1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月三十一日(火曜日)
午後零時二十七分開議
出席委員
委員長 濱野 清吾君
理事 鍛冶 良作君 理事 唐澤 俊樹君
理事 小金 義照君 理事 小島 徹三君
理事 三田村武夫君 理事 坂本 泰良君
理事 細迫 兼光君 理事 横山 利秋君
大竹 太郎君 亀山 孝一君
坂村 吉正君 四宮 久吉君
田村 良平君 千葉 三郎君
中垣 國男君 中川 一郎君
中村 梅吉君 服部 安司君
古川 丈吉君 久保田鶴松君
畑 和君 松井 政吉君
山本 幸一君 竹谷源太郎君
志賀 義雄君
出席政府委員
法務政務次官 天埜 良吉君
検 事
(大臣官房司法
法制調査部長) 津田 實君
委員外の出席者
判 事
(最高裁判所事
務総局総務局
長) 寺田 治郎君
判 事
(最高裁判所事
務総局総務局第
一課長) 長井 澄君
判 事
(最高裁判所事
務総局人事局
長) 守田 直君
専 門 員 樫井 芳一君
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三月三十一日
委員久保田鶴松君、山本幸一君及び林百郎君辞
任につき、その補欠として畑和君、松井誠君及
び志賀義雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事神近市子君同日理事辞任につき、その補欠
として横山利秋君が理事に当選した。
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三月二十七日
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出第一二一号)
(参議院送付)
同月二十八日
厚木米海軍航空基地近接地域住民に対する人権
侵犯事件の調査に関する請願(大出俊君外四名
紹介)(第一八三三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出第一二一号)
(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/0
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001・濱野清吾
○濱野委員長 これより会議を開きます。
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑に入ります。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/1
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002・横山利秋
○横山委員 上程されております下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について、政府側に御質問をいたしたいと思います。
先般来私の立場を申し上げておりますように、私は本委員会は初めてでございますので、ずいぶん先輩の皆さんには当然のことと思われ、あるいは議論がされておることかとも思いますけれども、初めて出席してみましてまことに意外な点がきわめて多いのであります。
まず第一に、この下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の改正をして、そしてあすこに裁判所をつくるの、ここの管轄区域を変えるのということをやっておきながら、一方では、きまっておるけれどもまだ開庁していないという簡易裁判所がずいぶんあるということであります。一体法律で定め政令で定め、そうしてきちんと開庁することになっておりますにかかわらず、ずいぶん多くの簡易裁判所が開かれていない、こんなばかげたことは、ぼくらしろうとの常識から言いましてもきわめて不可解に存ずるわけでありますが、それは一体どういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/2
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003・天埜良吉
○天埜政府委員 裁別所のほうからお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/3
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004・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 裁判所の司法行政の問題でございますので、私どものほうから答えさせていただきたいと存じます。
ただいま横山委員から御指摘のありましたとおり、現在若干の庁が実際に事務を開くに至っておらないわけでありまして、これは毎度お尋ねをいただきましてまことに恐縮でございますが、結局、その管内に建物が得られないというようなことがおもな原因になって、現在まだ開いておらない、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/4
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005・横山利秋
○横山委員 ぼくは初めてですからお伺いするのですが、毎度お尋ねをいただいて恐縮に存じております。建物が得られない、それならよその官庁に法律なり予算なりがきまって未開庁のようなところがありますか。これはおたくの独得の問題のように思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/5
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006・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これはほかの役所でそういうふうに法律できちっとどこの場所にどういうものを建てるということがきまっておりますものがございますかどうですか、私もよく存じませんが、私どものほうといたしましては、いろいろそういうふうに努力はいたしておるのでございます。ただ結局地元のほうでも、そこに開庁していないということについて、それではどうしても裁判の処理が非常にぐあいが悪いというふうには必ずしも伺っておらないというような関係もありまして、いろいろ努力はいたしておりますが、今日のような状況になっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/6
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007・横山利秋
○横山委員 そうすると結局、現実的な必要性がないにかかわらず法律できめた、こういうことでありますか。あなたのいま恐縮に存じておりますというのは、本来建てなければならぬということであるけれども、地元もそうわあわあ言わないというのは、現実的には積極的に開庁する必要性がない、必要性がないけれども、法律でさあやってくれやってくれとあなた方が要求する、こういうことでありますか。たくさんの未開庁のものがあるわけですが、どちらの責任でありますか。われわれは決定する責任を持つのでありますが、あなた方は提案するときには、必要だからこういうものをつくってくれと言うたのであります。私はかって大蔵委員をしておりましたが、たとえば税務署を開設するとなればその年のうちに必ずできます。あなたのほうは大体必要もないものを国会へ提案をして可決をしてもらうということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/7
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008・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは終戦直後いろいろな観点から、簡易裁判所というものをどの程度に配置をしたらいいかというような点の検討がなされまして、一応こういうところに簡易裁判所を置くことが簡易裁判所のあり方として相当ではないかということになったわけでございます。そうして法律でおきめいただいておるわけでございますから、むろん私どもとして必要性がないというふうに考えておるわけではございません。ただ、その当時に結局適切なる建物が得られなくて即座に開庁ができなかった。そういう状態が継続いたしますうちに、次第にその必要性についても多少ニュアンスが変わってきておる面があるのではないかというふうには考えておるわけでございます。しかしながら、今日といえどもむろん全然必要がないというたてまえで検討しておるわけではございませんので、いま簡易裁判所の全面的な整理統合というような問題が議論にのぼっておりまして、これは法務省ともよく相談して検討はいたしておりますが、現在のところ、必要がないという結論に達しておるわけではございません。何とかして一応開庁ができればと考えておるのでございますが、それに至っていない、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/8
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009・横山利秋
○横山委員 そんなあいまいな答弁を何回も何回もやられても私は納得ができないのであります。法律ではきまっておる、きまっておるからやらなければならぬ、けれどもまあまあということでほうってある。いまやらなければならぬことはないけれども、開かなければならぬとは思う、こういうことでいつまでもこの問題を放てきなさるべき筋合いの問題ではないと私は思う。だから、未開庁の簡易裁判所は現実的、積極的な必要性がないとするならば、法律を改正をしてそれはなくすべきだ、どうしても必要性があるとするならば、これは即刻開庁すべきだ、来年度の予算の中に未開庁のものの設立に関する予算は全然ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/9
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010・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは予算としてはいろいろ要求等はいたしておるわけでございますが、実際上具体的に土地を獲得するということが、つまり幾らでも金を積めばあるいはできるのかもしれませんが、これはまた全般的な見地から見て、はたしてそれが妥当なものであろうかどうかというようなことも考えざるを得ませんので、そういう点では、さしあたりこの管轄所在地内にしかるべき土地、建物を入手することは困難である。かような結論に達したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/10
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011・横山利秋
○横山委員 そうすると、来年度の予算の中にはこれらの未開庁の予算はないのですか、計上してあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/11
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012・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 計上いたされておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/12
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013・横山利秋
○横山委員 私の調査したところによりますと、韮崎簡裁、都島簡裁、東淀川簡裁、西成簡裁、灘簡裁、宝塚簡裁、柳生簡裁、十津川簡裁裁、すさみ簡裁、愛知横須賀簡裁、鹿野簡裁の十一カ所、これは全く法律上空文になっている。一つや二つならいざ知らず、十一も全国で箱易裁判所が未開庁で、法律ではきまっておるけれども、これらのものをほりっぱなしにしておくというようなことは、よその委員会をずっとやっておりましても常識上考えられない。こんなばかげたことは…。そうでしょう。こういうことをあなた方としてはこの辺で処理をなさるお気持ちがないのであるかどうか、どういうつもりですか。要求したが大蔵省が断わったのでしかたがありません、さようですということでほっておくつもりでありますか。これらの十一簡裁は、結局あなた方がどうしても必要性があるとするならば、何としてもこれは大蔵省に納得させなければいかぬ。土地が高いから簡易裁判所を開く必要はないということじゃないですよ。法律できまっているのですから、きまっていることをやるためには予算を取らなければならぬですよ。実際はサボっているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/13
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014・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 横山委員からいろいろお話しいただきましたことを私どもとしても考えておるわけでございます。何とかして処理いたしたいと思っておるわけでありますが、ただ同時に一点お聞きいただきたいのは、裁判所法はあらかじめそういう場合も予想いたしまして、これにぴったり当たると申し上げていいかどうか問題でございますが、とにかくそれにも適応できるような場合を想定いたしまして、裁判所法の三十八条で「簡易裁判所において特別の事情によりその事務を取り扱うことができないときは、その所在地を管轄する地方裁判所は、その管轄区域内の他の簡易裁判所に当該簡易裁判所の事務の全部又は一部を取り扱わせることができる。」という規定がございます。いわゆる事務移転の規定でございますが、そういう事務移転の方法ということが認められておりますので、その規定を適用いたしまして現在はやっており、一応それほどの支障なしにまいっておるのではないかとも考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/14
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015・横山利秋
○横山委員 そんなかってな答弁はありませんよ。少なくとも法律によってこれは開くことになっている。なっているにかかわらず開かれていないということは、法律を執行する責任を負ってもらわなければいかぬ。われわれはこの十一カ所を開くということを法律できめた。歴代の大臣の皆さんは、それを執行する責任と義務があった。それをサボっておると言われても何とも言いようがないじゃありませんか。もしもあなたの言うように、そういうようなことをせぬでもいいというならこういうことは法律できめる必要はないじゃありませんか、どうですか。人格円満、豊かなる政務次官に客観的な御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/15
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016・天埜良吉
○天埜政府委員 これはしっかりきまった法律によってきめられた裁判所の設立でございますから、どうしてもやらなければならぬというふうに考えます。この予算につきましては、これは最高裁が要求をしております。私どもも大いに手伝ってやらなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/16
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017・横山利秋
○横山委員 それでは十一カ所のあれをちょっと一つ一つ聞いていきますが、韮崎簡裁は何で開庁しなくてもいいのですか、そのことの経緯を十分に聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/17
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018・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは先ほどサボっておるというお話でございましたが、私どもとしてはサボっておるのではなくて、努力が足りないというふうに思うわけであります。
いまの韮崎簡裁の点でございますが、これは適当な庁舎敷地が得られないということが理由になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/18
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019・横山利秋
○横山委員 適当な土地がないということは、もちろん銭の問題だと思う。いまどき役所が適当な土地と言うか、適当な価格というものがあるはずがないのです。ほんとうにやる気があったならば、それは何としても確保しなければならぬじゃありませんか。十一カ所は一体いつ法律によって制定されたのですか。何年何月ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/19
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020・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは御指摘の庁によっていろいろ違いますが、二十二年当時のものがかなりの数でございます。(「もう時効だよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/20
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021・横山利秋
○横山委員 時効にかかっておるというお話がありますが、二十二年といえば、いまから十七年も前です。十七年前に開庁されるということになっておって、いまもって放任しておくということは、言語同断じゃありませんか。もしも韮崎が必要がないというなら、一ぺん法律を整理したらどうですか。
その次に、都島簡裁はどういう理由ですか。都島簡裁というのはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/21
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022・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは大阪の市内でございます。これも理由は、大体同様のことになっておりますが、結局、実際の事務を事務移転してやりました場合に、地元の方も、むしろそれで弁護士さんなんかは非常に御便宜のいい面もあるわけでございます。ただ、しかしながら、法律を整理してはどうかというお話がございまして、これまたお話のとおりでございまして、法務省とも連絡して、いま鋭意検討いたしておりまして、御承知のとおり臨時司法制度調査会でも、そういう問題等についても議論が出ておりますので、そういう答申も勘案しまして検討したい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/22
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023・横山利秋
○横山委員 そんな臨時司法制度調査会で検討しておるからと言わないでも、十七年もやっておかないで、あなたのほうでやろうと思えば、法律の改正なり是正なり、現状に適合するようにして、そのかわりどうしてもここだけは開庁してもらいたい、そのために予算をくれと折り目をつけたらどうなんですか。どうもきょうの雰囲気が雰囲気なものですから、私の質問を、あなたもおざなりにやっていけばいいんじゃないかというお気持ちがあったのでは、私も心外なんです。私は、先ほど言うようにこの委員会には初めてでございますから、新しい問題については、ぜひひとつ先輩の諸君には悪いけれども、前向きになってここで整理をしてもらいたいと思うのです。何も臨時司法制度調査会をまたないでも、いま現にだれが聞いても矛盾しておることは、ここで最高裁として法律を是正する、そのかわりこれだけはどうしてもやるときめて、この国会にすみやかに提案をするという態度をとられることが必要じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/23
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024・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これはまことにごもっともな御意見でございまして、私どもとしても十分その御意見に沿いまして検討いたしたいと考えておりますが、決しておざなりのことを申し上げておるつもりではございませんので、具体的に庁名等まで指摘いたしまして、整理統合の問題は真剣に検討しておるわけでございます。
ただ未開庁ではなくても、実際にやっておっても、たとえば民事訴訟事務だけを法律上移転されておるという庁もございます。それから移転はされておらないけれども、事件の数その他から、これはむしろ廃止したほうがいいんじゃないかという、立法論としてそういうようになっておるものもあります。そういうものも含めまして、つまり全国で五百七十庁ございます。それにつきまして一つ一つに当たりまして、具体的に成案を得て国会の御審議をいただきたい、こういうふうに考えておって、その作業がいわばおくれておる。これも二十二年からということで、少しおくれ過ぎているとおしかりを受けるかもしれませんが、具体的にその庁名をあげてやっておりますのはここ数年でございまして、これは遠くない機会に国会で御審議をいただく手順になっておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/24
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025・横山利秋
○横山委員 これは常識的に考えて、一ぺんさらっと全部アウトにしてしまって、その中であなたのほうが予算がとれそうになったころに、ことしはこれを法律案に出すからひとつ法務委員会の諸君も頼む、こういうふうにやって、現実的にやっていけば——数年かかって検討する、これは数年かかって何を検討するのですか。
では、東淀川の簡裁はどういうわけで開庁されないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/25
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026・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これも前申し上げましたと同様の理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/26
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027・横山利秋
○横山委員 前とは何ですか。全部土地ですか。この問題は、私一つ二つ知っておるところがありませんから、いいかげんなことを言ったら承知しませんぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/27
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028・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いずれも土地または建物でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/28
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029・横山利秋
○横山委員 西成簡裁はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/29
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030・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これも同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/30
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031・横山利秋
○横山委員 考えてみますと、大阪は都島、東淀川、西成、灘、宝塚と、ばかに大阪方面に簡裁の未開庁が多いというのは、これはどういうわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/31
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032・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これはどういう理由でございますか、偶然そういうことになったのではないかと思います。偶然その辺で土地の入手が困難になった。どういう理由でそこだけが困難かということはちょっと御説明申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/32
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033・横山利秋
○横山委員 十一カ所の中で、都島、東淀川、西成、灘、宝塚——柳生は別にしても、ずいぶん大阪の簡易裁判所が未開庁である。大阪には簡易裁判所にかかる事件というのはあまりないのですか。これは偶然にしてもちょっとおかしくないか。簡易裁判所の配置を全国均等に分けてやったにもかかわりませず、大阪だけがばかに多い。そのほか考えてみましても、柳生、十津川、すさみ——これはどこですか。とにかく関西方面の簡易裁判所がずいぶん未開庁になっている。これは関西方面の何か特殊事情があるのか、全国と違って関西は簡易裁判所をやらぬでも特別に方法を講じてあるのか。国民諸君は、関西だけが簡易裁判所が少ないということについてはおかしいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/33
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034・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは御指摘のとおりでございますが、当初開庁できませんでした理由は、先ほど来申し上げております庁舎敷地、建物の入手困難ということでございますが、そういう状態で未開庁になってまいりました。この法律案が出ました当時は、御承知の敗戦直後の非常に混乱した時代でございまして、なるべく簡易裁判所を方々に置いて便宜なふうにということででき上がったものだと理解しておりますが、そういう当初、庁舎敷地獲得困難というようなことで未開庁という状態を続けてまいりますうちに、実際上、御承知のとおり都島にいたしましても、あるいは東淀川、西成にいたしましても、大阪の市内でございまして、交通等も次第に非常に便利になってまいりました。弁護士さんなどでは、むしろそういうところへおいでになるよりも、大阪簡裁へおいでになるほうが御便利な面も出てまいったような関係にあるわけでございます。そういうことならば、これは廃止すればということになるわけでございますが、簡易裁判所を廃止するということはなかなか問題もございますし、ほかとの均衡ということもございますので、そういうようなことがいろいろ重なりまして、現在までこういうような状態が続いてまいった、かような次第でございます。将来簡易裁判所の整理統合が検討されます際には当然こういう庁が対象になる、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/34
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035・横山利秋
○横山委員 話をまた逆に戻してはいかぬですよ。私はこの問題についてのみ整理をきちんとしてしまえと言うので、将来の裁判所の統合整理の問題になるということを言っているのではない。大阪だけが未開庁が実に多いということは、何か当時の決定その他の経緯からいって私は考えるべき点がありはせぬかということを思うのですが、あなたはそういう特殊事情はないというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/35
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036・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 特殊の事情はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/36
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037・横山利秋
○横山委員 それならますますこれはおかしい。もうこれは必要がないというふうに考えてもいいと思うのですが、柳生簡裁はどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/37
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038・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これも前に申し上げましたと同様、敷地、建物の入手困難ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/38
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039・横山利秋
○横山委員 十津川簡裁はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/39
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040・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これも同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/40
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041・横山利秋
○横山委員 すさみ簡裁はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/41
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042・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これはしばらくの間法務局の出張所で執務いたしておりましたが、いろいろな関係でそれも非常にむずかしいことになりまして、そうして結局全体的な事務移転をせざるを得ない、こういうことになったわけでございますから、今日として見ますれば、結局敷地、建物の入手困難ということに帰着するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/42
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043・横山利秋
○横山委員 すさみというのは場所はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/43
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044・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 和歌山地裁の管内で田辺支部の近くでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/44
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045・横山利秋
○横山委員 今度は私の地元ですが、愛知横須賀簡裁はどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/45
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046・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは開庁いたしておりましたところが、昭和二十九年十一月十九日に庁舎が類焼でなくなりまして、その関係で、その後結局復旧が困難ということで事務移転ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/46
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047・横山利秋
○横山委員 類焼したのは私も承知しておるのですが、普通の役所が焼けたのだったらすぐに建てて、そうして住民の便宜をはかるというのが当然なのに、ほかの役所だったらすぐそれが行なわれるのに、なぜ愛知横須賀簡裁だけが、そこで建物をすぐに建ててやるということをしてくれないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/47
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048・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは御指摘のとおり、ほんとうに焼けた場合、すぐに建てることは、別にほかの役所ばかりではございませんで、裁判所の場合でも同様でございますが、この横須賀簡易裁判所の場合につきましては、そもそも開庁いたしておりましたのが、先ほど類焼いたしたと申しましたが、これが裁判所の独自の建物に開庁しておって類焼したのではなくて、横須賀町役場の中で開庁しておったのでございます。ところが、その町役場が類焼いたしまして、それでとりあえず横須賀小学校の仮庁舎に移転したのでございますが、その仮庁舎もまたその後老朽化いたしまして、そういう関係で結局事務移転せざるを得ないことになった、こういうような経緯になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/48
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049・横山利秋
○横山委員 どうもその点、あなたのほうの仕事というのは常識的に納得がいかない。裁判所の仕事はそういうのんびりした仕事かもしれませんが、とにかく火事になって焼けた、それで今度は小学校へ行った、小学校が老朽化している、こんなことならやめてしまおうかという、そういう気持ちというものはどうも私は納得できぬ。ほかの役所だったら、焼けた、移転した、そこもたいへんだというのだったら必ず何はさておいても建設をし、いろいろ無理なこともやって、焼けたのだからしようがないというわけでみんなの協力も得てやるのが普通なのに、これだけの緊急性があるのに、どうして簡易裁判所を開設しないのか。この横須賀簡裁を再建をするお気持ちはないのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/49
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050・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これはそういうふうに一般的な問題としてお尋ねいただきますと、まことに私どもも恐縮に存ずるわけで、一般的にはまさに御指摘のとおりになっておるわけでございます。ただ、簡易裁判所の関係が若干こういうようなことになっておりますことはまことに申しわけないところでございますが、こういう事務移転しております庁は、事件数が少ないとか、あるいは交通が非常に便利であるというような点もいろいろからんでまいりましてそういうことになっておるわけでありますが、ただ、横須賀簡易裁判所におきましては、これはいままでいろいろ御指摘のありました庁と比べますと、あるいはいろいろ問題が起こるたびにそうした存置という問題について検討しなければならぬのではないかということに当たるほうに属するかと思いますが、これは結局全体的な問題であらうと思います。一応現在といたしましては事務移転でまかなっておる、半田簡易裁判所で事務をやっておる、こういうことになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/50
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051・横山利秋
○横山委員 どうも諸君は半田と横須賀の地理的事情がおわかりにならないかもしれませんが、だいぶ遠いのです。ですから私はほかの地への移転につきましては——とにかく大阪に特殊な事情があるという感じがあるのでこれは別途検討いたしたいと思いますが、少なくとも、焼けて学校に移転して、学校がまた老朽化して追い出され、半田のほうに事務移転したからといって、そのまま十年もなおざりにしておくというばかげたことは考えられない。一体横須賀簡裁をこれからどうしてくれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/51
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052・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは十分検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/52
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053・横山利秋
○横山委員 十分検討では話になりません。横須賀簡裁は建てるのか建てないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/53
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054・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 その点は、先ほど来申し上げておりますとおり建てるように努力いたしておるのでございますが、その努力がいまだ不十分であるというふうなおしかりを受ける結果になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/54
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055・横山利秋
○横山委員 努力しておるというなら、本年度予算で要求の中に入っておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/55
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056・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 当初これは何とかいたしたいと考えておったわけでございますが、結局計上されてはおらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/56
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057・横山利秋
○横山委員 それでは最高裁の予算要求の中にも入ってないから、大蔵省へも出てなかった、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/57
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058・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これはいろいろな庁との比較検討におきましてさようなことになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/58
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059・横山利秋
○横山委員 それならば結局あなたの言っておるのはていさいのいいことじゃありませんか。いろいろ努力したけれども、最高裁の予算の大蔵省向けの要求の中にも入っておりませんでした、そんなことでは努力にならないじやありませんか。説明になりますか。国会に対する答弁というのは、少なくとも大蔵省段階において削られたというならあなたのほうの立場も立つでしょう。自分のほうのうちの中でアウトだったということでは努力にも何にもなりません。一体最高裁の立場として愛知横須賀簡裁を今後建設するという御答弁がいただけるものであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/59
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060・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これはこの国会を通過いたしました法律がこのままであります限り、私どもとしては建設に努力いたすわけであります。ただ、先ほども申し上げました全面的な整理統合の問題は、将来また別個に出てまいるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/60
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061・横山利秋
○横山委員 政務次官はあの方町にはきわめて縁の深い方でありますが、この質疑を通じてどういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/61
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062・天埜良吉
○天埜政府委員 お話のとおり横須賀と半田とはずいぶん離れております。一般の人の利便から考えましたときに、どうしてもやはり横須賀にはつくらなければならぬというふうに考えております。このような点、最高裁のほうとの連絡も緊密にして、実現するように努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/62
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063・横山利秋
○横山委員 そういたしますと、御両所の御意見は、少なくともことしといっても無理でありましょうが、来年の予算要求には計上して、そうして来年度建設をするように努力する、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/63
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064・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 最高裁判所といたしましても努力を続けたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/64
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065・天埜良吉
○天埜政府委員 最高裁判所と十分連絡をとって努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/65
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066・横山利秋
○横山委員 それではそのおことばをひとつ十分に実現に移していただきたいと思います。
最後に鹿野簡裁はどういうわけでだめなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/66
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067・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 鹿野の簡裁につきましても、やはり敷地、建物の関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/67
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068・横山利秋
○横山委員 私はいまの質疑応答を通じて考えまして、この間も本委員会で言ったのでありますが、法務省も最高裁も非常にテンポのおそいところであり、同時にまた非常に団結力の乏しいところで、協力一致の体制のないところである、こういうことを痛感いたします。こんなばかげたことはほかの省やほかの委員会では笑いものです。こんなばかけたことがまじめに——きようの雰囲気はちょっと変わった雰囲気でありますけれども、話の中心に入っていって、私も真剣になっておこれてくるわけですけれども、こういうことが日常ふだん普通のように、できませんでした、土地、建物がございませんでしたということでなおざりになっていくということは、ほかの委員会では問題にならぬことだと私は思うわけです。こういうことはおそらくほかにもあるとは思うのでありますけれども、こういうことのないようにくれぐれも折り目切れ目を法務省も最高裁も立てて仕事をしてもらいたい。やらなければならぬことはきちんと整理をする。やるとなった以上は断固として仕事をしていくということにならなければ百年河清を待つようなことになるという気がしてならないわけであります。
この下級裁判所の中でもう一つ問題になりますのが最近の交通裁判所に関する問題であります。少年の交通事犯がとみに激増いたしまして、最近におきましてはあらゆる話題の中心になっています。この間私は少年鑑別所へ行きました話を本委員会でいたしたわけでありますが、少年鑑別所へ入っている少年が交通事犯で入れられたときに、おれは何でこんなところに入らなけれならぬのかという非常な不満を言うのです。交通事犯というものがやはり同様刑事犯であることには論を待たないところでございますけれども、一般的な刑事犯と、それから交通事犯というのは多少やはりニュアンスが違いますから、ちょっとしたことで少年鑑別に入ってくる青年が、ほかの売春だとか、あるいは殺人だとかの故意犯のようなものと一緒で、区別をされないということについて非常に憤慨をしておるという感じがいたします。これらの少年の交通事犯を取り扱うについて、今日交通裁判所やあるいは少年鑑別所において十ぱ一からげに行なわれておるような気がいたしますが、一体どういうふうに今後行なわれていこうとするのか。本質的にこの少年の交通事犯について処罰主義というものが引き続き中心になっていくのか、あるいは教育中心主義がものの考え方の中心になっていくのか、今後どういうふうになさるおつもりであるか承りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/68
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069・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 一応私のほうから実情を御説明申し上げたいと存じますが、ただいま横山委員から御指摘のございましたように、交通問題は非常に大きな問題でございまして、事件数におきましてもかなりふえてまいっておることも事実でございます。ただ、三十八年度は一般の道路交通違反事件は若干増加いたしましたが、少年の関係は件数そのものは三十七年度よりわずかではございますが減少しておるわけでございます。その点は幾らか喜ばしい傾向だ、かように考えておるわけでございます。その一般の交通事件のほうにおきましては、御承知の交通裁判所というような施設もつくっていただいておりますし、また交通切符制というようなものも採用されまして、そういういわば警察から裁判所まで一貫的な切符でもって処理されるということで、かなり迅速、またスムーズな処理が行なわれておるわけでございます。これに反しまして少年のほうは、いろいろ横山委員もお話しになりましたとおり、私たちもただ交通事犯を犯したというようなことで、これがいわゆる非行少年だというふうには考えるべきではないという立場をとっておるわけでございます。そうして具体的な、個別的な処理によってその少年の将来の善導をする。たとえば信号無視であれば信号の関係をよく教えて指導する、こういうような措置が必要であろうというふうに考えて処理して、おるわけでございましてそういう関係からいたしまして、むしろ結果においては、いわゆる不処分とか不開始とかいうのが数の上では多いわけであります。そういう関係にございますので、一部からは、何か少年の交通事件を野放しにしておるというような批判を受けておるのでありますが、これはそういうわけでは決してございませんので、いまお話のございましたたとえば講習をいたしますとか、あるいは誓約書を取るとか、あるいは雇主や保護者に訓戒をするとか、こういう非常に幅のある措置でもって処理をしておる。これが現在の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/69
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070・横山利秋
○横山委員 私は交通裁判所を直接見たことはないのですけれども、みんなの雰囲気として、非常に早くなったということは言うけれども、まあ、払えばいいんだろうという雰囲気が出ておることはいなみがたい事実だと思います。しかし、それは一体どちらが——何べんも何日問も引っぱってやって、本人に、これはやめようか、これは注意しなければならないというような雰囲気を与えるのが正しいのか、それとも、罰金さえ出せばいいんだろうというのでどんどん回転をさせるのがいいのかということになりますと、ものの考え方としては、罰金さえ払えばいいのだというような感じを与えては、ほんとうはならないのでありますけれども、しかし、これだけ交通事犯が多くなった今日においては、事務の近代化としてはやむを得ないことだと思います。それならばそれで、払えばいいんだろうという雰囲気を是正せしめる措置がどうしても必要になるのではないか。特にこの青少年の交通事犯につきましては、これが最も緊要な課題であると考えますが、その点についてはどういうふうに措置をなさっていらっしゃるか、どういう方向でやろうとしていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/70
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071・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは成人の場合と少年の場合と区別して御理解いただけばけっこうかと思いますが、まず成人の場合におきましても、むろん横山委員からお話がございましたとおり、ただ罰金さえ払えばいいんだというような雰囲気をつくることは、これは非常に困るわけで、そういう意味で非常に大きな意味での刑事政策の問題になってくるわけでありますけれども、何と申しましても一年間で三百万件というような事件があるわけでございます。これを一つ一つ慎重にということにいたしますると、いろいろな面でかえってまた障害が起こる。そういうところから普通の成人の、つまりおとなの交通事件につきましては、先ほど申しました交通裁判所あるいは交通切符制というようなもので、どちらかといえば迅速処理ということに重きを置いた扱いになっておるわけでございます。しかしながら、むろん本人がそういう違反をした覚えは毛頭ないというようなことで、不服申し立て等をされる余地は十分残してありますし、またそういうことも、それぞれの段階で十分に本人に伝えるということになっております。しかし、そうはいっても実際上そういうめんどくさいことはということで、心ならずもそれに従ってしまうということもあるいはあるかもしれませんが、制度のたてまえとしては、そういう余地を残して一応迅速に処理するということが、おとなのほうの交通事件の処理のやり方であります。
それと違いまして、少年のほうは、この交通切符制、交通裁判所というような制度はとっておりませんで、家庭裁判所で家庭裁判所調査官が一人一人個別的に具体的に審査する。これもすべての事件というふうに必ずしもまいらない面もございますが、できる限りそういうふうにして、つまり、そういう機械的な流れ作業式なことはいたしておりません。むしろ、どちらかというと、いまの件数からいえば、慎重に過ぎるのではないかという批判を受ける、あるいは結果がむしろ温情に過ぎるのではないかという批判を間々受ける程度に、いわば慎重に個別的な処理をしております。これが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/71
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072・横山利秋
○横山委員 私の質問にまだ的を射ていないのですが、おとなのほうは払えばいいのだろう、しようがない。子供のほうは慎重にやるということでは、まだ私の質問の的を射ていないのです。要するに、交通事犯が多くなればなるほど事務の近代化をはからざるを得なくなる。そのことは青少年であっても、結局は家庭裁判所の仕事が進んでくれば同じことになる。しかも事犯としてはそう複雑な問題ではないから、是非曲直を明らかにするといったところで、結局そうむずかしい問題ではない。そうだとすれば、おのずから大勢というものは払えばいいのだろうという方向になるのではないか。したがって、それにかわり得る一つの抜本的な方向を考えなければならぬのではないか、こういう点についてあなたのほうに何か新しい構想がないかと言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/72
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073・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは確かに御指摘のとおりでございまして、ずいぶん少年の交通事件もふえてまいっておりますので、いわばそういう個別的処理が逐次困難になりつつあるわけでございます。ただ、同じく集団的な大量的な処理をするにいたしましても、たとえば最近名古屋なり、あるいは東京の家庭裁判所でも一部行なわれておるわけでございますが、つまり一つの講習会のようなものをつくりまして、これでございますと、一人一人でなしに、数十人を同時に講習ができるわけでございます。少年は、交通法規を十分知らないでやった場合もかなりあるようでございますので、そういう集団的処理にいたしましても、講習会形式等がいま利用されておるわけでございます。将来の問題といたしましては、たとえば交通関係の専門の保護司というようなものをつくることも、一つの問題として考えられるのではないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/73
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074・横山利秋
○横山委員 その講習会なんですけれども、あなたの言う講習会はどういう形式でやっていらっしゃるか知りませんけれども、それぞれ地方自治体が自動車学校なり何なりと、きちんとした立場で取りきめをして、そしてその学校の数日間の正規の訓練を経なければならぬというふうにするのが方法であって、何となく適当にやっておるという今日の状態というのは好もしくないと思いますが、一体講習会なりそういうことについて、あなたのほうの全国的な指示なり何なりはどういうことになっているのですか。適当に地方でやっているような気がしてしかたがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/74
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075・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 こういうことを申し上げますと、またことばが妥当でないかもしれませんが、最終的には、やはり具体的事件の処理は、裁判官にゆだねられているのでございます。しかしながら、お互いにいい方法はなるべく相談し合って、建設的に考えていくことも当然でございますので、裁判官会同等の機会では、そういうことをいろいろ話し合いまして、各地の実情を紹介し合って、そういう方向に進もうというふうにしておるわけでございます。いまお話しのどっかの訓練所、練習所と具体的連絡をとって、ずっと常時やっていくことも非常にけっこうな方法かと考えるわけで、そういう方向に検討すべきであると思っておりますが、現在一部の裁判所でやっておりますのは、いわばまだそういう試みの段階でございます。試みの段階でも、東京等の話を聞きますと、まだ数字を申し上げる程度には持っておりませんが、そういう講習を受けた連中は比較的再犯も少ないというデータも出ております。こういうデータが多くそろいますれば、こういう方法をもう少し制度化していくことが好ましいのではないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/75
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076・横山利秋
○横山委員 一体あなたの言う講習会というのは、講習会への出席を判事さんなり裁判官の指示によって義務づけられておるわけですか。義務づけられて、これを受けなければいかぬという審査決定なり、判決によってなされておるのですか、任意ですか、それはどういう強制力を持ってやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/76
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077・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 現在のところでは、一つの運用上の措置としてそういうふうになっておるわけでございますが、将来は受講命令というものを制度化いたしまして、その受講命令に反します場合には、何らかの制裁を加えるというところまで進むことが考えられるのではないかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/77
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078・横山利秋
○横山委員 現在は本人に対する強制力がなくて、適宜おまえさん行ってこいということで行なわれている、こういうことでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/78
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079・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 それは、突き詰めて申しますとあるいはそういうことかと存じますが、しかし、裁判所のほうでそういうふうにお話をすれば、実際上御協力をいただくということになっておるように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/79
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080・横山利秋
○横山委員 交通事犯というものが、ここ数年来世論の焦点になっておるのに、適当に、裁判官が強制力も持ち得ないようなことをやらしておるということは、私はいかがなものかと思う。これほど天下の話題になっておる問題について、関係各省が協力し合って、この窓口を開放するとか、あるいは施設提供をさせるとか、そういうことをオーソドックスにやろうと思えばやれぬことはないじゃないですか、なぜそういうことをなさらないか。適当に裁判官がおれの知恵だといってやって、そして強制力もないのを強制力があるごとく見せかけて本人に受講させる。わずかのことを実績を持ってたいへんいばって、それをみんなに伝達をする、またそういうことをやる。裁判官というものが何ら法的な強制力を持たざるものを、強制力らしく見せかけておるというやり方については、適法、適切であると私は思いません。この際ひとつ関係各省が、各地方自治体なり公認の自動車学校に対して訓練を義務づける、そしてそれを受講しなければだめだという、オーソドックスな形に変えるのが至当だと思いますが、どうですか、おやりになる気持ちはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/80
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081・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの点、まことに御指摘のとおりかと存じますが、先ほど来申し上げておりますとおり、結局少年事件の処理というものは、民事裁判、刑事裁判のように、イエスかノー、ないし有罪無罪、白か黒かというような、必ずしも解決方法をとらない場合がこの場合以外にも多いわけで、いろいろ幅のある処置をとるようなことが法律上認められておるわけでございます。たとえば家庭裁判所の一つの保護観察といたしまして、条件をつけて保護者に引き渡すというような処置が認められております。少年法の二十五条の二項二号でございますが、そういうような条件を付してやりますれば、これはその限度で法律上の事象と御理解いただいていいと存じます。講習を受けさせる場合に常にこの措置をとっておるというふうに申し上げられるかどうか、ただいまのところ資料を持っておりませんので、実際上の運用としてやっておるものもないとは申し上げられないかもしれませんが、ただ、二十五条の二項二号は一つの根拠になるわけでございます。しかしながら、これは非常にばく然としておりまして、もっと明確にはっきりした受講命令の制度というものが当然考えられなければいけないと思います。ただ、何といたしましても、いままだ試験的の段階というふうに私どもとしては理解しておるわけで、この成果によりまして、将来立法等についてお願いすることになっておる、こういうことになろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/81
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082・横山利秋
○横山委員 それはいま始まったことでなくて、交通事犯が今日、ここ数年来天下の最大の話題になっておるのに、これからゆっくりやりましょうということは、これもあなたのほうのやり方の一つだと思う。
政務次官にお伺いをいたしますが、私の言うような、つまりそういう裁判の実効をあげるという意味においても、青少年の交通事犯のためにも、何もこれは必ずしも青少年だけではありますまいけれども、これらの問題についてどうしたらいいと思いますか、御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/82
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083・天埜良吉
○天埜政府委員 お話の点、非常に大事なことであると思います。ことに青少年の交通事犯というものが非常に大きなものであり、現在の社会の悩みになっております。このような点をどうしてやっていったらいいかということ、今後十分に考えて適切な方法を早く検討して編み出して、実行に移すようにしなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/83
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084・横山利秋
○横山委員 政務次官のことば、まことにいかようにでもとれるのですが、政務次官にひとつ、一、二の具体的な点をお伺いいたしたい。いま交通事犯を中心として少年法を改正する、ないしは交通事犯についてのみ少年法の年齢を改正するということが一つの話題の中心になっています。それからもう一つ、私がいまたとえて例にいたしましたように、交通訓練学校というものを関係各省と話し合って、オーソドックスな訓練をするということもございます。あるいは今日の処罰中心主義を教育中心主義にいろいろな形で切りかえていく。たとえば話が出ましたけれども、少年鑑別所について、交通事犯少年の取り扱いは別にするとかいうような、さまざまな問題が話題の中心になっておるのでありますが、これらの話題の問題について、政務次官のもう少し具体的な御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/84
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085・天埜良吉
○天埜政府委員 ただいまのお話の少年法による年齢の問題、また訓練所の問題、それらの点、あるいはまた少年鑑別所の扱いの問題等についても、今後十分に検討していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/85
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086・横山利秋
○横山委員 どうも答弁が納得できないのです。もう少し具体的に政務次官お話しになれませんか。私はそういう程度、つまり少年法の年齢の問題について、交通事犯に関連して法務省と最高裁の間に意見の相違があるそうでありますが、そういう主張はどういうことになって、今後どういうふうになさろうとするのか、あるいは根本的に教育中心主義でいくのか、刑罰中心主義を切りかえていくのか、いま出ておりますテーマに、いささか具体性に欠けます答弁で、これは皆さんも腹が減ったような顔をしておりますけれども、私も質疑を打ち切れない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/86
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087・天埜良吉
○天埜政府委員 ただいまのお話の数々の点については非常に検討を加えつつございますので、ただいま直ちに私の意見という段階にもなっておりませんので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/87
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088・坂本泰良
○坂本委員 議事進行について。この下級裁判所の問題は重要な問題で、われわれもいまの簡易裁判所の開庁をしておっても事件があるかないか、これを臨時司法制度調査会というわけにもいきませんから、これはやはりもう少し慎重に審議したいと思いますから、簡易裁判所の実際の運用についての資料を、横山委員からは十一の未開庁のところをあげられましたけれども、そのほかに開庁しておってもほとんど事件のないような場合もあるし、あるいはまた、簡易裁判所をまたもう一つ分離しなければならぬというような事件の多いところもあると思いますから、そういう点についての資料をこの次までに出してもらうことにして、それからなお、いまの少年の教育の問題、これは処罰をするだけが目的でなくて、また罰金の収入をふやすだけが目的でなくして、いかにして教育していくかということは大きい問題でありますから、ひとつ休憩をして、そのあとで質疑を続行してもらいたいと思います。自民党の議員の方も四、五人しかおられぬようでありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/88
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089・鍛冶良作
○鍛冶委員 ちょっと関連して。簡易裁判所について先ほど来の質問は、私もいつも注意しておるところで大賛成です。ところが、横山君と違った方面でもこれは見てもらわなければならぬ。この簡易裁判所というものをきめたのは、いわゆる占領政策中でやられたのであって、なるべくたくさんの裁判所を地方に分散してやる、こういうことで無理やりにきめられた点が非常に多い。おもに郡を中心にしておる。ところが、アメリカにおけるものと日本におけるものと、郡というものはたいへん感覚が違っておりますので、今日となっては、この郡単位でかえって悪いものもたくさんある。私は、例をあげれば幾つもあるが、そういうことで地方では、この上裁判所を建てられたら困るということで歓迎せぬところもあるわけです。それがこういうことになった根本だと思う。だから地面を求められない、建物ができぬというものもあろうが、地方が喜ばぬ、地方民が歓迎しない、それでできぬというものもある。だから、この機会にそういうことを研究せられて、必要なものはこれだけだ、これは必要でないからやめる、こういうふうなところに頭を向けて至急研究せられることをこの際私から希望を述べておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/89
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090・横山利秋
○横山委員 資料の提出の要求ですが、この下級裁判所でうまく動かない土地、建物、それからいま鍛冶さんのようなお話もございますが、先般本委員会で私が、定員を増加しても人間が足りないということを言いましたところ、そのとおりだという話でありますが、ひとつ現在判事さんであって実務をとられないで法務省なり最高裁のほかの仕事をやっていらっしゃる人がどのくらいあるものか、お名前はけっこうでございますから、ひとつ判事さんの資格を持っておられながらほかの事務をとっていらっしやる人がどのくらいあるものか、おおまかな区分けをして本委員会に資料を提出していただきたい、こうお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/90
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091・濱野清吾
○濱野委員長 局長いいですか、出してください。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/91
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092・濱野清吾
○濱野委員長 日程を変更して、この際おはかりをいたすことがございます。
理事の辞任及び補欠選任に関する件につきましておはかりいたしたいと思います。
すなわち、理事神近市子君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/92
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093・濱野清吾
○濱野委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたしました。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任に関しましては、先例により委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/93
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094・濱野清吾
○濱野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
理事に横山利秋君を指名いたします。
暫時休憩いたします。
午後一時二十八分休憩
————◇—————
〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02019640331/94
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