1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月三日(金曜日)
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議事日程 第二十号
昭和三十九年四月三日
午後二時開議
第一 原爆被爆者援護強化に関する決議案(田
中正巳君外六十名提出)(委員会審査省略要
求案件)
第二 地方自治法第百五十六条第六項の規定に
基づき、近畿圏整備本部大阪事務所の設置に
関し承認を求めるの件
第三 国有財産法第十三条の規定に基づき、国
会の議決を求めるの件(参議院送付)
第四 日本貿易振興会法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
国立学校特別会計法案(内閣提出、参議院回
付)
日程第一 原爆被爆者援護強化に関する決議案
(田中正巳君外六十名提出)
日程第二 地方自治法第百五十六条第六項の規
定に基づき、近畿圏整備本部大阪事務所の設
置に関し承認を求めるの件
日程第三 国有財産法第十三条の規定に基づき、
国会の議決を求めるの件(参議院送付)
日程第四 日本貿易振興会法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
土地収用法等の一部を改正する法律案(内閣提
出)の趣旨説明及び質疑
午後二時九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/0
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001・船田中
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
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国立学校特別会計法案(内閣提出、参議院回付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/1
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002・船田中
○議長(船田中君) おはかりいたします。
参議院から、内閣提出、国立学校特別会計法案が回付されております。この際、議事日程に追加して右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/2
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003・船田中
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
国立学校特別会計法案の参議院回付案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/3
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004・船田中
○議長(船田中君) 採決いたします。
本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/4
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005・船田中
○議長(船田中君) 起立多数、よって、参議院の修正に同意するに決しました。(拍手)
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日程第一 原爆被爆者援護強化に関する決議案(田中正巳君外六十名提出)
(委員会審査省略要求案件)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/5
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006・船田中
○議長(船田中君) 日程第一は、提出者より委員会の審査省略の申し出があります。右申し出のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/6
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007・船田中
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
日程第一、原爆被爆者援護強化に関する決議案を議題といたします。
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原爆被爆者援護強化に関する決議案
右の議案を提出する。
昭和三十九年四月二日
提出者
田中 正巳外六十名
賛成者
相川 勝六外三百六十三名
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原爆被爆者援護強化に関する決議案
広島、長崎に原爆が投下されて十八年余を経たが、今日なお白血病その他被爆に起因する患者、死亡者の発生をみており、その影響が存続していることは憂慮に耐えないところである。
原爆被爆者に関する制度としては、昭和三十二年に原子爆弾被爆者の医療等に関する法律が制定され、被爆者の健康管理及び医療措置が行なわれているが、原爆被害者に対する施策としては、なお十分とは認めがたい。
よって政府は、すみやかにその援護措置を拡充強化し、もって生活の安定を図るよう努めるべきである。
右決議する。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/7
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008・船田中
○議長(船田中君) 提出者の趣旨弁明を許します。松山千惠子君。
〔松山千惠子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/8
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009・松山千惠子
○松山千惠子君 ただいま議題となりました自民、社会、民社三党共同提案になる原爆被爆者援護強化に関する決議案について、提案者を代表して提案の趣旨を御説明いたします。(拍手)
まず、決議案の案文を朗読いたします。
原爆被爆者援護強化に関する決議案
広島、長崎に原爆が投下されて十八年余を経たが、今日なお白血病その他被爆に起因する患者、死亡者の発生をみており、その影響が存続していることは憂慮に耐えないところである。
原爆被爆者に関する制度としては、昭和三十二年に原子爆弾被爆者の医療等に関する法律が制定され、被爆者の健康管理及び医療措置が行なわれているが、原爆被害者に対する施策としては、なお十分とは認めがたい。
よって政府は、すみやかにその援護措置を拡充強化し、もって生活の安定を図るよう努めるべきである。
右決議する。
〔拍手〕
以上であります。
御承知のとおり、昭和二十年八月、広島、長崎に投下されました原子爆弾は、両市民のうち約十万人を死に至らしめ、行くえ不明その他重軽傷者約八万人、罹災した者二十数万人を数え、生存者においても、白血病、原爆性ケロイド等の特異な症状にさいなまれ、今日なおこれに起因する死亡者があとを断たないところであります。
この対策としては、昭和二十九年より三カ年間、これが治療方策を確立するため、予算を計上して治療方法の調査研究が行なわれ、その結果に基づき、昭和三十二年三月、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律が制定され、被爆者の医療並びに健康管理を中心に、その施策が進められてきたところであります。その後、被爆者の実情並びにわが国経済力の成長と相まって、その援護についても、年々強化をはかり、三十五年には特別被爆者制度を設けて、健康障害の可能性の強い特定の被爆者については、ほとんどすべての医療を公費をもって行なうこととするとともに、原爆症の治療を受けている者に医療手当を支給することとし、さらに二回にわたって特別被爆者の範囲を拡大する等、数次にわたって改善が重ねられました。今日まで三十数億円の国家予算により、二十六万人に及ぶ被爆者の把握、延べ六十五万人の健康診断の実施、十五万人の特別被爆者の登録、約五千人の原爆症患者の治療等が行なわれており、昭和三十九年度においては、これら被爆者援護のため、十三億円の予算が計上され、その対策が推進されるところでありまして、被爆者のために、いささか心の安らぐものがあるのでございます。
しかしながら、原爆被爆者が今日なお置かれている特別な状態に対応する援護措置は必ずしも十分とは言いがたく、より一そうの健康管理並びに医療の強化はもとより、就職、結婚等における原爆被爆者の社会的遊離の解消等に対しては、医学上の正しい見解に立脚して、この問題の打開につとめることが必要であり、また、被爆者の老齢化等、今日における被爆者のさらに正確な現状の把握につとめ、実情に即した援護措置を強化することが、今後に残された問題であります。(拍手)
政府は、今後、健康管理、医療の徹底を期するとともに、日常生活における被爆者の不安の解消、社会的理解の増進等に努力し、また、各種福祉制度の十分な活用をはかり、もって被爆者を心身両面においてあたたかく援護し、その生活の安定に役立つようつとめられたい。
これが本決議案の提案趣旨であります。何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/9
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010・船田中
○議長(船田中君) 討論の通告があります。これを許します。河野正君。
〔河野正君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/10
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011・河野正
○河野正君 私は、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党三党を代表いたしまして、ただいま提案せられました原爆被爆者援護強化に関する決議案に賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
思えば昭和二十年八月、広島、長崎両市に投ぜられた原子爆弾は、両市民の大半のとうとい生命を奪い、また、その被爆者の数は実に二十九万余に及んだのであります。わが国医学史上かつて経験をせざる特異な障害を残し、その惨状は全く筆舌に尽くしがたく、今世紀最大の悲惨事であったのであります。
御承知のごとく、原子爆弾による障害は全く特異的なもので、特に熱風、爆風、放射能障害は、肉体的にも精神的にもきわめて深刻なものがございます。すなわち、外部障害者は、幾度かの手術も効果なく、ケロイドは暑さ寒さに耐えがたき疼痛を覚え、人間としての気力を失い、醜い自分の姿に人生の希望を失いつつあるのであります。また、放射能による血液疾患に対しましては、医学上いまだ完全な治療方法が発見されず、遠い海外からの慰問や激励にもかかわらず、千羽ヅルの塔の悲願もむなしく、毎年数十人が死亡している現状であります。さきにも申し述べたごとく、その被害の深刻さは、外部障害者より一そう悲惨なものであります。
しかるに、投爆後二十年をけみした今日も、なお三十万に近い被爆者は、ある者はその苦痛に呻吟し、ある者は死の恐怖におびえ、またその家族は常に不安にかられているのであります。中でも、身寄りをなくした六十歳以上の原爆孤老のみじめな姿は言語に絶するものがあるといわれております。もちろん、今日、広島、長崎両市に投下された原子爆弾の被爆者に対し、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律によりまして、その健康の保持及び向上がはかられてはいるのでありますが、医療手当をはじめとし、その実態はまことに微々たるもので、全く不十分なものと断ぜざるを得ないのであります。同町に、それらの被爆者に肝要である生活保障の面が等閑に付されていることは、まことに心外に存ずるものであります。
昭和三十八年十二月七日の東京地方裁判所におきます広島、長崎原爆判決は、その判決文の中で、広島、長崎に対する原爆投下は国際法に違反するものと断定し、さらに判決文は、国家は、みずからの権限とみずからの責任において開始した戦争により、国民の多くの人々を死に導き、傷害を負わせ、不安な生活に追い込んだ、しかも、その被害の甚大さはとうてい一般災害の比ではない、したがって、国家が十分な救済策を講ずべきであると指摘いたしておるのであります。さらに、高度の経済成長を遂げたわが国において、国家財政上、これが不可能であるとはとうてい考えられない点も強調いたしておるのであります。
かくのごとく、原爆被爆者援護の問題は、単に長崎、広島という特定地区の問題でなく、原水爆禁止問題とともに、国民すべての重大問題なりと確信いたすものであります。(拍手)
戦後二十年の歳月をけみした今日、農地補償や在外補償等が終戦処理の一環として論及される中で、いまなお人道上放置することのできない原爆被害者に対する十分な施策が実現されなかったことをわれわれは心から遺憾に感じておったのであります。しかるに、本日、ここに決議案が上程されましたことは、まことに喜ばしく存ずるのであります。
特に、この際、今日までの医療法が援護法として、東京裁判にもあるごとく、高度成長経済にふさわしい原爆被害者全般に対する補償、救済措置が一日もすみやかに実現されることを強く要望いたしますと同時に、当面医療手当の増額、制限の撤廃あるいは特別被爆者の範囲制限の撤廃拡大、さらに、医師の認める被爆者のための精密検査施設の設立あるいは被爆者の医療の裏づけとなります生活保障、同時に、治療あるいは保養に際しての鉄道運賃等の減免制度の確立、不幸死没者に対しましては弔慰金、葬祭料の支給、さらに死没者の遺家族の生活の実態を十分調査し、援護対策を樹立するための原爆被害者対策審議会の設立等、直ちに制度化されることの緊要たることを重ねて主張し、本決議案に賛成の意を表するものであります。何とぞ諸君の絶大なる御賛同を心からお願い申し上げるものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/11
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012・船田中
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。
本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/12
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013・船田中
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
この際、厚生大臣から発言を求められております。これを許します。厚生大臣小林武治君。
〔国務大臣小林武治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/13
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014・小林武治
○国務大臣(小林武治君) ただいま可決されました御決議につきましては、十分にその趣旨を体して善処すべく、慎重に検討いたしたいと存じます。(拍手)
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日程第二 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、近畿圏整備本部大阪事務所の設置に関し承認を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/14
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015・船田中
○議長(船田中君) 日程第二、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、近畿圏整備本部大阪事務所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
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016・船田中
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。建設委員長丹羽喬四郎君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔丹羽喬四郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/16
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017・丹羽喬四郎
○丹羽喬四郎君 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、近畿圏整備本部大阪事務所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本件は、近畿圏整備本部における近畿圏整備計画の策定及びその実施の推進の進捗に伴い、本部の事務運営の能率化及び円滑化をはかるため、近畿圏整備本部に、地方機関として、本部の事務の一部、すなわち、近畿圏整備計画のために必要な現地調査をはじめ、国の関係地方行政機関及び地方公共団体との連絡並びに整備計画の実施の推進等の事務を分掌させる大阪事務所を設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、国会の承認を求めるというものであります。
本件は、二月二十七日本委員会に付託され、三月六日提案理由の説明を聴取し、四月一日にその審議に当たりました。審議の詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
かくて、同日、質疑を終了し、討論を省略して採決いたしましたところ、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
右、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/17
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018・船田中
○議長(船田中君) 採決いたします。
本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/18
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019・船田中
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
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日程第三 国有財産法第十三条の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/19
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020・船田中
○議長(船田中君) 日程第三、国有財産法第十三条の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/20
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021・船田中
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長山中貞則君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔山中貞則君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/21
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022・山中貞則
○山中貞則君 ただいま議題となりました国有財産法第十三条の規定に基づき、国会の議決を求めるの件につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本件は、公園である公共用財産を公用財産とすること等につきまして、国有財産法第十三条の規定に基づき、国会の議決を求めようとするもので、その内容は次のとおりであります。
まず第一は、総理府宮内庁京都事務所庁舎敷地とするため、厚生省所管の公共用財産である京都御苑の一部を総理府所管の公用財産に所管がえしようとするものであります。
第二は、公共用財産である皇居外苑と皇室用財産である皇居との境界について、一部不合理な点が見受けられますので、国有財産管理の適正を期するため、厚生省所管の公共用財産の一部を総理府所管の皇室用財産に所管がえしようとするものであります。
第三は、皇居東側地区内は、現在公用財産と皇室用財産とに区分されておりますが、皇居付属庭園としての同地区の整備も進行しておりますので、この際、国有財産管理の適正を期するため、総理府所管宮内庁所属の公用財産を皇室用財産に種別がえしようとするものであります。
第四は、皇室用財産の取得の件であります。
まず、宮殿の新築であります。旧宮殿は昭和二十年五月の戦災によって焼失し、現在は宮内庁庁舎の一部を仮宮殿として使用している状況でございますので、昭和三十五年一月の皇居造営についての閣議決定に基づき、この際新築しようとするものであります。なお、宮殿の付帯施設といたしまして、電気機械室及び地下駐車場を新設するほか、宮殿周辺の道路、上下水道、照明装置等の工作物を新設することにいたしております。
次は、皇居東側地区の整備に伴いまして、これに必要な道路、上下水道等の工作物を新設しようとするものであります。
次は、皇后陛下の御還暦を記念いたしまして、音楽、舞楽の演奏その他皇室関係の講演、映写等を行なうホールとして、皇后陛下御還暦記念ホールを新築しようとするものであります。
本件は、参議院先議の後、本院に送付されたものでありまして、当委員会において審議の結果、去る四月一日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/22
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023・船田中
○議長(船田中君) 採決いたします。
本件の委員長の報告は可決であります。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/23
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024・船田中
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第四 日本貿易振興会法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/24
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025・船田中
○議長(船田中君) 日程第四、日本貿易振興会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/25
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026・船田中
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。商工委員長二階堂進君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔二階堂進君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/26
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027・二階堂進
○二階堂進君 ただいま議題となりました日本貿易振興会法の一部を改正する法律案について、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
御承知のように、日本貿易振興会は、従来輸出振興のために相当の実績をあげてきているのでありますが、今後わが国の輸出振興上、同会の占める役割はますます重大となってきております。
本案は、このような事態に対処して、日本貿易振興会の業務量の増大に備え、同会に対する助成を強化して、同会の体制をより一そう整備するため提案されたものであります。
その内容は、政府が追加出資を行なうことができるように資本金に関する規定を整備すること、理事の定数を六人以内から七人以内に改めること、及び運営審議会の委員の定数を十二人以内から十五人以内に改めることであります。なお、昭和三十九年度一般会計予算に出資金として五億円が計上されております。
本案は、去る二月十三日商工委員会に付託され、十四日福田通商産業大臣より提案理由の説明を聴取し、三月十三日より審議に入り、四月一日参考人を招致する等、慎重に審議を行ないましたが、その内容は会議録に譲ります。
同日、質疑を終了し、日本社会党より、資本金の追加出資金額に関する規定については法文に明記すべき旨の修正案が提出されましたが、採決の結果、少数をもって否決され、引き続き本案を採決しましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/27
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028・船田中
○議長(船田中君) 討論の通告があります。これを許します。大村邦夫君。
〔大村邦夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/28
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029・大村邦夫
○大村邦夫君 私は、ただいま議題となりました日本貿易振興会法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表して反対の討論を行なうものであります。(拍手)
以下、反対とする理由について、順次申し上げます。
御承知のように、日本貿易振興会、すなわちジェトロは、昭和三十三年、わが国の貿易振興に寄与する機関として、第二十八回国会において成立を見た日本貿易振興会法に基づき、全額政府出資の特殊法人として設立したものであります。特にその際、ジェトロの活動が民主的、効果的に行なわれることを期待し、同法に対し附帯決議を行なったのであります。
その内容は、振興会の役員及び運営審議会委員にはできる限り民間達識者の参画を求め、業務が官僚的運営におちいらざるよう十分留意することでありました。これに対し政府側は、十分その意を体し、遺憾なきを期すとの言明があったのであります。
しかるに、どうです、設立以来五年を経過した今日、ジェトロの役員並びに下部機構は、まことにもって決議の趣旨に全く反した方向にあるのであります。すなわち、役員の構成は、通産、農林、大蔵などと、各省の天下り人事によって占められているのであります。このような人事の構成については、各省間で覚え書きを交換し、あらかじめポストの割り当てや出向在職期限をきめているやに伝えられているのであります。また、各省からの出向者は、わずか一年ないし二年間で交代し、業務部並びに海外事業部では、この四年間に部長が四人もかわり、その在職期間中は例外なく海外視察に出向いており、政府高級官吏の外遊機関化しておるのであります。しかも、人事権は、実質的にはジェトロ自体にはなく、関係官庁によって行なわれている実情でありまして、かくのごときありさまでは、帽子はジェトロでも、その頭と心は出身官庁にあるといわざるを得ません。(拍手)
また、ジェトロ職員の現況は、定員を低く押え、各省よりの出向の道を開いている感があります。一方、逐年の業務量の増大に対しては、臨時職員をもって措置し、その数が定員の三分の一に達する百二十名にふくれ上がり、一般従業員は低賃金と苛烈な労働条件をしいられている現状であります。
他方、海外派遣員について見ても、その派遣地域が、主として住みやすい先進地域であって、市場開拓を必要とする低開発地域は全く無視されており、これでは積極的に貿易の振興業務を行なっているとは言えません。
また、見本市の開催についてでありますが、その目的が貿易の振興をはかることにあるのでありますかり、世界市場至るところにこれを開催して、その成果を遺憾なく発揮するようすべきであることは言うまでもありません。しかるに、特定の地域または特定の国に限定し、中国において行なわれた見本市には協力をボイコットするなど、多分に政治的配慮に終始し、貿易振興に重点を置いていないのであります。
次に、貿易振興とジェトロとの関係でありますが、現在わが国の経済の発展のためには、是が非でも貿易振興をはからなければならないと政府は繰り返し強調し、特に三十九年度には、輸出六十二億ドルを目標に諸施策が立てられていますが、その中で、ジェトロの事業活動に期待するところ多大であると総理は言明しています。しかし、以上申し述べたような状況にあるジェトロに対し、総理はいかなる期待をかけているのであろうか、全く理解に苦しむところであります。
ひるがえって、政府が期待する輸出振興の貢献者は中小企業者であるということを、政府はこの際十分認識しなければなりません。特に、軽工業製品または軽機械類に至っては、そのほとんどが中小企業者の製品にあるにかかわらず、この輸出に関しては関係局間になわ張り争いが生じ、これが正常な輸出取引を阻害しているのが現実の姿であります。
次に、本改正案についてであります。政府の改正案によりますと、資本金の出資または今後の資本金の増額については、予算の範囲内において必要な額を計上すれば、ことさら法の改正を必要としないというのでありますが、このことは国民の批判を意識的に回避せんとする意図に基づくものであることは疑う余地のないところでありまして、かかる国家財政運営の基本原則に逆行する政府の態度に対しましては、私どもの断じて了解しないところであります。(拍手)
最後に、理事の増員について申し上げます。理事の増員は、ジェトロの業務上の必要からではなく、単に特定の人に対する箔をつけることをそのねらいとしているのであります。これは、過日委員会に来席した参考人の発言の中にも、理事増員の必要のないことを指摘していることをもっても明らかであります。(拍手)
このようなジェトロに対し、この際、政府は、抜本的、革新的な方針を打ち立て、真にわが国貿易振興の中心的役割りを名実ともに果たす体制を確立されんことを強く要求し、政府の猛省を促して、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/29
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030・船田中
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/30
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031・船田中
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
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土地収用法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/31
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032・船田中
○議長(船田中君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、土地収用法等の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。建設大臣河野一郎君。
〔国務大臣河野一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/32
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033・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 土地収用法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
最近における公共事業に必要な用地の取得は、事業量の著しい増大に伴い、種々の困難が生じております。このような公共事業の用地取得難を打開し、公共事業を円滑、かつ迅速に施行するためには、地価対策その他総合的な施策を必要とすることは申すまでもありませんが、公共用地の取得制度自体についても検討を加えました結果、収用委員会の機構、収用対象の範囲、収用手続その他の点についてさらに整備を要する点があると考えられますので、今回この法律案によりまして、土地収用法、公共用地の取得に関する特別措置法及び都市計画法の一部を改正することとした次第であります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、収用委員会を充実強化するため、政令で定める都道府県においては常勤の委員を置くことができることとし、地方公共団体の長、議会の議員及び常勤の職員は委員を兼職することができないようにいたすとともに、収用委員会の事務を整理させるための専任の職員を置くことができることといたしております。
第二に、収用手続を簡易、かつ迅速に進めることができるようにするため、従来は、特別措置法の対象事業に限って認められていた土地物件調書の作成等に関する特別の措置を一般の土地収用法に取り入れることといたしました。
第三に、特に緊急を要する特定公共事業の用地を迅速に確保するため、起業者から緊急裁決の申し立てがあった後、収用委員会は二カ月以内に裁決しなければならないものとし、この期間内に緊急裁決が行なわれない場合におきましては、建設大臣が裁決を代行し得る方途を設けることといたしております。
第四に、最近における公共事業の実施の状況にかんがみまして、特別措置法に列記されている事業と同程度の緊急性、公共性のある事業で政令で定めるものを特定公共事業とすることができることといたしております。
第五に、海底を公共事業の用に供する場合において、漁業権等が収用の対象になることを明らかにし、また、土地所有者等の間に権利の帰属について争いがあって、裁決の相手がわからない場合における裁決の方法を明確化する等、所要の改正措置を講ずることといたしております。
第六に、現行都市計画法では、都市計画事業についての収用に関しては、主務大臣の行なう裁定と収用委員会の行なう補償裁決に分かれておりますのを、すべて収用委員会が裁決を行なうものとするよう、都市計画法の一部を改正することにいたしております。
以上が、この法律案の趣旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださるようお願いいたします。(拍手)
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土地収用法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/33
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034・船田中
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。西宮弘君。
〔西宮弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/34
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035・西宮弘
○西宮弘君 ただいま趣旨説明のありました土地収用法等の一部を改正する法律案に関連いたしまして、私は、日本社会党を代表いたしまして、若干質問いたしたいと存じます。
土地収用についての問題は、言うまでもなく、公益と私益との衝突に対して、できるだけその両者の調和を円満にはかろうとする点にあるわけであります。ところが、最近、次第に公益の名のもとに私益、私権に対する圧迫が強まりつつありますことは見のがすことのできない重大問題であります。(拍手)もちろん、私権といえども、私の権利といえども、公共の目的のために収用される場合のあり得ることは、憲法第二十九条に明らかに定めるところであります。したがって、問題は、いわゆる公益の認定いかんでありますし、さらに、私権に対する損害補償の方法いかんという問題であります。つまり、天下万人が認めるような高い公共性を持つ目的のためならば、私権の収用もまたやむを得ない場合があるのでありますが、その際は十分なる手順を踏み、情理を尽くしてその補償の完ぺきを期さなければならぬことは申すまでもありません。
しかるに、昭和二十六年の土地収用法の改正以来、昭和三十六年には公共用地の取得に関する特別措置法が制定せられ、収用の手続を極度に簡素化し、それがために私権の保護を著しく軽んずる結果と相なったのであります。当時わが党は、この特例法の制定に対して強く反省を求めたのでありますが、今回は、さらに大きくこれを上回って私権に対する圧迫を強めようとしておるのであります。このことは、われわれがとうてい納得することができないところでありますが、一体、何がゆえにかくのごとき強行手段に訴えざるを得なくなったのか、その原因なり背景なりを取り上げて、まず、その点に関して総理の御答弁をいただきたいと思います。
すなわち、今日かくのごとく土地の取得を困難ならしめ、常軌を逸した天井知らずの地価の高騰を招いて、それがために工業生産品のみならず、農産物などまでの値上がりの原因となって、国際競争力を弱め、あるいは地価の値上がりのために担保力がひとりでに上昇し、それに基づいて信用力の過度の膨張をもたらすなど、各種の社会悪を生んでおるのでありますが、その原因は、言うまでもなく、強引な経済高度成長政策の強行にあるのであります。たとえば、昨年度の政府の経済白書に示された土地取得状況によりますと、昭和三十年には、工業用地は三百万坪で、用地取得総体の中で最下位の比率を占めておったのであります。ところが、六年たった後の昭和三十六年には、工場用地は一躍三千万坪と、まさに十倍にはね上がって、その比率も最高になったのであります。このような工業用地の大拡張は、他の公共施設あるいは国民生活に強い圧迫を加えずにはおかないのでありまして、その点に関しては、建設省が発行いたしました昨年の建設白書が正直にその事実を告白いたしております。すなわち、「民間設備投資の行き過ぎた強成長は、公共施設の整備の立遅れの回復をさらに困難にしたにとどまらず、最近においては、住宅や街路、公園、下水道、公害防止施設等の生活諸環境の整備の立遅れをも急速に社会的関心事とするに至った。」このように述べて、設備投資の行き過ぎが社会問題の根源であることを明白に指摘いたしておるのであります。
このように、大資本、大企業の生産拡大のために強引に推し進められてまいりました経済成長政策は、あまりにも多くのゆがみやひずみを国民生活にもたらしたのでありますが、総理はこれをいかに反省し、また、その是正のためにいかなる対策を用意しておられるか、まず伺いたいのであります。(拍手)
この高度経済成長政策、いわゆる国民所得倍増計画によりますと、今後公共投資の大部分は、既成の工業地帯並びにそれに関連する地帯に投ぜられることになり、その反面、たとえば北海道、東北、中部裏日本は、合わせてわずかに一〇・三%、一割程度を投ずるとこういうことに決定されておるのでありますが、これでは、今日身動きもとれないほどに押し詰められております過大都市、過密都市は、一そうその混乱を激しくするばかりだと考えます。だから、そのような不合理は即刻改めて、従来後進地域と称された地帯に思い切って先行投資を行ない、工場その他の分散を可能ならしめることこそ目下最大の緊要事だと考えます。
今日、開放経済に立ち向かい、国際競争力を強化しなければならない企業にとりまして、豊富な労働力と水の確保と、さらに値段の安い土地に工場立地をはかりますることはきわめて大事でありますが、それがためにも、いわゆる後進地域の開発は焦眉の急務といわなければなりません。これについての首相の見解はいかがですか、承ります。
しかも、公共投資の効率について見れば、東京都区においては、建設費総額のうち、土地代が優に七割を占めると経済白書は嘆いているのであります。政府のせっかくの公共投資も、過大都市、過密都市においては、その大部分が土地買収費に費やされてしまうとあっては、まことにもったいない限りであります。根本的な対策として、国土全体をあくまでも合理的、効率的に活用いたしますために、いわば土地基本法、国土基本法のごときものを制定いたしまして、国土全体の利用区分、利用計画を樹立すべきだと考えますが、政府にはその用意はないのかどうか、お伺いいたします。
このような根本的な対策を怠って、ただ単に権力にものをいわせて他人の土地を強引に取り上げてしまおうとする今回の法改正のごときは、まさに本末転倒だといわなければなりません。
今回の改正において、土地収用が大いに強化されました点、数点をあげますと、まず、海底、海面をも収用の対象としておりますが、事業認定のいかんによりましては、沿岸漁業を不当に圧迫するおそれが多いのであります。また、事業施行中に必要を生ずれば他の事業まであわせて収用し得ることとしたり、さらにはなはだしきに至っては、特別措置法においては、特定公共事業なるものを政令によって決定することができることに相なっておるのでありますが、これでは不当な権限の拡大が当然に予想され、せっかく法によって限定列挙されておりました従来の意味は完全に失われてしまうのであります。さらに、その手続等は極端に簡易化され、関係当事者の意思を無視して行なわれ得るのであります。従来、特例法において、全く例外として、特殊の場合においてのみ許されておった強硬手段が、今回は全面的に一般法の中に取り入れられ、これを大原則として確立してしまったのであります。従来の収用法の適用の場合でさえも、収用法にかけるぞとおどかしただけで、純朴な農民などは直ちに縮み上がってしまったのでありますが、今回の改正は、さらにこれに輪をかけて、あまりにも官憲の権力拡大だと断ぜざるを得ません。これに対する首相並びに所管大臣の御所見はいかがですか、お伺いいたします。
あるいは建設大臣が事業の施行主体である場合もあり、また事業認定の機関となる場合もありますが、その建設大臣が、同時に土地所有者との紛争の裁決に当たるべき収用委員会の権限を行使し得る場合があることを定めているのでありまして、これでは、いわば一人の人格が訴訟人と裁判官を兼ねたと同じ結果となり、収用委員会の独立性を全く侵す結果となるのでありまして、あまりにも矛盾、不合理といわなければなりません。(拍手)建設大臣はどのように考えておられますか。
私は、このように権力をかさに着て土地を巻き上げようとするこのような法律をつくるよりも、その前にやらなければならぬ仕事がたくさんあると思うのであります。試みに、昭和三十五年に内閣審議室が行ないました調査によりますと、その年度内の土地取得者の中で、三〇%は思惑による土地の購入だと示されておるのであります。前にも述べたように、工場用地の大量の需要に伴って土地ブローカーが暗躍し、土地の買い占めが行なわれていることはまことに憂慮にたえないところであります。このように、不労所得によるぼろもうけは、一般人の勤労意欲を低下させるなど、放置し得ない重大問題であります。
われわれ社会党は、このような不健全な土地の売買を押えるために、次の施策を講ずべきことをかねがね提唱してまいったのでありますが、この際、あらためて具体的に提案したいと思います。これを個条書きに読み上げますが、これらはいずれもやる気があれば直ちにやれる実際的な案だけであります。ことに与党内随一の権力者、実力者といわれる河野さんがこれを担当しておられるのでありますから、私は、ぜひとも具体的なお答えをいただきたいと思います。
一、国有地、公有地の大幅な開放、二、国あるいは地方自治体による工業用地、宅地、とりわけ、宅地の大規模の造成、三、土地、特に宅地については、国あるいは地方団体が開発区域を指定し、その指定した地域の中には、各種の公共施設などを設置するとともに、住宅建築についての便宜をはかること、四、審議機関を設けて、政府あるいは知事、市町村長は、土地の評準価格を定めて、これを公表すること、五、政府は、不断に土地の利用状況、取引価格等を調査し、長期の土地供給計画を立てて国会の承認を求めること六、土地公営あっせん機関の設置、七、投機的売買を抑制するため、一定規模以上の大土地取得を規制する方法を講じ、また、これに対しては税を加重すること、次に、税制としては、一定規模以下の小面積の取得者には税を軽減すること、前述の標準価格を超過して売却した者に対しては、その超過部分に対して特に税を課すること、さらに、いたずらに土地を遊ばせておくものに対しては、空閑地税を課すること。
右のごときはそれぞれいろいろな問題はございましょうけれども、地価抑制のための有効手段として、したがって必要な公共用地取得を容易ならしむるために、だれが考えてもきわめて当然な常識的な対策だと考えまして、われわれはかねてからこれを提唱してまいったのでありますが、政府はこのような根本的対策に手をつける意思はないのかどうか、お尋ねいたします。
以上、要するに、いたずらに権力にものをいわせて伝家の宝刀を振り回すようなことは、民主主義のいまの世の中では最もはやらないやり方であります。しかるに、遺憾ながら、今回の法律案はそれらの点を最も露骨に、最もむき出しにした法案でありますがゆえに、私どもはその審議に先立って、あえて重要な点、数点をあげてお尋ねいたした次第であります。
質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/35
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036・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 経済の発展に伴いまして、最近、土地価格の問題が重要な課題となってまいりました。この土地価格の上昇の原因は、おおむね、宅地の需要に対しまする供給の不足でございます。したがいまして、われわれといたしましては、この情勢にかんがみまして、宅地の急速な造成あるいは合理的な利用と同時に、産業あるいは人口の地方分散を考えていかなければならぬと思っております。
また、国土の全体的な合理的あるいは効率的利用につきましては、国土総合開発法によりまして、あるいは首都圏整備、あるいは近畿圏整備、新産業都市、また工業整備特別地域等によりまして分散をはかり、国土の合理的、効率的な利用を計画いたしておるのであれます。
なお、土地収用法につきまして、公共の利益と私有財産の保護、これを調整するための土地収用法でございます。最近の状況から見まして、私は、公共事業が非常に多重化し、また迅速の必要性があります関係上、今回の改正は、土地の値上がりを防止する意味からも必要な措置と考えておるのでございます。あくまで私権の侵害の防止につとめることは当然のことでございます。(拍手)
〔国務大臣河野一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/36
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037・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) お答えをいたします。
お話のように、土地の取得が非常に困難であることは事実でございますが、私といたしましは、ゆっくり時日をかけてお話し合いの上で取得することは、今日のようにやっておるのでございます。しかし、こういうふうにしておりましては、全体の国民諸君が強く要望せられておりますように、早く道路を何とかしないか、早く公共事業を何とかしないかという御期待にこたえることが困難であるという意味合いから、従来とかく収用の手続その他について遺憾の点がありました点を直すのが今回の改正の趣旨でございまして、土地の取得が困難だからこれで強引にやるのだということではございません。もちろん、従来のとおりに、収用委員会もしくは話し合い等は十分いたしました上でやることでございますから、その点は、土地収用法が現に認められておりまして、そうしてこれによって円滑にものが進んでおるのでございますから、それを手続その他について直すのが今回の改正でございますから、御了解を得たいと思うのでございます。
第二に、国土の計画を立ててもう少し合理的に土地の利用をすべきじゃないかというお話でございます。ごもっともな御意見でございまして、われわれといたしましても、長期にわたってわが国土がどうあるべきかということについての意見は、民間各方面の達識の士の意見を十分伺いまして、せっかく成案につとめておるのでございます。もちろん、一部素案は用意いたしまして、これに基づきまして道路計画、港湾その他の計画を進めておりますことは、申すまでもないのでございます。
次にこれをむやみに適用していくつもりじゃないかということでございましたが、そういうことは毛頭考えておりません。もちろん、特例法の範囲内においてやるつもりでございまして、ただこれをむやみに広げてやるというようなことはいたしませんし、委員会の審議の過程におきまして十分趣旨を御説明申し上げて御了解を得たいと思っておるのでございます。
最後に、いろいろ例をあげて御教示を賜わりましたが、私といたしましてもこれらにつきましては全く同様に考えまして、これらの点を十分検討して実現に努力をいたしておることでございます。もちろん、その中には、たとえば空地に対する税金をかけるというようなことについても、各方面にいろいろ意見が分かれておりまして、実現することの困難なものもありますけれども、大体においては私もこれらの点を実現することに努力いたすつもりでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/37
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038・船田中
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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039・船田中
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時六分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 池田 勇人君
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
厚 生 大 臣 小林 武治君
通商産業大臣 福田 一君
建 設 大 臣 河野 一郎君
出席政府委員
内閣法制局長官 林 修三君
内閣法制次長 高辻 正巳君
厚生省公衆衛生
局 若松 栄一君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605254X02119640403/39
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