1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十八日(木曜日)
午前十時九分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 北村 暢君
理事
石井 桂君
稲浦 鹿藏君
増原 恵吉君
瀬谷 英行君
委員
熊谷太三郎君
小山邦太郎君
高橋進太郎君
村上 春藏君
田中 一君
中尾 辰義君
田上 松衞君
村上 義一君
政府委員
経済企画庁総合
開発局長 鹿野 義夫君
建設省道路局長 尾之内由紀夫君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
説明員
大蔵省主計局主
計官 青鹿 明司君
参考人
日本大学教授 桑原彌寿雄君
日本道路公団副
総裁 佐藤 寛政君
日本道路公団理
事 藤森 謙一君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国土開発縦貫自動車道建設法の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○連合審査会開会に関する件
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/0
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001・北村暢
○委員長(北村暢君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
先ほどの委員長及び理事打ち合わせ会の結果を御報告いたします。
本日は、初めに参考人の出席要求に関する件についておはかりいたし、次に、国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案に対する質疑を行ないます。
では、参考人の出席要求に関する件について、おはかりいたします。
国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案審査のため、本日、日本大学教授桑原彌寿雄君、日本道路公団副総裁佐藤寛政君、同公団理事藤森謙一君を、なお、六月九日には、長野県知事西澤権一郎君、山梨県身延町長佐野為雄君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/1
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002・北村暢
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/2
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003・北村暢
○委員長(北村暢君) これより本日の議事に入ります。
参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は御多忙中のところ、まげて御出席を賜わり厚くお礼を申し上げます。つきましては、本案に対する忌憚のない御意見を拝聴いたしたいと存じます。
なお、参考人からの意見聴取は、質疑応答の形で行ないたいと存じます。御了承願います。
政府側から出席者は、経済企画庁鹿野総合開発局長、大蔵省青鹿主計官、建設省尾之内道路局長が出席しております。
国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/3
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004・田中一
○田中一君 御出席願った桑原参考人にお伺いしたいんですが、今回提案された法律案は、中央道を除いた四つの地点のものは、これは初めてあらゆる見地から検討され、提案されたものであって妥当なるものと考えておりますが、中央道に関しましては、この法律案は、御承知と存じますけれども、衆議院の各党超党派で全員の賛成をもって、政府関係の同僚議員以外の者が全員をもって提案されたものである。そうして三国会にわたる慎重な審議の結果決定され、一昨々年予算決定もなされたものであります。これにつきまして、参考人は従来ともにこの事業に関心を持たれ、相当長い間現地を十分に調査され、あるいは技術面あるいは経済面等においても検討されたものと承知しておりますけれども、この際、今回提案されたいわゆる諏訪湖回り——諏訪回りという路線につきまして、従来御調査なすった間に検討されたことがあったかどうか。それから改正の内容につきまして、考え方につきましては、われわれ審議をきょう初めてするのでありまして、まだ承知しておりません。しかし、これに対する参考人としての御意見等をまず伺いたいと思うのです。
ただ、申し上げておきますことは、この法律は、単なる高速道路をつくるんだという趣旨のものではないことは明らかでございまして、たとえば東海道における一級国道に対する並行線としての東名高速道路の性格とは、おのずから根本的に違っております。国土開発縦貫自動車道路ということになっておりまして、その点もひとつ御勘案の上御意見を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/4
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005・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) 私は、目下東洋大学及び日本大学において交通工学及び隧道工学を講義しておるものでございますが、昔から国土開発に非常に興味を持っておりまして、だいぶ研究しております。約十数年前から、全国の高速自動車道の網について研究しておるものでございます。
いま御質問のありました中央道につきましては、これは、そもそも縦貫道構想の始まりのものと承っておりますが、細長い日本の列島のまん中に心棒を一本通して、そしてこれを、時間、距離的に短縮化をはかろうという、まことにけっこうなものでございます。この構想の発案者である田中清一先生並びにその推進者であるところの日本縦貫高速自動車道協会には深甚なる敬意を表するものであります。これが国会を通りましてから、建設省御当局でもずいぶん研究されまして、いろいろやられたようでありまするが、私自身の研究について申しますると、自分の意見としましては、理想としましては、結果的に先に申し上げますると、東京から富士山ろくをなるたけ近い距離で通って、そして赤石山脈を横断して名古屋の北方に達するのがよいと考えます。しかしながら、現実的に見ますると、ここは、私、トンネルのてっぺんを除きましてほとんど全部歩いたわけでございますが、長大なトンネルを要します。で、工費がかかります。いまお話しの出ました諏訪回りも、これは大体路線に沿うては歩いてございまするし、中央道の赤石案をやるときには、図上の検討をやりました。比較しますると、トンネルが多い関係上、工費が二、三割高くなるかと存じますす。
工費の点は、これは何よりも近いということ、たとえば東名高速自動車道よりも中央道赤石案は、約五十キロ近くなりますので非常な魅力がございます。これは、なるほど国土開発といっておりますが、国土なるものは、自動車の走る沿線だけが国土ではないんであって、日本全体を、時間、距離を短くして国土の生産性を高める、こういう趣旨のものでありますので、近いということは非常な魅力であります。しかしながら、いま申しましたように、工費がたくさんかかるということのほかに、私もそのほうは専門家とは申せませんけれども、道路の換気等の問題を勉強してみますると、これはできることはできるのでありまするが、非常に設備費もかかるし、あとの維持運営の費用がかかるわけであります。なおかつ、実はこの高速自動車道は、平たんの場所においては、百二十キロ毎時という速度が想定されておりまするけれども、トンネルの中の幅の非常に狭いところ、見通しのきかないところ、ここにおいては慎重を要しますので、私の感じでは、おそらく八十キロ以下、あるいは六十キロ程度の速度になさなければならないんじゃないかということを考えますると、近くても必ずしも早くはないという点が考えられます。
それから一方、諏訪回りといわれておりますが、諏訪回りにつきましては、あとで少し意見がございますので追加いたしまするが、こちらのほうは、赤石山脈横断に比べて距離が約五十キロ遠い。これは東名道のほうと同じであります。それからもう一つ欠点がございます。これは最高点が富士見の千二百数十メートルに上がるわけであります。赤石横断の最高点は九百四十メートル程度であったかと記憶しておりますが、高いところへ上がるということは、これはガソリンを食うわけであります。その点欠点がございますが、しかし、一面また一般に地形のいいところを通りまするので、曲線の関係が非常にいい。曲線が少ないということから速度は上げ得るというまた特徴もございます。こういうことを入れまして、路線そのものについては、比較検討して、なお赤石路線直通案に魅力を感ずるのではございまするが、当時の中央道が提案され制定された当時と状況が変化いたしましたのは、東名道ができつつあります。そうして一応東京−名古屋問はつながれる、多少遠回りではあるがつながれるということになっておりまするのと、もう一つは、この縦貫道法のほんとうの意義を考えますると、先ほど申しました細長い国土を短くするんだ、時間的に短くするんだということにあるわけでありまするけれども、時間的にさほど差がないものならばいま御説明申し上げたように、これは赤石経由と時間的にあまり差がないと思います。差がないものとするならば、内陸部の開発をはかるというのでけっこうなことではないか。とかく縦貫道というと、田中清一先生が御発案で、山の上を通すんだといわれておりますが、山の上を通すというのが目的ではなくて、日本のまん中に山が多く未開発地が多いので、そこには土地も遊んでおるし資源も眠っておるから、ここを通すということでございますので、その趣旨に沿うて、必ずしも山のてっぺんを通す必要はないのであります。内陸部を通すということが主眼ではないかと思います。これは中央道に限りません。東北道にしましても、その他の縦貫道につきましても、趣旨としてはそうであります。しかしながら、内陸部といいまするけれども、九州のごとく半島があり、島があって広がっている部分は、ほぼまん中がいいんじゃないか、つまり一本背骨を通して、両側に肋骨をつくって、交通能率をあげればいいんではないかと考えております。それで、この中央道につきましてはそういう意味で内陸部を通って、必ずしも山のてっぺんばかり走ることもないと思われまするのと、情勢の変化と申しまするのは、昨年でございましたか、新産都市の仮指定がございまして、諏訪・松本地区が、日本の唯一の純内陸工業地帯として指定されたようでございます。この点を考えますると、これに活を入れるという意味において、これに近づくことはいいことではないか、こう考えます。もちろんこれにつきましては、いまの計画を変更する問題につきましては、そういうふうな相当の理由があるから賛成するのでありまして、同じ中央道としましても——多少脱線するかもしれませんが、富士吉田と東京の間のごとく、国鉄の中央線があり、十九号国道のあるところへダブって高速道路を大月回りでやるというのは、これは技術的に見て私は感心しないのであります。これは私の提案としまして、当時の御当局——ここにおられる佐藤さんも取り上げられておりまして、道志回り山中湖を通る理想的な案を考えたわけであります。このほうは端的に申しますると、東京——富士吉田間で、四百数十億で済むわけであります。ところが、大月回りの現在やっておりまする線にしますと、これが七百億をこえます。それからこの折衷案として、秋山を通る案も考えられまするが、これにつきましても、道志回りよりも多少高くなる程度でありまして、いずれにせよ、そういういまの大月線よりも百数十億円安くなる案があったんでございまするが、しかも、ほかの交通路と競合しない、私はそういう競合しないところにつくるのが本質ではないかと思うのであります。その点が、どうもいわゆる政治力とか、こういうことで政治家とおっしゃる方々は選挙の票のほうが大事のようでありまして、わあわあ言われる皆さんのほうへ引っぱるということで、何のことはない、高速自動車道のほうは、何も通ったから利益があるわけじゃなくて、インター・チェンジのところは多少利益になりまするが、ほかのほうは壁ができてじゃまになって、プラスにはならないんでありまして、やはり選挙民をたきつけてやられる方が多いと見えまして、ああいうふうになったようでありますが、たとえば、いまの大月回りを秋山回りと比較しますと、富士のインター・チェンジと同じだ、それから大月のインター・チェンジが少し都留のほうへ寄るだけでありまして、事実上関係ないし、場所もいいわけであります。そういうふうな技術的にいい案が必ずしも行なわれないということは、そして選挙関係の問題でぐるぐる回るということは、私は感心いたしません。
しかし、今回のいわゆる諏訪回り——実は私、諏訪回りには、こまかく言いますると賛成ではない、いま申し上げますが、これは比較的根処がございますので、私は総括的にいって賛成でございます。しかしながら、こまかいことを申し上げるようでございますが、諏訪まで回ると天龍川に沿うて回るようなことになりますると、これは距離が相当遠くなる。したがって、私は、富士見の分水嶺は自動車道路のトンネルも何もできない、建設としましては容易なところではありません。冨士見までは問題ございませんが、富士見からはなるたけ飯田の方向へ短絡するように金沢峠あるいは杖突峠を経由しまして、そして高遠付近を経て行くべきではないか、もちろん縦貫道以外には日本に高速自動車道をつくらぬと法律できめたわけではございませんので、諏訪ないしは松本、あるいはちょっと延びて大町、長野方面へこれから分かれた高速自動車道をつくるべきであると考えます。この点は参考資料として残こしてまいりまするが、ことしの二月に縦貫高速自動車道協会の外郭団体である交通計画研究所におきまして、私は、日本の高速自動車道網計画についての論文を書き残こしておきましたので、残こしてまいりたいと思います。
そういうわけで諏訪回り、いわゆる諏訪回りはやむを得ないと思いまするが、ただやるときに、必ずしも、諏訪といっても上諏訪の温泉の付近は、山と人家と湖水と一ぱいあります。この湖水の上を通すことも風景上おもしろくないと思われまするし、あちらに回ることは抵抗もございまして、私は、杖突峠もしくは金沢峠を経て短絡すべきではないかと考えております。なお、この諏訪回りでいいことは、飯田付近におきましては、これが前の赤石案の場合には、飯田のはるか南方を通るわけでございますが、これは北方から飯田の市の付近を通りまして中津川のほうに行きまするので、飯田——中津川間に、在来の案では——赤石案では、神坂峠に八キロ前後の長いトンネルができるわけでございましたが、これは飯田のほうから適当にトンネルを大平峠付近を分割して通りますると、三キロ前後のトンネル二本か三本で足りるかと思いますので、このほうはすぐれている点もございます。
以上総括しまして、必ずしも理想案とは思いませんが、赤石経由の理想案は、いまの情勢においては多少困難な点があると認めますので、いわゆる諏訪回りは賛成である。しかしながら、条件は、諏訪まで無理して下がらずに、なるたけ短絡して短い線路をつくっていただきたい、こういうことでございます。
御質問がございましたらどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/5
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006・田中一
○田中一君 よく承りました。
そこで、道路公団は、従来どういう形の調査をしてきたか。かつて通過した、成立したところの法律の路線によると、いま桑原参考人が言っているように、赤石山脈を横断するということになっておりますので、その調査をしたか。それからどういう点の調査を——今日まで法律が通過して以来、予算の面それからその調査をした対象、それから期間、それらをひとつ詳細に説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/6
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007・佐藤寛政
○参考人(佐藤寛政君) 道路公団におきましては、御承知のように、法律によって定められたところにより、なおまた、建設省の御指示に従いまして、この中央道については、今日すでにもう建設が三年目に入っておるわけでございます。この経過につきましては、御承知のように、東京都環状八号線から出発いたしまして、八王子、大月を通り富士吉田、河口湖に至る路線について建設を実施するよう、こういうことで政府から施行命令をいただいて、そのもとに建設実施計画を進めておるわけでございます。一昨年以来鋭意工事を進めまして、全線にわたりまして計画設定をいたしまして、すでに用地買収も相当進んでおります。なお工事にも一部着手しておりますが、本年度におきましては、相当工事に着工する予定でございまして、この施行の実施につきまして詳細な計画、調査をして、そのもとに鋭意事業を進めつつあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/7
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008・田中一
○田中一君 どうも抽象的でわれわれがつかみ切らない問題があるのですが、御承知のように、今回の法律の改正案というものは、富士吉田から以西の問題を提案されているんです。お話しの問題は、みんなその以北といいますか、以東といいますか、東の側のことを言っておるわけですが、その先はどうなっているのですか。対象が違うように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/8
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009・佐藤寛政
○参考人(佐藤寛政君) 河口湖から先の問題につきましては、ただいま、いろいろ御議論されておるように承っておりますが、道路公団としては、いまだ、これの調査等にかかる段階になっておりませんので、私から何とも御説明申し上げようがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/9
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010・田中一
○田中一君 飯田市付近に公団の事務所を持ったのじゃなかったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/10
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011・佐藤寛政
○参考人(佐藤寛政君) 道路公団では、そうした事務所等を設置してはございませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/11
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012・田中一
○田中一君 それじゃ、道路局長に、それらの、富士吉田以西の年次別の調査費、それでこうしたというような形で、具体的に説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/12
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013・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 中央道の調査につきましては、昭和三十二年から調査を進めておりますが、ただいま佐藤副総裁からお話がございましたように、東京−富士吉田間につきましては、三十七年に施行命令が出まして、その区間について、道路公団に、事業として移されております。したがいまして、その以西の区間につきましては、もっぱら建設省直轄調査として調査を継続いたしております。数字を申し上げますと、三十七年度におきましては、調査費一千万円、三十八年度におきましては、調査費一千万円、そのほかに、七百万円補充されておりまして、計一千七百万円になっております。それから三十九年度、本年度は二千万円、こういう調査費が計上されております。それで、これらにつきまして、ただいまお話しの出ておりますところの諏訪回り線につきましては、三十八年から調査をいたしておりまして、千七百万円のうちの七百万円をもってこれに充てております。三十九年は二千万円でございますが、これらの多くは、諏訪回り線の調査に充てられると、こういうことになっております。この調査を実施いたしますために、飯田並びに多治見側に事務所を置きまして、これによって調査をいたしておりますが、ただいま申しましたように、諏訪回り線につきましては、三十八年度から新たに始めたものでございます。
それから普通の縦貫道調査と同じように、まず、航空写真をとりまして、それらの図化をし、路線の選定をし、それから経済調査、技術調査に入っていく予定でございますが、まだ、始めたところでございまして、この線につきましては、詳細なる調査はできておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/13
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014・田中一
○田中一君 桑原さんに伺いますが、七キロないし八キロのトンネルの建設は困難だというようなことは、今日の日本の技術の面から見てどうでありますか。それは不可能でありますか、可能でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/14
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015・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) 現在の日本の技術といたしましては、いわゆる高速道路の敷幅が十メートル前後のトンネルであっても、これは、地質の悪いところは別でございますが、八キロであろうと十キロであろうと十二キロであろうと、掘ることには問題はございません。問題がございますのは、あとの換気でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/15
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016・田中一
○田中一君 イタリアとフランスの間のアルプスの隧道を抜きましたね。あれは、どのくらいの工事で、今日、どういう現況になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/16
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017・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) おそらくモンブランの自動車道路のトンネルをさしておられると思いまするが、私は、実は行って見ておりません。書いたもので見ておるのでございますが、長さは十一キロ六百メートルと聞いております。幅は、いま申したように、やはり敷幅が十メートルでございまして、掘るほうは五年ばかりかかったようでございますけれども、フランスとイタリアの間でありまして、スイスのほうをかすめておるわけでございます。掘るほうとしましては、イタリア側のほうが地質が多少悪かったので困難で多少おくれたのでありますが、問題はまずなかったと思います。ただ、換気の設備が、この場合は、私の聞いておりますところでは、一日の通過台数が一千数百台というふうに聞いております。ここは階段式の換気をしてやっておるように伺っておりますので、一応解決はついた。要は、日本のいま考えておる中央道とか、その他の縦貫道は、通過台数は、一応私の了解しているところでは、一時間二千台、一日二万台という数字を想定しております。そうなりますると、一酸化炭素を中心とするガス、あるいはディーゼルエンジンの煙、そういうものの濃度が問題になるわけであります。通過数量が違うので向こうは問題はないらしゅうございます。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/17
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018・田中一
○田中一君 工事費、予算ですね、経費も、いまでは、かつての丹那隧道をつくったような時代と違って、相当技術も進歩していれば、したがって、これに伴う経費も節減されているのではないかと思うのですがね。その点は、たとえば今度の新幹線の新丹那トンネル等は、どのくらいな期間と予算と規模で行なっておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/18
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019・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) 私、いまの御質問の新丹那トンネルにつきましては、多少国鉄在職中に関係したことがございまするが、あれは大東亜戦争中までやって中止したのでございまして、その関係と、それから戦後、保守と称して細々工事を続けておった、それから昭和三十四年から本格的に再開してやったのでありますが、最近の数字は聞いておりませんが、これは、過去に困難したような困難はしなかった。理由は二つございます。一つは、在来の丹那トンネルを掘っておいて、その中間に水抜きのトンネルがございます。それで新丹那計画を慎重にやったのでございますが、予想よりも早くできたわけでありまして、したがって、工事費は普通の新幹線トンネルの工費よりもさほど高くなっていないものと了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/19
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020・田中一
○田中一君 日本には通過台数の問題がありますから、これは何とも言えませんが、いま桑原さんからのお話だと、一日二万台通るという想定で、赤石案というものに対して、管理費がかかるといっておりますが、二万台通って、その排気をするには、空気をきれいにするには、どのくらいの経費がかかるものなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/20
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021・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) 遺憾ながら、私、換気のほう専門でございませんのですが、大体設備費として、トンネル工事費の三〇%ぐらいかかるものと、専門の伊吹山四郎氏から聞いております。なお、長さの延長の二乗に比例しまして機械の馬力数が上がる、また、電力の使用量がふえるということを聞いておりまして、これがばく大だとは聞いておりまするが、要するに、それがないところはゼロでございまするから、ほかの数字はちょっと確めまするけれども、その点が非常に大きな違いになるものと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/21
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022・田中一
○田中一君 何か資料いただけるというお話がございましたが、それを説明してくれませんか、その資料を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/22
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023・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) 実は私は、昭和三十五年に、「日本に於ける高速自動車道網の構想」なる作文をものしまして、日本全体の国土の生産能率をあげるためには、鉄道網しかない日本で、在来のいわゆる国道網しかない、道路網しかない日本で、全国の高速道路網が必要であることを主張したのであります。そのときには、全国に縦貫道を骨とする高速自動車道網を一応の計画としたのでありますが、その後研究しました結果、これは高速道路なるものが一般道路網と孤立しておるかっこうになっておるところに欠点をみずから見出しましたので、その二つを合一して考えるということで研究しましてまとめたものを本年二月に発表しました。これは交通計画研究所から出しておる、ここにございますから残しておきますが、その内容は、縦貫道を骨としてこれに多少補足的な、たとえば東名高速自動車道等もございます。そういうふうな必要なところは、一本しかつくらぬとはきめないで、必要なところは二本つくる、もちろん山陽道もつくる考えでおります。中国道に対して山陽道、そういうように考えまして関西道、そういうふうなものを考えておりますが、副幹線も考えると同時に、その他の高速道路網は、綱に該当する一、二級国道を、端的に申し上げますならば、現在、改正になった新しい道路構造令によりますと、相当の規格になっておりますので、その規格の最大の程度にやれば、準高速道路はできるのではなかろうか、それとあわせてやったらいいだろうと考えたわけであります。内容は、いわゆる純粋の縦貫道をはじめ高速自動車道が、約六千六百三十キロばかりと一応自分で想定しました。この点は、建設省さんの御発表の、約六千五百キロと新聞発表はございました、それと一致しました。私、全然それを考えないで自分で考えたのと一致しておるわけであります。それから在来の国道網をバイパスその他で改修して、あるいは規格を上げてやる。準ずるほうの高速自動車道は、八千八百七十キロ、つまり約九千キロであります。これくらいな程度やれば、一応私は、大体目標を今後三十年ないし五十年として考えたわけであります。二十年間でこれに達して、あと二、三十年役に立つようにと思って考えたわけでございます。書きましたものの内容は、こまかい点に触れておりますので、省略させていただきます、資料を置いてまいりますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/23
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024・田中一
○田中一君 お急ぎでしょうから、あと二つだけ伺っておきたいと思いますす。
一つは、諏訪回りと直線コースと、経費が諏訪回りのほうが安くなっているというようなお考えでありましたけれども、これは建設費という意味だと思うのです。もうこの換気等の管理費は、これは別だと考えていいですね。建設費の中には、安全に通行できるような換気その他の施設も含めたものをいっているのですか、そうでないのですか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/24
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025・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) 御質問の換気設備その他を含めて考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/25
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026・田中一
○田中一君 それで土地の買収費は、いわゆる三鷹を起点とする、東京八環を起点とする路線、それから今回改正されようとしておる中津川までの路線、この路線と現行の路線ですね。富士吉田まではいいです。富士吉田から諏訪回り、赤石山脈を貫く直線コースと、土地の用地の買収費はどういう比率に見ておりますか。むろん距離は五十キロないし六十キロ遠くなっております。むろんこれも含めてその用地買収費はどの程度の比率とお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/26
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027・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) いま田中議員から、用地に関する御質問がございましたが、いわゆる赤石案、まっすぐ行く案につきましては、用地費はネグリジプル・スモールだと思います——これは問題にならないと思いますが、諏訪回り案にしましても、純然たる平地、耕地を横断するところは、富士川の横断の付近が十数キロ程度かと思います。それ以外は、大体山の中あるいは山腹といいますか、山の根っこを通通っていくことになりまするので、これはあまり困難はないし、金は、もちろん片っ方がネグリジブル・スモールでございますので、比率は何倍ないしは十倍以上かと思いまするけれども、絶対金額は、建設費の数%で済むのじゃないか、一〇%にはならないのじゃないかと私は考えております。あるいは、こういうことを申し上げると建設当局に差しさわりがございますかもしれませんが、その点も含めまして、私は、諏訪湖のほうを回って通ることは困難であろうということも考えております。これは、諏訪湖のほうを通っても、南岸を通れば用地の困難は少ないかと思いまするけれども、それでは諏訪回りがあまり生きてこないのじゃないか、それよりかこの路線を、あまり無理して諏訪のほうに引っぱらないで、そしてこの案は、なるたけ諏訪の付近を通るけれども、東京——名古屋間の距離を長くならないように考える、そして諏訪のほうに対しては、枝線として高速自動車道ないしは準高速自動車道で長野、大町、松本ですか、これと結ぶ、なお、その先のほうで、あるいは立山ルート、その他のルートで富山方面とか、それから長野から先、直江津方面とか、こういうふうに結ぶことを考えるほうが必要であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/27
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028・田中一
○田中一君 道路構造令による高速道路としての、新しい改正されたものを構造上の基礎として持っておりますけれども、たとえば東京都内等に建設されておる高速道路、あるいは名神等を拝見いたしまして、私、こういう印象を受けるのです。安全性というものは、当然これは強力に持たなければならぬけれども、諸外国の道路と比較して、あるいはむだな金を使っている面があるのではなかろうかという気持ちを持つのです。もう少し金のかからないような方法があるのではないかというような印象を受けるわけなんです。私は、むろん高速道路あるいは名神国道等も見まして、その点はどうなんです。もっと金のかからぬ、経費のかからぬような方法で道路の築造はできませんか。いままでは大部分は用地費だということを言われておりますけれども、これも、きのう衆議院を通りました土地収用法をもってやれば時間的な問題はこれは解決するのです。しかし、経費の問題は、地価というものが自由に野放しになっておりますから、これは当然上がると思うのです。地価というものは、一つの事業が起これば必ずそれは上がってくるのです。それで、その点で道路の構造−構造上というか、むだがあるのではないかというような私は印象ですが、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/28
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029・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) いまの御質問の主として首都高速道路についての御質問かと存じまするが、この点は、私は、建設省当局並びに首都高速道路公団で非常な努力をされておる、ただ、速度制限が六十キロになっておるのでございますが、この点も含めまして現状の、ここまできてしまった東京には、何ともあれ以上のものはできない、——よくやっておられると私は感心しております。したがって、こういう東京へ金をつぎ込むよりも、もっと縦貫道を主体とする国土全体の高速自動車道をでかして、そして東京に集中を避けるほうがほんとうじゃなかろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/29
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030・田中一
○田中一君 時間がないようですから……。実は、ただ単に構造ばかりでなしに材料の問題等、あれだけの重量——基礎の問題にしても、もっと軽い材料を多く採用したらいいんではないかという気持ちもあるわけです。また、そういたしますと、基礎はだいぶ変わってまいりますから、安全性というよりも——まあ日本は地震国でありますから、高架などは、いつどんなことが起こるかもわからぬじゃなかろうかという交通上の安全性よりも、建造物の安全性のほうに重きを置いているんではないか、それで、それは鋼鉄中心の高架を考えておる点があるんではないか、もう少し材料等の研究が足りないのではないか。たとえばアメリカなどの長大橋は大体アルミを使っております。いろいろ研究の余地があると思う。ただ、そういう公共事業を行なうための研究が、生産面においては、これはもう自由経済の国でありますから、民間にすべて依存している。民間でつくらぬものは使えないのだということであっちゃならないと思うんです。その点は、あなたずい道のほうを専門におやりになる——ずい道の掘さくにいたしましても、何といいますか、シールドとか、それからいわゆる露天掘りになっておるようなものとか、いろいろありますね。それの一番安くてよいという方法を、これから、これだけの経験を持っているのなら、もう少し進歩しても、前進してもいいんではないか。何か金を使うことばかり考えているような気がうんとするわけなんです。その点は、私は専門家でないから、そういう一つの印象を受けるにとどまるのですが、材料その他工法等は、もう相当な外国にも例があることでありますから、それくらい、また、それ以上にいけるとは考えられませんか。これを最後にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/30
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031・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) いまの田中議員の御質問でございますが、お気持ちは非常に、私も全く同感であります。つまり軽い材料を使って、そしてもう少しスマートに、そしてもう少し安くできないかとおっしゃる、御趣旨のとおりでございますが、予算に制限され、期限に制限されておりまして、現在の条件を与えられますと、私も土木屋でございますが、いまのおやりになっているのは、あれ以上には無理じゃないか。たとえば地震の話がございましたが、あれは橋げたにしても中が中空になっております。橋脚も中空になっております。一本足でございますけれども、根っこのほうはコンクリートを使って重くなっております。ある程度考えておりまするが——しかも、安いわけです。コンクリートよりも安いから鉄にしているわけでありまして、これはいまの技術としましては、おっしゃるお気持ちはわかりますけれども、やむを得ないかと思います。しかし今後は、たとえばハイテンション・スチールとかアルミニューム合金とか、こういうものを使うことを研究しなければなりませんが、今日の問題として道路公団をお責めになるのは、少し酷かと思っております。よくやっておられると思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/31
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032・田中一
○田中一君 ありがとうございました。質問はこれでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/32
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033・北村暢
○委員長(北村暢君) 他に桑原先生に対する御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/33
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034・瀬谷英行
○瀬谷英行君 桑原さんに一点お尋ねしますが、赤石山脈を貫通する案の場合に、技術的に相当困難があるというふうに言われましたが、その原因として換気ということを言われましたが、この間テレビでモンブランのトンネルがちょっと写真で出てきたのを見たのですが、もし赤石を通らせるとすると、やはりあの程度の規模のトンネルをつくらなければならぬということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/34
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035・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) いまの御質問でございますが、先ほどモンブランに触れて御説明したのでありますが、交通量が違うので、向こうの換気設備は比較的経済的にやれているということを申し上げた。
もう一つ御質問の、何か困難があるというふうに聞こえたかもしれませんが、それは私のことばが足らなかったのであります。金がかかるということと換気が困難という意味は、金が——大きな設備が要るのだという——トンネルを掘るほうではまず問題ないと思っております。問題ないというよりも、むしろ、楽じゃございませんけれども、できないことじゃないので、しかも、無理があるわけじゃないと思っておりますし、換気もできることはできますが、換気設備がうんとかかるということと、あとの装置を動かすのに非常に金がかかるわけであります。コスト的に見ると合わないのじゃないか、赤石線のトンネルが大体五十キロぐらいある、それに対して、諏訪線は二割ないし三割程度に減るわけでございますので、その点非常に楽だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/35
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036・瀬谷英行
○瀬谷英行君 それでは、かりにこの地区を、当初の予定線を東海道新幹線のような鉄道を通すというような想定をした場合には、トンネルの装置に換気のようなものが要らなくなる、そういう場合には、維持費と経費の点ではだいぶ違ってくるということになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/36
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037・桑原彌寿雄
○参考人(桑原彌寿雄君) いまの御質問は、かりに赤石のまっすぐの案を鉄道を通したらというお話でございますが、もちろん鉄道を電化いたしますと、換気の問題はございません。しかしながら、ここは絶対的勾配の関係上、一般鉄道は困難であります。もしやるならば、むしろトンネルを掘るよりも、山越え山越えモノレールでまっすぐ行くべきであります。これは夢物語のようでありますが、十数年前に絵をかいて勉強して見たことがありますが、道路は勾配が大体三%ないし四%程度で、建設省でお調べになったのは五%、五%ということは、鉄道のことばで五十ミリでありまして、二十分の一でまず鉄道になりません。碓氷峠が六十七ミリでありますが、ああいうふうにのろのろと進行するしかできなくなるわけでありまして、しかも、トン当たりの馬力がえらく不経済になりまして、鉄道としての存在価値がなくなります。ですから、やはりこの勾配の関係上道路しかできませんし、その道路に将来ガスや煙をはかない内燃機と申しますか、エンジンをつけた自動車ができるようになれば解決つくかと思います。この点はまだ夢ではないので、考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/37
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038・北村暢
○委員長(北村暢君) それでは桑原参考人に対する質問は、これで打ち切りたいと思います。
桑原参考人に申し上げます。
本日は御多忙のところたいへんどうもありがとうございました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/38
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039・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/39
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040・田中一
○田中一君 これは、佐藤君、富士吉田までの用地買収費と、それから、資料を持っていれば一番いいのだけれども、一応計画されている富士吉田までの用地費、そうしたものをひとつ資料で出してほしいのだがな、持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/40
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041・佐藤寛政
○参考人(佐藤寛政君) すぐできますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/41
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042・田中一
○田中一君 委員長ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/42
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043・北村暢
○委員長(北村暢君) ただいまの田中委員の要求せられる資料、御提出願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/43
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044・佐藤寛政
○参考人(佐藤寛政君) 後刻準備いたしまして、至急ごらんに入れるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/44
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045・田中一
○田中一君 これは、公団のほうから来ていらっしゃるから、公団は、ただ大臣の施行命令が来たからそれをやればいいのだという、形式的にはそうなっておりますけれども、しかし、調査は当然建設省が調査している機関と一緒になって行なっていると思うのです。従来ともに道路公団は、これからこの路線の仕事をしろと言われた場合に、はいといってその仕事をするだけのことなのか、あるいは事前に計画に参加して調査しているのか、どちらなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/45
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046・佐藤寛政
○参考人(佐藤寛政君) 先ほど私は田中先生の御質問に対して、公団で担当しております事業の関係を御説明申し上げましたので、あるいはただいまお話しのように、政府、建設省等の御指示、それをうのみにしている的にお考えになっているような御質問に承りましたが、私どもといたしましては、必ずしもそうではございません。建設省でいろいろ調査しておりますが、それらをできるだけ事前に連絡をとりましてお伺いする、予算等の関係がございまして、なかなか並行的に調査するというわけにはまいりませんが、その間、建設省と日本道路公団でございますから、人の連絡は十分でございますから、十分な連絡をとりまして、詳細な事情をお伺いして、十分納得した上でやっておるわけでございます。したがいまして、たとえば東京−富士吉田間の道路公団の実施しております中央道路線のほうにいたしましても、先ほど桑原参考人からいろいろな意見がございましたが、たいへんごもっともでもございますが、私としては、若干また違う考えを持っておるわけでございます。あの線がきまりますにつきましては、いろいろ比較線がございましたことも私よく知っております。そういうものをよく比較検討しておのおのを考えた場合に、建設費がどうなるか、それから未開地の開発のための大幹線道路でございますから、そういう未開発の程度はどうであるか、そのためには、埋蔵資源その他の将来の未利用資源の関係はどうなるかというような調査、さらに大事なことは、たとえば建設費が若干高くても、それから表面的な利用の状態がおくれて将来に大いに期待されるように見えても、今度はそれに対する国全体の開発利用計画はどうであろうか、その利用計画を十分考えませんと、現実に道路の実施計画が立たないものでございます。そういうようなものを、いろいろな要素を考え合わせた結果、最後の方針が出されるわけでございますが、中央道のいま道路公団が実施しております路線につきましても、それらのいろいろな点を勘案された結果、政府において現在のような路線が最も適当であると、こういうふうにおきめになり、私どももそのいろいろな事情を伺いまして、なるほどそうかというふうに考えまして、ただいまの工事の実施を急いでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/46
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047・田中一
○田中一君 ちょっとね、副総裁、おことばが言い過ぎですよ、路線決定というものは国会できめるものなんです。それはむろん政府の、建設省の下請機関としていろいろな調査もしたかもしれないが、決定するのはわれわれ国会が決定することになっておるのです。いかにあなた方がどういう調査をしようと、いかぬ場合にはいけないということはできるんです。決定権は国会にあるのです。政府にもないのです。したがって、下請機関として、一技術屋としてのあなたの御見解ならばいざ知らずだ、道路公団としてはちょっとことばが過ぎると思う。先ほど桑原参考人も言っておるように、国会で路線をきめることになっているから、政治路線になりがちな欠点はあります。あるけれども、現在の建設法ではそうなっておりますから、あなたの答弁としては、政府と一緒になって——私の質問は、政府と一緒になってこの富士吉田——名古屋間の路線も調査をしたかということを伺っておるのであって、それを、していないならしていないでけっこうです、しているならしているでけっこうですから、それを御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/47
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048・佐藤寛政
○参考人(佐藤寛政君) そういう点でことばが足りませんで申しわけありませんが、私といたしましては、道路の計画に対して、実施する日本道路公団としては、必ずしもその高速道路とか中央道路とかいう意味でございませんで、一般的にそういう政府等の意思を十分理解の上やっておると、こういうことを実は申し上げたかったわけでございますが、その間に、中央道を中心にして申し上げましたので、そういう不備な点がございましたが、先生のおっしゃったとおり、これはもう国会の問題でございますので、その御決定を待って——しかし、われわれのところに来るまでに、いろいろな経過があるわけでございますから、その点については、十分お話を伺って納得してやっておると、こういうことを申し上げたかった次第でございますので御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/48
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049・田中一
○田中一君 それで中央道については、あなたのほうではいまそういう調査は直接にしておらぬと言うけれども、建設省が行なっておる調査に参加してやっておるかどうかということを伺っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/49
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050・佐藤寛政
○参考人(佐藤寛政君) 道路公団としては、予算的には富士吉田から先の問題は持っておりませんので、そういう意味では調査しておると、こう申し上げられないのでございますが、建設省で実施しております調査につきましては、しょっちゅう御連絡し、お伺いして、できるだけ理解を持つようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/50
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051・田中一
○田中一君 きょうは参考人を呼んでいろいろ御意見を伺っておるのですが、これはいずれ次回に譲って、根本的な調査というか、審議をいたしますけれども、道路局長にひとつ要求したい資料があるのです。それは、今回の計画と提案された路線と、それから前回三十五年に決定した路線と、これに対するいろいろな各方面から見たところの、なぜ変更しなければならないかという資料をお出し願いたいと思います。なぜこうしなければならぬかということです。技術面から見てもいいし、それから予算の面から見てもかまいませんし、期日の面から見てもかまいません、また、完成後の維持管理の面から見てもかまいませんから、あらゆる面からの検討はされておると思う。したがって、その検討された経緯を印刷物でひとつ資料としてお出しを願いたい。これは時間がかかるかかからないかわからないけれども、どのぐらいかかるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/51
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052・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 一応私どもこの問題を縦貫道審議会にはかっております。そのときに資料を用意いたしておりますので、印刷されたものはとりあえずそういう資料がございますので、すぐ御提出できると思います。なお、それで不備な点につきましては、あるいは新たに調製するものができるかと思いますが、それで不備なものがございまして、新たに調製する必要がある場合には、若干時日を要するかと思いますが、一応すぐ出せるものは用意されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/52
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053・田中一
○田中一君 道路局では、地方公共団体、ことに関係都道府県、市町村に対して、赤石案では仕事ができません、やれません、というような放言をした記憶ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/53
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054・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 私の記憶に関する限り、全然そういうことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/54
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055・田中一
○田中一君 現行法の原案の調査ですね、実地調査のひとつ経緯を、われわれしろうとですから、棒書きでもって、これより比較してだめなんだという、トータルの数字なんかで示されても困るのでありますから、いつ幾日、どういう形のどういう調査をした、いつ幾日どうという経緯を詳細に報告してほしいのです。あるでしょうね、資料は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/55
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056・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 手元にありますものをそろえまして御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/56
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057・田中一
○田中一君 いま副総裁は、いろいろ道路公団は道路公団としての調査等をやっておる、経済調査その他もむろんやっておると思います。経済効果等も、これはまあ道路公団がそのまま直接に行なおうという道路についてのことだと思うのですが、今回の中央道は、これは道路公団がしてもよろしいし、あるいは国が直接やってもよろしいし、府県に分けてやったってよろしいわけなんでありまして、何も道路公団がしなきゃならないということは法律にないわけなんであります。したがって、受け身の立場にいるのですが、桑原参考人も言っているように、ここじゃあなた言えぬかもしれぬけれども、あなた方自身でもっていま行なっている富士吉田までの路線にして毛、いろいろな仕事をやってみて、いろいろな考えがあると思うのです。考えというか反省もあろうと思うのです。反省というか、こうしたらよかった、ああしたらよかったというものがあると思うのです。私は、その経験が非常にとうといと思っているのです。たとえば用地の買収にいたしましても、いわゆる今回の中央道の路線というものを道路公団が行なう場合には、今後の問題として非常な教訓があろうと思うのです。大体根本的に他の高速道路と異なっているところは、この法律の精神というものは、国土開発というのが中心になっておるのです。これが中心になっておるのです。したがって、この精神を捨ててしまえば、これは別でありますけれども、現在国が直接にやっておると思いますが、甲州街道と、この線と並行する道路はどんどんやっておるわけです。並行する路線というものは、これは一種の二重投資なんです。日本はそんなにまだまだ完全に道路という一つの喜び、道路が開通された喜びは均てんされておらないわけですよ。いま甲州街道何号線といったか、甲州街道に大体並行して富士吉田まで行っておりますね。私ども国会で路線をきめるという場合に、これは一番避けなければならぬと思っているのですよ。並行線、二重投資、この点について、政治家でないからわからぬ、命令があったからやったんだということになりますけれども、先ほども出ている、桑原さんの言っている道志線とか、同じ環八でも、環八のどこを起点とするかがおのずから違ってきますから、まっすぐ津久井なら津久井へ行く路線のほうが楽だというお気持ちをお持ちになっておりませんか。これは道路公団というのじゃなくて、一技術屋として聞いてもいいのです。仕事の難易とか、工事費とかいうものを、相当数建設費が節約されるということを桑原参考人も言っておりましたから、その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/57
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058・藤森謙一
○参考人(藤森謙一君) ただいま田中先生からの御質問でございますが、佐藤副総裁が先ほど申し上げましたとおりに、建設省が御調査になっておる資料は拝見いたしまして、いろいろ勉強はいたしておった次第でございますが、最終的に決定して、施行命令をいただきましたものについて、こまかく実施する段階においての調査検討をやったわけでございます。そして実際には建設省でルートを書かれておりましたものを、トンネルを相当変えましたり、位置を変えたりいたしまして、その関係で用地買収に、地元のほうと多少問題も起こったものもございますが、一応建設省から与えられたワク内におきまして、できるだけ技術的に事業費を少なくし、かつ工事もやりよくいたし、あとの管理もよくすると、そういうふうな面での検討はやってまいりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/58
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059・田中一
○田中一君 そうすると、むろん比較線——三十五年でしたか、これが決定したのは。その場合の決定されるまでの比較線等の調査はやっておりましたか、やらなかったのですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/59
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060・藤森謙一
○参考人(藤森謙一君) 比較線につきましては、道路公団としては話を伺っているだけで、それについて意見を求められたりしたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/60
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061・田中一
○田中一君 委員長、私の質問は終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/61
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062・北村暢
○委員長(北村暢君) ちょっと速記をやめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/62
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063・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記を起こして。
それでは佐藤参考人、藤森参考人に申し上げます。
本日は御多忙のところどうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/63
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064・田中一
○田中一君 経済企画庁に伺いますが、国土総合開発を所管しておる企画庁としては、今回の路線、今回提案されておる改正路線と、原案というか、現行法とでは、大乗的な見地から見て、どちらが経済的なほんとうの国土総合開発の路線であろうかという点についての考え方をひとつお示し願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/64
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065・鹿野義夫
○政府委員(鹿野義夫君) 国土総合開発につきましては、全国の国土総合開発計画が昭和三十七年十月にできまして、過大都市の防止と地方の開発による格差是正を行なって全国的に均衡のある発展を目標とした計画としてでき上がったわけです。その具体的な一つの考え方としては、地方の拠点開発構想というものを取り入れてやっていこう、なかなか全国的に総花的に開発をやっていっても、大都市の吸引力を断ち切ることはなかなかできない、地方にそれぞれ拠点を持って開発をやろう、こういう考えを打ち出されまして、その具体的な施策の一つとしてやはり新産都市、全国十三地区の指定がありましたけれども、ああい6新産都市の産業開発構想というものが一つ打ち出されたわけでございます。この今回ここで問題になっております路線の比較の問題につきましては、審議会のほうでいろいろ技術的にも経済的にも検討された結果、こういう結論を出したわけでございますが、先ほど御質問がありましたように、おそらく後ほど建設省のほうから、工費その他技術的な問題の比較優劣は詳細に提出されることだろうと思います。大体聞いております点でも、建設費について諏訪線のほうが井川線経由よりも五割方安くなるという話、逆に言えば、諏訪線のほうよりも井川線のほうが五割方高くなるという話も出ておりますし、また、いろいろな維持費の問題、あるいは災害に対する問題等につきましても、かなりの問題があるということで、路線はむしろ諏訪線のほうが有利ではないかということできまったと思いますが、これは同時に、いま申し上げました全国開発の一つの拠点構想として打ち出された諏訪・松本地区の新産都市の開発の問題に対してもかなり大きな影響を与えると思います。その点につきましては、やはり拠点と、一つの既成大集積である東京であるとか、あるいは関西その他の集積を短時間——なるたけ短い時間で結ぶ道路交通網の整備ということが、やはり拠点を育てる上には非常に大きな要素だと思います。今後の地方開発は、まさに拠点的な考え方と、道路網の考え方とによってほとんどきまっていくのじゃないかと思います。そういう点で、諏訪のほうに近いところに中央道が寄っていくということは、結果的には、中部の一番開発の今後の魅力のある中心である諏訪地区は、この線によってかなり大きく今後の発展が期待できるような形になるのではないか。そういう点で長い目で見てもかなり大きなプラスがあるのではないかというふうなことを考えます。もちろんこの高速道路のようなものの効果というものは、非常に長期に考えなければいけないのだと思いますけれども、なおさらに非常に短期的に見た場合でも、この路線を建設するには非常に長い年月がかかると思います。その間、諏訪地区までこの中央道が至るということは、ある意味では建設期間中の経済効果というものも数年にわたって非常に大きく発生するわけですし、そういう面から見てもかなり大きなプラスになるのじゃないかというふうに考えます。全体、国土総合開発的な見地から見て、こちらのほうが有利ではないかというふうに私は企画庁のほうとして考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/65
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066・田中一
○田中一君 主計局はどう考えていますか。安いからいいのだという考え方ですか。安いのだという確証というか、調査をしましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/66
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067・青鹿明司
○説明員(青鹿明司君) 大蔵省自身では直接調査はいたしておりませんし、先刻道路局長から説明いたしましたような予算を計上いたしまして、建設省の直轄調査の結果を承っているわけであります。それでこの二線のうちどちらが有利であるかという点でありますが、これについては、いろいろ先刻からお話があったように、一長一短あると思います。ただ財政当局といたしましては、やはり建設費が安い、その後の維持管理の費用も安くて済むということは、財政当局の立場からいたしましたらば、非常に大きな魅力ではないかと思います。それで、それ以外のたとえば地域開発の問題とか、あるいは技術上の問題等を総合勘案してもちろん決定すべきものだと考えます。それらの点より判断いたしましても、建設省、企画庁のいずれも新しい諏訪回りのほうがより適当であるというような御判断に対しまして、大蔵省から、それに対して異存を差しはさむべきではないと思いますので、本案提出に賛成いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/67
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068・田中一
○田中一君 経済企画庁、局長に聞きますがね、局長と財政局長に聞くのですよ。一体この道路ができたらもうあとの道路はしないという前提に立っているのか。おかしいのですよ、あなた方の考え方というのは。いいですか、道路一本だけつくればいいのだというのではないのです。日本の人口問題にしても、そんなに二億、三億になるなんというのは永久にないわけです。しかしまた、足跡の至らない山もあってもいいと思うのです。少なくとも国土総合開発という大きな構想のもとに国土経営をしていこうという考え方と、突如、これも私は政治指定と見ていますがね、新産都市の動きにいたしましても、そうした産業上の民間企業、いわゆる自由企業と国土総合開発とが一緒にならないのです。絶対一緒にならないのです。国土総合開発という計画は社会主義計画なんです。新産都市とかなんとかいうものは、これは自由経済のもとに私企業を集めてどうしようということであって、これは全然一緒になるものじゃないのです。新産都市計画なんというのは、何も、たとえば井川線をとって、それにその新産都市を結ぶ路線をつくればいいのであって、それが諏訪温泉の町を通らなければならないという理由は一つもない。おそらく諏訪の温泉地帯、諏訪温泉のあの温泉までこの道路が通って、そのわきをぶんぶんぶっ飛ばされたら、だれも静かに温泉に入ろうなんという客は減ってきますよ、必ず。おそらく減ってきます。もっと静かな奥へ入りたいという気持ちになるものです。そこで、新産都市と結ぶからと桑原参考人も言っていましたけれども、私はそんなものじゃないという気持ちがするのです。いまあなたも、局長も新産都市と結んでいる——新産都市は新産都市としての計画による道路をつくればいいのであって、何もことさらに五十キロも六十キロも迂回して縦貫道と結びつける必要はございません。また、財政当局にしてもそうなんです。当面の金が安いからこれに定めましょうなんということは、国家経営の見識を持たない官僚が言うことです。官僚というよりも会計係が言うことです。われわれは、この法律を通すには三年もかかっているのです。ようやくできたものが、ことに、三十五年でしたか、国会の総意でこの路線決定というのが行なわれた。それが、金が安いからとか、突如として、いま新産都市の計画があるからとかいう理由で、国会の総意できめた路線が一方的に——金がかかり過ぎるとか、あるいは新産都市が生まれたという理由でもって変更されるべきものでないのですよ。道路計画なんというものは、ことに幹線道路なんというものは、これは自由資本主義社会に少しでもプラスになるところはあっても、それが直接に結ぶものじゃないのですよ。これは民族のためにあるのです。私企業のためにあるのじゃないのですよ。したがって、産業構造そのものが民族的な、いわゆるわれわれが言っている社会主義的な計画からくるところのものならば、これは結ぶことも可能かもしれぬけれども、結べるものじゃないのです。ましてや、大蔵大臣が、議員立法で新産都市に対して特別の助成を講じようと言ったときに、閣議はそれに断固反対しているわね。これは大蔵省並びに経済企画庁の今度は大臣に出てもらいますが、この次の委員会のときに私は要求しますけれども、よく話し合いたいと思うのです。安いからこれにきめたらいい、新産都市ができるからこれにきめたらいいとう、そんな安易なものではないのです。ましてや、ほかの地方ならば、つくるよりつくらないほうが一番金がかからない、まず金の面からいえば。国道があるじゃないか。一級国道がちゃんとあるのですよ、どこにも。何にもつくる必要はありません、金が一番かからないのなら。そういう面から将来の——目の前の問題でなく、将来の問題を考えながら、金がかかろうがかかるまいが、これが必要なんだということで計画され、国会で両院ともに満場一致の決定されたものが、社会情勢はちっとも変わっておりません。それを突如、こういうもので提案される。それも実に困るのは、ほかの路線決定の法案と一緒に、込みで持ち込まれるなんということは、これはやはり提案者のほうで心に何かひけ目があるのじゃなかろうかと思うのです。私は、いま答弁の必要はありませんけれども、ひとつ大蔵省のほうでも態度を明らかにしてほしいと思うのです。金が安いからこれがいいのだというような答弁は答弁にならないのです。初めから答弁にならないのです。四年前に言ったでしょう。四年前に言うべきですよ。この現在の路線の決定のときに言うべきです。じゃ、これは田中角榮でも賛成している、提案者ですよ、きっと。こういう点は、ひとつこの次の委員会にはそれに対する的確な答弁を持ってきてください。これはなんですよ、主計官じゃなくてもけっこうですよ。大臣に来てもらいます。それは伝えていただきたい。ほんとうに的確な、納得する答弁を持ってきていただきたいと思うのです。これは経済企画庁にもお願いします。宮澤君にそう言っておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/68
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069・鹿野義夫
○政府委員(鹿野義夫君) いま先生から、だいぶきついことばでおしかりのようなお話があったのですが、新産都市があるからこの道路はそっちへ曲げるべきだという議論じゃなくて、むしろいろいろな点から検討した結果、諏訪線のほうが有利であり、それは同時に、そこに新産都市という一つの、先ほど申し上げました拠点構想の一つの拠点がある。この拠点構想というのは、やはりいまの東京とか大阪の、何といいますか、過去に持つ大集積の魅力というのは非常に大きなものですから、なかなか小さな都市とか、そういうものではこの吸引力を断ち切れない。ですから、地方からどんどん東京のほうに人口が流れてきてしまうわけですね。だから、それを断ち切るためには、相当の規模の集積を持った都市形成をやっていかなければならない。そういう意味で、ひとつの中部地方のまあ一番いろいろな好条件に恵まれた諏訪・松本地区を、新産地域として指定して、それを育てていこう。これは計画的にいろいろ育てますが、同時に、それは自由企業の意思によって育っていくものですね。しかし、それを育てて、自由企業がそこに集まって一つの産業を興し、あるいはそこにある自由企業が育っていくという条件をやはり与えなくちゃいけない、長い目で見ての話でござますね。そのためには、ひとつの既往の大集積、大消費地との結びつきをやはり考えていかなくちゃならない。それにはやはりなるたけ時間の短い、こういった高速道路で、ある結びつきができるということは、非常に長い将来を見ても望ましいのだというふうに考えざるを得ないというふうに思います。まあ工費の点からいっても、あるいは今後道路を維持する上からいっても、諏訪のほうがよりベターであるという条件のもとに、さらに考えて、その諏訪が新産地域であるということでそのメリットがさらに増加するのじゃないかというふうに考えて、こちらの案のほうが穏当、というか、妥当じゃなかろうかというふうに考えたわけでございます。決して短期的な意味で申し上げたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/69
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070・青鹿明司
○説明員(青鹿明司君) あるいはことばが不足でたいへんおしかりをいただいたわけでございますが、先刻も申し上げましたように、経済的な問題あるいは財政資金が幾らかかるかというような問題は、一つの要素として考えざるを得なかったという点を申し上げたわけでございまして、今回の修正案、改正を御提案いたしました際にも、大蔵省から、ぜひそういうふうに変えろということを提案したわけではございませんで、いろいろ建設省がその後の御調査の結果、変えたほうがしかるべきではないかというような御意見を承りました際、私どものほうの立場としては、重要な問題として、財政上の見地から、資金、建設費が幾らかかるかという点を一つの要素として考えたというふうに申し上げたつもりでございます。したがいまして、金が安いから、それだけの理由でもって本案を大蔵省が積極的に主張したという趣旨ではございませんので、あるいはことばが足りないために御理解をいただけなかったかと存じますが、そういう趣旨でございますので、ひとつどうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/70
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071・田中一
○田中一君 開発局長、井川線に新しい新産都市を指定したっていいじゃないの。おそらく何ですよ、松本の周辺というものはすぐに過大都市になる、直ちになりますよ。そこが非常に有利な条件であって、そこにといえばそこに集中するのです。これは日本の都市形成というものをよく考えてごらんなさい。食える、楽しいこと、それがあれば、これはすぐ過大都市になっていくのです、日本は、東京でも、パチンコ専門にやっても食えるのです。一日に千円や千五百円かせいでいる人はたくさんいますよ。集まってくる。学校があるから浪人が——入学志望者が集まってくる。ほんとうの意味の日本の百年、二百年後の日本を考えるならば、井川線というものを承認して——井川はもはやダムもできているし、静岡から道路もできている、開発道路もできています。この辺に新しい都市をつくったっていいではありませんかというのです。道路によって産業が興るということを考えなさいと言うのです。昔の日本の部落というか、集落というか、町は水で動いた。そこが災害が起きてつぶれてしまうと、また次の地区に移っていく。それが日本の民族の集団です、集団の移動した姿ですね。それで町ができてくる。今度はもう道路によって新しい町づくりがされるのです。そこまでの考えを持たなきゃだめです。それが正しいのです。ことに——賛否を言っているのじゃない。いま議論しているのですから。ことに松本周辺新産都市というものが過大都市になります。仙台でおもしろい話がある。仙台でもってこれをどうしても百万にしよう、百万都市にしよう、仙塩地区を。一体百万の人口をどっから持ってくるのかというのです。人間をどっから持ってくるのか、いないではないか。来たいのは農村——条件の悪い、楽しみのない農村から離農さして引っぱってくる以外にないのです。そうしたら一体われわれの食糧問題どうなるか。外国から買えばよい、こう簡単に経済企画庁、ことに宮澤君なんかしょっちゅう外国ばかり行っているから、そんな考え持つかもしれない。貿易第一主義でいったらいいじゃないか——日本の経営はそんなものでできるものじゃない。一たん事があったならば、もしそういうことになったら、戦後以上のもっと混乱がある。そういうものではないのです。その中で国土開発縦貫自動車道の理想というものは、あそこに新しい都市づくりをしたっていいではないかという考え方に立っているのです。人間がふえれば空気もよごれてきます。松本地区は空気がいいので精密機械等が行ったものなんです。とてもそうじゃないですよ、そうなってくればその工場はまた移転せざるを得なくなってしまう。ましてや、私企業相手の産業界ですからね。私は、まあここで答弁も要りません、議論もしたくないけれども、これはいずれ次回の委員会でやりますが、これは、私は、あなたの方のいまの答弁、開発局長の答弁ではちっとも満足しないのですよ。もう経済企画庁何を考えているのかと言いたくなってくるのですよ。何を考えているのだ。外国に依存して、金もうけて外国から物を買ったらいいじゃないかという考えではだめですよ。日本の国土開発はそんなものじゃないですよ。だからね、もう少し、この次の委員会では少し突っ込んで伺いますが、その程度のことでは困るのです。それだから、この道路が、この路線が諏訪を回ったほうがいいのだというようなことが、私どもにはもうとてもとても納得し得るものではないです。ことに驚いたのは、知らなかったが驚いたのは、諏訪の町をかすめて行っているでしょう。さっき何か桑原君が言っているように、茅野から杖突峠——高遠に行く線が一番いいですよ。そうなるものと思っておったが、きのう図面見せられて、おやおやと思った、町の中をかすめて通るというような国土開発縦貫道はございませんよ。やむなくやったか知らぬけれども、これはどういう検討をされたか、検討の資料を全部出していただいて、次回に検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/71
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072・北村暢
○委員長(北村暢君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/72
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073・北村暢
○委員長(北村暢君) 速記を始めて。
他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、今日はこの程度にとどめます。
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/73
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074・北村暢
○委員長(北村暢君) この際、連合審査会に関する件についておはかりいたしす。
河川法案及び河川法施行法案について、地方行政委員会より連合審査会の申し入れがございましたが、これを受諾することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/74
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075・北村暢
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、連合審査会の開会は、六月二日午後一時より行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/75
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076・北村暢
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十五分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X03019640528/76
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