1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十八日(木曜日)
午前十一時八分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 鈴木 強君
理 事
亀井 光君
高野 一夫君
藤田藤太郎君
柳岡 秋夫君
委 員
加藤 武徳君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
徳永 正利君
丸茂 重貞君
山本 杉君
杉山善太郎君
藤原 道子君
小平 芳平君
林 塩君
政府委員
労働政務次官 藏内 修治君
労働省労政局長 三治 重信君
事務局側
常任委員会専門員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○中小企業退職金共済法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/0
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001・鈴木強
○委員長(鈴木強君) ただいまから開会いたします。
理事辞任の件を議題といたします。
徳永正利君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/1
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002・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
つきましては、直ちにその補欠を互選いたしたいと存じますが、互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/2
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003・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に亀井光君を指名いたします。 ——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/3
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004・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は、どうぞ順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/4
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005・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 きょう労働省からもらいました「対資本限界雇用係数表」がありますが、この点をひとつ御説明いただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/5
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006・三治重信
○政府委員(三治重信君) 限界雇用係数と申しますのは、現在ある資本設備に対して、さらに追加投資をした場合に、その追加投資についてどれだけの雇用が加えられるかという、その割合を限界雇用係数と、こういうことになります。それを百万円の追加投資にあたってどれだけの雇用が増加するか、こういう表を通産省の工業統計表によりましてつくったのがこの表でございまして、三十五年、三十六年という表でございます。それによりますと、製造業計で三十五年で〇・六七五六人百万円当たり伸びる。それから、三十六年ではこれが〇・三三〇九人、これはもちろん何と申しますか、年によって、産業によって、その投資が加えられるそれの雇用は、雇用係数の高いところの産業によけい投資されれば雇用係数がふえる、その少ないところに投資されるときには少なくなる。したがって、年ごとに相当の変化がある。したがって、ほんとうの意味の限界雇用係数をやりますと、相当長期にわたって、しかも、技術革新というものがそれほどない場合に初めて安定する、技術革新がいきますというと雇用係数も低下していくと、こういうふうな状況になりまして、単年度でそれを全体だというふうにはなかなかいかないわけでございます。ことに三十五年、六年というふうに、非常に変化があるところは、相当産業によって投資が片寄っている、あるいは技術革新が相当行なわれるというふうに理解すべきではないかというふうに考えます。それで、やはり大体常識のようで、身上の回り品、こういうものは、たとえば設備としてはミシンを投資すればそれだけ雇用がふえる、ところが、化学工業というふうな装置産業になりますというと〇・一三一一というふうに、非常にたくさんの設備をしても雇用はそれほどふえないというふうになるわけでございます。
概略以上のごとくであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/6
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007・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 労政局長、この雇用係数表を委員の皆さんに一部ずついただけませんか、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/7
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008・三治重信
○政府委員(三治重信君) はあ、全部に差し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/8
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009・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこで、機械化の進歩というのは、化学産業を先頭に、非常に進んでいるわけです。それで、まあ手工業に類したところは、わりに投資額に応じて収容人数が多いわけですね。ところが、昭和三十五年と六年の表を見ても、非常に大きな差があります。まあ化学工業で昭和三十六年を見ると、大体二千六、七百万円で一人の就労の場ができていくというのがこれによって明らかなんです。で、たとえば家具とか、そういう手工業的なところは百万円とか、身の回り品、裁縫とか、そういうところは五十万とかいうのがありますけれども、大体この三十六年を限界にして、雇用の係数を見ますと三十七、三十八、三十九年——急速に三十六、七、八には大中小企業が新規学卒に雇用集中をしました。しかし、その雇用集中も三十七年度が限界で、三十八年度は、もはや学卒に対する雇用の殺倒率が三倍、四倍になってきた、三倍、四倍といいますか、四分の一、三分の一に求人と求職との関係がなってきたから、三十八年度は半分も満たされてない、三十九年度に至っては、もうトップ・メーカーでも五、六割しか満たされていないというのが現状だと私は思うんです。そこで、先日から議論してきたのは、学卒と中高年をひとつミックスして雇うような指導計画をしなさいとぼくは主張してきたところなんであります。そうしますと、この化学産業なんというようなものは、ここで〇・〇四ですけれども、もう三十七、三十八、三十九年、今日の時代では、まあ極端にいえば〇・〇一か二ぐらいのところではないかと私は思うんです。そういう大きな、五千万円も八千万円も投資しなけりゃ人一人が働く場所がないような産業ですね。それから、五十万か百万投資すれば一人雇える産業、私がこの中小企業退職金の問題で問題にしてるのはそこなんです。だから、人間にかわって機械が物を生産をして、そうしてそれが社会に貢献するというのだから、このこと自体を非難しているわけじゃない。むしろそれによって国民の生活が向上することだから、いいことだと私は思っているわけです。そのことはいいことだけれども、このようにして中小企業の退職金を保護助成していこう——根本的にいえば、私は、所得保障の年金によって老後の生活が保障される。いまの日本の年金制度は働いている人だけでありますけれども、今日の社会の住民主権——日本も同じですけれども、ヨーロッパ各国どの国について見ても、その働いている人ばかりじゃなしに、妻も子供もその所得保障が行なわれて社会保障が発展していく、こういう問題については、これは厚生省の関係だから、労働省はどうも無関心でおられるようなんです。たとえば厚生年金がこれだけもめていても、労働省はちょうど遠くから高見の見物をされているような感じが私はいたします。非常に残念なことだと思う。それでいて中小企業退職金をふやすことは、そのことだけとってみたら、それに私は理屈をつけているわけでも何でもないのです。今日この法案に対して文句を言っているわけでも何でもない。ただ、保護助成していくところのピントがはずれていやせぬかということを私は言っているわけなんです。化学工業で五千万、八千万投資しなければ一人の就労場ができぬような産業と、五十万、百万でそこへ収容している零細な下請加工工業のようなところに、生産と収益との関係で、私はそういうところに初めて——零細企業、それから経常的にも困難な企業、そういうところに社会保険も十分に掛けられない企業がたくさんある。そういう状態の中で、退職金だけ、かっこうだけで下は百円からよろしい、上は二千円だということでありますけれども、そういう掛けられないところの企業にこそ私は補助金を集中して、五分、一割なんというものじゃなしに、二割も三割も——まあ限界があるでしょうけれども、私は、そういう気持ちでそういう零細なるところを保護してやるというのが中小企業退職金法案の立法のたてまえではないかと思っている。だから、私は、これをやかましく出してくれと言って、ようやく出てきたわけですけれども、そんなに五千万も八千万も出すようなところの三百人の従業員といったら、百億、百五十億、二百億も投資して二百人か二百五十人ぐらい雇って生産をあげているこの業自身に私は文句言いません。けっこうなことだと思うけれども、なぜそういうものをセレクションもしないでそんなところに金を出さなければならぬか、国家のとうとい血税をつぎ込まなければならないかというところが問題だ。私は、労働大臣に、そのことだけは、将来の方向というものは明らかにしておいてもらうために労働大臣に来てくれと言っているのだが、技術的な問題として、私は、労働省の事務当局でそういう問題を今後どういうかまえでそれじゃやっていくのか、ほんとうに第一点の問題は、所得保障の年金の問題が第一に出てくるでしょう。将来は補完措置として、退職金の問題がこれは日本の歴史的なものとして残っていく。これを何も廃止せいとかどうせいとかいう議論を私はしてない。これ自身にも期待があるから、その補完的なものを労働省はやろう、この気持ちはありがたい気持ちなんだ。だけれども、そのやらなければならぬところの労働者の老後の保障、老後の保護という肝心な柱が少し抜けていやせぬか。肝心な柱というのは、これで実際にみんなができるように保護してやるのが保護だ、そうしてもっともっと私はいま厚生年金が問題になっているような、ああいう所得保障のところへ、皆さん方は、厚生省の問題じゃなしに、労働省の問題として取り組んでいただかなければならぬ問題があるのじゃないか、そういうところを私は問題にしているのです。だから、事務当局としての今日までのものの考え方、作業、今後の考え方について、政務次官もおいでになりますから、私は、やはりそういう点はどうしていくのだということのお考えをひとつ聞かしていただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/9
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010・三治重信
○政府委員(三治重信君) 先生のいまの政策的見地と申しますか、人道的見地についての御意見は、私たちも趣旨としては同感でございます。ただ、実際の行なう上における政府の施策のきめこまかいことは必要でございますけれども、補助金の種別を、そう何と申しますか、段階的に短期のものについてはわりあいにできますけれども、長期の部面につきますとなかなか困難だろうと思う。それはやはり産業の興廃によって企業の規模も変わりますし、それをきめていくと、初めは百人の規模のものが、十年、三十年後にその企業は五人になるかもわからぬし、あるいは一千人の規模になるかもわかりません。それではどの点で小規模とつかみ、どの点で大規模とつかみ、補助率を適用していくかという、こういう点で、非常に技術的な点にぶつかってきて、とめどもないような議論になります。したがって、現在厚生年金でも、三万人の大企業におきましても十人の小企業におきましても、補助率は一律にしているわけでございます。ほかの部面の社会保険についての政府の補助率は、非常にたくさん賃金を取っている労働者には少ない補助金を出し、少ない賃金を取っている場合には多く補助金を出すという制度は、理屈はわりあいにまたそういう議論もいいわけですけれども、実際それが長期に対して計算をどこへ基準を置いていくかということになりますと、そういう規模とか賃金の額で補助金の個々人の割合、また、企業に対する種別をつけるということは、技術上非常にむずかしい問題ではないかと思います。われわれも、そういう趣旨については決して異論があるわけではないのですから、今後十分検討していきたい。しかし、現在の政府のいろいろ社会政策上とっている政府の援助または義務負担というものは、全部一律にやっておりますので、われわれとしてその線に沿ってやっていく。先生の御趣旨につきましては、今後ともわれわれは検討していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/10
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011・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 ぼくはそこのところあたりがよくわからぬのだけれども、たとえば所得保障なんというものは、憲法に示すように、主権在民の憲法に基づいて、その個人の所得を保障して生活を保障していくという柱に、企業の類別ではなしに、集中していく性格のものだと私は思う。健康保険しかり、失業保険しかりだと思うのです。いまのような話なら、何で三百人という限界をきめなければならぬのか。それなら千人でも五百人でも同じ企業にみな五%、一〇%出したらいいということになる。これは賃金の補完処置的に社会保障が日本に発達していないから、賃金のあと払いとか、補完処置的な要素をもって退職金というものができて、これは歴史を言ったら長くなるから私は議論いたしませんけれども、そういうところじゃないかと思う。だから、五十人や三十人の限界をきめて、何とか下にあるのを、この社会経済の中で圧迫を受けているという、置き去りにされているところの労働者をちょっとでも救って、少しでも上げていこうという趣旨から出発した中小企業退職金共済法という、そのもの自身については、気持ちはりっぱなものだと私は思うのです。それだからといって、いま所得保障とか医療保障とか、そういう社会保障的な、憲法に基づいてやっているものとの関係で補助金が一律であるからという議論をここへ持ってくるならば、三百人とか五百人とか切らなくてもいい、そんな理屈には私はならないと思う。ここはそういう理屈じゃなしに、大きい会社には退職金がある、小さい会社には退職金がないから、何とか保障してやろうじゃないかという、ここがあたたかい事務当局の努力だと私はほめるわけです。ほめるけれども、肝心のところになったらピントがはずれていやせぬかということ、ちゃんとそういうところはセレクションして、きちんと皆さん方がつくろうという趣旨に合うようになぜされないかということを言いたい、そこなんです。そこのところがどうも途中で、初めはよさそうだけれども、あとになるとみそもくそも一緒になってしまうという議論が展開してくると、どうもわれわれには納得できない。そういう議論をお吐きになるなら、そういうお考えが事務当局にあるなら、それならなぜもっと所得保障の問題で、厚生省ちょっと待て、労働省としては、労働者が千七百万人も八百万人も参加をしている厚生年金の所得保障の問題にほんとうに本腰を入れて、日本のそういう労働者の、たとえば官公労の国家関係の所得保障の問題にあわせてみて、これじゃいかぬから、産業の労働者の何でそこのところにもつと力を入れないのか。厚生年金なんというものはわしのところにもらいたい、わしのところでやるのだというくらいの労働省にかまえがあってしかるべきだと私は思う。その一律なんだという議論なら、私はそういう議論はもうやめましようじゃないか。そういうことじゃなしに、せっかく中小企業、零細企業の労働者の老後の生活をみようというなら、もっとそこに合ったような方法を持ってこられたらどうなのかということが私の議論の中心なんですよ。そこを皆さんも、初めの段階では趣旨は同じだといま労政局長が言われたことは、労働省の皆さん方も、そういう何とかして零細な方々の、そして経営自身に経済的な圧迫があって困難な状態の企業の中の労働者を救っていこうという気持ちは、皆さんだって変わりはないと私は思うのです。変わりはないけれども、そのこと、自体を実現されるようになぜなされないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/11
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012・三治重信
○政府委員(三治重信君) わかりました。確かに御趣旨については私たちも同惑でございます。ただ、いま現在ついております補助金は、掛け金二百円の部分についてだけでございます。その点で、われわれのほうは、今度規模を二百人から三百人に上げるについて、やはり下のほうをもっと補助金を上げようというふうにしたわけであります。その上げるについての何と申しますか、財政当局なんかとの折衝において、そういう先生の御趣旨も予算上の問題としては考えて、また、趣旨としてもいいから、妥協はしようと思ったのですけれども、全然これはもう奨励補助であって、もう最低限度でいいのだ、それ以上は将来にものすごい負担になるから、奨励補助はそうふやすことはできぬというふうなことで、この補助金の問題につきましては最後までもめて、結局手つかずになったという意味で、先生のそういう御意見について、何と申しますか、中身に入るまでに至らずして予算折衝が終わってこれが改正できなかったというふうに御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/12
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013・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこで、それじゃこの中小企業退職金の問題は、私は、この前もこの法案が出たときにやかましく言うたところというのは、皆さんよく御存じだと思っていたのです。だから、今度の手直しのときには、そういうきめこまかくその問題も含めて改正されてくるものだと、われわれもそういう面では応援せにゃいかぬ、こう思ったところが、もう何か一律に、しゃっとただ事務的に扱って出てきたという、われわれも立法府でこの法案を審議するという道義的な責任が私はどうしてもある。道義的な責任が私個人としては免れない感じを持っているからこういう議論をしなければいかぬと思うのです。私は、労働省自身が、現実の産業の実態、経済の実態、産業構造の実態というものを踏まえてそれと取り組んで、一番には、所得保障の問題に全精力を入れていただいて、それで厚生省が年金をやっているから直みの見物じゃなしに、何とか、日本のいまの産業労働力の中の雇用関係の今日の水準を、私が言わなくても、労働省はよく御存じだと思います。雇用労働者というのは産業労働力の中で大体七〇%くらいあるのが正常だと思う。それが五五%やそこらにとどまっているというのは、長時間労働や労使関係や就労状態というものが近代化していない、そのことがいまのような半失業や潜在失業を生んでいるということで、ここで議論しなければならぬのです。そういうものが整理をされていかなければなりませんし、そういう指導を労働省がやらなければなりませんし、週六十時間以上働く者が千三百万人もいるということは、これは経済、貿易等、あらゆる外国との関係において非常に問題になっているのであります。これは事実なんですから、そういうものが整理されてきて潜在失業、半失業というものが解消する。その失業者が顕在化していく状態の中で日本の労使関係の近代化が生まれ、日本の経済、社会が近代化すると思います。私はこういうぐあいに確信を持っております。それなら、そういう状態の中で働けない人の所得保障、家族や子供の所得保障をどうするという議論が出てくる。いまの共済年金の関係者は、何人くらいですか、三百万人ぐらいだと思います。厚生年金は千七百万人くらいあります。共済年金に関係しているのは、公務員と国家機関と地方公務員と、これだけであります。これは急速度に二千万人をこえると思うのです。本来の近代した各国と並べたら、日本は四千七百万人の産業労働力の中で、雇用労働者が七割といたしましたらどうなりますか。三千二百九十万人となります。その大多数はこの厚生年金の利用者になります。それなら何も厚生省にまかしておくのじゃなしに、労働省がそれをひっかまえて今後の労働者の老後の所得保障の問題は全部労働省で引き受けたというくらいのかまえでいまの共済年金との差の問題をどう縮小していくか。老後の生活をいまの産業の労働者、あらゆるところで働いている労働者と農民も含めて所得保障をやっていこうというものが労働省のほんとうの一番大きな命題だと思う。その命題を無関心にしておいでになって——退職金をつくろうということはけっこうです。けっこうですけれども、それが経済、産業の二壁構造の現状をたな上げしてそれが一律に中小企業退職者保護をやると矛盾が出てきます。大きなところになぜ補助金を出さなければならぬか。私は、長期というお話が出ましたけれども、民間投資もここ四、五年の間にウナギ登りに三兆、四兆の投資が行なわれています。この状態で日本の生産機関の投資というものはコントロールされながらも、資金力の裕福なところ、化学産業とかそういうところに集中していくわけです。そういうこの今日の経済の状態を一ぺんに変えるということはできないと思うのです。たとえば日本の石油精製の二割五分から二割八分をあの東亜燃料はやっている。そこでは二千人も従業員はおらない。もっと進むと私は思うのです、化学産業は。一人一億円出さなければ一人の就労の場ができないほど化学産業は進んでいく。これは人間の能力や科学の発展に伴なって、当然なこれは道だと思う。そうなっていく反対に、ほんとうに困っているところもあるのです。所得保障や医療保障の問題とは違う。そういう考えを私は持ってもらいたいと思う。もっときめこまかく生産機関におけるその状態を考えていただかなければならない。五十人も使っている問屋筋なら大メーカーとも太刀打ちできる問屋メーカーですよ。そんなところになぜ援助をやるのか。同じことを零細な生鮮食料を扱ったり、実際に庶民のその日の生活を扱っているところで、どうにもならぬところとそんな大メーカーと同じ率でなぜそんな補助金を出し、税金を使わなければならないのか。そんなことは労働省で、それは事務的には繁雑ではございましょうけれども、産業別に、工業統計でもここに出てくるわけですから、私はそんなことくらいはできるはずだと思う。たとえば労災保険でメリット制をおやりになっています。私はああいう方向を見て努力をしてきた一人ですけれども、ああいうぐあいにして実際の労働災害のメリット制というものが実現できるのです。そんなら、なぜそれに応じてそのような思想でこの退職金の保護措置をお考えにならないのか。これが私のほんとうに考え面していただきたいと思うところです。いまの労政局長の話を聞くと、そこまで議論をしないうちに終わって予算化してしまったというのだが、あなたのところの事務的な方向としてはそれでいいかもしれませんが、私たち立法する者として、また、国民の側からしてみたら、立法作業がおくれたら、国会の末までに整備して出したっていいじゃありませんか。ここは議論をひねくり回すところでない、国会は。だから問題は、その法律そのものがよければ、皆さん専門家ばかりですから、そんなに何日も議論をせぬでも法律にすることはたやすいことだと思っておるのです。だから、そういうところにどうもこだわって、法律を出した以上はなかなか変えられない、またこの議論が次の国会に延長してしまう、そうするとうるさいから、もう修正もせぬとほうっておこうか、こういうことで法律を扱ったら私はいけないと思うのです。問題はもっと裸で社会労働委員会に投げ出されたらいい。どうしたらいいか、もう一ぺんあなた方の意見を聞かせてください、政府の責任で法律をつくるにあたって、あなたの御意見を聞かしてくださいと投げ出して聞いたらいいと思う。この前の法律改正のときからの議論はいろいろありました。ありましたけれども、この一点ですよ。この法律の趣旨は何も反対いたしません。零細についてはよろしゅうございます。法律をつくることはよろしい。補助金も出すぞ、場合によったらもっと上げてもよろしい。これは国家財政の関係だから、何割上げたらいいということは言われませんけれども、もっと零細なところは上げてもよろしい。上げるならほんとうに困っているところに上げようじゃありませんか、こういう議論だけなんですよ。この法律の議論は今度で三回目です。事務的にひゅっと流れてきて、五十人だ三百人だということでは、私はどうもこれは納得がなかなかしにくいわけです。いま労政局長が言われたような気持ちで労働省が新たに取り組むというなら、大きな宿題として、この法案はひとつできるだけ早い機会に手直しをして、やはり国民の経済、社会生活の実態に合ったようなかっこうで法律が出てくることを私たちは期待せざるを得ないと思っておりますが、その肝心なところをはっきりしておいていただきたいと思うのです。きょうお出しになった「対資本限界雇用系数表」はまだ皆さんに出ていないわけですけれども、こういうものでも工業統計が三十六年度しか出ていないとおっしゃるけれども、通産省をもっと叱咤勉励して、去年のものくらいは出ている、それをわれわれ社労委員はみんな知っている、いまの産業の実態がどうなっているか、そこで働いている労働者の状態はどうなっているかくらいのことは社労委員全部、私は皆さん方がこういう資料をお配りになって、お互いに勉強をして、日本の社会実態はどうなんだということくらいはおやりになることは、労働省としてしていただきたい、私はこう思うのです。やかましく言って、この前からちょっと言いにくいことを言いますけれども、そんなものありませんありませんと、ようやく三十五年と三十六年の分は出してきていただいたけれども、こんなもの一年もせぬかて、私はやろうと思ったらできるはずなんです。通産省も似たようなことをやっているからこんなことになるのじゃと思うけれども、もっと政治というものは実態に触れて、実態に触れた法律というものが進んで全体が進んでいくかっこうにやっぱり努力をしていただかなければならぬのじゃないかと、こう思うわけです。だから、労働大臣が後刻おいでになったらこの問題は明らかにしていただきますけれども、政務次官もおいでになっていることですから、労働政務次官も、労働政務次官として非常に御勉強されているということを聞いておりますから、こういう問題についての御所見もひとつ聞かしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/13
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014・藏内修治
○政府委員(藏内修治君) 藤田委員のいままでの話は、私も個人といたしまして、まさに共感を覚える点が非常に多々ございます。このように、まさに御指摘のとおりであろうと思うのでありますが、いずれにいたしましても、今日、労働、厚生両省の所管には、分かれてはおりますが、広い意味の社会保障制度と申しますか、行政のいままでのいろいろな、何といいますか、歴史もございまするし、今日に至りました経過もございます。これらをできるだけ調整をいたしまして、一元的な行政に近づけていく努力は今後も続けてまいろうと思います。ただいま御指摘のような低所得者の所得保障というような面につきましても厚生省でお考えになってはおりますが、労働省といたしましても、賃金研究会などで、広い意味の賃金、退職金や、あるいは賞与、あるいは定年制というようなものを含めまして、非常に広い意味の検討をただいま行なっておる段階でございます。そういう段階を逐次至急に整備いたしまして、いま御指摘のような総合的なひとつ社会保障体制が確立されますように、前向きに今後も検討、努力を重ねてまいりますことは私どももやぶさかではございません。そのように努力をいたしておりますが、今日のこの法案につきましては、ただいま労政局長から何回かお答えいたしましたとおり、現状の現段階におきましては、この程度の法律でまずひとつ御審議を願い、制度としてひとつ発足をさせたい、こういう気持ちでございますので、この辺をひとつ御了承を願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/14
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015・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 次官の、早く法律を通せという気持ちは私はわかりますけれども、私どうもそこのところが——私の言っているのは、やっぱり実態に応じたことを労働省でやる、研究してできるだけ実態に合うようにやるということを約束していただければ、私はそれでいいと思うのですよ。法律の問題は、先ほどから私は言っておりますように、そういうお約束をいただいて課題として、そうしてひとつ法律は通す。私はそういう心境までいまなりつつあるところですよ。本来言えば三回目ですからね、社会党としては。社会党としてばかりじゃなしに、これは一ぺんひとつ出直してもらおうかという気持ちになるのは無理ないところだと思うのですよ、実際言えば。それを何とかして労働省もいろいろ御努力されておるからということなんでね。ですけれども、私はやっぱりその点は次官、しっかりやろうという御努力のほうはよろしくお願いしますよ。
そこで、もう一つこれは関連してお尋ねをしておきたいのですけれども、いま厚生年金がフラット二千円で、平均調整分が千七百円ぐらいで、三千七百円ぐらいですね、平均。調整分が千七百円、フラットは二千円、それで、これをようやく四千円にするか五千円にするか、六千円にするかということで議論が出てきて、ようやく平均値の人が一万円ぐらいの所得保障というようなことにだんだんなりつつあるわけです。共済年金から比べるとまだ半額ぐらいですが、これは共済年金と同じようにやっていこうという方針でだんだん進みつつあるわけです。そこのところあたり、さっきから言うように、労働省はひとつも関心を示されていない。これは残念だという話をしておる。これは今後はそんなことはないだろう。大臣にひとつ約束を私はしたいと思うのです。それから、この前からも申し上げていますが、定年退職の問題ですが、先日鐘紡で、武藤さんがああいう声明を出しておやりになるということになりました。企業によって内容は、定年制の廃止の問題についてはいろいろと意見が出てきて違ってくると思いますけれども、問題は、労働者が五十五歳で首を切られて、そうして厚生年金が五十五歳から支給であったのが六十歳になって、五年間というものは子供の金の出さかりで、生活にあえいでいるという現状なんです。これはもう申し上げるまでもないと私は思うのですが、それでぼちぼち定年制が延びているところとか、または今度の鐘紡のようなところとか、そういうものが出てきておりますけれども、私は、労働者が五十五歳で定年制でやめる。やめて、そのときに退職金かなんか、五年間の食いつぎをどうするかという問題があります。そういう問題から考えてきて、労働力がない人ならばこれはどうにもなりませんけれども、ほとんどの日本の労働者というのは労働力があるわけですから、その労働力がある人が五十五歳でいいところだけとってやめているという定年制の問題については、外国にそんなところはないですね。外国で定年制のあるようなところはないですよ。それを一番効果のいいところだけ使うて、あとはちゃいしてしまうというようなかっこうで退職金とかこういうものが出てくるわけです。その根本をなすものは、労働力のある間働いて、働けなくなったときは国家社会が所得保障で守ってあげるという関連のその一つとして、やはり定年制の問題は重要な事項だと、私はこれと関連してそう思うのです。大きなファクターだと思うのです。どうですか、定年制の問題について研究するというお答えなんですが、倍増計画の民間部会の定年制の問題の検討、それから、定年制の将来の構想を述べられてからもう五年ぐらいになりますね。三十二年、三年をベースにして、三十六年からの倍増計画のときの前の倍増計画の、あのあそこでも定年制問題に触れております。それからきて私は四、五年になると思うのですが、労働省どうですか、この労働者の定年制について何か結論を出しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/15
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016・藏内修治
○政府委員(藏内修治君) 定年制の問題につきまして、最近鐘紡が定年の延長ということを発表いたしまして以来、急速に特に関心を寄せてきておるように思っております。確かに定年制、まあ人間の平均寿命も伸びてきておる今日でございます。定年制は、日本の場合に、御承知のとおり、大体民間企業におきましては五十五歳という点になっております。五十五歳になりましたあとは嘱託とか、その他いろいろな名義で在籍をさしておるところもございまするし、他に転職を勧奨しておるところもございます。そういうようなことで、一がいにすぐに職場を失っておるわけではございませんけれども、いずれにしても、定年が五十五歳というのは現状では少し早過ぎるという声がかなり有力に起こってきております。そういう点から外国の例などをいろいろと労働省でも調査をいたしておりますが、外国の例によりますと、大体年金であるとか恩給というような老後の所得保障の制度がわりあいに早く開始されるわけです。したがいまして、その早い時期にそういう保障があり、しかも、その年金なり何なりの給付率が非常にわが国の場合に比べまして高い水準にございますので、無理に働かなくても、もうこの辺でやめるということで、非常な無理のない退職という状態が行なわれておるようであります。そういう状態から比べまして、日本の場合には、定年を延長するということ自体よりも、定年後のやはりそのような年金制度であるとか恩給制度であるとか、そういうものが並行した形において行なわれませんと、ただ定年だけを延長することだけではたして解決がつくかどうかというような問題もございます。さらに、日本の場合には、公務員、あるいは地方公務員というような点の定年といいますか、定年制は実際に制度としてはございませんけれども、非常にむずかしい問題をかかえておりますので、労働省といたしましても、いま賃金研究会におきまして定年制を一つの重要なる課題として御研究を願っておることであります。そして、その検討の結果をまちまして、内閣全般として、公務員制度調査室というようなものもございますので、それらとも十分意見の調整をいたしました末に結論を出したいと思っております。現在の労働省の定年制の研究というのはそのような形で進められておりますが、まだしばらく時間を要するのではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/16
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017・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 局長、何かありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/17
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018・三治重信
○政府委員(三治重信君) いま政務次官からおっしゃられたとおりでございまして、労働省も、ことしに入って早々、大臣からの下命で、事務当局で各方面の資料を集めて検討しております。ただ、これは法律でどうこう、いわゆる労働立法としてどうこうというふうには見通しとしてはいかない。結局、賃金、雇用との関連でそういうことが転換できる方法を指導奨励していく、こういうふうなことになるのじゃないかと思います。事実、いま政務次官がおっしゃられたように、大企業においては、相当定年制のあるところはその点についてやはり研究をしておるし、そういう事実も出てきておりますので、今後そういう雰囲気は一そう出てくる、ただ、実際の個々の企業レベルにおいては、やはり年功序列型と雇用の量というものとの関連で、やはりそれの行末をはっきりつかめないと踏み切れない問題ではないかと思っております。いずれにいたしても、事務当局でも、具体的にどういう条件の場合にこの五十五歳の定年が延ばせる可能性が出てくるかということについては研究もしてまいっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/18
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019・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 どうもちょっとおことばを返すようですが、外国で定年制があって定年制からあと所得保障になっているお話は、どうも外国は、私の聞き間違いか知らぬけれども、年齢が若くて、そこから所得保障に連なっているというようなお話がちょっとあったと思うのですけれども、どういうところがあるのか、ちょっと知らしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/19
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020・三治重信
○政府委員(三治重信君) いま政務次官がおっしゃられたのは、われわれが調べたところでは、むしろ社会保障制度としての年金が六十歳あるいは六十五歳で開始される、それがあるから、各企業においてはその年齢に達すると自然にやめていく、したがって、何も定年制を設けなくても、企業が残っておってくれと言っても労働者は残っていないのが一般的である。しかし、企業から労務者が不足する、ことにドイツなんかから見れば、もっと残っておって働いてもらいたい、企業側から見れば。そういう意味において、企業は、いわゆる国家が保障している社会保障の年金制度というものが早過ぎるという感じを持っている。企業者も、相当われわれが調べたところでは、若過ぎるというのがある、こういうような意味であります、企業側から見ると。そういうふうに、労働者側から見れば、もうそれで長年働いてやっと年金がもらえて、働かなくて生活ができるのだから、それでとっととやめていく。しかし、企業から見ると、この労務者不足のときにはもっと働く。年金をもらいながらでも働いてくれぬか、そうすれば、あるいは年金がもっと高年齢になれば——そういうことでなくて、もっと働いてくれるのではないかというふうなこともささやかれている、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/20
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021・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は、ちょっとどういう議論がされているか、いまのお話はよくわからぬのですけれども、私は、人間の社会で生活している以上は、やっぱり勤労して人生の喜びがあると思うのです。そうして勤労というのは、労働力を社会に提供して、そうして社会経済が発展していくという、このような姿なのだと思うのです。だから、それにも人間の体力その他に限界があるから、まあこの程度まで来たら、六十歳とか六十五歳になったら、その後はみんなやって、働ける人は働いてもらうけれども、老後を社会によって守っていこうじゃないかというのが所得保障だと私は思うのです。ですから、そのもう一つ裏を返せば、労働力のある者が社会で半失業や失業で遊んでいるというようなもったいないことはやめようじゃないかという思想につながってくると、私はそう思う。だから、そういう意味からいって、五十五歳に人間の限界があれば五十五歳で定年制にして、それから所得保障すればいい。六十歳まで労働力があって社会に貢献することが、また、それが社会や経済に必要なら、そういう姿の中から人間の限界が来たら、あとは所得保障というかっこうになっていくのが自然の姿だ。労働力の不足のところは、なおさらそういうものがみんなの意見の中できめられてきている。だから、定年制があるからということじゃなしに、持っている労働力を一〇〇%社会の中に貢献してもらおうじゃないかという思想じゃないか、いまの各国の進んでいる姿はそうだと思う。だから、六十歳というのは少ないです。六十五歳、七歳というところもあります。それまでは身に合う仕事を社会に提供しながら、そうして限界がきたら、老後はみんな国や社会の保障で所得保障して、そして老後の人生を楽しんでもらうという姿になっているのがいまの外国の姿じゃないか。産業国といいますか、工業国といいますか、近代的な国家の姿じゃないか。そういうものを踏まえて定年制の問題を考えていただかないと、その角度が違ってくると、少し本来の姿と変わってくるのではないかという気がしてきます。きょうはもうやめますけれども、そこのところあたりが先の議論と通じてくると私は思うので、そういう点は労働省として賃金研究会その他おやりになっているけれども、四年も五年もたっているのにまだ結論が出ていない。私は、もっと深くこの問題をえぐっておやりになるかまえを持たれなければ、何年たっても結論が、あっちに遠慮し、こっちに遠慮したら、できやせぬのではないかという気がするわけです。そこらあたりの動向を聞きたいのですけれども、鋭意研究中ということですから、これ以上は私は言いません。言いませんけれども、倍増計画で国民にあれだけの計画案を発表しながら、少しテンポがゆるいのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/21
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022・三治重信
○政府委員(三治重信君) 少し補足して御説明しますと、われわれが今度定年制がわが国において五十五歳というのは若過ぎるんではないか、もう少し延ばすべきだというふうな線を労働政策として出す意欲はあるわけです。それで、先進国の例をいろいろ調査してみると、それは先生のおっしゃったように、六十歳あるいは六十七歳、六十二歳というふうに各制度がありますが、それは定年制ということではなくして、社会保障を始める年齢なんです。したがって、企業レベルにおいて、企業側が日本みたいに定年制を設けているところはあまりない。むしろ国が法律や社会制度としてそういう年金制度を設けて、それが各企業においては自然に定年制になっている、こういう意味でございます。したがって、われわれのほうも、労働省としては、厚生年金が拡充され、改善されて、しかも、それがいまの五十五歳じゃなくて、六十歳、六十五歳ということになれば、そこまでは企業でかかえられるような社会経済的な条件をどういうふうにしてつくっていくと定年制が延びるであろうか、こういうことについての検討を真剣にしている、こういうことでございまして、諸外国においては、むしろ定年制と申しますか、社会保障制度の開始が日本よりおくれておっても、なおかつ、まだ早いんじゃないかというのが労働力不足の国における企業側の意見、労働者側は、いや、もうそれでたくさんだ、おれはうも三十年も四十年も働いたあとで、それ以上延ばされちゃかなわぬ、日本は五十五歳の定年か、そんなうらやましいことはないということを言われたぐらい。それは五十五歳から社会保障があると思ってきっと言ったことだと思う。日本みたいに五十五歳から社会保障がないところでは、社会保障のあるところまでいかにして定年制を延ばしていくかということについての方法、手段、環境をどういうふうに改善していくかということについてわれわれは真剣に検討している、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/22
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023・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 だから、私が言ってるのは、テンポがのろいということを言ってる。昔は厚生年金ができたときには五十五歳から支給なんですよ。そして共済年金と同じように、同じ姿で出発してるんですよ。それは昭和十七年ですから、戦時中ですからいろいろ見方もありますけれども、それが戦後になってからぐんと変わった。で、まあ年金の額は低くても、六十歳から年金が支給ということを労働省はいま御存じないような気がするんですね。いや、知っておられるなら、それはどういうお返事をされるか知らぬけれども、五年も六年も片っ方ではりっぱな方針を出しておきながら、そこから以前のことは言いませんけれども、いまだに鋭意検討中じゃ、ちょっとテンポがおそ過ぎる。今度五十五歳から六十歳の人はどうして食っているだろう、労働省はどういう関心を持っておられるのだろうかということすら聞きたくなってくるわけなんです。あまり議論はいたしませんけれども、そういうことを一つ一つ言うていったら、やはり少しテンポがおそ過ぎやしませんかね。これは、だから厚生年金の審議であれだけやかましい社会問題になったときも、遠くのほうからながめているということになるのじゃないですか。だから、労働者を守る労働省というものは、やはり労働者を働くだけ働かすんじゃなしに、働いて社会に労働力で貢献したら、その人の生活を一生みるという心がまえで、何らかの形でその生活を守ってあげる、人生を全うさしてあげるというところから出発しなければ、何かぽっぽぽっぽと途中で切れていたらどうにもならぬじゃないですか、これは。そういう感じを受けますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/23
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024・三治重信
○政府委員(三治重信君) 厚生年金の今度の改正の案につきましては、各試案ができた場合に、私たちは厚生省の事務当局と打ち合わせをして、その内容を聞いております。そうして一万円年金ができるだけ早く実現することをこいねがうわけであります。そうして年金の支給開始まで、労働省としては、民間雇用において雇用が維持されるような、そういう政策をとっていくということについては意見の一致をみている。ただ、具体的にどういう線でそういう可能性が出てくるかという技術的な問題になると、いろいろ問題があるから、それを鋭意検討していますと、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/24
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025・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあお昼ですからやめますけれども、私は、そういうことはもっとえぐって、労働省は労働者のサービス省といわれる、あらゆる角度から労働者をより守るということは、労働者だけ守るのじゃなしに、やはり社会全体が近代化し、繁栄していく姿の中で守りながら、その労働者の持っている労働力がより有効に社会に提供されて社会が発展をするという、この導きをするのが労働省だと私は思うのです。だけれども、そういう点がどうも守り方が足らぬという表現になるのかどうか知りませんけれども、関心が足らぬというか知らぬけれども、きょうはテンポが少しおそいということにしておきますけれども、もう少し真剣にひとつ取り組んでもらわなければ困るという、そのことだけを強く言っておきます。これはひとつ午後労働大臣にこの問題についてだけ御所見を承っておきたい、こう思って、私のきょうの午前中の質問はやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X02819640528/25
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026・鈴木強
○委員長(鈴木強君) 午後一時まで休憩いたします。
午後零時七分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
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