1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十一日(金曜日)
午後一時十九分開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 坂田 道太君 理事 南 好雄君
理事 二宮 武夫君 理事 三木 喜夫君
理事 山中 吾郎君
臼井 莊一君 木村 武雄君
熊谷 義雄君 床次 徳二君
中村庸一郎君 橋本龍太郎君
原田 憲君 松田竹千代君
松山千惠子君 落合 寛茂君
川崎 寛治君 長谷川正三君
和田 博雄君 鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
総理府事務官
(中央青少年問
題協議会事務局
長) 西田 剛君
法務事務官
(矯正局長) 大澤 一郎君
文部政務次官 八木 徹雄君
文部事務官
(大臣官房長) 蒲生 芳郎君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
文部事務官
(大学学術局
長) 小林 行雄君
文部事務官
(社会教育局
長) 齋藤 正君
文部事務官
(体育局長) 前田 充明君
文部事務官
(管理局長) 杉江 清君
文部事務官
(文化財保護委
員会事務局長) 宮地 茂君
委員外の出席者
警 視 長
(警察庁保安局
防犯少年課長) 楢崎健次郎君
専門員 田中 彰君
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二月二十日
委員石田博英君辞任につき、その補欠として木
村武雄君が議長の指名で委員に選任された。
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二月二十一日
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正
する法律案(内閣提出第八〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
文化功労者年金法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一一号)
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一八号)
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正
する法律案(内閣提出第八〇号)
文教行政の基本施策に関する件(青少年教育及
び文化財保護に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより会議を開きます。
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/1
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002・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 今回、政府から提出いたしました義務教育諸学校施設興国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現行の義務教育諸学校施設費国庫負担法は、昭和三十三年に制定され、公立義務教育諸学校の施設の整備に要する経費について国がその一部を負担する制度が確立されたのであります。
政府は、この制度のもとに、翌三十四年度を初年度とする公立文教施設整備五カ年計画を樹立し、義務教育諸学校の施設の整備につとめてまいったのでありますが、ほぼ当初の目標を達成して本年度をもって終了いたすこととなったのであります。
昭和三十九年度から新しい計画をもって、公立文教施設の一層の整備をはかる必要があるのでありますが、この際、かねて懸案となっていた諸点について現行制度を改善し、もって公立学校施設の整備充実をはかるため、この法律案を提出いたしたのであります。
この法律案の内容は、まず第一に、小学校及び中学校の校舎の新築または増築に要する経費について、現在普通教室の不足による不正常授業の解消をはかる場合に国庫負担を行なうこととしているのに対し、これを特別教室まで含めて教室の不足の解消をはかる場合に広げようといたしたのであります。
第二は、小学校及び中学校の校舎の新築、増築または改築にかかわる国庫負担金の算定の基礎となる学校建物の必要坪数を、児童生徒数を基準とすることから学級数を基準とすることに改めたのであります。
第三は、小学校の屋内運動場並びに小学校及び中学校を統合したことに伴って必要となった屋内運動場の新築または増築に要する経費の一部について、国が新たに負担することといたしたことであります。
第四は、近年各地で見られます集団的な住宅の建設に伴って校舎の不足が生ずるおそれがある場合は、校舎の整備を原則として一年前向きに行ない得ることといたしたことであります。
第五は、工事費の算定方法の特例につまして若干の規定の整備をいたすこととしたことであります。
最後に、この法律の施行期日を本年四月一日からとし、昭和三十八年度以前の予算にかかわる国庫負担金及び国庫補助金につきましては、従前の例によることといたしたことであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/2
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003・久野忠治
○久野委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
続いて補足説明を聴取いたします。杉江管理局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/3
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004・杉江清
○杉江政府委員 ただいま役務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案の提案理由の説明が文部大臣からなされましたので若干の補足説明をいたします。
条文を追って御説明いたします。
まず第二条に学級数についての定義を加えました。ここに学級数とは、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に規定する学級編制の標準により算定した学級の数とすることといたしました。これは、小学校及び中学校の校舎にかかる工事費の算定方法を、現行の児童生徒一人当たりの基準坪数に基づく方法から、学級数に応ずる必要坪数に基づく方法に改めることに伴って、学級数の定義を明らかにする必要があることによるものであります。
第三条第一項では、小学校または中学校の校舎の新築または増築に要する経費について、国庫負担を行なう場合の条件としております不正常授業の解消を、教室の不足の解消と改めたことであります。これは、現行の不正常授業の範囲は、普通教室の不足の場合のみに限られておりますが、今回普通教室のみならず特別教室をも含めて教室の不足がある場合には、これを国庫負担の対象とすることとしたものであります。
また、小学校の屋内運動場の新築または増築に要する経費について国が負担することを新たに規定いたしております。この場合の国庫負担率は、校舎の場合と同様に三分の一といたしました。
なお、統合小学校、中学校の屋内運動場の新築または増築に要する経費についても、校舎の場合と同様に国が負担することを新たに規定いたしました。これは、従来予算措置で行なわれていたものを、恒久的な制度として本法に取り入れたものであります。
同条第二項七は、第一項中の不正常授業を教室の不足に改めたことに伴って、政令で定めることになっております不正常授業の範囲を教室の不足の範囲と改めております。
第五条では、小学校、中学校の校舎にかかる工事費の算定方法を、現行の児童生徒一人当たりの基準坪数に基づく方法から、学級数に応ずる必要坪数に基づく方法に改めております。
第五条の一は、小学校及び中学校の校舎以外の義務教育諸学校の建物の工事費の算定方法を規定することとし、その算定方法は、現行の児童生徒一人当たりの基準坪数に基づく方法を踏襲することといたしております。
第六条では、今回第五条で小学校または中学校の校舎の工事費の算定方法は、学級数に応ずる必要坪数を基礎とすることと改めましたので、その学級数に応ずる必要坪数は、小学校または中学校ごとに政令で定める旨を第一項として規定し、小学校または中学校の校舎以外の学校建物につきましては、従来どおり一人当たり基準坪数を基礎といたしますので、現行第六条と同様の規定を第二項として規定いたしました。
第七条では、第五条の二が加わったことに伴う必要な改正をいたしております。
第八条は全文改正をしておりますが、これは実体的には従来、校舎の保有坪数のうち教室に使用することができる部分がきわめて少ないことなどの理由があるため、一般の算定方法で算出された坪数の校舎では、教育を行なう上から著しく不適当と認められるときば、校舎の工事費の算定方法の竹例を認めておりますのを、屋内運動場の場合についても 校舎の場合と同様の川由があるときは、この特例を認めることといたしました。また現行の特例の方法は、必要坪数から保有坪数を控除して国庫負担資格坪数を算定する際に、保有坪数から政令で定める坪数を控除することとしておりますが、これを、必要坪数に政令で定める坪数を加算することに改めることとし特例適用の場合の算定方法の改善をはかることといたしました。
附則一項では、この法律の施行期日を昭和三十九年四月一日とし、二項では、昭和三十八年度以前の予算にかかる国庫負担金及び国庫補助金については、なお、従前の例によることといたしております。
以上、この法律案の概要について、御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/4
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005・久野忠治
○久野委員長 以上で補足説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/5
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006・久野忠治
○久野委員長 次に文化功労者年金法の一部を改正する法律案、国立学校設置法の一部を改正する法律案及び国立教育会館法案、右三案を一括議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。上村千一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/6
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007・上村千一郎
○上村委員 私は、文化功労者年金法の一部改正案と国立学校設置法の一部改正案並びに国立教育会館法案につきましてお尋ねをいたしたいと思うわけでございますが、本日は二時から本会議がございますので、質問の時間がきわめて短こうございます。途中で質疑を打ち切るような事態になるかと思いますが、残余の質問は次の機会にさせていただきたいと思うわけであります。冒頭におきましてあらかじめ御了解を賜わっておきたいと思います。
まず順序といたしましては、文化功労者年金法の一部改正案からお尋ねをいたしたいと思います。文化功労者年金法が文化の向上発走に関して特に功績顕著な者に年金を支給し、これを顕彰することを目的といたしまして昭和二十六年四月以来行なわれておりますことは、同法案の提案理由に示されておるとおりであります。なお、施行以来文化功労者として決定された方が数多くありまして、そしてこの法律によりましてわが国文化の振興に資したということは疑いをいれないところだし思うわけであります。
そこでまず冒頭にお尋ねしておきたいことは、この年金についてでございます。文化功労者年金法のこの年金は顕彰を目的として支給するということに法案はなっておるが、この年金自体の性格というものは、生活費的な性格を持っておるものか、あるいは感謝のおしるしというような性格を持っておるものか、あるいは他に異なるような性格を持っておるものなのかということにつきまして、まずお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。と申しますのは、この金額の決定ということについて、この性格というものが大きく響いてくると思いますので、冒頭においてお尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/7
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008・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 文化功労者年金の価格につきましては、これはいまお話しのように、文化の向上発展に関しまして特に功績顕著な者に対して年金を支給して、そしてこれを顕彰するというものでありますが、性格的に申しますと、これは賞金に当たるものでございまして、物質的な優遇措置であると失えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/8
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009・上村千一郎
○上村委員 そういたしますと、従平年金額が五十万円とされております。この五十万円と決定をするようになりました経緯についてお答えを賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/9
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010・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 この功労者年金法が制定されました当初の年金額は五十万円であることは御承知のとおりでございますが、当初は手取り額を三十万円といたしまして、そして当時の税額なこれに加えて積算をされたものでございまして、この手取り額三十万円というものの基礎は必ずしも明確ではございませんけれども、これは当時の国家公務員の俸給の十四級六号俸、と申しますと、金額にして二万五千円、これは本省の局長の最高額でございますが、この年額に見合う金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/10
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011・上村千一郎
○上村委員 その局長の最高額にきめられたそれは何か科学的根拠でもあるのでしょうか。その点をお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/11
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012・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 特に科学的な根拠はなかったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/12
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013・上村千一郎
○上村委員 私も理論的にいろいろ質問をいたしておるわけでございますが、大体常識的に考えて年額五十万円では、これはちょっと失礼だ、まだ少ないというふうな感じはいたしておるわけであります。それでこのたびこの年金額を五十万円より百万円に増額されるに至りましたところの事情をお尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/13
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014・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 この年金法が制定されました当時に比べますと、ただいまでは国民の生活水準も上がっておりますし、また社会、経済事情の変遷もございまして、これに見合うようにしなくてはならないというのが一つでございます。なお文化国家といたしまして、文化の向上、発達を一段と期するという見地から考えましても、この際年金額を改定いたしまして、この法律の趣旨に沿うようにいたしたい、かように考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/14
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015・上村千一郎
○上村委員 私はむしろもっと金額を多く差し上げてはいかがかというふうな考え方を持っておるわけでありますが、百万円に増額をしたというのは、結局先ほどの五十万円のもとをなすところの三十万円、その三十万円は局長の給与の最高であったというわけですが、そのときには税金も入っておったから、それから税引きというようなことでないように五十万円になっていた。そこのいきさつというものはきわめてはっきりしたいきさつというわけではないけれども、まあ五十万円ということになった。そうして最近の生活水準の向上とか、社会、経済事情の変遷に伴って、ちょうど百万ぐらいになるのだ、そこで百万円ということで改正の原案を出したのだ、こういうふうに承っておいていいのか、あらためてお尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/15
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016・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/16
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017・上村千一郎
○上村委員 それから将来この金額を増額するようなおつもりがあるのかどうか、この点につきましてお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/17
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018・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この年金を顕彰の趣旨をもちまして出しており、また従来の金額の算定の一応の標準と申しますか、それについてはすでに御説明申し上げましたとおりであります。今回国民の生活水準あるいは社会、経済事情の変遷も考え、それにつれまして一段と文化の向上発達を期する、こういう立場から、年金の増額の法律案をお願いいたしておるわけでございますが、将来上げるか上げないかというお尋ねでございますが、やはり今回法律案をもってお願いをいたしておりますような事情というものが感ぜられまして、年金法の顕彰の趣旨あるいは文化の向上を一段と期するという立場から増額を必要とすると感じました場合には、またあらためてお願いする時期もあろうかと思うのでありまして、さようにひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/18
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019・上村千一郎
○上村委員 その点はよくわかりました。−次に、文化功労者年金法の対象になっておりまする文化というものの範囲であります。文化という用語は、これは文化財保護の関係にも出ておりますし、なお文化勲章あるいは文化功労者あるいは法律の条文の各所に文化、文化と出てまいっております。が、これの概念を明白に規定するということはなかなかむずかしいだろうと思います。従来の文化功労者とされたものは、学術ないし芸術の分野の人が大部分であったようでございますが、文化というこの範囲につきましては、文部省としてはどの範囲までを考えられておるのか、その点をお尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/19
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020・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 この法律で申します文化の概念は、学術及び芸術の分野を主とするものであると考えますが、しかし必ずしもそれだけに限定されるものではございませんので、たとえば放送でありますとか、あるいは出版でございますとか、そういう一般文化も含むというふうに考えております。しかしながら、この一般文化ということになりますと、非常に範囲が広くなりまして、選考にあたりましてもまたいろいろ困難な事情も生じてまいりますので、運用といたしましては従来の方針に沿って、すなわちいま申しました学術及び芸術の分野を主として選考をしていただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/20
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021・上村千一郎
○上村委員 では、現在文化功労者と決定なされたその対象は、学術ないし芸術が主たる分野であるといわれておりまするが、学術ないし芸術以外の分野において、従来この功労者として決定したというような方があるのかどうか。あるとすればどういう方があるのか、その点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/21
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022・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 お尋ねの点につきまして例を申し上げますと、たとえば昭和三十年度におきましては、演劇事業の方面で大谷竹次郎氏、それから体育の分野におきまして平沼亮三氏、それから三十一年度でございますが、放送事業の分野で小森七郎氏、それから登山家として有名な槇有恒氏、それから三十六年度では柔道の三船久蔵氏等がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/22
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023・上村千一郎
○上村委員 今後文化功労者の選考範囲を、学術ないし芸術の分野以外に一般文化の分野までずっと広げておいきになられる意思があるかどうか。これは文部大臣にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/23
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024・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 従来の限り扱いにつきましては、ただいま官房長からお答え申し上げましたとおりであります。
文化という概念は、必ずしもいわゆる芸術あるいは学術のみに限られるものではないと存じますが、しかしこれをどの辺で一応の取り扱いの標準をつくるかということになりますと、かなり取り扱い上困難を感ずる場合も出てこようかと思うのであります。したがいまして、大体の考え方といたしましては、やはりわれわれとして従来のように学術あるいは芸術の分野を考えますけれども、やはりいま申し上げましたように、ある程度その範囲を広げて、だれが見てもふさわしいというような人につきましては、これを広げいくという態度で取り扱わせていただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/24
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025・上村千一郎
○上村委員 大臣のお答えがあったわけでございますが、文化という概念その時勢あるいはいろいろな社会の進運によりまして変化いたしております。すなわち概念が広がっていったり狭まったりすることがあるのです。まずそういう意味からいたしまして、私は、文化というものをいわゆる学術ないし芸術の分野だけに限らない、一般文化と称せられるところもひとつよく御検討されまして、そして世論におこたえをし期待に沿うような選考をなさることを希望いたしておくわけでございます。
次に文化功労者と文化勲章受章者との関連についてお答えをお願いするわけでございますが、この文化勲章受章者には、それ自体年金制度というものはない。しかし実際上を見ますと、文化勲章受章者の方を同時に文化功労者としてきめられておる、こういうお扱いになっておりますが、一体これはどういう観点のもとにそういうふうな御決定をされておるのか、ひとつお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/25
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026・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 御承知のことでございますけれども、文化勲章の授与は、天皇の国事行為として文化勲章令に基いて定められておる制度でございます。またこの文化功労者の制度は文化功労者年金法に基づいて行なわれる年金の支給を内容とするものでございまして、両者は制度上は別個のものでございます。しかしながら、いずれもこれは文化の向上発達に貢献した者を顕彰するという点では関係が深いのでございます。これをさらに詳しく申しますならば、文化勲章受章候補者の選考は「文化ノ発達ニ関シ勲績卓絶ナル者ニ之ヲ賜フ」ということからいたしまして、従来学術ないし芸術その他の分野にわたって功績をあげた方を選ぶということになっております。それから功労者の選考は、これは年金法の第一条にございますような目的をもって選んでおるわけでございますが、これは文化勲章受章者に比べますと、多少広い範囲になっております。そこで功労者年金法の制定当初におきましては、文化勲章制度が先行しておりました関係からして、年金を受給せらるべき文化功労者は主として文化勲章受章者の中から選考するという趣旨の閣議了解が当時あったのでございますが、これは運用として考慮するということでございます。しかし現在ではむしろ逆に、文化功労者のほうが文化勲章受章者よりも広い範囲に及んでおりますので、文化勲章受賞者として選考された者を七の年度の文化功労者として選考するとともに、それ以外の者で、さらに文化の向上発達に特に功績顕著なるものと認められた者を対象として、年金予算の範囲内において選ぶということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/26
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027・上村千一郎
○上村委員 私のお尋ねしたい点は、夫は文化功労者という方、そして文化勲章受章者、だから結局、文化勲章受賞というものは当然文化功労者でるべきだということ、要するに、たとえば文化の発達に関し勲績卓絶なるものというのだから、顕著というよりももっとすぐれた者です。それが文化功が者からはずれてしまう人がある。全都はずれるというのなら筋が通るけれども、はずれぬ人もあればはずれる人もあるということにぼくは疑問を感ずる。だから別な角度から申せば、文化勲章の受章者であり、文化功労者でない方はあるのかないのか、あるとすればどのくらいの割合で現在あるのかということをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/27
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028・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 文化勲章の受章者は、全部文化功労者と相なっております。したがって、文化勲章を受けられた方は、文化功労者にもなっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/28
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029・上村千一郎
○上村委員 その点は私のほうが誤解があったかと思いますが、それでは、この本年度文化勲章受章者は、すべて文化功労者の年金を得ておるということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/29
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030・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/30
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031・上村千一郎
○上村委員 わかりました。
それから現在何名を限度に文化功労者を決定しておるのか、これはあらためてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/31
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032・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 本年度は文化功労者として十人選考されまして、うち文化勲章受章者が二名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/32
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033・上村千一郎
○上村委員 次に一点でこの法案に対する質問を終わりたいと思いますが、文部省は、去る十九日に尾崎士郎さんがなくなられた。で、その尾崎士郎さんに対しまして文化功労章を贈ったというふうに伝え聞いて承知しておりますが、その事実があるのかないのか。この点をまずもってお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/33
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034・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 尾崎士郎氏がなくなられましたにつきまして、これを文化功労者として顕彰することが、今日までの尾崎氏の文学上あるいは文学界における功績を顕彰するのにふさわしいのではないか、かように考えまして、実は本日の閣議で同氏を文化功労者として顕彰することにきめまして、その手続をとりましたような次第でございます。したがって、先ほど十人と言いましたが、合わせて十一人ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/34
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035・上村千一郎
○上村委員 このことにつきましては、私はきわめて適切な御趣旨であろうというふうに思うのです。それで大きな道をお開きになったわけだと思いまするが、今後もおなくなりになられた方に対して、文化功労者としておきめになるというようなお心がまえがあるのかどうか、その点もあわせてお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/35
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036・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この年金法の趣旨は、申すまでもなく功績ある方を顕彰する趣旨をもって終身年金を贈るということになっておりますが、何と申しましても生きておられる人に対して年金を贈るのがたてまえであろうかと思われます。したがいまして、今回の尾崎氏に対するような取り扱いはいままでなかったものであります。その意味におきましては、新しい例を開いたということに相なるわけであります。これにつきましては、実は尾崎氏が病中でありましたので、文化功労者として顕彰することをやったらどうかということもだんだんやっておったのでありますが、おなくなりになりましてまことに残念に思ったわけでありますが、こういうふうな場合においては、このような人に対しては、新しく例を開いて顕彰することにしたらいかがであろうかというので、本日きめましたような取り扱いをいたしたわけであります。取り扱いといたしましては、率直に申し上げますが、生前にさかのぼりまして、生前の日付をもって、年金を
一回限りということになりますが、お贈りすることにいたしましたようなわけであります。従来の例から見ますと、新たなる例を開いたわけでございますが、文化功労者年金法の趣旨から考えまして、こういうふうな取り扱いをひとつお認めいただきたいと思うのであります。したがいまして、今後の問題といたしましては、やはりこれに相当する事例がある場合がありました場合には、選考の対象になるというふうに私ども取り扱ってまいりたいと思うのでございまして、今回も昭和三十八年度の文化功労者年金法の選考に当たられました委員の各位の全員におはかりをいたしまして、全員の御賛成をいただきましたので、さような取り扱いをいたしましたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/36
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037・上村千一郎
○上村委員 ただいま大臣がおっしゃったことはきわめて適切なことであると思います。またそういう点につきましても、今後もその趣旨をぜひ御実践賜わりたいと思うわけでありますが、法律の関係からなお一点追加してお尋ねをさせていただきたいのは、尾崎士郎さんの場合におきまして、生前の日付でやられるから年金は一回ということになる。けれどもが、なくなった後の方には、これは年金という意味においてどういうふうにそこを考えられるかというわけでありますが、その生前のいつへさかのぼって決定するかということになりますと、決定の日付とさかのぼる日づけというものが常に自由であるとするならば、事後において、いかなる時期でもさかのぼらして、そうして処置ができることになるでしょうが、これにも常識というものがあるでございましょう。尾崎さんの場合におきましては、私はいま決定したからといって、生前へさかのぼらしても、これは世の中の方々が納得するだろうと思います。けれどもが、なくなってからうんと日がたってから、うんとさかのぼらして、そうして年金というワクへはめるのは、法案においても無理があるのではなかろうか、こういう点につきまして、きわめていい御処置をなされたのであるから、それに賛意を表して、その点をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/37
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038・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この問題につきましては、やはりおのずから取り扱いの限度があろうかと思うのであります。非常に前にさかのぼってやるとか、あるいはずっと後になってやるとかいうふうなことは私ども考えておりません。文化功労者として顕彰すべかりし人がたまたまなくなられたというときに、その際にやるべきものではないか、またその範囲にとどめておきたいと思うのであります。今回の取り扱いは全く取り扱いの問題でございますけれども、十九日に死亡せられたので、そこで十八日付をもって取り扱いをした、こういうふうにひとつ御了承を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/38
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039・上村千一郎
○上村委員 以上をもちまして文化功労者年金法の一部改正法律案についての質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/39
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040・久野忠治
○久野委員長 本会議散会後再会することとし、暫時休憩いたします。
午後二時一分休憩
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午後三時四十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/40
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041・久野忠治
○久野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。上村千一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/41
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042・上村千一郎
○上村委員 国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、二、三要点についてお尋ねをいたしておきたい、こう思います。
国立学校設置法の一部改正法律案の今回の大体の要点は、昭和三十九年度における国立大学の学部、大学院及び大学付置の研究所の新設並びに図書館、短期大学及び国立高等専門学校の新設という点にあるかと思います。
それで公立大学でこれまで国立大学に移管されたものがどれだけあるのか、今回の三大学が特に取り上げられた理由は那辺にあるのか、今後のお見通しはどうかということについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/42
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043・小林行雄
○小林(行)政府委員 お答え申し上げます。
昭和二十六年度から三十年度にかけまして七つの県立大学を国立大学に合併してまいっております。それは静岡の農科大学と岐阜の県立大学、それから茨城の県立農科大学、広島の医科大学、それから愛媛県の松山農科大学、香川の香川県立農科大学、鹿児島県立大学、以上でございます。三十九年度におきまして特に岐阜の医科大学、神戸医科大学、山口医科大学の三大学の国立移管をいたしたいということでお願いをいたしておりますが、この三医科大学につきましては、すでに相当以前から地元から移管の強い御要望がございました上に、それぞれ三県における既設の国立大学の立場から申しましても、医学部がございませんで、これを受け入れるにある程度の受け入れ側としての組織なり規模等も必要でございますが、それぞれ三つの大学は十分これを受け入れるだけの力があるというふうに見られておるわけでございます。合併によりましてそれぞれの既設の国立大学が今後一そう充実が期待されるということで、この三つの医科大学の合併を取り上げた次第でございます。
なお最後に、将来の問題といたしまして、現にある他の公立大学の移管という問題について、どう考えておるかということでございますが、現在公立大学の中でそれぞれ設置者の立場から移管を希望されているものも二、三ございますが、やはり国立大学の全体の整備ということからいたしまして、早急にこれを取り上げるというようなことはなるべく慎重にいたしたい。したがって、現在の段階では、この三医科大学以外のものについて早急に移管をしようというような気持ちはただいまのところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/43
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044・上村千一郎
○上村委員 次に、近年におきまして学術の進歩に即応する図書館の機能の重要性にかんがみて、図書館の専門職員を養成する機関が必要であるということは私もそのとおりだと思うわけでございます。それで図書館短期大学の設立の趣旨は以上のようなものにあるかと思いまするが、図書館職員養成所を短大とすることによって、その教育内容はどのように充実していきますか。この点について御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/44
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045・小林行雄
○小林(行)政府委員 図書館職員養成を図書館短大に昇格させたいということで、予算をお願いいたし、また法案をお願いしておるわけであります。御承知のように、最近の図書館活動は社会の発達、学術の進歩に関連いたしまして非常に複雑になってきております。したがって、図書館の業務も量的にも非常に拡大され、また質的にも漸次高度化されてきておるわけでございます。これについて、従来の図書館職員養成所は各種学校でありまして、もちろん専門教科の教育を行なってはおりますけれども、従来のものでは不十分である、何とかこれを正規の短期大学に昇格させてもらいたいということが図書館界から強く要望されておったところでございます。今回その趣旨を取り上げまして、短期大学に昇格させたいということでございますが、それにつきましては、図書資料の関係、あるいは図書の整理関係、あるいは図書館の経営関係等につきまして、従来図書館職員養成所ではございませんでしたような専門の科目を整備いたしまして、その単位数も大幅に増加いたしまして、それに必要な専任教員の手当てもいたしまして、できるだけ質的にも量にも充実した教育が行なわれるようにいたしたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/45
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046・上村千一郎
○上村委員 国立大学にいろいろの研究所を付置新設なさる御計画でありますが、このうちで、東京大学に宇宙航空研究所を付置新設する。この宇宙航空研究所の目的を見ますと、宇宙科学、宇宙工学及び航空に関する学理及びその応用の総合研究ということになっておりまして、宇宙科学あるいは宇宙工学というふうに述べられておりますが、一体その内容はどういうものか、またその研究の現状というものは日本においてはどうかということについてお尋ねをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/46
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047・小林行雄
○小林(行)政府委員 この法案で宇宙科学というふうに申しておりますものは、御承知のように地球の大気圏外の空間、それから地球の大気圏外ばかりでなしにいわゆる、惑星間の空間というような宇宙空間につきまして、この宇宙空間で起こりますところのいろいろな現象につきまして、物理学的に、あるいは化学的に、あるいは生物学的に、研究を進めるというのが宇宙科学でございます。これにつきましては、従来は御承知のように東京大学の生産技術研究所が中心になりまして、ロケットによる観測を多年やってまいっておりますが、それ以外にもいろいろな国立大学あるいは公立、私立の大学等で、その専門分野の先生方が一緒になりまして、お互いに連絡をとりまして、超高層の大気総合研究班というものを組織いたしまして、いろいろと連絡をとりながら研究をいたしております。これにつきましては、従来文部省のほうから科学研究費を支出してこれに対する応援をいたしておるわけでございます。今後この宇宙航空研究所ができますれば、わが国におけるそういった方面の研究は急速に進展するものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/47
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048・上村千一郎
○上村委員 東京外国語大学にアジア・アフリカ言語文化研究所を付置するというお企てであるが、このアジア・アフリカ言語文化研究所の設立の趣意はどこにあるか。また主としてどんな研究と事業をなさろうとする予定であるか、お尋ねをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/48
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049・小林行雄
○小林(行)政府委員 申すまでもなく、アジア、アフリカ地域というものが国際関係、ことに国際政治あるいは経済、文化等の面から申しまして、非常に世界の注目を集めておることは御承知のとおりでございます。このために世界の大きな国におきましてはいろいろな機関を設けまして、それぞれの立場からそれらのアジア、アフリカ地域に関する研究を助成をいたしておるわけでございますが、従来わが国においては、こういつたアジア、アフリカ地域に関する文化面の研究というものが、一つの機構としては行なわれておらなかったわけでございます。この点につきまして、三十六年に日本学術会議のほうから、ぜひそういった研究センター的なものをこしらえてもらいたいという勧告が出ておりまして、これにつきまして文部省でもいろいろ研究をいたしました結果、今回の法案で取り上げておりますようなアジア・アフリカ言語文化研究所というものを東京外国語大学に付置することにいたしたいと思っておるわけでございます。この研究所におきましては、アジア、アフリカ地域の言語を、その言語の背景となる文化と一緒に、歴史とか民族学的なものとも一緒に、総合的に研究をしよう。またその総合研究のほかに現地語の習得、現地語の教育訓練もやりたい、あるいは辞典の編さん等もやりたい。そうして将来わが国とアジア・アフリカ地域との連関をさらに一そう強めることに役立てたいというのがその設立の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/49
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050・上村千一郎
○上村委員 次にちょっと角度を変えて二、三質問をいたしたいと思います。
昭和三十九年度の国立学校の学生増員は専門分野別に見て現在どうなっておりますか。また公私立の大学においてはどんな実情にあるのか、お尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/50
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051・小林行雄
○小林(行)政府委員 三十九年度の国立大学の学生定員の増加予定は千四百八十人ということになっております。この数を分野別に申しますと、理工系が七百三十五人、法律、経済、商業の関係が一一百四十人、それから文学並びに教育学的なものが十五人、それから農林水産関係が二十人、医学、歯学、薬学の関係が二百九十人、そのほかに先ほど申しました図書館短期大学の学生として八十人の定員増加を予定いたしております。なお公立大学は総数で二百六十人の増加予定でございまして、そのうちの六十人が理工系でございます。それから私立大学は総数で三十九年度一万三千二百五十九人の増加予定に相なっておりますが、そのうち理工系といたしましては千七百九十七人、こういう数字でございます。
なお、大学を離れまして、工業高等専門学校、これは国立が千五百二十人、公立が八十人、合わせまして千六百人の増員を明年行ないたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/51
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052・上村千一郎
○上村委員 次に、戦後のベビー・ブームの波が小学校から中学校、高等学校と、ずうっと及んできまして、これからこの波が大学へ押し寄せようといたしておることは事実でございます。それで大学に入学志願者が急増をいたしてくる見通しに相なっております。文部省としてこれが長期の対策としてどんな点が考えられておるかお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/52
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053・小林行雄
○小林(行)政府委員 御指摘の高等学校の卒業生から大学へ入学を志望する者の数は、御承知のように実は年々増加をいたしております。最近では約三十万人程度の入学志願者ということに、実数といたしまして考えられておりますが、この傾向で今後進んでまいると予想いたしまして、ベビー・ブームの波が大学に到達いたしますのは四十年度となりますが、現在の合格率等を考えますと、そのころにはやはり四十九万ないし五十万の程度にこの入学志願者の数がなるものと予想されます。これにつきまして、この時期の生徒に対して、やはり従来と同じ程度の入学率というものを保障すべきものであろうという見地から、現在国公私立を通じましての大学等高等教育機関の拡大計画を検討中でございます。この措置につきましては、できれば四十年度以降の予算でお願いしたいというふうに考えております。ただ先ほども申しましたように、これは国立だけの問題でございませんで、御承知のように、一等教育機関のうち、大学に関しましては、ことに私立大学が受け入れておる比率が非常に高いわけでございますので、この点につきましても今後私立大学側と十分連絡をとりながらその拡大計画を処理してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/53
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054・上村千一郎
○上村委員 最後に一点お尋ねしまして私の質問を終わりたいと思います。
前回の設置法の改正で、学科、課程、講座、学科目、研究部門を文部省令で定めることになっているが、これらの省令化はその後どのように進展をしているのか、お尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/54
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055・小林行雄
○小林(行)政府委員 前年の国会におきまして、国立大学設置法の七条を改定いたしまして、学科、講座、学科目を文部省令で定めることにいたしたわけでございまして、その後、昨年の四月以来、各大学の実情を調査いたしますとともに、この実情に従っていろいろとそれぞれの大学との門に具体的なヒヤリングを行ない、また相談会等もいたしまして、相当時間をかけて現在まで作業を進めてまいりました。その間、大学側にいろいろと御希望等もあったわけでございますが、ようやく今年の一月になりまして大学側と現在の段階において一応の了解に達しましたので、文部省としての作業を一応終えまして、つい最近これについての省令を公布する段取りになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/55
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056・上村千一郎
○上村委員 私は、国立教育会館法案につきましては他の機会に質問をさせていただくことにいたしまして、本日は私の質問はこれにて終わりたいと思います。
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057・久野忠治
○久野委員長 次に、文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。長谷川正三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/57
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058・長谷川正三
○長谷川(正)委員 前会、三木委員から、やはり文教施策の全般にわたっての御質疑がありまして、特にその際、いま非常に国民に衝動を与えましたあの高校生のきわめて残虐な殺人事件、あるいは連続強盗事件等々、青少年の問題にからみまして、かなり掘り下げた御質疑があったわけであります。文部省側から、その他関係者からもそれぞれ貴重な御答弁もあったわけでありますが、もとよりこの青少年の問題は非常に根が深く、その背景も複雑かつ広いわけでありまして、先般もお話が出ましたように、学校教育の問題、ことにただいま大学の問題も出ましたけれども、いま全国の青少年及び父母を苦しめておる深刻な進学難の問題や、あるいは最近の社会情勢の中で、家庭があっても家庭に両親が事実上いないにひとしい両親不在の問題、あるいはさらに社会に横たわっておるいわゆる経済的な大きな格差が広がっておる問題等々、非常に深い原因から出ておりますから、この解決にあたりましては、根本的かつ総合的な施策が必要だと思います。しかしながら、先般三木委員も指摘されましたように、今日日本の青少年の問題は、もはやこれ以上遷延を許さない犯罪が年を追うてふえておるような状況から見ましても、あるいはその内容が年を追うて非常に悪質になってきておる状況から見ましても、これは党派とか立場とかを越えて全国民が協力し、特に教育、文教関係の者が一致して当たらなければならないということを指摘されておったわけでありますけれども、これに対する直接の責任のある文部省側の御答弁を伺っておりまして、私は、何かまだこれに対する基本的な認識に欠け、的確、敏速な処理をするというような気魂、腹がまえの十分でないような感じがいたしたのであります。もちろんいま申し上げたように、非常に広範な問題でありますから、必ずしも対症療法的な即効薬はございませんが、しかし同時に実行可能な問題につきましては、もう時を移さずこれを取り上げ直ちに対策を立てていく、こういう一面もなくてはならないと思うわけでございます。こういうような観点から私は特にきょうはごく具体的な問題を取り上げまして、それについて文部当局の所信をただし、かつすみやかな対処をいたしたいと思うわけであります。
私がきょうここで取り上げようと思う問題は、御承知のように近年、特にこの一、二年非常に盛んになってまいっておりますボーリング場の問題でございます。私、現在三鷹市に住んでおりますが、隣接の武蔵野市の吉祥寺の駅の南口に現在やはりボーリング場が建設の途上にございまして、このことに気づいた付近の住民の方々からこれに対する猛烈な反対の運動が巻き起こっております。署名運動が起こり、あるいは青少年問題協議会もこれを取り上げて、反対の決議をあげて業者と折衝したり、あるいは市に陳情請願をする。議会においてもこれを取り上げる。さらにこれが三鷹の婦人の団体あるいは小金井のほう、あるいは付近の学校のPTA等々、およそ子を持つ親を中心にいたしまして非常な心配を巻き起こし、これに対して反対運動が起こっておるわけであります。このボーリングの問題につきましておそらく文部当局にも、いろいろ東京都内をはじめ、全国からこれについての陳情要請等も出ておるのではないかと思いますが、この問題に対してまず第一に、文部省はこのボーリング場に対してどのような御認識をお持ちであり、御所見をお持ちであるかということをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/58
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059・前田充明
○前田(充)政府委員 ボーリングに対してどういうふうな考えを持っているかというお問いでございまして、私ども日本のボーリング場と申しますか、そういうものと、いわゆる本質的にボーリングという競技と申しますか競争と申しますか、そういうボーリングそのものと幾ぶん分けているわけでございます。ボーリングそのものにつきましてはアメリカでわりあい発達し、ヨーロッパ等においても相当現在行なわれておるようでございまして、日本にもボーリング協会というものもございますし、それから学生のボーリング連盟というようなものもありまして、ボーリングそのものとしては私は健全な——まあスポーツであるかどうかということになりますと一つの問題もあると思いますが、いずれにしても健全なものであろうと思っております。ただしかし、日本は終戦後このボーリングが輸入されまして、そして終戦後ボーリング場というものが商業施設として行なわれておりまして、現状では建築基準法の上から申しますと遊技場ということになっております。そうすると一体スポーツ場かどうかという問題になりますとなかなかむずかしい問題でございますが、一応遊技場ということになっておりまして、いわゆる遊技場としての条例による規則によって建築を許され、それが営業をしておるというのが建物そのものの実態であろうと思うのでございます。
運営の問題でございますが、運営につきましては私どももボーリングというものがずいぶんはやっておって、場所によってはいかがかと思うようなものがあるというようなことも聞くわけでございますので、これはスポーツかどうかという意味から言えば、一つの所管としても私どもとしてどこまでかという問題もございますが、とにかく一つのどうかと思うという現実から考えまして、幾つかのボーリング場を視察をしてみました。それでいろいろ話を伺ってみますと、割合健全に行なわれておるところもあるようでございます。それからまたこれはどうかと思うようなのもあるようでございます。東京には十六カ所ほどございまして、それが金額としては二百円から二百五十円くらいの料金をとっておるようでございます。営業時間につきましても大体午前十時から従来一時、二時までやっておったようでございます。ごく最近におきましては十二時で切っておるようで、自粛してきておるというような現状のようでございます。なお利用者も一日一カ所で大体二百から六、七百名程度男女それぞれあるようでございます。その程度が利用をしておるというように私ども各方面で伺って、総合したところでそういうふうに見ております。これをかりにスポーツ場として考えれば、ボーリング場の中で飲食物を売ったり、場合によると酒等を売るのはどうかということになるわけですが、いわゆる普通の競技場におきましても必ずしも飲食物は全然やっておらぬというわけじゃございませんで、やっておるわけですが、ただ問題は、私は内部の雰囲気と申しますか、そういうものにどうかと思うような現実があることと、それから夜中の二時、三時までも——今日ではやっておらないということでございますが、そういう夜中までやるというようなことではどうかというふうに一応私どもとしては感じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/59
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060・長谷川正三
○長谷川(正)委員 いま遊技場というおことばが出たのですが、遊技場というのは広い意味で体育施設に入るのですか入らないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/60
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061・前田充明
○前田(充)政府委員 遊技場のものが全部体育施設であるとは、私考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/61
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062・長谷川正三
○長谷川(正)委員 それではボーリング場はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/62
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063・前田充明
○前田(充)政府委員 いま私申し上げましたように、ボーリングそのものは大体体育と言ってさしつかえないのではなかろうかと思います。しかしボーリング場というものがそれじゃ体育施設かということにすぐ判断していいかどうかということについては、私は幾ぶん疑問を打っておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/63
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064・長谷川正三
○長谷川(正)委員 さっき私冒頭に、ボーリング場ができるという声を聞いただけで、そしてその建物がまだ建築中であって直接実害がその地域に出てないにかかわらず非常に大きな住民の、特に子を持つ親御さんの間に非常な反対運動が起こっておる。これは一体どういうわけかということについて、一応問題があるということで御調査もなさった、実地にお調べもなさったということは、当然適切な処置をとられたと私は思いますが、その結果いまのように、一時悪かったけれども、最近はよくなっておるようだ、若干問題はあるが——この程度の御認識では、とてもいまの青少年問題全体を扱う——氷山の一角がこの問題ですが、これはどうにもならないのじゃないかという感じを私はますます深くするのであります。体育局の方が視察なさったのはおそらく警察と一緒ではないと思います。きょうここに警察庁の方も見えておるようでありますけれども、警察側ではもう少しえぐった見方をしているように聞いておるのでありますが、その点について警察庁側の見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/64
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065・楢崎健次郎
○楢崎説明員 実情につきましては、ただいま文部省側からお話があったとおりでありますが、私どもの調査におきましても、三十九年の二月現在で、全国で五十七軒のボーリング場があり、現在開設準備中のものが二十七軒ほどあることが確認されております。開設準備中の二十七軒の大半が大都市で、ことに東京が十六軒であります。その他大阪、兵庫、神奈川、福岡、京都、愛知ということでございます。私どもから見ますると、ボーリング場は健全なスポーツの遊技場であるということになっておりますが、その中での具体的な犯罪の発生件数もかなりに上っております。それから私ども問題にしておりますのは、やはりいまお話のありました深夜における営業、ことに十二時過ぎ、場合によっては三時あるいはそれ以後までやっておるというような深夜における営業という問題、それから中に未成年の青少年の人もたくさん入っておりますが、こういう青少年が、これもまた非常に深夜に入っておるという問題、それから中でかけごとをする、あるいは著しく射幸心をそそるような景品を出す、こういう点が警察的には問題であろうかと思われます。もちろんボーリング場の全体がそういう問題があるというのではありませんで、むしろごく一部のボーリング場についてそういう状況が認められましたので、私どもとしましては風俗的にあるいは青少年問題の見地から、昨年の秋あたりからボーリング場については強力な指導と言いますか、自粛を求めまして、たとえば景品を出さないとかあるいは未成年を夜間には入れない、あるいは時間は十二時までで全部営業を締める、こういうことについてお願いをしたり、あるいは自粛を要望したりしまして、現在大半のボーリング場は大体そういう線で自粛しておられるようです。ただ東京で申しますと、十六のボーリング場の約半数近くはまだ十二時までに店を締めておりません。土曜、日曜については非常におそくまでやっておる、こういう点についてはもう少し業者側の自粛を要望しまして、ボーリング場が健全なスポーツであるように業者の自粛をお願いしたい、こういうふうに思っており出す。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/65
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066・長谷川正三
○長谷川(正)委員 ただいま相当の犯罪も起こっておる、特に深夜に行少年がかなり多く入っておるというお話がございましたが、その犯罪がどのくらい起こっておって、どういう種類の犯罪で、年齢は大体どういう年齢の者であるか明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/66
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067・楢崎健次郎
○楢崎説明員 相当の、と申しましたが、これは若干語弊があったら訂正大していただきますが、昨年の一月から十一月までに東京都内のボーリング場で発生した犯罪件数は百十七件であります。主たるものは窃盗でありまして百五件。その他恐喝、傷害、暴行等であります。窃盗はもちろん遊技客が上着を脱いでおって、そのポケット内の金品を取られた、そういう事件。また恐喝事件につきましては、遊技場の料金を捻出するために青少年から金品を強奪したり、あるいはそれに関連した暴行、傷害、こういった事犯であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/67
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068・長谷川正三
○長谷川(正)委員 ボーリングそのものがもし健全な体育であるとしても、スポーツであるとしましても、体育局長も二つに分けてということを言われて、日本におけるボーリング場が一つの営業として行なわれておって、そこに問題があるとおっしゃいましたけれども、そして、事実視察もなさったんだけれども、私は、いま警察庁のほうからの御答弁で聞いただけでも、それではこれはやはりこのまま放置しておいていいのかどうか、この点については当然このままではいかないという判断をお持ちだと思うのです。それから、指導をなさって自粛を養成されていると言うけれども、これは単に自粛を要請しても、従わなければそれは何にもならないわけで、現に東京における十六のうち、いまの御答弁でもまだ半数はそれを十分実行していないようだ、こういうお話です。一体こういう状態に対しまして今後どういうふうになさるおつもりであるか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/68
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069・前田充明
○前田(充)政府委員 現状は大体お話し申し上げたつもりでおったのでございますが、実はごく最近にも、ボーリングの関係の方々の協会がございますが、それらの方からも、今後ひとつ健全なものとして発達をさせたい、ついてはできるだけ御指導を願いたい、こういうような御意見が出ておるのでございます。ここではっきりと体育施設としてかりにきめたといたしますと、私ども体育のほうの関係で申しますと、日本の体育は日本体育協会というものがありまして、これにスポーツの関係はすべて加盟いたしております。すべてと申すとちょっと語弊がありますが、大部分加盟いたしております。これは、はっきりそういうことになりますれば、加盟することもあるいは当然なことかと思うのでございますが、加盟をいたさないにいたしましても、りっぱなボーリング協会というものができれば、それらの人たちは、従来の考えから申しますと、いわゆるアマチュアスポーツとして、正しく自分たちの身を守り、そういうふうにしてやっていく、運営をいたしていく、こういうような考え方でいるわけでございます。その人たちだけが競技場を使うということになれば、それでもう必然によくなる可能性は十分にあるわけであります。それ以外の一般大衆と申しますか、それ以外の人たちが使うということになりますと、そこで問題の可能性があるわけであります。そのときに、そういうスポーツとして関係した人がその中でだんだんよくしていくというのが常道であり、またそれを経営していく人もその協会に関係をする人になるわけでございますので、みずから自粛をして、そうして間違いのないアマチュアスポーツに発展させていくというのが常道であろうかと思うのでございます。私は、スポーツとしてはっきり考えるならば、そういう常道でいくのが最もいい方策ではないかと一応考える次第でございます。それでもなおどうにもならなかったらという問題になりますれば、おのずからまた新しく考え直さなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/69
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070・長谷川正三
○長谷川(正)委員 ボーリング場も実際御視察なさったんですからおわかりと思いますが、何億、何十億というような資本を投じなければできないような実に膨大な施設、しかもきわめてぜいたくな施設をしておることは御承知のようです。したがって、それでもなお三年で回収できるというようなこともいわれているくらい、これは純然たるもうかる営利事業ですね。そういうものが、いまお話しのように、純然たるスポーツとして、健全なアマチュアスポーツとしての道を、特におとなでなく青少年のスポーツとしてこれが伸びていくのが望ましいとおっしゃいますけれども、こういう大きな資本と営利を目的にして建てられているボーリング場の経営の中で、そういうようなアマチュアスポーツとして健全に伸びるというような、そういう御希望をはたして持ち得るのかどうか。持ち得るというふうにお考えになると、それはずいぶん——先生といわれるほどのばかでなしということを長い間言われてきましたけれども、文部省のお役人というのはよほど甘いというふうに言われてもしかたがないんじゃないかと私は思うのですが、甘いとかからいとか言われることはどちらでもいいんですけれども、これによって生ずる青少年のはかり知れない被害というもの々考えますと、私は、先ほど申し上げたように、どうしても解決するという、そういう気魄を持って対処しなければならないと思うのです。これは一体育局長だけでなしに、おそらく文部省の手に負えない大きな問題になってくるんじゃないかと思うのです。これは文教のほうの責任を負う文部大臣が閣議において説得してでもこの問題の解決に当たるというくらいの気魄がなくては、私は、これは全国の都市にもう一、二年の間には蔓延していくんじゃないかと思うのです。特にいま深夜喫茶等の風俗営業のほうには、さらに青少年の観点においての取り締まりの規則の改正等がもくろまれておるようでありますけれども、そういうことになりますと、私また後にも触れたいと思いますが、ボーリング場のみならず、スケート場というものもある。こういうふうに体育とスポーツと娯楽と風俗営業と、どこのところで境を打つかわからないような新しい一つのものがどんどん生まれてくるわけですね。こういうものに対しては新たな観点から明確な方針を出し、これがいろいろな面から検討されるべきでありましょうけれども、特に教育の問題として、青少年の問題としては、これは文部省が第一にこれについて関心を喚起し、対策を立て、そして措置を講ずるというのがしかるべきだと思いますが、そういうことについて文部大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/70
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071・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 このボーリングそのものについて私は知識もなければ経験もないのでありますが、そういう知識も経験もない者がかれこれ断定するということもいかがであろうかと思いますが、ボーリングそのものといたしましては、これをスポーツと申しますか、あるいは娯楽と申しますか、いずれにいたしましてもわれわれの身体に害を与えるものではないのだろう、少なくともからだを動かすだけでもからだのためにはなる性質を持っておるものじゃないかと思います。外国等におきましても、これをスポーツとして取り扱っている事例もたくさんあるように思います。従来われわれが、取り扱ってまいりましたいわゆる体育というものの中にはまだ入ってきていない、かように見てよろしいのじゃないかと思うのであります。もちろん全部がそうとは申しません。学生のボーリング協会であるとか、そういうようなものの目的はやはりスポーツとしての扱いをいたしておることと思うのであります。ただ先ほどお話にもございましたが、そのものとしては別に問題はなくても、これが取り扱われるそのやり方あるいは環境等によりまして、問題が変わってくるというふうに私は思うのであります。昔からそういう事例はたくさんあると思うのであります。たとえば弓を射るということは別に何もない、弓道としてはりっぱなものだということになりましても、これは妙なところで妙なふうな取り扱いを受けると、単なる娯楽といいますか、単なる遊技に終わってしまう、これはいわゆる弓道として見るわけにはまいらない、こういう、ふうなことになるわけであります。このボーリングにつきましても、やりよういかんによっては、体育施設としてこれを、育て、あるいは発展できるかももわかりません。しかしまたお示しになりましたような今日の事態、そういうふうなものを見ますと、これはもう体育施設とかなんとかという範疇ではなくて、むしろ別の角度から単なる営利事業としてこれを見なければならぬ性質のものじゃないかと思うのであります。その営業のしかたにおいて非常に弊害があるということになりますれば、その角度からやはりこれに対する指導と申しますか取り締まりと申しますか、そういったふうな措置もとっていかなければならぬものじゃないか。したがって現在東京その他名地にありますいわゆるボーリング場なるものが、どうもだんだん伺っておりますと、健全なるスポーツあるいは娯楽というよりも、むしろその全体が非常に不健全なものになってきておる、こういうふうに考えざるを得ない。もとより営業ということにつきましてみだりに干渉するとか取り締まるということはできませんけれども、合理的な範囲内において、これに対しまして規制を加える、あるいはそういう弊害のないように、取り締まりをしていくということは、当然考えていかなければならないことであろう、私はさように考えなす。したがいまして、いまごろ何を言っているかというあるいはおしかりをこうむるかもしれませんが、いま御注意にもございましたけれども、私としましてもそのような意味のいわゆるボーリング場なるものに対しては、いま申し上げましたような角度から、これに対しまして適正な処理を考えなければならぬ、そういう意味で関係方面とも十分御相談もいたしまして、検討いたしてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/71
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072・長谷川正三
○長谷川(正)委員 文相から適正な措置をするように関係方面でも検討をされるというおことばでありますので、大いに御期待を申し上げるわけであります。ただお話をずっと聞いていまして、また表面づらの御報告の認識しかないように思いますので、私の調べましたところによりますと——先ほども料金は二百円ないし二百五十円というようなお話がございました。そうするといかにもそのような印象になりますが、これは十個ですか十二個ですかをころがすのがそういうことなんです。しかも特別なくつをはくそうですね。そうするとそのくつの使用料は百円、それだけですぐ三百円、三百五十円。まあそれはほんの五分かせいぜい十分で終わってしまうから、やはり五、六回はやれば、少なくとも千円から二千円はかかる。ところが青少年の一回の遊びとしては、これはなかなか大きいものです。しかも運動はすべてそうですが、やればおもしろいものです。したがってもう少しやりたいから、その場内で、先ほど御報告があったように、かけてある服のポケットから金を盗んでもそれを続けようとする、時計をこっそり盗んでそれを売って、また続けようとする。先般のあの連続強盗与件の子供の告白の中にも、ボーリング場へ行くお金がほしかったのだということをはっきり言っておるというように報道されております。そういう点から考えましても——またこれは先ほど十二時で大体終わっておるようだということですが、私は本日、先般参議院のほうで婦人の議員の方がいろいろトルコぶろだとか、こういうボーリング場をずっとお歩きになっためで面接伺ったのでありますけれども、十二時とか一町とか二時というのは、現在の入場のときの制限だそうです。したがってそれまでに入った者は夜っぴてあしたの朝までやっておるということです。それが事実なんですよ。そういうことをもう少し実際に知って対処しなければならぬと思うのです。しかも御承知のように、だんだん青少年が集まって夜ふかしして、そして酒を、飲んで中でけんかをする、外でけんかをする、自動車を乗り回す、その付近は不良化の問題と同時に、特に住宅街等はもう夜も寝られないことになる。そういう問題も起こるから各地でこの反対が起こっておるわけです。しかもその付近の子供は、そこにできるとなると、非常に関心を持ち、学生、生徒あるいは若いサラリーマン、デパートのBG嬢、こういうふうなものがそこへ行くことにあこがれるような空気になるわけです。こういう事態をやはり認識されまして、これは警察庁のほうからお話がありませんでしたが、新聞等の報道によりますと、すでに警察庁が何回も警告を発しています。そしてそのときにいつも言っておることは、法の盲点があって取り締まりができないということをみんな言っております。先ほど私が指摘いたしましたように、最近スケート場にもこういう傾向があらわれてきておるということを聞いております。やはり規制する措置がとれないので、夜っぴてすべっていて、そこで飲食をし、けんかをする、いわゆる悪の巣にだんだん変わってくる、そうしますと、ボーリング場だけではありませんので、どうしてもこういう一連の施設についてぜひ文部当局が中心になりまして、これについての何らかの規制措置、これについて対処をしていただきたいと思うわけです。きょうこの席でどうするということをお答えになれと迫っても、これはなかなかむずかしい問題もあろうと思いますから申し上げませんが、先ほどの文相の御答弁を信頼し、期待し、これについてひとつ心配をしておる世の観たちが愁眉を開き得るような、そういう御報告がすみやかにいただけますように、善処を御要望申し上げて、本日は一応この問題については終わりたいと思います。
次にもう一つ、時間がたいへんだっておりまして恐縮でありますが、文化財の問題について御質問申し上げたいと思いますが、関連質問があるそうですから、ちょっとここで譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/72
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073・落合寛茂
○落合委員 私の関連質問は、やはり青少年の問題なんでありますが、私は自分の職務としまして長く少年院、それから少年刑務所の教戒師をいたしておりまして、そして実際に私の感じたなまのお話なんでありますが、法務省の方はお見えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/73
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074・久野忠治
○久野委員長 見えておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/74
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075・落合寛茂
○落合委員 全国で非行少年々収容しております少年院の数はどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/75
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076・大澤一郎
○大澤政府委員 全国で六十一カ所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/76
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077・落合寛茂
○落合委員 ただいま収容されておる大体の数は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/77
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078・大澤一郎
○大澤政府委員 約九千人であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/78
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079・落合寛茂
○落合委員 ただいま長谷川さんのお話がありましたが、そういうようないろいろなことが重なりまして、そうして非行少年が少年院へ送られてまいり、いま御報告を伺いましても一万人に近い非行少年がおるわけであります。私、よく参りまして、非行少年を監視いたします看守諸君と座談会をしたりいろいろするのでありますが、上官の前ではそんなことを言いませんが、看守たちの偽わらないことばを聞いててみますと、二度もう悪いことをして少年院へ入ってくる者はちょうどガンにかかったようなものだとこう言う。ガンにかかればどうしても命をとられてしまうように、この悪からどうしても抜け出ることができないことになってしまう、実に困ったものだということを看守たちが言っておりました。中には刑期が済みまして、夜おそく私のところへ訪ねてくるようなまじめな出所者があるのですが、そのうちに行ってみますと、また帰ってきている。実にこれはかわいそうなものでありますけれども、そういうことが現在の偽わらない実情であるのであります。でありますからして、私はよく紙を渡しまして、何か大きな事件があるとその事件につきまして偽らない所感を書いてみろ感じたことを、偽わらずに書いてみろと行って書かせる。遠慮してはいけないから、名前は書かなくてもいいから、無記名でほんとうに自分の思っていることをというと、たとえばあるところに放火事件があって、これが社会の大きな問題になっておる、これに対する所感を書かせますと、八割から九割まではおれもやってみたい——ですからわれわれ力のない教戒師が幾ら話をしてみたところで、ただそのときだけの場合であって、この非行少年というものが性根から直るということはどうもないのであります。そこで私どもがしみじみ考えることは、一体どこからこういうなにが出てくるか、どう考えましても、それは直接の罪は非行少年たちにありますけれども、よって来たる深い根というものはやはり社会の責任だと考えられるのであります。そこで今日いろいろな施設いろいろな機会に直接非行少年たちの改悛やいろいろ心がけておる事業がたくさんあるのでありますが、この際私はやはりひとつ非行少年たちに対するおとなを中心とした、文部省といたしますか、法務省といたしますか、そういう関係者の方たちが非行少年のそういう改悛をするようなところに持っていけるような何か機関をこしらえていただきたいと考えざるを得ないのですが、こういうことについて御当局はお考えになったことがありますかどうか、それをひとつ伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/79
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080・大澤一郎
○大澤政府委員 現在法務省矯正局所管におきまして、ただいま御指摘のいわゆる非行化の進んだ少年を少年院に収容いたしまして教化いたしておるわけであります。御指摘のとおり、遺憾ながら約半数の者が再びまた非を犯しまして少年院あるいは刑務所に入ってくるという現状であります。われわれとしてまことに力及ばざる点を常に反省し、その指導について種々くふうしておるわけであります。さような非行少年対策といたしまして、単に矯正施設のみならず、一般社会の教育と、おとなの考うべき問題という点につきまして、これは法務省だけの問題ではございません。特に社会教育と他の部門に負うところが多いのでございます。法務省といたしましては、いわゆる保護司制度というものを置きまして、引き続き保護観察というようなこともありますし、またBBS——ビッグ・ブラザーズ・アンド・シスターズというシステム、健全な青少年が友人となって積極的に指導するというような方法をとっておるわけでありますが、決してまだ十分とは申せません。さらにさような点について研究も進め、充実していきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/80
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081・落合寛茂
○落合委員 それで先ほど長谷川さんからもお話が出たのですが、私は非行少年と一緒になにしておりますと、非行少年のほうにどうも味方したくなるのですが、深夜喫茶というものが、私行ってみたことがないが、東京にあるそうです。そして新聞などで見ると、いろいろ都条例がどうだとかこうだとかいうようなことで、祝祭をしたり会談はしておるけれども、それに対するはっきりしたいろいろな問題が今日まだ、一年たっても二年たっても出てきておりません。ところが依然としてそういうものは継続して営業されておる。一方では俗悪な映画がちまたにびまんしておる。それに対するいろいろな、映倫とかなんとかいうものができておるそうでありますが、またそこで適正に取り締まられたということも聞いておりません。またいろいろな週刊雑誌その他が出ておりますが、おとなのわれわれが子供の前で見られないものばかり、こういうものに対して何とかならないものなんでしょうか。私はそれを伺いたいのです。ですから理屈は幾らもつきますが、もう少し、私は別に国家権力をふるってこうしろと言うのではないのですけれども、もっと何か方法があるのではないかと思う。長谷川君も言うように、問題はやはりほんとうにこれと、取り組んでやってやろうというお気持ちを時さんに持っていただいて、先ほど申しますのも、保護観察とかなんとかいろいろな組織はありますが、いままでのそういう組織は全くのところ何の役にも立たないのです。でありますから、それのほんとうの対象になって苦労されておる皆さんですから、よしひとつ今度この少年問題に対してこういうふうにやってやろうという、何かそこにきっとしなければならないものがあると思うのであります。まことに抽象論で申しわけありませんが、実際に非行少年とともに行動というとおかしいのですが、一緒におります時分としてつくづく感ずることは、もっと……。(「青少年対策特別委員会をつくれ」と呼ぶ者あり)そうです。何かそういうものをこしらえて、そして本気に取り組んでいただきたい。ぜひお願いいたします。私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/81
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082・長谷川正三
○長谷川(正)委員 それでは時間もだいぶたっておりますので、できるだけ端的に御質問を申し上げます。
文化財の保護に関して、特に関係の方々から御答弁をいただきたいわけですが、去る一月三十一日付の朝日の朝刊に、史跡を無断で宅地分譲という大きな見出しの記事が報道されております。これは私の居住のすぐそばの部下国分寺町の国分寺尼寺の跡ですね。そこが史跡に指定されているにかかわらず、いつの間にか売られて、そしてもう分譲住宅が建って人が住んでいる。そのころになって気がついて、いま大騒ぎをやっておる。こういう状態でありますが、これはまことにゆゆしいことでありますので、この事の真相をひとつ簡潔に御説明いただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/82
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083・宮地茂
○宮地政府委員 ただいま御指摘の問題は、いわゆる武蔵国分寺跡、史跡に指定されておるものでございますが、そこの史跡地内に、個人もございますが、土地会社等が宅地造成をいたしまして、無断で法律上の現状変更をした。法律上は文化財保護委員会の許可を受けて現状変更をすべきにもかかわらず、無断で現状変更をやったという問題でございます。
この点につきましては、私のほうも実は直接には、その新聞に載ります数日前に、地元の人の直接の通報によりまして承知したわけでございます。そうして私も参りましたが、係官も現地を視察いたしました。それから東京都並びにこの史跡を管理いたしておりますいわゆる管理団体であります国分寺町当局者も呼びまして、今日に至るまでの経緯を聞いたわけでございます。ところが、昭和三十四、五年から一部その史跡地内に家が建てられ、また年年夏ごろから十数軒の家が建てられた。その間国分寺町当局者は管理団体としての使命を国から受けておるわけですが、関係者はそういう現状変更が行なわれたことを何ら承知していなかった。またその現状変更を無断でやりました当事者は、史跡という石の標識が立っておることは知っていたけれども、その地域がそのように現状変更をする場合に許可を受けなければならないといったような法律も知らなければ、そういう条項があることを知らなかったということでございます。まことに遺憾なことでもございますし、また私ども国として、文化財保護委員会といたしましても、東京都並びに国分寺町当局者に対する史跡管理の指導が不十分であったということは認めておりますが、一応の経緯は以上申し述べたような経緯でございます。
これが今後の措置につきましては、御質問があればお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/83
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084・長谷川正三
○長谷川(正)委員 実はこの問題について、やはり今日新たな国土開発とか、新産業都市の指定であるとか、あるいは住宅公団等による大きな集団住宅の建設であるとか、あるいは鉄道や道路の新設ないし拡張等で、いま国土が非常に変貌しつつあるわけですね。こういう中で、文化財保護の問題はこれに押し流されておりますと取り返しのつかない事態に立ち至るのじゃないかということを、私は身近なこの国分寺の問題から痛感しておるわけでありまして、その責任の所在がどこにあるかということの追及ももちろんいたさなければなりませんけれども、それよりも、いろいろこれには欠陥があると思います。特にいまのように国土が刻々大きな時代の進展に伴って変貌を遂げることは当然でありますし、これをとどめることはできないわけであります。しかし、そういう際に日本の固有の文化財というものを保護し、あるいはそうかといってすべてをそのままにしておくわけにいかないと思うのです。調査して、資料をとるものはとり、あるいは発掘すべきものは発掘して、整理して、その土地を開放しなければ、これは大事だ、あれは大半だと言っていつまでもほうっておくわけにはいかないと思う。そういうことから、これはやはり文化財保護委員会なり文部省全体が、もうちょっとこういう時期だけにしっかり取り組んで、後顧の憂いを残さないようにひとつ対処する必要があると思うので、それに関連していろいろこまかい質問を申し上げたいのですが、時間がないようでありますから、ここで早急にやることをやめまして、一日を争うわけでもありませんし、次会に回さしていただくことをお認めいただいて、一応本日は質問を打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/84
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085・久野忠治
○久野委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X00519640221/85
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