1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月七日(木曜日)
午前十時四十五分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 鈴木 強君
理事
亀井 光君
高野 一夫君
藤田藤太郎君
柳岡 秋夫君
委員
加藤 武徳君
鹿島 俊雄君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
徳永 正利君
丸茂 重貞君
山下 春江君
山本 杉君
阿具根 登君
杉山善太郎君
小平 芳平君
村尾 重雄君
林 塩君
政府委員
郵政政務次官 金丸 信君
郵政省人事局長 増森 孝君
労働政務次官 藏内 修治君
労働省労政局長 三治 重信君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○中小企業退職金共済法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○労働問題に関する調査
(金沢郵政局管内における労働問題
に関する件)
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001・鈴木強
○委員長(鈴木強君) ただいまより開会いたします。
中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/1
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002・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 大臣がおられませんので、また基本的な問題は大臣が参られたときに質問したいと思いますが、今度の改正に先立って、中小企業退職金共済審議会から十一月に大臣あてに答申が出されております。この答申がどういうふうに今度の改正の中に織り込まれておるのか、答申の中でこの改正の中に入っていない部分があるのかどうか、そういう点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/2
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003・三治重信
○政府委員(三治重信君) 中小企業退職金共済審議会の答申を昨年の十一月にいただきまして、その中で、今度の改正法案に盛り込まれているのといないのについて概略御説明申し上げます。
答申の第一の中小企業者の範囲については、これは答申どおり原案に入ってございます。
それから、第二の、掛金月額については、これも答申どおり入ってございます。
第三の、給付に対する国の補助については、これが予算折衝の過程におきましてまとまりませんで、これが給付に対する国の補助については原案に入ってございません。
それから、第四の、給付の改善につきましても、これが予定利回りがどの程度上がるかというような問題で、計数上の問題で意見が合いませんので、これが入っておりません。
それから、第五の、還元融資、これは原案に入ってございます。
それから、第六の、建設業等におきまして期間を定めて雇用される者に関する特例については、これは別紙の要綱案と若干構成は異なっておりますが、その基本目的は、この要綱によって、大体原案に入っておるというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/3
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004・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そこで、今度の改正案で、中小企業の範囲というものを、いままでの二百人から三百人というふうに引き上げたのでございますが、本来、この退職金というような問題は、労働組合法にもありますとおり、労働条件の一つとして、いわゆる賃金の問題でございますから、当然労使が対等の立場に立ってきめる、これが原則ではなかろうかというふうに思うのです。したがって、私が考えますには、こういう制度は、そういう労働組合もつくれない、あるいはつくろうと思ってもなかなかそういう結成まで至らないというような、ほんとうに零細企業を対象とした制度でなければならないのじゃないか。少なくとも五十人以上の労働者を使っておるような職場におきましては、これは労働省の行政として、労働組合を結成させるという方向に指導の中心を置いて、こういう制度をいまやっておるように、どんどん奨励していくというように、そっちのほうに主眼を置くというような布石であってはならないと私は思うのですが、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/4
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005・三治重信
○政府委員(三治重信君) この中小企業退職金法をつくる当初の議論、また、労働省におきましてそういうことを企画した初めの本旨は、いま先生のおっしゃるような本旨で進んできていると思います。したがって、われわれのほうも、この運用面につきまして、中小、零細企業等、労働組合の未組織の中小企業について、できる限り退職金の積み立てをやるような方向で行政措置を取りたいと思っております。ただ、しかし、現行法におきましても、この法律のために、この法律に沿っての退職金積み立て制度を労使対等の立場において団体交渉できめることを妨げるものではない。現実に中小企業退職金共済制度に入っておられるところで、組合があって、団体協約を結んで退職金協定をして、その退職金を中小企業退職金事業団の方へ預けるという協定を結んでいるところも相当ございます。したがって、行政目的と申しますか、政策目的としてはそれが本旨でございますが、この制度そのもののたてまえとして、労使の団体協約で結んだもの、または、それを妨げるものではない。労働協約で退職金協定を結んで、その結果、事業団に入っている部分もたくさんあるし、また、そういうことも将来決して、何と申しますか、労働協約で結んだ場合にはこの退職金共済事業団のほうへ入らぬでもいいということでもないし、むしろそちらのほうへ入っていただいたほうがわれわれは望ましいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/5
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006・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 提出いただいた資料で、それぞれの従業員数別に企業数と従業員数、あるいは退職金制度の有無の表があるわけでございますが、この中で、特にいま局長の言われた労働協約でもってこの中小企業退職金共済制度を活用というか、利用しておる数は大体どういう割合になっておりますか、おわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/6
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007・三治重信
○政府委員(三治重信君) 退職金事業団のほうが非常に事務を機械化しておりますので、そういうふうな統計資料をとっておりません。数入っている中で、どの程度の割合が団体協約を結んだ結果入っているのか。また、入ったあとでも、掛け命の増額について団体協約をどの程度結んでいるかという具体的な数字については、調べてみましたのですけれども、全体の数はわかりません。ただ、そういうことがないかどうかということについて、東京都庁に二、三入っているところの事業場を調べていただいたんですが、そういう協約を結んだ上で入っている、また、事業主が加入したあと、掛け金の増額とかいうような問題について労働協約を結んだ事例もあるということで、事例の二、三は都からとっておりますけれども、全体の数がどれだけの割合になっているかということは、残念ながら、資料としてはちょっとできかねるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/7
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008・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そうしますと、この資料の一枚目の「企業規模別退職金制度の普及状況」という、これは三十二年の十二月ということで、非常に古いということで、先刻の委員会でも、もっと新しいものがないかということで要求はしてあると思うんですが、かりにこれをとってもいいですが、普及率がそれぞれ人員別にここに出ております。これは労働組合が結成をされておって、そしていわゆる労使の協約によってこの退職金制度というものがあるのか、その辺の内容についておわかりでございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/8
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009・三治重信
○政府委員(三治重信君) これは三十二年のときの調査で、企業内で労働組合を組織しているものといないものとの割合は、規模別計で、企業内で労働組合を組織しているのは三九・九%、それから、企業内で組合を有していないものが六%、こういうふうになっております。規模別で申し上げますと、一人から三人で〇・四%と一・一%、それから、四人から九人で九%と三・六%、それから、十人から十九人で二二・三%と七・六%、それから、二十人から二十九人で三〇・八%と一四・九%、三十人から四十九人で、三七・五%と一九・五%、五十人から九十九人で四六・八%と二九・三%、百人から百九十九人で五七・三%と三九・四%、二百人から二百九十九人で六三・九%と五〇・五%、それから、三百人から四百九十九人で六八・五%と六〇・九%、五百人から九百九十九人で七二・九%と六四%、それから千人以上で七四%と六四・七%、前に読みましたものが組合を組織しているもの、あとで読みましたものが企業内で組合を組織していないものであります。これが退職金積み立て制度を有する企業についての組合のあるなしの割合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/9
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010・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 組合のあるところのパーセントの中では、この制度を使っているものと、労使対等の労働協約によって退職金をきめているところと、こういうふうに分けられるのですが、ないところでこの退職金のあるところというのは、それは全部この制度を使っている、利用している、加盟している、こういうふうなことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/10
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011・三治重信
○政府委員(三治重信君) それは違います。これは中小企業庁での中小企業の基本調査でございまして、退職金事業団に入っている入っていないでなくて、退職金を持っている企業で、組合を組織しているもので退職金制度を持っている企業の割合、それから、組合を持っていない企業で退職金制度を持っている企業の割合、こういうふうに御理解いただきたい。事業団に入っている入ってないは、ここでは載っていないわけであります。先ほど申し上げましたように、このうちのある部分が、両方とも退職金事業団にある程度の割合入っている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/11
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012・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そこで、私どもとしては、ぜひ明らかにしていただきたいと思ったことは、こういういま申されたものを見ましても、あるいはこの資料を見ましても、二百人から二百九十九人、あるいは百人から百九十九人となると、大体この企業の半分近くが退職金制度を持っておるわけですね。しかも、これは昭和三十二年ですから、おそらく現在の段階においてはもっと率が高くなっているのではないかというように思うのです。したがって、この内容が、いわゆる労使双方の労働協約によってこれがあるのか、それとも、中小企業退職金制度というものを労働協約できめてやれるというふうに先ほど言われましたけれども、自主的にきめるのでなくて、こういうものをいわゆる使っているのか、その辺のことがわかれば非常にいいと思うんですが、それがわからないということでございますから、それはまたできればあとで調べていただきたいと思います。
そこで、この表を見ましても、また、いま言われましたパーセントを見ましても、大体推察されることは、結局労働組合が結成できるような企業、大体五十人以上の企業においては退職金制度の率も非常に多いわけですから、これはおそらくそういう労使の自主的な立場できめておる。三十人以下ということになりますると、これはなかなか組合もできない、したがって、そういう制度が確立をされない、こういうふうに考えられるわけです。ですから、こういう制度を、ほんとうにせっかくの法律でございますから、これを有効に労働者の福利のために使っていくというためには、私は、中小企業基本法が三百人にしたからこの法律も三百人にするのだというような、そういう何も形式ばった改正ではなくて、もっと内容的に、特に五人未満の企業の労働者に、もっと雇用の中で不安のないそういう施策を考えていくのがほんとうの改正ではないかというふうに思うのです。また、それが先ほど申し上げました労働行政の原則から言っても、あるいは賃金というものが労使の対等の立場できめていくというような、そういう労働の基本的なあり方から言っても趣旨から言っても、当然のことだろうというふうに思いますので、そういう点について、私は、ことさら三百人に引き上げのでなくて、もっと小人数の企業の労働者のための給付の改善なり、あるいはその他の改正を手がけていくのが本来ではないか。しかも、答申の中で、肝心の給付の面が答申どおり予算上削られて盛られておらないということも言われておるわけで、私は、この点非常に遺憾ではないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/12
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013・三治重信
○政府委員(三治重信君) この給付の改善の問題につきましては、非常に各加入者からの要望で、私たちももっともだと思って、この答申を実現したいと思ったわけでございますが、二年ほど前にやりましたときの給付の改善につきましてのときには、まだ予想と申しますか、予定利回りにつきまして、そう関心がなかったためにああいう改正をして二厘五毛ほど予定利回りを上げまして、現在一応予定しておりますのが六分二厘五毛という、長期資金としては、政府の管理下にあるものとしては飛び抜けて高い予想利回りをつけているわけでございます。したがって、それ以上予想利回りを上げるということは、ほかの制度との関連で非常に困る、趣旨はいいけれども、予想利回りをさらにこれによって上げるということは困る、こういうことで話がつかなかった。したがって、ちょうど今年の三十九年度には五年になりまして、法律に基づいて、その収支、予想利回りが現実の運用上どうなっているか、一応仮定で現在運用しているわけでございますが、そういうことからいって、その予想利回りが六分二厘五毛というもの以上上げなくてこういう改善ができるというふうになれば、また、そういう資料ができればこの給付改善ができるわけでございます。したがって、こういうふうな長期資金に対する給付の改善につきましては、今後はやはりはっきりした計算の基礎、予想数字というものとの予定と現実との数字を見ながら改善をしていくというふうにしたいと思っております。この点は本年五年目の検討をいたしまして、それによってこの給付の改善を、これをこういうものが入れるような数字が出るか出ないかということによって再検討してみたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/13
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014・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 基本的な考え方が私はやはりちょっと納得できない面があるわけです。結局先ほど局長の認められておりましたように、この法律の目的が、零細企業と申しますか、中小企業の労働者の福利の向上、そうして雇用の安定と、こういうことにあるようでございますが、私は、もちろんこの退職金制度を確立をするということは、その一つの手段と申しますか、一つの大きな力になると思いますけれども、しかし、それよりも、さらに現在の零細企業労働者の賃金の引き上げ、あるいは失業保険なり厚生年金の適用、こういう面をもっと積極的に推進をしていかない限り、今度の改正を見ても、三十年ぐらいですか、三十年働いても百万程度の退職金ということのような内容では、本来の法律の趣旨というものが生かされない。やはりもっと基本的に先ほど言った失業保険なり厚生年金なり、そういうものを五人未満の事業所の労働者にも適用していく、それをまず先決問題として解決をして、その上に立ってこういう制度を付加していくというならば私は理解できるのですけれども、そういう面についていまだに手をつけておらない。まあ労働大臣は近いうちに失業保険なりについては五人未満にも適用できるように考えていきたいと、こういうことを言っておりますけれども、しかし、そういう面についての積極性が私はいまのところあまりないのじゃないか。だから、そういう基本的な問題をまず解決をして、その上に立ってこういう問題の改善をはかっていくというならば私ども理解できるわけですが、そういう点ができておらないという点について非常に不満に思います。この点は大臣に聞けば一番いいのですけれども、また大臣が来たらお伺いしますけれども、一応お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/14
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015・藏内修治
○政府委員(藏内修治君) 柳岡委員の御指摘のように、まさに中小企業におきます労働対策、この面でまだまだ充実をしていかなければならぬ面が多々あることは御指摘のとおりでございます。最近の労働行政の部面におきましても、中小企業対策を特別に大きな柱として重視して対策を講じておりますことは御承知のとおりでございまして、ただいま柳岡委員がおっしゃいましたとおり、中小企業における五人未満の零細企業における失業保険も、逐次改正の方向にただいま向けておる段階でございます。そういう上で、とりあえず最低の保障だけは何とか中小企業退職金共済法によって確保してまいりたいというのがこの法律の趣旨でございまして、まず政府の意のあるところはひとつおくみ取りを願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/15
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016・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 またあとの参考のために聞いておきたいのですけれども、現在五人未満の事業所で失業保険に入っておる企業と被保険者数、それが全体の事業所の従業員の何%に当たっておるのか、そのことがまず一つと、それから労災保険あるいは健康保険、厚生年金、そういう面も、もしおわかりならお教えいただきたいと思います。わからなければ、あとで資料としていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/16
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017・三治重信
○政府委員(三治重信君) 失業保険について、五人未満の場合には三十八年一月で九万九千事業所、十九万人が加入しております。それから労災保険につきましては、事業所総数が百三万一千所、これは現場が多いわけですからこういうふうに多くなっておりまして、加入事業所数が十七万二千、労働者数が四十六万二千というふうに、これは三十七年の七月の調査でございます、労災保険の。そういう社会保険の厚生省関係の割合につきましては、いまちょっと手元に持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/17
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018・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 失業保険の三十八年一月現在の九万八千八百八十八、被保険者の十八万九千、これは大体全体の何%に当たるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/18
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019・三治重信
○政府委員(三治重信君) 失業保険のほうは、三十五年の事業所センサスで、労働者数約二百万人というふうなのが出ておりますが、これとの対比におきましては約一〇%、それから労災保険では、同じく三十五年の事業所センサスと、さらにこれは労働力調査の農林、漁業、水産の分も加えた数字に対して、加入率が一八・三%、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/19
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020・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この一〇%の失保の適用事業所、労働省ですね、それとこの退職金制度の有無の一・一%、これは三十二年になっておりますが、あるいは中小企業退職金共済制度の普及状況では二・四%、こう出ておるわけです。こういう失業保険も適用され、そして、かつ、こういう退職金もあるというような事業所については調査しておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/20
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021・三治重信
○政府委員(三治重信君) その五人未満で社会保険に入っている事業所と事業主と、この退職金共済に入っている、また、退職金制度を持っている事業所との関連については調査しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/21
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022・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 私は、大体こういう零細企業、とにかく五人未満の事業所で退職金をひとつ労働者のためにつくってやろうとか、あるいは失業保険へ入ろう、こういう考えを持っている事業主はおそらく両方に入っているのじゃないかと推察するのですけれども、しかし、その数が片方は一〇%であり、片方はわずか二・四%という形で、非常に違っておりますから、全部が全部そうなっていないというふうにも思います。しかしながら、そういう意味で、先ほど申し上げましたように、基本的なまず問題が取り残されておるし、なおかつ五人未満のこの退職金の確立というものが百人以上、五十人以上の企業と比べれば非常におくれておるということから、もっと積極的な指導行政というものが必要ではないか、特に零細企業に対してそういう面をひとつお願いしておきたい。
それから、国庫補助の問題でございますけれども、国庫補助は六十一条で、一応退職金支給に要する費用、あるいは事業団の事務に要する費用と、こういうふうになっております。しかし、今度の改正の内容では、答申案にあるような内容では改善ができなかった、こういうことでございますが、この事業団の現状ですね、事業団の予算というものはどういうふうになっておりますか。この二千九年度の予算を見ますと三千万ですかになっているわけですが、この事業団に対して政府がどのくらい出資をしており、そうして、その事業団の運営費というものはどういう収入でまかなわれておるのか、その辺をお聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/22
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023・三治重信
○政府委員(三治重信君) 三十九年度の予算で事務費補助、これは全額でございます。二億八千九百八十八万九千円、それから先ほど先生のおっしゃった法令上の給付の補助金、これが二千十一万一千円というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/23
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024・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この事業団にどのくらいの職員がおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/24
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025・三治重信
○政府委員(三治重信君) 三十九年度の予算定員は全部で二百五人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/25
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026・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 三十九年度の予算を見ますと、いま局長の言われた数字とちょっと違うのじゃないですか。これは予算書のどこにありますか。二十一ページじゃないんですか。「中小企業退職金共済制度の改善と加入促進」というこの項目が事業団の経費じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/26
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027・三治重信
○政府委員(三治重信君) その上に、何と申しますか、いまのは一般の分について申し上げたもので、このほかに建設業退職金共済の補助金三千万円があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/27
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028・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それで、この二百人の事業団職員の給与とか、あるいはそういう運営費ですね、それはどういう収入でまかなうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/28
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029・三治重信
○政府委員(三治重信君) 全額国の補助で、一般会計からの補助金でございます。したがって、いまの事業団の運営は、人件費、通信費その他の事務経費は一切この二億八千九百何万円のやつで運営しておって、それ以外の資金を使うことはできないようになっております。したがって、掛け金は余裕金として事業団が別個に保有して、それはいま商工債券をほとんど買って、その利子もまた積み立てている。したがって、掛け金に対する支出は、先ほど申し上げました退職金の給付だけになっております。給付する場合に、三年以上のものについて補助金がついておりますので、それにさらに補助金をつけて給付する、こういう仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/29
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030・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そうしますと、積み立て金なり、いま言った掛け金の運用の利回りから出てくる利益、そういうものについては、一切事務費とか運営費とかに使っておらない、そのほうは全部一般会計だと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/30
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031・三治重信
○政府委員(三治重信君) 仰せのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/31
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032・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それでは、次に掛け金の問題ですが、三十八年の十二月の「中小企業退職金共済事業月報」を見てみますと、十二月現在の掛け金月額と被共済者数、それから百分比というのが出ておりまして、二百円というのが二八・六%で一番多いわけですね。人数としても五千二百五十四人ですか、こういうふうになっておるのですが、非常に掛け金が安いわけです。一体この掛け金は、法律では事業主が決定するようになっておるわけですね。したがって、本来ならば労働協約によってそういう掛け金まできめて、そうしてこの法律を適用するなら適用するということが一番いいと思うのですが、この二百円のランクが一番多いということは、これはほとんど事業主が一方的にきめておるのではないかというふうにうかがえるのですが、こういう内容についてわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/32
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033・三治重信
○政府委員(三治重信君) いま先生のおっしゃった数字は、この十二月に新規加入した事業についての統計でございます。その下に「掛金月額変更状況」というのがございまして、これはいつでも掛け金を増額することができるようになっております。下にありますように、毎月この掛け金を増額するようなこともできるようになっております。大体二百円が最低でございますので、まず、まあ最初入る場合には最低でという気持ちもあるからこういうふうになっておると思いますが、しかし、まあここでごらんになりますように、千円のところも二八%あるような状況でございますので、必ずしも最低がほとんど三分の一弱ということでございますので、この点はまあ事業主が一方的に金額をきめて現実に入っているものが大多数だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/33
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034・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 私は、まあ初めてこの法案についてこの審議をするわけですが、何かこの法案が、何となく近化的労使関係の立場からいくと非常におかしく思われますし、また、法律を有効にその趣旨に従ってほんとうに効果あらしめるというような積極的な姿勢もあまり見られないという点が、再三言うようですけれども、非常に遺憾に思うのです。いまこの掛け金の問題等を見ましても、私は、少なくとも、たといその企業に労働組合がなくても、事業主が労働者と話し合って退職金制度をひとつつくっていこう、そのためにはこういう法律もあるから、とりあえずこの法律でやっていこう、その場合に、一体掛け金はどのくらいにしていったらいいだろうか、こういうやはり話し合いを事業主と労働者の間でされて、そうしてやっていけばいいと思うのですけれども、しかし、実際は労災保険に見られるように、実際に平均賃金を出す場合に、三カ月間の平均賃金と、それから実際に労災保険の届け出の際に出す平均賃金は非常な差があるというようなことも、特におくれた労使関係にある職場に多いのです。漁業関係とか、そういうところには多いわけですが、したがって、五人未満なり、あるいは三十人未満なりの企業所でも、おそらくそういう非常に前近代的な労使の間で事業主が一方的にやっておる。しかも、それをやることによって税金の面でも非常に助かる、こういう一面が多分に働いておるのではないかというような気がしてならないのですね。したがって、そういう面に対する労働省のやっぱり指導というものがもっとやられなければいけないのじゃないかというふうに思うのです。そういう点、労働省は、実際に現場に対すると申しますか、一つ一つの企業に対する指導をどのようにやってきておられるのか、単に事業団に対する指導のみで終わっておるのか、その辺をお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/34
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035・三治重信
○政府委員(三治重信君) 退職金制度の普及については、こういう制度を政府がとっている限りにおいて、私たちもできる限り普及したいというふうには思っておりますが、労災や失業保険その他の社会保険のごとく、強制制度を現在まだこういうふうにとるわけにはいかないということで、任意加入になっております。したがって、その点、社会保険の加入事業所のように一律にいかないのは、いまの態勢からいけばやむを得ないというふうに考えております。
それから、この加入の奨励制度、ことに零細企業に対する奨励制度、奨励指導という部面につきましては、第一線は各都道府県の労政課が担当しておりまして、労政課または労政事務所で担当して加入についての普及の宣伝をやる、これには国から委託費として若干の事務費を流してそれの援助をさしておるというのが実情でございます。さらに、最近いわゆる中小企業の労働力不足という部面から、労働省としては、職安機構の部面におきましても、やはり中小企業の労務確保のためには、やはり労働条件の明示が必要である、こういうことから、求人者に対しましてできる限り、ただ若い人を、女の子が何人、男の子が何人ということではなくして、具体的にどういう仕事で、どういう労働時間で、どういう賃金で、また、あるいは社会保険に入っているか入っていないかというふうな、いわゆる基本的なものに、さらに副次的な労働条件をできる限り明示して、しかし、これも単に中小企業の個々の求人者にそういうことをいってもなかなかできませんので、できる限り集団的に労働条件を、組合なり地域の事業主が集まって、そういう労働条件を相談をして、均一化して求人を出してもらうようにというふうな指導をしておるわけでございます。したがって、そういうその求人の場面から、しかも、いわゆる求人募集について、労働条件の明示ということから、逐次社会保険、あるいはこういう退職金制度というものも中小企業主に必要な制度である、また、そういうふうにしないと人が集まらぬということから、認識が逐次改まってきつつあります。また、将来もこの労務不足が続く限りにおいて、そういうふうな関係にいきますことと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/35
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036・山下春江
○山下春江君 柳岡さんの御質問に関連して。この制度が生まれてからたぶん十年以上たったと思いますが、いま柳岡委員は、ちょっと前近代的な感じがあって、どうも合点のいかないところがあるというような御質問があったようでございますが、実は、いま労働省の労政局長の御説明のようなことかもしれませんが、実は、本案を私は言い出した一人なんです。そうして、それは十数年前、大企業で非常な優秀な青年たちがふるい取られ、あるいは優秀であっても、学歴等の問題で大企業には受験をすることさえできない時代がございました。それで、中小企業といいたいが、小零細企業に吸収された多くの青年たちは、非常に自分の職場というものと、長い将来の人生への希望が持てないために、転々としてぐれん隊なぞへ落ち込むというようなケースが、私どもいなかから出てくる青年にたくさん見受けられたので、それを救済するために、小零細企業にもそれぞれの職種に特色があり、非常な高度の技術がむしろ温存されている場所もあるので、そういうところに定着してもらいたいということがねらいでこういうことを言い出した私はその一人であります。一人というよりは、むしろ一番先に言い出してみたのですが、それがたまたま実りましてこういう法律になりました。おそらく私は、柳岡さんが社会党の立場でいろいろ労働問題を近代的に検討しておられるときに、このできたころを御承知ない柳岡さんは、何かこうぴんとこない、はっきりしないものをお感じであろうが、素朴な要素がこの中に生まれるときにあったわけであります。私はこれは不勉強で、今度どういうふうに改正されるか、実はまだ勉強していないわけでありますけれども、とにかくそういうことがあったのでありますから、どのように発展してまいりましても、私はあなたの言われるようなちょっとこう割り切れないというようなものが、社会党的な労働条件のいろいろ近代的な御検討の上から出てくると思いますので、そういう点では、労働省としても、今日の労働条件の上におきましては、やはり根本的な御一考を賜わって、それらの生まれたときは、私は、素朴なそういう零細企業に吸収される青年のためにたいへんよき法律であったと思いますけれども、今日においてはこの労働条件がたいへん変わってまいりましたので、御検討をいただきたいことを御要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/36
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037・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いま先生から貴重な意見をお伺いしたわけですが、私も決してこの法律がいけないということを言っているわけじゃないのです。この法律の目的が、いわゆる零細企業の従業員の福利の向上、あるいは雇用の安定という面から必要であろう、必要ではあるけれども、その運営のしかた、あるいは改善のしかたに、やはりもっと近代的な労使関係に沿った指導行政というものがなされなければいけないのではなかろうかという、こういう点を言いたいと思っておるわけでありますから、こういう点をひとつ御了解を願いたいと思います。
次に、融資の問題ですが、結局今回の改正の面でも、共同宿泊施設ですか、あるいは福祉施設等に貸し付けることができるようにする、こういうふうに改正になっておりますけれども、この額は十億円、しかも、それは積み立て金の大体一割だと、こういうふうになっておりますね。しかし、その融資にあたって、やはり安全性というものが考えられなければならないというふうに思うのですけれども、そういう安全性についてどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/37
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038・三治重信
○政府委員(三治重信君) いま御質問の安全性につきましては、この還元融資の制度を退職金事業団にやらせるかどうかという問題で、審議会でもその点は非常に議論になりました。これができました上は、私は、現在、政府の事業団、金融金庫等の融資のやり方の例によりましてやりたいと思っております。基本的な点を申し上げれば、第一線の窓口は、やはりこういう中小企業加入者は銀行を通じて現在借金をしておるわけでありますから、そういう第一線の窓口の銀行、金庫等の、中小企業者の実態を知っている人の判断を得て貸し付けることをしたい。それから、最初は事務がなかなかなれませんから、できる限り協同組合、あるいは商工会等、団体貸しをしていきたいということでございます。さらに中央における金融機関の統轄として、商工中金を実質的な主体としてその融資の業務を援助してもらう、こういう体制で進みたいと思います。したがって、政府の財投のように、この制度は一定の目的の政策目的を持って、予算どおりに、また、一つの政策目的に基づいてその実現をはかるというふうなことには考えておらぬわけであります。あくまでこれと関連して中小企業者が長期資金を積み立てるわけですから、その一部を団体的に還元融資して、そして福利施設に使えるものなら使ってもらいたい、また、そういうことによって資金が二重に生きる、片方は積み立て金、退職金といった資金ができる、片方はそれを還元融資を受けることによって具体的に福利厚生施設ができていく、こういうふうなことが理想ではないか、また、そういうことによって中小企業者のほうも資金的な、それがただ掛け金の納付だけということでなくして、自分たちの労働福祉対策にもその資金の一部が使えるというふうに認識してもらえばさらに加入者がふえる、一石二鳥の効果があるんじゃないかということで還元融資の制度を強く希望したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/38
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039・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いま大企業の労働者とこの零細企業の労働者の間では、非常に福利施設なり、そういう厚生面の関係で格差があるということがよくいわれておりますね。したがって、現在の経済政策の中で、非常に零細企業なり中小企業に就職をする人が足りないというような場合に、労働省としても、この数年間——数年間というよりも最近ですが、特にこの中小企業、零細企業の対策というものを労働行政の一つの重要な柱として打ち立てておるわけですね。ですから、私は、そういう人たちの福利厚生という面は、こういう積み立て金の中から使って施策をしていくということではなくして、そういうものは、国がいわゆる国の予算の中でそういう中小企業センターなり、あるいは労働福祉センターなり、各地域にどんどんつくっていって、そうしてこういう方々の福利厚生面を向上していくというところに基本がなければならぬと思うのです。そして、こういう積み立て金は、先ほど来言っておりますように、給付の改善が予算の関係でなかなかうまくいかないということをいわれているわけですから、できるだけ給付の引き上げのほうに持っていくということが妥当ではないか、こういうふうに思うのですが、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/39
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040・三治重信
○政府委員(三治重信君) この還元融資は、ただで貸すわけじゃないので、大体最小限度いわゆる給付に要するものとして予定している予定利回りは積み立て金のほうへ還元できるようなことを考えていくわけです。したがって、先ほど申し上げましたように、財投のように特別低利で一定の政策目標をもって投資をしていくというふうではなくて、あくまでこれはいわゆる加入者相互に必要な資金を受益するというふうな考え方でございます。したがって、その点は同じように還元融資ということばを使っておりますが、厚生年金保険や失業保険の積み立て金の還元融資のあれは強制的に集まってくるわけです。しかも、それが財投へ全部入って、財投から還元、こういうふうになっております。これはあくまで政府の財政には入らないで、事業団独自で全体の運用計画の一部としてやっていく。したがって、片方は商工債券を買う、片方では融資をする、設立の政策目標の特別融資というものは、低利でただみたいに貸すという社会政策的な目的を持った額ではないというふうに御理解を願い、あくまでこれは利回り計算と申しますか、全体の運用計画の中で、一部一石二鳥的に還元融資をするというのがこの目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/40
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041・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 その利回りで積み立て金のほうには支障はない、しかも、給付に差しつかえることはないということなんですが、その点はわかりますけれども、できるだけそういう福祉施設というものは、国の施策として施設をして、そうして退職金の積み立て金というのを事業主が積み立てますけれども、しかし、それはいずれ労働者に給付されるものでありますから、当然考えようによっては労働者の金だと、こう言っても私は差しつかえないと思います。ですから、単に一つのワクをはめて、それでなければ使えない、貸し付けすることはできないということでなしに、やはり労働者なり労働組合の意見等も聞いて、そうして労働組合が参画をして、そうして施設をするような、そういう福祉施設なり、あるいは共同宿泊施設というようなものに貸し付けることができるようにしていくということも必要ではないかというふうに思うのですが、そういう点の労働者の意見というものを聞くような、そういう何といいますか、機会といいますか、組織と申しますか、そういうものは別に考えておらないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/41
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042・三治重信
○政府委員(三治重信君) そういう運用について、そういうふうに労働者側の代表についての発言の機会を設ける場が制度的に設けられるかどうかという御質問だろうと思うわけでありますが、この還元融資につきましては、答申でも、ここには書いてございませんが、こういう融資の基準、原則というものについては、審議会にはかった上で実行するという約束もなっておりますので、基本的な、または運用基準というものは事業団でつくりまして、これをさらに私たちが検討して審議会できめる。この審議会の場におきましては、公益ということになって、学識経験者というふうになっておりますが、御承知のように、学識経験者といっても、われわれのほうでは大体労、使、公益というふうな三者的な構成のようにして現在審議会を構成しているわけでございます。ただ、この融資先につきまして、衆議院のほうにおきまして、将来こういう中小企業加入者の入っている事業主に雇われている従業員の組合というものが、自分たちで福利施設をつくりたいという場合にも融資の対象にしてほしいというような要望があったわけでありますが、これは大臣は、将来そういう方向で検討をしていきたいというふうに答えております。したがって、こういうふうな資金は、いずれにしても、労働者の実質的な福利に使われるように、福利以外には使われないように運用するということは確実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/42
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043・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 ひとつ衆議院のほうでもそういう要望があったとすれば、私もそういうことを考えておりましたので、早急にそういうところにもというよりも、そういうところに原則を置いてこの融資の法律化をひとつはかっていただきたいというふうに思います。
それから、余裕金の運用の問題でございますが、先ほどの中小企業退職金共済事業月報によりますと、三十八年の十二月現在で、有価証券が八五・八%、それから資金運用部の預託が六・六%、定期預金が五・六%、その他の預金が二%、こういうふうになっているわけでございますが、責任準備金と申しますか、そういう責任準備金というのは、資金運用部に預託している金が責任準備金、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/43
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044・三治重信
○政府委員(三治重信君) この表に出ておりますのは、運用状況で、全部の資金がどういうふうになっているかということでございまして、その責任準備金がこの中でどういうふうになっているかという御質問だと思いますが、現在、責任準備金がこの中でどれだけかという問題は、この表には出てこないのであります。責任準備金は、現在のところ、いわゆる何と申しますか、積み立て金にプラス予定運用利回りの六分二厘五毛は最低限下ってはいけないということでこの資金の中での計算をやっている、こういうことでございます。責任準備金の金額の明示はしておりません、現在までのところ、大体の計算では、三十七年度末で責任準備金としての計算は約六十二億というふうにしております。毎年この責任準備制度は、一定の計算方式によって計算はしておりますが、これは運用部面の資金準備金は十分積み込んでいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/44
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045・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 時間がありませんから、特定業種の問題につきましては次の機会に譲りたいと思います。きょうは以上の質問で終わりたいと思います。いずれにしても、先ほどから申し上げておりますように、今後の運営のしかたとして、あくまでも労働組合をつくりたくてもつくれない、あるいは退職金制度をつくりたくてもつくれないというような零細企業に重点を置いて、そういう企業の労働者の福利向上、雇用の安定というところに重点を置いた運営のしかたというものをもっと考えていただきたいということを申し上げて、特定業種につきましては、またいろいろ問題もあるようでございますから、次の機会にしていただきたいと思います。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/45
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046・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もなければ、本日のところ、本案に対する質疑はこの程度にとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/46
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047・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 労働問題に関する調査を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/47
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048・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は、郵政の金沢郵政局管内の問題について、不当労働行為だと私は思うんですが、この問題について少しお聞きをしたいと思うのであります。
第一にお聞きしたいことは、郵政局と特定郵便局との関係がどうなっているか、それから、特定郵便局長というのはどういう資格においでになるか、そういう点をまずお聞きしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/48
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049・増森孝
○政府委員(増森孝君) お答え申し上げます。特定局長と郵政局との関係でございますが、これはその前に、特定局というものがどういうものであるかということを御説明したほうがいいと思いますが、大体郵便局を形式的に分けますと、普通局と特定局になっております。そのほかに、分け方としましては、普通局も特定局もおしなべてでございますけれども、集配をしている局、つまり集配局と、それから無集配局に分かれております。そういうふうな分類のしかたでございますが、特定局と普通局はどう違うかと申しますと、特定局長を長とする郵便局というものが特定局でございまして、それから、普通局は普通局長を長とする郵便局、こういうことになっております。なお、実態的に申し上げますと、おおよそ市等にございます大きな郵便局、これらは普通局でございまして、地方の小さな郵便局、それがいわゆる特定局というふうに御理解願えればけっこうだと思います。
そこで、郵政局と特定局との関係でございますが、郵政局が、特定局だけではございませんが、郵便局を指導監督している、こういうふうに御理解願えればけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/49
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050・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあ特定局というのは、私たちの理解では、いまはどうなっているかよくわかりませんが、家屋を貸して、昔は一定の国税を納め、資産のある人を特定局長にし、委託業務のようなことをやっておられた。いまはそうでなしに、家屋の借り上げの問題は続いておるでしょうけれども、しかし、局長といえども、そこで働いておる人も全部郵政事務官といいますか、郵政職員だと私は思う。そうすると、そういう条件の中で、特定局長というものを、みんなが郵政事務官でありながら、特定な郵政業務の歴史や研さんもない、業務にもタッチしていない人をぽっと局長にしてしまうということがどうも私にはわからないわけです。これが一つです。それから、その特定郵便局長というのが、業務の実態そのものが全般の郵政局の監督下にあって、そこに働いておる人は全部郵政職員でありながら、何か昔の自分が委託業務をやっていたような感じで仕事をされているという、そういう感じがいたします。常勤でありながら、ほとんど他の業務についておられて、名前だけ——少しは業務を見られるでありましょうが、そういう人が相当多いということ、何かこれは社会的、政治的と申しましょうか、自分の局におる郵政の職員は、何か自分が任免権を持って、自分が雇っておって、自分が給料を払っておるようなかっこうで、昔の域から少しも脱していないという感じがするわけでございます。この実態がどうかということが第二点。で、私の考えでは、そういうことでありますから、何か自分が雇っておる職員という、一般的にいわゆる労使関係のような慣行を乗り越えて、最も模範的にならなければならない政府機関のこの業務が、全く労働立法のたてまえをはずして、同じ職員でありながら、労使関係のようなかっこうを持っておる、これがいろいろの問題を生み起こしておると、私はそう思うのです。だから、いま三つ申し上げましたが、その実態はどうかという局長の御意見を聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/50
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051・増森孝
○政府委員(増森孝君) まず、特定局長の任用でございますが、これは歴史的に申し上げますと、明治五年ごろに郵便局を急速に全国に設置しなければいけないというような事情にございまして、それから、また、諸外国等におきましてもそういう例がございまして、前島密という先生が、土地の有力者でございますか、そういう方に郵便局長になっていただいて、そうして急速に全国に郵便局を設置したという歴史的な事実がございます。で、その後、それでそういうような土地の特定局というのはどういうふうであったかと申しますと、三等郵便局と申しまして、三等郵便局は、いわゆる政府から請負の形で、そして業務を運営していたと、こういう事実がございます。で、その当時におきましては、いま先生もちょっと御指摘になられましたように、郵便局長がその職員を任用、いわゆる自分が請け負った金でもって職員を郵便局長みずからが雇っておったというような実態だったのでございます。で、その後いろいろとこの制度には問題がございました。で、終戦後に至りまして、いまの特定局、前の三等郵便局制度、つまり請負制度というものが非常に弊害があるということで、その後改正いたしまして特定局制度ということになったのでございますが、その特定局の制度をかいつまんで申し上げますと、いまでは、なるほどみんな職員は郵政職員でございます。で、ただ特定局長だけが自由任用、いわゆる選考任用になっておりまして、そうして一般の職員とはやや違うような形になっております。で、その理由といたしまするのは、いわゆる山の中とか、あるいはへんぴな所、そういったような所に郵便局を設置いたしまする場合に、やっぱりその土地に密着しました有力な方になっていただくのが一番いいと。それから、また、職員でありまして、そのつくります場合に転任をさせるということもなかなかむずかしいというようないろいろな理由、それから、先ほど申しました歴史的な理由というようなことで、いま特定局長は選考任用だということになっているわけであります。そうして、特定局長は、昔は局舎を提供いたしまして、提供義務というものがあったのでございますけれども、改正されました今日におきましては、必ずしも局舎を提供しなければいけないという義務はないのでございます。したがいまして、特定局長の任用と、それから局舎の提供義務というものは切り離されております。
で、特定局長の任用の基準はどうかと申しますと、いまのところ二十五歳以上でございまして、学識才幹があれば任用するというようなことになっておる。したがいまして、第二点の、業務に精通しないではないかというお話でございますが、なるほど、いままで部外者だった者を任用した場合には、多少半年なり一年なり、業務に精通するまでは業務に精通しないという形になりますけれども、そのほかのことでは、たとえばその土地の人とのつながり、あるいはまた貯金、保険等の奨励業務といったようなことから申しますと、必ずしもマイナスではない、プラスの面も相当にあるというようなことになるわけでございます。
それから、第三点でございますが、それだから労使関係がうまくいってないやに見えるではないかというお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、この特定局長は一万数千からございますので、なかなかわれわれいろいろと指導するのでございますけれども、あるいは労使関係等がうまくいかないところもあるかと思います。しかし、それらにつきましては、われわれ機会あるごとにいろいろと指導監督をいたしまして、労使関係の正常な運行ということに意を配っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/51
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052・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこの任用の問題が私たちにはよくわからぬわけです。社会的に有力者とおっしゃる、山間地において云々ということをおっしゃるわけです。だんだん聞いていると、局舎の提供もいまは必要ないのだという条件にあるのに、郵政業務の全くのしろうとを局長にぽっと置いて、そうして業務をおやりになるということがどうも私にはわからぬ。何か聞くところによると、経団連の親方ですか、諸井貫一さんも何か特定郵便局長をやっておると聞くのですが、それはどうですか、あとからお聞きしたいと思うのですが、そういうぐあいにして、土地の有力者というかっこうで局長がおいでになる。それで、何か郵政業務を広めるから云々ということがいまどき必要なのかどうか。都合のまん中や繁華街の所へこの特定郵便局が次から次にできていく。そうして局舎を提供する必要がないというなら、郵政業務で長年苦労してきた人が、その郵政業務をより効果あらしめるために、その人が専門になれば私はよりいいことだと思う。郵政業務の中で郵便局の宣伝をするようなことはいまなかろうと思う。国民のだれ一人として、郵便局の機能、郵便局の果たしている役割りというものを理解しない国民がそれじゃどこにあるのだろうか、私は、極端な言い方をすればそれくらいに思うわけでございます。まあそれはよろしゅうございますが、そこで、私がお尋ねしたいことは、その局長というのは任意採用であるけれども、直接の人事権や業務権その他は地方の郵政局長が持っているはずでございますね。それに特定局長が、自分が採用した徒弟的な要素のようなかっこうでその郵便局の職員を駆使している、こういうことはどうなんでございましょうか。人事関係、監督関係、それから業務関係の、具体的な絵にかいて見たら、郵政局長から局長通じて職員、業務との関係はどういうぐあいになっているのでございましょうか、私はその点がよくわからぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/52
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053・増森孝
○政府委員(増森孝君) 第一点の御質問でございますが、ただいま先生ちょっと誤解されているかもしれないと思うのでございますが、必ずしも特定局長は部外者とは限っておらないのでございます。現実にどういうふうにやるかと申しますと、特定局長を任用します場合に、それぞれそのあきが出ますと、何人かの候補者が出てまいります。その場合に、候補者の中には部内経験者もございますし、それから部外の人もおるわけでございます。そういう中から、何人かの中から地方の郵政監察官が選考、いわゆる比較検討いたしまして、そうしてその監察官の調書に基づきまして郵政局長が任用する、こういうことになっているわけでございます。
それから、第二点の、郵便局員を個人的な雇用人のように使っているやに思えるというお話でございますが、これは昨年来いろいろ、何と申しますか、そういうことを流布されたように思えるのでございますけれども、いまの私どもの承知している限りにおきましては、局員を局長の使用人のように考えて使っているというようなことはほとんどないと私ども信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/53
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054・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあうわさに、私は、これは正確に特定局を回ったわけじゃありませんけれども、ちょうど五月から六月回れば、局長さんいらっしゃいますかと言ったら、くわをかたげて局舎へ入ってくるというのが大体八割くらいあろうと、いなかではそういわれている。これは実際私は見たわけじゃありません。女中がわりに女子の職員を、家庭と一緒ですから使っている、これも依然として続いている、そういうことも聞いております。それから、また、一人一人の身分について、非常にその個人の私生活や考え方の問題にまで局長が触れて、そうしてもう全く昔の状態だというかっこうのところが非常にたくさんある。私がきょう問題にしようとしているのは、金沢郵政局の管内のたくさんの特定局——五百から特定局があります。その中で、局長もしくは局長の奥さんが、局の職員個々に、労働組合を脱退しなさい、聞かぬ者は夜の十二時、一時、二時まで奥さんと交互に直談判してやる。年をとった職員には、おまえのむすこも入れてやるが、おまえがこれを脱退しないとおまえのむすこは入れぬぞと言ってみたり、ちゃんと組合脱退届けを印刷して、ここに判さえ押せばいいのだということをして回っておられる。その根源をどんどんついていきますと、どうも特定局長の会議で方向をきめて、無集配局はいつからいつまでに脱退させる、それが一応終わったら次の段階に入る、こういうことが計画的に行なわれているということを私は聞いておるわけですが、先ほどから郵政省の仕組みの問題、特定局長と職員との関係、業務の問題を聞いてみますと、そんなことは全然出てこない。しかし、実態はいま私が申し上げたようなかっこうで動いている。これはどういうことなんだろうという疑問を私は持って人事局長に聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/54
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055・増森孝
○政府委員(増森孝君) 第一の、使用人的に使っているのではないかということでございますが、なるほど戦前、あるいは戦争直後ごろまではそういうこともあったやに思いますけれども、組合運動等も非常に盛んになりました今日、そういうことがあろうとは私ども考えられないのであります。
それから、また、第二の、脱退をしろと局長がそういうことを強制するということも、私どもとしてはどうしても信じられない、そういうことはあり得ないと私どもは考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/55
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056・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 それじゃ一つ二つ例を申し上げてみます。たとえば金沢管内の能登地区の特配連絡局長会議で、石川地区の一つとしては、無集配局を全員全逓から脱退させる、とりあえず二十名以下の集配局の切りくずしを行なう、その上で二十名以上の局にも手をつける、こういうことが二月の会議できめられて、一斉に局長がやっておられる。それから、二月六日の会議では、これは何というのですか、本支部打ち合わせ会ですか、無集配局は四月までに完全に射落とすとか、その他いろいろのことが書いてありますが、長くなりますから私はやめますが、今度は昨年の十二月ごろから一月ごろにかけては、ある特定局長の奥さんが、夜の一時、二時まで居直って捺印をさせているとか、または女の職員が三人おって、そうして一人は脱退した、それで、おまえは脱退しなければ首にする、こういうことを局長が家に行って言っているとか、これは実態をつかめばたいへんたくさんあるわけですが、そういうことが去年の十二月からことしの三月、四月まで非常にたくさん行なわれているわけでございますけれども、そういうことはあり得ないと人事局長さんはおっしゃるわけですが、その昨年の十二月から今日までそういうことが行なわれて、それで局長の地域会議できめて、そして成績を持ち寄ってまたやる。首を切るとか、あとの世話をしないとかという、個人の私生活にまで入っていってご主人と奥さんと交互にやっておられる。そういうことの実態があなたのほうにまだきていないというのは、人事局長がお知りにならないというのは私はふしぎに思っているくらいです。地方の新聞には、非常に微に入り細に入り、半年間にわたって出ているわけです。そういうことが組合を刺激して、そしてこれはどういうことなんだということでずっともめているわけです。私は、正常な姿の郵政業務をやるたてまえからいっても、こういうことは私はほうっておいてはいけないと思うのです。組合がかんにんできぬから、何とかやめて、こういう具体的なことは困るじゃないかということで、休戦しようじゃないかというような話が出てきたり、まるでどういうことなのか。私は、郵政とか国鉄とか、または電電にしたって、公社としても、政府関係の現業、要するに政府機関ですね、もっとも日本には、労働三法、憲法から基づいた公労法のこれらは対象団体でありますし、いろいろのこういう問題は労組法に関係して、不当労働行為をやってはいかぬということが明確にしてあるのに、こういうことが常日ごろ行なわれているということは、私は非常に残念なことだと思うのです。それがもう半年もたつのに本省の局長さんの耳に入っていないなどということは、私は非常に残念だと思うわけですが、どうですかね、全然そういうことは御存じないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/56
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057・増森孝
○政府委員(増森孝君) 私どもは、常日ごろ、組合に介入するとか、あるいは何といいますか、支配するとかということは厳に慎まなければいけないということで下部を指導しておる次第でございます。したがいまして、いま先生のおっしゃいましたようなことは、おそらくないことだと思っております。ただ、私ども聞いておりますのは、金沢管内では、いま全逓と、そのほかに全逓を批判いたしまして全特定という組合ができております。おそらくそういう組合間のことが誤って伝えられているのではないかと私ども想像しているのでありまして、局長会議がそういうことをやるということは、われわれ想像もできないことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/57
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058・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 いまあなたは、そういうことは想像もできないことだとおっしゃるわけですから、ぜひこれは調査してもらいたいと私は思うのです。この調査をして、事実あるのかないのかということをひとつ明らかにしてもらいたい。私がここに持っているだけでも相当なものです。私も二十八日に、あまり時間がなかったので、多くは参りませんでしたけれども、しかし、そこで集めた資料はまだたくさんございます。私は郵政局長に、そういうことはいいとお思いになるのかどうかと言うと、いや、私もいいとは思いません。思わないならなぜ直さないのかということを言ってまいりました、それじゃ至急に云々ということを言われて、一週間ぐらいの後に返事をもらいたいと言って私は帰ってまいりましたが、いまだに何の御返事もなければ、何の御報告もない。
そこで、私は、そういうことで一つ一つもとに返して白紙になって、そんな不安定な労使関係がない条件が現地にできれば、私はここで取り上げて、本省の局長さん、次官にまで来ていただいてこんな議論をしたくないわけです。ところが、そのままの状態で、半年から行なわれてきたものがそのまま目をふさいでやっておられるということについて、私は残念でありますから、きょうおいで願ってお聞きしようとしたけれども、あなたも御存じないと、こうおっしゃる。ですから、この材料は私は組合員みんな持っていると思うのです。だから組合で聞いて、私も提供してよろしゅうございますから、この一つ一つの問題について、ひとつ郵政当局として明らかにしていただきたい。いま特定局との関係をおっしゃいました。私も現地へ行ってまいりまして、特定局の組合と全郵の組合がある。職員の中で、全郵の組合を脱退して特定局の組合にいく、こういう議論がなされて、そしておいきになるなら、これは組合の団結権の自由ですから、私はそこまでは申し上げません。その議論はいたさない。しかし、どの一つ一つをとってみても、まず組合を脱退さす、まず脱退させて、行き過ぎたところは、脱退の判を押したと同時に、特定局の幹部を呼んで、そして引き渡す。そうでないところでも、脱退させる、脱退を強制をしていく、こういうかっこうなんです。だから、私は、組合と組合の問題をあまりここで取り上げようとは思いませんけれども、その具体的なことは全部特定局長がやっておられる。それも、その局長会議をどんどんと進めておられる。私はこういうかっこうというものが郵政行政の中で認められていいのかどうか、こういう不安を持つわけでございます。ですから、これはひとつぜひ来週までに、きょうは七日ですから、今度は十四日になりましょうが、それまでにぜひ詳しく調べていただいて、いまの実態と合うか合わないか、ひとつ明らかにしていただきたい。局長さん自身も、そういうことがあってはならぬとおっしゃっておるのですから、そのあってはならない方向を、あの金沢——石川県と富山県と福井県の三県にまたがっておる問題でありますから、この問題を明らかにして、労使関係が正常になるように、私もただいたずらにいまあなたと議論をしてみたって、これは何のプラスになる問題でもありませんから、正常な労使関係が行なわれて、そこで正常な郵政業務が進んでいく、これが私の念願なんでございますから、十四日にはぜひその資料を、一つ一つの問題について金沢郵政局との関係を問い合わせていただいて、組合にたくさんの材料がありますから、ぜひこれを十四日の日に出していただきたい、これは一つのお願いです。
もう一つは、私の聞いているところによると、郵政局は「労働対策とらの巻」というようなものがあって、何か逓信委員会で問題になったそうでありますが、労働組合や労働者から反動だというふうに言われるようにならなきゃ一人前の労務管理はできぬのだというようなとらの巻があったというようなことを聞いておるわけです。何かそのときに問題になって、そこの項だけは修正されたという話を聞いておるわけでありますが、そういうとらの巻というものがあって、そのとらの巻によって労働者、職員対策をおやりになって、それはどうも公表されていないようでありますから、そういうものがあったらひとつ見せていただきたい。そして、そういうものがあって、政府機関であるのに労働者をそういう扱いにするようなかっこうでは私はいけないと思うので、きょうお持ちだったら見せていただきたいが、お持ちでなければ、この次にぜひこの委員会へ出していただきたいとお願いをしたいわけであります。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/58
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059・増森孝
○政府委員(増森孝君) 第一点の、十四日までに金沢管内の調査を出せというお話でございますが、調査をすることは直ちに調査を開始いたします。ただし、十四日までに間に合うかどうかということは、ちょっとここで確言できませんので、でき次第ということでお願いできればけっこうだと思います。
それから、先ほど第二の問題で、とらの巻でございますが、これは「新しい管理者」というパンフレットでございます。これはいま先生に差し上げてけっこうだと思います。この趣旨といたしますのは、別に労働運動を弾圧するとか、あるいは、また、先ほどから問題になっております、組合から脱退しろというようなことを指示しているのではないのでございまして、何にいたしましても、郵政事業三十万の職員をかかえて、それから現場は一万六千からございますので、正しい労使関係というものがわれわれ望ましいわけでございます。したがいまして、その管理者はどうあるべきか、それから、また、組合運動というものをどう理解していかなければいけないのか、それから職員に対して、一般の部下に対してはどういうふうな心がまえでいなければいけないのかというようなことを、いわゆる数多い管理者をかかえているために、その指針とするところを書いたのでございまして、なるほど先ほど先生から御指摘がありました、反動と言われなければ云々というようなことは、これは最初に出ましたときに、衆議院のほうだと思いますが、問題になりましたので、非常に不穏当だ、穏当を欠くということで、そういうことばは全部削除いたしまして、いま改訂版になっている次第でございます。そういうパンフレットでございますので、私どもこの「新しい管理者」というのは、決して先生がおっしゃるように、組合弾圧の目的のためにつくったというのではないのでございまして、すぐ差し上げたいと思いますので、ごらんいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/59
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060・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 その第一の問題、十四日までに云々で、できたときと、こうおっしゃると、それはあなたいつまでたってもこれはまだできぬからということになってしまうと私は思うのです。国会は十七日までに終わるわけですから、十四日にぜひひとつ出してもらいたい。で、全部ですと、これは膨大なものですから、膨大なものを一ぺんに出せといってもそれは無理かもわかりません。しかし、いま私が少なくとも言いましたような点くらいは——私は、局長の名前も、こういう会議をやって、こういうことを含めて、Aの局長、Bの局長、Cの局長はどうやったということがみなあるわけですから、これをお調べになったら裏づけですぐ出てくるわけですから、全部のことを全部出せということは、それは無理だと思うが、国会はなくなるわけですから、十四日に解決しなければ休会中でもそれは問題の処理をしたいと思いますが、いずれにしても、これは正常な形にしたいというのが私どもの念願なんですから、局長さんもそんなことはあり得べきことじゃないとおっしゃっているんですから、そういう不安定な、また、不明朗な、不信感を起こすような職場関係を直すために、これはひとつ明らかにしていただきたいと私は思うわけです。十四日に最大努力をしていただく。
それから、第二の問題は、「新しい管理者」ということで、そんな組合弾圧云々ということにはなっていない、衆議院か参議院かで指摘されて不穏当な字句は修正したとおっしゃいますけれども、組合から反動呼ばわりされるようにならなければ一人前の管理者じゃないということばが指導要綱に出てくるという意識が問題なんです。字句上の問題ではない、私はそうだと思うのです。もっとフェア・プレイで労使関係をおやりになったらいいと思います。そういう字句だけ消しても、流れている思想というものがそういうものであっては、私はまあつくろってみたってこれはしようがないのじゃないかという不安を持つのです。事実は、読ましていただきました上でいたしますけれども、そういうことは、私は、労使関係で何でそういう事をかまえなければいかぬか、中央で団体交渉があり、郵政局ごとにその具体的な交渉もあるわけだと私は思うのです。必要な事項は何でも労使関係で話し合って業務を向上していくという、または正常な業務を運営していくということに私はあると思う。まあ争議なんかになった場合には、それはいろいろあるでしょうけれども、平生の業務というのは、年がら年じゅう争議があったりするわけではないですから、その百分の一か何か、ほんの小部分の問題は争議状態になる場合があるでしょう、しかし、平生の業務というのは、国民が郵政業務に期待をかけて、そしてこの郵政業務が行なわれているわけですから、国民の期待を裏切るような業務の沈滞なんかがあっては私は困ると思う。そういう意味でこう言う。これはまあ一ぺん読ましていただきますけれども、何か郵政の全逓の組合のほうから聞くと、一号、二号、三号、五号というぐあいにあって、なかなか労働者の手には入ってこないということがいわれているわけです。事実そういうマル秘の秘密指令みたいなものがあるのかどうか、これも一つ聞いておきたいと思うのです。あるなら、なぜそういうものが必要なのか、どういう必要性によってそういうものをお出しになったか、それをひとつここへ出して、あるならわれわれにも説明をしていただきたいと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/60
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061・増森孝
○政府委員(増森孝君) 第一点の、十四日までに出さなければいけないということは承知しました。これはもう最大限に努力いたしまして、お出しすることにいたします。
それから、第二の、いまの「新しい管理者」の問題、先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもといたしましても、労使関係というものは正しくなければならないという意図をもちまして、そういう「新しい管理者」というものを出しているわけでございます。で、私どもといたしましては、やはり常々私ども考えておるのでございますけれども、やはり組合と管理者というものは車の両輪のようなものであるという考えを持っております。したがいまして、管理者が強くてもいけない、それから組合が強過ぎてもいけない、こういうわけでございまして、やはり管理者というものは組合をよく理解しなければいけないだろう、よく理解した上に立って労使関係というものが初めて安定するんだという私ども基本的な考えを持っております。したがいまして、そういった考え方から「新しい管理者」というようなものを出しまして、先ほどからるる申し上げますように、三十万からの職員をかかえておりますので、したがいまして、管理者も非常に多いということで、そういったようなものでもって管理者の教育をしているわけであります。
それから、ただいまの秘密指令云々の話でございますが、これは闘争が起こりましたときに、やはり全逓その他の組合でも、いろいろなそのときそのときに指令が出ますので、その指令にどういうふうに対応していったならばよろしいかということで、具体的に指令を、何といいますか、通達のようなものは出しております。しかし、それはそのときそのときに出している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/61
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062・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私ちょっと気になるわけですが、あなたのいまのおことばじりをとらえるわけじゃないですが、当局が強過ぎてもいかぬ、組合が強過ぎてもいかぬということばが私はどうも気になる。強いとか弱いということではないと思うのです、私は。公労法にきめられてないものは労働三法、労組法とか、または基準法とか、そういう適用を受けているのが職員の皆さん方だと私は思うわけであります。ですから、その中で起きてくる労使の関係というのは、法律で規制されている問題でその問題の処理がされていくわけだと私は思う。あなたのおっしゃる意味はどういう意味かわかりませんけれども、その法律の拡大解釈云々というようなところに触れてくるのかもわかりませんけれども、私は、何かこう弱いとか強いとかという問題でなしに、憲法でもそうだし、団結権、それから、いま罷業権は取り上げられておりますけれども、もう原則的な問題は、賃金、労働条件は労使対等の立場できめるということが基準法でも明記しているこれは基本原則だと私は思うわけであります。この基本原則をきめるのには、交渉の範囲や、どうやこうやと私はあまりよく存じませんけれども、人がどうやの、これから先は言うたらいかぬのということで争いがどうもあるようだと私は聞きますけれども、私は、そういう点は今後は大いに双方が理解して、正常な形で持っていくべきだと思うのでありまして、それはもうそれが強いとか弱いとかいう表現になると、ちょっと気になるところがありますので、一言触れておきたいと思う。私は、その問題は労働者の権利、または使用者の業務をつかさどるための組織、仕組みという、その関係において出てくる問題ですから、個々のケースでないと具体的な議論ができないと私は思いますけれども、一般的に何かそういう印象を受けると、どうもいろいろのことが頭に入ってくるので、ちょっと気になるわけであります。
それから、秘密指令の問題について、組合が闘争指令を出すから、それに応じて出しているのだと、こういうことなら、それはあり得ることだと私は思います。いろいろのことはね。しかし、それが一般業務の一般労組対策の問題にまで触れて、次から次へと何か戦闘態勢をいやに刺激するようなかっこうでそういう問題が出ているとすれば、私は問題が残るのではないかと思う。そこらの事実はよくわかりませんが、全逓の指令と皆さん方お出しになったものと比較検討してみなければわかりませんけれども、組合は何といったってフェア・プレイで、指令も何もみなフェア・プレイですが、当局のやつはみんな秘密指令だと、それが公開されればいいとか悪いとか、私は議論にそう不信感的なものが生まれてこないと思うのですけれども、どうも当局のやつは秘密で、組合のほうはフェア・プレイで、みなどこにでも回っている、ここにやはり問題があるのじゃないですか。どうもそういう気がしますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/62
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063・増森孝
○政府委員(増森孝君) 私の御説明を申し上げたことばが若干足りなかったと思いますので、補足さしていただきたいと思います。
第一点の、強い弱いということでございますが、これはもう先生のいまおっしゃったとおりでございまして、私ども別に強くなれとか弱くなれとかということを言っておるのではないのでございまして、いままでのいわゆる戦争直後あたりでございますと、いろいろ法律その他を知らない、あるいはルールを知らないというために非常に混乱が起こったと思うのでございます。そういう無用の摩擦、無用の混乱が起こらないように、いわゆる法規等に強くなる、あるいはルール等に強くなると、むしろそういうような表現のほうが適当かと思います。先ほど言いました強い弱いということは、力関係ということではなくて、そういうつまり労働法規、あるいはルールといったようなものをお互いに十分知り尽くして、そしてその上にフェア・プレイでやるべきだと、こういうふうに御理解願えればけっこうだと思います。
それから、第二の問題でございますが、これは秘密指令というと非常に誤解が起こるのでございまして、別に秘密指令、ちょっと私もそういうことばを使ったかもしれませんが、これは連絡程度だと御理解願えればけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/63
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064・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は、これ以上きょうは議論いたしませんけれども、いまのたとえば金沢郵政局に起きて、あなたはどういうぐあいにそれをお聞きになったのか知りませんけれども、労使関係で問題が起きている。その原因は何かと、団体交渉は全逓とおやりになっているわけですから、または金沢郵政局の中でも団体交渉をおやりになっているわけですから、そこでなぜ問題が起きているか、おもな問題はみんな中央の全逓との間に行なわれているわけですから、それをいまの私が提起したような問題は何もなかったんだというようなぐあいに局長さんお考えになったところが、どうも私は疑問に思っているわけです。しかし、それはひとつ原因を提起いたしまして、十四日までに調査して持ってきていただけるということですから、これ以上申し上げませんけれども、何としても私は一方的ではなしに、双方が現地に一つ一つ行ってこれを解決しなければできない問題、最終的にはそう思っております。ですから、ぜひひとつ詳しいのを十四日には出していただきたい。御苦労でも十四日にはもう一度来ていただいてこの問題を明らかにしていただきたい、こう思いますので、お願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/64
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065・増森孝
○政府委員(増森孝君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/65
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066・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 増森さん、「新しい管理者」というのを、ひとつ委員の皆さんに参考にしたいのですから、二十部委員のほうへひとつ配っていただけませんか、よろしゅうございますか、それをちょっと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/66
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067・増森孝
○政府委員(増森孝君) かしこまりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/67
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068・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もなければ、本日のところ、本件に対する質疑はこの程度にとどめておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02419640507/68
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