1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月十二日(火曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 徳安 實藏君
理事 伊能繁次郎君 理事 辻 寛一君
理事 内藤 隆君 理事 永山 忠則君
理事 石橋 政嗣君 理事 田口 誠治君
理事 山内 広君
岩動 道行君 佐々木義武君
壽原 正一君 高瀬 傳君
塚田 徹君 野呂 恭一君
藤尾 正行君 保科善四郎君
前田 正男君 松澤 雄藏君
渡辺 栄一君 茜ケ久保重光君
大出 俊君 中村 高一君
村山 喜一君 玉置 一徳君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 小林 武治君
出席政府委員
文部事務官
(社会教育局
長) 齋藤 正君
厚生政務次官 砂原 格君
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚生事務官
(大臣官房国立
公園部長) 今村 譲君
厚 生 技 官
(公衆衛生局
長) 若松 栄一君
厚 生 技 官
(医務局長) 尾崎 嘉篤君
厚生事務官
(医務局次長) 大崎 康君
厚生事務官
(児童局長) 黒木 利克君
厚生事務官
(保険局長) 小山進次郎君
厚生事務官
(社会保険庁医
療保険部長) 竹下 精紀君
委員外の出席者
文部事務官
(初等中等教育
局中等教育課
長) 渋谷 敬三君
専 門 員 加藤 重喜君
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五月十二日
委員受田新吉君辞任につき、その補欠として玉
置一徳君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/0
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001・徳安實藏
○徳安委員長 これより会議を開きます。
厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。
質疑の申し出がございますので、これを許します。大出君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/1
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002・大出俊
○大出委員 厚生大臣に、大きく申しますと三点の質問があるのでありますが、その一つは、最近の地方の公立病院の経営その他をめぐりまして、地方公営企業法関係の一つのワクをはめるという問題から、たくさんの患者に対する感心できない問題がいろいろ起こっておりますし、さらに引き続きまして保助看法と通常申しております保健婦、助産婦、看護婦さんの法改正問題等につきまして、これまた厚生大臣の御発言もありますしいたしますので、将来どうなっていくかという点についても伺っておきたいと存じますし、さらにもう一点、これまた厚生大臣の御発言に関連いたしますが、日雇労働者健康保険法の関係で解散云々というお話が出ておりますので、与える影響がきわめて大きいのでございます。したがいまして、以上の三点について御質問を申し上げたいと思います。
まず第一の問題点は、三十八年の三月に地方公営企業法の一部改正が出されまして、衆議院で五月、参議院で六月に通過をいたしておりますが、そのことをめぐりまして、問題の焦点は、地方公営企業法の一部財務規程なるものを全国の公立病院にも適用をさせるということを認めているわけでありますから、これに対しまして、自治省の側等は、病院の大福帳的な今日の経理事情というものを改めて、経理内容を明らかにするために、複式簿記等の採用をして、収支状況をいつでもわかるようにしてくれというのが当時の言い分であったようでありますが、これが百人以上のところには強制適用でありますし、以下のところには任意適用となっておりますが、ここから生ずるいろいろな問題が出てまいっておりまして、つまり正規の職員を減らして臨時やパートの職員が病院にふえてくるということは、何を意味するか。といいますことは、正規の職員については夜勤がふえる、このことは患者にしわが寄る、こういう結果になってまいります。さらにまた、外来患者を減らして収益のある入院に重点を切りかえるなどという問題が出てまいっておりますし、高い薬を使わないようにするという病院における指示が出ておりますから、そうなると、これまた患者に大へんなしわがよります。それから患者を早く退院をさせて、回転を早めるという方針も出てきております。したがって、まだ入院していなければならぬ者が出されるという結果が生まれております。それから収益の少ない診療費目については、これを廃止しようという相談さえ起こされております。さらには病院の統廃合という問題が、最近出てきております。こういう状態が至るところに起っておりまして、私は横浜でございますけれども、横浜の各公立病院関係が、一様にそういう動きになっております。この点について、医療行政全体の面からながめて、単に財政経理の面からのみとらえたこの地方公営企業法の一部適用という問題につきまして、厚生大臣のほうからごらんになっておって今日の段階をどういうふうにお考えになっているか、冒頭に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/2
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003・小林武治
○小林国務大臣 お話しのように、病院の会計といえども近代的の経営と申しますか、そういうふうな趣旨に沿って会計制度を明確にしたい、こういうことで自治省でもつてお考えになってきたわけでありまして、多少お話しのような影響があり得るということは、私どもも考えておったのでありますが、しかし、経理を明確にするということもまた一つの大事な要素でありますので、それにわれわれも同意をした、こういういきさつもあります。ただ、その後これを実施した結果どういうふうな影響があるかということにつきましては、実は私どもまだ十分調査もいたしておりませんし、お話しのような面につきましては、われわれも考えなければならぬと思いますから、ひとつ事態を明確にした上で対策等も考える。すなわち医療関係の経費というものがこういう方面に食われるということは、私は避けなければならぬと存じます。私としてはまだ事態をはっきり存じておりませんので、事務当局のほうで調べたものがあればお答えをいたしますが、お話しのような点は十分考えていかなければならぬ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/3
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004・大出俊
○大出委員 具体的な例をあげますと、貴重な時間がさかれますし、あとの質問をされる方の関係もありますので、できるだけ簡単に申し上げたいと思うのでありますが、この中で各公立病院関係が一番にっちもさっちもいかないのは、この財務規程の問題をめぐりまして、赤字一割以上に及んだ場合は再建団体特別措置法の特例として指定することになっている。経営診断などを行なって病院経営を国が指揮をする、こういうかっこうなんです。したがって、患者にしわが寄ろうと、従業員にしわが寄ろうと、財政の面からくるこの至上命令を実行しなければならない。ここに一番大きな問題があって、したがって、先ほど私が申し上げたような事例が、すでにたくさん起こっている。患者さんからもたくさんの陳情を私はいただいているわけでありますが、横浜には市民病院であるとか、港湾病院であるとか、横浜産院とか、いろいろ病院がありますから、特にいろいろな声が聞かれるのであります。したがって、この点について理事者側のほうはどうなっているかといいますと、これはとにかくそういう至上命令なのだから、百人以上のところは強制適用なんですから、やらざるを得ない。しかし、問題は結果的にこれが住民サービスの低下ということ、つまり患者にしわがよるということ、それから正規職員が夜勤がどんどんふえてにっちもさっちもいかないということ、この事態は認めているわけですね。だから、これ以上の悪化ということは、いかに経理面からの指導があったとはいえ、見ておられないという理事者側の考え方が、最近は出てきているわけです。したがって、そうなれば、この点は自治省に対しても市当局あるいは県当局を通じてものを言わざるを得ない、こういうふうになってきているわけです。これを私は単に自治省と地方公共団体との間における財政上の争いにしたくはないのでありまして、そこで厚生省の果たす役割りというものが当然あろう。だから、財政の面から赤字解消のために努力をされることは、ある意味では私はわかりますけれども、そのことから極端なしわが寄っているという現実を見過ごすわけにいきませんから、厚生省として、その間に立たれて医療行政全般をお考えの上で手を打たなければならない非常に緊急な問題だというふうに考えているのでありますが、そういう点についても、もう少し突っ込んだ御答弁をいただきたいと考える次第でありますが、そういう点についても、もう少し突っ込んだ御答弁をいただきたいと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/4
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005・小林武治
○小林国務大臣 問題は、医療の点数等について欠けるところがある、こういうふうなことがある程度言われておりまして、私どもも、ある程度真実である、かように考えております。先般中央医療協、これの医療費の値上げの答申も出ておりますし、政府は前々から答申を尊重して善処したい、こういうことで、私どもいまその内容を検討して、そして近い機会に適正な処置をしたい。ことに開業医と病院等いろいろ問題がありますが、病院が非常に困難な状態にあるということは、一つの世論でもあり、私ども厚生当局としてもさような認識を持っておりますので、適当な措置をとりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/5
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006・大出俊
○大出委員 時間がありませんから結論を申し上げるので、もう一ぺん御回答いただきたいのですが、前回この内閣委員会に、地方公営企業制度調査会という設置法改正にからむ提案がございました。社会党側も最終的には条件を付して賛成いたしたのでありますが、この制度調査会の提案の内容等からいたしますと、私は、毎日患者にある意味での負担がかかる問題でございますので、そうなりますと、これこそむしろ調査会あるいは審議会、そういうものの中で、いきなりこうした大福帳方式を改めろということでワクをはめて、高い薬は使えない、こういうかっこうにしてしまうのでなしに、病院経理というものは一体いかにあるべきかということを含めて考えて、これが医療行政というものの考え方の大きな柱になっているということを考えて、やはりせっかくこの調査会などを提案されるのであれば、そういうところで一つ当面緊急の問題として結論を出す、こういう努力をされた上でしかるべき措置をおとりにならぬと、いきなり経理の面だけから患者のことを考えずに押えたということになると、日々病人が困るわけです。そういう点等をなぜ配慮しなかったかという点を、私は言いたいのです。患者は病気なんですから、そこのところでどうも正規の看護婦がどんどん減らされたり、夜勤がふえるということでやめた看護婦さんが出てくるということにしてしまうと、人道的な問題だと思う。だから、こういう点等から考えて、早急に——結果を見てというのでなしに、結果があらわれるころには患者にいろいろの問題が起こってしまうのですから、そこのところをどう考えるかを聞いておきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/6
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007・小林武治
○小林国務大臣 これはもうすでにある程度実施してきておりますから、影響等もすぐわかるのです。お話の点も私はごもっともと存じますので、早急にいまのような財務規程の適用の結果が医療費その他にどういう影響を及ぼしたかを調査いたして、その上で適当な措置を考えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/7
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008・大出俊
○大出委員 活動的な大臣のことですし、厚生関係行政全般にわたって次々に方針を立てておられる大臣のことでありますので、いまおっしゃられました点でできるだけ早急に御配慮を賜わることをお願いいたしまして、いまの点は終わります。
次に、保助看法の改悪の問題——私どもから見ると改悪、改正でないというふうにいまの要望書その他をめぐる内容は考えておるのでありますが、これも予算委員会等で多少発言のあった記録も読んでおりますけれども、まず冒頭に承っておきたいのは、今日看護婦さんの有資格者がどのくらいあって、しかもそれが実際にどの程度稼働されているかという点について、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/8
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009・小林武治
○小林国務大臣 私の承知しておるところでは、全体として四十数万人もおる。しかし、実際に稼働しておるのは十八万人、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/9
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010・大出俊
○大出委員 約四十万の有資格者の方方の中で、十八万人が稼働されておる、こういうことだというふうに私も聞いておりますが、そこで厚生大臣御自身でおっしゃっているのですが、看護婦協会の総会が日大講堂でありました際に御出席になられまして、保助看法の改正については、次期通常国会に出すことにしたいという大臣の御発言があったというように私は承っておるのでありますが、この真偽のほどをひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/10
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011・小林武治
○小林国務大臣 これはこの国会でもいろいろの委員会でお話がありまして、私もいろいろの欠陥があることを認めております。それで実はことしのこの国会に出したいぐらいに考えて、いろいろ調べてまいりましたが、なかなか関係者が多くて意見がまとまらぬということで、やむを得ず見送りまして、この意見を調整するために、過般私ども、看護婦、こういう方々の身分とか給与とかいろんな問題がありますので、全般的なことを審議してもらうための協議会をつくりまして、その協議会でいろいろ御審議を願っておりますが、医務当局には六月一ぱいで結論を出してもらうようにぜひしてもらいたい、こういう注文をしておりますので、その際に意見がまとまって、次には予算と法律の措置がとれる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/11
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012・大出俊
○大出委員 いまおっしゃる協議会の正式な名称と、それからその協議会発足にあたっての根拠と言いますか、そこの点を念のために御説明おきをいただきたい。なお、構成関係についてもお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/12
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013・小林武治
○小林国務大臣 いまの法制関係はありません。したがって打ち合わせ会をやる、こういうふうなもので、成規の役所的というか、公的機関、そういうふうなものでなくて、関係者に集まっていただいて協議をしてもらうということで、省令とか訓令とかいろんなものを出さないで、実際問題としてお願いをしておる。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/13
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014・大出俊
○大出委員 そこで問題があるのですが、念のためもう一ぺん聞きたいのです。関係者とは一体どういう方々を入れておられるかということと、いつ発足をして、いつごろ終わるめどなのか。かつ正式名称が明らかになりませんが、どういう正式名称をつけてやっておられるか。ここのところをお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/14
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015・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 ただいま大臣からお答えいたしましたように、正式のものではございませんが、一応呼び名といたしましては、看護制度について有識者から意見を聞くの会というふうにしております。それで四月十八日に第一回を開きまして、第二回を五月二日に開いておる。あと今月中にもう一回開く予定でございますが、メンバーは十人でございまして、いま座長といたしましては、公衆衛生院の斎藤潔先生にお願いし、それから医者側では前医務局長の川上六馬、慶応の外山教授、賛育会木下院長、それからもうひとかた看護関係といたしましては槙さん、東大看護学院関係者でございます。それから金子みつ、保健婦関係です。それから朴沢さん、これは助産婦関係、それからがん・センターの総婦長をやっております石本さん、それともう一人慶応の総婦長をやっております村瀬さん、こういう方々に来ていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/15
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016・大出俊
○大出委員 ところで、この日本看護協会が三十八年十二月二十六日に厚生省に提出をした保健師法、かつ要望書その他がついておりますが、これについて実は要綱は林試案と言われたり、あるいは要望は石本さんの試案と言われたりしておるのですが、この要望書なりあるいは保健師法について出されました経緯が、いろいろ調べてみますというと、どうも何となく明確でない。つまり医師会の皆さまの側には、丸茂さん等の提案が前からあったわけであります。さてこの石本試案といわれたり、林試案といわれたりする保健師法が出されたときのいきさつからいきまして、私は厚生省側もある程度了解をしておやりになっておるという気がするのでありますが、そこのところを、お答えにくいところかもしれませんが、とりあえず答えていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/16
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017・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 いまお話しがございました看護協会からいただきました要望は、看護協会自体のものだと私たち承知しておりまして、どういうふうに会の内部でこれを協議せられて決定されたか、その辺はつまびらかにしておりません。われわれといたしましては、看護婦さんの中でも、ことに准看の方々では、この試案についてかなり批判的な気持ちを持っておられる方があるのではないかというふうな情報も聞いておったりいたしまして、また協会自体でも、いろいろ考え方に変遷もあり、中に異論もあるというふうなことも、われわれとして感じておりましたので、そういうふうな点を考え合わせまして、いま大臣のお話がございましたように、有識者から意見を聞くの会というふうなもので、厚生省としても考え方をもう少ししっかりきめていこうという立場で、いま動いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/17
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018・大出俊
○大出委員 実はいまお話の看護協会なるものは、助産婦さん、あるいは保健婦さん、あるいは看護婦さんのおのおのの部会があって、三つ合わせて総会が構成されるかっこうになっておるようでございますが、つい先般行なわれました看護協会総会の内容を、私いろいろ資料によって調べてみたのでありますが、たいへんな騒ぎなわけです。看護婦さんなんかにすると、なぜ私たちに一言も相談がなくてこういうことをやったかということでいきまく方がたくさん出て、それこそてんやわんやの騒ぎになっておる。私も秘書を傍聴させておったのですが、そうなると、どうも上のほうの方々が簡単にぽっとこれを出されたという感じがする。しかも説明によると、医師会案というものが一つあって、それに対抗するという意味で出されたという説明があったり、林塩さんの話からいたしますと、何と言っておるかというと、最初は看護婦さんが足りないから、あるいは保健婦さん、助産婦さんの方が足りないからということで考えたのだが、最近は制度としてどうしてもやるんだ、そういう言い方が内容として出てきておる。しかもなくなっておった看護係という一つのセクションが、林さん等が出られてから復活さしたという話が出ておる。そして長野さんが看護係長をやっておられる。こういうことになってくると、どうもそのあたりに、下のほうの皆さんに話をされずにぽっとこの案が出てくるということになると、さっき私が御質問申し上げた厚生省の方々も、今日の看護婦さんなり助産婦さんなり保健婦さんの事情を知らないわけじゃないですから、そうなってくると、何かそこに有無相通ずるところがあって出てきておるというふうに理解できるのですが、再質問いたしますから、もう一ぺんお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/18
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019・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 厚生省の医務局の側と協会との関係に相当連絡があってこの案ができたのではないかという御質問だと思いますが、私自身承知しておりますのでは、そこまでいってないように思います。これは協会の内部でお話しになったものをわれわれのほうに持ってこられただけだ、こういうふうに私は承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/19
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020・大出俊
○大出委員 ところで、医務局長さんの尾崎さんなり、あるいは医務局次長の大崎さんなり、いろいろその後のやりとりの中から出ておりますのは、看護婦の皆さんの末端で働いておる方々の反対を無視してまで強行はまずいという考え方が出されてきて、話し合いを通じてさらにりっぱな恒久的な法案にしたい、こういうことから、この保健師法に基づく看護協会からの趣意書あるいは要望書というふうなものが返されているというふうに私は聞くのでありますが、そういう事実があるのか、ないのか、明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/20
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021・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 要望書を返したりはしておりませんで、われわれはいただきまして、これを勉強させていただくという状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/21
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022・大出俊
○大出委員 そうすると、この要望書は、石本さんも入っておられるというふうなお話なんですが、関係者の意見を聞くの会、この中では相当重要視されて皆さん方のほうは進めておられる、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/22
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023・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 今度の有識者に意見を聞くの会におきましては、そういうふうな立場にとらわれないで、現在の国民の医療にどう看護婦関係があるべきかという点をお考え願い、また将来の医療の発展に対してどう考えるかというような点をお願いしてあります。またその際に、いろいろわれわれとしてお考え願います材料に出しておりますのは、この要望の事項も出してあります。そのほか、私のほうに参りました要望書全部をここには出しております。組合からの要望も出しております。医師会からの要望も、やはり出しております。すべての要望事項を全部御意見を承ります会には出して御参考に供している、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/23
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024・大出俊
○大出委員 関連をしますので承りたいのですが、三十七年の九月に、准看護婦養成所協議会というのがございますが、一つの職能団体のようなものだろうと思いますけれども、ここから請願が出されておりまして、内容は、一つは准看廃止、看護婦一本化という問題もう一つは看護婦資格を一級、二級に分けて、一級の方々は国家試験、二級の方々は都道府県知事の試験による。それから三番目は二級合格者で三年以上の実務を有する者、あるいは一定の講習を受けた者及び高校卒で実務二年以上の者は、受験資格を持たせるというふうなものが出ておりますが、これについて御存じですか。かつ、何か意見があれば聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/24
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025・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 私、三十七年九月という日取りの要望書は覚えておりませんが、准看の方々にはこういうふうな御要望があることは、承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/25
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026・大出俊
○大出委員 もう一つ承りたいのですが、渡辺さんといわれる東京都の医師会の会長さんが、副看護婦養成所の資格授与式でお話しになっている内容からいたしますと、今後制度として副看護婦を認めてもらうように全力をあげて努力をするという内容のお話があり、副看護婦養成所の内容等をいろいろながめてみますと、資格を取るまでに二年間、うち一年間は週三日、二時間ずつの基礎医学の勉強をする。それから二年目は臨床実習、実習には開業医のところで仕事をする。まあ医師会の関係の方と思いますけれども、全国では副看護婦の方々が相当おいでになるのじゃないか。これはどこから考えましても、明らかに無認可でありますから、正規の法律に基づくものではない。ことばが悪いわけでありますが、まあ今日の段階ではやみでやっている、こういうことに私はなろうと思うのでありますが、さらに三十八年の十月に准助産婦養成所というのができまして、長野、愛知、千葉の各医師会等でやっております。その内容は、准看護婦の資格のある人で、六カ月という期間で養成をする、こういう内容だというふうに私は承知しておるのでありますが、これもやはり同様の法的根拠のないものであろう、こういうふうに考えるわけでありますが、これらに対して、産婦人科学会その他の多少の意見等が参考にありますけれども、人手不足なんだからいいじゃないか、こういう言い方になっておるのでありますけれども、この辺のことについては、一体厚生省側はどのようにお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/26
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027・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 第一に、渡辺さんという方は、おそらく東京都の医師会の渡辺会長じゃないかと思いますが、この方のそういうお話があったということは、私十分存じていないのでございますが、しかし、全体といたしまして、東京都で副看護婦というようなものを養成しているとか、また准助産婦というようなものの養成の動きがあるということは、承知しております。
こういうような制度自体につきましては、いまお話のとおり、現在の補助助産婦の資格とは別個のものである。これは看護関係の補助者、つまり資格のある人間でない補助者、看護助手だとか、助産婦の助手だとか、こういうようなものを、ただ何もなしで働かすよりも、教育をして働かせるという立場でおやりになるのであれば、これはけっこうなことであり、またわれわれとしてとめる必要はないのではないか、こういうふうに承知しております。ただ、名前を看護婦と間違える、また助産婦と間違いやすい名前を使うのは困る、こういう考え方であります。ただ、そういうようなことによりまして将来看護婦になる、准看護婦になる、助産婦になるというような、何と申しますか、希望を与えて、それが実行できないというので騒ぎが起こったりするようなことがあっては困るものですから、われわれとしては、こういうふうな名前を使わないようにということを、私は長野県のほうには警告してくれということを言った覚えがございます。だから、そういうようなことで補助者を教育することはいいことだと思いますが、まぎらわしいことばを使ったり、また将来このことが制度的に資格として国が認めるのだというような幻想を与えたりすることはよくないことだ、こういうようなことで指導しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/27
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028・大出俊
○大出委員 補助者ということを言われるのですが、それはやはり法律として明確なものがあって、補助者を養成する基準はこうで、内容はかくかくしかじかのもので、補助者の資格はこういうことで認可をするのだというようなことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/28
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029・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 補助者には、先ほど申しましたように、資格等は全然要求しないものであります。法律ではそういうようなことはいっておりません。しかし、病院等におきまして、いろいろ専門職員につきましては補助職員がある。その補助職員の中には、資格を要求しない補助職員というものがあるわけでございまして、その補助職員につきまして、おのおの施設で養成し、教育をするというようなことはあり得る。また、ある程度十分に働かせるためには必要なことでないか、それをまとめてやっておるというような考え方だと私は考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/29
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030・大出俊
○大出委員 実はまだいろいろ申し上げてから結論めいたことを言いたかったのですが、お話が出ましたから申し上げるのですけれども、いいことだと言われるなら、事患者を扱うわけですから、ないしはその補助をするわけでありますから、一つ間違うと、これは人命に関することですから、たいへんなことが起こる。そうなりますと、それがいいことだと言われるならば、なぜ基準、認可等々の法的根拠を明らかにして、国民に納得がいき、安心がいくような形でおやりにならぬか、これは医療行政に携わる方々の行政的な重大な責任だと私は考えるわけです。しかもこの点は、東京でも、この副看護婦、副助産婦の問題があり、さらに神奈川でもあり、各医師会の方々がやっておられるということになりますと、法律に根拠を置かない、名称もない——いま助手とおっしゃるけれども、それだって名称じゃないのでありますから、そうすると、資格も何もさっぱりわからぬ者が全国で一体どのくらいいるのですか。そこらの把握さえできておらないのじゃないかと私は思うのでありますが、その辺のところはどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/30
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031・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 いま病院、診療所関係で、看護関係の助手と申しますか、補助者が十万ぐらいおります。資格のございます看護婦、准看護婦が、ただいま大臣からお話がありましたように、三十七年末で十八万三千くらいおりますのに、大体十万六千くらい補助職員がおりまして、このすべての医療従事者に全部資格を要求するということは、考えていないのでございます。医師だとか、歯科医師だとか、看護婦、准看護婦、助産婦、レントゲン技師、こういうようなものには資格を要求しておりますが、すべての職員に一定の資格を要求するというふうなことは、ちょっと考えられませんし、その助手等につきましては、施設施設でいろいろその仕事の必要に応じて教育をやっておる、こういうわけでございます。いまのお話の副看護婦ですか、あるいは准助産婦などというと、どうもいまの資格のある者とまぎらわしい、そういうような予断を与えるというので、そういうようなやり方はあまり好ましいものではないという立場をとっており、またそういった指導をしておるということは、前から申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/31
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032・大出俊
○大出委員 どうもそこがわからないのですがね。いずれにしても資格がないのでしょう。しかも患者を治療することに付随をする看護婦さんの仕事の補助、助手、こういうふうなことになるということでしょう。しかもさっき言われる中では、資格を要求してもめても困る、こういうお話でしょう。しかも全国のこれをやっておられるところ、東京、名古屋、長野、千葉等々をながめてみますと、いずれも医師会の皆さんの側からは、准看護婦と同等の資格を何とかいたしましょうということで、あるいは副看護婦制度というものを明確にいたしますということで激励をし、かつそういう話をして養成をしている。こうなってきますと、厚生省という立場で、このことを、資格も何もないのだ、何にも基づかない、しかも教育課程も何もない、しかし十万六千人もいて、これはしかたがないということで、また資格要求をしてもめても困るということをもう一つ言うておる、それを黙って見ているという、そういう無責任な話はないのじゃないかという気が私はするのですが、これは大臣どうですか。相手は患者さんなんですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/32
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033・小林武治
○小林国務大臣 いま局長がいろいろ申したように、指導等はしておるようでありますが、相手が相手というか、仕事の性格からいって、私も、必ずしもいまのやり方がいいとは思いません。そういうようなことは、もう一ぺん私ども考えてみることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/33
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034・大出俊
○大出委員 私も、実は悪意で申し上げるのじゃないので、前向きでものを申し上げたいわけですから、そういう意味でお聞きいただきたいのですけれども、何となく既成事実を一ぱいつくり上げてしまって、さて保健師法と、こうなってくると、冒頭に私が申し上げたように——しかも看護係の復活といういきさつも私は多少調べてみているのですけれども、そうなってくると、既成事実をどんどん積み重ねておいて、資格を全体的に下げて、あるいは保健婦、助産婦あるいは看護婦の三つの資格を共有する人をこしらえて、何にでも使えるというかっこうのものに持っていく、つまり既成事実の上にそういうものが成り立ってくるということになると、どうもあまり感心した内容ではないという気が、この問題については一つするのです。
それからもう一つは、いまも大臣がちょっと言われておりましたが、相手が相手ということになるのでありますから、しかも医師会という権威あるところが、おのおの資格を得るようにするのだからということで養成をされておるとすれば、働くほうは、資格も何もなくても一生懸命働くのですから、そうなると、資格を要求するのはあたりまえです。ところが、いまのお話では、資格を云々されても困るから、こうなると、私はどうも前後相矛盾するものを感ずるわけなんで、将来これをどうするとかこうするとか、何かの構想でもあって指導されているのなら、指導になりますけれども、君らは資格がないんだよと言っているだけでは、指導にならぬわけでありますから、そこらあたりは、どういうお考えで指導されておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/34
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035・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 いまの副看護婦、准助産婦というような名前を使うこと自体を実はやめてくれと言いたいのでございますが、いまの法律で名称独占の規定がないわけであります。そういうような関係から、われわれとしてこれを禁止するということを法的の立場で申し上げることはできないのですが、そういうふうな間違いが起こることがあってはいけないし、いまの既成事実をつくり上げて看護婦、准看護婦の制度をさらに資格要件等を落としていくというような形になっても、われわれとしては困る、こういうような立場から、名前をなるべく使わぬようにということで、別の名前を使ってもらうなり、助手の養成だということを明らかにしてもらう、そういうことを指導しているわけでありますが、なかなか指導に服してくれない、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/35
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036・大出俊
○大出委員 資格を落とすことは困るといういまのお話なんですが、それははっきりそういうふうにお考えだというふうに確認しておいてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/36
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037・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 医務局としてはそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/37
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038・大出俊
○大出委員 そこのところを保健師法等と関係があるので聞くのですが、大臣、資格を落としては困るという、ここのところはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/38
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039・小林武治
○小林国務大臣 私見ですが、私は、いまのたとえば保健師法などで一括してやるということは賛成しません。これはやはり仕事の分化が必要でありますから、そういうお話がありましたが、私はそんなはんぱなことばで、十ぱ一からげの名称でこれを包括するということは、反対いたしております。
それから資格問題につきましては、いろいろ議論がありますので、多少弾力性を持ってものは考えなければならぬというふうに思っております。その具体的な内容等については、私はみんなの意見を徴する、こういうことにいたしております。それから、いまの副看護婦とか、あるいは准助産婦などということは、必要によれば法律で禁止できます。こういう資格のないものをまぎらわしい名前を使ってやるということは、保助看法に書けばそういうものは禁止できますので、そういうこともまた必要によっては考えなければならぬ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/39
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040・大出俊
○大出委員 今日の看護婦さんの置かれている事情というものについて、おそらく御存じだと思うのでありますが、幾つか例を調べてみますと、どうも非常にめちゃくちゃと言ったら言い過ぎかもしれませんが、めちゃくちゃと言いたいほどの極端な、また劣悪な条件で働かされている、こういうふうに思うわけです。そのことは、患者さんにもたいへんな迷惑をかけているのじゃないか。一例をあげますと、私は神奈川県の横浜出身ですが、三浦の国保の病院があるのでありますが、病床百二十床でございます。三十九年一月十日に、一人の看護婦さんが早産をされて、子供さんがなくなったということで、当時相当大きな問題になったのでありますが、十二月の中旬ごろに、本人が、非常に仕事がつらい、子供のことにも影響するというので、退職届を提出をしたわけであります。採用されて一年以内なんで産休はくれないのだという話があって、そこで退職届を出したといういきさつなんです。ところが、理事者の側の方々は、人が足らないのでそれは困る、どうしてもやってくれというので、とうとう昨年の十二月二十八日まで働いてしまった。そこで申し出たのだけれども、この忙しいのに困るということで、またしかたがなくて一月もつとめた。予定日が二月の二十日なんですから、産前産後の休暇にまだ入らぬ時期で、一月の十日ごろからでありますが、正規に休んでおれば、流産の十日という日は休んでいる日になるわけでありますけれども、そういうことで流産をされたということから、これは相当大きな問題になりました。ところが、病院の当局の方々が御主人を呼んで、十二月に退職届を出したということはなかったことにしてくれ、公になるといろいろ問題になるということで話が出て、そのかわり、流産をされたのだけれども、産休を認めますから、休んでいただいて、さらに出てきて従前どおり何とかつとめをしてくれ、そのかわりそういう届けがあったというようなことは表に出さぬでほしいというような話になって、これは私さっきから申し上げておるように、うしろ向きでものを言う気はないのでありまして、したがって、これを取り立ててどうということは申し上げませんけれども、そういうことが当時いろいろ問題になったわけなんです。そこで、いまの件は、産休を認めるのはあたりまえのことで、どうしてあたりまえかといえば、基準局の基発一八八五号というので、四カ月以上の場合には、中絶であっても流産であっても産休は認めることに行政通達が出ておるわけでありますから、これはやるのが当然でありますけれども、こういうせっぱ詰まったところにこなければ理事者側としても認められないという、そういう差し迫った状態に置かれているのが、今日の看護婦さんの実態だ。このことについては間違いがないというように、私は考えておるわけです。なお、この検査室なんかは、二名しかいないのでありますけれども、一日交代で検査の技師が夜十時まで超勤をやっている。夜勤が月に十三日、当直が二日、超勤は一カ月三千五百円の打ち切り、渡し切り、代休もとれない、調べてみると実はこういう状態なんです。これは基準法違反という面もたくさんありますけれども、こういうことを放任しておくということになっている現状は、一体どういうことか。私は、やはり医療行政全体の責任という問題になるのじゃないかというように思うのであります。
そこで、いまの点についての御見解を承りたいのと、時間がありませんので急ぎますが、あわせて大臣が、先ほど四十万人をこえる有資格者があって十八万しか稼働していないという今日の状況、この原因は一体どこにあるかという点について、どういうようにお考えになっているのか、この点についてもあわせてひとつ御回答を賜わりたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/40
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041・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 三浦国保病院の状態について御指摘がございましたが、いろいろ病院、医療機関の状態は千差万別でございまして、中には人数等が相当少なくて無理な稼働をしておるというのがあることは事実だと思います。それにつきまし、現在医療行政としまして、病院の監視と申しますか、インスペクションをやるようになっておりますが、人数、予算の関係上、それが十分行なわれていない。一年に一回くらいしか行なわれていないわけで、それも十分に行なわれていないような状況でございますが、この点に関しまして、この二、二日後に各県の医務課長会議がございますので、その際には、もう少し国民の医療を守るという立場で監視をよくやり、またその実施を見届けるようにという指示をするように、実は昨日、私申しつけたような状態でございます。できるだけそういうような医療面におきましての向上について努力をしていきたい、こういうように思います。
それから有資格者が半分以下くらいしか働いていない状態、これは世界各国かなりどこでもある状態でございますが、先ほど大臣からお話がございましたように、日本におきましても、現在四十二万五千くらいの有資格者がございますが、これは一つは年齢の関係等で働くことができないというような方もございます。また、結婚等によりまして家庭に入っておられる、子供さんがあるというようなことで、働けない方もあると思います。また、特に戦争中にわりあい簡単に看護婦さんをつくりました。この方々は、資格は持っておられますけれども、技術的にいまの病院に入って働くという自信のない方もあるかと思いますが、しかし、こういうような方々の中でも、能力のある方々、また働く意思のある方々をできるだけ吸い上げるために、いろいろ努力を重ねておるという状態でありまして、いまの推算で、そういうような有資格者のおりますところのフールから、大体一年に二千人くらいは吸い上げておるというような状態があるように、私、考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/41
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042・大出俊
○大出委員 私は、本質的な問題に触れますけれども、東京のたしか池上病院でしたか、先般の新聞に出ておりましたような腐敗血液の問題だとか、注射の誤薬事件だとか、たくさんあるわけです。かつ、私が一番身近に考えているのは、そういう問題について、示談で片づけておる問題も相当あるわけです。そうなりますと、資格のある人を明確にして、その人たちをできるだけ稼働して、先ほどの副看護婦とか副助産婦とかいろいろありますけれども、そういうような形でなしに、やはり有資格者を確保するというためには、勤務状態あるいは賃金、そういうようなものを考えていきませんと、これは本質的な解決にはなかなかならぬというように考えるわけです。そういう面で、今日の看護婦さんの賃金等を調べてみますと、医療三表のうちの第三表になっているわけです。医師あるいはレントゲン技術者その他、それから看護婦、保健婦、助産婦という三表です。そこでこれの賃金を調べてみますと、三表による平均が、公務員の場合に二万三千三百六十二円、これを一〇〇とすると、民間の場合は八四%ですから民間が低いことになるが、民間でまいりますと、一万九千六百四十九円という金額になる。そうなると、今日の社会事情の中からながめてみると、夜勤夜勤とやってなくとも、一万五千や六千ならばもらえるところがたくさんある。そうなると、なかなか夜勤あるいは深夜勤が続くという看護婦さんの仕事の中に人が入ってこない、あるいは資格を持っていてもつとめようとしない、できればほかに行く、こういう事情にあるというふうに私は思うわけです。しかも、もう一つ問題になるのは、この勤務時間の中で、たとえば夜勤手当一つとりましても、午後四時から十二時までつとめる勤務時間帯がありまして、その中でどのくらい夜勤手当が見られておるかというと、二時間相当である。准看護婦さんの場合で計算しますと、二十三円から二十八円、そば一ぱい食えないわけです。こういう状態で、四十万人以上の有資格者があっても、みんな老齢なわけではないのだから、こういうところに定着して仕事をしないのはあたりまえだと思います。だから、こういう点をなぜ皆さんでもう少し前向きにお考えにならないのかという点を疑問に思いますが、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/42
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043・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 看護婦さんの勤務状況は、お話しのとおりに、夜勤等があり、また患者さんのいろいろな病源菌で汚染した物品を取り扱うとか、大小便を扱うとか、かなりいやな仕事があるということで、この待遇、労働条件をよくしたいというふうにわれわれとしても努力しておるわけであります。戦前に比べてだいぶ改善されましたが、まだまだ私たちは努力を続けていかなければならないと考えておるわけであります。ただ、いまの民間が国よりも低いという状態にありますが、このことも漸次是正せられており、たとえば広島県などにおいては、医師会でも大体最低賃金を一万二千円ぐらいにきめ、また、労働時間も八時間でやっていくというような動きが出てきておりまして、この行き方をわれわれとしてももう少し助長しなければならないというふうに考えております。いまの夜勤手当の問題についても、十時から朝の五時までしかつかない、それが十二時までの夜勤であれば二時間分しかつかないということは、仰せのとおりであります。夜勤のいまの三交代制などについても、いろいろわれわれとしてもやり方を、もう少しいい方法はないか、検討しておるところであります。できるだけ勤務条件、待遇をよくするということが、看護婦さんの数を確保し、また志望者をふやし、現在家庭におられる方を再び職場に引き出すというような要素の一番基本になる、そういう考え方でわれわれも努力していきたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/43
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044・大出俊
○大出委員 そこで、ひとつ重ねて承っておきたいのですけれども、看護婦さんの患者あるいは病床に対する定数基準ですね、四ベットに大体一人、四人に一人という定数基準があるようでありますけれども、これも私少し調べてみたのですが、今日この定数基準を改正する気持ちがあるかないかを私聞きたいのですけれども、昭和二十三年に医療法がきめられて、医療法施行規則の第十九条一項四号というのを見ますと、看農婦さんは、入院患者四人またはその端数を増すごとに一人、及び診療科別に外来患者三十人またはその端数を増すごとに一人、ただし産婦人科もしくは産科においては、その三分の一以上は助産婦でなければならないとなっているんだと思うのですが、これは、当時この規則がつくられたときの事情をいろいろ聞いてみますと、患者さん大体二・五人に看護婦さんが一人いなければ困るという意見が、大かたの意見であった。ところが、当時の患者さんの数を看護婦、つまり有資格者の看護婦の数で割ると、患者四人に対して看護婦一人という数字になる。そうすると、これはたいへんな話で、看護婦さんがこれこれしかいない、患者さんは大体このくらいだと推定できる、だから、逆に患者を看護婦の数で割ったら四対一になるということで、この基準をきめたといういきさつがどうもあるようでありますが、その昭和二十三年のこの基準を今日もなおそのまま踏襲をしているということになると、世の中がこれだけ変わってきている段階で、医療も進歩している段階で、私としてはどうも納得がいかない。このことを、厚生省は、大臣以下皆さんが一体どうお考えておられるのか、承りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/44
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045・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 お話のとおりに、二十三年にこういうふうな基準ができ、以後変わっていないのでございますが、世界各国におきまして、こういうふうな基準をつくっている国はあまりないようでございまして、こういうような点で、各病院病院によりまして、機械的に、一般病床につきまして四対一でいいかどうか、もう少し要る病床もあれば、その患者の状態によってはこれ以下でもいい病床もあるというふうなことを考えておりまして——これは基準でありますので、これで全部やらねばならないという罰則等もあるものではございませんが、こういうふうな基準を置いておくことがいいかどうか、いまいろいろ検討しております。外国におきましても、一般病床につきまして、二ベッドに一人とか三ベッドに一人とかという看護要員がございますが、しかし、その中で、レジスタード・ナースと申しますか、有資格の看護婦はごく少ないわけでございまして、いま話がありました看護助手的、補助者的なものがかなりの部分を占めておるのが、外国の実情でございます。日本の二・五人に一人というお話がございましたが、そこら辺の分析が十分やってなかったのではないかということを考えまして、こういう面もあわせまして、有識者に意見を聞く会におきまして検討をしてもらおう、われわれも指導を得て勉強していきたいと思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/45
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046・大出俊
○大出委員 いまレジスタード・ナースというお話が出たのですけれども、資格のある看護婦ということばでしょうが、チーム・ナーシングということばがよく使われますけれども、有資格者と准看護婦と補助、この組み合わせですれ、これは厚生省側では、いまどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/46
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047・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 一応保健関係の基准では、四病床というような形になっておりすが、この形がいいのかどうか。チーム・ナーシングというふうな考え方、これは外国でだいぶ能率を上げるために考えられているようでございますが、われわれといたしましても、いまこれを行政的に全部にやらすというふうな立場でなく、検討するという方向の一つの目標としてやっておる、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/47
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048・大出俊
○大出委員 たとえば四十床あって患者さんが四十人、そうすると、看護婦さんが十人ということになるのですが、その場合に、三交代をやっておるわけですから、夜勤が四人だということになると、昼が六人ということになりますけれども、さらに外来がある。その中で、代休だとか休暇がある。こうなってきますと、いま申し上げたように、十人の中には、とにかく休む人もいるのです。私どもは、もちろん看護婦をやったことはないわけですけれども、ながめてみて、よくこれでからだが続き、やっていけるなという気がするわけです。私も、実は郵政省の出身ですから、逓信病院などよく見ておりますけれども、あれほどの病院でも、たいへんなことです。そうなってきますと、この基準を含めて手を入れなければ、先ほど来お話のある筋はわかるのですけれども、看護婦さんはふえないし、かつ有資格者は定着をしない。寮制度というようなものが廃止をされてきて、だいぶ緩和はされ、よくなってきておりますが、しかし、やはり希望を持ってつとめる職場にはならない、こういうふうに考えるわけです。この抜本的な問題をまずお考え願わなければならぬのに、何か知らぬけれども、保健師法というふうなものが出てくる背景を疑って私はものを見ておるのですけれども、単に資格を落として、看護婦さんあるいは保健婦、助産婦などというように、どれでも過当に使えるというようなかっこうのものにしてということは、どこから考えても患者というものを対象にした医療のあり方ではないのではないかというふうに思うわけなんです。その両面から見たものの考え方を総括的にもう一ぺん御回答いただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/48
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049・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 お活のように、看護の問題も患者を中心として考えていく必要がある。それと日本での需給の問題を考え合わせながら、将来どうあるべきかということを考えていくべきじゃないか、こういうようにわれわれとしては考えております。その需給関係とか待遇というようなもの、これはさらに医療費に関係してくるものだと思うのですが、そういうような面として、できるだけいい医療を確保するように、それには労働条件、待遇というようなものが、基礎になる、人数というような問題ももちろん含めてですが。お互いが因となり果となっている、こういう立場で検討をやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/49
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050・大出俊
○大出委員 そこで、保健婦さんあるいは看護婦さん、助産婦さんについて、いま資格要件になりますのは、高校を卒業されて、看護婦さんの場合ならば、大体三年学校へ行くわけですね。それから助産婦さんの場合なら、その上一年、保健婦さんの方々の場合ですと、一年コース、八カ月コースというようなことがある。これが今日の一つの資格要件だろうと思うのです。その中で、特に助産婦さんの場合は、数の上からいって非常に少ない、こういう現実だと思うのです。そこで、どうもひっかかってくるのですけれども、この保健師法などの内容から見ると、高校を卒業して四年で三資格を得るというようなこと、つまりそうなると何にでも使える。保健師がいなかへ行くと、この保健師の方は、それこそ三つの仕事を何もかもやらされる、早い話がこういう結果になってくる。そうすると、その意味では、そういうようなところにおきましてはたいへんなオーバー労働という問題が出てくるのではないか。どれでも資格があるのだから、みんなやれ、そういうふうな形になると、ますます来手がなくなりやせぬか。ということと逆に、この三つの課程をひっくるめてこれでやれということになっても、なかなかそうはいかないのじゃないかと思うのです。それらをあわせて考えてみると、資格の低下ということになる。そのことが患者さんにはね返る、こういう結果になってくると思うのです。大臣は六月までと急いでいるというのですけれども、急ぐ気持ちはわかるのですけれども、急いだ内容は何となく合理的なという理由をつけて、そっちのほうに出てくるということになると、これはとんでもない大騒ぎが起こるのです。この間の看護協会の総会の内容等からいきましても、あれだけの大騒ぎが起こるということになると、私はその点を危惧するのですけれども、もう一ぺん御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/50
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051・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 お話のように、看護婦は高等学校卒業後三年、助産婦、保健婦はそれのあとで半年以上となっておると思いますが、実際においては半年でやっておるよりも、もう少し長くやっているのが多いと思います。ただそのカリキュラムを検討してみますと、多少これとダブっておる問題とかなんとかがあるので、それを一本化する場合にはどうするかというような点は検討の余地があると思いますが、保健師法のあの線でいいかどうか、これはまた別問題だと思いますし、また保健師法につきまして、だいぶ厚生省が裏でやっておるのじゃないかというようなお考えでの御質問でありますが、その点は、先ほどから申しておりますとおり、医務局としてそう関知してないので、ただいま御意見をいただきましたことを参考にするという程度でございますので、また、先生のいまの御意見十分にわれわれといたしましても考えさしていただきまして、検討を続けていきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/51
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052・大出俊
○大出委員 大臣に承りたいのですけれども、なぜこだわるかといいますと、さっきは経過を申しましたから、それでおわりだと思うのですけれども、現行法の低下ということが一つの前提になりそうなものの考え方というものは、やはり警戒をし、排除していかないと、国民全体の医療を守るという立場からすると、私は間違いだという考え方を持つわけなんです。私自身は医者ではありませんが、私の兄は医者なんですが、いろいろ聞いてみても、やはりそういう観点からものを見る、こういうことになると思うのですね。そういう点から、今日看護婦さんの数が少ない、助産婦さんなどは特に少ないということから、だから低資格でもいいのだという安易につく考え方は、私は間違いだ、こういうふうに思いますから、それよりも、厚生省が中心になられて、行政政策の面で、何が一体今日の隘路であり、それが患者の皆さんにかぶっており、かつ働く方々に労働強化という形が出てくるか、さらに低賃金ということになってくるかという点を判断されての上で、やはり資格というものは高めれば高めるにこしたことはないのですから、そういう立場からのものの判断が私は必要だと思うので、そういう点で、法的に何らの根拠のない形で有識者を集めるとか、関係者を集めるとかいうふうな話し合いの会などというものを急がれて、そこから出てくるものが何か権威があるかのごとく世の中に受け取らせて、さて法改正にというふうに運ばれそうな大臣の最初のお考え方に私は反対なんですが、そこのところについて、ひとつ大臣の御見解を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/52
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053・小林武治
○小林国務大臣 あの問題は、先ほど申し上げたように、私はこの国会にも出したいと思いまして、事務当局をいろいろ督励いたしましたが、何しろがたがたあちらこちらから意見が出まして、厚生当局が引きずり回されているようなかっこうを私は認めたのでありまして、意見は意見として聞くんだ、しかし最後は厚生省がまとめるんだ、それで君たちは意見があるかというようなことを私は始終やっておりまして、一言うだけのものは意見はみんな言わして、そしてそれを帰納いたしまして、世間が納得するようなものをひとつつくりたい、こういうことでやっております。ただ何にも言いっぱなしでなくて、そういうものをまとめてやれば、とにかく言うたものは言うたとして、希望のある方も一応それで意見は出たというふうに考えていただけるということで、私どもは厚生省の意見をまとめるためには、そういう段階もやむを得ないんだ。いままでのように、ただ何にも形がなくて、いろんなことを言われて、それでつつき回されておる、こういう状態を私はこの際終わらせたい、こういう考えでいまのような形をとったのでございまして、最後はもちろん政府当局として妥当な意見をまとめる、こういう考え方を持っております。それから、ただいまお話しのように、保健師法のお話もありましたが、私は、そんなものをやることは賛成しないということも、事務当局によく申してあります。
それから待遇の問題につきましても、看護婦等につきましては、幸い国立病院というものがありますから、公務員としてのこのものの待遇を上げなければ、どうしても民間はこれにならわないということでありますので、ことに深夜手当等も私はきわめて不十分であると思っておりますので、これらの問題も、人事院とひとつ十分打ち合わせの上でやっていきたい。それから一般看護婦さんの待遇が、民間が非常に悪いが、これは私どもただ成り行きにまかせるというわけじゃありませんが、こういうふうに人が不足してくれば、賃金は必然上がらざるを得ない。中小企業も、御案内のように大企業との格差がだんだんなくなりつつある、こういうことでありますので、私どもとしては、とりあえず国立病院のものの待遇をひとついろいろな点で考えていきたい。自然にこれは民間のほうに影響する、こういうふうな考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/53
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054・大出俊
○大出委員 たいへん前向きな御答弁をいただいてありがたいわけでありますけれども、そのことについて冒頭申しました、つまり地方公営企業法の財務規程の適用なんかの問題、つまり一つは病院経営の問題ともからんでくるわけですね。それから、待遇問題等をながめますと、大きくいえば医療費値上げともからむわけです。そこで、私どもは、医療費値上げなんかをめぐりましても、世の中が経済的に物価が上がったり何かしていくのですから、そういう意味では、お医者さんのふところ勘定というものも必要になってまいりましょう。ただしかし、そのことが、今日ここまで進んできている社会保障を憲法にうたう日本の場合に、何もかも患者負担というかっこうになっていったのではたまらぬというところに、大きな反対理由が出てくると思います。そこで、やはりこれも厚生省という立場に立っての全体の医療行政という問題とからんでくる、こういうふうに思うわけです。だから、一面的な論議は、そういう意味では私はできないと思います。そうなりますと、識者を集め、関係者を集めての意見を聞く機会は、それなりに意見を聞いて、あとは厚生省がきめる。それはよくわかりましたが、なおかつ私が申し上げたいのは、経営の面だけをとらえてみても、地方公営企業制度調査会なるものがこの内閣委員会にかけられたわけですね。私も少し勉強してみましたが、これはたいへんなものです。しかも病院をそのワクにはめていこうとなると、なおたいへんなことになる。そのことを単に厚生省だけでと言われても、一つ間違うと、それこそたださえこれだけたくさんの意見がある世の中で、それだけ大切な国民医療なんですから、そうなると、もっと慎重にこの問題をお考え願わないと、誤りが出てくるのではないかという気がするので、やはりそういう意味では、正式な根拠のある審議会というものをこしらえて、そういう中に、特にこれはお話しをしておかなければなりませんのは、今度の看護協会の総会等の内容から見ましても、実際に働いている方々のつらいという状況と、幹部の方々がものを考えて立てられる案との間に、たいへんに多きなずれがあるという現実を考えますと、やはりその末端まで、実際に看護婦さんがふえない、あるいは定着しないという隘路があるのですから、それを埋めるためには、そこを熟知している方々のそういう意見が審議会に十分出されるような配慮が行なわれなければ、私はびっこな結論が出てくるというふうに考えるわけですよ。そういう意味で、できる限りそういう看護婦さん等の立場も理解し得る、助産婦、保健婦の実際の第一線の方々の立場を熟知をし、理解し得る方々も含めた意味での審議会というものをお考えを願って、そういう中でひとつガラス張りで論議をして、大かたの国民の意見も聞いて、安心をさせ、納得させて、この種の問題を厚生省は結論をつける、こういうふうに私は進めていただけないものかということを考えておるのですが、大臣の御所見を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/54
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055・小林武治
○小林国務大臣 御意見私はごもっともと存じますので、さようなことも考えたい。ことに公立病院は、ようやく公立病院協議会というものができまして、全国の公立病院の大同団結もできまして、共通の問題をお話し合いになる。それに私ども参加してやりたい。公営企業にいたしましても、病院経営は全くほかの企業と違いますから、その特性というものは生かさなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/55
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056・大出俊
○大出委員 次に一つ承りたいのは、三月二十七日の日本経済新聞に、大臣の談話といったらいいのですか、それとも意見といったらいいのですか、わかりませんが、昭和四十年をめどに日雇い健保の解散という、きわめて重大な事柄が載っておるのでありますが、いままでの保助看法問題等につきましては、前向きでお進めを賜わりたいことをお願いして、この日雇い健保の解散という問題について、どういうお考えであり、将来どういうふうに進めていかれるのか、この点について御所見を賜わっておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/56
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057・小林武治
○小林国務大臣 私は、この新聞記事をよそから注意を受けましたが、私が日雇い健保を解散するんだというふうな意見発表をいたしたことはありません。日雇い健保そのものにつきましては、非常に欠陥がありまして、現在非常な赤字を出し、また三十九年度におきましても、数十億円の赤字を出す。したがって、日雇い健保をこのままにしておくことはできません。根本的な、抜本的な改善をしなければならぬ。すなわち、国も被保険者もみんなでひとつ共同して、この制度を改善したい、こういう考えは持っておりますが、私が自分で解散するんだというふうなことを発表したつもりはありませんで、それはどういう都合で出てきたのかということを、他の機会に私はほかの方にも申し上げたことがあるのでございますが、そういうふうな意見は一部にあることはありますが、私からそういうことを発表したことはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/57
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058・大出俊
○大出委員 いまの点は、そうであればそれなりに私もわかりますが、しかし「国はこれ以上の日雇い健保の赤字負担に耐えられない」という理由が一つ、それから二つ目の理由は「健保財源プール制を四十年度から実施する際、財政面、実際の運用面で障害になる」、第三の理由は「医療保険の実情からみて日雇健保の存立自体問題がある」、この三つの理由が冒頭にあげられておるのですが、この理由自体が、私は非常に問題だというふうに思うのですけれども、御存じないとなれば、またしかたがないのでありますが、言った、言わないということは別として、特にこの理由の三番目など、このあたりは一体どういうふうにお考えになっておりますか、厚生省のほうでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/58
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059・小林武治
○小林国務大臣 これは私ども、実は内容も相当詳細に出ておるので、どういう方面からこういうものが出たのだろうと調べてみましたが、それがよくわかりません。日雇い健保がいま非常に経営困難であることは、御承知のとおりであります。それで、これはもっと国庫負担金を上げろとか、いろいろな意見がありますが、いまのような赤字を被保険者に転嫁するわけにはいきません。現に、国家が負担しているじゃありませんかというようなことまで私は関係者に申し上げておるのでありますが、この問題は、三十九年度はやむなくああいう形でそのまま置いて、そして赤字を補てんしていくという形をとりましたが、こういう形は長く続けられないので、厚生省では、四十年度にはどうしてもこの問題を解決しなければならぬという強い決意を持っておりますが、これを解散等の形においてやるというようなことは考えておりません。それで、国庫負担もむろん上げなければなるまいと思いますし、また被保険者につきましても、いまのような状態でいいか、また給付もいまの状態ではいけない、きわめて不十分である、そういうことを考えまするからして、これはひとつみんなで共同してこの制度を改善していこうじゃないかというふうな考え方をいままで持って、そういうつもりで私ども事務当局でも検討いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/59
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060・大出俊
○大出委員 実は大工さんなどの組合が、だんだん内容がふえて、最近はいろいろなものを取り上げてやっておるのですが、これをながめてみますと、言うならば日雇い健保組合みたいな出発をしておるわけです。つまり個々人がこの日雇い健保に加入して云々というかっこうがとりにくいということ、保険出張所等との関係からいきまして、ここが事務的なものその他一切を取り扱って、加盟しておる方々の手帳その他について、あるいは印紙を十六枚どうのこうのという問題について全部やっておる。けがをしたり何かしても、一般の保険と違って傷病手当などもありますから、そういうことを扱ってやっておるのでありますが、事誤りにしても、解散という問題が新聞に出てまいりましたので、そうなると、これはえらいことだということで、今日至るところで署名運動が始まったりという大騒ぎが起こっておるわけです。もしこういう考え方がないということであれば、実はそういうことはないんだ、誤報であり、かつ、こう考えておるんだということをどこかで明らかにしていただかないと、社会一般にたいへんな誤解を与えておる。日雇いの方々なんかもこれに参画するということになってまいりますと、ますますいろいろなことが起こってくるという心配をいたしますので、そのあたり、三月二十七日からだいぶたっておりますが、大臣のまわりでこの点について何か明らかにされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/60
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061・小林武治
○小林国務大臣 いまの問題は、いろいろな方からそういうお話があります。たとえば労組関係、日雇い関係の人が、いろいろの機会に、公式と申しますか、私のところへそういう問題でお話がありまして、その際に私は、これは誤報である、少なくとも厚生大臣がこういうことをしゃべった覚えはないということを申しております。いままた、日雇い関係者が方々で署名運動とか、あるいは各大臣に対してこういう陳情をされておる。私も閣僚の方々からそういうことがあるのかと質問をときどき受けますが、そういうことはありませんというふうなことを、私が接する限りにおきましては、すべて否定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/61
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062・大出俊
○大出委員 この日雇い健保について、衆参両院、あるいは社会保険審議会、あるいは社会保障制度審議会等々で、私の経験しておる範囲でも、たくさん決議等が行なわれて、内容がよろしくないということで、改善の必要と費用の国庫負担をふやせ、こういうことで以前から何回かそういう附帯決議等もついておるのでありますけれども、最近、これについて何か厚生省で御検討されている結果、ないしは中間的な報告というようなものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/62
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063・小山進次郎
○小山政府委員 問題の経緯は、先ほど来大臣から申し上げておるところであります。もう二年来と申し上げてよいくらい、いろいろの点を検討しております。それでいろいろ検討いたしました結果、一つ非常にはっきりしてまいりましたのは、従来日雇い労働者の健康保険制度というものを立て直すためにも、いずれにしても相当国庫負担を入れなければならぬ。現在、御承知のとおり、三割五分の国庫負担を入れておりますが、それではいかぬというので、ここ数年来、これを五割にふやせという要求を大蔵省との間に争ってきておるわけであります。そういうことでやってまいったのでありますが、さらにしさいに検討してみますと、実は五割入ってもこの制度というものは成り立たぬということが、いろいろの点から明らかになってきたのであります。現在まで検討いたしました結果では、少なくとも六割から六割五分というものを入れないと、この制度は将来にわたって安定した状態にはならない、この点が一つ、昨年来私どもと大蔵省との間で非常に争っておる問題であります。非常に単純な考え方として、およそ五割もよそから入れるような制度は、これはもう保険じゃないのじゃないかというものの考え方、これは財政当局のみならず、いわゆるオーソドックスな社会保険理論家といわれる人々にも、かなり強い傾向であります。われわれとしては、現在の社会保険というものは、必ずしもそういうふうに考える必要はないのじゃないか、社会保障という目的を達していく一つの技術的な手段にすぎないんだから、その意味において五割をこえても、それは制度の特性がそれを必要とするならば、あってもいい、こういうことで、六割五分というものを入れることはすべての施策の前提条件だと考える厚生省側の考え方と、それはそう簡単に安易に認められぬという考え方、これが一つ今日までの検討の結果明らかになっておる問題であります。
それから第二の問題としては、先ほど先生がお触れになった大工さんたちのあの問題であります。実は大工さんたちがいま日雇い労働者の健康保険に入っておりますのは、沿革的な事情から、いわば法律を超越した事実上の関係で入ってきておる。ここまで事実が固まってくると、いまさら形式的な議論でもということになっているわけであります。ああいうような人々の問題をどうするか、いろいろ議論はありますけれども、とにかく今日の段階において、こういう人人は日雇い労働者の健康保険の外に置くべきだという前提で議論したって、それは問題の解決にならない。中におるようにした場合にどういうおり方をすることが適当であろうか、いろいろ検討いたしまして、ちょうど健康保険制度の中における政府管掌と組合管掌との関係のようなものを、ある程度ここに構想できないか。こういう事実上というか、形式上は独立自営的な色彩もあるけれども、しかし、実際上は被用者であるという面のほうが強い。そういう面を考えてみると、そういう人々が日雇い労働者の健康保険制度という制度の中で、ひとつ組合をつくっていく。組合の設立その他については基準もあり、また応分の国庫補助もある。そうして状態がこれを許すならば、とにかく少なくとも健康保険の給付内容を目ざして自力でそこへ上げていくという可能性がある程度あるということが考えられますから、これもいろいろ協議しておるわけなんです。いずれにしても、期待される保険料の引き上げでカバーできるものというのは、そう多くございません。この点は、議論として一通り整理はつきながらも、どの程度の国庫負担というものをこれに入れるか、従来どおりの三割五分にとどめるか、あるいは基本になる制度のほうで六割なり六割五分というものを入れなければならぬということで踏み切るとすれば、ほぼそれに見合ったものを考えるかという問題が、依然として残るわけです。
第三の問題としては、思い切ってこの制度というものをそれだけの条件を整えたならば、当然保険料の引き上げはそれに応じてある程度確保してもらわなければならない。これは私どもたいへん評判が悪いことではありますが、この点を前提にしてもらわなければ困るということで、あえて申し上げておるわけであります。それを含めてそういう条件が与えられて、一通り日雇い労働者健康保険制度という制度が、それなりに自立して安定した状態にいけるということになったら、それはそのときの状態において、今度はこれを大きく健康保険制度の中に取り入れることができるかどうかという議論をする。そういうふうなことで、いまその議論を整理しておるわけであります。したがって、大臣繰り返して申されましたように、これを単純に解消するというようなことは、いままで大臣のお気持ちにもありませんし、私どもの考え方にもない。また、この点は実は被保険者の人々はよく承知しておられるのであります。ただ、ある種の目的からいいまして、いろいろ勢いのいい攻撃をしますためには、ややけわしい場面を想定したほうが中が固まりやすいということで、多少承知はしながら、政府は解消を考えておるのだというふうに、やや意識的に言っておる面があるかもしれませんが、実情はそういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/63
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064・大出俊
○大出委員 御説明のことはわかるのですけれども、私も実はこれを見たときに、どうもこれは解散ということをそう簡単に——できたゆらいがあることですから、三十九年の一月に発足をするときのいろいろないきさつもあるのですから、そういうことになると、これは簡単に解散などといっても、世の中の筋が通りはせぬ。これはネジを巻けば何とかなるだろうという気がする。しかし、解散をあえて出す以上は、けしからぬ、何が解散だと言ったときに、内容はかくかくしかじかですといって、悪く考えれば、日雇い健康保険自体の財政事情その他を大きく世の中に出すことができる。その中でいろいろな隘路というものを浮き彫りにしていって、かくて大蔵省に六割ないし六割五分くらいの金を入れてくれということを言ってみる。ところが、ぴしゃっと大蔵省から締め出しをされた。そういうことになると、これを存立するためには料金値上げということに、結局被保険者負担の増大ということになってくる。その辺のところが実はねらいではないのかという気が、これを見たときに私はしたのですがね。どうもそんなことは全然考えてないのに解散が出たというのだが、何も考えてないところに日本経済新聞なんかがこういうふうに出すとは私どもは思えないので、火のないところに煙は立たずのたぐいで、いま言われる一番最後のところに言われている問題を私は勘ぐって見ておったわけですが、そこのところの、大臣はさっきあっさり考えておらぬと言われるのだけれども、一番根っこの厚生省としては、努力はいろいろいたしましたが、しかし、今日の赤字はこのままにはしておけません、要すれば解散ということになるのだが、それもできません、したがって、何とか保険財政を立て直すためにはという、そこらあたりが、大臣が先ほど言われている一番うしろにある考え方かというところを確かめておきたいのですがね。そういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/64
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065・小林武治
○小林国務大臣 これは、私は、いまの悪い給付も改善しなければならぬ。しかし、一日十円や十五円の保険料でそのまま置いていいという議論も、私はできまいと思う。だから、関係者が特にいろいろお話しなさる場合は、多少あなた方もとにかく保険料は上がるのだということは考えてもらわなければ困るということを、私ははっきり申しておる。これは多少——どうせそう大きな負担をしてもらうというようなわけにいきませんが、とにかくいまのような保険料では安過ぎるということは、常識としておわかりになる。これは露骨に申し上げております。これは多少の問題だ、これはお話し合いのつく限度だということで、しかし、おれは何も出さぬからせめて国が出してやれ、こういう考え方はひとつやめていただきたいというふうなことを私ははっきり申し上げておるのでありまして、しかし、そんなことのためにこんな記事が出たのでないことは、明らかであります。私どもは、意図的に——この記事は全く知らないし、役所の人も知らない、こう申しておりますから、そこまでお気を回さぬでおいていただきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/65
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066・大出俊
○大出委員 その値上げということになりますと、これはいろいろな保険各種にからむわけですよ。じゃ、日雇い健康保険の患者負担の面だけを上げたらいいかということになりますと、そうはいかない。世の中の社会保険的なもの一切からんでくるのですからね。医療費値上げの問題もからんでくる。いろいろあるわけですね。だから、私は、そう一がいに簡単に、それこそ単純な結論を出されては困ると思う。特に日雇い健保の対象の方をながめますときに、ある意味では非常に条件の悪いところの方々が大多数である。そうでなければ、日雇い健保に入らぬでいいわけですから。そのことを考えると、上げちゃいけない分類の中の最も上げてはならない部面だと私は思うのですね、日雇い健保の対象の方々は。そうなると、これはやはり一つの社会保障的なものの考え方、社会保険的な考え方からいっても、国庫負担の増大ということに関心が置かれなければならぬと思うわけですよ。なおかつ、それでは今日の傷病手当が現行二十九日というのはそのままでいいかということになると、これだって問題はあります。さらに療養の時期なんかの問題についても、転帰までせよという言い方が関係の方々から出ておりますが、これだって、今日の制度的にながめた場合、不十分だということが考えられる。あるいは、つまり被扶養者、扶養されている家族の方々の給付率の点についても、やっぱりこれはどこまで一体引き上げられるかという問題を当然考えなければなりませんし、また擬制適用、これはそういうかっこうになっている事業所、これは確かに雇用主のほうの問題もたくさんありますから、むずかしいところが発足にあたってあったことは承知しておりますけれども、しかし、これもやはり強制適用ということを、そういう事業所指定という形のものをやはり何とかもう少しはっきりさせていかなければ、ずいぶんこれは苦労して人をふやしながらやっているわけですから、全体的にながめれば、そういう面からも財政上の問題も出てくるわけですから、それらのことを総合的に考えねばならぬ、逆にいって時期にきているというふうに思うわけですね。だから、そういう点で大臣の言われる中に、ずいぶん率直に値上げと言っているんだ、こう言うけれども、その前にやらなければならぬことがいろいろあろうというふうに思いますので、一番条件の悪いところにしわが寄るということでないように、厚生省がせっかく大蔵折衝をやっていることは、ことしの予算編成その他をめぐっても出ているわけですから、そのあたりについて、最終的にもう一ぺん考え方を聞かしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/66
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067・小林武治
○小林国務大臣 よくわかりました。むろんこういうことは関係の方とよく御相談、協議をしてやる、こういうことになりますから、十分考えてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/67
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068・徳安實藏
○徳安委員長 田口誠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/68
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069・田口誠治
○田口(誠)委員 いままでの委員から質問も若干されてはおりますけれども、この法案を賛否に持ち込むまでに、まだ若干お聞きをしておかなくてはならないことと、私の感じとして希望を申し上げておかなくてはならないこともございますので、若干質問を申し上げたいと思うわけです。
まず提案の第一としては、国立公園局を新設するという点でございます。これは従来大臣官房国立公園部というところで取り扱いをしておりましたけれども、国立公園の個所も相当多くなり、また利用者も多くなって、局を新設して、そして大規模なところからいろいろな必要事項を処理していかなければならないという点があるようでございますので、一応ここでお聞きをしたいと思いますことは、国立公園が現在何カ所あるかということ、これは従来何カ所あって、現在はどのくらいふえておるかという点を比較ができましたら、その比較を数字で出していただきたい。それと同時に、国定公園、これもやはり比較をして出していただきたいと思います。
なお、最近公園の利用者が非常に多くなったわけでございますが、こういう点についても、おそらくお調べになっておられると思いますので、国立公園あるいは国定公園の利用者がどの程度増加しておるかという点を、数字がございましたら、ひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/69
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070・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。
国立公園の数は、最初昭和九年に全国で九カ所というので、それから一、二カ所ふえておりまして、終戦当時は全国で国立公園数十二カ所、総面積につきましては八十四万一千百四十二ヘクタール、まあ八十四万町歩、大ざっぱに申し上げますとそういうものでございましたが、その後逐次指定が増加されまして、現在におきましては、二十一ヵ所で百八十二万一千ヘクタールということになっております。これは全国土面積の四・九二%、約五%弱という数に相なっております。それから、国定公園につきましては、昭和二十四年の国立公園法の改正によりまして、初めて制度が創設されたのでありますけれども、それに基づきまして二十五年から始まりましたが、二十五年は三カ所指定いたしまして、二十六万四千ヘクタール、それが三十九年の三月末におきましては、二十五カ所、それで五十四万八千ヘクタール、これが国土面積全体の一・四八%、こういうふうにふえております。したがって、国立公園と国定公園とを合わせますと、おおむね六・三%というふうなかっこうに相なっております。
それから、お尋ねがありました国立公園、国定公園の利用者数でありますが、これは、昭和二十八年以前は、国立公園につきましての統計はございません。二十八年度から各府県の報告を求めておりますが、二十八年は三千九百二十万というのが国立公園の利用者でございまして、それが昭和三十年に四千七百二十万、それから三十五年に九千二十万、三十六、七年あたりが、相当生活水準の向上その他の問題によりましてふえておりまして、三十七年度の集計におきましては一億二千四百四十九万、まあ一億二千五百万という程度まで国立公園では伸びております。それから国定公園につきましては、二十五年から発足いたしましたが、統計で持っておりますのは三十三年からでございます。三十三年が四千三百三十万、それが三十七年度におきまして六千八百二十六万というので、三十七年度、国立公園、国定公園を通じまして、一億九千二百七十五万、もちろん延べでありますけれども、大体二億人は国立、国定に休養を求めておる、こういうふうな数字に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/70
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071・田口誠治
○田口(誠)委員 そこで、国立、国定公園の施設設備費等の予算関係ですが、これも昭和三十年から今日の予算を比較いたしますと、昭和三十年度が七千四百万円のものが、三十九年度は五億九千万円ということで、予算も相当に膨張しておるわけなんです。したがって、参考にお聞きいたしたいと思いますことは、国立公園部をつくって、国立公園のいろいろな諸施策を行なった当時の定員と最近の定員は、どの程度増員になっておりますか。予算が相当伸びておりますから、定員の関係もそれにマッチした伸び方をしておるだろうと思いますが、ひとつ参考にお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/71
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072・今村譲
○今村政府委員 国立公園部ができましたのは昭和二十三年の二月でございますが、その発足当時は、全部で四十四名でございました。現在三十九年の四月一日現在におきましては、定員が二百五名でございます。そのうちで、五十二名というのは全国の厚生省直轄の国立公園の枢要な地域における現地駐在員で、これは二十八年からそういう制度が出来ましたが、それも含めて二百五名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/72
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073・田口誠治
○田口(誠)委員 そこで、今度局に昇格させるわけなんですが、定員の面は、局になった場合どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/73
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074・今村譲
○今村政府委員 これは、二百五名の内訳といたしまして、本部定員が、現在三課ございますが四十八名、それから、先ほど申しました全国の派遣駐在員五十二名、それ以外は、新宿御苑皇居外苑、京都御苑、それから千鳥ケ淵の墓苑というふうな、現実の公園のようなものを持っておりまして、全部で二百五名でありますが、実は毎年課をふやしてくれ、定員もふやしてくれ、それから局にしてくれというふうな、いろいろの折衝をやっておったわけでありますが、機構の問題が大詰めになってまいりまして、人員増は今後の問題として、現在の機構そのものをまず整備していただく、こういうかっこうにしまして、定員増は、本年度予算におきましては定員増そのものとしてはゼロになっている。したがって、現状どおり四十八名というかっこうで進めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/74
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075・田口誠治
○田口(誠)委員 定員の二百五名というのは、公園部を廃止して国立公園局を新設しても、定員としては今年度は変わりはない。したがって、これは予算の面から変わりはないのであろうと思いまするが、実際的には定員増の必要があるのですか、ないのですか。これは私どもが考えまするに、少なくともいままで大臣官房の国立公園部というもので運営をしておったものが、局を新設して大々的に隘路を解消していくということになりますれば、相当定員も増加しなければならないような感じがするわけなんですが、今年度は定員の面の増は提案されてはおらないけれども、実際的には増員が必要であるかどうかということをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/75
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076・今村譲
○今村政府委員 実はたとえば国立公園内におけるいろいろな工作物の建築とかというふうな許認可事務、これだけを例にとりましても、昭和二十八年ころには年間で五百五十くらいしかないというのが、最近——三十七年までしか統計をとっておりませんが、三十七年度で千七百九十九件、約千八百件というふうな件数の増、許認可関係だけでも件数の増がございます。しかも昔と違いまして、一件十億あるいは八億という、ふうな大きなホテル建築とか、そういうふうなものがございまして、事案の解決が非常にむずかしいというふうな質的な困難もございます。そういうふうな点におきましては、今年度は増員をお願いいたしておりませんけれども、五時以降にみんながんばって残って、できるだけのことをするというようなかっこうで現在は間に合わせておりますけれども、本質から申し上げますと、業務量の増というのはここ四、五年非常に多うございますで、できますならば増員というふうなことを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/76
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077・田口誠治
○田口(誠)委員 その点はわかりました。
そこで国立公園と申しますると、自然の美を行政面で保護して、そして大衆のレクリエーションに供与するというのが、国立公園の本来の使命だろうと思うのですが、これにはやはり必要な休憩の施設とか、宿泊の施設とか、こういうものは、若干つきものだと思いまするけれども、私箱根の実態を見ますると、自然の美というようなものはもうなくなっていて、どうかといえばどこかの温泉地帯のような感じがするわけなんですが、私は国立公園というものはここまで手放しにしておくことはどうかと思うのですが、こういう点については、省としてはどういうようなお考えをお持ちになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/77
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078・今村譲
○今村政府委員 それは、御指摘のように、箱根の問題を含めてでございますけれども、全般のものとしまして、先ほど申し上げましたように、たとえば東京の人が箱根あるいは伊豆、あの近辺にどんどん日曜、祭日に押しかけるということでありまして、公園部の任務といたしましては、自然の景観というものを保護して、これを後代に残すという一大任務がございます。同時に、やはりそのときどきの需要者がせっかく見えるということで、公共施設なり宿泊施設なりというものをつくっていかなければならないというような二つの面がございます。いろいろな施設をつくりますことにつきましては、その限りにおいては自然破壊ということに相なりますので、非常にその調節には苦労いたしております。たとえば箱根のようなところにつきましては、これが国有林である、あるいは国直轄の土地であるということならば、相当の規制はきくわけでございますけれども、ほとんど全部が民間の土地所有でありますと、国立公園計画でここはだめだ、こういう議論をいたしておりましても、いろいろな事情で、その公園計画としてそういう需要があるから、宿泊施設を何とか小さなものを認めてくれぬかというようなものの累積が、いま仰せられましたように、箱根関係なら遊園地みたいなものになってしまうというようなことがございます。その場合におきましても、極力こういうものを、それから県のほうと打ち合わせを密接にいたしまして、景観の破壊を、最小限度にとどめるというふうなかっこうで、話し合いの上で進めております。ただ、民有地との関係がございますので、その辺は非常に難航する場合が多い、こういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/78
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079・田口誠治
○田口(誠)委員 厚生省の公園部の基本的な考え方としてはわかりますし、行政の方向としてもただいまの答弁でわかるわけですけれども、私は、実際にその考え方でお見えになってもできない点は、あの箱根の山を見て感ずるわけですが、もう国定公園というようなことよりも、温泉場のような感じがするのです。それで私どもが、まだ箱根を見ぬうちに、歌で箱根の山は天下の険、万丈の山、千仭の谷といって箱根の山を想像しておったのと、現在行って見たのとは非常に差がありまして、国立公園というものは、こういうような手放しな設備をさせてはいけないのではないか。やはりその公園にマッチした、ほんとうの自然の美を破壊させぬ程度の施設を許可させるということが必要ではないか、かように考えておるわけです。私が一昨年中国の杭州の公園に行ってみたのですが、中国の杭州の市と日本の岐阜県の岐阜市と非戦の碑、再び戦わないという碑を、両方の市長がそういう文字を書いてそれを交換し合って、その碑が建ててあるわけです。岐阜の場合を見ますと、この公園にはこの位置にこの程度の碑を建てればこの公園がなお引き立つと、いうようなことは全然考えっこなしに、まあここに建てたらじゃまにならぬだろうというので、一角に建ててあるわけです。中国の場合は、杭州のこの公園にどの位置にどの規模の碑を建てたらこの公園がなお引き立ってくるかどうかということを専門の人が非常に慎重に検討をして碑を建てた、こういうことでございまするから、私は、公園に対するところの行政の考え方というものの認識が非常に足りないのじゃないか、こういうことを中国へ行って感じたわけなのです。したがって、私は少なくとも国立公園というものは、手放しに建物を建てさせたり、そうして全く自然の美を破壊するような建物を建てさせるというようなことは、十分に注意をしていただいて、関係の県と連携をとって、やはり国立公園は国立公園としての貫禄を示してもらいたい、かように考えておるわけでございますので、そういう点について私は強く要望いたしたいわけでありますが、この点について、どういうようなお考えですか、ひとつ御回答をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/79
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080・小林武治
○小林国務大臣 私も、お考えのような趣旨で、ひとつやりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/80
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081・田口誠治
○田口(誠)委員 いま御答弁はいただきましたが、これは正式の名前は何という公園になっておるか存じませんが、青森から十和田湖へ行く道中なんかはすばらしいのですが、施設なんかも非常に規制されておりまするし、ああした形のものが、私は望ましいと思うわけです。しかし、広い山のうちには、ゴルフ場というようなものを新設したいというような申請もあろうと思うのでございまするが、こういうものについては、どういうようなお考えであるか、これをちょっとお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/81
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082・今村譲
○今村政府委員 お答え申し上げます。
国立公園内のゴルフ場、あるいは国定公園内のそういうものにつきましては、特定の会社で、特定の少数の人が、何万坪というところを使うのは、原則としては思わしくない。しかし、たとえばパブリックで、気軽にだれでも行けるというふうなかっこうのものならば、どうしてもやむを得ないという場合には、ある程度は認めざるを得ないのではないか。しかし、全国でそういうふうな例は少のうございます。むしろ都会地あたりから簡便にいけるような場所にというので、国立公園の中に取り込んでくるというのは、あまり例がございませんけれども、方向としてはそういうふうなかっこうでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/82
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083・田口誠治
○田口(誠)委員 公園関係については、この程度で終わりたいと思いますが、最後に一言お聞きをしたいと思いますることは、行政調査会から機構問題の答申の出るやさきに、定員はふやさないけれども、部を昇格させることだけはあえてこの国会でやらなければならないというような、そうした急なことがあるのかどうかということ、これをお聞きしておかなければならない。私どもの基本的な考え方としては、調査会の答申を待って、こういう局、部、省の問題を検討したいという考え方であるわけでございまするから、基本的な面からは、こうした局に昇格するというようなことについては、賛成できないという基本的な考え方があるわけですから、そういう考え方の上に立ってお聞きするのです。当然必要であって局に昇格するのだということになれば、それにマッチした予算をとり、定員をふやす、こういうことにならなければ、実際的に仕事はできないけれども、定員はふやさない、予算の面はそれにマッチした予算獲得はしておらない、ただ局に昇格することだけ今年度確保しておきたいというところに、ちょっと疑問があるわけなんで、この点、どういうような関係からお急ぎになるのか、いままでの回答の上からも若干わかる点はございましたけれども、なおその点をお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/83
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084・小林武治
○小林国務大臣 これは実は卒然として起きてきた問題ではなくて、多年厚生当局としてはひとつ局に格上げをしていただきたいという希望を持っておりまして、政府部内としては、ともかく人員はふやさない——私ども非常に必要と存じお願いしておりますが、人員はふやさない、こういうことで、やむなくこれを了承しておるわけであります。ちょうど国際観光とかいろいろな問題が起きてきておりますし、レクリエーションの問題も、非常に必要な問題になってきております。これに対応する運輸省のほうが、やはり現在観光局になっておる。二つが相まってこういう方面の仕事を進めていきたい、こういう考え方からこういうふうな官房的な仕事でない事業が官房の中で行なわれておるということは、仕事そのものの運営にも差しつかえるということで、ぜひひとつこの際昇格を願いたい、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/84
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085・田口誠治
○田口(誠)委員 その点は聞いておきます。
そこで、次の質問に移りたいと思いまするが、改正の第二点は、児童局の名称を児童家庭局に改めるということでございます。この点について、私、最近非常に憂えておる点がございまするので、厚生省あるいは文部省に対してお聞きをいたしたいと思いまするが、最近、青少年の不良化が非常に多くなって、不良化防止が叫ばれ、それぞれの対策が立てられておるわけです。ところが、それにもかかわらず、ますます非行少年の数が増加してきております。数字的にふえてきておるわけです。そしてその内容を見ましても、年齢がだんだん低下しておるのです。年の若い少年のほうが、多く非行少年がふえてきておる。その非行内容を見ましても、非常に集団化されておる。それから非常に凶悪化されておる。このことは、その非行少年の出ておる地域とか、あるいはその行動した地域を見ますると、いまやっております新産業都市、工業化というようなことにも関連があるように思われるわけなのです。それで、この経済成長とからんで、これは日本の深刻な問題として、非行少青年の防止策を考えなくてはならないと思うわけなのですが、そこで私お聞きをいたしたいと思いますることは、どうして非常に憂慮され、対策が立てられておるにもかかわらず、少青年の年齢が若い子供たちから不良になっていきつつあるのか、それから集団化されておるということはどうか。特に、この集団化されておるものが、外部の暴力団との関係が最近出てきておるというところに私どもが大きく憂慮しなければならない点があろうと思うわけです。こういう点について、どういうように把握されており、将来どう対策を立てようとされておるのか、この点についてひとつお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/85
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086・黒木利克
○黒木政府委員 先生の御質問のように、最近の非行事犯がだんだん低年齢化してまいりまして、それも集団化してまいる、都市に集中する、しかも犯罪の内容が凶悪化してまいるという傾向があるのでありますが、厚生省の教護院と申します非行少年を預かっております施設の子供五千人に対しまして、その傾向、原因を研究いたさせたことがあるのでございます。それの報告を見ますと、最近の青少年の身体的な成熟と精神的な発達との間にギャップがある、何かずれがあるというようなことが、一つの大きな原因ということがわかりました。その他余暇時間が増大をしてまいるとか、あるいは家庭における、あるいは学校における人間結合が希薄化してまいる、あるいは消費生活の豊富化とか、家庭生活の変化とか、あるいはマスコミなりあるいは社会の悪い環境とかいうようなことが、それをさらに推し進めておるというようなことがわかったのでございます。そこで第一の原因であります身体的な成熟と精神的な発育のギャップでありますが、結局は家庭なり、あるいは学校なり、あるいは地域社会において、このギャップを埋める努力と申しますか、そういうものが足りない、あるいは行政施策としてはそういうようなギャップを埋めるための、家庭の人たち、あるいは地域社会の人たちに対するサービスが足りないのではないかというようなことを反省しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/86
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087・田口誠治
○田口(誠)委員 これは幾年もかかって対策を立てるということでなしにいまほんとうに非行少年になるという原因を追求して、そしてこれに対する対策を立ててもらわなくてはならないと思うのです。具体的にただいま御答弁のあったような内容であるから、それを今後行政面でどういうような不良少年の防止をされようとしておるのか、この点をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/87
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088・黒木利克
○黒木政府委員 行政的に申しまして、厚生省がやっておりますことは、児童福祉法の施行でございますが、その観点から申し上げますと、非行の原因がまず家庭環境にある。家庭環境の問題に関しましては、今度児童局を児童家庭局にいたしまして、そういうような家庭の助言サービスというものを活発にやってまいりたい、これが非行の原因の根本的な防止につながってまいるわけであります。従来は、児童相談所が中心になりまして、児童委員なりあるいは家庭なり学校からの通告によりまして、問題の子供をいろいろ指導したり、あるいは教護院筆に措置をしたりしておったのでありますが、今後は、さらに福祉事務所に家庭児童相談室を研きまして、そういうような家庭サービス、あるいは家庭の親たちに対する相談助言を強化してまいりたい。それからもう一つは社会環境の原因がございますが、これについては、不良な環境を浄化してまいる。あるいは不良文化財というようなものを排除するような努力をする。かたがた積極的に優良な文化財、あるいはよい環境をつくるような努力をしてまいる。それから本人の性癖に基、つく、あるいは本人の病気等に基づく問題がございますから、これについては、本人に対するケースワーク・サービスとか、社会医療の技術を適用してまいる。あるいは施設に収容した者につきましても、精神病、あるいは精神薄弱その他いろいろな病気がございますから、それに対してはそれなりの治療をやっていく、こういうようなことで、それぞれの施策を講じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/88
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089・田口誠治
○田口(誠)委員 ただいまの家庭の環境も、それはございましょう。ございましょうが、大体数字を見ますと、非常に貧しい家庭の子供、親が共かせぎをして、十分に子供のめんどうの見得ないような家庭の子供さんよりも、中流以上の、子供のめんどうが十分に見得る、必要なものも買って与えて欲望を達してやれる家庭の子供さんが、最近非常に多いわけなんです。こういうことから考えますと、一がいに家庭環境ということで片づけるということは、これはなお認識不足の面があるのではないか、こう考えられるわけなんです。したがって、この点は厚生省から御答弁をいただきたいが、私の調査をいたしました範囲の大部分は、現在の学校教育の関係からきておる。学校教育の関係と言えば、教育のしかたが悪いかいいかということよりも、とにかく最近は、どこの親御さんも、自分の子供をいい学校に入れよう、そして上級の学校に進学させようという、こういう欲望から、子供の能力を考えずに、親が教育の面で子供をもてあそぶというような感じがするわけなんです。したがって、そういうことから、子供さんが高等学校へ入ろうといたしましても、なかなか入学の門が狭い、こういうようなことから、とうとう進学の希望を捨てたとたんから態度がおかしくなったというような人もございますし、最近は、中学校時代の少年は少ないわけなんです。どっちかというと、高校へ進学した人が多いわけなんです。そうなると、どうして新制中学を出た者よりも、高校へ進学して社会教養を受けた者のほうが非行になるかという疑問が出てくるのですが、この点については、やはり高校の学区制がとられて、最近は、どうかと言えば学校に格差ができておるのです。一級、二級、三級、四級と格差ができておるわけです。そうしますと、親はどうしても子供を一級の高校へ入れたいというので一生懸命になる。しかし、能力がないからそこはすべった、これもすべったというので、最後には無試験で入れる私立の高校へ入る、こういうようなことから、親の欲望というものと子供の進学心というものが、そこに十分な和がとれておらないという原因があるわけなんです。したがって、こういうようなことから考えますると、よく日教組は高校全入という問題を押し出して、政府当局へも、あるいは各政党へも陳情等をいたしておりまするが、高校の門が狭いということが、やはり非行少年をつくる一つの原因にもなっておるのでありますから、こういう点については、これは文部省のほうからお答えをいただきたいと思うのですが、私の調べた範囲内では、そういう点に非常に隘路があるのではないかと考えておるのです。順次お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/89
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090・黒木利克
○黒木政府委員 確かに非行の原因として、進学ブームという影響で劣等感を持ちまして、あるいはそういう学校から疎外された子供が、類は友を呼ぶと申しますか、集団化してまいることは、御指摘のとおりだと思います。厚生省も、文部省にこういう非行の原因の調査の資料を差し上げまして、善処方をお願いしておるのでございます。たとえば、最近幼稚園の幼児教育要領というものが、これは厚生省も参加してつくられたのでありますが、ここにおきましても、幼児教育の場においても、幼稚園が予備校化するということをやめてもらうようにということで、これは文部省も同じ意見で、幼児教育というものは、決して読み、書き、算数の小学校の予備校ではないのだということをきめさせたような次第でございます。と同時に、学校教育の問題につきまして、最近文部省ではいろいろ指導要領を出しましたり、あるいは両親学級をやりまして、盛んにやっておるのでありますが、確かに間違いましたそういう進学のみえというようなことは、私のほうからも是正するようにお願いをいたしておるところであります。厚生省としては、家庭の両親に対する子供の育児上あるいは教育上のいろいろ相談、助言に当たる、これによって事前に予防していくというようなことで、家庭相談サービスというものを強化するということに力を注いでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/90
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091・渋谷敬三
○渋谷説明員 お尋ねのように、戦後、上級の学校へいきたいという空気が非常に強いわけでございますが、すでに高等学校への進学率は七割近くになっております。おっしゃるとおり、一般的に申しまして、各家庭におきまして自分の子弟の能力以上に過大な要求をするといいますか、そういう傾向が一方にあることは事実だと思います。それから一方におきまして、自由主義を少しはき違えたような、放任といいますか、こういう傾向が、家庭にあることは事実だと思うわけでございますが、その点、やはり父兄のそういう能力を無視した過大要求に対して、学校側も押え切れないということも事実だと思うのでございます。その点は、やはり学校側ももっとしっかりしてもらわなければならぬ、こう思うわけでございます。
それらにつきまして、一つは高等学校の門が狭いということがございますけれども、これは実際は高等学校へ進学を希望した者の九割八分近くが入っておる。もちろん中学を卒業して就職する者もあるわけでございますが、高等学校を希望いたしました者の九割八分は入っておるわけでございますから、決して門は狭くない。ただ、先ほどのお話のように、特定の学校へ集中するといいますか、そういうところに問題があるわけでございますが、高等学校の段階になりますと、教育課程の程度もかなり高くなっておりますので、それぞれの子弟の能力なり、適性なり、進路に応ずるということが、非常に大事だと思うわけでございます。そういう点の徹底をはかる必要があるということで、高等学校の新教育課程が、昨年から学年進行で実施されておりますが、新しい高等学校の教育課程では、それぞれの子弟の能力、進路、適性に応ずる教育を徹底するということが、かなり強く出されております。それから無試験で入るというおことばがございましたが、昨年度入学者の選抜制度を改正いたしまして、高等学校へ進学を希望する者は、できるだけ多数入学できることが望ましいけれども、とても、高等学校の教育課程を履修できる見込みがないという者まで入れてしまうのは、本人のためにも不幸であるというようなことから、中学校からの内申書と学力検査等を資料といたしました入学者の選抜を必ずやるというふうに、改正をいたしたわけでございます。
それから学習指導と並びまして、学校教育の機能として非常に重要な生徒指導というものを、今年度から本腰を入れて充実強化いたしたい、そういうようなことで、いろいろなことを考えてやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/91
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092・田口誠治
○田口(誠)委員 これはあまり速記録に残るようなことは言いたくございませんが、高等学校には一流、二流、三流、四流とあるわけです。実際社会がそうきめつけてしまっておるわけです。そこで、いわゆる四流と仮定しましょう。四流という特定の高等学校へ入った生徒は、非常にたくさん非行少年が出るというところが、事実あるわけなんです。こういうようなことは、文部省として十分に把握されておるのかどうかということと、いわゆる私立学校でございますけれども、そういう学校に対する行政指導というものをどういうふうにやられておるのか。やられておらないとすれば、私のいま申し上げたことは事実ですから、今後どうされようとするのか。この点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/92
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093・渋谷敬三
○渋谷説明員 御承知のように、私立学校は、公共性と自主性ということで公立学校の場合に比べまして文部省の指導の力がなかなか及ばない点がございますが、しかしながら、私立学校は、法規の基準を守っていただく以外は、それぞれの特色を発揮して自主的にやっていただくというところに私立学校の意義があるわけでございますが、具体的に、たとえば昨年は非常にベビー・ブームの波が高等学校へ押し寄せまして、ある私立学校などでは、定員をオーバーしてかなりすし詰めで入れたようなことがあることは事実として聞いておりますが、やはり当該学校でも、何でもかんでも入れてしまう。高等学校の教育課程を修行できる見込みがない者まで入れてしまうということにつきまして、そういう点につきましても、私立学校全体として昨年やりました結果を反省をしておるというようなことも聞いておるわけでございますが、いずれにしても、私立学校につきましては、自主的にそういう面につきましてはお考えいただきたい。ただし、文部省といたしましては、先ほど申し上げましたように、高等学校は義務教育ではございませんので、できるだけ多数入っていただきたいけれども、高校教育の履修できる見込みがないという者まで入れるのはどうであろうかというようなことで、先ほど申し上げましたような入学者の選抜制度を改正いたしたり、これは私立学校にも当然適用があるわけでございますが、いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/93
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094・田口誠治
○田口(誠)委員 この点は、これで終わりたいと思います。それで文部省のほうに申し上げておきますが、私こういうところで速記録に残ることは申し上げられませんので、いつかの機会に直接に実際をお話し申し上げて、そうしてそういう学校に対する行政指導、また注意、こういうことをやはりしていただきたいと思います。厚生省に対しても、私はこういう場でなしに申し上げたいことがございます。この青少年の不良化防止には非常にこれから力を入れていただかなければなりませんので、直接お話し申し上げたいと思います。
それから、先ほど答弁の中に、病気の関係、精薄、精神異常者云々というようなことがございましたが、これは非常にあるわけなんです。非常にあるわけなんですが、日本の精神病院というのは、精神病院に行くと、何だか気違い扱いをされて、精神病院に入院さしておることを家庭の者が非常に世間狭く思っておるというのが、日本のいまの現状であるわけなんです。ところが、日本精神病院協会の月報を見ますと、アメリカの精神病院を視察した内容が書いてありまするが、アメリカではいわゆる通院する人が七〇%、七五%あるということなんです。これは頭が痛いとか、それから婦人の時期の問題で非常にかんが立つとか、いろいろな癖がございまするが、こういうものも婦人科だけではいかぬので、精神病の専門のお医者さんに見てもらったほうがいいだろうということで、どんどんと精神病院へ行って、ほんとうに精神病院というのは大衆化されておるということなんです。日本の場合はそういう点がない。そうした、ほんとうに専門のお医者さんに見てもらって専門の治療を受ければ早くなおるのを、放任しておるというのが非常に多いわけなんです。青少年の場合も、その点が非常にあるわけでございますから、こういう点は、ずいぶんお気づきになっておられようと思いまするが、将来の日本の精神病院というものの考え方をどういうようにお持ちになっているか、どういう拡大強化をはかられようとされておるのか、この点の抱負も承りたいと思うのです。これは精神病院協会月報の六四の三号と六四の二号あたりを見ていただけば、視察団の感想が書いてありまするが、私は、非常にアメリカの実態はいいと思います。日本と大きな格差があるのです。こういう格差をなくしていかなければならぬ。これはやはりこの不良少年防止にも非常に役立つものでありますから、こういう点についても、厚生省は十分に意を用いていただきたいと思います。その点に対するお考え方を一応承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/94
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095・小林武治
○小林国務大臣 これはお話のとおりでありまして、私ども、社会の偏見というのがなかなか抜けないのを遺憾としておりますが、精神病は早期に治療すればなおるのだということをできるだけ社会の方々にも認識をしていただいて、そうしてその偏見を除きたい。精神病院のごときも、通院等が非常に必要になってまいりまして、また、それが非常に効果があるということになってきたので、そういうようなことをぜひ啓蒙いたしまして、いまのお活のように、明るい気持ちでもって精神病の対策を立てる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/95
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096・田口誠治
○田口(誠)委員 そこで、いまの精神病院へ行ってみますると、やはり隔離しておるような病床のつくり方であって、そして全快に近い人を解放的に治療させるという施設がないわけなんです。せいぜいあってテレビぐらいなものなんですね。これはやはり公園のような敷地もとって、そして食事の休憩時間には、看護人がついて解放したそういう訓練もさせなければならないと思うのですが、日本の精神病院には、私の見ておる範囲内では、そういうような施設というものは全然ないわけです。私は、ただこれだけの質問をするだけでも、精神病院を三ヵ所視察してきました。そして先生の意見、抱負も聞いてきましたが、やはり精神病院の先生方の考えておられる考え方を厚生省は十分に取り上げてもらって、そうして日本の精神病院を大改革してもらわなくてはならないのではないか、一般化してもらわなければならないのではないか。そして特に青少年の脳に故障のある場合は、やはり専門家にかけて早期治療するという癖をつける。これはあらゆる面で宣伝をして、社会の環境もそういうような環境をつくっていただくように、厚生省としては努力をしていただきたいと思います。したがって、私は、その解放的な治療施設がないというところに、一つの非常に大きな隘路があると思うのですが、これはまず国立の精神病院から実施をしていただかなければなりませんので、そういう点についてのお考え方も承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/96
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097・小林武治
○小林国務大臣 これはお話のとおりでありまして、いまのところ、精神病院と社会復帰との中間施設がないということでありまして、私ども、次の機会には、こういう中間施設、いわゆるリハビリテーションと申しますか、社会復帰までの中間施設をぜひいたしたいと思っております。
それから、ことに退院してから通院するのにつきまして、いまのところ医療保障がありません。したがって、通院についても、そういうふうな便宜を与えることによって、お活のようなことをぜひ実現させたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/97
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098・田口誠治
○田口(誠)委員 それから、ある程度病気がなおりますと、病院の中で必要程度の仕事をさせなければならない。こういう設備も若干はありますけれども、非常に少ないわけなんです。こういう設備も、これは絶対必要であろうと思いまするので、この点を要望申し上げておきます。
それからもう一つは、非常に看護婦が足りない。ここの看護婦というと、女子の方のはいわゆる正式の看護婦でしょうけれども、男の方の看護人、こういう人も必要でございますけれども、やはり相当労働強化という面と、ある隔離されたようなところに縛られておるというようなこと、賃金も安いというようなことから、なかなか看護人を確保するということに困っておるわけなんです。こういう点については、厚生省でもおそらく把握されておると思うのですが、これについて何か努力されつつあるかどうか、この点承りたいし、将来のお考え方も承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/98
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099・若松栄一
○若松政府委員 ただいまの精神病院における看護婦並びに看護人の問題でございますが、看護人というものは、従来から精神病院にある程度特殊な職種として存続しておりまして、これが相当数にのぼっております。しかし、現実には看護人が正規の看護婦の資格を取っていない者が多数ございます。したがって、能力その他の点で若干劣る点がございますし、したがって、また待遇その他の点で不備な点もございます。これらの点を考慮いたしまして、あわせて現実に正規の教育を受けた看護婦が非常に不足しておるという状態も考えまして、これらの看護人の待遇等もよくするように、またさらに精神病院には、現実に男の看護人が必要でありますので、これが得やすいように、場合によっては通信教育あるいは夜間の学校等によって高等学校卒業の資格を得る、それによって正規の看護人——看護婦になりますが、正規の看護婦になれるような道を開いていきたい、またそういう教育、助成もしていきたいということを考慮いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/99
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100・田口誠治
○田口(誠)委員 抽象的な答弁ではありますけれども、そういう内容を一つ一つ具体化をして実績をあげてもらいたいと思います。これは答弁は簡単にできますけれども、実際に看護婦を確保しようと思っても、なかなかむずかしいわけでございます。特にこの精神病院の実情から言って、こういう点に非常に隘路がある。それから先生の収入の面なんかも、相当考慮してやる必要があろうと思いまするので、こういう点についても、ひとつ国としては十分に意をこのほうへ向けていただいて、そして精神病院の本来の目的を達成できるようにひとつ努力をしていただきたい、かように希望を申し上げておきます。
そこで、精神病と言っても、精神病ではあるけれども、精薄児というのが日本には非常にたくさんいるわけなんですが、これは一昨年の二月でございましたか、義務教育の該当の年齢で七十八万人おるけれども、実際に養護学校で特殊教育を受けたり、あるいはその他の財団法人、私立、公立、こういうところの施設へ入れて、そして勉強をさせ、職業の訓練をさしておるというのは、一万数千名しかなかったわけなんです。ちょうどその年に、官房長官が精薄児に対するところの今後の方針を談話で発表されて以来、若干この精薄児対策にも力を多く入れていただくようになりましたけれども、いま申しましたように、一昨年の数字で、義務教育該当年齢で七十八万人もある中で二万人にも足りない施設収容というようなこと、また、勉強さしておるというようなことでは、全く困るわけで、特にいまの憲法からいきますれば、能力に応じた教育を受ける権利を持っておりまするし、国はその権利を達成さしてやる義務があるわけなんで、非常に不遇な、脳に故障があるということから、そういう人が全然義務教育の恩恵を受けられないということになっておるわけで、したがって、軽度な人に対しましては、養護学校で特殊教育を受けさせておりまするけれども、さて特殊教育を受けようとしましても、大きな市へ行きましても、ところどころにあるだけです。そこへ通わせるにもたいへんなんです。したがって、各小学校には特殊教育を受けさせる教室を一室ぐらいは設ける必要があるのじゃないか、かように私は考えております。厚生省のほうとしては、一昨年の答弁では、昭和四十五年を目標に、三万人以上の都市には、義務的に施設をつくらせるということで答弁されておると思いまするが、その目標に向かって施策を講じておられるかおられないかはわかりませんけれども、やはりいまの実態は、精薄対策というものは全く冷やめし扱いをされておるというのが事実であります。したがって、そこへ収容されて教育をし、それから職業の訓練を受けておる人も少ないが、それを指導する先生たちの確保に非常に困っておるわけなんです。それというのは、待遇が悪いのです。実際に行ってみますると、ほんとうに高度な精薄児の場合には、はしを持たせることから、トイレへ行って用を足すことから、先生が実際に自分でやってみせて子供に教えておるということなんです。こういうような先生たちを得るには、ある程度の待遇を確保しなければ、なかなか先生は得られないと思うんです。だから、こういう面での措置費というものは、国庫負担を給食の関係とかあるいは先生の待遇の関係の補助金は若干はふやしてもらってはいると思いますけれども、まだまだいまの実態から見ますると、私は足りないと思いまするので、これは厚生省の予算要求をされるときに、この精薄対策に対する予算を十分に取っていただいて、万全を期していただかなくてはならないと思うのです。これもやはり青少年の不良化との関連が実際にあるわけでございますし、当然日本の国民としての権利義務を果たすという面におきましては、いまの政府の施策では、十分に義務を履行するというようなことは、ほど遠いものがあるわけでございますから、この点についても十分に今後力を入れていただきたい、かように考えておりますので、厚生大臣のこれに対するひとつお約束にかわる答弁をお願いをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/100
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101・小林武治
○小林国務大臣 お話のとおりでございまして、ことしは国立の秩父学園等にも、これに対する職員の養成を始めておりまするし、また、社会労働委員会のほうへ、重度精神薄弱児の手当法というものをお願いしております。収容施設等におきましては、大体におきましていま養護学級というものが、私ども厚生省の関係の施設には設けられておりますし、また一般的に文部省に対しまして、軽度の者に対する学級の増加ということは強く要請をいたしております。一般予算要求等につきましても、いまのとおりの努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/101
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102・田口誠治
○田口(誠)委員 時間に縛られておりますので、これで質問は終わります。ただし、私は、環境衛生の関係について、相当お聞きをいたしたいと思いましたけれども、これは私直接厚生省に参って、私からもお願いしたいと思いますので、そのときは、こういう公式なところではないけれども、取り上げていただくようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/102
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103・伊能繁次郎
○伊能委員 私は、一点だけ厚生大臣にお伺いしたいのです。ただいま同僚田口委員から、今回改正される家庭児童局について、いろいろな角度からお尋ねがあったわけですが、青少年の問題は、現在政府機構としては、文部省の社会教育局、少年労働者の保護の観点から労働省にも部局があり、また犯罪方面の予防保護の観点から、法務省にも適当な行政組織がある。さらに本日審議されておる家庭児童局等の問題があるのですが、政府としては、これらの青少年問題については、中央青少年問題協議会その他いろいろな角度から、基本的な研究もされておられると思うのでありますが、かように各省に区分されておる状況においての基本的な問題と、各省に分かれておるこれらの青少年対策、特に家庭児童局改正の要旨にも、改正第二点として、児童の問題について、犯罪の問題、非行の問題等にも言及されておられるようでありますが、基本的な全体の青少年対策と、厚生省におけるこの家庭児童局の今後の行政のやり方について、大臣としてどういうようなお考えで進まれるか、その点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/103
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104・小林武治
○小林国務大臣 厚生省は、家庭児童局におきましての主要な問題は、要するに就学前の子供と乳幼児、こういうものの健全育成というようなことを心がけて、家庭の相談に乗りたい、こういうことが一つの大きな目的でありますし、もう一つの問題は、不満足な、あるいはマイナスを背負った子供、すなわち精薄とか、身体障害とか、いろいろなこういうマイナスの関係を持っておられる方々があります。これらの関係は、厚生省関係においてひとつめんどうを見て、お手伝いを申し上げる。この二つの目的を持っておるのでありまして、要するにいま家庭が一番大事な保育の場所であるということと同時に、やむなく保育の欠けておるのは、保育所等において、全国において現在でも百万以上の子供をお預かりしてこれの健全な指導をやっておる、こういうことでありまして、大体の問題は、いま申し上げましたような就学前の、妊産婦の問題から乳幼児の問題、こういうものの保育、これといろいろのマイナスを背負った方々のお手伝いというふうなことをやってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/104
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105・伊能繁次郎
○伊能委員 もう一点。実は私がかような質問をいたしました理由は、今回政府で中央青少年局という部局を総理府につくるということで、この点はわれわれいろいろな角度から検討しておりますが、非常に疑問のある点も察知せられるので、総理府内に内局として実態行政をやるような青少年局をつくるということについて、閣内において、閣僚の一人として、そういう問題については、青少年問題の重要な、学校に行かない児童並びに精薄児等を預かる厚生省として——この問題を提出せられる過程において、政府部内で総合的に青少年局をやるんだというような抽象的なことで、文部省の社会局の社会教育的な面、労働省の少年労働保護の面、あるいは法務省、あるいは厚生省と、これらの問題がいろいろあるのに、いたずらにそういった総理府自体に実態的な行政をやる部局をつくったからといって、私は青少年問題が解決するとは思わない。そういう点で、いよいよ仕事が繁雑になるおそれのあるような問題が提起せられておるので、何らかこういう問題を提起せられる点において、政府部内で論議せられたかどうか、その点を念のため、将来この問題をわれわれが質問する前提として厚生大臣にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/105
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106・小林武治
○小林国務大臣 今度の青少年局におきましては、実態的の問題はそう扱う余地がない。やはり各省それぞれの特質において行政をする。したがって、いま私が申し上げたような実態問題について青少年局がどうこうということはないのでありまして、これができますのは、主としていまの各省にまたがる連絡調整、あるいは総合性、こういうふうなことをお扱いになるのでありまして、現実の問題、いわゆるほんとうの行政の実態というものは、私はそう変わりがない、また変わってはいけない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/106
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107・伊能繁次郎
○伊能委員 いまのお話でわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/107
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108・徳安實藏
○徳安委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/108
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109・徳安實藏
○徳安委員長 本案に対し、辻寛一君外二名より三派共同提案にかかる修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/109
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110・徳安實藏
○徳安委員長 この際、提出者より修正案の趣旨の説明を求めます。辻寛一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/110
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111・辻寛一
○辻委員 ただいま議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文は、すでにお手元に配布してありますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、本改正案は、「昭和三十九年四月一日から施行する。」こととしておりますが、すでにその期日を経過していますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。
何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/111
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112・徳安實藏
○徳安委員長 これにて修正案の趣旨説明は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/112
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113・徳安實藏
○徳安委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
厚生省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、辻寛一君外二名提出の修正案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/113
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114・徳安實藏
○徳安委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/114
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115・徳安實藏
○徳安委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。
これにて厚生省設置法の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。
なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/115
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116・徳安實藏
○徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/116
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117・徳安實藏
○徳安委員長 次回の委員会は、明十三日午後一時、委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03019640512/117
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