1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月二十四日(火曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 長谷川四郎君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 大石 武一君
大坪 保雄君 加藤 精三君
仮谷 忠男君 吉川 久衛君
笹山茂太郎君 寺島隆太郎君
内藤 隆君 野原 正勝君
藤田 義光君 松田 鐵藏君
亘 四郎君 角屋堅次郎君
川俣 清音君 中澤 茂一君
楢崎弥之助君 西村 関一君
野口 忠夫君 湯山 勇君
中村 時雄君
出席政府委員
農林政務次官 丹羽 兵助君
農林事務官
(大臣官房長) 中西 一郎君
林野庁長官 田中 重五君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 宮崎 仁君
会計検査院事務
官
(第四局長) 小沢 定司君
専 門 員 松任谷健太郎君
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三月二十四日
委員松浦定義君辞任につき、その補欠として川
俣清音君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員川俣清音君辞任につき、その補欠として松
浦定義君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十一日
学校給食の用に供する牛乳の供給等に関する特
別措置法案(湯山勇君外二十名提出、衆法第三
四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四六号)
林業信用基金法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八五号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
いずれも内閣提出にかかる保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案及び林業信用基金法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告があります。順次これを許します。川俣清音君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/1
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002・川俣清音
○川俣委員 私はきよう主として林業信用基金関係法案について、政府の所見をお聞きいたしたいと思うのでございます。
これは改正法案でございますが、基金ができました際に、本委員会におきまして私どもから質疑が行なわれております。その要点は、公社、公団あるいは他の基金と比較して、その組織が小規模ではないかという心配のあまりの質問をいたしておるわけであります。業務の運営上その円滑化をはかり、その業績の向上に資するためには、理事の充実が必要ではないかという質問に対しまして、農林当局は、公社、公団、基金の機構がいたずらに膨大であっては、かえって運営を阻害するおそれもあり、極力簡素に運営いたして、しこうして業績をあげていきたいという決意を述べられておるのでございます。いたずらに組織を膨大にすることは、業績をあげることをむしろ阻害するおそれがあるのである。またとかくの批判もあるので、簡素に運営をしていきたいという意思表示が述べられて、私どもは大いにこれに感服させられたのであります。珍しく規模を縮小してやろうという決意に対しては、大いに感服させられたのであります。ところが今度の改正案は、規模が小さ過ぎるから役員を増加しなければならないということに変わったのは、どうしたことであろうかと思うのであります。
もう一つは、やはり改正案にありまする出資金の問題でありますが、出資が小額であるために運営上支障を来たすおそれはないのか、こういう質問に対しまして、政府出資は少な過ぎるようなおそれはあるけれども、他に公共団体あるいは民間出資があるので、資金源に不足を来たすようなことはないのだ、こういう答弁があったのであります。しかし私どもは、いわゆる民間出資者あるいは公共団体の出資は、それに見合うだけの融資が行なわれ、それを保証しなければならないのであるからして、民間融資と政府融資との均衡をはかっていかなければ、金庫の使命を果たすことができないではないかという、これも非常な懸念から質疑をいたしておるのでありますが、政府は、農林省は、あるいは林野庁は、当時政府出資のほかに民間出資があるのだから資金源に不足はない、こういうことでこの法案を成立させたわけでございます。今日政府出資がやはり不足だというところから、また増額の改正ができてきたわけでございます。そうすると前の質疑が行なわれて、その答弁と異なった事態ができてきたのでありますが、これは粗漏であったのではないかというそしりを受けると思うのであります。
まだ設立以来一年を経過せずに、もはや資金繰りに危機を生じた、機構上にも不足を来たしておるということでございますが、こういうことでありますなら、また改正をしなければならない事態におちいるのじゃないか。ところが基金とか公庫とかいうものは、特に基金は、その性質上、たびたび改正すべきものではないと思うのです。信用を重視する基金におきましては、たびたび改正をするというようなことは避けていかなければならない。その信用の度合いからいきましても、たびたび方針が変わるというようなことは避けなければならないと思うのでありますが、これに対する林野庁並びに農林省の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/2
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003・田中重五
○田中(重)政府委員 当初基金を創設いたしました段階では、いまお説のとおりの考え方でいたわけでございまして、そういう考え方につきましては現在も変わりはないわけでございます。ただ当初予想をいたしまして、法律にも掲げましたところの基金の総出資額を七億円と見まして、政府がその半分の三億五千万円を出資する、その場合、都道府県並びに民間の林業者等の出資につきましては、それぞれ一億七千五百万円相当額を予想したわけでございます。ところが、この基金の創設によるところのこれが利用に対する林業者等の期待が、きわめて高いことがわかってまいったわけでございます。そこで、お手元にも差し上げております資料で明らかだと思うのでございますが、林業者等の出資一億七千五百万円の予定に対しまして、昨年の十二月末現在で四億五千万円、つまり予定の倍以上にのぼるところの出資を見たわけでございます。そういうことになりますと、この基金の全体の保証のワクの限度等につきまして、その均衡を失してまいるというふうな考え方に立ち至るわけでございます。現在のところ、都道府県におきましても、予定の一億七千五百万円が、この三十八会計年度の末にはほぼ二億というふうに予想されておるわけであります。そういうような期待によりまして、民間出資のワクが相当に高まりました関係上・それに相応じまして政府の出資をこの際その倍にする必要があるというふうに考えて、提案をいたしておる次第でございます。そういうことで今回、予定といたしましては、三十九年度予算に三億五千万円の政府出資を要求いたしておる次第でございますが、三十八年度の分と合わせまして、政府出資だけで七億。そこで民間出資の現在高あるいは三十九年度における予想等を見ますと、少なくとも出資金の総額といたしまして十五、六億程度のものが予想をされるわけでございます。そうなりますと、現在理事一名ということで定められておりましたこの基金におきましても、基金の業務の相当複雑かつ量の増大をこれまた予想をいたさなければならない次第でございまして、現在の一人の理事では適正な業務の運営にことを欠くというふうに考える次第でございますので、さらにもう一名を増員をいたしまして、それぞれ業務の分担を定め、今後の基金の保証業務につきまして誤りなく、万遺憾なきを期したい、こう考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/3
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004・中西一郎
○中西政府委員 官房の立場でお答えいたします。
いま林野庁長官がお話し申し上げたとおりだと思うのですが、粗漏でなかったかというようお尋ねですが、そうおっしゃられると粗漏があったとはなかなか言いにくいのですけれども、やはり一年間の経過を見て、今回の改正をするということに重点があるので、一年前にそれをやっておれば、いわばむだな先行投資になっておったかもしれません。そういう意味で、見通しがきちっとしていなかったという点があるかもしれませんが、役所の考え方、態度としては、今度の改正案を出さざるを得なかった立場については、御了察を願えるのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/4
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005・川俣清音
○川俣委員 農林省は従来生産事業にかなり努力を払っておりますので、金融についてはややしろうとの傾きがあると思います。そういうところから、民間出資が多いから、資金繰りに支障を来たさないのだという考え方が、そもそも甘い考え方であったと思うのです。これは出資者に対して十倍ないし二十倍の金融措置を講ずるのでありますから、出資金が全部資金となるのではないのです。なることはなるけれども、それを見返りにその十倍ないし二十倍の資金繰りをしなければならないというのが、基金の本質なんです。普通の出資と違うのです。出資の見返りに、その十倍、二十倍という融資をするということが前提になっておるのです。すなわち民間出資が多ければいいのではないかではないのでありまして、民間出資が多ければ多いほど、民間に金融機関が資金繰りをする、その保証をしようというようなたてまえですから、保証額が大きくなる。保証というのは、使う使わないは別として、十分な資金を持っていなければ保証にはならない。信用の度合いを高めておかなければ、これは保証にはならない。これは経済の原則なんです。それを大いに簡素にやるのだという、その決意はりっぱですよ。それは称賛に値すると思うのです。やれないことをやるのだといったのでは、基金の本質を理解しない甘さがあったのじゃないかということを指摘したいし、また再びこういう問題が起きるのではないか。そうなれば、朝令暮改ではなくて、こういう基金のような信用を主としているものは、そう方針を変えるべきじゃない。たびたび変えるということは、また変えるかもしらぬという——これはおそらく拡大のためでありますから、そう不安はないでありましょうけれども、内容的に充実しておらないのだという印象を与えることは、信用をたてまえとする基金においては、避けていかなければならぬのじゃないか。官房長、そうじゃないですか。これは常識じゃないですか。農林省は百姓を相手にするように、補助金をくれるような考え方で基金を運用できないということを、よほど強く感じなければいけないのではないか、こういうことを申し上げて見解を聞きたいのです。農林省全体の信用にかかわるから、あえて官房長のおいでを願ったわけです。これは林野庁ばかりではないのです。農林省の信用にかかわるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/5
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006・中西一郎
○中西政府委員 だんだんのお話、大筋は先生のおっしゃるとおりだと思います。それに対応して政府としていろいろ対策を講じている。それが民間の出資なり保証すべき融資の総額なりが、見通しよりも大きくなってきたという意味では、確かに当初の計画が小さかったということになると思います。そういうことでだんだん実際の融資ワクも大きくし、保証すべき基金もふえていくという事態になったことも、御指摘のとおりです。それに沿うのに今度の措置で十分であるのかどうかというお尋ねも含まれておると思うのですが、当面はだいじょうぶだというふうには考えております。将来長い先はどうだと言われますと、これはわかりませんが、政府のとった措置としては、とりあえずはこれでいいのじゃないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/6
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007・川俣清音
○川俣委員 そこなんです。この前もこれでいいか、これでだいじょうぶやれると思いますと言った。一年足らずで変えなければならぬという事態が起こった。そこで再びこれを指摘した。これは五年たったならば別ですよ。一年もたたないうちに、もうすでに変えなければならない事態ということは、見通しが立たなかったというわけにはいかぬ。天候のようなものだと、見通しが立たないということがありますけれども、こういう事態について見通しが甘かったということは、これはいかがなものかと思うのでございます。今度はまただいじょうぶだと言うけれども、またそのうちに変えなければならぬというふうな事態、それは決して悲観すべき状態ではなくて、利用度や必要度が高まっておるということの説明にはなりましょうけれども、いわゆる基金でありますから、措置を誤るならば、むしろ弊害を起こすおそれすらあるのではないか。これはだいじょうぶだ、その農林省が信用できなくなったから質問しておるのですよ。この前もこれで十分やれると思います。こういうことであった。これはこの程度にしておきます。
〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕
そこで、具体的にお尋ねいたしたいのですが、農林省は農林次官通達を昭和三十八年十月一日に、都道府県知事あてと基金の理事長あてに出されておる。そこで二点お尋ねしたいのですが、一点は、通達の第一の制定の趣旨のところに「林業者等の信用力を補完して林業経営の改善に必要な資金の借入れ」とあります。一体この「林業者等」というのはどういう内容のものか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/7
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008・田中重五
○田中(重)政府委員 この場合林業者等と申しますと、大ざっぱにいいますと、育林から伐出並びに製材工場がその資材を入手する、その資材の購入というところまででございます。育苗生産のための種苗の購入、あるいは立木の買い付け、これの伐出、それからシイタケの原木、あるいは薪炭の原木、あるいは種ごま、そういうようなものを買い入れる場合、これらを買い入れる者が林業者でございます。さらにこれを会社その他組合の面で申し上げますと、森林組合、それから森林組合連合会、あるいは林業を営む者が直接または間接の構成員となっておる中小企業等協同組合、農業協同組合、それから農業協同組合連合会、さらに林業を営む会社でありまして、資本の額または出資の総額が一千万円以下のもの、それから常時雇用する従業者の数が三百人以下のもの、あるいは個人にあっては常時雇用する従業者の数が三百人以下の者ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/8
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009・川俣清音
○川俣委員 林業の定義につきましては諸説がありまするけれども、おおよそ私どもの理解するところでは、種植育成した森林木を社会が利用することを目的とする土地生産業で、広義では農業の一部であるという解釈がなされております。これが定説のようでございます。すなわち林業者とは、林業を営む業者ということになります。そうすると通念的な定義から言うならば、種をもって、あるいは植えつけをもって育成した森林木を社会が利用することを目的とする土地生産業である。概して農業の一部であるという解釈が行なわれておる。狭義の農業と林業の区別についても、これはいろいろ諸説がありますが、概して木材業は別であるという解釈をとっております。これが大体の学説と私どもは理解しておる。すな
わち林業は木材業とは別だ。ところがいまの長官の説明だと、木材業が林業であるというお考えのようですが、そういう説を立てても無理じゃないと思いますが、あるいは通達あるいは法律用語としては、本法でいう林業とはかくかくのものだという定義を別に立てなければならない。通説に反するような用語を使う場合には、ことさら解釈をつけなければならないと思うのですが、長官のお考え並びに農林省の見解をお聞きしたい。見解は林野庁の見解だけでは足りないのでありまして、ぜひ官房長の意見を聞かなければならないということがここで出てきたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/9
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010・田中重五
○田中(重)政府委員 お説のとおりに林業の定義につきましては、いろいろ学説の上では論議がございますが、この基金の場合におきましては、法律の第一条で、「林業(林業種菌生産業及び木材製造業を含む。)」というふうに明確に規定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/10
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011・川俣清音
○川俣委員 含むというのは、誤解を受けるから含むとしたのであろうと思います。本来はそう解釈されないと思う。あえて含むとしたのであろうと思います。この論争は時間がかかりますからおきまして、農林省の用語は、ときには非常に独善的な、世間に通じない用語をお使いになりますので、あえてこの問題を提起したわけでございます。
それでは次にお尋ねしたいのですが、この基金の対象になりますのは、通達の第五によると、木材製造業の範囲を規定いたしております。ここでいう木材製造業というのは、たとえば製材業、単板製造業、まくら木製造業、坑木製造業、げた材製造業、チップ製造業等がこれであって、合板製造業とか、木箱製造業あるいはパルプ製造業は、これに含まれていないのだという説明が行なわれまして、木材製造業の範囲をあえて規定をされております。そこでお尋ねをしなければならぬのは、一体チップは入るけれども木毛などは入らないのか、木毛とチップの差はどれだけある、この点をひとつ。あるいは電柱の腕木、これは木材製造業の中に入るのか。合板が入らない、木箱製造業が入らないとすると、これが入るのか入らないのかということは、非常にあいまいでございます。あるいは洗たく板製造業、あるいはなべぶた、あるいはかまぶたも入りましょうか。あるいはまないた製造業、こういうのは一体入らないと規定しておるのかどうか。第五の説明では入るような入らないような、あいまいなものでございまして、運用上支障を来たすおそれがある。あえて次官通達をしておるからには、明快な見解がなければならないと思う。これは業務を制約しておるのです。したがって明快な見解がなければならないと思います。官房長、通達の趣旨を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/11
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012・田中重五
○田中(重)政府委員 いまお説にございました第五の木材製造業の範囲は、この法律では次官通達のとおりに解釈いたしておりまして、さらに申し上げますと、一般製材業の中の、素材の第一次加工を業とするというふうに考えておりまして、具体的に申し上げますと、行政管理庁の編さんによるところの日本産業分類に分類されている木材、木製品製造業のうちの、製材業、製板業、まくら木製造業、床板製造業、チップ製造業、それから第二次加工のための原材料生産を業とするというものが含まれるのだというふうに解釈をいたしております。それでその製品がそのまま消費者の手に回っていくというような、いわゆる家具、木工の類でございますが、それは一応含まないという解釈でございます。ただものによりましては、その不分明なものもあるいは出てまいるかもしれませんが、よく検討をいたしたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/12
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013・川俣清音
○川俣委員 これは運用の問題でありまして、これに対して基金等からおそらく問い合わせがある、あるいは基金がこの通達を独断で解釈するということになるかと思うのでございます。従来第一次加工、第二次加工については、通産省と農林省との間で非常に論争のあった問題、官庁間ですら論争のあった問題でございます。腕木の問題のごときは、通産省と農林省との間で過去十一年にわたって論争してきた問題であります。通産省所管と農林省所管は二次加工品だ、一次加工品だというふうに、電柱は農林省だが、腕木は通産省だということで、論争してきたことは明らかでしょう。こういう官庁間ですから疑問のある問題を表現しておるということ、これは妥当を欠くものじゃないか。この次官通達については、官房長がおそらく検討を加えられておるはずだと思うのです。文章については官房長の責任だと思うのです。官房長、どういうお考えでこれを表現されておるか、お尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/13
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014・中西一郎
○中西政府委員 お話の点、いままでの農林金融の金融体系の中で、農林省のことでございますから、一次産業を主体にしてやるわけですが、いわゆる林業については、少しいわば盲点があったということで、この制度ができたわけでございます。そういう意味で、一次加工までは原材料生産に密接につながっておるという意味合いで、一次加工ということに重点を置いてこの制度ができたと思います。二次加工段階になりますと、第一次生産と距離が離れますだけに、この制度と疎遠になる。そこで一次加工と二次加工の中間についての問題点の御指摘でございますが、それぞれその趣旨に従って、金融制度について、この制度による裏づけがあったほうが林業そのものにとっていいのだ、そういうような目的的な解釈をして、それぞれ処理していくのが実情ではないかと思います。材の場合のよりどころとして、先ほど号板野庁長官が申し上げましたような行政管理庁の資料もございますので、そういうものをよりどころにして、具体的に処理していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/14
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015・川俣清音
○川俣委員 これは実際にはわからないのです。おそらく官房長自体もわからないで答弁されているのだろうと思います。一次加工、二次加工という抽象的な表現では、これはわかったようですが、具体的に当てはめるとわからなくなってくるのじゃないかと思うのです。たとえば木箱製造業は入らない。木箱を製造する前の単板は入るということだと思うのです。それではたる丸はどうなんです。これは一次産業か二次産業かという問題が起きてくると思うのです。
そこでこういう運用については、さらに検討されるそうでありますが、通達を出される前に整理をしておく必要があったのではないか。通達は権威を持たせなければならないと思うのです。行政措置ですから、権威のないものは価値がないのです。そういう意味で通達を出されたからには、検討されたものと私はそう理解するのですが、農林省というものはあまり検討もしないで通達をするのかどうか。この点をひとつなおお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/15
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016・中西一郎
○中西政府委員 できるだけの検討はいたしまして、通達するわけですが、やはり運営状況により、それぞれ具体的に突き当たって処理するという問題も、やむを得ない場合にはあるということで御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/16
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017・川俣清音
○川俣委員 私があえてこれを指摘するのは、民間におきましても、自分の業態が保証の対象になるのかならないのかということが、かなり論争を呼んでいる問題でございます。解釈によりましては同じ林野庁の中のものにおきましても、解釈が二様であります。二様であっては運営ができないじゃないですか。そういう意味でお尋ね申し上げた。ここで官房長を苦しめるとか、そういう意味ではない。運用に支障を来たすならば、この法律を改正しても意味がない、こういうことになるのではないか。解釈が二様、三様にあるようでは、運用ができないのではないか。まずそれを改正する必要があるのではないか、こういう意味でお尋ねしているのですが、一体たる丸は入っているのですか、入らないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/17
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018・田中重五
○田中(重)政府委員 たる丸は入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/18
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019・川俣清音
○川俣委員 おそらく入ると理解していいのではないかと思いますが、たる丸業者が出資する場合に、非常に二の足を踏んだのはこの点でございます。入るのか入らないのか、そういう問題がありますから、民間出資についてもいろいろお考えになっているようでありますが、あるいは公共団体の出資にいたしましても、こういう点についてやはり明確な指示がなければならないものだという意味でお尋ねすると同時に、警告しているわけでございます。基金の本質については、その運用がよければ期待も非常に大きいし、効果もあると思うのです。しかしながら解釈がまちまちでありますならば、その運用を阻害するばかりではなく、農林省の信用にもかかわることだと思うので、老婆心からお尋ねし、検討を必要とするのではないかという警告を出さざるを得ない。
次にお尋ねいたしますが、基金のほうはちょっとおいて、会計検査院にひとつお尋ねしたいのですが、それは保安林のほうに入りますので、御了承願っておきたいと思いますが、今度保安林の整備の法律の延長につきまして一つ疑義がございますので、会計検査院の説明を聞かなければ、無条件でこの法律の延長に賛成しがたいと思うのでございます。それは民有林を買い上げる場合、すなわち民有林では保安施設を十分することができないために、国土保全に支障があるというところから、いわゆる経済的でない民有保安林を救済の意味で、あえて買い上げようとするのでございます。その趣旨は賛成しますけれども、時価で買い上げるということでございます・流動性のない、流通性のないものに、時価というものが発生するのかどうか・特に会計検査院は、国有林等の貨し付けについて時価主義を強調しております。時価の見積もりが安いために、貨し付け料金が安いのだというような指摘をあえてしておられます。そこで一体会計検査院は、時価とはどのように理解をしておられまするか、この点をひとつお尋ねをしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/19
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020・小沢定司
○小沢会計検査院説明員 川俣先生のお尋ねでございまするが、現在法律の審議中の過程の問題についての御質問でございますが、私どものほうで特別に会計検査院として、時価というものについての何かを持てという性質のものではございませんので、ただいま私どものほうから出しておりまする検査報告に関連しての御質問でございまするが、私どものほうといたしましては、国の財産の管理及び処分につきましては、御承知のように、国有財産法なりあるいは国有林野法なりを基本法といたしました各種の法令、あるいはそれに基づきまする通達というようなもので、一応の基準というものが定まっております。そうした基準に従いまして、そうしたものを筋を通した目で見た上で、これが高いとかあるいは安いとかということを申しておるわけでございます。いま御質問のありました本年度検査報告に掲記して、低いではないかということを言っておりまする問題などは、たとえて申しますると、京都の賀茂神社の隣の土地をゴルフ場用地として観光会社に貸しておる。ところが私どものほうで調べてみますと、同じ用地を賀茂神社は、林野庁の貸しておりまする値段の二倍で貸しておる。逆に申しますと、林野庁が貸しております値段は、賀茂神社の貸しておる値段の半分ではないか、これはあまりにひどいではないかということで、まあそういう問題ばかりでもありませんけれども、あるいは現在宅地化している、こういうところを山林のままの価格でやっているのは安いのではないかという具体的な問題を取り上げまして、一般に時価と申しますとむずかしいかもしれませんけれども、こういう土地の評価に使われておりまする一般的なものの考え方を当てはめまして見ていく、こういう次第でございまして、先生のお尋ねのように、私どものほうで土地の時価というものについての、特別のものさしを持っている次第ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/20
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021・川俣清音
○川俣委員 これから国有林野事業で民有林を時価で買い上げる、これに対する会計検査院の検査が当然行なわれるわけですね。その場合に、一体時価というのはどう判定されるのか。いまあなたがあげられたのは、付近の売買価格を参考にするわけでしょう。保安林というのは流通性のないものなんです。付近に経済価値もないだけに、価値判断が非常にしにくいものです。したがって買い上げなければならないという事態が起こるのです。いわゆる流通性のないものに、時価というものが生ずるのかどうか・あなたは会計検査院としてどう判断して検査されるのか。時価で買い上げるということになると、一体その時価が安い高いという判断を、会計検査院はどこで何を基準としてやるのか。流通性のあるものならば、付近の売買価格であるとか、あるいは地価であるとかというもので算定するであろうと思います。御承知のとおり保安林は地租免除になっておるわけです。地価というものの算定ができないわけです。経済的価値のないものです。経済的価値はないけれども、国土保全上必要だから、あえてこれを買い上げるというのがこの趣旨でございます。したがって時価というものは算定の基礎がないものなんですね。会計検査院はどう判断されるか、これをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/21
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022・小沢定司
○小沢会計検査院説明員 お説のように土地の価格と申しますのは、不代替的なものでございまして、人の顔が違うと同じように違う性質のものでございますので、おっしゃるように時価がないといえば時価がないということにもなるかと思いまするけれども、現実に売買が行なわれるという場合には、その場合にその土地がどういう価格が、客観的に見て妥当な価格であるかということの、一応の判定というものをつけなければならぬと思います。この判定のしかたといたしましては、もちろん固定資産税の課税標準価額であるとか、あるいは登録税の課税標準価額であるとか、あるいは先ほど申し上げましたような近傍類地の取引値段であるとか、あるいは判断のつかない場合には精通者の意見と申しまして、専門家である大蔵省の財務局の意見であるとか、あるいは銀行の意見であるとか、そういうようなものを全部総合判断いたしました上で、その中にはやはりとるべき要素もありますし、これはとてもとれないというような要素もございまして、そういうようなものを全部総合判断いたしました上で行なわれる。従来から、いまお話の保安林につきましても、ここ数年来林野庁でお買い上げになっておりまして、そのお買い上げになっております分につきましては、私どものほうでも毎年証拠書類によって検査をいたしております。その証拠書類によって検査をいたしております場合に、林野庁のほうから、この土地の価格というものはどういうものを基準にして考えたか、たとえば先ほど申しましたように、固定資産税の課税標準をとるとか、あるいはそれはとてもとれないから、精通者の意見を聞くというようなことできておりますが、そういうことで、そうした意味の要素の中で、おのずからそこに出てくる妥当な価格というもの、これが妥当な価格であると林野庁のほうでお認めになり、私どものほうでもそれを証拠書類を拝見いたしまして、なるほど批判を加える余地がないと申しますか、そういうものを妥当なものとして承認をしてまいっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/22
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023・川俣清音
○川俣委員 客観的に判断できるということは、流通性があれば客観的判断ができる。流通性のないものに、客観的判断というものはできますか。流通性のあるものを客観的に判断することはできます。
〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕
流通性をとめておるものに、客観的な判断というものは出てくるわけがないじゃないか。経済価値のないもの、経済価値を制限されているもの、経済活動を制限されているもの、そこに客観点な価値なんというものは——主観点な価値ならあるでしょうけれども、客観的な価値はない。それを客観的に判断をするのだ。一方からいけばこれは主観的な考え方をせざるを得ないこともあるわけです。これは会計検査院にお聞きするのですけれども、税務署でも相続税の場合に、一番判断に悩むのは保安林なんです。山林地でありながら保安林なんです。どれだけの価値があるものか。いま固定資産税のお話が出ましたけれども、地租免除ですから、保安林は固定資産税がかかっていないのです。そういうところに固定資産税のかからない、固定資産税の評価のできないようなところが、一体客観的価格の算定というものができるかというと、できないというのが常識じゃないですか。会計検査院はできるというのですが、できないというのが私は常識じゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/23
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024・小沢定司
○小沢会計検査院説明員 おっしゃるとおり土地というものは、先ほども申し上げましたように不代替性のものでございまして、それではその土地そのものの客観的価値あるいは客観的価格というのはあるかとおっしゃれば、確かにそれは、ないと言えばないという性質のものだと思うのです。ただ現実に取引が行なわれます場合、たとえば政府が買い入れます場合、あるいは政府が売ります場合、そういう場合に、それに相当する、これは幾らで買うべきものか、幾らで売るべきものかというものにつきましては、やはりいろいろの要素を勘案した上で、納得をする価格というものが出てくるはずだと思います。先ほど申されましたように、その中にはいろいろの要素が入ってまいります。保安林のように、施業制限を受けているものだとか、あるいはそのほかいろいろ土地そのものの持つ性格というものがございますけれども、そういう場合に、たとえば先ほど申しましたいわゆる精通者の意見というものは、そうしたものを全部織り込んだ上で、その土地の価格がこれぐらいになるのだということを精通者としてきめておる。あるいはまた先ほど申しました売買実例というものも、何もすぐ隣にあるからそれをとってくるというのではなしに、やはり同じ品位と申しますか、品質と申しますか、そういう同じような品種の森林なら森林というものについての売買実例であれば、それをとってきて、それをもって判定するというようなことが、現実に行政庁のほうでも行なわれております。そうしたものを私どものほうで証拠書類としていただきまして、私どものほうでもさらに検討する。あるいは疑問のものにつきましては実地検査に入りまして、営林局なり営林署の職員の方と一緒に市町村を回って課税台帳を調べたり、あるいは近傍類地の売買実例を調べてみたりということを、現実に現地を回ってやりまして、その結果、先ほど申し上げたように、どうしてもこれは安過ぎるのではないかというようなものが出てきました場合に、検査報告として掲記しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/24
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025・川俣清音
○川俣委員 会計検査院はあまり御存じでなくて、ものを判断されることが明らかになりました。何も基礎なしに判断しておられるということが、あまりにも明らかに証明されたようなものだと思うのです。御承知のとおり日本の不動産の価格の権威として、不動産研究所がございます。この統計をごらんになりましても、山林地については、あえて保安林を除いて山林地の平均価格を出している。保安林は除いてある。それは評価がしにくいということです。日本では権威あるとされておる不動産研究所すら、保安林の価格についてはこれを除いておるほどに、価格形成についてはいろいろな説のあるところでございます。経済活動というものが行なわれず、価値が制限されておる。すなわち売買は直接制限されてはおりませんけれども、評価額について問題があるために、売買が行なわれがたい性質のものなんです。それをあえて保安林というので、国土保全その他のために経済活動を制限しているものなんです。経済活動を制限しておるのだから、客観的な評価などというものは生まれてくることができないものではないか。したがって所有者から言えば安いとも言えるでしょう。あるいは林野庁からいけば、価値のないものだ、経済活動のできないものであるからして、気の毒だから買い上げてやるのだという説明にもあえてなっておるわけです。持っていながら経済活動のできない土地だから、あえて国が買い上げてやろうという理由にもなっておるわけです。ただ制限をするだけでは、保安林の機能を十分発揮することができないであろうというところから、あえて買い上げるという理由も生じておると思う。売らないものを買い上げるのではなくて、必要だけれどもなかなか価格の形成がむずかしいもので、これを持っておりましても経済的に成り立たないものであるから一あえて国が買い上げていこう、これが趣旨だと私は理解をしておる。それを時価だと言うからには問題があるのではないか。これは私、主計局か、あるいは国税庁に来てもらうとわかると思うのですが、相続税で評価の一番困難なものは山林のうちの保安林である。これはどう評価するか。価値がないとも判断できる。あるとも判断できる。確かに立木はあるのです。立木があって、価値がありそうに見えるけれども、伐採の制限を受けている。いま売りたいと思っても、売れないという制限を受けている。そういう性質の土地に時価というものが生ずる、こうお考えになって判定できるならいいですけれども、おそらくなかなか判定できないのじゃないかと思う。そうすると林野庁まかせになるか、それも許されない。一体保安林についての基準を検討されたことがあるのですか。あってそういう自信のある発言をなさるのなら、その自信のほどを示しておいてほしい。多年の経験で——私はあえてないとは言わせません。あるならば保安林等についての基準をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/25
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026・小沢定司
○小沢会計検査院説明員 私としては、保安林買い上げについての基準を、われわれのほうで持っているのだということをいま申し上げたわけではございませんので、先生のおっしゃるとおり、土地というものにはいろいろの個別性と申しますか、代替性がございます。それからおっしゃるとおり、保安林につきましては施業制限というものもございます。そのほかの土地につきましても、いろいろその土地その土地なりの特色がございます。したがいましてこの保安林を買う場合にはどうだということになりますと、やはりそれはその保安林の持っておりまする、先ほど申しましたような品種なり、あるいは施業制限の程度なり、いろいろなものを勘案した上で、売買取引慣行というものができ上がるのだというふうに私は承知いたしております。それから先ほど申し上げましたように、現在まで林野庁から御提出いただいております証拠書類につきまして検査をして、検査を了してまいりましたのは、林野庁でやっておられまする買い上げについて評価と申しますか、そういうものはいろいろ、精通者の意見なり、あるいは銀行の意見なり、あるいは財務局の意見なり、あるいは先ほど申しました課税の台帳価額なりというようなものを総合勘案した上で、私のほうへ、これは採用できないのだ、これをとるというのが一番妥当に思うというようなことを言ってこられる。全部が全部私のほうで実地検査に行ったわけではございませんけれども、そのうち二、三については毎年検査にも行っておりまして、そして先ほど申し上げましたように、当局の方といろいろ調査をする、その結果、調査官のほうでも、これはやはり妥当な価格だということの信証を得てまいりますので、検査報告に掲記するような事態ではないということで判断をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/26
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027・川俣清音
○川俣委員 非常にあいまいです。それは今後も非常に問題が起きることだと思います。林野庁は国土保全の必要上必要だというところからあえて買うのでありますから、国土の保全という使命からいうと、非常に価値が高いとも言えないことはない。従来災害のために使われた国の費用から見るならば、このくらいのものは買っても安いとも言えるのです。必要性に基づいて買うのですから、必要の限度が強ければ強いほど、価値があるとも判断できる。しかしこの森林は経済活動を制限されておるのであるから、価値がないのだとも判断できるのです。そういう性質のものだけに、地価というものの判定が非常に困難じゃないかということをあえて私が指摘をしたのです。国からいえばぜひ必要なものだ、国土保全上絶対必要なものだ。要らないところを買うわけではないのです。絶対必要なところをあえて買うのでありますから、了承されておるわけです。それだけに一方からいえば必要なところ、一方からいえばあまり必要でないところだとも言えないことはない。持っている価値がないのです。価値が制限されているのですから、価値がないとも言える。薄いとも言える。国からいうと非常に重要だとも言える。それを客観的に判断するというのですから、非常にむずかしいのではありまんか、こうお聞きしているのです。そういういろいろな資料を持ってきて——資料があるわけはないのですよ。付近に売買価格分あるわけじゃなし、あるいは固定資産税があるわけじゃなし、かっての地租があるわけじゃなし、そういう性質のものなんです。けれども、国土保全上必要だということについては強調されなければならないのが、保安林の本質なんです。その地価というものが一体高い安いという判定をあなた方がすることになっておるが、できますかどうかということをお尋ねをしておる。判定ができなければ、林野庁が必要だということでむちゃくちゃに高く買うこともあるだろう——むちゃくちゃということばは悪いかもしれぬけれども、価格の算定ができないから、これだけ買ってほしいということも言えないのじゃないか。客観的なものがあるわけなんです。これは高く買い過ぎたという判断が買う者にもできる、あるいは検査院もできるでしょうが、客観的に判断する資料がないのです。これはおまえ、高過ぎて買ったのではないかという判定も、なかなかむずかしいのではないか。これがルーズになりますと、国費の乱費にもなりましょう。そこで会計検査院はこれを十分検査しなければならないということも明らかでございましょうが、その判定になる基礎がないのではないか。そこがあえて会計検査院の意見を求めたゆえんなんです。御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/27
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028・小沢定司
○小沢会計検査院説明員 私どものほうで基礎とか基準というものを、会計検査院自身で持っておるというものでございません。これは先ほどから申し上げておるとおりでございまして、ただ一般的に土地というものについて、売買が行なわれます場合の売買価格というものを評定する基準というようなものは、法令、通達等にもございますが、先ほど申し上げましたいろいろの要素を加味してきめられております。それから保安林につきましては、これは相当の買い上げをやっておられまして、それにつきましてもやはり先ほど申し上げたかと思いますけれども、一々精通者の意見はどうだ、銀行の評価はどうだ、財務局の評価はどうだ、あるいはその辺の売買実例はどうだ、あるいは課税標準価額でとれるものがあれば・そういうものはどうだというようなことで、詳細に証拠書類をつけて出してきていただいておりまして、それを見ました上で、なるほどこういうものを総合判断した上で、妥当な価格と判断されたことに無理がないというふうに私どもは考えていましたものについて、これを了としているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/28
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029・川俣清音
○川俣委員 まだ足りないですね。保安林といえども財産的価値はあるのです。経済的価値は薄いけれども財産的価値はある。それが保安林の本質なんです。だから価値がないのだとも判断できない。財産的には価値がある。なぜかというと、ほうっておいても木は生長してふえていく。資産がふえていく。ですから無価値ではないことは明らかなんです。手入れをしなくても生長していく。材積がふえていく。だから価値がないとも判断できない。そういう性質のものだから、非常に困難ではないかと私は指摘をしておるのです。客観的なものでなく、主観的なんです。財産的に持つか、経営的に持つか。経営的に持つからには価値はないことになる。財産的に持つからには価値があることになる。全く客観的なものでなく、主観的なものである。財産的に保持するか、経済的に保持するか。経済的に保持しょうとすれば全く価値が薄い。財産的価値ならある。あるいは預金利子よりも価値があるかもしれない。木の生長によって、伐採の制限を受けるが、保安林の解除があれば急激に高騰してくる。そういう性質のものなんです。だからその本質を知らないで会計検査院が、高いとか安いとかいうことを御判断になるのではないか。林野庁が検討しておるから、それを見ればいいのだと言われるが、客観的な資料を林野庁で持っておるはずがない。お持ちにならないのが保安林なんです。そこを買わなければならないというのが保安林制度なんです。あなたは、国の財産を安全にかつ有効に使用されるために林野庁があるわけでありまして、その判断におまかせになるというけれども、それがいいのか悪いのか、あるいは高いのか安いのかということは、長官といえども、署長といえども、あるいは局長といえども、客観的には判断できないのが本質ではないか。これは高く買い過ぎたとも言えるし、いや、安いとも言える。これが保安林を買い上げる場合に一番問題になっておる点なんです。それをあえて継続して買おうというのですから、何かの埋め合わせがなければならないであろうと指摘せざるを得ないのです。
そこで、林野庁の御意見を聞きますけれども、林野庁といえども、林野庁にとっては、あるいは国土保全にとっては欠かすことのできないところを買うという方向をとっておる。経済活動の行なわれておるところを、あえて所有制限をするような買い方はしない。保安林であって、経済活動が阻害しておるところを買ってやろうという、救済規定でもあるわけです。あるいは民有林につきましては、補助といいますか、補償もある。その補償も入った価格なんです。おそらくこれは補償を入れないのが常識です。なぜそれでは価格のある、価値のあるものに補償しなければならないのか。保安林に対する補償制度をやめなければならない。会計検査院が言うように客観的に価値判断ができるようなものであれば、補償制度というものはやめなければならない。価値がない、制限されておるというところに、民有保安林に対する補償制度というものがあるのです。だからあなたの答弁は矛盾するのです。これはどうしても会計検査院を啓蒙しなければならない。あえて質問しておるゆえんは、会計検査院の啓蒙のためなんです。御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/29
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030・小沢定司
○小沢会計検査院説明員 私が先ほど申し上げましたのは、会計検査院自身として、会計検査院そのものの何かものさしを持っておるわけではないということを申し上げただけでございまして、林野庁から証明してきておりまする書類につきましては、いろいろの点を総合判断いたしまして、これはなるほどこれで林野庁が買い上げておられるのが妥当だという結論に達したものを、そのまま検了をしておるということを申し上げたわけでございまして、その評価につきましては、先ほどから申し上げておりますようにいろいろの要素がございます。それから先生が御指摘のように、土地というものは代替性のないものでございまして、またいろいろの条件がつけられておる。あるいは買い手のほしい場合、売り手の売りたい場合、いろいろの条件もございましょう。ですから、一律にどうということは申されませんけれども、出てまいりました証拠書類、現実に林野庁なりが行なわれました売買を見まして、算出されました根拠を検討いたしました上で、やはりこれが一般——といっても一般というものがあるのかないのかということになりますが、一般に認められておる基準におおむね従っておるものだということでありますれば、私どもといたしましてはそれで了承する。ですから先生のきょうおっしゃいましたことは、今後十分に服膺いたしまして、検査の上に反映していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/30
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031・中澤茂一
○中澤委員 関連して。今後起こる問題で会計検査院はどういう立場をとるかですが、御承知のように林野業基本法の審議をいたしまして、その過程でいま政府が農業政策転換で大きく打ち出しておる構造改善事業というのを、毎年三百カ所、四百カ所とやっておるわけです。それに対して共同牧草地の設定とか、今度は買い上げのほうじゃない、開放のほうなんですが、開放の場合、たとえば共同牧草地をつくるということで一部開放をやった。その場合、たとえば接続地に観光として地所があったと仮定します。その観光地としての地所価格というものは、相当高い価格で買われていた。その場合、国の開放の場合は、農業政策の転換という大きな政策目的から一部を開放するわけです。その場合、共同牧草地なら共同牧草地というものをつくるという場合の会計検査院の立場で、評価はその近所で高く観光地が売ら近ておるから、その評価で売らなければいかぬという判断をするのか、あるいは農地のための共同牧草地、すなわち農業経営という立場からの価値判断をするのか、その点はどうなんでしょう。これは今後どんどん起きてくる問題ですから、一応会計検査院に念のために聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/31
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032・小沢定司
○小沢会計検査院説明員 いまの御質問の点につきましては、私のほうでまだ十分検討している段階ではございません。でございますが、近傍類地の価格をとると申しましても、たとえば先ほど申しましたように、加茂神社もゴルフ場に貸しておる。林野庁もゴルフ場に貸しておる。同じ場所の土地を同じゴルフ場をやっている観光会社に貸しておる。その一方が一方の半分であるという場合には、別のと申しますか、これは取り上げて批難をすると申しますか、改善を願うという処置に出ると思いますが、ただいまお示しのような点につきましては、今後また十分検討させていただきましてやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/32
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033・中澤茂一
○中澤委員 それは至急検討しておいてもらいたい。というのは、本年度四百カ所の構造改善地区を指定しておる。来年度もおそらく三百カ所もやると思うのです。その中には相当に国有林の一部開放をして、農地造成をやっていくなり、あるいは共同牧草地をつくるなり、そういう形の理由で開放していく農業政策として開放していくわけです。あなたのいまの例は一これは確かにわれわれも不当だと思う。同じものを観光という立場でおやりになるのに、片方を半値で片方は倍だというのは、おかしいと思うのです。しかし今後続出する問題はこれなんです。しかし農地として開放するのですからね。決して観光地として開放するのじゃないです。今後開放対象になるのは、農地として開放していく。その場合、隣接地帯にもし観光地があって、その土地価格がある程度高かったとした場合、これは私は希望を申しておくのですが、日本の農業の体質改善という政府の大きな基本方針が、今度の構造改善事業です。この構造改善事業で農地として開放するには、その農地として開放したものがどれだけの収益が上がるのかというものが基準で、開放価格というものがきめられないと、その接続地に近い地所の売買があったから、それが実例価格だから、それは安過ぎるぞということでは、これは別に観光という目的で開放するのじゃないのですからね。だからこの辺は至急検討しておいてもらわないと、もう来年ごろからこの問題が至るところにどんどん出てくると思うのです。その場合、会計検査院が一々、観光地がそばにあって高かったから、その価格でなければこれを開放したのは不当だと批難する、こういうことではわれわれは了承できないのです。その点は農地として開放したものの収益の還元による開放価格が、私は正しいと思うのです。それは別に観光地として売るものではない、また売らせるものじゃないのですから。その点について御意見があったら聞かせてもらうし、これは至急検討しておいてもらわぬと、また林野庁ともよく御相談しておいてもらわぬと、もうどんどんこの問題は出てくる問題ですから、御意見があったら聞かせておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/33
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034・小沢定司
○小沢会計検査院説明員 ただいまの御指摘の問題につきましては、今後至急私どものほうで検討もいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/34
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035・川俣清音
○川俣委員 会計検査院はそれでよろしゅうございます。
林野庁にお尋ねをしたいのですが、この基金の本質として、林業に対する金融制度が薄かったために、あえて基金をつくられた。その趣旨は了承されて、非常に林業界に活気を与えた効果は大きかったと思います。従来林業に対する金融措置が十分でなかったという指摘もこれによって解消できたことは、好ましいのでございますけれども、今日の木材界におきましては、金融の問題よりも、原木不足の問題のほうが痛烈に感じとっておるのではないか。むしろ金融の問題よりも、金融を受けなければならない材料の不足の問題のほうが深刻であるように聞き及ぶのでありますが、林野庁はどのような見解をとっておるか。これは木材が豊富な場合は、金融措置でよろしいと思う。不足な現状において、原木不足のために木材界に危機がきておる。金融で危機がきておるのではなくて、原料不足のために危機がきているのだと、最近は見るべきじゃないかと思うのですが、これに対する見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/35
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036・田中重五
○田中(重)政府委員 現在の経済上その他に、原木の不足の状態がきわめて濃厚であるということは、お説のとおりでございます。それで現在原木高の製品安といいますか、高い原木を入手しなければならないということそれ自体が、端的に原木の不足を示しているわけでございまして、そういう原木の不足ということから起こるところの木材価格の高騰に刺激をされまして、きわめて旺盛な外材輸入というものが今日見られている。しかしながら外材の輸入が急激に増加しつつあるにもかかわらず、一歩内陸における各製材工場の原木不足という事態は、それほど改善されていない。いまもお説のとおりに中小企業としての製材業が、金融の面でそれぞれしかるべき助成の手が差し伸べられなければならないと同時に、その経営の最も基幹であるところの原木の入手を、必要かつ安定した価格で入手し得る、そういうような状態をきわめて要望されておるというのが現状でございます。これはひっきょうするに、原木を供給する側としても林業経営の合理化、近代化、したがいましてそのためにはまずその前提となりますところの林道の開設等、それによってまず近代化の基盤を確立いたしまして、その上に立って林業経営のもろもろの面における合理化、近代化をはかりまして、生産性をあげることによって、一方総生産を増大してまいる。いわば現在林業の基本対策として要望されておるもろもろの施策が必要かというふうに考えておりますと同時に、また製材業のほうにおきましても、いたずらに零細な企業が多いという事態、これを何らかの方法によって改善をしていく、それぞれ必要な資材が円滑に入手し得る、そういう原木供給の状態も考えましたところの一方における零細かつ過剰馬力の合理化、この面の施策が必要かと存じます。いまお説の点につきましては、林業の基本的な問題でございますので、今後十分に検討を進めてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/36
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037・川俣清音
○川俣委員 基金についてはもう二点だけお尋ねして終わりにいたしたいと思いますが、一番問題なのは、この点を特に指摘をいたしたいのは、民間の出資金を相当高額に出資されて、その見返りのような形で再び金融機関に対して、あるいは融通機関に対して定期預金等をして、資金の金繰りを緩和しておるようでございますが、ここに私は問題が発生するのじゃないかということを非常に憂慮するのでございます。大蔵省の主計官がお見えになっておりますが、これは主計局ではなくて、むしろ理財局の意見をお聞きしなければならぬと思うのですけれども、主計官もわりあいに御存じかと思いますが、民間出資金が銀行から借り入れて出資したものに対して、また見返りとなるような形の定期等による預金は、いま問題にされておる歩積みの問題と同じような性質のものではないか。銀行が出資に対して融資をするという形が多いようでございます。そのかわり、この基金から出資額の何%かを銀行に定期または預金をするということは、歩積み両建てと同じようなやり方ではないかと思うのですが、大蔵省の見解をこの際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/37
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038・宮崎仁
○宮崎説明員 御承知のとおりこういう基金の運用につきましては、それぞれ法律で定めることになっておりまして、この林業信用基金につきましても、法律三十七条におきまして、この基金運用についての規定が書いてあるわけでございます。これを見ていただきますとわかるわけでございますが、要するに基金の運用は、これを安全かつ有利に運用していく、こういうたてまえでございます。そういう点からいいまして、ただいま御指摘のような地方銀行に預託をするということも、この規定に照らしまして適当であれば、これをやるということも当然至当であると思います。ただそれがいわゆる林業に対する融資というものとの見返りにおいて考えられておるかどうかということになりますと、これはそのような関連において考えるべき筋合いのものではない、こういうように考えます。実際問題といたしまして、地方銀行につきましても、有力なものは限られておりますので、融資をする機関に預託をするということは当然あり得るかと思います。そういった趣旨でわれわれとしては考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/38
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039・川俣清音
○川俣委員 個々の行為については、あえて非難すべき問題でもないと思うのです。資金を安全に保全するための措置として、しかも高利の——高利というのは、高い意味ではなく、高利率の預金をするということは、基金として当然だと思うのです。個々の問題については問題ないのです。ただ出資をする場合に、自己資金がないので、金融を受けて出資した場合が起こってくる。現に起こっておるわけです。一方において資金を借り入れる、出資金を借り入れるでしょう。その出資金が多ければ多いだけに、その銀行に預託をする方針をとられておる。これは周知の事実になっておる。今後の出資につきましても、出資をするかわりに、おそらく出資額がふえれば、その金融機関に対しては多くの預託をすることになるはずであります。これは明らかなんです。明らかというのは、銀行間において理解されておるということです。そうするとますます出資金を融資する方向にいくのではないか。いままでは出資についてはなかなか融資をしなかったものが、出資についても融資をするということになる。そうなると基金としての安全性というものが、非常に希薄になるのではないか。この出資金は、御承知のとおり出資に見合って保証限度が上がるわけですから、出資が多ければ多いほど、借金しても出資をすると逆に保証が増大するわけです。不安定な要素で出資したものが、最も保証額が確保されるという結果になってくる。そういう問題がある。それが一体基金として健全な運営かどうかということになる。資金を定期預託をするというそのこと自体は、基金として正当なやり方だと私は思います。それをあえて否定するわけじゃない。しかし地方銀行から、あるいは金融機関から、いわゆる出資の融資を受けた場合に問題が生ずるのではないか。林野庁というのは、木を植えたりすることについてはなかなか才能を持っておられまするが、こういう金融制度については経験が薄いのであります。そこであえて大蔵省の見解を聞かざるを得ないわけですが、宮崎さん、大蔵省の見解、これはほんとうは理財局になると思いますけれども、時間がないのであえてあなたをわずらわして御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/39
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040・宮崎仁
○宮崎説明員 御指摘のとおり私どものほうの仕事ではございませんので、お答えになるかどうかわかりませんけれども、私の考えといたしましては、この基金に対する出資というものは、やはりそれぞれの林業者なりあるいは地方の公共団体がいたすわけでありますが、これは出資としてしかるべき金を出すということが当然であって、銀行からそれを融資してというのはむしろ異例であろうと思います。この預託の関係につきましては、地方銀行といたしますと、こういった出資金を預託していただくということになりますと、非常に採算上有利でございますので、相当競争的に指定を受けたいということは出てまいるわけであります。そういうことで地方銀行に預託金がふえていくという形は、こういった基金の運用としては正常のものでありまして、特にどうという問題はないと思います。御指摘のような問題がありますれば、なお林野庁のほうともよくお打ち合わせをいたしまして、今後の方針について検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/40
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041・川俣清音
○川俣委員 先ほどから質問しているように、そのこと自体はあえて非難するに当たるものではないのです。ところが今後出資の増額を願わざるを得ない状態になるであろうし、また保証額を上げる必要の上からも、出資の増額が行なわれるであろう。そういう場合に、自己資金を調達するよりも、金融機関から借り入れて出資をする、借り入れ出資をしたものに対してその十倍、二十倍の融資を受けるということです。自己資金なら問題はないのです。融資を受ければ受けるほど——融資を受けるというのはどういうことかというと、自己資金が不足だということ、経営が不安定だということです。不安定なものほど保証額が上がるという結果になるのじゃないかということなんです。自己資金の限度において出資をするということなら、その出資に対して何倍かの保証融資がありましても、それは問題ないと思うのです。そうではなくて、融資を受けて出資をさせることが、銀行の競争の中に生まれてくるのではないか。私は銀行間の競争自体は否定しません。銀行がお互いに預金を高めるための競争というものは、必ずしも否定すべき事態ではない。それ自体については問題ないのです。それが進んで、出資にまで融資をするという事態が起こるのではないか、そこに問題が発生するということを指摘いたしたいのであります。あなたは専門ではないと言いますけれども、お帰りになって、さらに理財局と打ち合わせ願いたい問題だと思うのです。私は基金の健全な発達を願うゆえに質問をしておるのであって、せっかく活用されております基金の安全性と健全性と信用度を高める上から、あえてお尋ねをし、検討を願うゆえんでありますから、その意味での御検討を願いたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/41
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042・宮崎仁
○宮崎説明員 先ほども申しましたようなことで、なおよく関係のほうとお打ち合わせをいたしまして検討いたします。
出資について貸し付け金を受けて、それによってこれは二十倍の融資の保証を受けられるわけでありますから、さらにその融資を受けていくということになりますと、非常に不健全だということは御指摘のとおりであります。私はそういう形はあってはならないと思います。出資の性格からいいまして、借り入れ金をもって出資をしていくというようなことを言いましても、出資は適当のときに取り下げて返すというような筋合のものではありませんので、常識的にはそういうものは借り入れ金の対象としては出てこないのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、御指摘のような点がありますれば、これは銀行局あるいは理財局の関係かと思いますが、そちらとよく打ち合わせて、今後の問題を検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/42
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043・川俣清音
○川俣委員 普通の出資金の場合には、あえて銀行がそういう出資金に融資をするようなことは、起きないであろうことは想像されます。ところがそれが預託になってあらわれてくるという妙味がありますために、あえて出資に融資をするような事態が起こっておるのじゃないか、問題はその点なんですよ。おわかりでしょう。これはやはり検討を要するのではないかと思うのです。大蔵省の見解をひとつ聞いておかないといけないのです。
もう一つは、結局はこういうことが行なわれるのは、政府出資が不足な場合の埋め合わせとして起こる危険性もあるから、いま三億五千万円の増額出資をなさいますけれども、さらにその健全性を高める上からも、弊害を除くためにも、政府出資を大きくして、安全性をはかるべきではないかということが私の結論ですけれども、これはおそらく林野庁は賛成でしょうが、大蔵省がどうかということになるでしょう。それであえてあなたをわずらわしておるわけでありますから、その見解を聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/43
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044・田中重五
○田中(重)政府委員 私のほうからそれについての見解を申し上げますと、この出資者の出資につきましては、関係の融資機関の非常な協力は受けております。しかしながらこの基金への出資を出資者がする場合に、その出資されたものがそれぞれの関係の銀行に預託をされるということによって、出資者を融資機関のほうで調整するといいますか、そういうようなことはちょっと考えられないと思うのであります。またそういう例はまだ聞いていないのでございます。ただ今後基金の運用の方針といたしましては、その出資者が出資をして出資者となることによって、その保証つき融資を融資機関からできる限り多くしやすくするという意味において、その保有金の適正な運用ということとの調整もはかりながら、その関係の融資機関に預託をするというようなことは考えております。そこでその融資の機関といたしまして、被保証者に対する保証の額が円滑に行なわれるということ、そういうこととの関連も考えまして、その余裕金を融資の機関に預託をするという運用は考えたい、こういうふうに考えている次第でございます。大体いまの御説に対しましてはそういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/44
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045・宮崎仁
○宮崎説明員 政府出資に対する今後の考え方でございまするが、今回の法律改正にもございますように、政府は、必要があると認める場合は、今後追加して出資をすることができるということを法律上明らかにしたわけでございます。今後この基金の運用の実績等を見まして、必要があれば追加出資は行なわれる、こういうことに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/45
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046・川俣清音
○川俣委員 余裕金あるいは出資金を運用預かりをするというそのこと自体は悪いことではなくして、そうあるべきものだと思うのです。この点は問題でないのです。これは問題でない。融資額を、あるいは保証額を上げたいために、強要ではなしに、それが有利だ、このために出資をするようなことが起こる危険性があるのではないか。融資額を保証額を上げるために、あるいは民間の融資額を上げるために、そのために出資を、借り入れ出資をするというようなことが起こる危険性がある。銀行は普通の出資ならば、不安定な出資については、あるいは融通性のない出資については、銀行は金融しないのが本則であります。ところがこれは預託が伴うというところから、あえて出資についても融資をする状態が出てきておるということを指摘しているのです。これは銀行としてみても、預託がくるならば、出資に対して融資しても預託として戻ってまいりまするから、金融上は決して不利ではないし、銀行としても当然の業務ということになりましょう。両方もっともだというけれども、もっともなものをつなぎ合わせてみると、もっともなものになるかというと、必ずしもそうではないですね。一つ一つがもっともで、非難すべき事項でもない、不安でもない。それがつながった場合に問題が生じてくるのではないか、こういうのです。普通の出資の場合は、銀行が融資をしないのが本則です。この場合は出資に融資をしても、なお銀行としてはうまみがあるということになるので、問題が生ずるのではないか、これは歩積み、両建てと同じような運営のしかたになるのではないか、いま問題になっている歩積み、両建てと同じようなやり方になるのではないか、これを指摘しておるわけです。ですから、主計官は大体おわかりになっているはずだと思うけれども、これはやはり問題なんです。私は問題だと思います。あえて基金の健全性からいって、私は願わくは無理な出資でなく、融資を増額するために出資をするようなものは、むしろ選択して拒むべきではないかと思うのです。それには政府出資をもう少し出しておくということが一番安全な方法ではないか、こういうふうに申し上げておる。ただ増額をすればいいというような意味で申し上げているのではなくて、そういう弊害を除去する上からも、政府出資を増額しておくことが望ましいのではないか、それによってある程度弊害が防げるのではないか、むしろ出資を厳選するといいましょうか、借り入れ出資のないように厳選をすることが望ましいのではないか、これが私の結論なんです。主計官の御意見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/46
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047・宮崎仁
○宮崎説明員 御指摘の点はよくわかりましたので、先ほど林野庁の長官のほうからも御答弁がございました関係のほうとよく相談をいたしまして、そういった点のないようにいたしたいと思います。
政府出資につきましては、今回の追加出資の趣旨もそういったことでございまして、大体この基金のおおむね半分ぐらいを政府出資で出しておくということが至当であろう、こういうことで実は昨年度の三億五千万円で一応運用をしてみてという議論もあったわけでございまするけれども、やはりこの際、政府が出資をいたしまして、民間とのバランスをある程度とることが適当である、こういう判断で今回の予算措置を行ない、また法律の改正をお願いいたしているわけでございます。御指摘のような点もございましたが、今後の運用にあたりましては、先ほど申しましたように、必要によって追加出資ということを考えていくということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/47
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048・川俣清音
○川俣委員 大体それで了承できますが、この基金の運営について出資の申し込みが意外に強烈であったのは、出資をしましてもそれが他の金融の形で戻ってくるというところに、あえて競争をして出資をしたような傾向があるようでございます。この制度を理解して出資をされるということは、好ましいことであることは間違いないことです。しかしながらいまも申し上げたように、出資自体に金融を受けるということは、出資についての不安と申しますか、不健全性をあらわすものではないかと思うのであります。この出資が融資の限度をきめるものでなければ、あえてこんなに予定以上の出資があったということにはならないのではないか。出資についてのうまみと申しますか、出資の効率というものに魅惑を感じた出資ではないか、魅惑を感じるからあえて金融を受けても出資をしたのではないか、こういう指摘をいたさざるを得ないわけでございます。
もう時間でございますから、あと簡略にいたしますけれども、これは大蔵省として、単に政府出資が多い方がいいのだという抽象的な議論をしているのではなくて、出資者を厳選する——厳選するというのは、人柄を厳選するのではなくて、見返りの融資をするのであるから、自己資金でなければ出資させないという指導が必要なんじゃないか、それには資金繰りからいって、政府出資がなければこういう手段は基金としてはとりにくいのではないか、そういう意味での増額を期待をするのだということを理解されまして、善処を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/48
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049・高見三郎
○高見委員長 松田鐵藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/49
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050・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 簡単に長官にお願いしておきたい。私は林野行政に対しては全くのずぶのしろうとでありまして、これからひとつ勉強させてもらいたいという意味合いでお願いをするのでありますから、御了承願いたいと思います。
私どもの北海道において、いろいろと今日業界が苦しんでおります。長官の英断によって、それが救われるような状態になったことを非常に喜んでおります。ところでかって私は、水産業界において非常な議論がありまして、これを是正したことがありますので、そういう例からいきまして業界の今日苦しんでいることが、中共はどういうことになっているかわかりませんが、北海道においても非常にトンネル業的な団体数が多いのではないかということが、私の目に映っているのでございます。そういう点からいって、また林野行政には利権が伴いますから、こういう点における団体というものが、どういう性格を持っておる団体があるのか、またその理事者がどういう人々であるのか、こういう点をひとつ御都合のできる範囲でけっこうでありますから、その資料を出していただきたい、これを要望するだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/50
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051・田中重五
○田中(重)政府委員 林業行政につきましては、特に国有林というものの経営もございますだけに、ただいま先生の仰せのとおり、きわめて慎重かつ適正でなければならない、こういうように平素深く戒心をいたしておる次第でございます。ところでこの林業に関係いたします団体といたしましては、後ほど十分に調書をつくりまして提出をいたしたい、こう考えておりますが、おもなものを申し上げますと、まず森林組合につきまして全国森林組合連合会、さらには県の段階で県の森林組合連合会、その末端に森林組合、こういうのがございます。それから木材につきましては、これは中小企業等協力組合法に基づくところの協同組合、それの連合会、並びにその中小企業等協同組合法に基づかないところの懇親団体としての木材業の団体、そういうものを合わせました全国の組織もございます。さらに治山、林道等に関係いたしましてこれが地方別に、そしてまたそれを総合いたしまして全国の団体がございます。そのほか林業改良普及あるいは合板、パルプ等につきまして、それぞれ地方ごとに、さらにそれを積み重ねました全国のそれぞれの団体がございます。後ほど資料で提出をいたしたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/51
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052・高見三郎
○高見委員長 次会は、明二十五日午後一時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02419640324/52
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