1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十日(金曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 足鹿 覺君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 加藤 精三君
吉川 久衛君 小枝 一雄君
坂村 吉正君 笹山茂太郎君
中山 榮一君 藤田 義光君
松田 鐵藏君 亘 四郎君
角屋堅次郎君 栗林 三郎君
東海林 稔君 楢崎弥之助君
西村 関一君 松浦 定義君
湯山 勇君 中村 時雄君
林 百郎君
出席政府委員
農林政務次官 丹羽 兵助君
農林事務官
(農林経済局
長) 松岡 亮君
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
水産庁長官 庄野五一郎君
委員外の出席者
議 員 角屋堅次郎君
専 門 員 松任谷健太郎君
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四月十日
委員仮谷忠男君、東海林稔君及び西村関一君辞
任につき、その補欠として坂村吉正君、山崎始
男君及び原茂君が議長の指名で委員に選任され
た。
同日
委員坂村吉正君、原茂君及び山崎始男君辞任に
つき、その補欠として仮谷忠男君、西村関一君
及び東海林稔君が議長の指名で委員に選任され
た。
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四月九日
肥料価格安定等臨時措置法案(内閣提出第一五
六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
漁業災害補償法案(角屋堅次郎君外十一名提出、
衆法第三五号)
漁業災害補償法案(内閣提出第一二三号)
肥料価格安定等臨時措置法案(内閣提出第一五
六号)
食料品総合小売市場管理会法案(内閣提出第一
〇二号)
土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
いずれも内閣提出、食料品総合小売市場管理会法案、漁業災害補償法案、肥料価格安定等臨時措置法案並びに角屋堅次郎君外十一名提出、漁業災害補償法案、右各案を一括して議題といたします。
まず角屋堅次郎君外十一名提出、漁業災害補償法案について提出者から提案理由の説明を聴取いたします。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/1
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002・角屋堅次郎
○角屋議員 ただいま議題に供されました漁業災害補償法案について、その提案理由を御説明申し上げます。
漁業は農業と同じく、自然に左右されることの大きい産業であり、不可抗力である自然災害によって事業が壊滅し、あるいは再起不能の損失を受ける危険に常にさらされているのであります。
しかもわが国の漁業においては、経営規模が小さく、これらの災害に対する抵抗力の弱いものがきわめて多いのであります。このため、災害によって漁業者がこうむる損失を補てんし、漁業の再生産を持続することのできる画期的な漁業災害補償制度を確立することは、漁業者の久しく切望し来たつたところであります。こうした漁民の要望にこたえ、充実した漁業災害補償制度を確立し、漁業者を不慮の災害または不漁に基づく窮乏から解放することは、政府の責任でなければなりません。
しかるに農業においては早くから災害補償制度が実施され、不十分ではあれ農民を農業災害から守っているにもかかわらず、それよりも一段と条件の悪い漁業においては、昭和三十二年から漁業共済が試験的に実施されているにすぎず、今日に至るも災害補償制度は確立しておらないのであります。
政府が今年から実施しようとしている漁業災害補償法は、単なる共済制度を規定しているにすぎず、災害補償制度としての実体を備えておらないのであります。今般政府が漁業災害補償法の制定に踏み切ったことは、漁民のために多とするものでありますが、単なる共済制度の規定では無意味であると存じます。
災害補償と共済との関係は、同一平面において論ぜられるべきものではありません。これを意識的に混同せしめようといたしますならば、結果的には羊頭を掲げて狗肉を売ることになるのであります。
以上申し述べました事態にかんがみ、画期的な漁業災害補償制度を確立、漁業の健全な発展をはかり、漁業者を災害に基づく窮乏から解放することは、目下の急務であると存じます。
これが本案を提案するに至った理由であります。
次に、この法律案の大要について御説明申し上げます。
第一に、この法律の目的でありますが、漁業災害補償制度を確立し、沿岸漁業者等が異常の事象または不慮の事故によって受けることのある損失を十分に補てんして漁業経営の安定をはかり、もって漁業の発展に資することを目的とする旨を明記いたしました。さらにこの法律案において漁業災害補償制度とは、漁業共済組合が行なう漁業共済事業、漁業共済組合連合会が行なう漁業再共済事業及び政府が行なう漁業保険事業により、沿岸漁業者等の漁獲金額の減少または養殖水産動植物、養殖施設もしくは漁具にかかる損害に関して必要な給付を行なう制度であることをあわせて明らかにいたしました。これはわが党が、この法案によって名実兼ね備えた災害補償制度の確立を願っているからにほかなりません。
第二に、漁業共済団体の組織でありますが、都道府県の区域によるものと全国の区域によるものとの二段階といたしました。
また、組合員たる資格を有する者は、県段階における漁業共済組合においては、組合の地区に住所を有する漁業協同組合及び漁業協同組合連合会、全国段階における漁業共済組合連合会においては、組合の地区内に住所を有する漁業共済組合とするとともに、両者とも当然加入といたしました。
第三に、漁業共済組合が行なう事業でありますが、共済組合が当面行なうべき事業としては、漁獲共済、養殖共済及び漁具共済の三つとし、漁船保険及び任意共済事業については、なるべくすみやかに、この法律に基づく漁業災害補償制度の対象とするための必要な措置を講ずべき旨、附則で規定いたしました。
第四に、契約の方法についてでありますが、義務加入及び任意加入の方法によることとし、それぞれ必要な条項を規定いたしました。
第五に、漁業共済組合連合会の漁業再共済事業についてでありますが、連合会が行なう再共済事業は、共済組合が漁業共済事業によって被共済者に対して負う共済責任を再共済する事業とするとともに、共済組合と被共済者との間にこの法律の規定による共済関係が成立したときは、これによって連合会と共済組合との間に、当該共済契約につき再共済関係が成立するものといたしました。
また、連合会の再共済金額は、当該共済金額に通常責任共済金額の百分の九十をこえない範囲内で政令で定める金額といたしました。
第六に、政府の保険事業でありますが、政府が行なう保険事業は、共済組合が漁業共済事業によって被共済者に対して負う共済責任を保険する事業とし、共済組合と被共済者との間にこの法律の規定による共済関係が成立したときは、政府と当該共済組合との間に保険関係が成立するものとすることといたしました。
なお、政府の保険金額は、共済金額のうち通常責任共済金額をこえる部分の金額とし、政府の負担する保険料率は、異常共済掛け金部分とするものといたしました。
第七に、漁業共済基金についてでありますが、漁業共済団体に対してその業務に必要な資金を融通することにより、漁業共済事業の過渡的な収支調整をはかることを目的として、資本金十億円(うち政府出資七億円)の漁業共済基金を設けることといたしました。
第八に、共済掛け金等の国庫負担についてでありますが、区画漁業等であって政令で定めるもの、及び総トン数十トン未満の漁船によって行なう漁業(区画漁業等及び政令で定めるものを除く)にあっては、異常共済掛け金部分の全額と通常共済掛け金部分の三分の二の合計額を、総トン数十トン以上百トン未満の漁船により行なう漁業(区画漁業等を除く)にあっては、異常共済掛け金部分の全額と通常共済掛け金部分の二分の一の合計額を、百トン以上、千トン未満の漁業については、異常共済掛け金部分の全額と通常共済掛け金部分の三分の一以内で政令で定める金額の合計額を国庫で負担すべきことといたしました。
養殖共済及び漁具共済においても、おおむねこれに準じて掛け金の一部を国庫で負担することといたしております。
また、漁業共済団体の事務費に対しても、その全額を国庫で負担すべき旨規定いたしました。
第九に、漁業共済団体の行なう損害査定の公正を期するため、学識経験者をもって構成する漁業共済団体に損害評価会を置くことといたしました。
第十に、漁業共済を漁民にとって一段と魅力あるものとするため、共済限度額を高め、特約制度によって限度額率を九五%まで引き上げることができることといたしております。いま一つは、豊漁年における余剰金の一部を不漁準備金として積み立て、共済事故が発生した場合は、その積み立て金を優先的に取りくずすことができるようにいたしました。この場合の積み立て金に対する課税及び契約者の共済掛け金率は、不漁準備金の積み立て額に応じて逓減することができるようにいたしました。
また、無事故優遇措置として無事故継続年数に応じて掛け金の一部を払い戻すことができるようにするとともに零細漁民の掛け金払い込みを容易にするため、漁獲共済及び養殖共済にかかる共済掛け金は分割して支払うことができるようにいたしました。
第十一に、政府の漁業保険事業の実施に伴なう漁業保険特別会計の設置、基金の設立その他この法律の施行に伴ない必要な事項及び関係法律の整理に関しては、別に法律で定めることといたしました。
以上が、この法律案を提出した理由及び法案のおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/2
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003・高見三郎
○高見委員長 次に、内閣提出、漁業災害補償法案並びに肥料価格安定等臨時措置法案の両案について、提案理由の説明を聴取いたします。丹羽農林政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/3
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004・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 漁業災害補償法案の提案理由及び主要な内容につき御説明申し上げます。
漁業は申すまでもなく、自然の影響を受けることの多い産業でありますが、特にわが国の漁業は、その大部分が沿岸漁家等の経営基礎の脆弱な中小漁業者によって営まれており、これら大多数の漁業者の経営は、気象または海況の変化、漁業資源の変動等によって常に不安定な状況に置かれているのであります。このため従来から災害対策、金融対策等の諸施策が講ぜられてきているのでありますが、これらの諸施策に加えて、漁業共済の事業による漁業災害補償の制度の確立が必要とされていたのであります。
政府といたしましては昭和三十二年度から、漁業共済事業について試験実施調査を行ない、本制度の基礎研究調査、漁村に対する啓蒙普及、共済金の支払い財源の確保等について助成措置を講じてきたのでありますが、この漁業共済事業に対する試験実施調査は、このたびこれを打ち切り、昨年施行されました沿岸漁業等振興法に規定している災害による損失の合理的な補てん等の具体的な施策の重要な一環として、ここに新しく漁業災害補償の制度を樹立することといたしたのであります。
この法案において定めている漁業災害補償の制度は、漁業協同組合等の協同組織を基盤とする漁業共済団体が行なう漁業共済事業及び漁業再共済事業により、中小漁業者の相互救済の精神を基調として、その営む漁業につき異常の事象または不慮の事故によって受けた損失を補てんするための必要な給付を行ない、中小漁業者の漁業再生産の阻害の防止及び漁業経営の安定に資することを目的とするものであります。もとよりこの制度は漁業者の十分な理解と自主的な努力が前提となっているのでありますが、その健全かつ円滑な運営を確保するためには、漁業共済団体の支払い資金の確保、小規模な漁業者の共済掛け金の負担の軽減等の措置を講ずることが必要でありますので、この法案においては国がそれらの措置を講ずることを明らかにしているのであります。
以上述べましたような漁業災害補償の制度の適切な実施により、中小漁業者の経営の近代化及び高度化等、漁業経営の発展をもたらす基礎的な条件の整備が期待し得るのでありますが、政府といたしましては、この制度とともに、これまで実施してまいりました構造改善事業、漁港整備事業、金融対策その他の漁業施策をさらに積極的に進めながら、沿岸漁業等の振興を総合的にはかってまいりたい所存であります。
以下、この法律案の主要な内容につき御説明申し上げます。
第一は、漁業共済団体の組織についてであります。すなわち都道府県の段階において漁業共済組合を、全国段階において再共済機関たる漁業共済組合連合会を設け、いわゆる二段階制の組織とすることにしております。漁業共済組合は、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会をその構成員とし、漁業協同組合系統組織の事業との相互連携を緊密にし、適正円滑な事業運営を確保することといたしております。
また漁業共済組合は、相互の危険分散をはかるため、漁業共済組合連合会へ当然に加入することといたしております。
第二は、漁業共済の事業についてであります。漁業共済組合は、その構成員たる漁業協同組合の組合員等のために、漁獲共済、養殖共済及び漁具共済の三種類の漁業共済事業を行なうこととしております。
漁獲共済は、海況の変化、資源の変動その他の事由により中小漁業者の漁獲金額が減少した場合に、その損失について共済金を交付する事業としております。
養殖共済は、養殖業を営む者が養殖中の水産動植物または養殖の用に供する施設の流失、損壊等により受けた損害について共済金を交付する事業としております。
漁具共済は、中小漁業者が漁業の操業中に漁網等の損壊等により受けた損害について共済金を交付する事業とし
ております。
以上の漁業共済事業につきましては、漁業共済組合と漁業者との間に共済契約が成立したときは、漁業共済組合連合会と漁業共済組合との間に当然に再共済契約が成立することとし、その危険の分散をはかることとしております。
第三は、漁業共済基金についてであります。以上申し述べましたように、漁業共済の事業はまず都道府県の段階で、次に全国の段階で二重に危険の分散をはかり、その事業経営の安定を期しているのでありますが、共済金または再共済金の支払いが円滑に行なわれるために、政府、都道府県及び漁業共済団体が出資する漁業共済基金を設置し、漁業共済団体に対する必要な資金の貸し付け、債務の保証等の業務を行なわしめることといたしております。
第四は、国の助成についてであります。漁業災害補償の制度につきましては、漁業共済団体の人件費等基幹的な事務費について助成してまいる所存でありますが、特に共済掛け金につきましては、小規模な漁業者の掛け金負担の軽減のためとあわせて加入の奨励という見地から純共済掛け金の一部を補助するものとしております。この共済掛け金の補助につきましては、特に規定を設け、本制度に対する国の助成の方針を明示いたしているのであります。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容でありますが、この漁業災害補償の制度につきましては、政府は、今後における中小漁業者の漁業事情の推移と漁業共済の事業の実施の状況に応じて、共済掛け金率、共済責任の負担区分等に関して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする旨の規定を特に設けております。これは、この法律によりまずもって漁業共済団体の組織の整備と漁業共済への加入の確保をはかり、今後、漁業共済の事業の実績等に基づいて資料の蓄積とその分析につとめ、漁業災害補償の制度について検討を加える趣旨でありまして、これらの検討の結果に基づき本制度をより一そう整備してまいりたいと存ずるものであります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
次に、肥料価格安定等臨時措置法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農業土産上の基礎資材としての肥料の重要性と輸出産業としての肥料工業の意義につきましては、ここにあらためて申し上げるまでもないところであります。政府といたしましても、昭和二十九年に現行肥料二法、すなわち臨時肥料需給安定法及び硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法を制定し、肥料工業の合理化の推進につとめると同時に、農家に対し低廉にして豊富な肥料の供給を確保するよう措置してまいった次第であります。
ひるがえって最近のわが国における肥料の生産、需給等の事情を見ますると、現行肥料二法制定当時に比べ、著しい変貌を見るに至っております。すなわち肥料工業の合理化の進展に伴い、その生産能力は急速に増大し、現在では内需を充足した上で、その生産量の四割以上を輸出に向ける状況となっております。また価格も逐次引き下げられてまいっております。
国内需給がこのような状態にあるのでありますから、現行肥料二法のように国が需給計画を策定し、これに従って生産指示、調整保管指示等を行ない、また国が価格を公定するというような措置を必要とする段階ではないと考えられるのであります。したがって今後の肥料対策の中心は、内需確保の趣旨に基づいて輸出を適切に調整するとともに、価格の低位安定をはかることにあると考えるのであります。
以上のような考え方のもとに、現行肥料二法失効後、すなわち本年八月以降における肥料対策のあり方につきまして、昨年より関係各方面の御見解をも伺ってまいったところであります。
これらの御意見を参酌し、慎重に検討した結果、内需優先、国内価格の低位安定、輸出体制の一本化等を基本とする臨時措置法を制定し、これによって、二法失効後の肥料対策につき、遺憾のないよう対処いたしたいと考えるに至った次第であります。
以下、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
まず第一に、内需確保措置について申し上げます。肥料の国内需要を優先的に確保し、内需向け供給にいささかの不安もなからしめる措置をとることといたしました。すなわち、肥料の輸出、特に後に述べます日本硫安輸出株式会社の肥料の買い入れについては、農林大臣及び通商産業大臣が定める肥料の需給見通しに基づいて通商産業大臣が承認するものとし、その承認については農林大臣の同意を要するものといたしておるのであります。
また、前記需給見通しを定めたときは、これを関係者に対し通知するものといたしております。
第二に、国内価格の安定について申し上げます。まず肥料の国内価格の安定をはかるため、肥料の生産業者と販売業者とが互いに共同して自主的に価格取りきめを締結することができるよう、当該共同行為について独禁法の適用を除外することといたしております。
次に、農林大臣及び通商産業大臣は、右の取りきめが農業または肥料工業の健全な発展に支障を与える等不適当と認める場合には、その取りきめの変更を命じ、または締結を禁止しなければならないこととしているのであります。
さらに農林大臣及び通商産業大臣は、右の取りきめの締結を促進するため、これに必要な資料を当事者に対し交付し、または取りきめの締結に関し必要な勧奨もしくは助言を行なうことといたしたのであります。
またその取りきめが成立しがたく、その当事者の双方、またはいずれか一方から申請があった場合において、特に必要があると認めるときは、農林大臣及び通商産業大臣は、調停を行なうことといたしておるのであります。
第三に、肥料の輸出についてでありますが、これに関しては、一手輸出体制を引き続きとるものとし、このため日本硫安輸出株式会社を存置することとして、これに関し所要の規定を設けることといたしておるのであります。
第四に、以上の措置を実施するため、農林大臣及び通商産業大臣は、必要があると認めるときは、肥料の生産業者及び販売業者に対し、必要な事項の報告を求め、または生産業者の事務所等に立ち入り検査を行なうことができることといたしておるのであります。
第五に、この法律は、現在における肥料をめぐる客観情勢にかんがみ、附則におきまして五年以内に廃止することといたしておるのであります。
以上が肥料価格安定等臨時措置法案提案の理由及び主要な内容でございますが、政府といたしましては、このような措置のほか、肥料輸入の自由化をはかるとともに、肥料工業の合理化、体質の改善確立、流通の合理化、円滑化等に努力し、今後の肥料対策に遺憾なきを期してまいる所存でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/4
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005・高見三郎
○高見委員長 次に、いずれも内閣提出、食料品総合小売市場管理会法案、漁業災害補償法案、肥料価格安定等臨時措置法案、右三案について補足説明を聴取することにいたします。松岡農林経済局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/5
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006・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 先般提出理由のご説明のありました食料品総合小売市場管理会法案につきまして、若干補足して御説明申し上げます。
この法律案は提案理由の説明にありましたとおり、大都市及び人口の集中の著しいその周辺の地域に、食料品総合小売り市場を設置することにより、生鮮食料品等の流通の合理化を促進して適正な小売り価格の形成に資し、もって国民生活の安定に寄与することを目的としております。
法律案の構成といたしましては、第一に食料品総合小売り市場管理会の資本金等について規定し、第二にその業務運営の組織として、役員、運営審議会等について規定し、第三に業務の範囲等について規定し、第四に財務、会計等について規定しておりますほか、一般的監督規定、罰則、設立手続等について規定しております。
以下、その細目について若干補足させていただきます。
第一章は、この法律の目的、法人格、資本金等総則に関する規定であります。
そのうち、特に第四条は、資本金に関する規定であります。管理会の資本金は、政府及び地方公共団体が出資する金額の合計金額としております。設立当初の資本金といたしましては、政府が設立に際し出資する一億二千五百万円のほか、東京都から同額の出資を予定しております。この資本金は、その運用益をもって管理会の業務の運営に要する経費の一部に充てることを予定しております。
第二章は、役員等管理会の組織に関する規定であります。
まず、第九条から第十二条においては、役員の定数、職務権限、任命権及び任期について定めております。
次に、第十三条から第十六条においては、役員の欠格条項、解任等、役員に関する制限について定めております。
第三に、第十九条および第二十条においては、運営審議会の権限、委員の定数および構成等について定めております。
運営審議会は、管理会の業務の円滑適正な運営を期するため設置するものであります。その委員には、出資地方公共団体の委員のほか、一般消費者、小売り商業者等関係者の意見を代表する者を充て、これらの意見を十分管理会の業務の運営に反映させることとしております。また特に、管理会の業務運営の基本的事項である定款の変更、業務方法書の作成及び重要な変更、予算、事業計画及び資金計画の作成及び重要な変更並びに財務諸表の作成につきましては、運営審議会の必要的諮問事項といたしております。
第三章は、管理会の業務の範囲、その執行方法等、管理会の業務に関する規定であります。
まず、第二十二条においては、管理会の業務の範囲を定めております。
第一項の業務は、この法律の目的を達成するための基本的なものであり、その範囲は各号に列記しております。
第一号は、食料品総合小売り市場の設置及び管理であります。食料品総合小売り市場は、野菜、果実、魚類、肉類等の生鮮食料品その他一般消費者が日常その用に供する食料品を取り扱い品目としております。またこの小売り市場においては、近代的な経営方式を導入して総合的に小売業を経営させることとしております。なおこれを設置する地域は、大都市及び人口の集中の著しいその周辺の地域で、政令で定める地域内と定めております。
第二号は、食料品総合小売り市場において生鮮食料品等の小売り業を経営する者に対する指導であります。指導の内容といたしましては、生鮮食料品等の種類、品質、価格その他その購入、保管及び販売に関する事項といたしております。これはこの小売り市場において経営を行なう小売り商業者に対し、適切な指導を行なうことにより、これを中小小売り商業者による経営近代化のモデルとするとともに、適正な小売り価格の形成がなされるよう配慮するため設けた規定であります。
第三号は、食料品総合小売り市場において生鮮食料品等の小売り業を経営する者に対する生鮮食料品等の購入のあっせん及び委託を受けて小売り業務の一部を行なうことであります。
第二項の業務は、食料品総合小売り市場の用に供する土地の効率的利用をはかり、食料品総合小売り市場にかかる地価の負担を軽減するため行なうものであります。業務の範囲といたしましては、食料品総合小売り市場の用に供する建物を立体化する等、これと一体となる施設を建設、管理及び処分することとしております。なお立体化するにあたっては、できるだけ日本住宅公団等と提携して行なうことといたしたい考えであります。
次に、第二十三条から第二十五条においては、管理会の業務の執行の方法等について定め、管理会の業務の運営の適正を期することとしております。
まず、第二十三条では、第一項において、管理会は食料品総合小売り市場の設置及び管理については、農林省令で定める基準に従って行なわなければならないものとしております。
また、第二項では、農林大臣は生鮮食料品等の流通の合理化を促進して適正な小売り価格の形成に資するため特に必要があると認めるときは、管理会に対し食料品総合小売り市場の設置に関し必要な指示をすることができることとしております。
さらに、第二十四条では、管理会は業務開始の際農林省令で定める事項について業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けなければならないこととしております。
なお、第二十五条では、管理会は食料品総合小売り市場の設置及び管理にあたり、地元の出資地方公共団体の長の意見を十分反映させるため、その計画の概要について、これを設置しようとする場所をその区域に含む出資地方公共団体の意見を聞かなければならないこととしております。
第四章は、管理会の財務及び会計に関する監督規定であります。
まず、第二十七条および第二十八条においては、管理会の予算、事業計画及び資金計画並びに財務諸表について、農林大臣の認可または承認を受けなければならないこととしております。
また、第二十九条から第三十二条におきましては、管理会の毎事業年度の損益の処理方法、長期または短期の借り入れ金をする場合の制限、余裕金の運用方法等について定めております。
第五章は、管理会に対する農林大臣の一般的な監督に関する規定であります。
第六章は、雑則に関する規定であります。
そのうち、特に第三十八条においては、管理会はその業務の運営について地方公共団体と密接に連絡するとともに、地方公共団体は管理会に対しその業務の運営について協力するよう定めております。
第七章は、罰則に関する規定であります。
附則におきましては、管理会の設立手続等について定めております。
なお最後に、提案理由の説明にありました昭和三十九年度における事業の実施方針について、若干補足して御説明申し上げます。
昭和三十九年度におきましては、さしあたり東京都の区域に二十カ所の食料品総合小売り市場を設置することを予定しております。一市場当たりの平均規模は、用地千百五十五平方メートル、三百五十坪、建物、六百六十平方メートル、二百坪を予定しております。またこの売場には、冷凍商品ケース、冷暖房設備、レジスター等、近代的な経営を行なうに必要な基幹的諸設備を設けることを予定しております。
これに要する資金は、土地取得資金並びに建物及び諸設備の建設資金として、一市場当たり一億円弱で、合計二十億円弱であります。建物及び諸設備の建設に要する資金のうち、生鮮食料品の販売の用に供する部分につきましては、その二分の一に当たる合計二億九千七百六十万円を国と東京都が折半して、それぞれ一億四千八百八十万円ずつ補助することとしております。建物及び諸設備の補助残並びに土地取得資金につきましては、国は東京都を通じて四億円の資金の融通を行なうとともに、東京都も一般起債により四億円の資金の融通を行なうこととし、残余につきましては一般金融機関等から調達するよう考えております。
また、食料品総合小売市場の設置及び管理にあたりましては、適正な価格形成を確保するとともに、周辺の中小小売り商業者を活用して営業を行なわせ、これを中小小売り商業者の経営近代化のモデルといたしたいと考えております。
以上をもちまして、本法律案及びこれに関連する主要な問題についての補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/6
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007・高見三郎
○高見委員長 庄野水産庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/7
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008・庄野五一郎
○庄野政府委員 漁業災害補償法案の内容につきまして、補足説明を申し上げます。
漁業災害補償法案は、趣旨説明にもありましたように、沿岸漁業等振興法に定められている国の施策の基本方針に沿った漁業施策の重要な一環として、沿岸漁家等経営基礎の脆弱な中小漁業者の漁業経営の安定に資するために、漁業共済の事業による漁業災害補償の制度を新しい制度として発足させることとしてい亀のであります。
漁業共済の事業は、昭和三十二年より水産業協同組合法に基づいて設立されておりました全国水産業協同組合共済会の事業として開始され、政府といたしましては昭和三十八年度まで、委託費の交付、国庫債務負担行為を通ずる共済金支払い資金の補助等によりまして、同共済会に試験実施の調査の委託をしてまいったのであります。この事業は、加入件数もいまだ少なく、現在までのところ相当の支払い超過の実績を示してまいっておるのでありますが、試験実施調査の結果、漁業共済の共済としての成立の可能性及びこれに対する有効需要の存在につきましては、一応の見通しもりきましたので、沿岸漁業等の実情からその早急な制度化が要請されていることにこたえて、ここに漁業共済の事業による漁業災害補償の制度の確立をはかろうとするものであります。
以下、法律案の骨子について、その概略を御説明申し上げます。
法律案の骨子の第一は、この法律の目的についてであります。すなわちこの法律は、中小漁業者がその営む漁業につき異帯の事象または不慮の事故によって受けることのある損失を補てんするため、漁業災害補償の制度及びその健全かつ円滑な運営を確保するための措置を定め、これによって中小漁業者の漁業再生産の阻害の防止及び漁業経営の安定に資することを目的としております。農業災害補償の制度は、漁業協同組合等の中小漁業者の協同組織を基盤とする漁業共済団体が行なう漁業共済事業及び漁業再共済事業により、中小漁業者の相互救済の精神を基調として実施される制度としており、またこの制度の健全かつ円滑な運営を確保する措置といたしましては、後に述べます漁業共済基金の設置、共済掛け金に対する国の補助等の措置を定めているのであります。
法律案の骨子の第二は、漁業共済団体の組織についてであります。従来の試験実施におきましては、いわゆる一段階の組織により事業を行なってまいったのでありますが、加入の確保及び事業運営の適正を期するため、この法律案におきましては、二段階の系統組織とすることといたしております。すなわち漁業共済組合は原則として一の都道府県の区域を地区として漁業共済事業を行ない、漁業共済組合連合会は漁業共済組合をもって組織し、全国の区域を地区として漁業再共済事業を行なうこととしております。
これら漁業共済団体の事業は、漁業共済事業または漁業共済事業及びこれらに付帯する事業に限っており、その他のいわゆる任意共済事業は、水産業協同組合法に基づく水産業協同組合共済会が行なうことといたしております。なおこれらの新しい共済団体による事業の開始は、その設立に若干時日を要しますため、おおむね昭和三十九年十月を目途としておりますが、都道府県によりましては、そのときまでには漁業共済組合が成立しないことも予想されますので、そのような都道府県の区域につきましては、昭和四十一年三月三十一日までの間に限り漁業共済組合連合会が直接漁業共済事業を行なうことができることとしておるのであります。
次に、漁業共済団体の組織のうち、漁業共済組合について御説明申し上げます。漁業共済組合の組合員たる資格を有する者は、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会で漁業共済組合の地区内に住所を有するものに限ることとしております。漁業共済組合はいわゆる出資制をとることといたしておりまして、漁業共済組合の自己資本の造成により、共済金の円滑な支払いに資するための調整資金の確保をはかり、事業の運営の円滑を期しております。組合員の加入脱退は任意とするほか、組合員の権利義務、漁業共済組合の管理等に関しましては、水産業協同組合法その他同種の法律の例にならって規定を設けております。漁業共済組合の設立につきましては、農林大臣の認可を要することとしておりますが、組合員たる資格を有する者の一定割合以上が漁業共済組合に加入すること、及び既存の漁業共済組合とその地区が重複しないこと等の要件を満たしている場合に設立の認可をすることとし、もって漁業共済組合の健全な運営が確保し得るように配慮しております。
漁業共済組合連合会につきましては、漁業共済組合をもって構成するのでありますが、その設立につきましては、漁業共済組合と同様農林大臣の認可を要することとし、会員たる漁業共済組合の地区が合わせて十五以上の都道府県の区域を包括することとなる場合に設立の認可をすることとしております。なお漁業共済組合連合会の成立後は、漁業共済組合はすべて当然にその会員となることとしております。
法律案の骨子の第三は、漁業共済組合の行なう漁業共済事業についてであります。漁業共済事業は、漁獲共済、養殖共済及び漁具共済の三種類としておりますが、その内容を簡単に御説明申し上げます。
まず第一に漁獲共済についてでありますが、その内容は、漁業共済組合の組合員たる漁業協同組合の組合員である中小漁業者等が営む漁業の共済責任期間中の操業にかかわる漁獲金額が、一定の方式によって定められる共済限度額に達しない場合の損失について、共済金を交付する事業であります。
漁獲共済の対象とする漁業の種類は、政令で指定してまいるのでありますが、共済契約の締結の方法により次の三種に区分されるのであります。
その一は、採貝採藻業等であり、この法律案において区画漁業等と総称しておりますが、これらの漁業につきましては、通常同一漁場で同種漁業を営む者が多数おりますので、都道府県知事が定める一定の水域内において政令で定める種類ごとの漁業を営む者の全員をその構成員とする団体を被共済者とし、これら漁業者が一まとめになって漁業共済に加入する場合に限り、共済契約を締結し得ることとしております。法第百五条一項であります。
その二は、総トン数十トン未満の小型漁船により行なう漁業であり、各漁業者を相手方として、その者の営む小型漁船漁業のすべてを一括して共済に付することを要することとしておりますが、都道府県知事が定める一定の区域内に住所を有する漁業者が同時に加入しようとする場合であって、その加入しようとする者のうちに総トン数一トン以上十トン未満の動力漁船を使用する漁業者の二分の一以上を含む場合に共済契約を締結し得ることとしております。法第百八条に規定してございます。
その三は、定置網漁業及び総トン数十トン以上の漁船を使用して行なう漁業であり、政令で定める漁業種類別に契約を締結するのでありまして、原則として個別に加入し得ることとしております。
次に、漁獲共済の共済限度額についてでありますが、基準漁獲金額に限度額率を乗じて得た額としております。法第百十一条に規定しております。基準漁獲金額は、共済に加入しようとする漁業者の過去一定年間の漁獲金額を基準として定めるものであり、限度額率は当該漁業者の過去一定年間の漁獲金額の年ごとの変動の態様に応じて定められる割合としております。なお先に申し述べましたとおり、総トン数十トン未満の小型漁船を使用して行なう漁業につきましては、一定の区域内の漁業者が同時に加入すべきこととしておりますが、この場合の限度額率は、当該区域内の加入者を通じて同一の率とし、また定置網及び総トン数十トン以上の漁船を使用して行なう漁業についても、小型漁船漁業と同様に一定の区域内の加入者を通じて限度額率を同一の率とし得るよう措置してまいることといたしております。これは法第百十一条第一項の政令で定めることにしております。
漁業共済事業の第二は養殖共済であります。その内容は、養殖中の水産動植物及びその養殖の用に供する施設を共済目的とし、養殖中の水産動植物の死亡等または養殖の用に供する施設の損壊等により受けた損害について共済金を交付する事業としております。法第七十八条第二項に規定しております。このように漁獲共済とは異なる別個の仕組みといたしておりますのは、養殖業につきましては、その実態が一般の漁業とは著しく異なっており、漁獲共済のように漁獲高を基準とする方式をとることは適当でないためであります。
養殖共済の対象とする養殖業の種類は、政令で指定することとしておりますが、これも共済契約の締結の方法により二種に区分されるのであります。
その一は、いわゆる築堤式または網仕切り式の魚類養殖業等であり、これは第百十四条第一号に規定しております。漁業共済組合の組合員たる漁業協同組合の組合員等を相手方として、個別に養殖業の種類別に共済を引き受けることとしております。
その二は、ノリ、カキ、真珠等の養殖業であります。これは法第百十四条第二号であります。これらの養殖業につきましては、同一の漁場で多数の漁業者が同種の養殖業を営んでいる実態にかんがみまして、一定の漁場区域内において、契約にかかる種類の養殖業を営む者のすべてが同時に共済に加入する場合であって、加入者が、その区域内における養殖水産動植物と養殖施設のすべてを共済に付する場合に限って、漁業共済組合は契約を締結することができることにいたしております。法第百十八条第三項に規定しております。
漁業共済の種類の第三は漁具共済であります伊漁具共済の対象は当面定置網等の漁網を考えておりますが、政令で指定する漁具が漁業の操業中に損壊等により受けた損害について、共済金を交付する事業としております。法七十八条第三項に規定しております。漁具共済に加入し得る者は、漁業共済組合の組合員たる漁業協同組合の組合員等の中小漁業者に限っており、個別に共済契約を締結し得ることとしております。法百二十七条に規定しております。
法律案の骨子の第四は、漁業共済組合連合会の行なう漁業再共済事業についてであります。第四章に規定しております。
漁業共済組合連合会は、会員たる漁業共済組合が行なう漁業共済事業、すなわち漁獲共済、殖養共済及び漁具共済によって被共済者に対して負う共済責任を再共済する事業を行なうのでありますが、会員たる漁業共済組合と漁業者との間に漁業共済事業にかかる共済契約が成立したときは、これによって当然に漁業共済組合連合会と当該会員たる漁業共済組合との間に再共済契約が成立するものとしており、漁業共済事業の危険分散をはかることとしております。法第百三十九条に規定しております。この再共済事業について、漁業共済組合連合会は、会員たる漁業共済組合の共済責任を比例保険の方式により再共済するのでありますが、その割合は当面九割と考えております。
法律案の骨子の第五は、漁業共済基金についてであります。これは法第五章に規定しております。
漁業共済及び漁業再共済の事業については、その性質上、事業収支の変動が相当程度予想されることにかんがみまして、漁業共済団体の共済金または再共済金の支払いに必要な資金の供給を円滑にすることを目的として、漁業共済基金を設置することとしております。この漁業共済基金の資本金は、政府、都道府県及び漁業共済団体の出資によって造成してまいるのであり、政府は漁業共済基金の設立に際し二億五千万円を出資することとしております。法第百五十三条第一項に規定しております。なお、基金の成立当初の資本金は四億円以上とし、また成立後一年以内に五億円以上とすることとし、もって漁業共済事業の円滑な運営に支障のないように配慮いたしております。
漁業共済基金の業務は、共済金または再共済金の支払いに関して出資者たる漁業共済団体が必要とする資金を貸し付け、または金融機関に対し負担する債務の保証を行なうとともに、貸し付け業務に必要な資金に充てるために出資者たる漁業共済団体からの金銭の寄託の引き受けを行なうことであります。漁業共済基金の役職員、財務及び会計等に関しては、政府の出資する同種の法人の例にならい、必要な規定を設けてあります。
法律案の骨子の第六は、国の助成についてであります。法第六章に規定しております。漁業災害補償の制度につきましては、漁業共済団体の基幹的な事務費等の必要な助成措置は講じてまいる所存でありますが、特に共済掛金の補助については、本制度に対する国の助成の方針を明示すべく、特に規定を設けております。法第百九十五条であります。すなわち国は、毎会計年度予算の範囲内において、一定の要件を満たしている共済契約者に対し、その支払うべき純共済掛金の一部を補助するものとすることとしております。この助成の対象となる漁業者は、一定の区域内の漁業者の相当部分が同時に加入することを要件とする契約によって加入した者等としており、その補助率はその者の漁業の規模に応じ、また一定の区域内の漁業者の加入率に応じ二分の一以内とする予定であります。
法律案の骨子の第七は、この法律の施行その他についてであります。附則に規定してございます。
まずこの法律の施行についてでありますが、漁業共済団体の設立準備等を考慮して、おおむね本年十月より漁業共済事業が開始し得ることを目途としております。なお現在政府の試験実施調査を委託を受けて、全国水産業協同組合共済会が漁業共済の事業を行なっておりますが、この試験実施は昭和三十八年度でこれを打ち切ることといたしておりますので、本格実施までの空白期間を生ぜしめないため、全国水産業協同組合共済会がこの期間中に締結した漁業共済と同種の共済契約に基づく権利義務を漁業共済組合連合会が引き継ぐ旨の契約を両者の間で締結し得ることとしております。附則第四条でございます。
最後に、この制度についての今後の検討についてであります。附則第二条に掲げてあります。
すでに趣旨説明でも申し述べましたとおり、政府は、今後における中小漁業者の漁業事情の推移と漁業共済団体が行なう漁業共済の事業の実施の状況に応じて、共済掛け金率、共済責任の負担区分等に関し、所要の検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずべきものとしております。この検討にあたっては、漁業共済の事業の実績が最も重要な基礎資料となることは言うまでもないのでありまして、漁業者の十分な理解と自主的な努力と相まって、すみやかに資料の蓄積とその分析につとめ、各般の検討を加工にて、本制度を一そう整備してまいりたいと考えております。
以上をもちまして漁業災害補償法案の補足説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/8
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009・高見三郎
○高見委員長 松岡農林経済局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/9
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010・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 肥料価格安定等臨時措置法案につきまして、若干補足して御説明申し上げます。
この法律案は、その第一条において規定しておりますとおり、肥料の価格の安定をはかるため、その取引を適正かつ円滑にするのに必要な措置を講じ、あわせて肥料の輸出を調整するため、その輸出体制を整備し、もって農業及び肥料工業の健全な発展に資することを目的としております。
法律案の構成といたしましては、第一に生産業者と販売業者との価格取りきめに関し規定し、第二に日本硫安輸出株式会社について規定するとともに、肥料の需給見通しの作成とこれに基づく前記輸出会社の肥料の譲り受け計画の承認等について規定し、第三に独禁法の適用除外及び公正取引委員会との関係について規定し、第四にこの法律の施行に必要な報告徴収及び立ち入り検査について規定しておりますほか、罰則、この法律の期間等について規定しております。
以下、その細目について若干補足させていただきます。
第一に、価格取りきめとこれに伴う規定について申し上げます。
まず第二条第一項において、硫酸アンモニアその他価格の安富をはかることが特に必要であると認められる肥料であって政令で定めるものにつきましては、その生産業者及び販売業者は、その双方またはいずれか一方がそれぞれ共同して、当該肥料の価格について、取りきめを締結することができる旨規定しております。
この場合、販売業者としては、生産業者から直接当該肥料を買い入れるものであって、後に述べます輸出会社以外のものとなっております。またこの取りきめを締結しようとする者は、締結の日の十五日前までに農林大臣及び通商産業大臣に届け出なければならないこととなっております。
次に第二条第二項から第四項までは、取りきめに対する是正措置等について規定しております。
すなわち農林大臣及び通商産業大臣は、取りきめの届け出があった場合において、その取りきめが第二条第二項の一号から五号までの各号に適合するものでないと認めるとき、すなわち農業または肥料工業の健全な発展に支障を与える等不適当と認める場合には、その取りきめの変更を命じ、または締結を禁止しなければならないこととしております。
また取りきめの締結後において、その取りきめが前記各号に適合しなくなったと認めるときも、同様の是正命令をすることにいたしております。
第二条第四項は、取りきめを廃止した場合の届け出義務を規定したものであります。
第三条及び第四条におきましては、取りきめの締結についての国の援助措置を規定しております。すなわち第三条第一項におきましては、取りきめの当事者は、取りきめを締結しようとするときは、これに必要な資料の交付を農林大臣及び通商産業大臣に求め得る道を開き、次いで、これを受けまして、同条第二項におきましては、農林大臣及び通商産業大臣は、取りきめの締結を促進するため必要があると認めるときは、当該資料を交付することといたしております。
さらに、同条第三項におきましては、農林大臣及び通商産業大臣は、生産業者及び販売業者に対し、取りきめの締結に関し必要な勧奨または助言を行なうことといたしております。
これらの規定は、肥料価格の安定をはかるためには、生産業者と販売業者とが共同して話し合い、自主的に価格の取りきめを締結することが適当であると考えられるので、このような取りきめが円滑に締結され、またその内容も公正妥当なものとなるよう、国としても必要な資料の交付や勧奨、助言を行なうようにしておくべきであるとの考え方に基づくものであります。
これに加うるに、第四条におきましては、農林大臣及び通商産業大臣は、生産業者及び販売業者が取りきめの締結について相当期間にわたり努力したにもかかわらず、その取りきめを締結することができないため、その双方またはいずれか一方から申請があった場合において、特に必要があると認めるときは、調停を行なうことといたしております。
この規定は、価格取りきめのための話し合いにおける当事者の自主性を尊重する趣旨からいっても、両当事者間の話し合いにはあまり介入しないほうが適当であると考えられますが、しかしいかなる場合にも政府が全然介入しないというわけにはまいらないので、必要と認める場合には、政府が調停まではすることとして、設けたものであります。
第二に、第五条から第十三条までは、日本硫安輸出株式会社、需要見通しの作成とこれに基づく輸出の承認等輸出調整について規定いたしております。
肥料の輸出については、国際競争の激化と主要輸入国の輸入一本体制に対処し、一手輸出体制をとることとし、このため、硫安その他政令で定めるアンモニア系窒素肥料の輸出については、現在の日本硫安輸出株式会社を存置し、これにより秩序ある輸出をはかることといたしました。
しかしながら肥料は、農業生産上の必須の基礎資材としてきわめて重要なものでありますので、これが無制限に輸出されることを認めるわけにはまいらないのであります。すなわち内需にいささかの不安もなからしめることが必要でありますので、内需優先確保のたてまえから、第八条において、農林大臣及び通商産業大臣は、その責任において、政令の定めるところによりアンモニア系窒素肥料の需給見通しを立てることとし、輸出会社の肥料の譲り受け計画については、この見通しに基づいて通商産業大臣が承認を行なうことといたしました。
なお、右の通商産業大臣の承認について農林大臣の同意を要すること及び需給見通しを関係者に通知することについては、従来と変わりはありません。
さらに、輸出会社の取り扱い品目以外のアンモニア系窒素肥料の輸出については、輸出貿易管理令により、実際上右の需給見通しに基づいて承認することとしております。
このように、需給見通しに基づいて輸出の調整を行なえば、最近のわが国における肥料の生産、需給等の事情からして、内需に不安はないと考えておりますが、万が一国内需給が逼迫し、または国内価格が高騰するおそれがある場合は、輸出の承認を停止するとか、金融措置や適当な行政指導措置を講じて、遺憾のないよう対処してまいる考えであります。
次に、日本硫安輸出株式会社については、前に述べましたように今後も存置することといたし、従来と同様、第六条で商号の使用制限、第七条で事業の範囲について規定するほか、第九条及び第十条で定款の変更等についての通商産業大臣の命令についても規定しております。
また第十一条で輸出会社に譲り渡すべき硫安に関する生産業者の取りきめ、第十二条で硫安の輸出の制限、第十三条で輸出用硫安の流用の禁止などについても従来の例にならい規定しております。
第三に、独禁法の適用除外とこれに伴う公正取引委員会との関係につきましては、第十四条及び第十五条に規定いたしております。
独禁法の適用の除外を受けるのは、第二条第一項の規定による国内価格についての取りきめと、第十一条第一項の規定による輸出会社に譲り渡すべき硫安についての生産業者の取りきめに関する共同行為でありますが、ただし第四条の一号から三号までに該当する場合、すなわち不公正な取引方法を用いたり、是正等の命令に違反したり、第十十五条第三項及び第四項の規定により公正取引委員会が農林大臣及び通商産業大臣に対し是正等の命令をするよう請求し、かつ同条第五項の規定によりその旨公示してから一カ月経過してもなお是正等の命令がなされなかった場合には、適用除外されないこととなっております。
したがいまして、さきに述べました二種の取りきめに対する是正等の命令の違反につきましては、その共同行為が独禁法の適用を受けることとなり、同法の規定により処理されることとなりますので、この法律におきまして、罰則等につき特別の規定を設けることはいたさなかった次第でございます。
なお、第十五条第一項及び第二項におきましては、農林、通産両省の公正取引委員会に対する通知について規定しております。
第四に、報告の徴収及び検査について申し上げます。
第十六条第一項におきましては、農林大臣と通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、生産業者、販売業者に対し必要な事項の報告を求め、またはその職員をして生産業者の事務所等へ立ち入り検査させ得る旨規定いたしております。
これは第八条の肥料の需給見通しに基づく輸出会社の肥料の譲り受け計画の承認、第二条の国内価格についての生産業者と販売業者の取りきめにかかる是正命令、第四条の調停などの行政上の措置を講ずるために必要でありますので、規定いたした次第であります。また第十六条第二項におきましては、輸出会社に対し、通商産業大臣が報告を求め、またはその職員をして立ち入り検査させ得る旨規定いたしております。
なお、第十七条から第二十一条までは、所要の罰則を規定いたしております。
最後に、附則におきまして、この法律は、二法失効に合わせて本年八月一日より施行することとしておりますが、国内価格取りきめについては、事前に当事者が話し合う必要がありますので、第二条及び第三条並びに第十四条及び第十五条の関係規定は、公布の日から施行することといたしております。
またこの法律は、肥料をめぐる諸般の事情を勘案し、五年以内に廃止することといたしております。
なお、肥料審議会につきましては、今回の法律では、従来のように生産指示、調整保管指示、価格の公定等の統制措置はとらないことといたしておりますので、特に設置しなければならない事情にはないことを考慮して、規定しなかった次第でございます。
以上をもちまして、本法律案についての補足説明を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/10
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011・高見三郎
○高見委員長 土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/11
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012・角屋堅次郎
○角屋委員 土地改良法の一部を改正する法律案は、今後の農政推進上非常に重要な法改正でありまして、党といたしましては、まず農林大臣の出席を求めて、総括的な質問を行ないました後、審議を進めたい、こういう要望でございまして、先ほどの理事会でも来週早々には農林大臣の御出席が得られるということでございます。したがいましてきょうは時間の関係等もありまして、その総括質問の前提として、簡潔に法改正の中の若干の点についてお伺いをいたしたいと思います。
今度の土地改良法の一部改正は、農業基本法の制定に伴います今後の土地改良事業の推進との関連、あるいは従来から戦後の食糧増産を旗じるしとして推進をしてまいりました今後の土地改良のあり方というふうな点について、それぞれ、政府はもちろんでありますが、わが党からも独自の今後の土地改良のあり方についての構想を提示しておりますし、また今日まで土地改良を進めてまいりました団体側からも要望が昭和三十七年以降出ておりますし、その他各公的な機関以外からもいろいろな土地改良等に対する意見等が出まして、今回の法改正に相なったわけであります。目的の改正以下相当程度の改正がなされておりまするが、問題は土地改良事業に対する基本的な今後の方針はどうであるのかというふうな点をはじめ、いろいろ議論をしなければならぬ問題が多いのであります。申し上げるまでもなく、農林省予算の中で土地改良事業の占める割合というのは、非常に大きなウエートを占めておりますし、またそれだけ農業基盤整備というものは、非常に重要な使命を今日まで果たしておりましたし、今後とも果たさなければならぬという、そういう問題でありまして、以下これらの点も含めてお尋ねをいたします。
第一条の土地改良法の目的が、農業基本法に掲げられておる政策目標の達成に資することを目的として改正をされたというふうに説明をされておるわけでありますが、問題は、この土地改良法の第一条の目的の改正に伴います今後の土地改良事業の基本的性格というものが、生産政策あるいは構造政策、このいずれに力点が置かれようとするのか、こういう点が一つの問題としてあろうかと思います。従来の、戦後の食糧の非常に不足な当時から今日までの間では、緊急開拓が実施をされたり、あるいは食糧増産の旗じるしのもとに、土地改良事業がいわば農政の花形として推進をされてまいったわけでありますけれども、今後の展望として、今度の法改正では、第一条の目的の改正において、生産政策、構造政策、このいずれに力点を指向しようとしておるのか。あるいは両者の調和をはかりながら推進しようとするのであるか、この辺のところが必ずしも法改正において明確でないと思うのでありますが、この点まずお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/12
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013・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 先生御承知のとおり、土地改良法は、結局農用地の基盤を整備する事業でございますから、究極的には農業の生産と密接不可分な関係にあることは申すまでもないことであります。御承知のとおり終戦以来増産という角度から、土地改良事業というものが取り進められてまいっておるわけでございますが、この法律が昭和二十四年にできました際の第一条におきましても、経営を合理化し農業生産力を発展させるためということは、やはり入っておったわけであります。今回その法律を改正いたしまして、特に基本法の二条、九条関係の条文を引用いたしまして、「農業生産の基盤の整備及び開発を図り、もって農業の生産性の向上、農業総生産の増大、農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善に資する」ということを特にうたいましたのは、今後の土地改良を取り進めていく上におきまして、より一そう生産性の問題あるいは農業構造の改善の問題に対して、土地改良法の運用にあたりまして在来以上に意を用いるべきである、そういう立場でこの部分を挿入いたしたわけであります。もちろんこの中に農業総生産の増大ということもうたっておりますし、生産性を向上いたしますことは、とりもなおさず生産の量の増加にも相なるわけでございます。考え方といたしましては、生産政策か構造政策かというように一義的にものを割り切るわけではございませんで、両者が当然土地改良事業の使命でございますから、特に一条を改正いたしましたのは、後にも申し上げたいと思いますが、圃場の整理、集団化、換地の規定等を改正いたしました趣旨は、やはり農業を営む経営体の構造の問題にも十分意を用いるべきである、こういう立場で、その部分を特に取り出しまして、目的の中に明示をいたしたわけでございます。結論的に申しますれば、生産政策か構造政策か一義的に割り切るわけではございませんが、生産性の向上に役立たせると同時に、それだけではなく、構造の改善という問題にも意を用いるべきである、こういう考え方、決意というものを、法の上に明らかにいたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/13
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014・角屋堅次郎
○角屋委員 御承知のように数年来、農業構造改善事業というものが別個に進推をされておりまして、パイロット地区にいたしましても一般地区にいたしましても、いろいろ推進過程で問題は出ておりますが、これが一つの計画的な事業として推進されておるわけです。問題は、こういう農業構造改善の計画的な推進と、今後進める土地改良事業との関係をどう見るのか。これは後ほどお尋ねします土地改良長期計画という問題の中でも問題になるわけでありますが、いわゆる土地改良法という中で、生産政策あるいは構造政策というもののいずれにウエートを置くのかということを提起いたしましたのは、たとえば国営にいたしましても県営、団体営にいたしましても、土地改良の事業計画を立てる場合に、生産政策に重点を置いた事業計画を立てるのか、あるいは構造政策を加味した事業計画を立てるのか、これがやはり問題になろうと思う。与えられた条件のもとで、いずれに力点を置いた土地改良事業計画を立てるのか。これは構造政策というものにウエートを置くということであるならば、換地計画あるいは交換分合ということだけでなく、もっと別のウエートのものがこの中に加味されてくるということも考えられるわけです。これは与えられた条件のもとで、許し得る範囲内で換地計画を立てる、あるいは交換分合を行なう、こういう限りにおいては、これはやはり本来の意味における構造政策にマッチしたというところまでは、それがいいかどうかということは別にして、なかなか踏み切ってないような感じを受けるわけです。だから私が冒頭に聞く改正に基づく土地改良法というものが、構造政策に力点を置くか、生産政策に力点を置くかによって、土地改良事業計画というものの性格にまで及んでくる。当然土地改良法の一部改正を行なう場合には、今後の農政の推進方向として農業基本法で示しておるような自立農家育成の方向に力点を置くのか、あるいは協業の助長の方向に力点を置くのか、そういう問題を含んだ構造政策の今後の推進の中で、土地改良法の果たすべき役割りはどう位置づけられるか、こういう問題はやはり無関係ではないと思います。そういう意味からいくならば、農地制度のこれからのあり方をどうするかという問題も、やはり含んで考えられなければならないのじゃないか、こう思うわけでありますけれども、これらの諸点について、土地改良法の改正を行なう場合に、いま言った問題をどう受けとめて改正をやられようとしておるのか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/14
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015・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 御指摘のとおり、日本の農業の生産性を向上いたしまして、新しい農業をつくっていく手段といたしまして、各方面からの措置が当然必要であると存じております。したがいまして、一つの面から申しますれば、農地法の問題がございます。また他の面から申しますれば、金融制度の問題、価格制度の問題等、いろいろ相まってこれが取り進めらるべきことは、私どもが申すまでもなく、先生方十分御承知のところであり、かつ常々御指示をいただいておるところであります。したがいまして、そういう目的に沿うように、土地改良法は、本質的には農用地の改良なり開発なり保全なり集団化に対する手続法であります。したがいまして、この手続法である土地改良法も、そういう法律あるいは諸制度と手を相携えまして、その方向に向かって進むべきであるという立場に立ちまして、先ほど申し上げましたとおり、土地改良の中の農地の改良開発につきましても、農業構造との関連が非常に深いところの、たとえば土地利用の姿等に役立つように、換地、集団化の問題等を意識して事業を行なうべきである、こういう立場に立っての改正でございまして、したがっていま御指摘の大規模な国営事業等を行ないます場合におきましても、究極的には国営事業は県営事業、団体営事業を通じて、最後に圃場に直結いたします事業でありますので、その圃場を使う農業生産の構造との関係をよく考えて、土地改良の国営事業の計画を立て、実行に移るべきである、そういう立場に立ってものを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/15
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016・角屋堅次郎
○角屋委員 いずれまた同僚の委員も、今後の審議を通じていろいろ議論されることでありますので、時間の関係から次に進みたいと思います。
今回の土地改良法の一部改正で、第二条第一項で草地の問題を含んで農用地ということにし、また第二条第二項の中で、土地改良事業という七項目にわたる事業のいずれにも、それに基づく必要な条文の改正が行なわれておるわけでありますが、草地造成は、今後の成長財といわれる畜産の問題と関連して、これはこれなりにさらに本案の審議を通じて十分議論をしなければならぬ問題を含んでおりまして、別の機会にまた議論をいたしたいと思いますが、問題は農林省の中で土地改良を推進する場合の農地局の担当、あるいは畜産政策を推し進めるという畜産局の関係、こういう関係で草地を公共事業的な性格として本条に入れたのですが、今後の推進として取り扱い上、どういう話し合いになっているのか、これをひとつお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/16
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017・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 草地の造成につきましては、畜産局で過去から予算補助制度をつくりまして、草地の造成についていろいろとやってまいったわけでございますが、この草地の造成が、たとえば村有地を村が主体になって改良いたしまして、村営牧場としてたとえば育成事業をやる、こういう場合には、権利関係等の調整の問題はございませんので、土地改良法によらずやれるし、またやってまいったわけでございます。しかしだんだんそういうところから、より広範にわたりまして、ことに権利関係が複雑な地区におきまして草地造成事業をやろうという場合に、法律的裏づけなしにこれをやるということにつきましては、実行面で非常にむずかしい面がございます。また金融機関等でも法律的に関係者の意思がはっきりと定められ、後々紛争が起こらないというような手続の上に立って行なわれるように、ぜひしてもらいたいというような意見もあるわけであります。そこで草地の造成に関しまして、新しく草地造成法をつくるかどうかという問題があったわけでございまするが、土地改良法は、先ほども申しましたとおり、農地等の改良、開発の手続法でございますので、この手続法の中に草地を取り込むことによって、権利関係、手続関係を明確かつ具体化いたしまして、円滑に進めるようにこれを取り込もう、こういうふうにいたしたのが法の改正の趣旨でございます。
そこで御質問の草地の造成事業の畜産局と農地局の関係でございます。御承知のとおり草をつくるだけならば簡単なのでございますが、そのつくられた草は結局牛が食べる、そして食べた牛は乳を出す、乳は売られなければならない。したがいまして、ただ草を植えるという角度だけでございますれば農地局でやってもいいのですが、最終的には価格なり販売なり集荷権の問題等がからむわけでございます。したがいまして、いろいろと両局で相談をいたしました結果、いま大規模と小規模とあるのでございますが、大規模草地改良につきまして、まず計画段階は両者の共管、協議の上進めていこうではないか。と申しますのは、大規模に相なればなるほど、道路が要るとかあるいは整地その他、非常に事業が大きくなってまいります。そこでその面は農地局のほうでやるほうがもちはもち屋である。しかしどこの地区にそういう大規模な草地をつくれば畜産として適地であるか、伸び得るか、失敗はないかという、いわば酪農経営部門の問題は、やはり畜産局で判断するほうが適当であろう。したがいまして、計画段階はそういう意味におきまして一応たてまえを畜産局に置き、両者の協議ということにいたしました。ただそれが終わりまして事業化する段階におきましては、農地局でやる。したがって予算も農地局に計上し、農地課系統で工事はやるというふうに整理をいたしました。小規模の草地改良事業は、現に牛を飼っております人が、その周辺の山に少し草を植えてみようというような、いわば地元増反的な分野でございます。かつそこにある畜産の実態と非常に密接に関係をいたし、かつ土木的にも簡単な牧道を一本つくるかつくらぬかというような事業が大部分でございますので、小規模は畜産局で在来どおりやる、こういうふうに整理をいたしまして、今年度から予算面でもそのような整理をいたし、運用面でもそういうふうに整理をいたしまして、実行することにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/17
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018・角屋堅次郎
○角屋委員 第二条の関係は区画整理その他にある程度改正がなされておりまして、これらの点についてもたださなければならぬかとも思いますけれども、時間の関係上次に進みます。第三条の、土地改良事業に参加する資格の点の第三条の第一項第一号、第二号の農用地関係、第三号、第四号農用地以外の土地の関係の資格要件について書いてありますが、これらの問題についてもまた別の機会にお尋ねするということにいたします。
次は第一章の二、土地改良長期計画、これが今度の土地改良法の一部改正では一つの大きな柱になっておる問題でありまして、第四条の二、第四条の三、第四条の四、この三条にわたって土地改良長期計画の考え方がうかがわれるわけであります。この土地改良の長期計画を立てるということについては、われわれが独自に示しておる構想の中でもこれを明らかにし、しかもこれは単に長期計画ばかりでなしに、年次的な実施計画というものを同時に明らかにする必要があるということを言っているわけでありますが、同時に重要な土地改良の長期計画を立てるという場合は、本案によりますれば「農政審議会の意見をきいて、政令で定めるところにより、」土地改良の長期計画を立てるのだと言っておるわけであります。しかもこれは最終的には閣議の決定を求めるという形になっておりますけれども、この問題の重要性から見ても、政府案でいくならば土地改良の独自の審議会と、われわれのほうからいくならば農地基盤整備等を含んで考えておりますが、独自の審議機関というものを当然考えていいのではないかというふうに思うわけです。問題は、この土地改良長期計画というものを立てる場合に、五年と言われ、あるいは十年と言われておりますけれども、大体何年ぐらいをめどにして土地改良の長期計画を立てるのか、しかも土地改良の長期計画は3のところで、「計画期間に係る農業生産の選択的拡大、農業の生産性の向上及び農業総生産の増大の見通し並びに農業経営の規模の拡大等農業構造の改善の方向に即し、かつ、国土資源の総合的な開発及び保全に資するように定めるものとする。」ということで、計画を立てるにあたっての考え方が出ておりますが、ここで農業構造改善の方向というものは、内容的にはどういうことを考えておるのか。いままでの審議の過程で、独自の審議会をつくるということをやめて、農政審議会の意見を聞いてというふうに変わっていった検討の経緯、これらの問題についてまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/18
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019・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、土地改良法も、究極的には農業を前進させていきます過程における一側面でございまして、したがってそれはそれなりに独走すべきものではないという立場を私どもとっておるわけでございます。と同時に、農地法等の問題についても、関連していろいろ検討を続けていくべき問題だと思います。したがいまして選択的拡大の問題も当然意識して、土地改良事業というものは行なうべきである。あらゆる角度から考えまして、土地改良の面からだけ見る審議会におはかりするよりは、基本法に基づきまして設置されており、全体的に日本農政に対して諮問に応ずる機関と相なっておりますところの農政審議会におはかりすることが、あらゆる分野の仕事の総合化という立場において適当であろう、こういろ判断に立ってこのように考えた次第でございます。農地法等も、今後かりに改正をいたすというような段階におきましては、当然農政審議会等の意見をも聞きまして、そういうものが一つの総合的な立場で判断され、御意見を承るという形に取り進めてまいりたいと思っておるのも、そういう考え方からでございます。
それから農業の構造の改善の方向ということをどう考えるかということと、時期をどのくらいに考えておるかという問題でございます。また後刻いろいろ御意見も出ると存じますが、土地改良事業が大規模になればなるほど、やはり相当の長期間を要しますので、かりに五年程度のことを考えますと、継続の事業でほとんど一ぱいの話に相なってしまいます。したがってできるだけ長いほうがよいわけでございます。またあまりに長くいたしますと、先の情勢というものも非常に想像という形にも相なりますので、私ども事務的な立場といたしましては、一応十年くらいを基準にこの土地改良計画は考えたい、かように考えている次第でございます。それから農業構造の問題をどう考えるか。これは本国会始まって以来、大臣に対しましても本委員会その他でいろいろと御質問もあり、御意見もあり、農林省といたしまして、農業構造を今後どの方向に持っていくかということにつきましては、真剣に考えざるを得ない問題でございます。またいろいろの角度から検討を続けておる段階でございます。一方御承知の所得倍増のアフターケアの作業なり検討等も並行いたしておるわけであります。そういう各方面におきます検討の成果、あるいは検討の過程というものを十分利用させていただき、人間の知恵の可能な限りにおいてそれを取り入れまして、この土地改良長期計画が、四条の二の三項の要請に沿ってでき上がりますように最大の努力を果たしたい、かように思っておる次第でございます。いまこの法律のこの条文だけで、農業構造の改善をきめるという性格のものではなかろうと思います。土地改良計画を立てる際に、いま申しました諸方面の検討と総合されてつくらるべきものである、そういう義務を本法が土地改良計画をつくるものに課しておるもの、こういうふうに理解をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/19
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020・角屋堅次郎
○角屋委員 土地改良長期計画というものを法文の中に入れてもらいたいという要請は、土地改良団体その他関係方面からも出ておりましたが、この点については予算の関係で、ずいぶん大蔵省の激しい抵抗があったというふうに承っておるわけです。それは別の問題といたしまして、問題は、この長期計画を立てるにあたった、三十六年以降十年間に実施しようとしておる所得倍増計画の中で、農家関係全体として一兆円のうちで、土地改良三千八百二億円、開拓千五百三十億円、干拓千百二十九億円、こういうふうに承知をしておるわけでありますけれども、所得倍増計画の再検討ということが経済企画庁長官等からも言われておって、いま土地改良の長期計画を立てるにあたっても、所得倍増計画の修正という問題と土地改良長期計画との関連、特にこの条項を入れるにあたっての大蔵省との話し合いの内容はどういう理解の上に立っておるのか、この辺のところをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/20
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021・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 所得倍増のいわゆるアフターケアの作業は、経済企画庁内部でフレームワークという——大ワクといいますか、一番基本的になる諸条件の検討が進行いたしておるわけであります。いままでの話し合いでは、この中間検討、いわゆるアフターケアのあとを受けまして、ことしから三十九年度を初年度として四十三年までの中期計画をつくったらどうかという線で、検討が続けられておるわけであります。したがって、四十三年まででございますので約五カ年、それから先ほど申しましたとおり、この土地改良長期計画は十年ぐらいを考えたい、かように考えておりますので、直ちには両者が一致するわけでもございませんが、しかし考え方としては、その中間作業におきましても長期、超長期の問題が予見として議論をされるはずでございます。そういうものを十分にする。それと並行いたしまして、また参酌いたしまして、この長期計画というものはつくらるべきものである、かように事務的には考えておる次第でございます。ただ中間経済計画の問題は、まだフレームワークの問題でございまして、具体化はまだそういたしておりません。
この長期計画をつくるときには、大蔵省との間でいろいろと問題があったようだが、実際はどうかということであります。実は私ども事務的にも土地改良の長期計画というものをつくるべきであるということはよくわかるわけでございますが、なかなかむずかしい問題であるので、事務的には私ども自身も相当ちゅうちょした面がないわけではなかったわけであります。しかしこういう長期的な事業をやるのに、ロング・ランの計画がないのはおかしいではないかというのも、まことにごもっともな御意見でございまして、非常にむずかしい仕事ではございますが、ベストを尽くして長期計画をつくろうという立場に農林省は踏み切ったわけであります。大蔵省との間では、これが長期的に予算を拘束するというようなことにつきましては、懸念もあったわけでございましょうし、また現在の予算は御承知のとおり単年度制をとっておるわけであります。そういう意味で長期計画そのものには必ずしも積極的な態度ではないわけでございますが、大蔵省との間の話の問題といたしましては、所得倍増のアフターケアが行なわれておる段階であるので、それとよく調和のあるものにつくってもらいたいということが、大蔵省の最も積極的な要望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/21
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022・角屋堅次郎
○角屋委員 この土地改良長期計画の内容としては、先ほど来出ておりますように、従来の「農地の改良、開発、保金及び集団化に関する事業」というのに草地が入りまして、「農用地の改良、開発、保全及び集団化に関する事業」、しかも飼料の問題から見て草地造成というものは、積極的に進めていかなければならぬ客観的情勢にもございまして、農業関係の基盤整備の中で今後非常に大きなウエートを占めてくる。それと農地関係の今後の推進。そうなりますと、池田総理みずから言っておるように、革命的施策ということばが言われておるように、土地改良の長期計画の考え方においても、従来の所得倍増計画の微々たる当初の予算のワク内で、この問題を考えるということで当然なければならないのじゃないかというふうに思うわけです。問題は、こういう土地改良長期計画を立てる場合に、いま局長からもお話が出て、農林省自身も若干ちゅうちょする点があったというおことばでありますが、要土地改良というものが、具体的に全国から地方の末端まで、どこまで実地に即したものが、今日見通されるのか、ことにこれから相当大きなウエートを持ってくる草地造成というものについての長期計画というものは、今日の時点でどこまで見通しの立ったものにし得るのか、こういう点が単なる土地改良長期計画をつくるという問題でなくて、具体的に地についた土地改良の長期計画、したがって地についたものになれば、年次計画というものもおのずからきめることができる。農地局の場合の要土地改良というものの調査を昨年来、この長期計画に見合って進めておるというふうに承っておりますけれども、どこまで地についたものが見通されるのか。
なお、二のところで「土地改良長期計画においては、省令で定める土地改良事業の種別ごとに、計画期間に係る土地改良事業の実施の目標及び事業量を定めるものとする。」この種別というのは承りますと、かんがい排水の基幹の整備、農用地造成、圃場整備、防災、大体この四つくらいに分けて考えようということでありますけれども、いずれにしても長期計画を立てるにあたってのいまの手持ちの資料というものが、どこまできめこまかいものになり得るのか、この辺のところを少し説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/22
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023・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 手持ちの資料といたしましては、要土地改良調査というものを昭和三十五年三月現在で三十七年までありまして、調査したものがございます。これはいわば技術的立場で水をかける必要がある、あるいは排水したらよくなる。そういう準技術的に土地に即しましての調査でございます。一方、かりにそういう土地があったといたしまして、結局農家がお使いになる土地でありますから、そこの農家の方々がそこで土地改良をやる気があるのかないのかという問題、いわば主体的な問題は、本調査には一つも入っておらないわけでございます。そこで非常にむずかしい課題ではございましたが、土地改良総合調査というのを三十八年から、この長期計画との関係もございまして始めておるわけでございます。これはどういう事業をやれば水がはけるか、いわば事業の種類及び事業の規模、それからそれを主体的にやりたいと考えるかどうかという主体的な意欲の問題を加味いたしまして、これを調査する必要がある、こういう調査をいたしまして、ようやく個票が農林省に集ってまいった段階でございます。この調査におきましては、県庁が地元のいろいろの意見も聞きながら、積み上げてきてまいっておるわけでございます。その地元の意見というものは、やはり現在の情勢下における判断しか実際問題としては出ないし、またそれ以上のことは無理もあろうかと思います。したがって先ほどお話のございましたように、今度は政策として草をもっとふやしたいというような立場から、これらのものの集計に対しまして、それを政策的意欲の上でよく検討して具体的なプランにするという作業が別途必要であろう、かように考えておるわけでございますが、何はともあれ、現在の段階では三十五年−三十七年の要土地改良調査、三十八及び九で行ないます補完調査、それから先ほど御指摘のとおり、四条の二の三項の立場の問題、この三つを使って長期計画を組み立ててまいる、そのための努力をいたさなければならない、かように考えております。資料といたしましては、いま申しました現在集計に入ります総合土地改良調査の資料を基幹的に使用いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/23
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024・角屋堅次郎
○角屋委員 いまの三十五年以降の調査並びに三十八年以降のさらに綿密な調査については、これは審議の過程で資料として出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/24
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025・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 三十五年調査はお出しできると思います。三十九年調査は三万数千に及ぶ個票が農林省にいま集まった段階でございます。機械集計にこれからかけなければならぬ段階でございますので、これはちょっと本委員会にはお出しかねるかと存じます。御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/25
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026・角屋堅次郎
○角屋委員 概略の概数というようなものはむずかしいですか、三十八年以降の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/26
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027・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 私どももそれを一ぺん集計をいたしてみまして、県間、つまり県の本調査に対する理解にいろいろと差異もあるのではないかという意味で、今後補完調査をいたしまして、バランスのあるものに修正したい。したがいまして単にそれを集めた総数というようなものについては、実は少し吟味をさしていただきたい。別に秘するわけではございませんが、良心的にそう考えておるわけでございます。御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/27
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028・角屋堅次郎
○角屋委員 土地改良長期計画というこの計画の中身で、土地改良事業の実施の目標及び事業量を明らかにするわけでありますけれども、どこまで具体的な内容になるように考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/28
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029・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 先ほど先生もおっしゃいましたように、圃場整備事業、かんがい排水の基幹の整備事業、防災事業、それから農用地の事業で、それにつきまして事業量を定めてまいりたい、それをさらに分解をいたしていきますと、今度は防災事業の中にも各種ございます。農用地におきましても、干拓もあれば開墾もある。あるいは草地も入るという意味でございますが、事業の執行に使います上には当然それをだんだんに分解していかなければ、十ぱ一からげの防災事業では十分に使用いたしかねる面もあるわけでございます。しかしこの法律による問題といたしましては、以上の四種別で整理をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/29
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030・角屋堅次郎
○角屋委員 第四条の四のところに「国は、土地改良長期計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講ずるものとする。」こういうことが書いてあるのですけれども、土地改良長期計画を定めるにあたって、第四条の二の第二項の点では、各種類別に必要な予算というものは当然これは含まれるわけでしょうか。そしてそうであるとすれば、それに基づいて当然年次的に実施してくる予算については、国の財政支出面は大蔵省でもそれはオーケーだという形に積極的な気持ちとして受けとめていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/30
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031・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 各種の立法に長期計画の規定がございます。と同時に、予算は御承知のとおり単年度に国会の御審議を得る。各種の長期計画がいわば継続費的に総額をきめてしまうという形はとっておりませんので、この長期計画でかりに十年なら十年の事業量には当然事業費も——事業量は事業費で表現される姿になると思いますが、これに対します国の補助の姿というようなものも、年々努力をし、改善をいたしておる過程もございます。それから単年度予算あるいは予算の国会審議の問題等もございます。それを拘束的に決定するということにはならないと思います。ただ、たとえば道路五カ年計画にいたしましても、港湾その他の計画にいたしましても、閣議等で論ぜられましたものは一種のモラル・オブリゲーションといいますか、尊重する計画として、その後における予算編成段階においては一つの前提に相なるという形で、他の長期計画と同様にこれを処理いたしたい。これだけが逆にいままでの長期計画と同様に、数年間の予算を直接拘束する形には考えておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/31
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032・角屋堅次郎
○角屋委員 冒頭に関連してお尋ねをしました長期計画を立てるにあたっての農業構造改善事業というものと、この長期計画の事業量との関係、さらに御承知の土地改良についての特殊立法が幾つかございます。特殊立法に基づく進行計画というものが立てられて推進されておるわけですけれども、これと土地改良長期計画との関連はどういうふうに理解したらいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/32
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033・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 まず構造改善事業との関係でございますが、これも今後の研究課題でございますが、構造改善事業では、具体的に村がきまり、その村が基盤整備としてどういうことをやるかということ、たとえば圃場整備をやるか、あるいは開拓といいますか、農用地造成をやるかは、村が御計画を立てるわけです。したがいまして、それをロングランで村を順番に指定いたしていくわけでございますから、それをあらかじめきめてしまうというわけにはちょっとまいらない。ただ日本国全体において土地改良を長期的にいかにやるかという全体の計画として考えますので、構造改善事業で行なわれますたとえば圃場整備は、ここで考えた圃場整備の内数としてこなされていく、こういうふうに考えるべきものではないかと私は考えておる次第でございます。
それから特殊立法は先生御存じのとおり、期限がそれぞれ定められておりまして、また期限が到達いたしました際に重ねて延長に相なるかどうか、先の問題でございますので、私どもは予断いたしかねるわけでございます。ここできめられました全国的な規模におきます長期計画を、地域にばらしていく場合におきましては、いまでもやっておるわけでございますが、特殊立法による事業量というものを当然尊重してばらしていく形になる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/33
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034・角屋堅次郎
○角屋委員 そうすると、こういうふうに理解していいのですか。非常に困難ではあるけれども、土地改良長期計画を定めるにあたっては、その内容の中に全国の構造改善事業の推進の中の基盤整備問題も含まれる、あるいは特殊立法における進行計画も含まれている、だからそれらの点については、従来の実施過程から見てそういうものの検討を荒筋やってみて、そしてより実地に即したものにしながら、土地改良の長期計画を立てる、こういうふうに理解をしていいですか。それとも、土地改良長期計画というものは、そういうことは内容には含まれてくるけれども、全体的なものとして立てて、実施過程においてそれぞれアロケーションしていく、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/34
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035・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 私、先生のお話ちょっとわかりかねるのですが、後者のように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/35
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036・角屋堅次郎
○角屋委員 本会議の関係もありますので、自余の質問は保留させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/36
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037・高見三郎
○高見委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時五十六分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03519640410/37
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