1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十八日(水曜日)
午後二時開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 坂田 道太君 理事 二宮 武夫君
理事 三木 喜夫君 理事 山中 吾郎君
臼井 莊一君 木村 武雄君
熊谷 義雄君 田川 誠一君
谷川 和穗君 床次 徳二君
中村庸一郎君 橋本龍太郎君
松田竹千代君 松山千惠子君
三田村武夫君 落合 寛茂君
川崎 寛治君 長谷川正三君
前田榮之助君 鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
文部政務次官 八木 徹雄君
文部事務官
(大臣官房長) 蒲生 芳郎君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
文部事務官
(管理局長) 杉江 清君
委員外の出席者
文部事務官
(初等中等教育
局財務課長) 岩間英太郎君
自治事務官
(財政局財政課
長) 岡田 純夫君
専 門 員 田中 彰君
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三月十六日
小、中学校児童、生徒に対する通学費国庫補助
に関する請願(井出一太郎君紹介)(第一二九
七号)
義務教育費の財源確保に関する請願(井出一太
郎君紹介)(第一二九八号)
学校図書館法の一部改正に関する請願(坂村吉
正君紹介)(第一四〇六号)
同(田川誠一君紹介)(第一四六六号)
高等学校建築費等国庫補助及び日本育英会貸与
金等に関する請願(足鹿覺君紹介)(第一四五
六号)
同(安宅常彦君紹介)(第一四五七号)
同外二十七件(片島港君紹介)(第一四五八
号)
同外一件(田口誠治君紹介)(第一四五九号)
同(華山親義君紹介)(第一四六〇号)
同外三件(松井政吉君紹介)(第一四六一号)
同(山本幸一君紹介)(第一四六二号)
同(有馬輝武君紹介)(第一四九七号)
同(川崎寛治君紹介)(第一四九八号)
同(佐々木更三君紹介)(第一四九九号)
同(野口忠夫君紹介)(第一五〇〇号)
同(松本七郎君紹介)(第一五〇一号)
同(村山喜一君紹介)(第一五〇二号)
同(河野密君紹介)(第一五三〇号)
同(永末英一君紹介)(第一五三一号)
同(伊藤卯四郎君紹介)(第一五三二号)
同外一件(稲富稜人君紹介)(第一五三三号)
高等学校の教職員定数増員等に関する請願(河
野正君紹介)(第一四六三号)
学校警備員制度確立に関する請願(前田榮之助
君紹介)(第一四六四号)
高等学校の施設整備及び全員入学等に関する請
願(松井政吉君紹介)(第一四六五号)
学校栄養士設置に関する請願外一件(江崎真澄
君紹介)(第一五三四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正
する法律案(内閣提出第八〇号)
文教行政の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより会議を開きます。
文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/1
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002・山中吾郎
○山中(吾)委員 福田局長にお伺いいたしますが、昭和三十九年三月七日付で各都道府県知事あてに、学校における補助教材の取り扱いなどについての通達をされたことは間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/2
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003・福田繁
○福田政府委員 通達をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/3
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004・山中吾郎
○山中(吾)委員 その通達の内容は私不適当とは思っておりません。しかし受け取り方について新聞の記事を見ますと、どうも正しく受け取っていないようでありますので、これはやはり学校教育上国会の質疑の中で明確にしておかないと、誤解があって教育の進展に支障を来たすようなことがあってはいけないと思いますので、三点ほど簡潔にお聞きしますから、明確に、簡単に、時間をかけないようにお答え願って、安心をして各地方で教育できるように、有効な質疑応答にいたしたいと私は思うのです。というのは、通達全体を読んでみますとそういうふうには感じないのですが、その新聞の記事から見ますと、先生がリベートをとっておるという弊害だけが強調される、また一方にそのために学校等では教科書以外の必要な有効な教材をなるだけ採用しないほうがいいというような受け取り方のように反響いたしておるようでありますので、この点はまことに遺憾であります。
そこでま正面からお聞きしておきたいと思いますけれども、この通達をされた趣旨全体からいうと、学校の教科書以外に有効適切なる補助教材を使用することは、文部当局としてはむしろ教育効果のためにきわめて重要と考えられておられると私は思いますが、そのことについて局長としての御見解を聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/4
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005・福田繁
○福田政府委員 結論から先に申し上げますと、御指摘になりましたように、学校では教科書以外の教材につきましては、適切なものがあればこれを積極的に使ってもよろしい、こういうような学校教育法の規定がございます。したがってこの教科書以外の教材を使います場合には、あらかじめ教育委員会に対して届け出あるいは承認等の手続を経て、有効適切なものを利用するわけでございます。最近御承知のように学習帳あるいは練習帳、問題帳等がたくさん出ておりまして、そしてその内容必ずしも全部が適切であるとは言いがたいものも中にはあるようでございます。また一昨年来この購入方法などをめぐってとかくの批判がございますので、そういった点を是正する意味で通達を出したわけでございます。学校におきましても教員が全体の奉仕者として当然にそういう問題を扱う際には、慎重にやってもらいたい、こういう趣旨で出したのでございますから、適切有効な教材を使うことを、抑制する趣旨ではないことはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/5
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006・山中吾郎
○山中(吾)委員 いまのお答えは有効適切な教材の使用を抑制したり阻止したりする意思は毛頭ない。むしろ教育効果を高めるのには当然採用すべきものは採用すべきだという御趣旨でございますね、念のためにいま一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/6
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007・福田繁
○福田政府委員 有効適切な教材はできる限り利用するほうが望ましいということには変わりはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/7
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008・山中吾郎
○山中(吾)委員 それから通達の趣旨について、学習評価のところに、安易に問題帳等で代用することはいけないというので、一般の客観テストの使用についていろいろ規制を加えたり抑制したりする意思ではないと思いますが、客観テストというものは一般的な学問基準その他によって衆知を集めてできるので、個々の担任の先生ができるものじゃないと思いますから、そういう意味においてそういうものを制限するという意味はないと考えてしかるべきか、そういう御趣旨かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/8
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009・福田繁
○福田政府委員 いわゆる客観テストの中にもいろいろあると思います。私どもでいろいろ調査したところではいろいろございまして、必ずしもそれが指導要領にぴったり適合しているといいがたいものもあり得るかと思います。したがってそれぞれのそういう客観テストの問題自体によることでございますけれども、決してそのいいものを使ってはいかぬという趣旨ではございません。私どもとしてはやはりそういうものを使用する場合には、できる限り十分検討した上で使用していただきたいと思っております。またそれを使うことによって採点までもいわゆる業者に依頼するというようなことは、これは教師としてどうであろう。そういう点はやはり学校で適当な指導のもとに行なうのが適切ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。したがって一がいにこの客観テスト全部いけない、こういう趣旨ではないことはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/9
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010・山中吾郎
○山中(吾)委員 客観テストのような場合にはむしろ専門家が採点をする。その結果を担当の学校あるいは教師に通報するというふうなほうがむしろより正確である場合もあると思うのです。この通牒が出たあとに、新聞の投書欄の中に、良心的な教師がそういうふうな立場において、結果を知らない教師は困るが、そういうふうな知能テストその他のものについては、あるいは大学の研究室から依頼されることもあるでしょう。そうすると、研究室で採点をして、あなたの学校はこういう結果であるというふうな措置の中に教育的な処理があるわけであります。その点局長の言われるのはまた誤解を生むのじゃないかと思うので、いま一度お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/10
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011・福田繁
○福田政府委員 大学などで研究のためにそういう客観テストをつくって、これの調査をするという場合は当然におっしゃるとおりだと思いますが、市販されておりますいわゆるテストの中にはいろいろなものがございます。したがって名称はいわゆる客観テスト、標準テストというようなことばを使っているようでございますけれども、やはり中身をよく見ませんと、いろいろございますから、一がいには私はおっしゃるようには言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/11
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012・山中吾郎
○山中(吾)委員 私は一がいに答弁を聞いておるのじゃなしに、われわれが小学校在学中にそういうテストをされて、むしろ担当の先生がすると不公平な採点をするというので、全然違った者に採点をさせて、その結果を教育的に利用するというふうなこともされたことを覚えているわけですから、一がいに論議をすべきでないが、通牒の出し方の中に懇切、丁寧に説明をしないと、やはり逆に答弁のほうが一がいになってしまうと私は思うので、それを申し上げるわけであります。その点についてもいま大体の局長の答弁でその趣旨はわかったと思いますが、なおその点懇切丁寧に教育的に、消極的にならないように、こういうものの使い方についていいものは有効に積極的に使用するし、弊害があるものは、これは教育的判断で学校が採択しないというふうな自由もあり、判断もあるわけですから、その点の御処置を適切にされたいと思う。
それから次にリベートということばが新聞に出ておったわけですが、確かに百円の定価のものに九十円だけを支払って、あと十円をふところに入れるなんということはもってのほかで、初めから問題にならない。定価は定価どおりに、副読本、副教材を学校が採択をする場合にも、たとえば百名の生徒児童のうちに、十人あるいは五人、学年途中に父兄の転勤の関係で転校したり、またその学校に来る生徒児童がある。あるいは困窮児童もある。あるいは紛失することもある。そのときに学年途中でこういう教材というものが手に入らない場合が通常である。学期初めに一定の数を発行すれば、あとなくなってくる。そういう関係で、教育的必要上、学校において、たとえば五%とか一〇%多く寄付さすとか、寄贈さすということは、これは常識的にやっておる。それは私は教育的であると思うのです。百円の定価というものを百円で買うけれども、生徒百名のときに百十冊分だけを、十冊は寄贈さす、そして父兄が公務のために転勤し、転校してきたその子供にそれを与える補充を持っていないと、それを与えられないのです。これは良識的な学校教師がやっておるのですね。これをも阻止するというようなことになると、現実に合わなくなってくる。そういうことをお認めにならないと、教育現場の実際には合わないのですね。そこは私は差しつかえないと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/12
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013・福田繁
○福田政府委員 その点は非常にデリケートな問題があろうかと私どもは思うのであります。おっしゃるように、常識の範囲でそれが処理される限りにおいてはけっこうだと思いますけれども、従来のいろいろ慣行を調べてみますと、そういう美名のもとにいろんなことが行なわれているという例が往々あるようでございます。したがって、私どもとしては、たとえば準要保護児童などのためにそれを寄贈するというような場合に、その分は一般の子供に渡るほうの定価の中に入っているということになるわけでございます。したがって一般の子供のほうは、定価どおりに買って、そしてその負担をさせられておる。部数にもよりますけれども、そういうのがいろんな問題の点でありますから、やはりその辺はけじめをはっきりつけるべきではなかろうか。特に準要保護児童の場合におきましては、以前はともかく、最近におきましては、山中委員御承知のように、就学奨励費の中で学用品等の購入費を十分見られるような単価の積算をいたしております。また援助率も年々引き上げてまいっておりますので、その限りにおいては私は支障はなかろうと考えております。したがって、常識の範囲を逸脱しない範囲において、できる限りやはりその辺はけじめをつけて運用されるほうが適当ではないかというように私は思っております。山中(吾)委員 局長の言われる定価百円のものを百円子供から徴収して、業者に百円返さないで九十円にする。これはぼくは初めから認めるのは教育的でないと思うのですよ。そうでなくて、百円のものは百円であるが、何ぼか部数を多く学校に寄贈させて、それを紛失した者であるとか、転校してきた者にやるということをしないと、これはやれないのです。ぼくの長男も学校の教師をしておって、聞いてみたのです。どうだ。そうすると、これは教育的にどうしてもそうせざるを得ないので、弊害は少しも認めた感じはない。そして年間に紛失した者とか転校してきた者にやるということをしないと、もう手に入らないというのです。その学校ごとに。そこで、そこのところは常識的に許されるものは差しつかえないということでないと、実際問題は教育的なものをも窒息をせしめるというのでお聞きしておるので、あなたのように、いつも答弁をいかにも消極的にいまのようなことばかり言われておると、同じことになってしまうのですね。実際の現場の現実において必要なものはやはりこれを認めていくということを前提としていかないと、逆にマイナスになるものが出るということなので、この点をもう少し肯定的にお答え願わないと、せっかくのあの通牒そのものも、文章を見ますと、そのとおりだと私は思う。そのとおりだと思うのが、受け取り方によってはマイナスの部面だけを出して非常に消極的にする。そして教育的に正しいことがかえって正しくないような受け取り方をさせておるというふうに考えるので、その点をさらにお答え願っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/13
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014・福田繁
○福田政府委員 その辺の運用の問題は、私どもとしてはそれぞれの教育委員会が実際に指導に当たる問題だと思いますが、いままでの教材会社などのやっておりますいろいろな方法を調べてみますと、おっしゃるようなことだけでなくて、いろいろな方法があるようでございます。したがって私どもとしては、やはり抽象的に、常識的に処理できる範囲でなければ、やはりそこにいろいろ問題が発生する余地があるというふうに考えるわけであります。したがって公費でまかない得るものは公費できちんと購入するというたてまえのほうがより適切ではないか。しかしながら実際の運用に当っては、そういう学校あるいは教育委員会の常識的な範囲というものがあるわけでございますから、そういうことによって運用されていくよりしかたがないであろう、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/14
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015・山中吾郎
○山中(吾)委員 何かこれだけでは、少しも通牒の弾力性のある、しかも前向きの学校経営の質疑応答にならぬと思うので、ちょっと重複するかもしれませんが、いま一回簡単にお聞きしますからお答え願いたいと思う。あの通牒は、学校教育法に規定しておる指導要領に即して有益適切な教材の使用を抑制したり阻止したりする考えはないか、これはいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/15
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016・福田繁
○福田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/16
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017・山中吾郎
○山中(吾)委員 次に、一般の客観テスト等の使用については、適切なものについては使用を制限する意思はないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/17
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018・福田繁
○福田政府委員 それも先ほど申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/18
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019・山中吾郎
○山中(吾)委員 それから、常識的なあるいは教育的な配慮から採用した副読本について、学校に、定価は関係ない、いま申し上げたような若干の寄付、寄贈が、常識的に見て教育的に差しつかえないという点については制限する意図はないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/19
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020・福田繁
○福田政府委員 先ほど申し上げましたとおりでございますが、常識的な範囲の処理ならば、私ども別に差しつかえないだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/20
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021・山中吾郎
○山中(吾)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/21
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022・久野忠治
○久野委員長 次に、三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/22
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023・三木喜夫
○三木(喜)委員 法案に入る前に、委員長の御了解を得て、大臣も見えておりますから一言お聞きしたいと思うのですが、きょう国鉄の安全運転の現地視察に行ったのです。そのあと、国鉄総裁並びに副総裁と会っていろいろな話をしたのですが、その中で、私は文教に関係のあるものとして見落とすことのできない重要な問題が二点あったと思うのです。大臣の見解をただしておきたいと思うのですが、それは、四月からだんだん子供の通学の問題が出てくると思うのです。その一つは、高校の進学、いわゆる学区制というものが非常に広くなってきて、交通緩和どころじゃない、交通がだんだん激しくなってくるというような状況が出てきておりますし、さらにまた有名中学へ、校区を変更してでも、寄留してでもそっちへ行って——居住を移すならいいですよ。そうでなくて、自分のうちから通うということで、なお一そう試験じごくをうしろに受けて、子供たちがこの交通難の中をなお混雑さしていくというような態勢の中に入っていっておると思うのです。これは国の交通が非常に混雑しておるということと、文教問題と関連がないとは言えぬと思いますので、これは何とかせなければいかぬと思うのです。その点どういうぐあいにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/23
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024・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 東京のような状態から考えますれば、学校の行き帰りということが交通の問題に関連なしとは考えません。またその間にいわゆる安全の問題もあるわけであります。いろいろな意味におきまして、交通問題につきましては、われわれとしても関心を払わざるを得ないわけであります。いわゆる時差通学と申しますか、そういうふうな問題につきましても、従来からも東京でいえば都の教育委員会等で交通当局といろいろ話し合いもいたしてまいっておると思うのであります。また教育委員会の所管外の大学等の問題につきましては、政府のほうで交通当局と話し合いをしまして、時差通学というふうなこともやってまいっておるわけでありますけれども、なかなかこれが励行されないうらみが実はあるわけであります。先般も国会におきまして、そういう御注意もございました。文部省としましても、また教育委員会としましても、この方面のことについて話し合いを進めていこう、こういうふうなことになっておるわけであります。お話のとおりに、交通の問題と学校教育と決して関連なしとは私も考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/24
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025・三木喜夫
○三木(喜)委員 それについて要望しておきたいのですが、行政当局の責任においてできることがあると思うのです。それは幼稚園から中学校、小学校でも有名校へ越境入学してでもどんどん行こうというかまえが多くなってきておる。いま大臣は東京都の例をとられましたけれども、東京都だけではありません。中都市から大都市はほとんどそういう傾向が強くなってきた。かえって交通の混雑に拍車をかけておる。若い生命をこんなものにぶち込んでいっておるという変形が出ておるのです。それで越境入学の問題やら試験じごくに拍車をかけるというような点を何とか考えていかなければいかぬのじゃないか、そういうふうに思うのです。それで行政当局の責任においてできることは一ぺん考えてもらいたい。これは青少年の犯罪とも関係がありますから、考えていただきたい。
それから第二点は、国鉄総裁はこういうことを言っておるのです。国鉄の赤字経営をカバーするために、運賃を上げなければならぬ、特に当初定期券の割引を考えたのは、三割ほどしか定期券を使わなかったが、現在は八割も定期券の使用者であるから、定期券の値上げをやらなければならぬ、特に通学の学生定期券もこの限りではないというようなことを言っておるのです。そうすると、これをまた上げられるということになれば、父兄負担がまた重なってくるわけです。いま国鉄当局の言い方は、われわれは文教の部面にも協力をしておるのだ、国鉄だけが赤字を着せられるのはばかげておるから、国家の力で文教方面は文教方面で補償せい、こういう勢いです。だから、こういう問題も早晩出てくると思うのです。四月からこういう問題を控えて、閣議で問題になれば——予算がきまっておるからしかたがないですけれども、そういう点もひとつ御見解を聞いておきたいと思うのです。きょう私は行きまして感じましたので、時間をもらってお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/25
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026・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 越境入学あるいはまたいわゆる入学試験等の関係においても交通に相当の影響を与えているだろうということはよくわかります。そのような問題につきまして、今後十分検討させていただきます。
なおまた運賃のお話がございましたが、これはどちらもつらいところだろうと思います。国鉄の立場からいえば、おっしゃることも御無理はないというような点もございます。同時にまた、いまお話がありましたように、通学費の負担の関係から申しますと、負担をするほうの側からいいますと、これまたつらい問題でございます。お互いにつらい、つらいと言っておっても、これはらちがあかない問題だと思いますから、そのような問題が起こりましたときには、双方話し合いをして、適当なところに落ちつけるよりしかたがないのではないか、このように考えております。そのような場合には、負担者の側にわれわれは立つのでありますが、十分検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/26
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027・三木喜夫
○三木(喜)委員 大臣、通学定期券の値上げだけは大臣の責任でストップしてください。こういうところにまでしわ寄せをしなければならぬということは困りますから、その決意だけはおっしゃってください。それでどうぞ参議院のほうに行ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/27
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028・久野忠治
○久野委員長 次に、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/28
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029・三木喜夫
○三木(喜)委員 今回提案されております義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案について質問したいと思うのですが、この前の予算説明のときに、公立文教施設についての質問を見送っておりますので、これもこの際あわせて伺いたいと思う。
まずこの法律案を見ますと、なるほど政府のほうで改正された中で数カ所よくなっている点があります。第一は、小中の校舎の新築または増築に要する経費について、不正常援業の解消という立場から、普通教室になっておったのを、特別教室を含めて教室の不足の解消をはかられていること、これが一点。二番目に、その算定基準となる学校、建物の必要坪数は、児童、生徒数を基準とすることから学級数を基準とすることに改めていく。これは杉江さんの功績と言われているところで、私もこれはいいと思います。第三に、小学校の屋内運動場の新築または増築に対して三分の一国が負担をするようにしている。第四に、集団的住宅の建設に伴う校舎の不足が生じた場合の配慮がなされていること、第五は、資格坪数の七〇%から八〇%国庫負担対象事業としたことや、坪単価の若干の引き上げ等の改善があります。しかし昭和三十五年度から新しい計画をもって公立文教施設の一そうの整備をはかる必要があるとこれに書いてありますが、大きな命題からいうと、このやり方は、私は微温的な改善と言わなければならないと思うのです。さらにまた新しい五カ年計画をもって公立文教施設の整備をやり、そして池田総理の言うところの人つくりをやるというのなら、その人つくりとは教育の環境と条件を整備することだと言っておるが、総事業量からこの仕事を見たときには、池田さんの言っておる人つくりは、この環境と条件整備の上ではやっぱり総くずれになっておると思う。これではもう人つくりも実際的、具体的面では内容がないことになるし、さらにこの一年間地方財政を圧迫することは必至だと思うのです。
そこで総捨的な質問から個別的な質問に入っていきたいと思うのですが、現行危険建物の改善事業、小学校舎の新増築事業、小学校屋内運動場の新増設事業の国庫負担率をなぜ二分の一にしなかったか。ただ屋体は三分の一をつけております。思い切って二分の一にこの際やればいいじゃないか。それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/29
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030・杉江清
○杉江政府委員 中学校校舎その他特殊なものについて補助率は二分の一になっておるが、小学校校舎その他について三分の一になっておる。これにはまず沿革的な理由があり、これについては御存じと思いますけれども、戦後中学校校舎の急速な整備のために格別国が責任を持ち、これを助成しなければならぬというふうな差し迫った必要に基づいて事業を行なう、その際には他よりも特に必要な面については補助率を引き上げるという措置がとられたわけであります。そこで現在においてそういった必要性はその差別を設けるほどの理由があるかどうかという点については確かに問題でありますけれども、私はそういう趣旨もなお現在においても多少はあると思います。ただ私どもとすれば、もちろん補助率を引き上げたいというのが私どもの念願であり、従来も努力してまいったところであります。ただ実際問題として、基準の改定それから負担対象率の引き上げその他改善すべき点は非常に多いのでありまして、今回なし得ました最も大きなことは基準の改定、それから負担対象率の引き上げだと思いますが、それと小学校の屋体を新しく負担対象にするということ、この三点が非常に大きな改善であります。そういった点の改善をまず優先させまして補助率の改善を今後の課題にいたしておるわけでございます。もちろん今後とも私ども十分努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/30
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031・三木喜夫
○三木(喜)委員 あなたの御答弁の中にもありましたけれども、もう戦後二十年たって戦後ではないのですね。中学校と小学校との差をつけている理由は私は消えていると思うのです。しかも昭和三十三年に衆参両院で二分の一の問題に附帯決議をつけておるのです。だからこの際やっぱり思い切ってやってもらいたかった。差別をつける理由がないとあなたおっしゃるように、なぜ差別がついたかはっきりとその理由を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/31
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032・杉江清
○杉江政府委員 私は現状においてこの差別を明瞭に根拠づけることは困難だと思います。ただ負担率の問題は、結局は設置者の負担の問題になるわけなんですが、設置者の負担を軽減するという見地ではいろいろな方法があるわけなんです。設置者の負担を非常に多くしておった原因には、まず第一にやはり施設基準、それと負担対象率、負担率は国の補助金という面ではかなり大きな相違がありますけれども、国の補助金の裏になりますところの部分についてはこれは起債がついているわけなのです。起債はいわゆる資格坪数一ぱいについているわけなのです。そういう意味におきましてその三分の一負担の残りの三分の二は全く市町村の負担になっているわけではない、その財源については国として配慮しておるわけなのです。そういう意味におきましてその総体の国の配慮、国の助成、それは起債をも含めて考えましたときには、今回の措置において相当大幅にその引き上げがなされておる、こういう実態が出てきているわけでございます。そういう意味におきまして、私どもも補助率を引き上げるということは望ましいし、今後努力したいと思いますが、漸次改善してまいりたい、さしあたっては先ほど申し上げましたような基準の改定と負担対象率の引き上げその他単価構造比率の引き上げ等によって設置者の負担をできるだけ軽減してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/32
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033・三木喜夫
○三木(喜)委員 戦後新しい中学ができて、それを建設するということによって市町村でも非常にその財政負担に苦しんだ。中にはそのために責任を負ってやめたような町村長もかなりあるのですね。いまやはり学校の建設問題、どんどん老朽化していきますし、その問題はやはり地方の大きな財政負担だ。そこであなたのほうではそれを少しでも軽減したいという考え方でこういう法律案を出されたことはわかります。しかしながら地方からもかなり大きな要望があなた方のところに来ておると思います。どういうところからこういう要望をあなた方のところにずっとやっているか、その団体名をひとつ言ってみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/33
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034・杉江清
○杉江政府委員 私どもはあらゆる関係者からそういう陳情を受けております。具体的には、市町村長会から最も熾烈な御要望がありますし、また公立文教施設整備期成会等からも毎年強く要望されております。また教育長協議会等からも大いにその御要望を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/34
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035・三木喜夫
○三木(喜)委員 地方は非常にこのことに関心を持っておりますし、要望が強いのですね。だからこの際——これもやらぬよりはましで、前進はしております。しかしなぜ思い切ったことをされなかったかというのです。特に先ほどから言っておりますように、三十八年の十二月十七日文部省所管の三十九年度概算要求額重要事項別表を提示されて、その説明によると、対象の七〇%補助を一〇〇%にするのだということを言われたと思うのですが、それが八〇%になっておる。もうひとつ押し方が足らないじゃないか。あのとき私は一〇〇%で説明を聞いたと思うのです。そうじゃなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/35
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036・杉江清
○杉江政府委員 私どもの目標としましては一〇〇%を実現することでした。ただ結局それらについては私どもの力不足をおわびする以外にないのでありますが、実際問題としましては、この負担対象率を七〇%から一〇〇%にするといたしますと、それだけで九十億円の予算が必要になってまいります。そういう問題で今回は基準の改定という最も恒久的な国の助成基準をつくるということに最重点を置かなければならない。だから、負担対象率の引き上げは、今年度は一〇%でしたが、今後漸次その点を改善していきたい、こういうことで、やむを得ず引き下がらざるを得なかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/36
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037・三木喜夫
○三木(喜)委員 あなたのほうは一〇〇%で要求をしておいて、そして自己規制をやっている。自分のほうでそれをコントロールせねばしょうがなかったのだというような言い方ですけれども、結局押しの問題ですね。押し方が足らぬで、これだけに減らされた、私はこういうことになると思うのです。自治省が見えておりますか。——
結局、何か自分のほうでコントロールしたというような言い方ですけれども、そんなことをしてもらったら困るでしょう、文部省が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/37
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038・杉江清
○杉江政府委員 そういうことでは毛頭ございません。私どもとしては最善の努力をしたつもりでございます。しかし、予算編成の全体的立場からの判断で、今回はこの程度にした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/38
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039・三木喜夫
○三木(喜)委員 文部省と自治省と話し合っておるのでしょう。共同戦線を張られておる。そうすると、どうもけしからぬのは大蔵省でしょう。それは自治省もくるから聞いてみたい。けしからぬ。一緒にあなた方がやっておられ、自治省がどういう態度かあとで聞きたいから聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/39
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040・杉江清
○杉江政府委員 自治省のほうからは、前々から負担対象率は当然一〇〇%にすべきだ、こういう御意見がございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/40
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041・三木喜夫
○三木(喜)委員 余分なこと言うようですけれども、何か資料配付だとか、教育界なりに言うときにはものすごく目の色変えて、まなじりを決してやっておられたが、こういう点には実におとなしい。もう少しまなじりを決してやってくださいよ。何か自己コントロールしておられるような言い方で、非常に不満です。
それから、あなた方の要求にもないですし、前からの衆議院、参議院の要望の中にもないですけれども、一番いま対象にしなければならないのは校地です。校地問題で各地では——なるほど校舎ではある程度補助もつきます。その補助も実にややこしいコントロールがしてある。それはあとで申し上げますけれども、校地問題をなぜ入れなかったのですか。そういう話は出たのですか。これはもう各地でみな寄付の対象になっておる。有形、無形にですね。これをやってもらったら、地方財政は非常に助かりますし、父兄も助かるのですがね。これはなぜ対象にしないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/41
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042・杉江清
○杉江政府委員 校地については、これを負担対象にいたします場合には、非常に技術的に困難な点がございます。というのは、土地の取得につきましては、寄付による場合もあれば、その価額が土地によって非常に違う。それからまた、整地を要するところもあれば、ほとんどそのまま使えるところもある。こういうように、助成対象の土地価額が確定しにくい事情があるわけなんです。そういう技術的困難これはもちろん絶対的な困難ではないでしょう。しかし、そういう困難性もあり、かたがた学校教育の実施には、何と言ってもやはり校舎を建てるということ、それが重要だという観点から土地の購入は負担対象としてこなかったわけでございます。ただし、これについては起債の対象には漸次いたしておる。ことに今年度においては、公立学校共済組合の資金運用と関連いたしまして、その起債ワクを広げておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/42
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043・三木喜夫
○三木(喜)委員 校地については、なるほどいまあなたが言われたようにケースによって地価の状況が違いますから、それは困難である。しかしながら、ここに問題があるということは御承知であろうと思うのであります。さらにまた、この例は別問題であるかもしれませんけれども、官吏の超勤手当の問題。超勤費が非常につかみにくい。つかみにくかったからそこにまた一律にどうするかというような方法も考えられる。だから、ここに非常に問題が起こっているというとらえ方をすれば、校地の問題についてもおのずから道が開ける。まちまちだから対象にするのは困難だというような考え方であっては、おそらく地方も納得しないだろうと思います。いまここにしわ寄せをされている。だから、そういう点についても、次年度の計画を立てられるときに、やはり補助の対象にするよね、一な考慮が望ましいと思います。
それから、法文の形態の上で申し上げたいのですが、法律の上では、第三条「国の負担」のところで、一項「不正常授業を解消する」、これが改正案では「教室の不足を解消する」こうなっておりますね。これはことばを変えたわけですが、「教室の不足」ということを言うためには、もちろんこの中に特別教室を入れるという意図もあります。不正常授業というのは、これは規則とか省令とかこういうものでこれを規制しておるようです。不正常授業とはこういうものであると施行令でこれをやっているので、私は、これだけのことだったら「教室の不足」というようにことさら名前を変えなくても、施行令で措置ができるではないかと思うのです。ことさらこれをやったという意味合いはどういうところにあるのかちょっと解釈に苦しむのです。政令でやればよいのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/43
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044・杉江清
○杉江政府委員 現在法律で不正常の場合に助成するということがあるわけなんです。もし政令で措置いたしますと、不正常という概念をそのまま残しまして、その中身として特別教室のない場合もこれは不正常授業だ、こういうふうにすることになるわけでございます。そういう方法も私ども一応考えたのでございます。しかし、根本的に考えると、不正常授業を解消するというのは、いわば戦後の混乱期において、あの逼迫した状況を改善するために国が施設について特別の補助をするという考え方のもとに使われた用語でございます。だから、もはや戦後でないという今日においては、不正常授業の解消のために国が助成するという考え方ははずしたほうがベターではないか。そういう意味におきまして、むしろ不正常授業でなくして、教室の不足という事実があれば国が助成するのだ、こういうふうにすることが考え方の上においてすっきりしているし、これはそのほうが一そうの改善になる、かように考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/44
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045・三木喜夫
○三木(喜)委員 私はこの不正常授業を解消するためということばは、むしろ意味がないだろうということはこれだけではないのです。二、三、四、五それから六、これらを検討いたしてみますと、実際は私は第三条無用論です。なぜかというと、二分の一を負担すると言っておりますけれども、八〇%にすれば五分の二になるわけですね、五分の四が八〇%ですから。それの二分の一ということになったら五分の二です。実際は二分の一の値打ちはないのですね。そして法律だけは二分の一というようにうたっておるけれども、むしろ先がたからずっと言うております八〇%にするというところが、この法律のインチキ性になってくるわけです。こういうことをいっておりながらその実は五分の二しか負担して、ない。国が法律では二分の一といっておりながら、八〇%だから五分の二でしょう。三分の一になればまだしもです。そこで、こういうことを麗々しく掲げてやっておりますけれども、従来からここの意味がなくなってしまっているわけです。法律形態としてこれでいいかどうか。実際はだんだん地方の負担をふやすようなことをしておいて、法律だけはそのままにしておく。そこでこの問題を言ったわけですが、どうですか、この問題は。まあ、形式論です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/45
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046・杉江清
○杉江政府委員 ただいまの負担対象率の問題でございますが、これは実は国の負担の対象とする総事業量を算出する場合の算定方法でございまして、実際に補助金を算定する場合に、常にこの率を使って個々具体的の補助金を算定しているかというとそうではございません。現にいままで学校統合のごとき場合においては、これは設置者の負担が非常に大きいものですから、実際には九〇%以上の負担対象率にいたしております。いままでも平均すれば負担対象率はかなり上回っております。結局、この負担対象率の考え方の理論は、かつて財政的な余裕のある府県においては、全く国の補助金を目当てにせずに自己財源だけでつくったものが相当あったわけでございます。それを全国集計しますと、おおむね三割程度になる、こういうことがその発端をなしておるわけです。だから現在においても負担対象率は、個々の補助金算定の場合に用いられている、こういうものではございません。それじゃ、実際一〇〇%常に対象にしているかというと、そういうことでもございません。その間一〇〇%と、この予算積算上使われる負担対象率の中間をとって実際に補助金を算定しております。今後はますますそういった実際の補助金算定の率を引き上げるように努力いたしたい、かように考えているわけでございます。
そのことと先ほどの表現の問題でごさいますが、一応法緯の表現としては私は必ずしも矛盾ではないと思う。実際法律の表現としてはこういうことになると思うのでありますが、ただおっしゃるような点をぜひ改善しなければならぬことは当然のことでございます。その改善のためには、先ほど来申し上げておりますように、基準の改定に今後はなお一そう努力するということ、それから負担対象率を引き上げるというようなことで十分努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/46
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047・三木喜夫
○三木(喜)委員 五分の二ならそのものずばりで五分の二と書いておくほうかややこしくなくていいのです。回りくどいことを言わずに——みな地域によって違いますか、違わないでしょう。項目によって違うのでしょう。危険校舎とか統合とかいうことによって違うのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/47
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048・杉江清
○杉江政府委員 われわれが実際補助金を算定する場合には、これは県と具体的な問題について話し合うわけですけれども、場合によっては県が一定の合理的な基礎で算出したワクに当てはめる際に、個々の学校にいく補助金は少なくとも、より多くの学校を補助の対象にしてくれ、こういう要望の強いところは、その負担対象率を多少下げて、対象校をふやすというような操作も行なわれておるわけでございます。しかしできるだけ個々の学校にいく補助金はたくさんにしてくれ、そのかわり件数は少なくてもよろしい、こういうような場合もある。そういう点はかなり弾力性を持った、実情に即するような運営をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/48
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049・三木喜夫
○三木(喜)委員 あなた方のおっしゃるのは、コントロール・システムとしてこれは置いておく、その程度の役割りですね。
そこで自治省が見えておりますから、お聞きしたいのですが、いま七〇%を八〇%にした、こういうことですが、当初文部省はこれは一〇〇%にして予算要求しておるのですね。自治省も一緒になってこれを要求していった、こういうことなんですね。それが八〇%になって、地方財政を圧迫するような状況が出てきた。しかたがなかったとはいうものの、自治省はそれでいいのですか、その点お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/49
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050・岡田純夫
○岡田説明員 ある程度地方団体が単独でやる事実はございますし、またそれが必ずしもいけないとも申せないと思いますけれども、ただ前提として単独が割り込むという姿はなるべく少ないほうが期待されております。自治省といたしましても、各省の五カ年計画なり何なりいろいろ計画がございますが、それについて相談を受けますごとに、いわゆる単独部分のあり方についていろいろ希望も申し上げております。今回も、従来のいわゆる七、三という問題であるかと思いますけれども、まあ八、二ということで漸進しております。文部省の御努力を多としておりますが、さらに一そう改善されていくことが期待されております。しかしながらまた別に地方の財政力や何かによりまして、ある程度内容の充実をさらにはかっていくということは、近い段階にそういう方向に、より改善した姿で進んでいくことは常時望ましいことである。ただ計画を立てる場合にもなるべく合理的に配慮することであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/50
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051・三木喜夫
○三木(喜)委員 自治省のいまおっしゃるのは、公正な立場に立って今度の一〇〇%が八〇%になった。これも漸進的であるからやむを得ぬというようなお考えですけれども、私がわざわざ自治省から来てもらったのは、評論家的にあるいは公正な判断でやるよりも、自治省の管轄の地方の団体に具体的にはその負担がやはりかかってくる。一〇〇%希望したのにこれができなかったのは非常に遺憾だ、われわれとしてはこれをどうしても実現したい、その実現の方途をわれわれとしては今後努力するんだ、こういうようなことなれば私は満足するのですけれども、そういう前向きの姿勢や、何としてもそういうぐあいに実現するんだというような、地方の要望なり現状から勘案して、あなたのほうにはそういうかまえはないのですか。何か、文部省はまあこの程度ならよくやった、けっこうですというような言い方だけに終わっておるのは、非常に不満です。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/51
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052・岡田純夫
○岡田説明員 もちろんこれで十分であるとも考えておりませんが、やはり総合的に判断いたしまして、たとえば構造比率の問題でありますとか、自治省がいま当面一番力を注いでおりますのは、補助単価の問題でございます。補助単価の問題につきましても、今回平均七〇%ぐらいですか、上がっておりますが、やはり自治省として見ました場合には、なお一そう合理化の余地があるのじやないか。もちろん全面的に改善されることが期待されるのは申すまでもございませんけれども、いろいろの問題を総合的に改善していく、できる限り前向きに処理していくということであるというふうに判断いたしております。したがいまして、二割を地方団体にまかせることはやむを得ないというふうに申し上げておるのではございませんで、逐次やはりそういう問題についてもさらに総合的な判断から合理化されていくべきものである。別にいまの単価の問題につきましては、さらに一そう自治省としましても大蔵、文部各省に強く相談いたしまして、なるべく実情に合わせるように持っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/52
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053・三木喜夫
○三木(喜)委員 私はしつこく言おうと思いませんけれども、この話の前提といたしまして二つの前提条件があるのですね。一つは池田さんが人つくりとおっしゃった。その人つくりの内容は、二宮金次郎でもリンカーンでもない、教育の施設設備を充実することが人つくりだ、こういうぐあいにおっしゃるなら、一番焦点にかかってきた問題だから考えてもらわなくてはならぬということと、それから地方の財政が非常に逼迫してきておる。あなたの管轄区域の問題ですね。だからそういうような立場からいえば、あなたは総合的、合理的にこれを進めていかなければならない、したがって一〇〇%にはならなかったけれども、八〇%じゃないか——これは減ったよりはいいのですけれども、全体から考えてみると、二分の一の八〇%では五分の二になってしまうのですよ。そして地方の負担は五分の三かかってくる。これでは自治省として力を入れてやる問題点でないかということを言っておるのです。全体的に見なければならぬということはよくわかります。今度は総花的な予算ですよ。物価が上がっただけ予算がふえた。特に文教予算というのはオリンピックまで組み込んでおるのですよ。そして南極の観測の金も含んでおるし、全体では上がったか下がったかわからないのです。その中で地方の負担を軽減しようとする自治省の意欲を私は聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/53
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054・岡田純夫
○岡田説明員 直接お答え申し上げます前に、来年度の地方財政計画では、全体では約二〇%の伸びのところを単独事業で三六・五%ということで四千二百億ばかりの単独事業を用意いたしております。これは地方自治の伸長という意味からは、単に補助金を受けてやるばかりが能ではない。補助金を受けないで単独でやれるところの分野というものを大きくしていくことが、地方団体の力をつけながら実際に自治の自主性を高めるゆえんである、かように考えております。したがいまして、ある程度は積極的に単独でもってやることも推進しなければならない。ただ、国がいろいろと総合的な計画を立てます場合に、いわゆる国家の財源的な見地からだけ単独を強制的に割り当てるというようなことは避けなければならない。したがって、自主的な単独事業は伸ばしながら、計画の中に単独事業を予定するような場合にはどういうふうなものを単独事業として期待するかということを、それは各省それぞれに考え方と立場の相違がございますから一律にはまいりませんけれども、自治省といたしましては、どういうふうなものを地方の単独事業に期待しどういうふうなものを補助行政で進めていくかということをなるべく明らかにして推進してもらうように、各省に協力といいますか呼びかけておるのであります。そういうふうにいたしまして、従来三割の計画上の単独事業というものはとりあえず二割程度に押えられることになりましたけれども、さらに二割の単独事業をどういうふうな方向に期待されるかということは、文部省の方からまた御協議願いまして、私どもとしても必要な意見があれば言わせていただいて、二割の単独事業が十分生きていくような方向に考えてまいりたい、それに対する財源措置につきましては、ただいま申し上げましたよりに、地方財政計画全体の中において財源とともに相当程度予定したつもりでございますので、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/54
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055・三木喜夫
○三木(喜)委員 大体自治省の腹がまえはわかりまたしが、そうするとこの一〇〇%も漸次改善していかなければならぬというお考えがあるのですか。文部省がことし出したのですよ。あなた方は共同で全体のケースの中で判断しなければならない問題でもあるわけですけれども、いつ一〇〇%にするという考え方、青写真を持っているのですか、そういう点をひとつ明らかにしてください。ただ場当たり的にこれはどうかしなければならぬということだけでは、私たちは満足しませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/55
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056・岡田純夫
○岡田説明員 ただいまも申し上げましたように、単独事業必ずしも悪いのではない、どういうようなことに単独事業を期待するか、そういうことがただ財源的見地からだけでは自治省としても賛成しがたいのでありますけれども、事柄として単独事業にどういうふうなことを期待していくかということをさらに明らかにしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/56
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057・三木喜夫
○三木(喜)委員 文部省はいつやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/57
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058・杉江清
○杉江政府委員 私どもはなるべく早く、漸次改善していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/58
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059・三木喜夫
○三木(喜)委員 三十九年度の政府の要求では、義務制小中校舎については、まず社会増、それから普通教室、特別教室、不適格校舎七十一億九千二百万円を要求されておりますね。そういたしますと、全体計画というものがやはり立っておらなければいけないと思うわけですが、何年でこれを解消して、全体計画をどれくらいに置いて、そして本年度の負担をどれだけにするかということを当初計画を立てられた分について、いま申しました社会増、普通教室、特別教室、不適格校舎、合計幾らかという計画をひとつ言っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/59
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060・杉江清
○杉江政府委員 全体計画としまして、義務制については五百七十九万坪を要求したわけでございます。これに対して三十九年度は九十七万七千坪が認められたわけでございます。そこで全体計画の坪数といたしましても、なお大蔵省と協議の上、いろいろな点について基準も当初計画より多少下がっております。そのようないろいろな点で補正をいたしまして、義務制につきましては四百四十三万坪を全体計画の数字として考えております。そのうち三十九年度は九十七万坪を対象にして整備する、こういう計画にいたしております。もちろん本年度の予算は全体計画の上からいいまして十分とは言いがたいのでありますが、私どもはこの四百四十三万坪を生徒数の平準化いたします四十三年度までに整備するという目標のもとに今後漸次予算をふやしていきたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/60
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061・三木喜夫
○三木(喜)委員 私の質問したとおりに御答弁いただきたいのですがね。小学校の場合、社会増、普通教室、特別教室、不適格校舎と分けて、中学校の場合、社会増、特別教室、不適格校舎と分けて四十三年までとおっしゃいますから、四十三年までの全体計画はこれだけだ、そして本年度これに対してこれだけの要求をし、それに対して決定はこれだけだったというようにひとつ分けて御答弁をいただきたいと思うのです。全体はそれでわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/61
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062・杉江清
○杉江政府委員 まず要求数字から申し上げます。全体計画としては小学校社会増七十万二千坪、普通教室三十万四千坪、特別教室二十八万八千坪、不適格校舎二万坪、計百三十一万坪、これは小学校における当初私どもが要求いたしました教字でございます。中学校につきましては、社会増二十八万七千坪、特別教室三十四万一千坪、不適格校舎五万六千坪、計六十八万五千坪でございます。これに対して大蔵省と折衝の上、全体計画の坪数として積算の根拠になっております数字を申し上げますと、いま申し上げましたのは校舎でございますが、小学校の校舎につきましては九十二万一千坪、中学校につきましては四十八万三千坪、これが全体計画の坪数でございまして、三十九年度の対象となる小学校は十一万坪、中学校は七万七千坪でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/62
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063・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうしますと校舎について小学校は社会増が七十万坪、普通教室が三十万坪、特別教室が二十八万坪、不適格が二万坪、合計百三十一万坪、それに対して本年度は九十二万坪しか認められなかった、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/63
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064・杉江清
○杉江政府委員 小学校については九十二万坪でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/64
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065・三木喜夫
○三木(喜)委員 それだけ認められたのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/65
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066・杉江清
○杉江政府委員 それは全体計画の坪数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/66
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067・三木喜夫
○三木(喜)委員 本年度の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/67
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068・杉江清
○杉江政府委員 いや、これは新年次計画の全体計画の坪数がこういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/68
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069・三木喜夫
○三木(喜)委員 百三十一万坪が九十二万坪になってしまったということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/69
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070・杉江清
○杉江政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/70
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071・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうして本年度分としては十一万坪……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/71
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072・杉江清
○杉江政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/72
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073・三木喜夫
○三木(喜)委員 わかりました。
中学校は全体計画は六十八万坪、そうしてそれが四十八万坪に減らされて、本年度は七万七千坪ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/73
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074・杉江清
○杉江政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/74
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075・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうすると全体計画が大きく後退しておりますが、これでどういうぐあいにして四十三年までにあれを完遂していく、そういう方途が立ちますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/75
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076・杉江清
○杉江政府委員 これは私どもの当初実現いたしたいと考えました基準は、かなり理想に近い高い基準を用意しておったわけであります。ところで、いろいろ折衝の結果、今後数年間の目標としては、もう少し現実的に基準も下げるべきだというようなことで、いろいろ折衝いたしました結果、ある程度大蔵省の主張をのんでその基準を下げたわけでございます。そしてその基準によって計算いたしますと、やはり基準が少し動きますと不足坪数で大きく影響してまいります。そういう結果このような数字に圧縮を見たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/76
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077・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうすると、理想と現実という話なんですが、結局理想ということは、実際に校舎がそれだけ老朽化してくるので、あなた方はその数をあげられたのでしょう。現実というものは、国の全体予算の中から削られたものが現実である。こういうような把握のしかたのように思うのですが、私たちはその現実というものは、いま校舎がだんだんと老朽化してくる、したがって子供たちには危険であるというその危険の坪数を耐用年数によって計算したのが現実である。それが現実でないということになれば、その基礎になるところの問題をあなた方はサバを読んでおったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/77
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078・杉江清
○杉江政府委員 危険建物の判定を耐力度の四千五百点で押えるということは、従来と何ら変わりません。それを新しく全国調査してその数字を出したのが先ほど申し上げました要求数字であります。ただ現実に要改築坪数を計画いたします場合には、それを新基準によって適用して、新基準を当てはめてみて不足坪数を出すわけでございます。しかし、その基準が変わりますと、要改築坪数は相当減ってまいります。だから、その危険な建物をも放置するというような、そういう考え方をとっているわけでは毛頭ございません。ただ基準が減りますから要改築坪数が相当減ってくる、こういう関係になってこのように圧縮されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/78
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079・三木喜夫
○三木(喜)委員 自治省のほうとして、あの見方はどうですか。私はちょっと納得がいかぬところなんですかね。現実の把握のしかたです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/79
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080・杉江清
○杉江政府委員 もう一度私から説明させていただきますが、危険建物の判定は何らいままでと変わっておらないわけなのです。それを何か折衝の結果、いままでは四千五百点以下のものを不良対象にするということを、たとえば四千点に引き下げたとかいうふうなことでは毛頭ないわけです。ただ、この危険建物で改築しなければならぬものがどの程度になるかということの積算には、これは当然基準が大きく関係してくるわけなのです。従来のような基準ですと、この要改築坪数が激減してしまうのです。それは数字もどこかにあると思いますが、従来の基準で計算いたしますと、ものすごく減ってしまう。それを防ぐのが今度の改定のむしろ大きな目的なのです。そういうことで、基準の大幅な増加を私どもは一応ねらったのですけれども、そこは基準についてはいろいろな考え方があります。今後数年間の基準としてはやはりこの程度にとどめたらよかろうという線もある。そういう点で私どもも納得して基準の圧縮をいたしたわけであります。基準を圧縮いたしますと、要改築坪数が相当減ってくる。これは実は非常にいい資料などもあるわけなのですが、基準が少し動きますと非常に減ってくるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/80
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081・三木喜夫
○三木(喜)委員 公立文教施設整備促進協議会とか、こういう団体にあなた方が指導されておるのですが、その指導の中で小学校の普通教室の全体計画としての不足分三十万四千三百八十六坪ですか、こういう指導がなされております。それから、いま言う不適格校舎にしてもあるいは特別教室にしても、全部数字は合っておるのですね。そういう指導をされて、これをまともに信じて、そうしてあなた方のほうにまた再度これをひっくり返して要請してきておるのです。これはあなた方の指導だと思うのです。それが、予算査定の結果非常に少なくなっている。これは私は別にバナナのたたき売りじゃないと思う、こんな校舎の問題については。それを基準云々でこうなってくるということもわからぬことはないですよ。そういうことで全体計画を立ててくれということでやかましくいってきておるのに、非常に少なくなってきた。負担額においても、あなた方の要請としては九十億、事実は七十一億でしょう。七十一億にもならぬ、全体として。うんと減ってきておりますね。それで私たち心配するのは、全体計画がそれではやれないじゃないですか。著しく減らされてしまって、それを五年間積み重ねても半分にも満たないということさえ起こってくる。そこで、どこかでそれを獲得しなければならない、突破しなければならないという事態に追いやられるのではないか。また、その見通しがなければ何のために全体計画を立てたか、何のために大体五カ年計画、新五カ年計画をたててこれを遂行しようとしておるかということが意味がなくなるのです。その点を心配するわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/81
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082・杉江清
○杉江政府委員 新しい計画におきます全体の数字については、先ほど申し上げましたような事情で当初計画よりも圧縮されましたが、しかし、新しい基準で計算いたしました推定数字については一応大蔵省もこれを了承しているわけです。それから言いますと、初年度三十九年度の予算は必ずしも十分ではございません。しかし従来に比較いたしますと相当大幅な増加になっておりますし、なお今後予算の増額に努力いたしまして、この全体計画の達成に非常な努力を重ねてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/82
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083・三木喜夫
○三木(喜)委員 そういたしますと、七十一億九千二百万円要求したに対して四十四億ですね、小中の場合。こういうことなのですね。そうですが。その点ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/83
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084・杉江清
○杉江政府委員 ちょっといま七十一億という数字が私どもの数字とぴったり合わないところがございますので、研究させていただきたいと思います。——ただいま先生の言われたとおりの数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/84
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085・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうなっていますね。そこで四十四億で大蔵省も認めておるのですから、これでけっこうですという言い方は問題がある。文部省で不足なら不足で、大蔵省が認めたって、これは向こうは削るほうですから、あなた方のほうでこれでいいかどうかということですね。これがよかったら五年計画を立ててみたって足らぬのですよ。そこで私の聞いておるのは、それに対する打開策はどうするかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/85
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086・杉江清
○杉江政府委員 この五カ年計画は毎年均等という約束はいたしておらないのでありまして、今後漸次これをふやしていきたい、また全体の数字から見ますと、ふやさなければこの計画の達成は困難であるということは、数字の上から当然言えますので、今後十分な努力をしていきたい、こう考えております。ただこの三十九年度の予算も、従来に比べれば大幅に伸びているわけでございまして、この点はお認めいただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/86
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087・三木喜夫
○三木(喜)委員 認めるべき点は最初に認めておりますから。ただ大幅に伸びたといっても、単価の問題にしましても、物価高ということが並行していっておりますから、そういう点も考えると、一がいには喜べないのです。まして大幅に削減されておるでしょう。そういう点では計画が立たないので、あなたは今後努力するということですから、もうそれ以上は言えないでしょうから、私も言いません。
まだ細別してお聞きしたいと思いますけれども、残余の問題については、きょうは質問を保留いたしまして、この次にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/87
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088・久野忠治
○久野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01219640318/88
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