1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年一月二十八日(火曜日)
午後一時二十七分開会
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委員の異動
十二月二十三日
辞任 補欠選任
加瀬 完君 藤原 道子君
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出席者は左のとおり。
委員長 鈴木 強君
理事
高野 一夫君
徳永 正利君
藤田藤太郎君
柳岡 秋夫君
委員
加藤 武徳君
鹿島 俊雄君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
丸茂 重貞君
山下 春江君
阿具根 登君
杉山善太郎君
藤原 道子君
小平 芳平君
市川 房枝君
国務大臣
厚 生 大 臣 小林 武治君
政府委員
厚生政務次官 砂原 格君
大臣官房長 梅本 純正君
大臣官房会計課
長 戸沢 政方君
公衆衛生局長 若松 栄一君
環境衛生局長 舘林 宣夫君
医 務 局 長 尾崎 嘉篤君
薬 務 局 長 熊崎 正夫君
社 会 局 長 牛丸 義留君
児 童 局 長 黒木 利克君
保 険 局 長 小山進次郎君
年 金 局 長 山本 正淑君
援 護 局 長 鈴村 信吾君
社会保険庁長官 大山 正君
医療保険部長 竹下 精紀君
年金保険部長 実本 博次君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○社会保障制度に関する調査
(厚生行政の基本方針に関する件)
(昭和三十九年度厚生省関係予算に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/0
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001・鈴木強
○委員長(鈴木強君) ただいまより委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。
去る十二月二十三日、加瀬完君が委員を辞任され、その補欠とじて藤原道子君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/1
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002・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 次に、委員阿具根登君から、都合により、理事を辞任いたしたい旨の申し出がございましたが、これを許可すること御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/2
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003・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/3
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004・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。それでは理事に柳岡秋夫君を指名いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/4
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005・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 社会保障制度に関する調査を議題といたします。
まず、厚生大臣より、厚生行政の基本方針についての所信を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/5
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006・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 第四十六回国会における社会労働委員会の御審議に先立ち、この機会に厚生省所管行政に関し、所信の一端を申し述べ、各位の御協力と御指導を得たいと考えます。
現在、厚生行政は、社会福祉、社会保険、公衆衛生のそれぞれの分野におきまして、さまざまな外的諸要因、たとえば経済の高度成長、地域開発の進展、国民生活水準の急上昇、人口構造の革命的変化等に伴い、大きな影響を受け、新たな角度からのその一そうの進展が望まれているわけでありますが、国民の要請に十分にこたえるためには、なお改善の余地が多く、その水準を西欧諸国の水準にまで引き上げるには多大の努力を要するのであります。政府といたしましては、今後の厚生行政の方向を社会全般の進展に即応し、国民一人一人の生活の安定と向上をはかるため、次のような施策に重点を置き、逐次その水準を西欧諸国の水準に近づけることを目標にいたしたいと考えているのであります。
まず、第一の問題といたしまして、所得保障施策の拡充がございます。生活保護費につきましては、去る三十六年以降大幅な基準の引き上げが行なわれてきたのでありますが、明年度におきましては、さらに生活扶助基準の一三%引き上げをはじめ、教育、出産、葬祭の各扶助の基準の引き上げをはかることにより、経済繁栄の谷間にいる人々の福祉の向上をはかることといたしたわけであります。
また、重度精神薄弱児の対策につきましては、明年度から月額千円の手当を支給することとし、不幸な児童の福祉の向上をはかりたい所存であります。
今後のわが国の人口が構造が老齢化するにつれて、老齢者の所得保障対策の重要性は一段と増すことになるわけでありますが、昨年に引き続きまして、福祉年金についてその内容を充実させるとともに、厚生年金保険制度につきまして、その給付水準を画期的に引き上げ、いわゆる月額一万円年金の実現をはかるとともに、企業年金との調整を行なうため、改正法案を今国会に提出して御審議を願う予定に考えております。
父と生計を同じくしていない児童に対して支給いたします児童扶養手当につきましても、福祉年金の内容充実とあわせまして改善をいたす所存であり
ます。
次の問題としては、医療保障の充実強化がございます。特に緊急に改善を
はかる必要がございます国民健康保険につきましては、昨年の世帯主に対する七割給付の完全実施に引き続き、明年度以降四カ年計画をもちまして、家族全員に対する七割給付の実現を期することとし、これに伴う必要財源につきましては所要の措置をとる所存であります。
なお、社会保険の診療報酬につきましては、昨年十二月中央社会保険医療協議会に対し諮問をいたしておりますが、同協議会の答申を待って、とるべき措置を考えたいと存じます。
次に、次代をになう児童に対する施策につきましては、従来の行政が、どちらかといえば保護を要する児童に重点が置かれていたのに対し、今後は児童の育成の基盤が家庭にあることにかんがみまして、その対策につきましても充実強化する所存でおります。このため、明年度からは児童局を児童家庭局に改め、家庭対策に関する企画を行なわしめるとともに、家庭相談事業を助成する等家庭対策の強化をはかりたいと存じております。また、妊産婦及び乳幼児の登録管理制度、児童プールの新設等、児童の健全育成、母子保健、母子福祉各対策の充実にも十分配慮してまいりたいと存じます。
第四に、就任以来鋭意努力してまいりました環境衛生対策について申し上げたいと存じます。
現在の、し尿、ごみ処理事情の急激な悪化を打開するために、昨年末の特別国会におきましては生活環境施設整備緊急措置法が成立し、関係施設の緊急、かつ、計画的な整備を行なうこととなったわけでありますが、明年度におきましては、その整備に格段の意を用い、所要の財源措置を講ずることといたしております。
以上申し上げましたほか、遺族及び戦傷病者の処遇改善、公害対策の強化、国立公園の整備拡充等、厚生行政には重要な課題が山積しているのでありますが、今後厚生行政の推進にあたりましては、めざましい経済の進展に対応し、保健福祉の総合的向上を期することがとりわけ肝要であり、この意味で、明年度において特殊法人社会保障研究所を設置いたしたいとしておりますのも、またこの趣旨にほかならないのであります。
以上、厚生行政の今後の方向につき所信の一端を申し述べたのでありますが、明年度における関係諸施策を遂行するため提案中の昭和三十九年度予算案においては、厚生省一般会計分として三千九百九十億円が計上されており、これは本年度当初予算三千三百三十三億円に比軽して六百七十七億円、率にして二〇・四%増となっております。
また、今国会には、上述の諸施策に関連して、さきにも述べました厚生年金保険法の一部改正法案のほか、社会保障研究所法案、国民年金法及び児童扶養手当法の一部改正法案その他の法案を提出し、御審議をわずらわしたいと考えております。
厚生行政における諸問題の解決と、この行政の進展を期して、私は、今後とも誠意をもって努力する所存でありますが、ここにあらためて各位の一そうの御支援と御協力を切にお願いする次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/6
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007・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 次に、厚生省関係の昭和三十九年度予算について説明を求めます。戸沢会計課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/7
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008・戸沢政方
○政府委員(戸沢政方君) それでは私から、来年度の厚生省所管予算要求額のおもな事項について御説明申し上げたいと思います。
お手元にお配りいたしました「主要事項別調」という資料によりまして、簡単に注釈を加えてまいりたいと思います。
最初のページに一覧表が書いてございますが、一言お断わり申し上げておきますが、そこで「前年度予算額」と書いてありますのは、補正後の額の数字でございます。したがいまして、総額におきまして来年度の予算要求額は三千九百八十九億、これを前年度の当初予算に比べますと、当初予算額は三千三百十三億でございましたので、対前年比二〇・四%の増となっておるわけでございます。来年度の国の一般会計総予算額三兆二千五百五十四億は、対前年度の伸び率が一四・二%と、これも当初予算でございますが、となっておりますもので、国の平均の伸び率に比べると、厚生省予算は六・二%も多いということになっておるわけでございます。なお、来年度の国の総予算額に占める厚生省の予算の比率を見ますと一二・三%となっておりまして、厚生省予算が一二%台になったのは来年が初めてでございます。
次に、おもな項目を四十柱ほどあげてありますので、これについて、特に前年度と変わった点に重点を置きまして簡単に御説明いたしたいと思います。
三枚ほどめくっていただきまして、一ページ、結核対策費関係をまとめてございますが、前年度四百三十一億に対しまして四百九十九億となっております。
まず、結核医療費、これは結核予防法によります医療費でございまして、初めの医療療養費は法第三十四条による二分の一公費負担分でございます。対象が若干減っておりますが、これは年々申請件数が減っておるためでございます。単価につきましては、内容の改善をはかってございます。
それに引きかえて、次の従業禁止命令入所患者費、まるまる公費で負担する法三十五条による医療費につきましては、対象も九万三千四百人から十一万人と、かなりの増を示しております。
次に、(2)の国立結核療養所関係の経費につきましては、次のページの二ページに患者の食糧費一人一日当たり、一般食は百二十円を百二十六円に、特別食は百五十円四十銭を百五十八円六十銭にアップしてございます。それから、整備費につきましても、前年十一億に対しまして二十二億と、倍になっておりまして、ほかに債務負担行為として五億を計上してございます。
次に、三ページの2番、精神衛生対策費、これも精神衛生法による医療費でございますが、法第二十九条による措置入院患者も、対象を五万二千八百人から五万八千人にふやし、単価もふやしてございます。精神病院等の整備費につきましては、前年二億五千万から三億一千万になっておりまして、そこに二分の一と三分の一補助とございますが、二分の一は地方公共団体の病院、三分の一は日赤とか農協、そういった公的医療機関への補助率でございます。一般精神病院の増床のほか、(2)番としまして、精神衛生相談所の整備費を新しく組んでございます。これは相談所は、従来、精神病院とか保健所等に併設されてささやかにやっておりましたが、この重要性にかんがみまして、今後全国的に逐次独立して新設してまいりたいというわけでございます。
次に、四ページに精神療養所の運営費、整備費がございます。
次に、四ページの3にまいりまして、原爆障害対策費、これは大体内容は従来と同様のものでございますが、支給対象を若干拡大いたしまして、三キロ外の被爆者の胎児、それから死体処理等に当たった現場作業員、そういったものもこの医療の対象にするように考えております。
次に、五ページの4番の保健所費につきましては、前年三十四億に対して三十六億と、二億近くふえておりますが、運営費のところで、三分の一補助が百分の三十四補助となっておりますのは、従来、保健所の事業費関係等の補助が非常に種目が多うございまして、旧臘ました補助金等合理化審議会の答申にも、保健所の補助金は二十六種目もあって非常に複雑である、これをもっと統合簡素化すべきであるというようなことがうたわれておりますので、その趣旨に沿いまして、結核予防費とか伝染病予防費、あるいは母子衛生費関係、そういったところから統合できるものをできるだけ集めまして
一つの項目にまとめたわけでございます。金額にして約二億七千六百万円ほど統合いたす予定でございますが、これらの補助率が三分の一とか二分の一とか、いろいろまちまちでございまして、それを調整いたしまして、実績によって百分の三十四という補助率を算出しているわけでございます。なお、保健所の職員の基本給の単価も、三十七万九千円から四十万二千円へとベースアップしてございます。次のページに保健所の施設整備費が出ておりますが新設五カ所、増築十五カ所、改築三十カ所等の整備を考えております。
5番目の、らい対策費としましては、七ページの右に書いてあります患者慰安金につきまして、その金額の増額をはかっております。
次に、6番の伝染病予防対策費につきましては、次の八ページを見ていただきまして、(3)番の地方病予防費補助金が、前年一億三千五百万に対して、一億七千五百万円。内容は、日本住血吸虫病とか、フィラリア病、あるいは鉤虫病、水俣病、そういった各種の地方病に対する予防措置を一段と促進してまいりたいというわけでございます。(4)番の予防接種、これにつきましては二つありまして、ポリオに対する定期予防接種を法律に基づいて実施したいというのと、インフレエンザの特別対策としまして、前年に引き続き、小中学生等に対して公費負担による予防接種を行ないたいというわけであります。金額が大幅に落ちておりますのは、ポリオのソーク・ワクチンを生ワクチンに変更したために、その単価の激減と、前年度にポリオにつきまして、特別対策として予算措置したものの減でございます。
次に、7番の環境衛生対策費にまいりましては、簡易水道は、前年十六億に対して約三億の増でございます。計画給水人口は約九十一万人を予定してございます。次の十ページにまいりまして、(2)番の清掃施設、(3)番の下水道終末処理施設につきましては、先ごろ成立いたしました生活環境施設整備緊急措置法の趣旨に基づきまして、当初の計画よりも一段とスピード・アップする予定でございまして、し尿処理施設につきましては、前年の二十億の倍額四十一億七千万円の補助となっておるわけでございます。対象約一千三百万人分を予定してございます。
次の、ごみ処理施設につきましては、九千四百万円、七百六十万人分を予定してございます。次の下水道終末処理施設につきましては、前年十七億九千四百万円に対しまして六億五千百万円の増でございまして、二百三十三万人分を予定してございます。なお、この辺に三分の一ないし四分の一の補助となっておりますのは、大多数の市町村は三分の一でございますが、交付税の非交付団体につきましては四分の一というわけでございます。
次に、8番目の公害防止対策費、これにつきましては、基礎的な調査を一段と進めてまいりたい所存で、新産都市とか、その他重要都市を指定いたしまして、これに対する各種の調査を徹底すること、地方衛生研究所にそういう必要な設備をいたしまして、この研究を進めてまいりたいというわけでございます。
次に、9番の医療機関の整備費につきましては、まず、公的医療機関の整備につきましては、前年一億一千万に対して一千万の増でありますが、一般病床、これは新設百三十床、増床四百七十床の増床のほか、ガン病院とか小児専門病院とか、そういう特殊病院の設置を何カ所か考えております。次に、(2)の僻地医療対策につきましては、従来も意を払っておるところでございますが、これを一段と促進してまいりたい所存で、診療所の整備とか巡回診療車、船、そういったものの整備でございます。
次の一二ページの(5)番に僻地巡回診療班経費九十六万円組まれておりますが、これは新規でございますが、地方の医科大学で僻地の巡回診療を奉仕的にやってくれているところがございます。そういうところに対して若干の補助をいたしたいというわけでございます。
次の保健婦、助産婦、看護婦等の確保対策費、これにつきましては、養成所の整備とか貸費制度を従来どおり進めてまいりたいというわけでございます。
11番の医療金融公庫につきましては、前年二十六億の政府出資に対しまして三億増の二十九億でございます。これはカッコしてありますのは、大蔵省の予算に計上されるわけでございます。この政府出資のほかに、資金運用部から借り入れ金としまして八十五億、それから自己資金、回収金の運用によって二十一億、したがって、貸し付け原資としましては百三十五億を考えております。
次の12番の国立病院の財源繰り入れば、これは後ほど国病の特会予算が出てまいりますが、国病特会への一般会計繰り入れでありまして、整備費等のために約十七億、その他の経費のために十四億ほど受け入れております。
次の13番の麻薬対策費、これは昨年急速に伸びたわけでございますが、本年も大体その内容を踏襲して実施してまいりたい所存でございますが、麻薬取締員も十五名増員になっております。次のページの(3)の入院措置費とか施設の整備費がここで若干経費の減になっておりますのは、県の収容施設の整備費補助がなくなりまして、そのかわり国立のものをふやしていくことになっておるわけでございます。それから麻薬取締官事務所のところで一億一千万ほど減になっておりますのは、昨年事務所の整備を全面的に行なったためでございます。取締官は十名の増員が予定されております。
次に、14番の輸血事業改善対策費は、日赤の採血車の整備費でございます。
次に、15番の生活保護費にまいりまして、これは九百十七億となっておりますが、基本をなします生活扶助の基準改定につきましては一三%のアップを考えております。飲食物費とその他に分けますと、飲食物費が一一・七%、それから日用品その他の経費が一五・四%になってございます。それで扶助人員は、予算上、月百五十八万四千人と見込みまして、一三%アップによって扶助額がどのくらいになるかと申しますと、そこに例示してございますが、東京都の一級地において標準四人世帯で現行一万四千二百八十九円が一万六千百四十七円になります。町村等の四級地について見てみますと、現行一万四百三十一円が一万一千七百八十七円になります。念のためにエンゲル係数は、現行五四・一%から五三・六%に下がります。そのほか、教育扶助とか葬祭扶助とか出産扶助等につきましても内容の改善がございますが、説明は省略させていただきます。
次に、一七ページにまいりまして、16番の低所得階層対策費としましては、まず、世帯更生貸付補助金は、前年八億の資金が十億と、二億ふえております。このうち一億は、特に失対労務者の立ち上がり生業資金として利用することになっておりまして、労働省とタイ・アップしてこの運用をはかりたいというふうに考えております。(2)の世帯更生運動推進費補助金のところで三千万ほど減っておりますのは、これは従来心配ごと相談所の経費がほぼ同額ぐらい入っておりましたが、これは零細補助金の例として落とされましたが、その分は民生委員の互助共励事業の中に形を変えて含まれております。
次は、17番の社会福祉事業育成強化費、これが減になっておりますのは、次のページの振興会出資の減の影響でございます。社会福祉事業振興会の出資は、前年一億五千万が一億円に減っておりますが、そのかわりに資金運用部から別に三億の借り入れをすることになっております。次は、民間社会福祉事業助成費としまして一億一千万ほど組まれておりますが、内容は、社会福祉施設の職員の退職手当共済事業費補助金、これはその給付費の補助の基本額が八千円から一万円に改善されております。それから、いろいろな社会福祉事業育成費、互助共励事業とか社協の活動費でございます。
次は18番の身体障害者保護費、これは大体従来と同じ内容のものでございますので、省略さしていただきます。
次の19番は精神薄弱者の援護費、これは施設事務費のほか、更生相談所とか、それから職親委託費とか、大体従来と同じような内容のものでございます。
次に20番の婦人保護費、これも婦人相談所とか婦人施設の事務費等でございます。
次に21番の地方改善事業費、これはまず同和地区改善関係の経費としまして三億九千二百万円、対前年二八%ほど伸びております。これは隣保館とか共同浴場、作業場、あるいは下水排水路、そういったものの整備費でございます。それから(2)として不良環境地区改善施設整備費、スラム街とかアイヌ部落等の地域に対しまして、同じく生活館とか共同浴場とか、そういったものを整備する費用でございます。これは対前年一六%伸びております。
次は22番の老人福祉対策費、これも老人福祉法の趣旨に沿いまして、一段と改善を加えてまいりたい所存でございまして、健康診断も、五年に一回を三年に一回と、だんだんとふやしてまいりたい、それから老人クラブも、現在一万六千が、来年は二万ほど考えております。あとは老人ホームの費用とか、従来と同じような内容のものでございます。
二二ページの一番下にまいりまして、社会福祉施設整備費として二十五億四千万円組んでございます。これは、来年から社会局関係の施設と児童局関係のいろいろの施設とを合わせてここに一つの項目にまとめまして、その融通ある運営をはかりたいという趣旨でございます。前年に比べて五億以上ふえておりますが、これによって老人福祉施設とか、身体障害者の施設とか、あるいは児童施設、児童遊園、母子健康センターとか、身体障害児の施設とか、すべての施設整備をやっていくわけであります。補助率は大体二分の一のものが多うございますが、若干三分の一のものもございます。なお、整備の単価も、坪当たり五万円から五万五千円にアップしております。
次は、24番の児童保護費、総額二百十三億円でございますが、これも生活保護に準じまして、内容改善とか、施設の職員の処遇改善でございます。飲食物費のアップとか間食費で、一日五円から十円に倍増しております。保育所につきましては、同じような内容改善のほか、次の二四ページに、引き続き季節保育所とか、僻地の保育所の整備、あるいは産休代替保母の確保、そういったような経費が組まれてございます。
それから二五ページには、(3)以下、未熟児とか妊娠中毒症とか、そういった母子保健衛生に関する経費が、大体従来と同じようなものが組まれております。ただ、(6)に、母子登録管理費、これが新規でございまして、母子の衛生管理を一段と強化するために、とりあえず母子健康センターを設置しているような市町村百ヵ所を選びまして、ここで登録管理をしまして、この指導の徹底をはかりたいという趣旨でございます。次に(7)は、身体障害児の援護費、これは障害児の医療保護のほか、北海道のマザース・ホーム等に対する補助金でございます。(8)の児童健全育成対策、これは児童の積極面の対策でございまして、母親クラブとか児童館等の経費でございます。それから(9)の家庭児童対策費、これも新規の施策でございまして、児童の問題を、家庭を含めて、総合的に指導する必要があるというところから、今後五ヵ年計画をもちまして、全福祉事務所一千三十三ヵ所に相談室を設置しまして、ここにそういう家庭対策専門のケースワーカーを置きまして、問題家庭の指導教育に当たるという趣旨のものでありまして、来年度は、とりあえずその二百十ヵ所分につきまして、一ヵ所に二人ずつ非常勤の相談員を置くという経費でございます。それから(10)は重症心身障害児の療育費の補助、これは島田療育園、びわこ学園の増床に伴う療育費の増でございます。
次に、25番目の社会事業施設職員処遇改善費としてまとめてございます。これは経費は書いてございませんが、いままで述べましたところの各施設の事務費の中に計上されているものでございます。念のために再掲いたしましたが、来年度社会事業施設の職員の処遇改善として、右に書いてありますような本俸の手直し、初任給の是正、前年公務員の給与改定をやりました際に間に合わなかった分の是正とか、それから職員の増員、あるいはいろいろな手当の増額、通勤手当とか超勤とか夜勤手当、そういったものの増額、あるいは社会保険の事業主負担分をみるとか、そういったものを計上しております。社会事業関係全部合わせまして、約二十億ほどの処遇改善経費が組まれておるわけでございます。
次の26番は、母子福祉対策関係の経費としましては、まず、母子福祉貸付金、これは前年四億が一億増額になっております。
それから次の27番の児童扶養手当、これは後に述べます福祉年金の改正にあわせまして内容の改善をいたしまして、扶養義務者の所得制限を緩和する、六十万から六十五万に引き上げる、あるいは精神、結核等の重度廃疾児をかかえておる家庭につきましては、従来十五才までしか支給できなかったものを二十才まで引き上げるといったような改善をいたす予定でございます。
次の二八ページの28番の重度精薄児扶養手当、これも新規の施策でございまして、重度の精薄児をかかえておる家庭の養育者に対しまして、月一人千円の扶養手当を支給しようというものでございます。予算上、支給対象は約三万七百五件ほど計上してございます。
それから、次は29の家族計画普及費補助、これは従来どおり受胎調節の実施指導員の手当等でございます。手当は一件について七十円から八十五円と、単価の増になっております心
次の30番は、社会保険国庫負担金、これは後ほど各特別会計の予算が出てまいりますが、国庫繰り入れ金として全部で百五十三億ほどでございます。その内訳は省略さしていただきます。
下にまいりまして、31番の健康保険組合補助、これは従来どおり事務費の補助と、弱小組合に対する給付費の補助金でございます。
32番の国民健康保険助成費、これは八百四十四億、前年に対して百七十六億の増でございますが、内容的に目新しいものは、(3)の療養給付改善特別補助金でございまして、これは前年世帯主に対する七割給付を改善実施いたしましたが、これに引き続き、今度は世帯員に対しても七割給付を実施しようというものでありまして、四十年から四カ年計画をもって実施する予定でございます。それで、その五割から七割にアップする分、二割相当額について四分の三を国が補助するという経費でございます。(4)の僻地往診料特別補助金、これも新規の施策でございまして、これは離島等の僻地に医師が行く場合の往診料は、現行の点数ではとてもまかなえませんので、こういうところにつきましては特別往診料を設定しまして、それに伴い増加する保険者の負担分について、その四分の三を国でみてやろうというわけであります。次に(5)の事務費補助金、これは被保険者一人当たり、市町村については百三十五円を百五十円に、組合については百四十円に単価のアップをみてございます。(6)の助産費補助金が若干減っておりますのは、前年件数の見積もりが過大でありましたので、これを実績に修正したわけでございます。それから、(7)の保健婦補助金につきましても、一人当たりの額をふやしてございます。(8)直診の整備費補助金は、前年どおり、一億九千四百万、(9)の国保団体連合会の補助金は二億から二億五千万と、五千万の増になっております。
次の33番は国民年金国庫負担金、これは次のページにまいりまして、(2)の福祉年金につきまして給付改善をいたす予定でございます。三つございまして、一つは、公的年金と福祉年金との併給限度額の引き上げ、従来戦争、公務によるものの公的年金受給者について、七万円以下のものについて福祉年金との併給を実施しておりましたが、これがだんだん恩給の増額に伴って、事業上支給停止になっておりましたので、これを限度額を八万円に引き上げることによってさらに継続したいというわけでございます。
二番目は、障害に福祉年金につきまして、従来は外科障害についてだけみておりましたが、これを結核とか精神病のような内部疾患についても取り入れようという趣旨でございます。
三番目は、扶養義務者の所得制限を、前年に引き続き、六十万から六十五万円へとさらに緩和したいというわけでございます。
次に、34番以下は援護関係の費用でございますが、いずれも従来と同じ趣旨のものでありまして、金額の減になっておりますのは、だんだんと対象が減っておるわけでございます。
34番は、在日朝鮮人の帰還援護費。35番は、留守家族等援護法による手当の支給費でございます。
次に、三四ページへ参りまして、36番の、戦傷病者戦没者遺族等援護費につきまして、カッコの二番に書いてございますが、一部改正を実施しまして給付改善をいたします公務傷病の範囲の拡大とか、遺族範囲の拡大とか、特別年金の支給の緩和とか、支給要件緩和とか、幾つかの改正をいたす予定でございます。
それから、37番の戦傷病者特別援護費、これは昨年成立いたしました戦傷病者特別援護法につきまして、若干の手直しをいたしたいという改正でございます。
次に、三六ページにまいりまして、38番の国立公園等の整備費につきましては、前年四億五百万円から五億三千万円へと大幅に増額になっております。内容は、国立公園とか国定公園等の整備費でございまして、なお、国立公園部は局に昇格になる予定でございます。
次に39番の社会保障研究所費は千六百万組まれております。が、これは先ほど大臣の所信表明にもありましたとおり、社会保障の根本的な総合的な研究機関として、特殊法人の形をもってこの研究所をつくりたいというわけでありまして、初年度は準備費的なものでございますが、最初の構成人員としましては、理事、研究員、専門委員その他合わせまして二十八名を予定してございます。
以上が一般会計の予算でございまして次に三八ページ以下に特別会計の予算を書いてございます。三八ページは厚生保険特別会計、健康勘定につきましては、一般会計から前年どおり五億の受け入れすをるほか、財政状態が悪化してまいりましたので、積み立て金から七十億の受け入れをする予定になっております。
次に、三九ページにまいりまして、日雇健康勘定は非常に財政のバランスシートが苦しいわけでございますが、来年度は三割五分の国庫負担のほか、借り入れ金としまして百三億ほど受け入れてつじつまを合わせるというようなかっこうになっております。
年金勘定と業務勘定につきましては、特別申し上げるほどのこともございません。
次に、四二ページにまいりまして、船員保険特別会計につきましても、一般会計から、疾病その他につきまして八億ほどの受け入れをしてございます。
次に、四三ページは国立病院の特別会計、これは一般会計から三十二億を受け入れるほか、資金運用部から二十億借り入れまして、これでもって病院の特別整備をしたいという所存でございます。歳出のほうにまいりまして、施設整備費として四十六億組まれてございます。このうち約三十二億ほどが三十病院の特別整備計画を五カ年計画をもってやっていこうという趣旨のものであります。
次に、四五ページはあへん特会でございますが、特別に申し上げるほどのこともございません。
次に、四六ページに国民年金特別会計がございます。一般会計受け入れ百四十四億、そのうち 保険料免除分は約一五%を見込んでございます。あとは特別のことはございませんが、最後に四八ページの終わりから四九ページにかけまして、国民年金の拠出年金、市町村事務取扱費の単価を、被保険者一人当たり百二十円から百三十円へとアップしてございます。
以上でございますが、一般会計並びに特別会計の主要項目についての説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/8
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009・鈴木強
○委員長(鈴木強君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/9
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010・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 速記をつけてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/10
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011・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 このいま予定されている法案のほかにも、前国会から継続して出てくる清掃法の問題やその他があると思うのですね。そこで、あとの法案のことについてはいま議論をいたしませんけれども、この法案に対しては、できだるけ、詳しい説明書をつけて、そして状態その他の資料を十分につけてひとつ出してもらいたい。こっちで委員会で問題になってから、資料が時間がかかってから出てくるというようなことのないように、去年からこしらえられた法案ですから、そういう準備だけは十分にして、ひとつ法律が出てくれば、われわれのほうでそれを見れば多少その沿革がわかるような仕組みで法律案を提案してもらいたい、これをお願いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/11
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012・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) ただいまの御趣旨に沿いまして、十分な資料を整えて提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/12
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013・加藤武徳
○加藤武徳君 私は、いまの藤田さんの御意見に全く同感でございます。できるだけ豊富な資料を同時につけて付託できる、そのような配慮をぜひお願いしたいと思います。同時に、委員長にお願いしたいのは、いままで予備審査の段階で十分必ずしも審議ができておらん。もとより衆議院側から早く参議院に回わしてもらわなければならんし、わがほうに本付託になったものも、早目に十分審議しなければならんのですが、委員長におかれて今後できるだけ審議を促進して、審議のためにうんと時間をさくのだ、こういう基本で委員長もぜひ運営願いたい、このことを希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X00219640128/13
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014・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 委員長への御希望につきましては、理事の皆さんとも十分御相談申し上げますので御趣旨は全く同感でございますから、よく御相談して、円満に運営したいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十二分散会
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