1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月二十四日(火曜日)
午前十時五十分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 北村 暢君
理事
石井 桂君
稲浦 鹿藏君
増原 恵吉君
武内 五郎君
委員
岩沢 忠恭君
小沢久太郎君
熊谷太三郎君
小山邦太郎君
高橋進太郎君
村上 春藏君
小柳 勇君
瀬谷 英行君
田中 一君
中尾 辰義君
田上 松衞君
国務大臣
建 設 大 臣 河野 一郎君
政府委員
建設政務次官 鴨田 宗一君
建設大臣官房長 平井 學君
建設省住宅局長 前田 光嘉君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
説明員
厚生省年金局資
金課長 河原 輔之君
参考人
東京商工会議所
調査部長 田原 大千君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○産業労働者住宅資金融通法等の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
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001・北村暢
○委員長(北村暢君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
先ほどの委員長及び理事打ち合わせ会の結果を御報告いたします。
初めに、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたし、次に、産業労働住宅資金融通法等の一部を改正する法律案に対する質疑の後、討論、採決を行なう予定であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/1
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002・北村暢
○委員長(北村暢君) では、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案の審議のため、東京商工会議所調査部長田原大千君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/2
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003・北村暢
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
それではこれより本日の議事に入ります。
産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
参考人に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中のところ、まげて御出席を賜わり、厚くお礼を申し上げます。
つきましては、本案に対する忌憚のない御意見を拝聴いたしたいと存じます。
それでは本案の質疑に入ります。
なお、政府側出席者は、鴨田政務次官、前田住宅局長、厚生省より、年金局曽根田年金課長、同じく河原資金課長が見えております。
御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/3
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004・田中一
○田中一君 私は、この法律案が一応従来のものよりも前進しているというような印象を受けておるのでありますが、ただ、この産業労働者住宅資金融通法の制定当時のことを考えてみますと、これは、まことに粗末な成立過税を経ているものであって、労働組合等が、政府に預けてあるところの厚生年金資金等の還元融資を相当強く長い間要求し続けてきたものでありましたけれども、これに対して厚生省は、一応住宅資金としての還元融資を認めるというのが、ちょうど七、八年ほど前と思いますけれども、そういう決定を見たために、当時の建設大臣は、急遽この産業労働者住宅資金融通法というものを制定して、そうして同じように窓口を住宅金融公庫に持ち、同じような対象に多少ニュアンスと、方法を変えて提案されたのが、この産業労働住宅資金融通法の成立の形であって、こういうものは、当時、同じ対象に対して二元的な住宅供給というものはあり得ないという点については非常に強く非難したものでありましたけれども、事ここに至って、ほんとうに労働者が住宅を持てるために、多少とも両者の間に競合しながらもよい方向に向かいつつあることは一応認めておるものであります。そこで最初に伺いたいのは、先年でき上がった年金福祉事業団の労働者住宅に対する還元融資の資金並びに貸し付け状況、貸し付け条件と住宅金融公庫が産業労働者住宅資金融通法によって資金を融通するという条件とが、同じような方向をとっておらない。この際、それぞれの立場の方から、その相違点、相違点というよりも、おのおのの貸し付け条件、対象等に対して、詳しい光明を願いたいと思うのです。これが第一の質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/4
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005・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 私から、最初に産業労働者住宅資金融通法によるところの貸し付けの条件及び計画につきまして御説明申し上げます。
産業労働者住宅資金融通法の対象は、法律にありますように、産業労働者に対して住宅——自分の従業員に対して住宅を供給するところの事業者に対して貸し出すものでございまして、その条件は、利率は、まず、中小企業に対するものにつきましては六分五厘、その他につきましては七分、償還期間は、いずれも耐火構造につきましては三十五年以内になっております。木造につきましては、償還期間は十八年以内でございます。融資率につきましては、従来は、中小企業につきまして六割、一般につきましては五割でございましたが、今回この法案におきまして、中小企業につきましては七割五分、その他につきましては、従来と同じく五割、木造につきましては、融資率は七割、その他につきましては五割というふうに改正することにいたしております。三十九年度の計画は、合計いたしまして一万五千を予定しておりまして、所要資金は八千九億円と見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/5
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006・河原輔之
○説明員(河原輔之君) 年金福祉事業団の住宅融資でございますが、これは厚生年金保険の頼み立て金の一部を融資いたすわけでございまして、相手方といたしましては、厚生年金保険の適用を受けます事業主、または被保険者団体等々となっております。それから利率につきましては、大企業に対しましては年七分でございます。中小企業その他大企業以外の分につきましては年六分五厘でございます。それから融資率でございますが、大企業に対しましては七割でございます。中小企業に対しましては九割となっております。それから償還期限は、産労住宅の場合と同様でございます。それから三十九年度の事業団の住宅の計画でございますが、事業団の総ワクは二百六十六億でございますが、そのうち住宅が百五十二億でございまして、六割程度を占めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/6
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007・田中一
○田中一君 それじゃその前に、土地並びに建物の標準購買費、標準建設費というものに対する説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/7
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008・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 産労住宅につきましては、一般の住宅金融公庫の貸し付けと同様の単価を考えておりますが、全国平均を申し上げますと、三十九年度におきましては、坪当たりで申し上げまして、主体工事費、木造の場合は四万八千九百円、耐火構造につきましては七万一千円、屋外付帯工事につきましては、これは一戸当たりでございますが、共同住宅については九万三千円、用地費につきましては、共同住宅につきましては、これは坪当たりでございまして、七千八百円、木造住宅その他につきましては五千二百円、これを各地区に応じまして、この範囲におきまして若干の差をつけて運用いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/8
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009・河原輔之
○説明員(河原輔之君) 事業団の住宅融資の単価でございますが、耐火構造の場合は、これは平米当たりになっておりますが、世帯向けのが二万三千五百円でございます。単身者向けが二万三千九百円でございます。これは、申し忘れましたが、北海道以外の地区の場合でございます。それから木造の場合は、平米当たり世帯向けが一万五千四百円、単身向けが一万六千六百円となっております。それから土地につきましては、事業団のやり方は、課税標準額の何倍というやり方をいたしておりまして、田につきましては、一平米当たり課税標準額の五倍でございます。畑につきましては八倍でございます。宅地につきましては十倍となっております。山林の場合は七倍と、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/9
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010・田中一
○田中一君 これは鴨田政務次官に伺います。これは、このような条件の相違というものは、むろんあなたは政務次官として政務次官会議に出ておる。大臣はむろん閣議に出ておる。その中でなぜこうした条件の相違をもたらさなければならないか、そういうことについてひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/10
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011・鴨田宗一
○政府委員(鴨田宗一君) 非常にむずかしい御質問でありまして、私の観測によりましては、もちろん原資の対象も違いますし——もちろん住宅を建設するということにつきましては同一でありますけれども、原資のよってくるところのものが違っておりますので、いろいろ対象に対して、そういうふうな諸条件が変わってきたのではないかと、もちろん受け入れるほうといたしましては、こういうふうな不均衡なことは是正しなければならないというふうなお声もあろうと思いますので、私たちといたしましては、こういうものはでき得る限り早い時期において統一しなくちゃならぬのじゃないかという考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/11
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012・田中一
○田中一君 原資の相違と言うけれども、しょせん運用部資金のわけなんですから、これはもういわゆる還元融資という形のものと、一般の国民の預金から融資するんだというたてまえがどう違うか、そうすると、どこまでも福祉事業団の原資というものの利率といいますか、あのようなこまかい計算が、これだけの幅があるのだということになるのか。しかし、これはおかしな話なんですよ。預金をしておる預金者が、決してこの差異というものに対してとやかく言っておるのじゃないのです。政府にまかしているんです。それは資本の構成によって違うんだということになると、今回の公定歩合の引き上げなんという問題も、よってくるところの原資というものを分析してみると、これはたいへんな問題になります。それを総合して一つの方針というものが、住宅供給という大目的の前には同じでなくちゃならぬ。法律によらないでただ単に各省の方針によって、自主的な方針によってきめられるという現状が、受けるほうでもこれは非常にとまどいするわけなんです。こっちのほうが有利であるけれども、だめだからこっちのほうにしろということになると、条件としては、鴨田さんは、どちらの条件が労働者の立場から見て有利であるというように考えますか。あるいは同じであるのか、あるいはどちらのほうが有利であるのかという条件になると思うのです。同じ中小企業でいっても、中小企業に対する融資の相手方というものは、どういうものを選んでいるか。いつも問題になるのはその点なんです。同じ住宅供給の窓口でありながら、おのおの異なっている条件ということはあり得ない。ことにまた、建設費の標準額というものが異なっている。一体福祉事業団のほうの仕事をする人と、それから産住のほうの仕事をする人が、単価が異なっているものがあって一体可能か不可能かの問題です。その点、詳しく説明ししてください。——私は政務次官に伺っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/12
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013・鴨田宗一
○政府委員(鴨田宗一君) ただいま各角度からお話がございまして、私は先ほど抽象的にお答えを申し上げたと思っておりますけれども、この問題は、もちろん出ておりまする姿から見ますると、事業団のほうが有利のように考えられます。しかし、これは一般国民大衆の問題でありますので、この高低がどうあろうとも、この問題は、結局国民のお金を使うという面からいたしまして、これはできるだけ早い時期に統一いたしまして、利率にいたしましても、この融資の率にいたしましても、償還の期間にいたしましても、統一しなければならぬじゃないかという考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/13
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014・田中一
○田中一君 いまの鴨田政務次官の答弁は、われわれが、この二つの法律ができて以来、何年となく追及していることなんです。むろん、一つの所得税の面から見ても、原資というものは税金として取られる、税金、いわゆる国の原資というものは、税金で取られるものの金なんです。取られるものというか、喜んで納税するというのか、余裕がある納税者と、それから非常に苦しい中から取られる——たとえは前年におまえのほうは百万の税金だから、ことしは少なくとも売り上げが伸びているから百五十万だというような認定のしかたをして税金を取っているのが実情なんですよ。そうすると、原資の格というものが非常に違うわけなんです。同じ金では番号も書いてありませんからちっとも変わりありませんけれども、生み出している血税というものは、その血の色も変わる、重さも変わる、私は、そういう形のものであってはならぬというのが長年の主張であったのですが、今回の産住法の改正は、年金福祉事業団の還元融資の貸し付け方式に近づこうとしているわけです。おくればせながら近づこうとしているような改正なんです。だらしがなさ過ぎます。建設省は国には、公営住宅その他住宅供給というものを一手に引き受けるというような考え方を持っていながらも、一方、福祉事業団のほうが非常に前向きの施策を持っておる、政治的には、いま政務次官から、なるべくこれを統一したものにしなければならぬという御意見がありましたから、これはわれわれは歓迎します。歓迎しますが、統一するという、条件を同じくするということは、一つになることなんです。住宅供給という一つの事業を建設省、厚生省が持っているのは間違いであります。同じ条件にするということは、一つの窓口で足りるということなんです。これは、悪い官僚のなわ張り主義というものがここにあらわれておるのです。この点についてはどうお考えになりますか。この産業労働者に対する住宅供給というものが、将来厚生省も建設省もなく、どちらかに一本化するという方針が考えられませんか。これはもう鴨田さんにあまり言っても、言いにくいこと、言えない点は言えないと言ってくれてもかまいません。これは歴代の大臣が、厚生大臣も建設大臣も頭をかかえて答弁しなかった問題です。だから、あなたも答弁しないでいいんですよ。ひとつ御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/14
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015・鴨田宗一
○政府委員(鴨田宗一君) ただいま田中委員の言われましたるとおり、私たちもその問題につきましては関心を持っております。ただ問題は、たとえば建設省の所管であります下水処理の問題にいたしましても、終末処理は、やはり現在の段階におきましては厚生省でこれを分掌しておる、こういうところもやはり一つの例でありまするけれども、ちょうど住宅と同じように、やはりいろいろの官庁に一つの仕事が分かれておるということは、これは不合理なことは私たち十分存じております。これを一つの省に統一するということも、これも一つの課題といたしまして、われわれといたしましては、真剣に国民のために研究しなくちゃならぬじゃないか、こういうふうに考えておりますので、それをどちらで統一するかということにつきましては、私といたしましては答弁しかねまするけれども、そういう私は考えでおるということだけひとつお認めを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/15
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016・田中一
○田中一君 これ以上追及しても同じ答弁でしょうからもうやめますけれども、では具体的に、今回の法律の改正というものを、現在この年金福祉事業団が行なっている条件にまで修正することが好ましいという結論になるわけでございますけれども、よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/16
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017・鴨田宗一
○政府委員(鴨田宗一君) ただいまの御質問でありまするけれども、直ちにいますぐというように私は考えてはおりませんで、いろいろ先ほども申しましたとおり関連がございますので、この問題は至急にひとつ研究してみたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/17
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018・田中一
○田中一君 下水処理の問題とこの問題とを一緒に考えられるところに、あなたがその場限りの言いのがれの答弁をしているとしかとれないのです。下水事業の問題にしても当然これは一元化すべきである。しかし、住宅供給——建設するのじゃないのですよ。これは金を貸すのですよ。これと違うところは、御生とか、あるいは医学的な終末処理というものは厚生省が所管するのは適当であるということは、多少そういう面も考えられますが、住宅供給の資金の融資などというものは、これはもう何も下水道における終末処理と下水道との関連とはおのずから異なっております。したがって、いまその答弁はこれ以上追及しないといったから追及しませんけれども、ひとつ商工会議所の田原さん、あなたはどちらを、ことに中小企業は求めるか、どちらでもあなたのほうにほしいだけ融資をいたしますからと言った場合にはどちらをとりますか。これは田原さん、何も役人や、政務次官やなんかに遠慮する必要はないのですよ。率直に、あなたは中小企業の代表としてきょうはおいでを願ったのですから、堂々と言っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/18
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019・田原大千
○参考人(田原大千君) ただいまのお尋ねでございますが、私も両方の条件が、どういうように具体的にこまかに相違しているかということを従来あまり深く知っておりませんでしたが、ただいま、いろいろお伺いしてみますると、政務次官もお話がございましたように、厚生年金資金の還元の事業団のほうがやや有利であるというようなお話でございますので、そういう有利な資金をなるべく多数私どもとしては利用させていただきたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/19
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020・田中一
○田中一君 政務次官並びに住宅局長、それごらんなさい、これが国民の声なんです。これが率直な国民の声なんです。商工会議所に属しておる大資本もございましょうが、その人たちはつかみ取りに大きな資金を持っていっていましょうが、やはり金利等を考えた場合、標準建設費を考えた場合に、やはり有利なほうを求めるのは当然なんです。これはおそらく、先ほど政務次官も言っているように、私どもは、衆議院においては修正できなかったけれども、いずれその点については、同僚の与党の諸君とも相談して大幅な、国民が求める方向に修正をしようと考えております。提案しようと考えております。
もう一つ伺っておきますのは、標準建設費の査定というか、きめ方の問題でありますけれども、どうしてこう違うのです。むろん、その違い方の面には、一応住宅金融公庫、住宅公団、公営住宅等々の一連の住宅政策の、実態でなくして予算上の予算と戸数、いわゆる政治的な配慮から、それとあまり異なったものでは困る、同じものでなければ困るというところから出ておると思うのですけれども、私は、このような態度をとるならば、建設省から住宅行政というものを全部抜き取って厚生省に渡したほうが、厚生省の感覚が国民の求めるものに近寄ってくるというふうに考えられるのです。したがって、いま両君から説明のあった単価の標準建設費の内容について、どのような面の検討の結果こうなったかということを、それぞれから説明願いたいのです。それは、前田住宅局長は坪当たり単価で言っているし、厚生省のほうでは、資金課長のほうは平米単価で言っているから、それはちょっと困るのであって、(「三倍すればいい」と呼ぶ者あり)平米単価を三倍すればといっても、計算がみんながわかればいいけれども……、私はわかりますよ、ここに書いてありますから、平米単価でも。それはひとつ平米なら平米に統一して答弁してください。そこにまた前田君の答弁の巧妙なごまかしがあるとは思いませんから、だから正直に平米当たりなら平米当たりで単価をあらわしてください、そして内容を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/20
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021・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 単価につきましては、産業労働者住宅資金融通法による住宅及び住宅公庫につきましては、最近の物価の上昇等にかんがみまして、前年度の実績を考えましてかなりの引き上げを行なっております。で、厚生省でいまお答えになりました平米当たりの単価と、私のほうの調整でございますが、いま詳細な数字の突き合わせをすぐしようと思いますけれども、概算いたしましてそれほど差はございません。たとえば耐火構造にいたしますと、厚生省が先ほどお話しになった平米当たりの単価を坪当たりに換算いたしますと、七万六千六百円になりますが、私のほうは七万七千六百円と、千円むしろ産労住宅のほうが上回ったようなことになっておりまして、その他についても、若干の差はあると思いますけれども、だんだんと合わせるように調整をいたしておりまして、三十九年度におきましても、たいした差はないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/21
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022・田中一
○田中一君 私が調べたところによりますと、たとえば鉄筋コンクリートにいたしますと、いま資金課長が言っているように、鉄筋コンクリートの場合には、二万三千二百円、一般ですよ。あなたのほうのやつは、三戸以上の場合に二万一千五百円、二戸以下の場合には、二万百円、簡易耐火構造にしましても、建設省が平米当たり一万八千三百円、厚生省のほうは二万二千二百円、こう違うわけです。違っているものは違っていると、率直に認めたらどうですか。私の計数が間違っているのか、あなたの計算が間違っているのか、そこではっきりと坪当たりを平米当たりに直してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/22
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023・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) ただいまの田中先生の御指摘の数字は、そのほかに、建築する場合には、屋外付帯工事が入りますので、それを含めて厚生省のほうでは言っておると思いますし、私が最後に申し上げました坪当たりの単価も、屋外付帯工事を加算いたして申し上げた数字でございますので、そこに、先生御指摘になった平米当たりの単価よりはその分だけ加わってきますので、普通坪当たりと申します場合には、われわれのほうから申しますと、七万七千六百円という数字でございまして、この数字と厚生省の先ほどお話しになった数字とは、いま申し上げたように、それほどの差はないということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/23
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024・田中一
○田中一君 厚生省のほうはですよ、建築物そのものに対して融資しているのです。あなたのほうは付帯設備、屋外施設があるとかないとか言っておりますけれども、建築物そのものの単価が低いと言っているのです。いいですか、問題はですね、何もかも余分なものを、公営住宅にしても、げた箱までつくっておる、建設省のやり方は。げた箱なんか要らないものもありますよ。公営住宅に入っている者は、くつやげた、そういうものを何十足も持っている人はおそらくいないだろうと思う。余分なものばかりをつくって、そうしてこれに住めと強要をしているのが、建設省のほうの公営住宅、その他の一連の住宅供給の姿です。厚生省のほうは、その住む人の住み方は自由にまかして融資しております。屋外施設なんというものは見ないで、建築物そのもの、住宅そのものに融資をしておるということから見ると、これはおのずから考え方が違うわけなんですよ。したがって、たとえば建築業者にもこの仕事を与える場合には、たいへんな違いが出てくるわけです。平米当たりの単価が違うということが明らかになってくるのですよ。どうも予算全体の、予算の面から割り振りして同じでございますということを言うけれども、これに屋外付帯工事費というものがゼロの場合には、それだけ建築物の単価が安くなる。低いものになる。安いということよりも低いことなんです。それを同じだなんというのは言い過ぎです、同じではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/24
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025・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 私が屋外付帯工事と申しましたのは、給排水、あるいは電気等はいままでどおりでございまして、住宅をつくる場合、必ず必要となるものでございまして、不要なもの、不急なものは含んでおりません。これをわれわれのほうでは、そのものの主体工事費と屋外付帯工事費と分けて計算するのでそうなりましたが、一般に住宅をつくります場合には、両者が一体になりまして一つの家になりますので、単価の計算の表示のしかたにつきましては、あるいは十分御理解をいただくような数字の形になっていなかったかと思うのでございますけれども、実質上は、いま申し上げましたようなことは両々相まって一つの家になるということから、結論においては、厚生省の事業の単価とわれわれのほうとは、それほど差がないということになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/25
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026・田中一
○田中一君 その厚生省のほうは、これは屋外付帯設備がどうかかろうと、どうなかろうと、建築費としてこれだけを融資するということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/26
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027・河原輔之
○説明員(河原輔之君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/27
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028・田中一
○田中一君 そうなるとたいへんな違いがあるわけなんです。どうも建設省の行き方は、この家に住め、こういう施設があるものに住め、一体どこに——住み方まで行政府が強要するなんということはあり得ないのですよ。常にそういう慣行を持っておるのです、建設省の場合には。着物も一枚も持っていない、くつでもって屋内生活をしようという人に対しても、畳がなければ融資しませんよと、こう言っておるのです、畳を入れなさいと。公営住宅の例だとことに多いのです。少なくとも住宅を供給する義務が、私をもって言わしめれば、政府にあるのです。しかし、住み方までも強要する権利はないはずです。そこにむだがある。その面から見れば、年金福祉事業団のほうがもっと前進しております。憲法のどこにかくかくの住み方をしろということを強要していますか。かりに屋外付帯工事が要らない場合にも、やはり建設省の単価というのは安いのじゃありませんか。この分もふえた金を貸しますよ、ということは、この条文のどこにありますか。しょせん単価が安いということになるのじゃありませんか。そうしてこの条件で一々検査、監督をする。これはどうしても、この法律は、ここの段階にくると賛成しにくくなりました。もう反省すべき時期がきておるのじゃないかと思うけれども、これができてからもう約十年くらいたつと思うけれども……。
次に伺いたい。それは土地の標準価格の決定は、厚生省の場合には、現行固定資産税の課税標準額の倍率でもってきめておる。これは一応筋が通っております。したがって、今度は固定資産税が上がれば、その同じ倍率になるか、あるいはもう少し軽減するかは今後の問題でしょうが、はっきりしています。産住の場合には、ずばりと金額を示しておりましたけれども、この基準はどこから求めておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/28
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029・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 住宅公庫の場合におきましては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/29
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030・田中一
○田中一君 住宅公庫を伺っておるのじゃないのです。この産住の土地の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/30
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031・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 産住の土地貸し付けにつきましては、土地の単価につきましては、前年度からの土地の値上がり、市街地の住宅地の値上がりの状況を見まして、その率を前年度の単価にかけまして積算を一応しております。これを各地域ごとの実態に合わせて数地区に分けて、できる限り地区の実態に合わせた単価で貸し付けたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/31
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032・田中一
○田中一君 前年度の価格は、何の基準によってその額を求めておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/32
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033・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 前年度も、その前の年の価格に、その間における土地の値上がりの率をかけまして算定したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/33
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034・田中一
○田中一君 いまから見て前々年度の土地の価格は、何の基準によってその額を定めておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/34
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035・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 最近数年間は土地の値上がりがありますので、その値上がり率をその前年度の価格にかけまして積算をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/35
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036・田中一
○田中一君 その数年来の値上がりの以前の価格は、何の基準によってその額を定めておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/36
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037・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 一番最初住宅金融公庫が土地貸し付けを始めましたときには、時価を基準といたしまして適当な値段を考えて、それを標準価額として決定したんじゃないかと、私記憶しておりますが、その後それに対する引き上げのしかたが、最近は市街地価額の指数によりまして上げておりますけれども、途中もう十年以上たちますので、どういうふうな変化がありましたかにつきましてはつまびらかにしてはおりませんけれども、一番当初はやはりそういうふうなものを基準にいたしまして価額をきめたことと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/37
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038・田中一
○田中一君 どうもこれ以上言うと、十三年くらい前だな、住宅金融公庫、それの貸し付けだって十年くらいの歴史しか持っておらぬので、当時の議事録をここへ持ってきて、どういう基準で土地価格をきめたかということを明らかにしてほしいと思います、委員長。住宅金融公庫が土地の融資を始めた年は何年でしたか、住宅局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/38
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039・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 土地の貸し付けは、一番当初から建物に付随して土地を取得する場合に考えておりますので、住宅金融公庫ができた年の二十五年から貸し付けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/39
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040・田中一
○田中一君 私は宅地造成と間違えたが……、ひとつ調べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/40
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041・北村暢
○委員長(北村暢君) それでは委員長から申し上げますが、この標準価額は、やはり年金のほうの価額との比較をしているわけでありますから、その標準価額の決定にあたって、住宅局長の、時価でないかと思います、というような答弁じゃ比較にならないので、これは後ほどはっきり標準価額の算定基礎について調査をして御報告を願う、こういうことにいたしたいと思いますが、住宅局長、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/41
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042・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 至急取り調べましてお返事申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/42
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043・田中一
○田中一君 もっとも、年金福祉事業団は、土地に対しては金を貸しておりませんから、これは作文だと思うのですけれども——作文というか一応の規定だと思うのですが、土地に対する融資はしておりますか、しておらぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/43
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044・河原輔之
○説明員(河原輔之君) 結論を申し上げますと、やっておりません。これは住宅の建設のほうでワクが一ぱいでございまして、そこまで及びませんのでやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/44
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045・田中一
○田中一君 いま委員長から説明された——説明というか、要求されたもののほかに、屋外付帯工事費の問題、一戸当たり単価というものに対する評価の内訳の表も、ひとつ出していただくようにしていただきたい。それで、これもその推移がどういう形で値上がりになってきているかということも、一番最初と、ここ数年来のものとを出していただきたい。委員長から要求してほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/45
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046・北村暢
○委員長(北村暢君) 前田住宅局長は、いまの田中委員の要求事項了解できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/46
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047・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 付帯工事費の積算の内訳につきまして御説明できると思います。それでよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/47
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048・田中一
○田中一君 けっこうです。
中小企業あての融資を決定されて以来、この産住のほうでは、その比率が、一般とどのくらいの融資額になっておるか。そうして対象が、中小企業といっても、大体三百人以下というのが中小企業となっておりますけれども、融資を受ける企業主の実態というものが、五人以上三百人以下の従業員を使うものというような定義が、一応われわれの常識でわかっております。同時にまた、鉱山等では、千人以下の従業員を使うのが中小企業だというような定義になっておりますけれども、対象はどうなっているか。それと一緒に、厚生年金のほうもそれの融資の対象がどういうぐあいに分布されているか、それを両方とも説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/48
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049・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 中小企業者に対する資金の貸し付けは、昭和三十六年、度からできたわけでございますが、三十六年度の当初におきましては、産業労働者住宅資金が、全体一万四千三百戸に対しまして、中小企業が七千百八十戸の計画でございました。三十七年度は、全体一万四千戸に対しまして、中小企業等が七千六百戸、三十八年度も、一万四千戸の計画に対しまして、七千六百戸でございましたが、三十九年度におきましては、全体の数字を一万五千戸に引き上げまして、かつ、中小企業等につきましては九千戸というふうに、中小企業に重点を置いた配分をすることにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/49
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050・田中一
○田中一君 そのうち、五人以上と三百人以下という内容はどうなっておりますか、どちらに片寄っていますか。たとえば五人から二十人くらいのものにどれくらい融資しておりますか、二十人から五十人くらいまで、五十人から百人くらいまで、百人から三百人まで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/50
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051・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 中小企業の意味は、先ほど先生のお話しございましたように、資本金五千万円以下、及び従業員三百人以下を基準としておりまして、さらに中小企業の中における従業員の数による資金の貸し付けの割合の調査は、実はいたしておりませんので、はなはだ申しわけございませんけれども、この場合に明確な御返事を申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/51
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052・田中一
○田中一君 これはひとつ資料を出してもらうように、委員長から要求してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/52
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053・北村暢
○委員長(北村暢君) ただいまの住宅局長の答弁では、調査をしていないからわからないというような御答弁のようでしたが、いま調査すればこの数字は出てくるのですか、それは、きょうじゅうに出せる性質のものか出せない性質のものなのか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/53
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054・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 個々の貸し付けの原票を拾い上げましてやりませんとできませんので、相当時間がかかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/54
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055・北村暢
○委員長(北村暢君) 田中君、きょうの審議に間に合いそうもないようですが、どういたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/55
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056・田中一
○田中一君 そうすると、自動的に審議が延びるということになります。
厚生省のほうでは、その調査はできておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/56
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057・河原輔之
○説明員(河原輔之君) 年金福祉事業団の住宅貸し付け、大企業、中小企業別の問題でございますが、まず大企業の定義でございますが、製造業にありましては、三百人以上でございます。それから鉱業——マイニングにありましては、千人以上でございます。それからサービス業にありましては、五十人以上を中小企業というふうに定義しております。これから申し上げます中小企業の中には、事業協同組合を含めて申し上げます。
三十八年度の住宅の決定額でございますが、大体総額百三億ほどきめております。そのうち、大企業が六十三億強でございます。それから中小企業が三十六億程度でございます。その他が四億ほどでございます。ウエートをとりますと、大企業が大体六〇%とちょっとでございます。それから中小企業その他を合わせまして四〇%、こういうふうになっております。
それから企業内の人数別の点でございますが、これはいま手元にありません。つくるとできますから、あとでお届けします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/57
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058・田中一
○田中一君 じゃ、それはさっそく資料を出してください。
それから田原さんにもう一回伺います。
いまのような実情お聞きだと思いますが、一体、大企業でもこうした職場に続く住宅融資というものは非常にほしがっているのです。ほしがっているのはなぜかといいますと、私の見るところでは、自己資金だけで出したのでは、なかなかうるさい問題があるのです。税金のほうでもずいぶんうるさいのです。ところが、呼び水として若干でも国家関係の資金が流れてくると、これに相当大幅な設備投資をすることが税務署でも認められるというような傾向にあるのです。ことに、昨日でしたか、田中大蔵大臣の、住宅資金に対してはあまりうるさいことを言うな、もう少し目をつぶってやれ、というような発言をきょうの新聞で見ましたけれども、この傾向はずっとあるのです、政策的に。これはわれわれがずいぶん追及したからそうなっておるのです。しかし、これも正しいものだとは思っておりません。われわれ源泉課税を取られるものはどんどん取られていく。大企業が住宅を建てるからといって、これは単に一般の庶民の住宅資金をいっているのじゃないのです。大企業の住宅資金をいっている。いわゆる労働条件を多少でも緩和させようということにも含みはあるかもしれませんけれども、したがって、いまの比率でもわかるように、大企業のほうが要求が強いわけです。それは何かというと、税金の関係がたくさんあるわけなんですね。いま建てれば、将来特にこの投資はむだにならぬ、消耗しないわけですから、価値は上がってきます。宅地を買うにしても同じです。すぐに建てるものじゃないにしても、相当な宅地を大企業は買い込んでいる。これも住宅を建てるための宅地であるから、税務署のほうも、その投資に対してはゆるやかだということになっているというふうに私は推定するわけです。
そこで、商工会議所の議員はいろいろ段階があると思いますけれども、商工会議所の中の中小企業部としては、どういう層の人たちが、大体国家関係の資金を求めているか。また、実態として、あなた方のほうに相当訴えがあると思うんですが、その訴えの中で、分類してみると、大企業、中小企業——中小企業の中でどういう職種と、どの階層が一番そういう要求が強いか、説明していただきたいと思うんです、実情を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/58
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059・田原大千
○参考人(田原大千君) ただいまの御質問でございますが、最初の税金云々の問題は、私はよく実情を調査いたしておりませんので、すぐお答えということもできかねるのでございますが、ただ、この中小企業関係のただいま雇用問題その他から、御承知のように、住宅充足ということが非常に要望されておるということは、これは確かな事実でございます。ことに、規模の小さいほうのクラス、五人以上というのが一応対象になりますけれども、そういう五人から三百人という中でいえば、やはり何といっても小さいところのほうが、これはもう常識的に見ましても、住宅に対する要望が非常に強いわけでございます。私どものほうもそういう声が非常にございます。商店その他の方面から非常に強い要望がございます。したがいまして、まあ、こういう方面につきまして、なるべく、先ほどからのお話のような国家的な安い資金を供給していただくということにつきましては、かねがね商工会議所としても長らくお願いしてまいっておるわけでございます。今後ともよろしく御配慮を願いたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/59
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060・田中一
○田中一君 建設省、厚生省ともに、これが国民の声なんです。したがって、三十九年度の予算の消化については、融資については格段の努力をしていただきたいのです。いま田原さんから話があったように、台東区、それから中央区ですか、日本橋辺の中小企業の人たちが、店員の志望者がないわけです。なぜかというと、住宅問題です。と同時に、最近、下請企業というものが相当危機に瀕しておるものですから、自分の持っておる土地に中高層的な家をつくって、下を店舗に貸し、また、上を問屋筋の店員の宿舎として提供しようというような動きも、私のところにずいぶん相談に来ておるのです。これは一つの傾向なわけです。家庭においてのお手伝いさんがなくなったと同じように、中小企業の住宅問題というものは深刻です。ことに、サービス業的なものは非常に要求が強いわけです。いま伺っていると、両方ともやはり一般大企業のほうに多く融資をされる傾向にある。その中でも、中小企業に対する融資というものの内容が、しいていえば、零細企業といわれる中小企業のうちの一番低いほうの階層に非常に強いということです。しかし、これはしょせん、あなた方は住宅の金を貸すのですから、これはやはり金が戻ってこなければ困るというのは当然でありますが、産業労働者住宅供給というこの精神は、金が戻るとか戻らぬとかいうものじゃなくして、産業労働者に対して住宅を供給しようというねらいがあるわけです。年金制度というものは、何も大企業ばかりが独占するものじゃございません。住宅金融公庫の目的というものは、銀行等が手持ち資金、あるいは銀行等が住宅資金を貸してくれない人たちに対して金を貸すのだということが目的で明らかになっているんです。ところが、あなた方は常に信用なり資力なりを調べて、金がある企業だけ貸そうという傾向が強いわけなんです。むろん借りた以上はこれは返すべきが当然でありますが、それに対して、あなた方の融資の条件の一番いけないところは、過大な担保を取ることです。建物に対して七割五分の融資をする、それの十割の担保を取るのは当然ですが、それだけ取っております。次に、その住宅が建っておる宅地というものをも担保に取っておる。大企業については、その土地の千坪や二千坪のものを担保に取ろうが取るまいが、一向差しつかえない。また、信用があるからそれに第二抵当権が設定してあったって銀行は金を貸してくれる。中小企業はそうではないのです。百万円の建築物に対して七十五万円をあなた方が貸すわけです。そうして、百万円の建物全部に第一抵当権を設定させる。そうしてまた、それが建っておる宅地すら加えて抵当権の設定をする。だから中小企業は、せめて宅地で他の金融機関から融資を受けようという場合には、それが不可能になってくる。大企業は何も担保なんか要らないで金をたくさん使っております。ことに最近の傾向として、せんだっての大相撲を見ても、三菱グループ三十何社とかいって、あれだけの大きな宣伝をして系列をはっきりさせておる。こういうようなところは金なんかちっとも心配要らない。系列資本が、その系列に対してちゃんと資本をつけておる。産業労働者の住宅問題一つだけとらえてみても、どこまでもそういう過酷な資本主義的な政策がとられておるということは、この法律、いわゆる住宅融資という制度ができて以来、ちっとも改善されない。首を絞めようとしている。これは田原さん、私が申し上げている現状はそのとおりでありましょう。あなたの関係されておるどこかの企業が、仕事があるかどうかはわからぬけれども、大体いまのような形式でもって融資をしておるわけなんです。あなたはこれをどう思いますか。もう少し融資条件というものが軽ければよいがなとお思いになりますか。それは当然でございます、軽い以上、三倍、四倍ぐらいの担保は提供いたしましょう、というのが中小企業の気持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/60
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061・田原大千
○参考人(田原大千君) まあ資金をただでくれてやるということでなしに、いまお話しございましたように、貸し付けでございますので、相手方の信用というようなことも当然考えられるわけでございます。その場合に、中小企業は、御承知のように、大企業のように信用力もございませんので、通常の設備資金等でございますと、いわゆる信用保証制度というようなものによって公的に信用を補完いたしましていろいろ貸し付けておるわけでございますが、住宅資金につきましても、やはり信用といいますか、ただでくれてやるというわけの性質のものではないと思いますので、そういう何か信用補完、信用を強化するようなことができれば、もっと中小企業のほうにもお金が実際問題として回るのじゃないだろうかというふうには考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/61
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062・田中一
○田中一君 私の伺っているのは、百万円の住宅をつくるのに、七十五万円一を借りるわけなんです。そうしてその百万円の家ができ上がって、百万円の家は担保として入れる。これでもう十分なはずなんです。にかかわらず、その建っている宅地をも担保にしなければ金を貸してくれないのです、現在は。厚生年金の場合は、これは違うと思うのです。これはかりに、還元融資という形になっておりますから、厚生年金の加入者に融資しておりますから、中小企業といっても相当大きな企業が多いと思うのです。ですから、それは過当な担保ではなかろうかと私が質問しているのですが、その点はどうお考えになりますか。百万円の価値のあるものを七十五万円借りて、百万円のものを担保として、その上宅地がかりに五十坪とするならば、坪十万円なら五百万円のものを担保に取られる、それは過当ではないか、こう伺っているのですが、あなたはどうお考えになりますかと聞いているのです。通例百万円のものを借りるのに、六百万円くらいの担保を置かなければならぬということになりますので、それではずいぶん過酷なものじゃないかと思うのです。それを過酷と思いませんか、当然と考えますかと聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/62
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063・田原大千
○参考人(田原大千君) まあどの程度に担保を請求したらいいのか、程度の問題になるかと思いますが、ただいま銀行等におきましても、ややもすれば中小企業に対しましては、御承知のように、歩積み、両建てとかいうようなことで、いわゆる拘束預金という形で相当の担保的な性格のものがそこにくぎづけされるということがございまして、これが住宅の場合についても、そういう傾向があるいはあるのかどうか存じませんが、もし仰せのようにございますとすれば、これは私どもの目から見れば、これは多少行き過ぎていやしないかという感じは持っております。ただ、いろいろその内情を伺ってみないとどういうことで貸しておるのか、その条件を詳細に伺ってみないとわかりませんが、表面的に考えますると、いまの歩積み、両建て式の行き過ぎがあるいはあるのではないかという感じも持つわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/63
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064・田中一
○田中一君 田原参考人からそういう御意見が出たのですが、実際はどうやっていますか、どういう融資方法をとっておりますか、厚生省も建設省も。私が申し上げたとおりであるなら、とおりでございます、と言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/64
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065・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 産労資金の場合に、ただいま先生のお話のように、担保の価値の関係で宅地も同時に取っているように私は承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/65
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066・河原輔之
○説明員(河原輔之君) 年金福祉事業団の場合は、貸し付け金で建設いたしました不動産を担保に取っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/66
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067・田中一
○田中一君 田原さん、おわかりになりますね。建設省は、融資した金ででき上がった建築物のほかに土地も担保に取ります、厚生省のほうは、融資した金ででき上がった建物だけを担保にいたします、こうなっております。あなたはどちらを求められましょう、まじめに聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/67
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068・田原大千
○参考人(田原大千君) まあ最初に、初めにもいろいろ御質問ございましたように、結局融資条件の相違という問題になるかと存じます。一方は、土地も担保に供される、一方は、建物だけでよろしい、こういうことで、そこにアンバランスがあるという感じは率直に持つわけでございます。もし他の条件にして同一ならば、申し上げるまでもなく、担保のあまり取られないほうがいいということははっきり申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/68
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069・田中一
○田中一君 前田局長、これが国民の声です。これは真剣に考えなければいかぬですよ。私は、こういう法律改正が出るたびに、これは長年申し上げてあります。それは究極、どちらに窓口をきめようとしても、これはあなた方の政府の部内の問題でありますが、少なくとも、住宅行政の一元化ということは必要なんです。鴨田政務次官も、まだしばらくは政務次官でおられると思うから、ひとつ窓口の問題は、いまも行政審議会ですか、調査会ですか、あそこでいろいろやっておるから、これはこれとして、少なくとも融資の条件というものは、同じにすべきであります。この産住が、この法律の融資が、住宅金融公庫の融資に調子を合わせてやらなければならないという性質のものじゃございません。同時にまた、住宅金融公庫の融資というものも、いまでは過酷な融資制度です。あれしかないからあの融資を受けようという希望者が多いわけです。これは一面、厚生省に住宅金融公庫と同じような性質を持つ窓口を一つふやしたほうが、建設省は住宅行政の面で反省するのじゃなかろうかとも考えられますが、これはあなた政務次官として責任があります。いまの実情を前から知っててとぼけているのか知らぬけれども、これをお聞きになってどういう感懐をお持ちになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/69
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070・鴨田宗一
○政府委員(鴨田宗一君) 全般的に住宅金融の問題につきましては、先ほどのお説のとおり、やはり金融政策の一端としましての考え方、そういう面も含んでおりますので、かりに市中銀行の住宅に対する融資、あるいはまた、大衆を相手にしておりまする中小商業を対象とする金融機関の住宅に対しまする融資につきましても、やはり土地、建物を担保にいたしまして担保力を強化しておるのが現状でございます。しかしながら、住宅金融公庫の面につきましては、一般的な中小企業に対しまする住宅も、先ほどお話のございましたとおり、特に産住に対する融資と、こういう問題は、もちろん対象はおうちを建てるという対象でありまするけれども、この行程が異質的なものでございますので、この点は目的において統一するということでありますれば、私といたしましては、今後よく研究をいたしまして、この問題の趣旨に合うように努力いたしたいと考えておりますけれども、事は金融政策、住宅政策全般に関係しております問題でありますので、私といたしましても、仰せのとおり、一生懸命ひとつ検討してみたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/70
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071・田中一
○田中一君 さっき理事会の決定があったようでありますが、私はまだ質疑が尽きません。そこで、ただいまはこの程度にしまして、午後に、もし開くならば、午後にまた質疑を続行いたします。
要求した田原参考人に対しては、御質問をいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/71
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072・田上松衞
○田上松衞君 関連して。田中委員のほうから、いろいろ資料の要求をされておるわけですが、この中で私からも一つ追加してお願い申し上げたい一点があるわけです。それは、産労住宅資金融通法に基づく産住資金の三十七年、三十八年の実績及び三十九年の計画、これはさっき承ってよくわかりました。ところが、欠けておる点は、これらに対して、もとの申し込み者は一体どのくらいあったのかという点です。これは、大企業別及び中小企業別に、もしここでお答え願えるならば、ここでいただければそれでもけっこうです。それが御調査されてからでないといけないならば、さっきの資料の中にこれを追加してお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/72
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073・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) ただいまのお話の申し込みの状況について御説明申し上げます。
三十六年度で申し上げますと、中小企業につきましては、申し込みにつきましては、戸数にいたしまして一万七千三百二十二戸ございます。これは二・四倍でございます。これは、そのときの計画は七千百八十戸でございます。三十七年度におきましては、申し込みが一万三千三十四戸ございます。三十八年度は、申し込みが、戸数で一万一千二百四十一戸でございます。いま申しましたのは中小企業でございます。
それから、その他のいわゆる大企業につきましては、申し込みの戸数が、三十六年度は五万四千七十七戸でございます。そのときの大企業に対する貸付計画は、七千百二十戸でございます。三十七年度は、大企業の申し込みが、戸数にいたしまして四万千八百九十戸、そのときにおける計画が、大企業が六千四百戸でございます。三十八年度は大企業が、申し込みが戸数にいたしまして二万百二十戸でございます。計画戸数が六千四百戸でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/73
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074・北村暢
○委員長(北村暢君) 暫時休憩いたします。
午後零時八分休憩
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午後二時二十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/74
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075・北村暢
○委員長(北村暢君) これより休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
住宅局長より発言を求められておりまするので、この際発言を願います。前田住宅局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/75
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076・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 先般の委員会におきまして、住宅債券の関連住宅の処分価額につきまして、明確を欠いた点がございましたので、この際、私から御説明をいたしたいと存じます。
まず、住宅債券の関連する住宅の処分の予定価額は、土地の取得価額及び債券積み立て期間における建築費指数の推移によりまして推定いたしました建築費、これから概算いたしまして、おおむね何万円という額で募集をすることにいたします。土地は、募集の際あらかじめ用意したものを使用することにしておりますので、積み立て期間中に地価の騰貴がありましても、これによって処分価額と処分予定価額との間に差を生ずることはないと存じております。
建築費につきましては、過去の建築費指数の推移から推定いたすことにしておりますが、今後は、プレハブ工法その他建築の合理化をはかる予定にしておりますので、予測できない経済上の変動がない限り、概算額が大きく動くことは考えられません。
以上によりまして、処分価額は、譲渡時における土地費、それから建築費につきまして精算をいたしますが、上記の理由によりまして、おおむね処分価額の範囲内できまるものと考えております。
なお、精算をいたしますので、若干の端数程度の差があることはやむを得ないと存じます。住宅につきましては、三DK、四DK、坪数にいたしまして、十八ないし二十四坪程度を考えておりまして、規模に応じて処分予定価額がありますが、たとえば三DKで考えますと、三百万円程度で十分譲渡できることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/76
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077・田中一
○田中一君 ちょっといまの発言を念を押しておきたいのですが、建築土地は、一応購入している土地を造成して分譲するから変動もない、これはわかります。しかし、建築物に対して、プレハブその他の工法でやるから、変動はない、ございません、と、君は言い切っているけれども、これはちょっと言い過ぎだ。ございません。と言い切っている。いまの答弁——答弁というか、釈明というか、もう一ぺん読んでみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/77
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078・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 処分の価額は、譲渡の際に、土地費と、それから建築費につきまして精算をいたしますが、上記の理由といいますか、先ほど申しましたように、建築費につきましては、過去の指数の推移から推定いたしますし、同時に、プレハブ工法等によりまして、建築の合理化を促進いたしまして、変動のなるべくないように努力いたしますから、それほど大きく、特別の経済事情の変動がない限り、概算額が大きく変動することはなかろう、こういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/78
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079・北村暢
○委員長(北村暢君) ただいまの住宅局長の発言につきまして、質疑はございませんか。——なければ、これより本案の質疑を続行いたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/79
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080・田中一
○田中一君 最初に、提出された資料について簡単にひとつ説明してください、厚生省、建設省とも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/80
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081・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 建設省から、土地の標準価額の資料と共同住宅の屋外付帯設備工事費の内訳書について申し上げます。
土地費につきまして申し上げます。住宅金融公庫の土地の標準価額は、先般申し上げましたように、第一回の分は、昭和二十五年に決定いたしまして、それ以後、あるいは変更し、あるいは据え置きのままで今日まで至っておりますが、当初昭和二十五年にきめました公示価額は、これはそのときにおける、その地域における時価を基準として決定したものでございます。その後、昭和二十五年から昭和二十八年までは変更はなかったのでございますが、昭和二十八年に至りまして、その後の土地費の変動に応じて変更いたしております。そうしてしばらくまた、昭和二十九年以来昭和三十六年まで、それほどたいした変更はなかったようでございますが、昭和三十六年に至りまして、土地費の上昇に関連いたしまして、これを基礎にいたしまして引き上げを行なっております。自来三十七年度、三十八年度、三十九年度、本年度と明年度におきましても引き上げておりますが、この考え方は、市街地の住宅地の価額の変動率をかけまして、実態に合うようにしてきておるわけでございます。
以上が、現在における住宅金融公庫の土地の貸し付けの場合の標準価額のきめ方でございます。
その次のもう一つのほうの、屋外付帯工事費につきましては、先ほど主体工事費のほかに付帯工事費を貸し付けると申しましたが、これは一戸当たりでございまして、一戸当たり九万三千百五十七円と積算してございます。この内訳は、そこに書いてございますように、道路工事、給排水工事、それから沈砂槽工事、浄化槽工事、受水槽工事、電気工事、ガス工事、植樹工事、鉄さくその他の工事、現場経費、一般管理費その他でございまして、いずれもこれは耐火構造の住宅として当然必要であるものの値段を積算いたしまして追加をし、これを主体工事費と合わせて一戸の住宅分として貸し付けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/81
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082・河原輔之
○説明員(河原輔之君) 年金福祉事業団の、三十七年度分でございますが、規模別の住宅融資の決定状況を、お手元の資料によって御説明申し上げます。
下の欄でございますが、金額でございますが、総額七十億決定をいたしておりまして、これを大企業、中小企業別に見ますと、大企業が四十五億四千百万、中小企業が二十億六千五百万、その他が約四億程度でございます。この割合は、大企業六四・九%、中小企業は二九・五%、その他の団体が五・六%、こういうことになっております。
このおのおのの内訳を見ますと、大企業では三百人以上千人未満が十三億七千八百万で、大企業の中で三〇%でございます。それ以外が三十一億六千三百万円、六九%でございます。それから中小企業の規模別に見ますと、五十人未満が二億九千八百万、それから中小企業の中のウェートでございますが一四・四%、それから五十人以上百人未満が五億一千九百万で二五・二%、それから百人以上百五十人未満が三億九千二百万で一九%、それからその次が、百五十人以上二百人未満が三億六千六百万、一七・七%、二百人以上三百人未満が三億七千二百万で一八%、協同組合のほうが一億一千八百万円で五・七%、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/82
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083・小山邦太郎
○小山邦太郎君 ちょっとこれに関連して質問しますが、これは事業団の規模別の調査ですが、これと同じ規模別によって、厚生年金が大企業と中小企業とどんな割合に入っておるかということは、これは簡単にわかりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/83
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084・河原輔之
○説明員(河原輔之君) ちょっと御質問の趣旨が何かはっきりしませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/84
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085・小山邦太郎
○小山邦太郎君 厚生年金が、この規模別に千人以上あるいは三百人以上、大規模のほうは。それから中小企業のほうは五十人未満とか百人、百五十人、こういうように分けて厚生年金がありますが、どれくらいの割合で入っておるのか、総額に対して。厚生年金が集まるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/85
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086・河原輔之
○説明員(河原輔之君) 積み立て金のほうでございますか。それはちょっと手持ちの資料ございませんですから、調べまして、わかりましたら御返事いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/86
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087・小山邦太郎
○小山邦太郎君 これは何もここですぐ御返事いただかなくても……。おそらく私は、厚生年金の積み立て割合も、中小企業のほうもこんなに少なくなくて、大企業のほうもこんなに割合は大きくないのじゃないか、こう思われるものですからお尋ねしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/87
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088・田中一
○田中一君 前田君に聞きますがね、ただいま屋外付帯設備工事費内訳書、これは1から12までありますけれども、これは本体工事に流用することも可能ですか、不可能ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/88
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089・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 本体工事と一緒にして出しておりますので、中身につきましては、その範囲内で適当にやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/89
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090・田中一
○田中一君 たとえば一戸当たり九万三千百五十七円というものが、主体工事の建設費が足りないから、この分を流用して、ほかのものは場合によったらしないと、別のものでやっていくんだということもできるというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/90
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091・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) この九万三千百五十七円を主体工事費の数十万円と一緒にいたしまして一戸分として貸しておりまして、その範囲内で住宅をつくる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/91
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092・田中一
○田中一君 私の聞いているのは、たとえば浄化槽工事はしないのだ、しない、そいつを主体工事のほうに流用して使うのだというときには、それを認めておるか認めていないのかということを聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/92
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093・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/93
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094・田中一
○田中一君 認めておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/94
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095・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/95
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096・田中一
○田中一君 ちょっと速記とめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/96
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097・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/97
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098・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記起こして。
先ほどの田中委員の質問に対する答弁について、再答弁を求めます。前田住宅局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/98
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099・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 先ほど答弁いたしましたことにつきまして訂正をさせていただきます。
付帯工事のうちで、主体工事に必須の給排水工事等につきましては、これは流用は認めませんが、それ以外のものにつきましては、流用することも認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/99
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100・田中一
○田中一君 それでけっこうです。
そこで、この逐条説明を中心に二、三質問いたしますが、二ページの初めですがね、第一項の適正な価格で住宅の購入資金を貸し付けるという適正な価格——これは先ほどもお話があったからよろしい。
それから「住宅及びこれに付随する土地を譲渡する事業を行なう会社その他の法人」——「その他の法人」というのは、年金福祉事業団では、明らかにはっきりときめているわけです。日本労働者住宅協会、東京都住宅公社、広島県住宅公社ときめてありますが、産労住宅の場合には、どういうものを想定し、また、現在までに融資をしている団体はどういうものか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/100
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101・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) この場合の「その他の法人」は、住宅供給を目的とする公益法人をさしておりまして、各県に、あるいは各市においては、それぞれ出資をいたしまして、財団法人または社団法人等で、住宅供給その他の事業を行なうところの法人をつくっておりますが、そういうものをさしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/101
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102・田中一
○田中一君 たとえば、住宅生協あるいは住宅組合等にも融資をしているのですか、今後しようとするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/102
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103・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 住宅組合はこの場合には入りません。「その他の法人」でございますから、法人格があれば、一応法律上は対象になりますが、住宅組合は、別途住宅組合という形において、住宅公庫で扱っておりますので、この場合には入れておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/103
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104・田中一
○田中一君 住宅生協は法人ですよ、住宅生活協同組合でやっているのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/104
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105・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 住宅生協が法人であるならば、法律上は「その他の法人」でございますから、広く読めると思いますが、住宅生協そのものの目的なり、あるいは事業の内容から見まして、ここに必ず入るかどうかにつきましては、ここで明確なことは申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/105
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106・田中一
○田中一君 厚生省に伺いますが、厚生省ではどういう——住宅生協は入りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/106
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107・河原輔之
○説明員(河原輔之君) これは入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/107
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108・田中一
○田中一君 いま住宅局長の答弁聞くと、ここでも後手を踏む。少なくとも団体貸し付けというものを行なおうとするならば、住宅生協が非営利法人であるならば、これは当然融資の対象にしてもいいと思うのです。いままでに例がないというならば、ないということにしていいけれども、今後どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/108
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109・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) いままで例はございませんが、今後の扱いにつきましては、「その他の法人」と書いてございますので、法律上は別に排除する点はございませんが、住宅生協の仕事の実態から見まして適当であるかどうかにつきましては、十分検討したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/109
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110・田中一
○田中一君 十分検討して融資をするという方向に向かうというのか、十分検討してどういう方向に向かうのですか。明らかにそれは法人であるならば、むろん住宅生協は営利会社、営利団体じゃないのです。どういう方向に行こうとするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/110
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111・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) ここに書いてございます「会社その他の法人」は、これは中小企業者等に対しまして住宅を建設して譲渡する事業を行なう法人でございますので、住宅生協がそういう仕事をされるという場合には、十分検討いたしまして、もし貸し付けて支障ないものであるならば貸し付けることも可能であると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/111
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112・田中一
○田中一君 九条の三項の改正は、「住宅分譲事業を行なう法人に対し、貸し付け金の一時償還を請求することができる場合を規定している住宅金融公庫」云々と、こう書いてありますが、これは住宅金融公庫では、目的変更されて住宅の用に供さない場合には、要求するとか、それぞれありますね、条文が。そこで、この場合には何を考えてやっているのか。たとえばその企業体が自分の労働者でない、産業労働者でないものに賃貸をしているとかいう場合も、これに目的が違うのだから請求すると思いますけれども、あるいは金を返しますよ、もう自分のほうで資金が潤沢になったからお金を一時返します、途中で返しますと、こういった場合に受け取れる道を開いているのか。私は、前段の問題があった場合に準用しようということだと思うのですが、その点はどうなのですか。また、そういう事例はあったのですか。どういうケースのものがあったか、説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/112
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113・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) ただいまのお話の前段の場合等には、運用はきくと存じますが、後段の場合につきましては、住宅資金は長期で貸し付けることを前提といたしておりますので、その長期の資金を十分活用して、それが究極において、労働者等の住居が非常に適当な形において供給できるという形を確保する意味におきまして、後段のような場合には、この条項を運用することは例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/113
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114・田中一
○田中一君 しかし、悪意で考えた場合には、こういうことになるのですよ。目的を変更しよう、その場合に全部返してしまって、そしてほかに高く賃貸で貸すということもあり得るのですね。そういう場合には、住宅金融公庫は、一時償還を求める以外には道はないわけなのです。それに対する規制ができないはずです。ずっと法律のおしまいのほうに、十三条の二の二項に「貸付けを受けた者で第七条第一項第三号の規定に該当するものは、住宅の建設に必要な費用、利息その他必要な費用を参酌して主務大臣が定める額をこえて、当該貸付金に係る住宅又は土地の譲渡価額を契約し、又は受領することができない。」、これに関連があるかないか。とにかく目的変更すれば一時償還を求めるが、建物を全部こっちに渡せということは言わぬと思うんです。その場合、この条文はどういう場合を想定して考えているのか。また、厚生省の年金福祉事業団の場合でも、そういう場合がある。その場合には、全額償還請求をしているわけです。もちろん企業体に貸すんですから……。しかし、自分のほうで、役員会で、利益金処分のうち、これはもう返そう、返して自分のものにして、また新らしく申し込もうという場合もあるんですよ。その場合の受けるための条文になっているのか、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/114
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115・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 十三条の二の二項の規定でございますが、これは住宅を建設して譲渡する事業を行なう法人でございますが、この法人は、住宅金融公庫の貸し付けの趣旨に沿って、一定の限度、きめた範囲内で建物を譲渡すべきでございまして、それを公庫の基準をこえて高く売る、条件を悪くして売るというときには、これは公庫法の貸し付け、今回の貸し付けの精神に当りませんので、そういう場合には、その法人に対す貸し付けを規制するために、この規定によりまして、一時償還その他の措置を講じて、この公庫の貸し付けの趣旨に合うようにさせようという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/115
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116・田中一
○田中一君 そういうわけでしょう。その場合、契約面では、一応十五年なら十五年、二十四年なら二十四年という長期の契約をしている。だから、その場合の償還は、その時限の元金と利子——経過利子ですね、というものと、ほかに何を償還を求める金額に内蔵しているか——内蔵というか、いろいろあるでしょうから、それはどういうものか、元金と経過利子だけを払えばいいのか。契約面はなるほど二十五年なら二十五年という長期契約をしているのだから、二十五年分までおまえのほうに貸すことになるのだから、その利子を金額、二十五年の利子も払え、あるいはそのうちの目的変更なり何なりしているのだから、国家資金を使って利潤追求をやっているのだから、こうせい、ああせいというような、罰則じゃないけれども、処分というか、何というか、何かそういう道は制度として設けようとしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/116
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117・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 一時償還でございますから、その時点における債務でございますので、そのときまでにおける利息と、それから元金でございます。元金の、残った分、それ以外に罰則的なものはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/117
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118・田中一
○田中一君 それに関連しての質問が一番いいのだけれども、これはやめておきます。
厚生省のほうはそういうケースはいままでなかったですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/118
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119・河原輔之
○説明員(河原輔之君) 事業団は発足して間もなくでございますので、ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/119
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120・田中一
○田中一君 事業団としてはないか知らぬけれども、いままでの融資分にはありませんでしたか、事業団に引き継いだ。いままで十年前のものにもなかったですか、事業団はできたばかりだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/120
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121・河原輔之
○説明員(河原輔之君) 前に若干そういう例もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/121
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122・田中一
○田中一君 その場合には、いまの住宅局長の答弁と同じように、融資を受けた残額と経過利子とだけを返してくれればよろしいと、こうなっているのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/122
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123・河原輔之
○説明員(河原輔之君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/123
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124・田中一
○田中一君 北海道防寒住宅建設等促進法について伺いますが、この住宅購入資金の貸し付けというのは非常に飛躍した施策を考えているんですが、この購入資金、これにはそれぞれ公団のほうでいろいろ条件があるでしょうけれども、これはでき上がった住宅を買うんだからといって、それに対する評価、あるいは一定限度の、金額は限界があると思いますけれども、これはどういう手続によって貸すのか、ひとつこの説明してほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/124
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125・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 中小企業等におきましては、自分で公庫から資金を借り受けて自分で建築計画を立ててやるということがかえって困難である、特に零細な中小企業等におきましては、そういう手数を省きまして、どっかで適当な会社その他の法人、住宅協会等がつくったものを買いますと、戸数もあるいは一戸ないし数戸というふうに、それぞれ中小企業の資力なり希望に応じたものが入手できますので、そういうことができ得ますように、今回購入資金につきましても貸し付けをすることができるようにしたわけでございます。そこで、住宅金融公庫から資金を受けましたこの法人が、長期資金を借りまして住宅を建てます。あらかじめ中小企業が購入するであろうという見込みをつけまして建てます。それを中小企業等が公庫で金を借りまして、長期で買って自分の従業員に貸す、貸与するという形になると思います。これによりまして、都心部等におきましては、中小企業等の集合的な住宅——土地の高度利用及び耐火構造の住宅ができる、しかも、小さいものでも公庫の資金を利用して住宅ができるということをねらったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/125
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126・田中一
○田中一君 具体的には、これは北海道防寒住宅建設等促進法による北海道地区に限ったものを考えておりますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/126
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127・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) いえ、内地までです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/127
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128・田中一
○田中一君 そうすると、全部とするならば、これが住宅金融公庫の窓口と同じような長期分譲をする機関というものは、どんなものを想定されているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/128
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129・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 目下のところ、住宅協会を利用させようと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/129
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130・田中一
○田中一君 住宅協会の現状は、大部分のものは住宅金融公庫が窓口として資金を流しておるわけなんですが、しかも、住宅金融公庫の金を原資とする団体がやる場合は、現在もやっているじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/130
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131・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 今回の改正は、中小企業者等が自己の従業員に貸し付けるために住宅を取付するための貸し付けを考ましたので、従来の制度は、住宅をみずからほしい人が買う場合に利用できましたが、今回は、みずから中小企業者そのものが利用するんではなくて、中小企業者等に雇われておるところの被使用者に貸し付けるために住宅を取得できる、そういう道を開いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/131
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132・田中一
○田中一君 それから五ページにある「主務大臣は必要があると認めるときは、産業労働者住宅資金融通法第七条第一項第三号に掲げる法人で貸付を受けたものに対して、報告をさせ、又はその職員をして当該法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる」云々と、こういう立ち入り検査ができるんだということにしております。そうしてその罰則をきめてありますけれども、これは結局、金を返せばいいんでしょう、経過利子と金を。この立ち入り検査されては困るから、その事前に一時金を返して、それで経過利子も払った、なお罰則というんですか、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/132
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133・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) これは、検査を拒む、こういうことについての罰則でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/133
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134・田中一
○田中一君 そうは書いてないよ。「貸付けを受けた者で第七条一項三号の規定に該当するものが、第十三条の二第一項に規定する基準に従わないで住宅又は土地を譲渡したとき。」とかで、その立ち入り検査を拒むということはないがね、どういうんだろう、どうなっているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/134
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135・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) この十五条の二号の規定によりまして、住宅金融公庫の貸し付け金につきましては、制度の趣旨から考えまして、違法のないように、ただいま私が申し落としましたけれども、土地あるいは住宅の貸し付け契約に違反をした場合におきましても、罰則をかけるようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/135
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136・田中一
○田中一君 その事前に金を返せばいいんでしょう。どうなんです。返してもなお罰するというんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/136
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137・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 違反がありましたならば、これは法律違反でございますので、単に民事上の措置としての償還金の返還ということ以上に、こうして罰則で強制いたしまして、公庫の貴重な資金が有効適切に流れるようにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/137
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138・田中一
○田中一君 この問題は事実問題として非常に微妙なものなんです。たとえば、そうした違法行為があったと、その場合において、住宅金融公庫の役員、職員は過料に処せられる、それを見のがした場合には。知っていながらね。事実、犯意というか犯行は行なわれている、しかし、発見できなかったという場合と、それから発見できた瞬間に契約解除、いわゆる元金と経過利子とを支払うということによって契約行為がなくなったという場合、なおかつ、罰金を取るなんていうことは非常に微妙なんですよ。従来そういう実例はありましたか。大体罰金取ってないでしょう。そういう場合には、一応契約解除して元金を回収しているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/138
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139・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 従来は、この規定によりまして罰金を課した例は、私はまだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/139
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140・田中一
○田中一君 それは、事前に勧告をしてね、自分でどうしても元利ともに払いなさいと、そしてなお払わないで頑強に違反行為を行なった場合には、罰金を取ろうという趣旨なのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/140
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141・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 御指摘のように非常に微妙な問題と存じますけれども、従来のところは、事前に十分指導いたしまして遺憾のないようにしておりますし、この条文による罰則の適用を受けた者はないようでございますが、制度としては、こうして国の資金の有効な活用をはかるという制度として法律上設けられたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/141
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142・田中一
○田中一君 これはむろん住宅金融公庫法にも同じような規定があると思いますけれども、役職員が過料に処せられた例もありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/142
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143・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) まだございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/143
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144・田中一
○田中一君 私はそういう事例は知っておるのです。これは役職員がむろん知ってその処置に困って、いろいろ協力をして元利金を返させたと、それで穏便に——これは穏便です——事を済ましたという例はたくさんある。私はそれでいいと思う。
そこで、ところで厚生省のほうは、そういう規定はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/144
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145・河原輔之
○説明員(河原輔之君) そういう規定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/145
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146・田中一
○田中一君 まあ委員長のほうでこの辺でというならばもうやめますけれども、しかし、最後に伺っておきたいのは、従来ともに数多くの、各通常国会ごとに数多くの法律を出すために、なかなか議事が進行しない。だから、いわゆる抱き合わせ提案というやつがこの国会から非常に多くなってきているわけです。これにしても、産住と住宅金融公庫、本質的な問題をやはりかかえている。前回当委員会で採決した住宅金融公庫法並びに住宅公団法も、従来ならば単独にそれぞれの法律が提案されておったのです。これは、建設大臣がせっかく見えたので、政府の方針としては、同じようなものは一つにまとめて、二へん採決するのを一ぺんで済ましてしまおうというような考え方で出たものか。むろん一つの法律でそれに関連する、その法律の改正によって当然他の法律も改正しなければならぬものは、これはそうなりますけれども、少なくとも今回の提案された法律のような形で出す方針は、今後とも続けていくつもりですか。これは建設大臣は突然でわからぬかもしらんけれども、どうも抱き合わせ提案が多いのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/146
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147・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 御承知のように、法律が非常にこまかな点まで規定して法制化するようになっております。したがって、一ぺん法律を整理して、政令に譲れるものは政令に譲ったらどうかというような意見もあるようです。がしかし、別に御承知のように、補助金を変えるとか、金額を増すとかいうようなことを、みんな一部改正する承認を求めるというようなことになっておりますために、たいへん複雑になりますので、同種のものをなるべく取りまとめてというような気持ちがないことは確かにございませんが、まあこれらについては、ひとつ抜本的に検討する必要があるんじゃないか。毎国会ごとに数十の法律が出たのでは、国民諸君の生活が煩瑣になって、知らぬ間に法律に触れているという危険があるだろうと思います。私はこういうことはあまり得手じゃありませんけれども、しばしばそういうものが圧迫している。建設省の中でも、予算をどんどん取ってつくったらよさそうなものだ、こう思うのですけれども、それがなかなかそういきませんで、しいていえば、従来大蔵省がなかなかやかましく言いますものですから、そこで、一ぺん何か仕事をやることには法律をくっつけておいて、法律で裏づけしておいて予算が自然に通るようにしたらどうだという傾向があったように私は思います。しかし、そういうものじゃないと思うのですけれども、しかし、そういうことになっておるものを私はいかんともしようがありません、まあ現状のようになっているのじゃなかろうかと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/147
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148・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/148
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149・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/149
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150・中尾辰義
○中尾辰義君 ちょっとお伺いしますが、中小企業者に対するところの従業員を入れる住宅の融資ということになりますけれども、その場合に、従業員が入りまして、何か自分の都合によりまして会社をやめなければならぬといった場合に、そこの社宅といいますか、そこを出なければならないというふうになりますか。それともある程度までそこにがんばれるのか、どうなっているのか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/150
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151・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) それは、こちらは金を会社に貸すだけで、それをどうせい、こうせいという指図はいましておりません。会社の内部の規程にまかしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/151
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152・中尾辰義
○中尾辰義君 この法案はそれと関係ないといいましても、一応借家の常識から考えまして、どうなるわけですか。借家法というものが適用されるのか。それとも、これは中小企業者が従業員のために借りるのであるから、どうしても出ろといえば出ていかなければならないのか。まあ関連して私は聞いているわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/152
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153・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 借家法が適用されるという解釈になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/153
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154・中尾辰義
○中尾辰義君 借家法が適用されるとなりますると、現在の借家法というのは、正当な理由がなければ、そこに相当がんばっておれるというふうになっているように聞いておりますが、これは普通の民間の借家と契約した場合と同じような条件になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/154
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155・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 一定したモデルというものは聞いておりませんけれども、各会社によって、それぞれ社宅に入る規程を明確にしておるでしょうから、その内部規程によって運営されていると、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/155
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156・中尾辰義
○中尾辰義君 まあ、そうしますと、その会社と従業員とのいわゆる内部規程による契約、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/156
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157・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/157
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158・中尾辰義
○中尾辰義君 その場合に、結論として、借家法は適用されない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/158
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159・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) ただいま大臣がお話ししましたように、それぞれ各企業におきましては、その従業員との間におきまして、社宅の貸与に関する規程があると思いますけれども、借家法の範囲内におきまして、それと矛盾しない範囲内において実施をしておることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/159
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160・中尾辰義
○中尾辰義君 それで、私が聞いておるのは、その辺のところを矛盾しておらない範囲内というふうに——はっきりした返事はないのですが、借家法が適用されるのか、されないのか、それを私は聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/160
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161・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 借家法は適用されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/161
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162・中尾辰義
○中尾辰義君 そうした場合に、借家法であれば、要するに、家主と契約しました場合に、正当な理由がなければ、立ちのかぬでもいい、こういうようなふうになっているように私は聞いているわけですが、そこで、会社をやめなければならない場合に、その本人が、どうも行く先がないのだ、会社をやめましたけれども、現在行くところがない、こういうケースがあるのじゃないかと私は思うのですね、そういった場合にどうなるのか、そこら辺のところをお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/162
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163・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 借家法の規定によりまして、正当な事由のない限り、退去させることはできないと存じますが、社宅の場合におきましては、退職をするということが正当な事由として扱われるのではないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/163
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164・中尾辰義
○中尾辰義君 それから産労住宅というものは、建設資金を事業主が全面的に出しておればそういうことも考えられるのですが、七割五分というものは公的な資金が入っているわけです。七割五分は国民の金が入っていて住宅を建てたのに、そういうことは全然考慮されてないわけだな。要するに、事業主が金を出したのは二割五分しかない。厳密に言うならば、二割五分の権利しかないわけですよ、事業主には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/164
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165・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 住宅金融公庫では、社宅として貸しておりますので、扱いも社宅としての扱いと存じますが、これが、そのいま入っておる当人は、たとえ退去いたしましても、そのあとに従業員がまた入ってくるということにおきまして、住宅金融公庫で国の資金を貸し、従業員の社宅を供給することを援助するという趣旨には、特段の差はないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/165
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166・中尾辰義
○中尾辰義君 ですから、まあこういったようなケースは、私もちょいちょい聞いているわけなんですが、そういう面からやはりILOの勧告の面も出てくるのじゃないかと思うのです。ですから、私は、これに必ずしも反対はいたしませんけれども、やはりこれは、方向としては労働者諸君が自由におれる家を建てるべきじゃないか、こう思うわけなんです。ですから、われわれ公明会として、この建設大臣の住宅政策というものを、私は全面的に賛成はしておりません。何といいますか、実力者の河野さんは、もう少しハッスルして、建設予算や住宅予算を取らなければ、これは生活白書に見ましても、池田内閣の高度成長経済のひずみ、住宅難というものはいまだ依然として解消されておらない、こういうことが出ておるわけですから、将来これは大胆にお願いするわけですが、もう少し住宅政策に重点を置いてやっていただきたいと、こういうふうにお願いするわけです。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/166
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167・北村暢
○委員長(北村暢君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/167
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168・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/168
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169・田上松衞
○田上松衞君 大臣が非常に時間に制約されておる事情をよく承りましたので、特に明敏な大臣のことであるから、ああだ、こうだというような説明等は省略いたしまして、端的に申し上げます。したがって、御答弁もきわめて要領よく端的にお願い申し上げておきます。
この出されておりまする問題、結局住宅政策をどういうぐあいに完全にやっていくかという上に考慮を払われて出されたことは言うまでもないのでありますが、この場合、やはり関連をもってみまするものの中に、ILOの労働者住宅に関する勧告があったことは、御承知のとおりであります、この勧告の精神というものは、やはりこれは尊重していかれることが大事でないか、こういうぐあいに感じておるわけですが、これに関しまする大臣の御所信を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/169
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170・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 私も、住宅政策が不十分であるということはよく考えております。ただ、何ぶんにも、急激に都市にあとからあとから人が集まってこられて、そしてそれが住宅を要求される傾向が非常に強うございます。したがって、これがとにかく一応安定いたしませんことには、どうもならぬ、しかも、その住宅要求の度合いが非常に変わってくる。労務者住宅である場合もあるでしょう、それが中小企業もしくは小さな商人のところへおつとめになる場合もあるでしょう、というようなことで、何ぶん東京だけでは一年に三十万から五十万も人が入ってくるということでございますから、よほどのことをせなければいかぬだろうと思うのでございまして、まず第一に打ちました手が、従来は五十億とか百億とかというような大会社が金を使いまして、そして相当の会社が手持ち資金を入れて住宅を建てて、そしてそれを貸しておった、こういうことでありましたものを中小企業の小さな資本家に切りかえをして、大会社はなるべく自分で建てるようにしてくれということにいたしましたから、したがって、手持ち資金を少なくしてこちらの金をよけい利用するようにしてあげなければ中小企業の目的に沿わないというので今度出したのが主としてそれでございます。しかし、それといまお話のILOの勧告との間に、先ほどからお話がありましたとおりに、理想は、住宅は自分でつくって自分で家族の人数に、もしくは趣味に合うものを同じ金額でくふうをしてやるのが一番理想に違いないことは申すまでもございません。職場を離れたらすぐ家まで離れるということは、これは非常に残酷であることは申すまでもありません。したがって、私は、明年度の予算には低利、長期の資金を住宅に充てまして、そして個人もしくは住宅組合というような——住宅組合法も、従来の戦前の住宅組合法にも多少の難点があるようでございますから、これらの経験も十分調査いたしまして、そして個人に金を政府がなるべく貸して、そしてそれは低利で長期という資金をつくって問題の解決に当たるということでなければいかぬ、これはILOの精神にも合うのじゃないか、こう私は考えてぜひ明年度はそれに取り組みたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/170
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171・田中一
○田中一君 ちょっと速記やめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/171
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172・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/172
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173・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記起こして。
他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/173
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174・北村暢
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は、順次賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/174
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175・田中一
○田中一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されております産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案に対しまして、反対の討論をいたします。
本法律案は、過ぐる十九日衆議院本会議で通過し、本院に送付されたものでありますが、社会党の代表として、岡本君から、るる反対の趣旨が述べられております。これには、反対の理由の第一としては、社会党の委員の出席をしておらなかった委員会において、民社党の一人の委員を集め、強行採決をしたということが述べられております。私は、このような異常な国会の状態は、長年、通常国会、臨時国会等を通じて避けべきものであるということは、その事態が起こった後には、お互いに与野党ともに反省し、再びそのような異常な事態を起こさないように考えておりましたけれども、突如として、衆議院におきます委員会においては、この採決が強行されたという点は、はなはだ遺憾でございます。だから、本質的にこの法案が反対だというわけじゃございませんが、第二の問題としては、大臣が出席されない午前中の委員会におきまして、るる質疑を重ねたものでありますけれども、これは大臣も、詳細速記録によって御承知を願いたいのでありますが、厚生省が所管をしておりますところの厚生年金保険法による年金福祉事業団法によってつくられている厚生年金事業団を窓口として融資されている厚生年金の還元融資住宅と比較いたしまして、あらゆる面において条件等が劣っております。これは少なくとも、いままで建設大臣としては、十分にその違い方というものを了承されているものと思いますが、参考人としてここに出席願った東京商工会議所の田原調査部長も、私の質疑を聞いておりまして、住宅金融公庫融資の産労住宅よりも、厚生年金保険法による還元融資住宅のほうが有利であるということを率直に述べ、かつまた、中小企業は、産労住宅法よりも厚生年金保険法にする住宅融資のほうを求めるのだという真の国民の声をここで述べられて、退席したものでございます。
少なくとも今回の提案された法律案の内容は、いままでありました現行法と比較いたしますと、一歩前進でございます。これは認めます。しかしながら、住宅行政の全般——大部分のものを掌握し責任を持っている建設大臣として、厚生省が所管するところの厚生年金保険法による融資よりも、あらゆる条件において劣っているという現状は、これははなはだ受け取れないものが多々ございます。期待するところは、建設大臣が、三たび建設大臣として明年度予算をもつくろうという心がまえが見えておりますので、これに期待はいたしますけれども、同じ責任内閣の中におきまして、他の所管する融資法よりも劣っているという産業労働者住宅資金融通法のあり方に対しましては、絶対認めることができません。したがって、今後とも十分に閣内において論議をかわされ、よりよい産労住宅法となるまでは、われわれといたしましては、今回の改正を含めまして反対するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/175
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176・田上松衞
○田上松衞君 民社党を代表いたしまして、賛成の意思を明らかにいたします。
この場合、少し意見を申し上げたいと思うのですが、賛成するからと申し上げまして、この改正案を全面的に完全無欠なものだという意味で賛成するわけじゃございません。やむなく賛成するということなのであります。
池田総理は、今次の国会の劈頭におきまする施政方針演説の中でも、現下のわが国の、特に中小企業者の悩みというものをよく認識されておるかのような口吻のもとに、取りようによっては、みずからの過去の失政も必ずしも否認するわけではない裏づけをしつつ、中小企業の振興策に真剣になっていくという態度を表明されたわけだったのです。このことを考えてみますると、具体的にどうやっていくかという大きな柱の中に、いまの住宅の問題が入ってくるはずだと私どもは認識しているわけなんです。河野建設大臣が池田さんと考えを異にされているならば、これはまた別のことになりますけれども、そうでなくして、このことに関する限り、やはり歩調を合わせていかれていると思う。今次の本案を審議する中でも、いろいろそういうような誠意を披瀝されたことだったのです。ただしかし、実際に内容を掘り下げていってみますると、さっき申し上げましたようないろんな満足すべきものでないものがたくさん見出だされてきます。わけても同じ中小企業といたしましても、五人以下の従業員しか持たない零細企業の人々に至っては、何らこれを救う道が与えられていないということは、まことに残念に思っているわけです。しかしこのことは、将来十分そうした方向へ真剣にやっていかれるという河野建設大臣の御決意を尊重して賛成していきたい。
もう一点は、先刻、私、質疑申し上げました住宅政策の策定にあたって、政府は、わが国の特殊事情も勘案しつつ、できる限りILOの労働者住宅に関する勧告の精神を尊重していただきたいということに対して、先刻の御答弁の中で、明らかにその精神は尊重していくんだ、特に来年度から予算のほうにもそのことに努力する意味の言明をいただきましたので、私は、これを一つの楽しみといたしまして、もうこうなってきますと、反対する理由も当然除去されることであります。
繰り返して申し上げますが、御熱意を高く買いまして、期待いたしまして本案に賛成いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/176
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177・中尾辰義
○中尾辰義君 私は、公明会を代表いたしまして、本法案に賛成をいたします。
しかしながら、現時点におきましては、住宅難がひとつも解消しておらないということは、これは公営住宅あるいは公団住宅等の申し込みの数を見ましても、また、生活白書の報告を見ましても、言われることでありまして、したがって、私は、まだまだ公営住宅というのは大量に建設すべきじゃないか、かように思っているわけであります。この法案も、住宅政策の一環といたしまして出されているわけでありますが、これは事業主のひもつき住宅でありまして、先ほど質問申し上げましたように、従業員がやめた場合には出ていかなければならない。したがって、労働者諸君に対しては、不安定な住宅であります。しかしながら、本法案は、建設費の融資率も上げてありますので、一歩前進である。こういう意味におきまして、住宅難の現状におきましは、賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/177
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178・石井桂
○石井桂君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものでございます。
本案は、中小企業者に使用されております産業労務者のための住宅建設を一そう促進するための改正でございまして、そのおもなねらいは、産業労務者住宅への貸し付け金額の限度を、それぞれ六割から七割五分、あるいは五割五分から七割に引き上げること、あるいは中小企業者にも、建設資金のみならず購入資金をも貸し付けよう、その他、公庫は、産業労務者住宅を建設して譲渡する事業者及び法人等に対して、資金の貸し付けができることとしたという、これらをあわせ考えますと、ただいま政府の意図している「一世帯一住宅」の住宅政策の理想へ一歩踏み出したものと存じまして、大いに賛成するものでございます。
以上簡単でございますが、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/178
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179・北村暢
○委員長(北村暢君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/179
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180・北村暢
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/180
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181・北村暢
○委員長(北村暢君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X01519640324/181
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182・北村暢
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十九分散会
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