1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十七日(火曜日)
午前十時四十六分開会
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委員の異動
三月十二日
辞任 補欠選任
山本 杉君 村山 道雄君
三月十三日
辞任 補欠選任
村山 道雄君 山本 杉君
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出席者は左のとおり。
委員長 鈴木 強君
理事
亀井 光君
高野 一夫君
藤田藤太郎君
柳岡 秋夫君
委員
加藤 武徳君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
徳永 正利君
丸茂 重貞君
横山 フク君
杉山善太郎君
藤原 道子君
村尾 重雄君
衆議院議員
発 議 者 伊藤よし子君
国務大臣
厚 生 大 臣 小林 武治君
政府委員
厚生政務次官 砂原 格君
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生大臣官房国
立公園部長 今村 譲君
厚生省公衆衛生
局長 若松 栄一君
厚生省環境衛生
局長 舘林 宣夫君
厚生省薬務局長 熊崎 正夫君
厚生省児童局長 黒木 利克君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○母性の保健及び母子世帯の福祉に関
する法律案(衆議院送付、予備審
査)
○母子福祉法案(内閣送付、予備審
査)
○社会保障制度に関する調査
(清掃法の改正に関する件)
(国立公園に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/0
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001・鈴木強
○委員長(鈴木強君) ただいまより開会いたします。
参考人の出席要求に関しておはかりいたします。
経口生ポリオワクチン製造等に関する問題について意見を聴取し、予防接種法の一部を改正する法律案の審議に資するため、参考人の出席を要求することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/1
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002・鈴木強
○委員長(鈴木強君) それではさよう決定いたしました。
なお、参考人出席要求の日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/2
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003・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/3
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004・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 次に、母性の保健及び母子世帯の福祉に関する法律案を議題といたします。
発議者衆議院議員伊藤よし子君より、本案に対する提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/4
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005・伊藤よし子
○衆議院議員(伊藤よし子君) 私は、ただいま議題となりました母性の保健及び母子世帯の福祉に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
言うまでもなく、戦後わが国においては、新しい憲法のもとで国民の基本的人権が保障され、戦前に比べて、国民一人一人の人間としての権利が大きく尊重されることになったのでありますが、現実の経済社会生活においては、まだまだこうした権利が十分保障されていないのが現状でございます。そのことは、制度上の問題としては、たとえば年金、医療、心身障害者福祉など、社会保障諸制度の不備、貧困などにはっきりと示されております。国民皆年金、皆保険の体制が一応整いましたものの、その内容はきわめて粗末なものであります。特に、母と子のしあわせ、言いかえれば、社会の次代のにない手たる子供とその母親の権利や福祉を守り向上させるという面では、ILOの国際的基準などに比較して著るしい立ちおくれがあると言わなければなりません。今日の制度を見ますと、児童福祉法や母子福祉、資金貸付法等で児童保護や未亡人世帯への助成措置が個々には講じられておりますが、全体として見た場合、積極的に母と子の権利を守り育てる社会の構成員としての子供及びこれを育てる母親の福祉を社会全体の責任において向上させていくという趣旨の制度を欠いているのであります。
また、この数年の日本経済の高度成長の中で、町には高層ビルが林立し、緑の田園に近代的容姿を誇る工場が出現し、家庭には各種の消費財が取り入れられましたが、目を私たちのまわりに向けてみると、この高度経済成長や消費ブームに取り残され、物価高の重圧の中で生活に疲れあすへの希望も失いがちなたくさんの勤労者がひしめいているのが現実の姿であります。特に一家の働き手を失った母子世帯の場合、生活の悩みがひとしおであることは申すまでもありません。私は、こうした現状にかんがみ、まず第一に、母と子のしあわせを守ることが国民全体の責任であり、国や地方公共団体は母子の福祉と保健のために必要な施策を講ずること、第二に、働き手を失った母子世帯の生活の安定向上のために特別の措置を講ずることが必要であると考え、この法律案を提出した次第であります。
次に、本法案について、その概要を御説明申し上げます。
まず、この法律案では、基本理念として、すべて母性は、子が心身ともにすこやかに生まれ育つための源として、その健康が保障されるべきこと、及びすべて母子世帯には、児童が、その置かれている環境にかかわらず、心身ともにすこやかに育成されるために必要な諸条件と、その母の健康で文化的な生活とが保障されるべきことを明らかとしたのであります。そして、このため国及び地方公共団体の責務を明確に規定いたしました。
その内容としては、第一に母性の保健のために、妊産婦の無料健康診断、妊産婦、乳幼児へ牛乳など栄養食品の無償給付、出産に関する費用の国庫負担等の措置を講ずるとともに、母性保健センターを整備拡充することといたしました。
第二に、母子世帯の福祉であります。まず、生活安定の基本である所得保障、特に年金給付が健康で文化的な最低限度の生活を維持し得る額でなければならないことを明記いたしました。たとえば母子福祉年金がわずか月額千三百円にすぎない現状では、この規定を特に強く制度の中に生かす必要があると考えます。また、母子福祉資金の無利子貸付、母子世帯のための公営住宅の確保、公共的施設内での売店設置等についての優先的取り扱い、母子世帯の母や子の雇用促進、税制上の優遇措置、母子寮の増設等について国の責任を明らかにいたしました。さらに、母子世帯の生活相談、指導のために母子福祉センターを整備拡充し、常勤の母子相談員を十分に配置するとともに、レクリエーションのための母子休養のホムーの整備拡充、母子世帯の福祉増進のための母子福祉団体の助長育成等についての国の義務を規定いたしました。
以上、この法律案の提案理由の御説明を簡単に申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議の上、可決されるようお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/5
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006・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 本日は、本案に対する提案理由の説明の聴取のみにとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/6
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007・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 次に、母子福祉法案を議題といたします。
政府より、本案に対する提案理由の説明を聴取いたします。砂原厚生政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/7
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008・砂原格
○政府委員(砂原格君) ただいま議題となりました母子福祉法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
わが国における母子家庭の総数は、昭和三十九年現在約九十五万世帯と推計されておりますが、これら母子家庭の中には、経済面におきましても社会生活の面におきましても、きわめて不安定な状態に置かれているものがあり、児童の養育面ではもとより、家庭生活の健全性がそこなわれる要因が多々内在していると考えられるのであります。政府といたしましては、このような母子問題の重要性にかんがみまして、この際、母子福祉に関する施策を整備し、今の関連諸施策の充実、強化と相まって母子福祉施策を推進してまいりたいと考え、この法律案を提出した次第であります。
次に、本法案について、その概要を御説明申し上げます。
最初に、この法律案では、母子福祉に関する基本的な考え方を国民の前に明らかにすることによって、母子福祉に関する国、地方公共団体の施策あるいは母子家庭の母の自立への努力についてその指標を与えることとしております。このため、まず、母子福祉の基本理念としまして、すべて母子家庭には、児童がその置かれている環境にかかわらず、心身ともにすこやかに育成されるための諸条件と、その母の健康で文化的な生活とが保障されるべきであるとしており、母子福祉の基本を貫いているのは、母とその子の福祉が一体となって保障されなければならないことを明らかにしております。
次に、福祉の措置の第一は、母子家庭の経済的自立を助成するために必要な資金の貸し付についてでありますが、この貸付金制度は、現行の母子福祉資金の貸付等に関する法律により、昭和二十八年から実施されておりますが、今回この法律案を提出するに際しまして、現行の貸付法を廃止し、この法律案に吸収することとしたのであります。
第二は、母子家庭に対する職場開拓、雇用促進についてであります。現在、母子家庭の母が公共的施設内に売店等を設置したい場合、あるいはたばこ小売人の指定を受けたい場合には、これを優先的に許可することとしておりますが、この法律案におきましてはさらに母と子に対し、その雇用の促進をはかるため、母子家庭の福祉の機関と職業安定所が相互に協力しなければならないこととしております。
第三は、母子家庭に対する住宅対策についてでありますが、母子家庭が自立する上に住宅問題の解決はきわめて緊要でありますので、この法律案では、母子家庭の公営住宅への入居については特別の配慮がなされなければならないこととしております。
最後に、母子福祉のための施設としては、無料または低額な料金で母子家庭の利用に供するための総合施設として母子福祉センター及び母子家庭の休養施設として母子休養ホームを設けることを規定しております。
以上、この法律案の提案の理由について御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/8
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009・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 本日は、本案に対する提案理由の説明の聴取のみにとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/9
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010・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 次に、社会保障制度に関する調査を議題といたします。御質疑のある方は、どうぞ順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/10
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011・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 きょうは大臣がお見えになってないで、次官においでいただいておりますから、次官を中心に、環境衛生局長に環境衛生の清掃法の問題についてお聞きしたいと思うのです。
この清掃法の問題については、この前の臨時国会におきまして生活環境施設整備緊急措置法をこの委員会で決定するときに、清掃法はこの国会に出す、こういうお約束をいただいているわけでございますが、まだ頭を出してこないのであります。これはどういうことになっておるのかということをお聞きしたいのであります。順次お聞きしますが、まずそれから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/11
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012・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 清掃法の一部を改正する法律案につきましては、いま法案の内容を検討中でございまして、その内容に他省にわたるものがございまして、他省との折衝にやや時間を要したわけでございますが、目下大体他省との関係も調整がつきましたので、近いうちに形を整えて省内並びに関係筋の手続を終了して、できるだけ早い機会に提出いたしたいと努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/12
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013・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 できるだけ早い機会と言いましても、もう国会が始まっていて、三月を過ぎると百五十日の国会が半ばを過ぎるわけですね。私はうんとよいものを検討していただいて提出の時期がおくれる、これは私はあり得ることだと思うのですけれども、いまだに頭も出ず、声も聞かないということは、どう取り組んでおられるのか。この前の国会できめた生活環境施設整備法の関係からいっても、五ヵ年計画のあの整備法が、厚生大臣の言によれば、少なくともあの五ヵ年計画を、一年過ぎたが、あと二年でやりたいと、こういうことをおっしゃっておるわけでございますから、そういうことになると、なおさら私は今日の清掃法というものの手直しを、日本の環境衛生の整備をやるためにも、これはやはり具体的に早急にここでひとつ法律案の検討をしないと、会期末になってばたばたと出してこられては、これは困ると私は思うのであります。あの五ヵ年計画を見ましても、大臣の二年間でやろうというこの御意思を受け継いでここで議論するといたしますれば、九千万人を対象にする、九千万人というと日本の国民の大半でございます。これがあの生活環境施設整備法で来年度、再来年度で整備されるということになると、これに応じて清掃法の整備をやらなければどうにもならぬのではないか、私はそう思うわけでございます。ですから、単にかっこうだけ出すのじゃなしに、二年間で生活環境の整備をやろうというその裏づけをきちっとやっぱり清掃法でやらないとどうにもならぬと、そういうぐあいに私は思うのであります。だから、具体的にいつ成案ができてお出しになるか、その内容になっているものは何かということをひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/13
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014・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 提出の時期につきましては、おおむね各省との接衝は終わった段階でございますが、なお、これから内容を省内において詰めまして、法制局の審議を経て、また、関係筋等の審議を経て出すことになりますので、そんなに遠い先になるとは思いませんけれども、いま直ちにいつごろということは申し上げかねるわけでございますが、審議に間に合うように出したいと思っております。
それから、お尋ねのございますどういう内容のものを盛っておるかということでございますが、第一点は、汽車、電車等の車両が汚物をまき散らしておる事態がございまして、これが取り上げられて相当問題になっておりますし、また、衛生上確かに非常に不潔な環境を生じておる。ただいまお話のございました生活環境を非常に短期間でよくするという時期において、そういう事態を放置することはできないので、できるだけきちんとした規制をこの際いたしたいという気持で考えたわけでございます。実際問題として、これは運輸省の問題でございますが、非常に実行上困難な面もあるということで、かなりこの問題の折衝には手間を取ったわけでございますが、ようやくある程度の規制を加えるということで法案にも盛れるようにまとまってきたように思うわけでございます。第二点は、水洗便所でございますが、水洗便所は、せっかく相当な多額の施設整備費を費やしまして国及び地方公共団体が下水道を設置いたしましても、依然として水洗便所化が行なわれないままでおる事態が相当あるわけでございます。今日でも、いつでも水洗便所にできる地域でも、四割くらいは水洗便所にしないでがんばっておる、こういう事態になっております。これを何とか促進することを法律に盛り込みたいと思いまして、一応水洗便所にするようにつとめなければならないという規定を設けたわけでございますが、ただそれだけでは実効もあがりませんし、いま一つは、ほとんど周囲は水洗便所化が行なわれたにもかかわらず、ごくわずかの一軒、二軒という家がくみ取り便所で残っておりまして、そのために清掃車を配車しなければならないという事態に対しては、ある程度強い措置を講じてはいかがということで、あるいは、また、そういう地域でありながら公共の施設が最も悪いといわれておりますが、公共の施設が水洗便所化を怠っておるというような事態に対して強い措置を講ずるということで、市町村長が強制権を持つというような条文は入らないかということを検討いたしております。これは建設省に非常に深い関係がありますので、建設省と折衝いたしておったわけでございますが、おおむね意見の一致をみたわけでございます。
それから、し尿浄化槽というのがこのごろだいぶできてまいりました。これは下水道ができないところに水洗便所にするための自家用の浄化槽をつくるわけでございますが、これの管理が必ずしも十分でない、ややもすれば未処理のままの汚物が外へ出て周囲を汚染するという事態もございますので、そういうものの設置の届け出義務を強化するというようなことを織り込みたいと、かように思いまして、そういう規定を考えております。
それから、し尿処理施設の管理が必ずしも十分でない。これは市町村が設置するものでございますけれども、上水道は非常に管理が行き届いておりますが、し尿処理施設は管理が行き届いておりませんために、公共のし尿処理施設でございましても、完全に処理されない水が河川に放流され、そのために、それを上水に使う場合に非常に支障が起こるというような事態が起こっておるわけであります。したがいまして、し尿処理施設の管理義務を少し強化いたしたい、こういうことで、そのような条項を考えております。
それから、従来は許可業者というのがおりまして、これが全面的に汚物の収集、運搬、処理等を行なっておりまして、法律の本来の趣旨たる市町村が責任を持って処理する形がとれておりませんので、市町村が責任を持って直接末端に至るまで行き届いたし尿収集、運搬、処理ができるような改正をいたしたい、かように考えております。
以上がいま考えております改正法律案のおもな内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/14
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015・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこで、もう一言、これは次官に聞いてみたい。今度の国会が始まって、政府提案というのは三月十五日までに出す、官房長官と私たちの党は——これは私たちの党ばかりでなしに、国会運営上の問題として、そういう約束がされておるわけです。それで、まあ持別これがおくれるというようなことを私はまだ聞いたことがないのだが、いまだに審議が間に合うようにということで、いつ出るかわからない、こういうことでは私は困るわけであります。そこで、いまさら、もう十五日は済んでしまって、きょうは十七日なのですから、この問題を多く議論しようとは思いませんけれども、しかし、どうせこれは予算が具体的に、いま直ちにといわなくても、伴わなければ処理できない問題だと私は思う。だから、そういう意味では、私はこの清掃法の問題に対して、予算編成のときに、予算にふえておりますけれども、しかし、皆さん方厚生省の要求されたのと査定との間には非常に差があるわけであります。ですから、差があっても、とにかく将来の発展を期して清掃法をつくってこの処置をするということにならざるを得ないと思うのです。十五日、十七日の問題は私は申しませんけれども、やはりいま説明された問題だけを聞いても、非常に重要な問題が含まれているのですから、ひとつ次官は大臣とよく御相談なすって、できるだけ早く、少なくとも今月中ぐらいには出すように努力するということのひとつここで決意を聞いておきたいと、こう思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/15
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016・砂原格
○政府委員(砂原格君) 清掃法の一部改正の問題は、厚生省といたしましても、国民生活の上に明かるい希望をもたらすことでもありますし、その運営にも徹底を期したいと考えておるので、わけて小林大臣は清掃問題に格段の配慮をしておられるのでありますから、非常な促進についての御要請をいただきましたことは、たいへんありがたいことだと思います。われわれも大臣と十分に協議をいたしまして、御要望に沿い得ますよう、格段の配慮をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/16
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017・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこで、舘林局長にお尋ねをしたいのでありまするが、生活環境施設整備緊急措置法の関係からいって、たとえば水洗便所を一つ取り上げてみましても、水洗便所のいまは下水道の完備したところの内部的な整備が必要だと、こういう御意見がございました。しかし、私は、やはり水洗便所をやるというときに内部的な支障のあるというのは、水洗便所をつくるときに費用がかかる。この費用の面で、各世帯単位に所得との関係で問題があるのが一番大きい問題ではなかろうかと私は思うのであります。ですから、この内部の問題については、やはり低利の——補助ということになるとなかなかいろいろ議論がありましょうが、できることなら幾らか補助をしてあげる、そうして、また、そうでなければ長期の低利の金融の処置を講じてあげる、こういうやはり処置が伴わなければ、ただ法律で規制してやれやれというたところで、家庭生活がパンクしてしまうようなことじゃどうにもならぬわけでありますから、その点は十分にひとつ御研究をして法案に盛っていただきたい。
もう一つ、水洗便所の問題ですけれども、これは下水道終末処理ということで、長い歴史的に見て建設省となわ張り争いをしてきたというのが実情だと私は思うが、ようやくけじめがついてあのような五ヵ年計画の法案が出たのでありますから、厚生省が人間の生命、身体の保護行政庁として、これはやはりあの厚生省の五ヵ年計画にあるように進めていこうとしたら、あとが伴わなければどうにもならぬわけでありますから、いずれこの法案が出たら建設省とともに聞きますけれども、その議論をいたしたいと思いますけれども、そこらあたりの点は十分にやはり配慮をしていただかなければどうにもならぬのじゃないかということが考えられるわけでございます。そこらのところはどうおやりになろうとしているか、ひとつ聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/17
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018・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) お尋ねのとおり、私ども、今度水洗便所をかなり強い力で普及いたしますにつきましては、水洗便所化の意欲の問題もさることながら、実際にそのために相当個人的に経費がかかるという点がネックになっていることを痛切に感ずるわけでございます。そのために何らかの措置を講ずべきである。まあこの法案の審議をいただくきょう今日の段階で、いま直ちに具体的な措置が講ぜられるということは、かなりむずかしい問題がございますが、ただ、従来から国としましては、厚生年金の融資等で水洗便所化に対する市町村の個人に対する貸し付け金の基金に対して融資をしてきております。この融資のワクを、少なくとも将来大幅にふやさなければならない。いまはごくわずかでございまして、年間三億程度でございますので、とてもこれでこの大きな計画を進めるわけにはまいりませんけれども、将来はどうしてもこのワクを大きくいたしたい、かように考えております。
それから、いまお話のございました下水道計画を、ちゃんと建設省と筋道をつけて、大きな計画で推進すべきであるということはお説のとおりでございまして、五ヵ年計画で二千五百万人分が水洗便所になるような下水道ができることになっておりますけれども、その実行にあたっては十分連絡をとり、さらに、その二千五百万人が、将来においては五千万人にももっとにもなることを予測した大きな計画のもとに推進しなければならない、かように心がけております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/18
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019・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 もう一言これに触れておきますけれども、私は、住宅不足ですから、その住宅が、要するに経営者が自分の従業員の住宅を年金でお建てになることに反対はいたしません。しかし、少なくとも二千億に達する厚生年金と国民年金の一年分、その二割五分としますと五百億からの金があるわけです。だから、この五百億の金を私は福祉行政に使うということがようやく表に出ているわけでございますから、住宅の問題も大事でございますけれども、しかし、このような水洗便所という問題については、そこらに大いに力をお入れになったら、五百億の中でたった三億ということじゃ、ちょっと話が聞こえませんということに議論はならざるを得ない。しかし、これは法律案が出てから議論をいたしますけれども、そういう点は十分に配慮をしてひとつ計画を立てていただきたい。
それから、その次のし尿と、それからごみの問題でございます。これには私は、まあ法律をおつくりになるのですから、前提として二、三申し上げておきたいと思うのであります。し尿処理場とかごみ処理場、焼却場の設置に市町村が非常に困っているということが一つでございます。なぜ困るかというと、たとえばし尿処理場やごみ処理のその処理場ができますと、いままでの処理技術からいいますと、近所が非常に迷惑をするということであります。それがために、この処理場が近所にできると困る。でありますから、市町村が、どれだけ市町村議会でこの場所を設定するのに苦労しているかということは、私はほんとうに口で言いあらわせぬほど苦労している現状だと思うのです。ですから、私は、それでも環境衛生の向上の立場から市町村が努力をして、ことによったら強権発動みたいなかっこうでやっているところがございます。ございますけれども、私は、厚生行政としては、これをだまって見ている手はないと思う。日々やはり科学的な処理技術の進歩、たとえばにおいがして近所に住居ができぬとか何とかいうような処理、それから煙が出で、じんかい処理の問題に関係するけれども、そういう問題の処理というものをもっともっと私は日々専門的にひとつ厚生行政の中で研究をして、ごみ処理場でもし尿処理場でも、そう市町村民の反対なしに設置ができるという条件を、科学技術等とも機械の研究、検討というものを私は常日ごろやってもらわなければいかぬのじゃないかと思うのです。最近私もあっちこっちを見て回ってまいりました。しかし、何年来市町村で課題になって、何町村か一緒にしてもどうにも——人里離れたところにやろうということで始末がついたのはそれはいいんですけれども、しかし、そういうところのないところは、たとえば豊中の例を一つとって見ましても、豊中市の伊丹、尼崎の三角点につくる。そうすると、豊中と伊丹はようやくそこで処理ができたけれども、周囲の市町村がそういう場所がないので、もう幾ら金を出してもいいから、とにかく一緒にやってくれ、計画を広げてくれといって陳情攻撃で、市町村会議長、議員あげて陳情するので困る。できることなら拡大をして集中さしてあげたいけれども、そういうこともなかなかむずかしいんだ、何とか計画を変更してでも拡大して、市町村のたとい一つの市でも一つの町でも吸収してあげようと努力、考案中だというお話がありました。私は、もうその一例をとってもわかるように、非常に困っているということです。それはやっぱり処理のしかたに問題がある。他に近所に迷惑をかけないように済むような研究が進んでおったら、私はこんな悲劇はないと思う。ところが、それがやはり続いているということについては、今度の法律を出されるときには、まずこの根元の問題を専門的に研究して、外国なんかでいい処理方法があったら、それを人を派遣して研究してみるとか何とかいうことをしないと、文化生活、文化国家を追求している各市町村の福祉行政からいったら、政府に言われなくとも、これは追求しなきゃならぬというのが、いまのもう市町村行政の中で、この清掃行政、環境衛生というものはもう中心課題になっている、私はこう思う。ですから、今度の法律をおつくりになるときには、ぜひ力を入れて構想をお出しになると同時に、処理の方法をお考えになっていただきたい、これが第一点でございます。御意見があったらお聞きしますが、これが第一点であります。
それから、第二点は、私は、収集が市町村の固有事務である。固有事務である清掃事業が、いま方向としては市町村の責任管理の方向だとおっしゃいましたけれども、責任管理の限界をどこに置くかというのも、これまた議論のあるところでございますから、どうぞひとつ市町村の固有の事務というものがここに具体的にあらわれるように法改正をしていただかなければ、これはやっぱし問題を残すのではないか、こう思うのであります。この二点についてまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/19
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020・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 第一点につきましては、今日具体的な、し尿処理、ごみ処理の事業の中で、一番問題となっておるむずかしい点の一つを御指摘いただいたわけでございまして、お話のとおり、土地の問題、設置場所の問題は大問題になっております。地方によりましては、一年たっても設置場所がきまらない、そのためにいつまでたってもし尿処理が解決しないという事態が起こっております。その基本は、確かにお話のように、その設置によってその周囲の環境がよごされるということでございます。これは確かに技術開発がおくれておると思います。特に、し尿処理施設は日本独特のものでございますので、日本自体が近年に至って考案したものとむしろ考えていいものでございますので、非常におくれておるわけであります。ごみにつきましては、世界共通でございましても、これはこれでやはり日本のごみ特有の湿気の濃度というようなこと、あるいはごみの内容というようなことがございまして、直ちに外国のものがそのまま日本に適用できるものでもございませんし、この点も非常に原始的な焼却炉が今日たくさん使われておる現状でございます。この技術開発は非常に緊要なことでございまして、従来も厚生科学研究費等で各研究者にお願いして研究を続けてきておりますけれども、必ずしもはかばかしいという状況ではございませんし、また、一方、設置いたしますにつきましても、相当多額な実験施設が要るということで、研究はなかなか進まないわけでございまして、前々からこういうものの国の研究施設が必要ではないかという声が高いわけでございますが、実は明年度予算にも、そういう研究を含めた研究施設を国立でつくるということを企図いたしたわけでございますが、明年度はできないことになりましたけれども、近い将来にそういうものを設置いたして開発をはかってまいりたい、かように考えております。
第二点のお話の、その清掃事業を市町村が固有の事務として責任をとってやる管理体制が、やり方によっては必ずしもその管理が行き届かないおそれがあるので、管理体制の内容がしっかりしなければ意味をなさないおそれがあるという御指摘は、十分私どもも考慮いたしておりまして、みずからやるといいながらも、今日ちっともみずからやっていない、管理が行き届いていない態勢がございますので、それらの点は十分考えた上で法案をつくってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/20
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021・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあ私たちが政府に対して要求する立場から言えば、住居が集中しているところには下水道、水洗便所をやって完備しなさい、こういう要求になるわけでありますけれども、なかなかこれも一度にいかないわけですから、そういう現実的な上に立って私はいまの問題を皆さんに持ってもらいたいということを言っているわけであります。で、たとえば大阪市みたいなところを見てみても、非常におくれているんですね。いま私が議題にしました豊中、伊丹、尼崎、西宮、大阪、芦屋、神戸なんというのはきっちり家が詰まっておる。詰まっているところでそういう問題が起きている。しかし、幾らかでもあいたところにそういう処理をしようという努力がされておる。私どもの京都なんかの状態を見ますと、一町村限りではどうにもならぬので、集団でやろうとしておる。二年も三年も苦労して町村がやろうとしている。それで、それができないで数ヵ町村を集団でやろうというところへ話が落ちつく、落ちつくと、また場所に困るということで、最近は山の中とか、そういうところに、平地は耕地として耕やされるので、そういうところにだんだん逃げ込むような傾向にあります。私はそれでもいいと思うのです。いいと思いますけれども、問題は、一番最初に言った基本的な技術の革新のおくれがより障害を積み重ねているという心配をしている。だから、なかなかできない。あなた京都盆地へ入ったら、一番大きい煙突の一番膨大な煙は京都市の清掃場の煙です。東京のお化け煙突どころではないと私は思う。その京都盆地の上を煙でまいているのは清掃場の煙です。あんなことをいつまでもやってこれでいいかどうかということも問題になる。ここの近所はいままで住居がなかったからいいけれども、住居がだんだん中心からはみ出してあの近所へきたら大問題になると私は思う。だから、あの処置は処置として、あんなに煙をいつまでも空へ上げておっていいかどうかということはやはり問題です。だから、やっぱりこれに対しても科学技術的な処理をしなければならぬのじゃないかということを申し上げているわけであります。それから、業者との関係が非常にむずかしくて、固有事務としてきちんとしてやらないと非常に心配であるということもここで申し上げたのでありますから、十分なひとつ御配慮をお願いしたい。
それから、もう一つ私はここで注文をしておきたいことは、その清掃事業に働いている方々の業務というのは、非常に一般の業務、工場で物をつくるとか、オフィスで事務をするのと違って、非常な困難性が私はあると思うのです。それについて、単に公務員給与だとか何とかいうことで、給与的な問題、それから労働密度の問題なんかも、何かどんぶり勘定のような考えで作業を押しつけているというような感じが目に見えるわけであります。だからそういう点も、やはり労働科学衛生の面からもひとつ御研究なすって、ものすごいじんかい、ほこりのあるところで朝から晩まで仕事をするわけですから、これはけい肺関係がどうなるか知りませんけれども、そこまでいかないにしても、そこらの働いている人の労働科学衛生の面からの研究もして、あまりオーバーになって途中でくじけることのないような人員配置の仕方なんかも、私はやはりそういう立場から基準を出して処理をしていただくということでなければこの問題の処理はできないのではないか、こう思いますので、そこらあたりの問題も、御意見があったら承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/21
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022・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 清掃事業のために働いておる従業員の方々の待遇の問題、あるいは労働条件といいますか、労働衛生、そういう全般の問題について配慮すべきであるというお話はごもっともでございまして、かって東京の清掃問題に対してアメリカの専門家が参りまして指摘した中にも特にそれがあるわけであります。清掃事業のような困難な仕事に従事しておられる方々の待遇は必ずしもよくないということで、今日では募集してもなかなか人が集まらないというような事態さえ起こっておるわけで、そういうことにかんがみて、清掃局あたりも、このごろは全部服装をかえたりいたしまして配慮いたしておるわけでありまして、名称等も清掃員という名前はどうか、むしろ環境衛生職員とか何とかいう別なイメージが出るような名前にかえたらどうかという声も相当聞かれるわけでありまして、市長会でやっております清掃問題研究会などでも、これらの職員に対する待遇をひとつ十分に考える必要があるということが議題にのぼっておりまして、この清掃問題研究会で必要な清掃の基本費用というものを算定いたしておりますが、それもかなりそれを配慮の中に入れまして算定をいたしております。ただいま御指摘のございました、非常に不潔な環境で働く労働環境の衛生問題は御指摘を受けましたのですが、私どもやや怠っておりましたことをいま反省いたしておりますので、今後十分これも考えてまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/22
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023・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 この点について重ねて申し上げておきますが、市町村長あたりとか、そういうところは雇う側なんです。だから、その自治体自身の財政上の問題からの処理ということになるので、ほんとうに人間の安全、衛生、科学的な処理さえも、案外施策というものが出てこない、雇う側ですから。むしろ私は、経理上、財政上の問題がありましょうけれども、それを乗り越えて、やはり科学的な見地からその処理を考えるのは厚生省以外に私はないと思うのです。だから、これだけのものにはこれだけの費用が必要だというものを厚生省がお出しにならなければ、医学的な面からも、衛生的な面からも、人体保護の面からも、お出しになるのは、雇い主では出ないと思うのです。まず、片方でそろばんを置いてものを議論していてはしようがないから、これだけのものが必要だという科学的な根拠を出して、それに到達するために財政上の処置をどうするか、一ぺんにやれなければ順にどうしていくかというところにいかないと、まず、そろばん勘定が先に出てくれば、そんなものは一歩も進まないと私は思います。その点重ねて御検討をお願いして、法律に盛っていただきたいということをお願いしておきたい。
それから、もう一つの問題は、私は議論になるのですけれども、清掃法の法案がきてからの問題になると思いますけれども、私は、何かごみの収集の問題にしましても、ごみの収集箱が必要だということになると、何か仲介の流通機構というものが出てきて、高い値段で押しつけてみたり、この規格でないとごみ収集をしないと言ってみたり、そういうようなやはりいろいろの問題が各地で起こっていると思うのです。衛生的に処理しようとすれば、一つのごみ箱ならごみ箱をこしらえて、そこで処理することが一番いいわけですけれども、そこらの問題も、何か環境衛生を完備するという立場の方向だけはよくわかるのでありますけれども、そこの備えつけの問題で各地で問題を起こしていると思うのです。そこからどういうふうにやったらいいかというようなことをひとつ御検討を願って、そうして今後の方向を出していただきたい、これもお願いをしたいわけであります。
大臣がお見えになりましたので、大臣には、さきに次官から聞いたのでありますが、せっかく大臣がおいでになりましたから、この前の国会で清掃法を出すということで、われわれは約束といいましょうか、われわれとの約束じゃなく、国民に約束された問題でありますが、清掃法の改正が非常におくれておりますから、そこで、どうなっているのだという前段の質問と、内容の問題について質疑をしたわけでありますが、大臣は、生活環境施設整備緊急措置法の五ヵ年計画を二年くらいでやりたいという意欲を持っておられるわけでありますから、この補完的なと申しますか、より具体的な環境衛生整備のための清掃法というものを一日も早く出して、そうして処理しなければならぬ。そこで、おくれておりますので、どうなっているのだということをお聞きしたいわけであります。大臣の御所見があったら、重ねてお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/23
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024・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 局長からお話があったと思いますが、ひとつ督励をして早く出すようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/24
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025・鈴木強
○委員長(鈴木強君) ちょっとお伺いしたいのですが、東京都の場合にポリバケツですか、何かそれに似通ったごみ入れを備えつけさせましたね、大量に。ほとんど全戸にあると思うのです。ところが、今度それをなくして、昔のようにチリンチリンで集めるというようなお話があるのですが、せっかく金を出して買わしたものを、またそういう方法に返すことに対して、たいへん家庭の主婦が立腹されている、一貫性がないということで。特定の業者にもうけさせているようなものをつくらして配給して、またそれをなくするというのはけしからぬというような風説が飛んでいるのです。しかも、都の当局の人から直接聞いたわけではないのですから、あるいは風説かもしれませんが、そういうお話があるのですが、何かお聞きになっておりますか。もしお聞きになっていないとすれば、ひとつ東京都のほうにそういう事実があるかどうか、確めていただきたい。そこらの経済的な面もありますので、指導を行政的におやりになるあれがあったらやっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/25
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026・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) いま私どもといたしましては初めて伺うわけでございますが、せっかくある程度新しい容器で、かなり迅速に、しかも、環境を汚さないで収集が行なわれてきたように私としては思っておりますが、それが急にまたもとに戻るということは、およそ考えられないような感じがいたします。至急調べまして、間違った扱いでございますれば直すように指導いたしたいと、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/26
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027・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は、国立公園のことについてちょっと聞いておきたいと思います。今度国立公園部が国立公園局になるようでございます。そこで、この予算書を見ますと、国立公園局をこしらえて公園の管理やその他をおやりになるにしては、どうも予算を見ますと、全部で五億二千九百八十六万二千円ということになっているわけでございます。その国立公園の管理をどうしてやっていこうとされているのか。私は、第一の目的というのは、やはり国民の慰安所といいましょうか、そういうものが第一の目的だと思う。それから、日本の固有の美といいますか、これを維持するという意味もあると思います。最近に至っては、外国からの観光にも相当役立ちをしているというのも、だんだんと時代が変わるに従って変わってきている。そういう意味から国立公園部を国立公園局にして、よりその意義をあらしめよう、政府が保護してあらしめようということについては、私はいささかも意見を持っているものじゃないわけです。それなら、それを具体的に保護していくという形のものは、予算が幾らだとか、どれだけやったらどうできるというところまでここで追及しようとは私はいたしておりません。おりませんけれども、しかし、こんなことで何ができるということが私は言いたいわけで、当然この費用の中に事務費も入っているのですから、実際の施策費というのは、ほんの私は少ない額になってしまうんではないか。それでほんとうに国立公園というものが管理できるんだろうかということを私はまずお聞きしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/27
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028・小林武治
○国務大臣(小林武治君) お話のように、きわめて不十分であります。私も、ことしはほかのことに非常な力を注いだために、この面の予算の増額というようなことについては十分な成果をあげ得なかったのでありますが、それでも、まあ前年に比べて一億円近くぐらいふえた。もとが少ないからして、ふえても知れたものでありまして、私も地方におりまして、国立公園ほど、いばって、そして実質的な利益を何も与えぬものはない、こういう感じを強くしておるわけであります。道路その他の施設にしましても、ほとんど観光業者はいろんなものをしたいと言いますが、国の力でやるものはほとんどないということで、相当な私は非難のあることも知っております。したがいまして、これから公園の管理のためには、いまのような予算ではやれない、こういうふうに思いますが、それにつきましても、まあとりあえずかっこうをつけて、たとえばこれに対応する運輸省の観光局も、予算とかあるいは人員とかは厚生省のこれよりか少ないが、ああいう政策的に観光局になった。これとの対応上も、ぜひ局に願いたいということで、局のほうだけはお願いをいたしたのでありますが、お話のような点で非常に不十分だということも十分に私どもも認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/28
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029・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあ国立公園、国定公園というのが段階的にあるわけでございます。で、国立公園と国定公園との違いがどこにあるかという議論もいずれもあるところと思うんです。しかし、まあ国立公園という、その次には国定公園という、その次には府県が風致地区というようなかっこうで、規制だけはしているわけですね。しかし、保護してそれを助長していくというようなふうには財政上の処置が伴わないから中途半端になっているというのがいまのかっこうではないか。だから、方向としてはわれわれは賛成で、それをもっと助長してもらいたいという願いは、私ばかりじゃなしに、国民は持っておると私は思う。だから、その点にもっと力を入れていただかなければ、今度国立公園部が局になって公園行政をおやりになるときに、名前と実体とが伴わないのじゃないかという気がしているわけでございます。いま大臣もおっしゃったことで、その点はいまの段階においてどうこういうことは申し上げませんけれども、それから、もう一つの問題は、国立公園とか国定公園をおやりになるときに、国立公園審議会というのがございますね。私は、この国立公園とか国定公園とかおきめになるときにまず一つ問題があるんじゃないかという気がいたしますが、なぜそんな気がするかというと、厚生省の皆さんが、ほんとうに日本の全土を見て、客観的な立場から、これが国立公園だ、これが国定公園だという判断をお立てになっていないような気がいたします。どっかから申請があって、運動が行なわれて、審議会できまれば自動的に国立公園とか国定公園にされているんではないか、私はそういう気がするわけであります。だから、国立公園、国定公園ときめられた公園自身の権威性というか、権威といったらおかしいけれども、一般国民が客観的にそれを認めて保護していくとか、そういう観念が薄いのではないかという気がいたすわけであります。だから、国立公園とか国定公園をおきめになるときには、どういう道筋でおきめになっているのか、これをまずお聞きをしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/29
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030・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これは私から率直にお答えいたしまするが、藤田委員が気がするのじゃない、そういう傾向があるので、私は、この公園のきめ方についての厚生省の自主性というものがあまりなかったということ、また、ややもすれば、極端な言い方をすれば、国立公園審議会が一種の行政委員会みたいな作用さえしておって、これは私は非常な誤りだと思うわけでありまして、審議会は諮問機関である、そうして、それの主導性は厚生省が持たなければならぬ。この点において、私は率直にいって欠くるところがあったと私は思うのでありまして、そういう点をひとつ変えなければいかぬということで、その向きのことを私は公園当局にも申しておりますし、また、審議会自身にもそういうことはお伝えをしてあるのでありまして、藤田委員のおっしゃるように、重ねて申しますれば、気がするばかりでなくて、そういう傾向、事実があったということを率直に認めざるを得ない。したがって、これを十分私は反省して変えていかなければならぬ、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/30
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031・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は、審議会が形の上で民主的な方法で、一般的な権威によってやられているが、いま大臣がおっしゃったように、行政的に欠けているというなら、私どれがどうということは言わない。しかし、いまのような状態じゃ、私は、やはり公園部が局になろうとするなら、もっと客観的な立場から公園を指定していただかなければ問題が起きる。いま大臣のおっしゃったことも十分に私はわかるわけであります。たとえば一つの例をここで申し上げてみたいと思います。それは大山国立公園というのがあるんです。それから鳥取海岸といいますか、あの国立公園というものがあるわけであります。それから、ちょっとあいて若狭国定公園というのがある。そしてだんだんと鳥取海岸の国立公園が延長をいたしまして、島根、鳥取から延長して京都府の半分ぐらいのところまできているわけです。それから、若狭のほうは若狭国定公園といいますけれども、集中して人が行くのは天ノ橋立で、そこへ京都府の東からきている。そして丹後半島というのは、あの辺では近代で飛び抜けたという言い方は別といたしまして、丹後半島の海岸というのは二町村ぐらいの幅でありますけれども、あの突き出た所が、これは日本でもめずらしい海岸地帯でございます。ちょうど東北の松島と言われるほど海岸地帯がいい所でございます。それですから、京都府は周遊道路をつくりまして、最近周遊道路の観光客というのが、もう春から夏、秋にかけて、おそろしい数をもってここに観光に行くわけです。ところが、この海岸の風景地が国定公園でも国立公園でもないということなんです。国立公園のところへは人が行かない、何でもないところへ人が集中して観光に行く。公園というなら、大山の国立公園が鳥取からだんだん京都の網野というところに延びてきたんだけれども、こういうかっこうの国立公園の指定というのは、私は少しおかしいのじゃないかと思う。指定するというなら、やっぱり国民がその風景を見に行くようなところ、ほんとうに楽しむようなところを国立でも国定でもいいから指定して、何らかの方法をとったらいいのじゃないかという意見を私は述べたことがあります。ところが、事務的には、それじゃ若狭の国定公園に頼みに行って、そっちの仲間に入れてもらいなさいというのが事務的な返事だったと思う。私は、いまはそういうことはあほらしいからいたしておりませんけれども、これは島根、鳥取、京都、福井にかけての海岸線の国立公園、国定公園の指定の例でございますが、私は全国を歩いたわけではございませんから、そういう例が他にあるかもしれませんけれども、特定公園は大きい問題です。仲間に入れてくれるように頼みに行って加えてもらいなさいというようなかっこうで国立公園や国定公園の指定をすべきじゃないと思う。だから私は、今後国立公園局になったら、そういう点は十分みずから、審議会があるなら、審議会の委員の皆さんが客観的に見、それから厚生省の公園局の皆さんが客観的に見て、そして人が集中してくるところを指定して施設をこしらえてあげるとか、少し休憩の所をこしらえてあげるとか、また、道路を幾らかやってあげるとか、そういうことがいいのじゃないか。それが公園局、公園部の仕事ではないかと私は思うわけであります。だから、これは地方自治体との関係というものが非常に強いのでありますから、地方自治体の協力が必要でありましょうけれども、そういう点を考えてみると、大臣がおっしゃったように、私も同じ疑問を持ったような感じを持つわけでありますから、だから、そういう処理は具体的な問題として、何も国立公園にそれをしなさいとか何とか言っておるわけじゃないけれども、機械的に処理する、だから行政庁もおざなりになる。だから、名前さえもろうたらいいんだということになってしまっては、私は話にならぬのじゃないか。こういう点を、非常に具体的な問題にぶち当たって考えておりますので、そういう点をひとつよくお考えをいただきたい。
それから、やはり国定公園とか国立公園にするなら、その風景の保護管理をしなければいかぬと思う。それから、やはり公園が荒れないように楽しむ環境というものをつくらなければいかぬ、これは非常に大事な問題だと思うわけであります。そういう点の保護管理とか、そういうものはどういうぐあいにおやりになっておるか、この際、聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/31
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032・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これはいま公園部長も来ておりますから、私の言うたことが行なわれると思いますが、要するにいまのお話のようなことがあるのです。それはまあ国立公園ほど陳情政治の弊の大きいものはない。陳情がなければできない。もうだまっておれば、どんないいところでもなかなかしてくれぬ、こういうことで、非常に大きな欠陥がそこにある。私は、国立公園審議会の事務局のような公園部じゃ困るんだ、これは公園部があって諮問機関があるんだが、逆のような関係がなかったとは言えない。こういう弊もぜひ直さなければならぬということを強く申しております。それで、いまのように客観的に国立公園部が自主性を持って天下の景観をながめて、そうしてきめていく、こういうふうに当然すべきであります。そういうことでお話のような事態があった。したがって、これは直さなければならぬということを強くわれわれも反省をしておる、こういうことを申し上げておきたいのでございます。
もう一つのあとの問題は、国立公園には一応事務所を持ってやっておりますが、何ぶんにも管理要員が少ない、こういうことの手薄のために景観が十分利用されておらぬ、あるいは保護されておらぬ、そういう欠陥もありますので、事務所を完備する、あるいはそのための人手をふやす、こういうこともいたさなければならぬと、かように思っております。
なお、いまのようにわれわれが局にしたいというのは、部というものと局と、どうも世間では軽重おのずから見方がありまして、いままでのやり方を直すためにも、この際、局にして、そうしてその自主性を高めたい、こういうことの考え方もあったということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X01319640317/32
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033・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 別に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十八分散会
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