1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月十一日(火曜日)
午前十時二十分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 米田 正文君
理事
金丸 冨夫君
谷口 慶吉君
天坊 裕彦君
吉田忠三郎君
委員
江藤 智君
木暮武太夫君
河野 謙三君
野上 進君
平島 敏夫君
相澤 重明君
小酒井義男君
加賀山之雄君
中村 正雄君
衆議院議員
発 議 者 久保 三郎君
国務大臣
運 輸 大 臣 綾部健太郎君
政府委員
運輸政務次官 田邉 國男君
運輸大臣官房長 佐藤 光夫君
運輸省鉄道監督
局長 木村 睦男君
海上保安庁長官 今井 栄文君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
大蔵省銀行局保
険第二課長 安川 七郎君
日本国有鉄道総
裁 石田 礼助君
日本国有鉄道常
務理事 川上 寿一君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○日本鉄道建設公団法案(内閣送付、
予備審査)
○道路運送車両法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○鉄道新線建設緊急措置法案(衆議院
送付、予備審査)
○運輸事情等に関する調査
(日本国有鉄道の運営に関する件)
(自動車行政に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/0
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001・米田正文
○委員長(米田正文君) ただいまより委員会を開会いたします。
岡君より、都合により理事を辞任いたしたい旨の届け出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/1
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002・米田正文
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
つきましては、直ちにその補欠を互選いたしたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/2
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003・米田正文
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に吉田忠三郎君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/3
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004・米田正文
○委員長(米田正文君) 日本鉄道建設公団法案及び道路運送車両法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。綾部運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/4
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005・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま議題となりました日本鉄道建設公団法案の提案理由について御説明申し上げます。
わが国の産業経済は最近めざましい発展ぶりを示し、国民生活も著しく向上してまいったのでありますが、さらに経済の均衡ある発展をはかりますためには、地方経済圏の整備、低開発地域の開発、臨海工業地帯の整備、新産業都市の建設等が必要であり、そのための基盤として鉄道新線の建設が強く要望されていることは、御承知のとおりであります。
従来鉄道の建設は日本国有鉄道が行なってまいりましたが、日本国有鉄道といたしましては、独立採算制のたてまえと既設線の大幅な整備増強計画に力を注いでいる関係上、鉄道新線の建設についてはこれを積極的に推進し得ない状況にあるのであります。
ここにおいて、一昨年五月鉄道建設審議会は、今後の新線建設については、日本国有鉄道と別個の組織を設け、政府、日本国有鉄道等がその財源を負担して、強力にこれを推進すべきであるという建議をいたしました。
政府といたしましては、この建議の意を体し、具体策について検討いたしました結果、今後の新線建設を積極的に推進するため、この新線建設事業を日本国有鉄道から切り離し、独立の機関を設けて専心この事業に当たらせるべきだとの結論に達したのであります。
この法案の内容は、政府及び日本国有鉄道の出資により、新たに日通鉄道建設公団を設立し、鉄道新線の建設に当たらせ、もって鉄道交通網の整備をはかり、経済基盤の強化と地域格差の是正に寄与させようとするものであります。
次に、日本鉄道建設公団法案の要点について御説明申し上げます。
第一に、日本鉄道建設公団法案の要点について御説明申し上げます。
第一に、この公団の資本金は、政府出資五億円と日本国有鉄道からの出資金及び現物出資の額の合計額としております。役員としては、総裁一人、副総裁一人、理事六人以内、監事二人以内を置くことにしております。
次に、公団の業務でありますが、公団は鉄道新線にかかる鉄道施設を建設し、その施設を日本国有鉄道に貸し付けまたは譲渡することを主たる業務としております。この場合、後進地域その他特定の地域の開発等のため無償とする特別の必要がある場合は、無償で貸し付けることができることといたしております。なお、公団は設立にあたって、現在日本国有鉄道が行っている新線建設事業を承継して、事業を行なうことになっております。
その他、公団の財務及び会計に関する事項、監督に関する事項、罰則、公団の設立手続、諸税の減免等について規定しております。
以上がこの法律案を提出する理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
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次に、道路運送車両法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
ただいま、議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
最近における自動車数の激増とこれに伴う自動車事故の増加に対処するため、政府といたしましては、これが保安の確保につきまして種々施策を講じているところであります。
道路運送車両法につきましては、自動車の使用者に対し国が行なう定期検査、継続検査等の自動車の検査を受けることを義務づけ、常に適正な基準で車両が整備され、その安全性が確保されることをはかっております。
昭和三十八年度におきましては、自動車検査業務は、検査施設として全国に検査場六十一カ所を設け、要員七百八十七名により、予算六億五千八百三十三万七千円をもって運営いたしております。しかし、近年における自動車数の増加に対処するためには、現在の施設、要員をもってしては満足すべきものではなく、特に検査施設については、これが相当多額の経費を要するため、その新設、拡張等の整備がおくれがちの状態であります。
したがいまして、この際、自動車数の急激な伸びに対応した検査施設等の整備をはかるため、自動車検査手数料の額を改定することとし、このため、道路運送車両法に規定する手数料の限度額を改め、小型二輪自動車にあっては五十円、その他の自動車にあっては百円の引き上げを行なおうとするものであります。
この手数料の改定によりまして、昭和三十九年度においては九億六千六百六万三千円の収入をはかり、昭和三十八年度一億四千三百七十五万八千円であった施設整備費を来年度三億二千七百五十八万三千円に増額し、今後、さらに検査場の能力を拡大するとともに、遠隔地の利用者に対しては所要の地に検査場を増設する等の措置を講じ、検査機能の大幅な充実強化をはかろうとするものであります。
しかも、道路運送車両法に規定する検査及び登録の事務に関する経理を明確にするため自動車検査登録特別会計を設置しようとすることに伴い、検査手数料の収入は直接検査業務の経費に充当することができることとなりますので、本改定の効果はきわめて顕著であり、その実効が期待できるのであります。
次に、自動車検査登録特別会計の設置に関連して、検査及び登録の手数料を一般会計の収入と区分して自動車検査登録特別会計の収入とする必要があるため、従来の収入印紙にかえてこれを自動車検査登録印紙をもって納付しなければならないこととし、所要の改正を加えることといたしました。
以上がこの法律案を提案する理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/5
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006・米田正文
○委員長(米田正文君) 次に、鉄道新線建設緊急措置法案を議題といたします。
まず、提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/6
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007・久保三郎
○衆議院議員(久保三郎君) ただいま議題となりました鉄道新線建設緊急措置法案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
この法律案は、日本国有鉄道が行なう鉄道新線建設の緊急かつ計画的な実施を促進するため、鉄道新線建設十カ年計画の策定とその実施に要する国庫負担等について必要な規定を設けようとするものであります。
御承知のとおり、鉄道新線の建設は、国の産業開発、経済発展、あるいは地域格差の是正のためには大きな役割を果たすものであります。したがって、鉄道敷設法第一条別表により定められています予定鉄道線路は、総数において二百三十一線に達する多きを数えております。
ところが、そのうち、現在建設工事を進めておりますいわゆる着工線はわずかに四十三線であり、また次に着工を予定されています調査線は十八線という実情であります。しかも、これらの着工線及び調査線につきましても、現在国鉄が行なっております毎年六十億ないし八十億程度の建設資金の投資規模では、今後十年先はおろか、二十年先になっても完成を見ないのであります。今日までの建設のテンポをもって今後を予測しますならば、着工線及び調査線の合計六十一線をすべて完成させるためには四十年ないし五十年の歳月を見込まなければなりません。加えて、鉄道敷設法第一条別表の予定鉄道線路二百三十一線の全部を完成させるとすれば、これは何百年もかかり、その必要とする建設資金もこれまた天文学的数字となるのであります。
鉄道新線の建設が必要とされながら、なぜこのようにそれが進まないのか、その理由は大きくわけて次の三点にあると考えられます。
その第一は、現在の国鉄の経営方針であります。国鉄はその経営が苦しいあまり、いわゆる企業性の追及に急となり、独立採算制というたてまえからも、金のもうかる面にのみその力を注ぐといった経営の方針にならざるを得ない状態にあります。そのため、その本来の使命である公共的任務についてややともすれば欠けるうらみを持つのであります。しかも、最近における輸送の逼迫は、鉄道新線の建設よりも、現在線区の輸送力を増強し激増する輸送の要請にいかにこたえるかが重要な問題となってきております。すなわち、輸送力増強と輸送の近代化が緊急の仕事となっているのであります。これらは三十二年度から始めた国鉄第一次五カ年計画及び三十六年度からの第二次五カ年計画を通じて示された今日の国鉄の偽らざる姿であります。
このままの状態を続けておるならば、新線建設の面においてもきわめて大きな問題が横たわっていると考えるのであります。現在建設が進められている着工線と近く着工する予定の調査線の全部について建設を完了するまでに必要とされている総工費は、合計して五千億円といわれております。これらの資金についてどのように確保するかが大きな問題であります。すでに国鉄は、第一次及び第二次五カ年計画を通じ、今日までの長期負債の総額は六千億円に達しています。先日発表されました国鉄諮問委員会の答申によりますと、今後とも現在の投資規模を維持して国鉄が輸送力の強化、輸送の近代化を進めますならば、昭和四十五年には負債の総額は二兆四千億円をこえ、支払い利子のみでも年間約千六百億円、つまり予定される収入の二割が利子の支払いに充てられるという国鉄経営の破局を予測しているのであります。さらに、この推計には鉄道新線の建設を含めておりませんから、これに、今日以上に鉄道新線の建設を行なうこととし、そのための借入金を増加することとすれば、破局が一そう早く訪れるであろうことは論を待ちません。
鉄道新線の建設のために巨額の資金を必要とし、その資金措置の困難さが鉄道新線の建設が進まない第二の大きな理由なのであります。
加えて、鉄道新線の建設は、その資金が巨額であるのみならず、完成までの懐妊期間が長く、未稼動資産となって、経営上にもまた多くの圧迫を加えるのであります。これらの点よりしますならば、その建設資金の手当をどうするかを考えない限り問題は解決しないのであります。
また、第三の理由として指摘しなければなりませんのは、建設された鉄道新線の経営の問題であります。戦後鉄道新線の建設が再開されましたのは、名目的にせよ日本が独立したといわれました昭和二十七年からでありますが、その後今日までに約六百億円にのぼる資金をもちまして、合計五十五線、二千百十八キロメートルの新線を建設しているのでありますが、そのうち開業いたしております線区は、全線二十五、部分九の三十四線、七百八十五キロメートルにすぎません。しかも、これらの新線は今日に至るもすべて赤字経営であります。今後建設されるであろうところの新線につきましても、資料によりますと、海峡連絡鉄道を除きまして、そのいずれもがすべて赤字経営が予想されておるのであります。かりに、先ほど申し上げました現在の着工線及び調査線につきまして、すべて完成したときの経営について予測してみますと、営業上生ずる赤字は利子負担を含めまして何と年間六十四億円をこえると予想されるのであります。このようなことでありましては、新線の建設が進めば進むほど国鉄の経営はますます苦しくなり、ごく最近の機会に決定的な破局を迎えるであろうことを予想しないわけにはまいりません。
また、一般に、鉄道経営は巨大な固定資本を必要とするにもかかわらず、一方では安い運賃で大量輸送を行なうという公共的使命を持つものでありまして、投下資本に対して利潤の少ないのが特徴とされておる事業であります。したがいまして、従来から営業しております線区と、新しく建設された線区では、その減価償却費に大きな違いが生ずるのでありますが、それを理由として、線区ごとに違う賃率を適用し、事実上鉄道新線のみ高い運賃とするようなことは、許さるべきではないと考えます。したがいまして、今日のままの状態で鉄道新線の建設を促進いたしますならば、結果において全体の運賃値上げを早い機会に導き出すこととなり、これまた私どもとして容認すべからざることとなるのであります。
鉄道新線の建設について考えます場合には、以上のような現実に立って、これを一つ一つ解明し、その回答を与えてやる立場に立たねばならないのであります。
そこで、政府提案の鉄道建設公団法案は、卒直に申し上げて、これらの根本的な問題には何等の解決が与えられておらないように考えるのであります。公団をつくれば新線の建設が促進されるというがごとき、ごく単純な理解しかなされていないのではないかといわざるを得ません。同法案によれば、本年度の政府出資はわずかに五億であります。他は国鉄出資七十五億を予定しているのでありまして、この限りにおいては何ら従来の建設規模と変わりがありません。このようなものであるなら、別に公団を設ける意義がないと思うのでありまして、どうも納得ができない点が多いのであります。その上、公団でつくりました新線は原則として有償で国鉄に貸すか譲渡するというのであります。自分で金を出してつくったものにさらに金を出して借りるといった不合理な規定が書いてあるのであります。しかもそれは、前にも申しましたように、すべて赤字が予想される線区でありますから、かりに無料で借りたといたしましても、赤字の重圧に悩まされるのは当然のことであります。しかも、同法案は、赤字経営によって生ずる国鉄の負担について何らの規定もいたしておりません。それはつまり、赤字は国鉄で始末せよとのことでありましょうが、これはたいへん不合理な話であります。その上、公団ができますと、せっかく長い間の経験を持つ国鉄工事要員を二分することとなり、第二次、第三次という五カ年計画の過程ですでに不足が伝えられています工事要員をさらに縮小し、その弾力的運用を失わしめるといった損失、あるいは公団役職員、特に管理者のポストのみが増加する結果になるといった大きなむださえ生むのであります。
要するに、公団の設置は百害あって一利なしという結果になるのであります。
もちろん、政府提案の鉄道建設公団法案が出されるに至った経過は、簡単なものではございません。その基本は、鉄道建設審議会の一昨年五月に出されました建議に基づくものであることは、十分承知をいたしております。ところが、この建議の根幹をなすものは実は建設資金の確保に関するものであって、すなわち、鉄道新線の建設は一般国民に与える有形無形の便益の増大と国家経済に与える効果の多大なることにかんがみ、国家的な政策上の見地から論ずべきであり、日本国有鉄道の企業的立場からのみこれを論ずべきではないことは明らかである。したがって、この矛盾解決の方法としては、鉄道新線の建設を道路、港湾整備等と同様に政府の公共投資とする以外にないものと思量せられる。よって、今後の新線建設については、政府が公共事業としてその主たる財源を負担することが適当であると述べており、この前提に立ってのみ国鉄と別個の組織を必要とする旨示唆したものにすぎないのでであります。ところが、いつの間にかこの本末を転倒し、枝葉の部分のみが持ち出され、幹の部分は置き忘れられている感が強いのであります。
このような政府案の基本的欠陥を正し、今日の国鉄の実情及び新線建設のあり方などの諸点を正しく理解する中から、ここに鉄道新線建設緊急措置法案を提案する次第であります。
申し上げるまでもなく、この法案は、鉄道新線の建設は、従来どおり日本国有鉄道をして行わしめることを前提とし、建設公団といったような別な組織によることを考えておりません。それは、すでに申しましたところで明らかなように、国鉄か公団かが現在新線建設の問題点ではないからであります。国鉄の技術陣をもってすれば、今日予定されております鉄道新線の建設は決して不可能ではございません。
いな、むしろ国鉄の技術陣の手にまたなければ、かえって多くの障害さえ予想されるのであります。さらにつけ加えて申し上げますならば、政府は、現在ある公団その他の政府機関につき、なるべく合理化し、その縮小をはかろうとの方針と承知しておりますときに、公団を新たにつくるというのでは、筋が通らないかと考えます。いたずらに組織をつくり、機構を複雑にするようなことは、厳に慎しむべきでありましよう。
鉄道新線の建設が遅々として進まない理由として、冒頭三つの点を指摘いたしました。この三点について、どのように解明するかによって、新線建設の正しい回答が与えられるのであります。この提案は、この三点について次のように措置することが骨子となっているのであります。
その第一は、鉄道新線の建設は、単に国鉄といった企業的な立場だけから見ることを排除し、政府において、日本国有鉄道及び鉄道建設審議会の意見を十分に聞き、高い見地、広い視野より、国の政策として、本年度以降十カ年計画を定めることとした点であります。
もちろん、この十カ年計画の策定にあたりましては、法案に規定いたしました必要な手続を経ることは当然でございますが、特に、その計画を具体的に樹立するにあたって、いやしくも世間から政治路線の指弾を受けますような、政治的圧力によってそれが左右されることのないように、厳正に取り扱われることは、絶対の要件であります。しかも、路線の選定にあたっては、個々の路線について、他の輸送機関、たとえばバスとかトラックとかの自動車輸送との競合がどうなるのかといった問題、あるいは鉄道新線の建設よりも道路建設のほうがより住民福祉の向上に役立つのではないかといったような問題、など総合的な立場にたった科学的な検討が加えられ、今後の経済発展、地域の開発とも関連した十分な配慮がなされなければなりません。
計画がいわゆる総花式となりますと、いたずらに予算の乱費となり、十分な経済効果を発揮しないのみか、国としても、過大投資、あるいは二重投資、三重投資の弊害となり、大きな損失を招く結果となるのでありますから、この点は、ぜひとも慎重の上にも慎重を期さなければなりません。
なお、十カ年間の新線に対する投資規模は、おおむね三千億円程度が適切妥当ではないかと考えるものであります。
第二点は、十カ年計画に基づく鉄道新線の建設に要する経費の半額を国において負担し、国鉄経営に加えられる圧迫を幾らかでも緩和するとともに、新線建設の隘路となっています建設資金の確保をはかろうとしている点であります。この点については、すでにるる申し述べたとおりでありまして、多くを申し上げる必要はございません。しかしながら、特に次のことについてのみ触れておくことが必要であろうと考えます。
それは、国の負担をなぜ半額としたかということであります。本来ならば、日本国有鉄道は全額政府出資の公共企業体でありますし、きわめて苦しい経営をいたしておるのでありますから、全額政府負担であっても当然ではないかと考えるのであります。
また、そういう意見もしばしば聞かれるのでありますが、現在におきましては、他の政府機関、あるいは他の道路、港湾といった公共事業に対します国庫の負担割合を勘案し二分の一と定めた次第でありまして、この点は十分な御議論を承わりたいと考えるところです。第三の点は、国鉄が新線を完成後、その営業にあたって生じた欠損について、国から補助を行なうことを明らかにした点であります。これは、現在予想される鉄道新線のほとんどが赤字経営であろうと推測されることにかんがみ、新線の建設によって生ずる国鉄の経営上の圧迫を幾らかでも排除し、それによって、健全な経営を維持するための措置でありまして、補助をする具体的な額は、毎年度の予算によるのでありますが、その基準となります計算の方法は運輸省令で定めることにいたしております。
以上がこの法律案の提出理由及びその要旨でありますが、何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/7
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008・米田正文
○委員長(米田正文君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
先般の東海道線における脱線事故について、国鉄当局から発言を求められておりますので、これを許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/8
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009・石田礼助
○説明員(石田礼助君) 過日脱線事故によりまして非常な多数の人に迷惑をかけ、まことに申しわけない次第でございます。この詳細につきましては、川上常務から説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/9
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010・川上寿一
○説明員(川上寿一君) 去る二月六日十二時二十二分ごろに、東海道線の熱海の付近におきまして、貨物列車が途中脱線を起こしまして、最も国鉄におきまして重要な東海道線を十数時間にわたってとめまして、旅客貨物両面にわたりまして非常な御迷惑をかけましたことを、深くおわびを申し上げます。
お手元に簡単に資料を用意してございますが、概要を申し上げますと、この列車は九州から参ります貨物列車でございまして、五十二両を引っぱりまして、熱海に現在新東海道線の工事の関係で三十五キロの徐行地帯がございますので、そこを三十五キロで通りまして、ノッチを入れてまいりまして、最初の隧道の途中でノッチ・オフをいたしまして、ちょうどこの地点を四十キロで蛇行で通るわけであります。それで、前から四十二両目——しまいから二枚目に図面がございますが、それをごらんになりながらお聞きになっていただきたいと思います。熱海を出まして、最初に逢初隧道というのがございますが、それを出まして、伊豆山のトンネルにかかるちょうど中間で脱線をしたわけでございますが、前から四十二両目の車が、逢初橋梁と右のほうに書いてバッテンがしるしてございますが、ここで脱線をいたしまして、そのまま列車が進行してまいったわけでございますが、途中で脱線がひどくなりまして、列車が分離したことによりましてうしろからブレーキがかかりましたのを機関士が察知をいたしまして、非常ブレーキをかけて、脱線地点から約一キロばかり行ったところでとまったわけでございます。状態は、脱線をいたしました、四十二と書いてございますが四十二の車両が全軸脱線で四十五度近く傾きまして、その次から二両ばかり分離し、さらに図面のようにずっと分離をいたしまして、全部が全軸脱線をしたわけでございます。
この原因につきましては、直ちに本社から先般の鶴見事故の脱線原因の調査の技術委員会の中心をなしておりました副技師長並びに研究所の研究室長が急行いたしまして、詳細に取り調べましたところ、四十二両目のトラ四万八千七百三十号の車は亜鉛の板を積んでおったわけでございますが、これは大体一個が一トン近くの梱包になっておりまして、これを貨車の両側とまん中に並べておったのでございますが、これが進行の途中に片荷になりまして、この右回りのカーブで左足を上げて脱線したと推定されたわけでございます。これは、脱線地点の東京に向かって左側のレールの上に脱線の痕跡がございますのと、それが最初のうちは薄くて、車が落ちておりますのも、レールから離れまして次の枕木に落ちております。左側の足の痕跡が薄くて右側の足の痕跡が非常に強いというようなことから、右に片荷になりまして左足を上げたというふうに推定されるわけでございます。この四十三号の列車も全く同じような積み荷をいたしておりまして、四十三号のほうが貨車の大きさが小さいので二個ばかり少なく積んでおりますが、これは床板が木でございますので、脱線はしておりますが、あまり荷くずれはしておりませんが、脱線をいたしました車は、床板が鉄板でございましたので、非常にすべりやすくなっておったかと思うわけでございます。この車は大牟田から出ております。定期的に亜鉛板を輸送しておりますが、最初にこういうことも予想されましたので、実際に積み荷をいたしまして大牟田−八幡を試運転をした結果を見まして荷姿その他を規定して、そのとおりの荷姿で輸送しておりましたものでございまして、たまたま鉄板の車が——現在そうたくさんまだございませんが、それにぶつかりましたのを、普通の木の床板と同じように考えました荷姿をしたまま出したのが原因であると存じまして、さっそくそういう点についてさらにこまかい規定をいたしますと同時に、とりあえず亜鉛板の輸送につきましては、鉄板の床板の貨車を使わないということに規定したわけでございます。
復旧は翌日の一時四十五分と四時になりまして、十数時間東海道線をとめたわけでございますが、九州行きの夜行につきましては御殿場線を通しまして、また大阪までの夜行急行は開通を待って二時間おくれずつくくらいでこの地点を通過させましたが、相当な数の列車の運休と列車の乱れを惹起をいたしまして、まことに申しわけございません。簡単でございますが、御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/10
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011・相澤重明
○相澤重明君 総裁に文句を言うわけではないけれども、こういう事故が起きて申しわけないと言ってしまえばそれまでなんだけれども、それだけでは済まされない問題ではないかと思います。この応急措置をとって復旧には全努力をしたということは報告ではわかるけれども、なぜこういう浮き上がりとかせり上がりとかいう問題が頻発をするのか、こういう点は国鉄に対する信頼性というものがますます私はなくなると思うのですよ。それで、昨年の国鉄鶴見事故のあのせり上がりの問題についても、技術陣が調査をしても結局はどうにもならないこと、だということに尽きてしまうということで、私は一体国鉄というものの信頼性というものが国民からなくなってしまうのじゃないか、そういう点について総裁はどうお考えになるのか。いま少しく、そういう事故が起きたことで、ただ相すまなかったというだけでは、話にならぬので、対策をどうするか、これを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/11
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012・石田礼助
○説明員(石田礼助君) 私がまことに相すまぬということは、これが最後じゃない、いかにして一体こういうことが起こったかということを研究することがまず第一のわれわれの要務であるということで、実は貨車の脱線ということについては、これまでもしばしば起こっておることなんです。幸か不幸か、鶴見事故以後いろいろの事故が起こり、新聞に特筆大書されるということで、最近になって貨車の脱線ということについては大きな問題になっておるんですが、要するに、いままでもしばしば起こっておる、これはどうも研究というものが徹底的に行なわれておらぬ、やってもわかっておらなかった。しかし、鶴見事故のような、最近のような過密ダイヤのもとにああいう事故が起こるということは、重大な事故の原因をなすということにかんがみまして、このたびはひとつ徹底的にこの問題をわかるまで研究をしようということで、いま、国鉄の陣営ばかりでなくて、東大あたりの専門家も依頼いたしまして、徹底的に調べておりますので、これに対して適当な解決を得たいと存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/12
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013・相澤重明
○相澤重明君 それから、先ほど常務の報告を聞いておると、積み荷の問題がやはり一つの事故の原因にもなっておる、こういう報告だと私は思う。そういう点について、いままでの指導というものを一体常務の立場ではどういうふうにやっておったか。さっきの話では、板張りであったとか、鉄板であったとかいうようなことを、そういうものが一つの原因になっておるような報告だったね。これは、貨車の連結の問題や、そういう積み荷の問題というのは、一番やかましく国鉄は年じゅう言っておることだ。それはどういうことでこういうふうな結果になったかということを考えれば、その指導という問題が、根本的な問題が誤っておったのじゃないか、徹底していなかったのじゃないか、こう思うのだが、常務はどういうふうに考えておるのか、いまの報告から見て。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/13
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014・川上寿一
○説明員(川上寿一君) 貨車の積み荷の問題につきましては、運行規則の中に、いろいろの場合を予想いたしまして、相当にこまかく規定をしております。そして今回の場合に、それが当てはまる問題といたしましては、一個の梱包が一トン以上のものにつきましては、その積み荷を監督いたします発駅の貨物掛の裁量だけではむずかしい場合がございますので、技術者であります客貨車区長の指示を受けるようになっておるのでございますが、たまたまこの荷物は一トン以下でございましたので、貨物掛の裁量にまかされておったわけでございますし、先ほど申し上げましたように、新しくこういうものを輸送いたします場合に、荷姿をきめまして試運転をやってみて、その荷くずれの状態その他を判定をいたしまして進めるわけでございますが、いまの木の床板と鉄の床板について、規定の上ではこまかくきめておりませんでしたので、貨物掛の一存でやったわけでございますが、その点はそれを指導監督いたしますわれわれのほうで万全の処置であったとは思っておりませんので、この点はまことに遺憾なことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/14
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015・相澤重明
○相澤重明君 国鉄はもう何十年もそういうことをやっておって、荷くずれがどういう場合に起きるとか、どういう濶大品は検査をしなければいけないということはきまっていることなのです。そんなことはいまごろ始まったことじゃない。そういうことのやはりふだんの体制というものが整っておらないからこういう事故が起きるので、これは明らかにただ輸送さえすればいいという考え方がそういう問題を提起していると私は思う。これはやはりそういう実際の運行に支障を来たすようなことを日ごろきちっとしておかないからこうなるのであって、やはり、いま川上理事が言うように、これは当局の責任ですよ。そういういままでの長い間の国鉄として取り扱ってきたことが実際に十分指示されていないということが、この欠陥を来たしたということになる。それはやはり、それだけ一面において国鉄輸送に期待する国民の多くの者に、かえって、輸送を急ピッチにする、急ぐという面もあるかもしれぬけれども、そういうことが私は一番根本問題ではないか。これはやはり国鉄の当局が責任をとらなければいけない。だれが責任をとるか。この事故が起きた。さっきの総裁の話で、まあ貨物列車の脱線事故だとか、そういう事故はたくさんいままでも頻発しておった——頻発しておったじゃ済まされない。今日人命の損傷がなかったからということでまあまあと胸をなでおろしているかもしれぬけれども、もしこれが人命の問題に発展したらどうなる。私は非常に大きなショックだと思うのだ。そういう点で、これはこういう営業関係を担当しておる者がそういう点に十分でなかったということは、いま理事が言っているとおりなのです。当局の最高責任者である総裁はどういうふうにこれを措置するか、総裁の意見を聞いておきたい。担当者を厳重に処罰しなければならない。これは当局首脳部だよ。一係員のことを言っているのじゃない。職務怠慢だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/15
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016・石田礼助
○説明員(石田礼助君) この問題は、私としては、実にむずかしい問題だと思います。徹底的に申し上げれば、結局私は国鉄総裁の責任である、またあるいは直接の責任者である貨物に関するほうの当局者の責任、こういうふうにも思いまするが、相澤さん御承知のとおり、一々こういうことで責任者を処罰した日には、国鉄には練達の士がなくなって、あとどうするかという問題になりますので、これはもう少し寛大な目を持って見ていただきたい。とにかく今後をひとつ気をつけるという責任感に徹せしめるということでごかんべんを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/16
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017・河野謙三
○河野謙三君 関連して。この事故は、いま御説明を聞きますと、積み荷の運送屋のハイツケと申しますか、これに多少遺憾の点があったというふうに受け取りましたが、これは大牟田の駅が発駅だといいますが、これは専用線ですか、大牟田の駅ですか。それから、運送会社はどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/17
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018・川上寿一
○説明員(川上寿一君) これは三井金属の出荷でございまして、もともとは専用線でございますが、現在は地方鉄道の認可を受けておりますが、実際には地方鉄道の取り扱いはまだやっておりません。それで、大牟田の駅と三井金属と、合同で、最初に荷姿を決めまして、それで試運転した結果、大牟田の駅で十分であると判断をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/18
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019・河野謙三
○河野謙三君 扱い運送店はどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/19
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020・川上寿一
○説明員(川上寿一君) 運送店はつまびらかにしておりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/20
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021・河野謙三
○河野謙三君 それは私はおかしいと思うのだな。いま相澤さんから、総裁の責任の問題を言われましたがね。私はもちろんそれにも責任はあると思いますけれども、直接の責任はその荷扱いをしたところの運送屋でしょう。あなた実情を御存じでしょうけれども、どこの駅に行きましても、貨物掛が、手不足と申しますか、長年の習慣といいますか、貨物掛よりも日通のほうがいばっているといいますか、荷を積んで封印するときに一々立ち会っておりませんよ。立ち会っておりません、これは。立ち会っておることが例外ですよ。したがいまして、こういう事故になりますと、運送店の責任というのは非常に重大ですよ。だから、その運送店はどこが扱ったかということを調べて、その運送店の責任というのがまず第一に重いと思いますよ。それをいまこの段階で、どこの運送店がやったかわからぬということはおかしいと思うのだな。至急調べて返事してください。
私はちょっと中座しますから、この機会に総裁にちょっと伺いますが、いまこういうふうな事故は、取り扱い運送業者の協力というものがやはりなきゃいけませんよね。鉄道がいかに規則をつくりましても、その規則を運送業者が十分に守らなきゃいけませんよ。守らせなきゃいけませんよ。その場合に、一駅一店というような、いまの日通のようなああいう制度がいいかどうかということについて、私は十分検討する余地があると思う。そこはやはり一つのサービスの問題でもありますし、一駅に二店なり、三店なり——それは私どこの小さな駅でも必ずたくさんの運送屋があるほうがいいとは思いませんけれども、ほとんど現在のように独占事業になっているような日通の形態というものは、そこに一つの競争力というものがない、サービスという精神がなくなっておる、こういう点も私は一つの原因になりゃしないかと思う。私はこの機会にすぐにお答えをいただこうとは思いませんけれども、こういうことも事故と関連がなくはございませんから、こういう運送の制度上の問題においても私は十分検討する余地があると思う。総裁は非常に率直にものを言われますがね。私は、ここで総裁が何を言ったからといって、それをあとになって速記録を調べて、あとでこう言ったじゃないかとは言いません。言いませんが、私がいま申し上げていることに対する感じだけでもいいのです。そういうものに対する、多少でも考えの余地があるとお思いになるか、ならないか、これを私は伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/21
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022・石田礼助
○説明員(石田礼助君) いまの問題は、この事故の問題をなした発送地は、私は引き込み線からきていると思う。引き込み線ということになりますと、たとえば、三井金属会社ですか、これが引き込み線における荷役を大体取り扱わせるのは、私は一社だと思う。これを二社、三社というようなことはちょっと考えられないのです。そこにまあ問題があるわけなんでありまして、もしもこれは日通がやっていれば、やはり日通の責任ということになって、かえってそこに責任の帰属が明らかになるのじゃないかということで、必ずしもこれを二つにしたからいい、三つにしたからいいという問題じゃ私はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/22
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023・河野謙三
○河野謙三君 いや、専用線である場合には、その会社の責任においておやりになる。それを複数制にすることを私は言っているわけじゃない。一般の日本全体の貨物の扱いについて、私はある場合に複数制というものをもう少し考えたらいいのじゃないか。ほとんど独占になっていますね。そこに、昔のように過当競争で弊害がありましたが、同時にいまのように、必ずしも絶対の独占じゃございませんけれども、いまのような独占のような形になりつつあることは、これにもまた過当競争とは逆に別な弊害があることを私は認めざるを得ないと思う。それもこの事故と関連して検討する余地があるのじゃないか。それから、いまの専用線であろうが何であろうが、だれかが荷を扱ったわけです。どこの会社が扱ったか——三井金属そのものが扱ったか、日通が扱ったか、それがわからなくちゃいけませんよ、それがわからなければ。それはもうその日のうちにすぐ調べなきゃいけませんよ。そこであなたのほうの責任ばかり重くなって仕方ないでしょう。そんなこと、私は、総裁よりも、総裁の下におるところの営業の人の怠慢だと思う。いまごろになってどこの会社が扱ったかわからぬ、そんなばかなことありませんよ。しかも、荷の積み方について、ハイツケか何か、どういう言葉を使ったか知りませんが、積み方について非常に遺憾な点があったと言われるのだから、そういう積み方をする運送屋がどこだか調べなきゃいけませんじゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/23
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024・石田礼助
○説明員(石田礼助君) いまの三井金属の問題については、さっそくこれはひとつ調べさせます。いままで調べなかったというのは、はなはだ怠慢の至りだと思います。これは陳謝いたします。それから、国鉄の荷物の取扱いというものを現在決して一社に独占さしているわけじゃない。大部分は日通がやっていますけれども、これは勢いのおもむくところそういうことになったと思いますが、そのほかに競争者というものはちゃんとありまして、決して独占しているわけじゃない。したがって、独占の弊害がそこに起こっているわけじゃない、こういうことだけはひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/24
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025・河野謙三
○河野謙三君 関連ですから、あまり長く申し上げちゃいけませんけれども、私はいわゆる石田さんいつの間にか役人になってしまった。独占じゃありませんというのは、役人的の答弁です。実態をごらんなさい、実態を。ほとんど独占じゃありませんか。独占にはしておりませんよ、制度上は。それは役人としての答弁ならそれでいい。しかし、石田総裁の答弁じゃございませんよ。だから、私はこれを複数制にしろという結論を出すのじゃないのですよ。こういう事故に関連して、特に今度の事故というものは運送店というものが責任の一半を持っていると思う。むしろ全部運送店の責任かもしれませんけれども、そういう場合に、いまの運送のあり方について、特に荷扱いをいまのように日通がほとんど独占の形でいいかどうかということは、少し検討するというくらいのことをお考えにならなきゃいかぬと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/25
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026・石田礼助
○説明員(石田礼助君) お答えいたしますが、御承知のとおり、これは河野さんもよく御承知だと思いますが、国鉄の荷物の取り扱いというものは大きな部分を日通がやっている。日通がやっているが、これは私は四〇%くらいだと思う——四割。あと六割は日通以外のものがやっていると思います。これは絶対日通に独占させるということじゃなくて、勢いのおもむくところ自然にこういうことになってきた。これをどうもこれはお前の取り分が多いから少し少なくしろということは、これはちょっと御無理の御要求じゃないかと思うのです。相当にこれは競争的にやっていますので、独占の弊というものはないというふうに考えておりまするが、国鉄としましても、今後とも、特に日通だけに特権を与えて、ほかの運送業者を排斥するというようなことは、絶対にせぬ。どこまでも自由競争にして、その特色を発揮させるということにいたしたいと思いますから、どうぞ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/26
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027・河野謙三
○河野謙三君 相澤さんにまことに相すみませんが、いまの日通が扱っておるのは四〇%というのは何を指して言っておられるのか。私のいま問題にしておるのは、大運送の貨車の積み込み、積みおろし、この扱いを中心にして言っておる。全体の貨物の四〇%と言われるのは、どこを指して言っておるか知らぬけれども、これは時間がかかりますから、この次にデータを求めます。私は四〇%で納得しない。日通が全体の荷物の四〇%しか扱っていないということは、私だけではない、日本中だれも納得しませんよ。別の機会に検討しますが、いずれにしても私は決して押しつけているのではないのだから。今度の事故は発駅の積み荷の問題から起こっている、こういうのだから、それならば運送店の責任であるから、運送のあり方について制度上も検討の余地があるのじゃないか、こういうことを申し上げているのです。たいへん関連質問が長くなりましたが、あとはいずれ別の機会に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/27
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028・石田礼助
○説明員(石田礼助君) 訂正いたしますが、いまの場合は三井金属が直接やっておるのです。決して運送屋の手を経てやっておるのではない。これはひとつ三井金属に厳談をするつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/28
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029・河野謙三
○河野謙三君 三井金属が直接やっているという、それは二つありますよ。三井金属の名において、三井金属が何々運送店にやらしている場合、そこらのところはこの次でけっこうです、もう少し、直接事故の責任の一番の出発点ですから、詳細に調べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/29
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030・川上寿一
○説明員(川上寿一君) 大体のお話はいまのとおりでございますが、今回の場合は、三井金属が下請に出したかどうかということを調査しておりませんのは、まことに不手ぎわでございますが、積み付けにつきましては、大牟田駅と三井金属が積み付け方法を協議いたしまして、十六トン車積みのもの、十五トン積みのもの、それぞれ、どういうふうに並べて、どういう配置をするかということをきめまして、そのとおり積ましておりまして、今回の荷だけではなく、ずっと出しておりますので、それも着地で検査をしておりました結果としては、大体協議のとおり積んでおったと認められるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/30
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031・河野謙三
○河野謙三君 まあいいでしょう、この次に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/31
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032・相澤重明
○相澤重明君 総裁はとにかく去年なったばかりだから、いろいろの点について苦労も多いと思う。多いと思うけれども、総裁という立場に立てば、やはり事故をなくすことに努力をしてもらわなければならないわけだ。したがって、常勤体制に、先ほど私は注文をつけたのだけれども、やっぱり常勤はみんな、これは学校を出てからいわゆる鉄道に奉職しているわけだから、そのことは一番よく知っているわけだ。そういう知っている者がそそうを起こさせる原因をつくってはいけない、こう言っているわけだ。総裁、副総裁は、そういう点をよく常勤体制に、私はこれはやはり最高の責任者はそういうところをきちっとしないと、事故が起きてからこれはどう考えてもしようがないというようなことでは、どうもどうにもならぬと思うのだな。やはりそういう点をきちっと、悪いところは悪い、いいところはいいと言って、ほめるところはほめてやる。悪いところは怒っていいのだよ。そうしなかったならば、それは直りはしないよ。だから、私は、常勤体制がそういうことを真剣に考えていけば、いま河野さんのお話のように、こういう事故報告のときにも、説明がきちっとつくようにして、国会に事故経過を報告をするのに、そういうことが答弁ができないような常勤体制ではいけない、そういうことを言っておるのだ。総裁に何もやめろと言っておるのではないのだ。総裁はそういう点を掌握して、常勤体制にきちっとそれをさせるようにしてくれ。それから、事故が起きたことを考えていけば、やはり私は、いろいろの点から言って、定員の問題だとか、そういう監督の問題だとかというものが出てくると思うのだよ。だから、きょうは私は、事故報告について内容を聞いておっただけだから、いまの国鉄の定員をどうするこうするという問題については入っていきませんけれども、やはりそういう点は関連しておるのだよ。だから、そういう点をやはり常勤体制では、首脳部は十分調査をして、と同時に、この貨車の脱線がたくさん起きたら、もうマンネリズムになるようなことは絶対に許すわけにはいかない。だから、そういう点は、先ほど総裁も答弁されたように、十分研究をして、今後起きないように、私はやはり努力してもらいたい。これだけは何といっても国鉄の責任だから。そういう点を申し上げて私は質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/32
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033・石田礼助
○説明員(石田礼助君) 相澤さんの申されることは、ごもっとも千万でございます。とにかくこの問題につきましては、事みずから起こった問題でありますから、よく現地を調べまして、そこに過失がある場合には、信賞必罰の原則によりまして、これに注意するとか、あるいは罰則とかというような適当な方法を講じたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/33
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034・米田正文
○委員長(米田正文君) 次に、自動車損害賠償責任保険に関する件について調査を行ないます。
まず、提出資料について説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/34
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035・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 前回の当委員会で天坊先生から御要求のございました資料をただいまお配りしておりますが、これにつきまして御説明を申し上げます。資料が一、二、三、四とありますので、逐次御説明申し上げます。担当の大蔵省のほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/35
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036・安川七郎
○説明員(安川七郎君) 私、大蔵省の保険第二課長の安川でございます。
自動車損害賠償責任保険審議会、これは損害賠償法によりまして大蔵省の中に設置されておるものでございます。したがいまして、本日提出されました、昨年十二月十九日に自動車損害賠償責任保険審議会から大蔵大臣に提出されました答申の資料の御説明を申し上げます。これは、十二月十七日、十九日の両回にわたりまして保険審議会が今回の損害賠償責任保険料の引き上げにつきまして審議を行ないました、その結果として答申されたものでございます。
で、内容といたしましては、「別紙「自動車損害賠償責任保険制度改正案要綱」のとおり措置すること。」、なお答申にあたりまして付帯決議がついております。付帯決議は、「保険金額の引き上げに伴う旧契約の更改について、被害者保護の公平を図る見地から、制度上ならびに運営上の充分なる配慮を行なうこと。」、こういう付帯決議でございます。
それで、要綱の内容でございますが、
第一が「保険金額の引上げ」でございます。これは、自動車交通の事故による被害者の保護を保険制度の面から一そう充実するため、死亡の場合と傷害の場合の保険金額を次のように改める。第一が「死亡の場合の保険金額」。現行の保険金額五十万円を百万円に引き上げるとともに、傷害から死亡に至るまでの傷害保険金とは別ワクにすることとしております。第二、「後遺症の場合の保険金額」。現行の保険金額十万円を最高百万円に引き上げるとともに、後遺症の程度に応じ一定の障害補償保険金を定めることとする。また、この場合においても、傷害が治癒するまでの保険金とは別ワクにする。第三、「傷害の場合の保険金額」。現行の保険金額である重傷十万円、軽傷三万円を、重軽傷の区分を廃し、三十万円に引き上げることとする。第四、仮渡金の金額」。死亡の場合の現行金額十二万円を三十万円に引き上げるとともに、傷害の場合の金額もその程度に応じ引き上げることとする。
以上が保険金額の引き上げに伴う答申でございます。
第二が「保険料の改定」。上記金額の引き上げに応じ、保険料を別表のように改定する。——別表がついてございます。保険料は、上欄に契約の月数がございます。現在非常に短期の五日の契約から最長二十五カ月の契約までございます。中心はまん中にございます十二カ月契約、これが中心になっております。左側に車種の区分がございます。これが今回答申になりました新たな保険料率でございます。つまり、十二カ月の欄をごらんいただきますと、乗合自動車の場合一年の保険料は三万七百七十円——かように以下車種別に数字が記載されております。これが保険料でございます。
それから三番目は「査定面の簡素化」。保険金の支払いの公平と迅速をはかり、保険制度の健全な運営に資するため、査定面を簡素化する措置を講ずることとする。
第四が、「新制度の実施」。法令の改正、料率の認可、その他所要の準備を整えるとともに、新制への円滑な移行をはかるよう配慮するものとする。
以上が審議会から大蔵大臣にいただきました答申でございます。この答申につきましては、大蔵大臣が答申を受けますと、これを運輸大臣に御連絡するというふうに、制度的になっております。
それから第二の資料でございますが、今回の料率算出の根基でございます。第二表といたしまして、「自動車損害賠償責任保険料率算出表」というのがございまして、一番左側の欄は、先ほど出ました車種区分と同様でございまして、乗合自動車から以下車種の区分がございます。構欄が算定の根基になっておるわけでございます。
まず、一番左に契約件数(一年契約に換算)という欄がございます。この欄は一応おきまして、支払い件数というところからまいるわけでございます。
そこで、支払い件数を死亡と傷害に分けまして、乗合自動車の場合で代表的に御説明申し上げますと、死亡が四百七十五件、傷害が八千七百九十四件、計九千二百六十九件という数字が載っております、注をごらんいただきますと、注の(1)に「契約件数及び支払件数は、三十五年度契約についての数字である。」と書いてございます。この四百七十五件、八千七百九十四件、いずれも三十五年度契約についての数字でございます。それで、この数字の九千二百六十九件をとりまして、これを死亡、傷害それぞれ分けまして、三十五年度契約についての九千二百六十九件についての支払い保険金が幾らであったかという数字をとるわけでございます。それが次の欄にございます支払い保険金でございます。百万円単位で、十二億五千七百万円、これは完金な実績でございます。そういたしますと、最初の欄の契約件数がございますから、それでただいまの支払い保険金を割りますと、一契約当たりの支払い保険金二万七千二百四十四円という数字が出てまいります。この一契約当たり、すなわち一台の車と考えていただけばよろしいかと思います。この一契約当たり二万七千二百四十四円というのが、ただいまの数字から出てまいりました新しい保険料でございます。
その次の要素といたしましては、次に一契約当たり赤字補てん額というのが千六百六十一円載っております。これは、前回の当委員会で自動車局長から御説明がありましたように、現在相当の赤字が出ており、この赤字を向こう五年間に逐次ならして解消していくというための数字です。これが千六百六十一円あるわけでございます。そういたしますと、ただいまの二万七千二百四十四円、一千六百六十一円を加えまして二万八千九百五円、かような数字が出てまいります。それからさらに、代理店手数料あるいは経費を加えましたものが一番右側の三万七百七十円、かようになります。今回の料率改定におきましては、代理店手数料あるいは経費の部分は従前と据え置きでございます。その他は省略いたします。
それで注について御説明申し上げます。
つまり、この計算の根拠の基礎となっております数字は三十五年度の契約の数字でございます。現在三十九年でございますから、暦年にいたしますと約四年前の数字になるわけでございます。この三十五年度契約という数字を御説明申し上げますと、これは三十五年度に契約した契約についての数字でございます。つまり、三十五年の四月一日から三十六年の三月三十一日に契約いたしました数字でございますから、一番おそく契約した人は三十六年の三月三十一日の契約があるわけでございます。したがいまして、その契約はその後一年間有効でございますから、契約がカバーしております保険の期間を申し上げますと、三十六年の四月一日から三十七年の三月三十一日までの期間に及んでおるわけでございます。そういたしますと、実態といたしましては、この契約の実際の時間は、三十五年の四月から三十七年の三月三十一日までの時間をカバーしておるわけです。
そこで、注(2)をごらんいただきますと、保険契約と保険金の支払いとの間には時間のズレがある。三十五年度契約分について三十八年三月末ごろに支払いがおおむね完全に終了する。したがって、最新の数字といたしましては、三十五年度の数字をとらざるを得ないわけでございます。なお、三十八年三月末現在——昨年この料率を算定いたしましたのが夏から秋にかけてでございますが、その当時の一番新しい三十八年の三月末現在で考えてみますと、たとえば三十六年度契約につきましては、七割から八割までしか支払いが行なわれていない。それから三十七年度契約をとりますと、まだ五%ぐらいの件数しか支払われておらないわけでございます。したがいまして、私どもとして、かような数字は最も新しい数字をとる考え方でおりますが、かような形になりますので、三十七年度契約の五%ではとうてい料率算定には適さない。三十六年度契約をとりましても、大体七五%ぐらいのところしかないということになりますと、三十五年度契約をとるのが正確である、かような考え方で三十五年度契約を基礎にして算定いたしておるわけであります。
それから注(3)を御説明いたしますが、さようにいたしますと、三十五年度契約についての事故はいつ起こったかという問題でございますが、三十五年四月から三十七年三月までの間に発生するものであり、時期的に申しますと、三十五年から三十七年にわたる一種の事故率を反映しておる、かように考えておる次第であります。
ただいま御説明申し上げましたとおり、この数字につきましては、できるだけ確実な数字を使いまして、実績に応じて算定いたしておる。そこにやはりあまり大きなプラスあるいはマイナスが出てはならぬ、かような考え方でこの三十五年度契約をとったので、時期的には、実態としましては、三十五年から三十七年に時間的にかかっておるということを一言つけ加えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/36
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037・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) その次、あと二枚資料がございますので、御説明申し上げます。
その次が「営業保険料・現行・改訂・対比表」でございますが、ただいま安川課長から説明申し上げましたように、この資料の「改訂保険料(A)」という欄が、ただいま申し上げました料金でございます。その次の「現行保険料(B)」というのが、去る一月末まで実施してまいっておりました保険料でございます。次の「引上率」は、現行の保険料が改定の今回の保険料になるためにどのくらい上がったかという比率を示しておるわけであります。その引き上げ率を見ていただきますというと、引き上げ率が車の種類によりましてはなはだしく違っております。これは、先ほど説明申し上げましたように、いままでの各車の種類別の事故の件数と、それから支払った保険金額、その間に車の種類によって開きがございまして、ある車によりましては、支払い保険金額のほうが非常に高く出ている。つまり、その種類の車が払っております保険料では、とうてい車の起こした事故に対する保険金額をカバーできなかったという実績が出てまいっておりますところは、大幅に、その実績に合うように保険料のほうを引き上げる関係上、倍率がふえております。たとえば、引き上げ率で見ていただきますように、乗り合いが三・五八倍、まん中辺の「軽」と書いてございます軽自動車でございますが、これが三・二六倍、それから緊急と書いてあります、これは地方の町村なんかの緊急消防自動車等でございますが、これが五・二四倍、こういう車は非常に事故率が高くて、支払い保険金額が保険料に対して相当たくさん払っておる、つまり赤字を出しておる、ということになり、逆に、引き上げ率で〇・何%というのが三つほどございますが、たとえばまん中辺に「農耕小型特殊」というのがございますが、これが逆に三割二分に下がっております。従来、これは保険料が現行の欄で見ていただきますように、八百九十円でございましたが、耕小型特殊の引き起こしました事故が非常に少ないために、この保険料率では非常におつりが出るということで、実績に合わせますと、現行の八百九十円を今度は二百八十円、約三分の一に保険料を減じて、それで十分カバーできるという数字でございますので、このように率が下がっております。下から四番目の霊枢自動車しかりでございます。それから下から二番目のトレーラーもしかりでございます。こういうふうにいたしまして、車の種類別に、支払います保険金額と保険料とのバランスをとりましたために、こういうふうな差ができておるわけでございます。
それからその次の資料でございますが、「自動車数及び死傷者数の推移」、これは御参考に三十年以降、車の種類別に、車両数と、それから事故による死傷者の数、これも実績と指数を参考に示したわけでございます。
概括的に申し上げます、車両数のふえ方はいずれも毎年ふえてまいっておりますが、死傷者の数の対前年のふえ方というものは、昭和三十四年まである程度同じようなテンポでえてまいっておりまして、三十五年の指数が三十四年に比べましてやや飛躍的に高くなっております。これは、警察の事故統計のとり方が三十五年から若干変わりましたので、その点も影響して指数が変わっておりますが、三十五年を今度は中心にして、六年、七年を見ていただきますというと、多少ずつ、やはり死傷者の数は対前年でふえておりますが、たとえばトラックで申しますというと、三十七年は、三十五年六年に比べ少し減っております。横ばいより多少下向きと申しましょうか、そういう傾向のところもございます。それから特殊車両欄を見ていただきましても、三十七年度は六年度より減っておるというふうな傾向を示しております。三十五年を中心にいたしまして、事故はやや横ばいの傾向にあるのじゃないかというふうにも——絶対数件はふえておりますが、大体率としては横ばいの傾向じゃないかということが言えるわけです。ただいま安川課長から説明申し上げました件数等につきましても、この状況も一応勘案いたしまして、事故件数その他の想定を出して計算をしておる、考慮いたしておるわけであります。
以上、私の説明を終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/37
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038・天坊裕彦
○天坊裕彦君 資料の御説明をいただいたのですが、私がこの前お願いしたのは、むしろ会計の決算表みたいなものを希望しておったのです。この表は、今度お出しになったのは、一つの途中の経過的に必要な数字なんでございましょうけれども、これを見ても、実はあまり専門的にでき過ぎておって、よくわからないのです。結局、赤字がどれくらいあるのだというお話から始まったのですけれども、そういう数字がどうもようわからない。ひとつこの次に、もう一ぺんあらためて出していただきたいと思います。しかもこの数字は、三十五年が基礎だというお話ですが、たとえばこの事故の表を見ましても、三十年からの経過をおとりになっておりますけれども、いかにも三倍以上になって、自動車のふえ方より事故のふえ方のほうが大きいじゃないかという数字をあらわしているようですけれども、ただいま保険の基礎が三十五年度を大体基礎にしておやりになっておるというなら、三十五年度の数字を基礎にして指数をとってみますと、変わった数字になってくる。そしてしかも車数と死傷者数と両方出ておりますけれども、車数がふえたための死傷者数と別々の指数じゃなくて、車数と死傷者数との両方の相関関係を見て指数を出すと、どうなっているか。私は、結局一車両当たりの事故件数というものは減りつつある傾向があるのじゃないかということを言っておるのです。そうすれば、ふえ方もそう大きくふやくさなくても済むのじゃないかということを言いたかったのですけれども、その関係が、これにも出ていないとは言えないのでしょうけれども、一見した感じでは、いかにもふえているのだということばかりを示唆するようなかっこうにも見えるわけです。三十五年が基礎になっているというお話ですが、三十五年度のいまの各別の数字もございますが、これは私、ほんとうに三十五年なら三十五年の決算の資料をいただいて、それで質問したいと思いますが、契約件数というようなことばかりでなくて、三十五年なら三十五年に死亡者は何人あった、それからけが人はどれだけあった、後遺症の、今度十万円から百万円までの幅をつけて大いに見ようということになった件数はどれくらいあった、件数と、それに対するそれぞれの賠償を実施した額というものを、別にそういうものを出していただきたいと思うわけですが、それは出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/38
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039・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 出ます。それから、いまの御質問の中の死傷者の数は、きょうお配りいたしました最後の資料によります合計の欄に、三十五年の死傷者が二十万九千百九十九人という実数が出ております。これが三十五年の死傷者の実数になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/39
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040・天坊裕彦
○天坊裕彦君 その点は、ですから、この次の資料をいただいてからということにして、もう一つこれを伺っておきたいのですが、この出された資料の中で、「現行・改訂・対比表」ですが、非常に保険の種類がいろいろあるわけですが、乗り合い、営業用乗用、自家用乗用、普通貨物、小型が二つあって、軽自動車、特殊車、農耕用、緊急車、そのほかずいぶんたくさんに分かれて、それぞれ別に倍率を出している。これは、正確に言えばそのとおりだと思うのですが、しかし保険の関係を言いますと、同じ自家用車の中でも、事故を起こさぬものと起こすものとある。起こさぬものも、起こした場合を考えてプールしているわけです。そのプールする一つの方針を、比較的事故が、こういう種類別に分けてみたときに、少ない部類だけで分けていかなければ、事故の多いものに巻き込まれてはかなわぬ、こういう意味でそれぞれ別個に考えているのと、一方では、同じ種類であっても、事故は非常に少なくていっているのだというところと、事故を多くやっているところとあるわけです。それをどの程度プールをさせるかという問題は、私は非常に大きな問題だと思う。現在こういうふうにお分けになったのは、自動車のかっこうが違うから分けたということだけだと思うのですが、その点で、こういうふうに分けるのが一番いいという理由が私はわからない。事故の起こった態様は、それぞれ非常に複雑なものがあると思うのです。そこで、結局地域別に、営業用乗用なんていうのはABCDというような四つに分けたプールのしかたが、事故の多い場所ではどうなんだ、事故の少ない場所ではこうなんだ、というふうにお分けになっているけれども、そのために全体としては、初めの表で、大体九千八百円見当の保険料で済むというものが、多いものでは四万円、三万何千円と、こういうふうに分けてみるとなる。そこら辺が、これは非常に事故の少ないものと多いものと一緒くたにしてプールするのはけしからぬという言い方もあるかもしれないけれども、保険の性格からいうと、ある程度プールするというのが一つのねらいだと思うのですが、その点どういうふうにお考えになっているか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/40
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041・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 保険の制度のあれから申しますと、やはりある程度相互に危険を負担するという趣旨でございますので、自動車のこういった保険を、車の種類なり車のかっこう、態様でどういうふうに分けるのが一番合理的であるかということは、なかなかむずかしい問題でございます。したがいまして、まあ今日採用しておりますこの車の種類別で一応当初からスタートしてまいっておりますが、なおこれが最高のものであって、これ以上いい考え方はないというものでは決してございませんので、これは、今後常にそういう事故の実態等から検討は続けていくつもりでございます。ただ、さしあたってこういう種類で分けておりますのは、一つは車の用途別の種類、あるいは車のかっこう、それから営業用乗用、ハイ・タクのように、まとまって一つの地域内で動くものにつきましては、大都市と中小都市、その他、というふうに、車の混雑その他から、事故率も相当変化がございますので、より精密に四つのランキングに分けて、こういうとり方をしておりますが、これは今後とも検討を続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/41
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042・天坊裕彦
○天坊裕彦君 いまのお話ですが、この表で見ましても、農耕用とか牽引車とかいうような非常に数の少ないものは、これは私は別だと思いますけれども、その他は大体似たり寄ったりのところもあるのですが、将来もっとプールの幅を広げるような点をひとつ研究願いたいと思います。
と同時に、こういうふうなかっこうになってきますと、一つの営業用の、乗り合いしろ、貨物なんかにおきまして、何百両という車を持っているところが自家保険をやりたい、自分のところの会社は比較的事故は少ないというかっこうで、自家保険をやりたいという傾向が相当起こってくると思いますが、そういう場合に、そういう自家保険は、できるだけ大きく自家保険を認めるという方向でやられるかどうか。その点をひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/42
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043・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 強制保険制度は、あくまでも事故による被害者の救済ということを主眼にしておりますので、強制制度を設けておるわけでございます。したがいまして、自家保険と申しますのは、それに対する例外でございまして、しかも、その例外を設けても被害者の救済にはこと欠かないというある程度の担保といいますか、保証がありませんと自家保険は認めないという制度でまいっておりますので、今回このように、限度額の引き上げに伴いまして料率も引き上げたわけでございますが、自家保険につきましては、やはり被害者の救済が十分されるかどうかということで、自家保険の場合には、具体的に、その希望の会社につきましては、負担力の問題、あるいはその会社が事故率がどういうふうに変わっておるかといったような点も十分検討いたし、また、支払い能力の関係から事業規模の問題もございます。そういう点につきましても、被害者の救済に、強制制度に加入しておると同等程度の救済力があるかどうかということを中心にして検討をいたしてその申請に対しては処理をする、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/43
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044・天坊裕彦
○天坊裕彦君 まあ、いまのお話はよくわかりますけれども、こういうかっこうで種類をたくさんこしらえるということは、私は、一方でまた事務費が非常に高いものになってくると思うんです。そういう点もあわして、しかしこういうふうにどうしてもこれだけの種類にたくさんに分けて考えなきゃならぬということになれば、一方では、やはり地域的に事故の少ない地域は安くやるというのと同じように、地域が広くなっても、同じ系統の会社で、事故は自分のところは少なくやっているというところは、やはり別個の自家保険というものを認めていかなきゃならぬと思います。その点はひとつ御研究願いたいと思いますが、あとはひとつ資料をお出し願って、そのときに質問したいと思います。
きょうは、これだけにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/44
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045・谷口慶吉
○谷口慶吉君 安川課長、あなたの御説明のこの資料でちょっとわからないところがありますから、あるいは聞き漏らしたかもしれませんけれども、自動車損害賠償責任保険料率算出表に、支払い保険金の合計の欄には、これは二百三十二億九千七百万円とあるんです。そうしますと、収入保険料の総額は幾らですか。三十五年度契約に伴います支払い保険金の総額は二百三十二億九千七百万円であるが、その年度内における収入保険料は幾らか。その不足分が改定料率に変わってくる分と、五十万円の支払いが百万円になる分とを合算すれば、おおむね妥当な保険料率はかくかくかようでなければならない、という数字が出れば委員会は納得すると私は思うんですよね。ところが、あなたの御説明では、それがさっぱりここへ出ていないんで、天坊委員の疑問とか、いろんな不平はそこから出ているような気がしてならないんですが、その辺どんなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/45
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046・安川七郎
○説明員(安川七郎君) ただいまの御指摘の点、たいへんごもっともだと思います。三十五年度契約について、三十八年三月三十一日現在の資料を現在手持ちしておりますので申し上げますと、元請の収入、純保険料、これは危険部分だけを私どもとっておるわけですが、三十五年度の収入の純保険料の合計額が六十三億九千九百九十二万五千円。それから支払い保険金、これが、すでに昨年の三月三十一日現在で完全に支払ってしまったものが六十五億七千一百八十八万二千円。それから未払い保険金、つまり、もう債務が確定しておりますが、まだキャッシュが出ていないと申しますものが一億八千五百四十九万七千円。その保険金のほうを合計いたしますと、六十七億五千七百三十七万九千円。それで、保険料からただいまの保険金を差し引きますと、赤字の三億五千七百四十五万四千円。かようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/46
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047・谷口慶吉
○谷口慶吉君 いまの御説明で、簡単に解釈すれば、結局収入保険料が六十三億九千九百万、支払い保険料が六十七億五千万、差額が大体三億五千万、こういうことになりますと、かりに支払い保険料を現行の二倍にした場合に、おおむね百四十億近い支払い保険料、こういうことになりますがね、台数がふえて参りますから、それはまた保険料がふえることと同じなんだから。そうした場合に、ほんとうにいま最後に出ています営業保険料、一年契約の。たとえば乗り合いで平均で三万七百七十円となっていますがね。これが妥当だという結論的なものになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/47
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048・安川七郎
○説明員(安川七郎君) ただいま三十五年度契約につきまして、三億五千七百万円の赤字が出ておりますが、料率の算出で今回の一番大きな問題は、ただいまの三十五年度のあれは、三十五年度の当時の支払い限度額と申しますか、この数字であるわけでございます。で、今回、先ほどの答申で御説明申し上げましたように、保険金の限度額を死亡の場合五十万から百万、それから後遺症の場合も同様な引き上げ率。さらに傷害保険金を十万あるいは三万から三十万に引き上げます。この率は今回の料率改定に盛り込むわけでございます。さようにいたしますと、三十五年度の従前の保険金額の限度におきましても、六十三億円の収入保険料に対しまして、三億五千七百万円の赤字が出ております。今回その赤字を修正いたしますと同時に、支払い保険金の面の引き上げ、これを料率算定に当然盛り込まなければいけないわけでございます。したがいまして、最初に御説明申し上げましたただいまの自動車損害賠償責任保険料率算出表の一契約当たり支払い保険金合計欄で八千八百五十九円、乗り合い自動車の場合で二万七千二百四十四円と申しますのは、三十五年度の支払い保険金の実績をベースにいたしまして、ただいまの保険金額の支払い面からの引き上げ率を当然加算しているわけでございます。したがいまして、三十五年度の実績の収支採算の数字では当然たいへんな赤字になるわけで、今回の料率算定において修正しているわけでございます。その点、若干私の説明が不足でございましたので、つけ加えさしていただきます。
なお、料率算出で、一契約当たり赤字補てん額が合計で二百二十六円とあります。今回の営業用保険料が九千八百二十七円。その過去の赤字はそのような限度の修正がございません。非常にわずかな額になっております。したがいまして、結果的に申しますと、過去の実績を修正いたしますと、今回の九千八百二十七円というような現行の保険料の値上げというものは、支払いの限度額五十万円の限度を百万円にいたしましたこと、あるいは傷害の十万を三十万にいたしましたこと、これがほとんど大部分の要素になっておるかような姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/48
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049・谷口慶吉
○谷口慶吉君 ますます、そういう説明を聞くと、頭が悪いからわからないんだが、一契約当たり支払い保険金で、これの合計は、あなたの御説明のとおり八千八百五十九円、これは既往の実績だと、こういうふうに——まずそれを聞きますが、そういうふうな説明です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/49
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050・安川七郎
○説明員(安川七郎君) 八千八百五十九円という数字につきましては、三十五年度の支払いの実績プラス今回の五十万円から百万円の限度の引き上げ分が入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/50
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051・谷口慶吉
○谷口慶吉君 そういうふうに説明なさらないものですらか、なかなか、われわれ数字に暗い連中にはわかりかねるんです。いまみたいに御説明になればいいんですよ。だから、さきの説明を聞きますと、たとえば乗り合いの場合の、いままでのなにはなんだけれども、結論的には、一応三万七百七十円の保険料を取らないと特別会計で埋めていかなきゃならぬ赤字が発生するのだ、こういう説明がないものだから、さっぱりわからない。天坊委員がおっしゃいましたように、この特別会計の決算はどこで御報告なりあるいは御審議になって、われわれは知る機会があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/51
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052・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 特別会計でございますので、他の特別会計と同じように国会へ提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/52
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053・谷口慶吉
○谷口慶吉君 じゃ、次の機会にその特別会計の決算書をひとつ御提示いただきたいと思います。お願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/53
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054・金丸冨夫
○金丸冨夫君 私、少し、この前に引き続き質問さしていただきます。
この答申の問題につきましては、内容は拝見したのでありまするが、かような制度に対して、たとえばワク外にするということがあることと、それから三万円・十万円——軽傷・重傷の、三万円を三十万円にするという、この三十万円というのは最高額を言うわけでしょうか、どうですか。その点と、それからワク外というのは、いままでは別ワクにはしてなかったということになるのでございましょうか、それはどう、です。まずこの点から質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/54
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055・安川七郎
○説明員(安川七郎君) 死亡の場合の別ワクにすると書いてございます。従前の制度は、死亡の場合五十万円という金額でございまして、たとえば自動車にぶつかりまして、一カ月ほど病院の治療を受けてなくなられたという方があるといたしますと、その場合でも五十万円、それから不幸にして即死された方でも五十万円というようなかっこうになりまして、その即死された方の場合と病院の治療費を払ってなくなられた方の場合に、その治療費の差が出ておりません。で、今回の改定では、死亡の場合は百万円という保険金の支払いが出ますけれども、もしぶつかってからいろいろ治療を受けてなくなられた場合に、傷害保険金は別に払おうというのがこの別ワクにするという意味でございます。その傷害保険金は、第三のほうの傷害の場合の保険金の三十万円になってまいるわけでございます。
それから第二の点でございますが、従来は、損害賠償法の政令に基づきまして、重傷の場合十万円、軽傷三万円と、これが傷害の場合の限度額になっております。で、今回はその政令を改定いたしまして、この限度額を三十万円に引き上げるわけでございます。そうすると、三十万円が限度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/55
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056・金丸冨夫
○金丸冨夫君 この内容については、そこだけ確かめておきたいんですが、それから、先ほどから天坊委員また谷口委員が質問せられましたように、結局、特別会計の分と、それから保険会社の負担の分と、あれは六割・四割ですかそういうことになっておるんですが、問題は、われわれの感じは、かような非常な事態に——公共料金をストップされるというような時期においてこれを早急に実施しなきゃならぬということについては、よほどの理由があったと思うのです。次官もおられないが、ひとつそれを後ほどはっきり聞いておきたいのですが、問題はそこに——この前もちょっとお話しされておったように、特別会計あるいはまた保険会社に対する、いわゆる欠損額が非常に多いということを言われておりますが、これはいま直ちにおわかりにならぬのですか。大体どれだけのものが特別会計で赤字で、それから保険会社に対しては、各会社別は別として、総計でどのくらい赤字になっている、であるから、こういう大改正、三倍というような古今未曽有の値上げというようなものをやらなければならぬ事態になったのだ、あるいはまた、それを足元から鳥が立つように、まだ予算案の通過もしない以前に二月一日からこれを実行しなければならぬというような強行手段を、これはまあ、妥当、不妥当は別として、そういうことをやらなければならぬよほどの私は理由があったと思うのです。それをひとつ明らかに伺いたいと思います。資料がないとわからない場合はやむを得ませんが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/56
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057・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 今回の保険料の値上げは、過去の赤字が原因で値上げをするわけではございませんことは、この前申し上げたとおりでございまして、きょうお配りいたしました自動車損害賠償責任保険料率算出表でもごらんいただきますように、先ほど谷口先生から御質問になりました、一契約当たり支払い保険金というのは、これは、今度の限度引き上げに伴いますと、一両一契約当たり保険金として二万七千二百四十四円が必要だという計算でございまして、その次の欄の一契約当たり赤字補てん額千六百六十一円というのが、赤字補てんの相当額でございます。したがいまして、二万七千二百四十四円対千六百六十一円、それが赤字の補てんの割合です。今回の値上げは、ほとんどその限度額の引き上げに伴う部分になるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/57
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058・金丸冨夫
○金丸冨夫君 しからば、いまの保険契約自体の料率をきめた、三十五年度の数字をもって新しいものをこしらえる、こういうことの——まあ、審議会の審査の内容等につきまして、私一々言うわけじゃありませんが、問題は、いわゆる納める者の身になって考えたときに、かような大幅なものを直ちに実行しなければならぬのが、ただいわゆる被害者の面のことを考えてやられるというだけであるということであれば、ちょっと納得がいかぬと思うのですがね。審議会なんかは、おそらくその被害者のグループだけの委員じゃないと思うのですよ。それが、ほんとうに国家でもって強制的にやらないならばともかく、強制的にやるというような、いわゆる強制制度であるということであるならば、よほど国家が、これを納める者にも、あるいはまたこの被害者にも、すべてのものについて、この段階においては、これが妥当であるということの認定があって、公平にやって、それが実行せられるということでなければ、政治に対する私は非常な不安があると思うのですね。一部の業者が言うように、保険会社の圧力に屈して、結局こういうものをあわてふためいて出したというようなことが言われるし、あるいはまた、これをやるとすれば、こういう大きいものをどうしてもやらなければならぬということであるならば、強制ならば、百万円なら百万円ぽっきり出したらば、あとはもう一切知らぬというふうな、ひとつ立法措置をしてもらうことはできないかというような、これに対しては、やはり納める側のほうも非常な関心を持ち、また現状においては大きい負担を感じているわけですね。どうですかね、これに対して。
もしそういうことであるならば、私、ただ何年間かやってきたものが、ここでもって、ようやくこの予算案を提出する直前において答申があったということであるならば、それをこの時期において、ほんとうにやるかやらぬかということについては、十分政府としてはお考えになっているはずなんです。にもかかわらず、これをいまのように早くやらなければならぬ理由は、ただ単に社会施設をそれだけ急がなければならぬということだけじゃないと思うのですよ。だから、私の考えが間違いであれば承りたいのですが、赤字が非常に累積している、それはかなわんということが一つか、あるいはまた、社会保障制度というものをそれほど急がなければならぬ理由がほかにもあるのか。私は、外国関係のこういう自動車保険というものが日本のこういう程度のものでないということはよく承知をいたしております。しかし、向こうは強制的なものもありましょうし、いわゆる民間保険というような制度も私はあると思う。どういう工合のパーセンテージになっているか知りませんが、そういうものがあるのですから、それを、強制制度の薄い、幅の広いものでやろうということでそもそもスタートされたこの自動車保険というものについて、もうこれを直ちにそう早く実施しなければならぬということについては少し納得がいかない。そこに、それじゃ、赤字でないならば赤字でない、被害者がこういうぐあいに多くなっているから、この損害というか、慰謝というか、そういうものをかように早急に大きくしなければならぬ理屈がどこにあるのか、立法に対する、あるいは政令改定に対する基本的な考え方をひとつ承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/58
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059・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 自動車によります事故の激増あるいは事故の質の悪化というふうな問題は、すでに数年来実情としてはっきりあらわれておりますし、それが大きな社会問題になっておりまして、しかも、その犠牲者がなかなか十分な救済を受けられない。従来のたった一つのよりどころは、この自動車の強制賠償責任保険でございますが、これでも、りっぱな大人が犠牲者になった場合でも、せいぜいいままでは五十万円しかもらえない。こういうことで一体自動車事故による被害者の救済はいいのかということは、すでに数年来いわれてきたことでございます。しかも、そのためにいろいろ悲劇も多くありますし、また、事故が起きました場合に、間に不良の示談屋というふうなものも入りまして、さらに被害者の救済を不十分にしているというふうな社会的な事実もあるわけでございます。で、われわれといたしましては、この唯一の被害者の救済のよりどころであるこういう強制保険の支払いの限度額というものが、死亡の場合五十万円というのでは、全くいまの物価とかあるいは社会の実情に合わないということで、早急に改正しなければいけないということは、すでに三、四年前からわれわれ考えておったわけでありますが、的確な資料、的確な基礎をもちましてこれを改正する必要があるわけであります。
そこで、一昨年来、この問題につきましては保険審議会にも諮問いたしまして、いろいろ資料も集め、正確な数字によってこの改正を検討してまいったわけであります。一番の問題は、限度額をそれではいまの日本の現状からいけばどのくらいに上げたらよろしかろうかということでございますが、これにつきましても、今日決定いたしております百万円では非常に安い、五百万円——外国では一千万円、六百万円というのがざらではないかというふうな意見もございました。しかし、限度額を思い切って引き上げることは、被害者の救済には非常に役に立ちますが、一方、支払い者側の立場から考えますと、そう急激に引き上げるということもできませんので、いろいろ政府部内におきましても、交通関係閣僚懇談会におきましても検討、議論をいたしまして、一昨年、まずとりあえず、第一段階としては、現在の限度額の五十万円を倍の百万円までにしたらどうかというふうな意見が出ました。そういう趣旨で保険審議会にも諮問をいたし、保険審議会もこの線で答申を出されたわけであります。それに関連いたしまして、重傷、軽傷の場合につきましても、ある程度これを上げる。さらに、今日までのこの強制保険で一番実情に合わず、また被害者に気の毒でありましたのは、あとに後遺症が残る場合に、後遺症というものについての配慮が全然できていなかった。したがいまして、今回は後遺症というものを独立に設けまして、これにも百万円という限度額の支払い制度を認めようということにしたわけであります。その間、一年有余にわたりまして、保険審議会でいろいろ検討していただきまして、昨年の暮れに答申が行なわれたわけであります。答申をいただきましたときにも、審議会の意見といたしましては、すでに一年以上も審議を重ねたということが非常に時間をかけ過ぎておるように思われる、したがって答申を出したからには、早く改正実施して社会の実情に合い、被害者の救済も一応早くはかれるように実現するようにという意見も審議会として出たわけでございます。
そういうふうな経過をたどりまして、限度額並びに引き上げの実施につきまして、二月一日から実施いたしたわけでございます。たまたま公共料金の一年間ストップという物価抑制の対策として政府の方針がきまりましたときと時期を一にいたしましたので、非常に支払い者側の立場からいいますと、気の毒なことになったわけでありますが、この保険制度の社会的意義というものから考えまして、われわれはこの実施に踏み切ったような次第でございます。
なお、保険のことでございますので、申すまでもございませんが、保険料は上がりましたけれども、その支払いました額が、全体から申しますと、起こした事故の保険金として全部が役立つということでございますので、しかもいままでも実績から申しますと、赤字になっておるということは、車の持ち主全体が払います保険料の負担以上の金が被害者に出ておるということで、結局、ただ普通の一般の料金の値上げとは保険は違うということもわれわれは考えておるわけでございます。特に、この資料で一契約当たり赤字補てん額という欄を見ますというと、マイナスになっておる数字も出ております。これらの業種につきましては、いままで払っておられた保険料の総額で、その車によって起きた事故の損害額のほうが少ないという車の種類もございまして、そういう種類につきましては、逆に赤字の補てんではなくて、いままで取り過ぎた分を差し引くというふうな形にもなっておりまして、できるだけ車の種類別に実情に合うように配慮をしておるわけでございます。
以上申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/59
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060・金丸冨夫
○金丸冨夫君 いま、基本的なものは赤字ではなくて物価が上がったからというように聞こえるんですが、物価が上がったならば、これは事業者でない人はなんですけれども、事業者のほうは、一年間ストップは別として、とにかくそういうものは考えない、それから上げるほうについては三倍の値上げだというようなこと、まあこれだけではないでしょうが、そういうぐあいに聞こえて、はなはだぐあいが悪いんですがね。ともかくも、かように大きく上がるということについては、私は結局、大体この制度自体について上げるやつはいいけれども、支払い能力という点を、社会情勢、また国のすべての企業その他を勘案して考えていくならば、私は、三倍になるというような数字は出ようはずはないと思うんです。これで、いまの物価の値上がりというなら、なおさらおかしいのであって、物価の値上がりならば、三倍ずつみんな上げてください、それならいいのだから——しかし、そうはいかぬでしょう。そこで、私は、特別会計の赤字と、それから保険各会社のこれに対する赤字の数字、それからこれを実施した場合の見込み額、それをひとつ数字で出していただきたい。これをお願いします。
それからもう一つお伺いしたいのでありまするが、この前、事業者の代表も入ってこれはきまっておるのだから、おまえたち何をぐずぐず言うかというような、どうもおことばがあったのですが、これは最も私は不審に思うわけであります。なるほど、どなたが入っておるか知りませんが、審議会のメンバーの構成をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/60
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061・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 物価が上がったから上げるというふうに響いたかもしれませんが、そういう趣旨ではございませんで、被害者の救済を十分にやらなければならないという場合に、被害者の受けます損害額というものが、現状の経済情勢あるいは社会情勢からいたしまして、現行の五十万円というのが非常に安過ぎる、これでは救済にならぬということの趣旨で申し上げたわけでございます。
それから、あの資料の点は、次回に提出いたしますが保険審議会の委員でございますが、ここにありますから、申し上げます。
まず、学識経験者といたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/61
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062・米田正文
○委員長(米田正文君) それも資料として出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/62
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063・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) それでは後ほど資料で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/63
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064・金丸冨夫
○金丸冨夫君 業者代表は何名入っておる……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/64
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065・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 学識経験者といたしましては、東京都民銀行頭取工藤昭四郎、東京大学教授今野源八郎、慶応大学教授園乾治、自動車業界代表といたしまして満尾君亮、それから酒井一三、全日本交通運輸労働組合協議会事務局長、それから保険事業代表、高木幹夫、日本損害保険協会会長、檜垣文市損害保険料率算定会理事長、あと、行政官庁の代表といたしまして、法務省民事局長、それから大蔵省銀行局長、運輸省自動車局長、警察庁交通局長、こういう構成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/65
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066・河野謙三
○河野謙三君 時間もありませんから、簡単に率直にお伺いします。
限度額が百万円になってもまだ低過ぎるという、私もそうだと思う。一方、支払う業者側から、三倍も一ぺんに上げられてはとてもたまらぬ、これも私はほんとうにそうだと思うのです。そこで、保険審議会等で、この特別会計に国が何ぶんかの補助金を出すべきかという議論はありませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/66
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067・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 審議会の審議の過程におきましては、そういうふうな議論も確かに出ておったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/67
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068・河野謙三
○河野謙三君 私は、出てしかるべきだと思いますことは、これは強制加入ですね。国家が一つの、国の大きな公共の福祉といいますか、国の利益のためにこういう制度を設けて、国のやはり一つの目的達成のために強制加入を命ずるわけですね。強制加入を命ずる以上は、考え方とすれば、それに国が何ぶんかの負担をすべきがあたりまえだと私は思うのです。保険というのは、本来任意加入というのが保険のたてまえだと思うのです。そこで、現状のように国が補助金を出さないというならば、先ほど天坊委員もおっしゃったように、ある特殊の業態のものが自家保険をやるとか、あるいはまた一定の地域の人が備荒貯蓄をやってこれにこたえるとか、そういうやはり自由意思というものを尊重しなければならぬと私は思うのですよ。しかし、政府の上において、——これは運輸省に文句を言うわけじゃない。ある機会に、私は政党としても考えなければいかぬけれども、運輸省も大蔵省も考えてもらわなければいかぬと思うことは、現状において、こういうつじつまの合わない、確かに被害者とすれば百万円では安過ぎますよ。支払う業者の側とすれば、これはたまらぬということになる。そのつじつまを合わせるためには、どうしたって、国からの、ある限度をきめて補助金を出さなければ目的が達成できないと思うのですよ。もし国が出さないというなら、任意加入にしたらいいじゃないですか。任意加入がいかぬというなら、ある一つのワクをきめて、一定の規模のものは自家保険を許します、一定の地域のものが一定の手続をとってきたものは備荒貯蓄によってこたえることを許します、——何かやらぬというと、ただ国が権力で強制加入だといっておいて、そうしてあげこぶしでこれを権力によって引っぱっていこうということは、私は無理があると思うのですがね。審議会でも国庫補助の意見が出たということですが、運輸省自体は、大蔵省は別でしょう、運輸省の意見は、私の申し上げたことについてどう思いますか。同時に、私は資料がありましたらぜひ出してもらいたいと思うのですが、こういう強制加入の制度において国が補助しているものが私は大部分だと思うのです。強制加入を一方において命じておきながら、国が全然一銭の負担もしない、こういう保険制度がほかにありますか。こういうものを、ひとつありましたら参考に資料として、私は別に委員会に出してもらいたいと思います。運輸省どうでしょう。国が補助しなければ無理だと思うのです。出すべきだと思うのです。これに対する御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/68
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069・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 政策問題として非常に大きな問題でございますので、いままでも、この保険制度につきまして、国が補助すべきかどうかということをいろいろ議論をしてまいったわけでございます。私たち、今回百万円に限度を引き上げたわけでございますが、いまの御指摘のように、確かに百万円は安過ぎると思うのでございます。思い切って相当高く限度額を引き上げるということが、ほんとうはいまの日本の経済、社会情勢に合うと、こう考えております。思い切って上げます場合には、保険料のほうもさらに上がるわけでございますので、そういうふうな政策を講ずるということになりますというと、やはり私はある程度国がこれに補助の道を開いてやらなければ均衡がとれぬじゃないかというふうな個人的な考えは持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/69
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070・河野謙三
○河野謙三君 これは、先ほど天坊さんが資料を要求されたと思いますけれども、この特別会計の事務費というものはどのくらいの額になっておるのですか。これを別の機会に伺いたいと思うがこういう制度でやりますと、事務費はどうしてもよけいかかりますよ。でありますから、その場合に、事務費があまりにかかるから、一定の規模のものが自家保険等をやりますと、相当の支払い限度額を上げましてもなおかつその保険料は少なくていく例があるのですよ、事務費の関係で。いまの、現状の特別会計における事務費というものは何%くらい占めておるか、これを私はこの次の機会に資料としてお出し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/70
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071・米田正文
○委員長(米田正文君) 木村局長、いまの資料として出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/71
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072・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 承知しまし
た。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/72
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073・相澤重明
○相澤重明君 先ほど大蔵省の説明を受けた中で、営業保険料の説明をもらったわけですが、代理店手数料というのは従前どおりという話があったね。そこで一体、保険会社はどのくらい手数料を取っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/73
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074・安川七郎
○説明員(安川七郎君) 今回の料率改定におきましては、大体の手数料は据え置きました。これは実際の価格できまっておりまして、車種別にやはりその純保険料——考え方は、全体の経費部分を算定いたしまして、そのうちの半分は純保険料に比例案分する、あとの半分は平均的に割り掛ける、さような計算でございますので、自動車の車種別にずっと違っておりますが、代表的な例を申し上げますと、乗り合い自動車の場合に、営業保険料の中に含まれております経費部分が一千二百円でございます。それから自家用乗用車が五百六十円であります。これは一台当たりでございます。それから、軽自動車が四百三十円でございます。一番少ないのが小型二輪で、三百七十五円の手数料でございます。大体、自家用乗用車、それから普通貨物が九百七十円、小型貨物が五百八十円、これがいわゆる純保険料以外の総体としての経費の金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/74
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075・相澤重明
○相澤重明君 いまのは、こういう資料を作成してこの次の機会に、その各項目に分けて、いま説明したようなことを数字を出してもらいたい、資料を提出してもらいたい。
いま話を聞くと、事務手数料というよりは、実際に会社の益金というふうに考えられるものが多いですね。非常に、これはばく大なものだと思うのですね。こういう点を考えると、これは会社がやっていなければ損だということになる。ですから、先ほど河野さんが話をされたように、自家保険なりあるいは地域的な保険団体をつくってやりたいといったら、これはやらして、もうかるならやらしたらいいじゃないですかということになっていくわけです。国家が強制保険をするのに、こんなにばく大な手数料を払うなんということは、およそないですよ、これは。だから私は、まあ先ほどから各委員から、加入者に対して少し料率の改定が高過ぎるというお話があったけれども、まあ保険金を多く出すということについては賛成なんだ、これはね。けれども、中間搾取だよ、これは。半分近く持っていかれちまうなんということになったら。実際にもっと合理的にすれば、もっとそういう死亡者なり被害者によけい出せるわけだな、これは。一面においてそういうことが指摘できると同時に、逆を言えば、下げられるということになる。一体こういう会社というものはどのくらい会社があるのですか。この間何かあいさつ状を見ると、今度は保険会社は一つになったのですか。何かそんなふうにも思えるが、とにかく国家が強制保険をかけさして、それも今度は特定の会社だけということになったら、先ほどからお話があった、これは会社のためにやったんだよというふうに言われてもしかたがない。
ですから私は、大体審議会の答申の問題にしても、交通閣僚懇談会がどういうことを言ったのか知らぬけれども、いずれにしても、単に大蔵省だけで、こういう運輸関係に関係のあるものを、ただ答申があったからといって、そのままきめるなんというのは、全くこれはもういかぬと思う。いわゆる予算審議の途中であるにもかかわらず、かってに政府が、これはもう自分だけでできるというようなことで、多くの人を、これだけの——先ほど説明をされた自動車の保有台数を見てごらんなさい。これだけ多くの人が……。今日、自動車というものはもう必要なものなんだね。その必要なものを、全く特別視して、たくさん取り上げるなんというのはもってのほかだ。貨物だって何だって、バスだって、私はこの前も申し上げたように、たとえば政令都市だって、いわゆる公営企業と言われる中でバスを経営しておったって、みんな赤字なんだ。それから、いまのこの日本の経済の趨勢からいっても、物資輸送なんということを考えてくれば、そういう面で、運賃を高くすることができないわけです。それによけいな出費をさせるということは、全く矛盾している。一貫性がないよ。そういう点からいっても、委員長ね、これはこの次に大蔵大臣を本委員会に呼んで究明しなければならぬ。なんで急いでそんなことをやるのか。それからあとは、これは先ほどから各委員も言っているように、各会社を、ひとつ、幾らあるのか知らぬし、どうなっているのかわからぬから、会社別に決算書を出してもらう。こんないま説明を受けたような、一台千二百円もいくなんというようなばかばかしい話はないよ。話にならない。だから、これじゃ運輸委員の皆さんがおこるのはあたりまえ。おこらないほうがよっぽどどうかしている。私はそう思うので、先ほど申し上げた資料を提出してもらってからゆっくりやりましょう。大蔵大臣をこの次には呼ぶことにして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/75
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076・安川七郎
○説明員(安川七郎君) 事務的な点で補足的に御説明を申し上げたいと思います。
この強制保険につきましては、法律の規定がございまして、これは六割を運輸省にございます再保険特別会計に回しまして、四割が民間の保険会社に参ることになっております。
ところで、この料率の算定につきましては、一切民間保険会社の利益は見積もってはならないということになっております、先ほど申し上げました経費の部分につきましては、これは完全な実費でございます。たとえば、人件費等につきましては、その算定根拠といたしまして、実際に要した金額を算定いたしますが、これは全部公務員ベースに引き直して、絶対にそこに利益が出ないというように算定いたしているわけでございます。
それから料率につきましては、これは自動車損害賠償保険法の二十八条の規定がございまして、大蔵大臣が料率の認可をいたしますときには、運輸大臣の同意を得ることになっております。運輸大臣の同意がなければ大蔵大臣の料率の免許処分ができない、これが法律の規定になっております。
以上ちょっとつけ加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/76
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077・加賀山之雄
○加賀山之雄君 時間もないから簡単にあれしますが、先ほどからお話が出ているように、百万円は決して高くないので、むしろこれは低過ぎると思いますけれども、それから営業しているところで急激な保険料の増加、これは容易にたえられないところだと、こう思います。そこで私は、将来はこれは保険金をもっとふやさなければならないだろうし、自動車の数はふえることだし、当然これは強制保険として政府が見なければならないと思うのです。これは河野君の御意見のとおり、私は同感なんです。
そこで、先ほど来話が出ている手数料なんかの問題を減らすくふうがないのか。これは一般の保険と違って、自動車保険というものは非常にむずかしいと思うのですけれども、やはり保険数理というものに基づいて、いま特別会計で一年一年決算をしているということだが、これはなかなかむずかしい点があると思うけれども、たとえば、ここで見て、営業用と自家用と比べてみると、自家用は自動車を長く使えるということで、二十五カ月の契約もある。営業は大体一年くらいで車がかわっているからということで、十二ヵ月あたりまでが中心になっているということで、保険料から見ると、これは自家用のほうが割り安になっている、長いから。だから、営業用というものは、車がかわっても一業者が保有するこういうトラックなり、バスなり、ハイヤー、タクシーの台数というものは、これはきまっているので、新しくなったから事故が多いというものでもない。そこで、契約の更改というようなことを一々やるから非常に手数料もれば、保険数理でもって、あるいは三年契約にする、四年契約にするというようなことができれば、これはたいへん手数料がかからないわけなんです。で、この保険数理というものをもう少し長い目で見て、営業の場合は自動車がよく取っかわるだろうと思うけれども、しかし、先ほどお話ししたように、かわっても台数は変わらないということになるので、ただ自動車がかわっただけで保険としては別にかえる必要はないということも考えられると思うのです。そういう点をひとつ……。つまり、経費を減らすほうのことを考えるべきじゃないかということが一点。
もう一つは、今度の施策に、死傷者数は、在来のものはもう成り行きというように私は考えられているように思うので、政府のほうに、運輸省に、これを減らしていくという、減らさなければならぬのだ、これは金を払えばいいというものじゃないので、死傷者というものは減らさなければいかぬ、この意欲がこの中にあらわれていない。これは非常に残念だと思うのです。これは、やはり、自動車のふえるに従って死傷者はふえていくのだというたてまえはそのまま、大体比率でふえていくという考えに立って今度のあれが考えられている。これは間違いだ。これはもう、何としても第一に減らすのが目的ですから、この意欲を加えたもので算定されなければならぬ。そうすれば、今度の審議会の出したやつは、まだ私は、減らす余地がある、こういうふうに見るわけですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/77
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078・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 第一点は、保険の契約期間の問題でございます。が、実は、昨年来、もう強制保険に入っておる車でなければ道路を走ってはいかんという前からの法律がございますが、それがなかなか完全加入ということがむずかしゅうございますので、昨年法律を改正いたしまして、御承知のように、自動車の前面に保険ステッカーというものを張りまして、保険期間を明示しております。これを車両の検査の時期に合わせまして、検査は一年ないし二年ということになっておりますので、その検査の期間と保険の期間を合わせまして保険契約を結ぶようにしたわけです。したがいまして、一年もの、二年もの、それからこの実施の経過途中におきましては、一年半なり九カ月というものも必要でございますので、いろいろ種類別はつくっておりますが、要するに、一年ものと二年ものに分けたわけであります。それまでは大体どの車も一年ということでやっておったわけであります。したがいまして、いま御指摘のように、これを三年、四年にやらしたらどうかというお話がございますが、できれば——私はできると思いますし、けっこうなことだと思いますが、保険を今度はかけるほう、つまり、車の保有者からいいますと、やはり三年、四年一括してかけますと、一時に多額の金が要りますので、かけるほうはこれをきらうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/78
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079・加賀山之雄
○加賀山之雄君 それは一年分を払うようにしたらいいでしょう、生命保険なんかと同じように、掛け金のほうは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/79
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080・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 昨年二年ものをつくりました場合にも、一応その間の、何といいますか、割り引き的な観念を入れましたが、一年の場合にはいたしておらない。多少のそこは考慮をいたしてございます。
それからもう一点、事故の増加の問題でございますが、これは御指摘のとおりでございまして、保険制度とは別に、事故防止ということは大きなわれわれの任務といたしまして、いろいろ事故防止の方策を講じているわけでございます。にもかかわらず、事故がふえてきているということはまことに遺憾でございますし、われわれもさらに一そう努力するつもりでございますが、それはそれといたしまして、この料率の算定には、やはり事故の実績というものを基礎にいたしまして数字をはじきませんと、まあ一つの保険事業としての的確な保険料なり、あるいは金額というものが出ませんので、これはそういった実績を基礎にしていたしているわけでございます。今後はさらに事故防止に努力するということには変わりはございませんが、その点、実績とわれわれの事故防止の意欲ということとは、一応まあ別だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/80
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081・米田正文
○委員長(米田正文君) 本件に対する質疑は、本日は一応この程度にいたします。
速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/81
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082・米田正文
○委員長(米田正文君) 速記を起こして。
次回の予定は十三日午前十時とし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十六分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00319640211/82
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