1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年五月十二日(火曜日)
午後一時四十一分開会
——————————
出席者は左のとおり。
委員長 鈴木 強君
理 事
亀井 光君
高野 一夫君
柳岡 秋夫君
委 員
加藤 武徳君
紅露 みつ君
丸茂 重貞君
山下 春江君
山本 杉君
藤原 道子君
小平 芳平君
林 塩君
衆議院議員
社会労働委員長
代理理事 小沢 辰男君
国務大臣
厚 生 大 臣 小林 武治君
政府委員
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生省医務局長 尾崎 嘉篤君
厚生省児童局長 黒木 利克君
厚生省年金局長 山本 正淑君
社会保険庁年
金保険部長 實本 博次君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
——————————
本日の会議に付した案件
○国民年金法及び児童扶養手当法の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○社会保障制度に関する調査
(看護婦の養成計画に関する件)
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/0
-
001・鈴木強
○委員長(鈴木強君) これより開会いたします。
国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案中、衆議院の修正にかかる部分についての説明を衆議院社会労働委員長代理小沢辰男君より聴取いたします。衆議院議員沢辰男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/1
-
002・小沢辰男
○衆議院議員(小沢辰男君) 私は、ただいま議題となっております国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案の衆議院修正にかかる部分につきまして御説明を申し上げます。
その内容は今回、地方税法の改正に伴いまして従来、老齢者等の住民税の均等割りの非課税限度額が十八万円でありましたのを二十万円に引き上げられることになりましたので、福祉年金及び児童扶養手当の受給者本人の所得による支給制限の限度額も、これにならいまして、十八万円から二十万円に引き上げようとするものであります。
何とぞ本院におきましても、委員各位の御賛同をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/2
-
003・鈴木強
○委員長(鈴木強君) これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/3
-
004・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 国民年金は、日本の年金制度の中で最も対象者の多い、非常に中核的な立場にあるわけでございますが、この国民年金が非常に魅力がない。毎年の加入率を見てみましても非常に悪い、こういうようなことを聞かされておるわけです。昭和三十七年に社会保障制度審議会が、社会保障制度の問題で答申、勧告を行なっておることは御承知のとおりでございますが、わが国の年金制度に対する答申に基づいた今後の展望と申しますか、そういうものが私は何かまだ確立されておらない。今回、厚生年金法の改正案が本院にもあした提案されるらしいのでございますけれども、これを見ましても、あるいは国家公務員なり、公共企業体等共済組合法の改正案が近く出されるという内容を見ましても、何かばらばらな印象を受けるわけです。したがって、こういう問題について厚生大臣としてはどういうふうな見解を持ち、また、厚生省としてそういう答申なり勧告に基づいた基本的な年金制度に対する計画、特に各種年金制度の統合調整というような立場のものがあるのかどうか、そういう点をまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/4
-
005・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 国民年金が魅力がないと、こういうお話でありますが、いままでの経過にかんがみてそういうことが言えるのであります。その一番大きな原因は、年金の額が少ない、したがって老後の保障をするに足りないと、こういうことが一番大きな理由。また、もう一つの問題は、せっかくいま掛けておっても、スライドがなければ将来十分な給付が受けられないと、こういうふうなことがいわれておるのでございまして、一番の問題は、年金の給付額が少ない、こういうことであります。で、国家公務員共済組合その他におきましては、ある程度年金の給付額が相当に多くなっております。こういうものとの関係もありまして、国民年金の給付も私どもは改善をしなければならぬと、こういうふうに考えておりますが、しかし、それにつきましては、まずもって現在すでに拠出の給付の始まっておる厚生年金をある程度引き上げる、そうして、これにつれて国民年金の額も上げたい、こういう考え方からして、ことしこの国会に厚生年金の給付額を一万円にしたい、こういう問題が出ておるのでありまして、ILO条約の関係につきましても、とにかく老後保障の年金は報酬の百分の四十以上でなければならぬ、こういう規定もありますし、こういう趣旨からいたしまして、厚生年金の一万円年金を実現さしたい、こういうことでいまお願いをしております。で、これができますれば、当然影響を及ぼして、国民年金の引き上げということも実現をされる、この点につきまして、衆議院の社労でいろいろお話がありましたが、じゃ、いつ上げるのだ、こういうふうなお話があったわけでありますが、厚生年金引き上げにつきましては、政府部内でいろいろ検討を加えるにあたってこれは当然国民年金に影影を及ぼす、こういうことのために実現が非常に困難であったのでありますが、したがって、このたび法律を提案した以上は、影響がある、また、影響をさせる、こういう意味で厚生年金法の改正案が出ておると、こういうふうに御了解を願いたいのであります。なお、いまのようなスライドの問題等も、現在、年金法に多少の規定がありますが、具体性を欠いておる、こういう問題もありまして、これは私どもの年金全般に関する問題であるから、そういうふうに総合的にひとつ検討したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/5
-
006・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 年金制度のあるべき姿ですね、一体、厚生省として、いまのようなお話を聞いておりますと、どこに社会保障としての年金制度を求めておるのか、その辺がちょっと理解しにくいのです。いまの御答弁では、私が御質問申し上げました、いわゆる答申に基づくわが国の年金制度の統合調整というものをどういうふうに考えてやっていこうとしておるのか、まだ検討中だといえばそれまでかもしれませんが、私たちからすれば、現在非常に低いけれども、比較的給付のよいそういうところまで引き上げていく、これをもっと積極的にやらなければ、いつになっても各年金制度がばらばらな形で運営をされていく、したがって、統合調整というものは非常にむずかしいというふうに思うのです。ところが、政府の考えておるのを聞いてみますと、何かやりやすいところからどんどんやっていく、あるいは給付のよいところはストップをさして、そうして悪いところは、国民経済との関係で、どうしても上げなければならない、そういうときがきたときに上げるという形でやってきて、そうしてバランスをとっていく、こういうような方向を考えているのではないかというふうにも思われるわけです。もしそうでないと言われるならば、私は、厚生年金を一万円にすることは賛成です。しかし、そのやり方は私は問題があると思いますが、厚生年金は千六百万の労働者、ところが、国民年金は二千万以上の国民が対象になっておる。しかも、その国民年金の適用者は、私は、日雇い者、あるいはその他で、国家公務員なんかと比べまして低所得層が非常に多いと思うのです。当然そういう低所得層が適用される国民年金というものを、この改正の時期に、厚生年金を一万円に上げると同じように、一挙に一万円にできなくても、三千五百円というような額でなしに、五千円なり六千円なりに引き上げていく意欲がなければならないのじゃないかと、こういうふうに私は思うのですが、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/6
-
007・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 率直に申しまして、いまの年金制度をすぐに統合調整する、あるいは一本化する、こういうふうな考え方は、いまさしむき政府は持っておりません。将来の課題としては、社会保障は当然一本でいっていいのだ、こういうふうに考えておりますが、しばらくの間は、年金の一本化というようなことは、いま政府で考えておりません。しかして、まあ年金額というものは、常識的に申せば所得保障でありますから、老後の生活水準、最低生活を維持するにはどれだけ要るかという、こういうふうなことからして年金額というものは考えていかなければなりません。そういうわけで、いまの各種の共済組合等は相当な年金額をもって給付をしておるのでありますが、厚生年金が、さしむき、きわめて不十分だ、こういうことでこれに着手をした。それで、お話のように、国民年金としましては、ちょうど計算の更改期が昭和四十一年にある、こういうことで、四十一年にはどうせいろいろな問題について国民年金法を改正しなければならぬということで、私ども、これの一般的な引き上げの問題を四十一年にぜひ出したい。しかして、御案内のように、今度は厚生年金の定額部分が五千円になった、すなわち、報酬のいかんにかかわらず、とにかく五千円は保障するのだ、こういうようなたてまえ、特に遺族年金、あるいは障害年金につきましても最低は五千円だ、こういうことになりますから、こういうものが標準になっての国民年金の改定が行なわれる、こういうふうに考えております。今回、御承知のように、ほかにあるのは私立学校職員共済組合、農林漁業団体職員の共済組合、これと各種共済組合でありますが、この中で、今回農林漁業団体職員の共済組合法も、厚生年金の引き上げに応じた今度の国会におきまして政府修正も行なわれるようになっております。あと、また、私立学校職員共済組合も、私どもは近い将来の問題として、いまのようではおかない、こういうふうに考えております。国民年金は、私がいま申し上げましたような考えを政府はとっておる、こういうふうに御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/7
-
008・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そうすると、厚生年金をわが国年金制度の標準にするというお考えがあるようにこうちょっとうかがえたんですが、そういうことですか。——そうすると、私が先ほど申し上げた統合調整の一応の方向が、やはり私どもの危惧するような方向にあるような気がするのですね。いまやはり国家公務員共済、あるいは公共企業体の共済関係の、まあ一万円年金とほぼ同じような水準にありますけれども、しかし、私は、この共済組合の年金と厚生年金の場合とは、若干生い立ちも違いますし、その運営についても若干違うと思いますから、これを基準にするということになりますと、この共済組合のほうがストップさせられたり押えられるということも出てくるのではないか。そういう形でなしに、やっぱりほんとうに社会保障の精神に立った立場で、そうして、より比較的給付の条件のよいそういうところに基準というものを求めていかないと、統合調整には今後数多くの問題を残しはしないか、こういうふうに思います。
それから、先ほどこの厚生年金が五千円に上がったから、農林漁業なり、あるいは国民年金もそれに影響されると、こういうことを申されておりますが、私はこれは逆じゃないかと思うのですね。やはり年金額を幾らにするかということは、その年金額で最低生活が保障される、そういうものでなけりゃならぬと思うのです。その最低生活は一体何か、こういうことになれば、当然、憲法第二十五条に規定する健康にして文化的な最低限度の生活、それを保障するやはり額でなければならぬと思うのです。ですから、あくまでも年金額の基準は、私は、社会保障という立場に立てば、この憲法第二十五条に規定をされたところに求めていかなくちゃいけないのじゃないか。それを最低として、そうして引き上げていく、そういう考え方でないと、この年金制度の本来のあり方ではないような私は気がするのですがね。この点、何か厚生年金の五千円というものは、その憲法に規定をする保障額と同じように考えておられるのかどうかわかりませんけれども、ちょっとニュアンスが私には理解できないわけでありますので、そういう点、もう一度ひとつお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/8
-
009・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これは私は最初申し上げたように、あくまでも年金というものは老後の最低生活を保障する、すなわち、所得保障でありますから、最低生活ができるということを標準として考えるのは当然であります。ただ、私がいま実際論として、厚生年金でこういうふうな提案を申し上げておると、それは結果的には影響を及ぼすだろうと、こういうことを申し上げておるのでありまして、それがいいとか悪いとかということではありません。あくまでも、生活ができる程度のものが幾らであるかと、こういうことで計算さるべきものは当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/9
-
010・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そこで、最近のこの加入率と申しますか、適用対象者数と、それから、この国民年金に加入をしている数、その割合、そういうものを把握しておりましたらちょっとお知らせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/10
-
011・實本博次
○政府委員(實本博次君) 昭和三十九年三月三十一日現在で被保険者の数を申し上げますが、千九百五十八万四千人というふうな数字になっております。これを前年度の三十七年度末の数と比べてみますと、三十七年度末では千九百一万六千ということになっておりますので、約五十七万人ばかりの増と、こういうことになっております。これは国民年金の被保険者の増であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/11
-
012・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それが、適用対象者との比較はどうなっておりますか、加入者と。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/12
-
013・實本博次
○政府委員(實本博次君) おっしゃいますのは、その推定の適用者数と、それから実際のいま申し上げておる適用者数との比率のことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/13
-
014・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 ええそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/14
-
015・實本博次
○政府委員(實本博次君) 適用率の問題でございますね。適用率は、強制の適用対象者だけで申し上げますと八八%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/15
-
016・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 八八%——これは年々ふえていくような傾向にあるようでございますが、しかし、新しく二十歳になって適用対象者になる者のこの国民年金への加入と申しますか、率が非常に悪いように思うのですが、それは一体どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/16
-
017・實本博次
○政府委員(實本博次君) 先ほど申し上げました約五十七万人の増のうち、二十歳になって加入の対象資格を得た者の適用数は約十三万ということになっております。ですから、五十七万のうち、十三万が二十歳になって新しく被保険者資格を獲得した人の加入者数ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/17
-
018・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 私の手元にある資料によりますと、これは去年だと思うのですが、成年に達した百九十三万人、このうち男が九十八万、女子が九十五万となっておりますが、そのうち加入対象者の約四十万について、昨年四月から十二月までの九カ月間ではようやく一〇%そこそこの適用だ、こういうふうになっているのですね。これは一体どういう理由でこういうふうに一割そこそこの適用する者しかいないのかということをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/18
-
019・實本博次
○政府委員(實本博次君) いま先生のおあげになられました数字は三十八年の十二月末の数字でございますが、三十九年の三月三十一日末の現在で十三万人という数字になっているわけでございます。それで見ますと、大体五十七万に対して十三万というふうな適用率でございまして、これでもまだ前年度、前々年度に比べますと、ふえてきた傾向にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/19
-
020・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 その数字はそれでいいのですが、どうして二十歳、成年に達した人が国民年金に入ろうとしないのか。それをどのように厚生省は分析しているかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/20
-
021・實本博次
○政府委員(實本博次君) 先生のいまおあげになられました四十万という者のうち、全部が全部国民年金の対象になるということでなくてそのまま厚生年金のほうの対象になる者もありますし、それから、その他の公的の共済組合なり、公的制度の中に入るのもございましてその割り振りが、どの程度までいけば完全に国民年金の対象になるものを捕捉するか、その数字は調べておりませんですが、大体まあ大見当といたしまして、三割から四割捕捉すれば、大体全部は入れるだろう、つかめるのではないかというふうに見ているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/21
-
022・鈴木強
○委員長(鈴木強君) ちょっと實本さん、質問の趣旨は違うんじゃないですか。さっきあなたの言われた二十歳で五十七万の人が国民年金の推定の加入対象者だ、ところが、そのうち十三万人しか入っていない、こういう御答弁がありましたね。ですから、二百万人の成年に達した人たちがおるわけでしょう。その人たちがそれぞれの分野で職業につくとか何かしているわけですね、学校に行っている人もおるでしょうが、いずれにしても、そのうち何人の人が国民年金の対象になるか、それがはっきりしていない。さっきはっきりしているかと思って、ぼくらは五十七万人と思っていたわけだが、それが食い違っているわけですね、あなたの答弁では。それをはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/22
-
023・實本博次
○政府委員(實本博次君) 私がいま申し上げました四十万の数字が全部当年二十歳になった人の全数のような前提で申し上げましたのは誤りでありまして、四十万が国民年金の対象者となるべき推定数、これに対しまして十三万の捕捉しかできていない、こういう現状でございます、なぜそうなるかという問題でございますが、これはいろいろまだ制度が発足しましたが、こういった制度についての認識をいただいているという面が低いのでございまして、こういった面での努力をもう少ししてまいらねばならないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/23
-
024・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 制度ができたばかりで、まだPRが浸透しておらない、こういうことも一面あろうかと思いますが、しかし、私は、やはり当初に申し上げましたように、年金制度というものに対して非常に魅力がない、いわゆる年金額が、四十年掛け、しかも、五年据え置いて三千五百円、これでは、私は、二十歳の人が四十年先のことを考えて入ろうというような気持ちは起きないのではないかというように思うのですね。保険経済の関係もあるかもしれませんけれども、しかし、やっぱりもっと適用者をふやすには、これは将来昭和何十年かに相当な支給される者が出てくると思いますけれども、もっと四十年掛ければ、少なくとも一万円以上なら一万円以上の年金が入って、十分憲法に保障された最低生活ができるのだ、こういうふうなやっぱり魅力のあるものをいま掲げなければ、これは将来の保険財政の面からも大きな支障を来たすのではないか、いまのままでいけばこれはどうなるのですか。一体、支給される者が非常に多くなった場合、はたしてやっていけるのかどうか、そういう不安もあるのではないですか。そういう点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/24
-
025・山本正淑
○政府委員(山本正淑君) いまおっしゃられますように、いろいろ論議はあるかと思います。まず、年金額という問題は一番の問題点でございまして、特に制度が発足いたしました当時におきましても非常に論議がございましたが、その後におきまして経済情勢が変わってくる、特に物価の推移といったようなものもありまして、三千五百円というものに対する魅力というものが当初から薄かったものが、ますます薄れてきているというところが一つの大きな原因じゃないかと思います。
そこで、この問題に対処する方針といたしましては、要するに、年金という制度は、物価なり、あるいは生活水準の上昇といったものに見合って年金額が上がってくるのだということを国民に知らしていただかなければならぬわけでございまして、そういう意味におきましては、先ほども御質問がございまして、大臣からも御答弁がありましたように、国民年金の年金額の改定というものを近い将来におきまして実現しなければ、実際国民が納得していただくというところまでいかない面もあるわけであります。これは厚生年金の改正によって一万円年金ということを実現する、これに見合って国民年金の年金額も大幅に引き上げなければならない、また、そう引き上げるのだという実を示すことによって国民の理解を得ることと存じます。
それから、第二点の、先生の御指摘のございました財政事情はどうなるのかという点が問題であるわけであります。先ほどもいろいろ各種の年金制度の中で、厚生年金を中心にするのかというお話もあったかと思いますが、厚生年金におきまして一万円年金を実現するにつきましても、負担の問題、いろいろの問題がからみまして、一体、財政をどう処理するかという問題がありまして、現在の段階におきましては、いわゆる修正積み立て方式という財政方式をとっております。国民年金につきましては、制度発足当時、完全積み立て方式という、所要の財源が完全に積み立てられるということを計算いたしておるわけであります。申し上げるまでもなく、今後のわが国の経済、産業構造、あるいは人口構造というものが急激に変化してくるということになりますと、国民年金の被保険者層というものの年齢構成が非常に変わってくる。当初計算いたしましたものと非常に狂ってくるという要素をここに実ははらんでおるわけでございまして、次の改正におきましてはこの点を十分考えまして、したがって、年齢構造の変化、あるいは産業構造の変化、それに伴って財政方式、いま御指摘のありました財政問題も大きな要素になりますので、それをどう考えていくかということもからみまして、老後の生活を保障するに足る年金という問題と、その所要の財源をどう考えるかというからみにおいて考え、また、これについての国民の御理解を得るというような方法で私ども対処していかなければならぬ、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/25
-
026・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そういう将来のことを考えますと、私は、やはりこの日本の就業構造と申しますか、そういう変化に伴って年金制度がいまのようなばらばらの形では、大きな問題があとで起こるような気がするのです。したがって、昭和四十一年度に財政の再計算時期になっているようでございますが、どういう検討をされておられるか。いまちょっとそういう検討をしておるということでございますけれども、やはり昭和四十一年なり、あるいは政府が所得倍増計画ということで掲げておる達成年度までには、やはり年金制度全般の統合調整というものを完成をしないと、それぞれの保険財政の面で非常に問題が起きはしないか、こういうふうに考えるわけです。したがって昭和四十一年度というと、つまり再来年ですから、私どもから言わせれば、非常に不満があるわけです。なぜ今度の国会のこの改正の時期にある程度の引き上げをしなかったかという面の不満はあるわけでございますけれども、少なくとも、四十一年の改定期には、そういう統合調整の前提に立った大幅な年金額の引き上げというものをぜひ考えていただきたい、こういうふうに思うのですが、その点、大臣はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/26
-
027・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これはいま申しましたように、また御不満があるかもしれませんが、厚生年金法を改正するということは、当然、国民年金にも大幅な影響がある。したがって、これをある程度頭に描かなければ今度の改正案は出せなかった、こういう事情でありますので、いまのような御趣旨に沿った改定をしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/27
-
028・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 まあどうもいままでのそういう御答弁では、何かほんとうに昭和三十七年に社会保障制度審議会が出した答申なり勧告に基づいた統合調整に積極的に取り組んでいく、こういう姿勢が私はまだ感じられないのです。単に厚生年金が上がったから国民年金も上げさるを得ないだろうというようなことであってあくまでもわが国の年金制度の一本化を推進をしていくという立場に立っての改定ですね、そういう意欲がどうもうかがえることができないわけです。そういう点はひとつ十分前提として考えてやってもらいたいのです。毎年毎年国民年金の改正法が出ますけれども、いつも手直し的な改正にすぎないわけですね。ですから、そういうことでは、やはり新しく適用対象者になった者も魅力を感じないのは当然でございますから、もっとほんとうに憲法に規定をされた権利が確立をされ、そうして喜んで全国民がこの制度に入る、こういう態勢をぜひとっていただきたい、こういうふうに思います。
それから、先ほどの適用の問題でございますが、毎年毎年厚生省としては、その年に何名適用対象者があって、そのうちどのくらい入ってくるかという推定の数は、これは当然あげておかないと、財政上の問題もあるのでしょうから、困るわけですが、そういうものとの実際の数との割合ですね、そういう面はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/28
-
029・實本博次
○政府委員(實本博次君) 先ほどの答弁と重複いたしますかもしれませんが、三十八年度におきます二十歳到達者の正確なここに持ちます資料で数字を申し上げますと、二十歳到達者が六十四万五千人という数字が三十八年度で出ております。それに対しまして、適用いたしましたのが十三万五千と、こういう数になっております。それから、三十九年度で一応予定いたしておりますのは、二十歳に到達する人の数が四十四万というふうな数になっておりまして、それに対しまして二十五万は捕捉していきたい、こういうふうな目標を立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/29
-
030・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 三十八年度の六十四万五千人のうち、何万人をあなたのほうでは被保険者とし得るという予想を立てておったのですか。そのうち十三万五千人が入ったという、その数字はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/30
-
031・實本博次
○政府委員(實本博次君) 六十四万五千人の到達者に対しまして、一応四十万という数字を目標にあげておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/31
-
032・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 今回三十九年度の予算の中で、適用促進のために予算を取ってありますけれども、これはどういうことをやるためにこの予算を取ってあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/32
-
033・實本博次
○政府委員(實本博次君) 主として二十歳到達者、たとえば成人式なんかで、よく市町村ごとに行なわれます式などに臨みましてそういった人に対するこの制度の普及徹底、実質上の利益を説いて加入をすすめる、こういう趣旨の普及徹底のための予算を計上して使用計画にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/33
-
034・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 その普及をするにはどういう方法をもってやろうとするわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/34
-
035・實本博次
○政府委員(實本博次君) それぞれ各市町村なり都道府県の創意工夫もございますが、主として制度の趣旨を明確に書いたパンフレット、小冊子等によって徹底していきたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/35
-
036・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 国民年金を運営していくにあたって現在、非常に地方財政に対してしわ寄せを来たしておるわけですね。これについては、手数料の問題もあろうかと思いますし、事務費の問題もあろうかと思うのですが、現在、各地方自治体とも、非常に赤字を生んで、一般会計からの繰り入れが大きいということなんですが、厚生省はどういうふうにこれを把握しておられますか。事務費が十分あると、いわゆる交付する事務費で十分だと、あるいは手数料も十分だと、こういうふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/36
-
037・實本博次
○政府委員(實本博次君) 先生の御指摘のごとく、市町村に対しまして、いろいろ法律上、あるいは事実上、国民年金の仕事をお願いしておりますが、それに対する交付金の問題、また、印紙売りさばき手数料の問題、その二つの問題につきまして、三十六年度からずっと、この制度が始まりましてからずっとそういった市町村交付金または手数料の予算の増額獲得に、厚生省といたしましても、鋭意努力いたしてまいったわけでございます。三十八年度について申し上げますと、交付金が全額で二十四億一千万円、それから、印紙売りさばき手数料が八億一千万円ということで、大体三十二億二千万円といったところを三十八年度の年間の経費として市町村に交付いたしてまいっております。これにつきまして、市町村の側では、それぞれいろいろやり方がございますが、大体この交付金につきまして、先生から先ほどお話がございましたように、もう少し増額してもらわなければ困るというような要望が非常に強うございまして、また来年度も何とかしてそういった要望にこたえたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/37
-
038・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 これは私の地元のほうの市の三十九年度の国民健康保険を運営していくための予算があるわけですが、それで見ますと、歳入として、国庫負担が二百九十五万六千円、それから、印紙売りさばき手数料が七十九万五千円、市費負担、これが四百七十二万一千円、合計して八百四十七万二千円という歳入で、歳出としては人件費が七百十万円、それから、物件費が百三十七万二千円、こういうふうになっておりまして、この予算の半分はその地方自治体が持つ、こういうふうになっておりますね。これは本来、私は、やはり全額国庫でみなければならないものじゃないかというふうに思うのですが、これは一つの例でございますけれども、その他、私、千葉県でございますけれども、千葉県の各市の予算を見ましても、非常に市費負担というのが多いのですね。これは単に千葉県だけの問題でなくて、おそらく全国的な傾向じゃないだろうかと思うのです。こういうものを厚生省はどういうふうにして把握をしておられるのか。先ほどちょっと御答弁がありましたけれども、抽象的でございますので、ひとつもう一度お答えを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/38
-
039・實本博次
○政府委員(實本博次君) 三十八年度で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、こちらから交付いたしました総額が三十二億二千万円、それに対しまして市町村で実支出した額が、一応私のほうで捕捉いたしておりますのが四十五億というふうになっておるのでございます。単価で申しますと、三十六年度からずっと一件当たりの単価は毎年相当ふやしてはまいっておるわけでございますが、たとえば三十六年度をとりますと、一件当たり九十四円、それが三十七年度へまいりまして百十五円、三十八年度へまいりまして百二十五円、三十九年度の予算を申し上げますと、百三十円というふうに単価は上がっておりまして、大体いま申し上げましたような三十二億二千万に対しまして、実支出は四十五億というふうなところで、もう少しこの差を縮めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。これはもう一つは、各市町村ごとによりまして、主としてこれは人件費でございますが、人件費のベ−スの高いところと非常に高くないところとございまして、それぞれの地方公共団体のそういう人件費のベ−スの問題、それから事務のやり方の問題、それから、もう一つは、民間の協力組織としての納付組織の活用の問題、そういったようなものを全部厚生省で一度調査して、何が標準的な事務費のめどであるかというところを今年徹底的につかみまして、それによりまして来年度の予算の増額の獲得の基礎にいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/39
-
040・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そうすると、たとえば手数料百三十円という額をきめる場合、一体何を基準にして百三十円というものをきめたのか、ただばく然と予算がこれだけしかないから百三十円というわけでもないと思うのです。厚生省は、三十八年度は実際に地方自治体が四十五億以上も支出している、しかも、実際の交付額は三十二億と、こういうことで地方自治体へのしわ寄せがはっきりしているわけですから、当然そういうものを一つの目安にして手数料というものを引き上げていかなければならぬというふうに思うのですが、どういうところに基準を置いて百三十円というものをきめたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/40
-
041・實本博次
○政府委員(實本博次君) この百三十円をきめました根拠は、むしろ三十六年の最初の拠出制が始まりましたときの単価九十四円をきめたときにノルマ計算できめたというふうになっております。三十六年度におきます単価九十四円から、ずっと年度を追いまして、ある一定の率で上げてきたのですから、三十九年度の予算単価の基礎を積み重ねていって百三十円を出したのでなくて、最初にきまりました三十六年の九十四円というノルマ計算の額に対して、年度を追って、ある一定の幅で上げてきた、こういう結果になっております。したがいまして、私のほうも、四十五億の実支出額が決して適正なものであるかないかということを決定づけるデータはないわけであります。したがいまして、一度徹底的に調査をいたしまして、そうしてどの程度のものが一体標準的な事務費になるかというものを来年度の予算の編成までに捕捉いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/41
-
042・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 こういう法律ができて、国民の老後の保障をしていこうという意欲に燃えて、しかも、厚生省から、対象者が非常に多いのに実際の数が少ない、もっとPRをして入れなければだめだ、こういうハッパをかけられて、地方自治体は、何とかして住民の福祉を守ろうという、そういう考え方で一生懸命やっておると思うのです。したがって、人件費が多いとか、事務のやり方がどうのとか、こういうことを言うよりも、私は、やはり厚生省の立場とすれば、もっと適用者をふやすためにも、十分地方自治体が活動できる予算というものを出してやらなければほんとうはいけないのじゃないか。このままでいきますと、各地方自治体は、そんなに金がかかるのではやり切れぬ、これは全部国でやってもらいましょう、こういうことで、これは委任事務ということになっておりますけれども、返上するということもおそらく考えられるのじゃないかと思うのです。それでは、やはり法律のたてまえ上できないにしても、これは積極的にそれをやろうという気がまえがなくなってくるというふうに思うのです。ですから、いまの百三十円にしても、三十六年ですか、九十四円にしたから、それである程度の率でもってやってきたのだと言われますけれども、物価の問題にしろ、あるいは人件費にしても、これは四、五年前と違って、非常に上がっておるわけですから、そういう点を考えて交付金というものを考えないと問題があると思うのです。ですから、そういう点はまたいずれ次の機会にやりたいと思いますが、十分お考えいただきたいと思います。一人でなんですから、この次の委員会でまた質問したいと思いますので、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/42
-
043・鈴木強
○委員長(鈴木強君) ちょっと私から関連してお伺いしたいのですが、当初、厚生省が国民年金制度をお考えになったときに、国民全層の大体どの程度が入るという予想を立てられて、それに基づいて三千円なり三千五百円の年金というものの額をはじいておるのか。これは保険数理的な問題に関連して、極端に言うと、あなたのほうでは、いまの四十万人のうち、十三万人というのですから、加入率は三〇%ですね。ですから、こんなことで対策を根本的に立てずにおいたら、該当者がほとんど入らなくなってしまうという危険が出てくる。ですから、極端に言ったら、一人でも、数理的にいっても三千五百円は保証できるというのか。それは一万人入る、十万人入るとすれば、その積み立て金の効率的な運用によって三千五百円が三千七百円になる場合もあり得るわけだ。だから、私たちは、できるだけ多くの人たちが入って、その資金を効率的に運用して年金額を上げてやるということも運用上できるわけですから、そういう意味においては、やはり該当者に全員入ってもらう、そういう考え方で、勧奨というか、勧誘という政策をやっていかなければいかぬと思うのですが、どうもいまの質疑を聞いておりますと、非常に後退しておるように思うのですが、山本年金局長もちょっと触れられましたけれども、そういうことが数字的に、はたして掛けてもだいじょうぶかという不安を被保険者が持つと思うのですが、その点は、一人でも、約束したものをもらえるのか。もっと多くなれば効率的になると判断するのですけれども、一人の場合でもだいじょうぶですかということ、極端な話ですけれども、それはどういうことか。
それから、もう一つは、勧奨について積極的なPRができないものか。これは金もかかるでしょうけれども、これは法律を忠実に執行するためには、必要な金は使っていいと思うのです。そういうふうにして国民に理解してもらわなければならぬので、それには柳岡委員のおっしゃった年金の給付額を魅力のあるものにする。一挙にいかないとすれば、いく範囲において一〇〇%の効果をおさめるために、もっと積極的に対策を立つべきだと思う。どうも三〇%しか予定に対して入らないということじゃ、これは非常に心もとないのです。一体、厚生省はその面において何をしているのだという、不満というか、批判が出るのじゃないか。これは入らないほうが悪いと言えばそうかもしれませんが、それはやはり納得させる努力が足りないということに結論的になると思いますが、それに対する根本政策というものは一体どう考えているか、この二つだけ、ついでの機会だから、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/43
-
044・山本正淑
○政府委員(山本正淑君) いまの御質問の第一点は、非常に専門的な御質問でございまして、おっしゃられるとおり、この制度発足当時におきます年金の計算におきましては、やはり人数を年齢別に配分いたしまして、そうして数理計算が成り立っているわけであります。したがいまして、簡単に申し上げますれば、若年——二十歳でございますが、若年の被保険者の数がふえればふえるほど財政的には有利である。したがって、再計算の結果、収益といいますか、プラスの要素が出てまいりまして給付改善というものに当てられるということはおっしゃるとおりであります。その意味におきまして、予定人員というものが狂うということは、五年ごとの再計算の時期におきまして、特に若年齢層の者の数が予定したほど入らないということになりますと、マイナスの要素が、その面だけ申しますと、出てくる要素があるわけであります。その意味におきまして、おっしゃるとおり、二十歳になりました者については的確に把握をして被保険者に入れるということは、本人の将来の利益ということを離れましても必要な面があるわけであります。この点は真剣に私ども考えなければいけないわけであります。ただ、これは申し上げるまでもなく、最近非常にこの若年労働力のいろいろの不足状況等があります関係上、国年の被保険者に予定された人数が入らないということが、はたして国年の被保険者のあるべきままで、すなわち、他の年金の制度に入らないままで放置されているかどうかということについては、相当私は疑問に思っている点がございます。そういった点につきましては、先ほど社会保険庁のほうから申しました実態調査をよくやりまして、やはり幾ら入るべきであるかという推定数は的確につかみ、そうしてその数はできるだけ被保険者に入れていかなければならないという措置を講じなければならないと思います。そのために他の制度にいく、要するに賃金労働者としていく数が多くなっているという結果になって、その反映であるといたしますれば、次の再計算、あるいは給付改善に際しましてそういう実態を十分盛り込んで、どういう財政措置を講ずるかということを考えなければならない、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/44
-
045・鈴木強
○委員長(鈴木強君) そう思うというだけですが、具体的に実態調査をちゃんとやって、次の少なくとも四十一年でございますか、再計算の時期、その時期までには明確にその点の実態調査をして報告できますか。その次にはもう少し積極的にPRをやってもらいたいと思います。その必要な予算ぐらいは取ってもらいたいのです。もう少しいま山本さんが言われたように、年金に入れるように努力をせぬといかぬと思います。それもひとつ聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/45
-
046・實本博次
○政府委員(實本博次君) お説のごとく、実態の把握をまずやるべきでございまして、今年度でやる予定にいたしております。少なくとも四十一年の改正までにはその数をしっかりつかんでやっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/46
-
047・鈴木強
○委員長(鈴木強君) PRはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/47
-
048・實本博次
○政府委員(實本博次君) PRのほうも、市町村はもちろんのことですが、納付組織の民間活動にも訴えて大々的にやっていきたい。主として成人式のときに把握していくのが一番いいと思うわけでございますが、これにも力を入れてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/48
-
049・藤原道子
○藤原道子君 関連して。いままではPRはどういうようにやっていたのですか。全然やっていなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/49
-
050・實本博次
○政府委員(實本博次君) いままでも、大体そういった成人式のときなんかを利用いたしまして、パンフレットその他の媒体でございますね、それで趣旨の説明をしてPRにつとめてまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/50
-
051・藤原道子
○藤原道子君 そうしたPRにお使いになった資料等がありましたら、今度御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/51
-
052・鈴木強
○委員長(鈴木強君) いまの、どういうものを使っておったか、具体的にやられた資料を参考にひとつ委員会に出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/52
-
053・實本博次
○政府委員(實本博次君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/53
-
054・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 他に御質疑もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめておきます。
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/54
-
055・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 社会保障制度に関する調査を議題といたします。
質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/55
-
056・林塩
○林塩君 私は、看護婦の養成補充対策といいますか、養成計画について伺いたいと思います。
まず、このごろ非常に看護婦不足が深刻化してまいりまして、けさのラジオ放送でも言っておりましたように、もう底をついているのじゃないかということになっております。これにつきまして当局はどういうふうにお考えになっておられますかということで伺いたいと思います。病院が非常に困っております。それから、医師が非常に困るというばかりでなく、医療を受けております入院患者、治療を受けます患者たちがたいへんに困っているという状態でございますので、医療制度の上からも、ぜひこれは本格的に何らかの強力な措置を講じていただかなければならないのじゃないかと思うわけでございます。近ごろ免許を持たない人たちがいろいろなところで、看護業務だけでなくて、医師の治療の介助までもしているような状態でございますので、いろいろ患者に危険が起こってきている状態でございます。この問題もまことにゆゆしい問題であろうと思うのでございます。最近におきましては、例の輸血を准看護婦がしていましたということは、これはどこに責任があるか、それは別といたしまして、患者の生命がなくなっているというような状態、全国を調べてみますと、もっとたくさんこういうケースがあるのではないかというふうに思いますが、それに加えまして、それにつきましても看護婦の養成問題というのは大きな問題であろうと思います。もちろん医師は不足しておりますけれども、その不足している医師の仕事まで看護婦がしていかなければならないという状態の中で、ますます要求されておりますところのいろいろな業務に加えまして、看護婦の業務が多くなってくると同時に、人員不足というのがとても大きな問題になってきておりますということでございますが、厚生省におかれましては、この看護婦の養成計画に対して何らかの画期的な措置がおありでございますかどうか。きょうの新聞を見ますと、医療制度の改善計画の中にそのことが十分に取り上げられているようでございますけれども、この内容につきまして、これではとてもできていかないのじゃないか、あるいはこういうような考え方でございましたら、とてもますますふえてきますところの看護婦に対する要望を満たしていくことがとうていできないのじゃないかと考えますので、それにつきましてどんなふうなお考えをお持ちでございますか、あわせて一応伺っておきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/56
-
057・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 看護婦さんの不足がいろいろ病院その他、特に地方の小病院、診療所等において深刻であり、患者さんのほうからもいろいろ御不自由になっておるという声が上がっておることはお話のとおりでございまして、できるだけこれに対しまして資格のある方々に働いてもらえるように、また、その数をふやすように従来も努力しておったのでございますが、またこれからも努力していくつもりでございますが、本日の毎日新聞に載っております計画は、実は現在作業中で、まだ十分確定したものではございませんですが、看護婦問題につきましての計画といたしましては、将来のベッドの増加、また、医療の増加、その細分専門化、看護婦、准看護婦等に対する需要の増加等に関連いたしまして、また、労働条件が、たとえば四十四時間制をとっておりますならば四十時間になるということも考えに入れまして、数をふやしていこうという努力をしているのでございます。現在、一応の目標といたしまして、昭和四十五年までに、働いております看護婦、准看護婦さんの数は二十五万くらいを考え方といたしまして養計成画を立てておりますが、しかし、養成所をふやすということもやっておりますが、このことにつきましても、さらに一そうの検討を加えていきたい、こういうように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/57
-
058・林塩
○林塩君 それで、これによりますと、「厚生省の構想まとまる」と出ておりますが、このとおりまとまったのでございましょうか、このような内容で将来の計画をなされようとして厚生省の構想がまとまったのかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/58
-
059・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) まだまとまっておるという状態ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/59
-
060・林塩
○林塩君 それでございましたら了解いたしました。特に私は強調しておきたいと思いますことでございますが、それにつきまして、こういう計画がまとまっていないとすればけっこうなんですけれども、これを見ますと、非常にずさんな計画のように思います。厚生省当局では四十五年を目標にして、そうして構想を立てられているようでございますが、もうさし迫った問題がたくさんあるわけでございます。これは三十九年度は別といたしまして、四十年度においてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。ここにございますように、「四十年から看護婦、准看護婦養成施設を毎年それぞれ五カ所ずつふやす。」と、こういうことになっておりますが、四十年度から五カ所ふやすということではとても追いつかないと思うのですが、これについてどんなふうに来年度の構想をお持ちでございますか、伺いたいと思いますす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/60
-
061・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 三十八年度におきましても、新設七、増設八、合計十五カ所、それから、三十九年度の予定は十六カ所ということでございまして、この数はいずれも国庫補助の分でございますが、数は多い状態でございます。ただ、このほかに国庫補助の対象外のものがございますので、数は何カ所ふやすということにつきましては、四十年度から計画というものは、先ほど申し上げましたように、もう一ぺん検討するという状態でございまして、いまきまっていない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/61
-
062・林塩
○林塩君 いつも厚生省では検討する検討すると言われまして、それでいつでもできません。それで、毎年需要がふえてきますのに、看護婦の数は減っていく、これはもう少し実態というものをしっかりと調べなければならないんじゃないかと思うわけでございます。厚生省は、いつも見てみますと、ここに書いてございますように、看護婦、あるいは准看護婦は一緒に考えられますが、現在、看護婦の数の三倍というのが准看護婦の数でございます。それで、病院の基準看護からいきますと、看護婦が四名、こういうふうにななっておりますのに対して、いつも准看護婦でそれに充てようとする傾向がございますので、ここにも看護婦と准看護婦とを同様に取り扱っておりますし、数も十何万というふうに現在言っておりますけれども、これも中を調べて見ますれば、看護婦の数が三分の一しかありません。それで、看護婦養成所をもっとつくらなければとても追いつかないんじゃないかというふうに思うのでありますが、これに対してどういうふうにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/62
-
063・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) まず、働いておる看護婦の数が減っているというお話でございますが、これはふえておりまして、毎年一万近く働いております看護婦はふえております。それから、看護婦と准看護婦の数は、現在、資格のあるものとして一応免許を持っております者が、三十六年末の数字でございますが、三十四万と九万ということでございますが、実際に働いております者といたしましては、九万九千と八万三千、大体相似たような数字になっております。こういうふうな状態でございますが、現在、養成が始まって新しいという面もございまして、看護婦さんの数は九万程度から十万ごろに停滞しておりますのに対しまして、准看護婦さんのほうがふえていっておる、こういうふうな状態でございますが、なかなか正看護婦さんのほうの養成所、学校をつくりましても、応募者がわりあい少ないというような面もありますが、これをできるだけ拡充に努力することを一緒に、また、進学コースというような問題も考えていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/63
-
064・林塩
○林塩君 いまおっしゃいましたように、看護婦の数は減っていないと言われますが、それは確かにふえておりますけれども、それだけ病棟もベッド数もふえている、それに見合うだけの数がふえていない、こういうふうに私は言っているわけです。で、現在、病棟がずいぶんふえていっておるのにもかかわらず、やはりそれに必要な看護婦数が確保されていないので、そういうふうにいけばそれが減っていると、こういうふうに言っているわけなんです。ですから、そこのところをよくお考えいただきたいと思います。
それから、これによりますと、ベッドが非常にふえる、これはいま検討中だとおっしゃいますので、私も安心しているわけでございますけれども、現在の七十九万のベッドから三割ふやして、昭和四十五年になりますと百二万四千というふうにする、こう書いてあります。それで、それまでに二十五万の看護婦が必要になる。で、二十五万の看護婦が必要になるといいますと、ベッド四つに対して看護婦一人だ、この中にはもちろん准看護婦を含んでいると思いますが、そういたしますと、これではとても足らないということでございます。実際の問題としては、とてもそれでは追いつかない。したがいまして、なぜ看護婦になる人が少ないかという問題、これも、なぜ看護婦になる人が少ないかということについて当局はどんなふうにお考えになっておられますか、これも伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/64
-
065・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) まず、看護婦さんの数が病床の増加に比べてどうかという問題でございますが、三十年三十一年末の辺は、大体看護婦さん、准看護婦さん一人当たりに対しまして、ベッドが、これはいろいろな数字を全部まとめまして六・〇というくらいでございます。それが三十五年になりますと、五・五になり、三十七年には五・四三になっておりまして、だから、ベッド数の増加よりも、働いておられます看護婦さん、准看護婦さんの数がふえているわけでございます。比率的にはふえているわけであります。しかし、いまのいろいろ医療需要、看護需要の増加という問題で、必ずしもそれが現在足りておらないという現象が起こってきておる、こういうふうに考えるものであります。したがいまして、看護婦さんの不足の理由には、先ほどから言っておりますベッドの増加だとか、医療の高度化、また、生活程度の向上によりましての看護婦に対する要求の増加、労働条件の変動、たとえば四八制をとっておりましたのが四四制になった、また、基準看護が行なわれてきたというふうな点、さらにその根本には、看護婦さんの待遇とか労働条件というふうな問題があるというふうに考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/65
-
066・林塩
○林塩君 待遇が悪いということはたびたび申し上げてあるわけで、それから、労働条件が非常に悪いというのは夜勤の問題で、もういやになるほど何年来言い続けておりますが、それに対して、悪いのだ悪いのだと言うだけで、何の措置もされていない。で、医務局長おっしゃいますが、そこに出てきております数字はわかりますけれども、国立関係とか、大きいところの病院では多少とも四十八、四十時間というふうにはどうやらしておりますけれども、一般病院、そういうところはもう目もあてられないような状態であるというようなことについて、当局としてはそれはどういうふうにお考えになりますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/66
-
067・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) できるだけ労働条件をよくし、待遇をよくするようにせねばならないと思い、まず、国におきましても、待遇をできるだけ上げるように努力しており、また、労働条件も、一昨年でございますか、四十四時間制を採用している。さらに、いま三交代制等につきましても、できるだけ深夜勤務を少なくする方法はないかと、いろいろ研究をしているわけでございます。さらに指導課を通じて、公的の性格のございます病院等につきましても、できるだけ国に準ずることを指導しておりますし、また、その他の病院につきましても、これはなかなか指導の方法が困難でございますが、ついせんだっても福島県の医師会長などとも話をしておりますときに、看護婦さんの待遇、労働条件というものをある程度よくしないとこれは集まらなくなって困ってくるのは当然ではないかという話をし、向こうは十分自覚して、たとえば一万二千円くらいの准看護婦さんに対して最低賃金を考えてやっているというような話も聞いたりしておりますので、漸次向上していると思います。われわれも一そう努力をしていきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/67
-
068・林塩
○林塩君 いつも努力する努力するとおっしゃいますが、具体的にどういうふうに努力していただいているかということについて、私どうも非常に、これはただ関係者だけでなくて、看護婦さんたちだけでなくて、国民の医療の上に、それから健康増進の上に大きく影響することでございますので、もっと当局が看護対策については、ほんとうに具体的に積極的にしていただきたいと、こういうわけでございます。たとえば看護婦の給与にいたしましても、これは国立関係の人はみんな医療職(三)表がこれは基準になっております。しかし、民間では医療職(三)表を上回っていないということのために、どうしても医療職(三)表が上がらないということもございます。これについてどうしたらいいかということについても、熱心に御検討いただきたいということを申し上げておきたいと思いますが、ふえない理由にはいろいろあるわけでございます。声として、世論として出ておりますのは、やはり待遇の問題、それから看護業務の内容でございます。申し上げておりますと思いますが、医師の数が不足してきておりますために、その分までも看護婦が背負っている状態、非常にこれは医療行為であるであろうかというようなところまで看護の仕事が伸びている。それから下のほうはまた雑役的な仕事までこれもやっているというような現状でありますので、病院もいろいろありますので、そうでないところもございますけれども、大体がそういうような状態であるというようなことで、厚生当局が、この看護問題について、積極的に、予算の面におきましても学校の問題におきましても、また、待遇の問題におきましても病院の看護管理の問題におきましても、やはり努力する努力するでなくて、何らかの画期的な線を出してもらわないことにはこの問題は解決しないのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。ただ、ここに医療制度の改善計画として数だけをあげまして、この数自体も非常にずさんな数だと思いますが、これでこと足れりというふうに考えておられたのでは、とても目的は達成できないのじゃないかと思いますので、あえて申し上げるわけでございます。
それから、このときにしょっちゅう当局言われますことは、免許を持っている人が相当たくさんにあるから、それを利用すればいいのだ。それですから、何も看護婦学校をふやさなくてもいいのだ、そういう人たちを使えばいいのだ、こういうふうに言って逃げておられますが、問題はどうなんでございますか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/68
-
069・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) まず、医療職(三)表のほうの関係が民間に足を引っぱられて上がらないというお話でございますが、確かに人事院の御調査によりますと、民間の看護婦さんの待遇よりも国家公務員のほうがよいというデータはあがっておりますが、しかし、それにかかわらず、われわれとしては、これは上げるように努力をいたしておりまして、この前も、この准看、正看とも、初任給は相当上がっておるわけでございます。たしか八%くらい上がっておったと思います。ほかと差がつき過ぎるということを逆に言われるところもありますが、私どもは、差をつけるよりも、全体を上げていく必要がある、こういうふうに考えて努力しておるところでございます。なお、いま免許を持っておる方に対しまして、それがおるからいいじゃないかという考え方を私どもはした覚えはないのでございまして、養成力を強化していくというふうなことを第一に考えるべきである。しかし、養成につきましては、この養成期間は二年なり三年なりという期間があり、また、その効果が何カ年かを積み重ねなければ出てこないというようなところから、現場の医療看護事情の窮迫しておるこの状態を切り抜けるのにそれではなかなか間に合わぬから、緊急の現在の焦眉の対策といたしまして、この免許を持っておられる方々にできるだけ働いてもらう、こういうような考え方をしておるわけでございまして、これで養成の拡大をサボろうというような気はないのでございますから、御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/69
-
070・林塩
○林塩君 それで、それならけっこうでございますが、全国に看護免許所有者がたくさんあるということで、ここには四十三万と書いてあります。ところが、白書を見ますと二十万と書いてある。私は、これを要するに、内容がわかっていないんじゃないかと思いますす。ただそれくらいいるだろうというふうなことで計画がなされているんじゃないかと思います。非常に危険だと思うわけです。中にはそういう人が使える人もございますけれでも、当局でお考えいただきたいと思いますことは、女子でございますので免許は持っておりましても、家庭に入っている人が多いわけです。それで、家庭人であって出てくるとすれば、子供がおります。その子供を外に預けて出てくるにつきましては、そういうふうな経済的の措置が必要になってくるわけです。パート・タイマーとして使えるじゃないかというようなことで、多少そういうふうに動いてもみたこともございますけれども、このパート・タイマーが国立関係では、たしか四、五百円しかとってありません。それで国立に右へならえするのが民間のやはり病院の経営でありますので、五百円も、最大五百円といいましても、それをもって出てきましても、子供がある場合にはこれを預けて、あるいは人を頼んでくれば、そういうことでは赤字になる。で、これは働く婦人のための、もし家庭にある人を使うとすれば、何らかの保育施設というようなものとの関連ということも考えなければ、ただあるのだあるのだと、だからそれを使えばいいじゃないかでは実際的に間に合わないという現状であることも申し上げておきたいと思います。働く婦人のために保育施設をほしいのだということもずいぶん言っておりますので、病院あたりで保育施設がつくられればなおけっこう、こういう点について御指導のほうはどうでしょうか。ちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/70
-
071・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) まず、免許者の数がおかしいのじゃないかというお話でございますが、この免許者の数は、三十六年末で正看護婦が三十四万三千、准看護婦が九万二千というふうな数が出ております。これは免許を取った人でございます。したがいまして、これは整理はかなりやっておりますが、中ではやはり死亡した方が一部残っておるかもしれませんが、いまお話しの二十万という数は、就業届けを出しておられる方の数ではないかと思います。一番われわれといたしましては、働いておりますことの確実につかめますと思います施設調査の数字をとって十八万ということを申し上げておったわけでございます。従来の数字はそういうふうな記録でございます。なお、この免許を持っておられる方に依存することも、これはそれでできるだけ努力はいたしますが、それほど大きな要員には以後なれないんじゃないか。一面、やはりここ二、三年にいたしましても、千五百から二千人くらい吸い上げるくらいではないかとわれわれは感じておるのでございまして、それほど大きな十万、二十万という数がここから出てくるものとは考えない。努力はいたしますけれども、そう大きなものではないのではないか。いまお話しのように、家庭に入っておられるとか、お年とか、いろいろ御事情があっていまのような状態になっておる、こう考えるわけでございます。
なお、それを促進するために保育所をつくるというような問題でございますが、この点は児童局などとも相談いたしましてやっておるわけでございます。大体、保育所は地域別につくっていくという方針ではございますが、それでどうしても足らないようなところにつきましては、病院内でも保育所を持ってみるというようなことも考え、いま国立でも、すでに二か所くらいこれをつくり始めておるというような状態でございますので、御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/71
-
072・林塩
○林塩君 それで大体お考えはわかりましたが、ただ、看護婦学校をつくっていきます場合に、国立なんかは、何といいますか、一応国の施設費でもってできますけれども、病院で学校を持ちたいという場合には、設立するといいますか、そういう建物を建てるところのお金が足りないために、つくりたくてもつくれないところもあるわけでございます。そういうことにつきまして、大臣は、他の学校でございますれば、たとえば文部省系の学校でございますれば一応便宜があるようでございますけれども、厚生省関係でこれを監督をされて、そうして学校をふやしていきますときには、その設置費というものは補助金がないわけでございます。それについて大臣は何かお考えがございますでしょうか。これを将来やはり建物をつくっていくために、何か補助金的なものができますかどうか、それについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/72
-
073・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 私は、先ほどからいろいろお話がありましたが、看護婦の対策は非常に足りなかった、こういうことでこの委員会でもいろいろ議論があり、おしかりを受けておるのでありまして、私どもも、看護婦問題は、来年度はほんとうにまじめに対策を立てなければならない、こういうふうに考えて、いろいろの問題について、御案内のように、十人の方々に御意見をお聞きするというような会合もいま持っておりまして、この会合を通じて、六月一ぱいにぜひ結論を出してもらいたい、そうして来年度の予算要求に間に合わしてもらいたいと、こういうことを事務当局に強く指示しておりまして、この問題を今後本気で、ある程度の対策を立てたい、こういうふうに思っております。それにつきまして、私もいま御意見を承っておきたいのでありますが、私ども看護婦対策としては、看護婦の足りないのは養成所もふやしたい、あるいは募集人員もふやしたい、こういうことはわれわれの役所の仕事としてできます。ある程度設備の補助金を出すとか、あるいは奨学資金を増すとか、あるいは病院の看護婦養成所の運営費の補助金を出したいとか、こういうふうなことは私どもとしてできると思います。
それから、もう一つの問題は、国立病院において、ある程度看護婦の基準を上げていく。特に深夜手当など、私どもいまでは不十分だ、こういうものを改善していきたい、これを考えておりますが、看護婦として修業した方はいま自由業でありまして、こういう方々に対するわれわれの力というものはないということはおわかりいただける。すなわち、私どもは間接的に国立病院でその範を示して、そうして少しでもその引き上げの方向に持っていくよりないじゃないか。あるいはいまの保育所の問題にしてもそういう問題でありまして、直接私どもの診療所、あるいは病院については、いまの最低賃金の問題もあるわけではありませんし、なかなかこれはむずかしい問題、これは前にも申し上げて、はなはだ投げやり的だと仰せられましたが、ともかく現在まで民間の商工業においても、大企業と小企業は非常に格差があったが、人手不足のために中小企業もやむを得ずと申しますか、だんだんと給料が上がってきて格差が非常に減少を来たしておると、こういうことで、私は、医療機関においても同じ現象が当然起こらざるを得ない、こういうふうにいま考えておるのでございまして、いま申すように、われわれは、国立の、いまの国家公務員において、ひとつ基準の引き上げによって民間に範をたれると申しますか、民間にこれはならってもらう、こういうことしかないように思っておりますが、そのいまの民間の企業に従事されておる看護婦さんの待遇等について、国として規制をするということについてはなかなか困難な問題があるということは御了承願いたいと思うのでありまして、その前の養成施設等につきましては、できるだけの手を尽くして対策を立てたい、こういうふうに思っております。これらの問題につきましては、まあある程度私どもがここで公約を申したとおり、期待していただけると思います。そういうことでありまして、これは非常に私設機関における従業員の問題は非常にむずかしい問題だと考えておりまして、これにつきまして、もし御意見があれば私ども十分承りたいと思います。こういうふうに思っております。
それから、いまの補助金の問題は、ことしあたりでも、公立のやつはたった一億円しか計上していない。これは私どももっとふやしたい、相当な養成所を増すためには補助しなければならない。それから、私設の問題はいまのような障害がございます。しかし、私は、これではいけない。すなわち、私設の問題についても私はひとつ考慮しなければならない、かように考えて、いままではできなかったが、いまのようなことも当然考慮しなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/73
-
074・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もなければ、本日は、本件についての質疑はこの程度にとどめておきます。本日はこれにて散会いたします。
午後三時十二分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02519640512/74
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。