1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月九日(木曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 坂田 道太君 理事 南 好雄君
理事 二宮 武夫君 理事 長谷川正三君
理事 三木 喜夫君
木村 武雄君 熊谷 義雄君
床次 徳二君 中村庸一郎君
橋本龍太郎君 松田竹千代君
松山千惠子君 落合 寛茂君
川崎 寛治君 前田榮之助君
受田 新吉君
出席政府委員
文部政務次官 八木 徹雄君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
委員外の出席者
文部事務官
(初等中等教育
局中等教育課
長) 渋谷 敬三君
参 考 人
(国立教育会館
建設協力財団理
事長) 天野 貞祐君
専 門 員 田中 彰君
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四月九日
委員鈴木一君辞任につき、その補欠として受田
新吉君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員受田新吉君辞任につき、その補欠として鈴
木一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
国立教育会館法案(内閣提出第七九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより会議を開きます。
国立教育会館法案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として国立教育会館建設協力財団理事長天野貞祐君が出席をされております。
この際、天野参考人にごあいさつ申し上げます。
本日は御多用中のところ、わざわざ御出席いただきましてまことにありがとうございました。これより御意見を伺うのでありますが、御意見は委員の質疑にお答え順うということでお述べ願いたいと存じます。
それでは質疑の通告がありますので、順次これを許します。三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/1
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002・三木喜夫
○三木(喜)委員 きょうは教育界の大元老であります天野先生にお忙しいところをわざわざおいでいただきまして非常にありがたく思います。私は今度教育会館が設立されるにあたりまして、この教育会館の設立と、それからその設立の協力財団をつくっておられるその責任者であられるところの天野先生に、その立場からどのように教育会館をお考えになっておるかということをお聞きしたいのが主体でございます。と申しますのは、私も教育の現場におりまして、先生が大臣のときに提唱されました新教育というものの行くえが現在は非常に心配であるわけです。それは発展的にそうなっておるのか、あるいは消極的にいま国家主義とかあるいはまたその他の考えが出てまいりまして、新教育いづこにありやというような感じを持つわけでございます。そのさなかに教育会館が立つわけでありまして、私たちはそこからもろもろの心配をいたしておるわけであります。
そこでまず最初にお伺いしたいのは「寄附行為・設立趣意書」の中に、こういうことが書かれております。「わが国の将来の発展の基礎は、教育が真にその成果を発揮し、新しい時代の担い手としてすぐれた資質と能力を有し、心身ともに健全な青少年を育成する」そこで「全国八十万の教職員は、おのおのその職務を自覚し、時勢の進展に即応し、絶えず識見をみがき、父兄の信頼にこたえる教育を実施するよう努力している」こういうことが述べてあります。そこで「さらに効果的な研修活動の向上、各種の教育研究活動の育成をはかるため、組織的な研修機関の充実を行なう」、こういうことが書いてありますが、私は、このことについては、文部省はかなり多くの研修会、講習会を用意しておると思う。発表されておるところによりますと、福田初中局長が三十七年十月の「教育委員会月報」百四十六号に全国的な規模の研究団体が百五十、教科別に百一、それから学校管理運営研究団体が十六、総合三、その他が二十八、そのほかに民間教育団体の連絡会、とあり、こういうようにかなりの研究団体とか研究会、講習会等もあるわけです。それに三十九年度の様子を見てみますと、これまたたくさんの計画が立てられておるわけです。現在文部省もこれについては十分やっておるし、あるいは民間の研究団体も十分にこれについてはやっております。そこでこういう研究をしっかりやらなければならぬということが、教育会館とどこにつながりがあるか、こういうことを考えますと、私はそういう研究会とかあるいは講習会というものに場所を提供することに大きな意義があると思うのです。なるほどこの設立趣意書の中には、そういう場所がなかった、非常に不便であった、そこでそれに対して便宜を与えよう、ここに大きなねらいがあろうと思うのですが、先生はそのほかにまだこういう点に重要な意義があるということをお考えになっておりましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/2
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003・天野貞祐
○天野参考人 日本の国の発展にとって教育というものは非常に重要である、それでその教育をほんとうによくしていくためには、どうしても教育者がよくなくてはいけない、これは論を要しないところであります。教育者をよくしていくというのには、いまの大学を出たというだけでは不十分であって、私は再教育ということが非常に必要だということを前から感じておるものであります。再教育といって組織的にやれなくても、研修会を開くとかあるいは講演会をするとか、あるいは座談会を聞くとか、お互いが相談し合う、そういう場所はぜひ心要だと思います。たまたまこういう教育会館がそういう目的を持って設立されるということであるから、私も財団の理事長として御協力をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/3
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004・三木喜夫
○三木(喜)委員 先生のお考えはわかりましたが、場所を提供する必要がある、それから再教育の必要を感じておる、こういうお考えでありますが、終戦になりましてからこちら新しい教育に即応するために教師の再教育というものが行なわれました。そのときに私は実地にその場に臨んでみてつくづく思ったことですが、非常に形式化されて、みな積極性がなかったことを思うわけです。特に講師それ自体あるいは運営しておる者それ自体が電位と申しますか、単位をとるためにきゅうきゅうとして、あるいはそういう便宜を与えるためにというようなことで、二級免から一級免にするとか、あるいは新教育の研究会だというときにそういう傾向が見られたわけです。今日先生がおっしゃるように大学を出ただけではこれは十分ではない。私も十分でないと思います。あるいは現場の経験とか、あるいはまた新しい事態に即応するためになお研修するということは、これは必要なんです。そこでいま申しましたように、文部省はこれは十分にやっておられるのですね。十分に計画ができておるのです。あるいはまた民間でもかなり意欲的な人は結集してやっておると思います。そこでことさらにこの趣意書の中にそういう「組織的な研修機関の充実を行なう」、こう書いてあるのです。文部省でやっておられることや民間でやっておられる、そのほかに組織的な研修機関の充実を行なうことになりますと、どういうお考えがあるかということをお聞きするわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/4
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005・天野貞祐
○天野参考人 戦後の研修とか講習とかいうことについて、いま御指摘のような、ただ免状を取るとかいうような欠点のあったということは、私も同感でございます。ただ私もしばしば文部省に頼まれて、講演などに参ったことも幾度かありましたけれども、そういうときでも場所がないのですね。わざわざわきを借りてやっても、やはり話などはできれば適当な場所でやったほうがよく話もできるしということを感じておって、またいままでやってきたからといって、それでもういいわけではないのだ、ますますそれに考えを加えて組織的にものをやっていくということはぜひ必要なことじゃないか、そういう場所をここで提供するということは、実にけっこうなことだと私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/5
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006・三木喜夫
○三木(喜)委員 話を進めましてお伺いをしたいと思いますが、もう一つ心配な問題が私はあると思うのです。それはたびたびこの委員会でも問題になったのですが、このように研修会あるいは講習会等に皆さん力を入れて組しておられたときにはなかったわけですけれども、勤評というものによって先生が政治的な権力の前に屈従するというような姿勢が出てきておる。それから小供たちは学力テストに追い立てられておる。その上社会の頽廃したところの文化、政治、選挙違反、汚職というふうな一連の、教育を進める、あるいは研修を進めるということに対しましての、いろいろな悪条件が私はあると思うのです。こういう悪い要素を排除するというような研修の殿堂であれば私はいいと思うのですけれども、この無視したところの殿堂では困ったことだというぐあいに思うのです。その点、教育会館を建てて、そういうことの排除ということを主体に置くのならばいいですけれども、一方勤評体制、学力テスト体制というものをどんどんとやれというようなかっこうの研修の殿堂では私は困ったことだと思うのです。この点先生はどうお思いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/6
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007・天野貞祐
○天野参考人 私は建設協力財団の理事長であって、この教育会館をどう運営するかということは、後に教育会館の館長とか理事とかいう方のおきめにがやってまいっております。それに対して、先生は国民全体が守らなければならない何かを立てなければいかぬということで、一時それを強調された、そういう二つのたてまえから、いま教育の置かれている位置と、この教育の置かれている位置の中においての教育会館という立場で、先生が御検討になって、その設立に御協力になった、力を入れておられるというように私たちには把握しますので、かつての御経験なりあるいは教育に対するお考えをこの際聞くのもむだではないという考えからお聞きしておるわけなんで、そう御謙遜なさるというか、責任範囲外だというようなお考えでなしに、まあ後輩を指導してやろうというような考えでひとつお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/7
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008・天野貞祐
○天野参考人 私も非行少年の原因とかあるいは道徳教育とかいうことについては一つの考えを抱いております。けれどもきょうは、私はこの建設協力財団の理事長としてここに参考人として呼ばれたから、その範囲のことを述べておくのが適当ではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/8
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009・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうしますと、以下私はそういう観点で先生にお聞きしたいと思って用意しておったわけですがこれはまた文部省あるいはその他の機会に質問したいと思います。
ただここでもう一つ申し上げたいことは、先がたサービス機関というような考え方で私は賛成するということを申し上げました。その設立の趣意書の中で、教職員が安んじて研修活動を行なうにふさわしい施設がなかった、「安んじて」ということに対して、この教育会館ができればある程度安定すると思うのであります。が、これは賛成なんであります。それからその次に、各種の教育研究団体相互に十分の連絡ができなかった、連絡の役目ということはけっこうだが、調整の名のもとに研究機関を支配するというような心配はないか。協力財団をつくられるときに、そういう心配は先生方はなされなかったかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/9
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010・天野貞祐
○天野参考人 これを設立すれば、いろいろな便宜があるということはお認めのことだろうと思うのです。しかしそれが何か悪用されるかどうかということを心配して、こういうものをつくらないというようなことではよくないのではないか、これは必ずよく運営されるということを考えて、こういうものをつくって教育を盛んにしていくのもけっこうなことだという考えを持っていたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/10
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011・三木喜夫
○三木(喜)委員 そういう御心配はなかったということで、またそれをよく運営しなければならぬという考えを持っておられることについてはよくわかりました。
それから次に私が心配しておることは、この教育会館が中央集権化されたりあるいはまた国家統制の殿堂になっては困るという考えを持っております。この設立趣意書の中に、全国の教職員が親しみを持って利用できるよう、こう書いてありますが これはことばで出すのはやすいのですけれども、どのようにして親しみを持っていくかということは、今後の運営もあろうと思いますけれども、先生方のお考えをひとつ聞きたいと思うのです。この間私が質問しましたら、文部省の設明では、全国の教職員がこれに対して拠金をすれば自分のものとなるのだ、金を出すことと親しみということを結んでおられたように思うのです。しかし私はこれは運営に参加して初めてそういう親しみができるのではないか、政府の下請機関であるというだけなれば、やはり組織化され、冷たいものになるのではないかと思うのですが、その辺に対する先生のお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/11
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012・天野貞祐
○天野参考人 文部省の人たちがどういうことを言ったか私は知りませんけれども、またあなたの御意見も一つの御意見でしょうが、私は、これは適当な人を得てよく運営すれば、全国の教育者がそこに集まって、気持ちよく研修もできれば講演もできる、お互い話し合いをやれるというなら、親しみを増すといってもいいのではないかという考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/12
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013・三木喜夫
○三木(喜)委員 全国の者が集まるということは、いままでの集会でもずっとこう集まっておるわけなんです。その場所に集まってくるということで、その場所に対する親しみを持つという一般的な考え方もあると思うのですけれども、しかし運営というものは、教育会館それ自体が先生等に対して命令をする、と言うたらおかしいですけれども、文部省とうらはらになっていろいろなことを計画し、あるいは運営し、しかも全国の教師に対して命令をするという形だけでは、私は親しみを増さないのではないかと思うのです。運営に参加するということを、そういうところから私は申すわけですけれども、そういう点は運営に参加しなくてもいいというお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/13
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014・天野貞祐
○天野参考人 それはあなたの御意見として承っておきますけれども、しかし後の会館を運営する人たちのやり方一つによることだろうと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/14
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015・三木喜夫
○三木(喜)委員 お忙しい先生でありますから、もう一つだけ御感想をお聞かせ願いたいと思うのですが、これは非常に飛び離れたようですけれども、私は飛び離れていないと思うのですが、岐阜県教職員組合で大量に脱退したことについて県教委が不当介入の疑いがある、そういうことで社会党からこの問題を取り上げ、この文教委員会でいろいろ審議いたしました。しかしながらその結果は、組合員に対する行政上の差別はなかった。こういうようなことで真相はうやむやというようなかっこうに終わったのです。しかしその後名古屋大学の竹内良知さんが、「世界」に「教育を歪めるものは誰か」ということを書いております。これは「岐阜県における「教育正常化」について」というサブタイトルがついて、竹内氏は「「教育の正常化」というのは、端的にいえば、日教組傘下の組合組織を破壊することである。しかし、それはけっして教組の組織だけではなく、学校教育の成り立つ人間的基礎そのものを破壊することではあるまいか。」ということを強調しておるわけです。私は研修にしても、研修の殿堂をつくっても、教育の人間的な基礎破壊をしていくということは、教師がそういう立場になれば、子供たちにも勢いそういうことが及んでくる、こういうような感じを持ちますし、それからもう一つは、教育というものが教師の自主性を失ったときに非常におそろしいものになると思うのです。この教育会館運営というものについて、私は教師の自主性をやはり大事にしなければならぬ、それからまた教師の人間性というものも私は大事にしなければならぬ、こういう立場から考えますと、この教育会館の運営というものが一方的に官の側からだけ運営されるということに非常に心配を持つのです。そういう点が、先がたから先生にお聞きしますと、私の答える範囲でない、こういうようにお答えになるわけですけれども、しかし教育界の大元老でもあり、新教育いずくにあるかというときに、中央集権化するおそれを私たちは持ち、あるいは権力化するおそれを持つさなかに、教育会館が設立される、言えば、大切なときです。そこでこういうことについての御意見も承れば幸いだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/15
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016・天野貞祐
○天野参考人 私は教育会館が適切に運営されればそういう危険はない、こういうふうに思います。人間性をたっとぶとか自主性をたっとぶというようなことは当然のことであって、それをくずしてしまうような運営をするというなら——初めからそういう運営をされるからこういう会館をつくっちゃいかぬということはないだろうと私い思います。つくった以上、よい運営がされるようにしていけばそれでよいのではないか。いずれにしても、日本の教育を盛んにするのには、どうしても先生方の知識を増すとか、経験を話し合うといったようなことはぜひ必要なことでそうして現にそういう講演など、私などは借りたわきの非常に不適当なところでやったり、いろいろ不便をしてきているから、まっ先に、こういうものができるのはまことにけっこうなことだ、こういうように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/16
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017・三木喜夫
○三木(喜)委員 お忙しい先生に駄弁を弄してまことに恐縮でございました。どうぞひとつよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/17
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018・久野忠治
○久野委員長 次に、上村千一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/18
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019・上村千一郎
○上村委員 天野先生が財団法人国立教育会館建設協力財団の理事長におなりになっておられる。そしてその設立趣意につきましては設立趣意書を見ておりますのでよくわかっておりますし、また私はこれに満幅の賛意を表しておるものでございます。ただ先生が親しくこの国会においでくださって、そして参考人として御意見をお述べになる機会を得ましたに際しまして、少しく先生から御意見を承っておきたいと思うわけでございます。
実は私、現在の教育界を見まして、教育というものが国の将来の発展の基礎として重大なものであるということは論をまちません。そしてそれであればこそ、現在の教育というものにつきましていろいろな関心は全国民的にわいておるわけであります。教育の本髄というものは、教育を受ける者が教育者に向かいましてほんとうに信頼をしている、こういうもの、逆に言いますれば、教育者は真に教育を受ける者から信頼を受けるその素質と、そしてその努力がなければならないと、こう思うわけがあります。最近の事象を見ますと、大阪の某学校におきまして教えておる先生が生徒に注意したら、持っておりましたところの切り出しナイフでその先生を刺したというようなことは、これは先生が生徒に注意する以上は、客観的には確かに生徒にまずかった点があるに違いない、しからば生徒は、自分の非を先生からさとされた以上は、それを心から心服しなければならないのにかかわらず、逆に先生に傷害を与えるということは、これは生徒のほうにつきましても反省しなければならないけれども、先生のほうとしても反省しなければならない、こういうふうに思うわけであります。これは現実に最近あった事例であります。
こういうような諸般の実情から考える際におきまして、日本の現在の状態におきまして、教育の重大性を考えれば考えるだけ、ますます教職の立場にあられる方々がその資質を向上し、またお互いに切瑳琢磨し、こういうことを謙虚に反省をしていかなければならないであろうし、また文教関係の責任を持ちますところの文部省としまして、この研修施設というものをより多くつくり、より理想的なものをつくって、そうしてその機会と場所を提供するということは当然なことであろう、こういうふうに私は思うわけであります。それでその運営という問題につきましては、悪いということはその運営をしたときに注意すればいいのであって、またそれを改めるべきものであって そうしてそういう施設をつくるということにつきましては、私はこれは当然国民的に協力をしていかなければならないと思うわけでございます。先生はこの施設につきまして、そういうようなお心持ちで御協力の意思をおきめになられたものだ、これは設立趣意書を見れば論をまたぬところかと思いますが、せっかくでございますのでお尋ねをいたしておきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/19
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020・天野貞祐
○天野参考人 いままでお答えしたところでただいまの御質問にも答えておるかと思いますけれども、つけ加えて申せば、先ほどから申しておるように、先生方がお互いに経験を話し合ったり、また知識を学んだりというようなことで、先生方自身がよくなるということが、国の教育がよくなるということであり、そのためにこういう教育会館を建てるということは、私はまことにけっこうだ、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/20
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021・上村千一郎
○上村委員 その際の運営の問題でございますが、もちろん先生はこの教育会館建設のいわば財的な御協力をする財団のその理事長の地位にあられると思いますので、運営自体につきましてはもちろん先ほどいろいろ御意見を賜わったところで、私も十分だと思うわけでございますが、この教育会館法を見ますと、適正な運営をするために館長の諮問機関として二十名以内の評議員をつくる、そしてその評議員は、かかる運営を適正にする意味におきまして、学織経験者の中から文部大臣がこれを委嘱するというようなことになって、そして今後の運営に万全を期するような体制に相なっておるようでございますが、そういうようなことにつきましてはお耳にいたしておったかどうか、お尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/21
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022・天野貞祐
○天野参考人 私はこういう文書によってそういうことを承知しておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/22
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023・上村千一郎
○上村委員 それから、こういう施設は私はぜひ必要であるし、また現下の日本の教育界におきましてはほんとに必要だというふうにかたく信じておるものでございますが、それを作る際に、国費で全部つくっておけばいいじゃないか、こういうような意見もあるかと思うのでございます。要するに民間の協力なくして国費でつくっておけばいいじゃないか、こういうような意見が出るおそれがある。こういう必要な、真の教育という問題につきましては、全部国費でつくる場合もあれば、また国費を主要財源とし、そして民間からこれに協力することによりまして、いわば何らかの親しみを増す。これはこれだけが唯一の親しみの手段ではございませんけれども、しかし、幾ぶんでも自分の金を出すということは私は少なくとも親しみを増す一つの手段であろうと思うのでございます。運営の方法によりまして参画することも親しみを増すわけでございましょうし、親しみがわく要素というものはたくさんあるわけでございましょうが、少なくとも民間も一部の支出をし、かかる文部省の企てにつきまして国民の中から協力の体制を出すということは一つの大きな意味を持っておる。だから全額を国費で支出するという場合がいい場合もございましょうし、また、かかる場合におきまして民間からも協力体制をし、ある意味におきましては文部省の考えておる意図を鞭撻したすというようなことも必要欠くべからざることだと思うのでございますが、その間の先生のお考えを承りたいといと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/23
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024・天野貞祐
○天野参考人 御意見はごもっともだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/24
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025・上村千一郎
○上村委員 私は大体この程度で私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/25
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026・久野忠治
○久野委員長 次に二宮武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/26
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027・二宮武夫
○二宮委員 ただいま上村委員からお話がございましたが、教育というのは、新聞で発表されました一部のよくない情勢というものでもって万事を律するということは間違いだと思うのです。数百万のほんとうにうるわしい教育というものは師弟の間に精神的な通いをもってりっぱに行なわれておるという事実も、これは認めなければならぬと思うのであります。
それから教育会館法については運営をやってみて、そのうち悪かったら直せばいいじゃないかという試行錯誤的な考え方は、やはりこの法案が出ておる関係上、私としては前もって心配になる点についてはよくただしておいて、よりよい法案にしてこれを通していく、それが一番賢明な方法であるというように考えるわけでございます。
ただいま上村委員の御質疑に対しまして、天野参考人は御趣旨のとおりでございますというお答えでございますが、私は、三十二年の十二月に天野理事長が文部省そのほかの発起人から理事長に就任をするということの勧奨を受けましたときには、地方財政等におきましても、一般に公立のものをつくる場合に、寄付をすることを特に禁止をするという法律がなかった時代だというように了解をいたしておるわけでございます。しかしながら三十八年になりまして、地方財政におきましても、公立のものをつくる場合には、その地域の住民に、県が市町村に、市町村が地域住民にそういう負担をかけてはならないという法律を実はつくったわけであります。そうしますと、この理事長を引き受けられたときの情勢とは、現在の情勢は私は変わっておるのじゃないかというように考えるわけです。そこで先生がお引き受けになったころは、協力する、そのために寄付を集めようということの趣旨はよくわかりますけれども、その後において、一般に国費をもって国立のものを設置をする、それ以外に寄付を募るということは、これは国民にとっては二重の負担になる。したがってこれを禁止するという法律も特別に設置したのでございますから、私はその後の法律の情勢、そのほかから考えまして、この財団というのは、設立当時と現在とは、ものの考え方を変えなければならぬのじゃないかというように考えるわけですが、その点について理事長としてどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/27
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028・天野貞祐
○天野参考人 その問題については局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/28
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029・福田繁
○福田政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、学校の建設等におきまして地元負担等をさしてはならないという禁止の法律が出ましたことは承知いたしております。これはこの前も御答弁を申し上げた次第でございます。そういった事情につきましては承知いたしておりますが、この教育会館につきましては、先ほど申しましたように、民間の浄財も集めてこの教育会館を建設するという三十七年の財団ができましたときの方針を特に変える必要はないというように考えまして継続してまいったわけでございます。この点は理事会におきましても十分そういうことは確認したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/29
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030・二宮武夫
○二宮委員 きょうは参考人に主として御答弁をいただきたいと思うのですが、それでは理事会というのは民法に基づいて年二回は必ず開くということで、議事録もそのまま残っておるはずでございますが、私が見せてもらった議事録の中には、実は議事録を見て、内容については私は了承したのですけれども、二回という回数と、いま、福田初中局長でなくて、これは財団の理事ですが、理事がお答えになった内容とは、私が見た範囲では多少食い違っておるように思うのです。そういうものが、もしあなたの答弁のように必ず二回は開かなければ違法である、そして決定したものはちゃんと書類として残しておかなければ、これまた違法である。そういうときに、三十八年に、寄付行為というものが一般に二重負担にならないように、国から百億円というお金が二重負担にならないために出しておる。そういうことを理事会で決定をしたという議事録がありますか。私が見た範囲ではそういう議事録はない。私が承知している範囲内では、そういう法律ができたから、その趣旨に沿うてこれはもう考えぬでもいい、この法律の精神を生かさぬでもいい、従来どおりでいいのだという議決を相談をしてきめたというのだけれども、そういうような理事会というのを開いた議事録はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/30
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031・福田繁
○福田政府委員 理事会で決定いたしました事柄は、この財団の事業計画なり予算等でございます。したがいまして先ほど御指摘になりました地方財政法の改正云々の問題は、直接にこの財団の寄付募集とは関係ないと考えております。したがいまして予定どおりに事業計画なり収支予算というものを決定いたしまして、そういう仕事を確認して進めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/31
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032・二宮武夫
○二宮委員 それは違うじゃないですか。あなたのさっきの答弁は、こういう法律ができたけれども、この法律というものは一応この考えの中に入れなくてもいいという理事会の決定を見た、そういう答弁でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/32
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033・福田繁
○福田政府委員 ことばが少し足りなかったかと思いますが、私申し上げましたのは、財団の事業として事業計画なり収支予算というものを決定いたしますれば、当然にそれに従って運営されるわけでございます。その陰に、先ほど御指摘になりましたような地方財政法の改正があったから事情が変わったのではないかというお尋ねでございましたけれども、財団としては理事会において従来どおりの方針でこの事業を進めることを確認して決定したということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/33
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034・二宮武夫
○二宮委員 それは事業計画の中にそういうものは一応変更せずに事業計画を出す、それを理事会で決定した。こういういき方をしたということの説明ですね、あなたのおっしゃることは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/34
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035・福田繁
○福田政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/35
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036・二宮武夫
○二宮委員 そこで理事長にお尋ねいたしますが、私は考え方としては、寄付をするほうの立場に立てば、国が法律をつくって、地方でもって出すほうもはやはり同じ一般の人が出すのですから、国の費用もあるいは寄付金も同じ者が出すのですから、二重負担にならないようにという国の配慮から、実はこの法律をつくった。したがって設立当時の考え方とこういう法律が通った後の考え方とは、この寄付についてのものの考え方というのは私は変わることが正しいと思うのです。そうしなければせっかく国が二重負担を解消しようといって百億もお金を出して、そういう寄付金をなくしようという方向に努力をしたことと矛盾するじゃありませんか。私は設立の当時のそういう法律のなかったころに天野さんが理事長を引き受けられて、こういう教育財団の寄付行為という一つの財団法人をつくったということは理解できるけれども、その後の政治的な情勢の変化によって、これはやはり考え直さなければならないのじゃないかというふうに考えておるのですが、理事長どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/36
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037・天野貞祐
○天野参考人 一つの御意見だろうと思います。けれども、こちらの理事会は前に立てた計画どおりにやるということであるから、私もそれでよいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/37
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038・二宮武夫
○二宮委員 それは主体性がないと思うのですよ。これは理事長が理事会に提案することになっておるのですよ。だからあなたがもし国民に二重負担をかけてはならぬという考え方があるなら、やはり計画書というものをつくるときにそのものを考えの中に入れた計画書というものを出さなければいけないと思うのですよ。そうしなければ、せっかくあなたがこれはよくないぞと思っても、計画書の中にその意思が反映しなければ、これはやはり結果としては同じことになってしまって、よくないと認めたものがそのままあらわれてくるという結果に私はなるんじゃないかと思うのです。理事長は全部の総括責任者なんですから、これは単に理事長として名前をお貸しするというだけではなくて、三億円のお金を集めるという財団の理事長なんですから、やはりそういうことが国民にとって二重負担になるのだ、国もそう考えている、法律もそう変えた、そうなったときにはやはりこれは少し大蔵省に無理を言って、国のほうから出す方向に重点を置いて、おれのほうの仕事は少し削減をしていこう、こういうような案を立ててそれを理事会に出すという主体性を持たなければ、それはその意見のとおりだと思いますということにはならぬのじゃないか。そういうところに理事長の権威というものが一つあっていいんじゃないかと私は思うのですが、その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/38
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039・天野貞祐
○天野参考人 いまあなたのおっしゃったことも一つの御意見だと私は言ったんで、そのとおりでなければならぬと答弁したわけではないのです。そういうように法律が変わっても、教育というようなことはまた違った性質を持っているから、みんながこれに協力してやろうということなら、それで私はいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/39
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040・二宮武夫
○二宮委員 どうも前の話とあとの話、私には理解ができません。そうすれば、もう一ぺん繰り返さざるを得ないのですが、少ししつこくなりますけれども、お許しをいただきたいと思います。
国がいろいろの公立のものを建てる場合に、寄付をあまりに募るということは、国民に対して二重の負担になるから、そういうことがあってはならぬというので、自治省で調査をしました結果、三百数十億の寄付金がある。これを漸次解消していこうということで、百億ずつ年次計画を立てて出して、そして二重負担をさせないような方向にこの法律というものを改正していったわけです。ですから、それが一つの考え方だと言いますけれども、これは国の考え方として、寄付をする者の立場からやはりそういうことは避けたほうがよろしいという考え方は、私は一本だと思う。ですから設立当時の協力のしかたと、そういう法律ができた後の協力のしかたというものは、財団法人としては立場を変えて考える必要があるのではないかというふうに私は考えるし、先ほどは理事長はやはりそのように考えるというように、私は答弁として理解したわけです。ところが、それも一つの方法であって、ほかにもいろいろあるんだ。しかし、設立のころと、地方財政法二十七条の三、四がきまった後のこの財団法人のあり方とには全然変わりはないじゃないですか。このやり方について——そこが私はおかしいと思うのです。ですから、設立当時はいいとして、そういうことになって国民に二重負担をかけまいという国の親心が出た場合には、このものはやはり国費でもってまかなうということに重点を置いて、大体八億のうち三億を国民の寄付に仰ぐというような、そういう大きなウエートを寄付に持っていくということ自体におかしいところがあるのであって、その点はひとつ考え直すことがいいのではないか、こういふうにお尋ねをしておるわけでありますが、それに対するお考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/40
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041・天野貞祐
○天野参考人 私は、あなたの考えどおりでなければならぬという、そういう答弁はしておりません。それも一つの考えだと言っておるのです。それで、学校等の寄付はいけないけれども、教育会館とかそういうものまでもすべて地方が寄付をしてはいかぬと原理的に言うわけでないことは——あなたがただいまもっと縮小したらいいんだ、国がもっと大部分やって、少しやる、それで原理的に言って、全然寄付してはいかぬというあなたの論ではないと思うのですね。だから、寄付していかぬという論でないのですから、それをあるところまで、教育という事業がほかの事業と違っておるのですから、教育会館のために寄付したって、あなたも御異論はないところだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/41
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042・二宮武夫
○二宮委員 そういう反論も一応成り立つかもわかりませんが、私の言っておるのは——それではもう少しお尋ねします。あなたのほうでお考えになっております。三十七年の十二月に出しましたこの寄付金をお願いしますという通達が出ておる。私の言っておるのは、ほんとうにプライベートな、ポケット・マネーを出して寄付するということであれば、これはある程度はやむを得ないかもしれませんけれども、この要綱によりますと、都道府県は幾ら、六大市は幾ら、市町村教育委員会は幾ら、それから校長会は幾ら、こういうようにそれぞれ自分のポケット・マネーではないと思われるところに寄付を仰いでおる。そうしますと、この県から出るお金というものは県民が負担をしておるわけです。教育委員会の費用も同然です。そういうものを通達として出しておるのですから、私が肯定しているというものを反駁的に先生が、お前も寄付に賛成しておるじゃないかと言うけれども、私はそういうことについてはいまの段階では賛成はできないのです。ですからこの通達は少なくとも昭和三十七年十二月現在で出しておる、この行き方で、都道府県に何万円という割り当てをして——都道府県が個人のお金を持っておるわけではないのですよ。ですから、その当時はこういうことをやったけれども、その後においてはやはり都道府県にこういう割り当て方をして寄付を仰ぐという行き方は、これは私は筋が通らぬと思うのです。そういう点はやはり理事長としては十分お考えいただかないと、ただこの場でやりとりしたことだけで済む問題ではなくて、やはり将来にも問題が残っていくことでありますから、私は私の考えなりに申し上げているので、そういう点をひとつ理事長の経験豊富な立場から御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/42
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043・天野貞祐
○天野参考人 あなたは初めからポケット・マネーならいいがというようなことは言われなかったのです。そうおっしゃれば私もそれは違うという考えも持ちますけれども、ポケット・マネーならいいが、ほかはいかぬとはっきり言われたのでないから、やはり一部分は寄付をしてもいいんだ。それから原理的に言えば、要するに寄付の多寡に帰着するから、それならば別にさしつかえないではないかという御答弁をしたわけでございます。しかしそういう方面の知識は私は非常に乏しいですから、よくまた研究いたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/43
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044・二宮武夫
○二宮委員 大先輩を何回もこの場に参考人としてお呼びするわけにまいりませんので、経験豊富なんですから、この場で即答願いたいと思うのです。そうしないと、今後法案審議をしていく場合に、私どもとしては非常に参考にしていきたいという気持ちを持っておるわけでございますから、今後検討した後にお答えをしようということではどうも——もう一ぺん来てくださるのですか。それならそれで私は質問を保留して、御検討の上でもう一ぺん御質問申し上げたいと思うんですが、そうでなくて、もういまのやりとりで話は大体わかっていると思うんですよ。わかっていると思うんですけれども、理事長の立場の苦しさというものと、文部省やそのほかとの関係等もあって、理事長がいまのような答弁をなさったんだろうと御推察申し上げるわけなんで、あまり大先輩をいろいろ意地悪く御質問申し上げるということも、私の本意ではございません。ただ国民の立場から考えれば、二重負担になるような寄付行為をあえてすることはよくないではないかということを申し上げておるので、そうなればこの財団法人というのも、一応今後は国費を出してもらうことにウエートを置いて、これは国民のお金でありますから、それで親しみを持ってもらうということで建設をやる。この前聞きましたら、一億円まだ寄付が集まっておらぬから、財団法人はもう一年延期して、もう一億円集めるのだという話でございますけれども、どうも私の考え方と考えが違うように思うので、そういう点についての明快な御答弁をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/44
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045・天野貞祐
○天野参考人 私はものを明快に述べるつもりであります。ただせっかく二宮さんがそれほど熱心に言われるのを、ただの答弁でもいけないと思ったから、自分もよくそういうものの考え方もこれから考えるようにしようと言ったので、この設立趣意書に関する限りは、もうこれでいいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/45
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046・二宮武夫
○二宮委員 設立趣意書ができて、そして発起人が先生に理事長になってもらいたいということでお願いして、理事の中から現事長が互選された。そしてその理事長は、また評議員をお選びになって、この財団法人というものを運営しておるわけですが、そこに政治的な変化があったのですから、財団法人としてはもう少し考え直して、協力の仕方を改めていったらいいんじゃなかろうかという意味でお尋ねをしておるわけなんで、研究してあとからまた答弁しますということが、それが明快だと言えば、それはそれなりに明快でしょう。しかし私、聞くほうからすれば、はなはだ不明快でございまして、わからないのです。ですからそういうような理事長という立場から考えまして、やはり国民の立場というものを勘案して考えたときに、大体もってこれは国立なんですから、国費でやるということを主体に置いて、そうしてこういうような法律もできて、国民には負担をかけまいという国の親心もあるのですから、じゃあひとつ財団法人も仕事を縮小して考えていったほうがいいじゃないか、こういうようにお考えくださったらどうだろうかといってお尋ねしておるわけなんですが、そういう点いま申し上げましたような政治的な変化の起こった現在における、そういう立場に立っての理事長の考え方というものをぜひお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/46
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047・天野貞祐
○天野参考人 私の考えはもう尽くしておると思います。要するに私はこれでいいと思っているのですが、たゞあなたが長くいろいろおっしゃるから、これは簡単にただお答えしても済まないと思ったから、私個人として、あなたのようなお考えも今後ひとつ考えてみよう、こう思ったのです。公の理事長としてはこのとおりでいいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/47
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048・二宮武夫
○二宮委員 質問を長くしたって、頭の悪いのは長くするのかもしれませんが、私が長くお尋ねいたしましても、研究してお答えいたしましょうとあなたのほうはおっしゃるのですから——これは時間的に長い、短いなんということを批判することはないと思う。そういう問題でなくて、本質的にどうだろうということをお尋ねしておる。おまえの言い方は長いぞというなら、短くてもいいです。
それではもう一つお尋ねいたしますが、この定款では、理事長に事故あるときはかわりに常任理事というものを指名することになっておるわけでありますねし先生がもし欠員になったというような場合には、おやめになるというような場合になったら、常任理事というのは一体だれがやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/48
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049・天野貞祐
○天野参考人 それは文部省からお答えいたします。
〔二宮委員「資格は何ですか」と呼ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/49
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050・渋谷敬三
○渋谷説明員 一応財団の所管の課長でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/50
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051・二宮武夫
○二宮委員 何の資格であなたは答弁するのですか。文部大臣の認可を得て、そうして財団法人というのは独立した一つの機関ですよ。その中のあなたは何という資格で答弁しているのかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/51
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052・渋谷敬三
○渋谷説明員 この財団とは関係ございます。一応文部省の所管しておる法人でありますから、この寄付行為につきましては説明員として承知いたしております。この寄付行為の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/52
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053・二宮武夫
○二宮委員 参考人に聞いているのだ。参考人を呼んで聞いているときは、参考人が答えるべきですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/53
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054・天野貞祐
○天野参考人 私がお答えいたします。
これは設立極点井の中にちゃんと書いてあるのですから、そういうことは事務の者が答えてもいいのじゃないかと私は思ったのです。実は私は一個の教育者としてここに出て皆さんとお会いするということで、教育という立場からいろいろなことを考えてきたのです。だから理事長が事故あるときはどうするのだというふうなことは、必ずしも私が答えなくてもよいのじゃないか。だけれども、答えろというのなら、ここにちゃんと書いてあるから答えます。「理事長に事故あるときまたは欠けたときは、理事長があらかじめ指名した常任理事がその職務を代行する。」そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/54
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055・二宮武夫
○二宮委員 それはわかっているのです。その場合だれかと聞いているのです。だから、私は理事長だからそういう小さいことはわかりませんというのならそれでいいのです。ほかのほうから連れてきて別に答弁しなくても、おれは理事長としてでんとかまえておって、そういう小さなことは事務局にまかしておるからわからぬ。そういうことはおれは答える必要はない。それならそれでいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/55
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056・天野貞祐
○天野参考人 私は、自分がわからぬからこちらにやってもらうと言ったのです。それを答えなくていいというなら、初めから答えないですよ。しかし答えろというからこちらに答えさせたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/56
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057・二宮武夫
○二宮委員 たいへん話が交錯しているんですよ。理事長がお答えになる
ことがわからなければわからないで、私は了解しますよ。しかし筋合いの違うものを連れてきて——私はきょうは参考人の天野先生に御意見を聞いているのだから、そういうことについては後の機会に聞いてください、私のほうはそういうことはわからぬ、関知していないということなら、それでいいのですよ。天野参考人と関係のない、何も知らない人が来て、それも知らしてやろうと思って答弁させる、そうまでしなくてもいいのですよ。先生にそれほどわずらわさなくてもいいのです。そういうようなことまでちゃんと握っておられる理事長なのかどうなのかということを、たいへんおこがましいけれども先生にお聞きしているんですよ。そういうことは知らぬのだ、大体そういうことはほかのほうで答えるから、他の機会に聞いてくれ。それならそれでいいのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/57
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058・久野忠治
○久野委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。落合寛茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/58
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059・落合寛茂
○落合委員 こんなことを大先生にお伺いするのは、まことにおこがましく思いますが、先生は国立教育会館建設協力財団の理事長として、この費用を全額国庫負担にされるのに御賛成でありますか。あるいは寄付金をそこへまじえて建設されるほうに御賛成であるか、そのお考えをちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/59
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060・天野貞祐
○天野参考人 これは白紙に立ってどっちがいいかという御議論じやなかろうと思うのです。そうなれば、私は国が大部分やって、そしていろんな民間の寄付を仰ぐということがよいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/60
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061・落合寛茂
○落合委員 そうすると、国立という以上は国で全部出して何するたてまえになるべきものだと私は思うのですが、そういうものじゃないのですか。すっかりでき上がってから、それを寄付するという形は、言ってみれば羊頭を掲げて狗肉を売るような国立じゃないですか。常識的に考えて私はお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/61
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062・天野貞祐
○天野参考人 私はやはり国立だと思っております。国立でないというわけのものじゃないだろうと思います。民間が幾らかそれに寄付したからといってそれでは国立じゃないということはないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/62
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063・二宮武夫
○二宮委員 先生は十二時までしか時間がないそうですから、もうお尋ねしても、自民党の皆さん方もたいへん御不満のようですし、私は礼儀を失した面もあろうかと思いますけれども、やはり財団法人という一つのクッションをつくって、そこで三億というお金を集めて、国から出すほうを少しセーブして、そうして国民の立場から考えれば二重の負担になるような行き方は私はいい方法ではないと思うのです。ただ、たとえば自分のところに死人があって香典をいただいた、そういうものをひとつ寄付しましょう、こういうような意味のものであれば別ですけれども、やはり公費でまかなわれなければならぬと思われるような寄付金を別途三億集めて、そうして国から五億九千万、そういうお金の集め方は、少なくとも教育に関心があり、教育に従来とも非常に大きな見識を持っておられる先生の立場からいえば、私はあまり感心した財団法人ではない、こういうような考え方を持っておるので、多少小さな点にわたって失礼な点があったと思うのですけれども、その点はひとつ御了解をいただきたいと思うわけです。
問題は、そういうような一つの財団法人をつくって、そうして寄付を取るから親しみがあるんだということを考える考え方が一つと、もう一つ寄付の依頼状を見ますと、大体各県に百枚の口座への振り込み用紙を送っておる。その団体が全部明示されておる。そうすると、ある種のものに寄付を仰ごうという目途が見えるのです。それでほんとうに親しみのあるものになれるかどうかというのは、上村先生は、やってみて運営が悪ければ今後直せばいいじゃないかというけれども、そういう点が見通されるとすれば、前もって直したほうがいいじゃないかということが考えられる。その運営その他の問題について三木先生がお尋ねしましたら、財団の理事長として来たので財団のことのみに限って答弁をするんだ、膝を交えて教育のことを語るんだとおっしゃるけれども、今後の教育会館の運営その他については、おれの答弁の範囲外であるとおっしゃるものですから、実は小さな問題に私はあえて入っていったわけでございます。その点は、ひとつ弱輩者ですから、そういう点で御了解いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/63
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064・三木喜夫
○三木(喜)委員 関連。寄付の問題ですが、民間に寄付を仰がれる点は、いまの話で大体私どももわかったのですが、財界の寄付を大体二億円ほど予定されておるようですが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/64
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065・天野貞祐
○天野参考人 財界は二億を目標といたしております。
なお、私はこれを付け加えておきますが、自分は、研究してここで答弁するということは申しませんです。ただ、そういうものの考え方も自分としてはよく考えてみようという主観的なことを付け加えただけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/65
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066・三木喜夫
○三木(喜)委員 民間の寄付というものについての出資は、文部省の考え方と先生のお考え方とは一致しておりましたのでよくわかりました。親しみを持つということにおいて民間から協力する、こういうような趣旨ですが、財界の寄付は、そうするとどういう趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/66
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067・天野貞祐
○天野参考人 私は、こういう公共物とか、ことに教育に関するようなことになれば、財界などは大いに協力してくれてもいいと思います。そういう意味で財界はもっといろいろな場合に寄付してくれたらいいんだ、協力してくれたらいいんだ、そういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/67
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068・三木喜夫
○三木(喜)委員 時間がありませんので二つばかり端的にお聞きしたいと思うのですが、設立の協力メンバーの中に財界の人もかなり載っております。そういう趣旨でやはり入っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/68
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069・天野貞祐
○天野参考人 私は、財界の諸君も、国のために非常に重要な教育会館というものには、自分らも協力しようというお考えで入っておられると承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/69
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070・三木喜夫
○三木(喜)委員 それは理事会とか、それらの話し合いの中でそういう意思も大体出てまいりましたですか。話し合いがあったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/70
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071・天野貞祐
○天野参考人 私は一々人の言ったことを多用なものですから覚えてはおりませんけれども、私はそういう趣意のことはたびたび申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/71
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072・三木喜夫
○三木(喜)委員 私たちが一つ心配を持つことは、教育がただそれ自体だけのものとして考えられるならいいのですけれども、財界のひもつきになるということは、これは私は困ると思うのです。そういう点は、先生は心配がない、こういうぐあいにお考えになって財界の協力を仰がれるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/72
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073・天野貞祐
○天野参考人 別断ひもつきなどになるとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/73
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074・久野忠治
○久野委員長 参考人に対する質疑はこれにて終了いたしました。
天野参考人に申し上げます。本日は貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして委員長より厚く御礼を申し上げます。
本日はこの程度にとどめ、次会は明十日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X01819640409/74
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