1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年二月十八日(火曜日)
午前十時十六分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 北村 暢君
理事
石井 桂君
稲浦 鹿藏君
増原 恵吉君
武内 五郎君
委員
岩沢 忠恭君
小沢久太郎君
小山邦太郎君
高橋進太郎君
村上 春藏君
瀬谷 英行君
中尾 辰義君
田上 松衞君
国務大臣
建 設 大 臣 河野 一郎君
政府委員
建設大臣官房長 平井 学君
建設大臣官房会
計課長 吉兼 三郎君
建設省計画局長 町田 充君
建設省都市局長 鶴海良一郎君
建設省河川局長 畑谷 正実君
建設省住宅局長 前田 光嘉君
建設省営繕局長 建部 仁彦君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
—————————————
本日の会議に付した案件
○首都高速道路公団法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○日本住宅公団法等の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○建設事業並びに建設諸計画に関する
調査
(建設行政の基本政策に関する件)
(昭和三十九年度建設省関係予算に
関する件)
○派遣委員の報告
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/0
-
001・北村暢
○委員長(北村暢君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
先ほどの委員長及び理事打ち合わせの結果を御報告いたします。
本日は、初めに、去る一月二十九日予備付託になりました首都高速道路公団法の一部を改正する法律案、本月三日予備付託になりました日本住宅公団法等の一部を改正する法律案の提案理由の説明を聴取した後、前回行ないました建設大臣の建設行政の基本政策に対する質疑を続け、先般実施いたしました近畿地方における建設事業の調査につきまして、派遣委員の報告を聴取することにいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/1
-
002・北村暢
○委員長(北村暢君) それでは本日の議事に入ります。
首都高速道路公団法の一部を改正する法律案、日本住宅公団法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、提案理由の説明をお願いいたします。河野建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/2
-
003・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) ただいま議題になりました首都高速道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
来年度新規に着工いたします羽田、横浜線の建設に要する資金を調達いたしますために、国際復興開発銀行から外貨資金を借り入れることといたしておりますが、同銀行から外貨を借り入れるにあたりましては、債権者としての同銀行の地位の保護その他につきまして規定を整備する必要があります。
また現在、首都高速道路公団には管理委員会が置かれ五人の委員が任命されておりますが、新たに、羽田、横浜線の着工に伴い、出資する地方公共団体がふえますので、委員の定数もふやす必要が生じてまいりました。
また、監事の職務権限につきまして、規定を整備する必要が認められます。
以上が、この法律案を提案いたしました理由でございますが、次に、その要旨を御説明申し上げます。
第一に、国際復興開発銀行から外貨資金を借り入れることに伴い、同銀行に対する公団の債務についての政府保証、同銀行の債権についての優先弁済権、同銀行に引き渡す債券に伴う外国向けの元利金の支払い及び受領等について所要の規定を整備いたしました。
第二に、管理委員会の委員を二人増員して七人とし、そのうち、出資した地方公共団体の長の推薦にかかわる委員二人を三人といたしました。
第三に、監事は監査の結果に基づき必要と認めるときは、理事長または建設大臣に意見を提出できるものとしました。
以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/3
-
004・北村暢
○委員長(北村暢君) 次に、日本住宅公団法等の一部を改正する法律案の提案理由の説明をお願いいたします。河野建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/4
-
005・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) ただいま議題になりました日本住宅公団法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
改正の第一は、日本住宅公団が特別住宅債券を発行することができることとしたことであります。今日の住宅事情の改善のためには、低廉かつ良質な住宅の供給を増大することが必要であります。このため日本住宅公団の分譲住宅の建設資金の拡充をはかり、かたがた住宅需要者の住宅購入資金の積み立てを奨励するため、宅地債券制度と同様に、住宅購入資金の積み立ての制度を設けることとした次第であります。
このような考えに基づきまして、日本住宅公団は、建設大臣の認可を受けて特別住宅債券を発行することができることとし、この特別住宅債券を引き受けた者に対しては、公団が建設した住宅の分譲にあたり特別の取り扱いをすることとし、それに伴い所要の規定を整備したのであります。
改正の第二は、日本住宅公団及び住宅金融公庫の監事は、他の公団等の例に従い、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁または総裁を通じて主務大臣に意見を提出することができるものとしたことであります。
改正の第三は、住宅金融公庫の登記事項についての簡素化をはかることとしたことであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/5
-
006・北村暢
○委員長(北村暢君) ただいま聴取いたしました二法案に対する質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/6
-
007・北村暢
○委員長(北村暢君) 次に、建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題といたします。
建設行政の基本政策及び昭和三十九年度建設省関係予算について、河野建設大臣に対する質疑を続行いたしす。
質疑の通告がございまするので、この際発言を願います。瀬谷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/7
-
008・瀬谷英行
○瀬谷英行君 この前、予算委員会で大臣にいろいろ御質問申し上げましたが、十分に意を尽くし得ないまま終わりましたので、あらためて大臣の所信表明に基づいていろいろと御質問いたしたいと思っております。
一月三十日に、建設大臣の所信表明がございましたが、大都市への人口と産業の集中から引き起こされるいわゆる大都市問題と地域格差問題に対する広域的な観点からの処理が切実な問題になってきた、ということを言われておりますが、この人口と産業の集中から引き起こされる大都市問題は、今日住宅問題、交通問題、公害、上下水道、し尿処理等の面で多くの問題を起こしているのですが、広域的観点からの処理というのは、具体的には一体どうするのかということについて、大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/8
-
009・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) これまでも各方面からもだんだん御意見がありますように、私といたしましては、たとえば、首都圏整備委員会、近畿圏の委員会、これらの委員会等の御意見も十分拝聴いたしまして、そしてこれら大都市を広域的な見地から整備をしてまいる、たとえば住宅団地をつくり、工場団地をつくり、もしくは教育研究団地をつくるというようなふうにして、そして既存の大都市の整備をはかっていくという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/9
-
010・瀬谷英行
○瀬谷英行君 いま非常に問題になっておるのは、住宅問題並びにこの背景になっている土地の価格の問題ではないかと思うのでありますが、土地の異常な値上がりというのは、ちょっとほかの物価に比較してつり合いがとれなさ過ぎるくらい異常な値上がりを示していると思います。今日たとえば、全国知事会で発行されております「都道府県展望」というような本を見ましても、建設省で発行されておりますところの、発行ですか編集だかどっちかわかりませんが、建設省関係のいろいろな本を見ましても、新聞の社説におきましても、土地問題というのが非常に関心の的になっているということは、私から申し上げるまでもなく大臣がとっくに御承知のことなんですが、このような異常な土地の値上がりを抑制するということは、ゆっくりしていていい問題じゃないと思うのです。緊急に手を打たなければならぬことだと思うのでありますが、いままでのところ、土地価格抑制策に対するこれといったきめ手がないままに進んでいるというのが、現状のような気がするのでありますけれども、やはり思い切った手を今日打つ必要があると思うのです。その思い切った土地の価格の抑制策といいますか、そういうものは、大臣としてここではっきりとお示しにならなければならぬと思うのでありますが、その構想についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/10
-
011・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 御承知のように、土地の価格と申しますのは、他の物価と違いまして、その置かれておりまする環境等、もしくはその利用度と申しますか、非常に高低がある。また、そういうことでございますから、その土地が値上がりするには、値上がりするだけの理由があって値上がりするものもある。現に東京で申しますれば、ごく一部のところは別にいたしまして、環状線の中もしくは旧都市の住宅地の近くというようなものになりますと、私は、比較的上がり方が少ないのじゃないか。それに反して新開地でも、そこが商店街になり、利用度が高いというところは、非常に急に上がっているということでございまして、むろん全国的に見れば、値はそれ相応に上がっているということは言えますけれども、また、一部には全然上がっていないところもある。これは一体どういうことかといえば、その効用の度合いによって非常に違うということが言えると思うのであります。問題は、宅地に利用できる土地がどうかということが一番おもな問題だと思うのでございますが、これとても、需要供給の関係が一番大きなものじゃないか。需要供給の関係が原因をいたしまして、そこに仮需要が起こってくる、思惑が起こってくるというようなことから、いたずらに刺激をして必要以上に値上げを誘っておるということが言えるんじゃないかと思うのであります。これが抜本的な対策を立てなければいかぬじゃないか、われわれも実は何とかしてこれを押えるようにしたいものだ、適正な宅地を提供できるようにしたいものだということで、できる限り実は努力はいたしておるつもりでございます。もっと思い切って資金を導入して、宅地の造成を大規模にやるというようなことをするとか、もしくは先買いをして、そうして公団もしくは政府がこれを施設をして、分割をするというようなことをするとかすれば、ある程度効果があげられるのじゃないかと思いますけれども、これとても、予算に限度がございまして、そう思うにまかせません。私は、ある程度まで上がってまいりますれば、あとはここ数年のうちに道路交通整備が、相当に広範に住宅適地を提供することになれば、宅地の値上がりはとまるのじゃないかというふうに考えて、大都市の周辺の道路整備が一番必要であるというふうに考えて、目下道路整備に全力をあげておるということでございます。法律的にこれを、たとえば税の面で、もしくは思い切った法律によって押えるというようなことは、いろいろ議論はされますけれども、さて、これを法文化しようということになりますと、なかなかいろいろな既存法から制肘を受けます、もしくは社会のいろいろな影響等もございまして、抜本的な立案をするということには困難をいたしておるというのが現在の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/11
-
012・瀬谷英行
○瀬谷英行君 法律的に考えてみれば、たとえば憲法二十九条で所有権といったようなことが保障されているが、そのような憲法に多少違反をするおそれがあるのではないか、こういったような心配から出ておられるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/12
-
013・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 現状におきましては、御承知のように、法制局でそういうふうな規定をした法律案を整備することは困難であります。法制局が出すことは困難でございまして、なかなか提案の運びまでいくことはむずかしいことではないか、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/13
-
014・瀬谷英行
○瀬谷英行君 憲法の解釈なんですけれども、公共の福祉のためにというところに重点を置けば、私はその所有権の問題をそう苦にする必要はないのじゃないかという気がするのです。今日の日本国憲法が、じゃ、どのように解釈されているかというと、たとえば陸海軍のような軍備は、これは持っちゃいけないというふうにはっきり書いてあるのですけれども、そういう解釈だって、もうほとんど平気で踏みにじられているという状況です。私は憲法論争をやるつもりはございませんけれども、それらのことを考えると、この土地のように公共の福祉のために使わなければならないといったような性格のものは、やはり思い切った措置が必要じゃないかと思う。必要とあれば法律的な措置もやはりやらなければならぬのじゃないかという気がするのです。土地が投機の対象になって異常な、異常過ぎるほど異常な値上がりを示しているにもかかわらず、これに対して思い切った施策が講ぜられないということは、もう弁解の余地なく、これは政治の貧困ということになってしまうと思う。だから、やはりこれらの問題については思い切った対策をここで講じてみるということが私は必要だろうと思う。諸外国等の例をあげればどういうことになるか、私は詳しくは存じませんけれども、たとえば読売新聞等に書いてありますが、フランスのドゴールのほうは、地価の頭打ちといったような施策を実際に講じて成功しているというふうなことも出ているわけであります。フランスでできることを日本でできないということは、私はなかろうと思うのでありますけれども、諸外国では、一体この土地価格の値上がりというものはどのような状況を示しており、どういう対策を講じているのか、また、日本では、それらの諸外国の例を参考にして、何か所要の手続が講ぜられる準備があるのかどうかについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/14
-
015・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) ただいまのお話でございますが、私は、憲法の解釈もしくはこういう時代になったらばというふうな御発言がござしましたが、この種のものは、私も議席を持っている一人でございますけれども、社会党さんのほうでそういう御意向がありますれば、ひとつお話し合いくださって、議員立法でやっていただければ一番適当じゃないか。政府はむろんこういうお話は——私個人は、建設大臣としては、決してそれに異議を差しはさむものではございません。したがって、ひとつお話し合いくださって、両党あるいは三派で共同提案していただければ、一気に国会を通しまして、そうして規定していただくならば、一番うまくいくのじゃないかと思います。潜越なことを申し上げて恐縮でございますが、どうかそういう運びにしていただきますれば、私としてはしあわせでございます。
なお、諸外国の例については、政府委員から説明をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/15
-
016・町田充
○政府委員(町田充君) 外国の例でございますが、私どもも十分な資料がございませんので、詳細な御報告はできませんが、ただいままでのところで私どもが承知いたしております範囲では、たとえば西ドイツにおきましては、連邦建築法といったような統一した法制がございまして、これにつきまして、たとえば建築に適した宅地、建築適地において十分に利用されていないというふうな土地に対しては、空閑地税という税制を設けることによって宅地化への促進をはかる。あるいは、これはわが国でも、昨年の国会で御審議をいただいたわけでございますが、公的な鑑定士というふうな制度を設けて、権威ある地価の鑑定評価をやるというふうな制度があるわけでございます。また、イタリーでは、最近の立法でございますが、一九六三年に土地増加税というふうな制度ができまして、取得価額と譲渡価額というものを比較いたしまして、その差等額に応じて相当高額の土地の課税を課することによって地価の抑制をはかろうというふうな対策を講じているように承知いたしております。
私どもがいままで承知いたしております範囲では、大体そのような事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/16
-
017・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記をとめて。
〔速記中止〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/17
-
018・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記を起こして。
議事の都合により、先般実施しました派遣委員の報告を聴取いたします。田上委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/18
-
019・田上松衞
○田上松衞君 お許しをいただいてすわったままで行ないます。
北村委員長と私とが、去る一月十日から十三日まで、四日間の日程で近畿地方における建設事業の調査のため、京都、大阪、滋賀、和歌山、奈良の各府県管下の現況を視察してまいりました。
日程の内容から申しますと、第一日は滋賀県に参りまして、名神高速道路の米原隧道の工事状況、国道一号線及び二級国道一六一号線のバイパス計画の起点付近の状況、県工事施行中の琵琶湖大橋の現場等を視察いたしました。
第二日は、名神高速道路を通って、豊中インターから千里山に出て、大阪府並びに日本住宅公団が施行中の千里山ニュータウンの建設状況、午後からは、阪神高速道路公団施行中の建設工事、堺市臨海工業埋め立て事業の施行状況、国道二六号線等を視察いたしました。
第三日は、和歌浦片男波海岸の三十六年災害復旧の防波堤工事、海南港臨海工業埋め立て事業、紀ノ川の改修工事、国道二四号線五条市付近の改良工事並びに同路線の道路状況、奈良県橿原の新住宅新街地開発予定地域、名阪国道の計画路線等を視察、第四日目は、奈良市における都市計画並びに公園整備事業、建設省直轄施行の天ケ瀬ダム工事の進捗状況、国道二四号線等を視察。この間、地元府県、近畿地方建設局、各公団の関係者から事情を聴取いたしてまいりました。
次に、調査の概要と、一、二、所見を申し上げます。
第一は、琵琶湖大橋について、でありますが、同大橋は、湖西の堅田町地先から、湖東の守山町に至る橋の長さ千三百五十メートル、両岸の取り付け道路を入れると、全長二千五百八十六メートルを架設して、二級国道一六一号敦賀・大津線と、一級国道八号線及び名神高速道路の連絡を短縮し、あわせて、琵琶湖の観光開発に資せんとするものであります。本事業は、県事業で工費総額十四億三千万円、三十七年十一月着工、三十九年九月完成を目標として、現在すでに、二十七の橋脚の基礎鋼管くい打ちを終わり、上部工の作業に移ろうとしておるところであります。同橋は、産業道路としてよりは、観光道路の性格が強いように見受けられました。
二つ目は、千里山ニュータウンについて、でありますが、この地域は、大阪市の中心部から北に約十五キロ、吹田、豊中の両市にまたがる丘陵地帯で、ここに三百五十万坪を開発し、住宅約三万戸、人口十五万の新住宅都市を、四十一年までに建設しようとするものでありまして、大阪府企業局が、三十三年から事業計画に入り、三十五年度から本格的に工事が進められているところであります。現在、用地買収は、約二百二十万坪を終わり、約百四十万坪の宅地造成、道路の築造等が進められ、住宅建設については、府及び住宅公団によって、鉄筋・ブロック住宅等、約一万戸近く、すでに建設されております。
全体の土地利用計画は、道路二二%、公園緑地に二三%、住宅用地四四%、学校・保健センター等の公共施設用地に六・六%、商工業施設四%と区分され、七本の都市計画街路で十二の住区に分け、一地区単位、約三十万坪の一万人を想定しております。また、住宅の全体計画は、公営住宅八千、公団住宅一万、一般分譲住宅九千、協会住宅等が三千戸で、総事業費は、約六百億円であります。
千里山ニュータウンは、現在、わが国の住宅地建設としては最大の規模を持つものでありまして、新住宅都市としては、初めての事業ともいえるのでありますが、その事業は、一つ地方公共団体である大阪府によって企画実施され、その事業費は、大阪府企業局の三十八年度についてみますと、事業費二百六億円は、交付公債によって五十八億円、事業収入百三十億円のうち、府の一般会計繰り入れ四十億円で、国庫補助は、道路、公園等に一億円、上下水道の起債に十七億円という内容であります。いわば、この画期的な新都市の建設が、地方公共団体の創意と力によってつくられつつあるともいえる宅約三万戸、人口十五万の新住宅都市を、四十一年度までに建設しようとすわけでありまして、注目さるべきことだと考えます。
三番目に、臨海工業埋め立て事業について、であります。堺・泉北臨海工業埋め立て事業は、大阪府企業局の事業として、堺については三十三年、泉北については三十六年に着工、総造成面積は約六百五十万坪、事業総額は六百三十億円という計画であります。三十八年度までの事業進捗は、約五割、進出決定の企業は六十七社、造成地の引き渡し済みのもの、すでに四十社、現に十八社が操業中でありまして、工場建設中のものが十一社であります。全体計画での工場投資額は、約六千億円で、年間生産高は一兆円、ここに働く従業員数は約四万人と見込まれております。現在わが国保有のしゅんせつ船の約三分の一がここに集まりまして、月産五万坪の埋め立てが行なわれております。和歌山県海南港の臨海工業埋め立て事業は、三十五年に着手、埋め立てによる土地造成は約四十八万坪で、ここでの埋め立て費は、坪当たり八千五百円見当で、堺港での一万一千円、千里山の造成費一万円よりも低額を示しております。工業用水については、淀川水系の開発、あるいは紀ノ川・十津川総合開発事業により、将来の確保も可能とされておりますが、なお、今後に残る問題と思います。
第四番目に、道路について、であります。一級国道は、全般的には改良・舗装が進んで見受けられますが、和歌山・津市線の四二号線、紀南国道は、ほとんど未改良といってよく、まだ、国道二四号線の京都市伏見・南区の区域は、未改良が目立ちまして、ことに五条市付近の改良工事は、桜井寺ほか、一、二の補償の難航から解決に長い年月を要してきていることは、公共用地の取得に際して、あらためて一考を要するものと考えられました。また、一、二級国道で、改良・舗装がほぼ完成している路線でも、交通量の増大化で二次改良を行なうか、バイパス路線の建設を必要と考えられる個所が少なからず見受けられました。主要地方道と一般地方道は、たとえば滋賀県の例で見ますと、改良が六七%と二九%、舗装は一九%と五%といった状態で、きわめて低率な状況にございます。
名阪国道については、奈良県管内は県内経済事情と道路整備の状況から一般道路として築造し、大阪府及び三重県管内の区間は、道路公団の有料道路として計画されておるようでありまして、道路基準が同一の企画に立つものとしては、問題を将来に残すようにも考えられました。名神高速道路は、昨年七月開設以来、年末までの五カ月間の集計では、平均日量約八千台の利用が見られておりますが、トラック等の貨物車は比較的少ない数字を示しております。これは、まだ区間が栗東までであること、大阪市内への豊中、茨木両インターからの接続道路が淀川をはさんで交通難であること等に起因をいたしていると思われます。なお、事故件数がかなりの数字に達しておりますが、これは車種制限がまだ行なわれていないことに一因があるかと思います。
次に、奈良における都市計画並びに公園整備事業について申し上げます。奈良の市街地の現状は、街路が狭く、かつ駐車場の施設も乏しく、目下駐車場については、都市計画事業として二千台を収容し得る三カ所に建設を計画、また、街路については、交通の最も隘路となっている近鉄奈良駅前の道路約一キロの拡幅工事を近鉄の地下鉄乗り入れの計画で進めております。
奈良公園は、古く明治十三年興福寺境内及び春日野等、約四万四千坪の開設に始まりまして、その後、県立公園として拡張、現在は約百四十八万坪で、昭和三十一年、都市公園法の適用から、その国有地は国から無償貸付を受けているものであります。県としては、県立公園を中心とした第一次五カ年整備計画を立て、総事業費三億五千万円をもって実施していきたいといたしておりますが、おもな事業対象となる浅茅ケ原及び春日野付近の地域の事業費は、照明施設、道路舗装、水路整備及び便所の設置等に要するものであります。古都奈良への内外の観光客が、年間一千万人といわれていることを考えますと、公園施設のおくれている奈良公園の整備が、都市公園法に基づく三分の一の国庫補助の現状では、抜本的な整備の実施はきわめて困難であり、民族文化の誇りの点からも国としての特段の配慮が必要かと思います。
なお、河川の総合開発については、淀川水系総合開発の一環として着工されておりました尼ケ瀬ダムが、昨年末でコンクリート打ちを終わり、また、高山ダムも、久しく補償問題から難航してきた測量調査が、昨年末だいぶ妥結し着工される段階になりましたが、詳細については省略させていただきたいと思います。
ただ、近畿地方の水資源開発や道路整備等の建設事業について、県民所得や生産力の格差等を考えますと、現在の行政区域が一つの障壁をなしているときの感を深くしたことをつけ加えておきたいと思います。
最後に、地元からの要望を若干御報告しておきます。
要望の最も多いのは道路関係でありまして、一級国道については、四二号線の早期改築、第二阪和国道の早期整備、二四号線の奈良街地のバイパス道路の建設、九号線の丹波町・夜久野間及び老ノ坂トンネルの改良、一号線牧方国道及び宇治国道の整備促進、一号線と名神大津インター取り付け道路との立体交差等を要望いたしております。二級国道につきましては、一六一号、大津市阪本町から名神京都南インター間のバイパス道路の建設、一六五号、大和高田バイパス道路の建設、高槻・橋本線の早期改築等でありますが、また、第二阪奈道路の建設、阪神工業地帯から福知山・舞鶴市を経由、敦賀に至る近畿縦貫高速自動車道の建設計画の推進が出されております。補助事業道路につきましては、いずれの府県も、事業費のワクの拡大、あるいは国道への昇格を訴えておりました。
河川関係におきましては、紀ノ川改修工事の早期完成、五条市上流の吉野川の直轄施行区域の延長、大和川及び野州川の直轄河川の改修促進、大滝ダム及び入之波ダムの建設等が要望されております。
その他、福知山市長田野工業地帯速成事業の推進、橿原新住宅市街地建設計画に関する資金の融通、公共事業費のワクの増大と、地方の財政の拡充のための財政措置等が要望されておりました。
以上で、概要でありますが、報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/19
-
020・北村暢
○委員長(北村暢君) ただいまの報告に対し、質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/20
-
021・北村暢
○委員長(北村暢君) それでは大臣に対する質疑を続行いたします。瀬谷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/21
-
022・瀬谷英行
○瀬谷英行君 大臣も時間の都合があるようでありますから、私の質問も、問題をしぼりたいと思います。何といっても現在の土地問題は、非常に深刻な社会問題を提起しておる現状でありますから、現状分析についての調査を十分に進めなければならないと思うのであります。一体、それらの調査というものが、どこを中心にして、どのくらい進んでおるのかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/22
-
023・町田充
○政府委員(町田充君) 新しい宅地の需要につきましては、倍増計画でも、一応の規模といたしまして、五億坪というふうな数字を出しておるわけでございますが、その後の社会経済情勢の変化に伴いまして、はたして五億坪でいいものかどうかというふうな観点から、私どもは、今後人口、産業の配置状況というふうなものを想定いたしまして、それに基づいて新たに、どこに住宅団地としてどのくらいの規模のもの、工業用地としてどのくらいの規模のものが必要であるというふうな計算を、全国について現在検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/23
-
024・瀬谷英行
○瀬谷英行君 その結論は、いつごろまでに出されるつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/24
-
025・町田充
○政府委員(町田充君) おおむねの試算はでき上がっております。これにつきまして、御承知のとおり、政府でも倍増計画のアフター・ケアの作業を現在始めておりますが、その作業と並行して、私どもの試算もあらためて検討したい、こういうことで勉強いたしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/25
-
026・瀬谷英行
○瀬谷英行君 今日の土地問題というものは、私は高度経済成長政策の大きな忘れものじゃないかと思うのです。こういうふうに、たとえば設備投資等に非常に重点が置かれる、そうなると、宅地の問題、あるいは工業用地の問題、したがって交通問題、上下水道の問題、いろいろな部門に波及するということは、もうあらかじめ予測されなければならなかった。そういうことが一体予測されなかったものかどうか、もし予測されなかったとすれば、これはやはり手落ちだろうと思う。今後の対策、それから事前のこれらの地帯に対する予測ができなかったかどうかというような点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/26
-
027・町田充
○政府委員(町田充君) 倍増計画で想定いたしました五億坪という数字が、その後の実績の検討によりますと、計画自体に相当予見されなかった要素が出てまいります。たとえば、端的に道路の問題にいたしましても、倍増計画策定の際に予想いたしました自動車の保有台数あるいは交通量、そういうものと相当に計画と実績との差異が出てまいっております。そういうことで、この新規の宅地需要の問題にいたしましても、計画策定時以後におきます民間産業の異常な成長、高度の発展、それによりまして相当な違いが出てきておる、そういう現実を踏んまえまして、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、倍増計画の数字にとらわれない試算を現在検討中であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/27
-
028・瀬谷英行
○瀬谷英行君 宅地に対する思感的な需要が非常に増大をしておるということ、投機的な需要が非常に増大をしているということ、これらが結局一部の地主であるとか、あるいは不動産業者であるとか、土地ブローカーだけの土地ブームを形づくっていると思うのであります。こういう一部の人たちの利益にしかならないような、したがって、大多数の国民が迷惑をするような意味での土地ブームには、水をかける必要があると思うのです。そのためには、住宅についての安心感を一般の国民に与える必要があると思う。つまりここでもって目の色を変えて土地をあさったり、家をつくることを考えたりしなくても、政府の政策によって、住宅というものは、そう個人々々が心配しなくても何とかなるといったような安心感を与えるということが先決だろうと思うのでありますが、今日の住宅計画等が、はたして国民に十分な安心感を与え得るものであるのかどうか、はたしてそれだけの対策がこれから進めていかれるのかどうか、これらの点についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/28
-
029・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) お話のように、私も、できることならば、これから、すでに測量し、着手に入っております道路の沿線に、この程度の住宅宅地適地がある、この方面にこういうものがあって、どのくらいあるのだというようなものを、あわせてこれを発表して、そしてこれを誘導するということにいたしますならば、相当ばく大な利用可能なものができてくる。しかも、それと大都市との関係等を詳細説明いたしますならば、供給の面が非常に大幅に増大する。これを大幅に増大することが、とりもなおさず、水をかけることになるだろうというような意味におきまして、御承知のように、私が一番期待を持っておりますのは、東京・高崎線、いままで全く利用の方向に考えられていなかったこの方面の山ろく地帯を、しかも、いずれも一時間以内で東京に到着できる相当膨大な住宅適地がある。しかも、今日まだ非常に安い値、価格で入手できる。これを思惑をする者が買っていくには非常に広過ぎる。これだけあるならばという気持になってくるだろう。そういうふうなものを順次にやっていくことが必要だ。そういう意味で、東京の周辺に、いま三つの大きな柱を立てて、それをせっかく、明年度あたりには一般の人にもぼつぼつ得心のいくように、具体的にあらわれてくるということにいたしたいと、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/29
-
030・瀬谷英行
○瀬谷英行君 大臣が「これからの国づくり」という。パンフレットを出しておられます。ここに述べておられることは、これは、もう別に社会党とか自民党とかというイデオロギーの相違によってとやかく言う性格のものじゃなくて、土地の利用であるとか、あるいは住まいの問題とかという、これはもう共通の問題でありますが、このパンフレットに書いてあるような構想は進めなければならぬと私は思うのです。しかし、その場合に一番障害になるのは、たとえば、すべての公共予算が土地の価格の異常な値上がりによって食われてしまう、挫折をしてしまうということが、私は一番おそろしいと思う。この中でも、ニュータウンの建設であるとか、あるいは国土縦貫道路といったようなことも述べておられます。ただいま大臣が言われた東京周辺に安い土地を——安い土地といっても、そのうち高くなるかもしれませんけれども、発表になれば、新産業都市でも、指定になったとたんにうんと上がってしまったという話があるのでありますが、それらのニュータウンを首都圏の中に早急に建設をして、それから道路についても、いま東京・高崎間のお話がありましたが、縦貫道路だけではなくて、本州の横断道路をもこれは設置をする、こういうふうな構想がおありならば、その点はやはり明らかにしてもらって、そうして便乗をして、その土地の値上がりによってうまい汁を吸うような人間の介在を許さない、こういうようなことをもはっきりさせる必要があろうと私は思います。その意味で一番大事なことは、土地のあり方だと思うのです。先ほど大臣が、これらの問題については議員立法でもって、そうして社会党も自民党も、あるいは各派共同でもって議員立法も考えてもらえばいいのじゃないかというお話がございました。その前提となるのは、私は、保守党の考え方を社会党のほうに歩み寄らしてもらわなければいかぬだろうと思うのです。ということは、ごく一部の地主の利益を守るということを優先にしておりますと、土地問題は私は解決つかぬと思うのです。土地というものは、極端に言うならば、公有という方向にもっていかないことには、日本のように限られた面積、相当密度の高い人口を持っている国は動きがとれなくなるということは、だれが見たってはっきりしていると思う。そういう意味で、一体保守党の立場でも、この土地問題については、公共の役に立てるということを優先的にするという考え方に立ち得るのかどうか、その点が私はその議員立法を考える場合にも先決になってくると思うのでありますが、その点についての考え方を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/30
-
031・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 最初にお話しになりましたように、こういう問題の解決は、イデオロギーではない、この点が一番大事だと私は思います。原則を公有——公共用途に供する場合には、国有であるべきが前提であるということになりますと、われわれは、必ずしもそういうわけにいかない。しかし、それが公有——公共の用途にするために絶対に必要なものについては、私権はある程度制限を受けることが適当であるという程度の、例外として適当であるという意味ならば、私はそこまでわが党としても入り込んで一向差しつかえない、こう私は思うのであります。そこは、問題は原則としてこうだということになりますと、そういうわけにいかない。しかし、双方ともそういう意味で妥協する点が、私は話し合っていただくならば、あるのじゃないかというような一これはそこまで私は申してははなはだ僭越でございますけれども、そういう気持ちがいたします。私は、いまお読みいただいておりますそのパンフレットは、今年の予算編成の際に、この程度の公共投資をして、この程度のことをやらなければなかなかうまく世の中がいかぬというような御認識を得るために、実は緊急にしたためまして、政府部内もしくは衆参両院の皆さん方にお読みいただこうと思って出したわけであります。残念ながら、予算をいよいよ最終的に決定いたします際には、それ全部を実行するだけの予算、公共投資の額を予算に計上するに至りませんでした。しかし、ことしは御承知のような経済事情にあるのでございますから、やむを得ぬといたしましても、私は引き続き、たとえば道路にいたしましても、一応四兆一千億をもって五カ年計画を立てておりますけれども、これが今後五カ年間変えないという意味じゃない、来年でも、経済界の事情の変化によりますれば、たとえば道路公債の発行も可能になれば発行すべきである、また、一般会計からも繰り入れのできるようになれば、繰り入れもさらに増額すべきである、そしてより急速にこの五カ年計画を実行する、もしくは五カ年計画をさらに改定して、そして大きなものをやらなければならぬ、どうしてもわが国の実情からいたしまして、われわれの最初に意図いたしました、さしあたり五カ年間に五兆程度の予算をもってつくるのでなければ、とうてい、五年先のことを考えまして、いまの四兆一千億でこのまま五カ年間が経過することは適当でないと考えておりまして、この点は、予算編成の際にも、大蔵大臣と話し合いまして、今後の財政事情の変化によっては、あらためて考えるという申し合わせをいたしておるわけでありまして、できるだけ大幅な予算を計上いたしまして、そうして公共投資を大幅に増大して、一般の庶民が安心のいくようにして、そうして道路に付随して一般の未利用地の利用ということに進んでいくべきだ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/31
-
032・瀬谷英行
○瀬谷英行君 ほかの問題もございますけれども、別の機会に譲ることにいたしまして、きょうの質問はこれでやめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/32
-
033・北村暢
○委員長(北村暢君) 田上委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/33
-
034・田上松衞
○田上松衞君 すわったままで申し上げますが、きわめて露骨に申し上げまして、自民党の七月の総裁改選、さらには、次期政権担当者問題に直ちに響くであろうところの、おそらく今年末ごろと予想せられる衆議院の選挙等、こういうものまでも思惑に入れまして、自他ともに認められているところの実力者河野大臣の今回の建設行政の基本政策に関する所信表明、これくらい国民の各層から関心と注目を集めた例はおそらく少なかっただろうと冒頭に感ずるわけであります。私ども、また異常な注意と興味を深めまして検討を重ねてきたわけでございまするが、文章の中に表現されるところの大臣の時局認識、あるいは情勢の分析、さらには着想、計画策定の方向といいますか、こういうものについては、変な言い分ですけれども、とかく、いままでの事なかれ主義のものや、あるいは他の各省に見るような、雨が降ったらかさをさしましょう、程度のああいうようなものと違いまして、さすがにやはり河野大臣だけあるなという感じを率直に受けたわけです。だけれども、具体的な内容についていろいろ見てみますると、なお幾多の疑問、あるいは言い過ぎになるかもしらぬけれども、不満さえ感じずにおられない。こういうわけで、すでに他の委員からいろいろな角度からの質疑が行なわれたことでありますけれども、あえて数点について、これは大臣に対してだけ、御方針だけをお伺いしておきたい、こう思うわけです。ただし、先刻から承っておりまする大臣のきょうのきわめて制約されております時間の都合等を考慮いたしまして、問題をしぼって簡潔に、露骨に申し上げますから、大臣もしたがってまた率直に飾らずに、そして要領よく御答弁いただきたい、これは前置きです。
新道路整備五カ年計画の一つのことといたしまして、地方単独事業を、現行の五カ年計画の三千五百億円を一躍二・四三倍の八千億円に伸ばしている。これは一般道路事業を、現行の一兆三千億円を一・六九倍の二兆二千億に引き上げたことに比べると、これはもう言うまでもないたいへんな高率でありますが、なお、有料道路の四千五百億円を二・三倍の一兆一千億円に改めたことと比較いたしてみましても、なおかつ一〇%も多いという伸びを見積もっておられるわけでありますが、このことは、地方財政の現実を考慮しないというよりも、露骨に申し上げますと、むしろ目をそらしてしまった非常に不当な、極言するならば、残酷と言ってもいいような計画ではないかという感じをするわけであります。もっとわかりやすく申し上げますと、三十八年度九百三十億円であった地方の単独事業は、三十九年が実に千二百四十億円に飛んでしまっておる。この伸びは、言うまでもなく三二%増であります。これを直轄事業負担金及び補助事業負担金等の伸びの二二%と比べますと、明らかにまた一〇%増大しておるというわけでありますが、地方といたしましては、国の直轄事業でも四分の一の負担をさせられます。補助事業であっても、最小限四分の一、大部分は二分の一の負担を必要とされている現在の制度の中で考えてみますと、大多数の経済的苦悩の地方が何とか地域格差を縮めたいことのために、背に腹は変えられぬからという思いで、四苦八苦をおおい隠しまして、無理に事業を要請しているのが偽りない私は実相だと考えているのであります。それなのに、さらに単独で、三十九年度中に一子二百四十億円という巨額を容易に負担することがはたして可能であろうかどうだろうか、この疑問でありますが、この点どうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/34
-
035・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 結論から申し上げますと、先ほどお話しになりますとおり、地方財政が相当好転しておるということ、そのために、大蔵省、自治省等とも十分打ち合わせをいたしまして、この程度ならば消化できるだろうということで、結論として、この数字をとりました。
内容から申しますれば、これも御承知のとおり、各府県から建設省に要求して、これもやってほしい、あれもやってほしいと要求しておりまするものから見ますれば、まだまだ少ないのじゃないかというふうに考えまして、私は、これも御承知のことと存じますが、従来の各府県の事業割り当てを、毎年予算が何%ふえたから、前年度に比して、何県は何%増の事業の割り当てをしていくというふうにやっておりますものを、今年は全然新しい角度に立って、そうして県の面積、人口、財政等をおもなる要因にいたしまして、何県にはどの程度の仕事をすることが適当であるかといふうな角度に立って予算の割り振り、事業の推進をしてまいりたいと考えておるのでございまして、特に、一番私として考えたいと思っておりますことは、かねて申し上げておりますとおり、一級、二級国道はもちろんのこと、主要県道に至るまで、四十五年ぐらいまでには全部舗装しようということで考えておりますので、相当のスピードで仕事をしてまいりませんと、そういう結論にならない。少なくとも、おもなる道路は、全国的に全部舗装だけは終わろうというふうに考えておりますので、こういう数字でいきたい、こう思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/35
-
036・田上松衞
○田上松衞君 私がお伺いしておる要点は、どういう地域をどうするかということよりも、むしろ道路事業というものに対しまする考え方を、いわゆる地域格差を何とかして早く縮めなければならないんだというその角度から実は申し上げておるわけであります。いまお話しになった点は、もちろんよくわかっております。それから、よけいなことですけども、いろいろこのことのために財政措置を一応講じておられることも、よくわかるわけです。しかしながら、これらについては、幾多の不確実性がやはりひそんでおるのだ、きょう時間がございませんから、ことに討論でないのですから、意見は省くことにいたしますけれども、いずれにいたしましても、大きな不確実性というものがひそんでいることを見のがしてはならない。したがって、もしこの負担に耐えられないという地域だけは、これは当然単独事業というものは完遂できないというところにおちいってしまうということをおそれるわけです。しかも、この場合では、負担の可能の地方と負担が困難だという地方との、いわゆる所得格差は、いよいよますます拡大する結果を招いてしまうということにはならないか。この点をおそれるので、その角度からお伺いしているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/36
-
037・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 御心配も、むろん、そういうことを考えなければならぬと思いますけども、一応自治省のほうと打ち合わせをし、また、各知事さんの御要望にも一々御懇談申し上げまして、この程度でいくのでなければ、むしろ地方の要請にこたえぬのではないか、ただし、先ほどもお話しになりましたように、奈良県のごときも、新たに非常に大規模な道路工事をやります。こういう場合には、自治省のほうから、単独で公債をひとつ認めてもらうというふうにしてやるとかいうふうな方法を講じなければならない場合も出てくると思いますけども、いずれにしても、いまお話のように、ますます地域差が出てくるものでございますから、それを、いままでのような終戦後の数字をそのまま積み上げていったんでは、だんだん格差が大きくなってくるということも考えつつ、実はここら辺で思い切ってやりかえてみよう——いままだ具体的に申し上げるのは早いかもしれませんけれども、先ほど申しましたとおりに、きょう道路審議会の御参集を願って、道路法も、今後できれば、私はこの国会までにまとめて道路法の根本的な改正をして、そうして河川と道路と両々相まってひとつ新しい角度に立っていきたいというくらいに考えているのでございまして、このくらいの数字を消化していくことは、いまの地方の財政で十分可能じゃないか。実は、御承知のとおり、五カ年間五兆円を一応やりたいという数字を持っているのでございます。それが一応の数字で、約九千億ほど一応減しておりますというようなことでございますから、この程度ならば、まだそんなに府県のほうは、これでひどく難儀されるような現在の府県の経済事情じゃない、こう私は思います。ただし、県によりまして、非常に道路に熱心な知事さんと、比較的ほかのほうの好きな知事さんとおいでになりまして、これはしょうがありませんけれども、それにしても、だんだん最近は、どこの知事さんも、とにかく道路といえば、幾らでも私のほうは消化しますからと言ってお見えになるのが実際の状況でございます。まあ私としてはぜひひとつ消化して十分にやってもらいたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/37
-
038・田上松衞
○田上松衞君 いまお答えになりました見方、それは一面確かにそういう状況にあることはよく承知しております。ただし、先刻申し上げましたように、とにかく各府県の間でも地域格差を何とかして早く縮めなければならぬ、そこで、背に腹はかえられぬ思いで要請しているのだという、その点だけはお忘れないようにしていただきたい。
この問題については、いろいろ地方財政のそれぞれの見方について相違がありますから、どこまでいってもこれは平行線になってしまうから、これはこのくらいにしまして、ただこの際、きょうあとで、お急ぎになっております道路審議会等の問題があるようですから、ちょっとここで付言しておきたいと思うのです。有料道路の建設に関する基本的な考えといいますか、これについて意見をまじえつつお伺いしておきたいと思うのですが、新道路整備五カ年計画では、現行の、さっき申し上げましたような四千五百億円を大きく一兆一千億円に引き上げていった、これは一般道路の新計画の二兆二千億円のちょうど半分に当たるわけでありまして、全額の面で申し上げると、まさに一般道路の半分が有料道路ということになるともいえるわけです。事ほどこの問題は大きな問題だと思うのであります。
そこでお伺いしておきたい点は、一体有料道路というのは、鉄道に対しますところの補佐的な性格のものだとお考えになっているか、あるいは、そうではなくしてむしろ主体的な性格を強く持たせなければならぬというふうにお考えになっているか、どっちであるかという点を先にお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/38
-
039・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 申し上げるまでもなく、欧米各国におきましても、すでにただいまお話しになりました後者の性格をもっていずれも計画、意図されているように了承します。日本におきましても、そういう方向にいくべきものではなかろうか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/39
-
040・田上松衞
○田上松衞君 御答弁の中にあります後者のものの性格、すなわち、主体的な性格を強く持たしたほうがよろしいということだと受け取れるわけです。そうしますと、大臣が言われるところの、今後ほぼ二十カ年にわたって建設行政の指針となるような国土建設のビジョンを描いて、これを道路等の長期計画策定の基礎としたいという意味の構想を出しておられるわけですが、いまのお説からいいますと、単に五カ年計画でなくして、もっと、おっしゃるところの高度な性格を持たすと、二十カ年間にわたる、これは大まかでもいいから、その構想の一端を示してもらわないと、事道路に関する限りは、二十カ年じゃなくして新五カ年計画だという感じを受けてしまいますので、ここに若干の不安を感ずるわけですが、時間もないことですけれども、大まかなことだけでも御披瀝願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/40
-
041・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) もちろん五カ年計画で完成いたしまする有料道路——まあその他の道路も同じでございますけれども、一般道路は、先ほど申し上げましたように、昭和四十五年までに一応の舗装は終わろうとしております。それからさらに必要なものを整備していくというようにやってまいるというつもりでございますが、有料道路にしてみますれば、この五カ年計画に四兆の程度をもってしましては、わずかに東京・大阪間、いまの東名を完成するということ、それから中央道におきましては、吉田辺までができ上がるということ、その他の、たとえば九州の縦貫、中国の縦貫もしくは東北縦貫にいたしましても、わずかにその緒につくにすぎない程度の金しか見込むことができないと私は思うのでございます。もちろんこれだけでならないので、裏と表をつなぐ道路も、少なくとも三本や五本はつくらなきゃならぬだろうというようになりますし、さらに四国と本土との関係を結ぶ明石大橋もかけなきゃならぬでございましょうし、さらに九州と本土との関係、下関のところの道路も、すでにトンネルが狭くなっておりますから、橋もかけなければいかぬでございましょう。こういうふうなものを、さらにこの五カ年計画を改定したものに引き続いて、当然われわれとしては第二次五カ年計画、第三次五カ年計画というものをつくらなければならぬと考えております。しかし、いま二十カ年計画として想定いたしておりますものは、これが十カ年計画にいたしましたときに、これではたしていいかどうか。むろん、大幅の改定が必要になってくるでしょうと思いますけれども、一応のめどとして、こういうふうな日本を想定して、この道路をつくっていく、ここらを優先的にやるということを、現在考えられる可能な範囲において、これから優先してやっていくものがあることは必要だろうということで、一応二十カ年のビジョンを想定しておるわけでございます。これについてのもし御説明をということでございましたら、ほんとうの素案でございますけれども、一応運輸省の御意見も承ってまとめたものがございますから、委員長さんのお計らいで、適当な時期にひとつ図表等も差し上げて、事務局から詳細説明する時間をちょうだいできれば、御説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/41
-
042・北村暢
○委員長(北村暢君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/42
-
043・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記を起して。
河野建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/43
-
044・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) かねて、委員長さん、その他の委員の方から、戸塚の古いバイパスを無料にしたらどうだという強い御要望がございました。私といたしましては、有料道路の取り扱いについて慎重に検討いたしてまいったのでございますが、大阪におきまして、鳥飼大橋を無料にしたいという強い府のほうからの申し出がございます。で、これらについて、大蔵省その他と慎重に打ち合わせ検討いたしました結果、鳥飼大橋につきましては、一部大阪府のほうにおいて負担をしていただくということにして、ごく近日にこれは無料にすることにする方針でございます。引き続き、戸塚のほうも、年内適当な時期になおよく精算いたしまして、古いほうを無料にするという計らいをいたすつもりでございますが、この機会に御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/44
-
045・北村暢
○委員長(北村暢君) 大臣に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/45
-
046・北村暢
○委員長(北村暢君) 次に、先ほどの派遣委員の報告に対する質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/46
-
047・田上松衞
○田上松衞君 お断わりいたしましたように、いろいろ時間等を考えまして、きわめて要点を、私から申し上げますと、きわめて要領よく御報告申し上げたつもりでございまして、大体おわかり願ったんじゃないだろうかと実は考えるわけなんです。あと、いろいろになりますとお互いの質疑ではなくして、いろいろ考え方から、討論等にわたるようなことがあってもどうかと考えますので、もしお許し願えるならば、報告をそのまま御承認いただきたいものだ、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/47
-
048・北村暢
○委員長(北村暢君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/48
-
049・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記をつけて。
本日はこれをもって散会いたします。
午前十一時五十三分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00619640218/49
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。