1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十五日(水曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 長谷川四郎君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 足鹿 覺君
理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 加藤 精三君
仮谷 忠男君 吉川 久衛君
小枝 一雄君 笹山茂太郎君
舘林三喜男君 寺島隆太郎君
野原 正勝君 藤田 義光君
細田 吉藏君 松田 鐵蔵君
角屋堅次郎君 栗林 三郎君
東海林 稔君 中澤 茂一君
西村 関一君 松浦 定義君
湯山 勇君 中村 時雄君
林 百郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
北海道開発政務
次官 井川 伊平君
総理府事務官
(北海道開発庁
主幹) 荒巻與四郎君
農林政務次官 丹羽 兵助君
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
水産庁長官 庄野五一郎君
委員外の出席者
通商産業事務官
(通商局次長) 大慈弥嘉久君
専 門 員 松任谷健太郎君
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四月十五日
委員西村関一君辞任につき、その補欠として西
宮弘君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員西宮弘君辞任につき、その補欠として西村
関一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七号)
農林水産業の振興に関する件(韓国産のりの緊
急輸入に関する問題等)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
韓国産ノリ輸入問題について質疑の通告があります。これを許します。中村時雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/1
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002・中村時雄
○中村(時)委員 ただいま議題になりました韓国産ノリの輸入の問題について、時間が非常に制限されておりますので、簡単に質問をしていきたい、このように思っております。
農林大臣も御存じのとおり、韓国ノリの輸入についての原則は、これは十年前に、昭和二十九年ですか、そのころから国会においていろいろ問題とされ、衆参両院においては決議が行なわれて、その決議の内容は、年間輸入量は一億枚以内とすること、及びその輸入時期は国産ノリの生産期を避けて四月から九月とすること、これが原則となって確立され、従来政府もこの方針を忠実に現在まで守ってきて処理されたのであります。大体決議が守られて処理されたということは、ほとんどこの委員会でも例が少ないのでありますけれども、これだけは案外完全といってもいいくらいによく守られておったと私たちは思っております。しかもなお最近においては当委員会の決議で、去る三十六年の五月三十日、自民、社会、民社の三派共同提案によって、全会一致をもって、年間一億枚を限度とする、こういうことを確認されたはずであります。ちょうど角屋委員がそのときの提案の説明をされたのではないか、このように記憶しております。それでこれが全会一致をもって御存じのとおり決議をされていったのであります。このことをまず私たちは頭の中に明確にしておかなくらやならぬと思います。
しかるに、そういうような状態の中において、昨年の一月の閣議、さらに三月の閣議において、緊急輸入の問題が出たはずであります。その緊急輸入という問題は、御存じのとおり三十八年秋、三十九年春の国内産のノリが非常に作柄が悪くなりまして、特に東北といいますか、関東以北の地域においては不作であって、初めて天災融資法が適用されたことは御承知のとおりであります。常識的には例年普通は四十億枚くらいが大体日本の生産であろうと思っておりますが、本年度は三十億枚ぐらいに減っておるわけであります。だから十億枚ぐらいの不足ということは、これは事実として認めなくちゃならぬ、こういう状況下にあるわけであります。そこで価格が非常に暴騰してきた。消費者価格が高いから、国内産のノリの減収に伴なうこの価格を何とかしようじゃないかという考え方は、常識的には私も認めるのであります。そこで緊急輸入という名目において、一億枚というものを入れようという考え方がいま出ておるはずであります。この一億枚に対して大臣はどういうお考え方を持っているか。たとえば日韓交渉の問題にからましての問題として取り上げていらっしゃるのか、あるいはコマーシャル・ベースとして消費者価格という面から緊急輸入をしようというお考え方を持っていらっしゃるのか、そこらの点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/2
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003・赤城宗徳
○赤城国務大臣 韓国ノリの輸入に関する筋は、いま御発言のとおりでございます。そのとおり私も了承いたしております。ところで昨年ノリの不況で、いまお話のように十億枚ぐらい、私ども十三億ぐらいと見ておりますが、その数字は別といたしましても、非常に不作であったわけであります。不作でありましたので、緊急輸入の問題が閣議においていまお話のように二回ほど話が出ました。しかし生産対策が必要であるということで、私はいまの天災融資法の発動を待たなければやれないということで押えておったわけであります。しかしこれも発動もしましたので、緊急輸入をいたすような段階に入ってきております。それに対しまして、日韓の漁業もありますけれども、その他関連してのことか、それとも純然たる消費者物価対策というようなコマーシャルの立場からか、こういうお尋ねでございます。日韓の会談に間接には影響がありますけれども、それのからみ合いではございません。非常にノリの供給が不足している、そういう関係から、物価対策といたしまして緊急輸入ということを考えるべきではないか、こういうふうに考えてこれを進めたいということでございますが、まだきめてはおりませんが、そういう考え方で進めようとしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/3
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004・中村時雄
○中村(時)委員 そうしますと物価対策としてのほうに重点が入る、こういうことになってくるわけですが、御存じのようにノリができ上がるのは三月で終わっているわけであります。いまは四月に入ってきておるわけです。そうすると生産した三十億枚というものは、現在において問屋筋では持っているわけなんです。にもかかわらずその事態が引き起こされるというところの欠陥はどこにあるのかといったら、流通過程の中において私は問題があると思うのですが、大臣は一体どういうふうにお考えですか。現実に一億枚も入れようというお話ですけれども、ところが実際に日本ででき上がっている三十億枚はまだほんとうの市場には全部が出ていないわけなんですね。出ていないにかかわらず、あわててこっちのほうの一億枚を入れようとされていらっしゃる、あなたのお考えはいいですけれども、しかしそんなものをすぐに入れなければならぬという具体的な条件がはたしてあるかどうか、これがまず第一点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/4
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005・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いまお話のような状況だと思いますけれども、生産者の手持ちというものはもう全然ない、問屋のほうに回っておる、こういうような関係だと思います。でございますから、私どもは緊急対策として入れても、生産者のほうにとっては打撃というものが少ないといいますか、ないというふうな見方で、生産者の立場からは入れてもよかろう。しかし問題は、消費者の物価対策に関連する問題でございますけれども、そういうものが入ったということによって、いま手持ちが問屋にあったといたしましても、その手持ちとともに、世間から見まするならばそういうものが市場に回る、こういうことに相なろうと思いますので、物価対策に相当寄与し得る、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/5
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006・中村時雄
○中村(時)委員 そうしますと、いま言ったように生産者のところにはないのですね。でき上がり次第どんどん問屋が買っておる。それで問屋のほうにはあるわけなんです。三十億枚というものがある程度消費者に回されたとしても、大多数のものはまだ問屋に残っているわけです。ということは、反面からいえば思惑をやっているということなんです。意識的に値をつり上げるということをやっている。現実には手持ちに持っておる。しかも三十億枚に対してわずか一億枚というものをプラスアルファして、消費者価格というものがほんとうに下がるという自信を持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/6
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007・赤城宗徳
○赤城国務大臣 事務当局からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/7
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008・庄野五一郎
○庄野政府委員 昨年の生産量が、非常に不作でございまして、大体私のほうで推定いたしておりますのは二十六億をちょっと上回る、こういう程度でございます。それで三十七年度が大体三十九億、四十億をちょっと切った、こういうふうに承知いたしております。それで大体十三億程度の減産になっている状況でございます。それで地区的には全然とれない、千葉あたりではとれないところもございますが、大体全国平均で十三億程度が前年に比べて減産になっている程度でございます。それでノリの生産地の取引は、大体三月ごろまでで共同販売に乗るものが大部分でございますが、終わっております。愛知は三月の中旬で取引が済んでおるという状態で、先生御承知のように、流通機構には相当程度乗ってきておるわけでありまして、大臣からお話がありましたように、生産者の手持ち在庫というものがほとんどないということであります。それで御指摘のように、二十六億枚のうち、相当程度が流通機構にあるわけでございますが、生産地価格も上がっておりますし、それから最近におきまする消費地価格、いわゆる小売り価格というものも、三十八年は大体中級のもので十枚当たりが百二、三十円したものが、ことしは百三十五円から百五十円、こういうふうに小売り値段も最近非常に上がってきております。これはやはり生産地における生産者価格の非常な強気というものも反映しておるわけでありまして、必ずしも流通機構が買い占めてつり上げている、こうばかりは言えないと思います。やはり生産者価格も非常に上がっておるわけでございますので、それを反映し、また品不足という点からも消費者価格が上がってきておるわけであります。こういうことでございます。それでわれわれといたしましても緊急輸入という問題は、これは初めから相当問題があったわけでございますが、生産者対策に影響があるということと、それから大臣からお話がありましたような、天災融資法を発動したあとにおいてやるべきではないかということ、それから生産者に在庫がない、それからこれだけふえることは消費者の品不足というものの緩和には役立つだろうということで、消費者対策にもなるというふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/8
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009・中村時雄
○中村(時)委員 水産庁の長官に前もって断わっておかなければならない。時間がないので、私の聞いておるのは、一億枚を入れたら、あなた方は消費者価格というものがほんとうに安定をし、ある程度価格というものが押えることができるかということを一言聞いただけです。それを余分なことを言われる。だからあなたは心臓が強いので、最初から注意していたのだが、その点ひとつあとの答弁でもはっきりさしておいてもらいたいと思っております。
そこで、緊急輸入のその方法論ですが、御存じのように国会の中で、先ほど言ったように決議をしたことを頭の中に入れておいてほしいと言ったのは、そのことを言ったわけです。十年以前に韓国との問題が国会の中においていろいろ問題があった。残念ながら、それを内密にやって膨大な利益を云々されていった方々もいらっしゃる。それが問題になって、衆参両院でこの決議は行なわれたわけです。その中には一億枚を限度とする、こうなっている。しかもその期日が書いてある。そのことが現実にいままで行なわれておった。そこでその期日が行なわれておる、あるいは一億枚というものが正常なルートで云々されておったわけです。いままで、たとえば韓国のほうから輸出組合というようなものをつくっていく、日本のほうはそれを受け入れるとして、輸入組合をつくって、そして一本化されて結束をしていって、期日を守っていこうじゃないかという話し合いができて、ここに設立された。これは大臣も御存じのとおりです。さすれば、本年度における一億枚の認められておったワク内においてこれを取り上げるものか、あるいは別ワクとしてこの一億枚を取り上げようとしておられるのか、その点を明確にお答えを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/9
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010・赤城宗徳
○赤城国務大臣 その通常の一億枚のワク外にまた一億枚と、こういう考え方で緊急輸入をしたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/10
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011・中村時雄
○中村(時)委員 ちょっといまのはわかったようなわからないような御答弁なんですが、私の頭が悪いせいなんですか、いま言った通常の一億枚として最初に入れて、それから後にまたものを考えるというお考えなのか、それともそうでなく、通常の一億枚は一億枚で確保しておいて、あとから別に一億枚入れるのだ、こういうお考えなのか、どっちなのですか。これは大事なことなのですから、明確に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/11
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012・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私は通常のものをくり上げてと初めは考えたのですが、通常のものは通常の時期がありますから、通常のほかに一億というものを緊急輸入しようか、そうすると都合一億プラス一億、量でいえばそういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/12
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013・中村時雄
○中村(時)委員 どうも言いにくそうなものの言い方ですけれども、きめられておる一億はまだ入っていないのです。なぜ通常の一億を先に入れて、またその上に乗っけて、秩序を乱さないようにきちっとして、その上でみんなで相談するというのなら話は別です。ところがいきなり一億だけ特別に入れて、そしてそれでカムフラージュするから、くさいにおいが出てくる。くさいものは問題としてやはり取り上げざるを得ないということになってくるのですが、そこらのところは大臣のような賢明な人がどういう理由で——常識で考えまして、通常の一億を入れておいて、それから話が出るというのなら、これはだれだって納得します。先の考え方でいっておるなら、私どもも納得します。ところがそうじゃなくして、その通常の一億はわしは知らぬぞ、この一億は別だというようなことになったら、国会の決議をはじめ、法案にもあとで問題が出てきますが、そういう問題にからましてみて、一体どういうお考えなのか、私どもには不可解なものが出てくるのです。大臣自身のお考えが、その一億は通常のものにちゃんとするのだということになれば、これはまた話は全然別になってきます。だから、そこらのところは明確にしておいていただきたい。どうも大臣のお話を聞いておると、その一億の通常のものはあと回しにしておいて、肝心のものはあと回しにして、別のものだけをこう持ってくると、何かくさいにおいが出てくるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/13
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014・赤城宗徳
○赤城国務大臣 実は私はくさいにおいなんか何もかいだこともなし、そういうなにはなかったのです。私の考えでは、通常のものを先に繰り上げて輸入して、それから緊急のものをあとでまた一億なら一億というふうに思っておったのですが、どうも閣議の話やら事務当局の話を、実はけさ聞いたのです。けさ聞くと、どうもそれとは筋が違うような話なので、これはもう一度検討してみなければならぬというわけですから、いま質問を受けてもどっちということを言えないのです。実はけさになってから私、事務当局にちょっと聞いたところが、私の考えと少し違うようなことです。しかしその裏に何かあるというようなことは全然ございません。裏にはないのですけれども、どういうふうにしたほうがいいか、こういうことについてはまだ研究しなければならぬ。これは通産のほうの割り当てなんでございますけれども、そういうことでまだ研究の余地が少し残っておるものですから、はっきり申し上げられないような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/14
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015・庄野五一郎
○庄野政府委員 ちょっと私から補足して簡単に御説明いたします。大臣がいま御説明になったわけでございますが、この韓国ノリの輸入の一億枚というものが問題になったのは、昨年の暮れからことしにかけて、日本の生産が非常に減るのではないか、いわゆる消費者価格が上がるではないかということで、そういう消費者価格対策ということで閣議でも問題になった、こういうふうに聞いておりまして、たまたま韓国にも在庫一億枚あるということで、それを緊急輸入する、こういうような話でございました。われわれといたしましては、ちょうどその生産の時期でもございますし、また非常な天災を受けておるので、天災に対する措置がとられなければ、いまそういう時期ではない、こういうことで断わってきたわけでございますが、生産の時期を過ぎましたし、在庫量もない、それから天災融資法を発動して生産者には迷惑はかからない、こういうことでございますので、従来のいきさつから申しますと、この一億枚は緊急輸入ということで、通常の一億枚のほかにこれだけを消費者価格対策で輸入する、こういうふうに大臣が御説明したわけでございます。そういうような経過でございますが、大臣からもいま御説明がありましたように、十分また検討いたしてみたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/15
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016・中村時雄
○中村(時)委員 事務当局自身が、緊急輸入すべきだとか、政治折衝だとか云々されることは、行き過ぎだと思う。国会において決議されて、こういうことが明確になっておるならば、その問題の解決をどう取り上げるかということが、あなた方の行政としての立場じゃないか、私はそう思っておる。それから緊急だ、あるいはそれから次の事項が云々されたというような場合には、これは大臣の権限において考えるべき筋合いだ、私はこういうふうに解釈しておるわけです。
そこで、私は一つの問題を出してみたいと思うわけですが、韓国側の状況というものはあなた方御存じの上で、いま長官は発言されたのかどうか。韓国側におきましては、御存じのとおりにやはり韓国ノリ輸出組合というものがあって、その輸出組合一本によって日本のほうに輸入を受け入れさせていく、こういう法案ができているわけです。それを今般規定の一部を改正して、輸出組合が同意を与えたものに対しては輸出許可を与えることができ得るという、法案の一つの改定をやったわけです。そのやった元凶はどこにあるかといったら、豊和興業というのがあって、この豊和興業が政府に働きかけてこの問題の解決をはかっていった。その結果、この豊和興業が現在ある韓国ノリ、あなたは一億枚と言いましたが、もっとあります。その問題を掌握しておるというのが現実なんです。その輸出組合としての問題でなくして、別にいま言った業者が韓国側の政府に働きかけて——その内容は知りません。また知っておってもここで発表もいたしませんが、働きかけてその法案の改定をやってのけた。これに対して日本側の一部業者がこれとタイアップをして、日本のほうで某商事会社と提携をして、アメリカからLCを組んで百五十万ドルを送付している。そうしてこの三者が一つになって、日本の政府に働きかけているのが現状です。あなた方はそういう内容も知らずして、ただ単にそういう公式論にとらわれての発言であるなれば、もっと内容を検討してもらいたいと希望する次第です。だから発言をされるときには、原則的におっしゃるのだったら原則的な方向で、農林大臣が何も知らされておらぬのだったらそういう方向で、まず日本の常識からいって、議会で決議された一億枚をどうするかということの上に立って——同じことでしょうが、緊急輸入をしようとそれをやろうと、四月に入れば契約ができるのだから。そうでしょう。四月に入って契約をして、完全に予定されておった一億枚というもののルートの上に乗せて、その後において問題の解決をはかるとしたってできるわけです。私はそう思う。そういうことができないからこそ、いきなりよそから持ってきた一億枚をばっと市場に出してみる。そうすると、何かにおうのじゃないか。そうするとすぐにいろいろな問題が起こってくる、こういうことになってくるわけです。だから、それはあなた方の関係はないかもしれない。しかし政治的な立場からいったら、そういうものは事前になくし得るようにすることが、私はやはり農林大臣の立場であろう、こう思うわけです。農林大臣がその内容や実情をお知りでなかったら、この当時の実情をもう一回調査してみられて、そうして現実にこれがあらわれてくるなれば、その問題の解決を大臣はどうとるかということを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/16
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017・赤城宗徳
○赤城国務大臣 確実にいまお話のようなことを私、聞いておるわけではございませんが、私は輸入の方針といたしましては従来の方針で、向こうに何とか産業というものができようができまいが、これは向こうのことですから、こちらといたしましてはやはり輸入の組合の手を通じて輸入する、こういう方法が至当である、こう考え、またその方針で通産ともいろいろ話し合いの場合には、そういうふうに話をする、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/17
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018・中村時雄
○中村(時)委員 時間がほんとうにないので一、二点でやめますけれども、いま大臣のおっしゃったことは、通産当局もよく聞いておっていただきたい。いま大臣のおっしゃったことは、良識的な答弁だと思うのです。それをはたからわいのわいのゆがめていかないように、あなた方もそれをてこ入れしていくように、そういう努力をしてもらいたい。これは通産当局からの答えをお願いしたいと思うのです。通産当局にはいろいろお聞きしたいのですが、時間がありませんから一応取りやめますけれども、次長からその発言を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/18
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019・大慈弥嘉久
○大慈弥説明員 韓国ノリの輸入につきましては、現在商社の輸入協会なりいろいろなほうから、いろいろ陳情書が参っております。参っておりますが、私らとしてはまだ事務当局で勉強している段階だけでございまして、大臣にも上げておりませんし、農林省、水産庁とはもちろん十分相談をしてきめるべきことでございます。しかし、きょうの御発言はよく帰って報告をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/19
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020・中村時雄
○中村(時)委員 いま大臣のおっしゃったのもよく聞いておきなさいよ。一月、三月の閣議ではそういうことになっております。一月ですよ。はるか前ですよ。そして一応緊急輸入で云々されるというような話がありました、こうおっしゃっておる。しかし大臣は政治上の立場からいって、認められておった一億枚をまず輸入をさせてルートの上に乗せて、そして正常な取引の中において、ものごとの解決をはかろうという考え方を基本に持っていらっしゃる、こうおっしゃる。そうすると通産当局は当然そのこと自身は、知っていなくちゃならぬわけです。もう一月、三月にはや閣議でそういうことが出ているのだから、あなた方のところにもいろいろな陳情がきておるのだから。そうでしょう。日本では私は名前を一つ言いましょうか。白子商会を通じてきているはずです。そういうものと組んでいろいろな方向をとっておる。一々人の名前を言えと言ったら言ってあげますよ。あなた自身が知っているから言わないだけです。ただおとなしいだけではいけぬのですよ、次長。だからそういう点を的確につかんで、そしていまのルートに乗せてやることが、ほんとうの正常な行政指導の行き方としてスムーズな行き方だと思う。かりにいま言ったように別ワクで一億枚をとってこられて、もしそれをやってごらんなさい。生産者に影響がないといっても、次の時期には必ずそれが出てきます。かりにその人が政治的に動いたとするならば、こういうことを言っては悪いけれども、自民党にはいろいろな派閥がございます。そうするとAという派閥でみんながそれを承認したとなったら、次の商社はBにくっつくに違いない。そうするとBというものが発言すれば、ほかのものもそれを承認せざるを得ない、こういう状態になってくる。そうすればこれは基本的にくずれてしまうというおそれがあるのです。私は生産者だけの問題ではないと思うのです。そういうことは明確に心に入れて、そして自分たちの事務当局としての立案を明確にしておく、こういうことが私は必要であろうと思う。このことは通産だけでなくて、農林省の水産庁長官は百も承知しながら答弁しておるのだから、これ以上のことは申し上げませんけれども、その点はあなた方は十分考えられて、大臣の考え方を基本的にしっかり身に体してやっていただきたい、これを希望条件にしておきます。それであなた方がそういうふうにやられるかどうかというお答えだけをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/20
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021・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私もそういう考えであったのですが、いろいろ事務的の運び方等もあろうかと思いますが、そういう方針で進めていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/21
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022・中村時雄
○中村(時)委員 大臣、そこを腹を締めて、あなたのよさでもあるし悪さでもあるのだが、発言するときにあげ足をとられてはいかぬと思わぬように、そういうことはそういうことでき然としてやっていくように——いまでもそうでしょう。当初はそう思ったのございますが、まことにことばはいいですよ。しかし当初そう思っておるのじゃなくて、私の言うことが正しいことなのか悪いことなのか、そこがひとつ御判断願いたい。そういうふうに問い詰めていったらあなたも立場が困るから、私はなるべくそういうふうに問い詰ないようにと思って質問したのだが、あなた自身がそういうふうにふらふらしてそういうことを言っておったら、これは話にならぬ。だからあなた自身が、私の質問しておることがまっすぐなルートの上に立っておるのか、あるいは私の考え方が間違っておるなら間違っておると明確に言っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/22
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023・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話のことは筋が通っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/23
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024・中村時雄
○中村(時)委員 筋が通っておるとか通らぬということよりも、そうすると、筋が通るならばこれによって解決の方向を考えているということなんですか。先ほどは私はそう理解した。だからやめたのです。ところがまた私は当初そういうことを考えておったのですが、事務当局でも——事務当局なんて問題ないじゃないですか。事務当局にはこれが正しいのだと思うなら、正しいことをやりなさい、そう言えば事務当局は大喜びでしょう。やはりりっぱな大臣だということになります。人はいいし、行政手腕にしても、あらゆる面でりっぱな大臣になったら、これほどいいことはないじゃないですか。だから大臣、その点をひとつ明確にしたらどうですか。それとも明確にできない理由があるのだ、私は知らなかったけれども、閣議でこう言った、だれが言ったのですか、そういうふうになっていくのですよ、私に言わしたら。追及していくのだったらそういうふうにどんどんいきますよ。しかしあなたはほんとうは良心的なものを持っておると思うから、私は一応やめるのです。あなたがさつき言った発言の中には、はっきり出ております。閣議の中で云々、こうおっしゃっておる。閣議の中でどういう発言をだれがしたか、そういうことをぴしゃぴしゃと言いますよ。だからそれをあなた自身が正しいと思うのだったら、正しい方向に指導していくということになっていくのが、私はほんとうの政治のあり方ではないか、こう思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/24
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025・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そこまで問い詰めなくてもいいと思うのです。筋が通っているということに同意すれば、私はその方向でやるということはおわかりいただけるのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/25
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026・中村時雄
○中村(時)委員 そういうふうに大臣の良識に私たちも期待して——期待でなくて、きちっとした方向がとれる、こういうふうに考え、通産当局も水産当局もそれに協力してあやまちのないような方向をとっていただきたい、こういうふうに思っております。通産当局と水産庁長官と御答弁だけ、その趣旨をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/26
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027・庄野五一郎
○庄野政府委員 大臣の御指示に従ってやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/27
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028・大慈弥嘉久
○大慈弥説明員 きょうのことを帰りましてよく報告いたしまして、検討させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/28
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029・中村時雄
○中村(時)委員 やめようと思うと、あなた御報告しまして——あなた自身の考えは何ですか。あなたは非常におとなしくて人柄がいいということだけでは事は済まぬのだから、あなた自身どう考えられるか。いま大臣から、そういうように農林省としての態度が出た。そこで通産省としてはどうお考えになっていらっしゃるか。私の言っていることは、おそらくこの委員会の諸氏に、自民党の方も社会党の方もみんな同じだと思うのです。そこであなたら自身が、この委員会のことが正しいというお考え方を持っているなれば、この方向に自分たちも努力をしていきたいという希望を持っていらっしゃるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/29
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030・大慈弥嘉久
○大慈弥説明員 事務当局としてはまだ最終的に結論を出して、大臣にどうしましょうということは実は申し上げておりませんで、水産庁ともなお十分打ち合わせをしてない段階でございます。現状ではそういうことでございますが、前の委員会の決議も十分存じておりますし、それからきょうの御趣旨も十分存じておりますし、水産庁とも十分打ち合わせをして勉強させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/30
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031・中村時雄
○中村(時)委員 農林省のこともわかっている、国会の議決もわかっている、すべての四方の状況はわかっているが、私だけはわかりませんでは、通産省は一体何をやっているかということなんです。そうでしょう。それはあなたが大臣から云々ということは私にもよくわかります。わかるけれども、やはり事務当局としてはあやまちのないような方向をとるということが大事なことなんです。私は、一、二の犠牲があってもその問題は明確にしてあげることが、政治の姿勢を正しくする行き方だと思う。私はそういう信念を持っております。だからそういう立場であなた方自身も——私はいまあなたの考えを聞いているのです。何も四方の状況がわかっておりますからということじゃない。あなた自身がどう考えているかということをお聞きしているわけです。だからそういうことは何もちゅうちょすることないですよ。しかしあなた自身のいまの立場、通産大臣あるいは通産省の内部の立場を考慮するから、これ以上は申しませんけれども、その点はよくお含みの上で、今後あやまちのないようにしていただきたい。
以上をもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/31
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032・高見三郎
○高見委員長 林君、関連質問は簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/32
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033・林百郎
○林委員 委員長の御注意もありましたので、簡単にいたします。韓国からの食品の緊急輸入の問題が、ただいまの中村委員の質問から見ましても、不明朗な印象を与えるような政府側の答弁であります。そこで私はさらに、日韓会談に際しての日本側の協力費の一億四千万ドルが、漁業補償としてすでになしくずしで一部韓国側に渡されておって、韓国側がこれを使っておるのだという話を聞いておるわけです。日韓両国の関係のことについては、いろいろのうわさも飛びますし、デマも飛びますし、不愉快なことも聞いておるのでありますが、この際食品緊急輸入の問題にからめまして、一億四千万ドルの漁業補償の支払いの問題については、打ち切りの最終的な段階ではどうなっているのかということと、第二番目には、なしくずしで一部いろいろな形で渡されて、これが韓国側で消費されているという事実はあるのかどうか。
もう一つは、実はノリと同じ状態で豚肉が約五千頭、やはり緊急輸入という形で韓国から入れられている。これは金にして約四、五千万ドルのものでありますが、これは韓国の飢餓輸出、向こうからいえば輸出、日本からいえば輸入になるわけでありますが、大臣も御承知のとおり、肉はあり余って、倉敷料の支払いを商社から立てかえさせてまで払っているというような状態のときに、どうして韓国から豚肉の輸入というような話が出たのか、このことについては現在どうなっているのか、畜産業者のほうから反対の意見があって、一時これは取りやめになっているという話も聞いておりますけれども、この点はどうなっているか。
以上の漁業補償一億四千万ドルの話し合いについては、大臣が日韓会談を打ち切った最終的な段階では、どういう話し合いになっているのか、一部なしくずしで支払われて使われているというようなことも、これは民間補償になりますが、聞いておりますけれども、そのことについてはどういう状態なのか。それから豚肉の緊急輸入というような問題はあったのかなかったのか、あったとしても現在どういう状態になっているのか、この三つをちょっと中村さんの質問に関連してお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/33
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034・赤城宗徳
○赤城国務大臣 漁業協力の金というのは、御承知のように政府間のベースというような協力の金ではございません。純然たる民間ベースで、民間でどういう協力をするかということにまかしてあるわけでございます。でございますから、一億四千万ドルというような話も、別にそれを詰めるとか詰めないとかいうことにはならないわけであります。民間でどれくらい協力するかという問題でございます。でございますから、政府の直接に関知した問題ではございません。民間の問題でございます。したがいまして、これを先に向こうから食料品などを買って協力しているかどうかという御質問でございますが、そういうことはございません。協力費を出しておるというような——これは民間の取引は別でございますが、協力費として民間から金を出して取引をしているというような事実はございません。在日韓国人が発行しております「統一新聞」とか何かという新聞をゆうべもちょっと見たところが、何か日本の協力費を何億も使っているとか、金を向こうでふところに入れたとか、いろいろ載っていますけれども、協力費を出しているとかなんとかいうことは全然ございません。それは輸銀ベースでやるわけですから、したがって食料品の、いかに民間ベースといえども、そういう事実はございません。それから豚肉の問題も、輸入してほしいという話は私も聞きましたが、豚肉は韓国から輸入しておりません。答弁も不明朗な印象だなんというたいへんお疑いの前提でございますが、そういうお疑いになるようなことはございませんから、その点はっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/34
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035・林百郎
○林委員 もう一点だけ。大臣も言われましたように、実は韓国の国会では、発表された金・大平メモの中に、民間補償の一億四千万ドル、あるいは一億ドルといわれますけれども、これは話がついているのだということで、大平・金メモで成立しているのだということで、学生に発表したとかしないとかいう問題もある。これがすでに一部なしくずしで韓国側へ払われていて、使われているのだということが、韓国の国会では非常に大きな問題になっているので、われわれとしては、大臣としては聞きにくかったかもしれないけれども、不明朗だということで聞いているわけであります。何もあなたが不明朗なことをやっていると私は言っているわけではないのですけれども。そこで、これは民間ベースの話し合いだから、政府は関知しておらないのだというのですけれども、そうしていながらあなたは、いやなしくずしで払われているはずはないという確信を持って、ここで言っているわけなんです。一億四千万ドルという額の問題については、民間ベースだから政府の関知するところでない、それは民間の間の自主的なものにまかされているのだと言いながら、それはなしくずしの形ですでに韓国側に若干にしても渡されているのじゃないかということになると、大臣は自信を持ってないはずだと言っていますが、その辺はわれわれ納得できないのです。
そこで、かりに一億四千万ドルの漁業補償の問題が現実の問題になるとすれば、これはどういう形で払われるのか、政府は全然関知しないというのは、政府に無関係でこういうことができるのかどうか。そういうことだとすれば、あなたのおっしゃるように、いやなしくずしで、そういう韓国側とこちら側の民間ベースの間の話し合いを、すでに支払ったということもないはずだということが、どうして大臣がここで責任を持って答弁できるのか、ちょっとその辺が矛盾しておりますので、もう少し詳しく聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/35
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036・赤城宗徳
○赤城国務大臣 漁業協力費というのは、こういう形でやろうということです。直接タッチしてないということでございます。輸出入銀行ベースで、日本の、たとえば船なら船の製造会社へ融資する、そして日本の船会社が向こうから注文を受けて、そして船をつくってやる。その船をつくってやった金を向こうから延べ払いにすることを、輸出入銀行が日本の業者、船会社なら船会社に認めてやる、こういう形が大体の漁業協力のやり方でございます。でございますから、直接向こうに金を貸すとかなんとかということではなくて、日本の業者に日本の輸出入銀行あるいは市中銀行から金を貸して、そして船なら船をつくることが延べ払いになる場合に、それを民間の輸出入銀行等が認めてやる措置をとる、こういう形でございます。でございますので、向こうからものを買ったり金を貸してやったりというようなことは、漁業協力の関係でそういうルートでやるとすれば絶対にないはずです。ですから、いま御質問のようなことは全然ございません。民間でいろいろ取引している、これはまた別です。しかし漁業協力の金のやり方というものは、そういうやり方でございますから、漁業協力の金として出しているものもなければ、向こうからその金でものを買っているというようなこともございません。これははっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/36
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037・中村時雄
○中村(時)委員 これはおわびしなければならないですが、もう一点だけちょっとお聞きしておきたい。それは去る一月の二十九日、第二十二佐代丸が、これは韓国に拿捕されたわけです。船員が抑留されて、私たちも韓国の大使館に行き、これはいろいろな話し合いを続けて、やっと帰ってきたわけなんです。その際に、船は帰ってきたけれども、漁獲物や漁具は全部取られてしまったのです。取り上げておいて何をやったかというと、韓国ノリを渡されたはずです。その韓国ノリが渡されて、これは当然ある意味からいったら密輸入というかっこうになるわけです。その処置は一体政府としてどういうふうにやっておったか、それをちょっとお聞きしておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/37
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038・庄野五一郎
○庄野政府委員 佐代丸につきましては、拿捕されまして、われわれとしてもすぐ抗議して、当時韓国の飛行機を救助したという関係もございまして、すぐ釈放になったわけでございますが、そのときの漁獲物の没収とか、そういうものの見返りとして、現金と、それから現金のほかにノリを向こうが渡したということで、持ち帰っております。これはいわゆるFA関係の物資でございますので、無為替になるわけでございますが、いま通産と打ち合わせて、そういうような事情やむを得ないというような場合には、無為替輸入ということで協議して、善処していきたいというふうに考えております。特に、拿捕されて釈放されたというような特別な事例でありますので、また賠償金として向こうが渡したというような例でございますので、無為替輸入の手続で成規の手続ということにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/38
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039・中村時雄
○中村(時)委員 無為替輸入の是否論は一応やめておきましょう。ただ問題は、それはどういうルートに乗せて処理していくか、その処理した結果はどういうような扱いをするか。船員に対してどうするか、そういう問題も残ってくると思うのです。それらに対して具体的なお考えをいま持っておるか、あればお聞きをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/39
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040・庄野五一郎
○庄野政府委員 まだ輸入手続というものが成規に済んでおりません。いま申しましたような無為替輸入を通産と協議して、輸入できるということになりますれば、先生が言われましたような点はよく考えながら、措置しなければならぬと思っておりますが、まだそういうことでそのまま保管している、こういう状態です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/40
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041・中村時雄
○中村(時)委員 それは保税倉庫に置いてあるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/41
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042・庄野五一郎
○庄野政府委員 仰せのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/42
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043・中村時雄
○中村(時)委員 それは確認しておりますか。見てないでしょう。そういうことはよく調べておいてくださいよ。以前ノリの問題では、これはすぐに金に切りかわるものですから、それで保税倉庫にありますとあなた方が答弁して、それではほんとうに現物を見ておるかと言ったら、見ておりません。見に行ったら何もない。通産局長はそのために一筆書いてわび状を出したはずです。これはそういう問題ですから、これは危険性を伴っているわけです。危険性というよりも、利潤を伴ったあれが非常に多いものですから、そういう点はよく注意して、そういうあやまちのないようにしていただきたい。
以上をもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/43
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044・高見三郎
○高見委員長 赤路友藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/44
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045・赤路友藏
○赤路委員 もう時間がありませんから、変わった角度で一点だけ御注意を申し上げておきたいと思います。特に通産省のほうへ御注意までに申し上げておきます。いま中村委員からいろいろ話があったとおりなんで、これはこの委員会で問題が解決ついたのではない。ここで質問をしたから、それで解決がついたという問題ではないのでありまして、あとあなたのほうのやり方いかんでは、これは尾を引く問題だ、こういうふうに御了解置きを願いたいと思う。
それから水産庁のほうへちょっと御質問を申し上げますが、ただいま中村委員からも言われましたように、衆参両院で一億枚という一応の韓国ノリの輸入に対するワク決議とでも申しましょうか、そうしたものがあるわけですが、この決議をされたゆえんのものは一体何なのか。これは韓国ノリが輸入されることによって、日本の国内のノリ生産業者に与える打撃がかなり大きい。今日非常にノリの生産は伸びております。伸びておりますが、依然としてその生産者の規模は小さいわけです。零細なわけです。それだけに韓国ノリの輸入ということは、今日の段階に至りましても、生産者に非常に大きな打撃が与えられる。この点を十分考慮置きを願いたいのであります。もちろん私は通産といわず、政府全般の国内行政の立場からする面はわかるわけなんです。特にことしの場合、暖冬異変がありまして、生産量がうんと減退している。消費がだんだん伸びてきている。だから消費と生産との上のバランスが破れてきている。そうしますと当然ノリの輸入ということは考えられるでしょう。一応そういう点はわかるわけなんです。しかしながらまた変わった角度で、生産者の立場を考えてみますと、暖冬異変のためにほとんど生産量は減退した、これでたたかれている。韓国ノリが輸入される、それで思惑と申しますか、また価格がたたかれる。二重にたたかれるというような立場に、ノリ業者は置かれているわけです。だから輸入の時期であるとか、量であるとか、その方法というものは非常に大きな影響を及ぼすものであるということをお考え願いたい。この場合、沿岸漁業等振興法ができましたが、この沿岸漁業等振興法の第三条第六号で、特に与野党が一致して入れました項目は、こういうところにあるわけなんです。単に需給の面を調整するというだけで、どんどん輸入するということは考えてもらわなければならぬ。そのためにこそ沿岸漁業等振興法の中で特にこの点は強調して、双方で試し合って入れた。この点をお考え願いたいと思う。そこで考えなければならぬことは、私ども生産者の立場の上に立つからといって、消費者の立場を無視していいということではないわけです。生産者の立場も、消費者の立場も、十分われわれは考えていかなければならぬ。では今日のノリの輸入のあり方というものを再検討する必要があるのではないか。見てみますと、依然として変わらない。今日の段階におきましても、一億枚の輸入をめぐって、まるで砂糖にアリがつくようにがたがたやっている。これが実態なんです。こうしたことをいつまでも続けていくから、いま中村君が言ったような工作が行なわれる、それが何か暗いものを行政の面に与えていくわけなんです。国民から疑惑を呼ぶもとになるわけです。そう考えてまいりますなれば、今日考えられることは一体何か。これは輸入の方法をどう考えるか、あるいは輸入から流通へ至る間のこの経緯をどういうふうに是正していくか、ここに思いをいたさなければならぬのじゃないかと私は考える。この点をひとつ十分御考慮おき願いたいと思う。たとえば生産者の団体というものを一つの窓口にするということも方法でありましょう。あるいは生産者団体では困る、そうしたものをも含む何か団体で、それが大きく利潤をとるということでなしに、需要と生産との動きを十分見て、生産者に打撃を与えないように、あるいはまた一般消費者の面にも大きな影響を及ぼさないように調整をしていくという、これは統制ではない、そうしたことをも考慮の中に入れて、この問題は何とか新しい輸入とそれから流通の方法を考えませんと、いつも問題を毎年毎年繰り返して起こすということになりそうなんです。先ほど中村君からかなり強くいろいろ言われましたが、ぜひ通産省のほうにおきましても、特に水産庁のほうにおきましては、生産者の立場、こうしたものをお考え願って、そういうような輸入から流通への過程をこの際もう一度十分御検討願いたい。そういうような御意思があるかどうか、この一点だけお聞きすればいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/45
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046・庄野五一郎
○庄野政府委員 先ほどからもお答えを申し上げましたように、水産庁といたしましては、この韓国ノリの輸入ということについては、国内生産者に及ぼす影響という点でだんだんの、これまで従来御決議等もございますので、御決議の趣旨に沿いまして、FA物資として数量も限定し、輸入の時期も国内の生産者に影響の及ぼさない時期に入れる、こういうようなことで処理しております。今回問題になりました消費者対策として緊急に入れる、こういうことにつきましても、先ほどから申しますように生産時期をはずすということと、それから昨年の暖冬異変による災害対策のあと始末が大体ついて、天災融資法の割り当ても済んだ、そういう時期で、そして大体生産者にも在庫がない、こういうような時期に立ち至りましたので、考えなければならない、こういうように考えておるわけでございます。御趣旨の点は十分尊重して、国内の生産者に悪影響の及ぼさないように処理してまいりたい、こういうふうに思っております。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/46
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047・高見三郎
○高見委員長 次に、土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/47
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048・角屋堅次郎
○角屋委員 時間が相当に経過をしておりまして、さらに同僚の東海林委員からも大臣に対する質問を予定されておりますので、ただすべきことはたくさんありますが、要点を数点にしぼって大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
その前に、いまの韓国ノリの輸入問題に関連いたしましては、私は昭和三十六年の本委員会における決議の提案者の立場からも、強く冒頭に希望を申し上げておきたいと思います。昭和三十六年の決議の段階におきましても、当時韓国に野田団長以下の自民党の議員団が派遣された経緯もありまして、決議する段階にはいろいろ内面的に一部の与党の諸君の強い意見等もありました。それを説得をし、了解を得て、決議をやった経過がございます。先ほど来中村委員なり赤路委員からもお話がありましたように、今日沿岸漁業のいわば成長財として発展をしておりますところの浅海養殖関係、これはノリの場合には特に韓国ノリの輸入問題とからんで、非常に大きな影響を持っておる。しかもまた韓国のノリと日本のノリとの価格差、一億枚入れれば数億円の利潤が出てくるというふうなところから、輸入業者間でも相当に争奪戦が行なわれるという経緯もあり、また一部には総選挙等に、与党の関係したごく一部の諸君に、そういうところから選挙資金等も流れるというようなことが従来から流布されるというふうな、非常に暗い面を持った問題が内面にございます。この際大臣が中村委員にも答弁されたように、生産時期をはずして今日韓国のノリの輸入問題を考えるというのは、大臣の判断として適切だったと思います。ただ今後入れる輸入量の問題については、十分国会の意思を尊重し、また浅海養殖業の中で占めておる沿岸漁業のウエートから申しましても、今後十分生産者への発展の影響というものを慎重に考慮されて、国会の決議に基づく輸入というところに基本方針を置いて善処されますように、強く要請しておきたいと思います。
きのうも土地改良法の一部改正の問題について大臣にお伺いをいたしたわけでありますが、きょうは改正案の内容とからんで、数点にしぼってお伺いをしたいと思います。きのう午後にわたりまして、わが党の石田委員からもいろいろ土地改良法の一部改正の問題でお話があったわけでありますけれども、その中には、重要な具体的問題を含んでおりましたが、その問題と関連をしてまず第一に、今度の法改正を通じて土地改良長期計画をつくる、そうして長期計画に基づいて今後の土地改良事業というものを総合的、計画的に実施しよう、こういう考え方にはわれわれも賛成でありますが、この前の質問でも指摘しましたように、土地改良長期計画の具体的なプランの内容はどうなのか、あるいは年次計画というものについて予算的裏づけというものは、はっきりしているのかどうかというふうな問題についてもお伺いしましたが、きょうはその問題は別にしまして、従来もそうでありますが、今後土地改良事業というものを推進する場合に、都道府県市町村、こういう行政機関の系統と、土地改良区あるいは農業協同組合、あるいは農業委員会、こういう末端の受け入れ体制の問題、これらを十分、農業の今日の変貌、あるいは地域的に見ますと、都市近郊、準農村、あるいは農山村、山間部、こういう地域的な土地改良事業を受けとめる条件の差というものがございます。これらのものを十分判断をして、土地改良の長期計画というものを有効適切に推進をしていかなければならぬ。今日までの土地改良の推進過程では、農林省といたしましては、県を一つの末端の核にいたしまして、第一線の土地改良区あるいは農協、農業委員会等を、土地改良のいわばにない手として事業を推進する、こういう立場を性格的にはとってきたかと思うのでありますけれども、今度の法改正を通じまして、国都道府県の土地改良事業についても、市町村というものが一つの大きなウエートをもって浮かび上がってくる。それらの土地改良事業の計画について、国営のものについては都道府県に相談をする、都道府県はあらかじめ市町村に相談をする、こういうふうな形がとられるように相なりますし、また都道府県営の土地改良の問題については、申請によるものと申請によらざるものとを問わず、今度は市町村にもよく相談をする、特に申請によらないものについては、市町村によく相談をして実施をする、こういう都道府県市町村、特にいままでの農政の関係の中では、いわば市町村の農政というものが実際にあったのかどうか。あるいは市町村が行政能力として、あるいは財政能力として、あるいは技術陣容その他として、こういう土地改良事業等の推進の能力というものを、一体どの程度持っておるのか。今後土地改良の長期計画に基づいて、市町村というものが一つの大きな役割りを持ってくる。国営、県営、団体営においてもそうでありますし、また今度の法改正では、市町村が交換分合というものを新しく取り入れてやることができる。同時にまた別途の面では、きのうもお伺いしましたように、市町村が国営、県営の土地改良事業について、財政負担というものを行なうようになる。これはまたさらに受益者に負担を行わしめるというふうな問題もありますけれども、市町村がトンネル機関として財政負担の事務をやる場合と、市町村自身が財政負担をやる場合と、両面がありますけれども、そういうふうに今回の法改正を通じて、土地改良事業の推進の中における市町村の比重というものが、相当に高まってきておるというふうに理解をするわけであります。その場合に、きのうの石田委員と農地局長あるいは自治省関係とのやりとりを聞いておりますと、いわゆる土地改良事業の推進における市町村の財政負担問題というものについては、まだペンディングになっておる、今後これらの問題について十分協議をしていくのだというふうな答弁の趣旨に承ったわけであります。私は、今後の土地改良の推進の場合において、市町村のウエートが高まってまいること自身は、別に反対すべきことでないと思いますが、しかしいわゆる市町村農政というものが従来あったのかどうかということは、いろいろ議論がなされる問題もありますけれども、それは別にいたしましても、やはり市町村が相当大きな役割りを持ってくるという今日の段階においては、地方自治体の財政事情から見ても、市町村に財政負担をさせる場合の予算的裏づけというものについてははっきりしていかなければ、法改正を通じて市町村の財政負担というものを明示いたしましても、これが的確にまた適切に実施をされないのじゃないか、こういうふうに思うわけでありまして、この際、土地改良事業推進の過程における市町村の役割り、また財政的な問題についてどう考えていこうとするのか、こういう問題についてお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/48
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049・赤城宗徳
○赤城国務大臣 土地改良の実態を見ていますと、末端等におきます土地改良区の役員等も非常に骨を折っておりますけれども、最近におきまして、市町村長といいますか、市町村の方が中心といいますか、指導的立場に立ってやったほうが、土地改良の事業が非常に推進する、こういう実態にあると私思います。そういうことに相応するように、市町村の土地改良における分担といいますか、役割りを非常に強化していく、こういう筋で土地改良法の改正を行なっておりますし、私はそれは妥当であると思います。でありますので、市町村の協力を一そうこの法律を通じ、またそのほかにおいても期待いたします。そこで市町村がいろいろ財政的に分担する場合でございますが、御承知のように市町村が分担する場合には、市町村議会の議決を経て分担することになりますから、市町村の自主性を尊重するということに相なろうかと思います。ただこういう場合があろうかと思います。それをまた農民に賦課するといいますか、農民に分担させるという意味におきまして、直接関係ない人もそれを分担する。つまり土地改良区に土地を所有していないとか、そういう関係のない人もあるわけでございますから、分担金の全部が全部地区内の人から取るということが無理のような場合、あるいはそれを取らない場合には、その土地改良区に関係のない人の負担をしいるといいますか、こういう結果にも相なろうかと思います。そういう場合に国の交付税等による問題が起きてくると思います。そういうような場合がいろいろ事態によって出てくると思いますが、そういう点は、これからなお細則的な政令等をつくっていく場合に、自治省等ともよく協議いたしましてきめていきたい、こう思っております。まとめて申し上げますと、市町村が分担した金をその下の農民に全部賦課し得ないような場合もあろうかと思います。そういう場合には、市町村が土地改良区に関係ない住民に負担をしいるという結果に相なろうかと思いますが、そういう場合には国のほうの交付税というような関連が出てくるのではないか、こう思います。そういう点をよく分析いたしまして、細則的な政令をきめるときによく打ち合わせをして決定していく、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/49
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050・角屋堅次郎
○角屋委員 市町村の負担の法改正を行なった場合についての、いまの私の質問に対する大臣の説明として、土地改良事業で直接受益する者と受益しない者とがあるから、市町村負担というものをやる場合に、その辺のところを考えてやらなければならぬ、こういう意味の発言かと思います。しかし御承知のとおり土地改良事業をやる場合の国の負担というのが現にある。また県も負担をするということを現にやっておる。同じ行政機関として国、県では、土地改良事業の部面に対する負担というものを——受益は一定の範囲内のものであるが、それに対して負担をやっている。市町村の場合だって、地域住民の中の土地改良事業による受益者の問題であるけれども、やはり一つの自治体行政として農政の推進の立場から負担をする。産業経済費の中で農政関係の費用をどの程度見る財政能力があるかということ、これは十分考えなければならぬと思うのですけれども、私は必ずしも市町村の場合に限ってだけ、市町村負担が問題になるというのではなかろうと思う。したがって国政の場合でも、県政、市町村政の場合でも、経済発展の重要な一翼として、土地改良事業に対する公費負担という問題については、一つの筋が通っておる。したがって今回の法改正を通じて、市町村に負担をさせるということ自身は、私はそう問題はないと思うのでありますが、要は地方自治体のそれぞれの市町村が、今日どれだけの財政能力を持っておるか。それらのものに法改正を通じてさらに一つプラスの附加をする場合には、そういうものを十分消化できるような裏づけをしなければならぬ。これができるならば、私はそう大きな議論のある問題ではないのではないかというふうに理解をするのでありまして、その点できのう石田委員と自治省、農地局長との話し合いの中で、またいまも大臣の答弁を聞いておって、ちょっとひっかかりがありますけれども、私はもっと大きい視野から考えて、法改正の趣旨を生かすべきであろう、こういうふうに思っておるわけであります。時間の関係もありますので、この問題については、せっかく法改正をされた趣旨に基づいて裏づけをしながら、適切な運営をやってもらいたい。
次にもう一つは、土地改良事業の推進の問題の中では、末端の受けとめの一つの組織として、土地改良区という問題がございます。これは何といっても、戦後の花形であった食糧増産当時から、土地改良区が土地改良事業推進の末端機関として、大きな役割りを果たしてきたことはいなめない。同時にその推進過程において、一万数千の土地改良区の実態を見てみますと、やはり多くの問題を持っておる。面積別に見ましても、五十町歩未満の土地改良区ないしは土地改良区連合、これが四四%を占めておる。あるいは組合員数別に見ましても、三百人未満というものが七一・三%を占めておる。こういう状況でございまして、要するに組合員数から申しましてもあるいは面積別から申しましても、きわめて零細な、したがって経営能力、技術能力をほとんど持っていない、あるいは必ずしも十分でない土地改良区というものが多数に存在をしておる。きのうも石田委員が取り上げたように、その中には相当数の不振土地改良区の問題があり、これについては農林省としても今日まで、行政的にいろいろ措置をやっておりますけれども、私どもから見て、その措置は必ずしも十分とは言えない。したがって不振土地改良区の問題についても、不振土地改良区対策としてもっと積極的に進めてもらわなければならぬと私は思います。私ども地元の県の状況から申しましても、これらの問題について、いろいろな具体的な事例はありますけれども、それは省略をいたしますが、いずれにしても不振土地改良区の問題は、不振土地改良区の問題として進めてもらわなければならぬと同時に、今後の土地改良長期計画に基づく計画的、総合的な土地改良事業を推進する末端の一つの推進機関としての土地改良区というものをどうすべきなのかという点は、もう現状はこうだからこのとおりでやむを得ない、あるいは今回の法改正を通じて、従来一つの土地改良事業については一つの土地改良区という原則があったのを、二以上のものについて事業が行なえるようにする、あるいは今後合併等についても総会の議決等を通じて、行政的にも指導されるのだろうと思いますが、この際、土地改良区の今日までの実態、それに基づいて、実際の土地改良事業推進の末端機関としてどういうふうに全体の数を適正化し、また土地改良区に技術能力、経理能力等を付与していくか、こういう問題は非常に重要な問題であり、またそれと関連をして土地改良区連合、あるいはまた県段階の土地改良区の組織、全国段階の土地改良区の組織というものについても、たとえば土地改良の中央会をつくれとか、いろいろな御意見等もありましたけれども、そういう意見を直ちにいれるかどうかは別として、土地改良団体に対するところの国の財政援助等を、今日の土地改良団体の実際の実態から見て、どの程度与えるべきであるか、こういうことも前向きに考えていかないと、土地改良事業の実際の運営、その推進というものが、力強くいかないのじゃないかというふうに思うわけであります。この際、土地改良団体の今後の運営、あるいは特に第一線にある不振土地改良区の再建整備あるいは合併その他の問題を含めて、農業団体の場合には、農協の合併の場合の合併奨励金の問題等もやりながら促進をいたしましたが、そういう財政的付与をそのとおりにやるかどうかということは別といたしましても、やはり財政的な援助をやりながら、土地改良団体の育成強化、今後の土地改良事業の長期計画の推進のにない手としての力を付与していく、こういう面で私はもっと前向きに、実態を十分精査しながら進める段階がきているのじゃないか、こういうふうに思いますが、この点お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/50
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051・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話のようにたくさんの土地改良区がございます。土地改良区の一番困る時期というのは、まず最初は、設立当時になかなか組合員獲得の場合に承諾を得られないというようなことで、設立当初に一度困難が——困難といいますか、むずかしい問題があり、また工事中は非常にみんな協力しますが、工事が終わるころからだんだん協力が薄らいでくる、こういうような形で、負担金なども十分集まらぬ、こういうことだろうと思います。そういう点でございますので、第一は設立当時におきまして、しっかりしたものに対して認可をする、こういう措置がまず必要だと思いまして、今度の法改正等におきましても、設立時におきましてしっかりしたものを認可して、乱立を防ぐ、こういう措置をまずとらなくちゃならぬと思います。それからこれは改良区の財政的基礎というような関係からいいましても、統合が望ましい、できるだけ統合していきたい、こういうことで基礎を強化していく、こういう方法がとられると思います。そういう関係で着々強化策を進めておりますが、今度の法改正等におきましても、換地処分等まで相当力を入れ、末端まで力を入れるということになりまするならば、どうしても技術陣営が手薄といいますか、強化をする必要があろうと思います。あるいは県及び連合会等の技術、最初の設計の問題もありますが、あるいは換地処分などということになりますと、ほんとうの技術者がいて早くやらなければならぬ問題がございます。そういうのに対しまするところの指導あるいは財政援助というようなものも強化していかなくちゃならぬ、こういうふうに考えています。十分実態あるいは方針等につきまして権威ある御発言でございますので、そういう角屋さんなどの御発言に沿うて、私は一そう土地改良区を強化していきたい。また個々的に負債といいますか、負債の償還に困っておるところも相当あります。こういうのは個別的に相談にあずかりまして、借りかえとか期間を延長するとかこういう問題のあっせんも、当局といたしましてもやっていく、こういうことを考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/51
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052・角屋堅次郎
○角屋委員 土地改良の長期計画を立てるというその長期計画の内容を、それぞれの地域の実態を十分見ながら、国土総合開発の観点から、地についた長期計画を立てるということはもちろん重要でありますから、そのことはそのこととしてやらなければなりませんが、戦後の土地改良事業の推進の実態を十分精査をされて、今後の土地改良事業を推進する場合の行政機関としての縦割りの組織、その能力、そういうものを一面で見ながら、末端における土地改良事業推進のにない手としての土地改良団体や農業委員会あるいは農協、こういうものにどういう役割りを付与せしめるのか、またこういうことを通じても総合的な連係をはかりながら、力のないものには財政的な力をさらにつけていくというふうなことも考えていかないと、これから非常にむずかしい農業条件の中で、土地改良事業を強力に進めるということは、なかなかむずかしいのじゃないかという感じを率直にいって持つわけです。だからこの際、長期計画を立てるという以上は、それらの問題について総洗いざらし、十分検討して、しかも土地改良事業の末端の農民の受けとめ方としても、平場地帯あるいは農村地帯あるいは山間部という場所場所によっていろいろ違うと思うし、またそれをやらなければならぬといたしましても、その負担率という問題では、悪条件のところであればあるほど負担率が高くなる、したがってそれに対して国庫補助というものが、今日のように一律主義で、いのかどうかという問題も、今日の時点で直ちに施行令の中の内容を一挙に解決せよと言っても、なかなか大臣としては応じてくれないかもしれませんけれども、こういう国の補助、県の補助、市町村の補助等についても、末端の農家負担を軽減する、適正にするという前提から、根本的な検討をする必要があるだろう、こういうふうに思いますし、そういう点が適正にならないと、戦後十九年間の土地改良事業を振り返ってみて、府県別、市町村別に国の土地改良事業というものはどういうふうな分布になっておるのか。それが現状に即して適正であったのかどうかということを顧みると、力のあるところでは相当多く消化したかもしれぬけれども、必要ではあるけれども力のないところでは、相当問題を残しながら今日苦しい条件に置かれているというところだってあり得ると思う。土地改良事業というものは、地方自治団体の経済条件あるいは末端の負担能力とは別個に、農政のき然たる基本方針から進める、こういう立場で、いま言ったような問題については十分検討されて、これから新たな情勢下における土地改良事業が、総合的、計画的に推進されるようにぜひお願いをいたしたい、こう思うわけであります。
そこで農林漁業金融公庫等の融資問題、これは補助残融資なりあるいは非補助の団地に対する融資等の問題についても、いろいろ議論すべき問題もありますけれども、この際土地改良事業の推進の場合の基金制度の問題について、大臣のお考えを承っておきたいと思います。御承知のように開拓者の問題については、開拓融資保証制度があるわけでありますが、こういうものはやはり土地改良事業を計画的に推進する立場から申しますると、農林漁業あるいは系統団体、いろいろなものの資金を十分活用していくということも一面必要でありますが、同時に土地改良事業推進にあたっての基金制度を創設をしてやっていく必要が現に生まれてきているのではないか。三重県とか福島県とか青森県、北海道等において現実に行なっているわけでありますが、これは全国的な一つの組織体として、土地改良事業に対する基金制度をつくっていく段階がきておると思うのでありますが、この点、ひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/52
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053・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御承知のように農林漁業金融公庫は長期的な、そしてできるだけ低利の金を出すということ、しかもその対象は基盤の整備、土地改良にいたしましてもその他にいたしましても、生産基盤の整備のほうに出すということになっておりますので、私は農林漁業金融公庫そのものが、これは主として基盤の整備の方向になお進めるべきだ、こういうふうに考えております。そういう意味におきまして、開拓等についての基金等がありますが、特に基金をつくるということでなくて、農林漁業金融公庫を基金的な機能を十分働かせるように指導するということが、現在の段階においては適当でないか、こう考えておりますけれども、お話の点もなお検討はいたしてみたいと思いますが、現在はそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/53
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054・角屋堅次郎
○角屋委員 土地改良法の一部改正の内容についていろいろただすべき点は、農地局長との質問の中を通じて、さらに具体的にお伺いをいたしたいと思いますが、私は土地改良事業の場合には、もちろん新しく加わりました草地造成あるいは未墾地の開発というものが、今日の政府の考え方からいたしますれば、必ずしも積極的に考えていないという批判があるかとも思うのですけれども、これはわが党が言っているような国土総合開発の観点から、長期計画の場合にはもっと積極的な意図を持って、特に草地造成の問題については、開放経済下における畜産を成長財としてはっきり確立していくためには、えさの問題というふうな関連の中で草地造成という問題を計画的に、しかも地域の条件というものを事前に精査をしながら、かつて緊急開拓事業を進める場合の適地調査等をやった。さらに開拓委員会等で議論をし、そうして開拓事業を実施していっても、いま顧みると、なおかつ必ずしも適正であったかどうかという批判が生まれるわけでありますけれども、今日土地改良事業には国営パイロット、あるいは県営、団体営のパイロットというふうな形のものを取り入れてやっておりますけれども、それをもってして未墾地の農地の、あるいは草地の造成という面から見て十分であるかというと、私は必ずしもそう言えないと思うのでありまして、そういういわゆる土地改良長期計画における未墾地の開発という面における積極的な姿勢が望まれるかと思うのでありますが、同時に今後の経済の発展の中で水の問題については、単に農林省ばかりでなしに、建設省、通産省、あるいは厚生省、その全体を総合調整するものとして経済企画庁に関係があると思うのでありますが、この際長期計画を立てるにあたって農林大臣に望んでおきますのは、何といっても水の問題は、土地改良事業の一つの生命線の問題でありまして、農林省でも農地局の予算を見ますと、水系別の調査あるいは地下水の調査等、若干予算をつけてやっておるようでありますが、予算段階の状況では私はきわめて不十分だと思います。これは単に農林省だけですべてやるというわけにいきませんけれども、科学技術庁が中心になって水調査の資料等も出ておりますが、これは相当古いのでありまして、これからの経済の発展の中で重要な比重を占めておる水問題についての総合調査、それに基づく農業あるいは農業以外のアロケーションというものを、水系別にどうするかという点を今後真剣に考えられて、そうしてその中で土地改良の長期計画が十分見合って地についたものになるように、強く推進方を希望しておきたいと思います。
時間の関係もありますし、なおあと同僚の委員からの質問もありますので、大臣に対する質問はこの程度で終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/54
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055・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御趣旨の点は十分これから生かしていきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/55
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056・高見三郎
○高見委員長 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/56
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057・芳賀貢
○芳賀委員 主要な点について農林大臣にお尋ねしたいと思います。第一の点は、土地改良法の改正を通じまして、この法律の目的を相当拡大するところにねらいがあるようでございますが、特に農業基本法の農業発展の主要目的というものを、この土地改良事業の中に移されたわけでございますが、その最も重点とするところについて、農林大臣から特に農基法との関係における問題を述べてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/57
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058・赤城宗徳
○赤城国務大臣 改正の目的が、農業基本法の目的に沿うように土地改良法の改正案を出しておりますことは、いま御指摘のとおりでございます。そのうちで何を一番重点的に考えるかというようなお尋ねだと思います。もちろん生産性の向上とか、総生産の増大とか、生産の選択的拡大とか、こういうことがありますが、やはり生産の基盤であるところの問題、土地改良であるとか、こういうことを考えますと、構造改善といいますか、一口に言えば体質改善、その基盤としての土地改良、その指向する方向を国内的に見ましても、他産業との格差を縮めていくというためにも、あるいは開放経済下における日本の農業の風当たりを緩和していくという意味におきましても、土地改良が必要である。その土地改良を行なうためにどういう点に法律改正をするかといえば、やはり構造改善的な体質改善が基礎をなすものだ、こういう考え方から——構造改善というのも、指定された構造改善、体質改善というような意味における方向へ土地改良を強くあらわしていきたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/58
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059・芳賀貢
○芳賀委員 要は、制度を通じて農業総生産を高めて、それが農家の所得の向上になり、究極には国民経済に貢献するということが、制度上のねらいであると思います。そこで最近の農業の動向から言いますると、先般農林大臣が国会において農業の年次報告あるいは施策の方向について説明されたわけでございますが、結局土地改良法と一番関係のある問題といたしまして、今度は農用地の開発、改良が、新たに草地を加えて法律の対象になるわけでございますが、この農用地の確保ということが当面非常に大事な問題になると思うわけです。いわゆる既存の農用地が、たとえば農地の転用とか壊廃によって、現在の保有面積がむしろ減少傾向をたどるということは大臣も御存じのとおりですからして、一方において土地改良法等の改正を通じて農用地の造成あるいは改良を行なっても、一方においてそれ以上農地が減少するということになれば、国としてもやはり農用地の確保ということが、前提的な大事な仕事であるというふうに考えられるわけでありますが、これとの関係で今回の改正の場合には、土地改良事業の長期計画というものを国が策定して、これに基づいて事業の実施を進めるということになるようでありますが、この長期計画の内容がどういうものであるかということが明らかにされておらないわけです。したがって特に改正の特徴点である長期計画の内容と、その指向するものはどういうものであるかということについて、大臣から説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/59
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060・赤城宗徳
○赤城国務大臣 先ほどからも再々お話がありましたが、長期計画を立てるにつきまして、いろいろな前提条件がございます。すなわち、最近の工業面の非常な伸展といいますか、新産業都市というような工業開発ということもございます。でございますので、こういう都市近郊、新産業都市関係の地区における土地改良、あるいは平地帯、あるいは山村地帯、あるいは北海道のような一般的に耕地面積を多くし得るようなところ、いろいろそういう状況に即してこまかい調査を積み上げて、それの対策を講じていきたい、こう考えています。第二には、いまの耕地が減少していく一方においては造成していく、こういうことで北海道などにも、農林省の管理になった土地がそのまま捨てておかれるというようなところもたくさんあるようでございます。こういう点なども活用していく、こういうことでなくてはなりませんが、全体といたしましていまの耕地面積を維持していく——なかなか減少傾向にありますので、維持していく以上にたくさん造成するということが、はたして適当であるかどうかということになりますと、ちょっとむずかしいのではないか。耕地を大体維持して、これを質的によくしていくということのほうが適当ではないかと私は考えます。しかしこれも検討の結果でございますが、そういう考え方から現在の耕地約六百万町歩といいますか、そういうものを確保して、質的にこれをよくしていく、こういうような方向で長期計画を立てていかなくてはならない。それから先ほどもお話がございましたように、計画が、一つの造成計画的な計画はございませんけれども、一つの見通しというものが誤りないようにし、それを実現するようにするためには、やはり財政的な裏づけというものが必要だと思います。でありますので、これは継続費というわけにはまいりませんけれども、これに対する財政的な裏づけを年度別にも確保できるような、そういう計画でなくてはならぬ、こう思います。その他いろいろございますが、草地等につきましては、この農業基本法にもあるいは土地改良法の改正案にも、選択的拡大のほうに進むということでございますので、特に草地等は相当造成していく、面積においても広げていく、こういうような考え方で長期計画を立てていきたい。長期計画は大体いまのところで四十年度からに相なろうかと思います。約十年間の計画を立てていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/60
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061・芳賀貢
○芳賀委員 たとえば長期計画を立てる場合に、前提になる作業というものは必要だと思うのです。特に国として農林省だけの方針でこれは計画が立てられるわけではないと思います。つまり国土調査、これは非常に不十分でありますが、国土調査に基づいて土地の利用区分というものが明らかにされて、それに基づいて農業関係の開発、造成あるいは改良等の事業に対する長期計画を樹立させる、こういう順序になるべきだと思うわけです。ただ単に財政上の都合で、十カ年計画を立てる場合にも財政上の理由だけをワクとして、その中において十カ年計画を立てるということになると、非常にこれは萎縮した計画になると思うわけです。それですから、国として農用地に適する、たとえば農耕適地であるとか、草地の適地であるとか、そういうものは今日どのくらいあるかということを的確に把握することによって、その開発、高度利用というものが国民経済的に見た場合に、やはり農業部門に開発利用することが一番効果的であるかどうかという判断も必要でございます。そういう基本的な前提になる作業というものが行なわれないで、ただばく然と根拠を持たないままに十カ年計画をするということになると、これは非常に内容の貧困なものになると思うわけです。この点については農林大臣としてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/61
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062・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ごもっともな御説でございまして、調査不備の上に立てた計画というものは砂上の楼閣ではございませんが、まことにたよりないものになると思いますので、しっかりした調査の基礎の上に立ってやっていかなくちゃならないと思います。農林省といたしましても、なお事務当局から御答弁いたさせますが、御承知であるかとも思いますけれども、調査等も相当進めてきておるわけでございます。そういうしっかりした調査の上に立って利用区分等もきめ、そして計画を樹立していかなくちゃならぬと思います。同時にいまお話のように、農林省だけの問題ではありませんで、一つの国土計画の中における土地改良、こういうものでございますから、あるいは水の問題にいたしましても、その他の問題にいたしましても、農林省関係以外の方面との調整、協議、打ち合わせということも当然必要だと思います。そういう面からやっていきたいと思いますが、なお、調査等につきまして、御承知と思いますが、事務当局からいままでやってきたことを御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/62
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063・丹羽雅次郎
○丹羽(雅)政府委員 長期計画をどういう技術的、事務的立場でつくるのかという御質問が、先般角屋先生からございまして、その際も申し上げたわけでございますが、基礎資料といたしましては、二つのものをバックボーンとして使いたい。
一つは、本日お手元に参考資料として配付いたしました要土地改良調査というものでございます。これは見出しをごらん願ってもおかわりのように、地下水の分布がどうだとか、水田の傾斜がどうだとかいう、いわば物理的に土地改良をやるべき土地の実態、土地改良を必要といたします土地の実態を調査いたしたものでございまして、三十五年から三十七年までかかって整理をいたしました。これにつきましては、未墾地関係の開発の調査はいたしておりません。これは物理的な、いわば実態的な調査でございます。それからもう一つ、土地改良事業は、御承知のとおり、最終的には農民がこの土地を使って農業を営むわけでございますので、そこを使って何らかをやるという農民自身の意欲の問題がないと、計画に相ならない性格のもので、この点道路等と非常に違う性格を持っておりますので、三十八年から土地改良総合調査という立場のもので調査を実行いたしております。これはこの調査によって、この水は非常に湿地である、これを湿地でないためにするにはどうしたらいいかという事業計画、また、農民なり県庁がそれをやる意思があるかないかという角度の主体的な調査の問題を、総合調査として実行いたしております。この調査は目下集計中に入った段階でございます。
それから、この調査におきましては、農用地を造成する面積を調査いたしております。この調査に待ちまして、いわゆる開拓と申しますか、未墾地を利用するほうの計画の一つの基礎データといたしたい。御承知のとおり、終戦以来、開拓方式のための調査がいろいろございますが、それは土地を買収して人間を入れるという角度からの調査がおもになっております。草地等になりますと、やはりそこに酪農地になるかどうかという問題もございますので、そういう角度の主体的要件を入れました調査を目下実行中でございます。
〔委員長退席、長谷川(四)委員長代理着席〕この調査と、先ほど来大臣並びに芳賀先生の御質問にございます意欲といいますか、政策というものをかみ合わせて、長期計画に組み立ててまいりたい、かような考え方で事務的には作業を進めております。御参考までに申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/63
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064・芳賀貢
○芳賀委員 国民所得倍増計画においても、あるいは国土総合開発計画においても、非常に地域的な問題でございますけれども、北海道開発の第二次八カ年計画の中においても、いわゆる農用地の開発あるいは改良の計画というものが、目標としては出ておるわけなんです。ですから、それを法律改正を通じて土地改良事業の十カ年計画というものにどのように取り入れて策定するかということ、これは全体の関連において重大な点だと思うわけです。特に公共事業関係の農用地の開発、整備事業等について、これは農林省が主体ではありますけれども、北海道地域においては、北海道開発予算あるいは北海道の総合開発計画の中に独立して明確になっておるわけなんです。そうしますと、この十カ年計画というものが、あまりに消極的な、他との総合的な関連がないままに策定されるということになると、他のこの種の長期計画というものは、必然的に狂いを生ずるということになるわけです。しかも今回の改正のねらいは、農政審議会の意見を徴するとか、あるいは関係都道府県の意見を徴するということも、法文に出てくるわけでございますからして、当然この計画というものは、政府として少なくとも閣議決定くらいは行なうものであるというふうにわれわれは判断しておるわけでありますが、こういう点について、所管の農林大臣として、全体の視野から説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/64
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065・赤城宗徳
○赤城国務大臣 地域的の状況等十分考慮に入れなければなりませんが、特に北海道におきましては、先ほどちょっと触れましたように、政府で買い上げて、農林省で管理しておる土地なども、相当未利用のままであることは私ども聞いております。承知しております。そういう面からいいましても、あるいはこの土地改良法の志向する点におきましての選択的拡大というようなことで、畜産方面の草地の造成、こういう面におきまして、北海道におきましては、特に土地改良法を現実におろして進めていく場合において考えさせられる面、それからまた開発庁等の計画等と十分練り合って、効果をあげるようなことにしなければならぬ面がたくさんあると思います。そういう面におきまして、北海道の総合開発計画等々と十分調整して長期計画をやっていきたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/65
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066・芳賀貢
○芳賀委員 現在も農林省の事業方針といいますか、予算の内容についても、北海道向けというのは独立して計上されておるわけです。少なくとも長期計画を政府としてきめる場合は、すでに北海道の第二次八カ年計画が、三十八年度から四十五年度に至るまでの計画が、これは三十七年の七月閣議決定されておるわけです。農林省にはその長期計画というものが明確にないわけですね。だから、あとから生まれる長期計画で全国的な計画を立てる場合は、先に生まれて進んでおる北海道関係のこの種の関連ある事業の遂行中の計画というものは、当然そのまま農林省としても計画の中にこれは組み入れられていかなければ、問題が生ずるのではないかというふうに当初から考えられるわけです。たとえば公共事業の場合には、道路整備の長期計画にしても、治山治水緊急措置による長期計画にしても、これらの計画を策定する場合は、主管大臣は北海道開発庁長官と協議して計画を策定する、こういうことが従来行なわれてきておるわけですからして、この点は、後日北海道開発庁長官の出席を求めて明らかにしておきたいと思うわけですが、事前に農林省としてのこの点に関する方針を明確にしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/66
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067・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話のように第二次北海道開発総合計画ですか、閣議決定されております。同時にまた、この法律が通りますならば、土地改良法による長期計画も、これは閣議決定を要することになっております。でございますので、申し上げるまでもなく、北海道開発計画と矛盾して土地改良の開発計画が策定されるということではまずいわけでございます。矛盾するならば調整しなければならないし、矛盾しないで北海道開発計画がそのままよろしいということになるならば、当然土地改良計画の中に長期計画を組み入れなければならない、こういうふうに私は考えております。矛盾しないで、調整して、閣議決定をして、よりいい計画で進めたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/67
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068・芳賀貢
○芳賀委員 次に、先ほど大臣から、長期計画をつくる場合、少なくとも現在の農用地面積が減少しないことを最低の目標として進めていきたいということであります。そうしますと、農林省から先ほど出された資料に基づいても、昭和三十七年度には農地の転用、壊廃の面積が大体二万七千ヘクタールに及んでおるわけです。これは逐年増加の傾向があることは、大臣も御承知のとおりです。一方において二万ないし三万ヘクタールの農地の減少がだんだん進行していくということになると、一方においてやはりこれに見合う農用地の開発、造成というものが積極的に進められていかなければいけないと思うのです。しかし、現在の状態を見ますと、なかなか三万ヘクタールに近い毎年毎年の新規の農用地造成は、いまの農林省の方針とか政府の考えでは至難の点が多々あるわけです。したがって、これらの問題については、最低限度の目標というものを、現在の農用地の保有面積というものを割らないようにして、さらに農業の発展あるいは国民経済の要請にこたえて、これを拡大するということが当然必要なことになってくると思いますが、その点は間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/68
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069・赤城宗徳
○赤城国務大臣 まだ策定したわけではございませんから、十分申し上げかねますが、私は、いまの田畑既耕地、六百十万町歩くらいですか、北海道まで入れて——これを割らないで、これを高度利用できるような方向に進めていくという基礎の上に立ってやっていきたい。草地等につきましては、これは、農用地におきましてもどんどん計画的にふやしていく、こういう線が当然出てくると思います。そういう方針で検討していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/69
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070・芳賀貢
○芳賀委員 次に、お尋ねしたいのは、今回の改正を通じまして、草地の開発、改良あるいは農用地全体の保全事業を行なうということになるわけですが、これは従来から相当前進した構想であることは間違いないわけです。ただ問題は、土地改良法の中で、新たなる草地の開発、造成等の事業を行なうのは、事業実施上妥当であるかどうかということは、議論の余地があると思いますが、そういう問題を意欲的に取り上げたことだけでも前進であるというふうにわれわれは考えておるわけです。しからば、草地の造成、開発をやる場合、その目標を何に置くかということに当然なるわけです。言うまでもなく、これは畜産農業の発展と見合って、少なくとも飼料資源を国内において充足するということが最大の目標でなければならぬ。現在においても家畜の濃厚飼料の一年の消費量の六割程度を外国に依存しておる状態ですから、これは一日も早く脱却すべきであると思うわけです。そうなると、農耕地の改良とか造成と違って、やはり畜産農業の発展に見合う要請にこたえるためには、どういうような計画と方針で草地の開発を行なうかということが、当初に明確にしておいてもらわなければならぬ点だと思います。この点について、ある程度固まった方針があれば、農林大臣から明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/70
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071・赤城宗徳
○赤城国務大臣 全くその点もお話のとおりで、草地造成が目標なしに、畜産との見合いなしにただやってみたところで、これはあまり意味をなさない。どうしても畜産の自給飼料をどれくらい進めていくかという計画、あるいはまた畜産の頭数、そういう畜産行政上のいろいろな立場からの計画と見合ってこれは進めていくということでなければならないと思います。そういう意味におきまして、草地造成を考えていくわけでありますが、土地改良法におきまして、農業基本法におきます選択的拡大の問題としての基盤の一つとして草地造成を強く取り上げていく。こういう意味におきまして、土地改良法の中にも、農用地として草地造成を入れたわけでございます。長期計画を立てる場合には、当然畜産の方面の計画とマッチするような形で計画をつくっていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/71
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072・芳賀貢
○芳賀委員 われわれ社会党としては、農地開発、造成については、むしろ単独法を制定して、特に国の責任が主体になった形で積極的に進むべきであるという、そういう方針の上に立っているわけですが、今回の改正案の内容を検討しまして、公共事業として農地の開発事業を行なうということであれば、その規模の大小にもよりますが、大規模の草地開発事業等については、言うまでもなく、これは国の責任において、国の直轄事業として行なうべきでございますが、遺憾ながらこの点はそうなっていないわけです。これはわれれわとしてはまことに了承のできがたい点であります。ちょうど法案審議のさなかですから、政府としてもやはり積極的に草地の造成事業というものが必要であるというならば、他の開発事業と同じように、国の責任で行なうものは直轄事業として進めるという方針を明らかにしてもらわぬと、調査だけは国が行なうが、事業については都道府県あるいは団体でやりなさいということでは済まぬと思います。この点について大臣から見解を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/72
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073・赤城宗徳
○赤城国務大臣 確かに草地を造成する、あとはかってに何かそこで畜産をやれというようなことではいけないと思います。草地の造成ということを考えます場合には、先ほど申し上げましたように、飼養の牛の頭数とか、あるいは家屋とか人間とか、いろいろ開拓地的なもので総合されなくちゃならぬと思います。そういう意味におきまして、非常に大き過ぎてそれがマッチしないというような場合もあろうかと思いますので、国営で大きなものをやれ、いまそこまでいける段階であるかどうかということにつきましては、慎重に検討しなければならないというふうに考えておりますが、国営的な大きなものということは考えておりません。実情に応じて畜産の伸び及び地域的ないまの総合性等勘案しながら進めていく、こういう進め方において、長期計画の中にもそういうものを盛り込んでいく、こういう考えでいくのが、現在におきましては適当な方法ではなかろうか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/73
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074・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、国営でできないというのはどういう事業ですか。他の土地改良等は、かん排事業にしても、開拓事業にしても、これは直轄で行なう事業の分は相当あるわけですね。したがって、草地開発を同列に扱うということであれば、その規模にもよりますが、非常に零細な規模の場合には、県営とかあるいは団体営ということもあり得るとしても、主体的な開発とか改良事業というものは、これは当然国家の責任で行なわなければ、その目的を達することはできないと思うのです。それが国営でできないという事由があれば、明らかにしておいてもらいたい。これは大臣から直接……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/74
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075・赤城宗徳
○赤城国務大臣 国営でやってできないということはないと思います。が、たとえば土地改良の五百万町歩、そういう大きなものを単独に草地造成しても、そこに入るところの牛の数とか、あるいはそこへ移住してくるところの人とか、あるいは畜舎、住宅、こういうものを全部総合してやらなければ、単に草地だけを何百万町歩のところを一カ所に国営でやったからといっても、目的が達しないじゃないか。こういう意味におきまして、そう広い国営のようなものをというようなことは、いまあまり考えないでもいいのじゃないか、こういうふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/75
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076・芳賀貢
○芳賀委員 何も私どもは一度に五百万町歩草地造成をやるとは言ってないのです。五百万町歩ということになれば、現在の既存の農地が六、百万町歩くらいですから、そう飛躍的な馬力をかけてもらわなくてもいいわけです。十カ年計画ですから、少なくとも最低百万ヘクタールくらいの草地の造成をやるとか、さらには、改良等を合わせて二百万町歩を行なうとか、その程度でいいと思うのです。やるにこしたことはないが、五百万町歩も一ぺんに開発して、むしろ国土が荒廃するようなことになると、これは国土の保全上からいっても失敗ということになるわけです。しかし、一カ所に何万町歩も造成する必要はないとしても、やはり畜産を主体とする農業の地域においては、その要請にこたえ得る草地の造成というものをやらなければ、飼料資源の開発はできないと思うわけです。では、どういう地域にそういう期待にこたえる適地があるかということになると、これはおのずから判断がつくと思うわけです。そういう地域については、その農業の条件というものは、水田農業の条件にはなかなか向かない、畑地農業あるいは畜産農業を主体として開発しなければならぬということであれば、それらの地域というものを国が選定して、たとえば対象の地域を国有の未墾地に充てるとか、あるいは高度に利用されておらない、放置されておる牧野というものを活用して、そうしてりっぱな草地造成をやるということも、方針としては出てくると思うわけです。ですから、そういう重点的な地区については、これは全額国の負担で直轄事業としてやるべきが当然ではないかということを指摘しておるわけです。それができないということはないと思うのです。農業関係の公共事業として、農用地開発事業としてやるということであれば、草地開発だけが直轄事業としてできないということは絶対ないと思うのです。その点の方針をこの際明確にしてもらわぬと、草地造成が法律の中に入ったからそれでよかったというものではないわけです。この点、大臣の責任ある答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/76
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077・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私が申し上げるのは、いままでの土地改良でありますと、そこに人も住んでおる、耕作もしている、あるいは耕作をしていないところでも、近くに人がおって、増反というような関係でやっていくということでございますが、大々的な草地改良だけでは済まされない——済まされないというわけじゃございませんが、草地を造成した、そこに、先ほど来申し上げておりまするように、牛も入れなければならぬ、人も入れなければならぬ、住宅も必要だ、こういうことになると、一つの酪農の関係の村をつくるというようなことに相なろうかと思います。でありまするから、草地だけをつくったからといっても、ほかのものがそれに伴わなければ、これは効果があがらない、こう考えますので、やはり現在では、適地等につきまして、相当大きいものでもけっこうでございますが、その場所の草地改良の申請を待って、たとえば県なら県からの申請を待って、そうしてそういうところへ草地を造成するということでありまするならば、総合的に頭数も入れられるし、あるいは人も入る、こういう形になろうかと思います。でございますので、ただ単に大面積を国営で草地だけつくったというだけでは、効果がうせてくる、こういうふうに考えていますので、現在、県等で適地において草地の造成の申請がある、そういう申請があるということは、当然、人もあるいは牛も入るというような前提といいますか、そういう計画のものだ、こういうふうに見まして、県営でやることに対しまして助成していくというような形の草地造成が適当であろう、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/77
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078・芳賀貢
○芳賀委員 どうも大臣の草地に対する認識というか、理解が、私どもと違うわけなんですね。大臣のお考えは、何か開拓の入植と同じように、草地の造成を行なって、そこへ新たに畜産農家を入植させて、そうして個々の経営のもとに畜産農業を進めさせる、こういうような考えらしく聞こえるわけです。そういうことであれば、過去の開拓政策というものが失敗して、既存開拓者のあと始末さえもできかねるというような、そういう事態をまた繰り返すことになるわけです。だから、先ほど言ったとおり、草地の持つ使命は、国内における飼料資源の給源地として草地を造成するわけですからして、必ずしもその造成された草地へ農家が入植して、そこで畜産農業を経営しなければならぬというものではないのです。飼料資源の給源地として、国が主体的にそういう資源の開発造成をやるべきでないかということが基本になっての事業でなければ、これは成功しないと思うのです。その利用方法等についても、必ずしも造成地に個々の農家が入植するというような古いやり方でなくて、経営の方式についても、これは共同的な利用を行なうとか、やはり新しい、現在の経済事情とか農業の生産事情に見合った、対応した草地の経営ということでなければいけないと思うのです。まあ、こういう点はいま議論をする時間がありませんが、その点が私たちと大臣との間における認識の相違といいますか、見解の相違といいますか、ズレが実はあるわけでして、これは大事な問題ですが、また次の機会に十分議論してみたいと思うわけですが、われわれが指摘したい点は、公共事業として行なう場合においては、当然、その重要性から見て、大規模事業等については国営事業としてこれを行なうべきである、そうして、以下、県営とか団体営というものがあり得ても、国営事業がないということは、当を得ないという点を特に指摘しておきたいと思うわけです。これらの問題が解決しないと、北海道等における今後の草地開発事業というものは進まないと思うわけです。ですから、これはぜひ北海道開発長官とも御相談を願って、いま私が指摘したような、直轄事業を国として採用するという方向については、その態度を明らかにしていただきたいというふうに考えるわけですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/78
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079・赤城宗徳
○赤城国務大臣 先ほど私が御答弁申し上げたのは、確かに入植との関係で草地の問題を頭に置いて申し上げておったわけでございます。しかし、いまお話しのように、飼料の給源地としての草地造成、こういうことも当然考えられることでございます。その草地の利用等につきましては、どういう方法で利用をしていくかということにつきましては、なお一そう私も検討をいたしていきたいと思いまするし、そういう立場から直轄草地開発ということが必要でないかという御意見に対しても、なおよく検討してみたいと思います。私は、前提として、さっきの入植のような総合的なものであるという大きな草地の造成、総合的なものを考えていましたから、それはちょっといま無理じゃないか、こういうことを申し上げておったわけでありますが、お話しの点につきましては、なおよく検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/79
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080・芳賀貢
○芳賀委員 時間の都合であともう一点だけお尋ねしておきますが、草地開発をやる場合は、やはり事業の態容からいいまして、どうしても機械を主体にした機械開発方式でなければ効果があがらぬわけですからして、そういうことになると、当然機械開発方式ということになれば、どういうような組織で行なうかということになるわけです。たとえば北海道開発審議会等においては、数年前からいわゆる草地造成の事業体というものを国が主体になってつくって、名称についてはたとえば機械開発事業団なり、名称はとにかくとして、現在におきましても農業の機械開発公団というものがありまして、これはいままでの業績はあまりよくないわけですが、そうかといって、これを一ぺんになくするわけにもいかないと思うのです。したがって、これらの機構、機能というものを十分活用して、積極的に草地の造成とかあるいは開墾等をやるような場合は、やはりこの事業体というものを明らかにして、そうして集中的な機械化された開発事業というものが進められるように、当然これはすべきではないかというふうに考えておるわけですが、この点については農林大臣としていかようなお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/80
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081・赤城宗徳
○赤城国務大臣 草地を大々的に造成するということになりますと、実際問題としていままでの機械等では不十分のようなことかとも思います。機械等も新しい大型のものが必要かと思います。しかし、それは別といたしましても、機構をどうするかというお尋ねだと思います。あるいは機械化公団の草地造成部門というか、そういうものを強化するのも一つの方法でありまするし、あるいは新たに草地造成公団というようなものをつくるというようなことも一つの方法かと思います。公社のほうはなかなかこれは着想は悪くありませんが、実際の運営上、いままでの機械化公団の運営などから見ましても、はたしてうまくいくかどうかという検討事項もあろうかと思います。この点につきましては、さらに検討を加えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/81
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082・芳賀貢
○芳賀委員 これはいずれにしても、事業主体が県であっても、あるいは団体であっても、機械を中心に開発しなければならぬということは、これは言うまでもないわけですからして、そういう場合は、やはり国の意思というものが効率的に十分生かされるような、そういう事業の機構というものが必要になってくると思うわけです。特に北海道開発審議会等においては、いまこれをどうするかという問題が、草地開発の公共事業の伸展とあわせて、まだ明確な結論までは出ておりませんが、そういう段階に入っておる。畜産農業あるいは草地開発の主体的な地域ということになれば、やはり北海道が中心になると思うわけですからして、こういう点についても、開発庁等の意見を徴するとか、また協議するような中において善処さるべきではないかと思うわけです。
最後に一点でありますが、これは同僚委員からもいろいろ指摘がありましたが、今後現在の農地の保有面積を確保する、その中において農業の総生産を高めるということになれば、従来の改良事業というものの重要性はますます出てくるわけでございますからして、そうなると、従来の補助方式、これらについても、やはり補助率とか負担区分というものを再検討して、国として責任を負うべきものについては積極的に負担をふやす、補助率を高めるというようなことも必要であると思うわけです。
〔長谷川(四)委員長代理退席、委員長着席〕この点については農林大臣としてもお考えがあると思いますので、お尋ねして、私の質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/82
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083・赤城宗徳
○赤城国務大臣 そういう面も当然問題になってくることかと思います。十分検討を加えていきたいと思います。できることから改めていくことにしながら、検討を加えてまいります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/83
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084・高見三郎
○高見委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
土地改良法の一部を改正する法律案の審査の参考に資するため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/84
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085・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
なお、参考人の人選並びに意見を聴取する日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/85
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086・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
次会は明十六日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X03719640415/86
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