1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月八日(水曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 坂田 道太君 理事 長谷川 峻君
理事 二宮 武夫君 理事 長谷川正三君
理事 三木 喜夫君
木村 武雄君 熊谷 義雄君
谷川 和穗君 床次 徳二君
中村庸一郎君 橋本龍太郎君
原田 憲君 松山千惠子君
落合 寛茂君 川崎 寛治君
實川 清之君 前田榮之助君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
文部政務次官 八木 徹雄君
文部事務官
(大臣官房長) 蒲生 芳郎君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
委員外の出席者
専 門 員 田中 彰君
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四月七日
高等学校建築費等国庫補助及び日本育英会貸与
金等に関する請願(山口丈太郎君紹介)(第一
九六四号)
学校図書館法の一部改正に関する請願(三木喜
夫君紹介)(第一九八五号)
高等学校全員入学等に関する請願(和田博雄君
紹介)(第二〇四〇号)
時の尊重運動実施に関する請願(木村武千代君
紹介)(第二〇五五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
国立教育会館法案(内閣提出第七九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより会議を開きます。
この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
先ほどの理事会で協議いたしましたとおり、国立教育会館法案について参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/1
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002・久野忠治
○久野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/2
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003・久野忠治
○久野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/3
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004・久野忠治
○久野委員長 次に、国立教育会館法案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。川崎寛治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/4
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005・川崎寛治
○川崎(寛)委員 この国立教育会館は、三十六年に頭を出して、三十六年、七年、八年で予算化されてまいったものであります。そこで、この特殊法人としての国立教育会館法が今回提案をされてまいりますについては、当然に三十六年、三十七年、三十八年の予算の審議というものを振り返って見てみなければならないものだし、またそれを通して提案をされてまいったと理解をするわけであります。そこで、三十六年の、最初に一億円予算化されましたときの予算の提案理由というものを読み返してみますと、当時の荒木文部大臣が、教育会館建設に必要な経費として、こういうふうに提案理由をしておるわけであります。文部省主催の講習会その他の研修会の会場に充てるとともに、教育研究団体に研究会場などを提供する等、教育関係者の教育研究活動の便宜をはかり、わが国教育の振興に資するための教育会館を建設するために必要な経費である、こういう提案理由の説明をいたしておるのでありますが、このことは三十六年だけではなくて、三十七年の際にも一言半句変わらない文句で、三十七年度の五億何がしかの予算の場合にも、そのような提案理由がなされておるわけであります。そこで、この提案の理由からいたしますならば、今回出てまいりました特殊法人としてのこの国立教育会館の内容については、後ほどもう少し突っ込んで論議をいたしてまいりますけれども、だいぶん食い違いが出てまいると思うのでありますが、この国立教育会館を建設するというための費用として計上してまいりました予算の提案理由というものは、一貫をしてそのとおりであったかどうか、お尋ねをしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/5
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006・福田繁
○福田政府委員 御指摘のように、三十六年、七年におきまして、予算の御審議を願う際にその提案の理由を申し上げました趣旨は、現在においても変わってないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/6
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007・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それでは、大臣の三十六年における提案説明、三十七年における提案説明は先ほど私が読み上げたとおりでありますけれども、また安嶋会計課長が補足説明をしました点も、三十六年の場合には、「国庫債務負担行為として五億円をお願いいたしておりますが、そのうち事務費、工事費を含めまして一億円を三十六年度予算に計上いたしております。この教育会館は、教職員の研修の場所あるいはその団体の事務所、研修の場所、教育研究団体の事務所あるいはそれらの研修の場所を提供しようというものでございます。」このように安嶋会計課長は三十六年の場合には補足説明をし、三十七年の場合にも、この教育会館建設の目的としては、まあ先ほど読み上げた内容と変わらない予算の説明をいたしておるのであります。ところが、三十六年、三十七年において本委員会におけるこの当時は、国立教育会館とは申していなくて、仮称教育会館、こういうことになっておるわけでありますけれども、この教育会館つまり建物の議論をしておるわけでありますが、その議論の中で、不幸にいたしましてただいま山中委員が外遊しておりますので、山中委員がおられると当事者でありますから最もよかったのでありますが、山中委員が三十六年の場合あるいは三十七年の場合に繰り返し疑問を投げかけておるのであります。この建物がほんとうにそういう予算の説明のとおりのものなのかどうか、こういう点について、三十六年三月十七日、それから三十七年三月二日、こういうぐあいにわたって繰り返し問題を投げかけ質問を展開をいたしておるのであります。そこで私はお尋ねしたいのでありますけれども、三十六年三月十七日における本委員会において山中委員がこの教育会館の建設のしかたについて、これは国立として国の施設として直接やっていくのかどうか、こういう点について質問をしております。それに対しまして当時の内藤初中局長が、この建物については二通りの性格があるということを答えて、当時としては特殊法人とすることについてはまだ結論が出ていないわけでありますが、内藤局長は次のように言っておるわけであります。国の施設として直接国費をもって運営をするという場合もあります。それから第二番目には特殊法人という形で運営をしたらどうかという考え方もあります。当時といたしましても特殊法人という形での運営がいいのじゃないだろうかという点はニュアンスとしては強く出ておるようでありますが、第一の場合であれば当然国立教員研究所というような形で運営してまいらなければならぬでありましょう、こういうふうに答弁をしておりますし、特殊法人としての有利な点としては、民間の協力を仰いで教職員の研修をやるという考え方があるのだ、つまり民間からの協力を仰いでやっていくためには特殊法人という形のほうがベターじゃないか、こういうふうな答弁をしておるのでありますが、今回のこの法案に特殊法人として出してまいりましたそのことについては、それゆえに三十六年、三十七年あるいは三十八年の予算の審議の経過からいたしますと、そのときには議論が済まないままに本日にまいっておりますので、そういたしますならば、当時の内藤局長が答弁をしておりました国の施設として直接国費をもって運営するという方法よりも、特殊法人がいいのだということで特殊法人という形での提案をいたしてまいりましたわけでありますが、その点、なぜ特殊法人にしたかという点についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/7
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008・福田繁
○福田政府委員 御指摘のように、当時はまだどういう運営の方式をとるかということにつきましては、関係省とり間に十分決定をしていなかった時期だと考えております。したがいまして、当時政府委員からお答え申し上げましたように、あるいは国が直営の形で運営するという方式ももちろんとれないことはないと思います。しかしながら、いろいろ研究の結果、御指摘にもなりましたように、あるいは民間の協力を得るというようなこと、あるいはまた運営については役所が直接運営するというよりも、特殊法人のほうが弾力性を持った運営ができる、そういうような観点から、当時におきましても特殊法人でこれを経営したほうがベターではないかというような意見は相当強かったと考えております。そういう考え方からだんだんに固まってまいりまして、関係省との間には後に至りまして、三十七年の予算がきまりましてから、私どものほうとしては大蔵省その他の関係省とも十分協議をいたしました。そうして特殊法人のほうが経営主体としてはふさわしいというような観点から、こういう法案を御提案申し上げたわけでございます。それはいま申しましたように、国が直接これを経営するというよりも、こういう特殊法人で経営したほうが事業そのものについても弾力性を持たせることができるし、また民間からも協力をいただき、いろんな点において経営上ぐあいがよろしいというような結論を得たのでございます。そういう趣旨でこれがこういう形で御審議を願うことになったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/8
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009・川崎寛治
○川崎(寛)委員 ただいまの特殊法人のほうがいいのだという説明はあまりよく理解ができないわけでありますけれども、じゃなぜ国が直接国費をもって運営をするということが都合が悪いのか、その悪い点をもう少し説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/9
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010・福田繁
○福田政府委員 悪いと申し上げるよりも、国の直接の経営になりますと、相当数公務員の数も増さなければならぬというような点もございます。これについては政府全般としまして公務員を増員しないという当時の閣議などでの方針もございましたし、役所が直接これを経営するようなやり方としては、そういう問題にもぶつかるわけでございます。また国が直接この事業をやるということになりますと、文部省の事業でございますので、いままで各局でやっておりました事業と全く同じようなやり方になるわけでございます。したがいまして、特殊法人としてはもう少し事業そのものに、役所のようなやり方でなく、弾力的なやり方を持たして、一般の教育界にも十分親しみをもって裨益するような事業をやっていける、こういうような点においては特殊法人のほうがベターである。それからまた、これは会館を運営することでございますから、やはりある程度の収入というものもあげなければならぬ、そういう点から申しますと、収入をあげましても、国の歳入の中にこういうものが直ちに入ってしまうというようなことではなくて、特殊法人として十分会館の運営について必要な、会館の使用料その他の収入というものをある程度あげていくということも、特殊法人のほうが経営としてはより適切ではないか、こういうようないろいろな観点からこういう事情になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/10
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011・川崎寛治
○川崎(寛)委員 国が直接やれば各部局と同じやり方になってしまう、こういうふうな答弁で、それだから都合が悪いのだ、あまり好ましくないのだ、こういうことでございますが、しかし、三十六年あるいは三十七年における予算の説明というのはそうじゃないと思うのです。荒木文部大臣が答弁をしておりますことは、文部省主催の講習会その他の研修会の会場に充てるのだ、そして教育研究団体に研究会場を提供する等、建物の仕事なんだ、だからさきの委員会で、二宮委員なり三木委員なりもその点には疑問を出しておったわけでありますが、サービスの機関として建物をつくってそこでやるのだ、そこに重点があるように理解をされてきたわけです。それで三十六年なり三十七年の予算の説明というのは、そういうことで建てるのだということできたわけであります。しかし、いまの答弁でいけば、文部省の事業であるとぐあいが悪いのだ、好ましくないのだ、こういうことになりますと、たいへん違った意味合いが出てまいると思うのです。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/11
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012・福田繁
○福田政府委員 当時そういう御説明があったと思いますが、この今度の場合におきましても、特殊法人で設置運営される会館は、もちろん文部省主催の講習会、研修会にもこれは使わしていただきたいと考えております。そういう点において何ら変わりはないわけであります。また一般の教育団体などの適切な事業についてもこの会館を利用してもらう、そういうようなことももちろん生ずるわけでございます。
それからまた同時に、この教育会館自身として必要な事業を行なうということもできるわけであります。したがって、当時そういう御説明がございましたけれども、その点に関しては私どもは一貫した考え方を持っておるわけでございまして、もちろん文部省の主催するいろいろな研修会等にも会館を利用させていただくということは、これは当初から考えている点でございます。そのために先ほど申し上げましたのは、直接文部省で事業をやることが適切ではない、そういう意味ではないのでございまして、より広く事業がやれるということだ、そういうように御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/12
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013・川崎寛治
○川崎(寛)委員 もう少し具体的に内容に入りたいと思います。山中委員が三十七年の三月二日、本委員会において具体的に疑問を出しておるわけですけれども、それを読み上げてみますと、「何を作るのかわからないで、六億とかいうような予算をわれわれが可決するということは矛盾を感ずるのです。おそらく政府の方では施設費だ、建てているのだ、各省のいわゆる建物の増築のようなつもりで建てているのだ、」こうだろうと思う。ちょっと人の文章ですから、そのまま文にはなりませんが、あしからず聞いていただきたいと思うのですが、「できたあと何にするかということは行政の内部できめて、あとで法律を出して法律を整備してもらうのだ、」そういうことでは、建物を建てる段階での説明というものは、きわめてありきたりの、表面だけを通してやってきておる。しかも六億という国の予算を入れて、しかもあと募金三億、こういうことで約九億になります予算でやってきてできた建物がいかなる役割りを果たすかということについては、予算の説明の範囲内においてはきわめて疑問がある。そういう疑問がそのときから投げかけられておったわけです。そこでこの疑問についてもう少し具体的に突っ込んで申し上げますならば、その疑問が今度ははっきり出てきたわけです。ということは、なぜ私がこの点をしつっこく申し上げるかと申しますと、これは第二十条の第二号で、この教育会館の業務として「前号に掲げる者のための研究集会及び講習会を主催し、」こういうことになっておるわけであります。しかもこの第二十条の二号というのは、この特殊法人としては、つまり教育会館という建物ではなくて、国立教育会館という特殊法人の最も大きな業務の内容になってまいるわけでありますけれども、この点が山中委員が三十六年、三十七年において予算の審議の際に常に疑問として投げかけておった問題点であろうと思います。このことにつきましては、では何と当時の政府委員が答弁をしておるかという点について触れてまいりたいと思いますけれども、三十六年の三月、当時の荒木文部大臣が答弁をしましたことは、戦後長年にわたって文部省が研究会なり研修会なりをやろうとしても、場所がなくて困っておった、小学校の講堂等を借りてやってきた、そういう非常に不便な業態を忍んできたのだ、ようやくここでそういう建物ができるので喜んでおるのだ、こういうわけですね。ところがこれに対して、あるいは先ほど私が繰り返して言っております予算の説明に対して、山中委員が疑問を投げかけて繰り返し繰り返し質問をされました。そのことについて当時の内藤局長あるいは荒木文部大臣は明確な答弁をいたしておるのであります。この点が今回出てまいっております法律と抵触をする最も重大な点でありますので、この点については大臣にお尋ねをしたいのでありますが、山中委員の質問に対しまして、当時の内藤初中局長は、つまり建物だ、こういう目的だと言っております。ところが山中委員は、それはどうもはっきりのみ込めません、こういうことで特殊法人にするか、国の施設として直接国費をもってやるか、そういう性格について繰り返し質問をされた中で、当時の内藤局長なり荒木文部大臣なりが答弁をしておるわけでありますので、この点は重大な問題でありますから、大臣からひとつ答弁をいただきたいのでありますが、まず荒木文部大臣はこう言っております。私はこれを控えてまいりましたから読み上げますが、特殊法人をつくって、その特殊法人がいいかどうかということについては先ほど福田局長が答弁されたような意味のことを内藤局長も答弁をしております。その特殊法人にしてやっていくことについて疑問を投げかけた、それに対しては、明確にこう言っている。「特殊法人をつくっていただいて、その特殊法人をして運営に当たらせる。運営ということは建物の管理、運用ということだけであって、たとえば教職員の研修会を催すことそれ自体を企画したり、あるいは研修それ自体みずからの責任においてやってみたり、などということは考えられないことなんで、それはあくまでも文部省が責任を持って研修その他を行なう。ただしさっきも話が出ておりましたように、民間の教育研究団体等が団体として研究をやりたいという申し入れがあったときに、場所を提供することそのことは、特殊法人自体にまかせて判断して貸す貸さないをきめていいかとも思われますが、」こういうふうに言っておるわけです。さらに内藤局長は、「会館の理事長が研修の責任を負うというわけではないわけであって、あくまでもその会館の維持、管理、運営に当たる建前でおるわけでございます。」こういうことを言っている。そういたしますと——当時、坂田委員が委員長席におられたわけでありますので、坂田委員はよく御記憶であろうと思うのでありますが、このことは当時最高の責任者であります荒木文部大臣が、建物を建てるその予算の審議の際に明確に答弁をしてまいっておる点でございますので、これは明らかに第二十条の二号とは矛盾をする、こう思うのでありますが、大臣、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/13
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014・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 その当時の質疑応答につきましては私十分勉強もいたしておりませんが、ただ当時としましては、いわゆる仮称教育会館なるものをどういうふうにして経営していくかということについては、文部省としましてもまだはっきりした結論を持っていなかったのではなかろうか、つまり直接文部省が経営するか、あるいは特殊法人という形においてこれをやっていくか、こういうことについては、先ほど来のお話を伺っておりましてもはっきりしていなかったのではなかろうかと思うのであります。もともとこれを文部省が考え出しましたのは、荒木大臣も言われましたように、いわゆる文部省が主催する研修の場というものがないために、何か適切なものがほしいというところから出発いたしたと私は思うのであります。これはいまでもそのとおりであります。いろいろ研修の努力はいたしておりますけれども、適当な場所がないために難渋しておる、それがこの教育会館設置の一番大きな目的というか動機といいますか、そういうところからこの考え方が出たと私は思うのであります。いまお話しのとおりに、当時の考えといたしましては、この会館の経営者それ自身が研修をやるというふうなことは考えていなかったのだろうと思うのであります。ただ私はそこの前後の関係はよくわからないのでありますが、文部省直営の場合はそういう問題は起こってこない、何かほかのことが、つまり特殊法人というようなものを想定すれば、理事長とかなんとかいう話が出てくるわけであります。その当時としましては、その会館の経営者が直接研修をするというふうなところまでは考えていなかったのではないかと思うのであります。われわれが検討いたしました結果は、先ほど初中局長がお答え申し上げましたように、直接文部省が文部省の仕事として、この会館経営ということをやるよりも、特殊法人という形態においてこれをやったほうがより便利である、こういうふうな考え方のもとに、結論として特殊法人というものをやることにきめまして、今回この法案の御審議をお願い申し上げておるようなわけでございます。特殊法人というふうな形においてこれを経営するという場合に、その事業をどういうふうにしてやっていくかという問題として検討いたしました結果、この二十条に掲げておるような業務というものを私どもも考えたわけでございますが、当時と多少その点において違っておる点があるかと思いますけれども、あらためて特殊法人として皆さま方の御審議をお願いする上において、特殊法人の業務はこのように掲げておくというのが適当ではないか、かように考えまして、書きましたような次第でございます。あるいは当時の荒木文部大臣のお答えとは若干違っておる点があるかもしれませんが、私はよく速記録を見ませんのでわかりませんが、現在の私どもの考え方としましては、予算におきましてもまたこの法案におきましても特殊法人でいこう、その業務はもちろん当初の目的でありますところの、文部省その他の研修会に場所を提供するということが大きな業務でございますけれども、同時に会館自体としましても必要に応じてそういうふうなことができる。こういうふうな道を開いておこう、このように考えましたような次第でありますが、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/14
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015・川崎寛治
○川崎(寛)委員 ただいまの大臣の答弁はそのまますなおに聞くわけにいかない経過があると思うのであります。そこで、お尋ねしたいと思いますが、私は先ほど読み上げました当時の荒木文部大臣なりあるいは内藤局長なりの答弁と——いいですか、今回特殊法人云々ということは別にして、答弁はこの第二十条の、みずから主催をし、ということとは食い違う、この点についてはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/15
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016・福田繁
○福田政府委員 そういう御答弁をしておるとすれば、これはもちろん当初と事情が異なっておると思いますので、先ほど大臣が申し上げましたように、当時まだ特殊法人でやるかどうかということは決定していなかった時期だと考えております。したがって、もちろん国でやるという場合におきましては、当然御指摘のありましたような考え方でいったものだと私どもも了解いたしておりますし、当時文部省としていろいろ講習会、研修会を実施する際に、適当な施設がないためにいろいろ難渋いたしましたいきさつがございますので、そういう考え方でやったのだと思いますが、ただ建物を管理、運営するということにつきまして、特殊法人をつくる以上は、他の特殊法人と同じようにやはり一つの法人格を与えるものでございますから、みずからある程度の事業というものは、これは当然できるように考えるのが通例でございます。これは国立競技場などの特殊法人の例を見ましても、この前に申し上げましたが、もちろんその施設を国の事業あるいはその他一般の事業にも提供いたしますと同時に、みずからも適切な事業を行なう、それはやはり体育界のいろいろな利便に提供したり、あるいはまたサービス的な仕事としてそういう仕事をみずから営む場合があり得るわけでございます。したがいまして、この教育会館におきましても、同様な考え方で他の法人の例にならってこういうような事業内容というものを一応法律上に規定することになったのでございます。これは当時と若干その点が違っておるかもわかりません。経緯はさような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/16
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017・川崎寛治
○川崎(寛)委員 これは時間がかかっているわけですよ。三十六年に一億の予算を出して、そうして三十七年、三十八年と予算をつけて、そうして三十九年に法案が出てきておるわけです。そうしますと四年間かかっているのであって、しかもその間審議というものは繰り返しなされているわけです。ですから当時と事情が変わるという、そういう時間的な経過で簡単に性格を変え得るようなものではないわけです。しかもこれは三十六年のときにすでに特殊法人としてやりたいのだということは明らかに言っておるわけです。ただしかし、まだそれは法案が出ていないから、法案としての明確なことはできないけれども、考え方としては特殊法人でやりたいのだということを三十六年に明確に出しておるわけです。ですからそのときに山中委員が、これは国立なんですか、国がやるんですか、つまり予算の説明どおりなんですかということは、三十六年も三十七年もやっておるわけです。何ら事情の変化というのはこの間にないわけです。四年間かかって、しかも建物を建てる中でそのものについては論議をしてきておる。そうして疑問として投げかけている点が今回ちゃんとここに出てきておるわけです。ですからこの二十条の第二項の主催をし云々ということは、これは情勢の変化だということはどうしても受け取ることのできない点でございます。その点について大臣にお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/17
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018・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私はいまの川崎さんの御疑問ごもっともだと思います。別に私は何も情勢が変わったとかなんとかいう問題ではないと思う。ただ現実に特殊法人というものによってこれをやっていこう、こう考えました場合に、特殊法人の業務の範囲はどのようなものにするかということを考えました場合に、私はこの業務の一部として直接仕事ができるという道を開いておくことは、これは決しておかしなことでもなんでもない、当然そういうことがあっていいことではないか、かように考えておる次第であります。この教育会館を設置しようという大きな目的、大きな動機という点から申せば、教育会館というものは研修の場所を提供するというところにあったと思うのでありますが、特殊法人としてこれを経営し、これを運営してまいるという場合に、その法人にもその目的に沿った仕事ができるという道を開くことはむしろ当然ではないか、かようにさえ私は実は思うのであります。別に私はその当時といまとは事情が変わっておるということではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/18
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019・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それでありますならば、同じ自由民主党の内閣のもとにおける大臣は、責任のある仕事の継続でありますから、当時の大臣が特殊法人をつくってやるというそのことは、自分自身が主催をしてやることではないのだ、こう明確に言い切っておるわけであります。局長も政府委員も会館の理事長が研修の責任を負うというわけではない、こういうことで明確に言い切っておるわけです。これはそういうことができ上がってしまった、そのときに特殊法人としてやったほうがいいんだ、こういう主体的な考え方から進めることが、簡単に何でもできるんだということであれば、たとえば最初百万の予算を頭を出しておいて、そうして民法上の公益法人だ、こういうことで財団をつくっておいていろいろの寄付を集め、またあと予算を突っ込んで建物を建てておいて、そうしてでき上がったところで特殊法人にして、非常に強大な権限を持った特殊法人にしてということで、何でもできるというのであれば、予算の審議は何のためにしておるか、こういうことになるわけであります。でありますから、この点は私はやはり当時の速記録というものを、坂田さんも当時委員長席におって、山中委員は、坂田さんおかしいでしょうという点も聞いているわけです。ですからその点ひとつ速記録を持ってきて、当時の坂田さんも責任のある立場にあったわけでありますから、法律というものはそういういいかげんなことですりかえるということはできませんし、また予算の審議というものがそういう形ですりかえられてまいりますとしますれば、私は与党の委員の人たちも侮辱されておる、こういうことになると思いますので、この点は明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/19
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020・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 これは私の想像でありますけれども、当時としましては、そこまで的確には考えていなかったのじゃなかろうかと思います。要するに、文部省その他が研修をするのに場所がないので困っておるというところからこの考え方が出たわけでございますので、特殊法人にしてどうしてこうしてというところまで詰めた考え方はいたしていなかったのじゃなかろうかと、私は想像するのでございます。
われわれといたしまして今回御審議をお願いいたしますのは、特殊法人にしたほうがよろしいという考えのもとに御審議を願っておるわけであります。この業務につきましては、いま御指摘になりましたように、当時はそういうことをやる考えはなかったかもしれないのでありますけれども、私としましては、特殊法人をつくって仕事をしてもらいます以上は、その業務の中に特殊法人それ自体も仕事ができるという一条項を入れて別におかしくはないのじゃないか、むしろそのほうが便利じゃないか、このようにも考えまして、これを入れまして、法律案をもって皆さんの御審議をお願いしているわけであります。十分ひとつ御検討いただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/20
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021・川崎寛治
○川崎(寛)委員 便利だから出したのだ、それは今日の責任者としてはそれでいいかもわかりませんけれども、これには三十六年以来の経過があるわけです。その予算の審議をする中で、その点は特殊法人の場合であっても絶対にないのだということが明確にされているわけです。ですから、与党の委員の人たちもその審議については責任があるし、そういうことで予算は通ってきた、そうしてそれが執行されてきたわけです。しかもそれが法案を制定する今日の段階で、このほうが都合がいいのだということであるならば、国会の審議というものは権威がない、こう思うわけであります。この点につきまして私は明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/21
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022・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 なるほど経過におきましてはそういうことがございましたでしょう。私はそのことを決して否定するものではございませんが、しかし、現実に会館をつくります場合に、さらに検討を加えて、必要がありと考えまするならば、それを入れまして皆さんの御審議を願うということも格別差しつかえないのじゃなかろうかと思うのでありまして、その点につきましては、従来の経過もあることでございますから、与野党を問わず、ひとつ十分御検討をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/22
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023・三木喜夫
○三木(喜)委員 大臣、こういうことなのです。三十七年ですか、山中委員が再三初中局長並びに荒木文部大臣に、その点は念を押したのです。そういたしますと、特殊法人にいたしましても、国が直営いたしましても、教育会館それ自体がそういうものを主催したり、あるいは計画を立てたりはいたしません。ただサービス機関として場所を貸す、文部省が主催してやる場合において場所を貸すためにこれをつくるのだということを当時明言したのです。そういう明言をしておいて、その予算をとってでき上がってしまった——私もこの前質問いたしましたように、特殊法人がそういうものを主催して、ことによっては全国の教師に命令を下すということもある。これに参加しなさいとか、参加すべきだというようなことにならないかということを心配したのですが、当時予算審議のときにはそのようなことを言っておきながら、いまはそうでないということになれば、食言したことになるのじゃないか。それも大臣、初中局長が、再三の念を押しておることに対して答弁になっておるのですから、そこを問題にしておるのです。
それからもう一つ、私も新たに問題だと思いますことは、この配られております「国立教育会館建設概要」にも、「国立教育会館設立の趣旨」「全国の教育関係者のために研修会場等を提供し、」提供ですよ。「教育に関する内外の資料及び教材等を展示して利用に供するなど、教育関係者の教育研究活動の促進をはかりもってわが国教育の振興に資するため、国立教育会館(仮称)を設立する。」こうなっておる。どこまでもサービス機関です。こういうことをいって、これは全国の人にPRしたのです。これも偽ったことになるのです。
それから三番目に、いま福田初中局長が、国立競技場はみずからの意思でいろいろなことを主催し得る、こういうことを言っておりますけれども、私はきのうそれも調べてみた。そうしますと、法律の上ではそういうことが言えない。ここに書いてあるような、物を展示したり、皆さんのサービスに役立つようなことをすることができる。だから荒木前文部大臣のいう、どこまでも運営あるいは管理、こういうものについてのいろいろな主催、そういう事業をやっていく、これはいいですが、これは考え方の大きな分岐点になりますので、以上の三つの点で私もおかしいと思うのです。大臣こういうのはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/23
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024・福田繁
○福田政府委員 誤解があるといけませんので、ちょっと申し上げておきたいと思いますが、そのパンフレットに書いておりますことは、国立教育会館ができまして、おもな事業はそういうことをやるという趣旨でこれができたわけでございます。しかし、法律で書きますと、その事業の比重によらず、文句としては並べて書くわけでございますから、そういう表現になるわけでございます。
それからまた国立競技場がみずから事業を行なえないというようにおっしゃっておりますが、これは当時私が関係いたしました関係もあって、その点は十分念を入れたつもりでございます。現在の国立競技場法の十八条の三号には「その設置する体育施設及び附属施設を利用して、体育の普及振興のため必要な業務を行うこと。」という条項がございますが、これが国立競技場がみずから業務を行ない得る法律上の根拠だと私は考えております。
そういった趣旨でございますので、国立教育会館におきましても、やはり同様な関係におきまして、特殊法人となりますと、若干の必要な仕事というものはみずからやり得るというのが一般の例でございます。そういう例にならってこれもそういうことを考えたわけでございますが、別に全国の教職員に命令したり何かをするというようなことではございません。やはり一般の教職員の資質の向上に資するようなものを自分で主催をして、もちろんサービス的にそれを事業として行なう、こういうような趣旨のものであろうと思います。これはもちろん行政機関でないことは御承知のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/24
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025・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうすると、国立競技場が実際やっておるものを言ってください。
なるほど十八条の二項には、「競技場は、前項各号に掲げる業務を行うほか、第一条の目的の達成に支障のない限り、その設置する体育施設及び附属施設を一般の利用に供することができる。」ということが書いてあります。これはサービス機関の性格があらわれております。三号に「体育の普及振興のため必要な業務を行う」こうなっております。どんな業務を行なっておるか、それをちょっと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/25
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026・福田繁
○福田政府委員 私も一々こまかい事情を存じておりませんが、調べればわかることでございます。業務としては、第十八条第一号に掲げておりますように、「体育施設及び附属施設を運営すること。」というのは、この国立教育会館法におきましても、第一号に書いてありますように、「研修施設を設置」することということで、全く同様な書き方でございます。これは文部省主催の講習会その他に会館を提供するあるいは利用に供するということをこの第一号であらわしているわけでございます。それから国立競技場法の十八条の一項の三号の「その他その設置する体育施設及び附属施設を利用して、体育の普及振興のため必要な業務を行うこと。」というのは、これに相当するのがこの二十条の一項の二号でございます。そういうやり方でございます。たとえば競技場におきましては、私の知っている限りにおきましては、運動競技の実技の講習会などを再々国立競技場におきまして、みずから主催して、地方の選手などを集めて、講習会などを実施しておりました例もございます。そういう場合のように、やはりこの競技場を利用して、体育の振興のために必要な事業をみずから行なうという場合がいろいろあり得るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/26
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027・三木喜夫
○三木(喜)委員 その講習会ですが、これは問題になってきますから、これと関連してきますから、よく聞いておかなければならないと思いますが、そういう講習会は、国立競技場というものが主催して、そして案内状も出し、自分の名前で招集するのですか。あるいは文部省を通じて招集するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/27
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028・福田繁
○福田政府委員 競技場が主催をして、文部省が後援という場合もあり得ると思います。それから文部省と競技場が共催のような形の場合もあり得ると思います。つまり形はいろいろでございますけれども、競技場として主催する各種の事業というものは、過去においてもやっておるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/28
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029・三木喜夫
○三木(喜)委員 そのときには参加は自由ですね。国立競技場が主催してやった場合は、命令機関ではございませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/29
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030・福田繁
○福田政府委員 お尋ねの趣旨がよくわかりませんが、もちろん強制するものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/30
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031・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうすると、先がた聞きました三十七年ですか、このときに、再三山中委員が念を押しましたが、この点につきましては、絶対そういうことはいたしません、こういうように初中局長ないしは大臣から明言があった。この点について変わったということが非常に私たちおかしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/31
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032・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 その点は、当時大臣あるいは局長がそういうふうにお答え申し上げたといたしますならば、これは明らかに私とは違っております。したがって、この問題については、これは私の問題としてひとつ御検討いただきたいと思うのであります。これはざっくばらんに申し上げますれば、今度の国立教育会館でやる仕事は、何かといえば、何と申しましても、第一に書いてありますところの、これを設置する大眼目でありますところの、われわれがやりたいと思っております研修の場をここに求めるということになるわけでございます。これが主たる仕事になってくるであろうと私は思うのであります。第二のみずから主催をするというようなことがはたしてどの程度できるかということになりますれば、それほど大したことは私はできないと思います。またそれほどの余裕もないと思います。スタッフもなければ、余裕もないという状況でございますが、この種の法人を設けます場合に、やはりみずからも何らかの仕事ができるというふうに規定しておいたほうが何かと好都合ではないか、便利ではないか、私はこのように思いまして、研修等につきましては、あるいは国立教育会館でお世話をしたほうがいいというふうな場合もなきにしもあらずと思うのであります。そういう場合に、この道を開いておくということが将来便利じゃなかろうかという判断のもとに提案をしたようなわけでございます。この問題につきましては、いまのような経緯もあることでありますので、私は、皆さんに利害得失を十分御検討いただきたいと思いますが、私としましては、こういう特殊法人を設けました以上は、みずからも必要に応じては研修もできる、こういうふうな道を開いておくほうが適当ではないか、こういう考え方をもってこれを提案したような次第でございます。いずれにいたしましても、この条項によって、これが中心になって何か大きなことでもやろうかというようなことはあり得ないことであるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/32
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033・川崎寛治
○川崎(寛)委員 法律というものは、そういう主観的なことでは、あり得ないということでは通らぬと思うのです。そのことは灘尾大臣個人の御意思だろうと思います。ところが政治上の責任といたしましては、これは当時の文部大臣の荒木さん個人が負っている問題ではなくて、大臣という機関があるわけでありますので、これは大臣がかわっておりましても、同一政権の中の続けられてきている、三十六年、七年と同じ問題を審議してきている、しかもこの点は繰り返し論議されてきている、したがって、これは国会の審議の権威というものにおいて、私は機関が責任を負うべきである、こう思いますので、その点は灘尾さん個人の主観はどうあろうとも、三十六年なり三十七年なりの審議の際に答弁された大臣なり政府委員なりの説明というものは責任を持って継承されているもの、こう思うわけでありますが、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/33
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034・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 もちろん過去の大臣、過去の局長が文部省の機関としてやっていることでありますので、それを無視すべき理由のないことは当然でございます。しかしわれわれが何ごとかをいたします場合に、やはりよりいい、こう考えました場合には、それを取り入れてやっていくということもまた考えなければならぬことであろうと思います。いまお話のありましたような点を、文部省がこそこそやっている、隠れてやっているということならば、これはいかなる御非難があってもよろしいと思いますが、こうした法案の中にこの問題を入れまして、そうして皆様方の御審議をわずらわしているところでありますので、決して内緒でいろいろなことをやっているとか、約束と違っていることをやっているつもりはないのでありまして、その点は十分御検討願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/34
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035・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それでありますならば、これはやはり委員会の審議、国会の権威というものにおいて、当時の大臣が明確に答弁していることですから——その点は、ただ単にいままで審議がなくて、そしてここでぽんと出てきて、こういう内容であるというならば、もう少し判断のあれも違うと思いますが、しかしこの問題につきましては、これは三十六年以来繰り返し論議をされてまいった点でございますので、これはいまの大臣の立場から言いますならば、当然この第二項を削除することが三十六年なり三十七年なりの当時の大臣の答弁の趣旨に沿うものだ、こう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/35
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036・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、当時の大臣のそのとおりをやっていくとすれば、もちろんこれは削除すべきものだと思いますが、しかし私としましては、こうしたほうがよろしいというような判断のもとにこの法案をつくったわけであります。なるほど当時はそういうふうにおっしゃったかもしれません。それをそのままにしておいて、法案にも何にもあらわさないで、かってなことをやるなら、いかなる御非難もけっこうでありますが、私はこうして皆さんの御審議をわずらわして、いいと思ったらひとつお認め願いたい、こう考えておりますので、十分御検討願いたいと思っております。私自身はやはり年月が経過した場合には、前のことよりもよろしいと思ったことを十分皆さんに御相談申し上げることは、何ら差しつかえないことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/36
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037・川崎寛治
○川崎(寛)委員 ただいまの大臣の答弁によりますと、当時の荒木文部大臣が答弁をしたそのとおりであれば、この第二項は削除すべきだ、つまり抵触をする、こういうふうに明確に答弁をされておる。ただ新しい大臣として新しく問題を提起しておるんだ、こういうふうに受け取ってよろしいわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/37
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038・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 当時の荒木大臣の答弁そのものを、私は速記録を見ておりませんのではっきりしたところを申し上げかねますが、いま隣からの御注意によりますれば、先ほどの川崎さんの御引用になりました荒木文部大臣の答弁は、全文をひとつ読んでいただきたいというふうな気持ちがいたしております。私もよく検討してみたいと思いますが、初めからしまいまでひとつ答弁のところを読んでいただければ、必ずしもあなたがおっしゃるように明確なことを言ってはおらないようにも思うのでありますが、これはなお検討いたしてみたいと思います。したがって私ばかりに荒木文部大臣が明確にそういうことはしないということをお答えになったとすれば、確かに私が今日御提案を申し上げておるのはそれと違うのであります。違うのでありますから、荒木文部大臣の言うとおりをやるべしということであれば、これは削除するということになりましょう。しかし私は荒木文部大臣ではないのであります。私が考えまして、それよりもこのほうがベターだという考えのもとに御提案申し上げておるわけであります。当時のいきさつはいろいろございましょうが、この問題はこれとしてひとつ御検討をお願い申し上げたいということを申し上げておるわけでございます。なお、荒木文部大臣の発言につきましては私もよく検討してみたいと思います。先ほどの川崎さんのおっしゃるように、明確にそこで結論をお出しになっているものとも考えられないようにも私は思うのであります。この点はなおよく検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/38
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039・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それではきょうはこれで終わりたいと思います。大臣は議事録を明確に読みたい、こういうことでありますので、ひとつその点は当局においても議事録を検討していただきたい。当時坂田さんも委員長席におられたわけでありますし、私は与党の責任としてこの点ははっきりしてもらいたい。そうでなければ予算の審議と、それと関連して出てくる法案というものが全然つながっていないということでございますならば、これはたいへんな問題だと思いますので、私はこれをさらに明確にいたしたいと思いますが、一応これで保留しておきたいと思
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/39
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040・久野忠治
○久野委員長 本日は、この程度にとどめ、次会は明九日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午前十一時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01719640408/40
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