1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十二日(木曜日)
午後二時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 米田 正文君
理事
金丸 冨夫君
谷口 慶吉君
吉田忠三郎君
委員
江藤 智君
加賀山之雄君
木暮武太夫君
河野 謙三君
野上 進君
平島 敏夫君
前田佳都男君
相澤 重明君
小酒井義男君
浅井 亨君
国務大臣
運 輸 大 臣 綾部健太郎君
政府委員
運輸政務次官 田邉 國男君
運輸省観光局長 梶本 保邦君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
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本日の会議に付した案件
○旅行あっ旋業法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○国際観光ホテル整備法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
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001・米田正文
○委員長(米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。
旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案及び国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
御質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/1
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002・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いまの議題となりました二案について質問をいたしたいと思いますが、まず第一は、旅行あっ旋業法の改正について質問いたしたいと思います。この旅行あっ旋業法の今度の改正というものは、趣旨において非難すべきところはありませんので、私ども賛成でございますが、一、二の点でお伺いをしたいと思うのです。
まず第一は、こういう保証料を引き上げたりなんかするような改正をする以上は、これは前提として、従来の旅行あっせん業者がある旅館なりあるいは旅館業者に対していろいろの迷惑をかけたということによって今度の改正案ができ上がったものと思うのですが、この従来の旅行あっせん業者の悪徳業者というものによる被害はどんな程度のものであるかということがお調べがついているなら伺いたいし、ただ抽象的に悪徳を行なう者があったから今度保証料を引き上げる、こういうのか、その点お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/2
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003・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) お手元に観光関係資料集をお届けいたしておりますので、この表をごらんいただきますと、一八ページに現在の旅行あっせん業者の、一般旅行あっせん業者の数が四十六、それから邦人旅行あっせん業者の数が、海運局長の登録のものが五、陸運局長の登録のものが八十九、都道府県知事登録のものが千九百七十、つまり邦人旅行あっせん業者の合計をいたしますと二千六十四になります。一般旅行あっせん業者に比べて、邦人旅行あっせん業者の数が格段に多いわけでございます。問題は、一般旅行あっせん業者よりも、邦人旅行あっせん業者の場合に、むしろただいま御指摘のような事故が多いわけでございます。それで、最近日本観光旅館連盟のほうで無作為抽出法によりまして旅館についてのあっせん業者と旅館との間の債務の不履行の業者をお調べになった資料が私ども手元にございます。これによりますと、債務の履行を不当に遅延する、つまりお客さんのほうからは金を取っておるけれども、ホテルなり旅館のほうへはお金を支払わないというふうなものがわりに多いのでございまして、中には一年になんなんとするようなもの、あるいはまた即座に払わないで、再三催促をしてそれからようやく渋々払うというふうなものもございます。ただ、その金を横領したり何かしたような場合には、これは刑事事件になりますので、行政官庁としての運輸省で考えておりますこの法律の対象外と申しますか、規制の範囲外になるわけでございます。そういったものが最近数件あったようでございます。ただ、今度の改正で考えておりますような不正な、ほんとうのことを告げなかったり、あるいは間違ったことをお客さんに告げるというふうなことによって御迷惑をかけておりますような事例を非常に多く耳にするわけでございますので、ただいま申し上げましたような営業保証金の額の引き上げというふうなことを一つの方法として考えてみた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/3
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004・木暮武太夫
○木暮武太夫君 それで保証料を引き上げる必要がよくわかったのですが、この保証料を引き上げるのが、私どもから言うと、いまのここに書いてある(2)の邦人旅行あっせん業者のいま旅館組合で調べたような被害が相当にあるものに対して、まだ少し引き上げ方が足りないのじゃないかというような気がするくらいでございますが、そこで業者あるいは旅客に対して損害を与えた場合には、この保証金によってその損害を補償するというようなことを考えておるでしょうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/4
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005・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 現在の保証金は昭和二十七年に定められましたもので、いわば営業保証金を供託することによる担保力というものが、物価の値上げ等によりまして今日ではその当時に比べまして減っている。少なくともその当時程度までの担保力という程度にまで高めていきたいという気持ちになった次第でございます。ただ、営業保証金の額は、確かにあっせん業者の悪い面からだけながめますと、高いにこしたことはないわけでございます。しかし、あっせん業者の中には、善意のまじめな業者もおられますれば、御指摘のような不徳義な方も中にはあるというわけで、一律に営業保証金というものを供託していただくことになりますので、その辺ある程度妥当な金額ということが常識的に出てまいるのではなかろうかと、かように考える次第でございます。それで、営業保証金の額をほかの法律についても私ども調べてみたのでございますが、大体この程度の額のようでございます。それで、金額そのものは、なるほど、あるいは最高の場合でも七十万円でございますから、ほんのわずかではないかというお気持ちかもしれませんけれども、値上げの率で申しますと四割、それから二十万円が三十万円になる場合もございますので、この場合で申しますと五割ということでございますので、最高五割というのが保証金の引き上げの額としては現状においては適当なのではなかろうかと、このような気持ちになった次第でごまざいす。それから、その刑事事件のような場合には、もちろんその方面での訴訟というものがあるわけでございまして、営業保証金は損害の一部を補てんするんだという性格のものでございまして、これによって全部、どんな問題、損害が起こっても、それをすべてまかなうのだという性質のものではないと、かように解釈をいたしておる次第でございます。まあこの辺の値上げの率から申しましても、絶対額から申しましても、この際は妥当なものではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/5
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006・木暮武太夫
○木暮武太夫君 今回の保証金の引き上げというものが、損害があった場合の担保力を強化するということが目的であるということは説明に書いてあるのですが、そうしますと、現在の程度で、物価等の値上がり等を勘案して、この程度がよかろうということでおきめになったとすれば、必ずしもそれが従来あったような損害の担保力を強化するというところまでいかないんじゃないかということを考えますが、どうでござんすか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/6
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007・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) お説のとおり、保証金によってすべての損害を担保するんだという観点に立ちますと、この保証額というものはお説のとおり少ないかと思います。しかし、これによってすべてをまかなうんだということではございませんで、その一部を担保するんだと。そして、業者の中にはまあ悪徳なことをしでかす方もおるかもしれませんが、大部分の方はやはり善意な業者であって、まじめに仕事をやってもらっておるのだということになりますと、むしろ積んでもらいたい、供託してもらいたいのは、悪徳の方によけい積んでもらいたいので、いい方はそんなに積んでいただく必要はないということになるんでございますけれども、一律にきめるとなりますと、まあこの辺がこの際は値上げの率等から申しましても妥当なものではなかろうかと、かように考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/7
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008・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いまの御説明を聞くと、どこに妥当であるという線を引くかということは、これは質問を重ねましても水かけ論になるわけですから、当局としてこの間提案の趣旨の御説明にあった、損害があった場合の担保力を強化するということの意味からいうと、私どもからすると少し低きに失するのではなかろうかと考えるわけですが、この点は質問いたしましても水かけ論になりますから、これで打ち切ります。
次に、この旅行あっ旋業法の取り締まりは、一方では悪徳をなす者を取り締まるような法規であることはもちろんでありますけれども、いまの旅行業界にとりまして、旅行あっせん業というものが必要欠くべからざるものであることは、論を待たないのでありまして、こういうのをただ取り締まりを強化するというだけでなしに、これを指導して、そうしてりっぱな旅行あっせん業者を育成するというふうに御当局は考える必要があると思うのですが、こういうことについて何かお考えがあるかどうか。先日参考人の方の陳述を伺いましても、あるいは教育をするとかその他の方法によって指導して質を向上せしむるようなことをやってもらいたいということを業界の要望として陳述をいたしたわけですが、当局としては、取り締まり法規ばかりでなく、この旅行あっせん業というものを指導し育成するというような方途をお考えになっておるかどうか、これを伺いたい。
〔委員長退席、理事谷口慶吉君着
席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/8
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009・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 旅行あっせん業者のうちの一般旅行あっせん業者のほうは、従来もいわば協会があったわけでございますけれども、まだそれがいわゆる法人化されておりませんでした。ようやく昨年の秋になりまして、社団法人国際旅行業者協会というものができ上がったわけでございます。つまり、社団法人化したという次第でございます。
ところが、問題の一般旅行あっせん業のほうは、二千六十四ということで、非常に数が多うございます。これの組織化を、実はただいま運輸省としては推進いたしております。現在全国旅行業団体連合会——俗に全旅団連とこう申しておりますけれども、これに入っております法人のあっせん業者の数はわずか六百程度でございます。つまり三分の一くらい、こういう状況でございますので、これを全部組織化しよう、これは社団法人が一番適当だと思いますが、社団法人化して、そうしてそういった協会を通じて私どもとしては業界の指導育成というものをはかっていきたい、これがただいま運輸省として前向きに考えております政策でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/9
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010・木暮武太夫
○木暮武太夫君 それでは、次に国際観光ホテル整備法の改正案について二、三の点をお伺いを申し上げますが、一体この国際観光ホテル整備法という法律の趣旨の本体というものは、取り締まり法規であるか、あるいはこういう外客接遇施設を持っているところのホテルや日本旅館を指導助成する法律であるか、いずれのものであるかということをまずお伺いしたいと思うのです。
これは、御承知のとおり、昭和二十四年の第六国会で議員提出によって成立したものでございますが、その法案を出した場合の説明をいま見ると、やはりこの法律の中で、外人接遇の施設をやっている者にはだんだんと指導して上昇せしむるようなつもりでやるのだ——従来旅館に対しては、明治の初年から、内務省管轄でもって、旅館取締規則というようなものがあって、いわゆる警察官のおいこら式の取り締まり法規というものだけであったわけなのですが、昭和二十四年の第六国会でこういうようなものができたというのは、旅館に関する法規としては一段の進歩だと思うのですが、それを考えてみると、この法律の本体というものは、従来のような取り締まりを主としたものでなく、外客接遇の関係を持つところのホテルや日本旅館というものを助成指導して、国があたたかい気持でもって育成さしてやるというところにこの法案の趣旨があるように考えるし、またそれでなくてはならぬと、こういうふうに考えますが、この法案の本体の趣旨はどこへ置いたらよろしいか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/10
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011・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 御指摘のとおり、昭和二十四年に議員立法として国際観光ホテル整備法が生まれ出た次第でございますが、この法律の趣旨は、やはり私どもは第一条の目的そのものであるとかように信じております。「「ホテル」その他の外客宿泊施設の整備を図り、外客接遇の充実に資することを目的とする。」、これがこの法律の目的として第一条に掲げられておりますが、この線に沿いまして私どもこの法律の運用をやってまいった次第でございます。
で、先ほど申し上げましたこの資料集の二四ページをおそれ入りますが、お開きいただきたいのでございます。右の欄の全国の旅館の数が六万三千七百三十四軒でございます。日観連の会員——これは国鉄推薦旅館と以前呼んでおりましたものが日本観光旅館連盟と名前を変えたわけでございますが、日観連の会員が六千二百八十五軒、九・八%、一割弱でございます。それから国観連——国際観光旅館連盟の会員の旅館が千五十軒、一・六五%、それから政府登録旅館が四百五十五軒で〇・七%、つまり一%に満たない、こういう状況でございます。この法律が施行になりましてからもうすでに十数年、当初は登録旅館がなかなか期待するほど数がふえなかったのでございますけれども、最近一年間、ここ二、三年来の増加傾向を見ますと、特に昨昭和三十八年一月から十二月末までには六十九軒の登録旅館が誕生いたしております。いわば七十軒程度ふえている。つまり、三百六十五を七十で割りますと、五日ちょっとの日数に一軒ずつ登録旅館が誕生している、こういう状況が最近の実情でございます。私どもは、この法律の目的、この法律の精神というものがだんだんと皆さま方に御了承いただけて、そして登録旅館の数がこんなにもふえてきたというふうなこと、また外人観光客というものも最近一割程度ずっとふえてまいっておりますので、あれやこれや考えあわせてみますと、この法律が生まれ出たということがりっぱにその使命を果たしておるものだと、かように喜んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/11
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012・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いまの御説明によると、この法律は、いわゆる従来あったような旅館の取り締まり法でなくて、助成法である、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/12
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013・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 率直に、端的に申し上げますと、外客接遇充実のためでございます。いろいろな登録基準というものが法律でも明記されておる。その登録基準を満たしたものが登録される。ところが、その登録基準を満たすのにはいろいろ費用もかかるのでしょう。その費用がかかるかわりに、法人税なり固定資産税の減免を国のほうで考えましょう、こういう法律の趣旨だと私は考えております。したがいまして、他の面では、国家としては、法人税なりあるいは地方税としては固定資産税の減免という、いわばそういった助長行政の面を考えると同時に、一方では外客接遇のためにどうしても必要なことだけはやはり旅館の側の方々にもお守りいただきたい。それで初めて両々相まってこの法律の精神が生かされていくものだと、かように信じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/13
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014・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いまの御説明によって、大体これが助成法で、助成する一方、外客接遇の施設等に基準を設けてやるんだというお話で、よく了解いたしましたが、そこで、そういう法律であるならば、なるべくこまかいことまで規定する必要がないんじゃないかということを考えますのは、厚生省関係の旅館に関する法律等によりまして、現在全国の旅館業というものは、これは外人を接遇するというような特殊な旅館を含んで、全国にある六万三千七百三十四軒という多数の旅館というものは、厚生省関係その他の法律によって保安とか衛生等の問題についてはいろいろ規制を受けておるのでございまして、その六万三千七百余軒というものの中から特に〇・七%に当たっておるところの登録旅館だけがこの法律の適用を受けるというわけでございますから、いまお話しの趣旨に従って、外客を接遇する設備を整備するということを規制したりあるいは指導したりするということを中心としてやれば、あまりほかのことはこまかくやらぬでもいいのではないかというような気がして、ほかのことは業者の自由にまかして、その趣旨によって干渉するのがいいのではないかというふうに思いますが、たとえば宿泊料金のごときものは、本来この法律には最初は規定されなかったのでございますが、これが三十七年の改正でこれを入れたことになったので、ある人に言わせると、これは少し助成法としては行き過ぎではないかという議論さえ当時あったようなわけでございますが、いま申し上げたようなこの法律の趣旨からいうと、あまりこまかいことまでやらずに、本体であるところの外客接遇の施設を整備させることの基準等についてこまかく、むずかしく言うという点に主目のねらいを置くということがこの法律としてはいいのではないかというふうに考えますが、お考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/14
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015・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) ただいまお話しの料金の問題でございますけれども、この問題については、むしろ私よりも先生のほうがよく御承知と思うのでございますけれども、日本のホテル、旅館が高いというふうなことがいろいろ観光客の口から私どもも聞くこともございます。それで、一体ホテル、旅館というものについては、御説のとおり、内務省令であった時代から、いわゆる規制と申しますか、認可というものが行なわれた例がございません。もっと極端な表現をいたしますと、一晩三千円になさろうが、一万円になさろうが、それが自由自在というのが旅館、ホテル営業の実態であった次第でございます。しかし、一面では料金の問題がいろいろ出てくるし、しかも国際観光というふうな面からながめました場合に、料金の問題についてやはり国として何らかの措置があってしかるべきじゃなかろうかと、こういうふうな考え方もございまして、まことにあれでございますけれども、昭和三十七年三月十五日に自民党の総務会において「外人観光客に対する優遇措置について」というのが御決定になっておられます。その中に、ホテル、旅館の料金の規制ということがございまして、登録ホテル及び旅館の宿泊料については料金の届け出制及びその変更のための勧告権を定めるため国際観光ホテル整備法について所要の改正を行なうというふうなことが当時総務会で御決定に相なった次第でございます。
私ども運輸省事務当局といたしましては、この総務会の御決定の趣旨に従いまして、今を去る二年前、三十七年に料金の届け出制を実施したわけでございます。しかし、六万三千軒の旅館という旅館全部について料金の届け出制をしようというふうなことは、もちろん運輸省は考えておりません。ただ、片や法人税なり固定資産税の減免を行なっておる、その恩典を持っておられるホテル、旅館の料金だけはあらかじめ届け出てもうおうじゃないか、こういうことにすぎない。したがって、別にバスや私鉄の運賃のように、認可制でもございませんし、許可制でもございません。届け出制というふうなことで、ただいま業界と私どもとの間には相互信頼の気持ちで円満に今日まで至っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/15
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016・木暮武太夫
○木暮武太夫君 ただいまの御説明で、もちろん私は、外国人を接遇するホテルや旅館が料金が高いという非難があって、これを規制するということの趣旨はよくわかりましたけれども、しかし、この間も参考人のホテル協会からも話がありましたとおり、日本のホテルとかあるいは外人接遇を主たる目的とする日本旅館の料金が高いということは、その背後にいろいろ外国と違ったものがある。西ドイツのホテル業などというものは、御承知のマーシャル・プランによって、あの壊滅したホテル業というものの外人接遇の施設というものがりっぱにでき上がった。イタリアやスペインやフランスへ行ってみても、大体この外人接遇のホテルには三分ないし四分で十五年から二十年の長期の金融をして、それらをまかなっておるのですが、それに比較して日本のは、開発銀行等をはじめといたしまして、九分以上の利息でもってまかなわなくちゃならぬ、しかもそう長い期間ではない、こういうことが、やはり営業として成り立っていかなければならぬホテルや外人接遇を主とする日本旅館で料金がある程度欧米に比較して高からざるを得ない大きな理由だろうと思うのですが、そこで、そういう欠点を改めていただいてから、まず料金を規制するとか、あるいは料金を規制するならその欠点を緩和してやるというようなあたたかい心がなければ一この仕事に携わっている者としては、一方的に、料金が高いから、この料金を引き下げるように規制するということだけでは、どうも少々酷だというような非難を免れないように思うのですが、いまの点については現在どうであるか、今後もどういうふうにするつもりであるかということを、ひとつこれは運輸大臣から御返事を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/16
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017・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、そういう配慮が財政の許すならば、そうして何としても外貨の獲得に努力するようにいたしたいと思いますが、現在そういうことをやるほど財政が豊かでないので、やむを得ずそういうことをまだ実施の段階に至っていないのでございます。詳細は観光局長からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/17
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018・河野謙三
○河野謙三君 ホテルの宿泊料を届け出制にすると、届け出を受けるあなたのほうの側では、標準宿泊料というものを手元に持っていなければならぬはずです。そうでなければ、これは高過ぎるとか不当であるとかと言えない。あなたのほうが届け出制をしく以上は、標準宿泊料というものが手元にあるはずです。その標準宿泊料というものは、コスト主義によるのか——建築費その他経常費、そういうもののコスト主義によって標準宿泊料というものを用意されるのか、それとも、国際的な外客誘致でございますから、国際的なホテル宿泊料というものの標準というものをとって、そうして基準宿泊料というものにされるのか、その点どちらであるか、ひとつついでにあわせて御答弁いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/18
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019・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) ただいま河野先生からお話しの問題は、当時料金の届け出制をしくときにずいぶん問題になりました点で、私どものほうで原価計算を始めたんでございますけれども、実は不可能だという結論に達した。原価計算上は、その標準料金を出すことは不可能だ、こういう結論に達した次第でございます。これは、ホテルなり旅館の建ちます場所の土地の値段とか、あるいはそれが非常に高層建築であるかそうでないかによっても違いますし、あるいはまた部屋数と、それからそのほかの宴会室だとかロビーとかというものの広さをどのようにとるかということによっても違ってまいります。現に、ホテルそのものあるいは旅館そのものがいわゆるお泊まりの客以外の宴会には一切依存しない、すべてお泊まりの客とそのお客の飲食だけで成り立っているのだということでありますならば、あるいはまたその原価計算も可能かもしれないのでございますけれども、結婚式もやればパーティもやるというようなことで、いろいろの目的のために使われる。中にはその中でいわゆるみやげもの品も売れるというふうなことでございますので、宿泊料だけの原価計算ということは実際上不可能である、こういう事務的には結論に達した次第でございます。したがいまして、そうすれば何を基準に求めるかということでございますが、たとえばあそこのホテルはこれくらいの設備で、大体去年できて、何室でどのくらいの金額だ、それでこれくらいの料金じゃないか、そうすると、あれとこれは大体似たり寄ったりの設備であるし、まあ建築費も変わらない、そうすればこれも大体こんなものじゃなかろうかということで、いわゆる一つのそういった、それと同程度、同規格のホテルなり旅館の料金とのバランスと申しますか、そういったことできまっていく性質のものではないか、こう考えております。そうしませんと、その原価計算だけを貫いてまいりますと、どうしても原価計算でこれだけかかるのだというので、天下晴れてやましいところはないといって料金を掲げてきましても、お客が寄りつかなければ結局商売になりませんので、結局その近所の同格のホテルとの料金のバランスというようなことが一つの基準になろうかと、かように考えまして今日まできておる次第でございます。
それから、木暮先生からお話しの、取り締まりの強化だけで、ちっともその他の面を考えないということはおかしいじゃないか——これはまことにお説ごもっともでございまして、これにつきましては、先ほど来たびたび引用いたしております資料の二七ページをお開きいただきたいと思います。一番左のほうが日本開発銀行、それから北海道東北開発公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、日本長期信用銀行、日本不動産銀行、国民金融公庫、これだけの金融機関別に書いておりますが、初めて観光というものに対して財政投融資の出ましたのは、昭和二十六年が初めてでございました。このときようやく八千万という融資をちょうだいいたしました。それから二十七、八。それから二十九年はゼロというわけで、まあふえたり減ったりしながらやってまいりまして、大体三十六年度、七年度が三十億程度、それから三十八年度は六十億ちょうだいできることになっております。一月一日現在で現に融資になりました額が、中間集計でございますが五十億、もう十億は年度内に出る、こういう運びになっております。
それから、その隣の地方開発でございますが、これは三十七年度から地方開発ワクというものが観光について設けられた次第でございまして、三十七年——ちょうど料金の統制をした年に地方開発ワクの設定を運輸省としてはいたした次第でございます。その年に三億八千五百万、今年度は四億六千五百万、こういう状況でございまして、まだ年度内にもちろんこのほかにも出ることと私ども信じております。地方開発ワクは、これはホテルじゃございませんで、旅館だけが対象になっております。ホテルは地方開発ワクからは一文も出ないたてまえになっております。それから、その隣の北海道東北開発公庫は、これは北海道地方とか、それから東北プラス新潟県でございますが、これが三十七年度は一億六千六百万円、今年度は一躍ふえまして八億四千五百万円ということでございますが、これまたホテルには一文も出ませんで、全額北東公庫の場合は旅館が融資の対象、こういうことになっている次第でございます。それから、中小企業金融公庫をごらんいただきましても、いわゆる代理貸し付けのほうは、これは陸運局中心にお世話申し上げておるのでございまして、直接貸し付けのほうは、本省とそれから中小企業金融公庫の本店との間の折衝によって融資をお世話いたしておる額でございますけれども、これは三十六年度から始めまして、三十七年度は八億九千二百万円、それが今年度は九億四千七百万円というふうにふえてまいっておるわけでございまして、中小企業金融公庫の場合は、これまたほとんど旅館ということになっておる次第でございます。しかも当初一千万円、それが二千万円になり、最近ようやく公庫のほうと話がつきまして、一件三千万円まで融資というふうに、融資の額も高まってまいった次第でございます。
そのほか、商工組合中央金庫、長期信用銀行、不動産銀行、国民金融公庫等におきましても、この表をごらんくださいますれば御了承いただけますように、これはほとんど旅館なり貸し間業者に対する融資の実績でございまして、私どもは、この表をすらっとおながめいただきますならば、運輸省としましてはこの融資の問題について非常に努力をしてきたということは御了承いただけるかと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/19
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020・河野謙三
○河野謙三君 私はコスト主義をとれという主張はしているのじゃないのです。その宿泊料の届け出を受けた場合に、いまのその批判の材料は何でするかというと、いま伺いますと、同じ程度のホテルがあればそれを基準にしてと、こういうことですね。まあ考えると、非常にばく然としております。それは、ただ単に届け出をする義務を負わせて、届け出を受けたほうのあなたはそれによってどうこう意見はつけ加えないと、こういうことならよろしゅうございます。しかし、私はその標準の旅館というものはまたなかなか押えにくいと思うのですよ。具体的に申しますと、ホテルそのものでは赤字であっても、バスの業務を兼業しておるとか、鉄道を兼務しておるとか、土地会社をやっておるとか、アパートをやっておるとか、こういうことで、一連の事業の中で、ホテルでは多少赤字を出してもいいのだというのがありまして、それが基準になりますと、これからホテルに進出しようという人たちは、それらの大資本以外はホテルの経営は成り立たないということになりますよ。だから、そういう私は基準というものはどこでとるか、非常にむずかしいと思うのです。木暮先生の質問を横から取って相済みませんけれども、私は、問題は、先ほど木暮先生もお触れになりましたが、金利だと思うのですよ。私は具体的に一つ例を申しますわ。私は友だちと遊びに行きまして、こういう国会の席でかけごとのことを言っちゃ相済まぬけれども、勝負をやって負けたらホテル。オークラをひとつ負担することにしようじゃないか——ホテル・オークラができてまだ十日もたたぬ。私は負けちゃった。それで昼めしを食いに行った。私はおそらく一人二、三千円だと思ったのです。昼めし食って、ビール一本も飲まないのですよ、それで一人頭七千数百円取られた。私はびっくりしたのです。ところが、その後なくなりました大倉さんの話等をいろいろ私が勘案しますと、大体あのホテルは七十億ぐらいかかっているような見当です。そうすると、かりに自己資本がたっぷりあっても二十億でしょう。あと五十億借金しているとすると、金利だけで、夜さえあければ、いまの金利だと百万かかるわけですよ。そうすると、やはり千円や千五百円のめしを食って七千円ぐらい取らなければ向こうは引き合わぬのだなと私はあきらめたのです。それは払うのは払ったけれども、そういうことだと思うのですよ、いまの日本の旅館とか料理というものは。でありますから、いま届け出の義務はあるけれども、その届け出によって運輸省は云々しないのだということならいいけれども、何か変なところを、押えどころをきめておいて、そうしてこの基準によって、お前は高いぞ、お前は許可しないぞ、お前はいかぬぞというようなことをやることは、僕は非常に乱暴だと思う。第一、そういうことをやりますと、ホテル業というものは、昔からの伝統ある旅館というものはだんだん滅びていって、いわゆる新興の財閥がやるところのホテル業というものはどんどんどんどんこれは伸びていくと、こういうことになると思うのですが、それらの点に対しての御見解はいかがでしょう。まあ関連質問ですから、これ以上質問しませんが、ひとつそのつもりでお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/20
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021・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) お説のとおり、金利の問題がやはり一つの大きな問題でございまして、運輸省の中でも、海運局のほうは金利が安いじゃないかというので、よく冗談に同僚の局長に言うわけでございますけれども、開発銀行と北海道東北開発公庫が八分七厘でございます。中小企業金融公庫は九分という利率で借りておる次第でございます。それで融資期間は、大体開発銀行が十年から十五年、北海道東北開発公庫のほうが大体十年以内というふうなこと、それから中小企業金融公庫は御承知のように五年以内というふうなことでしておる次第でございますが、やはり利息の問題、これは一つの大きな問題だと考えております。
それからもう一つの問題は、これは旅館よりもホテルの場合に当てはまると思いますが、いわゆる建築基準の問題で、やはり高層建築であったほうが部屋の数も多くなりますし、一部屋にかかる負担というものも割り安になってまいります。まあおかげで基準法も前国会で改正になりましたので、これからはホテル等につきましても高層のものが許されることになると思いますが、そうなりますと、やはりこの面でもホテル業界としては非常に喜ばしいことではないかというふうに考えております。
それから料金の問題は、もちろんいまお話しのようないろいろのむずかしい問題がございますが、法律にも「外客接遇上不適当であり、特に必要があると認めるときは、」というふうな条文になっておりますが、今日まで二年経過いたしておりますけれども、実はまだ運輸省のほうでこの料金が不適当だと言った例は一件もございませんようなわけで、むしろ業界自体が、やはり商売をしておられる立場上と申しますか、やはり競争でございますから、そんなむちゃな料金を不当によそさまよりも取ってどうのこうのというようなことはないというふうに、今日までの実例では私ども考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/21
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022・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いま河野先生からお話があったとおり、問題は金利にあるので、いまの開発銀行とかあるいは東北の公庫などが旅館業やホテル業に金を出すようになったということは、これは運輸省当局の非常な努力で、私どもはその点は感謝をしているわけですけれども、いまの外国の金利が三分だとか四分だとかいうときに、その倍以上の金利でもってつくらなくちゃならないホテルや旅館業に対して、かなりあたたかい気持ちでもってやはり宿泊料金というものは見てやらぬといかぬと思います。法律で、これは初めはなかったのですが、後に改正されて宿泊料を規制することになっておりまするから、いまさら何とも言えませんけれども、当局の気持ちは、いまの質問者の意向があったような点をくんでやるべきだということを申し上げておきます。
それから次に伺いたい点は、この今度の第六条に、新たに宿泊約款というものをつくらせることを加えたわけですが、この目的はどこにあるのか。戦後、業者から訴えられる点は、旅客の側における野方図な旅行の状態、というような旅、客が非常に多くなった。したがって、ホテルや旅館業で働いておるところの勤労者というものの勤労状態がずいぶん過度になり、酷になっておるということを聞いておるのでございますが、こういうような宿泊約款をおつくりになるということは、一方旅館業を乱暴な客から保護するということと、もう一つはそこで働いている勤労者を保護する、こういうような意味でつくったものではなかろうかと思うのですね。そういう宿泊約款であるならば、これはその内容というものを、旅館業界のほうから研究、さして作成した内容を盛り込んだものでなければならぬ。こういう旅館業界のほうから盛り込んだものの内容があるならば、これを当局として宿泊約款として受け入れる用意があってしかるべきじゃないか、こういうふうに考えますが、この点をまずお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/22
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023・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 宿泊約款というものを今度の法律改正の中へ織り込みたいという気持ちになりました根本原因は、いわゆる旅館というものの経営を近代的な経営にまで高めていただきたいというふうな気持ちも一つにはあった次第でございまして、そして現在この宿泊約款は、約款というふうな言葉は非常に何だかむずかしいようなお感じをあるいは業界の一般に与えるかもしれませんけれども、実は約款と言う以外に法律の表現としてはない次第でございまして、おそらくどこのホテル、旅館でも、利用者の皆さまへというふうなことで掲示されておりますようなものがこれに当たる次第でございます。したがいまして、私どものほうで、現在ホテルなり旅館なりでやっておられますものをある程度集めまして、そしてそれを、いわば最小公倍数と申しますか、最大公約数と申しますか、まとめてみましたものが、いま御参考にお手元へお配りいたしましたようなものでございまして、この約款は、ホテルに泊まられる場合には、この約款の定めるところによるのだ、約款に定められていない事項については法令及び慣習によるのだというふうなこともございますし、それから約款の趣旨、法令及び慣習に違反しない範囲においては特約に応ずることもできるというのが、そもそものこの約款の根本的な適用にあたっての考え方でございまして、宿泊の引き受け、それから宿泊の申し込み、こういったことは現在でも全部どのホテル、旅館でもやっておられることがここに書いてあるわけでございます。それから予約の問題、この問題も、特に予約を五十人なら五十人ということで受け付けておっても、それが実際には半分しか来なかった。そうして文句を言いますと、この次にはお客を売り込んでやらないぞというようなことを言われて、結局泣き寝入りになるというような事例もあるやに聞いておりますので、はっきり予約というものを宿泊約款の中で入れたほうがむしろ利用者なり旅館双方にとってけっこうなことではなかろうか、かように考えた次第でございます。したがいまして、予約に伴うところの予約金、あるいは予約の効力、それからもう一つは、ホテル等においては当然行なわれておりまするが、この八条にございますが、チェック・アウト・タイムの問題でございます。これははっきりたとえば十一時とか十二時とかいうふうに欧米においてはなっております。日本のホテルもその方式をとっておりますけれども、旅館等の場合には、必ずしも全部が全部チェックアウトタイムというものがはっきりしているとも言い得ない状況のように見受けております。むしろこういったものははっきりさせたほうがいいのではなかろうかというふうに考えた次第でございます。また営業時間等におきましても、第九条でございますけれども、食堂は何時から何時まで、ルーム・サービスは何時から何時までというふうにはっきりさすことが、実はそこにお働きの従業員の皆さんにとってもそのほうがいい、かように考えておる次第でございまして、そうして今度は十条において、宿泊される人の義務、それから十一条においては宿泊を継続するという申し出に対して、こういう場合にはお断わりをすることができるというふうなことを書いております。それから十二条におきましては、宿泊を中断する場合の料金の収受、それから責任の始まりと終わりは、一体どこをもって起点あるいは終点とするのかというようなことでございまして、大体現在の登録ホテル、登録旅館において実施されておられますことをまとめた次第でございまして、これは別にこういったことが省令なりあるいは政令で、われわれのほうできめようというのではございませんで、そのホテル、旅館においておきめいただいたものをこちらのほうへ届け出ていただく、こういうような式になっておる次第でございまして、このほかその地域的にあるいは特有のものがございました場合には、運輸省としましては、業界の御意見を十分に伺いまして、それに従っていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/23
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024・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いまのお考えで、宿泊約款の本体というものをどういうふうに運輸当局が考えているかということはよくわかったのですが、この宿泊約款というものは、旅館業としては当然つくるべき問題であって、すでに実際につくって実行しているものが多いのでございますし、いま局長がるる御説明になったようなものであるならば、何も事新しく今度の改正の法律で法文化する必要はなくて、業者を指導してつくらせればいいのだというふうな気がしますね。それと、六条の二項で、特に必要があると認めるときに変更を指示することができるというようなことが書いてあるんですが、この「特に必要があると認めるとき」というのはどういう場合をさすものであるか。特に必要の場合にはこの旅館業界の意思を尊重してつくった宿泊約款というものを変更を命ずることができるというようなことは、どうも、あなたがいま御説明になった旅館業並びにそこで働いておる勤労者の保護を目的としておるものが宿泊約款であって、それはあくまでも、業界の者と相談してつくって届け出たものをよく見て、非常識なものでなけりゃこれを採用するということを言われておる点から見ると、変更を命ずるというような規定を置くのは少し行き過ぎじゃないか。そこで、特に必要があるというときは、どういうことをさしておるのか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/24
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025・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 外客接遇上不適当であって、特に必要なときというのは、結局あまりにも非常識な約款がきめられておるというふうな場合のことをさしておるわけでございまして、これによって不当に外客の宿泊が、普通の状態においての宿泊というものがいわば阻害されるというふうな場合のことを意味しておるわけでございますので、別にこれによって直ちに運輸省のほうで変更、変更というふうな措置に出るというふうな気持ちは、毛頭考えていない次第でございます。要するに、一口に申しますと、あまりにもだれが見ても非常識である場合と、このように御了解いただければけっこうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/25
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026・木暮武太夫
○木暮武太夫君 先ほどの御説明ですと、宿泊約款というものは、その本旨からいって、旅館業界の者とよく相談をして、旅館業者があなた方とよく相談、協力してつくり上げて、その場合に非常識なようなことがあれば直させるんだというお話があったんですが、そういうふうな旅館業界の者と納得づくでつくった宿泊約款というものを、ここで変更を命ずるというのは、矛盾しているんじゃないんですか。そんな、できたものを、特に必要のある場合に変更を命ずるよりは、初めつくらせるときに指導して、そういうものでないものをつくらせるというのが、さっきの御説明に合うような気がいたしますが。そういうふうに、私は、観光局と業界との話し合いによってつくるのがあなたの御説明になった本旨に沿うものであるとすれば、特に必要なときに変更するというようなむずかしい法文をここにつくる必要はないんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/26
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027・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 私どものほうといたしましては、個々の全国の旅館と、一軒一軒観光局が御相談をしてきめるという意味の御相談という意味ではございませんで、これはやはり、国際観光旅館連盟、あるいはまた日本観光旅館連盟というふうな、現在の旅館のいわゆるお集まりの協会、こういったところの方々と御相談をして、全体の持っていき方、考え方というものを御相談してきめると、こういう意味でございまして、一軒一軒の旅館について、全部について北から南まで御相談をしてという意味ではございません。要するに、業界の御意思というものを、こういった協会という組織を通じてきめていきたいという意味でございます。たとえば、かりに午前十一時とかあるいは正十二時というふうな時間がチェックアウトタイムになっておりますならば、これはおそらく全世界たいがいそういうことになっておりますので、もちろんおそらくだれも、自他ともに異議をはさむ人はないと思いますけれども、もしかりにこれが九時とかあるいはもっと早くとかいうふうな時間にチェックアウトタイムがきめられておったと、またそれをきめようとするならば、これはやはりもう少し常識的なチェックアウトタイムにしていただいたほうがいいのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございまして、要するに私は、まことに失礼な表現ではございますけれども、法律の運用は健全な常識によってやるべきであって、非常識な運用あるいは非常識な態度というふうなことは絶対に許されるべきことではないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/27
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028・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いま御説明にあったとおりに、各旅館一つ一つと相談するわけでない——もちろん私もそう思っておりましたが、国際観光旅館連盟というような業界の団体と相談をして宿泊約款をおつくりになるとするならば、これを法文として、特に必要があるときは変更を指示することができるというようなことをおきめにならなくてもいいんじゃないかという気がどこまでも私はするわけでございまして、これは私の意見を言うだけで、水かけ論になりますから……。ただ、いまのおことばの中で、法律を運用するのは常識でやるのだというのですが、まあ運用も大切ですけれども、成文法においてはやはり文句というものも非常に大切であるものですから、そこで何も法文化する必要のないものをここに書き出して、特に必要があるときに変更を指示するというようなことは行き過ぎではないかという私の意見を申し上げておくのであります。
それから、第六条に「宿泊料金その他省令の定める業務に関する料金及び宿泊約款を定め、」云々とある場合でございますが、この法文を読んでよくわからない点があるからお尋ねをするわけですが、この第六条の場合におきまして、「省令の定める業務に関する料金及び宿泊約款を定め、」とあるのは、この省令というのは、料金のみにかかって、宿泊約款というものにはかからないというふうに解釈していいんでしょうか、それとも両方に省令の定めるということがかかるのでしょうか、これをはっきり伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/28
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029・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) これは料金だけしかかかりません。料金にだけしかかからないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/29
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030・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 料金だけしかかからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/30
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031・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/31
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032・木暮武太夫
○木暮武太夫君 それでよく了解をいたしました。もし省令がかりに宿泊約款にかかるとするならば、この法律は成立したら三十日以内に実行されるんですから、その省令を拝見したいと思ったのですけれども、料金だけにかかるんだということになれば、それでよく了解をいたしました。
それから次は、地方税の不均一課税に関してお伺いをしたいんですが、昭和二十四年の第六国会で、この議員提出の法律案が提案されたときの説明を読みますると、この法律は助成法であることを明白にうたってあって、この法律の中で、外人接遇の施設の新設並びに改装、増築の場合については地方税の家屋税及び付加税を半減するということが、二十四年の原案には規定してあるのでございますが、これが参議院に回りまして、参議院の運輸委員会において審議いたしましたおりに、第七条を修正して、「公益等に因る不均一課税」をとるということにしたわけでございます。
そこで、今日、地方税の不均一課税というものがこれで行なわれるとするならば、このホテル並びに登録日本旅館にとっては一つの大きな恩恵であることは論をまたないのでございまして、これは第七条に、現在の法律でも、「登録ホテル業の用に供する建物については、地方税法第六条第二項の規定の適用があるものとする。」ということを書いてある。これは地方税の不均一課税が適用されるということになっているわけです。この恩恵であります不均一課税はどんなぐあいであるかということの現在の状況をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/32
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033・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 御指摘の条文が参議院におきましてこのようなかっこうになったという経緯については、ただいまお話しのとおりのように私ども伺っております。それで、今日現在で、ホテルについては固定資産税——これはまあ市町村が対象になるわけでございますけれども、固定資産税の軽減されておりますのが八十二ございます。それから旅館につきましては二百九十八、これが現在の軽減の状況でございます。それで、同じ都道府県にあるホテルと旅館につきましては、この軽減の差は私どもは見受けないわけでございまして、同様にホテルも旅館も軽減されているというふうに聞いておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/33
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034・木暮武太夫
○木暮武太夫君 ただいまの地方税の不均一課税の実況を見ますと、地方によってはこれが行なわれないところが多いんじゃなかろうかと思います。都道府県でどことどこが不均一課税を行なっておるかということをちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/34
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035・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 固定資産税の軽減状況について、都道府県別に表があるのでございますけれども、これ全部読み上げますことも時間的にあれでございますが、いかがでございますか。——私の手元にあります資料で、北海道、青森、山形というふうに、都道府県、市町村別になっておりますんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/35
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036・木暮武太夫
○木暮武太夫君 それを実行しているところは幾つあるか。実行しないものは言わなくてもその残りですから、実行している県なり市なりが幾つありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/36
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037・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 北海道、青森、山形、秋田、福島、宮城、新潟、長野、群馬、栃木、山梨、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、岐阜、三重、福井、石川、富山、滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、奈良、岡山、鳥取、島根、山口、香川、徳島、愛媛、高知、福岡、長崎、鹿児島、大分、旅館の関係で申し上げますと、これだけが軽減をいたしているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/37
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038・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いまの各地方にあるこのホテル整備法に合うところの外人接遇基準施設のある日本旅館が全部不均一課税になっているのですか、そうじゃないのでしょう。それだから、現在日本旅館の登録の数が四、五百ある中で、それが不均一課税の恩恵をこうむったものは幾らあるかと——いまのあなたのお話だと、日本全国のどこでも不均一課税の恩恵をこうむったように思いますけれども、そうじゃないと私は思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/38
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039・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 同じ都道府県の中でも、こうむっているところとこうむっていないところがございまして、むしろあるいは旅館の数の率で申し上げたほうがいいかと思いますけれども、ホテルの場合が八〇%、旅館の場合が八四%、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/39
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040・木暮武太夫
○木暮武太夫君 そうすると、登録日本旅館の八〇%以上ですか、違やしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/40
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041・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 八四%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/41
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042・木暮武太夫
○木暮武太夫君 八四%が不均一課税の恩恵を受けていると。それで、不均一課税の恩恵というものはいわゆる減税ですわね。パーセンテージはどのくらいの減税になっているのですか、場所によって違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/42
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043・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) この率は、それこそまちまちでございます。軽減の割合が、半額になっているところもあれば、四三%、そうかと思いますと三〇%、二九%、四七%というふうな率で、まことにまちまちでございますが、私どもの調査したところによりますと、七一%が最高のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/43
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044・木暮武太夫
○木暮武太夫君 そのお話を伺いますと、まだこの法律によって地方税法の不均一課税を適用するものとするというものは全面的に行なわれていないわけでありますが、これに対しては、全面的に行なってやらなければきわめて不公平であるというふうな気がいたしますのですが、運輸当局としてはこの外人接遇の施設を持つ日本旅館なりホテルというものに対しての恩恵というものを公平に行き渡らせるというようなお気持は持っていると思うのですが、何かそれに対して現在までに努力した方法等がありましたら、お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/44
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045・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) この問題は、やはり業界としまして一番大きな問題は、私は融資の問題と税金の問題だと思います。その両面につきましても、運輸省としましては、機会あるごとに関係方面と折衝をいたしている次第でございまして、折衝のつど問題になりますのが、この法律の別表の第二、つまり租税特別措置法等の中で含まれるべき——法体系上そこで規定さるべき問題が、この法律に限っては法律の別表になっているじゃないかというふうなことを、まあ相手方からよく言われるわけでございまして、その辺が私ども関係の役所とはいつも折衝のつど論争の焦点になっておるような次第でございますが、機会あるごとにその問題につきましては私どもとしては鋭意努力しているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/45
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046・木暮武太夫
○木暮武太夫君 この法律を参議院運輸委員会で修正したときは、御承知ののとおり、「適用があるものとする。」、こう書いてあるのですから、適用されないところがあることがおかしいと思うのですね。ことに、おそらく調べてみれば、都会地のような担税力のあるホテルその他が恩恵を受けて、地方の担税力の少ないところが恩恵を受けていないような傾向があるのじゃなかろうかというふうな気がいたしますから、まあ業界においても努力いたしますけれども、今後運輸省の当局におきましてもひとつ努力をして、この法律どおりにすべての町村において適用があるもののようにひとつしていただきたいと思うのでございます。
それから十六条の2に立ち入検査のことがあるのですが、「特に必要があると認めるときは、」云々と、立ち入り検査ができるということになっているのですが、
〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕
ここで「特に必要があると認める」というところは、どういうことであろうか。日本旅館が登録を受けた条件の外人接遇の施設を初めの約束と違って変更をした疑いがあるというような場合を「特に必要がある」というふうにお書きになったのかどうか。この立ち入り検査ということは、正常に営業をしております業界といたしましては非常にぎごちない感じを持つので、まあ法律上立ち入り検査というような言葉を使わざるを得ない場合が多いと思いますが、願わくば調査をするとかなんとかというふうなやわらかいことばに変えてもらいたいくらいに考えているのでございますが、それはともかくもとして、「特に必要がある」とき立ち入り検査をするという、その「特に必要がある」というのは何をさしているのか。いま私が一つの例として申し上げた、いわゆる外人接遇の施設の基準によりまして登録を受けた旅館がその基準を変更したような疑いがあるとかなんとかというような特別の場合をさすのですか。当局としてはこの「特に必要がある」とき立ち入り検査をするという、この立ち入り検査ということが非常に重大な問題であるだけに、「特に必要があると認めるとき」という、そのことをひとつ例示して、こういう場合には立ち入り検査をやるのだということを言っていただいて、正しい経営をしている登録旅館業者には安心を与えてもらいたい、こういうふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/46
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047・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 先生に申し上げるのはまことに釈迦に説法でございますけれども、登録旅館になりますと、このような登録証が出るわけでございます。この登録証が出ますと、玄関に掲げられます文句は、「政府登録、国際観光旅館、レジスタード・ツーリスト・ホテル・バイ・ガバメント」、こう書いてある。つまり、来訪した外人はこの「バイ・ガバメント」というのに非常に信頼を置くわけであります。なぜ「バイ・ガバメント」になったかと申しますと、結局、先生も御指摘なさいましたように、いわゆる登録の基準というものが法律で定められている、そうしてその基準を満たしているから登録されているというのが根本的な考え方でございますが、その登録をとってしまってからその基準を変えられる場合があるわけなんです。現にそういう例がございました。実は、昨年の十月十六日ですから、ごく新しい、なまなましい事例でありますけれども、伊豆のある旅館でございますけれども、登録が十月十六日付で大臣の決済を経ましてなっております。そうしますと、直ちに、登録を受け取るやいなや改装を始められたそうでございまして、いわゆるトイレをつぶしまして、電話交換室とそのホテルの事務室にされた。そうして、われわれのほうで、どうもおかしいというので、調査に参りましたところが、案の定そのように設備が変えられておったという事例がごく最近あるわけでございまして、結局、外客接遇上こういう基準を定めておいて、そして登録をとったら、あとはもういいんだということで、自分の都合のいいように設備を変えられては困るわけでございますので、そのような疑いのある場合というのが、この「特に」という意味でございまして、この十六条の第一項には「特に」ということばはございませんが、第二項のほうには「特に」ということばを二字入れてありますのは、そのような意味でございまして、決して観光局の職員が、パトカーが東京都内を回って歩くように、こういった検査を旅館にして歩くというふうなことでは毛頭ございませんので、その設備を、われわれのほうから見たら改悪——改悪されたような疑いのあるときと、このように私どもは了承いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/47
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048・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いまの「特に必要がある」ということを例示されて、よく了解をいたしました。
それから、この検査のできる場合に、これに関する書類を検査することができるということをうたってあるんですが、御承知のとおり、この法律によりまして、登録旅館というものは、事業年度が終了いたしますると、六十日以内に必要書類を届け出をしておるわけでございますから、そういう施行規則の第八条に経営状況に関する書類を届け出させるという義務を課しているわけですから、そういう届け出をして、あなたのほうでごらんになっている書類を、立ち入り検査の対象とする必要はないんじゃなかろうかと私は思いますが、そこで念のため伺うんだが、「これに関する書類」ということをうたってあるのは、この検査する対象としてどんな書類をいうか、ひとつ例示して御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/48
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049・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 第十六条の二項に「これに関する」とございます「これ」は、施設をさすわけでございまして、いわば青写真——どんなホテルでも旅館でも建築なさいます場合に青写真を専門家が引いてやりますが、あの青写真のようなものをさすわけでございまして、私どもの手元へはその青写真が届けられて、そして専門の建築屋が審査をして登録するかどうかということをきめておる次第でございますけれども、その書類と違ったように改変されるようなことも考えられるわけでございまして、あくまでも、「これに関する」と申しますのは、施設に関する書類であって、それは青写真のようなものをさすんだ、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/49
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050・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いまの御説明で「これに関する書類」ということが明確になりましたことは、けっこうなことだと思います。
その次に、検査をすることができるというときに、「その他の物件」ということが書いてあるんですが、非常に広い範囲のようなことが書いてあるんですが、施設に関する書類、検査する「その他の物件」というのは、何を意味しておりますか、この点もひとつ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/50
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051・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) これは、大体考えておりますのは標識でございます。たとえば、こちらのほうに避難ばしごがあるとか、非常階段があるとか、共同浴場とか、共同トイレだとか、食堂だとか、そういった標示が、登録ホテルであり、登録旅館である以上は、日本名だけではなくして、たとえば英文名なら英文名もあわせて掲示をしていただきたい、これが一つの私どもの考え方でございまして、その物件と申しますのは、ただいま申し上げましたような標示のようなものを考えておる次第でございます。一例として申し上げますと、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/51
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052・木暮武太夫
○木暮武太夫君 それで「その他の物件」ということが明瞭になりましたから、その質問は終わります。
それから、今度は改正法に、昇降機すなわちエレベーターの設置基準のことが書いてあるのですが、これは登録旅館業者といたしますると、エレベーターをつけるなどということは非常な出費の要する問題でありまするので、これはよほどよく検討していただかなければならぬ問題だと思うのでございます。で、昇降機の設置基準については、よく温泉場などでは、伊豆の長岡のような傾斜地の階段状に階ができている場合には、どうも昇降機のつけようもない場合があるのでございますが、こういう場合には本条文の適用はないのだと解してよろしいでしょうか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/52
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053・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) お説のとおりでございまして、ここに申しております改築という意味を御説明さしていただきますならば、実は昭和二十八年の十一月に国家消防本部のほうから建設省の住宅局に照会を出しまして、そして住宅局のほうから改築とは何ぞやということについての回答がなされております。これが今日では改築という問題についての基本的なものになっておるわけでございます。ちょっと読ましていただきますならば、「改築とは、まず第一に、建物の全部もしくは一部を除却し、またはこれらの部分が災害等によって滅失した後、引き続きこれと用途、規模、構造の著しく異ならない建物を建てることをいう、従前のものと著しく異なるときは新築または増築となる。」、いういう考え方でございます。
「第二は、内部改造や模様替は入らない。」、したがって、階段をちょっとつけ直すとか、部屋の模様がえをするとか、ふろ場の工事をちょっとするとかいうようなことは、ここに言う改築には入っておりません。
それから「第三に、事務室、倉庫等客の用に供しないものの増築は支障ない。」、もちろん、これは旅館、ホテルでございますから、その事務室や倉庫等のお客さんの用に供しないようなところの増築等のことはこの際は触れてない、こういう意味でございまして、いままですでに登録をとっておられます旅館等につきましては、将来ここに言う大きな増築または改築をされるまで、それが五年であろうと十年であろうと、私どものほうは依然として登録旅館としてお認めする、こういう解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/53
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054・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いま増築、改築の話があったのですが、附則の4に「これらの規定は、当該建物について増築又は改築(客の利用に供する部分に係るものに限る。)の工事が行なわれるまでの間は、適用しない。」と、こういうことになっておるが、その御説明ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/54
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055・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) ただいま先生の御指摘の附則の4項が、これが昇降機、つまりエレベーターのことを言っている特例の条文でございます。エレベーターはこの4項そのものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/55
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056・木暮武太夫
○木暮武太夫君 そこで、いまの増築とか改築とかいうものがまことにあいまいなものになるのじゃないか。何か一つ部屋をつくったのも、これも増築だと、そこで、いままではエレベーターをつけなくてもよかったものを、たまたま一部屋を増築したからこれはエレベーターをつけなくちゃならないのだというようなしゃくし定木なようなことの解釈をされると、せっかくのあなた方の趣旨が通らないということになるわけで、たまたま一つの部屋をつくったからといっても、いままでエレベーターをつくることが不可能であったところにエレベーターを新たにつくらせるなんということは、不可能をしいるようなものに思われまするが、ここに書いてある改造とか改築とかあるいは増築とかいうのは、このエレベーターを設置することに関してはどういうふうに解釈してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/56
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057・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 先ほども私申し上げましたように、エレベーターにつきましては、将来部屋の一室や二室の増築というふうな場合には、これに当てはまらないと申しますか、触れないという考え方でございまして、その点につきましては、この法律を立案の過程におきまして私ども十分に論議をいたしてまいりました問題でございまして、運用につきましては、先ほど来申し上げておりまするような精神で運用をいたしてまいりたいと考えておりますから、御迷惑をかけるようなことはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/57
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058・木暮武太夫
○木暮武太夫君 それから、エレベーターのことでもう一つ、二つ確認しておきたいのですが、旅館によりますと、玄関が途中にあって、それから下へ二階があり、その玄関から上へ二階があるというようなものがある場合が、ずいぶん温泉旅館などにはたくさんあるのでございますが、そういうような場合には、この法の運用を何とか考えるというような御意思があるのかどうか、これを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/58
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059・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) そのような全国至るところに旅館があらゆる土地の状況のもとに建築されておるわけでございますから、一がいに平面に建っている場合だけを想定して私が申し上げますこともあるいは妥当じゃないかとも思いまするので、そういった御指摘のような場合には、いわゆるケース・バイ・ケースでこの法の運用——この立案に至りました経緯等を十分に私ども承知いたしておりますので、非常識な運用はいたさないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/59
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060・木暮武太夫
○木暮武太夫君 それから何ですね、旅館によりますと、一番下の階が大きなふろをつくっておくとか、あるいはダンスホールだとか、バーだとか、ピンポンだとかいうものに一番下を使う、あるいは一番上はやはり大きなふろがあるだけであるとか、ダンスホールだとか、ピンポンだとか、バーだとかいうようなものに使っていて、そうして客の宿泊に使用をしない建物が相当にあるわけですね。いわゆる特殊の者が、いまのダンスへ行くとか、あるいはピンポンをやるとか、バーへ行くとかいうような者だけが行くので、一般の客が必ずしも全部一番下であるとか一番上のほうに行かないような場合があるわけなんです。そうして、そういうような建物の場合においては、一部のお客がそれを利用するだけであって、宿泊客のすべてが利用をするのでない場合に、これはエレベーターをつけさせるというようなことは、この条件に反するようにも思いますが、どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/60
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061・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) あらゆるケースが、先生の御指摘のように、いろいろ出てくるかと思いますけれども、もう要するに、この法の運用にあたりましては、非常識な運用を絶対にわれわれとしてはいたすつもりはございません。あくまでもこの法律の目的に従っての運用をするわけでございまして、特にエレベーターにつきましては、附則第四項を設けましたこの気持ちと申しますか、この第四項をここに書きました気持ち、これを運用の根底にいたしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/61
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062・木暮武太夫
○木暮武太夫君 いまで大体わかったのですが、私の言ったような場合は、ケース・バイ・ケースでひとつ考慮をする、こういうお話のようですから、了承いたしておきますが、そこで一般論として、このエレベーターをホテルや旅館でつけるというようなことは、私は自由にまかしておいていいのじゃないか。エレベーターをつけなければ不便だからお客が泊まらないようなところは一生懸命でつくるでしょうし、エレベーターつけなくたってこの程度ならよかろうというようなところはつけない場合もあるし、これはどうも階数が多くてエレベーターをつけなければお客が上に上がるのに困難だというようなところへはお客が行かなくなるから、自然営業上の心理からいってエレベーターをつけるようになるわけだから、法律でこういうものがエレベーターをつけなければならぬというようなことをきめることは少し行き過ぎじゃないかという気がするのですね。それと、こういうことは言うていいかどうか、今度の改正法でエレベーターができるというようなことを、私どもが知らぬうちにエレベーターを取りつける会社の人が知っていて、そしてあなたのところはエレベーター入れますかとか何とかいうことを——これはまああなた方が漏らしたという意味ではない、商魂たくましいエレベーターの製造業者がやったことだと思いますけれども、そういううわさが非常に流れているのですね。何もエレベーター業者のためにエレベーターを観光局で考えついたわけでないことは、これは事実でございましょうけれども、そういうような話さえあるくらいのものですから、エレベーターをこういう法律に書くということはどうかと思って、むしろ業者の任意にまかしておくべき問題じゃないかというふうにさえ考えられるのですから、いま私が質問したような場合については、適当な運用において寛大な処置をとるということが法の精神に合うものだと、こういうふうに思ってお願いをしておく次第でございます。
それから、これは法案に直接関係ないのですけれども、洋式のホテルと登録日本旅館とがいわゆる登録する場所において不公平であるということは、従来観光局へ始終お願いをしておることによって御承知だと思うわけでございますが、たとえばホテルならば、ロビーとか大きな部屋とかいうようなものは、みんないわゆる登録されて恩恵を受けておる。あるいは、そこで働く勤労者の従業員住宅というものまで恩恵を受けておる。ところが、同じ登録を受けておる日本旅館のほうは、広い部屋であるとか、あるいは働く人の宿舎であるとか、住まいであるとかいうようなものは、どうも登録の恩恵を受けておらぬというようなことが、非常に不公平のように思うのですね。近ごろホテルなどへ行ってみますと、どこの女か知らぬけれども、何かパーティーなんかあるというと、非常にけばけばしい女が何百人もああいうところへ出ていて、宿泊に関する者でもないのですね。いまの新しくできたホテルでも何でも、ああいうパーティーや何かに広間を使っているのは、もう料理屋と同じことで、外人の宿泊によって恩恵を受ける必要はないわけですね。そういうのがやっぱり登録の対象になって恩恵を受けておるのに、日本旅館の登録されたものは恩恵を受ける部分がそれだけ少ないというようなことは、これは不公平だというふうにわれわれ日本旅館を経営している者から見ると思われるわけなんだが、これにはいろいろ理屈もあるでしょうけれども、いま申し上げたようなホテルのパーティーの場合など、ああいう女が出て、その間にあっせんをしておるというような事実を見ると、旅館の広間などで外国人が来た場合にその土地の踊りを見せるとか何とかいうようなことが、ホテルと比較して格別の段階をつける必要がないのじゃないかというふうな気がいたしますので、この点をひとつお伺いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/62
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063・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 御指摘のような事実は、確かにあろうかと思います。登録部分と申しますのは、要するに税の恩典を受ける対象の部分という意味でございますから、運輸省としましては、結局その方面の役所と従来も機会あるごとにこの問題は折衝いたしておりましたけれども、今後とも十分に折衝を続けていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/63
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064・木暮武太夫
○木暮武太夫君 それから、別表の第三の三の二に、いままでの法律は基準客室に専用の洗面設備があるというだけでよかったわけですね。いままでの登録の基準はそうでしょう。それは滝浦さんわかっているね。いままでは「専用の洗面設備がある」云々ということばが別表の第三の三の二に書いてある。今度改める案では、冷水及び温水を出すことのできるものがなくちゃいかぬと、こういうふうにむずかしくなっておるわけなんですがね。これは実際問題として、日本旅館の木造の建物などで各室へ温水を引くということは技術上すこぶる困難がある。コンクリートの建物と違いまして、それはもう建物の保守、保存の上から見て、各室の洗面所に温水を通すなんということはすこぶる技術上困難があるのですね。それで、これができるとしても、非常に一時に——これは猶予期間が三年ありますけれども、金がかかることになるのですが、いまは御承知のとおり魔法びんという便利なものがあるのですから、業者は熱い湯をみんな魔法びんに入れてそこへ置けば——冷水のほうは、これは水道のほうで始終出ておりますが、ひげそりや顔を洗う場合の温水は魔法びんで間に合うのじゃないかと言う方が非常に多いのですね。それから地方などで、それじゃ温水を出すのにプロパンガスの温水を出したらよかろうと言うが、客がその使用の方法を間違ったような場合には火災の原因になることもある。こういうのは、いままで専用の洗面設備があるだけでよかったんですから、これを改めて、改正で「冷水及び温水を出す」というようにお書きにならずに、いまの温水や冷水を使うのは、魔法びんがあるのだから、これはいままでどおりにして、改正しなくてもいいんじゃないかというふうな、魔法びんのことを当局は知らないんじゃないかというような非難を受けるから、これはまあひとつ聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/64
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065・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) この法律の別表第一と第三を見ますと、同じようなことを表現するのに表現方法がずいぶん違って書いてある場合があるわけでございます。たとえば別表第一の五と六をごらんくださいますと、六のほうには「冷水及び温水」というふうに現行法がなっているのです。ところが、五のほうには「冷温流水設備」というようなことになっておりまして、また別表三のほうは、先ほど御指摘のような書き方になっているというふうなことで、この際はわかりやすい表現に統一しようじゃないかというのがその「冷水及び温水」ということばになった、統一した次第でございまして、もうすでに別表第一の六にこういうことばが使われておりますので、それを使った次第でございます。
それから、魔法びんのこと、まことにごもっともとは存じますけれども、魔法びんも世の中に存在いたしますけれども、同様に瞬間湯わかし器のような便利なものも存在いたしておりますので、そういったものもあわせて御利用いただきますならば、まことにけっこうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/65
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066・木暮武太夫
○木暮武太夫君 法案についての質問は、以上で大体終わりましたが、最後に特にお伺いしておきたいと思います。
それは、最近観光局が、登録された四百五十五軒ですか、この登録された日本旅館だけを一つ団体につくらして、そしてあなたのほうでこれを牛耳っていこうというような意図があるということを——あるかどうか知らないですよ、まことしやかに言うている人があるわけです。しかし、その旅館業者としますと、全国にある六万三千七百何軒という旅館は、全国旅館組合をまずつくっているわけですね。その中の約六千三百の少し程度の高いものは日本観光旅館連盟というものをつくっているわけです、御存じのとおり。それから、その下のさらに千五十軒というものは、これは外客接遇のためにひとつ働こうという意欲のたくましいものだけでもって、千五十軒でもって国際観光旅館というものができて、その国際観光旅館連盟というものがその千何名を指導いたしまして、その千何名の中で四百五十五軒というものがこの国際観光ホテル整備法に当てはまるところの登録旅館というものになっているわけですね。そういうようないろいろの段階がたくさんあるので、旅館業界とする煩瑣にたえないわけなんですね。その上にさらに、もし、いまも私が申し上げたように、登録旅館だけを団結させて、運輸省がこれを握っているほうがおもしろいじゃないかというような考え方でやられてしまうと、それは屋上屋を重ねることになる。まことに旅館業者としては迷惑千万のことで、おそらく多くの旅館がそういう意図に対しては賛成しないと思うのですよ。しかも、いまの千五十軒の国際観光旅館連盟というものは、自分たちの仲間から四百五十五軒の登録旅館を選び出しているわけですが、先ほど御説明のように、年に二回でも三回でも、登録基準に合ったものを、これを登録を申請をして、登録旅館として許可を受けるというようなことをすすめてやっている、これは母体なんですね。その母体であるのに、その母体からできた登録旅館だけを一つの団体につくるというようなことは、私は邪道であると思うのですね。国際観光旅館連盟という社団法人があるのだから、これと観光局が折衝をしていって、それからその中の一部分が登録旅館というものの固体をつくるということは邪道であるというふうに考えるのだが、まあそういううわさが流れておるところを見ると、火のないところには煙が立たないわけだから、観光局長さんはいろいろの意欲があるようだから、お考えがあるかどうか、ちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/66
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067・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) ただいまのところ、別にそのようなことは考えておりません。ただ、社団法人といいますのは、やはり会員の皆さま方が設立されるものでございますから、これを運輸省が設立しないとかどうとかいうものでもございませんので、そういう動きのあることを実は私は承知していない次第でございまして、いま先生から逆に教わったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/67
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068・木暮武太夫
○木暮武太夫君 それじゃ伺いますが、現にそういうようなことをこの間聞いたのですが、それじゃはっきり申し上げますが、この間伊香保の——これは私の郷里だが、伊香保の旅館業の組合の会長が東京の陸運局へ行きましたら、今度運輸省では登録旅館だけの連合会をつくって、そうして運輸省ではそれを握りたいという気持ちがあるから、お前らなんかもよく話をして、そうしてそういうふうにするようにというようなことを言われたというのが、この間私のところに来ましたのですが、もし、あなたがおっしゃるようなそういう意思がないならば、東京陸運局長にすぐお電話でもかけて、そういう誤解を招くようなことを言ってはいかぬからと言って、ひとつ差しとめていただきたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/68
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069・田邉國男
○政府委員(田邊國男君) ただいまの木暮先生のお話でございますが、私もさような事実はないと思いますが、もしさようなことがあれば、これは観光局の局外の局長の言としは厳に慎まなければならぬと思います。さっそく調べまして、さようなことのないように取り計らいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/69
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070・小酒井義男
○小酒井義男君 ただいま専門的な立場で委曲を尽くした御質問がありましたので、たいへん私どもも勉強になったわけですが、その質問を通じて、もう少しお尋ねをしたい点が二点ほどあります。
一つは、六条の問題について、木暮さんから質問がありましたのを承っておったのですが、その「宿泊料金その他省令の定める業務に関する料金」というものの局長の答弁で少し明確じゃなかったのですが、私しろうとだからわからぬのでしょうが、「その他省令の定める業務に関する料金」というのは、どういうものがあるかということを一点お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/70
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071・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) これは、本法を受けまして、省令が昭和二十五年にできておりますが、その中にただいま御指摘のような料金のことが書いてあるわけです。この省令にあるわけです。これは、「一宿泊料金」、それから「朝食又は夕食の料金を含む宿泊料金を定めた場合における朝食又は夕食を利用しないときの料金」、第三番目が「サービス料」と、こういうことになっておる次第でございます。何と申しますか、いわゆる一泊二食というものが本則になっておって、旅館の場合は、それで夕食を食べなかったような場合、そういった場合には、はっきりそれだけの料金をきちんと引いていただくということが、やはり旅館をして近代的合理的な経営たらしめるゆえんだと考えております。わずか百円かそこらしか引かないので、日本人というのは一般に領収書をよく見ない性質を持っておりますけれども、外人となりますと、やはり事こまかに領収書を見ますので、そういったことをきちんとしていただきたい、それが国際観光振興上必要なことじゃなかろうかと、こういう意味合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/71
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072・小酒井義男
○小酒井義男君 それから、いろいろ設備に金をかけますと、これが料金にはね返ってくるようなことにはならぬでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/72
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073・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) お説のとおり、基準をよくすればするほど、やはり金がかかるわけでございますので、一面では融資の範囲を拡大し、また額も一件当たり多くするという努力をいたしますと同時に、他面では税の減免を行なっていると、こういうことでございまして、当初申し上げましたように、税の恩典が一面でございますので、いろいろのこういった義務、いわば義務のようなものも守っていただきたいというのが、私どもの偽らざる気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/73
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074・小酒井義男
○小酒井義男君 もう一点ですが、これは条文とは関係ないのですけれども、いろいろお聞きしていると、運用面でやっていくとか、あるいは常識的な線でやっていくというお答えがあるのですけれども、観光局長が、あるいはその係の人が相当かわっていくことは予想しなければならぬのですが、常識、運用面という解釈は非常にあいまいな心配があるのじゃないか、そういう点は何かで明確にしておく必要があるのじゃないかと思うのですが、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/74
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075・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 特に観光事業のようないわゆるサービス業につきましては、全部一から十まで法律の対象にして規制するということが非常に困難である場合があるのじゃなかろうかというふうに考えております。結局、運用いたしますのは人でございますので、この法律の目的というものを十分にかみしめて、目的に違反しないように、円満な常識をもってやっていくというのが、特にサービスを主体とする観光事業に対する私どもの態度であり、根本的な気持ちであるべきであるというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/75
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076・小酒井義男
○小酒井義男君 少しどうも納得のいきかねる点もあるのですけれども、具体的にそれじゃどういう基準をといっても、私いま突然まとまった案というものも意見もないわけですから、きょうはこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/76
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077・相澤重明
○相澤重明君 このお尋ねする旅行あっせん業ですが、何といっても人の問題がやはり重要だと私は思うのですが、人をつくるには、どういうふうにして政府は、この旅行あっせん業の人たちの正しい職業といいますか、信頼をされる人というものをおつくりになるか、それをまず最初に聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/77
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078・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 私ども運輸省としましては、あっせん業に従事しておられる個々の従業員と直接折衝を持つということではございませんで、結局、そういったあっせん業者の集まりと申しますか、協会と申しますか、そういったところ等を通じて行政指導をして業界のレベル・アップということを考えていくというのが普通のあり方だと考えている次第でございます。この点につきましては、国際的な仕事に携わる一般旅行あっせん業におきましても、ようやく昨年社団法人組織を持ったようなわけでございまして、法人旅行あっせん業のほうは、まだ会員の三分の一にも満たない者がようやく任意団体をつくっているという状況でございますので、運輸省としては、この面を今後十分に開拓していかなければいけないというふうに前向きの考えでただいま進んでいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/78
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079・相澤重明
○相澤重明君 いまの観光局長の答弁を聞いていると、業界の人がきめたことを、運輸省がいわゆる行政指導で前向きな方向をとる、こう言われているんですけれども、結論的には業界のきめたことがそのまま行なわれるのじゃないかというように受け取れるのですが、何らかの行政上あるいは法律としてこれを扱かおうということになれば、一つの基準というものが示されなければならぬ。そういうものがないと、業界がきめたものをああそうですが、それではそれを認めましょうということになる。つまり、業界の言われっぱなし、こういうことになりはしないかというおそれを持ったわけなんですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/79
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080・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 私の表現方法があるいは十分でなかったのかもしれませんけれども、旅行あっせん業——先生旅行あっせん業についておっしゃいましたから、旅行あっせん業について申し上げますと、結局、旅行あっせん業法の中に登録制度というものがしかれている、そうしてその登録の一定の要件というものが法律の中でございますので、その要件を満たしたものでなければ登録はしないというふうなことで、しかるべく資力、信用ということを中心にあっせん業界の育成というものを考えている。そうして、従業員の方々はその登録になったあっせん業の中においてそれぞれ所を得ていただくというふうなことになるのではないかというふうに考えている次第でございまして、たとえば、従来、あっせん業の場合に限定しますと非常に範囲が狭くなるのでございますけれども、他のホテルの従業員の場合、それからガイドの場合、それから国際観光旅館連盟の従業員の場合には、研修制度というものが業界を中心に設けられておりまして、そうして中には、運輸省のほうからの他の機関を通じての、たとえばいわゆるモーターボート競走法等からの余剰金を観光事業に補助し得るという規定がございますので、そういった補助金をそのような研修につぎ込むというふうなことによりまして、全体の問題として業界の発展を考えていくという方向をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/80
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081・相澤重明
○相澤重明君 私は、いままでの御説明を聞いておると、自由営業である問題からすれば、登録さえ必要がないのじゃないかというふうな気がするわけです。ところが、政府が法律をつくって登録をさせるというのは、資力とか、信用とか、とにかくいままで政府が言われているような方向を強化をしていく、心配のないようにしていくというのが目的だと私は思うのです。そうすると、先日も参考人が説明されたように、むしろ将来の方向としては、許可制あるいは国家試験というようなものまで実はある程度持たしていくということがほんとうに信頼のあるものにしていくのではないか。いまあなたはガイドの問題についても触れられていましたが、単なる民間のいわゆるモーターボートの競走会から出る剰余金で研修会をやるなんといったところで、これはほんとうに善意を信頼をするだけなんですよ。もしこれが法律として、少なくとも前向きの姿勢で、いままで実態がつかめなかったものをつかんで、そうして多くの旅行者を信頼をさせるということになれば、むしろ私は、政府自身がそういう金をやはりつぎ込んでいく、人をつくっていくということが本来の趣旨ではなかろうか、こう思うのでありますが、いまの御説明を聞いておると、どうもこれは自由営業であるし、業界の皆さんの善意を信頼する、こういうことになるように思うので、それならばこの法律を提案する必要がないのじゃないか、こういうふうに改正案に対する疑問を私は持つわけだ。ですから、むしろ、なるほどいまの法人組織としての経験年数というものも少ない現状からいけば、さらにこれをできるだけ努力をしていこうという意欲は考えられるけれども、将来の方向として、それでは参考人がお話しになったように、将来は許可制にまでいくのか、そういう意欲を持っておるかどうか、こういうことを少なくともお考えになって、このあっせん業者というものの実態を十分把握して、そうして旅行者のサービスができるように、資力、信用をつけていく、こういうお考えがあるのかどうか、この点やはりはっきりしてもらわぬと、何か改正案を提案をしている趣旨がぼけてしまうのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/81
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082・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 昨年当委員会におきまして観光基本法の御質疑がございました際にも、やはりこの問題が出たわけでございますが、許可とか免許ということについて、実はその後ずっと検討を続けました。結局、免許とか許可とかいうものは、公共的な性格を持っておるということが第一。それから第二は、いわゆる免許、許可によって需給調整の役目を果たすということが一つのねらいだというふうに考えております。そうしますと、第一の点については、旅行あっせん業については、もちろんこれは何も言うことはないわけでございますが、第二の需給調整という問題と現在の旅行あっせん業との関連をいろいろ検討をしてみたわけでございますが、すべての旅行そのものが旅行あっせん業者を通さなければ行ない得ないというふうなたてまえに根本的になっておれば、需要というものがつかみ得るわけでございますけれども、必ずしも旅行あっせん業者のお世話にならなくても旅行は十分になし得るという現状でございます。すると、この需要測定ということが理論的には不可能ということになってくるわけでございまして、この点は、たとえばタクシー需給調整とか、あるいはおふろ屋の問題とかいうふうなものなどとは、ちょっと性格がこの需給調整という面からのみながめますと異なっているのじゃないだろうかというふうな気がいたしております。それからもう一つは、この一人でも、一対一の場合もあり得るわけなんです。一人のセールスマンで一人のお客さんという場合もあれば、一人で何百人、時と場合によれば千単位のお客さんのごあっせんをするということもあるわけでございまして、一対一になるのか、一対十になるのか、一対千になるのかということがこれまたはっきりしないというふうなことでございまして、どうもその点についてもう一つまだ、いろいろ検討をいたしたのでございますけれでも、そこまでこの今回の法律改正では、その点の改正にまで踏み切るというわけにはいかなかった次第でございまして、結局、そういたしますと、資力信用という問題についての厳選主義を貫くということと、業界に対する行政指導というものをいままでよりももっともっと前進的、前向きにやっていくというふうなことが次の、次善の問題として与えられるのではなかろうか、かように考える次第でございまして、その面から、今度は特に営業保証金の増額とかあるいは不正行為の禁止というふうなことで規制を強化するという方向を打ち出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/82
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083・相澤重明
○相澤重明君 やっぱり、これは議論になるかもしれませんが、私はいまの旅行あっせん業の問題を考えると何といっても先ほど申し上げた根本は人で、人が悪い者がこの業につけば、やはり何といっても一番そのために、俗に言う詐欺にひっかかる、こういうような問題が起きるわけです。悪徳業者といいますね、それが、この前の御説明にもありましたように、六十五件も七十件もの件数があげられておるわけです。ところが、この自由営業である限り、規制がたいして、ただ登録というだけでは、私はなかなかこれはできないと思う。ここのところ、非常にむずかしい点があるのじゃないかと思う。特に私はいまの場合、日本の国内需要の場合を考えると、いまいみじくも局長が言った需要供給の問題だと思う。それで、これはいずれ私ども同僚の岡委員からも質問をする予定になっておるのでありますが、国内旅行をする場合に、いまお話のありました、個人のする場合もあるし、団体の場合もある。わけても団体の輸送というものは、こりゃきわめて交通機関には重大な影響を持つわけだ。私ども運輸委員会としても、いつも交通問題については、陸海空の問題をとらえて真剣に討議をしておるわけでありますが、その中でも、たとえば例をとれば、学童の問題——小学生、中学生、高等学校等のこの学童の輸送問題というものは、たいへんな問題だと思う。こういう点を考えてくると、国がこういういわゆる少なくとも教育上の問題あるいは産業上の問題に力を入れるということになれば、それだけにやはり国家の立場でめんどうを見ていかなければならぬ、しかし、たまたまそういう問題を、これは国の機関あるいは公共の機関で話し合ってできるということならばいいのだが、そうでない場合においては、これはやはり一つのあっせん業に依頼をすることになる。そうしますというと、そのあっせん業の人たちが、たとえは九州——これは九州か四国かわかりませんけれども、ある目的地に団体をあっせんしたときに、向こうの旅館に行ったときには、四百五十円で二食であるとか、六百円なら三食であるとかいう話をする、しかし、行ってみるというと違ってしまったというような問題は現にたくさん起きておると思う。これらについては、登録の条件としていろいろいっておるが、ある程度規制のできない立場では私は非常にむずかしいと思うのです。そういう点で、私はやはりこのあっせん業に従事する人には、この法律の改正案の中にも、いわゆる運送機関であるとか、宿泊施設等、旅行に関する施設の利用について、対価を得て、あっせんし、と、こうなっている。正しい評価をした、それだけの、俗にいえば手数料といいますか、あっせん料といいますか、そういうものは私はなければならぬと思う。そういう基準については、別にこれはないのでしょう。こういうあっせん料というものについて、この前の公述人の説明にもありましたように、日本人の従来からの慣習からいくと、そういう仕事をしてやる、あっせんをしてやるというのが、一つのサービスだ、ただでいいのだ、こういうようなことまで考えておる者がかなりあるのではないか、そういうところに、質の低下というものがあらわれてくるということも考えられるのではないかと心配をするわけなんです。ですから、せっかく御提案をされておるこの趣旨からいけば、利用者の方々にも対価を出していただくということになるわけでありますから、そういう面からいけば、私はやはり、資力、信用あるという御説明のとおりになっていくと思うのです。それがない限り、こういうことが実際法律で出されても、石川五右衛門のうたではないけれども、浜の真砂は尽きないんじゃないか、こういう心配をするわけです。私、そういうふうに考えられるので、この旅行あっせん業者に対する対価の一体基準というものは、どういうふうに考えているか、そういう中で初めて全体の需給計画というものに対しても、正しい評価が私は出てくるのではないかというふうに思うのですが、第一に、このあっせん業者に対する、これらのサービス、あるいはあっせんをする立場に対する対価というものは、どういうふうにお考えになっているか、まず御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/83
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084・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 日本では、あっせん、あるいはまた、このあっせんに伴ってもらう手数料というものも、いかにも何だかブローカーのような気持ちでながめる向きもあるかもしれませんけれども、私どもは、そのようなものではない、あるいはまた、その手数料が、リベートというふうなことばで呼ばれますと、いかにも他の意味を持ってくるというようなふうにも考えられる面もあるかもしれませんけれども、そうではないのだと、あっせん業というのは登録業であって、りっぱなものなんだというたてまえをとっておりますので、ただいまおっしゃいました手数料につきましては、これは大臣への届け出事項にいたしておる次第でございまして、この率等につきましては、私どものほうも、大体業界のほうのいわば届け出が出てまいります前に、内面指導のようなことを行ないまして、多人数の場合には、三%から五%程度、ほんの少人数の場合には、それが四%から一〇%までというふうなことで、その程度の届け出の手数料になっておる次第でございまして、そしてなおかつ、いわゆる悪徳業者に対しましては、今度の法律改正で、登録を取り消すというふうな措置に出ていきたい、このように考えておる次第でございまして、あっせん業界は、円満健全に育ててはいきたし、悪徳業者に対しては、やはり登録を取り消すというふうな厳罰をもっても臨みたいというのが、私どもの気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/84
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085・相澤重明
○相澤重明君 その次に、国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案、まあそういうものについて、日本の旅館もそうですが、先ほど先輩の木暮委員からも、非常に深く御質問があったわけですが、私、そこで、このホテル、旅館等の問題について、政府がよくしてやろうと、特にオリンピックを前にして、できるだけ外国のお客さんにも喜んでもらおう、こういう考えを持たれたことは、たいへんけっこうなことだと私は思うのです。しかし、先ほども観光局長から御説明をいただきました、この資料でお話をいただきましたとおり、いろいろ日本開発銀行をはじめ金融機関の融資をされておるようでありますが、これは、これでは私はやはり実情には沿わない、借りたくとも実際にまだ資金が足りない、こういう点と、いま一つは、先ほどもお話のように利子が高い。外国から比べて非常に割り高であるというところが、私は悩みの種だと思う。一方においては、登録あるいは行政指導ということで、強いことを言いますね。ところが、他面は、個人の資力というものを非常に多く要求をしておることだと私は思う。こういう点からいうと、私は、やはり相矛盾をする、したがって、行政面で指導をできるようにし、あるいは罰までも含むということになるならば、これは一つのやはり日本の国策の面もあるわけですから、そういうところに対しては、できるだけの私は財政的な援助をするのが当然だと思う。ただとにかく、君たちがつくったものはわれわれが監督をし、悪いときには罰を与えるぞ、こういうだけでは、ほんとうの私は、あたたかい手を差し伸べたことにはならない。そこで、いまの融資率というものは、建築基準のどの程度までの融資という額を政府としてはお考えになっておるか。それから、先ほどのそれぞれの金融機関、それは確かに種別によっても違いますけれども、少なくともオリンピックを目ざした今日の事情でいくならば、かなり整備をされております。それでも相当無理をして金をつぎ込んでおるのではないか、こう思うので、利子の軽減ということをお考えになっておるのかどうか、こういう点は、やはりこの業界の諸君に、一面において、政府の行政に力を入れていくならば、私は、反面、そういう態度というものがあってしかるべきではないか、こう思うのですが、利子の軽減等の問題については、どうお考えになっておるか、これもひとつお答えを願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/85
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086・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 一番根本的な問題について、先生から御質疑をいただいたわけでございますが、融資の基準について、根本的に考えておりますのは、三分の一ずつ、財政投融資を三分の一、市中銀行三分の一、いわゆる協調融資、それから自己資金三分の一というのを、運輸省としては考えておる次第でございます。ただ一面、料金の問題がございますので、と申しますか、いわゆる低廉な料金で泊まり得るホテルをできるだけつくりたいというたてまえから、運輸省としては、この額の算定につきましては、一室について五百万円見当ということにいたしております。これはなぜそんなことを申し上げるかと申しますと、現在できておりますホテルは、大体どのくらいかかっておるかと申しますと、ヒルトン・ホテル、それからホテル・オークラというふうなのをはじめといたしまして、たくさん最近できておりますけれども、そのホテル全体の建設費を、部屋の数で簡単に割ってみたのです。そうしますと、一室当たり大体一千万、一番高いのでホテル・オークラの一室千二百万、これが大体の標準でございます。ところが、そういうことでございますから、結局、先ほども河野先生が御指摘になりましたように、料金というものが高くならざるを得ないのじゃないかということで、私どものほうは、そういう現実の状況は知っておりますけれども、五百万円として査定する、できるだけ安いホテルをつくってくださいということで五百万円に査定をして、そしてその三分の一を開発銀行のほうへわれわれは推薦いたします。五百万円以上に、よりデラックスなホテルをおつくりになりたい向きは、どうぞ自己資金を調達してやってくださいという態度、と申しますか、立場をいま運輸省としてはとっているわけなんでございます。
〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕
ところが、なかなか一室五百万円見当では実際にはつくってくださらない。どうしても、あのホテルがあの程度だから、おれのところはもうちょっとりっぱなものをつくりたいというわけで、同等か、少しそれを上回るというのが、ホテル業界の、実情のように私見受けるわけでございます。その結果、融資の比率は、現実にはどうなっておるかと申しますと、大体二割程度でございます。五十億の総建設費がかかったところで、大体十億程度という状況で、あとは協調融資なり、それから自己資金なりというのが現実の姿でございます。もっとも最高のものでは、山陰地方のある旅館でございますが、これは地方開発ワクから出ておりますけれども、三億五千万の総建設費に対しまして、大体一億二千万円程度出た例がございますから、大体三分の一近く出た例もございます。ですから、まあ大体三分の一程度までいっておるものもあれば、非常にデラックスなものについては、二割程度のものもあるというのが、現実の融資の姿でございます。
それから利子の問題は、これはもう毎回、諸外国の例等を関係方面に申し上げまして、もっともっとホテルというものについて考えていただかなければ、輸出産業なんじゃないかということで、お願いはもう機会あるたびごとに私としてはいたしておる次第でございまして、ことしあたりは、開発銀行の一般ワクで六十億、地方開発ワクで大体数億のものということで、六十数億のものが開銀から融資されるというふうに私ども期待いたしておる次第でございまして、だんだん——だんだんじゃない、だいぶん、私は、ここ数年来よくなってきているというふうに考え、かつ、喜んでおる次第でございます。将来とも努力を続けていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/86
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087・相澤重明
○相澤重明君 それから、いまの御説明で大体わかりましたけれども、政府が考えているホテル、旅館の主要目的、国際観光ホテルというのは外人をお泊めする、国内旅館としては、修学旅行であるとか、産業旅行であるとか、個人の旅行であるとか、そういうことで、いろいろお考えになっていると思う。先ほど河野委員からもお話がございましたが、料金の問題がやはりかなり重要な問題になってくると思う。ですから、デラックスなホテルができて、確かにあれはりっぱだなと思ったところで、全然泊まれないという料金であったら、これはやはり国内としてはあまり役に立たぬと思う。それは実質的に外人専用である、外国のお客さま専門である、あるいは池田総理専用である、こういうことになってしまうと、庶民階級、一般の者には縁遠いものになる。ですから、一般の者が行けるところと、そうでないものというものが区別をされるのではないかと私は思うのですが、その料金というものは、そういうものによっても、やはり旅行の目的が変わってくるわけです、料金のあり方によって。どのくらいの予算で旅行をしようかということは、これはだれでも考えているわけです。いま旅行預金というものまでいわれている時代でありますから、勤労者が旅行する場合には、どうしても一つの計画性を持たなければできないわけです、金がたくさんあるものと違って。そういうことからいって、この国際観光ホテルを整備されるのは、まあ外人接遇の充実をはかる、それに、しかし、外人の方だけの問題でいま考える必要はなかろう、やはり日本人もあわせて考える必要があろうということが、先ほどもお話しになったわけですが、料金というものをおきめになるその基準というものを考えておく必要があるのではないか。たとえば、先ほどのお話のように、もうホテル・オークラとかなんとかというデラックスなものについては、これは四千円か五千円かわかりません。私どもはわかりませんが、そういうところへ一般の人が行けるわけでもなし、外国から来た人も、アメリカなりイギリスなりフランスなりのホテルと比較してみて、日本のホテルは少し高いじゃないか、こう言われるようなことが起きると、せっかくお呼びして、あるいは観光においでになった人にも、よい気持ちを与えないわけです。ですから、やはり一応料金をきめる基準というものは、どの程度の資金がかかったものにはどのくらい、あるいは、こういう旅行の目的でおいでになるものにはどのくらい、たとえば一つの、政府が奨励をしているユースホステルなんてものもありますが、こういうのは、ほんとうに低料金で進めておると私は思うのです。そういうようなことをお考えになっているのかどうか。料金というものは、これはもう旅館の経営者に全部まかせっ切りだから、自由におきめになってけっこうです、こういうことなのか。この点は、やはり大事なことだと思いますので、ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/87
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088・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 原則としまして、旅館に対する料金というものは、自由であったというのがいままでの姿で——明治この方と申しますか、姿であったと思います。それが二年前の法律改正で、せめて登録されているホテルと旅館だけは、料金の届け出をしてもらおうというので、〇・七%のホテル、旅館を対象に、届け出制をしいたわけでございます。
それからもう一つ御指摘になりましたユースホステルは、この資料の三一ページに、「国の補助金によるユースホステルの配置図」というのが出ておりますが、三十三年度から始まりまして、本年度でちょうど六年になるわけでございますが、この六年間に、ユースホステルセンター、これは国立でございまして、観光局の直営のユースホステルでございますが、これを入れまして、全国で五十カ所になりました。そうしてベッドの数が三千六百七十八ということが、三十八年度の姿でございまして、来年度は、この三一ページの表にもございますように、十カ所、五百九十ベッドをふやそうという計画を立てておる次第でございます。この国の補助金によるユースホステルは、国の補助金を出すわけでございますが、この率は、大体三分の一から四分の一、結局相手が富裕な県なり市であるかどうかによって、率も少し異なっております。あるいは北海道のように建設費がかさむところにおきましては、幾ぶん率をよくするというふうなことでございますが、大体三分の一、四分の一というふうに御了承いただきたいのでございますが、そのような割合で補助金を地方公共団体に差し上げている。差し上げておりますので、料金につきましては、運輸省の告示で、これは規制と申しますか、告示で出しております。で、これは朝食が百円、宿泊料が二百円、夕食が百五十円ということで、一泊二食四百五十円で泊まれる。そのかわり、もちろん女中さんもボーイもおりませんで、全部セルフサービスでございます。これはまあ当然のことでございますが、そういう方法をとっております。それから国民宿舎、例の厚生年金の還元によってつくりました国民宿舎、これは厚生省関係になるのでございますが、私の記憶にしてあやまちがなければ、大体七百円見当で一泊二食じゃないかと思います。で、これもやはり全国的に統制がとられているように伺っておりまして、つまり、国が税金の減免をするようなところについては、料金を届け出てもらう、それから補助金を差し上げるところについては、告示か何かで全国的に一定の額をきめていくという方法、つまり上と下と申しますか、右と左と申しますか、そういったところについては、規制をとっておりますが、残るその他のホテル、旅館につきましては、料金の規制をいたしておりません。ただいまのところ別に法律の面での規制は行なわれていないというのが実情でございまして、もしかりに暴利をむさぼりました場合には、例の暴利に対する取り締まりの法律か何かで処罰の対象になるんじゃないかというふうに考えております。運輸省といたしましては、一応行政の対象にいたしておりますのは、日観連級以上の旅館でありまして、全国六万三千軒の、旅館業法の対象の旅館は、これは厚生省の所管ということになっておりますので、旅館というものは、大体いままでの例からいたしまして、自由営業といいますか、料金もそういう経緯をたどってきておる次第でございます。
〔理事谷口慶吉君退席、委員長着
席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/88
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089・相澤重明
○相澤重明君 私は、前段に申し上げたのは、国際観光ホテルをはじめとして、外国のお客さまが泊まるというようなところは、できるだけよい気持ちでお帰りをいただくための施設をしてほしい。そのためには、日本政府もできるだけの援助をしてやる必要があるのではないか。それは、たとえば先ほど申し上げたのは、融資の問題であり、利子の減免であると、こういうことを申し上げておる。それをすることは、結局は、料金をできるだけ低く押えることができるということなんです。外国を私どもも回ってまいりまして、やはり日本のホテルというものがいかに高いかということを自分自身が味わうわけです。そういう意味からも、外国から大ぜいのお客さんが来たときに、やはり日本はいいなあと、こう言われるには、私は、やはりできるだけ安い料金のほうがよかろう、外国と比較してみて、日本のをもっと下げる必要があるのではなかろうか、こういう気持ちで実は申し上げたのでありますが、そこで、国際観光ホテルのようなところは、たとえばAクラスならAクラス、先ほど木暮先生のお話のように、和洋折衷といいますか、外人の方もお泊まりになるし、日本人も多数お泊まりになる、こういうところは、たとえばBクラスといいますか、いろいろつけ方はあると思うんです。したがって、そういうところに対しては、つまり天井知らずの料金をきめておるところと、ある程度、この水準のところはこの程度の基準というもので料金をきめる、それを届け出ろ、こういうことと私はだいぶ違うと思うんです。届けることと届けないこととではだいぶ違う、こう思いますので、一般の人たちが泊まるところについては、やはり届け出制をとるならば、私は、基準をやはり設けるべきだという考えが必要になってくるのではないかと思うわけなんです。そういう意味でお尋ねをしたのであります。
そこでいま一つ進んで、修学旅行とかあるいは産業労働者、いわゆる一般の勤労階級といいますか、こういう人たちは、たとえば住宅でも産業労働者の住宅をつくる国家資金は出ておるわけですね。ところが、旅行等の問題については、先ほどのユースホステルの問題や国民宿舎の問題はありますが、これもかなり政府が努力はしておりますが、まだまだ十分行き渡っていない。実はあっても泊まれない、もう一カ月も二カ月も、場所によりますと半年も早く申し込まなければ泊まることはできない、こういう実情だと私は思う。そこでもっと、産業立国から申し上げるならば、そういう人たちを多く、慰安のできる、楽しい旅行ができるホテル、旅館といいますか、そういうものをつくる必要が私はあろうと思うのですが、そういう考えがあるのかどうかということが一つと、それから、そういうところに対しては、これは結局はやはり、先ほどのあっせん業の点でも申し上げましたが、交通関係を度外視してはできないと私は思う。そこで、交通関係を利用することになれば、国鉄をはじめとしてそういう業者の人たちに、割引の問題が出るとか、あるいは出勤の場合に、いまの時差出勤をやっておるように、この団体に対してはこういう時期を選んでいただきたいということが、当然私は出てくるのではなかろうかと思うのです。そういう問題については、政府として、計画的な旅行というものをさせるというようなお考えがあるかどうか。これはひとつ、交通問題についても関係がありますのでお尋ねをしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/89
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090・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) この問題は、私はいろいろ先生のお話をただいま伺っておりまして、私、観光基本法の十一条を思ったわけでございますが、そこに「国民大衆の観光旅行の容易化を団る」ということがうたわれておるわけでございますが、「容易化」とは何ぞやということになりますと、時間がないということによって旅行に行けない人たちを、休暇の数をふやすとかなんとかいうふうな労働条件の改善によって旅行に出かけるチャンスを増すというのが一つだと思います。
それからもう一つは、資金が足りなくて旅行に出かけられないという人に対しましては、いわゆる旅行金庫法というようなものを考えることによって、大衆旅行を容易にしていく、これが第二の方法だと思います。
それから第三の問題は、旅行関係施設が不足している、特に大衆になじみがたいような超デラックスの、玄関に入ることもどうもおっくうだというふうなデラックスなホテルよりも、もりともっと大衆になじまれた宿泊施設というものをつくっていくというふうなことが第三の問題だと思います。
以上の三つが、この「容易化」の内容をなすというふうに私ども考えておる次第でございまして、一番不足いたしておりますのは、何と申しましても、国民全体が一泊以上の泊まりがけの旅行に出かけます回数が、一年間に六千万人回というふうに推定されております。つまり、国民六割五分程度の者が、一年間には必ず一泊以上の旅行に出かけておる、こういうふうな統計が推計される次第でございますので、やはり大衆のための宿泊施設の拡充ということが、今後の一つの課題になっていくと私は考えております。
その中で、特にいま御指摘になりました修学旅行でございますが、国鉄の扱っております全体の団体旅客が、約三千五百万人でございます、年間。定期外の旅客の二・二%程度でございます。この団体旅客のうちの六割以上、約二千二百万、これが修学旅行と申しますか、学生旅行の数字でございます。いわゆる三年生が旅行に出るとかなんとかいうふうな、いわゆる卒業のときに出かける、世間で言っております修学旅行は、五百万人程度でございますけれども、全部合わせますと二千二百万人程度になります。これがやはり一つの大きな問題でございまして、これににつきましては、やはり一つには——これは運輸省の所管じゃございませんけれども、いわゆる補助金の問題、文部省の予算によりますと、今年度は、四億一千七百万円というものが修学旅行の補助として計上されておるようでございまして、去年に比べて八千三百万円ほどふえております。まあそういった補助金を増額していくことと、それから宿泊施設というものについて何らかの対策を考えていくことが、これがやはり必要でございまして、この中間を結ぶ交通機関につきましては、もちろん「ひので」号だとか「おもいで」号とかいうものが運転されておるようでございますけれども、やはりああいったものをもっと拡充していくのが、ほんとうの姿ではなかろうかというふうに私ども考えておる次第でございます。
それで、一般的に旅館の料金というものを安くする方向に持っていくのには、何が一番手っとり早いかといいますと、やはりできるだけ安い金利の金を国のほうで考えるということと、それからもう一つはヨーロッパの観光についての先進諸国が行なっておりますような旅行金庫の制度、これをやはり日本としても検討をしていかなければならない段階に来ておるのではなかろうかというふうに、私ども事務当局としては考えております。そういたしますと、こういった制度を設けることによりまして、旅行金庫を利用する人に対しては、料金のある程度の割引をすると、諸外国はみんなそういう方法で旅行金庫を活用しておりますので、そういったことが今後の大衆旅行の容易化として考えられていくのではなかろうかというふうに、私ども考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/90
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091・相澤重明
○相澤重明君 それから、施設または経営の改善に関する勧告という中で、先ほどまあ施設の問題でたとえば、昇降機——エレベーターの問題がお話にありました。私は、これがいまのホテルあるいは旅館等が、将来の方向としてだんだん高層化していくということになると、まあそういうことを考えておけば、やはりこの問題は必要になってくるのではないかと思うんです。特に私自身が足が悪いせいもあるかもしれぬが、私はやはり昇降機は必要であると、この法律上提案されておることについてはこれは賛成であると、この法律上提案されておる。まあ、元気のいい者が——あるいは温泉に行ってからだをなおし、足をなおして歩けるようになることがいいことであって、中には不自由の者もあるわけです。したがって、大衆を相手にするということになれば、私は、こういう施設をしてもらうということは、もう最短の問題として必要なものではなかろうか、こう思う。そういう意味では地下に二階、三階があろうと、地上が七階、八階あろうと、まあとにかく、いまの御説明になっているこれは四階ですか、そういうものを、むしろ私は三階でもつけたほうがいいんじゃないかと、このくらいに思うんです。まさか二階にエレベーターをつけるというわけにも、なかなかむずかしいと思うんですが、やはり高層化せば、私は、これは付帯工事としてつけるのが当然であると、こう思うわけです。そういう意味では、将来やはり高層化するという、狭い土地を利用してできるだけ多くの人を収容するということからいけば、賃金面の問題もありますが、私は、この法律の趣旨に賛成をするわけです。それはそれとして、この外客接遇上の問題として、料金の問題のいまお話を聞きましたが、私は、それを同時に、何といっても、この施設がいいことと同時に、食物の問題があると思うのですよ。飲食物について、たとえば修学旅行で集団の病気になったとか、あるいは外人の方がせっかくおいでになったけれども、食あたりがしたとか、いろいろな問題が出てくるわけです。そこで私は、そういういわゆる調理士といいますか、国家試験をとるものとすれば、栄養士といいますか、とにかくそういう人たちを、この国際観光ホテルはもちろんでありましょうが、一定の客室を持っているとか、あるいは標準料金といいますか、ある程度のそういう大ぜいの人を相手にするところについては、当然それが備わらなければならぬ要素であると私は思うのだが、そういう調理士とか、あるいは栄養士とかいうような、少なくとも国家試験を持った責任ある人たちの手によるものが、このお客さんに出される、こういうことを含んでいるのかどうかですね、これは私、この中では説明をまだよく——説明されたかもしれませんが、私は聞いていなかったのでわからないので、そういういわゆる専門技術家というものを置くのかどうか、これをひとつこの際お尋ねをしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/91
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092・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 世間に「仏つくって魂入れず」ということばがございますけれども、入れものだけりっぱで、中に働いている従業員のマナーかなってなかったり、いまおっしゃるような食べものの問題等が不十分であれば、これはもう当然問題になるわけでございますが、実はこの法律そのものは、施設の面からだけとらえているわけでございますので、ただいま御指摘のような、いろいろな条件等については、この法律は直接触れていない次第でございまして、施設の基準の面からとらまえて、そうしてその基準でつくられた方には、税の減免をいたしますというのが、この法律のたてまえと申しますか、法の所管の範囲になっておりますので、お説のような点につきましては、それぞれ他の法律のほうでいろいろ規制が、いわゆる旅館として加えられているのだと、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/92
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093・相澤重明
○相澤重明君 そうしますと、「ホテルの施設の管理の方法」あるいはこの「掲示すべき事項」「従業員に施すべき外客接遇上必要な教育」というような問題は、これは結局その中の一つは抜けるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/93
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094・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) ここの「施設の管理」と申しますのは、水洗便所の水が出なかったら困る、それから浴場もちゃんときれいな水が出るようになっていることとか、あるいは部屋には鍵がかかるようになっていることとか、そういうふうなことを点検整備をしておいていただくということを、「施設の管理の方法」ということばで表現いたしている次第でございます。
それから、掲示すべき事項と申しますのは、これは先ほども申し上げましたが、ここがフロントであるとか、共同浴場であるとか、共同トイレであるとか、避難ばしごがここにあるとか、非常階段がここにあるとか、食堂はこっちだとか、バーやコーヒーショップはどこにあるとかいうことを、日本語だけではなしに掲示をしておいていただきたいと、まあ、お客さんがまごつかないようにというのが、これでございます。
それから外客に接する従業員に施す教育の程度と書いてありますと、どんなことなのかというふうに、あるいはお考えなのかもしれませんけれども、これは、いわゆる登録ホテルなり、登録旅館としましては、その旅館、ホテルの中で大体用を足せる、しかも、別に日本の文化、芸術を語るわけでございませんで、食堂はどちらですか、右ですとか、左です、というふう、受け答えでできる程度の会話の能力を備えてもらいたい、ということを順守事項としてお願いした次第でございまして、実はその登録を取ってしまうと、外人観光客そっちのけで何といいましょうかね、あらえっさっさ、というふうなことでやられるようなことがあるわけですね。それは困る。法の精神にこの際返っていただこうじゃないか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/94
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095・相澤重明
○相澤重明君 私は、まあ名称が、提案をしている趣旨が、ホテルの整備法だから、そういう話はわかるわけですよね。わかるけれども、先ほどもお話があったように、せっかくよい建物をつくって新しい皮袋をつくったけれども、中身がお粗末だったり、中に入っている酒が悪がったりしたのでは、これではほんとうにお客さんを満足させることには私はならないと思う。そこで、おそらくまあ木暮先生のお話を聞いておれば、そういうことはないと私は思うのだけれども、ほとんどのホテルが、資格要件を備えた人たちが料理に当たっていると私は思うのです。思うのですが、少なくとも日本の国が、国際的なお客さんを多く迎えるというときには、やはりそういう万全な措置がとられるのがほんとうではないか。ですから、お尋ねをしますが、調理士とか栄養士とかいう資格要件を十分備えた者を、ホテルとか、旅館等ではみんな採用しているのですか。それとも、昔からのしきたりによる方法が料理をされているというところも現在はあるのですか。つまり大ぜいの人を扱うところなんですから、これは私は、単に厚生省の衛生管理の問題だけではないと思うのですね。保健衛生だけの立場で、これはそちらにおまかせするということだけでは私はないと思う。そういう面で、この栄養士や調理士という方々が、旅館とかホテルとかというところには必ずいるのか、それともおらないのか、おわかりになったらひとつ御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/95
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096・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) それは、本法に基づきます省令として、国際観光ホテル整備法施行規則というのが昭和二十五年に運輸省令として出ておりますが、その第一条に、登録の申請のいろいろの事項が出ております。それの第四号でございますけれども、「申請に係るホテル又は旅館のちゅう房に関する食品衛生法第十四条の規定に基く検査の成績表」というものを登録申請のときには出していただくということになっております。ただ、食品衛生法に基づく検査を運輸省がするわけではございませんが、これは衛生監視員が巡回をして、よその省の所管になりますが、これを見て回る、その成績表を登録申請のときに、運輸省に出していただく、こういうことになっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/96
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097・相澤重明
○相澤重明君 どこの旅館へ行っても、ホテルへ行っても、青いこのくらいのビラで食品衛生検査表というのがあるわけです——そのことばが的確かどうかわかりませんが、とにかく保健所が回って判をついたやつをぺたっと張ってある。だからほんとうならば、ぺたっと張ってあるビラがあれば、別に中毒患者も出なければ、衛生上悪いことはないはずなんですね。けれども、不幸にして修学旅行の多くの子供たちが、そういう集団中毒を起こしたり、あるいはまた、お客さんにそういう問題が出ることもあるわけですね、聞いてみると。そういうのは、いろいろ事件の起きた内容を聞いてみるというと、実は腐敗しやすいものを、満足に火を入れなかったり熱を加えなかったりして、前の日につくったものをそのまま翌日使った、それが中毒のもと、下痢のもとになった、こういうことがよく言われておるわけです。そういうことから考えると、私はやはり、国家的な資格要件を備えたような人たちが実際に監督をし、調理をされておれば、そういう問題は起きないと思う。ましてや外国のお客さんを、国際観光ホテルということでお呼びをし、泊まっていただくのに、万が一にも間違いがあるということを私どもは憂えるわけです。そういう面からいきまして、私はやはり、いま規則の点の御説明をいただきましたけれども、指導方針としては、経費もたいへんであろうけれども、私はまず安心をさせる、喜んでもらうという立場に立った、そういう指導というものを、私は調理士というか、栄養士といいますか、そういう専門家を置くようにしてもらうことが望ましいと思うんです。この点については、きょうは時間の関係もありますから、私は要望をしておくわけです。
それからその次には、従業員の労働条件の問題なんです。これは参考人によりましてもかなり強く指摘をされておるわけです。実際労働時間というものがあるのか、ないのか。労働基準監督署というものはあっても、これは実際に、もうどうにもならぬ。たとえば先ほどのいろいろ掲示をする、バーならば何時、ふろ場ならば何時というような掲示があっても、実際にそれは役に立たぬ、お客さんはかって放題だ、こういうことになると、一つの旅客の、あるいは宿泊者の道徳上の問題といってしまえばそれまででありますが、私は、こういう点については、経営者自身が、働く者の立場というものを考えなければ、これはなかなか確立しないと思う。そこで深夜作業を禁止せられておるような職種、あるいは労働時間を延長しなくとも済むように、非常災害の場合は別ですよ、通常の場合においては、少なくとも働く者の身体、母体を守るように、私はやはり、適切な人員配置というものが必要ではなかろうか。また、そういう条件というものを具備しなければいけない、こう私は考えるわけです。そういう点について、どういう指導をされたか。たとえば何坪の客室については、どのくらいの従業員が必要だということをお考えになったことがあるのかどうか、よくわかりませんからね。何室以上は何人くらいが必要であるとか、こういうことも検討すれば、私は出ないはずはないと思う。そういう泊まる坪数によってお客さんの数もおのずからきまってくると思う。一ぱい入れた場合は幾ら、個室の場合は幾らと勘定は出てくるわけです。そういうところに働く人の数も出てしかるべきだと思う。ひどいときには、これは私も経験があるんですが、もう三十くらいの部屋のある旅館に参りましても、女中さんが四人か五人、一人でもって五つも六つも部屋を受け持つ。しかも、一つの部屋に十人も十五人も泊まる。これでは働く人自身がたまりませんよ。だからもう仕事が終わると、それこそ倒れるようになってしまう。こういうことは女性の場合には、母体をおかすことになるし、男の場合にも、労働が過重になると思う。そういう意味で労働基準法の適用ということは、一面には、こういう自由営業の者にはあまり過酷じゃないかというような——旅館というものは、せめて何をやってもいい、一日楽しむんだという面が、旅の恥はかき捨てということがありますから、旅に出たら幾ら恥をかいたって、そんなことは知らない、こういうような悪いことばによって表現されることがもしあるとすれば、これはいかぬと思います。ですから、そういうことをなくすようにしなければいけないと私は思うので、従業員の労働条件というものについて、どうお考えになっておるか、これもひとつ、二つ目にお尋ねしておきたい。
それから三つ目には、国際観光ホテルともいわれるようなところでは、私は、特に外人の接遇上非常な気を使うと思うのですね。あるいは、それだけのお仕事をされておると私は思う。そういうことで、やはりこういう人たちに対しては、一定の賃金、報酬が支払われるということが必要ではなかろうか。旅館のお話をしますと、おそらく旅館も、固定給のきまっておるところは比較的少ないのではないか、固定給と言っても差が非常にあります。二千円のところもあれば一万円のところもある。おそらくお客さんのチップというところにたよっておるところも多いと思う。そういうようなことで、この最低賃金法というのを私どもは常に主張をしておるわけでございますが、政府自体も、業者間協定で賃金をおきめになっておる、奨励をしておると思うので、最低賃金についても、政府のお考えはやはり同じだと思う。せめて旅館の従業員についても、業者間でもある程度御相談をされて、どの程度のやはり最低賃金というものは出すべきか、付与すべきかということは、私はお考えにならなければいかぬし、政府はその面を指導しなければいけないと思う。私は神奈川県ですから、神奈川の湯河原というころは温泉旅館街でありますが、ここでは業者の皆さんが積極的に進んで賃金をきめておるわけです。ですから喜んでそこに長くいつく、こういうことを言われておる。そのいっかないという原因は、働く人が、どうもあそこの旅館はサービスがよくない、酷使すると、賃金は安い、こういうことで働き手がだんだんいなくなってしまう。いまは、どこに行っても働く人の生活ということをやはり考える。身体、母体の保護を考え、労働条件というものをよくしなければ、私は、せっかく家がよくても内容が充実しないと、こう思う。そういう意味で労働に従事しておる人たちに対して、そういう最低賃金というようなものをお考えになっておるのかどうか。これは、先ほどの御説明では、業者の皆さんから、なかなか言い出すことはむずかしいと思うのですが、しかし、いまや業者の皆さんもそれをしなければ、もう人が来てくれないという段階になっておると思うのですね。ですから、進んでそういうことはおやりになるという時期に来ておると思うのですが、政府自体もそういう指導があってしかるべきじゃないか、こう思いますので、以上の点の賃金条件等の問題について、どうお考えになっておるかお尋ねをして、本日のところ、私はこれをもって終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/97
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098・梶本保邦
○政府委員(梶本保邦君) 私は、特に旅館におきましては、やはり正しい姿、正しいあり方における労使関係というものが樹立されていることが、旅館が近代経営にまで脱皮していく必要最小条件だと考えております。最近、まことに笑い話のようで恐縮でございますけれども、いわゆる日本式スタイルの旅館でありながら、ホテルという名称のものがあるのです。それをよく聞いてみますと、旅館じゃ人が集まらない、ホテルという名前のほうが人が集まると、こういうのでホテルという名前にするのだということを聞くわけなんですけれども、私はそのつど、名前をだけ変えたからといって、その名前で人を集めようというのは、根本的に間違っておるのじゃございませんか、やはり内容からして近代的経営の方向に旅館経営というものを持っていくべきだということを、もう常々この問題については、私は言っておりますので、そうじゃなければ——私どもが、御承知のとおり、ノー・チップ運動を強力に展開しておるのでございますけれども、固定給が少なくって、ほとんどお客さんからいただくいわゆるチップだけが収入の大部分になりますか、あるいは比較的多くの部分になりますか、そういうふうなことが収入のあり方では、とても私は正しい近代経営は行なえないと、かように信じております。そういう意味におきまして、私はこういった業界の会合の席上等におきましては、常にこの問題につきまして発言をいたしております。そしてその方向で運輸省としては前進さしていこうじゃないか、また、さしていくべきだということを主張いたしておりますので、この問題については、ずっと前にと申しますか、以前旅館に対して一般世間で持っておられたような、何と申しますか、いわゆる前時代的な経営方法というものが、だんだん私は最近ではあとを断ってきておると、このように信じております。特に今度宿泊約款を設けたいというのも、やはり、もちろんそういったものを持っておられるわけなんです。持っておられるのですけれども、そういったものをつくりたいというのは、やはり旅館、ホテルというものを近代的な事業に育てていきたいという、運輸省としての気持ちのあらわれでもございますことを、御了承いただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/98
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099・米田正文
○委員長(米田正文君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/99
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100・米田正文
○委員長(米田正文君) 速記を始めて。
本日はこの程度とし、次回は、十七日十時開会の予定にいたします。
午後五時二十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X01219640312/100
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