1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二日(木曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武君 理事 赤路 友藏君
理事 足鹿 覺君 理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 大坪 保雄君
亀岡 高夫君 仮谷 忠男君
吉川 久衛君 笹山茂太郎君
寺島隆太郎君 内藤 隆君
野原 正勝君 八田 貞義君
藤田 義光君 松田 鐵藏君
三田村武夫君 亘 四郎君
角屋堅次郎君 栗林 三郎君
東海林 稔君 楢崎弥之助君
西村 関一君 松浦 定義君
湯山 勇君 稲富 稜人君
林 百郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
農林政務次官 丹羽 兵助君
農林事務官
(農政局長) 昌谷 孝君
委員外の出席者
専 門 員 松任谷健太郎君
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四月一日
農林漁業の近代化促進等に関する陳情書
(第三〇三号)
国有林野解放特別法の早期制定に関する陳情書
(第
三〇四号)
国有林野解放に関する陳情書
(第三〇六号)
同
(第三八一号)
農業構造改善事業の予備調査費増額に関する陳
情書
(第三〇八号)
農産物の価格保障制度確立に関する陳情書
(第三〇九号)
農産物の冷蔵庫及び加工工場等設置に関する陳
情書
(第三一〇号)
甘しよの基準価格の早期決定に関する陳情書
(第三一一号)
農産物の流通機構改善に関する陳情書
(第三一二号)
土地基盤整備事業の補助引き上げに関する陳情
書
(第三一三号)
農業構造改善事業の事業費わく拡大に関する陳
情書
(第三一四号)
団体営土地改良事業に対する補助率引き上げに
関する陳情書
(第三一七号)
国有林の払下げに関する陳情書
(第三一八号)
農業近代化資金の融資条件改善に関する陳情書
(第三二〇号)
農地法の一部改正に関する陳情書
(第三二三号)
農地価格の引き下げに関する陳情書
(第三二四号)
蚕糸業の振興対策に関する陳情書
(第三八二号)
同
(第三八三号)
同
(第四二九
号)
繭糸価格の安定等に関する陳情書
(第三八四号)
同
(第三八五号)
同(第四三〇号)
同
(第四七九号)
岩洞ダム建設に伴う代替農地問題に関する陳情
書(第
三八六号)
農業構造改善事業における融資金の利率引き下
げに関する陳情書
(第四三一号)
沿岸漁業近代化事業における融資金の利率引き
下げに関する陳情書
(第四三二号)
千葉県の内湾のり被害対策に関する陳情書
(第四三三号)
国立種畜牧場の整備拡充に関する陳情書
(第四三四号)
養鶏飼料の需給及び価格安定に関する陳情書
(第四三五号)
農業構造改善事業の推進に関する陳情書
(第四七四号)
同
(第四七五号)
米の時期別格差金現状維持に関する陳情書
(第四七六号)
植物防疫事業の整備拡充に関する陳情書
(第四七七号)
繭の生産増強対策に関する陳情書
(第四七八号)
農業近代化に伴う兼業化対策に関する陳情書
(第四八〇号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一〇〇号)
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
法律案(湯山勇君外十一名提出、衆法第一三
号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案並びに湯山勇君外十一名提出にかかる農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたし、質疑に入ります。
質疑の通告があります。順次これを許します。湯山勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/1
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002・湯山勇
○湯山委員 私は、この年金制度については、特に大臣にお尋ねしたいことがあるわけでございます。
その第一は、この年金制度ができますときの主務大臣は赤城農林大臣でございました。そして、たまたまこの法案が審議される段階におきましては、農林大臣は日ソ漁業交渉のためにソビエトのほうに行かれまして、かわって石井国務大臣が担当大臣として、この法案は成立をしたわけでございます。したがって、赤城農林大臣は、この法律の生みの親であったわけでございますけれども、実際には、それを成立させる過程においては御不在であった。そこで、当時の委員会の空気、どういうことで成立をしたか、これは御報告はお受けになったと思いますけれども、その内容、雰囲気、そういうものはあるいは十分御存じでないのじゃないかという感じがいたします。そこで、当時のことを会議録その他で調べてみますと、この農林年金制度を厚生年金から分離して独立していくためには、ずいぶん大臣自身もその過程においては御苦労なさったことは、十分認められるところでございますし、それからまた、それ以後におきましても、たとえば厚生省、大蔵省あるいは社会保障制度審議会等が、それに対しては非常に批判的であった。そこで、この法律を成立さしていくということは、四面楚歌の中で、農林省当局もそうでしょうけれども、この法案を審議する衆参両院の農林水産委員会も非常に努力をして、ともに力を合わせて、この法律をともかくもスタートさせよう、こういう非常に悲壮な決意のもとに、そういう空気が至るところに反映してこの法律が成立した。これは大臣も御存じだと思います。具体的にその中で言われたことは、この法律自体は非常に不備である。いろんな点で不十分な点もたくさんあるけれども、それは一応そのままにしておいて、農林省当局も、これははっきり妥協である、妥協であるけれども、この際はいたしかたない、このままでやってもらいたい。それから議員の各位におかれましても、それを何とか成立さすために、あるいは当時の堀木厚生大臣を委員会に呼びまして、ずいぶんきびしい追及をして、堀木さんも、私自身はそんなに反対じゃないんだというようなこと、それから農林漁業団体の役職員の待遇をよくしていく、生活を安定さしていく、そのためには、こんな年金制度をつくるよりも、それらの人の給与を上げるのが先じゃないかということで、この委員会で厚生大臣もはっきり言ったりしております。けれども、そういういろいろな批判を乗り越えて、ともかくも成立さす、あとはどうするかということについては、これもはっきり政府が言明しております。ほんとうの給付が始まるのは六年も向こうである。そこで、その六カ年の間に、この年金制度は、いまのように不備欠陥、そういう悪い条件は改正をする、こういうことにしておるのだ、だから、この際はともかくも発足させよう、こういうことで、この年金制度は発足をいたしました。
したがって、この六年間というものは、若干特別な退職年金の給付等はありましたけれども、実際にはこの年金制度というものは生きて働いていないかりのものであった。今度改正される法律がほんとうの農林年金であって、このことは、当時審議の中ではっきり約束されております。その約束について、政府はどういう答弁をしておるかと申しますと、これはそういう約束になっておるから、実際に給付が始まるまでには全面的な改正をする、不備な点は改正をする。それで、そういう約束ができるかという追及もされております。それについて、最終的には、この年金の発案者の責任というものは、農林省をやめても、他の団体に移っても、死ぬるまで発案者としての責任はあります。こういう悲壮な答弁をして、それでこの委員会を通っておる。
こういう経過については、大臣も、こまかいことは別として、大筋としては御了解だと思いますが、その点についてどういうふうに御了解になっておられるのか、私の申したとおりに御理解になっておられるのか、そうじゃなくて、政府が普通の改正案を出すというつもりでお出しになったのか、まず、そのお心がまえを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/2
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003・赤城宗徳
○赤城国務大臣 この年金法のこの前昭和三十三年に提案になりました経過、その後の情勢等につきまして、いまお話がありましたが、全くそのとおりで、私も承知しております。お話のように、当時委員会におきましては、私は出ませんでしたから、切実にその委員会の空気というものを反映してもらう機会はなかったのでございますけれども、各方面から非常によくその辺の事情等も聞いております。御承知のように、制定する場合に抵抗が非常に多かったということは、農業団体の職員は、国家公務員、地方公務員でない、こういうようなことで、それと同じようにすることについての異論が相当あったのであります。しかし、私立学校職員のための私学共済の年金法などもありまして、そういう事情から、この法律を制定することになりました。なりましたが、そういう事情から、十分手を尽くすといいますか、そういう面が欠けておったことは、その当時からあったわけでございます。そういうことと、また、ほかのほうの制度が相当変わってきた、こういう両面から、このたびの改正案を提案した、こういうことでございまして、いま御発言の御趣旨は十分私も知っており、またそういう方向でやっていこう、こういうことで改正案を出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/3
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004・湯山勇
○湯山委員 それで、大臣のお心がまえはよくわかりました。したがって現行法ができて今日までは、これは法律としては、言い方はいろいろありますけれども、かりのものであって、そういう約束を踏まえて、本格的な給付の始まる六年間のうちには改正をするんだという約束のもとに、今回の改正がなされた。つまり、これからが本物になるんだ、こういうふうに私どもは考えて、この法案の審議に当たりたいと思うのですけれども、その点について、大臣も同感でおありになられるかどうか、もう一度伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/4
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005・赤城宗徳
○赤城国務大臣 本格的になるということから、この審議につきましても、本格的に御審議を願う、また、私のほうでも、これでもう十分とは、前もって申し上げるのはおかしいのですが、そういうふうには考えておりませんけれども、現段階におきましては、提案いたしましたようなことでひとつ本格的に御審議を願いたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/5
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006・湯山勇
○湯山委員 そこで、現実の問題についてでございますけれども、非常な期待を持ってこの現行法が生まれました。しかし、その中身については、いまおっしゃったように、かりのものであった。特に、そのことばをそのまま引いて申しますならば、いろいろありましたけれども、大蔵省と争っていると、法律の提案が間に合わないというおそれがあり、遺憾ながらこの程度のことで妥協をいたしました、給付の開始は六年後だから、それまでに再検討するという話し合いになっております。こういうようなことを率直に政府側も意見を述べて、今日まできたわけでございます。今度はこの年金を受ける側の立場に立って申しますならば、実際に給付が始まるまでには法律の改正が行なわれる。そこで、いろいろな事情で退職しなければならない人、それからまた、退職する時期が来ている人、そういう人たちも、新しく法律が改正になる今回の改正を待っている。この改正がなされたならば、それを機会に退職をしよう、こういう人が相当数ある。そういう期待を持たせておったこと、これは、大臣も率直にお認めになられると思いますが、いかがなものでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/6
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007・赤城宗徳
○赤城国務大臣 気持の上では、改正されて、その恩恵ではございませんが、俗に言えば恩恵といいますか、恩恵に浴するだろうというような期待はあったと思います。しかし、いろいろな制度のたてまえから、今度私のほうで提案いたしておりますのは、不遡及といいますか、遡及しないようなたてまえにはなっておりますが、一般の組合員、職員の人々にはそういう期待があっただろう、こういうふうには感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/7
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008・湯山勇
○湯山委員 そうすると、大臣のいまのお答えは、私がお聞きしようということを前もって察知されまして、予防線をお張りになったと思うのですが、大臣、それじゃ、そういう人たちにいまのように、ほかの法律の成立の経過と違って、六年後にはこうなるんだという期待を持たせて今日まできておって、そういう期待を持った人があったということをお認めになりながら、その人たちには何にもしてやれない、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/8
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009・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これはまあ、法のたてまえといいますか、そういうたてまえから、不遡及という形に相なることでありますが、そういうことであるということの周知徹底といいますか、PRといいますか、そういうことを了解してもらうことについての手落ちは、私どもはあったと思います。そういう、関係から見ましても、組合員、職員から見ますならば、新しい改正になれば、その改正のもとで自分たちの立場が律せられる、こういうふうに思っていたろうということは、私もわかるのでございます。でございますが、いろいろその経過の、整理資源といいますか、何かそういう術語があるそうでございますが、そういう面において幾分考えなくちゃならぬというようなことがございまして、全部新しい法律によって給付の面等を遡及して律するといいますか、出せるようにはいたしかねるような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/9
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010・湯山勇
○湯山委員 それでは、私が最初にこの法律の成立の経過を申し上げたのは、そこのところに関連があるからでございまして、六年前といいますか、昭和三十三年に、実際に給付が始まるのは六年向こうだから、それまでにはちゃんとするという約束は、あれは、大臣はいらっしゃらなかったのだから、責任を持たない、こうおっしゃるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/10
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011・赤城宗徳
○赤城国務大臣 不備であるということよりも、ともかく新しく発足するのに抵抗がございましたから、ことに国家公務員とは違うんだというようなこと、あるいは厚生年金から引き離すということについてのいろいろな抵抗等がありましたので、十分ではなかったと思います。その点は、先ほどから御意見もありましたし、私も同感いたしておるわけでございます。ただ、給付の内容でございますが、当時の制度をつくったときには、いまの国家公務員の共済組合でございますか、市町村職員の共済組合法ですか、それと、私学共済、この三つが基準というか、三つと肩を並べるといいますか、それと均衡のとれるようなということで進めてきましたので、当時の制度といたしましての給付の内容は、私は、バランスがとれておったと思います。しかし、その後の情勢等におきまして、公務員の給付もベースアップをされまするし、この農林共済においては給付の標準額というものが、ずっとそのままであったということでございますので、そういう不均衡がだんだん出てきた、こういう状況、あるいは整理資源率というか、先ほどちょっと触れましたが、当時は、国庫補助の対象外になっていたというようなこと等もありまして、ほんとうの年金としての体位が十分整っておらなかったというふうには私も考えております。こういう意味におきまして、その後の情勢の変化、及び、その制定当時における抵抗といいますか、各方面の抵抗等がありまして十分でなかった点を、この際改めていこう、こういうことでございます。こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/11
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012・湯山勇
○湯山委員 大臣、いまの御答弁も、この前の答弁も、非常に重大な問題を含んでおるのです。整理資源の問題は、そう今度のやり方で解決してはいないのですが、そのお尋ねもまたあとでいたします。大臣は、今度は整理資源は解決するとおっしゃいましたけれども、していないのです。だから、これは取り消さないで、そのとおりやってもらいたい。いいですか。大臣が取り消すようなことをなさらないで、ひとつ言明されたとおりにやってもらいたい。これは、私は絶対に取り消しは認めません。取り消したら動きませんから……。大臣、ちょっと待ってくださいよ。これは取り消さないで——それもよくなっているとおっしゃった整理資源も、かくなっていない。六年前の約束も守られていない。この改正を待ち望んでいた人たちは一体どうなるのでしょう。お手元に政府がお耕しになった資料がありますから、大臣、ちょっとごらんいただきたい。それの六ページです。その三十七年度の退職年金、それをごらんいただきますと、三十七年度で、件数が七十四件、それから金額は抜いて、一件当たりの金額は一万一千六十一円です。それから三十八年度予算の欄があって、実績、これで見ますと、件数が二百二十件、金額は抜いて、一件当たりが一万三千五百五十二円、三十九年度、本年度の予算は、件数はうんとふえて二千六百八十六件で、一件当たりの金額は一万五千八百四十六円、こうなっております。つまり、これはいま聞いてみますと、一期の支払い金額だそうですから、年四期で、最初のときに出るのもあるし、一回だけのもあるから、平均二回として、大ざっぱにいって、年金額は一年間にこれの二倍です。三十九年度で三万一千余りが年金額。三十九年度予算の平均が一人当たり三万円余りです。三十八年度は二万七千円にしかなっておりません。それから三十七年度は二万二千円そこそこです。こういう年金で、農林大臣、はたしていいかどうか、どうお考えなんでしょう。年額三万円に足りないような年金で、これが今度の改正で、待っておったけれども、何も是正されない。せっかく法律が通って、やめる人の是正が何も行なわれない。そのまま三万そこそこの年金が出るんだ、それで一体いいのでしょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/12
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013・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは根本はやはり標準給与といいますか、給与の問題に関連いたすと思います。給与そのものが安い。したがって、この年金の基準等は今度ほかの年金の法律等とも均衡がとれるよう上げたわけでございますけれども、上げましても標準給与が低いといいますか、聞きまするというと、大体平均月一万ちょっとくらいの給与だということで、その給与から割り出す退職年金の額でございますので、退職年金が少ないということは、とりもなおさず給与が少ない、給与が少ないということは、この法律でいえば、標準給与表から出てくる問題です。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/13
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014・湯山勇
○湯山委員 それだと、大臣、またもとへ返りますけれども、私が先ほど申し上げた中に、大臣と同じようなことを、当時の厚生大臣がここで言ったということを申し上げました。なお、そういうことはわかっていたことなんです。しかし、そういう問題も六年間の間には改めていくんだ。そして組合の中には休眠組合もたくさんある、給与規程のできていない組合もたくさんある、連絡先不明の組合もたくさんある。そういう資料もありますけれども、それは時間をとりますから申し上げません。そういう組合もたくさんあって、いずれも非常に恵まれない状態にある。そこで、この年金を発足させることによって、それらも年金給付の開始までにはちゃんとしていくんだという約束がなされておったのです。そうでなければ、大臣のいまのような御答弁だと、この農林年金をつくることに反対した当時の厚生大臣と同じ考えにいま逆戻りすることになって、つくるときの積極的な意図はみんな消えてしまっております。そういうことがあるから、最初に経緯を申し上げて、御決意を承ったので、それでは答弁になりません。申し上げたい点は、いまそういう経過を受けて改正案が出された。その後においても、二十年たって三万円そこそこの年金しかもらえない。それでいいかどうか、どうお考えになられるか。率直な御意見、お感じを伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/14
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015・赤城宗徳
○赤城国務大臣 感じとか意見とか申し上げる前に申し上げますと、確かにその当時の堀木厚生大臣が言ったように、給与が低かった、そういうのは改めなければならぬ、こういう考え方を、私もまた今日においてもそういうふうに感じておるわけでございますが、しかし、標準給与の月額は、御承知のように、最低六千円、最高七万五千円というふうに現行法が低いので、引き上げるということになりまして、当時に比べれば、大体四七%くらいは給与がアップしておる、こういうふうに考えております。これは政府で出す給与ではございませんけれども、しかし、事実上給与としてはアップしておる。また標準給与の月額も上げておるということでございますから、何ら手を下さないというわけでは私はないと思います。それから、計算した退職年金が二十年で三万だというようなことについては、私もこれはあまり多いものとは思わない、実に少ないものだという気はいたしますけれども、いまの他の法律との均衡という点から見ますると、私どもといたしましては、国の補助という関係とも見合いまして、いまの段階におきましては、ぎりぎりといいますか、この程度でがまんしてもらうといいますか、そういうことでいくよりほかないんじゃないかということで、実は提案のとおりにいたしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/15
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016・湯山勇
○湯山委員 政府のほうはがまんができても、年金をもらうほうになれば、これはがまんできないと思います。
もとへ返りますけれども、大臣は、さかのぼっての切りかえということはできないということですが、政府はすべての年金に対してそういう態度をとっておいででしょうか。その点どう御把握になっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/16
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017・赤城宗徳
○赤城国務大臣 今後はどうなるかわかりませんが、従来国家公務員等におきましては、改正いたしましてもさかのぼらない、こういうふうに処理してきたといいますか、そういうふうに私は見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/17
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018・湯山勇
○湯山委員 いま厚生年金が大体政府のほうのお心がまえはきまって、社会保険審議会に諮問をいたしております。厚生年金というのは、もともとこの農林年金が生まれてくる母体になった制度であったことは、これは大臣がいまもおっしゃったように、かくれもない事実でございます。厚生年金は、現在政府が政府側の態度として諮問している内容というものは相当よくなっています。これよりもはるかにいいのです。この政府のいまお出しになっておる農林年金よりも、はるかにいい案が出ております。それとの関係はどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/18
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019・赤城宗徳
○赤城国務大臣 厚生年金を改正したいということで諮問している額等が、非常によくなっているというようなことにつきましては、私もなおよく調べてみますけれども、このたてまえから見まして、農林年金は、国家公務員、地方公務員の共済組合法あるいはまた私立学校教職員の共済組合法というものと、どうしても均衡をとっていくということがいまのたてまえでございます。でありますので、厚生年金等の問題がずっと進んでいくということになれば、やっぱりそれに沿うように私たちもやっていかなければならぬと思いますが、現在は国家公務員、地方公務員の共済組合あるいは私学の教職員の共済組合と均衡がとれたような形で進めていくということが妥当だ、こういうふうにいま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/19
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020・湯山勇
○湯山委員 厚生年金が改正になったときには、直ちにこの法律も改正する、そういう御用意があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/20
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021・赤城宗徳
○赤城国務大臣 できることならば私はそういうふうにしたいと思いますが、その前提としては、国家公務員の共済組合法とか地方公務員及び私立学校教職員共済組合法との関連もございますので、そういう方面と歩調を合わせていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/21
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022・湯山勇
○湯山委員 局長にお尋ねしますが、厚生年金法が改正になった場合には、それに伴って本法も改正する、そういう事務的な御用意はもう整っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/22
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023・昌谷孝
○昌谷政府委員 今回のこの改正案を準備いたしますについて、政府部内にも、厚生年金の改正が目前に控えておる際であるから、むしろ厚生年金の全貌の確定を待って、歩調のそろったものにすべしという意見もございました。私どもはそれも一理があると思いますけれども、先生先ほど来おっしゃっておられるように、本法の改正は、むしろ、すでに先行して改善をされております国家公務員あるいは私学の共済との不均衡を早急に是正するということのほうにより緊急な必要性を感じましたので、厚生年金の改正がどうなるかを待つことなく、暫定と申しますか、とりあえず、現段階での他の年金との均衡をはかるということで、今回の改正案をがまんをしたわけであります。
そこで、お尋ねの厚生年金の法律が固まった場合に、私どもの年金をどう手当てするかという問題は、いま大臣がお答えになりましたように、私どもの年金だけではなく、国家公務員、地方公務員あるいは私学においても同じ問題をかかえております。目下関係各省で、厚生年金のほうの固まりぐあいに並行いたしまして、逐次進めつつあります。そこで、必要最小限度の部分については、私どもの気持ちは、厚生年金法と同時に、その附則あるいは別途の整理法等の形で、ぜひ必要最小限度の均衡の回復と申しますか、調整をはかりたいという方向で、関係各省間の事務的な検討を現に継続しておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/23
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024・湯山勇
○湯山委員 大臣にお尋ねいたします。
すでに事務当局のほうでは、厚生年金法の改正に伴って、最小限度の改正は事務局には準備しておるということでございます。それは非常にけっこうなことだと思いますが、いま審議されておる、社会保険審議会にかかっておる厚生年金法は、遡及を認めております。認めておるくらいじゃなくて、こういう遡及の仕方をしておるのです。新しい改正法が成立した場合には、その改正法が成立したときの被保険者、つまり、ここで言えば組合員にあたりますが、それは全部新法を適用する。それから、それだけじゃありません。受給権者にも、つまり、いままでにやめて厚生年金を受けている人も、また新法で再計算をする、こういう措置がとられております。これは、私はそうあるべきだと思います。というのは、国家公務員、地方公務員法に合わすと言われますけれども、国家公務員の共済年金あるいは地方公務員の共済年金は、従来その基礎になる相当完備した恩給法がございました。これは大臣も御存じと思います。完備した恩給法というものがあって、それの切りかえですから、遡及しなくても、それによって非常に大きな痛手を受ける、あるいは損失を受ける、期待が裏切られる、こういうことはございません。ですからその規定の中には、恩給と共済年金と、場合によってはいずれか有利なほうを選んでもいいというような規定も含めて切りかえられている。だから、この場合は、遡及ということはそれほど重要な要素ではございません。ところが、農林年金の場合は三十四年に厚生年金から独立した。その状態がいまのように非常に不備であった。今度が本番なのです。これをみんな待っておった。それがせっかく待っておった人に適用されない。これは、形はなるほど国家公務員、地方公務員法に準じたようになっておっても、実は全然違っているということになるのではないでしょうか。その点についてどのようにお考えか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/24
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025・赤城宗徳
○赤城国務大臣 制度からいいまするならば、私、やはりその当時の給付を予期し、またその給付に従った掛け金等もしておるということでございますから、さかのぼらないのが筋だと思います。しかし、経済情勢とか、そういうものの変化が非常に激しい時代に際会しておりましたから、厚生年金等につきましては、給付の内容が非常に低かったというようなことで、さかのぼるかという案も論ぜられているやに聞いておりますけれども、私は、さかのぼるのは筋としてはおかしいと思います。そこで、農林関係の年金でございますが、私も、厚生年金等が改まれば、先ほど申し上げましたように、ほかのほうと歩調を合わせて、そういうふうに進められれば進めることがよろしいと考えておるのでございますけれども、それを歩調を合わせる前に、まだ歩調が合っていない——農林年金のほうが国家公務員、地方公務員あるいは私学のほうの標準給与よりも低くなっておるのは、御承知のとおりであります。でありますので、こういうところとまず歩調を合わせておいて、これが先決で、そうして、また、厚生年金等によりましていいほうへ改正になりますならば、今度はそれと歩調を合わせていく、こういう段階が必要であろうというふうに私には考えられます。そういう意味におきまして、現在まず、私学共済とかあるいは国家公務員、地方公務員の共済等と合わせて、標準給与等の内容を直していくということが先決だというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/25
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026・湯山勇
○湯山委員 大臣の言われることはわかりました。それはこの法律ができるときに、まずスタートすることが先決である、六年間にはそれをよくしていくという約束をしたわけです。そうすると、いまの大臣のおっしゃったことは、少しこちらの主観が入るかもしれませんけれども、とりあえず、これで国家公務員、地方公務員に合わせる、そしていまの問題、つまり遡及適用、実際に組合員に失望を与えない、満足を与える、喜んでもらう、そのことは、厚生年金法が改正になったならば、それに合わせてやる、前回、六年間にそういうことは改めていくんだという約束をされましたが、それと同じように、ここではまたいまのおことばで言えば、とりあえず形式的に合わせるものは、国家公務員、地方公務員に合わせておいて、そして今度は厚生年金が改正になったならば、それに応じていまのような遡及その他なお不都合な点は改める、こういうお約束をしていただいたものと解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/26
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027・赤城宗徳
○赤城国務大臣 この遡及、不遡及は非常にむずかしい問題だと思います。制度上、ことにこれは経済的な法律でございますが、一般の法律でありまするならば、不遡及の原則でほとんど遡及しない、こういうのが法律のたてまえでございますけれども、これは経済的な立法でございますので、事情に応じて遡及するということも、厚生年金等について考えられておると思います。でありますので、厚生年金等においてそういうふうな制度になってきまするならば、私もそういうふうに合わせていきたい、こう考えております。考えておりますが、これは非常にむずかしい問題だということだけは私も覚悟はいたしております。同時に、農林年金だけではなく、やはり国家公務員のいまの恩給との関係等もあるということは御指摘ありましたが、改正のときに、やはり遡及するなら遡及するというようなこと、あるいはまた私学共済等におきましても遡及するなら遡及するということが、歩調が合いませんと、なかなかこの実現は困難だろうと思います。いろいろな面があるので、非常にむずかしいと思いますけれども、私は、一応農林年金と類似のいまの国家公務員、地方公務員あるいは私学職員の共済年金法とまず歩調を合わせたところの御提案を申し上げておるものを通していただいて、なお厚生年金が遡及するというようなことできまるということになりまするならば、それと歩調を今度は三つの法等と合わせてやりたい、歩調を合わせていきたいという期待といいますか、希望といいますか、強い意思は持っておりますが、実現はなかなか困難でありますから、そういう約束だ、必ずそういうふうにしていきます。こういう約束をしろとおっしゃられると、私も、その約束は非常に困難な約束でございますので、約束いたしますとは申し上げられませんけれども、その方向に向かって私は努力していきたい、こういうことは申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/27
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028・湯山勇
○湯山委員 大臣の御答弁として、私はそれでは満足できないのです。と申しますのは、前回のときには、大臣が御不在であったために、六年間に改正するという約束について、政府委員は死ぬまで発案者としての責任は持ちます。こう言って、この法律を成立さしております。その生みの親である農林大臣が、今日たまたまめぐり合わせて、自分でおつくりになった法律をいま上程されておる。そのときに、その約束をできないじゃなくて、約束する、発案者としての責任は死ぬまであるんだと、かっての大臣の部下が言ったその気魄で、やはりそれはやるんだ、ほかに一つでもそういうものができればやる、こう言っていただきたいのです。そうでなければ、何のための改正かわかりません。
そこで、局長にお尋ねいたしますが、今度いまのようにこの改正を待ってやめる人は、厚生年金適用期間というのが何年間ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/28
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029・昌谷孝
○昌谷政府委員 御質問の御趣旨ちょっと理解しかねておるかもしれませんが、厚生年金から農林年金か独立いたしましたのは、御承知のように三十四年からでございます。それ以前の厚生年金期間が個人別にどの程度であったかといったようなことについての調査は手元に持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/29
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030・湯山勇
○湯山委員 私は少し言い過ぎかもしれませんが、そういうことだからこういうことになるのです。そんなものが簡単に計算できませんか。担当の事務当局がいまのようなお考えだから、それはできっこありませんよ。簡単じゃありませんか。昭和三十四年までは厚生年金の期間にあったわけです。今度二十年になる人は、これが発足したあと五年間を引けば十五年か十四年、きまっておるじゃありませんか。何でそれは資料がないから答えられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/30
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031・昌谷孝
○昌谷政府委員 それは、たとえば今日の段階で二十年になっておる人があるといたしますれば、それは三十四年以後農林年金の対象になったわけでございますから、二十年からその三十四年以後の年数を引いたものが厚年のごやっかいになっておったものであるということは、先生のおっしゃったとおり、そのとおりでございます。御質問の御趣旨は、そういうこととは受け取らずに、現在の三十何万人の個々についての厚年期間を御質問になったのかと思いましたから、そう申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/31
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032・湯山勇
○湯山委員 それは聞き方が悪かったかもしれません。私の質問のしかたが悪かったかもしれませんが、お聞きしたのは、今度の法改正を待って退職する人の厚生年金期間は幾らあるか、こういうことをお尋ねしたのですから、当然いまのように出てくるでしょう。その十四年、十五年の期間は、今度厚生年金が改正になったらさかのぼって通算できる態勢にあるわけです。これもよろしいですね。局長のほうは厚生年金法がどう改正されるかということはよくおわかりですから、その十四年、十五年の期間というものはさかのぼって改正される、そういう条件を備えてくる、こうなりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/32
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033・昌谷孝
○昌谷政府委員 御承知のとおり、三十四年に木制度が発足いたしましたときに、全額ではございませんけれども、厚生年金から独立するということの趣旨は、もっと手厚い給付にするということでございましたから、当時、整理資源率が、御承知のように一四%も発生する程度には給付内容を改善したわけでございます。したがいまして、現在の旧法と申しますか、いま生きております農林年金の法律と厚生年金とを比較いたしますれば、かなり経過措置でカットはいたしておりますけれども、相当有利なものとして農林年金が存在しておるわけであります。今度の厚生年金の改正は、厚年の受給者だけについての問題でございますから、当然には現在の農林年金の組合員には適用はないものということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/33
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034・湯山勇
○湯山委員 その御答弁はそれでけっこうだと思います。ただ、厚生年金期間が、いまのようにこの改正を待ってやめる人には十四、五年もあるにもかかわらず、その分は、今度の厚生年金改正によって、もういまのような有利な適用は受けない、すでに受けておる人までが再計算されるという有利な適用は受けない、そしてまた、暫定的であったいまの法律、今度よくなっていく、それの適用も受けない。そうすると、この人たちが一番損することになるじゃありませんか。厚生年金からはずされたために、今度有利になる厚生年金の適用も受けない、新しく改正になる、よくなったと大臣おっしゃる、この新しくなるこれの適用も受けない。暫定的な法律を適用される。一番谷間に置かれる。何のことかわからなくなる。そういうことになるんじゃございませんでしょうか。もう一度申します。当然この人たちは、今度の改正で、最低額もよくなりますし、それから給付内容もよくなって、そして今度の厚生年金は俗に一万円年金、一カ月一万円になるという宣伝の年金ですが、それの適用を受けて再計算される対象にも、十五年にも大部分がその中にありながら入らない。それからまた、今度改正になる新法の対象にもならない。六年後には改正しますと言ってできた不備な現行法が適用される。これはあまりにもこの人たちに対して気の毒ではないかと思います。大臣、いま申し上げました理屈は御納得いくのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/34
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035・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いろいろ前提を考えると、そうなると思います。この法律が施行されて、その時期にきていなければ前の十五年分はこの法律の適用も受けない。厚生年金が遡及して給付がよくなった場合には、もう農林年金に入っているのだから、厚生年金の恩恵は受けない。しかし、その額がどれくらいになるかという問題はございます。額が非常に厚生年金のほうが上がる、遡及するということになると、前に厚生年金から離れていますから、これは不遇といいますか、ぐあいが悪い。この改まった、給付が上がった基準にもまた適用を受けないということですから、筋から言えば、そういうふうには考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/35
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036・昌谷孝
○昌谷政府委員 ただいまの点、多少事務的に補足いたします。
まだ厚年の具体的な改正がどう固まるかということは、最終的に十分煮詰まっておりません段階ですから、決定的なことは申し上げかねますけれども、草案の段階で私どもがかりに検討いたしてみましたところでは、大ざっぱに申しまして、厚年のものの考え方は、現行水準の大体倍になるというふうに御承知いただけばいいわけであります。かりに倍になりましても、農林年金の現行水準、つまり、いまお願いをいたしております改正が行なわれない水準、つまり、先生が問題にしておられを水準と、いま意図されている厚年の改正後の水準と比較をいたしましても、微細に計算いたしますと、若干でこぼこがあるかもしれませんが、非常に大ざっぱに申しますと、まだ厚年のほうが若干悪いというふうに、私どもの荒っぽい検討では、そういう結果が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/36
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037・湯山勇
○湯山委員 それはもう少しお調べ願
いたいのです。一般論ではなく、農林年金を適用になっている人、そういうクラスでどうなのかということをお調べになれば、三十九年度の予算にあるのは年額が三万そこそこですね。おわかりでしょう。それから三十七年度、三十八年度をごらんになっても、二倍としても三万円にも足りませんね。局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/37
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038・昌谷孝
○昌谷政府委員 お手元に差し出しました資料につきましては、なお私どものほうで検討させていただきたいと思いますが、先生先ほど、途中から発生するものもあり、年度まるまるもらうものもあるから、達観してこの数字の倍ぐらいが平均ではないだろうか、こういうお考えで、したがって、三万円というような御立論が出ておるのだと思います。その点はもう少し私ども調べさせていただきますが、一件あたりの金額の倍が現在の一般的な水準だというふうに、それを前提としてあとの御議論をお進めいただくことは、ちょっといかがかと思います。やはり四倍で計算していただいたほうがいいのじゃないかというような感じもないことはございません。この点は、私どもも確たる数字ではございません。もう一回調べてみますけれども、そういった点は御了承いただきたいと思います。先ほど私が申しましたのは、一応初任給が一万円ということで、いわゆる数理的な試算をやってみますと、改正後の厚生年金は、現行農林年金よりも、むしろ若干悪いのではなかろうかということを申し上げたのです。ただ、御議論がございましたが、厚年の平均給与ベースと農林年金の三十何万人の平均給与ベースと、一体どちらが高いのだという問題の比較がありますけれども、これも機械的に比較することはいかがかと思います。ただ、当然に改正後の厚年が現行農林年金よりもよくなるというふうには、私どもは必ずしも考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/38
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039・湯山勇
○湯山委員 それは承っておきます。というのは、この資料も不備な資料しか出ておりません。せっかく政府からいただいた資料ですから、それについて議論したいのですが、残念ながら、資料が不備で御検討するということですから、やむを得ません。だから、その議論は議論にしないことにします。
それから、厚生年金のほうが悪いのではないかというその前提も、初任給一万円というような仮定をするからそうなんで、農林年金は初任給一万円にはなっておりません。先般、農林大臣も御出席の本会議で、池田総理大臣は、十八歳一万二千円だ、最低賃金なんか言わなくても、十八歳一万二千円だと言われたのを、大臣もお聞きになったと思います。とんでもない、そんなところに行っていないのです。むしろ、平均がそれを若干上回るというのがいまの状態なんで、そういう前提を違えて議論するから、いまの局長のような議論が出てくるわけで、それはそれで承っておきます。大臣が言われたように、運が悪いのだ、確かにそうなんです。よくなるのに常にはずれていくようなところに置かれておる人が、この改正を待って退職する、それに該当しておる。このことは、大臣もいま確かにそうだとおっしゃったとおりなんで、それをほっておくという手は私はないと思います。これは政治を預かる責任者として、そういう人をほっておくという手は私はないと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/39
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040・赤城宗徳
○赤城国務大臣 政治的といっていいか、社会的というのか、社会的には全く考えなければならぬ問題だと思います。しかし、実施面においては非常に困難だと私は考えております。そういう考え方のもとでなお検討してみなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/40
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041・湯山勇
○湯山委員 私がこういうことを申し上げますのは、たいへん失礼ですが、制度によって大臣が動かされるのではなくて、大臣が制度をつくっていかなければならない。むしろ、喜んでおる人よりも、そういう何かで不しあわせになる人、損をする人を見てやるというのが——たいへん言い過ぎですが、お許し願って、気持ちだけ申し上げたいのは、それをそうならないようにしてやっていただくということが、私は本来大臣にお願いしたい点だと思います。それを、運が悪いのだ、気の毒だけれども、しかたがないと言われる。しかし、方法はほかにないことはないのです。実は、私どもの出しておる法案も遡及適用はしておりません。非常にこれは残念なことですが、昨年の夏、この案を考えまして、その当時の勢いから見て、もう少し待たなければならぬのではない、そのかわり、最低額を九万六千円にしてあります。そういうことで救う道もあるのです。それから私どもの案は、それと同時に、最低保障額については、五%以上の経済情勢、物価等の変動に対してスライド制を考えております。そうすれば、政府は、今年度消費者物価は四・八%で押えると言っておりますけれども、まず五%と見て、当然一年以内には改正できる、そのときに、全体的な給与の状態、標準給与のあり方、それから給付のしかた、それから遡及適用、大臣の言われた、その気の毒な、運の悪い人を救う道、それを一年以内に救済していく道を考えていこう、こういうかまえをとっておるので、かりに遡及しなくても、これを救っていく道はあるのです。それについては、そういうことは当然考えられてしかるべきだと思いますが、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/41
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042・赤城宗徳
○赤城国務大臣 厚生年金等でもいろいろ改定になろうかと思いますが、そういう関連において、最低保障額というもの等につきましては、厚生年金がもし法律改正になった場合、なお考えられることがあると思います。ただし、遡及の原則といいますか、これは先ほどから申し述べましたように、法律では、いずれも不遡及が原則で、ほとんどもとへ戻ることはございません。たとえば給与等におきましても、これは経済問題でございますが、給与が上がったからもとへ戻って、その給与の不足払いといいますか、遡及して払うというような制度はないと思います。ことに年金の基本原理というものがよくいわれておりますが、収支相等ということで、社会党の案でも遡及はしておらぬということでございますが、負担した掛け金と給付が見合ったものというような、保険理論といいますか、保険計算といいますか、そういうものから成り立ってきておると思います。保険数理といいますか、保険の数字上の問題は、なかなか私ども理解しにくいようないろんなテクニックがあるようでございます。そういう点から考えましても、遡及するということは、私は、やはりほかとの関係、全体の関係があろうかと思います。いろいろな給与面等における作用、連鎖といいますか、そういうことでございますので、遡及したからこちらも遡及しなければならぬというふうには私は考えておりません。ただ、いまお話しのように、基準のとり方によりますけれども、厚生年金で非常に給付が上がってくる、今度の法律の農林年金の恩恵にも浴さない、こういう立場の人についてどういうふうに考えるかということでありますると、私もそれは相当考えなくてはならないと思いますが、それを遡及によっていくというようなことは、私はできかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/42
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043・湯山勇
○湯山委員 大臣、ちょっと感違いしておられます。遡及というのは、大臣は、給料が上がったから、じゃ、過去にさかのぼってそれを追給するか——厚生年金はそういうことまでやろうとしておりますけれども、いま申し上げておるのは、そういうことじゃありません。申し上げておるのは、大臣の年金です。私どもの年金。これは発足当初は歳費が七万八千円だったかと思います。そこで、七万八千円の期間は七万八千円で計算する、十三万五千円になったときは十三万五千円で計算する、十八万になっている今日は十八万になってから計算する、そういうことにはなっていないのです。現にそのときに在職しておった者、それはいまのその期間に対して適用する。だから、今日十年になっている人が議員をやめれば、大体原則的には十八万円の三分の一、こういう年金が受けられる。これは遡及というのではなくて、現に切りかえのときに在職しておる者、その者については新法を適用する、こういうことなので、給料がベースアップしたから過去に低かった分もまた上げい、こういう遡及はできません。それは困難だ、それはできないということはいいのですけれども、現に国会議員に対してなされているように、あるいは地方公務員、国家公務員についても、前歴についてはみなそういうことがなされております。大臣は当時文部省に御関係になっておられましたから、御記憶かと思いますけれども、学校看護婦というようなものや実習教室というのがございました。それらの人は対象になっていなかったのを、年数を通算して、その切りかえの時点において在職しておれば、過去そういう適用にならない職種であった期間も適用期間に入れる、こういう遡及はなされております。ですから、いまこの新しい法律が施行されるときに、現に非組合員であった者についても新法を適用する、これは一つの常識です。決して非常識なやり方ではありません。それをやっていただくようにしてもらいたい。私どもも、それはやらなければならない、社会党もまたそれをやらなければならないという考えには立っておるわけで、大臣の言われる遡及というのと概念が違いますから、重ねてお伺いするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/43
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044・昌谷孝
○昌谷政府委員 大臣のお答えになります前の整理というようなことになろうかと思いますが、ちょっと整理をさしていただくという意味で申し上げさせていただきます。
大臣が先ほどおっしゃいましたのは、湯山委員が、最低保障額については、過去にさかのぼってかんぬきをはめるという点については、最低保障額の額そのものは御議論のあるところかと思いますが、今回お願いをしております政府の改正案におきましても、最低保障額でかんぬきをはめるということは、旧法、新法にかかわらず意図しておるわけでございます。その点は、先生御提案のものと、趣旨としては変わっておらぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/44
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045・湯山勇
○湯山委員 旧法にはないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/45
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046・昌谷孝
○昌谷政府委員 最低保障額は、もちろん今度初めてできた制度でございますから。
そこで、旧法期間を旧法ベースで計算することによって、新法ベースの最低保障額以下になるようなケースが出てきた場合には、最小限度最低保障額は保障するということは私どもも考えておるわけです。ただ、その最低保障額の実額は、これも大臣がお答えになりましたように、現在の国公法なり私学のベースで、政府案の最低保障額はできておりますから、この点は、厚生年金法で最低保障額がもし大幅に上がれば、私のほうもそれに応じて改定をしなければならないかということで、いま関係各省の間で検討を進めておるわけであります。その点、いわゆる遡及ということはむずかしいけれども、最低保障額という制度を新しく組み込んだことによって、遡及ではないけれども、最低保障額以下の年金というものはなくなるという点では、やや御趣旨に沿っておるのではなかろうかということを大臣はお答えになったわけでございますから、必ずしも先生の御指摘の点とそれほど食い違ってお答えになったのではないと、私はここで聞いておりまして理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/46
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047・湯山勇
○湯山委員 大臣がいまのような御趣旨でおっしゃったのなら、そこまでは認めます。認めますけれども、それだからあとの遡及はできないのだという説明が、私は、大臣のお考え方が違っておるから申し上げたのです。
それから、いまのようにおっしゃるならば、当然最低保障額は遡及するわけです。最低保障額は遡及する、この考え方が実はおかしいのです。さっきのように、給料が上がった、その給料をさかのぼって適用するというのと同じなのです。そうじゃなくて、制度を、その改正の時点において、現に被保険者である者について適用する、これはあたりまえなんです。むしろ、そのほうがあたりまえです。ですから、最低保障額については遡及を認める、ただ制度については認めない、これがおかしいのです。給付の条件というのは、法律施行以後にできるものだから、法律施行以後、給付条件のできたものにその法律を適用する、そこには何の矛盾もないのです。むしろ当然なのです。だから、この点は、大臣は、遡及と言っても、さかのぼってベースアップになった給料を払えというのではなくて、施行以後のものについて本法を適用する、施行以後の退職年金について新法を全面的に適用するのだ、こういうことで、ほんとうは遡及という意味じゃないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/47
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048・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ほんとうは遡及という意味でないと思います。私が遡及という意味を申し上げたのは、さっきのように、給料が上がったり、あるいはまたいま例に出されましたが、私も出したことがありますが、養護教諭の恩給を私が法律で提案したときに、そういう例はないというわけで、資格がないときが非常に困難だったわけです。そういう遡及で、いまの給付基準が、たとえばさっきお話がありましたが、五年たって、十五年間は厚生年金であった。厚生年金のときまでいまの基準でずっと計算するということは、遡及的なことになって困難になる。ただ、最低保障額、現在の基準が変わった、その変わったよりも低いという場合には、そこまで持ってこなければならぬという、政策的といいますか、これは遡及という意味じゃなくて、社会保障制度的な政策的な問題として、それ以下であってはいかぬという最低保障額であるならば、これは適当に考えられるべき問題ではないか。ですから、厚生年金等においてそういうことがきまれば、私は、そういうふうにそろえていくというのは、わりあいにやりいいのじゃないかと思います。現に、実は今度の案にあるということでございますが、それは遡及という意味でなくやる、こういうふうに考えておりますが、さっき私が申し上げたのは、全部の前の厚生年金期間の分の計算なども、今度改正したものの計算でやっていくということは遡及になる、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/48
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049・湯山勇
○湯山委員 そこで、大臣は、新しい法律も、それから現在どういうふうにしておるか、厚生年金をどうしようかということについての御理解が、率直に申しましてまだ十分でないと思います。しかし、いま大臣が言われたように、学校看護婦を養護教諭として、その無資格の期間も入れた、そういうことをおやりになった大臣ですから、そういうことに対する御理解は早いと思います。そのときも非常に困難であったのに、大臣はずいぶん御努力をなさっておやりになったのですから、今度は、特にこの法律については生みの親であって、しかもたまたまめぐり合わせて、今回もまた主務大臣をおやりになっておる。非常に深い御縁があるのです。この年金がよくなるかならないかは——名前をつければ赤城年金と言ってもいい。赤城年金がよくなるかならないか、喜ばれるか恨まれるか——ほんとうにこのままだったら恨まれますよ。それは一に大臣のお心がまえによるところです。いまの問題は遡及できないとか、あるいは厚生年金がどうなったらどうなるのだという、そういう事務的なお考えではなくて、ほんとうに愛情のある、責任者である大臣としてのお考えで、この前おつくりになったときのああいう情勢で、だれが何と言おうとこれはやるのだということで、ひとつ臨んでいただきたい。その御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/49
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050・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御意見はよく承知しておりますので、それでどういうふうにするかという問題は、提案の線に沿うてやっていくわけでありますが、なお勉強も少し不足のようでございますので、勉強してきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/50
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051・湯山勇
○湯山委員 この問題は、大臣にもう少しお調べ願った上で、私はあらためてお考えを伺いたいと思います。
そして、ひとつともに喜べるような状態にしていただきたいと思うのですが、さきにおっしゃったように、もう一つ、その前提になるのは、これらの農林水産団体の職員の給与の問題です。最終五年の平均を三年の平均にされたという御努力は、私どもは非常に敬意を表しておるわけですが、しかし、幾らそうなりましても、さっき大臣がたまたま以前の堀木厚生大臣と同じような言い方をなさったように、もとになる給与がよくならなければ何にもならない、また、この人たちがそうならなければ安心して仕事ができない。こういう人たちが国の仕事をずいぶんたくさんやっておることは、一々数えなくても、大臣御存じのとおりであります。そこで、その給与をよくするための御努力、これは一体どういう御努力をしていただけるのか、なさったか、こういうことについて伺いたいのですが、その前提として、局長にお尋ねいたします。
こういう団体で、給与規程のあるのが何割くらい、給与規程のないのがどれくらい、給与規程は持っておっても、その給与規程どおり実施していない、そういうのがどれくらい、おわかりでしたら、ひとつお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/51
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052・昌谷孝
○昌谷政府委員 実は五年を三年に短縮いたします際に、ただいま御質問の点が非常に問題になったわけでございます。その当時、十分な資料ではございませんでしたが、三十六年ごろの資料でございましたが、農協だけについて申しますと、給与規程のありますものが約六割でございます。六二%というのが、農協の中で給与規程を定めておる農協でございます。それからそのうちで、規程どおりに支給が行なわれておるというふうにいわれておりますものが四割弱、三八%何がしというような姿でございます。
なお、これを農協以外の加盟団体にまで広げての調査は、十分な調査がしてございませんけれども、当時議論いたしましたころの記憶では、農協以外の土地改良区その他を含めて言いますと、団体の数にいたしますと、給与規程を定めておるものは全体の四割程度であったように記憶いたしております。
なお、蛇足でございますが、確かに年金の給付内容をよくしようと思いますれば、やはりもとになります給与の問題が大事であることは、お説のとおりと思います。そういう点から、一般の経済情勢がよくなるのを待つというのでは十分でございませんので、先生御承知のように、農協あるいは農協以外の団体等につきましても、極力合併の推進をやっております。合併の一番直接的なプラスの面は、そういった合併をすることによって、職員の給与の改善かできて、あるいは質のいい職員が確保できるようになるということにあることも、先生御承知のとおりであります。そういう方向で、私どもとしてはそういう角度からこの給与の改善をさらに進めてまいりたいと思っております。現状では遺憾ながら、厚年の平均ベースよりも、農協の平均ベースのほうが低いようでございます。その辺のところは、経済の実勢としてやむを得ないと言えばそれだけのことでございますが、私どもとしては、合併の促進等によって早急に改善をはかってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/52
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053・湯山勇
○湯山委員 そこで、大臣、いま局長から資料を御提示いただきましたように、農林漁業団体の平均給与は厚生年金の平均給与よりも低い。こういうことが一点と、それからそういう状態にありながら、給与規程があるものが四割くらいしかない。一番整っている農協で六割程度、しかも給与規程を持っておっても、そのとおり実施されていないものが、そのまた四割ですか、結局、四分の一ないし五分の一しか給与規程を持ってそれを実施しているという団体はない、こういうことになりますね。つまり、給与規程を持っておるものが農協で六割、それから給与規程どおり実施しているものがその中の四割。四、六、二十四でしょう。いまの説明ではそうでしょう。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/53
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054・昌谷孝
○昌谷政府委員 私、申し上げ方が十分でございませんでしたけれども、給与規程を定めてある農協が、調査農協全体の中の六二%強でございます。それから給与規程どおり支給しておる農協の数は全体の三八・九%、四割足らずということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/54
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055・湯山勇
○湯山委員 そうすると、一番整っている農協で三分の一程度が給与規程どおりやっているが、三分の二は野放し、こういうことですね。これはいいんですか。——そうすると、整っている農協でそういうありさまですから、他のものは推して知るべしであって、そういう状態では、大臣が言われたように、給与の改善ということが先決問題だと言いながら、厚生年金よりも平均給与は悪いし、規程も整備されていない。これで一体ほんとうに職員の生活を安定させ、安んじて働く、そういうことができるかどうか。それについて農林省として、大臣としてどういう対策をお持ちになるか。ただ単に農協合併を進めていくんだ、あるいは漁協の合併を進めていくんだ、あるいは森林組合の合併を進めていくんだ、それだけでは、あまりにも距離が遠過ぎると思います。どうやってこれをよくしていくか、それについて具体的なお考えがあれば伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/55
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056・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いま局長からも合併ということを申し上げましたが、要するに、その考え方というのは、経営がよくならければやはりベースもアップできない、こういうことだろうと思います。そういう意味におきましての一つの手段としての合併ということを申し上げたと思います。でございますから、根本的には、経営がよくなるように、政策においても指導の上においても、していくということでなければならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/56
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057・湯山勇
○湯山委員 それについての何か具体的な対策をお持ちでしょうか。これは、いまこういうことを申し上げるのは、同じような議論が六年前になされております。特に団体の中には非常に弱いのがたくさんある。開店休業、休眠しておるものも相当あるし、極端に言えば、連絡先不明のものまである。それらのものを、年金制度を発足させることによって把握して、それをよくしていくのだ、こういう約束が実は三十三年になされておるわけです。そのなされた約束に対してどういう手をお打ちになったか。ただ単に合併を促進したというだけなのかどうか。それで十分だとお考えになったかどうか。あるいは今日までは不十分であったけれども、今回いまのような調査を昨年までかかってなさった。その調査に基づいて今後はこうやっていくのだ、こういうものを承りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/57
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058・赤城宗徳
○赤城国務大臣 具体的にどうこうと言われましても、いま申し上げるようなあれはありませんが、たとえばことし農業倉庫等の手数料、保管料等を直していくことにした。これは積極的ではございませんが、そういうものが低いために経営が困難だという形から、これを改めたいということも一つの手だと思います。あるいはまた農業団体、たとえば農協なら農協の地区的合併ばかりでなく、非常に農業団体が多いのでありますが、こういう農業団体の末端における統合ということなども考えていくべきじゃないか。そういうことによって経費も節約できる、一面において経営もよくなっていくし、地域農山漁村民のためにもなるということも考えていかるべき問題じゃないか。具体的にどうこうということでございますると、農林政策のいままでやっていた中でこれとこれとこれというふうに言えば言い得ないわけでもありませんけれども、適切にこのことだけやった、こういう何かを取り上げて、そのために給与をよくするような方法をとったという、ずばり一つで言えるようなものは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/58
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059・湯山勇
○湯山委員 そこで、当初、発足の当時は、これで厚生年金から独立すればいいのだ、それでよくなるのだということであったのが、今日逆になっている。平均給与さえも厚生年金の平均給与よりも低くなっている。そういうことで明らかになりますと、これは何とかしなければならないのじゃないか。いままではそれで何とかいくだろうということで、間接的にいろいろやってこられましたが、直接何らかそのための対策をお立てになる、あるいは御検討になる御用意がおありになるかどうか。いまの実態をごらんになって、これじゃほっておけない、何か具体的な対策を立てていこう、あるいは指導によって給与規程を整備させる、つくったものならば実施させるように指導していく、こういったようなことは、これは積極的になれないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/59
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060・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは団体の内部の整備の問題でございますが、やはり内部の整備については、できるだけ整備した基礎を持っておるということも必要でございます。そういう点につきましては、その当時からも、給与規程などを設けなくちゃならぬということも、大いに奨励というか、指導しておったのでございます。そういう点は、なお十分しっかりした給与規程を持つように指導はいたします。別にそれで給与がすぐよくなるとは思いませんが、そういう基礎はやはり必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/60
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061・湯山勇
○湯山委員 厚生年金の適用団体、それと農林漁業団体とで、そういう給与の開きが出てきた。一方はよくなっていき、一方はあまりよくなっていかないという、その原因はどこにあるか、こういうことについてお考えになったことがございますか。局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/61
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062・昌谷孝
○昌谷政府委員 私どもの農林年金は、御承知のように、三十二万人と一応言っておりますが、厚生年金は、御承知のとおり、ありとあらゆる企業を包含しております。中には、中小企業で、農協よりも給与水準の低いものもたくさんあるわけでございますけれども、しかし、相当大型の企業が入っておるというような関係で、平均ベースとしてみますると、厚年のメンバーの一人当たり平均ということになれば、おそらく月額二万円近いものであったように思います。それに対応した年度の農林年金での月額は一万五、六千円であったかのように記憶いたしております。
そこで、比較的私どものほうは連合会と単協との間では格差がございましょうが、主体をなします単協はそれほど開いたものではない。厚生年金のほうは、その意味では、企業間格差、地域格差は非常に極端にあるわけであります。必ずしも、平均と平均とを比較して、農林団体がこうだからということでは即断できないと思いますけれども、やはりその点が年金給付の低い一番のもとになっておることは、御指摘のとおりでございます。私どもとしても、やはりこの際、一番目に見えて効果のあがりますのは合併でございますから、当面合併助成法の期限内に合併を極力推進するように、今後も一そうの努力をいたしたいと思います。
なお、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、厚年と私どもの年金との年金の仕組みとしての優劣は、先ほど私が、初任給一万円で比較をしてみれば、改正後の厚年と現行の農林年金とでは、現行の農林年金のほうが、年金のメカニズムとしてはむしろ手厚いんだということを申し上げたわけでございます。そこで、そういう年金のメカニズムを比較するということになれば、両方とも一万円初任給でおいて比較するというのが一応の比較でございますから、それでおわかりいただけると思います。ただ、実際の給与ベースが、平均では農林年金のほうが低うございますから、給付額は必ずしも具体的にはよくないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/62
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063・湯山勇
○湯山委員 実際はもう少し法律の内容にわたって基本的な問題をお尋ねしたいのですけれども、もうお昼も近づきましたので、大臣に二点だけ簡単に伺います。
一つは、この切りかえによって不利になる面があれば、これは既得権というものは尊重してやらなければならないと思います。そこで、これによって、法律改正によって実際に不利になるというものはなくするように措置されなければならないと思いますが、いかがでしょうか。ごく簡単な問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/63
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064・赤城宗徳
○赤城国務大臣 この改正によって不利になるというようなことは、これは除去していくべきだと思います。どういう点があるか、私はまだよく知りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/64
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065・湯山勇
○湯山委員 それは退職一時金ですね。これの計算がわずかなことですけれども、そして少数ですけれども、やはり一番大きいのは、日数にして十五日分くらい悪くなるのがあります。これは計算のシステムが変わるためなんで、そういうのについては、悪くならないように大臣が措置していただく。ごくわずかですから、これは御了承を得たものとして、次に進めていきたいと思いますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/65
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066・昌谷孝
○昌谷政府委員 重要な御質問でございますから、私のほうで……。(「大臣に答弁を求めているんだ」と呼ぶ者あり)私どものほうで、御質問の趣旨を取り違えてお答えしては申しわけございませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/66
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067・湯山勇
○湯山委員 ちょっと待ってください。実は局長、大臣が内容をよく御存じなら、私もっと詳しく聞くのです。しかし、あまりこまかい内容を御存じないから、そこでいまのように原則的なことで、そういうことはないようにするということでいいわけで、もし局長がまた内容について言われるなら、こっちもまた内容について一々聞かなければならないのです。とにかく実際に何日分か損をする者があるのです。それだけはそういうことにならないようにする。そうしなければ、これはおかしいのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/67
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068・赤城宗徳
○赤城国務大臣 不利におちいるような例、私も実際承知してないのです。承知しておりませんが、いま御指摘のような点などは検討いたしまして、不利におちいらないような措置をとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/68
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069・湯山勇
○湯山委員 一つのことはそれでけっこうです。
それからもう一つは、これはやはり大臣のお考えを伺いたい点ですが、厚生年金のほうの組合員は、組合をつくって組合活動で、みずからの力で相当給与をよくしておると思います。ところが、この農林漁業団体というものは、なかなか組合等もつくりにくいというようなことから、あるいは組合をつくることに対して、ところによると圧迫等があるというようなこともありまして、そういうことも、一つは、給与規程ができないとか、あるいはできた規程が実施されない要素になっておると思います。そこで、農林漁業団体の労働組合について、大臣はどのようにお考えになっておられるか、これをひとつ最後に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/69
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070・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは、農業団体だから特別に扱いを異にすることはないと思います。一般的な組合としての活動、こういうことで差しつかえなかろうと思います。そういう場合には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/70
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071・湯山勇
○湯山委員 という意味は、普通の場合の普通のことでなくて、いまのように非常に給与の条件が悪い、規程ができないのがたくさんある、それからその規程が実施されてないのがたくさんある、こういうことでございますから、そういう健全な組合を育成していくというようなことについて、もう少し農林省としても力を入れてはどうだろうか。それも、いまのように合併を促進すること以外に、自分たちの手でそういうことをやっていく、これも必要なことじゃないかと思いますので、御所見を伺うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/71
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072・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは農林省としては、中立的な立場をとるよりほかないと思います。干渉をして弾圧をすることも、これはたいへん悪いことでございまするし、また、特に育成するということで力を入れるということもどうかと思います。要するに、団体の関係は、先ほど申し上げましたように、経営の問題と非常に関連が多いので、いかに給与を上げようとしても、経営がまずいということになると、限度があります。そういう面もありますので、この点につきましては、いまの中立的な立場をとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/72
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073・湯山勇
○湯山委員 もし組合結成に対していろいろ妨害するとか、弾圧するとか、そういう事例があれば、それに対していろいろ御指導なさる。つまり、中立的であって、それを妨害するとか、弾圧するとか、そういうことがあれば、それはいけないということについては、何らかの対策をやっていただく、こういうこととただいまの御答弁を受け取ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/73
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074・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そういう具体的な事態がありますならば、それに対処していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/74
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075・湯山勇
○湯山委員 実はもっと中身をお聞きしたかったのですけれども、きょうはあまり中身に触れないで、時間がきましたので、いまの切りかえ、それから不運な人と大臣が言われた、それをどうするかの問題、それから整理資源率については、大臣は今度処置をしておるのだということですが、これは、ぜひひとつそうしていただく、それから不利な者はなくする、それから健全な組合育成を阻害するようなものがあれば、それについては善処する、こういうことを御答弁いただきましたので、それについて、なお機会を見て、残っておる問題をお尋ねいたしたいと思いますが、この次には、大臣も、それはこうだというはっきりした御答弁がいただけるようにお願いいたしたいと思います。
ではこれで一応終わることにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/75
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076・赤城宗徳
○赤城国務大臣 整理資源率は、当時のものは今回もそのままでございますが、今回の改正に伴うもの、これは国庫補助の対象とすることになっております。こういうことになっておりますので、私が勉強不足での答弁はひとつ訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/76
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077・湯山勇
○湯山委員 それを訂正されるとたいへん困るのです。整理資源率というのは、当然やるべきでないものをやっておるのです。私立共済にもありません。国公、地公にもありません。厚生年金にはもちろんありません。残ったのはこれだけなんです。そして、それについては、この前のときにも、一四%何がしというものは未来永遠にわたって背負っていかなければならない、こう言っておるのです。未来永遠といったら、とにかく何百年、何千年とこれを背負っていかなければならない。こういうことについては率直に妥協した、しかし善処するのだ、こういうことを答弁しておるのです。未来永遠にわたってこんなものを背負っておるのは農林年金だけなんで、そのときはとりあえず発足させなければならないというので、承知したのですが、これが今度の場合、大臣が言われたように、この一四%何がしというものはやはり未来永遠に残っていくわけでしょう。このままだとそうなりましょう。そこで、いま整理資源率について大臣から補足の御答弁がありましたけれども、これはとうてい了承できないので、これは留保させていただくことを委員長においても御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/77
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078・高見三郎
○高見委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時三十五分休憩
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午後二時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/78
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079・高見三郎
○高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
ただいま審査中の内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案並びに湯山勇君外十一名提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案、右両案の審査の参考に資するため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/79
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080・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
なお、参考人の人選並びに意見取聴の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/80
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081・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/81
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082・高見三郎
○高見委員長 この際、両案の関係資料について、政府委員から説明をいたしたいとの申し出があります。これを許します。昌谷農政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/82
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083・昌谷孝
○昌谷政府委員 お手元に差し上げました改正法律案に関する参考資料につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
最初の資料は、一ページから三ページにわたって書いてございますが、今回の農林年金の改正は、午前中も申し上げましたように、国家公務員あるいは地方公務員、私立学校教職員共済組合、これらの職員共済組合と、発足以来均衡をとりたいということで進んできたわけでございます。これらが先般すでに一段階進みましたので、私どものほうも、まずそこのところまで、均衡のとれるところまでこの際早急に手直しをいたしたいということでお願いをいたした改正でございますので、それとの比較で現在がどうなっておるか、あるいは改正法でどういうふうに考えておるかということを見ていただくためにつくりました資料でございます。
一番下が現行法、農林年金の現行の内容でございまして、下から二番目が現在御審議いただいております改正案の内容とするところでございます。したがいまして、この下から二段目の改正案の内容を中心にしながら、上下の関係を見ていただきたいと思っております。
まず、適用対象、これは今回の改正では従前と変わっておりません。任意継続組合員制度があるという点が、私どもの制度の一つの特色であろうかと思います。
それから、その次の給与の定義と幅でございます。いわゆる標準給与の月額でございますが、従来は下限が三千円、上限が五万二千円になっておるわけでございます。ところが、ごらんいただきますように、国家公務員が十一万円、私学が下限が八千円、上限が七万五千円、これらはそれぞれの背景をなします教職員なり公務員なりの実給与の実態を反映して、こういう上限、下限ができておるわけでございますが、農林年金におきましても、制度発足以来今日まで、平均でおおむね四七%程度の給与の水準の上昇が見られておりますので、それらを考慮いたしまして、引き上げをはかったわけでございます。下限を六千円、上限を七万五千円と置いたわけでございます。なお、これらは、公務員につきましては、全国一本の統一的な給与の基準がございますので、本俸だけで年金の対象にしておりますが、私学及び農林年金におきましては、諸手当その他全部をひっくるめて給与を定めるというふうにいたしております。それらは給与規程の整備の問題とも関連する問題でございます。
それから給付の種類でございますが、上の三つは、長期給付のほかに短期給付を兼ねてやっております。農林年金は長期給付だけを取り扱っておりますことは、従前どおりでございまして、短期給付は従前から健康保険等を活用しておりまして、特に短期を入れることによって組合員に有利になるという点もそうございませんのと、むしろ混淆いたしますので、従来どおり健康保険で短期は扱うというふうに処理をいたしております。
それから給付計算の基準でございますが、これは、国家公務員、地方公務員は、最終給与からさかのぼりまして三年間の給与の平均をもって基準といたしております。私学はその点が五年の平均でございます。それに対しまして農林年金は、現行法ではやはり最終の五年間の給与の平均をもって平均標準給与とすることにいたしております。この点はやはり給与規程がないとかいうことが一つの要因になるわけでございますが、今回の改正案におきましては、組合員の皆さまからも非常に強い御要望がありましたので、平均標準給与の計算のしかたとしては、私学が五年であるにもかかわらず、農林年金のほうは三年で計算をするということにいたしました。このことは、もちろん算式の中の一つの要素にすぎませんから、ここが上がりましただけで直ちに当然に給付の内容がよくなるというわけではないので、掛けます率その他で最終的にはきまるわけでございますが、率その他が同じであるとすれば、やはり五年を三年に縮めたことによって、新しい、なるべく高くなった時点だけをとるという意味では、給付内容の充実に実際問題としては役に立つ改正でございます。
なお、厚生年金は、この関係は、むしろ収支相等原則を強く確保するという趣旨で、全就業期間の平均を採用することになっております。あるいは年金の理論からいえば、厚生年金のそのやり方のほうがすぐれておるというふうにも考えられないことはないわけでありますが、一応私どものほうは国家公務員にならって三年としたわけでございます。
次に、給付の種類別の内容でございますが、まず退職年金であります。退職年金につきましては、退職年金の資格要件のうちのまず年数の点は、従前どおり二十年ということで、変更はございません。それから支給開始年齢につきましては、従前どおり五十五歳ということになっております。この点は、他の年金制度と同様でございます。ただ、国家公務員、地方公務員及び私学につきましては、ここにカッコで書いてございますような減額退職年金の制度がございますが、農林年金についてはそういった制度は設けておりません。この点は、農林年金の組合員の年齢構成の実態、それから各団体の定年制のあるなし、あるいは定年があるとしてもその定年を何年で引いておるかというような点で、これの実益のあるなしがきまってくるわけでございますが、農林年金につきましては、いまの数点を検討いたしました結果、しいて負担率を上げてまで減額退職年金制度を設ける必要もなかろうというふうに考えた次第でございます。
それから次に、年金額の算定の基礎になります率その他でございますが、現行法は一年について四カ月分、これを百分比にいたしますと、百分の三十三・三というのが基本的な年金の率になります。それに二十年をこえる一年について四日分、つまり百分の一・一あるいは三百六十分の四ということでございますから、九十分の一と言いかえてもよろしいわけでございますが、これが、二十年をこえる一年についてつくわけでございます。それから最低保障額あるいは最高限度というものは、従前の年金制度にはなかったわけです。それに対しまして、他の制度はここで書きましたように、国家公務員は、まず二十年の場合の基本率が百分の四十、年々の加給率が百分の一・五、最低保障額が三万五千五百二十円、最高限度は百分の七十ということになっております。私学は最高限度が百分の六十ということになります。今度の改正案におきましては、おおむね私学の水準にならって引き上げをはかったわけでございます。つまり他は全部同じでございますが、最高限度につきましては、私学と農林年金とはともに百分の六十を最高限度に置いたわけでございます。この百分の六十と百分の七十の関係は、やはり保険設計にも影響があることでございますが、頭打ちがないほどいいといえばいいわけでございますが、農林年金の実情から申しますと、百分の六十の頭打ちの制限を受けますのは、三十四年以上つとめた方がこれの影響を受けるというふうに考えられます。それで、発足後日も浅うございますのと、厚生年金から引き継ぎましたものを考えましても、いまのところ、実を申しますと、最高限度で頭打ちをしそうな問題は、具体的には発生いたしません。かなり将来のことになりますのと、それからこれはだんだん改まるでございましょうが、農林年金の組合員の勤続年数が、先ほど申しました三十四年というようなのは従来ではないわけであります。それらを考えまして、私学が百分の六十でもありますし、それから保険設計にも影響があることでもございますので、この際はむしろ百分の六十でとどめても実害が乏しいという判断で、百分の六十ということにいたしたわけでございます。
それから次のページにまいりまして、退職一時金の内容でありますが、退職一時金につきましては、本来今度の改正案は、全く国家公務員、地方公務員、私学共済、その三者と歩調をそろえたわけでございます。従前と変わります点はまず資格要件のところで、従前は六カ月以上の者で二十年未満の者が退職一時金の支給対象であったわけです。六カ月以上と申しますのは、厚年から分かれました当初は、どの年金もみな六カ月以上ということで線を引いておったのでございますが、本来年金制度のねらいが、安定した勤続年数と申しますか、長期勤務を誘導するのが目的の制度でもございます。そこで、今日の情勢から見て、六カ月しかつとめなかった方、要するに、一年未満でやめられた方にまで一時金を出す必要があるかどうか、やはり社会保障的性格及び雇用の安定ということをねらった制度でありますれば、他の三つの制度がすでに先んじて一年以上ということに改正をしておりますので、農林年金におきましても、この三つの先行いたしました各種年金が、一年以上を一時金の支給対象としておりますのにならったほうが、むしろ今日の段階ではよかろうというふうに判断をいたしまして、一年以上の者を退職一時金の対象とることにいたしたわけでございます。ただし、現在たとえば、六カ月以上でやめれば、一年以上でなくても退職一時金がもらえるということで期待を持っておられる方に、この改正と同時にその期待を裏切るようなことをするのもいかがかという判断で、附則の経過規定におきましては、現に新法施行の際六カ月つとめておられて、新法施行後通算一年未満でやめてしまわれる方には、旧法のとおり、一年未満でも退職一時金を差し上げるという経過措置を講じております。今後の雇用者については、少なくとも一年以上はつとめていただいた方を一時金の対象にいたすという趣旨でございます。
なお、給付金額の点では、日額最低二十日、最高五百十五日ということになっておりますが、これは従前の最低十日、最高四百八十五日分、給与日額のそれだけ分というのを、他の年金制度と同じようなところまで引き上げた次第でございます。通算退職金の支給に充てるための留保額を控除いたします点は、従前どおりでございます。
それから障害年金の関係でございますが、まず資格年数から申し上げますと、資格年数では上の三つの年金と全く同じでございます。現行法と著しく趣を異にいたします点は、現行法は、障害年金につきまして、職務上、職務外の区別を設けておりません。これはあの当時の状況として、発足を急ぎました関係上、やむを得ざる措置であったかと思うのでありますが、今回、この関係は、やっと他の年金と同様、職務上のものと職務外のものとに区別をして、職務上のものについては、かなり手厚い給付内容ということの実現を見たわけでございます。そこで、職務外を六カ月以上を一年以上といたしました点は、先ほど退職一時金について申し上げましたと全く同じことでございます。
それから廃疾の状態につきましては、職務上、職務外とも一級から三級に分けております。現在の現行法では、職務上、職務外の区別もないと同時に、この等級は一級、二級の二段階だけで、かなり大ざっぱな障害年金でございましたのを、やや精緻なものにいたしたわけでございます。
それから、ここに書いてございます「職務外傷病は組合員となって一年以上を経過した後のものに限る」という点は、今回新しく他の年金制度にならって加えた要件でございますが、これは職務外傷病につきましては、特に内疾患が対象になる場合が多いわけでございますが、これらは雇用関係に入ります前、あるいは組合員関係に入ります前に、すでに持っておりましたそういう傷病を、年金関係に持ち込まれることを避けたい、つまり、そういった事故の持ち込みをなるべく避けて、組合員関係になってからあとで発生をした傷病になるべく限定をして、この年金の対象にいたしたいということで、他の三つの年金でそういう制度をとっております。それにならって農林年金でもそういう制限を置いたわけでございます。
それから年金額でございますが、国家公務員のところに書いてございますのが、農林年金の改正案でも考えておる内容でございます。
職務上につきましては、一級、二級、三級ごとにそれぞれ給与年額の百分の八十、百分の六十、百分の四十。それから職務外につきましては、一級、二級、三級ごとに百分の五十、百分の四十、百分の三十というのが基本的な率でございます。これは一番下にございます現行法では、一級が百分の四十一・七、一年につき五カ月分という表現になっております。それから二級が一年につき四カ月分、率に直せば百分の三十三・三ということになろうかと思います。これを先ほど申し上げましたように、国家公務員の場合と同じように直したわけでございます。かなり上がるわけであります。
それから二十年以上たっておられます方については、一年について百分の一・五加給がある。二十年未満十年以上の方については、一年につき百分の一の加給があるという関係でございますが、この関係は、職務上の障害年金につきましては、二十年以上の場合だけ百分の一・五の加給があるわけでございますが、職務外の場合には十年以上でありますと、百分の一の加給をつける。それが二十年以上の勤続者であれば、百分の一・五の加給をつけるということになっておるわけであります。
それから最低保障額は、職務上、職務外を通じまして、一級の場合四万七千五百二十円、二級が三万五千五百二十円、三級が一万九千八百二十四円ということになります。この最低保障額は、先ほど退職年金のところでも申しましたけれども、すべて現行の厚生年金の基準と申しますか、最低保障額と申しますか、それに見合って額が算定してございます。この関係は、今後厚生年金のほうの給付の関係が改善をされますと、それに応じまして、四つの年金制度ともこの最低保障額については手直しを必要とすることになろうと思います。その点は退職年金の場合、障害年金の場合とも、そういう問題が起こってこようかと思います。
それから最高限度は、職務上、職務外とも百分の百まで、つまり、給与年額と同等のところまでを最高限度といたしております。現行法は、ここにありますように、職務外か職務上か区分いたしてございませんが、観念的にはどちらかと申せば、職務外に近いものが書いてあるわけですが、十年以上になりました場合の加給額が百分の〇・八、二十年以上の場合の加給額が百分の一・一。それで最低保障額、最高限度がないということになっております。
それから三枚目に入りまして、障害一時金の内容でございます。障害一時金につきましては、現行法は、六カ月以上の勤務をした者に出るのが、今度は一年以上の者に限るという点は、先ほど退職一時金で申し上げましたと同様で、経過措置の準備も同様に講じてございます。
廃疾状態等につきましては、障害一時金は、国家公務員、地方公務員、私学その他を通じまして、ここに書いてありますように、障害年金の廃疾状態より軽度のもの、それから職務外の場合のみに適用するということでございます。それに対しまして農林年金の場合には、職務上の障害でございましてもしいて除くことはない。職務上の場合には、一時金を共済組合のほうから出しませんでも、国家公務員なり地方公務員なり私学なりは、雇用関係が確立をしております。あるいは国家公務員災害補償法でございますか、あちらの適用を受けまして、職務上の障害で一時金に相当するものは、そちらが先行いたしますから、共済組合では見ないということで貫いておるようでございますが、農林漁業団体の場合には、団体の雇用関係もいろいろ複雑でございまして、必ずしもそれで全部が代替できるというふうにも言いかねる点がございますので、このただし書きにありますように、労災法または労基法の給付と調整ははかりますが、もう頭から職務上は適用の対象としないということは避けております。その点が他の年金制度とは違った点でございます。
それから金額の点では、給与月額の十二カ月分という点は、今度は他の年金と歩調をそろえたわけで、従来は給与月額の十カ月分であったのを、二カ月分だけ給付を厚くしたわけでございます。
それから遺族年金でございますが、遺族年金の遺族の要件につきましては、上記三つの年金制度と内容的には全く同じになっております。つまり、職務上傷病による死亡の場合には、資格年数の制限がない。それから二十年以上の者の死亡した場合、それから十年以上二十年未満の勤続者が在職中、または障害年金の受給権がある方でなくなられた場合、それから十年未満の者でも、職務上の障害年金の受給権者が十年未満で死亡した場合というのが、遺族年金の対象となるわけでございます。現行法では、二十年以上の者の死亡というのは、一般の場合と同様でございますが、あとは十年以上二十年未満の者の在職中の死亡ということでひっくくってございます。これは職務上、職務外の区別がなかったこととの関連でございます。それを上記のように改めたいと思っております。
それて、給付の額でございますが、最高限度を百分の六十といたしておりますことのほかは、全部他の年金制度と同様でございます。百分の六十の最高限度を設けておりますのは、私学の退職年金の場合と同様でございます。その点は、先ほど御説明申し上げたことと同じようなことでございます。給与年額に対しまして、基本額は百分の四十、退職年金の二分の一というようなことで、加給額は十年以上の場合に百分の一の加給がつくという点等、それぞれ左の要件に見合って定められております。
最低保障額は、この場合は二万一千三百六十円ということになっております。現行法は、二十年以上の勤続者が死亡した場合は退職年金の二分の一、それから二十年をこえる場合の加給額がここに書いたとおりでございます。十年以上の場合の加給額は百分の〇・八でございます。それから最低保障額は、この遺族年金につきましては、十年以上二十年未満の者が在職中死亡いたしました場合には、一万九千円という最低保障額が従前もついております。それを先ほど申し上げましたようなことで、最低保障額二万一千三百六十円、最高限度は百分の六十ということで、私学と歩調をそろえたわけでございます。
それから遺族一時金でございますが、遺族一時金の支給要件といたしましては、一年以上十年未満の者の在職中の死亡のときに、給与日額の最低二十日分、最高二百二十日分の支給をすることといたしております。これは、従前は給与日額の最低十日分、最高百九十日分であったけわでありますから、それを国家公務員、地方公務員、私学並みに引き上げたわけでございます。
なお改正案では、一年以上にしておりますが、現行法は六カ月以上を対象といたしております。その点は、退職一時金、障害一時金等と同様の問題として、同様に処理をいたした次第であります。
それから給付に要します費用の負担関係でございますが、これはまず一番下の現行から申し上げますと、現行は、数理的保険料率と申しますのは、今後前向きに、いままでのことを抜きにいたしまして、今後のことだけを考えた保険設計上必要な保険料率といたしましては、国庫が一五%を負担をいたしまして、残る八五%を団体と組合員とが折半をいたしまして、それからいわゆる整理資源率——けさほどから問題になりましたが、厚生年金から独立をいたしまして、厚生年金時代の給付、それと見合います掛け金の蓄積、この厚生年金時代に蓄積をいたしました掛け金率の累積では不足いたします準備金部分を将来にわたって不足のままでおくわけでございますが、少なくともその金利相当部分は年々入れていきませんと保険設計が成り立ちませんので、その部分をいわゆる整理資源率ということでとるわけでございますが、この部分につきましては、当時の御審議にもありましたような経緯で、国庫はこの部分は負担をしない、つまり、厚生年金を引き続いて続けていくために国庫が負担する以上の負担はしないというあのときの方針で、この部分については組合員と使用者だけで負担をするということで、こういう姿になっております。それに対しまして今度の場合でございますが、改正法の予定しておりますところを申し上げますと、今後の保険料率、つまり、数理的保険料率につきましては、従前どおり国庫が一五%を負担して、その残余を組合員と使用者とが折半をいたします。それから下にございますように、厚年から引き継いだ部分につきまして、つまり、整理資源率で申しますと、一四・何がしの部分につきましては、すでに厚年から独立をいたしますときに、いろいろ議論はございましたが、厚年から独立することは、自己の負担においてやるということであのとき処理が行なわれましたので、それはそのまま引き続いております。この点についてはなかなか問題が残っております。ただ、今回法改正に見合いまして整理資源率のふえる部分がございます。このふえる部分につきましては、これは厚生年金から反対を押し切って独立をしたときの経過とは、この発生の理由が全く違いますので、今回はこのふえる部分につきましては、国庫は一般の部分と同じように一五%を見るということで、残余の部分と組合員と使用者とで折半をいたすということに予定いたしております。
なお、後ほど資料で申し上げますが、このふえる部分というのは、おおむね千分の六程度と予定されております。そこで、この部分は、従前のやり方と変えて、一部国庫負担がついたというふうにけさほど大臣が申されたのは、この部分のことでございます。
そこで、この関係につきましては、他の年金制度はそれぞれ事情を異にしておりまして、国家公務員の場合には、使用者たる立場と、それから補助者としての国の立場とを兼ねておりますので、一応観念上は、国庫としては一〇%を負担をし、残りの九〇%を組合員と使用者たる国とが折半をしておるというふうに観念されております。したがいまして、結果におきましては、組合員が四五%を負担をし、それから使用者たる国と助成者たる国とで合わせて五五%を持っておるということでございます。したがいまして、助成者たる国庫の立場としては、一五%でなくて、一〇%を持っておる。ただ、給付補助でなくて掛け金補助であるという点が、若干事情を異にいたしております。
それから恩給の関係は、これは全く別個の問題でございますので、これは国が持っております。
それから地方公務員についても、その関係は同様でございます。
それから私立学校の教職員の場合は、国が給付の一五%を持ち、残りを両者が負担をいたしておりますが、私学の場合には、ここにありますように、私学振興会、それから都道府県等がそれぞれ持ちますので、若干組合員の負担の状況は異なってまいります。
以上が、先行して改正されました国家公務員共済制度、地方公務員共済制度、私学教職員共済制度との関連で、ただいま御審議いただいております改正案の、現行法との相違点を主としてつくりました一覧表でございまして、それの御説明でございます。
次にまいりまして、四ページの表でございますが、これは農林漁業団体職員共済組合の団体の数、それから組合員の人数、これを累年の数字として、団体の種類ごとに列記したものでございます。
そこで、昭和三十八年十月末の数字で申し上げますと、総体で関係団体数か二万二千二百八十五団体、組合員数にいたしまして三十三万一千八百六十六人いることになっております。制度の発足当時は、組合の数は二万五千六百八十六ということで、現在よりも約三千ほど多いわけでございますが、組合員数で見ますと、二十九万五千ということで、当時といまとでは、約四万人近い対象組合員の増加を示しております。これらの点は、組合の数が減りまして、対象となる職員の数がふえておるということは、末端での組合の合併あるいは不振組合の解散等の状況を反映したものかと思います。
なお、このほかに、任意継続組合員が、欄外に書いてございますように、約二千二百人おります。
それから、中に入りますと、やはり何と申しましても、三十三万一千人のうちで、圧倒的大部分を占めておりますのは農業協同組合の職員でございまして、これが上から四欄目にございますように、二十六万八千、組合数にして一万二千三百三十七組合ということになりました。制度発足当時は組合数で一万四千三十一、組合員数で二十二万八千五百七十一ということで、かなり組合の合併、一組合当たりの職員の増、充実ということが、この年金の窓からもうかがわれるように思います。
なお、この農協の中でも、主体を占めておりますものは総合農協でございますことは、この表の示すとおりでございます。一万一千百四十八組、組合員数にして二十五万六千八百二十四人ということになります。
それから農協に次いで数多くございますのは、まん中辺からちょっと下のところにございます漁協でございます。これが組合数にして二千四百八十七、組合員数にして二万二千四百四十一ということになります。
それからその次が、農業共済がこれに次いで多いわけであります。組合数では三千二百二十五、組合数では一万八千九百十九ということになります。以下、森林組合、土地改良、たばこ耕作組合といったようなものがあるわけでございます。
以上が、大体本年金の対象といたしております組合数及び組合員数の逐年の経過を、途中をはしょりまして、発足当時と最近時点とで比較して申し上げた表でございます。
それから五ページの第三の資料は、組合員と標準給与の関係でございますが、まず、イの表は、標準給与別の組合員数を示しております。発足時と三十四年度末、三十五年度末というふうにまいりまして、三十七年度末が計数のはっきりしております最終のときでございますが、これで見ていただきますと、横の表頭は、三千円、四千円、五千円ということで、現行法の標準給与の最低三千円から最高五万二千円までの刻みに、それぞれ相対の組合員数を位置づけておるわけでございます。
それで、三十七年度末の組合員総数三十二万人のうち、三千円の標準給与の格づけを受けております者が三百七十六名、全体の〇・一二、発足当時は、二十九万人のうちの二千七百人が三千円のところに位置づけられておりまして、〇・九二ということでございます。六千円のところを見ていただきますと、発足当時は九・六%で、現在ではそれはわずか二・二%になっております。
そこで、発足当時最低が三千円であったものを、現時点に引き直してみればどの辺だろうかということで、六千円あるいは五千円がよかろうとか、七千円がよかろうという議論が出るわけでございますが、単純に計算上の数字だけでスライドさせてみますと、むしろ近似値は五千円のあたりにあるように思われます。要するに、累積のパーセンテージで当時の〇・九二に一番近い率を示しますものは、むしろ五千円のところあたりでございます。六千円になりますと、二・二ということで、当時の三千円のところよりもモードが高くなりますが、しかし、他のいろいろの要素を勘案いたしまして、一応六千円を最低としたわけでございます。
なお、上のほうへまいりまして、五万二千円のところで位置づけられたというか、制度発足当時は八百九十六名で〇・三%であったわけでございます。昭和三十七年度末におきましては、これが三千八百八十四名、一・二一%というような比率になります。
そこで、ここが頭打ちになっておるという認識で、全体の給与の比例計算をいたしますと、おおむね現在御提案いたしております七万五千円程度のところへスライドさせるのが、姿としては、発足当時の給与の実態に見合った、この標準給与月額を現在の給与の実態に近似をさせてスライドさせれば、最低が六千円、最高が七万五千円というふうなところではあるまいかというふうに見たわけであります。最低は若干引き上げたきらいはございますが、そういうことで、大方の要望も強うございましたので、その辺まで引き上げたわけでございます。
なお、それを平均的に見ますと、次のロの表でございまして、標準給与の平均額でございます。発足当時は、標準給与の平均額は一万一千百八十五円でございます。それが逐年上がっておりまして、現在と申しますか、三十七年度末では一万六千四百四十円というふうになります。この上昇率が、けさほど大臣もちょっとお触れになりました一四七%ということでございます。五万二千円にこの数値をかけたものがほぼ七万五千円に近似をしておると先ほど申し上げたわけでございます。
それから六ページの表でございますが、これは給付の状況でございます。各種の給付の種類ごとに年次を追って件数、金額、一件当たり金額を示したものでございます。六ページから七ページにわたっておりますが、三十四年で一番上の退職一時金をごらんいただきますと件数が二万七千件、一件当たり二万七千円ということで、どちらかと申すと、農林漁業団体の雇用関係の実際は、二十年というような長年月のものがなくて、一時金対象の雇用関係が年金面では比較的多く出ておるように思われます。その一件当たり金額は、ここにありますように、おおむね二万七千円程度でございますが、最近の三十九年度になりますと、これは一応の予定でございますが、三万八千円、三十八年度の実績で申しますと三万七千円、いずれにいたしましても、給付の中では、件数、金額ともこの退職一町金というものが現状ではまだ圧倒的に多い。もちろん、年金になりますためには二十年を必要としますから、昭和十七年以来の厚年の関係で、やっと三十七年度から初めて出てくるということになりますのはやむを得ないことでございます。三十七年度から初めて厚年を通じての二十年の勤続者があらわれてきておりまして、これの年金の件数が七十四件、金額で八十一万円、一件当たり一万一千円という数値が出ております。これは先ほど来御議論がありまして、私どもも調べさせていただきますが、一年を四期に分けて、三カ月ごとに切ってやっておりますので、三カ月ごとに支給いたします。つまり、件数としてはこれの四分の一、一件当たり金額としてはこれの四倍が大体近似した数値であろうと存じております。その関係は、三十八年度の実績で見ますと、件数で二百二十件、一件当たりで一万三千五百五十二円というような数値になります。したがいまして、三十七年度からやっと年金としての全機能が表に出てまいったような状態でございまして、まだ今後の推移を見なければにわかに何とも申し上げられませんが、一応三十八年度の実績を七ページで見ていただきますと、このように一時金の系統が二万九千六百六十四件、金額で十一億一千二百万円、それから年金の系統が件数で四千五百件、金額で三千五百二十六万円というような数値になります。
次のページにまいりますと、共済組合の給付経理の収入支出の概況でございます。最近年度の昭和三十八年度で申し上げますと、収入合計としては二百三十九億円ということになりまして、事業収入六十二億円、そのうちの掛け金収入は五十二億円ということになります。国庫補助の受け入れ金額が一億六千六百万円、それから厚年からの原資の引き継ぎは、当初三十四年度に概算額として二十七億円を引き継いだわけでございますが、その後数理的な検討の結果、不足分が確定いたしましたので、その不足分と、その不足分に見合います金利分を加えました精算をいたしたわけでございます。その精算額が三十八年度に十二億四千七百万円入ることとなりました。これで厚年からの引き継ぎ原資の引き継ぎは、おくれました期間の金利を含めまして全部完了いたすわけでございます。おおむね金利を含めまして約四十億円ということでございます。
それから前年度剰余金の関係は、三十八年度におきましては百六十一億ということでございました。これがごらんいただきますように、年々三、四十億あるいは五十億程度ずつふえてきております。
それから給付のほうは、先ほど給付の概況で申し上げたようなことでございまして、共済給付といたしましては、総体で十三億三千万円、そのうちの退職給付が十二億円ということになっております。
他経理への繰り入れ金と申しますのは、たとえば保健経理でございますとか、業務経理への繰り入れ金でございまして、業務経理への繰り入れ金は事務費に充当される分でございます。これは保険設計上の金利と実際金利との差額の一部がこれに充てられます。それから保健経理への繰り入れ金は、これによりまして保健の福祉事業を行ないますための資金となります。そういうことで、おおむね予算規模といたしましては、ここにございますようなことになっております。これが給付経理の収支の概況でございます。
次に、九ページの資料でございますが、これは財源率表でございます。現行と改正案によるものと比較対照してお示しがしてございます。財源率と申しますのは、給与総額現価、つまり将来にわたって累積されます給与の総額を計算いたしまして、それを五分五厘の複利計算で現在時点の現価に直すという保険数理作業をやるわけでございますが、給与総額現価が分母、支出現価と申しますのが分子になります。それで、給与総額現価分の支出現価が数理的保険料率ということになります。この数値は、先ほど申しましたようなことで標準的なモデルをつくりまして、専門家が計算をいたすわけでございますが、その結果によりますと、現行法では、各種年金、一時金を全部合わせました数理的保険料率は七二・〇二ということであります。それが改正案に下りますると、九〇・〇九五ということになります。これはいまから全部が新しく始まったとして要る、要するに、前向き一点張りの場合の、理論的なと申しますか、数理的な保険料率でございます。そういう数値のほかに、先ほど申しました整理資源率として発足当時に持っております責任準備金のうちで、取り足らない分、つまり、給付内容が上がりますために、過去の積み立て保険料ではまかなえない穴があいておるわけです。そのまかなえない穴を過去にさかのぼって取ることなく、将来の被保険者から取り立てていくというのが、この整理資源率のものの考え方でございます。そこに遡及しにくいいろいろの理由も出てくるわけでございますが、それはそれとして、制度発足当時、厚生年金から分かれていきますので、厚生年金よりも給付内容を手厚くいたしますために、先ほど申しました厚生年金から金利を含めて四十億もらいましたが、それではまかなえない、厚生年金時代の掛け足らずがあったものを、将来にわたって取り立てていくとすれば、一四・六五ずつ取り立てていかなければならないというのが、この現行法における一四・六五でございます。それを合わせましたものが八六・六七。これは単純な足し算でございます。それに対しまして、現在の改正案によりますと、この整理資源率が二〇・七六八ということになります。この二〇・七六八の中には、現在の厚年から独立いたします場合の整理資源率一四・六五を含んでいますので、ここで差額の六・なにがしというものが出ます。それが、今回の制度改正によって、給付内容が充実したために、新しく責任準備金の不足としてあらわれてきたものの率でございます。これは、経過規定等では、先ほど御指摘がありましたように、旧法期間は旧法期間として計算をし、新法期間は新法期間として計算をして、それの足し算をするというのが基本的なものの考え方でございますが、ここのところで、御説明いたしましたように、たとえば最低保障額の規定は、過去にさかのぼってかんぬきをはめるとか、その他必ずしも意図的ではありませんが、やったものも若干ずつ含んでおりますが、やはり旧法当時にさかのぼって改正の結果、給付内容の改善される部分が累積されて、この二〇・なにがしと一四・六五の差額の六・なにがしという整理資源率としてあらわれてきておるわけでございます。そこで、それを合わせました総財源率は、旧法の場合では八六・六七、新法の場合では一一〇・八六三ということになります。これに対しまして、国庫補助の考え方でございますが、旧法当時には八六・六七のうち、七二・〇二については百分の十五、一四・六五については国庫補助なしということで整理をしてございますので、国庫補助率としては一〇・八〇ということになったわけでございますが、今回は、一四・六五の部分の取り扱いにつきましては従前と変えておりませんけれども、根っこの数理的保険料率が九〇に上がりましたこと。それから、いま申しましたる反射的に給付内容が改善された結果出てまいりました整理資源率六・なにがしというものにつきましては、百分の十五の国庫補助の適用をいたします。したがって、国庫補助の率といたしましては、従前の一〇・八〇が、今後新法発足後の運用としては一四・四三二という数値になると予定をいたしております。その結果、組合及び組合員が負担すべき保険料率は、旧法の場合で申しますと、正確には七五・八七ということになりますが、それに安全率二・一三を加えまして七八というのを使用者及び組合員の負担すべき掛け金率としたわけでございます。つまり、この七八を使用団体と組合員とが折半をした。つまり、千分の三十九ずつを掛け金として負担をしたわけでございます。新法の場合には、先ほどのような数値でやってまいりますと、一一〇・八六一二から国庫補助の予定率一四・四三二を引くから、九六・四三一というのが団体及び団体職員の負担すべき料率ということになります。これに従前のように安全率を見込んで九七なり九八にいたしますか、それともはんぱを四捨五入というような形で切り捨てて九六ということにいたしますか、この点は今後組合の定款等で定めてまいる問題でございます。かりに九六ということになりますれば、組合員の負担すべき保険料率は四八ということになります。おおむね国家公務員、それから私学等が大体この見当の数値であったと思います。
それから最後に、収支予想表でございますが、これは三十九年度以降四十九年度にわたりまして、今後十カ年間につきまして掛け金収入、国庫補助金、留保金等の収入の計が年々どういうように推移するか、あるいは支出の計がどうなるか、したがって、収支残がどうなるかということを示した数字でございます。最後の欄に、積み立て金が三十九年度三百二億、それが十年後には千四百五十一億となり、十年後
の四十九年度の積み立てば約千五百億が見込まれるというふうに見ております。
申し落としましたけれども、九ページの表の中に、ミスプリントがございます。横に「支出現額」と書いてございますが、これは「支出現価」の間違いでございます。御訂正いただきたいと思います。
最後に、改正案における基本数字についてでありますが、先ほど来申し上げました、たとえば最低保障額の計算が、三万五千五百二十円ということになっております。一番上は、「第三十六条第二項、退職年金」こういうふうになっておりまして、一番右のところに「計(最低保障額)」三万五千五百二十円となっております。今回の改正で最低保障額三万五千五百二十円と定めて出しておりますが、これは先ほど来、現行の厚生年金の給付の内容を参考にした最低保障額のきめ方で、私学等のきめ方と同様でございますと申し上げました、そのきめ方の数式の御説明であります。厚生年金には、御承知のように、定額給付という制度がございます。つまり、報酬比例部分のほかに根っこがあるわけです。社会保障の最低限度のようなものだと思いますが、そういう意味で、厚生年金では定額給付が二万四千円、それから報酬比例部分が一カ月につき平均標準報酬の千分の六というのがつきます。それで、厚生年金の定額給付に、厚生年金の最低標準報酬三千円の方が二十年勤続された場合に得られる比例報酬部分の給付が四千三百二十円、それから厚生年金には別途扶養者加給というものがつきます。これは平均扶養者数一・五人でございますが、それが七千二百円加わる。そういたしますと、厚生年金の最低の標準報酬のほうの比例報酬部分と定額給付部分、それから扶養加給部分との合計額が三万五千五百二十円になる。そこで、私どものほうの年金では、この額を少なくとも下らない額を保障いたしますというのが、この最低保障額でありまして、この金額は、過去の厚生年金時代の部分が長年月を占めておられる年金者の場合でも、この三万五千五百二十円は、新法施行と同時に保障をいたしますというのが、けさほど大臣の申された問題でございます。この額は、先ほどもちょっと申しましたが、厚生年金の最低レベルの年金額を基準といたしておりますので、これが動きますれば、当然再検討を必要とする数値でございます。いま伝えられております厚生年金の改正の方向としては、定額給付、比例報酬部分ともおおむね現行の二倍にするというのが、ものの考え方のようでございますから、それで計算をしてみますと、かなり私どものほうの年金の最低部分も上がってくる結果になろうかと思います。それから障害年金の場合、それから遺族年金の場合にも、それと同じものの考え方で最低保障額の計算がしてございます。それがそのあとにございます数式でございます。一々は御説明を省かしていただきます。
それから次に、今度の改正法の中で出てまいります数値の中で、本則で出てまいりますのは、以上申し上げました最低保障額の数値がおもな数値であります。それの積算の基礎は、いまのようなことでございますが、附則で経過規定を書きます際に、数値を出しておるのが、ここに四カ所ほどございます。その数値の基礎を申し上げますと、附則四条では、六十二万四千円という数字が出ておったかと思います。これはつまり旧法の標準給与の月額最高額が五万二千円でありましたから、この五万二千円の年額分、一年分ということで、それを経過規定で書きます際に、具体的数値として十二倍した額ということであります。
それから六条の経過規定で、六十分の一という数値を使っております。旧法の退職年金の一年当たりの支給率が一年につき四カ月、つまり三三・三と申しますが、これを二十年間、二十年たつとこの率の年金がもらえるわけでありますが。これをまるまる二十年、旧法期間でなくて、端数の年数があった場合に、その人の旧法期間に見合う、旧法に基づく年金額をはじきますために、この二十年たちますと十二分の四カ月分もらえますものを、一応一年分の寄与率は幾らかというのを見たのが、この六十分の一です。つまり、旧法期間が十年であれば、六十分の一かける十ということで、六分の一ということになるわけでございます。そういう意味合いの数値として、経過規定を書きます便宜上、六十分の一という数値を使っております。同じく六条の関係で、九十分の一という数値を使っておりますが、これは旧法の二十年をこえた場合の一年当たりの加算率が、一年につき四日分となっております。これは率にいたしますと、先ほどちょっと触れましたが、百分の一・一というふうに御説明をしたわけでございます。表現を変えて申せば、三百六十分の四でございますから、九十分の一ということになるので、その数値をじかに説明なしで使わせていただいております。同様六条で百分の二という数値をいきなり説明なしで使っておりますが、これはちょうど先ほど六十分の一の説明について申しましたと同じように、旧法期間と新法期間と合わせて二十年になる場合に、その新法期間が、二十年のうちのたとえば十年であっといたしました場合に、その十年部分を新法ベースで計算いたします便宜上、その新法期間の一年の寄与率を見ますために、二十年たてば百分の四十になるのだから、その一年の寄与率は百分の二であるということを想定をいたしますために、使います数値でございます。
以上、数値にわたりまして御説明十分でございませんでしたけれども、お配りいたしました参考資料について、内容の一応の御説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/83
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084・高見三郎
○高見委員長 次会は明三日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03019640402/84
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