1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月八日(水曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武君 理事 赤路 友藏君
理事 足鹿 覺君 理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 大坪 保雄君
亀岡 高夫君 仮谷 忠男君
吉川 久衛君 小枝 一雄君
笹山茂太郎君 舘林三喜男君
寺島隆太郎君 野原 正勝君
藤田 義光君 松田 鐵藏君
三田村武夫君 亘 四郎君
角屋堅次郎君 東海林 稔君
中澤 茂一君 楢崎弥之助君
西村 関一君 松浦 定義君
湯山 勇君 稲富 稜人君
玉置 一徳君 中村 時雄君
林 百郎君
出席政府委員
内閣法制局長官 林 修三君
農林政務次官 丹羽 兵助君
農林事務官
(農政局長) 昌谷 孝君
水産庁長官 庄野五一郎君
委員外の出席者
議 員 湯山 勇君
専 門 員 松任谷健太郎君
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四月八日
委員楢崎弥之助君及び中村時雄君辞任につき、
その補欠として帆足計君及び玉置一徳君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員帆足計君及び玉置一徳君辞任につき、その
補欠として楢崎弥之助君及び中村時雄君が議長
の指名で委員に選任された。
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四月七日
コーンスターチの国内生産抑制に関する請願(
池田清志君紹介)(第一九二九号)
霧島山ろく地域特定農地開発事業計画地におけ
る国有林の解放に関する請願(池田清志君紹
介)(第一九三〇号)
国内産牛乳による学校給食制度の法制化に関す
る請願(大坪保雄君紹介)(第二〇一二号)
同外二件(勝間田清一君紹介)(第二〇一三
号)
同外十件(小枝一雄君紹介)(第二二三四号)
酪農経営安定対策に関する請願(羽田武嗣郎君
紹介)(第二〇四一号)
同(中澤茂一君紹介)(第二〇六三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一〇〇号)
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
法律案(湯山勇君外十一名提出、衆法第一三
号)
中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案(
内閣提出第四九号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案並びに湯山勇君外十一名提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/1
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002・芳賀貢
○芳賀委員 この法律は三十三年三月二十日当委員会で可決されたものでありますが、当時、委員会といたしまして、附帯決議を付したわけでございますが、この附帯決議の内容は五項目にわたっておるわけであります。まず、この点について、政府として、今日まで農林委員会の附帯決議に対してどのように尊重してこれを実施されたか、その点について明確にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/2
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003・昌谷孝
○昌谷政府委員 法制定当時ちょうだいいたしました附帯決議は、第一点が、給付の対象年齢が五十五歳以上であるのを、将来引き上げるという場合の措置であったかと思います。それから第二点は、国のこの組合に対する事務費の補助金について、歳出の根拠となっております金額を、いわゆる単価とでも申しますものを引き上げることに努力をする点、それから将来本制度の組合員が他の職員に移動した場合、市町村の役場等に移動した場合、通算の道を開く方法を講ぜよというお話、それから掛け金負担が懸念されるから、そういうこともあって、不振組合対策を急ぐように、それから第五点といたしましては、傘下の各農業団体の給与水準のアンバランスという問題を根本的にはならすように検討すべきである、この五点の附帯決議をちょうだいいたしたわけであります。
その中で、いわゆる通算退職年金の制度につきましては、御承知のような経過を経まして、必ずしも十分ではないかもしれませんが、通算退職年金の制度がその後に生まれておりますので、その点は一応御趣旨に沿い得たものだというふうに考えます。
それから、掛け金の負担に非常に苦しむような不振組合について対策を講じろという附帯決議の御趣旨につきましては、一連の不振組合対策、さらには合併助長というようなことを立法措置を講じて行なっておりますことは、御承知のとおりでございまして、それらを通じて、御趣旨のある部分には沿った対策が具体的に講じられたというふうに考えているわけでございます。
自余の点につきましては、たとえば給付開始年齢五十五歳という問題でございますが、これは目下のところは五十五歳がそのまま続いております。したがいまして、この附帯決議の御趣旨にありますように、平均余命が延長したこと等の理由によって、他の制度で支給開始年齢が引き上げられるようなことが起こっても、本制度はそういうことのないようにしろという附帯決議第一項の御趣旨は、幸い他の制度もそれほど大きな改定が行なわれておりませんので、本制度は引き続き五十五歳以上を年金の支給開始年齢といたしております。なお、六十歳以上を国庫補助の対象にするということが、その当時の情勢としては懸念されたのでありますが、それらに対しましては、御承知のように、当初の法律どおり運用面でも行なわれておりまして、まず懸念はなくなったわけであります。
第二点の事務費の点は、私学は、御承知のとおり、組合員総数が非常に少ないわけでございます。約十万人であったかと思います。私どもの農林年金のほうは、先般の資料でも御説明申し上げましたとおり、最近では約三十二万人の対象組合員を持っております。事務費の国庫補助を一人当たり百円といたしております点は、実はその後も検討はいたしましたが、引き続き百円が守られております。その百円がそのまま守られております理由といたしましては、私学は十万人しか人がおりませんので、百円では基本的な固定的な事務費の支弁が困難でございますので、当初から若干高い。国家公務員は百円であったかと思います。厚生年金は、非常に組合員数が多い関係もございまして、これは百円よりもだいぶ下のところで事務費の一人当たりの補助単価がきまっております。農林年金は、そういう事情もございまして、一応いまのところは、事務費をはじきます基礎になります一人当たり百円というものは、その後改定をいたしておりません。ただ、資金運用面で、予定運用利回りよりもかなり高い利回りで運用ができておりますことは、先般の資料でも御説明申し上げましたとおり、そのような事情もございまして、当面の事務費財源には事を欠かないというような事情もございまして、これは引き続き百円ということがとられております。
それから附帯決議の最後の第五点につきましては、先般の御質問でも御議論になりましたように、傘下三十二万の組合員、組合数にして二万何千でございますが、給与規程ができておりますものがまだ六割程度しかない。そしてそれがそのまま守られているものも、その中で比較的少ないというようなこと等もございまして、各組合間の給与の平衡をとるというような点についても、なかなか思うにまかせない実情でございます。逐次改善はせられておるわけでございますけれども、まだそう十分にそういうふうになっておるとは申し上げかねます。そういった事情は、先般の追加資料でもお話し申しましたように、職員が一人しかいない組合あるいは五人以下の組合というものがかなり多い。したがって、給与規程とかそういうふうな体制になじまないような組合、職員の雇用関係といったようなものが、まだ数多く残っておりますので、それらの点は、あまり画一一律的に指導いたしかねておりますので、そういった実情に相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/3
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004・芳賀貢
○芳賀委員 ただいま説明がありましたが、この附帯決議は、当時私は理事をやっておりまして、自民党、社会党を代表して附帯決議の提案を行なった経緯があるわけですが、この決議の第一の点は、いま局長の言われたように、単純な問題ではないのです。これは当時の審議の経過等十分記録によって検討してもらえばわかるわけですが、この法案審議で問題になったのは、当時大蔵省と農林省の間において覚え書きなるものが交換されておる。大蔵、農林の了解事項ということになっておったわけです。たとえば給付年齢の国の負担を除外するような点等についても、これは覚え書きの中にあったわけなんです。たとえば給付対象者の年齢五十五歳以上六十歳までの給付費用については、原則としてこれは国の負担の対象から除外する、しかし御定的にはこれを行なうというような、当時委員会としては了承することのできないような事前の了解事項というものが取りかわされておったのです。したがって、この附帯決議の第一項の六十歳以上に引き上げることのないように注意するというのは、年齢の基準を六十歳に引き上げてはならぬということだけではなくて、ここにも書いてあるように、行政措置により一方的に国庫補助対象年齢を六十歳以上に引き上げる等のことがないように注意することということを特に強調しておるわけです。現在までは五十五歳から六十歳未満までの分についても、いわゆる国の負担の対象にはなっておりますが、そこで、この制度改正を機会にして、そういう不自然な、不合理な本法の政令等は当然改正すべきであると私たちは考えておるわけでありますが、この点に対して、当局としてはどういうような考えに立っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/4
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005・昌谷孝
○昌谷政府委員 この点に関しましては、制定当時御議論があって、いろいろ御心配をいただいた経緯を承知いたしております。そこで私どもとしては、すでに先生御承知のように、政令の附則で手当てをして、五十五歳以上について、六十歳以上と同じように国庫補助の対象として扱うということをはっきり明瞭にしておりますので、その点は御懸念のことのないように取り計らえたというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/5
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006・芳賀貢
○芳賀委員 それでは今後、たとえばこの改正案が成立した場合も、政令の内容は、従前どおりのやり方で継続するということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/6
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007・昌谷孝
○昌谷政府委員 今回の改正案が御賛同を得まして、施行令について若干部分手直す必要が起ころうかと思います。あまりたくさん政令事項はございませんが、そういった際には、すでに発足後これだけの年数をそういうことで経過しておることでもございますから、御趣旨に沿った方向で、政令の内容の再検討をして、できる限り御趣旨に沿いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/7
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008・芳賀貢
○芳賀委員 それでは現在の政令の内容を変えるというわけですね。たとえば本法の施行令の第四条「国が補助をしない給付に要する費用の額」の一項一号では、給付年齢五十五歳以上六十歳未満の者に支給する退職年金に要する費用に対する国の補助は、これを除くことを原則とする、除くということになっておるわけですが、これは附則の第二項で、第四条の特例ということで暫定的に第四条を排除するということになると思いますが、こういう内容の政令というのは他に例がありますか。法律では明らかに五十五歳以上が受給資格ということになっておりながら、法律の本文にはどこにも、国の補助は五十五歳以上六十歳未満の者についてはこれは対象にしないという規定は何もないじゃないですか。大体政令というものは、法律の本文を受けて、政令にまかされた事項だけを政令にうたうのがたてまえであるにもかかわらず、単に大蔵町、農林省の当時法律制定以前の了解事項というものをそのまま政令にうたうというようなことは、これは全く異例のやり方じゃないですか。事務屋の良心として、こういうものが当然であるというふうに局長は考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/8
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009・昌谷孝
○昌谷政府委員 制度的な仕組みといたしましては、法律で、国庫補助の対象といたしますものを政令で限定したものに限るといいますか、政令で除いたもの以外のものについて国庫補助をするということを法律で書いておりまして、それを受けて政令で、本則としては補助の対象としない、しかし、さらにそれを政令の附則で、当分の間は本則にかかわらず補助の対象にするというふうに、附則でひっくり返して書いて、結果においては、五十五歳以上の方を無差別に国庫補助の対象としておるわけであります。制度の仕組みといたしましては、法律で政令の場合を除く、こういうことを書いた上で、その法律を受けて、政令が国庫補助の対象を確定するわけでございますから、制度としては別に欠陥はもちろんないと思います。ただ、本則で補助の対象から除くと書いて、附則で補助の対象にすると書いて、すでに今日まで経過をいたしております。
それから、いつかも御議論がありましたけれども、法律用語として、「当分の間」ということばの意味合いは、いろいろに理解されますが、「当分の間」は必ずしも短期間ではない場合が相当ございます。そのような意味で、実行上は、いまのような仕組みになっておりましても、御趣旨に反するような結果にはならないという意味では、私は、いまの政令を特に直さなければならない実害はないと思っております。しかし、制度発足以来これだけの期間、すでにそういう「当分の間」ということで原則をひっくり返しました例外が通用して、既成事実となっております今日の段階で、政令の再検討をするとすれば、私としては、当然もう一回原則と例外をひっくり返すように政令を書き直すことを政令改正の機会には再検討をし、相なるべくんば、現在の原則と例外とをひっくり返して、新しい政令を書きたいという気持ちで検討をいたしたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/9
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010・芳賀貢
○芳賀委員 この点は、当時赤城農林大臣が日ソ漁業交渉で不在であって、もっぱら当時の瀬戸山政務次官が政府を代表して、審議の質疑に答えたわけですが、その当時も、瀬戸山君は、これはまことに不自然な状態である、農林省としては納得のいかない趣旨であるが、しかし、本制度を発足させるためには、これは問題はあるが、涙をのんで大蔵省との間における了解事項を受けざるを得なかったということを、当委員会で率直に述べておるわけです。しかし、それだからといって、法律を制定した暁にはその了解事項を政令として制定しますということは述べていないのです。そうなると、当時農林省当局としても、委員会において述べた趣旨と全く違った、法律の趣旨に反した政令事項を規定したということに、これは当然なるわけです。
そこで、具体的に、国家公務員年金法とか、地方公務員とか、あるいは私学にしても、いろいろ共済組合制度がありますが、他の共済年金制度の中において、受給資格年齢の一定の年限に対してはこれを補助対象にしないという、そういう法律の規定あるいは政令の規定が、実際に存在しておるかどうか、この点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/10
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011・昌谷孝
○昌谷政府委員 他の年金制度において、現在の政令の本則に書いてございますような、つまり、六十歳に達するまでは、年金は支給するが、国庫補助の対象とはしないというような趣旨の制限規定は、他の年金にはないように思います。ただ、いろいろ若年停止の規定でございますとかいうようなものが当時からありまして、そういうものとの関連で、おそらく厚年が六十歳までが当時は若年停止であったのだと思います。そういうこととの振り甘い上、常にあの当時の議論としては、厚年に引き続きおることが当然であるのにかかわらず、何かしいて異を唱えて、厚年から別の組織で別のことをやりたがっておるというふうな形で扱われました関係上、制度を仕組む場合に、常に厚年よりもよくなる点はてまえがってでやれ、こういうような趣旨の話し合いが、何かにつけて出ておるわけであります。おそらくこの政令の規定も、そういう趣旨から、当時としては制度発足上やむを得ざる一つの妥協であったろうと思います。しかし、当時の当局者といたしましては、制度発足にあたって、当時の厚年と違う点は、自前でやるというプリンシプルを妥協的に承知しながら、なお附則でもって、「当分の間」というような修飾句は入れておりますけれども、附帯決議の第一項の御趣旨をかちとるために努力をした結果が、現在の附則になっておると思います。したがいまして、結果においては、五十五歳以上が無差別に国庫補助の対象になっておりますから、結果においては、他の制度と何ら遜色がないわけでございますけれども、仕組みそのものは、例外と原則とがひっくり返ったような表現で、反対者と申しますか、関係者の妥協ができておるわけでございます。
今日の段階では、もう当時のような議論というものはよほどなくなりまして、今度の改正案の審議に際しての社会保障制度審議会での御議論の過程におきましても、当時の最初の法制定のときのような議論はあまりございませんようなふうに感じました。そこで、今後政令を改定する機会がありましたときには、私としては、この本則と例外の関係は、本来あるべき姿に引き戻したいというふうに念願はいたしております。そういう環境条件も熟してきておるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/11
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012・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、別案の湯山提案者にお尋ねしますが、湯山委員が代表になった法案は、成立した暁には、当然政令にまかせる事項も出てくるわけですが、その場合、政府案の政令というものは、いま私が指摘しましたとおり、本法の六十二条に政令に定める規定については補助対象にしないという点がありますが、それを受けたような形で、現在の政令の内容は、五十五歳以上六十歳未満の給付については、本則としては補助対象にしないという規定があり、さらに政令の附則でそれを排除しておるわけですが、こういう異例な、立法上から見ても認めることのできないような政令というものをおつくりになる考えがあるかどうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/12
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013・湯山勇
○湯山議員 ただいま御指摘の点につきましては、他の共済年金もすべて五十五歳支給ということになっておりますから、法律と政令とのそういう食い違いは、われわれの場合は当然解消いたしまして、いま御指摘になったような、常識からはずれたような点は、正しい姿にしなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/13
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014・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、丹羽次官にお尋ねしますが、いま局長からは、本法六十二条の関係の政令事項については、すみやかに問題を正常な形に直すことを念願としたい、念願だから、思っておるだけで行動に移るかどうかわからぬので、期待はできませんが、農林省としては、この点についてどうお考えですか。当然これは政令事項で閣議で決定することになるわけでありますからして、その場合は、大蔵省との了解も必要かと思うが、しかし、農林省所管の法律施行上に必要な政令を定める場合は、これは当然農林省として必要な政令というものを策定して、これを閣議において決定するのが当然だと思いますが、こういう点については、局長の言った念願ではなくて、必ず是正する、こういう変則な政令は根本的に改めるということを責任を持って言明できますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/14
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015・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 事務当局としては、局長の立場でお答えを申し上げたのでありますが、なおまた、社会党案を出しておる湯山さんに対する芳賀委員の御質問に対して、湯山さんも、そうしたことは直していきたいという考え方のようであります。また政府も、そうした方向に変えていきたいと言っております。ただ、ここでそうしたばく然たる答弁をいたしましたのは、ただいま先生から御指摘のありましたように、政令でございますので、閣議決定等の必要がございます。だから、私から責任を持ってお答えをさせていただくわけですが、事務当局の考えておりますように、できるだけ早い機会に、そうした政令改正の方向に誠意を持って進めてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/15
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016・芳賀貢
○芳賀委員 政令は閣議決定事項ですが、それでは法案の審議に付随して、現在の政令を根本的に是正する、いわゆる事務当局としての政令案をお出しになることはできるわけですね。政令の決定は閣議にまかされておるが、法案の審議にあたっては、必要な政令あるいは省令は、法案の審議と同時に案を提出するのは当然なことになっておるわけでありまして、局長の念願あるいは願望、政務次官の答弁からいうと、政令案はお出しになれるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/16
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017・昌谷孝
○昌谷政府委員 私からお答え申し上げますが、今回の法律改正に伴いまして、必要となります政令事項は三、四点ほどございます。なお、いま先生の御指摘の点を加えますと、四、五点ということになります。それらにつきましては、目下関係各省と打ち合わせ中でありまして、成案を得次第定めたいと思っておりますが、その内容として盛り込みたい事項の骨子は、資料として差し上げることができると思いますので、そういう準備をいたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/17
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018・芳賀貢
○芳賀委員 それでは私の指摘した点も、政令事項に加えて委員会にお出しになるということですね。その点とうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/18
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019・昌谷孝
○昌谷政府委員 当面政令事項として考えられますのは、法四十六条第三項で政令に委任をしております一時金返還の規定、それから附則の第一条にございます施行期日の規定、それから退職一時金に関する経過措置で、政令で六カ月刻みの表を用意することになっております。その三点が必要な政令事項かと思います。
なお、いまの現行政令の本則と附則の関係の問題は、私としては、この機会に、原則として例外とを入れかえるようなふうにして、正常なと申しますか、すなおな姿に引き直せれば引き直したいと思っております。かりに本則と例外とをひっくり返して、正常な——正常ということばが適当かどうかわかりませんが、すなおな姿に引き直すとして、こういうふうに変えたらいいじゃないかという趣旨のことならばできる。私の考えでは、おそらくあの条項を削ってしまえば、本則のほうからも例外のほうからも削除さえすればよろしいことのように、いまの段階では考えておりますので、そんなむずかしいと申しますか、特に案文を御検討いただかなければならないといったような性格の問題ではないように思っておりますけれども、なお事務的に検討いたしました上で、資料として差し上げる準備をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/19
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020・芳賀貢
○芳賀委員 それは大事な点ですから、参考案ではなくて、政府として、この法律改正に伴う必要な政令事項として、なお現在の政令の改正事項として、これは当然正式に、いま局長の述べられた三点にわたるこの法律改正に伴う政令事項の案と同時に、委員会の審議に間に合うように出してもらいたい。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/20
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021・昌谷孝
○昌谷政府委員 御趣旨に沿いまして、資料として準備をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/21
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022・芳賀貢
○芳賀委員 あわせて、政令に関係のある問題ですが、現行制度においては、いわゆる整理資源率の分については、これは補助対象にしないという規定があるわけです。これは附則の第四条第二項にうたっておるわけですが、この点はどう処置されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/22
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023・昌谷孝
○昌谷政府委員 この点につきましては、法律制定当時いろいろ御議論があったわけでございます。当時の質疑応答にもございましたような経過で、やむを得ざる措置として承認と申しますか、やむを得ざる措置として、これを国庫補助の対象から除いております。先般資料の説明でも申し上げましたように、その分については、今後とも国庫補助の対象として取り上げることは困難だと思っております。ただ、今回の法改正によりまして新たに生じます整理資源率千分の六につきましては、先般も申し上げましたように、これはそういった事情にございませんので、本来の数理的保険料率と同じように国庫補助の対象とすることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/23
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024・芳賀貢
○芳賀委員 これも他の共済年金制度に比較すると、農林年金の制度だけが、いわゆる整理資源率を国の補助対象にしない、こういう不合理な規定になっておるわけです。法律的にはそういうことは明らかにされていないですよ。これはやはり大蔵、農林の了解事項に基づいて、それによってつくられた政令によって、この整理資源率は補助対象にしない、こういうことになっておるわけです。これを対象にすることができないという根拠は、一体どこにあるのですか。これは本制度だけではなくて、たとえば国家公務員共済組合制度にしても、地方公務員共済にしても、私学の共済制度にしても、他の一連の共済制度との関係のもとに、これは国の補助対象にすべきであるか、否かということを一貫した方針で定むべきであって、農林年金だけに限っては、現行の整理資源率は一四・六五ということになっておるが、これは将来も補助対象にすることができないというのは不当じゃないですか。これは局長の答弁も必要でありますが、湯山提案者からもこれらの他の共済年金制度との関係とか、社会党提案にかかる法律が成立した場合、当然整理資源率は出てくるわけでございますが、それらは国の補助対象にすべきものであるか、除外して差しつかえないものであるか、これらの点を詳しく披瀝願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/24
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025・湯山勇
○湯山議員 ただいま御指摘の点につきましては、私どもがこの法律を改正する一つの大きな眼目になっております。ただ、条文の上ではそういう点は出ておりませんけれども、われわれの掛け金のところで、そういう点も明確にしておるところでございまして、ただいま御指摘のように、整理資源に対する給付の国の負担を省くということだけではなくて、私は、整理資源自体にもっと根本的な問題があると思います。それは他の共済年金におきまして、たとえば国家公務員の場合は、整理資源そのものを国が負担しております。それから地方公務員の場合にも、あるいは公共企業体の場合にも、公費もしくは事業主負担になっております。さらに私立関係につきましても、同じような生まれ方をした私学共済についても、これは振興会の負担ということになっておりまして、振興会というのは、本来憲法で私立学校に対する国の補助がとめられておりますから、実際は私学振興会の資金は大部分が国の資金になっております。その振興会が整理資源を負担するということでございまして、給付の場合に、整理資源に当たる分を国が持たないというような程度ではなくて、整理資源そのものをすでに国なり事業主あるいは他の機関が負担しておる。これが他の年金の普通の状態でございます。したがって、国家公務員共済あるいは地方公務員共済では、これは公費の負担でありますから、ただいま御指摘のような事態はございません。ただ、よく似ている私学共済についても、整理資源分を含めて給付についての補助対象になっておることは、農林年金と著しい違いのあるところでございまして、この点につきましては、農林年金の整理資源相当分を国の補助対象にすることはもちろんでございますけれども、整理資源そのものを解消していかなければならない、こういうことも私どもとしては考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/25
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026・昌谷孝
○昌谷政府委員 私のほうへの御質疑の点についてお答え申し上げます。
御承知のように、この法律制定のとき生じました責任準備金の不足額、率ではいわゆる整理資源率と称せられますものは、一四・何がしがあった。これは従来厚生年金の組合員でありました者に、新たに農林年金として独立し、厚生年金よりも手厚い給付を行なうことになりました。その際、過去にわたってそういう手厚い給付を行ないますことと、過去の厚生年金並みの掛け金しか負担していなかったために、生じた不足財源でございます。
当時の処理としましては、先ほど五十五歳・六十歳の問題でも申し上げましたように、すべて厚生年金と同じ処遇を受けるところまでは平等に扱うけれども、厚生年金よりも有利に処遇されるところについては、できるだけ当事者負担という原則を貫かれたようでございます。そのことの当否は別といたしまして、当時そういう原則で貫かれた一つの仕組みでございます。したがいまして、この問題はなかなか簡単に解消する問題でもないと思います。
今後の運用にいたしましても、その部分については、引き続き国庫補助の対象とはしない。ただし、今回の改正は、そういった趣旨のものとは違いますから、今回の改正による整理資源率は国庫補助の対象にするという経過があったのでございます。
ただ、他の私学、地方公務員、国家公務員等については、雇用者たる国家、あるいは学校の後援的立場にある振興会、あるいは地方公共団体、そういういわば雇用者の立場にあるものが、その部分を組合員と折半をしないで、あえて負担をするからということで、将来に対する新しい組合員が古い組合員のために余分の負担をするということを避けるために、雇用者の立場にあるものが余分の負担をして、その間の困難を回避をしてきているのが、先ほど湯山先生の御説明のとおりであります。
したがいまして、農林年金につきましても、そういった方向での検討は十分する必要があろうかと思いますが、法制定当時そういった点も十分検討が加えられた結果、今日のような処理のしかたに相なったわけでございます。これはなかなか早急には改めがたい問題ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/26
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027・芳賀貢
○芳賀委員 あなたのほうで改める考えがなければ、改めがたいということになりますが、これは将来とも改めてはいけないというものではないでしょう。これは当時審議のときには大きな問題になった点ですが、厚生年金から分離する場合の、いわゆる農林年金の対象者と見なされる人たちの厚生年金からのたとえば責任準備金とか、今度はそれを農林年金に移した場合の不足責任準備金等々、対象とした場合、この不足責任準備金についての金利に見合う分を整理資源率と唱えて、これは大体一四・七程度であるということが、当時審議の中で説明されたわけですが、これについても、発足当時はやむを得ないことであるが、しかし、将来この農林年金制度が安定期に入る中においては、これらの問題等についても再検討して、そうして改善をはかるという政府の方針も、当時明らかにされているわけです。すでに年金制度が五カ年を経過している今日において、この分に限って是正することができないということはおかしいじゃないですか。国家公務員にしても地方公務員にしても、事業主と見なされる国や地方公共団体が、整理資源の分については負担していることは事実ですが、その国の負担あるいは地方公共団体の負担は、国民の負担であり、地域住民の負担である。その負担でこれは処理されているのじゃないですか。そういうことを考えた場合、農林年金法の発足の趣旨が、少なくとも市町村地域において、現在地方公務員共済組合制度と対比できる内容の制度をつくることが必要である、非営利的な公共性のある農林漁業団体については、少なくとも地方公務員の共済組合制度に準じた内容の規定をすべきであるということで、農林年金制度が発足したわけですからして、すでに五年を経過した今日において、この整理資源に対する国の補助をどうしても排除しなければならぬという根拠は、すでに失われたと思うのです。そうじゃないですか。絶対にできないという理由があれば、これは明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/27
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028・昌谷孝
○昌谷政府委員 私が申し上げておりますのは、当時国庫補助の対象から除かれることで処置がとられたその事情は、今日も変わっていない、当時と今日とでその関係について事情を異にしておりませんから、当時そういう扱いとして決定せられたものを、この段階で特に変えて取り扱いをする積極的な理由に乏しいので、やむを得ないこととして、今後についてもこれらは国庫補助の対象といたすことは困難でございます。そういうことを申し上げたつもりでございます。それらの問題の処理は、こういった保険的な手段を使いますこの種施設についての非常に困難な、常に検討を重ねなければならない問題だと思っておりますけれども、将来、先生もおっしゃいましたように、制度が安定をいたしまして、一つの完全な安定期に入った暁には、さらに振り返ってみることも可能な問題であろうかと思いますが、今日のように、まだ責任準備金もピーク時に達しておりませんし、なお制度としても各種の点で手直しなり改定なりを加えて、よりよいものにしなければならないような問題を幾つか持っております。さらに、これの母法と申しますか、一番根っこにございます厚生年金制度についても、再検討が日程にのぼっておるような時期でもございます。こういった意味合いから申しまして、まだまだ不安定な段階でございます。それらの点で、特にこの問題を法制定当時と違った角度から結論を出すということもなかなか困難でございます。それらの事情を申し上げたつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/28
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029・湯山勇
○湯山議員 いまの御答弁から、私どもの案がそういう過去の経緯を無視してはね上がった案だというようなことになると、これは私どもの精神と違いますから、その点について釈明をさしていただきたいと思います。
これは、本法が審議された三十三年の会議録によりますと、当時助川委員からこういう質問がなされております。「給付の補助金のうち百分の十五ということになっておるようですが、私学の場合と違いまして整理資源分につきましては差し引かれたわけですが、その理由を明確にしていただきたいと思います。」この質問に対して渡部政府委員から、「ただいま厚生年金の改正、それから国民年金の議論をしておるのでありますが、そこで厚生年金から分離してやる場合に、厚生年金とのつり合いを考えなければならないということから、百分の十五、ただし整理資源を除くということで、大体平均しますと、全給付に対して百分の十二くらいになると思います。そういうところで率直に申し上げますと妥協したのであります。これを大蔵省と争っておると、今国会に法律の提案が間に合わないというおそれもありますので、遺憾ながら法案に織り込んだ程度でわれわれの方はスタートする。しかしこれはさらに実際に年金としての給付——一時金は別として、年金の給付が始まるのは六年後でありますから、厚生年金なり国民年金なりの制度が整備されたときにあらためてこの問題を再検討したい、こういう話し合いになっておるのであります。」こうなっております。つまり、国民年金もすでにその後発足を見ておりますし、いま厚生年金もすでに大改正が出ております。こういうことで、この整理資源につきましては、ほんとうの給付が始まる、つまり今年度までに必ず——当時はそういう事情でしかたなかったけれども、今日までには当然これについては再検討して解決をつけるという約束がなされておりますので、私どもも、今回の政府提案では、この整理資源に対する補助については解決するということを当然だと思っておりました。むしろ、整理資源自体についても解消する、こういうことをこの時代から——当時はそういういきさつでやむを得なかったけれども、六年後の給付が始まるまでには解決するのだ、また当然そうあるべきだということから、私どもの案を出したわけでございます。当時の政府の約束をそのまま踏襲したのが社会党の案である、このようにひとつ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/29
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030・芳賀貢
○芳賀委員 どうも局長より湯山提案者の答弁のほうが明快ですね。特に農林省、大蔵省の了解事項の中にも、厚生年金、国家公務員共済制度等の各種共済制度を改定して、国庫負担割合を現行率以上に引き上げることになる場合においては、この制度においても、これらとの均衡を勘案して制度を改めることを考慮ずる、これは先ほど指摘しました農林、大蔵の了解事項の中の四項にうたわれておるわけですが、そういたしますと、農林年金制度ができた後において、三十三年五月には国家公務員共済制度の改正、三十六年六月には私学共済制度の改正、三十七年九月には地方公務員共済制度の全面改正が行なわれて、厚生年金法に対しては来年を期して抜本改正を意図されておるわけです。こういう一連のその後の各共済制度の改正の方向を見ても、やはり今回の農林年金制度の改正は、その趣旨に沿って行なわれるともいわれるところなんです。そういう場合、この根本改正を機会にして、たとえば国の負担割合の引き上げの問題とか、あるいは整理資源に対してこれを国の補助対象にするというような改正については、当然今回行なうべき機会であるとわれわれは考えるわけです。われわれとしては別案を出しておりますが、政府においても同じ姿勢で取り組む必要があると思うわけですが、この点については、年金法成立当時に農林委員をやっておられた丹羽政務次官もおられますので、政務次官から明快な政府としての態度を示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/30
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031・昌谷孝
○昌谷政府委員 政府の改正案が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/31
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032・芳賀貢
○芳賀委員 丹羽政務次官に尋ねているのです。委員長、注意しなさいよ。政務次官が答えられない場合は、私はよくわかりませんから事務当局から答弁させますというのであればいいが、質問者が政務次官を名ざして尋ねておるのに、何も答えないというのはおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/32
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033・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 この経過につきましては、事務当局から御答弁申し上げたようなことでありますが、しかし、決して、整理資源そのものの国庫補助を拒否するとか、それをあきらめる、そういうことについて考えないとか、あるいはその努力をしないという考え方はしていないのであります。できるだけ私どもとしてもそれを望んでおるのでありますが、さきに申し上げましたような政府の考え方は、一貫した考え方をとっておりますので、事務当局が答弁したようなことであります。重ねて申し上げますと、私どもは決してそれに対する考えを抱かないとか、あるいはまたその努力をしないとかいう問題ではなくして、努力はいたしてまいりますが、しかし、考えは貫いておりますので、いま法律の御審議の過程において、いつからどうするということを言えないことは残念に思います。しかし、ただいま湯山さんからお話しになりましたように、さきにこの法律の審議をいただきますときに、説明員なりあるいは政府側として考えを述べておることを御指摘いただいたわけであります。だから、そうした欠陥等も十分考えまして、努力いたしていくつもりでありますが、しかし、今日の段階におきましては、前々の精神を貫いて御審議をちょうだいいたしておるのであります。さよう御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/33
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034・昌谷孝
○昌谷政府委員 ただいま政務次官から申されましたとおりでございますが、芳賀先生の御質疑の中に、私どもの本改正案を提出いたします考え方の基本に触れる問題がございますので、ちょっと補足的に説明させていただきたい。と申しますのは、この改正案はかねがね申し上げておりますように、すでに今回以前に、三十四年後、制度が改まって一歩前進をいたしました国家公務員の共済制度、あるいは地方公務員の共済制度、あるいは私学教職員の共済制度との関係をもっぱら考慮したものでございます。つまり、独立をいたしましたときには、当時のそういった制度と肩を並べることが念願であった。ところが、本農林年金の制度が発足する直後に、直ちにその肩を並べることを念願といたしました他の職域の共済制度が、すべて一歩前進をしてしまったわけであります。この年金制度は、そういう意味合いで立ちおくれたままで今日に至ったわけでございます。したがいまして、今日の改正案を政府として立案いたします際にも、すでにもう一つもとになる厚生年金制度が昭和四十年度から新しい仕組みで発足しようとして、その法律案が準備をされておるのであるから、むしろ、直すならば厚生年金のあるべき姿を見きわめた上で、おくれついでにそれを見きわめた上で直すほうが、より根本的な改正が行なわれるのではないかという論議は、政府部内にもあったわけでございます。しかしながら、この三十二万の組合員諸君、あるはそれを使っておられる農業団体の皆さんは、それはそれとして、とにかく現実に立ちおくれておる、国家公務員なり私学の共済制度とここで早急に肩を並べておきたい、厚生年金がすぐ追っかけてよくなれば、そのときには、国家公務員、私学その他も、どうせそれにならって手直しが出てくるであろうから、農林年金がそのとき国家公務員なり私学より一歩おくれたところのままでおったのでは、そういう場合にも差しつかえがあろうから、とにかくここでは現行の国家公務員あるいは現行の私学の共済制度と、何とか肩を並べられるものにとりあえず直しておきたいという、熾烈な御希望がございましたので、私どもとしても、そういった点を主眼として、この改正案を準備をいたしたわけでございます。したがいまして、より基本的には、先生のおっしゃいますように、厚生年金の今後求められますあるべき姿を見きわめた上で、検討すべき問題が多々残っておると思います。このいま御論議の問題も、必ずしも本質的にそうであるかどうかは御議論のあるところかと思いますけれども、やはりそういった問題とも関連をいたしますので、この際の手直しとしては、いささか及びかねるというような事情にありますことを御了承いただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/34
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035・芳賀貢
○芳賀委員 局長の表現がだいぶ変わったですね。絶対に従来の整理資源は国の補助対象にできないというような、そういう狭い判断に立った断定めいた発言というのは、これは慎んでもらいたいと思う。国会が法律をつくるわけで、あなた方が何と言っても、国会においてこれをこうするということになれば、簡単に解決がつくと思うんですよ。絶対に現在の整理資源率の一四・六五というものは補助対象にできないなんということは、憲法にもそんなものはうたってないでしょう。丹羽政務次官から、努力するというか、趣旨を体してと言われたが、趣旨となると、従来どおりの趣旨もあるし、これから心を入れかえて是正するという趣旨もあるが、あなたの言われたのは、私が指摘して、湯山提案者からも明確にされた点について、整理資源については、今後この法律の改正を機会に国の補助対象にするということで努力するということか、従来どおり補助対象にしないということで努力されるのか、この点が明らかにされていないわけなんですね。政府を代表した答弁ですから、慎重を期する必要があると思いますが、いずれの道か明らかにしてもらわぬといかぬと思うのです。そのいずれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/35
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036・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 事務当局が答えておりますように、補助対象には絶対にしないという考え方、そういう答弁のしかたは、これは慎まなくちゃならぬと思うのです。そこで、私は、いまこの問題について、そうした絶対しないとかいう考えではなくて、それを考えもしないとか、そういう方向に努力しないという言い方じゃなくして、さきにこの法律を御審議いただきましたときに、助川さんと政府とのやりとりで、そうした相当大幅な将来を見通して、何とかしなくちゃならぬだろうという考えに立っての答弁をしておるのでございますから、そうした方向に向かって努力をいたしてまいりたい。そうでないと、国会で答弁申し上げたことに忠実ではありませんので、国会で先任者が答弁をいたしましたその精神に沿って努力をいたすということを、私は申し上げておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/36
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037・芳賀貢
○芳賀委員 この点は将来非常に大事な点ですから、後刻農林大臣が出席された機会に、この整理資源率に対する国の補助をいかにするかという点については、丹羽さんから事前に農林大臣に十分この趣旨を伝えていただいて、委員会を通じてこれを明らかにしてもらいたいと思うわけです。
そこで、もう一つお尋ねしたい点は、年金の組合員及び事業主である農協等の負担の軽減というものも、あわせて法律改正の中でこれは配慮してやる必要があると思うわけです。したがって、現行法によると、国の補助割合は百分の十五ということになっておるが、他の共済年金の場合は百分の十八という例もあるわけでございますから、社会党の案はこれは百分の十八ということになっております。政府としては、この際、補助の割合の引き上げということについては、改正案では触れておらぬが、この点は一体どういうお考えか、あわせて明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/37
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038・昌谷孝
○昌谷政府委員 給付の内容をよくいたしたいという気持ちと、それから国庫補助もできることならばなるべく手厚くするようにいたしたいということは、私どもも同様に念願いたしておるところでございます。先ほどの整理資源率の問題も、私の答え方が不十分であったかと思いますが、私の申し上げておることは、現段階での問題として申し上げたつもりでございます。
そこで、今後の本制度における国庫補助の割合の引き上げの可能性の問題でございますけれども、まことに残念でございますが、現在の制度下におきましては、他の、これと肩を並べようとして考えております諸制度は、給付補助百分の十五というのが、一番条件のいいといいますか、国庫補助の程度の高いものであります。なお、国家公務員につきましては、掛け金の百分の十の補助になっております。保険原理的には、掛け金の補助も給付補助も同じことでございますから、国家公務員の場合には、使用者たる国と補助者たる国との部分が必ずしも制度的に明確ではございませんけれども、一応補助者たる国の立場としては百分の十、使用者たる国の立場としては、組合員と折半をして、残りの四十五というふうに相なっておったかと存じます。そういうことで、私どもも、現状の段階では、この農林年金だけ特別に他の制度と異なった手厚い補助率を考えることは、はなはだ困難でもあり、また、当面目標といたしておりますそれ並みという念願からいっても、少しむずかしいと申しますか、そこまではなかなか実現が期しがたいというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/38
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039・芳賀貢
○芳賀委員 今回の政府の改正案によると、掛け金率が、現行は千分の七十八を組合員と事業主折半の方式で負担しておるわけですが、改正案によると、政府資料に基づくと、今度は千分の九十六ということになるわけです。これを折半するということになれば、千分の四十八ずつということになって、従来の掛け金負担から見ると、組合員においても、また事業主においても、相当の負担増となります。もちろん、給付内容が改善になるわけですからして、そうなることが一つの趨勢かもしれないが、国家公務員あるいは地方公務員の場合は、現行は掛け金率が千分の九十九ですね。その場合、国、公共団体が千分の五十五を負担して、組合員は千分の四十四の負担ということになっておる。この組合員といわゆる事業主の負担区分についても、あくまでも折半の方式でいかなければならぬということはないと思うのです。したがって、この際、やはり組合員の負担というものを考えた場合においては、もちろん、農林漁業団体自身の経営も決して余裕がある経営ではありませんが、将来農林漁業団体に優秀な人材を確保して、少なくとも五十五歳に達して長期給付が受けられるように、長い間勤続して農林漁業団体の職務に精励してもらえる人材が、この制度等を通じて確保されるということは、非常に大事な点だと思うわけです。したがって、そういう点を考えた場合においては、やはり先ほど繰り返して指摘しましたとおりの、整理資源に対する国の全面補助対象の問題であるとか、あるいは現行の国の補助の百分の十五を引き上げる問題であるとか、あるいは負担区分を国家公務員や地方公務員に見られるように、やはり事業主にウエートを重くかけるような形の負担方式に根本的に改善すべきであるというふうにわれわれは考えますし、また、社会党の案はそういうことになっているわけです。局長並びに湯山提案者から、この重大な点に対しての見解を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/39
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040・昌谷孝
○昌谷政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、国の補助は、現在これと対比して均衡をとって考えるべき、あるいは考えたいと思っております諸制度については、最高が百分の十五で、国家公務員につきましては、外形上は国が百分の五十五の掛け金補助をしておりますけれども、そのうちの百分の十が補助者としての国の支出であり、残余の四十五は組合員負担の四十五と見合って、折半になっております。私学の場合には、やはりその折半の原則が保たれております。ただ、私学の場合には、先生も御指摘になりましたように、私学振興会による整理資源率の一部負担でございますとか、あるいは都道府県の自発的助成でございますとか、そういうものが加わっている場合がございます。そういった特例はございますが、一応制度そのものとしては、国庫補助を除いた部分についての折半ということが、この種制度の一つの仕組みとなっているようでございます。私も、この種の制度でございますから、そういったほかの制度との均衡あるいは他の制度とのつり合いというような問題以外に、原理的に絶対にこうでなければならぬというふうに言い切れるものがあるかどうかという点になりますと、必ずしも、他の制度がどうあれ、うちはこうでなければならぬというような、そういう何か原理的、絶対的なものはないと思います。したがいまして、この制度の内容を組合員にとってより有利なものに次第に仕組んでいくことは、私どもももちろん念願いたしているところでございますので、それにはやはり他の制度と肩を並べて手を組んで、そういった方向に努力をいたしますということが、やはり問題解決の——気が長いようでごさいますけれども、やはりそういった方向で努力することでなければ、この制度だけを切り離して問題にいたしましても、なかなかきめ手がないといいますか、絶対的なものがないわけでありますから、非常に困難でございます。そういう意味合いで、今後とも他のこれと並びます制度と肩を組みまして、組合員の経済的負担なりあるいは給付の内容なりがよくなりますように、私どもとしてももちろん努力を続けてまいりたい、さように思いますが、現状では、御説明いたしましたようなことで、がまんしていただくと申しますか、がまんせざるを得ないというのが実態ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/40
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041・湯山勇
○湯山議員 ただいまの掛金の負担を軽減する問題につきましては、給付内容の向上に伴って、掛け金の率をふやしていく、こういうことになりがちでございます。しかしながら、農林漁業団体の職員の場合を考えてみますと、国の仕事も相当たくさんやっている。こういうことから、大体は国負担を相当多くしたければならないということは、当然出てくる結論であると思います。しかしながら、いま局長の御答弁にもありましたように、特にこの年金だけという考え方も、また他とのつり合い上問題もあるかと思いまして、私どもの案では、当然数理的な保険料については折半負担をする、こういうたてまえにいたしております。ただしかしながら、ただいまの整理資源と関連を持ってながめてみますと、国公にしても地公にしても、あるいは公共企業体にしても私学にしても、大体整理資源については事業主負担ということが、大部分の制度でとられているところでございます。したがって、整理資源は直接本人に関係のない部分でございますから、この部分については事業主負担にする。その事業主負担になる分について、事業主、たとえば農協なら農協の理事者と国とで話し合って、どれだけそれを補助としてもらうか、それはまた別途として、ともかくも事業主負担になるべき整理資源率をも含めて組合員負担にすることは、理論的にも合わないところでございますから、整理資源を除いた数理的な保険料のその半分は組合員が持つ、こういうことにいたしまして、われわれの場合、組合員負担四五、事業主負担五五、こういうことにいたしております。なお、国負担については、一五%持つということになっておりますけれども、先ほど来の御指摘、それによって、実際は一五%持っていない。ここにも大きい問題がございまして、当然一五%持つというたてまえでございますから、その間にそういう極端にいえばごまかしを省いて、正当に正しく給付の一五%を持つということにすれば、掛け金率はもっと下がるのであって、それは特に下げなくても、この制度の正しい運営をしていけば、御指摘のような点はある程度解消する、われわれはそういう態度に立って、そういう立場からの提案をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/41
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042・芳賀貢
○芳賀委員 いまの点ですが、局長に明らかにしてもらいたいのは、政府から出されて、局長から先日説明のあった資料に基づくと、政府案の改正によると、掛け金率が、先ほど私が言いましたとおり、千分の九十六になるわけですね。千分の九十六を折半ということになると、これは両者それぞれ千分の四十八ずつということになって、これは組合員の負担から見れば、他の共済制度に比して、給付内容等についても格別にまさるような改善が行なわれておらぬにもかかわらず、負担だけが重くなるということに当然なるわけですね、したがって、こういう点についてはやはり問題は、国の負担をふやすということが先決になるわけでございますが、この組合員、事業主の負担区分等については、やはりこの改正の際にある程度の配慮というものは当然必要じゃないかと思うわけですが、これはあくまでも折半でなければならぬという点もおかしいと思うのです。特に先日来局長から資料に基づいて説明があって、農林漁業団体の職員の給与水準の低さ、大体全国平均して、対象者の平均給与が月額一万六千円程度でしょう。民間の産業における平均労賃は大体月額一万円程度になっています。そうすると、民間産業の平均賃金の大体二分の一程度がこの年金の対象になる農林漁業団体の職員の給与水準ということになるわけです。ですから、そういうことを考えた場合において、せめてこの共済制度におけるこれらの諸君の掛け金率等については、できるだけ国としても配慮することが改正上重要な点だと思うわけです。この点は丹羽さんどうですか。あなたは農業団体の役員もやっておるでしょう。年金にも加入しておる感知県農業共済組合連合会の会長、それから全国農業共済協会の副会長もやっておられるわけですから、実際に自分がそういう団体の指導者として、団体の職員の給与の低い水準の実態、たとえば民間産業における賃金の水準とか、あるいは国家公務員や地方公務員の現在の給与水準と比べた場合、どうであるかということはわかると思うのですよ。そのことが、結局この長期給付を待たないで、相当年輩の職員が、大体平均四年ないし五年の勤続年限で他に転職しておるというような事実、これは重大問題だと思うのです。ですから、この農協や漁業協同組合の経営が困難であるから、掛け金の負担についても両者折半でなければならぬということは間違いだと思うのですが、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/42
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043・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 なるほど農協職員あるいは農業団体等に職を持つ者の給料が安いということは、私どもも承知しております。また、これらの人の給料が上がるように配慮、努力をしていかなければならぬことも、痛切に感じております。そうした方々に何か将来の安定的なものを与えて、そしてその職場に長くおってくれるように方法を考えていかなければならないことも承知しておりますが、本制度の上から考えまして、ただ、ほかとのつり合いもございますので、この年金法を特別にこれだけ取り扱って、そうした人の足どめをするということも、これはちょっと困難かと思います。しかし、あなたのおっしゃいますような気持ちですべてのことに処し、考えていかなければならぬことは、十分承知し
ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/43
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044・昌谷孝
○昌谷政府委員 改正後の本農林年金の組合員の掛け金率をどうきめるかということは、基本的には農林年金の団体の定款をもって定めるべき事項でございます。したがいまして、先般御説明いたしましたのは、その掛け金率決定の基礎となるべき計算の基礎を御説明申し上げて、新しい制度が発足した場合の一応の掛け金率の基礎となるべき数値は千分の九十六・四三一でございますというふうに申し上げたわけでございます。現在の組合員負担は千分の三十九でございまして、それと見合うものとして申し上げますれば、千分の七十八になっておるわけでございます。その千分の七十八と申しますのは、千分の七十五・何がしという数値を安全率を二%何がし見込んで七十八ということで定款でおきめになっております。したがいまして、出っぱなしのこの千分の九十六・四三という数字を見て、安全率をこれに加えるかどうか、あるいは逆に先生がいまかりにおっしゃいましたように、コンマ以下の端数を切り捨てて千分の九十六にしてしまうかどうか、これらのことは、なお組合の内部の問題としても十分御検討をいただかなければならない問題かと思います。そういう意味で、一応在来の組合員負担の掛け金率と比較をいたしますと、ふえてまいります。しかし、この点は給付内容もよくなったことでもございますし、そういう意味合いでやむを得ざることかと思います。給付内容をきめます場合、私どもが一つのめどといたしましたのは九十五ないし百、要するに、少なくとも百をこえては、いかに給付内容がよくなっても、現在の団体なり組合員の実質からいって、負担が重くなる。そこで、相なるべくは九五、やむを得ない場合も九五を若干こす程度で給付内容を考えたいというのが、関係者一同の検討の一つのめどでございます。その意味合いで、九六・四三一というようなところで一応おさまりましたことは、そういった意味合いから申して、これ以上よくすることも困難でございますが、この辺ならがまんしていただけるかというふうに考えた一つのめどでございます。他の国家公務員なり、地方公務員なり、私学のほうは、それぞれすでに先行して制度改正をやっておりますので、その際きめました掛け金率、組合員の負担が、若干今度の農林年金よりも下回っておりますことは、御指摘のとおりであります。これらの点につきまして、私学においては、現在仮計算を本計算に直すための作業中でございます。国家公務員についても、その後のベースアップ等のこともございましたので、掛け金率の再計算中でございます。私どものほうでは、そういう意味合いでは、最新の時点で、最新の基礎によって、千分の九六・なにがしというふうにはじいたわけでございます。他のこれと比肩して先行いたしました制度は、いまの掛け金率は、現状の給付の実態から見ると、若干過小評価をされておるやに聞いております。したがいまして、必ずしも現行掛け金率の差が給付の差でない、そういった点が加味されていることを御了承いただきたい。折半負担を切りかえるという問題は、再々申し上げますように、絶対という問題ではないと思いますけれども、やはりこの種制度の一般的な原則の問題でございますから、わがほうの制度だけがそれを特別に突きくずすという積極的、決定的な理由がない限り、実現困難な問題かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/44
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045・芳賀貢
○芳賀委員 この掛け金率の問題は、政令で限度を定めて、現行制度では千分の七〇ないし九〇の間、定款できめるということになっておる。定款はそれを受けて千分の七十八ということに定めておるわけであります。この制限を変えない場合においては、これは最高にしても千分の九〇ということになるわけですが、問題は、結局政府としては折半方式をあくまでがんばって譲らぬものであるか、やはり現在の組合員である団体職員の給与水準の低さとか、負担の軽減とか、人材確保をこの制度の中においても考えるということであれば、団体側においても、経営にゆとりがないとしても、やはり負担区分について団体側にある程度ウエートをかけるということは当然なことだと思うのです。大事な点を改正しないで、年金の改正でございますと言われても、これは受け取りがたいと思うわけですが、そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/45
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046・昌谷孝
○昌谷政府委員 現行法の五十五条に「組合員及びその組合員を使用する農林漁業団体等は、前条の規定による掛金を折半して負担する。」という規定がございます。先生の御指摘は、この条文を修正すべきではないかという積極的な御議論と承知をいたします。その点につきましては、先ほど来しばしば申し上げておりますような事情で、この際、本制度だけがそれと異なる規定を設けて負担区分を行なうことはなかなか容易でございません。また、ここにあります農林漁業団体等、つまり、使用者側でございます組合の経済状況から申しましても、そういった経営者負担をいたしますことは、実態的な理由からもなかなか困難があろう、さように考えて、今回は従前どおりに変えないことで処理をいたしました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/46
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047・高見三郎
○高見委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時十六分休憩
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午後一時三十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/47
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048・高見三郎
○高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案並びに湯山勇君外十一名提出農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案、右両案に対する質疑を続行いたします。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/48
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049・芳賀貢
○芳賀委員 午前の継続でありますが、掛け金負担割合の問題について、政府の説明を聞いたわけですが、湯山提案者の説明によると、数理的保険料率については、これは組合員、事業者折半という方式で、それに整理資源率分については事業者負担の方式でいきたいということですが、それじゃ政府としては、湯山提案者の述べられたような方式で、事業者と組合員の負担割合が定款によって設定されるということについては、これは異論はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/49
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050・昌谷孝
○昌谷政府委員 将来の問題としての検討ということでございますれば、私どもも真剣に検討してみたいと思いますし、また組合団体の意向も聴取してみたいと思いますが、さしあたっての問題といたしましては、先生御承知のように、組合員も組合もなかなか楽でない状態のもとにおいて掛け金負担をいたしておりますので、にわかに変えることはむずかしかろうと思います。そこでなお、制度といたしましては、先ほども申し上げましたように、法律に折半で負担をするという規定を置いておりますので、そういったことは、もしそういう方向で組合と組合員間の意向が将来まとまるようなことがございますれば、その際再検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/50
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051・芳賀貢
○芳賀委員 それではこの問題は、当事者間において新たなる方向が望ましいというような結論が出た暁には、それを制度の面においても実現できるように進めたい、こういう御意向ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/51
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052・昌谷孝
○昌谷政府委員 正確に申しますと、現行法の五十五条で、掛け金負担については、組合員といわゆる使用者たる農林漁業団体との間で折半で負担するという規定を置いております。将来、先生のお話のような方向で、組合員と使用者たる団体との間で、そういう方向での問題の解決についての話し合いがまとまり、希望が出てまいりますれば、その際あらためて法律の検討をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/52
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053・芳賀貢
○芳賀委員 その方式は、原則としてはこれは折半の原則の上に立って、問題は、整理資源分について、これを折半するか、事業者が負担するか、国が負担するかということであって、原則は、湯山委員が言われた方式は、やはり折半の原則の上に立っておるわけです。ですから、これを政府が積極的に理解して実行しがたいとすれば、当事者がその事実を理解し合ってそういう方向に進めてもらいたいということになれば、それを採用するにやぶさかであってはならぬと思うのですね。その意味の御答弁ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/53
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054・昌谷孝
○昌谷政府委員 現在の扱いとしましては、前向きのいわゆる数理的保険料率と過去における積み立てのいわゆる整理資源率と合算したものから国庫補助の予定率を引いたものを、ここでいいます掛け金率として考えておるわけであります。いわゆる整理資源率なるものを掛け金という観念の中からはずして考えるような法制が講じられれば、その際にはまた別でございますけれども、現行のものの考え方では、整理資源率をいま申しましたような形で掛け金率の中に加えて、いわゆる掛け金が構成されておりますから、そういう意味合いで、整理資源率だけを別にして、本条でいう掛け金というのは、整理資源率を除いた残余のものであるというようなことでも手当をいたしませんと、直ちには現行法のままからは、かりに話し合いができましても、法律の改正を伴わずには困難であろうかと思います。私が申し上げておりますのは、そういう方向での解決が当事者間において話し合いができ、かつ、そのことが私どものほうから考えても無理でないということになりますれば、その際、そういった話し合いの方向とにらみ合わせて、必要な制度の改正を考慮することはあり得るということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/54
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055・芳賀貢
○芳賀委員 しかし、この点は、政府としてもあまりこだわる必要はないと思うのです。整理資源率に対しては、これを全面的に国の補助対象にするかしないかということについては、先ほど来質疑を繰り返した点ですが、しかし、掛け金の設定の場合、この部分を事業者が負担するということについては、政府としてそれもいけないという規制をするのはちょっとおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/55
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056・昌谷孝
○昌谷政府委員 ただいまの問題は、掛け金の負担割合を農林漁業団体と組合員とでどういう割合で持つかという問題であります。そこで、制度として折半としておりますのは、午前中にも出ましたけれども、他のこれと類似の諸制度すべてが、そういう原則でこの種制度は成り立っておりますので、当然そういうふうに考えていくのが、従来の経過から申せば自然のことであろうと思います。整理資源率についての御議論は、整理資源率を現在国庫の補助対象とするかしないかという問題でございますが、御承知のように、この種年金におきましては、国庫の補助は、給付の段階で給付の百分の十五を補助しております。したがいまして、掛け金の段階では計算上は将来得られる国庫補助を除いて掛け金の計算をいたしますけれども、国家公務員の共済制度のように掛け金段階で直ちに具体的に処理ができる問題ではございません。そういう意味合いで、掛け金としては、整理資源率を含めたもので掛け金の総体がきまり、それの負担割合がこの制度できまっておるわけでございます。したがいまして、本来は、掛け金は使用者と雇用者が折半負担というのがこの種制度の通則でございますから、にわかにそれをくずすことはいかがかと思われますけれども、特に問題のある整理資源率について、かりに負担割合で異なった処理のしかたについての具体的な方法が関係者の皆さんから出ますれば、その際は、そういうことを考慮して、必要な法律的な改正も検討する必要があろうということを私としては申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/56
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057・芳賀貢
○芳賀委員 ただ、保険設計上、数理的保険料率に整理資源率を加えた総財源率、それに国の一定の算式に基づく補助割合を乗じたその額を総財源率から引いた残額がいわゆる保険料率の基本になるわけです。本来からいえば、総財源率に国の補助割合を乗ずべき筋合いであるにもかかわらず、そのうちの整理資源率に対しては、これは補助対象にしないという頑迷な態度が変わっていないわけですから、そうなれば、国の補助対象にならない整理資源率分については、むしろ当事者間で割り切って、これは事業主の負担にするという形の保険掛け金の負担区分が設定されても、一向に差しつかえないと思うのです。その点が問題なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/57
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058・昌谷孝
○昌谷政府委員 それでありますから、立法論として、そういう仕組みを考えることが差しつかえがあるとかないとかいうことを私は申し上げておるつもりはありません。ただ、現行法に即してお答えすれば、そういうことを直ちに採用することは用意ができていないので、そのためには、現行法をそれ相応に直していかないと、そういったことを実行する方法は現行法ではないということの趣旨を申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/58
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059・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、この点は非常に政治的配慮を要する点ですから、本日はこの点は保留して、午前保留した問題と同様に、後刻農林大臣が出席された機会に、政府の方針として明らかにするように、これは丹羽政務次官から大臣にこの点を十分伝えて、次の機会に明確にしてもらいたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/59
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060・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 お話のありましたように、私から大臣によくお話を申し上げて、後刻当委員会に出まして、お尋ねに対して政府の態度を明らかにさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/60
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061・芳賀貢
○芳賀委員 次は、やはり国の補助に関する点でありますが、事務費の補助については、組合員一人当たり百円という国の補助が行なわれておるわけですが、この百円の範囲内で実際に年金の事務的な運営は十分果たされておるかどうか。これは社会党案としては、この程度では不足であるという方針の上に立っておるわけですが、政府としては、従来同様に一人百円の方針で十分であるというふうに考えておられるかどうか。この点は局長並びに湯山提案者からも御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/61
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062・昌谷孝
○昌谷政府委員 その国庫負担の問題につきましては、けさほども、この法律が成立しましたときの附帯決議に関連して申し上げましたが、設立当初は、諸度調弁費という意味を含めまして、一人当たり百円にたぶん五円くらいを加算したものを初年度には出しておると思います。自後は経常的な事務費補助としては百円でまかなっていただいております。
現在、実際問題として、この年金が必要といたします事務費に対しましては、一人当たり百円というのは、おおむね二割ないし三割程度の補助に相当しておるかと思います。私学共済の場合は、対象といたします組合員数が十万人そこそこでありますから、とても共通の単価では固定的な事務費が処理できませんので、若干上がっておるかと思います。逆に厚生年金は母体が広うございますから、百円ではなくて、それよりは低い補助単価できめられておるかと思います。そういう事情がございまして、これも百円でなければならぬという理論的なと申しますか、原理的な絶対的なものがあるとは思いませんけれども、一応他の年金制度との振り合いという点から考えて、当面この百円という補助を特に大きく動かすといいますか、変更を加えるほどの主張はなかなか困難でございます。しかし、私どもといたしましても、現在のように運用利回りが高率で、理論上予定いたします準備金の運用利回りよりも、かなり高率に回っておるというような状態では、事務費の負担余力もございますけれども、いつまでもこういう状態にあるということでもございません。それらの事情も考えて、将来必要に応じて十分検討いたしてまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/62
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063・湯山勇
○湯山議員 ただいまの事務費につきましては、この法律ができるときにもずいぶん議論されております。その中で、この事務費の補助が非常に少ないではないかということに対しては、当時の政府委員から、ほかの組合がこれだけだからこれだけ必要だというようなことでは権威がないから、いずれそういうことを検討して要求する、場合によっては補正予算ででもこの補助についてはやれるということを答弁をいたしております。現在のところ、私立学校関係は百十円ということでございますが、いま局長の御答弁では、私学関係は十万程度ということですが、これは、私も、私学の共済ができるときに同じような議論をいたしました。それによれば、私学は十万程度で、数は少ないけれども、私学の職場というのはまとまっている、したがって、少なくていいんだ、こういう答弁が政府のほうからありまして、いまの局長の言われたのとは若干違っております。局長のは、十万程度だから、したがって補助単価が大きいんだというのですが、これは逆なので、農林漁業団体の職員については、職場が非常に離れております。したがって、私学のようにまとまってないのだから、この補助単価はもっと大きくなければならない。にもかかわらず、いまのようなことで少なくてもいいんだということであれば、これは少し間違っていると思います。特にこの私学の場合は、その百十円だけではなくて、千分の三の事務費の負担をしております。その中の千分の一というのは、実はこの長期給付のほうへ回っておる。したがって、私学の場合は、百十円プラス千分の一というものが事務費になっておるわけであります。これは農林年金に比べれば、はるかに事務費は有利になっております。現在のところは、農林年金においては、三十八年度に事務費の補助が三千二百二十万が三千二百八十万と、わずか六十万ばかりしかふえていない。これはふやしたのが、ただ組合員の増に対する対処だけであって、物価、人件費その他の値上がりを見れば、これをそのまま据え置いたということは、私はどうしても納得できない。ただ、法律の改正はそのためには必要ないのであって、法律は六十二条で、組合の事務に要する費用を負担するということになっておって、幾ら負担するということはきめられておりません。したがって、相当大幅に——前に議論されたときには、三分の一程度は補助を出していいんじゃないかという御議論が、これは質問の中でも出ておりました。現在のは、大体計算してみますと、事務費の六分の一程度にしかなっておりません。それはどこから計算したかと申しますと、国の補助の三百万余りと、それから実は年金会計の中で、事務経理というものへ約一億五千七百万程度の繰り入れをしております。組合自体が事務費の中の八割あるいはそれ以上持っている。ここに大きい問題があって、この一億五千万以上の事務費の負担というのは、実は国の保険と年金全体に対する補助、それに近い額になっております。そこで、どうしてもこの事務費に対する国の補助というのは、これはいまのように事務費全体の六分の一程度じゃなくて、せめて三分の一程度にはしなければならない。そうすれば、現在の額の約二倍あるいはそれよりも上回る程度になるのではないか。私立学校並みにするという前回の附帯決議でございますから、それに合わせるにいたしましても、百十円という単価、それ以下であってはならない、このように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/63
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064・芳賀貢
○芳賀委員 局長、それでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/64
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065・昌谷孝
○昌谷政府委員 私学が厚生年金と比較してよくなっておりますことの要素の中には、私が申し上げましたような組合員数が少ないということも、反映しておることは間違いがなかろうと思います。湯山先生のおっしゃったような問題ももちろんあろうかと思いますが、農林年金がいまの事務費でバランスがとれておるかどうかという点はなかなかむずかしい問題だと思います。私どもとしても、かねて附帯決議をいただいておることでございますから、事務費を運用利益の中から出さねばならぬような状態というものは、極力少ないほどよろしいわけでございますから、国庫の補助はできるだけ手厚くいたす方向で、今後とも努力はいたしたいと思います。ただ、私学は百十何円かの補助を受けておりますほかに、運用利回りの点でも不十分なのかと思いますが、千分の三というものをいわゆる付加保険料の形で団体組合員から徴収して、事務費に充当しておるわけです。しかし、農林年金制度におきましては、その事務費について、組合員から付加保険料のような形のものをとってまかなわねばならぬほど窮迫はしていない。そういった点はよほど事情を異にすると思いますけれども、しかし、いずれにいたしましても、今後とも推移に応じて検討はいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/65
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066・芳賀貢
○芳賀委員 これは、たとえば準備金、積み立て金についても、運用利回りを一応年五分五厘という、そういう規定のもとで運用しておるが、先般局長から説明のあったとおり、実際は七分一厘くらいの運用利回りになっておるわけですね。ですから、この運用利益を主として事務費の財源に充てるという考えは、これは間違いだと思います。この五分五厘に対して、それ以上に運用利回りが上げられるということになれば、むしろ、それは固定的な不足準備金とかそれらのものが相当額あるということで、整理資源率の割合が高くなっておるわけだから、それらの準備金関係の補完措置等についても配慮すべきであって、運用利回りのそのさやで事務費を充当するというようなことは、これはやはり再検討する必要があると思う。あくまでもたてまえとしては、事務費については国が相当額負担をして、そうして健全な運営をやっていくということで進むべきであると思います。この点は指摘しておきます。
次に、政府案と社会党案の比較についてお尋ねをしたいと思いますが、その前に、政府から資料として示された、たとえば数理的保険料の設計についても、われわれとしては、これを一覧して直ちに了承できがたい点があるわけです。たとえば国家公務員共済とか、地方公務員共済、あるいは私学もそうですが、この農林年金制度と比較しての特徴点は、午前にも言いましたとおり、農林年金の場合には、二十年以上勤続して、退職年金の長期給付を受ける人たちの割合が、他の共済制度に比べて非常に少ないわけですね。そうなると、退職一時金を受ける受給者が非常に他の共済に比べて多いということ、これは必然的になるわけです。そういう五カ年間を通じての一つの特徴というものが表面に出てきたわけですからして、これらをたとえば数理的保険料の設計の場合にどのように当てはめて計算をされたか、その根拠を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/66
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067・昌谷孝
○昌谷政府委員 現時点におきまして、この農林年金の場合、年金受給者よりも一時金対象者が多いという問題は、二つあろうかと思います。一つは、二十年以上勤続者が少ないといいますか、脱退者の平均就業年数が短いという、この前の資料で説明いたしたような事情と、それからもう一つは、厚生年金から引き継ぎまして十六年、本制度ができましてからことしで五年でございますが、そんな事情でございますから、やはりそういう意味からいっても、年金受給者が比較的にまだ出方が少ないという事情はやむを得ないことだと思います。それらの事情は、この財源率の計算をいたします場合には、御承知と思いますけれども、全体の脱退率なり、あるいは将来の俸給に影響のあります諸ファクターとか、それから年金を受給してその母集団から脱落していきます可能性、そういったものを現在求められます最新の資料でその母集団の比例の中へ当てはめまして、計算をして出すわけでございますから、これらの統計的に把握されております実情は、すべてこの計算の中に織り込み済みでございます。統計的に把握のできていない、あるいは過去の趨勢と違った動きが将来起こるといたしますれば、そのような問題は、何年に一回かの財源率の再計算の際に、いろいろと再計算をされまして、いわゆる整理資源率の問題として問題が発生するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/67
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068・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いておるのは、まだ五カ年経過しただけであって、それから厚生年金からの引き継ぎにしても、農協等は昭和十九年以降ですから、まだ二十年を経過した受給者が少ないことは、最初からわかっておる点です。ただ、先日局長から詳しく説明があって、たとえば毎年度別に勤続年限とか年齢別とか、そういうような状態がどうなっておるかという点については、委員会においても現況は大体認識したわけです。ですから、その認識の上に立って判断される点は、たとえば平均勤続年限四年とか五年、特に十年未満で資格喪失をする職員が非常に多いという点です。女子職員の場合は、結婚年齢までの期間が大体四年程度ですから、これは長期給付を受けるまでに至らぬことは当然わかっています。こういう点は、民間産業でも繊維産業のような場合は、ほとんど女子職員が中心ですから、それが企業の中における勤続年限の一つの重要な特徴になりますが、農協とかこの団体の場合、女子職員以外において勤続年限が非常に短いという点が大きな特徴になるわけですね。そうなると、この保険設計上から見ても、これが直ちに是正されるという見通しの上に立てるのであれば、別として、このまま放置しておけば、この状態というものは改善されないと思うのです。ですから、そうなれば、将来五年ごとに再計算をもしするとしても、この五年の将来にわたってこの変化はあまり大きくならぬと思うのです。あるいはこの状態が悪いほうに発展するかもしれません。そうした場合には、この保険設計上も、そういう特徴というものは計数の中にやはり明らかにされなければいけないと思うのです。だから、具体的な例から言えば、たとえば数理的保険料率では、退職年金については、これは退職一時金と区分してありますが、長期給付の場合には千分の四四・九二二となっておるし、退職一時金の場合は二七・六〇九、こういう率になっておりますね。これはたとえば国家公務員の共済とか地方公務員の共済とか、そういう共済に比較した場合に、この数理的保険料率というものは、どういう数字を対象にできるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/68
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069・昌谷孝
○昌谷政府委員 その点は、先ほど来申し上げておりますように、最近時点でつかまえましたこの三十二万人のグループの統計数値によったわけでありますが、さらに具体的に申し上げますと、たとえば総脱退率を求めますための統計について申し上げれば、脱退者数については、昭和三十七年度における実績値を用いております。それから組合員数については、三十六年度末、三十七年度末の両年度の実績値の平均を用いて計算する、おおむね三十七年度末までのわかりました範囲の実績数値を用いて、それを年齢階層別に幾通りかに区分いたしまして、それぞれの方々の組合員としての将来の行動を過去の趨勢値で予測したものをもって、所要支払い金額をはじき出し、それを分子として用いる、そういう方法を用いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/69
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070・芳賀貢
○芳賀委員 この点は、結局掛け金負担にも関係する点ですからして、設計を誤ると、非常に現実と相違した負担を当事者にさせるということになるわけですから、十分精密な設計をしてもらわなければならぬと思います。
そこで、社会党からも案が出ておるわけですが、こまかいことは別として、基本的な点等について、これは湯山提案者から御説明があれば適当と思いますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/70
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071・湯山勇
○湯山議員 ただいま御指摘の点は、農林年金について特殊の現象であると思います。一人当たりの勤続年数を政府の資料によって計算いたしますと、一人の勤続年数というものは四・四年程度になります。こういう状態ですと、二十年間じみちにつとめて年金を受けるというものの数は非常に少ない。しかし、これは年金発足当初のことなので、いまほんとうの長期給付というのは始まっていない状態ですから、なお動く余地はありますけれども、しかしながら、二十年近くなったものを引きとめていくという条件も農林年金にはないわけです。つまり、任意継続という制度がありますから、他の年金のように、たとえば恩給がつくまでがんばるのだとか、あるいは年金がつくまでがんばるのだ、こういう要素もありませんから、したがって、二十年間つとめて年金を受けるという人の数は、非常に少ないのではないかということを私どもも感じております。そこで、それがどういうふうに掛け金に反映してくるか。農林省のほうから提示された資料は、確かにいまの点の資料としては織り込んでありますけれども、しかし、年金の普通の概念から見て、四・四年しか平均勤続年数のないものをそのまま保険に取り入れてやるというようなことは、これは保険上の常識からはできません。したがって、この数理的な保険料率の計算にあたっては、相当大幅な修正が行なわれて——この出ておるそのままの数値ではなくて、それを修正したものがあらわれている、このように判断されます。その修正の方向というものは、勤続年数が相当長く見込まれている、これは制度の改正に伴って離れていく者も少なくなるのだというような前提もあると思いますけれども、いずれにしても、相当な修正が行なわれております。ただいま芳賀委員の御指摘のように、そのまま使えば、これは掛け金率というものはまだまだ低下しなければならない、そういう要素になるものであると私どもは判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/71
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072・芳賀貢
○芳賀委員 いま湯山提案者からも御指摘がありましたが、そうなると、これはなまのものが別にあって、それを適当に修飾したものがこの政府の説明資料の数理的保険料率ということになるとすれば、これは問題だと思うのです。やはり現時点をとらえて、局長が言われたとおり、それを反映さしてこれが設計されたということであれば、これは一つの方程式として、これをくつがえす重大な根拠はわれわれもないわけですが、しかし、実際にできたものをその現象を反映させない形に修正するということになると、これは問題があると思うのです。しかも、掛け金負担が増す方向に修正されるということになれば、これは重大な点だと思うのです。この点はひとつ局長から正直に説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/72
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073・昌谷孝
○昌谷政府委員 何か事実と反する材料を用いて財源率を計算しているかのごときお話がございましたけれども、そういうことは全くございません。ただ、これはどの保険設計でも当然やることでございますけれども、年々のこういった指数の変動を一つの趨勢値にして将来を予測するわけでございます。過去の実績は当然ジグザグでございます。そのジグザグのものを二次方程式を用いて趨勢線に引き直す。したがって、その趨勢線と実績とを当てはめれば、その趨勢線にぴしゃりある場合だけではなくて、その趨勢線から上にドットがいく場合もあれば、下にいく場合も当然ございます。しかし、これは計数上の趨勢値を出す場合の当然やるべき修正でございます。そういう意味合いの修正は当然行なわれておりますけれども、事実を曲げて、鉛筆をなめたような意味合いの修正をやっているというふうにおとりでございますれば、それはたいへん事実と相違いたしますので、ここで釈明をいたしておきます。ただ、制度が生まれたばかりと申しますか、まあ、制度自体あるいは組合というものの雇用環境自体が、組織自体が不安定な要素がございます。国家公務員等と比べればはるかに不安定であります。したがいまして、一応同じ方法論で過去の趨勢値をとりましても、将来の各組合員の起こす行動がその趨勢線と同じであるかどうかについての点は、国家公務員の場合とは若干違った動きを現実の組合員がやるということはあり得ます。たとえば早い話が、合併組合が急速に生まれて、現在の一万何ぼの総合農協がかりに半数の五千になって、雇用条件が急速に改善をされたということになりますれば、私どもが用いました過去の趨勢値は、一万何ぼの弱小組合を含めた職場環境における脱退率であり、勤続年数でございますから、そういった行政的な援助によって急速に合併が助成された結果、非常に安定した職場がそこにつくられ、その結果、過去の組合員がとった行動と将来の組合員がとる行動の間に差が起こるということは、当然あり得ると思います。したがいまして、いまここで計算しておりますものが、将来、未来永劫に現在の三十二万人、あるいは今後新規に採用されてまいります職員の現実の行動と、どんぴしゃりであるかどうかということについては、これはあらゆる計算がそうだと思いますが、それを保証しておるものではございません。しかし、一応こういうものの将来の設計を立てます場合に、それ以外にたよるべき具体的な数値がございませんから、そういうことをいたしますのは、これは当然許容されてしかるべきことの取り扱いだと思います。したがって、この種不安定な職場を対象とする年金制度におきましては、財源率計算をなるべく再々やる、なるべく短い期間ごとに再計算をやって、正確な財源率計算に常に合わせるように努力をし、それに応じた掛け金率に修正を加えていくという努力は、ほかの年金以上にいたさなければならぬという点は、本年金の特殊事情かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/73
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074・芳賀貢
○芳賀委員 たとえば地方公務員共済の場合は、法律の規定の中に、財源率あるいは掛け金率の再計算は五カ年ごとにやるということになっておるわけですね。この農林年金法にはそういう規定はないわけだが、いま局長の言われたような点が重要であるとすれば、やはり法律の中で、明確に何年ごとに再計算をやるという規定があったほうがむしろいいじゃないかと思うのです。ですから、この点はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/74
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075・昌谷孝
○昌谷政府委員 ただいまお答えいたしましたような特殊事情がございますから、わが農林年金の場合には、他の制度と比べて、そういう再計算をなるべくこまめにやったほうがよろしいと思います。法律制度上五年というような制限が置いてございません趣旨については、いろいろ事情があったかと思うのでございますが、おそらくはまだ創立初期であり、不安定でありますから、むしろ五年というふうにきめること自身がいかがであろうかという立法の趣旨であろうと思います。おそらく今後十年ぐらいたちまして、責任準備金の増加傾向というものがとまって、一つの安定的な状態が出てくれば、そのときは五年ごとくらいの制度をつくることも一つの案だと思います。むしろ、私の個人的な考えとしては、まだこの年金の場合には、五年に一回というふうな定期的な再計算ということでいいかどうか、むしろ逆に考えておるくらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/75
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076・芳賀貢
○芳賀委員 私も、別に五年とか七年とか、長いほうが再計算の時期としていいということを言っておるのではないのですよ。しかし、政府として忠実に行なうためには、根拠があって、たとえば三年ごととか五年ごとにはどうしても再計算をやらなければならぬということになっておれば、なまけるわけにいかぬですね。ですから、そういうやはり忠実に計算を行なうというような点から見ると、そういう配慮も必要だと思うわけです。
時間の都合で、あとは政府案と社会党案の相違点等が数点あるわけでして、この根拠について、再提案者から明らかにしておいてもらいたいと思うわけです。現行の制度あるいは実情は、勤続年限が短いという点から見ても、組合員が農林漁業団体の職場に対して将来的な魅力を持っておらないということは明らかなわけですね。ですから、これは、そういう魅力を失っておるいまの農林漁業団体の機能そのものを根本的に、体質的に改善することはもちろんでありますが、やはり共済制度の中においてもそのような意欲を盛り込んでおかないといけないと思うのです。そういう意味において、たとえば標準給与の点についても、政府案は月額にして下限六千円、上限七万五千円が二十八等級ということになっており、社会党案の改正趣旨は、下限が月額七千円で、上限十万円、三十一等級、こういうことになっておるわけです。これをたとえば政府が言うように、少なくとも地方公務員共済に準ずるということであれば、この標準給与の設定についても非常に消極的であるというふうにわれわれは考えるわけですが、この点について明らかにしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/76
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077・昌谷孝
○昌谷政府委員 標準給与の上限、下限をどう求めるかについては、先般資料説明に関連をいたしまして申し上げたと思いますが、制度発足当時下限三千円、上限五万二千円ということで発足いたしましたのは、当時の関係組合員の給与の実態から見て、三千円以下が一%以下でございましたから、そういうふうにいたしました。それからまた、五万二千円以上も比較的少のうございましたから、そういうことで処理をいたした次第でございます。おおむね制度発足当時の組合員の給与の散らばりの把握とほぼ同じカバー率での把握をいたしたわけでございますけれども、その間、組合員全体としての標準給与は四七%上昇しております。そういったことが考慮の要素となってきまったわけでございます。なお、下限につきましては、いま私が申しましたような機械的な方法論でやりますと、むしろ五千円のほうに説明の材料が多くそろったのでございますが、その点は、関係者の多数が、掛け金負担は重くなっても、最低は六千円にしたいという強い御希望もありまして、そのような事情を考慮して、いま私が申しましたように、計算上出ました数値ではなしに、六千円をとったような次第でございます。このことは、組合員の給与の実態がなるべく正確に反映することがこの表の持つべき本来の意味でございますから、その額が高いということは、むしろもし実態より高くきめ過ぎておりますれば、それだけ低額所得者の掛け金負担が分不相応に高いということになります。共済給付はなるほどよくなりましょうが、しかし、そのための掛け金負担が年々月々非常に重くなるということでもございますので、なるべく現実の給与を正直に反映するものとして整理をするのが趣旨であろうかと思います。そういう趣旨で、農林年金の場合、おおむねいまのような方式で出したのが六千円と七万玉千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/77
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078・湯山勇
○湯山議員 標準給与の問題につきましては、これもこの年金制度をつくったときに、現在それらの団体については、先般の資料にもございましたように、給与規程も整っていない。そしてそれの実施も行なわれていない面が多い。そこで、この年金制度を整備することによって、ひいてはそういう給与規程、給与を正常化していく、こういう含みも多分にありまして、その点については、逆に厚生大臣から、そういう考え方というのは逆じゃないかというような指摘もあったくらいでございました。当時のいきさつは、この標準給与をこういうふうにきめて、年金制度を発足する、そのことを手がかり、足がかりにして、団体の職員の給与もまた正常化していく、そういう含みもあったわけでございまして、そういうことのために、特にいろいろな障害を乗り越えて成立させたというのが実情であったと思います。
現在の農林漁業団体の職員の給与というものは、これも先般の資料によって明らかなように、はなはだ低くて、しかもその規程も整備されていない。そういう段階では、やはりこの標準給与の設定というものが、この法律をつくった当時の役目をまだ解消してはいないというふうに判断されます。なおまた、いまの状態では、総理大臣が先般国会で答弁しましたように、最低賃金がすでにもう一万二千円になっておるじゃないかというような状態でもございますので、私どもはその二つのことを考慮して、この標準給与の表をきめて、どんなに少なくともこの中には入るということでなくてはならない、実情は五千円以下もいま局長の御答弁のようにあると思いますけれども、そういうものがあってはならないということをここでは強調いたしたい、こういうことできめたわけでございます。なおまた、将来給与が改善されていくという過程の中では、これも、昭和四十年には八万円をこえる者が大体四千名以上になるという見通しもございますし、三十七年度末においても八万円をこえる者が四百名もあるわけですから、高額所得者が、標準給与が低いということによって掛け金負担を軽くされるというようなことは、これは一面から言えば矛盾した現象でございます。それらの問題を実情に合うように、本来は国家公務員、地方公務員に合わせて十一万ということも考えましたけれども、それの該当というものはほとんどございませんから、とりあえず十万円ということで最高限度を切ったわけでございます。この年金制度のそういう特殊性と、それからこうあらねばならない、これによって規程等の整備をはかっていく。
なお、御質問にはございませんでしたけれども、給与規程等が整備されるということは、現在期末手当等は年金計算の基礎に入っておりませんが、そういうこともこれが整備されることによって入れば、それによってさらに年金は有利になってくる、こういうことも配慮してのわれわれの案でございますから、その点では、ただ現実の事態に対応するという政府の考え方とは若干違っておることは、これはいなめない事実だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/78
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079・芳賀貢
○芳賀委員 最近農山漁村においても、労働力がほとんど都市に吸収される関係があって、新規採用の分については、以前から見ると、初任給は相当上昇しておる。たとえば中学卒業にしても、七千円以下というのはほとんどございませんし、高校卒の場合はおおよそ一万円水準ということになっておるわけですから、過去の給与の実態が非常に低賃金であるから、それを反映して最低六千円でいいというものではないと思うのです。むしろ現実に、最近における農漁村における労働力の状態であるとか、それから民間あるいは公務員等の賃金の水準であるとか、あるいは最低賃金法の適用を受けておるそれらの産業の最低賃金の実態ということを考えた場合は、少なくとも改正の場合には、標準給与の最低は七千円以上にするということは当然だと思うのです。六千円なんてことは考慮の余地はない。それから上限についても、やはり七万五千円に押えるというような考え方はいけないと思う。他の給与所得者が十万円、十一万円という現実があることをわきまえておりながら、この農林漁業団体の場合は制度のもとで七万五千円に押える、それ以上であっても七万五千円と見なすというようなやり方が、今後やはり農林漁業の発展を阻害することになる。だから改正の場合は、大胆率直にこれを取り扱ってもらわないと、問題があとに禍根となって残ると思う。
それから、いま湯山提案者から、期末手当は給与の中に取り入れてないということでありますが、これは問題があると思う。これは現行法審議の場合においても、給与の範囲になるものは何であるかということで、相当議論した点なのです。そのときも、全く臨時的な、継続性がないようなものは入れるわけにはいかないが、給与規程等が統一的にあればこれは問題がないわけですが、給与規程が加盟団体の中の四〇%くらいしかないということであれば、統一的な給与規程をいますぐ求めることはできないにしても、これはやはり給与体系の中において、他の共済組合団体と同じように、期末手当であるとか、石炭手当、薪炭手当、家族手当であるとか、こういうものは当然臨時的なものではなくて、経常的な給与として認定されておることですから、もし期末手当なるものをこの給与額から削除してあるとすれば、これは重大問題だと思います。期末手当は当然給与の中に入りますということが、五年前の委員会で言明されておって、現在それが除かれておるということになれば、これは重大な点ですよ。これは事務当局から明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/79
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080・昌谷孝
○昌谷政府委員 まず、この標準給与の月額をきめる格づけをいたします表の問題でございますが、この表の意味でございますが、つまり、国家公務員のように給与規程が全国一本で統一してつくられておるものにつきましては、各人の給与は明確でございますから、こういうもので格づけをしなくてもやれるわけですが、この団体のように給与の源泉が個々ばらばらな団体でございますと、それらの人々の実際の給与額をとって掛け金計算あるいは将来の給付、所要財源の計算を行なうということは、技術的に不可能でございますから、こういう表で各人の現実の給与をあてはめて、その年金取り扱い上は、このきざみの中へ入りますものは、それぞれそのきざみのものとして扱うという便法で処理をするわけでございます。したがいまして、これの最低を上げるということは、現実の給与を上げるということでは全くないのでございまして、逆に、この最低を上げるということは、現実にはもっと低い俸給をもらっておられる方々を、年金設計上は六千円もらっているものというふうに仮説的にきめてしまう。したがって、その方々に対しては、実際はもっと低い給与をもらっておられるにかかわらず、少なくとも六千円以上、それしかいない設計での掛け金を負担していただくことになります。もちろん、給付をもらうときになりますれば、その水準がものをいいますけれども、これは採用されてから給付をもらうまで、最低額で給与がこげつき、水平のままで、給与が一文も上がらないという状態はおよそ考えられませんから、当然やめます段階では、最低給与も相当程度高いところへ格づけされておる方々がやめていかれるわけでございますから、その点の不利は私はないと思います。むしろ、掛け金負担を実力以上に、必要以上に大きくしないという意味合いで、慎重を期したほうがよろしいんじゃないかというのが、私どものこの案の背景でございます。この表を最低を高いところに置くことによって、実質の給与をそこへ近づけるという効果を期待するということは、現実の段階の状況から見まして、なかなか期待のむずかしいことではなかろうかと思います。
それから最高の問題は、確かに七万五千円以上取っております高給者につきましては、それを七万五千円で切るということは、その方々だけについていえば、この実質的な掛け金負担が軽減されたような姿になりますけれども、しかし、この間の表でごらんになっていただけばわかりますように、七万五千円以上の給与をとっておられます方々というのは、三十二万人のうち約千五百名でございます。おそらくは相当大きな連合会等の役職員、役員が大部分であろうかと思います。そういったごく少数の高額所得者の給付をこの実態に近づけることのために、多数の零細の方々、低額の職員層に掛け金負担の重くなる要素を持ち込むことは、この制度のたてまえ上、遠慮してしかるべきではないかというふうに判断をいたした次第であります。
なお、先ほど来お話のあります臨時的な給与の問題は、現行法にもございますように、三月以上の間隔を置いて支給されるものはこの標準給与の算定の外に置くということにしてございますので、年に二回しか支給されないものはこの標準給与の中には入っておりません。そのことは、いま給与の問題とは別の問題だと思うのでございます。と申しますのは、国家公務員は、御承知のように、本俸だけで年金の率をかける。元の数値は本俸だけをとっております。本俸だけの三年平均であると思います。私学と現行法の農林年金は、本俸だけといいましても、給与規程がない等の関係があって、何が本俸であるかわからないわけであります。したがいまして、やむを得ず、本俸以外に月々定期的に支給されるすべての手当類を加えた——と申します意味は、ある組合では、本俸と手当の区分なしに支給する場合があります。また進んだ組合では、本俸と月々のプラスアルファの手当と区分して支給する場合がございます。その場合に、給与規程が未熟のために、諸手当を一本にした突っ込みの、たとえば二万円とかいうような給与をしております団体の職員と、給与規程が非常に分化して、本俸とそれ以外の月々の給与とがはっきり区分をされておりますものとの間で、年金取り扱い上差が出ては申しわけありませんから、やむを得ず、本俸プラス月々きまって支給されるものをもってこの標準給与の前提といたしておるわけであります。これは率をかけます元数がそういうことできまっておるということでございまして、そういう意味からいいますれば、国家公務員は本俸のみでございますから、一番不利になっているということ、そういう論理をもってすれば、一見不利なように見えます。しかし、結局給付というものは、元数と率との関係できまるものでございますから、その辺のところは調整がとれておる。私学は、依然として本俸以外の給与を含めての総給与の五年間の平均をとっております。農林年金は、今回の改正によりまして三年平均にこれを短縮したわけであります。そのことは、同じ率を使っております両年金の間で比較いたしますれば、私学と農林年金の間では、農林年金のほうが多少有利になったということに相なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/80
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081・芳賀貢
○芳賀委員 いまの期末手当の問題についても、これは公務員と違いますから、一貫した根拠がないことは明らかであります。しかし、たとえば協同組合等にしても、毎年の事業計画等の中においても、給与分についてはやはりこれを分類してあるわけです。ですから、その年度において予定される、たとえば期末手当は夏期と年末を通じておよそどの程度であるとか、それから石炭手当や薪炭手当はどの程度であるとか、家族手当についてはどうであるとか、それから期末の決算手当についてはどうである、そういう点は、大小の差はあっても、これはやはり全く無計画にやっておるわけではないのですよ。事業計画の中でこういう点は明らかになっておるわけですから、これはやはり給与の合算というものが行なわれなければ、たださえ給与水準が低い組合の給与を、さらにまた基本給だけであるということで限定すると、ますます給与率というものは低くなってしまうわけですから、この点は、政府としても、本法の当初の審議の際にも、そういう期末手当等については、適当な機会に農林省のほうからそれらの区分については指導的な通牒を出して、そうしてこれを給与としての対象額に入れるか、どうしても入れることのできないようなものについてはどうするとか、明らかにしますということになっているわけなんです。それが現時点において期末手当さえも給与の中に合算されておらないということになれば、これは実に重大問題だと思う。法律の改正点ではなくて、五カ年間にわたる運営上の政府の責任だと思うのです。これは当時にさかのぼってもう少し明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/81
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082・昌谷孝
○昌谷政府委員 いまのお話は、期末手当を標準給与の中に入れたほうが、組合員にとって、もし他のそれ以外の率その他が一定であれば、一見有利になるように見えることでございますけれども、いまも申しましたように、国家公務員は本俸だけをとって三年の平均をとっておる。農林年金の場合には、本俸と月々支給されるその他の手当とか、団体の性格によって共通性がございませんから、むしろそれが幸いをして、全部をとって標準給与がきめられておるわけでございます。そういう意味で、本来ならば、厚生年金がとっておりますように、標準給与と申しますか、年金計算の基礎となります給与額を出しますときには、全雇用期間の実給与の平均をとるというやり方が一つあるわけでございます。そういうやり方ならばまた別でございますが、そうではなく、三年平均をとりながら、かつ、本俸以外のものも含んでおるということは、この制度の特色でもあるし、有利な点だと思います。期末、勤勉手当を入れるか入れないかの問題は、やはり全体としての三十二万あるいは二万二千の職場の給与のやり方が、おっしゃるように規則正しく一定の基準をもって行なわれれば、それができるという御説でございますが、逆に申せば、そういうことができれば、本俸のみということにする主張、まさに国家公務員と同じ扱いをすることにもつながる問題でございます。どちらを有利とし、どちらを不利とするかということは、にわかに断定のできない問題だと思いますが、年金取り扱い上は、法律でも標準給与の算定は、三カ月以上の間隔を置いて支給されるものは規則性がございませんから、やむを得ず年金計算から除いたということになっております。そのことは、現在のようなばらばらな給与あるいは俸給資源が、二万二千という職場に分かれております年金制度の場合には、やむを得ざる措置だというふうに考えます。
なお、将来そういった諸給与をなるべく各種団体の間で不均衡のない、また少なくともシステムについてはなるべく統一のとれたものに指導すべきではないかという点については、私どもも、組合の実態等とも関連をしますが、そういう方向で指導はいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/82
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083・芳賀貢
○芳賀委員 この点は、たとえば給与水準が国家公務員に準ずる水準まで上がっておれば、これは本俸だけでもいいということになるが、実態は公務員給与に比べて、一切の手当等も入れて大体五〇%ないし六〇%の水準に置かれておるわけだから、そういう異例に低い給与の実態等から、手当等についても、これをあらゆる給与をこの法律で言うところの給与とみなすということになっておるわけですから、これが今日行なわれていないとすれば、ここで直ちに明らかにすることは無理かもしれませんが、あとでこれは団体ごとに、本俸以外の給与というものは現実にどういうような種類で、どういうような内容で支給されておるかどうかという点については、これは法律が成立する前に資料として明らかに出してもらいたい。こういう点は指導しますということが当時言明されておるのを、全く怠慢でやってないわけですから、至急これは出してもらいたいと思います。
約束の時間がもうありませんから、重点的な点を一、二点だけにとどめておきますが、次に問題になるのは、最低保障額の問題です。現行法では最低保障額というものは規定されておりませんが、政府の改正案は三万五千五百二十円、社会党案は九万六千円、それから最高限度に対しては政府案は百分の六十、社会党案が百分の七十ということになっておるが、これもやはりこの年金給付に対する最低保障ということになると、実態に合わないようなものであってはいかないと思うのです。そこで、政府改正案の三万五千五百二十円の明確な根拠というものを明らかにしていただきたいし、また湯山提案者からは、この九万六千円の妥当性について明確にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/83
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084・昌谷孝
○昌谷政府委員 先ほどの御要求でございました資料は、検討はいたしてみますが、十分な資料が手元にないと思います。したがいまして、早急にお出しすることは、あるいは困難かと思いますので、あらかじめ御了承願いたいと思います。
それから、いまの最低保障額を三万五千五百二十円と定めました根拠につきましては、現行の厚生年金の支給と申しますか、厚生年金の対象となっておる人々であったとして、少なくとも厚生年金であっても二十年おれば得られるであろう最低の数値をとっております。そのことは、他の農林年金以外の年金の最低保障額の算出と全く同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/84
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085・湯山勇
○湯山議員 いまの最低保障額の問題は、非常に私は重要な問題だというように考えております。と申しますのは、いままでなかった最低保障額を今回新たに政府案においては設ける。その場合の最低保障額が、いままさに改正されようとしておる厚生年金の現行のに合わしておるというのは、いかにもおざなりだと思います。三万五千五百二十円というのは、月三千円に足りない年金額になるのであって、それではとうていこの年金の目的も達せられない、こういうことになるわけでございます。そこで、私どもが最低額を九万六千円ということに設定した根拠は、一つは、従来から最低賃金の場合に、最低生活の保障というものは月八千円は必要だ、こういうことを申しておりました。それに合わせて年額九万六千円を最低にしたという点が一点と、それから第二点は、今日厚生年金に当初から入った人の年金の支給が始まっておりますが、これの最高額がいままでのところ八万九千二百四十六円、こういうやはり低い額になっております。これは制度の欠陥であって、こういうことを改めていかなければならない。
一番低いのは一万三千七百七十二円、こんなになっております。これではもはや年金とはいえない、こういう額でございますので、少なくとも最低保障額という以上は、生活の最低を保障する、こういう見地に立って九万六千円、月額八千円、こういうことを決定した次第であります。
それから、最高額を政府案では百分の六十、こういうことにいたしておりますが、これも今度改正案で計算いたしてみますと、大体三十三年余りで頭打ちになってしまいます。しかし、農村で農協に腰を据えて、あるいは漁村で漁協に腰を据えてやっていく人たちが、三十三年程度で頭打ちをするのでは、これは年金自体の条件が悪い。給与の悪い上へ持っていって、三十三年程度で頭打ちをする。これはあまりにも悪い上に悪い条件が重なることになりますから、最低額を三万五千円という現在のそれらの年金に合わしたのであれば、当然最高額をそれに合わしてしかるべきである。にもかかわらず、こちらのほうは低い額で据え置いておる。この辺に、私は今回の政府の改正案の非常に大きな矛盾を感ずるものであります。ことに、もう政府のほうから、社会保障制度審議会には七万幾らという最低額の諮問が出ている。その段階で、いま新たにきめられる最低額がそれを踏襲した三万五千五百二十円、これはどうしても納得できない。少なくとも九万六千円、この程度にはしなければならない、このように考えます。
なお、ここでつけ加えて申し上げますならば、この最低額については、社会党の案は、物価の変動が五%以上の場合はそれによってスライドするという規定を設けております。これは先ほどの政府側の御答弁とも関連して、最低額の改定ということは法改正によらなければなりません。本年度も政府が予算説明その他で申しておるところでは、物価の上昇は四・八%、大体五%見ておる、こういうことでございますから、この九万六千円というのも、これは長期にわたってのものではなくて、私どもの認識では、まず一年間これでやってもらう。それであと、いままで問題になっておりました切りかえ、遡及適用の問題、それから先ほどお話しになりました保険料の計算、つまり、四・四年くらいしか勤続年数がない、そのことをもとにして、それに修正をして保険料を計算しておりますけれども、それらの問題も、当然これが一年たって国会にかかったときにはあらためて計算していく、こういう含みを持っての九万六千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/85
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086・芳賀貢
○芳賀委員 ただいま両案の相違点が明らかにされたのですが、ただ、ここで政府に十分反省してもらわなければならぬことは、三万五千五百二十円の根拠ですが、これは月額にすると、湯山提案者からも言われたとおり、二千九百六十円ということになるわけでして、日額にすれば百円に満たないということになるわけです。二十年以上勤続して、五十五歳を過ぎて年金の給付を受けて、しかも保障される額は、もちろんこれより高いものもありますけれども、一日百円に満たないということでは、二十年以上も一つの職場で精力を尽くして、退職して老後の不安をこれによってなくするということは、絶対できないと思うのです。こういう点は、何も現在の厚生年金の亡霊に取りつかれて脱却できないというものではないと思うのです。だからこういう点は、やはり改正の機会に、現実に即した最低の年金保障額というものは、これは明確にすべきであると思うのです。国民が納得できるように——国民ですよ。国民が納得しなければ法律なんというものはできないですよ。利害関係者だけで法律ができるわけないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/86
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087・昌谷孝
○昌谷政府委員 三万五千五百二十円という額が、最低保障額として適切であるかどうかという御議論でございますが、私どもは午前中再々申し上げましたように、今回の改正は、先行いたしました国家公務員、地方公務員、私学教職員、この年金制度と現在の農林年金制度とが格差が生じております点を、とにかく現段階で追いついておきたい。いずれ根本的には、将来、厚生年金をはじめとする一種のものが、さらによりよき水準になっていくでありましょうけれども、しかし、それまで待つというわけにはまいらないので、肩を並べて比較検討しておりますものとのおくれを最小限度取り戻すというのが、今回の改正案の趣旨でございますことは、繰り返し申し上げたとおりであります。そこで、それらが三万五千五百二十円をとっておりますので、私どもも現段階ではそれを採用した次第でございます。将来検討さるべきことは当然あろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/87
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088・芳賀貢
○芳賀委員 すべて重要な点は検討事項で残るわけですね。たとえば社会党案は、標準給与で月額二万円、それに十二カ月をかけて、そうして退職年金の基本給与額の百分の四十を乗ずると、年額で九万六千円、月額八千円ということになるわけです。ところが政府案は、月額の標準給与額が七千四百円でしょう。七千四百円で十二カ月をかけると年額八万八千八百円で、それに百分の四十を乗じて年額三万五千五百二十円、これではたとえば標準給与の下限に近いじゃないですか。下限を七千円にすれば、最低保障額の月額政府案の七千四百円と大体同様ということになるじゃないですか。初任給の下限である七千円で団体に勤務して、二十年たって国が保障する最低保障額が、月額の基本は七千四百円でしかないというようなばかなことはないじゃないですか。局長の先ほどの答弁も全く食い違っておるでしょう。もう少し現実を判断しないと、何でもこういう制度さえつくってやれば、国が恩恵を施すんだから、おまえたちは文句を言うな、これで満足しておれというような、そういう官僚主義的な態度というものが、今日どれだけ害毒を流しておるかわからぬですよ。いいですか、こういう点は、大臣がおりませんが、農林漁業の政策や制度を担当しておる農林省として、特に反省してもらいたいと思う。大蔵省の役人を相手にして質問する場合には、われわれもまた質問の要旨が違うが、少なくとも皆さん方は農政を担当して当委員会に出席して、えらそうなことを言っているわけだが、こういう仕事だけを繰り返されては、これは取り返しのつかぬことになる。これは議論をするわけじゃない。いかに政府の改正案というものが現実に即しておらないか、そしてあくまでも農林漁業団体の職員を冷遇する方針で改正案が用意されておるということを、私どもは率直に指摘するにとどめます。同時に、湯山提案者から述べられた社会党の改正案の妥当性というものと比較して、これは明らかになっておるわけでしょう。議論の余地がないでしょう。
最後にもう一点、最近の池田内閣の経済政策の失敗というもの、これは国民周知の事実です。毎年のように物価が七%あるいは一割上がっておる。こういう状態の中で、スライド制を採用しておかない場合においては、これも大きな欠陥が生じてくるわけですね。社会党案というものは、そういう点を十分配慮して、スライド制を改正の中にうたっておるが、政府はみずからおかした経済政策の失敗を制度の中でこれを補うということをしないで、そういうことも講じていないという点については、これは問題があると思うわけです。こういう点は事務的な問題ではないですよ。政策的に経済政策が失敗しておる責任を国民に転嫁しておる、あるいは共済団体の職員の諸君に転嫁しておるということは、これはどうですか。丹羽さん、あなたも政務次官です。政務がついておる次官ですから、政治的な責任はあると思います。この点であなたの御意見を伺いたいと同時に、これは保留事項として、農林大臣から責任のある言明をするようにしてもらいたいと思うわけですが、これは丹羽さんからまず御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/88
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089・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 大臣は、明日また芳賀さんの御質問に対してお答えをするでしょうが、政務次官として、私はお答えをしておきたいと思います。
まず、池田経済政策が失敗であるとかいう御意見でございますけれども、そうしてその責任を国民に転嫁しておるのではないかという御意見でございまするが、御意見は御意見であり、御批判は御批判でけっこうでございます。私どもは、政府として、池田経済政策は失敗であったり、またそれを国民に転嫁しようなどとは考えていないのであります。あくまでも妥当な政策であったと考えておるのであります。御批判は御自由でございます。また、その御批判に対して、今後謙虚な態度で聞いていく必要はあると考えております。
次に、制度の内容でございまするが、もちろん、私が聞いておりましても、社会党からお出しになっておる案のほうが、それは大いに飛躍的なけっこうな案だとは思っております。しかし、事を進めていく段階におきまして、政府側としては、社会党さんのように飛躍的な方法はとっていけない立場にあるのでございまして、事務当局からお答えをいたしておりまするように、また芳賀さんも先ほど御意見がありましたように、農業団体に関係しておる者、その職にある者が、こうした年金制度がなくて、みんなそれぞれの職場から離れていくから、四、五年前に、何とか踏みとどまって農民のためにお尽くしいただきたい、それにはこの制度を設けなくちゃならぬということで、こしらえていただいたのであります。それが完全なものでなくて、ほかの私学だとか、その他の共済年金と比較して、出発がおくれておりましたので、たいへんおくれをなしておる。今度何とか、それらの前々から歴史のある制度と並んでいこうというところにまで私どもは踏み切りましてやったわけであります。今後はまたそれ以上のひとつ前進のできるように努力はいたしまするが、いまのところは、出発がおそいこの制度でございまするから、何とか他の年金制度に追っついて肩を並べていこうというところにねらいを置いてやったのでございますから、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/89
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090・湯山勇
○湯山議員 ちょっと補足します。…(「答弁を求めていないよ」と呼ぶ者あり)それは政務次官の御答弁は、私どもの案が飛躍的だということですが、そうじゃないのです。(「答弁者が議論しちゃいけない」と呼び、その他発言する者あり)ちょっと言わないと、ぐあいが悪い。というのは、決して飛躍的ではない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/90
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091・高見三郎
○高見委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/91
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092・湯山勇
○湯山議員 これはせっかくこの委員会が参考人を呼んで聞いたときに、ちゃんと参考人からも、政府の案はこれじゃいけない、最低額についてはこんな額じゃいけないという点がはっきり指摘されております。
それから国家公務員、地方公務員に合わせるということですけれども、これはもう御研究になったと思いますが、国家公務員、地方公務員でこの最低額を適用される者というのはありません。これはもう抜けがらなんです。その抜けがらに合わして、それで歩調がそろった、そしてそれを上回っているから、これは飛躍的だというのは、これはものわかりのいい政務次官にしては、私どもの案をよく御理解していただいていない。残念ながら、この年金についてはこの最低額は生きているんです。生きるのでこわいのです。いま持っている人は一万円台です。ですから、この額は上げるほうが、むしろ他の制度に合わせるのであって、合わせないことが現実を離れている。決して飛躍的なものではない。たいへんものわかりのいい政務次官がああいう御答弁をなさいましたので、その認識だけ改めていただきたいというので、発言を求めたわけですから、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/92
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093・芳賀貢
○芳賀委員 本日はこれで質疑をとどめておきますが、先ほども指摘いたしましたとおり、大臣が御出席の場合に、一つは、整理資源率を国の補助対象にすべきでないかという点と、第二は、掛け金の負担区分については、数理保険料の分については、これは組合員と事業者が折半の原則でもいいが、整理資源分については、これはむしろ事業者負担という形で、この掛け金の負担区分を検討する必要があるではないか、さらにいま問題になりました最低保障額並びにこのスライドの問題等について、これは政務次官からあらかじめ大臣に伝えていただいて、当委員会で明確に政府の方針を示していただきたいという点を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/93
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094・高見三郎
○高見委員長 玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/94
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095・玉置一徳
○玉置委員 芳賀委員から非常に詳しく御質問がございましたので、重複を避けまして、簡単に御質疑を申し上げます。
そこで、前の三十三年三月の、農林漁業団体職員共済組合法ができましたときの附帯決議でございますが、「本法は、農林漁業団体役職員の年金制度を確立することにより、これらのものが将来に対し明るい希望をいだき、全員打って一丸となり農山漁民に対する奉仕精神を振起し、組合経営刷新のため安んじて業務に専念することができる途を拓いたものであるが、更に、農山漁民あっての団体役職員である事実に着眼するとともに、国民の半ばをしめ、かつ劣勢産業の担い手である農山漁民の社会的、経済的地位を考慮し、政府は、この際すみやかに、関係当局間の協力により、その福祉を積極的に増進するに足る国民年金制度の実現をはかるために万いかんなきを期すべきである。」こういうようになっておるわけであります。
今般、農林年金が、その他の年金に比べまして、いろんな点で非常に条件が悪いというので、各種団体の要請に基づいて、政府もこれが改正に努力されたわけでありますが、そこで第一点といたしまして、政府関係機関及び民法法人で、農林漁業の発展に資するために直接農民、漁民のために事業を行なっておるものがたくさんございます。たとえば全国農業共済協会、家の光、全国信連協会、中央畜産会、こういうものが民法法人でありますし、また政府関係機関といたしましては、漁業共済基金、農業共済基金、魚価安定基金等、全く農業団体とその職務並びに使命を一にするものがありまして、この中では、これが法案の適用を強く要請しておるところが数多くあるわけでありますが、さきに政府は、政府関係機関というものはこれに入れないんだというような見解もあったらしいのでございますが、自主的に設立され、非営利で、農民、漁民の問題につきまして直接関与しておる団体であることには変わりはないと思います。これらをその要請に基づきまして、この団体に加入することをお認めになるお気持ちがあるか、あるいは将来にわたってそういう方向によって検討されるかどうか、この際、お伺いを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/95
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096・昌谷孝
○昌谷政府委員 その点は、この制度が発足いたしました当時、その対象といたします団体をこういうふうに限定して御説明をし、また御理解を得ておったかと思います。つまり、特別法に基づいて自主的に設立された非営利法人で、かつ、その構成員が直接または間接に農林漁業者であるか、またはその業務が農林漁業者の社会的、経済的地位の向上をはかることを直接の目的としておる、つまり、自主的に設立された団体であるという要件と、それから農林漁業者にとにかく直接的な恩恵を及ぼす結果になるような対象団体に限りたいということで御理解を得、そういうことでこの制度が仕組まれております。そういう意味合いにおきまして、やはり異質のものがこの制度に入ってまいりますことは、保険設計上も適当でないと思われますので、今後ともその方針は続けてまいりたいと思います。つまり、具体的に申せば、設立の方法なり、出資の構成なり、役員の選出方法なり、それからその団体の予算の決定方法なり、そういったものが自主的であるかどうかというような点が、一つの基準になろうかと思っております。
なお、そのほかに、民法法人で、やはり非営利で、農山漁村のために働いておる団体があることも事実でありまして、これらのものも、気持ちとしてはまことに区別する理由が十分でないように思われる場合もございます。これらにつきましては、御承知のように、民法法人ということになりますと、農林漁業のための民法法人というのは、非常に数たくさんあるわけで、その中から直接または間接に農林漁業者に裨益する、つまり、その民法法人の職員団体の職員の身分を安定させることが、直接的に農山漁家の経済上、社会上の地位を向上させることに役立つということでしぼろうと思いますと、民法法人をそういうふうに法律上、どの民法法人は適格であり、どの民法法人は適格でないということは、区分することを非常に困難といたします。それらの事情がございますので、いろいろ検討はいたしてみました、今度の改正のときにも、各方面の御意見も聞いて、検討はいたしてみましたが、まことに残念な点もございましたが、そういうような意味合いで、それらのものをこの団体に入れることはなかなかむずかしいということでございます。
なお、それらの団体を新たに追加して入れるということに相なりますれば、おおむねそれらの団体の職員は在来厚生年金に入っておるわけでございます。そこで、具体的にどの団体というふうに限定ができました上で、それらの方々が過去において厚生年金に積まれました原資を金額を算定をして、こちらの年金のほうにちょうだいをしていくという実務的な手続を相伴ってまいりませんとできないことでございます。それらの検討も、いま前段申しましたようなこととも関連をいたしまして、十分な検討がついておりません。そういったような意味合いで、今回は組合員の範囲を拡大することについては、残念ながら見送った次第で拠ります。なお、今後、お気持ちの点は私どももわかりますので、適当な制度上のくふうを考えて、相なるべくんばそういうもので同質のものは入っていただけるようなことを考えられれば考えたいと思っておりますが、現状においてはちょっと困難がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/96
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097・玉置一徳
○玉置委員 お答えはわかりましたが、ただいま申しましたような各種団体は、農業団体からそういう団体に移っていったり、あるいはこちらへ来たりする移動というものも間々あるわけでありまして、そういう関係でも、ぜひともこれをある時期にお考えいただければ非常にしあわせだ、こう思うのです。
その次に、ただいま芳賀先生からも御質問ございましたが、厚生年金法が改正されまして、給付のベースが変わりますと、それに伴ってこちらも同時に移行できるような方法を考えておかなければ、せっかくこちらが法案の改正をして、本国会で通ったと同時に、また一月もたたないうちに向こうの法案が通る、そこで追っかけてこちらの法改正をするというようなことは、非常にまずいと思いますので、向こうの厚年の改正ができれば、その場合に、同時にこちらが給付ベースが上がり得るようにするのには、どういう方法でおやりになろうと思っておいでになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/97
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098・昌谷孝
○昌谷政府委員 その点は、国家公務員、地方公務員、私学、ともども当面しておる問題でございます。今回の改正が成立をいたしましても、それは現行厚生年金法の給付ベースから計算した最低保障額を実現するわけでございますから、決して十分なものではございません。この点については、先ほど芳賀委員からの御指摘もございまして、私ども決してこれでいいのだというふうに、何か恩恵を施したように考えておるわけではございませんので、むしろ、厚生の改正が近く行なわれるのであるから、現行法では御承知のように、農林年金は最低額、最高額はないわけでございますが、こういう実益のない最低額、最高額を、この段階で国家公務員並みということにこだわってつくることよりも、むしろ現行法どおり最低、最高なしのままにしておいて、厚年の模様を見たほうがいいのじゃないかというのが、実を申しますと、私どもの当初のものの考え方でございました。ところが、その考え方で御相談をいたしましたところが、年金の組合員の皆さんあるいは理事者の皆さんが、それはよくわかっておるけれども、とにかく国家公務員並み、私学並みというのが、スローガンとして、いままで悲願としてやってきたことであるから、もういまになってそうなったからといっておそきに失するけれども、あえて承知の上でそういうことにいたしたいという、たってのお話がございましたので、私どもも芳賀委員からの御指摘の点は重々承知はいたしておりましたが、あえてそういう皆さまの御希望にこたえる趣旨で、いまの最低額、最高額をつくったわけでございます。厚年のほうは、その後逐次具体的になってまいりまして、おそらく施行は昭和四十年五月ということで準備をせられておるように聞いております。法律だけは諸準備の関係で今国会にお願いをするようにしておりますけれども、施行は明年五月。私どもといたしましては、国家公務員、地方公務員、私学、それから農林年金、関係事務当局が集まりまして、明年五月に厚年が動き出すまでの間に必要最小限度の手直しをどういう法律手続でやるか、目下検討中でございます。おそらくは、施行がいずれにいたしましても明年五月の問題でございますから、来通常国会で統一した方針のもとにお願いをするというのが一つの方法ではなかろうかと思います。その点はなお政府部内で検討いたしてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/98
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099・玉置一徳
○玉置委員 これまた芳賀委員からお尋ねがございましたが、退職年金及び遺族年金の最高限度でございます。国家公務員共済組合法の百分の七十を百分の六十にしておいても、昭和五十一年以降でないとその頭打ちが出てこない、こういう御説明を聞いておるわけですが、したがって、昭和五十年、五十一年以降には、やがてはこれは百分の七十にいたしますということと同じ解釈でいいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/99
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100・昌谷孝
○昌谷政府委員 百分の六十を最高限度にいたしておりますのは、私学共済の例にならったわけでございます。公務員のほうは百分の七十で、実益的にはいま先生からお話のございましたように、勤続三十四年以上の人が百分の六十の頭打ちを受けるわけでございますから、ここ当分の間は、農林年金としては百分の六十の頭打ちを受けそうになる実害はないと申しますか、そういうことであろうかと思います。そこで、そういう意味合いで、他により重要な改正の目標がございましたので、最高額については、私学の百分の六十ということに肩を並べることでこの際はがまんをいたした、将来どうなるかという問題については、なおもう少し検討さしていただきまして、私どもとしても、逐次この種年金の充実を念願いたしております一人でございますから、将来の問題として十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/100
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101・玉置一徳
○玉置委員 先ほど申しました昭和三十三年の附帯決議によりますと、「本法の制定後、掛金の負担に耐えられず折角の制度の恩典をうけることができないような団体が生じないよう、新たな角度から不振組合振興対策を再検討すること。」というのがあるわけであります。私も自分で経験いたしたのでありますが、土地改良組合あるいは開拓連等の一部には非常にお気の毒な組合もあるのじゃないかという感じがするのでありますが、従来の掛け金の納付状況、及びこの附帯決議に盛られたような特別な措置をなさった実例がありましたら、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/101
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102・昌谷孝
○昌谷政府委員 成立当初非常に懸念せられました掛け金の徴収の問題でございますが、幸いにして、関係団体職員の皆さんの非常に積極的な御理解と御協力があって、制度発足以来逐年、掛け金の徴収状況は、当時の関係者の予想を裏切って非常に順調であります。たとえば、年次を追って申してみますと、三十三年は一〇〇%、三十四年も一〇〇%、三十五年が九九・九九%、三十六年が同じく九九・九九%、それから三十七年が年度途中の集計結果といたしましては九八・六〇%でございます。これは三十八年三月三十一日現在でございまして、なお、三十七年度分の掛け金はおくれて入ってくると思います。それで、各年を通算してみますと、九九・五八%というような非常に良好な徴収率になっております。お話のように、不振農協あるいは開拓農協の一部に若干苦しいところが見かけられますけれども、それとても、いまの率で申しまして九七程度でございます。したがって、まずまず、非常に不振の組合が多いということから申せば、よく御理解をいただき、納めていただいておると思います。なお、そういったPRを年金の当事者がおやりになったことのほかに、積極的に施策といたしましては、開拓農協、不振農協の対策でございますとか、あるいは農協合併——農協合併のあの法律による合併の運動が、その意味では非常に有効な結果をもたらしておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/102
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103・玉置一徳
○玉置委員 この際、お伺いをしておきたいと思いますのは、余裕金の運用の実績でございますが、まず実績を御説明いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/103
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104・昌谷孝
○昌谷政府委員 余裕金につきましては、逐年ふえておりますが、最近三十七年度の運用の実績で申し上げますと、総体で百六十二億円のうち、その資金運用といたしましては、全体の二八%が金銭信託を含む預貯金ということになります。それから五五・一%が有価証券ということになります。この有価証券の中には、特別の法律でつくられましたいわゆる特殊法人、国鉄、電電公社等の政府保証債から農林債券等のものまでを含んでおります。それから九・一%が貸付信託、五・八%が不動産運用、それから年金内で福祉経理といったような他の経理に貸し付けて運用しておりますものが全体の二%、そういった状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/104
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105・玉置一徳
○玉置委員 有価証券が七二・六%にのぼっておりますものは、三分の一の政府債券を買い取れという申し出のやつだと思うのですが、もう少し真に組合員の直接利益になるような運用のしかたがあるんじゃないだろうか。あるいは住宅の問題とか、あるいは住宅公団とタイアップしての職員住宅の建設というようなあり方もあるんじゃないかと思うのですが、この三分の一の強制をゆるめていただいて、真に組合員が満足し得るような余裕金の使い方に直していったほうが、明朗でいいのではないか、かように思うのですが、今後そういうようなお気持ちでこの運用をやらすような監督指導をやってもらえるかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/105
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106・昌谷孝
○昌谷政府委員 余裕金の運用につきましては、この種のものの原則でございます効率的で、かつ安全でなければならないと思います。安全性ということが一番問題になると思います。その意味合いで、せんだっての末高参考人の御意見にもあったようでございますが、政府保証債と申しますものは、安全性という意味では最もすぐれております。なお安全性という点では、預金部というものもございますが、預金部は遺憾ながら効率性の点で欠点があろうかと思います。他の各種の年金におきましては、預金部に預け入れることを半ば義務づけまして、財政投融資の計画の一翼をになうことを年金の公的使命としておるものもございます。私どもといたしましては、預金部は安全ではありますが、有利でないという意味合いで、それに次ぐものとしての政府保証債を対象とすることは、年金の経理の安全上望ましいことと考えております。ただ、それはもちろん組合の関係者の皆さんの御納得を受けた上でやるべきものであることは当然でございますが、現在におきましても、有価証券の中で、国鉄債あるいは電電公社債といったようなものを年金は運用の対象として持っております。したがって、先生のいまお話がございましたような、たとえば住宅公団債というようなものをやる、そして財政投融資計画の一翼をにないながら、農村の住宅の改築等に、そういった面から応援をするといったような効用を期待することも十分できるかと思います。私どももそういう方向でこの問題を処理してまいりたいと思います。
なお、財政投融資計画に、年々の増加原資の三分の一を充当してそれに協力するということは、いま申しましたような効用のほかに、やはりそれと見合いで、農林漁業団体の公共的な使途にこの原資を貸し付ける道を開くということの意味合いにおいても、重要なことであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/106
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107・玉置一徳
○玉置委員 これ以下は、芳賀先生の御質問にもございましたが、一応整理する意味で、念を押しておきたいと思うのですが、御承知のとおり、この年金制度が将来の生活の保障のために設けられたものでありますので、法律案が改正されまして、旧法は旧法の施行だというようなことでは、将来物価が非常に変動を来たしました場合に、どうしても前の掛け金の基準にされておったのでは、将来の生活保障ということはあり得ないわけでありますので、著しい物価の変動を来たした場合、でき得れば社会党の案のごとく、五%の著しい変動を来たした場合には、やはり給付の水準を内容を検討せなければならない、こう思いますことと、それから厚生年金の昔のやつ、それから旧法、新法と別々に掛け金をされるときは千分の九十六でありますが、これを一本にいたしましたときは千分の百四で、少し掛け金の荷が重いと思います。しかしながら、厚年の昔のやつの整理資金ですか、不足財源に対して同じく百分の十五の国庫補助がございました場合には、通算して千分の百一になって、九十六から上がりますことほんのわずかであります。それがまた半々に折半されるわけでありますので、将来の改正の場合にはぜひとも再検討していただきたい、かように思うわけであります。先ほど申しましたのは、著しい物価の変動があった場合には、給付の水準を内容をスライドする。
それからもう一つは、物価の問題だけじゃなくて、一般国民の生活水準が上昇してまいります場合には、給付の水準も当然上げてこなければ、将来の生活の保障がなし得ない、かように思われるわけであります。これも将来御検討いただきたい。
先ほどお話のございました給付に対する百分の十五というのでは、社会保障の観点からいいましても、あまりにも低いのでありますので、将来にわたって御検討をぜひともお願い申し上げたい。ことに、これは農林漁業団体の職員の給与が非常に低いという点から考えても、ぜひともお考えをいただきたい、かように思うわけです。
そのほかに、退職年金の在職支給制度というような問題につきましても、御検討をお願いを申し上げたいと思うのですが、これにつきまして御回答をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/107
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108・昌谷孝
○昌谷政府委員 物価スライド問題は、いずれにいたしましても、訓示規定というような意味合いでの性格を持つものだと思います。社会党の案におきましても、将来についての法律改正の必要を訓示的に述べられた規定だというふうに理解しています。いずれにいたしましても、現行の給付を将来のそういった経済情勢に合わしてよくするということでございますから、そのねらっております本質については、私どもも同意見と申してよろしいのだろうと思います。
ただ問題は、組合員あるいは組合の経済的負担と直結する問題でございますから、やはりその意味合いも考慮しなければ相ならぬということになろうかと思います。私どもが今度の改正案を考えました要素としては、先行してよくなっております他の年金制度にならうということと、それからやはり掛け金負担は少なくとも千分の九十五ないしそれに近いところで、最悪の場合といえども百を上がるというのは好ましくないというか、実情に合わない、それでは給付がよくなり過ぎてはね上がってしまうというような大方のお気持ちをそんたくして、得た結論でございます。そこで、新法ベースの給付を過去にさかのぼって適用ということになりますと、やはり掛け金段階で千分の八くらいはどうしても上がらざるを得ない。それを将来の組合員の負担にするということについては、先ほど申し上げましたような意味合いで、いささか問題がある。なかなかうまい解決方法がないと思います。
国庫の補助率を上げていくという問題は、そういう問題とも関連をして有効な手段かと存じますが、これも、模範といたしました他の年金制度が、国家公務員の場合は百分の十、その他も百分の十五ということで、この農林年金だけを特別に補助率を厚くするということも主張しがたいような点もございまして、現状では百分の十五となっております。この点は、将来にわたりまして私どもも十分御趣旨を体して努力してまいりたい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/108
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109・玉置一徳
○玉置委員 先ほど申しました厚生年金の場合のやつに、整理資源として百分の十五の国庫補助を与えられれば、掛け金は千分の百一である。そうすれば、あまりたいした、がまんのならない程度とは言えないんじゃないだろうか、こう思うのですが、この数字に私もあまり自信もございませんので、もう一度局長のほうでも御検討いただきまして、ひとつ御勘案をいただければ非常にしあわせだ、かように思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/109
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110・昌谷孝
○昌谷政府委員 ただいまの、一四%の整理資源率も国庫補助対象とするしないの問題は、先ほど政務次官からもお話がありましたようなことで、なお検討いたしたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/110
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111・高見三郎
○高見委員長 次に、参議院送付にかかる中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、これを許します。松田鐵藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/111
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112・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 それでは質問を申し上げます。
この法律案は、参議院において慎重に審議されたものであり、また二十七年にこの法律が制定されて、しかもそれから漁民においては非常に積み上げをしてまいりまして、非常ないい結果を得ておるのでありまして、政府においても、その当時不備であった点を改正しようとした改正案でありまして、漁民として非常に喜ばしいことであろうと存ずるものであります。しかし、この法律案においてまだ二、三の点において不備な点もあろうかと思いまするし、私ども当初二十七年に制定する場合において、これを論議してきた幾多の点があるのであります。
第一に、この法律案で一番重要な点は、加工業者がいままでこの制度に浴していなかったために、加工業者が今日非常に微々としてふるわぬのが、水産関係における魚価維持対策の面に対しても非常に苦慮しておった点であります。しかも、加工組合がなぜ満足な運営ができ得なかったかというと、要は資金の裏づけがなかったからであります。この法律案によって加工業者をこの恩典に浴させてやるということからいったならば、加工業者は協同組合をつくるなり、また個々に営業するなりして、この法律による恩典に浴することができ得ると思うのであって、この点が一番今日の時代に沿う事柄であろうと思うのであります。しかし、そういういい面もありまするけれども、また、この法律をつくった当時のことを思い浮かべますと、何といっても保険料がまだ非常に高い。今日この改正案によりますと、年一・七五という率に引き下げるようになっておりますけれども、これをもっと引き下げてやらなければならないのじゃないか。たとえば中小企業信用保証協会における保険料と、一・七五%にするという保険料を比較する場合において、まだ非常に率が高いのであります。こういう点に対してどのようにお考えになっておるか。もっと引き下げなければならない。ただいまできないということであっても、近い将来において引き下げる用意があるかないか。こういう点をお答え願えればけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/112
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113・庄野五一郎
○庄野政府委員 御指摘のように、この保険料は今回提案理由並びに補足説明でも申し上げましたように、従来年二%の分を三十九年度から一・七五%に引き下げております。〇・二五%が下がるわけでございます。この中小漁業融資保証法発足当時は、保険料は年三%だったと思いますが、運営の実勢に応じまして二%に下げ、さらに三十九年度からこれを一・七五%に下げるわけでございます。われわれといたしましても、保険料につきましては、できるだけこれを下げまして、利用者の負担を軽減していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。今後やはり計画的に運営をいたしまして、事故の防止、事故率の低減ということを考えながら、将来とも保険料は引き下げるということで進めてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/113
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114・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 第二点として、昨年度は百四十億で、本年度はこの改正案でいけば二百十億という限度まで引き上げてきたようであります。しかし、財政上いろいろ関係もあると思いますが、この制度がもっともっと普及されて、加工業者も恩典に浴するということになると、これまた金額が非常に過小であろうと思うのであります。要は、いままでの漁業面から受ける実績からいって、このくらいまでにしなければならないということでなされたものだと思うのであります。加工業界は、前段申し上げたように、いままで商工中金からの融資以外に道がなかった。これがこうした制度がしかれることによって非常に活気を呈してくるということになると、この限度はもっともっと拡大していかなければならない趨勢になろうと思います。こういう点、明年度において増額して小さい業界のめんどうを見ようというお考えがあるかないか、ひとつ意見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/114
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115・庄野五一郎
○庄野政府委員 保証ワクにつきましては、逐年ワクを拡大いたしまして、そしてそのワクに実績が合うように運営してまいっておるわけでございます。三十八年度は、御指摘のように、百四十億の保証ワクを設定いたしてそれの実行を期しておるわけでありますが、三十九年度は、ただいま御指摘にありましたように、中小の加工業者もこの保証対象に加える、あるいは先般御説明申し上げましたけれども、漁業協同組合の信用事業を営むものにつきまして、これを金融機関に指定して、その組合員でございます沿岸漁業者が直接その組合から借りる場合に、協会から保証し得る、こういう道を開きまして、沿岸の零細な漁業者がこの保証の会員にならなくても保証を受け得るようにし、さらに、零細な漁業者にも融資の円滑化をはかる、こういうような意味もありまして、三十九年度は一挙に二百千億、こういうワクを設定したわけでございます。要は、三十九年度におきましても二百十億のワクの消化ができますように運営いたしますとともに、この実績に応じまして、これは逐年ふやしていく、こういう方向で努力いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/115
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116・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 そこで、保証倍率の問題であります。これは十二倍と案には出ておりますが、標準が十二倍であって、協会、協会においていろいろと事情もあるために、その倍率の点がはたして一律十二倍になるのか、それともまた協会の資力によってこれが変わっていくのか、こういう点がこれからの運営において規定されることだろうと思いますが、この標準十二倍というものは標準であって、ほんとうはどのように業務方法書に記載されることやら、つまびらかになっておりませんが、こういう点に対する内容を御発表願えれば非常にけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/116
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117・庄野五一郎
○庄野政府委員 協会の会員の保証倍率、利用倍率でございます。現在は出資の五ないし八倍、こういうことになっておりまして、標準は大体六倍に相なっております。これを従来の運営の実績にかんがみまして、さらに算定してまいったわけでございますが、大体八倍から十五倍、標準は十二倍に三十九年度から引き上げることにいたしております。そういうわけでございまして、大体十二倍が標準になるわけでございます。十二倍を標準にいたしまして、各協会の実績をよく勘案いたしまして、極力この十五倍までの線におさまるように引き上げてまいりたい、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/117
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118・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 これは自分のことを言うようでありますが、北海道の協会は全国に冠たるものであります。かつて漁業証券が交付されたとき、約十一億という金をこの制度を運営するために出資した。ために、全国においても北海道の信用基金協会は非常な成績をあげておる。しかも、その運営のしかたが非常にじょうずにやっておる。成績も上がっておる。ところが、ただいま御答弁のあった八倍から十五倍ということで、標準十二倍ということになっておりますが、何せかつては、ニシンの凶漁だとか、いろいろな漁業に思わざる災害と言おうか、不漁と言おうか、そういったものがあったので、国に対しても補償をしてもらったために、成績は芳しくなかったが、その後において、業界も、また協会の会員も、みんながこの制度によらずんば零細な漁業家は資金の道がないというところに到達して、非常にまじめに運営をするようになった。そこで、この法律改正案によると、標準が十二倍とあるが、ただいまお聞きするところによると、八倍から十五倍、そこで十二倍、こういうことでありますが、八倍なんということはなくして、十二倍以上十五倍というようにまでしていただけば、北海道の漁民は非常に喜ぶと思うのです。また、この制度によって活況を呈して、より以上に協会というものの成績が上がり、運営がよくなっていくのじゃないかと思うのであります。こういう点に対して御指導願えるならばたいへんけっこうだと思うのですが、御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/118
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119・庄野五一郎
○庄野政府委員 御指摘のように、北海道の協会は、現在は保証倍率は大体七倍、これは従来五倍だったのをたしか七倍まで引き上げてきたと思いますが、三十九年度は、さらにわれわれといたしましても、北海道のみならず、各県の協会をよく指導いたしまして、運営の実績にかんがみまして、着実に上がっていくように指導してまいりたい、そして協会の運営がこれによりましてさらに漁民の要望にこたえ得るようにいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/119
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120・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 次に、運転資金は、ただいまのような制度でやっていけばけっこうなんですが、設備資金の問題であります。この設備資金ということになりますと、長期の年限が必要であろうと思います。農林漁業公庫から融資を受ける場合もありますし、それから中金から融資を受ける場合もあろうし、その他の金融機関からも融資を受ける場合もありますが、概して小さな漁民は公庫から融資を受けるといったところで、これはなかなかほど遠いことでもあるように思われる点がたくさんあります。また中金から融資を受けようとしても、漁業協同組合を通じてやらなければならぬ場合もあり、これまたいろいろな欠陥もあることだと思います。どこの町にも漁港にも銀行があります。よって身近な銀行から、一番手っとり早い銀行から融資を受けることが手っとり早い話であって、また銀行も、協会の保証があり、国がそれを保証した場合においては、銀行はその町々におるのだから非常にその実態もわかる、そういうことで、銀行から融資を受ける場合があることだろうと思います。そういうときにおいて、漁船をつくるにしても、また工場をつくるにしても、こういう点からいきますと、年限の問題が一番重要な点になることだろうと思います。そういうことであって、この設備資金というものに対する融資の期限、これがどのようになっているか。願えることならば、漁船をつくる場合においては、公庫と同じような年限を与える意思があるのかどうか、また工場をつくる場合においては、どのような考え方を持っておられるか、こういう点御答弁を願えればけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/120
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121・庄野五一郎
○庄野政府委員 この信用保証の対象になります金の問題は、御指摘のように設備資金と、それから運転資金、経営資金といった二つに分かれるわけでございます。運転資金はこれは短期のものでございますが、御指摘のように、設備資金は、ものによっては長期にならざるを得ないということになるわけでございます。ただいま問題に供されました漁船につきましては、現在は協会の業務方法書で、鉄船につきましては八年以内、木船につきましては六年以内、漁船以外のその他の設備資金はおおむね五年以内、こういうことにきまっておるわけでございます。しかし、これは漁船の耐用年数等も考えてでございますし、また公庫とは一率になっておりませんが、親債権のほうの期限が大体そういうことで貸し付けられておる、こういうことに合わせた保証の期間でございますから、こういう点については親債権の問題もございますが、大体八年以内ということでおさめたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/121
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122・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 ところが、今日カツオ・マグロの漁船というものは、いろいろな都合からいって、新しい漁船、新しい漁船ということになって、そして古船にはあいている船がある。こういう場合において、これも北海道のことを言うと悪いのですけれども、北海道ではまだ魚が多いものだから、漁業経済の面からいって、これを買収して、改装して使おうという考え方を持っている者がたくさんあろうと思います。大体底びき船だと八十五トンが限度で、それにボーナストン数があるという点からいくと、九十五、六トンになる。カツオ・マグロの九十九トン型というのは、もう六、七年もたつと新しい船にかえようとする。そういう場合において、戦後、三十年以降になると、ビニール塗料があるために、鉄そのものに腐敗がない。また検査を完全にすることによって、その船を活用することができるようになる。かりに八十五トンのもの、ボーナストン数にしたら九十トンの底びき船だと、新造すると約四千五、六百万円かかる。ところが、これは七、八百万円で買える。これを改装することによって一千万円くらいかけると、新造と何も変わらぬだけの設備ができて、その結果、漁業経済からいったら非常に利益になるという点があるのであります。もっとも、そのまま使うということになれば、耐用年限からいけば、これは年限がないというようなことにもなりますが、大体鉄船だと十五年が耐用年限だ。かりに七年使った船だと、そこでまた新たに改装するということからいけば、前段申し上げたように、塗装が非常にりっぱになってきたために、新造と同様な性能を持つことができる船になる。これが五年だ、七年だ、八年だというようなことになると、これは安いものだからいいようなものの、こういう点が年限によって八年より融資が受けられないのだというので、八年たった船を新たに改装してりっぱなものになったときにおいては、もう年限がないからだめだというようなことになったら、せっかく利益が上がるものを目の前にして、融資を受けられないというような結果になると思う。こういう点に対してどのようにお考えになっておるか、この点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/122
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123・庄野五一郎
○庄野政府委員 この設備資金につきまする保証年限は、運転資金とのバランスもありまして、この固定資金、いわゆる設備資金が長くなりますと、協会としては保証の運用率が非常に悪くなる面もあるわけでございます。それと、いろいろ問題になりまする沿岸漁業者に対する小口の仕込み資金を圧迫する面も出てくる。こういった面もありまして、設備資金については、現在鉄船を最高年限として八年ということにして、大体八年以内におさまるように親債権がなっておりますので、それに合わせて保証する、そういうことになっております。
御指摘のように、非常に造船技術なり改装技術が進展しておりますので、中古船を取得してそれを改装するというような場合においても、鉄船が八年の耐用年数だから、八年たったものを買った場合には、もうあと保証年限はないのだ、そういうことじゃ必ずしもないわけでございます。新造船も、あるいは中古船をとって改装する場合も、親債権に合わせて八年以内ならばその範囲でやる、こういうことになっております。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/123
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124・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 次に、漁協の信用事業をやっておるのが、この法律が制定された場合において、やはり協会の保証によって融資を受けることができるようになっておりますが、これに対して漁業協同組合が保証協会の保証を受けて、信連から組合が一本になって借りて、融資をしておるというのがいままでの制度であります。今度は漁業協同組合またはその組合員が、この改正案からいくと、協会の保証を得る場合においては、漁協からも借りることができるし、銀行からも借りることができるようになっておるが、この前の委員会で、川俣委員から非常にりっぱな御意見が出されたのです。もしそういうようになった暁において、ややもすれば国が保証しておるのだから、まあ少しぐらいは延びてもいいだろうというような考え方を持って、延滞をするようなことが往々にしてある場合がないとも限らない。こういう場合において、水産庁は業界、漁業者に対して、この制度ができた暁において、もっともっとこれを十分活用して、漁民全体の利益のためになるようにという指導をするようにしなければならないと思います。こういう点に対して、単なる協会のみを指導するということにとどまらず、この漁業民全体の利益になるというふうなものをよく活用するように指導しなければならないのではないかと思います。こういう点に対して長官はどのような指導をしようと考えておられるか、この点御意見がありましたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/124
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125・庄野五一郎
○庄野政府委員 御指摘の点、まことにごもっともでございます。この漁業融資保証法は、漁民がそれぞれの助け合いで信用補完をしていくという制度でございまして、延滞をするというようなことがありますと、これに出資して保証を受けようとする他の漁民に支障を及ぼすわけでございます。やはり借りたものはちゃんと払っていく。また漁民もこの保証を受けて融資を受けました資金を効率的に運用するというところからまず指導して、きちんきちんと返していく、こういうことはやらなければならぬと思います。これについては協同組合なり県等を通じて、この制度の本来の趣旨、目的、それから利用のしかたといったような点は、今後とも十分漁民に徹底するように、またわれわれといたしましても、機会あるごとにそういう点の指導をし、そういうことで周知徹底をはかっていきたいと思います。
なお、この点につきましては、三十九年度は事故防止対策事業というようなことで、資金を受けました漁民に対して事故防止対策はどういうふうにやっていくかということで、予算も新規に百五十万円ほど計上いたしております。保証協会に対する指導と漁業者に対する経営の指導、両面から御趣旨の点をさらに進めていく、こういうふうにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/125
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126・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 最後に、この漁業協同組合において、再建整備の組合なども幾つかあるのです。これは、かつてのニシン漁を主体としておったものが一ぺんにとれなくなったというような点から、再建整備の組合になった組合もある。これではいけないということで努力して、いまようやく再建整備からそれを返して立ち上がってきた。ところが、そういう組合に対して、この信用事業をかりに持っておっても、はたしてこの制度に合うようにやれるかどうか、こういう点が漁業協同組合等における漁民の非常に心配している点なのであります。しかも、聞くところによると、何か水産庁でこれの基準を定め、それだと、北海道は三二、三%より該当しないというようなことが流布されている。こういうことであれば、せっかく漁民がこれから立ち上がっていくという意欲が非常に薄らいでいくのじゃないか。これからやった者に対して、回収が悪いとか、成績があがらぬとかいうことだったら、こいつはなたをふるってやるのがいいけれども、いままでの実績が一年一年よくなってきておるというものに対しては、ある程度までこの制度に浴するようにやることが親心じゃないかと思うのだが、こういう点に対してどのようにお考えになっておるか。また、一方において前段に申し上げたように、ゆるくした場合においてはこれはとんでもないことになるのじゃないかという杞憂もありまするが、業務方法書やいろいろな問題でこれをあまりきつくすると、それはもう制度を活用することができ得ないような状態にもなるのであります。こういう点をある程度までよく考えられて指導されていき、またこの制度に浴するようにしてやるのが、ほんとうの政治のあり方でなかろうかと思うのであります。こういう点に対してはどのようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/126
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127・庄野五一郎
○庄野政府委員 この金融機関に指定しようという信用事業を営みまする漁業協同組合、これはやはり金融機関として直接漁民に貸して、それに保証がつく、こういうようになるわけでございますし、また保証をいたしました上は、債権の管理能力が十分になくちゃならぬ、こういうことが要請されるわけでございます。これが結局この信用保証事業の運営の基礎を固めていく上において大事なことだと思いますし、この点は先生もよく御指摘になっている点でございます。この場合、いわゆる不振組合ないし整備促進の対象になっているような組合はどうか、こういうような御指摘でございまして、そういう組合につきましては、先生の御指摘のように、非常に努力している点は認められるわけでございます。われわれといたしましても、整備促進法によってできるだけそういう漁協の立ち直りを促進するということが先決だと思います。その間におきまして、われわれといたしましては、漁民がこの制度に均てんし得るようにということで、転貸しの制度をそういう組合については従来どおり続けていって、漁民が借り得るように、この制度に均てんし得るように、道は十分運営によってやっていかなくちゃならぬと思いますが、要はやはり組合が整備促進法の活用によってできるだけ立ち直るということが先決でございまして、そういう立ち直りの段階において一歩誤ると、また非常な問題なり将来の支障を起こすということもございますので、先生の点はよくわかりますが、よくこの立ち直りの状況等を勘案して、あまりにきついことはわれわれとしては考えていないわけでございますが、制度の運営に支障を及ぼすような組合の指定は遠慮してもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。よくわきまえてやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/127
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128・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 大体においてもう明確になりましたので、これ以上私は質問はいたしませぬが、要は、この制度は、現在までの法律から見ると、数段に進歩したといおうか、漁民の利益のことを考えてやってくれた改正案だと思うので、非常に満足しておるのでありまするが、ややもするとこれを悪用するようなことがないように、十分の注意をしていただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/128
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129・高見三郎
○高見委員長 赤路友藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/129
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130・赤路友藏
○赤路委員 少し基本的な考え方について、一点だけまず最初にお伺いしておきたいと思います。
この法律が昭和二十七年に制定されましたときは、中小漁業並びに沿岸漁業の経営の安定ということを主眼にしておったわけでございます。特に沿岸の零細な漁民に重点を置いたということは、私は間違いないと思うのであります。当時の状況からまいりますと、小漁業者、沿岸の漁民等は問屋から金を借った。資金を問屋から借って、問屋から日歩をつけられた。あるいは高利貸しのほうから金を借った。こういうことで、なかなかその立ち上がりがつかぬような重い荷を背負っておった。これでは、小漁業者にいたしましても沿岸の漁民にいたしましても、経営の安定ということはあり得ない。といって、銀行との取引はない。銀行から金は借らない、何とかしなければいかぬじゃないかというのが、この法律をつくった本旨であると私は理解をしております。取引のない銀行から、協会が保証をする、最後には政府が保険契約をする、最後は政府がしりをぬぐうのだ、だから貸せという、これは行政上の一つの大きな措置であったと思うのです。こういうふうに私は理解いたしておりますが、政府のほうで、水産庁のほうでそういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/130
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131・庄野五一郎
○庄野政府委員 この中小漁業融資保証法は、御指摘のように、中小漁業者をその対象といたしております。この中小漁業者という範囲でございますが、ただいま御指摘のように、沿岸の零細漁民はもちろんこの対象の中核をなすものと考えておりますが、やはりこの制度開始の当時におきましては、御承知と思いますが、水協法の准組合員の資格が、漁業を営む法人につきましては三百人、三百トン以下、こういうことになっておったわけでございます。水協法のほうはそういう准組合員資格があったわけでございますが、その当時におきまして、この中小漁業融資保証法は、すでに三百人以下、千トン未満、こういうふうになっておるわけでございます。やはり御指摘のように、沿岸の小漁業者がこの中核をなすとはいいましても、やはりこの制度の対象としては、一方に中の漁業者も対象にしていた、こういうことは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/131
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132・赤路友藏
○赤路委員 そのとおりなんです。法律はそう書いてあるのです。いま長官のおっしゃったように、第一条に書かれておるわけなんです。しかし、おのずから重点というものがある。ウエートというものがある。普通のコマーシャルベースに乗ってやれるのなら、これは普通の銀行でいいわけです。普通のコマーシャルベースに乗り切らないものであっても、それは行政上何とかしなければならぬという面でなされておるのですから、やはりおのずからその重点というものがあるのではないか。そういう場合、重点の置きどころがある、ウエートの置きどころがある。これはやはり零細な沿岸の漁家あるいは小漁業者というものに重点を置いてこの法律が出発をしたのではないか、こういうふうに理解する。どうでしょうか。もう一度そこのところを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/132
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133・庄野五一郎
○庄野政府委員 この制度は、御指摘のように、普通においては担保になるものが人的にも物的にも非常に少なく、一般の金融の対象に乗りにくい、こういった中小漁業者に、この保証制度によりまして保証して、一般の金融ベースに乗れるように信用の補完をする、こういうことは御指摘のとおりでございます。その範囲について、沿岸の小漁業者のほうがそういった担保力がないことも、御指摘のとおりでございます。ただし、中の漁業者の中にも、御承知のように、いろいろな業態があるわけでございまして、やはり一般の金融ベースに乗りにくいものもあるわけでございます。そういう面で両方を対象にいたしております。御指摘のように、やはり沿岸漁業のほうが窮迫しているということはいえると思いますので、そういう点に重点を置いて運用していくべきだ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/133
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134・赤路友藏
○赤路委員 その点はその程度にいたしておきましょう。
資料の二ページの三十七年度の分を見てみますと、保証額がざっと百三億、大体百億です。この百億の保証額の中で、沿岸漁業のものが十三億五千万、こういうことになるわけですが、八十七億余りのものはカツオ・マグロを中心とする底びきであるとか、以西であるとかいうことになるわけです。これはどうも少し偏在しておるのじゃないかというふうに考えるのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/134
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135・庄野五一郎
○庄野政府委員 御提出いたしました資料の二ページの「漁業種類別保証額の推移」というのを見ますと、三十七年度におきましては、遠洋、いわゆる沖合い漁業が七十三億、それから沿岸漁業は、定置、養殖、その他——これは漁船漁業になるわけでございますが、総計で二十一億、こういうことになっております。その遠洋沖合い漁業の中枢を占めますものはツッオ、マグロが非常に多いのですが、そういう点は御指摘のように、沿岸漁業のほうが沖合いよりは非常に少ないというのはこの表のとおりでございます。ただし、この遠洋沖合い漁業の七十三億に対して、沿岸が二十一億で少ない、こういうような御指摘でございますが、三十七年度の保証額はまだ締めておりませんが、保証額は百二十億だったと思います。それで、実際の運用は百三億七千三百万円、こういうふうになっておりまして、遠洋沖合いが多いということで沿岸漁業が圧迫された、そういうふうにはなっていないわけでございますが、これはやはり沿岸漁業におきまするそういう制度の理解なり制度の運用、利用のしかたについて、先ほど申しましたように、指導の面でまだ足らない面もあるし、また沿岸漁民についても、この制度自体の理解に足らないところがある、こういうこともいえると思います。今後そういうことのないように今回の法律改正を提案した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/135
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136・赤路友藏
○赤路委員 私は、ここでちょっと政務次官に一言だけ……。いま長官が御説明になったとおりなんです。沿岸漁業全体で、この表でいきますと、二十一億になっておるのですね。ところが、定置であるとか養殖であるとかいうのは、かなり大きな業者なんです。その他のものが大体普通一般の沿岸漁業と見ていいのですが、これが十三億。だから百三億七千万円ほどの中で、十三億が沿岸漁業という形です。あとの八十七億ほどのものが一般の漁業という、法律で言う中小漁業の中ではありますが、私は少し偏在しておると思うのですよ。これはこれだけでない。特に次官に聞いてもらいたいし、御答弁願いたいと思うことは、農林漁業金融公庫の三十七年度の融資を見てみますと、七十四億が漁船関係で出ておるわけです。これは漁船分だけですが、七十四億出ておる。その七十四億の中で、沿岸漁業はわずかに五%、四億しかない。これは何もいまの協会の保証のみがそういうあれではない。公庫の実態も、漁業金融はこういう姿になっておるわけです。漁業金融全体として何かゆがみがあるのじゃないかという感じを私は持つわけです。いまの協会のほうの百億の保証の中で、沿岸は十三億。漁船建造で公庫のほうを見てみると、七十四億の融資額の中で、沿岸はわずかに四億、こういう実態なんです。だからこそ、筋違いな要請が出てくるわけです。農林漁業金融公庫から金を借りるのに、信用基金の保証を取りつけたいという筋違いな要請があったはずなんです。これは水産庁にもあったと私は思う。これは筋違いなんです。政府機関から金を借りるのに、なぜ基金が保証するという筋がありますか。こんな筋違いなことはないと私は思います。ところが、そういう要請がなぜ出てくるか。それはほとんど沿岸の漁民への融資が軽視されておる、無視されておるところから、そういう筋違いな要請が出てきておる。これをどうお考えになりますか。実態がこういう実態なんです。この実態をよく見きわめていただいて、今回のこの法律改正にあたっても十分腹に入れていただきませんと、単に安易なコマーシャルベースにすぎないような行き方をするのなら、政府が保証する必要はありません。なぜ政府が保証するか、ここに問題がある。私の言いたいところはそこなんです。すでに数字がそうあらわれてきておる。これは本来ならば大臣ですが、大臣がおいでにならぬから、この点に対する次官の御意見をちょっと承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/136
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137・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 御指摘のとおりの結果でございまして、事実あらわれております結果から申しますと、返すことばがない、そのとおりでございます。そこで、先ほど御意見がありましたように、中小漁業融資保証法なるものも、中小漁業者育成のためにやったわけなんですが、やはり主として零細なるもののほうはどうも軽視されて、いわゆる中に属するほうに中心が置かれて運用されてきた気配がないわけではない。この事実は認めなくてはいかぬ。これは結果においてあらわれております。だから、そういう点を今後是正していくために、こうして直接漁師が借りられるようにしたり、あるいはまた加工業者にも、先刻お話のありましたように、金を回すようにしたのであります。今後そういう結果におちいらないように、これを是正するために、この法律の改正をお願いしておるわけでございますが、運用にあたりましては、御説のように十分注意して当たっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/137
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138・赤路友藏
○赤路委員 いま次官からけっこうな御答弁をいただきまして、長官からもそういうおことばであります。私がいま指摘したようなゆがみをこの改正によって直していく、そうして沿振法にもいわれるように、沿岸漁業の振興ということを大きく取り上げ盛り込んでいこう、けっこうでございます。
そこで、お尋ねいたしますが、二千トンに保証対象を引き上げた理由は一体何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/138
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139・庄野五一郎
○庄野政府委員 三十七年に水協法を改正いたしましたことは、御承知のとおりと思います。当時業種別組合につきましては、従来は法人につきまして三百人未満、千トン以下ということに相なっておったわけでございますが、三十七年の水協法の改正におきまして、業種別組合の組合員たる法人は、使用漁船の合計総トン数は二千トン以下とされております。この程度の規模の法人がその系統団体に参加するということに水協法でなっておることは、御承知のとおりでございます。その当時、中小漁業融資保証法を直すかということで議論があったわけでございますが、水協法の附則で中小漁業融資保証法を直すというわけには法体系上相なりませんので、同時に改正すべき場合だったと思いますけれども、おくれてそれに合わせて、中小漁業融資保証法も、業種別組合については、従来の千トン以下では、組合の中において二千トン以内の人が入らないわけでございまして、カツオ・マグロ等におきましては転貸しをするわけでございます。千トン以下は保証したが、千トンをこえる部分については保証が受け入れられないということになると、事務上も因るし、また組合の構成上も困るということも一面にあるわけでございます。両面から、水協法に合わせまして、今度中小漁業融資保証法を改正いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/139
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140・赤路友藏
○赤路委員 いまのは私少し納得いきかねるのですが、なるほど、水協法が改正されて、水協法の面でそういうふうにうたわれておるわけなんですが、それではちょっと変わった角度でお尋ねしてみたいと思います。
これは、二千トンと申しますと、一隻にせよあるいは十隻にせよ、それは別にいたしまして、二千トンの船価は、いま建造すると大体どの程度になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/140
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141・庄野五一郎
○庄野政府委員 これは船によっていろいろ違うと思います。木造船もあり、鉄船もあり、業種別、千差万別だと思います。大体ただいまのところ、マグロ等におきましては、トン当たり三十万円程度、こういうふうに承知いたして一おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/141
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142・赤路友藏
○赤路委員 大体トン当たり三十万といたしまして、それで二千トンと申しますと、六億、私はなかなか簡単なものではないと思うのです。
そこで、変わった角度でもう一点お尋ねしたいと思いますが、この千トン以上二千トンまでの経営体の数はどの程度になりますか。千トンから二千トンに上がったわけですが、その経営の経営体の数です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/142
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143・庄野五一郎
○庄野政府委員 あまり明確ではございませんが、二千トン未満にすることによって、大体三十経営体程度ふえると見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/143
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144・赤路友藏
○赤路委員 この第二条第四号の改正ですが、これはそうなっている。二千トンにするのは、この第二条第四号の「漁業を営む法人」この項目になるのですが、特定の種類の漁業を営む者に限る漁業協同組合の組合員たる法人なんですね。そうすると、特定の種類の漁協の業種別組合、業種別漁業協同組合員である法人ということになるわけですが、これは一体何の業種をさしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/144
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145・庄野五一郎
○庄野政府委員 水協法に話がいったわけでございますが、水協法の十八条四項の御指摘の点、「前三項の規定により組合員たる資格を有する者を特定の種類の漁業を営む者に限ることができる。」特定の種類の漁業ということは、御承知と思いますが、カツオ・マグロとか、遠洋トロール、あるいは真珠とか、そういうものができているわけでございますが、そういうものとわれわれは承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/145
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146・赤路友藏
○赤路委員 それは別にいまの段階ではカツオ・マグロだけとは考えていない。やはりその他のものも業種別のものとして入るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/146
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147・庄野五一郎
○庄野政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/147
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148・赤路友藏
○赤路委員 そうすると、ここの点でもう一点、法律のこの面からいきますと、組合員たる法人になりますね。組合そのものではない。業種別の漁業協同組合の組合員である法人ということになり、カツオ・マグロだけで見ますと、その法人というのは会社ですね。個人組合は入りません。そうすると、会社は千トンから二千トンまではカツオ・マグロでは十六経営体なんです。そこで私が申し上げたいのは、先ほど長官の答弁で三十程度だろう、こうおっしゃる。十六であろうと三十であろうと大差はありませんから、それはそれでいいと思いますが、そうすると、二千トンに拡大するということのその恩恵に浴するものは、現時点においては三十程度の事業体にしかすぎぬというわけです。これからふえてくれば別ですよ。しかも、それが二千トンということになると、私が言うように、船価だけを計算しましても、六億から八億ですね。少なくとも六億から八億のものを持っておる会社、こうしたものが十六から三十、それだけのもののために拡大しなければならぬかどうかということです。私はそこのところがどうにも納得いかない。これがたくさんあるとかなんとかということでなくして、十六や三十の六億から八億の資産を持つ人たちに対して、政府が再保険をするような保証をどうしてしなければならぬか。この人たちこそ、私は、ほんとうは普通銀行からコマーシャルベースで回すなり、あるいに開発銀行の手を経るなり、何か方法はあろうと思う。問題は、そうしたところにあるのではないかと思うのですが、その点、それであたりまえだとお考えになっておるかどうか、これはちょっとむずかしい問題だと思いますが、一言だけお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/148
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149・庄野五一郎
○庄野政府委員 これは御指摘のように二千トンということになりますと、資産は相当あろうかと存じます。それで、そういうものを対象にする制度上、あまり効用がないんじゃないかという点もよくわかります。しかし、カツオ・マグロの業種別組合というものは、信用事業を営んでいないわけでございまして、これが信用の供与をいたしますには転貸ししかできないわけなんです。中金から仕込み資金等を受けます場合には、カツオ・マグロは従来事故はないわけでございますけれども、やはり水産業としてのリスクもあるわけでございますので、中金としては、やはりカツオ・マグロの協会が仕込み資金等を一括して、転貸しのために中金から融資を受ける場合には要求される場合もあるわけであります。そういう場合に、転貸しする場合にいままでは千トンでございますが、組合としては二千トンまで入り得るようになっておるわけでございまして、そういう点で千トンのものは保証を受け得るが、二千トンのものは保証を受け得ないということを、一括して保証する。中金とカツオ・マグロの協会の間で、転貸しの場合でございますから、保証はついておるわけであります。中においてこれを分けるということは、事務上不可能でございまして、またその中においてそういう取り扱いを異にするということは、協同組合の組合員に対する差別待遇、そういうことにもなろうかと存じまして、この点は水協法の改正に合わしたわけでございます。御指摘のような点で沿岸なり零細漁業を圧迫することのないように、われわれも運用上は注意してまいりたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/149
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150・赤路友藏
○赤路委員 その点は、一応いま長官がおっしゃるように、事務上から非常に差別待遇をして困るという現象が出てくる、そういう点はあろうと思います。ただ、私の言いたいことは、先ほどからもうおわかりだと思う。大体これが発足した当時の考え方から、かなりずれておるのですよ。これは銀行から金を借りられなければ、保証をするから貸してやってくれというのが、端的に言えばこの保証制度なんです。ところが、いままでやっておるのを見てみますと、銀行が貸すといえば保証をいたしましょう——銀行へ行って銀行が貸すというのなら、何も保証してもらう必要ないですよ。そういうことを末端ではやっておる事実があるわけなんです。そういう考え方の上に立ってこの保証制度を運営していくと、成績はあがりましょう。成績は確かにあがる。しかし、法律の本来の精神から逸脱している。これがあるから、私はやかましく言うわけです。けっこうなんです。けっこうなんだが、姿勢の問題、かまえの問題、これをひとつ十分、いま御答弁にあるようなことをそのまま実施に移していただくようにお願いしたい。
それから今度は、保証料率の問題ですが、これは先ほども松田委員から話があったのでございますが、それぞれ地方の特殊条件というものがあろうと思います。これは認めざるを得ないと思うのです。ところが、あまりにもこの保証料率は差があり過ぎる。この資料を見てみましても、保証料率は二厘からずっといろいろあるわけなんですが、あまりにも差があり過ぎます。これはそれぞれの地方の特殊条件はわかるとしても、何とかこの差を縮めるということは考えられないのかどうか、これを調整するということはできないのか、この点について御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/150
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151・庄野五一郎
○庄野政府委員 保証料率は日歩で、御指摘のように、各協会によりまして千差万別というほどの差はありませんが、大体六厘を最高にいたしまして、二厘、三厘、四厘、こういうふうになっております。保険料が年二%というときには、それを日歩に直しますと、三厘七毛八糸でございますが、これは保険料どおり保証料を取っておるわけでございます。それからいわゆる三厘七毛八糸より低い、二厘といったような点は、これは協会の余裕金の運用等で、そういう点の差を見ている、こういうことになろうかと思います。こういう点で、やはり協会の運営の健全ということをはかっていけば、この保証料というのは下がるかと思います。われわれもできるだけ——これは一般金利にこの保証料が上乗せになるわけでありまして、零細漁民には負担になろうかと思いますから、こういう点は協会の運営の健全化をはかるという面を通じまして、保証料の引き下げに資したい。なお、今度保険料を引き下げますにつきましては、そういう面は端的に保証料に反映するように指導いたしてまいりたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/151
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152・赤路友藏
○赤路委員 その点は、そういうふうにひとつできるだけ調整していただきたいと思うのです。あるところでは非常に低く、あるところではばかに高いというようなことでは、せっかくのこの法律の本旨というものが死んでいくような感じがいたします。
そこで次に、保険料率について御質問申し上げますが、この基金協会が政府へ納入する保険料率が今度は一・七五ですね。保険料率は下がりました。これは従来出発当時三%であったものが一・七五まで下がってきた。先ほどの松田委員の質問のお答えになっとおりなんですが、ここでもう一つ、私は、こういうことが考えられないかどうかということをお伺いしてみたいのです。危険区分ですね。非常に危険なもの、あるいは安定しておるもの、こういうものもこの保険料率は一様なんですね。政府のほうの保険料率は一つなんです。そうすると、この危険区分によって、あるいは経営の規模によって、これに対する一つの段階的なものを立てる、こういうことが考えられないか。そしてこの零細な漁家の分に対してはできるだけ保険料率を低くする、こういうような措置を今後ひとつお考え願えるかどうか。いまただちにそれを伺うことは御無理かと思います。おそらくまた、そういうことをやろうという腹もなかったろうから、検討もしていないかもしれない。しかし、私は、やはり沿岸漁業振興法等をお出しになって、沿岸漁業の構造改善事業を進めていくということが、いま政府の大きな柱だと思う。そういたしますと、やはり沿岸の漁民が安定していくような措置を何らかの形においてとってやる、すべての面においてこれを近代化し、合理化してやっていくための考え方というのは、あっていいんじゃないか。そうすると、こういうような資金を運用するために、政府が最終的な危険を負って保証してやる場合、やはりそこに重点を置いていいんじゃないか。そういうような危険区分において、あるいは経営規模の大きさにおいて保険料率を考えていくということが、ほんとうに生きた水産行政ではないか、私はこういうふうに思うわけです。そういうことを将来御検討願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/152
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153・庄野五一郎
○庄野政府委員 検討したことはないだろうという御指摘でございますが、その点はわれわれも問題点として検討してまいっております。この制度は、御指摘のように、保証保険、いわゆる保険制度でございますので、そういった先生御指摘のような、やはりリスクにより、あるいは漁業の安定度によりといったような面で保険料に差等をつけるというようなことは、当然保険制度である面から出てくると思います。しかし、一面、中小漁業融資保証制度は、漁業信用基金協会というのをつくって、それに漁民が出資制度で出資して基金を積んで、そうして出資した基金の倍率に応じてその保証にも均てんする機会を与えるというようなこともあり、また、その大きなものはたくさん出す、小さなものは少し出す、そういう面もあろうかと存じますが、やはり相助け合って、そういう倍率にしても他のものも利用し得る、それから危険の点においても相カバーして、危険の高いものも危険の少ないものも同率になっている点は、危険の高いものが利益を得る、こういう面もあるが、半面危険の少ないものは高い保険料を出す、こういう不利益もあるわけでございますが、沿岸漁業の実態を見てみますと、やはり沿岸漁業について先ほど御指摘になりましたように、定置、養殖は別にいたしましても、漁船漁業といったような経営の零細なものは、やはり経営も小さいし、漁業というもの本来からくるリスクというものもありまして、沿岸漁業等の非常に零細なものを保険制度ということで割り切っていくと、保険料は非常に高くなるわけであります。それで反面、カツオ・マグロといったような、先生たいへん問題にされましたですが、そういった面は安定して、従来の実績を見ましても事故がない。こういった点で相補って一・七五にまで下げました点は、カツオ・マグロで相当かぶっている、そして沿岸漁業のリスクまでかぶっているという面もあるわけでございます。
それから、金額別に、これを少ない金額については保険料を安く、高いものについては多くということになりますと、また逆に、カツオ・マグロのようにわりかた高いもので危険のないものが高い保険料を出すというような、現実に矛盾するような面もあるわけであります。そういう点をいろいろ検討いたしまして、まずこれが助け合い制度だという面から、できるだけ——一律でございますが、その二%を一・七五に下げ、さらにこれを一・五%に下げる、そういった着実な方向をとるほうがいいんじゃないか、こう思って、ことしからまた計画的にこれを下げていこう、こういうふうに踏み切っておりますが、そういう先生の御指摘の点も、保険制度という面から見て、やはり理論的には成り立つわけでございます。十分そういう点についてはくふうをこらさなければならぬと思いますので、検討させていただきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/153
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154・赤路友藏
○赤路委員 この法律のもう一つの大きな改正点は、これは信用事業をやっておる協同組合を金融機関にするということ、これが一番大きな今度の法律の改正の中心点になるわけでありますが、このことは、いままでの現状から見まして、あぐらをかいておった漁協なり漁協役員なりに活を入れるという点においては、私は大賛成なんです。ところが、一面、これが金融機関になりますから、漁協の信用事業をやっておるものが組合員に資金を貸す、それを協会が保証するという形が出てくる、へたなやり方をいたしますと、組合ボスがますますはびこってくるという逆効果が出てくる面がある。この点はよほどこの運営に注意をしなければいけない、これが第一点であります。
もう一つは、この資料によりますと、いまの協会の余裕金の配分なんですが、余裕金の配分を見てみますと、信漁連に対して大体五四%長期・短期でいっておるわけですね。そうすると、ざっと二千三百ある全国の漁業協同組合の中の信用事業を行なっておるものが、一斉に金をそれぞれ組合員に貸すということになりますと、信連、信漁連の預金というものが大幅に減ってくるという心配がありはせぬかどうか、こういう点を御検討になったのかどうか、あるいは二千三百もある組合、これは全部金融機関として法律上は事業を行なうことができるわけですが、将来運営に対して支障のくるおそれがないかどうか、この点どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/154
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155・庄野五一郎
○庄野政府委員 この信用事業を営みまする漁業協同組合は、御指摘のように、現在沿岸だけで二千九百四十八のうち、二千百二十四というのが信用事業を営んでおります。この信用事業を営みます漁業協同組合を今度は中小漁業融資保証法上の金融機関に指定いたしますにつきましては、やはり政府の保険につながっているという面もありますし、また保証という点から、この金融機関たる漁業協同組合の債権管理能力が十分なくてはならぬ、こう思います。これは保証協会の運営のみならず、むしろ、漁業協同組合として、そういった管理能力を十分備えるように信用事業を営むものはあるべきでございますけれども、やはり保証につながって、これが漁民同士の助け合いの制度につながっているという面から見て、非常に運営が悪いとみな焦げついてしまう、こういうことになるわけでございますので、やはりこういった信用事業を営みまする漁業協同組合を金融機関として新しく指定して、そして直接保証の面を認めていくという新しい制度の発足にあたりましては、信用事業を営むもののうちでも、債権管理能力の十分そろった面からそういった金融機関を指定していく、こういうふうに着実にいくべきではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/155
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156・赤路友藏
○赤路委員 おっしゃるとおりだと思うのです。私が心配しているのは、法律上信用事業を行なっておる組合は金融機関に指定されておる。これをおまえはいけない、おまえはよろしいという区分は、この法律上何もないのです。区分はないでしょう。そうすると、法律にちゃんと明記されておるじゃないか、何でおれのところはやれないのだ、こうやられたらどういたしますか。あなたのおっしゃっているようなわけにはいかぬと思います。政令で定めるとかなんとかあれば別ですよ。何もないのです。そういう、あなたがいまおっしゃったようなことを、どこで規定してやりますか。私は、だからこそ運営に支障がきはせぬかという心配をするわけです。この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/156
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157・庄野五一郎
○庄野政府委員 法律上はそういうふうに金融機関になる資格があるわけでございます。その資格につきましては、水産庁といたしましては、各協会あてに資格の基準を明確に指示いたしまして、その資格の範囲内において、協会において総会でそれを指定する、こういうふうにもつていく、こういうふうにいたしたいと思っております。この点は、農業の信用基金とも同じ方法、でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/157
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158・赤路友藏
○赤路委員 長官の言っていることは、私はわかるのです。わかるのだが、少しへそが曲がったのが出てきて、これは法律のどこに禁止しておるかと言ったら、法律七禁止はないでしょう。政令にもゆだねてないのです。それをただ長官通達とか指導要領とかで押え切れますか。法律上なくて、それだけでできますか。法律の面に、たとえば政令で定めるとかなんとかがあって、政令の中でそれがぴたっと規定されておれば、これは法律上明記されておる。ところが、それがないのです。そうすると、単なる長官通達とかなんとかいう形でこれをやらなければならぬように思うのだが、何かそういう法律にかわるべき、あなたがおっしゃるような、ぴたっと基準を出して押え得る方法というものはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/158
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159・庄野五一郎
○庄野政府委員 そういう指定基準というものは、農林省の通達で、あるいは水産庁の通達で出します。その通達によりまして、協会の業務方法書で総会で指定するものということで、総会でそういうふうに個別の指定をしていくというふうにいたしたいと思っておりますので、全体の漁民の意思は十分反映できる、あるいはそこでチェックできる、こういうふうに考えております。政令で指定する場合でも、林業の場合は信用事業を営んでいないわけでございますが、貸し付けの事業を行なうもので債権管理能力のあるもの、ただこういう政令でございまして、それに基づいて、やはり具体的な基準は通達によっておるわけでございますので、われわれは業務方法書で総会で指定するものということを明確にしていく、そこでチェックできる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/159
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160・赤路友藏
○赤路委員 それでは、法制局長官も来ていただいたので、その点はそれでおいておきましょう。
もう一点、長官にお伺いいたします。先ほど相互扶助の出資金制度ということばがあったようなんですが、御承知と思いますが、政府のほうでは、昨日から全国三十行にわたって歩積み、両建ての厳重な調査をするということを発表しております。この出資金制度は、なるほど相互扶助でありますが、考えようによりますと、いま問題になっておりまする歩積み、両建てとあまり変わらぬような感じがするわけです。ここに資料をいただいておりますが、この資料の中で、最高五千万以上の保証のものがあるわけです。こちらのほうの資料によりますと、この七件のものは、平均いたしまして一件七千四百万ぐらいになるかと思うのですが、かりにこれを七千万円といたしますと、現在までのあれで参りますと、千七百五十万ぐらいの出資金になりますね。千七百五十万出資しないと借りられないのです。その出資したものに金利をつけて借りておるという、要は、実質的には歩積み、両建てとあまり変わらないということになるわけです。そうでしょう。五千万円借りるときは一千万円出資する、そうして五千万円借りるわけです。そうすると、自分の出した一千万円に金利がつくわけです。これはそういう結果になるのですね。今日までこれでやってきたのですから、これをいま私は悪いと言っておるのではない。しかし、実質的にはいま問題になっておる歩積み、両建てと変わらないような姿が出てくる。それで、これは何とか考えなければいかぬだろう。たとえば余裕金が出てくる、そうしたら、出資に対してある程度の利益配分をやるとかなんとかいうことがあれば別ですが、そういうことがないということになると、これはやはり歩積み、両建ての銀行のあれとあんまり変わらぬということになるわけです。この点、今後検討をしていく必要があると思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/160
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161・庄野五一郎
○庄野政府委員 この出資というのは、やはり信用保証制度の運営上必要な共通の基金でございますか、共通の財産造成ということで、根本的に歩積みと観念は違うと思います。先生はそういう歩積み制度に結果的になるように御判断になるようでございますが、これは制度の根本として、まず基金を積んで、そしてこういう保証制度を進めるということでございまして、やはり基金がなければ十分な保証倍率もできないし、また焦げついた場合に、これに対する代払いができない。そういうことがなければ、金融機関は金を貸さないわけでございますので、根本的にはそういう点で違うと思いますが、御指摘のように、結果的には多少そういう問題が出るわけでございます。そういう面で、今度は、漁業協同組合の組合員たる零細漁業者は、出資をしなくても、その組合が会員になっておれば、それを利用して直接保証を受け得るということで、今後新しい制度を開いていきます面においては、歩積みの性格は全然ないということは言えると思いますので、御指摘のような点もまた十分検討はしなければいかぬと思いますけれども、基金造成ということがこの制度の根本であるという点は、ひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/161
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162・赤路友藏
○赤路委員 その点は長官のおっしゃるとおりでしょう。しかし、結果論的にはそういうことになっておる。この点をひとつ御理解願って、これからの運営について十分なる御検討を願いたいと思う。再度申し上げるようでありますが、法律の本旨を踏みはずさないでもらいたい。だから安易に、単に事業が伸びればいいというだけでは、この法律は生きてまいりません。だからといって、片寄りますと、これはたいへんな背負い込みがありますから、ここの調整が非常にむずかしいと思います。ただ、姿勢を正して、法律の本旨に基づいて運営するように、末端の方々にひとつ御指導を願いたいと思う。もう水産庁のほうでは十分おわかりだと思う。しかし、ともすると、末端へまいりますと、いや、これに貸すと危険だからというので、コマーシャルベースですべてものを律していくという傾向がございます。それでは法律は生きてまいりませんから、その点をひとつ十分御指導願いたい。これで長官のほうへの御質問は終わります。
いま法制局長官に来ていただいたわけなんですですが、これはどうも私も自信がないので、ひとつ法制局長官からお教えを願いたいと思うのですが、今度の法律の改正案の中の四十三条の三項に「農林中央金庫は、農林中央金庫法第十六条の規定にかかわらず、第一項の規定による業務の委託を受け、当該業務を行なうことができる。」という一項目が新しく入ったわけです。これは農林中金に求償権行使ということになるのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、農林中央金庫法第十六条は、金庫法の各条文に示された業務以外は取り扱われないという禁止条項なんですね。だから、農林中金法で禁止しておるものを中小漁業融資保証法という別な法律が、そういう法律はあっても委託し得るのだということを出して、法理論的にいいのかどうか。いろいろ調査してみますと、こういうのがかなりあるわけですね。あるからといって、私は正しいとは思われないので、一応法制局長官のこれに対するすっきりとした御見解をひとつ承りたい。本法をいらって一部改正して、そうしたことができるというなら、これはいい。本法はそのままにしておいて、禁止条項がちゃんとあるのに、ほかの法律でもってそれを押しつけていこうというのは、どうにもこれは法理論的におかしいのではないか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/162
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163・林修三
○林政府委員 結局立法技術の問題になってくるわけでございますが、いまおっしゃるように、農林中央金庫法では農林中金の業務を制限しておるわけです。一つの方法としては、農林中金法に農林中金のできる業務を全部まとめて書くということもございます。しかし、たとえばこの中小漁業融資保証法のほうで、この法律の体系の上で、農林中金にどうしても業務を委託させることがある、その場合には、農林中金法の例外を置かなければならぬわけです。その例外を中小漁業の融資保証制度を主として考えれば、やはりこちらのほうに書くほうがわかりやすいのじゃないかというような、一つの立法政策上の便宜があるわけです。どちらかと言えば、あとのような必要を強く認めて、ここに書こうということになっているわけです。いまおっしゃいましたように、ほかにもこういう例は幾つかございます。幾つかございまして、立法技術上は別に問題がないのでありますが、農林中金法にそういう規定があるので、その例外を書くのだという趣旨でここに書いてございます。農林中金法だけを見ておると、こういうことがわからないとおっしゃる不便な点はあるかと思いますけれども、結局この中小漁業融資保証制度を主として考えれば、やはりこっちのほうにあったほうが、全体としてより便利ではなかろうかというふうに考えて、法律的には別に問題はございません。結局、立法政策の便利論によって解決したということだと思います。法律的には別に差はありません。こう書いておけば、農林中金法に対するはっきりした例外でございますから、別に問題はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/163
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164・赤路友藏
○赤路委員 どうも便利論でやられてしまうと困るのだが、私は、このこと自体を、農林中金に一部業務を委託することを悪いと言っておるのではない。何か法の体系上どうもおかしい。農林中金法それ自体で禁止しておるものを、本法を一つもいらわないで、ほかの法律でこうできるのだというのでは、これからそういうことがどんどん出てきたら、一体どうなるかという心配がある。
それではいまの便利論でひとつ具体的に長官にお伺いしてみたい。それは、公共用水域の水質の保全に関する法律というのがある。これは昭和三十三年にできております。この法律で、江戸川、石狩川、木曾川、淀川の四つの河川、これが三十八年の六月に水質基準が決定されて発表されておる。ところが発表されたが、依然としてこの水質はあまりきれいにならない。それだけではない。水産資源の立場から非常にこれが不十分である。石狩川なんかはそれの最も端的な例なんです。そうすると、ほかに水産資源保護法がございますが、水質保全に関する法律では不十分であるから、水産資源保護法の一部を改正して、水質保全に関する法律の規定にかかわらず、かくかくのことをする、こういってずばりやったら、それは生きてきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/164
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165・林修三
○林政府委員 政策論は別といたしまして、純粋の法律論で言えば、御承知のように、いわゆる法律対法律で、どちらが勝つかという問題を解決する原理と申しますか、これは一般法学通論の原理でありますが、後法は前法を破る、特別法は一般法に勝つという二つの原則がございます。いまおっしゃったように、公共用水域の水質の保全に関する法律がございますが、たとえば水産資源保護法のほうを改正して、これに対する例外を書けば、それはそれがあとでできた法律ですから、後法になります。また、それにかかわらずと書けば、明らかに特別法であります。したがって、立法政策の妥当、不当は別といたしまして、法理論的には、そういう法律ができれば、それが勝つ、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/165
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166・赤路友藏
○赤路委員 これは非常に重要な点なんですよ。いまこういうことはたくさんやっている。どうにも私がふに落ちないのは、そういうことをやっていけば、たとえば金庫法は一般法ですね。これは特別法ではない。中小漁業融資保証法も一般法です。特別立法ではない。そうすると、どうもそこのところは、まだ便利上、行政上こうしたほうが都合がいいというのでかってにそんなものをやり出したら、活にならないと思うが、それもむずかしいことならいざ知らず、この金庫法の中の第十三条の九項ですね。ここをちょっといらえば、こんな議論は一つもしなくたっていいのです。私は、これは金融機関であるかどうかというので、かなり検討しているのだが、どうも金融機関の中に入らない。協会が金融機関の中に入っておれば何でもない。十六条であれをしておっても、十三条の九項でそれはいいことになっておる。やり得ることになっておる。金融機関でないだけに、こういうことをやっておる。だとするならば、本来この中央金庫法の十三条の九項に入れて改正するべきじゃないか。そうすると、このような疑義が起こり得ない。これをやらないで、ほかからじゃんじゃんつっ込んでくると、他の法律だってそういうことをやって差しつかえないと思う。いま私が申し上げましたような、水産資源保護法でどうきめておろうと、そんなことは知ったことじゃない、水質のこっちのほうの改正によってやっつけてしまうのだといってやられたら、それが通るということになると、それじゃ法律というものはあってなきがごとき存在になるじゃないか。この心配がある。だから私は、なぜ、法制局でこれをおやりになる際に、それよりもこれが本筋だといっておやり願えなかったかということなんです。だから、そういう便宜上、そんなことで法律をかってに解釈して、政府当局がやっていいというのだったら、これから大いにやらしてもらおう、こういう腹なんです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/166
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167・林修三
○林政府委員 いろいろ御議論はあろうかと思います。先ほどおっしゃいました特別法と一般法の関係でございますが、これはちょっと根本論を申すようでございますが、実は特別法、一般法という観念は、相対的な問題でございまして、ある法律は絶対的に特別法である、ある法律は絶対的に一般法であるというのではありません。個々の規定を対照してみて、これはある法律に対する特別法だ、これはこの法律に対する一般法だということを考えなくちゃならないわけであります。いまの農林中央金庫法が一般法だとおっしゃいましたけれども、これは一がいには言えないわけでございます。それは別でございますが、一般論はそうでございます。そしてあとは、結局立法政策論といいますか、立法の便宜論になってくるわけであります。結局、今度の法律に「かかわらず」ということを入れた趣旨は、この「かかわらず」という規定があることによって、特別法であるということをはっきりさせようという趣旨があるわけです。農林中央金庫法というものの十六条の規定にかかわらずこうなんだということをここに書いてある。それを書くくらいなら農林中央金庫法のほうに入れたらいいのじゃないかということも、一つの考えでございまして、まことにごもっともなお考えだと思います。ただ農林中央金庫の業務だけを考えてみますと、おっしゃるようなものになって、農林中央金庫のすべての法律に基づく業務は、農林中央金庫法にまとめればいいじゃないかというような御議論が出てきます。これは農林中央金庫法を見ればわかりますが、ただ、いろいろな法律がございまして、農林中央金庫もいろいろに使わなくちゃならぬという法律がたくさんあるわけであります。そういう法律のほうに農林中央金庫が出てくるものをみんなはずして、農林中央金庫法に持っていってしまうと、今度ははずされたほうの法律がちょっとわかりにくくなる、そういう問題があるわけであります。これは立法論的にどっちをとるかということが結局問題になってくるかと思います。二つの法律があって、どっちを主体に考えるかということで、私たち立法政策をきめていくわけであります。結局主体をどっちの側にすることが、法律全体を理解する上に便利であろうか、あるいは読む人にとってわかりやすいだろうかということを主体にして考えていきたいということを思っているわけであります。この規定のしかたについても、いま先生おっしゃったような御議論は当然出ると思います。思いますが、私どもの考えたところは、結局これは中小漁業の融資保証制度の一環として、農林中央金庫の業務として、やはりこっちに書いたほうがよりわかりやすいのではないか。一般として、この保証制度を見るのにより便宜であろう、こういう考えでやったのでございます。農林中央金庫の業務だけを主体にして考えれば、先化のおっしゃるような議論が出てまいりますけれども、私どもはそういう考えでやったのでありまして、全くやみくもにやったわけでございませんので、御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/167
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168・赤路友藏
○赤路委員 いま法制局長官から答弁がありましたが、そういうふうに便宜論でやられると困る。私は、このこと自体が悪いというのではなしに、そういうケースで、本法に禁止しているにもかかわらずやるということになれば、これはたいへん混乱を生じてくると思う。大混乱です。こういうことをいままでずっとやってきているのですね。調べてみると、こういうことが幾つもあるわけです。あるからといって、法律論的に正しいということでないと私は考えます。ここらでそういう安易な考え方、本法で禁止しているものを、他の法律が簡単にそれに手をつっ込んじゃって、人の目の中に指をつっ込んでかき回すような、こういうやり方はどうしても考えなければいけないと思う。これでは最終的には法律はあってなきがごときと同じになります。私は、もうここのところはこれ以上申しません。しかし、これは法制局長官に十分お考え願いたいと思う。あまり政治的に、便宜的にお考え願わないで、やはり法理論的な立場ですっぱりやるところはやっていただくということでないと、自後またこういう問題が幾つか出てくるということをおそれますので、この点御希望申し上げます。答弁は要求いたしません。
これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/168
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169・高見三郎
○高見委員長 本案の質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/169
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170・高見三郎
○高見委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もないようでありますので、これより直ちに採決に入ります。
中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/170
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171・高見三郎
○高見委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/171
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172・高見三郎
○高見委員長 この際、角屋堅次郎君外二名から本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。趣旨弁明を許します。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/172
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173・角屋堅次郎
○角屋委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党の三党を代表いたしまして、ただいま可決されました中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案につきまして、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。
まず、案文を朗読いたします。
中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、この法律の施行にあたっては、次の各項の実現に遺憾なきを期すべきである。
記
一、この制度の狙いの中核をなすものは、中小漁業者のうち、特に信用力が薄弱で、いわゆる金融ベースにのらない多数の小漁業者(沿岸漁業者)の信用力を補完し、これら漁業者の融資の円滑化を図ることにあるが、従来の実績はこの制度本来の目的を忠実に反映しているとは認め難い。
よつて、今後においては、この制度の意義が十分達成されるよう特に信用漁業協同組合連合会等系統金融機関及び漁業信用基金協会に対する強力な指導を行なうこと。
二、漁業信用基金協会が、政府へ納入する保険料の率については、三十九年度から年率〇・二五%引き下げられ、一・七五%とすることにしているが、中小企業信用保証制度等この種制度の例に比し、なお相当高率である。
今後においても、一方においては、特別会計の基金の増額を図り、他方においては保険事故の防止につとめ保険料率の引き下げを期するとともに、特に小漁業者に対する保険料率の引下げを推進し、実質金利負担の軽減を図ること。
右決議する。
以上であります。
この附帯決議の一項、二項につきましては、先ほど来同僚の松田委員、赤路委員が政府との質疑応答を通じて、十分明らかにしたわけであります。特に第一項は、従来の経緯からいたしましても、沿岸漁業等振興法の成立に伴いまして、今後沿岸漁業の構造改善等を推進すべく、沿岸漁業者の資金量を豊富低廉に供給するとともに、この補完的な役割りとしての本制度の活用ということは、非常にこれから重要性を増してくると思いますので、第一項の点についても十分御配慮を願いたいと思いますし、第二項の点につきましても、本年度若干保険料率が引き下げられましたけれども、今後とも本制度の運用の全きをまちまして、さらに引き下げに努力されますようにお願いを申し上げまして、提案理由の説明を終わらしていただきたいと思います。
何とぞ満場の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/173
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174・高見三郎
○高見委員長 おはかりいたします。
角屋堅次郎君外二名提出の動議のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/174
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175・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に附帯決議を付するに決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/175
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176・高見三郎
○高見委員長 この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。丹羽政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/176
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177・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案につきまして、ただいま附帯決議をいただいたのでございますが、御決議の点につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、でき得る限り御趣旨に沿うよう努力いたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/177
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178・高見三郎
○高見委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/178
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179・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/179
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180・高見三郎
○高見委員長 次会は明九日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03319640408/180
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