1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月二十五日(水曜日)
午後一時四十二分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 長谷川四郎君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
大石 武一君 大坪 保雄君
加藤 精三君 仮谷 忠男君
吉川 久衛君 舘林三喜男君
寺島隆太郎君 内藤 隆君
野原 正勝君 八田 貞義君
藤田 義光君 松田 鐵藏君
亘 四郎君 井手 以誠君
角屋堅次郎君 東海林 稔君
楢崎弥之助君 西村 関一君
野口 忠夫君 湯山 勇君
稲富 稜人君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
農林政務次官 丹羽 兵助君
林野庁長官 田中 重五君
水産庁長官 庄野五一郎君
委員外の出席者
農林事務官
(水産庁漁政部
長) 和田 正明君
専 門 員 松任谷健太郎君
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三月二十五日
委員松浦定義君辞任につき、その補欠として井
手以誠君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員井手以誠君辞任につき、その補欠として松
浦定義君が議長の指名で委員に選任された。
三月二十四日
漁業災害補償法案(角屋堅次郎君外十一名提出、
衆法第三五号)
漁業災害補償法案(内閣提出第一二三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四六号)
林業信用基金法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八五号)(参議院送付)
農林水産業の振興に関する件(日韓漁業交渉問
題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
いずれも内閣提出にかかる保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案及び林業信用基金法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告があります。これを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/1
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002・芳賀貢
○芳賀委員 一案のうち、最初に林業信用基金法の改正案に対する質問をいたしたいと思います。
この改正点は簡単な改正のようでありますが、ただ問題は、昨年当委員会において成立した法律であるという関係上、まだ一年もたたないのに、特にこの出資金の関係あるいは出資の規定に対する重大な改正を行なうということについては、われわれとして了承できがたい点であります。昨年新たに本法を制定する場合、こういうことが必要として予見されておらなかったのか、一年以内にこういう改正の事態が生じたということに対しては、どういう理由であるのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/2
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003・田中重五
○田中(重)政府委員 林業信用基金法は昨年成立しましたあと、十月一日に開設されたわけでございます。ところで、その当時予想いたしました基金の総額七億円、そうして政府の出資といたしましてはその二分の一の三億五千万円、あと都道府県におきましてさらにその二分の一の一億七千五百万円、それから林業者等の出資一億七千五百万円を予定いたしまして発足したのでございます。ところが、この基金の保証にかかる融資に対する期待がきわめて大きく、それだけこの制度の重要性が認識をされたわけでございますが、昨年末現在におきまして、林業者等における出資が、当時の予定の倍を上回りまして四億五千万円に達したという事態がまずございます。それからさらに都道府県におきましても、この基金の制度によるところの林業関係の金融状態の改善についての意欲が非常に高まっておりまして、これも年度末には二億に達するというような実情でございます。そういうことになりますと、当初予定をいたしました政府の出資と、それ以外の出資との均衡を失していくという事態が明らかになりましたので、さらに三十九年度におきましても、このような基金に対する期待の高まりにこたえるということもございまして、現在三億五千万円をその倍額の七億円にするために、さらに三十九年度におきまして三億五千万円を出資するというふうに予算上要求をいたしたい、こう考えておる次第でございます。そのように基金の規模が大きくなるに伴いまして、その保証に関する業務についても、それぞれ量の面で、あるいは複雑さの面におきましてもふえてまいりますので、理事一名をさらに増員いたさなければ、この業務の適正を今後期待することが困難であるという考え方に立ちまして、増員をお願いしよう、こういうことに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/3
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004・芳賀貢
○芳賀委員 私の尋ねておるのは、出資の総額の金額について指摘しておるのではない。今回の改正点は、この第六条、第七条に関係のある点ですが、現行法によると、出資を増額する場合には、第七条の現行法は、「政府は、三億五千万円を基金に出資する。」この規定を改正するということでこれは尽きるわけですが、特に今回の改正は、この第七条の第一項の規定によらないで、新たに規定を設けて、そうして政府は予算の範囲内で追加出資をすることができる、そういう改正を意図されておるわけです。ですから、そういうことであるならば、昨年本制度を制定する場合に、当然そういうことを基金制度の中に制定すべきであって、一年もたたない今日、新たに予算の範囲内で追加出資ができる、そういうような規定を改正の形で入れることは、まことに当を得ない点であると思うわけです。この点を私は指摘しておるのであって、特に政府の見解については、大臣は後刻出席されるわけですけれども、この際、丹羽政務次官に明確にしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/4
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005・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 お尋ねの向きでございますが、こまかいことと申しますか、内容につきましては、ただいま林野庁長官が述べたようなことでございますが、お尋ねは、そうしたことじゃなくて、もっと根本的な考え方を述べよということであります。長官の申し上げましたように、最初、去年でございますか、法律を制定いただきまして、事業を基金として運営してきたのでありますが、率直に申しまして、予想よりも人気がよく、予想よりも利用度が高いのです。非常な大きな期待が寄せられまするので、政府としては基金の規模を拡大し、国民の要望にこたえていこう、こういうことで、半分に相当する三億五千万円の出資を要求を願って、これの改正を提出しておるというような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/5
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006・芳賀貢
○芳賀委員 政府出資を増額するということは、必要に応じて当然なことであるわけですが、それは先ほども申しましたとおり、第七条の、「政府は、三億五千万円を基金に出資する。」これは昨年本法が制定された場合の規定です。ですから、新たに追加出資をする場合においては、この第七条の規定を改正すれば足りるわけですね。現在の三億五千万に、三十九年度に新たに追加出資をするならば、その金額をこれに合計する、合算する形の改正を行なえばいいのであって、今度の改正はそれと違うわけです。ですから、そういうことであるらば、昨年新しく法律をつくったわけですからして、当時政府はそのことが必要であるならば、当然法文の中で規定すべきではなかったかということを私は指摘しているわけです。法律を読めばわかることです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/6
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007・田中重五
○田中(重)政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、制定の当初におきましては、基金の総額七億円で実施ができるという見通しでいたのでございましたが、その後、実施の段階に入りまして、いまも御説明申し上げましたような事情から、追加が必要であるというふうに考えるに至ったのでございますが、また同時に、将来に対しましてもこのような事態の可能性を予見をいたしまして、このように改正をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/7
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008・芳賀貢
○芳賀委員 この問題の改正は、これはたとえば先般審議いたしました農林漁業金融公庫法の場合も、共通の改正点として問題にされた事項なんです。ただ、この基金法の場合は、これは昨年制定されたわけですからして、一年もたたないで、こういう本質をゆがめるような改正を出すということに、問題があるのではないか。農林漁業金融公庫法の場合は、これは昭和二十八年に制定された法律でありますが、この基金法の場合には昨年の国会で成立したわけですから、一年もたたないで、こういう重大な規定の改正を、現行の規定でやれるにもかかわらず、新たに一項を加える改正をやるということに対しましては、これはわれわれとしては了承のできない点であります。だから、今回追加出資しようとする分については、この三億五千万に加える改正をやるということで、これは十分できるのではないかと思うわけです。この点に対しては、政府としては十分反省の必要があると思うわけですが、これは丹羽次官から明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/8
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009・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 政府が今年に至りましてまたまた三億五千万円の追加出資をお願いしておるという、そのことにつきましては、私がただいま御説明申し上げたような次第でございます。昨年つくったものを、一年たたないうちにまた政府出資の額を直さなければならぬじゃないかということについての御批判がもう一つ出ておりまするが、もっともなことと思います。それだけの見通しの立てられなかったことはたいへん遺憾に思います。そこで、それにつきましては、それだけの、思いもよらない御要望が強かったとも考えて、御了解を願いたい。
それで、お尋ねの中心でございますけれども、何と申しますか、ただ出資の面だけ直しておけばいいじゃないかということでございますけれども、さきに御審議いただきました公庫法等によりましても、今後はやはり出資が変わるときには、予算によって幅を持たしていこうという考え方で、鶏が先か卵が先かというような考え方で、政府はお願いしておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/9
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010・芳賀貢
○芳賀委員 丹羽さんは、一番大事な法律についても、また改正点についても、忙しいせいもあるでしょうが、いささか勉強が足らぬのではないかと思う。深く追及する考えはないが、ただ法律の審議を通じて、たとえば信用基金の運営の状態とか、制度上の問題等を国会において取り上げるのをおそれて、追加出資については単に予算措置で足りるという、そういう考え方は、これはいけないと思うのです。これは農林漁業金融公庫法の審議のときにも、社会党の各委員から指摘した点ですが、ただ安易に予算措置だけで足りるという、そういう国会の真剣な審議や論議を避けるような姿勢というものは、これはやはり逆行する形であると思うわけです。
そこで、お尋ねしますが、今度は法律の改正によらないで、予算の範囲内で追加出資するということになれば、一体三十九年度に出資される予定額というものは、正確に言って幾ら用意されておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/10
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011・田中重五
○田中(重)政府委員 三十九年度に予定をいたしておりますのは三億五千万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/11
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012・芳賀貢
○芳賀委員 それは間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/12
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013・田中重五
○田中(重)政府委員 間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/13
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014・芳賀貢
○芳賀委員 たとえば「昭和三十九年度農林予算の説明」これは国会に三十九年度予算審議の説明のために配付になっておるわけですが、これによると、林野関係の公団、これは正確に言えば森林開発公団に対する出資予定が二十七億円、農林漁業金融公庫の融資ワク増大に必要な林業関係の分として十五億円、それから林業信用基金に対する出資財源に充てるための三億円、こういうことに説明はなっておるわけです。そういうことになると、予算では三億円ということを説明しておいて、法案審議の答弁の中において三億五千万というのは、当を得ないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/14
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015・田中重五
○田中(重)政府委員 三億五千万円の出資予定でございますが、そのうち三億につきましては、いま先生のお話のとおり、国有林野事業特別会計の特別積み立て金から一般会計に繰り入れまして、そうして出資する分が三億円、それから一般会計からの出資分五千万円、合わせて三億五千万円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/15
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016・芳賀貢
○芳賀委員 それは財政投融資計画というのが、一般会計からの出資あるいは産投特別会計の出資ということになれば、正式な予算措置ということになるのであるが、どういうふうなことになっておるのですか。積み立て金からの運用の三億円というのはわれわれも一応承知しておるが、国の三十九年度財政投融資計画としての基金に対する出資の経路というものはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/16
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017・田中重五
○田中(重)政府委員 一般会計の出資の予定としては三億五千万円になっております。それのうち三億円を、いま御説明申し上げましたように、国有林野事業特別会計の特別積み立て金から一般会計に繰り入れをしまして、それが財源になっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/17
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018・芳賀貢
○芳賀委員 財投計画からの出資は——これは一般会計から三億五千万ということに相なっておるので、それに内訳がつくというのはおかしいじゃないですか。そうなると、国有林野事業特別会計のいわゆる益金ということになるでしょう。たとえば五十億円というものは、利益金の特別積み立てという、そういう措置が講ぜられておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/18
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019・田中重五
○田中(重)政府委員 特別積み立て金と申しますのは、国有林野事業のその年度における損益計算上利益を生じた場合に、その利益の十分の五を特別積み立て金に積み立てるということになっております。この資金は林業振興その他の用に一般会計に繰り入れることによって充てるという、国有林野事業特別会計にございます趣旨に沿ったものとして、一般会計に繰り入れられる、繰り入れの予定である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/19
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020・芳賀貢
○芳賀委員 ですから、その特別積み立て金制度というのは、昭和三十六年からそういう制度が行なわれておるわけなんですね。結局最初から利益金というものを予定して特別会計事業をやるという、ここに問題があるのです。一体一般会計に対する繰り入れとか、一般会計からのいわゆる財政投融資計画に対する出資等は、そういう特定事業の事業利益に原資を求めるというのは間違いだと思うのです。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/20
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021・田中重五
○田中(重)政府委員 国有林野事業特別会計の第十三条でございますが、いまも申し上げましたようなことで、損益計算上利益を生じた場合に、それを特別積み立て金という名前で、林業の振興その他の用に充てるために一般会計に繰り入れることができるということがございまして、この三十九年度の用に充てられる場合、これは三十八年度の予定損益計算、あるいはまた三十七年度以前の損益計算上生じた利益として積み立てられたものがございます。現在すでに過年度の損益計算上積み立てられてきた、現実に存する利益金がございます。そういう意味合いにおきましては、一般会計に繰り入れること自体は、その財源が現に存在しておるというふうに御了解をいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/21
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022・芳賀貢
○芳賀委員 ただ問題は、事業の収益というものは、これは事業の結果によらなければ出てこない性質のものですね。それを最初から予定して、どうしてもこれだけは林野事業の中から特別に利益を出さなければならぬというような目的で事業を経営しておるということになると、これは当然無理が出てくると思うわけです。しかも剰余金が出た場合、それを一定の方法で積み立てを行なって、適当な時期に一般会計に繰り入れるということは、これはその事例は実はあるわけです。しかし、それをひもつきのような形で一般会計に入れる、むしろ、剰余金を一般会計に入れるという形になれば、最初からひもつきにされたその資金源を造成しなければならぬというところに、問題があると思うわけです。そういうようなやり方、林野事業の中からそういう資金源を要求された場合、これはもう無条件でそれに応諾するということになれば、林野事業本来の運営に大きな破綻とか欠陥が生じないとも限らぬでしょう。われわれが見た場合においても、たとえば農林漁業金融公庫の出資の問題にしても、あるいはまた基金制度の問題等にしても、一般行政の面から当然国の施策において講ずべきものであって、特定の目的を持った国有林野事業特別会計の中から原資を造成しなければならぬということは、これは非常に当を得ないことだと思う。そういうことを考えないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/22
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023・田中重五
○田中(重)政府委員 言うまでもなく、国有林野事業の経営自体につきましては、一般会計に繰り入れを予定して、予定されたものを当初からかせぐというような考え方で経営はされておりませんし、またさるべきではない、こういうふうに考えます。国有林野事業といたしましては、あくまでもその国有林野事業の使命に即しまして、その経営の発達、改善をはからなければならない、こういうふうに考えます。ただ、国有林野事業といたしましては、過去の、たとえば分収造林特別措置法でございますとか、その他の法案の成立に際しましての附帯決議に、国有林野事業は、一般の民有林の振興のために、その資金あるいは組織等をもって協力をすべきだというような趣旨の決議もなされております。そこで、国有林野事業といたしましては、いま申し上げました趣旨に沿って、その事業の発達、改善、資産内容の充実をはかってまいりますとともに、さらにこの事業の過程におきまして生じた損益計算上の利益につきましては、いまの附帯決議等の趣旨も尊重いたしまして、一般の林業振興等とそれが使われて寄与していくということも必要かと存じます。そのような趣旨も受けて、国有林野事業特別会計法第十三条に、いまも申し上げましたように、特別積み立て金にそれを積み立てることによって、一般の林業振興に寄与していくという規定もございますので、そこで、この林業信用基金も、やはり林業振興の一環と考えられる制度、そういうものとして、このような積み立て金も活用されていくということになるかと思いますが、もちろん、これは一般会計に繰り入れられた後の出資でございます。もちろん、これがひもつきということではございません。繰り入れの趣旨といたしましては、いま申し上げましたような趣旨でこれが繰り入れられることになっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/23
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024・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、お尋ねしますが、今後この林野の特別会計事業を通じて、継続的、持続的に相当の剰余金というものを確保していける考えの上に、林野庁としては立っておられるのか、それはどうなんです。たとえばここ五カ年間におたる決算上の剰余金の動向がどうなっておるか、あるいはまた現在の特別積み立て金の運用の状態がどうなっておるのか、そういう点についても、この機会に内容を明らかにしておいてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/24
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025・田中重五
○田中(重)政府委員 現在の国有林野事業の支出をまかなう収入財源につきましては、ほとんどその大部分を木材の販売収入に依存をしておるわけでございます。そういうことで、この販売収入をそれぞれ国有林野事業が事業の発達、改善、資産内容の充実に充ててまいったわけでございますが、その場合、今後の見通しということになりますと、これはそのような理由から木材価格の推移等とも微妙に関係を持っているものでありますだけに、その推移は重要な問題となってまいります。ただ、この事業を適正に、しかも、この事業に与えられております。国有林野事業特別会計法の第一条に「企業的に運営し、」こうございますが、要するに、経済的に合理性を高めて仕事をやっていく、生産性を極力あげ、事業を合理化し、近代化しながら進めてまいる、そういうことで、国有林野事業といたしましては、必要な支出はまかない、また余剰があればいまのような林業の振興に寄与していくということが、正しいかと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/25
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026・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いたのは、今後も過去の実績に徴して、林野事業における剰余金というものを持続的に確保できるという考えの上に立っておるのかという点と、最近五カ年間における決算上の剰余金の状態がどういう動向を示しておるかという点と、もう一つは、三十六年から行なっておるいわゆる特別積み立て金の運用の実態というものがどういう内容に置かれておるか、その三点について尋ねたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/26
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027・田中重五
○田中(重)政府委員 将来における見通しといたしましては、ただいまお答えを申し上げましたように、できるだけ事業の合理化、近代化をはかりまして、その生産性を高めていくということで、その事業の推進をはからなければならないし、そういう面で損益計算上の利益についても確保をはかっていく必要はある、こういうふうに考えられます。それから、現在の過去五年におきます特別積み立て金の額につきましては、三十七年度末で百七十三億七千六百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/27
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028・芳賀貢
○芳賀委員 剰余金は毎年どのくらいずつ出ておりますか。最近五カ年間を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/28
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029・田中重五
○田中(重)政府委員 損益計算上の利益といたしまして、三十五年度が百十八億六千二百万円、それから三十六年度が二百三十五億八千五百万円、それから三十七年度が五十六億三千六百万円、決算済みのものは以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/29
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030・芳賀貢
○芳賀委員 三十八年度はまだ終わっていませんが、大体の見通しとしてはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/30
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031・田中重五
○田中(重)政府委員 見通しといたしましては、大体五十億弱ではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/31
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032・芳賀貢
○芳賀委員 そうすると、いま長官の言われたような趨勢でいけば、今後林野事業における剰余金というものは、そう多くを期待できないというふうになるわけですね。たとえば昭和三十五年、六年はおよそ二百億台であったのが、今度は三十七年、三十八年と五十億円台に激減しておるわけです。私たちは、国有林野事業が、国土保全あるいは国民経済の発展に寄与する、そういう主要目的に合致して運営されておるかどうかということが明らかにされれば、それでいいのであって、この事業を通じて一定額の剰余金をぜひ確保しろということを、われわれは従来から主張しまた要求したことはない。ですから、こういうことになると、将来は剰余金は出ない、あるいはまた経営上から見ると、赤字が生ずるような年度もこないとは限らぬと思うわけです。そういう点に対しても、やはり将来に対する明確な展望、対処する方策というものが必要だと思うのです。特に先ほど長官は事業の合理化を進めるということも言われておるが、方法論としてはそれは一つの問題であるとしても、もしこれが、たとえば林野事業に従事しておる職員、従業員あるいは作業員等に対して、極端な人員の削減であるとか労働の強化をしいるような合理化を意図しておるとすれば、これは重大な問題だと思うわけです。おそらくそういう意味の合理化じゃないと思うが、その点について、これは大事な点ですから、明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/32
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033・田中重五
○田中(重)政府委員 将来のこの特別会計の推移につきましては、木材価格の推移、それから事業の内部といたしましては、生産性の向上をさらにはかっていくとか、いろいろ要因がございます。それで、損益計算上利益が生じないとか——過去においても欠損の時期がございますが、そういう積み立て金が生じないような場合には、言うまでもなく、そのような林業振興上の寄与もできないわけでございます。あくまでも国有林野事業自体の発達改善が主体でございますから、それはそういうような考え方でいいわけでございます。ただいまの国有林野事業といたしましては、これは技術の進歩、その他国有林野が今後国民経済から要請される木材生産の増大、さらに国立の保全の面なり、あるいは地元産業振興への寄与なり、そういうことに極力即応し、その使命にこたえられるように体質を改善し、近代化をはかっていかなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/33
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034・芳賀貢
○芳賀委員 それはいいけれども、大事な点は、合理化を強行するあまり、国有林野事業にまじめに従事している職員あるいは作業員に、人員整理であるとか労働の強化を押しつけるような形の合理化は、毛頭考えておらないと思うが、その点はどうなっておるか、重要な点であるので、お尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/34
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035・田中重五
○田中(重)政府委員 いろいろ作業の形態が変わってまいることに応じまして、それぞれ職場の配置転換その他ございます。しかし、そのために労働の強化とか、あるいはまじめな職員が整理されるというような考え方はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/35
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036・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、当局から見てふまじめとか好ましくないのは、整理するという意味ですか。どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/36
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037・田中重五
○田中(重)政府委員 それはいま先生のおことばにあったので申し上げたわけでございます。いずれにいたしましても、職場の変更その他作業方法の変化等に伴うところの職場の配置がえその他はあると思います。しかし、いわゆる整理というような考え方は、現在はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/37
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038・芳賀貢
○芳賀委員 私が特にただしておる点は、たとえば本年に入っては、特に北海道に営林局が五つあるのです。この局ごとの、たとえば三十九年度の事業の収支勘定、いわゆる業務の収支勘定等から見ると、北海道における国有林野事業は、時期として赤字傾向に入ってくるわけです。ですから、そういうことをことさらに現地において強調して、北海道は赤字に入っておるのだから、この合理化を進めなければならぬとか、近代化を進めなければならぬとか、そういうことを大きな理由にして、国有林野の職員とか従業員、作業員を含めて、それらの諸君に無用な不安とか混乱を与え、いかにもそれが職員の責任であるというような、間違った責任転嫁の議論が展開されるようなことになると、これは重大な点だと思うのです。とにかく林野事業は、苗木を植えてから伐採して収入を確保するまでには三十五年ないし四十年の期間が必要になるわけでございまして、伐期に入ったその事業区の営林局等については、これは収支勘定から見れば、利益が増大するという時期に当面しておるのもあるでしょうし、今度は資本投下を相当積極的にしなければならぬという時期に入っておる営林局もあるわけです。ですから、周期が三十五年ないし四十年という長い期間の中において、その事業区がどの年代に置かれているかということは明確にしてかからぬと、現象的に今度は赤字が出るようになったからというので、おまえらの責任だということになると、これは安心して林野の事業に従事できないということにも当然なると思うのです。これらの特色を持った事業ですから、国全体の林野事業の業務というものがどういう現況に置かれているか、将来はどうなるかということを明確に判断して、国会等においても、その動向とか見通しというものは、やはり適当な時期に明らかにしてもらわなければならぬと思うのです。ですから、そういう点について、これは当然農林大臣から明確にしてもらうべきでありますが、いま出席がありませんので、特に直接の担当者である長官からこの点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/38
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039・田中重五
○田中(重)政府委員 いまお話しのような、北海道においてそれぞれ赤字の局あるいは営林署があるからといって、それはその職場の責任だという考え方は毛頭ございません。現在北海道が、これは局によって違うと思いますけれども、赤字の局がございますが、北海道というのは、内地に比べますと、その開発がおくれております。それだけ今後に相当に期待をしなければならない国有林でございます。それだけに、その開発のためのもろもろの投資が先行的に行なわれておるというようなこともございまして、赤字になっておるという点があるかと存じます。
なお、収入、支出の面で、それぞれ黒字になるように個々の営林局あるいは営林署に責任を持たせるというようなやり方をやっておるのではないのでございまして、全国的規模において、それぞれ必要なところに必要な事業経費を配付する、それから収入の上がるところからは、それぞれ収入が上がるようにこれはしたい。国有林全体一本としましてこの収入を見ておるわけですから、特定の署でこの収支の問題を云々するというような考え方は、別に必要はないわけでございます。それぞれきめられた収入、きめられた支出額によって事業が運営されればいいのだ、こういうことでございます。
なお、将来の国有林の収支の見通しなり、あるいは現在の状況なりについては、御説明申し上げる機会がまたある、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/39
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040・芳賀貢
○芳賀委員 内容的な詳しい点は、次の機会に譲るとしまして、もう一つ、ここで明らかにしてもらわなければならないことは、国有林野事業の三十九年度の事業計画等を見ましても、その収支面については、林野事業の業務収入は、これはほとんど林産物収入に依存しておるわけです。ですから、たとえば国有林の立木の払い下げあるいは素材の販売等が適正に行なわれるかどうかということは、かかって事業収入に関係のある点だと思うわけですが、その場合、国有林をたとえば売り払うところの立木の原価計算とか、あるいは直営生産を通じましての素材の販売ですね、素材の原価計算というものが適切に行なわれて、それを基礎にしてこの払い下げあるいは処分を行なっておるものか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/40
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041・田中重五
○田中(重)政府委員 販売価格の決定につきましては、これはやはり市場における取引価格、これを詳細に調査をいたしまして、それに基づきまして販売の予定価格を決定する、こういうふうにいたしております。
なお、人工林につきましては、これはその人工林の地ごしらえ以降のいわゆる育林、これの原価計算は、それぞれの事業区につきましては、言うまでもなく計算は行なわれておる。そういうものとの見合いもかねまして、市場価格の詳細な調査の結果に基づき、予定価格を決定する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/41
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042・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いておるのは、原価計算をやっておるかどうかということです。いま長官の言われた市場価格からの逆算で、たとえば払い下げの基準価格、予定価格等を算定しておるということは、そういう意味で言われると思うのですが、私の聞いておるのは、国の財産としての立木の払い下げあるいは直営生産による素材の払い下げ等については、当然みな国の財産ですから、厳密な原価計算というものが行なわれて、それが基礎になって、経済事情とか市場の動向等というものを勘案して処分するということであれば、これは筋が立つわけですが、一番大事な原価計算というものを行なっておるのかどうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/42
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043・田中重五
○田中(重)政府委員 この原価計算につきましては、これは天然林あるいは人工林とも直営生産の分については、言うまでもなく、販売の状態に置かれるまでの原価計算はやってございます。それからなお、人工林については、これが成林をして伐採されるという状態までの原価計算はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/43
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044・芳賀貢
○芳賀委員 ですからその場合、原価計算が行なわれておれば、これを販売する場合、はたして積み上げた原価計算方式の価格と実際に林野庁が処分しておるその価格というものがおおむね合致しておるものであるか、それが合致しない状態で処分されておるか、それらの点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/44
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045・田中重五
○田中(重)政府委員 現在販売されております人工林の木材につきましては、いま正確な数字は覚えておりませんけれども、大体明治、大正の初期ごろの植栽のものが大部分でございますから、そういうものの原価計算としては、販売価格と比較した場合、これは赤字というようなことにはなっていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/45
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046・芳賀貢
○芳賀委員 それは帳簿上赤字にならぬという意味でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/46
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047・田中重五
○田中(重)政府委員 国有林材の販売されるものは、ほとんどがなお天然林でございます。いまお説の分は人工林の植栽木についての問題であるといたしますならば、原価計算上赤字にならぬという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/47
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048・芳賀貢
○芳賀委員 そういうふうに現在も行なわれておる処分価格というものは、原価計算に基づいた基礎価格に比較して、決してそれが逆現象でないということであれば、将来も林野事業の経営というものは心配がないということになると思うわけですが、われわれの承知しておる限りでは、市場価格から逆算で払い下げ価格というものを算定しておるというふうにわれわれは承知しておるわけです。ですから、逆算価格ということになると、全く財産価値というものは根拠を失なってしまうということにもなるわけですね。処分の方法等についても、国民共有の財産であるにもかかわらず、その処分の大半は、パルプ産業等を中心にしてこれらの事業単位に、いわゆる随意契約という形で特別安価な払い下げを行なわれておることは、これは長官も実際に自分でやっておるのだからわかっていることと思う。そうして零細な、たとえば信用基金に債務保証を依存しなければならぬような零細な企業体の場合、随意契約の分でも少ない、そして競争入札でこれを確保しなければならぬ、それが現在の実態じゃないですか。ですから、国民が疑問を持っておるのは、大資本のパルプ産業に対して国の財産を特別安く払い下げをしてやらなければならぬかという点なんですね。弱い者には高く売りつけて、強い者にはますます利潤が高まるように特別安く売っておるのじゃないか、これが国民の声だと思うのです。こういうやり方が将来もずっと続いてくるとすれば、国有林は国民の山ではなくて、一部の大事業、大産業の特権的な私有物的なものに終わる場合もあるわけですね。この点はやはり国民としても明らかにさせたい点なんです。ちょうどの機会ですからして、現在の事業の運営の実態というものは、私の指摘したとおりのものであるかどうか、その点はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/48
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049・田中重五
○田中(重)政府委員 運営の実態は、いまお説の内容とは全然違うのでございます。そういうことはございません。
まず、最初の御質問でございますが、木材価格を算定する場合には、先ほども申し上げましたように、逆算価格であることは、適正に調査をされた市場価格からの逆算である。これは素材の販売の場合も立木販売の場合も同じでございます。ただ、申し上げますように、人工林、つまり植栽木、これについては、その逆算価格に対してチェックする意味での原価計算、これはございます。
そういうことでございます。ですから、受け払い価格は逆算価格であるということであります。
それからその次は、非常に多くを安くパルプ産業に売っておるという事実は、全然ございません。それで、国有林材として販売される数量は、やはり製材資材が相当比率が高いわけでございますが、それはやはり国有林野の所在する地方、ちょうど、林業信用基金の保証制度を利用するような、そういう人たちの製材工場の資材として供給されておりますものが非常に多い。パルプ等につきましては、これはそれなりの必要性を認めて、パルプ産業のために資材は提供されておりますけれども、それはそのパルプ産業に適するような材質のものであって、かつ、それに相応ずる価格でこれが販売されておるということでございます。
なお、販売の価格につきましては、随意契約で売り払われるものも相当ございますが、これは市場調査、市況調査による価格が基礎になっております。それから一般の公売、これにつきましても、その公売の結果を見て、両方の価格を参考にしながら、売り払いの価格がきめられる、そういう価格によって売り払いを行なっております。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/49
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050・芳賀貢
○芳賀委員 大臣がお見えになったので、私の質問を中断します。いまの答弁の分については、年間の立木あるいは素材の用途別数量、たとえばパルプ用とか一般の製材用とか、用途別数量と、さらにまた処分の方法等についても、できるだけ明白に、随意契約による処分の割合とか公入札による処分の割合とか、それから大体企業体によって大中小という系列があると思いますが、それらの企業体に対して、たとえば随意契約による安価な払い下げの割合とか、入札による高い処分の割合とか、そういうものについて、これは資料として提出を願いたいと思う。あとで大臣に対する質問が終わってからまた継続して尋ねたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/50
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051・田中重五
○田中(重)政府委員 いま御要求の資料は至急に提出をいたしたいと思います。
ただ、いまのお話しの中の、安く随意契約で売られるという、そういう売り払い価格は採用しておりませんので、あくまでも適正な価格で売っておるということでございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/51
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052・高見三郎
○高見委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を行ないます。
日韓漁業交渉問題について、質疑の通告がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/52
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053・楢崎弥之助
○楢崎委員 せんだって当委員会で日韓漁業問題について質問をしたわけですが、時間がたいへん限られておりましたので、問題の提起だけに終わったわけです。きょうは、先日提起をいたしました問題点について、さらに深めてまいりたい、このように考えております。
私どもがこの漁業問題で一番懸念をしておること、心配をしておること、それはずっと私ども訴え続けてきておりましたように、何としても漁業の安全操業、それが中心であろうと思います。安全操業を確保するために、そのうらはらの問題として出てくるのは、安全操業を脅かしておりました李ラインの問題である。この李ラインの撤廃なしに漁業問題の解決はあり得ないということが、われわれの主張でもあったし、またたび重なる委員会における池田総理なりあるいは大平外務大臣の答弁も、そのようでございました。ところが最近、韓国のほうは、季ラインにかわるものとして、国防ラインをつくる、存置するということを、一月十三日でございましたか、閣議決定をいたしておる。その点について、大平外務大臣は、それは韓国がかってにつくることだから、自分のほうは関知しない、簡単に言って、こういう態度のようでありました。しかし、私は、まず当局、李ラインの撤廃の問題について、この問題の解決なくして漁業問題の解決はあり得ないと思うのですが、この点、まず大臣の明確なる御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/53
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054・赤城宗徳
○赤城国務大臣 日韓の漁業交渉におきまして、何といたしましても一番大きな問題、また日本の立場からいいますならば、いまお話しのように、日本の安全操業ということが不可欠の問題であることは、そのとおりに私も信じております。もともと李ラインというものは、わが国といたしましては認めておらぬ線でございます。しかし、韓国側におきましては、李ラインと称してあそこに線を引いておる。こういう実態に沿うて日韓漁業交渉を進めておりますが、当然、李ラインというものが撤廃されることを前提として、交渉を進めておる次第でございます。でありますので、いまいろいろな問題が懸案のままで会談が進められておりますが、この懸案が解決いたしたときには、当然李ラインというものは撤廃されなければならぬし、それが残っておる、あるいは国防ラインというような形で残っておるというようなことでは、すべてのいまからの交渉というものは御破算になることも当然でございます。いまのところでは、もちろん、韓国側としても、李ラインの撤廃ということを前提として、そういう考え方でほかのいろいろな関係を進めておりますから、すでに撤廃を前提として交渉を進めておると私も信じておりますし、そういうふうに進めることにいたしております。もしも、いま申し上げましたように、ほかの問題の解決が済んだときに、李ラインあるいはそれにかわるようなものを存置するというようなことでありますならば、かりにほかのことが妥結しても、交渉は全部御破算、こういうことにせざるを得ない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/54
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055・楢崎弥之助
○楢崎委員 たいへん確信のあることばをお伺いしたわけですが、それならば、私は、日本の態度としてはそうであろうと思います。しかし、韓国が、この国防ラインは漁業の問題とは別個の問題であるという観点から、この国防ラインの存置を閣議でも決定をしておる。また、せんだって両国の農相会談が始まりました、その初日の元農林部長のあいさつの中にも、農林大臣お聞きになっておるでしょうがいろいろ述べた中で、さらに韓国は海洋上にも国防上の特殊性を考慮に入れる必要があるというあいさつを、十日の日でございますが、なさっておられますね。国防上の特殊性を考慮する必要がある、これは韓国の一月十三日閣議決定の国防ライン設置の線に沿った伏線であろう、私もこのように思いますが、こうした李ラインの撤廃、あるいは李ラインにかわる国防ラインの設置について、それをやめさせる保障がありましょうか。たとえば漁業協定の中に、あるいは漁業協定とは別個の何らかの公文の中に、それを明確にさせるというお考えがあるかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/55
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056・赤城宗徳
○赤城国務大臣 おのおの国内向けの問題もあるようであります。交渉をしていると、そういうような感じ方を私も受けます。そこで、初めの日のあいさつ等におきましても、いま御指摘のようなニュアンスが入っておりました。これは申し上げていいかどうかわかりませんが、そういうことでありますので、私もその後においても実は確かめてはみております。その内容は申し上げられませんが、確かめてみたところが、詳しくは申し上げませんが、ニュアンス的に言ったように向こうで言っておりました。しかし、国内的にいろいろな問題もありますので、ああいう表現をしたのではないかというふうに私も考えております。それはいずれといたしましても、もともと認めておらないものでございますから、これは撤廃とかなんとかいっても、認めた前提の上の撤廃ということは言えないわけであります。御承知の日ソ関係におきましても、ブルガーニン、ラインを引いておって、漁業交渉が成り立って、ブルガーニン・ラインというものは当然撤廃された、こういうことでございます。でありますから、私は、先ほど申し上げますように、この問題が解決すれば、当然私のほうで認めていない線でございますから撤廃さるべきものだ。しかし、そうでなく、また何か残しておくというようなことでありますならば、それについてあらためてその点を確認するような交換公文といいますか、そういう必要があろうかと思います。しかし、いまのところでは、私は、そういうことをせぬでも、漁業関係の交渉が妥結すれば、当然なくなる、こう見ております。もしもまだなくなりはせぬということでありますならば、先ほど言いましたように、交渉全部が白紙に戻って御破算になる、こういうことになろうかと思いますので、そういう態度で進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/56
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057・楢崎弥之助
○楢崎委員 いまの大臣の御答弁を確認したいわけですが、当初一九五二年に李ラインが設定されましたときには、あの李承晩宣言というものは、漁族の保護という意味から出されました。それがだんだん性格が変わっていって、国防的な意味を含めたラインというふうに性格が変わってきた。したがって、今度いま政府が進められておる十二海里のほかに、二十八海里、計四十海里の漁場の規制の範囲をきめた場合に、つまり、その漁業ラインが、李承晩ラインと同じように、やがて国防ラインとしての性格を帯びてくるのではなかろうか。また、そのような意向を明確に韓国側は示しておる。こういう状態に対して、いま農林大臣は、もしその懸念があれば、何らかの公文の中に、交換公文かあるいは別の協定か、何でもけっこうですが、その懸念があれば、これを明確にする必要があろうという御答弁をいただきました。私どもは、ぜひその点は、いわゆる協定上、公文上明確に、この李ラインの撤廃なり、新しくつくられるかもしれない国防ラインについては、これを絶対認めない、またつくってはならない、つくらないという、一つの明確な公文上の約束を取りかわしてもらいたい、このように思うわけです。農林大臣の御答弁もそう承りましたから、先に進めたいと思います。
次に、これも一応念のために確かめておきたいのですが、現在進められております漁業交渉は、いわゆるサンフランシスコ平和条約第四条との関係はどのようになっておりますか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/57
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058・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは日韓全体の関係として含まれておると思いますけれども、私どもは漁業部門の点だけを交渉いたしております。でございますから、例を言いますならば、たとえば中共と日本の民間で漁業協定をいたしましたが、中共と国交が回復しておりませんから、政府ではやれませんけれども、そういう意味において、日本と韓国との間の漁業上の問題を解決しておいたほうがよかろう、こういう観点から進めておりますので、サンフランシスコ平和条約第四条との関係は、これは全体の日韓交渉の関係の中に包含されて、その部分としての漁業の関係ということもあろうと思いますけれども、私どもは、純然たる漁業関係ということだけで私の職分として話を進めておる、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/58
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059・楢崎弥之助
○楢崎委員 私がお伺いしておるのは、全体としての日韓間の交渉の一つであるということ、これはわかり切った話です。平和条約第四条との関連はいかがでしょうかということを聞いておるのです。関係があるならある、ないならないと、はっきりこれは出てくる問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/59
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060・赤城宗徳
○赤城国務大臣 第四条は賠償請求権との関係でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/60
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061・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/61
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062・赤城宗徳
○赤城国務大臣 賠償請求という関係は漁業においてはございません。ただ、私のほうで、あとで話が出るかもしれませんが、拿捕された漁船及び漁民の損害等についての賠償請求権は留保しておりますけれども、向こうからの賠償を漁業によって云々、こういう関連は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/62
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063・楢崎弥之助
○楢崎委員 少し御答弁があいまいであったようですが、私はこの前の委員会でも明確にしたのですけれども、この漁業交渉は、平和条約第四条そのものとは直接の関係はないと思うのです。また、そういう答弁を池田総理も大平外相もなさっていらっしゃる。だから、それは間違いなかろうと思うのです。しかし、私は、せんだっての三月六日の当委員会における質問のときに、漁業交渉で話が進められている漁業協力の点については、請求権問題で論じられている例の民間ベースにおける経済協力一億ドル以上の中に含ませるという御見解を聞いたわけです。そうすると、以前の委員会において池田総理なり大平外相が平和条約四条とは関係がないと言われたことと矛盾するのではなかろうか。なぜならば、第四条における請求権問題の一環として、請求権問題の全体としての解決として、例の有償二億、無償三億、別に民間経済協力一億ドル以上というのがほぼ話がきまった。ところが、その請求権問題の中の民間ベースの協力の中に、漁業協力の分が含まれるとするならば、いわゆる漁業協定が明確にならない限りは、請求権問題は逆に解決しないということになりましょう。この関連についていかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/63
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064・赤城宗徳
○赤城国務大臣 請求権の問題は、無償三億ドル、有償二億ドル、こういう関係で進めてきておったと思います。その後、請求権の趣旨とは違って、民間で一億ドル・プラスアルファといいますか、一億ドル以上の民間のコマーシャルベースでの協力はしょう、こういうことを外務大臣のほうからある機会に向こうに言っている、こういうことになっています。でございますから、この漁業協力の問題は、請求権とは切り離して、民間ベースという、カテゴリーでいえば、一億ドル・プラスアルファの範疇の中での協力を民間のコマーシャルベースで民間の人がやる、こういうことで、政府間の協定というような形には持っていっておりません。でございますから、請求権とはいずれにいたしましても関連を持っているのではございませんで、向こうの漁業を育成して、そうして資源の分配を公平にするために協力してやろう、こういうようなこと、それは民間でやるべきことで、政府間の交渉とか、政府間に関係したものでない、こういう進め方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/64
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065・楢崎弥之助
○楢崎委員 昨年来の外務委員会では、この請求権問題の解決は、無償三億、有償一億と別に民間ベースにおける経済協力というものを政府がお世話をして、全体としてそれが請求権問題の解決になるという答弁を政府はずっと一貫してなさってきていらっしゃいます。切り離してやっていらっしゃいません。したがって、わが党からその積算の基礎はどうだといっても、いまだに出されないでしょう。三億、二億の積算の基礎、いわゆる請求権の解決としての積算の基礎は出されていない。つまり、いわゆるどんぶり勘定じゃないですか。この民間ベースの協力を含めて全体としてすることによって請求権問題は解決したことになるのだという御説明であるし、御答弁です。請求権問題の一環としてこれが論じられている。いまの農林大臣の御答弁は、少しいままでの政府の御答弁と違うようですが、もう一度お答えをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/65
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066・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私のほうはいま折衝中でございますが、民間で出す漁業協力の金——貸すわけでございますから、延べ払い方式で貸すという形になろうと思います。これは請求権とは全然別個の金でございます。ただ、一億ドル・プラスアルファというような民間でやる範疇と同じ範疇である。そういう範疇で問題を進めていく。ですから、政府間の有償、無償のものとかそういうもので扱うものじゃない、こういうことを念を押しつつ進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/66
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067・楢崎弥之助
○楢崎委員 どうも私は、この点が御答弁が違うと思うのです。池田総理なりあるいは大平外相の御答弁と違うと思うのです。この民間協力というものは、政府の保証による延べ払い等も含めて、請求権問題の一環としての解決だという御答弁があった。これは請求権問題の一環として解釈して、政府は一貫してやってこられたと思うのです。これは大平外相を呼んでみないとわかりませんけれども、もう一ぺんすみませんが、重ねていまの点をはっきりしてもらいたいと思います。そうしないと、この前の三月六日の農林大臣の答弁では、請求権問題でやっておる民間ベースの経済協力一億ドル以上の中に含めて、もし漁業協力が解決すれば、それは請求権問題で論じられておる民間ベース一億ドル以上という金の中から支払いますという御答弁をあなたはなさいました。卜部参事官もそのような御答弁をされた。民間ベースのあの一億ドル以上というのは、あれは請求権問題解決の一環として取り上げられておるのです。これは政府の答弁が違うと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/67
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068・赤城宗徳
○赤城国務大臣 一億ドル以上の民間で出すというのは、これは政府間の約束というよりも、民間で出すのだから、請求権の関係ではないというふうに御答弁申し上げたのですが、これが請求権問題として三億ドルの無償、二億ドルの有償、一億ドル・プラスアルファの民間の協力ということであるとするならば、私は、この一億ドル・プラスアルファの範疇といいますか、カテゴリーの中に漁業の協力というものは入ってくる。しかし、あくまでも政府間の問題ではなくして、民間のコマーシャルベースの協力である、こういう頭でこの漁業協力の金の問題を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/68
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069・楢崎弥之助
○楢崎委員 もう一点だけ念を押しておきますが、この民間ベースの一億ドル以上というのは、当時、昨年来外務委員会で明確にしておった点は、漁業協力を頭に置いての話ではなかったと私は思うのです。そうじゃなかったと思うのです。したがって、あれはあくまでも請求権問題の解決の一環として、そういう答弁ですよ。これを全体を含めて請求権問題の解決、第四条の請求権の問題は、三億、二億、一億ということで話がきまれば解決することになるんだという御答弁だった。したがって、この漁業交渉が進展するにつれて、この漁業協力問題が浮かび上がり、そしてせんだっての六日の日に、もし話がきまれば、例の請求権の問題で論じられておった一億ドルの中から払うのだ、こうなった。とするならば、これはやはり請求権問題の中の一環に含まれるではありませんか。そうではありませんか。請求権問題の解決の一環の中に含まれるというふうになってきたのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/69
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070・赤城宗徳
○赤城国務大臣 外務大臣がそういうことを言ったときは、一億ドル以上という民間ベースの中に漁業協力の金は含んでいなかったと私も思います。でございますが、いま漁業の問題で交渉しておるときに、漁業協力の金を向こうでほしいということでございますので、それはこの前にも御答弁申し上げましたように、一億ドル以上、こういうふうになっておりますから、一億ドル・プラスアルファがございますが、その範疇から漁業協力の金を民間側で協力する、こういうふうに理解しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/70
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071・楢崎弥之助
○楢崎委員 請求権問題を論じられておった当時は、民間ベースの協力については、漁業協力の問題は含まれていなかった、そのとおりです。したがって、その当時言われておった民間ベースの経済協力というのは、あくまでも請求権問題解決の一環として当時は論じられておる。そしてこの漁業問題が起こって経済協力が起こったから、これはその民間ベースの一億ドル以上の中から支払う、こうなった。そうすると、これは結果的に、この漁業協力というのは、請求権問題解決の一環としての性格を帯びてくる。これは論理的にそうなるでありましょう。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/71
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072・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私はそう考えていません。請求権解決の問題の一環に結果的にはなっておりますが、私は、漁業問題は漁業問題として解決したいと考えております。たまたま日韓の国交回復という問題で、漁業の問題が大きく取り上げられておりますけれども、これは請求権解決の帰結としてでなくて、やはり漁業問題は漁業問題として解決すべきだ。日韓国交回復の一つの大きな要素でございますけれども、この協力の問題は、いまお話のように、請求権解決の民間協力の一部分ということになっておりますから、結果的には請求権問題解決のために、漁業協力問題を解決していくのだ、こういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/72
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073・楢崎弥之助
○楢崎委員 いまの点は明確になりましたので、いずれ外務大臣に来ていただいて、さらに明確にしたいと思います。
そこで、さらに次の問題に移りたいと思いますが、私どもは、せんだっての委員会におきましても、この漁業交渉が政治的な妥結に追い込まれないように、あくまでも専門的な立場から、国際慣行なりそういったものを考えて、それを順守する線で進めてもらいたいという要望をし、また農林大臣もその線でがんばるということを表明されたわけです。ところが最近、いろいろ問題がある中で、特に基線の問題をめぐって赤城試案なるものが出されたということを新聞報道上知ったわけです。もしその赤城試案なるものについて御説明できれば、説明できる範囲内でひとつ明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/73
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074・赤城宗徳
○赤城国務大臣 この間もお話があり、きょうもお話がありますように、日本の漁業交渉に臨む態度といたしましては、国際条約あるいは国際慣行、こういうものを基礎として合理的に進むべきものである。こう考えて、そういう態度で進めております。そこで、新聞紙等に赤城試案というようなことがよく出ております。交渉中でありますので、いまお説のとおり、あまりはっきりしたことは申し上げられませんが、考え方は、先ほどから申し上げておりますように、国際慣行に沿うて、たとえば韓国の西南のほう、これは陸地が非常に入り組んでおります。あるいはまた島が非常に多いのでございますので、国際慣行あるいはジュネーヴの条約等に従う、低潮線から専管区域をはかるということが、非常に困難でありますから、これは例外として、南西のほうは直線基線を起点として、それから専管区域をはかっていく、あるいは済州島等につきましては、島がふくそうしておりませんから、これは低潮線からはかれると私は思います。こういうものはやはり低潮線から専管区域という基線をつくってはかっていく、こういう形で進めていくのが当然だ。そこで、出たり入ったりするところが少しあります。そういう点は幾ぶん是正してもいいのじゃないか。しかし、その根本的な線の引き方等におきまして、いわゆる政治的といいますか——政治的という定義も非常にむずかしいのでございますが、よく世間で言われますように、足して二で割るというか、方針を曲げてやるというような形でいこうということじゃございません。また、向こう側は向こう側としての主張がございます。そういう主張はございますけれども、私のほうではあくまで国際条約、国際慣例に従った、それを基礎としての考え方で、合理的に線の引き方の解決ができないものだろうか、こういうことで話を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/74
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075・楢崎弥之助
○楢崎委員 私どもの受ける印象では、どうも当初の農林大臣の意気込みがやや薄れて、政治的な妥結の方向、あるいは問題点をあと回しにする、たな上げにするといったような傾向が出てきたのではなかろうかと懸念をしておるわけです。
そこで、私は具体的にお伺いをしたいのですが、特に基線の問題では、おっしゃるとおり、南と西が問題である。その際に、特に中心的な問題はやはり済州島であろう。そこで、いま大臣の御答弁では、日本側としては済州島は低潮線でやる、そうすると、低潮線でやるから、済州島のまわり十二海里というものが専管水域という範囲になろうかと思いますが、南のほうは小さい島がたくさんありますから、それは直線基線でやる。そうすると、どうも半島の南端部と済州島との間には、日本側の案でいくと、当然くびれたような形の専管水域ができるだろう、このように思うわけです。その際に、いま農林大臣は、もし著しくくびれておるようなところがあれば、少し直していいというようなお話をちょっとされたのですが、くびれたところを直すというのは、どういう根拠からですか。どのような国際慣行でそれを直されるのですか。その根拠をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/75
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076・赤城宗徳
○赤城国務大臣 それを直すといたしますならば、これは協定上の問題になります。たとえばソ連との条約、あるいは民間でございますけれども、中共と民間との関係みたいに、国際条約を離れている面がございます。中共と民間の漁業協定、それからソ連との関係等におきましては、これは専管区域とは別に一つの協定上の問題としてなっておる面もあります。そういう点で、ごく少ない面であるならば考えるものがあっても、これは別にいままでの条約の面でない例でもありませんが、まだそういう点はそこまで話がいっておりません。そういう関係もわれわれ一応考えてみておりますけれども、まだそういう内容につきましてはあまり詳しく申し上げる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/76
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077・楢崎弥之助
○楢崎委員 いま話し中ですから、あまり詳しいことは言われないということは、よくわかります。それで、いまお尋ねしましたくびれた線を直すというのは、実は赤城試案の一つの中心点ではなかろうか、このように推測するわけです。特に、私地図をここに持っておるのですけれども、日本側のいままでの主張からいきますと、大体地図が出てまいります。そうすると、問題の済州島は百二十六度と百二十七度との間にある。その緯度を考えてみますと、日本側の案でいくと、その緯度の中にくびれた線が両方から入ってくる。そこが実は問題であろうと思う。この百二十六度ないし百二十七度の線の中に入ったくびれた点は、ひとつこの際専管水域の中に含めようというのが赤城試案の妥協案ではなかろうかと思うのですが、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/77
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078・赤城宗徳
○赤城国務大臣 進行中でございますので、御推察におまかせしておくということで、私からは答弁を差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/78
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079・楢崎弥之助
○楢崎委員 御答弁で明確に言われた点は、くびれた点を若干直すということは明確に言われたのです。それを地図の上に直すと、百二十六度と百二十七度との間に入ってきたいわゆる公海は、これを削って専管水域に入れるということが必然的に出てくるわけですね。それは明確に言われない。推測にまかせるとおっしゃいますから、そういう点であろうと思います。そういうことでいま話を進められておる。そうすると、もしそういう点の話がまとまれば、一体基線の問題はそれで解決するのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/79
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080・赤城宗徳
○赤城国務大臣 折衝中ですから、それで基線が解決するとかなんとかいうことは申し上げる段階ではございません。そればかりでなくて、基線の引き方は相離れておって、こちらの引き方と向こうの広い引き方と、まだ話が歩み寄っておりません。でありますから、いまの私の試案とかなんとかいうことを言われて、いろいろ御指摘になっておるようなものが、きまったときにはどうかということを申し上げる段階にはまだ入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/80
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081・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうしますと、その基線の問題は、非常に意見が食い違っておるが、農林大臣のほうから解決のためのいろいろな案が出されておると思うのですが、もしこの問題が解決しないときには、どのようになるのでしょうか。この問題が解決しないときには、基線というものは一応基本的な問題でありますけれども、この漁業交渉はお流れになるのでしょうか。それとも一応その分だけはあと回しに問題を残して、暫定的な何かを考えておられるのかどうか、その考え方についてお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/81
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082・赤城宗徳
○赤城国務大臣 基線の問題が解決しなければ、これはお流れと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/82
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083・楢崎弥之助
○楢崎委員 明確な御答弁ではっきりしたのですが、そうすると、あくまでも、暫定的に問題をあとに残すということは、絶対にあり得ないという立場で農林大臣は臨んでいらっしゃる、そう解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/83
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084・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そういう態度で進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/84
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085・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは次に、これはよけいなことかもしれませんが、もしこの問題が片づかなければ、漁業交渉はお流れになる、漁業交渉がお流れになれば、日韓会談は全部御破算、これは池田総理もおっしゃっておる。そうすると、御破算になるという段階は困るから、またそこで何か起こってくる、そういう際に、もし韓国のほうから紛争の解決として、残された問題点だけは国際司法裁でひとつ解決しようじゃないかというような提案があったら、日本側はどうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/85
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086・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そのときはそのときで、なお研究してみたいと思います。いまそういう問題に直面しておりませんので、いまここでお答えする段階ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/86
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087・楢崎弥之助
○楢崎委員 ちょっとわからなくなるのですね。先ほどの御答弁は、問題が解決しなければ、はっきりしなければ交渉は成立しないと思っておるという答弁の後に、もし残された問題点について国際司法裁に提訴するというような問題が起こったら、今度はそのときに検討してみたいと言われる。前の答弁と矛盾するような感じがします。あくまでもそういう国際司法裁に提訴するという問題が起こるとするならば、それは問題をあと回しにするということですから、その点だけは答弁が矛盾するような感じを受けますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/87
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088・赤城宗徳
○赤城国務大臣 もしそういう問題が出まして、これがあと回しになるということでは、私はだめだと思います。あと回しにならぬで一応の解決点があるということならば、これはそのとき考えなければならない。未解決のままあと回しにするということでは、この問題の解決ということにはいかぬと思いますので、そういう場合では、私は納得しない立場でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/88
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089・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは次に進みたいと思いますが、六日の日にも一応問題を提起しておきました第三国の規制の問題、これは十二海里の外に二十八海里というような全面的な共同規制区域を設ける、これはたいへんな問題です。こういうことはわれわれとしては納得できない。しかしまあ、魚族の保護という立場からこの話を進められるということですが、しかし、魚族の保存の立場ということであれば、せんだって申し上げましたように、定着性の魚族ばかりあればいいが、あそこは回遊性のものも多いのです。はたして保存という立場から見てうまくいくかどうか。それと同時に、隣には中国があるし、北朝鮮もあるし、もし第三国がこれに入ってくるというような事態が起こった際には、せんだっての委員会では、農林大臣は、そのときにはそういう国と何らかの話し合いをしなくてはならぬかもしれないという御答弁をされたわけですが、その点は変わりないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/89
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090・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御承知のように、中共は中共で民間協定を日本とやっております。非常に幅の広い百海里くらいの線でやっていますが、しかし、それを越えていまのように共同規制区域を出すということも全然皆無だというふうなことも言えないと思います。これは北鮮の問題もあります。ソ連もあります。しかし、これは国際慣行といたしまして——国際慣行と言えるかどうか別といたしましても、そういう権利、利益等がふくそうした場合には、それに関係ある国々が漁業の協定を結ぶということにだんだん進んでいくと思います。日米加のような問題もございます。でございますが、大体におきましては、いままで二国間できめたところを侵すというようなことはあまりないようでございます。もし、そういうことでふくそうして、そこにも入り込むということでございますれば、これを押えるということは、これは公海でございますから、第三者、第三国に対してはできない問題であります。でございますから、そういう第三国も中に入って、協定に加わってもらうというようなことがあり得る、可能性はあり得る、こういうふうには考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/90
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091・楢崎弥之助
○楢崎委員 この際、承っておきたいのですが、この漁業協定も、その協定の及ぶ範囲、つまり、三十八度線以北には及ばないという態度で日本側は臨んでおられる。それに対して韓国のほうは、その協定の及ぶ範囲についてはどのような主張をやっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/91
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092・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私のほうでは、やはり三十八度線以南について話し合いを進めておるわけでございます。韓国側もそういうような態度で話し合いをいたしております。ただ、公海の問題で、例の李承晩の線の問題、これはこの間もどこかで御答弁申し上げましたように、私どもでは全然これを認めてない。不法、不当な線だと、こう思っておりますから、それが北のほうにどうだろうか、こうだろうかということで、私のほうで干渉するというような立場ではございませんので、北のほうの問題には触れておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/92
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093・楢崎弥之助
○楢崎委員 いま漁業交渉については、韓国側は三十八度線以南ということでやっているようだという御答弁でした。そうすると、韓国は、請求権の問題については全朝鮮を一応考えてやっておる。この点についての話し合いはまだできていない段階ですか、間違いありませんか。漁業協定については、いわゆる三十八度線以南ということでやっているという御答弁でありますが、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/93
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094・赤城宗徳
○赤城国務大臣 韓国が全朝鮮を支配するというような課題でやっておるかどうかという問題は別といたしまして、漁業交渉で折衝しておるのは、おのおの地域的な範囲がございます。地域的な範囲から言いますならば、三十八度線以南の、たとえば低潮線の問題にいたしましても、あるいはまた直線基線の問題にいたしましても、その範囲内で話を進めておる。これが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/94
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095・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうすると、その協定の及ぶ範囲内については、協定上明確になさるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/95
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096・赤城宗徳
○赤城国務大臣 条約文でどこからどこということになりますから、当然場所的に明確になる、こう私は思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/96
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097・楢崎弥之助
○楢崎委員 その点については、韓国側は問題ないと確信を持っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/97
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098・赤城宗徳
○赤城国務大臣 最終的にそういうことも確認しなくてはいかぬと思いますが、いまのところでは、全然それ以外には触れておりません。三十八度線以南においてどういうふうにやるか、こういうことで話を進めておりますから、私は、北のほうに対して条約の上においてどうこうということを韓国側もいまのところ考えていないと思います。しかし、これは条約がもしきまってつくるというときには、はっきりさせる必要があろうかと思いますが、当然地域的にはどこからどこということできまれば、三十八度から南、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/98
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099・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうしますと、北朝鮮のほうはこの協定が及びませんから、北朝鮮のほうから日韓漁業規制区域に入ってくるということもあり得ますが、そういう場合にはどうなるでしょう。これは直ちにあり得る問題だと思いますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/99
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100・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは両国できめた中に入ってくるということであるならば、それは遠慮してもらいたいというような抗議は申し込むだろうと思います。しかし、向こうから見れば、公海でございますから、自由に入れるのだということを主張すれば、それはその主張も主張として通ると思います。そういう場合に、先ほど申し上げましたように、北鮮なら北鮮をどういうふうに扱うかということで、事態が紛糾してきますならば、そのときにおいて考えなくてはならぬ問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/100
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101・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうすると、これは近いか先か知りませんが、将来、漁業問題について、日本と韓国と北朝鮮との三国の話し合いは大いにあり得るという
ことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/101
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102・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そういうこともあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/102
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103・楢崎弥之助
○楢崎委員 第三国の規制の問題は明確に考えておかれないと、この日韓漁業の魚族保存という立場からのせっかくの目標がそこなわれることになろう、規制の意味がなくなろう、このように思いますから、これはひとつ十分検討をしておっていただきたいと思います。
次に、二月十日に予算委員会でわが党の井手委員からも問題を指摘されておりましたし、三月六日の当委員会でも問題を出しておったのですが、大体本来ならば、まず専管区域をどうするかということが問題になっておる、共同規制区域をやっておるのは少ないのですから。イギリスとノルウェーだって、あるいはアイスランドだってそうでしょう。専管水域をまず問題にする、これが私は順序であろうと思う。まず専管水域の問題を片づけていく、井手委員が御指摘なさったとおりであると私は思うのです。その際、いま領海がはっきりしておりませんが、三海里であっても六海里であっても、それ以外の十二海里までのいわゆるアウター・ゾーンの入り会い権はある。これは適当な時期にこの問題も考慮に入れて交渉するという御答弁でしたが、いまもその態度は変わりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/103
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104・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは国際慣行でもありますし、あるいは条約等にもそういうことになっておりますので、入り会い権があるということは既定の事実——と言ってはおかしいですが、そういうことでございますので、だんだんに交渉がきまっていくということになりますならば、その点もはっきりさしておかなければならぬ、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/104
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105・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうしますと、入り会い権の問題はいずれ明確にするという態度のようですが、この入り会い権の問題は、一九六〇年の第二次ジュネーヴ海洋法会議で問題になりましたいわゆるアメリカ・カナダ案でございます。この入り会い権の問題は、当時のアメリカ・カナダ案では、一九五八年一月以前に先立つ五カ年間に実績のあった国は、この条約がもし成立したら、一九六〇年から一九七〇年までの十年間は入り会い権を持つという案であったと思うのですが、その点は間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/105
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106・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そのように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/106
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107・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうすると、単にアメリカ・カナダ案でいきますと、これは国際慣行だというふうになっておるのでしょうが、特定の時期以前五カ年の実績ということがいわれておりますが、この日韓漁業交渉における過去の実績というのはどのような形で考えておられますか。入り会い権を主張するその根拠はどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/107
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108・庄野五一郎
○庄野政府委員 日韓関係の入り会いの実績の問題でございますが、御承知のように、李ラインを一方的に設定いたしております。このいわゆる李ラインというものは、国際法上不当なものであり、また国際慣行上も認められないということで、われわれはこれを認めてない立場にあるわけでございまして、そういうもので多少は安全操業等においてゆがめられておるかもしれませんが、なきものとして、われわれは、漁業者が出漁しておるそういう実績を踏まえて考慮する、こういうことに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/108
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109・楢崎弥之助
○楢崎委員 お説のとおりであろうと思うのです。それで、この点はあくまでも主張してもらわなければ一1国際慣行をあくまでも守っていくということであれば、一九六〇年の第二次ジュネーヴ会議以降の各国の実際の条約の状態は、完全に入り会い権を認めた条約を結んでおりますね。イギリスとノルウェーの漁業条約でもそうです。一九六〇年九月二十八日のイギリス・ノルウェー漁業条約でもそうですし、また一九五九年四月二十七日のイギリス・デンマークの暫定漁業協定においても入り会い権を明確に認めております。これは実際に主張していただかないと国際慣行上おもしろくない、このように思うわけです。
それで、あと同僚委員の方がおられますので、さらに話を進めたいと思いますが、拿捕漁船に対する損害賠償の問題であります。これはずっと損害賠償権を留保してこられておるという御答弁を政府は絶えずなさっておるわけですが、それで、その損害賠償の問題は、どのような形でどういう委員会で問題の処理に当たられるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/109
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110・庄野五一郎
○庄野政府委員 李ラインの侵犯によります不当拿捕に基づきまして、その返還請求とあわせて、それに伴います船体あるいは積載物その他についての損害賠償権を留保して、そのつど抗議し、また即時釈放というようなことを申し入れておるわけでありまして、損害賠償権はわれわれのほうもこれから要求する、こういうことになって、一度船舶小委員会でもそういう話し合いは進めた次第でございます。漁業の本筋の交渉のほうが非常に促進してまいっておる段階でございまして、その段階においてこの損害賠償請求権も要求する、こういう話を進めてみたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/110
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111・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは農相会談でこの問題も解決されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/111
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112・赤城宗徳
○赤城国務大臣 かりにといいますか、漁業協定がきまるときには、この問題の解決も当然きめていかなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/112
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113・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、この損害賠償請求の問題が解決しなければ漁業交渉は成立しない、逆にいえば、そのようになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/113
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114・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そうとも申し上げられませんが、全体的の解決で漁業の損害賠償をするということもあり得るかと思います。しかし、私のほうの漁業の問題におきましてやはり取り上げて、これの解決をはかりたいと思っております。その解決ができなかった場合には、全体の問題として外務当局等の交渉になるかとも思いますが、ともかくもそれがきまらなければ漁業問題がきまらない、これは一つでなく、その問題がきまらなければ全体がきまらないでしょうから、全体の日韓の問題ということについて、何らかの解決をしなければならぬ問題であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/114
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115・楢崎弥之助
○楢崎委員 その解決の方法ですが、どういう構想を持っておられますか。ただ解決したいと思っておると言われますが、どういう方法、構想、考え方で解決しようと思っていらっしゃいますか。具体的にもう少し解決の方法についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/115
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116・庄野五一郎
○庄野政府委員 この問題は、損害の算定ということにいろいろ問題があろうかと存じます。船体なり機関なりのいわゆる漁船自体の問題と、それからそれに付属しまする漁具といったようなもの、それから当時水産物を上に積んでいた漁獲物の問題、そういう物的な損害、それから不当な拿捕による船主なり船員なりの精神的な問題、それからもう一つ考え得べき問題としては、拿捕されたために操業できなかったという、いわゆる得べかりし利益をどういうように算定するのか、そういったいろいろな問題があるわけでございまして、またその算定の時期をいつにするかというようなことについても、各船ごとに非常に違うかと存じます。こういう問題につきましても、それぞれのあれともよく意見の交換はいたしておりますけれども、まだこれを具体的にどうするという発表の時期じゃございませんが、そういうことを考えて、この漁業問題を先ほど来大臣が御答弁になったように何とか解決したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/116
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117・楢崎弥之助
○楢崎委員 もう漁業交渉の先は見えているじゃないですか。それをいずれよく検討してというようなことでいいのですか。そういう御答弁であれば、まじめに——この損害賠償の問題を漁業交渉に含めて解決するということでは、あいまい過ぎやしませんか。まじめにこれを具体的に取り上げて解決しようという熱意があるのですか。聞くところによると、今月一ぱいをめどにしてこの漁業交渉を妥結するのだというような速度でやっていらっしゃる段階で、いまのような、いずれ検討して方法その他についてはというようなことでは、間に合わぬじゃないですか。どうなんですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/117
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118・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ですから、私は、漁業交渉と漁業の賠償が不可分——これとだけの不可分ではなくて、日韓交渉の全体と不可分の関係である、こう私は見ていますから、漁業関係でこの問題を強く推し進めていきますが、もし最終的に、漁業のほかの面が片づいて、損害賠償のほうが残ったということであるといたしますならば、これは日韓全体の問題としての賠償請求をまたきめていかなければならぬ、こういうふうに私は先ほどから申し上げているわけでございます。でございますから、できるだけ漁業交渉の折衝の中でこの解決をきめていきたい。ほかのものがきまって、それだけが残るということになりますならば、これは日韓全体として、外交のルートもございますから、そういうルートでいきたい、こういう方針でいくべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/118
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119・楢崎弥之助
○楢崎委員 それで、少なくとも担当の大臣として、その解決の方法と申しますか、一応漁業交渉の場で解決されるという以上は、それの大体の姿を、どういう形でこの請求権問題を解決するのだというくらいの構想はお持ちだろうと思うのです。そういう姿もないじゃ、全然やる熱意がないということと一緒じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/119
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120・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは漁業関係だけで解決できるかできないかということも、大体おわかりじゃないかと思います。そういう関係がありますから、漁業交渉は漁業交渉として、この問題を解決すべく最終的には進めていきますけれども、しかし、全体の関係でのいろいろな解決の方法ということもあろうかと思います。でございますので、その具体的関係をいま申し述べる段階ではないと思いますので、その点は御了察願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/120
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121・楢崎弥之助
○楢崎委員 私は、この点も再三委員会では御質問をしておるところですが、どうもこの損害賠償請求権について具体的な熱意がないと思う。ただ何とか解決します。しますだけで、全然その方法、構想が出てこない。
私は、いまの大臣の御答弁をそのまま信用していいかどうかわかりませんけれども、しかし、解決すると言われる以上は、時間の関係がありますから、これ以上申し上げませんが、もしこの問題を解決し得なくても、そのうらはらの問題として、日本政府は、損害を受けた漁民に対する損失補償は残るのですよ。これは残るのです。これは損害賠償が取れなかったから損失補償はあり得ないなんということにはならぬのです。この損害を受けた漁民に対する損失補償の点は、私は残ると思います。その点についての大臣のお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/121
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122・赤城宗徳
○赤城国務大臣 どういうふうなことできまるか別といたしましても、そういうものは漁民から見れば残っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/122
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123・楢崎弥之助
○楢崎委員 残っておるということは、政府に責任があるということですね。損失を補償してもらう問題が残っておるということは、政府が向こうから損害賠償がもし取れないときには、日本政府が責任を持って損害を受けた関係漁民に対する損失の補償をする、その責任があるということだと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/123
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124・赤城宗徳
○赤城国務大臣 政府にその損害の責任はございませんけれども、賠償が取れないというような場合には、漁民のほうからは政府に対して請求するということに相なろうと思います。そういうふうな筋道になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/124
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125・楢崎弥之助
○楢崎委員 いまの御答弁は、その関係漁民が政府に請求するということが残るとおっしゃるのですか。そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/125
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126・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そういうふうに相なるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/126
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127・楢崎弥之助
○楢崎委員 では、そういうことに相なった場合には、日本政府はどのような態度で臨まれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/127
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128・赤城宗徳
○赤城国務大臣 それはいろいろ、御承知のように、拿捕漁船につきましての問題の解決等も——去年でしたか、ことしでしたか、ありました保険に入っていなかった漁船の問題、そういう問題がありますから、そういう場合がありますならば、これは慎重に検討することにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/128
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129・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは最後に、一点だけお伺いをしておきます。いま論じられております専管水域なり共同規制水域のほかに、これは九州あるいは西日本の零細漁民にとって一番問題なのは、私は、対馬あるいは釜山かいわいの海域の問題であろうと思うのです。この区域は自主規制ということが言われておりますが、その点はどのようになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/129
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130・赤城宗徳
○赤城国務大臣 自主規制ということで話を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/130
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131・楢崎弥之助
○楢崎委員 自主規制の内容についてはどういうことを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/131
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132・庄野五一郎
○庄野政府委員 大臣からお答えがありましたように、共同規制区域という海域と、それから自主規制を主とする海域、こういうふうに、いろいろ専門家会議等も通じて話が進んでおるわけでございますが、いわゆる自主規制区域というところは、相互の政府の責任において出漁隻数なり規制措置をとる、こういうことで、それを中心にして相互に資源状況あるいは操業の込み合う状況、そういうものを見ながら、両国政府の責任において自主的に規制する、そういうことを主とする海域でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/132
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133・楢崎弥之助
○楢崎委員 そんなばかな話がありますか。専管水域のほかに、ああいう広大な全面的な共同規制水域、二十八海里というような共同規制水域を合計すると、四十海里規制を受ける。そのほかに、特に零細漁民にとって関係のある区域で、自主規制をやるなんということはもってのほかです。どういう範囲のあれを考えていらっしゃるのですか。もう少し私は内容についてお伺いしたい。これは大へんな問題だと思う。一番零細な漁民と関連のある水域です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/133
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134・庄野五一郎
○庄野政府委員 別にたいへんな問題ではございません。自主規制というのは、現在操業している実績、実態を尊重して、そこで規制していく、こういうことでございまして、御指摘のようなことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/134
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135・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ちょっと御説明申し上げますが、いまの御質問だと、共同規制区域よりも広い範囲で、どこからどこまで自主規制にするというような御質問であったようでございますが、その範囲というものは、他地域、たとえばA区域ならA区域におきまして、規制区域として設けられると同じような範囲内でございます。ですから、広大な地域においてと、こういうことではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/135
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136・楢崎弥之助
○楢崎委員 それが総体的に広大でなくても、関係漁民にとってはたいへんな問題だと思うのです。そうしてこの共同規制水域の広さについても、あるいは自主規制の問題についても、これはほんとうに他の日本の直面している国際漁業の問題と非常に関連のある問題です。私は、今度の日韓漁業交渉でいま進められておる内容は、これは関係漁民からすると、非常に譲歩した、あるいは生活を脅かされる問題に関係があると思うのです。
私はこれで終わりたいと思いますけれども、当初農林大臣がたびたびこの委員会で言われておりますように、どうかひとつ国際慣行を守って、ほんとうに公平の原則に立って、特に零細漁民の立場も考えて、交渉を進めて一歩も退かない、もしそれが受け入れられないならば、この漁業交渉はもう決裂だという決意で臨んでもらいたい。このような点を要望しまして——なお問題が幾らか残っております。外務大臣も来ていただいて答弁をお願いしなければ、食い違っている点もありますので、これらはいずれ委員長のもとで善処をしていただきたいということを要望しまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/136
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137・高見三郎
○高見委員長 井手以誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/137
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138・井手以誠
○井手委員 農林大臣に四点についてお伺いいたしたいと思います。あるいは重複するかもしれませんが、その点はお許しをいただきます。
第一にお伺いをしたいのは、李ラインの撤廃が前提であるという再三の言明ですが、もし話が妥結して、なお撤廃をしないときにはどうなるのですか。調印後の場合はどうなるか。向こうが、批准をしたあとでも依然として李ラインが存続する場合にはどうなるのか。その場合には協定は破棄ということになりますかどうか。その点をはっきりしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/138
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139・赤城宗徳
○赤城国務大臣 独立国でございますから、破棄といいますか、約束を破って李ラインをまた復活するというととはあり得ないと思いますけれども、しかし、今度の交渉の一番の重点は、李ラインの撤廃ということがわがほうとしては一番大きな問題でございます。たびたび申し上げますように、これは私のほうでは認めていない線でございまして、交渉する以上は、その結果において当然撤廃するということでなければなりません。でございますから、あるいは調印したあと等におきましてそういうものを置くということになれば、これはその交渉は全部御破算、元に返っていくということは、当然わがほうのとるべき態度だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/139
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140・井手以誠
○井手委員 調印後に依然として李ラインが存続しておる事態であれば、それは取り消しになる、それはわかりました。批准後の場合は破棄なさるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/140
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141・赤城宗徳
○赤城国務大臣 外交慣例というものは、私はよく承知しておりませんが、批准後に効力が発生すると思いますから、いまの場合、調印後というよりも、批准後という問題になると思いますが、批准後そういうものを設定するということになれば、これは新たにまた破棄すべく交渉をするということに相なるのではないかと私は思います。外交的な手続等を私はよく存じませんが、もしもそういうことになった場合は、いま申し上げたようなことになる、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/141
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142・井手以誠
○井手委員 赤城さん、思いますでは困ります。きわめて重大なこの問題の協定にあたって、あいまいではいけません。もし長い間のわが国の非願である李ラインの撤廃がほごにされて、依然として存続される場合にはどうなるかということについては、明確な答弁をしてもらわなければ困るのです。批准後に依然として李ラインが存続した場合は、この条約は破棄なされるつもりでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/142
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143・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そういう予想で申し上げることはどうかと思います。大体いままでの国際慣行でも、条約ができたときには、条約を尊重するのが両国の態度だと思います。戦争にでもなる場合は、条約は破棄、こういう事態はありますけれども、条約をきめて批准して、その条約に違反したことをやっているということは、あまり例を聞きません。そういうことがあれば、当然それは破棄するという形になろうと思いますが、これは重大な国際的な問題になろうかと思いますが、そういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/143
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144・井手以誠
○井手委員 それでは続いてお伺いいたしますが、李ラインでない国防ラインとして、名前だけ変わったものが生れた場合にはどうなるのですか。これをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/144
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145・赤城宗徳
○赤城国務大臣 先ほど楢崎さんの話の中で私も申し上げようと思ったのですが、李ラインというものは、向こうからいえば・初めは国防ラインであり、マッカーサーラインであり、それが季ラインになり、それが漁業の関係の線になりました。ですから、名目は何であっても、新しく条約をつくろうという場合には、それと相反するような、李ラインみたような国防ラインというようなものができることは承認できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/145
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146・井手以誠
○井手委員 なぜ私が冒頭に申し上げているかというと、先般の予算委員会でもちょっと触れておきましたが、そのことは韓国政府から明らかにされているからであります。そしてまた、議会でも答弁されているからであります。日本との間には、李ラインについては、これの協定は明文としない、しかし、国防ラインについては、日本は文句を言わないという意味の言明があるからであります。もし、国防ラインというものが、名前を変えて、依然として李ラインと同じものとして存続するということになりますと、いま申し上げたように、長い間のわれわれの悲願というものがほごにされてしまうからです。公海における安全操業ができないからであります。私はこの点に非常に懸念を持っております。しかし、ただいま李ラインまたは国防ラインというものについては断じて認めない、調印後もしそういうことがあれば、その協定の調印は取り消す、批准後であればこれは破棄される、こういう言明がありますから、なおその点については別の機会に譲ることにいたしたいと思います。
次に、大臣にお伺いいたしますが、新聞の報道によりますと、大臣は妥結をあせられるという意味ではないでしょうけれども、事態を打開されるために、いわゆる赤城案なるものを出された。それはむずかしい直線基線というものを避けて、ともかくある程度の漁場が確保できればという、いわゆる漁場確保第一主義で一応協定を結ぼうじゃないか、後日資源その他の調査をした上で、あらためて直線基線の協定を結ぼうという案を出されたと聞いておりますが、事実でございますか。これは全然まっかなうそでございますか。それに似たものでもお出しになったのですか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/146
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147・赤城宗徳
○赤城国務大臣 直線基線あるいは低潮線からのはかり方、こういうものを無視して、それをたな上げにして、漁場の確保さえできればいいんだ、こういうようなことで案を進めておるようなことは全然ございません。国際慣行に沿うた直線基線の引き方、あるいはまた低潮線からのはかり方、こういうものによってこの問題が——向こうの主張はまた別な強い主張がありますから、それとは違う意味においての、また私どもの慣行に沿うてのものでいけるということなら、それはどんなものだろうかというような試案は考えてはみていますが、いまのところは、私のほうの線の引き方と向こうの線の引き方と遠く食い違っておりますので、まだその案の中まで入るというような段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/147
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148・井手以誠
○井手委員 はっきりいたしませんが、この際確かめておきたいのは、むずかしいところの直線基線の協定は一時たな上げにして、いわゆる赤城試案なるものを出したということはないというわけですか。直線基線を引いた上で協定を結ぶという、いわゆる国際慣行を尊重した既定方針で、原則でおやりになるつもりでございますか、その点はいかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/148
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149・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは御承知のように、専管水域というものは、その沿岸国で宣言すればできることでございますけれども、しかし、それだと紛争が起きます。そういうことで、これは両国で話し合うというような慣行になっておると思います。その慣行が、いわゆる国際慣行としてできているものがございますから、その線に沿うて水域をきめていく、こういう方針でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/149
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150・井手以誠
○井手委員 あなたのおっしゃるのと、新聞に報道されておるものとは、たいへんな違いがございます。もちろん、新聞がすべての真実を伝えておるとは私は考えておりません。しかし、火のないところに煙が立ったためしはございません。確かに、何らか、むずかしい直線基線の協定は一時たな上げにして、そしていわば漁場確保、これを中心にして協定を結ぼうという、それに近い赤城試案というものが出されたことが私はあると思う。しかし、ないとおっしゃるならば、それでもいいですよ。しかし、私は特にこの際赤城さんに申し上げておきたいのは、今度の漁業協定で一番大事なことは、直線基線をきめることですよ。これが根本です。これがむずかしいからといって、妙な試案を出されては困る、安易な態度に出られては困るのです。この一番むずかしい問題を解決することこそ、この日韓の漁業問題ではございませんか。これは、あとで共同委員会を設けてよく研究の上で、あらためて協定しようなどということは、断じて許されません。これは私は強く申し上げておきます。直線基線というものは、国際慣行というものがある。日本の主張と韓国の主張と違う場合にどうするかについて、われわれはお互いに自分の主張ばかり言えない場合もあるでしょう。しかし、国際慣行という、ジュネーヴ協定、国際海洋会議における基準があるわけです。基準に従うというのは、そうむずかしいことはないはずです。なぜその基準に従っておやりなさらぬか、私はこう言いたいのです。
そこで、私は順次に聞いてまいりますが、直線基線を引く場合の基礎となるいわゆる内水を、赤城さんはどうお考えになっておるか。内水というのは、これは領土と同じである。湖沼、湾内、河川、こういうものは、領土と同じ強い支配権があることはもう申し上げるまでもないのです。その内水というのは、直線基線以内の区域でありますから、これは領土と同じ。領土と同じ内水であるならば、その線の引き方というものはおのずからきまってこなくちゃなりません。そんな沿岸から何海里も十何海里も先のところに直線基線を引くということはあり得ないはずです。だから、まずお伺いいたしますが、内水についての日本政府の解釈を承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/150
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151・赤城宗徳
○赤城国務大臣 内水はいまお説のとおりで、別に解釈は変わっておりません。それをどのくらいの距離が慣行であるかということでございますならば、水産庁長官から答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/151
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152・庄野五一郎
○庄野政府委員 専管水域をはかる基線の問題としては、御指摘のように、低潮線というのが原則で、非常に島が多いとか、あるいは陥入した湾曲が多い地形だとか、そういうところは、例外として直線基線を引いてもよろしい、ただし、本土の一般方向に沿い、また島についても本土にできるだけ近いところの島を基準にして直線基線を引くというのが、いわゆる領海及び接続水域に関する条約の基本になっておるわけでございまして、その直線基線の内側は、先ほど御指摘のように内水ということになるわけでありまして、その内水はまた領海と違う性格のものであろうというふうに考えます。直線基線は国際先例、これは先ほどここでも問題になりましたように、英国とノルウェー、英国とアイスランドとか、そういうところの先例がございます。そういう国際先例等に準じて処理していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/152
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153・井手以誠
○井手委員 一九五八年の領海及び接続水域に関する条約、この条約で、まず至近の水域内に沿岸に沿って一連の島がある場合においては、ということになっておる。一つの条件です。至近の水域でございますよ。至近の水域とは、これは辞書をひもどくまでもございません。目測で人家が見える程度というのが、一番詳しい字源に載っている。島の影が見える程度ではございませんよ。人家が見える至近の距離というと、一番近い距離である。字引きを引いてごらんなさい。それから沿岸の一般的な方向、本土と密接な関係のあるところ——これは条約ですよ。慣行じゃない、これは国際条約ですよ。だから、新聞に報道されておるような日本側の直線基線の引き方にも間違いがある。赤城さん、あなた交渉の責任者ですから、よく聞いておいてくださいよ。五海里先に島があり、さらに十海里先に島がある、その向こう十一海里先に島があるような朝鮮海峡、済州島と南朝鮮の関係、韓国の関係、その直線基線の引き方が、日本側の引き方にも私は誤りがあると思う。そのいわゆる直線基線を引いた内側は全部内水ですよ。領土と同じ支配権を持っているのですよ。その支配権を持つ内水というものは、きわめて狭い範囲でなくちゃなりません。私は、きょうは念のために地図まで持ってきました。これは一番詳細な地図です。日本のあなた方の引いておられる、主張なさっておられる直線基線の引き方にも誤りがある。そんなに広い範囲に内水があるはずはございません。まず、内水からもう一ぺんお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/153
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154・赤城宗徳
○赤城国務大臣 日本の線の引き方は間違っていないと思います。やっぱり島が相当あってふくそうしておりますから、その島がたくさんあるところで、やっぱり大陸というか、本土の形状に沿うたように引くのが慣行でございます。島もその国の領土でございます。ですから、そんなに遠く離れて私のほうで引いた案は持っておったことはないのです。ですから、私どもの案は非常に適当な案で、向こうの案は非常にどうも納得できない案だ。その中は内水になるということは、御指摘のとおりであります。そういうことも勘案して、私のほうの案は、線の引き方は非常によく引いてあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/154
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155・井手以誠
○井手委員 私が申し上げているのは、同じ日本の立場から、国際慣行に沿った主張として、高級専門会議における責任者のあなたを私は激励しているのですよ。誤解せぬように、ひとつ率直に聞いていただきたい。
沿岸に沿って至近距離にあり、しかも本土と密接な関係にある限られた地域の線に沿ってやったのが直線基線の引き方ですよ。島が点々として五海里先、十海里先にある。それを全部含めて直線基線を引こうという日本側の主張に、私は誤りがあると思う。そういう広い範囲にどうして内水として領土と同じ支配権を持たせなければならないのですか。あなたのほうは、内水というのを領海と同じような考えを持っているのじゃないですか。内水というのは、うんと奥深く入り江になったとか、あるいはほんとうの至近距離、目の前に島が点々とある、そういう場合には、島から島へ線を引くということであって、朝鮮海峡、済州島と南鮮との間にあるような、五海里先、十海里先に点々とある島、それを弧を描いてあなたのほうは引いているようですけれども、そういう直線基線の引き方はないはずです。これは大きな地図をもって示さなくてはなりませんから、後日なお十分機会があると思いますから、私も御説明申し上げるし、あなたのほうの意見も聞きたいと思っております。いま新聞で報道されておるような直線基線の引き方は誤りだ。それほど膨大な海域にわたって内水という支配権を認めるわけにはまいりません。私は日本の場合も考えて申し上げているのです。
それでは次にお伺いしますが、領海は幾らとして交渉なさっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/155
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156・赤城宗徳
○赤城国務大臣 まだ領海の交渉はいたしておりません。日本では三海里、こういうふうになっております。御承知のように、ソ連等は十二海里、一般慣行としては六海里の中のほうを領海というふうになっておるようでございますが、まだその点についての話し合いまでにいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/156
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157・井手以誠
○井手委員 赤城さん、あなたは一番基本になる出発点、二階へ上がる階段の一段、二段、三段という一番手前のところをほっておいて、上のほうだけを歩んでおられるような気がするのです。そういうところから積み上げなければ協定ができないんじゃないですか。そういう専管水域の入漁隻数は幾らかというのは、もう先の先の話ですよ。根本の内水の問題、領海の問題を話し合いができなくてどうなりますか。先のほうばかり話し合ったってだめですよ。そこにあなた方の交渉の手順に誤りがあると私は申し上げたい。領域からきめるべきじゃないですか。領域をきめられないでどうしますか。領海管轄権の問題、これがまず大事ですよ。なぜそれをおやりにならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/157
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158・庄野五一郎
○庄野政府委員 領海の問題を御指摘でございますが、領海については、日本は従来どおり三海里説をとっております。大臣からお答えがありましたように、ソ連は十二海里説、こういうことで、各国がそれぞれの主権に基づいて宣言するということになっております。
それから、大臣からもお答えがございましたように、専管水域というのは、これはいわゆるフィッシング・ゾーンという漁業に関する専管水域でございまして、ここにおいて沿岸国の優先権が認められる、こういうのがフィッシング・ゾーン、こういうことでございまして、李ラインの撤廃に伴います解決策として、漁業専管水域ということで話が進んでいるわけでございまして、その基線は、御指摘のように、領海をはかる基線と専管水域をはかる基線は一致すべきものと思いますが、その中において領海はどうなるかというようなことは、今後の問題といたしまして、取り締まり権なり裁判管轄権なりは、今後協定の段階において問題になってくると思います。そういう段階でまた話し合いがされると思いますが、いまの段階においては、いわゆる漁業専管水域をどういうふうにするかという、その基線のはかり方について、話し合いが進められているところでございます。先ほども御指摘のありましたように、漁業専管水域をはかる基線の問題については、日本としては、御指摘なり御激励のように、やはり国際先例なりに準じて、それ以内においてやっていくという態度をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/158
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159・井手以誠
○井手委員 いま長官は、大臣もそうでしたが、領海は三海里だとおっしゃる。そうしますと、その点は、政府としてもいま少しはっきりしておいてもらいたい。従来日本の主張は三海里であった。しかし、いわゆる一九六一年でございますが、ジュネーヴにおいて、大多数の国は六海里プラス六海里、領海は六海里、それの外側の六海里が専管水域である。その辺を、少しあちらこちらでこんがらかっておるようですから、はっきりしておいてもらいたい。いつまでもあなたのほうは三海里で主張なさるのか、六海里やむを得ないという態度を持っておられるのか。もし三海里が絶対に正しいならば、その外側の専管水域というのは六海里でいいんじゃないですか。合わせて九海里でいいはずですよ。十二海里を越えてはならぬとあるのだから、絶対に十二海里にしなければならないというわけはございません。その辺ははっきりしておいてもらいたい。三海里が正しいのですか。正しいならば、あなたのほうの十二海里は誤りですよ。九海里にしなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/159
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160・赤城宗徳
○赤城国務大臣 日本では三海里を領海として宣言しております。ですが、ほかの国の領海はほかの国できめることです。宣言することであります。私は、韓国の領海を幾らにしろというようなことは言えないと思います。しかし、専管区域を設けようということでございますから、十二海里そのものが領海ということではこれは不合理です。でございますから、私は、日本どおり三海里ということは、人の国でございますから主張いたしませんけれども、大体基線がまだきまらないのですから、領海の線までは話はしておりませんけれども、私は、韓国としては六海里を領海とするという気持ちであろうかというふうに思っております。しかし、これはその国がきめることでございますから、私のほうで干渉することでございませんが、きめたものをこっちで聞いて、それによって専管区域のインナー、アウターということがきまることになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/160
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161・井手以誠
○井手委員 それは困る。それはけしからぬですよ。それは取り消してもらわなければいかぬ。領海は韓国がきめる問題だから、日本は関与できないとおっしゃる。そんなばかな話はどこにございますか。韓国もあのジュネーヴの修正案には賛成したじゃございませんか。アメリカ、カナダに賛成したことがあるじゃございませんか。韓国が領海を三海里にきめる、六海里にする、九海里にする、それは日本の場合にも非常に関係があるのですよ。入り会い権の問題が出てまいりますよ。領海は向こうがきめるのだから幾らでもいいというような、そんなばかなことはありませんよ。取り消してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/161
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162・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私のことばは正しいと思います。ソ連は十二海里にしたから、ソ連の十二海里はけしからぬ、そういうことを言ってみたって、これは話にならぬと思います。やっぱり領海は韓国がきめるべきことです。しかし、漁業協定で専管区域というものは十二海里という条約に従ってやっていますから、十二海里全部を領海だというようなことは、そういうことを言っても、これに対しては、漁業協定の関係上不合理だ。そういうことはあり得ない。これについては抗議を申し込みたいと思います。しかし、六海里以内においてきめるということにつきましては、韓国もこの条約に賛成しておるのですから、条約は批准していませんが、これは向こうできめることで、それを基礎として、いろいろ専管区域等の問題も考えていく、それが筋じゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/162
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163・井手以誠
○井手委員 あなたは、何海里できめようと日本は関与できない、こうおっしゃるから、申し上げたのです。六海里以内であれば、六海里であろうと三海里であろうと、それはかまわぬのです。それをあなたの先刻のお話では、九海里になっても日本は関与できない、十二海里以内であればしょうがないというような答弁であるから、申し上げたのです。日本は大いに関係があるのです。それでは赤城さん、そういう一番大事な順序を踏んで交渉なさるのですか、どうですか。共同規制区域内という最後の問題をまずおきめなさろうという順序ですか。違ったことをおやりになるつもりですか。やむを得ないからそうなさろうとするつもりですか。やはり順序というものはちゃんとあるはずですよ。まず、直線基線のきめ方から出発して、そして領海、専管区域、これを順次にきめていかなければ、話はさばけないはずです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/163
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164・赤城宗徳
○赤城国務大臣 それはそのとおりです。ですから、まだ専管区域をきめるその基線がきまっていないのです。しかし、交渉ですから、いろいろ話の途中で出ますし、一体共同規制区域内の隻数はどれくらいにしたものだろうかというような話も出ますし、漁業協力の民間ベースはどれくらい出してもらえるだろうかという話も出ます。しかし、御承知のように、基線がきまらなければ、その先はきまりません。ですから、いま基線のきめ方の点において、まだ話が非常にかけ離れておるようなかっこうでございますから、いろいろ話題は出ますが、それからきめていかなければきまっていかない。御説のとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/164
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165・井手以誠
○井手委員 ここの答弁は一応筋が通っておるけれども、新聞の報道ではそうではないのです。だから、念を押してお伺いしておきますが、それではまず正式の交渉は、直線基線をいかに引くべきかをきめて、その次に領海をきめて、その次に専管区域をきめていく、こういう順序でおきめになりますか。したがって、この漁業協定では、いかなる場所においても直線基線をたな上げにするようなことは絶対にないと理解してよろしいかどうか。その点を確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/165
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166・赤城宗徳
○赤城国務大臣 国際慣行に従ってやっていきます。それから順序といたしまして、そういう順序でやっていくべきであり、それでなければきまっていきませんけれども、話の中ではいろいろ出ることは出ます。ですから、全体としてきまるときにはきまる、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/166
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167・井手以誠
○井手委員 念を押しておきたいと思いますが、直線基線をたな上げにするようなことは絶対にございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/167
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168・赤城宗徳
○赤城国務大臣 たな上げという意味がちょっと了解できませんけれども、国際慣行に従えば、直線基線というものを引いて、専管区域とか、そういうものをきめていかなければならぬ、そういう進め方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/168
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169・井手以誠
○井手委員 これは失礼になるかもしれませんが、いまの御答弁に間違いございませんでしょうね。直線基線を必ず引いてからやるということ、必ず協定には直線基線は引くということ、後日にこれを譲るようなことはしないということ、それは間違いございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/169
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170・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そういう方針で交渉しています。私だけできめるわけではございませんから、そのとおりにいくかどうかはまた別といたしまして、私の方針ではその線で進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/170
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171・井手以誠
○井手委員 農林大臣の交渉ではただいまのとおりでございますね。外務大臣がきめる場合、これはあなたは御返事できないでしょう。しかし、いやしくも農林大臣が折衝の任に当たり、あるいは同席しておった場合には、いまのお話は間違いございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/171
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172・赤城宗徳
○赤城国務大臣 その方針で交渉を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/172
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173・井手以誠
○井手委員 きょうのところは信頼申し上げておきましょう。
これはちょっと先の問題になりますが、新聞の報道によりますと、いままでも本委員会でいろいろ論議されたと思いますが、農林大臣の許可の以西底びきなどの隻数、これが何らか減らされる、幾らかこちらが譲歩したとか、もっと譲歩しろとかいう話があるようです。この点少しお伺いしたいのですが、まず聞きたいのは、日本が今日まで許した隻数というのは、これは当然漁業法に基づいて、水産動植物の繁殖保護、または漁業調整のために許可制がしかれておる、こういう意味で、いままであるいは五百そうといい、あるいは何百そうというものが許可されたわけでございますね。
〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/173
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174・庄野五一郎
○庄野政府委員 大臣許可の漁業、これを指定漁業と言っておりますが、それと、府県知事の許可する漁業、それから自由漁業になっておるもの、これは漁業法によってそういうことになっております。それで、大臣指定の許可漁業につきましては、資源の状況、操業の漁場の広さ、そういったものを勘案し、また経営の面も勘案して、大臣許可隻数というものをきめる、それは公示して、その中から適正な資格要件を備えたものを許可する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/174
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175・井手以誠
○井手委員 それでは、水産資源を考えた、きわめて適正な許可であると理解してよろしゅうございますね、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/175
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176・赤城宗徳
○赤城国務大臣 もちろんそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/176
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177・井手以誠
○井手委員 そういたしますと、水産動植物の繁殖保護、または漁業調整を考えた入漁隻数であるとするならば、またその漁場が公海であるとするならば、公海でございますから、いわゆるその海域において日本の出漁隻数を減らさねばならぬ理屈はどこにもないわけですね。いままで、たとえば以西底びき網は何統である、アジ、サバは何隻であるというその隻数は、正しい許可隻数である、全般を考えた、公海における魚族保存の立場から見た正しい隻数であるとすれば、それを減らさなくてはならぬ理屈はどこにもないわけですね。大臣、そうでしょう。間違いないはずですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/177
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178・赤城宗徳
○赤城国務大臣 現状のままではそうでございます。ただ、もう御承知のはずでございますが、一定区域を設けて、そこで共同で資源のあれということになって、日本だけが入っていくということでありまするならば、いままでのとおりでございますが、向こうも一緒に入るということになりますと、共同で資源を保存するというような場合があろうと思います。しかし、大体、いま、日本と韓国との具体的問題では、向こうが非常に少ないのでございます。だから、日本の実績に近寄ってといいますか、ほとんど実績に準じてそこへ入っていっても、資源をそこなうというようなことは私はないという見方でございますので、その場所をきめた場合に、そこに実績を持っている隻数を標準として主張しているわけです。向こうは向こうの標準だけで主張しています。そこに食い違いをしております。そこまで言っても御質問の範囲外でございますけれども、そういうようなことで、隻数の話をしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/178
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179・井手以誠
○井手委員 赤城さん、これは非常に大事な問題ですから、あとでしょうがなかったとかいうことをおっしゃってもらっては困るのです。以西底びき網は何そうでしたかね。八百そうでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/179
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180・庄野五一郎
○庄野政府委員 七百九十六。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/180
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181・井手以誠
○井手委員 七百九十六そうというのは、済州島の東と西だけで操業するものではないはずですね。向こうも今日までいわゆるいい漁場だといわれておる済州島の東と西には出漁しておったはずです。そういうことを頭に入れて、適正な農林大臣の許可を与えておる以西底びき網あるいはアジ、サバの漁業、こういったものでございますれば、新聞で伝えられておるように、いままでは八百だったのを七百にまけてやろうとか、三百五十そうを二百七十そうにまけてやろうということはあり得ないわけですね。全然そういうことはあってはならないとおっしゃったが、間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/181
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182・赤城宗徳
○赤城国務大臣 それは違うのです。私、さっき答弁したのは、そういう共同規制区域というものを設けない場合にはいまのままなんです。しかし、設けた場合には、そこにおいてどれくらいにするかということは、両方でそこへ入るべき隻数をきめなければなりませんから、その場合に、共同で資源を保存するという観点からすれば、これはこっちばかり全部実績そのまま——たとえば七百九十六が以西底びきの許可数ですが、そのうち、三百数隻がA区域とかりに称していますが、そこへ向こうも出てきます。こういうような関係でございますから、区域を設けた場合には、共同のやはり資源保存という観点を持たなければなりませんが、それにいたしましても、私どもはいまの実績に近いものでなければならぬ、そういう形できめていく、こういうことでございますから、共同に規制しようという話し合いができれば、実績そのもので全部こっちだけの漁場だというわけにはまいらぬと思います。でございますから、現実そのものよりは幾ぶん減りますが、実績に近いもので話し合いをしなければならぬ、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/182
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183・井手以誠
○井手委員 少し話がおかしいのです。いままでは韓国側の漁船も入っておった海域、日本の場合は、東シナ海まで広い範囲において、以西底びきあるいはアジ、サバ一本釣り、そういうものをやっておるのに適正な許可をしておる。農林大臣や都道府県知事が許可しておるものに、何で隻数を減らさなければならぬ理屈がございますか。もし減らさなければならぬというならば、いままでは大臣の許可を乱発しておったのですか。そんなことはあり得ないはずだと思うのです。水産行政は非常に大事だけれども、これは日韓漁業協定で、第三国にも非常に関係が深い。もしここで一歩日本が妙な譲歩をいたしますならば、その影響というものは、大臣も常におっしゃっているように、重大なものがあるのです。あの漁場はいいからあの部分を少しよけい取れば、あとは国際慣行を曲げてもかまわぬなどという考え方が一部でもあったら、たいへんなんです。いままでは適正な農林大臣の許可を与えた出漁隻数ではありませんか。韓国も出漁しておるものじゃございませんか。本来ならば、公海においては漁業は自由なはずです。それに魚族保存を考えて、以西底びき網は七百九十六そう許しておる。それを減らさなければならぬ理屈がどこにございますか。向こうもいままで入ってきておったじゃございませんか。それを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/183
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184・庄野五一郎
○庄野政府委員 大臣からお答えになりましたところを補足して御説明申し上げますと、以西の底びきは、御承知のように、百二十八度三十分以西の東海公海における漁場を操業区域とする底びきでございますが、七百九十六が大臣が許可した隻数でございます。これが東海公海の広い海面で操業するわけでございまして、大臣がお答えになりましたのは、今度日韓交渉で問題になっておりまする規制海域は、東海公海のうちの一部で、韓国のいわゆる西岸、南岸寄りの一部の海域でございます。そこに入っておる操業実績を持っておるものは七百九十六隻のうちに、A区域といいますか、そこを主漁場としておるものが一部あるわけですが、そういう一部のものについては、いわゆる許可数をどうするということではなしに、共同規制で出漁して操業する規制隻数は、その大臣許可隻数のうちの一部になるわけでございます。それを日本と韓国とで共同規制でいく、こういう話し合いでございます。大臣の許可隻数を云々する、こういう問題ではない。許可隻数のうちで、この規制区域に主たる操業実績を持っておる隻数において、お互いに話し合いをしていく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/184
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185・井手以誠
○井手委員 これは非常に大きな問題がたくさんございます。これは将来の問題ですが、自由漁業のものがあるはずです。自由漁業のものについて、よもやこれを許可制にしようなどとはお考えにならないでしょうが、これは零細漁民の立場から聞いて置かなくてはならない。対馬周辺におけるいわゆるB区域ですか、共同規制区域内における自由漁業が許可制になるおそれはないのか。それはないとおっしゃればそれでいいのです。それはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/185
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186・庄野五一郎
○庄野政府委員 自由漁業というものをすぐ許可制にする、そういう考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/186
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187・井手以誠
○井手委員 そういう話し合いはない。考えもない。公海においては、指定漁業あるいは都道府県知事の許可によるもの、いわゆる許可制のものですね、それ以外の自由に出漁できるものについては、これを規制しようというお考えは全然ない、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/187
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188・庄野五一郎
○庄野政府委員 誤解があってはなりませんが、国内措置として、大臣指定の許可漁業、それから都道府県知事の許可漁業、そのほかに自由漁業があるわけです。この自由漁業を国内措置としてどうするかという御質問でございますならば、自由漁業としてわれわれは考えておるわけですが、B区域における問題として処理する場合には、自主規制という問題の対象に一部がなる場合があろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/188
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189・井手以誠
○井手委員 それがあると思うから、お伺いしておるのです。なぜ自主規制をしなくてはなりませんか。いままでは自由に出漁できておったものが、なぜ自主規制をしなくてはならないか。いままでは魚族保存の立場からも自由出漁でよかったものが、なぜ今度は許可制、許可を受けなければならないのか、これがいわゆる締め出しを受けなければならないのかということになる。たとえばいままで一本釣りが一千五百そう行っておった。
〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕それがある程度に押えられるということが出てくるわけです。それはどうしてそういうような制限を受けなければなりませんか。いままでは魚族保存の立場から自由に出たはずのものが、今後は何らかの規制を受けるということは、これはわれわれは納得できないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/189
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190・庄野五一郎
○庄野政府委員 いま問題になっておりますのは、対馬と釜山の周辺の海域の問題と存じます。それで、御承知のように、対馬には沿岸漁業が相当ございますし、また対馬周辺には西日本あたりからもある程度の漁船が出漁している、こういうことでございます。その中には、知事許可の分もあるし、あるいは自由漁業のいわゆる五トン以下の沿岸漁業もある。こういうことでございますが、御承知のように、あの釜山と対馬の周辺の海域というのは、非常に狭い海域でございますし、両国の沿岸漁船というのが相当入り会って操業している区域でございます。それで、いまもやはり李ラインがありますけれども、警備の間隙を縫いながら、沿岸漁業が対馬の北部なり西部なりに危険をおかして操業している。そういう操業実態でございますが、いま言いましたように、両国の沿岸漁業が相当入り会っている区域、こういうことになっております。漁業調整上の問題といたしまして、これは日本の国内でも、県と県の間にも、、資源の問題と漁業調整の問題で入り会い漁区というのがございますが、そういうようなことと同じような考えで、やはり混乱を生じないように、紛争を生じないように、漁業秩序を守るという必要があるわけでございまして、そういうことで、お互いに現状の操業実態を尊重して自主的に規制していこう、こういうことでございます。規制の責任は当然お互いにあるわけでございまして、両国の責任においてお互いに秩序維持のために規制しよう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/190
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191・井手以誠
○井手委員 ただいま申し上げたように、いままでは自由漁業ができた。自由出漁ができた。それは魚族保存の立場からも差しつかえなかったからできたわけです。それを協定によって規制を受けなくてはならぬということは、私どもは賛成できません。
そこで、大臣にお伺いいたしますが、あなたのほうで言われておる、いわゆるA区域とかB区域とかいうものを総合いたしますと十二海里プラス二十八海里の四十海里の線に共同規制区域を設けるということ、この四十海里という根拠をひとつ大臣から直接聞きたい。四十海里というのは、なぜできたのか。四十海里にしなくてはならぬ理屈はどこにあるのか。どうも不思議なことには、四十海里というのは、向こうの言う国防ラインに該当するようです。李ラインとほとんど変わらない。幾らか違うところもありますが、そこにどうも今度の協定のみそがあるような気がいたしますので、お伺いいたします。なぜ三十海里でいけないのか、あるいは五十海里にしないのか。どうして四十海里、向こうの主張のところにしようとなさるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/191
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192・赤城宗徳
○赤城国務大臣 前に申し上げておきますが、四十海里というのは、李ラインよりずっと内に入っています。
それから、なぜ四十海里と十二海里の間を規制区域にしなければならないのか。四十海里という根拠はどこにあるのか。二十海里でもいいじゃないか、五十海里でもいいじゃないか。根拠はありません。根拠はないのですが、こういういきさつがございます。初め、この交渉が始まるときに、専管区域を向こうは四十海里という主張をいたしました。しかし、専管区域は、私どもは線からはかって十二海里が国際慣行だ、こういうことで四十海里説の主張をつぶしてしまったと申しますか、そして十二海里ということにいたしました。そういう関係で四十海里、すなわち、専管水域の十二海里、それと二十八海里の程度を規制の区域にしよう、こういうことでございます。これはソ連との関係でも、あるいは中共との民間協定でも、何十海里にしたからといって、別に深い根拠はありません。しかし、いきさつ上、その程度の中において共同で魚族の資源の維持をしていこう、こういう考え方で進めてきたのでありますが、国際的とか、あるいは根拠というものは持っておりませんが、そういういきさつでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/192
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193・井手以誠
○井手委員 向こうが四十海里を持ってまいりましたのは、大体李ラインに近い線が四十海里である。これを守ろうというので、四十海里を持ち出したわけです。だから、根拠がないなら、なぜ三十海里とか二十四海里とか、専管水域の十二海里と同じくらいの幅でなさらないのですか。
もう一つの問題は、この前も予算委員会で申し上げたように、魚族保存をしなくてはいかぬ海域があるはずです。全面的に三十八度線からずっと李ラインのほうに線を引かなくてはならない理屈はないはずです。必要な海区だけに魚族保存のために共同規制をするのなら、話はわかる。なぜ共同区域の外側を全面的に四十海里にしなくてはならぬのか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/193
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194・庄野五一郎
○庄野政府委員 一がいに四十海里と、こうおっしゃいますけれども、どこも四十海里あるというわけではございません。いわゆる四十海里線、こういうことで、一番広いところが四十海里あったというだけで、狭いところはもう二、三海里、あるいは対馬と釜山の間のところは、四十海里なんというのはとんでもない話でございますが、そういういきさつで、李ラインよりもへこんだ線でございます。いきさつはいま大臣からお答えになりましたように、専管水域として当初主張したところの一番広いところが四十海里ほどあったというだけでございますが、それが専管水域は国際線にならって十二海里が当然だというような話になりまして、そこの話のぐあいで、そこは共同規制水域に——西のほうは共同規制水域、東のほうも共同規制水域、Bのほうも、沿岸漁業等もあって、非常にたくさんの船が入り会っているから、お互いに政府の責任で自主規制を尊重してやろう、こういう経過でございます。特に四十海里でなくてはならぬというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/194
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195・井手以誠
○井手委員 四十海里の根拠がないとするならば、それを二十海里とか幾らかに縮められるお考えはないのですか。あるいはもっと小範囲に、全面的に二十海里とか二十五海里とか四十海里でなくて、魚族保存の必要のある海域に限って共同規制水域にしようというお考えにならないのか、国民が納得できる根拠をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/195
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196・赤城宗徳
○赤城国務大臣 先ほどお話し申し上げておりますように、画一的に四十海里ではございません。四十海里から非常に狭いところもあるのでございます。そこで、これを狭められたら狭める考えがあるかどうかという御意見でございますが、四十海里の内部において、いろいろあそこにはトロールの禁止区域、これは総督府時代のそういう線などもあります。あるいは底引きの禁止線なども日本の統治時代からのものも残っています。そういう点を勘案して、やはり線を引いてみますと、この四十海里以内において、いま引かれているあたりが、日本と韓国で魚族保存をしていく、あるいはここで魚をとるという点においては、私は適当でないかとも考えています。しかし、なお狭め得られれば得られたほうが、これは国民にとってはいいわけです。ですから、これは検討いたしてみたいと思いますが、私は、いまの線あたりは適当な線ではないかと思います。
それからもう一つは、四十海里というものが李承晩ラインと同じなので、それが李承晩ラインにかわるものであるという前提だとすると、これは非常に問題だと思いますが、私は、いまの四十海里以内という線は、李承晩ラインよりはずっと中に入っていますし、またこれを李承晩ラインにかわるべきものだというふうに向こうで考えるというふうに思っていませんから、また、それをそういうことにするというときには、冒頭に申し上げましたように、私のほうとしても、断固これを粉砕するといいますか、そういうことであれば破棄するということにいたしたいと思いますが、いまの線が適当でないか、こう私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/196
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197・井手以誠
○井手委員 そこが問題ですよ。向こうの国会で、農林委員会で政府は何と説明しておりますか。李ラインは撤廃するけれども、これにかわる国防ラインを存続いたします。そのことは、日本との間には明文にはいたしません、韓国の諸君は心配せぬでもよろしいと言っているじゃないですか。日本政府との間には李ラインは撤廃しますと言っている。しかし、そのあとに、撤廃したあとに、国防ラインという名前のついたものを四十海里のところに引こう、そこが向こうの根拠ですよ。そこに監視船を出して、常スパイ行為なりあるいは密輸の取り締まりをやる、検問しようという考えです。日本の漁船には適用しませんと言うけれども、それなら、監視船が来たらどうしますか。いまと同じような事態になってきますよ。そこが向こうのねらいなんです。だから、四十海里という線は最小限度にとどめるべきである。まだこのことについて論議する機会がたくさんありますから、きょうはあまり多くを申し上げませんが、専管区域以外の漁場というものは、いわゆる公海ですから、これは自由であるべきなんです。ただ、水産動植物の繁殖保護のために規制をしようというのですから、必要最小限度の区域に限るべきじゃないですか。四十海里の根拠がないとするならば、なぜそれを二十五海里、二十海里、十八海里に縮めないのですか。縮めていいはずです。全面的に引くよりも、部分的にその必要のあるところだけ共同規制するのが正しいのじゃないか。それならわかる。それを最小限度に食いとめようという努力をなさる用意があるかどうかを大臣に承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/197
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198・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは二十海里の根拠もなければ、三十海里の根拠もない、四十海里の根拠もないと思います。しかし、これは狭いほどいいのは日本の立場でございます。魚族保存ということが、人類あるいは多くの国々の共同の利益、共同の目的だということであるならば、これはある程度の区域というものは必要だと思います。そういう意味におきまして、日本の立場からいえば、これは四十海里よりずっと狭いほうがいいのでございますが、共同で魚族を育成保存していこうということならば、ある程度の区域というものが必要だ、こういう見方もあると思います。そういう意味におきまして、日本の立場からいえば、縮小したい気持ちでおりますけれども、いまのところ、いろいろ検討しておるところでは、この程度が適当じゃないかと思っていますけれども、なおさらに検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/198
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199・井手以誠
○井手委員 質問したいことはたくさんございますが、ほかにも同僚委員の質問も残っておりますから、きょうはこの程度で私は終わりたいと思います。
しかし、私はきょうは実はあなたに応援のつもりで来たのです。農林大臣の間では私は漁業協定はあり得ないと考えている。国際慣行を尊重してやろうという以上は、きまっているのですから、足して二で割るような、あるいは譲歩するようなことはあり得ないのです。何も私は、請求権で譲ったから今度は譲らぬという政治的な意見ではございません。国際慣行というのは、条約ではっきりしているのですから、常識で考えればわかることです。直線基線その他についても。きょう私はあなたにお尋ねをして、幸いにもあなたから、もし李ラインが撤廃されない場合、これにかわる国防ラインが新たに設けられた場合には、この協定を破棄いたします。こういうはっきりした言明を得ました。国務大臣の言明でございますから、かりにあなたが将来どういう立場になられても、この言明は残っております。さらにまた、内水の問題について、あるいは領海の問題について、共同規制の問題について、なお農林当局は研究すべき問題がたくさん残っておりまして、韓国の経済事情から、向こうからしきりに早く妥結しようとあせっていますが、そのために日本が安易な妥協をしてはなりません。私はこの点を特に御注意申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/199
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200・高見三郎
○高見委員長 赤路友藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/200
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201・赤路友藏
○赤路委員 いままで楢崎委員なりあるいは井手委員から言われたことは、何も農林大臣なり、あるいはいま交渉に当たっておられる諸君にけちをつけるということではない、この点をひとつ了解をしてもらいたい。ただ、誤解を受けるといけませんので、申し上げておきますが、私たちの考えておるのは、いまの日韓会談という中で漁業交渉を進めることはいけない、漁業交渉は純粋な経済的な問題として、漁業問題だけを切り離して交渉をしなさい、こういうことを私たちは言っておるわけです。それはいろいろ理由は申し上げません。ただ、御承知のとおり、最近、新聞あるいはテレビ等で報じられるところを見てみますと、かなり韓国のほうの事態は深刻であると言わなければいかぬ。相当な反対のデモが起こっておる。これは、いまは単にソウルだけの問題ではありますが、おそらくかなりの範囲に広がるのじゃないかということを私は心配するわけです。こういう事態に対する見方といいますか、見解といいますか、それは、政府当局のほうと私どものほうとでは相違があると思うのです。しかしただ、そうした韓国側の強い反対の中でかりに妥結したとして、あとに変なしこりが残らないかどうか、そのことが漁業にどういうような影響を及ぼしてくるかということを私たちは心配するわけです。だから、単に甘い、何でも妥結すればよろしいんだという考え方ではいけないんじゃないかと思います。そういう意味で、私たちの質問をお聞き願いたいと思うわけです。
ほとんど両委員から問題点は言い尽くされたと思います。ただ、落ち穂拾いのようなことになりますが、私のほうでもう少し確認をいたしておきたいと思う。
まず第一に確認いたしたいことは、この交渉をするにあたって、韓国と日本の双方で議題が協議された、その協議された議題の第一点は、漁業専管水域の問題、第二点が専管水域の基準線の引き方、第三が漁業共同規制水域の範囲と規制の方法、第四が共同規制水域における裁判管轄権の問題、第五が漁業規制を実施するための共同委員会の設置、第六が対韓漁業協力の問題、この六点にしぼられておやりになった、今日まで交渉が進められておる、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/201
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202・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/202
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203・赤路友藏
○赤路委員 それでは次に、国連の公海に関する条約が、三十七年の九月三十日に批准が終わって発効しておるわけです。その他のものはまだ批准されておりません。しかし、この公海に関する条約だけは批准されて発効している。発効しています限りにおいては、国連に加盟しておる日本といたしましても、当然これを守っていく義務があると思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/203
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204・赤城宗徳
○赤城国務大臣 日本は批准していないから、拘束はされませんが、発効しているその条約は、やはり守っていくべきものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/204
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205・赤路友藏
○赤路委員 日本は批准しておりません。しかし、二十二カ国以上が批准をいたしますと発効をいたします。発効した限りにおいては、やはり守っていかなければいけないと思います。この公海に関する条約の第二条に公海に対する規定がある。「いかなる国も、公海のいずれの部分をもその主権の下におくことを有効に主張することはできない。」公海はあくまでも自由の原則のもとに、世界人類の共有すべきものであるということをこれははっきりうたっておるわけです。そういたしますと、いわゆる領海以外は公海であると見なければいけない。先ほど来の御答弁にありますように、領海につきましては、日本が三海里を主張し、従来ずっとその線でやってきておる。しかし、これはいまだ国際的にはっきり決定されたものではない。ただ、戦後八年間を要して検討をいたしました国際海洋法の中で、問題がすでに提起されておる。この前の海洋法会議においても、この線はいろいろな角度で検討されて、アメリカが出しました案に対して、たしか日本も賛成の投票をされたはずなんです。そういたしますと、六海里の領海あるいは六海里のそれに接続する水域、十二海里案というものが、いままで国連で非常に議題にされて、問題として提起されてきた。いま依然として三海里という説を堅持してやっていく、あるいはその線で今度の日韓交渉を進めていくということになりますと、入り会い権の問題で相当な距離ができてくる。領海が三海里であるか、六海里であるかということによって、その中における入り会い権の問題は相当な距離が出てくる。しかも、この入り会い権の問題については、韓国自体がすでに国連の会議においては認めておるのです。投票しているのです。そうすると、当然入り会い権は認めるはずなんです。認めなければならぬはずなんですよ。そうすると、三海里であるということと六海里であるということでは、入り会い権の場合の操業の区域が非常に大きく違ってくる。だから、そういう点が先ほどから井手君が特に力を入れて御説明を願っておる線なんです。ここをぼやかしますと、一番肝心なところが一つくずれることになる。この点は、重複するようでありますが、一体どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/205
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206・庄野五一郎
○庄野政府委員 一九六〇年のジュネーヴにおきます第二回の海洋法会議で、全体委員会で採択されましたいわゆる漁業専管水域に関する決議を問題にしておられると思います。それにつきましては、韓国も日本も米加案の原案に対して賛成いたしております。そのいわゆるフィッシング・ゾーン、漁業専管水域というものについては、十二海里という幅で、その中に外側から六海里の線と、それから内側の六海里の線、二つあるわけでございますが、いま御指摘になりました入り会いの問題というのは、外側から六海里、いわゆるアウターシックスについて、過去の実績のあるものについては入り会いする権利がある、こういうことで、外側の六海里についての問題でございます。それから領海の問題は、これはいろいろございますが、内側の六海里の中で各国の主権に基づいてやるというのが、決議にはなっておりませんが、大体の空気だ、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/206
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207・赤路友藏
○赤路委員 六海里、六海里なんですね。そうすると、いまの交渉の過程は、十二海里という線を一本先に引いちゃっているのですね。そうでしょう。領海は六海里であるか、三海里であるか、きめておりません、いままでの答弁はそのとおりなんです。そうすると、六海里の領海に六海里の接続水域なんですね。その点は、いま長官が御答弁になるように、日本も韓国も一九六〇年に賛成をした米加案、その線でおいでになるのか。三海里というものを認めて、三海里説を固持しますと、中で違いが出てくる。その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/207
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208・庄野五一郎
○庄野政府委員 領海と非常にこんがらかっておると思いますが、ジュネーヴの一九六〇年の専管水域に関する決議におきましては、いわゆる専管水域の幅は低潮線または直線基線を用いた場合に、そこから十二海里、こういうふうになって、内側の六海里の範囲内において領海は各国が宣言する、十二海里のうちで外側の六海里、アウターシックス、そこには過去における漁業の実績のあるものは入漁できる、こういうことでございまして、領海とは関係ないわけでございますので、その点誤解のないようにお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/208
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209・赤路友藏
○赤路委員 それでは、まだ発効いたしておりません、先ほど井手君の言いました領海と接続水域に関する条約、これは二十一カ国すでに批准を完了いたしております。もう一カ国の批准で発効するわけです。日本がいやだといったって発効するわけです。これの二十四条の二項、ここには、接続水域は、領海の幅員判定の起点となる基線から十二マイルをこえて拡張することはできない、こうなっているのですね。それはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/209
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210・庄野五一郎
○庄野政府委員 この領海及び接続水域に関する条約は、これは領海とそれから領海をはかる基線というものの関係でございまして、犯罪が領海の外に及ぶ場合に、接続水域として主権を行ない得るものについての接続水域、そういうものを規定した条約でございます。漁業におきます漁業専管水域というのは、これではきまっておりません。一九六〇年の漁業専管水域に関する条約というものをつくろうとしたときに、米加案が全体委員会は通ったわけでございますが、それに対してキューバが総会のときに修正動議を出して、それで全体として成立しなかった、こういういきさつでございます。漁業専管水域の問題は、一九六〇年の問題、そのときに、その専管水域をはかる基線については領海及び接続水域による、こういうふうになっていると了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/210
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211・赤路友藏
○赤路委員 それでは私の間違いであれば訂正いたしましょう。もう一応確認いたしておきますが、そういうことになりますと、六海里が領海であって、それから外へ十二海里が専管区域だ、こういうふうにあなたのほうでは理解されておるのですか。あのときのものをどういうふうに理解していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/211
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212・庄野五一郎
○庄野政府委員 もう一ぺん言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/212
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213・赤路友藏
○赤路委員 基点から六海里、これが領海ですね。それから外に六海里で、十二海里でしょう。十二海里が専管区域で、その外になお六海里の漁業専管区域がある、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/213
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214・庄野五一郎
○庄野政府委員 漁業専管水域というのは、いわゆる低潮線——または直線基線を例外にとれば、低潮線を原則にして、そこから十二海里、その中の内側の六海里の範囲内で領海は各国が宣言する、それから十二海里のうちで外側の六海里は漁業の専管水域として考える、こういうのが漁業専管水域に関する条約でございます。だから、十二海里というのが漁業専管水域でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/214
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215・赤路友藏
○赤路委員 あなたの説明は違っているよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/215
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216・庄野五一郎
○庄野政府委員 入り会い権があるのですよ。十二海里の幅は、領海の外に十二海里とるのじゃないのです。領海を含めて十二海里ということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/216
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217・赤路友藏
○赤路委員 私がさいぜんから言っているのは、それなんですよ。六海里でしょう。十二海里の中で六海里が領海なんですよ。それで、あとの六海里を合わせて十二海里が専管区域なんです。そうでしょう。その外にあるのじゃないでしょう。十二海里の外になお六海里あるんじゃないだろうと言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/217
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218・庄野五一郎
○庄野政府委員 そのとおりでございますが、六海里が領海だということはまだきまっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/218
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219・赤路友藏
○赤路委員 それを私はさいぜんから言っている。六海里はまだきまっていない。それはもうさいぜんから大臣が御答弁されるとおりなんです。六海里はまだきまっていないと、こう言っているのです。それで、十二海里というものをまず頭に入れて、専管区域十二マイル、ここにもあるように、十二マイルをこえて拡張することはできない。一応線があるわけなんですから、十二海里を押えて、それの中で、この領海と漁業専管区域というものが分かれてくるわけです。そうすると、六海里である場合と三海里である場合とでは、入り会いの幅が違いますよ。こう言うのです。そこなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/219
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220・庄野五一郎
○庄野政府委員 入り会いの幅は、外側の六海里ということに全体委員会の決議はなっております。これは外側からはかりまして、領海を含む十二海里で、外側の六海里について入り会い権があるということで、領海とは関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/220
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221・赤路友藏
○赤路委員 こういうことをあまりやあやあ言いたくないが、それじゃこういうことになるのですよ。十二海里の中で、外のほうの六海里は漁業専管区域、そうすると、日本の言う三海里というものが基点から領海だとすると、この領海と専管区域の中にある三海里は一体何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/221
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222・庄野五一郎
○庄野政府委員 領海とダブって漁業専管水域というのはあるわけであります。ダブって、領海を含めて基線から十二海里というのが漁業専管水域になっております。その内側の六海里の範囲内で、それぞれの国が六海里の領海を主張するか、三海里の領海を主張するかは各国で宣言する、こういうのが決議になっておるわけです。それで、入り会い権というのは外側の六海里になるわけで、内側の領海とそれから内側の六海里との間の問題はまた別になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/222
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223・赤路友藏
○赤路委員 どうも少し私の言うのとあなたの答えているのとは食い違いがある。いまの政府の考えは、領海については三海里であるということが、一応日本側としての前提なんですよ。日本はいままで領海三海里、こう言っているのです。それをまだくずしていませんね。くずしていないから、現在の日韓交渉の段階においても、領海は三海里、こういうことが一応は前提になる。ところが、韓国側にしてみれば、領海は六海里というか、七海里というか、われわれは知らぬ。知らぬが、おそらく六海里説を一九六〇年にとった限りにおいては、六海里でしょう。ところが、日本側の言う三海里を固執することになると、これはその中に一つ水帯ができるわけです。もしあなたが言う、それをしも専管区域だということになれば、十二海里の中の九海里は入り会いをして差しつかえないということになるはずです。問題はそこなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/223
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224・庄野五一郎
○庄野政府委員 入り会い権が主張できるというのは外側の六海里というのが、一九六〇年の決議であります。それから外側から六海里やって、領海と外側の六海里の間の幅の三海里、そこは専管水域になりますけれども、入り会い権は主張できない、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/224
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225・赤路友藏
○赤路委員 もう一応そこのところ確認しておきます。そうすると、これは何でもない架空のことになるから、ちょっと困るのだが、日本の主張でいう領海三海里で押せば、漁業専管区域との中に一つ水帯ができるのですね。それは専管区域であるが、入り会い権はない、こういうことですね。そういうふうに確認していいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/225
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226・庄野五一郎
○庄野政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/226
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227・赤路友藏
○赤路委員 次に、基線の引き方で、さっき楢崎君から問題が提起された。特に井手君からも強く提示された赤城試案なるものですが、これは農林大臣何もおっしゃらないので、私は赤城試案はどんなものかは聞きません。聞きませんが、済州島の線の引き方というのが、今度の漁業交渉の一つの大きなポイントだと思う。その場合に、これまた国際慣行に基づいてということをいままで主張しておるわけなんですね。それで、この領海及び接続水域の条約の第十条の2に、「島の領海は、この条約の規定に従って定められる。」島の条項が一条から九条に至る条項なんです。そうしますと、内水を除く要するに、湾の大きなもの、入り口が二十四マイルをこえるものは、一応直線は引けないですね。これによりますと、湾口が二十四マイルをこえるものは直線は引けない。中に入らなければいけない。だから、湾口が二十四マイルをこえるものは、これは内水とは見ない。そういうことになるわけでしょう。直線が引けないわけですね。そういうようなものがはっきりここで明記されているわけですね。線の引き方、基線のとり方として、低潮線からそれを基本にしてやるということは、これははっきり出されておるわけです。そういたしますと、この十条による島に対する線の引き方というものは、おのずからこの条文から出てくるわけですね。それはやはり守らなければいかぬ。韓国との交渉をやる場合、従来四十数年間、朝鮮というものを日本は隷属化して今日まできた、その韓国の立場というものを私は無視するわけではない。考えぬわけではありません。韓国の漁民の立場というものを考えましょう。ただ、ここで私が特に言いたいことは、韓国の漁民に同情するだけで問題は解決しないということなんです。この日韓の交渉いかんということが、自後に及ぼす日本の漁業の国際的な問題との関連ということを十分考えてほしい。もしここでへたな線のくずし方をしますと、自後これから行なわれるであろうところの、東南アジア諸国との日本の漁業交渉、あるいは日米加にいたしましても、またソ連との問題にいたしましても、中国との問題、全部これに関連を持ってくる。私はいまさらここで申し上げることはどうかと思いますが、かつての日韓の問題が発生した当時、韓国側の代表は何と言ったか。あの李ラインを引いたときに、これは認めぬ、不法だ、こう言ったのに対して、日本はすでに昭和二十七年に日米加漁業条約で太平洋のまん中に線を引いておるじゃないか、こう言われた。このことは記録に残っておる。二度とああいうような事態を私は繰り返してはならぬと思う。繰り返したくはない。そうなってまいりますと、ここで交渉にあたっては、国際慣行あるいはすでに近く発効されるだろうところの条約を十分腹の中に入れて、一歩もくずさないという態度を堅持しなければ、日本の漁業はくずれてしまいます。国際漁業がくずれてしまう。国内の漁業ではありません。この点を私は特に強調をいたしたい。この点がどうにも安心ならぬ。先ほど来井手君からもかなり強いことばで言われておるのですが、私たちが心配しますのは、今度の会談が政治的に解決をけられるということを一番心配をしておる。ほんとうに双方の漁民の立場に立って、将来の日本と韓国との、あるいは中国その他関連諸国との漁業の調整上あるいは資源の保存の上から、かくあるべきだとお互いに科学的に検討をして出てきた線ならば、これは双方の国民といえども、私はのむと思う。納得すると思うのです。そうでなしに、単に何か政治的に頼まれたからやろうか、あるいはおれのむすこみたいなものだというようなことで、この問題の解決をつけられたら、これはあとへ尾を引く問題点が大きいのです。だから、日韓の交渉というものは、単なる日韓交渉ではない。これは日本の漁業の将来へわたっての問題として、ひとつ十分お考えを願いたい。それだけに、いま行なわれようとする政治的なこういう日韓会談の中で、この漁業交渉を進めていただくことについては、反対せざるを得ない、こういうことを申し上げるわけです。この点ひとつ大臣の御決意のほど——御決意のほどというと、さいぜんからだいぶ決意は聞いているのですが、何か一言くらい決意のほどを示していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/227
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228・赤城宗徳
○赤城国務大臣 とにかく日本の漁業は、国際的に非常に関連を持っております。すでにソ連あるいはまたアメリカ、カナダ、民間でいえば中共と持っております。その他、いまお話のように、東南アジア等にもいろいろ関係が深くなっております。そういうことでございますから、今度の交渉におきまして、国際的な慣行、慣例というものをくずしていきますと、将来日本の国際的な交渉をする上におきまして、非常に不利だと思います。そう考えておりますので、慣例に従ったようなことで進めていく、こういう進め方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/228
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229・赤路友藏
○赤路委員 私は、赤城試案なるものがどういうものか、つまびらかにいたしません。しかし、この前の本会議における政府の中間報告に対するわが党の松本七郎君への御答弁の場合でも、農林大臣は一番はっきりしたことを言ってくれた。こういうのが私たちの印象なのです。そのはっきりした態度というものが、ちょっと失礼な言い分ですが、ここ二、三日ちょっとくずれているのではないかという心配がある。やはり責任大臣として将来の日本の漁業の立場というものを十分お考え願って、非常に無理な注文であるかと思いますが、しかし、ひとつがんばっていただかなければならぬ、こういうことになろうかと思う。ただ、この交渉は、私たちがいかように御希望申し上げても、いかように注文をつけても、おそらく私はくずれるのではないかと思っております。それを心配する。だから、私はやめてほしいと言うのです。これは私たち社会党だからとかなんとかいう問題ではない。おそらく朝鮮海域で漁業をやる漁民連中の意向を聞いていただけばわかると思う。問題を解決つけることは望む。すみやかにこの問題は解決つけてほしい。十何年周にわたって問題になったのですから、これはもうだれしも考えている。しかしながら、そのために犠牲になってまでやるという手はない。これはほんとうの漁民の声であろうと思う。この点を十分腹に入れていただきませんと、いろいろな問題がふくそうして出てくるわけです。だから、単なる政治的な圧力に屈することなくと言ったら変ですが、大臣はよほど腹をくくってやっていただきたい。まかり間違えば大臣の職責をなげうってでも、この際は既定方針というものを守っていただく、この決意を固めていただきたい。無理な注文であることを承知の上で私は注文をつける。これに対しては答弁を求めません。答弁されると困る。
それから、ここでお尋ねしておきますが、具体的なものに入りますが、入り会い権の問題です。この問題については、交渉の過程はどうなっておりますか。全然話をしていないのか、しているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/229
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230・赤城宗徳
○赤城国務大臣 聞くところによりますと、去年ですか、そういう話が出ておったそうでございます。その後、いま基線の問題等がきまっておりませんので、そこまで入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/230
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231・赤路友藏
○赤路委員 それでは、いま話に出ております非常に具体的な問題に入りますが、先ほど井手君の質問に対しまして、以西底びきの問題が出まして、七百九十六隻ですか、これが大臣許可ということなんです。その中で、問題の地点での実績操業船というもの、これはなんぼでありますか。あのときは数字として出ておりませんが、捕捉できておりますか。できておりましたら、数字でちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/231
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232・庄野五一郎
○庄野政府委員 以西底びきは、御指摘のとおり七百九十六隻が大臣許可船でございます。それで、問題の水域というのは、A海域と承知いたしておりますが、A海域ではおおむね三百隻であります。(「三百五十だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/232
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233・赤路友藏
○赤路委員 これは数字の違いがあれば、また問題があとを引くんですからね。それは御了承おき願いたいと思いますが、以西はそれでけっこうです。それから遠洋まき網で、この方面へ入っておるもの、あるいはこれの影響を受けるものは何隻ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/233
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234・庄野五一郎
○庄野政府委員 大体まき網は、六十トン以上で許可をしておるのが百八統でございます。そういうものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/234
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235・赤路友藏
○赤路委員 そうしますと、そのほかに、サバのはね釣りですね、これは大体実績船はどの程度ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/235
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236・庄野五一郎
○庄野政府委員 サバの一本釣りは三十八年まで——二十七年でしたか、大体大臣許可だったわけでございますが、いまは自由漁業でございます。つまびらかでございませんが、大体五百、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/236
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237・和田正明
○和田説明員 ちょっといまの長官の御説明を若干技術的に補足をさしていただきたいと思いますが、先ほど来長官が申し上げております以西の底びきの約三百とか、あるいははね釣りの約五百とかいうのは、ある漁期のある時期に最高出た数字でございまして、連日それだけの船がその海域に出ておるという数字ではございませんので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/237
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238・赤路友藏
○赤路委員 そうすると、これは長官でなくたって、漁政部長でいいですが、例のカジキのはえなわですね。これは何隻出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/238
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239・和田正明
○和田説明員 各県から取り寄せました報告によれば、各種の沿岸漁業を含めて約二千五百隻程度だろうというふうに推定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/239
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240・赤路友藏
○赤路委員 二千五百……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/240
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241・和田正明
○和田説明員 これはA区域ということではなくて、あの海域一般にでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/241
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242・赤路友藏
○赤路委員 いま漁政部長の言われたのは、あの海域一般のあれで、カジキだけではありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/242
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243・和田正明
○和田説明員 はえなわもございましょうし、流し網もございましょうし、各種の一本釣りもございましょうし、そういういろいろなものを合わせて、いわゆる沿岸漁船が二千五百程度あるであろうと推定をしておると申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/243
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244・赤路友藏
○赤路委員 ちょっとその答弁おかしい。沿岸漁業とぶっ込みにしておられますが、はえなわのカジキマグロの船は、大体大臣許可の船じゃないかと思うのです。大臣許可以外の船でカジキマグロをやっておるというのは少ないんじゃないですか。その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/244
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245・和田正明
○和田説明員 いま申し上げましたのは、大臣許可漁業ではなくて、県知事許可漁業なり自由漁業なりのいわゆる一般沿岸漁業の数字を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/245
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246・赤路友藏
○赤路委員 ちょっとそこで御注意までに言っておきたいのは、私があらゆる新聞を見ておりましても、以西底びきはあるわけです。それからまき網はあるわけなんです。それから沿岸の漁民のそれはあるわけなんです。サバのはね釣りはあるわけなんです。ところが、カジキマグロがないのです。済州島を中心にしてのマグロ漁業というものはかなりのものなんです。それを落とすというのはおかしいが、それだけいま申し上げた部類の中でどこへこれを差し込んだのか、その点ちょっと言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/246
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247・和田正明
○和田説明員 いまおっしゃいますカジキマグロの件は、現在共同規制の対象魚種として考えておりませんので、特にそれを申し上げなかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/247
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248・赤路友藏
○赤路委員 部長は重要な発言をするが、これは、あの部面での漁業としては今後考えていないと理解しなければいかぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/248
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249・和田正明
○和田説明員 現在日韓両国の専門家で話し合っております共同規制の対象としようということで、韓国側の提案もあって検討しております漁業種類は、トロール、底びき、まき網及びサバの一本釣りでございまして、それ以外の漁業種類について共同規制をする考え方は、現在までの話し合いで出ておりません。したがって、先生御質問のカジキマグロ云々の件は、新聞等の話題に出ないのだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/249
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250・赤路友藏
○赤路委員 これはいいことを聞くわけなんですが、韓国との話し合いの中で、トロール、底びき、まき網、サバの一本釣り以外は話し合いはやっていないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/250
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251・和田正明
○和田説明員 共同規制区域の中で共同規制の対象にする魚種としては、現在、いま申しました四つ以外は取り上げて議論をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/251
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252・赤路友藏
○赤路委員 そうすると、この共同区域の中では、これ以外の漁業はやりませんということになるのですか、それとも、自由にやるということになるのですか。どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/252
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253・和田正明
○和田説明員 現在の考え方では、自由だということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/253
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254・赤路友藏
○赤路委員 大体それで私のお聞きしたいことはほぼ終わりましたが、先ほど井手君から話がありましたように、外務省のほうとのあれが少し食い違いがあるように思うわけなんです。あらためて外務省のほうから来ていただいて、この線をもう少し確認したいと思います。
最後に、先ほど楢崎君の御質問にお答えになったのですが、拿捕船の処置の問題、これは答弁をいただいたわけなんですが、だいぶん楢崎君は御不満のあるような御答弁になっておるようです。これは大臣でしたか、長官でしたか、おっしゃった、直接損害と間接損害と精神的損害の三つの損害ということが、具体的に表にあらわれてくるわけですね。船を取られた、漁具もやられた、同時に魚も取られたということは、これは直接的な損害。それから間接的損害としては、取られたために、次の船をつくるとか、それまでの間の操業が全部停止されておるということによる損害で、かなり大きなものがあるわけです。同時に、精神的な損害。本来、李承晩ラインというものは日本は認めていないんですね。認めていないラインの中でやられたということなんだから、これはどこが一体責任を持つのかということになるわけだ。一応そういうような三つの段階の損害ということを御答弁になっておるわけです。これに対してそれではどの程度の要求をするか。現在二百二十何隻拿捕され、そして返ってこないものが百八十近くあるわけですよ。これは、もちろん漁船保険にかかっておるものは保険金を支払っておるということで、それ自体の直接的なものは解決がつくといたしましても、その他のものは解決がつかない。これが全然いま起算されていないわけですね。どの程度これについて要求をすべきかという数字すら持たぬということになると、あまりにもでたらめに過ぎやせぬかということを先ほど楢崎君が強く言ったところなんです。私もその点については同感なんです。少なくとも韓国側のほうからいろいろな角度でいろいろなことを要求されておる。これに対して日本が、公海上においてやられた損害、これをはっきりさして、おれのほうではこれだけのものを要求するんだ、当然のこととしておまえのほうは支払うべきだ、こういうことを言うだけの算定ができていないというのは、いささか私は手落ちだと思う。この点いまここで手落ちだからどうするんだと言ってみたところで、しかたがないと思うから、さっそくこれについては精算をはっきりして、一応当委員会のほうへ、それに対してはわれわれはかくかくの要求をする線を持っている、こういうことをはっきり御提出願いたい。このことを最後に強く要求いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/254
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255・庄野五一郎
○庄野政府委員 先ほど拿捕漁船に対する損害賠償請求の問題につきまして、その請求の基本になる損害というものの算定のしかたについて申し上げたわけでございます。何ぶんこれにつきましては、今後の交渉に待つ問題でございますので、何ぼ何ぼというのを当委員会に資料として提出するという段階ではないと存じますので、その点いかがかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/255
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256・赤路友藏
○赤路委員 いまの長官の答弁は、いささかどうもいただきかねる。これはひとつ大臣のほうから御答弁を願いたいと思いますが、私は、ここですぐ何ほど取るんだということを言えと言ったのじゃないんですよ。少なくともこれに対しては何らかの形において解決をつけなければいけない。先ほどの大臣の御答弁のように、もし韓国側のほうがこれに対して支払いをしないということになれば、政府の責任とは言わぬまでも、何とかこれに対しては政府としては対処しなければならぬだろうということを大臣は言っておられる。私たちは政府の責任であると言った。李ラインを認めぬ限りにおいては、これは政府の責任なんですよ。言い方、考え方はあるでしょう。李ラインを認めた上で、日本の漁船がその中へ入ってやったということであるなれば、これは国際信義にもとるでしょう。ところが、李ラインを認めていない。認めていないところでやられたということになれば、当然政府として守るべき責任があるのだから、これは政府がとってもらわなければいけない、こう思うのです。そこで、いま大臣のおっしゃったこと、それをそのまま私は認めますよ。大臣の御答弁を認めるが、いま長官の言うように、それはいかぬ。少なくとも私はいま言えと言っているのじゃないのだから、そのくらいのことができなければ、一体これをどうする。そのまま手放しでほうってしまうのか。長官、聞きなさいよ。これは政府が保険金を支払っているのですよ。損害補償ざっと九五%は政府の責任において支払っている。保険料率が高いために、零細漁民は入れなくて、そのままつかまえられている。あの当時、保険に入ってくれということをわれわれもやかましく言いました。そうして何とかして損害を少なくしようとしたのです。しかし、これらを考えてみて積算してくると、何とかわかることでしょう。船の価値は一体何ぼになるのか、漁具の価値は一体何ぼになるのか、あそこで操業しておって、年間平均の大体の漁獲高はどの程度にあがるのか、当時のことを積算してくれば出てくるはずなんです。それだけのものは、当然交渉の中で、これは韓国側のほうで支払うべきであるということを要求することはあたりまえじゃないですか。その要求すべきものをお持ちなさい、こういうことを私は言っているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/256
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257・庄野五一郎
○庄野政府委員 ここへ出せと言われるから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/257
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258・赤路友藏
○赤路委員 いますぐここへ出せとは言ってないのですよ。そうしたものができるはずだから、つくってからここへお出しない。いますぐと言っているのではないですよ。つくってからお出しなさい。それができなければ、できない理由があるだろう。それを、そんなものは出せませんとか、できませんとかいうのでは、これは話になりません。それがなければこの交渉はできぬはずなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/258
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259・庄野五一郎
○庄野政府委員 御要求の趣旨はよくわかりました。よく検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/259
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260・赤路友藏
○赤路委員 大臣、それでいいですか。みんな大臣の答弁を聞けと言うから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/260
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261・赤城宗徳
○赤城国務大臣 損害を受けた隻数とか人とか、そういうものはたびたび申し上げているとおりでございます。これに対して損害がどれくらいかという金額等も計算、検討いたしてみたいと思います。どれだけ請求するかということはこれは私のほうの考え方にして、損害等につきましては金額的によく調べて報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/261
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262・井手以誠
○井手委員 関連して。いまの損害賠償については、直接の損害じゃなく、船体ばかりじゃないのですよ。漁獲できなかった損害賠償を要求なさるわけですね。大臣、そういうことでしょう。それができなくては一括解決にはならぬわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/262
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263・赤城宗徳
○赤城国務大臣 損害賠償を請求いたします。その請求の解決がなければ、日韓問題はきまらぬわけです。解決の方法はいろいろありますよ。そういうことは、交渉ですからおまかせ願うよりほかないのですが、これは解決なしでは済まされない問題だ、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/263
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264・高見三郎
○高見委員長 次会は、明二十六日午前十時から理事会、理事会散会後委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X02519640325/264
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