1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二十四日(金曜日)
午前十時五十分開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 坂田 道太君 理事 二宮 武夫君
理事 三木 喜夫君 理事 山中 吾郎君
大石 武一君 熊谷 義雄君
谷川 和穗君 床次 徳二君
中村庸一郎君 橋本龍太郎君
松田竹千代君 松山千惠子君
落合 寛茂君 川崎 寛治君
長谷川正三君 和田 博雄君
鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
文部政務次官 八木 徹雄君
文部事務官
(大臣官房長) 蒲生 芳郎君
文部事務官
(管理局長) 杉江 清君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主税局税制第
一課長) 山下 元利君
文部事務官
(大学学術局
審議官) 村山 松雄君
専 門 員 田中 彰君
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四月二十三日
委員松山千惠子君辞任につき、その補欠として
河本敏夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員河本敏夫君辞任につき、その補欠として松
山千惠子君が議長の指名で委員に選任された。
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四月二十三日
公立の盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及
び高等部の整備に関する特別措置法案(小林武
君外四名提出、参法第一五号)(予)
女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の
確保に関する法律の一部を改正する法律案(文
教委員長提出、参法第一六号)(予)
同日
大口市の農村モデル図書館設立費国庫補助に関
する請願(池田清志君紹介)(第三〇九二号)
磐梯山ろくに青年の家設置に関する請願(八田
貞義君紹介)(第三二〇一号)
高等学校生徒急増に伴う施設整備財源確保に関
する請願(湊徹郎君紹介)(第三二四二号)
各種学校教育振興に関する請願(壽原正一君紹
介)(第三二六四号)
同(壽原正一君紹介)(第三三三七号)
同(壽原正一君紹介)(第三三六一号)
私立学校振興会法の一部改正に関する請願(壽
原正一君紹介)(第三二六五号)
同(壽原正一君紹介)(第三三三六号)
同(壽原正一君紹介)(第三三六二号)
は本委員会に付託された。
同日
好子教育職員の出産に際しての補助教育職員の
確保に関する法律の一部を改正する法律案(豊
瀬禎一君外四名提出、参法第一号)(予)
は撤回された。
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本日の会議に付した案件
小委員会設置に関する件
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一四七号)
私立学校振興会法等の一部を改正する法律案(
内閣提出第一二二号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより会議を開きます。
学校教育法の一部を改正する法律を議題といたします。質疑の通告がありますので、これを許します。上村千一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/1
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002・上村千一郎
○上村委員 学校教育法の一部を改正する法律案につきまして少しく質問をいたしたいと思います。
まず第一に、今回の改正の眼目は、その提案理由にもありますごとく、「従来暫定的な制度とされていた短期大学を恒久的な制度とすることに伴い、短期大学の目的を明らかにするとともに、その学科組織を明確に定める等短期大学に関する規定を整備する必要がある。」これが提案理由であります。また改正案の骨子でもあるわけでございます。短期大学が従来暫定的な制度とされて発足をしたわけでございますが、短期大学制度がしかれてからすでに十四年にも相なるわけでございまして、その間に、いわば法文上は暫定的にはなっておりますものの、制度の本質、実体としましては恒久的なものに移行いたしておるという実情からいたしますれば、今回の改正案はしごくその当を得たものだというふうに思う次第でございます。しかしその間明白にいたしておかなければならない点も多くあるかと存じます。まず、短期大学制度が今日まで発達し、発展をいたしてまいりましたところの経緯につきまして、お尋ねをいたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/2
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003・村山松雄
○村山説明員 短期大学の制度は、御指摘のように新学制の発足よりややおくれまして、昭和二十五年に学校教育法の一部改正によりまして、大学の修業年限の特例という形で附則百九条に規定をされまして発足したわけでございます。その趣旨は、新しい学制は六・三・三・四の非常に単純な単線型の制度を主として発足したわけでございますが、その中で大学制度は四年制ということで発足いたしました。昭和二十二年に学校教育法が制定されまして、これに基づく新しい大学が、昭和二十三年に私学が十一校ほど、次いで昭和二十四年には大部分の国、公、私立大学が発足いたしたわけでございますが、やってみますと、旧制の高等専門学校の中には一挙に四年制の大学になることにつきまして困難を感じたものが出てまいりました。教育組織につきましても、施設、設備におきましても、一挙に四年制の大学の基準を満たし得ないものが、相当数出るということがわかってまいりました。それから他方高等教育のある種の分野、たとえば女子の教育などにつきましては、四年制の大学では、年齢的に見ても、あるいは経済的負担の面からも、一挙に進学を決意することは困難であって、四年制の大学よりは比較的短期で、もっと実際的な教育をする高等教育機関が必要ではないかという意見が強くなってまいりました。そういう意見を背景といたしまして、当時の教育刷新審議会の答申などにも基づきまして、短期大学の制度が昭和二十五年に設けられたわけでございます。そういう経緯もございまして、当時は四年制の大学を単純な単線型の学校制度として強く育成すべきだという意見が一方においてたいへん強かったものでございますから、実際上の必要に基づきまして発足した短期大学の制度は、当分の間の暫定措置として様子を見るということで、変則的な形で発足したのでございます。以上が短期大学制度発足の事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/3
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004・上村千一郎
○上村委員 そういういきさつで短期大学制度が発足したその当時と現在とでは、あるいはその学校数とか学生数などにおいて変化を来たしておるかどうか。もちろん変化を来たしておるわけでございましょうが、どういうふうな変わり方をしておるかという点をお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/4
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005・村山松雄
○村山説明員 短期大学の実情を発足当時と現在とにおきまして、学校数や学生数、それからその学科の内容等について対比して申し上げますと、昭和二十五年の発足当時におきましては学校数が百四十九校でございましたが、昭和三十九年度におきましては三百三十九校に達しております。二倍以上の増加を見ております。それから入学定員につきましても、発足当時の昭和二十五年度には約二万人でございましたのが、今日では四万八千人に達しておりまして、これまた二倍以上の増加を見ております。内容的に見ますと四年制の大学が主として男子の比率が高いのに比べまして、短期大学は女子が多くて、しかも女子の占める割合が年々増加するという傾向が著しい特色になっております。発足当時におきましては、短期大学におきましても男子六に対して女子四という割合でございましたが、昭和三十八年度になりますと、在学者におきまして、男子が三万五千人に対しまして女子が八万四千人に達しております。比率といたしまして三対七、女子のほうが男子の二倍以上という実情になっております。学科構成につきましても、四年制の大学が人文、自然、社会三鼎立の学問分野、それからすべての職業分野にわたって宇部、学科が設けられておるのに反しまして、短期大学のほうは家政学科あるいは文科系の学科が全体の六割を占めております。職業教育に関する学科は比較的少ないという実情になっておりまして、内容的にも四年制大学とはやや異なった特色を示して発展してまいりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/5
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006・上村千一郎
○上村委員 要するに短期大学というものが発足をしたいきさつ並びにその後のいろいろ変わってきた点につきまして御説明があったわけでございますが、この短期大学という制度が現実に社会の中へ根をおろしてしまったということは、もう否定のできない事実でございましょう。そういたしますと、この短期大学の位置づけでございましょう。要するにこの短期大学というものを四年制大学の中に位置づけたものか、それとも他の特殊な目的を持たせているのか、その点についてお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/6
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007・村山松雄
○村山説明員 短期大学の恒久化にあたりまして、この性格をいかに解するかということは基本的な問題で、種々検討がなされたのでございますが、結果におきまして、御審議いただいております法文に見られますように、大学の一種として性格づけ、位置づけをいたしました。したがいまして、学校教育法策一条に学校の種別が大学以下、幼稚園、特殊学校に至るまで掲げておりますが、この種別の一つとして短期大学という名称は掲げなかったのであります。学校教育法一条の関係では大学に含めて位置づけております。それから具体的な条章は第五章の大学の章にあるわけでございますが、ここにつきましても大学の章と別の章を設けるとか、あるいは大学の章の中でも別の節を立てるとか、すなわち大学とは全然別種の学校であるという位置づけはいたしませんで、大学の竜の中に特別の目的を掲げ、それに対応する修業年限の規定をし、それから以下短期大学の基本的構成が、学科構成からなるというような必要な事項を含めた一条文を起こすというかまえ方をしたわけでございます。
結論的に申し上げますと、大学の一種であるけれども、四年制大学とは違った目的を持っておる。したがって二年または三年という短期の修業年限で、主として実際的な職業やあるいは実際生活に必要な知識教養を与えることを目的とする高等教育機関の一種として位置づけた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/7
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008・上村千一郎
○上村委員 短期大学が四年制大学の中に位置づけた。もちろん四年制大学と違う点は、先ほどの御説明でわかりますが、そういたしますると、高等専門学校と違う点はどういう点ですか、お尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/8
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009・村山松雄
○村山説明員 高等専門学校は形式的に申しますと、学校教育法の第一条におきまして、大学とは別の種別の学校である旨をはっきりいたしております。したがって、内容的な点につきましても、大学の章とは別の章を設けまして、目的、性格それから必要事項を規定してございます。基本的に違いますのは、その目的が工業に関する職業教育をもっぱらやる点におきまして、四年制大学と違っており、また短期大学とも違っておるわけでございます。それから修業年限につきまして、大学、短期大学が高等学校卒業者を入学させまして、二年または三年、それから四年制ですと四年の修業年限を持っておるのに対しまして、高等専門学校は義務教育である中学卒業者を入学せしめておりまして、五年間の修業年限を待った機関でございます。年齢段階から申しますと、高等学校の段階と大学の前半二年の段階を含めました五年におきまして、しかもその間に前期、後期といったような区切りを設けて、五年間を一貫した職業教育を行なうところに高等専門学校の特色がございます。それが大学とも異なりますし、短期大学とも異なる高等専門学校の特色と鮮一口ってよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/9
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010・上村千一郎
○上村委員 そういたしますと、今度の学校教育法の一部を改正する法律案の第六十九条の二として、「大学は、第五十二条に掲げる目的に代えて、深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することをおもな目的とすることができる。」という点で短期大学の一つの目的を掲げておるかと思うのであります。そうしますと、この学校教育法の五十二条、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」 というふうに、いわゆる四年制大学の目的がはっきりされておる。それから高等専門学校の点を見ますと、七十条の二、「高等専門学校は、深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする。」 こう書いてある。これといまの六十九条の二とを比較してみますと、むしろ高等専門学校にその目的内容が近い状態に実際問題としてなっておる。これを照らしてみますと、「深く専門の学芸を教授研究し、」とあるが、高等専門学校のほうは「教授し、」とあって、「研究」ということばがちょっと抜けておる。それから同じく七十条の二、「職業に必要な能力」とある。そこに「職業又は実際生活に必要な」と「実際生活」が入っておるのであります。それだけが高等専門学校と多少違っておる。今度大学と違う点を見ますと、これは字数だけに限らず、大学の場合は「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、」これだけ抜けておる。それから「知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」これはこの四年制大学の中にははっきり書いてあるが、今度の六十九条の二、要するに短期大学の中にはこれが抜けておる。そうすると内容的に見ると、むしろ高等専門学校に近い目的内容を含んでおるように見えるが、その点についてはどういう御見解を持っておられるか、お尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/10
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011・村山松雄
○村山説明員 御審議いただいております学校教育法改正案の第六十九条の二に掲げました短期大学の目的の規定は、御指摘のように、字句の上から見ますと、四年制の大学の目的規定でありますところの第五十二条との開きのほうが、高等専門学校の目的であるところの第七十条の二の規定よりもはなはだしいといったような感じを受けるわけでございます。そもそも今回の学校教育法改正、つまり短期大学の恒久化をはかるにおきましては、短期大学が発足以来十余年間に果たしてきた役割り、実情に即してこれを恒久化しようという基本的な考え方があったわけでございます。そういう点から申しますと、改正前の、現行法の短期大学の位置づけは、目的規定は、現に第五十二条をかぶっておったわけでございまして、単に修業年限の特例という形で短期大学は存在してまいったのでございますが、実際問題といたしますと、短期大学の設置に関しまして自主的に短期大学の設置基準というようなものを設けて、それによって短期大学を設置し、運営してまいったのでございまして、その自主的にきめておりました短期大学の設置基準を見ますと、今回御審議願います第六十九条の二の目的規定とほとんど同じような目的を掲げて、現実に短期大学は設置され、運営され、そういう目標のもとに発足当時に対比いたしまして、学校数におきましても、学生数におきましても、二倍以上に達するという発展を遂げてまいったのでございます。
そこで私どもも立案するにあたりまして、五十二条と七十条の二の間において、修業年限が短いということに着目して独自の目的を立てたい、いろいろ考えたわけでございますが、短期大学が現在まで存在し、発展してまいった現実の目標を尊重するのが今回の恒久化の趣旨に一番即するのであろうということで、御提案したような表現を短期大学の目的として採用することといたしたわけでございまして、これによって従来の短期大学の実体を変更するというようなことではなくて、むしろ従来の実態に即して恒久化ができるのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/11
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012・上村千一郎
○上村委員 実は私がかかる質問をいたしますのは、冒頭に申し上げましたように、短期大学制度というものは要するに暫定的だけれども、もうすでに十四年を経過し、そして社会の要請にもこたえた、そして法文的には暫定的な制度になっておるけれども、実際問題としては恒久的な制度として社会の大地に根をおろしている、こういうような意味から法改正をいたすということは、私は社会の要望にも、また期待にも沿うゆえんであると思うから、全幅的に賛成である。しかし、これをどういうふうに位置づけるかということは非常にむずかしい問題がある。それで、その大学をいわゆる四年制大学のほうの範疇へ近づけるか、あるいは高等専門学校校のほうの範疇へ近づけるかというよな問題に相なるであろう。しかし私は、四年制大学のほうへ近づけておいたほうがいいのじゃないか、こういうような意味において、この原案には賛成であるが、四年制大学と高等専門学校との間の大きな差というものは、要するに教育でありますからして、人格形成なりあるいは教養という部面についておろそかにすべきものじゃない、これが重点であることは間違いない。けれどもその中においても、高等専門学校の場合と四年制大学の場合におきましては、この学校教育法の規定においても、たとえば大学の場合に知的、道徳的及び応用的能力を展開させるというように、教養的な部面が相当重視されておる。高等専門学校の場合にはその文句がない。しかも先ほどの御説明によれば、短期大学制度の発足の当時から現在までの経過、変遷を見ますと、いわゆる女子の関係の短期大学というものが、社会の要請でございましょう、非常に発達した。だから、先ほどのように男子と女子では三対七、二倍以上の学生数に相なっておる。こうすると、わかりやすい話でいえば、女子としましての家庭生活に入るところの最後の仕上げとして非常に適しておる制度に相なっておるのではななかろうか。そういうような観点からいたすならば、私は、この大学の五十二条の規定の中にありますように、教養的部面というものについてもっと重点を置いていくというようなものの考え方のほうが、現在の短期大学制度に適するのではなかろうか、こういうような点からいま御質問をいたしておるわけであります。実は短期大学の目的としまして「知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」こういう大学の目的を今度の改正案の中に載せていない。これはその点をむろん含んでおるという意味に解していいのか、あるいはそれを載せなかったために特殊な目的を持っておられるのか、その点について特に大臣にお尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/12
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013・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 およそ教育をいたします場合に、単なる技術のみを授けるということは、私は教育制度としては欠けるところがあるのじゃなかろうかと思います。いかなる場合においても、教育を受ける人たちが職業人、社会人として必要な、一般的な教養もあわせて受けるということは、常に配慮しなければならぬことではないかと思うのでございます。
今回の短期大学の目的についてでございますが、いわゆる四年制大学の目的に書いてあります字句と異なっております点は、四年制大学が一般教養を授けることを特に重視いたしておると思うのでありますが、ことばが過ぎるかしれませんけれども、大学は直接社会の要求に直ちに役立つということよりも、できるだけ人間の基本的な知能を発展させる、こういうふうなところに大きな重点があるのではないかと思うのです。その点に関しましては短期大学のほうがむしろ専門教育のほうに重点を置いている、こう申し上げてよろしいかと思います。もとよりいま申しました心持ちでございますので、短期大学が専門教育のための基礎教育、または職業人、社会人としての必要な一般教養を授けることを決して否定するものではない、適当にあんばいをいたしまして、そういう点についてももとより教育をしてまいらなければならないものと考えておる次第であります。ただ四年制大学と短期大学との重点の置き方という点に着目いたしまして、書き方を変えて特色をあらわした、このように御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/13
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014・上村千一郎
○上村委員 御趣旨はよくわかるわけでありますが、ただ希望的に申し上げますのは、短期大学の実態というものが、女子短期大学というものが二倍以上になっておるという実情というものを考えますと、短期大学の発足当時と現在の短期大学の実態というものにつきましてはいろいろ変化をきたしておる。そういたしますれば、私は、学科その他教授科目におきまして、一般教養というものもよく四年制大学の点も勘案しまして御指導を賜わりたいと思うのであります。そういたしませんと、高節専門学校と同じ範疇に入っていく状態であって、四年制大学の系列の中に入れたという趣旨が現実に明白になってこないというふうに思いますので、その点を御希望をいたしておるわけであります。
次に、この改正案というものは、短期大学制度に関する中央教育審議会の答申に沿っておるものかどうか、この点についてお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/14
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015・村山松雄
○村山説明員 短期大学制度の改善に関しましては、中央教育審議会は実はいろいろな角度から何度か審議いたしております。特に短期大学制度の改善そのものを目標として答申いたしましたのは、昭和三十一年十二月の短期大学制度の改善についての答申でございます。その答申の骨子は、暫定的な制度である短期大学は恒久的な制度にすべきである。短期大学が発展してまいりました職業または実際生活に必要な学術、技芸を教授、研究する機関という存在意義を認めまして、そういうものとして、四年制の大学とは別の目的、性格を有するものであることを明らかにして恒久化しろ、こういう答申をしたのでございます。その後も、たとえば科学技術者教育の改善についての答申、あるいは昭和三十八年に出ました大学制度全般に関する改善の答申におきましても、中央教育審議会におきましては、短期大学を当初に取り上げました三十一年の答申の趣旨に沿って恒久化すべきだということを重ねて確認いたしております。したがいまして、このたびの改正案は、これらの中央教育審議会の答申の趣旨に浴ったものというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/15
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016・上村千一郎
○上村委員 この中央教育審議会の答申は、この短期大学の位置づけについてはどの線に沿っておくのがいいのかという点まで触れておりますか。その点もひとつお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/16
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017・村山松雄
○村山説明員 四年制大学とは別の目的、性格を立てて恒久化しろということをいっております。しかし、どの程度別にすべきかというようなことにつきましては、詳細の点には触れておりません。それから、中央教育審議会におきましては、一時は専科大学的なものに改善したらどうかという意見もあったわけでございますが、その問題は前回の学校教育法改正によりまして、高等専門学校制度ができましたので解消いたしまして、もっぱら四年制大学との対比においてもっと実際的な目標を立てて恒久化すべきだというように、中教審の意向は承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/17
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018・上村千一郎
○上村委員 そうすると、この短期大学は四年制大学とは目的をある程度異にしておるから、それは明白にして恒久化するがよかろう、そしてそれはいわゆる四年制大学の系列のもとに位置づけていくというほうがよかろう、これははっきり言っていないけれども、その趣旨だ、だからその趣旨に沿って今度の改正案は立案されておるのだ、こういうふうに承っておいてよいかどうか、なおお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/18
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019・村山松雄
○村山説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/19
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020・上村千一郎
○上村委員 私はいまのお説のほうがいいというふうに思っておる一人です。そしてこの見解、今度の改正案の方針、そういうものについての短期大学関係者の方々の御意見もいろいろあるかと思いまするが、その点についてひとつお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/20
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021・村山松雄
○村山説明員 短期大学関係者と申しますと、現在短期大学は国立、公立、私立三種類ございまして、それぞれ協会を結成いたしております。文部省としては、個々の短期大学全部の意見というのもたいへんでございますので、主として協会の意見ということで関係者の意見を従来拝聴してまいったわけであります。そのうちで、国立の短期大学協会はあまり明確な意思表示をされておりません。それから公立の短期大学協会におきましては、一時は専科大学的な方向にいくことを要望された時期もございますが、最近では実情に即した恒久化という方向で御意見を出されております。それから私立の短期大学協会におかれましては、これは終始一貫して大学の範疇において恒久化してもらいたい、こういう御要望を何度も出されております。もう少し具体的に申しますと、第一条の学校の種別を別にしないでほしい、それから第五章の大学の章の中で具体的な規定をして、別の章を立てるというようなことはしないでほしい、それから目的、性格については、四年制の大学と別の目的を立てることは差しつかえないけれども、著しく違った目的を立てることは困る、いずれにせよそういう趣旨が生かされるのであるならば一刻も早く恒久化してほしい、こういう御要望でございます。今回の改正案を立てるにおきましても、短期大学協会の御意向は内々伺いましたけれども、細部の点につきまして若干考え方の幅はございますが、究極的には各団体もこの方案の内容に御賛成で、一刻も早く恒久化してほしい、こういう御意向を出されておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/21
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022・上村千一郎
○上村委員 そうすると短期大学のほうからも、大体いまの四年制大学の範疇の中へ位置づけてほしい、こういうふうに承っておいていいのか。その点をもう一回お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/22
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023・村山松雄
○村山説明員 大学の一種として置いておいてほしい、大学の範疇から逸脱することは困る、こういうことであります。高専のほうにあまり近づくことは困る、言いかえればこういうことかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/23
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024・上村千一郎
○上村委員 次に、短期大学の学生の学科系統別の分布というものがわかっておれば、ひとつお答えを賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/24
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025・村山松雄
○村山説明員 現在の在学者を系統別に申し上げますと、在学者総数は約十二万人でございまして、そのうちで家政系統の学科が約四万六千人でございます。したがって、約四割ということになります。それから文科系統が約二割、それから法律、経済、商科といった法商経系統が約一八%、それから理工系の技術者の養成を目標とするものが約一三%、その他少数でございますが教育あるいは保育、音楽、美術、体育等がございます。
以上、大体家政、教育、保育、体育等の学科は性別で申しますとほとんど女子が大部分でございまして、理工系や法商経系は男子のほうが多いと思いますが、絶対数が理工系や法商経系が少ないものですから、性別で対比いたしますと、女子が七割、男子が三割というようなことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/25
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026・上村千一郎
○上村委員 私はこれをもって質問を終わるわけでございますが、最後に文部御当局に御要望しておきたいのは、ただいまの学科系統別の分布の詳細の御説明にもありましたように、家政系が最も多く四万六千人だということ、こういうような実態が結局短期大学の一番大きな社会的要望とともに、その実態を形成しておるだろうと思います。なお、短期大学に志望される方は実態としまして勤労関係、要するに勤労学生が多い。こういう意味からいたしまして、専門的な技術あるいはそういうものを教授、研究することが必要であることは論を待ちませんけれども、少なくとも四年制大学の範疇に入れた以上、要するに大学を卒業したということに対する社会の期待にそむかぬように、その教養的な部面、大学生にふさわしいところの卒業生を出すような配慮というものがなされなければならない、私はこういうふうに思うわけでございます。先ほども触れましたけれども、大学と称する以上一般教養というような面における重視というものを軽視してはならぬというふうな、意味におきまして特に御留意を賜わりたい、こういうことを付言いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/26
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027・久野忠治
○久野委員長 次に、私立学校振興会法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますのでこれを許します。落合寛茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/27
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028・落合寛茂
○落合委員 私立学校振興会法等の一部を改正する法律案につきまして、御当局に御質問をしたいのでありますが、法案に対する個々の問題につきましては、いろいろ疑問もあり、質問もあるのでありますが、この際は、私学振興会法の根本的な問題について検討の機会を与えられたという考えのもとに、総括的に本案に対して質問をしてみたいと思うのであります。
御承知のように、私学振興会が発足しまして、ことしですでに十二年をけみしております。その経過をいろいろな記録やその他で見ますと、きわめて不燃焼と申しますか、不完全燃焼と申しますか、出発当初のいろいろな理想的な考えからだんだん遠ざかっておるというふうに見られるのでありまして、まことにこれは遺憾であります。そこで今回また新しくこの振興会法に対して、各種学校の問題がそこに包括されるようなことになってまいりましたので、この際は、むしろ振興会法に対する根本的な検討をしてみたらどうであろうか、こう考えるものであります。
最初に、私、さきの委員会で問題にもなりましたが、学問の尊厳は画一的でない自由さにあるといっても過言ではないと思うのでありまして、遠くオックスフォードとかケンブリッジとかにその例を求めなくても、わが国の著名な各私立大学の持つおのおのの権威ある特徴、これがすでに国家的にあらゆる方面に貢献してまいりましたことは、いまさら申すまでもありません。しかるにどういうものか、従来長い伝統によりまして、わが国は官尊民卑というような風潮に災いされて、国立、公立の大学と、私立のそれの間において幾多の偏見が持たれてきておる事実は、今日でもなおこれが消え去ってないのであります。その最も顕著な一例を見ますと、その経営面において、これらの差別がそれを非常に雄弁に物語っております。で、私調査をしてみますと、三十八年度の予算面におきまして、国立大学七十二校、これは二十一万五千人ですが、これに要する経費が千百十億円、学生一人当たりの平均が五十一万五千円かかっております。わが国大学の教育の現状から言いまして、それならば私立大学の受け持つ学生はどのくらいあるかといいますと約六十万人、国民の要求しております大学教育の約七五%を民間で受け持っておる実情であります。これに対しまして、国がどれだけの補助、助成をしておるかといいますと、八億二千五百万円が私立大学研究設備助成金、これが学生一人当たり千五十六円平均になっております。それから理科特別助成補助金十四億九千二百一万七千円、一人当たたり一万五百九十四円、これを見ましても、国立、公立に比べまして、私立大学の経常費というものは、まことに軽微なものでありまして、国から受ける補助の率というものが驚くべき低率なものなのであります。私立大学の経営の内容等について見ますと、やむを得ず学生の授業料とかあるいは納付金、寄付金、その他足りないところは各大学がくめんをして、高利の市中銀行から借り入れ金をたいがいやっております。私今回二、三の著名な私立大学に参りまして、直接いろいろな収入財源とかその他それを確保する方法等につきまして見聞いたしたのでありますが、これは先日の委員会でも非常に問題になりまして、南先輩をはじめとして与党の方、野党の方すべてが一致して非常な議論が持ち上がったのでありますが、結局その私立大学に対する寄付金というものにも全部税金がかけられております。ところが国立、公立の大学に対する寄付金には税金が全免されている、こういう状態なのでありまして、これを要するに、最初に申し上げましたように、十二年前に私学振興会が設立されました当初のいわゆる理想的な考えからいうと、これはその理想からまことに遠く離れたものである、こういう事実がある以上、私は今日この私学振興会の性格というものをもう一度よく検討してみなければならないと考えるものであります。幸いにさきの委員会におきまして、この問題が提起されましたところが、灘尾文部大臣が答弁に立たれまして、はっきりと大蔵大臣とまっこうから対立するような答弁をされまして、私はこの異例なくらいと思われる文部大臣のき然とした御答弁に非常な敬意を表するものでありますが、この際ぜひこの振興会法の根本的な検討をしていただきたい、こう思うのでありますが、これに対しまして、文部大臣が先日御答弁くださったように、そのお考えは今日でもそのままであるかどうか、さらに大蔵大臣をここに呼んで、文部大臣と大蔵大臣、大蔵、文部が相ともに、ここで何と申しますか、両者の主張をわれわれ委員の前で、委員会において、対決をしていただいて、そうしてあくまでもこの議会における一つの成果として、これがわれわれの望んでおります私学に対する寄付金にも、決して将来課税はしないという実際の政治上の確約をとりたいと私は思うのでありますが、これに対しまして文部大臣のお考えをひとつ率直にお披瀝を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/28
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029・八木徹雄
○八木政府委員 大臣がいまちょっと参議院の本会議に出ておりますので、私からかわってお答え申し上げます。
いま落合さんのおっしゃいましたように、私学がわが国の大学教育に果たしております役割というもののは非常に大きなものがあります。七〇%以上の養成をやっていただいておるわけでございますから、政治がこれに無関心であってはならないことは言うまでもないことでございます。いままで文部省がとっております基本的な態度というものは、前にも大臣が申しましたように、私学の自主性というものを尊重しながら、しかも私学の困難な事情をどのように政治がバックアップしていくか、こういうことだと思うのであります。その前提に立って、一つは私学振興会の基金というものを充実強化さしていこうというやり方、これは私学の施設というものをそれによって有利に確立できるような方策という意味の前提に立って、これがなされておるわけでございます。いま私学の拡充計画が非常に大きいわけでございますから、それだけに年々振興会出資金、あるいは昨年から財政投融資の投入といったように思い切った措置をしながらも、なお要請と比べますならば足らないところがあるわけでございます。その意味でいよいよ高等学校急増が終わって、大学に生徒が殺到するという時点でございますから、これから後も振興会出資金に対するあるいは財投に対する金額というものをうんとふやして、施設設備の面において私学が高利の金を借りないでもやれるような対策を考えていくということが一点あろうか思うのであります。幸いに財投の金が昨年が二十億で本年が四十億というふうに、倍増をいたしておるわけでございますので、このベースの上に立ってそれらの資金源というものの確保に努力してまいるということが一点あるわけでございます。それから、それ以外にいまおっしゃられましたように、理科教育、産業教育というものの充実強化というような意味におきまして、私大の研究設備助成、あるいは理科特別助成という道を開いておるわけでございますが、助成というものがこの二点に大体しぼられる、共済組合の補助金がありますけれども、学校自体に対してはこの二点にしぼられておるわけでございます。
そこでいま落合さんのおっしゃられました私学の経営というものがいま非常に困難である。その経営の困難性を私学はやむを得ず、たとえば授業料の値上げであるとかあるいは入学金の増額であるとかいったようなことによって、ようやく当面を糊塗しておるという姿は、政治が冷淡ではないかというお話であると思うのであります。その点については全く現実はそのとおりであろうと思うのでありますが、それならば先ほど言った学問の自由あるいは私学の自主性というものとからみ合わせながら、国が経営補助をやり得る可能性がどの程度あるかということについては、なかなか問題のあるところであろうと思うのであります。その点については私学側にもまだ完全な意見の一致を見てないようでありまして、この際経営の補助を思い切ってやるべきであるという議論をなす方々、そういう議論をされる中には三分の一の経営補助が出せるようにすべきであるという意見を述べられる方があるかと思えば、一方にはそういうようなことをやって文部省の介入を許し、あるいは会計検査院の介入を許すということは、私学の自主性に対する侵害であるというようなことで、それに反対する者等もあったりいたしますので、まだ議論が完全に一致しておるとは言いがたい事情にあるのではないかと思います。文部省もそういうような現実の私学側の動きというものをながめながら、自主性を尊重しながら助成し得る方法はどういうものであるか、いま検討をいたしておるというのが現実の姿であります。
第三点としていま落合さんのおっしゃられました私学の経営安定あるいは施設の充実強化のための一つの手段として、いわゆる寄付行為に対する画期的な措置をやるべきである、これは異存のないところであります。現実にはここ数年来あるいは相続税問題に関して道を開いた、あるいはまた法人税や個人の所得税等も幾らか緩和措置を進めておりますけれども、その現実はまだ十分であると言いがたいわけであります。その意味で大臣も前回のこの答弁において、これから後その寄付行為というものがもっと安直に、しかも大幅にできるような態勢をしくようにしたい、こういうふうに言われたのはその意味であります。そのことについては文部省自体として何ら反対することはないのでありまして、これから後も努力することは間違いはございません。ただ一言、この間の質疑で、私、聞いておりながら感じたことでございますけれども、現在私学が寄付を要請する場合に、いわゆる施設整備等によってこの寄付を行なうという場合には、指定寄付制度というのがあります。これはこれこれの施設を充実するために免税をしてくれということで要請した場合に、もちろんそれは国税庁のほうの許可が要るわけでありますけれども、大多数の学校はその指定寄付の恩恵を受けられる余地が残っております。その指定寄付の制度によった場合には、これは言うまでもなく免税になるわけでございます。問題は一般寄付の場合にもう少し弾力的な運用ができるようにせよということではないかと思いますので、その指定寄付という制度の大幅な活用をはかることも一方にしながら、一方一般寄付というものがもう少しやりやすいようにするということに、文部省も大蔵省に対して強く要請しなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。そういう考え方の上に立ってこれから後も相ともにひとつ努力をし合って、りっぱな成果をおさめるようにこれからし向けていきたいと思っておりますので、一そうのお世話をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/29
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030・落合寛茂
○落合委員 次官の表明の誠意あふれる点はよくわかりますが、私はそれをお聞きしたいのではないのでありまして、要するに大臣がこの間ああいうことを確言された以上、委員会に対してどういう処置をとられるか、先ほどの理事会で仄聞しておりますと、大蔵大臣もどうしても呼ばれるというようなお話なんでありますが、そういう具体的な点につきまして理事会の何があったと思いますから、ひとつ委員長先ほどの理事会の決定をお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/30
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031・久野忠治
○久野委員長 前回の委員会の際にも申し上げましたとおり、当委員会に大蔵省の関係方をお呼びしまして、この法案の審議を進めていきたい、私もかように思ってせっかく努力中でございます。できる限り早い機会に実現いたすよう努力いたすことを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/31
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032・落合寛茂
○落合委員 それを伺いましてまことに力を得たわけでありますが、結局いまの非常に乏しい私学の財政で、寄付という問題は実際に聞いてみまして非常に大きな問題になっておるわけでありまして、前年度は百四十億程度であるそうでありますが、もし税金はかからないというようなことになっていきますれば、これが非常な額にふえていくだろうということは当事者が言っております。そういう問題であり、そしてまた授業料とかその他無理をしてまで金を集めておる現状であることを考えてまいりますれば、大蔵省が文部省の何によりまして、当然これは常識的にだれが考えてもあたりまえなことなのでありまして、法の盲点を悪用と申しますか善用と申しますか知りませんが、大蔵省があべこべに法の盲点を利用して、私学を苦しめておるといっても過言でないと私は思うのであります。だからして、こういう問題を解決することこそ国の政治だ、こう私は思うのであります。それをただいたずらに法理的な解釈で糊塗していくというようなことでなしに、どうかひとつ、この際この問題をとことんまで法理的にもすべての上から洗っていただいて、結論を文部大臣と大蔵大臣との間で出していただきたいということをぜひとも私はお願いしたいのでありますが、幸いにここに大蔵省の税制第一課長さんがお見えになっておるようでありますから、大蔵省としての考えをこの際伺っておきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/32
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033・山下元利
○山下説明員 ただいま御指摘の点について、お答え申し上げます。
ただいまも文部政務次官からお話がございましたように、私立学校に対する寄付金につきましては、指定寄付金という制度がございまして、その指定を受ければ、たとえば会社等が寄付をいたしました場合には、損金に算入することができるというシステムになっておるわけでございます。したがいまして、われわれのところで、学校から指定寄付金のお話がございました場合には、それの要件に該当いたしますものにつきましては、大蔵大臣が告示いたしておりますので、三十八年の数字はわかりませんが、三十七年で六十億程度の承認をいたしておる次第でございます。ただ、ただいまも次官からお話がございましたように、この制度は、「国文は地方公共団体に対する寄附金及び大蔵大臣の指定した寄附金」こうなっております。国または地方公共団体に対する寄付金は、いわば無条件に指定寄付金、つまりそのまま損金にできる。それ以外のものにつきましては大蔵大臣が指定する。この大蔵大臣の指定いたしますにつきまして要件がございまして、ただいまの要件では施設等に使われる場合はよろしゅうございますが、一般寄付とおっしゃいましたが、普通の維持費とか経営のためのものにつきましては認めないというたてまえになっております。これはやはり、国に対して納められる税金というものを納めないで使われる目的が何であるか、国に納められると同様に公共的なものについてはそのような指定をしてもいい、そうでないものにつきましてはこれは指定がないというたてまえになっております。
ただもう一点申し上げますと、この指定寄付金の制度は単に学校だけではございません。ここにも書いてございますとおりに、「教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献」と広く学校教育以外に社会福祉等につきましても同様の問題があるわけでございまして、国に対する寄付とそれ以外のものに対する寄付とをどのように扱うかという点につきましては、やはり相当の違いがあるのではないか、かように考えておりますので、その点を申し上げます。
なお今後文部省の御意見も承りまして、大蔵省としては検討を進めていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/33
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034・落合寛茂
○落合委員 いま伺いますと、学校に対する寄付も一般のものに繰り込んだように考えられますが、学校だけの取り扱いということはできないものなんですか。たてまえ上どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/34
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035・山下元利
○山下説明員 最後に私が申し上げましたとおりに、この指定寄付金と申しますのは、学校のみならず、ほかのものにつきましても国に対する寄付金と同様な寄付金を指定するということになっておりますので、単に学校だけについてその要件を緩和するかどうかにつきましては、他の事業との関連も十分考慮いたさなければならぬという点がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/35
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036・落合寛茂
○落合委員 そうすると大蔵省は、学校経営というものは営利事業とみなしておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/36
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037・山下元利
○山下説明員 学校経営自体を収益事業とは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/37
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038・落合寛茂
○落合委員 そうするとただいまおっしゃった、寄付をもらったところで維持費とか経営のためのものには使えないという根拠はどこから出てくるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/38
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039・山下元利
○山下説明員 私の説明が多少不十分でございましたが、この指定寄付金の制度は、営利事業については全然問題にならないわけでございます。すベて公益事業についてのことでございます。その点はっきり申し上げておきます。公益事業と申しますのは、ここにも書いてありますように、社会福祉であるとか、文化の向上であるとか、教育の振興であるとか、すべて公益事業でありまして、営利事業につきましては、すべて指定寄付金の制度の入り得る余地もありません。ただそういう公営事業の場合にも、学校教育のほかに、いわゆる一般の文化の向上であるとか、社会福祉であるとか、いろいろなものがございますので、そうしたものにつきましてもあわせ考えなければならない、かように申し上げておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/39
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040・落合寛茂
○落合委員 そうすると学校のいわゆる事業というものは公益事業に入らないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/40
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041・山下元利
○山下説明員 学校の事業は当然公益事業であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/41
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042・落合寛茂
○落合委員 それならばすべて学校の寄付金というものを受け入れてもいいはずじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/42
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043・山下元利
○山下説明員 公益事業でございましても、それに対する寄付金をすべて免税にするか、それに対する寄付はすべて、会社等が寄付いたしますれば、それを損金に算入することができるかということにつきましては、これは税制上非常に重大な問題でございます。国に対する寄付金、それ以外に公共事業をなさっておる一般の民法法人等に対する寄付と同じに考えるかどうかということは、税金の本質に関係してくる問題でございまして、公益事業に対する寄付金をすべて免税にするということにはいささか問題があるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/43
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044・落合寛茂
○落合委員 そういう問題はだれがきめるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/44
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045・山下元利
○山下説明員 法人税法の施行規則で一般的な寄付金の限度をきめておりますが、その限度とは別に、政令で大蔵大臣の指定したものについては全額損金に算入することになっております。大蔵大臣がその政令によりまして指定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/45
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046・落合寛茂
○落合委員 ですから、問題をもとに返して、どうしても大蔵大臣に委員会に出席してもらう、そうでなければこの問題はどうしても取り下げない。皆さん賛成してくださいますか。(「賛成だ」と呼ぶ者あり)各大学に行っても、理事会で学者たちが集まって論議をしていることも、全部この問題なんです。この不合理をどうして政府で是正してくれないのだろうかということは、これはもうすべての声なのです。ですから私は、ここまでよく煮詰まっている問題なのでありますし、少なくとも賢明なる文部大臣はかくのごとく確信もしておるわけでありまして、要するに、問題は大蔵大臣の考え一つでどうにでもなると思いますから、この際ぜひとも大蔵大臣にこの委員会に出ていただいて、文部大臣とわれわれの前で対決してもらうことを条件にして、私の質問を中止いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/46
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047・久野忠治
○久野委員長 ただいま御要望の件については、先ほど申し上げましたとおり、委員長におきましてせっかく努力いたしたいと存じます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/47
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048・久野忠治
○久野委員長 次に、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。
文化財保護に関する調査のため、小委員十名よりなる文化財保護に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/48
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049・久野忠治
○久野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
ただいま設置いたしました小委員会の小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/49
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050・久野忠治
○久野委員長 御異議なしと認めます。それでは小委員会の小委員及び小委員長の氏名は追って公報をもってお知らせいたします。
なお、小委員会の小委員及び小委員長の辞任の許可及び補欠選任並びに参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、その期日、人選その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/50
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051・久野忠治
○久野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
本日はこの程度にとどめ、次会は来たる五月八日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02219640424/51
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