1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十二日(金曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 坂田 道太君 理事 長谷川 峻君
理事 落合 寛茂君 理事 二宮 武夫君
理事 山中 吾郎君
木村 武雄君 熊谷 義雄君
谷川 和穗君 床次 徳二君
橋本龍太郎君 松山千惠子君
長谷川正三君 湯山 勇君
鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
文部政務次官 八木 徹雄君
文部事務官
(大臣官房長) 蒲生 芳郎君
文部事務官
(大学学術局
長) 小林 行雄君
委員外の出席者
専 門 員 田中 彰君
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五月二十二日
委員和田博雄君辞任につき、その補欠として湯
山勇君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員湯山勇君辞任につき、その補欠として和田
博雄君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一四七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより会議を開きます。
学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。湯山勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/1
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002・湯山勇
○湯山委員 私は、この学校教育法の一部改正の中心になっております短期大学の問題につきまして、若干お伺いいたしたいと思います。
私が特にきょう御質問申し上げたい点は、従来から国立短大というものに疑問を持っておりました。しかしながら、これは国立短期大学が発足したあとで気がつきましたので、私どももそれまでは同じあやまちを繰り返しておったのじゃないかということを感じておりますけれども、この機会にそれらの点もはっきりさせることが、今後の、特に新しく発足する制度の短期大学の運営、そういうものにまた前車のわだちという意味で考えなければならない点を示唆するのではないかというような観点からお尋ねいたしたいと思います。
まず、国立短大の法的な根拠がどこにあるか、ここから疑問が出発するわけですが、これをひとつ政府委員からでけっこうでございますから、どういう法律に基づいて国立短大が在存するか、それをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/2
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003・小林行雄
○小林(行)政府委員 短期大学につきましては、国立と公私立とを問わず、御承知のように学校教育法第百九条の短期大学の根拠規定があるわけでございます。この根拠法を基礎といたしまして、国立の短期大学につきましては、国立学校設置法の第三条の三というのに、具体的な国立短期大学の名称、位置等について規定をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/3
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004・湯山勇
○湯山委員 いまの御説明の点に疑義がございますから順次お尋ねいたしたいと思います。
まず、戦後新しい学制がしかれまして、その発足当初においては、短期大学という構想はなかったと思います。そこで当時の実情から、地域の要望その他から、私立もしくは公立については認めていこうということになり、その後において国立の短期大学という名称で発足したかどうか、そこまで記憶しておりませんけれども、当時の非常に混乱した情勢の中で、たしか四校であったか、夜間の修業年限の短い学部が発足したというように記憶しておりますが、その辺のいきさつはどうでございましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/4
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005・小林行雄
○小林(行)政府委員 湯山委員御指摘のように、学校教育法が制定され、新しい大学制度ができました一番初めには、この短期大学制度というものは入っておりませんでした。その後に、従来の高等教育機関であって、しかも新制大学にはなれないようなものが残っておる。それについていろいろ構想を立てられた結果、短期大学制度ができたわけでございます。国立のものにつきましては、御指摘のございましたように、短期大学制度ができました後も、いわゆる中間の短期大学というものがしばらくございませんでした。主として勤労青年等を対象とするところの夜間の短期大学を必要な大学に併設するということで、数校できたわけでございまして、その最初は二十六年であったと思っております。以後、順次その夜間の併設短期大学部も数を増しております。なおいろいろ技術者養成等の関係から、併設の短期大学部とは別に、独立の工業短期大学等も数カ所において設置を見た次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/5
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006・湯山勇
○湯山委員 そういたしますと、学校教育法が最初できたときには国立の短期大学というものは考えていなかった。それから、ただいま短期大学の法的根拠としてお述べになった百九条がああいう形でできたときにも、まだ国立短大というものは考えていなかった。つまり百九条というものは本来公私立学校を対象にして制定された条文である。ただ当時、直接法案の審議に当たったわけではありませんけれども、あとで若干この問題に委員会で触れたことがございました。そのときに、現在夜間の中学が、実際は、法律にはないけれども、あるように、これについては必要悪というようなこともいわれたこともございますけれども、それほどではありませんけれども、当時のいろいろな社会の要望にこたえてお互い黙認した形で、当時夜間に限って短期大学部という期間の短い学部が設置された。これが当時の実情であって、いまおっしゃった百九条というものは、国立は対象にしていなかった。私立の学校等で当然四年制にしなければならないものが、当時いろいろな事情でできない。そういうものに対して暫定的に認めていこう、こういうことが百九条の趣旨であって、そもそもこれは国立学校というものを対象にしないで発足したものだ、こういう経過の説明も聞いておりましたが、それは間違いございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/6
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007・小林行雄
○小林(行)政府委員 短期大学制度の発足当時、経過といたしましては、ただいま御指摘もございましたように、公私立学校が主として対象となったのは事実であろうと思いますが、しかしこの制度ができました際に、それでは国立についてはこういった短期大学制度はつくらぬというようなはっきりした原則は私どもなかったように考えております。先ほど御説明申し上げましたように、二十五年の発足の際のいきさつは、特別な事情があったわけでございますけれども、そのときに、今後国立についてはこういったものをつくる必要はないというところまでははっきりした考えはなかったように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/7
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008・湯山勇
○湯山委員 現在夜間の国立短期大学はどれだけございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/8
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009・小林行雄
○小林(行)政府委員 二十三大学でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/9
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010・湯山勇
○湯山委員 当初発足した四校はそのまま継続しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/10
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011・小林行雄
○小林(行)政府委員 四校は現在でもそのまま継続しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/11
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012・湯山勇
○湯山委員 そこでお尋ねをもとへ返しますが、そういう経過がございましたから、百九条の規定は「大学の修業年限は、当分の間、第五十五条第一項の規定にかかわらず、文部大臣の認可を受けて、二年又は三年とすることができる。」「前項の大学は、短期大学と称する。」こういう厳密な規定があるわけです。したがって二年または三年の大学というものは、これは文部大臣の認可を受けなければ設置できない。文部大臣の認可を受ける大学というのは、どういう大学かといえば、これは第四条に示されておりますように、国立はこの範囲ではありません。義務教育諸学校ももちろんこの範囲ではございません。文部大臣の認可を受けるということは、公私立に限られている。それはかりに、文部大臣の権限その他のことによって二年または三年の大学をつくることができるできないの議論はさておいて、大臣の認可を受けて二年、三年にした大学にのみ、この第百九条は短期大学という名称を使うことができる。つまり「前項の大学は、短期大学と称する。」こういう名前の規定があるわけです。そうすると国立の短期大学というのは、短期大学という名前は使えない。二年、三年の大学をつくることについては、また別途議論がありますけれども、国立の大学に短期大学という名称を使うということは、これは百九条の趣旨に合わない。百九条というのは、認可を受けてこうなるんだ、その認可を受けた学校それのみが短期大学という名称を使う、こうなっておるんですから、この規定をそのまま国立短期大学の設置の根拠法律にするということには非常に無理がある。これは国立短期大学発足の経過もそうであるし、それからこの法律もそういう趣旨でつくられたもので、それをもって直ちに国立大学も、文部大臣はこれを認可する権限を持っているんだから、当然認可権を持っているものはやってもいいじゃないか、そういう解釈は私はとるべきではない、このように思うのですが、この点についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/12
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013・小林行雄
○小林(行)政府委員 公私立の学校につきましては、ただいま湯山委員御指摘のように、学校教育法第四条によって所轄庁すなわち文部大臣が認可をするということになっております。なお、短期大学については百九条で認可権があるわけでございますが、国立学校につきましては、大学ばかりでなしに、高専あるいは短期大学等についても、国立学校設置法で設置はする。もちろんその国立学校設置法による設置の場合には、当然改正を要することでございますので、国会に御提案を申し上げて、国会の御審議を経るということは、当然あるわけでございますが、国立学校設置法の第一条にございますように、国立学校をこの法律によって設置するということになっておるわけでございます。もちろんその設置されます大学なり、あるいは短期大学等につきましては、その制度の大綱と申しますか、概要については、学校教育法のそれぞれの規定するところに従って設置をするということでやっておるわけでございます。
なお、国立学校につきましては、これは大学設置審議会にかけなければならぬということにはなっておりませんけれども、事実上はやはり公私立の学校と同様に、一応大学設置審議会で御審議を願ったほうがいいということで、従来からこの大学設置審議会の意見を伺うというような形で実際の審議を経ておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/13
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014・湯山勇
○湯山委員 実情につきましては私もよくわかります。ただ、私がいまお尋ねしておるのは、百九条は直ちに国立の短期大学の根拠規定にはならない、そうするのには疑義がある、こういうことをお尋ねしておるので、国立学校設置法で審議してきめれば何でも設置できるという筋合いのものでもないと思うのです。ことに国立学校設置法は、元来その第二条において「学校教育法第一条に定める学校で国が設置するものを」これによって規定する、こうなっておりますから、学校教育法と国立学校設置法との関係は、これは前法、後法というような関係じゃなくて、国立学校設置法が学校教育法に優先するということは、ほかの場合と違ってあり得ない。とすると、学校教育法の中に、いま言うように国立の短期大学に対する規定がない。この百九条の規定というものは、公私立学校を背景として設けられた条文である、こういうことになってくると、少なくとも国立の短期大学というものに対する根拠は非常に薄弱なものだ、こういうことになると思うのです。違法とまでは私言い切る自信はありませんけれども、非常に極端に言えば、そう言いたいくらいその根拠は薄弱だ、こういうことになるのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/14
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015・小林行雄
○小林(行)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、短期大学制度が創設されました経緯と申しますか、背景といたしましては、従来、戦前もございました公私立学校で、いわゆる新制大学になれなかったようなものの取り扱いをどうするかということから発足したことは事実でございますが、しかし、それだからといって、その当時において、将来もこの短期大学というものを国立学校としてやらないというようなはっきりとした線は出ておらなかったように私は思います。したがって、国立学校として短期大学を創設します場合に、やはり実質的な根拠規定は学校教育法第百九条であるというふうに申し上げて差しつかえないと思っています。ただいまのお尋ねでは、国立の短期大学の背景としてはきわめて薄弱であるという御指摘でございますが、創設の当時すでに国立の短大をつくろうという明確なもくろみはございませんでしたけれども、短期大学の設置の根拠としては学校教育法第百九条であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/15
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016・湯山勇
○湯山委員 それを申し上げておるのは、事実問題よりも、この法律をすなおに読んでみた場合に、大学の修業年限は本来四年たるべきものだ、にもかかわらず、それは公私立学校には地域の実情やあるいは今日までの歴史的な沿革があるからやむを得ず認める、しかし認めるのは本来じゃないのだぞ、したがって、政府においては、当時二年制の教員養成課程がありましたが、それらを順次廃止したはずです。それらには短期大学という名称を使っていなかった。もしいまおっしゃるように、二年制の教員養成課程を、当時国立の短期大学を認めるという立場に立っておれば、短期大学という名称を使うべきだったと思うのです。わざわざ二年制の何々というような言い方をしてやっておった。しかし、それも学校教育法の精神からいえばなくすべきものだということで、なくしていかれました。これも経過的にはそうなんです。そこでそういうことを受けて、百九条は、ともかくも四年が本体だけれどもやむを得ない、国はそういうことはしないのだぞ、ただ、公私立学校についてはやむを得ず認めるが、それは認めるにしても暫定的なものだ、その暫定的なものについては大臣の認可を受ける、それについてだけ短期大学という名称を使う、こうなっておるので、問題点は二つあるわけです一つはその名称を国立が使っていいかどうかという問題と、それから二年、三年に短縮するということは大臣の認可を得た学校だけじゃないか、こういう二つの問題があるわけで、百九条をすなおに読めば、そういう解釈しかできない、こういうことを申し上げておるのです。そういう意味合いから、これは国立の短期大学の根拠法としてはきわめて薄弱だ、こういうことを申し上げておるので、実情ではなくて、この法律の文面から読み取れるもの、それから当時の背景、そういうことからお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/16
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017・小林行雄
○小林(行)政府委員 短期大学制度創設の際のいきさつは、先ほど来申し上げましたように、前からあった高等教育機関に対する措置として行なわれた、いわば暫定的な制度であったと思います。しかし、これが社会的にもその意義が認められて、戦前から存在した高等教育機関ばかりでなしに、戦後この線に沿うてこういった短期大学を創設したいとうことで、従来からありましたもののほかに全く新しく、私立が主でございますけれども、こういう学校の創設が行なわれてきたわけでございます。現在、御承知のように、非常に多数の短期大学があるわけでございます。国立につきまして、先ほど来お答え申しましたように、発足の当初の時点におきましてはそういった予定のものはなかったのは事実でございますけれども、やはり先ほど申しましたように、まず勤労青年に対する教育機関としての必要性が認められて、公的にも非常に大きな要望が出てまいりましたので、そういう趣旨に基づいて国立の短期大学を幾つかの大学に併設したというのが実情でございます。
国立学校については大臣の認可が要らぬのだから、百九条には国立学校は入らぬというようなお尋ねでございますけれども、私どもとしては、先ほど来申しましたように、創設の時期に予定のものはなかったけれども、しかし、それだからといって、短期大学の国立学校をつくらぬというふうには考えておらなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/17
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018・湯山勇
○湯山委員 つくるつくらないの問題は、私がお尋ねしておることとは別なのです。つくるならば、その国立の短期大学に対する根拠の法律が新たにつくられてしかるべきではなかったか。それから、政府みずから暫定的な発足といった夜間の短期大学が、四校とも今日ある。これもどうも怠慢といえば怠慢で、それもそのままだらだら来ている。そういうことを見てまいると、この百九条そのものは、どう考えても、いまの局長の御答弁をどう好意的に聞きましても、これが国立短期大学の根拠になる法律だという了解は残念ながら得られません。そこで、もし責められるとすれば、今日まで幾つも国立短期大学が出てきた、今年度もまた一つできた、そういうときに、こういう問題をもっと早くわれわれしっかりここで議論をして、そのしっかりした法律的な根拠を与えるべきであった。それをいままでわれわれもそういうことを十分論議しなかった責任があると思います。しかし政府にはもっと責任があるのではないでしょうか。そういうことで、この段階ですから違法だというようなことは申しませんけれども、今日までそういう形で来たことについては、非常に遺憾な点が多かった。あるいは、いまの公私立に適用されるはずの百九条をかりてきて、拡大解釈して国立短期大学というものにして、名称もはっきり規定があるにもかかわらず国立の短期大学がこれを使っておった、それらはいろいろ問題があったということですね。そういう点は私は率直に認めていいのではないかというように感じます。そうでないと、実際には、もっといえば、これは制度の形の上だけではなくて、この短期大学という制度は大きな矛盾をはらんでおります。それはどういう点かというと、大学であれば当然大学の目的にかなったようなことがなされていなければならないはずですけれども、それがなされていない。むしろこの短期大学というものは、大学のやらなければならないことを縮小している。大学であれば、逆に、いま学校教育法にあるように、特殊な専門の研究教育を受ける学校については、その上にかぶせるのは、これはプラスをすることはいいと思います。大学でやるべきことをやって、その上に特殊な専門的なものをやる。そのために年限もプラスする。これはいいけれども、年限を短縮するということのためにそういうことをするということは、これは明らかに矛盾をはらんでいるというように思われす。それからまた、こういう年限のこういうのを学校教育法の中で認められているということにはっきりしてしまうということは、これは六・三・三・四制というものの本質から見ても問題がある。こわさないようにしようと思えば大学は大学らしくしなければならないし、そういう矛盾は今日もあると思います。そこで、短期大学の教育内容というものは、公私立はもちろんですけれども、国立の場合も全くてんでんばらばら、今度の図書館短期大学などというものも、はたしてそれ大学という名称に値するものかどうか非常に疑問だと思うのです。それぐらい国立においても相当てんでんばらばらになっている。そういう現状を見てみる場合、ただ必要不必要だけじゃなくて、制度としての問題、それから大学とはどうあるべきかという問題、そういう点からのジレンマを持っておるのと、法文解釈の上においてもいまのような問題を持っておる。これは率直にお認め願っていい問題ではないか、こういうふうに考えるわけですが、これは大臣に、大きい問題だと思いますから、ひとつ御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/18
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019・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 先ほど来お話を伺っておりますと、ごもっともな御意見だ、このように考える要素もたくさんあるように私は思うのであります。この新制大学ができました当時のことは、私どもまだ国会に出る前でございます、事情を十分つまびらかにいたしておりませんが、その際に、新しい制度として、新制大学にするには不十分であるけれども、さりとてこれをつぶすということは不適当であると、将来の発展を期待してのいわゆる短期大学制度が暫定的に認められたと思うのであります。同時に、そういいながら、やはりこの種の学校制度というものにつきまして、あるいは父兄負担の関係とか、あるいは実務者を養成するとか、あるいは女子教育というふうなことを考えました場合に、このような程度の学校が時宜に適しておるのではなかろうかという気持ちもおそらくあったのじゃなかろうかと思うのであります。そういうふうなことで、おそらく当初からこの短期大学制度につきましては問題点があったのじゃないかと思うのでございます。その後だんだん経過しまして、この短期大学というか二、三年の大学というものの実際上における価値といったものも次第に認められる、あるいはまた社会の必要に適合した要素が多々あるというので、だんだんこれがふえてきたと思うのであります。最初この附則で当分のうちときめました当時は、そううまく拡大する気持ちでつくったのかどうかという点についても疑問があったのじゃないかと思いますが、だんだんこれが事実においてふえてまいった。しかし、お話のように四年制の大学でやるべきことを二年や三年でやるということには無理もございますし、そういう点での矛盾もございますし、実際問題として、やっておりますこともいわゆる大学とは違っているというふうな問題もある、何とかしなければならぬということは早くから考えられておったことだろうと思うのであります。私どもといたしましても、この問題につきましては、いわゆる暫定的な制度としていつまでも放任すべきものじゃない、しかも暫定的な制度といいながらどんどん学校がふえてきておる、こういった矛盾した扱いはおもしろくないというので、年来この方向のことについてはいろいろ考究し、かつては専科大学というふうな案で御審議を願ったようなこともございますし、いずれにしましてもいまの短期大学をこのような実情のもとにおいて何か恒久的なものにする必要があるという考えから出発したわけでございます。これにつきましてもいろいろな経過がございまして、今回いろいろ短期大学ということで恒久化をはかるっていこうということになったわけでございまして、おっしゃるように私は当初から矛盾を含んだままで今日まできておったと思うのであります。
それから、法律論になりますと私もはっきりしたことは申し上げかねますが、最初に附則で当分のうちときめましたあの規定そのものが、御指摘のとおりに認可を受けてやることになっておりますから、したがって、国のものが認可を受けるということは予定していない。そういうことでありますから、あそこで申しておりますのは直接には公私立のことを申しておる、こう考えるのがあるいはすなおな考え方ではなかろうかと思うのであります。そこから先は、多少へ理屈になるかも存じませんけれどもただそういう形のもとに二、三年の修業年限を持った大学が制度的に暫定的とはいいながら認められておるわけであります。その後どういう経過かつまびらかにいたしませんけれども、国のほうでも国立の短期大学というものをつくってきた。そこで、その根拠はどこだと御指摘になれば、結局、形はおかしいかもしれませんけれども、ともかく暫定的な形のもとに公私立についてこういう学校制度を学校教育法で認めてきておる、それを国がやはりその形の大学をつくっていくという根拠にせざるを得ないと私は思うのであります。そういうことで、国会においてもお認め願って、今日の国立の短期大学というものができてきたのじゃなかろうか、かように考えておる次第であります。いずれにしましても、この制度は、形の上から申しましても実質的に申しましてもいわゆる大学として同じように扱うべきものでもないし、同時にまたいつまでも暫定的というような姿で置くべきものでもない。この辺を解決したいと思いまして、今度の案を出したようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/19
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020・湯山勇
○湯山委員 大臣の率直な御答弁で、その点については了解をいたします。
それから、もう一つ局長のほうに御質問したいのは、国立学校設置法の第二条二項ですか、そこに国立短期大学というのがわざわざ入った、それはいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/20
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021・小林行雄
○小林(行)政府委員 三十六年の国会で一部改正を提案申し上げたときだと思います。すなわち久留米の工業短期大学に付属高等学校を設置したときであったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/21
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022・湯山勇
○湯山委員 いまのような点も国立学校設置法で従来やれてきたものが、ここで初めて国立短期大学という名前を、三十六年になって入れるというような経過も、いま大臣が御答弁になられましたような、そういう経緯を含んで、決して適切なやり方ではなかった、それ以後が適切か以前が適切か、どちらか間違っているということの証明だと思います。
それはそれだけにいたしまして、これから大臣にお伺いいたしたい点は、この短期大学の目的と、それから高専の目的とは非常によく似ております。それからまた短期大学の今日の実情を見ますと、やはり公私立、特に私立が多い。こういう目的を達するためには、国立の短期大学というものが今後も必要かどうか。私は、いまのような高専ができたり、それから現在の大学自体も充実していかなければならないというような段階において、国立の短期大学というようなものがほんとうに必要かどうか、この点に疑義があるわけです。夜間は、私は認めていいと思います。場合によれば、夜間の短期大学というものは、新しい制度が発足いたしましても考えられないことはないと思いますし、当初の出発がそこにあったし、出発したものがそのまま継続しているというような点からいえば、それはそれとして、昼間の、特にこの目的にあるようなことを達成するための短期大学を、今後国立としてつくる必要があるかどうか。私は、先に意見を述べてみますと、ないと思うのです。これはいかがでしょうか。その点については、ひとつ大臣からお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/22
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023・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 一応事務のほうから申し上げまして、その上で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/23
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024・小林行雄
○小林(行)政府委員 短期大学制度につきましては、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、いろいろ問題がございまして、制度の改善につきましても、すでに相当以前から、文部省としても検討したわけでございます。たとえば中央教育審議会等でもすでに何回か検討があったわけでございます。その検討の結果といえるかどうかわかりませんけれども、専科大学あるいはそれに引き続く筒等専門学校というような制度もその後にできたわけでございます。私ども、現在の時点におきましては、たとえば工業等に関しましては、工業の中堅技術者を養成するというようなものについては、もちろん高等専門学校と短期大学とは制度の趣旨が違いますから、高等専門学校ができたから短期大学のほうは要らぬと一がいには言い切れぬと思いますけれども、今後、そういった中堅の工業技術者を養成するというような意味からは、高等専門学校でいいのじゃないかというような考えをいたしております。しかし学問の特殊な分野と申しますか、たとえば本年御審議をいただきまして創設を見ました図書館の職員の養成、あるいはこれもいろいろと社会的に要望をされております面もございますところの看護職員の養成あるいは医療技術者の養成等で、特に必要なものも将来考えられ得るのではなかろうか。したがって特殊の職業の分野については、なお国立学校の設置を検討する必要のあるところも出てくるのではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/24
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025・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 事務当局に特別の考えでもあればと思って、実はあとにいたしたわけであります。ただいま事務当局の申しましたことと私の考えは大体同じでございます。現在、これから大いに国立短期大学をつくっていくのだというような計画はもちろんございません。またその必要もないかと思うのでありますが、ただものによりましては、たとえば現在養成所とか講習所とかいうふうな形でやっておりますものについても、あるいはこれを短期大学というような形態に直したほうがいいのではないかという場合もありますし、あるいは時勢の変化で、特に必要とする事態が起こってくればこれはまた別でありますけれども、いま、この法律を出すことによって、国立短期大学を大いにふやすというようなことは、計画もございませんし、また必要性も感じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/25
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026・湯山勇
○湯山委員 現在ある国公私立合わせて考えてみますと、一番多いのは家庭科の短期大学、それから文科とか法律、商科、経済これらでほとんど八割を占めております。これらのものを国立の短期大学でつくるというようなことはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/26
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027・小林行雄
○小林(行)政府委員 ただいま御指摘のございましたような分野の短期大学は、従来も私どもとしては置いておりません。今後もその点については御指摘のございましたような線で、つくっていく必要はなかろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/27
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028・湯山勇
○湯山委員 それで御趣旨はよくわかりましたが、ただ特にこの際御要望申し上げたい点は、図書館の職員の養成所が短期大学になったというようなことは名前だけの問題じゃないか。それから先ほど御指摘になったような幾つかの点についても、ただ名前だけの短期大学、実質は少しも変わっていない。そういう御答弁があったにいたしましても、やはりそういう短期大学の設置は見合わしていただきたいという感じが私はいたします。もしそういう必要がある場合には、ほんとうにそれが短期大学という大学でなければならないという、名前にひかれるというのではなくて、実質的なものがない限りは、みだりにこれは使うべきではない。これは発足以来今日までの経過がうやむやできたのを受けて特に心配をいたしますから、御要望を申し上げるのでございますが、それについては大臣ひとつ御所信を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/28
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029・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 ただ名前だけ短期大学にして、内容は旧態依然たるものだというようなことでは、短期大学というものにした価値はないと思います。短期大学に改めます以上は、従来の不備な点、そういう点については十分充実いたしまして、そして短期大学としてやっていく、こういうことでなければならぬと思っております。御要望の御趣旨は私も御同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/29
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030・湯山勇
○湯山委員 それから次に幾つかの問題点がございますのでお伺いいたしたいと思います。
一つは今回の短期大学をこういうふうに制度を明確にするということで、短期大学が今度は安心して設置ができます。これは国は別としても、公、私立の場合、現にずいぶん建っておる事実も、局長御存じだと思います。これが高校急増対策の次にくる大学の急増対策の肩がわり、そういう形になるのではないか。つまり当然大学はこうあらねばならない。その大学の増設あるいは定員増、そういうものを緩和するために、短期大学をどんどんつくっていく。奨励していく。あるいは認可を若干安易に与えていくというようなことがあっては、これは納得できない点だと私は思います。そういうことになる可能性はございませんか、そういう懸念はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/30
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031・小林行雄
○小林(行)政府委員 予想されます大学志願者の急増対策の一つといたしまして、私どもも、一応短期大学のほうも受け入れ学生定員を増していただけるものというふうに、いろいろこれは検討すべき要素もございますが、そういうような想定をいたしております。もちろんこの場合にも、従来のいわゆる短期大学側の学生の定員増、あるいは学校数の増というものを考えてそういう想定をいたしておるわけでございまして、この短期大学が増してきておるということは、ひっきょう社会的な要求に合致しているということが原因であろうと思っておりますが、そういうことは私どもも想定していいのではなかろうか。ただ、急増の時期であるからといって、従来と比べて水準の低いものに安易に認可を与えて学校数を多くし、あるいは学生数を多くするというようなことは、慎むべきことであろう。今後もそういった時期にも、その点については慎重にかまえていくべきではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/31
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032・湯山勇
○湯山委員 そのお気持ちはわかりますが、それについて私は、えらい失礼なことを申し上げて恐縮ですけれども、いままでの認可がかなりでたらめだと思います。それは一応の基準があったにしても、実際に見てみますと、かなり甲乙がありますし、それから教授等についても表に出ている人と出ていない人、いろいろ差異がございます。ここで短期大学というものを日陰からはっきり出すということは、それらについて、やむを得ない格差というものはやむを得ないとしても、そういう基準なりあるいは認可について、もっときちっとしていく、いままでよりもゆるめるというのではなくて、いままでよりもしっかりした権威のある短期大学にするという心がまえがなければ、せっかくいま大臣のおっしゃったように、この際はっきりさしていくという趣旨とも違ってくると思います。そういうことについての御用意がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/32
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033・小林行雄
○小林(行)政府委員 短期大学の設置認可にあたりましては、御承知のように短期大学設置基準というのがございまして、これをものさしにして審議をし、設置をするわけでございますが、この短期大学設置基準は、御承知のように最低の基準ということでございまして、実際短期大学を発足させようとして構想を立てられるものには、この最低基準すれすれのものもございます。また、もっと非常に充実した形で持ってこられるものもございます。実際スタートの際に、ただいま御指摘のございましたように凹凸があるということも事実だろうと思っております。この短期大学設置基準につきましては、ただいまの御指摘のような面以外にも、いろいろと批判もございますので、これの改善ということについても今後も検討をいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/33
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034・湯山勇
○湯山委員 具体的なことを申し上げますと、それぞれ設備あるいは図書の基準に対しては、検査のときだけよそから借りてきて、ともかくもそれで間に合わせて認可を受けている、そういう例も私、一、二知っております。それはいままでの認可というのがかなりルーズであった。基準があっても、借りてきたのか、そこで持っているのかわからない。とにかく見てそれがあれば、もうそれで基準に達したということで認定をしておった。これはだいぶ前のことですから、言えと言えば言ってもいいですが、そういうことも実際にございました。そこで現在の基準をもっと強めていくなら強めていく。それについていまのような検査といいますか、調査といいますか、そういうことをもう少ししっかりやらないと、どんどんふえていくのに手が回らない。結局おざなりのようになって、あってもなくてもいい短大ばかりじゃんじゃんふえていく。もっと極端に言えば営利的な短大がどんどんふえていく。こうなっては私は政府の御趣旨にも反すると思います。その点、いまのような御答弁でなくて、もう一つ決意を含めた御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/34
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035・小林行雄
○小林(行)政府委員 短大の創設の際に、設置基準に適合させるために、足りない、たとえば設備あるいは図書類をよそから借りてきたというようなことも、私は昔は耳にしたこともございますけれども、最近においてはそういうことは絶対にないと思っております。もちろん、先ほどお答え申し上げましたように、この基準自体を高めていくということの必要なことは申すまでもございませんけれども、同時に、この基準の適用にあたっては厳正に適正にしなければならぬと思っております。数はできたけれども、水準が下がっておるということでは、教育の振興の面からも非常に大きな問題でございますので、今後そういう点には十分注意をして誤りのないようにいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/35
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036・湯山勇
○湯山委員 ぜひそのようにお願いいたしたいと思います。
その次にお尋ねいたしたいのは教員確保との関係でございます。現在、御存じのように、東京都の周辺のほうでは義務教育、高校の教員が足りない。埼玉はいま募集しております。茨城も新年度の教員の充足ができなくて募集いたしております。ところが政府のほうの先般の御答弁の資料によりますと、短期大学の中に、保育、音楽、美術などと並んで教育を中心にしておる短期大学もあるということでございます。そうすると教員不足はだんだん短期大学の卒業生によって補われていく。高校まで行くことはまずないと思いますが、義務教育段階においては相当短期大学の卒業生が入っている。これは事実です。そして現在の府県の財政状態、国のいまの給与の状態から見ると、特に理工系の大学卒業生をそういう義務教育あるいは高校教育の学校の教員に採用するにはあまりにも給与が悪い。そういうところから四年制大学を出た者は学校の教師にはならない。勢い短大卒業生に依存する。こういう現象はすでにあらわれていると思います。成立したかどうかわかりませんが、今回の免許法の改正、それらもやはりそういうことの一つのあらわれじゃないかというようにも思うわけですが、そういうことになっては、短大がふえるということはまた別な意味で非常に大きな問題になってくる。しまいには小学校の先生というのは、短大出の先生ばかりになってくるという心配もなきにしもあらずです。それらに対処する対策をこの際立てていただかなければならないのではないか、このように考えますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/36
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037・小林行雄
○小林(行)政府委員 高等学校以下義務教育の学校の教員は、大学の卒業者をもって充てるということが戦後の教員養成制度の大原則でございまして、この点は今後もこの原則が当然維持さるべきものと思っております。もちろん現在の時点におきましては、短期大学卒業者にも低い免許状を与えておりますけれども、これは補完的な意味でございまして、今後四年制大学の卒業者が教員になることで充実してまいりますれば、漸次こういうものは方向として整理さるべきものと考えております。四年制大学の卒業者で教員になる者が減って、短期大学でその不足を補うという事態は、当然努力して解消すべきもの。先ほどお尋ねの中にございました教育中心の短期大学というのは、中味は保育科なり幼児教育科でございまして、保育所の先生なりあるいは幼稚園の先生という特殊なケースでございます。しかし大原則としては、漸次こういうものは、少なくとも四年制大学の卒業者をもって切りかえていくべきものと考えております。
なおこの国会で御提案申し上げております教職員免許法の一部改正は、ただいまお尋ねのございましたような線とは全然違っておりまして、たとえば柔剣道なりあるいは計算実務という、四年制の大学では教育上あまりなじまないようなものについて、新たに検定制度を設けよう、実際その方面に練達な人を検定によって教師の資格を与える、こういう趣旨でございますので、お尋ねの線とは一致をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/37
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038・湯山勇
○湯山委員 いまの点は間違っておりまして、私がお尋ねしたのはずっと前に成立した法律です。理科系ですが、そういう系統の教職課程をとらなくても教員に任用する、そういうことございましたですね。それをさしたので、いま出ておるのじゃなくて、以前にそういう措置をとられたですね。同じような意味で、大学を卒業して資格を持った教員がない。やむを得ず、それよりも低い者で補っていく。それがいまもっと全般的に拡大されている。これは局長も、ラジオなんかで、埼玉県でいま教員を募集しています、あるいは神奈川県でとか茨城県でとかいうのはお聞きになられたと思います。今日なお充足されていないのは——充足というのは、やっぱりそれを落とすしかないわけで、そういう現象について、当然法律によってそうなっているのだから、そうしなければならないという基本的なお考えはそうなんですが、そのためにどうするということですね。具体的な対策をもうお持ちいただかなければならぬと思うのですが、それはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/38
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039・小林行雄
○小林(行)政府委員 たとえば高等学校の工業の先生が非常に不足しておるという事態がございましたので、御承知のような工業教員の養成所を全国的につくったという措置も講じました。
なおこれほどまでには深刻じゃございませんけれども、たとえば中学校等の理数科の先生が不足しておるという事実もございます。これにつきましては、各府県にございます教員養成学部の理数科の先生の陣容を年々ふやしてまいりまして、なるべく理数科の学生を多くする、そうしてその理数科の学生に対して、できるだけ手厚い教育を四年間のうちに行なうという措置を講じてまいっております。従来比較的理数科志望の学生が少なかったわけでありますが、最近においては各教員養成学部の数も漸次ふえてきておりますので、今後の教員不足のある程度の解消策として役立つものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/39
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040・湯山勇
○湯山委員 それと同時に教職員の待遇の問題です。需要が多いときに、いまのような待遇では、実際にはせっかく教員養成機関を出ても、教職員にならないという例が非常に多いのじゃないでしょうか。ですから、いまの養成の対策と同時に、それらを実際に学校に就職させるという対策がいまの御答弁では欠けておるように思います。その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/40
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041・小林行雄
○小林(行)政府委員 これは何も小中学校の先生ばかりではございませんで、大学の教官以下、非常に大事な教育の事業に従事しております者の待遇をできるだけよくいたしまして、優秀な先生を得るようにしなければならないと思っております。御指摘のございましたようなことで、現在まで私どもとしてできる限りの努力はしてまいっておるつもりでございますが、いろいろ財政上の都合等でうまくいっておりません。今後もこの点については、文部省の最も重要な施策の一つとして取り上げていくようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/41
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042・湯山勇
○湯山委員 大臣にお尋ねいたしますが、いま局長の御答弁のように、努力はしておるけれども、なかなかうまくいっていないということでございます。これは大きい問題でございますから、大臣からいまの点についてのお考えをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/42
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043・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 一般的に申しまして、教職員の待遇を改善するということについては、これは当然文部省が努力しなければならないものと心得ております。われわれとしましては、優秀な教員をできるだけたくさんつくると同時に、この待遇改善の問題もあわせて進めなければ目的が達成し得ない、かように考えておりますので、いま局長の申しましたとおりに、文部省といたしましてはまじめにこの問題は取り扱ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/43
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044・湯山勇
○湯山委員 ひとつ、ぜひすみやかにその対策をお立ていただきたいと思います。いま私が申し上げましたような心配は現実にある問題でございますか……。
最後にお尋ねいたしたいのは、非常に大きな問題で、ここでお尋ねするのが適当かどうかわかりませんけれども、私は当初の六・三・三・四という教育の制度の形態がだんだん乱れてきておるのではないかという感じを持ちます。一方においてはこれを乱すまいという努力、そうしながら事実においてはそれが乱れていく。そういう矛盾が今度の短期大学の制度というような形になってあらわれたとも言えるわけで、小中学校段階は別として、高校段階はいまの一般の高校と、それから高専という二本立てになっております。さらに大学段階になりますと、いまの高専校の高の部、高いほう、この部分と今度の短期大学、それから普通の大学、さらに、いま新聞で見たのですけれども、専修学校という構想、これは高校段階で各種学校形態でもって——それは御承知かどうかわかりませんが、そういう構想もある。なおまた年限からいえば大学段階までも、これは新聞ですからわかりませんけれども、つまり中学校、高校卒業生に対して、そういうことも説明にはついております。そうすると単線型に進めるという原則を守ろうとしながら、実際にはかなり複線型になっておる。それから先般農家のあと継ぎということで、農業高校についての新しい施策が講ぜられることになりましたが、しかしほんとうに農家の後継者になる者の養成が三年間を区切ってやれるかどうか。こういうこともいまのワク内だけでなく、一ぺんもう一つ考えてみる必要がありはしないかというようなことを——私はそれがいい悪いじゃなくて、こういうことを見ながら感じるわけでございます。
そこで将来の問題として、いまのように単線型をあくまでも貫いていくという方針なのか、複線型の教育制度というものについて、なお政府として検討しているか、あるいは検討してみなければならないというようなお考えになっておられるのか。これは将来にわたる大きい問題でございますから、いまこの問題でお尋ねするのが適当かどうかわかりませんけれども、最後に、この点について大臣から御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/44
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045・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 非常に大きな問題でございます。新しい教育制度が立てられまして、今日まで十数年経過いたしたわけであります。新しい制度でありますから、それが社会の現実となじまない、こういう問題もあろうかと思います。これはしかし年月がたつに従って解決できる問題だと思います。同時に、新しい制度だけでは社会の需要を満たし得ない、こういう要素もあろうかと思うのです。まあいままでやってまいりましたことは、このいまの社会というものに対応して、国民の要望にこたえていろいろな施策を講じてまいった、こういうことでございまて、基本的な大きな柱というものについては別に触れてはおらないつもりでおるわけであります。この大きな柱につきましても、さらに大原則をこわすとかなんとかいうことでなしに、内容的にはいろいろ改善をしなければならぬ意もあろうかと思います。大学教育の問題にしましても、後期中等教育の問題にしましても、あるいはまた近ごろよくいわれております幼児教育の問題にしましても、改善すべき点は多々あろうかと思いますが、私どもはいまこの大きな柱を変えるとかなんとかいうような考え方はいたしておりません。要は、やはり実社会の必要というものを無視するわけにもまいりませんので、これに応じていろいろな施策を講じていくことが、やはり大原則を将来長きにわたって維持していく一つの方法じゃなかろうか、かように考えておる次第であります。そのように御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/45
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046・湯山勇
○湯山委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/46
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047・久野忠治
○久野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午前十一時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605077X02719640522/47
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