1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年三月十二日(木曜日)
午前十時二十八分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武君 理事 赤路 友藏君
理事 足鹿 覺君 理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 大石 武一君
亀岡 高夫君 仮谷 忠男君
吉川 久衛君 笹山茂太郎君
舘林三喜男君 寺島隆太郎君
内藤 隆君 八田 貞義君
藤田 義光君 松田 鐵藏君
亘 四郎君 角屋堅次郎君
東海林 稔君 中澤 茂一君
楢崎弥之助君 西村 関一君
野口 忠夫君 松浦 定義君
湯山 勇君 稲富 稜人君
中村 時雄君 林 百郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
農林事務官
(農林経済局
長) 松岡 亮君
農林事務官
(農政局長) 昌谷 孝君
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
委員外の出席者
農林漁業金融公
庫総裁 清井 正君
専 門 員 松任谷健太郎君
—————————————
三月十二日
委員伊東隆治君辞任につき、その補決として三
池信君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
農業改良資金助成法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八三号)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八六号)
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
の一部を改正する法律案(内閣提出第九〇号)
————◇—————
午前十時二十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/0
-
001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
いずれも内閣提出にかかる農業改良資金助成法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。松浦定義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/1
-
002・松浦定義
○松浦(定)委員 いま提案になっております北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、先般、農林政務次官並びに農政局長等に対して、いろいろ御質疑をいたしましたが、重要な点で大臣に対する御質問をいたしたいと思うわけであります。
北海道の非常に恵まれない地帯における畑作農業経営農家の、自立農家を目ざしての対策のための手段として、本法が制定されましてから五カ年間でありますけれども、これが全予定農家に実施することができませんので、今回政府は二カ年間延長して最終的な解決をしたい、こういう意欲的な計画につきましては、私ども賛意を表するわけであります。しかし、先般申し上げましたように、今日まで行なわれました制度の中で、はたしてそれが完全にできておるかどうかということになりますと、いろいろな情勢の変化等もございますけれども、なかなかこの法一つをもって完全であるということはできないわけであります。そういう点でいろいろ問題がありまして、これから残されたものに対する処置につきましては、前回以上のひとつ前向きの姿勢でもって対策を立てていただきたい、このように実は考えておる次第でございます。したがいまして、先般お尋ねいたしました私の主とした理由は、これは、必ずしもこのことによって全農家が意欲的に農業経営をやるということにはならぬ。しかも、そういう段階の中で、政府は三年前に農業基本法を制定されまして、北海道といわず、全国的な農業経営規模の拡大あるいは自立農家の育成ということで、選択的拡大というような方針をもって進まれておるわけであります。しかし、北海道の限られた地帯におけるそうした種類の農業経営をやるということについては、なかなかむずかしい点があるわけであります。でありますから、同じ選択的拡大といいながらも、その選択をする農業の種類というものについては、いままで農家が体験をして、いろいろの施策についてもほとんど尽くされておると言っても過言でない。たとえば果樹、園芸、蔬菜というようなものにつきましては、いずれにしても、消流面から考えましても内地の比ではない。したがって、やはり従来からやっておる北海道の畑作、畜産、そういうものを中心にしなければならない。そういうことでありますと、これからの経営につきましても、先ほど申し上げましたような形で、十分この対策を立てていただきたいと思うわけであります。
そこで、こういう対策を立て、そして北海道のこの法律を生かしていくために、支障になっておるものがあるかないかということを私どもはつぶさに検討をしなければならぬと思います。先般申し上げましたように、いま北海道でいろいろな農業経営をやる場合、あるいはその農業経営を実施する段階において支障になっておるのは、あくまでいま農業を離れて他産業へかわりたい、あるいはかわらなければならないといったような、すなわち、D層農家が相当あるわけであります。これらの問題の処理をしなければ、これからこの法案の実施についても成果があがらない。
そこで、一番問題になっておりますのは、開拓行政の中で非常に苦しんでおる開拓農民であろうと思うわけであります。この開拓農民の中で一番犠牲になっておるのは、あの戦前、戦後を通じて政府の命令一下、北海道の地帯にいわば強制疎開をされた、そういう農家が、今日依然として農地を離れることができないでやっておる、この問題をどう解決するかということが、私は最大の問題だと思うわけであります。農林大臣として、この開拓行政の今日における問題について、どういうようなお考えを持っておられるか、まず第一に、この点をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/2
-
003・赤城宗徳
○赤城国務大臣 前段の畑作農業振興につきましては、農業基本法のできる前から、そういう方面に力を入れなくちゃならぬということで力を入れて、今般も期間延期の法案の御審議を願っておるわけであります。いまお話しの、方針はいいけれども、また政策もいいけれども、その中において脱落していくとか、よくいってない面を改めていかないと、せっかくの法の目的達成が十分でないじゃないかという御意見は、まことにそのとおりと思います。
そこで、いままで行なわれている中における開拓者の問題でございますが、開拓者が残って十分仕事を進めていきたいというもの、あるいはまたそこを離れたいというもの、二つの面があろうと思います。残る面につきましては、一そう営農が十分やっていけるような対策を講じていくわけでございますけれども、そこを離れる人等につきましても、御承知のように、離農の資金等を上げまして対策を講じておるわけでございます。ただ、その中で相当旧債を持っている、この間も申し上げましたように、旧債のほうにその離農資金をとられてしまって、出られ得ない、出ても、金はちっとも他産業へ入る場合に持っていけない、こういう場合があってはいけませんので、それは行政指導等によりまして、離農をする者に十分持っていけるような措置を指導していきたいと思います。また、旧債の期間が営農の振興を阻害している、こういう開拓者につきましては、自作農維持資金制度を活用しましてその転落を防止する、こういう対策を講じて、なお営農を続ける者、出る者、両面についての対策を強化していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/3
-
004・松浦定義
○松浦(定)委員 大臣御答弁は、先般もお聞きいたしたとおりでありまして、今日のいま実施されておる法律の中で何とかしたいという、そういう意欲的なことは、実はわかるわけでありますが、私どもが現地を見、あるいは聞いたりしておる段階では、そういうような情勢にはないわけであります。もしこのまままた二年、三年、五年と経過いたしますと、どうにもならないことになってしまう。したがって、いま自立をさせよう、あるいはまたそうしたいというような農家の施策にまで影響してきて、いろいろな面で私は支障が出てくると思うのであります。したがいまして、私が言わんとするところは、すでにもう戦前、戦後を通じて疎開された、あるいはまたそれと同じような立場におられる農家にいたしましては、すでにもう早い人は約二十年になる。それが従来ずっと同じような形をとってきておって、かえって苦しんでおるというような状態でありますから、この機会にもう何とかこれをひとつ画期的処理をするようなお考えがあっていいのでないか。そういうことをしても、決して一般の既存農家あるいは他産業から見た場合何ら批判がないのでないか。むしろ、そういうことをやっていくことによって——われわれがこれからやろうとすることについても、そういう処置よりかしてもらえないといったような、他に一つのかえって悪い影響が残っていくのでは困る、そういうことで、戦後処理というようなことばはどうかと思いますけれども、少なくともこの農業といったような、全く土に親しみながら、土に足をつけておらなければならぬ、そうして年一回の勝負をやらなければならぬ、しかも、気象条件その他悪い地帯である、あるいは御承知のとおりに電気もなければ水もないといったような地帯でも、依然として離れることができないといったような、もうちょっと予想できないような状態下にある農業なり、あるいはそうした困った農家に対しては、この機会に英断をもって処置をする。しかし、これからやろうあるいはやるべき人に対して悪い影響をもたらすような、すなわち、便乗されるような、そういう処置のしかたはとるべきでない。したがいまして、だれしもが認めるような処置をこの機会におやりになったほうがかえっていいのではないか。しからば、それが例がないかといえば、私はそうではないと思います。あるいは事情を調査してみれば、私の言うことは当たらないかもしれぬけれども、たとえば今度問題になろうとしております農地補償の問題等についてのいきさつは、これはやはりむしろ物質的なものよりは、現在の生活を中心として、現実にそうした苦しみつつある農家の処置と考えたら、むしろ私は、そちらのほうを優先させてもいいのでないか、こういうふうに実は考えておりますから、そういう点についてひとつ——いままでお話になりましたような、たとえば、これからやろうという者に対しては、自作農資金あるいはその他の資金でもってやる、そうでない者については、四十万あるいは四十五万を充てて転業させる、そのことができないから、そういう問題が出てくるわけであります。そういうものとは別に何か考慮されてもいいのでないか、こう思うのですが、この点については、大臣としてはどのようにお考えになっておりますか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/4
-
005・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いまの地主の補償ですけれども一、考え方といたしましては、補償でやるというよりは、困っているのならば困っている者に対する対策が先決じゃないか、こういう考え方は私も同感でございます。そういう意味におきまして、開拓者等につきましても、それぞれの事態をよく調査、検討いたしまして、いま申し上げた、またお話があったような対策以上に、なお適切な方法をそれぞれ考えられますならば、考えてやっていきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/5
-
006・松浦定義
○松浦(定)委員 大臣のお考えは、非常に同感すとるころが多いのでありますが、私は、そういうお考えだけでは、なかなか実施はできないのでなかろうかと思うわけであります。ただ、私どもがどうしてもやってもらわなければならぬ、あるいはまた政府としてもやる責任があるのでないかという例として、実は昭和二十七、八年から問題になりました根釧パイロット・ファームの実施段階をずっとつぶさに見てまいりますと、このパイロット・ファームを実施する当時は、世界銀行の金まで借りて、一戸当たり約五百万、二百五十万が助成で、二百五十万が融資、こういったような膨大な資金を投じてやった。あの根室という原野は、御承知のとおりに、もう二回も三回もいままで入植者が入りまして、そうして木だけ売って食って、木のあるうちは生きれるが、木がなくなったら出てしまう。そうしていろいろな形で転地をした。そういう残された地帯が非常に多いわけであります。ですから、こういう膨大な資金をかけて計画されたと思うのですが、この計画自体は、今日の段階では、あの地帯におる農家のための計画としては、私は必ずしも全部が全部悪いとは言いませんけれども、あの当時の目的としては、これを実施して効果があがれば、漸次これを一般の地帯にも及ぼすんだ、こういうことであったわけであります。ですから、あの当時は、北海道は四百八十万、これを八百万にする、北海道開発の法律ができまして、内地から人を持っていって八百万にする、人口をふやすためには、まず農業でもってふやさなければいかぬ、北海道の次三男は幾らもいるけれども、これは本州の次三男を入れるべきである、そういうことで、三十万の資金さえあれば、農業の体験のない者でも、わずかの間拓植実習場に入れて、一応の基礎知識だけ与えて入植をさせる。これはやれると思うのです。全部機械開墾、いろいろの手を尽くして実施をされたのでありますから、やれたのでありますけれども、今日の段階では、むしろ北海道の次三男を入れてやっておけば、もっともっと成果があがった、こういうふうに思うわけです。ですから、この問題一つ考えましても、政府の考え方としては、必ずしも成功したとは私は考えておりません。
詳しいことについてはお聞きる時間がございませんが、一応資料等で見ましても、このままでは、これから他の地帯に対して実施するような段階になっていかない。特に一番の問題は、あの地帯では、既存農家でさえ二十町、二十五町、三十町なければできない。こういうような経営の中で、わずか十八町何がしですから、そういうような経営規模の中でやれるわけはないのであります。ところが、最近の農業基本法制定の自立農家は、おそらく水田農家が二町五反くらいとなりますと、北海道のあの地帯では、最低約三十町を必要とするであろうと私は思うのであります。そうしますと、現在の耕地を倍にしなければできないわけでありますから、そういう計画にあの制度を変えるということはたいへんなことだと思うのです。しかし、変えなければ、これからいかに御心配を願っても、あの地帯の農家というものはなかなかたいへんであろう、こういうような問題等もございまして、そしてそれ以上に、疎開された農家については、全く五町とかあるいは八町しか当たらない。その中で経営をやってきたわけでありますから、今日のような形に追い詰められてしまった。そういう点で、いま大臣が何らかの形で考慮したいというお気持ちは、もっともっと前向きにはっきりと、こうする、しかしこれはきょうあすというわけにはまいらぬから、たとえば三年なりあるいは五年なりの計画的な期間をもって、D層農家の処置、あるいはさらにまたそういう農業経営の方針を確立すること、この辺ではっきりとしたそういうものに対する処置をしていく。これはただ単にいま行なわれておる法律の問題ばかりでなく、それこそ革新的な考え方でこの処置に当たっていただきたい、こういうふうに思うわけですが、大臣に重ねてこの点についてのはっきりした御回答を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/6
-
007・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話のように、根釧パイロット地区に入植のころは、引き揚げ者が多うございましたり、あるいは国内におきましても仕事がない、こういう人々などを食糧増産の面に向けようということで、基盤をつくっておいてそこに入れよう、こういう方式でやったのでございますが、やり方も一般の開拓と違うようなやり方もございましたし、入植者の中にも、十分資格といいますか、精進でき得なかった者もあったかと思います。そういう面におきまして、不振農家というようなものもあり、また負債発生の原因も一部そういうところにあるかと思います。でありますので、不振開拓者等につきましては、先ほどから申し上げましたように、既存の諸制度を十分活用してこの対策をはっきり講じていきたいと思いますが、なお計画等につきましても、従来の計画を是正すべきものがあるように私も一聞いております。そういう点につきましても、変更をしていくのが当然であろう、こう思っております。いまこういうふうにするという、制度を飛び越えた話を申し上げる段階ではございませんけれども、十分諸制度を活用し、行政的措置が最大限にできる範囲におきまして全力を尽くしたい、こう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/7
-
008・松浦定義
○松浦(定)委員 あらゆる制度を活用してこれに善処するということで大臣ががんばられても、諸般の情勢はそれを許さないような状態にぶち当たると思うのです。いまのお話でありますと、たとえば戦後の食糧増産のためにそういう疎開をし、あるいはまた入植さしたということでありますけれども、一戸当たり五百万円もかけて食糧増産をするといったような、そういう考えではなかったと私は思うのです。もっと違った、北海道あるいは日本全体の畑作農業というものはどうあるべきかという一つのテストケースだというふうに私は考えておったのです。しかし、そのことはもう十カ年で全然実施されないような段階に変わってまいりました。ですから、私はそのことをいまここで申し上げるのでは、ございません。そういう計画をしておきながら、反面に——繰り返しますけれども、強制疎開をさしたその方々、一年やそこらで木を売って帰ってきた人が、りっぱにそこで居住権も持っておれば、いまの段階では、少なくとももう永久に生活の安定ができるような地帯におる人がたくさんあるわけであります。にもかかわらず、政府の方針に沿っておったことによって、いまどうにもならなくなった、こういうことでありますから、そういう問題について、やはりいま諸般の情勢、そういう法律の問題を考えてというようなことでなしに、何とかそれらについては処置をしなければならぬ。何回も一繰り返しますけれども、農地補償の問題については、多くの議員諸君がこれに対してもう先頭に立って陳情、要請して、あるいは政府を動かし、あるいはいろいろ機関を動かして、何とかするという一つのそういう言質のもとに、今日ああいう問題になってきたわけです。ところが、開拓者のこういう苦しみについては、極端にいえば、だれ一人としてそういう方面に賛成した人の支持がないのでないか。しかし、あそこへ一足入れてみれば、それ以上に、やはり身をもってそのことを何とかせなければならぬという態度にならない人は一人もいないと思うわけであります。ですから、この開拓行政の欠陥といいますか、それを是正し、将来の自立農家を育成する障害にならないために、二十年の間のこの期間で一応一段落をつける、そういうことで、この問題は別途にひとつ考えて、できるだけ近い機会に処置をするように努力する、こういうように、やはり大臣としては、あるいはこれは大臣でなく、池田内閣、政府として、私は当然やるべき処置だと思うわけであります。そういう点について、ひとつ重ねて大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/8
-
009・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 大臣のお答えの前に、ちょっと一言だけ御説明をさせていただきたいと思います。
いま、いろいろ多岐にわたってお話がありましたが、二つに分けまして、根釧の問題、これは御承知のとおり、百万以上の農家をつくるということで進んでまいりまして、百万以上の収入を上げておる農家が相当出ておるわけです。そのうちの。ごく一部の方々が、先ほど御指摘のように、全く農業に経験がなかったというようなことで、非常に収入が低い、あるいは負債が返せぬ、こういう形の問題が一つございます。
それから開拓者十四万戸——全体の問題につきましてのお話と分けまして、十四万戸の問題につきましては、もう入りましてやはり十数年たっておりまして、非常に階層分化ができておりまして、卒業生といいますかになっている者もある。それから、これからもう少し金を積極的に貸してやれば卒業生に近づく、こういう方には、前向きの金を積極的に貸してまいりたい。それから立地が悪い、場所が悪い、あるいは当初の計画が無理がある、そういうようなのは、そこで幾ら金をつぎ込んでもやはり無理ならば、そこらのことについては、ほかの地区に入っていただくか、あるいは離農していただく。いずれにいたしましても、階層分化が生じました実態に応じまして、施策を分けて処理いたしていくべき問題であろう、そういうことで、本年度から地区別に階層分化の実態に応じまして、対策を分けて進める作業を取り進めておるのであります。根釧の問題に関します限り、相当大部分の方々が百万円以上の計画の収入を上げている。しかし、りっぱな家をつくり過ぎてしまった、設備資金に回すべきものを家に回してしまったというような形で、ごく一部の方々が、非常に極端にいうと、離農せざるを得ないような状態になっている方々がございます。こういう方々の問題は、さきに申しました十四万戸の問題とは分けて、別途にその地区の対策として取り進めてまいりたい。また事実、道庁と相談をしてやっておる実情でございます。
大臣の御答弁の前に補足さしていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/9
-
010・松浦定義
○松浦(定)委員 私は、いま局長のお話しになりましたそのことについては、別の機会にやる。わかっておるわけなんです。それで、いまお話であらわれておりますように、やはり離農せなければならないような者が根釧の中にもある。一人でも私はあってはいかぬと思うのですよ。五百万もかけておって、一人でもそういう者があってはいかぬにかかわらず、相当数の人がそういう状態だから、だから、五百万かけてさえできないものが、裸一貫で疎開してきた人で成功した人は、既存農家でさえ手に入らないようないい地帯がときたま解放になって当たったからあるだけであって、集団的に入った人は実際苦しんでおるわけですよ。こういう問題は、いまお話がありましたように、いろいろの段階があるということはよくわかっておるわけなんですが、やはりそれは、これから二年、三年いまのような状態でたちましたら、なお問題が複雑になってしまうわけでありますから、一日でも早いほうがいいということを私は先ほどから力説しておるわけです。ですから、先般も、実は大臣がおいでになりませんから、丹羽政務次官にいろいろ話をしました。丹羽政務次官は、もうのどから出るくらい発言ははっきりしたいのだけれども、立場が立場ですから、なかなかできないのはよくわかるわけです。ですから、私は、その言質をとるわけではありませんけれども、やはりもう少しはっきりした態度をもってこの問題を処理するということになりませんと、もしいまのような御答弁でありますならば、私は、パイロットの、この二月当たり五百万もかけて世銀の金を数億入れた、この問題を追及しますと、やはり開拓者あたりは、われわれに対して云々という問題が出てくるであろうというような心配もするわけなんです。だから、そういうことは別といたしましても、本問題については、もう少し積極的に取り組むということをはっきり大臣がおっしゃっていただくことが適当でなかろうか。政務次官はやはり私の意見には全然賛成である。いろいろ表現のしかたはしておりましたけれども、私はそのくらい言って差しつかえない問題だと思うわけでありますが、何といたしましても、大臣が積極的に意欲を燃やしてこの処理をしていただくという熱意がありませんと、他のほうからいろいろ問題が出てくる面もないわけではございません。しかし、この問題は、人命にかかわる問題でありますし、二十年も前から、いまお話ししました十四万の人の中では、相当数が苦しんでおるわけでありますから、このことをやるということは、いまの農業政策の中でも相当大きなウエートを持っておると思うわけでありますから、この機会に大臣の——時間がございませんが、いま私が申しました問題について、積極的にその方針に沿ってどうするこうするということをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/10
-
011・赤城宗徳
○赤城国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておるように、私は、一つの、こうするああするという具体的な対策をまだ持っていませんから、いろいろ諸制度等を活用してと、こう申し上げておったのですが、気持ちは、いまのお話のように、積極的に取り組むか取り組まないかという心がまえといいますか、そういうことでありますなら、私は、積極的にこの問題を解決していかなくちゃならぬ、こういうことで深く考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/11
-
012・松浦定義
○松浦(定)委員 だいぶ同感だという御意見がありますが、私は全部をどうこうせいと言っているわけではないのです。たとえば、これはどのくらいの数になりますか知りませんけれども、D層農家、すなわち、三類農家ですね、こういう問題については、たとえば四十万やったって、やはり負債に差し引かれてしまってどうにもならないわけなんです。そういう人をどうするかということです。しぼっていけば。そういう問題については、私は、積極的に取り組んで何とか処置しますと言われても一向差しつかえないと思うのです。極端なことを言いますと、表現のしかたはいろいろありますけれども、負債のたな上げあるいは切り捨てといったような、そういう表現をすることは妥当であるかどうか知りませんけれども、そこまで、調査の結果こうなったということであるなら、私は決して他からの問題はないと思うのです。そういう問題についてのお考え方をこの際聞かしていただきたい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/12
-
013・赤城宗徳
○赤城国務大臣 よく調査しまして、またお話等も承りまして、積極的に対処していくという方針をもって進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/13
-
014・松浦定義
○松浦(定)委員 大体大臣も私の申し上げたことはおわかりになったようでありますから、詳しい点につきましては、いずれまた後刻の委員会で御質問することにいたしまして、本日はこの程度で終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/14
-
015・高見三郎
○高見委員長 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/15
-
016・芳賀貢
○芳賀委員 農林大臣に、まず公庫法の主要な改正点に対して質問をしたいと思います。
第一の点は、今回の改正は、単に貸し付け条件の交通整理という程度であって、根本的な農林金融制度そのものの体質を改善するということが行なわれていないことは、まことに遺憾であります。そこで、第一にお尋ねしたい点は、昨年の通常国会において自作農維持金融の法律の改正が行なわれまして、従来は農地法と不離一体の形で、農地の維持、さらに創設についての金融制度というのが継続されてきたわけですが、昨年の法律改正によって、経営拡大のための農地の取得資金と農地の経営維持のための維持資金というものを分離してしまって、現在残っておる農地金融の制度というものは、単に自作農維持資金ということで非常に後退しておるわけです。そうして経営拡大のための取得資金というものは、公庫法の中において、いわゆる構造改善事業の一環としての取得資金として取り扱われておるわけでありますが、われわれは昨年その欠陥を指摘して、これは必ず農地金融を弱体化させるということを強力に指摘したわけでありますけれども、ついにこれが分離されたわけでございます。その後一年を経過したわけでありますが、われわれが指摘した農地金融制度のもとにおける欠陥というものが、次第に表面化しておるわけであります。この点について、昨年は赤城さんはまだ農林大臣に在任しておられなかったわけでございますけれども、これに対する判断を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/16
-
017・赤城宗徳
○赤城国務大臣 政府委員から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/17
-
018・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 簡単に申し上げますが、自作農維持資金につきましては、今回の改正の一環といたしまして、現在三十万円になっております限度額をかなり引き上げるように検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/18
-
019・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いろいろ改正した点をいま事務当局から申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/19
-
020・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いておるのは、去年自作農維持資金法を改正したときに、これを分離すべきでない、農地金融制度というものを分離するような形で、維持資金と取得資金を別々にした場合においては、一体をなす農地金融制度というものは破壊されるじゃないかということをわれわれは指摘したわけですが、ついに現在のように分離されてしまったわけです。一年経過した今日、その弊害というものはだんだん表面に出てくるわけであって、これを農林大臣としていかようにお考えになっているか、それを私は聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/20
-
021・赤城宗徳
○赤城国務大臣 維持資金は維持資金、取得資金は取得資金と分けても、決して破壊するようなことはないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/21
-
022・芳賀貢
○芳賀委員 たとえば経営拡大資金の場合は、先ほど言ったとおり、公庫法の中の構造改善のいわゆる農地拡大の取得資金という形で、これは改正案によると、ことしから三分五厘になる。昨年は構造改善の指定地区は四分、地区外は四分五厘であったけれども、今度は一様に三分五厘になったことは、これは金利引き下げの上からいってけっこうなことだと思います。しかし、そうなると、維持資金のほうは取り残されて、自作農維持資金特別措置法の中において、依然としてこの分の金利は年五分ということで据え置かれております。これはやはり問題があると思うのです。当然一体と認めて進めていかなければ、自立経営農家を育成するとしても、あるいはまた自作農家を安定させるといっても、まず現に保有しておる農地を安定的に確保することが非常に大事なことなのです。その上に立って、さらに経営拡大をするためには、国が資金を貸し付けて、そうして経営面積を拡大させるというところにねらいがあるわけです。ところが、維持資金のほうは依然として五分である。取得資金だけを三分五厘とするような不均衡な状態が、だんだん表面に出てくるわけです。この点については、昨年の国会においても、公庫法の改正のときあるいは自創法の改正のときに、附帯決議を付して、このような状態に分離されたとしても、政府としては、維持資金についても、取得資金と同様に貸し付け条件をすみやかに改善すべきである、こういう趣旨の附帯決議が付されておるわけでありますが、今回の改正の場合においては、この自作農維持資金措置法の中において、金利体系、条件の改善というものがいささかも行なわれていない、こういう点があるわけであって、この点を私は特に農林大臣に指摘して、答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/22
-
023・赤城宗徳
○赤城国務大臣 維持資金も経営拡大資金も、同じように利率が低いことは望ましいことでございます。しかし、維持資金のほうは五分であって、拡大資金のほうは金利を下げて三分五厘にした、こういう進め方に一歩進めたわけでありまして、それが一つでなくてはならないということではないと思います。一つであることは望ましいことでありますけれども、金利を低くするほうは経営拡大のほうを低くした、こういうことでやってきたことは、別に違っておるからどうこうということでなく、一緒に安くなるのは望ましいことでありますけれども、片一方の維持のほうは五分であったということでございますので、ほかの金利もだんだん低くしていくということはこれからも考えますけれども、現段階においては違っておるという事実で、ひとつお認めを願うよりほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/23
-
024・芳賀貢
○芳賀委員 そこをはっきりしてもらいたい。それでは、この国会では維持資金のほうの貸し付け条件の改善はできなかったが、たとえばこの次の機会にやるという考えであるか、きょうだけのおざなりの答弁で、そうなれば望ましいということであなたは逃げるつもりか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/24
-
025・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これはよく検討していくよりほかにありません。いま約束するわけになかなかまいりませんけれども、私は、これだけでなく、すべての金利をなお一そう低くしていくという心がまえで、なお検討を進めたり、各方面に当たっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/25
-
026・芳賀貢
○芳賀委員 検討はもう一年やっておるのです。附帯決議を付しておる国会の意思というものは、当然尊重されなければならぬわけですからね。だから、一年間検討した結果、取得資金のほうだけは三分五厘に引き下げる。しかし、経営維持が困難である農家に対して、それを維持させるための資金については高金利のほうがいいという考え方は間違っておるわけです。経営の維持が困難である、農地の保有維持ができないというような農家に対しては、むしろ無利子に近いような金を必要額貸しつけて、そうして経営の維持を続けさせるのが当然であるにもかかわらず、維持が困難である農家には高い金利でかまわぬというような考えは間違いじゃないですか。一年間たっても検討もしておらぬというのはおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/26
-
027・赤城宗徳
○赤城国務大臣 検討いたしまして、経営資金のほうを下げたということで、維持資金のほうが高くていいというわけではございません。これは別に高くしたわけではございません。経営拡大のほうを検討して下げたのでありまして、まだ維持のほうはそこまで下げるわけにいかなかった。高くていいという意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/27
-
028・芳賀貢
○芳賀委員 では維持できなくてもいいということですか。農地の維持困難の者はそれを処分しなさい、拡大の余力のある者に対しては三分五厘の金を貸してあげる。こういうことでは、全体の農家の、政府のいうところの自立農家の育成とか経営拡大はできないじゃないですか。まず現在の経営の面積を保有してもらうということが先決でしょう。その上に立って経営の拡大というものを行なわなければ、いつまでたっても、総体の農家の農業の近代化とか経営の拡大はできないじゃないですか。そのくらいのことがわからないで一体どうするのですか。まず基盤は、現在保有している農地を経営安定の中で完全に維持してもらわなければ——困る者は農地をどんどん窮乏販売で売っ払ってしまえ、力のある者に対してはまた取得資金を貸してやるということになれば、一方において農地の維持の困難な農家がだんだん激増して、一方においては取得資金を借りて経営拡大をするとしても、しかし、過去一、二年間における農地の移動の状態というものほどうであるかということは、農林大臣が報告された農業年次報告の中においても明らかであります。これは決して自立農家を拡大する、そういう前向きの方向で農地の移動というものは行なわれていないのですよ。むしろ、兼業農家が一反歩あるいは二反歩というような零細の農地を取得して、そうして老後の安定とか、財産としての保存をするために、の移動とか取得が行なわれておる、こういう状態じゃないですか。だから、今日やはり自立農家、自作農家を中心として、まず農民が保有しておる農地の維持というものに対して、それが維持困難な場合には、当然三分五厘あるいは三分の低い金利の金を取得資金と同様に貸し出して、そうしてこの経営維持の安定をはかってもらうということでなければ、本来の農地金融の目的というものは達せられないと思う。ですから、この点については、われわれは、当然この機会に農地維持資金のほうも改善すべきである、この点を明らかにして農林大臣の積極的な善処に期待したいと思う。局長はあとでいいです。あなたはいつでも来られるから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/28
-
029・赤城宗徳
○赤城国務大臣 検討を加えた結果、いまのようになっているのでございまして、金利が安いほどいいということは、私もこれは認めています。しかし、検討の結果ここまできたので、ことしはここでまた、これからなお検討するということで御了解願いたいというほか、いまのところありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/29
-
030・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、政府としては、いままではここまでようやくとぼとぼとやってきたが、これから私が言ったこの維持資金について真剣に検討を加えて、改善の方向に進んでいく、そうしたい、そういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/30
-
031・赤城宗徳
○赤城国務大臣 金利全体としても考えなくちゃなりませんが、また、お話の点などもよく頭に入れて、検討を加えるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/31
-
032・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、今度の貸し付け条件の交通整理は、これは先般も同僚の湯山委員からも指摘がありましたが、これはむしろ四段階に名をかりて、ある部分の資金については現在よりも金利の引き上げを行なっておる。こういう点はわれわれとして絶対に認めることのできない点であります。形式的に四段階にしましたとかいっても、それは現在の金利を四段階の低い水準のほうへ下げるという努力があって、初めてそれは努力のあとが見られるわけでありますが、四段階に名をかりて従来よりも金利を上げるということは、これは全くわれわれとしては了承することができない点であります。こういう不法なやり方をするのであれば——業務上の煩瑣とかそんなものは担当者がやることであって、借りる側から見れば安い条件のほうがいいということになる。四段階の犠牲になって、従来の金利が一分も、あるいはそれ以上も引き上げになるということは、これは絶対に了承のできない点であります。ですから、この点は農林大臣においても、これは誤りである、この機会にやはりそういう便乗的な金利の引き上げ分については、当委員会の審議を通じて是正する、こういう反省の上に立った熱意というものを披瀝してもらいたいと思うわけですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/32
-
033・赤城宗徳
○赤城国務大臣 値上げということになったものが五つばかりございます。その資金は、ほとんど使われておらないというような、非常に資金の量として少ない資金でありまして、そういう点で、全体として三分五厘——五分五厘、そういう形にするために、結果がそうなったのでございますけれども、六五・八%ということになって、そうして段階としては四段階にいたしたのでございます。四段階のワクになかなか入りませんで、やむを得ず引き上げたものが五つばかりございます。これは段階に入らないという形、また資金量が少ないもの、こういうことで、そういう措置をとって御審議を願っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/33
-
034・芳賀貢
○芳賀委員 だから、段階に入らないということはないでしょう。その一番低い段階にそれを入れれば入るんじゃないですか。どうしても上の段階に入れなければ入らぬという窮屈なものじゃないでしょう。そうじゃないですか。上の段階に入れる努力よりも、下の段階に入れるほうがやりやすいじゃないですか。どういうわけでその上の段階に入れなければ理屈が通らないのですか。現行法においてもまだ高過ぎる金利が、四段階に便乗されて今後は上に上げられるというような、こういう不当な話はないと思うんですよ。それであれば、現在に据え置いたほうがむしろいいのじゃないですか。とにかく農林金融の改善というのは、金利を上げることが本意じゃないでしょう。段階整理が最終目標じゃないじゃないですか。現在の農業の実態のもとにおいて、収益性の低い、自民党の農政下において崩壊寸前に瀕しておるところの農業というものを立ち直らせるための政策的な金融制度ということになれば、たとえば四段階に整理する場合には、一番低い段階にそれをおろすということが当然の使命だと思うわけです。こういうことができないようでは、何も農林省なんというものは要らぬじゃないですか。大蔵省の中に農林局くらい置けばこれは事足りると思いますが、農林大臣はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/34
-
035・赤城宗徳
○赤城国務大臣 各資金の調整上、こういうことをいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/35
-
036・芳賀貢
○芳賀委員 大臣の答弁は熱意がないじゃないですか。そんな答弁なら、わざわざここに来て何も答弁する必要はないですよ。農林大臣の責任において四段階に整理して法律の改正をやる場合においては、現行よりも金利を高くするような整理のやり方というものは不当である、そういうことをわれわれは先日から同僚委員も指摘しておるわけです。だから、それは誤りであるということが明らかになれば、当然これは是正するのが至当じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/36
-
037・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは調整上と申し上げましたのは、無理にも低利に持ってくる面がございます。実際ございました。そういう点がありますので、そう無理にもたくさんの資金を、たとえばさっきも申し上げましたように、三分五厘から五分五厘のやつを六五%ですか、そこに持っていくために、いろいろ財政当局などにも無理を押しつけた点もございます。そういう無理を押しつけた点もありますので、そういう面から一部分においては、これは資金量も少ないんだから、このワクの中に入らないもので——まあ一般的にいえば下げたほうがいいのですけれども、下げないで上がったという形で、ごく少ない資金量、あるいはそういう資金を使うものがほとんどないというものを調整した、こういうことでございますから、上がった面ばかり見て、下げた面、骨を折った点はちっとも見ないで、五つのほとんど資金量がないのばかりを言われても、ちょっと私どものほうでも困るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/37
-
038・芳賀貢
○芳賀委員 下げるのはあたりまえですよ。下げるということは努力でも何でもないですよ。これは国会の意思によって当然政策的に下げるのはあたりまえであって、いままでは高過ぎたんですよ。下げたので十分だということは、だれも言っていないわけなんです。それは現在よりも少し下がったことは、努力せぬということはだれも言っていないわけだ。しかし、努力して上げるというのはおかしいじゃないですか。何も上げる努力をする必要はなかったと思うのですよ。特に需要が少ないとか、必要性が薄いということを言っておられますが、たとえば沿岸漁業協業化促進にしても、やはり沿岸漁業振興法というものが、去年これが国会で修正して成立した。あるいは今度は漁業の災害補償法案というものがすでに今国会に提案されておるということを考えた場合、沿岸における漁業の今後の拡大発展ということを考えた場合においては、その最大の生産手段であるところの沿岸漁船整備促進資金のごときは、従来の五分五厘を努力して六分五厘に上げなければならぬという理由はいささかもないと思うのです。あるいはまた果樹振興法に基づく果樹園経営改善資金にしても、従来六分であり、かつ、この資金は据え置き期間十年ということが、ちゃんと法律上明記されておるわけです。この分の金利については、据え置き期間中は五分五厘にするということが明らかになっておるわけです。こういうものが今度は六分五厘に努力の結果引き上げられたということになっておるわけです。あるいはまた畜産経営拡大資金にしても、やはり畜産農業というものが選択的拡大の一つの大きな柱であるとするならば、この分が、従来は畜産経営拡大は六分の金利であったのを、今度は政府の努力の結果六分五厘に引き上げられておるわけであります。しかも、この畜産の据え置き三カ年と明記された点については、これは据え置き期間中は五分五厘に据え置くということになっておるわけですね。そういう大事な部面がすべて引き上げということになっておるわけです。こういうものは一体需要が少ないか、必要がないかということは、十分大臣において検討してもらいたいと思う。事務当局まかせではいかぬと思うのです。それからもう一つは、農村電気の導入資金についても、これは従来の電気導入施設の一般資金は六分であったのが、今度は六分五厘にこれも努力して引き上げになっておるわけです。一体今日わが国の農村においてまだ電化されてない地帯は、どういうような条件に置かれておるかということを考えてみてもらいたい。これは昭和二十八年と思いますが、当委員会において議員立法で農山漁村電気導入促進法というものが成立して、その後、これを基本にして農村電化が行なわれておるわけです。ですから、電化しやすい地域は着々と電化が進んでおるわけですが、今日取り残された農村の電化されない地域は、今後電化するとしても相当の工事費がかかるわけですね。なかなか自己負担ではできないというような点もある。あるいはまた配電会社が営利主義の上に立ってなかなかやらぬというような難点もあるわけです。ですから、これを行なう場合においては、どうしても自己負担になるような資金については、現在よりも金利を安くしなければ農村電化というものはできないのです。それをあえて六分を六分五厘に引き上げなければならないという理由はどこにあるかということです。政策金融として。こういう点は数えればきりがないですよ。われわれ、下げた分に対してはこの際とやかく言わぬが、上げた分についてはあくまでも是正すべきであると思う。これは笑いごとじゃないですよ。こんなことがこの場の答弁だけで済ませるなんて考えたら、たいへんなことになると思うのですが、責任のある答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/38
-
039・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いま御指摘の点が間違っておるようです。たとえば果樹園の経営改善は下げているのです。それから畜産経営拡大資金も利下げしています。それから沿岸漁船整備促進は下げも上げもしない。同じです。それから沿岸漁業協業化促進、これも五分五厘に下げるのですから、みんないまの話と違います。話で合っているのはいまの電気導入、これの施設は上げているのです。上げているのは、ここで七つばかりありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/39
-
040・芳賀貢
○芳賀委員 ぼくは上げているほうだけ言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/40
-
041・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いや、いま下げたのを上げたと言っているから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/41
-
042・芳賀貢
○芳賀委員 そんなことはない、政府の資料に基づいてやっているんだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/42
-
043・赤城宗徳
○赤城国務大臣 政府の資料を読み方を間違えたのじゃないかと思いますが、政府の資料によると、果樹園の経営とか、畜産経営、沿岸漁業協業化等は下げております。それからいまの電気導入は上げておる。これは補助で大体まかなっておるものですから、そういう関係もありますが、これは確かに上げております。なお、私のほうの説明が十分でないと思いますので、事務当局から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/43
-
044・芳賀貢
○芳賀委員 大臣の説明は不十分でいいんですよ。熱意を持ってこれを行なうということだけ明らかになれば、くどくどした答弁は要らないです。いまあなたが下げてあるというのは、法律では金利を上げて、ただし当分の間この分については五分五厘にするというただし書き程度のことを読み上げて、下げたと言っておるので、これは改正案の内容では上げておるのです。当分の間五分五厘というのは、たとえば果樹園経営改善資金にしても、畜産経営拡大資金にしても、果樹は十年、畜産は三年の据え置き期間中は五分五厘にするということが、現行の規定で明らかになっておるので、今度は政府のほうは据え置き期間というものを法律上明らかにしないことにして、それをぼやかしたために、当分の間というようにこれをすりかえているわけなんですよ。何もこれは下げたことにならぬじゃないですか。私は政府の資料をもとにして言っているのですから、農林大臣もこういう資新の検討等は役人だけにまかさないで、十分判断しておいてもらいたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/44
-
045・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ちょっとそれは違うんじゃないでしょうか。金利を上げて、当分の間五分五厘にするというのでなくて、五分五厘に下げて当分の間やっていく、こういうことがたてまえです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/45
-
046・芳賀貢
○芳賀委員 そういう末節的なことよりも、改正案では金利は上がっておる。そして、ただし書きで、この分に対しては当分の間五分五厘とするということになっておるわけですから、この点は間違いないわけです。
次にお尋ねしたいのは、従来、別表によって、据え置き期間というものは明らかになっておる点があるわけでありますが、今度は据え置き期間何年というものを全部抹殺して、それを償還期限何年という中に繰り入れてしまったわけですね。その分だけは償還年限を延ばしたから差しつかえないではないかというが、しかし、貸し付けの条件の中で、たとえば据え置き何年ということが現行制度で明らかにされておる場合は、それをわざわざ抹殺する必要はないと思う。特に私がいま言いましたとおり、果樹園の経営改善資金にしても、あるいは畜産経営拡大資金等についても、据え置き年限中は特に金利を低減しておるというような点も考えた場合においては、据え置き年限を別表等の中において明らかにしておくということは、借り入れする側から見ても決して不利益なことではないわけです。この点は、無理に据え置き年限を抹殺する必要はないではないかというふうにわれわれは考えておるわけでありまして、この点に対して大臣の考え方というものを明らかにしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/46
-
047・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 ちょっとこまかい問題でございますので、私から申し上げますが、据え置き期間は五分五厘にしておったのを、今度は全期間を通じて五分五厘に下げたわけでございます。ですから、据え置き期間は、安くすることとは何ら関係はないわけなのです。その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
それから、先ほど来いろいろこまかい点を御指摘になりましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/47
-
048・芳賀貢
○芳賀委員 こまかいとはなんだ。どういうわけなんだ。そういう質問はこまかいというのか、けしからぬじゃないか。何が一体こまかいのか。問題がこまかいというのか。質問がこまかいのか。なまいきじゃないか。取り消しなさい。委員長、注意しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/48
-
049・高見三郎
○高見委員長 いまの松岡君の答弁を許しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/49
-
050・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 細目についての……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/50
-
051・芳賀貢
○芳賀委員 何も君に答弁なんか求めていないよ。農林大臣に質問しておるのに対して、かってに君は立ち上がって何を言っておるのか。委員長は政府委員に注意すべきじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/51
-
052・高見三郎
○高見委員長 答弁は松岡君に許しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/52
-
053・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 細目の点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/53
-
054・芳賀貢
○芳賀委員 そういうふうに直せばいいじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/54
-
055・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 それでは訂正いたしますが、細目について申し上げますと、果樹園経営にしましても、畜産経営にしましても、特に果樹園経営は、一昨年までは七分でありましたのを、昨年六分に引き下げまして、さらに今回五分五厘に下げたのでございます。畜産経営も六分から五分五厘に下げたのでございます。漁船整備と漁業協業化は大臣からお話のあったとおりでございます。それから電気導入につきましては、補助事業については確かに御指摘のように上がりましたけれども、非補助につきましては大幅に下げたわけであります。補助事業については全部金利を統一いたしまして、非補助は五分、補助は六分五厘といたしたのであります。実質的に上がりましたのは一つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/55
-
056・赤城宗徳
○赤城国務大臣 果樹、畜産の改良資金につきましては、果樹、畜産の経営改善につきまして特に政策的に推進をはからなければならない、こういう理由から、三十八年度に新設いたしました農林漁業経営構造改善資金融通制度においては、従来金利が七分であったのでありますが、果樹関係資金、及び六分五厘であった畜産関係資金の金利を六分とし、据え置き期間は五分五厘としたものを、今回その据え置き期間のみ五分五厘の金利を当分の間適用するここといたしました。また、沿岸漁船整備促進資金は、三十八年度におきまして、従来金利が六分五厘でありましたのを五分五厘としたのでありますが、先ほど申し上げたように、金利の統一という簡素化の趣旨から、六分五厘の金利に統一したほか、御指摘の他の三種の資金に適用する実際上の金利を五分五厘として統一したものでありまして、三十八年度の改善以後からの趣旨をくずしてはいないと考えておるわけであります。あるいはまた沿岸漁業協業化促進資金につきましては、三十八年度におきまして従来の七分五厘のも一のを六分五厘に引き下げて、今回さらに五分五厘の金利を適用した、こういうことでございます。
以上のように、これら資金の金利につきましては、簡素化及び改善の趣旨を生かしたつもりでございますが、御指摘のように、実際上適用される五分五厘の金利を別表にそのまま記載しないで、ただし書きという形で記載いたしたのであります。下げた問題につきましては、いま電気導入につきまして御説明申し上げますならば、これは補助でやっておりますので、御承知のように、非補助の分は引き下げてあります。補助の分は上がっておる、こういうことになっておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、全部上げないということが、これは当を得ておるということとは存じますけれども、いろいろな全体の調整上、資金の量が少ないもの、それからまた非補助、補助という関係上、やむを得ず一部引き上げた、こういうことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/56
-
057・芳賀貢
○芳賀委員 時間の関係で、あと二点だけ簡単にお尋ねしておきます。
その点は、農業改良資金助成法の改正案において、生活改善資金と後継者資金というものを新設しようとされておるわけですが、この際、後継者資金の問題です。一体このような改良資金法の中において、後継者資金というものを新設することに反対するわけではないが、この程度の施策で、後継者の確保、育成というものをどの程度期待できるというふうに農林大臣は考えておられるか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/57
-
058・赤城宗徳
○赤城国務大臣 後継者の確保は大きな問題でございますので、こういう資金の手当てだけによって私ども確保できるというふうには考えておりません。ただ、後継者として農業の一部門を責任を持ってひとつやってみよう、こういう意欲のある者に対しまして、こういう資金を設けてその意欲を助長していこう、こういうことでスタートを切ったわけでございます。したがいまして、いま御質問のように、これによってどれくらい確保できるかということを的確に申し上げる段階ではございませんが、役立てていこうという意図をもって、こういう新しい方面に道を開いた、こういうことに御了解願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/58
-
059・芳賀貢
○芳賀委員 この点は、先般農政局長から説明があって、苦心のほどはわかりますが、しかし、今日の農村の後継者の現況というものが、これは先般の大臣の年次報告に対して、私も本会議で指摘したわけでありますが、三十八年三月の中学、高等学校卒業生の中で、農業に従事しておる者は、中学卒業生では六万四千人、高等学校卒業生の中で二万六千人ということになって、これは総数九万人であります。昭和三十七年三月は、中学卒業者が五万五千人、高等学校卒業者が二万五千人で、総数八万人ということになっております。ここで問題なのは、農村の後継者が激減しておるということと、質的に非常に低下の方向を示しておるという点であります。特に高等学校卒業生は、昨年は九十七万八千人全国であるわけですが、そのうち、二万六千人だけが農村にとどまっておる。しかも内訳は、男子が二万人で、女子が六千人ですね。女の子は高等学校を出ても、ほとんど全部といっていいくらい農村にとどまらぬということになっておるわけです。こういう現況というものは、農業改良資金の中で、後継者に対して技術の研究とか特別の配慮をするくらいのことでは解決できないと思うのです。特にこの高校卒業生の場合は、農村における定時制高校の中においても、農業に従事しながら定時制高校に通っている人たちは多いわけです。しかし、それらも卒業すると、農村にとどまらぬ。特に女の子は高校を卒業すると、ほとんど全部農村にとどまらぬということになれば、単に資金措置だけで、これを育成するとか確保するということは断じてできない。やらぬよりはましかもしれぬが、もう少し農政の中において、あるいは教育政策の中においてでも、根本的な対策というものをいまにして立てないと、取り返しのつかぬ問題になると思うわけです。ですから、改良資金の中に入れることもいいが、それ以外に、農林省として、後継者の育成、確保についてやるべき大きな仕事があるのではないかというふうに考えますが、この点に対する農林大臣のお考えを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/59
-
060・赤城宗徳
○赤城国務大臣 その点は、御説のとおりでございます。私のほうといたしましても、後継者対策をどうするかということを、審議会等を設けてその意見を聞き、実地も調査をしながら、検討を続けておるわけでございます。大きな問題は、全体としての問題は、レジャーブームといいますか、そういうブームに刺激されている面もあろうと思います。しかし、どういう点であろうとも、後継者を強化して残してつくっていくということは、大事な問題でございますから、いま申し上げましたように、これには真剣に取り組んでおるわけでございます。資金だけで後継者をとめておくということが可能だとは私も考えておりません。
対策といたしまして、教育の話も出ましたが、教育も必要であろうと思います。本年度文部省関係で農業専門の高等学校を全国に五校置くということなども、一つの対策でございますし、あるいは伝習農場等における近代的農業の伝習ということも必要でありましょうし、その他万般の施策によって行なっていくことが大切だと思います。お話のように、これは非常に力を入れていかなくてはならぬ問題で、資金面だけでそういうものができ上がるというふうには私ども考えておりません。その一部であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/60
-
061・芳賀貢
○芳賀委員 最後に、もう一点だけ伺います。
農協の系統資金の活用の問題でありますが、これは政策的にも相当重要視して扱う必要があると思うのであります。かつては二段階制が唱えられたときもありましたが、これらの問題については、農林省として今日までどういう検討を行なわれておるか、その経過、あるいは結論が出ておるとすれば、それらについて述べてもらいたいと思うわけであります。
それから、系統資金の活用の問題については、近代化資金という方式によって、政府あるいは都道府県が一部の利子補給を行なって、これを政策的に活用しておることは、政府のやり方を、消極的ではあるけれども、われわれも認めておるところであります。それと同時に、農協に蓄積された資金そのものを有効に活用するということは、非常に大事だと思うわけでございますが、一番問題になっておるのは、単協段階における預金の利子と貸し付け金利の格差が非常に幅があり過ぎるという点にあります。農林大臣も農協経営には造詣が深い方でございますが、現在におきまして、単協段階における組合員が預け入れた預金の利子は、定期的なものは五分六厘程度、特利を付しても大体六分というのが金利の最高の限界であります。これが単協段階において組合員に対してどの程度の金利で貸し付けられているかというと、これは資金の目的によっていろいろ違いがありますが、単協において、一番安い金利にしても日歩二銭五厘程度です。二銭五厘ということになると、年利にすれば九分ということになるわけです。日歩三銭とすれば、年利は大体一割一分になるわけです。日歩三銭五厘とすれば、年利が大体一割三分ということになる。そうすると、組合員が定期預金で預けた分に対しては、行政的に指導している最高金利の五分六厘、特利で見ても六分です。それが貸し付けの場合は利幅が倍くらいになっているということになるわけです。一体こういう現状を農林大臣としてはどういうふうに考えておるかという点。もちろん、単協が総合事業を運営している関係上、組合員の蓄積を内部事業に用いているというところに一つ問題があるわけです。ですから、総合農協の内部の事業部面に組合員の預金が使用されておる。ですから、内部勘定において、他給資金を用いた形で明らかに信用事業等の部面における経理がなされておればよいのでありますけれども、そういう厳密な内部資金の管理方式というものは確立していないわけです。ですから、こういう点に十分メスを加える必要があると思うわけです。もちろん、金融の二段階制を採用することのほうが、資金コストの面から見ると効率的になるわけですから、一つの方法でもあります。しかし、もう一つは、末端の単位農協における信用事業を通じての資金の活用をどうするかという点については、指導に当たっておる農林省として具体的方途を明らかにすべきであるというふうに考えているわけです。ですから、農協の決算の状態等を見ると、事業部面の利益金の中における信用事業の占めるウエートが非常に高いわけです。信用事業の利益金は、結局、組合員の中の経営困難な、経済力の低い組合員が、農協に依存して高い金利の金を借りている、その金利の収入が信用事業を通じての農協の大きな利益の源泉を構成しておるわけです。そうなると、農協の中における経営の一つの基盤というものは、経済力の弱い貧農階層に高い金利の金を貸し付けた利益が相当のウエートを占めておるという点に、やはり問題があるわけです。こういう点、農協の経営等について、農林大臣はどういうような判断を持っておられるか、この際聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/61
-
062・赤城宗徳
○赤城国務大臣 確かにいまの貸し出し金利は九分から一割くらいになっているようであります。農業というものは、資金の回収有効率というか、そういうものが非常に少ないので、そういうようになっている事実は私どもも承知いたしております。また、資金を信用事業等におきまして集めた場合におきましても、他の金融機関との競争等もありまして、預金の利子等も相当高くしなければいけないというような事情もありまして、全体として見ますならば、資金コストも高い、こういうこともあろうと思います。それから、いま御指摘のように、農協内部におきまして信用事業以外の他の事業に金を回しておる。それが農業そのものの関係から、ほかの事業よりももうからないといいますか、非常に利益率が少ないといいますか、そういうところへ回しておりますので、全体として農協の信用事業の面がしわ寄せを受けておる、こういう点もあろうかと思います。これにつきましては、二段階の問題もなお検討してみなくちゃなりませんけれども、農協自体が、単協がまだ基礎が非常に脆弱といいますか、地区的にも、あるいは資金面におきましても小さいといいますか、そういう関係もあろうかと思います。でありますので、農協の合併、経営規模の拡大、それからまた、こういう仕事の面といいますか、銀行と違いまして、人にも十分人材を得られないということなどもあろうかと思います。こういういろいろの面がございますが、そういう面をさらに進めまして、資金コストの合理化をはかるように、大規模化とか、あるいは預貯金の種々の合理化とか、経済事業等の経理区分の明確化、こういうことを一そう推進さしていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/62
-
063・芳賀貢
○芳賀委員 これで終わりますが、私の言っているのは、二段階の問題も当然検討の要があるということです。しかし、単協段階においても、最近は、単協の貯金の保有が五億とかあるいは十億をこえておる組合が相当あるわけです。だから、単協における蓄積は、過去から見ると、非常に大幅に高まっておるわけです。しかし、一方貯金もふえるけれども、組合員に対する貸し付け残高も大体同じような速度でふえていっているわけです。単協段階で五億、十億以上の資金の保有があるとしても、それが、今度は中金からの借り入れとか、信連からの借り入れよりも、単協段階における貸し付け金利が非常に高いというところに、大きな矛盾があるわけです。最高にしても定期で六分の金を預かって、それを年一割一分とか一割三分で貸し付けている。こういうのは他の金融機関には事例を見ることができないと思います。ですから、経営力の弱い組合員が大きな金利負担をして、今日の農協の経営のささえをしておるということは、重大な問題だと思うわけです。ですから、こういう現状を放置した中において、農林関係の制度金融だけを強化しても、農民の蓄積した、いわゆる農協を通じての資金の効率的な活用ははかられない。これは十分並行的に考えていかなければいけないと思うのです。
きょうは大臣から具体的な何らの答弁をいただくことができなくて、まことに残念でありましたが、次の機会にもう少し明確な、赤城農政はこういうものであるという片りんぐらいは在任中に見せてもらわぬと、毎回毎回この種の答弁では、われわれとしては、なかなか期待することができないということになるので、それだけ申し上げて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/63
-
064・高見三郎
○高見委員長 足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/64
-
065・足鹿覺
○足鹿委員 いわゆる金融三法については、先日来同僚委員の質疑も熱心に行なわれ、かつまた三月六日には、大内力君ほか三名の参考人から、きわめて示唆に富んだ意見等も聴取することができまして、私ども三法案の審議にあたっては慎重審議、誤った点はこれを是正することにやぶさかではない、また伸ばす点については、政府も率直に私どもの考え方に対して見解を明らかにし、あるいは必要な措置等を講ずる、こういう態度で臨んでおるのでありますが、何か矛盾があっても、湯山質問に対しても、ただいまの芳賀質問に対しても、矛盾を気づいておりながら、あえてこれを強弁をするといいますか、受け入れられない、そういうような態度でなしに臨んでもらいたい。大臣に対してこれから若干の総括的、かつ具体的な今後の問題点等をあわせてお尋ねをいたしますので、率直な御所信を承りますと同時に、具体的な点について、明確にできる点はひとつ率直に明快な御答弁を願いたいと思うのであります。
農林漁業金融制度は、昭和二十八年度から公庫が発足をしたと思いますが、引き続き昭和三十年に補助金の適正化法の制定を見まして、これが契機となりまして、従来の補助金行政から金融行政へと漸次大きく切りかえられたと思うのであります。事の是非は別でありますが、そういう方向をたどった。そこで、二十八年度から農林漁業金融公庫が業務を開始して、長期低利の資金を貸し付けてきた。その後、三十六年に農業近代化資金法の制定によって、地方公共団体や農協系統資金、なかんずく農協系統資金あるいは農協を窓口とする農業近代化資金の運営が行なわれることになりまして、非常に複雑になり、かつ、実際の運営が意図するところとは別な姿も一部にあらわれておる、こういう状態であろうかと思うのであります。なおまた、農業信用基金協会の発足が昭和三十七年にあって、損失補償あるいは債務保証も当初は国の責任において行なわれたものが、信用基金協会等に間接的に転換され、したがって、国の財務負担軽減をはかって、いわゆる安上がり農政的な傾向が強まりつつあるのではないか、そういうふうに私どもとしては見ておるのであります。したがって、今回の三法の改正は、この傾向に対して、それぞれ努力のあとは見受けられますが、補助を打ち切って金融に依存していくというのであるならば、諸外国の事例等を勘案してみれば、必ずしも全きを得ていない、こう断定しても私は言い過ぎでないと思う。したがって、そういう見地から、農林大臣に、以下数項目重要な点についてお尋ねをいたします。
先般の参考人の公述の中にもありましたように、農林債の発行の問題が述べられました。また、その他の金融の基本的なあり方について述べられましたが、農林漁業金融公庫債を発行して系統資金をむしろ吸収する、そして現在行なわれておる近代化資金の窓口を、農協を通ずるよりも、むしろ公庫自体の責任においてやることが妥当ではないか。農協との関係は、公庫債等を発行することによって資金を吸収していく、こういう方向が妥当ではないかと思う。そういうことによって農民の資金が公庫に吸い上げられ、農民にこれが使われる、こういう本来の目的を達していくことができるのではないかと思うのであります。そういう点について御検討になっておりますか。少なくとも、先般来当委員会で、大きな制度のあり方、農林金融のあり方としては、農民の金を農民がいかにして低利に使用することができるか、そのための制度のあり方いかんということが、大きなテーマになっておると思うのであります。この点について、先般大臣が、無利子の農業機械購入等に対する貸付の方針を明らかにされたことは、私ども一応敬意を表し、ぜひその実現を期待しておったが、ああいう経過になってしまった。それも一環であろうと思いますが、いま私が述べたような系統農協のあり方等についても後ほど触れますが、系統農協に集まった金を系統農協の窓口を通じて近代化資金として放出していく、そこにいろいろな制約が、だれも意図して農協としては考えておらないような遺憾な事態が起きておる。これに対して措置すべきことは、農協資金をどういう形でか政府がもっと大胆に吸収して、政府の責任においてこれを農民に安く出していく、そういうことをやらないと、近代化資金の本来の目的が達成できないのではないか、こういうことになろうかと思いますが、この点についていかに御検討になっておりますか。今後の御所信はどうでありますか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/65
-
066・赤城宗徳
○赤城国務大臣 農民の資金を農民が使えるような——しかも農民の資金は長期低利でなければなりません。そういう意味におきまして、そういう姿でありたいということにつきましては、私ども同感でございます。そこで、その資金量をふやすという意味におきましても、農協からあるいは一般から資金を集めて、債券の発行によって資金量をふやすということについて検討したかどうか、またどういうふうな考え方かというようなお尋ねというふうに聞きました。
他の政府関係機関等でも債券を発行いたしておりますので、農林公庫等においてもどうだろうかという検討はいたしてみましたが、なかなかどうも結論的に申し上げますとむずかしいように考えられます。しかし、さらにこれは検討いたしたいと思いますが、どういう点でかというと、もう私から申し上げなくても御承知のことではございましょうけれども、何といたしましても低利長期の資金が必要でございますが、そういう意味で、ほかの金融機関に比べまして平均運用利回りが非常に低い。したがって、債券発行のコストがこれを上回るので、公庫原資の調達がなかなか適当にでき得ないのじゃないか。特に、ちょっと調べたものによりますと、通常債券発行による資金調達歩合、すなわち、発行者の利回りは七分三厘程度と考えられておりますけれども、現在債券発行を行なっております開発銀行及び北海道東北公庫等におきましては、貸し付け基準金利が八分七厘を下回っておりまして、新たに債券発行を行なおうとする中小公庫においても、九分の貸し付け基準金利を下回る、そして債券発行による資金調達も貸し付け金利と逆ざやになることはないけれども、農林金融の場合ですと、三十九年度の新規貸し付けの平均利率は、御審議願っております三法にありますように五分二厘でございます。債券発行で逆ざやになるであろうというようなことで、いまのところでは、資金運用部の資金を借りることが得策だというふうに考えておりますけれども、債券発行による原資の増大ということにつきましては、なおさらに検討してみたいと思いますが、いまのところでは、逆ざやになるというふうなことで、なかなか困難ではないかというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/66
-
067・足鹿覺
○足鹿委員 私の尋ねておることとは少し違った御答弁のようですが、要するに、原資の面で相当締めつけられておる。それから農協の窓口を通じて近代化資金が放出されるから、その面でも貧農等の利用が不可能となっておる。今度政府は予算の範囲内において公庫に対する出資を法律によらずして行なうことができるような改正案を出しておいでになりますが、政府出資といいながら、その中身は明確でないという点は、この間の湯山委員の質問によって明らかになっておる。経済局長もわからないと言っておる。それはつまり、資金源の面でいろいろむずかしい点がある。だから、もっと思い切った——農協の資金運用とも関連をいたしますが、農林漁業金融公庫の原資について、農民の金を農村の近代化金融に使うということには何ら異存はないはずなんです。それに対して他の官庁等が文句を言う筋合いではない。ですから、これは筋を通していけば、債券発行等によってある程度の逆ざやになろうと、それは農民の資金を農村の近代化原資に回すという趣旨において考えたらどうか、私はそういうことを言っておるのです。その筋は間違いないと思いますが、その点についての御答弁がどうも不十分だ。
それから近代化資金にしましても、制度金融については相当やかましく言って、当委員会等が御忠告を申し上げて、簡素化しつつあることは認めます。認めますが、何か国の干渉、制約あるいは地方公共団体の制約、補助金を与えるかのような、非常にこまかい、重箱のすみをようじで突っつくような傾向が強い。この間の参考人のある学者は、県庁の役人が、この制度金融を借りるのに一軒一軒農家に当たって調査をする、戻せますかどうですかというふうに突っ込んでいく、わずかの金を借りるのにそんなにまでこまかく追及したのでは旅費で終わってしまいやしないか、旅費代でもたいへんでしょうと、その先生は笑って言っております。これは冗談のように言っておられますが、何か金融というものを補助金のかわりに見るくせがついておる。したがって、末端の運営というものが、何か非常に硬直しておる。そういう点は農林大臣もお認めになろうと思うのです。こういうことに対する対策がもっと必要ではないか。たとえば、一応申し上げますと、利子の補給などは、もう現在の農協窓口でいくならば、一括して農協へ出してしまう、こういうやり方も必要だろうと思う。たとえば県によっては、国から県ヘワクがいく、県から地方の農林振興局のようなものをつくって、またそのワクをつくる、そのまたワクの中に各種のワクを振り当てるということをして、とにかくそのワクには殺到するけれども、それにはもう与えるワクがあって借りられない、こういうふうな矛盾はもう至るところにありますよ。事例を申し上げるならば何ぼでもあります。時間がありませんから申し上げませんが、そういう点については、もう少し大臣として、制度運用の効率的な、そして農民的な運用をはかられるように善処せられるべきものであると私は思いますか、今日まで御就任日も浅いし——大体農林大臣が一年くらいで交代されるなんということは、農林行政を侮辱するものだと私どもは思っております。相当長期の展望に立ってやらなければならぬはずのものが、どういうかげんか、たまには二年くらいの人もありますが、一年でくるくる回される、これが現内閣の方針のようでありますが、少なくとも大臣が腰を据えて、農林金融のあり方を抜本的に改めていくという所信を通そうとされるならば、私が指摘したような矛盾を踏まえて、そして本格的にこの運営面から刷新をし、あるいは資金源、あるいは金利の条件緩和、さらには交通整理といったような点に本格的に取り組まれなければ——私は、今回のは若干の交通整理が主体であって、今回の金融の三法の制度改正の本旨は、それによって立っておらないと思うのです。その点についていかように御検討になっておりますか。御所信があれば、この際明らかにしていただきたい。ないはずはないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/67
-
068・赤城宗徳
○赤城国務大臣 原資を農協の資金から仰ぐという方法が考えられないか、これはそういうふうにいたしたいと私も思います。いろいろコストの問題もあると思いますけれども、適当な方法だろうというふうに、考え方につきましては御同感申し上げる次第でございます。
なお、貸し付けの手続等につきましては、私もよく聞いておりますが、非常に煩瑣であり、補助金をくれるような態度で貸し付けるというような末端の状況であることも、御指摘のとおりだと思います。あるいはまた、利子補給等につきましても、ワク等を設けて、末端へ行きますると、片寄っておるような形、こういう点も御指摘のとおりだと思います。いろいろ御指摘の点、また私のほうで相当調査して気がついておる点もございますので、できるだけ今度の機会に善処していくといいますか、簡素化して、有効にこの基金が使われるように進めていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/68
-
069・足鹿覺
○足鹿委員 重大な問題は、ただいまも芳賀委員から御指摘になった点もありますが、近代化資金等制度金融にしろ、系統金融にしろ、すべて償還能力のある者が融資を申し込めば、これはつうつうで融資が受けられる。ところが、現在は償還能力がない、しかし、協業の問題であるとか、あるいは経営の積極的、意欲的な改善だとかいうような点で、将来になれば償還能力は十分持ち得るであろうと思う者までも、いわゆる金融ベースといいますか、先ほど私が述べましたような、あまりにもこの制約が多いために、融資が受けられない。つまり、貧農漁民に対して手が届かない。融資の道は実際閉ざされておる。これに対してあなたは、先般、農業用ガソリン税を財源として農業機械の購入等に対して無利息金融を企画された。ところが、これは残念ながら実現を見なかった。先般の予算委員会において、同僚議員の井手委員からこの問題が取り上げられて、大蔵大臣は、昭和四十年度よりこのガソリン税については無税にする、こういうことの言明をせられて、大蔵省の事務当局をろうばいさせた。そこで、その後の傾向を見ておりますと、農民に対してチケットでも出して、無税のガソリン等を使わせたらどうかということが検討されておるように伺いました。そこで、伺いますが、先般中澤委員の本委員会における質問に対して、農林大臣は、農道その他の点等に関連して自分の構想は貫くのだ、こういうことでございますが、予算委員会における大蔵大臣の御言明と、中澤委員の御質問に対する大臣の構想と、また今回大臣のよい構想が実現しなかった経違から見て、これはどう調整なさる御所存でありますか。要するに、無担保無利息の金融の必要は大臣ももうお認めになっておればこそ、原資の問題その他で御苦心になったと思う。ところが、それが政府部内においては、一方では免税でいこうと言い、一方は無利息金融でいこうと言う、こういう意見の相違といいますか、まだどういうふうに御調整になったかは存じませんが、これをどう御調整になって、大臣は農業融資に対する無利息融資の大幅な前進をかちとられようとお考えになる御所存でありますか、この点について、大蔵省当局とどのような御交渉になり、また、今後所信をその交渉の結果貫いていかれるお考えでありますか。この点は特に重要でありますので、はっきり御答弁を願いたい。御答弁できなければ、これは大蔵省当局とよく話し合われた結果を何らかの機会に御答弁を願いたい。全く違ったことになってしまっておる。これは当初の昭和三十九年度のあなた方のこの金融三法に対する——私どもは批判はいたしますが、建設的な態度で審議に当たっておるというのも一、無利息金融という大きなアドバルーンが上がった、これは赤城さんは相当やるだろう、こういうふうに期待をしておったところが、出てきたものは、先ほど来同僚委員から追及されるような不満足な形で、努力のあとは認められるけれども、不満足である。そこに農民の失望を買っておるのです。これを大臣の責任においてどう解決をされようとするのか、しかとした御所信のほどをひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/69
-
070・赤城宗徳
○赤城国務大臣 農機具等に使われるガソリンに対する税金を免税にすべきじゃないかという議論が予算委員会でありまして、お話のように、四十年度から免税にしたい、こういう大蔵大臣の所信が表明されたわけでございます。私は、この金をどういうふうに使うかということにつきましては、いまの免税にするという案、それからガソリン税は目的税として道路に使われておりますので、農村の農道等にこれを還元して使うということが、一つ問題としてあろうと思います。もう一つは、私どもが考えておりましたように、無利息の資金として、零細な農家等に貸し付けるような資金をつくる、その資金源にしたいという、三つの考え方があろうと思います。
予算委員会におきましては、免税にするということで四十年度は臨むということでございますが、この免税につきましては、数年来農村方面からの要望でありましたし、私どももその要望に加わっておったのでありますが、徴税技術上、徴税費のほうが多くついてしまって、複雑でなかなかできないのじゃないかというような難点が、従来でもあったようでございます。それらは抜きにいたしましても、それらの三つの面が、免税でなかったならば農村に還元せい、農業用に使え、それは農道かあるいは無利子の資金というような形があろうと思います。この間、大蔵大臣は免税で進むということでありましたが、私どもといたしましては、従来考えておりましたとおり、免税というよりは、道路あるいは資金のほうへ回す、いずれかにする方向で話してみたいと思います。町村道ということになりますと、はたして全部その金に均衡したような町村道路ができるかどうかという問題があろうと思います。私といたしましては、ことし初めに考えておりましたように、農業用の資金、ことに無利息の資金という方向で、農業用機械等に使うガソリン税を還元していく。また、大蔵当局、大蔵大臣とは、いまの予算も通っていないような状況でございますので、話し合いをしておりません。話し合いはしておりませんが、私どもの考えとしては、免税というよりも、むしろその金を無利息の農業用の資金に還元するということのほうが、私は有効な使い方じゃないか、こういうふうに考えております。いずれ協議をする機会があろうと思いますが、いままだその相談はいたしておりません。私の考え方は以上申し上げたような考え方で協議を進めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/70
-
071・足鹿覺
○足鹿委員 貧農漁民に対する将来、現在の償還能力についてなかなかむずかしいというものに対する融資対策としては、これは経済政策の範疇に属するか、あるいは社会政策的な角度から見るべきかという議論も、先日の参考人の意見の中にも聞きました。農業政策として行なう場合、これは当然農業政策として行なうのであって、それが経済ベース一点ばりであったり、社会政策的面でなければこの問題の解決がつかないというようなことでは、私どもは農業政策の実態からいって、これは農業政策ではないと思うのです。あの御議論をなされた方もありましたけれども、要は、無利息、無担保の農林金融制度というものをつくろうという赤城構想が分裂をしてくる。これについては今後も努力をするし、いま自分の所信は既定の所信だということでございますから、これ以上は申し上げませんが、少なくともこれらの点については、先ほど来私が問題にしておりますように、現在最も生産性の低い、そして融資を必要とする者に金がいかないのです。それに対しては、無担保、無利息の金融制度を農業政策として、農林金融政策として打ち出す以外には、この問題の解決の方途というものは大きい筋としてはない。その所信だけはお捨てにならないで、今後ただ単に農業用ガソリン税の問題に関連するのみならず、先ほどから私が申し上げました原資のあり方等についても、御検討になってしかるべきである。そういう観念において冒頭から私は申し上げている所存でございますが、その点について、今後もさらに、いわゆる貧農漁民に将来償還能力を持たしめ、また持ち得る能力のある者に対してどう処置するか。先般の参考人の意見の中にも、金を出しっぱなし、アフターケアということを政府もやっておらぬ、農協も不十分だ、こういうきびしい批判でした。私は、これは首肯のできる御意見だと思って傾聴いたしました。そういう点が欠けておるから、いつまでたっても、流れるところには金が流れるけれども、肝心な貧農漁民については金が出ない、こういう実態になるのではないか。この点をさらに十分御検討になって、ガソリン税の問題にとらわれることなしに、一般論的に大臣の御所見をこの際明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/71
-
072・赤城宗徳
○赤城国務大臣 零細であり、また償還能力がないというようなことで、せっかくの資金も借りられない、あるいは借りた場合におきましても、その後のめんどうを見ないというような形で放てきされておるということは、好ましくないことだと思います。やはり一つの農業経営の計画にもタッチして、そういう零細で、金も無担保で無利子でなければやっていけないというような者に対する指導、計画等が必要であろうと思います。でありますので、いまガソリン税の還元問題は別といたしましても、一つの農業政策としてそういう方向へ金を回す場合におきましては、計画性を持って、そして経営が伸びるような指導を伴って、金融の道も広げていく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/72
-
073・足鹿覺
○足鹿委員 どうも不満足ですが、あまりこの問題だけに時間をとりますと、具体的な先を伺うことができませんから、先に進みます。十分御検討を願いたいと思います。
赤城農政の第二の大きな柱は、近代化の基盤としての生産基盤を整備していくということ、それで、今度の金融との関係においては、同僚議員からもしばしば御指摘になった、土地取得に中心が置かれている。これは確かに三分五厘にお下げになったことはけっこうでありますが、もっともっと私が言いますように下げてもよろしい。ですが、少なくともその努力は買いましょう。しかし、今度の土地改良法の一部改正の際に詳しくは御質疑をいたしますが、構造改善事業の推進の非補助も現状、これは農業及び沿岸漁業の場合ですが、非補助の小団地等土地改良も現状、それから土地改良非補助も現状ですね。それから先ほど問題になった自作農維持も現状ですね。一般的な土地改良もこれは六分五厘の現状、造林も現状、漁港も現状、その他各種ありますが、共同施設等についても現状が多い。この条件、金利等は現状でありますが、償還期限等は延長され、据え置き期間も一延長されておる。そうしますと、現在償却に困っておる土地改良区等にこれをどう適用して負担の軽減をはかるか。大体構造改善事業なんというものは、国が全額でパイロットをやって、その波及効果をねらい、一方においては指定地区などというちゃちなことではなしに、基盤整備に対するところの金融政策というものをもっと徹底していくほうが、構造政策としては本来のあり方だと私は思っておるのです。これは先般も申し上げたとおりですが、そういう面から一例を申し上げますと、こういう事態が起きておる。昭和三十三年に、鳥取県鳥取市の千代水土地改良区というところですが、区画整理と暗渠排水事業をやった。事業量は九〇%終わっておりまして、公庫資金の償還が三十七年度からもう始まっております。三十四年に千二百万円、三十五年に千七百万円の年賦償還金と、三十八年度までに借りた資金五千九百万円の据え置き利子の合計で、大体五百万円を支払わなければならぬようになっております。そのほかに短期債のものがございまして、トータルしてみますと、すでに償却金が四千百二十三円にもあがっておる。三十三年に事業に着手して今日に至っておるのに、四千百二十三円にもなっておる。事業はまだ完了していないのです。これは現実の問題として、金利は現行据え置きであるが、償還期限を延長された場合、あるいは据え置き期間をこれからのものを延長される場合には、遡及適用の間においてどう調整されて、農民の負担の軽減をはかられようとするか、これははっきり区別して御答弁願いたいのですが、そういう処置のしかたをどうされるか、それからこれを旧債とみなして、いわゆる借りかえ対策を別途に講じて土地改良の政策的推進をはかられる御所存でありますか、その間の御方針はどうでありますか。まだ事業が終わっていないのに償却が始まっておる。反当四千百二十三円といいますと、ざっと米一俵です。土地改良をしたからといって、直ちに一俵の増収などは思いもよりません。幅三メートルから四メートルの基幹農道等は、公共の用に供する市町村道に匹敵するものでありましょう。トラックが自由に出たり入ったりするものですからね。支線農道にしても一みな大きくなっている。そういう点から見ますと、これはよくなりますが、区画整理したからといっても、むしろ生産性は逆に一時減退する。労力が軽減されるという面は出てきますが、そのこと自体によって、一例ですけれども、四千百二十三円という米一俵分の増収は得られないのですよ、大臣。この点をあなた方はどう調整されるか。私はそういう面から見て、当然金利は下げられるものだと思っておった。ところがいま言われましたように、全然それには手がつかないで、現状とあるからには、これを遡及適用するか、あるいは旧債の借りかえ対策として今後措置されるか。構造改善事業なんというものは、事将来に属し、いまようやく三年度目を始めようという段階でありまして、それが全部終わったとしても、そのこと自体政策としては意味を持っておりません。先般来申し上げておりますように、基盤整備の必要な農草地というものは、ばく大な面積になっておるのでありますから、一般のこれらの財政投融資対策が大きく出てこなければ、近代化の基盤たる、あなたの一番言っておられる基盤整備の問題は、停滞して進まぬじゃありませんか。私は一例を申し上げて反省を求めたいと思うのです。構造改善も、時と場合によってわれわれは何でも反対しておりません。その内容いかん、地元住民が納得し得るものでありますならば、あえてそれを阻止したり反対はいたしません。しかし、最近の返上の実情を見ても、将来は相当問題が横たわっておる。むしろ、一般の土地政策としての土地改良を中心とし、農地の造成、草地の造成はもちろんでありますが、現実に起きておるこの土地改良の行き詰まりをどう処置される御所存でありますか。このたびの改正と関連して、これは非常に重要な点だろうと思います。御所信なり具体的な方針を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/73
-
074・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ちょっと、いままでのいきさつ等につきまして、農地局長から答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/74
-
075・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 御指摘のことにつきまして、私ども詳細に調べましたので、ちょっとその関係だけを御参考に申し上げます。
実はこの地区につきまして、あまり負担金、年賦金が高いものでありますから、非常に疑問に思って調べてみましたところ、この事業をやりますために、六百七十万円ばかりの金を単協から借りておるわけであります。そこで、この六百七十万円の金を二年間で返すという約束でその部分を借りまして、八割融資を国庫から受けました。そこで、最初の二年間には六百何十万円を一挙に返そうという形で、御指摘のとおり三千数百円、四千円近い形に相なっております。それで、本来二割程度のものは、事業を始めます際に御関係の方々が持ち寄って、あと八割程度のものを借りて事業をする、そういう仕組みで進んでおるわけでありますが、この場合は、その二割部分を農協から二年もので借りてしまった。そこで、いま申しましたような形に相なっておる。御参考までに公庫のいまの条件で年賦還償金を算定いたしますと、千六百五十何円に相なります。そのごく一部の地域が別の事業をやっております。これが重なりまして単協の金がからみまして、四千何ぼ、こういう形に相なっております。
そこで、第二の御質問でございますが、ともかくそういう状態に相なっておりますので、土地改良の制度の問題とは別にいたしまして、これがいわゆる不振土地改良区というようなことになりますれば、ケース・バイ・ケースの問題として、公庫、金融機関と県庁の間で調整していきたい。
それからもう一つの御質問の、過去の契約との関係でありますが、これはいま私どものほうでは、新しい据え置き期間等は、これから貸し付け決定をし、貸し付け契約をするものから適用をいたしたいと存じております。それでは過去のものはどうなるのかというケースは、具体的のケースの問題として、償還金の徴収に当たります債権管理の問題として、公庫と団体との話し合いによって解決したい、一応かように事務的には考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/75
-
076・赤城宗徳
○赤城国務大臣 実は私も耕地整理をやったことがありまして、土地改良をしたからといって、すぐ一俵増収になるというようなことには相なりません。なかなか資金の返還が苦しいのでございます。私などは当時、こういう低金利時代ではございませんでしたから、勧銀、農工銀行等から借りて苦しんだのでありますが、今度こういうふうに改正をいたしました場合に、さかのぼって前に、困っておる組合とか、あるいはこの率よりも高く借りている組合に遡及するのかどうか、こういうことでございますけれども、御承知のように、法律は、特に遡及を規定いたしません限りもとには戻りませんで、もとの契約のままでいくということに相なるわけでございます。でございますから、これからのものにこの金利あるいは償還期限等が当てはまるわけでございます。ただ、私は、従来私なども経験がありますが、非常に高い場合、借りかえということをやっぱり進めていかなくちゃいかぬと思います。なかなか償還ができませんで、途中でもうストップするというようなことが相当多いのでございます。こういう場合には、やはり金利の安いものに借りかえる。でありますから、そういう土地改良の団体と公庫等との契約の更改といいますか、借りかえ契約をいたしまして、償還期限を延長する、あるいは金利を安くするとか、こういう方法によって負担を軽くしていくということを進めていきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/76
-
077・足鹿覺
○足鹿委員 公庫総裁もおいでになっております。ただいまの大臣なり局長の御答弁は、過去のものには遡及しない、しかし、公庫との管理の面を通じて改善の余地があるかのごとき御答弁でございますが、いま私が指摘したような点についていかように御検討になっておりますか。とにかく全国二万の土地改良区の半分は赤字なんです。まだまだふえる傾向にあるのが現状なんです。そういう現状に対して、今度の土地改良金融が金利緩和をやっておらない。私は非常に遺憾であります。これが政策の柱なんですから、この一点にしぼっても、当然あらゆる運営上の面を通じて負担軽減なり、不振土地改良区対策に措置されなければならないことは、もう言うまでもないと思うのです。その点について、直接その衝にお当たりになっておる公庫総裁として、今後どのような措置を講じられる御所存でありますか。ただいまの丹羽局長なり大臣の御答弁だけでは、どうもこれは抽象的で問題になりません。はっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/77
-
078・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ちょっと私のほうから補足しておきますが、全部を借りかえさせるということではございません。土地改良組合の実態等によりまして、これは個別的に公庫と相談いたしまして、これは借りかえてやらなければ非常に苦しくて困るじゃないかというような実情が出てさましたら、そういうものに借りかえを今後進めていく。しかし、この際に切りかえて、全部借りかえにしたらよかろうということでございませんで、具体的に個々的に折衝して、そういう方向へ持っていくのが至当ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/78
-
079・足鹿覺
○足鹿委員 私はほかの問題でもまだ質問がたくさんあるのですが、これは政策の基調ですからね。これに関連する今度の公庫法なり改良資金法の改正なんですからね。焦点は、やはり農業近代化の基本条件たる生産基盤に対する金融のあり方というものだろうと思うのです。それが金利は現状だ、取得にのみ重点を置いたあり方に問題があるのであって、いわゆる旧債とみなして、何らかのここに新しい対策を打ち出さなければ、既存の赤字組合は五〇%どころか、八〇%にも最近達しておるという話もある。これから着手するものにこの条件で、既定の金利で据え置きと償還期間を延長するということでは、これは今後においては、前進でないとは言いませんが、総合的に見た土地政策、またこれに伴う土地金融というもののあり方が不徹底である。これは少なくとも大臣が基盤整備を政策の第二の柱として取り上げておられるのに似つかわしからぬ内容だと私は指摘しておるのです。その点はお認めになって措置されるというのでありますが、金融公庫と打ち合わせをして、これとこれとこれはどうだという、そういうワクをはめるまでもなく、一般的にもう既定の事実じゃありませんか。旧債の借りかえ等をこの際新しく運営の面で措置できるかどうか、また措置すべきではないかということを私は言っておるのです。一例として申し上げたのですよ。
大臣は一時までというのでしたら、これはどうしますかね。まだ重要な問題があるのですが、いまのような御答弁では、この問題については何ぼでも時間がかかりますよ。委員長、どうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/79
-
080・高見三郎
○高見委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/80
-
081・高見三郎
○高見委員長 速記を始めて。
この際、暫時休憩いたします。
午後零時五十二分休憩
————◇—————
午後二時十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/81
-
082・高見三郎
○高見委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
農業改良資金助成法の一部を改正する法律案外二案に対する質疑を続行いたします。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/82
-
083・足鹿覺
○足鹿委員 午前中の質疑の土地改良融資に関連をして、この際、具体的に申し上げますが、やはり現在の農地金融の場合の年間農民負担は、反当二千円が限度だと私は思うのであります。今後は二千ないし二千数百円程度をこのたびの改正でも目途においておられるようでありますが、ごく最近事業を始めたものとか、私が指摘したように、まだ完成をしないものとかいうものについては、やはりその線に沿って、運営上の面において農民負担を軽減していく、そういうふうに公庫総裁にも指示をされ、私が述べたように、今後のものといままでのものとにあまりにも大きな開きのないような措置が必要だと思います。具体的にはなかなかむずかしいと思いますが、しかし、公庫当局の運営の問題にも相当関係があるように、先ほど農地局長も答弁しておられますので、大臣の御答弁とあわせて、公庫総裁のほうからも、運営上の面においていかに対処されるかということをこの際伺って、この土地金融対策の問題については打ち切りたいと思いますから、ひとつそのつもりで名答弁を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/83
-
084・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御趣旨に沿うような意味におきまして、よく協議して進めていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/84
-
085・足鹿覺
○足鹿委員 旧債整理の問題で、先ほど松浦、芳賀両委員からも触れられましたが、私は具体的な問題で、松浦君が触れられた開拓の問題に関連をして、去る三月五日、全日本開拓者連盟の婦人部の大会があって、与野党ともたくさん来賓として国会議員が臨席をされ、与党の諸先生方も全部その要望については賛成のごあいさつがあったというので、私どものほうにも強い御要望が来ております。それは、一例を申し上げますと、緊急入植政策によって導入されました特殊融資資金のうち、不良農機具、ゴム輪馬車、鉄輪馬車、製粉機、脱穀機、畜力農具等のものを終戦当時軍の払い下げとして開拓地に与えた。当時の気持ちとしては、これは緊急開拓の初めでもあるし、もらったものだと思っておったところが、途中になって、これは貸してやったんだ、だから旧債並みにして戻せということで、最近非常に困っておる。そのため特別の婦人の大会が持たれて、もしそれを債権としてどうしても政府が譲ることができないならば、そのたな上げ措置等を強く要望しておりますが、私は無理からぬことだと思う。これは一例でありますが、その他の災害融資の場合におきましても、非常に問題がある。この旧債整理の問題については、いまの開拓地の不良債権のたな上げにはどういうふうに措置される御所存であるかということが一点。
それからいま一つは、漁業構造改善地区の場合には、旧債の借りかえ措置が講じられておる。つまり、金利は五分で、一人当たり三十万円まで認められておると聞いておりますが、一般農業構造改善なりその他の場合に、これに準ずる資金措置がございますかどうか。これはほんとうに私わからないので、お尋ねをするわけですが、この二点について明らかにしていただきたい。初めの問題は大臣からひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/85
-
086・赤城宗徳
○赤城国務大臣 開拓地の旧債を処理しませんと、外へ出るものにいたしましても、残っているものにいたしましても、非常に支障があるわけでございます。そういう意味におきまして、前向きのほうははっきりきめましたが、旧債等につきましても、いまのところは法律はつくらないで、自作農維持資金を充てていこう、こういうことで、目下検討中でございますから、近くそれで処理していきたい、こう考えております。
それから、入植当時いろいろなものをもらったと思ったところが、借りになっているということで、いま催促されて困っておるという事態、これはよく検討いたしまして、善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/86
-
087・足鹿覺
○足鹿委員 農地局長は知っておるでしょうね。こういう切実な要請が出るまでもなく、当然こういうものは処理すべきじゃないですか。それから後段の答弁はどうですか、農業構造改善地区に対する何らかの措置があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/87
-
088・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 まず、開拓者の旧債につきましては、いま大臣からお答えいたしましたように、自作農維持資金で処理をする方向で、団体その他と打ち合わせる。それから、農協の終戦時の負債につきましては、確かに御指摘のとおり問題がございますので、団体債務と個人債務とをあわせて現在調査中でございます。この調査の結果とあわせて考えたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/88
-
089・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 構造改善地区について特別の整理資金があるかというお尋ねでございますが、漁業構造改善地区につきましては、魚価安定資金で負債整理を進めております。これは実は漁業のほうには自創資金に相当するものがございませんので、魚価安定資金を設けたわけでございます。これも今回利下げをいたしまして、自創資金と同じようにしたわけでございますが、これはただ自創資金とは違いまして、構造改善地区に限られておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/89
-
090・足鹿覺
○足鹿委員 これはどうも私のはき違いですかね。私の聞きたいのは、漁業構造改善地区においては、特に旧債整理のための借りかえ措置というようなことに理解しておる。現在災害の場合でも、自創資金あるいは天災資金とおっしゃいますけれども、満ぱいになっておる。そのつどその延長の措置等をとらねば、天災融資の金もいかなければ、自創資金もいかないというので、災害のときなんかいつも困る。ですから、農林金融政策としては、旧債の借りかえ対策ということをやらないと、新しく融資をしても、そこへみんな流れてしまう、あるいはそのためにストップをしてしまう、こういう弊害がある。たまたまそういうふうな措置として、漁業の場合にはこのような制度があると私は解釈をしたわけです。いまの御答弁ではちょっと認識違いの点もあるようですが、大臣そういう点については大臣交渉で措置されることが必要だと思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/90
-
091・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私も詳しく承知しておりませんが、いまのお話によりますと、漁業の構造改善をしておるところにおいては、個人の旧債等を始末するといいますか、そういう資金が出ておるけれども、農業関係の構造改善事業の指定地においてはそういうものがないではないか、漁業と同じようにやったらどうか、こういう御質問の趣旨かと思います。これはやはり一般的な問題として、自作農維持資金等におきまして、そういうことを進めていくのを特に考慮していくということについては、私は適当であろうと思いますけれども、いまお話しのように、満ぱいでもうなくなっているという場合には、そういうわけにもいきませんけれども、特に構造改善地区等において個人の負債を処理していくような資金を出したらどうかということにつきましては、なお検討を要すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/91
-
092・足鹿覺
○足鹿委員 松岡局長の答弁は少し味がないですよ。自創資金と同じ趣旨のものだと一口に言ってのけられる性質のものでないということは、いまの大臣の御答弁であなたも一わかるでしょう。何か旧債措置というものをこの際金融制度全般に考えなければならぬ段階に来ていることは、お認めになるでしょう。いつも災害対策のときに困るのですよ。実際に天災融資法、自創資金のワクの拡大といっても、いままで満ぱいになっておる者は借りようがないために、みんな一々延長手続を要請しなければならぬ。法律の改正をしなければならぬ。そういう旧債整理についての場合、たとえば構造改善地区にはさらに借金政策がとられているわけですから、事実そういう面からも、性質は自創資金の性質であっても、漁業構造改善地区にそういう旧債整理の目的を持った資金が設けられておる、あるいはその運営がなされているというならば、当然いまの御答弁に従って早急に検討さるべき性質のものであると思います。昌谷さんもおいでになっておりますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/92
-
093・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 お尋ねの趣旨に沿いまして申し上げますが、天災等によって負債が累積し、それの負担が過重になっている場合に、特に構造改善地区について考える必要があるではないかということでございますが、現在天災融資法によりまして貸し付けました資金につきましては、必要によりましては、重複災害等が起きまして累積負債の償還が困難な場合には、特別の延長なり借りかえを認める場合もございます。それから、それでもなお困難な場合、必ずしも重複災害じゃなくても、償還が困難なような場合には、損失補償をいたしております。そういう措置もとっておりますが、さらに自創資金の負債整理の資金もございますので、これは現在、先ほども御指摘がありましたように、三十万円という限度がありますので、これが一ぱいになっている人がございまして、そういう場合には困る方もあるかと思います。今回の改善措置の一環としまして、この三十万円の限度を相当引き上げたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/93
-
094・足鹿覺
○足鹿委員 大体一つの方向は出たと思うのですが、やはり自創資金に相当するもので、漁業構造改善地区の場合は旧債処理をしておる。要するに、そういう制度の必要は、何らかの措置が必要であるということは明らかになったようでありますので、せっかくこの問題については、そのつど法律を改廃しなければ満ぱいになった農家に金が渡りにくい、あるいは渡らないというようなことのないように、早急に措置を講じられんことを特に申し上げておきます。
それから次に、農業金融の問題を通じて大きな柱の系統農協関係の問題についてお尋ねをいたします。最初に切実な問題が一つあります。最近、政府は、青果物の流通改革等に積極的な対策を講じようとしておるようであります。けっこうでありますが、その法案の際にいろいろと研究をさせていただきますが、事金融に関するものがありますので、お伺いしたいのですが、農協の流通販売設備等に対する近代化資金の融資、あるいはまたそれにかわるべき融資の必要を認めておるかどうか。低利融資であります。聞くところによりますと、中金のほうで七分五厘の融資をするように来年度から考えておるということでありますが、政府は、実際生産者から消費者へ、しかも農民がつくったものを農民の組織した農協の市場を通じて公正に卸売り事業が営まれておるというようなものに対して、主務大臣指定の中にも、共同施設の中にも、これらの設備あるいは流動運営資金等の資金融通の道が開かれておらないようでありますが、これに対して政府は従来いかに検討しておられるか。中金資金の七分五厘では、私どもは時節がら流通対策の一環としては少し手ぬるいと思う。もっと意欲的に生産から販売をされ、現実に金を受け取って、初めて構造改善事業の目的も達成をされ、また農村対策の秘訣もそこに落ちつくわけでありますから、当然、選果場であるとか、あるいはその他の共同施設に低利融資を行なうならば、農協が意欲的に行なっておる青果物卸売り市場等については、相当低利長期の資金を貸し出すべき筋のものだと思う。これに対して、既存のものに対しては何ら手が打たれておらない。これを救済し、あわせて、将来そういう方向に対して大臣はどのような指導対策を持っておるか。一例をあげますと、県の段階では集荷、販売までは農林課がやっておる。市場は商工課が所管をしておる。こういうことで地方では非常に困っておる。県条例を設置して、卸売り市場に対しての若干の規制を加えておりますが、それもある県とない県とある。全く流通問題に対して全部の農協が意欲的だとは思いませんが、そういう最近意欲的な動きが出ておるものに対しては、新しくこれを助長育成するためにも、共同施設あるいは主務大臣指定のものの中から、これが処理できるような取り扱いを講ずべきだと思いますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/94
-
095・赤城宗徳
○赤城国務大臣 現在検討している問題がございますので、事務当局からちょっと先に答弁さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/95
-
096・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 いま御指摘のありました問題は、一つは、地方市場としての農協の市場施設等について、近代化資金の対象、あるいは何らかそういったもので融資の対象にできないかというお話でございますが、近代化資金におきましても、各種の貯蔵加工施設等の流通関係の施設に融資しておるわけでございます。ただ、そういった純粋の流通施設に対しましてはまだ融資は行なわれておりませんが、このたび農林中央金庫において、農協の共同利用施設について、近代化資金と同じ七分五厘の条件で貸し出しを行なうということを実施することになりましたので、そういう資金の対象として扱えるかどうか、これをよく検討いたしたいと思います。
それからもう一つ、これは農協に限らないのでございますが、地方市場の対策をどうするかという問題につきましては、農林省といたしましても、別途検討をいたしております。現在県条例等で行なっておりますいろいろな規制で十分であるかどうか、特別の立法を行なって何らかの措置をとるか、その辺につきましては、現在検討を進めている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/96
-
097・足鹿覺
○足鹿委員 だから、農林中央金庫で七分五厘融資の問題を検討中だと私は聞いておるけれども、それでは手ぬるいと言っているのですよ。そんなことを聞いているのではないのですよ。だから、近代化資金等の、あるいはこれに準ずるような共同施設に対する融資か、あるいは主務大臣指定で処理するか、生産から流通、消費まで一貫した何らかの施策を政府が奨励するならば、当然そうあるべきではないか、このための積極的な対策いかんということを聞いているのです。農林中金で来年度からそれが始められようとして検討されているということはさっき言ったでしょう。そんなことを聞いているのじゃないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/97
-
098・赤城宗徳
○赤城国務大臣 先ほどお話のように、農林中央金庫で七分五厘の貸し出しをして共同利用施設をしているのは、それじゃ手ぬるいじゃないかというお話でございました。それで、共同利用施設としての農産物の処理加工とか貯蔵施設、こういう流通対策に対して、農協等の行なうものに対して資金を出す道を開かねばいかぬ、こういう御質問だと思います。そういう方向でひとつ検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/98
-
099・足鹿覺
○足鹿委員 どうも総合的な対策としての具体案があまり政府にはないようであって、検討中、検討中でありますが、せっかく御検討願いたいと思うのです。問題を指摘しておくだけにしますが、とにかくあまり中身がないのに、一般に大きな期待を抱かせるような幻想を振りまくことだけはお慎み願いたい。やはり中身のある総合された政策を今後進めていただきたいと思うのであります。
ともあれ、先ほど芳賀委員からも農協系統金融については御質問がありましたが、私は別な角度から、この農林金融の中に占めておる系統金融問題についてお尋ねをいたしますが、農業資金は農協がまかなうのが本来の任務だろうと思う。政府も合併促進法を制定したりして、農協の合併大規模化を御奨励になっている。その結果合併も進んで、単協の資金も豊富となってきております。したがって、農業資金は、農協を通じて農民のために効率的に運用されなければならぬということを私どもはモットーとしていかなければならぬと思いますが、単協の場合でも、連合会の場合でも、一般金融関係については財務基準例に基づいて非常にきびしい規制が加えられておる。それから最近新しく躍進をしております共済事業につきましても、三分方式という方式によって、相当資金運用に規制が加えられておる。少なくともいまの省令をもってしては、相当高率運用を行なって掛け金を軽減して民保と対抗したり、あるいは直貸または信連経由によって安い金を農民に供給する、近代化のために金融を通じて貢献しようと思っても、事実上できないような省令や財務基準令があるために、実際において農協資金というものは高率運用にならない。したがって、低利融資等はなかなか思うようにならぬ、 こういうのが実情であろうと思うのです。二段階制等はなかなか容易な問題ではありませんが、問題は、具体的な、たとえば共済事業連が農家の老朽住宅の改造等に乗り出しておる。直貸あるいは信連を経由して普通の金利よりも安く努力をしておる。生活改善あるいは農業近代化のために貢献をしておるが、その量たるやきわめて微々たるものである。したがって、組合員に対する直貸方式に必ずしも私はこだわるものではございませんが、特に現在信連等に許しておる程度に農協等の財産運用方法を定める省令等を改正して、現在の三分方式以外にコールや株式の取得を一部認めるべきではないか、さように私は思うのであります。そうしないと、実際においてこれが言うべくして、農協資金の農民利用ということはなかなかできない。また一方、対抗上からも健全な発達は期しがたい点があろうかと思います。その点について、総合的な立場から段階制の問題や、あるいはその他いろいろな問題もありますが、当面しておる具体的な問題は、農協の余裕金あるいは共済事業の積み立て金等の安全な高率運用の阻害となっておる政省令等を再検討する段階にきているのではないかと思いますが、その点について大臣の御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/99
-
100・赤城宗徳
○赤城国務大臣 再検討をする必要があろうと思います。お話が非常に技術的、専門的でございますので、いままで検討している状況等も事務当局から申し上げて、検討を進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/100
-
101・昌谷孝
○昌谷政府委員 全体の問題に関連をいたしますので、根本的には全体の構想の中での検討になるわけですが、お話の中にございました農業協同組合による共済事業で蓄積せられました資金の運用の問題につきましては、全体の農協資金のあり方の問題とももちろん関係はいたしますけれども、当面手直しをすべき点がありはしないかという角度から、目下検討をいたしております。
検討の主要項目は、お話がございましたように、コールローンを認めるかどうか、それから株式取得を何がしか認めるかどうか、それから現在許されている限度以上に不動産の取得の限度を引き上げるかどうか、おおむねそういった点が目下検討いたしておりますポイントでございます。もちろん、農協の事業でございますから、一方では一般の民保の場合よりも保険としての条件をよくする方向にいかなければなりません。また一方では、蓄積せられました資金を、お話にございました厚生福利あるいは農業生産の増強といったような方向にも使いたいということで、御承知のように、現在の財務基準令では、十分の三を下らざる額を系統預金、それからいわゆる高率運用は十分の三の範囲内ということで調整をとっておるわけであります。したがいまして、いま検討しております。先ほど申しました三点は、いまの十分の三の範囲内で行ないます高率運用をさらにより高率的にする方法いかんという問題になるわけであります。そのうち、やはり系統金融におきましての窓口の一元化といったようなことも、十分考慮に入れなければならない要素があります。信用事業を行ないます農業協同組合連合会と共済事業を行ないます連合会とが、相互関連でその辺の運用の限度をいかようにいたすか、目下役所も中に入りまして、関係者の間で検討中でありまして、近く結論を得たいと考えております。
株式につきましては、問題がやや複雑でございまして、必ずしもこれが組合員のための有利な資金運用である保証がなかなか得られがたく、また能力的にも、一般の民保がやっておるのと比較いたしますれば、専門家もおりませんし、そういう意味合いからいって、かなり危険な要素もあるわけであります。そこで、どの程度に限定をして許すか、あるいはもうしばらく機構の充実を待つかというようなところが、目下検討課題であります。
それから不動産につきましては、比較的問題がないように私どもは思っております。現在は御承知のとおり、不動産は五百万円程度を限度として指導いたしております。これは時勢の変化、物価の関係等もございますから、かなり弾力的に今後考えてまいりたい、さようなことで、以上三点を中心にして検討が進められております。必ずしも共済連と私どもだけで検討して事が足りる問題でもございませんので、関係の農協陣営の内部でも御検討いただき、あわせて私どもが調整をいたしたい、さような段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/101
-
102・足鹿覺
○足鹿委員 私の言いたいことは、共済事業の場合は、少なくとも信連並みの資金運用を認めるということを目標にすべきであり、また民保との対抗上、契約者に対する負担軽減、つまり、掛け金の軽減が可能になるような、運用の規制を緩和していくという、その目標で目的が達成できるような検討であればいいわけでありますが、ただ検討、検討で、先ほどから私が質問しておる問題は、ほとんど検討中の問題で、未解決のまま長い間放任されておる。財務基準令のごときは数次にわたって改正は行なわれておりますが、もともと再建整備やあるいは整備促進が起きた当時の思想が残っておるのですから、農協の大型化に伴う現実の姿と照らし合わせてみた場合には、基準令にしろ、省令にしろ、その他すべてもっと画期的な検討が行なわれなければならず、すでにそれは実施されなければならぬと思う。大型化を奨励した以上は、その裏づけとしての一連の施策というものが講ぜられなければならないはずなのに、これは一向らちがあかない。現在農林行政の面において農林金融というものが大きな比重を占めるようになっても、旧態依然たる省内機構等も災いしておるのではないかとも考えられるので、もっと積極的な体制を整えられんことを、この際特に申し上げておきたいと思います。
最後にお尋ねをいたしますが、これは農林金融と直接関係はございませんが、実際は農林金融になるわけなんですが、本年の二月に農業災害補償法が改正実施をされて、今度は単位団体の災害責任負担部分がふえた。そうしますと、現在連合会を対象としておるところの共済基金の貸し付け対象の範囲を当然市町村段階にまで拡充していくべきであるというふうに私どもは考えておる。これについては、先般の抜本的な改正案の検討の際にも一主張をし、検討する旨をあなた方は約束しておられますが、現実においていまにしてこの法改正等の措置を講じておかなければ、また問題が起きるではないかという点がありますが、基金の単位団体への配賦に対していかように対処される御所存であるか、この点が一点。
それから、私の質問の集約として、以上を総括して申し上げますと、私が先日要求しました資料の四にあるわけでありますが、農林漁業金融制度の根本体制なりそのあり方について、従来いかように検討したかということを先般資料をもって報告を求めたのでありますが、それに対して昭和三十三年五月から三十六年十二月に至る、農林漁業金融制度の再検討を目的とした農林漁業金融協議会なるものが設けられ、民間団体がこれの中心となって検討されて、一応解散をしておる。その後は、農林漁業基本問題調査会で、法第四条ですかに伴う問題として、一応平面的に取り上げられておるだけである。問題は、このように農政の方向が金融へ向かって大きく切りかえられておるさ中にあり、先刻来指摘しておりますように、問題はたくさんある。これを整理して、新しい農林漁業金融制度のあり方はどうか、制度金融と系統農漁業団体との総合調整のあり方はどうか、また組合金融そのものの合理化対策はどうかといったような問題、あるいはまた政府はややもすれば自立経営を中心とした融資方針を根幹にしておるようでありますが、兼業が七〇%にも達するような現状においては、これの協業促進等が大きな柱にならざるを得ないと思う。そういう協業経営あるいは共同経営の指導育成に寄与するという立場からも、根本的な体制のあり方について、農林省だけが必要に応じて各団体や公庫と話し合いをする、その間に大蔵省とまた折衡をするというようなことで、びほう策をもって今日に至っておるようでありますが、少なくとも昭和三十三年から三十六年の段階と、その後の高度成長下における日本農業の急速な変貌に対処するためには、現段階においてはもっと長期の展望に立った制度のあり方について検討を加え、すみやかに措置すべきだと思うのです。そういう意味から、農林漁業金融制度のあり方をめぐっての権威ある調査機関あるいは審議会といったような機関を設けて、すみやかに問題点を摘出整理して、今日の段階に即応するような対策を打ち出すべきだと思いますが、この点について農林大臣の御所信のほどを承りたいと思います。
最初は農業共済基金の市町村段階への貸し付け対象の拡大と、あとは審議会等の制度金融、系統金融等の全般にわたっての検討機関の設立について、御所見があったら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/102
-
103・赤城宗徳
○赤城国務大臣 農業共済組合単位組合の資金をそこへ融通するかという問題は、ごもっともだと思います。そういうふうにしたいと思いますが、もう少し検討してみる面も事務的にあるようでございます。そういう意味で、なおもう少し検討する余地がありますので、そういう段階であることを申し上げておきたいと思います。
また、農林漁業の金融制度でございますが、これはいまお話しの農林漁業金融協議会あるいは農林漁業基本問題調査会等でいろいろ審議をいたしておりましたが、さらに新しい段階においてそれを総合的に——なおいろいろお話がありました技術的、専門的な問題もございます。そういういろいろな点から、一度やはり協議会、審議会といいますか、委員会といいますか、そういうものを設けて、一つの大きな柱でありますところの農林漁業金融制度をいい方向に持っていくための検討をすることは必要だと思います。そういう機関をつくって検討してみたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/103
-
104・高見三郎
○高見委員長 次会は、明十三日午前十時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02019640312/104
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。