1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十五日(火曜日)
午前十一時十六分開会
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出席者は左のとおり
委員長 米田 正文君
理事
金丸 冨夫君
谷口 慶吉君
天坊 裕彦君
吉田忠三郎君
委員
井野 碩哉君
江藤 智君
河野 謙三君
木暮武太夫君
野上 進君
平島 敏夫君
村松 久義君
相澤 重明君
大倉 精一君
岡 三郎君
小酒井義男君
浅井 亨君
加賀山之雄君
中村 正雄君
委員以外の議員
議 員 亀田 得治君
議 員 野溝 勝君
衆議院議員
発 議 者 久保 三郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
運 輸 大 臣 綾部健太郎君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
経済企画政務次
官 倉成 正君
大蔵省主計局次
長 澄田 智君
大蔵省理財局長 吉岡 英一君
厚生政務次官 砂原 格君
運輸大臣官房長 佐藤 光夫君
運輸省鉄道監督
局長 廣瀬 眞一君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 向井 重郷君
運輸省自動車局
長 木村 睦男君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
厚生大臣官房審
議官 河角 泰助君
運輸省自動車局
業務部長 坪井 為次君
日本国有鉄道常
務理事 山田 明吉君
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本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
(自動車行政に関する件)
○日本鉄道建設公団法案(内閣提出、
衆議院送付)
○鉄道新線建設緊急措置法案(衆
議院送付、予備審査)
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001・米田正文
○委員長(米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。
まず、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
この際、野溝君及び亀田君から委員外発言を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/1
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002・米田正文
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認め、これより順次両君の発言を許します。亀田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/2
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003・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 私は、個人タクシーの問題につきまして、若干関係者にお尋ねをしたいと思います。
いろいろ問題点があるわけですが、最初に個人タクシーが実施されました以後どういう推移をたどっておるかという点をお聞きするわけですが、その中で特にいま交通上非常に重要な問題となっておるのは、事故が多いということですね。そういう点について、個人タクシーといわゆる法人タクシーとの比較というものがどういう数字になってあらわれておるか、こういう点をまず明らかにしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/3
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004・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 大体個人タクシーは、非常な好評を博しておりまして、私の知る限りは、ほとんど事故がないように心得ておりますが、そのお尋ねの点は業務部長からお答えいたさせます。自動車局長が衆議院の委員会へ行っておりますから、業務部長から御報告いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/4
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005・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 個人タクシーの推移でございますが、昭和三十四年の十二月に東京において百七十三件初めて免許いたしました。その後全国的に個人タクシーは漸次ふえてまいりまして、現在のところ、大都市について一応車両数を申し上げますと、東京におきましては、二万五千五百四十六両のうち、個人タクシーは四千十両、横浜につきましては、総車両数二千九百八十一両のうち、無人タクシーが百七十四両、名古屋につきましては総車両数が四千七百五十二両のうち三百八十一両、京都は三千三百二十三両のうち三百十五両、大阪が一万八十七両について八百三十両、神戸が三千七百七両のうち百八十二両、これらを合計しまして五万三百九十六両のうち五千八百九十二両が個人タクシーになっております。
それから、個人タクシーと法人タクシーの事故関係の件数でございますが、これは東京と大阪につきまして三十七年の調査でございますが、東京都におきましては、個人関係が車両数二千二百二十二両のうち事故件数としては百五十二件、法人関係は一万九千八十一両につきまして事故件数としては六千九百二十七件、それで事故率を割り出してみますと、個人関係で四%、法人関係で二二・七%、それから同じようなことを大阪で調べますと、個人が車両数八百三十両につきまして事故件数が二百四件、法人が九千三百四十六両に対しまして事故件数が五千四十三件、これを事故率にしてみますと、個人が四・八%、法人が二四・二%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/5
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006・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 概要はわかりましたが、このいまのお答えだけから見ましても、事故率が圧倒的に違う。東京、大阪いずれも法人タクシーの場合は個人に対して五、六倍の高い率を示しておるわけですが、しかもその内容ですね、事故の内容——おそらく同じ件数でありましても中身において非常に違うんじゃないかと思われるわけですが、たとえばいまあげられた中で死亡ですね、その事故によって死亡という結果が出ておる、そういうものについての比較がもしわかっておりましたら、明らかにしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/6
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007・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 先ほど申し上げました東京都の個人の事故件数百五十二件のうち、死者の数は一件でございます。それから法人の六千九百二十七件のうち死亡者数が五十六人、それから大阪につきましては、個人の起こした事故についての死者はございません。それから法人関係で三十九人、そういった数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/7
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008・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 東京と大阪の事故状況についてのお話があったわけですが、いまの説明は、大体において、神戸なり、横浜なり、あるいは名古屋なり、そういうところにおいても同じような傾向にあるというふうに見て差しつかえないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/8
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009・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/9
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010・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) この事故の中でも、一番私たちが人命尊重の立場から重視するのは死者ですね。死者の点についての比較ということになりますと、東京においては五十六対一、大阪においては三十九対零、こういう圧倒的なこれは開きが出ておるわけですね。で、この個人タクシーにつきましては、数年前これを許すかどうかということについて、運輸当局は必ずしもその当時積極的ではなかった。いろいろな世論の状況なり、あるいは個々の運転手の方々の痛切な要請といったようなことに押されて、最終的には個人タクシーというものに踏み切られたわけでありますが、私たちその当時そういうふうに感じ取ったわけですが、やはりこの制度を実施して非常によかったというふうに反省をされておるかどうか、これは大臣にお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/10
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011・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) お説のとおり、私もよかったと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/11
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012・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) そういたしますと、当然今後はさらにこの個人タクシーというものを育成をしていくということが政策として出てこなければならぬと思いますが、こまかい個々の点についてはさらに後ほど聞きますが、そういういままでの実績に基づいてよかったから、しかしまだ実際これは始まったばかりでありまして十分な数ではない、これも事実なんです、したがって、やはりこれはもっと育成すべきだというふうに大臣としてはお考えになっておるかどうか、重ねてお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/12
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013・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) あなたのお説と全く同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/13
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014・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 大臣の基本的な考え方が非常にはっきりしており、私ともほとんど一致したようでありますから、まあたいへん感謝しております。そこで、個人タクシーの事故率、ことに死者といったような大きな事故率というものが圧倒的に少ないというふうなことの理由は、一体これをどういうふうに理解されておるのか、こういう点をちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/14
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015・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 個人タクシーが非常に好評を博しておる——私どもの感じておる第一点は、非常に年齢が普通のタクシーの運転手に比較しまして年をとっておるということで、したがっていろいろな物事に対する判断が誤らなかったということが一つ。それから、何と申しましても、自分の車を自分で運転するのでありますからして、そこで注意力においても、やはり個人タクシーの場合のほうが注意力をよけいしておるというように感じておりまして、この個人タクシー免許の条件を非常に厳格に考えた結果がそういう結論になったと考えまして、いい運転手で心身ともにりっぱな人にはなるべくさっき申しましたように許す方針でその後ずっとやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/15
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016・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 年齢の問題なり注意力の問題等のお話があったわけですが、経済的な側面、これをどういうふうにお考えになっておるか、この点からの見方はどういうふうに考えておるか、お聞きしたいわけです。といいますのは、普通私たちいろいろな問題にぶつかった場合に感ずることは、会社タクシーの場合には、運転手が、かせがなければならぬということで、ずいぶんあせりがあるわけです。相当水揚げを無理してでもあげないと自分の生活に必要なだけのものが入ってこないという点が、非常に大きな問題のようです。個人タクシーの場合には、全部自分の収入になるわけですから、それほどその点についてのあせりがないという点ですね。だから、一般の法人タクシーの平均した水揚げ料、個人タクシーの場合の平均した水揚げ料、これが一体どういう程度になっておるのか、そういう点も明らかにしてほしいと思いますし、そういう側面から見ることが非常に大事なんじゃないかというふうに私は感じておるわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/16
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017・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) その点、事務当局から説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/17
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018・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 個人タクシーの収入状況でございますが、大体、東京では、三十五年が四千四百九十五円、三十六年四千四百四十九円、三十七年四千百七十八円、三十八年になりまして四千二百五十一円、これは一日一車当たりの収入でございます。法人関係につきましては、これは交代勤務になっておりますので、ちょっと個人同士の比較はむずかしいと思いますが、一応個人タクシーにつきましての収入はそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/18
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019・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 大まかな見当としては、法人タクシーの一人当たりの一日のかせぎ、水揚げ、これは、交代になっているから、一日非常によけい働く場合と、そうでない場合と、むらがあるだろうと思いますが、これを一カ月平均してみれば、一人一日どれくらいの水揚げをあげておるのか、そういう点の見当は皆さんのほうでついていると思いますが、大まかな見当でいいですから、おっしゃってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/19
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020・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 法人タクシーは、一日一車の水揚げが一万円ちょっととしまして、これに要する人間の要員としましては、二・四人を一応基準に置いております。したがって、二・四人で割れば、一人当たりの収入になるわけです。ただし、二・四人というのは、規則の上で一応確保すべき要員としてわれわれがきめておる基準でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/20
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021・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) そうすると、二・四人で割りますと、大体同じだという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/21
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022・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 四千円ぐらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/22
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023・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 一人当たりにすると四千円ぐらいですね。一人について四千円程度で、個人タクシーと同じということにそうするとなりますね。そうすると、収入面ではどういうことになるのですか。実際の個人タクシーをやっておる人と、運転手の諸君と、自分の生活費等として入るものが相当な開きが出てくることは考えられるわけですが、その点計算などはされておるのですか。会社でありますから、会社のほうにいろいろなものが引かれるわけですね、常識的に考えても。そういう点を明らかにすることが、これは、個人タクシーだけじゃなしに、会社に関するいろいろな監督省としての対策についても非常に影響してくる問題だと思うので、お聞きするわけですが、どうでしょう。大まかにいって、実際に運転手の人が自分の生活に使える金額というものは、二対一ぐらいの差があるのじゃないですか、どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/23
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024・坪井為次
○説明員(坪井為次君) ただ、法人タクシーの場合には、二・四人は一応基準でございまして、現実にはそのとおり守られて稼働しているかどうか、そこに問題があろうと思います。ただ数字の上で二・四人を確保するというたてまえになっておりますが、現実のやりくりが厳密に二交代か三交代か、そういったような問題はあると思うのです。それから個人タクシーは四千五百円ぐらいの収入で、これは毎日大体昼日中運行してということで、採算の上でどちらが有利であるか、厳密には私のほうでいま計算したものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/24
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025・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) そういうことは、この運輸行政をあずかっておる以上は、私は重要な問題点だと思うのですよ。それは、個人タクシーのほうは一人でまあ一日四千円程度の水揚げをすればゆっくり生活もしていける——ゆっくりと、そうぜいたくすることはできぬけれども、心配なくやっていけるというふうにぼくら聞いておるわけなんです。しかし、会社タクシーのほうは、いろいろな給与制度等の関係があって、相当無理して走り回らないと生活費に必要なものが入ってこない仕組みになっているわけですね。だから、こういう点事故率等に大きな影響が出てくるわけでして、そんなことは当然運輸当局としてもっと突っ込んで把握しておくべきことじゃないかと思いますが、どうですか運輸大臣、大事な点だ私は思うので聞いているわけですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/25
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026・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) もちろん重要な点でございまして、詳細な的確な数字をただいま申し上げられないということでございます。個人タクシーにつきましては、全く実態を把握することがなかなか困難のように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/26
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027・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) いや、個人タクシーのほうは、先ほどお答えあったように、はっきりしてもらったわけなんです。ただ法人タクシーの場合、それの一体運転手の方の生活費というものがどういうふうに最終的に確保されておるのかという点がどうもはっきりしないわけなんです。先ほど言われましたのは、一車について一日一万円程度の平均水揚げはあるが、しかしそれは規則の上で二・四人でやられておるはずだ——これははずでありまして、実際に二・四人というものがどこの会社でも確保されておるのかどうか、私はちょっと疑問がその点にもあると思うのです。そうじゃなしに、その基準が守られないで、もっと小人数でやっているのじゃないか。そうすると、一人当たりの水揚げ料というものはもっとふえるわけです。当然それがふえるということは無理がそこに感ぜられるわけなのです。これは私はタクシーに乗っておって直観的にそう感じておるわけです。それから、タクシーに乗りながら運転手の皆さんと若干そういう点について雑談などをいたしますと、これはわかるわけなのです。だから、そこら辺の実態をもう少し明らかにしてほしいわけです。個人のほうは、割合これはゆっくりしていて、一事故率も少ないし、問題がないから、あまりこれは審議する必要はないわけです。問題のあるところをもっと究明する必要があるわけなのですから、大臣ちょっと逆のことをおっしゃいましたが、法人タクシーのほうのほんとうの実態ですね、基準がこうなっているのじゃなしに、そこらをもう少し究明してほしいと思います。部長でもよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/27
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028・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 私が法人関係ではっきりしないと申し上げましたのは、ある法人関係の運転者の平均の収入、一人当たりの収入という計算がなかなか実態の把握が困難だという意味で、先ほど申し上げましたのは、法人が一車当たり一日一万円何がしをあげておる場合に、理論上要員の数からいってこうなるであろうということを申し上げたのでありまして、現実の法人関係の従事員が一日平均水揚げが幾らであるという数字は実はございません。個人につきましては水揚げから逆算いたしまして平均一日幾らという数字は出ておりますが、法人関係についてはABC各人別の収入の比較というものをわれわれとしては把握いたしてない、そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/28
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029・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) そうすると、法人関係の場合の運転手の一人当たりの収入ですね、それは一車について二・四という立場ではじき出して一応数字をつかんであるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/29
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030・坪井為次
○説明員(坪井為次君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/30
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031・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 一車について二・四人でやっておるはずだというようなことじゃなしに、ほんとうの実態までは調べておらぬわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/31
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032・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 実態につきまして、いろいろ運転者不足の状況その他資料によりますと、大体二・一人から二人くらいの平均に現在なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/32
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033・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) とにかく、水揚げが一人当たりに還元した場合には同じようなものだとかりにいたしましても、私はともかく実際に町を歩いて感ずることは、水揚げ料自体が個人タクシーよりも相当多いのじゃないかと思っているのですがね。しかし、どうもいまの御説明ですとそうでもないようですが、しかし、水揚げ料が同じだとすれば、なおさらこの実際の運転手の生活費に回わる手取りというものが相当今度は法人のタクシーの場合は悪くなるわけですね、常識的に考えて。それはまあ結局賃金ということになるわけですが、その比率はどんなようなものでしょう、個人タクシーと比較して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/33
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034・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 個人タクシーの収入の中には、やはり減価償却なりあるいはまあ諸雑費というものが含まれておるわけでございます。そうしますと、どっちのほうがまあ有利であるというところまでは、ちょっと個人タクシーが著しく経理上有利であるという数字までは出ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/34
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035・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) いや、その辺をですね。もう少し掘り下げて、実態に基づいて検討してほしいのですね。私たちがともかく個人タクシーなり一般の運転手の人に会って聞くのでは、相当個人タクシーの人が法人タクシーに比較すればゆったりしているように感ずるわけなんです。しかし、それは個人タクシーのほうの収入が多過ぎるという意味じゃないですよ。法人タクシーのほうの運転手の方の収入が足らぬということなんです。一般的に同じ仕事を同じ場所でやりながら、一方がよくて一方が悪いということになりますと、まあ妙なあせりというものがどうしてもこれは出てくるのがあたりまえです。これは。同じ業種において全部の賃金が低いと、収入が低いという場合のあせりと、もっと違った異様なあせりというものがやっぱりどうしても出てくるわけなんです。だから、そういう点はまあ運輸行政上非常に大事な点でありまして、もう少しそこを実態に基づいた究明、 比較検討をやってほしいと思うのですね、できましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/35
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036・坪井為次
○説明員(坪井為次君) そういった点につきましてさらにできるだけの調査をしてみたいと思いますが、ただわれわれのほうで見ておりますと、個人タクシーへの免許申請が、既存業者かうの、運転者からの分が相当ございます。こういった点がある程度そういったことを物語っていると思うのでありますが、一側また既存業者のころにとどまっている運転者もおりまして、まあその辺で、われわれとしては、絶対的に個人タクシーのほうにみんな流れていくというふうにもいまのところ思っておりません。ただ、こういったことにつきましては、できるだけの調査を進めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/36
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037・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) じゃあその点はこの程度にして、次の問題点に移りたいと思います。
昨年の八月に行政管理庁が、ハイヤー、タクシー事業の現在の免許制ですね、これを許可制に改ためることを検討すべき時期にきているのじゃないか、こういう勧告をされたわけですね。まあこの問題について、あるいはすでに当委員会で御審議があったかと思いますが、あの勧告を運輸省としてはどういうふうに処理をされたのか。まあ基本的な点についてまず大臣からお聞きして、こまかい点についてさらにほかの方に説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/37
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038・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 各国の実情その他を考えまして、許可制は日本の現在の交通行政としては不適当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/38
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039・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) もう少し、不適当な理由ですね。そうして、現在の免許制でいかなきゃならぬのだという、その根拠ですね。それを御説明願いたいと思います。せっかく行政管理庁がこれはやはり実態を研究してそういう勧告をしておるわけですから、お前の言うことは不適当だと、それだけじゃやっぱり済まぬわけでして、お前の言うやつよりも現在の免許制のほうがいいんだという根拠がなきゃならぬと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/39
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040・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 御承知のように、数年前まではたしか許可制にしておったのです。そうしたところが、いろいろな不都合な事情が起こりまして、とうてい許可制にしてほうっておいたのでは自動車行政の円満なる行政が行なわれないということが根本観念でございまして、それに各国の状態等を勘案いたしまして、ただいま私の申し上げましたような結論に達した。最初は許可制が不適当であるからというので業者その他諸種の事情を勘案して免許制にしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/40
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041・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) その許可制の場合にどんな不都合が具体的に起きたわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/41
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042・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 今日非常に行なわれております、何と申しますか、乗車拒否の問題でありますとか、あるいは不当な料金の要求であるとか等々のことがございまして、結局許可制を改ためて免許制にしたと了承いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/42
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043・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) いまおっしゃったようなことは、許可制のもとにおいてもそれに対する対処ができるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/43
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044・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 取り締まりの上から言いまして許可制にするよりも免許制にしておいたほうがよりよいという取り締まり当局の考えも入れまして、ただいま私が申しましたように免許制を許可制にするということは不適当であると、かように考えてやったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/44
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045・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) この免許制と許可制の区別ですね、これをどういうふうに理解されておるわけですか、基本的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/45
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046・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 免許制と許可制の問題でございますが、法律上明確に区分するということはなかなかむずかしい問題でございますが、われわれとしましては、公企業の特許のような強い免許制から、タクシーあるいは区域事業のような相当緩和された免許事業というふうに段階を考えておりまして、自動車につきましても、路線バスのようなものにつきましては相当強い免許制をとる。しかし、一面、区域事業とか、あるいはタクシーのようなものにつきましては、免許制と言いましても、もつとゆるやかな免許制を考えるのが適当であると、同じ免許制の中でそういうふうに法律の上でも実態に即応して運用するようにということになってございまして、われわれとしましては、完全自由なことは当然できませんので、免許制を運用によって十分許可制に近いとこまで行なうことができるという意味で現在方針をきめてやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/46
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047・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 免許制の中にもいろいろと制度の立て方によって種類があると、こういう趣旨のお答えのようですが、免許制と許可制の立場の違いというものは根本的にはどういうことを一体考えておられるのか。ともかくそういう言葉をときどきお使いになるわけですから、使っておる以上は、どちらか基本的なものの違いがあるはずなんです。ただ程度の違いだけなら、そのどっちか一つの言葉を使えばいいわけで、だからその点をどういうふうに理解されて行政管理庁あるいは運輸省が使われておるのか。行政管理庁は、ともかく免許制を許可制にしろ、運輸省は、まだそんなことはせぬでもいい、免許制でいいのだ、こう言っておるのですが、そこの言葉の根本的な意味ですね、どういう意味で二つの言葉の違いを考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/47
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048・坪井為次
○説明員(坪井為次君) 一般に法律観念としましては、許可ということは一般的な禁止の解除というふうに解されております。免許というのは、一つの形成行為、権限を付与するというふうに解釈しておりますが、実定法上は必ずしもそのとおりに言葉が使われていないということのようでございます。それで、タクシーにつきまして許可制にしたらどうかいうとのが行政管理庁の考え方でございましたが、われわれとしては、いまの免許制で十分行政管理庁が期待しておるような運用可能であるという意味で、そういう方針を打ち立てて現在やっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/48
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049・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 大体免許制と許可制の区別、おおよそそれははっきりしてきましたが、そこで私は、いわゆるバスの運行とかそういったようなものは、これはやはり免許制であるべきだろう、こう考えるのですが、しかし個人タクシーのような場合には、これをもし免許制のワクの中に置いておくというのはどうも筋が通らぬように思うのです。これは以前にも議論したことがあるかもわかりませんが、やはり憲法二十二条の職業の自由を引き出すまでもなく、自分が腕があって、そうしてその程度の小さな商売はやっていけるというような一応の資力もある。そうして、事故率を見ても、すでに統計にも出ておるように、非常に低いわけですね。そういうものにまで免許制のワクをいつまでもはめておくというのは、どうも筋が通らぬように思う。やはり原則は、これはだれでもできるのだ、しかしそれこそほかのいろいろな条件等考えて一応許可制にするということのほうが自然なように思うのですが、運輸省としては、ともかく許可制というものを全面的に排除して、行政管理庁の意見というものを全然取り入れておらぬわけですが、個人タクシーなどについては、行政管理庁の意見を取り入れるほうが私は自然じゃないかと思うんですが、どうでしょう。また、それで弊害も起こらない。許可につきましてもいろいろな条件というものが要るわけですから、これはまあ、言うてみれば、免許制であっても、許可制であっても、言葉の違いであって、個人タクシーに応じたような免許制の運用もできるんだというふうなことも考えられぬことはありませんけれども、そこまで考えるんなら、営業の自由という、やっぱり根本原則に立った立場を認めて、それに対していろいろな条件をつけておくということのほうが、より一そう自然なように思っておるわけなんですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/49
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050・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 免許制か許可制かという問題でございますが、個人タクシーというタクシーの一つの形態をあげて免許制か許可制かという御議論の場合に、私たちは、タクシーという公共輸送機関を営む事業、それが免許制がよろしいかあるいは自由職業がよろしいかということをまず研究すべきだと思うのであります。そういう観点からいたしますと、輸送機関というものが直接国民大衆の日常生活あるいは経済活動に非常に密接な関係があるというたてまえから、輸送機関としてのタクシー事業というものを免許制にしておるわけでございます。そこで、そういう観点からの免許制か許可制かの見解でございまして、その中で個人タクシーというものを今度は区別いたしまして、個人タクシーであるから別の観点からこれを免許制か許可制かという検討をしてみたらどうかという御意見のようでありますが、われわれとしては、やはりタクシーという輸送機関がどうあるべきかをまず考えるべきだと思います。
それから、個人タクシーにつきまして、あるいはタクシーにつきまして、免許と許可という問題が、昨年行政管理庁のほうからもいろいろ意見が出ておりました。で、免許制か許可制かという問題は当時も議論したわけでございますが、要するに、用語の問題でございまして、許可制といいましても、自由にするという意味ではないわけでございます。現在の免許制にいたしましても、法律に書いてありますように、免許の基準を適用するにあたっては、形式的、画一的に流れることなく、その事業者の自動車運送事業の種類とか、あるいは路線、事業区域に応じて実情に沿うようにつとめるというふうに法律にも書いてございます。われわれといたしましては、あらゆる自動車運送事業が免許制になっておりますが、それらの事業の種類に応じまして、免許基準を画一的に適用することのないように、したがいまして、同じくタクシー事業にいたしましても、法人系のタクシー、あるいは個人タクシーというものにつきましては、免許の際に同じような画一的なやり方をやらないで、たとえば個人タクシーにつきましては、特にあらかじめこういった資格要件を中心にして審査をいたしますよということを明示いたしまして免許制をとっておるということでございまして、今後ともタクシー事業の免許にあたりましては、許可とか免許とかという用語あるいは法律概念は別といたしまして、実情に合うように処理していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/50
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051・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) まあ実際の扱いは、個人タクシーについては、許可制のような状態に近づいておるわけなんですよ。しかし、そうであれば、私はもっと思い切って、きちんと許可制というものに踏み切ってあげたほうが朗らかになる。免許制というのは、ともかく、国のほうで、君らに本来はないところの権利を与えてやるんだ、そういうふうなまあ大まかに言って考え方なんですね。それは私は、個人タクシーのような、こういうともかく自分で細々と自分のかせぎだけをやっていこうというようなものにはどうもぴったりこないと思っておるわけでして、これはひとつよく検討してほしいと思います。そこで、そういう点の法律論争だけやっておっても進みませんから、若干先に移りますが、そこで、昨年の十月四日ですか、閣僚懇談会で免許制の運用方針というものをおつくりになったわけですが、これは結局行政管理庁の勧告があったことに対して、それに対する答え、こういう性格を持つわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/51
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052・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 行政管理庁の勧告にこたえるということにも結果的にはなっておりますが、われわれとしては、タクシー事業の免許制というものの運用につきまして、以前から弾力性のある運用にいたしたいというふうに考えておったわけでございます。昨年たまたま行政管理庁からああいう勧告が出まして、それを契機といたしまして、交通関係閣僚懇談会におきましても、免許制の問題について政府部内において検討をするようにということでございまして、関係次官会議等を持ちまして免許制の問題について検討をいたしました結果、あのような政府部内の考え方を確立したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/52
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053・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) この十月四日の免許制の運用方針というものの特徴点というものは一体どういうことなんですか、従来の運用に対しまして新しくきまりました運用方針の特徴ですね、その点を明らかにしてほしいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/53
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054・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 従来、タクシー事業の免許につきましても、道路運送法に指定しております免許の基準というものがございまして、約五項目ございます。かなり抽象的なものでございましたので、これが運用にあたりましてはいろいろ議論があったわけでございます。しかし、免許を申請する側のほうから考えてみますと、抽象的な基準で、一体自分の申請がはたしてあれに合うかどうかということには、かなり不安を持っておったことは事実でございます。したがいまして、この昨年の十月のハイヤー、タクシーの営業免許についての方針を文書の上できめます以前におきまして、すでに指導をいたしまして、陸運局長においてやや免許の基準の中身をする場合には具体的に公示をして、申請者にわかるようにあらかじめ示して、これを行なわしめておったというふうな指導をしてまいっておりましたが、それらを昨年の十月に改めて、具体的に免許に対する行政管理庁の態度をはっきりさしたということと、それから免許の場合に、輸送需要と供給輸送力との関連をかなり従来重要視してまいりました。これは、事業の健全経営という点から、あるいは利用者の需要にこたえるという点から、当然必要なことでございますが、ややもすれば需要に対して不足がちな供給輸送力をつけておったというふうな事実も過去においてあったわけでございます。それらの事実も深く考えまして、今後は供給輸送力を常に需要に多少上回る程度につけていくようにしたいというふうなことを考慮いたしまして、こういった方針をきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/54
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055・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) そうすると、二つの点の御指摘があったわけですが、まず第一点のほうは、従来地方で指導してきたものを整理してきちんと示した、そういうふうに理解していいんでしょうか。何か新しいものが加えられたのかどうか。そういうんじゃなしに、従来もいろいろ内面指導等をやってきた、書類を出すなどに。そういうものを検討してまとめて出した、そういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/55
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056・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/56
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057・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) それから第二点のほうは、結局今度は東京には何台、大阪には何台というようなワクを初めからきめてかからない。申請者が運輸当局から示した条件に合致すれば許していくんだ、そういう理解でいいわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/57
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058・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) さようでございます。そして、ある時期に供給輸送力のほうが非常に需要を上回ってきて、この辺で多少ストップをかけなくちゃいかぬという事態が来れば、そのときになって初めて需給の関係を重視して多少考えるという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/58
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059・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) その供給と需要との関係についてストップをかけなければならぬような見通しというものは、現状ではまだないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/59
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060・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 各地によって事情は多少異なりますが、こういう方針を打ち出しましたのが昨年の十月でございますので、今日の時点におきましては、まだそういうふうな必要性は出てきていないのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/60
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061・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) わかりました。そういたしますと、新しい方針に基づきまして、各陸運局長が条件等を公示しておるわけですが、この公示というものは、陸運局長にその中身を全部一任してあるもんでしょうか。あるいは運輸省の本省がちゃんと指示をして公示をされた、こういうことになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/61
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062・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) タクシー事康の免許権は、法律に基づいて陸運局長に委任してございますので、公示の具体的な内容につきましては、陸運局長がみずからの責任において公示をいたしたわけでございますが、こういう基本的な原則を公示してやるようにという指導はいたしております。
それからなお、具体的な公示をするにあたりましては、各陸運局長から事実上本省に相談を受けております。本省といたしましては、同じような経済状況、同じような地帯において、あまりにも陸運局長によって公示の内容が違うこともどうかと思いますので、そういう点の比較検討だけは本省でいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/62
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063・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) そうすると、各陸運局長の公示がばらばらにならぬように、そういう点の調整などは若干されたものと理解していいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/63
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064・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/64
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065・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) そういたしますと、公示内容につきましては、実質的には本省、運輸大臣もタッチされていることになるわけですから、たとえば大阪陸運局長が十一月一日付で出している公示ですね、これをひとつ例にとって、若干、中身について疑問点をお尋ねしておきたいと思います。
個人タクシーについて、六つの条件というものが大阪陸運局長から示されているわけですが、まず最初の年齢という点ですね、おおむね四十歳以上五十五歳までの者、こういう指定があるわけですが、おおむねでありますから、五十五歳ちょっとこえていても、本人がちゃんと健康である、まだもうろくしておらぬというふうな状態等であれば、これをこえてもいいのか。あるいは四十歳と下のほうをきめておりますが、しかし、三十七、八歳でも、四十歳に匹敵するくらいのちゃんと慎重さなり注意力があるというような人ならば、免許の対象にしていいという解釈でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/65
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066・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) この六つの基準を総合的に判断いたしましてきめるわけでございますので、年齢につきましても、おおむね四十歳以上五十五歳までと書いてありますが、四十歳程度から五十五歳程度ということでございますので、四十歳を一カ月欠けてもだめだということではございません。弾力性を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/66
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067・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) それから三番目の、法令順守の状況ということが書かれておりますが、過去三年にわたり違反行為がない——これはおおむねとかそういうことじゃなしに、過去三年にわたりときちんと書いているわけですが、この点はどうなるかということですね。私、実はそういうタクシーの諸君の方々から質問を受けたわけですが、抽象論を抜きにして、具体例をちょっと申し上げたいわけですが、過去二十七年間無事故できた非常に優秀な運転手がいるのです。その中間では、昭和三十二年十月には、二十一年間無事故だったということで、警察から上級の表彰などを受けている。それからさらに、安全運転の競技会などの場合に、五回も受賞しているのです。非常に腕も達者だし、また注意をしてずっとやってきている。模範的な運転手だと、仲間ではそういう定評のある人なんです。ところが、たまたま、去年の八月ですから、この三年のワク内に入るわけですが、伊丹空港に大阪から行く途中、淀川を渡った十三という所がありますが、あそこでお客さんが飛行機のともかく時間に間に合うように走ってくれということで、スピード違反を一回やって、それが処分の対象になったわけですね。この条件からいきますと、なるほど条件にひっかかるわけですが、しかし、実際によく本人自身を検討しますと、これははなはだ気の毒だとだれでも言うておるわけですが、しかし、条件の示し方は、おおむねとか、そういうことではなしに、きちっと三年で切ってある。運転手仲間では腕も低いし、ちょくちょくひっかかったりしているが、三年のワク内からもつと古いところでやっておるから、自分はそれにひっかからないのだというふうなものと比較して、非常にかわいそうではないか、こういう問題が起きているわけですが、私も、こういう時勢ですから、交通違反を軽く見るわけではありませんが、本人自体は、これはだれが見ても確実に優秀であることは間違いないのですね。年齢も大正三年生まれですから、ちょうど五十歳前後というところで、一番いい状態のところなんです。長らく会社にいたけれども、やめて、こじんまりと今度はやりたいということで書類を持っていったところが、どうもおまえは条件にはずれているということで、受け取ってもらえなかったように聞いているわけです。こういうのは、何といいますか、もう少し親切に、中身に入った審査をやってもらっていいのではないか、おそらく弾力的な運営といいますか、そういうふうに思っておるわけですが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/67
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068・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 確かに個々の事案についてみますと、お話のようないろいろな場合があると思います。ここに書いてありますものも、処理にあたりまして、こういう六つの点に重点を置いてよく見ますよ、しかも、この六つのそれぞれに書いてあるところにぴたり該当しておれば無条件に認めますよ、という意味でございます。したがいまして、いまの過去三年にわたって法令違反で処分を受けていないという項目につきましては、過去三年間に全然処分を受けていないという事実があれば、これは無条件で、他の条件さえそろえば、他の五つの事柄に難がなければ、当然これは免許になりますよ、という趣旨でございます。したがいまして、過去三年の間に何らかの処分を一つでも受けておったという場合に、一つ受けているから頭からだめだとするかどうかという点でございますが、決してそういうふうな趣旨ではございません。特に、事故防止といった観点から、人身事故を起こして処分を受けているというふうな場合には、かなり重要視いたしますが、単なる交通違反で、しかも、たまたま一回だけ見つかって処分を受けたというのではなくして、たった一回しかやらなかったのが、不幸にして処分を受けたという場合があると思います。その場合には、よくそのときの実情を調べまして、他の五つの項目については全然問題がない、りっぱである、法令順守の点について、過去三年に一回違反があった。しかも、その違反も非常に軽い交通法規の違反であったというふうな実情がはっきりしてきまするというと、ただそれだけでもってこれを却下するということはいたさないというふうな運用をいたしております。
それから申請を受け付けた場合に、三年間に一つ何か処分があったからということで、これでは受け付けません、というお話があったということでございますが、おそらく正規に受け付けます陸運事務所の係官は、そういうことはいたしていないと思います。おそらく私の推測では、申請書を出します場合に、代書人等に頼みに行くわけでございますが、そういう代書人などは、こういうことをよく知っているものですから、そこで書く場合に、違反事項があれば、これはとてもだめですよ、というようなことを、あるいは本人に言って、本人がそれではしょうがないといってあきらめるというような場合はあろうかと思いますが、正規に受け付けをいたします陸運事務所では、書類の形式的な不備以外は、申請を受理いたすことになっておりますので、そういう事実はないと思いますが、もし具体的に御指摘いただけば、よく調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/68
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069・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) せんだって、課長の方が来られた場合に、私資料をちょっと持っておりませんで、自分の記憶で話しておったわけですが、よく実際に資料をいま拝見いたしますと、昭和三十八年十二月十六日付受け付け、大阪陸運事務所、こういう書類に判を押してあるわけです。だから、これはおそらく代書人とか組合ではなしに、一たん受け付けながら、ちょっと書類を見たら、本人もそのことを書いております。しかし、今後は、以後はそういうことはやりません、という誓約書のようなものを書いておりますから、ほんとうの審査ではなしに、ちゃんと受け付けた後に、いわゆる受け付け事務かどこか、そのほうが返したのが真相じゃないか、ここに判が押してありますから、そういうふうに私感じておりますので、私は、交通事故に対して、ゆるくせいというようなことは、私自身も反対です。反対ですが、こういう優秀な人については、もっと突っ込んで事情を聞いて調べてやってほしいと思うわけでして、林久士という方ですから、これをひとついま局長がおっしゃったような気持ちでやってもらえれば、非常に御本人としては助かる問題じゃないかと思うわけでして、お調べを願いたいと思います。
それから、だいぶ時間が来たようですが、次に、四番目の車庫の問題、これについて若干お尋ねしたいと思いますが、ここでいっている車庫の位置というのは、どんな意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/69
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070・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 車庫の位置を審査の重要項目に入れておりますのは、個人タクシーの場合に、自宅と車庫の位置があまりにもかけ離れておりますと、夜おそく、あるいはその他の場合にも、つい自分の自宅の前に車を放置したまま夜を明かす、うちに帰ってそのまま休むというようなことが往々にして多いわけでございます。それが結局路上駐車違反、あるいは道路の通行のじゃまになるということが起こりやすいわけでございますので、車庫はできるだけ自宅の近い所にあるということが一つの必要条件ということで、この項目を入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/70
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071・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) それで、これは申請をする方自身の立場からいっても、いま局長から言われたように、そういう場所にあることがこれはまあいいわけなんですね。そこで、免許制にもいろいろあって、個人タクシーについては、相当弾力的な運用というものを考えておるというふうな趣旨からいいますと、その位置という問題について、はっきりと示してやる必要があるんじゃないか。といいますのは、自分の自宅があって、そうして自動車の置き場を自分の自宅につくれば一番いい。ところが、そうでない人の場合には、近くにつくらなければいかぬわけです。しかし、このごろのことですから、これを見つけるということは、やはりそういう個人にとってはなかなか相当な仕事になるわけです。そういう場合に、自宅からどの程度の距離ということをあらかじめ示してやりませんと、これで持っていったわ、せっかく金まで使って見つけながらはねられた、これでは非常に酷になるわけですね。だから、ぜひこの点ははっきりしてほしいという要求があるのです。私はこれはもっともな要求だと思うのですね。従来は、たとえば大阪では大体二千メートルですか、そういうふうにいわれておりましたが、これは内面指導の問題でしょう。ところが、今度新しい方式できちんと条件を公示したといいながら、その点が明示されておらないわけですね。従来の内面指導のほうがもっと安心していろいろと事前の準備ができたということで、困っておる方が相当あるわけなんです。その点どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/71
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072・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 自宅と車庫の距離を明示することが一番わかりやすくていいとは思いますけれども、なかなかこれは困難な問題でございまして、かりに二キロといたしましても、二キロならよくて二キロ五分はなぜいかぬかというようなことを考えますと、非常に困難な問題です。従来でも、したがってはっきり明示するということはむずかしいことでございまして、常識的に考えまして、二キロといいますと半道でございます。その程度なら、夜少々おそくても車庫へ持っていって十五分か二十分で家まで歩いて帰れるから、大体路上放置の危険もないだろうというようなことで判断いたしておるわけでございます。しかも、自宅そのものが非常に都心にある場合、あるいは都心から少しはずれた周辺にあるような場合によっても、この趣旨からいいまして、距離の差があってもよろしいというようなことも考えられますので、こういうふうにきちんと明示をするということになりますと、何キロということは困難でございますので、こういう表現にいたしております。従来大阪では、いまお話のように、たしか二キロ程度を標準にしておると思いますが、その点は今後とも同じようにやっていくと思いますが、場所その他によりまして、これも弾力性を持って考えることであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/72
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073・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) そうすると、大阪以外の公示を見ましても、いま局長が言われたような抽象的な表現になっておるわけですが、これは特に従来運用していたのを、その点においてきびしくするという趣旨で、この抽象的な表現にしているんじゃないんだ、そういうふうに理解していいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/73
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074・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) そのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/74
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075・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) この車庫の収容能力ですね、これもまあ車によって面積の大小というのは当然出てくるわけですが、これも従来の内面指導をやられたのを特に縮める、きつくするといったような趣旨は別にないという理解でいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/75
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076・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/76
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077・亀田得治
○委長以外の議員(亀田得治君) それから次に、もう一点お聞きして終わることにしたいと思いますが、局長が来るまでに、個人タクシーの現況を、六大都市につきまして数字的にお聞きしたわけですが、この数字を見ますと、東京の個人タクシーの比率が一番高いですね。他の五大都市は、比率にして非常に東京よりも少ない。たとえば大阪等の比率は約半分ですね、東京の比率からいいますと。比率といいますのは、その地区における全個人、法人を合わせた車両数の中に占める個人タクシーの比率であるわけですが、これはもう少し各陸運局の数字というものが接近するような指導というものが要るのじゃないかと思いますが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/77
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078・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 東京が非常に多いのは、昨年の十月ごろかと思いますが、そのころに個人タクシーの処置をやったわけでございます。ちょうど先ほどのタクシー行政についての新しい方針を打ち出そうとしておったときでございますので、東京陸運局長は、その趣旨を尊重いたしまして、免許をしたということで、いままで四千両ほどございますが、そのうち千八百両は昨年の十月以降の免許になっております。大阪は一昨年の暮れでございましたか、個人タクシーの免許をいたしまして、その後現在、目下審理をいたしております。今後大阪が免許いたします場合には、昨年の十月の方針にのっとってやる予定でございますので、かなりふえるのじゃないかと思います。
それから都市相互間の調整をとったらどうかという御意見でございますが、ごもっともな御意見でございます。しかし、東京にしろ大阪にしろ神戸にしろ、土地の事情、経済状況それぞれ違いますので、必ずしもこれを画一的に統一をとるということも実情に合わぬ点があろうかと思いますので、この点は決してそれを無視するわけではございませんが、陸運局長において、そういう点も頭に入れながら各都市の個人タクシーの免許をするように一般的な指導は私のほうからいたすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/78
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079・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 事情はわかりました。それは許可制に近い免許制度というふうな考え方からいけば、必ずしも各都市の比率などは考えないでもいい。むしろ考えないほうが筋が通っておるかもしれぬと思うのです。しかし、あまり比率が開いておるものですからお聞きしたわけですが、事情はいまの御説明でわかりました。
それで、今回の方針によりますと、申請書の提出期間は特に設けないで随時受理をして、そしてそれに対する処置をしていくと、こういうふうになっているわけですが、このほかに出てきたような場合の処理の順序とか、あるいは、いつまでにその処理を終わり、申請してから非常に長期になる場合には、これはやはり申請者の権利というものがそれだけ害されるわけで、そういう点はどういうふうになっておるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/79
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080・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 申請につきましては、できるだけ早く処理をするという方針で、それを徐々に実現してまいっておりますが、いままでは年間の輸送力というものをきめまして、それを公示して、そしてどっと一斉に申請が出てきておったのでございますが、昨年の暮れからは、いまお話のように、随時申請を受け付けてやっておりますので、陸運局といたしましても、タクシーのみならずあらゆる自動車運送事業の免許、認可の義務がございますので、それぞれの陸運局で計画を立てて、二、三カ月間の分をまとめてやるとか、いろいろその陸運局の実情に合うようにやっておりますが、いずれにいたしましても、できるだけ早く処置をする。昨年の秋の東京の場合には、一応免許の申請を受け付けましてから、大体三カ月後に処理をいたしております。各陸運局も一大体その程度で処理するように努力をさせておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/80
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081・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) 三カ月後に処理が終わったという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/81
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082・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 東京の場合は、三回ぐらいに分けてやっておりますので、第一回の処理は三ヵ月で、それからたしか一カ月ごとぐらいに三回に分けて処理をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/82
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083・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) そうすると、申請書を出して、出した人の立場から言うと、結局処理されて一番長くかかったのは何カ月になるでしょうか。一番短いのと、長いのと教えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/83
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084・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 昨年の東京の場合は、最後に終わりましたのが、たしか昨年の暮れだったかと思います。したがいまして、一番最後の三回目に処理を受けましたのが、十二月の五日になっておりますから、たしか八月ごろに申請を打ち切りまして、その分について最終的にやりましたのが十二月ですから、約四カ月ぐらいかかっておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/84
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085・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) しかし、五月ごろに申請しておる人から見ると、もつと長期の方もあるわけじゃないでしょうか。そういう意味で私一番長いのと短いのはどうなっているかとお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/85
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086・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 実は昨年の秋までは、毎年輸送力を策定いたしまして、そして一定の期間をきめて申請を受け付けておったんでございます。したがって、その期間を過ぎて申請をしてまいりますものは、受け付けはいたしますが、そのときの審査の対象にしないで、その次の年の輸送力の策定がきまったときにこれを審査いたしておりました。したがって、昨年の十月に処分いたしましたのも、申請の当時は輸送力の策定に基づいて申請を受け付けておりましたので、輸送力の策定について、その前に処分いたしましたのが、三十六年の八月でございますので、三十六年の九月以降にぽつぽつと出てまいりましたものを全部三十八年の、最初が十月でございますが、十月に処分をしたという形になりまして、これはちょうどその過渡期に当たりますので、一年以上の日月がかかっております。
〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕
しかし、これからは輸送力の策定はやりませんので、そのつど三カ月あるいは二カ月半くらいのものをまとめましては事務の処理の便宜上審理いたしまして処理するというふうに、現在はそういう方向で参いっておりますので、今後は、おそらく一番長いもので、申請のときから三カ月ないし四カ月目には処理できるようになるのじゃないか、こういうふうな方向で現在進めさしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/86
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087・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) まあその結果から見てちゃんとパスしているという人にとっては、役所の仕事が延びたために二カ月なり三カ月なり遊んでおった、こういうこともできてくるわけでして、これはやはりこういう弾力的な運用を個人タクシーについてやるのだという以上は、できるだけ早くその間の調査なり決定ができるようなやっぱり態勢を強化してほしいと思うのですね。まあ自民党の都合等も内部的にあるわけでしょうが、この点だけはひとつ特に要求しておきます。そうしませんと、ともかく、申請をして相当長期になるものがあるというようなことになると、結局申請をしてから一定の期間過ぎたら、これはもう許可されたものとみなしていくべきだというようなやはり世論が出てくるのですね。関係者としては、やっぱりちゃんとあらかじめ示された条件に合うように自信のある者が出してくることが多いと思いますからね。そういう人に限ってやっぱりそういう気持ちを持ち出すわけです。そういうことはやはり役所に対する非常な一種の不信にもなるわけでして、だから、これは各陸運局に対して、特に本省として指示をしてもらいたいと思います。よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/87
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088・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) われわれも処理の促進は一番力を入れておる点でございますので、御趣旨のような指導は今日までもやっておりますが、今後とも続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/88
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089・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) それから審査の方法ですね、これはこの百二十二条の二の聴聞の形式でおやりになっているわけでしょうか。特にそういう条文ということじゃなしに、任意な形でこうおやりになっているのでしょうか。それを確かめたいことと、もう一つは、この個人タクシーの場合の聴聞について、いわゆる本人以外の利害関係人ですね、あるいはタクシー会社の者の意見を聞くとか、まあ許可制に近い免許制ということになれば、そんなことは新方式からいって要らぬことだと思うのですが、そこら辺のところはどういうふうに運用されておるのか、また、今後運用するのかお聞きをしておきたいわけです。というのは、法人タクシーのほうが、どうも個人タクシーがふえるのを目のかたきのようにして陸運局のほうに働きかけておる、こういうことをまあ盛んに問題にいておるわけなんですね。そういう意味で、いまの点は気になるものですからお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/89
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090・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 個人タクシーにおきましても、聴聞は法律の百二十二条の二に定められております。これに従いまして成規の手続をとって聴聞いたしております。なお、この手続によりまして事案の公示をいたしまして、利害関係人の公述の申し出があれば、
〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕
この利害関係人の出頭を求めて、これについても公述を聞くことにいたしておりますが、いま御心配の、個人タクシーについて法人の会社のほうからいろいろ反対があるということは——個人タクシーが認められるとせっかく育てたいい運転手が逃げていくので非常に困るというような声は非常にあります。しかし、個人タクシーの制度を認めるということはすでに既定の事実でございます。個々の個人タクシーの申請の処理、聴聞にあたって、たとえば法人業者が反対の公述をするというふうなことはございません。具体的な個人タクシーのAさんという人の申請に対して、Aという人間に対していろいろ利害関係人として公述したい向きがあれば申し出がございますが、法人会社だから個人タクシー業者に対して反対するという申し出はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/90
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091・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) まあわかりましたが、したがって、法人タクシー側からのそういう申し込みがありましても、そういうものは採用すべき問題ではないですね。特に個人タクシー申請者の個人の問題について、いまおっしゃったように、特別何か申したいことがあるというならば、これはまた別ですが。この運輸省独自の立場できめるべき方針ですね、そういうものについて法人会社のほうがいろいろ意見を出したりといったようなことは、たとえ申し込みがあっても一採用すべきことではない、聴聞の採用をすべきことではないというふうに思うわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/91
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092・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 聴聞として採用するかどうかは内容にもよりますが、かりに聴聞をいたしましても、その判断は陸運局の独自の立場において判断すべきものであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/92
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093・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) だけれども、聴聞の申し出の場合にわかるわけですからね。どういう点の公述をしたい——運輸省の増車の方針に反対だとか、個人タクシーに片寄り過ぎているとか、そんなような趣旨の問題については、これは初めから採用すべきじゃないでしょう。私は、そんな問題について採用することは、新しい運用方針からいって間違いだと思うのです、はっきり。そこを聞いておるわけです。それはまあ一応言うてきたら聞いてやろう、判断はおれのほうだからまあいいじゃないかというふうなことじゃなしに、初めからそういう趣旨のものは採用する必要がないんだというふうに思うわけですが、どうでしょか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/93
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094・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 現在の制度の聴聞というものは、利害関係人であるということが明確でありますれば、その利害関係人の聴聞の申請があった場合には、聴聞をしなければならないということになっておりますので、義務づけられております。したがいまして、聴聞はいたします。聴聞をいたすことは、やはり聴聞の申し出のあります者の権利でありますから、これを公示さすわけであります。ただ、聴聞の結果公述したことを採用するかどうかは、陸運局の独自の判断でこれを行なうということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/94
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095・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) そうすると、個人タクシーというのは件数にいたしますと非常に多いわけですね。法人タクシーの場合は非常に大きな問題であっても件数としては一つ。それに対する聴聞の場合と非常に違ってくるわけなのです。いやがらせしてやろうということで、各個人タクシーの聴聞について一々そんな要求が出てきた場合でも、百二十二条の二、これによって一応聴聞しなければならぬということになると、全体の事務が非常におくれてしまうのではないかというように思うわけなのですね。先ほどからお答え願った、できるだけ早く通るものは通してやりたい、だめなものはこれはしかたがない、とにかく早く処理してやるということと矛盾してくるので、それで確めるわけですが、確かに法律の条文については、聴聞しなければならないとなっておるわけですが、そういう一体不都合が出てきた場合でも、それを一々やっておったらたいへんですね。何千件とあるわけですから。法律改正したらどうですか、もしこんな規定になっているとしたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/95
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096・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 現在の制度では、聴聞の権利を国民に認めておりますので、適正な利害関係人から聴聞の申請がありますと、聴聞しなければなりませんが、いまお話しのように、具体的には、すでに個人タクシーが認められまして五年近くもなっておる今日、法人業者がいま御指摘のようないわば意地の悪い妨害戦術に出るというようなことは、実際問題としては考えられませんし、いままでにもなかったわけでございますから、その御心配はまずないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/96
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097・亀田得治
○委員以外の議員(亀田得治君) それじゃこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/97
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098・大倉精一
○大倉精一君 関連して。亀田議員の質問の中で、個人タクシー並びに運転手の収入の点についていろいろお話がありましたが、これは非常に重大な問題で、いまいわゆる乗車拒否なりあるいは交通事故というような問題も、これに大きな関連がありますので、若干お伺いしたいのですけれども、いま大体東京都内でタクシー運転手の固定給と歩合給の割合はどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/98
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099・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 東京都内のタクシーの固定給でございますが、会社によって違いますが、約二百四十六社について調べた資料をいま手元に持っておりますが、これはハイヤーとタクシーと分けておりますが、タクシーだけについて申し上げたほうがわかりいいと思いますので、タクシーだけで申し上げますと、固定給三万円以上のところが約一%、二万五千円から三万円までのところが二〇%、二万円から二万五千円までが四五%、一万五千円から二万円が二九%、一万円から一万五千円が五%、大体初任給でありますが、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/99
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100・大倉精一
○大倉精一君 これは総収入に対して何%くらいになるのですか。たとえば三万円以上、あるいは二万五千円から三万円までですね、総収入に対してどのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/100
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101・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 初任給について申し上げますと、固定給と能率給あるいは基準外賃金合わせまして大体月十万円程度の水揚げをする運転手につきましては全部の給与の合計が約三万三千円、それから十二万円程度の水揚げをする者につきましては四万一千円、十二万以上の水揚げをする者につきましては四万一千五百円で、この程度の収入を得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/101
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102・大倉精一
○大倉精一君 大体大まかに言って月収の六〇%くらいにはなっていますか、固定給は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/102
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103・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 固定給は、初任給で言いまして、平均いたしますとちょうど六〇%くらいだと思います。それから三年半くらい勤続しておる者につきましても、六〇%を多少上回ってきておる。大体固定給が六割を少し上回っておる、こういうふうに考えてよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/103
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104・大倉精一
○大倉精一君 大体六割を上回っておるという会社は相当大手の会社じゃないかと思うのです。いつだったか神風タクシーを本委員会でやったときに、委員会の決議として、固定給を主体とする給与体系をやれ、こういう決議をした覚えがあるのですけれども、その後給与面について運輸省としてはどういう指導を今日までやってきましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/104
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105・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) いまお話し申し上げましたように、固定給が六割を今日こしてまいっておりますが、六、七年前にはちょうど逆でございまして、歩合給が六割で固定給が三割前後という状況でございました。その後陸運局は、自動車に対する指導、特にこういうものの指導につきましては、車の増車とか、そういうふうな利益を享受するような場合に、その会社の給与状況等を見まして改善の材料に、増車等の場合に増車の配分をかげんいたして指導してまいっております。そういうふうな努力が実りまして、現在平均いたしまして六割前後の固定給になっておりますが、これはあくまでも平均でございますので、それ以下の会社もございます。今日陸運局が指導いたしますのは、この平均の六割というのをさらに上げていこうということで、この固定給の平均の六割より低い会社と高い会社とでは、増車等の場合に増車の配分について手かげんをしまして、できるだけ固定給を多くするという方針で指導しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/105
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106・大倉精一
○大倉精一君 質問者もお待ちになっておるようですから、はしょってやりますけれども、先ほど運輸大臣は、免許と許可の質問に対しまして、行政上の監督上からやはり免許という措置をとったほうがいい、こうおっしゃっておるのですけれども、この監督の中で、特に交通運輸関係のハイヤー、タクシーというのは、人間の関係が一番大きな関係だと思うのです。この面についてもっと監督指導を徹底させなければいかぬと思っている。特に、今度東京都が、タクシー料金が上がっても運転手の収入が減るという珍現象が起こっておる。これは最近タクシーのウインドにも張ってあるのですが、聞いてみるというと、タクシーの値上がり分だけ歩合を減らすとか、一体これはどういうことですか。しかも、タクシー会社はいまガソリンからプロパンに切りかえておるでしょう。プロパンというのは、燃料代が三分の一で済むはずです。料金が上がって、プロパンに切りかえて、そして運転手の給料を引き下げて、こういうことは当局は知っておいでになるのかならぬのか。知っておいでになるとすれば、どういう指導をしておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/106
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107・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 最近タクシー会社の中で、そういった張り紙をして走っておる車もございます。実情は会社によっていろいろ違うようでございますが、今回の運賃改定は、申すまでもございませんが、従来の経営の状況が悪いので、これを改善するということでやったわけでございまして、運賃値上げによって運転手の給与を上げるということが改正のねらいではなかったのでございます。しかし、会社側といたしましては、したがって、運賃が上がりますというと、収入というものがふえてまいる。そうすると、固定給と歩合給の関係で、そのままでいきますというと、収入がふえますと、歩合給のほうがふえてくる——こういうことから、運賃改正になっても、運転手の事実上今日まで受け取っている収入というものは従来のままにしようという考えに立ちますと、歩合給その他の率に手心を加えなければいけないというふうなことで、組合対経営者側でいろいろもめているようなこともあるようでございます。
それから、中には、運賃改定が昨年の夏から秋ごろには行なわれるであろうという推測のもとに、昨年の春のベースアップのときにも、すでに運賃改定を予想してベース・アップしたという会社もあるようでございます。そういうふうに実情はそれぞれ区々でございますので、会社によっていろいろまた労使の折衝をやっているようでございます。運賃改定の趣旨はいま申し上げましたような趣旨でございますので、新しく会社の中の経営の合理化その他の方策によって、労使相互間の間で給与というものはきめているというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/107
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108・大倉精一
○大倉精一君 これは、きょうは関連ですから、あと申し上げませんが、ただ、こういう問題がいわゆる乗車拒否なりあるいは交通事故なりの問題に大きな関係がある。これを、先ほど大臣が言われましたように、指導監督をする必要上免許をやっておるというならば、やはり免許行政の責任者として、こういう問題を、普通の労使関係にまかしておるというのではなくて、もっと強力な指導をしていかなければならない。大臣、労使関係をほうっておいてもいいのですが、こういうことは必要な勧告をしなければいけないと思うが、大臣はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/108
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109・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) お説のとおりでございまして、私どもは厳重に監督するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/109
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110・大倉精一
○大倉精一君 もう一点だけお伺いいたしますが、運転手の不足という問題について、先ほど一台について二・四人という話があったが、二・四人おりませんよ。やはり運転手は一割、二割休んでおりまして、東京都内ではこの不足した運転手はどういうぐあいにまかなっているかというと、いわゆる臨時の運転手でまかなったという、こういう状態になっている。そこで、大体労働大臣の免許した自動車運転手の供給事業というのは二つありまして、大体二つでもって二千人くらいの運転手を持っている、そのほかに五百人くらいといういわゆる所属不明の免許証一本で渡り歩いているという運転手がいると聞いておりますが、この点について二月十日の東京新聞にこういう記事が載っておった、いわゆる「幻の運転手」という名前がついておりますけれども、この本拠が、荒川の日暮里に本拠があるということを突きとめて、これの詳しい記録を、陸運局、あるいは警視庁、都労働局等に通告しているというのですけれども、そういうことは別に何にもあなたのほうで関知しないのですか、通告を受けているというのですけれども、そういう報告は受けておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/110
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111・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 陸運局はあるいは受けているかと思いますが、あとで陸運局に聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/111
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112・大倉精一
○大倉精一君 そういう点について十分ひとつ調査して監督してもらうように要望して関連質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/112
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113・米田正文
○委員長(米田正文君) 野溝勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/113
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114・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) 私は簡単に質問をいたします。
先ほど亀田君から私の聞かんとするところをつまびらかにお伺いいたしまして、亀田君に対する答弁がありましたので、大体その点は省きます。
最初に、大臣にお伺いいたしまして、あとは自動車局長にお伺いいたしたいと存じます。
第一点は、先ほどの亀田委員との間における大臣の見解でございますが、その点を明らかにしてみたいと思います。御承知のごとく、個人タクシーの免許制度の問題は、もう今日までで免許制度が実施されてから五年になります。その間全く個人タクシーの、完全運転とまではいきませんが、ほとんど完全に近い成果をあげて、非常な好評を博しています。この点大臣は認められたわけです。そこで、運輸省は、単に自動車についてだけでなくて、全般にわたり完全運転を慫慂し、努力されておるわけです。だから、現在の個人タクシーの営業状況は、運輸省の精神にも全く沿っているわけですね。その点、私は、個人タクシー営業者は模範技術者と見て差しつかえないと思うのです。そして、この人たちの地位を一そう強めるということは、先ほど大臣の答弁の中にも示されておると思うのです。してみれば、行政管理庁の勧告のあるなきを問わず、当然運輸行政の衝に当たっておる大臣といたしましては、この制度というものを拡大強化しなければならないと思うのです。そこで、大臣は今後この免許制度をただ緩和という程度ではなくて、許可性にするというところまで努力する意思があるかないかということをお聞きしたい、それが第一点です。この際、私は強く希望するのですが、大臣はもうちゅうちょする必要はないと思うのです。もうこうなってくれば、戦時立法のような感覚では、それはだめなんです。綾部大臣、あなたもそう永久に大臣をやっているわけではないのだから、在任中にひとつ記録を残しておきなさいよ。かつて楢橋君は、個人タクシー営業の門を開くことに賛成された。今度はあなたが実施面で画期的な手を打ってもらいたいと思うのです。あなたは虚心たんかいに、先ほどの答弁に加えて、さらにまた決意をひとつ披瀝してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/114
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115・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 微力でありますが、御趣旨に従って努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/115
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116・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) 大臣にはかような決意を披瀝されましたので、これから先の質疑は、自動車局長、その他各関係者にしたいと思います。大臣、ただいまの決意の答弁、ありがとうございます。
さて、いまここで一問一答をやっていると相当の時間がかかりますので、一問一答は省略いたして、自動車局長から一括して御答弁を願いたいと存じます。
木村局長は就任以来個人タクシーの育成強化につとめてこられたが、これは歴代自動車局長には見られないことです。木村局長は、大臣の考え、情神に沿い、個人タクシーの育成強化に努力されていることを私は知っております。しかし、今日までいろいろ改善されてきたが、まだまだ問題点が残されています。その問題点について先ほど亀田委員がいろいろただしましたが、私は一人一車制と代務運転者の問題について少しくお尋ねいたします。
一人一車制につきましては、相当に改善されてまいりましたけれども、またまだ問題があるのでございます。たとえば相続人の年齢ですが、これが高過ぎていると思います。現在東京の個人タクシーの営業者の年齢は大体三十五才以上、全国的には四十才以上で、実際問題として、三十五才以上の相続人を得ることは困難です。三親等内といえば、まず自分の子供だが、三十五才以上となれば、これはむずかしく、子供になけば、兄弟ということになるが、これは一そう困難であります。この点から見ても、私は、相続年齢を引き下げて、ほんとうに個人タクシーの方々が安心して営業に励めるようにしてやらなければならないと思うのです。先ほど免許制度を許可制度まで持っていく努力をしていこう、かように大臣は先ほどの答弁で決意を披瀝されました。してみれば、この程度のことはいま考えてもよいのではないですか。とりあえずそれまでになる段階として相続年齢の引き下げということを考える用意があるかどうか、これをひとつお伺いしたいと思う。
それから代務運手者の問題ですが、初め三カ月に限って個人タクシーの営業有資格者を認めました。これはまことにおかしいことで、どう見ても常識的には判断できません。そこで、昨年の夏、これが三カ月から六カ月に延長されました。しかし、疾患等の場合に期限をつけることは、これはちょっと無理です。ですから、せっかくいまのような緩和拡大の方針をとろうという努力をされる決意を披瀝されておられるのでありますから、この際、私は、代務運転者についても実際考えなければならないと思っています。そこで、長短期の疾病にかかわりなく代務を認め、第二種免許所有者を雇用できるようにしてはどうか、こう思うわけです。私の考えとしては、三カ月や六カ月の間だけに限定してということじゃなくて、そういう点を考えて行政の親心というものを出していただきたいと思うのです。これが私の質問の要点でございますが、自動車局長からひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/116
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117・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 御質問の年齢の点でございますが、現在はおおむね四十才程度以上ということになっております。で、現在幸いに個人タクシーが非常に評判がよろしいのは、一番大きな原因は、私は安定した年齢層だけを認めておるということにあると思うわけでございます。したがいまして、個人タクシーの成果を維持するためにも、私は年齢の問題は相当慎重に考えたいと思いますが、現在も四十才程度というものをびた一文もまけられないというふうな考えではございません。やはり個人タクシーの実情、実績を今後とも見ながら、年齢についても考慮できるものは考慮いたしたい、かように考えております。
それから、病気その他の事故の場合は、現在代務の者を認めておりますが、現在は六カ月ということに一応いたしております。これにつきましては、個人タクシーというものの性格からいたしまして、その人に専属してタクシー事業という免許をいたしております関係上、あくまで代務とか身がわりとかいうことは例外でございます。しかし、実情、病気その他の点から考えまして、その間かわりの者を雇って生計の維持をさすということも必要でございますので、できるだけ短い期間ということで、三カ月でスタートいたし、さらに六カ月というところまでいったわけでございますが、病気等でどうしても今後再起不能だというものにつきましては、いろいろなタクシー事業についての財産の処分とか、そういうことがございますので、一定の期間も必要かと思います。そういうことも勘案いたしまして、大体六カ月ということにしておりますが、六カ月ではまだ十分に救済にならないという場合もありますので、先般も通達を出しまして、やむを得ない場合にはこの六カ月の期間というものを更新をしてもよろしい——六カ月を延ばすわけにはいきませんが、さらにもう六カ月更新をするというふうに措置できることを認めまして、個人タクシー業者が安心して病気の療養ができるようにしてあげたいというふうな趣旨の通達をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/117
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118・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) 非常な前進といいましょうか、よく理解されての御答弁でございますが、一人一車制について、相続問題についての内容でございますが、三十五才以上四十才にしろ、これでは実際、問題にならないのでございまして、なお考慮するということでございますが、これは考慮ということでなくて、私が前段において申し上げました、大臣もさような答弁もあり、さような方向に進めようと努力されるときでありますから、この考慮ということは、私は範囲を拡大するということを考慮するという解釈にとってよろしゅうございますか。もしこの考慮が、現在の程度において考慮するというなら、これは考慮の必要がない。考慮という言葉を削ったほうがよい。その点私は明確にしておきたい。大臣、どうでございますか。拡大して考慮する、こういう意味なんですか。さもないというと、私はもう質問を続けられないから困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/118
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119・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) お説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/119
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120・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) お説のとおりというのは、これは広義に解釈し、発展に解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/120
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121・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/121
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122・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) どうぞそういうことにお願いいたします。
第二点の問題につきましては、まあどういうふうに解釈をするかは別といたしまして、とにかく現在六カ月では問題にならぬから、さらにまた六カ月ということを考えるというのですから、私はこの点は、行政者の諸君がいわば既存業者からの反対を考慮しての御答弁だと、かように解釈しているのでございますが、どうかそれをそんな心配をしなく、いまの趣旨を当然六カ月に、六ヵ月というなら一年、あるいは二年というふうに、今後ともひとつ配慮をされて前進をしていただきたいと思います。この点についてひとつ、自動車局長、努力されるなら努力されるという御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/122
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123・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 六ヵ月の更新という問題は、既存業者の反対を気にしてそうしたのではございません。既存業者の反対という問題とは全然関係がございません。個人タクシーというものの性格から考えておる点でございますので、六カ月と——無制限ということは意味がないと思います。したがいまして、一応六カ月ということ、しかも場合によっては、事情によってこれを更新してよろしいということでございますので、前向きの方向で緩和しておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/123
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124・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) では、自動車局長としては、そういうことを各陸運局長に徹底するように、私はこの点を通達なりあるいは示達をしてもらいたいと思います。かような点はいかがですか。そうすることによって、個人タクシーの諸君も希望を持てることになる。ますます完全運転に努力することになるのでございますから、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/124
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125・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) すでに昨年の十月に御趣旨の通達をおろしております。簡単でございますから要点を申し上げますと、長期的にわたる身がわり運転の承認につきましては、従来六カ月以内に期間を限っておったが、今後はさらにその更新を認めることとし、個人タクシー事業者が安心して病気の療養につとめられるようにせよということでございます。
それから、相続の際の年齢の要件の緩和でございますが、これも従来おおむね四十才から五十五才程度となっており、相続についてもこの要件に適合することを要求することとなっていたため、実際上この措置の恩恵を受ける場合はほとんどなかった実情にかんがみ、相続の場合の年齢要件について陸運局長において若干運用上の考慮を払いなさいという意味の通達をすでに出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/125
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126・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) さような通達を出していただいておれば、なおさらその通達をより一そうタクシー運転手の方々にも徹底するようにお願いしたいと存じます。
次に私がお伺いしたい点でございますが、先ほど関連質問で質問がありました大倉委員の質問の裏打ちと申しましようか、これに関連をしておる問題でございますが、運賃値上げということは経済企画庁あるいは運輸省の間におきまして相当問題になりました。一時は物価との関係等がありまして値上げを相当期間押えてきたというわけでございますが、運輸大臣の努力が報いられたというわけでありましょう、最近東京でも約二割の値上げをしたわけでございます。そのときに、物価との関係をにらんで、大体うちの従業員諸君が物価が高くてやりきれぬ、だから賃金の値上を要求をしておる、そういう関係で、特に法人はこの点を内容にうたって料金値上げを要望しておったわけです。ところが、実際に値上げをされた結果はどうかというと、賃金の引き上げになっておらぬのです。五島系の東急、小田急をはじめ、各方面を調べてみると、大体の会社は、従来の十三万円ぐらいの水揚げにプラス一万五千円がないと給与の引き上げができないと、こう言っている。そうすると、実際に運転手の諸君は努力してもなかなか十四万五千円の水揚げを得ることがむずかしい。だから、勢い無理をするから、なるべく人の多いようなところばかり回って歩かないというと収入が少ないので、乗車拒否もするというのですよ。これは大臣、よく聞いておいてください。新聞にも出ていますが、ほんとうなんですよ。悪いとは知りながらも、そうしなければ生きていかれないというのです。運賃値上げがあってから、十四万五千円なかなかないそうです。だから、会社の諸君はそれをたてにとっておりますから、勢い、大倉委員の話ではございませんが、運転手は月給を減らされたということになるのです。こうした問題を今後このままにしておくと、相当問題になりまして、労働省あたりに押しかけるんじゃないでしょうか。主管行政である運輸省があと追いということじゃまずいですよ。だから、あと追いにならぬうちに、いまのうちに手を打っておけというのが私の意見なんです。そこをひとつ、先ほど数字などはわからぬとか、A会社によっても違う、B会社によっても違う、C会社によっても違う——それはそうでしょう。そんなに画一にはいっておりませんが、大体私の調べたところではそうなんです、私は、行政というものは、やはり民の声をよく聞いて、その声を生かしてやるようにしてもらいたいと思うのです。ですから、その意味で至急お調べを願いたい。大臣がせっかく骨を折って運賃を上げても、実際は労働者の賃金抑制などがあらわれた。これではなっておらぬではないかというようなことで、ひとつこの点につき早く手を打って、労働者が安心して運転のできるようにしてもらいたい。特に、オリンピックの近くになってから、外人が来たときに、お断りいたしますというようなやり方をされたのでは、大臣顔色がないですよ。日本のためにも私はよくないと思いますから、どうかそういう意味で、この点ひとつ至急調査をして、働く者が希望の持てるように、完全運転のできるように、乗車拒否なんていう非難を受けないようにしてもらいたいと思うのです。この点ひとつ大臣から答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/126
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127・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 野溝委員のいま申したようなことは、もう常平生考えて、そういうことになるように努力いたしてまいっておるのでございます。今後ともその努力を事務当局とともに続けていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/127
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128・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) 大臣、努力という言葉は抽象的な言葉でございますが、やるという努力をする、至急調査をし、さようなことのないようにして、労働者の、働いておる人のしあわせ並びに安全運転をさせるように努力をするという解釈ですね、そういう決意ですな。
この運輸行政の点でもう一点お伺いします。先ほど来亀田委員その他の委員からも質問がありましたように、タクシー台数は、法人タクシーにおきまして二万五千台、個人タクシーにおいて三千九百台、これは間違いございませんか、自動車局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/128
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129・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) お話は東京都区内のお話だと思いますが、若干、ごくわずかですが、違います。東京二十三区につきましては、法人タクシーがことしの二月二十一日現在で二万一千五百三十六両、それから個人タクシーが四千とんで十両、合計二万五千五百四十六両であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/129
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130・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) それで、法人タクシーの未稼働がどのくらいありますか。調査済みでございますか、調査済みでなかったらば、予想だけでもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/130
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131・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 運転手の不足によりましてやむを得ず休んでおりますものが大体千両前後であったと記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/131
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132・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) そうすると、御検討願わなければならぬことだと思うのですね。それだけあって、まだこの免許資格を得なければならぬということは、これはおかしいじゃないですか。運転手の不足ということをいま局長言われましたが、労賃を安く、ノルマを強くするから、こうなるのですよ。何が会社をそうさせたか。ここなんですよ。タクシー・ハイヤー法人は昔のように権利を売買してプレミアムをつけてもうけたような時代を夢見ないで、そうして自分たちも十分反省すべきです。今後タクシー免許にあたりましては、むしろ個人タクシーのほうに多く与えてもらいたいというぐあいの要請をすべきがあたりまえです。しかし、それがなくても、その事実に照らしまして、ぜひひとつ大臣はじめ当局の御勘考を願いたい。先ほど亀田委員もおっしゃいましたように、運輸省は、完全運転をやり、事故も起こさず、表彰すべきところの個人タクシーの拡大、発展のために、協力すべきだと思います。特に、オリンピックももう間近に迫っておりますが、タクシーの不足は、私の見るところでは五、六千台あると思います。当局の方針といたしましても、法人タクシーを四千、個人タクシーを二千台ぐらい、この不足分として補足しようというようなお考えを持っているらしいのでございますが、この点につき、自動車局長から御見解なり御答弁なりをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/132
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133・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 運転者の不足に基づきます車の休車の状況、先ほど申しました千両内外でございますが、運転者の不足の原因はいろいろございます。しかし、タクシーに対する需要も非常に高いわけでございますので、利用者にこたえるためには増車をいたさなければなりません。増車と運転者の不足ということが非常にからみ合いまして、今後の増車はきわめて困難でございますが、しかし、いろんな点を、陸運局といたしましても、きめのこまかい指導をやりまして、今後の輸送力増強をやっていく計画を持っております。したがいまして、今後の輸送力の増強につきましても、運転者の充足状況を見ながら、運転者の確保のできるものについて徐々に増車を認めていく。したがいまして、いまお話しの六千両程度の増車を考えておりますが、これも一気に六千両やることは困難だと思います。何回かに分けまして、運転者の充足状況等を見合わせながらふやしていく。個人タクシーも、もちろんふやしてまいります。個人タクシーをふやしますと、法人タクシーの運転者がまたそれだけ抜けていくという面もありますので、なかなかその辺は困難でございますが、陸運局といたしましては、いろんなそういった要因、原因等を十分勘案しながら、利用者の利便の増進をはかるように措置を講じていくような指導をいたしてまいりたいと思います。運輸省といたしましても、その方向に指導していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/133
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134・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) 私は、これは答弁は求めません。最初の大臣の決意のとおり、私は行政上においても大胆にやってもらいたいと思うのです。その既存の業者に遠慮しておる必要はない。私は、既存の業者を葬れとか、やめろとか、こういう意味じゃないですよ。いまのように数字にあらわれておるじゃないですか、実際。千両が休んでおるという状態ですよ。その事実をつかんでおりながら、先ほど局長の前向きの姿勢ということに対しては、この事実からでも私はわかるわけです。だから、そういう点を強く私から要望しておきまして、ここで答弁は求めません。大臣の決意、前向きの姿勢という自動車局長の答弁、その精神に向かって私はやってもらいたいということを希望しておきます。
最後に私がお聞きしたいことは、これは町の問題でございますが、スモッグ禍の問題がやかましく言われております。東京にしろ、大阪にしろ相当問題になっておりますが、このことについてちょっとただしたい。きょうは、数字など、いろいろこまかなことは申し上げません。私のちょっと感じた点でございますが、最近バスが、まあ東京都内だけでも独占会社が十ぐらいあるのでしょう。五島系の東急、堤系の西武をはじめ、関東バスだの、あるいは何バスだの、いろいろあります。これらは、日本の国有財産、あるいは国鉄等の所有地であるかどうかわかりませんが、そういうところを勝手ほうだい、わがもの顔して使って、そうして一料金は値上げをする。労働者には待遇が悪い。そして町の中を重油の煙をふき出しながら走っていく。環境衛生がどこにあるかと言いたい。環境衛生法その他関連の法律はどこか、おかしなところがある。一方においては、環境衛生上、生鮮食料などは非常に取り締まりを厳重にしておる。ふしぎなのは、浴場取締規則というのがあって、石炭の煙が害を及ぼす、あるいは消防上非常に危険だといって、煙突を何メートルにしなきゃいかぬと言っている。他方、自動車がふき出す重油の排気ガス、あれを放任している。こんなだらしのないことがありますか。理屈はつけるかもしれませんが、市民はあの排気ガスのために非常な迷惑をしています。あれはそろばんをはじくのだと思うのですが、こういう点について、私はこの委員会におきまして聞いておかなければ、市民に対する答えができませんので、お伺いしておきたい。環境衛生局長か、厚生省からどなたが来ておるか知りませんが、その人に答弁願いたい。厚生次官ですか、来ておるようですが、それから答弁願いたい。それと、運輸省のこれらに対する見解、並びにこれらの問題に対するいままでどういうふうにしておるかという点、今後どうしようかという点をお伺いいたします。最後の質問でございますから、ひとつ両者の方々からお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/134
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135・河角泰助
○説明員(河角泰助君) ただいま先生のほうから御質問がございました、自動車の排気ガスの関係でございますが、厚生省といたしましては、一昨年でございますか、御指摘のとおり、ばい煙の排出の規制に関する法律を通産省と共管で施行いたしておりまして、鋭意そちらのほうの施行につとめておるわけでございますが、自動車の排気ガスにつきましては、昨今自動車の交通量が非常に著しく増加いたしまして、御指摘のように大気汚染の重要な原因の一つとなっておるということは事実でございます。で、目下、私どものほうといたしましては、本年度の予算におきまして大気汚染の実態の排気ガスによります把握をひとついたしてみたいということで、都内三カ所に自動記録計をつくりまして、その汚染測定を行なっておる最中であります。なお、この点につきましては、自動車の機械構造の改良の部面もございますので、それぞれ、運輸省なり、あるいは通産省なり、そういったようなところで研究費をとりまして、研究をいたしております。今後こういった実態の把握を見まして、さらに法規制を大気汚染の一部としてこうやっていくかどうかということを検討してまいりたい、こう考えております。
で、現在法規制といたしましては、私どもの所管ではございませんけれども、道路運送車両法という法律によりまして、俗に言う車体検査でございますけれども、保安基準というものがございまして、自動車の走行中ばい煙、あるいは悪臭あるガス、有毒ガスを多量に発散しないようにしなければならないという基準がございますわけでございますけれども、いま言いました実態の把握や研究面がおくれておりまして、十分チェックをすることが困難な状況にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/135
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136・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 自動車からの排気ガスの問題につきましては、二通りのことが考えられるわけでございます。一つは、自動車の性能によりまして、自動車の整備の問題でございます。これにつきましては、ただいまお話ありました道路運送車両法に基づきまして、保安基準の中に、この排気ガスをこします清浄器というものを機械装置としてエンジンにつけることになっておりますが、これを必ずつけ、しかも定期にこれを点検して、常に性能の狂いがないように、よく働くように整備することを昨年から義務づけてやっております。しかし、この清浄器そのものが、現在取りつけておりますものにつきまして、まだ完全な清浄器ではございません。そういう点まだ科学技術の方面の研究課題でございまして、現在、厚生、通産、運輸と一緒になりまして、科学技術庁の中でそういう研究機関を設けて、いろいろ研究をいたしております。それから路上で、たとえば急停車をする、あるいは途中で急に速度を出す、あるいは必要以上に荷積みをします。そういう場合に、そういう理由から運転操作上の問題として排気ガスを出す場合がございます。これは路上の道路交通の取り締まりの問題でございまして、これは道路交通法によりまして、道路運転中こういったばい煙等によって他人に著しく迷惑を及ぼすおそれのある不良車は運転さしてはならないという規定が道路交通法にございまして、これによって街頭において警察官が取り締まっておる。この二つの方法で対策を講じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/136
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137・野溝勝
○委員以外の議員(野溝勝君) これは御答弁なくていいですが、最後にもう一度希望を述べておきます。それから御当局の方々、その対策を練って研究をされておると思うんですが、これはきょうやあすの問題じゃないので、相当長期にわたっておる問題であります。もう二、三年前からこのスモッグ問題相当やかましく唱えられておるんで、もうこんな問題はとうに解決をされておらなければならない問題じゃないかと思う。だから、漫然ということはあり得ないことだと思うのですが、ひとつ、研究というだけじゃなくて、至急これをまとめて、市民大衆がああよくなったという気持だけでも持たせるようにして、関係当局の御心配を願いたいと思います。研究、研究じゃなくて、ぜひお願いしたい。それからいま一つ、ちょうど大臣もおられるので、この際お願いしておきます。交通事情交通事故防止、交通道徳等が御承知のごとく大きな問題になっております。このことは、車を運転しておる方々にも責任がありますが、他方人民のほうでも相当考えなければならないことは申すまでもないところです。小さな問題を言うようでございますが、たとえば舗道を歩く場合においても標識をよく見ろとか、あるいは一つの通行路を選べとかいうようなことが言われておりますが、なかなかまだ奨励徹底しないところもあります。これは教育行政のほうと、わが党から岡委員も出ておられますから、文部省のほうともよく話し合いをされて教育界のほうでもこの交通行政に協力するように、ひとつ皆さんのほうからも懇談をする、そうしてともに協力して交通事故のないように行政をやっていくように御努力願いたいと思います。
委員長、非常に長い間質問をいたしまして、お許しを願いたい。この御答弁を受けてから私の質問を終わることにいたします。大臣、お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/137
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138・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 全く同感でございまして、教育当事者である文部省当局ともよく連絡をいたしまして、われわれの最も念願するところでございますから、野溝委員の御趣旨に従いまして、大いにその方面の努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/138
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139・米田正文
○委員長(米田正文君) ここで一時間休息をいたしまして、午後二時五十分に再開をいたします。
午後一時五十二分休憩
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午後三時三十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/139
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140・米田正文
○委員長(米田正文君) 休憩前に引き続き委員会を開きます。
日本鉄道建設公団法案及び鉄道新線建設緊急措置法案を一括して議題といたします。
御質疑の方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/140
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141・大倉精一
○大倉精一君 公団法について若干質問をしますが、いろいろ現在まで質問があったのですけれども、重複するかもしれませんけれども、よくわかるように御答弁を願いたいと思います。
今度の公団法は、鉄道建設審議会の答申に基づく予定線なり、あるいはまた着工線なり、こういう新線の建設について、国鉄ではうまくやれないと、こういうことで別のものをつくってやらせようと、こういうことだと思うのですけれども、現在までの運輸審議会の答申にかかわる着工線並びに予定線の推捗状況はどんなものでしょうか、これからまずお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/141
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142・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 進捗状況ということでございますが、着工線は御承知のように全部で四十三線ございます。北は北海道の美幸線から、各地で行なわれておりまして、そのうち部分開業をいたしましたものが辺富内線、これが三十三年十一月に一部分開業をいたしております。それから根北線、これが三十二年の十一月に一部開業いたしております。鷹角線は三十八年の十月に一部開業をいたしております。能登線は、区間が三つに分かれておりまして、三十四年六月、三十五年の四月、三十八年の十月、それぞれ部分開業をいたしております。越美線が一部、三十五年の十二月に部分開業をいたしております。三江線は、これは二区間ございまして、三次、式敷の二つの部分に分かれておりまして、一つは三十年の三月、一つは三十八年の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/142
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143・大倉精一
○大倉精一君 ちょっと報告中ですが、大体何%ぐらいすでに開業をしておるか、あとどのくらい残っておるかと、こういう割合によってひとつ示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/143
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144・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) いまの御質問ですが、大体大ざっぱな傾向を申し上げますと、戦後、新線建設に着手いたしましたのが昭和二十七年度からでございますが、最近までに建設に着手した新線は、全部で五十五線ございます。これは延長キロで二千百十八キロ、このうち、いま山田理事からお答えしましたが、すでに全線開通したものが二十五線ございます。それから部分開業をしたものが九線ございまして、合わせて七百八十五キロ開通しております。さて、現在工事中のものは、いま山田理事からお答えいたしましたが、三十線でございまして、その延長は千五百二十八キロでございます。そのほかに鉄道建設審議会で着工線と建議されたものが十三線で、延長は五百五十キロ、したがいまして、工事中のもの、その他、その後建設審議会で着工線と建議された、これをわれわれ従来四十三線と呼んでおるわけでございます。そのほか鉄道建設審議会で調査線として建議されたも一のが十八線で、延長は全体で千五十九キロございます。これが戦後建設線の状況あるいは現在大体実施中の状況という大ざっぱなお答えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/144
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145・大倉精一
○大倉精一君 そこで、予定線と着工線について、現在の状態の進捗状況でいけば、大体完成するのにどのくらいかかりますか。何年ぐらいかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/145
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146・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 着工線が四十三線でございまして、総延長が二千七十七キロ、このうち部分開業がございますので、未開業区間の延長が一千八百八十三キロ、総事業費が二千三百十三億、このうち、すでに三十八年度までの事業費が三百十六億でございます。したがいまして、三十九年度以降の所要事業費というものが一千九百九十七億円、概数で約二千億円でございます。そのほか調査線が先ほど申し上げました十五線でございまして、これの延長キロが九百十七キロ、これはまだ一つも手をつけておりません。これの事業費が一千五億円、約一千億でございます。したがいまして、三十九年度以降の着工線、調査線の総事業費というものは三千二億、約三千億でございます。これは、今後の資金の規模によっても違ってまいりますが、私ども運輸省としては、一応これを全部現在手をつけております。着工線あるいはこれから手をつけようとする調査線、こういったものを今後重点的に、一応十カ年程度で片をつけてまいりたいと考えております。それで一応三十九年度は、政府資金が二十五億、国鉄資金が七十五億、これは予算案できまっておりますので、百億程度、最初の五年間と申しますか、三十九年度を含めてあとは二百億から、大体年によって違いますが、三百億ないし四百億に近いかっこうで、一応の年次別の割り振りをやっておりますが、大体十カ年程度で現在手をつけております、あるいは、調査線というものは重点的に完成してまいりたいというふうに一応腹案は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/146
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147・大倉精一
○大倉精一君 いまの十カ年というのは、公団をつくってやった場合にそういうことなんですね。じゃ、公団をつくらない場合、従来どおりにやったら、どのくらいかかるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/147
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148・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 従来は、年によって違いますが、大体七十五億——八十五億、そういうベースでやっておりますので、かりに国鉄が七十五億ベースでやるといたしますと、十ヵ年で七百五十億でございますから、四十年くらいかかるということに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/148
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149・大倉精一
○大倉精一君 そういう状態を今日までほうっておいたということ自体が間違いだと思うのですけれども、運輸審議会が必要であるといって答申したものを、これを四十年かからなければできないなんて、たいへんなことだと思うのです。そういう原因はどこにあるのですか。これは異常な状態です。四十年というと、現在の日進月歩の社会において、経済、文化その他の関係において、もうすっかり鉄道の需要あるいは、効率というものは、全然変化をしてくる。で、どこにそういう原因があったか、それについて見解をひとつ示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/149
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150・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) これは、一言で申し上げますと、資金量が足らなかったということで、ございまして、国鉄は新線建設もちろん重要でございますが、他方、現在線の輸送力の増強、改良、あるいは保安対策というようなものに追われておりまして、結局資金の配分をする場合に、在来線の改良、輸送力増強ということが、勢い重点になりまして、なかなか新線建設まで手が回らない。したがって、毎年七十五億とか八十億というベースでやっておった。まあ従来どおり国鉄にやらせますと、建設審議会で十分御審議を願って建議をいただき、着工線、調査線をきめておるわけでございますが、資金がこれに追いつかないというのが従来の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/150
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151・大倉精一
○大倉精一君 いまのお話でありますと、資金が足りなかったという点に尽きるのですね。がしかし、これは運輸審議会においても、そういう国鉄の状態やら、あるいは地方の道路の開発なり、あるいは産業経済の開発なりというものについて、そういうものを検討しながら答申を出してくると思うのですね。ですから、国鉄は国家の機関でありまするから、そういう必要なものは、やっぱり建設していかなきゃならぬ義務があるのですね。法律的に義務がある。義務があるが金がないからできない、こういうことだろうと思うのですね。そこで、これは政府の責任が大きくあるのですけれども、こういう状態を改めるためには、資金の面と同時に、新線建設を決定する方法について再検討する必要があると思うのですね。そういう抜本的なことをやらないというと、ただ公団をつくっても、これはやっぱり目的に沿うようなかっこうにはならぬじゃないかというような気がするのです。たとえば国鉄が自分でこういうものをつくりたいといって公団に注文するんじゃないでしょう。運輸審議会のほうで、多分に政治性を含んだきめ方をして、これでもって国鉄はおやりなさい、こう言ってくれば、資金の問題以前の問題として、私はいろんな状態が出てくると、こう思うのですね。これは大臣に聞きたかったのですけれども、そういう問題、公団だけつくってこっちから金をこれだけ持ってきて、こっちから金をこれだけ持ってきて、人間をこちらからこれだけ持ってきて、ということだけで、新線の建設が画期的に進捗する……、どうしても私わからぬのです。そういう幻想を国民に与えるのじゃないかと私は思うのですけれども、私はそういうようなうまいぐあいにはいかぬと思うのですね。ですから新線建設の決定の方法自身について私は検討する必要があると思うのですけれども、まあお答えができるならば、ひとつ感想をお漏らしを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/151
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152・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 従来建設線の進捗状況が悪かったのは、いま御指摘になりましたように、国鉄全体が資金量が足りないと申しますか、非常に窮屈な状況になっておりますので、勢い、何といいますか、幹線と申しますか、既設線の増強、輸送力増強に重点が置かれてきたのが実情でございます。そこでまあ、鉄道建設審議会で三十七年に建議がございましたが、それを受けまして、国鉄では一応責任体制を明確にするという意味から、在来線の増強、運営に重点を置いて、それから地域格差の是正であるとか、あるいは臨海工業地帯の関係あるいは新産業都市、こういった国家的な見地から要請される新線につきましては、一応別な主体をつくって、これに専念させる。それから資金も国鉄の資金だけでなくて、政府等からも資金を出してやっていこうというのが建議の趣旨でございまして、それにのっとって私どもは現在御審議を願っている公団法を出しているわけでございます。そこで、いまお尋ねのございました鉄道建設の手順と申しますか、これは鉄道敷設法によりまして、鉄道建設審議会が中心になって御審議を願い建議なり答申をいただいて、それに基づいて私どもやっておるわけでございますが、これにつきましては、私ども従来、建設審議会も新線の問題を非常に慎重に御検討になり、適切な建議なり御答申を従来いただいておると思いますので、まあ感想になりますが、私どもとしては、大体現在の方向でいいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/152
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153・大倉精一
○大倉精一君 まあ運輸審議会の中身については、大臣が見えたらお尋ねしますが、審議会の経験のある人の話を聞きますと、運輸審議会の審議なんというものは、その日になってばかっと問題を出されて、非常に簡単な資料を出されてそれでもって審議をしておる、どこに何が敷かれるかわからぬという状態でやっているのです。どうもそうらしいのです。そういうものを押しつけられたんでは、公団をつくろうが何をつくろうが、やはり同じだと思う。これはあとから大臣に聞きますが、要するに、金が足りなかったというのですけれども、公団をつくるというと政府から借り出せる、そのほか、公団ができて金ができる方法はどんなものですか、どうやってつくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/153
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154・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) すでに成立しております三十八年度の予算におきましては、国鉄の出資が七十五億円、それから政府、これは産投会計からでございますが、政府の出資が五億円、それから政府の融資——運用部でございますが、融資が五億というものが三十八年度の成立予算でございます。それから現在御審議を願っている来年度、三十九年度の予算におきましては、国鉄の出資が七十五億円、政府の出資が十億円と、融資が十億円、合わせまして九十五億というのが来年度の予算でございます。なおそのほか、公団法の中に書いてございますが、公団債券も発行できるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/154
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155・大倉精一
○大倉精一君 そういうような問題は、公団をつくらなければできぬのですか。これは、政府は国鉄当局に金を出せばいいと、しろうとには思うのです。来年七十五億と、こうおっしゃいますが、いままでの新線建設には七十五億くらいの金は負担しておったでしょう。国鉄は公団をつくらなければ政府は金を出さぬ、公債の発行はできぬという、そういう理屈はないと思うのです。どうでしょう、何かほかに理由があるのですか、公団をつくるという点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/155
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156・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 国鉄自体が建設線をやりまして、これにあるいは出資、あるいは融資という道がないわけでは私はないと思います。しかし、一応主体を別にいたしまして、先ほど申し上げましたように、国有鉄道は在来線のほうに専念をいたしまして、新しく国家的な要請を加味した新線建設というものは、別な主体にやらせるほうが、責任体制が一応明確になりますし、したがいまして、新しい公団に政府が出資なりあるいは融資をしたものは、何と申しますか、はっきりと新線に使える、要するにこれは技術的な問題だと思いますが、公団にしたほうが、政府としては出資なり融資がやりやすいということで、公団を新設してまいりたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/156
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157・大倉精一
○大倉精一君 実は私も、これはしろうとでわかりませんけれども、いろいろ提案理由やなんかひっくり返してみても、どういうわけで公団をつくらなければならぬかということがどうもぴんとこないのですから、いま端的にお話があったように、公団をつくったほうが政府は金を出しやすいと、どういうわけで公団のほうが出しやすい、国鉄には出さぬかという疑問も起こります。それから、さらに新線建設と、東海道新幹線もあるのですけれども、公団をつくったほうがいいという考えは、いつごろからそういう考え方になったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/157
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158・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) これは先ほど申しましたように、三十七年の五月ですか、五月の鉄道建設審議会の建議に基づいておるものでございまして、私どもこういう考え方を持ち出したのは、三十七年ころから持ち始めたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/158
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159・大倉精一
○大倉精一君 形式的にはそういうことになっております。審議会のほうで、政府でやれるか、国鉄にやらせるか、あるいは公団にやらせるかということがあるのですけれども、そういうぐあいに、審議会の運営等を見ておりますと、やはり審議会のほうで知恵をつける人が相当おると思うのです。そういう構想がおありになってそのほうがいいというならば、なぜ東海道新幹線のときに公団をつくらなかったか、こういう疑問がちらっと出てきたわけです。これはその当時はそういう構想は全然なかったのですか。ああいう大きな工事を国鉄みずからやっておって、そして地方の鉄道だけ別のものをつくって、政府はそのほうが金を出しやすいというけれども、どんどん出すじゃありませんか、新線建設に。これは大臣に一ぺん聞きたい。どういうわけで公団をつくったほうが政府の金を出しやすいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/159
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160・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) これは絶対論ではございませんで比較論、どっちがよりよいかということになると思うのです。私どもとしては、新線建設という目的をはっきりしまして、それに政府資金をつぎ込んでいくほうがよりよいということ。それから、いま東海道新幹線の問題が出ましたけれども、これは私どもとしては、これも一時議論はございましたが、これは要するに新線建設ではなくて、性格としては東海道の複々線化ということでございまして、東海道全体の大改良、線路増線という形でございますので、在来線の要するに線増でございますので、国鉄にやらせるのが一番適当であるというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/160
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161・大倉精一
○大倉精一君 どうも、だんだんわからぬようになってくるのですけれども、線増にしても新線建設にしても、鉄道をつくることについては変わりはないと思うのです。しかも、今度の東海道新線建設の工事量はべらぼうです。世界に誇る大工事だといわれておる。これこそ、私はそういうものをつくってもいいのじゃないかという気がするけれども。それは国鉄がやれるのですから、今度新しい地方の幹線でもやれぬはずはないのだ。政府も、その建設に要する金というものを国鉄に出せないはずはないです。公団をつくるといったって、何をつるといったって、やはりこれは国鉄から技術員なり何なりを持ってこなければやれぬでしょう。よそから持ってくるわけにいかぬ。どうしても私はそこらがわからぬ。そして政府はそう言っておきながら、投融資は五億円ですか、来年度十億円ですか、非常にわずかな金ですね。公団をつくったから金を出してやるというものじゃないです、五億円だ、十億円だは。どうもそういうところがわからぬ。しかも、法案を見てみるというと、建設審議会でこれをつくれといって命令されたものを公団がつくって、そしてあまりもうからぬような線は国鉄に貸与あるいは譲渡するというのですが、もしもうかったら公団に返せ、そうなっておると思うのですけれども、国鉄は困りませんか。これは国鉄は、工事の進捗状態が悪ければ今度は国鉄が非難される。公団が悪いと言われるから国鉄はのがれられるかもしれぬけれども、かえって国鉄が困るようなことができやしませんか。しかも、そういう線をもらって赤字が出たらどうしますか。どこが負担しますか、赤字が出たら。そういう点なんかどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/161
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162・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 前半の御質問でございますが、これは同じようなことを繰り返して恐縮でございますが、国鉄はやはり在来線の輸送の増強ということに主力を置かせたい。したがいまして、従来とかく、何といいますか、資金の関係もございますが、進捗状況の悪い新線というものはこれは分離をして、これに政府資金もつぎ込んで工事規模を大きくして能率的にやっていこうというので別の組織を考えたわけでございまして、これは議論になりますが、国鉄であれば政府資金を出さないかと言われますと、出せないわけではないが、別の組織のほうが出しやすいという、比較論になると思います。
それから後半の問題でございますが、従来鉄道建設審議会で調査線なり着工線に選定いたします場合に、これは鉄道だけでなくて、他の道路網あるいは内航海運という問題、要するに総合的に国民給済的に判断されまして、それで予定路線の中から調査線、着工線を非常に慎重に審議をして選定をしてきております。したがいまして、貸与後の経営という点も考慮に入れまして選定をしておるわけでございまして、いわば非常に厳選主義をとっておる、今後も一そういう方針でいく——運輸審議会が進まれるものと考えておりますが、しかし、これから開業されます線は、御承知のように、しばらくの間は、かなり経営の赤字が出るというのが事実でございます。しかし、この赤字の原因を申し上げますと、従来鉄道が自分で自分の資金を使って建設しておりました場合には、この赤字の大部分の要素は何といいますか、経営上の赤字のほかに、間接的な経費たとえば減価償却費あるいは利子あるいは固定資産税、こういった要素がかなり大きな部分を占めておりますのでかりに公団が建設をいたしましても、これを国鉄に運営をまかせる場合に方法が二つございまして、譲渡の場合と、それから貸す場合と両方ございます。貸す場合が多くなると思います、貸与の場合は、これはいままで数回の本委員会あるいは衆議院の委員会で、大蔵大臣が出られまして明確に答弁をされておりますが、これは国鉄の経営上の立場を考えまして、有償にするか無償にするかをきめてまいる、私どもは、いままで御答弁申し上げた点あるいは大蔵大臣が御答弁をされました点を要約いたしますと、平たい言葉で申せば、赤字線は、これは大体無償で貸し付けることになろう、したがいまして、この着工四十三線あるいは調査線十五線の中で黒字が予想されますのは、ごく若干でございまして、あと大部分は、少なくとも当分の間は赤字経営ということになりますので、こういったものは実際問題としては国鉄には無償で貸し付けるということになろうと思います。そうなりますと、いま申し上げました間接経費的な減価償却費、あるいは利子あるいは固定資産税というものは公団が負担をいたします。したがいまして、ランニングコストのほうは非常に低減いたしまして、実際経営上の赤字というものは、従来国鉄が自分で建設をし、自分で経営した場合に比べて、非常に軽くなる、国鉄の経営上から申しましても、負担は非常に軽くなるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/162
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163・大倉精一
○大倉精一君 大臣がおいでになったのですけれども、さっそくですけれども、公団をつくるという意味がどうもわからぬものですから聞いておるのですけれども、要するに、いままで新線建設が進捗しない原因は、資金がなかった、こういうことらしいのですね、資金がなかった。ところが、どうも資金がないということだって、鉄道建設審議会あたりが新線建設を決定する一つの方法ですか、あるいは鉄道建設審議会のあり方ですか、そういうものをやっぱりこの際抜本的に検討をしないというと解決がつかないのじゃないかと思いますが、運輸大臣、そういう点についてはどういうお考えを持っていらっしゃいますか、お伺いいたします。非常に政治性が強いですね、運審は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/163
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164・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 鉄道建設公団をやらなければ、着手線、建設線が進まないという理由は、御趣旨のとおり、資金が足りないということがもうこれは最大原因であることは申すまでもありません。しからば、どうすれば資金が得られやすいかというと、私はやはり、あの建設審議会の答申にもありますように、別個の組織をこしらえましてやるほうがいい。と申しますのは、この前も御答弁申しましたように、大体鉄道建設公団、新線の建設というものは、採算がとれないのが大部分です。ですから、たとえば北海道の山の中へ鉄道を敷くと、こういうときに、金を出す政府の出し方でございますが、目前には、非常にもうかる線ではありますが、今日いろいろな施策が要望されております。運輸確保のため、あるいは運転保安のため、あるいはサービスのため、非常な多額の金が要求されておる。一般に、あんな北海道の山中へ鉄道をこしらえるならばとか、あるいは九州のいなかにこしらえるとか、そういう金があるなら、まず眼前のこれを直したらどうかということが、始終いろいろな形で申されておるのは、大倉委員御承知のとおりであります。そこで、そういう金は、別に、そういうところへ金をつぎ込むという印象を除きまして、新線建設にどうしてもやらなければいかぬのだといって出すほうが出しやすいという、こういことが、私は、一つの考え方ではなかろうか。鉄道は、もう二万キロ前後の大きないまある鉄道を最も安全に、最も事故のないように運転することに国鉄は精進すべきではないか、これが俗受けな議論なんです。そこで私どもは、そんなことをいっておって七十五億円ずつくらい新線を建設しておった場合には、さっき大倉さんが指摘されたように、四十年もかかるというようなことでは意味がないじゃないか、私はさように考えまして、この建設公団法が、国鉄でやってやれぬことはないが、これでやるほうが、金も出しやすい。とるほうからいえばとりやすい、政府からいえば出しやすい、こういうことで、私は鉄道建設公団をぜひひとつ成立するよう御審議を願いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/164
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165・大倉精一
○大倉精一君 いま私の質問は、それもお尋ねせんならぬけれども、いま大臣がおっしゃったような、北海道のあんなところへ鉄道敷くくらいならという、そういうところへ決定するのは運輸審議会なんですね。どういうわけでそういう線を決定するかということ、これはいろいろさっきも言ったんですけれども、運審の経験のある人に聞きますというと、当日問題を出されて、非常に簡単な資料を出されて、そうしてそれが政治発言でもってきまっちまう、これを鉄道が引き受けなければならぬ、こういうシステムを直さなければ、これはやっぱり根本的な解決にならぬじゃないか。ですから、新線をきめる方法ですね、手続、これをこの際検討する必要があると思うのですが、いかがでしょうか。私は、運審なくせというのじゃないのですよ。ないのですが、そういうことを中身を検討しなければ、たとえ今度でも、こういうものを引いてくれといって鉄道が公団に注文するわけじゃない。運審が相変わらずそういうかっこうで出して、それに対して公団がつくって、つくったものを鉄道がこれで商買やれ、運営せい、そうなってくるのですね。ですから、私はそういうふうになれば、一番根本のものを直さなければならぬのじゃないか、それについて大臣のお考えを伺いたい。これは久しい問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/165
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166・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 今後のこの鉄道建設公団が事業を進めるにあたりましては、十分そういう点を考慮いたしまして、順位、それからその他については、一切、やることにひとつ考慮いたしまして、適当な処置をとりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/166
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167・大倉精一
○大倉精一君 公団法が問題になったことと並行して、そういう議論はどこかでされたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/167
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168・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 私は運輸大臣になって、そういう、まだ建設審議会に出たこともないし、そういう公式の場所で公式の発言等をいたしたことはございませんが、部内におきましての会議等では、よく世上政治路線だとかなんとかいわれるから、ひとつどうすれば地方格差の是正になるか、どうすれば未開発の資源の開発に必要であるかということを考えて、やるならやらなくちゃいかぬじゃないかということは、しばしば出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/168
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169・大倉精一
○大倉精一君 これは昔からの問題で、非常にむずかしい問題ですが、いつも、よく検討してみます、こういうことで終わってしまうのですね。それで大臣はおかわりになってしまう。しかし、これを検討しないというと、これはもう抜本的な問題です。これはいままで運輸審議会と言っていましたが、鉄道建設審議会、これをひとつどうしても検討しておかなければいかぬということ、
それからさっきいろいろ、お金が出しいいというお話があったのですが、これは廣瀬君も言いましたが、どうも私はわからぬですね。たとえば今度金が足りない、ですから公団をつくってやる、政府から出資が五億円、あるいは投融資五億円、何がしかの金が出る。それがなぜ国鉄に出せないかということですね。しかも、やはり公団つくっても、人間は国鉄から持ってこなければ、やはりつくれないでしょう、総裁も、副総裁も要る。それで責任体制云々と言われますけれども、しかも、東海道新幹線のような大きな工事で、国鉄がみずから堂々とやってのけるものもあるのですから、金さえつぎ込んでいけば、りっぱにやっていけると思います。しかも、国鉄は自分で運営する鉄道を自分でつくるのですから、一番合理的です。どうも私はそういう点がわからぬのですけれど、国鉄であれば出ない、公団であれば五億だという、その理由をもう一ぺん聞かして下さい。私にはよくわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/169
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170・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) たびたび申し上げますように、国鉄はある程度大きくなりましたから、大きな現在の既設線を完全に運行していくということに非常な意義があり、同時にまた、それをやらなければ輸送の確保がむずかしいから、そういうことよりも、建設のほうだけはもう別個のなにをこしらえてやるほうがいいと考えて、それで鉄道建設審議会でも何らかの形で、別の形でやるがいいという趣旨の答申があったから、私どもはそれをとったのでございます。さっき申しましたように、眼前にいろいろな、国鉄というものがあるのに、いなかへ持っていって鉄道を敷くというと、どうしてもそんなにそこへ持っていく金があるなら、こっちへ持ってきたらいいんじゃないかという議論をされやすく、また、そういう議論が耳に入りやすいので、なかなか金を出させるのに、非常に、何といいますか、不便といいますか、やりにくいという感じがいたすのです。これはもう感じの問題ですから、同じ金を出すにしても……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/170
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171・大倉精一
○大倉精一君 この問題はどうもよくわからぬが、岡君があとからいろいろ疑問を聞くだろうと思うから、それを拝聴するとして、やはりまだ私にはわからぬ。公団には金が出る、国鉄には金が出ぬ、これがどうしてもわからぬ。わからぬならわからぬなりに、岡君が聞くと思うから、あとから拝聴しましよう。
次に、いまの東海道新幹線の工事ですね、あれはいつごろ終わるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/171
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172・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 最初の計画とだいぶ違いまして、途中で二回ほど資金がだいぶふえまして御迷惑をかけましたが、幸いにしまして、現在用地はすべて買収を終わりまして、それから全面的に工事をやっております。大体七月ごろには全線がつながりまして、これは動力線その他全部施設ができ上がりまして、七月から約二カ月間ならし運転と申しますか、全線にわたって運転を開始し、十月一日には、国会等でしばしばお約束申し上げましたように、営業が開始できるという運びに現在なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/172
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173・大倉精一
○大倉精一君 そこに関係しておる人はどのくらいおありになるのですか、施設関係あるいは建設関係あるいは職員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/173
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174・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 現在約三千人従事いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/174
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175・大倉精一
○大倉精一君 それは施設、工事関係もですか、全部合わせて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/175
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176・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 若干の管理要員はございますけれども、大部分ほとんど全部が工事関係者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/176
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177・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、この工事が終わると、そういう膨大な人々が国鉄に帰っていくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/177
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178・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 工事が終わりますと、若干の残工事がございますが、主力は現在線の改良工事に、実は第三次の長期計画をそのうち政府にもお願いしょうと思っておりますが、そちらのほうに転身することになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/178
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179・大倉精一
○大倉精一君 公団ができると、やはりそういう方々に公団の仕事をしてもらうように、回ってもらうという、こういうことにならぬとぐあいが悪いのじゃないですか。国鉄が人員整理をやるとか、何をやるといっておる中で、三千人も四千人も受け入れるのはなかなかたいへんだと思うのですが、私はほんとうはそれがいいと思うのです。今度ほかの新線その他の工事をどんどんやってもらっていいと思うのですけれども、公団をつくってずぶのしろうとを持ってきたってしょうがない。どこから持ってくるのですか。何人ぐらいいきますか。公団には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/179
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180・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 現在国鉄で新線建設を行なっておりますが、それに従事いたしております者が約八百人おるわけでございます。したがいまして、数の上で見ますと、公団ができますと、現在までの八百人の人手が新線の建設公団に回るわけでございます。したがいまして、現在東海道新幹線に従事いたしております人間を原則として回すという考えは持っておりません。個々には希望者もございますので、具体的な事例には、そちらへ回る人も出てくるかとも思いますが、原則として回すという考えはただいまのところ持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/180
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181・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、新線建設に関係しておる人は、全部そのまま公団のほうに引き継ぎということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/181
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182・山田明吉
○説明員(山田明吉君) それは公団が発足しますときに、国鉄と公団とのやりとりと申しますか、話し合いになるわけでございますが、また、現在御審議願っている法律のたてまえは、当然には移るようにはなっておりません。やはり個々の職員の意向を確かめまして、移る人は移る、国鉄に残る人は残るということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/182
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183・大倉精一
○大倉精一君 いろいろうわさに聞いておりますというと、新しい公団にいくという希望者といいますか、そういう人はわりあいに年輩者が多いということを聞いております。そういう現象があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/183
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184・山田明吉
○説明員(山田明吉君) まだ具体的な個々の意向を全員に当たったわけではございませんけれども、御指摘のような比較的高年齢者層で、しかも、現在建設線の仕事直接を担当ではない高年齢者層で相当希望者がある実情にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/184
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185・大倉精一
○大倉精一君 これに関連しながらお伺いするのですけれども、いつか経営委員会でしたか、国鉄のちょうちん型の年齢構成を直せ、四十歳以上は首切れというような、簡単にいうとそんなような答申があったように思うのですけれども、そういう問題はその後どうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/185
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186・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 御指摘のように中ぶくれの人員構成、これは将来大きな問題になるという指摘がございました。しかしながら、これは確かに現実はそのとおりでございますが、一朝一夕に右から左に解決する問題ではございませんので、われわれ常に中ぶくれを是正したいという気打ちを持っておりますが、具体的にどうこうするというところまではいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/186
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187・大倉精一
○大倉精一君 これは非常に重大な問題だと思うのですが、確かにあのときの答申では、昭和四十年以降から是正しなさいという答申であったと思うのです。これはやはり国鉄さんが実施されるのですか。それとも、そうじゃなくて、それはそれとしてずっとおやりになっていく予定なのか。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/187
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188・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 御質問が、中ぶくれ——ちょうどいま三十歳台——三十七、八歳の年齢層の職員が一番数が多いわけでございますが、それをいわゆる若年整理をするのかという御質問かと思いますが、ただいまそういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/188
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189・大倉精一
○大倉精一君 これは、ほんとにそんなことをやったらたいへんな社会問題になると思うのですけれども、そういうことも心配されるから、私は関連して聞いたのだが、もし公団ができて、そのいう該当者をこちらに移してしまおうというような考えがあったら、これは私たいへんだと思う。それこそ世間にいううば捨てとか、そういう非難をこうむると思う。そういうことはないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/189
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190・山田明吉
○説明員(山田明吉君) かりに希望者がそういう年齢層からございまして、公団へ参りましても公団の人事と国鉄の人事とは、川入り自由というたてまえになっておりますので、先生の御心配のような事態は起こらないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/190
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191・大倉精一
○大倉精一君 どこの会社でも出入り自由という一応形になっても、なかなかそうはいかぬと思います。
次にお伺いしたいのですけれども、公団というものの功罪については、よくわからぬのですけれども、いろいろ次の公団等お考えになっているようですが、どういうような公団を将来お考えになっていますか。たとえば、うわさに聞けば、航空公団とか、何とか公団というのを聞いておりますけれども、もしこの委員会でこれに関連してお話し願えるならお話し願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/191
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192・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 鉄道監督局関係だけ申し上げますと、前の国会に提出いたしました、現在御審議を願っております鉄道建設公団、それから予算の段階で、大都市の私鉄の高架の関係で、高架化公団ということも考えておりましたが、国会に提出の運びにはなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/192
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193・大倉精一
○大倉精一君 航空公団とか、あるいは自動車ターミナル公団という、そういう話も巷間伝わっているようですね。これはそういう計画はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/193
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194・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) そういう構想を持っておりまして、要は、いかにすれば今日のバス、それからトラックの錯綜を緩和することができるか、そうして自動車輸送の安全を期することができるかということでやりまして、適当な都会地にバス・ターミナル、あるいはトラック・ターミナルを置くべしという議論が非常にあります。それでその公団を考えましたが、何と申しましても相当金がかかることと、世論は、公団をむやみやたらに起こして官僚のうば捨て山にするのはいかぬ、こういうような議論もありますので、いまだ実現に至っておりません。空港につきましても、第二東京空港は、かなりまだ長期の時間を要すると同時に金も要しますので、これまた、いかなる形態にしてやることがやりやすいかということは、明年度、すなわち三十九年度の御審議を願っておる予算が通るならば、一億円の調査費がつきますので、それによって調査をいたしまして、形態と場所とどういう方式でやるかというようなことについて考えるつもりでございます。やはりそういうことですから、運輸省の直轄としては、どうもむずかしいのじゃないかという議論もありますし、いろいろな点におきまして、従来調査いたしておりますが、三十九年度の予算が通りましたならば、本格的に調査いたしましてやっていきたいと、かように考えております。いま運輸省で考えております公団は、具体的には、ただいま申し上げました鉄道関係においては高架化公団、それからバス・ターミナル・自動車ターミナル公団、それから第二空港を公団の形式でやるか何の形式でやるか、そういうことについていま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/194
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195・大倉精一
○大倉精一君 運輸省直轄の公団は、資料があれば資料を出していただきたい。国鉄に直接関係のある公団の考えは、いまのところお持ちになっておりませんか。その他の公団ですね、つまり建設公団その他国鉄に関係のある公団ですね、そういう構想は、いまのところはないのですか。こういうものをつくろうという構想は政府のほうにはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/195
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196・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 別段考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/196
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197・大倉精一
○大倉精一君 この前の国会で国鉄法の改正がありまして、投資条項ができたのですが、あの当時は臨海鉄道ですか、これを考えたいというので、今度は名古屋にもそういうものをやるように聞きましたが、その他一、二聞いておるのですけれども、そういうような投資条項に基づく将来のいろいろの構想ですね、もしここでお漏らし願える可能性のあるものについて承っておけば非常に参考になると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/197
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198・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 国有鉄道法の投資条項を改正いたしまして、いまお話がございましたような臨海鉄道に出資ができるかっこうになっております。現在すでに投資しておりますのは、千葉県の京葉臨海鉄道、それから次に神奈川の臨海鉄道、この二つはすでに投資をやっておりますが、将来の問題といたしましては、名古屋付近というようなことも考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/198
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199・大倉精一
○大倉精一君 その点は、この辺にしますけれども、やはり公団に投資するという、政府の全部これは関連した最近の傾向だと思うのですけれども、これはむろん必要なものもあり、そうでないものもあると思う。私は、どうも公団というものは、ここに法律がかかっておりますからこれに限定して言いますと、どうして私は何だかふに落ちない。ですから、私はこの辺で一応質問を終わりますが、あと他の委員から、またいろいろ質問があって、疑問があれば質問をしますが、要するに、いま鉄道建設というものをあくまでこれはやはり国鉄がやっていくとう原則、あるいはある人の意見によれば、青函トンネルなり、あるいは四国に渡すああいうような工事は国がやるべきである、こういう意見もあります。それも私はいいと思うのですが、どうも私は、何べん聞いても同じだからもう聞きませんけれども、国鉄なら金が出ぬが、公団なら出しやすい、あるいは公団でやれば能率があがるが、国鉄でやれば能率が上がらぬ、こういう点がどうしても私はわからないのですが、ほかの委員から、違う角度から聞いていただいて、私はそれによって再び質問をする必要があれば質問しますが、一応これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/199
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200・小酒井義男
○小酒井義男君 一、二点私簡単にお尋ねをしたいのですが、運輸大臣、新聞などで見ますと、国鉄基本問題調査会というのを三月末にスタートさせるように出ておりますが、この基本問題調査会というのは、むろん基本問題ということなんでしょうが、相当広範囲な国鉄の問題を調査することになるのだと思うのですが、そうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/200
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201・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) これは、ああいう議が起こりましたのは、かねてそういう議が国鉄の内部にもあったように聞いておるのでございますが、三十九年度の予算の査定の過程におきまして、国鉄並びに私どもも、国鉄と一緒になって予算の折衝をいたしたのでございますが、どうしてもその大蔵省の査定に対しては承服できないということで、まあ非常に最後まで、国鉄の補修費という要求が二千五百億以上でしたかと思いますが、それを約一千億削られたことについて、どうしても承服ができなくて、いろいろ折衝の結果、この間、御可決をいただきました百億円の補正予算と、それから四百億円の債務負担行為というので予算を年内に決定するという政府の方針に同意いたしまして、国鉄も運輸省としてもようやく政府のその案に承服いたしたのです。査定に応じたのです。そのときに、私どももさように考えておったが、国鉄の当局は、どうしても、いままで新五カ年計画だとか、いや何計画であるとか、国鉄自身が、運輸関係の安全運転その他万全を期するための所要の予算額をどうしても認めてもらえない。そこで、そういう計画を国鉄自身で立てても意味がないからして、閣議の決定をして、そうしてそれには大蔵省の当局もその中へ入って、さらに国鉄の予算を十分に、迅速、安全、正確のモットーで鉄道輸送ができるようにするためには、国鉄をどういうようにしたらいいかということについて、基本的にひとつ考えよう。そうでないならば、政府にそういうなにがなくて、ただ漫然と大蔵省の考えで、ここで切る、あそこで切るというのでは困るから、国鉄の要求する予算を全部認めてくれるか、そういうものを基本的に考えまして、そうして国鉄に対する政府の、財政当局のあり方、さらに、根本問題につきましては、企業性と公共性をいかに調和するか、あるいはその結果といたしまして、国鉄の予算をより確立にするために、あるいは運賃の問題をどうするか等々、基本問題を少なくとも昭和四十年度の概算予算を要求するまでにひとつきめて、その方針に従って国鉄の予算というものを組む以外に、国鉄がこのやかましい保安の問題、事故絶滅の問題等々につきまして政策が立てられないのではないかということの強い要望が国鉄当局からなされまして、私もしごく同感であると考えまして、予算を決定するにあたりまして、閣議の記録に残して、そうして政府の言明を得てそういうことをやろうということで予算が通った経過によりまして、いま、そういう調査会と申しますか、組織と申しますか、内閣の官房長官の手元において、非常な高い見地から、しかも、それが実際的になるように大蔵当局、運輸当局、通産当局、企画庁当局も入り、それに付随する学識経験者等を入れまして、早く調査をして結論を出すようにしようといって、せっかくいま組織、人選等について、官房長官の手元でやっているようでございます。終期が、ただいま申しましたように、概算予算の提出期である七月末か八月までに、それ以前に結論を出さないと、予算編成に間に合いませんから、それに時期を合わしてやるだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/201
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202・小酒井義男
○小酒井義男君 いま御説明になったような非常に広範な方面から、国鉄のあり方を検討されるというようなことでしたら、この新線建設というようなことも、公団を設けてやるべきかどうかというようなことについても、一緒に検討するということでは、おそ過ぎるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/202
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203・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、これはもう前国会に、衆議院では御承知のように通ったものでございまして、それをやめるというのでは、それじゃ、一体何のためにやったのだ、こういうことにもなるというおそれもありますし、また、これはこれで一日も早ければ早いほどいいので、これは問題外にして、鉄道の基本問題の調査をいたそうと思っております。そこで、くれぐれもお願い申し上げますが、一日早ければ一日早いほどいいわけでございますから、どうぞひとつ御協力をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/203
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204・小酒井義男
○小酒井義男君 これ以上この問題でお尋ねしても平行線ですから、次の問題、もう一つお尋ねしますが、これは少し、いまさらそういう問題をまた蒸し返すというお気持が、あるいは大臣におありかもしれませんが、鶴見事故などのあったときには、人命尊重だと総理大臣が言われる、運輸大臣もやはり国鉄の安全性を確保するためには、予算をとらなければならぬ、そういう決意で三十九年度の予算の折衝をするという、そういう腹がまえだ——ところが、日にちが経過すると、そういう気持ちがだんだん薄らいでいくような傾向にあるという気がするのです。全面的に新線建設というものを私ども反対しているわけではないのです。必要なものはつくるのがいいですが、ただし、あとで困るようなものをつくらないようにしなさいということを言っているのです。ですが、そういうような点から考えると、たとえば過密ダイヤと解決の問題にしても、全国各地にあるところの輸送力の増強対策、安全対策というものがもう目の前に必要なことが山積しているじゃないか、そういう状態の中で、それがまだ手がなかなかつけにくいのに、これから新線の建設に着手するということが、はたして妥当かどうか、すでに着工しているものは、これはやめるわけにはいかぬでしょう。やめるわけにいきませんが、これから着手するというようなものは、しばらくこれはそっとしておいて、そうして当面する緊急な問題をまず解決をして、それの見通しをつけて新しい建設線に着手するというようなことぐらい考える必要があるのじゃないかと思うのですが、大臣、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/204
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205・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) それは、私が先ほど来申しておりますように、眼前のものをやればいいじゃないかというので、予算が鉄道建設公団にとりにくいと申し上げた理由の中にも申しますとおり、眼前の問題が山積しているから、それはそれでやるのだが、それかといって、これの問題が幾ら全知全能を傾けて金をつぎ込んだって、ここ十年や十五年で鉄道のいろいろな事故絶滅、あるいは過密ダイヤの解消等等は、なかなかできないと思うのです。その間じゅうやれぬということになれば、いつの日にか鉄道建設公団が鉄道新線建設ができるかということを考えますときに、私は、一日も早くこれはこれでやって、あなたのおっしゃることも、早くできる範囲において解決するように努力してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/205
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206・小酒井義男
○小酒井義男君 結局、しまいになると、大倉委員の質問と同じことになるのですが、新線建設には金を出しいいが、結局安全対策には金が出ないということになると、人命尊重だの、などといったことは、これは口先だけで、実際にそれに政府が——運輸省という、運輸大臣というわけじゃないですが、政府全体がそういう問題に取り組もうという真剣さがまだ十分でない、こういうふうに私はとらざるを得ないのです。それで大臣、どうなんですか。法案の審議を通じて、皆さんの質問を聞いていると、新線建設ということが重点で、安全対策ということが、これは予算の許される範囲内でやっていくのだという、付録のようなかっこうになっているという気がするのですが、どうなんですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/206
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207・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) それは、さき申しましたように、基本問題調査会できめまして、どうしても必要なるものにつきましては、政府に予算をつけるように強硬に主張し、その手段といたしましても、基本問題を解決しておかぬというとどうにもならぬというので、ただいま申しましたような方針でやっているのでございまして、それが解決することによりまして、予算、いまあなたのおっしゃるような当面の問題を解決することに大いに役立つということを私は期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/207
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208・小酒井義男
○小酒井義男君 これ以上お尋ねしても、同じですからやめますけれども、結局新線建設を先にやるよりも、新線建設の公団をつくるのはあと回しにしておいて、当面の問題を先にやることが必要だというふうに思っているのです。これは大臣と議論しても、私の意見に賛成だということはちょっとおっしゃりそうにないですから、この程度で私は質問をやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/208
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209・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 この前の委員会から続きまして、関係の各大臣に質問をいたします。企画庁の長官がお見えになっておりますから、長官の時間的な都合等も考えまして、最初に企画庁の長官にお尋ねをいたしておきたいというふうに思います。
今日政府は、運輸大臣をして建設公団を設立をして日本の鉄道網を整備をしていく、これがためには、理由としてはかくかくしかじかだという、この問提案の説明がなされました。私は、今日日本の鉄道の、つまり一つには大きな体系を変えのいく、いわば政策を応えたものではないかというふうに思いますので、この際、経済企画庁として、こういう事柄について、日本の運輸交通政策全般にわたる総合的な政策等について、どうお考えになっているかということをこの際お尋ねをしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/209
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210・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) もう少しあるいは具体的に御質問いただきましからお尋ねの焦点がわかると思いますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/210
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211・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 たとえば、あなたがお立てになりました所得倍増計画なるものに交通体系という一つのものが出ているわけです。その体系の中では、今日ございます、それぞれすでに予定された線であるとか、あるいは着工された線、さらには調査を行なわんといたす線がございますけれども、そういうものは当然赤字を招来するわけですから、そういう面については、直ちにおやめになったらどうか、中止をしたらどうか、加えて、既設の線区についてもそういう赤字を招来するようなものについては、投資効率というものが高まらないからやめたらどうかという答申がなされているわけであります。ですから、それと、今度出されておりますこの公団法が、どう一体、つまり所得倍増計画との関係で変わっていくのかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/211
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212・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねの御趣旨はよくわかりました、所得倍増計画の中の「総合的な交通体系の確立」という項目のところに、確かにただいま御指摘のようなことが書いてございます。つまり、ここにいっておりますことは、まず、全国的に総合的な一番効率度の高い道路なり、あるいは鉄道なりを敷くべきである、港湾についてもそうであるということが強調されておるわけでございます。しかし、他方でこの所得倍増計画が本来的に持っております目的の大切なものの一つに、申し上げるまでもないことでありますが、経済の全国における総合的な発展、あるいは地域格差の解消ということを大切な目的といたしております。また、過去何年間か、そういう目的に従って、施策をいたしてまいったわけであります。そこで、総合的な交通網の整備というものと、地域開発あるいは地域格差の是正という意味でのローカルな交通網の整備というものとは、片一方だけであってはむろんならないわけでありまして、本来的に、まず基幹的ないわゆるトランク・ラインというものが整備されなければならない。それはそのとおりだと思いますけれども、同町に、それがある程度整備されつつある段階においては、地域格差の是正といったような観点から、ローカル的なものを考えていくということも、これも倍増計画が本来目的としております目的から当然出てきてしかるべきであろう。その場合には、当然トランク・ラインでございませんから、基幹線でございませんから、投資効率がやや下がるということは考えられるところでございますけれども、本来地域格差の是正ということが、投資効率でなく別な目的を本来的な目的にいたしておりますから、それはそうなることもまたやむを得ないのではなかろうか、抽象的にはそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/212
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213・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 長官は、まあ抽象的にはそうなると答弁されましたが、重ねてお尋ねしますけれども、その答申では、抽象的になっていないのです。で、これは長官の答弁では、十分これは検討を加えてつくり上げたというふうに思うのです。読み上げますけれども、「国鉄」という断定語で答申の内容ができているのです。これは、この間鉄監局長あるいは運輸大臣とも、かなりこのことについて質疑応答してみて、最終的には鉄監局長は、池田内閣の所得倍増計画が若干変わった、変更した、修正したと、こう理解してよろしいということで一応終わっているので、きょう、長官おいでですから、あらためてお尋ねするわけであります。
ここの中では、国鉄の交通政策のあり方として、この所得倍増計画の中では、やはりひとり国鉄だけではなくして、総合的な交通体系の中で考えられるべきものだ、ですから、国鉄はこれからの新規投資の中で経営収支上採算のとれない、いま長官も申されたように、ローカル線の建設であるとか、こういうものについては中止をしなさいという、「国鉄」という固有名詞を使って強く指摘しているわけです。ですから、このことはやはり、たとえいま提案されております公団が、国鉄にかわってこういうことを行なわんとしても、そんなにこの答申がなされてから客観的な事情などというものは、私は変わっていないのじゃないかというふうに思いますので、こういう点はどうかということをお尋ねするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/213
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214・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、所得倍増計画の中で第二部「政府公共部門の計画」、その「総合的な交通体系の確立」というところには、そういったようなことが書いてございます。これは、この計画ができましたときの沿革に多少さかのぼるのでございますが、各部門に分けて問題の検討をいたしてまいりました。そうして、それが一つの計画にでき上がったわけでございますが、各部門部門で、俗なことばで申せば、多少その部門だけを——部門だけをと申すと語弊がございますが、部門の本来的な利益と申しますか、そういうものにウエートを置いた、多少そういう表現が、この中に随所に、実はあちこちに見えるわけでございます。そうして総合的な計画にいたすためには、そういうウエートを実は平均しなければならなかったわけでございますけれども、間々そういうことが、やはり急いで当時作業をいたしましたあと検討いたしますと、ございます。また、それを全部平らなものにしてしまいますと、各部門で主張した特色というものが、現実には失われたものもございましょうから、多少そういうところがあってもやむを得ないと考えますが、いま御指摘の部門は、まさにそういうところでございまして、おっしゃったようなことが書いてございます。ございますが、この計画を最終的に決定いたしますときには、所得倍増計画の終局の目標は何かといえば、やはり福祉社会をつくるということ、そうしてそれを地域格差是正という形でなくしていくということ、これが基本目的だというふうに認識されておりますから、各部門における要請も、やはりその大きな目的には、おのずから多少の犠牲を払いながら奉仕しなければならないというふうにこれは読むべきであろう。活字になりましたものを、その個所を御指摘になりますれば、いま御指摘のまさにそのとおりではございますけれども、読むのは、そういうふうに読まなければならないのではないか。国鉄が国の会計においてなされておりますということは、ある意味ではむろん独立採算制が必要であるということでございましょうが、しかし、場合によっては、そういう国の目的のために、多少不採算なものでもやらなければならないということは、これは私企業と違いまして、私はあり得ることだというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/214
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215・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 この所得倍増計画の中で、そう長い間——私はまだこれは釈然としませんよ、長官もおっしゃっているのだが、各部門部門の何といいますか、利害関係といいますか、そういうことで必ずしもバランスがとれていない。言いかえれば、完全ではないのだということになるんだと思うのだだから、これ以上、私は時間をかけて議論をする気はございませんけれども、この際大事なことですから、長官もいらっしゃる間に、もう一つだけ聞いておきます。
それは、愚問かもしれませんけれども、同僚議員の方々からも、たびたびこれに関連して質問ございましたが、この法案を提案にあたって、それぞれの答弁者は、建設審議会の答申に基づいて提案をしたのである、こういうことばが出てくるわけです。ごもっともなようなことばでございますけれども、たいへんこれは大事なことだと私は思うんです。そこで、若干愚問かもしれませんが、建設審議会のメンバーには、各省庁の次官がメンバーとして載っかって出席いたしておりますけれども、その会議というのは、鉄道の建設に限ったことでけっこうだと思います。限定してけっこうだと思いますが、一年間にどのくらいの回数開会されて、この会議に次官はもとより企画庁の長官が出席されているかどうかを、まず聞かしていただきたいと思います。
それから、それに関連いたしまして、政府は、今度のような場合は、運輸交通政策の一つでございますけれども、私は、国の政策をかなり大きく変えるようなものだと、この法律の重要性をながめている。これは御案内のように、提案理由の説明にもございますように、日本の産業経済の基盤を確立する、あるいは低開発地域を開発をしながら地域格差をなくしていくというような、非常に重要な内容を持った法律だと私は思うのです。ですから、そういう重要なものであるならば、私は、建設審議会なるものの構成メンバーをとやかく言ったり、あるいは鉄道建設審議会というものを否定するのでも何でもございません、軽視もしませんけれども、そうしたところに、提案をする以前にかなりの私は準備段階が、あるいは作業段階というものがあると思うのです。したがって、私は、そういう場合は、当然所得倍増計画の中にも、いま申し上げたようなことがたくさん出ておりまするから、経済企画庁長官とこの段階で十分協議の上でこの案を策定して、しかる後に、建設審議会に提出審議を願う、こういう事柄が私は筋道ではないかとこう思うんだけれども、長官はこの点についてどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/215
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216・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 鉄道建設審議会には、経済企画庁事務次官は確かにその組織の構成員になっております。経済企画庁長官はなっておりませんが、事務次官はなっております。鉄道建設審議会でこういうことについての建議がございますに際しましては、当然その前の段階で、構成員にはそれについて十分な協議、と申しますよりも、むしろ構成員がそのものについては、問題についての解明があったに違いありません。したがって、経済企画庁の事務次官は、自分の所管事務との関連においても十分検討した上で、これについての賛否を明らかにしたに相違ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/216
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217・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 いまの長官のお答えでは、長官みずからはメンバーになっていない、事務次官がそのメンバーになっているので、ただ単に出された問題は、協議ということでなくて十分この審議をいたし、この所管事項については、当然意見などをして答えを出されたものと、こうおっしゃっておりますが、そういうことであれば、前段に申し上げたように、長官がどんな答弁技術を、持ち前のよい技術を持っておってここで答弁しても、その所得倍増計画の中に、疑問が残るような文章などというものは、私は出てこないというふうに思うんですが、これはどうですか、当然のことじゃないですか。長官がいまおっしゃるような仕組みになって、審議会で十分審議されているということだったら、私のこの疑問というものは当然ではないかと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/217
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218・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、先刻申し上げましたように、所得倍増計画のその部分を読みますと、文字としては確かにそのとおり書いてございますけれども、しかし、倍増計画の持っております本来の目的は何かといえば、先ほど申し上げましたとおりでありますから、このところをそのように文字どおりに窮屈に読まなければならないものではなかろう。先刻申しましたような各部門別のいろいろなウエートの置き方の問題もございますので、したがって、この審議会の構成員として、ただいまの建設公団の建議を経済企画庁の事務次官がいたしましたと、賛成いたしましたといたしましても、別段これは所得倍増計画の目ざしておるところに背反するものであるというふうには私は考えないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/218
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219・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 たまたまこれに関係してまだ企画庁長官にお尋ねをしてみたい、こういう関係のものがございますけれども、いま大蔵大臣がお見えになりましたから、大蔵大臣に、この際若干御質問申し上げておきたいと思います。
たまたま前回の委員会で大蔵大臣が私の顔を見ながら、おそらく私が北海道出身であるということを意識をして、北海道開発のことについてずいぶん申されましたが、こういう北海道総合開発の話を私は聞くわけじゃないんですから、ひとつその点御認識の上、明快な得意とする答弁をしていただきたい、こう思うのです。池田総理大臣が今国会の演説の中で、今日の所得倍増計画は進める段階で、アフターケアの段階に入っている、こういう意味のことが演説の中で述べられたというふうに記憶しているのです。そこでその後、政府のほうとして、そういう事柄について検討をしたのかどうかわかりませんが、その中間的に検討された、その報告書を私は見てまいりますと、今度提案をされております新設建設については、全く触れていないような気がするのです。ただここで強くうたわれているものは、道路であるとか、あるいは港湾であるとか、鉄道というのは一般的なことを言っているわけで、こういうものについて、いわゆる社会資本というものが不足しているんだ、こういうことを強く指摘していると私は見受けるわけなんです。これに対して、大蔵大臣はどう考えているのか、お聞かせを願っておきたいというふうに思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/219
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220・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 社会資本が不足をしているということは事実でございます。いま経済企画庁長官が中心になって、所得倍増計画のこれからの五カ年計画でどう対処すべきかということを諮問をいたしたわけであります。私は、その過程において、当然道路の四兆一千億、五カ年計画に対しての必要性は是認せられると思いますし、なお、これからの国内均衡をはかっていくために必要な一つとして、港湾整備計画というものが当然出てくると思います。その意味で、三十九年度の予算編成の段階において、三十九年度を起点とする港湾五カ年計画を改定することをきめておるわけであります。しかし、現在の段階ですぐ五カ年計画の数字を決定することよりも、これからの五カ年、また、最終の昭和四十五年の状態を想定をして、相当新しい視野に立って検討をすることによって、より合理的な港湾五カ年計画ができるであろうということを、慎重に対処しているわけであります。道路と港湾ができれば当然私は鉄道の重要性が認識をせられて、鉄道に対する新線建設の必要性というものは当然答申せられると思っております。ただ私が遺憾だと思いますのは、鉄道建設審議会から建議をせられたことは、非常に勇気をもって御建議をされたものであって、しかも、満場一致が建前でありますので、私はこの建議に敬意を払って鉄道建設公団の設置を認めたわけであります。当時私が小委員長をやっておったということで申し上げるんじゃありませんが、これは、私などは小委員長という機関の一人であって、満場一致であるというところに大きな意義があるわけであります。大体鉄道というものは、政治路線、赤字路線ということで片づけられておったのでありますが、日本の特殊性——五〇%に近いところは降雪地帯であり、しかも、まん中に山岳地帯を持っておるという特殊性から考えますと、アメリカの大陸横断鉄道がもう斜陽産業であるなどということを日本に当てはめて得々としておる人の私は気が知れない。日本の経済が、明治初年から鉄道の発展と全く軌を一にして日本の経済が大きくなっておる事実は、雄弁にこれを物語っておるのでありまして、私は、やはり将来は特殊な地形にある日本の国内均衡をはかる場合には、当然道路、鉄道、内国港湾という三位一体でものを考えなければならないというふうに考えておりますので、こういう時期に鉄道建設公団が発足をすることは、私は非常に時宜を得たことだと、こういう観点に立って、三十九年度の予算でも前向きに対処をして、また、将来もそのように考えておるわけであります。でありますから、そのようにひとつ御理解を賜わりたい。道路と、必要性、重要性に対しては、何ら遜色のないものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/220
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221・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大蔵大臣は時間の関係があると思いますから、できるだけかいつまんで、はしょって御質問申し上げたいと思うのですが、当初、いま大蔵大臣が答弁をされたように、審議会が建議をされたと大臣もお認めになっておりますように、きょう、ぼくが買ってきた週刊誌にも大臣の名前が載っております。ですから、あなたが当時の審議会のメンバーであるということについては、私も承知しておるのですが、そういうこととは別に、この国鉄というものと公団との関係の支出の割合の問題ですね、審議会の答申では、当初国鉄が大体二〇%程度、それから政府の負担が八〇%程度が基準となって、それぞれ五つくらいの案がまとまって、提示していたように私は記憶するのです。で、このような資料から総合的に判断して検討してみると、ただいままで大臣は出席しておりませんでしたが、かなり長時間日、数をかけてこの問題の質疑をかわしてきたものをちょうだいをいたしておったわけなんですが、どうもその中では、私どもが直ちに理解するような残念ながら答弁がいただけなかったわけでございます。幸い、きょうは大蔵大臣がおりますから、具体的にひとつ私お尋ねしますから、明決に答弁を願いたいと思います。
ようやく最近になってから鉄道新線建設事業計画及び資金の計画、こういうものがわれわれの前に資料として提示されて、しかも、これは運輸省の粗末な案だ、粗案だと、こういう答えが鉄監局長からなされました。このまことにお粗末な——鉄監局長の言をそのまま借りるのですから、私があえて悪口を言っているのじゃなくて、鉄監局長のお言葉をそのままちょうだいしますと、まことに粗末な資料なんですが、この資料を見ただけでも、再三運輸大臣あるいは関係当局が、私どもに建設審議会の答申に基づいて、あるいはその答申を尊重して、ということとは、かはり支出割合が違っているような感じを受けるのです。ですから、せっかく国の金庫を預かっておりまする、しかも、きわめて優秀な大蔵大臣でございまするだけに、私はこの際、この粗案なるものが、もとより粗案であるかどうか別にして、国家的なこれは大事業ですから、国家的な立場で私は大蔵大臣にこの関係を答弁していただきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/221
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222・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 国鉄がお出しになった五千億であろうと思いますが、かようなものに対しては、大蔵省は相談にあずかっておりません。おりませんが、私は鉄道建設審議会の小委員長をしておりましたので、この五千億というものは、現在着工線、調査線、予定線になっております、別表に書いてありますものだけでも、五千億をオーバーするというような状態をそのまま基本として運輸省は検討せられたものと思います。しかし私は、こういうものよりも、私が鉄道建設公団を大蔵省として設立に賛成をいたしましたゆえんのものは、新しい視野と角度の立場に立って、私は道路の建設と港湾の建設と鉄道と三位一体にならなければ、どうしても合理的な輸送は確保できないという考え方に立っておるのであります。でありますから、道路と港湾と鉄道というものがばらばらではなく、今度所得倍増十カ年計画の中の、これからの五カ年計画の交通網整備はどうあるべきかという、答申の中には、私は、これより大きなものが出てくるかもわからぬという観点に立っておりますから、それは鉄道をつくると全部赤字だと言いますけれども、これは、道路は無料公開の原則に立っておりますから、道路さえつくってしまえば維持修繕費等は、ほとんど議論にならないのであります。しかし、山岳地帯を通り、それから土地が非常に値上がりをしておるときに鉄道を通したほうがいいのか、また、相当地積をたくさんとらなければならない道路のほうがいいのかという問題は、経済計算としても簡単に出てくる問題であります。私はそういう意味で、いままで鉄道は鉄道会計の中で考えるから赤字になると言いますけれども、鉄道を無料として考えた場合、道路と同じ使命で考えた場合、どうなるか、こういうことになれば、私は、鉄道に将来の五カ年計画でどういう投資をしなければならぬかということは、経済計算上すぐ出てくると思うのです。私は、だからそういう意味ですぐに五千億というものにこだわらないで、これからの答申を待って、私は、鉄道建設公団の事業というものはきめられるべきものだと思うのです。いまももうパイロット隧道をやっております北海道と東北とを結ぶ津軽海峡の隧道を一体この建設公団でやるのか、新しい事業体でやるのかは別にしまして、これでやると仮定した場合には、一体この中にこれは含まれるのか。また、いま四国と本州との横断橋を考えているわけでありますが、これにも調査費がついておるわけであります。これを一体これでやるのか、この五千億に入るのかということがすぐ考えられる問題であります。私は、そういう意味からいって、国鉄が急遽審議のためにお出しになったと思いますが、こういうものよりも、私は、この鉄道建設公団を設置する審議の過程において、皆さんがこれではまだ不足だから、ひとつ将来答申を待って、大蔵省は財政当局として十分配慮しろ、こういうようなお考えで見ていただけば、認めた以上、私たちも、合理性があり、財政当局として考えても妥当性がある、こういうことで設置に踏み切ったわけでありますので、三十八年、九年の予算を見たら全く答申案とは違うじゃないかといいますけれども、それは、もう答申のときには、地方自治体からもいろいろなものを取ろうとか、それが最後にできなくなって、とにかく鉄道建設公団だけを発足せしめたいという、政府がそういう考えのもとで御審議をお願いしているのでありますから、これに私はこだわっておりません。私は、答申によって大きくなれば当然そのように財政的に対処いたしますし、それからどんなふうに考えても、これより小さくなるということは、海橋一つ考えても、そうはならないだろうというふうに現実的に考えられるわけでありますので、御理解賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/222
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223・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大蔵大臣はかなり将来展望を言われて答弁されましたが、私は私なりにそのことはわからないことはない。しからば、そういうことであるとするならば、今日法律を出しているわけですから、もっと親切丁寧にこの公団は、いまそのくらいの、大蔵大臣のような将来展望、これはいろいろな海橋とか隧道等を含めて言いましたけれども、そういう問題は別にして、この法律に基づく公団がこういう事業内容をもってやるのだ、資金計画もこういう計画なんだというものがあってしかるべきだと私は思うのです。ところが、これは政府の得意とするところであるけれども、いずれも法律をおつくりになるときには、どんな法律でも、いま大蔵大臣が言ったように、法律さえつくれば、将来何とかこういう展望でこうなるんじゃないか、こういうことを常に言われますけれども、必ずや、政令であるとかあるいはこの法律の中にもありますように、事業計画書を今度提示して役人同士がそこで話し合いになって、かくかくしかじかと、こういうかっこうになっている。なっているから、私どもは、 いやおうなしにそういう点を、国会では審議する場所ですから、明らかにして審議をしなければ、ほんとうにその法律をつくり上げたり、あるいはその法律が、今度は逆に、具体的な実施の段階で功を奏したものにはならない、こういう考えに立って私は質問しているわけです。これ以上こういうことについては申し上げようとは思いませんが、大臣がせっかくおいでですから、一つだけさらに聞いておきますが、前の委員会で、これは大蔵大臣の答弁の誤りではなかったかとぼくは思うのですが、あなたにこの赤字問題についてたびたび各委員から質問をする、これは当然赤字が出ることは間違いないわけですから、たびたびその質問が出るということは、公団をつくっていったり、あるいは、かりに国鉄がやろうと、非常に大問題だからたびたび出るわけですので、この際大臣に重ねて私は聞くのですが、この間の、たしか相澤委員の質問に対するあなたの答弁で、かなり調子よく答弁されたが、田中流の浪花節を聞かして答弁をした中で出てきた言葉にも、赤字の出るという予測のつくものについては、原則として無償で譲渡する。こういう答弁をしたわけです。これは、きょうは決してあなたに対してどうこうあげ足をとるつもりはさらさらないが、ただし、法律のたてまえからいけば、無償の貸与だと、こういうことだと思う。この点で新線開業をしていく場合に、ほとんど赤字が出ることは間違いない。だから、その形式にもよりますけれども、とにかく原則として国鉄に無償で貸し付ける、貸与するのだ、 こういう理解でいいのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/223
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224・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) この組織は公団でありますから、有償が原則でありますけれども、事実の問題から考えますと、他の政策目的をもってつくられる新線が多いので、当然採算に乗らずある期間、赤字採算線であるという場合には、無償で貸与するということは、もう当然そのように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/224
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225・岡三郎
○岡三郎君 関連でお伺いいたしますが、いまの話でいうと、大蔵大臣は留任してもらわないといけないと思う。ということは、実際になかなか渋い金の出し方をするのが大蔵省で、昨年は財政投融資五億円、ことしは十億、事の出発にあたって、渋い人がほらを幾ら吹いても私は信用できない。だから、今後のいわゆるいろいろな計画が出てきたときには、五千億どころじゃない、幾らでも持つようなことであるが、その時分に田中さんがいてくれればいいが、持って行き場がなくなってしまって赤字で泣くということになるという問題が一つあると私は思う。ですから、どうしてもこの財政計画自体として大まかに見て、十年間に、大体大蔵省はどういうふうに金をどの程度出すつもりなのかね。やはり出発にあたって当時の大蔵大臣がこう言ったということも記録に残しておかぬというと、この公団は途中にしてパンクするおそれが私はあると思っているのです。だから、これは何といっても育ての親が、運輸省が幾ら力んでも、大蔵省ががっちりこれを受けとめてくれなければ、これは育たないと思うのです。ですから、大まかでも、いわゆる計画が出たら、何ぼでもつけるというのじゃなくて、一応この十ヵ年計画というものが出発するにあたって、五千億がいまのところ出てきているのは三千億になっているわけですよ。縮小しているわけです。いわゆる建設審議会から出したやつは五千億になっているけれども、地方財政の関係その他においてずいぶん削られて、実行予算としては、政府資金と国鉄資金で大体十カ年で三千億、こういう計画に縮小してきておる現状ですね。こういうものを見たときに、やはり大蔵省の直撃な財政的な裏づけというものが、私はやはり要請されなきゃいかぬと思うのです。その点ひとつお答え願いたい、あまりはったりじゃなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/225
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226・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) これをいま運輸省がお出しになっております財政計画というものは、まだ私たちも聞いておらない問題でありますが、いずれにしましても、先ほどから申し上げておりますとおり、その場でもって逃げようなどという考え方は持っておらないのです。大蔵省としてこの鉄道建設公団を踏み切ったのはたいへんなことであります。事務当局は確かに反対でありました。こういうことをやるとたいへんなことになる、こういうことでありましたけれども、運輸大臣のいろいろな御発言もありましたし、私もこの問題に対しては勉強しておりまして、やはり道路と——私は道路の問題とよく比較しますが、いまから十一年前に道路整備五カ年計画を私が提案をしたのであります。私が議員提案で反対を押し切って、ガソリン税の、目的税の法律をつくりましたが、当時と同じような気持ちに私は立ってこれを引き受けたわけであります。当時年間八十六億しかなかった道路費が、五カ年間に四兆一千億になっておるのであります。しかし、そのときには、道路よりもまだまだ戦災復興等に対して、金はつぎ込まなければならぬという議論もありましたけれども、私は努力をしたわけでありますが、私は今度は、道路も総延長五万キロくらいは当然幹線道路として必要であるけれども、これからは財政当局として考える場合には、道路が一番合理的に財政負担が少なくて済むのか、また、鉄道に振りかえたほうがいいのか、道路と鉄道と併用しなければならぬのか、内国航路によってどの程度まかなえるのかということを綿密に計算すれば、財政当局としてはすぐ出てくる問題であります。私はそういう意味で、今度の総額をなぜきめぬと言われますけれども、少なくとも所得倍増計画の、これから五カ年間のうちに、道路の問題を含めて鉄道、港湾等、全部五カ年計画をつくるということを前提にしていま諮問をしておるのでありますから、私は、そこでいろいろな方々が研究していただければ、道路の計画は五千億であるべし、一兆円であるべしというような問題ははじき出されるのであります。特に地方開発があり、新産業都市の建設があり、産炭地の振興があり、低開発地の開発促進があり、こういう法律を十分考えますときに、鉄道というものでなければならないということはもう当然出てくる。私はこれを引き受けるときに、日ノ影線とか、阪本線とか、いろいろな問題に対して自分でも検討してみましたが、実際は、熊本から延岡まで、キロ当たり二億ちょっとでできる。現在九メートル幅でもって道路をつくった場合に幾らになるのか、有料道路をやったらペイするのか、こういう比較でやるとすぐわかるのであります。私はそういう意味でこれに賛成したのでありますから、この公団が発足をしておれば、早晩答申が出ますから、そうすれば私は、少なくともこの公団を設立をした趣旨に沿って、財政負担というものは当然起きてくるという考え方に立っておるのであります。現在の道路公団の制度を見ていただけばわかりますけれども、道路公団をつくるときには、道路は無料公開の原則に立つものですから、時限法でありました。時限法でありましたけれども、ああいう時限法による道路公団が今日どのように大きくなっておるか。五カ年間一兆一千億の事業を必要としておるのであります。でありますから、私は、同じような立場でものを考えるときに、鉄道ではもうどうにもならないような状態になっており、鉄道が、いい悪いにかかわらず、法律に基づいて新線建設の建議があればやらなければならない、こういう事態を打開するためには、どうしてもこの建設公団という新しい事業体が必要である。こういう考え方によって賛成をし、御審議を願っておるのでありますから、いま三分の一持ちますとか、二分の一持ちますとかというようなことは申し上げる段階にありませんけれども、これはもう、答申が出れば答申は尊重するというのが政府のたてまえでありますので、それにひとつ期待をかけて御賛成賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/226
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227・岡三郎
○岡三郎君 だいぶ大きなことを言われているけれども、結局、道路公団とこの鉄道建設公団の具体的な違いというものをよく考えてもらえば、大蔵省事務当局がどういう計算をしたか知らないけれども、実際問題として、いま言われたように、道路ですね、鉄道、こういうふうな問題、あるいは港湾の問題もそうですが、基本的にいって、われわれは道路をつくっていいところは道路にすべきじゃないか、わざわざ鉄道を敷かなければならぬということはないのだと、端的に言って。一つの地方の人々が長年の間やはり鉄道というものに非常にあこがれておるので、そういう点については気持ちはわかるにしても、新しい産業計画というか、いわゆる運輸交通全体の問題として考えたときに、やはりどういうふうにこれが対策を立てて、いわゆる財政投融資をしたらいいか、こういう問題について非常に大まかに過ぎると思うのです。いわゆる鉄道建設公団をつくって、そのうちにもつと大きくなるだろう。二百三十一線を全部つくるということを考えておられるのかどうかは別にして、とにかく、これは何兆円かかったってできませんよ、全部やろうとするなら。だから、当面とにかく着工線、それから調査線というものをまた着工するようにやろうということにすぎないのだ。しかし、もう鉄道建設審議会がずっとやってきた問題は、聞くところによれば二百三十一線ある。これは、将来あなたの言うようにやれば、何兆円あったって間に合いませんよ。だから、いま言ったような形で、地域格差を解消することは大賛成です。鉄道を敷くこと大賛成です。しかし、できない相談のようなことをやって当面カムフラージュされるということだけでは、われわれとしては納得できない。だから、当然ここから起こってくる赤字というものに対し、それから今後の政府出資というものは、長期にわたってはわからないとしても、ことしの予算からみて、あまりにも少ない。ですから、明年なら明年答申を待ってうんと出すと、こういうふうに言われるけれども、具体的にここに一つの十カ年計画というもので素案は出ておるけれども、金の問題については大蔵省は全然タッチ、御相談も受けませんでは、何のために大蔵大臣ここに来ていただいたのかわけがわからぬ。どうして運輸大臣相談をしないのかね。そういったことは、いま言ったように、煙に巻くようなことで話が済んでおるのか。たわいもない、とりとめもないことだと思うのです。というのは、この建設公団をつくって、そして着工してどんどん仕事をしていけば仕事をしていくほど金にはならないのです。当然ですよ。だから、もっと端的に言えば、これは公共事業としてすっと割り切って、政府がやると言えば、これは私たちも納得するのです。そうではなくして、中途半端な形で、当面、地方のほうから鉄道を引っぱってくれというから、政治的に考えてもあまり遷延さしておくのはうまくないから、何とかここでちょっとほこ先をかわすためにつくられたという印象以外に何ものもないのです。当面を糊塗するための一つの案にしかすぎないというふうにしか考えざるを得ないのです。いまの大臣の答弁を聞いていると。
だから本格的に、いま言ったように鉄道建設をするということになれば、これについては、やはり根本的に、経済的な見地ばかりじゃない、公共的なものならば、地方の住民の格差を解消するというならば、当然それに対して、公共事業として、政府が経済企画庁を中心にして——建設審議会なんかやったって、そういう面の政治家も出ていったりしているから、あまり言いたくないけれども。いままでできなかったのは、みすみす国鉄がサボっていたのではないので、それをつくっていけばつくっていくほど、国鉄自体が、焼け石に水で、何ともならない。結局、運賃値上げに持っていかなければならない。大衆負担。こういうことに全部転嫁されるから、国鉄自体としてもできない。だから、大蔵省自体がある程度やはりここに政府資金、国鉄の資金でやるということになれば、ある程度めどをつけておいてもらわないと、何か知らぬが、膨大な夢物語りのようなことだけでは私はこれはならぬと思う。ですから、もうちょっとここでひとつ大蔵大臣と運輸大臣が何とか相談してもらわないと、これは出発しても、ちょっと身体不自由児をかかえたような形になってしまって、ほんとうに動きがとれなくなるんじゃないかという気がするんですよ。だから、基盤のないところにやたらに家をつくれつくれと、一体どうなるのだという心配がわれわれにつきまとってくる。それを解明してもらうために大蔵大臣に来てもらったり、経済企画庁長官に来てもらったのだと私は思う。だから、いま心配しているのは、あまり取り越し苦労だというかもしれぬが、法律をつくって公団をつくるということになれば、やはり公団がいいかげんなあり方なら、今後の歩み方については、われわれの責任になってくると思う。ですから、そういう点で、田中さん、公共事業なら公共事業としてやる気持ちはないですか、いまのあなたの考え方だったら、割り切って。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/227
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228・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) そういう御議論が絶えずあるわけであります。私も承知いたしております。そこが非常に苦心の存するところであります。国有鉄道の独立採算制の中で、一般会計でもってめんどうをみるというようなことは、これはなかなかむずかしいのです。でありますから、今度鉄道建設公団というものに踏み切りましたのは、確かにその他の政策目的、地方開発とか、それから国内均衡をはかるとか、そういうものに対しまして、そういうことを前提としている鉄道を建設しようというのでありますから、政府も相当な努力をするということに対しては、いまの鉄道に対してわずか九億ぐらいの利子補給をしておるというものではなく、相当前向きでやろう、やるのには、やはり国鉄と分けてこういうものにしないと通りが悪い、こういうことになったので、これは、いいかげんに、政治路線が二百何線かきまっておりますから、これに対してこういうことをやって、まあ九十億か百億やっておるのだ、こんな考えで出たのではありません。昭和十年ぐらいまでには、何千キロ延長の鉄道建設をせられたわけであります。千キロといいますと、いまの値段としてキロ平均一億七千五百万ぐらいと、こう見ても千七百五十億であります。こういう投資が明治からずっと続けてこられたわけです。それが、年間七十五億に減っておるのです。これで鉄道がいいかどうかという問題は、私はすこぶる考えなければならぬと思う。ところが、政治路線、赤字路線というものにおびえてしまって、われわれはそういうものにはさわらない、こういう時代があったのです。海運に対しても六、七年前はそうだったのです。私は、やっぱりそういう考え方に立って、こういうものをつくれば確かに相当大きな財政負担になるであろうけれども、やはり所得倍増計画の最後の五カ年間を考えますときには——東京では、もうキロ当たり四十五億の地下鉄をつくっておる。千億の道路をやれば、八百五十億は用地買収費であり、補償費であります。そういう産業や文化や人口が過度に集中するようなことが、一体財政的に投資効率があがると言い得るかどうか、こういうことを考えてまいりますと、これは、この狭い日本でありますから、やはり交通網によってつなぐことによって国内均衡をはからなければならぬ。私は、この公団というものがつくられて五年後には、ほめられると思うのです、これは必ず。そういう自信を持って、相当事務当局では反対もありました、こんなものをつくったら結局は公共負担になって、道路をつくると同じことになりますよと言われたけれども、そこが政治家と違うところだと、これをやらなければ、百年のために大道を開けないのだと、こういうことで、相当抵抗を排除してつくったのですから。そうして審議の過程においてこのくらい強い御審議があるのですから、これはやはり法律について回りまして、私はやはり何年後には相当事績をあげられる、そういうことに対していま計画ができておらぬというのは、あなたもいま申されましたけれども、新線建設審議会から答申をされておるものをそのまま前提にして一体やっていいのかという問題はあるわけであります。これは、今度新産業都市とか、地域開発の、昭和三十五年につくられた地方開発促進法というものがほとんど死に法みたいなものがここで生きてくるわけであります。ですから、経済企画庁長官を中心にして諮問をされた答申は何年後の日本の姿というものが出てくるわけですから、そうすれば、そこはもう鉄道でやったほうがいいのか、道路でやったほうがいいのか、港湾で結ぶべきかということが当然答申で出てくるわけであります。そのときに、建議をされておる調査線、着工線——まあ着工線まではずすわけにもいきませんけれども、付表に出ておるようなものは優先順位がつけられるわけであります。つけられれば、単線にするか、複線にするか、電化でやるか、そういう問題が出てくるのでありまして、いま運輸省に要求して、すぐ五カ年計画を持ってこいといっても、この程度のものしか出ないと思うのです、事実申し上げて。ですから、審議の過程でこういう前向きの議論をしていただいて、そうして私は、やはり国会でもこういうふうに審議をしながら通していただくのですから、これから、鉄道建設公団の計画はどうなった、大蔵大臣も来い、企画庁長官も来い、こういうことでもってきめていかないと、なかなかきまる問題じゃないのであります。確かにいまよりもいいことである、こういうことでひとつ御理解をいただくよりほかにないのではないかと、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/228
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229・小酒井義男
○小酒井義男君 関連をして。大蔵大臣に、実は具体的な例を出して政府の方針をお尋ねしたいのですが、こういう線があるのですね。一日に六往復、しかも車両はディーゼルカー一両、結局四時間に一ぺん通る鉄道なんです。ディーゼルカー一両で運べるくらいのところなら、バスに大体乗れる程度です、大型でしたら。そこで、道路をつくっておけば自動車が通れるわけですね。いろいろ利用方法がある。鉄道だと、ほかのものが通れぬのです。歩いて通ろうと思っても、ちょっと通りにくい。そういうようなところにでも鉄道を敷くべきだとお考えになっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/229
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230・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) これは運輸大臣がお答えをするようなことでございますけれども、私に御指名ですからお答えをします。
それは阪本線のような例もあると思います。しかし、これはもう地形、地勢、気候上の制限等がありまして、鉄道でなければならないというところもあります。これは全国大体四九%、雪の降るところ、寒冷地のところ、非常に高いところは、維持費や改良費等を見ますと、当然鉄道でなければいかぬという問題もあります。がしかし、道路でもって間に合うというところもございます。でありますから、山岳地帯であると、道路には変えられないというところもありますし、しかし、福島県の一部をバスに転換をしたというような例もありますので、これはやはり、その地域の地勢、地形、気候上の制約がありまして、おのずから鉄道のほうがいい、また道路に切りかえたほうがいい、ということは言い得るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/230
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231・加賀山之雄
○加賀山之雄君 ちょうど大蔵大臣、企画庁長官が出られたので、この機会に一、二簡単に伺っておきます。
いま、大蔵大臣のお話を伺っておって、まあ、私の理解するのは、大蔵大臣、これは運輸大臣はもちろんでありますが、鉄道はまだ敷かなければいかぬ、敷かなければいかぬが、いまのままでは遅々として進まないということで、その促進をするのに公団を設置されるという一つの目的、それからもう一つの目的は、これをあげて建設公団の責任に移すことによって、国鉄の負担を軽くする、そうして国鉄は、本来の現在ある線区について、安全確保はもちろんのこと、いわゆる近代化といわれる長期新線計画を立てて、それに邁進する、この二つが重大な意味を持つと私は理解するわけです。
そこで、最初の新線建設——もちろん鉄道建設審議会の議に基づいたものでありますけれども、これを促進するとして、一応あげられておる計画が三千億となっております。そうすると、これは十年間の計画とすれば、三百億というペースになる。先ほど大蔵大臣は、いまから二分の一とか三分の一とか、財政負担について言えるかというおことばでありましたが、これは、実はせんだっての委員会でも、私は、運輸大臣は財務当局とどういうお話になっているかということを伺った。大蔵大臣としては、いま、それははっきりと半分がいい、三分の二がいいとか言われることができないまでも、いままでのように、国鉄の出資が七十五億だ、来年の予定額がそうなっておる、で、政府の出資が十億にすぎない、こういうことでは話にならないのであって、将来は、政府出資はもっと当然ふやすべきだ、これは財政投融資ということじゃなくて、私は、本来政府出資として、政府が財政負担として、公共投資としてやられるところのものです。これは道路や港湾と並んで大臣が非常な重点を置いておられるところですから、それと同じように、政府出資というウェートをかなり強められないと、この計画は進まないということになる。それをまず大蔵大臣に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/231
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232・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) これは、原則的に考えると、公団を設立したことは、あなたがいま御発言になられた趣旨に基づいて設立をしたわけであります。国有鉄道の中で、採算線に乗らないからというものまで、現在の法体系では国有鉄道がやらなければならない、こういう無理な押しつけをしているわけであります。しかし、それは地方開発とか地域開発とか、種々の他の政策目的を持って国が行なうものでありますから、鉄道会計だけの採算面で議論すべきではないのであります。これをやりましたときに、北海道の鉄道という例を出しまして非常にあれですが、私は事実、そう考えたのであります。鉄道だけでもって九分創案がありましたときに、北海道の鉄道を一体どうするんだ、北海道は毎年赤字だから、(「赤字じゃないよ」と呼ぶ者あり)当時です。そういうような話がありましたときに、私はやはり、北海道に対してこれを開発するために、太政官布告時代に、公共事業は全額負担だ、この道を開くと同時に、鉄道を敷設したということは、非常にいいことだった。この例を見ればわかるのです。ですから、その意味でも、私は、これからの開発に対しては、当然そういう考え方で、国鉄に押しつけるべきものじゃない、裏返していえば、国が公共負担でやるべきだという議論になります。なりますが、財政当局者としてそれをいますぐ言うわけにはいかないのでありまして、それだったら、公団ではなく、第二鉄道会計をつくってやれ、こういうことになりますから、それはなかなかむずかしいところであります。それはやはり国民全体の共感を得てやらなければいかぬものですから、そういう意味で鉄道建設公団をやったのでありますから、大体趣旨としては、これからその線によって、根岸線を第一にやるんだといえば、それは財政投融資でやるでしょう。また、もうかる北海道と津軽のものをやるんだといえば、それもペイするでありましょう。しかし、そうではなく、いま少なくとも調査線なり着工線なり、付表に出ておるようなものを再検討しながらも、これをもととして、これ以上にやるというなれば、これは当然他の政策目的によるものでありますから、国鉄に無償で貸与するということになれば、そのしりはだれがぬぐわなければいかぬかということがそこで出てくるわけでありまして、大体あなたの御発言を、そのままそうでございますとはいまお答えはできませんが、そういう方向になるであろうということは申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/232
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233・加賀山之雄
○加賀山之雄君 大蔵大臣のお苦しいお気持ちだけはよくわかるのでありますが、それでは、その点について言明を求めることは一応あれしまして、次に、これも同僚議員からも非常に心配されておる点でございますが、まあこれの採算線はごくわずかで、しかも、それがかなり長い年月にわたって赤字が続いていく線であるということは、だれが考えましても、まず間違いない。そういたしますと、政府が非常な財政負担をする、そうしてそれでつくった鉄道は、鉄道の負担を軽からしめるのが本来の目的であるから、原則は有償であるけれども無償を考えなければならない。そうすると、だいぶこれはやっぱり無償、ある期間は無償だということは、だれが考えても避けられないと思う。そこで私は、公団の将来というものを非常に心配するものでありまして、そういうことで、非常に国家的な意義をもってつくった公団ではあるけれども、その公団の経理が国の負担をますます重くする、つまり、極端に言えば、支出はあるが全然収入のない公団であるということ——まあそれとは違いますけれども、海運会社が最近非常に困って、これに対して政府は非常に援助をされるのでなければ立ちいかぬという例があるわけであります。そうすると、今度は陸上にもう一つ動きのとれない公団をつくって、これを年々歳々ざるに水を流し込むような状態になる公団を一つつくられる。この点について大蔵大臣は一体どうお考えになるか、その点をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/233
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234・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) それも、賛成するときにはいろいろ財政当局としては考えたことです。でありますから、大蔵省としては、将来長期に財政負担をいや応なしにやらさせられるような公団ということには、元来不賛成であるわけであります。そういうことをしておっては、地域開発ができない、そうして国内均衡をはかれないとしたならば、ますます東京や大阪に寄ってくる。そうなりますと、いま四十億くらいのものがキロあたり百億にすぐなると思います。それを考えますと、ペイすればいいというような、企業会計だけの面で考えられないのです。でありますから、私はこういうものに賛成をしたわけであります。これは二つの議論があります。鉄道というものは、いつまでも建設当時のものではない。東京——大阪間でも、明治初年には、いまの三倍の料金をとっても、なお鉄道はもうかるものではなかったのですが、それによって鉄道の今日を築いたし、日本経済を発展させた、こういうことが事実であります。でありますから、いまの二万の地方都市と三万の地方都市を結ぶ地方鉄道であっても、それが二十万になり百万になる計画でやっているのでありますから、これは必ずペイするのであります。そうしないと、明治初年から九十年もやってきた日本が、非常に低い経済成長を続けるということになれば別でありますが、いまの状態でもって、とにかく正常な経済成長を続けていくということになれば、当然私は、鉄道はある期間は赤字であるけれども、これは必ずペイする。鉄道九十年の歴史に徴しても、明らかにこういう結論を出しているわけであります。
もう一つは、これは大蔵大臣としては言いにくいことでありますが、こういうことがあるのです。道路と港湾と鉄道を見ますと、確かに鉄道を対象にした公団に対する経理を見てみますと、赤字が累積をしていきます。無償で貸し付けるということになれば、赤字が累積していきます。しかし、同時に私は、これから海峡鉄道とか、いろいろなものをやってくると、国鉄の現在の財政規模の中ではできないけれども、これが相当短い期間に投資が行なわれて、これを国鉄に有償で貸し付けるわけでありますから、私は、それと政策目的をもってやるものとのバランスを考えれば、そうこの会計の中に、公団会計がとんでもない赤字が出るというふうにも ある時期には出ますけれども、私に見通しはつくのです。もう一つは、道路とかなにかは無料公開ですから、計算しないものですから、鉄道は赤字が出る、赤字が出るというのですが、国から出すのですから同じことなんです。出しっぱなしになったものは全然かまわない、ここに間違いがあるのです。ですから、これは道路をつくる、これを鉄道の公団の会計と同じレベルでもって計算してみたときには、一体どっちがいいのか、こういう議論を私はすべきだと思うのであります。そうすれば、道路に投資をする一般会計の歳出と同じもの以上の国として効率投資であるならば、公団の赤字は当然補てんすべきである。いまの食管会計の赤字と同じことなんです。そういうところまで考えてこれに賛成をしたわけでありますから、大蔵省としては相当飛び下りたわけでありますから、その間の事情はひとつ御了解賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/234
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235・加賀山之雄
○加賀山之雄君 大蔵大臣……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/235
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236・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 関連質問でやっているので、大蔵大臣をぼくが呼んだのは、こういう関連質問をさせるために呼んでいるのじゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/236
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237・加賀山之雄
○加賀山之雄君 簡単に終わりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/237
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238・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 そんなこと言うならば、毎回委員会で、通告せずに関連質問でやるぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/238
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239・米田正文
○委員長(米田正文君) 簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/239
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240・加賀山之雄
○加賀山之雄君 もう一つの点で、国鉄の負担を軽くして、既往線を使って国鉄に十分の能力を発揮させる、そして安全確保等の問題が非常な重点を持ってきたわけでありますから、こういう点に最重点を置いてやられるということでございますから、そうなると、国鉄に対する新長期計画と申しますか、これに非常なウェートを政府としてみていただかなければならぬと思う。ところで、本年の予算のぐあいを見ましても、半分までいきませんが、国鉄はこれだけはぜひともかけたいといっている量の半分近くは削られておるという状態であって、この点については、運輸大臣、国鉄総裁は非常に強い要望をされたと思うが、大蔵大臣として十分今後その計画を育て上げていく御決意があるかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/240
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241・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) この公団とあわせて国鉄の持つ使命の重大さということは十分理解しているわけであります。なお、国鉄が公共負担をやっているという事実に対しても再認識をしながら、国鉄の安全運行、また輸送増強に対処できるようにしてまいりたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/241
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242・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 ただいままでの大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、非常に善意に解釈すると、ものわかりのいい答弁をいただいている。一面また、非片山に勇ましい答弁のようにも聞こえるのですが、私はこの際すなおにいままでの大蔵大臣の答弁を解釈したいと思うのでありまして、そういった、つまりいま大蔵大臣が答弁されたようなことに相なりますと、この資金計画というものは相談は受けていないと言うけれども、大臣の答弁では、かなり自信のある答弁をしているので、私はこの際は、心から信用するというわけにもいかぬが、ある程度理解した立場で聞くのです。
そこで、大臣のような答弁からすると、前の委員会からもかなり問題になっておりますけれども、審議会の答申の「附属資料」の(二)にございますけれども、「新線建設十箇年計画の財源」、ここには、地方公共団体の負担金であるとか、通行税の相当額であるとか、市町村の納付金の相当額、あるいは新しく税金を設ける鉄道整備税、こういうことが書かれてこの十カ年計画が出されております。そこで私は、非常にいままでの経緯から見て、何ら大蔵当局との相談がなかったという、今度出された資金計画を見て、そういう危惧の念をしているんだけれども、いまの大蔵大臣の答弁からいくと、よもやこの地方公共団体であるとか、あるいは再三これは大臣にも言っているのだけれども、地方の未開発の地域にどんどん新しい鉄道新線をつくっていくのだから、受益者が非常にあるのではないか、地方住民が非常に喜ぶ、利益をこうむるのではないか、だから、そういうものについては、当然地方だって負担をしていいんじゃないかという意味の前々のお話であったのだが、いまの答弁からいくと、受益者負担などというものは、考えられない、こういう気がするのです。ましてや、鉄道の運賃の値上げ等というものは考えられないというように私は理解するのです。
そこで、立ったついでに、大臣が忙しいようですから、まとめて私は聞くのですけれども、有償、無償の関係については明快な答弁をいただきましたから、私はこれでけっこうだと思う。ただ経営を、今度は貸与されて実際扱っている国鉄側として、今日までかなりこうした問題については赤字が累積して、かなり経営上の負担になっておりますことは大臣御承知おきのとおりなんです。それにプラスをして、今度は、その赤字路線をさらに新たに経営していくということは、大臣は何かまことに将来見通しの明るいことを言っておりますけれども、私はたいへんな赤字になることはもう間違いないと思うのです。間違いないということは、ここに出された資料の中でも、大臣これは明らかになっているのですよ。現在ある着工線四十三線が完工して、新線が開業に伴なって、原価計算の立場から、工事経費であるとかあるいは営業収入、あるいは経営費、償却費、こういうものを、当然これは経営の立場として、明らかにするものだと思うのです。この資料では、ここにもありまするように、工事費が、これはラウンド・ナンバーを切り捨ててみても九千億になっている、四十三線あるということになると。それから、営業収入は九十余億円よりないのです、入ってくる金がですよ。そうして逆に、経営費あるいは償却費はどうなるかというと、百二十六億ということになると、明快に書いてある。したがって、損益計算では直ちに三十余億円というものは赤字になることがこの資料によって明らかになっているのですよ。ましてや、調査線の関係についてそういう現象がより以上に私は出ると思うのです。この資料で見ますると、二十七億くらい赤字になる。しかも、着工線の赤字は、前段で申し上げた部面だけでは赤字は四〇%くらい出る。調査線のほうは優に六〇%をこえるということは、この資料で示しているのです。しかも、営業係数というものは、大体一四〇から、あるいは調査線のごときは一七〇近いものになる。こうなっているのであるから、私はもう、あなたが、どんなに善意に解釈して、将来の見通しがペイになるのだというような明るい見通しを立ててみても、現実問題として赤字が招来することは間違いないと思うのです。その場合に、一体、国鉄に対してそれを貸与されて経営する。国鉄に対してあなたは、いままで当然、従来も国鉄がそういうみずからやっておった、新線建設についての営業を開始すると同時に国鉄が負担してやっているの、だから、そんなものは政府は見ないのだと、こういうようなことであるとすれば、これは私はかなり問題があるような気がする。結果的には、国鉄は好むと好まざるとにかかわらず、先ほど聞いた運賃値上げとの関係が私は必然的に出てくるような気がする。
なぜかならば、その心配をなぜ私がするかというと、あなたは御存じかどうか知りませんけれども、国鉄の現状について、日本国有鉄道総裁石田礼助は、内外情勢調査会の「講演シリーズ」というのがありますよ、ナンバー二〇三、これは転載を禁ずと書いてありますね。この中で、石田総裁はこういう大演説をぶっている。——国鉄の経営の今日的問題として運賃値上げ問題がある。国鉄は企業意欲の高揚と銘打ってダイヤ改正や合理化施策、たいへんその他無理をしてやっている。皆さんもお気づきのことと思いますが、事故もふえたが急行列車がふえたことと、昭和三十一年には全国で百七十三本しかなかった特急、急行、準急列車が、三十八年の十月に優に一千本になっているのです。その結果、特急、急行、準急券の収入が増収となり、実に四百億円もあげている。この金額はちょうど通勤、通学の定期運賃の全収入に匹敵するものである。一面間接的に運賃——私はこれは値上げではないかと思うし、大衆課税ではないかと思うがこういう問題はその問題として——しかるになお今日財政資金調達で非常に苦肉の策としてこういうことを考えなければならない——こう言っているのです。そうしてさらにこの中で、石田総裁は最後に、運賃値上げ論を大演説をぶっている。これは十月の十日帝国ホテルで行なわれているのですよ。こういう苦肉の策をやっているのだと。だから将来運賃値上げは国鉄経営上つまり絶対心要でもあるし、そのことが経営上の救いの神だと、こう結論づけている。
だからぼくは心配だから、最後にこういう無理な、赤字が目の前にはっきりしている、しているものをさらに政府は、ここの国会答弁としてどんなうまいことを言っても、現実として出るわけだが、そういう関係がこういう総裁みずからの演説になる心配がないのか。この際、大蔵大臣、あるいは運輸大臣は当面の監督大臣ですから、私は明快な答弁をしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/242
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243・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 田総裁がそのようなことを言われたというようなことは仄聞いたしております。おりますけれども、政府は公共料金の値上げ一年間ストップ、こういうことを決定いたしておりますので、一年間鉄道料金を引き上げようという考えは全くありませんことを明らかにしておきます。
第二の問題は、鉄道建設公団から無償及び有償で国有鉄道に貸与せられることによって値上げの要因とならないかという問題でありますが、そのようなことは絶対に考えておりません。もし値上げになるというようなことがあれば、これは、現国有鉄道の財政上の問題、運営上の問題で、別な観点から議論せらるべき問題でありますので、現在御審議を願っておりますこの公団発足によりまして、この公団でつくる新線を全部国鉄に貸与することによる値上げは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/243
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244・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大蔵大臣から、値上げはしない、こういう明快な答弁ですが、これは政府の方針として一年に限るわけですね。池田内閣がどうこう言ってみても、結果的に、企画庁長官もおりますが、盛んに物価抑制の政策とかなんとかいって会談などを持って、今日の報道関係を通じて宣伝して太鼓をたたいてみたって、現実問題としてどんどん物価が上がっておりますよ。これは、国鉄が一つの企業として仕事をする場合においても、政府が一年間据え置くとか、物価抑制政策をやるといってみたところで、どんどん物価が騰貴していっているのですから、鉄道で必要である資材をたとえば求めるにしても、あるいは人の問題にしても、事鉄道だから安く買える、現状の値段で買えるということにはならぬのですよ、大蔵大臣。そうしますと、さなきだにこういった赤字の要素がプラスされてくると、そんな一年間のことでなくして、将来展望として、当然そういう方向が、あなたがここでどんな答弁したって、そういう傾向が存在してくるような気がするんですがね。将来どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/244
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245・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 将来のことを見通して御答弁するわけにはいかないと思いますけれども、これは一年間はいずれにしても引き上げないということを明らかにしておきます。まあ物価も、経済企画庁長官を中心にして、年間三%、対前年度比四・二%に押えるということで、われわれも大いに努力いたしておりますので、物価を大いに引き下げるという方向にはならないにしても、とにかく物価は安定させるということでいま努力しているのであります。
ただ、国鉄総裁が言われた、国有鉄道の現在の運賃は妥当なりやいなやという問題は全然別の問題でありまして、これは、国鉄の将来ということと現状を十分考えながら、国鉄の独立採算制というものに対してもまた考えなければいけません。独立採算制だけを一体どこまでも要求していけるかどうかというような問題も含めながら鉄道運賃というものは議論をせられておるのでありまして、私たちがいまの状態で国鉄運賃を引き上げないという、一年間は絶対に引き上げないということと、もう一つは、この公団が発足することによって国有鉄道に負担がかかる、それで値上げもあり得るでしょうというような考えは絶対持っておりません、こういうことであります。ですから、お互いに努力して物価を安定せしめていけば、まあその引き上げ論は、また別の方向から検討されるだろう、こういうふうに思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/245
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246・岡三郎
○岡三郎君 関連です。
この資金計画の中で一つの重要な要素は、債券の問題がここに載っておるわけです。鉄道債券、建設債券の問題についてどのように大蔵省としては考えておりますか。実行計画その他。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/246
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247・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 政府保証というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/247
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248・岡三郎
○岡三郎君 政府保証債は別にしても、大体その規模とか、その他一体これをだれに買わせるのか、その鉄道を引っぱるところに金を利益者負担という形でこれを取れ、電話公債みたいな形でやるんじゃないでしょうね。あなたのことばからいえば、そうなる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/248
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249・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 受益のあるところに受益負担ということは、あらゆる公共事業に対してあるわけでありますが、私は衆議院の運輸委員会でも答弁をいたしましたが、新線を建設することによって地元負担を行なわせ、それから利用債を発行し、それから特別運賃をつくる、さなきだにめんどうな生活しにくい、非常に収益が低いそういうところに他の目的をもって鉄道を引くときに、応益負担という分を越えて建設費を負担すべきでない、私は個人的には、現在の国鉄がやっておる利用債そのものに対してもあまり賛成しておらぬのですと、こういう答弁をしておりますから、私はやはりこういう問題に対しては一般的に資金を集める、こういうことを考え、やっぱり主に置いて、全然応益負担がないということを考えておるわけじゃありませんが、いままでのような考え方でやっておったならば、もう、鉄道は引いてもらう、その負担金で首をくくってしまう、ということになってはたまらぬということは当然考えております。相当前向きに考えておるということを申し上げてておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/249
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250・岡三郎
○岡三郎君 関連して。
いまの点でよくわかったんですが、では一体、いま一般から金を集めるために利用債を発行する、こういうことになると思うんですが、資金計画の中において、こういう問題については大蔵省に運輸省から話があったのですか。その規模、具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/250
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251・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 規模の問題は、両省でこれからひとつ検討しようということでありますが、まず政府保証債をやろう、そうしてあまり応益負担ということでもって、財政力のない地方に過重な負担を来たさない、こういう原則だけはきめておりますが、公団が発足すれば、当然いろいろ線名がきまってまいりますし、そこで具体的な工事計画がきまってまいりますので、国鉄の意向等も十分聞きながら、最も合理的な施工規模をきめたい。さっきから三十八年度、三十九年度は小さいじゃないかということは、私もそう考えております。おりますが、誠意をもって出したのがこの前流れましたので、これはまあ二年分一緒に仕事をするようになりますが、とにかく発足をするには大体このとおりである、それで一面には、赤字路線という在来の思想がまだ世にびまんをしておりますので、これができますと、私たちは思い切って政府の考え方も大衆に訴え得ると思いますので、そういうことできまったものは、このような理由で着工するんですと、こういうことを言えば、そこで資金計画もきまりますし、だんだん五カ年計画なり長期計画もできる、その計画をやるときに、いまの起債のワクその他は両省でひとつ検討してやりましょう、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/251
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252・岡三郎
○岡三郎君 そうすると、大体ここのは素案という話ですが、その十カ年計画に基づいて、四十年は大体政府資金が百二十五億、大体の見当が。これは全然相談がないというんだから別にしても、百二十五億、国鉄出資七十五億で、大体二百億、こういうふうな形になっておりますが、百二十五億がなければこの計画は遂行されないと思う。だから、そういう点で百二十五億政府資金としてどういうふうにこれをお考えになっていかれるのか。ことしは、始めれば七月ごろにはすぐなっちゃう。で、その中から、事業計画とかそういうものを出してきますよ。出してきますけれども、一応めどとして、やっぱり百二十五億程度なければ新線建設のほうには向かぬ、こういう計画だろうと私は思うんですよ。これは運輸省から出してきた資料です。相談はないとしても百二十五億というものがなければ、国鉄出資の七十五億と合わせて新線建設はなかなか進捗しない。そうするというと、そこにいま言ったような利用債というものの発行というものも考えられるかもしれませんが、いずれにしても、当面ことしの問題で、七月程度に、こういう問題についての大体の企画がなされるということになれば、大蔵大臣は百二十五億程度は問題じゃない、こういうふうにお答えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/252
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253・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 問題じゃないとお答えすることが妥当であるかどうかわかりませんけれども、まだ計画自体がきまっておりませんから。がしかし、私は初年度でも、あなたがいま言われた、百二十五億と言われましたが、少なくとも初年度九十五億といえば小さい、百億以上に乗せなければいかぬというぐらいな議論をしておりますから、これは公団の首脳がきまりまして、その計画ができれば、当然持ち込まれる問題だと思いますが、これらの問題に対しては、前向きで対処する考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/253
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254・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大蔵大臣の関係で、先輩の岡委員からも御質問がありまして、おおむね私どもの聞きたいと思った点は、私の関係ではこれでいいと思いますが、これから主として運輸大臣にさらに質問を行ないます。
運輸大臣ね、いままでの大蔵大臣の答弁を聞いておりますというと、あなたがこの重要法案を提案するにあたって、事業計画であるとか、いま岡先輩からも指摘されたような資金計画については、当然私は大蔵大臣と折衝されていたものだと思っていたのです。ところが、いまの答弁を聞くと、全然そういう折衝というか、話し合いとかというものがしてないということなんですけれどもね。こういう重要問題を提案する場合に、最も大事な事業計画であるとか、あるいは資金計画というものについて当然これは仕事をするのですから資金がつきまとっている、金がつきまとっているのにもかかわらず、最も、今日の世上で言われておりますが、しみったれな大蔵当局に前もって相談をしておかないのか、まことにぼくは不可解に思うのですがね。こういう点、納得できませんがね。運輸大臣どうですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/254
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255・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 大蔵大臣が先ほどもここでも申しましたように、私は大蔵大臣を信頼いたしまして、本公団ができれば、その首脳者が、計画が具体的に進みます前に、必ずこの公団をして、あなたがおっしゃったように、身体不自由児にはならない程度の財政的な方途を講じてくれるものと確信いたします。そうして、たびたび申しますように、ここで十年計画を、この線をこうこしらえて、これにこの金をこう入れるというようなことを書けと言ったって、それは社会がどういうように変わるかわからず、なかなかそれは困難ですよ。賢明なる吉田さんは、それくらいおわかりだろうと思う。そこで、どうかぜひひとつ公団を早くこしらえさせて下さい。そうして、その成果によって、大蔵大臣がるる説明されたように、財政的にも心ず見殺しにしやしない、立ち行くようにするのだという言明を私は信じまして、大体のことについては、これを何億円、何百億、何千億をどう出すという約束はいたしませんが、この公団ができた以上は、事業が遂行できるように、しこうして新線が一番手っとり早くうまく建設できるようにということについての了解を求めておることは、大蔵大臣さっき申したとおりでございます。その具体的なことは、単年度の予算を皆さん方に御審議願うのですから私は心配要らぬと、かように確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/255
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256・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大臣、僕がいま聞いたのは、計画そのものを書けとか何とかということを言っているのじゃないので、その計画も大事だけれども、大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、最も大事な金の関係について、あなたにさっぱり相談していないようだから、その関係はどうだと聞いたのです。そこにいまあなた立って答弁しているが、大蔵大臣を信頼して、そしてまた、よりよくなるであろうことを確信していると、あなたの場合は、信頼と確信外答弁を終わろうとしている。
そこで、大臣、いま再答弁を求めますけれども、あなたは、昨年の六月二十四日の衆議院の運輸委員会で、この問題で予算折衝の際大蔵大臣と話し合った、こう衆議院の会議録には明らかになっている。だから、ぼくはそういう関係をいまあなたに聞いているのです。それだけです。しかも、政務次官であるとか、そこにおりまする鉄監局長などが行って折衝したのではない、あなたは運輸交通の最高責任者として大蔵大臣と話し合ったわけですからね。この際、その具体的な内容を私どもは示していただかない限りは——将来は大蔵大臣を信頼し、そうしてその確信を持っているなどと言ってみても、あなたは池田内閣の同じ閣僚であるから、そういう信頼とか確信が持てたりする。ある意味においては、自民党という仲間であるからそういう確信が持てる。しかし、国民大衆は自民党でもないし、仲間でもない。だから、私はいつも言うように、こういう問題は、私の質問を通して、国民があなたと同じように信頼と確信の持てるような答弁をしてくれ。あなたは衆議院の運輸委員会で、六月二十四日に、こういうことを言っている。だから聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/256
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257・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) まさにそのとおりでありまして、私は、さっき申しましたように、大蔵大臣と、何百億出してくれ、何千億出してくれ、という折衝ではないが、いやしくも公団が発足する以上は、この建設公団が円満に順調に新線の建設ができるように財政上の措置を考えてくれなければ困るぞと言えば、承知しました——ただいま私が答弁したのと、その答弁とはちっとも矛盾しておりません。いま何百億、何千億出してくれという交渉は、さっきも申しましたように、これは早急にできませんから、行く行くは何千億になるか、何兆円になるかわからぬが、この公団ができた以上は、大蔵大臣として、この公団が立ち行くような財政金融の措置をしてくれなければ困るぞということについて話した。そこに何千億、なんぼの金の額を明示して交渉したとは書いていない。鉄道建設公団の財政について、この公団が立ち行くようにしてくれ、承知した、こういうやりとり。それ以上私自身としても、計算上どれだけ要るかわからんじゃないですか。それは計画を立てていくが、要は、鉄道建設公団ができてなにするまでに発足して、順調に育っていくだけの責任は持ってくれなければ困るぞという交渉をいたしました。それで、大蔵大臣は承知いたしました、ということを申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/257
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258・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大臣はえらいですね、ハッスルして。矛盾しておるような、していないような答弁しておるけれども、矛盾しているんだよ。いまあなたが答弁したように、この六月の二十四日の衆議院の運輸委員会であなたが答弁していることは会議録によって明らかだ、こう言っているのですよ。中身はちっとも明らかじゃない。中身は。だから、どういう内容の話をしたかということをぼくは聞いているんです。しかもあなたは矛盾していないと言うけれども、大蔵大臣は、あなたがこの素案、粗末な案かどうか知らぬけれども、具体的に本委員会に提示している年次計画があるわけですからね。政府の資金、国鉄の資金ということ、しかも政府の資金については二千二百五十二億円になっているのです。このことについては、大蔵大臣は、ただいま全くこの委員会の直前に、いま去ったけれども、この場でそういうことについては相談を受けていないと言うから、しからばあなた、この六月二十四日の衆議院の運輸委員会で言ったことはどんなことを言ったのか。われわれにはちっとも中身はわからぬから、あなたに聞いているわけですよ。だから、矛盾しておるから聞いているのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/258
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259・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいまの、何べん申し上げても同じように、具体的の数字をあげて交渉したのではなくて、鉄道建設公団をやっていくために必要な財政上の措置は十分やってくれなくちゃ困るぞと言えば、承知しました、その話をしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/259
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260・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 どうも大臣のお話を聞いておりますと、そういうものが保証にもなりませんし、大臣は腹の太い人ですから、大蔵大臣もそういう方ですから、腹と腹でやったのかもしれませんね。だから、そういうことはそれはそれなりでいいでしょう。この委員会は、国会という立場でいろいろわれわれが議論しているのだから、そこで大臣、あなたの答弁を聞いておりますと、かなりこれからその場合によっては、動いてもいいようなもののように聞こえるのですよ。つまり、考え方が浮動性のあるように聞こえるのだが、かりに大臣、この委員会もしくは本会議で——国会というのは、国権の最高機関であるということは、明らかに憲法にうたわれておりますから、そういう権限を行使したり、あるいは予算権を持っておりますから、いま予算がこれに伴って審議されておりますから、この予算審議権なども行使して新たなる方向を決定することができると私は思うのです。いいですか。冒頭に言うた仮りということを頭に入れておいて下さいよ。もしこのような場合が、これも仮りだ、仮定の問題だから、仮りにありとするならば、運輸大臣はそのときにどんな措置に出るか、その考え方をこの際述べてもらいたいというふうに思うわけです。
もうちょっと具体的に言います。この委員会で前に申し上げたような、それぞれの権限を行使して、たとえばみんなの意見が一致したら附帯決議のようなものをつけた場合に、あなたはどういう措置をとるかと、あなたに非常に答えやすいように僕は聞いているのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/260
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261・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 全員の御希望があって、私が判断いたしまして、これならば運輸担当の責任者として実行ができるという案については、つつしんで配慮いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/261
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262・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 そこで、この段階でさらにぼくはたくさんの質問をしたいと思うが、この間の委員会で、つまり事業の将来展望といいますか、沿革といいますか、とりあえずこの法律案でいきますと、四十三線に、調査線がたしか、予定線といいますか、十五線、この場合の事業計画の大筋を資料要求として求めたのであるが、これについて、鉄監局長のほうの担当だと思いますが、どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/262
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263・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 吉田先生の御希望とぴたっと合った資料でなかったかもしれませんが、昭和二十七年度以降の開業線の営業係数の資料、それから前に、着工線、調査線の概要をしるした運輸省の資料がございますが、これでよかったのではないかと実は思っておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/263
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264・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 いま山田さんのお答えがございましたけれども、この資料は、かなり前の委員会で、先輩の小酒井先生から資料要求がなされて提示されたものなんです。ですから、これは私は持っているのですが、これだけでは、つまりこの公団がかりにできて発足して、それぞれの条項にきめられておりますから、着工線の四十三線とそれから予定線の十五線というふうに限定して計画が立たれているのだと思うので、それで、よりそれぞれの事業計画、資金計画といいますか、そういうものをできるだけわかりやすいようにして資料を求めて、この間の委員会では、鉄監局長がそんなものはできませんというから、何を言っているかというようなことになって、すみやかに資料を出す、こういうことになっていたので、おそらくはまだその資料は、どうもあなた方の相談して立ち方を見ておりますと、でき上がっていないのじゃないかというふうに思うから、でき上がっていないものを、それを求めて、ここでどうこうする、質問しろといったって、私の能力では、そういう資料のない計画に質問することはできませんから、それはそれであとに質問することにいたします。
そこで山田さん、立ったついでですからお伺いするのですが、先ほど新線を無償で貸与される、こういう関係が大蔵大臣の答弁で明らかになって、今回は営業開始と同時に赤字が出ていくことについては具体的に資料にありますから、私も読み上げてお答えを願ったところだけれども、あなた方、今度経営を担当する者として、これからの経営の、各線ごとといいますか、これは、そこで具体的にさっき言った資料が出てこないから、各線ごとにどうこうというわけにいかぬと思うが、大ざっぱなことでけっこうだが、営業係数をどう見ているのかということを、経営を担当する者として……。
それからもう一つは、先ほど来申し上げておりますように、直ちにかなりの赤字が出ることは間違いないですから、この赤字に伴って、営業係数など、どう具体的な、あなた方が経営の責任として、施策といいましょうか、あるいは方策といいましょうか、こういう点をお聞かせを願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/264
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265・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 着工線、それから調査線につきまして、これはまだ正確な計算はいたしておりませんが、一つの指標となるものが、昭和二十七年度以降の新線建設にかかわるもので開業いたしております線、これは先日小酒井先生の御要求でととのえた資料でございますが、これの国鉄が開業いたしましてから受けております年間の赤字が、推定で大体三十四億円くらいになることが想像されます。したがいまして、その例で、今後四十三線の着工線が逐次開業してまいるといたしますならば、その過去の数字が一応算定の引き合いになるものと考えております。なお、現在いわゆる新線建設で開業いたしておりますもので、北海道の根北線のごときは、営業係数が一一三九という非常に膨大な数字を示したものがございますが、当面また、最近の新線では、この前御説明いたしましたように、紀勢線あるいは樽見線のごとく、大体収支とんとんになると思われるものもございます。
それで、今後そういう赤字が考えられる新線を建設公団が建設して、それを、無償にしろ、国鉄が貸与を受けて経営する際にどういう経営方法をとるかという御質問かと存じますが、これにつきましては、従来国鉄でやっておりましたときとは、まず間接経費が国鉄では免かれるわけでございまして、これはたびたび申しますように、減価償却費、それから投下資本の利子相当額は、これは公団が引き受けてくれますので、その点は、国鉄自身で建設し経営するよりも一歩前進、国鉄の経営の上からいいますと一歩前進になると思われますが、日常の運営経費についての赤字は、これはおおうべくもございません。したがいまして、私どもといたしましては、公団が発足いたしますと、法律の規定に基づきまして、事業の実施計画等について協議を受けることになっておりますので、その際、将来経営上の赤字を少しでも少なくするような建設方法をとってもらうように、十分協議をしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/265
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266・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 そうしますと、山田さん、赤字がかりにそう出たとしても、端的に言って、経常的な経費にはしわ寄せをさせないという理解でよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/266
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267・山田明吉
○説明員(山田明吉君) いわゆる赤字の予定される新線を国鉄が無償で貸与を受けて経営いたします場合に、赤字はこれはどうしても生じてまいると思います。それにつきましては、一種の国鉄の公共負担と考えざるを得ないのではないか。したがいまして、将来国鉄全体の経営の観点から、そういう公共負担をどういうふうに処理していくかという立場で考えてまいりたいと思います。先ほど御議論の出ておりました基本問題の調査会等におきましても、そういう大きな問題の一つとしてお考え願いたいと、そういうふうな希望を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/267
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268・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 ただいまの御答弁ですね、将来に期待感を持つようなことの答弁ですが、釈然とはしませんけれども、時間がかなり経過しておりますので、次のほうに進みたいと思います。
この法律案では、業務の範囲についてあまり明確にされておりません。おそらく、立案は鉄監局長がその衝に当たられたのではないかと考えられますが、御案内のように、この条文は——さっきの資料はこれは素案だと、これと同じように粗末ということにはなりませんから。これは法制局とも相談してやったでしょうからね。何か私どもでは、まことに短かい文章で、いとも簡単に、業務方法書の作成、そして運輸大臣の認可を受けなければならないものと示されているわけなんです。私は、このことだけでは、将来公団と国鉄との業務範囲というものは、ほんとうに明確にならないと思うのです。私は専門家ではございませんけれども、多少なりとも経験があるので、例をあげて申し上げますと、たとえば線路分界をどうするかというような問題、それから、これは非常に大きな問題ですけれども、災害復旧工事などの場合に、一体どういうふうな業務範囲をきめて運用をしていくのか、そういうことが、やはりこの際、私は、明確な基準のようなものを策定しておく必要があるのではないか、こう思うのです。そういうものがなければ、実際運用面で詰まり、今度は、大蔵大臣の答弁で明らかになったけれども、第十九条に、公団からいけば有償、あるいは国鉄側からいけば無償だなどという、結果的に見れば、議論なり、そういう事柄が争点となるような私は可能性が多分に、第十九条だけのこの短文を読みますると、懸念されるのです。こういう点は提案者としてどうお考えになっておるか、この際聞かしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/268
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269・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 第十九条でございますが、「公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。鉄道新線に係る鉄道施設の建設を行なうこと。」、鉄道新線の中で、結局鉄道施設、これは、道床から、あるいは線路、それから電化する場合には電化施設とこういったものも含めて、鉄道施設の建設を行なうということでございまして、自動車施設はこれには含まれていないということでございます。それから、建設をしました鉄道施設を国有鉄道に貸し付けまたは譲渡する。
〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕
それから第三号は、「前号の規定により貸し付けた鉄道施設に係る災害復旧工事を行なうこと。」、第四号が「前各号の業務に附帯する業務を行なうこと。」ということで、先ほど特にお尋ねがございましたが、災害復旧等の実際のやり方はどうかということでございますが、これにつきましては、譲渡してしまったものは、これは別でございますが、公団の所有にかかる鉄道施設の災害復旧というものは、これはまあ所有権に基づいて行なうという考え方でございます。それで、通常の保守等は、これは借り受けた国鉄がやりますが、災害復旧のようにかなり大きな損害を受けた場合には、通常の維持管理の範囲を出るわけで、所有者として公団が当然行なうということを考えているわけであります。なお、実際のやり方としましては、国鉄のほうは、公団から借り受けた鉄道施設につきましては、あちこちに駅もある、職員もずっとばらまかれておるというかっこうになりますが、なお通常の保守もやっておるわけでございますから、手が非常に多いわけでございますが、公団のほうは、先ほど話がございましたような、全部で九百人足らずでございます。したがって、日常の保守等は行なう要員は持っておりませんので、実際のやり方としては、国鉄に委託をしてやっていくという場合もあろうかと思います。しかし、責任は、あくまで公団の責任でやるということを予想しておるわけでございます。
それから第二項は、「公団は、前項の業務の遂行に支障のない範囲内において、あらかじめ、運輸大臣の認可を受けて、次の業務を行なうことができる。ただし、第二号の業務については、委託者が日本国有鉄道である場合にあっては、前項第一号の業務に直接関係のある場合に限る。」となっておりまして、「前項第一号の鉄道施設で高のものの建設と一体として建設することが適当であると認められる事務所、倉庫、店舗その他政令で定める施設を、当該鉄道施設の建設に伴って公団が取得した土地に建設し、及び管理すること。」、これは、いまここで例示をしております事務所、倉庫、店舗その他の施設は、公団が建設をしあるいは管理をするということを規定しておるわけでございます。直接公団が経営するということは考えておりません。
それから第二号が、「委託に基づき、鉄道に関する工事並びにこれに関する調査、測量、設計、試験及び研究を行なうこと。」、第三項の「公団は、前項第一号の業務を行なう場合においては、政令で定める基準に従ってしなければならない。」ということで、公団の業務をかなり具体的に例示したつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/269
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270・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 いまの鉄監局長の答弁で、細部については、法律がかりにでき上がった場合に、政令もしくは法律に基づいて、業務方法書の策定等について、十分関係の方々と相談をしてやる、こういうことのようですから、ここで法律ができない前に、政令がどうこうなどということを私は言いませんが、いま申し上げたことは、非常に大事なことでありまするだけに私聞いたのですから、いまの答弁のように万々遺憾のないようにするということだと私は思うので、そういう点で理解しておきたいと思います。
そこで、業務の範囲に入りましたから、当然この公団というのは、一つの企業で運営される、こういうことになると、今日までたびたび質疑応答などございましたように、企業というものは、原則的に資金、つまり金、それと器材、さらに人によって私は成り立っているものと思うのです。そういったつまり人の関係について、若干この際質問をいたしたいと思います。
前回のたしか四十三回国会でございましたか、ちょっと記憶いたしておりませんが、この法律が提案されまして、私が本会議で緊急質問をいたしました。そのときにも若干触れたわけですが、そのときの本会議席上の運輸大臣の答弁では、結果的にはやってみなければわからないという意味の答弁が、この会議録をごらんになってもわかりまするように、なされているのです。私は、この段階にきて、やってみなければわからないなどという大臣の答弁では、ますます理解に苦しむものなので、明らかにしてもらいたいと思いますけれども、その重点は、やはり建設公団ですから、私は技術者の問題がやっぱり非常に大きな問題になると思うのです。で、大臣も御案内のように、国鉄は今日二千億にも及ぶ工事資金を消化しているんです。最近は特に、事故の関係であるとか、あるいは保安対策の関係であるとか等々が国会の内外で議論されるようになっておりますから、非常にこれに国鉄も神経を使い、努力されております。私はこういう点については非常に敬意を払っておるものの一人でありますけれども、こういう面がプラスされて、最近とみに技術者が不足をいたしているんです。この傾向は、ひとり国鉄だけでなくって、日本の各産業にもこういう傾向があらわれていることは、大臣も十分承知していると思うのです。とりわけこの国鉄は、第二次五カ年計画がまだかなり資金不足で——政府がちっとも資金的な措置をしていないからこういうことになるのだが、そういう批判は私は別にして、かなり所得倍増計画に見合うような輸送量増強ということに施策として力を入れている。だから、取りかえ工事であるとか、あるいは諸改良の工事なり、非常に多くなってきている。そこで、そうしたものを含めて今日の国鉄の施設体制というものは必ずしも私は完ぺきでないと思う。現に、この基本調査作業を省略したり、あるいは都市構造の変化に即応した体制がとられていない。こういうことがたびたび本委員会でも問題になるし、会計検査院からもこういう点については指摘されておりますから、監査報告をごらんになればおわかりのとおり、こういう状況の中で、新線建設を担当しておりまするこの技術者が、公団のほうに、今度の予算書を見ますると、約八百に近い人々が移行されるようになっている。ですから、今後国鉄における各種の工事の竣工はもとより、毎度問題になります国民の生活をあずかる国鉄の安全性から見ても、このことが重大な私は影響が出てくるものだと考える。ですから、技術屋の相互運用いかんによっては、私は非常に大きな問題を残すような気がするが、こういう点、一体政府当局としてどう考えているのか、まず冒頭に私は聞いて、次に人の問題についてさらに質問してみたいというふうに思う。
〔理事谷口慶吉君退席、委員長着
席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/270
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271・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) ただいまお尋ねのございました点は、一々ごもっともな点でございまして、私どもこの公団を新しくつくります場合に予定しておりますのは、いまお話のございましたように、国鉄の工事経費の職員が全体で一万一千七百十九名でございます。このうち新線建設関係に主として従事している職員、これは大部分私どもの希望では公団に移っていただきたい。その際、もちろん身分は、国鉄職員から公団に移るわけでございますから、一人一人職員の意向を十分確かめた上で、何といいますか、話し合いといいますか、円満にこれは移行する必要がある、上から行ってくれというような一方的な態度はもちろんとるべきではないので、一人一人の意思を十分尊重して移行していただきますが、国鉄から、現在のところ私どもの考えておりますのは、さしあたり公団の定員は八百九十五名でございますが、そのうち七百九十三名、これは主として建設線に従事しておる技術を持った職員でございますが、この方々は移行していただくつもりでおります。十分慎重に扱いたいと思っております。
なお、将来、建設関係の技術者といっても、やはり一般官庁との間の人事交流等も必要であるというふうに考えておりますので、附則の第八条におきまして、先ほど国鉄の山田常務からも答弁がございましたが、一応出入り自由ということを考えております。これは、他の公団等におきましてもそのように配慮されておりますが、たとえば退職年金の通算措置というようなことも考えております。これは八条の内容でございますが、一応わかりやすく御説明いたしますと、国鉄職員が公団に転出している間は、国鉄職員であると同じ長期給付にかかる掛け金を負担して、再び国鉄へ復帰したあとで国鉄を退職した場合には、公団職員であった期間を引き続き国鉄職員であったものとみなしまして、公団へ転出しなかった場合と同じような措置がとられる。要するに、最初国鉄職員であって、それから次に公団職員になり、また国鉄に復帰したという場合には、全部その期間を通算いたしまして退職年金が支給されると、これは退職年金の通算措置のおもなものでございます。
なお、若干詳しく申し上げますと、公団転出者が国鉄に再び復帰しないで、公団で退職した場合、あるいは死亡した場合には、国鉄を転出した時点において共済関係の取り扱いはすべて処理をされるということになっております。
また、国鉄職員でなくて、国家公務員については、国家公務員の共済組合法の施行令を改正いたしまして、国鉄職員と同じように通算の措置を講ずるというふうになっております。
それから、その次は、国家公務員または国鉄職員が公団に転出する場合、また公団から復帰した場合の退職手当はどのようになっておるか、前段で申し上げましたのは、退職年金の通算措置でございますが、今度は退職金はどうなるかということでございますが、退職金は、国家公務員または国鉄職員の退職手当は、国家公務員等退職手当法の適用を受けておりまして、公団職員となるために退職する場合、同法に規定する退職手当金の支給を受けることになります。国家公務員または国鉄職員が公団職員になりまして、その後国または国鉄に復帰する場合には、公団の定める退職金の支給を受けますが、国または国鉄に在勤した後国または国鉄を退職する場合の措置として、国家公務員等退職手当法施行令を改正いたしまして、退職手当法第七条の二に規定する公庫等から復帰した職員に対する退職手当に係る特例に基づきまして、公団における期間を除いた前後の期間を引き継いだものとみなしまして、その退職手当の基準となる俸給に対する支給率から前の退職の際の支給率を控除して計算するというふうに手当てをしてまいりたい、要するになるべく出入りが自由にできるような具体的な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/271
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272・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 たいへん詳細わかりやすい答弁されまして、非常に参考になりました。ただ、参考になりましたけれども、もう端的に言って、国鉄というのは、日本のこの各種事業なり企業がありますけれども、かなり古い歴史と伝統を持っている企業であることは間違いない。それだけに、この退職金、いま答弁ありました労災の補償であるとか、あるいは福利厚生関係の諸条件というものが、まだまだ西欧並みにはいっておりませんけれども、今日の日本の社会保障制度の中ではかなりぼくはりっぱな諸条件を具備していると、こう思う。だから、いま鉄監局長が答えられたものは、こういう関係については、公団に移行しても国鉄に準じて処置をするんだ、こういう理解でいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/272
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273・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) ただいま退職年金の通算措置あるいは退職手当の計算の基礎を申し上げましたが、そのほか、たとえば宿舎の関係でありますとか、あるいはいま例をおあげになりました福利厚生関係の施設、これはまあ、国鉄はかなり高い水準にございますので、実際の運用の問題としましては、国鉄職員であったと同じようなかっこうで運営をしてまいりたい、こういうふうに国鉄と現在話し合いを進めております。まあ平たい言葉で申し上げますと、この公団というのは国鉄と一心同体というようなかっこうで運営してまいりたい、またそうあるべきだというふうに考えていますので、特に職員の方々の扱い等につきましては、国鉄職員であったと同様な扱いをいろいろな面でやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/273
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274・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 十分に理解しました。ただ、ここでもうちょっと聞いておきたいのは、この法律の目的第一条にもございますように、「経済基盤の強化と地域格差の是正に寄与すること」、こうなっておりますが、ただきょうまでの答弁を聞いておりますると、そのほかに、新産業都市の建設、臨海工業地帯の整備等々がこの目的の中に包含されておる、こういうことが明らかになってきたわけです。そうすると、具体的にこれを積極的に進めていくということになると、たとえば池田内閣の所得倍増計画にも示されておりますように、そういう新産業都市の関係であるとか、臨海工業の地帯整備の問題であるということになると、おおよそその地域というものは限られてくると思うのです。ざっくばらんに申し上げて、この京浜関係であるとか、あるいは名阪神の関係であるとか、あるいは今度広域行政何とやらということで北九州の市が誕生した、こういう関係の地域がおよそ想定されるところのものになりはせぬかというふうに思う。そこで、さてそういう理解の上に立って考えてみると、この辺はいずれも日本の代表的な一つの都市の集中したところなんですね。したがって、今日の国鉄の職員の人々の給与、こういう関係については、これはもうあらゆる資料を見ても、まことに少ない、低賃金で、しかも他の産業にない寸秒を争った勤務をいたす。とりわけ徹夜勤務などが非常に多い。多いのですから、さなきだにこの生活というものがたいへんなものになっておりますことは、大臣以下関係の方々が御承知だと思うのです。この際は特に政府の所得倍増計画の一環としてそういう施策が施されるわけですから、こういう方々に対しては私はやはり都市的な一つの給与というものをきめてやる必要があるのじゃないか。親心を示してやる必要があるのじゃないか。たとえば、私は勝手に名前をつけてみますけれども、都市手当のようなものを親心として支給してやることがいいのじゃないか、こう思う。これが一つ。
それからもう一つは、たびたび私が機会あるたびに申し上げるのですけれども、最近、人手がないとか、あるいは労働人口が不足しておるなどということを、あらゆる人々が申されますね。そこで私は、日本の国家的な立場から考えて、人的資源というものを別な角度でながめてみる必要があるのじゃなかろうか。たとえば、医学者が数多く言っているわけですけれども、御承知のように、日本の平均寿命などというものはかなり延びてまいりました。まあ冗談は別として、向かいにおられるお歴々も、かなり日本の平均寿命、こういうものが延びてきておりますから、非常に楽しい明るい状態になってきているのじゃないか、こう思うのです。だから、こういうところに、やはり労働人口の開発といいますか、そういうところに私は目をつけていく段階じゃないか、こう思う。だから、幸い、かりにこういう法案が出て、そういう国鉄から移行するなどという人々は、これは私の聞いて知っている範囲では、あまり将来性のあるような人々はそこに行くわけじゃないと思うのです。聞いておる範囲では、かなりの年配者が志望しておるやに聞いているのです。これは公団の運営上たいへん重要な事柄だと思うのです、人の問題は。そこで、技術屋などというものは、きのうきょうそこらあたりの専門学校を出てきたからといって、直ちに鉄道建設というむずかしい高度な技術を要する仕事に使えるかというと、これは断じてないと思う。かなりやっぱり体験、経験を経なければ一人前の技術者にならないわけですから、ですから私は、世上一般にいわれる、今日五十五才になりますると何とかかんとか言って肩をたたいて慫慂する向きなど各省庁にございますけれども、そういうことではなくして、この際は思い切って、先ほど申し上げた日本の労働人口の新たな開発という大前提に立って、年齢などは、ヨーロッパのように六十五才とか、アメリカのように定年が六十三才などというように私は申しませんが、せめて六十才くらいまではまだまだ健康にして持っている技術を十分使い得るわけですから、そういう点を私は活用すべきじゃないかというふうに思うが、こういう点は、一体立案者は、この業務の範囲と人の関係をどうお考えになっておったか、これをひとつお聞かせを願いたいと思うのです。この二つ。前の関係については、親心を示して都市に集中する労働者に対してはそういう点を考えていいんじゃないか、後段は、画一的な定年制に拘束されずしてひとつ年齢などを考慮していいんじゃないか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/274
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275・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 前段の御質問でございますが、これは確かに吉田先生のおっしゃる点もわからぬわけではないのでございますが、公団職員だけに都市手当というようなものを支給するのは、一般の公務員、あるいは地方公務員、あるいは国鉄職員とのバランス等もございますので、御趣旨はわからぬわけでありませんが、まあ私としましては、なかなかむずかしい問題である、公団職員だけに都市手当を支給するということはほかとの関連から慎重に考えていかなくちゃいかぬというふうに考えております。
その次の問題でございますが、公団に転職いたします国鉄職員というのは、大部分技術を身につけたいわば鉄道建設のベテランでございますので、こういった人は、比較的高年齢の方は、実際問題として国鉄には帰らないで公団で終始をするというふうになると思います。中年の人、あるいは若年の人は、これは実際問題として出入りがあると思いますが、比較的高年齢の人はそのまま公団におるということになると思います。その際、現在国鉄では、これは法律上ではございませんが、長年の慣例として一応五十五才が定年というふうに観念されておりますが、確かに、先生がおっしゃるとおり、長年新線建設の業務を手がけてしっかりした技術を身につけ、またいまお話がございましたように、からだも至って健康であるというような人、個人差がございますが、そういった方は、私としては、やはり五十五というようなことにこだわらずに、さらに技術を大いに発揮して仕事をやっていただきたい。はっきり申せば、五十五というようなことにこだわらずに、さらに、からだが健康であれば、数年事実上定年を延ばしていくというようなことになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/275
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276・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 おおむねわかりました。そこで、最近池田総理大臣も革命的という表現を使うようになりまして、私はこの場合は革命的などということばは使いませんが、画期的な一つの方法として、いま答弁なされたような趣旨をどうせやるなら十分生かしてやったほうがいいんじゃないかというふうに思います。それからかりに、これはでき上がって移行することを前提としてお伺いするわけですけれども、現在国鉄でやっておる中で、建設費の支弁で臨時雇用員などがかなりおるわけなんですね。こういう方々を将来どうするかという問題なんですが、あなたの先ほどの答弁では、定員が八百九十五、国鉄から移行するような者が七百九十三と、かなりこの中には差があるように思いますので、これは当然新規採用というようなかっこうになろうと大体私は思う。その場合に、このすでに建設費の支弁で、臨時雇用員というのはかなり長年月この種事業に、あるいは作業に従事しておりますから、経験は豊富であり、相当高い技術を持っておられる人だと私は認識しておるわけです。ですから、こういう人々を当然私は公団職員として採用するということは考えられるべきものだと思うが、こういう点どうですか、山田さんでけっこうです、これは国鉄から行く人ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/276
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277・山田明吉
○説明員(山田明吉君) これは公団の立場でお答えすべき性質のものでございますけれども、送り出すほうの国鉄の立場から申しますと、現在建設線に従事している技術を身につけた臨時雇用員は、数は至って微々たるものでございますが、先生の御指摘のように、そういう人が希望いたしますならば、公団へ快く転出をしてもらう。また、公団の定員に余裕がございますならば、そこで国鉄職員と同じようなかっこうで採用してもらいますことを、国鉄としても希望いたすところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/277
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278・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 あくまでも希望の程度というようなことですので、それはそれでけっこうだと思います。
そこで、第三番目に伺いたいのは、いくら希望といっても、やはり長い間、同一企業、同一職場といいますか、そういうところで勤務をいたしておりますと、何とはなしにやはり愛着を感ずるものなんです。ですから、希望して行ったとしても、やはり、映画のせりふじゃないけれども、行く者残る者というものがやっぱり感情的に、感傷的に残ると思うのですね。そこで、行く者は行く者なりの諸待遇については、先ほど来鉄監局長あるいは山田常務からそれぞれ答弁があったから、おおむねまあ理解したのですが、さて工事局、所に残る従業員の給与をはじめ、労働条件がたくさんございます。こういう関係については、その希望して行く者については、かなりのいま具体的な基準なりあるいは率が示されましたから、それはそれとしていいのであるが、こういう関係と同じように、私はやはり残る人々に対しても考えるべきじゃないかと、こう思うのですがね、これはどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/278
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279・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 公団へ転出しないで残る職員は、国鉄職員として残るわけでございますし、具体的な例で申し上げますと、地方の工事局で机を並べている人のうち、建設線の仕事に従事していた人に原則として公団へ行ってもらうわけでございますので、残る人は結局改良関係の工事をやっている人でございますから、それらの人に対する条件を特に悪くする、よくするという考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/279
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280・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 いま山田さんから答弁がありましたけれどもね。去る者あって、残る者は当然国鉄職員であることは、私は百も承知しているんですよ。当然どこへでも、あなたが首を切らなければいるわけだな、首切りは絶対反対ですから、いるんですが、ただぼくの言っているのは、もう少しこまかく言えば、同じところで同じような仕事をしておったんですよ。また関係が残るんですよ、仕事量として若干なりとも。ですから、同じような工事体制になっているような者については、そう数はあまりないと思う。ですから、原則的にはあなたの国会答弁はできないと思うけれども、具体的にいろいろ国鉄職員についても、今日給与体系をどうこうするという場合に扱ってきた級別定数をふやして、その人々と全く同じ水準にならないまでも、そういう操作はぼくはできると思うんですよ。だから、ぼくの言っている意味は、そういう同じ工事体制にあるような人人については、十分配慮をしていただきたいと思います。これは答弁要らぬです。そういうことを強く私は山田さんに、当面この担当の常務理事ですから、要望しておきます。
さて、四番目は、この公団が成立した、こういうことになりますと、これに伴って国鉄の建設費の予算定員が、先ほど答弁になりましたように、七百九十三名というものが自動的に国鉄側から見ますると削減される、没になる、こういうことになるのです。その場合は、やはり先ほど来私が言っておりますように、国鉄は、近代社会の要請によって、改良工事であるとか、あるいはさらに事故をなくするためのいろいろな工事がございますけれども、そういうものに従事いたしまする人の問題として、その要員に圧迫をしたり、あるいはそのことによって、何か建設公団ができて、建設関係がそのためにこうなったから、あたかも国鉄が建設改良工事とかあるいはそれに類似したような仕事がなくなったのではないか、えてして国民はそういう錯覚を起こしますよ。ところが、そういうような、同僚加賀山委員もおっしゃったように、いま申し上げましたように、所得倍増計画がいいとか悪いとかいうこととは別に、どんどんどんどんこれを前に進めていくと、必然的に近代社会の要請によって、より以上のものが国鉄に仕事量としておっかぶされてくるわけですから、ぜひ資金の面などについても国鉄側にしわ寄せにならないように私はやはり配慮をしてまいらなければならぬと思うのです。こういう考え方について、どうお考えになっておりますか。これは山田さんより、予算関係ですから、鉄監局長じゃないかな。大きい問題だから運輸大臣だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/280
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281・廣瀬眞一
○政府委員(廣瀬眞一君) 先ほど来大臣もお答えいたしておりますが、国鉄の現在第二次五カ年計画を遂行中でございますが、率直に申し上げて若干資金が不足がちになっている。そういった問題につきましては、政府に基本問題調査会というのを設けまして、四十年度以降の資金計画、さらには国のほうの所得倍増計画も中期のアフターケアーに入っておりますので、そういったものとあわせまして、さらにいわば第三次五カ年計画といったようなものを検討いたしまして、輸送力の増強あるいは保安対策といったものに遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/281
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282・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 それから、これは公団との関係はあまり直接にはございませんけれども、新幹線の工事というのは大体十月ごろ完成されていく、こうなりますと、結果的に土木の技術屋がこの関係でとりあえず転身していかなければならぬ。そういう計画は、おそらくやこの公団との関係で総合的に私は計画しているのじゃないかというふうに思うんですよ。それとあわせて、これは国鉄の労使間の問題ですから、目下その立場で努力、協議をしているのじゃないかというふうに思いますがね。私が聞き及んでいるところでは、軌道の近代化計画というものを何か考えているようなんですね。そこで、こういうものについては、先ほども言ったように、一つのやはり国鉄は企業でございますから、企業というものは、もうこれは何人もこの原則は否定できない。この金の関係と機材の関係と人の関係、とりわけ近代社会の中では、この労働条件というものは私は絶対企業の上においては否定できないと思うのです。それだけに、国鉄労働組合もこの問題を非常に重要だとして取り上げているのじゃないかと思うのです。ですから、ぜひひとつ、いま公団との関係、新幹線の関係等々は、おそらく総合的にこういうものは計画したりしていると思うのですが、ぜひ労使間で十分誠意を持って話し合って、いやしくもこのことによって世間にとかくの批判の起きるようなことのないように、できるだけ私は従業員の望みというものに対してこたえてやるべきじゃないか、非常に公団というものとの関係で機会としてはいい機会じゃないか、こう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/282
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283・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 具体的に、新幹線の完成時に、先ほど現在約三千人の職員が新幹線の建設に従事していると申しましたが、それの配置転換の問題、それから軌道の近代化に伴う、いわゆる合理化に伴う要員の配置転換の問題についての御指摘であろうと存じますが、これらは、先ほど鉄監局長が申されましたように、国鉄としては、ごく近い将来、また現在すでに手をかけております輸送力増強の諸工事に優秀な人材を各方面で必要としている状況にございますので、全般的にそういう要員の配置につきまして善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/283
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284・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 山田さんから善処するというお答えがございましたから、そのことについて、運輸大臣じゃないけれども、私は信頼をし、確信をいたしてまいりたいと思うのです。
そういう立場でさらに要望しておきたいことは、新五カ年計画及び第三次五カ年計画というものをいろいろ計画しておりますね。これに伴って、取りかえ工事、それの設計であるとか、あるいは施工体制などを、私が申し上げるまでもなく、当然考えていると思いますけれども、特に私は、土木の技術要員の確保であるとか、それから関係の従業員の労働条件等の改善については、やはり公団ができて、公団に移行する者は、先ほど来の答弁から見ても、直観的だけれども、やや優遇といいますか、有利になっておりますから、こういう関係について十分配慮して特別に検討をしなければ、あとあと残った者についてはやはり問題が出てきて、そのことがかえって労使間の問題になるような気もするし、そんなようなことがかりに労使間のいさかいのもとになるようなことがあったら意味がないですから、ぜひともこういう点も配慮していただかなければならぬのじゃないか。老婆心だ、そんなことは、こう言えばそれまでだけれども、いささか私は、公団に移行する人々のことを考えると、その心配がありますから、この際お答え願っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/284
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285・山田明吉
○説明員(山田明吉君) 公団は、たびたび申し上げておりますように、国鉄の分身と考えておりますので、公団へ転出する人、あるいはそれまで同じ机を並べて公団ができたときには転出しないで国鉄に残る人、これらの取り扱いについては、決してそういう有利になる、不利になるというような、表現が不適当かも存じませんが、先生のおっしゃる意味も大体わかると存じますので、そういう点は十分気をつけて善処してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/285
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286・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 鉄監局長、山田常務理事から、それぞれかなり積極的な中身のある答弁がございましたから、この辺で私は人の関係については一応終わりたいと思います。なおまだまだ私はたくさん質問がございます。しかし、岡先輩もかなりここで見ておりますと原稿を用意しておるようでございますし、相澤先輩、小酒井先輩、いずれも同様のようでございますから、私一人が長時間質問しておってもかえって迷惑かと思いますから、あと二つ三つ質問して終わりたいと思うのです。
次に、私はこの新線建設のあり方の問題について運輸大臣に伺ってみたいと思います。
私は従前から国鉄はなぜその新線建設について消積的であったかということを承知をしておるつもりでいます。これはいろいろな理由があるのでございます。これはいままでにも、各委員の質問のやりとりの中でも、これが一番やはり私は問題にされていたのではないかと、こう思いますが、その第一は、やはり何といたしましても、建設線の大半は——大半はだすよ、これはいろいろ自由民主党の委員の方には異論のあるところだというふうに思いますけれども、一般国民大衆が感じ取っている点では、やはりいままできめられてきた建設審議会の答申なるものが、一部の権力筋に強要されたものではないかといわれていることだと私は思うのです。
さらにこれを、あなた方は非常に不満そうな顔をしているから、つけ加えて言うのだけれども、この例を具体的に裏書きするように、一つの例を取り上げてみますると、この資料の中で——国鉄か運輸省から出された資料の中でも明らかなように、今日営業係数が六三五という岩日線、この岩日線などというものは、これは国鉄の自動車——バスが並行線で走っているのです。そこで、この新線そのものも、こういう六三五なんというきわめてべらぼうもない営業係数になっておる。と同時に、今度は一面この自動車のほうも営業係数がこの線が開業と同時に急カーブに下がっておりますことは、国鉄の経営者、あなた方全部知っていると思うのです。ここは一体だれの出身地か、時の総理大臣は一体だれか——これは岸さんです。岸さんなのですよ。いや江藤さん、あなたは笑うけれども、そうだ。そして、いまをときめく池田内閣の国務大臣の佐藤さんのところじゃないのかな、科学技術庁の長官だ。こういうことをちゃんと国民は知っているのですよ。国民が知っているのです。そうして、さらに五一二という宮原線——谷口さん、こういうのがあるのですよ。四一四の小本線のごときもの。あなた方はたいへん不満そうな顔をしているけれども、国民のはだで感ずる面は、こういうところにぼくはあると思うのですよ。
第二は、今日までこの企業性を強調せざるを得なかった国鉄にとっては、全く相反する赤字線の乱造になっているからなんです。そこで、従前の国鉄の経営の方策との関係を先ほど断片的に聞いておったけれども、一体運輸大臣も、こういった世の中ではこれからも非常にそういう印象はぼくはなかなかぬぐい去れないと思うから、建設公団でやろうと、あるいは国鉄でやろうと、やはり依然として鉄道建設の審議会が残るのです、法制度上。だから、こういうものをぬぐい去らない限りは、依然として国民の側からは、政治路線じゃないか、何だ赤字路線ばかりやっておるじゃないか——これはぼくが言うのじゃないのですから。口の悪いあなた方も、選挙区へ行ってごらんなさい。選挙のたびに国会議員はわれわれの前に立って、おれが国会議員に当選するとわが村に鉄道をつけてやるのだという大演説をぶっておる人がたくさんいるのですよ。ところが、今日一たん当選して国会へ来たら、そのことをこれっばかしも演説せぬ。のみならず、できてくる線はどういう線かというと、先ほど申し上げたような、岩日線であるとか、宮原線であるとか、あるいは小本線のようなものがぼつぼつ出てくる。こういうほんとうに国民のなまの声があるのですよ。ですから、こういう関係を運輸大臣はどう排除していくかということをこの際聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/286
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287・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) お説のような話を私もよく聞いております。そこで、私は、さきにも申しましたように、本鉄道建設公団の建設線を決定するにあたりましては、順次そういう点を改めていくようにいたしたく存じております。あなたの、大演説をぶつかぶたぬかは知りませんが、世上そういううわさがあることは、まことに私は遺憾に思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/287
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288・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 いま運輸大臣からも、そういうことが言われておることは承知だし、まことに遺憾だと、こういうことなんで、私もそういう点では、これからは十分政治家の責任として、お互いにそういう事柄については慎んでもらわなければならぬと思うのです。そういう立場で、この法律を私は善意に解決をし、また審議をする立場でお尋ねをするのですけれども、この目的にありますように、鉄道の新線建設は、真に公共性に立脚する事業で、その目的たるわが国の経済基盤の強化、すなわち、日本の産業経済の発展と、地方経済圏の整備、低開発地域の開発、臨海工業地帯の整備、新産業都市の建設、もって池田内閣の所得倍増計画というものを、つまり池田さんがいつも口ぐせに言うように発展をさせて、国民の生活を豊かにするのだ、こういうことだと思うのです。しかし、そう言ってみても、現実ははたしてぼくはそうなるかどうかということについては非常に疑問を持つものの一人なんです。なぜかならば、生産の面にしても、産業経済の面にしても、あるいは国民一人一人の所得にしても、今日かなり地域格差というものが出てきている。いまごろアフターケアなどと言って、ことばでは濁しておりまするけれども、是正しなけりゃならぬ現状に私はなっていると思うんです。こういうときに、いまも触れましたけれども、これからはいやしくも、政治的なものであるとか、あるいは権力の強要などというようなそしりを招くようなことのないようにして、大臣、何やっているか私はわかりませんよ、これからあなたも大臣をかわっていくんだと思いますが、歴代大臣に一つの一貫した方針として私は引き継いでもらいたいと思うことは、他動的な意図によって押しつけられるようなことは断じていけないことだと思うのです。先ほども、これについては、大臣は遺憾であるという意を表明をされたから、あえてここで私は答弁を求めようとはしませんけれども、こういう点は、何回も申し上げまするように、お互いに政治家として注意してまいらなけりゃならぬと思うんです。そういう考え方に立って、私は、今日までかなり長い日数をかけて質問し、あるいは各大臣から合弁をいただいてまいりました。これまたたびたび申し上げて、大臣も耳にたこができたような顔をしているようですが、ひとつもう一回聞いてもらいたいと思うんですが、経済企画庁で出した所得倍増計画の全体計画を見ても、これは前にも申し上げましたけれども、積極的にこの公団方式をとってやるべきだという意見は必ずしも出ていないような気がするのです。しかも、今日の着工線、予定線、あるいは調査線にしても、資料にもありまするように、大臣の建設認可の年次等はかなり以前のものが多いように私は見受けるわけです。したがって、今日の日本の産業経済の構造の変化に伴いまして、客観的な諸条件からながめてみましても、今日どうも運輸大臣が非常に公団をつくることを急いでおりますけれども、何か公団ができれば、直ちに、いままでの四十八線にしても、十五線にしても、新線が敷かれるような幻想を国民に与えるようなものの言い方だけれども、私は、この際は、運輸大臣として、おしなべて四十八線あるいは予定線の十五線というものを建設することは、必ずしも本法律案の第一条の目的、すなわち、この鉄道交通網の整備をはかり、もって経済基盤の強化と地域格差の是正、とりわけ、臨海工業地帯整備、新産都市の建設に寄与する、こういうことにならないのではないかという考えを私は持っているのです。先日、鉄監局長の答弁にもありましたように、今日の所得倍増計画なるものは若干変更された、修正されたとのことで、やはり前に申し上げたように、客観的に時代の変遷とともに条件が変わってきている。だから、こういう思い切った答弁は、私は当然だと思うのです。したがって、私はこの際、政府があくまでも本法律案の目的を追求するとするならば、客観情勢が変わったのですから、既定の考え方を改めて、予定線はもとより、着工線、調査線を問わず、新しい構想のもとで全体について再検討する段階ではないか、またその必要があると考える。一体運輸大臣はこれに対してどうお考えになっておるか、私は最後にお尋ねを申し上げて、先輩のまだまだ質問をしておりません諸先生方にバトンをタッチしたい、こう思うのですが、ひとつ大臣、この際、大方針ですから、わかりやすく明快に答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/288
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289・小酒井義男
○小酒井義男君 関連して、一緒に答弁してもらいたいのですが、あまり吉田委員の名質問で、ついつられてしまったのですが、建設線、予定線というものがきまったのは、相当古い時期にきまっておる。その後、道路計画ができてきて、その地点に相当りっぱな道路をつくった。たとえば、例ですが、縦貫自動車道というものがつくことになって、その通過地点に予定線なり建設線があるというような場合が出てくると思うのです。すでにあるかもしれません。そういうところは、これは二重投資にならないような措置を政府としても考えるべきだと思うのです。そういうことをお考えになっておるかどうか、一緒に御返事願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/289
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290・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 吉田委員の質問、けんけん服膺いたしまして、そういうようなことが起こらないように、十分今後も注意いたします。いろいろなうわさがあることは遺憾に存じますが、私はそういうふうなことのないようにひとつ努力いたします。
なお、小酒井さんの御質問は、さきに大蔵大臣も述べられましたように、鉄道でいい場合と、自動車でいい場合と、双方いい場合と、三通りあると思います。その場合に、どちらが国家経済にいいかということを判断いたしまして、調整をし今後やる新線建設はやるべきであると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/290
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291・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大臣はけんけん服膺してということなんだけれども、その面だけ聞くと、大臣は言われたとおりやるということになるのだけれども、あなたの前段の、世間からとかくの批判を受けるようなことについては、万遺憾のないように、お互いに政治家だからやらなくちゃならぬということなんです。僕の聞いたのは、さっぱり答弁してない。大事なことなんです。僕の聞いているのは、つまり、日本の産業経済の進み方につれて、客観的な諸条件が変わったのではないか。このいまやらんとする四十八線、予定線の十五線というものをきめたのは、どの大臣のときに私はきめたか承知しておりませんけれども、かなり古い、いわばほこりをかぶった掛け軸のようなものではないかというのです。だから、この際は、せっかくあなたは熱意をこめて、日本の将来のことを憂えて、国鉄の新線というものは国民の要望であるから、しかも、第一条にあります目的を追求するということであるならば、この際画期的な全体構想というものを練り直してみる必要がある時期に実はきているのじゃないかというのです。現実に、わが党の久保衆議院議員が同時提案をいたした法律案を見ますと、これは何も私はわが党だからというわけじゃなくて、あなたがいまわれわれの前に提示しております法律案より、革命的とは言わぬけれども、画期的なものだと思うのだ。このようにいいものがあるのだから、だからこの際私は総合的にそういう計画を樹立をする、策定する時期にきているのでないか、当面の責任者の運輸大臣としてはこれをどういうふうに考えるのか。前のほうはいい。そういういろいろ世間で言われるようなそしりを招かないことについては十分配慮をしなければならぬ、そういう声があることについては遺憾でありますと、遺憾の意を表しているから、これはいいです。大事なところを大臣はとぼけちゃって、ぼくに答弁しない。ぼくが聞いたのはそういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/291
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292・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 経済の実情がそういう時期にきておるという見方もありますが、それがさらに、いまのままでやって、結局いまの経済のテンポに合うようになるように考えるという考え方も私はあると思います。というのは、いま何にもないところに鉄道を敷く、それはいつも非常に悪いように思っているが、そこに人が集まってき、需要が起こり、未開発の地下資源その他が発掘されました場合には、経済構造がまたいまより変わるかもしれません。そういうようなことを考えますときに、いま直ちに私はそれを変えるべきだというようなことを断言できないのをはなはだ遺憾とします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/292
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293・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大臣ははなはだ遺憾と、ぼくもはなはだ遺憾なんです。これは考え方の相違、見解の相違と言うかしりませんが、私は国家百年の大計からしても、あなたとは考え方が違うといえばそれまでだけれども、この際運輸大臣に奮起を促しておきたいというふうに思う。悪口じゃなくて、あなたの考え方というのは、何かものごとをつけ焼刃的に追っかけているというような印象がするのだ、この法律では。これよりもっといいものがあるのですよ。これは決して私は英国人の例をとっているわけじゃないけれども、英国人などというものは、百年も先のことというほどじゃないけれども、ものごとをきめる場合、英国人というのは、これは国民性がそうさしているのかどうかよう知りませんが、大体二十年、三十年先ぐらいのことを考えて、そうしてものごとをきめて、具体的に政治なりあるいはそれを政策に取り入れて施策を施している。だから、わが日本も、池田さんは口を開けば日本は大国になったと言っているのだから、その大国になったと言う内閣総理大臣のもとにあなたは運輸大臣としているのだから、せめてぼくは、百年とは言わぬから、英国人ぐらいの感覚で、ものごとを追っかけるということでなくて、前に進んだ計画を画期的につくって具体的に施策にあらわすという熱意があっていいのじゃないか、こう思うのです。ぜひもう一回答弁願いたいというふうに思う。これ以上のことはあなたとは論争する気はありませんよ。お互いのものごとの見方、ながめ方ですから、それ以上のことを言うならば、あなたは、吉田というやつはどうも思想がそうなんだと言われるかもしれないが、そういうところまで言うやぼったさは私はないので、もう少しあなたは運輸大臣として誠意ある、熱意ある、あなたのことばから、国民がもっともっと政治に対してほのぼのとしたものがにじみ出るような合弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/293
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294・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 私はやはり、そういう考え方もあると思いますが、現時点におきましては、鉄道建設公団法を早く通して、そうして一日も早く地方格差の是正あるいは新産業都市その他等の経済の発展に寄与することが、これは私の考えとしては現時点においては最上と考えて御審議をお願いしている次第でございますから、どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/294
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295・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 何べんこれは運輸大臣と質疑応答しても、これはどうも平行線のよう下す。運輸大臣は最上だということなんだけれども、これは史上最大ではないと思うので、(笑声)私は決して最大の、最上のものだというふうに考えていませんから、さらに、先ほどもいったように、まだまだたくさんあるのです、質問は。だけれども、岡先生もここで退屈そうな——これは冗談だけれども、そういうようにして法律案を見ているようですから、この辺でほかの質問者にかわりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/295
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296・米田正文
○委員長(米田正文君) 速記をとめて。
〔午後八時六分速記中止〕
〔午後八時十九分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/296
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297・米田正文
○委員長(米田正文君) 速記を始めて。
他に御発言もなければ、日本鉄道建設公団法案の質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/297
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298・米田正文
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
吉田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/298
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299・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 私は、日本社会党を代表して、本法律案に反対する立場で、その趣旨を明らかにいたしておきたいと思います。
この法律については、社会党のみならず、民社党も反対をいたしておりますことは、衆議院の段階におきましても明らかであります。自民党が賛成、こういうかっこうで本院に送付をされてまいりました。今日まで、衆議院段階における審議の中でも、また本委員会における審議の中でも、まことに不安定な法案の性格と言わなければ私はならないと思います。
この際、わが党として特に反対の理由を明らかにしておきたいのは、現行の敷設法によりますと、予定路線というのは御承知のように二百三十一線を数え、これは実に四十数年の長い積み上げになっておるものでございます。この点、わが党は、今日までに、あらゆる関係、あらゆる角度、そうしてあらゆる事情を検討いたして、強く取り上げてきたところのものでございます。そのように二百三十をこえる多数の予定路線というものが、今日なおそのままになって、法律の上ではございますけれども、実態は依然として私は眠っておるような状態だと思うのであります。私は、このようなことでは、国の運輸行政、政策には対して国民が疑惑を抱くのみならず、不信の念を持つ。ひいては政治に対して信用が置けないということになると思うのであります。
鉄道建設公団法は、そういう問題を何ら明確に処理することなく、ただ単に、新しい法律は古い法律に優先する、こういう程度のものより、今日までの審議段階では、私はどんなに善意に解釈いたしましても、出てまいらないのであります。しかも、提案されておりまする法律の性格は、きわめて多くの矛盾を含んでおると言わなければなりません。このことは、今日までの審議の段階で、運輸大臣、大蔵大臣、そして経済企画庁長官の答弁にも明らかとなっております。政府は、経済成長政策というものと、地域格差の解消という問題を大きく取り上げております。特にこれは、鉄道建設審議会の意見書として今度の場合はこの法律案が出されておるのであります。しかし、私は実際にこの公団が設置されて、そうしていよいよ公団が建設に着工する、そういう場合に至っては、いま申し上げたように、かなりの矛盾点を持っておりまするから、必ずや問題が惹起することを確信するものであります。先ほども申し上げましたように、敷設法との関係、それから鉄道建設審議会、運輸審議会、さらに倍増計画を推し進めておりまする政府、具体的な企画をいたしておりまする経済企画庁などの協議から、その関係を私は無視して建設公団が運輸省の指示に基づいて建設事業を進めていくというようなことは、とうてい不可能とさえ考えられるのであります。こういう矛盾を何ら解明せず、この鉄道建設公団法を場当たり的に、つけ焼き刃的に推し進めようとするならば、私はたいへんな問題になろうと思うのであります。
私は、今日、政府として、鉄道網を整備をして、そうして国民輿望にこたえるとするならば、もっともっと緊急を要する問題は現在あると思うのであります。それは、日本国有鉄道の輸送に対して安全性をより確立をいたす、これに対する施策を十二分に政府が行なうことこそが最も大事だし、そのことがまじめに国民の負託にこたえる私はゆえんだと思うのであります。今日、安全設備に対しては、国鉄といたしまして大幅な経費削減を行なっております。そしてまた、人員の合理化をやり、その上さらにこの国鉄がやり得る能力が私は新線建設の上にあると思うのであります。事ここに至って、新しい建設公団でやろうという点については、どうも理解に苦しむものであるのみならず、再三申し上げておるような、大きな矛盾を私どもとしては感ぜざるを得ません。
私は、今日こそ、国民的大問題でありまする国鉄の輸送の安全性をすみやかに確立いたすと同時に、その点については国鉄といたしましても惜しみない政府に対して積極的な働きかけをいたすべきだと思うのであります。こういう観点からながめますと、国鉄当局は、あまりにも時の内閣に遠慮いたして、要求すべきものをしていない、こう考えざるを得ません。ある意味におきましては、怠慢をいたしておるのでないかとさえ私は思うのであります。国鉄当局は、なぜ強力に国鉄の輸送の安全強化のために努力をしないのですか。このために、国鉄総裁は思い切って言うべきところはどしどし政府に対して私は主張すべきだと思うのであります。かような私は立場から、数多い疑問を持っています。あえてこの段階で、これらの問題を抜きにして、鉄道建設公団法をつくる必要などは、今日さらさらないと考えるのでございます。
もう一つは、わが党が常に問題にしておりましたように、今日都市における交通難という問題は、これは依然として捨ておかれているのであります。いわゆる国の高度経済成長政策というものと結びつけて都市の交通問題を解決せずにしては、私は不可能だと考えているものであります。都市における鉄道の地下化あるいは高架化、さらにバスや自動車その他のものに対するターミナルの建設、こういうことが総合的にすみやかに行なわれなければ、私はこの公団法というものは意味がないと思うし、当面する輸送問題が解決しないと思うのであります。政府のこうした態度は、われわれは、何と申されましても、この際反対の意思を国民の立場として明らかにせざるを得ないのでございます。
特に、この公団法では、新線建設の具体化というものがきわめてあいまいでございます。一体現在あるところの四十三線の着工線、十五線の調査線、これを十カ年にどのように具体的に資金的な面を立てて建設を進めていくか、これに対する質疑を今日まであらゆる角度から繰り返してまいりましたけれども、これに対しては何ら具体的なものが示されておりません。去年の国会におきましては、政府の答弁として、来年は資金的な面を確立する、このような答弁を行なっておりまするけれども、今日予算案を見てまいりますると、そのような、答弁に示されたような予算になっておりません。これなどは、私は明らかに、矛盾ということよりも、国民をごまかしたやり方だ、こう断じてもあえて過言ではないと思うのであります。そのような形では、建設公団ができたとしても、いわゆる新線建設——政府というよりも、国の政策であるというところの経済成長政策と地域格差の解消に沿った新線建設が行なわれることは、これはとうてい考えられない。われわれはまことに残念に思うのであります。このことは、最近の週刊誌にも端的に示され、国民の立場で指摘されております。要するに、われわれはこういう理由をもって反対いたします。
さらに、私はこの際百歩譲ってこの法案に賛成をするとしても、なおかつこういう大きな問題があります。もう一つわれわれがどうしても国民の立場でがまんがならないことは、わが党が先般本法律案と同時に提案をいたし、より具体的に親切丁寧にその提案理由の説明を久保衆議院議員がいたしまして、今日までかなり長い間この鉄道新線建設緊急措置法案をこの委員会で扱ってまいりましたけれども、私は言葉を若干強めて申し上げますけれども、全然無視をいたして、本日ただいま政府が提案をいたしました建設公団法のみきめようといたしておるのであります。まことに私はこの点残念でなりません。私は、このことについても、数多い意見と、ある意味におきましては、一つの憤りを感ずるものでございます。どうか同僚の議員の方々も、このようなわが党の反対の立場というものを御認識くだされ、私がいま申し上げておりまする趣旨を尊重されますることを心から念願をいたし、強い憤りを込めて反対の討論を終わりたいと思う次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/299
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300・米田正文
○委員長(米田正文君) 谷口君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/300
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301・谷口慶吉
○谷口慶吉君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本法案に賛成の趣旨を申し上げます。
最近目ざましい発展を遂げてまいりましたわが国経済のさらに一そうの均衡ある発展をはかりますためには、地方経済圏の整備、低開発地域の開発、臨海工業地帯の整備、新産業都市の建設などが必要であり、このため鉄道新線の建設が必要であるということに対しましては、与野党ともに異論のないところであろうかと考えるのであります。しかるに、新線建設工事の進行状況は、遅々として進まず、ために地方の大きな不満、不安となっておりますことは、御承知のとおりでございます。
鉄道建設審議会におきましては、かかる実情を改善し、強力に新線建設を進めるためには、公共事業に準じて国家資金や財政資金を投入して工事を推進すべきであるという見地から、一昨年五月鉄道建設公団をもって対処することを適当と認める旨の建議がなされたのでございます。
本法案はこの建議に基づいて提出されたものであります。
本法案審議の過程におきまして、この際新しく公団をつくらなくても、従来どおり日本国有鉄道に予算を増額して工事を進めれば足りるのではないかとの意見もございましたが、国鉄は、年間六千億円にのぼる運輸営業を行ない、職員が四十五万人にのぼるわが国最大の企業でございます。安全輸送並びに輸送力の増強というきわめて重大な使命を遂行しなければならない立場に立たされておることも、御承知のとおりでございます。
さらに、このほかに、青函トンネルや、本土——四国連絡鉄道のごとき世紀の大工事を調査線に持つ新線建設を今後強力に推進するということは、国鉄の負担を過重ならしめることは明白であると申さねばなりません。
建設資金の面におきましては、今年度及び来年度は公団発足の年であり、政府出資並びに融資はきわめて少ない感がありますが、これについては、政府も将来の増額を約束しておりますので、われわれもこれを強く希望し、推進いたしたく存じておるのでございます。これを従来どおり国鉄に施行せしめる場合と比較しますならば、国鉄は事故防止、通勤輸送対策、あるいは幹線輸送力増強などに幾ら資金をつぎ込んでも追いつかないという財政状態において、その片手間で建設を進める場合と、国家的見地から新線建設のみを目的とした別個の組織、すなわち鉄道建設公団による場合とでは、その推進力においておのずから差異の生ずることは明白であろうかと考えるのでございます。
いずれにいたしましても、新線建設を国家的見地に立って強力に推進するためにも、かつまた財政きわめて困難な国鉄から新線建設によるばく大な利子負担を軽減し本来の運輸事業に専念せしめるためにも、本公団の設立はきわめて適切な措置であると考えます。
以上申し上げまして、私は本案に賛成するものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/301
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302・米田正文
○委員長(米田正文君) 浅井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/302
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303・浅井亨
○浅井亨君 私は、ただいま提出されております鉄道建設公団法案に対しまして、公明会を代表いたしまして、反対の討論をいたします。
今日までいろいろと審議してまいられましたその点につきまして、いろいろな角度から御答弁をいただいておりますけれども、それが納得いくほどの答弁をいただいておらないのです。私はこう感じておるものでございます。
それはどういうことかと申しますと、まずこの新線建設に対します地域格差の是正、産業都市の開発、いろいろな問題点から考えますと、まことにりっぱな目的を持っておられるということは、われわれ自身も賛成でございます。しかしながら、私が質問の中で申し上げてまいりましたが、現在石田総裁は、その識見、またその信念において、必ずや現在の国鉄の中においてりっぱにこれをなし遂げられていく方であると思っております。にもかかわらず、今日までいかにこの新線建設が遂行できなかったとはいいながら、ここに石田総裁を中心にりっぱにやり遂げようという一念を持っておやりになれば、必ずでき上がるものと私は思うのであります。これに対して、ほんとうになぜ新しくつくらなければならないか、こう申し上げますと、その答弁には、それは観点の相違であると、このように仰せられておるように私は覚えております。ものをやるのに、観点だけでものはやれるであろうか。すなわち、石田総裁は、真に信念のある方であるならば、現在のこのままにおいて必ずなし遂げられていかれることと私は信じておるのであります。この点において、まことに私は残念に思っておる次第でございます。
結論といたしますと、やはり資金の問題であろうと思いますが、これは現在の国鉄のままで、公共性を重んじておる国鉄であるならば、わが政府がそれに対して全面的な援助を講ずれば、必ずでき上がると私は思うのであります。あえて別の公団をつくらなければならないという理由は別にないと私は信ずるのであります。
続いて申し上げたいことは、この新線建設はすべて赤字だ——いかにも目的から考えればこれもいたし方ないとは思いますけれども、その点に対しまして、どこまでも、政府が必ず責任をとるというその信念を国鉄の当路者に確約しないからではないかと、このように私は思うのであります。次いで、この国鉄に対するところの資金そのもの自体があまりにも少な過ぎはしないか。まだできないところの公団に対してではありますけれども、これは夢のようなことをわれわれがいま審議しているのではないか。しかし、たくさんの皆さん方がりっぱにお考えになっての上でございますので、必ずやこの要望にこたえるだろうとは思いますけれども、これについては真の施策を立てていただかなければならないと思います。
最後に申し上げたいことは、いま巷間に伝わるところの週刊誌を見ましても、いわゆる政府の高官が集まった養老院のごとしと、このようなことも見受けられております。こういうこと、並びに、政府の実力者がこれに携わって、そうして左右されていく人事があると、このようにうわさされております。このようなことは、絶対にわれわれは納得できないものでありまして、こういう面からいいまして、われわれ国民といたしまして、真に国鉄自体の今後のあり方につきまして、また、この鉄道建設公団のあり方について、われわれはどこまでも反対を申し述べまして、私の反対討論といたしたいのであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/303
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304・米田正文
○委員長(米田正文君) 中村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/304
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305・中村正雄
○中村正雄君 私は、この法案に対して、反対の立場から、四点だけ理由を申し上げます。
その第一は、公団を新設する理由が私は明らかでないと思います。現在の国鉄では新線開発がスムーズにいかなくて、公団であればスムーズにいくという理由が、私にはわかりません。また、それをつくることによって、国鉄が利益するという具体性も、いままでの審議の過程では私は発見されません。単に現在の国鉄経営者にとって、足手まといという感じを与えておる新線建設という仕事から解放されるというだけであって、財政上何らの利益するものとも私は考えられないからであります。
第二の反対の理由は、公団自体の性格が明らかでないという点であります。政府の公共投資を代行する一機関であるのか、あるいはまた収益をもはかる企業体の性格を持っておるのか、明かにされておりません。もし国土開発という点からこの機構をつくるのでありますならば、でき上がった鉄道は当然国鉄のものとして、公団はただ建設だけを担当する機関にすべきであると私は考えます。
第三番目は、今後行なうであろう国鉄の出資とでき上がった鉄道との財政的な関係が不明確だという点でございます。説明の中で、いろいろ答弁されましたが、今後国鉄は当面七十五億毎年出資する、これはだんだんと減っていくと思います。また、これと同額もしくは同額以上の政府の出資によって、この公団は運営されると思いますが、国鉄の出資というものを、まだ私は財政法上検討いたしておりませんが、おそらく形式的にはこれは出資金でありますから債権になると思いますが、この債権は返済のない債権でございます。したがって、実際には経費と同じものでございます。したがって、毎年七十五億程度の経費を、この新線建設公団のために国鉄は出資するわけでございます。そして、でき上がった路線というものは、これは建設公団の所有になるわけでございます。そうして、それを有償で譲渡を受けたり、あるいは有償で貸与を受けるわけでございます。建設費の半分近いものを自分が出しておって、でき上がった財産を自分で有償で買う、あるいは有料で貸してもらうということは、私はどうしても理解できない不合理があると思うのであります。
最後に、私は本法の内容が法律的に見て疑問があるからでございます。本法律の内容は、私が申し上げるまでもなく、公団の組織、機能及び鉄道の建設並びにでき上がった路線の処分という三つの部門からなっておると思います。そのうち最後の、でき上がった鉄道をどう処分するかということにつきましては、すべて政令にまかされております。そうして、その内容は明らかにされておりません。少なくとも国の財産である鉄道の処分を無条件で行政府に一任するということは、私は法律体系上承服することはできないわけでございます。
以上によって本法案に反対いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/305
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306・米田正文
○委員長(米田正文君) 加賀山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/306
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307・加賀山之雄
○加賀山之雄君 私は本法案に賛成をいたしたいと思います。
その理由は、日本の経済の伸びに伴って非常に明らかなことは、いわゆる公共投資あるいは社会資本の投下が非常におくれてきたということにある思うのでございまして、そのうちでも陸上輸送の根幹をなすこの日本国有鉄道に対する投資というものが不十分であった。これはへたをいたしますと日本の経済の成長にとって命取りになるくらいの大問題であろうと私は考えるわけでございまして、地域格差の解消とか、あるいは日本経済の基盤強化にとって、すでに二万キロ余の国有鉄道がございますけれども、まだまだ足りない。で、新たな地方を開発し、あるいは輸送系絡を合理化し、あるいは豪雪等の場合のかわりの線区をつないでおくというようなことは、今後国有鉄道にとって非常に重要な問題であると考えるわけでございます。そういうことで、できるだけすみやかにこの鉄道網の整備をしようというねらいが、この法律案の第一の目的であろうと私は考えるわけでございますが、日本国有鉄道がになっておりまする輸送の使命というものはきわめて重要でありまして、先ほど申しました二万余キロの鉄道網、これを、いわゆる現在線の整備、特に最近重要性を増している安全確保等の問題に立ち至りますと、日本国有鉄道のその面から見た使命は非常に重いわけで、したがって、この法律案の第二の目的は、そうした日本国有鉄道の経営上あるいは財政上の負担を軽くする必要がある、これが大きなねらいでなければならぬと、かようなねらいをもって提案されたものと思うのでございまして、いずれも、現下のこの鉄道の問題については、非常に重要な問題であると思います。
しかしながら、この法律案を見ますると、非常に問題点は多い。そうして、特に、政府、あるいは日本国有鉄道、あるいは新たに新設せんとする鉄道建設公団の心がまえというか、こういうものにとっては非常に重要な問題を多く内蔵しているように思うのでございまして、私は、各委員の賛成を得て、附帯決議を付して賛成をいたしたい、かように存ずる次第でございます。
附帯決議を朗読いたします。
日本鉄道建設公団法案に対する附帯決議(案)
政府及び国鉄当局並びに新たに設置される鉄道建設公団は、鉄道建設公団法制定の精神に従い、次の諸点について必要な措置を講ずるべきである。
一、政府は、日本鉄道建設公団と国鉄との協調に留意し、日本鉄道建設公団の業務の遂行に当っては、国鉄の経営に寄与するよう努めしめること。
二、国鉄から公団に転職する職員の労働条件については、十分な配慮を講ずること。
三、政府は、国鉄に対し、新長期計画の推進に当り特に輸送安全確保のための施策に重点をおき、資金、要員を確保し、労働条件の改善等につき特別の配慮を講ずること。
右決議する。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/307
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308・米田正文
○委員長(米田正文君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/308
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309・米田正文
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
日本鉄道建設公団法案を問題に供します。本案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/309
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310・米田正文
○委員長(米田正文君) 起立多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/310
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311・米田正文
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
次に、討論中に述べられました加賀山君提出の附帯決議案を議題といたします。
加賀山君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/311
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312・米田正文
○委員長(米田正文君) 全会一致と認めます。よって、加賀山君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に関し、運輸大臣より発言を求められましたので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/312
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313・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、政府といたしまして、これを尊重し、誠心誠意これが実現に努力する所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X00719640225/313
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314・米田正文
○委員長(米田正文君) 次回は二十七日午前十時開会の予定とし、本日はこれにて散会いたします。
午後九時一分散会
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