1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十四日(火曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 濱野 清吾君
理事 鍛冶 良作君 理事 唐澤 俊樹君
理事 小金 義照君 理事 三田村武夫君
理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君
理事 横山 利秋君
上村千一郎君 大竹 太郎君
岡崎 英城君 坂村 吉正君
四宮 久吉君 渡海元三郎君
中川 一郎君 長谷川四郎君
服部 安司君 古川 丈吉君
松澤 雄藏君 森下 元晴君
井伊 誠一君 田中織之進君
中井徳次郎君 畑 和君
松井 政吉君 松井 誠君
小平 忠君 志賀 義雄君
出席国務大臣
法 務 大 臣 賀屋 興宣君
出席政府委員
警 視 監
(警察庁刑事局
長) 日原 正雄君
法務政務次官 天埜 良吉君
検 事
(大臣官房司法
法制調査部長) 津田 實君
検 事
(刑事局長) 竹内 壽平君
委員外の出席者
参議院議員 中村 順造君
最高裁判所事務
総長 関根 小郷君
判 事
(最高裁判所事
務総局総務局
長) 寺田 治郎君
専 門 員 高橋 勝好君
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四月十四日
委員田村良平君、松井政吉君及び竹谷源太郎君
辞任につき、その補欠として渡海元三郎君、中
井徳次郎君及び小平忠君が議長の指名で委員に
選任された。
同日
委員渡海元三郎君、中井徳次郎君及び小平忠君
辞任につき、その補欠として田村良平君、松井
政吉君及び竹谷源太郎君が議長の指名で委員に
選任された。
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本日の会議に付した案件
暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正す
る法律案(内閣提出第九号)
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出第一二一号)
(参議院送付)
鉄道公安職員の職務に関する法律を廃止する法
律案(中村順造君提出、参法第九号)(予)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/0
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001・濱野清吾
○濱野委員長 これより会議を開きます。
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案は去る九日質疑を終了いたしております。
これより討論に入る順序でありますか、別に討論の通告もございませんので、直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/1
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002・濱野清吾
○濱野委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/2
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003・濱野清吾
○濱野委員長 本案に対し、各派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が坂本泰良君から提出されております。
この際、本動議について提出者からその趣旨の説明を求めます。坂本泰良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/3
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004・坂本泰良
○坂本委員 各派を代表いたしまして、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議を提出いたします。その趣旨弁明を申し上げます。まずその案文を朗読いたします。
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
一、簡易裁判所のうち未開庁のまま十数年放置されているものが十数ケ所も存在していることは極めて不合理である。
よつて、政府並びに最高裁判所当局は当該箇所について再検討を行ない、開庁を必要とするもの、又は、当面開庁を必要としないものを区分し、すみやかに、これらの法的措置並びに予算措置を行ない、もつて簡易裁判所運営の合理化をはかるべきである。
二、裁判の迅速化を阻害している要因の一つは、判事、検事などの不足にある。
よつて、政府並びに最高裁判所当局は、これらの定員の増加に努めるとともに、有資格者を可及的すみやかに判事、検事に採用して運用に遺憾なきを期すべきである。
右決議する。
以上の提案でございますが、附帯決議の内容につきましては、本案の審議に際しまして各委員から質疑がありますし、法務当局並びに最高裁判所の御答弁によってもその趣旨が明らかでありますから、ぜひひとつこの下級裁判所の設立及び管轄区域等に関しましては、附帯決議の趣旨を体して万遺憾なきを期せられたいと存じます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/4
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005・濱野清吾
○濱野委員長 本動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/5
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006・濱野清吾
○濱野委員長 起立総員。よって、本動議は可決されました。
この際、本附帯決議に関し政府及び最高裁判所当局より所信を求めます。天埜政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/6
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007・天埜良吉
○天埜政府委員 ただいまの附帯決議の御趣旨につきましては、政府といたしましても、裁判の迅速化をはかるための措置について、慎重にくふう検討を加えて、所要の処置を講じたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/7
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008・濱野清吾
○濱野委員長 関根最高裁判所事務総長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/8
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009・関根小郷
○関根最高裁判所長官代理者 ただいまの附帯決議の御趣旨まことにごもっともでございまして、われわれといたしましても、できる限りその線に沿いまして善処いたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/9
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010・濱野清吾
○濱野委員長 おはかりいたします。ただいま可決せられました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/10
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011・濱野清吾
○濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/11
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012・濱野清吾
○濱野委員長 次に、鉄道公安職員の職務に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/12
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013・濱野清吾
○濱野委員長 発議者より提案理由の説明を求めます。参議院議員中村順造君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/13
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014・中村順造
○中村参議院議員 ただいま議題となりました鉄道公安職員の職務に関する法律を廃止する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
鉄道公安職員の職務に関する法律は、議員立法として、昭和二十五年八月、第八回国会において成立したものであります。その立法の経緯としましては、終戦後の旅客輸送秩序の混乱、悪性荷物事故の発生、鉄道施設内における犯罪、あるいは輸送知識を利用した犯罪等が増加し、しかもそれが大規模化、集団化するに至ったという特殊事情があったのであります。日本国有鉄道においては、駅長、助役、車掌など特定の職員に従来から司法警察職員の権限が与えられていましたが、その権限は限定的であったので、当時の実情に合わず、かような状況に対処するため、専従者による統一ある鉄道公安維持の制度確立へと進んできましたが、現行鉄道公安職員の職務に関する法律の制定により、当時すでに日本国有鉄道の公安維持に当っていた鉄道公安職員に鉄道犯罪の捜査権を持たせ、武器の携行を許すこととなり、鉄道運輸の治安確保に万全を期すこととなったのであります。
かくて、この法律は、当時の鉄道輸送の公安上の特殊事情に対処するため生まれたものでありますが、今日においては、さきに述べましたこの法律制定当時の特殊事情はすでに解消し、悪質な鉄道犯罪も今日ではほとんど見られず、また鉄道輸送の秩序も顕著な改善を見ているのであります。
さらに、この法律は、鉄道輸送の専門的知識を有する国鉄職員によって犯罪捜査を行なうという意義を有していたのでありますが、今日では、制度的に、次のような疑義ないし欠陥を見せるに至っているのであります。
第一に、この法律における鉄道公安職員は、日本国有鉄道という公社の職員であり、したがって国家機関でもない公社の職員が、犯罪捜査権を制限的とはいえ全国にわたって持つことは、わが国の法律体系としてはたして合理的であるかどうかという点であります。
第二に、この法律による犯罪捜査に関する職務と日本国有鉄道の職員としての警備に関する職務とが同一人に重複して付与されているという制度的欠陥を示している点であります。すなわち、国鉄職員として警備を行なっている段階において、直ちに鉄道公安職員の職務に関する法律に基づく犯罪捜査権を行使し得るような制度となっている結果、捜査権の乱用のおそれがあるのであります。
以上述べました疑義ないし欠陥が運用面においては、労働組合運動に対する鉄道公安職員の介入という形で、弊害となってあらわれてきているのであります。犯罪の発生しない以前から鉄道公安職員が警備に名をかりて組合運動の場に出動することは、組合運動に対する威嚇となり、これが組合運動における労使関係の本来の対無性を破壊する結果となるのであります。しかも一たん鉄道公安職員に犯罪ありと思料されるに至れば、直ちに捜査機関として活動するに至るのみならず、どこまでが公社の職員としての警備活動であり、どこからがこの法律による鉄道公安職員としての捜査活動であるのか、実際上客観的に区別もできないのであります。
以上述べましたとおり、事情の変化に加えて、疑義、欠陥、弊害等が生じていることにかんがみ、この際、鉄道公安職員の職務に関する法律は廃止すべきものであると考えられるので、この法案を提出した次第であります。
なお、附則においては、この法律の施行の日を公布後一月を経過した日からとしたほか、施行に伴う必要な整備規定を定めております。
何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いする次第であります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/14
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015・濱野清吾
○濱野委員長 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
前会に引き続き質疑を行ないます。細迫兼光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/15
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016・細迫兼光
○細迫委員 法務大臣に御質問をいたします。
この改正法律案の趣旨の御説明によりますれば、また過日から行なわれました質疑応答の経過に徴しますれば、この改正はもっぱらいわゆる暴力団なるものの根絶のためにこの法律の改正を必要とするという御趣旨であります。これは法制定の経過に顧みましても明らかなことでありまして、この制定にあたって江木翼司法大臣は、この法律は決して労働組合とか農民組合とか水平運動とかには適用しないものである、こういう趣旨の宣明があったのであります。ところが事実は、その江木司法大臣の言明に反しまして、労働運動、農民運動にしばしば適用せられまして、これらの連動弾圧の具に供せられておるのが実情であります。
私どもはそれがゆえにこの改正案に賛成し得ないのでありまして、法律が一たんでき上がりますと、一人歩きをするのでありまして、提案理由の説明にどういうことがあろうとも、その法律の趣旨によってこの甲案にも適用するのだということで、多くの労働争議に、農民の運動の紛争にこれが適用せられたこと疑うべからざる事実であります。私どもも、これがもっぱら暴力団退治のために適用せられるということであればあえて反対しないのであります。暴力団の脅威は社会の安全を脅かすきわめて注意すべきことでありまして、これは根絶を期さなければなりません。この際、暴力団の根絶のためにだけこれを適用する趣旨だということを法務大臣はここに言明することができるかいなか、私はまずその言明をしていただきたいと思いますが、法務大臣はそれができましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/16
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017・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 ただいまの御質問の中におきまして、暴力団の根絶はいまの社会情勢におきまして必要である、そのために適用せられるならば賛成であるというおことばがございましたのは非常に私ども同感で、こういう御了解を得ましたことはほんとうに御同慶だと思う次第でございます。
この法律は、いわゆる町の暴力、国民が——庶民ということばがいいかどうかわかりませんが、日常の生活でその生命、身体に非常に不安を感じております。そういう不安の根源が多くは、ほとんど全部と申してよろしいかとも思いますが、暴力団所属の構成員によって行なわれるという事態に着目しておる次第でございます。それでその行為の態様は、特に暴力団所属の構成員、中には構成員と認定し得ない者もあるかもしれませんが、多くはそういう類の人々が銃砲刀剣類を持ちまして常習的に犯すのが一番大きいのでございまして、ねらいはそこに置いております。ただし、ことばを正確に使うときには、暴力団の構成員のみに適用する、これではやや不正確でございまして、同様な行為がありまして、銃砲刀剣類を持っておる、あるいは常習的な者には適用されるわけでございます。大体それは現実の情勢においては暴力団の構成員に対してやられる、こういうことでございます。
さて、この法律ができまして、今回の改正でよく問題になっております現行法の第一条、今度の改正案でも一条となりますが、これは全然関係のないことでございまして、常習暴力につきましても、また銃砲刀剣類をもってする場合におきましても、いまの第一条にあります集団の威力云々などということは全然かからないわけでございます。もっぱらそういういわゆる町の暴力、主として暴力団の構成員によって犯される銃砲刀剣類の方法、手段によるもの、また常習暴力のみを対象といたしておる次第でございます。これは明瞭に申し上げられます。
それから現行法の第一条が労働争議あるいは小作争議のために適用されたというおことばでございますが、これはことばの使い方に問題があると思うのでございます。私どもの見解では、労働争議、小作争儀に適用されたことはないと思うのであります。それがありました際に起こった違法行為に対して適用があったわけでございまして、通法なる範囲内で行なわれた労働争議、小作争議には適用しようにも適用ができないわけでございます。その点はお示しの点と見解が違います。今回の場合におきましても、それでは実際どうなるか、法律ができたらそんなものに適用するのじゃないかというお話でございますが、決して適用いたしません。それでは決してそれには適用しないか、そういう労働争議などが起こりました場合に、これに関連して起こった行為に適用があるかないか、これは法律論になると思いますが、これも実際には御心配がないのじゃございませんでしょうか。労働争議の際に、私の聞いておりますところでは、いままで銃砲刀剣類を持って暴行、傷害をした例はないそうであります。これは当然な話で、適法な労働争議行為にさようなことがあるべきはずがない。それは幸いいままでの事例もそうだそうでございます。したがって、これが適用されっこない、こういうことは過去の事実に徴してもわかると思います。なお、労働争議が適法な手段の間に行なわれますときに際しましては、争議自身に適用がないことはもちろんでありますが、争議に関連した行為にも適用する場合は起こらぬと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/17
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018・細迫兼光
○細迫委員 明確な大臣からの言明が得られないことをまことに残念に思います。この法律は過去の実績が示しておりますように、その大半は労働争議や農民運動に派生した事件に多く適用せられておるのであります。暴力団に対する国民の憎しみを利用して、この羊頭を掲げて労働運動弾圧という狗肉を売ろうというまことに羊頭狗肉の改正案であると言わなければならぬ。いやしくも賀屋興宣ともあろう人がそういう羊頭狗肉の手段を弄するということはきわめて残念に思います。衆力団の征伐のためにこの改正案を成立せしめようとなさる御趣旨でありますが、内応をしさいに検討しますれば、この暴力行為等処罰に関する法律は暴力団の首根っこを押え得る法律にはなっておりません。わずかにしっぽの端をちょっと押えるだけの役にしか立っていない。いただきました「最近における暴力事犯の概況について」という刑事局御作成の資料、その表の二「罪名別暴力団構成員検挙人員累年比較表」というのを見ますと、その三十七年を例にとってみますと、暴力団構成員にして検挙せられた総数は五万二千四百二十二、そうしてこの暴力行為等処罰に関する法律造反の欄を見ますと、三十七年度は三千五百八十七、すなわち暴力団構成員を五万二千四百人せっかく検挙したのに、暴力行為等処罰に関する法律違反として問題にしたのは三千五百八十七、すなわちあとの五万足らず、四万幾らというものは暴力行為等処罰に関する法律によっては押えていない。これは暴力団征伐という趣旨においていかに暴力行為等処罰に関する法律が無力であるか。せっかく検挙してもみなのがしておる。暴行、傷害等によって処断せられておるもののほうがはるかに多い。二万一千もある。こういう事実をこの表から見てとることができるのであります。すなわち、この暴力行為等処罰に関する法律をいかに強化しても、暴力団構成員で検挙したものは五万二千であるにかかわらず、暴力行為等処罰に関して押えたものはわずかに三千五百、わずかに一部分しか押え得ていない。だから、この法律改正というものは御趣旨の目的を達し得ない処置であると申さなければなりません。むしろ暴力団構成員の犯した罪名は暴行あるいは傷害が大部分を占めておる。むしろ暴力団の首根っこを抑えるには暴行、傷害罪を強化せねばならぬ、そのほうが手っとり早いという理屈が出てくる。この点に関する法務大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/18
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019・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 羊頭を掲げて狗肉を売るという御質問の御断定でございますが、これは私はお返し申し上げたいのです。大体たとえがおかしい。穏やかな話し合いをする、意見を交換するという会場におきまして暴力をふるったらどうでしょう。その暴力に対して、刑事法に違反して処罰される場合には、何もその会合に適用したのではないのです。そこにおいて不法に起こった、刑罰法令に触れることをやったから、それに対してやるのでございまして、どうも細迫さんのお考えはそこのところに間違いがあるんじゃないか。何も穏やかな話し合の会合そのものを弾圧するのではない。そこで不法行為を起こして、刑罰法令に触れれば、やむを得ずその処置をしなければならぬということでございまして、たいへんにそこに誤解をしておいでになるのじゃないかと思います。何も正当な争議行為が罰せられる理由はないのであります。また、それは警察当局があげましても、検察当局におきましてそこの区別は厳重にいたし、さらに裁判においてこれは正確に区分されるのでございまして、もっぱら、どんな場合におきましても、不法の、刑罰法令に触れる行為があったときにのみ適用されるのでありまして、私は羊頭を掲げて狗肉を光るのではない。牛肉を売りますと言って牛肉を売っている。しかも松阪肉の上作の牛肉を売っておるものと確信をいたしております。
それから枚挙に対して、実際に起訴したものとか、あるいはさらに判決が違うことはございますが、これは一面におきまして、いかに慎重に法の適用を検察当局がやっておるかという証拠にもなるのでございます。どんどんあげて、みんなそれを起訴してしまうというような乱暴なことをしない証拠になっております。
それからこの法律の改正をしたら、それでもだめじゃないか、いままででもだめだったからというお話でございますが、町の暴力を押えるのには、いままででは足りないのです。足りないからこそ、今回の改正をいたしまして十分にやれるようにしようというのが意図であります。
なお、数字につきましては政府委員よりお答えを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/19
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020・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 統計をもって御質問でございまして、その統計の見方につきましては私も同感でございますが、これが改正になりましてもなおこういう数字になるのであろうかという点につきましての見解につきましては、私は迷った考えを持っておるのでございまして、現在の無力行為の法律は不備であります。その不備を補うことによってこの規定が活用されてくると思うのであります。御指摘の中にもありましたように、傷害などを重く罰する規定をむしろ考えたほうがいいじゃないかという御意見でございましたが、第一条ノ二というのは、銃砲刀剣類を用いてする凶悪な傷害をここに取り込んでおるわけでございまして、現在傷害罪の中で軽い刑で処断されておるものがこの中へ入ってくるわけでございます。それからまた常習犯につきましても、従来刑があまりに軽うございましたので、法を適用する面から申しますと、これにちゅうちょを感じた。これが事件検挙の少なくなっておる理由だと思います。もちろん、この法律がすべてをカバーするほど極力なものだとは私も考えておりませんが、この暴力行為の中の一つの重要な部分を強化することによりまして、この暴勇犯罪に対する立法者の考え方というものが宣明されますので、その他の暴力犯罪につきましてもこの立法趣旨に準じた運用を期待することができる、こういう意味におきまして、決してこの法律の改正は過小評価することはできない、私は相当に評価をしていただいて支障のない改正である、かように確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/20
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021・細迫兼光
○細迫委員 私は、暴力団征伐についての当局の考え方が全然方角違いだと思う。法律、罰則を強化することによって暴力団を根絶しよう、こういう考え方に立っておるようでございますけれども、そうではなくて、私は、暴力団事件について、これを絶滅するためには、これを容赦なく検挙する、徹底的にその背後関係、命令関係等を追及してこれを処罰するという警察、検察活動の強化ということが有効な方法である、かように考えておるのであります。しかるに当局のこの暴力事犯に対する検挙の姿勢、暴力団を退治しようという姿勢というものがなっていない。明らかに多く起こっておる暴力団構成員の犯罪について、その背後関係、指令関係等を徹底的に追及してその根源をつくというところの熱心さがない。逆に、警察当局は共産党員などの弾圧にはきわめて熱心である。自分で犯罪をこしらえておいて、これを共産党員のしわざだというふうになすりつけて検挙するというような熱心さまで示しておられる。その典型的なものは大分県に起こった菅生事件でありまして、戸高公徳という巡査部長を使って、自分のところで交番にダイナマイトをしかけて爆発させておいて、そうしてたまたまその事件に謀略をもっておびき寄せておった共産党員のしわざであると言うて、かねて動員しておった警察隊がこれを追跡逮捕して裁判にかけた。これは第二審において無罪の判決を得ましたけれども、第一審判決はとうとうこの謀略を発見し得ずして有罪の判決を与えておるというように、きわめて巧妙な謀略を用いた事件があります。これは幸いにしてその真相がやがて暴露いたしまして、第二密では無罪の判決を得ましたけれども、これほどに警察というものは共顔党の弾圧にはきわめて熱心である。しかるに暴力団の退治、追及にはその熱心さがありません。たとえば、お尋ねいたしましょう。三井三池の争議におきまして、資本家は衆力団を雇いましてこれに対抗しました。暴力団構成員が久保清という者を殺しました。組合員を殺しました。これも単なる単独の犯行ではありますまい。一体その背後をどこまで検挙せられ追及せられたか、この実態をひとつお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/21
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022・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 いわゆる暴力根絶につきまして刑罰法令のみによって対処するということは完全でない、これは私も全く御同感でございます。いま取り締まりの点についてお述べになりましたが、警察当局におきましても、特に暴力の取り締まりということにつきましてはきわめて熱心であり、その方途を講じて、なお最近には力を入れておる次第でございます。なお、そういう警察及び法務当局のみならず、昨今暴力犯罪の年齢の低下とか、青少年の非行の問題等、非常に世間にクローズ・アップされておるのでありまして、これらの総合対策にも政府はきわめて意欲を持ちまして熱心に対処するつもりでございますし、暴力取り締まり法のみで対処するとは決して考えておりませんが、こういう法令面、刑罰面、警察取り締まり面がこの問題に対してきわめて重要である。ここをあけておいては大きな抜け穴になるということもまた争うべからざる事実だと私は思うのであります。その最も重要なる一環として提案をいたしたような次第でございます。
なお、警察は共産党のみに対して熱心じゃないかというようなお話でございますが、私どもはそう思っておりません。あらゆる犯罪の検挙につきましてきわめて熱心でありまして、どれもみな刑罰法規に触れるものは熱心にその検挙につとめておる次第でございます。ただ、熱心のあまり行き過ぎということはまことに慎むべきことでございますが、これは古往今来世界各国ともに避けられない点でございます。そこで、検察当局は警察から出ましたものをさらに厳選し、人権の保護に遺憾なきよう極力その点も考え、さらに裁判においてこれが公平に審判されるわけでございます。私は決して警察及び検察に間違いがなかったなどということは申し上げませんが、間違えないために極力努力をしていることは事実でございます。いまお示しの点につきまして、なお政府委員よりお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/22
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023・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 仰せのように、三井三池の争議に際しまして、暴力団がこれに介入してまいりました事犯が起こったわけでございまして、まことにわれわれといたしましても遺憾に存ずるのでございますが、当時、暴力団は七十名余り検挙せられておりまして、その中の一人は御指摘のように殺人罪で起訴されておるのでございますし、その他の者につきましても禁錮犯を十五名も出しているのでございまして、もし労働運動等でこのような重大な犯罪が行なわれますれば——暴力団の介入した犯罪であって、しかもそれが暴力団側に起こっている犯罪であるということが、三池争議の実例に徴しましても明らかでございます。
それからまた、先ほど御指摘がございました検挙が非常に大事ではないかという点でございますが、これも私は全く同意見でございます。先般三田村委員からの御要求によりまして資料として差し上げました「最近における暴力事犯の概況について」という当局から出しました資料の別表第一表をごらんいただきますとおわかりでございますが、この別表第一の兇器準備集合罪というのは、昭和三十三年が一番最初のものでございますが、二百九十六人検挙されまして、その中の二百七十九名は暴力団でございます。その暴力団の占めております率は九四・三%という数字になっております。それをずっと年度を越して昭和三十七年まで見ていただきますと、昭和三十四年には五六・八%、三十五年には八一・三%、三十六年には七九・二%、三十七年には七六・三%というふうに、検挙されました大部分の者は暴力団の構成員であるということがこの数字で明らかでございます。そのほか暴力行為等処罰に関する法律造反の欄をごらんいただきましても、暴力団が半数ぐらいを示めているということがうかがえるのでございまして、検挙によりましてその効果をあげておりますことは、この数字でも明らかでございますが、問題は、その検挙をして簡単な処罰ですぐ出てしまうということ、それが国民に非常なうっとうしい空気をかもし出していることは御承知のとおりでございます。そこで、これらの人たちに対する刑事政策的な考慮から、刑を重くすることによって適当な処置をはかっていこうというのがこの立法のねらいでございます。どうぞひとつその点をも御考慮に置きまして御審議を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/23
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024・細迫兼光
○細迫委員 提案理由の説明並びに政府当局の答弁によりましても、最近暴力事犯におきまして宵少年がこの犯罪を犯す数が非常に増加しておるという状況を見ることができ、かつ検挙せられた者の年齢別の統計を見ましても、二十歳、二十五歳というようなところの数が格段に多いことが認められるのであります。政府のように、この種犯罪を征伐するために法律の強化、罰則の強化という線を推し進めていけば、青少年に対する罰則の強化をしなくちゃならぬというような議論に発展する可能性があるのであります。少年法の改正という声もちらほら聞くのでありますが、少年法改正の御趣旨は、一体暴力団征伐の意図を含んで考えておられるのでございましょうか、どうですか、お考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/24
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025・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 少年の犯罪年齢はだんだん低下をいたしまして、十四歳、十五歳、十六歳あたりの少年が相当に凶悪な犯罪を犯すようになった、だんだんその傾向が強くなっておるということは、いまお話しのとおりでございますし、社会もそういうふうに感じておるところでございます。これに対しまして対策はどうかという問題でございますが、これこそ非常に広範ないろいろの原因を含んでおる。犯罪はいろいろな社会現象の総合的結果であるということが、特にこういう方面には感ぜられるわけでございます。したがいまして、人づくり等の問題にも関連いたしまして、学校教育、社会教育、特にマスコミの人心特に若作者に及ぼす影響など非常に世間にも問題になっておりますし、政府におきましてもその点に非常に関心を持ちまして、青少年問題を研究いたし、対策を講ぜんといたしておるところであります。
法務当局の関係になりますと、いまお示しがありましたように、そういうものをもっと厳罰にしたらいいじゃないかという感想が社会に起こっておることも事実でございます。その一つといたしまして、刑事責任年齢が一つ問題になっておる。どういうものか、肉体的に栄養等はよくなりまして、だんだんからだの発育も早くなるといったようなことから、だんだんもとの二十はいまの十八だ、十八は十六だというふうな現象もあり得ると思うのでございます。したがって、知能も全面的に発達しているかどうか別としまして、相当犯罪能力的の知能が発達している面もございます。そういう意味で刑事責任年齢をもっと下げたらどうか、特に交通事犯等に対しましては、運転能力の免状はもっと若い未成年にも出せるわけであります。しかし責任のほうはない。刑事責任はないという問題にもなりますので、そういう面も、一般その他では、責任年齢を下げるべきではないかという考え方は相当あると思うのでございます。しかし、この刑事責任年齢ということは、刑事法としましてはきわめて重大な基本的の問題でございまして、なかなかこれは簡単にそうだからこうやるということにいかない問題で、いろいろな角度から研究しなければならぬ、こういう問題であると存じます。
それで、下げるということのほかに、一つの中間責任年齢層と申しますか、いま二十一歳ならば、今度は十七歳から二十二歳まで、その間に一つの判定期間を置きまして、刑事責任を認めるものと認めない場合、いまの少年法を適用した場合と普通の刑事裁判に付する場合、こういうふうに個別的に人によりあるいは事態によって判断をするというような考え方も相当起こっております。これなども大いに一つのサゼストがあるわけでございますが、しかし、そういうことをやりました結果、はたして公平にうまくいくかいかぬか、これも相当研究を要する問題である。何しろ基本的に責任年齢ということは重大問題でございますので、私どものほうでも、熱心ではございますが、慎重なる研究を続けておる、こういう点が一点でございます。
それからもう一つは、だんだん科学的に考えて、ただ悪いことをする、それは普通の判別力、責任観念、抑制力、みんなが同じようなものだという考え方ですべていっていいかどうか。精神病者あるいは精神病とまで断定できなくても、精神の薄弱者、障害がある者、あるいは変質者と申しますか、専門のことばで言えばいろいろありましょうが、そのような観点から研究をしまして、あらかじめ犯罪の発生を予防し、また犯罪を犯した者につきましては、これを科学的の観点からいろいろ審査をして、その心神の状態の改善をはかっていく。いまでも少年の鑑別所とかそういう方面は進んでまいりましたが、そういう方面は特にいまから考え、重視し、発展させていかなければならぬ方面ではないか。こんなような面が私どもの責任と申しますか、所管の範囲であるわけでございます。
なかなか困難で大きい問題でございますが、熱心に研究の歩を進めてまいっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/25
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026・細迫兼光
○細迫委員 暴力団検挙の姿勢が熱心でないということを先ほど申し上げましたが、それの一つの部分として、これを追及していくと大きな壁にぶつかる事態が存在しておると思うのであります。あるいは政界の有力者、あるいは財界の有力者につながっておるらしいというような事態が普通の形であります。私の経験しました問題でも、山口県の厚狭というところに内山組という暴力団があります。これが新しい親分によって相続をせられました。この社会におきましては、この襲名相続の際に一世一代の大きな賭場を開いてお祝いをするのであります。九州方面から広島方面に至るまで有名な親分を全部招きまして、大きな祝賀会をやりました。その後援のために地方のものはすべて協力を求められ、その祝賀会を盛大にすべく要請を受けました。そのお祝いの奉加帳を見ましても、たとえば周東英雄、田中龍夫、安倍晋太郎、今澄勇というような、その地方の有力な政治家がその後援会の顧問として名を連ねております それぞれ若干の御祝儀が包まれることは想像にかたくないのであります。だから、私のところにも顧問になってくれと言ってきましたし私は断わりました。世間ではもっぱら細迫はお礼参りを受けるだろうという取りざたでありました。しかし、こういうことはどこの地方にもあることだろうと思っております。こういう暴力団に対する寛恕な気持ち、むしろこれを後援するというような気持ち、これがそもそもの根源でありますその財的背景なり、社会的背景なりを消滅させるためには、こういうことをやめなくちゃならぬ、われわれ政治家、財界の者がその気にならなくちゃならぬ。その姿勢がないと思うのです。重政参議院副議長の秘書、これの身元をおあらいになったことがありますか。こういう政治家の姿勢が政府の意図する暴力団退治ということに非常な障害をなしておると思うのでありますが、大臣の御感想はいかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/26
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027・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 私は、法務部内に入りましてまだ年月が浅いわけでございます。日本の検察陣というものは伝統的にかたい信念を持っております。不当な勢力に動かされず、法を正しく守るということを伝統的な精神といたしておりまして、何ものにも屈しないという意気が十分に看取されるわけでございます。ときにはがんこ過ぎるという批判も相当受けているような次第であります。背後関係その他によりまして行動を左右されたり、曲げたりすることは断じてないのでございます。いまお示しの事例は、私は一こうに存じません。いわゆる暴力団は、ほんとうの仁狭の団体とどう違うか、どう考えるか。昔でも、武士の団体の白柄組が悪くて、町の遊侠の徒の幡随院長兵衛のほうがよかった——これは伝説ですからわかりませんが、必ずしもそういう団体がいけない、つき合ってはいけないかどうか、これは具体的の問題で、私は所感を申し述べることを控えますが、政治の姿勢を正す、これはまことにお話しのとおり御同感でございます。政治家は常に慎んで誤解を受けないように行動に注意してまいる。ときには誤解を受けましても、所信に向かって邁進する必要があると思いますが、同時にまた、誤解を受けないように注意してまいる、こういうことはまことに御同感でございます。具体的の事実につきましては私存じません。何とも申し上げることができない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/27
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028・細迫兼光
○細迫委員 この暴力団には組織がある。どういう親分のもとにどういう兄貴分がおって、そうして構成員がどうという一定の組織があります。この暴力団の根絶を期するためには、その組織にメスを入れなくちゃならぬと私は思うのであります。すなわち、その構成員が傷害を犯す、脅迫を犯す、暴力罪を犯すというた場合には、有無を言わさずその上部機構にメスを入れることのできるような法律手段を講ずることが一番肝要ではないかと思う、すなわち、直接謀議があったなしにかかわらず、命令があったなしにかかわらず、その構成員が犯罪を犯したときには直ちにその兄貴分、その親分、これに弾圧を加える、その責任を問うというようなことこそ抜本的な、根源をねらった立法と言わなければならぬ。こういうことにお考え及んだことがありましょうか。警察方面においては、こういう暴力団の組織について調査をなされ、そのリストが大体できているものであろうか、あわせて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/28
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029・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 犯罪の点にはなかなか大事な点が入っていると私は思います。ごもっともな点が多いのでございます。それで、今回の法律は、先ほどの細迫さんのお礼参りを受けるかもしれぬというお話、お礼参りのときはびしびし発動できる。たいがいそのときには、いまお話しのような悪い暴力団でございますと仮定すれば、必ずそういう場合は常習犯の者が出てくる。そうでなければ、あるいは銃砲刀剣類を持ってまいりますが、今回のような立法をお通し順えれば、そういうものをぴしゃっとやるのには一番よいと思う次第でございます。そういうのはそういう団体の親分をやっつけたらよい、まことにそのとおりですが、ただ、暴力団ということはわかっておりますが、これを法的に、厳密に、いかなる要件を備え、いかなる行動があれば暴力団である、こういうことはなかなかとらえにくいのでございます。これを正確にやりますれば、暴力団のようなものの相当の部分がまたはみ出してしまいまして、かえって逆効果を生ずるおそれもあります。それからまた、あまり行き過ぎればそれこそ人権侵害的なことも起こり得るのでございまして、そこでやはり暴力団の定義などが事実上非常に困難である。慎重にやれば大きなカモは逃げてしまう。そうかといって上に広げればまた人権侵害のようなことになりますから、やっぱり行為をつかまえて処罰するほかしようがない。それは親分が教唆したり扇動したことが明瞭ならば、むろんつかまえてやれるわけでございます。そこで団体そのものでなく、常習暴力あるいは銃砲刀剣数でもってやるわけでございます。お手元に差し上げました資料でも、だんだんピストルなどがふえてまいりまして、ピストル一丁は子分十人ですか二十人ですか、悪性になってまいりますから、このほうでどんどんいけば、事実上衆力団征伐に結果的になると考えた次第でございまして、その点には相当考慮を払いまして今回の提案になりました。ですから、前に刑事局長も御説明申し上げましたように、今回の提案で何もかも全部網が張られたというのじゃないのでございます。大体この網ならば大部分の押えなければならぬ魚はかかってくる。こういうことでございまして、なお今後も研究して、もっと網を張らなければならぬということになれば、網はまた新たに考え、増加する次第でございます。最小限度にこれだけはどうしてもやらなければならぬ、しかも相当にいまの状況では有効であろう、こういう判断に立っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/29
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030・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 警察当局はきょう出席しておりませんが、ただいま最後に御質問のございました暴力団の組織について調査研究をしておるかという点でございますが、警察当局から私どもの聞いておるところによりますと、警察におきましては、全国の暴力団組織につきまして、その内容、実態の解明につとめておりまして、その統計のようなものも私どもちょうだいしておるわけでございます。その解明につきましては、警察当局が鋭意努力をしておることは私どもも承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/30
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031・細迫兼光
○細迫委員 公安調査庁に行ってみても、共産主義に対する注意はきわめて周到になされておるようであります。その系統だとか、国際的な連係だとか、地図にまで作成せられて、すこぶる熱心に研究しておられるようでありますが、いわゆる暴力団に対しての御研究は比較にならないほど手薄のようであります。公安調査庁の人員の増加の問題につきましても、政治的なこうした共産主義運動方面の担当者が非常に多い、右翼暴力団に対する手当て準備が非常に薄い、こういうふうな態勢になっておるように私は印象するのであります。これは公安調査庁の係員の数にあらわれるかと思いますが、公安調査庁の運動種別の係員数などがわかりますれば御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/31
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032・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 公安調査庁の共産党方面の担当に関する調査でございますが、ただいま破防法がございますが、私どもが見ますと、まだまだ十分でない。何しろ大きな力強い運動でございまして、調査はまだまだ不十分であると感ずる次第であります。公安調査庁はそういういわゆる左翼方面のほかに、右翼方面の調査もいたしておりまして、相当人員をその方面に配置している。最近の人員増加におきましては、重点をだんだんそちらに移しておる次第でございます。人数の御要求がございますが、ただいま係の人がおりませんし、私は持っておりませんが、これは差し上げることができますから、後ほど差し上げることにいたします。
御承知のように、公安調査庁でやります右翼関係は、もっぱら破壊活動をする心配のあるそういう団体方面にもちろん限るわけでございまして、一般の、いまここで御審議を願っている法律がねらっている方面には関係がほとんどない。同じ団体で両方のことをやるのもあるかもしれませんが、いわゆる町の暴力のほうはそこの範囲ではないわけでございます。
いま刑事局長からお話がございましたように、われわれは数千という団体のリストも警察からもらっておるわけでありますが、これはいろいろな関係で、いまどういうふうに申し上げていいか、具体的に申し上げれば、いろいろ迷惑する点もできるわけでございましょうから、私としては申し上げかねますが、何なら警察当局でできるだけのことは申し上げることにいたします。
概数でございますが、公安調査庁の全員千二百十六人、右翼関係は約三百人、今度増員二百人をお願いいたしましたが、これは、いままでと率は非常に違いまして、四割、八十人を右翼関係、百二十人を左翼関係、こういうふうにだんだん配置を古型関係に置きます。しかし、これはいわゆる町の暴力団体ではございませんで、政治的意図を持っている破壊的活動のおそれのある団体という前提にいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/32
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033・細迫兼光
○細迫委員 暴力団の活動の根源を断ち切ろうとすることは、さきに言いましたように、組織の破壊というところに集中的に目を向けなくちゃならないと想うので、つまり親分が統括しておるその集団の絶滅を期するというところにむしろねらいを持つべきであって、いたずらに刑罰加重ということに力を込めても、さきに言いましたように、それはしっぽの先をちょっと押えるにすぎない。暴力団の構成員をせっかく検挙しても、その検挙人員はさっき申し上げましたように五万二千もある。その中で暴力行為等処罰の法律に違反するものとして取り扱われたものは三千五百にすぎない。これはパーセンテージを出してみますと七%、一〇%にも足らない。暴力団の構成人員をせっかく百人検挙したとしましても、その中で暴力行為等処罰に関する法律で押え得るものはわずかに七人、あとの九十何がしのものは暴力行為等処罰に関する法律では押えることができない。こういう暴力団征伐については無力な法律改正案を考えられましたことは、私はその目のつけどころが違っておると思うのであります。すなわち、組織の根絶、その資金源の絶滅というようなところに目をつけて対処なさる必要があると思うのでありますが、そのねらいを満たすべき方法としてどういう処置をとったらよかろうかということについて、当局では研究調査なさったことがありまするか、いかなる意見が出たかを御紹介願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/33
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034・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 先ほども申し上げましたが、暴力団と言えばわかったようですが、暴力団とは何ぞや、暴力団がそこで組織されているか、いないか、どんな状態で暴力団が組織されているのか、だれが構成員か、これはなかなかつかみにくいところが多いと思います。正式に登録されておるとは限らない、脱落、加入というものもはっきりいたしませんでしょう。それから幹部といっても、きちっと組織的になっているものもありましょうが、なかなかその幹部の態様、実際上のインフルエンス、権限なども、それこそその子分の全生活、全行動を意のままに動かすようなものもあれば、また非常に希薄な関係もあり、客員もあれば、出たり入ったりもある、つかみどころがない面が相当に多いのでございます。五人か八人子分を持って、おりおり寄って秘密書類を出しておるものあります。これはなかなかつかみにくい。そういうことで、先ほど申し上げましたように、組織をつかむということは、厳格にやれば遺漏が非常に多くなってのがれてしまう、効用第一でやってしまえば、これは何もかも入ってしまう。普通の土建業でもしている人で、暴力団と交わっておると認定されてもしかたがないというような者もおりましょうし、実際研究しました結果、組織をつかまえるということはいい着眼ですが、実際には法制化する上においては非常にむずかしいのだ、なかなかやれないのだという面が出ておるようでございます。詳細はまた政府委員からお答えを申し上げます。
それで、たとえ雄力団の構成員だとしても、実際に暴力行為、傷害とか脅迫などをやらなければ、器物損壊をやらなければ、害がないわけでございますから、やったら片っ端からそれを検挙して、しかも従来よりは悪血犯罪であるから重刑に処せられるということでいくのが一番——この暴力犯罪の団体の中においても、いわゆる顔のきいた腕っぷしの強いような、社会から言えば恐ろしいような子分、そういうような者はみんなそこでつかまえるわけでありますから、それが現状におきまして一番効果の多い方法ではないか。かようなことで、組織をつかまえるということを否定しておるわけではないのです。ただ、法制の綱の上においてはこれは非常につかまえにくい。へたにつかまえようとすれば、要らないものもみんな入ってくる。そうして弊害ができるし、厳密にやればまたのがれるものが非常にできて、効果が少ないというような悩みがあるのでございまして、現実にいまの凶器——凶器と言っては広過ぎますが、銃砲刀剣数をもってやるのが傷害も一番はなはだしくやれるわけでございます。そういうことを常習的にやる者は、これを厳密にどんどん征伐する、ということばは悪いかもしれませんが、やっていくことが一番実際に適した考え方である、かように信じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/34
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035・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 大臣の御説明をさらにふえんをいたしたいと思いますが、暴力団対策の要諦が暴力団の組織そのものを煙滅させることにありますことは、私どももそこに焦点を合わして立案に当たったのでございます。いま大臣も仰せになりましたように、暴力団の組織そのものを直接対象とした立法形式につきましてもいろいろと研究してみました。外国の立法例等につきましても調査いたしてみました。外国ではフランスにその例がございますし、西ドイツにその例がございます。アメリカのニュージャージー州にその例がございます。ところが、ドイツ、フランスの運用の実例を調査してみますと、大臣がいまお述べになりましたように、結局、暴力団そのものがつかみにくいところから、この法律はほとんど実効性を失っておることが明らかになりました。アメリカのニュージャージー州の例につきましては、これは施行されてから十年目に最高裁判所の判決で、この法律は違憲であるという判決を受けてしまっておることが明らかでございまして、かようなことからして、それでは形式的に暴力団そのものを対象とすることはできないが、実質的にそれと同じような効果をあげるような方法はないものであるかということが、私どもの関心の的でございました。
さきに昭和三十三年に刑法の一部改正を実現いたしましたが、凶器等を持って集まる罪、またこれを集めた罪、この罪は先ほども統計で申し上げましたように、約八、九〇%が暴力団によって行なわれでおる犯罪でございますが、この法の運用の実績を見ますと、かなり暴力団の組織壊滅に貢献をしておることがわかりました。
今回の改正におきましては、先ほども申し上げましたように、刑事政策的に考えて御審議を賜わりたいと申し上げたのでございますが、その点でございますけれども、刑を重くしていく、この種の暴力団の幹部とか構成員のおも立ったやつは、実際においてはいわゆる前科者の集団であるということを前に申し上げたことがございますが、このような実態に即しまして、これらの者を重く処断することによって、犯罪人の処遇という面から、たとえば一カ月か二カ月というような懲役でございますと、地域的にその地元の刑務所において処遇するほかないのでございますが、一、二カ月でございますと、すぐ出てしまう。これが相当長期にわたって刑務所に収容することができますると、その者を他の刑務所に移しまして、教育の面におきましても相当な手当てが施せると思うのでございますが、今度はその間に環境の調整等をはかりまして、再び暴力団の中に戻っていかないような処遇を保護観察の面において十分尽くしていく。そうすることによって暴力団から脱落させることができるのではないか。ことに幹部とか親分とかいうような地位にある者が数年間刑務所に入っていたといたしますと、もうその間に時代は変わってしまって、もはや出てまいりましても暴力団として子分を十分集めることができないというのが実態でございます。でありますから、刑を相当重くすることによって刑事政策的考慮を施していく、そうして子分を脱落させ親分の考えを変えさせるということによって暴力団そのものの実態的な壊滅をはかっていく、今回の暴力立法がそういう目的に幾ぶんでも沿う立法だ。こういう考えでございまして、決してこの組織壊滅ということについて軽視をしておるのではございませんで、そこにねらいを定めましたものの、形式的に暴力団そのものを直接処罰するということではなくて、その構成員の行為から見て、それに貢献するような犯罪類型を考えていく。これが今回の立法の立法技術的な面で私どもが研究し到達した結論でございます。どうぞひとつそういう趣旨で御了承を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/35
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036・細迫兼光
○細迫委員 暴力団絶滅ということについての政府の姿勢がなっていないということを先ほど申し上げましたが、この姿勢の空気というものが裁判にまで及んでおりまして、政府の姿勢が厳格であれば勢い裁判の上にも影響をするはずでございますけれども、提出せられました資料を拝見いたしましても、その判決の量刑がどうも私から見なして軽きに過ぎるという傾向を見るのであります。これはおそらく検察官の求刑がそむそも軽かったのではないかということが想像せられるのです。現行法によりましても刑期は相当盛ら知るはずであるのに、一年であるとか六カ月であるとかというような事例さえもたくさん見受けるのであります。一体法務当局は、この種犯罪についての刑の量定についてどういう考えで指導せられておるのか。現行法を厳格に適用して、量刑も重く要求するというきつい指導がなされておれば、かような結果は出てこないのではないかということが想像せられるのであります。ことに暴力団同士のなわ張り争いなんかで起こった事件についての刑の量定というものが非常に軽い。良民に対して危害を加えたものは重くする、仲間同士のけんかはたいした問題にはしないというような空気が検察、警察、裁判所にまで及んでおるような気がするのでありますが、この種犯罪に対する求刑についてどういう指導がなされておるか、お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/36
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037・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 判決につきまして、刑の量定についてどういう指導がされたかということでございますが、申し上げるまでもなく三権分立、裁判権は独立でございまして、われわれ行政当局としましては、意見はいろいろございますが、裁判官の全く独自の判断にまかせるべきものである、かように思う次第でございます。それで漏れ聞くところによりますと、最高裁判所におきましても、こういう問題について適切な考え方はどうかという点につきまして、いろいろ会同その他におきまして意見が述べられ、お互いに切磋琢磨と申しますか、やられている次第でございますが、何さま判事は独立して裁判をするということが近代民主国家、法治国の基本的な思想でございますので、いわゆる指導とかなんとかということは行き過ぎじゃないかと思いますので、特に政府といたしましてはさようなことは慎んでおる次第でございます。
それから刑の量足が軽適ぎるのじゃないかというお話でありますが、これは皆さま方からまた逆の御質問を受けるのです。いま最下限はなく最一眼がきめてあるが、あれでいいじゃないか、これは裁判官は最高限の相当高いところにきめることもできるのだから、何も最下限をきめる必要はないのじゃないかという御説もあるのでありまして、逆のような御質問もたびたび受けるのでありますが、やはりこの刑の最高限、最下限というものは国会で御審議をいただく、立法権は国会にあるのでありますから、やはりその幅というものを適切妥当な必要な限度にきめておくことによって、裁判官はその立法権を尊重されるわけであります。その範囲内でやられるわけでありますから、最下限がないいまから、最下限を付しました今後の改正法によりまして、おのずから立法権の意思はどこにあるか、社会の必要はどこにあるか、こういうことに対して裁判官は独自の判断で十分に考えられるところがあるだろうと思います。まず自由な意見としては、お話しのようにいまの刑の量定は軽過ぎる、要するに何年以下ということで下がないのであります。したがって、下がない上ばかりある範囲において、こういう場合においてはどうするかという考え方で裁判官は結論を出されるわけであります。それでありますから、少なくとも最下限をきめて、先ほど刑事局長からも申し上げましたように、十分な隔離期間を置いて、この人はいろいろな観点から少なくともこのくらいは収容施設に入っていることが必要であるという最下限をきめることによって、今後の裁判も刑の量定が実情に合って適切にいくのじゃないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/37
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038・細迫兼光
○細迫委員 以上、私は大体総論的な質問をいたしたわけであります。重要な法案でありますから、なお各論的な質問も申し上げたいと思いますが、私だけで時間をつぶしてもいけませんから、きょうは一応この程度にとどめ、また各論的な問題について質問を続行したいと思いますが、きょうはこの程度で私の質問を終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/38
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039・濱野清吾
○濱野委員長 この際、資料提出の要求がございます。発言を許します。松井誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/39
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040・松井誠
○松井(誠)委員 委員長から資料の提出方のお取り計らいを願いたいと思いますが、今暴力団の犯罪関係の資料なりあるいは暴力事犯の犯罪関係の資料をいただいておりますけれども、暴力団そのものについての資料というものがないわけです。先ほども刑事局長の御答弁の中にありましたけれども、やはり暴力団の実態というものがまず必要だと思う。そこで衆力団の組織状況なりあるいは財源調達の方法なりあるいはその生活の実態なりという、暴力団の実態についての資料をまず第一にお願いをしたいと思います。
それからその暴力団に対する対策として、具体的に、これは治安当局だけのワクをこえるかもしれませんけれども、暴力団対策として国がいままでとってきたいろいろな具体的な対策、治安対策だけでなしに総合的な対策という面も含めて、そういう具体的な対策の実情というものもあわせていただきたいと思うのです。
それから第三として、これは日本だけの現象ではないと思いますので、世界の暴力団の実態、それに対する法制的な実態、法制的な実態については、いただいておる資料で断片的な条文はありますけれども、しかし、これだけでは総合的な法制というものはわかりませんので、概略でけっこうですけれども、各国で暴力団がどういう状況にあって、それに対して具体的にどういう対策、どういう法制をとっておるかということを資料としていただきたいと思うのです。つまり、言ってみれば、暴力団白書というくらいの少し詳しい資料をいただきたい。この法律がほんとうに暴力団対策として必要であるかどうか、あるいはそれが有効であるかどうかということを真剣に討議をするためには、どうしてもそういう問題、そういう資料が必要だと思うのです。
それから、これはちょっと一般的な資料じゃないのですけれども、われわれはこれが——立法者の意図は別としまして、現実にはそれが大衆運動の弾圧になって非常に差別的な運用の実態というものがある。そういうことをいままでも非常に懸念をしておりましたし、これからも懸念をするわけです。そういう意味でお願いをしたいのは、この暴力団の中で特に右翼的な、みずから右翼と名のる、あるいは政治団体と名のるが、実体はしかし暴力団だ、そういう右翼的な暴力団に対して、右翼的な暴力団の暴力事犯について、具体的にどういうような実例ですか。具体的に言いますならば、それに対する、できればその起訴状と判決ぐらいはほしい。私どもの大衆運動、労働運動や農民運動に対して、これが非常に乱用されておるという実態というのは、われわれ自体の手で資料を集められますけれども、しかし、右翼的な暴力団に対する資料というのは、残念ながらわれわれには集め得られない。しかし、その運用の実感が非常に差別的であるというわれわれの懸念を消そうとされるならば、ぜひ右翼的な暴力団というものに対しての暴力事犯について、具体的にどういう取り扱いをしてどういう結果になったかという、この資料をひとついただきたい。これが資料要求のお願いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/40
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041・濱野清吾
○濱野委員長 刑事局長、全部出せますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/41
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042・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 御要望の資料の中で、私どもの所管外のものもあるのでありますが、まず暴力団の実態はどうなっておるかということにつきましての資料につきましては、刑事局におきましても調査をしたものを持っておりますが、大部分の具体的なものは警察当局が持っておるわけでございまして、私のほうで調製をいたしましてごらんに供したいと思います資料は、具体的な名前を、どこの暴力団の何某といったようなことは、これは先ほど来申し上げたように、暴力団そのものが明確なものではございませんので差し控えなければならぬと思いますが、できるだけ、御理解をいただくような資料を持っておりますので調製いたしまして出したい。
それから暴力犯罪の対策でございますが、これは昭和三十六年二月に閣議決定でもって暴力犯罪防止対策要綱というのをきめております。これの要旨は当時新聞等にも公表されておりますが、所管が内閣になっておりますので、内閣のほうの御意見を聞きまして、差しつかえないものでございましたならば資料として出したいと思います。
それから、あと外国の立法例につきましては、これは私どもの手元に資料がございますので、差し上げますことにやぶさかではございませんが、ただ外国の暴力団の実態ということになりますと、必ずしもつまびらかではございません。ヨーロッパ諸国では、日本的な意味においての衆力団のようなものはほとんど存在しないようでございますし、一方アメリカにはまた日本とは違った意味の暴力団が存在するようでございますけれども、これとても実態をつまびらかに御理解をいただくような資料としましては、私ども十分な資料を待ち合わせておりませんが、それらの立法例は持っております。そうしてその立法例がなぜそういう立法ができたのかというような経緯は、学者等の説明によりましてある程度わかるわけでございまして、できるだけ御期待に沿うような資料を調理してみたいと思います。
それから、最後の右翼暴力の関係につきましては、私どもの所管ではございませんので、私どもも具体的な発生事例につきましてはわかりますけれども、そういう実態というようなものにつきましては、必ずしも私どもはつかんでおらないように思うのでございます。できるだけ御要望に沿うように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/42
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043・松井誠
○松井(誠)委員 この閣議決定による暴力犯罪対策ということに基づいていろいろな施策がとられておるということですので、これがこの改正案の暴力団対策としては総合対策の一環だというたてまえからいって、やはり総合的な対策の全貌というものをできるだけお出しを願いたいと思います。この改正案の審議の中でも、そういう総合対策の一環としてのものである限りにおいては、全体の総合施策というものも論議の対象になると思いますので、それをひとつぜひお願いしたいと思いますし、外国の立法例につきましても、いま申し上げましたように、単に条文の断片的な羅列でなしに、いま局長が言われたように何がしかの説明をつけて、そのよって生まれてきたゆえんというような背景もつけ加えてお願いをいたしたいと思います。
それからなお、最後の右翼的暴力団関係の具体的な例についてでありますが、それでは具体的にはどこに請求をすれば提出をされるのか、どこかに資料はおありだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/43
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044・竹内壽平
○竹内(壽)政府委員 公安調査庁あるいは警察等とも御連絡をいたしまして、できるだけ御要望に沿うように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/44
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045・濱野清吾
○濱野委員長 暫時休憩いたします。
午後零時四十分休憩
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午後三時七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/45
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046・濱野清吾
○濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
暴力行為等所罰に関する法律等の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。坂本泰良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/46
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047・坂本泰良
○坂本委員 細迫委員から暴力団の問題を主として御質疑がありましたから、私はまず第一に、説明の便宜上現行法を暴力法と言って、改正案を新暴力法と申しますけれども、どうして暴力法を政府が急いで改正せられるか、その理由がはっきりしないのでございますが、もしも政府が言われるように、暴力団の取り締まりにぜひこの法律が必要である、そういうことになりますならば、先ほど細迫委員からもありましたが、現行刑法で十分やれるのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。と申しますのは、現在の道路交通法違反の問題で非常な世論の反映と、何と申しますか、官民一体としてこの道路交通法違反を取り締まらなければならぬ、こういう世論の影響を受けておりまして、現在の具体的な裁判の方法では、軽いものはいわゆる切符制が主要な都市には利用せられまして、裁判の簡易化が行なわれております。さらに無免許運転等その他でひき殺したいわゆる過失致死、こういうような場合は現在の裁判においても、現行法のいわゆる過失致死罪の適用によって相当重い裁判の実刑が言い渡されているわけであります。そういうような関係で、この暴力団取り締まり、これはもちろん取り締まらなければならぬのですが、交通法違反と同じように官民一体となって暴力団を排除する。その取り締まりに出ましたならば、何もいま本案のような改正案を出さなくても、私は十分やっていけるというふうに思うわけです。それを暴力団暴力団というので、急にこの三カ条を改正して、二カ条をふやして、さらに常習というのを加え、また裁判所法を改正して、単独裁判官で裁判がやれるというふうに改正しなくても、現在の裁判の運営によってこれはやれるはずだ、こう思うわけです。そういうようにやらずに、ただ法改正をここに持っていくところにわれわれの非常に納得のいかない点があるわけであります。それば本会議でも私申し上げましたように、結局これは現在の暴力法が大正十五年以来三十七年間、もろちん暴力に対する事犯もありましたけれども、その主とするところは、治安立法としてこれが労働運動、大衆運動、戦前は小作運動の制圧に用いられてきた。その歴史的の事実がありまするから、さらに今回この法を改正しておいて、いわゆる廃案となりました警職法の身がわりにこれを持ってくるのじゃないか、こういうふうに言われておるところであり、またわれわれの納得いかない点があるわけであります。この点についてまず御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/47
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048・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 別に法律の改正をしなくてもやれるじゃないか、なぜ急にやるかというお話でございますが、いま町の暴力のためにどれだけ国民が不安を感じているか、非常な不安を感じている。そういう際に、あまりやらなくても、いままでどおりでいいじゃないかというよりも、あらゆる手段を尽くして国民の不安をなくすというのが私はほんとうじゃないかと思う。警察官の増員にしましても、何も九十五人でやれないことはない、百人にしなくてもいいじゃないかと言われれば、絶対に少ない人数でできませんということも言えないでしょう。それでは不十分であるから増員をお願いするので、まあ、すべてものはそうでございまして、いまのように暴力事犯の非常な増加ということは、いまさら申し上げるまでもない。国民が不安におびえるこの状況を何とかして救って、対策を講じていこうというのでございますから、いろいろな手段を尽くすのがあたりまえでございまして、その意味におきましては刑罰法令も改正して、従来の暴力である銃砲刀剣類をもってする傷害その他のものについて、これを厳重に処罰するということも非常に必要な、いまの町の暴力、暴力団の暴力の一番急所をつく問題でございますから、そういう急所をつくような方法をそろえるということが私は必要であり、ほんとうに国民に対して親切なものじゃないかと思うのであります。
それで、けさほども御質問がございましたが、刑罰法令にいたしましても、刑罰の最高限、最下限等が定まります場合に、これが重くなれば、裁判の判決もおのずからそこに立法府の意見も反映すると思うのでございます。軽くなっておれば、自然一方からは裁判の判決というものがそれにやはり同調をする面もあるので、この際としては、ほんとうに必要な手段でとり得る手段を尽くして、国民の不安をなくするということを第一義と考える次第でございます。それで何も急にやった次第ではないのでございまして、すでに三回の御審議も願っており、いかにその必要を感ずるかということは、もうこの事柄においても私は明白ではないかと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/48
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049・坂本泰良
○坂本委員 この問題はあとに回しまして、まず大臣がおられますから、最初にただしておきたいのは、現在いろいろ着間に言われておりまする治安立法の問題でございます。治安といえば治安立法とか、治安政策とか、このごろは一般常識的のことばになっておるようでありますが、この治安の維持ということについては、一般には国家社会の秩序を保たれること、こう言われておりますが、これは二つの意味があるのではないかと思うのです。その一つは、公共の安寧秩序を保つということ。もう一つは、これは現在の政治的支配秩序を維持する、こういう意味があると思う。ことに政治的な支配秩序を維持するということは、支配者が被支配者に対する階級的関係の秩序を保つ、こうなる。これをまたわかりやすく申しますと、現在の日本の支配者といえば、これはやはり資本家であり、客間に言われる独占資本である、こう患われます。被支配者の立場に立っているのは、これはやはり労働者、農民を中心とした一般市民であるわけです。
そこで、治安を保つとかいうこの治安というのは、支配者と被支配者の階級的関係の秩序を維持していくんだ、私はこれが主ではないかと思う。しかしながら、政府並びに現在の日本の支配階級は、この意味を正面から言わないわけです。これを隠しておいて、そうして一般には公共の安寧秩序を保つ、この意味のことを表面に出してくるわけなんですね。そうして一般の国民に対しては、公共の安寧秩序を保つんだ、これが治安立法であり、治安対策である。こういうふうに言われておるのでありまするが、私はやはり治安立法といわれる現暴力法も、あるいは改正暴力法も、やはりこの中軸をなすものである。したがって、この暴力法が治安立法といわれるのは、政治的秩序を保つ、それは現在の支配的秩序を保っていく、これが結局は考えてまいりますると、治安維持法というようなものに従来は結びついてきたわけであります。また、現在は新聞なんかに出ませんから、われわれ野にあっては、あるかないかわかりませんが、従来はよく治安閣僚会議というのが持たれまして、そして閣僚の中でも治安閣僚という方々が会議を開いて、そこでこの治安に対するいろいろな対策等を考えられてきた。こういう点から考えますると、現在新聞なんかには出ませんけれども、現政府の中において治安閣僚の方々、いわゆる治安を維持するためのそれに関係の閣僚の方々の会議が事実上持たれておるかどうか。また、私が治安の意味について二つあげましたが、この点について大臣はどういう御所見を持っておられますか。まず、この二つについてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/49
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050・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 ただいまの御質問を伺っておりまして、政府の意図せざる方面、法律の意図せざる方面につきまして、あまり御心配が過ぎるのではないか。治安ということばは、解しますればいろいろでございましょう。ただいま政治的治安と申しますか、支配者と支配をされる者との関係をお述べになりましたが、日本はいまは支配者と支配される者は同じものだと思うのであります。国民全般が主権者であり、国民全般が合法的につくられました政府によってある程度支配され、しかも、常に選挙権を行使して、立法府におきまして、立法及び予算を決するということになっている次第でございますから、支配者と被支配者と同じで、基本的には独占資本でもなければ、いわゆる政府でもないと思います。それでございますので、どうして秩序を維持するかという点の重点は、そういう国民の総意の主権によって構成される政府、その変動、いろいろなものが暴力によって支配されないというのが重大でございまして、国民の正しく行使される選挙権によって、また言論によって公正に支配される。私は民主主義国、法治国のいわゆる支配関係の変動に関する、秩序に関する第一義は、正しく選挙権が行使されるということと、言論に訴えて、いろいろな意見というものが国民の多数の共鳴を得るようにするということであると思うのでございます。それは、必ずそこには暴力の支配というものを除かなければならぬ。このほんとうのルールによる支配でなくちゃならぬと思います。
しかし、今回の法律は、広くいえば治安でございましょうが、そういう政治的の治安を目的としているものじゃないのでございます。お読みになってもわかりますとおりに、ほんとうに国民の日常生活における暴力の恐怖と不安を除こうということでございまして、別に支配権の問題に関する秩序維持ではないと私は思うのでございます。私が思うのじゃない、そういう意味で政府は立案し、提案をいたしている次第でございまして、全く国民一般の傷害あるいは脅迫、器物損壊等、身体あるいは財産に関する恐怖を除くという点でございまして、そういう意味では、広い意味で治安立法といえば治安立法でございますが、普通に言われる政治的秩序を維持するというような、いわゆる治安立法では全然ない、見当違いだと私は思うのでございます。そういう点につきまして十分に御理解をいただきまして、内容の御審議を願いたい。つまり、常習暴力と銃砲刀剣類をもってするものに対して強化する点におきまして、しかも、そのねらいは、そういうものが町の暴力のうちで一番悪質であって、一番国民がそれに恐怖を感ずるものでございますから、そういうものに対する方策であると御了解を願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/50
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051・坂本泰良
○坂本委員 大臣の言われる表面的なことはそのとおりであります。三十七年前の現暴力法が国会に出ましたときにも、やはりそれと同じような状態にあったわけです。御存じのように、当時は説教強盗というのがはやりました。その説教強盗、そういうのを撲滅するというようなことでこの法律ができたと思うわけです。したがって、その審議の際には、労働運動、小作運動、大衆運動には一切使わないのだ、全く町の暴力、強盗等を——強盗と申しましても、刑法上は強盗に至らないそういうのを処罰するんだ、そういうことでこの法律ができたわけですが、これはあとでまた質疑いたしますけれども、この三十七年前にこの法律ができて、そうして最初に適用になったのは何かと申しますと、小作争議なんですね。そういうのに使われている。それからずっと大衆運動に使われ、さらにまた、新憲法になりました後も、これはあとでまた質問いたしますが、当時の日本の敗戦によるところの連合軍司令官の覚え書きによりましても、この法律は当然廃止さるべきものである、それが生き残っていたんだ。そして生き残って、今度は昭和二十三、四年ごろからの労働運動に対しては、この法律が使われてきた。こういうような関係を考えますると、大臣がおっしゃるような表面だけの、いわゆる町の暴力団だとかぐれん隊に対する銃砲刀剣だとか、それを処罰するんだというふうに正面から受け取れないから、質問をいたすわけでありますが、私がもう一つ申しました、治安という意味に対して二つの意味がある、一つは公共の安寧秩序を保持するのが治安である、また一つは政治的な支配秩序を維持していくのが治安である。この二つの意味がありまするが、私は、現在の政府当局は、さらに現在日本の支配階級にある人たちは、表面は公共の安寧秩序を保つための治安だ、こう言いながら、実際は現在の独占資本を中心とした日本の支配階級が、一般の働く大衆、一般市民に対するこの現在の政治支配を維持しようとするそれが治安である、こういう二つの趣味に解せられる。政府は、内には、現在の支配階級を維持していく治安であると考えながら、表面は、公共の安寧秩序を保持するための治安である、こう言われておるわけですが、この点についての御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/51
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052・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 その点は不幸にして御所見と一致しないわけであります。われわれは、合法的の方法によって政権が推移し、あるいは政治方針が変わるということは、常に民主主義国の当無のこととして考えております。すぐ独占資本を擁護するとか言われますが、この法律のどこにそういうことがあるのか、むしろ、さがして発見するのにわれわれは苦しむ、不可能だと思うのでございます。現行法が常に労働運動の弾圧に使われたというような意味のことは、すでに再三お話もございますが、常に申し上げておるのですが、決して労働運動、小作争議そのものを弾圧したことはないのであります。それに際して起こった不法行為、たとえば適法の会合でありましても、そこに殺人が行なわれれば殺人罪としてそれは処置しなければならない。そんなことは極端でございますが、違法の行為が起こる場合には、その違法の行為は違法の行為、刑罰法令に触れるものは刑罰法令に触れるものとして処置しなければならないのでございます。何も、労働運動そのものを弾圧するという——これは判決をごらんになりましても、そういう起訴理由をごらんになりましても、事実においてもそれはないので、もしもそういうことならば、違法の労働争議をやるのだ、罰則に触れるような暴行の手段によって労働争議をするんだということになれば、その暴行はやられましょう、またこれはやらなければならぬのです。そういう意図がなく合法的におやりになるならば何の心配もない。先刻も御答弁申し上げましたが、実積を見ましても、銃砲刀剣類をもって労働争議のときにやられていない、新しいことだと思うのです。ですから、そういうものは処罰された例はないのであります。決して心配は要らないので、それよりも、こういうことに誤解がございましてこの法律が通らないということになれば、国民は日常生活に不安を感ずるでありましょう。これは現行法第一条を誤解されるのが正しいとは申しませんが、あれにはとにかく集団の威力云々とありますが、今度の一条ノ二とか三には全然そんな文句はないのであります。一条のあの文句は、一条ノ二や三にかからないのであります。どっちから考えても誤解の起こる憂いはないと私は思うのでございまして、どうぞ御安心いたされまして御賛成のほどを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/52
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053・坂本泰良
○坂本委員 現行法の改正の問題についてはあとでまたただしたいと思いますが、一言申し上げておきたいのは、現在の暴力法がわずか三カ条で、私があとで指摘するまでもなく労働運動あるいは大衆運動に、一方のことばかもしれませんが弾圧法として使われてきた。その法律にさらに今度の改正は輪をかけてやるものであるから、強化するものである。そう強化されたら、これまたたいへんだというのが、われわれが心配する第一の問題であるわけであります。改正の点だけを見て、第一条の一項はそのままにしておいて、改正の点だけたいしたことはない、こうおっしゃっても、これはやはり現行法の特に一条一項と今度の改正の点とあわせて考えて、そうしてその法の適用を考えるものですから、ここに大きな心配が出てくるわけです。そういう意味で聞いておりますから、これから先具体的ないろいろの質問もいたしますけれども、今度の改正は銃砲刀剣類を用いたのを最下限一年以上にしただけだ、常習というのはいままで第二項でやったけれども、これは何もいままで適用したことがないじゃないか、それを今度独立の条項にしてやるのだから、いままであったのだからたいしたことはないじゃないか、こういうような説明であるけれども、その改正の点だけではいかないと思うのです。改正された点は、従来の現行法と一致して国民には適用になってくるわけです。これを改正したから一項が弱体化せられたという解釈はないと思うのです。強化されている。その強化された法律を、従来のように労働運動、大衆運動に持ってこられたんじゃたいへんだというので、私はこの法律案の審議はあわせてしておるつもりです。また、そうでなければならぬと私は思うのです。改正するから、改正の点だけだからというので、その点だけの審議ではいかぬ。改正された点と、その基本のものをあわせて、この改正法というのはどういうふうに国民に対して適用されるか、ここに思いをいたさなければならぬと思うのです。そういう点で質疑もいたしますから、ひとつ今後の答弁についても、その意味でやっていただきたいと思うのであります。
そこで次にお聞きしたいのは、治安の意味については、立場も違うでしょうからコンニャク問答みたいになったわけですが、そこで治安立法ということについて大臣の御所見を承りたいのですが、この治安立法ということばは、私が申し上げるまでもなく過般破壊活動防止法が国会に出されまして、そしてその審議をされるにあたって治安立法ということばが使われてきたわけなんです。その前まではあまり治安立法ということばは、あったかもしれませんが、私なんかはあまり聞いていなかった。そこでこの治安立法については、昭和二十七年七月二十一日に、法律第二百四十号で施行になりました破壊活動防止法の審議の際にこの治安ということばが出てきた。それはどこから出てきたかと申しますと、いわゆる学者グループから出てきておるわけであります。ところがこのごろは、新聞、ラジオはじめ、一般国民がこれは治安立法だというように、通常のことばになっておるわけでありますが、この治安立法に関連いたしまして、治安政策ということが現在言われているわけであります。この治安政策ということばも、破防法ができました後、二、三年前から治安政策ということが新聞なんかにも出てくるようになったわけです。二、三年前からであります。そこで治安政策というのはどういう意味かと考えますと、結局は、現在の資本主義経済機構におけるところの利潤を中心とした政策である、こう考えるよりほかにないじゃないか、こう思うわけなんです。したがって、この治安政策ということは労働政策あるいは金融政策、こういうふうにいわれておるわけでありますが、大臣は、治安立法とこのごろしょっちゅういわれておりますが、また治安政策ともいわれておるわけですが、先ほどの治安という意味と関連いたしまして、この治安立法、治安政策といわれることについてはどういうふうに御理解されておるか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/53
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054・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 治安ということのテクニックと申しますか、あるいは学術的というか、そういう問題につきましては、私は大体常識的に趣意を先刻申し上げたつもりでございます。なおそれ以上必要があれば、政府委員より補足してもらいたいと思います。
さっきたいへんだというお話がございましたが、私は、たいへんな誤解をなさっているんじゃないかと思うのであります。と申しますのは、こういうふうに申し上げたらいかがでしょうか。労働運動に際しまして、連動する多数の人は、いわゆる銃砲刀剣類をもって人を傷害したらこの法律にかかりましょう。そんなことは考えられないことじゃないかと思うのです。そういうことがない以上、この法律にかかるわけはないのですから、だから労働運動をやる人がみんな銃砲刀剣類を持ち、あるいはピストルを持ち、あるいは日本刀を持って、そうして現に人を傷害したり、暴行をすれば別ですが、それはわれわれは労働運動じゃないと思うのです。そういうことは考えられない。また、過去においてもそういう事例はほとんどなかったと思うのであります。それが当然でございます。将来もそうで、将来の労働運動がみんな銃砲刀剣類を持って、人を傷害したり、暴行するということはわれわれは考えられないのであります。ですから、御心配のようなことは起こるわけはない。どうしてもそれをやるんだ、やるんだと仰せになるのが私はどうもよくわからないので、法律は一体として解する、これはことばはそのとおりですが、前に申し上げましたように、一条と今度の二と三とは別ですから、一条があるから二は文句以上に広げてやるのだろうという解釈は絶対に出ないと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/54
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055・坂本泰良
○坂本委員 これはまたあとでやりますが、銃砲刀剣等ということについてもいろいろ問題があります。また傷害と申しましても、普通芝居やその他で刃傷ざたがある傷害と違いまして、ちょっところんでかすり傷を負うたのでも、これは傷害なんです。そこで労働運動なんかでストライキなんかの場合でも、ちょっと警察官とあれして、自分でけつまづいてすねをすりむいても、全治一週間というような医者の診断書が出るわけなんです。あるいは全治三日間というような傷害、これも傷害であります。したがって、この傷害が現暴力法の一条に該当する場合はこの法律が適用になる。それで起訴され、そこで裁判にまいりますと、全治三日間の傷害があるから、現行法の一条一項で起訴されるわけです。そこで医者を証人に呼びましても、大体全治三日間という傷があるということになる。大体われわれが雨戸をあけて、ちょっと手をはさんだだけでもちょっと皮が青くなる。普通こういうのは、いなかでは、われわれはいなか育ちですから、つばでもつけておけばよくなってしまう。それを医者が診断しますと、全治三日間、そんなのおかしいじゃないかといっても医者の立場に立てば、もとの皮膚に回復するまではやはり全治ということになるのだから三日間だ。実際巷間でいわれる傷害には当たらないようなことが傷害罪として問擬される。そうしていわゆるストライキその他の労働運動について、そういうわずか三日間あるいは四日間の傷が現在の暴力法の一条一項によって起訴されて、有罪の判決を受ける。こういうようなことになりまするから、単に一口に傷害と申しましても、そう簡単に割り切れるものじゃないわけなんです。そういうわけでたいへんだと考えられるのが、そういう点まで検討しない、と言うと失礼になりますけれども、そういう点まで考えが及ばないところにたいへんだということになって、実際その連動に携わって、実際労働運動から出てきた、暴力法によって起訴された裁判の衝に当たりますと、切られたどころじゃない、すりむいた、それでも有罪の判決をどんどん受けておる。そういうようなことで、さらに今度は銃砲刀剣等というのがあるし、また常習といっても、これはまたあとで問題になりますが、一ぺん有罪の判決を受けて、五年内に起こしたら常習だけれども、五年過ぎれば常習でないという解釈があればいいけれども、そうでないと、この常習についても拡大解釈されるということがまた大いにあるわけです。これはまたあとで質疑をしたいと思いますが、そういうふうで、簡単に銃砲刀剣等あるいは傷害だという、それをたいへんに考えるのがたいへんだとおっしゃるけれども、そう考えられないのがこっちはたいへんだ、こう思うわけなんです。ですから、その基本になるところをお聞きしておるわけで、治安立法あるいは治安政策と申しましても、あるいは上のほうにあれば、またその支配階級の中に入っておれば、あまり痛痒も感じないし、その解釈等も考えられたことはないのかもわかりません。それでやむを得ない点もあると思いますが、さらに治安政策ということについて、本法律が治安立法だと春闘に言われておる点からここにただしておきたいと思いますのは、先ほど申しましたように、労働政策、金融政策の面においてこの治安政策というものがあらわれてくると思う。それはどこにあるかと言いますと、やはりこれは脱在の支配秩序を維持することにある。現在の支配秩序を維持するならばどういう政策をとらなければならぬかということになってまいりますと、いわゆる高度成長政策とか、あるいは日本の軍事化政策、あるいは憲法の改正、こういうような面に具体的にあらわれて出てくると思うのです。これは、こういうのが基本的に治安政策の中に入ってくるものですから、したがってこの秩序を破壊しようとする、この秩序をなくしてはんとうの公共の安寧秩序を保とうとするというところについては、ここにやはり何と申しますか、争いが出てくるわけですね。それで、支配階級、被支配階級と、階級対立の面から考えますと、ここに闘争というのが出てくるわけなんです。十七日の半日ストにしましても、公労協がストをやるのは十七条違反じゃないか、これは法律違反だ、法を守れといって、総理大臣はいたけだかになって、本会議に出て多賀谷君の質問に対して、いろいろの問題よりも法を守ることが大事です、こう言っている。しかしながら、その法というのがどうしてできたかというと、民主主義のコースとしては、多数が結局支配するでしょう。しかし、少数の意見を聞く、少数の意見を聞くというのは、少数の意見のような具体的な立場も加味して結局は多数決に従うのだ、こういうことになるでしょうけれども、結局は支配階級、被支配階級という点から見ますると、やはり支配秩序を維持しようとする支配階級については、それのうしろだてとなる問題については、反対する者に対してはこれを制圧するということになるわけなんです。公労協の問題にしましても、十七条——もちろん最高裁の判決は、刑事事件にも及ぶという判例は出ました。しかしながら、それに対する下級裁判所の判例は、憲法違反だという判例はまたたくさんあるわけなんです。間迷った裁判所の判例も、やはり間違っておれば多年の努力によって、大法廷でその判定はくつがえされるわけなんです。そこで十七日の公労協の半日ストの問題にいたしましても、やはり労働者のほうは、これは最高裁の判例がああして出たけれども、しかし国際的なILOの問題から考えて、さらに国内のこの治安立法の面から考えてみれば、これはあるいは法に触れるかもしれない。形式的な最高裁判所の判例とは相反するかもわからぬけれども、それは間違いであるから公労協はこれを主張するのだ。これが十七日のストの中心問題になっておるわけです。そういうようなことで、これは少し議論が発展しましたけれども、治安政策としての支配秩序の維持として高度成長政策、憲法改正あるいは軍事化政策というものは治安政策の一環である、こういうふうにも考えられまするが、その点についての御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/55
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056・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 先ほど傷害につきまして、判決が軽微なものを重く見たというお話がございましたが、これは検察側からいうと、もっと重大なものを裁判所が重大と見ない、こういう例もたくさんある。批判はいろいろできましょう。また、こう申しては悪いですが、裁判所といえども誤りがないことはないと思いますが、われわれはどんなに検察側が不服でも、いよいよ裁判が確定したら、松川事件にしましても、その判決は尊重するわけでございます。現在民主国であり、法治国である以上は、裁判の公正を信じ、またその公正を常に守るような立法をしてまいるわけでございまして、これは何もそれで法律がいいとか悪いとかいう問題には私はならぬと思うのでございます。
それから、いま治安についていろいろございました。高度成長あるいは安保条約あるいは云々、こういうものを維持するためにやるのだろうというお話でございますが、これは全くの見当違いだと思うのです。われわれは高度成長は非常によろしいと思っております。あなた方も始終民衆の福祉の増進をお話しになるが、これは日本の経済力が豊かになりまして、国民総生産、国民総所得が増加しなければやりようがないのでございます。いかに公平に分配しても、何にもないものを分けてもこれは何にもならない。常に国民生活を豊かにするために資本の力も使い、経済も高度成長をするわけでございます。高度成長しましても、それはいろいろやり方にひずみもできますから、そのひずみを直すために努力をいたすわけでございます。全くこれは国民全般の幸福、福利の増進のためにわれわれは高度成長をやっている。それから安保条約もそうでございます。これがあるがために日本国民が安心して生命、財産の根底的の危険は感じないで今日まで過ごし得るので、そういう見解はあるいは皆さんと違うかもしれませんが、わわれわれはそれを信じてほんとうに国民のためにそれをやっているのであります。基本はそういうようにできましたが、町の暴力などというものはそれとは関係なく、いろいろな面へ広がりますから、ここでひとつ手を打たなければならぬというのが合同の法案でございまして、端的に申し上げれば、いかがでしょうか、こういう法律は社会党が政権をおとりになってもやらなければならぬのではないでしょうか。町の暴力をこのまま放任しておいていいというわけにはいかない。それは自民党が政権をとっておるも保守政権だから、あるいは社会党政権だからという問願ではなくて、ほんとうに国民が毎日の生活を安んじてできるようにするための、これは共通の広場に必要な問題ではないかと思うのであります。
それで、いまいろいろ法律の御議論がございましたが、社会党が政権をおとりになっても法律をおきめになる。その法律を守らぬでいいとおっしゃることはないと思うのです。もしもそうおっしゃるならわれわれは疑う。あなた方は独裁政権をつくって、法律も何もない、政府の言うままに、それがたとい善意であろうと、やるとおっしゃるなら別でありますが、われわれはそれを信じないので、社会党が政権をおとりになっても、やはり議会によって立法をされて、その法律が守られてこそやはり政権の秩序があるのだと思うのであります。自民党の法律なら悪い、これでは困るのです。それはともかく、合法的にできました法律を守るということは根本の必要でございますから、私は簡単に申し上げて、社会党政権の時代がまいりましても法律は御尊重になるでしょう。また、町の暴力はなくそうと御努力になると思いまして、この問題は、いわゆる狭い意味の政治秩序の維持、自分たちの政権を維持していくために必要である、こういう問題とはおよそ別ではないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/56
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057・坂本泰良
○坂本委員 法を守るということは同じだと思います。しかし、いかにして法を理解し、いかにしてその法を国民のために守っていくかという点についていささか所見が違うだろうと思います。社会党の政権のことをおっしゃいましたけれども、社会党の政権になりましたらもっと違った方法で、あるいは暴力法みたいなものはつくる必要がなくなるのではないかと思います。社会党政権でもできて、私が賀屋法務大臣にかわって法務大臣にでもなりましたら、今度はまた自民党の方々が野党で追及を受けるような法律は出さないだろうと思うわけです。しかし、それは別にいたしまして、経済問題としては、これは法務大臣は大家でございますから、これに対して——しかし大家といっても、法務大臣が考えられ、信奉しておられる経済政策と不肖坂木が考えておる経済政策とは私は違うと思う。しかし、そのことでここで論争していてもあれですから、これはあとの機会に譲りたいと思うわけです。
さらにいろいろありますけれども、あとの質疑の関係がありますから、もう一つ、二つここに御所見を承っておきたいことは、日本が敗戦になりまして——これはあまり申してもあれですが、私たちが理解しておる範囲は、政治家なんかになるつもりでないのが政治家にまた敗戦後なったというのは、いまから申すことにも一つの原因があるのですが、昭和二十年、二十一年当時のいわゆる日本の民主化政策の目的は、旧憲法における天皇制並びに天皇制官僚に対する攻撃、これが日本の敗戦後の民主化政策の目的であくたと思うわけです。その点から考えますと、先ほどから申し上げましたような大正十五年の法律六十号で施行になりました現在の暴力法、それから明治十七年の太政官布告からずっと続いております爆発物取締罰則、それから昭和二十三年法律第三十九号で施行になりました軽犯罪法、御承知のようにこの軽犯罪法は戦前の警察犯処罰令を変えて持ってきた、これだけが残ったわけなんです。そのほかのものは、いわゆる日本を敗戦に導いた旧憲法時代における天皇制並びに天皇制官僚が国民に対してこれを実行しましたが、敗戦後ほとんど廃止になりました。しかし、この三つの法律だけは残ったわけであります。残ったといいましても、軽犯罪法は警察犯処罰令を大体そのまま持ってきたわけでありまして、引き続いて残ったと言っても過言ではなかろうと思うわけです。そういうふうで日本の占領目的、いわゆる占領の支配体制ができたわけでありますが、その後、現在の憲法の制定によって、一応この民主化政策は終えんしたのではないか、こういうふうに考えられるわけです。それは昭和二十三年以後のアメリカを中心とした連合軍の極東政策の変化、これは欧州統一軍の編成によって変わってまいりまして、さらにまた、中華人民共和国が台湾政府を制圧しまして、独立したというのは、これはアメリカその他にとっては中国の喪失と言っていいことだと思います。したがって、中国を喪失したアメリカは、結局日本を拠点とする以外にないのでありまして、ここに日本の民主化政策は捨てられまして、二十三年に政令二百一号が出され、二十三年七月に大阪市に公安条例ができました。二十四年の五月に東京都の公安条例ができたのであります。さらにドッジ・プランによるところの定員法の実施になり、全官公労の改編と申しますか、改質と申しますか、こういうふうになったのであります。そして二十五年の十月、占領目的が終えんをいたしまして、そしてそれからがいわゆる治安と申しますか、いわゆる安保条約の問題が進められて、破防法とかあるいは団体等規制令、こういうのができまして、さらに労働運動に対しては、昭和二十六年ゼネスト禁止法ができ、二十七年に労働関係調整法が改正され、国家公務員法並びに関係法の改正が行なわれまして、さらにスト緊急調整法というものができまして、当時の電産等に対する刑事上の、われわれのことばで申しますと刑事弾圧が行なわれてきたわけであります。さらに公安条例ができ、刑事特別法ができ、裁判所においては法廷等の秩序維持に関する法律、これは二十七年の法律第二百八十六号ですが、こういう法律ができまして、いわゆる憲法を守るべき最高裁判所の田中長官の非常な反動化の発言等が出てまいったのであります。そして二十八年にスト規制法ができまして、電産、炭労、これに対しては保安要員を置かなければならない。こういうことになり、占領政策の行き過ぎを是正するという目標のもとに、日本の純風美俗に合うように法律を変えなければならない、そして日本の再軍備が進められる、こういうふうになってきたわけであります。さらに教育の問題については、平和教育の問題ということを前提にして、日本の純風美俗によるところの教育をしなければならぬというので、教育委員会法の改正がありまして、そして教育委員の公選制度が廃止されたわけであります。
〔濱野委員長退席、三田村委員長代理着席〕
さらに校長の管理職が認められ、教頭の副校長制がしかれ、そして二十九年にいわゆる警察法の改正が行なわれて、結局警察権力の中央集権化ということになったわけであります。その後三十年に下級裁判所の改正が行なわれ、三十二年に岸内閣が、御存じのように日米新時代に突入いたしまして、三十三年に警職法の改正を国会に出しまして、警察権限の拡大をはかったのでありますが、御存じのように三十七年にさらにこれは失敗して、審議未了になり、三十八年にこの警職法はほとんど断念せざるを得ない状態になったわけであります。そこでこの警職法の改正に失敗した政府は、刑事警察をどういうふうにして強化するかというのが問題になりまして、この刑事警察の強化ということが今度のこの暴力法の改正になって出たのである。こういうふうにわれわれは推測するわけであります。しかしながら、この新暴力法も四十四、四十五の二つの国会に出しまして、審議未了になって、今度さらに三度目として出ているわけであります。
こういうような経過を振り返ってみますと、この警職法あるいは暴力法の改正が失敗したから、行政警察権力を強化しなければならぬ、このように現在発展しているのではないかと思う。そうして結局いま地方自治団体でいろいろ論議されているのは迷惑条例であり、小暴力防止条例というのが条例としてできつつあるわけであります。こういうような点から考えまして、この新暴力法というのは、大臣がおっしゃるような、ただ暴力団を絶滅するためのものであり、単に銃砲刀剣等のものを処罰するのだ、あるいは常習者を処罰するのだ、こういうような単純なものにはわれわれは考えられないしたがって、この法律によって——これは間違っているかもわかりませんが、われわれの考えでは、特殊な労働組合、特殊なデモ、特殊な基地反対等に対しては、一応いわゆる行政警察権力によるところの取り締まりと申しますか、準備はできているけれども、しかしながら、これを法的に基礎づけて、そうしてこれを強行するために、政府はこの新暴力法の成立を企図しているのではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、大臣が従来から申されておりますことと、いままでの敗戦後の日本のいろいろな取り締まり、治安法律に対する改廃の経過を見てまいりますと、どうしてもこの新暴力法というのは特殊な労働組合、特殊なデモンストレーション、特殊な基地反対、その他広範の大衆運動等に対する制圧法であり、断圧法であるのだというふうに考えられてならないのです。立場も違い考え方も違うのでありますが、一応私はその経過をたどって結論に達したわけなんですが、この点について大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/57
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058・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 ただいま坂本さんは、日本の非常な激変時代、期間は約二十年足らずでございますが、終戦後のいわゆる政治史とも申すべきものの大体要点をお述べになって、まことにその御見識には敬服いたすところでございますが、ただその前に一言申し上げておきます。前の答弁がちょっと足りないところがございました。現行法の第一条第一項は今度の改正では一条になります。その一条は、今度の改正で強化も何もされない。一条ノ二、三、今度御審議を願っておりますものの刑の最高限、最下限というのはそれのみに限るので、現行法の一条一項はそれには関係がない。刑判法令も何も強化されないのでございます。何か両方が一緒になって互いに重く罰するようにいくような、そういう点はないのでありますから、その点に誤解はないと思いますけれども、念のために申し上げておきます。
それから、ただいまのお話、非常に広範な大きな御観察でございますが、率直に申しまして、私、一点大事なところが抜けていると思うのです。というのは、終戦後いろいろな改正がございましたが、これは古いことばで申しますれば、民意の暢達、国民の意思が政治に反映することにつきましての障害となるようなものをどんどんのける、たとえば婦人の参政権にいたしましても、いろいろなものにしても、ほんとうの国民の意思が政治に反映するための障害をのける、こういう点がおもな点でございますと同時に、大体政治史的に申しますれば、古い法制ほど権力者の恣意、私の希望、都合によってできており、政治もやられた、これはいなむべからざる点でございます。そういうものを取り除くということにつきまして相当に敏感に戦後修正が行なわれた、私は非常なけっこうなことだと思うのであります。ただ、そこに誤解があっていけませんのは、どんなに自由な政治にしましても、どんなに典型的な民主政治にいたしましても、個人の自由と権利の尊重と同時に、社会全体の福祉、公共の立場から制約がある。その制約と個人の自由と権利との接点、調和点をどこに求めるかということが近代政治だろうと思うのでございます。そこで極端な共産政治やそれに類似しましたような、まるで全体主義の独裁的なものはわれわれは排除して、なるべく国民の権利と自由、個人の権利と自由を尊重する。しかし、これを野放しにいたしますれば、個人の自由と権利と他の人の自由と権利の衝突となるのでございまして、そこに国民全体の権利と自由の伸長はないわけであります。この両方の考え方の接点と申しますか、調和点を求めるのが、私は近代政治であり、民主主義、自由主義の政治であると思うのでございます。その公共の福祉か何か知りません、権力者の恣意か何か知らぬが、そういう全体主義的な立場で、議会らしい議会もないような政治はわれわれは絶対に反対でありまして、ほんとうの自由主義、民主主義に基づいて、公共の福祉と個人の自由、権利とのほんとうの調和で進むということが大群であると思うのでございます。その意味におきまして、いわゆる左か右か片方に振り子が行き過ぎた点に対しての補正というものは要るわけでございます。まだまだ個人の自由、権利の伸びようが足りない面が多いと同時に、一方全体の公共の福祉の観念からの適当な制約、両方のほんとうの調和のいい点を求めるための努力というものはまだまだ日本の政治には要るわけでございまして、坂木さんの御意見によりますと、戦後のそういう立場のことはみんな権力者のわがままで御都合主義に出たかのごとく聞こえたのでありますが、そうではないので、それは不明のために方法論が不十分であったりよくなかったかと思いますが、われわれは、戦後におきましては、ほんとうの意味の個人の自由、権利を尊重するがゆえの公共の立場からのいろいろの必要なる制約がまた法制化され、実際にあらわれる連動をそこに見るのであります。この点が大切なのでありまして、つまり、われわれの重点は、権力者やあるいは一党一派の恣意、御都合のための法制でなく、ほんとうの国民全体のための法制である。こういう観念に徹することが大事なので、それが形の上で古いものに似ている、反動的であるというのは皮相の見解であって、その真実の内容に徹することが大事じゃないか。そういう意味におきましては、戦後のいわゆる反動立法と称されるものの中においても、私は多分にいい面もあるのじゃないか、またいい面を抜き出して強調していくということが大事だと思うのでありまして、単に形の上から二つの潮流の相克と見ないで、新しくそこにいいものを見出していく、これが戦後の政治じゃないか、この点に関しまして、われわれは今回の立法のごときは決してそういう反動立法でも何でもない、ほんとうの公共の福祉に徹する政治であると確信いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/58
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059・坂本泰良
○坂本委員 この暴力法の改正の問題で、今度の改正案を見ますると、一条の一項と二、三は全然逢うのだ、だから一体として見るのはどうかという御所見のようすですが、私は、法の解釈ももちろん法律家としてもやらなければならぬのですが、法というのは一つの大前提でありまして、その法が具体的の事実に対して適用される、そこに法の適用があると思う。したがいまして、改正法によれば一条の一項が独立法になって、一条の二、三とこうなるわけですが、この法律が、やはり労働運動あるいは大衆運動の中において起きたトラブルについて傷害が起きた、あるいは間違って警察官が自分でころんでけがしても、これは公務執行妨害だというような裁判もたくさん出ておるわけですが、そういう労働運動あるいは大衆運動という具体的事実に対して、大前提であるところの法律がそこに適用をされてくるわけなのです。したがいまして、私の申しておることは、この労働運動、大衆運動に対してこの法律が具体的に適用になってくる場合は、従来この弾圧法としてやってきたところの従来の一条一項と今度の改正法とが具体的事実に対して適用になってくる。その場合は一条ノ二、一条ノ三と具体的に——今度起訴するとかあるいは調べるという点については分けられるでしょうけれども、やはり労働運動と申しましてもあるいはストライキ、あるいは大衆運動と申しましても日韓条約反対の大衆行動が起こる、その場合に適用されるときは、やはりこれは一体となってくるわけであります。したがいまして、今度の改正法は従来の暴力法に対してなお強力になって適用を具体的に受けてくるのであるから、その点について弾圧法としては強化されたのである、そういう意味においてこれは一体として考えなければならぬ。改正がただこれだけだというこま切れ的に考えるべきじゃないというのが私の主張であるわけです。やはり法というのは具体的事実に対して適用を受けるから、具体的事実を基本に考えて、初めてこれは弾圧法であるとか、あるいはそうでないとかいうことが言われるわけです。そういう意味で、私はこの改正は、従来の暴力法をなお強力に輪をかけて弾圧法としての任務を果たす、こういうふうに考えるから、そういう意味で言っておるわけであります。
さらにまた、この暴力法の問題につきましても、先ほど私が申しましたように昭和二十年、二十一年当時の日本の民主化政策というものは、もちろんあの敗戦に等いたところのあの状態に対して、ほんとうに国民のために、主権在民のために持ってきたのは事実であります。それが、先ほど申しましたように昭和二十五年十月占領目的が終えんをして、それから後の日本のいろいろな治安立法を考えますると、いわゆる支配者と被支配者との関係で、現在の支配的地位を維持しようというところにこの法の目的はできておるのであります。決して国民全体のためではない形で少なくとも治安の関係法律というのは進んできておる、こういうふうに思うわけであります。そういう意味で私は申し上げるのであります。しかしながら、この一本の敗戦後の民主化に対して、ああいう無謀な警職法が国会に出されまして、堤議長なんかは議場のドアから片足入れて二本出して会期が延長になったことがあるでしょう。大臣はまだその時分のことは御存じないかもわかりません。本会議場にドアから片足入れて二を出しただけで国会が二日間延長にあって、そうしてこの警職法を審議しようとしたけれども、しかしながら、それは結局審議未了になってしまった。だから、その法律にかわるために今度は現在の行政警察権力を実質上に強化させる方向にこれが進んできておる。しかし、それだけではやはり不十分である。現在の政府は何と申しましても資本家代表の政府といわなければならぬ。いかに選挙の公正と申しましても、やはり権力の、あるいは金力の選挙が行なわれておる。肥後亨君は死にましたけれども、東京都知事の選挙はどうです、にせ証紙の問題、社会党推薦の阪本候補が暴力で街頭演説なんかを阻害されたという点は、これは代表的なものですが、私は現在の保守、革新の対立で、一般には社会党は三分の一の壁を破れぬといわれておりまするけれども、やはり、全部とは申しませんけれども、金力による選挙が行なわれておるから、まだなかなかそこまでいかない。いかないというのは、ほんとうの主権在民を前提としたところの、日本の国民の総想によって正しい選挙が行なわれていない証拠だと思うのです。
少し話は余波になりましたけれども、しかしながら、現在の資本家を何とか守り、労働運動を制圧するための政治をやっていくためには、実質上の警察権力を強化させていかなければならぬ。三井三池の闘争の際にもありましたように、機動隊をやる。機動隊というのは、労働組合取り締まりの練習をしてやらせておる。ですからあの当時は福岡、熊本、鹿児島あたりはこの警察が跳梁してきているわけですが、そういうような強化されてきた行政権力、警察権力を、ここに法的に理論づけるために、この新暴力法を早く通して、そうして法的の背景を持ち、法的の裏づけを持ってやろう。たまたま暴力団があれするから暴力団の絶滅だ。この暴力団の絶滅については、午前中細迫委員からもお話があったように、親分に対して花輪をやるでしょう。数年前の法務大臣は、数寄屋橋のどこかの親分が死んだからといって花輪をやった。ですからこの法務委員会で問題になりました。そうして追及しようとしたら、あれは秘書が何も相談せずにやったんだからということで、大臣の釈明だけで終わったのです。これは会議録にちゃんと載っていると思います。そういうように暴力団の絶滅といっても、その親分を養い、親分に関連を持っていたなら、その子分の青少年は全くかわいそうなんです。この暴力団の絶滅なんということはこれから正していかなければ私は断じてできないと思う。単なる法律の改正だけ、そのさじかげんの法定刑を上げただけでは絶対絶滅はできないと思う。ですから、われわれは立場は違いますけれども、この法律は結局はあの改正によって権利保釈の点を労働組合から剥奪している。労働組合の指導者を検挙してぶち込んでおけば、そのうちに組合の団結が弱体化して、そうして資本家側、雇い主側に有利に労働組合運動が進んでいって、労働組合はだめになるのだ。その点をわれわれは弾圧と言うわけなんです。ですから、このような点から考えて、やはり暴力団の取り締まりというのは隠れみのであって、実際は労働運動、ストライキあるいは日韓会談反対、条約反対等の大衆運動の弾圧のためにこれをつくり、その成立を急いでいるのではないか、こういうふうに考えられるのであります。この点は私だけの考えでなくて、ほんとうに公平な投票と申しますか、買収のない、権力で押えることのないアンケートをとりましたならば、そのほうが多いのではないかとも私は思うのです。少なくともこういうような考え方があるのですが、大臣は、この法律を何も急いで通す必要はないと思う。二度失敗したから三度もあきらめて、そしてもっとこういう法律をつくらぬでもいい政治に持っていくというようなお考えはないかどうか、承りたい。
〔三田村委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/59
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060・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 御意見を拝聴しまして、率直に申しまして、御質問でなく御断定でありますから、いまさらお答えを申し上げる余地もないようであります。
ただ私、先刻来申し上げましたが、ひとつこういうことを考えてみたらわかるのじゃないでしょうか。何人もこの日本の議会を否認する者はないと思うのです。大体国民は全部がほとんど日本の議会を肯定し、議会の議事がスムーズに運営されることを希望する。しかし、議会内で暴力行為が起こりますと、国民はごう然として非難すると思う。議会はけしからぬ、あたかも議会そのものを否認し、攻撃するかのごとく言われますが、これは決して議会そのものを否認し攻撃するのでも何でもない。議会において不当な暴力行為が行なわれますと、それを非難するのであります。ちょうど現行法第一条で労働争議を弾圧するとかいろいろ仰せになりますが、私は、ちょっといまのたとえに似たことをお考えくだされば、何も正当な労働運動を否認しているのでも何でもない。国民は議会を常に尊重し、議会でスムーズに議事が行なわれることを望んでおる。ただ、ここに暴力行為なんか出ますと、国民は非難します。こういうような点をお考えいただけば、われわれは何もお疑いになるようなそんな考えを持っていません。明白に私は申し上げておきます。
なお、私の先刻来の問題は、どうも私も法律をよく知りませんでへたでございますから、なおこの上専門に研究しております政府委員のほうから補足して、しからざるゆえんを御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/60
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061・坂本泰良
○坂本委員 盛んに大臣は暴力と言われます。その暴力は有形的の暴力、またこれが一般に国民にわかるから、有形的になぐれば暴力、ストライキをやって作業をとめれば暴力、しかしそれは理由があってやるわけです。しかし、そういう有形的な暴力と、またもう一つことばは悪いかもわかりませんが、無形的の暴力があるわけです。ほんとうの国民のためにならない法律ができようとした場合には、やはりそれはすれすれの線まで戦わざるを得ないのでして、先ほど例を出しましたドアをちょっとあけて指を二つだけあげて国会を二日間延長する。これに議席にあるところの議員が呼応して、ドアをあけたときぱちぱちとたたいて、これで通っちゃったんだ。無効の訴訟を起こせば、最高裁判所は、そんな無効の訴訟は判断し切らないのです。たまたま警察予備隊の問題で訴訟を起こしますと、当時は田中最高裁長官でしたが、国会の問題は高度の政治的問題であるから、裁判所が判断すべきじゃない、こういうようなことを言う。また、いま参議院の暴力、これも裁判になって私も出ておるのですが、松野議長が、社会党が二、三人しかおらぬのにドアを締めて教育二法案を採決しようとした。だから、とんでもないことをやるのだというので、議場の閉鎖中でも一カ所だけは閉鎖できないドアがあるでしょう。衆議院にもありますが、参議院にもある。それでそこから入ろうとした。そうしたら衛視が二、三十人立って阻止しておるから、それを排除して中に入って、そうして議長に対して、何でこういう締め出して本会議をやるのかというので抗議をしたのが、いままだ裁判になっています。一つは防衛二法案の際の、これは昨年の一月無罪判決がありましたが、教育二法案の問題は、これは国会内の本会議の問題であるから、裁判所が、司法権が関与すべきでないというので、公訴棄却の主張をいたしておりますが、なかなかそれができずにまだ審理中になっておる。私は、有形的な暴力よりも、こういうように法を乱用して、そうして自己の考えておることを通そうとするところに大きい無形と言いますか、陰の暴力があると思います。われわれは単なる有形の暴力を排除すると同時に、このような大きい暴力を排除しなければならぬ。そういうような見地に立ちましてこの法律案の審議にも当たらなければならない。やはりこの法律案の審議に当たるについては、治安の問題のその基本からやらなければならぬ。こういうような考えでここに質問し、大臣の所見を伺っておるわけです。そういうふうで、暴力については有形的の暴力だけでなくて、無形的のそういう暴力も排除しなければならぬ、こういうふうに考えるわけですが、大臣の御所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/61
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062・賀屋興宣
○賀屋国務大臣 堤元議長が指二本出した、それだけ聞くとたいへんのようですが、そういうことに至るまでの経過はどうだったのでございましょう。婦人議員が演壇と議長席を占領して、それどころじゃない、たいへんなものでしょう。一部の議員の妨害のために、合法的の議事が行なわれないというような状況に持ってくるところに問題があるのじゃないでしょうか。私は、いまの議会運営についてかれこれ申し上げることは控えたいと思うが、むしろ問題はそういうことが起こる前、これを明らかにして、ほんとうに国民も議員も反省すべきじゃないかと思うのであります。理由があるから法を守らぬでいい、これでは社会の秩序が破壊されます。理由があるから法を守らぬでいいというなら、みんなそれぞれ主観的理由を持っております。おれは正しいから法なんか守らぬでいい、悪法だからいかぬ、こんな観念を許したら、どうして秩序が維持できますか。これこそ大問題で、自分の判断で、悪法なるがゆえにという理由があるがゆえに法を守らぬでいいという観念には私は反対でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/62
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063・坂本泰良
○坂本委員 悪法もまた法なりということばを私も知っております。これは権力者がその権力を維持するためにかってにつくった法を、やはり法だから守れというのは、その支配権力を維持するための一つの国民をごまかすことばであります。しかし、こういうようなことについては、またあとで関連してただすことがあると思います。
そこで、現暴力法が大正十五年以来三十八年間、戦前戦後を通じていわゆる労働運動、社会運動の弾圧にはたしてきた役割り等について山ほど資料を持っておりますから、その代表的なものを一つ戦前戦後を通じこれを質疑いたしまして、そうして政府の所見を聞きたいと思いますが、この次にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/63
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064・濱野清吾
○濱野委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。
次会は来たる十六日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605206X02619640414/64
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