1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十一日(金曜日)
午後一時二十七分開議
出席委員
委員長 濱野 清吾君
理事 鍛冶 良作君 理事 唐澤 俊樹君
理事 小金 義照君 理事 小島 徹三君
理事 三田村武夫君 理事 坂本 泰良君
理事 細迫 兼光君
大竹 太郎君 亀山 孝一君
坂村 吉正君 四宮 久吉君
田村 良平君 中川 一郎君
馬場 元治君 久保田鶴松君
出席政府委員
法務政務次官 天埜 良吉君
検 事
(刑事局長) 竹内 壽平君
委員外の出席者
検 事
(刑事局総務課
長) 辻 辰三郎君
専 門 員 櫻井 芳一君
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二月二十日
委員奧野誠亮君辞任につき、その補欠として亀
山孝一君が議長の指名で委員に選任された
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本日の会議に付した案件
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三八号)
刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出
第四一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/0
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001・濱野清吾
○濱野委員長 これより会議を開きます。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び刑事補償法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。
前会に引き続き質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。大竹太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/1
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002・大竹太郎
○大竹委員 刑事補償法の一部を改正する法律案についてお伺いいたしたいと思います。
少し基本的な点についてまずお尋ねしたいのでありますが、この四条二項を見ますと、賠償するべきものについて、普通の損害賠償のようにいろいろ項目があげてありまして、精神上の苦痛いわゆる慰謝料というものまで含めて考慮するようにということになっておりますが、いままでは二百円から四百円、今度は四百円から千円までということになっておりますけれども、このいただきました資料から見ますと、四百円−千円ということは、日雇いの労務者の一日の賃金というようなことになるわけであります。そういたしますと、いま申し上げました四条二項というものとの間に非常に矛盾があるのじゃないかというふうにも考えられるのでありますが、その点についてのお考えはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/2
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003・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 大体、この案によりますと、現行法の二倍、上のほうが二倍半ということになりますか、そういう率で引き上げるということになっております。今回の基準を定めました根拠としましては、物価と賃金、それから証人、鑑定人等の日当、この三者を考えました。その三者を考えましたゆえんは、現行法を定めますときに同じような考えに立って定められたものでございますので、その三者を参考にいたしたのでございます。この三者を比べてみますと、証人、鑑定人の日当でございますが、種類によりまして金額に差異はございますけれども、平均いたしますと、昭和二十五年ごろは二百三十円でございましたものが、昭和三十七年には八百三十三円となっておりますし、裁判所刑事証人というのを見ますると、千円という数字がここへ出ておるのでございます。それからまた産業別の常用労働者につきまして、一日平均の現金給与の額を、昭和二十五年と三十八年とをそれぞれ比較をしてみますると、平均におきましては、二十五年の三百五十二円から千八十九円になっております。さらにまた日雇い労務者につきましてこれを見ますると、二十七年の平均が三百十二円であり、三十八年の八月が六百二十六円となっております。それから東京の小売り物価の指数を見てみますると、やはりこれが昭和二十五年を一〇〇といたしますると、三十八年の十月は一五五というふうになっております。東京の消費者物価の指数は一八三、全国卸売り物価の指数は一四五、こういうような数字が出てまいりまして、これらをひっくるめてみますると、大体二倍程度の数字が出るのでございます。したがいまして、この二倍という数字がそこで出るのでございますが、頭のほうを二倍半に近い千円といたしましたのは、証人の日当が千円になっておりますので、そこへ頭をそろえる。こういうことで見てまいりますと、二十五年当時の基準と考えました資料に基づいて、やはり同じ基準で二十五年と今日とを比較してみますると、このような数字でまとめますのが最も適当であろう、こういう結論になりまして、かように基準を定めた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/3
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004・大竹太郎
○大竹委員 いま私がお聞きしたのは、その点もありますけれども、そのほかに四条二項には慰謝料、精神的な苦痛というものも考慮しろということがあるにもかかわらず、いま御説明になった点からも明らかなように、いわゆる日当を基準としてやっておる。そういうようなことになれば、いま言うような慰謝料というようなものは何も加味されていないということになって、この規定と、その点で矛盾はないのかということをお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/4
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005・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 ごもっともな御質問でございまして、私十分お答えができなかったわけでございますが、この刑事補償の本質と申しますか、刑事補償とは一体どういう性質のものかということを考えてみますると、もちろんこれは国が補償するのでございますから、国家賠償の性質を持っておるのでございます。国家賠償とは一体それでは何かということになってまいりますと、損害の補償、損害のてん補でございまして、その損害のてん補の中身をさらに見てまいりますと、いま仰せになりましたような要素が入るわけでございます。この刑事補償と国家賠償と違いますところは、国家賠償の一つの場合でございますが、これは故意、過失を問わないわけでございまして、もうこれは、いやしくも刑事の手続において所定の事故が起こりました場合には必ず補償をする、こういう憲法の要請に基づいてつくられたものでございますので、そういう要素を含んだものではございますが、あくまで定型化されたものでございます。したがって、もし扱いました公務員に故意または過失があるということになりますれば、それは国家賠償として、またその故意、過失に基づいて全損害が賠償させられるわけでございます。もちろんその場合にはそちらの金額のほうが大きくなりますから、刑事補償を差し引いた残りをさらに追給する。こういうことになると思いますが、いずれにいたしましても刑事補償というのは賠償でありますし、賠償の性質の中にはいま仰せになったような要素を含んでおる。これが定型化されておりますので、そういうものを含んだものとしてこの額はきめられる。そしてその基準はと申しますと、先ほど申したような基準で定める。こういうふうに申し上げたならばおわかりいただけるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/5
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006・大竹太郎
○大竹委員 しつこいようですけれども、私はもう一度お聞きしたい。この刑事訴追を受ける精神的な苦痛、そして結局無罪になったというような面から考えますと、これはもちろんその人の立場にもよるでありましょうが、場合によってはなお慰謝料というものを国としては見なければならぬというふうに思うのであります。いまの御答弁でどうも私は納得できない面があるのですが、もう一度その点について御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/6
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007・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 仰せのとおり、精神上の慰謝、あるいはその人がもし外に、つまり社会に出ておったならばもうけたであろう利益、そういったような損害があるわけでございます。その損害を補償してやろう、こういう考えでございます。ところが、そういう性質のものではございますけれども、故意、過失にかかわらず、そういう現象に対して国が補償するという立場をとりました場合には、これはきまってこれだけの金額のものを上げます、こういうのがこの刑事補償の考え方で、中身はいまおっしゃるようなことの意味で補償をするのでございますが、定める金額は定型化して定額で上げましょう、その定額の基準になる額をいま言ったようなことで算定をした、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/7
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008・大竹太郎
○大竹委員 ただ、そういたしますと、また重ねてお聞きしたいのですが、死刑の場合には、損失額というものが証明されればそれをやって、その上に今度は百万なら百万を上積みする。そういうようなものの考え方からすれば、いまの自由刑の場合でも、やはり自由刑による損失額というものを証明させて、その上に上積み幾らというものの考え方でいったほうがより合理的だと私は思うのですが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/8
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009・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 死刑の場合は、この法律の考え方としましては、もつっぱら慰謝料という考え方に立っておる。その他のものにつきましては、慰謝料のほかに物質的な損害といったようなものを含めた考え方に立っておる。そこで死刑の場合の五十万円というのは慰謝料にすぎませんから、ほかに得べかりし利益といったような損害がもし証明されれば、それも差し上げるというか、出すべきである、こういうふうに額を規定しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/9
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010・大竹太郎
○大竹委員 だけれども、自由刑の場合でも、私は先ほど御質問したように、どっちかといえば慰謝料のほうを重く見るべきものじゃないかと思うのですが、それは見解の相違でありましょうけれども、この法律の精神はそうだというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/10
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011・鍛冶良作
○鍛冶委員 関連して。これは考えてみるとたいへんむずかしいので、ここで明らかにしておかなければならぬと思うのですが、何を補償するのですか。それを明らかにしてもらいたい。無罪になった場合に、拘束された者に補償をやる、何を補償するのですか。補償の対象は何であるか。いま大体お話しになったようだが、もっとこれは明らかにしておかなければならぬ。それから死刑の場合の補償は何であるか。これはここまで議論をすると、ここで明らかにしてもらわぬと、将来たいへんな問題が残るように思いますが、この際ひとつ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/11
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012・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 先ほどお答えした中に含まれておることでございますが、死刑の場合でなくて一般の拘禁の場合の補償は、物質的な損害、精神的な損害——精神的な損害というのは主として慰謝料的なものでございますが、そういうものを含めたものとして補償される、その補償の内容はそういうことになっております。これに反しまして、死刑の場合はもっぱら慰謝料、精神的な損害に対して百万円、そしてもし物質的な損害が証明されるならば、それもつけ加えて補償する。さらに先ほど申しましたように故意、過失がある場合は、国家賠償がまたそれに加わっていくこういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/12
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013・鍛冶良作
○鍛冶委員 第一の場合の補償は損害と慰謝料と両方ある。そこでもし公務員に故意、過失があれば損害賠償が請求できる、これも慰謝料及び損害を請求できます。こういうことになりますね。そうなると、その幅の違いはどういうことになるのですか。損害と慰謝があるのですから、故意、過失があろうがなかろうが、損害と慰謝の両方あるわけなんです。しかるに故意、過失のある場合に特別に請求できるということになると、その範囲がどういうふうに違うのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/13
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014・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 刑事補償の場合には、刑事手続が適法に行なわれて、その結果抑留、拘禁されましたが、裁判の結果無罪とされた、こういう場合には公平の原則と言いますか、そういうものによって生じましたただいまの物質的、精神的な損害を国が補償するのが相当である。これは憲法にも規定がございます。そういう趣旨で、これはもう無条件に補償する額をきめたものでございます。それからまた国家賠償は、公務員がその職務を執行するにあたって故意、過失があったために生じた損害、これも精神的、物質的両面の損害がございます。したがって、これは民事訴訟で通常認められます損害というようなものがすべて入るわけでございまして、おそらくはこの刑事補償よりも、国家賠償で故意、過失がありました場合は、落ち度があるわけでございますからその額が大きくなることは当然でございまして、国家は刑事補償の場合には、故意、過失がなくてもそういう結果が発生した場合には公平の原則に照らして補償するのが相当だという立場に立っておりますから、最小限度の補償ということになると思います。したがって、故意、過失に基づいてこのような結果が出てまいりました場合には、刑事補償の賠償も受けられるし、国家賠償も受けられるということになりますが、両方は取れないから、もし国家賠償のほうが金額が多ければ刑事補償のほうでもらった分を差し引いた残りをさらにもらう、こういう結果になるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/14
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015・鍛冶良作
○鍛冶委員 だいぶわかってきました。私が聞いたのは、補償の対象はその人のこうむった損害とそれに精神的な慰謝料の両方だ、損害賠償を請求したところがその両方じゃないか、そうすれば高い低いがないわけじゃないか、こういうことであったのですが、いまだいぶわかりました。もう一ぺん私あらためて申し上げて、そうであれば御同意を待ておきたいと思います。国家賠償の場合には立証しまして、その立証ができたとすれば立証額だけを賠償しなければならぬ、こういうことになりますね。この場合は、その立証があってもこれ以上は出さない、こういうことになる。この区別があるというように考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/15
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016・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 仰せのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/16
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017・鍛冶良作
○鍛冶委員 そうすると、死刑に対するそこのところのお話をもう一ぺん伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/17
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018・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 死刑の場合には、先ほど申しましたように五十万円を百万円に引き上げました。この百万円という額は慰謝料のみを意味するものと私どもは理解しております。その理解をしますのは、もし他に物質的な損害があることが証明されれば、それも加えて賠償するということが規定にございますので、この百万円というのは精神的な慰謝料のみをさすのだという解釈になる。したがって、精神的の慰謝料は実際的には百万円や千万円できくものではないかもしれませんが、とにかく百万円ということで定額を定めておるわけであります。それにプラスいたしまして、その人が得べかりし利益というようなものがもし証明されますならばそれが加えられて、死刑の場合の刑事賠償額というものがきまってくるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/18
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019・鍛冶良作
○鍛冶委員 そうすると、死刑の場合に損出賠償を請求するときには、いまの拘束の場合と同じように公務員に故意、過失があるということを理由でやるのですか。それとも、この以外にまだ損害があるぞといって請求ができるというのでしょうか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/19
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020・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 故意、過失のあります場合には国家賠償のほうでありますが、この法律では故意、過失がない場合、百万円は慰謝料の定額でございますから、あと物質的な損害を証明をすれば、それにプラスして物質的な損害の分について裁判で額をきめましてそれとプラス百万円というものが死刑の場合の賠償額になる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/20
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021・鍛冶良作
○鍛冶委員 そうすると、公務員の故意、過失のない場合でも損害を証明すればできるということですね。故意、過失がなくてもやれるということになると、それはどの規定によるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/21
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022・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 故意、過失を必要としないということは、刑事補償法全般がそういうたてまえになってできておりまして、それから死刑の場合に、特にいまのは百万円は慰謝料であって、その証明をというのは四条三項にただし書きがついておりまして、「但し、本人の死亡によって生じた財産上の損失額が証明された場合には、保証金の額は、その損失願に五十万円を加味した」この五十万円が百万円になりますから、「百万円を加算した額の範囲内とする。」こうございますね。これによりまして財産上の損失ということがここに書いてございます。それからその他の拘留、抑留についての補償については、そういう規定を持っておりませんので、これは定額でございますけれども、慰謝料のほかに財産上の損害をも含めた額としてきめられておる、こういうふうに私は判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/22
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023・鍛冶良作
○鍛冶委員 それならば、拘束の場合には両方含めた補償をやっているにかかわらず、死刑の場合に慰謝料だけの補償をやるという、その区別をしたのはどういうところからしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/23
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024・辻辰三郎
○辻説明員 ただいま御指摘の点でございますが、刑事補償の補償の内容は、拘禁の場合もそれから死刑の場合も、両方の場合全く同じでございまして、両方ともその内容は、精神的な慰謝料と物質的な損害、両方ともを補償するわけでございますか、死刑の場合に特に区別がされておりますのは、沿革的にはこの四条の三項のただし書き——この本来の法律が国会の御審議の経過におきまして、特にこのただし書きが修正されたという経過になっておる次第でございまして、特にこの点だけが死刑の場合は事が重大であるからということで、立証された財産上の損害は別に見る、こういうふうに規定が訂正されたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/24
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025・大竹太郎
○大竹委員 いま五十万、今度百万になるわけですが、定額定額とおっしゃるが、この定額の範囲内で慰謝料を出すということなのでしょう。さっき定額定額とおっしゃったけれども、五十万円を全部これに加えるというわけではないのですね。それで条文のことをお聞きしてたいへん申しわけないのだが、それでは五十万円以内で定めるのは、この四項の本人の健康云々という、これがこの五十万円の内容を定めるあれになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/25
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026・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/26
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027・大竹太郎
○大竹委員 それでは次にお聞きしたいのでありますが、このいただいた資料を見ますと、一番よく出ているのは三十六年度で、三百八十人無罪となっておるのでありますが、そのうちたった八十六人しか刑事補償法の請求をしてないようなことにたしかなっているのでありますが、これは第三条の、ある場合においては補償の一部または全部をもらえないというような事情から請求しないのでありますか。何かそのほかに……。請求しないといえばそれまでの話でありますが、その辺の事情はどういうことになっているのですか。あまり請求した人間が少ないようでありますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/27
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028・辻辰三郎
○辻説明員 ただいま御指摘の点でございますが、無罪の確定がありましたその者がなぜ請求しないかという点でございますが、これはそれぞれの事情によってしないとしか申し上げられないので、私どものほうでその具体的な事情がどうなっておるかということはわからないわけでございます。請求を待ちまして、初めて動いてくるというのが法律の建前でございますので、かような結果になったことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/28
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029・大竹太郎
○大竹委員 これはもちろん法律の建前からいえば、請求を待って支給するように法律ではなっておるかもしれませんが、いわゆる国家の刑事行政の正しいあり方、また先ほど来お話がありました公平の原則から言えば、もらえるものはもらえるようにして指導というか、最近のことばで言えばPR、そういうことを私はやるべきものだと思いますが、そういう点についてのお考えをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/29
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030・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 これはPRしてというおことばでございましたが、法律が出ます場合には、新聞等にもどういう法律案が今度出るかというようなことで、私ども解説をしておるのでございますが、大体申しますと、ただいまではほとんど弁護士のつかない事件というのは少のうございまして、弁護士はみなこういう点は存じておるわけでございまして、請求のないのはどういうわけで請求しなかったかということは、これは複雑で一がいに言えないと思いますが、それはわかっておってもあえて請求しなかったというふうに私どもは見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/30
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031・大竹太郎
○大竹委員 それで私が言いたいのは、PRが足らないという点はともかくとして、また一面から言うと、手続が非常に繁雑であるとか、あるいは先ほど申し上げたように、せっかく繁雑な手続をしてもわずかな金しかもらえない、そういうようなことで請求する人がないのだというようなことになれば、これは、国としても考えなければならぬと思います。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/31
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032・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 それは実情とは違うようでございまして、わずかな金でございましても、証人や鑑定人の日当でも、ほんのわずかなものでございますけれども、ほとんど例外なく請求されておりまして実際としましては権利のあるものは権利を行使するというのが実情のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/32
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033・大竹太郎
○大竹委員 いま一つだけお尋ねしたい点があるのでありますが、この刑事補償法はもちろん刑事被告人が対象のものだと思うのでありますが、いわゆる被疑者段階で自由を拘束した者に対しては、調べていただいたところによると被疑者補償規程というものがあるようでありますが、この今度の金額の引き上げその他と被疑者補償規程との関係はどうなるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/33
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034・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 被疑者段階の者につきましては被疑者補償規程、これは法務大臣訓令で出ておりますが、これを訓令にとどめて法律にしなかった問題は別といたしまして、趣旨におきましては刑事補償の趣旨をすべて受け継いでおるわけであります。金額は、もし刑事補償法の基準額が引き上げられました場合には、それに準じまして千円以内で被疑者の補償をする、こういうことで訓令改正をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/34
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035・濱野清吾
○濱野委員長 次回は二十五日午後一時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X00519640221/35
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