1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月十日(水曜日)
午前十時四十分開会
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出席者は左のとおり。
建設委員
委員長 安田 敏雄君
理事
石井 桂君
稲浦 鹿藏君
瀬谷 英行君
委員
小沢久太郎君
熊谷太三郎君
小山邦太郎君
高橋進太郎君
小柳 勇君
田中 一君
武内 五郎君
中尾 辰義君
田上 松衞君
村上 義一君
地方行政委員
委員長 竹中 恒夫君
理事
石谷 憲男君
西郷吉之助君
西田 信一君
松本 賢一君
委員
井川 伊平君
鈴木 壽君
林 虎雄君
松澤 兼人君
光村 甚助君
辻 武寿君
国務大臣
建 設 大 臣 河野 一郎君
政府委員
経済企画庁水資
源局長 崎谷 武男君
建設大臣官房長 平井 學君
建設省河川局長 畑谷 正実君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
常任委員会専門
員 中島 博君
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本日の会議に付した案件
○河川法案(内閣提出、衆議院送付)
○河川法施行法案(内閣提出、衆議院
送付)
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〔建設委員長安田敏雄君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/0
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001・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) それではただいまから建設、地方行政委員会連合審査会を開会いたします。
河川法案及び河川法施行法案を議題といたします。
両案に対し質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/1
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002・鈴木壽
○鈴木壽君 この前の委員会で、どうもちょっと大臣おいでになれなくなって、はっきりしていただきたいと思ったことがいまだ明らかになっておりませんので、続けてお尋ねをいたします。
まず最初に、この前に、一級河川として指定するものはどういうものかという点についてお尋ねをしたのでありますが、重要な河川だと、こういうことだけで終わっておるのでありますが、第四条にあります「「一級河川」とは、国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川で政令で指定したものをいう。」と、政令が二つここに並べられてあるわけなんでありますが、この場合に、いわゆる重要だというもの、何かこれは基準があると思うのですね。この点について、少しはっきりしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/2
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003・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 別に基準になるべきものがあって、この基準によったらこれはこうであるということではございません。つまり、われわれといたしましては、わが国のいわゆる国土保全上、将来順次一級河川として、これを治水、利水の面において完全に行政してまいらなければならぬと考えております川はたくさんあるわけでございます。その中で、いずれも予算の関係もございますし、また、行政の都合もございまして、順次広範に広げてまいりたい。あたかも道路におきまして、一級道路、二級国道と申しましても、別に一級と二級との間には、多少の違いはございますけれども、詰めてみれば、順次県道が二級国道となり、二級国道が一級国道となるというようなことで、私は、河川審議会の議を経ましてそれぞれ指定してまいるということでございます。河川審議会に諮問いたします場合には、前回申し上げましたとおり、まず最初、全国で将来一級河川としてこれは管理する必要があると考えられますものは、百十もしくは百二十河川に及ぶと思います。これらの河川を順次管理し、もしくは順次これを治水、利水の面において完全に行政してまいることができるようにしてまいりたいということでございます。これら百十何河川は、いずれも国土保全上重要な河川であることには間違いございませんが、その間にはおのずから緩急がございます。重要の度合いに多少の違いはあるということに私は考えております。したがって、今後政令に指定する、これは、いま申し上げましたように、重要河川の中において、河川審議会の議を経まして順次重要度によりまして一級河川の指定をしてまいる、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/3
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004・鈴木壽
○鈴木壽君 私、お尋ねしたい肝心の点がお答えいただけないのでありますが、重要な河川、これが現在そう思われるものが百十ないし百二十くらいあるんだと、しかし、一度にそれを指定するのじゃなくて、いろいろな点を勘案をして、軽重、先後の区分けをして指定をしていくのだ、こういうお話で、その点については、その限りではわかりますが、その重要な河川という百十なり百二十なりを取り上げ、その基準を一体どこに置くのか、これが問題だと思うのであります。ただ重要だからと、こういうのだけでは、たくさんある川の中で百なり百二十なりというものを選定する場合、それだけではいけないのじゃないか。いまの例であげられました一級国道あるいは二級国道、その他の地方道等の場合におきましても、一級国道はかくかくのこういうような条件を満たす道路だ、こういうのがあるはずなんでありますが、地方における、いわゆる主要地方道においてもそういうことがあるのでありますから、私は、そういうことを一体今度、これは大事な問題でありますので、どういうところに基準を置いて政令で指定しようとするのか。これを私お伺いをしておるわけなんであります。たとえば流域の問題、あるいはその流域内の区域のいろいろな産業条件の問題、こういう問題も当然これは入ってまいらなければならぬじゃないだろうかと思うのでありますが、そういうものをいま少し具体的に、おそらく指定する場合には考えざるを得ないと思うのでありますが、現在考えておるところを明らかにしていただきたい、こう言うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/4
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005・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) もちろん流域の広さ、水の流量の大小というようなものもむろん参考になることは申すまでもございません。しかし、私がここで一つのものさし、一つの基準によってきめかねると申し上げますことは、たとえて申し上げますれば、一番われわれとして意図するところのものは、その川が荒れておるとか、荒れていないとかということが非常に大きな問題だと思います。国民諸君、もしくは国土保全の意味からいきますと、台風の常襲地帯の川は、その川が比較的流量は少ない、もしくは流域は狭いといいましても、それが一般沿岸の農民諸君に及ぼす迷惑というものの大小等を判断いたしますれば、やはりこういうものは先決してこれを取り扱わなければいかぬだろうということにもなります。で、その間、初めてやることではございません。御承知のとおり、今日まで現行河川法ができまして、区間的に、部分的に直轄いたしておるものがあるわけであります。これらの経緯、これらの過去の経験から申しまして、どの方面にまず手をつけなければならぬか、どの方面からやらなければいかぬかということがむろんあるわけでございます。しかし、これはいまも申しましたとおりに、ものさしではかるわけにいきませんし、これを文書で書くというわけにもいきませんので、そこで、一つの規定もしくはものさしできめかねますから、一定の、むろん目の子だけじゃございません、だれが見ても大体ここらの線でやらなければならぬのじゃないかというところがあるわけでございます。それを河川審議会にはかりまして、一般の経験者、学識者の御意見等も十分承りまして、順次きめてまいる。これが道路のほうでございますと、いまもお話がございましたが、たとえばわが国の慣行として、指定はする、一級国道、二級国道と指定はする、指定はしてあっても、御承知のとおり、一級とはいわれても二級国道よりもまだ全然手当てのしてないものがある。ただ名前によって道路の判別がつかないような状態が、今日の一級国道、二級国道の状態であります。ひどいのになると、二級国道で、まだ自動車の文通も十分にないというようなものも現にあるわけでございます。ところが、河川のほうは、積極的に非常に被害を受けますからそういうわけにはいかないということで、あわせて、この法律で一級河川になりますれば、国が直接管理するということになるのでございますから、国が管理を一方においてしながら、やることはほとんどいままでどおりというわけには、私はまいらぬと思うのであります。したがって、一方において管理の責任をとる以上は、治水の面において十分国が責任をとるということでなければならぬと思いますので、最初から予算のつかない河川の指定はやるべきじゃない、こういうふうに私は考えておりまして、この河川の指定にあたりましては、十分、ただいまも御質問がありますとおり、各方面の御意見を承り、審議会の議を経て慎重に指定はしてまいるべきものだと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/5
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006・鈴木壽
○鈴木壽君 どうもあまり抽象的なんですが、いまここで、この指定をする場合の基準というようなものを明らかにすることは、ぐあいが悪いのでしょうか、大臣。というのは、それは重要であり、あるいは流域の面積なり流量なんかも考えるのだ、さらにまた荒廃の度合い等によっても当然見ていかなければならぬ、こういうお話がございましたが、ただそういう点を、たとえば流域の面積ですか、あるいは河川の延長、流水の量、こういうものでも何か基準がないと、ただあなた方が見て、これが重要だ、あるいはこれはこちらのほうで管理をしなければならぬという、こういうのでは、まことにこれはあぶなっかしい話だと思うのであります。たとえば、さっき私ちょっと申し上げましたように、いま触れた流域面積なり、あるいは延長なり、あるいは流量なり、こういうもののほかに、その流域における人口あるいは産業の状態、耕地面積、こういうものも当然これは考えていかなければならぬじゃない、だろうかと、私は思うのです。そういう点をやはり政令で指定をするのですから、基準というものが、私はなければならないと思うのであります。ただ建設省が、あるいは大臣が、これが重要だからと、こういうことだけではこの問題はどうもはっきりしないと思うのです。場合によっては、一都府県だけに限らず、二以上の都府県にまたがるような、しかも、それらの府県に関係のある大きな川と、こういうようなことも考えられておるようにも聞いておるのでありますが、そういう点をもう少しはっきりしなきゃならぬと思うのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/6
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007・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 多少の意味は違いますけれども、従来の法律用語からいたしましても、従来は直轄河川、それを指定する場合の法律用語は、やはりこういうように「重要」だとか「重大」だとかいうことでございまして、用語はあまり違わない用語になっておる。で、いままでどういうふうに指定してきたかといえば、過去の行政は、同様に建設省において十分調査をし、県知事から、もしくは地元の方々の御要請によって直轄河川というものを指定してきた、こういうふうにやってまいっておると私は思います。したがって今後、一級河川をどうするか、何も裏も表も全然ございません。しいて申せば、先般申し上げたとおりに、予算がきまりませんから、何本さしあたり一級河川としてきめるかということについても、私はまだ確固たるプランは持っておりません。したがって、相なるべくは、私は、たくさんの予算をもちましてたくさんの川を指定して、そうして十分に河川行政を活発にしていきたいという意欲は持っておりますけれども、いま申しましたとおり、予算の裏づけのないものをみだりに直轄、直轄というふうに指定して、そうして管理だけ建設省がやるということは適当でないということで、従来どおり、知事さんにしばらくの間お願いしてやってもらうようにするよりしかたがないのじゃないか、こう思うのです。でございますから、その間に予算を、今後、河川の何カ年計画のもとに一つの方向をきめて、そうしてこれだけの川をこの法律においてりっぱに治水、利水の完ぺきを期するようにしていこうという案をつくるべきだと私は思うのです。その際、一級河川はどうしてきめるか、これは、先ほど来たびたび申し上げますように、どなたがお考えになりましても、全国で適用の資格のある条件が備わると申しますか、資格のあるということもおかしいことばですが、やらなければならぬと思われる川は、おおむねどなたがごらんになっても百十とか百二十、これらの百十ないし百二十の川について、どこから先にやるかということが問題だと思うのでございます。したがって、これらについては、各界の学識経験者、つまり河川審議会の議を経て、原案は、むろん県知事と建設省と相談をいたしまして原案をつくります。これについて河川審議会において十分御検討を願いまして、その上で決定してまいるということでございまして、その際に、先ほど申し上げたとおりに、流域の広さとか、数県にまたがっておる沿岸の住民の数がどうであるとか、というようなことは、むろん一つの大きな資料にはなると思うのでございますけれども、それを一々書きつらねて、これが一番大きなウエートを持っているものだというわけではなかろうと思います。したがって、ここにことばの表現としては、「重要な」とばく然としておるかもしれませんが、その内容としては、いま申し上げましたとおりに、すでにたびたび私は機会あるごとに申しておりますように、建設省で単独にきめるべきものじゃなく、県知事の意見によって河川審議会の議を経てきめるべきだと申し上げておるのであって、それ以上建設省において腹案もなければ何も持っていない。世論に従ってきめていくのが一番正しい態度だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/7
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008・鈴木壽
○鈴木壽君 その前に言えることは、現在直轄工事を行なっているいわゆる直轄河川は全部一応対象になるのだ、端的に言って。ただ一級河川として指定するものは、そのうち、最初どれになるかは、河川審議会や都道府県知事の意見を聞いてきめるのだ、こういうことになると思うのですが、それでよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/8
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009・畑谷正実
○政府委員(畑谷正実君) いま大臣からお答えのとおりに、現行河川法によりまして、これは「公共ノ利害二重大ノ関係アリ」、こういうような表現を使いまして、その中からいわゆる適用河川というものを選びまして、漸次そういう指定が行なわれておるわけでございますが、今回の河川法の改正によりまして、「国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で」、こういうような表現によりまして、今回におきましては、いわゆる公益的なそういう観点は加味されますけれども、河川の実態からいって、現在、徳川時代あるいは明治を経ましてどういう河川が重要であるかということは、当然現行の河川法によって実態がある程度ここに出てきておるわけでありまして、いま大臣が申されましたとおりに、現在適用河川としてそういうような数が出ておりまして、これはやはり皆さんが見て非常に重要な河川である、こういうふうにお考えであろうと思います。今回の河川法によりまして、いわゆるそういうような一つのめどはあるのでございまするが、個々にどういうふうに指定をしていくかということにつきましては、これは順次の動作でございまして、一つの何か、流域がどうである、あるいは流量がどうである、あるいはそこの水資源の重要度がどうであるかということは、一つの目安にはなりますけれども、一級水系の指定の基準はこれこれであるということには、さらにいろいろなそういうような要素が入ってくる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/9
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010・鈴木壽
○鈴木壽君 私お聞きしたいのは、そのお話はわかりましだ。お答えを聞いておりますと、いま直轄河川というものが百幾つある、それは一級河川の資格といいますか、条件に合った川なんだ、こういうふうに指定をして、そうしてただ指定をする場合の軽重関係、いろいろあると、こうおっしゃるのだが、財政関係もございましょうし、いろいろあると思いますが、ですから、それのうちどれを指定するかは別にして、いま考えておるのは、直轄河川を大体一級河川ということに指定するのだ、こういうことに了解していいか、こういうことを私は聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/10
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011・畑谷正実
○政府委員(畑谷正実君) 現在の直轄河川でやっておるものが、この第四条に規定するものであるかということになると、それはそのとおりであるということはお話し申し上げられませんけれども、しかし、現在そういうふうに重要な河川であるがゆえに適用河川になり、直轄工事として施行されておるわけでございます。どなたが常識的に考えましても、これは非常に重要な川である、こういうふうにお考えになると思います。われわれもそういうふうに考えております。したがいまして、そういうような水系に指定するときには、総合判断がございまするが、一つの考え方としては、そういうような重要な川であるというふうに考えて差しつかえない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/11
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012・鈴木壽
○鈴木壽君 私その問題もう時間もあまりありませんから、その程度にして……。
せんだって大臣は、現在のように河川行政と申しますか、あるいは治水の面におきましても、利水の面におきましても、非常にばらばらだ、これを建設大臣が管理することによって一貫した対策も講ずるようになるのだ、こういうことをおっしゃって、それが今回の法改正と申しますか、新しくしようとするのでありますが、最大のねらいである、こういうことをうたったと思うのであります。しかし、この問題、確かにばらばらなような形にもなっておるのでありますが、私はその際に、管理権とは問題が違うのじゃないか、こういうふうに申し上げておったのですが、そこでひとつお聞きしたいのでありますが、河川行政について最高の責任を持っておるものは、現在の法でもこれは建設大臣ですね。現行法の第四十九条には、河川行政の最高責任者としてやはり監督の責任を建設大臣が持っておることが明記されておるのであります。もしばらばらなそういう状態であったとすれば、私は、建設大臣としてそこに責任の問題、監督の問題、こういうところに欠くるところがあったんじゃないか、こう思うのですが、この点はどうでしょう、どういうふうに考えておりますか。
それからもう一つ、これもこの前ちょっと私触れておきましたが、全体的には、いま言ったようなことになりますが、さらに河川法に基づいて行なういろいろな工事については、やはり建設大臣が最終的には認可をしなきゃならぬという、こういうこと、あるいは実際に仕事をする場合に、建設省から査定を受けて設計をし、その実施設計も建設省から見てもらって、場合によっては手直しをされて、そうして工事をやっておる。そうしますと、私は、ばらばらな治水なり、あるいは利水のそういう対策、こういうことを単に知事が管理権を持っておるのだからと、こういうことにきめつけてしまうことは、これは当を得ないと思うのですが、その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/12
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013・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) わが国内の地方行政、これが戦前と戦後との間にどの程度の違いがあるか、内務省のもとに知事が任命された時代の行政と、今日、地方自治制が確立いたしまして、そうして内務省が解体して、建設省に土木行政が移った。その間にどの程度の変化があるか、いまお話しのとおり、法律は明治二十九年の法律でございますから、確かにそういうふうに規定はいたしております。また、これを指導監督することにいたしておりますが、これが地方自治の侵害というやかましい問題の中に、監督もしくは指導と、さらに協調というものがどの程度に運営されておるかということについては、すでに御承知のとおりでございます。よって私は、明治二十九年の時代に書かれた河川法をもってしましては適当でない面が多いと、したがって、名実ともに今日の地方自治の状態に合致するように、みずから管理するものについては、責任をとるものについては、一級河川として名実ともにこれをやるということが適当であろう、おわかりのとおりです。従来は一河川について一部分を直轄いたしております。したがって、水系全体についてこれを直轄いたしておるものはございません。それが明治、大正、昭和の初期、戦争までのいわゆるわが国の内務行政の時代においては、内務省と県行政との間の一体性という意味から、この法律で完全に行政の指導はできた、また、このことをだれも怪しまなかった。ところが、今日の地方議会の自立性、府県の予算と中央の予算の関係等から見まして、この程度の規定で、いま申し上げるように、完全に水系の一体化をはかって指導してまいるということは適当でないというのが、すみやかに本法の改正をしなければ、だんだんそういう問題に当面しておる。現に農林省との関係におきましても、一方において砂利の採取という問題だけ見ましても、県におまかせしておる砂利がどんどん、どんどん取られてしまって、一方において水が田に引けなくなっておるというような川もあるわけであります。それじゃその責任は建設大臣にあるのじゃないかとおっしゃっても、何度通牒を出してみても、それはうまくいかない、現実がとにかくそういうことであります。いかないからといってどうしたらよろしいか、知事を罷免するとか、そんなむちゃなこともできるものでもございませんし、というのが実情じゃないか。でございますから、私は、そういう点について責任呼ばわりをされれば、これまた法律上そういうことになるかもしれませんが、むしろ法律のほうから直して、現状に合致するように直していただくことが適当であろう、こう思うのでございまして、御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/13
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014・鈴木壽
○鈴木壽君 私は河野さん、あなたのいまの考え方、非常に大事な問題だと思うのであります。むしろそういう考え方だとしますと、大事なというよりも危険な一つの考え方だと思うのですがね。権力を持って上から下までやるのだ、こういうふうに、端的にいえばそういうことになると思う。非常に私は危険な考え方と思う。特に先般も、あなたのおられないときでしたか、私は地方自治というものは一体どういうものでなければならぬかということで自治大臣にもお聞きしたのでありますが、これは非常に私は危険な考え方だと思うのであります。国は、たとえば河川の問題にしろ、あるいは道路の問題にしろ、その他の問題にしろ、高い立場に立って全体的な計画なり、あるいは調整なり指導なり、こういう立場に立つべきだ、いまの考え方は。あなたが例として出している憲法における地方自治の考え方は、そういう考え方になってきている。それを今度引っくり返して、いろいろなものを権限を持ってやらなければならないというような考え方から、権限を国へ引き上げるのだ、こういう考え方は私はとるべきじゃないと思う。まあしかし、これは意見の相違でありましょうから、その問題については長くやっていることもどうかと思いますから、それはやめますが、私は、いま言ったそういう考え方は非常に危険だ。法にあるものをもしやるのだったら、やれることを私はやらない、こういうふうに言わざるを得ないと思うのであります。たとえばいまの河川法にしても、監督の責任あるいは河川行政における監督の責任を建設大臣が持っておるということだけでなしに、河川法のそれからしますと、これは国が管理権を引き上げなくても、全部の監督権を持たなくともちゃんと河川の管理は、場合によっては主務大臣がやれるようになっている、こういうものを利用したらどうなんですか。これもだめだ、いまある法律を、明治二十九年で古いかもしれませんが、いまの法律を活用することによって、引用することによってできる面がたくさんある。それをやらないでおって、河川法の第六条、現在まであれですか、第六条一項のただし書きで、この規定から国がある部分について管理を行なったというようなこと、こういうような、これはひとつ局長のほうでもよろしゅうございますが、どういう例がありますか。どの河について、どういう個所について、六条一項を適用してやったのだ、こういうのがあったら例をあげてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/14
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015・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/15
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016・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/16
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017・畑谷正実
○政府委員(畑谷正実君) 現行河川法の第六条によります直轄の管理の実例はございます。利根川につきましても、木曽川につきましても、部分的ではございますが、直轄の管理区域を持っております。それからダムのような施設、これの直轄管理もいたしております。区間が非常に短いので、どこの村からどこの村ということはちょっと申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/17
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018・鈴木壽
○鈴木壽君 治水なり利水の面で、どうしても現行の河川法による原則である知事の管理権、こういうものにまかせておけないというので、六条一項ただし書きを適用したのが、いまあげられたようなところがありますね。それをもっと広範にやったらいいじゃないですか。これはやれるのです。そういうことをやらないで、これは特殊なところでやっていることも知っております。知っていながら聞いているのですが、そういうことをやることによって、私は、大臣がしばしば言う、ばらばらだとかいうことを聞かないというような、そういう問題のなくなるようにできるこれは法律です。ですから、私はさっきも別の面から、四十九条の河川の行政の監督という面から、大臣に責任はないかと、こう言ったのですが、そういう面からいっても、あるいはこの六条からいっても、あなた方が指摘するような不都合な点というものは、これは解消できるのです。河川法全体についていろいろ手直ししなければならぬ、そういう問題は、私は否定しておりません。しかし、管理権の問題は、私は、だからといって、この改正の中心目標にして、国が管理権を引き上げなければならぬ、こういう考え方というものは、どうしても私は納得できない。いままでこういう法規がありながら、また別なところもお聞きしますが、こういう法規がありながら、それを完全に行なわなかったというのであれば、そのために河川行政がばらばらな形で、国民にも不便を与えている、こういうのであったら、私はまず第一に、それをしなかった、この法をちゃんと適用、活用しなかった政府の責任であろうと思うし、場合によっては怠慢であるかもしれない、あるいはそれをしなかったというのであれば、私は無能力だったというふうに言わざるを得ないと思うのであります。いずれにしましても、ことばは少し過ぎましたが、私はまずこの点について、政府が反省するというところから、この問題を考えていかなければならぬじゃないか、こう思うのであります。私は、何も知事会がどうのこうの言っているから、知事会から頼まれたわけでもない。しかし、どう考えても、いまの問題というものは、あまりにも権力をみんな持っていってしまうのは、いまの地方自治に対する考え方に逆行している考え方です。できるだけそういうものは地方団体がやれるようにしようというのが、いまの地方自治の考え方であり、あるいは地方制度調査会なり、臨時行政調査会ですか、ああいうものにおいても、そういう大きな柱だけはちゃんとできている。それと逆行した形をいまなぜ行なわなければならないかというのが、私の聞きたいところなのです。少し話は長くなりましたが、一体なぜ六条なりあるいはその他をフルに使ってやればやれるものをやらないでおったのか、こういう点について、あなた方はどういう反省を持っておられるのか、お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/18
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019・畑谷正実
○政府委員(畑谷正実君) いまのお話でございますが、現在の河川法におきましては、御承知のとおりに、管理権というものは地方自治体、いわゆる府県が持っておって河川を管理している。こういうことで、特殊な例として建設大臣がみずから管理をする、あるいは工事をする、こういう態勢になっているわけでございます。いまお話しのとおり、六条によりまして、特殊なところにおきましては、ごく小部分でございまするが、直接大臣が管理いたしまして、そういうことを実行いたしているのでございますが、そういうような問題は非常に局部的な問題でございまして、それを現在のような社会情勢あるいはいろいろな要請から、公益的見地から、それをやらなければならぬ、いまお話しのように、こういうような法律があるんだから、これを直していけばいいというような論を進めていくと、現在のような、新しい河川法の法律のような条文になる。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/19
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020・鈴木壽
○鈴木壽君 いや、私聞いたのは、いまある法律を直していけというのじゃないのです。いまなぜこれをちゃんと活用しないか、こういうことを言っているのです。あなたは部分的と言いますが、この六条一項ただし書きは、これは単にあなたが言うような狭い意味の部分的の問題じゃないのですよ。治水の問題等でほうっておけないというようなところがあったら、「自ラ河川ニ関スル工事ヲ施行シタルモノニ付必要ト認ムルトキ又ハ他府県ノ利益ヲ保全スル為」、いま利水の問題なんかそれですね。これが大きな問題で、今回の法改正に踏み切ったのでしょう、あなた方。「他府県ノ利益ヲ保全スル為必要ト認ムルトキハ」やっていいということなんですから、部分的な小さな個所の一つのダムとか堰堤とか、そんな問題じゃないのですよ。だから、あなた方がいまやってきて、部分的なそういうものをもっと広げることも可能であるし、相当な広範囲にわたる直接的なあなた方の権限というものをそこにやれると、こういうことがいまの六条の規定でしょう。なぜそれをやらないのか、こう言わざるを得ないと私は思う。私は、何もこの六条を改正せいとかなんとか、こういうことでなしに、現行法によってやれるところがあるのじゃないか、やれるじゃないか、こういうことで聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/20
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021・畑谷正実
○政府委員(畑谷正実君) いまのお話でございまするが、ちょっとこの六条の解釈上の問題もございますが、この六条というのは、前にお話ししましたとおりに、管理の主体というものは知事でありまするが、特に問題になる、いま先生がお話しのとおりに、他府県の利益に云々というのは、たとえて言うならば、木曽川に揖斐川が流れ、あるいは木曽、長良と、そういうような川が二つ流れておりまして、それが境界がまん中になる、その中に堤防があると、こういうような問題につきましては、一方は三重県、一方は愛知県と、そういうようなところで、そういう中の堤防を維持管理するのに、両県に対して非常に影響がある、しかも、両県からいろいろな問題点が起こるというのを、特に大臣がみずからそういうような中正的な立場をとる、あるいはダムの問題にしましても、両県にまたがっているような場合の管理、こういうようなことをやるということでございまして、いまお話しのとおりに、水系区間として一つの水利調整がある他府県にまたがるのじゃないか、そういうものを全部やれというわけじゃございませんので、そういうようにやろうというのが、今度の新しい法律によってやる、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/21
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022・鈴木壽
○鈴木壽君 あなた特に法律を狭く考えよう、狭く考えようとしておりますね。じゃ、その点はいいですが、いま問題になっておりますのは、いわゆる治水の問題もありますけれども、利水の面で非常に大きないろいろの問題があって、こういう法律にしようという一つの中心問題だと思うのでありますが、これは大臣もしばしばそう言っておりますし、法律の提案理由の説明の中にもそういうことが書かれております。そこで、利水の面になりますと、必ずしも現行法で完全でないという点も私はあると思う。しかし、それを補って、利水の面で他の地域の人たちの問題等のそれを特に考慮して、それを解決しようとしたのが水資源開発促進法だと思うのですが、これについては、私がいま言ったように理解していいかどうか、ひとつお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/22
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023・畑谷正実
○政府委員(畑谷正実君) ちょっとお話の趣旨が、私理解が間違っておるかもしれませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/23
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024・鈴木壽
○鈴木壽君 じゃ、もう一度申し上げます。水の問題でいろいろ、たとえば例を申し上げますと、東京の水不足、これを利根川からどうしようとか、いろいろのことがあって、しかし、話し合いなり、実際の工事というものがなかなか進まないという問題がありますね。そこで、現行の河川法からいうと、あなた方は、知事が権限を持っているからこうだとか、いろいろのことを言うのでありますが、ともかくとして、そういう現象だけは確かにある、そういう事態はあるのですね。そこで、水資源開発促進法では、現行河川法のこういうたてまえでありますけれども、しかし、水の利用、水資源の総合的な開発利用という、こういうことによって、この法律によってやっていこう、こういう考え方だと思うのですが、その点は、私のそのように理解していることがどうか、こういうふうに聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/24
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025・畑谷正実
○政府委員(畑谷正実君) お話しのとおりでございます。水資源法におきましては、水資源法によりまして、特定の指定した水系の水の需要計画を立てまして、これが実施促進をはかるということが、水資源法の問題点でございます。そこで、水資源法と、この河川法との関係でございまするが、御承知のとおりに、水資源法によって、そういう需給計画を立てて工事を実施する基本になる水利権の制度というものは河川法によっているわけでありまして、この水利権制度を河川法によって基本的な対策を立てるというのがその関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/25
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026・鈴木壽
○鈴木壽君 まだあなたのおっしゃる後段のことは聞いておりませんでしたがね。現行の河川法をもってしては、水の総合的な開発、あるいは利用ということが十分行なわれない、したがって、その利用開発というものを進めるために、水資源開発促進法というものをつくった、私はこういうふうに理解しておりますし、この法律の目的を見ましても、第一条を見ましても、そういうふうになっておりますね。そうすると、これを現在のところ、これは企画庁のほうからひとつ、関係者においでを願っているつもりでございますが、いらっしゃるようでしたら……。当時水資源開発促進法を制定する際に、われわれが聞かされましたことは、現行河川法のたてまえはそのままにしておいて、しかし、なおかつ、それのみによっては不十分な点もあるから、この法律によって今後の水の開発利用というものをやっていくのだ、特に問題になっている、たとえば東京あるいは南関東のほうを中心とした水の問題、あるいは大阪等を中心としたそこら辺の水の問題、こういう問題はこの法律によって解決できるのだ、やるのだ、そのためには公団というものをつくって仕事をやっていく、こういう趣旨だったと思いますが、そのわれわれの理解については、誤りがないか、どうか、ひとつお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/26
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027・崎谷武男
○政府委員(崎谷武男君) 水資源開発促進法ができますときの、いまの鈴木先生のお話は、そのとおりであろうと思います。水資源開発促進法は、何と申しますか、河川の管理という現行河川法、その上に立って、新たに水資源の開発の事業をやっていこう、こういうことでございまして、そのいきさつ、理解は、先生のお話しのとおりだと私ども承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/27
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028・鈴木壽
○鈴木壽君 その場合にこの法律によって水資源開発をしていく場合に、現行の河川法の定めるところによる都道府県知事の管理権、これではどうしてもいけなくって、これは建設大臣がやっぱり管理権を持たなければならぬという、こういう点についてはどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/28
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029・崎谷武男
○政府委員(崎谷武男君) 水資源開発促進法ができましてちょうど二年になります。水資源開発促進法の所期いたしております水を広域に、かつ、緊急に開発をする必要があるというところで水系の指定から始まっていくわけであります。私ども水資源開発促進法の運用にあたりまして、管理権が知事にあることがどの程度の支障になったかという先生の御質問でございますけれども、二年間の運用で考えてまいりまして、やはり水系一貫ということは、水資源開発促進法でもうたっております。水系を一貫して開発をするということでございます。でございますが、旧河川法時代の管理体制の上に、木に竹をついだといってはたいへん言い過ぎかもしれませんけれども、やはり同じく河川の管理も、水資源の開発も水系を一貫してやっていくというほうが、よりベターであろう、ただいまそういうお答えができるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/29
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030・鈴木壽
○鈴木壽君 当時水資源開発促進法を出して、われわれに説明したその際とはそうしますと違ってきましたね。河川法のたてまえ、現行の河川法のたてまえ、それに不足な分はこれでもっていわば補完的な役割りを持たせる法律なんだと、そして緊急に必要な水をこれによって確保できるのだと、こういう説明であったと思って、いまそれをそういう理解がいいかどうかお聞きしたら、おまえの言うとおりだというふうにおっしゃっておりますが、そうすると、今度の河川法の改正は、知事の管理権というものを国が持つ、こういうことになってきておるわけでありますが——これは全部じゃありませんけれども、いわゆる重要な河川についてはそういうふうになるのでありますが、それがこの法律でぴたっと合うんだというようなことになってくると、当時の説明とは違ってきていますわね。これは管理権がどこにあろうが、水の開発利用というものをいわば国の責任でやろうということなんでしょう、違うんですか。その場合に必要な河川の水系を指定をしという、こういうことになると思うのですが、そういうふうに考えるべきじゃないのですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/30
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031・崎谷武男
○政府委員(崎谷武男君) 二年前に——二年ちょっとになりますが、水資源開発促進法ができますときに、先ほど先生のお話しのとおり私ども理解すると申し上げましたが、これは当時河川法の改正というのはまだ今日ほど日程にのぼっていなかった、ですから明治二十九年以来の河川法の上に立って水資源開発の促進を広域かつ緊急にやっていくと、こういうことのために事業法ができたわけでございます。ですから、そういうふうな当時の状況としては、管理体制はともかくといたしまして、ということになるわけでございます。私が先ほど申し上げましたのは、二年間の水資源開発の運用その他から見まして、その管理体制を水系を一貫して、明治二十九年のものを改めて新しい管理体制をつくっていくということでございますので、水資源開発促進のためにも水系を一貫して管理されるのが、よりベターであろう、現在、河川法の改正が日程にのぼっておりますので、いまとしてはそういうことが申し上げられると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/31
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032・鈴木壽
○鈴木壽君 現在までに指定されました水系は、利根川水系と淀川水系の二つだけでございますか。なおこれから指定をしようというふうに考えておられるところがありましたらあわせてひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/32
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033・崎谷武男
○政府委員(崎谷武男君) ただいまの段階では利根川と淀川だけが指定水系になっておりますが、昨年以来、さらに——水資源開発促進法ができましたときにすでに議論になっておりましたが、木曽川——木曽及び揖斐、長良の三川総合でございますが、木曽川それから四国の吉野川、九州の筑後川、こういった水系について、できるだけ早い機会に指定水系にしたいということで準備を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/33
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034・鈴木壽
○鈴木壽君 もう一度お聞きしますが、水資源開発促進法によって、まあ水資源の開発利用ということをやっていくには、別に現行河川法の規定にある知事の管理権というものを動かさなくてもこれは十分にやれると思いますが、その点をもう一度ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/34
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035・崎谷武男
○政府委員(崎谷武男君) ただいまの水資源開発促進法というのは旧河川法のときにできた法律でございます。でございますので、新しい河川法の中に——管理権が旧河川法のままで水資源の開発促進ができないかと申しますれば、できないとは私は言い切れないと思います。言い切れませんけれども、先ほども申しましたように、水系一貫管理、水系を一貫して開発するという意味からいきますならば、少なくとも新しくつくる法体系のもとに水資源開発をやっていく、これがよりベターであり、正しい態度だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/35
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036・鈴木壽
○鈴木壽君 じゃ、この水系の指定によって、利根川それから淀川の二つやっておりますが、東京都のいわゆる水不足に対処しての仕事をいまやっておられますね、こういうことについてもう少しく現況をお話しいただけませんか。矢木沢ダムとか、いろいろなのをやっておりますし、こういう点について実際の計画に基づいた公団の仕事ですね、それについて一体どうなのか。これについてひとつ現況をお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/36
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037・崎谷武男
○政府委員(崎谷武男君) ただいま水資源開発公団は三年目の事業年度になりますが、利根川水系におきましては、矢木沢、下久保の上流のダムのほかに、これから水を取ります利根導水路、印旛沼開発事業というものをいまやっております。それから、ことしから新たに利根川の河口ぜきの実施計画調査に入るということにいたしております。矢木沢ダムといたしましても——建設省から引き継いだダムでございますが、順調に進んでおりまして、ただいまのところは全体の五〇%程度まではできております。こういうふうに考えております。それから下久保につきましては、補償がほぼ片づきましたので、ただいま仮設工事、その他の準備工事もかなり進みまして、本体コンクリートの打設が四十年になりますが、その準備のための基礎掘さく等に着手しております。それから利根導水路のうち利根川のせきをつくります合口ぜき、それから利根川と荒川を結びます連絡水路、これにつきましては、まだ着手いたしておりませんが、荒川から水を取ります荒川取水ぜき、それから東京都の浄水場に持ってまいります水路、こういったものについては非常に順調に仕事が進んでおります。これはまあオリンピック開催ということもございまして、東京都の水不足にこの秋から十分な力を発揮できるものと思います。印旛沼開発事業につきましても、これは農林省から引き継いだわけでありますが、いま約四〇%程度の進捗状況を示しております。群馬用水につきましては、これは昨年十月に事業実施方針が示されまして、ことしの三月に実施計画の認可を受けました。今年度中に幹線水路、榛名幹線の一部に着手する予定でございます。それから関西の淀川水系でございますけれども、これにつきましては、すでに公団は長柄の可動ぜきの事業につきましては完成いたしまして、これから管理の段階に入る。それから奈良県の高山ダムでございますが、高山ダムにつきましては、補償の問題がようやく進みましたので、これも来年になりますが、来年の本体コンクリートの打設に必要な掘さく作業、その他必要な準備工事にことしじゅうにかかれると思われます。それから淀川水系につきましては、新たにことしから青蓮寺ダム、これはダムサイトは三重県でございますが、青蓮寺ダムの建設に、ことしから実施計画調査に公団が当たっている、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/37
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038・鈴木壽
○鈴木壽君 例として申し上げますが、いまのお話からいたしますと、利根川水系の問題、これは水資源開発促進法によって指定をし、さらに工事を進めていく、こういうことで工事ができ上がった場合には、東京都のみならず他の関係する地域の問題もありますが、心配ないような事態になる、こういうことだったと思いますが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/38
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039・崎谷武男
○政府委員(崎谷武男君) 大体昭和四十五年までの東京都の水の需要を想定いたしますならば、まだ矢木沢、下久保のダムのほかに、利根の河口ぜきとか、そういった事業をやらなければなりません。いまの段階では四十五年を想定いたしまして、私ども、つい先ほど利根川水系の水の需給計画につきまして、各県にも意見を聞きまして、セットしたわけでありますが、それによりまして、ほぼいま想定せられる利根川の河口ぜき、その他利根川の、なおこれから手をつける若干のダムもございますけれども、そういうものによりまして、東京の水はほぼ心配なくまかなえる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/39
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040・鈴木壽
○鈴木壽君 そういたしますと、まあいろいろ水の需要が多くなってきておる、そういう地域に対して、たとえば他の府県の知事が管理をしておる川、こういうところからでも、との水資源開発促進法によって河川の指定をし、工事を進めていけばその問題が解決はできるんだと、こういうことだろうと思うし、また、法律のねらいもそうであったと思うのであります。現在のところは利根川あるいは淀川だけしかありませんが、まあこれから木曽川であるとか、あるいは吉野川、筑後川こういうふうに広げていって、そこで計画を立て、工事をしていきますと、最近特に著しく需要が増大しておる水の問題、これは一挙にというわけにはいかぬけれども、少なくとも部分的にはこれは解決ができると、こういうことになると思うのでありますが、したがって、利根川の場合ですね、管理権を国で持たなければ一貫したそれができないとかなんとかいうことではないと思うのですね、それははっきり言って、建設大臣は自分のほうで握らなければだめなんだと、こういうことを言っておりますが、いまのままで管理権が都道府県知事にあっても、この法律の運用、活用、これによる仕事をやっていくことによってこれは十分目的が達成できる、特に利水の面ではこういうことになると思うのですが、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/40
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041・崎谷武男
○政府委員(崎谷武男君) これは、もう先ほどお答えいたしましたような考えといいますか、水資源の開発促進法が旧河川法の上に立ってできた、それをおまえたち現にやっておるじゃないか、それがどうして支障があるんだ、こういった砕いたお話しになりますと、それは私ども旧河川法、いまの河川法でございますが、その上に立って仕事をやれということでございます。水資源開発促進法ができたわけでございます。やっております。やっておりますが、もともと上流にダムをつくりまして、中流を通って下流の需要にこたえる、さらに下流にまた別の需要もある、従来からの水利もあるというような水の問題、非常に上流県、中流県、下流県と流れてまいります関係がございますので、私どもといたしましては、決してできないとは申し上げませんけれども、やはり上流、中流、下流を一貫したものが、治水だけでなく利水にも、ほんとうにあるべき姿としては当然そのほうが望ましい、こういうふうなお答えができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/41
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042・鈴木壽
○鈴木壽君 水系のいわゆる上流から下流までの、そういうものの一貫した計画を水資源開発法によってできるんでしょう、するんでしょう。管理権がかりにばらばらになって、群馬県からずっと下流の千葉、茨木辺まで分かれておっても、しかし、それはそれとして計画は一貫したものをつくるんですから、つくったものについて仕事をする、仕事の主体が場合によっては、多くは公団でやるでしょうが、しかし、他の地方団体等もやらなければいけないことも出てきますけれども、ですから管理権はどこにあるということではないのですね。しかも、何べんも言うように、管理権が府県知事のもとにあるのだということを前提にして、なおかつ、全般的な、総合的な、合理的な水の開発利用をしようという、こういう法律なんですから、単に感じの上で都合がいいとか悪いとかいう問題じゃないのです、これは。もしやらなければ、さっきのところでも大臣にちょっと言ったのですが、この水資源開発促進法の運用において、どうも怠慢であるのか、そういうふうに言わざるを得ないと思うのですね。それはいろいろなめんどうな問題ありますよ。私こんなこと言っても、地元におけるいろんなめんどうな問題あることは私承知しておりますけれども、しかし、それをいろんな調整をし、納得をさせてやれるんです、やらなければいけない。ですから、どうも管理権が国にあれば全部都合がいいのだ、しかも、今度かりに管理権がこれに引き上げられても、まだ部分的には都道府県知事が管理するようなこともできてくる、かっこうとしては同じじゃないかと思うのですね。言ってみれば、知事の意見を聞いたり、いろいろなことをしなければならないということで、意見どおりになるかならぬかはそれは問題があろうと思いますけれども。まあよろしゅうございます。私あまり自分の意見めいたことをここで申し上げても……。
私の言いたい、そして聞きたいことは、これは今度建設省のほうになりますが、こういうものがあって、なおかつ、何のためにいろんな無理をして管理権を持たなければならないか。しかも、その川が百以上百二十ぐらいまでというようなことに至っては、私はどうも考え方が納得できないわけなんです。そこで——局長さんよろしゅうございます。時間もありませんから。同じようなことで、多目的ダム法によっても、水の利用というようなことについてはできますね、これは相当。多目的ダム法、いま私一々条文読むことやめますが、やらなきゃいけない、建設大臣の権限として。しかも、繰り返して申し上げますように、管理権が知事にあったことを前提にして、こういうものをつくっているんですから、やれる。もう一つ申し上げますが、水の開発利用というようなことになりますと、一番大きくは、現在の国土総合開発法によってもやらなきゃいけませんし、やれるようにできてますね。こういうものを見ておりますと、どうも私大臣の言うことがわからぬのですがね。これは、まああとで大臣のときにもう少し聞きますが、なぜ現行法をもっと生かすようなことをしないか。現行法でやれば十分やれるものをやらないで、そうして権限を国のほうへ持っていこうという、こういう考え方、私はどうしても納得できませんがね。どうです。多目的ダム法あるいは国土総合開発法、これにある、こういういろんな規定、なぜこういうことを積極的にやらないのか、ひとつその点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/42
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043・畑谷正実
○政府委員(畑谷正実君) お話しもっともと思われますが、いまお話しのとおりに、水資源開発促進法、これは現在の河川法に従っておりますから、これは現に仕事はやっておるわけです。河川法の管理自体にしても、現在の河川法に従ってやっておりますが、そういう点においてやれないということはないのですが、現在の河川法ではまだまだもっと改良し、改善するところがあるじゃないかということころで取り上げておるわけでございます。水資源開発促進法によりましても、先ほど申し上げましたとおりに、水の需給計画を立てて、それが工事促進をはかるということでございまして、そこで需給計画を立てた水の配分、そういうものに対する水利権、いわゆる水利調整、そういうものが現行の河川法ではまだ不十分である、そういうものをもっとよくするというので、新しい河川法の構想が出ておるわけでございまして、そういう意味において、現在の不十分なやつを、この河川法の体系によって水利権の制度をやる、なおかつ、現在の水資源開発促進法がそれによって一段と促進されると、こういうことにわれわれ考えておるわけでございます。
それから国土総合開発計画、これにつきましては、これは水系という問題でございませんので、もっと広い範囲におきまする、いわゆるもっと広域的な水の計画というものが当然入ってくる。で、その中の水系における水の問題を、河川法によって十分管理調整をしていくと、こういうようなことで私ども考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/43
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044・鈴木壽
○鈴木壽君 あなた方が、国のほうで管理権を持てば簡単に仕事ができるというようなことを考えておるようでありますが、見ていると、どうもこういういろんな問題、それは何も現行河川法における管理権が知事にあることによって出てくる問題ではないんですよ、大体において。いかにも知事が握っておって放さないから、この問題が解決できないんだ、利水の面でもと、こういうふうにすぐおっしゃるのですが、そういうものじゃないんじゃないですか。一体東京都のほうは、何べんも申し上げますが、利根川の利用というような問題について、単なる、形は、あるいは知事が持っているからどうのこうのと言っているというふうに見えるかもしれませんが、そうじゃないのじゃないですか。それから水資源開発促進法等によってやるにしても、やればやれるのです、これは。知事があるいはどういうふうな権限を持っているにしても、さっきから聞いているようにやれるのでしょう。やれるものをなぜやらないかというのです、私は。そうして問題になる根本的な地方自治のあり方、このたてまえをくずすような、こういうことをなぜ無理やりにやらなければいかぬのかと、こういうことなんです、私は。多目的ダム法だってやれますよ。確かに国土総合開発促進法によれば、水利権ということはうたっておりません。しかし、あなたがおっしゃるようにもっと広範な国全体としての水の利用というものを、ぜひ計画を立て、それに従った仕事をしていかなければならぬというのが、この国土総合開発促進法のねらいなんです。それは繰り返して言うように、知事に管理権があるとか、あるいは建設大臣が持っているとかということじゃないのです、これは。利水の場合、たとえば、こちらの東京における上水道、あるいはその他工業用水の問題、こういうものを持ってくることによって、たとえば群馬県なり他の地域における農業用水なり、その他必要な水を一体どうするのか、こういう問題でまだ納得のできないところにいろいろな問題が出てくるのであります。そういう利水の配分計画というものを納得させ得るものがちゃんとできれば、これは問題はないですよ。利根川の水が現在利用されているものが一〇%とか一二%だけしかないと、こういうふうに言われております。まあ私正確なことはわかりませんが、かりに東京都へ持ってきてもそれが何%になるか、全部の水をこっちへ持ってくるわけじゃないのです。地元でも使える水はある、ちゃんと確保できるのですね、また確保しなければならぬ、そういうようなことが十分できて、計画として、あるいは実際工事をやっていく上にもそういうものがあって、そうしてあるいは管理の問題等もからんできますが、そういうものが解決できれば、何もそんなに管理権をたてに、それでも水をやらぬとかなんとかということを言っているのじゃないのですよ。これは十分あなた方、いままでの経緯から、これは御認識いただいていると思うのです。それを私は申し上げたい。現行法規をフルに活用する、それによって十分やっていけるものを、管理権がなければうまくいかないのだという、こういう考え方を私はとることができない、こういうことなんであります。局長、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/44
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045・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 問題は、現行法でいいじゃないか、できるじゃないかという御意見と、私たちの現行法は直したほうがよろしいという、私はここまでくると意見の相違じゃないかと思います。私たちは少なくとも現行法で、いままで河川、水等についてやってまいった行政、もしくは国民の多くの人々がこれを利用しようとする側にある、これらが今日の段階において広域行政のもとに、広域にこれを利用するということが今日国家の要請である、国民全体の要請であるという立場に立って、その目的を完遂するためには、広域行政の完遂できるようなふうに直すことが必要である、こういう私は世論の要求によってわれわれとしては考えた、こういうことに御理解いただきたいと思うのであります。もしそれを現行でやればいいじゃないか——決してだれもなまけておった人はないと思います。問題は、一部反対された知事さん、やれとおっしゃった知事さんというわけで、それぞれの知事の立場によって、あるいは賛成と言い、あるいは反対と言われた、こういうものはすべてそれらの点を具現しておると私は思います。したがって、反対された知事さんのその意見を十分われわれは承りまして、それらの反対された知事さん、それぞれの県の立場において御意見を申された人の立場、たとえば既存の水利権、既存の水利によるところの県の収入もしくは河川の水防、治水というような面に対しては、知事さんの御意見を十分尊重して、それらの知事さんの御意見を充足するように努力をするということについて、知事さんの御意見もしくは地元の県民諸君の御要請にこたえ、一方これをすみやかにやれという人に対しても、われわれとしては、これらの意味において十分国家的見地において調整するということが一番必要であろう、特にこれを強く意識いたしますものは、河川の実態を調査すること、そうして治水をさらに利水の面に将来理想的に上昇していくことが、われわれの河川行政、治水行政の、もしくは水行政の理想でなければならぬという意味合いにおいて、われわれは、本案をぜひひとつ御賛成をいただきたいといたしておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/45
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046・鈴木壽
○鈴木壽君 大臣から、意見の相違だからおまえたちはどうであれおれはおれだということになっては、これは話もこれでおしまいになるようでございますが、基本的な問題は、地方においての行政がどうなければならぬのか、こういう問題なんです。そういうことからこの管理権というものを私は問題にしているのであります。おっしゃるように広域行政、広域処理、これは確かに必要なのであります。それなしにはやっていけない。特にこういう問題、河川の問題等におきましてはそういう事態になってきておるんです。しかしその場合に、広域行政だから広域的に処理をしなければならぬ、あるいは利用しなければならぬと、だからこれを知事の権限にゆだねておいたんじゃいけないから国のほうで持つんだ、建設大臣が持つんだ、こういうことは、これは私ははっきり言って間違いだと思う。水の問題抜きにして地方の、たとえば府県の行政というものは一体考えられるか、考えられませんよ。河川行政というものがそもそも総合的なものであり、と同時に、都道府県におけるいわゆる地方行政というものは、これは総合的に行なわれなければなりませんし、その柱になるものは何本かありますけれども、その一つは、私は河川行政だと思う。その大事な柱をいま抜き取ってしまおうというんですから、その考え方は誤りだ、こういうふうに私は申し上げるのであります。世論かそれをやっておる——世論というものもこれはいろいろな世論はありますが、実態を、たとえば東京都の水不足を、群馬県知事ががんばっておって、管理権をたてにして水をよこさないんだという。そういうことじゃないんだということを、いわゆる世論と言われるが、その人たちは真相を知らないんですね。形の上だけで、管理権が各都道府知事に握られてばらばらになっているから、こういうことになってきているんだというと、それはけしからぬ、こういうことになるだけの話です。真相はかわらない。広域行政の問題は国が権力を握って、あるいは何かの力で総合的にやるということでなしに、地方自治団体の行政の中にいかにして総合的な処理をするか、総合的な広域的な処理をするかということなんです。しかし、これは、いまあなたとそういうふうな議論をしておっても始まらないと思いますが、私は、その問題は大臣のお考えが違うと思うのです。惜しいと思うのです。河川法そのものの手直しを私は必要だと思うし、しなければならぬと思うが、その中であなたが中心に考える管理権の問題というものは、どうしても私はあなたにとって非常に残念だと思っておるのです。どんどん仕事をするような、住民の要望にこたえるようにしようという、こういう意欲は非常に高く買うのですが、それをこの問題にかけておるという、こういうことになりますと、私はいま言ったように非常に残念だと思うのです、あなたの考えは。
実は時間もありませんから、いろいろ水利権等の問題についてもお聞きしてと思ったのですが、やめます。ただ、慣行水利権等の問題をよく考えなければならぬということは、この機会に申し上げておきたいと思うし、それから、いま一つは、河川法がこおいうふうに新しくなることによって、河川に関係する他のいろいろの法律がこのままではいけないのじゃないかと思うものがあるのですが、どういうふうに考えられておるのか、この点、これは局長からでもいいのですが、聞いておきます。たとえば、せんだって大臣は水防のことなんかでもと、こういうふうなことをおっしゃっておりましたね。水防法は、一体いまの管理権が知事にあるということを前提にして水防法は組み立てられておるのだ、これと一体どういうふうになるのか。治山の問題は一体どういうふうになるのか。これはいろいろ変わってこなければならぬと思うのですね。そこら辺どういうふうに考えられておるのか、ひとつお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/46
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047・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 治山、砂防、これらにつきましては、かねて私は建設省、農林省の間に調整をとりまして、そうして漸を追うて改正をしてまいりたい。長年にわたり両省所管の大臣のこれは意見の分かれるところでありまして、一気にこれを解決することはむずかしいことであります。たとえば、建設省の砂防の課長と農林省の課長との人事の交流をはかって、調整をはかってまいりまして、こういうふうにお互いに相手方それぞれの所管の理解をすることによって、あるときにひとつ抜本的に調整をしたいと考えて努力中でございます。
水防につきましては、御指摘のような考え方もあると思いますが、御承知のとおり、水防法は、基本の精神とするところは、沿岸住民諸君がみずから守るというところに発足して水防法が組み立てられておることは御承知のとおりであります。必要あらばこれらについても手直しすることは、むろんけっこうなことですが、まず基本になります河川法の改正をまずやりまして、順次必要があればそれを改正していくことは、むろんしなければならぬと思います。要は、水防のことでありますが、私は順次足固めをして、そうして日本の河川について、いかに水を利用するか、どの水をどういうふうに利用するか、既存の水利権を尊重しつつ、その水利権を充足しつつ、余剰の水をいかに利用するかということが、将来の日本の発展の基盤になるべきものだというふうに考えまして、ここに河川法によって十分河川の実態を調査する、そうして国家的にこれらの水の利用をしていくというところに将来の目標を打ち立てていきたいというように考えておりまして、治水は、いま言うとおり、完全な利水のもとに治水はあるけれども完ぺきなる利用ということを——多摩川等において見られる例がそれじゃないかと思います。こういうふうに、たとえば利根川につきましても、上流にダムを、多目的のもとにどういうふうにダムを分散してつくるか、そのつくったダムの利用はどういうふうに利用するかということを、国家的見地に立ってやっていくことが必要である。そうしてこれを完全にすることにおいて、私は利根川の水防についても相当の効果をあげることができるというふうに考えておるのでありまして、先ほど来群馬県知事の立場、地方行政等の関係においていろいろお述べでございましたが、そういう立場も十分考慮しつつ、決してそういう点をみだりに侵さないように努力してやってまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/47
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048・鈴木壽
○鈴木壽君 個条書き的に一つ二つであと終わりますが、地元の知事の意見を聞かなければならぬというのが、四条にも、そのほかのところにもありますが、指定をする際に、知事が困る、都道府県議会の議決が反対だというようなことが出てきた場合に、一体どうなりますか。それは、そういう意見があれば指定はやめますと、こういうことになりますか。——十分に意見を聞くというようなこと、その点が一つ。
それから水防法の問題ですがね、将来というようなことを言っておりますが、それから地方住民が自分たちを守ることが中心だからと、こういうことを言っている。自分たちを守るためには、河川もやはり自分たちが守っている形が一番いいんですね。そういうことから言っても、河川は別、自分の身を守ることは自分だと、こういうことも理屈としてはおかしいことなんで、だから、もしも河川法がこういうふうに変わるならば、やはり水防法もたてまえは、一体、いまのように知事に最高の責任を負わしているのですから、これでいいかどうかということは、これは真剣に考えなきゃいけませんよ。自分たちで守るから自分たちでやれと言ったのではいけないと思う。砂防法の問題にしても、一体、これは農林省との関係のみならず、河川そのものに関係してくることですから。それをみんな知事の責任においてやらせるようなことになっている、そういうものを、私はもっときちっとしておかないといけないと思うのですが、もう一度ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/48
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049・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 私も全国砂防協会の会長をいたしておりますが、砂防は知事の責任において一切まかしてある、そういうことはございません。直轄でやるほうが適当である、直轄でやってくれという要望があるものにつきましては、建設省直轄でやっております。私も協会長の立場でいえばそうでございます。現にそうやっております。したがって、必ずしもいまお話しのとおりじゃございません。
それからこの川の問題について、地元の反対があったらどうするか——反対のあるものはもちろんやりません。それはそうじゃない。逆に、何とかしてこれを一級河川にせいという、全国から御要望が多過ぎて、それで一体順位をきめるのに困るのじゃないかというふうに私は考えております。必ずそうなると私は確信いたします。だから県会で反対があったら、それを押し切ってやるか、そういう事態の法律ならば、法律は、私は不適当な法律だと思います。全国の世論は決してそういうものじゃないと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/49
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050・鈴木壽
○鈴木壽君 きょうはまあその程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/50
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051・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) 他に御質疑はございませんか。——御発言もないようでございますから、本連合審査会は、これにて終了することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/51
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052・安田敏雄
○委員長(安田敏雄君) 御異議ないと認めます。よって連合審査会は終了することに決定いたしました。
これにて散会いたします。
午後零時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614135X00219640610/52
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