1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十一日(水曜日)
午前十時二十分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 長谷川四郎君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 足鹿 覺君
理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 大石 武一君
大坪 保雄君 加藤 精三君
亀岡 高夫君 仮谷 忠男君
吉川 久衛君 小枝 一雄君
笹山茂太郎君 野原 正勝君
八田 貞義君 藤田 義光君
松田 鐵藏君 亘 四郎君
東海林 稔君 中澤 茂一君
楢崎弥之助君 西村 関一君
松浦 定義君 湯山 勇君
稲富 稜人君 中村 時雄君
林 百郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 山村新治郎君
出席政府委員
総理府事務官
(行政管理庁
政管理局長) 石川 準吉君
総理府事務官
(行政管理庁行
政監察局長) 山口 一夫君
農林政務次官 丹羽 兵助君
農林事務官
(農林経済局
長) 松岡 亮君
農林事務官
(農政局長) 昌谷 孝君
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 宮崎 仁君
大蔵事務官
(理財局資金課
長) 海堀 洋平君
大蔵事務官
(銀行局特別金
融課長) 新保 実生君
農林漁業金融公
庫総裁 清井 正君
専 門 員 松任谷健太郎君
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三月十一日
委員加藤精三君及び三池信君辞任につき、その
補欠として木村武雄君及び伊東隆治君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員木村武雄君辞任につき、その補欠として加
藤精三君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
農業改良資金助成法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八三号)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八六号)
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
の一部を改正する法律案(内閣提出第九〇号)
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午前十時二十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
いずれも内閣提出にかかる農業改良資金助成法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/1
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002・芳賀貢
○芳賀委員 この際、農林漁業金融公庫法の審議にあたりまして、山村行政管理庁長官にお尋ねしたいと思います。御承知のとおり、公庫法の改正案文の中には、第九条の監事の監査規定について改正を企図されておる。この改正案は簡単なものでございますが、これが出された経緯を検討しますると、これは三十七年の十二月に、行政管理庁において各公社、公団、公庫あるいは事業団等の行政監察の結果、国の公共企業体における監事の機能が非常に弱体化しておる、十分機能を発揮しておらないという指摘に基づいて、各公社、公団等における監事の規定を、もう少し機能が発揮できるように明文化すべきである、こういう勧告が出されたことは、長官も御承知のとおりであります。したがって、その勧告を受けて、今国会においても、およそ七つの公庫が、同様の監事規定の改正案を各法律案の中で提案しておるわけです。したがって、この点について、行政管理庁長官から、なぜたとえば農林漁業金融公庫法の中において、いまに至って監事規定の強化の改正案を出さねばならぬかという主要な理由について、長官の立場から御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/2
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003・山村新治郎
○山村国務大臣 お答え申し上げます。
御指摘の、行管がこの公団、公社の監事制度の問題につきまして勧告をいたしましたのは、いずれも調べてみますと、どの公団、公社におきましても、あるいは特別の国鉄であるとか電電であるとかは別にいたしましても、たいていの公社、公団におきましては、いわゆる監事制度がほんとうの名目だけの役職になっておる傾向があるということでございます。こういうことでございましては、監事制度の本来の性能を発揮することができませんので、これを強化する必要があるという意味から、先般の勧告をいたした次第でございまして、この間におきましても、農林並びに建設両省関係の公団、公社は、一応次官通達をもって、主務大臣に監事の報告をするということはできておったようでありますが、実際におきましては、ほとんどの公団、公社が、そのせっかくの通達がございましても、これを実行しておらなかった現状でございます。こういうことは、やはり法文の上に明確化されておらないという点にあると考えまして、政府といたしましては、今回の提案となった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/3
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004・芳賀貢
○芳賀委員 いまの御説明でありますが、各公社、公団、公庫等においても監事の規定は明確にされておるわけですね。しかもその選任にあたっては、農林漁業金融公庫法にいたしましても、監事の選任は総裁と同様でありまして、主務大臣が内閣の承認を得て総裁並びに監事についてはこれを任命するということになっておるわけです。したがって、任命の規定から見て、総裁と同様に、監事は内閣の承認のもとに主務大臣が任命をする。そこに監事としてのある意味における独立性、主体性というものが、この制度の中において確立されておるわけですね。それにもかかわらず、内閣の承認を得て任命された監事が十分の機能を発揮しておらぬということになると、それは法律に明文化されておらないから機能を発揮できないのか、任命した場合の人選に不適格があったので、監事がどれもこれもそろって十分の仕事ができないものであるか、その辺はやはり行政管理庁として十分判断されたと思うわけです。人物は適当であるが、法律の制度上欠陥があるのでできなかったのか、制度上は十分やれることになっておるが、たまたま人選した際、その玉が悪くて役に立たなかったのか、その点は管理庁の立場からどう判断されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/4
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005・山村新治郎
○山村国務大臣 私は、大体いろいろな原因があると思いますが、いままでの監事制度というものが、その主体性とその自主性が確立されないで運営されておったということが、原因になっておったと思います。一つは、あるいは人物の問題があると思いますが、しかし、人物につきましては、十分に調査し、十分に研究した結果、選考した人物でございますので、一応人物の問題はさておきましても、その監事機構の構成が、法律的に主務大臣に直接報告しなくちゃならないという義務づけがないところに、つい監事が主管大臣にその監査の結果というものを報告しなかった原因もあるようにも考えられる次第でございます。
なお、勧告の内容にもございましたように、監事がいろいろな仕事をする手助けとなる機関というものが整っておらない公団、公社等もだいぶあったようでございますが、これらの点もつけ加えて勧告をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/5
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006・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、たとえば改正案文によると、公庫法の場合には、第九条が監事の概定になっておるわけですが、第九条に一項を加えて「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は総裁を通じて主務大臣に意見を提出することができる。」こういう改正案が出ておるわけですが、これがいわゆる管理庁の勧告に基づいて、各公団、公庫等が今国会において改正を企図しているわけですね。それで、われわれがこの改正案文を見ると、たとえば監事が監査の結果を主務大臣に報告あるいは意見を具申しようとする場合においても、総裁を通じて提出しなければならぬとか、意見を具申しなければならぬということにこれはなっておるわけですね。これは管理庁の勧告の趣旨と非常に違うのですね。その点はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/6
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007・山村新治郎
○山村国務大臣 お答え申し上げます。
管理庁の勧告は、御指摘のように、監事が主務大臣に直接報告をすべきだという勧告をいたしたのでございますが、政府部内におきましても、いわゆる公団、公社等の一体性の立場から、すなわち、監事と総裁あるいは理事長がみな対立してはならないという立場から、一応理事長あるいは総裁を通じて主務大臣に意見を具申したらよろしいじゃないかという意見があったのは事実でございます。その間においていろいろ折衝があったのでございますが、総裁にいたしましても、あるいは理事長にいたしましても、これを通ずるということは、単なる一つの通過機関でございまして、これによって総裁やあるいは理事長が監事の意見というものをチェックするものではないということを確認した上におきまして、一応勧告の趣旨は貫かれているという考えから、これに賛成いたした次第でございます。
なお、参考までに申し上げますが、先般の閣議におきまして、建設省関係の問題が起こりました際に、この行管勧告のとおりに、直接大臣に意見を申し述べるということに修正の趣がございましたときに、国会におきましてもし御修正がある場合におきましては、その修正に対しましては反対はしないということを閣議決定としてきめておりまするし、同時に、そういうような修正がありました場合におきましては、今後機会あるごとに、その方向にすべての公団、公社を統一するということを閣内の統一意見としてまとめた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/7
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008・芳賀貢
○芳賀委員 そうなればなおさら、たとえば法律の改正を行なう場合においても、これは閣議決定が必要なわけでしょう、内閣提出の法律案とか改正案を出す場合。ですから、そのとき、これは総裁を通ずるということになっておるが、これは管理庁の勧告と趣旨が違うじゃないかということをあなたがその際指摘されて、正確を期されたほうがよかったのです。国会の審議の過程で、これはおかしいじゃないか、国会のほうからの指摘が出て、すでに一、二の委員会においてはこれを修正議決したような経過もあるわけです。そういうことで、今度は全く後退してしまって、いや、修正されても反対はしないということであれば、最初から、わざわざ管理庁が勧告まで出したわけですから、あなたも閣僚の一人であるし、法律の提案とか改正の場合は、やはり趣旨を貫くという努力をされたほうがいいのじゃないかというふうに考えるわけです。われわれは管理庁の勧告を見て、この改正の案文というのは、全く趣旨に反するのではないかというふうに最初から考えておった。それで、特にきょうは長官の出席を求めて、意見を明らかにしておいてもらいたいと思ったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/8
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009・山村新治郎
○山村国務大臣 先ほど申しました先般の閣議決定の事項は、率直に言いますならば、行管の勧告の方向でございますので、私としては、もとよりこれは賛成でございます。ただ、この法案を出す過程におきまして、なぜ私のほうでもって原案に賛成したかという問題が御指摘の問題だろうと思いますが、もとより私といたしましては、ぜひ勧告どおりの実現方についての主張をいたしましたが、一面の理論といたしまして、やはり公団、公社の一体化というたてまえから考えますときに、ほんとうにチェックする機関でなければ、総裁や理事長を通じましてその意見が主務大臣に参りましても、決して勧告の趣旨を曲げたものじゃないという解釈から、原案に賛成いたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/9
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010・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、次に、これは長官でもあるいは事務当局でもいいのですが、従来の公庫の監事規定に基づいて、たとえば主務大臣に対して報告とかあるいは意見の具申ができなかったのか、あるいは総裁に対して監査結果に対しても意見を述べることができなかったのか、その点はどうなんですか。そういうことができない規定になっておったから、法律の改正をしなければならぬという勧告であるのか。やれるのだけれども、法律に明確さを欠いて、監事が十分行動ができないから、蛇足のようなものであるけれども、何かつけ加えたほうがやりやすいというものであるのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/10
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011・山村新治郎
○山村国務大臣 それはできなかったことはなかったと思います。特に建設省や農林省関係の公団、公社等におきましては、次官通達をもってはっきりこれが指示されておる次第でございます。ところが、実際には主務大臣に監事の意見というものが伝達されておらなかったというのが、公団、公社の実態でございましたので、これを指摘いたしましたのが先般の私どもの勧告でございます。したがいまして、やはり法文の上に明確に書いたほうが、監事としてもやりいいし、同時にまた、監事の機能というものがその与えられた職責を十分に果たすゆえんであると考えまして、今回の提案となった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/11
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012・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、ほとんどいままでは、重要な問題等についても、主務大臣に対する意見の具申とか監査結果の報告というものは、各公団、公庫、公社等においても監事が全然行なっていないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/12
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013・山村新治郎
○山村国務大臣 個々の公団、公社等の問題につきましては、監察局長から御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/13
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014・山口一夫
○山口政府委員 お話のとおり、各種の公庫、公団に対しては、それぞれ主務大臣が一般の監督権を持っております。したがって、この監督権の発動といたしまして、必要に応じて監事から意見を聴取されることも事実上はできたわけです。しかし、従来そのような例はございませんでした。さらに、先ほど長官の答弁にございました建設省あるいは農林省におきましては、それぞれ大臣の訓令あるいは通達、事務次官の通達というような形式をもちまして、必要な場合には監事から直接大臣に監察結果の意見を具申する道が開かれていたのでございますが、この道のもとにおきましても、それが行なわれたことはいままでございませんでした。したがって、やはり事実上は、監督命令の一環としてできるにいたしまして、このような制度を法律の上で明確化しておくということのほうが、監事としても権限を行使する場合に背景ができますし、またそれによって、必要の場合にはこういう措置がとれるということになりますので、明確にする意味で一項を追加させていただいた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/14
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015・芳賀貢
○芳賀委員 長官にお尋ねしますが、あなたは経歴が官僚出身の国務大臣ではないから、率直に判断できると思いますが、たとえば公社、公団等の人事についても、天下り人事ということが常に批判の的になっている。したがって、各企業体の役員人事というものは、ほとんど官僚の古手が総裁あるいは理事、監事になったのです。ですから、監事が十分機能を発揮できないという原因の一つには、この天下り人事の弊害というものが、私は最大のガンをなしておると思いますが、長官としては、その点はどう考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/15
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016・山村新治郎
○山村国務大臣 監事の機能が十分に発揮できない原因は、いろいろの原因があったと思いまするが、確かに見方によりましては、天下り人事というような形のものが、ほんとうに形式的な監事をつくったという原因もあったよ、私個人としてはやはり芳賀委員と同感でございます。したがって、また反面におきまして、監事のスタッフをそろえるとか、あるいは監事の機能、権限を強化するというような形をとることによって、いままでどちらかといいますと、飾りもの的な監事の役というものが、ほんとうに与えられた機能を発揮するゆえんになると考えて、今回提案したのであります。
問題は、天下り人事のことにつきましては、ただいま議運におきましてもだいぶ問題になっておりまして、それによると、明後日あたりの委員会におきまして、この問題について討議がなされるということも承っております。私は、あくまでもこれは適材適所の人事を行なうべきである。したがいまして、もとよりおやめになりますところの高級官僚の方々も、やはり国民の一人として就職の機会というものは与えられてよろしいと思いますけれども、あまりにこれが妙な形において天下りというような印象を与えられることにつきましては、そろそろこの問題につきましては、やはり国会なり内閣で取り上げて、何とかしてそういうような誤解を解くような方向に持っていくべき時期がきているような気がいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/16
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017・芳賀貢
○芳賀委員 もちろん私どもも、役人の前歴のあった人に対しても、やはり基本的な人権の尊重の上からいえば、就職の自由とか職業選択の自由というものは、当然これは尊重しておりますが、たとえば私も過去二ヵ年にわたって決算委員会の理事をやっておったわけですが、そのときも、各公社、公庫等の役員の前歴がどういうものであるかということの詳細な一覧表を決算委員会に提出を求めて、それを検討したこともあるわけですが、ほとんど前歴が役人の古手といっては失礼でありますが、そういう人事が行なわれておる。しかし、総裁とか理事、監事の環境を見ると、やはり総裁とか監事の場合には、前歴が同じ役所であるとか、あるいは先輩後輩の関係に置かれておるとか、そういう因果関係にあるわけです。あるいは監事を数年やって、その次は理事に回るとか、そういう内部の理事、監事の異動等も行なわれておるという事実もあるわけです。たとえば、公庫とはちょっと話が違うが、問題を起こしました東北開発会社の場合においても、これは全く内容がずさんきわまるものであって、役員の総退陣とか人事の刷新をやらなければ、国策会社として経営ができないというような点については、これは管理庁からもしばしば指摘された事案になっておるわけです。ですから、単に法律上に明確を欠くから監事の機能が発揮できないというのではなくて、むしろ根源は天下り人事の弊害というものが今日の事情をかもしておると思うわけです。ですから、この点に対して、やはり管理庁長官の立場において、率直に総理大臣はじめ主務大臣等に対しても意見を述べ、あるいは勧告を発して、根本的な改善をはからせる必要があるというふうにわれわれは考えておるわけですが、こういう点についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/17
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018・山村新治郎
○山村国務大臣 行管に対する激励のおことばをいただきまして、非常にありがたく考えておりますが、実際問題といたしまして、公団、公社の人事をどうきめるかということはむずかしい問題じゃないかと思います。でき得ることでございましたならば、公団、公社というものをつくった以上は、適材があれば民間の方々も大いにこれを登用して、公団、公社で働いてもらいましたならば、公団、公社をつくった一つの目的も達せられると思うのです。ところが、民間から相当の適材をとろうといたしますと、実際には公団、公社の待遇をもってしてはなかなかそれにこたえられないということ等もございますし、同時にまた、でき上がりました公団、公社の目的を遂行するためには、どうしてもその仕事に明るい者を選ぶというような形が、多少いままでの役所関係と関連を持つゆえんもあるかとは考えております。しかし、それにいたしましても、同じ広い役所でございますので、この同じ広い役所の役人の方々が、少なくとも政府機関の延長であるところの公団、公社等に就職する機会というものは、どの役所におきましても均等であつてしかるべきであるというのが私の考えでございます。したがって、もとより適材適所というものを考えるべきでございますけれども、この人選にあたりましては、やはり慎重な注意を要することと思うのでございます。しかし、これはなかなか慎重な注意だけではできませんので、私は、そろそろ制度化の必要があるのじゃないかという私見を持っております。これはまだ私見でございますので、正式な閣僚としての発言はどうかと思うのでございますが、いずれにいたしましても、公団の監事制度の一つの問題として、御指摘のように、何か古くなった官僚の連中が、その捨て場として公団、公社の監事になったという感じを与えておったのも事実でございますので、これらの点は、今後十分注意をしてまいりたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/18
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019・芳賀貢
○芳賀委員 次に、この機会ですから、管理庁の監事機能の強化問題に対する勧告事項というものが四点に分かれて出されておるわけですが、その点の主要な部分だけについて、趣旨を明らかにしておいてもらいたいと思うわけでございます。
第一の「監事の職務権限と責任の明確化について」「職務権限については、現行法の規定に加え、次の事項を設立基本法において明らかにするよう措置する要がある。」その(1)としては、「監事は、監査結果にもとづいて、公社等」——これは公団、公庫、事業団共通でありますが、「公社等の業務に関し改善を必要とする事項があると認められるときは主務大臣に意見を提出し、または総裁(理事長)に意見を述べることができること。」——これは当然のことですが、こういうことをあえて勧告しなければならぬような事態に、監事の業務実態というものは弱体化しておると思うのです。それからその(2)としては、「主務大臣は監事に対し、公社等監督上特に必要があると認める事項について監査し、およびその結果を報告すべきことを命ずることができること。」その(3)は、「公社等が毎事業年度主務大臣に提出する財産目録、貸借対照表および損益計算書に監事の意見を付し監査報告書を添付すること。」これが勧告の第一点でありますが、これらの点について、たとえば今回の法律改正が行なわれた場合においては、十分所期の目的が達せられるものであるかどうか、また今日問題点になっておるのはどういう点であるか、これは事務的な面に及びますから、長官でなくとも、局長からでも差しつかえありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/19
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020・山村新治郎
○山村国務大臣 最初に私からお答え申し上げます。
今回の法律改正によりまして、監事制度が強化されましたならば必ず行管の勧告のような目的が達せられると存ずる次第でございます。すでに先般の行管の勧告の結果におきましても、いままで監事制度というものがほんとうに名目的な存在でございました公社、公団が、監事室をつくり、あるいは監事の助手をつくる等いたしまして、仕事の内容につきましても強化されてまいったのは事実でございます。したがって、今回の法律改正によりまして、一応主務大臣に監事の意見が具申されることになりましたならば、相当監事の立場というものは明確化し、同時に、その能率は相当あがってまいると考える次第でございます。
補足の答弁は局長からいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/20
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021・山口一夫
○山口政府委員 監事の職務権限と責任の明確化につきまして、お尋ねのような勧告をいたしたのでございます。この勧告をいたしましたもととなりました、監事の仕事のやり方あるいはその監事のあり方等につきましては、長官から御説明のあったように、一言にして申しますと、きわめて弱体であり、低調であったということが、二十二の公団、事業団等を通じていえると思うのであります。それで、それぞれの公団につきまして個々の事情を検討いたしました結果、全体を通じまして、特に顕著な監事の機能が振わない原因として考えられましたものが、大体三点あるのでございます。
その一つは、公社、公団等の監事が、お話しのように政府から任命され、任免につきましては明確な規定があり、また監事が一応執行機関と対立した組織としての形はできておるのでありますが、その監事の職務権限と責任が明確になっていないということが、一つの弱体の原因ではないかと思うのであります。職務権限並びに責任に関する規定といたしましては、各公団公庫の基本法を通じまして、いずれも監事が公団あるいは公庫の業務を監査するという一項目があるだけでございまして、それ以外に、主務大臣との関係等が法律上明確になっていないという点があったのであります。その点が勧告にして出しました第一の点であり、ただいま御議論の対象になっております主務大臣に対する意見提出権の問題でございます。これは法律上明確化するということによりまして、この点の弱体化は将来補強できるのではないかと考えております。
第二点といたしまして、監事の監査の目的、あるいは監査の方法、監査結果の処理等につきまして、これはいかなる方式で運営していくかという、運営方式がまちまちであり、思い思いである。もっとも、一部の公社等におきましては、その点がかなりはっきりしておるのでありますが、大体、二十二の公団、事業団を通じまして、運営方式が明確を欠いておるという点が第二でございます。
さらに第三点といたしまして、先ほど申し上げましたように、職務を執行いたしてまいります上に、監事の監査の組織が整備されていない。中には常勤監事の設けられていないものなどもございまして、専任の職員といたしましては、二名ないし数名程度のものがよいところで設置されておるという程度でございまして、その他一般の職務遂行につきましては、理事機関の下部組織を使いまして、その援助によって仕事をやっていくというような状態でございましたので、これらの点につきまして、仕事が十分できるようにしてもらいたいというのが第三点でございます。
さらに、これらに関連いたしまして、監事全体の処遇の問題等もございますが、それらを合わせまして、こういう監事の弱体化を補強するための方策、特にその根本になる責任の明確化等につきましては、法制化の必要のあるものは法制化する、また法制化を、待たずに実行できるものについては実行してまいる、こういうことで、先ほどお話のございました勧告をいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/21
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022・芳賀貢
○芳賀委員 先ほど私は第一点だけについてお尋ねしたのですが、いま第二点の監事監査の運営方式の明確化の問題、それから第三の監事監査組織の整備の問題、第四の監事の処遇改善についての問題、こういうふうな説明を受けたわけですが、たとえばこの第四の監事の処遇改善の問題について、これは監事に対する給与等も含めての処遇改善というふうに受け取れるわけですが、特に勧告された以上、たとえば総裁、理事等に比較して、監事の経済上、身分上の処遇というものは、それほど劣悪であるかどうか、その点は長官としてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/22
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023・山村新治郎
○山村国務大臣 大体におきまして、理事よりも月額におきまして二万円ないし三万円程度の低額の給与が与えられておったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/23
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024・芳賀貢
○芳賀委員 給料を相当上げればもっとできるということになりますか、それとも、給料を上げることによってさらにより適確な人材を得るということでありますか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/24
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025・山村新治郎
○山村国務大臣 それは単に給料ばかりの問題をさしたものではございませんわけでして、現に監事の手助けになる助手も全然おらないものもあるわけでございますし、そういう点は、これは人間一人でもって、たとえどんな小さい公団、公社でありましても、監事の責務を遂行するわけにはまいりませんから、これらの手助けになる人をつくるべきであるという点も、つけ加えて勧告いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/25
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026・芳賀貢
○芳賀委員 長官の言われたのは、監事の処遇じゃなくて、第三点の監査組織の整備の問題だと思うのです。私は、監事の処遇改善というのは、勧告の中にも出ておるが、「監事本来の権限と責任を十分に果すためには、上記の監事機能の強化措置と併行して、処遇面においても、理事者との均衡をはかるよう措置する必要がある。」こういうことが勧告に出ておるわけです。ですから、私の聞いたのは、給料が安過ぎるから十分仕事ができないのか、総裁や理事と均衡のとれるようにしてやれば、現在仕事をやっている監事であっても、もっと十分仕事ができるようになるのか、そういう処遇の問題と、あるいは処遇をよくするということが前提条件であれば、今後新たに監事を任命する場合において、現在よりもさらに質的に優秀な監事を確保することができるか、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/26
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027・山村新治郎
○山村国務大臣 私は、処遇という問題は、決していわゆる月給だけの問題じゃないのじゃないかと考えております。たとえば監事室というものは、いかにも理事長室、総裁室に比べて非常に貧弱な、見劣りのする部屋に押し込まれているという現状がありましたならば、そのこと自体が、処遇の劣悪、監事の職分というものを非常に軽視するという傾向になることを憂えておったのが、この行政管理庁の勧告案の処遇の改善というものの趣旨であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/27
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028・芳賀貢
○芳賀委員 これはそれほど重大な問題ではないから、この程度にしておきますが、以上の問題を総括しても、今回政府が提案したこの監事の権限強化の改正点というものは、われわれの判断からすれば、何も法律にいまごろ明文化しなくても、監事の責任遂行ができないものではない、監査行政ができないというものではない、しかし、法律上そういうことを明文化しておけば、仕事がやりやすいということであれば、あえて反対するものではないが、しかし、総裁を経由しなければ主務大臣に報告ができないとか、意見の具申ができないということになると、これはむしろ監事の権限とか機能というものを——しかも、国民的視野から監事が各公庫、公団等において監査業務を行なうということになれば、そういうものを経由しなければ出せぬというものではないと思う。むしろ、こういうことを法律に書くことは、監事の固有の権限を圧迫する、縮小させることになるわけです。これは当然排除しなければならぬ問題であるし、こういう点についてこそ、行管があくまでもこの正当な主張を展開して、そして誤りをなきようにすべきであるとわれわれは考えておった。そういうような明確な態度が管理庁になければ、今後の国の行政組織の中における責任のある行政の運営というものはなかなかできないと思うのであります。そこに行管の使命があると思う。ですから、こういう点に対しては、この表現が、形式上そうしたほうがいいというような法制局的な解釈なんというものは排除して、これはやはり明確にしておく必要があると思うのです。今後の問題にもかかる点ですし、特にあらゆる法律に対して管理庁が、この法律に対してはこういう点を改正すべきであるとか、明文化すべきであるという勧告をなすったことは、あまり前例がないと思います。ですから、こういう点に対して、やはり長官として、審議の都合上責任ある態度を表明しておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/28
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029・山村新治郎
○山村国務大臣 この法律が提出されるまでの間におきまして、政府部内におきましていろいろの議論のあったことは、御承知のとおりでございますが、特に行管といたしましては、勧告をいたしました関係もございまするし、また行管の勧告が正しいという考えから、ぜひ主務大臣にという主張をいたしておったのでございますが、反面におきまして、やはり先ほど申し上げましたように、一つの公団の中に、何か監事の流れと総裁や理事長の流れというものと、二つの流れができるということは、公団一体化の原則から考えるときに、妙な人事関係等の確執が起こってもいけないという議論もあったのも事実でございます。この点を考えますときに、要するに、私どもの勧告いたしました趣旨というものは、公団の監事の考えておりますことが主務大臣に伝わるようにというのが趣旨でございますからして、これは一応どういう意見が主務大臣に出されたか、理事長や総裁が全然知らないでも困るのではないかというたてまえもございまして、一応単なる通過機関、いわゆる形式的な取り次ぎ機関という意味合いであることを確認いたした上におきまして、やはり行管の趣旨というものが貫かれているというたてまえから、この原案に賛成いたした次第であります。しかし、その後のいきさつもございまして、先ほど申し上げたように、周議におきましては、公団の監事のたてまえから、もし国会で御修正があれば、これに応じようではないかということになりますれば、行管としては、実はその最初の目的がなお一そう強固に貫かれたものと考えておる次第でございますので、いずれにいたしましても、政府原案を出すまでのいきさつにおきましては、いろいろの意見もございまして、やはり先ほど申し上げたような点において、公団の中に二つの流れを妙なふうにつくるということも、これを阻止しなくてはならぬという意見も尊重いたしまして、原案に賛成したような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/29
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030・芳賀貢
○芳賀委員 大体この問題に対してはその程度にしておきますが、この機会に、こういう機会ですからお尋ねしておきますが、行管が監事規定の強化を勧告されたことはけっこうですが、この際、行管自身の強化というものが必要かいなやですね。これはあなたが就任されてまだ一年たたぬのですが、どう考えておるか。勧告を出す御本尊である行管自身が、この程度で十分機能を発揮されるものか、もう少しこれは機能を強化する必要があるというふうに考えておるか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/30
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031・山村新治郎
○山村国務大臣 私も行管へ参りましてからまだ一年になりませんが、その間におきまして、行管の仕事をいろいろ勉強させていただきますと、ほんとうに少ない定員で、行政の全部の問題に取り組んでおる現状を考えますときに、なかなか容易じゃないということは、職員の連中に同情しておる立場でございます。しかし、幸いにいたしまして、この行管制度につきましては、各省庁におきましても十分最近理解を深められてまいりまして、行管が勧告いたした問題につきましては、正面からこれと取り組んで、これの改善をしていただいておる次第でございますので、ますます行管の機能というものは発揮できると考える次第でございます。しかし、今後ともなかなかたくさんの問題を控えておる行管でございます。特に臨調の答申等も出てまいりました暁におきましては、相当行管といたしましての仕事は山積されてまいると思いますので、一そう張り切って仕事に打ち込むつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/31
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032・芳賀貢
○芳賀委員 たとえば、行管と会計検査院を比較すると、これは性格が違いますが、会計検査院の場合には、これは憲法の規定もちゃんと明確になっておるのです。独立した機関としての機能を発揮しておるが、行管の場合には、総理府の一部ということにもなっておって、組織、機構についても、これは行政的な性格が非常に強いわけですね。ですから、そういう性格に置かれて、そうして政府の各機関に対して監察の結果、勧告とか指摘を十分に行なうということは、なかなかやりづらい点も私はあると思うのです。これは行政組織上の問題で、ここで一長一短を論ずる機会ではないが、こういう点は、やはり就任された長官が十分その体験を通じて、今後改善すべきものは改善の方向を打ち出していく必要があるのじゃないかというふうに思うのです。私たちも、歴代の行政管理庁長官がだれであるということをなかなか知りづらいのですね。国務大臣ではあるが、じゃ、いまだれが行管長官になっておるかということはわかりづらいのですよ。それほど評価されていないというか、あるいは山村さんに言うのではないが、国務大臣であるけれども、行管長官というのは、何か伴食大臣的な、三等大臣的なものじゃないか、そういう国民の判断が行なわれておるということは、これはまことに遺憾にたえないことなんです。それだけに、やはり国務大臣としての権限と地位を持って、行管をあずかっておるわけですからして、この機会に、行管のあり方とか、今後の組織の改善等の問題についても、あなたが在任中に十分やってもらいたいと思うわけです。
それから、もう一つお尋ねしておきたいことは、やはり行管の仕事というものは、政府の各機関に対して欠点を指摘したり、あるいは改善する点に対して勧告を発するというような仕事であるわけですからして、その仕事をやる職員の地位とか身分等についても、これは十分配慮が行なわれる必要があると思うわけです。たとえば人事の問題にしても、会計検査院の場合は、原則的には他の省と人事の交流をしないというのがたてまえになっておるわけです。それだけ独立性を保って十分その機能が発揮できる。そういう目的から、絶えず人事交流はやらぬということで貫かれておるわけですけれども、行管の場合にはそういうことじゃないと思うのです。これは総理府の役人ということに当然なるわけですからして、そうなると、行管の職員が十分自分の地位に安んじて十分な仕事をやるということになると、そういう点からも支障が生ずるようなこともあり得るわけですね。ですから、やはりこういう監察行政をやるというような立場の職員については、たとえば十分身分とか処遇とか、そういう点についても、単に勧告するばかりが能ではないから、自分自身に対しても改善すべき点というものは明らかにしていく必要があるのではないかと思います。こういう点に対しては、就任後日も浅いと思いますが、毎年内閣改造ごとに行管長官は異動しておるようなことになっておるので、あなたが今後長いか短いかわからぬが、そういう点についてはどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/32
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033・山村新治郎
○山村国務大臣 行政管理庁は、いわゆる戦後でき上がった役所であり、同時にまた、見方によりますると、世界にも類例のない、日本的な特殊な役所でございます。したがいまして、その成果につきましては、これは日本国内のみならず、世界じゅうの政治家や行政官というものが相当注目しておる機構でございます。したがって、見方によりますると、御指摘のように、非常にじみな役所でもございまするし、反面におきまして非常に重要な役所でございます。この点につきましては、私はじめ関係職員は一体となりまして、この職責の重要さを認識して職務に取り組んでおる次第でございまするが、御存じのように、大体歴代の長官は、私以外の大臣はたいていいわゆる自民党の中の大物が大臣になっております。したがって、決して行管という職分を内閣として軽視しておるのではないと私は考える次第でありますが、しかし、この日本の特殊の立場、機構によってでき上がりました行管の職責を、これからなお一そう能率を上げてまいり、行政のためにお役に立ってまいるということは、これは容易なことじゃないと考えております。あくまでも行政が民衆のものであり、国民のものであるという観点に立って、すべての行政を監察してまいり、すべての行政を管理してまいりたいつもりでございます。
幸いに、本年度の予算におきましては、一応例の行管に直属いたしますところの行政相談員の方々も相当増員された次第でございますので、各町村に相談員が大体でき上がります。そうなりますと、国民の皆さんも、行政といりものは自分のものだ、国民のものだということに再認識をされまして、その相談員の方を通じて、相当に行政に対する御注文も参ることと思うわけでございます。いわゆる苦情相談等も参ることと考える次第でございます。私どもは、この国民の声に十分耳を傾けまして、真剣に前向きの姿勢をもって、行政の改善の点に向かって突進してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/33
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034・芳賀貢
○芳賀委員 あなたは世界に例がないというようなことを言っておったが、それは諸外国に比べて、わが国の場合は、たとえば総理府の中に行政管理庁というのがある。そういう例はあまりないのですよ。外国の監察機構というものは、これはもう独立した一つの性格を持ったそういう機構が確立されておるのです。外国のは、本来的なりっぱな監察機構というものが国家機関として独立しておるが、わが国の場合には総理府の一部局的なもので、そこで行管の仕事、監察行政をやれというところに問題があって、それが世界に類例のない一つの変質的なものであるということで、注目を浴びておるわけでね。これは自慢した問題じゃないのですよ。私が管理庁の機構の根本的な改善とか再検討を要すると言うのは、そこを言っておったわけです。ところが、いみじくも、あなたはそれをかえって自慢なようなことを言っておるが、これはもう一回勉強し直してもらわなければいかぬと思うのです。こういう例はあまりないのですよ。
この点だけを申し上げまして、きょうは公庫法の改正の問題について出席をいただいたので、私の質問はこれで終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/34
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035・山村新治郎
○山村国務大臣 別にお答えする必要はないかもしれませんが、行管に対する激励の意味のおことばであったと拝承いたましすが、私が世界にも例のないということをむしろ自慢のように申し上げたということは、やはりこれは私は私なりの観察でもって、ものの見方でございますけれども、そういう見方をしてよろしいと思うのです。すなわち、各国におきましては、いろいろ監察制度につきましては、たとえば日本の会計検査院のような立場の強化されたもの等もございまするが、はたしてこれがほんとうの行政改善に役立つかどうかということになりますと、なかなかむずかしい面がたくさんあると思います。したがって、日本の行管のような立場において、しかも行政改善に役立つならば、これこそほんとうに民主的な行政改善の機構であると私は考えます。しかし、いずれにいたしましても、私どもは今後この問題に取り組んでまいりますことは、容易ならぬ仕事でございますので、皆さまの御激励を何ぶん今後ともよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/35
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036・高見三郎
○高見委員長 林百郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/36
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037・林百郎
○林委員 私は原資のことを若干質問したいのでありますが、農林漁業金融公庫法の二十四条で、借り入れ金について、「外国の銀行その他の金融機関から外貨資金の借入をすることができる。」というのがあるのですが、この趣旨はどういう意味ですか、まずお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/37
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038・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 これは前例はございませんが、必要によっては、特に長期低利の資金等について、外国の市場で借りてくることはできるという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/38
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039・林百郎
○林委員 この場合の外国というのは、どこのことを考えておられるのですか。われわれとしては、とりあえず具体的に考えられるのは、アメリカから借り入れるということが考えられるわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/39
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040・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 この法律ができました当時は、現在でもわが国はどちらかといえば資本が不足の国でございますが、当時は、今日に比べまして一そう足りなかった状態でございます。そういうこと等から、こういうこともあり得るということで、この規定が入ったと考えるのでございますが、特定の国を特に予定して考えた規定ではございません。これはアメリカもございましょうし、スイスとか西ドイツとか、そういった国も、そういう事態が起こりました場合には考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/40
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041・林百郎
○林委員 いま私が質問申し上げているのは、御承知のとおり、アメリカの余剰農産物が日本へ入ってきて、それがいま日本の農政の上で非常に大きな影響を与えているわけです。参考人の意見でも、原資の性格が、額のいかんにかかわらず、公庫の性格を決定する重要な要因になるということを言われているわけです。いま貿易の自由化によって、アメリカの余剰農産物が日本へ入れられているときに、あなたのおっしゃるように、アメリカから資本を導入する、借り入れ金をするというようなことが、日本の農業、ことに選択的拡大の農業と調整できると考えられるかどうか。たとえばバナナの輸入によって、リンゴの値が非常に下がって、大きな打撃を受けておる。大麦の生産をほとんど壊滅状態にして、マイロや小麦、大麦がたくさん入ってきている。あるいは鶏のブロイラーが入ってくるとか、あるいはフルーツが入ってくるというような状態で、こういうことが日本の農政にとって非常に大きな問題になっているときに、あなたはスイスとか西ドイツとか言いましたけれども、具体的にはやはりアメリカの資本だと考えられるわけですが、そういうものを導入する場合、そしていま日本の選択的拡大の農業と、貿易の自由化によるアメリカの余剰農産物とが、利害が相反しているときに、調整できると考えられるかどうか、あるいは当分、そういう問題があるときは、アメリカからの資金の導入というのは考えられないのかどうか、その点をお聞きしたいと思うのです。これは将来にとっても重要な問題ですからお聞きするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/41
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042・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 農林公庫の原資を調達するために、現在外国から資金を導入する必要は、われわれとしては全然考えておらないのでございます。特に余剰農産物の輸入を見返りにいたしますような形で政府が借り入れたり、あるいは政府関係金融機関がアメリカから資金を借り入れるということは全然考えておりません。コマーシャル・ベースで商社がアメリカの輸出入銀行等から一時借り入れをするようなことはあるかもしれませんが、政府あるいは政府関係の農林公庫として、余剰農産物を見返りにして低利の資金をアメリカから調達するということは全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/42
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043・林百郎
○林委員 余剰農産物資金融通特別会計というのがありますが、これは御承知ですね。それが、わずかではありましたけれども、三十一年、三十二年、三十三年に農林漁業金融公庫のほうへ出資されていますね、貸し付けされていますね。それは御承知でしょう。この余剰農産物特別会計の余剰農産物というのは、どこの余剰農産物だったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/43
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044・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 当時の余剰農産物は、確かにアメリカの余剰農産物でございます。その輸入を見返りにしました資金を、政府の見返資金特別会計にその余剰農産物の国内での売却代金を積み立てまして、それをいろいろな産業の資金として使用いたしました。それを一部農林公庫が借りたことはございます。直接アメリカから借りたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/44
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045・林百郎
○林委員 あなた御承知かどうか、余剰農産物資金融通特別会計という会計があるのですよ。あなたの言うように、アメリカの余剰農産物を日本に入れて、その返済金を積んでおいて、それを日本の特別会計として使って、しかもそれが農林漁業金融公庫のほうへ入っておるわけですよ。あなた、いま、アメリカから資金を借りるようなことは考えないと言うけれども、これは間接的にはアメリカから資金を入れたことになるのじゃないですか。余剰農産物を向こうから入れて、その金を日本の農林漁業金融公庫につぎ込むわけでしょう。この基金をつくったアメリカが、自分の余剰農産物と衝突するような日本の農業を発展させるために使うことを承知するとお思いになるのですか、どうですか。これは特別の会計があるのです。産投あるいは見返資金へ入れるのじゃないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/45
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046・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 三十一年度、三十二年度、三十二年度に、いまお話しになりました特別会計から、七十八億円農林公庫が借りております。それは御指摘のとおりでございます。しかしながら、先ほど御指摘になりましたのは、農林公庫は直接外国から資金を調達することがあるかという規定に関するものでございますので、そういうことは考えておりませんと申し上げたわけでございます。三十一年から三十三年までの余剰農産物の輸入は、当時いろいろ論議がございましたけれども、事実買い入れて、その見返り資金を特別会計に積み立てて、各種の産業資金として使った事実はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/46
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047・林百郎
○林委員 そうすると、三十一年から三十三年までは農林漁業金融公庫のほうにはそういう形になっておりますが、その後は電源開発のほうへ回しているようですが、この余剰農産物というのは何であって、そしてそれが余剰農産物資金融通特別会計として積まれるようになったのは、どういういきさつだったのですか。何がどこに入ってきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/47
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048・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 その品目別の資料はただいま持ち合わせておりませんが、大体綿花、小麦、葉たばこ、それから大麦、そういう余剰農産物としてアメリカに在庫しておりますものをPL四八〇、公法四八〇号の規定による若干の売りつけ——こちらでは買い付けでございますが、それに従った協定を結んで、買ったのでございます。当時としては、小麦等は相当輸入をしておりますし、いまでも輸入しておりますが、その不足分に充てるために、余剰農産物の買い入れを行なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/48
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049・林百郎
○林委員 その後、三十八年に二十六億、三十九年に二十億電源開発で投資されているのは御承知でしょうね。三十八年、三十九年の電源開発へ注ぎ込まれておる二十六億、二十億というこの余剰農産物は、何だったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/49
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050・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 最近におきましては、従来のような協定で特別のワクとして貸し付けをやっておりません。これは少なくとも農林省関係ではございません。それでよく承知しておりませんが、この電源開発に出された金は、おそらくあれで償還されておる金がございますから、それでさらに電源開発に再投資されたものかと思います。当時借り受けました資金は、非常に長期の、三十年、四十年というような条件であったと思いますので、そのために、国内で投資されたものも、たとえば二十年以内あるいは十年以内で償還されるものは償還されて、アメリカにはまだ返さないで、国内で再使用をされるというものがあるのではないか、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/50
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051・林百郎
○林委員 あなたの言うことはどうもおかしいと思うのです。たとえば大麦にしても葉たばこにしても、あるいは小麦もそうでしょうけれども、そういうのは日本でもやはり生産能力のある作物なんです。しかし、これはアメリカから余剰農産物として入ってきて、御承知のとおり、大麦が全滅的な状態になり、そこへ飼料としてマイロが入ってきているわけです。そういう日本の農業が非常に犠性にされて、入ってきたアメリカの余剰農産物の金を農林漁業金融公庫のほうへ入れるという場合に、今度は日本の麦作を振興するためにアメリカがそれを使わせるとお考えになるかどうか。私は常識として考えられないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/51
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052・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 私も、お説のとおり、いま大麦やマイロやの引き当てにアメリカから長期の借款を受けて、それを農林公庫に使わせるということは、とうてい考えられないと思っております。同時に、最近の大麦の輸入は、昨年の不作のための輸入でございまして、特別に借款を目当てに輸入したものでもございません。それからアメリカ側としましても、現在は日本はもう経済発展の相当進んだ国として、当時行なわれましたような余剰農産物の借款対象の国としては考えていないはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/52
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053・林百郎
○林委員 大麦が不作だからアメリカから入れたというのですが、大麦が生産意欲を失うような価格、あるいは飼料やいろいろな関係ということで、生産意欲を失わした。その大きな原因としては、アメリカから余剰農産物として大麦あるいは飼料が大量に入ってきたからこそ、日本の農民は漸次大麦の生産を放棄するような状態になったとというようなことは、手続的にはどこあなたはお考えになりませんか。日本の農民は大麦の生産意欲はあるけれども、大麦がどうしてもできないので、やむを得ずアメリカから援助を求めて、大麦を入れた、こういうふうにあなたはお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/53
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054・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 向こうからの借款で大麦を入れました当時は、日本では大麦は減産いたしておりません。大麦が減り始めましたのは、最近数年の傾向でございます。これは確かに農林省といたしましては、大麦の作付を転換しようということで、若干の施策を講じた。それを飼料作物にかえるとか、そういう施策も講じたのでございます。それで、最近におきましては、むしろ大麦の輸入は、アメリカからもカナダからもオーストラリアからも、全然やってなかったのでございます。それにもかかわらず、最近においては大麦の作付が減ってまいっております。それはある意味におきましては、大麦の作付転換を推進した面もございますし、最近においては労力不足で裏作をやめるという傾向もございます。そういったことが影響していると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/54
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055・林百郎
○林委員 余剰農産物資金融通特別会計の基本になる、アメリカから輸入された余剰農産物の一覧表を、三十一年ころからずっとことしまで、参考に見せていただきたい。
その次に、農林漁業金融公庫の政府出資金の中に、産投の資金があることは御承知ですね。この産投からの出資金は、本年度幾らを出資させるとか、その出資の運用についてどうこうするがどのようにしてきめるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/55
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056・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 産投会計からの本年度の農林公庫への出資は三百五億円でございます。もちろん、産投会計は大蔵省の所管でございます。それから農林公庫は、大蔵省の指示に基づいて産投会計から出資されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/56
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057・林百郎
○林委員 そうすると、産投の出資金の額、それからそれについての運用方法、そういうことについては、大蔵省と別に相談しなくともいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/57
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058・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 産投会計は大蔵省の所管でございますので、農林省と大蔵省の協議で農林公庫への出資が定められます。もちろん、農林公庫自身も、出資をいつ、早くもらいたいとか、そういうことはございますので、大蔵省へ直接そういった要望を出しまして、産投会計の運用についての話し合いはいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/58
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059・林百郎
○林委員 産投の中に、外貨債の発行金と米国の対日援助債務があることは御承知ですか。どのくらいあるか、ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/59
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060・海堀洋平
○海堀説明員 お答え申し上げます。
産業投資特別会計から、米国の対日援助の返済金を協定に基づきまして支出いたしております。この額は、協定に基づきまして——いま正確には記憶しておりませんが、年間にしますと約四千四百万ドル弱を支出することになっております。
それから、外債を発行することにいたしておることも事実でございます。これは三十九年度につきましては四千万ドルを予定いたしております。四千万ドルの外債発行によります手取り金を日本住宅公団の貸し付けに充てることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/60
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061・林百郎
○林委員 本年度の予算によりますと、外貨債の発行が四百億、米国対日援助債務が、本年度の予定額が約千四百七十一億くらいになっておるわけですか、外貨債の四百億——正確に言いますと四百四億ですか、これは住宅金融公庫へそのまま行くというようにワクがはめられるのですか。これは全部ひっくるめて産投にして、そうして産投の運用として使うのじゃないですか。これはあなた、予算書をごらんになれば書いてある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/61
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062・海堀洋平
○海堀説明員 御存じのとおりに、予算というのは、歳入と歳出から成り立っております。したがいまして、歳入は一応歳入として入り、歳出は歳出として出るわけでございます。ただ、出資は御存じのとおりに、もちろん収益を生みましたら配当もあり得ることは考えられますが、現在のところ、それぞれの目的を持って出資いたしておりますので、まず収益を期待しがたいと考えていいのじゃなかろうかと思います。したがいまして、出資に必要な金は、現在のところ、産投の国有の原資、すなわち、開銀からの納付金とかいうものと、一般会計から繰り入れられる金と、それから産投に資金を持っております。この資金から歳入に受け入れられる額をもって出資財源としまして、外債の発行の金は、外債でございますので、金利がついておりますし、償還も必要といたしております。したがいまして、これは日本住宅公団の貸し付けに手取り金そのままを充てるということにいたしておるわけでございまして、その間に資金の性格によりましては、はっきりと区分がついているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/62
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063・林百郎
○林委員 そうすると、本年度の外貨債発行金は、住宅金融公庫のほうへそのまま使う、そういうワクをはめて発行しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/63
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064・海堀洋平
○海堀説明員 法律的に申しますと、産業投資特別会計が四千万ドルの外貨債を発行できるという総則の規定、それからそれを歳入に受け入れる、予算書の歳入に計上いたしまして、支出のほうといたしましては貸し付け金ということになっております。しかし——実は住宅公団ではございません、日本道路公団でございます。間違っておりましたから、訂正さしていただきます。道路公団に貸しつけるわけでございまして、道路公団は、御存じのとおりに、財政投融資の対象機関でございますが、予算というものの形では国会の審議を経ることにいたしておりませんので、その点がただ貸し付け金と出ておりますが、財政投融資計画の中では、はっきりと産業投資特別会計からの借り入れ金という形で明示されているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/64
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065・林百郎
○林委員 あなたの言うのは、この予算書をごらんになればわかりますが、違いますよ。今年度の外貨債によって産投へ繰り入れる金と、日本道路公団の貸し付け金の額は全然違いますよ。こんなことは一致なんかしていませんよ。私の言うのは、要するに、外貨債の発行による金額と、それから対日援助見返り資金か産投へ——私の言うのは、あなたはそういう形式的なことを言うけれども、実際は、外貨債を発行して借り入れた金と、対日援助見返り資金、これは前からのものでありますが、これを引き継いで産投になっておりますけれども、それは全体として産投の特別会計の中へ繰り入れられて、そうして産投は産投で新たな貸し付け計画を立てるのであって、あなたの言うように、産投はただトンネルであって借りるときから出るときまでひもがついておるなんということは、事実と違いますよ、あなたがそんなこと幾ら言ったって。だから、私の聞くことは、産投の中にそういう外貨債や対日援助見返り資金が繰り入れられておるから、産投の性格全体は、やはり日本の国とアメリカとの間の、どういう場合でどういう相談をするにしても、了解を得ながら投資計画をつくらざるを得ないのではないか、そういうことを聞きたくて、そう聞いて、入り口のところであなたと押し問答しているわけだけれども、あなたのはちょっと違うのじゃないか。予算は歳入と歳出とあるなんということは言わなくてよい、国会議員はわかっておるのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/65
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066・海堀洋平
○海堀説明員 もう一度繰り返すようでございますが、形式的には歳入と歳出に分かれておりますので、いま申されたように、この金がここにひもがついておるのだというふうには、ちょっと歳入、歳出の形からは、歳入と歳出が別になっておる限り、直ちには言えないわけでございますが、先ほど実質的に御説明いたしましたように、出資金というものは収益を生まないわけでございます。したがって、利子のついていない金を充てる以外にないわけでございます。外貨債の発行による収入は、これは外貨債を発行いたしますと、それは償還を要するとともに、利払いを必要とするわけでございます。したがいまして、この金は貸し付けに充てる以外にないわけでございます。そういう意味で、四千万ドル発行いたします外貨債の収入は、日本道路公団の貸し付けに充てるということで、予算を編成され、財政投融資を決定いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/66
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067・林百郎
○林委員 農林漁業金融公庫法の三十二条に、米国対日援助見返資金特別会計の農林漁業者に対する貸し付けにかかる債権は、公庫が承継するという規定がありますね。これは農林省のほうに戻しますけれども、この対日援助見返資金特別会計で農林漁業者に対する貸し付けにかかる債権というものは、どういうものであったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/67
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068・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 これは貸し付けた対象といたしましてはいろいろございますが、土地改良、小水力発電、キュアリング倉庫、魚田開発、いろいろございますが、いま具体的にいろんな項目のうち、どれが見返り資金ということははっきり申し上げられませんが、金額は——先ほどちょっと余剰農産物のあれを申し上げましたが、七十八億円と申し上げたのは、七千八百万円ですので、これだけ訂正いたします。それから、これは二十六億二千六百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/68
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069・林百郎
○林委員 この米国対日援助債務、これも御承知のとおり、ガリオア・エロアの基金がそのまま残っているわけですね。見返り資金として承継されているわけですね。そうすると、これも主としてアメリカの余剰農産物だったわけですね。農林漁業金融公庫の中に、こういうアメリカの対日援助見返資金特別会計だとか、米国対日援助債務だとか、あるいは外債だとか、ことにいま貿易の自由化によってアメリカと日本の農業が非常に相対立しているときに、相手方の資金を農林漁業金融公庫に入れられても、これが真に日本の農業を発展させるところに使われるかどうかということについて、私は大きな疑問を持つし、また、それは当然アメリカの利益が優先して使途が決定されるのではないかということを、私は心配して聞いているのです。米国対日援助債務はガリオア・エロアの基金がもとになっているものであって、これは要するに、アメリカの余剰農産物が日本に入れられたときに、その当時の日本の食糧事情がどうであったこうであったは別として、性格的にそういうものの基金であるということは認められますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/69
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070・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 対日援助見返り資金は、仰せのように、ガリオア・エロアの資金でございます。先ほど二十六億と申しましたのは、承継した全部の金額でございまして、そのうち見返り資金分だけは五億七百万円であります。いまお話がありましたように、アメリカから余剰農産物を買い付けて、その際に長期借款を受けて、農林公庫なりそういった農業開発の資金に充てるという考え方につきましては、まず余剰農産物を特別の条件で買い付けるという意図も政府としてはございませんし、それによって借款を受けて農林公庫で使おうというような考えも、農林省としては全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/70
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071・林百郎
○林委員 農林漁業金融公庫に出資あるいは借り入れ金するために、余剰農産物を入れるとは言わないが、現実の問題としては、アメリカが余剰農産物を日本に入れてまいる、そうしてその債権を日本に積んでおいて、それが方々に使われておるわけですね。電源開発とかいろいろな方面にそれが使われ、それの一部が農林漁業金融公庫のほうに投資されておる。しかも、それはアメリカの債権であるから、そう日本が自由に使える金ではないわけです。そういうひもつきの資金です。それを事もあろうに農林漁業金融公庫の中に入れるということが、この公庫の性格を左右する重要な問題になると考えられないか、こういうことです。額が大きい少ないは別としても、たとえわずかのものでも、そういう支配されておるというような国柄のもとに投資されておる場合は、非常に大きな影響力を持つと思います。そこを心配して聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/71
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072・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 アメリカの余剰農産物の見返りにアメリカのひもつきの金を借りようというような考えは毛頭ございません。向こうも貸す考えはないはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/72
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073・林百郎
○林委員 金を借りておる者のほうが貸しておる者の意向を無視してどうにでも使えるというようなことが、常識で考えられますか。貸しておるほうは、自分の債権なんだから、それを日本に使わせるのだから、必ず自分の利害を中心にして使わせることは当然じゃないですか。幾ら弁解しても、たとえば電源開発に入れるにしても、ちゃんと担保とか利息とか報告とか協議とか、そういう条件がみんなついているのじゃないですか。だから、余剰農産物で得た基金を農林漁業金融公庫のほうに入れれば、日本の農業にもアメリカの発言権が入らざるを得ないのじゃないか。常識で考えたって、債権者と債務者とある場合、債権者のほうが発言権が強いのはあたりまえじゃないですか。あなたがそうお考えにならないならならないでいいです。そんなことであなたと押し問答をしたって、あなたは池田内閣の政府の役人ですから、私の言うとおりそうですとは言わないだろうと思いますが、これはあなた、高利貸しから金を借りたってわかるでしょう。高利貸しから金を借りておいて、借りた金はおれがかってに使う、お前は口を差しはさむな、いつ返そうと何に使おうとかってだというようなことか言えますか。それを聞いておるわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/73
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074・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、過去の対日援助見返り資金、これは別に現在ひもがついておるわけではございませんが、新しくそのようなものを考える理由も必要もございません。このひもつきという意味でございますが、普通借款にはいろいろな条件がつくわけでありますが、特別に日本の農業にまで影響のあるようなひものついた資金をわれわれとして借りなければならないというような必要も理由も、私どもどうも考え及ばないのでございます。全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/74
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075・林百郎
○林委員 そんなにアメリカが日本のことを考えてくれて、日本が自主性があるならば、なぜ貿易の自由化で日本の農民が心配しておるのですか。一体、日本の農林省が農民の立場に立って、ブロイラーやマイロやバナナや、あるいは脱脂粉乳の輸入をチェックしておりますか。EEC加盟国でやっているようなことすらやっていないじゃないですか。そうしておいて、アメリカから借りた金はひもなんかつきませんというようなことを言っても、それは国会では通っても、日本の農民は承知しませんよ。
さらに、農林省にお聞きしますが、農林漁業金融公庫の投資計画と実績が非常にかけ離れておる。これは昨日社会党の湯山委員もそのことをついておりますが、これはどういうわけですか。そんなに農林省が日本の農業のためになるようなことをお考えになる資金だったら、なぜこんなに実績が上がらないのですか。たとえばここに公庫月報がありますが、これは農林漁業経営構造改善資金の三十八年の実績ですが、十一月末でわずかに九・三%しか貸し付けが決定していない。農業構造改善は数字が若干おかしいと思いますが、十一月で二六・八%、それから私のほうが委員部からいただいた資料によりますと、農業構造改善資金の運用は、三十七年度の実施地域がわずか六・七%、三十八年度実施地域が三・三%ですね、事業計画に対する実施分が。これは一体どういうところに原因があるのでしょうか。なぜ計画と実施とがこんなに大きな食い違いがあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/75
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076・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 農林公庫の貸し付けは、大体毎年度満額の貸し付け決定が行なわれておったのでございますが、最近一、二年それをやや下回るというようなことは確かに出ております。それから本年度につきましては、いまお話のありました経営構造改善資金というものが、一時非常におくれたのでございます。しかしながら、これは三十八年度に初めてつくった制度でございまして、私どもも、その趣旨の徹底なり手続の末端までの徹底を急いだのでございますが、どうしてもやはり夏ごろまで末端に及ぶまで時間がかかったのでございます。その結果としまして、それに応じての申請が出てくるのがかなりおくれておりました。十一月などは御指摘のような数字であったのでございますが、その後しり上がりに申請が続々と出てまいっております。年度末までには予定額に近いものが消化されるものと私どもは期待しております。ただ、この点は申し上げなければなりませんが、従来から農林公庫の貸し付けは年度後半に片寄る傾向がございます。と申しますのは、いろいろな事業を計画したり、そのための借金をするということは、農閑期に入ってから行なわれる。特に土地改良などはそういう傾向がございます。そのために、年度の前半においてはなかなか貸し付けが進まないのでございます。そういったことも貸し付けのおくれに最初のほうにあらわれておるわけでございます。ことに構造改善事業などにつきましては、事業計画の認定があり、さらにそれから融資の申請がある。それがまたいろいろな手続を要するということがありまして、公庫のその他の資金につきましても、昨日大臣にいろいろ湯山委員から御指摘ありましたように、確かに手続が煩瑣で、農家の借り入れ意欲をそぐ面がございます。また、貸し付けの決定までの時間かかかるという面か相当ございます。私どももそれを認めざるを得ないのでございます。そういったことで、昨年来簡素化につとめてまいっておりますが、来年度におきましてはさらに一そう簡素化いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/76
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077・林百郎
○林委員 もう二問だけで終わりたいと思います。
あなた、そういうでたらめ言っちゃだめですよ。年度末には成績があがろから十一月に九・三%か何かでも心配ないというような、そういうでためらだったら、いま現に法案を審議している北海道寒冷地のマル寒助成金で、二万五千戸の対象農家が五千戸しかできない。これは徹底的に縮小するほかしかたがないということを政府自身言っているじゃありませんか。それを単に、こういう助成金あるいは、貸し付け今制度が年度末には続々成績があがるから、いま心配ないなんていう無責任な態度で済まされますか。かりにあなたの言うとおりにしましても、これは甘い数字ですが、十一月にわずか九・三%、一割にも達しないのですよ。それが三月末までに一〇〇%になるなんていうことをあなた責任持って言えますか。私の持っている新聞によりますと、一月でやっと二八・五%、これはちょっと数字が問題があると思いますが、きのう湯山委員がお聞きになったのは五%と言っております。いずれにしても、まだ一割に達するか達しない状態ですよ。甘く見て二八・五%、あと二月三月と二ヵ月ですよ。それで、あなたの言うように貸し付け金が満額になる、そんなことあなた言えますか。もしならなかったら、あなた責任をとりますか。そうでなかったら、幾らわれわれが審議して金を積んだって、農民の側に立ってみれば、それは絵に書いたもちみたいなもので、国会で幾ら審議したってしようがないじゃありませんか。しかもそれを政府のあなた方に聞けば、いやそれは心配ないなんていうことを言うでしょう。そんな無責任なことはどこにありますか。実はこれこれこういう点に欠陥があるから、この点をいま農林省として鋭意改善しようと思っている、それが誠意のある答弁ですか。さっきからあなたの無責任な答弁を聞いていますけれども、ほんとうに農民の立場に立って考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/77
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078・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 はなはだおことばを返すようでございますけれども、私もいままでの貸し付けについて欠陥があることを認めて、それの改善もやり、来年度もやるということを具体的に申し上げたのでございます。それから確かに十一月については九%というようにおくれておりましたけれども、最近はかなり四〇%くらいまでまいっております。満額になるかならぬかということにつきましては、ここでなかなか保証はいたしかねますけれども、とにかくしり上がりに申請が出てまいっておりますので、相当な程度で貸し付けが終わるものと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/78
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079・林百郎
○林委員 あなた、いま三月ということ知っていますか。あと三月は二十日しかないんですよ。それで四〇%なんです。それを国会議員が質問しているときに、私は鋭意改善しておりますくらいで国会が通りますか、そんな無責任な態度で。もう少しまじめに答えなさいな。重大な問題ですよ。一千七十億もの資金をどう使うかという場合に、三月の十日、あと二十日しかないときに、計画は四〇%です、鋭意考えています、そんなことで国会が通りますか。それはそれでいいですよ。あなたと幾らやったってしようがない。
もう一点だけ聞いておきますが、農林漁業金融公庫法の十八条の二の関連産業への貸し付けということがございますけれども、これは十分御承知だと思いますけれども、製糸業、シルク、こういう方面へも貸し付けられる性格のものかどうか、参考までに聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/79
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080・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 関連産業への貸し付けは特定の業種に限られて、シルクは含まれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/80
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081・林百郎
○林委員 これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/81
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082・高見三郎
○高見委員長 次会は明十二日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01919640311/82
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