1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月十三日(水曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 坂田 道太君 理事 長谷川 峻君
理事 三木 喜夫君 理事 山中 吾郎君
木村 武雄君 熊谷 義雄君
谷川 和穗君 床次 徳二君
橋本龍太郎君 松田竹千代君
松山千惠子君 落合 寛茂君
川崎 寛治君 前田榮之助君
和田 博雄君 鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
文部事務官
(大臣官房長) 蒲生 芳郎君
文部事務官
(大学学術局
長) 小林 行雄君
文部事務官
(管理局長) 杉江 清君
委員外の出席者
専 門 員 田中 彰君
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五月八日
教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一二九号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一二九号)(参議院送付)
私立学校振興会法等の一部を改正する法律案(
内閣提出第一二二号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより会議を開きます。
教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。灘尾文部大臣発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/1
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002・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 このたび政府から提出いたしました教育職員免許法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
このたびの改正案は、高等学校教育の充実に資するため、高等学校の教諭の免許状について特例を設けるとともに、小学校、中学校、高等学校及び幼稚園の教員の免許資格を上進するために必要とされている在職年数の取り扱いを改め、教員の資質向上への意欲を助長しようとするものであります。
まず第一に、高等学校の教諭の免許状の特例を設けたことであります。
最近に至り高等学校の教育が普及し、その教育内容も漸次改善充実を見つつありますが、高等学校においては、小学校または中学校と異なり、普通教育とあわせて専門教育をも施すのでありまして、技能に関する教育、指導が特に必要とされる分野が多くなっております。これに対し、現行の教員免許状は、教科の全分野について、大学において所要単位を包括的に履修した者に授与されるたてまえになっておりまして、特定の分野のみについて深く指導を必要とする場合に対処するためには必ずしも十分とは申せません。
このため、特定の技能に関する分野に限って、大学の教育を受けたかいなかの別を問わず、文部大臣が行なう試験によって、教員として適当な資質、能力を有すると認められた者に対し、教諭免許状が授与されるものとし、現行の包括的な教科の一部に属する専門的な事項の教授を担任できるようにしたものであります。
なお、この高等学校教諭免許状を有する者は、中学校におけるこれらの分野の教育を担任する教諭または講師になることができる特例を当分の間認めることとし、中学校における教育の充実にも役立つようにいたしました。
第二に、小学校、中学校、高等学校及び幼稚園の教員免許状について、その免許資格を上進させる場合に必要とされる在職年数の取り扱いを改めたことであります。
教員の上級免許状の取得は、良好な成績で一定年数勤務し、かつ、大学において所定の単位を修得した場合に認められることとなっております。この場合、各学校種別に教員の担当する職務の専門性に着目し、修得すべき単位はもとより、必要な在職年数も当該学校に関するものに限ることを原則としております。過般、盲学校、聾学校及び養護学校の各部の教員の在職年数を、その者の所持する小学校、中学校、高等学校及び幼稚園の教員免許状を二級免許状に上進する場合に通算するよう措置しましたが、今回これらの教員の職務の類似性にかんがみ、資格上進のすべての場合に在職年数を同様に取り扱うことといたしました。これにより、教員の資質向上への意欲を助長し、当該教員の利益を保障できるものと考えます。
なお、中学校または高等学校の実習教科関係教員の資格の上進の場合においても、実習助手を含めて、さきに述べたところと同趣旨の取り扱いをすることといたしました。
この法律は、公布の日から施行することといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上御賛成くださるようお願い申します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/2
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003・久野忠治
○久野委員長 以上で、提案理由の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/3
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004・久野忠治
○久野委員長 次に、私立学校振興会法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/4
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005・山中吾郎
○山中(吾)委員 この法案の質問の前にお聞きしたいことが一点ありますので、大臣にお聞きしておきたいと思います。
前の文教委員会のときに、在外邦人の子弟の教育について、国内に高等学校または中学校を設置することを要望しておきました。外務省もそこに一緒におったわけですが、大臣はその点については十分に努力するというお答えを受けたと思うのですが、その後新聞には、外交官で国内に帰ってきて、その子供たちを日本の一般の学校に入れたけれども、教育課程が違う、日本語は十分しゃべれないというようなことで、ノイローゼになって、そして母と子供が心中をした、親子心中をしたという暗い記事が載っております。その父親というのは、農林省から派遣された在外外交官、まあ臨時外交官というかっこうになる人のようでありますが、どこの大使館に行きましても、各省から派遣をされた参事官、その他がおるようであります。理事官ですか、おるようであります。国内に帰ったときに、日本語はしゃべれない、日本の教育課程を受けていない。したがって子供は劣等感を持つ、ノイローゼになる、大学には入れない、そういうふうなことの中であらわれてきた現象で、その奥にはいろいろとそういう悩みを持った家族がずいぶんおると思うのであります。在外勤務する日本の国家公務員その他は、絶えず交流をいたしておるわけでありますから、ああいう記事を見たについて、ぜひ、少なくとも国内において特別の教育のできるような、在外邦人の子弟だけを収容するところの中学、または高等学校をつくってやらないと、再びそういうことが繰り返されることを明らかに私は感じました。その記事は文部大臣もきっと見られたと思いますが、この間の論議の数日あとにあらわれたものでありますから、そういう点も特に留意をされて、来年度の予算には一つの実現する課題として御努力を願いたい。その場合に大学の付属高等学校あるいは付属中学というものを構想すれば、国立高等学校、国立中学ができるわけでありますから、東京都立に頼むということはないわけでありまして、そういうふうな設置の方法についても国立という姿の中で、日本の外交の発展のために派遣をする人々の子弟であるので、国の責任において特別の教育施設を持ってやるということが当然であると思いますので、そういう方法についても含んで、文部大臣が来年度必ず実現してやるということの積極的な御答弁を私はこの機会にしていただければ、外交官の方々もずいぶん安心をされるのじゃないかというふうに思うので、また予算的にはほとんど私は要らないと思います。そういうことを考えるので、この機会に大臣に、念のための質問というのは申しわけないのですが、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/5
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006・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 ただいまの御質問、先般もきわめて御熱心な御質問でございましたが、問題は文部省といたしましてもかねてから関心を持っている問題でございますので、御趣旨の点を十分尊重いたしまして、具体的に積極的にこれが実現に努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/6
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007・山中吾郎
○山中(吾)委員 なおこの機会でございますので、大学の付属高等学校、付属中学という構想は、伝統的には日本の場合は教員養成のための実験学校としての、大学の学芸学部の付属中学、高等学校だけの考えしか持っていない。その考えをもう少し拡大をして、農学部の付属農業高等学校として、そしてもっと農業経営者の実態に合うような、日本の農業の近代化のために役に立つ経営者を養成するという教育方針を十分やれる、そういう付属農業高等学校、こういうことから、あるいはさらに日本の教育というものを、もっと科学技術教育についても、後期中等教育の中でこういう実験的なものをやってみようということも含んで、工学部に付属工業高等学校をつくるとか、いまのように在外子弟のための付属高等学校をつくるというふうな、大学の付属の姿の中で教員養成を目的とした実験学校としての中・高等学校ばかりでなしに、農学部においても工学部においてもそういう部面の構想をもっと拡大をしてお持ちになって、そして日本の各県立、公立学校における教育のあり方を、まず最初に国の責任において、国の費用において先べんをつけて、そのモデルを見せるという着想をこの際少し拡大をして考えていただきたい。そうするとおそらく各県の古い習慣があってどうにもならない、すべての者が腹の中ではこう改革しなければならぬと思ってできない悩みというものを、国の力によって開拓ができるのじゃないかと思うので、この点もお考え願っておきたいと思います。御答弁いただければいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/7
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008・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 十分検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/8
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009・山中吾郎
○山中(吾)委員 それでは現在提案になっております私学振興会法の一部改正について御質問をいたしたいと思いますが、どうもこの法案の問題について根本的に一つ疑問がございますので、その点について局長から、この各種学校というのは学校教育法に基づいて学校教育法の八十三条ですか、これに規定された学校でありますが、「学校教育に類する教育」ということになっておるのですが、その点について学校教育でない教育というあいまいな概念が前提になって各種学校が出ておるわけです。そこで一体学校教育というのは文部省ではどういうものを考えておるのか、学校教育にあらざる教育というのは何か、これをひとつ明確にしておいていただかないと、この法案は学校教育に類する、学校教育ならざる教育に対する融資で、一つの新しい、学校教育にあらざるものに国が援助をする、あるいはある程度のタッチをするという法案なので、その点を明確にしておいてもらいたい。局長のほうからお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/9
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010・杉江清
○杉江政府委員 ここにいいます学校教育は、いわゆる第一条の学校をいうのであります。一条の学校は申し上げるまでもなく幼稚園、小・中・高等学校、短大、高専、大学、こういうふうにそれぞれ修業年限とか、教育内容についても国の基準がきめられておりますが、第一条の学校をさしておるわけでございます。それに類した教育を行なう、これを各種学校で一括しているわけでございます。この場合に類するということの内容が問題になっております。これについては法的な解釈は確定してないといっていいと思います。ただいわゆる一定の施設を持ち、組織的恒常的に一定の教育内容を行なう、そういうものをさす、こういうふうに私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/10
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011・山中吾郎
○山中(吾)委員 その御答弁では解決にならないので、いわゆる形式論理的に、第一条に規定しておる以外は学校教育ならざる教育だ、そういう御答弁を求めておるのじゃない。実質的に学校教育というものはこういうものだ。学校教育ならざる教育というのは中身からいってこうだ。その法律の規定によるのでなしに、実質的にどういう思想のもとに二元的にお考えになっておるのか、それを聞かないと——これはなぜかというと、部分的に法律で教育振興法と名のつくものは、国が援助する実は内容を持った法律なのであります。逐次出てくるわけですが、全体の終着駅がわからないのです。文部省が終着駅を持ってない。われわれもちょっとわからない。日本の学校教育制度はどこに終着を考えているかということを一応論議しないと、学校教育ならざる教育に対してまた少し援助が出てきた。そのうち補助の論理も各種学校団体から政治に働きかけてくるはずです。そこで一体文部省としての、学校教育というものについての確固たる実質的な定義ですよ。いまのような法律的な、一条に書いてあるのが学校教育でございますなんて、中身のない答弁ですからね。そういう答弁はぼくの質問に対する答弁にならぬと思うのですね。それをお答えできなければ研究して次の機会に答弁していただいてけっこうです。
それからいま局長が学校教育ならざる教育というものについては現在明確な規定はないのである、わからないというお答えがあったのですがね。そういうあいまいなお答えのままでいいのかどうか。それを含んで御答弁をいただきたいので、次のときでもけっこうですが、いま答えられるとすればその答えられる限界まで、中身で答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/11
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012・杉江清
○杉江政府委員 いま御質問のような意味の学校教育の概念、定義ということは、十分御期待に沿うようなお答えはいま直ちにはむずかしいと考えます。ただ私常識的に考えまして、教育という事業は国の重要な事業であって、これをその公共性と一般性とを考えまして、国民の心身の発達に即して最も合理的な編成のしかたということがそれぞれの状況に即して考えられるわけだと思います。この学校教育のあり方というものはもちろんそれぞれの状況によってそのあり方が違う。しかし戦後の日本におきましては六三制という学校教育の一般的なあり方が規定された、これが教育を行なう上に最も合理的なあり方だ、こういうふうに規定されて、いまの幼稚園、小・中・高校、短大、高専、大学というようなものが規定された。これが国民の教育機関として代表的なものであり、最もその整備、充実、その発展に努力すべき国の教育機関だ、こういうふうにまず規定いたしまして、そして、しかし教育の仕事はそういうふうないわば定型的なものだけではおおえない面がある。そこでその教育及び教育機関をもっと広くとらえて、その正しいあり方を助長するような国の施策が必要になってまいる。そこで第一条の学校、ただいま申し上げたような定型化された学校教育のほかに、それに類する教育を行なうものを一括して各種学校としてとらえたものだ、かように私は理解しております。そういうふうな、いわゆる定型化された学校というものからはみ出るものにもなお教育の重要な機能がそこに営まれる、そうしてまたその教育の公共性、一般性に着目してそのあり方についても国は十分注意し、その健全な発達を見るように努力する必要がある。こういう意味においていろいろな面においての助成をすると同時に、規制の手段が考えられておるのだ、こういうふうに私は理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/12
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013・山中吾郎
○山中(吾)委員 少しわかったようなわからぬような感じですがね。公共性という一つの実質的な規定が出てきたわけです。公共性の非常に濃厚なのは学校教育だ。公共性と一般性ということばが使われた。公共性と一般性の希薄なものが学校教育ならざる教育だ、こういうことですか。それが一つ。
それから社会教育と学校教育という二つの分類が、戦後のわれわれの常識にあって、このほかに何か学校教育ならざる、社会教育ならざる教育があるというアイデアの中にこの各種学校というのがあるのですか。どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/13
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014・杉江清
○杉江政府委員 一般性、公共性の概念も必ずしも明確でないと思います。しかし、小中の義務制にとってみれば、すべての国民がその教育を受けなければならないという意味においてきわめて一般的であり、公共的である、また国民の人間形成の上においてきわめて大きな意義を持つ、こういう実質的な意味におきましても、その公共性はきわめて高いと思います。それじゃそれからはずれたいわゆる学校教育に類する教育を行なうものが、その教育的意義において薄いかどうか、そういう比較は私はかなりむずかしいと思います。
ただ、そこでの差異は、一般性において差があるように私は思います。各種学校のあれから見れば、それは教育として非常に高い意義を持ち、社会的にきわめて有用な機能を持っている各種学校が相当あります。だから、それらかいわゆる公共性——公共性の意味いかんでございますけれども、それが何か教育機関として意義が一段と低いというふうには、必ずしも言えないのではないかと思います。むしろ基本的、基礎的なものであり、より一般的なものであるという意味において、私は第一条学校のほうにそういう点において特色がある、各種学校のほうはいわば特殊な意味を持っているのじゃないか、そういうふうに考えておりますが、必ずしも十分なお答えになっているかどうか疑問でございますけれども、一応私の考え方を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/14
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015・山中吾郎
○山中(吾)委員 わからないですね。それなら、たとえば電気通信大学なんか非常に狭い技術を目的としておる。これは大学として認可をされておる。ところが、一方に被服あるいは料理、自動車という学校は各種学校にされておる。そうすると、あなたの言う一般的であるかどうかということについては、各種学校といわゆる学校との区別の基準は現実に合わないと思うのです。それから公共性ということについては、どの教育だって公共性があるので、一体公共性のない教育というのはちょっとわからないのです。それはもう教育じゃないのじゃないかと思うし、そういうことを考え、また学校教育、社会教育以外の第三の教育を考えて、各種学校という一つの制度を学校教育法の八十何条かに規定されておるのかどうかお聞きしたら答弁がないのですが、いずれにしてもこういう各種学校というものを日本の学校制度の中に明確に位置づけをされないで法案を出されて、これはいま融資の法案ですが、次は補助が出る可能性はあるでしょう。ぼくは反対しているのじゃないですよ。出すべきなら大いに出していい。そうしてこの法案の中に、その各種学校に対して補助をするのでなくて、そのうちの科学、医療その他の関係だけに出すという中身を前提としておるわけで、もう少しその辺を、基礎的なものの考え方を吟味していただいて、われわれ審議をする者には明確な一つのめどを与えていただかないと、この法案には簡単に賛成申し上げられない。きょうあげろといっても無理なのであって、そこでもう少し論議をしていただいて、みんなにわかるように答弁をいただく必要があると思うのです。お話を聞いておると、局長自身も、私に答弁しながら自分で半分くらいわからないで答弁をされておるような気がするのです。公共性ということを言われたけれども、一体公共的ならざる教育がどこにあるのか、それはないと思うのです。それなら薄いか濃いかということかと思って、どういうことを言っておるのだろうと、文部省で出しておられるこのプリントを見ると、何か法人になっておるのが公共性だというふうな説明にしか受け取れないのです。一、二とあります、二のところに、「各種学校の現状にかんがみ、これらの私立各種学校を振興するためには、その特色を生かし、かつ、これらのうち、公共性の高いもののみを包摂する学校制度の創設を検討する必要がある。」ここに公共ということばを使っておる。「しかし、これらの私立各種学校のうちでも学校法人および準学校法人の設置するものは制度上個人財産から完全に分離されていて公共性が高い」そうすると、法人に財産を移したものは公共性が高いという定義になっておる。「現行制度のもとにおいても国の助成の対象となし得るものである。」そうすると、文部省のお考えの公共性ということは、その学校の教育内容には関係ないので、経営主体が学校法人であれば公共性があるのだ、こういうお考えの説明にしか私は受け取れない。そういう浅薄なお考えで文教政策をお進めになることにはある意味では反対なんだ。その点はここの説明にある考え方がこのとおりなのかどうかということをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/15
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016・杉江清
○杉江政府委員 各種学校の行ないます教育のその個々について、それが公共性のある教育を行なっておるかどうか、その公共性が高いか低いかという判定は、個々具体的な事実に即して判断せざるを得ない。一般的にはその判断はむずかしいと私は思います。
ところで、国が何らかの助成その他の措置をいたします場合には、やはりもっと一般的なその制度の特色に着目して、その範囲を定めていく以外にはないと思います。そこで個人立の場合と法人立の場合とどっちが公共性が高いかということを一般的にいいますならば、やはり法人立のほうが公共性が高い、これはおそらく常識でもあろうと思うのでありますが、個人立の場合には、個人財産といわゆる教育事業に付随する諸般の財産、また個人の収支とその学校事業の収支とがほとんど一本になって分かちがたいような状態になっておる。だからいわゆる個人のもうけのために教育事業が行なわれる可能性がそこにかなりあると言っていいのであります。教育がもし営利のために利用されるという面が強く出ますと、それは教育内容そのものにもかなりゆがみが出るおそれがある。しかし、法人の場合、法人の公的な意味に即してそれが正しく運営されるならば、そのような弊害はないはずでございますし、実際にも一般的には比較的少ないと思うのでございます。そういう意味において、国が保護助成するという範囲をきめる場合には、法人立のほうが公共性が高いものとして、その範囲に限定するということは、私は、妥当な方法であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/16
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017・山中吾郎
○山中(吾)委員 教育の公共性という論議でなくて、国が特別の便宜を財政的に与えるわけであるから、その効果が個人の所有に帰するということは不適当であるから法人立のものに限るということだけなら私はそれは賛成なんですよ。しかしあなたのように、学校法人の経営だからその教育は公共性があるという、その論理を続けておれば、文教政策のどこかに間違いがくるのではないか。戦前の慶応義塾とか早稲田というものは、どんなに高い教育方針でりっぱな人材が出ておっても、個人の経営だからあれは公共性がないのだ、しかし法人にすれば公共性があるということになってしまうと思うのです。戦後は、全部学校法人に切りかえろという奨励政策があって切りかえつつあるから、事実においてはそう変わりはないと思いますが、学校法人だから公共性がある、だから補助するという考え方はおかしくないですか。ただ、援助した帰属が個人に帰さないで法人に帰するのだ、そういうものに対してだけとにかく国が融資を考えるとか免税するというならわかるのです。そうでなく公共性がない教育、それを何か各種学校にするとかなんとかという先ほどの説明もあるものですから、その点を明確にしていただかないと、ものの考え方が、法案が出るごとに思いつきの法案になってくると思うのでお聞きしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/17
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018・杉江清
○杉江政府委員 先ほども申し上げましたように、そこで行なわれておる教育の実質に着目いたしますならば、個人立の場合と法人立の場合とで形式的に区別することは、あるいは妥当でないということも言えるかと思います。しかし私は、学校法人立のものが一般的に制度として公共性の高いものだ、こういうふうな表現のしかたもあながち不当ではない、こう思うのであります。しかしその点は表現のしかたの問題でありますから、私の考え方を固執しようとは思いません。さしあたっては、この助成の対象の範囲をそういうように限定することが妥当だ、こういうふうな意味でけっこうでございますけれども、ただ、しいて申し上げるならば、そういった国が保護助成その他の規制の対象とする場合には、やはり制度として一般的にこれを評価し位置づけなければならない、そういう場合にはやはり法人立のほうが一般的には公共性が高いと判断するということ、そういう考え方も私は必ずしも不当でないというように考えてはおりますけれども、しかし繰り返しますけれども、その点については御指摘のような意味合いもあることでございますから、私は固執いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/18
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019・山中吾郎
○山中(吾)委員 この点はあと繰り返し御質問いたしませんが、私にとっては大事な考え方の違いがあるのです。あなたの考えておるところは、国立が一番公共性が高い、公立はその次だ、学校法人立はその次の公共性の低いものだ、そして純粋の私立のものは公共性がないのだという思想なんです。その思想が伝統的にあるから、国立、私立の場合の補助、融資の問題でも、この間大蔵大臣も来て論議をしておる要点の裏はそこにあるのですよ。そうではなく、その点考え方を直してもらわなければならぬと思いますのは、教育基本法に合致をし、そして現実に学校に関する法規があって、法規のもとにりっぱな設備があり、教師があり、教育内容もりっぱである、そしてある国立の新制大学よりもいわゆる私立の大学のほうが、内容的にも教育の方針その他でも数等りっぱな教育をし人材を出しているという事実もあるわけですから、公共性かどうかというのを経営主体によって、国立、県立、市町村立、学校法人その他というふうな形式的序列のもとにお考えをいつも持っておられては、ほかの問題にも影響してくるのでお聞きしておるのですか、局長の御答弁は、いま私が申し上げたそのとおりの考え方を持っておられる、それは撤回はしない、ただその問題の論議をすると長くなるからということで、あなたの答弁は法人を対象としてやるのだ、それは法人を対象として援助したものは、その所有は個人にいかないのだから個人の財産にならない、法人にいくのだから適当であると考える、そこまでは私は賛成ですよ。しかしその奥の思想については、あなたは依然として同じようなお考えで、あながち拘泥しないけれどもと言われながら、いつも拘泥されておるので、私学関係その他の問題でも、やはり来年度予算編成の場合については、そういう思想の中から迫力が出るはずがないと思うのです。そういう考え方を変えていかなければならないときがきているのじゃないか。だから国立大学の場合についても、国有民営という思想で国鉄ができたと同じように、東京大学は国有財産で国有民営、国有学校法人でもよいと思います。国有大学でも成り立つと思うんですよ。教育基本法ができておるのだから、文部大臣は十分にそれに対して行政的な立場というものを持っていけるのでありまして、何か国立という場合には、一つの伝統的な定着したものがあって、いまのような公共性も、そういう一つの伝統概念が入っておるのじゃないか、その点を申し上げておるのです。答弁があればお聞きして、あとはどんな答弁をされてもこれは終わりにして、次に移ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/19
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020・杉江清
○杉江政府委員 私は法人立と個人立の場合の区別について申し上げたのでありますけれども、いわゆる学校法人立と公立と国立とによって、第一条の学校にその公共性に差があるという考えは持っておりません。それは第一条の学校については、やはりその教育内容等は、すべて法律でその骨子についてはきめられておりますし、その他各般について国、公、私立を通じて同じ規制を受けておるわけであります。そうしてまた教育基本法にも、「法律に定める学校は、公の性質をもつ」という表現もありまして、その第一条の学校を、設置の区別によって公共性に差があるという考え方は持っておりません。これだけお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/20
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021・山中吾郎
○山中(吾)委員 それで学校教育ならざる、いわゆるあいまいな教育機関としての各種学校ですね。これを将来どこへ持っていくつもりですか。こういう学校教育ならざる類似の教育機関に対して、一つの法律をつくって融資も考え出してきて、やがて補助につながってくるはずです。府県では各種学校でも補助を出しておるところが相当ありますね。文部省としては、この学校教育ならざる教育の終着駅をどこへ持っていくおつもりですか。この法案についてはそれだけは御答弁になる責任があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/21
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022・杉江清
○杉江政府委員 前にもお答えしたことがありますけれども、各種学校の制度については、私は相当検討すべき多くの問題を含んでおると思います。これは臨時行政調査会からの御意見もありましたし、また税法上の扱いに関連しても問題が起こっております。またいわゆる後期中等教育の一環をになうという観点からも、この教育に着目しなければならない、こういう点もございます。そこで文部省といたしましては、この各種学校の問題点を究明し、その改善充実をどうはかるか、必要ならば新しい制度化の措置をすることもひとつ考えよう、こういうふうなことでいろいろ研究を進めております。そして私どもそういった研究の段階においてただいま持っております事務的な考え方を申し上げるならば、現在の各種学校はその形態においても内容においても運営においてもあまりに千差万別である、中には学校教育に類するというような概念でまとめて、何らか国がこれに広い意味における一つの保護を与えるというようなことが一体はたして妥当であるか疑わしめるようなものもあるわけでございます。一方また、非常に社会的に有用な機能を果たしている学校がたくさんある。そこで私どもはこの各種学校の中で、俗なことばで言いますれば、いいもの、望ましいものを一つの範疇にまとめてこれを制度化し、それに対して特別な助成をはかるというようなことば今後十分考うべき課題ではないか、こういうふうに考えております。ただそういった制度化の問題は最も慎重に扱わなければならない、相当な年月をかけて検討すべき課題だと思います。現実に各種学校が非常に有用な機能を果たしながら国の保護はあまりに薄い。そこでやはりこの中で一定の範囲を設け、その範囲のものについてはいままでよりも早急に保護助成の措置を講ずる必要がある、こういうふうな意図のもとに今回の構想が練られたわけであります。
そこで一応法律では法人立の職業技術を目的とする各種学校という範疇でしぼって、これを融資の対象にしたい、現実的にはいま科学技術者養成ということの緊急な要請に即して、その範囲になお融資の対象を限定しよう、こういうふうな趣旨で本法案を提案いたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/22
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023・川崎寛治
○川崎(寛)委員 関連。いまの局長の答弁で、育てるべきものを融資の対象にしたいというふうな御答弁だったと思いますが、大体文部省の資料によりますと、三十八年度で各種学校が七千八百二十校、百三十七万人の生徒がおるわけでありますけれども、この中で大体どれくらいが対象としていま考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/23
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024・杉江清
○杉江政府委員 まず学校法人立のものに限定いたしますから、法人立のものば全体の約一割でございます。だからその点でほぼ一割以下にしぼられるわけであります。それからなお理工系ということでしぼりますと範囲はぐっと狭まりまして、その範囲が一応私どもは三十校と推定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/24
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025・川崎寛治
○川崎(寛)委員 三十五年度倍増計画でも各種学校に対する育成の問題が出ておりますし、あるいは臨時行政調査会のいろいろな答申にも出てきておるわけであります。いま言われましたことからしますならば、七千八百二十校のうちにわずか三十校くらいだということになりますと、今回の振興会法の中で出てまいります融資の額というのはわずかに五千八百万ということになってくると、羊頭を掲げて狗肉を売る、まさにそういう感じがいたしてくるわけであります。そうしますと、後期の中等教育の中に組み入れてやっていくのだ、たいへんいいことを言っておるが、実際にはその中のわずか三十くらいのものを選び出してやっていくんだ、こういうことになってくると、千百三十数万という膨大な義務教育を終わった子供たちの教育の機関の中で組み入れたやり方としては、きわめて手が足らないといいますか、そういう指導の育成という面については足らないものを感ずるわけでありますけれども、この点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/25
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026・杉江清
○杉江政府委員 各種学校に対する融資というものを始めようといたしましたのは、後期中等教育の充実という観点からだけではないのであります。後期中等教育の充実という点では高等学校教育の拡充という問題もございますし、また青年学級の問題もあり、その他社会のいろいろな機関がそれを分担しておるわけであります。だからそれぞれの機能に着目してその充実強化をはかる必要があると思います。各種学校ももちろんその一端をになっておるわけでありますが、各種学校にはもちろん後期中等教育の範囲に入らないものも相当ある。いわゆる短大程度、大学の程度のものもあるわけであります。そういったものもひっくるめて特に助成を必要とするものに限って少なくとも融資だけはしてやろうというのが今回の趣旨であります。そこで一応法律では、いわゆる法人立の職業技術を目的とする学校、そしてもちろんなお、授業形態とか施設その他においてもしぼりをかけます。そこで、そういう結果、法律に表現されている範囲においては一割以下になるわけでありますが、一割の範囲に広げることにおいてもなお私学振興会からの貸し付け資金に限度がありまして、そう多くこちらへ回すことができにくい事情がありますから、まず窓口を開く、当面最も緊急なものにひとつ助成する、こういうことで、政令、省令ではその範囲を限定して、まず科学技術者養成に関連する部門のみその対象とする。だから当面は対象校がわずか三十程度でございますけれども、今後これを拡充強化する余地は残っておるし、そういう努力を今後払いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/26
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027・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そういたしますと七千八百幾つある各種学校のうち、ここで言っております公共性の高いものは一割以下の約三十校にしかすぎない、こういうふうに見てよろしいですか。
〔委員長退席、上村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/27
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028・杉江清
○杉江政府委員 七千八百ですから、その一割としては七百八十になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/28
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029・川崎寛治
○川崎(寛)委員 だから今度融資の対象にした……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/29
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030・杉江清
○杉江政府委員 法律でここにいう職業技術を目的とする各種学校等という範囲は一応七百八十なのですね。しかし現実にことしから融資する分野はなおしぼられるわけであります。そしてそれは政令、省令でしぼります。その結果ことし融資の対象になるものは一応三十校ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/30
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031・川崎寛治
○川崎(寛)委員 関連でたいへん恐縮ですが。そうすると一割が七百八十、そのうち今度しぼって一つの窓口、突破口として三十校ぐらいを対象にしようということになっていきますと、あと七千余のものは公共性はあまり高くない、こういうふうに見てよろしいわけですか。そうしますといろいろの倍増計画やら何やらで時代の要請としては非常に大きいのだが、それで育成していかなければいけない、こういうことになりますが、文部省の中でこの各種学校の教育内容について指導をする監督の担当はどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/31
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032・杉江清
○杉江政府委員 管理局の振興課でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/32
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033・川崎寛治
○川崎(寛)委員 その教育内容自体も振興課がそういう点に立って——つまり私が言っているのは、財団のほうは振興課だと思うのです。ところがその各種学校の教育内容自体を高めていく、公共性を持たせていく、こういう意味での指導機関はどこであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/33
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034・杉江清
○杉江政府委員 教育内容につきましては、初等中等教育に関する部面については、初等中等教育局の職業教育課、それから高等教育に関する面については、大学学術局の技術教育課で所管しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/34
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035・山中吾郎
○山中(吾)委員 いま私、局長と質疑応答しているのは、こういう法案を出したときに、各種学校を次第にいわゆる学校教育たる学校教育に引き上げる方針なのか、学校教育ならざる教育機関そのままで国が援助の手を差し伸べる方針なのかを実は見きわめたかったわけです。局長の答弁では明確でないわけです。それでいずれにしても、あいまいな学校教育ならざる教育機関があって、それに新しく国がタッチするという一つの新しい何が出たものですから、その各種学校そのものに対して、終着駅はどう考えておるかということは、実はいろいろな問題に関連するのでお聞きしておるのですが、その点について、いま直ちに大臣の即答は得られないとは思いますけれども、それは検討されるべきじゃないか。何となれば、私は学校教育というのは、法律的な形式論議でなしに、一般の学問、教養を高めるということと同時に、狭いけれども、現実の需要が非常に多い技術を主として教育するというものを、いまの思想は、教育の範疇に入れていない。したがって、たとえば何年か後に問題になる大学急増問題にしても、日本の産業に直接即した主として鉄鋼大学だとか石油大学であるとか、いま電気通信大学はありますけれども、高い技術で、そして狭くても深い、ひとつの大学構想というものが、これはここでそんな即答はできないと思うのですが、その論議というものが入っているならば、現在電気を主とするところの技術の教育であるところの各種学校、そういうものを学校教育から排除する思想とは合わなくなってくる。そういうことも含んで各種学校というものを具体的に法案として取り上げてくるならば、私はそれだけは明確に一方に検討しながらやっていただかないと、おかしくなるのではないか、こういう意味なんです。その点について感想くらいしか述べられないと思いますが、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/35
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036・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 各種学校は、御承知のように、各種学校という名のもとに包含せられております。内容的には千差万別と申し上げてもよろしいと思います。その各種学校の中にも、いろいろ教育内容のといいますか、教育目的の違ったものもございますし、同時にまた、たとえば同じ技術をやるにいたしましても、内容的にはずいぶん程度の違いもあろうかと思うのであります。だんだんとこういうようなものは動いていくと思うのでありますが、時世とともにいろいろ新しいものも出てくるでありましょうし、またどんどん伸びていくものもあるかと思うのであります。やはり文部省といたしましては、そういう変化、動き、進歩、こういうふうなものについては、常に注意を払っていかなければならないと思います。またその中でも、もはや内容的にも、また組織の上から申しましても、いわゆる学校というものと比べましても、何にも差異を認めることができない、こういうふうな段階にまでりっぱに発展しているものもあるいは現にあろうかと思うのであります。また将来もあるだろうと思うのであります。そういうふうなものにつきましては、やはりいまのままの各種学校という形態でやっていくのがよろしいかどうか。そうなりますと、これには特殊の考慮を払っていかなければならぬし、いまの学校の系統というものに入れるのが適当であるかどうか、これはいろいろ議論もあろうと思います。同時にまた、いまの制度とは違うけれども、現在の各種学校とは違った、特別な、もっとかっちりしたものとして扱っていったほうが適当だというふうなものも現に幾らかあろうと思いますし、これからも出てくるのではなかろうかと思うのであります。そういうふうなものにつきましては積極的にこれを、ことばは語弊があるかもしれませんけれども、いわゆる学校化していく、こういうふうな扱いも考えてしかるべきではなかろうか、このようには実は思っているわけでございます。
あまり専門的なこととなりますとはっきりしたことを申し上げかねるわけでございますが、私は各種学校というものの中にはいろいろある、その中には今後いわゆる学校というふうな程度の国とのつながりと申しますか、行政とのつながりを持った制度というふうなものも考えてしかるべきではなかろうか、このような考え方をいたしております。具体的にはいま結論を持っておるわけではございませんけれども、事務当局におきましてもやはりそういう趣旨の検討は今日いたしておる、私はかように考えておる次第でございます。その程度でひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/36
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037・山中吾郎
○山中(吾)委員 内容は千差万別のままで学校教育制度に持っていく方向にお考えになっているかどうかということを実はお聞きしたかったわけですが、たとえば自動車学校ですね。自動車学校というのは、自動車という狭い技術を目的とした教育機関であって、これは各種学校で学校教育とはされていない。ところがそこに人間形成というものが省かれておるので、学校教育として取り上げていないために、そこから出てくる者は酔っぱらいの事故を起こす者とか、そういう者が非常に多い。交通事故というものにも関係してくる。そうしてその制度は各種学校なるがゆえにまちまちであって、認可は文部省関係、実地の技術は学校、学科試験は公安委員会、三つ、四つに分かれて、かえ玉で幾らでも免許がとれる。お調べ願うと、全国の免許をとっている人の二割ぐらいはかえ玉でとっているというような事実も統計にあらわれているわけです。そういうふうなことがあるので、何か技術をおもな目的とした学校の中に、また一般教養を持っていって、技術を主とした高等学校程度の学校、大学程度の学校というものを、やはり終着駅として考えていくべきではないかと思います。大学問題については自民党では大学制度小委員長に坂田道太さんが、この間ちょっと公報を見たら出ておりましたが、あれは次の急増対策のほうかとも思うのですが、各種学校そのものの中に現実の需要があるので、どんどんふえておると思うのです。自動車、電気その他狭い、百種類ぐらいのものがある。それをあいまいもこにしておかないで、やはり大胆に一つのアイデアを出すべきだ。私らは私らで、また批判したり論議するかもしれないけれども、一応この法案がだんだん出てくる限りは、責任のある政治の立場で出すべきではないか、そう思うので申し上げたので、御検討願いたいと思います。
それから、大臣お出かけになるので、一つだけお聞きしておきたいと思うのですが、一たん社会に出た者を教育する再教育機関、これは各種学校に入っているのかいないのか。それから短大関係の法案も出ておるわけですが、技術を目的とした大学もお認めになるという思想ができておるとすれば、この各種学校そのものも学校教育として認める思想と一つでなければならぬと私は思うので、いま出ておる法案の二つの中にも、一つの矛盾があるのじゃないか。思想を統一する必要があるんじゃないかということが一つと、それから免許法の改正が参議院から出てきておるわけなんで、各種学校の場合教える方の免許資格の問題が、学校教育にすると現在の免許法に基づいて、実際の技術はなかなか深いけれども、免許状を取るところの一般教科の資格がないのでやれない。学校教育にすると資格がうるさいので、教育はできない。むしろ各種学校にしておくと資格がない先生でも技術の非常に深い人を講師にして教育ができるという便宜がある。こういうような一方の論議が各種学校の方面からあるわけです。しかし今度の免許法が出てくると、技能免許を認めるという法律が一方に同時に出ておるわけです。そうならば、各種学校についての構想も、何か一つの終着を持ってお出しになっておるのかと私はかってに考えている。またそういうことをこの法案全体の関連において、今度の国会は法案ができるまでは論議をしなければならぬじゃないか、そういうことも思うので、先ほどの学校教育の定義があいまいで少しもわからないのですが、再教育機関は学校教育と考えていないのかどうか。これは大臣にお聞きをしないほうがいいようですから、局長でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/37
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038・杉江清
○杉江政府委員 御質問がはっきりつかめなかった点もあるかもしれませんが、まず第一に再教育機関は、各種学校として存在するか、認められるかということについては、もちろん再教育機関も各種学校となり得る。再教育機関であるかないかということは、各種学校として認められるかどうかということとは関係のないことでございます。第一条学校についてどうかということでありますけれども、再教育機関のみを目的とする第一条学校というものは、現在のところ制度的にはないと思います。ただ実質的にはそういう色彩の強い学校があるわけであります。たとえば短大等について、会社の従業員の資質向上のためにそれを主として、実質的にそういうことをねらった私立の学校があります。そういう意味で実質的に見るならば、再教育機関としての色彩の濃い第一条学校もある。しかし制度的に第一条学校のみを対象とするという、制度的に再教育のみを行なうという、いわゆる第一条学校はない、私はかように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/38
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039・山中吾郎
○山中(吾)委員 一たん社会に出て、さらに勉強したい、あるいは勉強さすというのが再教育機関とすれば、たくさんあると思うのですが、それは各種学校でもない、学校でもない、何か別なものになっているのかどうかお聞きしたいのですが、そういうのはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/39
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040・杉江清
○杉江政府委員 各種学校には、そういう機能を持った学校があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/40
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041・山中吾郎
○山中(吾)委員 再教育なるがゆえに、学校として認めないという思想があればおかしいと思うので、教育内容によって、学校教育とみなすかどうか論議すべきだと思うのですが、それがひとつ。それから予備校というのはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/41
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042・杉江清
○杉江政府委員 現在は一定の要件を整えれば各種学校と認められております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/42
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043・山中吾郎
○山中(吾)委員 予備校というようなわけのわからぬ、と言っては経営者が聞くとおこられるかもしれないが、現実に需要のあることはわかっておるのですね。大学に入るための準備教育、これをとにかく学校教育法で公に認めるということについてはどういう根拠によるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/43
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044・杉江清
○杉江政府委員 各種学校としては現在認められております。これはやはり学校教育に類する学校だ、こういうふうに判断して認めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/44
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045・山中吾郎
○山中(吾)委員 学校教育というものの定義が明確に内容的に答弁がないので、いったりきたりしておるわけですが、いわゆる幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学これ以外のものは全部各種学校である、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/45
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046・杉江清
○杉江政府委員 形式的にはそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/46
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047・山中吾郎
○山中(吾)委員 そうすると、たとえば洋裁学校が洋裁高等学校になるということも認められるのでしょうか。たとえば新宿の文化服装学院、あそこは短大、大学が認められておる。したがって各種学校の内容が、狭い洋裁の研究であろうが、料理の研究であろうが、自動車技術の養成であろうが、その内容が高等学校教育程度であり、短大の程度であれば、それに応じた段階のいわゆる認可をすればそれが学校になる。その場合に文部省の示しておるところの教育課程というものを取り入れれば、これは学校にする、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/47
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048・杉江清
○杉江政府委員 教育内容のみならず、その他施設設備等の一定の基準が要求されるわけでありますけれども、そういう要件が整えば、高等学校またその他の第一条学校になり得るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/48
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049・山中吾郎
○山中(吾)委員 そこで現行法でそういう狭い技術、目的を持ったいわゆる学校をお認めになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/49
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050・杉江清
○杉江政府委員 第一条学校については、教育課程の基準が定められておりまして、それによらなければならぬわけでありますが、ただ職業課程の基準には、かなり弾力性を持っておりまして、時代の進展に応じて、かつてはあまり専門的過ぎると思われた分野も、現在かなり一般的に社会に需要が出てきたという面については、そういったコースがだんだんふえてまいっております。そういった意味において、いまの各種学校で行なわれております教育内容のかなりの部分は、これを教育課程の基準に合わせて行ないますならば、第一条学校になり得る性質のものがかなりあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/50
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051・山中吾郎
○山中(吾)委員 そうしますと各種学校といわゆる文部省の考える学校教育との差別、それに対する国のタッチのしかた、一方は厚く、一方は薄くというものの考え方の根拠、それはどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/51
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052・杉江清
○杉江政府委員 そういう御質問に対しては、やはり国が何か保護、助成その他の規制を加える場合には、制度的につかむ以外にないということにぎりぎりのところは帰着すると思います。それじゃたとえば服飾の課程をとって考えますと、これは高等学校であればやはり一般教養科目がありまして、それは履習してもらわなきゃならぬ。しかし各種学校ではそういうような要件がありませんから、それが非常に薄いものないしほとんど全くないものが現に各種学校として行なわれております。ただその場合の技術の程度は各種学校のほうがむしろ高い場合も相当あります。そういうようにいろんな点で学校教育になるとやはり国の各般の基準に合致させなければならない。そういう点において区別が出てまいります。がしかしそれに似たようなものがやはり各種学校のほうにもあるわけでありまして、その間の区別というものは非常にデリケートであり、私はぎりぎりのところは制度的にそれを割り切って扱う以外にはない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/52
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053・山中吾郎
○山中(吾)委員 そうすると、学校教育法改正をして、たとえば小学校、高等学校、大学、専門学校も中に入れるわけですが、何か小、中、高以外に職業学校とかあるいは専修学校とか、そういうものを入れて各種学校をその範疇にするとそれが差別がなくなる、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/53
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054・杉江清
○杉江政府委員 そういう考え方が、私ども成り立ち得る有力な考え方だと思います。専修学校なり技術学校なり、そういう新しい学校制度、これをその取り扱いを第一条学校とほとんど同じにするということは、各種学校制度改善の有力な考え方だ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/54
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055・山中吾郎
○山中(吾)委員 高等学校には工業高業、商業高校とあるわけだから、各種学校が高等学校程度の教育をしておる限りは、そのまま千差万別のまま洋服高等学校とか料理高等学校とか栄養高等学校とか、そういう現在の第一条の姿のままで認めていく方法と、六・三制というものの単線型をもっと複雑にして、いろいろ学校別なものをつくるかどうかということが論議になると思うのですよ。私は、現在の各種学校そのものをそのまま学校として認めるという方向をおとりになれないかどうかということをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/55
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056・杉江清
○杉江政府委員 現在の各種学校のあの千差万別の態容をそのままにして、これを何らか………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/56
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057・山中吾郎
○山中(吾)委員 高等学校または短大という方向に持っていくことはできないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/57
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058・杉江清
○杉江政府委員 それは私どもは無理だと考えております。やはりこれを何らかの形で制度化するという場合には、先ほど申し上げましたように、この中で望ましいものを一つの範疇にまとめて制度化していく、こういうことになろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/58
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059・山中吾郎
○山中(吾)委員 その点についてひとつ基本的な方針を私は早晩出してもらうべきだと思うので、御検討を願っておきたいと思うのです。一つの矛盾はどういうことかといいますと、看護学校もこれは各種学校ですね。そして看護学校というのは、中身は学校教育法からはずすという理由は一つもない。中身を見ると一つもないのですね。ところが一方に参議院の法案の中に、育英会法の一部改正がある。そして養護教諭の養成所——看護学校ですか、学資の給与その他は学校でないからやれないとかという一つの立法精神のもとに法案があるのですね。そういう理屈のない差別の中に、現実に各地方地方においては看護婦養成所というものは学校だと思っておるし、中身もそうなんです。しかも一方の国の差別待遇というものは非常に不利なものがある。その点が現実に合わないというのです。そこで各種学校の中で、局長の言うように差別をすべきもの、学校としてみなしていくべきもの、差別をしないほうがいいものがあるのだから、その辺の精神を明確にすべきだということなんです。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/59
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060・杉江清
○杉江政府委員 御趣旨の点は私ども多分に同感でございまして、そういった御趣旨の線に沿っていろいろ検討している段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/60
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061・山中吾郎
○山中(吾)委員 ほんとうに検討してください。それによって今度の出ている法案の吟味のしかたも変わってくるので、局長には無関係の法案かもしれないけれども、それはひとつ……。
その点からいって、ここにある具体的に——これは政令で適用される内容なんでしょうが、5、のところに事例をずっと出してあるわけなんですが、こういう基準の場合に、社会的需要の必要な部面ということを前提としてこれは限定されたのか。そのほかに理由があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/61
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062・杉江清
○杉江政府委員 科学技術者の養成ということのほかに、やはりこういう技術者養成については施設設備に相当金がかかる。やはりなかなかもうけの少ない分野だ、そういう面もあるわけでございます。だから科学技術者養成という要請のほかに、いわゆる公の助成を他よりも一そう必要とする、こういうふうな意味合いも加えてこういう範囲を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/62
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063・山中吾郎
○山中(吾)委員 社会的需要があって、そして収益が少なくて、客観的に学校経営は自給自足はできがたいというものに限定した、こういうことですね。ほかには理屈ないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/63
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064・杉江清
○杉江政府委員 大体そういうふうに言ってよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/64
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065・山中吾郎
○山中(吾)委員 一応単純にその辺にしておかないと、私は教育的な思想が入ってしまって、これはあと回しでこれはどうだというようなことでは困るので、客観的にそういう学校経営はいわゆる事業としては成りがたい、社会的需要は多いのだけれども収益が少ないものだという単純な思想にしておいていただかないと困る。そうでないと、先ほどの公共性とかいうことの中にも非常に複雑に論議をしなければならぬ。その点は明確にしておいていただいてけっこうだと思うのです。
3、のところに、「とくに職業に必要な技術の教授を目的とする法人立各種学校における教育は、職業に直結した技術教育により社会にきわめて有益な貢献をしており、」ここに何か自主的な公共性というふうなものをある程度思想を出されておるのですが、これは現在職業と無関係の各種学校というのはどこにもないので、何らかの職業に関係しておるものが各種学校というものにして出ておるわけです。そこで職業に必要な技術を目的とする法人ということを特に出しておられますが、職業技術に関係のない各種学校というのはあるのですか。考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/65
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066・杉江清
○杉江政府委員 その場合いい例を、私どもば、いわゆる浪人学校、予備校、それからもう一つ、ちょっとデリケートな面がありますけれども、朝鮮人学校等はこの範疇に入らないものかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/66
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067・山中吾郎
○山中(吾)委員 そこで、大体私は質問はこのくらいで、あと中身のことをお聞きすればいいのですが、いま一つ疑問があるのでお聞きしたいのですが、自治大学とか防衛大学、あれは省立というのですか何というのですかわからないのですが、ああいう文部省の管轄でない大学校がございますが、これは各種学校に入るかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/67
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068・杉江清
○杉江政府委員 学校教育法八十三条に「学校教育に類する教育(当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるものを除く。)」という規定がございますが、ただいま御指摘のようなものは他の法律の特別の規定に基づいておるものが多いのでありまして、そういうものは各種学校ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/68
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069・山中吾郎
○山中(吾)委員 他の法律に基づいた場合には、学校教育と少しも変わらなくても学校教育にはならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/69
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070・杉江清
○杉江政府委員 そういう場合は実際上はほとんどないと思いますけれども、形式的にはそういうことになり得るわけでございます。他の法律の特別の規定によって設けられているものについては、そういうことも絶対ないとは言えないと思います。しかし事実上ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/70
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071・山中吾郎
○山中(吾)委員 戦前の水産学校とか商船学校とか、文部省に関係のない学校があって一あれは講習所といったかな。やはり法律上はあれは学校とみなした。しかし、中身は同じじゃないですか。だから、法律上認めない、法律上違う、現行法上学校にはならない、あるいは学校教育法の学校にはならない、こういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/71
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072・杉江清
○杉江政府委員 結局他の法律の規定に基づくものについては、その内容のいかんを問わず、各種学校の範疇から除かれる、制度的にはそうなっているわけです。ただ実際上そういうものは現在のところほとんどありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/72
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073・山中吾郎
○山中(吾)委員 実際上あるが法律上はないのだ、こういうことでしょう。学校教育と中身は同じものがあるが、法律上はないのだ、こういうことだと思うのです。
最後にお聞きしたいのですが、この法律がもしできれば、この法律の思想の中に、学校法人であるという条件と、それから技術を主とした内容を持った学校であることが一つと、それからその中で科学技術、医療関係とか、そういうものを具体的に限定しておるということと、そのほかに一定の設備とか施設とか、そういうものがどこかで基準にされておるのでしたね。こういうことを限定されておる。将来はさらに需要に応じて拡大をされていかれる方針なのかどうか、あるいはさらに拡大する場合には、いわゆる学校として制度を検討してでなければやらないという考えなのか。これは大臣に聞く問題かもしらぬが、一応文部省でこの法案を提案するまでに論議をされている経過があれば、お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/73
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074・杉江清
○杉江政府委員 当分の間は私どもは今度つくられます措置によって実施してまいりたい。もちろん予算額をふやす等のことは考えますが、早急にこの拡張を考えるという考え方は、現在のところ持っておりません。しかし、先ほど御指摘のありましたような各種学校制度それ自体の改善ということ、これが後期中等教育をどうするかという課題とも関連いたし、その他臨時行政調査会から提起されておるような問題、それから税制上の問題等もあって、やはりこの制度化を考えざるを得ないのではないかという考えを私ども事務当局は持っております。そういうふうにして、その制度化の問題か出てまいりますと、おそらくいまとります措置は、これが発展的に新しい制度の充実というふうなものに転化し、より発展させられるということは考えられます。そういうふうな一つの見通しはありますけれども、しかし、その制度化の問題は、やはり慎重に処理しなければなりませんので、そうした諸般の情勢を見て、今後どうするかひとつ十分検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/74
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075・山中吾郎
○山中(吾)委員 当分の間というその当分というのは、最近でたらめに使われて、一体二、三年だか、二十年、三十年だかわからぬので、当分の間というのではどうにも答弁にならぬと思うのです。それは聞かないことにしますが、制度化しなければ、もうこれ以上拡大しない、一定の学校制度としてこういうものを一かためにした制度は考えない——これは六三制全体の大問題だからあとに残るのですけれども、そういう制度化をしなければこれ以上拡大しない方針で提案されておるのかどうかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/75
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076・杉江清
○杉江政府委員 そうではございません。この法律では「職業に必要な技術の教授を目的とする」法人立各種学校ということになっておりまして、あと政令、省令でしぼるわけでございますから、当然法律であらわされておる範囲までは広げることは今後考えていい問題でございます。ただ予算上の問題その他いろいろな問題もあり得ると思いますので、その拡大については慎重に検討したい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/76
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077・山中吾郎
○山中(吾)委員 最後にまあ形式的にこういう教育の内容それから人員その他が入れられておるのですが、実際は地方においてはその経営者の人格、識見その他も含んで、ここに予定しないような、非常に援助してやってしかるべき各種学校が出てくるわけですね、一定の基準にははまらないかもしれぬが。そういうこともあるので、省令で定めるから国会の審議から離れてしまうと思うのですが、各種学校に対しては、原則的にはとにかく一定の内容、一定の基準に当てはまるものがあれば融資をするという方針である。将来さらに拡大をしてどういうものを対象にするかどうかということは、これ以上制度化しない限りはやらないというのではなくて、その現実に応じて処理していくつもりだ、こういうふうに受け取っておいていいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/77
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078・杉江清
○杉江政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/78
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079・山中吾郎
○山中(吾)委員 私は、一応これで質問を終わりますが、なおできれば学校教育とその他の教育機関とについて、もう少し明確に納得できるような答弁ができれば、文部省の中で検討して、次に御答弁願いたいということを要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/79
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080・上村千一郎
○上村委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十五日金曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02419640513/80
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