1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月七日(火曜日)
午前十時二十一分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武君 理事 足鹿 覺君
理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 大坪 保雄君
加藤 精三君 仮谷 忠男君
吉川 久衛君 小枝 一雄君
笹山茂太郎君 舘林三喜男君
寺島隆太郎君 内藤 隆君
野原 正勝君 八田 貞義君
藤田 義光君 松田 鐵藏君
亘 四郎君 角屋堅次郎君
東海林 稔君 中澤 茂一君
楢崎弥之助君 松浦 定義君
湯山 勇君 稲富 稜人君
中村 時雄君 林 百郎君
出席政府委員
農林政務次官 丹羽 兵助君
農林事務官
(農政局長) 昌谷 孝君
委員外の出席者
参 考 人
(早稲田大学商
学部教授) 末高 信君
(農林漁業団体
職員共済組合常
務理事) 河野 恒雄君
(全国農業協同
組合労働組合連
合会中央執行委
員長) 嶋岡 静男君
専 門 員 松任谷健太郎君
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本日の会議に付した案件
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一〇〇号)
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
法律案(湯山勇君外十一名提出、衆法第一三
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案並びに湯山勇君外十一名提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
去る二日の決定に基づき、参考人から御意見を聴取することといたします。
御出席の参考人を御紹介申し上げます。農林漁業団体職員共済組合常務理事河野恒雄君、全国農業協同組合労働組合連合会中央執行委員長鳩岡静男君、早稲田大学教授末高信君、以上の方々でございます。
参考人各位には非常に御多用のところ、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。議題となっております両案につきまして、それぞれのお立場から、率直な御意見をお述べくださいますようお願いいたします。
御意見の御開陳の時間は、お一人おおむね二十分以内とし、御発言の順序は、かってながら委員長におまかせ願いたいと思います。なお、御意見御開陳の後、委員から参考人各位に対し質疑があろうかと存じますので、あらかじめお含みおき願いたいと存じます。
それでは末高参考人からお願いいたします。末高参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/1
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002・末高信
○末高参考人 参考人の末高でございます。
まず、ここに取り上げられております共済組合法の改正問題に対する私の基本的な立場を申し上げ、続いて現に本院に提出せられております二つの法案、すなわち、内閣提出の法案並びに議員提出の法案の内容につきまして、その所見を述べることにいたしたいと思います。
この農林漁業団体職員共済組合の制度は、昭和三十二年四月の法律によって創設せられたものであります。当時まで厚生年金保険法の適用を受けておりました農業協同組合、漁業協同組合、森林組合、それから漁業共済組合等の農林漁業団体の職員に対しまして、大体国家公務員共済組合ないし私立学校教職員共済組合並みの給付を行ないたいというわけでありまして、いわば厚生年金保険法の特別法として制定せられたものでございます。
ところが、この制度が準拠とし、模範といたしておりました国家公務員共済組合は、昭和三十三年の五月に全面改正を見、新しく立法せられました。また、私立学校教職員共済組合は、三十六年の六月に大きな改正をしたのでございます。さらに地方公務員共済組合は、三十七年の九月に制定せられるというようなわけで、逐次それらの共済組合には改善が加えられたにもかかわりませず、この農林漁業団体職員共済組合は、それら他の共済組合における改善に見合うところの改正を行なうことなく今日に及んだことは、不思議というほかに考えようがなく、むしろ、この制度の管理、運営の衝に当たっておりましたものの怠慢を非難せられてもやむを得ないものがあるのではないかと思うのであります。すなわち、この制度の改正が今日取り上げられましたことは、ややおそきに失したうらみがありまするが、ぜひ本国会において実現を見るよう、強く希望するものでございます。
私は、ただいまこの共済組合の改正は、むしろおそきに失したものであり、今日この程度の改善を行なうことは当然であるとしたのでございますが、それは必ずしも、社会保障制度のあるべき姿あるいは公的年金のあるべき姿として、このような共済組合という形態、特にこの農林漁業団体職員共済組合のようなものの存在を、あくまでも今後も肯定するということを意味するものではないのであります。すなわち、このような共済組合、特に農林漁業団体職員共済組合のような形態は、わが国の社会保障制度ないし公的年金制度が整備して、真にすべての国民、一人一人の国民の老後の生活、廃疾の生活、あるいは遺族の生活を、健康で文化的な水準において保障することができるようになった暁には、当然その存在の意味が失われるものでありまして、したがって、そのように一般的な社会保障あるいは公的年金制度の整備せられるまでの過渡的な期間に限って、存在の意義がある、こう考えるものでございます。その一般的な社会保障制度あるいは公的年金制度の整備の暁には、これらの共済組合というものは、いわばその上積みを保障するところの任意組合として初めて存在することができると考えておるのでございます。
このような見解は、実は昭和三十三年本共済組合の創設に関し、その諮問を受けたところの社会保障制度審議会の意見のうちに、明確に打ち出されたものでございます。すなわち、昭和三十三年三月に、農林大臣の諮問に対し、その回答として社会保障制度審議会の打ち出した意見は、次のとおりでございます。
その第一点は、この農林漁業団体職員共済組合は、年金一元化の方向に反する。国民年金の実施も目前に迫った今日、このような部分的措置をとろうとする政府の考え方には賛成できない。
第二点は、もし農林漁業関係団体職員の福祉の面からその必要がありとするならば、厚生年金の上に積み重ねる方式をとり、職場を変更してもその勤務年限、勤務期間はすべて通算せられるようにくふうすべきである。
第三点は、このような要望のあらわれるのは、現行の厚生年金制度に魅力が欠けておるからであり、その早急の改善を行なうべきである。
こういうのが社会保障制度審議会の意見であったのであります。この社会保障制度審議会以外には、農林漁業団体職員共済組合の立法、運営問題を審議する審議会はないのでございます。その唯一の審議会の賛成をも得られなかったのでありまするからして、政府としては、この共済組合を創設すべきではなかったと考えます。そうして政府が、この審議会の意見を求めておきながら、それを無視してこれを設立したのであります。
しかしながら、すでに樹立せられて六年を経過したこの共済組合の存在は、厳たる事実でございます。この存在を否定することはできないのでありますから、このたびの改正案についての諮問に対しましては、社会保障制度審議会は、本年一月三十一日の答申によりまして、これを了承したのであります。私の見解も、全くこの審議会の意見の線に沿っておるものでございます。すなわち、この共済組合の厳たる存在を前提とするとき、今回の改正は当然であり、むしろ、おそきに失する。ただし、今後の農林漁業団体共済組合は、おおむね国家公務員共済組合ないし私立学校共済組合と歩調をともにして改善せらるべきである。あとで申しますが、それを著しく逸脱するということは、この際厳に慎むべきであろうと考えております。将来の構想としては、国民年金を改善し、その年金額を全国民に対する基本年金として与える、被用者、つとめ人一般に対しましては、報酬比例部分を加える、この報酬比例部分は、職域ごとにこれを定め、勤務期間を通算し、さらに私的年金と調整する必要があるということを考えております。したがいまして、私は、国民年金、厚生年金の給付をこの際至急改善すべきであるというふうに考えるものでございます。
さて、ここに提出されております法案の個々の問題につきまして、私の意見を開陳することは、多少長くなりますので、省略いたしたいと思います。
そこで、内閣提出の法案は、おおむね現在の国家公務員共済組合ないし私立学校教職員共済組合の線にまで高めるというのでございますからして、私は、ちょうどその程度の改善がこの際なさるべきであるというふうに考えております。そこで、二、三の問題につきまして、気のつきましたことを申し上げてみたいと思います。
標準給与でございますが、これも、このたびは、政府案といたしましては、六千円ないし七万五千円に改正せられようとしております。これはまだ案が審議会において練られておるものでありまして、ここで申し上げることはどうかと思いますが、厚生年金の改正案というものが、従来は三千円から三万六千円であったところのものを、この標準報酬を六千円から七万五千円に引き上げようといたしております。したがいまして、下限六千円、上限七万五千円というのは、国家公務員共済組合は上限を十一万円といたしておりますのに比べまして、ややもの足りない感がないとはいたしませんが、しかし、この農林漁業団体の職員の方々の現実の給与は七万五千円を上回るものがきわめて少ない。パーセンテージにいたしますと、一、二%というところであるように聞いておりますので、この際は、この程度の改善がまず至当ではないかというふうに考えられるのでございます。
それから私が申し上げたい第二点でございますが、それは退職年金の額の最低保障として三万五千五百二十円というものがあげられておりますが、これは議員提出の法案によりますと、九万六千円ということになって、最低賃金八千円と見合うところのものが考えられているのではないかと考えております。しかしながら、厚生年金におきましては、定額部分が四万八千円、比例部分が最低六千円でもって二十年間経過いたしていると考えまして、一万四千四百円、合計六万二千四百円ということになるのでございます。もちろん、共済組合という仕組みと、それから厚生年金の仕組みは、仕組として多少異なる面がございますので、三万五千五百二十円という線も、いろいろ計算の基礎があろうかと思うのでございますが、この点は、むしろ厚生年金における六万二千四百円という程度に引き上げることが望ましいのではなかろうか。というのは、農林漁業団体職員共済組合は、厚生年金ではもの足りないというので、特別法として成立したものであるということを考えますと、ただいま申しました厚生年金の今度の改正案の程度におきましてその最低保障をつけることが至当ではなかろうか、これが私の意見でございます。
その次に、障害年金でございますが、障害年金が、政府案によりますと、一級、二級、三級とそれぞれ規定せられております。これも、このたびの厚生年金の改正案は、必ずしも最低保障というものをつけておりませんが、二級におきまして、大体基準年金、すなわち、二十年つとめたところの被用者に対する老齢年金に該当するものが二級年金の額であるといたしますと、六万二千四百円、それの一二五%が一級年金でありますから、七万八千円、それの七五%が三級年金になりますので、四万六千八百円、これも先ほど申しましたように、共済組合の立て方と厚生年金の立て方は、多少基礎的に違うことがございますので、このとおりになるかどうか、多少計算上の問題があろうかと考えますが、およそこの種の共済組合ないし厚生年金というものは、国民生活の少なくとも最低を保障しようというのでございますから、厚生年金が引き上げられようとするその額にまではこの最低保障を引き上げるのが、当然ではなかろうかと考えております。
遺族年金につきましても、最低保障が二万一千三百六十円ということになっておりますが、これは厚生年金におきましては、少なくとも月四千円、すなわち四万八千円を最低保障として取り入れようとしておりますので、その程度のものがなければ、遺族の生活を保障するということはなかなかむずかしいのではなかろうか、当然四万八千円の程度になさるべきではなかろうかと考えております。
それから最後に、掛け金の問題でありますが、これは政府案は現行どおり、議員提出の法案によりますと、掛け金は同じでございますが、別に国庫から百分の十八の補助を受けるということになっております。これは国家公務員共済組合にいたしましても、公共企業体職員共済組合にいたしましても、ないしは地方公務員共済組合にいたしましても、掛け金の率が、国あるいは公共企業体というものと、それからこの職員との間に差があるということは、国庫補助までも加えてその料率に差をつける、国がもうすでに五十五負担するということになりますと、百分の十の負担がそこにあるのだということでございますので、これはむしろおかしいのではなかろうか。現在のようにやはり折半にいたしまして、別に国庫補助を百分の十五取ったほうが、公務員並みの五十五ないし四十五という、百分の十だけ国が特別補助の形で出しているということよりも、むしろ、政府案のほうが有利になるのではなかろうかと考えております。
こまかい点、まだ申し上げたいことは多々ございまするが、私の一般的の意見並びに法案の内容についての見解、以上をもちまして陳述を終わりたいと思います。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/2
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003・高見三郎
○高見委員長 この際、委員諸君に申し上げますが、末高参考人は所用のためお急ぎのようでございますので、末高参考人に対する質疑がございますならば、この際これを許します。——足鹿君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/3
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004・足鹿覺
○足鹿委員 末高先生は御多忙であるようでありますので、ごく簡単に、これは三人の方々に共通した重要な点でございますが、とりあえずお尋ねをいたします。
と申しますのは、法案そのものにも経過措置としてございますが、更新組合員に対する年金支給についてであります。改正法の附則第六条には、組合員、つまり、現在組合員であって、改正法施行後も引き続き組合員である者の退職年金につきましては、旧法期間は旧法で、新法期間は新法によって計算をした額の合計額を支給することとしている。遺族年金についても、退職年金と同様の経過措置が定められておるようであります。
私ども、この法案を読みましてがく然としましたことは、最近農協の合併等が、政府の方針もありまして、急速に進んできておりますし、いろいろな経過から見まして、退職者が相当多くなってきつつあります。しかも、中高年層の退職者が相当ある。といたしますと、その人々がカンパをして、そして乏しい中から拠金をし、署名をして、法の改正を二年間も要請し続けたというその気持ちは、期間だけを通算してもらうことを考えておったのではなかろうと思うのです。全期間を通算すると同時に、新しく改正される新法によって通算をしてもらうのだ、そうしてもらいたいという気持ちから、熱心な要請が行なわれたものであろう。また、困難の中にも政府当局もこの問題に取り組んだのも、やはりそういったことが、私は相当大きく政府を動かしたのじゃないかと思うのです。ところが、どういうかげんか、期間だけは通算をする、旧法期間は旧法期間で計算をし、新法期間は新法期間で計算するといいますと、これはいままで相当年月つとめてやめる者には何の役にも立たぬ——と言うと語弊がありますが、あとで法律を改正し、あるいは既裁定額に対する遡及支給の問題等が根本的に解決されれば別でありますが、結局は何のために運動したのかわからぬ、こういう悲劇を生むのではなかろうかと思うのであります。いわんや、現在までの状態では、この三十三万の加入者のうち、二十六万は農業協同組合関係の職員でありまして、この人々はもちろん、他の加入団体の職員の給与というものも非常に低い。他の団体に比べますと非常に低い。地方公務員よりもずっと劣っておる。こういう中にあって、せめてもこのたびの改正には、旧法期間と新法期間の合算によってやるというようなことではなしに、全部これを通算して新法で適用すべきではなかったか、それが今日まで長い間下積みの仕事に甘んじておった人々に報いるせめてもの道ではなかったか、かように思うのでありますが、先生のこれに対する御所見はいかがでありましょうか。今後とるべき措置があって、こういう矛盾を解決していく他の方法があれば別といたしまして、法案自体は改正をすれば改正できるのであります。その場合、若干の掛け金負担が増高するからだめだ、こういう議論をする人もあります。しかし、掛け金負担は、厚年の場合は一般企業を含んでおりますが、これは国家公務員、地方公務員に準ずる性格のものであるし、私学共済に大体匹敵すべきものである、こういうことになりますならば、国の補助率を高めていく。これはこの法制定の当時から問題になっておるのでありまして、国の補助ということを全然無視していくことはどうかと思うのであります。そういうことを、国の補助を高めないということであれば、これは相当長期の民保に加入しておったほうがいいんじゃないかという議論も成り立つし、また、他の高率の利回り債券等を求めたりして利回りのよい方法をとったほうがよいではないか、こういうことも極論をすれば言い得ると思うのでありますが、そういう点について、これは私非常に大事な点だと思うので、先生の御所見をひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/4
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005・末高信
○末高参考人 お答え申し上げます。
今度の改正によりまして、年金計算の基礎になる俸給は、従来過去五年であったところのものが、過去三年の間の平均ということになったように、私読み取っているのでございますが、そういたしますると、旧法期間は旧法でもって計算をすると申しましても、標準の俸給が最近三年の平均ということになれば、その問題はおのずから解決するのではなかろうかと考えておりますが、その点は私の考え違いでございましょうか。そこで大体解決するように私自身いま考えておりますが、そうでなければあとでお教えを願いたいと思います。
それからなお、給付の引き上げその他につきまして、これは国家公務員共済組合ないし私立学校共済組合に準ずるものだから、なるべく給付をよくするためには、国家の負担を増すべきではなかろうかというお話でございますが、これは、国家の補助というものが、他の共済組合と大体匹敵するところの国家の補助が現に行なわれている、改正の法案においても行なわれているように私は考えておりますので、その点はおのずから解答が与えられるのではなかろうか。他の私立学校共済組合あるいは国家公務員共済組合よりも特別に高い負担をしなければならないという根拠は、ある特別の階層に特別な年金を与えるということが、はたして国民の全体の公平の上から見てとるべき方法であるかどうかということにつきましては、私身自多少消極的に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/5
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006・高見三郎
○高見委員長 林君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/6
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007・林百郎
○林委員 それでは私からお聞きしたいのですが、末高参考人が最初にお話しになりましたこの制度の根本的な性格の問題でございます。社会保障に徹するなら徹する、それから先ほどの足鹿委員の言われるように、保険制度に徹するなら徹するということでありませんと、このように非常に賃金の低い労務者から、これだけの掛け金を——今度上げるわけですが、千分の三十九が四十八ですかに上がるわけなんですが、こういう掛け金を上げて、そして積み立て金がずっとふえていくわけなんですが、それに見返り給付金というのは非常にわずかなものなんです。たとえば、従来は掛け金が約月五億円、年にして六十億円、今度の政府案で見ますと、大体掛け金が年九十億ですか、それに対して給付金は約十億から十一億くらいです。それで、政府提出の資料で見ますと、昭和四十九年には積み立て金の総計が約千四百五十一億になります。こういう余裕金をもって、そして掛け金率を高めて、実際の給付金は年に十億という程度のもので、こういう制度である。ことに、普通の公務員やあるいは普通の民間企業の労働者よりも、比較にならないような低賃金の農業諸団体の労務者にかけていくというやり方、これは専門的なことばでいうと、何か完全積み立て方式というそうでございますが、こういう制度が適当であるかどうか。政府は、今度の改正によって非常に社会保障的な面を強調しているわけです。しかし、現実に受給する側、給付を受ける面からいいますと、さっき足鹿委員のお話にありましたように、高級中高年層の人は直接非常に利害関係を感ずるかもしれません。おそらく単協の農業協同組合の組合長さん、理事者級の人は、これは農業協同組合の組合長さんや理事者級になりますと、相当の資産もありますし、村でも相当の実力のある方々で、むしろ、政府の言うように社会保障制度を誇張するならば、純粋に労務を提供して給与を受けておる人たち、農業関係の諸団体においてそういう労働条件にある人たちのことを考えなければならないけれども、その人たちはわりあい若い人たちである。これから二十年も千分の四十七か八もかけていくという人たちですね。そして二十年先に給付を受ける。そのときには積み立て金は千四百億円もある。こういう制度、これが根本的に考えて、この制度がいいのか。あるいは賦課方式というのですか、大体その年、従業員の諸君のやめることはいろいろわかりますから、その人たちに必要な面だけを最小限度積み立てていって、そして相互扶助的な、しょうがないから、政府補助が千分の十五しかないわけですから——さっき先生のおっしゃった公務員は千分の五十五だといいます。これは国家が五十五全部負担するわけですが、こちらのほうは使用者と被使用者が負担して、これは使用者が民間なんで、政府ではないのです。国庫補助というのは、年間二億あるかその程度なんですね。給付額の千分の十五と事務費ですからね。こういう政府が責任を持つ社会保障制度でもないし、そうかといって、営利を中心とする民間の保険制度でもないし、そうかといって、低賃金の労働者諸君に、低賃金の割合にしては高い掛け金をかけさして、そして実際はわずかなものしか支給されなくて、十年先には千四百億の積み立て金になる。これが政府の財政投融資、大蔵省が運営の主導権を握っていくという制度です。根本的にいって、この制度が、ほんとうに農業団体に従事する労務者に対しての社会保障的な役割りを果たしておるかどうか、私たちは若干考えざるを得ないのです。ことに、大蔵省が年間わずか二億かそこら出しておきながら、六十億もの積み立て金の主導権を自分が握ろうとしているなんて、これは大蔵省のためにみんなが金を積んでいるようなものだと思います。大蔵省は、それを今度は政府債を持たせる、電源開発につぎ込む、鉄道につぎ込む、電信電話につぎ込む、こういう大きな事業につぎ込むということになると、このために、賃金の安い農業関係の労務者が、乏しい賃金から掛け金をしていくということも考えられますが、そういう点どのようにお考えになりますか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/7
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008・末高信
○末高参考人 お答えを申し上げます。
社会保障の一環としての社会保険でございますが、社会保障か、社会保険か、いろいろこういう点について問題があるように考えております。そこで、この長期計算ということを考えますと、いまの完全積み立て方式が一番完全であって、そのゆるぎなき給付の基礎を絶えず逐次築いていく、これがいいということになっております。世界を通覧いたしましても、社会保障ないし社会保険というので、完全に賦課方式をとっておる、すなわち、ただいま年金支給をしなければならない人たちの年金の総額を、現在働いている人の俸給の中から取り上げて払っていくというのが賦課方式でございますが、こういう制度をとっている国は、いわば小国とまではいかなくとも、第一級ともいうべき国家ではあまりやっておらぬと考えていいのではないか。そこで、この二つの方式の利害得失はいろいろございます。積み立て方式は、何よりもまずインフレに弱いというようなことがいわれておりますが、しかし、インフレというものを他の国家の経済政策によりまして消していく、大きなインフレでないようにするということをいたしますれば、むしろ、賦課方式より、積み立て方式のほうが、年金というものの制度を維持していくためには、給付を完全に約束していくためには、とるべき方策である。たとえばドイツ、アメリカ——イギリスは多少緩和はいたしておりますが、積み立て方式をとっておるというようなことでございまして、世界の大きな国々は大体積み立て方式をとっている。そこで、その積み立て方式をとりますと、その資金は大蔵省が握って、いわゆる財政投資のほうに向けられることは、庶民から収奪した金を国家資金に投入する魂胆ではないかという見解があるわけでございますが、これは日本の国家の成長ということを考えますれば、もちろん、その十分な資本を資本家階層の収益、利潤あるいは蓄積からのみ準備していくこともあるいは可能であるかもしれませんが、しかし、今日の段階におきましては、やはり国家が発展していくための基盤をつくり上げるための資金は、九千万国民の総力をかけて蓄積したところの資金がそれに利用されるということは、必ずしも私は不当であるとは考えておらぬ。そういう意味におきまして、それは使途につきまして、単に資本家の、ある特定の会社の営業基盤を拡大するような意味で、もしもその資金が投入せられるということになれば、これは不当でございますけれども、しかし、国民経済全体の基盤を整えていくという意味におきまして、その資金が使われるということは、必ずしも非難さるべきことではない、これは私の立場から一応申し上げてみたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/8
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009・林百郎
○林委員 ただ、先生のおっしゃる一流国というのは、社会主義の国々でそういう方式をとっておる国があるならば、私教えていただきたいと思います。寡聞にして私は聞いておりません。ただ、先生のおっしゃる一流国というのは、資本主義の国の一流国という意味にとっていいのかどうか。それからもし、農業関係に従事している労務者が、国家全体の発展のために、資本家と同じように寄与しろというなら、税金を納めている、給与所得者はみな源泉課税でとられているのですから、その上に社会保障に名をかりて——名をかりてか実質かは別として、乏しい賃金から掛金をとったものを、先生は、この金は、資本家ばかりでなくて、農業関係の従業者も、国家全体の発展のために、大蔵省が握って使うことについてはがまんしろというお話でございますけれども、しかし、国家全体の発展のためには、農業自体が発展することも重要なことなんです。そうすれば、農業関係の人たちの乏しい金を出したこの積み立て金は、本来は農業関係に、ことに農民だとか農業の労働者、生産的な農民の育成のために使うことが、なぜいけないでしょうか。大蔵省がこれを握って、大蔵省が監督だとか、それから財政投融資に要する政府債のほうへ突っ込むことをわれわれはがまんしなければならないのか。農業の発展のために、たとえば農業関係の労務者が自分のうちを建てたい、あるいはいろいろ金の必要があるので、それを借りたいとか、その人たちの生活を守ることも、国家発展のために重要なことなんです。そういう自由が制限されているということを、この制度の中からわれわれは聞いているわけなんです。ことに農業共済組合の運営に働いている人たちの賃金までが大蔵省の干渉するところとなって、事務費の補助だとか協議事項というようなことで、なかなか思うようにいかないということすら聞いておるわけなんです。それほどの干渉をこの制度で甘んじなければならないのか、私はここで先生と論争するつもりはありませんけれども、参考までにお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/9
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010・末高信
○末高参考人 いま社会保険の積み立て金の運営につきましての御意見であったと思うのでありますが、これは確かに大蔵省の資金運用部の中に投入をせられておりますが、しかし、それが必ずしもいわば大企業の基盤を育成するというものばかりに使われているわけではない。たとえば八郎潟の干拓であるとか、愛知用水であるとか、多目的ダムの建設とかいうようなものは、ほとんど農民の階層の方々を主として行なわれたところの投資であるように私は考えておるのでございまして、その全体の、いま国で握っているところの財政投融資の資金は、毎年一兆数千億円にのぼるわけでございますが、その一兆数千億円の内訳をどういうぐあいにすることがいいかという個々の問題につきましては、いろいろ御議論がございましょうが、しかし、必ずしも大企業の事業を発展させるためにのみ使われているわけではない。大企業の存在も、日本の国力を増進するためにもちろん必要でございますし、現在の経済成長の大きな部分が大企業によって占められている、そのことが回り回って国民全体の生活を潤しているというようなことは、ここで申し上げるまでもないことでございますが、それにも増して農民その他の階層の方にもできるだけの資金が流れてまいりまするように、国としてもいろいろ配慮しているでございましょうし、私自身実は大蔵省の資金運用部の審議会に名を連ねておりまして、常日ごろそういう点におきまして注意を払っているものでございますが、なおいろいろ御注文がありますれば私どもにお聞かせを願って、そして国全体の経済の成長の立場から、そういう点をとくと考えてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/10
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011・足鹿覺
○足鹿委員 先ほど一緒に申し上げておけばよかったのですが、私の先ほどお尋ねを申し上げた点について、未高先生の御答弁がありましたが、どうも議論になるようですから、これはまたの機会にいたしますが、いま林君から指摘された問題も、私は申し上げようと思ったのです。別に私どもは、国が政府保証債をもって大蔵省が介入したり、農林省がそういうことに同意をするということ、それ自体は間違っているとは思いません。ただ、有効な効率運用をすることによって、いわゆる福祉厚生施設や、従業員に対する給与の改善であるとか、労働条件の改善、そういう面にももっと恩典がいく、こういうことになりますと、結局余裕金の三分の一を、しかも銘柄まで指定して、監督権に名をかりて介入をしてくる、そういう行き方に問題があると私は思うのです。ですから、ほんとうに国が必要と認めるならば、政府保証債のような低いものではなくして、もっと効率運用になるような利息を払う、こういうお考え方で御指導になるならば、これは問題がないのです。私どもは、資本家の生産基盤の拡充などに使われるということではもってのほかでして、その点は先生と全く同感ですが、かりに国がやるとしても、全く上から押しつけてくる、これを聞かねば考えがあるんだ、何かそういうものをちらつかせる。そういう行き方に、林君が指摘されたとは別な角度からいっても、私は一つの問題があると思うのです。最初は預金部資金に出せ、こういう意見だったのです。それが今度政府保証債になる。しかも、三分一を出せということを農林省、大蔵省、年金当局も了承の上、何でも書面によって確認されておる。ところが、基金の最高決議機関である組合会は、先般も与野党のわれわれに、組合会の決議としして、絶対反対の意思表示をしております。要するに、年金そのものは、少なくとも政府の若干の援助を受けておりますけれども、あくまでも自主的な機関を持って運用されておる。その組合に何らの権限を与えずして、いわゆる官僚が天下り的に政府保証債を押しつけてくる、そういう行き方は非民主的であるし、年金の自主運営を著しく阻害するものである、この点はお認めになると思うのです。議論はそこから発展して、その人の問題になっては、これはまたいろいろな御議論があろうと思いますけれども、その点については、著しく名は民主的な運営の姿をしておるけれども、実態はそうではない。こういうところを私はこの際反論を加えるわけではありませんけれども、実情としては、私どもの承知したところによるとそういう実情でありますので、それに対する御見解をひとつ聞いておきたい。
それから、いま先生たちも、非常に熱心に厚年法の改正を、来年から月一万円ということで検討をおやりになっておることは、まことにけっこうです。その場合に、高齢組合員に対する年金の在職中の支給の問題が取り上げられておるやに聞いておるのでありますが、厚年法の改正によりますと、六十五歳以上の被保険者に対しては、二十年以上の期間を有しておる場合は、在職中でも年金を支給する在職支給制度を設けるように考えられておるということは事実でありますかどうか。もしそうだといたしますと、この間政府が私どもにくれました資料によりますと、農林年金加入者において、農事組合法人、漁業生産組合法人等が入っておるのです。いわゆる農地法と農協法との改正によりまして、働く農民以外には農地の取得あるいは使用、収益権の取得ができなかったものが、先年の改正によって、農業法人にもその取得が認められるようになった。そこで、農業の近代化の一環として協業、共同化が進行しつつある。ところが、この人々にはいつまでたっても雇用関係は生じません。何かの事情でよそへ行かなければ雇用関係は生じない。資格の喪失ということはないといたしますと、やはりこういう事情のもとに置かれておる人々に対しては、在職支給制度というものが必要になってきやしないか。あるいは厚生連に働いておる医師の場合も、一つの実情として出てくるのではないか。医師の場合には別に定年制等もございませんし、やはりこういう点は将来——これは職員の年金ではありますが、あり方いかんによっては、農業の共同化等が進んでいった場合には、農民年金的な方向も引き出せる、これはよほど先のことだろうと思います。しかし、そういうことも夢ではないと私は思うのですが、いわゆる高齢組合員に対する在職中の支給問題について、どのようにお考えになっておりますか。ひとつ御見解を承っておきたい。
それから、既裁定年金の引き上げの問題がございます。これは私ども社会党としては、別案にスライド制を含んだ案を提案をいたしておりますが、今回の法改正によって、今後年金受給権が発生するものの給付水準は改善されるといたしましても、すでに年金を受けてしまったものにはその恩恵が及ばない。これは申し上げるまでもないことなんでございますが、一方恩給や国鉄共済組合等では、既裁定年金についても引き上げを行なわれておるのでありますから、これに準じた方向で考えるべきではないか。そうすれば、第一問に私が申し上げた点は、これの運用なり、これに関連した適当な措置を考えていきますならば、完全通算制をカバーすることも一面可能になってきやしないか、そういう気もするのです。何しろ私どもはあまりこういう問題については詳しくありませんので、そういった点について、虚心たんかいにお尋ねをいたしておるのであります。ひとつ御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/11
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012・末高信
○末高参考人 お答えを申し上げます。
第一点でございますが、なるべく積み立て金を効率運用いたしますと、組合員のための福祉事業その他に還元できるのではなかろうかというお話でございますが、効率というものは、大体危険を伴うのが普通でございます。それで危険を伴わない程度の絶対安全ということになりますと、先ほど来お話がございましたところの政府保証債というようなことになってしまう。そこで、その道を通じまして、還元融資と地元の産業なり農民になるべくその資金が潤うようにというやり方がいいのか、それとも極端なことを言えば、民間の資金として株式を購入いたしまして、高利回りに——一割にも回るものがございますので、そういうようなものに回したほうがいいかということが、社会保険の積み立て金の運用につきましては、常に争われている問題でございます。しかし、一方において絶対確実を要求せられるということになりますと、還元融資であるとかあるいは効率運用であるとかいうようなことも、ほどほどにしなければならない。その妥協点がどこにあるかということは、見る人により多少違うと思うのでありますが、かりに、農林省の経済局あたりが非常にやかましくその運用について言うというのは、あるいは親心という気持ちで誤りなからしめるというような意味でそれを指導しているのか、それとも官僚として行き過ぎな干渉をしているかということは、個々の問題についてでないと、私十分に意見を申し上げることはできないのでございますが、その点はなかなかむずかしい問題である。非常に抽象的な言い方でございますが、この場ではそう申し上げる以外に手はない。
その次に、在職年金の問題ですが、年金というものは、退職をして老後生活をしなければならない資金のために与えるのでございまして、働いて一方において賃金を得ながら、一方において国から、あるいは公的な制度から年金をもらうということ自体、非常におかしいと思うのです。そこで、現在政府案として打ち出されております厚年の改正案には、確かに在職年金の規定がございますが、私個人の見解から申しますれば、非常にその点は反対でございます。そこで、これは、いろいろな方々がやはり最低賃金につきまして関心をお持ちになっている。特に社会党の方は、全国一律八千円の最低賃金というようなことが、政策の中にと申しますか、御主張の中にある。そういうぐあいに最低賃金を全国一律に年齢を区別しないで定めるか、あるいは年齢ごとにか技術ごとにか存じませんが、ある程度はっきりした最低賃金が規定せられるような暁には、この在職年金なんというものは、もう非常に不具な、おかしな形でありますから、当然廃止しなければならない。いま現に社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会に諮問されております厚生年金の諮問案の中には、在職年金というものがあるのでございますが、これはきわめて過渡的な意味において許さるべきものであるということが、理論的にもはっきり申し上げることができる、こう考えております。
それから、既裁定年金をある一定の基準まで引き上げるという問題は、年金という形でいくか、それとも生活保護基準をある程度引き上げるということに見合って、いろいろものを考えなければなりません。しかし、一ぺん与えた権利、軍人恩給なりその他いろいろ類似の制度におきましては、既裁定のものまでも逐次引き上げるような方向に進んでおると私は存じておりますが、ああいうようなやり方が、はたして社会保障全体の立場から申しまして安当であるかどうかということは、私自身非常に疑問に考えております。したがって、既裁定年金の引き上げをいまここで私の意見として即座に御賛成申し上げるという気持ちにならない。それはいろいろ関連事業、ことに社会保障関係の生活保護その他の事業との関連において考えなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/12
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013・高見三郎
○高見委員長 湯山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/13
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014・湯山勇
○湯山委員 簡単に三点だけ・お尋ねいたしたいと思います。
一点は、いま御答弁いただいたことに関連のある問題でございますが、既裁定年金の引き上げは、先生がおっしゃいましたように、恩給等におきましては、昭和二十三年六月あるいは昭和二十九年一月、それ以後二回にわたってベース改定が行なわれております。これは必ずしもいま先生がおっしゃるようなことだけではなくて、今日のような経済の変動の大きい、つまり、物価の変動が大きいときには、既裁定年金の額をそのまま踏襲していったのでは、年金本来の目的である生活を維持するということができない、そういう観点から、今日のような日本の国情、経済情勢の中では、そういうことを考えていかなくてはならないのではないか。したがって、いま先生の審議会に諮問されておる厚生年金におきましても、既裁定年金受給権者に対しても改正法を適用するということがとられておると承っております。そうすると、この農林年金の場合は、今年度からほんとうのこれの支給が始まるわけですけれども、その期間の大部分は厚生年金期間にまたがっております。十五年くらいまたがっております。その厚生年金は、これはいろいろいわれておりますけれども、当初の発足は必ずしもほんとうに生活を保障するという意味じゃなくて、軍事費の調達という面もあったと承っております。そういう厚生年金に奉仕してきたこの農林年金がいま実施されようとするときに、ただそれはそのままで、運が悪かったんだからしかたがないとか、そういう性格のものでなくて、さかのぼってそれらも検討するという必要があるのではないか。先生が最初御指摘になられた、おそきに失するというおことばは、私そういうことも含めての御意見じゃないかということを感じましたので、その点についてはもう一度御所見を伺いたいと思います。
第二に、お伺いいたしたい点は、国庫負担の問題でございまして、これは、農林年金に対する国庫負担というのはきわめて中途はんぱになっております。政府の案もそうですけれども、社会党から出しておる案は、これは数理的保険料については折半する、他の整理資源その他については、これは事業主もしくは国が負担する、こういうたてまえをとっております。そういたしませんと、実際には給付の一五%を国が持つというたてまえになっておりますけれども、整理資源の分は持たないということになっておりますために、実際の給付の一五%ではなくて、一二%、新法においてもその程度しか持たない、こういうことになっておりますので、そういう制度の改変あるいは経済事情の変化ということに伴って起こるものについては、これは本人負担にしない。つまり、当然本人が持たなければならないものを数理的保険料の半分、こういうことでいって、決して差しつかえないのではないかという考えを私は持っておりますので、これも先ほどの先生の御意見と若干違っておるかと思います。これも伺いたい点です。
これとつながって、先ほど先生の御答弁の中に、新法適用をさかのぼって——ほんとうの給付というのはこれから始まるわけですから、いままでのものはかりのものであった。今度改正になったものが本来あるべき姿であるから、これを全部に適用するということについて、先生から平均標準給与が三カ年が適用されるからということでございましたが、これは、私ども政府案を見まして、切りかえ措置の第六条以下ではそうなっていないと思います。やはり旧法期間は旧法による平均標準給与をとっている。加算率も同じように旧法をとっております。そうすると、改正法の恩典というものが、全然現在まで苦労してきた人たちに及ばない。これは一般的にいえば、国家公務員、地方公務員等は、すでに相当いいものがあった改正ですから、それは考えられるとしても、農林年金のように非常に悪条件にあって、今日では厚生年金よりも悪くなっております。三万五千五百二十円という保障は、いま支給されておるもの、適用されようとするものについて計算をいたしましても、そこまで達しないものがずいぶんたくさんございます。そういうときには、むしろこれはいま改正になるものであっても、なおかつ当然あるべきものよりも悪条件にあるというような観点から、せっかくの改正を、先ほど申し上げましたベース改定遡及適用、そういうことじゃなくて、この際全部に適用する、私は、特にこの年金の性格から考えて、そうあるべきではないかと思いますが、それについての御意見を伺いたいと思います。
なおまた、厚生年金が改正されようとして、いまのようにほとんど完全遡及適用が行なわれようとしておる。ところが、この農林年金におきましては、先生御指摘になりましたように、年金においても、この年金の最低保障額においても、現行厚生年金のあとを追うような形になっております。しかし、これは年金の制度のできる経過から見て、厚生年金のあとを追うのではなくて、それよりも、少なくとも私学共済なり、あるいは国公、地公共済に準じていくということになれば、厚生年金よりは一歩前にいっている、こういう形が、成立の経過から見ても望ましいのではないか。ところが、いま先生御指摘になりましたように、そういう標準給与の最低額にしても、あるいは標準給与自体にしても、政府案では低過ぎるような気がいたしますし、それから障害年金あるいは遺族年金の最低保障額、これらは現行厚生年金のあとを追っている。これは全くこの年金のできた趣旨に反するものである。反するものであるというのは、言い過ぎであったとしても、はなはだそれはよろしくない措置であるということが言えると思いますが、それについての御意見を伺いたいと思います。
以上、問題が重なりましたので、たいへんごたごたいたしましたが、ひとつお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/14
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015・末高信
○末高参考人 お答えを申し上げます。
既裁定年金をどうするかということ、もちろん、農林漁業団体職員共済組合というものは、名前はそういう長い名前でございますが、社会保障の一環であり、それによりまして、国民の生活を保障しなければならない、少なくともその職員の生活を保障しなければならないという観点に立ちますると、やはり恩給であるとか、あるいは厚生年金であるとかいうものが、既裁定のものにつきましても、逐次経済の成長、物価の高騰に伴って改正をしていったということにかんがみましても、これは当然考慮せらるべきである。しかし、どの程度の考慮ができるか、その費用は全部何でもかんでも国から出すのだということになりますれば、それはどの程度でも改善できるわけでありますが、しかし、この制度自体をあまり大きくこわさない、しかも、国庫からの負担と申しますか、投入せらるる資金も、他とのつり合いにおいて著しく不当でないというような限度におきましては、これを改善いたしますことが当然であろうというぐあいに私も考えております。
それから第二点は、おのずから第一点と関連があったと思うのでありますが、国庫負担、特に整理資源はどうするか、こういう問題は、先ほどの第一点のお答えのときに申しましたように、制度全体を著しくこわさない、しかも、他の制度に対する国家資金の投入と申しますか、あるいは国庫負担の割合が著しく不つり合いでない程度におきましては、整理資源をある程度考慮するということは当然ではなかろうか、これはやはり限度の問題だと思うのでございます。
それから新法の適用、たとえば、二十年でもってこの農林漁業団体職員共済組合の年金をもらうというものの、過去十五カ年は厚生年金の部分であった、その部分をどうするかという問題は、厚生年金保険の改善、既裁定なりあるいは過去の標準報酬の引き上げというものが逐次行なわれておりますが、そういうものと見合う程度におきましては、これはやはりその限度におきましてつなげる。つまり、旧法の部分と、新法の部分をつなげると、新法でもって直ちにこれをいってしまうということは、他の制度に属しているものに比べまして、多少不均衡な措置になるのではなかろうか、かよう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/15
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016・湯山勇
○湯山委員 もう一つは、いま最後にお尋ねいたしました、厚生年金のあとを追うような形をとっておるいまの年金のあり方というものが、これは法律の成立の経過等から見て、望ましくない姿、むしろ、それは間違っていると言っていただいてもいいのじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/16
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017・末高信
○末高参考人 私が先ほど申しましたのは、少なくとも厚生年金の改善に見合う程度において改善する、その上をどの程度にするかということは、限度がよくなるということは、受給者の立場からいえば、よければいいほどいいにきまっておりますが、しかし、他のいろいろな制度の受給者等との関連におきまして、最低限度を厚生年金の今度の改善に見合う改善は必要ではなかろうか、こういうお答えにとどめておきたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/17
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018・高見三郎
○高見委員長 それでは次に、河野参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/18
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019・河野恒雄
○河野参考人 私から、発足以来の状況について、まず御説明申し上げたいと思います。
当共済組合は、三十四年一月一日に発足をいたしまして、五カ年ちょっと経過をいたしておるわけであります。ようやく軌道に乗りかかったところでございますが、関係各位の御支援によるものと厚く感謝をいたします。
この法の適用対象団体でございますが、発足当時は約二万五千団体でございましたが、現在は二万二千団体とかなり減少いたしております。組合員のほうは、発足時二十九万五千人でございましたが、昨年の十月では三十三万一千人と逆にかなり増加をいたしておるのでございます。
組合員の標準給与につきましては、発足時、三十四年度末でございますが、これが大体一万一千円でございましたが、昨年の三月末では一万六千円というふうに、かなり上昇いたしておるわけでございます。
それから掛け金でございますが、組合員の増加並びに標準給与の上昇に伴いまして、掛け金の告知額も、昭和三十四年度では大体一年分三十一億程度でございましたが、三十七年度では五十四億程度に増加をいたしておるわけでございます。
掛け金の収納につきましては、ほかの制度に比べまして、規模の小さいものもありますので、収納方法も毎月各団体個々から払い込みを受けておるわけでございます。これは現在大体系統金融を通じて納入をするようにいたしておるのでございますが、発足当時各都道府県に農林年金連絡協議会というものを設置いたしまして、各系統団体の連絡協調をいたしますと同時に、こういう掛け金の問題等につきましても、督励指導に協力をいただくというふうにいたしておるわけでございます。
これと並行いたしまして、掛け金の問題につきまして、さらに振替決済あるいは代理納付制度という方式をできるだけ普及いたしまして、掛け金が円滑に納入されるようにくふうをいたしておるわけでございます。現在こういう方式を採用いたしておりますのが約九千四百団体ございまして、掛け金の収納の円滑化に多大の効果をあげておるわけでございます。
給付につきましては、給付の件数の最も多いのは退職一時金でございます。なお、この制度の根幹であります退職年金は、三十七年六月に二十四名発生いたしましたが、その後漸次ふえまして、本年の三月では百二十九名ということに相なっておるわけでございます。
厚生保険特別会計から交付金を受けることになっておるのでございますが、これは当共済組合が発足いたしますとともに、厚生年金期間を通算いたしましたので、厚生年金特別会計から所要財源の移管を受けるということになっておるのでございます。そのための厚生年金の被保険者期間の確認作業であるとか、あるいは交付金額の計算作業というものを、三十七年八月に、約三カ年間にわたりまして作業を行ないまして、終結をいたしました。そして三十八年十二月に交付金の精算交付を受けております。これは概算金としてすでに二十七億というものをもらっておりますので、その後の精算追い払い金として、利息を含めまして約十二億、合計三十九億という移管を受けたのでございます。
福祉事業でございますが、当組合は、ほかの共済組合とは異なりまして、短期給付事業をいたしておりません。したがいまして、組合員と日常的に接触する面がややうとくなるという面もございますので、この福祉事業にはできるだけ意を注いでまいりたいということで今日までやっております。まず三十五年には福祉部という組織をつくりまして、三十六年から障害者に対する義肢補助器とか、さらに翌年におきまして京都に会館を開設し、また三十八年には長野県に温泉療養所を設置しますとともに、岩手県にも保養所を設ける、そのほか、福井県、別府等につきまして近日開設する準備を進めておるわけでございます。
資産の運用でございますが、資金は、農林中央金庫等への預金あるいは農林債券その他有価証券の取得、それから貸付信託、不動産あるいは福祉事業施設のための福祉経理への貸し付けというような点で運用いたしておるのでございますが、昭和三十九年三月末におきましては二百二十九億ということになっております。大体有価証券が相当の量を占めておりまして、約七五・七%を占めておるわけでございます。その他、預貯金、貸付信託、不動産、他経理への貸し付けということになっておるわけでございます。
以上のような業務の執行につきましては、議決機関といたしまして組合会があるわけでございますが、一年に二月と六月の二回開催をいたしております。また理事会を毎月開催いたしまして、業務の執行といたしましては、理事長のもとに常務理事が二名、職員が百六十名、機構といたしまして、一室三部六課ということで業務を分担しておるわけでございます。かような状況で今日に至っておるわけでございます。
なお、御提案になっておりまする法案につきまして、意見を申し述べさしていただきます。
この共済組合法は、三十三年の四月に制定をされたわけでございますが、私立学校教職員共済組合法、地方公務員共済組合法が相次いで改正をされまして、当共済組合といたしましては、その当時、成立後なお日が浅いために、十分な準備ができませんで、改正が困難でございましたが、今回改正法案が国会において審議されることになりまして、まことに喜んでおる次第でございます。
給付水準につきましては、かねてよりおおむね国家公務員共済組合法の水準程度には引き上げたいということで、関係各位に御要望申し上げておったわけでございますが、今回政府が提案された法案におきましては、主要な点につきましては大体入れられておるというように考えております。
まず、改正の要点でございます給付水準につきましては、給付の基礎となる標準給与の算定期間並びに退職、障害、遺族等の給付水準につきましては、大体国家公務員共済組合に準じて改善されておりますが、なお退職年金、遺族年金の最高限度につきましては、実は百分の六十ということになっておるわけでございます。この百分の六十と申しますのは、大体三十三年で頭打ちということになるわけです。現在のところ、直ちに影響はございませんけれども、将来において実態に応ずるように改正をすることが必要ではないかというように考えます。
なお退職、障害、遺族各年金には、いずれも国家公務員共済に準じまして、最低保障額が新設または改定されておるわけであります。これは現行厚生年金の基準を下回らないという観点から定められておると考えられるわけでありますが、先ほどから話が出ておりますように、現在厚生年金保険法の改定が種々論議せられておるわけでございます。その改定によりまして、これに順応するようにぜひ改定をしていただきたいというように考えております。
それから標準給与の問題でございますが、月額の表が改定されまして、六千ないし七万五千円という二十八級に改定になっておるわけでございますが、組合員の給与の改善も漸次進行しておる傾向にございますので、将来実態に応ずるような改定がされるように御考慮願いたいと思うわけでございます。
その他、掛け金の徴収、審査会の審査規定の整備の問題あるいは余裕金の運用等につきまして、規定が整備されましたが、農林漁業団体に対する貸し付けができる規定は、資金還元という意味から考えて有用であると考えておるわけでございます。
最後に、法改正に伴う財源の問題でございます。今回の改定によりまして、掛け金率は千分の九十六程度になるのではないかというように考えておりますが、現行の七十八に対しまして約十八の増加ということになります。給付改善のためにはやむを得ない点もございますが、農林漁業団体の経営並びに組合員の給与の実態等から見まして、将来国庫補助の増額についても御考慮を願いたいと思うわけでございます。
以上、政府案に対する意見を申し上げましたが、要するに、本案は十分とは申せませんけれども、現状においてはやむを得ないところではないか、将来においてなお改善をひとつ御考慮願いたいということでございます。
次に、湯山議員をはじめ議員提案になっております改正案について申し上げます。
法案の概要は、政府案と同様の点が多いのでございますけれども、若干違っておりますところは、給付内容につきましては、退職、障害、遺族それぞれ年金の最高限度並びに最低保障額が大幅に引き上げられているという点が第一であります。
第二点は、退職、障害、遺族のそれぞれの一時金につきまして、支給資格の期間あるいは刻みの期間というような問題が現行どおりになっておるように思います。
第三点といたしまして、最低保障額がスライディング・システムになっておる点でありますが、以上のように、給付内容につきまして、政府案に比してなかり引き上げられておるということでございます。給付改善という点から見まして、まことに望ましいのでございますが、やはり給付の改善は当然所要財源の増加ということに相なってくるわけであります。かなりの掛け金率の増加ということも予想されまして、これにどういうふうに対処していくかということが問題であろうかと思います。特に法案に示されておりますスライディング・システムということにつきましては、年金の価値を物価変動から保障するというような点につきまして、社会保障制度として望ましいものであるというふうには考えます。しかし、最近の物価ないし生計費の変動状況から見まして、最低保障額の引き上げによる所要財源は、かなり長期的な財政計画について検討しなければならぬのじゃないか。現在の完全積み立て方式を維持するか、あるいは修正賦課方式にするかというような、基本的な問題まで検討を要することになりはしないかという点を考えるわけであります。
以上、簡単でございますが、意見を申し述べさせていただきました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/19
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020・高見三郎
○高見委員長 次に、嶋岡参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/20
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021・嶋岡静男
○嶋岡参考人 全農協労連の嶋岡であります。
このたびの、農業団体のうち、特に農協に働く諸君の長年要望されておりました農林年金法の改正につきまして、かような国会の御審議の場に職員の代表が参考人として呼び出されましたことは、非常にうれしく思っておりますし、また農林水産委員会の先生方に敬意を表したいと思います。
ただいま御両人から参考意見が出たわけでありますが、一人は第三者であり、他方は管理者という立場でございまして、私は全農協労連の委員長として、特に単位農協、県連、全国連を問わず、農協に働く従業者の実態を申し上げまして、この年金給付に利害を持つ者の代表として、そういう立場から、三点について簡単に意見を申し上げたいと思います。
まず第一点は、農協の労働者の生活と労働条件の実態についてであります。第二点は、農林年金法の改正法案に対する意見、最後に、農林年金の運営についての意見を申し上げたいと思います。
第一の農協に働く従業員の組織の現状でありますが、全国連の全中とか全販とか全購、全共に働く職員は約四千人であります。県連は約二万人であります。単位農協に働く職員は約十五万人ほどおるわけでありまして、約十八万人おるわけであります。その圧倒的な数は単位農協に働く職員でありますが、この人々の労働に対する報酬、いわゆる賃金は、二、三日前農林省から参考資料として出されましたものにも明示されておりますように、三十七年度末現在で農林年金標準給与として出されております額は、平均一万六千四百四十円となっております。全国連が三十九年一月現在においても平均三万円そこそこ、県連が約二万五、六千円、したがって、平均一万六千四百四十円というこの数字は、これ以下の職員が三分の二いるということでございます。したがって、高校を卒業して十八歳で初任給六千円という、こういう低賃金者もあり、年齢が三十数歳で子供二人、女房ともに家族四人で一万五、六千円、こういう状態の職員も圧倒的におるわけであります。参考に、今日における生活保護法の受給額そのものが非常に低いということで、生活保護者自体からその引き上げを要求されておるわけでございますが、現在、東京都一級地として四人家族で生活保護法としての支給を受けるのは一万四千二百八十九円でございます。これ以上に、実質的なものとして、所得税、住民税が非課税であり、子供の給食費や教科書代は無償交付、こういうことでいきますと、単位農協に働く職員は、働きながら、しかもその働きぐあいは、朝の八時から夜の九時、十時という、労働基準法も何もない、前時代的な労働条件の中で、いわゆる病気かあるいは働く場もない、その中で給付を受ける生活保護法の給付額以下の賃金で酷使されておるというのが、今日の農業協同組合における職員の実態なんでございます。そういう実態をこの農林年金法においてどのようにして運用するか。農林年金に対して期待する職員のかまえというものは、今日の国家公務員だとか地方公務員だとか教職員というような立場とは、おのずからその姿勢が違うわけなんです。
しかも、そういうような状態を改善しつつある傾向にあるかというと、そうでないわけです。これは九州の一例でございますが、大分市の戸次町の大南農協というのが、三年前に五つの単協が合併した。合併の理由は経営困難だということで、三年前に合併して、農家戸数二千戸、職員五十人というふうに大型化されたわけです。ところが、合併しても経営は困難だということで、職員に支払う賃金は三年間据え置きのままでございました。本年三月末現在の平均賃金が、平均年齢二十八歳で二万二千六百円、こういう状態でございます。
また、テレビあるいは農業雑誌等で、農業の近代化、大型農協、日本一の近代化農協と宣伝されております神奈川県の津久井郡農協は、五年前に、郡一円の十一の単協が合併して、郡一円の農協が発足したわけです。合併によって、なるほど見せかけは、事務所は三階建ての鉄筋の建物ができ、そして机やその他の施設は新しいものに切りかえられましたが、そこに働く約二百数十人の職員の待遇は、今年一月一日現在一万七千四百七十円、こういうような劣悪な、しかも、これらの農協は、八時、九時、十時まで残業しても残業手当一銭も出ないという、おそるべき労働条件が、単位農協で現実に行なわれているわけなんです。農業の経済の中での変動といいますか、そういうものと全く一致した形で、農協の職員というものに対して、過酷な労働と不当な労働条件が強制されておる。
しかも、ここで先生方にぜひ知っていただきたいのは、単位農協に働く職員は実は労働者でなかったわけでございます。数年前まではいわゆる兼業農民であったわけです。かたわらで農業を営んで、そうして農業協同組合の職場にという形で、農業協同組合の仕事に従事しておる。したがって、数年前までは、その主たる生計の財源というものは、自家農業所得に依存していたわけです。だからいままでは、農業協同組合で受ける報酬というものについては、低かろうと安かろうと、不当な労働条件であろうと、それほど文句も出なかったし、したがって、作業能率という問題につきましても、田植え時期だとか稲刈りの時期だということになれば、事務所を休んで農協そのものも店じまいをして、職員が百姓をしておる。ところが、この数年来の動きは、農民そのものが出かせぎをして、農民そのものが農業外収入にだんだん依存度を高めるとともに、農協の職員も、農協から受ける賃金収入に経済的基盤としての依存度を急速に高めてきたわけです。ということで、この数年にして初めて、農協に働く職員が労働者としての位置づけができてきたわけです。そういう傾向の中で、急速に農業協同組合の職員の中に労働者として目ざめが出てき、しかも受ける賃金とか労働条件というものは、農業協同組合の理事者そのものが、全く農業協同組合法の精神の立場に立っていないから、押し迫る農業経営の危機、農業協同組合の経営の困難さのよって来たるしわ寄せをすべて農業協同組合の職員にのみしわ寄せしておるという傾向でございますので、みずからが団結して労働組合を組織し、要求し、そして農業協同組合の経営改善に立ち上がらなければならないというのが、この二、三年来の特徴でございます。
戦後民主化政策の三つの大きな柱とした労働権の確立問題について、農業協同組合に実は労働組合というものがほとんどなかったわけでございます。労使慣行というものが行なわれながら、農業協同組合に職員の職員組合がなかった。ところが、この二、 三年来、急速にそういうものがつくられてきたのは、外からの圧迫、圧力でもなければ、ほかからの誘導でもなくして、農協に働く職員自身の生活と権利を守りたい、しかも農業協同組合をよくしたいという、そういう自発的な行為、職場にみずからが十人であっても十五人であっても職員組合をつくらざるを得ないような傾向が出てきておるわけです。にもかかわらず、そのみずからが職員としての生活を守るということについても、その経営者である農協の組合長以下理事者が、いわゆる戦前のおくれた思想の上に立っておりますので、憲法第二十八条の団結権の問題にしても、労働組合法の問題にしても、労働基準法の適用の問題についても、全く理解されない、むしろ、そういうものについて偏見を持って対処しておる。したがって、農業協同組合における労使の慣行というものが、そういう戦後十五年、二十年を経過してできてきた経過でございますので、ほかの団体のように戦後すぐ職場に労働組合をつくったケースでございませんので、今日における農業協同組合の労使の紛争というものが、質の違った形で、経営者は農協労働組合に対して異常なまでに偏見を持った姿勢で臨まれております。そのために、いたずらに労使の紛争というものを混乱におとしいれておる。そういう単位農協の態度が県連に反映し、県連のそういう役員の考え方が全国連に反映しまして、全国連合会も、二、三年前までは、労使双方がもっと正常な立場で団体交渉等も運営できたのが、一昨年ごろから、ことしの場合も、賃金の改善の要求を契機としまして、全国中央会、全購連、全敗連、全国共済農協連の四連がいま労働争議を行なっておりますが、これはすでにもう二カ月を経過しておりますけれども、会長なり剛会長なりという理事者の責任者が、団体交渉にも参加しない。そして常勤の職員上がりの常務理事一名ずつだけを労働組合の代表との話し合いの団体交渉の場に出して、それでいいんだというようなことで、単位農協におけるそういう労働組合に対する偏見さが、県連、全国連にまではね上がって、全国連のような近代化された労使慣行をつくらなければならない団体においても、紛糾を起こしておる。県連におきましても同じような状態で、しかも最近の傾向としましては、大きな資本象すら顔負けするような、反労働者的な、反農民的な労務管理というものが、急速に強められておる。こういったことが言えるわけです。
しかも、最近、農業協同組合の近代化ということの中で、農業協同組合の合併が政府の方針として進められておりますが、この中においても、農業協同組合のほんとうの体質改善というものは、働く職員の質的向上ということが行なわれなければならないわけでございますが、総じて単に経営企業としての改善施策の方向ばかりでございまして、先ほど大分県の大南農協の例のごとく、職員の賃金改善はストップ、また退職給与積み立ての引き継ぎというようなことは、全部新しい農業協同組合に切りかえられる、こういう傾向でございますので、新しい職員の確保ということが全然期待もできない。現に年々二〇%ずつ退職し、職員の質も徐々に婦女子化してきておる傾向というのが言えるわけでございます。そういうような傾向でいきますと、いかに体質改善をしましても、農業協同組合としての真の役割りというものがきわめて困難である。
そういう現状でございますので、今回改正されようとしています農林年金法そのものについても、実は掛け金等の問題、見合いに関係しまして、二十年先の問題について、ほとんど七〇%までか婦女子と若い層でございますので、実はイメージとして、昭和三十三年の法制定ころの年金と、今日の六年経過してきました年金の実際の運用の問題を判断して、多くの農協の職員は、むしろ掛け損なんだ、年金というものに対する自分たちの期待というものがきわめて裏切られておる、一部の農業協同組合長だとか、あるいは一部の五万も六万も高給を取っておる、そういう経営者の人たちに対する年金であって、ほんとうにかますをかつぎ、運転手としてハンドルを握っている、あるいは伝票を切っているという人たちにとっては、安い賃金の中から掛け金を取られるだけで、何の魅力もないじゃないか、むしろないほうがいいんじゃないか、こういうことを言う職員すら最近は出てきておるわけでございます。
そういう観点から申し上げまして、この法案について、お手元のほうへ私どもの見解を資料としてお配りしましたので、その詳細は省きますが、まず、おも立った面だけで申し上げますと、今回の改正の中で、特徴的といわれておりますのは、先ほどの質疑の中にも出されました、新法が適用されない旧法期間の問題でございます。これは農林年金の改正の要求事項の中には、こういう問題が全然出されていなかったのですが、新しい政府案の附則第六条を見まして、初めて私ども、これはとんでもないことだということで、これについては非常に遺憾の意を表しておきたいと思います。今回の法改正で、年金の支給額が百分の三十三・三から百分の四十に改正するとか、あるいはその他いろいろの最高標準方式の引き上げとかいうようなものが行なわれましても、実際この改正法案が実施されます昭和三十九年十月一日以前の、現在すでに農業協同組合発足以来働いておる職員には、今日せっかく先生方が御努力願って、法律を改正してやるんだ、過去二年間の運動の中で、私たちの前に、全国の仲間がはがき陳情その他で訴えたことに対して、御好意としてここに日の目を見た法改正が何にもならない。こういうようなことになりますと、全くほかのところがいかに改正されましても、死文にひとしいということで、きわめて裏切り的なことになるのではないかということで、先生方そのものに対する裏切り的なことの感じすら、恩をあだにするような心配すら私どもするわけでございます。
また、掛け金の問題でございますが、なるほど給付額がふえることによってその財源として当然ふえるわけでございますが、この点についてこの法改正では、現行七・八%に対して九・六%が見込まれ、約二〇%の引き上げになりますが、私どもの考え方としては、基本的に社会保障制度としてのそういう性格と、特に農林漁業団体の今日置かれている、先ほど申し上げました農業協同組合のそういった役割り、その実態としての低賃金、生活保護の給付額より低い賃金で働いておるそういう職員が、ここに期待するのは、まさしく社会保障そのものでございます。しかし、社会保障そのものではいつまでたってもわれわれは時期的に時期を損するので、たまたま農林年金法という形で、私どもこれを足がかりにしておるわけでございますが、にもかかわらずこれが掛け金をさらに上げて給付をよくしてやるのだというようなことは、まさしく私どもの期待を裏切るものでございまして、当然これらの点については国庫補助額の増額ということでぜひとも見合っていただきたい、かように考えておるわけでございます。
次に、資金運用の問題でございます。先ほどの質問にも出てきておりましたが、私ども、理事者側も職員代表も農林年金法の改正については予想もしていなかったことが、法第七十条の五号という形で、農林漁業団体に対する貸し付けワクを新設されておりますけれども、こういったことにつきましても、私ども強く反対するわけでございます。なぜならば、五十三条を規定されましたいわゆる福祉事業に対するところの事業そのものが、過去六カ年間見ておりましても、職員の福祉事業としての面が決して私ども十分であるとは考えておりません。むしろ、そういうふうな貸し出し制度というものを新設するのであれば、五十三条の福祉事業の項で規定して、現実的に職員に対する福祉施設なり、住宅なり、あるいは生活資金等々で苦労し、高い利息で労金等でこれをまかなっているような現状でございますから、そういった点に対して、この農林年金運用資金を職員の福祉厚生として貸し出すような制度に踏み切っていただきたい、かように考えておるわけでございます。
さらに次には、農林年金の運営そのものの中で、いわゆる政府機関の不当な干渉の事実があるわけでございます。その点につきましては、この農林年金制度が組合会等民主的な議決機関があるにもかかわらず、そこできめられる事業計画、予算等についても、農林大臣の承認、認可云々というようなことで、実質上組合機関が民主的な役割りというものが阻害されている。そういった点についても、あくまでも組合会というものを議決機関として優先するような形——また、そういったことが、特に労使慣行におけるところの職員の賃金問題についても、最近特に大蔵省の干渉が非常に強く、せっかく労使間で話し合いができて、賃金の改善をしようといたしましても、現にことしの場合におきましてもそうですか、他の政府関係機関との見合わせということで、大蔵省がこれに対してブレーキをかけているために、労使双方で当然きめられるべき賃金改定問題まで紛糾を起こし、農林年金における職員組合は、百日以上に及ぶところの労働争議がやっとこの間妥結した。そのために、農林年金事務そのものも非常に混乱さしておる。これは農林年金管理者の責任を問うとともに、農林年金当局に対する政府の干渉が明らかに不当である、こういう事実があげられるわけでございます。そういったことで、法改正そのものについて内容はいろいろあるわけでございますが、その点、実は御参考に供した資料で、省略させていただきたいと思っております。
以上が私どもの今回の農林年金法改正に関する見解でございますが、最後に、この機会に、私ども農業協同組合に働く職員は、その任務が他の生産工場とか企業と違いまして、いわゆる農民の生活の向上と農業生産の向上をはかることを目的とした農業協同組合の事業を担当するものでございますので、私どもはどうしても農民なり農業の発展ということに非常に関心を持たなければならないわけでございますが、とりわけ農村の現場におります私どもとして、先生方にぜせひとつ取り上げていただきたいのは、最近の農民の労働条件が非常に変わりつつあります。八割、九割までの農民が、なれない農作業以外のいわゆる土木事業とか、あるいは都市のそれぞれの下請工場に働いておりますが、これらの農民の労働そのものに対する保障制度、あるいは労働賃金の保障制度、あるいは労働条件すべてに対する保障制度が全くないような状態でございます。こういった年金審議の中で、さらに農民の労働に対するそれぞれの保障措置、いわゆる農業労働災害補償の問題なり、あるいは農民の出かせぎ就労に対する賃金保障の問題なり、あるいは労働条件の改善に対する保障制度の問題なりもあわせて取り上げていただいて、ともども農民の生活向上と農協の職員の向上が並行して進められるよう、先生方の一そうの御努力、御協力をお願いしまして、非常に僭越でございましたが、職員を代表しての私の陳述を終わりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/21
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022・高見三郎
○高見委員長 以上で両参考人の御意見開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/22
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023・高見三郎
○高見委員長 これより両参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。足鹿魔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/23
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024・足鹿覺
○足鹿委員 他の同僚委員からも御質問があろうかと思いますので、二、三お尋ねをいたします。
最初に、河野さんと嶋岡さんの御両氏に、末高参考人に尋ねた点をさらにもう一つ突っ込んでお尋ねをいたしますが、ただいまも嶋岡参考人は、今度の経過措置に見られる更新組合員に対する年金支給の問題については、完全通算を期待しておったところが、ふたをあけてみたら、これが裏切られた、きわめて遺憾であるという旨の御発言がございました。つまり、厚生年金部分と旧法に基づく農林年金部分と今度新しく改正される年金部分、三段階になる。ですから、今後給付を受けるべく新しく採用された者は、新法である程度その要望が満たされるわけでありますが、これは重複を避けますけれども、今日までこの問題をひっさげて苦労をされた人々の期待には沿っていない。これは厳然たる事実であろうと思うのです。
この点について、河野常務に私はお尋ねをいたしたいと思いますが、このような事態を、他の私学も大体同様こういう方法だ、あるいは国家公務員、地方公務員の場合にも大体そういう慣例だ、だからいたし方がないのだ、こういうお気持ちでございますが、事前にこういうことになるということを知っておって、その是正のためにどのように御努力になったか。先ほどの御陳述を聞いておりまして、私非常に遺憾に思いますことは、あなたは年金の理事者としての立場よりも、農林省の監督官庁の立場でものを言っておるような印象を受ける。まことに遺憾に思います。どっちなんですか。あなたはこの法律をつくるときの農林省の農協部長として、最高の責任者であった。その気持ちがいまだに抜けないで、年金の理事者になっても、この根本的な、致命的な欠陥に気がつかないのか、気がついたといたしましても、他との関連上やむを得なかったで済むとお考えになっておりますか。この問題が解決されない本法の改正というものは、画竜点睛を欠く。他の枝葉末筋の問題はともかくとして、この問題を解決せずして年金の最高理事者としての責任は全うされたと考えません。荷見さんは遺憾ながら高齢のゆえをもって、理事長として御勤務になっておりましたけれども、御多忙であると同時に、最近惜しくも故人となられました。荷見さんの偉大な日本の農政における足跡を、この一点において私どもはあえて故人にむち打つようなことは考えておりません。あなたがその最高の責任者だと思う。新理事長を迎えられたけれども、これはまだ未知数である。着任されたばかりである。一体このことを知っておったかどうか、知っておったとするならば、是正のためにどういう努力をされたか、今後どういうふうに対処されるか、この点を、まず一番重要な点でありますので、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/24
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025・河野恒雄
○河野参考人 ただいま御質問の点でございますが、新法と旧法の合算の問題につきましては、ただいま御質問の中にもございましたが、共済組合の法律改定の際に、給付の内容を改善する際にとられております一つの原則と申しますか、そういったものがあるわけでございます。共済組合の中には一つの保険原理、保険原則というものが入っておるのでありまして、もちろん、社会保障制度の一環でございますから、社会保障制度的な要素もあるかと思いますけれども、その経理の面におきましては、そこに保険の原則というものが入っておるわけでございます。そういう意味におきまして、今回の改正の場合には、新法と旧法とを別々に計算するという原則で、この法律改正ができておるように思います。また、私ども法律改正につきましていろいろ要望いたしておりました際も、大体国家公務員の給付水準まで引き上げたいということを基本的な考え方としてやってまいったのでございます。その点につきまして、過去においてすでに期間を持っている人が現在やめる際に、そういう点で非常に期待に反するのじゃないかというお話でございます。そういう点がまさにあろうかと思います。新法開始間もなく退職されるという方につきましては、この法改正による恩恵をほとんど受けることができないということがあろうかと思います。しかし、また一方、これを通算いたしまして新法によることということにすれば、いまのような人の年金部分を後者が負担するという面もあるわけでございます。したがいまして、古い期間を持っておる人が今回やめられるということにつきましては、そういった恩恵を受けられないという点で、まことにごもっともな点であると思います。また、そういう方につきましては、何らかの形で通算されるというようなことが可能であれば、非常に望ましいと思うのでありますけれども、いま申し上げたような保険原理の原則というものと、いま申し上げたような通算というものとをうまくかみ合わせることは、どうやったらかみ合うだろうという点が、私は非常にむずかしいのではないか、かように考えておるのでございます。足鹿先生のおっしゃる点は、私よくわかるのでありますが、かような点について、施策上、つまり、保険の、原則をある程度尊重しながら、いまのような考え方もそこに織り込んでいくということが、どういうふうにできるであろうかということについて、非常にむずかしい問題があるのじゃないか、かように感じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/25
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026・足鹿覺
○足鹿委員 聞けば組合会があるそうですか、組合会はこれでよろしいと言いましたか。あなた方の年金の最高の議決機関に組合会というのがあるそうですね。組合会はあなた方の最高の意思決定機関であって、従来の予算、決算、事業計画等その議決に基づいて行なわれるものに対して、大蔵当局、農林当局は、予算上もいわゆる金額の中身にまでも干渉しておる。自主性というものが完全に喪失しておると私は思いますが、これはあとで農林当局に質疑をして申し上げたいと思っておりますが、とにもかくにも組合会はこれでよろしい、こういう決定でございましたか。私どもの伝え聞くところによりますと、私どもの同僚も組合会に議席を持っておる者も多数おりますし、私も重大な関心を持っておりますから、聞きましたら、とんでもない、こういうことだったのです。気がついておっても、この問題を保険数理上無理だ、こういったことでは、理事者として私は済まされないと思うのです。私は、ここであなたと論争を繰り返したくないと思いますが、保険数理という面からいきますと、掛け金率の問題になってくるので、掛け金率を先ほど湯山委員が申されましたように、若干国が事務費についても考慮する、掛け金面においても考慮する、こういうことになっておりますけれども、これを完全通算した場合、どの程度掛け金率に響いてくるかということを計算したことはありますか。私どもはおぼつかないながら計算をしてみましたが、政府案でいったとき、二万円をとっておる組合員として千分の九十六、だから掛け金の負担は、団体が九百六十円で、個人が九百六十円、折半ですから、百八十円程度の値上がりになる。完全通算をしたときに千分の九になる。これだけ上がるということになろうかと思います。ですが、これは先ほども末高さんに私は申しましたように、組合員の掛け金負担が増高しないように国がめんどうを見るべきである。完全通算はしないわ、掛け金は上がるわ、そういうことで、一体このたびの法改正の期待に沿うことができますか。掛け金率について国とどういう折衝をなさいましたか。国が、普通の保険の数理理論の上からいって、これはどうもそうむやみに他の例もあって負担することができない、しかも保険数理だ、こういうことであるならば、社会保障的な意義が失われるのみならず、先ほども言いましたように、普通の民保とたいして変わらないことになる。健全な株式投資をして老後の保障をしたほうが、かえって組合員はそれでも興味もあると極言して差しつかえないと思う。そういう運営というものは、いたずらに効率運用などということを私は言っておるのではない。あなた方が特にこの制度を設けられたということは、普通の場合と違って、厚生年金から分離をして出てきた。その当時は、分離のために不十分な点はあるが、やむを得ない、追ってこれはすみやかな機会に改正するのだということで、そもそも分離しておる歴史も、先ほど申し上げたとおりなんです。だとするならば、保険数理の上からのみこれを判断するということでは、あなた方の責任を果たされたとは思わない。どういうふうに対処されたか、どういうふうに今後対処されるかということを私は聞いておるのです。知っておられたならば、こういう大きな盲点というか、致命的な欠陥を知っておって、これを死にもの狂いになってあなたは一ぺんでもこの問題について組合員に訴えられたか、組合会に実情を事前に報告をして、そして政府要路にもこの実情を訴え——与野党にも良識を持っている者はたくさんおるのです。この問題の改正が必要なことは、みな存じておるのです。なぜあなたはもっと熱意を持ってこれに対処しないのか。少なくともあなたが第一線に立って働いたという事実はどこにありますか。あなたの先ほどからの陳述を聞いておれば、農林省の立場ですよ。農林省はもって克明にわれわれに問極点を説明しているのですよ。あなたの参考意見などを聴取するまでもありません。どこに問題点があったか、率直にこういう問題を取り上げて、この問題とどう取り組んだけれども、こういう結果になった、これについてひとつ協力を求める、こういう参考人としての希望をこめた、三十二万の組合員を代表した要請をあなたはすべきではなかったですか。私はそう思う。これ以上申し上げません。今後もどういう御努力をなさるか、いままでどういう御努力をなさったか、あるならば具体的におっしゃい。何もなさらなかった、しかもこういうことでは、組合員の期待に沿えない。組合会としてものむことができないという結論に達したではありませんか。あなたは出処進退を迫られたというかっこうも出ているのですよ、こういう重大な問題を見のがしたという問題になれば。もしこれが本委員会の審議を通じて与野党の意見が接近をし、よく検討をして、修正になっていくということをわれわれは期待いたします。しかしながら、これは大蔵当局等が中に入り、今日までの経過から見て、なかなか問題はありましょう。そうならなかったときには、これは重大な責任問題ですよ。私は決してあなた一人にこの責任を負わそうとは思いません。思いませんが、先ほども嶋岡参考人からもお話しがありましたように、あなたのところの年金は、一年間に百日間もストライキが起こるその原因は、同じ政府関係機関よりも雇用条件が著しく悪く、給与も月額三千円ないし五千円も低いからです。この給与についても、毎年繰り返し争議、紛争が絶え間がない。ほんとうにあなた自身が、熱意を持って組合員の立場を考え、あるいは基金の運用の面について職員その他の立場を考えて今日まで対処されておったならば、私は、事がこのような事態になるまでに、問題はもう少し前進しておったと思う。非常に遺憾に思います。もう一点ほかの問題がありますが、御所見があれば承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/26
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027・河野恒雄
○河野参考人 ただいまの足鹿先生のお話、私身にしみて感ずるわけでございます。私といたしましても、年金の発展のために万全の努力をいたしたいと思いますが、力が足りませんで、なかなか皆さんの御期待に沿うようにできないことは、まことに遺憾でございます。今後も大いに努力いたしたいと思っておるわけでございます。
ただいまの話に出ております問題につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、国家公務員共済組合の給付水準までとにかく上げる、いろいろまだ問題はございますけれども、第二の段階として、それぞれの問題について解決を今後進めていきたいということを基本の方針といたしまして、これまで進めてまいったわけでございます。したがいまして、ただいま問題になっておりますような点もあるわけでございますけれども、この点につきましては、おっしゃる点、まことにごもっともな点があると思うのであります。しかしながら、これを解決するにいたしますると、いま申し上げましたように、この収支相等の原則というようなものをどこまで勘案していくかというような問題も出てまいるところでありまして、なかなかむずかしい問題がございまして、先ほど申し上げたようなことなんでございます。今後この点につきましては、いろいろ問題の整理もいたしたいと思いますけれども、なかなか問題自身が非常にむずかしい問題でございますので、どういう内容でどういうふうに解決できるだろうかという点につきましては、いまここでこういう方法があるんじゃないかということをなかなか申し上げにくい状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/27
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028・足鹿覺
○足鹿委員 私のことばも、この制度の進展を念願するのあまり激しいことばになって、河野参考人に失礼の段があったら、あえて私は失礼を申し上げるために言っておるのではないということを御理解おきを願いたい。ただ、あなたが今日までとられた措置が、組合員の期待に沿っておるかどうかという点で、ひとつ御反省になって、そして今後とも対処されるということをここでもっと明確に打ち出されて、今後もこの審議期間中を通じて、本法の最大の盲点とも言うべきこの問題の解決のために努力をするのだ、こういう断固たる決意の表明を期待しておったにすぎません。これ以上は申し上げません。
それから、これは政府の質問になる場面もありますが、先ほどちょっと触れておきましたように、どうも農民の状態がよくない。したがって、農協の労働者もよくない。この農協の労働者を中心とする年金加盟者の労使関係というものもあまりよくない。こういうふうにずっと連鎖反応しているようですね。私は先ほど申しましたが、ただ一がいに言うのではなくして、常に基金の労使の紛争というものが起きがちであり、しかもこれが激化の一途をたどっておる。百日も争議が行なわれるということは、いずれにしてみてもけっこうなことではございません。理事者においてもお困りになるでしょうし、職員も好んでそういうことをやりたいと思うわけでもございますまい。そこで、私も当時関心を持っておりまして調べてみました。調べてみましたところが、今回の年金の労働者に対しての平均のベースアップは千九百円、平均年齢二十八歳、農林公庫が二千六百円、平均年齢三十三歳、愛知用水公団が二千七百円、住宅公団が二千三百円というふうに、ベースアップの額も下回っておる。また、平均の給与実額というものが、他の公団に比べまして三千円ないし五千円も低い。一例をあげますと、大きいものにつきましては、農林公庫との開き等において、同じ大学卒業で、十四年在職した場合に、三十五歳で四千二百円も差がつくというようなことになります。農林年金のほうが低いわけであります。同じく大学を卒業した人が農林公庫へつとめれば、十九年ぐらいつとめて八千三百円も給与が多い。これは政府関係機関の持つ矛盾だと思う。団体には団体固有の性格があるから、私は一がいにこれをすべてに適用させよとは言わない。しかし、このような大きな格差というものがあれば、働いておる人々はふんまんを持つことは当然だと思う。ですから、私は、これらの是正についてもっと早く努力をなさればいいし、具体的な話し合いを通じて問題を解決されるべきであったと思う。これが毎年毎年起こるわけです。非常に遺憾に思うわけでありますが、今度も、河野常務が理事者側として平均のベースアップを最初回答されたのは七%である。それで御病気になって、そのまま紛争の解決は他の人がかわって収拾された。収拾が済んでから、あなたは御出勤になった。こういう状態でありまして、一番重大な経理課と掛け金告知部門の無期限ストが行なわれておる。これは基金運用上の重大な問題です。もしあの状態が長く続けば、年金関係は一体どうなったか。他の人が出てこれを収拾されて、ようやく先ほど申しましたように七・一九%、それも他よりアップ率は低い。千九百円ということで妥結を見たもあの、本質的に持つ矛盾を解決しなければ、今後もこのような事態は免れないと思うのでありますが、この運用について今後いかに是正をなさる御所存でございますか。私はあえてあなた一人を非難しょうとはしていない。要するに、掛け金率の算定や徴収に支障を来たせば、基金の心臓部がとまることであります。そうすれば、事実上においてこの年金受給者に大きな迷惑を及ぼす、こういうことになると思うのであります。でありますから、特にこの年金団体の運営にあたっては、組合会の議決はもちろん、理事者も職員もほんとうに一体となって、組合員の期待に沿うような運営が望ましいから、私は申し上げておるのであります。過去の運営について十分であったとお考えになりますか。今後どのように改善をされようとお考えになりますか。伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/28
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029・河野恒雄
○河野参考人 ただいま職員の給与の問題に関連いたしまして、組合の運営の円滑なることを期せという御注意であったかと思います。私どももできるだけ労働組合の諸君と円満に話し合いをいたしまして、組合の事業の運営につきまして、円滑化をはかりたいということを考えておるわけでございます。さような点につきましては、今後とも努力してまいりたい、こう考えております。
なお、賃金の問題につきましては、政府関係機関としてそれぞれまた違った体系もあり、また給与の実態であります。ただいま御指摘になりましたように、公庫等と比べますと、かなりの差額があるのでございます。こういう問題につきましては、今後ともよく研究をいたしまして、労働組合の諸君とも十分な話し合いをしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/29
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030・林百郎
○林委員 関連して。私も足鹿委員の意見と同意見で、きょう参考人をお呼びしたのは、共済組合制度の運用について率直に皆さんから御意見を聞いて、政府にただすべき点はただしたいということだったのです。ことに河野さんは運営の理事者ですから、運営上いろいろの難問題をかかえて悩んでおられると思うので、あなたからいろいろ聞いて、あなたから言いにくいことをわれわれが政府に要望したりいろいろしたいと思ったのです。それが政府の答弁と変わりないような御意見だったから、足鹿さんも制度のことをほんとうにお考えになるから、若干不満だったと思う。私も同じことなんです。
私は三点ほどお聞きしたいのですが、先ほど足鹿委員からの質問があったのですが、この制度の改正に伴なって、何か大蔵省と農林省の間に、準備金の増加額のことについて何か話し合いがあって、取りきめまでしているという。私はいま足鹿委員の御質問で初めて聞いたのですが、そういう事実を知っているかどうか。それについて、組合総会で何かの意思表示をされているかどうか、その点を一つお聞きしたい。
それからもう一つは、今度の改正で、七十条五号の「農林漁業団体への貸付けで農林省令で定めるもの」、これを特に入れるのは、農協ビルを二十億出して建てたいのだ、そのためにこれをやって、実は農協ビルをつくるのだということをわれわれ耳にしておる。
もう一つは、福祉事業団体の運営をどうしてこの組合では委託制度にしておるか。たとえば湯河原に七千万円出して——これは組合側の意見書にもあるわけですが、旅館をつくった。その旅館が農林漁業団体職員の福祉のための旅館ならわかるけれども、一泊三千円から三千五百円する。私は泊まったことがないから、よく知らぬけれども、何なら今度議員が行って泊まってみようと思うのですが、そんな高い旅館を、しかも委託制度で、福祉事業団体がどんなおかみを連れてきてやらしているか——おかみがやっているかだれがやっているか、私は知らぬけれども、非常に不健康じゃないか、私はそう思います。だから、この改正をわれわれ議員は正面切って政府のいうきれいごとだけで審議していたら、ばかにされてしまいます。だから、足鹿さんもああいうふうに言っているのです。
そこで、責任準備金の増加額について、大蔵省と農林省の間に取りきめか何かあるのか、それに対して組合総会で何か決議でもしているのかどうか、それが一つ。それから七十条の一項五号を特に入れるのは、そういう含みもあるのかないのか。ないというなら、絶対にそういうことがないのか。ないと言いながら、あとでどんどん建物が建っていくということでは、われわれ審議の席をはずさなければならぬ。それから福祉事業団体の委託方針の問題について、湯河原に七千七百万で、これは坪十万円くらいになるのですが、旅館を経営している。しかも、その旅館の宿泊料は福祉施設としての性格を決して持っておらないということをわれわれは聞いておる。その三つをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/30
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031・河野恒雄
○河野参考人 資金運用の問題につきましては、積み立て金の増加額の約三分の一程度を政府保証債の購入に充てるようにするということにつきまして、この法律を作成する段階において話があったわけでございます。当初は資金運用部に入れるようにしてはどうかというようなお話もあったのでございますが、私どもといたしましては、現在の資産運用の状況から見まして、資金運用部に入れるということにつきましては必ずしも一適当でないということを申し上げたのでございます。その後、それでは団体貸し付けというような資金還元という面もある、そういうものにも関連いたしまして、政府のほうも補助金を出しておるという関連もあるから、政府保証債を買うことして政府に協力してはどうかというような話があったわけでございます。私ども政府に対しましても、法律の内容等につきましてもいろいろ要望もしておりましたが、この段階におきまして農林、大蔵省の間でいろいろ話があったようでございます。したがいまして、そういうような問題が解決いたしませんと、なかなか法律も提案になる運びにならぬというような話も漏れ承っておりました。早くこの法案をつくっていただく、また国会に提案していただくというような面からも、やむを得ないのではないかというふうに考えたのでございます。しかしながら、そういう問題の運営につきましては、われわれの意見も十分聞き取ってやっていただくということをわれわれとしては希望いたしておるわけでございます。この問題につきましては、組合会においても話が出たのでございます。政府が一方的に行政権限できめつけるというようなことはしないようにしてもらいたい、こういう趣旨の決議があったのでございます。その点を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/31
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032・林百郎
○林委員 もう少しはっきり言ってもらいたいのですが、単なるそういう話し合いにとどまっているのですか。もうそれは農林省と大蔵省の間で当該責任者の間の話がついて、さっきの足鹿さんの話のように、書面で取りかわしまでされているのですか どうですかということです。そして組合の決議は、われわれの希望をいれるようにというなまやさしい決議なのか、そういう農林省と大蔵省の正式な取りきめについては、われわれは賛成できないという決議なのか、もう少しはっきり言ってもらいたい。さっき自民党の皆さんの御意見もあるように、私はあなたに質問をするつもりはないけれども、政府に対する質問の材料として、組合の理事者はこうなんだということをあなたに聞いているわけです。あなたを責めているわけじゃない。だから、その点は事実だけ言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/32
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033・河野恒雄
○河野参考人 その点につきましては、私どもの仄聞するところによりますと、大蔵省と農林省の間で話がきまっておるというふうに聞いております。
それから組合におきまして論議が出ました主要な点は、この共済組合の余裕金の運用につきましては、この共済組合の目的を実現するために運用されなければならない、したがって、行政権限をもってこれを政府が一方的に措置をするというようなことについては、そういうことがないように要望する、そういう趣旨の決議があったのでございます。
それから団体貸し付けの問題につきましては、かねて団体に対する貸し付けの話が出ておったのでございます。これは資金還元という意味で団体の施設等についての貸し付けということを認めてもらいたい、これはかつて厚生年金当時に団体についてのあるワクの貸し付けがあったわけでございますが、厚生年金から離れて当共済組合に移った際にそういうワクがなくなったという経韓もございまして、ぜひこういう団体貸し付けの面を考慮してもらいたいという意見がかねてあったのでございます。今回法律の改正にあたりまして、この団体貸し付けの面を要望いたしたのでございます。ただいまお話のありましたのは、たしか農協会館のお話ではなかろうかと思いますが、その点につきましては、話はございますけれども、この法律の改正の問題について、将来この改正ができるできないというような問題の前に——具体的にはまだ出ておりません。話はありますけれども、筋がどうだとかこうだとかいう具体的なものにまだなっておりません。したがって、今後この法律ができまして、どういうふうな面にどういうわけで貸し付けをするかというようなことがだんだんはっきりいたしまして、その線で、いまの農協会館のような貸し付けにつきましても、適当であれば貸し出しをするということに相なろうかと思います。現段階におきましては、この法律ができて、その後これをどう運用するかという点も考え合わせまして、今後研究の課題にするということでございます。
それから、今度の福祉事業につきまして、委託の方式をとっておるという点につきましては、私ども共済組合の仕事は大体管理事務が多いわけでございます。したがいまして、福祉事業のように宿泊所を経営するとか、そういったある程度事業的な面の強い仕事につきましては、やはり専門家をそこに入れて、運営していくということのほうが適当ではないかということも考えておったのでございます。そういう観点から、実はいろいろ考えてまいりまして、現在は財団法人の福祉団、農林年金福祉団というものに委託をいたしまして、主要な福祉事業の会館等の経営につきましては、委託をするというかっこうで現在やっておるわけでございます。これは厚生年金等におきましても、そういう形式をとっておる点もございましたので、そういう点を研究いたしまして、実は考えたのでございます。
先ほど湯河原の旅館の件のお話が出ましたが、これは資金運用として取得いたしたものでございます。私ども不動産を取得いたします際には、たとえば福祉事業計画を策定いたしまして、その後に不動産を取得する。たとえば土地を取得するというような場合には、なかなか困難な面が多いわけでございます。したがいまして、常時不動産等につきましては、一定のワク内で確保しておくというような方向でやっておるのでございますが、その際に資金運用といたしまして、取得をいたしまして、これがもし福祉事業計画が成り立って、それに転用できるならばなし得るというような点もあわせ考えまして、従来不動産の取得をいたしておるのでございます。したがいまして、大体福祉事業計画が成り立ちまして、それに転用できるという際には、福祉事業計画を新たに設定いたしまして、それに転用するというかっこうにいたしておるのでございます。
向島園につきましては、現在はむしろ資産運用という形でこれを運用いたしておるのでございまして、将来あそこに福祉事業としてこの施設を転用することが可能であるということにはっきりなれば、福祉事業計画に切りかえまして、それに移すというつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/33
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034・林百郎
○林委員 委員長にお願いしておきたいのですが、いろいろ重大な問題が出てきましたので、きょう参考人からお聞きした問題については、政府にただしたいと思うのですが、ただ、私たちの聞いているところでは、大蔵省と農林省の取りきめについての共済組合の総会の決議は、あなたのおっしゃるようななまやさしいものではなくて、やはりこういう取りきめについては賛成できないということを決議していると聞いております。決議文の内容はあなたから見せていただけばわかりますが、そういう総会で、さっき足鹿さんも言われたように、共済組合の最高意思機関である組合総会がそういうはっきりした決議をして意思を表明しておるのに、あなたがそれをぼかすようなことをして、かつて農林省のお役人だったからということで、そういうことがあるかどうか知らぬけれども、そうぼかしてしまえば、あなたは職を曠廃したことになって、あなたの責任問題になる。ですから、私は、そういう意味であなたに聞いているわけです。これは政府に徹底的に聞くつもりです。
それから向島園の問題につきましても、先ほどの嶋岡さんの説明にもありましたように、血の出るような金なんですから、これを湯河原の温泉旅館か何かに注ぎ込んで、様子を見て福祉施設に移すつもりだ、いまのところはそうして一泊三千円や三千五百円でもしかたがないというような、そういう不健康な運営ではなく、もう少し厳格に考えてもらわなければいけないと思うのですよ、さっき言ったように、平均賃金八千円か、八千円にもならない諸君の千分の四十八か何かに今度なるわけでしょう。それから湯河原のおかみのへいへいしているようなところに金を注ぎ込んで、あなたそれでいいのですか。そこをわれわれは言うのです。そこを私は聞けなければ実情調査をしますよ、あなたの答弁で満足しなければ。だから、そういう点をもう少し厳格に、大事な金なんですから、運営してもらいたい。むしろ、共済組合の被受給者、被保険者のもっと切実な、金を借りたいとか、家を建てるのに土地がないから土地を心配してくれないかとか、要望が幾らでもあるのです。この要望を満たさないで、湯河原の温泉旅館などに注ぎ込んでおって、関心を持たないのがあたりまえですよ。そこを厳重に考えてもらいたい。これは重要な運営の問題です。
以上で打り切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/34
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035・高見三郎
○高見委員長 湯山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/35
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036・湯山勇
○湯山委員 いま足鹿委員、それから林委員から御指摘がありましたが、これは河野常務理事については特殊な関係があると思います。それはなぜかと申しますと、この法律ができますときに、あなたは政府側の立案者であった。そのときに、この法律は実際に給付が始まるのは六年以後だから、それまでにはよくするのだという約束をしておられます。それから整理資源の問題についても、これは読み上げてもいいのですけれども、それまでには何とかするように大蔵省と話もできている、そういう話でございました。さらにそれを裏づけるものとして、名前をあげて申しますけれども、川俣委員が約束しておる。そういうことについては農林省にいる間はそれを追及される、しかしながら、この点については、農林省を去って農業団体等に関係するときにも、なおさらに責任を追及されるものであるという覚悟をしておられるかどうか、これは速記録に残しますから、明確な答弁をしてください、こういう質問があったのに対して、あなたを含めて政府委員の代表渡辺局長は、御指摘のとおり、立案者としての責任は、生きている限り続くものと考えております。こうはっきりあなた一緒に約束しておるのです。これは小山委員やその他の方がいろいろおっしゃいますけれども、そういうのを受けてのことですから、ひとつよく御了解を願わなければならぬ。死ぬまで責任を持っていただかなければならぬ。こういうことなんです。
そこで、こまかいことを聞くのはやめますけれども、そういう約束に立って六年前に組合員にはそういう期待を持たしたわけです。いよいよ今日改正になって、さて新法、旧法の切りかえは、その六年前に期待を持たした人に何らの恩典もない、こういうことになっておる。
そこで、今度は常務理事としてお伺いいたしたいのは、どうすればいいか、どういうふうにすればいまの問題は解消するか、それは新法をさかのぼって適用するということもあるかもしれません。あるいはその他の方法で、いまのような点について不平、不満がある人、失望しておる人にどうすれば一体納得させるような方法があるか、できるできないは別です。具体的にこういう方法がある、こういう方法が考えられる、そういうものがあれば、ひとつこの際お考えを述べていただきたいと思います。そのとおりやれというのではありません。ケースとしてこういうこととこういうことも考えられるというものをひとつ述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/36
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037・河野恒雄
○河野参考人 ただいまのお話、非常にむずかしい問題だと思います。私、この法律が制定される際に関係をいたしておりましたものといたしまして、当時、国庫補助の問題につきまして、特に大蔵省といろいろ話し合いをした経過はあるわけでございます。その際、この国庫補助の問題に関連いたしまして、厚生年金の場合でも積み不足というものがあるのだから、そういうものの解決というようなものがある場合にはまた考えられるのじゃないかというようなお話も出たことはあるわけであります。しかしながら、今日そういう問題についていろいろ政府の関係の方々とも話し合っておるわけでありますけれども、解決はなかなかむずかしいのでございます。それで、特にいまお話の出ました新法と旧法との合算の問題、これは先ほども申し上げましたように、この問題をどういうふうに解決するかということは、これは共済組合の一つの行き方というものがあるわけですから、それをどういうふうに、どこら辺でとめるかということになるわけです。もちろん、それは国庫補助なりなんなりというもので補うということであれば問題はありませんけれども、その問題につきましても、これは私ども従来政府と話し合った経験からいけば、いろいろ問題があるのじゃないかと思いますが、その問題と、それから収支相等の原則を立てながら通算するという道があるかどうかということでございます。これもなかなか私どもちょっと知恵が出ませんけれども、むずかしい問題だと思うのですが、考えればそんなことではなかろうかと思いますけれども、その辺なかなかいい知恵は出ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/37
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038・湯山勇
○湯山委員 これはこういうことになってくるときに、たとえば最低額をどうするとか、あるいは厚生年金がそういうふうになったときにどういう方法をとるとか、私は方法はないというのじゃないと思うのです。専門家だからあると思いますから、それをひとつなお御研究願って、実際に運営してきたそういう実績から、どうかひとつ、ほんとうに率直にそういうことについてはお述べいただきたいと思います。
それから最後に、委員長の嶋岡さんにお尋ねいたします。
いまお述べいただいたことでよくわかりましたが、その中で、農協の職員の年金制度がよくなっていくのには、何と言っても、農協職員の給与がよくなっていくということが、これは農林大臣も言われましたし、前のときに堀木厚生大臣も同じようなことを言っております。そのためにいろいろやっておられるようですが、その農協職員の給与の引き上げについては、農民の反発があるということをよくいわれます。そういう今日の農民の反発の中で給与を引き上げていく、こういうことは非常に困難じゃないかというようなことも心配されないことはない問題でございますけれども、その点についてはどのようにお考えになっておられるか、あるいは農協の職員の待遇がよくなった、そのことによって、実際には農民にサービスが向上して喜ばれるというような、そういう事実があるかどうか。いわれておる農協職員の待遇の向上と、それから農民のそれに対する感情、それらについて、何かあれば、ひとつこの際話していただきたいことと、それから第二は、先ほど御陳述の中に、農協の幹部の人が組合に対して、たとえば会長が会わないとか、それから弾圧的な行動をとるというようなことがございましたが、これは農林大臣も、先般私の質問に対して、不当な干渉をする、弾圧をする、そういうことがあった場合には、農林省としても注意をするということを明言しておられます。組合をつくるという意図は、先ほどお話のあったような御意図であって、自然発生的にできてきている。それに対して具体的に、弾圧するとか、あるいは組合のそういう正常な運動を阻害するとか、結成を妨害する、そういうような事実があれば、この際ひとつお示しをいただきたいと思います。
以上二点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/38
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039・嶋岡静男
○嶋岡参考人 お答えさせていただきたいと思いますが、第一点の農民の感情ですけれども、これは湯山先生の取り上げ方について、ひとつ実際の実感を訂正願いたいと思うのでございますが、世間では、農協の職員の賃金を引き上げることには農家の方々が抵抗する、こういわれておりますが、事実はそうでないわけでございます。これは昨年の年末手当の問題なり、ことし春の各単協なり農協の賃金改善の問題の事実の中から出てきております。
一例をあげますと、長野県の塩尻市の片丘農協において、昨年の十二月下旬にその事実が出てきておりますのでよくわかりますが、実は農民の方々は、農協の職員というものの労使関係とか待遇状況というものを御存じでなかったわけなんです。そういう御存じでない状態の中で、職員が賃金を引き上げるとか、年末手当の支給増額を強く要求するということになると、一方的に理事者の意向だけ聞かれると、何か農協の経営には赤字を出してはいけないのだ、だから収支予算の範囲内で支払うことにしなければいけない、だから農協の職員の賃金を引き上げると、農協の経営が赤字になって、それが農民の負担になるのだ、こういう一方的な説明をされると、農民の方々は感情的に反発されますが、実は長野県の塩尻市の片丘農協の場合はこういう経過があったわけです。当初農家の方方は、農協職員のそういう年末手当の支給増額には事実反対の態度を示されたわけです。ところが、農協の職員が、実際に農家組合長なりあるいは部落へ入って、農家の方々に職員の待遇の状態、生活の状態を話して、農協経営というものの本来的な方向を話されたら、それは農業協同組合長が間違っておる、それは農民としても、農協の職員がそういう生活の不安な状態では、おれたちの言うとおりの仕事もできないということで、逆に農民が職員を応援して、それで要求どおり実現できた。
これは随所にあるわけでございますが、はなはだしい例は、先般、私岡山へまいりまして、岡山の単位農協の代表約数十名と賃金の問題で話し合ったときに、岡山の単協の職員はこんなことを言っておりました。現在一万数千円の平均賃金で職員が生活できないということは、農家の人が一番よく知っておる。農家だって月三万五千円も四万五千円も要るのだ。それで、農協の職員が一人前に家族を持って、一万五、六千円や二万円で生活できないということはよく知っている。だから、それだけ低い賃金であるにかかわらず、せびろも着て、ネクタイも締めて、皮ぐつをはいて通勤しているのは、農協が何か余禄があるのじゃないか、何か不正をしているのじゃないかと、今日の低い賃金ではどろぼう扱いされております。だから私たちは、単位農協の職員は、名前は生活権を守るとかいうのではなくて、人権を守るためにも、生活以上に人権を守るためにも、この低賃金を改善しなければいけないのだ、私こういうことばを聞きまして、ほんとに涙が出る思いがしたわけです。その事実を農協の経営者は御存じであるかどうかということを、私たちは強く訴えたいわけです。
そういう点で第二の質問の問題が出てくるわけでございますが、まあこんなことを——私は県連の職員ですから、単協の実態もよく知っておりますし、村の状態も、私自身も村におるわけで、よく知っております。実はこの農林水産委員会の先生方は、おそらく頭の先からつめの端まですべてが、農協、農民のことを憂い、心配し、御審議願っておるわけですが、その中で、今日の農業協同組合長以下理事者の全部とは言わないけれども、多くの直接の常勤組合長以下の理事者が、真剣に農民のことを思ってやっているのかどうか。今日常勤役員はみずから月給取りに成り下っている。決して産業組合
私たちの先輩が、時の資本の農村攻勢に対しては、命を捨てて、中には首つり自殺をする人も出たほど、自分のところの全財産を産業組合運動に投じて、農民の生活を守るためにやってきたわけです。ところが、今日は、みずからの報酬というものは、四万、五万、六万というように農業協同組合長みずから報酬を上げておいて、職員がそういう低賃金の状態の中で、私先ほどの陳述の中で申し上げましたように、五、六年前と今日とは違うのだ、みずからがそのために要求しなければ出ないのだということで、要求するための労働組合をつくることについて、もう何か労働組合というものは——これは私どもほとんど職員組合というのですけれども、そういうものをつくると、すぐ赤攻撃、いわゆる左翼のどうのこうの、そういうような左翼恐怖論を持ってきて、何か悪いことをするように、そういう偏見があるのです。これは近代資本主義の社会で、おそらく日本の農業協同組合の特徴ではなかろうかと思うのです。職場に労働者として職員組合をつくるのが何か悪いことだ、そうしてそういうことをやると、反農民的、反農協的だというのです。先生方にぜひひとつその点を——事実としては、たとえば最近労働組合の動きが、農協で非常に活発になってきました。これは先ほどの経済的背景ですね。そういう中で、いままでの慣行として労働組合をつくっておりましたような、たとえば組合活動の自由ということ、これは当然法律で保障されておるわけですが、それについても、きわめて不自由な形、賃金カットをするとか、あるいは労働協約の改悪ということで、事実上労働者が争議権を行なっても関係のないように、いわゆる労働組合の非組合員の拡大を、文書課の職員、電話の交換手あるいは自動車の運転手までというように、労働組合自身がきめることまで、かってに労働協約の中で不当に干渉してくるとか、あるいはその他団体交渉に対して、先ほど申し上げましたように、責任ある理事者がそれに参加しないとか、いろいろあるわけです。そういった点につきましては、全国連、県連、単協を問わず、出てきております。
また、それ以外の問題につきましても、単位農協に職員組合をつくることについて、実は県連、全国連の経営者は、そういった点は慣行として是認しておりますが、単協の組合長さんは、自分の単位農協に職員組合をつくるということは、何か自分が汚点を残すという感覚があるのです。すぐそれが何か農協の経営と相反する——私ども常に組合長さんや、あるいは農協の県連会長さんに申し上げるのですが、農協の職員こそ、農協の経営の発展をだれよりも願っておるのだ、農協の組合長さんや県連の会長さんは、あす農協がつぶれても飯の食いはぐれということはないけれども、農協の職員は、農協がつぶれたらあすから失業者になるのだ、農協をよくするために、職員組合をつくったのだ、こういうことを言っておるのでございますけれども、その辺のことがなかなか理解されておりませんし、また、本来そのために農業協同組合の職員がみずからの組織をつくるということは、当然だれといえどもこれを阻害することはできないわけですが、事実として阻害されておる。こういった点をこの機会に私のほうからはっきり表明しておきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/39
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040・高見三郎
○高見委員長 以上で参考人の御意見に対する質疑を終わります。
参考人各位には非常に熱心に、しかも貴重な御意見をお聞かせくださいまして、まことにありがとうございました。両案の審査の参考に資するところきわめて大なるものがあると存じます。ありがとうございました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/40
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041・高見三郎
○高見委員長 この際、足鹿委員から資料要求に関し発言を求められておりますので、これを許します。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/41
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042・足鹿覺
○足鹿委員 資料をお願いしたいのですが、先ほどの参考人との質疑応答の中で出てきました問題で、第一は、財団法人農林年金福祉団の規約、役員、職員数、事業計画、予算等参考となるべき事項。第二、農林年金の不動産の取得状況、所在地、地目、取得価額、利用状況、その他参考となるべき事項。第三、農林漁業団体職員共済組合法の一部改正案についての、伝えられる大蔵、農林事務当局の了解事項と称する文書。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/42
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043・昌谷孝
○昌谷政府委員 前段の二つの資料については、手元にございませんが、年金のほうから取り寄せ次第お届けできると思います。
最後にお述べになりました事柄につきましては、行政内部の文書でもございますし、また私どもだけで施行した文書でも公文書でもございません。したがいまして、関係者とも協議の上、あらためて御返事させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/43
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044・足鹿覺
○足鹿委員 昌谷さん、それはおかしいじゃないですか。あなたがその当事者であるからといって、事実は事実として率直にお出しになったらよろしい。何もあなたがこの際関係方面と相談をするとかなんとかいうようなことを言われる必要はないと私は思いますので、率直にお出しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/44
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045・昌谷孝
○昌谷政府委員 私は、お出しして見ていただいてけっこうだと思っております。ただ、いま申しましたように、これは行政官庁相互の法律案作成について、よくあることでございますけれども、取りかわしの覚え書きでございますから、対等の文書として相互が取りかわしたわけでございますので、一応念のため、相手方の了解も得た上で提出するのが、行政としての一つの仁義と申しますか、常識だろうと思います。したがいまして……。(足鹿委員「それはあなたのほうが解決すべきことであって、要求した資料は出しなさい」と呼ぶ)おそらく御希望のとおりになると思いますけれども、私としては、念のため留保をつけたわけでございます。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/45
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046・高見三郎
○高見委員長 次会は、明八日午前十時より理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03219640407/46
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