1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十七日(木曜日)
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議事日程 第十号
昭和三十九年二月二十七日
午後二時開議
第一 文化功労者年金法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
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一 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出)の趣旨説明
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○本日の会議に付した案件
日程第一 文化功労者年金法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提
出)及び市町村民税減税補てん債償還費に係
る財政上の特別措置に関する法律案(内閣提
出)の趣旨説明及び質疑
午後二時十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/0
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001・船田中
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
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日程第一 文化功労者年金法の一
部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/1
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002・船田中
○議長(船田中君) 日程第一、文化功労者年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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003・船田中
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。文教委員長久野忠治君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔久野忠治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/3
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004・久野忠治
○久野忠治君 ただいま議題となりました法律案について、文教委員会における審議の経過及び結果を簡単に御報告申し上げます。
本案の趣旨は、文化功労者に支給される年金の額は、昭和二十六年四月本法制定以来五十万円とされていたのを、百万円に引き上げようとするもので、昭和三十九年四月一日から施行することになっております。
去る一月二十九日文教委員会に付託となり、二月七日政府から提案理由の説明を聴取いたしました。自来、慎重に審議をいたしましたが、二月二十六日、本案に対する質疑を終了、討論の通告がないため、直ちに採決に入りましたところ、本案の趣旨はまことに適切妥当なものと認めまして、全会一致をもって原案どおり可決されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/4
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005・船田中
○議長(船田中君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/5
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006・船田中
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/6
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007・船田中
○議長(船田中君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の趣旨の説明を求めます。自治大臣早川崇君。
〔国務大臣早川崇君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/7
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008・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
地方税につきましては、累次にわたる改正により、住民負担の軽減、合理化をはかってまいったのでありますが、明年度におきましても、地方財政の実情を考慮し、国において所要の財源措置を講ずることとして、市町村民税所得割りの負担の不均衡是正、電気ガス税の税率の引き下げ等、住民負担の軽減、合理化をはかりますほか、中小企業者の負担の軽減、合理化を行ない、住宅建設の促進に資するための措置を講じ、あわせて道路整備計画の推進に伴う道路目的財源の充実をはかるため、所要の改正を行なうこととしたのであります。
なお、市町村民税所得割りの不均衡是正に伴う減収額を補てんするため、地方債の発行を認めることとし、地方財政法について所要の改正を行なうことといたしております。
以下、順を追って地方税制の改正の概要について御説明申し上げます。
第一は、市町村民税についてであります。
市町村民税につきましては、低所得者の負担を軽減するとともに、市町村間の負担の不均衡を是正するため、昭和三十九年度及び四十年度の両年度にわたって所要の改正を行なうこととしたのであります。すなわち、昭和三十九年度におきましては、現行のただし書き方式を本文方式に近づけるため、経過的に所得控除として基礎控除のほか、扶養控除を行ない、かつ事業専従者について青色申告者千六百円以上、白色申告者千円以上の税額控除をする課税方式をとることとし、昭和四十年度におきましては、課税方式を完全に本文方式に統一し、税率につきまして準拠税率制度を標準税率制度に改めるとともに、市町村は標準税率の一・五倍をこえて市町村民税の所得割りを課することができないように改正することといたしております。
第二は、事業税についてであります。
事業税におきましては、中小企業者の負担の軽減をはかるため、個人事業税の事業毛控除額を二十二万円に引き上げるとともに、法人事業税の軽減税率の適用範囲を拡大し、普通法人につきましては所得年百五十万円以下六%、所得年百五十万円超三百万円以下九%に、特別法人につきましては所得年百五十万円以下六%に、それぞれ改めました。
第三は、固定資産税についてであります。
固定資産税につきましては、新評価制度の実施に伴い、次の評価改定の時期までの暫定措置として、税負担の調整を行なうことといたしました。すなわち、新評価制度の実施によりまして、一般に土地の評価額は増加いたしますが、その税負担については、農地は、昭和三十八年度の税負担をこえないようにし、農地以外の土地は、昭和三十八年度の税負担に比し、二割をこえないよう税負担の調整措置を講ずることといたしております。
また、住宅建設の促進に資するため、不動産取得税において新築住宅にかかる基礎控除額を引き上げるほか、固定資産税においては、今後五年間に新築される住宅で一定の条件に該当するものについては一定期間税額を二分の一の額に軽減することといたしております。
第四は、電気ガス税及び市町村たばこ消費税についてであります。
電気ガス税につきましては、住民負担の軽減をはかる趣旨から、その税率を一%引き下げて七%とすることとし、これに伴う減収を補てんするため、国からたばこ専売納付金の一部の移譲を受けて、市町村たばこ消費税の税率を一・六%引き上げ、一五%にいたしました。
第五は、軽油引取税についてであります。
道路整備計画の改定に伴い、国、地方を通じて大幅な財源措置を講ずる必要がありますが、これを一般財源のみでまかなうことは、地方財政の現状にかんがみて至難の状況にありますので、揮発油課税における税率の引き上げが予定されていることでもあり、軽油引取税の税率を一キロリットルにつき、一万五千円といたしました。
第六は、料理飲食等消費税についてであります。
今秋のオリンピック開催を機として、当分の間、外人客の飲食と旅館における宿泊に対しては、料理飲食等消費税を課税しないことといたしました。
以上のほか、税制の合理化その他規定の整備を行なうことといたしております。
以上、地方税制の改正につきまして、概要を御説明申し上げましたが、これに伴う地方税の減税額は、初年度であります昭和三十九年度におきましては、四百九十五億円となるのでありますが、他面、市町村たばこ消費税及び軽油引取税の税率の引き上げによる増収百五十三億円があります。また、平年度におきましては、減税額は八百八十億円になりますが、別に市町村たばこ消費税及び軽油引取税の増収百七十億円があるのであります。
最後に、市町村民税所得割りの減収補てんに関する地方財政法の改正について御説明申し上げます。
市町村民税の負担の不均衡是正にあたっては、市町村の行政水準が急激に低下することのないよう、経過的に財源措置を講ずることが必要と考え、課税方式の統一及び標準税率制度の設定に伴う減収額について、市町村に地方債を起こすことを認め、昭和三十九年、四十年の両年度から五年度間にわたり、初年度においては減税額の全額、以下これを基準として漸次二割を逓減した額の地方債を起こす方式をとるものといたしました。
以上が、地方税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
政府は、別途提案いたしております地方税法等の一部を改正する法律案におきまして、低所得者の負担を軽減し、かつ、市町村閥における負担の均衡をはかるため、昭和三十九年度及び昭和四十年度の二年度にわたり、市町村民税所得割りの課税方式の統一と極端な超過課税の解消を行なうことといたしております。
しかしながら、今回の減税の画期的な意義及び関係市町村の財政に与える影響にかんがみ、この減税を円滑かつ確実に実施するため、減税に伴う減収額について市町村が地方債を起こすことができることとし、この減税補てん債の元利償還に要する経費に対して所要の補給措置を講ずることにより、減収補てんの実をあげることが必要であると考えられるのであります。
この法律案におきましては、このような趣旨から、関係市町村が、毎年度市町村民税減税補てん債の元利償還のため必要とする経費について、その三分の二相当額については国が元利補給金を交付し、その三分の一相当額については、地方交付税の算定上、これを基準財政需要額に算入するという財政上の特別措置を講じようとするものであります。
以上が、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/8
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009・船田中
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。安井吉典君。
〔安井吉典君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/9
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010・安井吉典
○安井吉典君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました地方税制改正に関する二法案につき、政府の所信をたださんとするものであります。
今日の地方財政の実態は、道路をはじめとする公共事業の大幅な増加と、物価騰貴からくる給与費及び行政費の一般的な膨張で、地方財政の需要は増大する一方である上に、都市部の自治体では、産業と人口の激しい流入のために、上下水道、住宅、文教施設等の整備、ごみやし尿の処理に追いまくられ、税の伸びはあっても、これにとうてい間に合わない状態であり、また、農山漁村部の自治体では、おくれた農林漁業近代化の基盤整備をはじめ、郷土に残った住民にこれ以上見捨てられないための行政水準引き上げに、乏しい財政のやりくりで四苦八苦をしているのであります。これらはすべて、池田自民党内閣の誤った高度経済成長政策が、そのゆがんだ影を地方自治体の上に落とし、地方財政を撹乱しているからにほかならないと思うのであります。(拍手)
私は、この際、最近の特徴的な問題点二、三についてお尋ねをいたしたいと考えます。
まず伺いたいのは、所得倍増政策から最初に見離された産炭地の自治体の財政は、いまはなはだしい窮状にあるが、これに対しては、さしむき、特別地方交付税を増額配付すべきであるとともに、別に産炭地特別交付金制度のごときものを設け、財政援助に遺憾なきを期すべきと思うがどうか。
第二点、新産業都市建設は、政府予算を見ても、ほんとうにやる気があるのかどうか疑わしいのでありますが、この事業による地方財政の持ち出しは、指定地区自治体の負担能力と全くかけ離れた膨大な額となるのでありますが、政府は財政の特別な援助措置を講ずべきではないか。
第三点、交通、水道、病院等の地方公営企業は、赤字の累積で苦境にある上に、このたび政府は公共料金一年間ストップの措置をとったが、これが物価値上がりの政策の失敗を償うための政治的措置である以上、政府は当然責任をもって、たとえば企業債の償還延伸や利子補給、一般会計からの補てんなど、新年度予算の編成もできないでいる地方自治体に対し、緊急に措置すべきであると考えるがどうか。
以上、三点につき、自治大臣並びに経済企画庁長官、さらに、金を出し渋っていると伝えられる大蔵大臣のお考えをあわせて伺いたいのであります。
最近、国と地方の間の行政や財政の秩序の乱れがひどく、たとえば国はかってな計画を不十分な財源措置で地方に押しつけ、補助金、助成金も単価が低く、当然の国の事業まで負担を地方に強制、また、中央官庁の地方出先がやたらにふやされ、仕事が重複し繁雑となっているのでありますが、この際、抜本的に国と地方の間の行政事務の再配分を行ない、それに伴い、税財源をあらためて配分し直すことが必要であると思うのであります。現在、各調査会でも検討中のようでありますが、各官庁のおそるべきセクショナリズムの中では、これは言うはやすく行なうはかたい大事業であります。これについて、政府のお考えはいかがでありましょうか、総理の御決意のほどをぜひお聞かせ願いたいと思うのであります。
さて、地方税改正につきましては、重点をしぼって、わが党の考えを明らかにしつつ、お尋ねをいたしたいと思います。
市町村民税の改正では、税額が高くなるただし書き方式の採用や準拠税率を超過する課税が、財政力の弱い市町村で行なわれ、行政サービスの低い市町村のほうが税金が高いという事態をぜひ解消しなければならないというわが党の年来の主張がやっと実現するものとし、賛意を表しますが、しかしながら、三十九年度にただし書き方式を中途はんぱに残すやり方は、納税者も理解しにくいし、事務も手数がかかります。三十九年度はただし書き方式の廃止、四十年度は準拠税率を標準税率に改める、こういうすっきりしたやり方をすべきではないでしょうか。
ところで、この減収補てん措置を赤字公債に類する形で、地方債で行なうということは不合理であります。ただし書き方式や超過税率で課税している市町村は、これまで国のこれらに対する税財源の配慮が十分でなかったために、財源が乏しく、住民に重い負担をかけていたのであり、そこへいま国が法律で課税方法の改正を強制するのでありますから、当然減収額全額を臨時の特別交付金で完全補てんすべきであります。この交付金は漸減し、地方交付税で処理する状態に復させるにいたしましても、必ず交付税の交付率をいまの二八・九%からその分だけ引き上げ、総ワクをふやしつつ貧弱団体への傾斜配分を強める形で実施すべきであります。自治大臣並びに大蔵大臣の率直なお考えをお聞かせいただきたいのであります。
次に、固定資産税につきましては、政府は固定資産の評価を取引価格で統一し、本年一月一日付で全国市町村に評価がえを実施させつつありますが、新旧評価額を比較すると、家屋と償却資産はさしたる変化はないが、土地にあっては、都道府県別にその基準地の評価を見るに、田畑は修正率が乗ぜられる関係で、一・二倍から三・二二倍の幅で引き上げられ、山林については三・〇八倍から最高六・五七倍の引き上げ、宅地では最低三・三二倍から最高は実に十一倍の引き上げとなるようであります。このような評価額の激変と、全国的に巻き起こりました反対運動の高まりから、政府はこの三年間だけは農地は据え置き、宅地等は二割増しでとどめるという暫定措置を定めているわけでありますが、これでは四年後の昭和四十二年からは、いま申しました倍率で想像をこえた大増税になるのであります。現在二千数百億円にのぼっております固定資産税の総額をそのままにして税率で調整するといたしますれば、現在の標準税率一・四%を約二分の一に引き下げればよいという計算が一応成り立ちますが、もしそうするといたしましても、税額は農地ではなお五割以上上がるものもありますし、山林につきましては、約二、三倍に上がり、宅地では四、五倍の増税になる一方、家屋と償却資産の税は半分に減り、大企業の工場の機械類や林立するビルの税の減った分を土地がかぶり、財源のふえる市町村ができる反面、大幅な歳入欠陥を生じて苦しむ市町村も出てまいるのであります。
そこで私が自治大臣に伺いたい第一点は、暫定期間中でも、宅地等を二割増税することは、物価騰貴の現況において不適当ではないか。
第二点、問題の多い新評価をいま直ちに確定することなく、激変緩和の十分な措置が見出されるまで旧評価のままで課税し、はっきりした措置が確立してから合理化された新評価を確定するという、慎重な態度をとるべきではないか。もしそれができないとすれば、三年を過ぎた恒久措置の場合も、三十八年度の課税額よりいずれも増税にならないし、財政欠陥をも生じさせない旨の保証を、政府はいま明確にすべきではないか。これから税制調査会で検討しますといった答弁では、国民は納得するものではなく、四月の課税台帳縦覧の場合、不服審査の要求が全国的に続発することは明らかであります。
第三点、立ちおくれている農業の基盤整備や経営の近代化が国民経済全体の上からも強い要請となっております現在、農地、作業場、温室あるいは農機具、その他農業用の固定資産に対する税の軽減措置を行なう考えはないか。現に大企業には三分の二、二分の一、三分の一、あるいは六分の一といった軽減措置の規定が置かれており、また、西独や米国も農業用不動産に対する軽減を行ない、英国は全部免除している立法例があることからいたしましても、十分検討に値する問題であると思うが、自治大臣はいかがお考えでありましょうか。
最後に、私は、料理飲食等消費税の改正について、特に池田総理にお尋ねをいたしたいのであります。
この法案の国会提出が非常におくれた理由の一つは、料飲税を外人客に対し免税する問題について、与党が自治省原案を支持し、免税の期間はオリンピックのあることし限り、場所はホテルにおいてのみ、と一たん定めた方針を、閣議において異例の修正を行ない、期間は当分の間と改め、また場所の制限を全く除いたので、自民党側はこれに激高し、国会審議の中で閣議決定をくつがえし、もとどおりに修正することを党議で決定し、いまの国会への提案が行なわれたと、ふかしぎな事実を新聞は報じているのであります。池田総理は、自民党の総裁と政府の責任者との二重人格をお持ちだが、政府の責任者として提出案どおりの国会通過をはかることは当然であり、一方国会が法案修正権を持つことは当然としても、与党が法案提出前にすでに修正を決定しているということでは、双方の責任者である池田総理は、みずからの立場から矛盾をお感じにならないのですか。
さらに、私は、外人客誘致の観光事業の大切なことはよくわかるのでありますが、外人が、日本では料飲税という地方税を取られるから日本に行くのはやめた、とこういうものではないのであって、それよりも、列車の沿線に立ち並ぶ醜い野立ち広告を一掃し、道路をりっぱにし、公園などのごみやくずをきれいにすることのほうが、外人客を美しい日本で気持ちよく遇する観光政策としてもっともっと重要であると思うのであります。(拍手)パスポートさえ見せれば、料理屋でもキャバレーでもどこででも外人には免税するというのでは、脱税奨励のおそれすらあるのではないでしょうか。この外人客免税で都道府県の財源が三十億円も減少するというのですが、もしそれだけの余裕財源がありますれば、簡易食堂やおでん屋やすし屋などで五百円以上の飲食をしたらすぐ一割税金が取られ、諸物価値上がりの現在なお千円以上の宿泊費に同じく一割税金を取られるという、この現行法において、これらの免税点を大幅に引き上げ、国民大衆の生活につながる減税につとめることのほうが、私はほんとうの政治ではないかと思うのですが、総理はいかがお考えでしょうか。(拍手)
以上、政府の明確な御答弁を要求し、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/10
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011・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
私に対しまする第一の質問は、産炭地に対しまする交付税あるいは特別交付税の問題でございます。私は、産炭地市町村の現状にかんがみまして、普通交付税並びに特別交付税につきましても十分配意いたしまして、実情に沿うよう努力いたしておるのであります。
第二の、地方行政事務につきましての問題でございます。いわゆる国と地方との行政事務につきましては、最近における経済的、社会的諸事情の変化に伴いまして、地方制度調査会あるいは補助金等合理化審議会に諮問いたしまして、今後の基本的方針の答申を受けておるのであります。具体的問題につきましては、なおこの上とも、地方制度調査会、また税の配分につきましては臨時行政調査会、税制調査会の答申をまちまして検討を続けていきたいと考えております。
また、料飲税の問題につきましての御質問でございますが、当初、オリンピック開催を控えまして、一定の期間、旅館における宿泊、これに伴う飲食についてのみ減税するという案であったのでございます。しかし、私は、ただいまにおける日本のいわゆる国際収支改善のための観光事業の育成、あるいは国際親善等から考えまして、当分の間、外客に対して、外国の旅行者に対して課税しないのが国のためになると考えて、十分検討の結果、法案を提出したのでございます。総務会におきましてもこれを了とせられまして、国会に出しておる次第でございます。もちろん、国土をきれいにし、外人が好んで日本に来るよういろいろな施策を講ずることは当然でございます。この料飲税の免税につきまして、外国人がわが国民の外客誘致にいかに熱意を持っているかということを十分了解してくれることと私は思うのであります。
なお、大衆課税の減税につきましては、御承知のとおり、昭和三十年以来、いわゆる免税点等の改正を行ないまして、お話のとおり五百円の免税点を設けておるのであります。これによりまして、大衆の料飲は九〇%程度あるいはそれ以上減税せられておると思うのであります。したがいまして、大衆に対しまする料飲税の減税と、外人に対しまする免税とは、別個の考え方で検討すべきものと思っておるのであります。(拍手)
〔国務大臣田中角榮君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/11
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012・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 一年間公共料金抑制の立場から、地方公営企業に対して利子の補てん、一般会計からの補充、なお、企業債の金利の引き下げ、償還期限の延長等ができないかということでございますが、物価抑制のために政府が一年間行なっておりますこれらの施策に対しては、地方公共団体も十分協力を願いたいことでありますし、一時的な資金不足を補うために延長するというようなこと、また、金利の引き下げ等につきましては、資金運用部の資金コストは御承知のとおり六分五厘でございますし、また、公営公庫の金利は七分三厘でありますが、資金コスト一ぱいの数字でありますので、これを引き下げるというわけにはいかないと思います。なお、このような特別な事情において一部の企業にだけ引き下げを行なうというようなことになりますと、補助金を交付するということにも通じますので、現在政府はこのようなことを考えておらないわけであります。ただし、地方公営企業につきましては、制度調査会を設けまして、この答申をまって検討をいたすということに政府は決定をいたしておるのであります。
住民税の減税補てんに関しましては、本議場を通じまして何度か申し上げておるとおりでございます。しかも、交付税率二八・九%を引き上げよという御説でございますが、御承知のとおり、地方税は非常に増収をされておりまして、三十九年度国の予算は一四・二%の対前年度伸びにもかかわらず、地方財政においては一九・二%も大きく伸びておる現状を考えますと、この交付税率は将来引き下げる方向にはあると思いますけれども、これを引き上げるというようなことは考えておらないわけであります。
以上、お答え申し上げます。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/12
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013・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 新産業都市に指定されました地域に対しましては、建設基本計画をつくられます際に、地方の財政負担力も十分考えた上で基本計画をつくっていただきたいということを、建設基本方針をお示しする際に申してございます。事業の種類によって当然中央政府の負担する区分はおのずから出てくるわけでございますが、なお、投下資本に対して果実が生まれるまでの間には相当の年月がかかることでございますから、その間起債等の方法で負担力をつけるということは、これは当然考えなければならないことだと考えております。
公営企業に対して料金のストップをしたということは、ただいま大蔵大臣の御答弁のように、地方の住民自身の利益になることでございますから、地方公共団体でも当然できるだけの合理化にはつとめていただきたいと思います。しかし、それでもなお地方公共団体だけで負担し得ないという場合があり得るかと思います。地方公営企業制度調査会でこの問題を検討いたします際には、そういったような気持ちで——どっちかと申せば、経済原則とは多少違うことを地方に求めておるわけでございますから、そういったような気持ちを持ちながら検討をいたすべきものだと私は考えております。(拍手)
〔国務大臣早川崇君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/13
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014・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 第一の、産炭地市町村に対して特別交付金制度を設けたらどうかという御質問でございますが、こういう制度を設けるまでもなく、すでに産炭地につきましては、起債の充当率を引き上げるとか、あるいは交付税、特別交付税の面におきまして格段の配慮をいたしておるわけでありまして、このことは、本年度の特別交付金の配付時期でもあり、十分考慮してまいりたいと考えておりますので、いま直ちに特別交付金制度というものを設ける考えは持っておらないのであります。
二番目の、新産業都市の問題につきましては、ただいま宮澤長官が言われたのでありますが、われわれとしては、これは先行投資を優先にして起債、融資を考えます。同時に、昭和四十年ごろからか出てくる問題でありますが、自治体で負担し切れない事業量になってくるという場合には、どうしてもある程度の負担率の引き上げ等も必要になってくるかと思いますが、この問題については目下検討中でございます。
公営企業の赤字につきましては、国会にすでに公営企業制度の審議会法案を提案いたしております。また、東京都のようにほんとうに自主的に交通局の合理化の案も出されておるわけであります。われわれといたしましては、審議会の検討をまって根本的に公営企業の問題を検討いたしてまいりたいと思っておりますし、同時に、国の施策といたしまして公営料金を一年間ストップしたわけでありますから、それに伴う暫定的ないろいろな資金繰りやその他の困難な問題につきましては、自治省といたしましても、起債その他の延長とか、あるいはいろいろな面で目下検討しておるわけであります。
四番目の、住民税の減税をなぜ一挙にやらなかったかということでありますが、画期的な改革でございますので、一年間でやりますと三百億円という大きい負担になるわけであります。したがって、これを三年間に分けまして、本年度は、主として低額所得者の扶養親族の減税を中心にいたしまして約百五十億円、来年度はさらに百五十億円という、二年度の計画を立てたわけであります。交付税率の引き上げにつきましては、自治大臣といたしましても目下のところ考えておりません。
固定資産税の問題でございますが、四十二年度以降増税になるのではないか、こういう御意見でありますが、私は、固定資産を評価するということと、どれだけ税金を取るかということは、全然別個の問題と考えておるわけであります。したがって、この三年後の問題につきましては、税制調査会におきまして、税率の引き上げとか特別の控除制度を廃止するとか、いろいろ御検討いただいておるわけであります。その結論をまちまして四十二年度以降の固定資産税の額がきまるわけでありまして、いまから上がるとか、むしろ減税する場合もあるわけでありますから、予想はできないことは明らかでございます。
宅地の固定資産税が最高二割上がったことによって家賃その他に響くのではないか。御承知のように、固定資産税は千分の十六でありますから、その二割といいますと千分の三ぐらいであります。一番上がったもので二割で抑えるというわけであります。それによって家賃がすぐ上がるとは考えられません。逆に、新築住宅につきましては、固定資産税を大幅に期限を五年とか十年とか減税するわけでありますから、総合的に考えますと、お説のようにはならないと期待いたしておるわけであります。
最後に、農業用固定資産につきまして固定資産税を据え置け、こういう御意見でありますが、御承知のように、三年間、固定資産につきましては、土地だけは現状に据え置くということになっておるわけでありまして、今後の問題として、農業用の固定資産につきましても、税制調査会にいろいろ御検討願いたいと思っております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/14
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015・船田中
○議長(船田中君) 栗山礼行君。
〔栗山礼行君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/15
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016・栗山礼行
○栗山礼行君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま御説明のありました地方税法等の一部の改正法案につきまして、質問をいたさんとするものでございます。
まず、地方財政の根本的なあり方につきまして、総理大臣の御所見を的確にお伺いをいたしたいのであります。
地方財政の近況を検討いたしますると、三十七年度決算で全歳入中に占める地方税の割合は三五・四%、三十六年度について見ましても三六・一%であります。このほかに地方譲与税、雑収入等を加えましても、いわゆる地方の自主財源といわれておりまするものはほぼ四〇%程度であります。地方の財政は、これらの自主財源を中心にいたしまして、国より交付されます地方交付税、補助金等の依存財源とから成り立っているのでありますが、その財源構成は国への依存度がきわめて大なのであります。このような国、地方にわたりまする財政制度は、一面地方の行政を全国的に一定の最低水準に確保するという、近代国家として必要な行政役割りを果たしているのでありますが、その反面、国への財源依存がきわめて大きいため、地方行政の自主性を失わしめ、年々中央集権化の方向が強化されているという弊害が顕著になってまいっておるのであります。なかんずく、補助金、負担金等の国庫支出制度は、中央各省の出先機関が年々強化され、補助金等の種類がふえ、その使途について行政の末端に至るまできびしいワクをはめるなど、地方行財政の弾力的運用を著しく阻害しているのであります。政府におきましてもこのことはとくに御承知のはずでございまして、昨年十二月には補助金等合理化審議会より補助金等の整理統廃合を含みまする改正答申を受けておるのでありますが、しかるに、本年度の予算編成を見ましても、一つだにそれが生かされておらないのみならず、三十八年度予算に比べまして、予算の目で見て、補助金等の種類がふえ、かつ十万円未満の零細な予算計上が多く見受けられるのであります。
地方自治が民主主義の基盤であることは、いまさら申し上げるまでもございません。この観点に立つとき、国と地方が相まって地方自治を強化し、わが国民主政治を発展させるということは、国家の使命といわざるを得ないのであります。しかるに、現下の補助金が果たす役割りは、行政的にも財政的にも地方を締めつけ、橋一本かけるにも、学校を増設いたしますにも、中央より補助金をもらわなければ何一つ解決し得ないという陳情政治を招いているのであります。この陳情政治こそ、今日のわが国政治のゆがみを最も端的にあらわしているものでありまして、このために費やす時間や労力、金銭上の損失ははかり知れないものがあるのであります。総理は、このような財政運用が、今日の地方自治を全く名前だけのものとし、国の中央集権化がますます強化されていることを、民主政治確立の観点からどう考えていらっしゃるか、また、具体的には補助金等行政が及ぼす弊害をどう排除されるのか、この点についての国、地方にわたります財政制度の改革について、その根本的な対策をお伺いいたしたいのであります。(拍手)
質問の第二は、住民税についてであります。
今回の減税案を拝見いたしますと、その実施内容においてきわめて合理性が欠けております。住民税につきましては、その納税負担が地域によってはなはだしくアンバランスを来たしていたことは、これまでの政府みずからの政治貧困と、行政指導の不適正からであります。政府は、その税負担の不公平を今回の改善措置で認めたと承知をいたしますが、この実施を行なうにあたっては、地方の税収減を来たさない措置をとることは当然のことであります。そのことは、住民税のただし書き方式課税も国、地方にわたる財政制度の一環として、これまで国が地方に対し指導してきたことにほかならず、また、これらの貧困市町村においては、わが国経済の成長とは無関係に、地方税の自然増は今後ともほとんど望めないというのが、ただし書き市町村の姿なのであります。しかるに、政府が今回とりました減収補てん方式は、臨時に補てん債を発行し、その返済の三分の一相当額は地方負担とするが、その分だけ地方交付税を補てんに交付するということになっているのであります。加えて、その補てんも五年間でなしくずしに打ち切ることになっているのであります。このような特異な予算編成を行なった事情につきましては、今回の住民税減税をめぐる閣僚交渉におきまして、大蔵大臣が、住民税の軽減は地方公共団体の責任で実施すべきであり、国庫補助を前提とすることは身がって過ぎると発言したやに承知いたしておるのでありますが、もししかりといたしますならば、この発言は地方財政の今日置かれている実態を全く否定した論断でありまして、地方財政の認識不足もはなはだしいと申さざるを得ないのであります。(拍手)
従来、国は地方行財政の細部にまで指示、監督権を行使しながら、地方税の減収を来たす法改正にあたっては、地方の自主的な善後措置を求めるなど、全く筋の通らないやり方と申さざるを得ません。わが党は、かかる観点から、今回の住民税減税の補てん方式は事実上の赤字公債の発行であり、今後の財政運営に悪例を残すものであるとともに、補てん額が年々減少され、五年後には全く補てんの保証がなされてないという点で、強く政府の反省を促すものであります。(拍手)政府は、この際、ただし書き方式課税を採用していた市町村の実情にかんがみ、ただし書き廃止に伴う地方の税収減を長期的に完全補てんするため、補てん債の発行を取りやめ、減収に見合うだけの地方交付税の交付税率を引き上げるべきだと考えるのでございますが、大蔵大臣の的確なる御所見をお伺いいたしたいのであります。(拍手)
なお、今回の住民税減税に関しまして、あわせて自治大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、住民税の中には都道府県民税も含まっているのでありまして、これら都道府県民税は、三十七年度改正でもって、百五十万円を境といたしまする上下二%、四%の比例税率に改められました結果、年収五十万円以下の所得割り納税義務を持つ低所得階層にとっては、御承知のとおり、著しく増税となったのであります。これの軽減措置を本年度地方税改正案に当然加えられるべきであったと思うのでありますが、何らなされていないのであります。いかなる理由で都道府県民税の軽減を行なわなかったのか、この際、自治大臣の御所見をお伺いいたしたいのであります。(拍手)
質問の第三は、固定資産税についてであります。
明年度は評価がえ実施の年でありまして、一昨年来、自治省が指示する固定資産評価基準に従い、市町村におけるその作業は、今日、ほぼ完了しているのでありますが、今回の評価改定の特徴は、土地の大幅な評価引き上げでありまして、農地一・四倍、宅地六倍から八倍、山林三倍から五倍と、きわめて驚くべきものとなっているのであります。このような大幅な評価増を課税の基礎とすることは、国民がその税負担にたえられないことは明白でありまして、わが党が従来まで事あるごとにこれを警告いたしてまいったところでございます。この点に関しまして、政府は、固定資産の評価改定は絶対増税を目的とするものではございませんとたびたび言明しながら、今回の改正案に見ますると、その調整措置は何らなく、逆に課税限度額を三十八年度の一・二倍に抑えるということで増税となっているのであります。これは明らかに税の二割増徴であります。さらには、固定資産の中には働く国民大衆の零細な土地、家屋が大半を占め、それは単に日常生活の起居を行なうためのものでありまして、商業資産のように利潤を生むものではないということに注目しなければなりません。すなわち、商業価格が上がったとて、そこに住む限り、何十年たちましても資産それ自体が所得に及ぼす影響はないのであります。また、固定資産の評価改定は、単に固定資産税にとどまらず、相続税、贈与税、登録税、不動産取得税、都市計画税と、固定資産の評価を課税の基礎とする数多くのものがあるのでありまして、実質的にはさらに険しい増税につながっていると申さざるを得ないのであります。
かかる諸点について、政府の政治的配慮が全くなされていないということは、われわれ国民の了解に苦しむところでありまして、戦後の評価改定を見ましても、三十年の大幅な評価増に際しましては、税率の〇・一%引き下げをはじめ、関連税目に至るまで必要な調整措置をとるなど、およそ妥当な政治的配慮が行なわれたのでありますが、今回の評価改定は三十年に匹敵する大幅な評価増であることを考えると寺、政府は当然に、税率の引き下げ、再評価資産の圧縮評価、課税権限の市町村長委嘱、関連税目に対しまする調整措置等、適切な対策が行なわれるのが当然であると思うのであります。わが党は、かかる観点から、大蔵大臣並びに自治大臣の反省を促しますとともに、これら一連の増税とならない対策を明らかにすべきと考えるのでありますが、その用意があるかどうか、具体的に答弁をお願い申し上げたいのであります。(拍手)
質問の第四は、電気ガス税についてであります。
電気ガス税が日常の生活必需品に課税をする悪税であるということについては、今日の常識であります。総理みずからたびたびと言明された点でありましょう。かかる観点から、明年度地方税改正案につきましても、電気ガス税の税率が一%軽減されたのでありますが、完全撤廃という当初の目標からはほど遠いのであります。わが党は、あくまで電気ガス税の完全即時撤廃を強く主張いたしておるのでありますが、この実現に移るまでの過渡的措置といたしまして、現在の免税点三百円方式を、一般家庭の一戸当たり全国平均の電力消費量八十キロワットアワーに見合う料金一千円を基礎控除とすることにこり際限定すべきだと思うのであります。このことは、今日いかなる低所得者層といえども電気あるいはガスを使用しない家庭はなく、現在の三百円免税点方式では、その免税対象となる家庭はきわめて少ないのであります。税率の一律引き下げよりも、低所得階層を中心とする一般庶民のための減税、一千円までの基礎控除を即時実施するのが電気ガス税の減税の適切なる措置と思うのでありますが、大蔵大臣並びに自治大臣のこれに対しまする御所見並びに今後の対策をお伺いいたしたいのであります。(拍手)
申すまでもなく、地方税法の方向づけは、地方自治体の住民福祉との関連において重要な柱であります。いわんや、福祉国家の建設的な条件と確信をいたすのでありますが、以上四点にわたりまして、わが党の主張を明らかにし、政府の見解をただしますとともに、担当大臣の英知と勇断のある答弁を求めまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/16
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017・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 地方自治の伸長をはかりまして地方団体の自主性を強化することは、われわれのつとに努力しておるところでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたごとく、国と地方事務の適正な配分、また地方財政の自主的かつ健全な運営をはかるため、地方制度調査会、あるいは補助金等の合理化に関する審議会、あるいは税制調査会、臨時行政調査会、各種の調査機関に、地方自治伸長のための行政事務の配分、財政の確立等につきまして検討を願っておる次第でございます。したがいまして、その答申をまちまして十分考慮していきたいと考えております。
なお、お話の点にありましたごとく、地方財政のいまの状況は、ここ四、五年前と比べまして画期的な充実を示しておるのであります。これは日本の経済の伸長の結果でございまして、お話の地方の固有財源である地方税あるいは譲与税におきましては、全体の収入の四三%になりました。前年に比べて二%の増でございます。これを五、六年前に比べますと、金額の点において、割合の点において、まるで隔世の感があると私は考えておるのであります。しかし、それでも十分ではございませんので、御趣旨に沿いまして今後とも十分努力していきたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣田中角榮君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/17
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018・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 住民税減税による補てんにつきましては、財源補てん債によらずして、地方交付税率の引き上げによるべしということでございますが、この御質問につきましては、先ほどお答えを申し上げたとおりでございます。地方債で補てんをすればいいという考え方に立っておるわけでありますが、市町村の実際の財政の負担は、御承知のとおり、初年度で約八十七億円にとどまると見込まれるものに対しまして、市町村税の自然増収は減税後なお七百八十億という巨額にのぼっておるのでございます。なお、三税の増加に伴う地方交付税の増加等を考えますと、この処置によって財政運用には支障はないという考え方でございます。
第二点は、固定資産税の税率の引き下げ及び資産の圧縮記帳課税等の問題でございますが、本件につきましては、固定資産税の基本にも触れる問題でございます。しかも、税制調査会におきまして、かかる問題を取り上げ、固定資産税の恒久的なあり方につきまして今後検討するという段階に至っておりますので、この答申をまって検討いたしたいと考えます。
電気ガス税につきましては、電気ガス税は悪税なりという認定でございますが、悪税とも考えておりません。三百円の現行免税を千円に引き上げるべしということでございますが、現行の免税点三百円は、御承知のとおり、低所得者層の大部分を占める定額電灯料の約八〇%をこれによって免除しておるのであります。これを千円に引き上げますとどういうことになるかというと、農村地帯が大体この千円の中に入るわけでありまして、千円に引き上げることによって農村地帯の市町村の税収入が大幅に一挙に減る、こういう問題がありますので、これはなかなかたいへんな問題であります。現在の段階においては三百円が適当であり、千円までに引き上げられる階段にない、このように考えるわけであります。(拍手)
〔国務大臣早川崇君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/18
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019・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 都道府県民税の問題を取り上げられましたが、これは別に増税ということにはなっておらないのでありまして、昭和三十七年度、国と地方の税源配分のときに、所得税の一部を府県民税のほうに移しただけでございまして、増税をいたしたのではございません。なお、一般の住民税の今度の措置のようにやれ、こういうことでありますが、すでに府県民税につきましては、われわれが住民税で改正しようとしておるように、本文方式をとっておるわけでありますから、この点は御了承願いたいと思います。
電気ガス税に関する御質問、それから住民税の負担を交付税率を引き上げてやれということに対する御質問は、大蔵大臣と同じ考えでございます。
固定資産税は増税になったじゃないか。私は、本会議で総理も言われましたように、農地は上げない、それ以外は自然増収の若干のものはやむを得ないと言っておったのでありまして、最高一・二倍までにとどめたということで、大幅な増税をやらないという言明は実現されておるものと考えるわけでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/19
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020・船田中
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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021・船田中
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時十五分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 池田 勇人君
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
自 治 大 臣 早川 崇君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
出席政府委員
内閣法制局長官 林 修三君
自治省財政局長 柴田 護君
自治省税務局長 細郷 道一君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X01119640227/21
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