1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月十四日(木曜日)
午後一時二十三分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 鈴木 強君
理 事
亀井 光君
高野 一夫君
柳岡 秋夫君
委 員
加藤 武徳君
佐藤 芳男君
徳永 正利君
丸茂 重貞君
山下 春江君
山本 杉君
阿具根 登君
小平 芳平君
林 塩君
国務大臣
労 働 大 臣 大橋 武夫君
政府委員
郵政省人事局長 増森 孝君
労働大臣官房長 和田 勝美君
労働省労政局長 三治 重信君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○中小企業退職金共済法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○労働問題に関する調査(金沢郵政局
管内における労働問題に関する件)
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001・鈴木強
○委員長(鈴木強君) ただいまより開会いたします。
中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑の通告がございますので、これを許します。柳岡秋夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/1
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002・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 大臣が来られましたので、先般の委員会で若干触れた点もあろうと思いますが、基本的な問題について大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
この中小企業退職金共済法というものが、中小企業労働者の雇用の安定なり、あるいは福祉の向上をはかる面で確かに寄与する面は多いと思います。しかしながら、基本的な問題として、こういう退職金制度をつくる以前の問題として、もっと中小企業、特に零細企業に働く労働者の雇用安定なり福祉の向上をはかるためには、たとえば厚生年金なり、あるいは失業保険なり、あるいは労災保険なり、こういうものをまず解決をすることが私は必要ではないか、こういうふうに思うのですが、こういう点についてどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/2
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003・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) お説はまことにごもっともでございます。労災保険、失業保険は、五人未満につきましては適用がまだ行なわれていない部分もございますが、これにつきましては、かねてから当委員会におきましても、全面的に拡張適用すべきではないかという貴重な御意見を幾たびか承っておる次第でございますが、労働省といたしましては、御意見のほどもございますので、なるべく早い機会に全面適用にいたしたい、かように考えまして、すでに今年度より準備に着手をいたしております。できれば四十一年から全面的に労災保険、失業保険を適用したい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/3
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004・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 具体的なそういう適用の案と申しますか、どうやって適用していくかというような問題で、いま大臣も言われましたように、厚生省、あるいは労働省、あるいは社会保険庁、これら三者が一つの会をつくられておるわけですが、四十一年度から実施をしたいということであれば、もう相当こういう調査なり、作業が進められているというふうに思うのですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/4
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005・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) ただいま大臣からお答えを申し上げましたように、労災及び失業保険につきましては、四十一年度五人未満までの適用拡大ということでございますので、御趣旨のように、当然私のほうとしては十分準備をいたさなければならないわけでございまして、労働省におきましては、官房の企画参事官を中心といたしまして関係者の会合を持ち、その上に安定局長、基準局長、官房長の私と幹事会を持って、すでに月に二、三回ずつの会合を行なっております。さらに、直接の関連はございませんけれども、密接な関連があります厚生省の問題がございますので、局長ランクの会合を過去において一回、課長ランクの会合を過去において三回ほど開会をいたしまして、問題点についてそれぞれ意見の交換をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/5
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006・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それは先ほど大臣の言われた四十一年実施を目途として結論を出す、こういうことで確認をしてよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/6
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007・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/7
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008・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そういうやはり前提となる問題については積極的なひとつ意欲を示して、ぜひいま確認をされましたように、四十一年度と申しますと再来年ということで、ちょっと問題があろうかと思いますけれども、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
それと、もう一つは、こういう退職金というのは、どちらかと申しますと、賃金のあと払い的性格のものであり、私は、これは当然労使の団体交渉によってきめるべきものではないかというふうに思います。したがって、単にこの法律の宣伝をして適用をさせるということだけでなくて、やはり労働組合の結成と申しますか、そういう組織化の問題、あるいは労働条件は労使対等の立場できめていくんだというような、そういう行政指導、そういうような面にやはり力を入れていくのが本筋ではないか、こういうふうに思うんですが、先般の委員会で、そういう点については、地方の労政事務所ですか、そういうところを通じて十分やっておるということでございますけれども、基本的な態度として、やはり労働省としてはそういうことも十分頭に入れてひとつ行政指導をしていただきたい、こういうふうに思うんですが、その点の労働大臣の御見解を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/8
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009・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 中小企業におきまする労働組合につきましては、従来からとかく問題があったことは御承知のとおりでございます。労働省といたしましては、労働組合の性質上、労使対等の立場に立って労働条件について改善をはかっていくという目的で健全な成長を促したい、かように考えまして、あらゆる機会にこれが指導のため努力をいたしておる次第でございまするが、中小企業の労務問題の重要化に伴いまして、このことは近年一そうその必要性を増してきておるわけでございます。すなわち、労働省といたしましては、中小企業の労務管理というものにつきましてできるだけの指導をいたしまして、そして労働条件を改善いたしますると同時に、組合の組織化につとめ、また、健全化につとめたい、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/9
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010・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 まあ特に私がこのことを申し上げましたことは、今回の改正案が、中小企業基本法にのっとって、現在までの二百人から三百人に引き上げたと、こういうことも一つの改正になっているわけです。これは私はやはり形式的なものじゃないかと思うのですね。少なくとも従業員が百人以上、あるいは五十人以上の職場にあっては、当然労働組合というものがなければ、民主的な現代の雇用関係ではないと私は思うのですね。したがって、そういう三百人までこれを拡大していくというようなことは、これは何かあまりにも形式的であって、そういうことよりも、もっと五十人未満、三十人未満、特に五人未満、こういうところの事業所に働く労働者の立場に立って、法の充実改正と申しますか、そういうところにもつと重点を置く心要があるんじゃないか、こういうふうにも考えておるので申し上げているわけです。そういう点については、まあ逐次この内容についてお伺いしていきたいと思いますが、次に、先般の委員会で亀井委員の質問で、この法律が成立した場合、一体どのくらいの退職金になるのかという質問に対して、掛け金が二千円の場合には二十年で百六万九千円になる、三十年で二百二十九万九千円になる、こういうふうに申されました。しかし、これはあくまでも掛け金が二千円という場合ですね。ところが、掛け金というのは、これは事業主が一方的にきめるものだろうと思うのですね。それは労働者とある程度話し合いをしていくかもしれませんけれども、しかし、労働組合もない、あるいは中小企業の労働組合があっても、それは非常に力が弱いということになれば、当然事業主としては、そう多くの掛け金はかけられない立場にあるのじゃないかと思うのですよ。したがって、単に百万円以上の退職金がもらえるのだというような宣伝だけではちょっと納得いかないわけです。現在、大企業と中小企業の賃金は非常に格差が縮小しつつあると、こう言われておっても、まだまだその格差というのは非常に拡大されていると思います。特にこの三十人未満の労働者と、五百人なり千人以上の労働者の間では、いまだ五〇%以下やはりの賃金の格差というものはあるわけですから、ですから、そうした場合には、掛け金も、勢い二千円というような掛け金はおそらくできないのじゃないか、そうすると百万円どころか、それ以下の退職金が大多数の労働者には適用されるのではないかというふうに私は思うのですけれども、そういう点について、現在、単に二千円の掛け金ということでなしに、百万円以上もらえるような労働者が大体どのくらいいるのか、あるいは百万円以下の労働者が、たとえば二十年なり三十年つとめてどのくらいの適用対象労働者がいるのか、そういう点がもしおわかりになりましたらお伺いをしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/10
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011・三治重信
○政府委員(三治重信君) 東京都の「中小企業退職金事情調査」というものによりますと、会社都合の退職で、高等学校を出た者が、大体三十年で百六十七万二千七百円、中学出で百四十一万四千五百円、それから、自己都合の場合に、高等学校が三十年で百四十九万三千六百円、中学が百二十七万五千円。それから大阪府の退職金事情調査、これも同じような会社都合、自己都合、高校、中学ということでやりますと、同じく三十年で百六十一万四千五百五十一円、百二十万六千二百一円、百四十六万八千六百十六円、百八万一千二百五十六円というふうになっておりまして、これが二十年になりますと体約半分になりますから、二十五年以上くらいにならないと百万円の退職金が、民間の中小企業におきましてのいわゆる労務者、職員で、大学出は別として、百万円以上となると大体そんな基準ではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/11
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012・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それは、この法律が成立をすると掛け金が二千円まで上がるわけですね、それで、千円以上は二百円刻みと、こういうことになるのですが、それを適用してそういう数字になるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/12
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013・三治重信
○政府委員(三治重信君) いや、いまのは東京、大阪でそういう退職金の事情を調査した場合に、中小企業の退職金の平均値がそういうふうになっておりますと、こういうことでございまして、退職金の事業団のほうでまいりますというと、千円かけて三十年で百十六万二千円、現在の最高が千円になっておりますので、これで三十年で千円の場合には百十六万、今度それが上がって千四百円の場合にはこれが百六十一万、だから、ちょうど民間の先ほど申し上げました高校の三十年で、東京も大阪も百六十万円台でございますから、そういうところからいくと、事業団では、千四百円を三十年間かけないと百六十万円にはならない、最高の二千円をかけますと、同じく三十年で二百二十九万九千二百円、これが二十年になりますと、千円で五十四万円、それから千四百円で七十五万二千円、二千円で百六万九千円ということですから、やはり民間と同じように、大体三十年の場合と二十年では、二十年が半分になる、この比例は大体保っておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/13
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014・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 もちろん掛け金は年々改定をされていくというふうに思いますので、たとえば二十年で退職した場合に、百万円以上と百万円以下がどのくらいの割合かといっても、ちょっと把握をしにくいというふうに思います。しかしながら、掛け金というものが事業主のほうできめるということになりますると、やはりその企業経営の内容なりによって非常に影響があると思いますから、私は、百万円以上もらえるんだというような、これは厚生年金の一万円年金と同じようなことになるかもしれませんけれども、宣伝はちょっと当たらない面が出てくるのではないかというふうに思うのでございます。
そこで、次に、特定業種の問題で若干お聞きをしておきたいと思うのですが、一体、特定業種については政令ですか何かで定めるというふうになっていると思うのですが、どういうものを特定業種として指定していこうとするのか、まずその辺をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/14
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015・三治重信
○政府委員(三治重信君) いま予算化されておりますのは建設業だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/15
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016・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 現在は建設業だけでございますけれども、そのほかどういう業種を予定されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/16
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017・三治重信
○政府委員(三治重信君) 現在のところ、予定している業種は当面ございません。ただ、こういう建設業のごとく、主要職種が、こういう期間を定めて雇用される者が主体となって産業が構成されているというふうな業種を考えてみますと、林業と港湾、同じような形態はその二業種ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/17
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018・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そこで、この中でその「期間を定めて雇用するもの」、こういうふうになっているわけですが、この建設業等におきましては、常雇いと申しますか、それが非常に少ない。ほとんどが日雇い的な労働者ではないかというふうに推察をされるのですが、現在、日本にどのくらい建設業者があり、そして労働者がどのくらいあって、その中で期間を定めて雇用される労働者は一体どのくらいあって、そのほかはどういう雇用の形態になっておるか、把握しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/18
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019・三治重信
○政府委員(三治重信君) 現在、建設業の事業主としての調査は、三十五年の事業所統計調査によりますと、企業の数が十八万六千四十七、個人企業が十六万一千七百七、法人企業が二万四千九百二十一と、この数字が合いませんのは、法人企業になっていない連合体、個人企業以外のものがあるので一致していないというふうに「注」がついておりますが、そういう状況でございます。そのうち、建設業者は特に登録制度をとっております。その登録には大臣登録と知事登録がある。大臣登録は二府県以上にまたがる工事をするもの、知事登録は一府県の中で工事をするものというふうなことになっておりますが、登録業者の数は、大臣登録で三千七百八十四、知事登録で八万七千三百五十三というふうになっておりまして、一般の事業主の調査、ほんとうにいわゆる建設業者として官公需その他大きな工事が受注できる業者は非常に少なくなっているような次第でございまして、中小零細企業が非常に多いということがこれでおわかりになるのじゃないかと思います。
それから、労働者でございますが、三十五年の国勢調査の一%集計というものによりますと、一切がっさい全部合わせて二百七十万三千人というふうになっておりますが、その中で、主として建設関係と申しますか、ことに建築関係の技能者で約九十七万七千六百人が主体となっております。それから、現在の統計で、常用、日雇いの区別がはっきりわかる資料は残念ながらございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/19
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020・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いま三十五年の資料ということでしたが、先般の、退職金制度があるかどうかという資料も、三十二年の資料というふうに、非常に資料が古いのです。少なくとも三十五年と、三十六、七年、八年という段階になりますと、私は、オリンピックのせいでもないでしょうけれども、とにかくもっともっと建設業者の数なり労働者はふえているような気がするのです。したがって、そういう点を把握しないで今度この法律をつくって建設業者にこの法律を適用させるのだというのは、ちょっと手ぬかりがあるのじゃないかと思うのです。やはり法律でこの特定業種として建設業を指定をして、これを適用させるのだというならば、確実な資料によって、これくらいの業者がおって、そうしてその企業別の、いわゆる三百人以下の建設業者はどれくらいか、あるいは二百人以下はどれくらいかという、そういうものをはっきりつかみ、労働者はどれくらいかということもつかんでおかなければ、単に法律をつくっても、これはほんとうの意味で——いわゆる積立金との関係もあるでしょうし、いわゆる財政的な面もあるでしょうし、問題があるのではないか。そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/20
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021・三治重信
○政府委員(三治重信君) 毎月の、何と申しますか、労働力調査というふうな、いわゆるアクチュアルの動きの労働者の数のつかみ方もございますし、今度われわれがこの制度を考えましたのは、やはりユージュアルな、常態としてこういう建設業に、主としていわゆるそれを専業的にやる者の数というものを調べるためには、やはり国勢調査とか、きちんとした悉皆調査のほうが資料としては正確ではないかというふうな考えでそういう資料を申し上げているわけでございます。ただ、トータルとしての、何と申しますか、毎月の雇用の変動のいわゆる労働力調査、また、毎月つかまえている労働者の賃金、労働者の数ということになりますと、一つの一定の抽出調査とか、あるいは規模が限定された調査というふうになっておりますので、そういう資料を申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/21
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022・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そういうはっきりした建設業者を把握し、労働者を把握していないから、私は、先般新聞で報道されたような、ああいうタコ部屋的な問題も出てくるんじゃないかと思うんです。やはりあの問題はきょうの問題とも直接には関係ないかもしれませんけれども、しかし、私は、相当大きな基本的な問題では関係があると思うのです。いわゆる建設労働者がいまどういう労働条件で働いておるのか、その辺をやはり労働省としては常に把握をしておく必要があると思うんです。非常に現在公共投資ブームで、建築ブームで、建設労働者の賃金もよろしい、あるいは非常に景気がいいと、こういうことをよく耳にするのですけれども、その陰には、やはりあの新聞で報道されたようなタコ部屋的な中で非常に長時間労働させられ、そして、しかも、賃金は上前をはねられてしまう、そのために労働者は転々として事業所を変えていく、こういうことがあるわけです。ですから、そういう面で、非常に建設ブームで景気がいいように見えても、建設労働者の労働条件の実態というものはそれほど必ずしもよくないと、こういうふうに思うんですけれども、労働省はその点をどういうふうに把握しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/22
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023・三治重信
○政府委員(三治重信君) ときどきタコ部屋的な、いわゆる強制労働の行なわれている例が報ぜられるし、また、事実そういうものが若干はあると思うんです。しかし、全般的に見ますと、業界として、こういうふうな退職金共済制度までやろうという意欲、それから、労務管理について、何かもっと適切なものはないかといって、業界全体として非常に研究されておる。それから、今度いろいろ各業界の中で、専門工事関係の業者団体、たとえば左官組合の全国連合会、大工関係はそれほど強力なのはございませんが、東京都の組合、とび、そういう職種別の、何と申しますか、各業界に当たってみましても、非常に近代化する、また、労務管理をもっと近代化しないと自分たちの必要とするあと継ぎができない、そういう意味において、もっとやはり他の産業の労務管理、または労働者の待遇というものと比較して遜色のないようにしていこうという意欲が非常に強いものでございます。その一端として、ぜひ労働省に、雇用形態として常用化できない、しかしながら、常用化したと同じような労務管理、また、労働条件をできるだけしていきたいというふうな意欲のあらわれが出てきておりますので、逐次そういう労働条件は改善され、労務管理も改善されてきているというふうに考えておりますとともに、将来もこれを契機として、もっともっと近代化していく立場にあるのではないかというふうに推定しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/23
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024・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いま全体的に労働力の不足を来たしている中で、特に建設業の労働者の不足というものは、やはりその中でも非常に多いのじゃないかと思います。そういう中で、いま一部に報道されるような状態の労働条件では、とうていこれは労働者が集まらないことは当然でございますから、そういう点で、この建設労働者の問題だけではございませんけれども、やはり特に臨時雇い的な労働者の多い業種でございますから、労働行政としても、あるいは基準行政としても、もっと徹底的な対策なり指導をしていかなければいけないのじゃないかというふうに思います。そこで、そういうやはり根本的な労働条件なり、あるいは作業環境の施設の改善、こういうことを、まず、これも上番最初に質問したと同じようなことになるかもしれませんけれども、まず、そういうところを手がけていくのが先決問題であって、そういうところをほっぽらかしてこの問題のみに集中をしておっては、私は、決して労働者の雇用の安定というような、福祉の向上というような面は達成できないというふうに思います。ですから、ぜひそういう面を十分労働行政の中で徹底してやっていただきたい、こういうふうに思います。
そこで、まず、具体的に入っていきたいのですが、たとえば期間を定める雇用者、こういうことになりますけれども、その期間とは一体どのくらいの期間をいうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/24
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025・三治重信
○政府委員(三治重信君) 建設業の例で申し上げますと、たとえば一つのビルディングを請け負う。そうすると、ビルディングの下工事から完成するまでの期間、その間に何と申しますか、とびが主力になるときもあるし、大工が主力になるときもあるし、塗装が主力になるときもある。そういう一つの工事なり事業を完成する間の、何と申しますか、雇用される者は「期間を定めて雇用される」というふうにいっております。雇用形態、いわゆる事業主対個人の関係の日雇い、常用とは関係がないと、そういうふうに適用していきたいと思っております。もちろん常用として、何と申しますか、きちんといわゆる工場、事業場における本工あるいは職員的な身分、雇用形態としてそういうふうになっている方は一般の事業団のほうの加入になるわけでございます。したがって、臨時日雇いの雇用形態をとっておられる方で、そういう事業によって期間がおのずから定まったような労働をするという方たちが全部こちらに入る、こう考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/25
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026・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そうすると、たとえば、いま出かせぎと申しますか、東北方面から非常に農閑期なり、あるいは冬なりというような形で出かせぎ的労働者が多いわけでございますが、そういう人たちは一体どういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/26
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027・三治重信
○政府委員(三治重信君) たまに、何と申しますか、ある年に誘われて行ったという方は、そのときだけということになるわけですが、われわれの、この「期間を定めて雇用される者」で、これに何と申しますか、適用になるのは、そういう期間を定めて雇用されるのが常態となっておって、その生活の主力となるような人たちをさしております。すなわち、毎年何と申しますか、出かせぎをやられるという方は、これはぜひ入るわけですが、先ほど申し上げましたように、たまたま行くというふうな人たちはこれに入らない。それはどういうわけかと申しますと、何と申しますか、この共済制度はずっと累年印紙を張っていって初めてその業界から抜けるとき、あるいは五十五歳とかという一定の年齢的な稼働期間を過ぎると退職金をもらう制度にしておりますので、まあ一生のうちで二、三回しか、自分は本業ではなくて、ほんとうの、何と申しますか、臨時にちょっと行ったというふうなのはこの制度を適用しても意味がないわけですから、そういう方たちは抜けられるように規定していきたい。法の趣旨は期間雇用者であるけれども、それを建設業に従事することによって主として生活を営む、したがって、農業が従で、主として一年の大半を、過半数を出稼ぎのいわゆる建設業に従事されるという方たちはこれに入れていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/27
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028・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そこで、この法律の八十条ですか、これによりますと、この法律を適用されると申しますか、これを契約できる者は中小企業者でなければできない、こういうふうになっておりますが、しかし、この建設業の実態を見てみますと、大手のいわゆる建設業というものは、非常に全体の建設業界の中では膨大な労働者を持ち、そして、工事量にしても相当な工事をやっていると思うのですね。さらに、また、先ほどちょっと申し上げましたように、建設労働者の移動というようなものも非常に激しいということを考えますと、この大手建設業者を含めないということは、やはり何か片手落ちのような気がするのですがね。どうしてこの大手業者を除いたのか、大手業者にはそういう退職金の制度があるから必要でないのか、あるとすれば、大体その退職金制度を持っておる割合はどのくらいなのか、そういう点がおわかりならお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/28
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029・三治重信
○政府委員(三治重信君) こういう期間を定めて雇用される方に適用する、しかも、それを中小企業になぜしぼらなければならなかったかということでございますが、一つは、こういう退職金共済制度でございますので、この法律の中に入れていくためには中小企業にしぼらなければならないという形式的な理由が一つ。それから、実質的には、一般の退職金というのは、先ほど先生からもおっしゃられたように、労使がきめていくことなんで、自主的にきめることで、何も政府が特別な援助をするものではない。ただ、中小企業であるということによって政府からいろいろ奨励、補助も出すし、めんどうをみるという考え方が出てくる。だから、どうせやるのならば、政府としては、中小企業者に限るべきだというのが一つの理屈でございます。それから、今度さらに現実的の実際問題といたしまして、建設業の関係におきましては、そのほとんどが大企業、大元請を中心として、下請作業によって下請、また、再下請という形で事業がピラミッド型に行なわれる。その実際の労務者を使うのは、そういう再下請の現場の中小企業者がこれを実際労務者を雇用していくという現実に徴しまして、中小企業者にしぼっても建設業の労務者のほとんどがカバーされるという考え方でございます。理論的には先生のおっしゃるとおり、もしも大企業が直営でそういう期間雇用をやった場合にはそこだけ抜けるのではないかという議論はありますが、実際問題としては、大企業が直営でそういう期間雇用の労務者を雇って事業をやっているのはほとんどないという現実からいって、実際問題としては問題がないという、適用としては漏れなくできる態勢にあるというふうに信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/29
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030・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そうすると、この元請事業主のこれに対する責任というものがこの法律で明確になっていないような気がするんです。中小企業退職金共済審議会の答申の中では、事業が数次の請負によって行なわれる場合においては元請人を事業主とみなす、こういうような答申がなされているわけですが、なぜこういうことをはっきりさせないのか。雇用の責任、あるいは掛け金納付の責任をすべて下請のほうに負わしておるということは、答申との関係からいってもおかしいし、また、実際の建設業界を見ても、ちょっとおかしいような気がするんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/30
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031・三治重信
○政府委員(三治重信君) 答申にありますように、われわれも、一つの建設事業が行なわれる場合に、元請が一番上に控えておって、各工事現場で、普通ならば二十、三十、多い場合には数十という各中小企業者がまた下請として従事するという場合に、これを簡便にやるためには元請がそういう責任体制をとってくれることを望んでいたわけであります。ただ、先ほど申し上げましたように、この法律の中に、この特定業種の退職金共済制度を入れるという形式的な制約と、実質上、元請がそういう中小企業者の肩がわりをして、元請でやれるようならば、元請が組合をつくって、そうして自主的にやればいいんじゃないか、元請に全部そういうふうに責任を負わせるならば、何も国が直接援助しなくても、業界でやらせればいいんじゃないか、こういう一つの理屈からいって、その元請に法律上の責任を負わすのは、やはり形式的な理論でございますけれども、法律の構成としては非常に困難だということになりまして、この中の、実際に提案をいたしている法案におきましては、元請が事務の委託を受けて処理することができるというふうにいたしまして、その実用化をはかったということでございまして、法律上は、非常にそういう点におきましては一歩後退になっているということは言えると思いますが、いずれにいたしましても、組合をつくって、その組合をつくることによって団結をしてやっていこうというふうに考える場合に、どうもこの元請が全部何でも引き受けて、経費も全部負担するというような理論諾成が十分法律上なかなかできなかったわけでございます。その点は、われわれのほうも、実際の運用につきましては、元請が十分その責任を果たしていけるような実際上の処理をやっていきたい、これは大臣も、設立にあたりましては、そういうことにつきまして元請にも十分責任を負わす体制で、設立の認可、その他業務の運営について指導していくというふうな考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/31
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032・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 実際に、確かにこの元請人、あるいは下請人ということで、形の上でそうなっておっても、建設業界の場合は、これは単に形の上だけであって、やっぱり実質的には元請人が一切下請の、何と申しますか、企業の命脈を握っているというか、そういう点が多分にあるような気がするんですね。しかも、先ほど局長の言われた、第八十四条で事務処理を元請人にやらしておるということになりますると、何か実際がいま言ったような建設業界の実態ですから、これはある程度そうなるかもしれませんけれども、さらにこの元請人の下請業者に対する支配と申しますか、あるいは権限というか、そういうものが非常に強くなるような気がするのですね。ですから、やはり元請人の責住というものをもっと明確にしておく必要があるように思うのですが、そういう点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/32
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033・三治重信
○政府委員(三治重信君) 趣旨としては同感なわけでございますが、ただ、法律構成なり、これを政策としてこういうものについて国の奨励補助を出していく態勢をとる場合に、やはりその中小企業者から離れたほかのものの援助なり、または負担というものをどうも法律上書けないということになったわけでございまして、その点は、先ほど申し上げましたように、労働省としては、この元請人についての規制または援助のしかたというものについては、十分この組合の設立、また、今後の運用にあたって指導していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/33
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034・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 もしこの事務を元請人に処理をまかしておくということになった場合、たとえば労働者が働いても、元請人の事務のほうで印紙を張らなかったというような場合が起きたとき、一体だれがそれじゃ責任を負うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/34
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035・三治重信
○政府委員(三治重信君) これは私たちがこういうことで考えましたのは、一つの現場に普通の例で二軍三重の下請業者が区分けされて働いているという場合に、やはりそういう零細企業の場合においては事務処理が非常にやりにくい、それが元請のほうは監督機構——事務処理の専務町を持っているわけですから、そこへ委託をするというふうなのが実際上も簡便ではないかということでこういうことを考えたわけであります。それから、事実この法案の作成にあたっても、理屈上、理論を追っていきますというと、相当詳細にもっと規定しなければならないこともたくさんございますが、やはり実際の事務処理を考えた場合には、やはり期間的な雇用をされるような現場そのものも、工場、事業場みたいに、一つの場所に固定して長年あるわけではないということからいって、事務はきわめて簡素化、単純化していこうということで、何と申しますか、スタンプ・システム、あるいは各労務者も、それをいつまでも記録を自分で持っていなければそれがよくわからないということのないように、手帳制度も簡便化して、記録は全部組合本部のほうで記録をしていく体制をとっているわけでございます。そういう何と申しますか、もしも張ってくれない場合はどうなるかということにおきましては、したがって、組合で処理する。各県にも、何と申しますか、支部を設けます。それから、各業種それぞれ何と申しますか、にも事務を委託して、たとえば、したがって、現場において塗装工が張ってもらえなかったという場合には、その塗装の組合に申し出れば、なぜ張ってくれなかったかということがわかるようにしていくということで、そういう苦情処理や事実のそごというものにつきましては、各業界の支部で責任を持ってその処理に当たって、いざこざがないようにしていくような規約をつくらせていきたいというふうに考えております。そういうような業務の運営につきましては、法律上は一切定款できめていく、こういうふうになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/35
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036・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この手帳は労働者自身が持っているわけでなくて、元請人なり、あるいは組合で保管しているわけですね。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/36
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037・三治重信
○政府委員(三治重信君) 雇われたときに、そういう事務をやる都合上、その印紙を張る手帳は工事現場に預ける。しかし、その加入の証明の基本的な、本人が一度加入したことがあるというその物は、本人がその加入者であるという証明のやつは本人に持たしておくわけでございます。それから、各現場で記録されるものは、それを働く最初の日に出して、終わったときにもらって、また三日なり五日なり過ぎて次の現場に行く場合に、次の現場にまたそれを出す。それが大体半年分の印紙が張られた場合にはそれを本部に送ってしまう、こういうふうなかっこうで、したがって、そのあとは、各本人には六カ月単位ないし一年単位で、自分はどれだけの加入期間が計算されているかということを通知を受けるというかっこうにしていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/37
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038・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そういうことであれば、ひとついろいろ行き違いなり、やはり問題が起こりかねないとも思うのですね。ですから定款でそういう面については十分やっていきたいと、こういうことですが、労働者の不利にならないようなしっかりしたものをつくってもらわなければならぬというふうに思います。
それから、この退職金支給の掛け金の納付月数なんですが、一般の中小企業の場合はこれは十二カ月と、こういうふうになっておりますが、この建設業者に限って三十六カ月というふうに定めておるということは一体どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/38
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039・三治重信
○政府委員(三治重信君) 一般の事業団加入の事業主の退職共済の場合には、個々の事業主に雇われる期間で計算されるようになっているわけでございます。ところが、こちらの期間を定めて雇用される部面の特定業種のほうは、一人の事業主から他の事業主にかわるのに、あるいは三カ月の場合もあるし、あるいは六カ月の場合もある。そういうのが重なっていくわけでございますので、事業主をかわることが退職の事由または退職金支給の条件にならないわけでございます。この期間を定めて雇用される労務に服している間は退職金がないわけでございます。ただ、けがをしてそういう大工ができなくなったとか左官ができなくなったとか、あるいは特定の会社に常用として雇われてしまう場合とか、あるいは自分で独立の、何と申しますか、今度は事業主になるというふうな場合に退職の事由になる。一般労務者をずっと長年やった結果は、これは省令で定めることになっておりますが、大体いわゆる一般的に定年的な概念で、五十五歳程度まで働いたならば、それで一括して退職金がもらえるというふうな規定にしていきたいと思いますが、そういうのが退職条件になるわけでございまして、事業団の退職条件と全然退職事由が異なってくるわけでございます。たとえば一種の比喩的には、むしろこれが厚生年金を一時金としてもらうというような退職金の規定になるわけでございます。したがって、当初の一年二年の間しか退職金をもらえないような人は、臨時にこの事業に就労した者しか適用がなくなる。しかも、法律そのもので、臨時的なものはその適用をされない、これを常態として主たる職業としてやるものについて適用する、こういうことになっていますので、最初の適用期間を十二カ月にするのは、理論上あまりにも短か過ぎるのではないか、三年の程度がいいんじゃないかということで現在三年にしております。しかし、これはわれわれも自信があるわけではございません。実際やってみて、その間にもっと支給期間を短くしたほうが、より現実に合うということになれば、これを改正するにやぶさかでございませんが、一応理屈や実際の運用を考えてみますというと、三年以上この業界に働く者でなければ、やはり業として働く常務者ではないんじゃないかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/39
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040・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 雇用の形態が、一方では個人に雇われるもの、一方では期間を定めてと申しますか、一つの工事の期間と、こういう違いがあるからということだけではちょっと納得できないですね。掛け金を納付した月数は、これはたとい間に空白の期間があっても、その期間は当然含まれるはずだと思いますよ。ですから、実質的に掛け金が納付されるわけですから、これは別に差別をする必要は私はないんじゃないか。臨時のものはこれに入れないというような一方の規定があるということでございますけれども、一年ということになれば、私は臨時ということに当たらないと思います。したがって、何か十二カ月と三十六カ月という非常に差があり過ぎるような気がするんですよ。実際に運用してみて、不適当ならば是正をしていきたいと、こういうふうな御答弁でございましたけれども、こういう点はちょっと納得のできないところですが、まあ新しく発足してみないとわかりませんけれども、十分検討していただかなければならぬというふうに思います。時間がありませんから、また次の機会に質問したいと思います。
それから、もう一点だけ内容について質問いたしますと、この退職金の支給基準ですね、これが死亡したときということ、あるいは建設産業から全然離れるというようなときだけ、しかも、そういっても、ほとんど死亡したときに大体退職金が支給されるようなふうに受け取られるような条文ですね。いわば死亡弔慰金みたいな性格になっているような気がするんです。三十六カ月以上になれば、たとい一年なり半年なりおいてまた建設作業に入ったとしても、これは退職金を支給してもいいんじゃないかというように思うんですが、こういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/40
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041・三治重信
○政府委員(三治重信君) 衆議院のほうにおきましても、この規定のまずさ等を言われたわけですが、第八十二条の八での条項で「当該特定業種に属する事業の事業主でない事業主に雇用されるに至ったとき、その他労働省令で定める場合に該当する」という、労働省令で定める場合に、先ほど申し上げました、いわゆる一種の定年の五十五歳程度できめていって、五十五歳に達すれば、いままで働いた月数に応ずる退職金が受領できるようにしていきたいと思います。
それから、いま先生のおっしゃった、三年なり八年なり働いて、一たんこの業からやめて、またあるいは一年後、二年後に再び入っておるものもいいじゃないかというのは、通常はやはりそういう半年、一年この業に入らなくても、また、特定業種から離れるということでなければ、何も退職金を支給しなくて、年功がつけばつくほど有利になるわけですから、短期に切って処理するのは、むしろ組合員のほうは得しておるというかっこうになるわけでございますけれども、その点は、何と申しますか、やはりこの退職金をもらう事由の場合におきまして、法律上はこう書いておっても、本人がやはりこの仕事をやめたんだということを申し出れば、支給するほうとしては、やはり支給資格者には渡さざるを得ないことになるだろうと思います。しかし、実際上本人が病気であるとか、どういうことで働けなくなったとかということは、そんなに調査できない。結局もうこれは私はこれでやめるから退職金をくださいというふうに申請がされた場合には、私は実際支給することになるだろうと思います。その点は、そう実際問題として御心配は要らないと思いますが、法律上は、どうもそういうふうに五年以上たては、ずっと一生涯この業を大工さんがやっているにもかかわらず、三年でもらった、また、五年でもらったということでは法の趣旨に合わないから、いつでももらえるというふうには規定してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/41
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042・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 また次の機会にその他の問題については質問いたしたいと思いますので、きょうのところは以上で終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/42
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043・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もなければ、本日は、本案についての質疑はこの程度にとどめておきます。
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/43
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044・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 次に、労働問題に関する調査を議題といたします。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/44
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045・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 前の委員会で藤田委員からお願いしておきました、金沢郵政局管内の全逓組織に対する特定局長会の不当な干渉について数々述べておりますが、それについて事実かどうかということを調査してきょうの委員会に報告してもらいたい、こういうことになっております。したがって、郵政省としては、当然調査されたと思いますので、その結果を御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/45
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046・増森孝
○政府委員(増森孝君) この前の五月七日の当委員会におきまして、藤田先生から調査をしろ、そして報告をしろという問題をいただいたのでありますが、その第一点はこういうことかと思います。局長またはその夫人が職員宅を戸別訪問し、全逓脱退を勧奨している事実がある、その点について調査をするように。それから、第二点でございますが、第二点は、局長が脱退用紙をみずから印刷して、これを職員宅に配って歩いている事実がある、これについて調査をしろ、こういうお話だと思います。それから、第三点は、女子職員に対しまして、局長がその私宅におもむいて、脱退しなければ首だと威嚇した、こういう事実があるかというのが第三点だと思います。それから、第四点につきましては、能登方面の特定局長会が、二月ごろ、再三にわたって、職員を全逓から脱退させる方針や方法を討議決定したようである、その事実ありやいなやという、この四点だと存じます。そこで、私のほうでは、金沢郵政局を通じまして調査をいたしました結果を、順を追って御報告申し上げます。
第一点の、局長またはその夫人が職員宅を個別訪問して、そして全逓脱退を勧奨しているという御指摘でございますが、これにつきましては、本年の一月二十四日の午後七時ごろに、全特定労組の役員が三名押水局長の私宅を訪れてまいりまして、そして区内の今浜部落というところにおります局員の私宅に案内してもらいたいということで、局長ではない、局長夫人でございますが、その局長夫人に——これは局員ではございません。局長夫人に懇請いたしましたところ、この奥さんは、夜でもございますし、それから、かねてからそのたずねてまいりました局員をよく知っているものでございますので、気軽に、どういうことか知らずに、その部落の亀田某という局員でございますが、その亀田某ほか数名の道案内をつとめたという事実がございます。で、各人に対しましての説得は、もっぱら全特定の先ほど申しました三名が説得をしておるのでありまして、この奥さんは何らそれには関与しておらなかったということでございます。で、局長のほうはどうかと申しますと、局長はその晩不在でございまして、そしてその奥さんが道案内をしたということを知ったのは翌朝でございまして、全く本件には局長はタッチしておらなかったということでございます。もっぱらこの局長の奥さんが、親切心から、何げなく気軽に道案内を買って出たというのが事実のようでございます。
それから、第二点でございますが、局長が脱退用紙までみずから印刷して、そして職員宅に配って歩いたということでございますが、これを能登地方一円につきまして郵政局で調査したのでございますが、脱退用紙をみずから作成したという局長はございませんで、また、職員宅を巡回して脱退用紙を配付した局長もないという報告を受けております。
それから、第三点でございますが、女子職員に対しまして、局長がその私宅におもむいて、全逓を脱退しなければ首だと、こういうふうに威嚇したという御指摘でございましたけれども、そのような事実はございませんという報告でございます。
それから、第四の、能登方面の特定局長会が、二月ごろから、再三にわたって、職員を全逓から脱退させる方針や方法を討議決定したという御指摘でございましたけれども、その能登方面におきまして、特定局業務推進連絡会という会合をやったことはございます。で、その日にちは、二月一日に能登特権連会議これは二十三局長参集しております。で、この主たる議題は、年末首関係の批判会議と申しますか、年末首どういうふうにいったかという批判のことが会議の議題でございます。それから、そのほか貯金と保険の募集の推進について打ち合わせたということでございます。で、この場所は和倉でございます。それから、第二回目は、二月の二十六日に、能登地方の特権連会議というものを、これは七尾でやっております。で、この際にも二十三局長が参集しております。で、この議題につきましては、春闘対策をどういうふうにするかということ、それから、貯金、保険の募集推進について打ち合わせをしております。それから、第三回目は三月九日、このときは能登の交渉委員連絡会議というものを開いておりまして、これは七尾で二十五、六名出席しておりまして、そのときの議題は、春闘に対してどういうふうに対処していくかということが議題でございまして、言ってみますと、いわゆる恒例の横の連絡会議でございまして、もちろん組織介入というような、先ほど御指摘のありましたような事実はないという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/46
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047・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 第一点の、この奥さんが道案内をしたということなんですが、その奥さんは局員ではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/47
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048・増森孝
○政府委員(増森孝君) 先ほど申しましたように、局員ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/48
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049・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 まあ人事局長に申し上げても、問題が問題だけに、むだかと思いますけれども、しかも、局員でない、こういうことでございますから、何とも言いようがないのですが、ただ、その亀田某ほか数名のところへ道案内したといって、おそらくその亀田さんのところへ一番先に行ったとしても、その中でどういうことが話されておったかということは、奥さんも十分御承知だと思うのですよ。そういうことが、まあ奥さんですから、そのことがはたしていいことなのか悪いことなのかということについて判断ができないという面もあろうかと思いますけれども、まあそういう面でもちょっと納得のいかないところがあるわけです。まあこの問題については、いずれまた機会をみて、郵政省としての労働行政と申しますか、労務対策について、なお私たちのほうから希望なりを申し上げていきたいと思いますので、きょうのところはこれで一応終わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/49
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050・鈴木強
○委員長(鈴木強君) ほかに何かありますか。——他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日のところ、この程度にとどめておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十九分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02619640514/50
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