1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年三月二十八日(土曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 徳安 實藏君
理事 伊能繁次郎君 理事 辻 寛一君
理事 永山 忠則君 理事 石橋 政嗣君
理事 田口 誠治君 理事 山内 広君
安藤 學君 岩動 道行君
佐々木義武君 佐藤 孝行君
高瀬 傳君 塚田 徹君
野呂 恭一君 藤尾 正行君
松澤 雄藏君 渡辺 栄一君
中村 高一君 村山 喜一君
受田 新吉君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
内閣法制局参事
官(第三部長) 吉國 一郎君
人事院事務官
(任用局長) 矢倉 一郎君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
通商産業事務官
(通商局長) 山本 重信君
通商産業事務官
(企業局長) 島田 喜仁君
通商産業事務官
(企業局参事
官) 馬郡 巖君
特許庁長官 佐橋 滋君
委員外の出席者
自治事務官
(財政局地方債
課長) 立田 清士君
専 門 員 加藤 重喜君
—————————————
三月二十八日
委員保科善四郎君及び前田正男君辞任につき、
その補欠として安藤學君及び佐藤孝行君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員安藤學君及び佐藤孝之君辞任につき、その
補欠として、保科善四郎君及び前田正男君が議
長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/0
-
001・徳安實藏
○徳安委員長 これより会議を開きます。
通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/1
-
002・村山喜一
○村山(喜)委員 今回改正になります設置法の、第九条の企業局の事務内容と同じ内容を持っております第二十七条の所掌事務でありますが、これは通商産業局に次のような事務を分掌させるということで、工業用地及び工業用水その他の産業立地に関すること、さらに工業用水道に関することが、所掌事務の中に掲げられているわけであります。そこで、これは設置法の第九条の企業局の事務内容と同じでありますが、このように重複をした形で法律事項として、この通産局にこういうような権限、所掌事務が付与されるということになってまいりますと、当然そこにはどの程度のものについて通商産業局長に委任をするのか、また、どの程度の指揮監督権が本省の企業局には残るのか、そして、その達成を有効に進めていくためには、どのような手段によってそれをコントロールしていくのかということが問題にならなければならないと思うのでありますが、この所掌事務を、法律事項として新たに二十七条で工業用地と用水について打ち出された、その理由は——いままではこれは施行規則によって内部的な規則としての取り扱いをしておった関係で、そう問題にする考えではなかったのでありますが、新たに法律事項としてここに明示された以上は、そこにはやはり権限を明確にしておかなければ、今後これが国民の生活に及ぼす影響という点から問題でありますので、どのような関係でどういうふうに処置されるのか、実際行政上の問題点についてお尋ねをしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/2
-
003・馬郡巖
○馬郡政府委員 お答えいたします。
工業用地、工業用水、あるいは産業公害といったような産業立地関係の仕事は、従来から通産局の所掌事務としてやってまいったわけでありますが、今回これを法律上の条文といたしました理由は、だんだんその業務も増大する傾向にございますので、その関係をはっきりさせる意味におきまして、責任体制の明確化をはかろうという考え方でございます。実際に通産局が現在やっておりますこれらの仕事の内容は、工業立地の調査等に関する法律ということがございますが、これによりまして工場適地の調査、あるいは一定規模以上の工場の設置の届け出の審査、ないしは新産業都市、工業整備特別地域等の建設、あるいは低開発地域の指定に伴います一連の調査事務、工業用地の取得に関しますいろんな調査事務、工業用水に関しましては、地方公共団体で行ないます工業用水道事業の監督、助成の事務、あるいは産業公害に関しましては、工場排水等の規制に関する法律に基づきます工場の排水の規制等の調査ないしは勧告、命令というような仕事を現に実施しているようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/3
-
004・村山喜一
○村山(喜)委員 ただいま承りますと、これは適地調査のためにそういう法律事項にしたんだというお話でありますが、その地方の通商産業局の人員をどれだけふやすのかということを調べてみますと、二名しか増員の計画がないわけですね。全体で二名であります。そういたしますと、新たにこの法律事項としてここに打ち出される以上は、なお事務内容を整備して、これらの所期の目的を達成をするためにお出しになったものだと思うのでありますが、この二名を増員をして、それによってこの仕事をこなしていくことができるのかということを考えますと、この設置単位が八ブロックに分かれているわけですね。そういたしますと、この二名はさしあたりどことどこに置いておやりになるのか。そしてさらに先ほどお話の中では、いわゆる低開発地域の工業開発の問題も取り組むのだという説明であります。そうなってまいりますと、そういうような低工業開発地域の問題等は、一体どうなるのかということになってまいりますと、これの法律事項にする効果が期待が持てるかどうかということになってまいりますが、それについてはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/4
-
005・馬郡巖
○馬郡政府委員 今度増員いたします二名につきましては、東京と大阪の通産局に一名ずつ配置いたしたいというふうに考えております。確かに人員としては少ない人員でございますが、さしあたり東京と大阪につきまして増員いたします理由といたしましては、この地区は、産業公害関係が一番多い地区でありますということと、それから、やはり産業公害の一種でありますが、地盤沈下地帯でもございまして、工業用水法に基づきます地下水のくみ上げ禁止に関します関係が本格化してまいりますので、そういうものに対処いたしますためにこの二名の増員をいたしたわけでございます。もちろん十分な人員ではございませんが、通産局内の人員をできるだけ有効配置いたしまして、これらの事務に当たってまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/5
-
006・村山喜一
○村山(喜)委員 どうも説明を聞いておりますと、新しく二名増員されるのは産業公害関係だけである。あとの工業用地、工業用水その他の仕事については、そのための人員は現在おるものをフルに動かしていくのだという考え方でありますが、どうも法律事項としてここに新たに打ち出されたのに対しましては、まことに不十分な考え方しかないと思うのです。なぜかなれば、通商産業局の人員でいままで遊休化している人員があったら、それを振り向けるという考え方はありましょうけれども、規則で制定をされていたものを法律事項としてここにわざわざ掲げていく、こういうようなところから考えてまいりますと、そこにはやはり権限を明確化していくという考え方がなければならないし、その権限に伴う責任を遂行していくための人員をやはり考えていかなければ、うそじゃないかと思うわけです。この際、私はお尋ねしたいわけですが、この工業用地、工業用水道につきましては、従来地方公共団体のいわゆる準公営企業として、宅地造成事業あるいは港湾整備事業さらに工業用水道事業というものが、事業として地方公共団体の手によって進められております。そういうような考え方からするならば、ここに工業用水道に関して通商産業局にその権限を付与され任務を付与されるということになりますと、都道府県の現在やっておりますそういう公営企業であるとかあるいは準公営企業であるとかという仕事の許認可の問題、これは一体どこが取り扱いをするようになるのか、明確にしてもらいたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/6
-
007・馬郡巖
○馬郡政府委員 工業用水につきましては、工業用水道事業法と工業用水法と二つの法律がございますが、この工業用水道事業法に基づきます監督、助成及び補助金の交付というものにつきましては、通産局におきまして下審査をいただきまして、それに基づきまして、本省でそれに伴います許認可の仕事をやっているわけでございます。そのあとの実施段階におきます監督、助成につきましては、通産局で所掌いたしておる次第でございます。工業用水法に基づきます地下水くみ上げ関係につきましては、通産局におきまして全部許認可をいたしておる次第でございます。
工業用地につきましては、現在のところ法律的な整備はまだできておりませんが、これに関係いたします工業用地に関します起債を三十九年度から新しく実施いたしたい、起債の道を新しく開きたいというふうに考えておりますが、その関係につきましては、通産局に事前の調査というものをフルにお願いいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/7
-
008・村山喜一
○村山(喜)委員 そういうような許認可事務は、通産局でやるわけですか。設置法の九条によりまして、通産省の事務内容としてこれは企業局の事務取り扱いになっております。そうなりますと、もちろん通産省としては通産局に対する指揮監督権があると思いますが、どの程度のものについて権限が付与されるのか。この点を明らかにしてもらわなければ、地方公共団体は、そのような仕事をやっていく場合において、片一方においては通産局のほうに出張をせなければならない、片一方においては、これは東京に出てまいりまして本省のほうにお願いに来なければならぬ、起債ですからそういうような起債の政策をとるとすれば、自治省のほうに来なければならない、こういうようなことになりまして、地方におけるところの行政の事務内容において非常に複雑化してくると思うのでありますが、そういうような点についてはどういうふうに配慮されているものか、お考えをお尋ねしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/8
-
009・馬郡巖
○馬郡政府委員 地方公共団体との関係におきましては、通産局を全部窓口にいたしております。したがって、地方公共団体の方々は、通産局と御折衡いただけばよろしいという形にいたしておりまして、あとは通産局と本省内部におきます相談ということで事務を運んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/9
-
010・村山喜一
○村山(喜)委員 自治省はそういう行政指導をして、現実に起債の割り当て等をする場合には、この通産局から上がってきたものを、通商局と打ち合わせをして、本省の段階において決定をするという手はずを整えておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/10
-
011・立田清士
○立田説明員 工業用水関係の地方債でありますが、工業用水の府県分につきましては、直接私らのほうへ申請をいただきます。それから最近においては、市で工業用水をやる場合もございますが、その場合は、府県に申請書を出していただく、こういうことで、市町村分につきましては、府県がまとめてわれわれのほうに御相談をいただく、こういうかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/11
-
012・村山喜一
○村山(喜)委員 いま話を聞きますと、どうも自治省の説明と——われわれがいままでそういうような事務的な内容折衝についてやっておるわけでありますが、そういうようなものとこの通産局の権限との間には、どうもおかしな点があるのじゃないかと思うのです。先ほどの説明は、全部地方公共団体は通産局のほうで集約をして、そして本省の段階において通産省と自治省のもので話をしてきめるという話でありますが、どうもいまの説明では、府県の段階における工業用水の起債の許可等については、もう府県が直接やってくるという取り扱いになっておる。そうするならば、私は行政上のロスが出てくるのじゃないかと思うのでありますが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/12
-
013・馬郡巖
○馬郡政府委員 先ほど私がお答えいたしましたのは、通産省関係につきましての関係事務でございまして、地方債の許可は、御承知のとおり自治省でやっていただいておりますが、私たちと自治省との関係につきましては、こういう地点にこういう規模の工業用水道をやることが必要であるというお話を自治省に協議申し上げるという形でございますが、自治省自体とされましても、いろいろな地方公共団体の起債全体の見合いというような問題がございますので、そういう関係につきましては、自治省のほうで直接地方公共団体からお話を承っておられるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/13
-
014・村山喜一
○村山(喜)委員 こういうように各省にまたがる行政内容によりまして、ふくそうをしているものですから、非常に機構的にすっきりしない点があるわけです。そういうような点から、行政制度のあり方について、国民のためにどうなければならないかということで、いまいろいろ検討をされていると思うのですが、私は、このことに関連をいたしまして、ここでこの国家行政組織法の基礎的な考え方の中から、行政機関というものが、どういうような考え方のもとに権限が付与され、所掌事務が付与されているのかということを明らかにしていかなければならないと思うのは、たとえば「通商産業省の権限」の第一項の第六号でありますが、「職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること」が、省の規定として掲げられておるわけであります。ところが、これは国家公務員法の五十五条の一項によりまして、法律に別段の定めある場合を除いて内閣及び各大臣に任命権はあるということになっておる。ところが、大臣はイコール省ではないわけです。大臣という特定の権限を付与された——そういう権限は行使する者に付随するものでありますから、人事権というものは大臣にある、こういう考え方で国家公務員法はできている。ところが、この「通商産業省の権限」の第六号には「職員の任免及び賞罰を行い」というように、省の権限として掲げられている。この問題については、権限の事項的な限界というものをはっきりしておかなければ、この行政組織機構の上において矛盾点が出てくる可能性があると私は思うのです。これらの問題について、法制局としては、省の権限としているものが国家公務員法の第五十五条との関係でおかしなことになっていると私たちは思うのでありますが、それについてどういうような見解をお持ちになっているのか。これは各省設置法にまたがる問題でありますから、あなたのほうにお尋ねをするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/14
-
015・吉國一郎
○吉國政府委員 ただいまお話のございましたように、各省の設置法におきましては、ある省全体をつかまえまして、その省の任務なりあるいはその省の権限、こういうかっこうで規定をいたしております。この点は、もうすでに十数年の昔のことになりますが、昭和二十三年、二十四年のころに国家行政組織法をつくりまして、そのもとにおきまして各省の設置法をつくります場合に、戦前の行政法の基本的な考え方におきましては、行政官庁と申しますか、国家意思を決定をいたしまして、これを外部に表示する権限を有する機関というものは、たとえば通商産業省でございますならば、その最高の責任者である通商産業の大臣、その独任制の機関一人が行政官庁であるというような考え方をとっておりまして、この点は行政官庁論として現在でも行政法学でやかましく論ぜられておるところでございますが、従来の考え方はさようでございました。ところが、国家行政組織法を制定いたしまして、それに伴いまして各省の設置法をつくります場合に、当時の連合国軍最高司令一部のサヴァメント・セクションといろいろ折衝をしておる段階におきまして、たとえば通商産業省であれば、通商産業省という全体の組織が一定の行政事務を処理し、一定の国家意思を決定するということで、全体を把握してもよいではないかという議論が強く出てまいりまして、国家行政組織法のもとにおきまして各省の設置法を制定いたします場合には、すべてこのかっこうに従いまして、通商産業省が一定の任務を背負い、通商産業省が所掌事務を遂行するために一定の権限を有するということで、あたかも通商産業大臣を頂点といたします行政組織の全体が省という組織として任務を背負い、権限を行使するというかっこうにしたわけでございます。ところが、当時行なわれておりました各それぞれの権限に関する実体法、たとえば通商産業省でございますならば、臨時物資需給調整法であるとか、あるいはまた鉱業法であるとかいうような、個々の行政法規におきましては、従来の考え方に従いまして処分の権能を行使する者が、あるいは通商産業大臣であり、あるいは通商産業局長であるという、総体としての行政機関の長として、その行政機関の事務のすべてを統理し、掌理する大臣とか局長という独任制の機関をつかまえまして、その機関が一定の権限を行使する、たとえば許可を行なうとか禁止するとかいう権限の規定のしかたをしておるわけでございます。ただいま村山委員御指摘のように、たとえば通商産業省設置法の規定と国家公務員法の規定と矛盾するではないかというお話でありますが、私どもといたしましては、省の設置法におきましては、通商産業省という通商産業大臣を頂点といたします行政組織の全体をつかまえて、その総体の組織において一定の事務を処理するという観点から通商産業省の権限という規定をしておるわけでありますし、個々の行政法規、たとえば国家公務員法におきましては、その処分の権能を厳密に行使する者は通商産業大臣である。通商産業政務次官、通商産業事務次官以下官房長、各局長、課長、係長等々の機関はすべて補佐機関である。その通商産業大臣という権限を行使すべき機関と補佐機関との全体をもって構成するのが通商産業省である。そういうような考え方で従来十数年間処理してまいりまして、まさに御指摘のように、規定の形式におきましてはやや間然するところがないとは言えないと思いますけれども、少なくともこの点によりまして、法律的にはこれで十分に処理できるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/15
-
016・村山喜一
○村山(喜)委員 国家行政組織法が制定きれまして、行政官庁では、従来の大臣のみが官庁であるという理論を捨てて、そして行政組織の構成単位としての行政機関が明確な範囲の所掌事務と権限を与えられて、それらの全体が国家行政組織を構成する、こういう理論づけが行なわれたわけですね。そういう立場からこの問題をながめてまいりますと、いまの説明でありますが、たとえば鉱業法の二十一条によりまして、鉱業権の設定を受ける者は、通産局長に出願をして許可を受けなければならない。だから、鉱業の許可権は、地方における通産局長に専属的にあることになっているわけですね。そういう他の法律においてそのような権限が定められている。ところが、通商産業省設置法第四条の「通商産業省の権限」を見てまいりますと、その三十九号に「鉱業権の設定等に関する出願及び鉱業権者の土地使用等を許可すること」という事項が入っておりますね。そういたしますと、その専属的に許可権を与えられました通産局長というものは、これは他の税関長等と同じように、あるいは恩給局長と同じように、独立をした昔の官庁理論に基づく権限を持っており、それを省の権限として、ここに事項として網羅するという考え方は、その他の法律によって権限を与えられているものを、行政機構の上に置いて、大臣あるいは次官その他局長という上部機関においてそれを制約して、責任を持たせない体制というものをこの設置法においてつくられているということになってまいりますと、これは行政の責任はいずこにありやということに相なってくると思うのであります。そういうような考え方が、非常に混乱をいたしていると思うのであります。それに対しまして、法制局としてはこれを整理されるお考えはないのか、その点についてお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/16
-
017・吉國一郎
○吉國政府委員 ただいま御指摘のように、通省産業省設置法におきましては、鉱業法に関しまする権限は、あたかも通商産業省の所掌事務であり、その処理が通商産業省の権限であるかのごとく規定されております。ところが、鉱業法によりますと、具体的な処理の権限は通商産業局長にある。これはまさに行政法学理論を用いて申しますならば、通商産業局長は、鉱業法の所管事項に関しましては、行政官庁であり、国家意思を決定してこれを外部に表示する権能を有する行政官庁であります。その行政官庁たる通商産業局長の権限が、通商産業省設置法の中に第四条として包括的に規定せられてあることはどうかということでありますが、国家行政組織法の第二条以下に規定してございますと先ほど来申し上げましたが、通商産業省という、通商産業大臣を長といたしまする行政機関全体をつかまえまして、その行政機関がいかなる所掌事務を処理し、いかなる権限を行使するかということが、各省の設置法の規定の目的でございます。その所掌事務がいかに処理され、権限がいかに行使せられるかということは、またそれぞれの実体法の規定の問題でございます。その意味で、実体法たる鉱業法においては、鉱業権の設定の許可なり、あるいは鉱業権の取り消しなり、あるいは施業案の認可というような、諸般の権限は通商産業局長が行使するということを規定してあるわけでございます。ところが、このような通商産業局長が行政官庁として権限を行使するのに対して、通商産業省設置法の中で、省の権限として規定することによって、通商産業局長の行政官庁としての権限の行使に影響を及ぼすおそれはないかというような御趣旨だと存じますが、この点は、通商産業局長は、もちろん独任性の行政官庁でございます。行政官庁として、たとえば鉱業法上の権限の行使については、その補佐機関の補佐を得まして国家意思を決定するわけでございますが、あくまで通商産業省という組織の中の一員であることは、これまた当然のことでございまして、たとい通商産業省設置法のような規定のしかたをいたしません従来の、昔の商工省官制のもとにおきましても、鉱山監督局官制というのが別にありまして、鉱山監督局長——現在の通商産業局長に相当するわけでございますが、鉱山監督局長が鉱業法の権限を行使する。商工省官制は、単に商工大臣は商工、鉱山等に関する権限を処理することを規定しておりました場合におきましても、その従前の鉱山監督局長が商工大臣の指揮監督を受けることはこれまた当然でございまして、その事務の処理について必要がございますならば、商工大臣は当然みずからの信ずる政策を実施するために、指揮監督権を行使したわけでございます。同様な関係が現在の通商産業省にありましても当然適用になるのでございまして、通商産業局長が一定の処分をなす場合について、通商産業省全体の政策を決定された通商産業大臣が、通商産業局長の権限の行使について、かくかくの処理はかくあるべしということを指揮監督されることは当然でございまして、その大臣の指揮監督のもとに通商産業局長は行政官庁としての権限を行使するわけでございます。したがいまして、鉱業法の規定において通商産業局長が行政官庁としての権限を行使するのが、設置法の規定の態容によって権限の行使が不分明になるのではないかというような御懸念は、私はこの際はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/17
-
018・村山喜一
○村山(喜)委員 どうも法制局の解釈は無理があるのです。この独任制の一つの行政官庁としての権限が与えられて——例外的に恩給局長とかあるいは税務署長、そういうようなものが与えられているわけですね。それは、いわゆる国家意思の決定を表示する権限が与えられているわけですから、その点からいえば、これは行政官庁である。だから、その場合は行政機関ではない。行政機関に対しては、これは大臣に指揮監督権がある。そうなれば、いまの説明でいきますと、指揮監督の方法、手段という問題を考えてまいりますならば、それに対してのいわゆる監視権、報告とかあるいはそういうような事務的なものを査閲をする、あるいは視察をする。さらに許認可権というものは、これは指揮監督権の中に入らなければうそである。庁方においては専属的に地方の通商産業局長に対して鉱業法による許認可の権限が与えられている。庁方においては、指揮監督の理論構成の中から考えていくならば、方法として監視権なり、許認可権なり、訓令権なりというものが内容的に入ってこなければ、そこに矛盾する点が出てくる。だから、この問題を無理して解釈をされることはないと私は思う。もう少しフェアな立場でこの問題については再検討されてしかるべきではないかと思うのだが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/18
-
019・吉國一郎
○吉國政府委員 ややおことばを返すようでございますが、従来の——現在でもそうでございますが、行政法学におきます行政官庁として、国家意思を決定してこれを外部に表示する権限を有するもの、これも行政機関の一種でございます。行政機関の中には、そのような行政官庁として権限を有するものと、その他の補助的な機関とございます。あるいはまた、付属機関等につきましては、また別なものがございます。そして、行政機関の一種である行政官庁が権限を行使する場合に、その上級官庁から指揮監督を受けるかどうかということでございますが、国家行政組織法の第十条におきましても、各大臣はその機関の事務を統括するということを規定してございます。この統括権の作用といたしまして、たとえば通商産業省でございますならば、通商産業省という組織を構成しております行政機関の行為につきまして、当然大臣が統括をする。統括の内容といたしましては、全体の事務の処理の方向につきまして政策的な方針を決定するということもございましょうし、個々の事務についてかくかくの処理をすべしということを指揮命令することもございましょうし、あるいはまた、先ほどお話のございましたような、訓令を発して事務の処理についての方向を指示するということもございます。このような意味で、行政官庁に対してその上級の官庁が指揮をするということは、行政法学上も当然認められております。ただ、その下級の行政官庁が、行政官庁として処理する事務が独立性の強いものである場合におきましては、もちろん、指揮監督の内容が行政事務の処理の内容に及び得ないことは当然でございますけれども、通商産業局長でございますとか、あるいはその他の長についても同じような例が必ずしも少なくないと思いますけれども、そのような地方的な機関が事務を処理する場合に、その事務の処理が独立性を保障されているということは、現在の通商産業局については考えられませんわけでございまして、行政官庁として事務を処理するに当たっても、上級機関としての通商産業大臣の指揮監督を受けるということは当然のことでございまして、行政官庁の事務処理について大臣の指揮監督が行なわれるということは、決して現在の一般的な行政法学の考え方に矛盾するものではないと私どもは確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/19
-
020・村山喜一
○村山(喜)委員 あなたとここで行政法の問題について論議しているわけにはまいりませんが、上級官庁が下級官庁に対して権限を行使し得ることは、これはもう自明の理であります。しかしながら、他の法律によって、この権限については鉱業法の二十一条によって、その許認可権というのは地方の通産局長に与えられている。とすれば、それについては、指揮監督の内容的な面において、私は代執行権を含むような指揮監督権というものはあり得ないと思う。その点に関する限りは、対外的に官庁を代表して国民に国家意思を決定、表示するわけです。一般論としては、あなたの上級官庁理論とそのもとにおける下級官庁理論は、よくわかりますよ。しかしながら、そういうようなことが権限事項として他の法律に明示されている場合には、それを包括的に通商産業省の権限として明示するということは、おかしいじゃないかというのが私の主張なんです。だから、この点については、やはり行政組織の基本的な問題でありますので、今後の問題点としてひとつ御検討を願っておきたいと思う。
そこで、この中でやはり問題になりますのは、「貿易に係る外国為替予算案を作成すること。」「輸出及び輸入に関し税関長を指揮監督すること。」という権限事項が、第四条において掲げられているわけですが、それと同じように、今度は所掌事務の中で「輸出及び輸入に関する税関長の指揮監督に関すること。」、こういうのが、第八条の通産局の事務内容として掲げられているわけですね。片一方においては権限として掲げられて、片一方においては所掌事務としてここに掲げられている。そうすると、いわゆる所掌事務というものとその権限というものとの間には、重複をした規定としてここに掲げられていることは事実ですね。そうなってまいりますと、やはり権限の事項的な限界というものが所掌事務の範囲として示されるわけですから、そういう立場から考えてまいりますと、権限というものはこれを行使するものに付随をする、こういうふうに結びつくわけです。ですから、そのような考え方からいきますと、そこには所掌事務と権限というものを、いわゆる作用の範囲とそれから活動作用の限界という立場から明確にしておくべき必要があるのではないかと私は思うのですが、そういうような権限事項であると同時に所掌事務であるという考え方、これは一貫してそういうふうに重複しても何ら差しつかえないのだという解釈を今日までおとりになっておるわけですが、これは今回新たに設定をされます第二十七条の九の二、九の三が、通商産業省設置法の第九条の企業局の事務内容と同じような形でここに表示されてまいりますから、そういうような面において、権限と所掌事務の内容を明確にする意味においてお尋ねをしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/20
-
021・吉國一郎
○吉國政府委員 国家行政組織法のもとにおきまする各省の設置法の規定のしかたとしまして、その権限と所掌事務を規定しております。権限のほうは、省全体の権限として規定をいたし、所掌事務のほうは、本省につきましては本省のそれぞれの各局の所掌事務というかっこうで規定をいたしております。この趣旨は、一つは先ほど村山委員の仰せられましたように、通商産業省の権限のほうは、いわば通商産業省の機能の深さを示すものでございまして、第七条以下にございます所掌事務の規定は、その機能の幅を示すものでございます。同時にまた、昭和二十三年以来このような立案をいたしました当時の考え方の基本におきましては、権限の規定はいわば各省の行政活動の動態を示すものであり、第七条以下の所掌事務の規定は、各省の事業活動の静態を示すものであるというような考え方で、各省の設置法の整備をしてまいったわけでございます。
もう一つ申し上げておかなければなりませんことは、国家行政組織法の第二条の中にも規定がございますように、「国家行政組織は、明確な範囲の所掌事務と権限を有する行政機関の全体によって、系統的に構成されなければならない。」ということで、現在、総理府、法務省、外務省以下全体の構成をいたしまする場合に、それぞれの各省間の権限なり所掌事務の限界が明確でなければなりません。これが明確でございませんと、特定の行政事務を求めようとする国民の側において、どこの行政官庁に接触したらいいかということで紛議を生じまするので、できるだけその範囲は明確である必要があるということで、各省の設置法の権限なり所掌事務を規定いたしまする場合に、たとえば農林省と通産省であるとか、大蔵省と通産省、あるいは厚生省と建設省、建設省と運輸省というように、非常に権限、所掌事務において相干渉する部面が多い省の間につきましては、やや煩をいとわず詳細な規定を設けるような例になっております。これは必ずしも各省の官僚の権限争議の結果そうなったということばかりでもございませんので、各省の権限を明確に規定しようという趣旨から、さように相なったわけであります。そのような意味で、権限にも、所掌事務にも、やや重複したような点がないことはございません。具体的な問題といたしまして、税関長の指揮監督の問題でありますが、税関長は大蔵省の地方機関であることは明らかでございますが、その税関長に対して指揮監督を行なうことは、先ほど申し上げましたように、大蔵省と通商産業省の間の権限分割というような問題でありますので、権限にも規定いたしますし、また通商局の所掌事務といたしましては、外国為替及び外国貿易管理法系統の法令の処理にあたりまして、税関長の指揮監督ということで、税関長が輸出及び輸入に関して、大蔵省の機関でありながら通商産業省の所掌事務の一部を処理するわけでございますので、その場合に通商産業省の方針に従って十分に処理をされるようにということで、いろいろ訓令を発したり通牒を流したりしておるわけでございますが、このような事務の重要性にかんがみまして、この点も所掌事務に規定をしたということでございます。
それから、ちょっと先ほどお答え申し上げた中でやや不備な点がございましたので、あわせて申し上げておきたいと思いますが、鉱業法によりまして通商産業局長に与えられました鉱業権の設定の許可等の権限は、これは通商産業局長として処理すべき問題でございますので、通商産業大臣は、指揮監督権はございますけれども、かわって許可を与えるというようなことは、これはあり得ないことでございます。そのような意味におきまして、通商産業大臣の本来の権限であったものが、通商産業局長に委任せられたというような場合とは違うことは明らかでございますので、この点はつけ加えて申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/21
-
022・村山喜一
○村山(喜)委員 所掌事務と権限と区別しておるのですが、実際は重複をし、あるいはその区別がほとんど今日においてはされていないという実態になっておるわけです。これは、ほかの省の関係を見てもそうなんです。だから、これを明確にすべきかどうかということについて、やはり対国民の権利との関係が出てまいりますから、対外的な作用が行政官庁から出てくるわけですので、そういうような点から、所掌事務の内容等について、あるいは権限については、明確にしておかなければならない。
そこで、先ほどの話でありますが、まだ私ははっきりわかりません。第九条の企業局の所掌事務の内容と、それから地方における通産局の法律上の所掌事務との間には、具体的な例として、どの程度はここにまかして、どの程度は本省のほうでやるんだ、こういうふうに区別をされているのですか。そうでなければ、法律事項として二つ掲げてくるわけですから、この点については、いままでの規則とは違うわけです。明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/22
-
023・馬郡巖
○馬郡政府委員 これは仕事の内容によりまして、通産大臣が直接通産省本省でやるものもございますし、その内部委任によりまして通産局長が行なうものもございます。仕事の内容によりまして、いろいろその点は違っております。一例をあげて申しますと、工業用水法におきまして、これは地下水のくみ上げを規制しております法律でございますが、どういう地区をそういう地区とするかという指定につきましては、通産省本省自体で仕事をやっております。ただ、全面的に地下水のくみ上げを禁止いたしました場合におきまして、食品衛生上の関係等から申しまして、どうしても地下水を使わざるを得ないというようなものもございますが、そういう場合の全体の許可の基準と例外許可の基準というものは通産省本省で決定いたしますが、その具体的な許可は通産局でやるというように、ものによりまして、仕事の内容をいろいろ分けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/23
-
024・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、これは法制局のほうにお尋ねするまでもないとは思いますけれども、一応念のために明らかにしておきたい点は、本省と出先に同じような所掌事務として、法律事項として制定をされる。その場合のいわゆる委任事務といいますか、委任をする内容というものは、もちろん上級官庁のほうにおいて選定をし、この程度は委任をするという形が出てくると思いますが、その権限の振り分け、これは法律事項と規則事項とではそこにだいぶ差はあると思いますけれども、同じような形で所掌事務が付与されるということになってきますと、その間にいわゆる所掌事務イコール権限というような形で重複をする可能性が出てくるわけですが、それを行政的にスムーズに行なわせるためには、どういうような考え方を立てたほうがいいのか。これは通産省になるのか、それとも法制局の法律的な見解になるのかはっきりわかりませんが、それの調整的機能というのは一体どこが果たすのか。その内容的な説明をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/24
-
025・吉國一郎
○吉國政府委員 通商産業局は、国家行政組織法におきましては第九条の地方支分部局に当たるわけでございまして、国家行政組織法の第九条では「第三条の各行政機関には、その所掌事務を分掌させる必要がある場合においては、法律の定めるところにより、地方支分部局を置くことができる。」と規定してございまして、この法律の定めといたしまして、各省の設置法において、たとえば通産省であれば通商産業局が置かれておるわけでございます。その通商産業局の所掌事務は、通産省設置法でございまするならば、二十七条に規定をしておるわけでございますが、この所掌事務は通商産業局という行政機関の行政活動の幅を示し、かつその静態を示したものでございますので、具体的にいかに行なわれるかということは、それぞれの実体法の問題でございます。それで、実体法におきまして通商産業局長がいかに権限を行使するかという方式でございますが、それには大別して三つあるといってよろしいと思います。
第一が、先ほど来村山委員も例におあげになりました鉱業法のように、それぞれの実体法で通商産業局長の権限として一定の事項を規定する場合でございます。
それから第二、第三の場合は、実体法において通商産業大臣の権限として規定をいたしましたものが、広い意味の委任というかっこうで通商産業局長が処理をするという場合、その委任にも第二と第三の場合はそれぞれ区別がございまして、一つは法律の中に、この法律の規定による通商産業大臣の権限は、政令で定めるところにより通商産業局長または都道府県知事に委任することができるというような規定であるとか、あるいはこの法律の規定による通商産業大臣の権限であって政令で定めるものは通商産業局長が行なうというような規定のしかたをいたしまして、政令にゆだねられまして、政令によって通商産業局長に権限が委任をせられる。この場合はいわゆる法定委任と申しますが、学問上そんなようなことばを使っておりますが、その政令によって委任せられました限りにおきましては、あたかも鉱業法によって通商産業局長が一定の事項を処理すると書いてあると同様に、たとえば工業用水法上の工業用水の採取の許可、これは現在どうなっておるか、私もいま記憶いたしておりませんが、たとえば採取の許可が通商産業局長に委任をせられますと、通商産業局長がみずからの権限としてこれを行使する。
それから第三の場合と申しますのは、通商産業局長は、先ほど申し上げましたように、通商産業大臣の分掌機関として、ある立場においては補助機関的な性格を持っておるわけでございます。通商産業大臣が一定の行政事務を処理し一定の権限を行使する場合に、この事務の処理、権限の行使についてこれを補佐すべき立場にあるわけでございますが、そのような補助機関的な性格を持っております行政機関に対しまして、これは俗に内部委任と呼んでおりますが、通商産業大臣の権限の行使をいたします場合に、内部の担当の部局において一定の案をつくりまして、これを順次大臣の決裁を経まして外部に表示するという場合に、これは本省でもございすが、たとえば事務次官限りで処理することを認められておるということで、外部に表示する場合には通商産業大臣の名において表示をするわけでございますけれども、その通商産業省の内部において事務を処理するについては、事務次官限りで処理することを妨げないということを、大臣があらかじめそういう意思を内部的に表示することによりまして、事務次官限りで決裁をするというのが、内部委任でございます。それと同様なことを通商産業局長に行なわせるということがあるわけでございまして、現在でも若干の補助金等については、そのような処理が行なわれておると思いますが、第三の形態と申しますのは、そのようないわゆる内部委任によって通商産業局長が事務を処理するという場合でございます。この場合は、あくまで外部に表示する場合においては通商産業大臣の名において権限が行使されるということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/25
-
026・村山喜一
○村山(喜)委員 それであれば、この所掌事務を通産省の権限としていま明らかにされておるわけですから、それをあえて通産局の所掌事務としてここで法律事項として出さなければならない積極的な理由というものが出てこないと私は思うのです。しかも、その備えておる人員というものはわずか二名をこれに充当をするという、こういう内部的な事項になっておる。いままでは内部委任の形で、規則で制定されていたものを、法律事項としてここに掲げなければならないという積極的な理由が、やはり説明されなければならないと思うのですが、その点はやはり通産省のほうからお聞きをしなければならぬ。これを御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/26
-
027・川出千速
○川出政府委員 お答え申し上げます。
法律上、絶対に通産省の産業立地に関する事項を置かなくてはならないという理由は実はないわけでございまして、最近産業立地に関する仕事、たとえば工業用地、工業用水、産業公害等の問題が非常に重要性を増してまいりましたものですから、通商産業局で従来そういう仕事をやっておりましたけれども、定員の増加はきわめて微々たるものでありますが、仕事のウェートが高くなってまいりましたものですから、絶対の理由というわけではございませんが、法律事項としたほうが適当であろうという意味で、設置法の改正をお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/27
-
028・吉國一郎
○吉國政府委員 通商産業省設置法の一部改正の法律案を審査したものといたしまして、補足的にちょっと申し上げさしていただきますが、先ほど来申しておりますように、通商産業局長は、行政官庁の面を有しますと同時に、通商産業大臣の補佐機関としての面を有しております。その意味で通商局長が具体的に許可を行ない、あるいは認可を行なうというような権限の行使がない場合にも、通商産業大臣の事務処理について補佐をする場合があるわけでございます。現在は、設置法の第二十七条の第六号に、「所掌に係る事業の発達、改善及び調整を図ること。」ということで、今度の工業用水以下の事務も、従来とも通商産業局において処理してまいったわけでございますが、通商産業省の説明によりますと、工業用地、工業用水その他の産業立地に関する問題であるとか、工業用水道に関する問題であるとか、工場排水の規制に関する問題が、最近非常に重要性が高まってきているということで、それを通商産業局が分掌しているんだということを外部にはっきりさしたほうがいいのではないかということで、現在の六号にございます事務からいわば流れ出た事務として、九号の二、三、四を規定するほうが、国民に対しても、通商産業局でもこういうことをやっているのだということを明らかに示す意味で適当だろうというようなことで、このような法律の審査をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/28
-
029・村山喜一
○村山(喜)委員 行政事務がいかなる省の所掌であるかということは、国民との間に意志作用を起こすことになるわけですから、そういうような意味において法律事項で定めることは私はいいとは思うのですが、権限の内容がきわめてばく然としている。本省に規定しているものも法律事項でやられて、地方の第一線の行政機関であるいわゆる地方支分部局と言いますか、これの通産局においても法律事項で掲げられて、しかもこれは内容的に検討をしていきますと、工業用水なり、あるいは宅地造成、あるいは工業用地の造成というような問題は、地方公共団体の任務として、これは現在準公営企業等で行なわれておる。こういうような実情からいきますと、先ほどの説明を聞きますと、いろいろ適地調査等については通産省の通産局でやるのだ。ところが、実際の仕事は、これは起債等を伴うので、自治省のほうでやるのだ。こういうようなことで、非常にここら辺の権限関係が明確でないという印象を受けるわけです。ですから、これの行政の実際の取り扱いについては、そういうような面と、あるいは他の設置法との関係においては、共管事項あるいは競合をする問題があるんじゃないか。たとえば経済企画庁設置法の中にあるのではないかと思うのですが、そういうような点から考えてみますと、これは一体、地方自治という問題との関係において、問題が将来において出てこないような形で運営をしてもらわなければ、非常にぐあいが悪いのではないかと思うのですが、そこらあたりについては、地域開発の問題は、ただ通産省だけではなくて、他の官庁にも関係があるわけです。そういうようなことを考えてまいりますと、これは総合的な行政の一環として考えられてこなければならないと思うのですが、そこに所掌事務として通産局のこの事務事項を明示されることは、そういうような意味において、将来の問題としては行政の連絡調整という面において十分機能的な役割りを大臣に果たしてもらわなければならないと思うのですが、大臣は、そういうような問題についてはどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/29
-
030・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいまだんだんの御質問を通じまして、実は私もあまり知らない、よくわかっておらないことをいろいろと聞かしていただいたような次第ですが、確かに、行政事務が複雑化していきますと、その間にいろいろの混淆の問題等も生じますので、そういう場合にあたっては、ただいま御質問がありましたとおり、大きな立場からといいますか、国の行政を一応統括しておるという立場から見て、疑問といいますか、何かその場合場合に応じて支障のないような措置をとってまいると同時に、私は、やはり地方自治と中央との関係などというものは、今後一そう研究を続けてまいるべきではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/30
-
031・村山喜一
○村山(喜)委員 あと一点だけお尋ねをいたします。
それは通産省がお出しになりました通商白書、この中にも出されておるわけでありますが、日本の国がいわゆる開放経済を迎えて八条国に移行をする、さらにOECDに加盟をする、こういうような問題が論議されておるわけであります。さきに日本の国がIMFに対しまして移行の通告を行なった内容の中にも出ておりますが、今後わが国はガットの十二条を援用いたしまして輸入制限を行なわない旨をガットに通告をしておるわけであります。そうしてガットは十一条国になってまいりました。したがいまして、自由化されずに残りました品目については、ガットの加盟国と協議を行なって、今後は残存輸入制限処理方式に基づいて処理をしていかなければならない。さらに今度八条国に四月一日から移るということになりますと、その問題に伴いまして、当然国際収支の理由によりまして輸入制限もできないということになる。このような条項の中から考えてまいりますと、一体設置法の第四条の十七号というのがありますが、これは「輸出及び輸入を制限し、又は禁止すること。」という権限がここに出ておりますが、そうなりますと、この通商産業省の権限として明らかになっておる内容、この輸出及び輸入の制限ができなくなってくる。またこれを禁止することができないということになりますと、この承認の権限として掲げられておる事項は、そういうような将来の予測というものがすでに成り立っておるとするならば、当然この際改正をされるべきではないかと思うのでありますが、このガットの問題なり、あるいはIMFの八条国移行の問題なり、あるいはOECDとの関係の問題等、どういうふうにお考えになっておるのか。さらにそれは自由主義圏の問題であるから、対共産圏との問題が残っている以上は、この事項が発生をするのだということになってきましたならば、その輸出及び輸入の制限または禁止というそれが、どのような方向において今後運営されるのか。この所掌事務のいわゆる権限内容でありますから、これは関係者及び大臣からお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/31
-
032・山本重信
○山本(重)政府委員 いまお話がございましたように、日本はガットの十一条国に移行いたしまして、さらに今度IMF八条国になるわけでございまして、原則として国際的に自由北をする立場になったわけでございます。しかしながら、実は日本だけでございませんで、各国とも、それぞれ国内の産業政策あるいは社会政策上の必要から、最小限度のものは輸入制限をしなければならない立場にございます。かりに例を申し上げますと、たとえばイギリスあたりは四十八品目程度でございます。フランスは二百八品目、イタリアも百五十六品目というような、かなりの品目を依然として輸入制限をいたしております。日本も最近まで自由化をかなり進めてまいりまして、ただいま百八十二品目残っておりますが、そのうち三十七品目は、ガットの規定上自由化をしなくてもいい品目でございます。たとえば武器、弾薬とか麻薬等々のものがそれでございます。そういたしますと、差し引き百四十五品目が日本の残存輸入制限品目となっておる次第でございまして、国際的に見ますとまあまあ西欧の平均水準まで到達しているというふうに思われます。厳密に申し上げますと、ガットとの規定上全然問題ないとは言い切れないのでございますけれども、事実上各国ともそのように輸入制限を残しております。日本といたしましても、今後自由化は進めてまいりますけれども、最小限度の輸入制限は、今後も続けていかなければならない事情にございます。また輸出の面でございますが、ただいまお話がありましたように、共産圏との関係では、ココムの制限が国際的な申し合わせによって行なわれております。ただそれだけでございませんで、日本といたしましては、ほかの理由からいろいろな輸出規制を行なう必要に迫られております。現在たとえば過当競争を防止し、相手の市場において市場撹乱を起こさないようにいたしますために、日本側が自主規制をいたしておる品目もかなりございまして、今後国際的な交流が盛んになればなるほど、秩序ある輸出を必要としてまいるわけでございまして、そうした観点から、この品目、あるいはその内容はいろいろ変わってまいりますけれども、最小限度必要な範囲で、輸出及び輸入につきまして制限あるいは禁止をすることは、今後とも継続して必要な事情にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/32
-
033・村山喜一
○村山(喜)委員 ところが、あなた方がお出しになったこれを見てみますと、「八条国への移行は、」「しかも、国際収支の不安を理由に為替制限はできず、GATT第十二条による輸入制限もできないという容易ではない立場に立つわけである。」こういうようにはっきり割り切ってお出しになっていらっしゃるのですね。それは原則としてという考え方がこれに述べられておりませんので、そうなってまいりますと、こういうような白書を見た国民は、これはたいへんなことだ、通産省自体がそう言っているじゃないか、こういうことになってきますと、非常に問題があると思うのですが、この点は今後の問題として処理願いたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/33
-
034・徳安實藏
○徳安委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/34
-
035・受田新吉
○受田委員 まず、今度の改正案の部を二つつくっている点についてお尋ねをしたいのです。
この部の新設理由は、一応承って了承できるのでありますけれども、しかし、趣旨は了承できても、ここに問題があるのは、行政機構の基本的改革をやろうとする前に、こういうものをいますぐやらなければならないかどうかという、時期の問題が一つある。それから通商参事官なるものが振りかえられて部長になる。ちょうどそこに参事官がおるので部長にするのだ、こういういかにも御都合主義に見られてしようがありません。参事官は必要がなくなったのか。いままでは必要があったが、これからはなくなるのか。あるいは引き続き参事官を一名どこかへ持ってくるのか、こういう点特に明瞭にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/35
-
036・川出千速
○川出政府委員 両部——両部と申しますのは国際経済部と産業立地部でございますが、両部の仕事が非常に緊急を要する事態になってまいりましたので、一応設置することにしたわけでございます。
それから参事官を振りかえをしたり、あるいは今後さらに参事官を要請するのかどうかという点でございますが、通商局の国際経済部に振りかえます通商局の参事官、これは通商局の重要事務を掌握することになっておりますが、現在振りかえます通商局の参事官は、実際問題といたしまして国際経済の仕事をやっておるわけでございます。したがって、その国際経済部長ができます際にこの参事官を廃止をいたしましても、事実上任務に円滑を欠くことがないわけでございますから、さようにさしていただく案になっておるわけでございます。それから産業立地部の関係も、企業局参事官、現在ここに来ております馬郡参事官が産業立地関係の仕事を統括して、実際問題についてやっておりますので、国際経済部の場合と同様の理由で振りかえさしていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/36
-
037・受田新吉
○受田委員 そうしますと、この参事官なるものは、その局全体の参事官でなくて、特定のものをやっている。そのために参事官を設けたということになるようでございますが、これは人事院もここにおられるのでお聞きしますが、参事官というものを御都合主義で至るところに置いている。そしてそれを部長に当てて一応その場をつくろうていくという行き方には、問題があると思うのです。これは以前、十年足らず前の機構改革で部課の整理というものをやったわけで、そのときに課長をやっておったのを、やめさせるのは気の毒だから参事官にしておけというように、御都合主義で人と機構がつくられては、人事行政はいいかげんなものになると思うのです。やはりその人を必要としないならしないで、はっきりとそういうものをつくらなければいいのです。必要があるなら、はっきり置けばいいのです。この点、自後の各省設置法の改正で、適宜不要不急の人物が新設の部長等に就任しておる、こういういき方は、実に機構いじりと人との関係をごまかしているような印象を与えてしようがないわけです。参事官なるものは、一体どういう職権を持っておったのか。この点通商産業省の御説明と、そして公務員の身分に関する職種、職名に関する点について人事院と、両方から御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/37
-
038・川出千速
○川出政府委員 企業局の参事官の規定は、通商産業省組織令に出ておりますが、第四十六条でございます。「参事官は、命を受けて企業局の所掌事務の一部を総括整理する。」ということになっておりまして、局長の命を受けまして、企業局の事務のうちその一部を所掌するのが、参事官でございます。現在企業局におきましては、参事官は、産業立地関係の仕事を中心に掌理しておるわけでございます。
それから通商局に参事官がございますが、同様の規定でございまして、通商局の仕事の中で、局長の命を受けまして、その一部を掌理することになっております。通商局の参事官は現在二名おりますが、そのうちの一名は、国際経済関係の事務を掌理しておるわけでございます。あとの一名は、通商条約関係の事務を掌理しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/38
-
039・受田新吉
○受田委員 もう一名の人は、近く部ができて行くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/39
-
040・川出千速
○川出政府委員 そのような計画はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/40
-
041・受田新吉
○受田委員 この官庁機構というものは、実にいいかげんなものと私は思うのです。参事官にしてみたり、部長にしてみたり、これは大臣、あなたも内閣委員長をやられた経験がありますので、せめて通商産業省だけは、参事官などという地位——いまの御説明を聞いても命を受け云々ということで、これはいいかげんなものです。そしてその参事官になられた人自身にしても、あいまいな職種、あいまいな地位だから、自分の権限がはっきりしない。課長に命令を下すこともできない。自分は風来坊だという印象を、私その担当者から聞いておることがあるのです。参事官という名称をもらった人から、私は悲しい存在であるということを聞いたことがある。これは大臣もお気づきだと思う。参事官というのが各省に共通している点は、非常に不幸な地位だということです。この不幸なる地位を、いま部長に振りかえるといういき方については、一応情状酌量すべきものがあると思うのです。私は、一応この点人事院にお聞きしたい。参事官というものは、各省によって多少名称の違うこともあるのですが、参事官の地位は、比較的重い地位と軽い地位がある。外務省などでは、審議官などというのを使っております。名称は違いますけれども、これは局長クラスの、いわゆる次長待遇の審議官、参事官というものもあるし、課長と同じくらいのもある、いろいろあるのは、一体どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/41
-
042・矢倉一郎
○矢倉政府委員 ただいま参事官の問題で御質疑いただいたわけでございますが、実は官職あるいは官の設置は、御承知のように行政官庁の所管でございますが、ただわれわれのほうから見ております場合には、結局参事官はだれを当てるかという問題が出てまいりますので、その任用の面から考えた場合に、参事官の職務内容というものがどういうものであるかということで、選考関係のときの審査の対象になるわけでございます。さような場合に、一応参事官のかなり等級の高い人を就任させるものと、それから、そうでない課長クラスという程度の方々とあることも、ただいま御指摘のとおりでございます。大体通常の行政組織からいきますと、局長、部長、課長というふうな形で一つのランクができておることは、御承知のとおりでございますが、特に省庁によっては、特定の事項について特別な研究なりあるいは諸事象をつかさどらなければならないという場合も起こりますので、さような場合に、参事官制度というものをつくっておられますし、またそれぞれの所管の内容に従って、必ずしも必要でないという言い方ができないのではなかろうかと、人事院では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/42
-
043・受田新吉
○受田委員 あなたの御所管の任用、この面から参事官制度というものは十分検討せねばならぬと思う。これは本質的な問題として、国務大臣として、行管長官とも御相談をされ、また任用関係では人事院とも御相談されて、不幸なる存在として権限関係があいまいな参事官に対する適当な整理をされる必要があると思う。御注意しておきます。
それからもう一つ、今度定員の改正をされたわけでございますが、この政府がお示しいただいた定員増の中、これにも関連する問題で、新しく公務員試験に合格した者を何人いま通産省は採用されようとしておられるか。事務系統では、上級職では甲乙がある。技術系統では一本である。定員を上級職に例をとって御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/43
-
044・川出千速
○川出政府委員 事務職員と技術職員とあるわけでございますが、事務職員は上級職は、正確に数字を覚えておりませんが、二十三名くらいであったかと思います。それから技術職員及び行政技術職と申しますか、その関係が五十七名でございます。そのほか、試験所等の工業技術院関係の研究職が、八十三名でございます。それから今度定員の大幅増加をお願いしております特許庁関係が、百三十名程度内定いたしておる次第でございます。中級職以下の数字をただいま持ち合わしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/44
-
045・受田新吉
○受田委員 わかりました。一応上級職で例をお聞きしたわけです。
そこで、この定員増の中身ですが、定年というのはないわけですが、退職者とそれから新規採用との関係をちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/45
-
046・川出千速
○川出政府委員 年々民間その他に転職をしていきます数字が、全体の職員のたしか二%か三%、はっきり記憶しておりませんが、そうであったかと思います。そこで欠員を生ずるわけでございます。欠員を充足するために、新規採用するのは当然でございますが、特許庁のように事務量が急速に増加しますものにつきましては、定員の増加を昨年もやり、また本年もやり、また来年度もお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/46
-
047・受田新吉
○受田委員 ここ数年間の例でけっこうでございますが、一応公務員試験に合格して通産省に就職したいと約束した者で、途中で取り消して他に転出する例がどの程度あるか、お示しを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/47
-
048・川出千速
○川出政府委員 事務職員につきましては、通産省の場合、採用人員に比べまして相当上回った希望者が来るわけでございまして、採用を内定した者につきまして、他に転職する例はきわめてまれでございます。技術職員につきましては、実は非常に採用が困難でございまして、欠員がありましても、それを充足するだけの内定をできない場合もございます。それから欠員を充足するだけの内定をいたしましても、中途でほかの民間の企業等にきまりまして、結局四月になりました際に充足できないという例も、間々あったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/48
-
049・受田新吉
○受田委員 人事院として毎年やっておられる上級公務員試験、上級職に例をとりますが、上級職の合格者と、それが事実公務員になっておる数。そうしてもう一つは、事実就職したものの質は、公務員試験の成績が上位の者がそのままいくか、あるいは上位の者が民間へ流れて、下位の者が公務員になっておるか。そういうことをあなたのほうで御調査されておるか、お示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/49
-
050・矢倉一郎
○矢倉政府委員 三十八年度の数字で申し上げますと、御承知のように、合格者は名簿に登載されるわけでございますが、その数が千三百六十六名登載いたしました。そのうち採用内定をいたしておりますのが八百四名、したがって四百十五名くらいが流れた数。それが実際には民間にも行ったかもしれませんが、別に他のほうにも転じたかもしれません。そういう数字が四百十五名ございます。したがって、この四百名の数が、実は私たちとしては年々ある程度の、つまりリスクを見ておきませんと、そのように流れますので、そこで合格者をいま余分に千三百六十六、大体九百名くらいの需要に対して、それくらいの合格数は出ておるわけです。
そこで、ただいま御指摘の点で、実は上位者が流れるのか、あるいはその他のところのほうが流れるのが多いかということでございますが、これは従来調査しましたところでは、たとえば昭和三十七年の分を見てみますと、上位の者が大体六十二名くらい、それから中位の者が六十八名くらい、下位の者が六十三名くらいというふうに、大体上中下に分けますと、いずれの部分も大体そのくらいの程度が流れておるというふうな実態でございまして、したがって、上位者だけが流れるというふうには相なっておりません。ことに事務系のほうは、通産省のお答えにもございましたとおり、ほとんど公務員志望の人たちが公務員にということで、むしろ技術系にそういった問題が若干ございますことをお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/50
-
051・受田新吉
○受田委員 これは、各上中下に分けて、大体平均して民間へ流れておるということですけれども、これはやはり大事な問題だと思うのです。願わくは公務員にはやはり実力のある人が、勉強した人が——また就職してからも勉強してもらいたい。就職したならばなまけるような者は困るけれども、そういうことで、良質の公務員を確保するという政策をとらなければならぬと思うのです。この点、だんだんと質的に低下した公務員が局長になり課長になられてくると、日本の行政機構は、人的構成の面においてはなはだ劣弱になる。通産大臣、御所見を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/51
-
052・福田一
○福田(一)国務大臣 これは、おことばでございますが、なかなかむずかしい問題かと思っております。というのは、先生がいまおっしゃったように、あとで勉強して伸びていく人もなきにしもあらずだと私は思うのであります。必ずしも一回の試験だけでその人の価値判断をするわけにはいかぬかと思いますが、概しては先生のおっしゃるとおりであると承知いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/52
-
053・受田新吉
○受田委員 概してその線に沿うて努力するということでやってもらいたいのです。また待遇問題もあるわけなんで、民間との関係が……。そうして就職されて後もしっかり勉強していただいて、幅の広い人格もつくってもらって、途中で一番汚職事件の多い、とかく問題にされやすい、通産省というところは、権限関係でそういう汚職をやるのに非常に都合のいいところなんですから、こういう点においても綱紀の粛正ということを大臣みずから陣頭へ立たれて、国民の疑惑を持たれないように、ひとつ指揮監督権を行使してもらいたいと思います。この点も御注意、御要望申し上げます。
おしまいに大事な問題として、今度改正案の中に取り上げられている条文の整理事項の中に入っております。消費者保護行政を一課をつくってまとめていきたいという、この点私は賛成です。私の党としてもすでに消費者基本法案なるものが国会に出してありますが、消費者保護ということは非常に大事な段階に来ているので、国民すべての者は消費者なんです。だから、生産に力を入れるだけでなく、大企業に重点的に施策をとるのでなく、すべての国民が消費者であるという、健康で文化的な生活をする、消費者保護というところに力を入れるのに、ただ単に課を設けるというような意味でなく、もっと基本的に、これはあなたのほうでなくて、経済企画庁でけっこうでございますが、消費者保護の対策の審議会を設けて、民間からも有能な人に審議会の委員になってもらって、基本的に消費者保護のあらゆる点の検討を加え、そうして政府の施策にも進言をする、こういうような形のものを必要としませんか。大臣の政治的な判断を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/53
-
054・福田一
○福田(一)国務大臣 一つのりっぱなお考えだと存じます。ただ消費行政は、あらゆる官庁が消費行政についてやはり意見を持っていなければならないと思うのであります。たとえば警察は警察の立場において消費行政、いろいろございます。通産省もとよりであります。そう考えていきますと、あらゆる官庁がそういう問題を含んでおりますが、たとえばそれが企画庁等が適当であるとしますならば、いずれにしても消費について特に関係の深い、また関心のあるような部面のものが集まって総合的な対策を検討するということは、私はけっこうなことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/54
-
055・受田新吉
○受田委員 そういうために、あなたのほうで行政上の一前進といっていい一課が創設をされておるわけです。さらに、そうした衆知を集めていく機関というものが必要ではないか。これは総理府の付属機関で私はけっこうだと思うのですが、国務大臣として、そういう衆知を集め、この消費者保護を基本的に考えていくという施策をひとつ勇気を持って推進するという大役を通産大臣おとりになりませんか。あなたのような熱心な方にぜひふんばってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/55
-
056・福田一
○福田(一)国務大臣 十分考慮さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/56
-
057・受田新吉
○受田委員 生産性本部というのがありますけれども、これは、ただ単に生産だけに力を入れるのでなくして、消費者にも恩典を浴するような立場のものでなければならない。国がある程度の資金の援助をしておる以上は、そうした消費者を守るための施策としても、経営者、労働者、消費者、それぞれの立場のあることを前提にして、ひとつこの生産性本部のあり方について検討を——消費者を保護する点において事を欠いておる生産性本部の行き方があると私は思う。御配慮願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/57
-
058・福田一
○福田(一)国務大臣 生産性という文字からくるところは、生産自体に重点が置かれておりますし、また事実上もそういう傾向にあると思います。しかし、生産というものと消費とは密接不可分なんで、消費のない生産は、意味がないわけでございます。そういう意味で、十分考えておるとは思いますが、特にそういう点も考慮を払ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/58
-
059・受田新吉
○受田委員 これはもう質疑応答を繰り返しません。ささっといきます。
もう一つ、今度の部の新設の中にある産業立地部のこの職掌の中にある工業用水、ここで一つ発明特許にも関係があるのでございますが、工業用水の不足を補うために、海水から塩分を除く脱塩装置による工業用水を考慮する段階にきている。もうすでに世界の文明諸国家は、これに非常に熱意を示している。特に四面海に囲まれている日本として、脱塩装置による工業用水を大いに進め、普及徹底させるという施策をおとりになる用意があるかないか。この点、せっかくこの産業立地部を御計画されている以上、その最初の目的の中に工業用水の確保ということがあるのです。御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/59
-
060・福田一
○福田(一)国務大臣 たいへんけっこうなお考えでございまして、また私たちもさよう考えておるところであります。また、事実上、日本の科学技術の面におきましても、いまや実用化——まだされるところまではいっておりませんが、実用化され得るような状況まで来ておると存ずるのであります。一そうこの仕事がうまくいきますように努力をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/60
-
061・徳安實藏
○徳安委員長 石橋政嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/61
-
062・石橋政嗣
○石橋委員 最後に、一点だけお尋ねをしておきたいと思います。
これは産業立地部に関連するわけですが、いま受田委員からもお話ございました、なぜ産業立地部を設けるかということの説明の中に、「わが国経済の高度かつ均衡ある発展をはかるためには、工業の適正配置を通じてその合理的な地方分散を促進し、地域間の経済格差を縮小するとともに、産業公害の防止等地域住民の福祉の向上をはかることが肝要である」。このために通産省としても、新産業都市の指定やら、あるいは工業整備特別地域等の建設を中心として、いろいろ考えているというふうに述べておるわけです。国会の立場からいいましても、このような考え方の上に立って、過去幾つかの地域開発の総合的な法案がつくられておると思うのですが、これを進める場合に、まず出てくるのが中央官庁の部局の設置というのでは、どうも心もとない、そういう感じを率直に持つわけです。手っとり早いところ部をふやし、部長をふやすということが出てくるわけですが、そういう形だけではたしてこれが促進できるのか、こういう疑問を率直に持たざるを得ません。
そこで、欠けている面として一つあげたいのが、工業開発試験所の問題なんです。地方における資源の総合開発促進、いわゆる地方における産業の基礎となる革新または共通的な技術の試験研究を行ない、地方産業の発展に寄与するため、特に地方における中小工業等生産構造の高度化及び生産性向上に資するための工業開発試験所、こういう考え方が出ているわけですが、こういうものは非常におくれている感じがするわけです。過去の例を見ましても、たとえば東北地方開発促進法なり、北陸地方開発促進法、中国地方開発促進法、四国地方開発促進法、九州地方開発促進法といったようなものが、どんどんできる。本省には、今度は産業立地部もできるというのですが、肝心のそういう現地において指導するものはさっぱり進まない。どちらかというと、中央にこれまた片寄っている感じを受けます。首都圏整備というものとの関連もあるかと思うのですが、各地方の産業の振興というものとからんで、一体どの程度のものをお考えになっておるのか。来年度九州にはできるということでございますが、当面考えている問題について、さしあたりお聞きをしてみたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/62
-
063・川出千速
○川出政府委員 地方開発の意味におきまして、北海道に北海道工業開発試験所が数年前にできまして、三十九年度の定員増十名によって終結をすることになっております。全部で百二十名の定員になるわけでございます。それから三十九年度予算で九州に工業開発試験所ができることになっておりまして、現在その土地を選定中でございますが、来年度の定員として十三名、トータルで百名の予定になっておるわけでございます。現在地方の開発試験所として予定をしておりますのは、以上の二つでございます。
ただ、三十九年度の予算で、従来大阪工業試験所の高松にあります四国の出張所を拡充いたしまして、これを支所に強化することになりまして、人員はわずかでございますが、定員増でお願いをしておるわけでございます。また、若干の予算を設けまして、建屋、設備の増強をはかっておるわけでございます。現状では、ただいまさような考えでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/63
-
064・石橋政嗣
○石橋委員 いま御説明ございましたように、北海道工業開発試験所と、来年度九州に同様なものを一つつくる。今度は四国に昇格されて支所になるものが一つ、大きく考えられておるという程度なんです。裏づけがないですよ。さきに昨年の八月二十七日ですか、工業技術協議会、これは石川一郎さんが会長をやっておられるようですが、工業技術協議会の答申の中にもこの問題に触れた部分があるということを、大臣は知っておられるかどうか。この中でいわれておることは、各種の試験研究所の機能を総合的、合理的に活用するため、単一化を進めるべきである。それから、地方の研究所は小規模のものが多く、現在公立百七十、国立十二の試験所がばらばらに研究しており、大きな成果が期待できない。このため、通産省で各機関の総合調整を行なうとともに、各ブロックごとに国立研究機関を設置して、研究の交流共同化をはかる必要があるといった意味の答申も出ておるわけですから、こういうものを勘案して、将来、いま産業立地部の新設に伴って説明されましたような通産省の構想を進めていくために、あるいは国会で次々とつくられた地域総合開発の実効をあげるためにも、そういう裏づけとなる機関を設けていこうというお考えを持っておるのかどうか、そのことを大臣にちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/64
-
065・福田一
○福田(一)国務大臣 お説のとおり、何といっても、地域の開発をはかっていく場合に、またさらには国の開発を総合的に進めていく場合にも、各地に適応した試験を行ない、また連関性を持った試験を行なっていくということは、非常に大事なことでありまして、先ほどお話のありました答申も、実は私は了承いたしておるところでございます。将来、いまのところ予算その他の関係で十分な措置がついていないのを私としても遺憾とするところでありますが、各地にその種のいわゆる試験所あるいは技術研究所というものの強力なものを設け、そうしてあまりこまかいものが分散するよりは、そういう大きなものをつくり、そこへまた小さいものとの連絡もとり、あるいは統合するという形で、技術の試験研究を進めていくようにいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/65
-
066・徳安實藏
○徳安委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/66
-
067・徳安實藏
○徳安委員長 これより討論に入るのでありますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。
通商産業省設置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/67
-
068・徳安實藏
○徳安委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/68
-
069・徳安實藏
○徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/69
-
070・徳安實藏
○徳安委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X01519640328/70
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。