1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十二日(金曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長代理 理事 伊能繁次郎君
理事 辻 寛一君 理事 内藤 隆君
理事 永山 忠則君 理事 石橋 政嗣君
理事 田口 誠治君 理事 山内 広君
岩動 道行君 野呂 恭一君
藤尾 正行君 保科善四郎君
大出 俊君 中村 高一君
受田 新吉君 山下 榮二君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
農林事務官
(大臣官房長) 中西 一郎君
農林事務官
(農林経済局
長) 松岡 亮君
農林事務官
(園芸局長) 酒折 武弘君
農林事務官
(農林水産技術
会議事務局長) 武田 誠三君
水産庁長官 庄野五一郎君
委員外の出席者
農林事務官
(林野庁林政部
長) 丸山 文雄君
専 門 員 加藤 重喜君
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本日の会議に付した案件
農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一三号)
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001・伊能繁次郎
○伊能委員長代理 これより会議を開きます。
委員長所用のため、本日出席できませんので、委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。
農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/1
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002・山内広
○山内委員 御提案の設置法の改正の問題に入ります前に、一言だけ重要な問題であると考えられますので、お尋ねしておきたいと思います。
それは、昨年の十月の十七日にソ連から日本に木材をいかだ輸送いたしまして、それが途中でしけにあいまして、いかだが全部ばらばらになりまして、全部それが道南、日本海寄りの沿岸に打ち寄せましたために、ちょうどイカの最盛期でもあり、船がこわれ、漁網が破られ、そのほか浅海増殖、長年苦労しておりましたコンブ、ワカメ、その他いろいろな漁民の生活の問題につながる大きな損害を与えたことは、御承知のとおりであります。これは三十五年以来しばしばこういう事件が発生しまして、何とかいかだ輸送をやめてもらえないかという地元漁民の非常に強い要請が続けられてきたわけであります。ところが、今回こういう大きな損害を出しまして、いかだ輸送の全廃という問題についての地元の要請も、非常に強くなってまいりました。と同時に、この種の損害に対しての補償は、一体どこが責任を負わなければならぬのか。この問題は、外国相手でありますから、外務省あるいは通産省、それから大臣の所管、各省にまたがるわけではありますけれども、重要な問題でありますので、この点についてまず大臣にお聞きしたいと思います。その後、日ソの貿易会議も開かれております。当然これが話題になったことと思うのですが、このいかだ輸送の全廃の問題は、どういうふうに現在話が進んでおるのか、この点についてお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/2
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003・赤城宗徳
○赤城国務大臣 実態はいまお話のとおりでございます。あとの損害の点等から申し上げますと、法律的にいろいろ問題はあるようでございます。向こうの港を離れたときに木材輸入業者に所有権が移るのかどうかという問題、ですから、それをソ連政府が賠償するのか、ソ連の公社なのか、日本の輸入木材業者が損害の賠償に応ずるのか、こういう問題がございます。そういう問題等につきましても、内地の木材業者とは、私のほうの林野庁がいろいろ相談をいたしております。しかしながら、その辺ソ連との関係もございますので、過般日本の交渉団を編成いたしまして、モスクワへ派遣いたしました。モスクワでこれからいかだ輸送をやめるようにというような強い申し入れをしたり、賠償の問題等につきまして協議をいたして帰ってきております。全部いかだ輸送をやめるというわけにはいかなかったようでございますけれども、その辺の経過を、行ってきた者もおりますから、事務当局から御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/3
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004・丸山文雄
○丸山説明員 概略はただいま大臣からお話し申し上げたとおりでございますが、大体正式にはおそらくモスクワで覚え書きと申しますか、そういうものを調印することになろうかと思います。その前に交渉の内容を整理いたしまして、外務省が整理しておりますが、閣議にはかるのかどうか……。それで内容といたしましては、ここ二、三年の間にできるだけいかだ輸送をやめたいということでございます。一挙に全量、たとえばことしからやめるというのも、折衝はいろいろいたしておるわけでありますけれども、それは無理でございますので、漸減方式をとるということが第一点。それからこちらに到着する時期の問題もございます。最近の二、三年の事例を見ますと、大体しけの起こる時期と申しますか、八月以降九月、十月が多いようでございます。そういう意味で最終の到着を縮めて、八月五日ごろこちらに着くように、あるいはそのころ向こうの最終のいかだが出発するようにということで、輸送期間を短縮することが第二点でございます。それから第三点といたしましては、しけがなくても、岸を通るために漁具を引っかけるという問題があったわけでございます。したがいまして、大体平均的に申しますと、少なくとも五海里くらいの沖を通るように、途中島がございますれば、その状況によって違ってまいりますが、そういうコースを明定するということ、この第三点につきまして、やや従来以上に前進した話し合いができておるようでございます。そういうことによりまして、できるだけ損害を少なくする。おそらくうまくいけば皆無になるかもわからないという方向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/4
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005・山内広
○山内委員 輸送の方法についてはお聞きした点でわかりますけれども、二年ないし三年でいかだ輸送をやめる、少し抽象的で、こういうことでは地元民は満足しないと思います。一カ年間の日本への輸送量は百何十万立米とかいう規約があるのですから、その部分の何%をいかだ輸送でやる、初年度は幾ら、次はこういって、三年目は完全になくなるのだという具体的な方針は、おそらく去年の十月からですから、もう話し合いがついておると思います。もっと具体的にはっきりと発表してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/5
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006・丸山文雄
○丸山説明員 数量的な問題といたしましては、たしか三十八年が二十五万立方メートル、これがいかだできたと記憶いたしております。そして三十九年度は十七万程度にする、それから四十年度は十万程度、三年目につきましてはあらためて貿易交渉のときに一緒に相談をする、こういう話し合いの内容のようでございます。
それから賠償問題につきましては、大臣の御答弁にありましたように、法律的にいろいろむずかしい問題があるようでございます。しかし、法律上は別にいたしましても、とにかく現実の被害をカバーするということが結論的には大事でございますので、三十八年度につきましては、御存じかと思いますけれども、一千万円を関係の業界、つまりソ連の木材を買ってきて、それによって受益をする者ということでございますが、そういう者から拠出をいたしまして、二、三日前に地元の町長の間で話が完全につき、それで金を渡すということになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/6
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007・山内広
○山内委員 四十年が十万立米と、日本に入れてくる総体の量が減らないで毎年いかだ輸送だけが漸減するということになりますと、考え方としては、四十一年という再交渉のときは、もう全廃と考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/7
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008・丸山文雄
○丸山説明員 全廃ということになるかどうかは、ただいま申し上げましたように、三年目については貿易交渉で話し合うということになっておりますから、こちらとしてはできるだけ全廃の方向で、おそらくその時点で話し合うことになろうかと思います。ただいまの時点で全廃になるということにつきましては、相手のあることでございますので、明言できないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/8
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009・山内広
○山内委員 これは私希望として、三十八年度が二十五万、三十九年は十七万、四十年十万ですから、四十一年は全廃の時期と判断されるわけです。政府はき然としたそういう方針を立てて相手方に交渉しないと、またこのまま残った。そうすると、次々とその年もまたきまらないことになります。ひとつ大臣は、四十一年はもう全廃の時期なんだという強い方針を出して臨んでいただきたいと思います。
それから、いまのお話では一千万が業界から出るということですが、これはやはり補償の責任といいますか、賠償の責任は業界にあるという考え方に立って業界はこの補償をする、こういうたてまえなのですか、なぜそれをお聞きするかといえば、三十五年に当時こういう問題が起きたときは、業界は逃げておるわけです。そうして単なるお見舞いということで、わずかばかりの見舞いを提供してごまかしてきた。今度一千万ということで、はっきり損害賠償の責任があるということになれば、この金額が問題になるのでお聞きしておくわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/9
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010・丸山文雄
○丸山説明員 ただいまの点につきましては、先ほど申し上げましたように、法律論の問題になるかと考えますが、この点につきましては、いろいろ説がございまして、どうもはっきりしない点があるようでございます。そこで、問題は賠償という理論に立つか、見舞い金という考え方に立つかは別にいたしましても、とにかく現実に被害があったことでございますから、とにかく出そうということで、見舞い金と申しますか、あるいは道義上の責任と申しますか、必ずしも法律論としての賠償責任であるかどうかという点については、いま申し上げましたようにいろいろむずかしい問題がありますけれども、とにかく損害を与えたことについて金を出そうという結論については、実現をしたということでございますので、現在のところは、法律論は別にいたしまして、去年の分につきましては、解決ができたというふうにわれわれは理解しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/10
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011・山内広
○山内委員 どうもその考え方が私おかしいと思うのです。三十八年度でこの問題が全廃されたとなれば、そういうことはこれで終わることですから、私深追いはいたしませんけれども、まだことしもやる、来年もやる、再来年もやるかもしれない、こう言う以上、輸送のことで同一事故が起きないという保障はないわけです。ですから、その賠償の責任がどこにあるのかということを明確にすることは、あなた方の責任だと思うのです。そういうことで、今回これだけの問題を起こして、いまもって賠償の責任がどこにあるか不明なままに、業界の一方的な責任のがれにこの問題が行くということになれば、この次の悪例になると思いますので、もう一ぺん念を押して聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/11
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012・丸山文雄
○丸山説明員 その点につきましては、三十九年度におきましては、事実上契約が大体一月ごろ行なわれておりますので問題があろうかと思いますが、将来の問題につきましては、われわれとしましては、業界にあっせんをする立場でございますけれども、たとえば契約の中にただいまの御質問のような事項を織り込んで契約をさせるという方法も、あるいはあろうかとも考えられます。そういうことにつきましては、なお事務的にも検討をいたしてまいりたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/12
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013・山内広
○山内委員 今度の損害の総額は、幾らとあなたのほうでは査定されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/13
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014・庄野五一郎
○庄野政府委員 詳しい資料を持ってまいりませんでしたものですから申し上げかねますが、大体最終に煮詰まってきたところで二億前後だと記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/14
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015・山内広
○山内委員 実はこの問題については、事前にこの件に触れてきょう質問するということは私申し上げておったのです。当然損害額の資料くらいは用意して臨んでいただきたかったと思うのです。かりに二億と記憶されても、これだけの二億の損害を与えて一千万で終わろうとするのですから、この責任は政府だってあると思うのです。一体一千万円でもっていわばごまかすというのはどうか。こういうことでは地元民も納得しないと思うのですが、もう少し自余の損害に対しては、政府はどういう方針で臨むのか、その点詳しくひとつ方針だけでもお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/15
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016・庄野五一郎
○庄野政府委員 よその委員会に入っておりまして、資料を持ってくるひまがなかったものですから、失礼申し上げたのでございますが、地元からの報告等で、二億前後と言いましたが、大体一億三千万円程度、こういうふうになっております。これは地元からの報告でございまして、いろいろ算定方法にも問題があろうかと思いますし、また、将来に対します得べかりし収益の減少等も入っておる、こういうことでございまして、これについて、われわれといたしましても、できるだけ地元の損失をてん補できるように努力いたしたわけでございますが、先ほどから林政部長が申し上げましたように、いろいろこれには困難な問題がございまして、損害賠償として請求する場合には、相手がソ連だ、日本側の者だといった法律上の問題もございまして、その解決をするのに非常に困難な問題がございます。これについては、できるだけ早く地元の損失をてん補してやるということが先決の問題でございますし、そういう意味でいかだ輸送の改善方法というものはできるだけ早く講ずるということと相まって、将来に対しまするこういう損害の発生を少なくするということをいたしたいと思います。
なお、これに伴いまして、ワカメ採取等の被害があるわけでございますが、そういう復旧措置につきましては、沿岸漁業の構造改善対策の中で、そういう地元の要望に対し、漁場の改良等にも留意いたしまして、できるだけ早く地元が立ち直れるように、こういうような配慮もいたしたい、こういうように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/16
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017・山内広
○山内委員 業者は、この輸送について、保険関係はどうなっておるのか。幾ら入って幾ら保険をもらったのか、その辺を明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/17
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018・丸山文雄
○丸山説明員 保険関係につきましては、ソ連の輸送公団といいますか、そういうものにかけておるようであります。金額につきましては私は明らかにしておりませんけれども、いかだがくずれまして流出しましたとき回収できなかった分に見合う金額は、受け取っておるわけでございます。数量等につきましては、私まだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/18
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019・山内広
○山内委員 どうもきょうは答弁が不親切なんですが、いま一億三千万の損害を与えて、業者が一千万で終わらせようとしておるのでしょう。保険が幾ら入って、何千万かけたうちの一部をやったものか、その辺の関係は、あなた方は明らかにしないならば、賠償にもならなければ、見舞いにもならないじゃないですか。あるいは商人は、かえっていかだがこわれたことによって保険金がたくさん入って、もうかっておるかもしれない。その保険関係がわからぬということでは、これから行ってソ連といろいろ具体的調印までしようというときに、ちょっと僕は不親切な回答だと思うのです。どなたかもっと詳しくわかりませんか。一千万という数字の出た算定の基礎は、おそらく保険あたりにあると思うのですが、もしわからなければ、外務省関係もあり、通産省もありますから、また別の機会にこれ以後の質問は譲ってもいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/19
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020・丸山文雄
○丸山説明員 ただいまの御質問、調べまして資料で御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/20
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021・山内広
○山内委員 では、この問題はお答えがこれ以上できないようですし、いろいろ問題を含んでおりますので、残余についてはまた別の機会に改めてお尋ねしたいと思います。
ただ大臣に、ちょっと最後の結びとしてお聞きしておきたいのは、いかだ輸送は危険であり、損害を与えるから、漸減方式でもって、将来は全廃させる。しかし、日本の国内需要というものは、木材についてますます相当高まると思うのです。それで、いかだを全廃したから国内の輸入がそのために減っていって、いたずらに木材の値段だけつり上げるというような政策があっては、これは住宅問題にも支障を来たし、いろいろな物価の問題にもはね返ってくる、そういう意味で、ソ連からの木材の輸入方針というものは、あなたのほうで確実にお立てにならなければいかぬと思います。これについての大臣の御所見があったら、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/21
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022・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いかだで輸送をさせないから輸入を減らす、こういういかだの輸送と輸入関係とを関連づけて、これを増減するという考えを持っておりません。貿易交渉等にもよりまするし、必要なるものはむしろふえる傾向にあるんじゃないかと思いますけれども、確言はいたしません。いかだの関係では、減らすというような考えは持っておりません。
それから先ほどのお話の中で、三十九、四十、四十一と、こういうことで七万くらいずつ減っていきますから、最後が十万ですから、これは四十一年度あたりにはなくするような方向で交渉をいたさせます。
それから先ほどのお話で、いまからモスクワで調印するということでございましたが、交渉団はもうすでに行ったのです。行って帰ってきたのです。わがほうでは林野庁、水産庁から人を出しまして、そうして損害の問題やら輸送の方法等につきまして、モスクワで協議をし、交渉して帰ってきておりますので、その帰ってきた結果をまとめて、あるいは調印するということになろうと思います。これは調印する場合には、大使館ででも調印するかと思いますが、そういう経過でございますので、念のために申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/22
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023・山内広
○山内委員 私もそうじゃないかと思ったのですが、先ほどの御答弁では、まだそれがきまらぬような御答弁があったから、念を押しただけです。私いま申し上げたような方法で、将来の木材の輸入というものは考えていただきたい。
もう一つ、これは大臣に特にお願いしておきたいのは、沿岸漁民の生活を守るということで、最近漁がないために、いろいろ国も、あるいは道も、それから町村も、あげて浅海養殖というものには力を入れておるわけです。それが大きな材木が流れてきて、何日もあの海岸を洗われて、ほとんど漁礁というものがくずれて、将来の漁民の生活を脅しておるわけです。これは特に、これをすみやかに回復するために、浅海養殖の予算というようなものは、十分に御配慮いただきたい。それからこの流れついた木材が岡に上がってしまって、これの処置には町、村、そういう当局も非常な犠牲を払っておるわけです。それに、一億三千万と評価されている損害にわずか一千万で、もうこれで終わりというのですから、これはたいへんな痛手だと思うのです。この点については、あなた方の配慮をお願いしなければいけない。何かこの点についても具体的な施策があるのではないかと思うのですが、御答弁がないようであれば、この次にまたあらためてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/23
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024・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いまお尋ねの二点、これに損害を受けたところの漁礁等の回復、こういう点につきましては、沿岸漁業法もございますので、あの趣旨に沿うて十分予算的措置などもとりたいと思っております。それから被害を受けた町村が、あと始末等において非常に金がかかったわけであります。これは私ちょっと耳にしたので、まだきまっておらぬそうですか、特別交付税等によって措置をとるということで、自治省などにも話をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/24
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025・山内広
○山内委員 いかだの問題はそれくらいにして、それでは設置法の内容についてお聞きしたいと思います。
これは昨年御提案になりまして、若干これに手直しを加えて再度提出された法案でありますから、前にもかなり議論が出され、詳しい検討がされておるのです。そこで順次お聞きしていきます。
最初に、植物ウイルス研究所の新設が御提案になっております。これは人によってはウイルスという人もありビールスという人もあり、私も学問がないのでどっちがほんとうか調べて、辞典も引いてみましたが、どっちもあるようであります。しかし、学会としてもウイルスに統一されたそうでありますから、これはずっとこの名称でわれわれに親しめるようにしてもらいたい。ただ、詳しいことはわかりませんけれども、ウイルスというのは、何も植物に限ったわけでなくて、動物にもたくさんあるわけであります。なぜ植物のウイルスだけに限って研究所を新設計画されたのか。動物のほうは、どういうことになっておるのか。その辺技術的なことですから、事務当局から、少し聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/25
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026・武田誠三
○武田(誠)政府委員 私からお答え申し上げます。
動物ウイルスにつきましては、動物につきましても、先生のお話のように、ウイルス病というのはたくさんあるわけでございます。現在動物のウイルスに関しましては、基礎的な研究は、京都大学の付属のウイルス研究所でこれを行なっております。農林省関係の、いわゆる家畜のウイルス病に関しましては、家畜衛生試験場におきまして、旧来からこれを取り扱っております。京都大学のウイルス研究所と家畜衛生試験場との間の連携も、きわめて密接にやっておりますので、いまの形で進めていけば十分ではないかというように考えておるわけでございますが、一方で植物ウイルスにつきましては、動物ウイルスの研究に比べまして、現在の段階では非常におくれております。植物のウイルスについての基礎研究につきましては、これに主力を注いでやっております機関が、現在ございません。そこで農林省関係の研究機関が、各種の実験材料等も非常に豊富にあるわけでございますので、学会等の御意見等も伺いました上で、農林省に植物ウイルス研究所を基礎研究部門として独立さしてつくることがいいのではないかというような御意見もありまして、植物に関するウイルス研究所を今回設置することを御提案申し上げた、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/26
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027・山内広
○山内委員 大事な仕事ですから、こういう専門の機関を設けて御研究になることには、私は異議がないわけです。しかし、いま植物のウイルスはあまり研究されていないようなお話でしたが、そうではないと私は思う。実は北海道でも一ぺん、もう十何年か前ですが、これをやろうということで、アメリカのほうではこれに委託費を出してでもいいから研究せいということで、この問題を取り上げたこともあります。そういう意味で、決して植物のウイルスが等閑に付されておったとは私は思わぬのですけれども、まあこういうものも、学的なことですから、大いにやっていただきたいと思うのです。ただ、今度研究所ができまして、この農林省の設置法を見ますと、ちょっと奇異な感じといいますか、しろうとにはわかりにくい研究所、試験場がたくさんあるわけです。十七条の規定で農事試験場というのがあり、農業試験場というのがあります。しろうとには、一体この二つがどういうように分かれなければならぬのか。あるいは畜産試験場に家畜衛生試験場というのが、二つ別にあるのです。それからまた、農業総合研究所に農業技術研究所というのもある。一体研究所と試験場とはどういう差があるのか。農業試験場あるいは農事試験場と、似たような名前のものがあるのですが、これをしろうとに教えていただきたいと思うのです。これは経費の面からいっても、研究の英知を集めるという点からいっても、統合できるものは当然一緒にしたほうがいいと私は思う。ちょっと知らせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/27
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028・武田誠三
○武田(誠)政府委員 私、先ほど植物ウイルスの研究がまだ不十分であるというふうに申し上げました趣旨は、植物ウイルスにつきましても、従来から各大学あるいは農林省の試験場でも行なってまいりましたわけでございますが、動物ウイルスの研究に比べますと、まだ不十分な点がたくさんある、こういう意味で申し上げたわけであります。
それから、ただいまお尋ねの農林省に付属しております各種の試験場あるいは研究所でございますが、農事試験場と農業試験場との関係は、農事試験場は、一つには中央の研究機関の性格を持たせており、そのほかに関東東山地区の地域の試験場としての性格を一部持たせております。その他の農業試験場は、北海道、東北、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州というふうにございまして、これはそれぞれの地域におきます農業の試験場、こういう考え方で、地域地域の特性に応じます研究の分担をやっている。それの統括的な意味での農事試験場が、鴻巣にあるというようにお考えをいただきたいのでございます。それから農業技術研究所は、これはそれらの農事関係等のほんとの基礎研究部門をやっております。そういう意味で農事試験場との間に区別をいたしておるわけでございます。それから畜産試験場と家畜衛生試験場とは、同様に家畜を扱っているわけでございますが、畜産試験場のほうは、動物の育種の問題でありますとか、飼養方法の問題でありますとか、あるいはこれに関連いたします草の研究等、いわば経営的な面も含めましてのいわゆる畜産関係の問題を扱っております。それから家畜衛生試験場のほうは、各種の病気、特に伝染病等がございますので、そういった病理関係の問題、並びにそれの予防方法といったような、いわゆる家畜の医学部に関係するパートを専用に扱っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/28
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029・山内広
○山内委員 この試験研究の機関の整理統合という問題は、三十六国会にすでに出されておりまして、そして農林水産技術会議を中心にしていろいろ検討も加えているので、いまどきこういう植物ウイルスの研究所が出る時期ではないのではないか。あのとぎの議論からいっても、私はそういうふうに考えておったわけです。それが、こういうのがいままた出てくるということで、奇異な感じがいたしますが、あのときの決定を、どういう考え方の変化でこういうことになったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/29
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030・武田誠三
○武田(誠)政府委員 三十六年のときの統合と申しますか、試験研究機関の組織がえの問題につきましては、それまで各種の研究機関が各行政部局に直接付属をいたしておりましたものを、農林水産技術会議のほうに所属を変えるということが一点でございます。それから、その以前に、ただいまの畜産試験場でありますとか、園芸試験場でありますとかいうものが、農業技術研究所の部としてありましたものを、独立さしたわけでございますが、その態勢につきましては、現在でも特に考え方を変えておるわけではございません。植物ウイルス研究所を独立させましたのは、これは特に植物ウイルスについての研究分野というものが、比較的に申しますれば、新しい分野でもございまするし、それから、非常に広く、これは単に稲、麦といった、いわゆる一般農作物関係のみでなく、園芸関係にも、あるいは林木の関係にも、桑の関係にも、すべてに及んでおりますので、この研究を特に深く進めていきたい、急速に進めていきたいという意味合いで、独立をさせることが適当ではないかというように考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/30
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031・山内広
○山内委員 今度バレイショの原原種農場として雲仙に設けられるわけですが、私どもしろうと判断として、バレイショは寒地の作物だ、そういうことで、北海道でもかなりこの原原種の保存、改良というものには重点を置いた考え方をしておるわけです。しかし、技術の進歩あるいはいろいろな種の改良によって、暖地にも相当普及されてきておることは、私はわかりますけれども、こう二またかけてバレイショの栽培をやることがいいのか。北海道でも、あのとおり、バレイショを栽培しようと思えば、まだまだ指導方針、予算のつけようによっては、ふえていく余地があると私見ておる。そういうことで、この暖地の原原種のバレイショというものを今度研究し、その種をふやして、そして暖地のほうにも広めていく。何かちょっと不経済なような気もするのですが、しろうとですからわかりませんが、その間の事情、どうしてもこういうものが必要である理由をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/31
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032・酒折武弘
○酒折政府委員 ここで設立をお願いいたしております秋作バレイショの原原種農場は、実は、すでに現在、嬬恋の馬鈴薯原原種農場の秋作部としてあるものを独立さしていただきたいという趣旨で出したわけであります。秋作バレイショにつきましては、暖地の、大体、長崎とか宮崎、鹿児島、その方面にございまして、現在、作付面積は一万町歩であります。蔬菜用として漸次作付もふえておるわけであります。しかも、バレイショは、今後、食生活の面におきまして、漸次重要性を増してくるという意味におきまして、よい種をこの際秋作バレイショにも出すということは、われわれとしても重要なことであるということで、現にやっておりますし、今後も拡充していきたい、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/32
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033・山内広
○山内委員 その考え方には、私は別に異論を言うわけじゃないのですが、一万町歩でどれだけの原原種ができて、これが需要の何%ぐらいを満たすだけの生産を持つのか、その辺を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/33
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034・酒折武弘
○酒折政府委員 現在、春作バレイショにつきましては、約二十万町歩ございまして、これから見ますと、きわめてわずかなものでございますけれども、その一万町歩に対する詳しい具体的数字は、後刻調べまして申し上げますけれども、対応する面積に必要なものを現在の嬬恋でやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/34
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035・山内広
○山内委員 そうすると、作付反別が二十万町歩で、いまこの雲仙でつくるやつが一万町歩で、ここでもって種の需要は満たされるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/35
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036・酒折武弘
○酒折政府委員 秋作の作付面積一万町歩に対応する種をここでつくっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/36
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037・山内広
○山内委員 一万町歩に対応するというと、ここの面積はそれじゃどれくらいで、一カ年にどれだけのものを生産できるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/37
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038・酒折武弘
○酒折政府委員 種イモの生産体系といたしましては、大体原原種農場におきまして、ヘクタールで申し上げますと、百五十八ヘクタールの原原種をつくっております。それから、それが原種圃に回りまして、原種圃の面積といたしましては、千三百三十八ヘクタール、それから、それが採種圃に回りまして、採種圃の面積としては六千五百十九ヘクタール、これが国営における大体の増殖計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/38
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039・山内広
○山内委員 数字は間違いございませんか。面積よりも、採集される数量のほうがかえっていいのですが、需要は一カ年にどれくらいあるんだ。それに対して、ここの原原種農場では生産をどれだけやって、何%を満たす。なぜこういうことをお聞きしておるかというと、将来を考えるわけですよ。どんどん発展して、奨励してあなた方やっていくんだから、種イモの要求というのはもう大きくなってくるでしょう。そういうところに、ほんのスズメの涙ほどのものを金をかけてやるよりも、寒冷地作物等、北海道とか東北とか、こういうところに手を入れたほうが、むしろ経済的な効果があげられるんではないか、そういうばくとした考え方ですけれども、そういう線に立ってお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/39
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040・酒折武弘
○酒折政府委員 そういう問題でございますと、これは秋作だけで申し上げたほうがいいかと思うのですが、秋作におきます原原種の配付計画をさらに詳しく申し上げますと、三十八年度における原原種圃の面積が二・六ヘクタール、それから、三十九年度における面積は、同じく二・六ヘクタールと予定いたしております。それから、現在配付されておる面積でありますが、これは実は、たとえば三十五年の原原種のものかないし三十六年の原原種のものが、だんだん下がりまして、現に配付されておるということになるわけでありますが、三十六年の面積は、一・三ヘクタールでございます。これが、この数量としましては、二千六百四十俵の種イモができております。それを今度は原種圃に配付いたしまして、原種圃の面積としては四十五ヘクタール、種イモとしましては一万八百俵でございます。それが翌年採種圃に回りまして、採種圃の面積としましては三百六十ヘクタール、俵数としましては八万六千四百俵、これが今度は、実際に栽培される面積といたしましては、二千八百八十ヘクタールというのが三十八年の栽培面積になっております。同じような経過をたどりまして、三十九年が約三千二百ヘクタールという栽培面積になっております。それに対応する種イモの量といたしましては、九万六千俵ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/40
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041・山内広
○山内委員 たいした規模でもないようですが、これは試験研究としては、秋作というものは十分可能性があるという試験研究の結果は、もう十分なんですね。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/41
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042・酒折武弘
○酒折政府委員 試験研究の面から申しますと、もちろん将来いろいろ解決しなければならない問題は依然として残っておるわけでありますけれども、しかし、秋作バレイショとしての生産体系方式というものは確定して、それで安定的な生産をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/42
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043・山内広
○山内委員 それでは時間も急ぎますので、次に移ります。
最近、新聞に国有林の開放につきまして、自民党の議員間でいろいろ話が進められまして、あるいは今国会に国有林の売り払い等に関する特別立法というものが出されるという報道がされております。私は、この問題を非常に重要視しております。このことが将来の国土保全その他いろいろ関係する分野が非常に多いので、延長になりましたこの国会にまさか出るとは思いませんけれども、一体話し合いはどうなっておるのか、この点をまず大臣からお聞きして、この次の国会に出るのであれば、そのつもりで出されたときに議論をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/43
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044・赤城宗徳
○赤城国務大臣 政府といたしましては、そういう法律を出す意図は持っておりません。党のほうで議員提案として考えているように聞いていますけれども、まだ私のところでは連絡は受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/44
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045・山内広
○山内委員 そういうことであれば、この国会におそらく出ないと思いますけれども、これはいずれ出たときには、とことん議論しなければならぬ重要な問題であります。考え方としては、実は中央森林審議会の答申も読みまして、それに基づいて農林事務次官の国有林の活用に関する答申も見ました。大体この点に沿うて出されると思いますけれども、こういう会期のせっぱ詰まったときに、これは与党である大臣の所管ですから、こういうことはお出しにならないほうが、国会の運営については望ましいと思うのです。私どもも、これは十分に研究しないと、たいへんなことになります。特に最近地方を歩きますと、この中にも書かれておりますとおり、地すべりの問題が大きくクローズアップされておるわけです。私のおります近所にもこの問題が起こりまして、私はしろうと考えで直感で、これは木を切った結果がこうなる、あるいはまた木を植えないからこういうことがいつまでも防げない、こういう感じを深くしておるわけです。これはいろいろ制限や罰則は考えておれらるようですけれども、やはり国が統一してやるべきものだ、こう考えております。これはちょっと御注意までに申し上げておきます。
またの機会もあるようですから、受田氏に質問を譲って、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/45
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046・伊能繁次郎
○伊能委員長代理 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/46
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047・受田新吉
○受田委員 私は、今度の改正法案に対する重要な問題点を二、三拾い、さらに昨朝ジョンソン大統領が署名をいたしました、日本水産業界に重大な影響を持った大陸だな法の署名に関する質問を申し上げたいと思います。
まず、今度の改正案で法律的に疑義のある問題点を触れてみたいと思います。それは改正案の一つとして、農林省の地方支分部局の一つである営林局に、付属機関として特別の審議会を設置する事項でございます。この付属機関としての審議会なるものは、いかなる法的根拠によって設置されるものであるか、御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/47
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048・中西一郎
○中西政府委員 根拠のお尋ねでございますが、国家行政組織法の第八条に基づいて置くことができるという解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/48
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049・受田新吉
○受田委員 国家行政組織法のどこに、地方支分部局に対しての付属機関を置く規定がありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/49
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050・中西一郎
○中西政府委員 第八条の第一項で、冒頭に「第三条の各行政機関には、」とございます。第三条のほうでは第二項ですが、「国の行政機関は、府、省、委員会及び庁とし、」とございます。法制局とも十分打ち合わせて原案をつくったわけでございますけれども、他の省庁の関係で、この第二項の法文解釈として、地方支分部局も当然含まれるというふうにされておるわけでございます。その例を申し上げますと、大蔵省の関係では、地方財務局に国有財産地方審議会、税関では映画輸入等審議会、さらに国税庁にも、その地方支分部局の国税局に国税局協議団あるいは地方酒類審議会等が置かれております。通産省にも同様な例がございます。以上のような経過で置いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/50
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051・受田新吉
○受田委員 法律の解釈は、すなおにしなければならない。拡大解釈をすることは、たいへん危険な思想だと私は思うのです。第八条の付属機関その他の機関が、国家行政組織法に何を求めているかは、「第三条の各行政機関には、」とあるその第三条は、皆さんがよく御存じのとおり、府、省、委員会及び庁、はっきりしているのです。そうして「前条の内部部局の外、法律の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、」とこう書いてあるわけでございますから、地方支分部局というものを含むとするならば、当然この「附属機関その他の機関」が第九条の次に規定されるべきものだと私は思うのです。この法律のすなおな解釈からいって、一応「附属機関その他の機関」で、第八条で処理されている「第三条の各行政機関、」こういうことがはっきりしている以上は、地方支分部局は含まない、かように了解するのが筋合ではないかと思うのです。よその省にあるというこの例外、このような規定は、この際、法律を誤って解釈して設置したところがあるならば、これは改めていいわけでございまするから、いまのお説のような国税庁その他に付属機関があると、こういう少数の例を引いて、ここで農林省にもこれを置くという考え方は、私は間違っておると思うのです。もう一度お尋ねしますが、どうも私にはいまの説明がはっきりしなかったのですが、どこをもとにして地方支分部局を含むという解釈ができるか、御説明がはなはだあいまいだったと思いますので、もう一度はっきり言っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/51
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052・中西一郎
○中西政府委員 第八条の第一項の冒頭に「第三条の各行政機関には」とございます。第三条の第二項には「行政組織のため置かれる国の行政機関は、府、省、委員会及び庁とし、」と書いてございます。農林省はこれに当たりますけれども、その地方支分部局も当然この中に含まれておるという解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/52
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053・受田新吉
○受田委員 ちょっと待ってください。農林省の省の中に地方支分部局を含めると、こういう解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/53
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054・中西一郎
○中西政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/54
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055・受田新吉
○受田委員 そういうことをやるならば、もう支分部局以外の各機関にも、さらにその付属機関の付属機関にも置くことができるというような拡大解釈が、いかようにもできるはずです。省というのは、省の中の小さな支分部局まで含むという解釈は、はなはだ問題があるのです。省という場合、農林省に付属機関を置くということなんです。農林大臣は、こういう機構上、人事につきましても、非常に経験を豊かに持っておられるわけでございますが、ここの府、省、委員会及び庁とするというこの省の中に、地方支分部局のその付属機関も同様であると解しているという、この考え方に問題があると思うのです。省といえば、農林省の付属機関、農林省あるいは委員会あるいは庁、たとえば水産庁とかいう外局の付属機関というならば、この法律第三条解釈ははっきりしていると思うのですが、支分部局も、省とある以上は、省内であるのだからいいんだというこの解釈は、非常に大きな誤りで、拡大解釈も著しいと私は思うのですが、法制局とのお話の結果、省内にある支分部局も一向差しつかえないという了解であったということでございますが、ちょっと、法制局どなたか来ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/55
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056・赤城宗徳
○赤城国務大臣 来ておらぬと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/56
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057・受田新吉
○受田委員 この解釈は、たいへん重大な誤謬をおかしておると思うのです。もう一度、この省の中にある支分部局を含むという解釈は、何を根拠にされておるか。そういうことがあれば、何でもかんでもみんないいことになってしまう。せっかく国家行政組織法という親法をつくって誤りなきを期しようとしているのに、末端の機関にまで付属機関をつくるというこの解釈は、重大な誤謬だと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/57
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058・赤城宗徳
○赤城国務大臣 省なら、農林省とすれば、地方の農政局あるいは林野庁の出先の営林局、こういうものも含めて省というふうに、総括的といいますか、包括的に考えるのが、法的には筋ではないかと思います。しからば、代属機関は中央の農林省に置くかあるいは地方の出先機関に置くかという、これはいろいろ政治経済的な判断から、あるいは機構の運営からの問題であろうと思います。でございますが、省という場合には、これは地方の農政局等も含めて省という解釈だと、私は考えます。特にこの問題点につきましては、先ほど官房長からも御答弁いたしましたように、法制上の問題でございますので、法制局とか行政管理庁とかの統一解釈を求めて提案したわけでございます。私の考えは私の考えといたしまして、法制局などはそういうふうな統一解釈をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/58
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059・受田新吉
○受田委員 省といえば農林省本省だけでなくて、省の末端の機関にも同じような解釈をしてよろしいのだ、こういう解釈に根拠を置いておられる。こういうことでは、もう何をか言わんやの問題です。これは私、法制論議として法制局をすぐお呼び願って、政治的解釈をされるということになると危険があるので、なぜ地方支分部局という一項を取り出して第三条を別に設けたかという趣旨に対しても、お尋ねを続けたいので、保留さしていただいておきます。
かりにそういう御趣旨であったとして、そうすると、地方の支分部局で、相当数あるわけでございますから、それぞれの答申というものが変わって出た場合に、農林省としてばらばらな施策をとることになるのかどうか。このことをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/59
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060・赤城宗徳
○赤城国務大臣 もし答申がばらばらに出るような機関でございますならば、地方へ付属することはいたしません。やはり中央に置くべきだと思います。地方に置くのは、そういうばらばらに出るというような懸念のない問題を取り扱わせる、こういう意味で地方に置くわけでございますから、ばらばらにはならないのが初めからのたてまえで置くというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/60
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061・受田新吉
○受田委員 ばらばらには出ないように、同じような性格の答申を期待する、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/61
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062・赤城宗徳
○赤城国務大臣 同じような諮問を各地方の機関へ出すわけではございません。まあ問題になっております国有林野の管理審議会、この場合には、国有林を払い下げるといいますか、売り渡す。売り渡す際に、具体的にこれが適当であるか適当でないかというようなものを経験者、有識者を集めたこの審議会に諮問して、不当なことがないように、あるいはそれが適当かどうかというような判断を審議会へ求める、こういうことでございますから、その営林局営林局ごとに出すわけでございます。これが秋田営林局で出したものと札幌で出したものと、具体的な問題でございますから、違うということには相ならぬわけでございます。そういう意味で設置するので、答申がまちまちになるというようなおそれのある、そういう答申が出るようなものを地方に置くということは考えもので、それは中央に置かなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/62
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063・受田新吉
○受田委員 これは地方の営林局では、それぞれローカル色がはっきり出るわけです。そうしますと、地方地方の特色を生かした審議がされてくると私は思うのです。地方支分部局に置くというのは、そのローカル色を尊重するという意味があると思うのですが、どうですか。事務当局からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/63
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064・中西一郎
○中西政府委員 お話のとおりでございます。と申しますのは、それぞれの国有林所在の地元の産業、あるいは具体的な農業あるいは林業をさらに発展させるために、それが有効に使われ得るという確信を持って売り渡す、あるいは貸し付けるということになろうと思います。さらにそれを手放しましたときに、国土の保全とか林木の需給関係とかいう問題とからめてみてどうかというような判断も、必要でございます。いずれにしましても、それぞれの地元における具体的な案件についての判断になりますので、一般的基準といいますよりは、具体的な案件に即して審議会の意見を尊重するというのが、たてまえであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/64
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065・受田新吉
○受田委員 そこでローカル色が出過ぎて、一つの営林局の付属機関である審議会の答えと、また別に離れた地域にある営林局の付属機関である審議会の答えとが、ローカル的に違う場合があるというような問題が起こらないか。そういう場合に、営林行政の上から農林省ががっちりと一本にまとめることが可能であるかどうかという問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/65
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066・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これはローカル色が出ることをむしろ期待して地方に置くのでございますから、お話しのようにローカル色が出ると思います。しかし、基本の方針というものは、これは農林省、林野なら林野で握っておるのでございます。たとえば国有林の売り渡しということにつきましても、国土保全、こういう観点、あるいは国で林業経営をしたほうがよろしいんだ、こういう観点から国有林を管理しているのでございますから、それに反するようなものでローカル色を出されては困ります。これは厳にそういうことはさせないつもりでございます。でありますから、一般的に言いますならば、払い下げ等につきましては、農業構造改善とか、林業の構造改善とか、あるいは住民の福祉等で適当と認めるものという一つの原則を置いて、あるいは部分林の設定等もございましょう。そういう基本的なことは、中央で握っております。地方においては、具体的に払い下げとか利用の申請が出た場合に、これについての妥当適否というようなものについて意見を聞くということでございますから、その辺は、中央で根本は握っておる、具体的な問題で地方にローカル色がある程度出るのは当然だと思いますが、その範囲を逸脱してはいけないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/66
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067・受田新吉
○受田委員 これはどうも身がってな審議会になる傾向が、多分にあると私は思うのです。これは非常に警告を発しておきます。
同時に、いま中央森林審議会なるものが、林野庁の付属機関にある。総理府には、今国会に提出しておられる林業基本法案で予定しておるところの林政審議会というものもある。これらとの関係はどうであるか、御答弁願います。
〔伊能委員長代理退席、辻委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/67
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068・赤城宗徳
○赤城国務大臣 まず、中央森林審議会でありますが、これは国有林野の活用一般についての基本方針につきましては、現在森林に関する重要事項ということで、中央森林審議会の調査審議事項となっております。そこで今度は、いま提案しておりまする林業基本法案が成立する場合には、いまもお話のありました林政審議会が設けられることになります。そうなりますと、中央森林審議会は、森林法による全国の森林計画、保安林整備臨時措置法による保安林整備計画のような、森林に関しまする技術的な部門の問題を担当するということに、本来の趣旨にのっとってそういう問題を担当してもらうことになります。国有林野の活用問題等、林政上の基本問題に関する調査審議は、林業基本法案が成立するならば、林政審議会で行なう、こういう分野に相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/68
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069・受田新吉
○受田委員 全体と個の関係、大概念と小概念の関係とか、いろいろな解釈のしかたがあると思いますけれども、付属機関で同じような名前のものが各所にばらばらに出ておるということは、やはり農林行政を複雑多岐にさせる危険があると思うのです。願わくは、これは林政審議会なら林政審議会一本にまとめる必要があるならば、その中に小委員会を設けていく、こういうような方式で行政機構の簡素化という政府のねらっておられる方針にも合致するような施策をとってほしい。思いつきで至るところに付属機関がぼんぼんできるということは、やはり行政の簡素化の趣旨に反するということもある。そうしてまた必要な経費も要る。規則もつくらなければならぬ。そうして得られた結論というものはたいしたことはない。さらに地方の営林局でかってな答えでも出たならば、各営林局ごとにローカル色も出る。かってな声が出るということになれば、それをまとめるのにたいへんだ、こういう面もあると思います。これは私は御注意をしておくだけにとどめますが、非常に問題がある。御記憶を願っておきます。
それからいま一つ問題は、水産庁に次長を置く規定を今度おつくりになったのでございますが、これはつい四十一国会で——まだ一年とちょっとしかたっておりません。私この委員会で、農林省の設置法改正案のときに、重政農林大臣に強く追及した問題です。水産庁までつくって、そうして四面海をめぐらした世界に冠たる水産国としての行政面に、水産庁の長官の下に次長を置いてこそ、初めて国際的ないろいろな交渉をやらしたり、高い姿勢で政府委員としてもここに出席して活動したりする者が必要ではないか、なぜこれをもぐのか、私が手きびしくここであれを廃止するときに追及したのを事務当局は覚えておられると思うのです。ところが、水産庁の次長がなくても何とかなりますという御答弁だった。そうして水産庁の次長を廃止したのは、去年の一月です。一年たつかたたぬかでまた置いてくれというこの提案は、農林省としてはたいへんずさんな提案であると私は思うのです。水産行政の重要性を認識するならば、なぜこれを廃止したか。廃止してたった一年たつかたたないかでまたこれを置いてくれという要求をされるような農林省であるかと思うと、これは国民の信頼を失いますね。私は、これは非常に遺憾な事態を農林省は平然とやっておられるということを感ずるのですが、重政農林大臣が、次長を置かなくても済むのだ、園芸局の局長を一人ふやすので、それが横すべりするお考えのようでございましたけれども、別に次長をもいで局長を置くというような、そういうこそくな手段をしてこの委員会のきげんをとられなくても、次長を置く必要のある水産庁に当然これは置くべきである。なぜもいだか。もいだ以上は、せめて二年か三年くらいはもいでおいてやるべきです。もいで一年たたないくらいの間にまたつくってくれという御提案というのは、とんでもないずさんなやり方だと思いますが、農林大臣の重政さんとあなたは違う考えを持っておられるわけでございますが、重政農林大臣が間違いであった、私が正しいのだということであるならば、大臣がかわるごとに思いつきの法案、改正案が出されるという、たいへん危険な思想であると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/69
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070・赤城宗徳
○赤城国務大臣 重政農林大臣が間違っておったというわけではございませんで、受田さんのほうが卓見を持っておったということであります。そういう意味におきまして、私は直接関係しておりませんが、あのときにも次長を廃止することは、前に農林大臣の経験がありますから、どうかと思っておったのでございますが、廃止をした。ところが、御承知のように、水産は世界一でございます。国際会議も非常に多い。国内問題も非常に複雑でございます。こういう関係で、あれは私は次長を置くのが適当だと前にも思っておったのですが、やはりこういうように水産のいろいろな折衝や国内の問題が多くなってきておるので、二、三年待ってからというよりは、受田さんの卓見に信頼いたしまして、ひとつ置くことに提案をいたして御協賛を願いたい、こういうふうな意味でいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/70
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071・受田新吉
○受田委員 これは私のきげんをとることでは解決しない問題ですよ。これはもっともっと大きな問題があるのです。つまり行政機構の改革と組織法関係の法律案、こういうものについては、少なくとも一貫した信念で、ゆるぎない体制を固めておく必要があるのです。水産庁の次長を一年ほどもいで、またもいだのが悪かったからといってひっつける、こういう思いつき行政は、たいへんな間違いであるということを私は申し上げる。卓見とかなんとかいうことではないのです。これは当然農林省が、一貫した考えを貫き通していただきたかった問題なんです。農林行政の中で、何かそこに政治的な配慮があり過ぎて、一貫した信念に事を欠く危険はないか。大臣も、前に農林大臣をやられた御経験を持っております。人情大臣としての信念をここに披瀝して、国民にわびるべきはわび、改むべきは改めるべきではないか。大臣の御所見を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/71
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072・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私は、農林政策、あるいは農林行政、あるいは農林機構等におきまして、一貫性といいますか、一つのものをずっと持ってきておると思います。たまたまその間におきまして、機構の改革等に関連して、幾ぶん違った面にいろいろ動いた面もございますけれども、根本的には私一貫いたしておるつもりでございます。ただ、いまの次長の問題は、まことに朝令暮改みたいなかっこうになりますので、私も心苦しいのです。やはり、あやまちではございませんが、改むるにはばかることなしにやったほうがいい。別に受田さんのごきげんをとるという意味ではございません。やはりこういうものがあったほうがよかろう。やめたのは間違いというか、あったほうが非常によろしい、こういう意味で、一年だけなのでございますけれども、ひとつ御協力を願いたい、こういうことで提案いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/72
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073・受田新吉
○受田委員 あってもなくてもいい、あったほうがいいという軽い程度なら、私は問題だと思うのです。なければならないという信念に基づくものでなければ、次長を置いてはいかぬと思うのです。あったほうが都合がいいという趣旨では、私はいかぬと思うのです。いまは次長を置かなければならないのだ、こういう信念で私は置いていただかなければならぬと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/73
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074・赤城宗徳
○赤城国務大臣 なくしてからの経験からいいますと、やはり次長はなくてはならないのだ、こういう意味から提案をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/74
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075・受田新吉
○受田委員 これは非常に重要なポストです。外務省でも、局長の下に審議官というのがあって、それらが日韓交渉などにも事実当たっておる。これはもう局長と同格で、どんどん外交交渉をやっておる。水産行政というこの重大な課題をかかえた農林省としては、少なくとも日本の水産振興のために、大役を果たす大事なポストなのです。さきにお尋ねすることを予告しておきました大陸だなの法案、アメリカでこれが大統領の署名になりました。現に署名してしまった。署名しないで済むようにと思ってわれわれが願ったことが、むなしくなりました。こういうことも、やはり漁政部長などで処理できる問題ではないのです。そういうところに、やはり次長をはずしておった農林行政の大きな欠陥があると思うのです。
大陸だな法案についてお尋ねします。これは一体日本にとってどういう影響力のある法案であるか。この法案は、ただ単にアメリカだけで済む問題か、関連するソ連との関係等も含めて御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/75
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076・赤城宗徳
○赤城国務大臣 国際的な大陸だな法案につきましては、日本は反対をいたしておるのでございますが、二十一カ国の調印があって、最近イギリスが賛成いたしましたので、大陸だな法案が成立、効力を発するということに相なっております。そのことは別にいたしまして、アメリカの国会におきまして、バートレット議員のバートレット法案が成立いたしまして、大統領の調印といいますか、サインを求めたということになっております。御承知のように、これは日本の漁業に大きな影響がございます。でございますので、この阻止には農林省といたしましてもずいぶん骨を折ってまいったのでございます。御承知のようにアメリカは、政府というよりも、議員提出の法律で国会が非常に強いところでございます。でございますから、政府のほうに対しましては、私どもも十分、直接向こうの内務長官やこの間来ました次官等にも抗議を申し込んでおったのでございます。あるいは政党のほうに対しましても働きかけをいたして、この法案の成立を阻止してまいったわけでございますが、ついに成立した。そういう見通しがありましたので、再々私どもは水産庁長官をして、外務省と折衝して、これに対する反対抗議を続けて出さしておったのでございます。しかし、成立というような状態でございます。そこで、アラスカの大陸だな等におきましては、日本のタラバガニの漁業が一九三〇年以来実績を持っておるわけでございますが、大陸だなの法律ができるということになりますと、これは締め出されるおそれがございます。もっとも、タラバガニが定着の大陸だな資源かどうかということにつきましては、学問上問題があります。学問上これはきまっておりません。きまっておりませんが、とにかく締め出されるおそれがありますので、この法案の第一段階としては、成立をしないように働きかけをしておりました。しかし成立しまして、一九三〇年来の日本の漁業に対する権益は侵さないというようなジョンソン大統領の発表もございます。こういう事情であることは、御承知のとおりでございます。この法律は、こういう大陸だな関係は、ソ連におきましても、あるいはカナダ等におきましても、あるいはまた場合によっては韓国等におきましても、これを引用されるおそれがあります。オーストラリア等におきましても、これは真珠の問題でございますが、前にありました。こういうことでございますので、この法案が世界的に波及するといいますか、そういう例がどんどん出てくるということになりますと、日本の漁業には大きな影響がございます。しかし、アメリカのいまの法律につきましては、いま申し上げましたようないきさつで、日本の権益はそこなわない、こういうことには相なっております。ほかの国等におきましてこういう措置に出るような場合には、あらかじめ日本といたしましては強い抗議を申し込んで、こういうことにならぬようにいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/76
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077・受田新吉
○受田委員 専管水域にも関係する問題ですけれども、日韓交渉では、すでに専管水域は十二海里ということが前提になっておる。それから大陸だな条約にも、そういう方向が見られる。日本は、公海自由の原則から見て、三海里の外は自由に漁獲もできるという基本方針できておるわけですが、日本にとってはやはり致命的な重大な問題ですから、漁業国家として成り立つ世界に冠たる水産国ですから、そこに農林大臣の農林外交交渉というものが、大きなウエートを占めると思うのです。アフリカのほうへもどんどん日本の漁業者が出ておる。至るところにそういう問題が広がっておるわけです。日本は、この狭い地域にとらわれないで、世界の海を自由に渡らなければならない。水産開発をしなければならない。そういうときに、こういうやっかいなものを、たとえ了解事項があったとしても認めた、署名されたということは、これはたいへん残念なできごとです。アメリカに対して、今後法律の実施についてどういう申し入れをされますか。この大陸だな法が実行されるにあたって、従来の権益を犯さないという、日本にとっては権益擁護の一線は、必ず死守できると判断されるかどうか。多少のひびが入る危険性があると判断されるか、いずれであると判断されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/77
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078・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは向こうのことですから、私が答弁するのはどうかと思いますが、私どものほうの態度としては、日本の権益を犯させないように、なお強く折衝いたすということでございますし、大体いまのところでは、権益を犯さないような態度に出るのではないかという見通しを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/78
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079・受田新吉
○受田委員 専管水域の拡張の国際的世論が一応あるわけです。日本は、三海里という従来の方針を引き続き堅持するのか、あるいは国際情勢の動きに応じて、多少海域を広げるという立場をとらざるを得ない方向になろうとするのか、これは確固たる政府の信念を私は確かめておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/79
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080・赤城宗徳
○赤城国務大臣 領海につきましては、各国違っておるのは御承知のとおりで、日本は三海里ですが、あるいは六海里説、十二海里説、それからチリーのような二百海里説もあるようであります。しかし、大体世界の情勢としては六海里という情勢でございますが、日本は三海里説を固持しております。領海の外に専管水域を設けるか設けないかということは、各国の宣言でできるわけでございますが、設けた場合に他国との関係で紛争などが起きますので、関係国間において専管水域を設ける場合に話し合いがございます。十二海里の専管水域というのは、三海里の先にするか、六海里の先にするかという問題はあるにいたしましても、国際的に大体認められている問題でございます。現実に十二海里を専管水域にするかしないかという問題につきましては、その国が宣言すればいいのでございますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、隣接する国々やあるいは関係する筋とのいろいろな紛争が将来あるといけませんので、その了解を求めるというような形でやっておるのが、いままでの国際慣例である、こういうふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/80
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081・受田新吉
○受田委員 日本国としては、大陸だな条約が発効いたしましても、既定方針のとおり、公海自由の原則、漁民の保護、漁業権の既得権確保という意味から、この条約に加盟するような、いわゆる退敗的な考えは断じて持たない、かように了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/81
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082・赤城宗徳
○赤城国務大臣 大陸だな条約に日本が加盟するという考えは、持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/82
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083・受田新吉
○受田委員 もう一つ、いまの専管水域についても、日韓交渉で十二海里と譲歩してしまっている。これもたいへんな譲歩ということになるわけでございますけれども、そういうところから、国際的に日本はもうそうした国際世論−に押されて、孤立して、最後には孤児になる。孤児になってもがんばっていくという悲壮な決意でやっていくということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/83
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084・赤城宗徳
○赤城国務大臣 大陸だなの法案と専管十二海里とは、別でございます。御承知の十二海里の専管水域は、各国とも話し合いで、ノルウェーでもアイスランドでも、その他方々で設けているのであります。これは専管水域を設けるとすれば、世界的に大体十二海里というのが、国際慣例になっているわけでございます。ですから、私は、十二海里というのは、話し合いによっては認めていいと思います。しかし、大陸だな条約に参加するということは、日本の立場としてはでき得ない問題である、むしろこれには抗議を申し込みたいと考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/84
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085・受田新吉
○受田委員 欧州の漁業国際会議等でも、そういう動きが出てきております。カナダとの関係もそうなっている。こういう動きは、国際的に出ている。この専管水域の点については、もう十二海里という、この動きに共鳴してもよろしい。しかし、大陸だな条約には、絶対に参加する事態は起こらない。この二つを分けて理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/85
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086・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そういうように御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/86
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087・受田新吉
○受田委員 私は、これに関連して、ソ連との漁業交渉などに、また新しい問題をあちらさんから持ち出される危険があると思う。そういう際にアメリカがこういうことをやってくることは、非常に悪い先例をつくってくれたことで、よほど外交にしんを入れてやってもらわぬと、日本の死活に関する重大問題ですから、大臣の水産行政に関する政治力をしっかり発揮していただきたいと御希望申し上げておきます。
おしまいに、五分ありますから、人道的な問題として提案したいことがあります。林野庁の臨時職員、季節労務者——今度の法案にもこれが関係すると思うのでございますが、この不安定な問題をどう解決しようとしているか。社会党のほうからも、何か林野庁の職員の雇用安定の法案を提案しているということですが、そういう問題も提起しているわけです。林野庁という大事な仕事——本庁の定員がいま一名減ることになっているが、この林野業務で雪の多い地域、交通僻遠の地に働く人々の身分上の不安定な苦痛をできるだけ早く解消してやりたいものだと思うのです。大臣、他の公務員には例を見ないような、この不遇状況にある臨時的、季節的性格を有する林野関係の職員の処遇について、御信念のほどを披瀝していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/87
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088・赤城宗徳
○赤城国務大臣 奥地山林等に働いておりますところの労務者に対しましての待遇につきましては、私ども深く考えをいたさなくちゃならぬということで対処しております。ことに季節的あるいは天候に支配される労務者でございますので、年間を通じて雇用できるようないろいろな配慮をいたしたいと考えております。
なお、つけ加えて申しますが、林野の職員の給与というものは、三公社五現業のうちでも低いのでございますので、私どもこれには十分考えてやらなくちゃならぬということをかねがね主張いたしておりまして、この間の仲裁裁定におきましても、一番大きくベースアップの裁定がされているということは、私どもの考え方を認められたものと思って賛成いたしておりますが、なお御注意の点はよく考慮いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/88
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089・受田新吉
○受田委員 これは事務当局でないとお答えできぬと思いますが、大臣は私のお尋ねの該心に触れていない。つまり季節的な労務に従事する、常勤的な性格を欠く臨時的な職員、こういう人人の身分上の取り扱いの問題に触れておられないのですが、事務当局からお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/89
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090・中西一郎
○中西政府委員 常勤的でない人たちの身分上の問題というお話でございますが、結論的に申しますと、身分を直ちに一般職の公務員にするというふうなことには、現在のところなっておりません。とりあえずその処遇を改善していく必要があるという観点から、季節の変わりますたびに職種を変えていく、そういう形で雇用の期間を長くするということを考えているわけでございます。若干何といいますか、作業場が移動するということがありましても、雇用を長期にわたって続けるということのほうが、処遇の観点からいきますと望ましいと思われます。
なお、優秀作業員の雇用安定の将来の問題につきましては、いろんな角度から改善の方針で検討を続けてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/90
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091・受田新吉
○受田委員 改善をしていくということ、これはなかなか技術的にもむずかしい問題があると思います。しかし、ここに働く人々を、一般の定員、国家公務員法に規定する定員というところまですぐいかなくても、一時的な勤務期間だけを保障するということじゃなくして、その残された期間についての配慮をするということが大事だと私思うのです。そのことを考えておるという意味でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/91
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092・中西一郎
○中西政府委員 先ほど作業期間を長くしたいと申し上げましたのは、その趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/92
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093・受田新吉
○受田委員 作業期間を長くするということになりますと、空白期間を短縮するということになる。そういう方針ということは、それは一体仕事がないのに作業期間を長くするということか、仕事を別につくるということか、あるいは技術的に何かの関係で勤務期間を長くする別の方法があるのか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/93
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094・中西一郎
○中西政府委員 これは各種林業の技術を通じまして、それの発達の度合いその他いろいろあると思うのですけれども、ある季節に非常にピークができるというようなことのピークをならすこともございます。また、谷を埋めることもございます。各種の作業にわたってそういう調整をはかっていき、雇用されたいわゆる非常勤的な身分の人が安定的に、いままで六カ月だったのが十カ月というようなことを含めて検討しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/94
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095・受田新吉
○受田委員 これでおしまいにします。
今度、建設省の委託を受ける業務を御担当される法改正が、提案されている面があるわけです。そういうつまり移動によって勤務を続けるという点もあるし、私、いろいろなくふうがあると思うのです。この不安定な身分にある職員に、何か安定した気持ちを与えるような施策を徹底的に講じていただきたい。そしてそれが一般の公務員の立場と比較してきわめて接近した勤務形態になるように、そしてやがてはそれが林野庁の職員として定員化される方向へ前進する努力を積み重ねていくという、そういう建設的な前進的な方策を具体的に立てていただきたいと思うのです。
希望を申し上げておきまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/95
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096・辻寛一
○辻委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる二十六日十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604889X03519640522/96
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