1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十四日(火曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武君 理事 赤路 友藏君
理事 足鹿 覺君 理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 加藤 精三君
吉川 久衛君 小枝 一雄君
笹山茂太郎君 舘林三喜男君
寺島隆太郎君 内藤 隆君
中山 榮一君 野原 正勝君
八田 貞義君 藤田 義光君
細田 吉藏君 松田 鐵藏君
石田 宥全君 角屋堅次郎君
東海林 稔君 中澤 茂一君
松浦 定義君 湯山 勇君
中村 時雄君 林 百郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
内閣法制局参事
官
(第一部長) 吉國 一郎君
法務事務官
(民事局長) 平賀 健太君
農林政務次官 丹羽 兵助君
農林事務官
(農政局長) 昌谷 孝君
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
農林事務官
(畜産局長) 桧垣徳太郎君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 宮崎 仁君
建設事務官
(河川局次長) 国宗 正義君
自治事務官
(財政局財政課
長) 岡田 純夫君
専 門 員 松任谷健太郎君
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四月十四日
委員宇野宗佑君、中山榮一君、楢崎弥之助君及
び西村関一君辞任につき、その補欠として田村
元君、八田貞義君、石田宥全君及び西宮弘君が
議長の指名で委員に選任された。
同日
委員田村元君、八田貞義君及び西宮弘君辞任に
つき、その補欠として宇野宗佑君、中山榮一君
及び西村関一君が議長の指名で委員に選任され
た。
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四月十日
森林基本法案(川俣清音君外十二名提出、衆法
第四〇号)
林業基本法案(稲富稜人君外一名提出、衆法第
四四号)
林業基本法案(内閣提出第一五一号)
同月十一日
新橋四丁目に場外馬券売場設置反対に関する請
願外二件(山口シヅエ君紹介)(第二四九八
号)
酪農経営安定対策に関する請願(原茂君紹介)
(第二四九九号)
同(小川平二君紹介)(第二五九九号)
同(唐澤俊樹君紹介)(第二六〇〇号)
同(増田甲子七君紹介)(第二六〇一号)
豚肉の安定基準価格改定等に関する請願(池田
清志君紹介)(第二五一八号)
乳価安定制度の改正に関する請願(池田清志君
紹介)(第二五一九号)
林業基本対策確立に関する請願(池田清志君紹
介)(第二五二〇号)
昭和三十八年度のり被害対策に関する請願(池
田清志君紹介)(第二五二一号)
ブロイラー企業振興に関する請願(有田喜一君
紹介)(第二六〇五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/1
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002・角屋堅次郎
○角屋委員 先週の金曜日、土地改良法の一部改正で農地局長のほうに、今度新設されることになりました土地改良長期計画、第四条の二、これらを中心にお尋ねをいたしたわけでありますが、大臣が少し時間よりおくれるということでありますので、審議の都合上、局長に、まず前段として、若干のことをお尋ねいたしたいと思います。農地局のほうから土地改良事業等に関する参考資料が配付されておりまして、ここに戦後の土地改良事業に対する国家投資額というものが出ておるわけであります。これは土地改良事業、それから開拓事業、干拓事業、外資導入事業、さらに災害復旧関係事業、こういうふうな五つに分けまして、昭和二十一年以来三十九年まで、三十九年は本年度の予算要求の額でありますが、国家投資額の概要が出ておるわけであります。これによりますと、概略土地改良事業関係で二千五百六十七億、開拓事業関係で千三百三億、干拓事業関係で七百七十七億、外資導入事業で四百十九億、災害復旧事業関係で二千七百七十六億、したがって、これを合計いたしますと、昭和二十一年から十九年間で七千八百四十三億円、大体こういうふうに相なろうかと思う。もっとも昭和二十一年当時と今日では物価状況がだいぶ違いますから、総合計で九千六百三十二億円と申しましても、実際には今日の物価、PWでスライドいたしますと、これに数倍する行政投資が行なわれた、こういうふうに言うことができるかと思うのであります。ただ、今後土地改良の長期計画というものを立てる場合に、もちろん、予算が十年間でどういうふうになるかという問題が、内容の一つの重要な項目になるわけでありますが、その場合には、一つのめどとして、昭和三十九年からさかのぼって十年間、その間のPWによる修正等をやって、一体どれだけ土地改良事業全体としていったかということを考えてみると、これから十年間にどれだけ要るであろうかという最低のめどというものが一応見渡される。もちろん、土地改良事業は、私ども党の主張からいくならば、農用地の造成ということで、今度草地造成が加えられたわけでありますけれども、それを含んで今後の畜産振興の立場から見ても、もっと重点的に、未墾地開拓の中で、草地造成というものを取り上げていかなければならぬ。本年度の草地造成の予算というものは、概略十七億程度だと思いまするけれども、これじゃいささかも今日の状態を克服することはできない。したがって、そういう新しい意欲的なウエートというものを加味しなければなりませんから、当然それだけではおさまらないのでありますけれども、いま申しました今後の土地改良長期計画を立てるにあたっては、もちろん、どういうところからどういう土地改良事業をやるのかというのがスタートでありますけれども、一応予算のめどとしては、昭和三十九年から過去十年間のPW修正による行政投資というものがどれだけ行なわれたかということを考えてみるのも、一つの案だと思いますが、そういう検討をされたことがあるかどうか、あるいはそういう検討をした場合どれだけの予算になるのか、これをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/2
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003・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 お答え申し上げます。
前会も御質問がございましたが、長期計画をどういう立場で立てるか。道路とか港湾というようなものと違いまして、やはり地元の農業と密着いたしました事業でございますので、やはり二十五年分要土地改良調査及び現在実行中の土地改良総合計画調査をもとにいたしまして、積み上げを行ないますと同時に、その積み上げを行なったものを意欲的に修正をする。そうして計画を立ててまいる。その際に、国の財政力その他を勘案いたしまして、計画として具体的に確定いたしてまいりたいと前会申し上げたわけでございます。それに含まれます問題といたしましては、意欲的に国の財政の中で土地改良投資の規模をどの程度に置くかという判断をいたします際には、先生御指摘のとおり、一つには、過去におきまして土地改良にどの程度を投下されたか、これを一つの有力な基礎にいたす所存でございます。と同時に、過去の二十九年、三十年当時よりも国民経済も相当伸びておりますので、必ずしも過去の投資実績にもこだわらず、今後の経済成長の伸びに応じまして、社会投資として土地改良投資はかくあるべきだという角度も加味いたしまして、国民経済の成長の伸びの角度からも考えてまいりたい、かように存ずるわけでございます。したがいまして、御指摘の過去におきます投資、これを集計いたし、物価をスライドいたしまして、現在時に直しまして、前向きの投資の規模を測定する有力な資料といたしたい、その点は御指摘の点もございますので、今後その作業を続けて、有力な資料にいたしたい、かように存じます。現在までのところ、まだそれはやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/3
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004・角屋堅次郎
○角屋委員 審議の参考になる一つの問題だと思いますので、これは三十九年から過去十年にさかのぼって今日の時点で計測をしてみて、これも項目別に五項目にできれば分けたほうがわかりやすいので、資料としてお出し願いたいと思います。
それから、いま農地局長からお話がありました要土地改良面積、これは昭和三十五年三月末現在で、種類別と地域別分布の実態を明らかにする目的で、県及び市町村の関係者は、技術的、経済的に妥当とする要土地改良の地区を報告して、全国的に集計したものが出ておるわけでありますが、これは全国的に地区数にして七万八千四百七十一、実面積で水田が二百十九万八千八百ヘクタール、畑が八十七万六千百ヘクタール、未墾地が十一万六千七百ヘクタール、計で三百十九万千六百ヘクタール、これが実面積のほうで、延べ面積では、水田が三百五十万六千三百ヘクタール、畑が百一万八千五百ヘクタール、未墾地が十一万六千三百ヘクタール、計で四百六十四万千百ヘクタール、こういうふうに出されておるわけですが、この実面積、延べ面積という区分けはどういう趣旨なのか、ちょっと理解しにくい点がありますのと、それからここでいう未墾地面積というのは、どういうものをいっているのか、この二点、数字的にこれで間違いないと思いますが、昭和三十五年度の要土地改良面積の調査内容について、若干御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/4
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005・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 まず、実面積と延べ面積の関係でございますが、この要土地改良は、たとえばこのたんぼはどの程度排水事業は要るかという角度から、排水事業の必要な面積として押える排水事業の要土地改良事業の調査、それから用水事業として水が要るか要らないかということの調査、したがいまして、一つのある地区のあるたんぼは排水だけやればいいという場合には、実面積が延べ面積ということで一と出ております。しかし、同じたんぼが排水も要る、用水も要るという場合は、ダブって二に計算されて出てまいっておる関係でございます。延べ面積とはそういう趣旨でございます。
それから未墾地の問題は、この調査では、要土地改良調査といたしまして、未墾地の調査というのは、既墾地に対する土地改良事業の一環として、開田もしくは開畑を行なうとすれば、それに相当する現況農地、田畑以外の土地がどれだけあるか、こういう意味の調査をあわせて調査したものが、この際未墾地として計上されておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/5
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006・角屋堅次郎
○角屋委員 この新しい法改正に伴います第二条第二項の土地改良事業という中で、七項目掲げられておるわけでありますが、この中で、今日採草放牧地の関係が本法に入りましたことにより、第二条第二項第三号が農用地造成ということになる。しかも、これはいま局長が述べた意味の未墾地の要土地改良事業の考え方よりも、もっと積極的な意図を持った農用地造成ということも含んでおるのでありまして、この第二条第二項の七項目を前提とした要土地改良の調査というものが、三十八年以降なされた農地局の土地改良総合計画調査要綱に定める調査というふうに理解していいのでございますか。この前もお聞きしたのですが、いま集計中で、いつごろまでに概況程度のものが明らかになるのですか、その点もあわせお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/6
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007・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 総合土地改良調査といたしまして前回御説明いたしました全国的な調査につきましては、個票が昨年の十二月の末に農政局に集まりまして、現在本省にこれを集めまして、機械集計にかける段取りに入っております。調査項目が非常に多岐にわたっておりまして、個票が数万枚にわたるものでありますので、スピードをかけておりますが、七月ごろにこの個票の整理を終えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/7
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008・角屋堅次郎
○角屋委員 新しく入りました採草放牧地、いわゆる草地造成の関係の事業分量をどの程度見込めるかという一つのめどの問題でありますが、これは所得倍増計画では大体五十万ヘクタールの草地造成、こういうめどだったと思いますが、さらに三十五年、三十六年、畜産局で調査した資料によりますれば、八十六万ヘクタール、その中で補助対象になるのが七十五万ヘクタール、こういうふうに数字としてふえておるかと思うのであります。これらの問題については、もっとやはり成長財といわれる畜産のえさの問題として、積極的な農用地造成という立場から、今後長期計画を立てるにあたっては検討する必要があるのではないか、こういうふうに思うわけですが、草地造成の問題についてのこれからのそういった調査対象の整備といいますか、そういう点はどういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/8
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009・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 まず、実務的なお話から申し上げますと、先ほど来再三申し上げております、三十八年度に始めました土地改良総合調査におきましては、農用地造成地区調査という一つの柱がございます。この農用地造成地区調査は、開墾、干拓のほかに、草地を別項目に取り上げまして、草地を造成するのに適性のある土地であって、県市町村等がここにある程度草地を造成したいという意思をすでに持っておる、そういう地区の物理的な調査をいま内容に含んでおります。それから先般来申し上げておりますとおり、そういう実態に応じます調査は、いわば実在としての調査であります。政策的にその調査をもとにいたしましてかくいたしたいという立場から、それをもう少しふやそうではないかという立場における判断を加えまして、長期計画を立てるべきではないか、かように考えております。そこで、いま先生御指摘のとおり、所得倍増等におきまして当初三十万、それから畜産の自給度向上の立場で五十万町歩ぐらいの草地を造成したいという整理を一ぺんいたしたことがございます。さらに、単純なる適地としてはどの程度あるかという調査は、畜産局で実行いたしたこともございます。私どもといたしましては、農用地造成地区調査の結果と、畜産の長期計画に即応いたします飼料自給度向上上必要な農用地の造成という角度から、長期計画作成にあたりましては、その農用地造成地区調査の上にそういう意味の政策的な意図を乗せました計画に組み立ててまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/9
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010・角屋堅次郎
○角屋委員 大臣がお見えになりましたので、大臣のほうに、総括的な点で数点お伺いをいたしたいと思います。
今度の土地改良法の一部改正は、戦後土地改良事業のいろんな変遷がありましたが、特に政府としては、農業基本法の制定に伴い、農業基本法実施の中における土地改良法の占めるべき役割り、したがって、土地改良事業の今後の性格というふうな観点等からいろいろ検討を加えられて、今回の土地改良法の一部改正を出され、数回国会の審議で流れましたけれども、本格的な審議は今次国会になってから始まるという段階に相なっているわけでありますが、この際、土地改良法の一部改正の根幹になります重要な問題についてお伺いをいたします。
まず第一は、いま申し上げましたような経過で、戦後の食糧増産の花形であった土地改良事業というものが、農業基本法の制定以降、また同時に、最近の農業事情なり食糧の需給の実態なり、いろんなことから、第一条の目的の改正におきましても、「この法律は、農用地の改良、開発、保全及び集団化に関する事業を適正かつ円滑に実施するために必要な事項を定めて、農業生産の基盤の整備及び開発を図り、もって農業の生産性の向上、農業総生産の増大、農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善に資することを目的とする。」いわゆる農業基本法の趣旨に合わして文章を書いたわけであります。したがって、旧来の第一条の「この法律は、農業経営を合理化し、農業生産力を発展させるため、農地の改良、開発、保全及び集団化を行い、食糧その他農産物の生産の維持増進に寄与することを目的とする。」というのから見ると、若干土地改良法の目的の性格というものに違いを見出すことができるかと思うのでありますが、問題は、やはり農業基盤の整備というのが前提でありますので、当然生産政策というものが土地改良の中で一つの大きな比重を占めている。この生産政策というものと、農業の構造改善という構造政策、これとどういうふうに調和さしていくかということが、今回の土地改良法の第一条の目的改正に伴う土地改良の推進にあたって留意すべきことだと思うのでありますが、この点、目的及び原則の改正において、今後の土地改良事業というものは、旧来とどういうふうに変えたというふうに理解しているのか、大臣からまず法改正のねらいについてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/10
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011・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いまお述べになったような意味におきまして土地改良法を改正することになったのでございますが、集約して申し上げればどういうことかということであります。いまお話しのように、農業基本法に沿うた土地改良法の改正でございます。でございますので、従来とも土地改良そのものが生産の増大に寄与してまいったのでございますけれども、その生産の拡大につきましてのねらいを重点的に考えた。すなわち、第一条にありますように、生産性の向上、それから農業総生産の増大、農業生産の選択的拡大、その方向に合わして基盤の整備をしていく、こういう趣旨でございますから、農業の近代化あるいは選択的拡大あるいは生産性の向上というようなことが、農業基本法に志向されておりますけれども、それを達成する一番根本はやはり基盤の整備だ、生産性の向上あるいは選択的拡大あるいは総生産の増大、こういうもののねらいに合わして基盤を整備していく、こういうところに法改正の目的あるいは趣旨がある、こういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/11
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012・角屋堅次郎
○角屋委員 第一条の法改正に伴って、土地改良事業の公共的性格というものはより強まったと理解していいのか。あるいは公共的性格というものが、もっと一般的な事業として土地改良を理解する、こういうふうに変化をしたのだと理解していいのか。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/12
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013・赤城宗徳
○赤城国務大臣 土地改良そのものが、農業者等の個人個人の生産の拡大とかあるいは生産性の向上にありますけれども、国から見まするならば、公共性を持っておることは当然でございます。でありますので、この改正の趣旨から申し上げても、従来よりは公共性は非常に強くなっておる、また強くしなくちゃならぬ、こういうふうな考え方からの改正になっておるというふうにも理解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/13
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014・角屋堅次郎
○角屋委員 第二条で、御承知の従来の農地に加えて、草地関係を本法の事業の中に入れる、したがってそれに伴って、第二条第二項の土地改良事業というのが七項目にわたってありますけれども、いずれも草地を加えた農用地関係におけるそれぞれの事業というふうに変わってまいりました。それを受けて立って、新しく、これは本法の改正の中では重要な項目でありますが、土地改良長期計画というものを、第一章の二、土地改良長期計画として、第四条の二、第四条の三、第四条の四の三条にわたって取り上げておるわけでありまして、これは本法改正の重要な柱になっておるわけであります。われわれもまた、土地改良事業については当然長期計画を立てなければならぬという観点から、社会党独自の構想というものを発表しておりますけれども、今度のこの第四条の二、三、四の土地改良長期計画の内容を見てまいりますと、大体これは前段でお聞きしました局長の答弁からいたしますと、十年間ということで計画を立てる、しかも土地改良の事業の種類別というのは、基幹のかん排、農用地造成、圃場整備、防災、おおむねこの四つに分けて、土地改良事業の目標及び事業量を定めるというふうに考えておるようでありますけれども、しかも「土地改良長期長期計画は、計画期間に係る農業生産の選択的拡大、農業の生産性の向上及び農業総生産の増大の見通し並びに農業経営の規模の拡大等農業構造の改善の方向に即し、かつ、国土資源の総合的な開発及び保全に資するように定めるものとする。」こういうふうに相なっておりますが、問題は、この土地改良長期計画を条項に入れるにあたって、独自の審議会を持つべきではないか、こういう意見も出ましたし、また、この長期計画という問題については、大蔵省では予算の関係において難色を示したというようなこともいわれておりまして、この条項を設けるまでの経過がいろいろあったやに承知をいたしております。なるほど農業基本法に基づいて農政審議会があるわけでありますけれども、土地改良長期計画と土地改良事業の推進の問題については、やはり独自の審議会をつくって、そして綿密な計画を立てられるというふうな考え方をとったほうが、今日の時点においてはいいのではないかという感じを、率直にいって私は持っているわけです。
御承知のとおり、昭和二十一年以降昭和三十九年——昭和三十九年については予算額でありますけれども、それを含んでの過去十九年間の国家の土地改良事業に対する投資額を農地局の資料によって見てまいりますと、土地改良事業関係で二千五百六十七億円、開拓事業関係で千三百三億円、干拓事業関係で七百七十七億円、外資導入事業で四百十九億円、災害復旧事業関係で二千七百七十七億円、これは概略でありますが、合計いたしまして十九年間に七千八百四十三億円、大体そういう金額になっておる。もっとも、これは物価が戦後相当に変動しておりまするから、先ほども局長に、三十九年からさかのぼって十年間の今日時点においてのPW修正を行なった場合に、土地改良事業にどれだけの予算を投資したことになるかということを参考資料として出すように申し上げたわけでありますが、ことしの予算の場合には、大体土地改良事業として、農地局の資料をそのまま合計いたしますと九百十七億円、しかし、農地局の予算書によりますと、農地局の公共事業関係は九百十九億円、こういうふうに相なっておりまして、農林関係のことしの三千三百六十億のうち、公共分が千三百二十八億という中の大宗を、農地局の公共関係で占めておる。それほど、農林省の行政といえば、予算の約三分の一近くのものは農地局の公共関係で占めておるというほど、重要な比重を占めておる問題として、しかもまた農地基盤の問題は、予算ばかりでなしに、それほど重要でありますから、農政審議会で総合的な検討をやるということは、もちろん否定はいたしませんけれども、長期計画の策定にあたっては、やはり独自の審議会を開いて、全体的な緻密な計画を立てて、計画的に遂行するという配慮が当然あってよかったのじゃないかという問題と、土地改良の長期計画というものを立てて、予算の問題についても明らかにするわけでありますけれども、この問題を明らかにしていく場合には、所得倍増計画の昭和三十六年以降十年間に農業に対する総投資額が一兆円、そういう予算の中で、土地改良事業に三千八百二億円、開拓に千五百三十億円、干拓に千百二十九億円、合計いたしまして六千四百六十一億円という、きわめて微々たる所得倍増計画における国の投資額ということであっては、これはやはり今後実施しようとする土地改良長期計画の予算とははるかに離れたものになります。したがって、こういう観点から見ても、所得倍増計画の内容修正というものが、当然これに関連して出てこなければならない。今後これらの土地改良長期計画を立てるにあたっての予算的問題、それと所得倍増計画の修正問題、これらの問題をどういうふうに進めようとするのか、お伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/14
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015・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話のように、長期計画を立てるにつきまして、総事業量あるいは所要経費の概数等を策定いたさなくてはなりません。大体目標としましては、局長からもお答えしましたように、四十年度から十年くらいの計画を立てたい。これはどこにはかるかという問題が一つございますけれども、農政審議会そのものが、農業基本法に基づいて設けられております審議会でございまするし、土地改良そのものが、やはり基本法に基づいての方向に相当変わってきておるという関係から見ましても、農政審議会にはかりまして、計画を四十年から樹立していきたい。農政審議会には、御承知のように専門調査員も相当おりますので、特に土地改良関係のものだけの人々の審議会ということも考えられないわけではございませんが、農政審議会におきまして総合的にはかって、予算のこれからの計画を立てていきたい、こう考えております。
もう一つは、所得倍増計画との関係はどうか。もちろん、所得倍増計画も農業基本法に深い関係があります。その農業基本法に沿うたような予算長期計画を立てていくということになりますから、当然所得倍増計画の内容に合致するような長期計画を立てなくてはなりません。ところが、所得倍増計画は、基盤の整備ばかりではございません。そのほかにおきましても、自立農家の育成の問題等、いろいろ中間において修正をしなくてはならぬ問題が相当ございます。中間検討もいたして、ある程度、あるいはどの程度になるか、変えていかなければならない段階でございます。でございますので、長期計画を立てるにつきましても、所得倍増計画の中間検討に基づいて、それとマッチして長期計画を立てていく、こういう腹づもりといいますか、そういう考え方で進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/15
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016・角屋堅次郎
○角屋委員 いま申しましたように、所得倍増計画の行政投資については、当然修正をしなければならぬ段階がくるのではないかと思いますので、その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/16
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017・赤城宗徳
○赤城国務大臣 アフターケアといわれております問題が、いま議題となっておるといいますか、検討のときに際会いたしております。でありますので、農業に対する財政投融資等につきましても、これは初めの計画を変えていかなければならぬ、こういうふうに私思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/17
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018・角屋堅次郎
○角屋委員 土地改良長期計画の中では、やはり今後の農業の基盤整備をどういう受けとめ方でやるかによって、長期計画の内容というものは違ってくると思うのです。生産政策を推進する立場からいっても、あるいは農業の構造改善を進める立場からいっても、やはり農用地造成というものを非常に大きなウエートの中にとらえていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
要土地改良の面積がどれだけあるかということを、従来の調査に基づいて、局長にもお伺いしておりましたけれども、もちろん、既耕地の土地改良事業、これは非常に重要であります。同時に、未懇地の農用地造成、これを特に新しく草地造成の問題を本法に加えた立場から申しましても、また今後畜産政策を推進する立場から申しましても、やはり土地改良長期計画を立てるにあたっての受けとめ方をどういう姿勢でやるか、これが非常に重要だと思うのです、従来草地造成についていうならば、所得倍増計画ではせいぜい五十万ヘクタール、畜産局で三十五年、三十六年に調査したところでは、八十六万ヘクタールのうちで補助対象になるのはおそらく七十五万ヘクタール程度であろう、こういうふうな数字等も出ておるわけでありますけれども、未墾地のうちで農地に振り向く部面、草地に振り向く部面を含めて、農用地の造成について積極的なかまえ、その姿勢の上に立った土地改良長期計画というものを立てるつもりで、これを考えておられるかどうかということについてお伺いしておきたいと思います。
なぜかならば、従来の生産政策的な色彩から、さらに農業の構造改善的な性格も含めて目的の修正を行なうということになりますれば、やはり既耕地を中心にした土地改良事業だけでは構造政策に合致していかない、どうしても農用地の造成というものを積極的に取り上げていかないと、全体として構造政策の目的を達成することはできないというふうに思うわけでありまして、土地改良長期計画を立てるにあたっての受けとめ方、推進の基本的なかまえということについてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/18
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019・赤城宗徳
○赤城国務大臣 もちろん、お話のように、従来は、農地の改良、開発ということでありましたが、今度は農用地ということにいたしまして、草地の改良、開発等を加えたわけでございます。特に農業基本法の選択的拡大と合致せしめるためには、草地の造成というようなことも大いに力を入れなくてはならない、こういうふうに考えておるのでありますから、お話のような方向に強く持っていきたい。と同時に、この改良でもう一つは、やはり圃場の整備といいますか、集団化といいますか、既耕地等につきましても、こういうことが構造改善の一つの進め方でございますので、構造改善に沿うて、草地の造成あるいは集団化というようなことに特に力を入れていこうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/19
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020・角屋堅次郎
○角屋委員 この土地改良長期計画の第四条の四のところに、「国は、土地改良長期計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講ずるものとする。」こういう、いわば非常に弱いというのか、とにかく長期計画を立てて、予算の事業量のめどまで立つのだけれども、年次計画をどうするのかということが一つの重要な問題になるわけでありますが、ここらあたりのところがやはり適当な程度になっておるというと、せっかくの長期計画を立てても、実際の推進の進捗度というものが必ずしも思うとおりにいかないので、ことに今日開放経済下の体制の中で、ここ数年の農業の関係におけるところの諸施策というものが非常に重要なポイントになるという段階でありますから、土地改良の長期計画というものと、毎年実施していく年次計画との結びつきというものをどういうふうに理解をしておられるのか、第四条の四との関連において、この条項はその意味では私は弱いと思うのでありますけれども、お考えを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/20
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021・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御承知のとおり、長期計画を立てた場合には、閣議の決定を求めまして、その概要を公表しなければならない、こういうことでございますので、その年その年の予算というものは、大体長期計画の年次割りというような形に相なろうかと思います。そういう意味におきまして、その年次割りとあまりほど遠いものであっては困る、それでは不当なわけでございます。閣議にかけた長期計画に基づいてのその年々の計画でございますから、あまり離れておるということは当を得ていない、こう考えますので、できるだけ年次割りにマッチしたもので予算をつけるといいますか、要求するといいますか、そういう形にすることが至当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/21
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022・角屋堅次郎
○角屋委員 第二章の土地改良事業の計画についても、それなりにいろいろ関係条項の修正が行なわれているわけですが、土地改良法においては、土地改良事業の施行は、申し上げるまでもなく、土地改良区の行なう土地改良事業、それから国または都道府県の行なう土地改良事業、農業協同組合等の行なう土地改良事業または数人が共同して行なう土地改良事業、市町村の行なう土地改良事業、こういうふうに分かれているわけでありまして、これら四つの区分がされておりますが、その区分の条項に基づいて、いわゆる国営、県営あるいは団体営という形で土地改良事業が施行されているわけです。従来の土地改良事業の実施の経過を見ますと、いわゆる国営、県営、団体営の一貫的施行ということがよく言われておりますけれども、会計検査院の指摘にもあるように、国営、県営、団体営の関連した地域の土地改良事業の推進にあたっても、跛行傾向というものが顕著にあらわれている。同時に、土地改良事業の実際の推進の年限というものを見てまいりますと、跛行に加えて、国営の場合でも県営の場合でも団体営の場合でも、いわゆる当初考えたよりも相当年月を要している。ことに国営、県営、団体営等に関連をしてなされているような地域においては、そういう跛行の状態あるいは年月の相当に延びるというふうな点から、負担の問題その他土地改良事業の推進に重大な支障が、やはり各地域に出てくる。土地改良の不振問題等も、必ずしもそういうことと無関係ではない問題を要因として持っている。こういうことでありまして、先ほどの長期計画あるいは年次的な施行という問題とも関連いたしますけれども、この際、やはり戦後の土地改良事業というものを総清算してみて、そうして欠陥と問題点を明らかにして、今後やはり土地改良事業の計画的な推進という立場から見ました場合には、これは国営、県営、団体営を通じての事業推進のあり方というものを根本的に検討する必要があるのではないか。私どもの観点から言うならば、土地改良事業というのは、非常に重要な農業政策上の柱であるから、重要な基幹事業については、国営、県営でやるべきである、末端の仕事を団体営として担当させるべきではないか。そういうことでやはり計画的な推進、計画的な推進のためには、予算の問題についても、継続的な予算使用ということまで配慮したらいいのではないかとさえ考えるわけでありまして、従来の国営、県営、団体営等の運営の実績から見て、この法改正を通じてどう改善しようとするのか、そういう基本的な考え方についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/22
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023・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 大臣のお答えの前に、一言私からお答え申し上げます。
御指摘のとおり、県営、国営、団体営の跛行の問題が会計検査院等からも指摘されまして、かつ、各方面からいろいろ御批判をいただいているわけであります。根本的には、国、県営を通ずる一つの共同の事業のやり方、たとえば愛知用水公団でやりましたようなやり方も、大いに検討に値する問題でございますし、総合土地改良事業として、そういう方式のものを一部の地区で試験的にやっておりますが、基本的には、国営と県営と団体営等に分けて施行しているのが現状でございます。ことに県営がおくれておるという問題につきましては、私どもその後の検討の結果といたしまして、国営付帯県営という制度をつくる必要があるということで、三十七年からこの制度を始めました。そして三十七年には初めてでございますので、一地区でございますが、三十八年に四地区、三十九年に七地区という形で、逐次累増をいたしてまいりまして、国営に関連する県営事業は、一般県営事業のワクの外でバランスをとって採択をし、実行をするという形に改めまして、会計検査院にも三十六年の時点での御調査でございますが、三十八年末の時点ではこのように改善されておりますという形の資料を提出いたした次第でございます。このような方法をとりまして、かつ、団体営等につきましては、県庁に再三の注意をいたしまして、関連する団体営を優先的にとってこれを処理するようにということで、現在処理をいたしておるわけでございます。
一応大臣の御答弁の前に、一つだけ申し上げさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/23
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024・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話しのとおり、国営、県営、団体営が一貫して進み、また一貫して完了するということでなければ、所期の目的は私は達し得られないと思います。そういう面におきまして、この三つの間にアンバランスがあったということについては、私どもも重大な関心を持ちまして、会計検査院の指摘のあるなしにかかわらず、関心を持ちまして、付帯県営というような制度も開いたわけでございます。率直に申し上げますと、今度の改正等におきましても、先ほど申し上げましたように、集団化あるいは区画整理、区画整理による集団化、こういうところまで完了しませんければ、大きな用水、排水だけの問題では、土地の基盤の整備という目的が達し得られないと思います。そういう面におきまして、換地処分が集団化まで、末端まで一貫して行なえるようにしなければいけないと私は思います。現在そこまでまだいっておりませんが、国営、県営、団体営の密接な関連をもちまして、末端工事まで完了するような指導あるいはその他助成等によって、バランスをとれるようにいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/24
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025・角屋堅次郎
○角屋委員 いまの局長、大臣の一般的な答弁だけでは、この問題はやはり済ませない実態にあると私は思うのです。長いのになれば、二十年近くもとにかく土地改良事業でかかっておるデータもあるようでありまして、現実にいままでの状況からいきましても、国営で十五年、あるいは県営で十四年とか、あるいは団体営で三、四年とかいうふうな過去のいろいろな数字も出ておるようでありまして、国営、県営、団体営の総合的一貫施行の問題は、やはり真剣に取り上げて、土地改良事業の施行も総花的でなしに、やはり短期に実効をあげるようにということで、長期計画ができる段階になれば、ことにそういう配慮でやっていかなければならぬ。しかし、いままでにも現実に継続事業が相当事業の中に織り込まれてやられておるわけですから、これをやはり見のがすわけにいきませんし、そういうものと調和をとりながら、いかに重点的にかつ効率的に長期計画に基づく計画的な推進の路線に乗せていくかということが、非常に重要な段階にきておる。ことに先ほど局長も指摘されたように、国営、県営、団体営の一貫的施行の場合には、特に地方財政のこともからむかもしれませんけれども、県営の跛行状態が非常に目立っておる、こういうことだと思うのです。県営が跛行状態であれば、団体営を積極的にやりたいと思っても、なかなか中間の県営が進まないとできない。あるいは積極的にやって県営とつながらないために、団体営は相当進んだけれども、実効をあげられないという例は、われわれは各所に見ることができるわけでありまして、こういう点は、単なることばとしての国営、県営、団体営の一貫施行だけでは済まない。これは、土地改良事業計画というものを国営、県営、団体営においても立てるわけでありますが、その立てるにあたって、同じ地域における他の事業との関連施行をどうするかというふうなことも、一つの重要な要件の中に加えてやっていくという配慮がなければならぬのではないか。いまの土地改良法、改正になったのもそうでありますけれども、国営は国営で土地改良事業計画というものを立てて、県営、団体営も同様であります。その場合に、その地域における相互関連というものの中で、いかに総合的に結びつけながら一貫施行をやっていくかという条項を、それぞれの土地改良事業計画の中で必要な条項の中に加えて、そういう推進については国並びに地方自治団体も責任を持って遂行する、そういう考え方を中心にしないと、単にことばだけでは一貫施行はできないのではないか、私はこう思うのでありますが、そういう点についてひとつ答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/25
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026・赤城宗徳
○赤城国務大臣 確かにことばだけで一貫施行はできないわけでございます。そういう意味から、たとえば国営の地区採択という場合にも、相当採択の以前に調査をいたしておるわけであります。その調査の際には、県営としてはどの程度やれる、またどういうふうにやっていったらいいか、あるいは団体営の場合にはどれくらいのものがやられるべきであるか、総合的に団体営までの調査をした上で、国営なら国営の採択をする、最近そういうふうに調査を進めておるわけでございます。でありますので、御趣旨のような線を考えながら、国営なり県営なりを採択する、こういうような形でおりますので、そういう欠陥を補っていきたい。なおさらに一そう今度の場合には一貫性に重点を置きまして調査を進める、その結果、採択をしていく、こういう方針で進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/26
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027・角屋堅次郎
○角屋委員 土地改良法と農地法との関係の問題について、簡単にお伺いしておきたいのですが、農地法の場合、第三章のところに「未墾地等の買収及び売渡」として、第四十四条には未墾地の買収の対象以下関係条項がずっとありますが、農用地の造成というものを推進する場合に、第三章の「未墾地等の買収及び売渡」で考えるべき部面と、土地改良法で推進をしていく部面と、いずれを中心に考えていくのか、私は、積極的に農用地の造成というものを行なう場合には、土地改良法の条項に基づいてやっていくだけでは、なかなか長期計画に基づく目的の達成は至難ではないかという感じを持っております。御承知の土地改良法に基づく土地改良事業の推進の場合には、該当地区の関係者の三分の二の同意とか、ことに農用地の造成の場合には、いわゆる農用地外資格者の全員の同意というものが、計画の樹立の段階でも計画変更の段階でも、土地改良事業の推進過程で常に一つの前提になっておるわけです。そういう形で全員の同意をとりながら、しかも関係者の三分の二以上の同意を求めてやっていくという、いわゆる民主的といいますか、下からの意向に基づく土地改良事業推進だけで、国が意欲的に掲げる長期計画の推進というものが十分にいくだろうかどうかという問題は、私はあろうと思う。戦後のいわゆる自作農創設特別措置法当時の緊急開拓政策の考え方というものは、今日の時点でとらないといたしましても、しかし、その反省の上に立った別の観点から、やはり農地法の今後の改正等も検討されておるようでありますけれども、農用地の造成問題というものについて、土地改良法に基づく農用地造成事業の推進と同時に、農地法に基づく未墾地等の買収及び売り渡しに伴う農用地造成問題、これはやはりうまく調和運営をして推進していかないと、長期計画の達成という問題が前向きに推進をされないのじゃないかという感じを率直に言って持っておるわけです。これらの問題についての考え方についてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/27
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028・赤城宗徳
○赤城国務大臣 長期計画を立てる場合に、これは道路でも土地改良でもそうでございますが、未墾地の買収といいますか、施行地域に入れるという場合等につきまして、農地法及び土地改良法における考え方が少し違います。土地改良法においては、あっせんするとか、あるいは全員の同意を得るというようなことになっております。私は、公共性を持っておりますから、ある程度は強制的なもののほうが当を得ているというか、そうでないと、なかなか事業は進まぬというふうに考えますけれども、現在の段階におきまして、価格の問題や、また同意を得られないために、県営やあるいは団体等におきまして、せっかく予算をつけても、仕事がなかなか進まぬという事例もたくさんありまして、そういうような関係で、いまのところは、できるだけ所有者の同意を得てやっていくということに土地改良法では規定されておりますけれども、いまの農地法との関係等につきまして、なお考慮すべき問題があろうかと思います。この点につきましては、調整をとりながら、よく検討を進めて慎重に対処していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/28
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029・角屋堅次郎
○角屋委員 農地法の問題に触れたこの機会に、これは土地改良事業の推進のためにも、農地法の問題が今後の情勢に即応してどうあるべきかということは、やはり重要な検討の問題でありますが、大臣は、今後の農地法の受けとめ方についても、省にも検討を命じられておるようでありますけれども、どういうふうにされようという考え方なのか、少しく関連がありますので、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/29
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030・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私は、この土地改良等によって、農業用の経営地を集団化あるいは増大していくというようなこともあり得ると思いますが、一般的に農地法等におきましても、経営面積等を広げていくということがねらいでございます。でございますので、三十七年でしたか、そういう面で、あるいは経営面積の上限を撤回させる、あるいはまた共同化のための法人を認めるとか、あるいは信託制度を認めるとかいうようなことをいたしましたけれども、そういう改正をいたしましても、まだ時日もあまりたっておらぬというせいもございますが、あまり成績があがっておりません。でありますので、やはりある程度の経営面積を持っていませんと、なかなか容易でございませんから、農地を流動化するのにどういうふうにしたらいいのか、その所有権だけの流動化で、あるいは資金の貸し付け等によって買い入れて農地を拡大していくとか、こういう所有権の問題もございますけれども、賃貸借の問題で経営面積を拡大していくという方法がなかろうか。たとえば兼業農家等が共同経営をする、あるいはまたその人が賃貸借の形で農地を貸し付ける、一言で言えば、流動化の問題で、こういうことができないだろうか。しかし、これにつきましては、小作料の問題とか、あるいは賃貸借契約の耕作権の問題と所有権の問題等がございます。なかなか複雑でございます。そういう面で、私どもといたしましても、流動化をもっと推進して経営面積等を広げられるような、あるいは集団化できるような形を、農地法の面からも考えてみられないものだろうか、こういう点で検討を命じておるのがおもなる点でございます。同時に、経営面積を広げる場合に、先ほど申し上げたように、個人としての広げ方ということもございますが、共同化によって経営面積を広げるというような面もある場合必要だと思います。そういう意味におきましては、せっかく生産法人の規定を設けて改正いたしたのでございますけれども、その要件等につきまして利害相反するような形のために、十分目的を達するような進み方をいたしておりません。そういう観点から、共同化促進のための生産法人の要件等についての改正も必要ではなかろうか、あるいはまた農地法ばかりでなく、農地制度そのものにつきましても、なお検討する根本的な問題があろうかと思います。この方向は別にどうということをいま考えておりませんが、そういう点から農地の問題に再検討といいますか、よく検討してみる時期にきておる、こういう考えを持っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/30
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031・角屋堅次郎
○角屋委員 土地改良事業の早期達成のために、特定土地改良工事特別会計をつくって特定土地改良工事を実施するということが、昭和三十二年来やられておるわけでありまして、この法案の審議の過程では、特定土地改良工事については七カ年で達成するということで考えるのである、こう言っておったわけでありますが、私の地域にも特定土地改良工事がいま進められておりますけれども、現実にはやはり一、二年おくれるであろうという段階になっておりまして、他の地域の状況を見ましても、やはりそういう状況が出ておるようであります。これは、土地改良事業の特に国営の部面の早期達成ということで、非常に注目を浴びて出てきた肝心の特定土地改良工事の関係が、こういう状態ではいけないと思うのでありまして、やはり当初政府が法案審議にあたって公約したように推進をしていく、同時に、この種工事をやはり積極的に取り上げていくということが、今後の計画的な推進のいわば促進剤になるのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、これらの問題についてどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/31
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032・赤城宗徳
○赤城国務大臣 事務当局から御説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/32
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033・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 特定土地特別会計で財投融資を受けまして、少しでも早く事業を完成しようという試みが三十二年から行なわれておるわけでございます。御指摘のとおり、この事業は七年でぜひともあげたいということで最大の努力をいたしておるわけでございますが、現状においては、平均的に申しまして、若干おくれております。特定の地域等につきましては手をつけたのでございますが、地元とのトラブル等がありまして、着工はいたしたけれども、事業ができない。その結果、実際問題として、七年間で完成しない、こういう形に相なっておる事例もございますが、極力これによって早期完了をはかりたい、こういう立場に立ちまして、この事業による分をなるべく取り込んでまいりたいという姿勢で、毎年予算交渉をやっております。そしてことしも二本、前年も一本と記憶いたしますが、毎年その事業費が非常に大きくて、かつ、ほかの事業等と共同でやる必要のある事業、こういうものは、極力この特別会計事業に振りかえまして、事業の促進をはかるということで、昨年来そういう考え方でこの事業の取り込みをはかっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/33
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034・角屋堅次郎
○角屋委員 今度の土地改良法の一部改正で関係の農民の方々が期待をしたのは、今回の改正を通じて国営土地改良事業の農民負担、あるいは県営土地改良事業の関係の農民負担、あるいは団体営に対する補助、こういうものを今日の農業、農家経済の実態から見て、前進させてもらいたい、こういうことがやはり一つの重要な要件であったと思うのであります。現実に、これは長年の歴史的経過もあるから、今日複雑になっておるのかもしれませんけれども、土地改良事業における種別、規模とその補助率というものを見てまいりますと、実に数十に分かれまして、補助率が複雑になっておるわけであります。われわれは、国営については、基幹工事は国が全額国庫負担をすべきである、県営、団体営も、この際八割近く国がめんどうを見て、あとの二割については、土地改良の特別会計等をつくって借り入れをさせながら、実際に事業の効果が出てくるのと見合って、所要の農民負担をとっていく、こういうふうにして、やはり土地改良に対する農民負担の問題も、事業が完了の翌年からとっていくという形じゃなしに、同時に事業効果の進展と見合って、負担能力に応じた適正な負担をとっていく、こういう形で、土地改良の農民負担の問題については、全体としても非常に複雑になっていますから、もっと合理化し、わかりやすくし、そしてまた、根本的には農民負担を軽減する、こういう立場で考えるべきじゃないか。今日非常に複雑になっておるわけで、たとえば構造改善事業における土地基盤整備、それと土地改良事業におけるところの農民負担の問題、あるいは開拓パイロット事業として行なう草地造成、いわゆる一般的な草地造成との負担の違いの問題、いろいろ考えてみると、そういう土地改良事業で総括的には同じように把握さるべきものの中で、事業別、種類別によってもいろいろ負担の程度が違ってくる、こういう矛盾が現実に生じてきておるわけでありまして、農業金融の問題についてもずいぶん本委員会でも議論され、いろいろ問題も指摘されましたけれども、しかし、長期低利というふうな観点から、種類別その他については簡素化して、もっと農民にわかりやすい条件に持っていったらどうかという考え方それ自身は、私は妥当であったと思うのでありますが、この際、非常に重要な基盤整備の事業である土地改良事業についても、もっと農民負担を軽減する立場から、やはり非常に複雑な内容になっておるこの問題について、根本的な検討を行なって、すみやかに補助率等についての適正な修正を行なうべきじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、この点、大臣のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/34
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035・赤城宗徳
○赤城国務大臣 補助率等につきましては、十分検討を加えてまいってきておりますけれども、なかなか地元の個人個人の負担が容易でないというような情勢も出てきております。今度の改正等によりましても、地元の負担分を市町村で持つというようなふうにも変えましたり、あるいはまた従来も国営等につきましては、事業の完了後に農民に負担をかけるといいますか、出してもらうというようなこと、あるいは県営等につきましても、融資の面等を相当考えてきております。しかし、全体として土地改良は、土地改良をしてすぐに効果があがりません。やはり五年とか六年とかたってから効果があがりますので、農民にとってなかなかつらい面もあろうかと思います。いままでも十分考えたのでございますけれども、なお一そうそういう面につきまして検討をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/35
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036・角屋堅次郎
○角屋委員 この際、自治省に、大臣の答弁とも関連しておりますので、お伺いしたいのでありますが、今回の法改正に伴いまして、第九十条の国営土地改良事業の負担金の第五項、第六項並びに第九十一条の都道府県営土地改良事業の分担金等の第二項、第三項、これで市町村に負担させることができる条項を設けたわけであります。この点については、農林省と自治省との折衝経過の中でも、いろいろと議論が出たやに聞いておるわけであります。同時に、今日の地方財政の状況等から見て、やはり適正な措置をやらないと、地方財政に大きなしわ寄せをもたらすという問題も考えられてまいるわけでありますが、もっとも、また半面、土地改良事業の推進にあたって、単に農業者ばかりではなしに、農業者以外にも土地改良事業による事業の効果を受ける、利益を受けるということは、湛水排除なりその他各種の問題の中にも出てまいりまして、したがって、そういう点については、それらの者からも費用を負担させることができる条項が、新しく加わるということにも相なっておるわけでありますが、その問題はまた別の問題としてお伺いすることにいたしましても、いわゆる市町村財政というものと、今回の土地改良事業におけるところの国営、県営の負担金を市町村が受け持つという問題等を、自治省としてどう理解をして、これはよろしいということになったのであるか、お伺いをいたしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/36
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037・岡田純夫
○岡田説明員 土地改良事業法の一部改正につきまして、ただいまおっしゃいました点につきましても、農林省のほうからお話がありまして、私どもとしても、いろいろ市町村等の財政事情の立場から意見を申し上げまして、最終的には、農業行政全般を強く推進するという面から賛成いたしました。今回の交付税法の改正にあたりましても、基準財政需要の算定規模につきましては、市町村分の農業行政費等につきまして、また広く府県分の農業構造改善事業の補助金の算入等につきましても、従来よりも拡大をいたしまして、そういう面から、いわば総合的な農業行政上の財源措置、包括的な措置という意味におきまして措置いたしております。また、農業行政費の基準財政需要を極力伸ばしました以外に、投資的経費につきまして、その他の基準財政需要の算定の際、これは包括算入と申しておりますけれども、その面におきましても、従来に比較いたしまして、面積分、人口分等を通じまして格段の措置をいたしておりますので、十分こたえていけるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/37
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038・角屋堅次郎
○角屋委員 この問題は、時間の関係もありますので、深く触れることはできませんが、いずれにしても、これは一つの新しい条項としてふえたわけでありまして、しかも、そういうこととも関連すると思いますが、国営、県営の土地改良事業を推進するにあたって、国営の場合には、農林大臣は都道府県知事に、さらに都道府県知事は関係市町村長に、あるいは都道府県の行なう土地改良事業の場合には、関係市町村長といろいろ協議をするというような条項も設けたわけであります。これは現実の推進過程としては当然必要なことだと思いますけれども、財政負担の問題については、さらに湛水排除とかいろいろな問題の具体的な項目に入ってお伺いしなければなりませんけれども、時間の関係上、この機会はとりあえずとどめておきたいと思います。
この機会にさらにお伺いしたいのは、第九十条の二の特別徴収金という新しい条項ができた問題であります。これは会計検査院等からも指摘された点等も勘案をして、特別徴収金という第九十条の二の新設をされたわけでありますが、この九十条の二は、干拓地についてのみ特別徴収金の制度を設けたのであって、土地改良事業の他の国営、県営、団体営等を通じての問題については、特に明記されていない。干拓地についてのみ特別徴収金制度を設けたという理由について、どう受けとめたらいいか。現実に土地改良事業の相当規模なものを推進する過程で、これは愛知用水でもそうでありますけれども、当初三万数千町歩の受益地ということで発足したのが、現実には今日では一万町歩近く受益地が減ってしまっておる。したがって、あとに残っておる農民負担というものの増高を来たすというようなことも、いろいろ問題を起こすわけでありますけれども、そういう場合に、実際に住宅その他に転用して、いわゆる当初の目的以外のところに転用していくという問題について、大きな負担を伴う土地改良事業推進にあたって、これをどう受けとめ、また適正に処理すべきかというのは、今後土地改良事業を計画的に推進するにあたっての、一つの重要な考慮すべき問題かと思うのであります。今回九十条の二によって、特別徴収金ということで、干拓地についてこの制度を適用するということを考えておるわけでありますけれども、この問題は、やはりそれぞれの事業の性格に応じて、もう少し総合的に検討すべき内容を含んでいるのではないか、こういうふうに思うわけであります。この条項に関連をいたしまして、第四十二条のところに、権利義務の承継及び決済という条項が、この条項と若干関連した意味を持つかと思いますが、この条項とも関連をして、従来の、特別徴収金制度をもうけるにあたっての検討の経緯と考え方について、ひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/38
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039・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 私から初めに。
九十条の二で、特別徴収金を干拓地についてだけ取るようにいたしました問題でございます。これは、農業をやるからということで、非常に安い負担金で干拓地に人を入れましたところ、その干拓地が工場用地に相なるというために、それが一般市価で売られまして、不当に高い利益をもうけておることが問題であるということで、会計検査院等の御指摘がございました。そこで、この九十条の二を設けまして、その場合には、かかった事業費の限度内におきまして一定の額を特別徴収して、不当の差益を国に戻すという立場での制度でございます。
なぜ干拓地にだけ限定いたしたかという問題でございますが、実はかん排事業で水が引かれた、その水は農業をやります場合には非常に有益であるけれども、単純に宅地になる、特に水道等が発達しておりまして、単純に宅地になるというような場合には、その新しく手に入れる人の利益も発生いたしませんし、干拓地のように無から有で、水の中から土地が新しく創設されまして、それが市場価値を持つという問題と、全く質が異なるという角度で、ともかく干拓地の問題を解決しよう、こういう立場からの整備でございます。考え方によりますと、かん排事業でも、それをみんな特別徴収金で農民から取れということも考え得るわけでございますが、それは穏当を欠くという立場から、本件は干拓地に限定いたした次第であります。
それから第二段の、かん排事業等で農業用に水を引っぱる、あるいは愛知用水地区でございますか、それがどんどん転用される、残った方が建設費の負担を割り掛けられるのではないかということに関連いたしまして、四十二条の解釈をどうするかという御質問でございます。私どもも、だいぶ世の中の事情が変化いたしてまいりまして、国営、県営事業の受益地等におきまして、転用の趨勢が相当大きい、したがいまして、四十二条の決済で、その問題を解決しろという趣旨の指導をいたしておるわけでございます。四十二条の「必要な決済」というものは、ある事業が行なわれあるいは行なわれた、あるいは行なわれつつあるという場合に、その建設費を農民がそれぞれの土地で負担を受けておる、その農民が土地を売っ払って土地改良区の組合員でなくなってしまうというときには、必要な決済としてその負担金を払ってもらう。その負担金は、あるいは買った人間のほうに転嫁するかもしれませんが、その決済として本件を処理して、残った人が不当に建設費の負担金をかぶる形にならないように、そういうふうに指導いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/39
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040・角屋堅次郎
○角屋委員 大臣が御用があるようでありますから、午前の質問はこの程度に保留さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/40
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041・高見三郎
○高見委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時十七分休憩
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午後二時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/41
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042・高見三郎
○高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小枝一雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/42
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043・小枝一雄
○小枝委員 私は、大臣に、いま土地改良の上から考えて一番大事な問題と考えられる二、三の点についてお尋ねをし、大臣の御所見を伺いたいと思います。
まず、最近における土地改良事業の趨勢と申しますか、最初の食糧増産から、今日では食糧増産でなしに、ほんとうに農家の幸福を念願をし、農家の所得を増大する、あるいは農家の労働力を省力していく、そういう方面に主たる重点が置かれておると思うのであります。しかしながら、今日の情勢から考えますと、食糧問題決してこれは軽視することはできない。そこで、食糧という問題から考えまするならば、少なくともわが国の状況といたしまして、また今後の問題といたしましては、あくまでいわゆる自給政策を強くとっていかなければならぬ、こう思うのであります。そういう見地から考えて、今日特に考えなければならぬ問題は、だいぶわが国の土地改良事業も進んできております。そうして採択基準におきましても、以前は団体営も二百町歩以上というようなことにあったのですが、御承知のごとく、昭和二十八年以降でありますか、二十町歩程度までこれを引き下げてきておる。これは団体営でありますが、だんだんと大きい区域が済んで、小さい区域に及びつつある。そういうときに、いま考えてみますと、二十町歩ではさらにできない。もう一つ採択基準を下げて、団体営等もさらにこれを十町歩にする、あるいは五町歩にするという必要が私は生じてきておると思うのであります。これをやらなければ、今日わが国の土地改良の事業という点から考えましても、いま大きな農政問題としては、所得の格差を縮めていくということが一つの柱であります。もう一つの重要な問題は、地域格差を解消するということであります。農山村、ことに山間部に及びますと、採択基準を小さくしなければ、とうていその目的を達するわけにはいかない、こういう事情があるのであります。こういう点について、農林省においても、大蔵省と、かつて採択基準を引き下げることについていろいろ骨を折っておられたということも聞いておる。私どももまた、いろいろ国会においてあるいは党といたしまして、そういう問題に努力して、採択基準を引き下げて、そうしてだんだんと及ばない不幸な土地に対してこれを均てんする政策をとらなければならぬということで、努力をいたしてまいったのであります。そういう問題について、大臣は、この土地改良法を改正するにあたって、法律の上ではそういう問題はあらわれてはおりませんが、今後採択基準をでき得る限り引き下げて、そうして恵まれない、今日残っておる地帯に対して、十分な国の制度の恩恵に浴させようという方針をお持ちになっておるのかどうか、そういう点について大臣の御所見を伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/43
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044・赤城宗徳
○赤城国務大臣 原則としては、土地改良の地区というものは、広ければ広いほどいいと私は思います。しかし、実際に土地改良を施行してみますと、国営、県営、ことに団体営等におきまして、地区内の人々の同意を得にくい、あるいは負担の問題等もありまして、なかなか地区の広いところでやり得ない面も現実には出てきております。そういう面におきまして、御趣旨のような小団地でも土地改良がなされることは好ましいと思います。ただ、補助の対象として、狭いところまで広げていくかということにつきましては、なかなか問題があろうかと思います。これはなお一そう検討してみなければ、いま結論を申し上げるわけにはいかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/44
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045・小枝一雄
○小枝委員 ただいま大臣の御答弁、一応私どもも御答弁の趣旨はわかるのでありますが、要するに、こういう問題はなかなか一つの盲点になっておりますから、ややともするとおくれがちになる、忘れられがちになる問題だと思う。そこで、大きいところがだんだん済んでいく。わが国の土地改良事業の大体半分くらい済んでおるのじゃなかろうか。半分よりもう少し済んでおると思いますが、だんだんこういう制度の恩恵の及んでいない地域に対して、これをやるということをしませんと、ますます地域格差は増大してくる、こういう心配もありますので、これは特に御留意を願って、政府といたしまして御考慮を願いたい問題だと考えます。
それから、私がこの際特に考えていただきたいと思いますことは、維持管理の問題であります。維持管理の問題も、今度の制度の改正によって、相当緩和されるものと私は期待をいたしております。しかし、いままでの土地改良の原則から申しまして、一応の施設はやるが、あとの維持管理はすべて農家自信の負担である、あるいは農業団体自身の負担であるという原則に立っておったのですが、今後の農業経営というのはなかなか容易でありません。農業基本法におきましても、相当農業保護の考え方は出ております。したがって、今回の土地改良法の改正も、農業基本法下においてふさわしい土地改良法の改正でなければならぬと思う。そういう観点から申しますと、さらにこれは維持管理についても、でき得る限り国なり地方自治体がこれらに対して救いの手を伸べる、あたたかい手を伸べるということでないと、この土地改良事業は、一応仕事はやりましても、これをりっぱに経営をして有終の美をなす、効果を十分発揚するということが、なかなか困難であろうかと思うのでありますが、この法律の改正についても、ある程度その点については考えられておると思うのですが、今後どういうお考えでおられるかということを一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/45
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046・赤城宗徳
○赤城国務大臣 せっかく工事の完了した地区の維持管理等がおろそかになるために、再び土地改良をしなくちゃならぬというような地帯も従来出てきております。そういう面で御承知のように、湛水防除というような制度なとも開きまして、新たに二度目の土地改良という面などの道も開きました。あるいはまた今般の改正におきまして、維持管理等の申し出がありますならば、市町村が維持管理の衝に当たるというような道も開いたわけであります。どうしても維持管理はおろそかになりがちでありますので、維持管理等におきまして十分やっていけるような指導といいますか、そういう方面になお力を加えていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/46
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047・小枝一雄
○小枝委員 今回の土地改良法の改正は、この法律の条文における改正ということも非常に大事であります。これはむろん法律の改正でありますから、これに重点が置かれるべきだと思うのでありますが、もう一つ考えなければならぬ問題がある。
それは、今後わが国の農業を農家が経営していきます上におきまして一番大きい問題といたしましては、何といいましても、営農の問題だと思うのであります。今後開放経済下におきまして、日本の農業というものも、やはり保護政策はあくまで行なわなければならぬのですが、この開放経済下における経済の実態に沿う方向に、わが国の農業も将来進んでいくということは明らかだろうと思うのであります。そういう意味におきまして、どうしても経済の実態に沿う農業の経営ということは、これは避けられない情勢だと思います。そこで、あくまでそういう意味において、営農の上におきましても十分な考慮を払わなければならぬ。土地改良を行なうにおきましても、ただ採択基準ばかりではいけない。補助率のアップだけでもいけない。今後農家が農業を経営する上におきまして重要な問題をすべて考えてやらなければならぬ。そういう意味において一番大事な問題は、土地改良をする上におきまして、あるいは圃場整備をする、あるいは耕地を改良していくというような点からも、十分その点に留意をいたしまして、たとえば農道をつけるといたしましても、今後は農業機械化の上において、将来ほかの産業とでき得る限り競争する意味におきまして、あるいはこの経済の最も効果を発揚するという農業経営の方向から考えて、農業機械化をいたしますにつきましても、最高度の農業機械化ということを考えた営農方針を立てるべきであり、また構造改善等においても、これはまず第一の問題として考えなければならぬ問題だと思う。土地改良を行なうにあたって、そういう問題についても十分な配慮を加え、そうして農道をつくるといたしますと、将来いかなるりっぱな農業機械が入りましても、その運搬には差しつかえない、十分な効果を発揮できる——機械の変わったものが出てくれば農道から変えてかからなければならぬというようなことのないように、いまからそういう深い考えのもとに、この土地改良事業というものをやっておく必要があると思うのであります。そういうことに対して十分な御用意をお持ちであるかどうか、あるいは政令をつくられる上において、あるいはそういう一つの指導をせられる考え方においていろいろな御用意があるかどうか、そういう点についてもひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/47
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048・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ごもっともな御意見でございます。たとえば農道にいたしましても、機械化に適するようにしなければなりませんし、また区画をきめる場合におきましても、機械が入るという前提のもとでやるとすれば、いままでのような小さい区画では十分機械の効率を発揮できない、こういうことになりますし、すべて営農の変化といいますか、あるいは近代化、あるいは畜産化というような傾向、そういう土地に適し、あるいは営農に沿うたような土地改良を進めていかなくちゃならぬということは、御説のとおりでございます。そういう意味におきまして土地改良が認可され、あるいは始まる前のいろいろな調査等もございますが、その調査等におきましては、十分変わりつつあるところの農業の関係、それに沿うた営農の関係、地域的な配慮等を十分調査を進めていく、こういうふうにいままでもいたしておりますが、なお一そうその点は注意して調査等を進めていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/48
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049・小枝一雄
○小枝委員 私は、ただいま申し述べましたような、いろいろ土地改良法に関連する盲点でありますとか、あるいはそれに付随するところのいろいろな問題について、ややもすると忘れがちな諸問題について、少し御質問申し上げたいと考えたのですが、次の質問者も来られたようでありますから、この程度で終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/49
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050・高見三郎
○高見委員長 石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/50
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051・石田宥全
○石田(宥)委員 ただいま先輩の小枝さんからいろいろ御質問があり、また角屋君から、政府の出されております資料並びに専門委員室から出されておりまする参考資料に基づいての質問が行なわれておりますので、私は、まず最初に大臣に対して、総合的な問題についてお伺いを申し上げ、大臣の時間の都合もあるそうでございますから、残余の問題は、局長その他各省の関係官に御質問を申し上げたいと思います。
最初に伺いたいのでありますが、土地改良事業は、いま小枝さんがお話しになりましたとおり、非常に重要な意義のある事業でございますが、最近のような農業情勢のもとでは、従来のような考え方では、また今回行なわれます改正のような状態では、事業を行ない得ないのではないかということを実は心配をするのであります。それは御承知のように、専業農家が漸次減少してまいりましたし、兼業農家も第二種兼業が圧倒的に多くなる、そういう状態の中で、相当な金額の負担をしてまで土地改良事業をやらなければならないという熱意を持つ農民が漸次減少をしておるわけです。出かせぎや日雇いに生計を依存する人たちは、土地改良事業に対してほとんど熱意を失っておる。こういう情勢の中で、いままでどおりのような態勢では、せっかく法改正をやられていろいろ予算措置等が行なわれても、事実上土地改良事業というものは行ない得なくなるのではないかということを心配するのであります。農林大臣も農村のことについてはずいぶんお詳しいわけでありますが、総合的な御意見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/51
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052・赤城宗徳
○赤城国務大臣 確かに、兼業、特に第二種兼業等に入っております農家にとりましては、土地改良の熱意が非常に薄れてきていると思います。しかし、土地改良は一つの構造改善の仕事であり、さらに言えば、農家の体質改善の仕事でありますから、何としても土地基盤の整備が先決だと思います。そういう意味におきまして、今度の法案にもありますように、長期計画等を立てて日本の農用地の改良を推し進めていきたい、こう思います。
そこで、いまのように第二種兼業等のために熱意を失っている、それは認めますけれども、やはり土地改良というのは一つの共同事業でございます。いわゆる共同化の一つだと思います。そういう意味におきましては、先ほども話が出ましたが、営農といいますか、第二種兼業あるいは第一種兼業等の人が仕事の上でも共同化ができる。そういう意味においては、その土地も一つの土地改良という共同事業の中に入ってもらって、自分の土地が共同化に適するような形に持っていけるというふうに指導いたしまして、熱意を失っている人々も、土地改良に復帰するといいますか、協力してやっていこうという態度になるように進めていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/52
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053・石田宥全
○石田(宥)委員 その点は農政全般の問題でございますから、そういう姿勢でなければ行ない得ないと思いますけれども、従来とってまいりました池田内閣の姿勢では、なかなかそれは期待できないのではないかと考えるわけでございます。
そこで、参考に承りたいのでありますが、全国で農業の所得だけで家計費がまかない得る農家の数は一体どれくらいでございましょうか。たとえば新潟県では、二十一万戸の中で一二%、二万五千戸くらいしか農業所得によって家計費をまかない得る農家はない。全国的にはどの程度あるのか、こういう点が私は非常に重要だと思うので、農政局長に承りたい。
あわせて農地局長にお伺いしたいのでありますが、最近の土地改良費というものは、それぞれの規模や事業の性質によりますけれども、大体反当たりどれくらいの工事費で事業が行なわれておるかということを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/53
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054・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 土地改良事業が反当どのくらいの事業費で行なわれておるかという御質問でございますが、土地改良事業にはいろいろの種類がありまして、まず一番は圃場整備、これは御承知のとおり、水を農家に直結いたします圃場を整備する事業でございますが、これが地区によって非常に差がございます。高いものは反当十万をこすものもございますが、大体五、六万が中心ではなかろうか、かように圃場整備事業については考えております。それから開拓と申しますか、未墾地を切り開きまして、これを樹園地にするとか、あるいは草地にいたしますケースにつきましては、これも階段工等をつくりまして、樹園地をつくるもの、これは相当多額、二十万をこすものもあろうかと思いますが、これまた大体五、六万が中心のように考えております。かん排事業に相なりますと、御承知のとおり、水源を遠くに求めます場合あるいは近くから求めます場合等で非常に差がございますが、やはり十万円を前後するものが中心であろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/54
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055・昌谷孝
○昌谷政府委員 農業所得で家計費をおおむねまかなっております農家という御趣旨でございますが、これは基準の取り方と申しますか、そういう意味でなかなか一がいに判断しにくい問題だと思います。私ども一般的に考えておりますのは、おおむね家計費がまかなえます階層ということになりますと、たとえばせんだっての動向報告で出しました数字等を考慮に入れますと、全国の中で農業所得がたとえば六十万以上というようなことになりますれば、全農家の中で一割ないし二割程度というようなことにもなります。また観点を変えてみますれば、別の指標もとれるかと思いますが、一応ごく常識的に申しまして、そういうことかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/55
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056・石田宥全
○石田(宥)委員 まあ、そんなところだろうと思うのですが、そういうことになりますと、農業収入だけで生計をまかない得る者というのが、新潟県のような単作地帯、しかも面積の多いところで一二%ぐらいですから、全国的に見れば、やはりそう違わないものが出る、こう思う。そういたしますと、大体農業所得だけでおおむね生計をまかない得るような農家というものが、一二、三%くらいしか見込めないのではないか。その他の兼業農家、大体農業外収入が中心になるようないわゆる第二種兼業といわれるものが圧倒的に多いのですが、そういう人たちは、土地改良事業というものに全く熱意を失っていると言っても私は言い過ぎではないと思うのです。御案内のように、現に私どもの阿賀大規模用水の工事が着工されましたけれども、私は、これは今日まで推進役をやってきたのですけれども、現在の段階であくまでこれをやり切り得るかどうか、自信を持てなくなってきた。そうなると、これは私の地元だけの問題でなくて、やはり全国的な問題だと思うのです。あわせて工場用地への転用であるとか、宅地への転用というような問題が出てまいりますと、今後の土地改良事業というものは、なかなか従来のような考えではやれないと判断せざるを得ないように私は考える。大臣の所見はさっき承ったからよろしいのですけれども、そういうつもりでこれから取り組んでもらわないとやれないと思いますから、申し述べておきます。
次に、大臣は時間がないそうでありますから、重要な点だけを申し上げておきたいと思うのですが、従来の、と言いましても、池田内閣になりましてからの農政の基本的な方向というものは、生産性の向上に片寄り過ぎておったのではないか。生産性の向上に急であって、経済性というものが往々にして無視されておる。私は、これは農政を担当される大臣が大いに真剣に考えてもらわなければならない問題だと思うのです。それは予算委員会のときにもちょっと申し上げたのでありますけれども、たとえば機械化の問題などでずいぶん農林省も力を注いでおられるようでありますが、機械化のためにどんなに農民が困っておるかということは、自動耕うん機は百五十台入っておる。一台平均二十万円として、これは膨大な数字になるわけです。ところが、多くの学者の一致する意見として、自動耕うん機はおおよそ八〇%はロスだと言っておる。たとえば一町歩に対しては一馬力ぐらいのものが適当なんだけれども、能率があがらないし、かっこうが悪いし、それから深耕ができないので、平均すると大体五馬力くらいを使っておる。一馬力でいいところへ五馬力使う。そこへもってきて、農業団体がもろ売らんかな主義で、一町歩しかつくってない者にも二十万円の自動耕うん機を売りつけるようなことを現にやっておるわけですね。そうすると、一台二十万円で買って、ロスが八〇%とすると、ロスだけで二千四百億ということになるんですね。ことしの全農林予算が三千五百五十数億ですが、そのうち食管特別会計繰り入れの一千二十六億を差し引いた農林予算の全額に匹敵する機械のロスが農民の負担になっておるわけです。かてて加えて、ことしは四十五億の無利子融資というものもおつくりになったわけでありますが、そのちの三十九億何がしというものは、こまかい数字を申し上げませんけれども、これが機械導入のための予算になっておるわけです。一体農林省は、農民を貧乏にするためにいろいろの政策をやっているように私には思えてならないのです。これは私は大臣によく検討をしてもらわなければならない思うのですが、それはこういう関係があるのではないか。たとえば従来の農機具メーカーというものは、おおよそ中小企業であった。ところがこのごろは、大メーカーがしかもアメリカ資本と結託をして進出をしてきておる。たとえば小松製作所というのは、アメリカのインタナショナル・ハーベスターという会社と連携をとって始めておる。川崎航空なども同じ会社と提携をしてやっておる。三菱日本重工はイギリスのマッセイ・ファーガソンという会社と提携をしてやっているというふうに、大メーカーが農機具の業界に進出をしてきておる。それとタイアップするがごとくに、三十九億もの無利子融資をつくって、これは四十五億になるわけですが、その中で機械の導入は三十九億何がしになりますけれども、そういうふうに農民に機械を押しつけることばかり考えておる。なるほど見た目では生産性は向上するけれども、経済性というものは全く無視されておる。こういう点について、農林大臣もしろうとじゃないのですから、農業を機械屋の食いものにだけさせるようなことに賛成されるはずはないと思うのですけれども、これは私は日本の農政の大きな一つの盲点ではないかと考えるのですが、農林大臣の御所見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/56
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057・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御説のとおり、私は農業機械屋の手先になるようなつもりはございませんけれども、農業における機械というものが、ほかの一般の機械と比べまして、償却費がかかるといいますか、これは農業の本質から見ていたし方ないといいますか、当然のように思います。たとえば工業等において機械を使えば、年じゅうその機械を操作できますけれども、いま農業において機械を使うということにいたしましても、耕うん機ならば一年のうちに二十日も使えばもうそれであとは用なし、その間寝かしておるのでございますから、その償却をするということが非常にむずかしい。同じ機械を使っても、ほかの工場の機械なら、三百日でも使ってそれによって生産を上げたりしますから、いまの経済性というおことばでいいますならば、経済性が非常にあるわけでございますけれども、農業においては、機械を使いましてもその機械を使っただけ、他の産業において使うようによくいかないという本質を持っておるわけでございます。しかしながら、やはり農民といえども人間でございますから、重労働で一生終わらなければならぬというのはみじめな姿でございます。やはり機械によって重労働から解放される、こういうことは必要だと思います。汽車ができているのに、わらじばきで歩くというわけにまいりませんで、やはり機械を使うということは、どうしてもそういう趨勢であり、必然的だと思います。ただ、機械を使う場合に、その機械が一年のうち何日かしか使えないものといたしましても、機械の使いいいような基盤をつくっていかなくちゃならぬ、こういう意味におきまして、私は、土地改良といいますか、機械化に対しましても、先ほどからも話がございますように、農道にいたしましても、あるいは土地の集団化にいたしましても、あるいは水田地帯の乾田化にいたしましても、そういうことによって、機械を使っただけの、使えば使っただけより効果があがるような基盤をつくっていく、こういう意味におきまして、私は土地改良なども非常に進めておるわけでございます。お話に出ました改良資金の四十五億のうち、三十九億が機械導入資金で、機械屋のもっこ持ちをするんじゃないかというお話がありましたが、いま事務当局の調べによりますと、改良資金は新技術の導入で、機械に充てられるのはまずない、大型機械の運転費用に無利子の改良資金を貸し出す、そういう場合はある、こういうようなことを言っておりますが、それはいずれといたしましても、農業から収益が上がらないような人が多いのであります。その多い人が機械を使えば使うだけ、機械化貧乏ということばもありますように、そういう貧乏のほうに食い込む傾向があろうと思います。とはいうものの、やはり近代化作業を進めるという意味におきまして、機械屋のもっこ持ちでないような、何かアメリカと組んでいる機械をわざわざ高い金で買って入れさせるということは私はいたしたくないと思いますが、正当に機械を使っていく、また機械を使うのに使いいいような基盤にしていく、それで少なくとも機械を使っていった場合のロスといいますか、いまロスの話が出ましたが、ロスを少なくするということにはなお一そう留意していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/57
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058・石田宥全
○石田(宥)委員 大臣、ことばを返すようで悪いですけれども、これは局長、技術導入資金が三十九億四千五百万円となっているのですね、予算書では。技術導入ということで、農村の青年に技術を覚えさせると、むちゃくらやに使いたがるのですね。そして買いたがるのです。そこへ機械屋がまた売り込みにいくものだから、結果においてはやはりその機械屋の手先みたいなかっこうになるんじゃないか、こう心配をしておるのですよ。基本的には、時期的にも、ほかの産業と違って稼働日数が非常に少ないものでありますから、それだけにいろいろな保護政策もありますけれども、それだけじゃなくて、この問題についてはやはり共同化をする。共同化と簡単に言うと誤解を生みますけれども、機械の共同利用や共同所有というような体制に対する指導が足らないのではないか。ただ機械化さえすれば生産性が上がるということで、従来はあまりそれに片寄り過ぎた。やはり生産性を上げることも必要だけれども、経済性を考慮しないものではだめなんだということをあわせて指導をしないと、いまのような間違った方向にいくおそれがあるということを言っておるので、そこでそれを防止するには、やはり共同所有の形態や共同利用の形態というふうに、何らかの形における共同の方向になぜもっと強く指導をなさらぬかということを私は言いたいのです。この点については、どうも農林省のほうの姿勢が、そういう合理的な経済性を考慮した指導が行なわれていないように考えられるのですが、ここらあたりで、必ずしも予算措置だけではございませんから、ひとつ慎重に考えていろいろな点で手を打ってもらいたい。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/58
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059・赤城宗徳
○赤城国務大臣 よくわかりました。お話しの点、私もそれを考えています。ことに先ほどから話が出ました、兼業農家のような耕作地の少ないものが機械を個人個人で入れるということになりますと、時間的にも、また費用の点においても、相当かかるわけであります。でございますから、よく耕作などにつきまして、共同で機械を買っておってそれでやるという例があります。こういう点は進めていきたいと思います。また大型機械等におきましては、特にそういう形でいきませんと、機械の償却費がかさんで、せっかく機械を入れても、赤字になるといいますか、困るような面があろうと思います。いま行なっておりまする農薬の共同防除なども、まだ費用の点でも十分だとは思いません。しかし、これも共同化の一つとして、共同で薬剤を使って害虫等の防除をいたしております。そういう点は進めていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/59
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060・石田宥全
○石田(宥)委員 大臣、忙しければなんですけれども、もう少し聞いておっていただきたい。それは、農政局長に伺いたいのですが、最近の構造改善事業ですが、どうも悪口ばかり言って悪いようだけれども、水田関係ではどこでもライス・センターを置いていますね。ライス・センターというものはすでに試験済みなので、私は、こういう公の場ではないけれども、前の振興局が担当しておった当時に、課長に対して強く警告を発しておったのでありますけれども、ライス・センターというものは、かつて新農村建設のときにやりまして、どこでも非常に困り抜いておるわけです。たとえば私、二、三調べたのですが、私の地元に一つある。私は反対したのですが、できたのですね。これは相当な予算で、国から百七十一万五千円の補助金が出るということで飛びついたわけですが、施設全体で六百三十五万何がしかかっておるわけです。とここが、最近の年々の収支じりを見ると、三十五年が四十一万七千円の赤字、三十六年が七十九万四千円の赤字、三十七年が五十七万九千円の赤字、三十八年が四十三万五千円の赤字になっております。それと同じ時分に、いま新潟市になっておりますけれども、新潟市の石山地区というところに、これは七百万円以上の施設で、国の補助が二百数十万あったわけですが、これも年々七、八十万円の赤字が出ております。それはずっと前の話です。ところが、今度全国でパイロット地区の第一号というのが私の県にできた。このパイロット地区第一号のいわゆる頸城村のライス・センターは、昨年のものはどうしても地元で出してこないのですが、一昨年の収支じりを見ると、百三万七千円の赤字が出ておるわけです。一つのライス・センターで年々百万円以上も赤字が出れば、これはたいへんなことですよ。そうなるおそれがあるから、ライス・センターなどについては十分注意をしなさいよということを私はくどく言ってあった。私は経験しておるから……。ところが、依然としてやはりこれは直っておらない。これは土地改良と関連があるから、私は尋ねるのですが、全国的にもライス・センターはほとんど赤字だということを聞いておるのですが、局長は、一体黒字になっておるような運営が行なわれておるところがあったらお聞かせを願いたいし、それから、どこもかもこういうふうに赤字が出るというのは、どこに大きな原因があるとお考えになっておるか、承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/60
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061・昌谷孝
○昌谷政府委員 ライス・センターと一口に申しますが、いろいろ大きなところと小さなところがあると思います。新農村の時代に、農村の要請で入ったもの、あるいは早場米の時期を調整する意味で、自主的にお入れになったもの、それから今度の構造改善事業でお入れになったもの、いろいろあると思いますが、設置された農協で一番悩みとしておられる点は二つあろうと思います。一つは、そのライス・センターの規模相応の事業量の確保がなかなかむずかしい。と申しますのは、天候等の都合によって、天候が悪いときには非常に需要がふえるわけでございますが、ある程度天気なり、在来の方式で乾燥が間に合うときには出てこない。そういう意味で、計画的な利用が、なかなか利用計画の面で個々の農家との間にできてこない。それからもう一つは、ああいった比較的大きな施設でございますから、連続的に使うことが経済性を増す意味で非常に必要なことでございますが、現在までの習慣と申しますか、食糧の買い入れの検査のやり方とも関連をいたしましょうし、また、農家の共同体制とも関連すると思いますが、個々の農家ごとに口数を区分をして、一軒の農家の分が終わると、そこを一区切りつけて、次の農家の分に移る。ほんとうの意味のまとまったものをその機械の能率相応に連続して運転ができない。これがやはり設置された農協の悩みの一つだと思います。それからもう一点は、これは利用料金の問題だと思います。第一点とも関連をいたしますが、現状から言えば、利用料金をもう少し上げなければ無理だと思われますような場合でも、やはり農家の労働力不足なり、早期供出なりの必要とのかね合いで、利用料金の適当なところへ設定することについて、なかなか利用者各位の御協力が得にくい。そんなようなことが、従来までライス・センターを設置されました農協なり市町村で、比較的共通して言われる悩みであろうかと思うのであります。もう一つ、前には、そういったもので乾燥仕上げをする前提としての品種の統一の問題でありますとか、あるいは熟期の計画性、つまり、栽培段階からの計画性を織り込んでおきませんと、最終的段階の機械をいきなり入れて、その乾燥施設の必要から、農家のほうのそういう品種統一なり、栽培管理なりのやり方をだんだん改めていただくというやり方もあろうと思いますけれども、その辺の調整がなかなかつけにくい。したがって、稼働率と申しますか、その施設としての稼働が十分にいかない。そのようなことが比較的共通の現状での悩みだろうと思います。私どももその点十分考慮いたしまして、そういった条件の整わないところに無理に大きな機械を入れるというようなことのないように、十分指導上気をつげてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/61
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062・石田宥全
○石田(宥)委員 その点は大蔵省の方も聞いておいていただきたいのですが、たとえば頸城のパイロット地区で、いま申し上げた一年百万円以上もの赤字の出るライス・センターに対して、九百二十八万五千円という補助金が出ておりますね。九百万円以上も補助金を出して、あとで農民を苦しめるようなことをやっているわけです。いま農民はてんやわんやです。そこで、大きな問題——これは実は役人の問題ではないのですがね。たとえば頸城のライス・センターも、県の事務当局でも、これは危険ですよと指摘しているわけです。ところが、政治家が強引にやらす、こういうのです。私はあとでこういう問題はいろいろ指摘しますけれども、官僚では権限的にも限界があるということだろうと思う。事務的に自信のないものをやらすということはどうかと思うのです。こういう点について、農民というよりは、むしろ農業団体の代表、その地方の政治家などは、補助金や助成金さえよけいもらえばよいという観念があって、補助金をよけいもらってやった人をえらい人のような錯覚を起こしているけれども、結果においては農民を苦しめている。いつになったらペイするか、ほとんど見通しがつかない。新農村建設時代からこういう状態だから、これはなかなか不可能ではないかと思うのです。いま農政局長が言われたようなことも私どももよく調べておって、大体納得ができるのです。この点は、大蔵省あたりも、政治家からやいのやいの言われるだろうけれども、見通しのつかないものに金を出してはならぬと私は考えている。結果において農民を苦しめることになりますよ。
それから、ライス・センターの問題で一番大きな問題は、土地改良との関係だと私は思うのです。いまの構造改善事業の予算が大体一億一千万円くらい、多いのは二億幾らで、いろいろありますけれども、そのうちで、土地改良事業というものは四〇%という一定のワクがあった。いまは若干考慮されているようだけれども、そうすると、頸城、それからその前の石山地区でもそうですけれども、大体一つのライス・センターに百五十町歩くらいが適当な面積だという標準ができているわけです。ところが、この構造改善事業の予算のワクの中では、せいぜい八十町歩か九十町歩しかできない。さっき農地局長が言われたような事業との割合いから見ると、結局そういうところへ落ちついてしまうわけです。そうすると、土地改良事業が八十町歩か九十町歩しかできないのに、百五十町歩を当てにしたライス・センターをつくるというところに問題があるではないか。だから、これはライス・センターだけの問題ではない。大型トラクターの場合でも、そのほかいろいろな施設をする場合に、往々にしてこういう誤りをおかしてきているのです。ですから、そういう関係は、さっき私が指摘したように、生産性オンリーで、経済性というものを少しも考えていないかのようにわれわれには見える。これについては、やはりもっと経済性も加味し、合理化し、官僚は官僚なりでやはり自信と勇気を持って、将来性のないものにまで補助金を出したり、あるいは予算をつけたりするようなことのないような配慮が必要ではないか。私はもっとこの点について深刻な問題に触れますけれども、農地局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/62
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063・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 ライス・センター、土地改良事業は、基盤の造成をいたしておるわけでございますが、その造成いたしました上に、いろいろな共同利用施設なり機械が使われる。基盤整備事業をやりましたことが究極的に意義を持つようにならなければならないという点は、先生御指摘のとおりであろうと存じます。ただ、いま具体的な例としてあげられましたライス・センターと、構造改善事業における土地改良事業の大きさとのバランスの問題でございますが、具体的な地区について具体的に検討さしていただかないと、ちょっとわかりかねるかと存じます。問題が一つあろうかと思います。と申しますのは、構造改善事業といたしまして、村の中の一定の地域を区切りまして、一億数千万で事業をやる。その四割で基盤整備をやっておるわけでございますが、最近の現象といたしまして、特に東北地方等におきましての圃場の整備は、構造改善事業でその地区の一部だけをやったのでは目的が達成できない。ついては、その周辺地区をもっと広域的に土地改良事業でやってくれないかという御要請が非常に強いわけでございまして、私どもも団体営の採択にあたっては、相互の関連をよく考えて、これが最終的に実を結ぶように、土地改良事業の、農地局事業としての基盤整備事業を付加して、関連づけてやっていくようにという指導をいたしておるわけでございます。したがいまして、いま村の中の構造改善事業による基盤整備事業の広がりと、ライス・センターのキャパシティと申しますか、能力の問題等は、その関係も見合わせまして判断すべきであろうし、また具体的に農政局等ともよく相談をいたしたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/63
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064・昌谷孝
○昌谷政府委員 構造改善事業の一番の大事な仕事は、やはり基盤整備であろうと私どもも思います。当初発足当時、総事業費の中で四割程度が基盤整備に充てられるであろうかと考えましたのは、当時新農村建設事業の実績等から見た一つのめどであったかと思います。実行上はきわめて弾力的にその辺は扱っておりまして、最近では、米地帯等では七割くらいまで基盤整備事業に充当されておる地区が相当数多く出ております。全国平均で申しますと、五五%くらいが基盤整備事業というふうに、最近の事業計画の内容ではなっております。私どもも、基盤整備事業が整って、その上で各種の近代化施設が先生のおっしゃるような効率のよい活動ができることを念願として、計画の御相談にあずっておるわけであります。計画上と申しますか、書面上見ております点では、間々きめ手にならない点があります。と申しますのは、たとえばライス・センターの場合でも、当初計画を立てますときには、地元の農家の利用度を非常に利用度の高いものとして、地元で計画を立ててこられる場合があります。私どものほうで一、二御注意は申し上げますが、それだけの利用者は十分あるからだいじょうぶだ、やらしてくれ、こういうようなお話の場合が相当数多くあります。実施に当たってみますと、先ほど私が申しましたような理由もあって、予定どおりの利用割合にならないといったようなケースにもぶつかります。一がいに私どものほうできめつけて、地元のそういった創意、熱意を疑うわけにもまいりませんけれども、その辺のところは、経験的な事例も積み上げてくることでございますから、そういう意味での助成によってできました施設が、効率を発揮しないで、逆に農家の負担を重くするということが極力ないように、特に地方農政局段階での計画の審査にあたりましては、相当その辺は注意をして、個々の計画に当たらしておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/64
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065・石田宥全
○石田(宥)委員 次に、農地局長に伺いますが、この土地改良団体が非常にたくさんありまして、一万数千にのぼるわけでありますが、特に先年来、不振土地改良区の財政再建について、しばしば当委員会で問題になっておったわけでありますが、私どものほうからは、法律として提案をいたしたこともございます。しかし、なかなか与党の諸君の賛成を得ることができないために、法律案は成立をしませんでしたけれども、その後、この問題について与野党一致の決議をいたしたわけでありますが、この不振土地改良区の財政再建に関して、その後いろいろ御努力になっておるようでありますが、その後の状況をかいつまんでお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/65
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066・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 土地改良区は、先生の御指摘のとおり、一万三千数百ございまして、この中で運営に適切を欠くから、立法措置その他でその振興をはかるべきであるという附帯決議をいただいておることは、重々承知をいたしておるわけでございます。附帯決議をいただきまして後も、あるいはいただきます前から、いろいろ検討を続けておったわけでございますが、御承知のとおり、また再三の御批判に対しても申し上げておりましたとおり、何ぶん経済団体でございませんで、賦課金団体、賦課金の徴収を認められました公法人でございますので、単に債務のたな上げだけで再建の見通しが立つわけのものでもないという実態との関係で、私どもといたしましては、三十七年以来、金融機関に対します延滞が一年以上に達しておりますものを具体的にとらえまして、個別にこの処理にあたっておるわけでございます。三十七年度におきましては、二百十六の土地改良区が延滞が一年以上に及んでおります。三十八年度におきましても、同様に百八十を対象にいたしまして、個別にこれをひとつ解決をはかろうではないか、その手段といたしましては、何しろ金を貸しておりますところの金融機関に真剣に再建をはかってもらいたい。県庁、金融機関、それからその道の専門の方々が各県ごとに専門委員となっていただきまして、この個別のケースにつきまして再建方策をやってまいっております。
三十七年度に取り上げました二百十六の土地改良区のその後の経過について申し上げますと、六十三組合が三十七年中に全部延滞を解消いたしました。それから債務弁済が可能になったのが九、再建の計画が立ちましたものが二十四、当年度中に九十六組合がひとり立ちができるように相なりました。そして引き続きこの二百十六を翌年に続けておりまして、ただいま私どもに入りました資料によりますと、三十九年度中に五十三ほどのものが再建の方途がついた、こういう報告を受けておるわけであります。要するに、三十七年度に取り上げました二百十六の土地改良区のうち、百五十近いものが、個別ケースとして金融機関が延滞金利を免除いたしましたり、あるいは取り立てを延期いたしましたり、あるいは金の集まらないもとが理事者の紛争にあるという場合には、理事者の交代を指導いたしましたり、あるいは事業が再開すれば、賦課金も集まるようなものは再開に入る。要するに、ケース・バイ・ケースで処理をいたしまして、以上のような形に進行をいたしております。三十八年も同様に百八十をやっておりまして、三十九年度も同様の手段を通じまして、延滞が一年以上に及ぶものをケース・バイ・ケースで処理をいたしておるわけであります。
私どもといたしましては、今回土地改良法を改正いたしまして、先向きには弱い土地改良区が乱立することを防ぐという前向きの措置とあわせまして、うしろ向きの措置といたしましては、このケースに精力的に努力を続けてまいりまして解消をはかりたい。最後に、どうにもならぬものが出た場合に、これをどうするかというところは、別途の立場から考える必要があろうかと思いますが、結局金融の問題が中心でございますので、そういう角度、賦課金の徴収の円滑化という角度で、個別の努力を三十九年度も続けさしていただきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/66
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067・石田宥全
○石田(宥)委員 私ともの地方でも、多少そういう財政再建方策で再建の途についたものもあるわけでございますが、中にはどうにもこうにも動きのとれないというものもあろうかと思うのでありますが、そういうものを一定のワクで見た場合に、何か問題点があるのではないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/67
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068・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 このお話、先生から数年間にわたって御指摘もいただき、いろいろ申し上げておるわけでございますが、私も当初来申し上げましたとおり、いろいろの原因がからんで、賦課金が集まらない。そこで、非常に簡単に考えて、払えないものはまけてやるという法律でいきますと、極端に言いますと、正直者がばかを見る結果にもなりかねないということで、努力を続けさしていただきたいということを再々申し上げておったわけでありますが、いまのところの問題として、結局どうにもならぬものというのはどういう形で出てまいるかということについては、まだ結論が出ておらないわけでございます。実例的に申しますと、内部態勢の争いが弱って、これを強化することによって前進したものと、滞納処分等をやって、ともかく入ることによって解決したものと、追加工事の実施、内紛の解決、土地改良区の財産の処分というような形で解決いたしておるもの等ございまして、いまのところ、まだ分析後の正確なお話ではございませんで、私の感じでございますが、一つの大きな問題は、災害が累積したというようなケースにつきましては、これは人間を変えても、あるいは財産を処分してもというようないまのやり方で解決できるかどうか。非常に災害が累積しました土地改良区の問題、これらの問題につきましては、何か別途の検討が要るのではないかという感じを、まだ分析完了ではございませんが、感じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/68
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069・石田宥全
○石田(宥)委員 そこで、ひとつ明らかにしてもらいたい問題があるのですが、それはいまお話になりましたようなケースのものもありますが、当初から計画設計が間違っておったというケースがたくさんあるわけですね。私、ちょっと前から現場にも行ったことがあるのですが、新潟県内でも、佐渡の琴浦のため池工事というのがあるのですね。これは全く計画設計の誤りで、ため池をつくったけれども、漏水をして、それがためにセメントを塗ったり粘土を入れたりで、ずいぶん金を使ったのだが、ついに使いものにならない、こういう問題がある。ここは耕作面積も少なく、その地方に別に工場があるわけでもないので、小規模の耕作者で参っておるのですね。どうにもならない。
それからついでにちょっと申し上げておきますが、もう一つのものなどは、これは下貫土地改良区というところですが、これも大した事情ではないのですけれども、関係者が少ないだけに大混乱におちいっておる。その結果、責任者の一人が自殺をする、一人は強度のノイローゼになって、全く廃人になっておる、一人は夜逃げをして行くえ不明になっておる。こういうような事態を生んでいるわけです。それから私も、実は国会に出る前に、小さな土地改良区の役員をやっておったのですが、私のところもだいぶ被害を受けたのですけれども、私の隣の部落では、やはり組合長が自殺をしました。一体そういう場合に、その責任はだれが負うべきものか。国営の場合は大臣が責任を負うのか、県営の場合は県知事が責任を負えばいいのか、団体営の場合は団体の責任者が自殺をすれば済むのか、自殺しても済まないわけです。その場合に、その責任は一体どう負うのか。たくさんの負債が残っておりますが、それはやはり関係農民が負担をしているわけです。これは究極的にはどこに責任があるのか。一般の建築工事、建設工事のような場合には、その設計者が相当の責任を追及されるということも聞いておるけれども、土地改良事業の場合におけるその責任の所在を明らかにしてもらいたい。いま申し上げたような問題を処理する上において、非常に重要な問題ですから、伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/69
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070・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 たいへんむずかしい御質問で、十分考えて御答弁申し上げたい問題でございますが、御承知のように、法律論的に申し上げますれば、県営土地改良あるいは国営土地改良は、計画の概要をつくって、工事をしてくださいということで、工事の計画そのものは国なり県が立てるわけでございますから、具体的な工事の計画設計の責任は国、県はあろうかと思います。
だた、いまちょっと佐渡の琴浦のお話が出ましたが、これは防災ため池だったと思いますが、これが土地改良法の手続をとっているかどうか、ちょっとわかりかねますが、一般的にかん排事業等でこういう手続をとっておれば、そういう問題があろうかと存ずる次第であります。
団体事業営につきましては、団体で計画を立てて、技術者の技術援助等を求めることがあるわけでありますが、技術援助を県庁等に求めました技術そのままでやられているか、それによらない場合等、ケース・バイ・ケースの問題があろうかと存じますが、法律的にはそういう関係に相なろうかと存ずるわけでございますが、ため池をつくりまして、うしろが地山であるとか、その地区のボーリングのしかたがどうであったとかなかったかとか、技術的にその損害を及ぼしました責任関係等は、なかなか明確に判断できかねる事例が多いようでございます。
法律論的あるいは形式的責任はどこだというお話になれば、以上のような法律論の上にその実態を究明して、責任の所在を求めるということであろうかと存じますが、責任を求めても、問題の解決がそれによってはかられるわけでもないとなりますれば、こういう具体的な問題は、何か別途の方法で解決するという方向で努力してまいりたい、かように存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/70
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071・石田宥全
○石田(宥)委員 ただいまの問題、法制局としては、法律上の責任はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/71
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072・吉國一郎
○吉國政府委員 ただいま農地局長からお答え申し上げましたように、その具体的な場合によりまして、いろいろ責任関係の帰属は異なることがあろうかと存じますが、本件のような場合に第一に問題になりまする点は、責任を追及するためには、現在の法制では、故意、過失が一つの要件に相なるのでございますが、故意の場合は別といたしまして、その設計をいたすにつきまして過失があるかどうかということにつきましては、これは認定上非常にむずかしい問題があるわけでございます。
一般的に過失と申しましても、そのような設計をなすについて、通常要求せられるような土木工学的あるいは農業土木的な一般的知識を有する者を想定いたしまして、そのような者がやったとして、はたしてそういうような設計をしたであろうかどうかというような点から究明してかからなければなりませんので、過失の認定が非常に困難ではないかというような点がまず第一に問題になると思います。
第二の点といたしましては、国なり都道府県なりが関与いたしております場合には、場合によりましては、これは突き詰めれば、国家賠償法によって国なり地方公共団体なりが賠償の責任を負う場合も、理論的にはあり得るかと思いますけれども、ただいま農地局長から申し上げましたように、いろいろ具体的な場合があると存じますので、特定のそれぞれの事案につきまして、また詳細な事実の究明の上に立って検討しなければ、一般的に申し上げればそのようなことでございますけれども、具体的な場合につきましては、軽々に判断することは非常に困難な事柄であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/72
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073・石田宥全
○石田(宥)委員 農地局長は行政官ですから、法律上の解釈よりは、どう処理するかということを考えるわけですけれども、法制局のほうはある程度やはり法律上の見解を明らかにしてもらわなければならないので、いまのようにもう少し掘り下げてケース・バイ・ケースでやらないとよくわからぬということですけれども、それじゃ別の角度から伺いたいと思うのですが、これは農地局長、国営はもちろん国の責任でおやりになるのですから、農地局で判断されておやりになるわけですが、県営の場合、団体営の場合、ことに特殊立法などで行なわれるところの土地改良事業に対する補助助成をする場合に、手放しでただおやりになるとは思わない。私ども団体営をやりましたけれども、やはり農林省が金を出すのに、査定をしないで出すとは考えられない。金を出すというときに、その査定についてはどういう責任があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/73
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074・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 これもむずかしい御質問なのでございますが、一例を防災ダム、ため池等にとりまして、補助事業として申請してまいる、その申請に対しまして、その設計が妥当であるかどうかということにつきまして、補助金を出す役所が見る義務は当然あるわけでございます。ただ問題は、たとえば全然土質の調査もしないで出てきておるというようなことがあれば、土質は調査しておるか、それからボーリングはやっておるかというような意味のチェックはあるわけでございます。たとえばボーリングのしかたが不十分であるかどうか、自分が行って、このため池は地山であるかどうかというようなことまで確かめて、補助金を出すべきであるかどうか、そこら辺のところに相なりますと、問題はあろうかと存じます。設計が技術的に行政庁、県庁で申しますれば県の設計担当の人間が、在来一般的にやります調査設計の上につくってきた設計であり、かつ、単価その他につきましての査定、審査は実行で行ないます。そういう意味の査定をやるわけでございます。問題は、こういうような事例、あるいはため池で非常に水が漏るというような事例は、一つには、土質が非常に異例であるというような地区におきまして起こる例のように、ほかにも私経験をしております。そういう場合につきまして徹底的に審査しない限り、補助金を出した人間に責任があるのではないかというところまではいかがなものであろうか、かように存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/74
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075・石田宥全
○石田(宥)委員 大蔵省もどの程度まで査定をされるか。やはり大蔵省も補助金を出すにあたっては、工事をあらかじめお調べになるわけですが、これはどういう角度からお調べになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/75
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076・宮崎仁
○宮崎説明員 御承知のとおり、大蔵省がこういった公共事業あるいは土地改良事業等につきまして、査定と申しますか、いろいろ意見を言いましたり、あるいは相談に乗るという場合の態度は、言ってみますれば、財政的な面からやはり予算が効率的に使われることが必要だというようなこと、それからいろいろの事業について、大蔵省としては各省のいろいろの計画を見ているわけでございますから、そういった各省の個々の計画というもののバランスを見るというような面であろうと思います。個々の技術的な計画というものの内容について、技術的に見て適当であるかないかというようなことは、私どもそれだけのスタッフを持っておりませんし、大体そういうことはしないというたてまえにしております。もちろん、一般的な単価につきましては、基準の単価をつくっておる場合もございますので、こういうものについては、比較検討の上で意見を言うこともございます。大体において土木工事などにつきましては、工事の内容あるいはその技術的な観点ということについては、それぞれ実施官庁の責任においてやっていただくというのがたてまえでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/76
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077・石田宥全
○石田(宥)委員 農地局長、国営工事については国が責任を負うべきものである、県営工事においては県がこれを負うべきものであると私は考えておるのですが、その責任の所在はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/77
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078・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 責任ということばなのでございますが、先ほど法制局からもお話がございましたが、国がかりに責任を負う、それではその責任をどういう形で具体的に実現するか、果たすかという問題に相なりますと、国家賠償法の問題にまでいくのだろうと存じます。そこで、先ほどもお話がございましたように、故意、過失で国民に損害を及ぼしたそのボーダーラインの問題が、責任論との関係では、事実認定問題として非常にむずかしいところであろうかと存ずるわけであります。そこで、法律的にも、国営事業をきめる場合でも県営事業をきめる場合でも、国なり県は技術者の意見をしんしゃくしなければならぬと規定しております。その技術者が、故意、過失におちいらざる範囲においてベストを尽くした、しかし、複雑な土木工事等でございますから、予期せざる不幸なる結果が出たというような場合につきまして、道徳的責任というような意味のものは回避すべくもございませんが、厳密な意味における賠償責任というような意味でございますれば、故意、過失の問題が認定問題として非常にむずかしい問題であろう、かように存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/78
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079・石田宥全
○石田(宥)委員 これはそういう面では、賠償的責任というものは、先ほど法制局の部長さんからも御答弁があったように、個々のケースで相当厳密に審査をしなければ明らかにならないと私は思うのですけれども、行政上の責任というものは、やはり国なり県なりが負わなければならない性質のものであると私は考える。その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/79
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080・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 国営事業でやっておりまして、どうも当初の計画でうまくいかないということで、ここに大蔵省おられますけれども、事業の手戻りとして設計をやり直して、若干金はかかるけれども、やり直しをするというような事例は、相当ないわけではないのでございます。問題は、県営事業等で一応それを終えてしまった、あるいは県営でやっているうちに、県庁で手戻りとしてこれを組み直すということもあり得ると存ずるわけでございます。問題は、その終わった場合に、また手戻りで事業実施中に処理する場合、あるいは終わったあとに処理する場合の、結局地元負担の問題に最終的に帰するかと存ずるわけでございます。具体的な事例といたしましては、たとえばため池をつくったが、水が漏る、これはお前らの責任だから直せ、自分らの責任とコストにおいて直せという問題が、一つの問題として発生している事例もあるわけでございます。その場合に、県営の場合に県が義務として全額を持って直すかどうかという点になりますと、県が技術的にベストを尽くした場合、ベストといいますか、重大なる故意、過失がない場合に、県がそれを持ってやるべきであるというところまで追い込めるかどうかというところは、やはり実際問題として問題点であろう、かように存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/80
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081・石田宥全
○石田(宥)委員 次に、同じようなケースの問題で、佐渡の羽茂のかんがい排水事業がある。手元にありますか。これは工事半ばにしてストップしておるわけです。もうストップしてから四年たっております。これはきわめてずさんなものでありまして、地元の農民がほとんど知らないうちにきまっている。だんだん地元の農民にわかってきたので、ストップせざるを得なくなった。すでに相当な予算が使われておるわけでありますが、どうにもならない。しばしば規模を縮小したり計画変更で、何とかいままで投下したものを生かしたいということで協議が行なわれておりますが、将来の見通しは立ちません。
それからもう一つ、これはやはり私の県の中条町ですが、汚泥かんがいというのが、これも事業の途中でストップ。これはストップしてから三年、いずれも地元農民の納得のいかないままに工事に着工した。農民にその実態がわかるにつれて、反対が強くなって、ストップせざるを得なくなってきた。しかも、いずれもが農民の納得がいかないことはもちろん、土地改良区の役員さえもよくわからなかったけれども、一部の政治家が中央に働きかけて、農林省を動かして認定をとった、こういうケースです。
私は先ほど別の問題でちょっと触れたのでありますけれども、そういうふうに農民によく理解と納得がいかないままに、しかも、ときには、県の事務当局などは、それは適切なものではない、かなり技術的にも欠陥がありますぞと指摘した場合でも、何かえらい政治家が中央に圧力をかけて、認定をする。そうして工事に着工する。その責任はその政治家はとらない。やはり農民の負担に帰するということになってくるわけです。そういう点、皆さんに圧力をかけてやらせたものの道義上の責任もさることながら、技術的に事務的に自信のないものを踏み切らせて予算を使わせるところの官僚の責任も、私は追及されなければならないと思うのです。決して責任なしとは言えない。私はいま地方のことしかあげておりませんけれども、全国的に無数にある性質の事業です。なぜ一体、地元の有力な人が圧力をかけたら、それに屈して、内容的に、事務的に、技術的に不完全なものを認定するか。それは私はやはり官僚の責任は免れないと思うのです。どうですか。そういう点について、時間がないから、一々中身まで申し上げませんが、農地局長、ひとつ従来そういう問題について反省をされたことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/81
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082・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 私、非常に反省をいたしておるわけであります。それで、実は土地改良事業が、戦後食糧増産のために非常に争って各地で事業のとりっこといいますか、陳情というものが非常に強くございました。そうしていま二所の羽茂、中条をあげられましたが、それ以外の地区でも私の頭にあるものは数カ所ございます。それで、一体土地改良法の手続をどうしたのだということを、実は数年前からこの問題について関係者に問い合わせておるわけですが、時代が移り変わりまして、関係者がみんな変わっておるわけでございますが、私の個人的なそれを通じて感じましたことは、どうもせっかく土地改良法があっても、ある時点まではこの法律を守られていなかったと思わざるを得ない節があるわけです。そこで、農地局自身といたしましては、三十五年ころからこの土地改良法の手続がとられないものは、いかなる方のいかなるお話があっても、絶対採択はしない大憲法を掲げております。しかも、法律上は三分の二ということでございますが、三分の二でも運用上はやっておりません。三分の二でやって納得がとれたように思っても、実際問題として数年たつとごたごたいたします。したがって、少なくとも全体として七割なり八割をこすように、かつ、その同意率も、各村、部落までできるだけ均衡をとって、高い同意率がとれるまでは何べんも突き返すということは、責任を持ってやっております。同意のとれない案につきましては、地区採択の審査の過程におきまして、失格の第一条件といたしておるわけでございまして、この点は、過去におきましてやはり食糧を急いで増産をしたいという時代の、必ずしも悪意ではない、そういう時代の流れもあったかと存じますが、やはり農民関係の負担が最終的に非常にトラブルのもとであり、かつ、やりかけてもめてストップしておるということは、国家投資としても非常に問題でございますので、三十五年以来、この土地改良法の手続、同意の判との問題につきましては、最も厳正に実行いたしておる所存でございます。ただ、何分にも過去のものにつきましては、それでも解決をいたしません。そこで、過去におきましてこういう姿に相なりましたものにつきましては、非常に苦慮いたしておるわけでございますが、やり方を変えて、たとえば一部を上水道に回す形において、性格を使い直してみますと、たとえば農民負担は軽減される、そういう形で再開に踏み切るというような事例もございます。一方公庫等に関しましては、事業がそういう形でストップいたしておるわけでございますから、全然これをやめてしまうということで、土地改良区破産、解散の状態になれば、これは借金の問題もそういう形で整理いたすことにもなろうかと思いますが、できればやりかけた仕事でございますので、やめたくないという立場に立つ限りにおきましては、公庫の取り立てのほうにつきましては、そういう面を勘案して、善処方を強く要望いたしております。過去のものにつきましては、公庫の取り立て及び計画の変更による再開、こういう方途をもって解決に当たりたい。前向きには土地改良法の規定の厳守ということで対処いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/82
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083・石田宥全
○石田(宥)委員 最近は幾ぶん慎重に扱われているようでありますからけっこうなことですが、といって、いま申し上げたような、すでに事業がストップをして数年たっておるというものが、全国で相当数にのぼっておると思います。これについては、やはり農民の理解と納得の上で計画変更なり、せっかく投下した資本が完全にむだになってしまうというようなことのないような再建計画について、積極的な対策が必要であろうかと私は思うのであります。これは、大臣もおられませんが、次官がおられますが、政務次官も土地改良事業にはずいぶん熱心でおられますが、この事業が途中で休止せざるを得ないような状態になっておるものは、不振土地改良団体とともに、また別途の再建計画に対して積極的なお取り組みを願いたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/83
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084・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 石田先生の、不振土地改良区について、またこの再建に関しての熱意のほどは、私も以前から席を同じゅういたしておりまして、非常によく承知いたしておるところでございます。ただいまもそうした問題について深く政府を御追及になり、またそれに対する先生のお考えをお聞かせ願い、政府の考え方と先生の御指摘の考え方と、あまり食い違っていないことを私もたいへん喜んでおります。これにあわせて、事業中止になっておるところについて、不振土地改良区と同じような考えで政府は処すべきであるという御指摘でございますが、私はもっともだと思います。そうしたことを政府は誠意を持って考え、処していかなくてはならぬと思いますので、せっかくの御注意でもあり、御指摘でもございますし、そうしたお考えはきわめて適切と考えますので、今後十分誠意を持って善処するようにいたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/84
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085・石田宥全
○石田(宥)委員 次に、法制局の吉國さんに一点お聞きしておきたいと思うのですが、土地改良事業を行ないます上に、これから河川との関係で建設省の河川局次長さんにも伺わなければならぬのでありますけれども、法律上、川の水は公のものであるか、私のものであるか、その点をひとつ見解を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/85
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086・吉國一郎
○吉國政府委員 端的に申し上げますならば、川の水は公のものであるというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/86
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087・石田宥全
○石田(宥)委員 端的にお答えになったわけでありますけれども、たとえばダムの水は、ダムの目的によって使用者があって構築されたものでありますから、これは明らかでありますけれども、川の水と申しましても、今度は河川法も改正になるわけですが、いわゆる公の川の水というものは公のものであると私どもは理解しておる。しかし、揚水機等で、一たんある用途に用いるために、土地改良団体があげた場合には土地改良団体のもの、上水道として揚水をした場合には、これは上水道管理者である県なり市のものというふうに理解していいのではないか、こう私は考えるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/87
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088・吉國一郎
○吉國政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、河川の水を利用する場合に、その水の利用の内容がいかなるものであるかということによって、先生の仰せられました場合は分かれてくると思います。例をもって申し上げますならば、たとえば発電用に水を利用する、このために、現在の河川法でございますならば、十八条の許可を受けまして、水利権を得て電力会社が水を利用する、この場合には、水を水流として一定の支配に服せしめて、流水のエネルギーを電流に変えて、これを産業上あるいは民生上に利用するための電力として供給するということでございますので、この場合には、水そのものを支配するわけではございませんで、いわば水のエネルギーを利用するために水利権を獲得しておるということでございます。ところが、水を原料として、たとえば苛性ソーダを製造するというような場合に、これもたぶん河川法上の水利権ではないと思いますが、十九条の許可か何かによりまして、一定の水の供給を受けまして、いわば水を取水するわけでございます。この場合には、所有権の対象としてその水を消費するわけでございまして、そのように水の利用にも消費的な利用の場合と消費的でない場合とございますので、それがいわば所有権の対象になるかどうかというようなことで差が出てまいると思います。いま仰せられました、たとえば揚水機によってあげた水というものは、水そうのものを所有して、これを支配して処分するという目的によってあげられたものであるかどうかという点にかかりますが、これもその利用の態様によりまして、場合によりましては所有権の内容になる場合もございましょうし、あるいは単にその水の一般的な効用を利用するというにとどまる場合もあるかと思います。そのように水の使用の態様によりまして、個々の所有権と申しますか、一般の私人の私有物と申しますか、そういうものになる場合とならない場合とがあり得る。一番端的な例を申し上げますならば、たとえば地下水をくみ上げてこれを飲用に供する、これは一般的に自由な行為でございますが、その地下水をくみ上げて飲用に供したり、あるいは洗たく用に供する場合には、その井戸を設置した人の排他的な支配のもとにございますので、これは所有権の対象になっておるといえると思いますけれども、一般に河川の流水につきまして、これを取水するかどうかという、その態様の内容によりまして、私法上の所有権の対象になる場合とならない場合とがあり得るというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/88
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089・石田宥全
○石田(宥)委員 上水道の場合はどうですか。かんがい用水の場合はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/89
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090・吉國一郎
○吉國政府委員 これは、水道法の許可を受けまして、水道の事業として、あるいは市町村なり、あるいは一般に知人も経営する場合があると思いますが、そのような場合に、上水道の水として、河川法十八条の許可を受けまして河川の水を取水するという場合には、これは水をそれ自体として使用する者に供給するためのものでございますので、上水道が上水道業者の排他的な支配のもとにあるということで、上水道の施設に入れました限りにおきましては、その上水道業者の公の支配のもとにあるというように考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/90
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091・石田宥全
○石田(宥)委員 かんがい用水はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/91
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092・吉國一郎
○吉國政府委員 かんがい用水の場合も、たとえば土地改良区で設置した場合、あるいはその地方公共団体がかんがい施設を設置した場合もございましょうし、また私人が設置した場合もございましょうが、公の河川から取水をいたしました以後においては、これも一定の排他的な支配のもとにあるというように考えるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/92
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093・石田宥全
○石田(宥)委員 上水道の場合、河川法第十八条の許可による。かんがい用水の場合も許可を得たものと得ないものとあるのです。そこで、いま河川法の改正とも関係があるわけですが、農地局長、全国で河川からかんがい用水として取水をしておるものはおおよそどれくらいあり、その中で、十八条の許可を得てあるものがどれくらいあるか、御調査になっておるはずでありますから、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/93
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094・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 後刻申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/94
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095・吉國一郎
○吉國政府委員 かんがい用水を取水する場合の現在の実態でございますが、これは河川法の十八条の許可を受けた、学問上水利権と称せられるものに原則として相なっておると思います。従来の河川法施行前の河川法施行規程によりまして、許可による水利権とみなすということに規定いたしておりますので、河川法の適用のございます一般河川及びその準用河川につきましては、いわばすべて水利権によってかんがい用水が取水されているということに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/95
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096・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 後段の許可を受けておるものがどのくらいあるかという御質問に、まずお答えさせていただきます。実は全国の河川は、準用河川を含めますと膨大な数に相なるわけでございますが、私どものほうで主要河川六十水系、正確には五十七水系につきまして調査をいたしましたものについて申し上げますと、取水の口数一万七千九百口のうちで、河川法による許可、条例による許可を受けておりますものが三千三百七十三ございます。したがいまして、一万四千六百近いものは許可を受けておりません。その根拠を洗ってみますと、判決、調停、契約、古文書等ございますが、ただ事実行為として水利用をやっておるというのが一万三千八百でございます。それから河川から直接水をとっておるものはどのくらいあるか、いまちょっと調べておりますが、私の記憶では、大体三割と記憶いたしておりますが、調べまして、間違っておりましたら訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/96
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097・石田宥全
○石田(宥)委員 全体では六万何がしといわれておりますから、大体いいです。
そこで、いま吉國部長からの答弁の中にありました、河川法適用河川における水利権とは許可を受けたものである、こういう答弁です。私は、その点非常に心配をするわけです。許可を受けたものは非常に少ないわけで、許可を受けないもののほうが圧倒的に多いのであるが、それは慣行水利権として、不文律でかんがい用水に使ってきておるのです。今度河川法が改正になると、その点は一体どうお扱いになるのか、これは河川局次長さんにひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/97
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098・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 先ほど三割と申しましたのを訂正さしていただきます。水源別の面積、つまり、かんがい面積がいかなる水源によってまかなわれているかという割合の調査で申し上げますと、三割と申しましたのが逆でありまして、ため池、地下水、渓流、天水田によるものが三割でありまして、河川、湖沼から水を水源として受けるものが七割、七〇・六%ということに三十年の調査で相なっております。
それから、あとで建設省からお話がございますが、私がただいま河川法により許可を受けた、条例により許可を受けたと申しました以外の部分のものにつきましては、現行河川法におきましては、勅令で、現に許可を受くべき事項についてこの法律施行の際に現存するものは河川法の許可を受けたものとみなすというみなしの規定がございまして、慣行水利権は、みなし規定によりまして許可を受けたものとみなされておるわけでございます。今度の改正法におきましても、この関係は変更しないという形におきまして、建設省とお話し合いして法律をつくっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/98
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099・国宗正義
○国宗説明員 水利権につきましては、先ほど法制局並びに農地局長から御答弁申し上げたとおりでありまして、現行河川法につきましては、十八条の規定に基づきまして、水利使用の許可を受けた者を水利権者と申しておるわけでございますが、明治二十九年の河川法施行の際におきましては、施行規程第十一条におきまして、現に使用しておる者は現行河川法に基づく許可を受けた者とみなすといたしまして、水利権と認めておるわけでございます。それは法適用の河川並びに準用河川についてでございます。河川法の適用も準用もない、いわゆる普通河川におきましては、その事情は異なっております。なお、新河川法案におきましては、同じように第三十条におきまして、水利使用の許可を受けなければならないといたし、水利権の規定を置き、かつ、施行法をもちまして、従前すでに河川を利用しておる者あるいは現行の規定によって許可された者は、水利権の規定によって許可を受けたものとみなす、かような規定を整備いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/99
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100・石田宥全
○石田(宥)委員 その点は、水の利用度が漸次多角的になってまいりまして、正式にできておる土地改良区のような場合はあまり侵害されることはなかろうと思うのですが、どうも慣行水利権というものは漸次軽んぜられる傾向にあることは、これはいなめないので、その点については、農地局長に、河川法改正の後における慣行水利権の確保について特段の御配慮を願いたいと思います。それは最近、いま時間がないから一々こまかな問題を出しませんけれども、そういう傾向にあることは、これは否定できないです。ですから、ひとつ要望申し上げておきます。
それから次に、河川関係ですが、最近のやはり水利用の多角化と関連いたしまするけれども、多目的ダム等ができまして、また下流では砂利の採取が非常に盛んになってまいったものでありますから、それによる河床の変化というものが著しいものがあります。これに対する対策が政府としてはあまり明確でないようであります。ダムの関係では、ダムの構築に伴いまして、河床が漸次上がっていく、排水が悪くなる、湛水ができてくる、それから地下水が変化をして、池下水の取水が困難になる、下流部でも、これは今度は河床が低下する、取り入れが困難になる、水位が変動をする、流量が減少をする、特に水温低下の問題は、北海道、東北をはじめとして至るところに被害を続出しておる、こういう状態です。そこで、建設省では大体河川の管理をする場合において、口先では利水を無視しているなどとはおっしゃらないけれども、どうも治水オンリーで、水利というものをあまりお考えになっておらないようでありますが、しかし、かんがい用水には非常に深刻な影響がある。これはいま私が申し上げたとおりなんです。こういう場合に、それがたとえば河床低下で取水ができない、そういう場合に、また取り入れ口をあらためてつくり直さなければならない、その場合にも、農民の負担において工事をしなければならないということが、いかに不合理であるか、私は、少なくとも、この河川の管理上、治水オンリーの工事が施行されて、河床が下がって、それがためにかんがい用水の取水口が使えなくなって、膨大な資金を要する工事をまた行なわなければならないような場合に、一体これは建設省は——いままではわれ関せずえんであったようですね。私は、やはり河川の管理上から起こったそういう変化に対しては、ある程度これは建設省が責任を負うべきであるし、この点については、農林省もまた従来あまりそういう点を追及しなかったのではないか、こう思うのです。少なくともいま申し上げたような変化に応じて、取り入れ口を新たにつくらなければならないというような場合においては、本来ならば建設省がこれをやってくれるべきものだと私は思うのですけれども、少なくとも全部それが農林省と農民の負担において行なわれなければならないという不合理は、改むべきであると考えるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/100
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101・国宗正義
○国宗説明員 河床の低下によって農業取水等に支障、困難を来たした場合の措置に関することでございますが、河床の低下を来たします原因にもよるわけでございますが、ある河川におけるごとく、砂利採取の結果によって河床が低下した、あるいは上流の利水ダム設置の結果、河床の低下を来たすもの、あるいはこの例が非常に多いわけでございますが、砂利採取あるいはダム設置、いずれにも帰することができない事情による河床の低下もあるわけでございます。
そこでまず、砂利採取等の行為により農業関係の施設に影響があった場合にどうするかということでございますが、その砂利採取だけで、それが原因となって河床の低下が明瞭であるという場合には、砂利採取業者に補償させるのがたてまえでございます。したがって、かかる公害の発生を未然に防止いたしますために、河川管理者といたしましては、通常、農業水利等に影響を及ぼさないよう、一定の計画に基づいて砂利採取の許可を行なっておりますし、現在またこのような趣旨から、一般的に河床低下の考えられる河川につきましては、砂利採取の基本計画を立てまして、砂利採取許可の禁止区域あるいは規制を行なっておる次第でございます。しかしながら、河床の低下の原因が明確でないような場合でございますが、そのような場合におきましては、河川管理者は、新法におきましても河川の正常な機能を維持することもこの法律の目的といたしておりますのにもかんがみまして、治水上、利水上、総合的な見地から、河川管理者が河床の安定をはかるために、河川工事として必要な措置も場合によっては考える予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/101
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102・石田宥全
○石田(宥)委員 そこで、砂利採取法というのをいま御説明になったようですが、砂利の採取は知事がこれを許可をする。地方によっては使用料も料金も取っておる。とすれば、砂利採取によって河床が低下をし、それがためにかんがいが不能になったような場合には、これは一体だれが責任を負うのか、知事ですか、あるいは業者なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/102
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103・国宗正義
○国宗説明員 まず、砂利採取計画、河床高の範囲内においての議論でございますが、さような場合におきまして直接影響ありという場合におきましては、新法におきましては、この許可をいたします場合に、建設大臣が許可をいたすような場合におきましては、地元関係知事と協議をいたし、さような支障の有無を検討した上でいたすわけでございます。それにもかかわらず、なお砂利採取が直接原因でもって農業取水に支障を来たした、かような場合におきましては、砂利採取業者が責任を負うものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/103
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104・石田宥全
○石田(宥)委員 責任を負うものと考えますじゃ困るんですよ。私、実は幾つも体験をしておる。私の地元で、これはもう砂利採取によることはきわめて明瞭なんです。それがために、従来は自然に取水できたのができなくなって、ポンプ揚水でやっておるのです。その場合に県の態度もきわめてあいまいで、そういうことはその法律もどうもあまりはっきりしていない。一体建設省は——その法律は商工委員会で審議されたのだけれども、しかし、河川の管理は建設省なんです。これは建設省が提案をされたのです。建設省がこれを通産省を通じて商工委員会に出した法案です。その指導というものは、一体だれがやればいいのです。私は、根本で立法を要求したのは建設省だから、建設省がそういう末端の指導をもっと積極的にしなければならないと思うのですが、ただ、そういうふうになっておりますじゃ話にならないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/104
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105・国宗正義
○国宗説明員 砂利採取法につきましては、建設省が提案したのではなくて、議員立法にかかるものでございまして、通産省所管の法律と相なっております。法律の目的にもございますように、砂利採取業の健全な発展を願い、その砂利資源の保存等をはかる、かようになっておるわけでございまして、いま砂利業者に対する規制と申しますものは、河川法に基づく規制でございまして、先年砂利採取の規制の必要にかんがみまして、特別に土地の掘さく等に関する砂利規制の政令を制定いたしまして、それでもって建設省は規制いたしておるわけでございます。そうして、非常にその害の著しいという場合におきましては、先ほど申しましたように、砂利採取の禁止ということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/105
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106・石田宥全
○石田(宥)委員 その問題は、末端ではもう著しい被害が出ておっても、やはり業者の圧力か何かでなかなか禁止できないでおるのですよ。それがために、農民が全部その被害を現実に受けておるのですよ。私はその事情を知っておるのです。砂利採取法については、形は通産省が出しておるけれども、建設大臣が要求して、そうしてあそこに出してつくったのですよ。これはやはり河川管理と関連があるので、建設省がそういうことになっておりますというような無責任な話はないと思うのですよ。私は、やはり河川管理というものはそういう面をも——必ずしも治水オンリーでないということを河川局長は前に何回も言っておるのです。それならば、利水も考えるというならば、いま申し上げたように、砂利採取のために河床が低下して、自然に流れ込んでおった水が全部ポンプアップをしなければならないような事態になった場合に、だれがその処理をするのか、もっと指導性を発揮すべきじゃないかということを言っておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/106
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107・国宗正義
○国宗説明員 砂利採取法は、その当時のいきさつ詳しくございませんが、必ずしも建設省が要求して出したものとは考えておりません。この砂利採取法につきましても、技術責任者を置き、あるいは公益を保護する等の規定を置いて、できるだけ公益、すなわち、河川においては河川の害を生じないようにという配慮が払われておるようでありますが、私どもは河川法によって砂利採取業者の砂利の採取を許可するものでございまして、規制につきましては、河川法の規定でもって取り締まっていきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/107
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108・石田宥全
○石田(宥)委員 その点は、実は河川局長と何回も議論をしておって、治水オンリーでやりません、こう言っておる。ところが、あなたのいまの答弁では、治水オンリーだ。局長がはっきり治水オンリーではありませんと言っておるので、おそらくそういう点は大臣もそう言っておるのだから、もっと指導性を発揮すべきじゃないか。なるほど河川管理上は河床が下がれば下がるほどいいのですよ。けれども、それが農地に非常な、いま申し上げたような被害が起こっては困るじゃないか。そういう場合には、程度の問題だから、やはり河川管理者としては、もっと指導性を発揮すべきだということを私は言っているのですよ。あなたは何かこだわっているようだから、別に大臣にでもはっきり言わせますから、いいです。
次に、どうもたいへん長くなって恐縮なんですが、大事な問題を一、二点伺いたいのであります。
この構造改善事業では、道路の拡幅は五メートルないし五・五メートル、これからの新しい大機械を入れるには当然のことでありますが、そういうふうに道路の拡幅をやりますと、完全な道路になるものだから、どうしてもそこヘトラックも入れば、いろいろ車が入る。厳密に言ったら、これは土地改良区のものだから、ほかの車は通さないということもできるかもしれないけれども、そういうわけにはいかない。ところが、その維持管理費というものは全部農民の負担になっている。
それからもう一つは、排水事業の場合ですが、これは厳密には二つに分けて質問をするといいのですけれども、一緒にしますけれども、排水事業というものは農地のための排水事業が非常に多いわけですね。これは新潟県をはじめ、愛知県その他全国的にあるわけですが、これも省略いたします。農地局でもある程度調査になっているはずですが、大体私どもの地元の問題を申し上げると、北蒲原土地改良区というものは二万七千町歩ほどあるけれども、そのうちで、一万九千町歩もその土地改良区の管掌面積以外に排水をしている、こういう実情です。それから新津郷は七千町歩ほどなんだけれども、約半分近くの三千六百町歩もの面積、農民の負担によって排水をやっているということになるわけです。農林省はあまり的確なものを調査していないようですけれども、これは土地改良団体連合会が調査しております。
そこで、道路のような場合、ことに排水の場合は、今度は法律改正が行なわれまして、先ほど小枝さんが質問をされたのではないかと思うのだけれども、私おくれてきて承らなかったのでありますけれども、排水の場合には、必ずしも農地だけじゃなくて、農地以外の受益者からも負担金をとることができる、地方公共団体にも負担させることができるという規定なんですね。本来私どもは、この点は、負担をさせることができるということならば、いままでもやっている地域が相当ある。しかし、一般的に土地改良法の改正で負担させることができるということになったことは、一歩前進のようだけれども、しかし、必ずしもこれは歓迎すべきものではない。ないよりはいいけれども、現状でもやはり公共団体なりあるいはその他の受益者が負担している地方もあるのです。
そこで、自治省に伺うわけでありますが、財政課長見えているようでありますが、その場合に、排水の施設と維持管理の経費を受益者は受益分に応じて、市町村等が負担をした場合に、その負担部分は基準財政需要額の中に織り込むことができるのかどうか。当然基準財政需要額の中に入れるべきであると思うが、自治省はどういうふうにお取り扱いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/108
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109・岡田純夫
○岡田説明員 ただいまの御質問の点に関連いたしまして、このたびの改正法に関連して、農林省と数年前から、実はこの問題についてお打ち合わせをいたしておりまして、市町村が負担をするという趣旨において関連してまいるということは、市町村におけるところの農業行政も含めて総合行政という見地から、好ましいことであるということで賛意を表しておるのであります。しかしながら、原則としてこれはそういう総合行政の見地から市町村は関与するといたしましても、負担を市町村にいわば転嫁させるべき性質のものとは考えません。したがいまして、法律改正後、負担の限度なり何なりにつきまして政令の改正が行なわれるものと考えておりますけれども、その際には、そのような市町村に転嫁されるような姿にならないように、できるだけひとつ関係各省のほうにおいて配意していただきたいということを申しております。
一方、基準財政需要に算入しておるか、あるいは算入する方針かという御質問でございますけれども、ただいま申し上げましたような見解に立っておりますので、基準財政需要の算定にあたりましては、けさほども御質問がございまして、お答え申し上げましたように、広く農業行政費という見地から、市町村、都道府県についても、投資的経費、消費的経費を通じて相当程度の交付税の算入は三十九年度にかけていたす予定でございます。行政費まで含めて申しますと百二十億くらいの増加、投資的経費では四十億というふうな増加をいたしております。市町村関係につきましては、土地改良事業が中心になっております。かように基準財政需要においては、総合的な意味において、単位費用その他を先ほど申しましたように考えておりますけれども、先ほどの点に関連して転嫁されるべきものとは考えておりませんので、さような性質のものは算入をいたさないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/109
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110・石田宥全
○石田(宥)委員 農地局長、どうですか、それでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/110
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111・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 今回の改正にあたりまして、国営事業、県営事業は、在来、その地元負担は農民あるいは農民にかえて土地改良区ということになっております。そこで、市町村も第一次負担者として負担をできるように改正を自治省にお願いいたしたわけであります。その際に、この改正が、土地改良事業の地元負担を市町村に肩がわりするということを直接のねらいとするものではないという点については、先ほどの自治省からのお話のとおりであります。ただ問題は、そのすべてではないのでございますが、特に政令、省令できめます排水事業等につきまして、実態として明らかに市町村内の非農民が受益する実態が相当ある場合につきましては、市町村がある程度負担をするということについて御検討を願えないかという話し合いをいろいろいたしております。政令段階で最終的にお話を詰めることになっております。全部の場合ではございませんが、問題をそういうふうに限定いたしました場合に、もしかりに非農民との関係で負担をある程度市町村、公共体が持つという実態が出てまいりました場合の問題としまして、これを基準財政需要なり起債なりの問題上の扱いについていかにするかということにつきましては、今後自治省とも十分御相談をいたしたいと存じておるわけでございます。私どもの希望といたしましては、先ほど基準財政需要のお話が出ましたが、これがごく散発的に全国の市町村に出るような場合は、いまの基準財政需要のたてまえ上、織り込むというのもなかなか困難でございます。その実態等とのかね合いもございましょうし、あるいは起債の問題等とのかね合いもあろうかと思います。これは起債になじむかどうかという問題もございます。要は、限定をいたしました排水事業と、非農民に非常に反射的効果、実体的効果のあるものの市町村負担の姿及びその扱いにつきましては、実態をよくとらえまして、自治省と十分誠意をもって話し合いをしたいと存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/111
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112・石田宥全
○石田(宥)委員 大事な政省令ですが、まだできていないのですが、何か伝えられるところによると、公共用地、公共施設、それから道路等については、これは含まないというような取り扱いをするのではないかと言われておるのですが、以上申し上げましたように、そのための排水の負担を農民だけがしなければならないというような、こういう不合理を今度解消するのがこの法律の改正でなければならないと思うのですが、その点、ひとつ明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/112
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113・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 政省令につきましては、政省令見込み事項として用意をいたして、政令は関係各省と最終的に相談しなければなりませんが、いま御指摘の点は省令で、市町村が農民以外の者に特別に分担金をかけ得る範囲を定める省令の問題は、実はなお検討を要する問題でございますが、いま御指摘の問題として、その省令の中に地方自治体を入れるか入れないかという問題——市町村の学校がありまして、その学校がかりに排水事業によって受益をいたしておるとしました場合に、市町村がまた同じ人格を変えた学校に負担金をとることがいいか悪いかという問題がございます。あるいは同様の制度は県営にも開いておるわけでございますが、県が自分の試験場にまた負担金をかけるということはちょっと問題がある。土地改良という断面だけから見ますと、かけてもいいようにも見えますが、今度は自治体という立場から見ますと、ちょっと妙なぐあいの問題がございます。したがって、私どもはいま地方公共団体をはずしたらどうかという一応の制度にいたしております。その点につきまして、それにかけたっていいではないかという御意見が関係団体等にはあるわけであります。しかし、なお十分検討いたしますが、市町村がまた同じ市の学校に受益があるからといってかけるのも、自分のさいふの問題にもなるわけでありますから、いかがなものであろうか、かように考えております。検討事項でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/113
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114・石田宥全
○石田(宥)委員 市町村が負担をした場合、さらに学校その他のものが負担をする、こういう点は、これは合理的に統一すべきだと思うのです。それだけに、やはり基準財政需要額の中に算入すべきものであろうと私は考える。
それからもう一つは、起債の場合ですが、財源がない場合には起債によるほかはない。起債を許可した場合には、当然平衡交付税で見るというような措置が考えられなければならない。二段がまえで考えられなければならないと思いますが、いま農地局長のほうが何か弱腰でふらふらしているようです。それでは自治省のほうが、それは基準財政需要額で、平衡交付税で見ますなどということは言わないにきまっているわけです。これは政省令がまだ固まっていないということですけれども、こんな不合理な話はありませんよ。道路や学校や工場敷地や宅地までの排水を全部農民が負担しなければならないなどという不合理な話が一体ありますか。地方によっては半分人のものを負担しているのですよ。七千町歩の土地改良団体が三千町歩も自分の関係のないところの排水を行なわなければならないなどという不合理がありますか。どうも今回の改正は中途はんぱなんです。これは地方公共団体に対してちっとも義務づけをしていないのです。これはもっと明確にすべきだと思うので、場合によってはこれは与党の皆さんとも相談をして、地方公共団体に義務づけしなければいかぬと思う。いまのような弱腰では農地局長だめですよ。出直さなければだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/114
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115・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 二点申し上げたいのでございますが、まず排水によります問題は非常にむずかしい問題で、全国土地改良連合会等の調査は、結局水が流れてくるもとを全部排水地域に押える。極端に言いますと、集水区域とわれわれが呼んでいる山林まで排水地域と押えているわけです。これは私ども全く疑問に感じております。しかし、農地が要するに河口部に展開して、そしてしから流れてくる水を排水で農民が負担している。蒲原平野を例にとりますれば、蒲原平野が全部水田であります限りにおいては、農民の負担でポンプを回して排水し、米をつくっておって問題はない。御承知のとおり、蒲原平野にもだんだん非農地が出てまいる。そして排水の効果がそれ以外の地域に及んでまいる。その場合に、市町村が国営事業、県営事業の第一次負担者となって、一部を農民に排水のような事業に関してはかける。したがって、間に市町村負担が残る。この問題については自治省にも御了解を得ておるものと私ども信じております。問題は、そこにかかりました負担を基準財政需要に織り込むかどうかという問題でございます。決して弱腰ではないわけでございまして、御承知のとおり、基準財政需要は単価に表現されますので、全国の町村に均てんしてしまう問題でございます。かりに非常に少数であれば、基準政財需要に織り込むということは、必ずしも当該市町村にとって救済になるかどうかという問題が一つございます。そこら辺も考え合わせまして、その裏づけ問題については——なお、市町村にお願いした意味は、市町村議会というものが公平に市町村民の判断をしてくださるという前提をとって、市町村にそういうことをお願いしているわけでございますので、その実態に合わせて財政的裏づけの問題は、自治省ととくと御相談をいたしたい、決して弱腰という意味ではございません。筋を通して御相談したい、こういう立場で申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/115
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116・石田宥全
○石田(宥)委員 これは局長ちょっと弱いようだから、政務次官もバックアップしてひとつやってください。
それから河川局次長がお忙しいそうですが、今度の河川法改正で、排水というものも、これは一定の規模がやはりありましょうけれども、国の負担で行なうことができると考えられるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/116
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117・国宗正義
○国宗説明員 排水事業におきましては一定の採択基準がございますが、公共事業として採択しております。
なお、先ほどの私の質問のうら、砂利の規制区域を設け、計画河床高を設けて規制いたしますなどの目的は、洪水の疎通をはかることがおもな目的ではなく、橋梁の足、護岸の根、その他最も大事な農業の取水口の安全をはかるための規制でございまして、必要ある場合には積極的に床どめ、帯工等の河川工事として採択いたしております。かような趣旨でございますことをつけ加えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/117
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118・石田宥全
○石田(宥)委員 どうもさっきの答弁はおかしいと思っておったのです。まあそうでなければならないわけです。
次に、もう一つだけ伺いたいのですが、今度は弱小土地改良団体の合併というか、統合というか、そういう点についても、ちょっと法改正で触れられておるようでありますが、この点私は何年も申し上げておるように、私の地方では土地改良区が四つ、水害予防団体その他で三つ、だから、同じたんぼで七つの団体の負担をしているたんぼがあるのです。これは愛知県では四団体のところがあることを先般承知しておるわけですが、七つの団体でそれぞれの維持管理費なり事務人件費というものがかかるわけです。これは農民がなかなか耐えがたい負担になっているわけでありまして、幾らかでも今度は統合ができれば幸いだと思いますけれども、一体具体的にはそういう問題についてはどうお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/118
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119・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 土地改良区は、御承知のとおり、土地改良法ができましたときに、それ以前の水利団体を土地改良区に切りかえました。それから現行法制は、一つの事業をやるために土地改良区をつくらなければならぬような法律にも相なっております。そういうことが相重なりまして、一万数千、資料にもお出ししておりますが、まことに零細な土地改良区が全国に散らばっておる。それが地区的に見ますと、上下に重なったり、相互にダブったりいたしております。これでは効率も悪いということで、数年前からどういうふうに上下の関係、横の関係を整理したらいいかということで、モデル的に予算を組みまして理想型を求めておったわけでありますが、どうも土地改良事業というものは、水系に沿いましていろいろの姿がございまして、なかなか農協合併のようにただ大きくなればいい、一つできればいいというわけでもないようでございます。したがって、今回の改正におきまして、合併に関します在来の手続を簡素化し、総会の議決で合併を円滑に行なえるようにいたしておりますが、私どもの考えといたしましては、この合併問題は、法律を変えたらすぐできるというわけのものでもなかろうと考えております。その地区の実態それぞれに応じて、明らかに要らないものを合併吸収なり合同なりの形において地区別に合併させていくという形で、今後指導していきたい、かように基本的には考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/119
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120・石田宥全
○石田(宥)委員 今度の法改正の考え方はそのようでありますけれども、ただ、そういう方向を示したというだけで、具体的にもっと積極的に進めることを少しも考えておらないようなんですが、たとえば農協合併にいたしましても、赤字団体と黒字団体のある中でさえも合併ができておるし、町村合併などにもいろいろ弊害も出ておるけれども、とにかく合併が行なわれておる。ところが、土地改良団体が、いま申しましたように、同じたんぼが七団体もの団体をしょっていかなければならないというような不合理に対して、もっと積極的な対策がとれないものかどうか。しかも、これはさっき局長も触れられたように、こういうふうにたくさん乱立したのは、大体農林省の責任ですよ。かつて農林省は一郡一土地改良区を推進したことがある。だれの時代か私は覚えていないけれども……。それで、県庁の耕地課の中にそれを一生懸命にやる者があって、新潟県内には二郡できておるわけです。県内で一番大きな郡の北蒲原郡と西蒲原郡で郡土地改良区ができた。私は、これに対しては、郡の土地改良区というものが一本になって、その中に四十くらいある土地改良区が全部そこに統合されて、郡土地改良区というものが事業体になって、その下にある小さな土地改良区が事業所という形ですっきりした姿がとれるならば、それもいいけれども、おそらくそれはできないのではないかと言って反対しておった。しかし、それはやはりいろいろな政治上の事情で二郡できたわけです。けれども、それは事業体としての郡土地改良区にはなり得ない。そうすると、完全に屋上屋を架するものになったわけです。どっちも中途はんぱなんです。そういうふうなところへ、一事業をやる場合に一土地改良区をつくることができる、こういうことになったものだから、例の阿賀用水などでも、またもや一つできておるわけです。そういうような状態で、農民の負担を軽減するためにこの団体を整理統合をするには、ただ握りこぶしではできないということです。かけ声だけではできないということです。やはりもっと親切な予算の裏づけ措置が行なわれなければ、これはできるはずはございません。一体当初この法律改正に臨むにあたって、そういう点の予算的な裏づけというようなことを考えられたのかどうか。当然私は考えられなければならない問題だったと思うのですが、いままではどうですか。また、今後もどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/120
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121・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 先生御指摘の北蒲あるいは阿賀用水をめぐりましての土地改良区のあり方の問題等の実際的経験から考えましても、この統合合併はなかなか容易なことではない。非常に利害関係が複雑でございまして、容易でないということは、実は経験的にも身にしみて感じておるわけです。そこで当初、ほかの農協合併等のように、合併奨励金というような構想をつくって一応持ち出したこともあるわけでございますが、どうも私考えてみまして、単なる合併奨励金というような問題で解決する問題でもないように存ずるわけであります。手ぶらでできるかと言われれば、おっしゃるとおり手ぶらではなかなかできない。しかし、それでは手ぶらでなしに、どういう方法を講ずることが、一番これを取り進める上で効果的であるかという問題につきまして、もう一ぺん考え直そうということで、実は昨年度合併奨励金というような構想は途中でおろしたわけでございます。いま現在、それでは手ぶらでない、どういうことを考えるかという問題については、まだ成案を持っておりません。来年度予算等をきっかけにいたしまして、この合併に進みます方途につきましては、真剣にもう少し考えさせていただきたい、かように思っておるのが率直な実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/121
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122・石田宥全
○石田(宥)委員 もう時間がたいへんおそくなって恐縮ですが、もう一つだけ伺いたいと思います。
それは、さっき局長もちょっと触れられたのでありますけれども、土地改良事業費の農民の負担の限界、今日その専業内容によってそれぞれ非常に異なっておりますけれども、やはりたんぼなり畑なり、それぞれ農耕をすることによる土地改良事業の受益の状況と負担の関係というものには、おのずから関連性がなければならない。土地改良事業をやってたいした利益も上がらないのに、非常に膨大な負担がかかったのではたいへんなわけです。これもあなたのほうの資料にも出ておりますよ。反当の最高負担額——低いところは幾らもありますが——というものがありますが、私は、やはりその不振土地改良区というものを調べてみると、何か、さっき局長も言われたような、災害が重なるとかいうような場合もあるけれども、それによる農民の負担が過重である、それがために賦課金の納入が思うようにいかないというようなことが大きな原因の一つであろうと思うのです。また、愛知用水などのように、農地の転用が次々と行なわれて——きょうは転用の問題も少し尋ねたいと思ったのですけれども、もういたしませんが、そういうように、水田ならば反当たりどれぐらいのものが負担の限界線だ、果樹ならばどれくらいのものが負担の限界線だという、一定の何か標準をつくらなければならないのではないか、そうしてその限界を越すものについては特別な措置を講ずる、こういうふうな救済規定が何かできないと、不振土地改良区の再建などには非常に支障を来たしておるように思うのですが、この点についてはいかようにお考えになりますか。非常にむずかしい問題だけれども、これはひとつこれから努力をされて何かの標準を見出していただきたい、そうして農民の負担を過重にしないような措置をお考え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/122
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123・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 先生御指摘の問題、私どもも常に頭にあるわけでございまして、いろいろ検討をし研究もいたしておるわけでございますが、終戦以来、この事業をやれば米が何石とれる、その石当たり増産量から負担量限界を求めておった時期がございます。しかし、その後いろいろと世の中の変化によりまして、そういう考えだけではやはり足らないのではないかということで、いわゆる増産効果のほかに、労働の節約効果というようなものを見ていくのが、新しい時代の考え方であろうというような角度から考えてまいりました。ところが、水田におきましては米をつくることは明らかでございますが、開拓その他になりますと、たとえばミカンをつくるというようなことになりますと、収入等の関係で相当の負担にも耐え得る計算も出てまいる。かつまた、水田にいたしましても、もちろん、経営規模によりまして、労働力も一反歩幾ら減るということの効果が、経営体の大きさその他によっても違ってまいります。こういういろいろの問題に当面いたしまして、単純に経営体の姿、あるいはそこの上に植えます作物のいかんにかかわらず、反当幾らというものさしでならばできるかもしれないのですが、そのものさし以上のものをこういう時代には考えて、国のあり方あるいは県の間の持ち方、そういうものをやはり考えていくべきではなかろうか、こういうむずかしい問題に当面いたしておるわけでございます。不振土地改良区等で、過去におきましては、これは反当何千円以上毎年払うのは無理だから、この線で金融機関その他との間の延納の基準にするというのをやりました例は、先生御承知のとおりでございます。あれをそのまま土地改良事業の採択なり効果の発生に使うのはちょっと乱暴であろう、こういうような問題もございまして、決して場当たりの答弁ではございませんで、真剣に考えておるところでございます。明快なる基準というものをまだ求め得ない実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/123
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124・石田宥全
○石田(宥)委員 いま局長の言われるとおり、これは非常に困難です。非常に困難ですが、やはり土地改良事業に取り組む場合の農民の考え方に、何か一つの標準になるようなものを与えなければ、なかなか農民がついてきません。従来のような考え方では、土地改良事業というものは行ない得なくなるのではないかということを私は冒頭申し上げたわけですが、そういう点、その計画設計が当初の説明とどんどん変わってくるというところに根本の問題もあるのだけれども、しかし、いかなる場合といえどもやはりこの程度以上は負担にならないように配慮をするのだということが言えるか言えないかということは、土地改良事業を進める上において非常に大きなポイントになろうと思うのです。これは角屋君も触れられたのですけれども、国営事業、県営事業、団体営事業をいまセット主義でやるといって、農地局でいろいろ考えておられるようだけれども、何といっても従来のものはまだばらばらですね。だから国営事業の説明だけ聞いて、自分の農民の負担は反当三万円でいいと思ったら、そのあとで県営事業の説明を聞いたら、また三万円負担しなければならない、それがいいかげんに済んだら、今度は団体営事業でまた三万円負担しなければならない、こんなことだったらやめたほうがよかったというようなことで、途中でストップしてしまう。投下資本が全部寝てしまって、事業半ばに放棄するというような事態がたくさん起こったわけですから、私は、やはり積極的に土地改良事業を進めるには、そういう面もあわせて検討されて、いまお話のように果樹地帯などは、これは畑かんなんかの場合は相当高くとも一向差しつかえございません。しかし、それにも一定の限界がなければならないわけですから、そういうものについての標準的なものをやはりお考えを願わないと、これからの土地改良事業は進めていけないのではないかと考えますので、これからひとつ取り組んでいただきたい。
きょうは実はいろいろまだ欲ばっておりましたが、たいへん長くなって恐縮でしたけれども、私の質問は以上で終わりますが、終わるにあたって、政務次官からいま私が申し上げたような点について積極的な施策を立てていただくように、大臣とも御相談を願いたいと思いますが、この点は所見がおありであろうかと思うので、一言承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/124
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125・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 ただいまでの石田委員からの土地改良事業の推進、こういうことは最も大切なことでございますが、その推進について、こうしなければならぬ、こう進めなければならぬと、根本的にきわめて適切な御意見を聞かせていただきました。私は、静かに御意見を拝聴いたしておりまして、御指摘のように進めていかねば、これは完全な土地改良事業の推進はできない。同感するものであります。大臣ともよく相談して、あなたの御意見を十分入れて推進するように善処しろとのおことばでございますから、私は誠意をもってそうした方向でいけるように政府として努力をいたすことをお誓い申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/125
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126・高見三郎
○高見委員長 この際、芳賀貢君から資料要求に関し発言を求められておりますので、これを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/126
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127・芳賀貢
○芳賀委員 審議の都合に必要な資料を要求いたします。
第一は、改正案に伴う土地改良事業の長期計画、これは正式には法律が改正された暁、農政審議会にはかって決定することになるわけでありますから、したがって、長期計画については政府の案を出していただきたい。
第二は、土地利用区分に関する調査資料を提出願いたいわけです。内容的には、その重点を土地利用の現況と将来計画についての内容と、それからその二は、農用地の実態調査概要というものについての資料、この内容は、耕地については水田、畑地の適地、さらに今回の改正に関連する草地の関係の調査資料。
次に第三は、農用地の造成、それから転用、壊廃の最近五カ年間、つまり三十四年から三十八年度に至る五カ年間の状況がどうなっているか、そういう資料であります。
第四は、農用地を造成する場合の経費、たとえばヘクタール当たり未墾地の開墾についてはどのくらいか、あるいは干拓地については幾ら、草地の造成については幾ら、これは条件によって違いますから、おおよそ標準になる最高最低額、ヘクタール当たりの費用、それを特に内地と北海道に区分してできればお願いしたいわけであります。
それから第五点は、土地改良事業の事業別の補助率の一覧表と、それから事業費の負担区分、これについて特定、一般、構造改善、開拓というように区分されるわけでございますが、これらに関係する資料をお願いしたいわけであります。
最後に、土地改良事業に関係する資金融通に関する貸し付け条件とか、それに付帯した点等についての資料。
六点にわたるわけですが、ぜひこれを提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/127
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128・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 ただいま資料要求がございましたが、相当広範囲、膨大な資料のようでありますから、私のほうとしては十分誠意をもって御期待に沿うように、御審議をいただくための参考になるよう提出させていただきますが、中にはなかなか整わない困難なものもあるようでございますから、その点だけはひとつ御了承願って、誠意をもって提出させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/128
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129・高見三郎
○高見委員長 次会は明十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03619640414/129
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