第五九〇号)
鹿屋市に陸上自衛隊師団誘致に関す
る請願(二階堂進君紹介)(第六四二
号)
恩給、年金の増額等に関する請願
(原健三郎君紹介)(第七五二号)
米軍芦屋対地射爆撃場の移転促進に
関する請願(伊藤卯四郎君紹介)(第
八〇四号)
同(松本七郎君紹介)(第八四〇号)
東根市の大森山元米軍射撃場による
損害補償に関する請願(加藤精三君
紹介)(第八七一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
二月二十四日
金鵄勲章年金及び賜金復活に関する
陳情書外九十件
(第一号)
同外二十六件
(第二〇〇号)
靖国神社の国家護持に関する陳情書
(第二号)
同
(第二〇一
号)
建国記念日制定に関する陳情書
(第三
号)
在外資産の補償に関する陳情書
(第四号)
同
(第五号)
同
(第六号)
同
(第七号)
貿易記念日制定に関する陳情書
(第一〇号)
退職公務員の恩給額是正に関する陳
情書
(第一一号)
退職公務員の恩給及び退職年金増額
に関する陳情書
(第一二号)
憲法の改正に関する陳情書
(第一三
号)
沖繩に対する財政援助に関する陳情
書
(第五二号)
国家公務員暫定手当の地域差是正に
関する陳情書
(第二〇二号)
水戸対地射爆撃場におけるF一〇五
D戦闘爆撃機の演習中止等に関する
陳情書
(第二二一号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
旧金鵄勲章年金受給者に関する特別
措置法案(草葉隆圓君外十六名提
出、参法第四号)(予)
文部省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第三五号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/0
-
001・伊能繁次郎
○伊能委員長代理 これより会議を開きます。
委員長の指名によりまして、私が委員長の職を行ないます。
旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案を議題とし、提出者より提案理由の説明を求めます。提出者草葉隆圓君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/1
-
002・草葉隆圓
○草葉参議院議員 旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案の提案理由の説明を申し上げます。
旧金鵄勲章年金令は、明治二十七年勅令第一七三号によりまして、制定されたものでありますが、昭和十六年に至り、勅令第七二五号により廃止され、昭和十五年四月二十九日以後の叙勲者に対しては一時金として公債が交付されることになりましたが、同日以前の叙勲者につきましては、引き続き旧令による年金が支給されてまいったのであります。
しかるに、終戦後、昭和二十一年三月に至り、この勲章年金の支給は、昭和二十年十二月末日を限りとして一切廃止され、また、一時金として交付せられた公債も無効とされて、今日に至っておるのであります。
戦後十八年、この間幸いに、わが国の経済は順調に発展し、国民の生活も年一年と向上をたどりつつありますとき、旧金鵄勲章受勲者においては、その経済的期待権を喪失し、大部分が経済的、かつ、精神的に不遇のうちに、老後の日々を送っているのでありまして、かつて、国のため生命を賭し、抜群の武功を立てた人々が、かくのごとき状態に放置されておりますることは、列国にもその例を見ないところであり、また、受勲者に対しましては、まことに惻陰の情にたえない次第でございます。よって、本法律によってこれらの人々の処遇改善をはかりますため、特別の措置を講じようとするものであります。
本法律案の要旨は、昭和三十八年四月一日において、生存する旧金鵄勲章年金受給者にして満六十歳に達した人々に対し、その処遇改善の一端として、旧制の功級による区別なく、一律に金七万円の一時金を特別措置をもって支給しようとするものでございます。その認定は、これを受けんとする者の請求に基づいて、内閣総理大臣が行なうことといたしております。
なお、この法律実施のための手続その他につきましては、政令をもって定めることといたしております。
以上をもちまして、提案の趣旨、説明といたした次第でございます。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/2
-
003・伊能繁次郎
○伊能委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。
本案に対する質疑は、後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/3
-
004・伊能繁次郎
○伊能委員長代理 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/4
-
005・村山喜一
○村山(喜)委員 まず、文部省設置法の一部を改正する法律案の提案理由の説明が、この前大臣からございました。この内容を検討いたしてみますと、この説明の中では、国立学校の八万七千五百二十六名の中に、図書館職員養成所からの九名の切りかえ増が入っているんだという説明が、この説明書の中ではないわけですが、これはどうして落とされたのか。ということは、この九名は、今度新たに設置をされます図書館短期大学の教職員に転用をすることに相なっているようであります。とするならば、当然それは国立学校の教職員の中に入ることになるわけでありますから、その中に入れるようにしたということが説明されなければぐあいが悪いわけなんですが、それをわざと落として大臣は説明をされているのは、一体どういうような理由に基づくものか、まず、その点からお尋ねをいたしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/5
-
006・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 大臣の提案理由説明におきまして、特に故意に落としたということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/6
-
007・村山喜一
○村山(喜)委員 故意に落としたのじゃない。しかし、この説明ではそれが抜けておるじゃありませんか。これは故意ではなくて、善意で抜かしたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/7
-
008・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 予算の面におきまして、図書館養成所の九名減、国立学校の図書館短大新設十九名増という、この十九名の中に図書館養成所の九名城が含まれてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/8
-
009・村山喜一
○村山(喜)委員 いま配られている予算説明の内訳、新規定員内訳、これを見なければ、その九名がどうして抜けておったのかということはわからない。やはり提案理由の説明をされるその内容の中に、切りかえ分はこういうふうになっております。だから国立学校の教職員はこれは減になりますということを、やはり親切にお書きになるのがあたりまえじゃございませんか。官房長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/9
-
010・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 その点、御指摘になります点は、手落ちがあったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/10
-
011・村山喜一
○村山(喜)委員 どうも歯切れの悪い答弁ですが、あまりそういうようなのは追及しても始まらないので、この程度におきますが、問題は今回新たに増員をされます教職員——これは新たな教職員の増ですが、三千八百四十二名が新たに増員をされて、それの内訳がそこに出ているわけでございますが、その内容は、今回国立学校設置法の一部を改正する法律の内容の省令が出されました。国立大学の学科及び課程並びに講座及び学科目に関する省令、これが出されておるわけでございますが、この省令との関係はどういうふうになっておるのかという点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/11
-
012・小林行雄
○小林(行)政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、御承知のように、四十三回の国会におきまして、国立学校設置法の一部を改正さしていただきまして、旧来は、国立学校設置法では学部並びに講座だけを省令で規定いたしておりましたが、戦後発足いたしました新制大学では、講座でなしに学科並びに学科目制をとっておりますので、これとのバランスを調整する意味で、学科目に関しても省令できめるということにいたしたわけでございます。この省令につきましては、その後約一年かかりまして、つい最近にこれをまとめて制定公布をいたしたわけでございますが、ただいまのお尋ねでは、今度の増員とこの省令との関係はどうかということでございますが、ただいま申しました講座及び学科目に関する省令には、すでに成立いたして実施いたしておりますところの三十八年度予算に基づく定員関係のものが出ておりますので、明年度の予算に基づく学科目の新設並びに定員の増につきましては、さらに予算成立後、また法律の御承認をいただきました後に、それぞれ各大学等とも折衝をいたしまして、つい最近つくりました省令の改正に着手をいたしたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/12
-
013・村山喜一
○村山(喜)委員 文部省令の三号の問題につきましては、明日予算の一般質問の中で申し上げますので、これ以上は触れませんが、私は、この際、大臣に明らかにしていただきたい点があるわけでございます。というのは、従来、国立学校の場合七千名くらいのこれは私立まで含めての数であると思いますが、大学の募集定員が年に七千名くらいずつ増募されてまいったわけでございますが、ことしの予算の中において、文部省の国立学校関係の三千八百五十一名の教職員の増が行なわれた場合において、学生の増は、国立において幾らになるのか、また私立との関係におき集して、三十九年度は全体で大学生が幾ら増募されることになるのか、その問題について明らかにしていただきたいと思うわけでございます。
それと同時に、三十八年度の大学の進学希望者は、高等学校の新たな卒業生が大体二十二万人、累積をいたしました浪人が十三万人、合計三十五万人のうち、三十八年に一年に入学をいたしました者は二十二万人ということになっておるわけであります。高等学校がベビー・ブームの関係で急増期が昭和四十年で終わりますと、四十一年からさらに大学の急増の問題が出てまいることは明らかでございまして、四十一年になりますと、大学の進学希望者は、大体四十一万程度になるのではなかろうかと推定をされております。四十二年から四十五年にかけましては、毎年五十万人から六十万人の進学希望者が出てくるだろうと考えられるわけであります。今度は四十六年度になりますと、数が減りまして四十六万、さらに四十七年度以降は急激に減ってまいりまして、三十万台になるのではなかろうかという一応の想定ができるわけでございます。そうなってまいりますと、三十九年度においては幾らかの増員を計画されていることは、これによっても明らかでございますが、この大学の新設という問題、あるいは学部、学科目の増設という問題は、高等学校の急増対策のようには参らないと思うのであります。というのは、やはり大学の質なり、大学の教授の養成という問題に関係がありますので、これはにわかにそれらの教職員を補充するというわけには参りません。したがいまして、そこには明らかに限界があるわけでございます。そうなってまいりますと、今後ふえてまいりますこのベビー・ブームの時代に生まれました子供たちが、大学に入る時期がまた近づいてまいったとするならば、それに伴うところの国の受け入れ施設という問題が、当然考えられなければならない問題に発展をしてまいるわけでございますが、それには、やはり国立のみならず、公立あるいは私立まで含めたところの総合的な大学の政策というものがなければならないかと思うのであります。そうなってまいりますと、それらの問題をめぐりまして、文部省としては、今後の見通しの上に立って、三十九年度の予算の編成にも当たられてまいられ、そうして国立学校において三千八百五十一名という教職員の増をその年次計画の一環としてつくられているものだと私は考えなければならないと思うのでありますが、将来にわたりますところの大学のこれらの問題に対する考え方は、現在どういうふうになっているのかということを、大臣から明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/13
-
014・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 大学に対する入学希望者の増が、ことにベビー・ブーム関係が近く押し寄せてくるわけであります。文部省としましても、最も重要な課題であると考えておる次第であります。お話のとおりに、大学ということになりますれば、その教育水準を確保していかなければならない、こういう点を考えますと、むやみやたらに学校を多くするというわけにも参らない実情がございます。いろいろな困難を伴うと考えておりますので、われわれとしましては、国公私立をあわせまして、目下慎重に検討をいたしておるところでございます。明年度の予算におきましては、その計画に基づいての要求もいたしたい、かように考えておる次第であります。詳細は政府委員から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/14
-
015・小林行雄
○小林(行)政府委員 最初にございました学生の三十九年度における増加の予定数についてお答え申し上げますが、国立関係におきましては、大学、短期大学、高等専門学校合わせまして三千人の増でございます。それから三十九年度において公立関係の学生増募は三百四十人、それから私立の関係では一万三千二百五十七人、こういう数になっておりまして、合計では一万六千五百九十七人、約一万六千六百という数字に相なっております。
それからただいま大臣からお答え申し上げましたように、またお尋ねの御趣旨にもございましたように、高等学校の卒業者の中で大学に入学を希望する者の数は、御承知のように年々増加をしてまいっております。現在大体三十万という数字でございますが、この傾向で進んでまいりますと、いわゆる戦後のベビー・ブームの波が大学に到達いたします時期になりますと、ただいまお尋ねのございましたように、四十万人以上に増加するということが予想されるわけでございます。ただ、この対策につきましては、もちろんまず第一に、大学の収容人員をいろいろなくふうをいたしまして増加をしてまいらなければなりませんけれども、と同時に、やはり卒業後の学生の就職その他社会的な要請ということも考え合わせまして、いろいろな学校の種別なりあるいは勉強すべき専門分野等も考えなければなりませんし、またお尋ねにありましたような教官の確保ということもやらなければなりません。これらについて、文部省といたしましては、現在鋭意検討中でございますが、その一部といたしまして、教官の確保の面からは、三十九年度予算にも、大学院の修士課程の増設というようなこともお願いをいたしておるわけでございます。国立大学につきましては、直接文部省が各大学と折衝をいたしまして、収容力の大幅な拡大ということに努力をいたしたいと思っております。
また、御承知のように、現在大学の学生の数から申しますと、大体七割見当が私学へ収容されておるわけでございまして、この学生の増募関係につきましても、今後私立大学の協力がぜひ必要になってくると思います。この点につきましても、今後十分努力をいたしたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/15
-
016・村山喜一
○村山(喜)委員 大学の急増対策の問題につきましては、やはり国として今後の具体的な方針というものをお立てになって、その上でことしは三千名国立学校の学生の増募をやるんだ、私はこういう将来にわたる展望がなければ、ぐあいが悪いんじゃないかと思うのです。特に、いま文部省のほうにおいてもいろいろ研究を進めておられるようでありますが、四十二年度から理工学部におきまして、多人数教育の全面的な実施というものも考えておいでになるようでありますし、これは教育の方法の問題になるわけでありますけれども、そのほかに、定員の臨時的な増員の問題であるとか、あるいは大学の新設、学部、学科の増設という問題が取り上げられると同時に、私学の問題について、この際総合的な、抜本的な対策を考える時期に来ているのじゃないか。七割を占める学生がおるという事実、しかも国立に集中をしていくのには、経済的なアンバラという問題があるからにほかならないわけですから、そういうような問題をなくしない限り、今後の対策という問題は考えられないのじゃなかろうか、こういうような問題を考えておりますが、御承知のように、私学振興議員懇話会の会長の川島正次郎さんのほうの線におきましても、私学の経営財政の三本立ての原則が明らかにされておるようであります。それに対して大臣のほうでも検討をされておるようにお聞きをいたしておるわけでありますが、いまどういうような構想でこの私学の問題をお考えになっているのか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/16
-
017・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私学の問題につきまして御質問がございましたが、私どもとしましても、今日、日本の大学教育が私学にまつところが非常に大きいのでありまして、また大学入学者の急増の問題を考えましたときにも、私学の協力にまたなければならぬ点が非常に大きいと思うのであります。そういう意味におきまして、政府としましても、私学の問題をよほど大事に扱ってまいらなければならないと思うのであります。ことに近来、私学に入学する人たちの学費負担の関係、裏を返していえばあるいは私学の財政問題ということにもなろうかと思うのでありますが、そういうふうな問題につきまして、いわゆる私学の振興をさらに進めてまいらなければならぬと考えておるわけであります。従来やっておりました方式は、御承知のように、私学振興会を通じて私学に対して協力する。あるいはまた、私学のやっておりますことについて、特別な目的を持つものに対して国が補助の道を開いておる。あるいはまた、税関係におきまして、教育関係の税について軽減の措置をとる。このような措置をとってまいっておるのであります。私は、このいままでやってまいっております措置を、もっともっと強化しなければならないと思うのであります。同時にそれだけのいままでのやり方、いままでの方式だけでやっていけるかどうかというところをうんと研究しなければならぬと思うのでありまして、私学の独自性、私学の自主性、こういうふうなものを考えなければなりませんと同時に、私学の財政難を緩和するために、もっと思い切った措置をする必要があるのではないか。これにつきましては、いろいろな意見もあり、議論もあろうと思うのであります。政府といたしましては、それらの点につきまして、従来の方式をさらに強力に進めてまいりますと同時に、そのような問題について、突っ込んだ検討をしてみたいというのが、現在の段階でございます。これから大いに勉強さしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/17
-
018・村山喜一
○村山(喜)委員 国立学校設置法の一部を改正する法律案が出されているわけでありますが、この中において、新しい学部の創設は五つになっているようであります。それから大学院の創設は六つになっているようでありますが、これは学部の創設としてさきに文部省が予算要求をされたのは七学部であり、大学院の新設としては二十七研究科を埋設するように要求をされているわけですが、国立学校設置法の一部を改正する法律案の中に出てまいりましたのでは、こういうような形になっているようでありますけれども、先ほどこの大学院の新しい教官養成の問題も同時に出してありますという話でありましたが、大学院は、六大学について設置をされることになりますと、幾つの研究科が生まれることになるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/18
-
019・小林行雄
○小林(行)政府委員 学部の新設は五つでございまして、宇部宮大学に工学部をつくる、それから岐阜、神戸及び山口大学に医学部をつくる、それから九州大学に薬学部をつくるという、その五つでございます。
それから大学院の新設でございますが、これは全部で十七でございますけれども、すでに大学院が創設されておる大学に刑の学部関係の修士課程をつくるという場合には、法律改正といたしましては出てまいりませんので、従来大学院のなかった岩手大学外五つの大学に大学院を設置するという法律改正の形になるわけでございます。
それから研究科の数は、ちょっと私これから調べさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/19
-
020・村山喜一
○村山(喜)委員 私がお尋ねしたのは、新設の研究科の数をお尋ねしたのですが、それは十七ということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/20
-
021・小林行雄
○小林(行)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/21
-
022・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、この大学院というのは、修士課程の大学院ということにお聞きしているわけでありますが、これは修士課程の大学院を設置しましても、大学、高専その他短大の教授、助教授、そういうような教官を養成することにはならないと私は思う。やはり今日の学問的なレベルが高まっていく中においては、修士課程の大学院を出たそういうような万は、高等学校の教諭というようなところに入っていただかなければならないようになるのではないか。少なくとも大学院のいわゆる博士コースを出るような方でなければ、将来大学の教授、助教授になるにはぐあいが悪いのじゃないかと思うのですが、先ほどの説明は、別途に大学院において創設をすることによってそういうような教官を養成することにもいたしておりますという説明を局長はされたのでありますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/22
-
023・小林行雄
○小林(行)政府委員 御承知のように、大学院は一つには研究者養成ということがございます。と同時に、また職業人といたしましても、能力の高い専門職業人を養成するということに、主として相なっておるわけでございます。ことに理工関係等におきましては、そういう面が強いかと思いますが、それ以外の部門等につきましては、ことにたとえば数学関係その他におきましては、この修士課程を卒業後、大学の助手なり講師に入っていくケースが相当ございます。今回の設置法の一部改正でも、たとえばお茶の水女子大学に医学関係の研究科を増設していただきたいということをお願いしております。こういうようなところは、やはり直接高等学校あるいは中等学校程度の教員に志望する者が、きわめて多いものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/23
-
024・村山喜一
○村山(喜)委員 大学院の問題についてはこれでおきますが、今回提案されました文部省の定員の中で、初中局長がお見えになっておるようでありますのでお尋ねをいたしますが、教科書無償給与の拡充に伴う教科書給与課の新設四と書いてあります。新しい課を創設される。もちろん義務教育無償の立場から、教科書が無償化されていくことに対しまして、私たちは賛成をいたしました。そこでこの前の特別国会で成立をさせたわけでありますが、教科書給与課という、これは仮称であるけれども、その新設をやる、これは四人でやるのですか。それともやはり内部の操作によりまして、相当数の人員をそこに集めるように計画をされるわけでありますか、その点をまず明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/24
-
025・福田繁
○福田政府委員 従来、教科書課におきましては、教科書の検定あるいは教科書の発行、供給等に関します事務を取り扱ってまいりました。ところで、教科書無償に関する法律が成立いたしましたので、無償措置の事務も今後だんだんとふえてまいります。三十九年度におきましては、一年生から三年生までということになるわけでございます。また四十年には小学校の五年生まで拡大されるというように、事務量がかなりふえてまいります。したがいまして、従来教科書調査官を除きまして旧約三十名の職員で仕事をやってまいっておりましたが、今回四名の職員を増員して、いままでの職員とこの四名の増員とを合わせまして、従来の教科書課で扱っておりました事務分掌を分けて一課を創設するというような計画でございますので、もちろん四名だけで新しい課をつくるわけではございません。従来の職員をこれに流用いたしまして一課を創設したい、こういう計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/25
-
026・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、それは局内の人員を異動させてつくるということになりますか、それとも内部の部局の全員を動かしてやるのだという考え方でありますか。その点はどの点まで話が煮詰まっているのか、この際明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/26
-
027・福田繁
○福田政府委員 従来教科書課で扱っておりました発行、供給等に関する事務の中で、やはり庶務的な仕事だとか、あるいは法規に関する仕事、従来からもある仕事に従事している職員もかなりございます。したがって、教科書課の中で、従来のそういった面に従事しております職員を分けまして、そして今回の増員と一緒にいたしまして教科書給与課というような、仮称でございますが、課長ともに十九名程度の課を構成する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/27
-
028・村山喜一
○村山(喜)委員 それは現在の教科書課の中から異動させられるわけですね。そうすると、初中局の中だけを異動させることで足りるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/28
-
029・福田繁
○福田政府委員 そのとおりでございます。教科書課の中でのやりくりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/29
-
030・村山喜一
○村山(喜)委員 二月十四日に文部事務次官の内藤さんのほうから、各都道府県知事、あるいは教育委員会、さらに国立大学の学長あてに通達が出ております。この通達の問題をめぐりまして、参議院の文教委員会でいろいろ質疑が行なわれておるようでございます。それらの内容については、私はここでさらにそれを深めるような気持ちはないわけでありますが、ただ私も、教科書無償措置法案が成立をいたしますときの自民党、政府並びに社会党との話し合いの中で立ち会いをいたしました関係者の一人でございますので、この際明らかにしておかなければならない点が一点だけあるようでございます。それは新しい法律の制定が行なわれた際、県で一あるいは二あるいは三という種目にしぼって、そうしてそれを採択されておったところが現実にございますが、そういうものは、当然法律の制定によりまして無効になったものと私たちは考えております。ところが、それについては、それは法律違反にはならない、従前どおりにやっても差しつかえないのだということを福田初中局長が言われたと新聞は報道いたしております。だから、その内容についてこの際明らかにしていただきたいと思うわけですが、やはり法律にのっとってそういうような行政指導はされるべきじゃないかと思うのですが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/30
-
031・福田繁
○福田政府委員 その点に関しましては、村山委員十分御承知と思いますが、法律の修正の際の与野党間の委員の間の話し合いの中に出ました事柄について、私どもは後にいろいろと伺ったのでございますが、その際の話といたしましては、従来愛媛その他二、三の県におきまして、ある程度教科書の種類をしぼりまして、県の教育委員会の段階でそういうものをつくって、それを市町村の教育委員会にその中から採択してもらうというようなやり方が行なわれておりました。この分については、特に府県の教育委員会が自主的に従来やってきたものについては、これは黙認してもよいのじゃないかというようなお話があったというように、これは誤解かもしれませんが、私どもは聞いたのであります。したがって、都道府県の主管課長会議の席上において、そういう従来の取り扱いをやっておりました県についてはやってもよろしいかという質問が出た際に、教科書課長から、その問題については、法律の趣旨としては、これは与野党一致で修正をいたしましたので、その修正の線に従いますと、そういう数種選定するというようなやり方は適当でなく、今後のやり方としては、選定に関する基準とか、選定に関する必要な資料——その資料というものは、客観的に教科書の内容なり組織、配列、また紙質とか、造本とかいうような各般の点について総合的に比較研究して、これを資料として評語を付したものを、県の教育委員会から市町村の教育委員会に参考資料として流すのが適当である、そういうのが趣旨である、しかしながら、県の教育委員会が従来やっておったところについて、自主的にやるものについては妨げないであろうというような趣旨のことを教科書課長から答えたわけでございます。その点が参議院の文教委員会で行き過ぎであるというようなお話がございまして、私ども、その点は修正の経過における話を若干誤解した点もございますので、この点は法律の修正された趣旨から申しますと、適当な指導ではない。必要な是正措置をとりたいということを申し上げたわけであります。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/31
-
032・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、愛媛にまいりまして、愛媛の教育行政がいかに行なわれているかということを現に見てまいった経験を持っている。行ってみますと、あそこは非常におかしな教育行政をやっておるのであります。というのは、充て指導主事というのは現在置くことができるようになっているわけでありますが、充て管理主事というのを置きまして、それぞれその充て管理主事が、学校教職員の身分を持ちながら管理の業務をつかさどっている。しかもそれは、一人で一カ町村の職員を担当しているというような形で行なわれている。そして現場の学校に行ってみると、八学級のところでも、専科の先生は、小学校の場合一人もいない。こういうような形で行政権だけが強められて、現場の教育条件は非常に悪くなっている。こういうような中において、愛媛県の教育は偏向行政を行なっていると私は考えたのです。それらの問題をさらに教科書の問題に移してみますと、非常にこれも問題がある。数種の、もう限られたほんの一、二の発行会社の教科書しか使っていない。法律で定めましたのは、県にそういうようなABCをつけて、そして選定の参考資料を供給をするというようなことは間違いだ。これはやはり客観的に見て採択の基準というようなものをつくって指導、援助をしなさいということを取りきめたのであって、提案者の長谷川さんのほうからも答弁がございましたように、それは数種に選定をするという意味では決してございませんという説明を文教委員会の速記録の中で、私の質問に対して明らかに残しているとおりでございます。だから、そういうような国会の審議の段階における説明のやりとり、これは明らかに与野党一致した上で法律を通した、そういうのに対しまして、法律があるのにもかかわらず、それが従来の慣習として行なわれたものはそのとおりやってもいい、そういう行政指導をやってもらったら、これはやはり今後に問題が残ると思う。いま局長のほうから、そういうようなことは誤解に基づくものであったと考えられるので、適当な是正の措置を講じたいという話がございますので、それであるならば私も了といたしますが、やはりそういうような問題を惹起することが、まだほかにも聞いております。聞いておりますけれども、私はこの委員会の席上で直接申し上げません。それは担当の課長に私のほうからこの前お話し申し上げておりましたので、この点はこの席では明らかにいたしませんけれども、やはり世間の目は、文部省が何とかして当初考えておった線で行政指導を行なって、われわれが制定をしたその法律の範囲を越えて官僚的な行政指導をやっていくおそれはないか、そういうような危惧した考え方で関係者が見ている。そういうところにも一つの問題点がございますから、今後これらの教科書の指導につきましては、やはり十分に慎重な態度で善処していただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。
そこで、教科書の問題はそれでいいわけでありますが、問題は文化財保護委員会の職員で、姫路城の修理工事終了に伴う減というのがございます。これは内部部局の方で七十一名が減になるが、他で二十三名がふえることによって、全体では四十八名の所属の減ということになっているようでございます。そこで、この姫路城の修築が終わりましたので、これらの関係者のうち他に転業をする者、あるいはどうしてもこの際職を見つけることができないでやめなければならない、いろいろなことに分かれているだろうと思うのでありますが、現在これに携わっておりました職員の人たちの将来の転業先、これらがどのようになっているかということについて、関係者の方から説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/32
-
033・宮地茂
○宮地政府委員 姫路城の職員の問題でございますが、御承知のように、姫路城の修理は昭和九年から始められまして、戦後昭和二十五年から、城の中心であります大天守を中心とする工事を始めまして、ほぼ全体の計画を終了いたしました。若干残務が残っておりますので、ただいま御指摘のように、定員といたしましては八十八名でありますが、そのうち十七名を残しまして、七十一名の職員が三十八年度、ことしの三月末で減員になるという状況になっております。このことは数年前から予期されたことでございますし、またこの定員の八十八名も、実は常勤的非常勤職員の定員化が昭和三十六、七年に行なわれましたが、そのときに定員化されたものでありまして、その職種は、ほとんどが国家公務員で申しますと技能員ということになっております。内容的にはとび職、大工、土工、こういったような者が中心でございます。これらの人々の退職後の問題につきましては、以上のような経緯もございますので、文化財保護委員会といたしましては、これらの人々の姫路城の修理が完了した後の就職あっせんということを早くより考えまして、現在の人々の希望等もある程度承知いたしておりますが、これらの人々が申しますには、国家公務員として定員がなくなっても、国家公務員の身分を保障してもらいたいということを常におっしゃっておられます。そういうようなことから、私どもといたしましては、国立大学であるとか、あるいは国立の文部省所管の研究所、高等学校、こういったようなものを中心に、できる限りのあっせんを今日までやってまいりました。そういうことで日々刻々と就職者がきまっておりますので、はっきりしたきょう現在で何人という押え方は一日ずつ狂ってくるのでございますが、一応二月一日現在で押えますと、八十八名のものが七十二名残っておるという計算になっております。それで八十八名のものが七十二名になりましたのは、昨年来、いま申しましたようなことで、いろいろ大学、研究所等に配転をお願いして、まとまった者が十三名、それから病死者等がございまして、そういう人を差し引きまして、二月一日現在で七十二名ということになっておるわけでございます。それから二月一日から現在までに、すでに数名の者が配転を終わっておるのでございますが、私どもとしましては、国家公務員だけでは、これらの人々がいわゆる技能員でございますので——大工等はある程度大学所轄機関でも必要とするのですが、とび職とか土工というような人は、なかなかむずかしいわけなんです。それで、これらの人々に職種が変わってもよろしいか、守衛、作業員、こういうものになってもよろしいかというような話をいたしますが、それになってもいいが、しかし必ず俸給が保証される、現給を下らないということ、それからできる限り姫路の近くである、自分の自宅から通える場所である、あるいは多少遠くても、その場合は必ず家が提供されることというようなことを申されまして、なかなか国家公務員の配転は難航を来たしておる状況でございます。それからあの人々の申しますのは、一歩譲って地方公務員ならよろしい。しかし、それも俸給が保証され、住宅があること、あるいは自宅から通勤できることというようなことを言われまして、なかなかこれも遅々たる配転しかできないのです。それで、先ほど申しました二月一日現在の七十二名を、私どもといたしましては、大きいところといたしましては、来年度から姫路城の修理がほぼ完了いたしますので、それの管理を姫路市にお願いしたい、そういたしますと、姫路市としては、城の管理事務所をつくるということになります、それで、そのほうに相当数の人間を採ってもらうようにお願いをいたしておりますが、姫路市としましても、現在二十名の職員が城の管理に当たっておるわけなんです。それで、今日までのところ、全部で五十名、ですから、現在の二十名を差し引きますと、三十名をそれでは姫路のほうで採ろうということになっております。しかし、これも姫路城の管理事務所だけにそんなに大ぜい要らないので、姫路市役所内の欠員、増員等に充てることも了承されれば、一応三十名は採ろう。それから残留の職員が十七名ございます。それで、確実なのは、この三十名と、国家公務員として残留します十七名、四十七名でございます。七十二名から四十七名を引きました残りの者につきましては、あの近くの、たとえば姫路の刑務所であるとか、加古川の刑務所であるといったような、そういうところの守衛等に採っていただけますので、そういうあっせんを現に進めております。それからどうしても自分の家から通いたい、あるいは宿舎がどうしても必要だということでありますれば、国家公務員、地方公務員としましては、どうしても相手方が十分これを消化するだけのところもございませんので、私どもが重要文化財等の建造物を国庫補助金を出して修理いたしておりますが、そういう補助事業に、これらの人々で希望される方があれば、自宅から通えるところ、あるいは家を提供して、この補助事業に従事してもらいましょうというようなことを申しております。したがいまして、はっきりどこへ何名ということを二月一日現在の七十二名全員について申し上げますことはできませんが、私どもの考えといたしましては、あの人々が姫路市から絶対に通えるところ、あるいはどうしても家が要るということ、あるいは国家公務員か地方公務員でなければ絶対にいけないということでなくて、話し合いに応じていただければ、全員就職は可能であるというふうに考えております。それは、現在残っております人よりも、求人口のほうが相当多いわけでございます。もちろん、いま申しましたのには民間事業等は入れておりません。一例を申しますと、私どもは、国家公務員の給料よりも民間のほうが給料が若干よろしいのでございますので、あのあたりに播磨造船というところがございますが、そこにとび職等を採ってもらえないかという話をいたしました。そちらでは多少給料よく採ってくれるという話になっているのですが、民間へは自分らは絶対に行かない、それは身分保障にならないということを主張されますので、民間ははずしておりますが、民間をはずしましても、自説だけを固執されなければ、全員国家公務員、地方公務員、補助事業等に就職口がごあっせんできるというふうに考えております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/33
-
034・村山喜一
○村山(喜)委員 この問題につきましては、地元の三木委員がそこに見えておりますので、後ほど関連質問をしていただくわけになると思いますが、いま事務局長のお話では、全員希望どおりに就職は可能だ、こういう見通しだという説明でございました。それであればけっこうな話でございますが、加藤工事事務所の主任の話によりますと、残り十七名については、現在努力をしているけれども、どうも十七名と毛全員消化できるとは考えられない、むずかしいということを神戸新聞に出しているようでございますが、いまの文化財の委員会の事務局長のお話と向こうの新聞との食い違いは、これは事務局長の言明を信じて差しつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/34
-
035・宮地茂
○宮地政府委員 ただいまの、現地の加藤主任が十数人については困難であるということを言われたということですが、私は新聞を承知いたしておりませんが、この人々は、国家公務員、一歩を譲ればせいぜい地方公務員、これでなければ自分らは行かない。それから、国家公務員、地方公務員であっても、自宅から通勤できるか、さもなければ家をくれなければ行かないというふうに言っておられるのです。私は加藤主任が申したのはどういう意味か知りませんが、そういう条件であれば、私は何名かは不可能であろうと思います。しかし、そうではなくて、先ほどから申しておりますように、補助事業にも行っていただくというような幅が出てまいりますれば、可能である。と申しますのは、家はないけれども、国立大学で採ってもよろしいというような求人口は相当あるのでございます。しかし、あの人々は、それに行かないわけなんです。ですから、お互いに話し合いをして、私どもがあっせんをするものにもある程度応じてこられれば、就職は可能であるというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/35
-
036・伊能繁次郎
○伊能委員長代理 三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/36
-
037・三木喜夫
○三木(喜)委員 地元姫路城のことでございますので、私のほうからも、村山委員に続きまして若干お尋ねをしたいと思うわけであります。国宝姫路城の天守閣群解体復元工事が始まってから、すでに数年の長い年月を経ておるわけでございます。この工事につきましては、いま明らかにされましたように、約九十名の大工、とび職等の地元を主体にするところの労務者がこの仕事に当たっておるわけでございますが、しかし、当初から、これらの工事に従事しておる労務者の身分は、非常に不安定でございました。前は工事主任の意のままで首切りが行なわれておったのでございます。それが三十三年の十二月、身分保障と待遇改善のために文部省現業労働組合というのができて、そして三十四年四月一日から人事院細則九−八−二を準用して格づけされたわけでございますが、三十五年に常勤労働者にするということを約束されて、そして三十六年に三十三名が定員化し、三十七年に五十五名が定員化されておるわけでございます。そうして本年三十八年度末をもって一応終了する。そこでこれらの労務者の身の振り方をどうするかということが、この問題の焦点でございますけれども、いま文化財保護委員会の局長のお話では、かなり雇用が促進しておるということでございます。なるほど、私も、あなたのところに行ってこの話を承って、概略承知しておるわけでございますけれども、この問題に一番大切なことは何かといいますと、これらの人の配転先の身分、職種、それから給与、勤務条件というものが明らかにされないまま、あなたのほうから退職願いを書くようにというようなことが要請されておるわけです。先がた申しましたように、ここに組合が結成され、そして組合員と当局との間に問題点が発生しておるわけでございまして、現地では非常に不安な様相を呈しておるわけであります。その勤務条件、給与等、どのような話になっておるのか、まずそれをお聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/37
-
038・宮地茂
○宮地政府委員 これは三木先生も御承知のことと私は思いますが、昨年の夏ごろからですか、具体的には一人ずつ国立の大学等に配転をいたしておるわけでございます。一人の人間の就職が整うまでに、幾ら早くても一カ月以上要しておるのが、実情でございます。これは現在つとめておられる方々が、たとえば行(一)の事務の人を事務に採るというような簡単なことではなくて、大部分の方々が大工、とび、土工といったような方々なんです。ところが、それぞれのところには大工、とび、土工のようなものはあまり必要とされないで、せいぜい守衛等であります。こういうことも、大学等は何も好んで文化財から早く人をよこしなさい、うちは要るんだからぜひ採っていきましょうというふうに向こうが誘ってくださるのではございませんで、私のほうから何回も頭を下げて、ぜひ採ってやってほしいというようなお願いをしておるのが実情でございます。したがいまして、私どもが申しておりますのは、その職種は守衛なら守衛で歩、る、それからあなたが現在もらっておられる給料より下がることはありません、少なくとも現給は保証いたしますということで、話を進めておるわけでございます。非常に困難なことですが、それは努力が足りないのだとおっしゃればそれまでですけれども、いまおっしゃいました点は、姫路市に行きます職員等が中心であろうかと思いますので、そのほうに例をとって申します。
姫路市のほうは、今度は城の管理事務所をつくるのです。したがって、城の修理をするわけではありません。ですから、従来のとびとか土工とか大工が要るのではなくて、守衛とかあるいは園丁とかいったような職種の人が要るわけなんです。そういうことで、私どもは、現在おる人々にそういう職種に対して希望をつけさせまして、大工が一番いいという人は大工を一にし、守衛でも行きたいという人は守衛のところを二にする、それから園丁でもよろしいという人は園丁を三というふうにマークをしなさいといったようなことをして採っておるわけです。姫路市といたしましては、問題は姫路城の修理をやっておる現在の人々を、そのままの職種で今度の管理事務所に置くのではないという点、それと、管理事務所にはそれほどまだ人は要らないわけですが、私のほうで無理無理三十名の人を採っていただくように話し合いを、しましたいきさつは、姫路市役所の他部局に欠員があったら、そのほうにも回していいかという姫路市長の話ですから、それでもけっこうですといったような話をしておるわけです。ですから、一般の就職の場合のように、求人者がこういう職務内容で人を採りたいというから、それに応募しなさいという形と違ったあっせんをせざるを得ない状況でございます。したがいまして、言えることは、場所はどこである、たとえば姫路市役所か、あるいは姫路の城の管理事務所か、いずれかであるが、姫路市内である、それから給料は、あなたがもらっておられる給料と同じだ、それから職種は、すぐ大工になるか園丁になるかわからないが、あなたが希望された大工ないし園丁ということで採ってもらいます、ということで話を進めておるわけでございます。それがはっきりいたしますのは、四月一日が発令でございますので、市のほうでもいろいろ事務があろうと思いますが、四月一日近くにならないと市のほうでははっきりできないというようなお話でございます。したがいまして、三木委員がおっしゃいますような気持ちは、私のほうも十分持っておるのでありまして、一日も早くすべての条件が明らかになるように市当局と話し合っておりますが、一人の人間を採るのでも、一カ月もかかるようないろいろなむずかしい問題が現在ありますことを御了承いただきたいと思います。
なお、退職願いを出させたということですが、出しておりませんけれども、これはこれらの人々が三月末に退職する。円満に他の職にかわっていく。そうなりますと、退職金を出さなければいけません。退職金は、各省各庁の長は、文化財保護委員会については文部大臣になっておりますので、文部本省のほうでは、年度末の退職者の数を一月ごろから計算をしております。したがって、本省のほうで、早く退職願いを出してはっきりした数字をつかんで退職金を出そう。退職金の費目は、毎年の予算で他の余った予算から流用して退職金をつくるのが、一般の通例のように最近なっております。そういった事務的の必要がありまして、先ほど私が言いましたような条件で承諾される人は退職願いを出しなさいということを、私のほうの係の者から現場へ行って言わせたわけでありまして、別に他意はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/38
-
039・三木喜夫
○三木(喜)委員 いまのお話で大体配転先に対するところの職種あるいは給与、こういうものがはっきりしてまいったわけでございますが、これはあとでけっこうですが、人の名前を書いていただいて、現在の給与が幾ら、配転先の場所はどこという資料を出していただきたいと思うのです。はっきりいたしませんと、この不安は一向に取り除かれない。
そこで私が次にお伺いしたいことは、先ほどの村山委員のお話にもありましたように、残存者が十一名ある。あなたのほうからいただいた資料では、数字の上では九名になっております。九名は、配転が非常に考えられておるけれども、組合のほうの要望と異なる点があるので困難である。いまのお話では、民間に行くようだったら、かなり可能性もあるし、また補助金事業に行くようになれば、これもあっせん可能であるというようなお話がございましたが、その中で加藤主任は、組合の活動家というものは非常にあっせんがしにくい、こういうようなととも言われて、数名の人が残っておるわけです。これが私は問題だと思うのです。そこで文化財保護委員会の局長の心得としてお聞きしたいことは、いまのお話の中ではこういうことをおっしゃっております。大工、とび職等、向こうから求められぬものであるからしてやりにくいとおっしゃっておりますけれども、いやしくも自分の省庁の職員としてこれらの人が職を失おうという今日、向こうから来てくれ来てくれと求められるものではなくても、御努力を願うのが私は当然だろうと思うのです。それに、あなたが交渉中におっしゃったことばの中に、私は聞き捨てならぬことが言われておる。その一つは、こういうことになるんだったら、君らは定員化しなかったよ、定員化したのは誤ったというようなことばが聞かれる。これは愛情をもって配置転換をやろうという考えにつながらないと思うのです。そういうように現場の労務者はとっておる。こういう点は、いまのことばの中にも、向こうから求められなければ非常に困難だ。これは困難ですけれども、努力していただかなければならぬと思うのです。そこでその残存者の措置について、もう一回ごあっせんについてお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/39
-
040・宮地茂
○宮地政府委員 いま残存者とおっしゃいましたが、私のほうが十七名残留する者、それから姫路市に行く三十名、こういうようなことを申しましたが、これは組合の幹部の方々の了解が得られないで、どなたが承諾されておるのか、どなたが残っておるのか、形式的には私のほうには承諾書も出てきませんし、退職願いも出ませんので、形式論としてはまだわからないという実情でございますが、実質上の問題をおっしゃっておるのだと思いますので、そういう立場から申し上げたいと思います。
その前に資料の御要求がございましたが、整ったものを出せということになりますと、まだ整っておりません。これは組合の幹部の方々は、組合としてこの人事問題の話し合いをしたいという希望を持っておられますが、三月三十一日というのは非常にせっぱ詰まっておりますので、私ども組合の人々と——この問題は就職先ですから、大筋については別としても、一人一人の問題でありますので、一人一人に当たるのがいいであろうと思って当たっておりますが、どういうわけか、残る人は不満はないはずですが、それから姫路市に行く人も不満はないはずですが、承諾書も退職願いも出ておりません。したがいまして、先ほどいつかもらった資料はとおっしゃいましたのは、こういう席上でお配りする資料と私は考えないで、先生に率直な資料をお配りしたわけでございます。したがって、先ほど要求された資料は、形式的に整っておりませんので、いまの段階では私としてはお出しできないと思います。
それから二番目に、組合の活動家についてのお話がございましたが、これは全部文化財保護委員会事務局の職員でございます。私は一視同仁に考えております。これらの人々にもできる限り全力を尽くして就職のあっせんをしたい。人々に差等をつけないで、同じ気持ちで努力をしたいと思っております。現地でどのようなことを申しましたか、私は存じません。
それから、私が、こういうことになるなら、おまえたちは定員化しなければよかったと言った、これは誠意のないあらわれであるというふうにおっしゃいましたが、これはそのことだけをつかまえておっしゃいますと、非常に響きが悪いのでございますが、いろいろ長い話をしております途中に、なるほどそこだけつかんでおっしゃれば、そういう表現の個所があろうと思います。しかし、先ほども申しましたように、これは三十六年、三十七年に非常勤職員の定員化が各省を通じて行なわれたときに入ったわけでございます。そのときは、二年後、三年後には姫路城の仕事は終わって過員を生ずるということがはっきりわかっておるのに、二年、三年前に定員化されたわけになります。そういったようなこと、それから先ほど村山先生でしたか、おっしゃいましたが、平城宮のほうに定員増があるんですが、これは大部分が発掘の調査員で、あの人々は平城宮に就職をあっせんしろというようなお話がありました。ただ、平城宮には、いまから五、六年前から発掘に携わっている労務者がございます。これらの人々は、三十六年、七年ころの姫路城の職員と実質的には同じような方々なんです。したがって、平城宮のほうに定員がついた場合には、現在の姫路の人々を連れていくというよりも、むしろ情においては、五年も六年も発掘調査を定員でなくやっておられた人々を定員化するのが先ではないかというような、いろいろなよもやま話が出まして、そういう雰囲気、そういう過程においてそういうことばを述べたわけでございまして、必ずしも私に誠意がないのでそういうことばが出たんだというふうにとられないように、御了承いただきたいと思います。
それから最後に、残った人をどうするんだというお話ですが、たびたび申し上げておりますように、あの人々が姫路の自分の家から通える地域でなければ絶対いけない、あるいは絶対に家がなければいけないという二つの条件を多少ゆるめていただければ、私としては就職をあっせんする可能性があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/40
-
041・三木喜夫
○三木(喜)委員 いろいろ私も聞きたい問題がございますので、現地でどう言っているか知らないけれどもというような言い方、これはあなたとして聞いていただきたいし、二年後に過員が生ずることがわかっているのに定員化したのは、身分を保障していただきたかったわけです。そういうことであるから、問題は根本的に私と考え方が違います。また文教委員会でゆっくりとお聞きをしたいと思いますが、他の委員会でございますので、もう一点あなたにお聞きしておきたい。
それは、国宝の修理にかなりの国費を投入しておるわけです。いままで投入した費用は、かなりの費用になっておると思うのです。そういたしますと、文化財保護法の九十五条によって、国の所有に属するところの重要文化財等を他の管理に責任をゆだねる、いわゆる指定が書いてありますが、この指定を求めるときに、かなり国としてそういう要請を付して出すことができると私は思うのです。いわゆる労務者を管理事務のほうに回してくれとか、こういうことは可能でないかと私は思うのです。
そこでお尋ねしたいことは、国費を幾ら投入したか、そうしてそういうことは可能性があるかないかということを法の立場からひとつ言っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/41
-
042・宮地茂
○宮地政府委員 姫路城が完成するまでに幾ら国費を投入したか、私ちょっとその数字をいま持ち合わしておりませんが、約五億ぐらいではなかったかと思っております。間違っておりますれば、後ほど訂正さしていただきたいと思います。
それから文化財保護法をお引きになって、管理団体を指定するときに文化財保護委員会から労務者等についての要請ができるのではないかというお話でございますが、管理を地方公共団体にお願いすることは法律上できるわけですが、その場合に、もちろん実質的の話し合いとしましては、姫路城の管理をしていただくについては、このぐらいな人間は要りましょう、ですから、このぐらいはぜひ採っていただきたいというような話はいたしております。それに姫路城の管理事務所だけではなくて、姫路市役所のほうにも、市役所の他部局に欠員があった場合、増員があった場合、こういう労務者が就職できるようにお願いしたいというようなことも申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/42
-
043・三木喜夫
○三木(喜)委員 かなりの費用が投入されておりますので、そこからの関連としてお聞きいたしましたが、次に委員長として、これだけの大工事をやられたのですが、現地に何回ぐらい、そうして事務局でもけっこうです、市長と何回ぐらいこの問題について交渉なさいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/43
-
044・宮地茂
○宮地政府委員 この姫路城の修理は、非常に長うございますし、私は昨年事務局長になりまして一年でございますので、古いことを承知いたしておりませんが、代々の委員長は、就任されるとすぐ京都、奈良へ行くと同時に、姫路城には行っておるように聞いております。私が姫路市長と何回会ったかという御質問でございますが、東京に来られた場合に会っていただいたり、あるいは私が直接姫路市に出向いてお願いしたり、はっきり回数を覚えておりませんが、少なくとも約四、五回は直接市長とお話をしておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/44
-
045・三木喜夫
○三木(喜)委員 先がた村山委員のほうから神戸新聞の記事を引用されて、二月の二十一日に「築城の人柱はごめんだという表題のもとに、新聞に出ております。配転に対して組合が非常に反発しておるということであります。その一つとして、先がたるる申し上げておるわけですが、この反発の状況が出ておるわけです。その内容を事務局長は御存じないように思いますので、私、その文面の大事なところだけをひとつ読ましていただきます。「去年初めから同労組は完成後の身分保障を求め文化財保護委員会と交渉を続けていた。市当局も「城復元工事にたずさわった人たちを路頭に迷わすことはできない」と全員引き取りの方針を示していたが、年齢制限や予算のワクからはっきりした意思表示がないまま完成が目前にせまった。
このため同委員会では個人別希望調査を行ない、このほど十余人を残して配転先の内示を行なった。
内示によると、姫路城管理事務所二十九人(非組合員一人)残務整理十一人、補助金工事場四人、平城宮跡一人などで残余の組合員には期間中努力するというもの。ところが配転にともなう労働条件や賃金、職種などについて明らかにされず、そのうえ組合の活動家の“首切り”が含まれていると委員会案に不満を示している。」特に就職あっせんとともに、一身上の都合で退職したいという辞職願いの署名を求めたということが、組合が非常に態度を硬化した原因である。組合を無視して行なっている強制配転に反対する態度を確認したということが出ております。この中で、先がた指摘されましたように、組合をオミットしておいて話し合いを進めよう、各個にやっていこうということが、内部の結束を切りくずそう、組合活動家の除外、こういうぐあいにとって、現地組合では非常に不信感を持ち、あるいはまたこれによって私は混乱が起こらねばいいがということを非常に心配するものです。特に国宝というようなりっぱな民族の遺産が、いまこれらの人や皆さん方の努力によって完成し、日の目を見ようとしておるときに、こういうことによって汚点がつけられるということは、私は忍びないと思うのです。だから、いま局長のお考えの中では、やはり局長としても割り切れぬものがおありになるようです。私も、その点につきましては、文教委員会でお聞きして明らかにしていきたい、こう思うのですが、いずれにいたしましても、いまの御答弁の中で、どういう考えで書類を出さないのだ、辞職願いを出さないのだというようなことは、あなたもよくお聞きのはずなんです。それをそらとぼけて——これは課長のほうからお話があったはずなんですよ。そういう冷たい態度でこれを処理されるということには、私は非常に不満を持つものです。
なお最後に、これによりますと、残る七十四人の配転先をいただいておりますが、国家公務員、残務員、姫路市職員、平城宮あと職員、江戸城職員、補助事業職員、こういうぐあいに細別されてありますけれども、これについてだれが一体そこに行くのかという名前が明らかにならなかったら、おそらくこの定員法というものは、そういう首切りを含んだまま、明らかにならぬままでは、文部省設置法の一部改正案というものは通りにくいと私は思うのです。一方では増員がありますけれども、一方ではそういう首切りという悲惨な目にあう人々の問題が解決されずにあるということは、私は問題があろうと思いますので、再度こういう人名と、それからそれらの人の基本給、そしてこの次に行くところの職種と給料というものを、可能な範囲でひとつ書いて出していただきたい。これを要請したいと思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/45
-
046・宮地茂
○宮地政府委員 いろいろおっしゃいましたが、最後の行く先を出せということですが、先ほど来るる申し上げておるところでございますし、また私が、どういう理由かわからないが、退職願いに承諾書を出さないということをわかっておりながら冷たいことを言うとおっしゃいますが、三木先生とも十分お話し合いをしてありますし、こういう席でなく話し合いをしたことと、こういう場所でおっしゃいますことと、私もどちらをとっていいのか迷うのでございますが、資料の御要求は、先ほど来申しておりますように、あの人々が了承しておられませんので、どういう資料をおつくりすればいいのか、先生の御要求になる資料が、私には意味がよくわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/46
-
047・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうしましたら、事務局長にその資料の内容等につきまして、個別に申し上げていいですか。そういうぐあいによって処理していただきたいと思います。
時間も迫っておりますから、残余の問題につきましては、文教委員会でひとついたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/47
-
048・伊能繁次郎
○伊能委員長代理 田口誠治君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/48
-
049・田口誠治
○田口(誠)委員 私の質問申し上げたい点は、教科書の無償給与の拡充に伴う教科書給与課の設置の問題に関連することと、それから国立の文教施設に対する工事事務所の関係、それから国立青年の家の新設の関係、こういう点にしぼってやりたいと思いまするが、そこでもう一つありまするのは、この間、文部省関係の予算の委員会で、時間がなくて十分質疑が尽くされなかったので、そういう残った面を時間を見て質問をしまして、そして適当なときに昼食ということにしていただきたいと思います。
そこで、これは官房の方、それからもちろん管理局長さんにお尋ねする内容ですが、先般質問を申し上げました岐阜、兵庫、山口の三県の医学部を国立に移管するという問題に関連をしていろいろ問題が起こっておりますので、そういう内容を明確にしていきたいと思うわけです。
それで、三県ですけれども、当面岐阜県の分をお聞きをいたしたいと思うのですが、先日私が質問を申し上げたのは、国立移管にするには三つの条件が出されておって、そして岐阜大学の国立移管の場合につきましては、県庁を明け渡せ、それから県議会の議事堂を明け渡せ、それから周囲の民家を買収して、あそこに施設をつくれ云々というようなことが条件であるかどうかということをお聞きをいたしましたら、県庁を明け渡せ云々ということについては、たまたま県庁が移転をするから、それであの県庁を利用したいということであって、初めから県庁を渡してくれということではなかったんだという答弁があったんです。
それからもう一つは、これは数年前から問題になっておりましたので、三県の知事とその間ずっと長い間話し合いをしてこられた経過もございまするので、私はそういう点は明確になっておろうと思いまするが、県庁の移転問題につきましては、いまの県立の医学部を国立移管にするには、どうしても県庁を明け渡さなければならない、そうしてやらなければ国立移管にしてもらえぬのだという、こういう理由で県庁を移転するという問題が浮かび上がってきたのであって、初めから県庁を移転して、あの県庁があき家になるから、それで医学部のほうへ移譲するのだということではないわけなのですが、そういう点は、いままで話し合いをされてこられた経過からいって、どういうようになっているのか、この間の御回答を聞きまして、ちょっと私その点が食い違っておりますので、それもやはり明確にしておかないと、地方議会ではいろいろ問題になっておりますから、ひとつ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/49
-
050・杉江清
○杉江政府委員 県庁舎の問題につきましては、私どもが承知しておる限りにおいては、この前申し上げましたように、あれは移転のことがかなり具体的に考えられておる、そういうことを承知いたしましたので、それではひとつあれをお譲りいただけないか。御存じのように、敷地があまり狭いから、将来の発展を考えると、何とか敷地の拡張がほしいところだ。で、そういうふうにお願いしたわけでございます。実はこの前も申し上げましたけれども、こうしなければ移管しないというような、そういうきつい条件として具体的なことは申し上げておらないのです。これは申し上げられないわけなんです、まだ移管のこともきまってないわけですから。そこで、予算折衝において移管をきめる直前において、公式に条件としてお示しし、御確認いただいたのは、抽象的な事柄なんです。それは御存じだと思いますけれども、たとえば施設設備の関係については、従来文部省が示した改善充実事項を基礎にして、適正量を確保し、一そう質の向上をはかり、文部省の基準に達するよう整備の上移管すること、そのほか数点について抽象的に案をつくりまして、これをお示しし、御承諾いただいたのであります。はっきりした条件といえば、これなのです。ただ、こういうことを申し上げるときに、それでは大体どういうことを考えておるのか、どこに問題点があるか、どういうふうなことが大体において含まれるのかということについては、具体的にいろいろ申し上げておるわけなんです。しかし、それは、いわばそれをはっきりした条件として取り上げなければいけないというようなものとは考えないわけです。それを抽象的な条件に即して、その内容を確定する作業をいまやっているわけです。それは協議会をつくりまして、そこで関係者を集め、また学識経験者も加えて、この精神に即した具体案を作成しようとしておるわけなんです。そういう意味におきましては、具体的なことは正式には万事これから確定さるべきことだということであります。もちろんそこに至りますまでには、いろいろ視学委員が行って調査をされ、注文されたことがあります。また、県からも、こういうふうに整備したいという具体的な計画も出ております。また私ども係官が現地に行っていろいろお話ししたこともあります。それらは全くそういうととがなかったものとして考えるということではなくて、それを重要な基礎にしながら、そういう新しい組織でこの精神に即して今後具体的に考えていく、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/50
-
051・田口誠治
○田口(誠)委員 移管決定をされる前の折衝においていろいろ話し合いをされたのだから、これが完全な基準であって、これをやらなければ移管ができないのだ云々ということは、これは法案が通っておらない前であるから、そういうようなことは言えないということから、いま相当ぼやけた答弁になっておるわけなんですが、いずれにいたしましても、この設置法が通り、それから予算案が通るということになれば、三県の次学部は国立移管、こういうことになるわけですね。それで、その間審議会を設けて協議をしておっても、協議の内容は、これはやはりいまの大学移管に対するところの設置基準というものがあるから、まずこの基準までは国のほうとしても要求さるべきであろうと思うし、またそれはされてもいいと思うし、してもらいたいほうも、それだけの条件に応ずることは常識だと思うのです。ただ、現在は六千坪だ。ところが、現在ある国立大学の区学部は三が坪くらい持っておるのだ。だから、そういう条件下において移管を決定するということになれば、相当やはり地元のほうでもそれに協力をしてもらわなければならないというのが国の考え方であるので、したがって、そういうことから、先ほど私の申し上げたのは、そういういきさつですけれども、あなたのほうと県庁と折衝された話し合いの内容では、どういうような表現で話をされて、移管してもらうために努力をされたかわかりませんので、そういう面に入っては私はこれ以上は言及いたしませんけれども、いずれにいたしましても、そういう経過があったということです。
それからもう一つ、ここで確認しておきたいと思いますことは、県庁をまず明け渡し、県議会の議事堂を明け渡し、その南のほうの民家を買収して、あの辺一帯を国立大学の医学部にするということになりますと、結局どのくらいの坪数になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/51
-
052・杉江清
○杉江政府委員 合わせて一万六、七千坪かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/52
-
053・田口誠治
○田口(誠)委員 文部省のほうから要請されておることを満したとしても、一万五、六千坪ということになりますれば、現在のところにある医学部は三万坪というお答えがこの間ございましたので、それと比較すると、坪数の面においては非常に狭いわけでございまするが、ここでお聞きをいたしたいことは、二十億円の県の負担を要求されておるということは、これはやはり敷地を幾らで買えるかどうかで、二十億円で済むか、それとも安く上がるか、こういう点は未知数だという内容の答弁がこの間あったわけです。私は全くそのとおりだと思いますが、私がお聞きしたいことは、県庁と県議会の議事堂はまず提供する。そしてその他あの南のほうの民家を買収し、それから現在建てられている看護婦さんの宿舎とか、また木造建てのもので鉄筋にかえなくてはならないものがありますので、そういうようなものも建て直さなければなりませんし、新しく敷地を求めれば、そこに必要な建物を建てなければなりませんし、そうして近代的な医療器具をやはり備えつけねばなりません。そういう費用が、見積もりとしてはおよそ二十億円になるのではないか、こういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/53
-
054・杉江清
○杉江政府委員 この前申し上げましたように、これは県庁舎を譲り渡していただく場合に、その評価をどうするかといういろいろな問題がございます。正式に二十億円というものをお示ししたということは私は知りませんが、あとでお聞きしますと、こういうような計算をすると二十億円になるということは、座談の中にちょっと出たということは聞いております。しかし、繰り返して申し上げますけれども、いろいろな経過があるわけです。それは経過としては尊重さるべきものもありますが、また尊重しなければならぬ部分も相当ありますけれども、しかし、とにかくいろいろな経過は経過として、新しく移管を前提として、将来国立大学の医学部としてまず普通の水準にまで持っていく、そういうふうにするためにはどうしたらいいかということをいま審議中なのでありまして、いろいろ御質問の点は、われわれ県側また大学側と一緒になって相談している最中でございますので、あまり的確にお答えできない面が多いのでございますが、その辺を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/54
-
055・田口誠治
○田口(誠)委員 その点はわかりますが、大体二十億円の見積もりをされたことは、県庁も県議会議事堂も幾らで買い取るのだということが含まっているのかどうかということです。あの建物はまず提供して、そのほかにいろいろ買収をしたり、建築をしたり、機械器具を備えつげるのに二十億円くらいかかるのだということなのか、そこのところはどうかということをお聞き・しているのです。それもわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/55
-
056・杉江清
○杉江政府委員 私は、その辺はよく承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/56
-
057・田口誠治
○田口(誠)委員 あなたはわからぬとしても、わかる人はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/57
-
058・杉江清
○杉江政府委員 もしそれがいたとしたら、いま外遊している栗山技官が、向こうに行った際にそういうことを申し上げたかと思いますが、いまそれはおりませんし、ちょっとはっきりいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/58
-
059・田口誠治
○田口(誠)委員 これは三県もそうですか、大蔵省との折衝もずいぶん困難であり、それで文部省も相当に努力をして、これでようやく移管がきまったわけですが、そのときに、やはり二十億円というものが提示されたというように新聞は書いておりますので、私らはその範囲よりわからないからいま聞いておるのですが、きょうここでお聞きしても、これ以上はわからないのですね。そういうように受け取っておいてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/59
-
060・杉江清
○杉江政府委員 先ほど申し上げましたような線でいま具体案を固めておるところでございまして、具体案が出ないと、県にどれだけ御負担いただくか、出てこないわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/60
-
061・田口誠治
○田口(誠)委員 そこで私は、設置基準というものもございますので、そういう点からも考え合わせてお聞きするのですが、たとえば先日の分科会で御答弁のあったように、現在国立大学の医学部は、三万坪くらい敷地を持って、近代的な機械器具を備えて、そして国立大学医学部として恥ずかしからざる体制をとっておるのだというお話しでしたが、ただいまお聞きした範囲内のことを全部満たしたとしても、一万五千坪か六千坪ということになるのですが、これは私どもしろうと考えで考えまして、現在あるところは大体岐阜市のまん中ですから、あの辺を売却するということになりますと、相当に売れるわけなんです。そうすると、二十億円出さなければならない金に、あそこを二十億円で売って四十億円できれば、ほかのほうの環境のいいところに敷地を多くとって、りっぱな国立大学医学部というのができるわけなんですが、そういうようなことの指導をされておらないのかどうかということ。私、ほんとうに国立大学の医学部をここにつくるというならば、やはりそういうような将来的なことも考えて指導されるべきが当然だというように考えるわけなんですが、その辺のところはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/61
-
062・杉江清
○杉江政府委員 そういう可能性をも含めてお話し合いいたしておるわけなんです。しかし、県の側の御意向が、また一般でもそうでありますけれども、とかく病院を移すということはなかなかたいへんなことでありまして、ことに地元の方々からは、多くの場合相当強い反対が出てまいる、そういうことを考えますと、かなり困難だということが言えると思うのです。そこで、いまの段階としては、現在の狭い坪数で一体技術的に整備できるかどうか、その点をもう一ぺん突き詰めて考えていく。多少のことは県のほうでも広げることは考えていただけるらしいので、そういうことでほんとうに整備できるかどうか、技術的に詰めていく。そして私ども、県庁舎をいただけば、不十分ながらも相当整備できると考えておりますが、しかし、現在のところ、かなりむずかしいようなお話も聞いておるわけなんです。だから、その話もまだはっきりした御返事をいただいておりませんが、六、七千坪にちょっとゆとりがある程度のもので整備する。それがほんとうに技術的に可能かどうかということを突き詰めてみる必要がある。そういう作業もし、そしてまた片方の県庁舎のこともお考えいただき、その辺の御回答も得て、そしてそういうふうな検討の上、ここでだめだということになれば、いまのようなことも考えざるを得ない。しかし、にわかにそういうことはできませんから、将来移るという前提で折衝をしていく、当分の間措置していくということも考えざるを得ない、そういう基本的な問題を含めて、今後の方針を固めようとしている現段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/62
-
063・田口誠治
○田口(誠)委員 わかりました。たいへん御苦労になっているようなのですが、いずれにしても、いま審議会ですか、協議会ですか、設けて、先般御回答のありましたような内容、陣容で審議をされておるのですが、これはやはり場合によっては場所の変更というようなことも含めてやっておるという御答弁ですから、私は、将来的なものも考え合わせて、いい結論が出ることを祈ってやみません。それと、いろいろ申しておきますけれども、二十億円県が出すということになれば、どうせ二十億円出すのなら、現在のところを買収するものその他含めてあの地所をどこかに売って、ほかに四十億円ぐらいでつくれば、りっぱなものができるのじゃないかというような、しろうととしての考えがあるわけでございますので、そういうことも含めて御検討いただいておるということなら、それでけっこうです。
そこで今度、先ほどの姫路の問題にも関連するようなことでございますが、姫路の場合には、国家公務員が地方公務員になるということですが、今度三県の場合は、地方公務員が国立移管によって国家公務員になるということなのです。それで先日も申し上げたように、現在の事務局の計算では、五千円から七千円、古い人はもう少し多いベースダウンになるということで、職員の人たちがその点でたいへん頭を悩まし、騒いでおるわけなのですが、この間は、十四条には特例もあるから、そういう特例でできる範囲内の内容を勘案してやることにおいて、そうした大きなダウンなんということは解消できるのではないかという御回答をいただいたのです。これは姫路とは逆な現象でございますけれども、こういう場合には、そこにつとめておる職員の身分保障というものが一番問題になりまするので、こういう点を明確にしていただかないと、なかなかむずかしいと思う。それで、県の県職の組合のほうでは、これじゃ困るんだといって知事のほうへ行けば、知事は、よろしい、それは話し合いをして、少々時期的に延びても、そういう点の心配ないように努力したいと思うと言って、誠意は示しておられるのです。そういう場合には、そうした誠意を示されることは当然だと思いまするけれども、やはり実際問題として、もうこの設置法の改正が通り、予算案が通るということになりますれば、これは国立移管本ぎまりということになって、それから職員がどうだこうだなんと言ってみてもぐあいが悪いので、ある程度ここで職員が安心をするような回答をいただいておかないと、なかなかむずかしい問題にぶつかっておるのですから、私はこういう点をひとつ率直に伺っておきたいと思うのです。どんなものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/63
-
064・安達健二
○安達説明員 この前予算分科会で御質問がございましてお答えいたしました内容でございますが、公立三医科大学の移管と俗称しておりまするけれども、法律上は公立大学はなくなって、国立大学の医学部が新設されるということでございまして、したがって、職員につきましても、地方公務員としての身分を辞職した上、新しく国家公務員に採用する、こういうことになります。したがいまして、その給与は国家公務員の基準で決定することになるわけでございますが、現在国立の岐阜大学におりますところの職員との均衡をとらなければならないというような関係からいたしまして、人事院に協議いたしまして、できるだけ有利に切りかえるように措置いたしたい、かように申し上げた次第でございます。したがいまして、現に国立大学の職員との均衡の限度というところがございますので、その範囲内においてできるだけ有利ということにならざるを得ないということでございます。したがいまして、地方公務員としての給与水準なり給与の運用が、国家公務員のそれらに比較いたしまして著しく高いような場合には、やはり下回るということもあり得る、こういうのが、従来から移管がございましたときの実情でございますので、さように現在の国立大学の職員との均衡を失しない限りにおいて、できるだけ有利に切りかえをいたしたい、そういうような意味でお答えをいたした次第でございます。
なお、岐阜大学のほうにつきまして、実は私ども、三医科大学共通して、二月の十五日までに、それぞれ現在もらっている給与、従来の経緯等を聞いていろいろ検討したいのだというようなことを申し上げておりまするが、まだ岐阜大学のほうはいただいておりませんので、現実にどうなるかということは、それぞれ個々の事情によって異なりますので、まだ見通しがついていないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/64
-
065・田口誠治
○田口(誠)委員 たいへん努力していただいておりますが、兵庫、山口のほうは、ただいまの賃金実態というものは、もう報告しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/65
-
066・安達健二
○安達説明員 まだこの人が正確に国立大学のほうに移るということでなしに、どういうものであろうという意味での御相談をいただいておりまして、いろいろ検討いたしております。岐阜大学は、まだそれを出していただいてないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/66
-
067・田口誠治
○田口(誠)委員 そうしますと、どういうことになりますか。きょう提案されておりまする設置法の改正には、先ほどの五つの大学の国立移管ということもございまするし、そういうものを含めて可決されます。予算のほうでは、年次計画で出ておりますから、それも予算も通る。こういうことになれば、これは必然的に、自動的にもう国立移管本ぎまりということになるというように、私どもしろうとでは考えられるのですが、そうではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/67
-
068・安達健二
○安達説明員 人の面だけで申し上げますると、たとえば岐阜大学のほうで三十九年度七十人という定員がついておるわけでございます。したがって、その七十名の人を埋めていくということになるわけでございます。したがいまして、この七十名の人が全部四月一日にそっくり来られるかどうかは、今後のそれぞれの事情によるわけでございますので、この法律そのものと、職員を全部充足できるかどうかということについては、別問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/68
-
069・田口誠治
○田口(誠)委員 その点はそれでいいと思いますが、それは場合によっては地方公務員として県のほうで他のほうへ採用するという人もあろうし、どうしてもやはり定員の関係で国家公務員になってもらわなくちゃならないという人もあると思いますので、三十九年度は七十名ですけれども、これは年次計画で全員行くわけなんですから、そういうことから、あそこの職員組合なんかではアンケートをとって、自主的に職員の気持ちを集約したものもありまするが、その数字を見ますると、非常にベースダウンということが頭にきておるわけなんです。したがって、私は、やはり特例の十四条をじょうずにそろばんをはじいてもらって、現在国立岐阜大学の職員との給与のバランスということも考えなくてはならぬでしょうけれども、現在十年なら十年勤務に対して幾らということについてはそう差はないと思いますけれども、ただ差ができますることは、たとえば国のほうの各省で係長をやっていた方が県へ行って課長になった場合には、給与はぐっと上がります。課長をやっておった人が国へ来て課長の席を得られない場合には、これはやっぱり下がります。こういうようなきちょうめんな計算でいきますと、これはただいま申しましたように、相当ダウンになるのであって、そうでなしに、年数、十年なら十年の勤務のものは給与がこうだというぐあいにいけば、岐阜県の場合の地方公務員の給与と国家公務員の給与が、そんなに大きな開きというものは出てこないと思う。それで、事務局のほうではじいておりますのは、ただいま私の申しましたような、そういうきちょうめんなそろばんの出し方をしておるから、そういう金額になるのであって、実際にこれを何とか縮めてやろうという考え方で計算をされれば、そんなに下がらないと思うのでありますが、これは私の考え方ですけれども、文部省の担当官の考え方からいきましても、十四条の特例を適用して、何とかベースダウンになることを防ぐように努力し、そうして現在の国立大学の職員とのバランスというようなことも若干考慮に入れていくということになれば、たいしたことはないと思うのですが、そういう点どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/69
-
070・安達健二
○安達説明員 御承知のように、現在の給与制度というものは職務給のたてまえをとっておりますので、職によって俸給のあり方が違うわけでございます。したがって、そのポストが同じであるならば、お話のようにたいした違いはないと思うのでございます。したがいまして、そのポストをどういうポストにするか、あるいは新しい職務内容はどういうものかによって違ってくるわけでございます。ところが、一方国立の医学部のほうではどういう職種が必要かということになるわけでございまして、そこがぴたりと合えばたいした問題はないけれども、それがぴたりといかないこともあり得るわけでございます。そういうときは、そういう方は初年度にするか、次年度にするか、そういうような点もあろうかと思うのであります。要するにぴたりとした職があっていけば、そう差はないだろう。しかし、その職がぴたりとした職でなければ、もう一年待つとか、そのほかそういうような考慮をしなければ、御説のように課長の人が係長になるとか、あるいは係長が係員になるとか、そういうような事態になりますと、少し下がるというような事態が生じてまいりますので、そういうことは、国立大学のほうにおけるポストと、現におられる人とのかね合い、また学年進行との関連、そういうことを総合的に判断をいたしまして、両者十分協議いたしまして、現在の国立大学の岐阜大学の職員との均衡がとれる範囲内において、できるだけ有利に切りかえをしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/70
-
071・田口誠治
○田口(誠)委員 そこで先ほど来質問のありました、姫路の文化財を地方へ移譲するということから、国家公務員が地方公務員になるということで、私のいま申し上げております逆なことになって、逆なことで心配をしておられるのですね。だから、これは私、質疑をずっと聞いておりましたが、結論的には、職務は違うことになろうと思いますけれども、収入の面については、大体現在の国家公務員として収入を得られておるものが、地方公務員に切りかえられても、これは確保できる、先ほどはこういう答弁であったのですが、この議案を審議するのに、そういう問題を持っておられる地元からの声がやはり強く出てきておりまするから、その辺がなかなか質疑も長引くということにもなりまするから、私は、そういう問題を解決できれば、必然的に岐阜、山口、兵庫の関係も解決ができるのじゃないかと思うのですが、どうなんですか、関連しておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/71
-
072・安達健二
○安達説明員 先ほど来申し上げておりますように、その部内の職員の均衡がとれる範囲内におきまして、できるだけ有利に計ろうということでございますので、したがいまして、現給を必ず保証するということはいたしかねる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/72
-
073・田口誠治
○田口(誠)委員 御答弁のあった速記録を読むと頭へぱっとくるものがあると思うのですが、それは質問をして答えられたときには、身分が変わっても完全に前の賃金を保証するということのお答えはしにくいと思いますけれども、やはりこれは全く完全と言わなくとも、まあまあというところまでいかないと、なかなかこういう問題は解決しにくいわけなんです。まあこれ以上この問題をお聞きしても同じようなお答えだろうと思いまするが、私どもとしては、国立移管の三件の問題についても、ただいまの姫路城の文化財を地方自治体に移譲する問題についても、国家公務員を地方公務員に切りかえ、地方公務員を国家公務員に切りかえる場合、そのときに大きなベースダウンになるというようなことは、これは実際その人の立場になってみるとたいへんな問題ですから、幸いに十四条の特例もございますので、こういう点を上手に使い分けをしていただいて、そうして問題を円満に解決できるように努力をしていただきたいと思います。あまり公式論でどんどんやってもらうと、たいへん問題がむずかしくなりますから、そういう点は十分に御考慮をいただいておるところだろうと思います。その点信用しておりますから、ひとつ私の申し上げました点で努力をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。
時間も一時近くになりましたし、私の質問は、ほんとうは先ほど一番最初に申し上げました内容のものもありますし、また他の方もありますので、日をかえて質問することになろうと思います。そのときに譲りまして、きょうはこの程度で終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/73
-
074・伊能繁次郎
○伊能委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は、明二十八日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X00319640227/74
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。